2
バトルオブフラワーズ⑪〜風司る守り人

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ #ウインドゼファー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー
🔒
#戦争
🔒
#バトルオブフラワーズ
🔒
#ウインドゼファー


0




「みんなー、ご協力ありがとー」
 集まった猟兵達に手を振ったレティエル・フォルクエイン(オラトリオのサウンドソルジャー・f15293)はワイヤレスマイク片手に空いた方の手を振ると、さっそく説明に移るねと続け、説明を始める。
「キマイラフューチャーの世界が戦争中なのはみんな知ってるよね? それで、キマイラフューチャーの中枢『システム・フラワーズ』さんを解放するべく進んでるわけだけど……」
 怪人軍団の幹部であるスピード怪人『ウインドゼファー』が第三の関門を守っているという。
「システム・フラワーズの内部は『咲き乱れる花々の空間』で、『花々が集まって足場になる』仕組みになっているんだって。ここも例外じゃないから、どこを進んでも『ウインドゼファー』さんにたどり着くし、そこから先の道ないみたい」
 つまり、先の二人と同じでどうにかしてこの怪人を倒す必要があるわけだ。オブビリオンは倒されても何度でも骸の海から蘇る。戦いに勝利し君達がウインドゼファーを倒したとしても、また蘇ってくる可能性はある。だが、短期間に許容値を超える回数倒されてしまえば復活することは能わない。
「この怪人さん女の人らしいんだけど、『風を操る能力』を持ってるんだって!」
 すでに撃破された幹部二名の様な特殊な能力は持ちあわせていないものの、だからと言って弱いはずがない。猟兵達が挑もうとすれば、きっちりと先手を取って攻撃してくることだろう。
「しっかり先制攻撃の対策をしておかないと、なすすべなく……ってことになるかも」
 おそらくは、いかに敵の攻撃への対策をとるかが結果を左右する。
「間違いなく強い敵さんだけど、ここを通るには勝つしかないから――」
 どうかよろしくねとレティエルは猟兵達に頭を下げたのだった。


聖山 葵
 いよいよ怪人軍団の幹部も三人目ですね。


 という訳で今回はスピード怪人『ウインドゼファー』と戦っていただくお話となります。

 戦闘におきましては、以下の特殊ルールがございますのでご注意ください。
====================
 敵は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 この先制攻撃に対抗する方法をプレイングに書かず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、必ず先制攻撃で撃破され、ダメージを与えることもできません。
====================

 尚、このシナリオを含めた戦場で勝利することで戦力を減らし、戦場の戦力「40」をゼロにできれば「⑪スピード怪人『ウインドゼファー』」は制圧成功ですが、それ以上の成功数があった場合、上回った成功数の半分だけ、「⑬『ドン・フリーダム』」の戦力を減らせます。


 では、ご参加お待ちしております。
114




第1章 ボス戦 『スピード怪人『ウインドゼファー』』

POW   :    フルスロットル・ゼファー
全身を【荒れ狂う暴風】で覆い、自身の【誰よりも速くなりたいという欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    レボリューション・ストーム
【花の足場をバラバラにする暴風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ソード・オブ・ダイアモード
対象の攻撃を軽減する【全タイヤ高速回転モード】に変身しつつ、【「嗤う竜巻」を放つ2本の車輪剣】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:藤本キシノ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

備傘・剱
POW

スピード勝負か…
生死を分ける一瞬、嫌いじゃないぜ、そういうのはよ

相手が、どう動くか…、目線で追っても、追いつけないだろう
だから、耳で、肌で、感覚で、全てを研ぎすまして、迎え撃つ

相手が飛んで攻撃してこようと、此方の命を断とうとすれば、必ず、その前兆があるはず
いくら速く動こうが、必ず、風が先に動く
風の前に、音が動く
そして、俺の皮膚に触れれば、激痛の前に、先端が触れた瞬間の感覚があるはずだ
その感覚があったら、其処に黒魔弾を叩き込む

