バトルオブフラワーズ⑬〜天才の天災的欲望~
●全域同時放送
グリモアベースの中継器にもその放送は映し出されていた。
――ふざけたマークを顔に張り付けた艶めかしい全裸のオブリビオン。名乗るはドン・フリーダム、そしてシステム・フラワーズの作成者。
かのオブリビオンが求めるは、完全なるシステム――ありとあらゆる欲望、その悉くを実現する万能の願望器としてのシステム・フラワーズ。
語るは楽園、全ての欲望が叶えられる新天地。
語るは地獄、全ての欲望が人を犯す世界の終局。
かつて己を滅ぼした自由を万人へ押し付けるべく、そのオブリビオンは笑顔で猟兵を挑発していた。
●その者、てんさいにつき
「もう、情勢は説明するまでもないわね? ――決戦よ。ドン・フリーダムを討ちなさい」
ニコラは引き締まった表情でグリモアを操作し、ドン・フリーダムの能力を猟兵たちに開示した。そこにあるのは、見覚えのあるユーベルコード。
――絶対無敵バリア
――暴風の足場崩し
――対ユーベルコード迎撃マシン
「どちらが卵か、というとドン・フリーダムのようね――それぞれのコードはこれまでの3幹部と同じもの。そしてその威力や弱点も同様よ」
つまり絶対無敵バリアはエモさという攻略法が、対ユーベルコード迎撃マシンは相手の想像を上回るマニアックさによる攻略法が存在する。ウィンドゼファーに由来する足場崩しはこれといった攻略法が存在しないが――そこは猟兵たちの能力次第でいくらでも付け入ることができるだろう。
「とはいえ、特にバリアと迎撃マシンはそれを攻略してようやく勝負の始まりよ。そのうえで、戦闘能力はこれまでのどの幹部よりも強大……戦争の終わりにふさわしい関門だと思わない?」
最後の一言はニコラなりの強がりと激励。
「逆に考えましょう? ユーベルコードという観点から見れば、攻略法は既にみんなリハーサル済。これまでの『練習』通り……ぶちのめしてくればいいわ」
ニヤリと不敵な笑みと共に転移ゲートを開くニコラ。その向こう側はシステム・フラワーズの中枢部。天災と化した自由の君臨する決戦地。
「さぁ、いってらっしゃい――無事の帰還をお待ちしているわ」
Reyo
はじめましての方ははじめまして、そうでない方はいつもありがとうございます。Reyoです。ドン・フリーダムを見て某小説の迷惑兎を思い出しました。
さて、戦争も最終局面、相変わらず以下の特殊ルールがあります。
====================
敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
加えて、ドン・フリーダムは使用する能力値別に違う対処が必要です。これらに対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
POW:絶対無敵バリアを展開します。エモいものを見せれば無効化できます(エモいの基準はラビットバニーと同じ)。
SPD:風で足場を崩してきます。
WIZ:猟兵のユーベルコードの弱点を見抜き、確実に反撃するマシンを作り出してきます。 その反撃マシンに反撃する方法を考えなければいけません。
これらの能力はそれぞれ「ラビットバニー」「ウインドゼファー」「エイプモンキー」と同じですが、ドン・フリーダムは彼ら以上の実力者です。
====================
エモさで攻めるのであれば、見得と名乗りと詠唱を
堅実な積み重ねで戦場を舞うのであれば、戦略と戦術を
天才を上回る理論を持ち込むのであれば、あなただけの冴えたやり方を
――それでは、最終決戦です。皆様のこだわりをお待ちします。
第1章 ボス戦
『ドン・フリーダム』
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POW : 赤べこキャノン
【絶対無敵バリア展開後、赤べこキャノン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : マニアックマシン
対象のユーベルコードに対し【敵の死角から反撃するマシン】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:由依あきら
