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バトルオブフラワーズ⑥~慈愛はたわわに揺れる

#キマイラフューチャー #戦争 #バトルオブフラワーズ

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「踊りってのはどこからどこまでが踊りになるんだろうな?」
 と難しい顔をするのは、ゲームセンターにおいてあるダンスゲームの動画を眺める藤間・英だ。
 彼が手にした端末の画面の中で、青年が素足で筐体を踏み鳴らし見事にフルコンボを達成している。指譜ならぬ足譜にあたる矢印の動きはもはや目で追いかけることも困難だった。
 猟兵たちが集まったのを見て、藤間は端末を置いた。

「ともあれ、今回の敵は中々に魅惑的だぜ」

 藤間は錦絵を広げて見せた。
 描かれているのは豊満な胸をたたえて穏やかに微笑む美人だ。
 その肢体の柔らかさや顔つきの女らしさ、指先にまで漂う色香と艶に、ごくりと喉を鳴らす猟兵も少なくない。

「その名も牝山羊怪人 マリアディジーだ。
 いいね疲れした人々を癒す裏で、ウイルスで疲弊させるなかなかの毒婦でな。
 人と繋がりたいっていうのが本来の彼女の願いで、調べたところ本来はメンタルケア用の人工物なんだと。
 だがそこに破壊衝動が芽生えちまって、人を助けるそぶりをしながら自分への依存を進めていく、美しき悪だ。
 男女問わずこの母性にハマっちまっても本望、だなんて思う連中も少なくねえだろうが」

 藤間は肩をすくめる。
「今回の戦場は特殊な場所でな。まず前提として、キマイラフューチャー中に様子が配信されてる。つまり、観客がいる」
 テレビウム・ロックで救出したテレビウムの画面を通じて、全土に中継がなされているらしい。

「日本舞踊でもタップダンスでもベリーダンスでもロボットダンスでもヒップホップでも何だっていい。
 ダンスパフォーマンスを披露して、視聴者を感動させつつ敵をぶっ飛ばす……これが今回の使命だ」

 気をつけろよ、と、藤間は言う。
「目に見える悪意は簡単に打ち滅ぼせる。だが善意のツラかぶった悪意は立ち向かいにくい。マリアディジーの厄介なところは、まさにそれだ」
 例えば、戦いつかれて膝をついたときに、救いの手が差し伸べられる。
 憎い敵だと思っていたはずなのに、優しい言葉を賭けられる。
「そんな状況でころっと心を持ってかれる連中は少なくねえだろう。優しさこそが、マリアディジーの武器で、お前さんらが今回一番を気を配らねぇといけねぇポイントだ」
 ひょっとしたら下手なダンスを褒めてフォローしてくれるかもしれねぇなと、言い出す藤間だ。

「そうそう、余談だが、今回の怪人の胸、躍ったらやっぱり揺れんのか、被造物らしくそこんところは固定されたニセモノなのか、そこも気が向いたら確認しといてくれ。個人的に気になる」

 では、と、藤間は手を叩いた。
「諸君らの健闘を、祈る」


千歳アキラ
 こんにちは。今回はダンスシナリオですね。
 このシナリオフレームでは、『ダンシングフィーバー』という特殊戦闘ルールが適用されます。
 この戦場の戦闘は、テレビウム・ロックで救出したテレビウムの画面を通して、キマイラフューチャー中に中継されています。
 戦闘中の立ち回りに、ダンスパフォーマンスを披露して視聴者を感動させる事ができれば『フィーバー』が発生して、その攻撃の効果が2~5倍にパワーアップします。
 逆に、フィーバーが発生しなかった攻撃は、その効果が半減以下になってしまいます。
 華麗なダンスと戦闘を融合させ、敵を撃破しなければなりません。

 どうしてもダンスを考えるのが難しい場合は【ダンスの内容はお任せします】と添えていただければと思います。
 それでは、ふるってご参加ください。
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第1章 ボス戦 『牝山羊怪人マリアディジー』

POW   :    救済の女神は惨劇へと現れる(デウスエクスマキナ)
【自身の生命力】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【より強く速く相手に浸食する活性状態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    お姉さん特製・ふしぎウイルス
【体に力が入らなくなる、肉体へのウイルス】【頭がボーっとなる、精神へのウイルス】【お姉さんにメロメロになる魅了ウイルス】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    大丈夫?疲れてなぁい?私の『ここ』においで…?
小さな【子も軽く包み込む圧倒的な母性の塊】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【優しさが詰まった極上の居心地】で、いつでも外に出られる。

イラスト:すねいる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠マックス・アーキボルトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

