2
★【1:1】泡沫の光彩

ノヴァ・フォルモント 2022年3月1日


--

夜色が輝く石の山。
その美しい洞窟内での出会いと邂逅。

甘い声色に桃色の髪を泳がせながら。
輝く宝石を纏い、優雅に振る舞うひとりの女性。
生命を宿す宝石に魅入られた彼女は、
何時しか不老の魔女になっていた。

命の輝きへの好奇心と、宝石への執着心。
此の日訪れた猟兵達にも普段と変わらぬ視線を向けて……。

――けれど。
宝石の魔女は、もう此の場には居ない。

幾つかの宝石を残したまま。
もう二度とその姿を眼にする事も無いのだろう。


--

(お約束した人との対話)
(世界:アルダワ、北方帝国)
(時系列:フルール・ジェムの奇跡、二章直後)
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=39914)
(期限:本日~近日中)

--




2





ノヴァ・フォルモント 2022年3月1日
倒れた魔女の姿は塵のように跡形もなく消えた。まるで最初からそこに存在しなかったように。残されたのは、冷たい地面に転がる小さな宝石達だけ。―赤、青、緑、朱色に黄色。よく見ればそれは両手で数える程も無くて。でもコレは、故郷の誰かの命で出来た宝石だ。……と、魔女は語っていたけれど。勿論、自分にはその誰かが分かるはずもない。ひと粒をそっと手に取り、暫く見つめた後。鞄から取り出した小さな布の袋へと丁寧に仕舞っていった。
0
ネムリア・ティーズ 2022年3月1日
(凛、と。焦りを含んだ声がキミを呼ぶ)――ノヴァ!……ケガは、していない?(駆け寄るとキミの足元に、とりどりの宝石が散らばっていた。だれかの、命のかけら。きっとキミの識る、だれかの。)
0
ノヴァ・フォルモント 2022年3月1日
(自分を呼ぶ声に顔を上げる。先程まで一緒に居た君の姿を眼に留めると、まるで此方側に呼び戻された様に瞬きをした。)(気遣う君の言葉に一瞬、視線を落とし。残りの宝石を全て仕舞終えると静かに腰を上げ)……ネムリア。うん、俺は平気。君こそ、何ともない?……さっきは、置いて行ってしまってごめんね。
0
ネムリア・ティーズ 2022年3月1日
(瞬く視線の先に、たしかにボクがいたから。ほんの少しだけ安心したけれど、)ボクもへいき。命が宝石に変わるのはびっくりしたけど。本体もだいじょうぶみたい。……心配したの。キミもそうだって、わかっていても。…もう置いていかないでね?約束、してくれたらいいよ。(一瞬、微かに眦を和らげて)
…さっきの、魔女さんは。ノヴァのしっているひと?
0
ノヴァ・フォルモント 2022年3月1日
俺達なら少し力を奪われる程度とは、先に聞いていたけれど。ネムリアも平気そうで良かった。……そうか、心配掛けてごめん。でも見ての通り、俺はネムリアよりもきっと元気だよ。(事実、先程対峙した魔女に自分は力を奪われる事は無かったのだから。)約束?……そうだな、絶対は出来ないけれど。努力はするよ。
さっきの魔女は……。知り合いというには少し違うけれど。昔、俺がまだ子供の頃に一度だけ会った事があるんだ。
0
ネムリア・ティーズ 2022年3月1日
先に聞いていたから心の準備はしていたけど…。実際に見ると、やっぱりおどろいてしまったの。(涙のかたちをしたムーンストーンを取り出す。手の中で転がせば、黄と青のひかりがゆらめいて)うん、キミにケガがなくて少し安心したの。それでもいいよ。約束を覚えていてくれるなら。…次がないのが、いちばん良いけれど。また危ない時には力にならせてね。
ノヴァが子どもの頃に?一度だけしか会っていないのに、よく覚えているのは……なにかあったの?って、訊いてもいい?
0
ノヴァ・フォルモント 2022年3月1日
(君の手の中で転がる、涙型のムーンストーンを見つめて。)……綺麗だね。それがネムリアが宿す色なのかな。―ふふ、少し意地悪な答えを返してしまったか。でも俺は絶対じゃない約束は、したくないんだ。叶わなかった時の方が、もっと辛くなるから。もちろん、覚えておくよ。ネムリアは頼りになる子だからね。
……うん、そうだな。自分もさっき会うまでは朧気に記憶の片隅にあっただけだと思うけど。姿を見た瞬間思い出したんだ。(ついさっき宝石を仕舞っていた袋からひと粒取り出して。君も見覚えのある輝き、露天商で見せた朱色の宝石を。)……コレを、子供の頃にあの魔女に貰ったんだ。たぶん、今のネムリアと同じ様に出来たものだと思う。
