【説話】既往
ヴァルダ・イシルドゥア 2021年12月28日
雨が降る。
銀の雨が降り注ぐ。
俄雨には、程遠い。
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1:1RP:先着おひとりさま、どなたでも
場所:銀誓館学園・屋上
時刻:黎明
30レス程度、或いは2週間程度途切れたら閉幕
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ヴァルダ・イシルドゥア 2021年12月28日
(異なる世界の、異なる建物。趣こそ違えど、そこには独特の空気感があった。UDCアースと相違ない世界、なのだろうか?転送される前に聞き齧ったその名を思い起こしながら)
ここが、……学び舎?
(雲に覆われた空からは陽のぬくもりを感じられない。濡れる事も厭わずに、屋上のフェンス越しに周囲を見渡し)
……救われたはずのせかいに、注ぐ災厄……。
全てに、……例外はないのでしょうか。だとしたら……、
(しとしとと雨が降り注ぐ。雨粒は銀の光を抱いて、弾けて消える。泡沫の夢。眼前に広がる非日常の色彩。今再び災厄に見舞われし世界。他人事ではないような気が、して。過ぎった考えを振り払うようにかぶりを振り)
(雨は、止まない。竜のむすめは、細く白い息を吐き出した)
ジェイ・バグショット 2022年1月2日
(仕事をするにもその世界のことを知るのは重要だ。知っているのと知らないのとでは、結果に大きく影響が出ることを理解している。だからわざわざ銀の雨が降る世界へと足を運んだワケだが、その名に違わぬ雨が降り注ぐものだから目深に被ったフードから銀の雫が零れ落ちた)
…何だこの雨。
(見上げたのは雨空。情報によればこの世界には異能力者が存在し、嘗て世界を脅かしたゴーストとの戦争に幾度となく勝利してきたのだとか。地形を把握するのに丁度いいとばかりに訪れたのは、銀誓館学園と呼ばれる学び舎の屋上。真面目に校内の階段を使って来るなんてする訳なく、もちろん許可も取ってない)
…先客がいるな。
(学園の生徒なら面倒だなァと思いつつ、後方から様子を伺う)
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年1月3日
(自分が知り得る中でも、文明の水準はとても高い世界なのだろう。建物の造形ひとつとっても、己が元いた世界よりも精巧な造りであるそれ。拭い去れぬ違和感、自身こそが『異物』であるこの感覚には、未だ慣れることが出来ないままでいた)
アナリオン?
(肩にとまっていた仔竜が、ちいさく鳴き声を上げる。長い首を擡げる仕草を追うように振り向けば、)
誰か、……いらっしゃるんですか?
(恐る恐る。雨音に掻き消えない程度に、声を張った。人の少ない時間を選んだつもりではあったが、見回りの職員だろうか)
(ひとならざる長耳を持つむすめは、ただそこに佇んでいた。身なりは常のまま。即ち、『剣と魔法の世界』ならば違和のない風体。それを怪訝に思われるか否か。むすめは緊張に身を固くしながら、不安げに瞳を揺らがせた)
ジェイ・バグショット 2022年1月8日
(気配を消すには良い日だ。雨は気配も音もかき消して、存在を薄れさせる。普通の人間なら気付くことはなかっただろうし、気づかれるとも思っていなかったものだから少しばかり驚いた)
…気づかれるとは思わなかったな。
(被った黒いフードはそのまま、建物の陰に潜むのをやめ相手から見える位置へ移動すると、フードから覗く金の瞳がその娘の様相を眺め見る)
あぁ…、そう不安げにするな。怪しい者じゃないと言えばそりゃ嘘になるが、お前さんにとって敵と言えるほどのヤツでもない。
(肩に止まった竜、A&Wによく見る衣装など相手を判断する材料はいくつかあった。おそらく猟兵だろうと考え、存在を察知したらしい仔竜を指して「良い相棒だな。」なんて軽い調子でフードをずらす。いつも通り顔色の悪い男がそこにいた)
