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眠りの塔
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――あの人に似て来たわね
神埜・常盤 2022年3月31日
私が十八の頃、母は唐突にそう云った。
母が数年振りに自ら話しかけて呉れた嬉しさよりも、
此の躰に流れる穢血の濃さが、
何より母の聲に温かな情が滲んで居たことが恐ろしくて。
私は母の貌を見ることが出来なかった。
其の眸にはきっと、父への愛が滲んで居たのだろう。
愛すべき母を喪って、もう十五年に成る。
鏡のなか、貴女だけは何処にもいない――。
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