0
ネムリア・ティーズ 2022年3月2日
うん、きれいな宝石。…あのね、ボクの命にどんないろが宿るのか。それを見られたのはうれしかったんだ。(大切そうに両手で宝石を包み込むと、ちいさく微笑み)ううん。いじわるじゃないよ。…それに次はダメって言われてもついていくもの。ふふ、頼りにしてね。
(黄昏空に似た朱色の宝石。なんで気付かなかったんだろう。キミの瞳と、おんなじいろをしている。)その宝石…ノヴァから生まれたものだったんだね。小さいころから猟兵だったの?(ふつうの人は命を吸われて弱ってしまうと言っていたから。)…どうして、宝石をくれたんだろう。あんなに集めたがっていたのに。
0
ノヴァ・フォルモント 2022年3月2日
きっと誰でも、自分から生まれた宝石がどんな色に輝くか見てみたいという気持ちは何処かにあるのかもね。命の一欠片、自分の分身みたいなものになるだろうから。(大切そうに包まれた君の宝石を見つめて、穏やかに微笑んだ。)……ふふ、意外だ。ネムリアも案外強引な所があるんだ?でも君なら嫌じゃないよ。その時は頼りにさせてもらうね。
……いや、とくべつ丈夫でも何でもない。ただの子供だったかな。言われてみれば、そうだな。なぜ魔女は俺に宝石をくれたのか。自分でも分からないんだ、もう聴くことも出来ないし。……でも、きっとそれで良かったんだと思う。……そうじゃなかったらきっと、俺は此処に居ないし。ネムリアにも出会って居なかったから。
0
ネムリア・ティーズ 2022年3月2日
きっと、そうだね。……どの宝石もきれいだった。自分の命も、だれかの命も。そのひとかけらの輝きを見たいと思うだけなら。魔女さんの気持ちも、すこしわかる気がするんだ。……ふふ、ボクはノヴァが思うよりずっとわがままだよ。本当に大切だと思ったものは、手放せないもの。(嫌じゃない、と言って貰えたことに微笑み。こくんと頷いて)
そう……もう確かめることはできないけれど。ボクも、ノヴァが此処にいてくれてよかった。うれしい、って思うよ。(もしかしたら、宝石と同じいろの瞳をみて。キミの命そのものを気に入ったのかもしれない。本当は、小さな子どもの命を奪いたくなかったのかも。なんて色々考えてしまうけれど。キミが良いと言うのなら、分からないまま覚えていようと思うんだ。)
さっき拾った宝石たちは……埋めてあげるの?
0
ノヴァ・フォルモント 2022年3月2日
……うん、綺麗なものに惹かれる気持ちは俺も分かる。もしかしたらあの魔女も最初はそんな切っ掛けで興味を持ち始めたのかもしれないな。……ふふ、そうなんだ?今日はネムリアの新しい一面を知れたって事かな。……大切?(自分の事を指しているのだと分かると、ぱちりと瞬きをして。)そうか、ありがとう。そう思って貰えるだけで、俺は十分嬉しいよ。(迷いの無い澄んだ声色に、君の純粋さを改めて感じた気がして。)……うん、きっとね。それに、過去の事実はもう変える事も出来ないから。(あの時、故郷の皆と共にしていたらと…そんな風に思った時期もあっただろうか。既にその感情も遠い昔の事のように感じた。)
0
ノヴァ・フォルモント 2022年3月2日
――さっきの?……ああ、この宝石の事か。(自分の朱色の宝石を袋に戻し、替わりにひと粒。真っ赤な宝石を手に取って。)……埋める、か。それでも良いかもしれないな。何時それが出来るかは分からないけれど。(さっきは無意識に拾っていたが、取り戻した宝石をどうするかは考えていなかった。故郷に帰るとしても、今直ぐには出来ないだろうとも思ったからだ。)
0
ネムリア・ティーズ 2022年3月3日
(返る言葉にまた頷いて。意外そうに瞬く瞳を見ると、くすりと笑みが零れた)そうだよ。ノヴァも大切。もっとお話して、いっぱい遊んでみたいもの。……ボクにとっても、今日は新しいキミを識る日になったな。(キミを誘ってこの依頼を受けたのは偶然だけれど。なにかが、縁を結んでくれたのかもしれない。)……それは、……ううん。なんでもない。(変えられるなら、変えたい過去があるの?)(そう問いかけたけれど、やめた。朱色の瞳に涙の気配は無くて。優しい声も穏やかなままだったから。)