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
胡・翠蘭
あらあら…破廉恥な御方ですこと
あらゆる欲望が叶うだなんて…それでは成長もせず衰退するだけのナニカになってしまいますわ
そんな結末は遠慮致しますわ
【SPD】
まずは先手に備えて防具改造と激痛耐性活性
野生の勘と第六感でなるべく敵の攻撃を見切り、回避及び防御で直撃しないよう注意を
…足場を崩されきるのも痛手ですから、足場も最低限姿勢を保てる程度は確保して
さぁ、後手はわたくしのUC
マヒ、毒、呪詛…そして雷の属性を込めて
視界に収まるならば全てを蹂躙する快楽の触手を馳走して差し上げますわ
視界を遮るならば土埃ごと貫き嬲って差し上げますから
貴女様の底無しの欲望には足らないでしょうが
どうぞ、お楽しみくださいませ
霑国・永一
あれがキマイラフューチャー版の『ヴィーナスの誕生』なのかな。色々危ないなぁ。まぁいいや、此方はやることをやるだけ。
先制攻撃は一先ずその場から飛び退きながらダガーで防御、少なくとも攻撃に使う腕一本、移動の為の脚、急所は無事でないと話にならない【ダッシュ・逃げ足・見切り】
猿と兎には挑まなかった分、ゼファーには散々相手して貰ったのでねぇ……俺がやれるならこの暴風対策だけ
先制攻撃終わったら狂気の速刃でフリーダムの暴風の風速や、奴自身の戦闘での速度を盗みながら戦うよ。速度を奪って此方の高速戦闘で刻み続けるというわけだ【盗み・盗み攻撃・早業】
「まったく、レディファーストを強行するだなんてフリーダムだねぇ」
日和見・カナタ
ようやく、ここまで辿り着きました。
ドン・フリーダム…あなたを倒し、この世界を取り戻します!
【レボリューション・ストーム】に対処しつつ近づきます!
まずは散布した【機械蜂】を暴風に吹き飛ばさせ、その軌道の情報を【サイバーゴーグル】で受信することで暴風の流れを逆算、可視化しましょう!
その後は算出した流れをもとに、風の影響が最も薄い場所に【蒸気装甲】を纏って飛び込んで、全力で【情報収集】を続けながら最適ルートを選んで接近します!
目の前まで来れたなら、【属性攻撃】で赤熱した拳をドン・フリーダムに叩き込んでやりますよ!
【アドリブ歓迎】
ソフィア・リューカン
自分が滅んだ理由を押し付けるのは、どうかと思うわ。それは欲望なんてものじゃなくて、ただの悪意です。
暴風に対してはあの人との戦いで理解しています。【学習力】を活かし、【念動力】で身体を宙に浮かして風に逆らわずに行動して遠方まで逃げます。風に体が叩きつけられますが、【勇気】を振り絞って立ちます。
次に人形たちを召喚、ジェファーソンの仕掛けを操って壁のように展開し、風に対して私を【かばう】よう構築していきます。
と、同時に相手が意識を取られた隙に周囲に潜ませたレイニーたちを操作。手持ちの星縫いを【投擲】させて内部武装である電撃機構を作動し、広範囲の【マヒ攻撃】を仕掛けていきましょう。
※アドリブ等歓迎
●嵐吹き荒れる決戦地
さて、と。ドン・フリーダムは全域放送を行っていた場所で首を傾げた。
「わたくしの読みでは、あの放送でイェーガーたちが黙っているはずもないですの」
システム・フラワーズの修理という大事、それを邪魔しに来る猟兵の存在は彼女にとっては煩い羽虫と同じ――無視しても構わないが、放置するとうっとおしい。
「なぁ~のぉ~でぇ~! 飛んで火にいる夏の虫っていうんですの? 纏めて叩き落としてあげちゃう!」
ドンの足場である鋼の睡蓮から突風が巻き起こった。
「ドン・フリーダム!」
――すでに自分の存在が悟られていることなど計算ずく。巻き起こる嵐へ敢えて突進するのはデータ収集用の機械蜂を散布した日和見・カナタ(冒険少女・f01083)だ。装着したサイバーゴーグルに集う無数の情報を持ち前の頭脳で解析し、カナタが征くのは暴風と暴風の切れ目、荒れ狂う嵐が凪と化す僅かな間隙。
「ようやく、ここまで辿り着きました――あなたを倒し、この世界を取り戻します!」
「……えぇー、このコンコンコンを作ってこの世界の有様を決めたわたくしに対してそんな事いっちゃいます?」
