ようこそ……『男子(おとこ)』の世界へ……
●UDCアース
都内某公園、およびそれを囲む住宅街やらなんやらのスペース。
「どうだ、あったか!?」
「見つかりません! やっぱり先を越されたとしか……」
「いや必ずあるはずだ、探せ! あれは我々が手に入れるのだ!」
緊迫した会話が交錯する。はたしてUDC人員の作戦行動中なのだろうか?
あるいは逆に、邪神降臨を企む教団員達の秘密工作か!?
「そうだ、A組の田中も倒れた。俺達は後には退けない!」
「なんとしてでも手に入れるぞ、お宝(トレジャー)を……!」
「俺達の実りある学生ライフのために!」
「「「エイ・エイ・オー!」」」
などと勝鬨を上げるのは、あろうことかピチピチの男子中学生達であったという。
彼らが何を探してるのかって? そりゃもう言うまでもなく――。
●グリモアベース
ムルへルベル・アーキロギアは心底イヤそうに顔を覆っていた。
が、予知をしたならそれを伝えるのがグリモア猟兵の仕事である。
だから恥ずかしがってないで早く言おう。ほら早く。
「……ゆ、UDCアースで、だな、そのう……」
実年齢99歳(シナリオ公開当時)の少年めいた賢者はぽつぽつと言った。
「本をな。本を探してほしいのだ」
なんでもとある邪教徒どもが邪神を降臨させようとしているのだとか。
そして連中は祭具を探していると。まあそういうお話なのだが。
「この"祭具"は、少々厄介な特性を持っていたようなのである。
具体的に言うと、これ自体が邪神の依代であり、書物から書物へ"移動"するのだ」
つまり一瞬前まで何の変哲もなかった本が、突如"祭具"に変じるのである。
そして"祭具"は、教団の手から"移動"した。問題はその行き先と、状況だ。
「よりにもよってその"祭具"は、そのう、なんというかあ……」
もじもじ、指つんつん。恥じらっていたら猟兵からお叱りが飛んだ。
「ひいい! わかった、言うのである! 観念するのである! 怒らないで!!」
気弱なクリスタリアンはビビリつつ正直に言ったとさ。
「………………ムフフな本に乗り移ったのである」
なんて?
「だから! えっちい本にで!! ある!!!!!!!!」
グリモアベース中に大音声が轟いた。
よりにもよって禁書とかをアレする設定の賢者は、顔を覆ってうずくまった。
――エロ本。
それはトレジャー。
それは希望。
それは光。
それはロマン。
男子にとっての避け得ぬ……通過点!!
「ワガハイだってこんな予知視たくなかったのである」
げんなりした顔の宝石賢者は説明を続けた。
日本・都内某所。住宅街のただ中にある大きな公園が今回の舞台だ。
ただし彼が予知できたのは"祭具"の詳細と、それが『どれか』に転移したこと。
……そう、現地にはたくさんあるのだ。ムフフな本が! たくさん!!
「よく知らぬがなんかUDCアースではそういう文化があるのであろう?
不法投棄も、ましてやそういう書籍を拾って読むなどまったくありえん話だが……」
実際に求めている男子達が現地をうろついているというからさあ大変。
当然のごとく"祭具"を回収するために暗躍する邪教徒まで居る始末だ。
「組織の面々が強行突入すれば、教団側も反応し一帯が戦場となるであろう。
となると猟兵の出番だ。"祭具"を確保し、邪神の降臨を阻止する他あるまい」
状況はギャグだがやることはシリアスだ。しかも一般人も関わるのだから。
追い詰められた教団側は無理矢理に儀式を発動し、不完全な邪神を降臨させるだろう。
だが"祭具"さえ確保できていれば、一帯の一般人に被害が及ぶことはない。
「戦闘に突入すれば、あとは細々したことは組織の者どもに任せておけばよい。
そういうわけで大変に心苦しいのだが、なんとか頑張ってほしいのだ……」
大きく大きくため息をついて、賢者は読んでいた本を閉じ……ハッと顔をあげる。
「い、いや違う! これはそういうのではないぞ!? そういうのではないからな!?
違うのである! 見るな! みーるーなー!! ちーがーうーかーらー!!」
などと一悶着ありつつ、彼は決め台詞を吐くモードに入った。
「よ、"欲望を棄てよ、そうすればお前は平安を見出すであろう"。
とある神秘思想家の言葉だ、オヌシらの健闘を……だーかーらーちーがーうー!!」
転移は始まったので安心してください。
唐揚げ
あなたの言いたいことはわかります、苦瓜です。
OPいかがで……いえわかります。わかりますとも。
まあとりあえずまとめを読んでみてください。
●目的
邪神祭具発掘調査(1章、冒険)
???の撃滅(2章、集団戦。よわよわ)
???の撃滅(3章、ボス戦。つよつよ)
●備考
こんなOPですが、性別その他による参加制限はありません。
こんなOPですが、触手でイヤーンみたいなのもありません。
それはそれとして1章には一つ追加ルールが設定されます。
●1章の追加ルール
1.『参加者PC様の性癖』が記入されているとダイスの数が増えます。
(必須ではなく『あれば判定ダイスの試行回数が増えますよ』という加点ポイントです)
2."祭具"以外にも色々本が落ちており、世の中は多様性で出来ています。
あなたが拾う本は、はたしてあなた(の性癖)に合致した本かな……!?
いえ、何も吸ってません。
打ってもいません。正常です。
なお言うまでもないですが健全レベルはこう、控えめにお願いします。
私は正常です。健全でお願いします。いじょうです。
第1章 冒険
『邪神祭具発掘調査』
|
POW : 肉体労働で貢献、力で全て解決
SPD : 細やかな作業で的確に、罠や妨害を先回り
WIZ : 神秘なら共鳴するかもダウンジングで探す、邪魔者に説得してみる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●都内某所:通称"聖地"
――探せ、この世の全てがそこにある。
近隣校に"コレクター"として名を轟かせたC組の佐藤君(中学2年制)の言葉だ。
誰かがそこを投棄場所に選んだ。
誰かがそれを拾い、そしてまた捨てた。
いわばそれは生命の螺旋である。受け継がれるミーム、遺伝子の連なり。
やがてそこは"聖地"と呼ばれるようになった。
多種多様なエロ本が、人知れず集う場所。この世の楽園と。
そんなところに邪神の卵が放り捨てられてるってんだからたまったものではない。
なお時刻は放課後、つまり夕方前後である。
背中に気をつけろ。
ためらわず拾え。
人目を受けるな。
――売り物には手を出すな。
それが、この狩場(ハンティングフィールド)の掟である。
●業務連絡
追加ルールの1.についてですが、ダイスの試行回数は以下のようになります。
性癖がない:普通に1回のみ。
性癖がある:1+無量大数回。
いじょうです。
零井戸・寂
誰かに呼ばれた気がする。
三回同じ言葉を唱和をされたかのような……深く考えると頭がぼんやりするけど!!
何はともあれ邪神の降臨阻止の為にはエ……祭具を発掘すればいいんだな。
仕事なら仕方ない、僕はエージェントなんだから……
それ以外に邪な気持ちなんかないとも。
ないって。
ないったら。
NAVIを追跡者として召喚。
探し物を手伝ってく……なんか心なしか呆れ顔じゃない??
しかしよくもこんなに集まったもんだなエッ……祭具候補達が。
え、見つかったのNAVI?
……一応仕事はこれでひと段落かな?なんか呆気ないけど……
(ペラ)
……こ、これは!(ごくり……!)
*性癖:『絶対領域・脚、腿フェチ』
*アドリブ歓迎
●ご参加ありがとうございます
ふらふらと、夢遊病患者めいた足取りで公園をさまよう少年。
「誰かに呼ばれた気がする……」
脳裏に響く謎の声。あるいはそれは、UDCエージェントであるがゆえの狂気か。
邪神。この世の理を越えた恐るべき名状しがたきモノども。
それと日常的に相対する人々は、猟兵でさえ狂気から逃れ得ないという。
零井戸・寂は、華奢ながら過酷な戦場に身を置く猟兵である。
きっとその狂気の片鱗が、彼に幻聴となって囁きかけたのだろう。
なんやかやあって後に引けなくなったとかそういうことはないはずだ。
「……な、何はともあれ」
彼は気を引き締める。邪神降臨の祭具を回収、重大な任務だ。
周囲は一見、何の変哲もない公園である。団地とかもある。
「仕事だからね。僕はエージェントなんだから、頑張らないと」
別に周囲に誰が居るわけでもないのに彼は意気込む。
きょろきょろ。
「……エージェントとして、仕事には全身全霊で取り組まないと!」
きょろきょろ。
「…………」
寂はそろそろと動き出した。さすが14歳、動きが手慣れている!
きっと彼はエージェントとして職務に励んできたのだろう。さすがは14歳。
さすがは14歳男子。重要なことなので3回書きました。
●00が出たので
『なーご』
「ありがとうNAVI。さすが僕の相棒だ」
『なーう』
「うん、君のおかげで無事に候補は集まったよ」
『なーん』
「ところでなんでさっきからものすごい呆れ顔してるの???」
電子猫はふーやれやれみたいな妙に人間臭い素振りでため息を突いた。
このアイコンこんなやつだったっけ……と思いつつ、寂は周りを確認する。
ここは、公園の隅っこにある人目につかない物陰だ。
そして彼の前には、NAVIが集めてくれた"祭具"候補達。
「……ごくり」
『なーん(特別意訳:いいから早く読みたいなら読めよ)』
「ちょっと待ったNAVIいま喋らなかった? 君そんな機能あったか???」
『にゃーん』
……寂は周囲を確認する。それはそれは恐る恐る確認する。
言わばここは、もはや火薬庫である。静電気一つが致命的災害につながるだろう。
はたしてこの中に"祭具"はあるのか? 中身を確認しなければわからない。
「…………」
中身を! 確認しなければ! ……わからない!!
「…………エージェントだからね!」
彼は誰に言うともなく呟いた。14歳男子は多感なお年頃なのだ。
幸い彼は普段から弱気で人の目を気にしがちなので、人目はうまく盗んでいる。
「エージェントだからね、ちゃんと確認しないと。うん」
恐る恐る手を伸ばす。おやおや寂くん、手に取ったのはややフェティッシュな一冊。
どうやらジャンルで言うと盗撮系らしい。
おやおや。おやおやおやおや。
「確認するだけ、確認するだけ……」
そんな事を言いつつ、彼の視線は表紙の絶対領域に釘付けだった。
そう、寂くんは……足が! 絶対領域とか、腿とか、そのへんがイイタイプなのだ!
おやおや。おやおやおやおや。
「ねえNAVIお前じゃないよね、なんか妙にうるさい感じがするんだけど」
『なーん(特別意訳:いいから早くしろって)』
「お前もお前でうるさい気がするな……」
狂気の片鱗による幻聴に苦しみながらも、少年は禁断の領域に手を出す。
ぺらり。雨で濡れて少し妙な手触りになった本がいま紐解かれる……!
「……こ」
ぺらり。
「これは……」
ぺらり。ぺらり。一ページ戻って5秒ほど沈黙。
「これは!!」
ぺらり。……10秒沈黙。ぺらり。
ぺらりぺらりぺらり。目的でないとわかるとめくるの早いなこの子。
「これは……!!!!!」
ごくり。生唾を呑み込む音がいやに耳に響く。
さもありなん、もしかすれば読めば正気に甚大なダメージを与えかねないのだ。
開くまでわからぬシュレディンガーの箱、挑むプレッシャーは多大だろう。
これはUDCエージェントとしての重要な、危険な、勇敢な仕事である。
「……これは、"祭具"ではない、かな!」
そんなものは1ページめくればわかるのだが。
「いやでももしかしたらだからもうちょっと……こ、これは……!!」
『なーん(特別意訳:ようこそ……『男子』の世界へ……)』
「ねえNAVIお前やっぱり明らかに喋ってない?」
猫は何も言わない。
少年はじっくり時間をかけて調査(ルビ:たんのう)したという。
(別の意味でも)大成功だ!
大成功
🔵🔵🔵
●とある中学生男子達の密談
「なんだって? 誰か捜索者が増えている?」
「ああ……しかも無くなったのはどれも、表紙に太腿とかが映ってるやつばかりだ」
「つまり新たな闖入者は……脚フェチ」
「それも相当な……脚フェチだ」
「脚フェチの侵入者か……」
「恐ろしいな、脚フェチ(※便宜上のコードネーム)……!!」
●業務連絡
3/29(金)23:59頃から執筆開始予定です。参加ご希望の方はお早めに。
ネグル・ギュネス
鳴宮君(f01612)を引きずってきた
他知り合いと連携歓迎
探索なら任せろ!
決して疚しい気持ちはない!
これは!任務だ!なあ!
夕暮れでも暗い場所でも【暗視】で見える
さらには情報を学生裏掲示板あたりに【ハッキング】して収集
───なあ兄弟(※違う)
矢張り時代は、フェアリー、或いは妹系では無いか?
いやいや包容力あるお姉さんも好き、超好きだが、懐かれるのに弱くてな…!
胸は、でかいのも小さいのも好きだが、色気は脚とか唇で、こう、な!
【性癖】
フェアリー
妹・後輩・年下系
年上は優しいお姉さん系
懐かれるのに弱いが、時々バブみも悪く無いよね!
基本は年下系を導いたり甘やかす系を好む
───なあ、これ暴露大会って言わない?
鳴宮・匡
◆ネグル(f00099)に付き合わされた
◆その他知り合いと絡み歓迎
……なあ、俺帰っていい?
いや、ええと
うんなるほど
帰っていい?
……任務って言われると弱いな
じゃあ俺、怪しい奴と関係ない奴追い返すから……
【影の追跡者の召喚】使用、周囲を巡回
目に付いた猟兵以外の相手を適当に追い返していくよ
中学生は適当に言い包めて帰らせる
明らかに怪しい奴は気絶させて積み上げとくかな……
え、俺にコメント求めるの?
そうだな、あと体脂肪率5%くらい絞ったらバランスいいんじゃね
そうじゃないって、じゃあどうなん……
……うん、お前(頭)大丈夫?
◆性癖
異性興味が皆無です
筋肉量とか脂肪量がどうとか的外れなコメントして殴られるタイプ
ロク・ザイオン
狩りか?
(自然豊かな公園。ここを森とする。
即ち、)
狩りか???
(ムルへルベルは何やら本を探せという。
学のない森番、あんまり本は読まないけれど)
……女の写真が、たくさんの、やつ。
はだかの、女の、写真が、たくさんのやつ。
(グリモア猟兵の前で丁寧に唱和して
ハンティングのはじまりだ)
(【野生の勘】は人間の痕跡とかこう、情念の籠もったなんやかやを見逃さない。
【追跡】する)
……。
(森番は子供を好物とし)
……。
(こと清純な美少女に弱く)
……。
(あ、ちょっとあねごににてる)
……。
(ガン見)(あねごは元気にしておられるかなあ)(ほろり)
狩りの獲物はくれるのか。
だめか。
※性癖︰ロリコン
※一切のNGなくお任せします
ヴィクティム・ウィンターミュート
男には、行かねばならない時がある。
それが!!!!!今だ!!!!!
ユーベルコードでドローンをブウゥワーって出してギュイーンと【情報収集】だオラァ!!
俺は小賢しく欲望を隠したりはしない!!!もちろん仕事を忘れてもいない!!!!どっちもいい感じにやって美味しい思いをすればいい!!
そうだろ!?
俺達のバイブルを求めて三千里。野を越え山を越え、いざ約束の地へと赴かん。
俺達はこの場所に辿り着くために生まれてきたのかもしれない。
俺の性癖は『年上攻め』全般。
特にちょっとだらしないお姉さんに甘やかされるのは至上のシチュエーションであり、森羅万象を超越する真理である。
今こそアセンションの時。ついてこい同志達よ!!
●なぜ見てるんです!
『だが脚フェチ(※コードネーム)には負けていられないな』
『ああ、たとえ相手が脚フェチ(※誰かはわかっていない)だとしても』
『俺達だって探索者(※ジョブではない)なんだからな……!』
『『『エイ・エイ・オー!』』』
うら若き男子中学生達は秘密めかして語り合い、忍者めいて姿を消す。
「…………」
それを木々の合間から見下ろす者あり。獣の名をロク・ザイオンと云う。
いや、今の彼女は狩人だ。獲物を捜し追い詰める無慈悲な狩人。
ゆえにロクはライバル達の動向を常に観察し把握する。森番は優秀なのだ。
「……脚フェチ、か」
え、把握したのそこなんですか?