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年1月8日
(線の細いおとこであった。けれど、内側に強靭な発条を秘めた。恐らくは戦うことを知るものなのではないだろうか。巡らせるも、憶測でひとを推し量るのは失礼かもしれないと。かぶりを振って己を律し)
いいえ、私ではなく。この子が。
(ヒトよりも長い耳は聞こえも良いが。元より気配を消そうとしている生き物の音までは感じ取る事が出来ない。彼があなたをみつけました、と。『きょうだい』を褒めてもらった事に表情を和らげて)
どちらかと言えば、私の方が『あやしいもの』に見えてしまうかもしれません。
けれど……あなたは、この長耳も。竜も。恐れはしないのですね。
(なれば。この世界の怪異に慣れた人物か、或いは、)
この世界では、異能を扱う存在を能力者と呼ぶのだそうです。
私は……『よそもの』の『猟兵』。忘却の怪異に抗うものです。
(あなたは?と。陽の瞳は真っ直ぐに、フードの影から覗くきんいろの双眸を見つめ)
ジェイ・バグショット 2022年1月8日
デキる相棒がいるのは羨ましい限りだ。それも竜とはな。
(男にとってはあまり馴染みのない生き物ではあるが、神話でもその存在感は大きい。強者として描かれることが多いし、実際にそうなのだろう。相手の表情が和らいだように見え、こちらも幾らか警戒を解く。仕事柄いつでも警戒はしておく主義だが改めて正体を明かされ、猟兵だと分かればその必要はないと判断した)
はは、確かに服装を考えればそうかもしれねぇな。この世界にもそう言った衣装がないワケじゃないだろうが、場所を考えれば訝しがられることは間違いねぇ。
(その点を踏まえれば、自分の方が幾分かマシだと言える。顔色の悪さを足したら逆転間違いなしな気はするが)
ジェイ・バグショット 2022年1月8日
…その長耳、エルフってヤツか?生憎恐れる理由は無いもんで。お前さんが酷く暴力的な女だって言うんなら、俺は今すぐにでも回れ右して帰らせてもらうが。
(言葉とは裏腹に声音には軽さを乗せて、皮肉っぽい冗談は男の通常運転であった)
あぁ、俺も同業。余所者ってとこまで同じだ。この世界にはさっき来たばかりでな。そっちは?
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年1月9日
(自分のことを褒めてもらっている。それを理解しているのか、仔竜は喉を鳴らして目を細めた。そんなきょうだいの顎下を指で擽ってやりながら)
ありがとうございます。……ふふ、『うれしい』って。
(それをそのまま。目前のあなたに告げたら、おかしなむすめだと思われてしまわないかしら?)
まあ、
(『よその世界の存在』が前提とされた口ぶりに。本人から同業者であることを告げられれば、ちいさな感嘆を上げ)
よかった。異邦人の存在を、未知を。理解しても受け入れられない方もいらっしゃいますから……。安心しました。あなたも同じみちを歩む方だったんですね。
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年1月9日
(斜に構えた物言いに、むすめに気を悪くした風はない。自分は良かれど、雨に濡れたままでは彼が風邪をひいてしまうかもしれない。影に入りましょうか、と問うて)
うふふ。出会ったばかりの方に武器を向けるようなことはしませんよ。
森の民の多くは、戦うことよりも。語らうことを好むのです。
(少なくとも、自分の周りはそうだったと微笑みながら)
私はヴァルダ。仰る通り、妖精族の血を引いて居ります。
……あなたのお名前を、伺っても?
ジェイ・バグショット 2022年1月11日
(案外感情豊からしい仔竜と相手のやりとりに目を細める)
まぁ、普通の人間からしたら俺らみたいな得体の知れないヤツを警戒する気持ちは分からんでもねェな。俺がそっち側でもそうするだろうよ。
危機管理能力がしっかりしていて結構なことだ。
今回は俺もアンタと同類だ。少しは話しやすくてイイだろう?
