バトルオブフラワーズ⑥〜痺れるダンスカーニバル
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キマイラフューチャーが突如まっぷたつとなったが、特に動じる事無くお祭り騒ぎするのは個性の一つ。目眩がしそうな程チカチカと、色とりどりの照明が照らし出している場所はダンスステージ。
「歌って踊って、騒いで邪魔なやつは倒しちまえ!」
「一歩でも踏み外せば、場外終了! 飛び入り参加だろうが、リングアウトで俺たちの勝ち!」
「簡単だろう、じゃあ踊れ! 楽しく騒いで兎に角踊れ! ソレ以外なら攻撃、妨害何でもありだ!」
ポップでフューチャーな感じというよりは、どことなくレトロな気配があるそんなステージで、実験室トリオが陣取るようにキレッキレなダンスを披露している。
スポットライトを浴びながら電球怪人が独自に派手に光って挑戦者の視界を晦まし、バッテリー怪人がわざとらしくぶつかって場外に押し出す。
フラスコ怪人は理系そんな二人をサポートするように、光った床の位置を指示してその場所でただ踊り続ける司令塔か。
「見てるだけか? ほらお前も上がってこいよ、痺れるダンスで魅了してくれ!」
ステージは彼らの独壇場と成り果てていたが、次の挑戦者を今か今かと踊りながら待つのだ。
「『ザ・ステージ』と呼ばれる場所の一つを予知したわ。確か全てを取り返さないといけないんだったかしら、じゃあ少し話を聞いてほしいの」
空裂・迦楼羅(焔鳳フライヤー・f00684)は呆れるように笑いながらそう言う。
「メンテナンスルートの開放が派手過ぎて驚いたのだけど、まぁそれは今は良いわね」
迦楼羅が予知したのは『ザ・ダンスステージ』。熱狂的ダンサーが集まる場所だ。
盛り上がりの一つとして、ダンスフロアには特殊ルールが適応されており、『光った床を踏んで』踊り続けながらその場にある事が求められる。
「既にその場所で怪人……オブリビオンがわらわらと踊っているのだけれど、これがとてもフリースタイルで」
踊るついでに、参加者が光る床タイルを踏むのを物理的に妨害してくる。どついたり、不意打ちしたり様々で、妨害された側が光っていない床タイルを踏んだり、ダンスに失敗すると強制的にダンスへの参加条件を失ってしまうようだ。
「逆を言えば、踊るように怪人を倒してやればいいのよ。妨害行為は禁止されてないから、不正行為として正すこともできないの」
踊り続けなければいけないというルールに擬えて『アカイクツレヴォリューション』というジャンルであるらしい。ジャンルというよりは唯一のルールで、ダンスのリズムで明滅する床を追いかけ続ける必要があるのだが。
童話にこんな感じの話があったような気がするが、フロアを占拠する怪人を倒すためにはフロアに居続けなければならず、もういいよと権力ある誰かが言わなければ踊りをやめることが出来ないのだ。似たようなものだろう。
「ダンスが上手ければ上手い程、戦闘能力が向上するらしいから観客の気を引くのだって悪いことじゃないの。魅せるダンスのついでに、やることをやってしまえば一石二鳥よ」
切った刺したばかりが戦闘じゃないわ、と迦楼羅は続けて猟兵たちを見る。
「フリースタイルだって構わないのよ。……あなた、ダンスはお得意?」
タテガミ
こんにちは、タテガミです。
ダンスの定番って、ボックスステップくらいしかわかりません。
特殊ルール、『アカイクツレボリューション』については『この依頼に関しては』OPに記載している感じで受け取って頂いて大丈夫です。
光った床を踏んで、怪人たちをどうにかすることが目的となります。
たとえ敵を倒しても、敗北条件を満たすと謎の力で追い出され、強制敗北になってしまいますので踊ることをやめないで。パフォーマンスの披露をしながらの戦闘と思ってもらえれば、間違いはないと思います。
いえーい、れっつだんしんぐ。
第1章 集団戦
『実験室トリオ』
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POW : フラスコ怪人・ウェポン
【フラスコ兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 電球怪人・ジェノサイド
【電球攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : バッテリー怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【バッテリー】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:まめのきなこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
高鷲・諒一朗
ダンスなら任せてくれよお、ってなあ!