●チーム・アサルト今日も征く
「なあ、俺帰っていい?」
「大丈夫だ、私に任せておけ」
「ああ、こればっかりは慣れってもんがあるからな」
「いや帰りたいって話してるんだが」
「俺達にやましい気持ちはない。必要な仕事なんだ、なあ?」
「そうさ、男には行かねばならない時がある。そうだろ、チューマ」
「お前らなんでそこまでやる気なのに俺を引きずり出したんだよ」
チーム・アサルトを名乗る三人の猟兵達がいる。
感情を排して無慈悲に敵を殺す"凪の海"鳴宮・匡。
冷たき鋼に熱い心の"ロスト・オブ・パストデイズ"ネグル・ギュネス。
ニヒルな笑みで電脳を駆ける"Arsene"ヴィクティム・ウィンターミュート。
先の戦争では縦横無尽に銀河帝国を圧倒した、腕利きの男達だ。
数多もの戦場を駆け抜けた、若々しくも雄々しき猟兵達だ。
「――なあ、兄弟」
幻影を駆り風のように敵陣を駆け抜ける、熱きサイボーグが鳴宮の肩に手を置いた。
「いいんだぜチューマ」
冬の静寂を敵にもたらし、"主役"どもを彩るカウボーイも肩に手を置いた。
「何がだよ」
「恥ずかしい気持ちはわかる」
「だが俺達は――相棒、だろ」
「いやだから、何がだよ」
「「で、お前の好みは?」」
「俺やっぱり帰っていいか???」
しかし残念! ダイスは01を出したので続くのだ!
●狩人は闇を往く
森番は学がない。彼女は狩りを友とし、森をふるさとに育ってきた。
それでも、人として忘れてはならないことはわかっている。
食事の大切さ。寄り添うことのかけがえのなさ。そして……、
「女の写真が、たくさんの、やつ」
なんて?
「はだかの、女の、写真が、たくさんのやつ」
だからなんて?
「これは、狩りだ」
ものすごーく真面目な表情でロクは呟いた。
森番は狩人である。なので狩りと認識したらガチでやる。
わざわざグリモア猟兵を赤面のちお饅頭みたいに丸まらせようが、
復唱は大事だし目的意識はつねに確立しておかないとだからだ。
「……こっちか」
森番はキマイラである。なので追跡はお手の物だった。
見える見える……捨てたものと拾うものの情念の残滓が……!!
それはごくごく一部の"プロフェッショナル"が視るという軌跡だ。
歴史に云われるシルクロードの語源がそこにあることは言うまでもない。
●男達は語り合う
一方公園の罰書、平均年齢22歳の若者達が語り合う。
「いいか相棒。これはれっきとした任務なんだ」
至極シリアスな表情で、ネグルは鳴宮に言った。
心底帰りたそうにしていた匡だが、任務と言われると多少弱い。
「……ならまあ、帰るのはやめとくけど」
「そうだ! 今が! 今こそがその時なんだ!!」
ヴィクティムは鼻息荒くまくしたてた。
合計で150体を越える大量の偵察ドローンが実体化し四方八方に散る。
「見ろ。あれがアルゴスの眼だ。誰も身を隠せやしねえぜブウゥワー!。
どこにあろうがギュイーンってやってザッて見つけてやるぜオラァ!!」
「擬態語ばっかりで何言ってんのかわかんねえよ」
匡の表情は醒めきっていた。ああ凪の海ってこういう……。
「おいネグル、あいつテンションおかし」
「カリキュレイト・アイ、オンッ!!」
「えぇ……」
ビカァ!! と両目を金色に輝かせるネグル。
二昔前のロボットアニメかな? みたいな勢いで光が放たれた。
「夕暮れだろうが暗がりだろうが、秘宝の在処は視えている。
我が眼が映し出す未来は――我らの栄光だ」
「お前そんなキャラだったっけ……?」
なんか邪神の影響なのか? とこちらもこちらでズレた思考を展開する匡。
「俺はなぁ、小賢しく欲望を隠したりはしない、だがもちろん仕事(ビズ)も忘れねぇ!!」
くわわっ。ARウィンドウを展開したヴィクティムが力説する。
「どっちもいい感じにやって美味しい思いをすりゃいいんだよ!
そうだろ! ところで美味いとエロいって似てねえか!?」
「まったくその通りだ、兄弟(ブラザー)。ともに戦おう」
がっしりと固い握手を交わし、なぜか匡のほうをぐるっと見つめてくる。
なんたらVSなんたらって題された映画の特撮ヒーローみたいな勢いである。
「じゃあ俺、怪しい奴とか邪魔者追い返してくるから」
「「セメント!?」」
匡は背中にかけられる罵詈雑言を無視して、さっさとその場を後にするのだった。
●公園に獣、こそこそす
仕事自体は実にシンプルに進んだ。
"シルクロード"を辿った結果、各所に"ブツ"が転がっていたからだ。
「……」
合計5冊。内訳は漫画、漫画、実写、漫画、実写である。
「…………」
すいっ。ロクは実によどみない動作で漫画雑誌をより分けた。
コンビニとかに並んでるやつである。狩人的にはノーセンキューだ。
「………………」
彼女の青い瞳は一点に集中していた。
その名もズバリ、『制服コレクション』……!!
(※言うまでもないが被写体は18歳以上である)
森番は学に乏しい。だが大切なことを知っている。
制服とは、この世界やアルダワのような学園における、規定服。
つまりこれを着ているということは、この女達は……子供。
若干お年を召していられそうな方も居なくはないが、子供なのだ!
大人の世界ではそういうことになっている。信じよう。
「……………………」
ぺらり。
「っ!?」
森番は多少混乱した。開いてすぐドーンとデカデカ来たからだ。
具体的に何がとは言えないが、なんというかこう若干お年を召しておられる感じがしたのもなおびっくりだった。
「子供……では、ないのか……???」
大人は嘘つきではないのです、ただ間違えることがあるだけなのです。
いくつものはてなマークを浮かべながら読み進めるロク。
いまさらだがほんとによかったんだろうか。いや大事な仕事なんだけど。
「はっ」
ぺらぺらめくっていたら、ロクの目がある一点で止まった。
ページには"清純系美少女特集コーナー!!"と題されている。
「……………………」
ガン見した。それはそれは穴が空くほど見つめていたという。
ちょっと、いや少し、微妙~~~に、あねごに似ている。
ほんとかな? いや似てるんじゃないかな? 似てる似てる。
「あねご……」
襲いかかる郷愁と寂寥感にしょんぼりと肩を落とすロク。
眼下にはエロ本。何がどうしてこうなってしまったんだ。
このあねごっぽい女はまだ写真があるのだろうか。ぺらり。
「……!?」
またドーンと来た見開きに、しばし宇宙を背負う森番であった。
●敵は学生~野郎どもの狂宴~
「じゃあほら、早く帰っといたほうがいいぜ」
「「「で、でも俺達……」」」
「(携帯端末を取り出し)XX中学校の電話番号は、と」
「「「チクショウ!!」」」
匡の無慈悲な外交戦術に屈し、すごすごその場を後にする男子中学生達。
幸い(?)、彼が傭兵としての技を振るうような手合いは今のところ見当たらなかった。
むしろ彼はあちこちで隠密行動する猟兵達の気配が気になって仕方ない。
時々頭上をドローンがブーンと飛んでいく。見上げて溜息をついた。
「……そろそろ様子見に行くか」
いい加減捜索も終わった頃だろう、と踵を返すのだが……。
「やはり時代は、フェアリー。あるいは妹系ではないか?」
「ウープス。悪いが俺にはノットフォーミーだな。やっぱ年上だろ」
「わかる(ワカル・ギュネスは頷いた)包容力のあるお姉さんも、いい」
「だろ? ちょっとだらしなかったりすると最高だよな!!」
「(ワカル・ギュネスは深く深く頷いた)」
「んで甘やかされながら攻められる、これだよ!!」
「バブみ、わかりがある。だがやはり懐かれるのもいいと思うんだ」
「皆まで言うなよ、チューマ!(ヴィクティム・ワカッターミュートは微笑んだ)」
完全に意気投合(?)している二人を見て、匡は困った。
なんだこのアウェイ感。チームを結成して初な気がするぞ。
「おお兄弟(ブラザー)、戻ったか!」
「誰が兄弟だよ。お喋りもいいけど仕事は終わったのか?」
「それがなチューマ、聞いてくれよ――」
味わい深い顔で立ち上がるヴィクティム。彼の足元には……おお!
見よ! 神々しく輝かんばかりの……秘宝の数々!!
「なんだ、見つけたのか。だったら早く」
「俺な、思うんだ」
匡の台詞をインタラプトし、カウボーイは語り始めた。
「人は誰しも"聖典(バイブル)"を求めてさすらう旅人なんだ。
理想郷を求めて三千里、野を越え山を越え、俺達は旅をしてきた」
「わかる(ワカル・ギュネスは静かに頷いた)」
「俺達は……此処に辿り着くために、生まれてきたのかもしれない、ってな」
「うん、お前ら大丈夫?」
一応、匡なりに仲間たちを慮っての台詞ではあった。
しかし完全になんかよくないスイッチが入ったヴィクティムはなおも続ける。
「いいかチューマ! お前がこういうのに興味ねえのはなんとなくわかった!
だがな!! 男にはやらなきゃならねえ時が! あるんだよ!!」
「その台詞三回目だぞ……」
「アセンションしろ!!!!!」
「分かる言葉で喋ってくれ」
あまりの錯乱ぶりに軽く撃ったほうがいいのかとすら考えた匡だが、 ここで涼やかな顔のネグルが割って入る。頭が冷えたのだろうか。
「……相棒、これは俺達にとって重要な問題だ。真摯に聞いてくれ」
「なんだよ」
「こいつを見てくれ。どう思う」
ぺらり。ワカル……ネグルが差し出したのは一冊のエロ本。
やや肉付きのいい美少女(※18歳以上)が、悩ましげなポーズを取っている。
「…………」
「忌憚ない意見を聞かせてくれ。さあ!」
「あと体脂肪率5%くらい絞ったらバランスいいんじゃね」
これでいいか? と二人を見やる匡。
この世の終わりみたいな顔をしているサイボーグ二人。
「「そうじゃないだろ!!」」
「ええ……」
「いいか兄弟!!」
がしっ! サイボーグアームが傭兵の肩を掴む!!
「時代は年下系だ! いや妹とか後輩もいいと思う! 年上なら優しいお姉さん!!
なにごとも偏ってはいけない、甘やかし導きつつ時々頼る! これだ!!」
「何がだよ」
「つまり、こうだ。私生活のズボラなお姉さんの家に洗い物とかしに行く!!
そして『いつものお礼だよぉ~』とちょい気怠げに言われながら……だ!!」
「だから何がだよ」
傭兵は呆れ果てていた。
そんな彼をさておき、ネグルとヴィクティムは掴み合いの言い争いを始める!
「俺は年上攻め好きで! お前はバブみ好き!
そこに何の違いもありゃしねえだろうが!!」
「違うのだ!!!!!!!」
「何が? 何が違う!?」
「年下も大事! そして胸も……いや私は胸より足だな。色気は脚だ」
「わかるわ」
「大きいのも小さいのも、いい」
「それな」
喧嘩してたんですよね?
「付き合ってられないな……」
うんざりした様子で頭を振る匡、ふと隣を見た。
「お、ロクじゃん」
「「えっ!?!?!?!?」」
23歳男性と16歳男子は途端にビビリながらそちらを見た。
なるほどたしかにロクがそこにいた。無言である。
サイボーグ達は脂汗を垂れ流す。だって女の子ですよ!!
「ロクもなんとか言ってくれよ。こいつらわけがわからないんだ」
「…………」
「「…………」」
気まずい沈黙。然るのち、森人が口を開いた。
「子供は、いい」
「……よし!」
「マジかよ……!!」
ガッツポーズを取るネグル。崩折れるヴィクティム。
なんだこれ。
「狩りをしてるなら、ひとつ教えておく」
続く言葉にしかし、三人はシリアスな顔で振り向いた。
まさか、邪教の信徒か? 緊張が走る!
「侵入者がいるらしい」
「「「侵入者……?」」」
「脚フェチ、らしい」
「「脚フェチ……!?」」
ざわりと色めきだつふたりをよそに、匡は心から思った。
「……――どうでもよすぎる」
とっぴんぱらりのぷう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
十河・アラジ
なんて物に乗り移ってくれるんだ…!
でも危険なモノには違いないし
聖者として邪なものは見過ごせない……
人々のためにボクも祭具を探さなきゃ!
…………ほんとに人々のためだってば!
「March of Right」を使用して視力を強化、怪しいものを見逃さないようにね
……それ以外の意味はないから…ほんとに!
この探索自体(年齢的に)不利な行為だし発動はするはずだ
しかし思ったより沢山あるんだな……この中のどれが……
(どきどき)(本を手に取る)(開く)
(額の聖痕が発光する)
◆性癖:『胸(豊かなのがよい)、年上系お姉さん(熟女に非ず)、胸(大きいのがよい)』
◆アドリブ歓迎
(聖職者ではないので色々大丈夫です)
祇条・結月
男子としてそれは気になる気にならないっていう話をするなら気にならないって言ったら嘘になることは否定しません(早口)
いや、でも捨ててあるものは拾うなよ。
……それを今から自分がしないといけないんだけどさ……!
えーと、はい。
≪影の追跡者≫を出しておいて、警戒。回収時に一般人の目に付かないタイミングを確保しながら作業します。
仕事は手早く、迅速に。UDCは民間人に知られていません。仕事の様子を見られるのはよくない
……ほんとこの姿、見られたくないよね。特に……いや。
しかしどんだけあるの、祭具候補。
……。…………
……回収、しちゃったんだから。確認はしないと、だよね。
★性癖:浴衣姿
……うなじとかいいよね、って
●影の追跡者の気持ちも考えてあげてください
「……いまなんか聞き覚えのある声したような?」
祇条・結月は訝しんだ。戦友達の諍い……諍い? 鬨の声? 歓声?
なんかわけのわからないテンションの声が聞こえた気がしたからだ。
脚フェチがどうとか。よくわからないが気にしたら負けだなと思った。
さっきもどこかで見たことのある影の追跡者を見た気がしたが、
きっと気のせいだろう。他人の空似ならぬ追跡者似だ。
「ヴィクティムは……まあ、こういうの恥ずかしがらなさそうだけど」
ご近所さんの彼(傭兵)や彼(ゲーマー)がいるわけがない。
どちらもそういうキャラじゃない。何かの考え違いだろうと切り捨てた。
ところがどっこい考え違いじゃないんだなあ! 世の中不思議ですね!
「…………もし知り合いがいたら絶対に見つからないようにしないと」
お年頃の15歳男子は固く、それはそれは固く誓った。
探索者として、UDCという狂気の存在を人の世に触れさせてはいけない。
それが猟兵としての、この世界の住人としての忘れてはならない使命だ。
別にエロ本探して夕暮れの公園徘徊してるのがすこぶる恥ずかしいとか、
そもそもそういうのに興味があると知られるのが恥ずかしいとかではなく!
「男子としてそれは気になる気にならないっていう話をするなら気にならないって言ったら嘘になることは否定しない。しません」
別に誰に見咎められたわけでもないのに早口でブツブツ言う。
15歳の男子である。人の目が……気になるお年頃……!
