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past;友達

マリィシャ・アーカート 2022年4月4日


ねえ、今日もお話を聞かせて。




嘘だよ
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マリィシャ・アーカート 2022年4月29日
――ねえ、ヱリィ、他の子には恥ずかしくって頼めないけど、わたしのことを褒めてほしいの。……そう。そうなの。ヱリィにしかわからないんだと思う。完璧主義だなんていうのは病に近いもので、決して嬉しいことじゃないのよ。そこが、みんなとの違いなのね。ヱリィとわたしはこうして考え方を共有することができる。わたしはそれだけで満たされている。ヱリィがいてくれてよかった。
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マリィシャ・アーカート 2022年4月29日
――ねえ、ヱリィ、知っている? ゲームって楽しいのね。本ばかり読んでいたけど、……そう、ゲームの中にもストーリーを重視した類のものが案外あるの。わたしは本に対して、没頭できることと、ファンタジーを見せてくれることを期待していたようなの。だからゲームでもそれが満たされたの。まだ上手に操作できないところが多いけど……でも慣れていくと思うわ。そうよ。ヱリィ。完璧になるまで続けたらいいだけだもの。
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マリィシャ・アーカート 2022年5月15日
――ねえ、ヱリィ、うまく眠れないの。眠らなければと思って布団を被ると、ますます目が冴えてくるのよ。なのに昼間にはいつの間にか舟を漕いでいたりするの。だから夜に眠気が逃げてしまうのかしら。目を瞑るといろんなことを考えてしまう。いろんなこと。ヱリィにはお見通しだろうけれど。うん、わたしはそんなことをずっと考えているんだわ。ヱリィが手を握っていてくれたらいいのに。
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マリィシャ・アーカート 2022年5月16日
――ねえ、ヱリィ、みんながわけのわからないことを言うの。「おまえが喚ぶべきはそんな妄想の産物じゃない」とか、「何もない場所に向かって喋るのをやめろ」とか、「それは私たちの神様じゃない」とか。わたし、もう聞きたくないのよ。みんなだってわたしを見ていないのにね。
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マリィシャ・アーカート 2022年5月16日
――ねえ、ヱリィ、家の人たちが言うことと、学校の人たちが言うことは、まるで食い違っているわ。わたし、おかしいのは学校のほうなんだって思っていたのだけど……そうよ。ゲームを教えてくれた子がね、テレビも見せてくれるの。わたしの知らない常識がたくさん映るの。家には内緒。当たり前よ。おかしいのは、どうやらわたしの家みたいなの。
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マリィシャ・アーカート 2022年5月16日
――ねえ、ヱリィ、わたしと会話してくれていた子、いたでしょう。あの子ね、突然学校に来なくなっちゃった。また、ふたりぼっちね。でも平気。わたしにはヱリィがいる。ヱリィは絶対にわたしを置いていったりしない。いつまでも一緒なんだもの。
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マリィシャ・アーカート 2022年5月23日
――ねえ、ヱリィ。
あなた、そこにいるよね?
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マリィシャ・アーカート 2022年5月23日
――ねえ、ヱリィ、みんなはわたしを否定してくれないんだよ。真理依ちゃんなら全部知ってるはずだって言って、授業で手を挙げないのは他の人に答えを譲るためだって先生まで言うの。おかしいよね。おかしいんだよ。そんなはずないのにね。わたしだって知らないこともわからないこともいっぱいあるのにね。勝手にわたしを全知全能に仕立て上げるの。家の人も学校の人もプログラミングされているみたいね。そうやってしか喋れないの。
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マリィシャ・アーカート 2022年5月23日
――ねえ、ヱリィ、わたしを否定してくれるのはあなただけ。「それは間違いだよ」「そんなの嘘だよ」「マリィの考え過ぎだよ」……ヱリィが否定してくれないと、ぜんぶ、何もかも、本当のことになってしまう。わたしだってわたしの気持ちを否定しきれないんだよ。だから、ね、たとえばわたしが、家の人が言うように神様の依り代だって、わたしさえも信じてしまったら――
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マリィシャ・アーカート 2022年5月23日
――ねえ、ねえ、ねえ、ヱリィ、どこ? どこにいるの? 声を聴かせて。ヱリィが見えない。わたしを否定して。わたしの歪んだ常識を壊して。ヱリィ、ヱリィ、どうして返事してくれないの。どこに隠れたの。ヱリィ、ヱリィ!
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マリィシャ・アーカート 2022年5月23日
■■ (嘘だよ)
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マリィシャ・アーカート 2022年5月23日
……心配は要りませんよ。
ただ祈ればいいのです。ただわたしを信じればいいのです。あなたたちはわたしが宿した■■の告げることを盲信していればいいのです。
ああ、ほら、いけません。その子ははじめましてかしら。あまりこっちを見るものではありませんよ。
目が潰れてしまうかもしれませんから。
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