Deep sea 10000 ft.。'o゜
スノウ・パタタ 2019年3月1日
そこでそれは生まれた
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スノウ・パタタ 2019年3月1日
ただ流れていた、漂っていた。見ていたかもしれない、本当の所は見えていなかったかもしれない。ただ覚えていた、昔から知っていた。けれど何も知らなかった、何も見えなかった。暗く深い、空から遠い世界の底で、何時の間にか生まれた。それは、世界を見て、覚えて、そして自分を知った、___失望をまだ知らぬ幼い情緒ではあるが、それ、なりに思う事として心に残ったのだろう。それは宝石に成れずして、黒い液体として、生まれた。
スノウ・パタタ 2019年3月4日
ゆらり、ふらりと漂って流れて、浮き上がる上層へと。掌で掬い上げられた時こそ、きっと心の生まれたその時であっただろう。全てのものが新しくて、全てのものが眩しかった。色のある世界はきらきらで、…眩しかった。
スノウ・パタタ 2019年3月19日
「ふむ、ナマコかと思ったが」「それにしちゃ溶けすぎだろうが」「食えんか?」「食って死んだら今度こそ置いてくぞ」「食えんか?」「話を聞けよ」そう言えばちょっぴり齧られた気がしなくもない。
スノウ・パタタ 2019年3月27日
「指の方に寄ってくるぜ、生きてんじゃねえの?」「やはり生き物か。食えんか?」「やめろお前」「生きているなら生かしてやろうさ、あと旨くは無かったな。」「食ってんじゃねーよマジ…あ、こら、じゃれんな」「それがナマコを気に入ったなら暫く持って居ても良いだろう、齧られる事も減るんじゃないか?」「お前も少しはつまみ食い減れよ」「よしよし、生きたい内は生きれば良いぞ。悪いものでなければお前が何であれ生かそう」「マジお前聞けよ」ふわふわのけだまが、あやす様に傍に寝ていた。
スノウ・パタタ 2019年4月18日
呼ぶ声に答えるように揺れ、物を追う仕草を見せる指向性のある物は、恐らくと生きているのだと魔女達は結論づけた。けれどこれは飲み食いはしない、吸収するのは油性のもの、異物はゆっくりとその身に沈めども何れぽこんと身体の外へ排出されて行く。暫くはフラスコに流し込み、様子を見た。水槽の中の魚のように、硝子をつつく指に反応して寄ってくる様は僅かな愛着も持たせ、いつの日か人間の声、音を理解し、真似て発する事を始めた。/「セオリー通りに行けよ。何で『腹減った』なんだよ。お前が言い過ぎて覚えちまっただろうが」「飯はまだか?」「今食ってるそれは何だ」
スノウ・パタタ 2019年5月21日
生きる物は、物に名を付けたがる。そうして枠に収まる事で、安心するのだと。白い方が語る。己を語りたければお前の好きに付けるが良いと。くろいから、しろがきれい、おもいました。ぺたんだから、うみのかみさまのふわふわかわいい、おもいました。それがいいの。 希望を聞き届けた青い方が小さく吸気を零し、地図を広げた。北に行けば雪ってのがあるんだ、白くてふわっふわでな。見てから決めりゃ良い。雪を見る頃には少しは今より形も作れるだろうよ。あれこれと魔女達が試して少し体積を増やした液体が、たぷんとフラスコの中で揺れた。
スノウ・パタタ 2019年6月27日
「目の変わりにこれ入れとくか」「めめ」「空色も好きなんだろ」「ぐらんまいろ」「グランマなあ…。ほら、ちがうちがう、縦じゃなくて横だ横。」「めめ」
スノウ・パタタ 2019年10月28日
「髪の範囲はこう、」
「むむ」
「高さこんくらい。ああ、腕が長過ぎるな」
「むむ」
「読み聞かせの次は粘土遊びか?」
「ひとがたの、れんしゅーちゅう、なの」
「このサイズいつまでも瓶で持ち歩けねーだろ、…ほら、手作ったら動くレンシューだぞ。両方挙げて」
「バンザイ!」
スノウ・パタタ 2019年11月24日
この香りがする時は「近付かない事」。
たまに星がたくさん見える夜は、水色がテントを抜け出した。
たまに消えて、たまに点って、そうして手元の灯りと一緒に朝陽が登る前まで。
護りの印を宿るまで、その時間の水色には決して寄ってはいけなかった。
「引火したらあれ燃えるから早く耐熱付けろし 」
「煙草を止めたら良かろうに」
「くちから、もくもく」
スノウ・パタタ 2020年5月30日
「飲み食いは不要でも、人の世に混じるのならば覚えていて損は無いだろう。ある程度は自分で稼げ。」
「まざるの。かせげの」
「ンン、違うな。稼ぐ、だ」
「かせぐるの」
「食い物を作って売るのはどうだ」
「作った傍からお前が食うだろ。そもそも味覚鈍いしなこいつ…」
「マグマスープ、あちあち、わかるの」
「…ああ、目に付く調味料全部入れて煮た汁粉か。溶岩の様だったなあ」
「久しぶりにテンション上がって止まらなかった」
「汁粉は泡も吹かんし煮立ってないぞ、甘いやつだぞ」
「粉を溶いた汁だから文字面は間違ってねーだろ。うっせぇな料理は無しだ無し」
「シルコ、ちょと、わたしににてたの」
高い高い頭の上から笑う声と舌を打つ音が聞こえた。
スノウ・パタタ 2023年10月2日
いつかどこかの。
古い子守唄が聞こえる。
北へ逃げた青い魔女の御伽噺、寝付けぬ赤子へ闇の中で注ぐ戦士の子守唄。
覚えている、覚えている、我らは忘れて進んだ事を。
スノウ・パタタ 6月29日22時
【メタ方針】(サイハ実装につき、グランマの元にしていたPC達をコンバート。けれど同一人物に非ず、という事で交わる事はしません。)