マヤ・ウェストウッド
「ダンス……か。要するに身の振る舞いの美しさを競い合うって事だろう? ならッ」
・マヤにダンスの心得は無い。しかし、身のこなしには自信がある
・軍用格闘術にキマイラ特有の高い身体能力を融合した我流のケンカ殺法「超獣技法」をバキバキの電子音楽にのせ、エクストリームマーシャルアーツの要領で演舞を披露
・殴る、蹴る、投げる、撃つ、跳ぶ、駆ける、喰らう、眼で殺す……出来る限り多くの銀河帝国兵を倒す為に洗練された武の技法は、研がれた刃の様な美しさを生じさせることだろう
・生来のおせっかい焼きで負けず嫌いのマヤは、おせっかい具合でも負けたくないので断る[勇気]で対抗
「胸だけに、無念……と言うとでも思ったかい?!」



 マヤ・ウェストウッド(ザ・ベネヴォレント・f03710)は颯爽とマリアディジーの前に姿を現した。
「ダンス……か。要するに身の振る舞いの美しさを競い合うって事だろう? ならッ」
 幾度もの激戦を戦い抜いてきたマヤとマリアディジーとでは体格に随分差があった。
 マヤは強気に微笑む。
 俊敏さは彼女の持つ武器の一つだ。
 ダンスの心得など無いが、身のこなしは洗練されている。
 二人が向かい合うと同時に、音楽が奏でられ始める。
 マヤの気性と負けん気を象徴するような強烈な電子音楽に、マリアディジーはきゅっと耳を抑えた。
「やん、激しい……」
「アタシについてこられるかい?」
 軍用格闘術とキマイラ特有の高い身体能力を融合した我流のケンカ殺法「超獣技法」を、エクストリームマーシャルアーツの要領で披露する。
 それは美しい、人を殺め傷つける技法の数々だった。
 殴る。蹴る。投げる。撃つ。跳ぶ。駆ける。喰らう……。
 一人でも多くを屠るために磨かれてきた武芸は、研ぎ澄まされた刃のごとき、洗練の美だった。
「駄目よ……」
 マリアディジーは小さく首を振る。そして自らの武装の封印を解いた。
「救済の女神は、惨劇へと現れる――」
 自身の殺傷力を増し、マリアディジーはマヤへ迫る。
「たくさん傷付いてきたのね……。ひどい怪我もたくさんして、動けないぐらいに痛めつけられて、大変だったでしょう……」
 甘い声が耳朶をくすぐった。
 だが、それで心を赦すマヤではない。
 否――、マヤは、生来のおせっかい焼きで負けず嫌いの女だ。
 負けん気は、おせっかい具合でも存分に発揮された。
「生憎だけどね」
 マヤは地を蹴って跳びあがる。そして自分の元に駆け付けるそぶりで攻撃の機会を伺っていたマリアディジーに、単純であるがゆえに強烈な【尻落し】を叩き込んだ。
「親切なら、間に合ってんのさ」
 ちいさくうめき声をあげるマリアディジーを、マヤは悠然と見下ろし、笑った。
「胸だけに、無念……と言うとでも思ったかい? アンタの方こそ、介抱が必要そうじゃないか」

大成功 🔵​🔵​🔵​

七鞘・雷華
なんかちょうどいいユーベルコード持ってたわ。

おらおらー、オレ様のお通りだー!!
とばかりに縦横無尽に駆け巡り、
転がるマタタビ入りボールにじゃれつく猫の如く牝山羊怪人の
おっぱいに猫パンチによるニャンプシーロールを炸裂させる……。

のはあくまでも陽動。
事前に呼び出していた黒服集団による
リンボーダンスのあの上半身を倒した姿勢での高速カゴメカゴメという
謎の儀式染みたダンスが繰り広げられ、
最後に後ろの正面い居た黒服がリンボーダンスの姿勢で跳躍、
シャイニングあてがいを叩き込む。
尚、黒服が怪人を包囲してリンボーに入った後、
雷華はちょっとお茶とお煎餅で休憩しながら観戦。



 七鞘・雷華(弾丸ライガー・f04946)は、なんだか数奇なものを感じながら現場へ急行した。
(なんかちょうどいいユーベルコード持ってたわ。あるんだなーこんなことって)

 現場ではすでに、たわわな身体の美人が少し傷付いた様子で自分の腰をさすっている。
 マリアディジーに違いない。
 マリアディジーはこちらに気付き、警戒態勢に入った。そこにすかさず、腹から声を張って駆け寄る。
「おらおらー、オレ様のお通りだー!!」
 ジグザグ走行しながら狙いが定まらぬように工夫しつつ、七鞘はマリアディジーの揺れる胸にニャンプシーロールを当ててゆく。
「んっ、ダメ、痛いじゃない……!」
 マリアディジーは間髪入れず己の力を発動させようとした。
 回避しようとする七鞘に手を伸ばし
「私の『ここ』においで……」
 その柔らかさの中へ閉じ込めてしまおうとする。