迎え撃つドンは指先1つで風の流れを操り、カナタの道行きを塞ぐ。天才にとってはその程度、息をするように簡単なことだ。
しかし――
「世界を滅ぼしかけて、自分は滅んでおいて――そんなの、欲望ですらないわ! ただの悪意よ!」
「あらー?」
ドンの計算通りであれば吹き飛んでいたはずのカナタを庇う者が居る。ジェファーソン・A・ヘルモンド卿……ソフィア・リューカン(ダメダメ見習い人形遣い・f09410)の操る人形が1体。盾役を任じるが故にボロボロなその体は、外見とは裏腹にしっかりと暴風を受け止め、受け流している。
「それに――幹部を先に配置して、手の内を明かしたのは間違いだったわね、ドン・フリーダム!」
初見であれば、もしかしたらその風でジェファーソンは吹き飛んでいたかもしれない。しかし、彼とともにその嵐を経験するのは初めてではない。己だけでなく仲間までを見事に守り、ソフィアは嵐の中に道を切り開く。
「そうそう、結構練習させてもらったからね……風を盗むのにも慣れたものさ」
「風を盗むのですの? ……いいですわね、そういう自由も!」
――そして、そんな人形盾の影からふらりと姿を現すのは黒いフードを目深に被った男猟兵。奇妙なまでに凪いだ空間を歩くその様子は、彼――霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)曰く、風を盗んだのだという。
「とはいえ……うぅーん、天災的天才のわたくしですが、そういった詩的な表現は即座には理解できませんですの――ですから、お先に落ちちゃってくださいまし?」
「いやぁ、そういうフリーダムなレディーファーストはお断りだね」
ざわり、と。永一の近くに嵐が集中するが……当の本人は我関せず。先の幹部戦で手慣れたとでも言うようにその風を「盗み」そして己へと蓄える。
「――そうやって、いろいろなところを向いている暇があるのかなっ!」
ソフィアの守られることで事なきを得ていたカナタが、永一に嵐が集中した一瞬の隙を突いてドンに肉薄。
「蒸ッ! 着ッ!」
風を乗り越えた瞬間に纏うは蒸気装甲。脚部からの蒸気噴射加速が乗った拳が、ドンの頭部を捉えた――かに見えた。
「――うぅーん、パワードスーツですねぇ?」
「……そんなナリでも、フォーミュラってことか」
カナタの赤熱した拳を、ドンは片手で受け止めていた。じゅう、と肉の焼ける音と匂いが立ち上るが……ダメージとしてはそこまで大きくない様子。ドンは軽い動きでカナタを投げ飛ばし――カナタと入れ替わるように伸び出た触手を手刀で薙ぎ払った。
「――破廉恥なお姿ですから、こういうのも好まれるかと思いましたが?」
「うーん、どちらかというとわたくし、蹂躙されるよりもするほうが好みですのよ?」
軽口を叩く胡・翠蘭(鏡花水月・f00676)は、暴風で荒れた狭い足場の上で困り顔を浮かべた。仲間たちの行動を隠れ蓑にしつつ、足場を崩す暴風はカスタムした防具でなんとか耐え抜いた。そして、最善の一瞬を見計らって一撃を差し込んだつもりだったが――腕振りひとつで対処されては溜まったものではない。
「あら、そうでしたか。あらゆる欲望を叶える、などという成長もなにもない世界をお望みのようですから、てっきり与えられるのが好みと思い込んでいましたわ」
妓楼で鍛えたポーカーフェイスは困り顔に固定して、狙いすました一撃を躱された焦りをひた隠す。翠蘭は薙ぎ払われた触手を改めて召喚し直し、次に込めるのは様々な状態異常を引き起こす呪詛の数々。
「それはちょっと解釈違い、というやつですわね」
「重ねて失礼を――では、そのような底なしの欲望を満たせるよう、少々、頑張らせていただきましょう」
にこりと笑顔を浮かべ、翠蘭はドンとの会話を切り上げる――戦っているのは1人ではない。他の猟兵の用意が完了するまでの時間を翠蘭は稼ぎきったのだ。
「――レイニー・A・ヘルモンド嬢!」
暴風で吹き荒れた花吹雪に混じり、ソフィアの操る人形たちが一斉に雷撃針を放つ。その軽さ故に嵐に巻き上げられることはソフィアの計算通り……むしろ、嵐により不規則な軌道を往くそれらは、広範囲へと散弾のようにばら撒かれる制圧射撃だ。
「速さは十分もらったからさ、そろそろきちんと返させてもらうよ――このナイフでさ」