「でも捨ててあるの拾うのは駄目でしょ……」
ごもっともであった。
そんなわけでおなじみ影の追跡者を召喚する結月。
召喚された方もよもや祭具(ルビ:エロ本)を捜すハメになるとは思わず、
だいぶ非難がましい視線を向けてきたことは言うまでもない。
「いいから早く、行けって」
しっしっと召喚体を追い払う。さてあとは人目を警戒するだけだ。
「仕事は手早く迅速に、一般人には見られないようにしないと」
UDCは秘匿隠匿しなければならない。世界の守護者の使命だ。
他意はない。ないってば。女子だろうが男子だろうが見られたくはないのは当然だ。
だが現実はしばしば期待を裏切るものである。
●縁は不思議と繋がるもので
……十河・アラジは、転移からこっちその場で考え込んでいた。
おかしい。この状況、あまりにもトンチキが過ぎる。
実は最初から信徒どもの罠なんじゃないか? だってよりにもよってだろう。
「普通の人が手を出しにくいものに擬態して……いや、ないな」
残念ながら現実は現実である。認めざるを得ない。
「兎にも角にも、ボクらがなんとかしなきゃ。危険なモノには違いないし」
一人の聖者として、祭具が放置されている状況は見過ごせない。
「……人々のためにも、平和のためにも!」
まるでどこかで見てそうな人にわかりやすく語りかけるように言って、ぐっと拳を握る。
沈黙、静寂。……少年はきょろきょろと周りを見る。
「…………人々の、ために!!」
大事なことなので二回言った。決して欺瞞ではない。
そもそも彼の知る猟兵の多くは、こんなところに来るわけがないのだ。
いつも落ち着いていてフラットな態度を崩さない年上の彼だとか、
ゲーマーの彼だとか他にも多くの猟兵(主に女子)が来るわけがない!
であれば、自ら進んで泥にまみれるのも、また人を救うための善行である。
「これがボクの役目……だよね? 間違ってないよね??」
ちょっと不安はあった。が、心を入れ替えてユーベルコードを使用する。
……沈黙。
「あれ?」
アラジは首を傾げる。
彼の使用する"March of Right"というユーベルコードは、彼の正義感、人を救いたいという献身を以て、彼自身を強める力である。
ゆえに彼はそれで視力を強化し、物陰や草むらの奥に隠れたムフフな本を探す、つもりだったのだが。
「おかしいな、どうして……?」
彼は心底不思議そうに首を傾げた。しかし一向にユーベルコードは起動しない。
だが彼は知らなかったのだ……この世界の出身ではないゆえに。
だいたい12歳ぐらいの男子は、気が早いのだともうエロ本に興味を示すものだということを……!!
そして……己自身も知らぬ、裡なる自分の欲求を……!!
そういうわけなので特に身体能力は増大しませんでした。
●この少年と少年の顔がいい
カァー、カァーと、夕暮れの空にカラスの泣き声が響く。
それぞれ捜索開始から30分もしていないのだが、割と見つかった。
見つかってしまった。なんだこれいくらなんでも落ちすぎじゃないのか。
「どんだけあるのエ……"祭具"候補」
結月はだいぶ、というかかなり呆れ顔で呟いた。
それを拾い集めさせられている自分も大概情けない話である。
こんなゴミ漁りめいた真似でも、世界のためと思えば惜しくはない。
「……」
UDCは見られてはいけないし、秘密裏に処理せねばならない。
「…………」
探索者として当然のことだ。そして集めた以上は……!!
「………………確認、しないと、だよね」
「えっ」
「え?」
聞いたことのある声に、伸びかけた手が止まる。
顔を上げればそこにはやはり見知った少年の姿……!?
「ちょっ、アラジ!?」
「柚月さん、何やっわぷっ」
大声を出しかけたアラジの口を慌てて抑える結月。
息を潜める二人のすぐそばを、買い物帰りのマダムが談笑しながら歩いていく。
「……ふぅ」
「……」
「びっくりしたぁ。でも駄目だよアラジ、急に大声出したら」
「…………」
「UDCは見つかったらいけないんだ。ちゃんと隠密行動を……アラジ?」
「………………」
「し、死んでる……ってご、ごめん!」
だとすれば殺したのは結月である。
青い顔をしていた少年から慌てて手を放す探索者であった。
「ぜはぁーっ、ぜはぁー!? こ、こちらこそごめんなさい」
「いや今のは僕が悪いから……いや」
ここで両者、改めて落ち着いてお互いを見やる。
お互いに手に持ったままの財宝(トレジャー)。物証は完璧である。
「「……」」
気まずい沈黙。あまりにも……気まずい!!
「「……えっと」」
二人同時に口を開き、
「「あ、どうぞどうぞ」」
二人同時に譲り合った。3回ぐらいこのやり取りを続けたという。
「えーと、その、うん。ほら、ね? お仕事だからさ」
「そ、そうですね! お仕事ですからね、うん! わかります!」
「そうだよね、アラジはさすがだなあ。こんな仕事に自ら来るなんて」
「結月さんこそ! さすが合格しただけはありますね!」
「いやそれはそんな関係ない気がする」
そこはツッコミせざるを得なかった新一年生であったという。
ともあれ二人はお互いに真面目だすごいと褒め称えあい、いろんなものをごまかすことにした。
「……あの、やっぱり確認しないと……ですよね」
「……そうだね。祭具かどうかを確かめないとだから」
「これ、たくさんありますけど一つずつ……ですよね」
「うん。祭具かどうかを確かめるためであって他意はないよ」
「そうですね! 使命のためですよね!」
「そうそう。だからね、ほら、なんていうか」
「「このことは他言無用で……」」
綺麗にハモりつつ、二人はなぜか肩を並べて一冊の本を地面に置いた。
『悩殺! 季節外れの浴衣スペシャル!!(書名)』である。
アラジは結月の横顔を三度見した。結月は努めて気づかないふりをした。
だがアラジもそれ以上は何もいわなかった。なぜって?
そりゃお前、表紙のお姉さんが、こう……ドーンと! しているから!!
「せーので開けませんか」
「祭具だったら危ないからね」
「そうです。じゃ、じゃあ」
「…………」
「…………」
「……あ、僕から?」
「(なぜか高速で首を縦に振る)」
ものすごくぎくしゃくしたやりとりののち、
「「せ、せーの!」」
少年達は、なぜか同時に本を……開いた!!
「「…………!?!?!?!?」」
夕暮れ時に、清らかな聖痕の光が瞬いたという。
それはまるで、星のように……あるいは、そう。
さながら大悟した偉人を祝うかの如き、妙なる光……!
ぺらり。
「「!?!?!?!?!?!?」」
少年達よ、ようこそ『男子』の世界へ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
六六六・たかし
───俺を呼んだな。
いいだろう、邪神の復活などというふざけた儀式は俺が破壊する。
そして祭具も俺がすべて戴く、今後の人形作りのためにもな。
(エロ本を掬い、世界も救う。なぜなら彼はたかしだから)
背中は任せたぞ「かかし」!!ユーベルコード『悪魔の分身』!
よし、これで邪魔が入らずに読める。
(ペラ)ふむ…ロリ(ざしきわらし)と年上(まなざし)は作ったから…次はこういう女子高生タイプもありだな…。
(ペラペラと熟読する)
※性癖『女体(悪く言うと女の身体にしか興味がなく雑食、女なら何でも良い)』
※アドリブ歓迎
違法論・メグル
【SPD】
【フェチ】
女の子がすきです!
でも胸の大きな女の子はもーっとすきです!
かわいそうなムルヘルベル……(遠い目)
見た予知を伝えるのがグリモア猟兵のつとめだもんね……
さてと、マガルからの頼まれ事だし気合入れていこーっと!
ハハァン、なるほどなるほど?
せっかく探してる本かもしれないのに、こりゃあマガルが行きたがらないわけだ
見かけによらず僕の兄ちゃんはウブだもんね
本を開く!見る!ウヒョーッ!
これだよ!こういうのを求めてたんだよ僕達は!
おーっといけないいけない、祭具探しに集中しなくちゃ
まあでもこれ調査!調査のためだから!
必要なことだから!お仕事だから!
僕は一体誰に言い訳してるんだ!?
アドリブ歓迎です
●なんだか申し訳ない
この場に集った猟兵は数多い。
ほんとになんでそんな数が? とUDC組織の皆さんが首を傾げる程度には多い。
つまりそれだけ、どこぞのグリモア猟兵は辱めを受けたということであり、
「かわいそうに……」
違法論・メグルがほろりと憐れむのも無理はなかった。
だが予知とテレポートは終わったしこの際そちらのことは放っておこう。
「視た予知を伝えるのがグリモア猟兵の務めだもんね、うんうん」
そして仕事を引き受けるのが猟兵の仕事である。
とはいえメグルの場合、自分の意志で此処に来たわけではないようだ。
彼は転移が終わるなり片目を細め、意味ありげに頷いた。
「ハハァン、なるほど……なるほど? そういうことか。
せっかく探してる本かもしれないのに、マガルもウブだなあ」
レインコートの下の素顔は明らかにならないが明らかに笑っていた。
……そう、彼には――正しくは彼の兄は、一冊の本を探している。
読破はおろかその一部を垣間見ただけでも、
猟兵ですら正気を喪いかねぬ悪魔じみた名状しがたい魔導書。
いわば彼らにとっては、宿敵と云うべきモノである。
「本を開いてー、見る。本を開いてぇー、見る」
ひとり呟きながら、何度も両手を閉じては開く動作を繰り返す。
狂気に挑もうというのに、不思議にもその声音は弾んで楽しげだ。
得体の知れぬ不気味さは、彼がブラックタールがゆえだろうか?
あるいは――。
「ウヒョーッ! これこれこういうのだよ僕達が求めてたのはぁ!」
単にエロ本探しでテンションが上がってるからだろうか。
「…………」
だがそんなメグルの姿を、遠巻きから眺める人影あり。
こちらもこちらで目深にフードを被った、目つきの鋭い少年である。
「――なるほど、あいつも祭具そのものを求めている、か」
彼の名は……いや言うまでもないだろう。彼もまたメグルと同様。
いかなる由によってか、自らの宿敵たるオブリビオンの出現を感知したのだ。
謎めいた殺人オブジェクト、通称"デビルズナンバー"。
666のナンバーを割り振られたそれらと戦う、孤独な黒の猟兵。
「だが祭具は俺が頂く。そして邪神の復活などというふざけた儀式も」
俺が、破壊する。彼はフードの下で確かにそう呟いた。
決断的というレベルではない。それは定められた未来であると言いたげだ。
はたしてその目的は、猟兵としての責務がゆえだろうか?
あるいはデビルズナンバー同様、彼の謎めいた思惑のためか……。
一つ確かなことがある。それは、
「祭具を頂き、儀式を破壊し、以て世界を救う。なぜなら――」
……彼は、たかしだから。
六六六・たかし。だいたいの理屈を"たかしだから"でゴリ押しするヤバいヤツ。
それが、この不審極まりない少年の名であり、すべて!
「――行くぞ、"かかし"」
『エロ本拾いだなんてやることがガキっぽいべなあ』
「背中は任せたぞ」
『ここまでやる気でねえ仕事久々だべよ』
たかしは背後を往く田舎っぺ人形の戯言に耳を貸さない。
なぜなら、彼は! ――たかしだから。
●18歳手前はある意味一番最高潮と言っていいのではないか
「おや」
「――ふん」
そして必然として、二人は出くわした。
決してエロ本回収ルートがものすごく似通っていたからだとか、
二人して好みが無節操すぎるから必然的にかち合ってしまったとか、
そういうことではない。これはいわば……そう、運命。
「お前……祭具を探しているようだな」
「そうだけど? ていうかキミ誰?」
「名乗る必要がない。なぜなら俺は――たかしだから」
「……ほんとに誰?」
ぴりっとした緊張感が両者の間に走る。
ともに底知れぬ、名状しがたき気配がぐるりと大気を歪ませた。
猟兵同士の私闘が始まってしまうというのか? それもまた狂気の影響か!
「ところでけっこう祭具候補拾ったんだけど一緒に確認してくれない?」
「よし。かかし、周囲を警戒しろ!!!!!」
危難は一瞬で去った。
「しかしいいのか?」
「何が?」
「お前も色々と事情がありそうな気配がする」
「いやあ調査のためだからね。調査のため! お仕事だから! ね!!」
「……なるほど。お前の言いたいことはわかった。なぜなら俺は――」
「うっわこれエロっ」
「えっ待ってまだそれ俺読んでないんだけど」
フードを目深に被った少年は、公園の物陰で肩を並べて禁断の書物を読み耽る。
それは決して彼らが手を出してはならぬ、忌まわしき知識の数々……。
「ふむ……女子高生、か」
「でもこれどう見てもプロの人だよね」
「俺はそれでも構わない。なぜなら俺は――」
「うっわこの女の子胸でっか!」
「おい待てだから俺それまだ読んでないって」
だが彼らは、その狂気の深淵に踏み込むことを少しも厭いはしない。
なぜなら彼らはたかしとメグルであり、
ともに宿敵と相対すためにここへ来たのであり、
そのへんイメージ優先で選んでしまって非常に申し訳ないのだが、
それはさておいて二人揃ってあまりにも性癖が雑食だからである。
「え、そんなゲテモノまで読むの」
「俺は構わない。なぜなら俺は――」
「ウヒョー! このお姉さん最高!」
「あとで見せてな絶対だぞ絶対だからな」
……禁断の領域に踏み込むことを厭わぬ、勇気ある少年達なのだ!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
銀山・昭平
河川敷とか道端とかにえっちな本が落ちてる、ってよくある話だべ。
それで目覚めるってのもまたよくある話だべな。
というわけで【ガジェットショータイム】を発動させて主に雑誌みたいな本を探知してみるべ。
このあたりを根気強く探せばきっとある筈……本は丁寧に扱わねぇとだべ。
おなごが表紙の奴は他の人が見つけるだろうし、おらは男が表紙の奴を探すべな。
……うーん、しかし男性向けというか男色家の雑誌だけでもいっぱいあるべな。
特にこのおらに似たおっさんが表紙の奴はちょっと家に持ち帰りたいが……ダメ?あ、そう。
◆性癖:緊縛、拘束、猿轡等
※アドリブ・絡み歓迎です
エドゥアルト・ルーデル
大丈夫、大丈夫でござるよ祭具もちゃんと探すってーデュフフー
ウ=ス異本…ウ=ス異本は何処だ!?
拙者の【第六感】がこちらだと告げている!
本を見つけたら恐ろしく早い回収で荷物の中に挟み込む!
この調子でできればいっぱい…せめて後三冊は確保したいですな!
以降は俺の邪魔をするなとばかりに【殺気】を飛ばしつつ落ち着いて読書出来る場所を【地形の利用】で探索だ!
早速確認だ!これは!ロリ物!(巨貧問わず回収)
むっ!いいねェ やるねェ
んん?何?祭…具…?イヤーワスレテナイデゴザルヨーサガシテマスヨーホントデスゾーマジマジー
アドリブ・絡み歓迎
バルドヴィーノ・バティスタ
【SPD】
探しモンか?探しモンだな!!エロ本の!!!
…何?目的は祭具?わーってるって、さっさと回収しねェとな?…な!
うろついてる学生や邪教徒どもが狙ってンのを手に取られる前に<盗み攻撃>で掠め取る方向で動くぜ、
こンだけある本の中で他の連中が目をつけてるっつーことは当たりの可能性も高そーだからな!
オレは落ちてた本をたまたま先に拾っただけだぜー、まー元の持ち主だって証拠があンなら考えなくもねーけど?
あーっはっはっは!!(逃げ足)
さーってどンな内容かなァーーー!!
(性癖は『スポーツ少女、日焼け、巨乳』です。ただし女の子がかわいそうなのはしゅんとなります)
(アドリブ・絡み歓迎)
●困ったことにツッコミ役がいない
「デュフフフ……」
「げっへっへっへ……」
「ひっひっひっひ……」
おっさん・おっさん・若者の非合法トリオが奇怪な笑い声を上げていた。
驚くべきことに、彼らは犯罪者ではなく猟兵なのである。
「河川敷とか道端とかにえっちな本が落ちてる、てなぁよくある話だべな!
それで"覚醒め"を迎えるってのも……おっと祭具の話だっただべな」
銀山・昭平はこれみよがしに言った。顔はニヤついている。
「そうそう、あくまで目的は祭具だぜ! 忘れちゃいけねェよおっさん、大事なこったぜ!」
バルドヴィーノ・バティスタの顔面には『エロ本読みたい』という欲望が極太ミンチョ体ででかでかと書かれていた。
実際は書かれてないがそうとしか見えない顔である。そういう目をした!!
「大丈夫大丈夫でござるよーちゃんと仕事もするでござるよー拙者ら真面目でござるからなあ?
安全を確保するために大量確保せねばでござるよデュフフ。ウ=ス異本はどこだ!?」
エドゥアルト・ルーデルの両目があやしいひかりを放つ。コワイ!
