逃げるテレビウムにラプソディは聞こえない
「キマイラフューチャーの事件をお伝えします」
グリモア猟兵、ユージ・スペンサー(f14224)が告げた。
「キマイラフューチャーの各地で、テレビウムの画面に『鍵のような映像』が浮かび上がるという現象が多発しています。目下のところ、映像の浮かんだテレビウムに共通点などはなく、原因は不明です。いずれの場合も、映像が浮かんだテレビウムは、怪人の集団に襲われているため、早急な救助の手が必要と思われます」
突如としてキマイラフューチャーで発生した謎の事件。
猟兵たちは、テレビウムを助けるべく、グリモアベースから転移していった。
●
「えっ!? なにこれ……!?」
キマイラフューチャーのとある街角。やわらかな日差しが降り注ぐ、気持ちの良い午後の出来事だった。
ひとりのテレビウムが頓狂な声をあげた。その画面には、鍵……なのだろうか、アイコンのようなものが浮かんでいるのだが、本人の様子を見るに、自分で浮かべた映像ではないようだ。
「どうして!? 消せない!!」
テレビウムはゴシゴシと手で画面をこする。
道行くキマイラたちは、どうしたのかと立ち止まるが、誰もかれを助けることはできそうにない。
そのときだった。
「見つけたド!」
「あいつだド!」
「捕まえるド!」
どすん、どすん、どすん!――と、重い音がテレビウムを取り囲んだ。
それはどこからともなく降ってきたサンドバッグ……に顔があらわれたような怪人たちであった。突然の怪人の出現に、周囲のキマイラたちがわっと一斉に逃げ出していく。だが怪人たちは、ほかのキマイラには目もくれず、その包囲を縮めてゆく。テレビウムを狙っていることが明らかだ。
「うわーーーーーっ!!」
テレビウムはパニックになった。
そして脱兎のごとく走り出す。このテレビウムに怪人と戦うすべは何もないが、逃げ足だけは速かった。見事、怪人の包囲をすり抜けたのだ。
「待つんだド!」
「逃がさんド!」
「ド!」「ド!」「ド!」
サンドバッグ怪人たちはどすどすとテレビウムの後を追う。
白昼の逃走劇のはじまりだった。
墜落星
キマイラフューチャーの冒険をご案内します。
画面に『鍵のような映像』が浮かび上がったテレビウム(一般人)が、怪人の集団に襲われています。テレビウムを護ってください! みなさんのご参加をお待ちしております。
このシナリオは、できるだけスピーディーに運営していきたいと考えています。いつもはプレイングが集まるのを待って、いただいたプレイングを組み合わせたりするのですが、今回に限り、順次、リプレイ化するような形を目指します。ですので、思いついたら、どんどん送ってくださると嬉しいです。途中参加も大歓迎! 逆に、章進行が早くて前章の参加者さんを置いてっちゃったらごめんなさい。
以上、よろしくお願いします!
第1章 集団戦
『戦闘員・ナグルド』
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POW : 強靭で無敵だド!
全身を【頑丈なサンドバッグ 】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : バチバチするド!
【触れると爆発する砂 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 飛び道具卑怯だド!
【ボクシンググローブ 】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
イラスト:井渡
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
マヤ・ウェストウッド
「速やかに現場へ急行するよ。アタシを市街地上空100フィートへ転移だ! 早くッ」
・グリモア猟兵にグリモアベースから市街の空中へ転移するよう要請。その意図は、ユーベルコードによる空からの奇襲を試みるため
・さすがのサンドバッグ然とした敵でも、頭上からの大質量攻撃に抗えまい
・たとえヒップドロップを外そうとも、衝撃波で周囲の建造物等を打ち壊して敵の行く手を阻む目論見
・敵の移動速度、自身の落下速度、風向、コリオリの力、などによる誤差の修正は野生の勘でカバー。細かいことはマヤにはよくわからぬ
「これが本当の『シット・オン・ユア・フェイス』ってやつかい? ガハハ。全身が顔みたいだしな」
「速やかに現場へ急行するよ。アタシを市街地上空100フィートへ転移だ! 早くッ」
マヤ・ウェストウッド(f03710)が言い終わるのとほぼ同時に、風景はキマイラフューチャーの空に変わっていた。
転移の瞬間、最後に見たのは、グリモア猟兵がグッドラック、と立てた親指。
なるほど仕事が早い。
万有引力に急速に引かれながら、マヤはおのれの姿勢の調整に入る。その目がはるか地上を見下ろし、そこにテレビウムと怪人たちをみとめた。
サンドバッグ怪人「ナグルド」がテレビウムを追う。
テレビウムの脚は速かったが、追われる恐怖に足がもつれ、転んでしまう。
そこへ、餓えた狼のような獰猛さで襲いかかるサンドバッグたち――。ふと、その頭上に、影が射した。
「どっこい……しょッッ!!!」
衝撃音とともに、土煙が大きく上がった。
地面のアスファルトがひびわれ、クレーター状に陥没する。
その中央に、マヤがいた。ナグルドの一体を、文字通り「尻の下に敷いて」。
「これが本当の『シット・オン・ユア・フェイス』ってやつかい? 全身が顔みたいだしな」