(顔色の悪さに気を使わせたか?と思うも、気遣いは有難く受け取り雨に濡れない影に入る)
それは良かった。
…いや、仕事柄そういうのを相手にすることは多いんだ。
だから性格が良さそうで安心した。
森の民ねェ…出身はどこなんだ?行ったことある世界かもしれねぇ。
ジェイ・バグショット。ダークセイヴァー出身だ。
妖精の血族と話が出来るとは光栄だな。
(名を問われれば隠すことなく告げて。よろしく、と友好的な様子を見せる。他所の世界の種族には興味があるし、知識や情報は集めておくに越したことはない)
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年1月13日
せかいによっては、歓迎されないこともありますから。
ですから……有事の時以外は、抜き身の刃を持たないようにしているんです。
(仔竜はそのままむすめの肩口にぐるりと尾を回し目を伏せた。威圧するつもりもない、と言いたいのかもしれない)
ええ。ええ。そうですね。
同じ目線でことのはを交わせることを、嬉しく思っています。ほんとうに!
(お世辞にも口が上手いほうとは言い難い。この幸運を心から喜んでいるのだと、きちんと伝えられただろうか?)
(しとしとと雨は降り続けている。少しばかり濡れたが、気になる程ではなかった)
ふふ、でも。私も同じです。
あなたが優しい方で、よかった。
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年1月13日
私は、魔法の奇跡に満ちた場所より生まれました。
妖精族と人間たちの仲はとても良好で……ですから、その。
『そとに出たら、おともだちを作ります!』って。
父と母に、豪語して……森の……外に……。
(尻すぼみ。段々恥ずかしくなってきたのか、視線をそらしつつに。こほん、咳払い)
ジェイさま。ジェイさまと仰るのですね。
ここには、おつとめに?
(何か。手助けできることはあるか、と。首を傾けて問い)
ジェイ・バグショット 2022年1月27日
(言葉尻から出会いを喜んでいる様子は手に取るように分かった。”優しい”という評価には僅かに肩を竦めて見せるが、否定も肯定もすることはなかった。己の皮肉っぽい性格を咎められなかっただけ良しとしよう)
随分と恵まれた…あぁいや、良い故郷のようだ。
(友達を作るという名目で森を出たらしい言葉には首を傾げて)
お友達ならその森で作ることも出来たんじゃないのか。
わざわざ外の世界へ飛び出すほどのことが?
(妖精族と言えば頭に浮かぶのはフェアリーだが、サイズ感の違いでも気になったのだろうかと勝手に推測する)
ジェイ・バグショット 2022年1月27日
さま、って呼ばれるほどの人間じゃあないんだがな…まぁ呼び方は好きにしたらいい。
今日は特に仕事で来たワケじゃねェんだ。情報収集だよ。
今後仕事を請け負うにしても、前情報があるとないとじゃ随分違う。
俺は力で全部ねじ伏せるってタイプじゃねぇからな。少しでも狡猾にいきたいのさ。
(助けの申し出には短く礼だけ述べて)
そういうお前さんは、お友達作りにこの学園へ?
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年4月3日
(ひとには数多の『こころ』の受け取り方がある。
ちょっぴり恥ずかしがりやさんだったり、おしゃべりが苦手だったり。
そんなニンゲンもいることを理解しているつもりではあるらしい。
否定されなかっただけで十分なのか、娘は微笑みを湛えていた)
そうですね、とても。……とても、平和なところです。
それでも、森の中には気性の荒い魔獣の類も居ましたから。
ひとびとは、少なからず戦う手段を持っているんですよ。
(護身用の武器を持つことが普通。その程度には、命の危険があるせかいだと答え)
ふふ!ええ。ええ。もちろん、精霊や妖精たち。動物たちも、私に心を開いてくださいました。
けれど……私は、その。
『似たすがたかたちのもの』を、両親か、旅先で出会う人々しか知らなかったんです。
だからでしょうか。10を過ぎる年頃くらいから、強い憧れを抱くようになって。
(一歩を。踏み出さずにはいられなかったのだ)
……子どもみたいでしょう?
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年4月3日
まあ!でも、……あっ、
(『でも』。『だって』。自分の悪い口癖だ。
慌てて口を押さえ込んだのち、おほん!と咳払いをひとつ)
ジェイ、さん。これなら、不自然ではありませんか?