激痛耐性があっても、恐らく、気休め程度だ
鎧無視攻撃も合わせた黒魔弾のカウンターなら、多少なりとも傷を負わせることくらいはできるだろう

アドリブ、絡み、好きにやってほしい



「スピード勝負か……生死を分ける一瞬、嫌いじゃないぜ、そういうのはよ」
 花の足場の上に立ち視線を向ける備傘・剱(絶路・f01759)へ、微かな笑みを乗せありがとうございますとだけ返すとウインドゼファーの身体が荒れ狂う暴風の中に消える。
「っ」
 直後だった、スピード怪人の姿が掻き消えたのは。いや、違う。消えて見えるほどの高速を得て地を蹴ったのだろう。舞い上がる桃色と水色の花びら。敵の姿を探して周囲を見回しそうなものだが、剱はそうしなかった。目線で追いきれるものではないと割り切ったのだ。
「相手がどう動くか」
 それだけを考えながら、耳を澄ませ感覚を研ぎ澄ませながら、備えた。
(「相手が飛んで攻撃してこようと、此方の命を断とうとすれば、必ず、その前兆があるはず」)
 捉えて、カウンターを叩き込もうと言うのだろう。
「風の前に、音」
 呟きを最後まで言い終える前に剱は動きだす。動き出さざるを得なかったと言うべきか。暴風を纏うゼファーの速さは音速をとうに超えていたのだ。前提に齟齬があっても動けたのは、先制攻撃が想定されていたから。
「漆黒の魔弾は――」
 痛みはなかった。激痛耐性が仕事をしたというよりは、まだ到達していないだけであろう。剱は感覚を頼りに超高速の一撃を見舞う。
「ぐあっ」
 衝撃は、痛みは、漆黒の魔弾を放った反動とほとんどセットになりながら遅れてやってきた。空が見えた、逆さまだった。
「痛ぇ」
 ほぼすべてをカウンターにかけ、防御もなにも考えていなかったのだ。
「せめてよ、捨て身の一撃でも覚えとくべきだったか」
 だが、些少なりともダメージは与えられた。強敵の一撃をモロに受けることと引き換えではあったが。
「後は、頼むぜ……」
 手に残った感覚に苦笑した剱の意識は闇に溶け。
「見事な覚悟、一撃でした。ですが――」
 魔弾の当たった場所に車輪剣を握ったままの手を当てながらウインドゼファーは飛ぶ。落ちてゆく剱の方は一度たりとも振り向かず。

成功 🔵​🔵​🔴​

アーサー・ツヴァイク
※何でも歓迎、🔵過多なら不採用可
【POW】

さて……実験を始めようか。

相手のUCは超スピードを得る戦闘力強化技のようだ。なら強化されてから攻撃されるまでの一瞬、そこに付け入る隙がある。

転移後直ぐに【シャイニングブレイク】で光の鎖を、俺自身に巻き付ける。相手の攻撃はこっちのUCより先だが、そんなのは端から承知。だったら戦場に出た瞬間から仕掛けるぜ。来いよ、光より早く動けるならな!

最初の一発は【オーラ防御】【激痛耐性】を駆使して【気合い】で耐えるさ。一発はな。
相手が攻撃した時点で、俺の体に纏った光の鎖が相手にも当たる。後は相手も触れた光の鎖を【怪力】で引き寄せ、キックを見舞ってやるぜ!



「うおおおおっ」
 空中でアーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)は光の鎖を己の身体に撒きつけてぐるんぐるん回っていた。光の鎖が命中した対象に対し、高威力高命中の必殺キックを放つユーベルコードの光の鎖を自分の身体に巻いたのだ。自分で自分を蹴ろうとしてしまった結果がそれである。
「来いよ、光より早く動けるならな!」
 その何を考えてるのかよくわからないナニカを無言で眺めていたウインドゼファーは、不意に暴風を纏うと瞬時に距離でを詰め車輪剣を振りかぶり。
「……そこまではいかなくとも、本来の用途とかけ離れた使い方だしな」
 想像の中のシュールな光景を振り払ったアーサーは顔を上げる。うまくいく保証はない、だがそれに賭けた。
「さて……実験を始めようか」
 できるだけ早く自身に光の鎖を巻きつけようとし。
「何のつもりかは知りませんが――」
 暴風に包まれたソレがすぐ目の前に居ることに気づいた時、アーサーは失敗を悟る。全身くまなく光の鎖を巻かなければウインドゼファーは鎖の巻かれていないところを攻撃すればいいだけの話である。転送されてから巻いてはどう考えても時間が足りなず。
「先制攻撃してくるって注意されてるのに、それより先にユーベルコードが使えればグリモア猟兵が嘘ついたことになっちまうもんな」
 頭のどこかで考察する中、ウインドゼファーの一撃が身体にめり込む。
「ぐうっ」
 もとより最初の一発はくらうつもりだった。オーラの守りすら貫いた衝撃と痛みに耐えながら、防御反応で運よく命中した鎖を力任せに引き寄せる。
「っ」
「喰らえよ、うおりゃあああああああ!!!」
 引き寄せられたウインドゼファーの身体を出迎えるように放ったキックは、確かにその身体へ命中した。
「っ、浅いか」
「そうですね」
 アーサーの苦い声に応じた怪人軍団の幹部は、手にした車輪剣を振りかぶり薙ぎ払うように横に振るったのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ジェムズガン・アナンダ
「猟兵としてのお役目、頑張ります!」