ガハハと快活に笑ったマヤの下で、ナグルドが、
「……ド」
と、短く呻いた。断末魔であった。
マヤのユーベルコード「超獣技法・急尻下爆撃(ビーストアーツ・バッドアス)」の直撃を受けたのだ。頭上からの完全な奇襲であった。この有様を見ては、あのゆたかな尻に敷かれるのはむしろご褒美……などとはとても言えまい(たぶん)。
残るナグルドも、テレビウムも、唖然としているなか、さらなる猟兵が駆けつけてくる足音に、ナグルドたちは我に返って応戦態勢をとる。
マヤにつぶされた一体は再起不能なようだったが。
大成功
🔵🔵🔵
カナ・リーアス
【心情】こらー!なんであろうと無抵抗のテレビウムを集団で襲うなんて許せないんだよー!そんなに襲いたいなら私が相手なんだよー!「もう心配ないんだよー!ここは私達に任せるんだよー!」
【作戦】【POW】でいくんだよー!ボクシンググローブ、砂は【見切り】で対処。全身をサンドバッグに変える技は効くかわからないけど【鎧破り】を使った【二回攻撃】のぐるぐるパンチで攻撃するんだよー!「サンドバッグはぶん殴ってやるんだよー!!!」「明日はどっちだよーーー!」
【その他】敵が予想以上に硬かったら手を吹きつつ「かったー!!なんだよー!」
「もう心配ないんだよー! ここは私達に任せるんだよー!」
カナ・リーアス(f04987)がテレビウムに声をかけた。
ようやく、助けが来たことを理解したのか、テレビウムはこくこくと頷くと、ほうほうのていで逃げ出そうとする。
ナグルドたちは逃がすまいと動くが、当然、カナが割って入る。
「どくんだド!」
「じゃまするなド!」
ナグルドの操るボクシンググローブがカナに向けて繰り出される。
「っ!」
華麗なステップで、カナはそれを避けた。
ジャブ、ジャブ、フック、ストレート。次々にくる攻撃を、カナはすっかり見切っているようだ。そしてファイティングポーズ。ガードの向こうで、不敵に微笑った。
「ちょこまか逃げるんじゃあないド!」
ナグルドは憤るが、黙って殴られるものなどいるはずもない。いたとしたら、それは……サンドバッグだけだろう。
「サンドバッグはぶん殴ってやるんだよー!!!」
カナが踏み込んだ。
その動きは、まさに蝶のように舞い、蜂のように刺す……!
渾身の拳が、サンドバッグ野郎の顔面に真正面から決まった――
「い……っ」
サンドバッグは、しかし、微動だにせず、直立していた。
「かったー!! なんだよー!」
カナが声をあげた。痛みを払うように、手を振り振り。そしてふーふーっと息を吹く。
「ハハハ、どうだ、強靭で無敵だド!」
ナグルドはユーベルコードで瞬時に全身を硬化させたのだ。
しかしその代償として、その場から動いていない。つまり、カナの第二撃を避けることはできないわけで。
「このーーー」
ぶんぶんと腕を振り回す。ぐるぐる回る腕に、パワーがチャージされていった。
「明日はどっちだよーーーーーー!!」
ぐるぐるパンチ!
圧倒的質量の殴打が、サンドバッグを吹き飛ばした。
ぶふぉああっと砂を吐き散らしながら、殴り飛ばされた怪人はずさり、と倒れ伏す。
どこかで、ノックアウトを告げるゴングの音が高らかに打ち鳴らされているようだった。
大成功
🔵🔵🔵
山田・キリン
この世界を愛するキリンとして、この混乱を見過ごせない!
アートに目覚めたキリンさんとしては、自分の描いた絵とか勝手に変えられたら腹たつからな、
テレビウムたちの気持ちはちゃんと分かってるつもりだぜ!
だからこそ、お前たちはこのキリンさんが成敗してやる!
【トリニティ・エンハンス】の[炎の魔力]で強化して、熱々の燃えるインクで攻撃だ!
やせ我慢したって熱は溜まっていくはずだから、相手が疲れてきたところを見計らって
今度は[水の魔力]に切り替えて、氷の属性攻撃もつけて、つめたーい冷インク付きの尻尾でぶっ叩いてやる!
へへんだ、ただ殴るだけが攻撃じゃないんだぜ!
逃げ出したテレビウムの前に、ナグルドの一体が回り込む。
「ひっ……わあああっ」
「逃がさんド!」
「助けてぇえっ……!」
虹が、閃いた。
「熱……ッ!?」
サンドバッグ怪人が怯む。
「大丈夫? 下がってて」
テレビウムの前に、かれをかばって立つキリンのキマイラがいた。山田・キリン(f14194)だ。
「なんてことするド、火傷しそうだったド!」
怪人が逆ギレしている。キリンが、ユーベルコード「トリニティ・エンハンス」で炎の魔力をまとわせたインクで攻撃し、牽制したのだ。
「この『鍵の映像』はお前たちの仕業?」
「……」
怪人はキリンの問いには答えず、殴りかかってきた。
「この……っ!」
パンチを受け止めながら、キリンはその瞳に闘志を宿した。
グラフィティアートに親しむキリンは、もしも自分の絵が勝手に描き変えられたら腹を立てるだろうと思う。テレビウムたちも、画面に自分の意志とは違う映像が浮かんでいたらそれは嫌なことなのだろう。
その気持ちを代弁するように――
「お前たちはこのキリンさんが成敗してやる!」
と、グローブを押し退け、挑みかかった。
瞬間、サンドバッグ怪人は硬直して、キリンの攻撃を受け止める。無敵化するユーベルコードでしのごうというわけだ。
だがキリンは攻撃の手をゆるめない。
炎の魔力を込めたインクで、壁にアートを描くがごとく、サンドバッグに色を塗っていった。
「無駄なことだド! どんな攻撃も通らないんだド! なにをしたって……、なに、を……」
怪人の顔が、徐々に歪んでゆく。あれはインクが垂れているのか、それともまさか、汗をかいているのか……?