 だが、七鞘の一連の動きはあくまで陽動だ。

「はっはっは!! かかったな!」

 すでに、七鞘のユーベルコードは発動していた。
 事前に呼び出していた黒服集団。彼らに課せられたユーベルコードはいささか特殊だった。
 すなわち、『なんか宴会芸を所望する。取り敢えず踊れ』というもの。彼らは、リンボーダンス独特の、上半身を踵側に激しく倒した無理な姿勢で手をつなぎ合い、高速で輪を描きながら童謡のかごめかごめを歌い始めた。

「えっ、……何?」
 さすがのマリアディジーの顔にも、困惑が浮かぶ。
 彼女はおろおろと黒服たちを見ていた。
 歌が最終局に差し掛かる。
 マリアディジーの『後ろの正面』にいた黒服が、リンボーダンスの格好のまま高く跳んだ。
「ひっ……」
 ひきつった顔で悲鳴を上げるマリアディジーに、容赦なく【シャイニングあてがい】をたたき込む。
 マリアディジーの身体は見事に吹き飛ばされ、あっという間に見えなくなった。
「ふん」
 パリパリと、七鞘はせんべいをかり、茶をすする。
「まぁ、余興としてはこんなもんか」
 気のない素振りで送られる拍手に、黒服たちはそれでもリンボーダンスをやめず踊り続けてくれていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
相手のやる事は大体想像がつく。
では、俺は何をしよう。

少々、変わった事に挑戦してみるか?

■闘
羽織を脱ぎ捨て、音楽プレーヤーでBGMを流す。
出だしはホラーだが、途中からポップな音楽になる。
音楽が変わったら、ダンス開始。

披露するのは、古のパラパラをアレンジした踊り。
両腕を渦巻きのように回す、足を大開きにして飛び跳ねる等、
「妙な動き」を大いに取り入れるぞ。

要は「強面の大男が変わったダンスを踊る」というギャップ萌えで
視聴者の笑いを誘い、フィーバーを狙う作戦だ。
そして怪人に『困惑』の感情を与えられれば、上々。

ノッてきたら【真牙】で腕を爬虫類に変え、怪人の顔をガブっ。
ここは戦場。攻撃の時だけはホラーに戻る。



 愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は任務内容を聞いて腕組みをし、考えた。
(相手のやる事は大体想像がつく。……では、俺は何をしよう)
 ひらめいたのは、少々奇抜なアイディアだ。
(変わった事に挑戦してみるか?)
 いくばくかの遊び心を交え、愛久山は小さく笑う。

 現場に到着すると、いくらか傷付いた様子のマリアディジーに遭遇した。
 それでもたわわな肢体は変わらず美しいままだったが、愛久山はいちいち気にかけることをしない。
 一方のマリアディジーは、愛久山に気付き手を差し伸べた。
「ねぇ、……お姉さんを、助けてくれない?」
 【お姉さんにメロメロになる魅了ウイルス】が愛久山の身体に向けて放たれる。
 だが愛久山は動じない。
 素早く羽織を脱ぎ捨て、音楽プレーヤーでBGMを流す。
 途端、おどろおどろしい音楽が流れた。マリアディジーの表情が引きつる。
「な、……何?」
 おびえた様子でマリアディジーは愛久山を見た。しかしこれはまだ序の口。
 音楽は不意に、ポップなものに変わった。
「……え、っと」
 困惑したマリアディジーに、さらなる混沌がたたきつけられる。
 一言で言うなれば、こわもての男がパラパラを踊り始めたのだ。
 マリアディジーは完全に言葉を失っていた。
 その前で愛久山は、恥ずかしい素振りを一切見せることなく大真面目にダンスを披露し続ける。
 愛久山なりにパラパラをアレンジしていた。両腕を渦巻きのように回す。足を大開きにして飛び跳ねる。珍妙な動きが大いに取り入れられながらも、猟兵らしく身体のキレは抜群だ。
 すぐにライブ動画へのアクセス数が伸びていく。多くの住人たちが、愛久山に画面越しのエールや笑いを送る。

(ノッてきたな)
 間髪入れず、愛久山は己の腕を【真牙】で爬虫類に変えた。
「キャッ!?」
 驚いたマリアディジーの顔を狙った攻撃をする。
 攻撃はマリアディジーの顔には当たらなかったものの、肩から腕にかけて痛手を負わせた。
「何ッ、……え、?」
「ここは戦場だ。忘れたのか」
 愛久山は毅然として言い放つ。