何時というなら、いまからでも良い場所を探しに行けるよ。……それとも、ノヴァに考えがあるなら。ボクはお手伝いしなくてもへいき?
0
ノヴァ・フォルモント 2022年3月3日
ふふ、そうだね。俺もネムリアともっと話したり、遊びに出掛けたり。これからも出来たら良いなって思っているよ。……俺の新しい一面も、何か識れたかい?(自分は普段通りのつもりで居たけれど。君から見た俺は、何か違って見える部分があったのだろうか。)まあでも、まだ云う程お互いの事を識らないね。会う度に新しい発見があるのは自然な事かもしれないな。――?(君が躊躇った真意は察せなかった。けれど途切れた言葉の続きを聞き返すことはせず、ただ何時も通り微笑み返した。)
0
ノヴァ・フォルモント 2022年3月3日
今からは…。きっと無理かな、行けない場所ではないのだけど。この宝石達をもし埋めるなら、その場所は決まっているんだ。(ひとつ息を吐いて。けれど躊躇う気配はなく言葉を続ける。)……俺の生まれ育った故郷。魔女の話が本当なら、そうするべき……ではあるんだ。(本当にこの宝石が故郷の誰かが元になっているのかも、確証がない。だからなのか、それとも。もう故郷を惜しむ気持ちが薄れてしまったからか。袋に詰められた宝石達の重さが、あまりに軽く感じてしまうのは。)
0
ネムリア・ティーズ 2022年3月3日
ふふ、一緒ならうれしいな。うん、少しだけ見えるものが増えた気がするの。どんな部分かは…ないしょだけれど。

……決まっているの?(小さく首を傾げて。吐息ひとつ、続いた言葉に目を見開いた)ノヴァのこきょう。じゃあその宝石たちはみんな、ノヴァのしっているひと…?(あの戦いの中で。自分の命を宝石に変えた相手にさえ、穏やかな歌声を届けたキミだから。きっと放ってはおけなくて拾い集めたのだと思っていたのに。)……もし埋めるのなら。思い出と一緒に眠らせてあげたい、よね。……ねえノヴァ。ほんとうに、どこも痛くない…?(心配そうに朱色の瞳を見つめて)
0
ノヴァ・フォルモント 2022年3月3日
ふぅん、内緒なんだ。自分の事なら少し聴いてみたかったけれど。じゃあそれを識るのは次の機会に取っておこうかな。