うなれ俺のこの長い脚!
スカイダンサーの真髄を見せてやらあ!
俺の一番得意なフラメンコを披露してみっかあ
靴も履き替えて、服も動きやすいように調節して
さぁ! 演じるはかの情熱の国。ここに常夏の日差しを降らせようぜえ!
おれのこの身体で、おれの情熱を表現するんだ!
オーレ!
長い四肢を使って腕の振りや体のひねりも加え演出しつつ
危ないところは「野生の勘」で咄嗟に踏みつつ
とにかく楽しく! 見栄えも考えて! しっかり最後まで踊りきるぜえ
もちろんゲームが終わるまでダンスは絶やさないように
ここぞというときに攻撃できそうなら
『金狼舞踏』で攻撃していくぜえ!
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「ダンスなら任せてくれよお、ってなあ!」
挑発するように誘うフラスコ怪人の声を聞き、吼えるように声を上げた猟兵がいた。ステージの上にそれこそ、飛んで舞うようにあがる高鷲・諒一朗(ミルザム・f17861)、彼がそうだ。
「おぉいいねぇ!」
「ヒュゥ! やる気のあるやつは、舞台の華だぜ!」
フロアは確かに、一定で点滅する不思議な床が張られていた。なんとも摩訶不思議な空間だ。音楽は踊ってる人物に合わせ、変えたり同時多発で流したり。
耳がいくらあっても足りないほど流れている。つまり、深く気にするものではないのだろう。
「うなれ! おれのこの長い脚! スカイダンサーの真髄を見せてやらあ!」
――よっし、おれの一番得意なフラメンコを披露してみっかあ!
「さぁ! 演じるはかの情熱の国。ここに常夏の日差しを降らせようぜえ!」
おれは魅せるぞ、と声高に宣言すれば、ステージのライトは赤やオレンジと情熱色一色に染まりながら諒一朗へ集まる。
上る前に靴や服を履き替える事もできたが、フラメンコ用の靴に履き替えるまでもをパフォーマンスの一部に組み込んで軽めのリズムを刻み、タップを刻む。
一連を終えたと同時に靴を投げ捨て、専用の靴を履く。流れるように自然で、誰もがその姿に魅入った。爪先に釘の集まる靴で床を踏めば、ごちゃまぜな音楽の中でも一段と鋭く音が跳ぶ。
光る床に飛ぶように移りながら、タタンと力強く踏めば、ごちゃまぜ音楽の中に曲調の違う踊りが栄える。
ステージ上での諒一朗の注目度は上がった。普段着の下に着ていた情熱的な衣装へ素早く着替えて見せれば歓声もあがる。
――おれのこの身体で、おれの情熱を表現するんだ!
「ほほう、そりゃあカスタネットが必要か?」
「合いの手なら任せろにーさん!」
「心のリズムがそうってんなら、頼むぜえ!」
どこからともなく、カスタネットが投げ込まれれば諒一朗は長い四肢を使って披露動作ですら優雅に、始めからそこにあった小道具のように、拍子を取り踊る。
フラスコ怪人らがいつの間にか背後に忍び寄り、後ろで同じようにリズムを刻んで居たが聞こえる音は付け焼き刃。
諒一朗の感が告げていた、『フラメンコならおれがうえ』だと。
光る床に合わせて体を捻り、正々堂々と魂の籠もった踊りを魅せれば、ポールダンスのように長いフラスコ……いや、あれは非常に大きなメスシリンダーか。
メスシリンダーを振り回し、踊る妨害をするように詰め寄られた。姿勢を崩せば、床を踏み外すと思われたか。
――甘いな、見栄えも考えて。しかしとにかく楽しく!