「――これは、さすがに厳しいですのね?」
嵐を切り裂き、その速度を盗み取りながら突貫する永一がそれに重なれば、さすがのドンも苦しげな声を上げた。
成功
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ルリララ・ウェイバース
互いを姉妹と認識する4重人格
主人格で末妹のルリララ以外、序列なし
アドリブ可
予め、オルタナティブ・ダブルで火のリラを分離してから戦場突入
「リラ姉頼んだぞ」
「おう。任せろ」
(本体はルリララ他の3人格)
お互いに死角を作らない、もしくは意図的に死角を作って攻撃の方向を絞って対応
マシンの迎撃をリラに任せ、本体が攻撃
エレメンタル・ファンタジアは石の雨や雷の竜巻、氷の津波等、都度属性や現象を変更して、相殺し難くする
属性は本体に残る3人(地水風)
使う現象は出来るだけ、他の猟兵の遮蔽になるように制御するが、暴走したらしたで予想できない攻撃になるので結果おーらい
セラフィール・キュベルト
己の求める意志こそ欲望であり、その意志に基づく行動こそ自由なのですから…
貴女のその行為、いずれをも否定する野望、認めるわけには参りません。
用いるユーベルコードは神威転身・熾焔光臨。
これはオブリビオン「のみを傷つける光」を以て攻撃する故に、敵は光を弾く護りを展開すると予測されます。
まずその護りを崩します。
死角よりの攻撃は纏う焔と【オーラ防御】の併用で凌ぎ、牽制と防御手段の確認の意を込め光による攻撃を行いつつ距離を詰めます。
そして伴う精霊に力を注いでの【全力魔法】を…光に熱と衝撃を上乗せしての攻撃で護りの打破を狙います。それらはオブリビオンならぬ存在にも有効です故に。
成功の後は、光を以ての追撃を。
●天災的な屁理屈と好奇心
足場崩しの嵐を弱めることなく、それに加えてドンはコンコンコンと足元の睡蓮機械を叩くことで花弁のような遠隔操作兵器を呼び出した。
「イェーガー諸君はユーベルコードがなければ、わたくしに楯突くのも難しいでしょう? ――ですので、こちらに用意したるは天才的全自動迎撃マシーンですわ!」
「おう、そりゃあ良かったな」
ランスタッフと呼ばれる、森の主から譲り受けた角を戴く一振りの武器。それを振りかぶって早速迎撃マシンに殴り込む者がいた。
「リラ姉、そっちは頼んだぞ!」
「おう、任せとけ」
「ああん、もう! ユーベルコードならわたくしの天才的頭脳に基づく屁理屈で迎撃できますのに!」
一心同体の連携でマシンを潰しに来る猟兵たち――ルリララ・ウェイバース(スパイラルホーン・f01510)とその身から分かたれたリラの動きに地団駄を踏むドン。
「――でしたら、その誘いには乗って差し上げましょう。求める意思である欲望、意志に基づく自由なる行動。そのどちらも否定する野望は認めるわけにはいけませんので」
「やったぁ! 後悔しないのですよ、イェーガー!」
険しい表情をしながら声を上げたセラフィール・キュベルト(癒し願う聖女・f00816)の言動に、今度は小躍りして喜ぶドン。真っ向から攻撃を仕掛けると宣言されて喜ぶ様は、その名の通り自由の極地である。
「貴き御方、我が身篝と為して闇祓う光を此処に――!!」
セラフィールの下腹部に刻まれた聖痕が眩い輝きを放ち――その体を包み込む。ユーベルコードの発動を察知してドンの迎撃マシンが稼働するが、セラフィールの全身を包んだ光はオーラによる防御機構でもある。
「へぇ、ふぅん……攻防一体の光? さしずめ、わたくしみたいなオブリビオンはすべて拒絶するようなモノですわね?」
「――余所見、してんじゃねえよっ!」
迎撃マシンの攻撃がセラフィールになんの効果も及ぼさないのを興味深げに見るドン。そこへリラがランスタッフで殴り込むが。
「はいはい、邪魔ですわよ。わたくしに見てほしければもっと面白そうになってくださいまし」
先程、真正面から猟兵の拳を受け止めたときと同じように。むしろ、長物であるからかそちらに顔すら向けることなくランスタッフを受け止めるドン。
「はっ――それでも、動きは止めたぜ? ……やれ、ルリ、ララ、ルリララ!」
「んもぅ、耳元で騒がしい――」
