魔法の夜に
ユア・アラマート 2019年2月21日
「空鞠堂」の夜は不定期だ。
夕方には閉まっていることもあるし、深夜まで灯りがついていることもある。
ほとんど店主の気まぐれで営まれている店だが、今日は辺りが暗くなってもオープンの看板を掲げていた。
店内には女が一人、棚の前で整理に勤しんでいる。
別に閉店後にゆっくりやれば、それでいいはずなのだけれど。
ただの予感だ。
今日はなにか面白いことがあるじゃないかという、ただの予感。
※Witch Only
1
ユア・アラマート 2019年2月21日
……んー。 (そもそも、この店においてどこの棚に何があるとかいう一般的な常識は通用しない。仕入れたものを空いている場所に置いてしまうので、気がつけば区分けが全てバラバラ。置いてあるものの、新品中古品自作問わず。正に闇鍋の様相を呈していて。こうして時々の気まぐれで整理をしようとすると、足元は一旦退けておこうと思った品物で溢れ返って足の踏み場が無くなるのだ) ……。 (つまり、けっこう困っている)
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
(ふらりふらりと商店街の道を行く魔女が一人。周囲の建物からすれば、明らかに浮いた服装ではあるが――) ん
…………(通る生き物が、黒猫程度なのが救いだろうか。目の前を横切って行く猫を見送った視線を左右にきょろきょろとさせ、開いている店を探す) ……来る時間がよくなかったのかな
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
…………あ。(確かに既に暗くなっているが、まだ店じまいには早いはず。そう信じて歩いていた先に、明かりを見つけて声を漏らす) よし
。………………おじゃまします(深呼吸を2回。知らない場所、知らない人を相手にすると流石に緊張しながら、店の入り口に足を踏み入れ――ようとして足の踏み場がなかった。入口に立ち尽くす)
ユア・アラマート 2019年2月21日
やっぱり最初から整理して入れていくべきなんだろうな。 (しかし、面倒くさい。その一言に尽きる。経営に本腰を入れていないわけではないが、それはそれとして面倒なのだ。整理を専門にしてくれるアルバイトでも雇おうか。そんな事を考えていたら、人の気配を感じて耳がぴくりと動く) ……。 (その顔を見た少女は何を感じ取ったか。もう客も来ないだろうからと完全に油断して散らかし放題だったのを見られた気まずさと、そもそも人が来たという驚きがブレンドミックスされた顔は。一度視線を天井に向けてから、今度は床……が見えないが床に向き)
ユア・アラマート 2019年2月21日
……いらっしゃい、ませ……。 (小声だった。言い訳はできないと判断したらしい) すまないね。ちょっと整理中で。今片付けるから、少し待っていてもらえるかな。
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
(散らかりようがすごかった。調合に失敗して爆発した時の自分の部屋のような――) っ。や、大丈夫、お構いなく(眺めていたところに話しかけられてびくっとした。自分よりも少し大きい程度―――だけど、自分よりもよっぽど綺麗な女性だった)(話しかけられて姿勢を正しながら――)
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
……これは?(何に使うのだろう、と傍に落ちていた小さな箱を拾い上げた。その辺りの棚の物だろうかと周囲を見渡す。同じようなものは見当たらない……気がした)
ユア・アラマート 2019年2月21日
恥ずかしい所を見られてしまったな。滅多に人が来ないものだから、油断していた。 (それでも、来客があるというのは嬉しい。目を細めて、それから一つ溜息をついて床を眺め) 仕方ない。「戻す」か。 (胸元で花が煌めき、赤く輝く回路が魔術の発露を告げる。床の上にあったてんでばらばらの商品達は不可視の力で持ち上がり、整理前に置かれていた場所へと一斉に戻された。整理はまた今度にしよう。そう考えて、向き直った少女が持つ箱に目を瞬かせる)
ユア・アラマート 2019年2月21日
ああ、それは私が作った魔道具だよ。そういう自作のものや、仕入れた新品中古の雑貨なんかを置いてあるのがこの店だ。というわけで、ようこそ空鞠堂へ。歓迎するよ。お嬢さん。……あとさっきの光景はなかったことにしてほしい。
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
いや、気にしないで――――おお(戻っていくその様に声を漏らす。ポルターガイスト、アポーツ、そう言った類と似たような魔法だろうか。自分以外の魔法、というやつを見ることは思っているよりも珍しくて)