笑みを零しながら、メスシリンダーの妨害を避けて多少のバランスを崩せば、残念がる声が上がる。
「それはどうかなあ!」
床を踏み損なうのはダメだが、確かに踏む為に行える事は一つだ。
妨害してきた怪人の踏む床を奪う。
それも、――優雅に華麗に何事もなかったように。
メスシリンダーを思い切り引っ張って、怪人を一人倒す。まるで階段を上がるように、怪人を踏んで宙へ駆け上がるように、自由な踊りを見せつけた。
彼はそう、スカイダンサーだ。床の上だけがフィールドではない。
「オーレ!」
カカッ、と靴を鳴らしながら声をあげれば、わぁあああああと歓声が上がる。
堂々と踊りきれば、諒一朗に魅入っていた怪人がトリオ参加を忘れていたのか何人もの怪人が、連帯責任で参加条件を失い、フロアから降ろされたのが見えた。
大成功
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ステラ・カガミ
踊る事ならあたしの本職だから、全力で頑張るわ。
『本職の踊り子の踊り、見せてあげる』
いつもの舞台と同じ、露出度の高い踊り子の衣装や華やかなアクセサリーを身につけて、舞台に臨むつもりよ。
情熱的な曲に乗せて華やかで激しい振り付けのダンスを踊るつもりよ。
(踊りながら光る床を踏んでいくような感じです)
ユーベルコードのサウンドオブパワーを使って能力を上げて戦うわ。
歌唱やパフォーマンスを駆使して上手く身をかわして同士討ちさせたり、舞台から落としたり、といった感じで自滅を狙うようにするわ。
(ステラは余り表立っての戦闘が得意でないので)
敵の妨害は見切りでかわしたり、武器受けを使って扇で防ぐようにするわ。
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「あの人、なかなかやるね……」
一人の猟兵が怪人や観衆を圧倒している様を目の当たりにしたステラ・カガミ(踊り子兼歌姫・f14046)。
――踊る事ならあたしの本職だから、負けられない。全力で頑張るわ。
多少舞台の具合が違っていても、ステラにとってじゃ普段の舞台と大差ない。
浴びる光、溢れる歓声。そうだ、何も変わらない。露出度の高い踊り子衣装に華やかなアクセサリーを身につけていることだって、普段と一緒だ。
「ヒュゥ! お嬢ちゃん、良い服着てんな! イイゾイイゾ!」
口笛の一つでも聞こえてきそうな囃し立てるような声は、フロアを陣取る怪人たちの誰かの声か。トトンと軽いステップで舞台へ上がれば、点々と光る床を踏み、フロアのルールを身をもって体験する。
チカチカと確かに光っているが、このリズムであれば……。
「情熱的な曲に乗せて、華やかに魅せられる!」
扇をバッと開き、口元を隠してリズムを刻めば、耳の飾りがしゃらりと音を立てる。長い銀髪のツインテールと遅れて揺れて、衣装の鈴が断続的に響くように腰を揺らしながら床を踏めば、妖艶な踊りがその場を支配した。
「魅せる踊りはいいよな、音も合わせて魅力が上がる! つまり、注目されるわけだ!」
腰をふるだけの単調なツイストを繰り出しながら、じわじわとステラに近づいてくる影がある。踊り子としてはレベルの低そうなバッテリー怪人が話しかけてきたようだ。表情が伺えないが、どことなく注目されてない事を気にしているのか、盛大に恨みを買ったらしい。
頭部のバッテリーからパチパチと電力が漏れてる気さえする。
表情以外は実にわかりやすい怪人だ。
「いいわよ! 気に入ったらチップよろしくね!」
そうと分かればと、ステラは怪人の隙を狙うように、今までのステップもそのままに踊りながら、声高々に勇気をもたらす歌声を歌い出す。
『貴方だってやればできる! やれないことなんてない!』と応援するように歌えばバッテリー怪人はツイストにボックスステップを加えながら強気な声で言う。