面倒そうな声音でランスタッフを軸にリラをぶん投げるドン。そこへ、姉の掛け声を受けて一斉に放たれた属性魔法が襲いかかった。本体であるルリララと、そこに潜む2人格が行使した魔法により生み出されたのは石弾、氷刃、鎌威太刀の3種類。
「あっはっは、この空間でそんな攻撃がわたくしに通用するとでも? 天才のわたくしにはすべて丸わかりですわよ、イェーガー!」
花弁状の迎撃マシンが即座に盾のように展開されそれらの攻撃をシャットアウト。そのまま迎撃ビームを放ち、ルリララの足元を薙ぎ払う。
「――ルリララは、これくらいではへこたれないぞっ!」
即座に術式の一部を変更し、魔法を制御しないことによる半暴走状態へ。術者の意図が入り込まない攻撃でドンへと迫ろうとするルリララ。
「こちらも行きますよ、angelus luxis!」
そしてルリララが攻撃に打って出たのを契機としてセラフィールもまたドンに接近戦を挑む。
「んふふふ、オブリビオンをシャットアウトする光。なかなか興味深いのですわ! ……コンコンコンが治ったら次はあなたを研究しましょうかしら!」
ルリララの迎撃をマシンに任せ、セラフィールに向き直るドンのテンションは異様なまでに高い。爪先で足元の睡蓮を叩いて追加で迎撃マシンを呼び出しつつ、セラフィールの光に身を灼かれることも厭わずに手を伸ばすその姿はまさに欲望に囚われたマッドサイエンティストのソレだ。
「さぁ、好きにかかってきなさい、イェーガー! わたくしも、好きにあなた方のことを研究させてもらいますわよ!」
猟兵たちの連携で少しずつその身に傷を負いつつも、ドンは目の前に現れた新たな好奇心の対象に垂涎を隠そうともしていない。戦況は確かに猟兵側に傾きつつあったが――底知れぬドンの欲は絶えることなくその体を支えていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ルキフェル・レガリア
@
ある程度戦闘が進んで戦場に血が満ちる時を見計らってから戦う
「少し目を離しているうちに何やら面白いことになっているではないか
っはは、その戯れに余も交ぜよ」
敵の攻撃は[第六感]・[武器受け]でまともに攻撃を受けないように
攻撃を受けても動きを止めないよう[激痛耐性]
敵の攻撃をくらっても逆に高揚し楽しそうに[預言の剣]で反撃し[恐怖を与える]ことで敵の動揺・エモ判定を狙う
戦場に残るものだけでなく己の血すらも[血の刃]の糧にし集中攻撃
「道化役ご苦労
だが時は満ち余も満足した
これよりはお前の葬送の宴である
多くの者の想いを乗せた美しき血の刃に魅せられて逝くがいい」
ラモート・レーパー
「猟兵としてではなく、役割として汝を狩る……」
戦闘中は無言。
初手は黒剣を狩猟武器に変えて敵に接近。あかべこキャノンを奪取もしくは破壊して無力化する。その後間引きの厄災で星のシステムをハッキングして敵のアカウントを一時的に乗っ取る。
アカウントを乗っ取ったらバリア崩しのエモいものとこちらに有利な戦場に書き換える。
戦場を書き換え終わったら猟犬の魔笛でUCのデュラハンとナイトハウンズを召喚して攻撃する。
相手のUCが飛んできても乗っ取ったアカウントを使ったコンコンコンで妨害する。
トドメに地割れに敵を落として潰す。
「望むものを全て与える。汝が望んだ結末……あ、食べるんだった!」
最後に引っ張りだして食べる
●血風狩人
きゃはは、と楽しそうな笑い声が戦場にこだまする。声の主はドン・フリーダム――幾人もの猟兵たちに取り囲まれてなおそのような声を上げる余裕があるのはその実力故か。ユーベルコード迎撃マシンもその大半を破壊され、猟兵から食らった攻撃も数え切れず。
「うーん、脆弱性に問題がありますのであまり使いたくはなかったのですが……えいっ」
気楽な声とともに足元の睡蓮をコンコンコン。飛び出した赤ベコキャノンを腰だめに構え、絶対無敵バリアを展開しながらの掃射で猟兵たちを薙ぎ払った。直撃を貰い膝をつく猟兵も居る中――紅の一閃がその射撃を両断した。
「少し目を離しているうちに何やら面白いことになっているではないか――その戯れ、余も混ぜよ」