硬化したことで、ダメージはない。
しかし、炎の魔力がもたらす「熱」は、サンドバッグの表面にどんどん蓄積していっているのだ。
「へへんだ、ただ殴るだけが攻撃じゃないんだぜ!」
「ド……!?」
キリンが次の一筆を振るう。
しっぽにつけたインクに込められていたのは、氷の魔力だ。
熱せられていたところに、急速に冷却が加えられ、硬化したサンドバッグの表面に亀裂が走った。
「そん、な……」
亀裂からおびただしい砂を噴き出して、ナグルドは崩れてゆくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アルバート・クィリスハール
とりあえず、テレビウム君の逃走を手助けしようか。
逃走劇が見える建物の上から、コードを使って作った発煙弾を何個も投げ込んで、ブーツの力で風を操り、煙でサンドバッグを包むよ。
その隙に翼を使って滑空し、テレビウム君を抱えて飛んで逃げる。
ちっちゃい種族だから大した負担にもならないし、スピードも落ちないでしょう。
はーい暴れないでね。暴れたら電信柱の上にでも置いていくからね。
坂月・陽波
随分と賑やかだね。鬼ごっこかな。……違うか、それでは助けよう。
とはいえ俺にできるのはせいぜい目くらまし。
UCを敢えて連続で外し霧を出し、煙幕の代わりにしよう。
テレビウムの足が止まるようなら追っ手が通りづらい路地に誘導。いやいっそ投げるか。(投擲)
余裕があれば人形の「蟒蛇」で霧に紛れて攻撃して足止めしよう。(時間稼ぎ)
そこの小さいの(テレビウム)、何があったかは知らないけれど、きっと仲間が助けに来る。それまで諦めないでくれ。
「こっちだ」
テレビウムは、呼び声を聞いた。長い黒髪を三つ編みにした青年が、かれを手招く。
とてとてと駆けよる間に、後方では怪人たちが一体は潰され、一体は殴り飛ばされ、そして最後の一体も倒されたところだ。
これで一安心……と、思ったのもつかのま。
「残念だったド!」
「まだいるんだド!」
「さっきのやつら我々のなかでは小物だったド!」
どすん!と新手が降ってきたのだ。
やれやれ、と、青年――坂月・陽波(f02337)は息をつく。
「鬼ごっこはまだ続く、か。……小さいの」
新手の登場に怯えるテレビウムを、袖でかばうと、
「何があったかは知らないけれど、きっと仲間が助けに来る。それまで諦めないでくれ」
と囁くと、くるりとその身を反転させて怪人たちとの間で壁になる格好となり、そのままテレビウムを送り出した。
「行って!」
テレビウムが言われた通り走り出すのをみとめると、怪人たちへ向き直る。
その手には朱色の大杯。酒が並々と注がれていた。
「そら、一杯どうぞ」
陽波は杯の中身をぱっと撒いた。
飛沫となって酒が地面に散るや、そこから瞬く間に霧が立ち昇る。ユーベルコード「般若大飛泉(ハンニャダイヒセン)」。霧は視界を閉ざし、逃げるテレビウムを追手の目から覆い隠す。
テレビウムは走る。
一体どうして。なにが起こってる? この『鍵』は何なの? なんで追われてるの?