「エロ本じゃねえべよ、目的は祭具だべ! ところでおらの名前は昭平だべ」
「貴様は口を挟まないでござるかショウヘイヘーイ氏!」
「間違ってるようであってるじゃねェーか!」
ほんとにこいつらに祭具探しを任せて大丈夫なんだろうか?
「何はともあれまずは各自散開して回収、しかるのちに品評会という流れはいかがでござるかな?」
「いいべな! 手分けして捜すのは大事だべ、祭具探しだっぺな!」
「お互いの性癖も審美眼も測れるってワケか、面白ェじゃねえか……!!」
明らかに間違った方向性にやる気を見出しつつ、三人は不敵な笑みでお互いをみやった。
しかるのち、シュバッと忍者めいて姿を消す!
なお、この中に化身忍者はひとりしかいない。
●こちらが犯行の再現VTRになります
「さあて、それじゃおらはガジェッティアらしく機械の力に頼るべ!」
なぜか普段なら存在しないはずの、ツナギの腹ポケットを漁る昭平。
そこからズボッと取り出したのは奇妙な形のガジェットだ!
「てけてけ~ん!(声SE)エ~ロ~本~探知機~」
奇妙なイントネーションで決め台詞っぽいことを云う。
そんなことをする意図はまったくわからないのだが、なによりも奇妙なのはガジェットの見た目だ。
機械というより虫めいている。具体的に言うとタガメだ。
「この"エロ本探知機・ゲンゴロウくん二号機"があれば即解決だべよ!」
はたしてタガメなのかゲンゴロウなのか、ネーミングが行方不明である。
スイッチを押すと無駄に発光しながら蒸気を吹き出すガジェット。
まるでファンが意味もなく光るゲーミングPCのようだ……!
「むむっ、さっそく反応ありだべ!!」
いなかっぺドワーフ、夕暮れの公園をひとりそぞろ歩く。
児童が見かけたら秒で防犯ブザーを引っ張りそうな光景だったという。
だが社会不適合者具合ではこっちもかなりアレげなオーラを纏っている。
「むっ!!」
キュピーン! と両目を光らせ、なぜか四つん這いでカサカサと気味が悪いぐらいの高速移動をするエドゥアルト。
彼を導くものは何か? ……第六感である。言語化不可能な神秘のセンス。
下手すると第七とかそのへんも活用している可能性がある。
エロ本探しはそのぐらい神聖(セイント)なものでありペガサスがアレするぐらいのファンタジーなのだ。
「そうでござるよ夢だけは誰にも盗めやしないのでござる……!!」
謎めいた独り言を呟きながら超高速移動でエロ本を掠め取るエドゥアルト。
は、疾い。なぜその動きを普段の依頼で出来ないのかというぐらいに疾い!
「恐ろしく巧妙な隠し場所……拙者でなければ見失っていたでござるね」
エドゥアルト34歳、アラフォーに片足を突っ込みつつもいまだスケベ心は健在と見えた。
「見える、拙者にもエロ本が見えるでござるよ……!!
拙者の母親になってくれるかもしれない美少女を求めてめぐりあい公園(その)でござる!!」
カササササ。ゴキブリめいた動きでサバゲオタクめいた格好のヒゲ男が大地を走る。
おまわりさんこっちです!!
「グフフフ……」
「ぶっへっへっへ……」
「ヒョッヒョッヒョッヒョ……」
一方別の場所では、なにげに潜伏していた邪教徒どもがどっか聞き覚えのある笑い方をしていた。
「ようやく見つけたぜ"祭具"候補をよ……」
「やりやしたね! さすがは"赤っ鼻"の兄貴でさあ!」
「花粉がバッキバキに舞ってるなか丸一日エロ本を探し回ったせいで鼻粘膜がぶっ壊れたって兄貴じゃなきゃこうはいかねえや!」
「よせやい、そう褒めんじゃねえよ……」
どうもこいつらもこいつらで何かがぶっ壊れているようだった。
ともあれ不気味な三人組が、一冊の本に手を出そうとした……その時!
「あーらよっとォ!」
「「「何ーッ!?」」」
見よ! 疾風のような軽やかさで割って入り、目的のブツを奪い取ったバルドヴィーノを!
もはやこうなると不審者を通り越して完全な犯罪者である! だが悪びれない!
「て、てめえ! それをよこせーッ!!」
「「我々のエロ本を……いやらしい……!!」」
などと邪教徒、というか不審者どもは抗弁するのだが、
「オレは落ちてた本をたまたま先に拾っただけだぜー?
まー元の持ち主だって証拠があンなら考えなくもねェけど???」
と、バルドヴィーノも屁理屈をこねる。ぐぬぬ顔になる邪教徒ども。
「野郎ども、やっちまえ!」
「「アラホラサッサー!」」
「おっとそうはいかねェや、あーはっはっはっは!!」
逃げ足の速さときたらもはや一級品である。
こんなところで人狼の俊敏性を発揮せずともいいのではなかろうか。
あ、妙にキャラの立った邪教徒どもは多分ここで出番が終わります。
●実食
一般人と邪教徒、そしておまわりさんの目をかいくぐり、
ふたたび集結した三人の野郎……もとい、夢見人(ドリーマー)達。
「てなわけでまずはオレからだな!」
「バティスタ氏(うじ)は人狼でござるからなあ、期待できるでござるよ」
「理屈が通ってるようでなんの関連性もねえべな! まあいいべさ!」
ぺらり。バルドヴィーノが持ってきたのは……スポーツ女子特集の本である。
「おお、表紙はすげェいい感じだぜ!」
「うーんでもちょっと熟れすぎじゃないでござるか?
ここはやはり日焼けデコ広ベリショショーパン女子でいかがでござるかな!」
「よくわかんねえけんどもまったく人気がなさそうなのはわかるべ」
気の狂った会話をかわしつつ三人は肝心の中身を検分する。
日焼けしたスポーツ少女が大好きなバルドヴィーノはキラキラと子供めいて瞳を輝かせる、が!
「さーってどンな内容……グ、グワーッ!? アバババーッ!?」
なんたることか、中身はまったく別物! 表紙は後付されたものだったのだ!
しかも中身は彼が苦手とするガチ陵辱モノである! おまけに年増! ヤバイ!!
「ぐえー!!(ビターン)」
「バティ兄ーっ!!」
「こ、こんなトラップもあるべか、UDCアース……!!」
底知れぬ悪意にブルブルと震えるアラサー&アラフォー二人組。
泡を吹いて昏倒したバティスタを安静にしてやりつつ、二冊目に手を出す。
「で、では今度は拙者のでござるよ。これは間違いなくお宝ロリ物でござる、グフフ……」
「おらはロリには興味ねえけど気になるべな!」
ぺらり。
「ほーらご覧の通りでアババババーッ!?」
人間の悪意には限界がない。これもまた表紙の後付トラップ……!
中身はロリどころか還暦間近のおばあちゃんが……おお……神よ!!
「な、なんてこっただべ、UDCアースはこんな恐ろしい世界だったべか……!
二人ともしっかりするべ、おらがちゃんとしたのを確保してきたべさ!」
青を通り越して紫色のふたりを助け起こす昭平。
そして病人に振る舞うおかゆめいて、自作ガジェット『ゲンゴロウくん二号機』で集めた自慢の一冊を開いてみせる。
「おなごが表紙のやつは二人とも探してくると思ったべ、
おらは見ての通り男色家向けのを選りすぐってきたべよ!」
「「アバババババーッ!?」」
「これがけっこうガチめなSM……どうしたべ? ふたりとも、ふたりとも!?
…………し、死んでるべさ…………!!」
聖地とはメキシコのような過酷な場所でもある。
弱き性癖(ちから)の持ち主は倒れ土に還る運命なのだ……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
石動・劒
POW
要は春画を探せってことか。なぁにR元服本でも俺なら問題ねえ
鈴木春信でも渓斎英泉でも、鉄棒ぬらぬらでも何でも来いよ
忍びの仕事は門外漢だがな。それでも夜討ち朝駆けは武士の嗜み。夕暮れ時でも隠密にゃ多少の心得がある
忍び足で潜入。第六感を活かして索敵しながらブツを探すぜ
なるほどこれが現代の。ははぁ随分と精巧な。こりゃ相当良い画工を使っていると見……っ!?
うわっ、おっぱい触っちまった!す、すまねえ!
女性にゃ丁寧に接するもんだと再三注意を受けていたがまさかページをめくった先におっぱいがあるとは思わねえって……!
エッ、しかもこの春画本こんなに女性が……?これは丁寧に運ばねえと……!
性癖:おっぱい
雷陣・通
エロ本だって!?
父ちゃんから聞いた事あるぞ、エッチな本だな!!
よし、捜索まかせろ!
(まじまじと見つめて)
オッパイでけー!
やべー!
みんな肌色だ!
すげーぜ、みんなレスリングでもするのかってくらい肌色だぜ
でも、みんな年上のオバサン(少年基準)だからなんか違うんだよな
……?
「ランドセルゆかりちゃん?」
これだったら、俺と年齢同じくらいかなあ?(違います)
うわ、成長早い女子みてーだ、すげー!
★性癖:年齢的に同年代、つまりロリ本
(PG12くらいの全年齢フィルターでアドリブ歓迎です)
●わんぱく小僧とイケメン侍
「よっしゃー、ライトニングに行っくぜぇ!」
転移直後から開口一番、公園はおろか地域一帯まで轟かん大声で叫ぶちびっこ。
彼の名は雷陣・通。わずか11歳、現時点で最年少のわんぱく猟兵だ!
「って待て待て雷の!」
そのまま稲妻めいて飛び出しかけた通を、慌てて呼び止める石動・劒。
いかにもな装いから見て分かる通り、生粋の侍である。動作にもいちいち時代がかっている。
「っとっとぉ!? なんだよ藪から棒に!」
きききーっ! とコミックめいて減速しつつ不満げに唇を尖らせる通。
「お前、ここでこれから何をするのかわかってんのかい?」
劔はこう見えて割と常識的な男である。どうしても元の世界に因りはするが、
それぞれの世界にはそれぞれの決まり……つまり法律があると知っているのだ。
当然、こんな幼い子供がエロ……"祭具"候補を見てはいけないことも知っている。
「決まってるじゃんか、エロ本探しだろっ!?」
ご覧の有様だよ!
「父ちゃんから聞いたことあるぜ、エッチな本のことだよな!!」
しかも解説まで始めた。大音声で!
「バカ野郎、そういう話は声を潜めてするもんなんだよ!」
「え? そうなのか? そういや父ちゃんもそんなこと言ってたな!」
「だから声を潜めろってんだよ、ったく」
などと、はてなマークを浮かべるわんぱく小僧の首根っこを掴み、
劔は慌ててその場を後にする。忍び足の有効活用である。
「……でだな、雷の。いいか、春画ってえのはな、大人が読むもんなんだ」
「えっ、そうなのか!? 父ちゃんが見せてくれなかったのって」
「元服前の子供にゃ早いってこったなあ。しかし、だ」
頼もしげに笑い、劔は自らの胸板をどんと叩く。
「ここは一つ、俺がお前と組んでやろうじゃねえか」
「マジ!? エロ本の探し方教えてくれんのか!」
話がこじれ始めた。なにせ劔は自信ありげな笑みのままなのだ。
……ツッコミ役が、いない……!!
「おうともよ。鈴木春信でも渓斎英泉でも、鉄棒ぬらぬらでもなんでも来いってんだ」
「すげー! 何言ってんのかわかんねーけどめっちゃ強そうな名前だぜー!!」
「さあついてきな、武士の嗜みってえもんを教えてやるぜ!」
「おっしゃー!! 頑張ってエロ本捜すぞー!!」
かくして致命的なすれ違いと誤解をしたまま、ちぐはぐな二人は解き放たれてしまった……!
●武士道
こんな凸凹でもふたりは揃って未成年の若者同士である。
やはり本能が自然と惹きつけるのか、エロ……祭具候補はあっという間に見つかった。
「どうだい、これが隠密の心得って奴よ。大したもんだろう?」
「すげー! なんだこれ、おっぱいでけーなこのオバサン!!」
劔が見つけ出したエ……"祭具"候補の表紙をまじまじ眺める通。
「こら雷の、あんままじまじと見るもんじゃねえぞ」
さすがに劔も叱りつける。よかった、良心はここにあった。
「女性にゃ丁寧に接するもんだ。気安くおっぱいのことを語るのは武士道に反するぜ」
うーん良心はありましたが現代知識が色々不足していましたね。
通も通で、すっかり彼には師匠めいた眼差しを向けているため、
「そっか、ごめんなオバサン! おっぱいでけーから騒いじった!!」
とエロ本に向かって頭を下げる。なんだこのやりとり。
「そうだ、こいつは武士道の心得のひとつってやつだ。覚えときな。
心得その四……"おっぱいに『敬意』を払え"、だぜ」
「おっぱいに、敬意……!!」
ただでさえ少々おばかな脳みそに実にいらない知識が詰め込まれていく!
「しかしまあなるほどねえ、これが現代の。ははあ、随分と精巧な」
「あっ、ずりーぞ! 俺にも見せてくれよー!」
「お前にゃピーキーすぎて使いこなせねえよ、雷の」
などとお兄さんぶって、ぺらぺらと検分を始める劔。
「こりゃあ(ぺらり)相当いい画工を(ぺらり)使っていると見……っ!?」
ぺらり。新たなページをめくった瞬間、彼は慌ててエロ本を取り落とす!
「ど、どうしたんだ!? まさか邪神のなんかか!?」
突然のことに通は慌てふためきつつ、チラッチラッと落ちたエロ本を盗み見る。
わなわなと手を震わせる劔。応答がないので通が恐る恐る本を拾った。
「こいつが当たりだったのか……?(ぺらり)うわっ(ぺらり)やべー!
あははは、みんな肌色だ! すげーぜ! レスリングでもすんのかな!?」
けらけら笑いながら禁断の知識に手を出してしまう11歳児!
だがそんな彼を、劔は窘めることが出来ない。なぜなら……!
「す、すまねえ。うっかりおっぱいを触っちまった……!!」
今度はなぜかこちらがエロ本に頭を下げていた。なんだこの流れ。
「くっ、俺としたことが情けねえ。って雷の! お前何勝手に」
「いやあだって、オバサンばっかで面白くってさー!」
劔は取り返そうとして本を覗き込み、絶句した。
めくれどめくれど新たな肌色が襲ってくる。なんだここは、桃源郷か!?
「な、なんだこりゃあ! この春画本、どんだけ女性が載ってんだ……!?」
肌色。おっぱい。肌色。おっぱい。立ち眩みを起こしかける劔。
まさにおっぱいの八艘飛びだ。何を言ってるのかは誰にもわからない。
「こりゃあ丁寧に運ばねえと……おい雷の、気ぃつけろよ!」
「大丈夫だって、このぐらい……ん?」
ぺらり。彼の目が留まったのは、ロリ系の方々(※18歳以上)の特集ページだ。
「ランドセルゆかりちゃん……? これだったら俺と同い年くらいかなあ?
(ぺらり)うわっ!(ぺらり)すげー……(ぺらり)す、すげえ!」
11歳の少年にとっては、どうやら身近な年代(※被写体は18歳以上)のほうが響いたらしい。
段々と語気がおとなしくなっていくさまを見て、深く頷く劔。
「ふっ……これもまた、立派な経験、ってやつだあな」
彼は色々多めに見ることにした。
すべては、おっぱいの魔力が思考を鈍らせたがため……!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
はぁ……出来ればこんな任務自体
受けたくなかったですけど
語気が荒いな。どうしてそんなに不機嫌なんですか
やれやれと溜息吐いて、
いつも通り彼女に付き合います
はぁ? 別にいいですけど
猟兵じゃなさそうな者達を追い払いますか
それにしても何をあんなに焦っているのやら
印刷の技術が高いんでしょうね
俺の故郷にはないので物珍しくはありますが
……生身の方が良くないか?
紙で見ることにあまり意義が見い出せないな
戻ってみれば本を見る彼女の姿が目に入り
任務に熱心なことだ
どうにも諦めが悪いようですよ
まぁ、俺が言うよりあなたが言う方が効きそうですし
祭具探しは他に任せておきましょう
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
いい?わかってるよね?