「踊りを踊る最中も微笑む間も、観客がいる以上気を抜くな。この世界では、それを忘れるなよ」
 まるでアイドルのような志を掲げ、愛久山は再び、フィーバーを狙うべくパラパラを踊り始めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
【ソロ希望・WIZ】
相手が優しいお姉さん属性なら
私は小悪魔属性で勝負!
可愛く元気に踊りながらのパンチラや
少しずつ服を脱いでいく等で視聴者を【誘惑】

マリアディジーが私を誘惑してきたら喜んで抱きつくわ♪
彼女には負けるけど、私も胸には自信あるの。
互いの巨乳がむぎゅむぎゅ押し潰し合う事で
フィーバー狙いつつ、巨乳を堪能♪

彼女の温もりと優しい匂いと柔らかい感触に『狂愛』発動!
31体に分裂し、マリアディジーの全身に纏わりつき
【吸血】や【生命力吸収】を行うわ!
放送コードぎりぎりかもだけど、もう我慢できない!!
視聴者の皆、私に力を!!

彼女に依存させられるほど
私の共依存の欲も膨らみ
身も魂も貪るように求めちゃうの❤



 ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)とマリアディジーの相性は、端的に言えば最高だった。

「はぁい♡」
 かわいらしく微笑んで見せて、ドゥルールはステージに姿を現す。
 傷付いたマリアディジーは、それでも笑顔を絶やさずにドゥルールを迎えた。
「いらっしゃい、かわいい子」
「歓迎してくれるの? 嬉しい♪」
 ドゥルールの登場に合わせてポップな音楽が流れ始める。
 ドゥルールは元気にキレのあるダンスを披露し始めた。どこかアイドルのような可愛らしいしぐさを交えた活発なダンスだが、不意に、色気が彼女に漂い始める。
 視聴者たちへ自分を繋ぐカメラに甘美なウィンクを投げ、ドゥルールはゆっくりと自分の服に手をかけた。
「全部は……見ちゃ、ダメだからね?」
 はらりと布が一枚、彼女から離れていく。
 視聴者を【誘惑】する作戦は見事にはまった。アクセス数は一気に伸び、画面越しに男性たちが熱狂し始める。
(もうすぐフィーバーかしら?)
 ドゥルールが様子をうかがっていると、マリアディジーが負けじとドゥルールの元へ近づいてきた。
「そんなに踊って大丈夫? 疲れてなぁい?」
 たゆりと、マリアディジーの柔らかな双丘が揺れる。
「私の『ここ』においで…?」
 マリアディジーは優しく手を伸ばした。
 ドゥルールはにっこりと笑顔を向ける。
「歓んで!」
 やがて視聴者の元に、淫靡で官能的な光景が届けられる。
 互いに裸体ではない。だが豊満な胸をつぶし合い、身体を絡み合わせている。
「甘い匂い……」
 ドゥルールは目を細めてマリアディジーの腰にゆっくりと指を沈ませ、抱き着く。

「あぁ、もう我慢できないわ……」

 放送コードギリギリ、という懸念が一瞬だけドゥルールの胸をよぎる。
 だがやめられない。
「狂愛(ラストグラトニー)!」
 ドゥルールは自身のユーベルコードを解き放った。
 31体に分裂したドゥルールが、マリアディジーを取り囲む。
「えっ!?」
 驚いた顔のマリアディジーの柔らかな首に、ドゥルールの小さな牙が突き立てられた。
「んっ、……!」
 マリアデイジーの身体が硬直する。
「そんなに硬くならないで? 大丈夫、怖くなんかないわ……」
 その囁く声がさらにフィーバーを巻き起こす。
 視聴者の熱狂が、ドゥルールの力となっていた。
 大勢のアイドルがフォーメーションを組みながら踊る姿に似ていた。マリアデイジーを中心にし、何人ものドゥルールが生命力や血を奪う。
 マリアデイジーは、優しく笑っていた。

「いいのよ、全部、ぜんぶあげるわ……」

 依存されることを愛する彼女にとって、自分の命も血も求められるのは至福だった。
 ドゥルールの甘い歓喜の声がする。ドゥルールの指がマリアディジーの身体を玩具のように弄び、徐々に、徐々に滅ぼしていく。
「だぁいすきよ。あなたって本当に、最高だったわ」
 その言葉に満足そうに微笑んで、マリアデイジーは目を閉じた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年05月16日


挿絵イラスト