「先制されるとわかっているのであれば!」
【フェイント】としてわざと隙を見せて攻撃
隙への攻撃をからくり人形の【オペラツィオン・マカブル】で受け【時間稼ぎ】を行い、逆にその隙に敵にカウンターを行う

その後もからくり人形を盾にしつつカウンター主体で攻撃を展開していく

口調:丁寧。
年上の人:名前+様
ミラーシェードタイプの電脳ゴーグル着用
同年代の男女平均より低身長なのを気にしてる

※アドリブ歓迎



「猟兵としてのお役目、頑張ります!」
 宣言と共に身構えるジェムズガン・アナンダ(第六幼稚園すみれ組・f17916)の電脳ゴーグル越しの視界に先の挑戦者を退けたウインドゼファーが向き直る姿が入る。
「先制されるとわかっているのであれば!」
 そのまま無言で攻撃のモーションへ移るのを見つめながらジェムズガンはわざと隙を作る。それ自体がフェイントであり同時に攻撃でもあった。放たれた暴風が花の足場をバラバラにしながら迫り来る。まさに狙い通りであった。そこまでは。
「えっ」
 誤算はジェムズガンが言うように『先制攻撃』であったことだ。敢て隙を作った攻撃が先にゼファーに届いていたなら、ゼファーの放った暴風は先制攻撃足りうるであろうか。答えは、否。故に暴風が先にジェムズガンへと届いた。
「うわぁ」
 脱力状態で無効化しとするも間に合わず、吹き飛ばされたジェムズガンは宙に舞う。
「ただの怪人でしたら間に合ったかもしれませんが、私には遅すぎます」
 ユーベルコードの防御すら間に合わぬ速さを持つがゆえに強敵なのだろう。
「しかし……耐えましたか」
「ううっ」
 暴風をもろに受けたはずのジェムズガンは呻きつつも立ち上がる。オペラツィオン・マカブルが間に合わず、無効化の失敗にまで至らなかったこと、気にしている低身長によって暴風の影響をが軽減されたこと、そして運。様々な要素が重なったことで、辛うじて戦線離脱とはならず踏みとどまっていた。だが、二度目がないことは痛む体が教えてくれる。
「もう一度【オペラツィオン・マカブル】を使ったなら、おそらくは繰り返しですね」
 ユーベルコードを使うのだ。先んじて相手がユーベルコードを使わない保証などない。
「だったら――」
 人形を盾にするように操り、ジェムズガンはウインドゼファー挑む。元より人形を盾にしつつカウンターを狙うつもりだったのだ。とどめを刺すべく振るわれた車輪剣が人形にぶつかり、ウインドゼファーの動きが鈍る。
「今です!」
 一矢報いようと、からくり人形の片腕を操る。車輪剣の片方は人形と絡み合い振るうことは能わない。握り固めて作った拳はゼファーに迫り、その頭部をかすめた。
「危ういところでした。幼く見えても流石は猟兵ですね」
 だからこそ、油断はしませんと人形を振り払って放った一撃はジェムズガンを吹き飛ばしたのだった。

失敗 🔴​🔴​🔴​

胡・翠蘭
さて…先制攻撃されてしまうのには困ってしまいますが…
一矢報いて差し上げなければ、彼女にも失礼に当たるでしょうから――ええ、お客様にはおもてなしをしなければなりませんし…ね?

【SPD】
足場を崩す攻撃が来ると予想はしますから、対策を
防具改造に激痛耐性活性
まずは第六感と野生の勘でなるべく直撃しないよう攻撃を見切り
次はお返し…
わたくしの攻撃…UCは動かずとも――例え足場が不安定であろうとも、視界に捉えられれば触れられますもの
防戦中は足元に注意して確保をしておきますが
土埃や花弁が邪魔なら、それごと触手で払い、彼女へと伸ばしましょう…触手を。
マヒと毒、そして雷の属性を付与させて…さぁ、いかがでしょうか?