その、えっと。……殿方をそう呼ぶ機会がないので、おかしかったら教えてくださいましね。
(上手に呼べたろうか。自信なさげに陽色のひとみを揺らし)
そうだったんですか。うふふ、それなら私も同じです。
あたらしいせかい。壁を隔てた向こうにある、生き方も人も、何もかも違うせかい。
……私は竜を駆り戦う者。ですから、みなを怖がらせてしまうこともあるんです。
(怪異がどれほどこの世界にとって日常的であるか。
人々はどんな生き方をしているのか。それを知りたいのだと語り)
もし。……もし、ジェイさんがよろしければ。
私に、そのお手伝いをさせて下さいませんか?
ジェイ・バグショット 2022年4月9日
平和そうなところだが、魔獣がいるのは大変だな。戦う手段があるってのは幸いと言うか…それが日常ってことか。(奪われるだけの世界というわけでは無いらしい)
(強い憧れと共に一歩を踏み出したのだと語る姿のなんと眩しいことか。己の辿った人生とは全く違う。その姿を羨む気持ちがないワケではなかったが、ただ少しの驚きと共になぜかそれが眩しく思えたのだ)…いや、俺はイイと思うぜ。自分の気持ちのままに動けるってことは、出来るようで出来ないものだ。まして故郷に不満があったワケじゃないようだしな。
ジェイ・バグショット 2022年4月9日
…あぁ、そっちの方がしっくりくる。ありがとよ。(律義に呼び方を変えてくれるところも人柄の良さ故なのだろう。こちらの様子を伺うのは性格なのか癖なのか、はたまたこういう場面に慣れていないからなのか…揺れる陽色の瞳が印象的だった)
訪れた目的は一緒ってことか。奇遇だな。
世界が変わればそこに生きるヤツらもガラリと変わるからなァ…新しいことを知るのは嫌いじゃないしよ。
竜を狩り戦う者、ね。俺にとっては良い出会いかもしれん。
(思いがけないヴァルダの申し出に瞬きを一つ)
…手伝い?あぁ…、目的は同じようだし、俺は別に構わないぜ。
もしお前が知りたいことがあるんなら、俺が手伝っても良いしな。
(一人で動くのは慣れているが、たまにはこういうのも悪くないだろう)
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年4月11日
はい。己が身を守る術を持たぬものも勿論たくさんおりますが。
大体の集落には腕に自信がある守り人がいて、有事の際にはきちんと抗うことが出来るんです。
(手に負えないような災厄があらわれたそのときは。それこそ、猟兵たる自分の出番なのだと――口にしてから少々自信過剰な気がしてしまって、照れ臭そうに俯き)
故郷を、過去を厭わしく思う方もいらっしゃるでしょう。
私は、そうですね。『自分に出来ることを精一杯』と。ちっぽけな正義感と……ちょっぴりの背伸びで、ここまでやって来れたんだと思います。
(我ながら未熟な考え方だと思う。偽善だとも思う。けれど、それでも。少なくないものを救えたことが、今は誇らしいのだと微笑み)
ありがとうございます。
うふふ!改めて御同朋にそう言って頂けると、面映ゆく感じてしまいます。
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年4月11日
いいえ、いいえ。
私のことも、どうぞ気安くお呼びくださいましね。
(自分は?と。ちいさな竜が主張するように鳴けば、顎下を擽ってやりながら)
この子はアナリオンと。……武器に変ずる竜を、ジェイさんはご存知ですか?
(自分の無二のひとふりであり、きょうだいでもあるのだと。口にすれば、仔竜は満足げに喉を鳴らした)
そうですね、ひとつ境界を越えた先には。見たこともない文明が、人々の暮らしがある。
いまだに私は驚いてばかりで……ふふ、実は今も心臓が煩いくらいなんです。
(文明の発展した世界になかなか順応できないこと。それがすこしばかり恥ずかしい。目前の彼も、違和感に面食らうことはあるだろうか?)
まあ、ほんとうに?
良かった、実は。……その、この世界の学び舎がどんなものなのか、気になっていたんです。
勿論。行く手を阻む怪異あらば、私がジェイさんをお守りいたします!