答はまだ、どこにもない。
突如――
テレビウムは自分の足が地面を離れ、身体が浮くのを感じた。
「えっ……えええええっ!?」
地面が急速に遠くなっていく。
「はーい暴れないでね。暴れたら電信柱の上にでも置いていくからね」
黒い翼を持った男性が、自分をさらって飛んでいるのだと、声をかけられて気づいた。
まさに猛禽が獲物を掴みとる要領であった。
テレビウムを抱えたまま、アルバート・クィリスハール(f14129)は上昇し、手近な建物の屋上へと。
そして地上を見下ろした。
地面に霧がかかっているのは、別の猟兵がテレビウムを逃がすために施した目くらましのようだ。おかげで、ひとりで戦場を離脱したテレビウムをアルバートが確保することができた。
すでに怪人の半数は猟兵に倒されている。今、霧にまかれている連中を排除すれば、この場は乗り切ったと見ていいだろう。そのような状況判断を素早く下すと、
「怪我はなかった?」
アルバートは腰を落として視線の位置を合わせ、テレビウムに話しかけた。
「だ、だいじょうぶ。……ええと、ありがとう……」
テレビウムがお礼を言うと、アルバートは微笑んだ。暴れたら電柱の上に置く、などと言っていたが、本当は優しいのだ、とテレビウムは思った。それを伝えたいが、画面は『鍵』から変えることができないのだった。
「ぎゃっ!?」
霧のなかで、悲鳴が響いた。
「なんだド!? どうしたんだド!?」
仲間の反応がなくなったことに狼狽するナグルド。その背後に、ゆらりと影が立つ。
「ッ……!!」
鋭い刃が、そのさンドバッグ生地を切り裂いた。
ざらざらと砂を吐き出して、崩れてゆく。怪人が最期に見たのは、陽波の操るからくり人形。その名を蟒蛇・紅葉嬢。
やがて霧が晴れたとき、怪人たちはすべて撃退されていた。
「片付いたようだね」
アルバートがテレビウムを連れて再び地上に降り立つ。
ほかの猟兵たちもかれの無事を確認して集まってくる。
「あ、あのっ、ありがとうございました……!」
ぺこり、とテレビウムがお礼を述べた。
その画面は、相変わらず『鍵』だったのだが…………いや、まて、映像が、何か――
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『量産怪人アルパカマッスルブラザーズ』
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POW : ポージング
自身の【逞しい肉体の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : ポージング
自身の【躍動する肉体の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ : ポージング
自身の【洗練された肉体の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
イラスト:ヤマトイヌル
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「待って、それは!」
「えっ? えっ?」
テレビウムの画面に、なにかが映った。
『鍵』に加えて、ノイズのように断片的に浮かび上がったものは――
「これは……キマイラフューチャーの、どこかの場所、なのかな?」
「もしかして……『この場所が鍵』っていう意味?」
「この場所を突き止められたら……」
猟兵たちが思い思いに推測を述べる。
「おまえたち!」
と、そこへ、威勢のいい声がかかった。
「そのテレビウムを渡してもらおうか」
並び立つシルエットは、堂々たる威容を誇示する。
力みなぎる上腕三頭筋。唸りをあげる大腿四頭筋。緊張感あふれる腹筋。そして、圧倒的存在感を放つ大胸筋。
怪人アルパカマッスルブラザーズが、得意のポージングとともにあらわれ、挑みかかってきた。
むろんかれらの狙いもまた、テレビウムであろう。
そしてテレビウムの画面は、鍵がどこかの場所を指し示しているようだった。
その場所を探し出すことが、謎を解くための、文字通り鍵になるのではないだろうか。それを行うには、この暑苦しい怪人たちと戦いながら、ということになるのだろうが……。
マヤ・ウェストウッド
「そこのテレビウムを渡せだア? イヤだね。アタシは『やれ』と言われると俄然やりたくなくなるのさ」
・ボディビルダーからすれば自分の鍛え上げられた筋肉を相手に見せて、魅入らせるこそ本望。ならば、ちゃんと『見』てあげるのが礼儀だろう
・眼帯を外し、右眼に仕込んだ重力子加速装置を稼働。珍妙不可思議かつ筋骨隆々なアルパカ兄弟めがけて重力塊を撃ち出す
・魔矢眼は威力重視モードで使用。[属性攻撃]で重力の性質をさらに強化。[鎧無視攻撃]で肉の鎧を徹してみせる
「いい筋肉だ。全身がササミ肉みたいでよく『切れ』ている。でも魔矢眼の前では無意味だ」
隆々たる筋肉にユーモラスなアルパカの頭部。
アンバランスな姿をした怪人たちは肉体を誇示したポーズのまま、怒涛のように押し寄せる。その肥大した筋肉の圧で、強引に押し切ろうとでもいうのか。
「このテレビウムを渡せだア? イヤだね。アタシは『やれ』と言われると俄然やりたくなくなるのさ」
マヤ・ウェストウッド(f03710)は不敵に笑った。
テレビウムの前に進み出ると、マヤはアルパカたちを真っ向から迎え撃つ。怪人は止まる様子はないが、一方で、なにか攻撃を放ってくるでもない。ただただポージングスタイルのまま迫ってくるのだ。それはそれで不気味であった。
マヤは、おのれの右眼を覆っていた眼帯をむしりとる。あらわになった義眼が、迫りくる怪人たちを見据えた。
怪人たちは鍛えた身体を見せつけたいのだろう。ならばとくと見るのが礼儀とばかりに、マヤの視線は射ぬかんがごとくにそれを見つめる。
先頭のアルパカの歩みが止まった。
見られている――。張り詰めた筋肉が汗ばみ、呼吸が荒くなっていた。
見られている。見ている。見てくれ。見ろ。もっと……もっと見ろぉ……!