「世の中情熱だらけじゃ疲れちまう! 今この場を支配するのは、……ロックだぜ! Yeah!」
ステラの歌を打ち消すように、怪人も歌い出すのだ。
『――割れた世界は地獄と同じ! つまりここは生き地獄! 絶望と共に踊り狂うのがお似合いさ!』と。
過充電で破裂しそうな巨大なバッテリーから漏れる電気をギター代わりに歌えば、ステラの応援は打ち消されそうな程。
「あら、ごめんね?」
トントン、と光った床だけ狙って踏んでロックや勇気の歌に足を止めた他の怪人を、それはも沈んだ人を励ますように思い切り押した。エールのようで、ひどい不意打ちのようなそれは、あっけない程簡単に、光っていない床を踏ませる。
「エレキなギターとは違うんだろうけど、そういうのも面白いよね!」
ロックだろうが情熱の熱量は変わらない。ステラのリズムが崩れるほどでもなかったのだ。扇で風を起こすようにゆるりゆるりと舞ながら、ステラの飛翔するような演舞を続ける。ふわりとバッテリー怪人の正面に覗き込むように立てば、軽い動作で、両手で突き飛ばした。
これも踊りの一部なの、と言わんばかりに自然な動作で。
「足元がお留守みたい。でも大丈夫フロアから落ちたって、心のあるままに踊ればいいのよ」
リングアウトした怪人にふふふと微笑むと、優雅にあしらったステラへ歓声が飛ぶ。いいぞもっとやれ、そんな声にも聞こえるのだった。
成功
🔵🔵🔴
春霞・遙
ダンスは高校の部活でミュージカルして以来です。けどリズムに合わせてパネルを踏んで戦うくらいならできるかなぁ?
【シャドウチェイサー】で舞台全体を見ながら「第六感」で次に光るタイルを予測しながらステップ踏みます。
で、邪魔してくる怪人は射撃で攻撃。足元を撃って光っていないパネルに「誘導」したり光っているパネルから「吹き飛ばし」たりします。
「恥ずかしさ耐性」はありません。戦闘中は集中してるので舞うように戦ってると思いますが終わってから周りの目線や声に気づいたら……ひえぇ。
出水宮・カガリ
※アドリブ絡み可
おー。これが、噂の。
UDCアースで、こんな感じのゲームがあると、聞いたことが。
告白すると
カガリは
ダンスとか音楽とか、そちらのセンスは無い
だが、ルールはわかったぞ
【錬成カミヤドリ】で複製した盾で、怪人どもを早いうちに押し出そう
特に電球な、地味に困るからな
禁止ではないのだろう?
カガリは城門のヤドリガミなのでな
ある意味、これも正しく、カガリの舞だ
押し出せずとも、盾を重ねて並べてしまえば、こちらに光は届かなくなる
敷居を築けば、ダンスにも集中できよう
ダンス中は、籠絡の(【籠絡の鉄柵】)を出しておく
間違った床を踏みそうになったら、絡みついて正しい方へ誘導してくれ(野生の勘・勇気)
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「おー。これが、噂の」
――UDCアースで、こんな感じのゲームがあると、聞いたことが。
出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)は輝きすぎて眩しいくらいのステージを見て呟く。
「告白すると、カガリは、ダンスとか音楽とか、そちらのセンスはない」
ルールは理解した。感覚的には大丈夫だ、多分とカガリが言葉を濁しながら隣に話しかければ。
「ダンスは高校の部活でミュージカルして以来ですね」
つまり、仲間ですねと春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)が相槌を打つ。
「リズムに合わせてパネルを踏んで戦うくらいならできるかなぁ?」
タイミングさえ合えば、傍からは踊ってるように見えるもの。
光る場所を踏みさえすれば、条件からも漏れては居ない。