(少しの前のめり。足を引っ張ることはするまいと頷いて)
ジェイ・バグショット 2022年5月12日
(ヴァルダの語る故郷の集落を想像し、己の故郷も同じように上手くいけば良いのに。なんてらしくないことを思う。抗うだけの力を持たない常夜世界の弱さに少しだけ表情が曇る)
災厄なんてもんは現れないに越したことは無いが、猟兵のアンタがいれば安心だろうな。(照れ臭そうに俯く姿にヴァルダの人の良さが滲むようだ)
…その正義感と背伸びに、人生や命を救われたヤツもいるんだろうな。……どっちも俺には無いものだ。(最後の言葉は独りごち。誇らしげに微笑むヴァルダに目を細め、改めての礼には緩い笑みで返す)
ジェイ・バグショット 2022年5月12日
アナリオン…。変ずる竜か、そうだな噂には聞いたことがあるが俺自身はあまり馴染みのないものだ。無二のひとふり…相棒みたいなもんか?(きょうだいと言うほどその繋がりは強固なのだろう)
ふはっ、冒険心でも擽られるか?…不思議だよなぁ、知らない頃は自分の見る世界が全てだと思ってたのによ。蓋を開けてみりゃこんなにも違う。初めて世界を渡った時には放心したものだ。なにせ文明レベルがとんでもなく違ったからな。(ダークセイヴァーから渡ったのはUDCアース。全てが新しく新鮮で、陽の光に目が眩んだ)
故郷の学び舎とはまた違うんだろうな。
俺はUDCアースで見た程度だから、対して違いがあるかは分からんが…。
……っはは、(しっかりとした口調で、少し前のめりにそう言われたならば)
守ってくれるなら有難い。きょうだいの勇姿、しっかり見させてもらうぜ?
(あっさり守られる宣言しつつ、後方はまぁ任せてくれよ。と適材適所を提言)
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年6月17日
(ほんのわずか。翳りの気配を浮かべたあなたのかんばせを、気遣わしげに見上げた)
(追求するのは不躾なように思えたから。『大丈夫ですよ』なんて、無責任なことも口にしたくなかったからだ)
まあ。うふふ、けれど。ジェイさんもこうして、ご自身の意思ではじめての世界に足を踏み入れています。
立派な猟兵ですよ。私が保証いたします!
(とん、と自分の胸を軽く叩いてみせた。手を差し伸べるばかりが救済ではないことを、娘も、知っている)
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年6月17日
はい。私が幼かったころからそばにいてくれているんです。
はじめて槍に姿を変えて見せてくれたとき。それはもう、びっくり!
(魂を預けるに足る存在。血の繋がりは無くとも、種を隔てども。その存在は確かな)
そうですね……ふふ、『わくわく』しているのだと思います。
ジェイさんも?ええ、ええ、ほんとうに!
鉄の箱が馬を介さずとも走ったり、薄い硝子板に映像が流れたり。
こんなにも未知が溢れているのに、周りの方達はそれが普通で……あたらしい世界に足を踏み入れると、いつもこうなんです。
ほんとうはいつだって動じずに構えていたいのですけれど。
ええ。お任せください!
この地では、オブリビオンのことをゴーストと呼ぶそうですね。
霊体化した存在なのでしょうか……。
(おばけ。得手不得手を問われれば、何方かといえば怖い)
(守ると言った手前強がっているのか、しゃんと背筋を伸ばして歩き始め)
(ぎい。劣化したドアノブが、軋んだ音を立てた)
ジェイ・バグショット 2022年6月29日
…せっかく猟兵として世界を渡ることが出来るなら新しい世界を見てみるのも悪くはないと思ってな。人助けなんて俺の柄じゃあないから、それは他の猟兵に任せたいところだが。あ、金になる仕事ならやるぜ?(むしろ猟兵業は副業としての金稼ぎ)
ふーん…、互いがよく知る相棒なら戦場でも息ピッタリって感じか。そりゃ頼もしいな。(実際に戦場を共にすることがあるなら、その姿を見てみたいものだ)
ジェイ・バグショット 2022年6月29日
っくはは。そうだなぁ、動く鉄の箱に映像が流れる硝子の板…遠くにいる相手と一瞬で会話出来たり。元いた世界じゃ考えられないが、だからこそ他所の世界を見てみたいってのはあるな。動じたってイイんじゃねーの。少なくとも文明の違いには毎度驚かされる。
元々ゴーストって異形と一部の人類が戦っていた世界らしいな。オブリビオンとして過去のゴーストが現れ始めたと聞いているが…所謂お化けってヤツなんかねェ。
(ヴァルダの後方をゆるりついていく。暗がりであれば男の方がよっぽど幽霊のように見えるかもしれない。湿った空気と静寂の中に軋んだドアノブの音がよく響く)
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年7月2日
新しい世界が開けるたびに、驚いてばかりなんです。
知らない常識が、歴史が、人々が生きてきた証が、こんなにもあふれているのだと。
まあ。ではジェイさんは。普段は、お金を集めることの方に重きを?