ドンの、あるいは猟兵の。花の絨毯に散っていた血の紅を纏め上げて長大な刃と化して横柄に宣うのはルキフェル・レガリア(闇の中を導く明けの明星・f11011)……猟兵でありながらかの暗黒世界に領地をもつダンピール。
「ほぅ、血を操る能力でございますわね?」
「その通り――貴様を送る葬送の刃である。存分に魅せられることを許すぞ」
血の刃の核となっている細見の黒い剣……予言の剣の切っ先をドンに向け、ルキフェルは堂々と言い放った。
「それはそれは……やれるものならやってみてくださいまし?」
対するドンの反応はややクール……ラビットバニーと同様にエモさという感情の揺れ動きで絶対障壁は破れるはずだが、障壁が揺らぐ様子はない。
(――なるほど、仕込みがまだ足りぬか? ……しかし、十分に気は引いたぞ、死よ!)
ルキフェルの内心に応じるように、ドンの背後にゆらりと黒い影が姿を顕す。空間から滲み出るようにして現出したのはラモート・レーパー(生きた概念・f03606)。その手には狩猟武器へ変じた黒剣。無言のままそれを突き立てる先はあかべこキャノンであるが――
「囮役と本命……確かに典型的な、故に王道の作戦ではございますが」
絶対障壁が僅かに揺らぎ、ラモートの刃を通す。スラリとチーズでも切るような気軽さで赤べこキャノンが切断され――直後、ラモートの顎を真下から撃ちぬく砲弾が1つ。
「仮にも女性の姿をしているわたくしの背後を取るのは、紳士的とは言えませんことよ、イェーガー」
タップダンスのような素早いコンコンコンで呼び出された2挺目の赤べこキャノンによる即時迎撃であった。派手に吹き飛ばされながらもラモートは、己の奇襲という「本命に見せかけた2段目の囮」に隠した真の本命――任意の病魔……ここではシステム・フラワーズに干渉可能なウィルスとしてのソレを含む吐息をドン目掛けて鋭く吹き付けた。
「――なるほど、修理中のシステムへのハッキング。考えたものですね……しかし、障壁を破るのには少々、エモーショナルとは言い難いのが欠点でしょうか」
危ない危ない、と肩を竦めるドン。ラモートの狙いは確かに有効だったが――刃ならぬ吐息で破れるほど障壁は軟ではない。エモさの積み立て不足であった。
「ちっ――搦め手では揺れぬか。であれば……その情、余が真正面から震わせてみせようぞ!」
「情熱的なアプローチは……確かに、嫌いではないですわね?」
吹き飛んだラモートを見送りながら、その姿にルキフェルは覚悟を決めて吶喊する。ドンは手元に呼び出した2挺目の赤べこキャノンと展開した障壁で迎え撃つ。
「くはははっ、ぬるい、ぬるいぞドン・フリーダム! 余を止めるに痛みは無駄である! ――血よ、我が元に集い剣を為せ!」
ルキフェルは剣で砲弾を切り払い、あるいは直撃を受けても流れ出る己の血すら糧として刃を呼ぶ。覚悟を決めた男の姿というのは――得てして淑女の心を揺さぶるものである。
「――くふふっ、バリアが意味を成しませんわね、これでは」
大きく振りかぶられた血の刃を前に、ドンはため息をひとつ――障壁をバターのように切り裂くその一撃と相撃つようにして赤べこキャノンによる至近弾をルキフェルへ叩きつける。
「ええ、心揺れましたとも……ですが、わたくしを倒すには、まだ少したりないようですわ?」
猟兵2人による連携を軽くいなし――その代償は障壁の完全な崩壊。身を護る最後の盾を失い、けれどもドンは不敵な態度を崩さず猟兵たちへと向きなおった。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
遠呂智・景明
診療所チームと連携
さて、2人の邪魔をしねぇように。
【殺気】を操りつつ気配を消して【迷彩】を用いて身を隠す。
焦るな。
アリスが召喚に成功したら召喚されたムートの背に飛び乗り、指示があるまで二人の近くで待機。
来るべき一瞬まで。
守りはアリスとムートに、支援は芦屋に。
こいつらに任せりゃ、抜かれることはねぇ。
さて、反撃だ。
ムートの突撃に合わせて、ドンフリーダムの首を目がけて【早業】の【鎧無視攻撃】
ここまで溜め込んでたんだ、一撃だけじゃもったいねぇ。
【2回攻撃】、もう一発だ。
うなじを斬り落とす。
悪いが感慨は特にねぇ。
だがよ、てめぇ首魁だろう?