これはあくまで任務なんだから
私達が探しているのは祭具なの
やましい目で本を見ちゃ駄目だからね、絶対に
別に機嫌悪くなんてないけど?
早く探しちゃおうよ
ヨハンの目が本に向きかけたら制止
ちょ、ちょっと待って!
あの男子、猟兵じゃなさそう
追い払ってきてくれない?
……はぁ……
ヨハンもこういう本、興味あるのかな……
絶対に見ないとは思うけど
あ、この人綺麗
……なんで落ち込んじゃってるの、私
特に進展もないし、合流しよう
どう?さっきの子達、諦めてくれた?
うう、意思が強そうだね……
祭具探しも上手くいってなくて
私達はうろつく一般人の対処に専念しようか
適材適所って言うものね
●本当になぜ来てしまったのか
「はぁ」
ヨハン・グレインは溜息をついた。心底からの溜息だ。
こんなトンチキ案件、引き受けるつもりは毛頭なかったというのに。
でもここに来てしまった以上もはや後戻りは出来ない。賽は投げられた。
しかし、彼が溜息をつく理由はそれだけではない。
「いい? わかってるよね?」
眦を吊り上げ、オルハ・オランシュは幾度目かの同じ台詞を吐く。
「これはあくまで任務。私達が捜してるのはあくまで祭具なの」
「わかってますよ」
「やましい目で本を見ちゃ駄目なんだからね。絶対に」
「はあ」
ほんとにわかってる? と、腰に手を当てておかんむりのオルハ。
言わずもがな、ヨハンが無駄に疲弊しているのは彼女の様子がためである。
「……あの、どうしてそんなに不機嫌なんですか」
「別に機嫌悪くなんてないけど?」
あからさまに誤気が荒い。ふんだ、とそっぽを向きすらする。
ごくごく一般的な目線から見ればその理由は一目瞭然だし、
頬を膨らませて拗ねているオルハの様子は実に年相応にいじらしい。
……の、だが、
「やれやれ」
残念ながらヨハン少年は、そういう機微に疎くひねくれていた。
おかげで、自分の態度が余計に彼女をこじれさせていると気付いていないのだ。
「さあさあ、早く探しちゃおうよ!」
「はいはい……いつも通り付き合いますよ」
ぼやきながら並び歩く姿は、余人からすると実に歯痒くやきもきする。
本当に、実に、まったくやきもきする。少年少女の距離感……!!
●それはそれとして
そこらへんに落ちている本を探すことなど、二人からすれば造作もない。
……何もいかがわしい意味ではなく、それだけ二人は目端が利くということだ。
「あれですかね。ゴミそのものじゃないですか」
生真面目なヨハンとしては実に頭の痛い状況である。
さっさと仕事を済ませてしまおうと、すたすた本に近づくのだが、
「ちょ、ちょっと待って!」
と、オルハが急に彼を呼び止めた。なぜか慌てた様子で。
そして彼の腕を掴んでぐいんと物理的に視界を90度回転させる。
「えっと……ほら、あそこ! あの男の子! あれ、猟兵じゃなさそう!」
指さした先には挙動不審げな男子中学生がひとり。
「ね、ヨハン。えーと……うん、あの子追い払ってきてくれないかな!?」
「はぁ?」
色々と言いたいことのあるヨハンだったが、そのへんをつつくのはやめた。
これまでのいくつかの冒険でわかったことだが、オルハには話が通じるときと通じないときがある。今は前者だ。
「……まあ、別にいいですけど。一体何を焦って」
「焦ってなんかないから! 早く行って、はーやーく!」
「はいはい」
こんなやりとりも何度目か、溜息をついてヨハンはその場を離れる。
「…………はぁ」
そんな彼の後ろ姿を見やりながら、オルハはなんとも言えぬ溜息をついた。
安堵半分、自分への呆れ半分といったところだろうか。
そんな彼女の視線は、ちらりと落ちたままの本に向けられる。
「ヨハンもこういうの、興味あるのかなあ。絶対見ないと思うけど」
ひょこっとしゃがみこみ、表紙をまじまじ見つめる。
ぺらり。指でつまんでちょっとめくれば、これまた悩ましげな一枚が。
「うわあ……あ、でもこの人、綺麗だなあ」
多感な少女らしい率直な感想であった。
だがオルハの顔は浮かない。いかがわしい本への嫌悪だとかではない。
「……なんで私、こんなに落ち込んじゃってるんだろ」
ここに来てからどうにも晴れぬ、己の胸中のもやもやが気になるのだ。
一方、ヨハンのほうはと言うと。
「……というわけで、早く帰ったほうがいいよ」
と論理的にそれらしい嘘をついて、学生を宥めようとしてた。
中防のほうはそんな彼の穏やかだが鋭い視線に気圧されつつも、ああだこうだと屁理屈を並べて諦めようとしない。
(本当に面倒くさいな)
なるべく面に出さないようにしつつも、彼は心の中で呆れる。
そもそもあんな紙媒体の何がいいのだろうか?
たしかに他世界の出身である彼からすれば、印刷技術などは物珍しい。
とはいえ、わざわざ紙だの画面だのでそんなのを見る意義が見出だせないのだ。
「生身のほうが良くないか……?」
と、思わず呟いた。すると中防の様子が一変する!
「り……」
「ん? り……?」
「このリア充め、爆発しろーっ!!!」
何かを勘違いしたらしく、泣きながらすっ飛んでいったのである。
「……は?」
一人取り残された少年ははてなマークを浮かべざるを得ない。
「あ、ヨハン。どうだった?」
「一応追い払えましたが……諦めた感じではなさそうですね」
戻ってきた少年に、しゃがみこんでいたオルハが顔を上げる。
オルハは思う。ヨハンの"そういう興味"はどんなもんなのかと。
ヨハンは思う。オルハはずいぶん任務に熱心なことだな、と。
少年少女、年の差3歳。すれ違いと誤解は海より広く、谷より深い。
「よくわかりませんが、なんとなくあなたが言うほうが効きそうな気がするんですよ」
「ううーん、じゃあ私達はそっち方面の対処に専念しようか?」
思いついて言ってから、うんそうだね、そうしよう! とひとり納得するオルハ。
無論ヨハンはその意図に気付かないが、そちらのほうが楽そうなのは確かである。
「あ、でも勝手に変な本を覗き見したりしたら駄目なんだよ? わかった?」
「だからそんなことしませんよ……」
かくしてパトロールを始めたふたりは、絶えず妬ましげな視線を感じ続けたという。
おのれ少年少女め、なんと微笑ましいことか……!!
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
叶・都亨
邪神降臨の阻止か…重大任務だな!!
張り切って祭具を探すしかない!!!
それはそれとして俺はエロ本も探すぞ!
なんてったってまだ買えるような年齢じゃないし
落ちてるもんを拾うのは悪いことじゃないからな!たぶん!
ふふふ~1人で来たから知り合いもいないし~
いやほんと、いい任務だなぁ~
やっぱさ~おっぱいっていいよね!
でかけりゃいいってもんでもなく、こう~形がいいのがね!
俺はいいと思うんだ!!
なんかさっきからすっげぇハルカが頭突いてくるんだけ…痛い!!!!
ちゃんと探すって!探してるでしょ!!
ほらこれとかめちゃくちゃいいおっ…痛い!!!!
すみませんでした!!!!
全力で後ろ髪引かれつつ渋々祭具を探すよ…探すよ…
●お天道さまはちゃんと見ている
邪神降臨。それはあってはならぬ大惨事を引き起こす。
儀式そのものが犠牲を伴う狂気の沙汰であり、悲劇の元凶だ。
ゆえに猟兵として、なんとしてでも阻止せねばならない事態である。
「重大任務だな……!!」
だから叶・都亨がやる気を燃やすのにはなんら間違いがない。
別にエロ本探しが楽しみで楽しみで仕方がないわけではないのだ!!
「よおーし、張り切って祭具を捜すぞ!」
ご覧の通り、真面目に猟兵としての使命に燃えている。
「それはそれとしてエロ本も捜すぞー! うおー!!」
前言撤回。15歳男子は夢いっぱいだが煩悩もいっぱいだった。
そんなわけで都亨は人狼としての感覚と、
少年が持ち得る"超感覚(センス)"を張り巡らせて公園をうろつく。
「どこだ……祭具(ルビ:エロ本)……どこにある……!!!」
二昔前のスポ根漫画めいて、その両目には炎が燃えていた。
いくらなんでもやる気満々すぎる。どうしてこうなった。
「そもそもさあ、こんなに健康優良な男子に売ってくれないほうがおかしいよなー!
でも落ちてるもんを拾うのは悪いことじゃないからおっけーだな、たぶん!!」
屁理屈であった。思春期特有のムーブである。
しかも彼はいま、一人。知り合いは誰も居やしない。
「ふふふ~、いやほんと! いい任務だなぁ~!!」
彼はノリノリであった。両親が出かけて家に居ない日の学生ぐらいテンションが高い。
なのでくんくん鼻を効かせつつ、ひとり講釈を垂れ始める始末。
「やっぱなあ~、一番なのはおっぱいだと思うんだよね!
でかけりゃいいってもんじゃなくて、こう~形が大事っていうか……」
健康優良うっかり男子、かく語りき。
ろくろを回しつつついでにおっぱいの形を手で描きつつしみじみ頷く。
「でもお尻も大事だと思……あいたっ!?」
そこへ舞い降りてきたのは、彼の相棒である鷹のハルカ。
ばさばさとホバリングしながら、スコンっ! と彼の頭部をつついた。
「いきなり何すんだよハルカ、やめ……痛い! だから痛いって!!」
スコンッ! スコッスコッ、スココココンッ!
有無を言わさぬ猛攻であった。防御しようとしても、素早く狙いを変えてあちこちつついてくるもんだから逆効果である。
かといって手を下ろすと主につむじを狙ってつついてくる。めちゃくちゃ痛い。
「あでっ! 何!? やめて!? ちゃんと仕事してるでしょ!?」
スコンッ! 無慈悲! 心を繋いだ相棒応答なし!
いや応答はある。容赦のない連続つっつき攻撃で、だが。
涙目になりつつサササッと素早く移動した都亨。第一エロ本発見!
「うわーっすごい! ねえハルカこれすんごいよ(スコンッ)痛い!!
いやでも見てみてよ、この表紙のめちゃくちゃいいおっぱ(スコン)痛ぁ!!」
どう見ても祭具じゃねーだろこのマセガキ! とでもいいたげな連打であったという。
「うっうっ、わかったよぉ棄てるよぉ……」
しぶしぶ放り捨て……ようとしたらまたつっつかれたので、
ゴミ箱にちゃんと捨てるためのそのそと草むらから現れる都亨。
めちゃくちゃ後ろ髪を引かれつつ、ゴミ箱に近づき……。
「あっ」
そこで気付いた。学生などの一般人を追い払うためパトロール中の二人を。
そう、彼のよく知る、無藍想な少年と可愛らしいキマイラの、二人だ。
「……す、すびばぜんでじだぁあああ!!」
あちらがこっちを見つけるより先に、謎の罪悪感に責められおいおい泣きながらなにかに詫びる少年。
可哀想な都亨、だがある意味で恵まれているということを知ってほしい……!
大成功
🔵🔵🔵
彩波・いちご
【恋華荘】
私も一応男子中学生ですけど……あまり興味はないんですよね
女子寮の管理人やってるので、本とか見なくても目の前にいっぱい…って、何かもっとやばい事言ってるようなっ
こういう調査は落ち着かないという事でひとつ
アイさんも一緒なので、ますます落ち着かないというか、あまりアイさんにこういうの見せたくないというか…
「え?私ですか?私はその、ヌー…あ、いえ、なんでも」
有名写真家が撮ったヘアヌード写真集とかはないかなぁ、と…って口にはしませんがっ
話誤魔化すようにアイさんにも聞いてみましょう
「アイさんは何か探してるものでも?」
※性癖?:全裸派。ヌード写真を撮りたい願望有(ただし芸術的意味で)
※アドリブ歓迎
アイ・リスパー
【恋華荘】
いちごさんのことは男性として気になっています
「邪神復活の祭具を放置するわけにはいきません!」
【チューリングの神託機械】で情報処理能力を向上。
本をパラパラとめくって祭具でないか確認していきます。
ついでに写真は脳内保存していきましょう。
「ところで、男の子って、こういうのを読むのが……
その、す、好き、なんですか?」
巨乳な女性の載っている本を広げながら
いちごさんに問いかけます。(自分の貧乳を気にしつつ
「えっ、私ですか?
私は女ですし、こういう本には興味ありませんよ?」
電脳空間に保存した男の娘の写真群をいちごさんの顔に高速でコラージュ処理しつつ、冷静に回答します。
性癖:男の娘
アドリブ大歓迎
●奴らは群れでやってくる
「ううん……」
「どうしました、いちごさん? 体調でも悪いんですか?」
「いや、そういうことじゃないんですけど……」
一見少女めいた風貌の彩波・いちごはどうにも居心地が悪かった。
隣には顔なじみのアイ・リスパー。揃って思春期の少年少女である。
……なんでそんなお二人がこんなところへ来てしまったんでしょうね?
(困ったなあ、アイさんが一緒だと落ち着かない……)
いちごは男の娘である。男の娘ではあるが、男の子でもあるのだ。
改めて文字にしてみるとかなり日本語のバグを感じないでもない。
ともあれ彼は色々理由があってそういう格好をしているのであり、
やはり15歳男子としてはそういうことに興味が……。
(正直、私はそういうのにあまり興味が無いんですよね……)
は?(威圧)
何? 女子寮の管理人をやっているので本とか見なくても目の前にいっぱい?
少年は己がいかに恵まれているのかを知らなかった。知らなかったのだ!!
ついでに言うと隣にいるアイの想いについてもさっぱりであった!
なぜこんなところへ来た!! 来てしまったのだ少年少女よ!!!
「とにかく、邪神復活の祭具を放置するわけにはいきません!」
「そ、そうですね」
「だから頑張って、いかがわしい本を探しましょうね、いちごさん!」
「そんな大声で言わなくてもいいじゃないですか!?」
みたいな感じで二人は捜索を開始した。
……だがそれを良しとしない者どもが草むらから二人を睨んでいた。
『リア充……』
『リア充 オレ ユルサナイ』
『聖域汚スモノ オレ 排除スル』
ぎらり。輝くいくつもの眼光……!
「はっ!」
「? どうしましたかアイさん」
「いえ、何か妙な気配を感じて……」
電脳空間から演算能力を引っ張ってきたアイは、何かに気付いたようだ。
だが思い過ごしではない。奴らは二人を様々な方向から監視している。
「これが祭具候補でしょうか……あの、ところでいちごさん」
「へっ? な、なんですか?」
「その……(本をぱらぱらめくり)男の子って、こういうのを読むのが……。
え、えっと! やっぱり好き……なん、ですか?」
「ええっ!? なんでそんなことを聞くんですか!?」
大変に豊かな曲線を描いていらっしゃる女性方のピンナップの載った本。
アイとしては気になるところだ。胸とか、おっぱいとか、ブーブスとかが。
ここでひとつ、気になる相手の好みなどをば聞き出したい。そういう乙女の魂胆があった。
『『『リア充……!!』』』
「はっ!」
「あの……アイさん?」
「あ、いえ、なんでもないです。それで、どうなんですか……?」
アイに問い詰められ、いちごは赤面しながら目をそらした。
別に本の内容が気になるわけではない。そんなものは見慣れている?
見慣れているだと? 貴様それでも誇り高き妖狐男子か!?
「私は、その……ヌー……」
「ヌー?」
「あっ! いえ、なんでもないです!」
わたわたと両手を振りつつ話をごまかしにかかるいちご。
「それよりもですよ! ア、アイさんこそどうなんですか?」
「えっ」
予想外のカウンターに思わず小首を傾げる少女。
「ほら、女性は同性の方の体つきとかに興味を持つっていいますし。
い、いえいかがわしい意味ではなくて、こう、どうなのかなーとか」
しどろもどろになるいちごに、アイは相変わらず首を傾げつつ、
「私は女ですし、特に美的な意味でも興味はありませんよ?」
と、あっさり返した。
しかし彼女はさりげなく、脳内保存した写真を電脳空間越しにコラージュ中である。
えっなにそれ怖い。こんな電脳魔術士初めて見る。
「でもそうですね、私が興味あるとしたら……」
「あ、あるとしたら……?」
意味もなく赤面する二人。
流れる沈黙。
いい感じの空気……!(エロ本を間に挟んでの)
その時!