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
魔道具(へえ、と蓋を探してコロコロと掌の上で転がす。流石にどんなものかわからないのに開けるのはまずい、と) 見なかったことには――(曖昧な苦笑を浮かべて頷きつつ) ……これはどこに置けばいい物だろう
ユア・アラマート 2019年2月21日
珍しいかな? ……見た所、こういう術にはそれなりに詳しいと思うけれど。 (この世界の一般常識と照らし合わせれば違和感がある格好。それはそれで、彼女のざっくりとした出自を推理するのには十分に役に立つ。趣味、という場合を除いてだが。おそらくそういう事はないだろう) ……だめか。 (どうやらなかったことにはできないらしい。耳が萎れる)
ユア・アラマート 2019年2月21日
その箱はどこか適当な所に置いてくれて構わないよ。気になるなら開けてみてもいい。大したものじゃないし、特に危険なことはないよ。 (照明器具だと。唇は続けて言う) そういえば、ここへは何か探しもので来たのかな?
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
ボクの世界では、余り表立って語るものでもなくてね(視線を感じる自分の服装、だろう。裸よりはよっぽどマシとしても、あまりにもわかりやすく“異物”だ)
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
(萎れる耳に思わず笑みを漏らして) ああ、でんかせいひんというやつを見て帰りたくて
…………(へえ、と箱をゆっくり弄る。弄っているうちに蓋が開いて――)
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
……おお(声を漏らした。天井に向かって無数の光が、星空のように光る。成程、そういう照明器具なわけか)
ユア・アラマート 2019年2月21日
ダークセイヴァーか? 私も生まれ落ちたのはそっちだが、この世界に移動してきてもう長い。もっとも、こっちじゃ余計に語られるものじゃないな。 (物語の中で語られるような力であり、現存がこの世界では曖昧な力だ。同時に、彼女の身の上にも想像がつく。どこの世界にいたとしても、一般人は世界を渡れない) 箱の中に保存した魔力が切れるまでは使える、簡易的な代物だ。こっちの世界の人間には受けがいい。 (溢れるように登る光を見て笑い)
ユア・アラマート 2019年2月21日
電化製品。 (口に出して復唱する) 構わないけれど、どういう用途のものだろうか。部屋を温めたり、音楽を聞いたり。卵の白身をものすごいふわふわにするのとか、色々あるよ。 (ふわふわに)
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
アックス&ウィザーズ。地域差かな。生まれたところが宗教都市――信心深いところでね。忌避されるべきモノ、だったんだ(特に困ったような顔もせずにそう伝える。過ぎたことだ。今更、何も変わらないことだ) へえ……確かに。明るくするだけなら他にもやりようはあるけれど、こういう使い方もあるんだ(あまり意識して、そういう使い方をしたことはなかった。しげしげと箱を眺める)
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
…………(どんなものがあるのだろう、と思って見に来たわけなのだが、思ったよりもたくさんあった) え、ええと…………こう、オススメは
ユア・アラマート 2019年2月21日
なるほど。あの辺りは比較的おおらかなイメージだったが…確かに、地域差か。今の家も、向こうの世界に? (さっき戻したばかりの棚を見上げて、彼女の希望に沿った商品を探してちょっとした宝探しに勤しむ。思えば、住んでいる場所一つとっても世界規模で違うのだから、面白いものだ) 見た目を気にする余裕があるんだよ。ここの世界は、邪神の存在があれど表向きは豊かだから。
ユア・アラマート 2019年2月21日
(ごろごろと、少し高い場所にあるものはまた浮かせて下ろして。また床に大小様々な箱が転がる。古めの物から新しいものまで、色々だ) おすすめ、か。……何か、日常ので少し不便だと思う事とかは? 寒くて起きれないとか、そういう小さな事で。
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
今は少し離れたところに、ね。ボクの能力は、街の人を怖がらせてしまうから(淡々と答えながら、店長の女性の宝探しを見守る。時計――のようなもの、ノートのような何か。見知らぬ道具が次々と現れては消えていくのをまじまじと) 不便。不便……そうだね。調理、かな。素早く、多く作らないといけないから。――――それにしても、たくさんあるんだね。全部ひとりで?