その首、置いてけ。
芦屋・晴久
診療所チームと連携
ムート召喚のまでの間、此方に来るであろう暴風からアリス君を護る為に防護結界を張ります
召喚されたら背に乗り、大気の、魔力の流れを読み進行指示を致しましょう
風と龍脈の流れが合致した道をなぞり、敵の近くへと急降下着陸してもらいます
そして着弾と同時に遠呂智君が強襲を仕掛ける、これが一連の流れとなります
最後にもう一仕事
呪詛を祈り言霊として力を成す。ドン・フリーダム、強大なる首魁よ、私一人の言霊では足りぬだろう
なれば花の、この大気に存在する数多の生命力を気に乗せて贈ろうこの呪いの力を
“その動きを止めよ”
さぁ遠呂智君、行くのです
止めたとしても一瞬でしょうからね、見逃してはいけませんよ?
アリス・レヴェリー
診療所チームと連携
先じて襲いかかる暴風を芦屋さんに任せて、【友なる白鯨、悠然の調べ】を発動。最大サイズのシロナガスクジラに似た白鯨の幻獣、ムートを召喚するわ。
暴風があまりにも熾烈なら、装備した【刻命の懐中時計】の結界の幾枚かを、足場兼防壁としてわたしと皆を包むように球状に展開することも視野に入れましょう。
ムートを召喚したら皆で背に乗り、ドン・フリーダムの元へ向かうわ。妨害はムートの魔法結界とわたしの時計結界でカバー。
芦屋さんが示してくれた最も有効なルートをあらゆる場所を泳げる力で風を無視できるムートに乗って進み、敵を見つけたら鎧のように結界を展開して突撃!
さぁ、到着よ!信じてるからね、二人共!
●風読み鯨の首獲り行
ドンの元に残るユーベルコードはもはや嵐操るもののみ。赤べこキャノン、マニアックマシンともに既にコンコンコンで呼び出せる残数を使い果たしたようであり、風を纏いながら徒手空拳を主に戦う様子からは限界ギリギリで踏みとどまっていることが見て取れる。
「いやぁ、機を見てとは思いましたが――これは思った以上にいいタイミングに滑り込めたようですね」
胡散臭い語調でサングラスの位置を直す芦屋・晴久(謎に包まれた怪しき医師・f00321)。彼の周囲には数枚の式符が浮かんでおり、荒れ狂うドンの暴風に対抗する防風域を形成していた。
「ああもう、そうやってわたくしの限界ギリギリになってからまた面白そうなモノを出してくる……!」
疲労、あるいは被弾した猟兵たちを嵐で一掃し、ドンは好奇心を原動力に晴久に迫る。
「それはどうも、ドン自ら興味をもってくれるのは有難いことです――!」
事前の想定では赤べこキャノンや自動迎撃装置が相手。威力で劣るとはいえクロスレンジでの徒手空拳で突っ込んでくるドン相手に内心の焦りを隠しつつ、晴久は追加で対物理障壁符を打つ。
「――お待たせ、芦屋さん! ムート……いくよ!」
「いえいえ、時間稼ぎが私の仕事ですから」
「……また出てきましたの!? 新しいのが!!!」
障壁符を殴り抜いて、いざ晴久の元へ突っ込もうとしていたドン。しかし、その目論見は突如として呼び出された1体の幻獣によって阻まれる。
「ええ、わたしの友、揺蕩い、微睡み、歌う優しき勇魚――ムートよ!」
全長、20m半ば。戦場に現れたその姿はアリス・レヴェリー(真鍮の詩・f02153)が歌い上げる名の通りの勇ましさ。優美かつ力強い尾の一振りでドンの間合いから抜けたムートの背には、召喚までの時間を稼いだ晴久と召喚主であるアリスの姿。吹き荒れ続ける嵐に乗った花吹雪を大洋に見立て、花の絨毯をムートが泳ぐ。
「そういうの、いいですわねぇ! ――わたくしも、システムの復旧が終わったらそういうのが欲しいですわ」