『『『ウオオオオオーッ!!』』』
「なっ、なんですかっ!?」
「っ! やっぱり何者かが潜んでいたんですね……!」
『『『リア充 コロスベシ!!』』』
コワイ! 姿を表したのは聖域を縄張りとする男子中学生達だ!
度重なるエロ本捜索と有り余るリビドーにより、もはや彼らはゴリラめいた野生と恐るべきパワを獲得している!
「くっ、さすがに一般人の方を手を出すわけには……アイさん、こっちです!」
「えっいちごさ……きゃっ!」
アイの手を取り駆け出すいちご! 男子中学生達はドラミングする!
だが彼らが二人を追うことはなかった。それが中防というものだ。
……後には、開かれたままのエロ本が寂しく残されていたという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
月宮・ユイ
絡み歓迎アドリブ可※ノリに合わせお任せします
あら、なんだかちょっと場違いだったかしら
とはいえ邪神が関わるなら放っては置けませんね
流石に捜索には加わり難いですが…
普通このような時は安全の為にも一般の方達は満足(意味深)させてあげて退散させる所なのですが、
えぇと…昔の戦友曰く「生身は勿論良い!でも、お宝にはお宝の良さがある!」のですよね。
となると、聖地近くのベンチに座ってウロウロする方を訳知り顔で見ないふりしてあげましょうか
歴戦の探索者(?)程気付いてためらってくれないかしら
一応”誘惑、挑発し、視線をおびき寄せ”気付きやすくします
”優しさ、【催眠術】”で理性緩め生身で良ければ早々に退散させましょう
●時にはこうなることもある
「……やっぱり、ちょっと場違いだったかしら」
月宮・ユイは転送からしばらく猟兵達の様子を眺めていたが、
どうにも場違いな気配を感じてふうと悩ましげな吐息を漏らした。
女性である。ヤドリガミだろうがなんだろうが女性は女性だ。
ましてや彼女はヤドリガミであるからして精神年齢は成熟している。
ゆえにこんなたわけた依頼に熱を上げる理由は、まあ、ない。
「とはいえ、邪神が関わるなら放ってはおけませんからね……。
こういうときは、一般人の方々を追い払うとしましょうか」
リビドー溢れる男子達を見て見ぬふりする情けが彼女にも存在した。
そんなわけで公園近くのベンチ。
「ううっ、どうしたものか、こうしたものか……!」
いかにも日々のエロに不足してます、という出で立ちの男子中学生が一人。
ちなみにこのへんに学校はない。彼らは皆遠方からやってきているのだ。
だって家とか学校の近くだと先生や家族の方に見つかりそうだから……!
「あら」
「!?」
などと声を出しておいて、向こうが気づくとユイは露骨に目をそらす。
あからさまだ。あからさまな……私は見ないふりをしていますよアピール!
「ふう……疲れちゃったし少し休みましょう」
これみよがしに声に出しながら、ベンチに腰掛ける。
周囲に緊張が走る。緊張しているのは中学生の方だけだが。
「うう……っ!!」
一方の中防は切迫していた。あまりにも危機的状況であった。
今日は、彼が根城にしている公園の一角に"秘宝"が捨てられる日。
なんでわかるのかって? 歴戦の探索者(※ジョブではない)はだいたいわかるのだ。
捨てるものと拾うもの、その間に生まれる無言のシンパシー……!
だが今日はやけに人が多い。そんなわけでどうしたものかと迷っていた。
するとどうだ、小柄ながら大人びた少女がいるではないか!!
(なんてことだ、今年の僕は厄年か……!?)
少年は困った。いや別に何がどうというわけではないのだが、
男子中学生は多感な時期だ。女性がいれば否が応でも意識してしまう。
しかもあのふるまい。向こうはこちらの目的に……気付いている!!
……そんな彼の逡巡を読み取ったユイ。
(こうなれば、いっそ……)
彼女はちらりと逆に少年に視線を向けた。
そして妖しく微笑み……優しげに指でくいくいと挑発してみせたのだ!
おお、神よ! これはまずいのでは? 大変なことに……!!
「あ、あら?」
ならなかった。むしろ少年はスンッと真顔になった。
彼は先程までの逡巡はなんだったのかという勢いで足早に帰っていく。
……ユイは(別の意味で)甘く見ていた。
さながら二昔前のレトロなゲームが残機をオーバーすると変数のバグを起こしてなんかおかしくなるように、
張り詰めた緊張感が限界を越えていっそ彼を冷静にしてしまったのだ!
「……ものすごく、腑に落ちませんね……!?」
目的は果たしたのだが、なんとも納得いかないユイであった。
苦戦
🔵🔴🔴
カイル・ヴァンガード
そんな興味ない…わけないだろ!
いやーんでうふーんな本!大好きだ!
もちろんまずはおっぱい!あとお尻!
あとロングヘアーの女子がラーメンをふーふーしながら、髪の毛を耳にかける仕草
マニアックっていうな!
あと唇があつい女子が好きだ!!!えろい!
タレ目も追加してもらえるとありがたい!おねえさん属性!
胸はCくらいが好きだ。あとお尻は大きめで!
これだけ盛れば十分だろ…
探すぞ!
POWで探す
片っ端から中身をみてこう
下が大変なことになりそう?無我の境地というのを知らんのか
お、これはなかなか、むふふ
うーん使用済みうふーんな本…なかなか年季が入って…
紳士の集いと信じて、なんとなくアイコンタクトを送る
アドリブ、絡み歓迎
柊・明日真
【アドリブ歓迎】
【性癖:胸、大中小どれでもいけるが巨乳派】
エロ本のついでに邪神が釣れるってのは楽でいいよな!
よっしゃ!!張り切ってお宝探しといくか!
どれが当たりかはわからんしな…
まずは片っ端からエロ本を集めて、選別はその後にするか。
…しかしこう山ほどあると目移りしそうだよなあ。
いや、あまり範囲を広げるのも効率が悪い、一点に絞るべきだな。
…小さいのも悪くないが、折角だから俺はこのデカいの(胸)を選ぶぜ!
俺はこのエロ本で行く!
杜鬼・クロウ
アドリブ◎
カオス、絡み大歓迎
性癖:きょぬー(C~Eカップ)>越えられない壁>髪、唇
ほーう、フーン…(゜-゜)(´<_` )
祭具探し?イヤ、もうエロ本探しでイイだろ
コレ、中を見た場合はSAN値ってヤツは減るのか…?俺76だけど
街をパトロールがてら情報収集するぜ
あんま顔見られたくねェからグラサンかけるわ
公園横のごみ捨て場とか漁ってみっか
余計、不審者に見られそうだが気にしねェ方向で
第六感がココだと俺に叫んでる
本物の祭具見つけてもそうでなくても中は見るぜ
落書きされてたり切り抜かれてたら…ちぃっとばかし悲しむ
教団のヤツらと鉢合せしたら、出会い頭に一発腹パンしとく
お前らみたいな青臭いガキにはまだ早ェンだよ
アルジャンテ・レラ
どのような書物との出会いが待っているのかと思いましたが。
なんですか?これは。
女性の写真集のようですが……
…………
何故でしょう。
"エクエク"の時とはわけが違いますね。
この領域には足を踏み込まずとも問題ない。いえ、それどころか。
知らないままでいた方が良いこともあるのだと、直感で悟れます。
私とて、書物ならば何でもよいわけではなかったということか。
まあ、猟兵としての責務は果たします。
大きな手掛かりはないようですし、手当たり次第に探すしかないでしょうか。
(黙々と頁を捲る)
ありませんね。
書物から書物へ移動する特性を活かして探せないでしょうか。
燃やそうとするふり……。
試してみる価値はあるかもしれません。
●男の戦い
「おっぱいだ!!」
カイル・ヴァンガードは鼻息荒く力説する。
「いいやおっぱいだ!!」
柊・明日真は迫真の表情でそれを切って捨てる。
「違ェな、おっぱいこそ至高だ」
サングラスをかけた杜鬼・クロウがクールに言い放った。
「あのすいません待ってください」
アルジャンテ・レラは心底不思議そうな顔をしつつ止めに入る。
だが男達は止まらない。もはや火蓋は切って落とされたのだ。
「おっぱいを認めねえだと……!!」
カイルが歯ぎしりする。
「何言いやがるおっぱいが一番だろうが!」
明日真が拳を強く強く握る。
「話にならねェ、おっぱい以外にねェだろ」
クロウが鼻でせせら笑う!
「だからあのすいませんなんで喧嘩になってるんですか」
アルジャンテのツッコミはもっともだった。
なのになぜか、三人の男達は『何言ってんだこいつ』みたいな顔で彼を振り返る。
「よく聞けよ全然違うだろ!」
カイルが呆れた様子で頭を振った。
「ああそうだ、この程度の違いもわかんねえのか?」
明日真はこれだからって感じで肩をすくめる。
「見たところドールか? まだまだ若ェな」
クロウは大人の余裕を漂わせながら達観してみせた。
「分かるも何も、その……皆さんが言ってらっしゃるのは同じ単語ですよね?」
まったくもってごもっともである。この三人おっぱいしか言ってねえ。
だが喧嘩していたはずの三人は互いに顔を見合わせると、
「「「これだから素人は……」」」
と口を合わせ、プロの雰囲気を匂わせながら呆れ返る始末。
「…………何がどうしてこうなったんですか……」
事の発端は数分前に遡る。
ほわんほわんほわん猟兵~(回想シーンに入るSE)
●数分前
「……どのような書物との出会いが待っているのかと思いましたが」
転移したばかりのアルジャンテは、なんとも言えない表情でそれを見下ろしていた。
ちょっと汚れ、だいぶ濡れて乾いたあとの、一冊の本。
どうやらUDCアースの女性芸能人の写真集らしい。表紙には笑顔で映る被写体。
「…………」
アルジャンテはミレナリィドールである。
彼は自らを構成する核、そして感情回路に思うところがあった。
ゆえに彼は知識を欲し、人間らしい存在になろうとしているのだ。
その勘が告げている。この書物をほっといて今すぐ帰るべきだと。
「エクエクの時とはまったくわけが違うような……。
なるほど、これが"虫の知らせ"というやつですか。興味深い」
いかに書痴と言えど、読むべき本は選びたいようだ。
アルジャンテが極めてシリアスな直感に従い、踵を返して去ろうとすると、
「おっ、アルジャンテじゃねえか!」
と、彼と面識のある明日真がそれを見咎めた、というわけだ。
アルジャンテがなにか言う前に、脳筋男子はすたすたと歩み寄ると、落ちているそれを覗き見て何かを悟った。
正確に言うと、特になにもないのだが、明らかに間違った悟り方をしたニヤニヤ笑いで彼を見た。
アルジャンテはだいぶイラッとした。これが……怒り……?
「なるほどなあ、そういうことか」
「何がですか」
「わかったわかった、俺にまかせとけって!」
案の定である。
「エロ本のついでに邪神が釣れるってのは楽でいいよな!」
「逆ですよね」
「張り切ってお宝探しするつもりだったが、そういうことなら一肌脱ぐぜ!」
こんな感じで明日真はアルジャンテの言い分を一切、
まったく、
これっぽっちも聞かぬまま、
彼を引っ張って(ついでにエロ本も拾って)その場を後にしたのである。
そのちょっと前。
「まったく、エロ本とかなんとか、そんなの興味あるわけない……」
などと、シリアスかつクールな表情でキメるカイル。
そんな彼の鼻持ちならない発言を、偶然通りすがったクロウが聞き咎めた。
「ほーう、フーン……」
真顔であった。決して偽りを許さぬ真実の口めいていたという。
しばしの沈黙。瞑目していたカイルが……くわっと目を開く!
「……わけ、ないだろうッ!!」
「だよなァ!」
どっと笑い出す二人。そう、最初から互いにわかっていたのだ。
「いやーんでうふーんな本! 大好きだ!!」
「もうこれ祭具探しとかじゃなくてエロ本探しでイイよな」
「それな。ちなみになんだったらここでフェチズム叫んでもいい」
「マジかよヤベェな……本読む前にそっちでSAN減りそうだぜ」
と、一瞬で意気投合(?)したのである。
「ところでなんでサングラスなんてかけているんだ?」
「いや、さすがにあんま顔見られたくねェし」
「むうっオシャレへのこだわり……! 俺など無我の境地で色々耐えるつもりだったぞ」
「無駄なとこに男気溢れすぎだろ……」
かたやヤドリガミ、かたや人間(しかも自称王族の末裔)。
種族も立場も世界もなにもかも違えど、二人はともに同じ猟兵であり、
「でも仕方ないな」
「だろ? なにせ俺らは」
「「男子だからな!!」」
熱い血潮が流れる、若き男達だったのだ。
●そして現在
「……そこに私達が通りがかって、明日真さんが話しかけたんでしたね……。
最初は和気藹々としていたはずなのに、いったいどうしてこんなことに」
アルジャンテは額に手を当てた。感じないはずの頭痛がしてきそうだ。
「よし、こうなったらお互いに理想のエロ本を持ってこようぜ」
カイルが提案する。
「面白え、受けて立つぜ!」
「見せてやるよ……本当のきょぬーってヤツを、な」
明日真もクロウもだいぶ間違った方向に闘志を燃やしていた。
そしてアルジャンテがなにか言う前に、彼らはシュバッと姿を消す。
「……なんなんですか今の身軽さ」
男はそういうものなのだ。
しばらくあと。
「「「頼もう!!」」」
男達は戻ってきた。互いに剣呑なアイコンタクトを送り合う。
カイル、片手に自慢の一冊。残りは背中に大量に背負っている。
明日真、両手に大量のエロ本。だがその頂点こそが彼のセレクトか。
クロウ、エロ本一冊。もう片方の手には気絶した変なおっさん。
「「誰だそれ!?」」
「いや教団のヤツと鉢合わせしたからよ」
痛烈な腹パンを食らってノビている教団員(一般人)を放り捨てるクロウ。
「てなわけだ……準備はイイな?」
「「望むところだ……!!」
もはやアルジャンテは蚊帳の外だった。
「まずは俺だ!!」
バァン! カイルが突き出したのは……どうやらグラビアアイドルの写真集らしい。
表紙を見る限りではあまりいかがわしさはない。むしろ爽やかだ。
「これがぁ? ガキでも買えそうなやつじゃねえか」
「いや……俺はわかったぜ」
グラサンの下で、クロウのオッドアイが鋭い輝きを放つ。
ゴミ捨て場からお宝を引き上げるほどの第六感が、囁いている……!
「さてはお前……厚唇フェチ、だな?」
カイルはニヤリと笑った。さらにページを開き、二人に突きつける!
「それでいて、タレ目! そしておっぱいに大きなお尻、だ!!」
見よ! なぜか見開きページでラーメンを食べる水着姿のグラビアアイドル!
「このね。ここ。これ。このロングヘアかきあげてるとこがさ、いいのよ」
「わかんねえ」
「熱意は感じるぜ」
「髪の毛をね、耳にかけるのがいいの。わかる?」
「わかんねえ……」
「熱意は、感じるぜ」
だが凄まじい気合だ。二人はさっそく気圧されている……!
「まあとにかく、次は俺だな」
明日真はどさどさどさ! と大量のエロ本を地面に転がした。
そして頂点に置かれていたそれを、拾い上げる。
「俺は大中小どれでもいけるんだがよ……やっぱり、これだ」
ばん! 掲げたそれは……とても、こう、ドーン!! としているやーつだった!
カイルの持ってきた本のお方がC(目測)だとすると、彼のはGかHぐらいあるやーつである。
「ううっ! 大きければ大きいほどいいという思考……!?」
「俺、さっきそれの袋とじだけ切り離されてるやつ見たんだよな」
心なしか悲しげなクロウの声音であった。
「せっかくだから俺はこの(胸が)デカいのを選ぶぜ! 選んだ!!