次の瞬間、アルパカ怪人は地面にめりこんでいた。
「いい筋肉だ。全身がササミ肉みたいでよく『切れ』ている。でも魔矢眼の前では無意味だ」
マヤの義眼に仕込まれた重力子射出装置が、ロックオンした対象に射出する重力塊。ユーベルコード「魔矢眼(マヤ・ガン)」の最大威力を全身に受けたのだ。ポージングによって高まった身体能力でもそれは防ぎ切れなかったようだ。アルパカブラザーズの一体は超重力におしつぶされる結果となった。
「まだ見られたいか? アタシの目力で次に落とされたいのはどいつだい?」
仲間のひとりがやられて、多少は怯んだと見える。
距離をとりながら、残るブラザーズは、おもむろにポーズを変えた。
大成功
🔵🔵🔵
坂月・陽波
渡してほしいならもう少し友好的においで。怖がってるじゃないか。……渡すわけがないけれど。
UCで盃を20個複製して、相手の視界を遮るように飛ばして気をそらし、隙を見て脛や膝裏にぶつけて転かす。(フェイント、投擲、存在感)
倒れたら人形「蟒蛇」で追撃。
どれだけ鍛えても急所を晒しては狙ってくれと言っているようなものだよ。
アルパカブラザーズは――初手で手痛い迎撃を喰らったせいか――じりじりと慎重に間合いを詰めてきていた。
すなわち、ポージングを維持したまま、ゆっくり少しずつ近づいてくるという奇怪な状況だ。
これにはテレビウムも怯えてしまい、猟兵たちの後ろに隠れるのも無理はない。
「渡してほしいならもう少し友好的においで。怖がってるじゃないか」
坂月・陽波(f02337)は呆れたように言った。もっとも、友好的にこられたところで、渡すわけなどないのだが。
テレビウムが小さな手で陽波の着物の裾をきゅっと握る。陽波は大丈夫だから、とその頭にそっと手を置いた。画面には、ちらちらと別の映像が差し込まれてきている。やはり地図のようだ。
テレビウムを後方の猟兵に預けると、陽波はにじりよってくるアルパカ怪人に向き合った。
にらみ合う両者。先に動いたのは怪人である。躍動する筋繊維のうねりとともに、ダイナミックなポーズを見せつけながら、躍りかかってくる。
ひらり――、と陽波は舞うような動きでその攻撃をかわした。その手のなかの盃が、蜃気楼のように二重写しになったかと見えたとたん、もうひとつの盃として実際にあらわれ、放られる。
ひとつではない、ふたつ、みっつ、よっつ、と――、ユーベルコード「錬成カミヤドリ」によって複製された盃が宙を舞う。
そう、ヤドリガミたる陽波の本体こそ、朱の大盃だ。飛びかう盃の群れという現象は、怪人の視界を奪い、注意をそらすに十分であって。
「っ!?」
陽波が思いっきり膝裏に蹴りを入れたことで、声にならぬ悲鳴をあげ、がくんと膝をついて痛みに悶える。いかに分厚く筋肉を鍛えようと、肉の鎧は関節を覆うことはできないのだ。
「どれだけ鍛えても急所を晒しては狙ってくれと言っているようなものだよ」
複製された盃が収束し、ひとつに戻る。
視界が開けたとき、アルパカ怪人はそこに一体のからくり人形が立つのを見た。
華やかな装束がばさりと翻ったかと見るや、頭に渾身の足蹴を喰らい、怪人はあえなく大地を舐めて敗北の味を知ることとなったのだった。
成功
🔵🔵🔴
アルバート・クィリスハール
わ、すごいのが出てきたなあ。
ええっと、それで何? おちびさんを渡せって?
お断りだね。
【SPD】
コードを己の背後空間に展開。背を伸ばして立ち、銃の形をした指でオブリたちを指さし、かけ声に合わせて全力放射します。
「放てッ!」
的が頑丈ってのはいいね。撃ちがいがある。一回放って終わりと思うなよ。
何回だって展開しては撃ち、展開しては撃って、撃滅してあげるさ。
あ、おちびさんは危ないから僕より後ろの方で隠れててね。
同じ頃、アルバート・クィリスハール(f14129)もまた、別のアルパカ怪人と対峙していた。
「おちびさんは危ないから僕より後ろの方で隠れててね」
テレビウムにそう告げる間も、目はにじりよってくる怪人から逸らさない。
「その細腕で抵抗する気か? 大人しくそいつを渡したほうが身のためだぞ」
「お断りだね」
テレビウムにかけたのとはまったく対照的に、冷たい声音でアルバートは言い捨てる。
怪人は威嚇するように上腕の筋肉を誇示して見せるが、冷笑でもってアルバートは応えた。
「なにも腕相撲で相手をしようというわけじゃない」
そう、腕力ばかりが戦いではないのだ。すっくと立ったアルバートの背後に、虚空を割っていくつもの穂先が生えてくる。槍だ。無数の槍があらわれた。
刹那に馳せよ猟犬の槍(ガエ・ボルガ)――。
ユーベルコードが展開したのを確認し、アルバートは銃のかたちに手を伸ばすと、怪人を指した。
「放てッ!」
号令に応えて、一本の槍が宙を奔った!