ユア・アラマート 2019年2月21日
そうか。……えらいね。 (適切な単語を少し探して、それに落ち着いた。おそらく、ぱっと見の印象からさほど年は離れていない気がする。だからこそ、そこまで考えが及んでいるのは実は結構すごいのだと思う。大人、とも言い切れないのだ) なら、調理器具かな。パンを自動で焼いてくれる道具とか、そういうのなら役に立てるかもしれない。 (そう言いながらホームベーカリーの箱を引張り出す) 基本は一人だよ。たまに手伝ってくれる友人たちもいるけれどね。ここは、私が作った檻なんだ。あくまで収まるのは私と、商品達だけ。
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
……ありがとう(どう答えればいいのかたっぷり考えて、短く、それだけ。人に温かい言葉を投げられると少しくすぐったくて) パン。確かに、パンは売ってくれるものがあるけど、自前で用意できるなら便利そうだね
ユア・アラマート 2019年2月21日
(やたらとでかいわたあめ製造機の箱を机代わりに、どんと置いた箱の蓋を開ける。マニュアルよし、本体傷なし) 食パン一斤分を放っておけば勝手に焼いてくれる機械だよ。これは複雑な機能もないし、初めてでも使いやすいと思う。パウンドケーキとかのお菓子もこれでいける。
ユア・アラマート 2019年2月21日
檻。 (頷く) 私は生まれつき親がいないんだよ。生まれが特殊で、厳密な意味での故郷もない。だから、どこにでもいける。そのかわり、どこにも帰れない。だから帰る場所は、自分で作る必要があった。愛着でも、執着でもいい、そこに行かなければと思う場所をね。ここが、その候補だ。
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
(どん、と置かれたそれをじーっと見る。大きい。綺麗。使い方がさっぱりわからない) へえ…………パン以外にも使えるんだね(やはり、この「かでん」というやつはとても便利だ。魔法に頼らない進歩を遂げたからこその業なのだろうが、少し羨ましくもなる)
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
それはなんだか――(寂しい、と感じた。けれど続けられた言葉からはそんな気持ちを少しも感じず) ……“楽しそう”だね。檻というから、その、誰かに飼われているのかと
ユア・アラマート 2019年2月21日
使い方は中に説明書が入っているから、それに従って操作すれば問題ないよ。 (そこまで言ってふと思う) ……そういえば。この機械を動かす事を想定している場所には、必要な電気の供給はちゃんときているんだろうね? (わりと大事なことを聞き忘れていた、といった顔で)
ユア・アラマート 2019年2月21日
飼われていたよ。昔ね。そこから開放されてみたら、思っていたより世界が広すぎて、流されていってしまいそうだった。 (だから、と口端を軽く上げて) 自分で自分を飼えばいいんだって、そう考えることにした。けど、小屋にしろ檻にしろ、収まる場所がないとただの野良だから、こうしてる。
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
電気はそういう魔法で、ね。貰った「てれび」を動かすためにいろいろ試行錯誤してみたんだ(説明書……しっかり読まないと、と姿勢を正した)
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
昔。……少し、踏み込んだことを聞きすぎたかも。ごめん……なさい(恐らく年上だろうと、敬語を使いつつ) でもその生き方は、とても強いと思う。ボクは――――(たぶん、出来ない気がする)
ユア・アラマート 2019年2月21日