「一応、光のパターンを見てみますね」
カガリの足元から影が蠢き、薄いが質量のある煙のような存在の曖昧さでステージより更に上、照明付近まで駆け上がり舞台全体を見下ろす。
右、左、右、下……成程、完全にバラバラということではないらしい、一定の流れが存在する、と高い場所へ「視点」を持ったカガリは理解した。
「なんとかなるだろうか、カガリでも」
「えぇ、大丈夫でしょう。危なくなればそれとなく伝えます。お医者さんは、観察も仕事の一つです」
頷き合ってステージに上がれば、カガリは念には念をと籠絡の鉄柵を自身の直ぐ側、その宙を泳がせる。
決して信じていないわけではないが、無くて困ることでもない。
――間違った床を踏みそうになったら、絡みついて正しい方へ誘導しておくれ。
「YOYO新しいダンサー! 覚束ない踊りは、すーぐ追い出されちまうぞ!」
「しかし楽しんでこの場に来たなら誰もが歓迎するだろう!」
バッテリー怪人と電球怪人が手をつないでクルクル回りながら、猟兵たちへ声を掛ける。お前が言うな、といわんばかりの踊りだが、ルール通りキチンと光る床は踏んでいるようだ。
「おっとすみません。撃ってくれといわんばかりの膝だったのでつい」
明らかな邪魔が始まるまえに跳ねるように光る床へ飛び、遙は足元を拳銃で打つ。
射撃が先に察知されたか軽やかなステップで躱されたが、足元を連続して撃って、光り終わった床へ誘導を試みたがどうやら狙いを見透かされてしまっているようだ。
いかなる手段でも追い出した者勝ちと先に彼らがやっていた辺り、こういうこともやったのだろう。
パンパンと明確な攻撃的の音が鳴っても音楽も照明も止まらないのは、流石キマイラフューチャーと言ったところか。
「でも躱しようがないもので攻めたてられると、逃げられないだろう?」
カガリの本体を複製した盾で、問答無用に床の上から追い出してしまえば、もう勝ったようなものだ。
「カガリは城門のヤドリガミなのでな。ある意味、これも正しく、カガリの舞だ」
ト、ト、と光る床を慎重に踏みながら、カガリはが吹き飛ばそうと押せば、遥がいい笑顔で笑う。
「ひとりで押すより、ふたりのほうが確実です。今なら、存分に吹き飛べますよ」
えーいと遥が身体に弾丸を打ち込めば、念動力で飛来した盾がステージの外へ怪人を勢いよく押し出す。
二重に吹き飛ばして怪人たちは一巻の終わりかと重きや、抵抗を始める。
「簡単に吹き飛んだら面白くない、楽しんだものが勝ちだ!」
カガリの複製した盾に、何かがぶつかり妨害を始めた。
よく見れば……バッテリーだ。盾と同じくらいの大きさのある、パンパンに膨らんだ、限界間近のバッテリー。一体どこで使えるバッテリーなのかという疑問は尽きないが、盾と同じ個数がステージ上で力を相殺し合う。
「バッテリーを足場に跳ねて戻ることだって可能だ! つまり、今の俺は! 最強だ!」
電球を眩しいくらい輝かせて、バッテリーの上を走り、猟兵たちの元へ超高速で戻ってくる電球怪人。
「それって、あとは殴るとかそういうのですか?」
「あー……じゃあ、あとはもう、やることは一つだな」
高速移動する眩しい発光体を、ある「視点」から冷静に見ていた遥がカガリにある指示を出す。
「近くから数えて五つ目のそれで思い切り横に吹き飛ばして下さい!」
「任された。それはとても、わかりやすい!」
電球怪人はまっすぐに走っていた。つまり、軌道は読まれやすかったのだ。
指定された五つ目の盾が、バッテリーを思い切り押すと……。
「おあぁあああ!?」
パリンズシャアアアと嫌な音を立てながら電球怪人が転がり落ちた。
さようなら、光り輝く頭部……。
「やりすぎましたか、ね。……ひぇえ……」
遥の集中力が切れたようで、自分が踊っていただろう様を色んな人に見られていたのだと自覚したらなんとも言えない気持ちに。