「ぬおおおっ!?」
とても避けられるスピードではない。
槍はまっすぐに怪人を貫いた――かに見えた、が、怪人には怪人なりの矜持があった。
「ぐぬぬぬぬぬ……」
筋肉だ。
力みなぎる大胸筋が槍を受け止めていた。
「マッスル!!」
裂帛の気合とともに、筋肉の圧が槍を弾いた! なんというでたらめな筋力。しかし。
「的が頑丈ってのはいいね。撃ちがいがある。一回放って終わりと思うなよ」
アルバートは動じていない。そう、槍はまだまだあるのである。言ったときにはもう二本目の槍が射出されていた。
「ふんっ!!」
今度は存外に素早い動きで、怪人は寸前で槍を避ける。
追い討ちをかけるように、次々に槍が飛ぶ。
「きさ! ま! 飛び! 道具! とは! ひきょう! だぞ!」
素早さに加えて柔軟さも発揮し、一撃ごとに違うポージングで巧みに槍を避けていく。なかなかの反射神経だ。
だが、怪人は気付いていなかったのである。
アルバートが放つ魔力の槍は、必ずや敵を貫くまで追尾するものであることに。
避けられた槍はそのまま旋回し、怪人の背後から束になって襲い掛かってきた。
「ぎゃーーーーーっ!」
いかにその背筋が強靭でも、あれほどの槍の群れに吶喊されて無事なはずはなかったのだった。
成功
🔵🔵🔴
山田・キリン
これはもしや、宝の地図!?
すごいワクワクするけど今はそれどころじゃないのは分かってるぜ!
ひとまずはテレビウムの安全第一だから、
キリンさんの自主練用スケッチブックにささっと地図を描いて、アルパカたちに放り投げてやろう
テレビウムの地図はこの紙に描き写した!地図が欲しいならこれを持っていくが良い!
なーんて真っ赤なウソだ、適当に書いたニセ地図で注意をひくぜ
追いかけてるものがあっさり手に入ったら、きっとスキも出来るはず!
【トリニティ・エンハンス】の炎のインクでそのご自慢のフサフサ毛並みをチリチリにしてやるぜ
倒すことよりも注意をそらすことに専念しつつ、こっちはこっちでテレビウムの地図を確認しよっ
猟兵たちがアルパカブラザーズの相手をしている間に、後方へと逃がされたテレビウムを、山田・キリン(f14194)が迎えていた。
「これはもしや、宝の地図!?」
テレビウムの画面に映る画像を見つめるキリン。
何が起きているのかわからないが、もしそうならなかなかワクワクする出来事だ。
――と、そこへ、アルパカブラザーズの一体がにじりよってくる。
「……もしかして、この地図が見たいの?」
怪人は答えないが、キリンはさっとスケッチブックを取り出すと、素早い筆さばきでそこになにかの図形を描いた。
「よし、描き写した! 地図が欲しいならこれを持っていくが良い!」
と、破いたページを投げ渡す。
「!?」
怪人がそれに思わず見入る隙を、キリンはもちろん見逃さない。というか、描き写したというのがそもそもウソだ。
ユーベルコード「トリニティ・エンハンス」により炎の属性を付与されたインクが飛び、怪人の手のなかでスケッチブックのページが燃え上がった。炎は地図に見入っていた怪人の頭部の毛に燃え移る!
「今だ、逃げよう!」
キリンはテレビウムの手を引き、駆けだした。
燃やされた怪人は火を消すのに必死だし、ほかのアルパカブラザーズたちは別の猟兵がそれぞれ相対している。燃えているやつも、火を消せたところで、猟兵に倒されるだろう。
キリンとテレビウムは戦場を離脱すると、安全な場所で、再度、画面を確認する。
まず画面に鍵があらわれ、次に場所を示す映像が流れた。
誰かが、テレビウムを通じて何かを伝えようとしているのだろうか。
その場所へ行け――。そういうメッセージだとしたら……?
「これってどこかわかる?」
キリンが(今度は本当に)描き写した地図をテレビウムに見せる。
「えっと、たぶんだけど……この先の公演じゃないかな……?」
「よし、行ってみよう!」
アルパカブラザーズは猟兵たちにすべて撃退されたようだ。
キリンはテレビウムと手をつなぐと、ほかの猟兵たちに声をかけ、その場所へと歩き始めた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『マルチプル・アースムーバー』
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POW : タイヘン キケンデスノデ チカヅカナイデクダサイ
【放り投げた瓦礫や、ドリルの一撃など】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を瓦礫の山に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : シャリョウガ トオリマス ゴチュウイクダサイ
【ブルドーザー形態による猛烈突進攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : ゴメイワクヲ オカケシテオリマス
【排気マフラー】から【環境に厳しい有害物質たっぷりの黒煙】を放ち、【強烈な粘膜刺激と視界の悪化】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:おおゆき
👑7
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠グァンデ・アォ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
やってきたのは公園だ。
植えられた樹木と芝生に囲まれた広場に、いくつかの遊具。
いつもはキマイラやテレビウムたちが遊んでいるだけの場所である。今は誰もいないようだが……。
「あ、あれれっ!?」
その場所に到着すると、不思議なことが起こった。
テレビウムが、突然、光を放ちはじめたのだ……!