小さいのも悪くねえ。だがおっぱいと言えば……俺は、こいつなんだ」
故事に曰く、一人より二人がいい、二人より三人とか四人がいいと云う。
であれば胸も大きいほど、いい。お得であり、豊かであり、エロい。
そう語る明日真の表情は、悟りを得たかのように清廉ですらあった。
「くっ、なんて一本気なやつなんだ!」
「……それあとで読ませてくんね? 袋とじのとこだけ」
実力伯仲だ!
「まあそれはともかく、俺は……コイツだなァ」
クロウが見つけ出した魂の一冊。こちらはアラカルト系のご本である。
盗撮特集とかセーラー特集とかで売ってる、あれだ。わかってほしい。
「この中の……そう、この一枚! これが……俺を、喚んだのさ」
皆さんはおわかりだろうが、時にはこういった現象も起きる。
女性の役者さんだれそれだとか、アイドルのだれそれだとか、
あるいは漫画家のだれそれさんの作品だとか、そういうことではない。
名も知らぬ、下手すると一般人の方かもしれない、さりげない一枚。
シチュエーション、コスチューム、構図に年齢や……スリーサイズ。
それら複雑な要因が絡み合い、さながら真珠めいて己(の性癖)にヒットする!
「胸のサイズも大事だが、俺にとっちゃ髪型や唇も大事なんでな。
だからよ、お前らの熱意……俺は、確かに感じたぜ」
ヤドリガミの青年は、いっそ爽やかな微笑を浮かべた。
探索中に出くわした落書きやページ切り取りが、彼の怒りを醒ましたのだ……。
「俺達、間違ってたな」
「ああ……おっぱいはサイズが違っても同じおっぱいなんだ」
「いいじゃねェか、俺達は大事なことを知れたんだ。そうだろ?」
言葉が足りなかったのでアルジャンテにも誰にもわからなかったが、
どうやら彼らが言っていたのは、
(程よい形の)おっぱい、
(大きければ大きいほどいい)おっぱい、
(C~Eカップの)おっぱい、
ということだったらしい。ややこしすぎる。
ともあれ男達は互いに健闘をたたえ、がっしりと握手をかわす!
そんな彼らを照らし出す、夕暮れよりも赤い炎……!
……炎?
「「「炎!?」」」
三人は慌てて振り返った! そこに燃え上がる炎!
燃えている。
エロ本が……宝の山が、燃えている!!
「「「アアアアアーッ!?」」」
そんな三人を無表情のまま、アルジャンテが見返した。
彼は一同が集めた本をまた一冊ぱらぱらと冷静に見聞し、
「これも祭具ではありませんね」
ぺいっ。炎の中に放り捨てた。なんたる始皇帝めいた暴虐!
「特性を逆手にとって、炙り出せないかと思ったのですが……」
へなへなと崩れ落ちる三人をよそに、人形は思案した。
「そうもいかないようですね」
燃えろよ燃えろよ、炎よ燃えろ。公害規制とかは気にせず燃えろ。
散っていく火の粉は、きっと男達の夢の跡なのだ……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
藤・稔
良いですねえ、良いでしょう。
人の情欲とか男ってバカねとかがドカドカ詰まってそうな祭具で実にいい。ちょっとおれも覗いて来ると致します。
躊躇わず拾います
え?別に人間なんだからエロ本くらい拾います。常識です。人は人のおこぼれに預かるのが好きです。
へ〜〜〜〜こんな世界もあるのか
ほ〜〜〜〜おっこいつぁ中々ドスケベボディ
(これでも女なのもあり、白々しいテンションで淡々と捜索)
ああ〜〜〜綺麗な笑顔のお姉ちゃんだ、お身体に自信があると見えてこうゆうのは良い
羨ましくなる
(性癖:中性的美人、ラブラブ、あるいはイケメン)
(性癖に合致したものを見つけたら蒸気を噴き出し赤面で取り乱し、そっと本のタイトルを記録していく)
●好みは人それぞれ
こんな予知にも関わらず、なぜか少なからぬ女性猟兵も参加していた。
とはいえ世の中、多様性である。特に今のご時世はなおさらだ。
女性のそういうのが好きな方がいたっていいのである。いいのだが、
「いいですねえ、いいでしょう。実にいい」
藤・稔の表情は、あからさまな嘲笑を浮かべていた。
外見もその声もかなり男性めいた彼女だが、れっきとした女性だ。
ともあれ一度彼女のパーソナリティについては置いておこう。
「人の情欲が籠もりっきりの書物、いかにも邪神が選びそうです。
それを揃いも揃って拾い集めて悦に入る、ん~実に実に……」
男って、バカね。そんな感じの表情でふっと鼻で笑った。
もっとも仮にそれを誰かが見咎めたとして責めることは出来まい。
だってここに集まった男(猟兵も一般人も)は……だいたい仰る通りだから……!!
「さて、おれもちょっと覗いてみるとしましょうか」
任務というよりは物見遊山のような足取りで、稔は探索を始めた。
しかし恐るべきは、その慧眼よりも度胸である。
遠巻きにちらちらと挙動不審な男子中学生達が見守る中、
草むらに落っこちてたムフフな本を躊躇わずに拾い上げる稔。
「「「なん……だと……!?」」」
探索者(※ジョブではない)達は戦慄した。
あまりにも淀みない動作、視線に対する稔のあの表情!
『え? 別に人間なんだからエロ本くらい拾いますよ?
常識じゃないですか。人は人のおこぼれに預かるのが好きなんだから』
顔と言わず全身にそう書いてある堂々ぶり! し、しかも!!
「へぇ~~~~~~~」
ぺらり。なんたることか、彼女はその場でめくり始めたのだ。
何を? エロ本をだ! しかも声に出してまで!!
「こんな世界もあるのかぁ、なあるほどぉ~~~」
「「「やべえよやべえよ……」」」
いたいけなひよっこ達の囁きを鼻で笑い、女傑はなおも読み進める。
「ほぉ~~~~~~こいつは中々のドスケベボディですなあ~~~」
ぺらり。ぺらりぺらり。もはやテロだ!!
「まっ、おれには合わないかな! いーらないっと~~~」
そしてこれ見よがしにゴミ箱に、ポイ。
意気揚々と歩き出す。ハゲタカめいてゴミ箱に群がる男子達!
「いやあ、ほんっと面白いですねえ。あっはっは」
まるでこの世の王になったような気分である。
傍若無人とはまさにこのこと、無慈悲とはまさにこれ!
もはや彼女は止められないのか?
いたいけな男子達は、羞恥を煽られいけない性癖を刻み込まれてしまうのか!?
「……ん」
そんな折、稔は一冊の本に目を落とした。
何の変哲もない本である。表紙には爽やかな笑顔の成人女性。
「ふ~ん……こりゃまた綺麗な笑顔のお姉ちゃんだことで」
彼女は実に複雑そうな声音であった。
きっとこの被写体の女性は、美しい自分の体に自信があるのだろう。
体。肉体。それは稔にとっては、とても重要なワードであり……。
「羨ましい、なあ」
ぽつりと呟いて、ぽいっと放り捨てた。
落下の衝撃でばさりと本が開く。何の気なしにそれを一瞥しかけ……。
「……ん?」
二度見する。開かれたページには表紙とは別の女性被写体。
いやそれだけではない。実に爽やかなイケメンが二人で……こう……。
「…………」
こう! わかれ! わかってほしい!! とにかく仲睦まじいのだ!!
「!?!?!?!?!?」
途端に稔の顔面が蒸気を吹き出す勢いで赤面し、彼女は慌てて周囲を見渡した。
そして誰もいないことを確認すると、本を拾い……かけ、サッと表紙をめくる。
「…………よし」
素早い。秒のうちにメモを終え、本をさりげなーく放り捨てる。
人の好みはそれぞれ。誰にだって、好きなものはあるのだ。
大成功
🔵🔵🔵
アロンソ・ピノ
艶本の類から探せだぁ!?
なんというかUDCアースって…変なところだべなあ。
仕方ねえ。探せってなら探すが…オレ探索向きのUC無いし、せいぜい抜刀する度に変わる刀を壁のように横に広げて探している姿を周りに見せないようにするぐらいしか……【第六感】が上手く使えたら使う。
とりあえず、探せる範囲で探すが…オレ女子に対する希望なんて働き手の子供をちゃんと産める健康さぐらいしか求め……………………………………ん?
(性癖:自覚していないが華奢やスレンダーだったり、豊満ではなく「触れたら折れそうな」身体が性癖。本人自覚は田舎の農家の出らしく子沢山になれそうな安産型な体型。)
(アドリブ、絡み等歓迎)
草野・千秋
男ならやってみせる、この戦い!
正義の味方なら邪神の復活、必ず阻止してみせましょう
邪な気持ちは……ないでもないですが
僕だって改造されたとは言え人間なんですよ?
まだ21歳、機械の体に改造されても色欲は消えなかった!
まずはえr
じゃなかった
うすいh
でもない
祭具の発見ですよね
情報収集、コミュ力で祭具の在り処を探し
僕、恥かしながら腐男子のバイですが
女の人もいけるんですよ?
んー!でも!やっぱりこういうものに目が行ってしまうやっぱり!
神様僕を許して!
こういうふうに攻められたい!
でもやっぱり愛がないとこういう行為は
そこにシコリティがあるのです
・性癖:白人男性×一般日本人ものの純愛BL(アッー)
・アドリブ等大歓迎
夏目・晴夜
用済みになって捨てられたものを漁って拾うだなんて面白いですね
エロのヒエラルキーの中でもこの上なく惨めな最底辺、という感じで
個人的にはプライド高い女性の心が折れる瞬間が好きなのですが、
本や写真とかではイマイチなんですよね。どうしてもわざとらしくて
こればっかりは生で、自分の手でバッキリと折らないと
なので選り好みせず適当に拾います
が、汚くて触りたくないので戦闘用の人形にガッサー拾わせます
先日レッサーデーモンを血達磨にしまくってもらったその手でエロ本を拾わせたりして、
なんかちょっとすみません
いやでも、捨てられたのも止む無しな本ばかりですね
もう少し気合い入れろよとしか思えません
これ、燃やしてもいいのでは
●エル絵師のICが3つ並んでいたので
ギギギギゴゴゴ……ガッサー、バサバサバサ。
どこのホラー映画から飛び出たシリアルキラーかな?
みたいな見た目の操り人形が、エロ本をひょいひょい拾い上げていく。
名前は『優しく可愛いニッキーくん』と云うらしい。ムッキムキですがな。
「なんかちょっとすみませんね」
だが人形遣いである夏目・晴夜は、これっぽっちも申し訳なさそうではない表情であったという。
彼は人狼である。人狼ではあるが、犬畜生になった覚えはない。
彼からするとエロ本を捨てそして拾うというこの聖域の輪廻(サイクル)は、
言っちゃえばそのレベルのアレさだった。
「ちょっと待ってください!!!」
「はい?」
振り返った晴夜の前に立つのは、一見優男と云うべきメガネの青年。
しかし青年……草野・千秋は、両目に意思の輝きを灯しながら決然と彼を見据えた。
「なんて勿体無い、そして物臭なことをしているんですか!!」
憤っていた。彼は心の底から憤っていた。
人呼んで"断罪戦士ダムナーティオー"、正義の味方を志す、勇気ある青年である。
そんな彼にとってこの狼藉は……いやゴミ拾いだからむしろいいことでは?
「邪神の復活は必ず阻止せねばならないとはいえ……これはいわば男の戦い!
その魂の結晶といえるエロ……じゃなくて、うす……でもなくて、祭具候補を!」
「あ、欲しいんですか?」
「………………そういう話ではなく!!」
だいぶ間があった。
「とにかく! もう少し大事にすべきですよ、何かあったらどうするんですか!」
「いやいやいや、なんか騒がしいと思ったら何やってるべか」
そんな二人の間に割って入ったのは、アロンソ・ピノ。
いい感じのオシャレなファッションをしているぶん、ぽろっと出た田舎っぺな口調が実にアンバランスである。
どうやら彼にとってもそれはコンプレックスらしく、こほんと咳払いをすると、
「猟兵同士で喧嘩してもしょうがねえだろ! 落ち着けって。
それに……その、ほら、あの、なんつうか……え、艶本? の類はさ」
「エロ本でいいと思いますよ」
「ちょおおおおっ!?」
あっさりとした晴夜の言葉に慌てまくるアロンソ。
「そ、そういう言葉を! こんな時間から言うのは!! ダメだべ!!」
「いやもう時間的にはかなりいい感じだと思いますけどね……」
夕暮れである。アロンソはちょっと慌て過ぎな向きがあった。
それをちょっと見ただけでも、『ああこの子はエロいこととか免疫がないし慣れてないんだな』というのが丸わかりである。
こう見えて晴夜よりは4つほど歳上なのだが、パワーバランスは確定した。
一方のアロンソは、慌ててユーベルコードを発動。
ご近所さんから見られることのないよう、刀を帳めいて展開するのであった。
「そもそも喧嘩していたわけではないんですよね」
「まあ、たしかに。一言物申していただけというか」
晴夜と千秋は、意外にも理性的に顔を見合わせ頷きあった。
「だいたい面白いじゃないですか。用済みになって捨てられたものを漁って拾うだなんて」
「そ、そうかあ……?」
訝しげなアロンソを見つつ、晴夜は表情を変えぬまま続ける。
「エロのヒエラルキーの中でも、この上なく惨めな最底辺、って感じで」
「「そこまで言うか(言います)!?」」
さしもの二人とて、思わず声を揃えてツッコまざるを得なかったという。
「いやうーん、まあ……そうかなあ。そうだな。それは確かだ」
晴夜の傲慢っぷりはさておき、物言い自体は実に常識的である。
アロンソはさもありなんと頷き、状況に照れていた自分を密かに恥じた。
「やっぱ都会の人はすげえべな……」
「いや都会とか田舎とかは関係ないかと」
ビシッとツッコミを入れる千秋。一方晴夜は、
「ほら、これとか見てくださいよ。捨てられて当然でしょう」
と、一冊の本を(人形の手で)拾い上げて掲げてみせた。
「なっなんだべこれ!? お、おおお男同士で……!?」
「むっ!!」
ギラリ。ここで千秋の目が油断なく光る!
「……これ、頂いても?」
「え。あ、はい、どうぞ」
千秋はお辞儀をしつつそれを受け取り、真剣な表情でぺらぺらめくる。
アロンソはわなわなと体を震わせた。男が、男と……おお、おお!
「ま、マジかあ……マジかぁ!?」
「いやあははは、僕女性も普通にイケるんですけどねえ」
若干照れつつ読むのはやめない千秋である。世の中多様性だ。
「やっぱりこういうのは愛がないと……純愛が一番ですよね」
「えっそこでおらに振るだか!?」
「私はどちらかというとプライドの高い女性をこう、へし折るのが」
「さりげなくレベルの高えこと言わねえでくれねえだか!?」
いろんな意味でハイレベルな晴夜と千秋の"圧"に混乱するアロンソ。
なんてことだ。これが都会の……シティボーイの、底力なのか!?
「でも本や写真だとイマイチなんですよね、どうしてもわざとらしいというか」
「ああ、なんとなくわかります。クオリティが違うというか」
何もかもがズレているのに不思議と話が噛み合っている二人である。
アロンソはあまりのことにガタガタと震える。
さながら地球に来襲した戦闘民族の、圧倒的パワーを前にした原住民めいた状態だ。
「やっぱすげえべ……すげえな、猟兵ってのは……」
アロンソにとってそんないかがわしい好みなど貴賤はない。
強いて言うなら、未来の働き手である丈夫な子供を無事に産んでくれそうな、
健康的で安産型な女性が好み、というか理想というところだ。
悲しいかな、田舎っぺエルフは思考までも田舎っぺなのであった。
……だが!!
「はっ!!」
アロンソの視線はある一点に注がれていた。
いいや、正しくは……そう、一冊の本に。
「ほんと、もう少し気合入れろよと思いますね。燃やしてもいいのでは?」
「待った!!!!」
言いかけた晴夜はおろか、にんまりと堪能中だった千秋ですら、
きょとんとした表情でアロンソを振り返る。本人も驚いていた。
「い、いや、大声出してすまねえ……その、なんだ」
彼は露骨に咳払いしつつ、チラッチラッと一冊の本を盗み見ながら言った。
「もしかしたら燃やして悪影響があるかもしれねえし、こう……。
少しは検分してからのほうがいいんじゃないかなとか、思うんだ!!」
アロンソはまくしたてる。二人は生暖かい視線を向けた。
「いやオレに他意はねえよ? ねえけど!? ねえけども!?