(自分が淡と零した言葉に目の前の君は驚いただろうか。きっと当たり前の反応だ。この宝石が魔女の手にあったという事は、自分にとっては仇に相当する存在の筈なのだから。)……そうだね、魔女が嘘を言っていないなら。たぶんそう。でもこの宝石達から現れる幻影を俺は見ていないんだ。だから例えば、この赤い宝石が誰のものなのかも。俺には、分からない。……それでも、故郷の地に埋めるべきだと。君は思う?(普段よりも低く静かな声でそう問うと、そっと手にしていた宝石を布の袋に収めて。)……痛くないよ。心配してくれてありがとう。君は、優しいね。(見つめられた瞳へ穏やかに微笑み返し。)
0
ネムリア・ティーズ 2022年3月4日
(痛くないよ、というキミに小さく頷くことしかできなくて。)(目を瞑って考える。ボクなら、どう思うか。)……それでも、故郷に埋めたいって思うよ。ボクは故郷というものが、よくわからないけれど。生まれ育った大切な場所なんだよね?……本当は、ウソで。この宝石がボクのしらないひとだったとしても。ボクのよく識る場所で眠ってほしいの。ここは安心して眠れる場所だよって、伝えてあげられるから。(それにね?と再びキミを見つめて)魔女さんの言葉を信じたい。だから故郷の地へ埋めるかどうかは……ノヴァが魔女さんを信じたいかどうかで、決めても良いのかなって…。そう思ったよ。
0
ノヴァ・フォルモント 2022年3月4日
……そうか、ネムリアはそう思うんだ。うん、自分の生まれ育った場所。遠く長い期間離れていても、ふとした時に思い出す。そんな場所だね。(ヤドリガミ本体の君には記憶や思い出は無いのだろうか。そんな事も何時かの機会に聴けたらと過りつつ。)……なるほど、もし他人だったとしてもこんな所に捨て置くのは忍びないものな。(見つめる瞳と視線が合って。次いだ君の言葉に瞬きをし。)うん……嘘は。たぶん言っていなかった気がするよ、何となくだけどね。あの状況で魔女が嘘を言う理由もない。……だから、本当はその言葉を信じてる。と、頭では分かっているんだけど。不思議と実感が沸かないんだ。(宝石の収められた袋を軽く握りしめ、石同士が擦れる音が漏れる。)
0
ネムリア・ティーズ 2022年3月4日
…ふとした時に、思い出す。それならやっぱり良い場所だね。そこに眠っていることを自然と思い出せるもの。(微かに擦れる石の音に耳を澄ます。そうして長い眠りにつけば。この宝石たちも夜の底へとゆくことが出来るのかな。どうか、そうであってほしい。)……たぶん、だけど。最期を、その目で見ていないから。宝石たちが……冷たくないから。キミのこころは、まだ納得していないのかな。(袋を握りしめる手にふれようと、そっと片手を伸ばす)ボクはノヴァがどうして旅をしているか知らないけれど。その旅の中で、どうしてあげたいか、ゆっくり考えても良いと思うな。……魂を還す時には、見送るひとも癒されてほしいから。キミがいちばん良いと思う答えを選べたらって、思うよ。
0
ノヴァ・フォルモント 2022年3月5日
……俺の故郷は、なんにも無い所だよ。奥深い山の中で、自然と長閑な空気だけが取り柄みたいな。そんな場所だ。(その穏やかな当たり前が、幼い頃の自分には退屈に思えたのかも知れない。)……納得、してないのかな。だからこの宝石達が皆のものだなんて、未だに信じられないのかも。(袋を包み込む自分の手を見つめ直す。ふと。君の暖かい温もりが触れ、静かに顔を上げた。生身の体が在る筈の自分の方が冷えていると思う程に、暖かい手だった。)……俺の旅路の理由は、在って無いようなものだから。急ぐべき目標もない。でも考える時間は沢山あるね。(触れてくれた事に戸惑う様子は無く、受け入れるようにそのままで。けれど次に紡ぎ出す言葉には、僅かに躊躇う音を含ませた。)
0
ノヴァ・フォルモント 2022年3月5日
……何時か、この宝石達を故郷に還すその時は。良かったらネムリアも一緒に来てくれないか?この宝石達の事を識っているのは、俺と君だけだから。……それに自分一人では、故郷の地へ足を運ぶ事さえ、難しい気がするんだ。……だから。(身勝手な願いだと分かっている。君の反応が心配で、伺うように見つめ直した。)
0
ネムリア・ティーズ 2022年3月5日
とてもステキな取り柄だと思うな。生きた森はすきだよ。朝の光より早く鳥がさえずって、夜にはたくさんの星が歌うように輝くから。季節のうつろいも、ずっとそばに感じられて……なにより、キミの想い出が在る場所だもの。(きっとステキな場所だと、小さく微笑み)
0
ネムリア・ティーズ 2022年3月5日
うん。まだ、納得していないのかも。……お別れは。突然なほど、信じられないものだから。(裡から滲み出すように、淡く、ぽつりと呟いて。見つめ直した先、朱い光環にうつるのは、淋しい睫毛の影だった。)(『痛くないよ』とキミは言ったけれど。話を聞いたら、そんな風には見えなくて。)
0
ネムリア・ティーズ 2022年3月5日
……旅を急がないのなら、ゆっくり考えられるね。ボクもね、すっごく長生きするつもりだから。ノヴァを待つ時間はたくさんあるよ。……だからキミの答えが見つかったら。いつか想いを還す時は、いっしょに行かせて?約束なの。(触れていた手を離すと、そっと小指を差し出して)
0
ノヴァ・フォルモント 2022年3月6日
(君の言葉に、故郷の懐かしい光景が脳裡に浮かぶ。あの場所は今も想い出の中の景色、そのままなのだろうか。)……そうだね。あの時、幼かった俺は尚更信じられなかった。だからその時の想いが、未だに自分の中で残っているのかもしれない。(魔女が倒れた後も奥底で燻ったままで、燃え切らずにずっと。)
0
ノヴァ・フォルモント 2022年3月6日
……ふふ、ネムリアなら本当にいつ迄も待っていてくれそうだな。(寿命の無い君の時間は自分よりきっと遥かに長い。その事実もあるけれど。)……うん、ありがとう。何時か答えが見つかったその時は、一緒に来てくれたら嬉しい。(差し出された君の細い小指。少し躊躇った後、そっと自分の小指を絡ませて。)……この約束は、絶対破れなくなってしまったな。(言葉とは裏腹に、明るい声色で君へ微笑みを返した。)
0
ノヴァ・フォルモント 2022年3月6日
そうして月色の旅人と硝子小瓶の君は、共に夜色の洞窟を後にする。
交わした約束を互いの胸に秘めて。いつか叶うその日まで――。

0