驚く本人と猟兵たちを、地面の揺れが襲う。
公園の片隅が、突如として盛り上がったかと思うと、地中から巨大な影が飛び出してきたではないか。
「モクヒョウ ヲ ハッケン シマシタ」
機械音声が告げる。
そいつは、重機が人型となり、立ち上がったような姿をした怪人だった。キャタピラの音を立て、猟兵たちに向かってくる。
なんともしつこい話だが、こいつもまたテレビウムを狙う怪人の新手なのだろう。テレビウムの発光の謎は、こいつを倒すまでおあずけということになりそうだ。
マヤ・ウェストウッド
「なンだって、この街は妙ちきりんな事ばかり起きるのかねエ。ゆっくり紅茶も飲めやしないよ」
・ぼやきながら、おもむろに腰を落とす。深く息を吸い込み、長く細く息を吐き出しながら肚に力を込めるなり全身の筋肉が隆起し、口吻は伸び、普段隠していた獣の相を露わにする
・気合いとオーラ防御であらゆる攻撃を受け止める。敢えて反撃はしない。苦痛を受け負い、自分の勝手を押し通す。すべては、いかに敵が強かろうが弱者を守るという強過ぎる意思と義侠心の為に……
・敵の攻撃を受けながら動きを観察し、メカニック知識で弱点を探して後詰めへ連携を促す
「流石に強い……このままアタシも解体工事されちゃいそうだ。ちゃちゃっとやっちまいな」
アルバート・クィリスハール
まったく、次から次へと……!
ずいぶん図体がデカいようだけど、空は飛べなさそうだね?
ならそこを突くまでだよ!
【SPD】
まずはおちびさんとは逆の方向に攻撃の空振りを誘う。それを避ける形でコードを使って空に舞い、中止できないままのオブリに雷と竜巻で攻撃するよ。攻撃中なら地中に潜れないよね。
何なら竜巻に炎を巻き込んであげてもいいんだよ?
坂月・陽波
随分と大柄だね。そんな図体ではこの子を捕らえるどころか潰してしまいそうだ。いやそれが目的なのかな?
前衛で頑張る皆の援護をしよう。
その煙、さぞ体に悪かろう。封じさせてもらう。こういうのを差し押さえというんだったかな。
俺はテレビウムに攻撃が来た時のために側に控えさせてもらおう。大柄ゆえに攻撃も見切りやすくはないかな。いざとなったら抱えて走ろうか。
しかし、こんなところに何があるというんだろうね。見たところ普通の公園だと思うけれど。まさか埋蔵金とかじゃないだろう。
山田・キリン
まさかこんだけの怪人が狙ってくるなんて、何が起こってるんだ?
テレビウムをおっかけるだけじゃなくて、皆で遊ぶ公園も壊すなんて許せておけねぇ!
しかもなんだこの黒煙は、キマフュにふさわしくなーい!
【グラフィティスプラッシュ】で応戦だ!
煙だしてんのあそこだな、排気マフラーを集中的に狙ってインクで塞いでやる!
そのまま詰まって爆発しちまえ!
鍵の次に地図がでて…?
ココになにか鍵付きの宝箱、か、そのまんま鍵でもあるのか?
それかテレビウム自身が鍵で、なんかコード認証みたいなんでもするのがあるのかなぁ?
キリンさん謎解きはわからんぞ
「なンだって、この街は妙ちきりんな事ばかり起きるのかねエ。ゆっくり紅茶も飲めやしないよ」
マヤ・ウェストウッド(f03710)のぼやきももっともだった。
戦いが終われば紅茶を楽しむのが彼女の流儀。しかし今回はサンドバッグ怪人の襲撃にはじまり、アルパカブラザーズの登場、そしてこの重機型の怪人――マルチプル・アースムーバーのおでましである。息つく暇などまったくなかった。
「モクヒョウヲ カクホシマス」
機械音声を響かせながら、怪人が迫ってくる。
「まったく、次から次へと……!」
アルバート・クィリスハール(f14129)が動いた。
目的はテレビウムのほうへ行かせないための陽動だ。わざと目の前を横切るように駆け出し、すれちがいざまに、翼から抜いた黒鷹の羽根を放つ。タ、タ、タン!――と、羽根が黄色い装甲に突き立った。
アースムーバーのショベルの腕が、アルバートを叩きつぶそうと振るわれたが、そうやすやすと捕まるアルバートではなかった。大きく空振りをしてしまう。
「シャリョウガ トオリマス ゴチュウイクダサイ」
バックブザーのような音とともに、機械音声が流れ出す。
アースムーバーの身体が変型し、ブルドーザーのような姿になった。
キャタピラが猛然と唸り出し、公園の地面を削りながら猛スピードでアルバートのほうへ突進してゆく。
だが彼はこれを予測していたようだ。ブルドーザーに巻き込まれる寸前、その身が高く空中へ舞い上がった。上昇気流に乗った鳥のようなスピードだ。
アルバートのユーベルコード「蒼天に舞う者(スカイダンサー)」が解放される。
重力から解き放たれたかのような自由さで空中に遊ぶアルバートを、しかし、アースムーバーは自身の突進を止めることができずに追うことができなかった。
カッ、とキマイラフューチャーの空が稲光に白く染まる。アースムーバーのうえに落雷が降り注いだ。
ブルドーザーは再び変型し、怪人の姿へと。
そのままきびすを返して再び向かってきた。装甲はアルバートの攻撃であちこち焼け焦げており、登場時に比べれば勢いがない。それでも、巨体が駆ければ地面が揺れるほどの重さがある。
「行かせやしないよ」
マヤが立ちはだかる。
マヤ……であることは、服装でわかるのだが、その姿が先ほどとは異なっていた。
アルバートが陽動を買って駆けだしたあと、まず坂月・陽波(f02337)と山田・キリン(f14194)がテレビウムを連れて後方に退いた。そしてマヤはといえば、おもむろに腰を落とし、深くゆっくりと呼吸を始めたのだった。
それとともに、彼女の全身は筋肉が隆起し、より戦闘的な姿になる。その顔は今や獣であった。
アースムーバーは、マヤにめがけてショベルの腕を叩きつけた。
マヤは見るからに重いその一撃を――避けない。
その身を覆う闘気だけで、攻撃を受け止めたのだ。しかし、大地を踏みしめた彼女の足が、数センチ後退したのを見れば、衝撃は皆無ではなかったはずだ。それでも。
アースムーバーは反対側のドリルの腕をふるう。
激しい駆動音とともに、高速回転するドリルの先端がマヤに突き立てられる。彼女の表情がわずかに歪む。常人ならすでに貫かれているところを、マヤは気合いとオーラだけで防御し、立っている。しかし、反撃には転じていないのだ。
ユーベルコード「防弱武人のふるまい(ヴァンガード・スタンス)」。
あえて反撃を封じることで、飛躍的に増大した身体能力をもたらすユーベルコードだ。それによりマヤは敵の攻撃を耐えしのぐことができているが、そうであるがために、攻撃を一身に浴び続けなくてはならないでいる……!