ふふ、でも。大切なことです。ある程度のお金がなければ、私たちとて生活ができませんから。
(しっかりしてらっしゃるんですね、なんて。あなたの冗談めかした口調に合わせて、すこしのからかい混じりに)
はい。必要あらば、ご覧に入れましょう。
私は妖精族である前に、竜と共に生きることを選んだ女。
彼らと共にあることで、戦うことが出来ているのです。
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年7月2日
そう、そう!
えっと……『すまあとほん』と云うのでしょうか、あのちいさな端末!
私はあれに一番驚きました。ジェイさんはもうお持ちですか?
なんでも、郵便屋さんに手紙を託さずとも。伝書鳩に言伝をしなくても。一瞬で声を届けられるのだとか。
どこで手に入るのかわからなくて、私はまだ触れたことがないのですけれど……。
本来いた存在と、オブリビオン化した個体ではすこし異なるのだそうですね。
夜中に子どもをさらうような、魔女の御使いや精霊とは違うのでしょうが……。
……いえ、いいえ。大丈夫です。ちゃんと、ちゃんと向き合ってみせます!
(自らに言い聞かせるように。屋上から校舎に繋がる階段を一段一段慎重に降りていく)
(中は静かだ。とても)
(薄暗い校舎は降りしきる雨のせいか少しカビのようなにおいがした)
ダークセイヴァーの上層とは、また違った趣ですね。
人の痕跡がたくさんあるからでしょうか、だからこそ少し、不気味というか……。
ジェイ・バグショット 2022年7月22日
あぁ、金はいくらあっても足りないくらいだ。それに金は裏切らないからな。独り身生活が長いと嫌でもしっかりした性格になるらしい。(からかい混じりには気にした様子もなく冗談で返す)猟兵やってりゃ見る機会は十分ありそうだ。
UDCアース歴が長いとコイツがなきゃ始まらない。(スマホを取り出して示して見せる)連絡も調べ物もコイツがあれば大抵のことはできる。まー、A &Wみたいに文明の違うところじゃ使えねーがな。欲しくなったら買い方教えてやるよ。(スマホの先輩としてな、と軽く冗談飛ばして)
ジェイ・バグショット 2022年7月22日
オブリビオンは過去が骸の海から滲み出した存在らしいし、厳密に言えば別物なんだろう。俺も詳しくはねェんだ。(薄暗くジメジメした場所は男にとってむしろ馴染み深い場所にすら思えた。ここが学園という点だけを除いて)本来は人の賑わいがある場所なんだろうな。それが静かだと余計に気味悪く感じる。…俺は静かな場所は嫌いじゃねーけど。
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年7月25日
(『金は裏切る事がない』。そう告げるあなたの言葉は、旅先で幾度となく耳にしたものと同じだった)
(猟兵、というよりも。傭兵や冒険者たちの間で決まりごとのように繰り返されるそれ)
(金次第で敵にも味方にもなる。……彼も、そんな境遇に身を置いていたのだろうか)
私ももっとしっかりしなくては。
献身と自己犠牲は違うものだと、言い聞かせてはいるのですが。
ふふ。偽善だと糾弾されてしまうこともありますが……つい、損得を考えずに行動してしまいがちなんです。
(それは娘が本当の『人間から向けられる悪意』に慣れていない証拠なのかもしれない)
(けれど。挫折を知るからこそ諦めたくない。芯に頑固な所があるのだと微笑み)
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年7月25日
あっ。それです、すまあとほん!