より言えば、あたまのなかがまっしろになりそうだった。
「いえ、アレくらいでちょうどいいでしょう」
敷居として盾を並べて、ひと目から逃げようかと画策するカガリ。
それでは余計に目立つのだと、遥の優しさで知った時には、観衆からも声援を送られて大分目立っていたが、――それはそれ、これはこれ、だろう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【SPD】(アドリブ/連携可)
「フォルセティと踊るのも悪くないわね」
(と言いつつ満更でもない姉)
弟のフォルセティと一緒にダンスバトル開始
■作戦
先行した猟兵達のダンスを確認して、床パネルの明滅パターンを
事前にインプット[情報収集]
■行動
弟と並びながら華麗にステップを開始
[ダンス]技能を駆使して確実に床タイルを踏んでいく
さらに[学習力]を活かしてパターンを予測
「私に近づくと怪我するわよ」
ターンしながら【アイオロスの刃】をオブリビオンに向けて
どんどん切り刻んでいく
生半可な攻撃は[オーラ防御]とダンスの情熱で跳ね返す
最後は弟と一体となって[ダッシュ&ジャンプ]でフィニッシュ
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【SPD】(アドリブ・共闘可)
「ダンスにも思い切ってチャレンジするよ」
フィオ姉ちゃんと一緒にダンスアピール頑張るんだ
【行動】()内は技能
「なんだか気分もノってくるよね!」
ノリのいいサウンドだから(楽器演奏)で培ったリズム感で
(ダンス)のステップを踏んでいくよ。こっちだってキレッキレ
フィオ姉ちゃんといつも一緒だから息ぴったりだし
お互いでフォローもできるしね
リズムにあわあせて前後左右にクラロ・デ・ルーナを飛ばして
実験室トリオを撃退するよ
敵の変な攻撃は(見切り&ジャンプ)で回避
最後はフィオ姉ちゃんと華麗に(ダッシュ&ジャンプ)を決めてフィニッシュ
「ボク達のダンス観てくれたかな」
●
乱闘に次ぐ乱闘が合っても曲も舞台も終わりが見えないステージ。
そろそろ終わりにしてもいいんじゃないか? と誰もが思わなくもない。
「ダンスにも思い切ってチャレンジするよ」
ね、フィオ姉ちゃん? とフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)が笑いかければ。
「フォルセティと踊るのも悪くないわね」
アリかナシかで言えばありだが詳しくは言わない、フィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)。満更でもなさそうな表情で微笑んでるようにみえるが、フォルセティは特に気が付かない。
「そうそう、先行した猟兵達のダンスを確認したのだけど……一定のパターンがあるみたいね」
明滅パターンは、10通り程度のランダムな組み合わせが永遠に続いているようだ。最初の二箇所くらいで閃けば、場所を間違うことはないだろう。
「一緒にダンスアピール頑張るんだ!」
話を聞いていたのか、フォルセティはやる気十分に返事をして二人で一緒にステージの上へあがる。チカチカと、ずっと眺めていては目が疲れそうな色での明滅が行われているが曲はあまり、聞こえないような。
話し声が相手に届く程度に小さいくらいなら、問題でもないだろう。
床を踏み、ステップを刻んでいればルール違反にはならないのだから。
「ところで君たちはタッグですか? 仲良しですか?」
仲良しアタックで来るんだろう、と決めつけて掛かる電球怪人が現れた。
背後にはフラスコ怪人とバッテリー怪人は相槌一筋と言わんばかりにうんうんと頷き、返答を待つ。このトリオでは電球怪人が偉いのか?
トリオなのにリーダーのように振る舞っている?