「このままでは――」
いずれ圧し負けるのではないか。その懸念と、マヤの身を案じて、陽波は懐中より霊符を取り出し……
「構うんじゃなよッ!」
マヤは叫んだ。
「これはアタシが勝手にやってるんだからね。……それにだんだん見えてきたよ。こいつの弱点がね……」
マヤは攻撃に耐えながら、もてるメカニックの知識を動員して、敵の弱点を探っていたのだ。
次にきたドリルを、マヤはがっしりと抱え込む。
回転を速めるドリル。がしがしと叩きつけられるショベル。
その衝撃を受け止めながら、マヤは、
「流石に強い……このままアタシも解体工事されちゃいそうだ。……アイツの、排気口を……ちゃちゃっとやっちまいな」
それを聞いて、キリンが駆け出した。敵の背後へと回り込む。
「ゴメイワクヲ オカケシテオリマス」
アースムーバーの排気口から、黒い煙が噴き出された。
「ここは童子も遊ぶ公園だ。そのいかにも体に悪そうなものはやめてもらおうか」
陽波の放った霊符「酒気滅殺符」が車体に命中し、ユーベルコード「七星七縛符」の力を発揮する。
たちまち排気は止まり、車体の動きも止まる。
「みんなも遊ぶ公園を、こんなに壊して……許しておけねぇ!」
キリンの怒りを込めた「グラフィティスプラッシュ」!
インクが排気マフラーを塗り固め、勢い余って車体すべてを塗り替えていく。
「おまえみたいなやつは、キマフュにふさわしくなーい!」
頃合いを見計らって、陽波が霊符を解除する。
すると再び黒煙が排気され――だがマフラーはキリンのインクで塞がれたままであって。
アースムーバーの巨体がガクガクと震えだす。
「ハイキフノウ キケンデス キケンデス キケンデス キケ――」
次の瞬間。
自身の内部の圧力に耐えかねて、怪人マルチプル・アースムーバーは爆裂四散するのであった。
●
「やったやった! すごいすごーい!」
怪人が三度撃退されたのを、テレビウムは無邪気に喜ぶ。
しかしその身体は先ほどからなにやら光り輝いているのだ。
「鍵の次に地図がでて……もしかして、この公園に宝箱でもあったりして」
とキリン。
「見たところ、何の変哲もない公園のようだけどね」
アルバートがあたりを見廻す。怪人によってだいぶ荒らされてしまったが……それ以外に特に気になるものはない。
「アンタ、ずいぶん光ってるけど、なんともないのかい?」
マヤの問いかけに、テレビウムはどこかのんきに首を傾げるだけだ。
「おや。光が収まってきていないかな?」
すると、陽波が言ったとおり、テレビウムの発光が急速に収まってゆくではないか。
そして、猟兵たちは、天から降ってくるような、その声を聞いた。
「システム・フラワーズより緊急救援要請」
「全自動物資供給機構『システム・フラワーズ』に、侵入者あり」
「テレビウム・ロックの解除数が多ければ多いほど、開放されるメンテナンスルートは増加する。至急の救援を請う」
それは、なにかの放送のようだった。まるで、周囲の建物そのものが声を発したように聞こえてきたのだ。
「あっ、なおってる!」
テレビウムが声をあげた。
光が収まるとともに、かれの画面も元通りになっていたのだ。
「わーい、わーい、ありがとう~~~!」
喜ぶテレビウムを前に、猟兵たちは顔を見合わせる。
事態は収束した――と言っていいだろう。一件落着だ。
しかし、今の声は何だったのか。
このとき、キマイラフューチャーの各地で、同じような事件が起こり、多数のテレビウムが怪人に追われてそれぞれ別の場所へとたどりつき、同じ声を聞いていた。
その意味が明らかになるまでには、今しばらくの時を要したのである。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年04月21日
宿敵
『マルチプル・アースムーバー』
を撃破!
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