「さて……先制攻撃されてしまうのには困ってしまいますが……」
 一人の猟兵を退けたウインドゼファーが自身の方へ向き直るのを見ながら、胡・翠蘭(鏡花水月・f00676)は呟く。ざわりと風が流れた。花びらが舞いあがる景色の中、翠蘭の言う彼女は油断することなく翠蘭を見つめ。
「参ります」
 宣言を残し、怪人は動き出す。花の足場を蹴って後方に飛ぶように距離を取りながら、放たれるのは先ほど立っていた足場すらバラバラにする程の暴風。
「くっ」
「っ」
 暴風が翠蘭の身体を容赦なく蹂躙するもウインドゼファーは驚き、微かに息をのむ。直撃したなら、微かにうめく程度で済むはずがないからだ。実際、翠蘭の衣服は乱れ、呼吸も荒い。
「当たったように見えて、ギリギリのところで躱しましたか」
 激痛に耐えたのだなどとは窺い知ることも出来ぬウインドゼファーが看破したのは、残りの半分。身に着けたものの乱れは、改造でそう見えるように仕向けたから、暴風自体は第六感と野生の勘で直撃を避けたのだ。
「次はお返し……一矢報いて差し上げなければ、彼女にも失礼に当たるでしょうから――」
 艶やかに笑んだ翠蘭はウインドゼファーを視界に入れたまま、身に着けた中華風の民族衣装の端に手を伸ばし。
「ええ、お客様にはおもてなしをしなければなりませんし……ね?」
 まるでゼファー以外の誰かに語りかけるように独言しながらたくし上げた服の下から覗くのは、蠢く触手の群れであった。
「わたくしの攻撃……UCは動かずとも――例え足場が不安定であろうとも、視界に捉えられれば触れられますもの」
 まして、今のゼファーは暴風を放ったばかり。
「ふふ、……甘くて深い泥濘の沼に堕ちてしまいましょう?」
 邪魔するモノがあればそれすら薙ぎ払うほどの勢いを持って伸び迫りくる触手はウインドゼファーの身体を絡め取り。
「……さぁ、いかがでしょうか?」
 上がる悲鳴の中、愉しげに翠蘭は尋ねるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴォルフガング・ディーツェ
【SPD】
花散らしの風と言うには強すぎるようだね、お嬢さん?

【調律・機神の偏祝】を起動・技能強化を図ろう
持参品のヘルメスを【メカニック】を通して使用
相手の放つ風の性質・軌道を分析
崩れる足場の代わりはイス(氷)のルーンを刻んだ護符をばらまき、【全力魔法】で起動する事で造った氷塊群で対応

物理法則の改編であるならトートで【ハッキング】し周辺気圧・温度を操作し軌道を乱そう
魔力なら風の精霊の力を借りた【全力魔法】で対抗

短時間でやるのは厳しいけど…無理をしないで勝てる相手でもないし、ね!
隙が出来れば斬り込み、【2回攻撃】【属性攻撃】を纏わせた爪で攻撃
【グラップル】で此方の有利なリーチを維持しつつ、抉り込む



「そう、なるのかな」
 ふらつきながらも立ち上がり新手ですかと口にした怪人をヘルメスの片視鏡越しに見据え、ヴォルフガング・ディーツェ(咎狼・f09192)は肯定を返した。
「ならば、私は阻むのみです」
 ウインドゼファーの周囲を舞っていた花びらが跡形もなく吹き飛ぶ。生じた暴風はそのままをバラバラにし何もかもを襲うのであろう。確認するまでもなく、そは放たれ。
「さあ開……花散らしの風と言うには強すぎるようだね、お嬢さん?」
 迫りくる暴風に調律・機神の偏祝は間に合わないと判断、片視鏡によって風の性質・軌道を分析し、イスのルーンを刻んだ護符をばらまきながら今にも吹き飛ばされそうな花の足場を蹴ってヴォルフガングは飛ぶ。
(「どれだけ誤差を修正できるか――」)
 護符を解した全力の魔法で作り上げた氷塊の足場に着地すれば、直後にその何割かが暴風に持って行かれる。
「くっ」
 到達していないにもかかわらず身体を押し倒そうとするほどの風。小さく呻きながらも、ヴォルフガングがコマンドワードで電子操作盤を呼び起こし、周辺気圧・温度への干渉を開始すると暴風の軌道は逸れ始め。
「ぐあっ」
 直撃は免れた。外周部に呑み込まれた半身が軋みをあげ、衣服も腕でも何もかもを引きちぎらんとする暴風はヴォルフガングへ痛みを残して通り過ぎる。
「な」
「躱すには至らなかったけれど……無理をしないで勝てる相手でもないし、ね!」
 ダメージはある、だがウインドゼファーとヴォルフガングを遮るモノは何もない。指を鳴らし、這い穿つ終焉を爪に変えると、そこに属性を帯せながら前へ。
「今度はこちらの番だよ、お嬢さん――」
 最後の一歩を踏みきると、振りかぶった腕で連撃を叩き込んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