この世界でもその端末は使えるのだそうですよ。なんでも、星の海ではもっと小さな端末に収まっているのだとか……。
(あなたが齎してくれる提案に、ぱ、と頬に喜色を乗せて)
まあ、ほんとうに?私もいつか手にしてみたいです。
手紙を書く趣や情緒も好ましいのですが、日を跨がずとも言の葉を届ける事が出来るのはとても魅力的ですもの。
そうですね、……時の狭間が生み出した亡霊と言えば、恐ろしさも薄れましょう。
その
……、……超常現象のような『おばけ』は、すこし苦手で。
(ひとりきりの夜、なにか物音がした時のような。名の付けられない、恐怖から起こる『もしも』に、娘はめっぽう弱いのだと眉下げて)
森のしじまには、命の息吹がありますから。心地よさを感じるのですが……。
……無人の学び舎というものは。世界を違えども、……す、すこし。怖く感じてしまいますね。
ジェイ・バグショット 2022年8月20日
…人によって捉え方は変わるだろうな。俺みたいな捻くれたヤツは特によ。でもま…損得考えないってのは悪い性格じゃねェと思うぜ。自分の首を絞めない限りはな。(損得で動く自分とはやはり違うと思うものの、否定するつもりもないらしい)騙されないようにだけ気をつけな。
ジェイ・バグショット 2022年8月20日
あぁやっぱりか。似てるから使えるんじゃねェかとは思ってたんだ。星の海…スペースシップワールドとかか?あの辺は文明レベルがまた違うよな。何せ宇宙船に住んでるし驚くことばかりだ。
あぁ、それくらいいつでもお易い御用だ。A&W以外の世界を渡るなら使えて損になることもないだろうしよ。ふーん…どこの世界にも『お化け』ってのは共通してるもんなのか。猟兵といえど得体の知れないものは怖いらしい。(同じくおばけ嫌いの友人を思い出し)ふは、今日一人じゃなくて良かったな。(茶々を入れる相手がいる分、気は紛れるだろうと)
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年9月3日
ご忠告痛み入ります。そうですね、当然の事だと思います。
綺麗事ばかりではままならぬ世界であることも、たくさん知りました。
……でも、それでも。『あきらめないこと』の大切さを、忘れたくはなかったんです。
(だから。救えるものは救いたい。伸ばせるものには、手を伸ばしたい)
うふふ。……結構打算的で、欲張りでしょう?
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年9月3日
はい。私たちの住まう大地の遥か彼方遠く。
浮かぶ星々はあまりにも広大で……ひとがその、果てまで到達していると云うことにとても驚きました。
魔法なのだろうかと問うたなら、彼らは口を揃えて人類の叡智の涯てだと。
わからないことばかりですが……それでも、だからこそ。私にはまだまだ、知る喜びが沢山待っているのだと思うようにしています。
本当ですか?うれし
……、……まあ。まあ!笑わないでくださいまし。いけないひと。
(拗ねたように視線を逸らす。ああ、けれど。心強いのは事実だから)
(直ぐに正面を向いた。耳の先が、少し赤い)
未知は時に恐怖足り得ます。
……私はそれよりも、想像上の延長……自分自身から湧き上がるものの方が大きいかもしれませんが。
(建物はどうやら4階建であるらしい。一番下まで降り立てば、雨の匂いが濃くなったような気がした)
ヴァルダ・イシルドゥア 2022年11月6日
(雨は止まない。曇天より落ちる銀の雨が錆び付いた校舎を叩き続けている)
(何らかの怪異と出会うことが無かろうと。暫しの緊張感を味わうことは叶っただろう)
(いずれ戦いの場でまた出会うことがあれば、喜んで力になろうと言葉を交わして。娘はあなたの黒い背を見送った)
(紫煙の残り香が、微かに鼻を擽った)