「――友まで、システムに求めるというのですか!?」
物欲しそうな声でムートを見るドンに、アリスは理解できないものを見た表情でそう返す。
「ええ、だってわたくしが目指すは万能、かつ無限に欲望を叶えるマシンですもの」
「いやぁ、そういうのはどうかと思いますけどねぇ」
アリスの声に胸を張るようにして答えたドンに、晴久すら呆れた声音を隠しきれず。
「――ふふ、理解できなくてもよろしいですのよ? わたくしがきちんとシステムを直して、使っていただければきっとわかってもらえますもの!」
轟、と。ムートの泳ぎを邪魔するべくドンが纏う嵐の勢いを増させる。抗うようにして晴久も障壁符を打ち連ねるが……それだけでは足りずムートの姿勢が傾いだ。
「――ちょっと、手伝ってもらっても? アリス」
「もちろんです! ――方向の指示は任せましたよ」
ドンが孤独に戦う姿勢を見せるのと対照的に、晴久とアリスは協力してムートの道を切り開く。アリスの持つ懐中時計がその針を動かせば、文字盤の刻印が消失すると同時にムートを包む強靭な結界が現れる。それと晴久の式符打ちが合わされば……嵐の中をムートは全力で泳ぎ抜いた。
「わたくしの絶対防御バリアもそれくらい使い勝手がよければいいですのに!」
「……このやり方が、そうとしか見えないのなら、もはや哀れですドン・フリーダム」
ギャリ、と甲高い音を立ててムートの頭突きがドンを捉える。が、結界を挟んで相対した20m超の質量をドンは両腕でしっかりと受け止めてみせた。
「――到着! 信じてるからね、『2人』共!」
「……なん、ですの!?」
花の絨毯を飛沫代わりにぶっ飛ばしたムートの頭上から叫ぶアリスの声に、ドンが不信の声を上げる。ドンの視野にあるのは2人の猟兵、アリスと晴久のみ。しかし、アリスの声が示唆したのはもう1人の猟兵の存在であり。
「もう一仕事、この地に存在する数多の花を借りて貴女に言葉を届けましょう。強大なる首魁、ドン・フリーダムよ――」
それに気づいてドンが対応策を打ち出そうとしたときには、もう遅い。
「――動きを止めよ――」
無数の花弁を媒介にした晴久の言葉が、ほんの1秒足らず、ドンの四肢を拘束した。
「流石だぜ、晴久」
そして、その花弁が舞い散るようにして離散した後には1人の猟兵の姿。ムートの背から瞬時に躍り出たのは羽織をはためかせた遠呂智・景明(いつか明けの景色を望むために・f00220)のそれ。瞬歩と呼ぶにふさわしいその踏み込みは、これまでの晴久とアリスの援護もあって完璧なタイミングと位置を景明にもたらした。
「――てめぇが首魁だろう?」
「この――!?」
「……遅い。もう終わった」
抜く瞬間は見えず。空を裂く音が聞こえるころには景明は左手を刀の峰に添える納刀の姿勢。鯉口で刀を受け、鞘で迎えながら刀を納めきったころに漸く。
「――――あ」
ごろり。ドン・フリーダムの首が花の絨毯へ沈んだ。首の断面は2つの方向から刃が通ったことを示す鋭角。一瞬のうちに2撃を見舞った景明は、しかしそれが当然だとでもいうように涼し気な顔。
「斬ってみて実際に思ったが……」
くるりと踵を返し、仲間に振り返る景明。その背後でどさりとドンの体が倒れ伏した。
「――いや、やっぱ、特に感慨ねぇわ」
凪いだ花吹雪の中央で、あっけらかんとした声が上がる。景明のそれを聞いてある猟兵は気の抜けた笑い声をあげ、ある猟兵は安堵のため息を吐き――終わった、という事実がゆっくりと浸透するのだった。
成功
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