七那原・エクル
【メカニック】の知識で衝撃をうけた方向とは逆方向に瞬間的にブースターを噴射して衝撃を相殺する装置を【防具改造】で身体に装着、姿勢安定のための補助になればと

暴風はデフレクターシールドの【盾受け】で踏ん張る、盾がぶっ壊れてもいい。崩れる足場を【クライミング】でよじ登り召喚したドラゴンへ飛び乗ります

レールカノン砲形態に変形した宇宙バイクを【武器改造】でドラゴンに懸架させて合体、ボクらの攻撃の【援護射撃】をお願い。ビームキャノンの衛星砲はボクらの回避が間に合わない暴風を【誘導弾】で撃ち落として!暴風の風が弱い箇所を【見切り】で見定めたらドラゴンのブレス攻撃を含めた武器の一斉発射で暴風の先の敵に攻撃だ!



「私は、まだ――」
 爪に切り裂かれよろめきつつも踏み出した足で転倒を免れるウインドゼファー。
「っ」
 上げた顔が転送されてきた七那原・エクル(ダブルキャスト・f07720)を認めた時、舞う花びらは再び蹂躙された。生じ始めた暴風が花弁を引き寄せ引き裂き、唸る。
「何人来ようとも、ここは通しませんッ! 私は、私達は全てを手に入れる。誰にも、邪魔は、させないッ!」
「そうは、いかないんだよー」
 足場の花をバラバラに吹き散らし言葉と共に放たれた暴風を前にエクルは足に力を込めた。
「ぶっ壊れてもいい」
 くらいのつもりで手にしたデフレクターシールドを向け、身構えたところに風は来る。
「くぅっ」
 盾すら抜けてくる衝撃と圧に声が漏れる。メカニックの知識を活かし、衝撃を相殺する装置を取り付ける防具改造を行っているにも関わらず、衝撃を殺しきれていないのだ。それは、手負いでありながらゼファーが強敵であると物語り。同時にそれで切り抜けたという意味でもあった。衝撃相殺の為、逆方向に吹かしたブースターが消えた瞬間、エクルは傾斜になった花の足場をよじ登り出す。それは、一時盾の陰になったことで中途半端に暴風の影響を受けめくれ上がったものだ。
「な」
「力を貸して黒曜の竜よ」
 ウインドゼファーが見上げる中、足場の端を蹴って跳んだエクルは喚び出した結晶ドラゴンへと飛び乗ると、レールカノン砲形態に移行させた武装ビークルを懸架させてドラゴンと合体させる。
「ボクらの援護をお願い」
 声をかけたのは、跨るドラゴンへではなく武装ビークルへ。
「一斉発射だ!」
 視界の中のウインドゼファーは暴風を放ったばかり。二度目はなく、たとえ可能でも備えはあった。
「油断したつもりはありませんでした。ならば、まだ見積もりが甘かったということですか――」
「いっけー!」
 防御も回避も能わぬウインドゼファーにドラゴンのブレスが、すべての武器を用いたエクルの攻撃が殺到する。ブレスによって片腕と一本の車輪剣が消失し、ガトリングガンの銃弾がオブビリオンの身体を穿ち、浮遊する一対の大型機械掌が内蔵した火器を残る車輪剣を盾がわりに翳したゼファーへと向け。
「ドン・フリー」
 途中だった最後の言葉もろとも火を噴いた火器が怪人軍団の幹部消し飛ばす。残ったのは戦いで荒れた足場の花々のみ。
「ありがとう」
 戦いを終え、花びらが舞いあがる中、エクルは跨ったままの黒曜の竜を労うように撫でるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月30日


挿絵イラスト