なるほど、電化製品を動かす魔法があればどこでも使えるか。……アックス&ウィザーズで見れるテレビ。というのもなんだか面白いな。 (なんともミスマッチな感じがして、それが面白くて小さく笑う) さて、お客様。それではこちらの商品をお買い上げでよろしいですか。 (かしこまった口調で、閉め直した箱をポンポン叩く)
ユア・アラマート 2019年2月21日
いや、構わないよ。答えたくなければ、誤魔化すことだってできるんだ。ああ、あとそんなに固くならなくてもいいよ。私は喋り方がこうだから偉そうだが、多分そう年は変わらないだろうし。 (それに、と続け) 強くないよ。ただ、生きているんだ。……楽しまなくちゃな。
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
電波は……こう、知人のグリモア猟兵が何とかしてくれているようだけど(教えられても仕組みはわからなかったなぁ、と) おかげでロビーが賑やかになったんだ……おおっと。ええと、お願いします。この世界の通貨はこれで会っていたかな(封筒の中から日本円のお札を数枚取り出して)
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月21日
でもなんだか、ボクよりはずっと上のお姉さんと話している気分だった。檻――お店を構える、って言うのはこういうことなのかな(封筒の中身を確認してもらいながら微笑んで) ボクはコーディリア。魔女のコーディリア・アレキサンダ。キミは?
ユア・アラマート 2019年2月21日
……グリモアでそこカバーできるのは本当に初耳だ。なんでもできるな。 (グリモアタクシーに使われることがあるけれど、思った以上に応用幅が広い。一度レジに行ってビニール紐とプラスチックの取っ手を手に戻り。てきぱきと箱に括り付けていく) それでいいよ。えーと、じゃあこの種類のを4枚で構わない。 (お会計、四千円也)
ユア・アラマート 2019年2月21日
生き方の違いかな。でも、私だって言うほど大人になれてるだけじゃない。さっき、その証拠をしっかり見ただろう? (足の踏み場もない商品に囲まれて、気まずそうにしていたのを思い出す。残りのお金が入った封筒を返して) 私はユア・アラマート。ユアでいいよ。見ての通り閑古鳥な店だから、よければまた来てくれるかな? コーディリア。
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月22日
(足の踏み場もなかった最初を思い出して苦笑しつつ) それじゃあ思ったよりも似た者同士……なのかもしれないね。ボクも、掃除はあまり得意ではないから(魔法で動かした箒や雑巾に勝手にやらせている。その点で大手を振れるほど態度のいい人生を歩んでいない)
コーディリア・アレキサンダ 2019年2月22日
グリモア猟兵も本当、いろいろお世話になっている分大変そう――――ああ、ボクも待たせたままなんだった(ポン、と手を打つ。持ちやすくなった箱を指先で指す。ふわりと浮かべようとして――) ……この世界ではあまりやらないほうがいいんだったかな。ありがとう、ユア。次はまた別なものを探しに来るよ
ユア・アラマート 2019年2月22日
ふふ、それなら迂闊を見せたのがお前でよかったかな。……普通に片付けられる人は、普通に説教をしてくるから。 (思いあたりがあるのか、一瞬だけ目元が暗くなった) 先延ばしにしてもいいことはないし、明日あたり観念して整理はするよ。
ユア・アラマート 2019年2月22日
ん、ああ……そうか、送り迎え役がいるんだね。なら急いだほうがいい。 (ふわりと浮きかけた箱を、自分の力で浮かせてからつんとつついて彼女の方に流す) この辺りは人目がないから、大通りに出るまでは大丈夫。落とさないよう気をつけて。壊れたら…まあ、それこそまた買いにくればいい。
ユア・アラマート 2019年2月22日
お買い上げありがとう。――またのお越しを楽しみに待っているよ。コーディリア。