そんな仲良し実験室トリオが二人組に嫉妬するような物言いをするのは何故か。
「ぼっちの気持ちも考えて欲しいもんだよね!」
偶数は孤独を抱えないが、奇数は孤独を抱える……そういう理論だろう。
この電球怪人の抱える闇は深そうだ。
「ペアだよ~。……なんだか気分もノってくるよね!」
ノリの良いサウンドに合わせて、姉弟はステップを踏む。
並んで、同じリズムで床を踏む様は、まるでラインダンスのようで、思わず周囲からはおぉと言葉が漏れる。フォルセティは慣れ親しんだ音楽の後押しもあり、すぐにリズム感のある踊りを披露し始めた。フィオリナは言葉数少なめではあるが、情報を活かしさらに完璧を掴むように考える。
――始めのステップを基軸に、これでパターンが一つ。そして、これが二つ目。
「知るもなにも、初対面ですよ?」
フォルセティがリズムにあわあせて前後左右に閃光と衝撃を伴うエネルギー波をあちらこちらでボックスステップを踏む怪人にぶつける。
わりと平和的に押し出す事を選んでいた猟兵達より攻撃的なその攻撃で、怪人だけが面白いくらい吹っ飛ぶ。
「「ぐぇえ!?」」
ペアから発する閃光もパフォーマンスの一部と思われたのか、観客たちの声援が上がる。いいぞ、もっとやれ!
「そういっても、ペアなんでしょ! じゃあ同じようなものでしょ!?」
ガッ、と二人揃って同じ床を踏んでターンすると今度はフィオリナが高速回転する真空の刃を放つ。ヒィイインと耳に音が届く頃にはもう遅い。ピンポイントで狙われた怪人たちはその場で霧散した。
「私に近づくと怪我するわよ」
近づかなくても切れてるよ!? と内心で慌てる電球怪人。
「そう言うんなら、斬ってみなぁ!」
半ば自棄な気配すら感じさせる言葉を発し、全力で直視出来ないほど電球を輝かせ、捨て身のタックルを律儀にステップを踏みながら叩き込まんと駆け出だす。
二人の目に焼き付いたように、光で白色の世界へ塗り替えられたが、何故かフラスコとバッテリーはその場でツイストのままだ。
「ソレでいいのですか?」
「えぇ、変なの~」
超高速の連続攻撃に頭突きを選んだ電球怪人の頭突きは面白いくらい当たらない。
フォルセティは飛んで、跳ねて、魅せるダンスの土台とされるように相手にされていない気がした電球怪人。
フィオリナに至ってはそれがどうかしましたか、と言わんばかりにオーラを纏って弾くので、完全に闘牛以下とされてしまっている。フラスコ怪人とバッテリー怪人はまるで眼中にないと言わんばかりに口笛のような音を出しながら言う。
「その攻撃方法がマジダメなんだよなー」
「つーかそれのどこに、ロック感じてんの? 方向性の違いすら感じるんだけど?」
完全な内部分裂だ。可哀相に。
「フィオ姉ちゃん」
「うん、そうね」
分析した結果を信じ、後ろへ後ろへステップを踏んで下がって二人同時にダッシュ!
疲れて動けなくなった電柱怪人を同時に踏みつけて飛び上がると、フラスコ怪人とバッテリーにそれぞれの蹴りが刺さる。
「フィニッシュ。どう? 方向性の違いを遠く言うなら、最後まで仲良くやったほうがいいですよ」
「ボク達のダンス、色んな人が観てくれたかな!」
相対した実験室トリオを打倒し、トリオの内部崩壊を起こしていた怪人たちもあらかた片付けた姉弟がみた光景は、大きな拍手とスタンディングオベーション。
キマイラフューチャーの住人は、どんなことも楽しく受け取ってくれたらしい。
盛大な拍手とともに、会場のダンスの音楽はどんどんと小さくなっていった。
『アカイクツ』を、脱ぐことが許される時間が来たのだろう。
溢れる熱い熱意に痺れるキマイラフューチャーの住人からの温かい拍手に、猟兵たちは達成感を得たのだった。
大成功
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