やっぱり!?!? 自然とかシーライフとかそういうのがあるし!?」
「「(みなまで言うな、という表情で肩を叩く)」」
晴夜と千秋はただアロンソの肩を叩いた。そこに言葉は要らなかった。
「違えよ!? 他意はねえんだよ!? ほんとだよ!?!?」
必死に取り繕うアロンソの姿は、まさに思春期の男子めいていたという。
彼の視線は、豊満とは裏腹の実に華奢でスレンダーな被写体に注がれていた。
ようこそ青年、『男子』の世界へ。新たな……ステージへ!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ユーリ・ヴォルフ
これは任務だ
仕方のないことなのだ…!
裏路地や廃品回収場、ゴミ捨て場等を探す
エロ本か…
ロリよりはお姉さま系が好きだろうか。姉萌え?
包容力でもって、優しく包み込んでくれるような理解者は最高だな
更に言うなら、獣系やモフモフ系が付随されているといい
ケモナーとはまた違うが…耳が生えていると、なんとなく可愛いだろう?
他には、胸は程よく大きい方が良いだろう
しかしだな…あまり露出が高い本というものは
非常に照れくさく、恥ずかしい。
チラリとみては目を逸らし、顔を真っ赤にしながら本を閉じ
勇気を出して再びめくり…刺激物か?エロ本とは劇薬なのか!?
こんな危険なものは燃や…せない。可愛くない…わけでは、ないからな…。
テン・オクトー
ムルヘルベルさんはどうしてあんなに狼狽えてるの?祭具が本らしいと分かってるなら難易度高くないような?
子供だからね、まだよく分かってないよ。
UCで捜索。
うん、本がいっぱい落ちてるね。調べてみるね。
なんで肌色の多いお写真ばっかりなの?
風邪ひいちゃうよ。
…
……
こ、これは、
うもれたら…柔らかそう。
頭に乗っけてもらったら気持ち良さそう…?
は、ボクは何を考えて!?
子供だからね、これが初めてのドキドキだよ
ちょっとドキドキしただけだよ!
祭具なら人手によく渡る媒体のが都合良さそうかなあ?ボロボロそうな本が怪しいかなあ?
性癖
人型の(否ケットシー)お胸が大きい
包容力のある少しだけ年上の女性
絡みアドリブ歓迎です
クロト・ラトキエ
若さが眩しいですねぇ。
…お仕事ですよ?
愉しんでるなんてまさか!
皆さんの挙動を眺めてなどいませんって♪
住宅街の公園。幼子の目に付く場所は避けそうな…
とすると樹上、茂みの陰、古小屋の中とか?
見た目コレですがこの歳ですし。
自然体で探し(アラフォーですし)
堂々と拾い(アラフォ(略)
顔色一つ変えずに(ア(略)
頁を捲ってみせましょう…!
あたかもベンチでビジネス誌を読むエリートサラリーマンの如く!!
流石に表紙は覆うなり人目は憚ります。Yesおじさま、Noオヤジ。
絵や写真よりは文章物を。
想像の余地、大事。
祭具かもしれません。慎重に…
…
中々の籠絡ぶり。ご馳走様です
(嗜好:とてもS)
※アドリブ、弄り絡みも歓迎です
●これもまた一つの覚醒め
公園の片隅にある茂みの陰にて、一人の男が拳を握りしめ葛藤していた。
「こんな同義にも取る行いを……いや、しかし猟兵としての責務が……」
ドラゴニアンのユーリ・ヴォルフは迷っていた。それはもう迷っていた。
なにせ彼は生真面目である。どんな任務にも全力で取り組む男だ。
それがどうしてまたこんな予知に出くわしてしまったのか、
ユーリの胸中を思うと不憫で仕方ないがまあそれはそれでアリな層がいる。多分。
「そうだ、これは任務だ、仕方のないことなのだ……っ!」
エロ本拾い。
そんなことを世界平和のためにやらされるなど、猟兵ってなんなんだ。
ちょっと猟兵になったことを後悔し始めていたユーリだが、
いよいよ覚悟を決めると、決断的に茂みの陰へと……、
「あ、ちょっと失礼しますね?」
「えっ」
すっと横を通り抜けたメガネの男性がしゃがみこむ。
そしてちらちら茂みの間から見えていた本を! 拾って!?
「なっ!?」
「はい? どうしました?」
その場でページをめくり始めすらした! なんたるタフネス、なんたる精神力か!
「おっと、さすがに表紙はカバーでもかけないとですね」
「な、な……な、何をやっているのです!?」
言われた当人……クロト・ラトキエはにこりと微笑む。
「仕事ですよ?」
「た、たしかにそれはそうですが、そんな堂々と!!」
うろたえる若者の様子に、彼は合点がいった様子でポンと手を叩き、
「ああ、なるほど! いやあ、若さが眩しいですねえ」
などと、味わい深い表情で頷くのであった。違うそうじゃない。
「まああなたぐらいの年齢ではまだそんな風に初心かもしれませんが」
ぺらり。ページをめくりつつ、気品すらある様子でクロトが言う。
「どうやらもっと小さな子も頑張っているようですからねえ」
「なんですって!?」
ユーリはつられてクロトが見たほうへ視線を向け……驚愕した!
「なんであんなにうろたえてたんだろう……?」
視線の先では、いくつものクエスチョンマークをいまだに浮かべながら、
ちみっこいケットシーの少年がとぼとぼと夕暮れの公園を歩いていた。
そう、ケットシーである。つまり彼もまた猟兵としてここにいる。
であれば彼が8歳という若さの子供であろうが、目的は一つということだ。
「祭具が本らしいとわかってるなら、別に難易度高くないような気がするんだけど……」
彼の名はテン・オクトー。すでにおわかりの通り、この任務については……いや、
いわばこの世の"真理"を知らぬ、無垢な赤子同然の状態なのだ……。
「う、うーん。本かあ、どこにあるのかなあ……」
どことなく心細げにきょろきょろしながら、あちらこちらを探し始める。
おお、神よ。幼い子になんたる試練をお与えになったのか……!!
テンもテンで任務には忠実な、真面目ないい子なのだ。いい子! なのだ!!
だから彼は陰のヤモリ達を召喚のために解き放ったりまでする。
「ちょっと手伝ってね? いってら――ってもう戻ってきた!?」
そしてハヤイ。なにせここは"聖地"、候補には事欠かないのだ。
シュバッと消えたヤモリ達は、何冊かのムフフな本をえっさほいさと運んで帰還した。
「これが"祭具"候補……? なんでこの女の人、水着なんだろう?」
心の底からの疑問を浮かべつつ、いま、少年の指いや肉球がエロ本に!!
「あ、危ないっ!!」
「えっ!?」
ユーリは黙って見ていられなかった。そういう性質(タチ)なのだ。
とっさに彼はテンのもとへ駆け寄り、開かれようとしていた禁断の書を奪い取ったのだ!
「ふっ、若さは大事……ですね」
一方クロトはそんな彼の背中を見送り、悠然とベンチに腰掛ける。
そしてこんなこともあろうかと持ってきていたブックカバーを手早くかけると、
まるで朝から意識高くアサインをタンジェントしてコミットするビジネスマンめいて、
優雅に落ち着き払った様子でエロ本(小説)を読み始めたのだ!
決してオヤジ臭くなどない。YESおじさま。甘いマスクでマダムも一撃だ。
読んでるのは! いかがわしい小説だが!!
「はっ。す、すまない!」
「う、ううん大丈夫。急に飛び込んでこられたからびっくりしたよ」
我に返ったユーリが慌てて詫びると、テンは首を振って不問とした。
「それにしても急にどうしたの? もしかしてあれが祭具だった?」
「いや、そういうわけではなさそうなのだが、なんというか」
そしてユーリは後悔した。これ、逆に状況が悪化している。
というか、どうも説明する役が自分に回ってきたっぽいぞ!?
(なぜだ、私はただ少年の無垢な心を守りたかっただけだというのに!
はっ。まさか、これが東洋やエンパイアで言うところの……インガオホー!?)
情にサスマタ突き刺せばなんとやら、そんなコトワザもあるとかないとか。
でもこの場合は特にそういうわけでもない気がする。
「あっ。本が」
「!?」
ユーリが間に入ったことにより遠くへふっ飛ばされたムフフ本。
当然のようにそれは地面に転がり、偶然にも見開きページを開いていた。
テンの視線がそちらへ滑り、ユーリが何かを言う前に内容を見てしまう。
「なんということだ……!」
下手をすれば妙なトラウマが植え付けられかねない!
最悪の場合、変に偏った性癖に目覚めてしまうのでは?
そうなったら(ある意味)おしまいだ。特殊性癖はいわば袋小路……。
「…………こ」
「こ……?」
ごくり。ユーリはつばを呑み込む。
「これは……埋もれたら、柔らかそう……?」
テンは、己の裡から湧き出る印象をそのまま言葉にしていた。
彼が見たのは幸運(?)にも、極めて一般的な、アレである。
少しだけ平均から見るとお年が上の、包容力のありそうな女性だ。
ついでに言うと胸も、大変……こう、アレだ。わかってほしい。
「これを頭に乗っけてもらったらなんだか気持ちよさそうだなあ……はっ!?」
そしてテンはふと我に返り、ユーリの顔を見上げた。
ユーリは何も言わず、ただ微笑んで頷いた。それは戦士の顔であった。
たとえるならば、今日まで鍛え上げた新兵が最後の試験を通過し、
いよいよ一人前の騎士として世界に羽ばたくのを見送る教官のような。
暖かく、どこか厳しく、そしてまぶしげな……爽やかな笑みである。
「ぼ、僕はいったい」
「いいんだ」
ユーリはそっとテンの肩に手を置いて、首を横に振った。
「何も言わなくていいんだ、人は誰しもそういうものなんだ」
「そっか……」
「かくいう私もそうだとも。包容力……いい言葉だ」
奇遇にも、ユーリもまたテンと似たような性癖(こころざし)を持つ男であった。
ロリよりはお姉さん。包容力で優しく包み込んでくれるような理解者。
「それでいて、そうだな、あなたのようにモフモフした感じの……」
「えっ僕!?」
「いや違う。語弊があった、すまない。こう、ケモミミというか……」
割とこだわりがあった。ひょっとして脳裏に具体的な姿思い浮かべてませんか?
「そして胸もやや大きめで……」
「う、うん。よくわからないけど、なんとなくわかったよ」
テンは深入りしないことにした。好奇心は猫をも殺すのだ。
「だが今後は気をつけるべきだ。あんないかがわしい……いや、
大事な……いや、贅沢な……いや、危険な……そう、危険な品を!」
「一人で読んだらダメってことだよね。だいたいわかったよ」
漏れかけた本音には触れないことにした。好奇心は猫をも殺すのだ!!
一種のシンパシーと相互理解を得た二人。
種族の垣根を越えた『男子』の世界への入場を見守ったクロト。
ふっと大人びた笑みを浮かべながら、ぱたんと本を閉じた。
「――ご馳走様です」
あ、こっちもこっちでご堪能されてたんですね。
大丈夫かこの空間。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジューク・グラモフォン
エロ本……?
なあに、それー?
ボク、あんまりキマフュー以外の世界のこと詳しくないんだよねー?
でもでも、何だかステキなモノっぽい!
よーし、ボクも頑張ってお手伝いするね!!
へー、コレがエロ本かぁ
みんなもこういうのよく見るの?
あ、ねーねー!コレ見て!?
なんかすっごいよー!!!!(こっそりしてる皆のエロ本を見せびらかしたり、言いふらしたりします。悪気はナイヨ)
え?大声出しちゃダメなの?
でも皆で探した方がきっと早く…うーん、分かった、かな?
ボクももっと探してみよーっと
〇性癖
歌声がキレイな人がいいなぁ(声フェチ)
あ、それから、ボクが硬い(本体:ジュークボックス)から柔らかそうな人!(肉感的な女性好き)
薬袋・布静
【SPD】
他人の宝を漁るのは男でも心が躍る
良く女性陣がしたくなるのも解る、が…
それは結局他人事であるからだ
目の前に広がる宝の山という名のエロ本見つめ
にしても、こんだけの数だ
ジャンル絞って確認した方が良さそうですよねえ
ええっと、確か…エロ本に移動した祭具は依代なんでしたっけ
これは、もしかして――邪神の好みのエロ本探す流れでは?
俄然やる気が出たましたわ
よっしゃ、いっちょ邪神の性癖暴露したりましょう!
ええ、ええ、きっとそれはもう!
素敵なご趣味をしているんでしょうねっ!
宝探しをしようじゃないか
男はいつだって少年の心を忘れない生き物だ
自らエロ本に移動したのだ
邪神だってそうに違いない
性癖:泣き顔
御剣・疾風
男子学生は何故落ちているエロ本に惹かれるのか
禁断と言われる物に触れたくなる好奇心ゆえか
いや、男は単に誰もスケベなだけだと思うんすけどね?
なんにせよ祭具は真面目に探しますよ
本を確認する際は少し離れた場所から
ユーベルコード使って透明化しますわ
常時透明化は疲れますからな
ふむふむ、これは中々
とはいえ絵柄や登場人物の性格も重要ですな
心に刺さるかどうかが大事ですからのー
あと体位とかアングルとか表情とか
……いやメインの目的は見失いませんよ?
本当ですよ?
性癖:メインは巨乳、スタイルがよい女性だが
スレンダー、ロリ、熟女
純愛、NTR、異種姦
百合、ショタ等々
要するにかなりの雑食
(刺さらない性癖もある)
アドリブ歓迎
●宇宙、生命、すべての答え
――男子学生は何故、落ちているエロ本に惹かれるのか。
古今東西、数多くの知識人や学者、はたまた偉人がこの命題に挑んだ。
そして敗北した。古代ギリシャからその歴史は続くと言われている。
「禁断と云われるものに触れたくなる好奇心ゆえなのか……」
哲学的とも数理的とも言えるこの稀代の難問は、人類の大きな課題だ。
聞いたことがない? じゃあ今日覚えてください。そうなんです。
そんなわけで御剣・疾風は、顎に手を置いてじっと考え込んでいた。
「ほほう、興味深いお話ですねえ?」
そこへやってきた、どこか不安になる笑みを浮かべた謎の男。
なんだか物語のいいところでそれっぽいことだけ言って、
かといって具体的なことは何も云わずに姿を消しそうな顔をしているが、
こうみえてれっきとした猟兵である。名は薬袋・布静。
「他人の宝を漁るのは、女性陣はもちろん男でも心が躍るものです」
人類の歴史とは、すなわち略奪、奪い合い、それに伴う闘争の歴史だ。
たとえばアヘンである。これが実は中毒作用をもたらす薬物ではなく、
それはそれは魅力的なエロ本の暗喩だったことは言うまでもない。
知らなかった? じゃあ今日覚えてください。そうなんです。
「とはいえ、それはあくまで……結局、他人事であるからこそ。
宝を得たものはそれを守ろうとし、そこから争いが生まれるというわけですね」
「深いなあ~」
疾風はよくわかっていないような顔で頷いた。
「ま、ぶっちゃけただ男は単にみんなスケベなだけだと思うんすけどね!」
「身も蓋もないですねえ、事実ですが!」
あっはっはっは! と成人男性二人は明るく笑いあった。
ほんとに身も蓋もねえ。さっきまでの衒学的な雰囲気はなんだったのか。
「どうやらそちらさんもだいぶ集めたみたいっすね?」
万が一の危険に備え、透明化のためのワイヤーを展開しながら疾風曰く。
にこにこと笑う薬師は、なるほど山のような財宝を抱えている。
多分、これがいわゆるひとつなぎの財宝だろう。ありったけの夢詰まってるし。
「ふっ、もちろんポケットに(書店購入用の)硬貨もありますよ?」
「それと得難き友(フレンド)がいれば完璧っすね!」
よくわからないが二人はがっちりと握手を交わした。
「それはさておき。どうしましょうかねえこれ」
「一つずつチェックしてく、ってえのもまあ、それはそれでありがたい作業っすけど」
そう、手間である。祭具候補はきちんと読んでチェックせねばならない。
まあ別にその作業自体は、疾風の言う通りおそらく彼らには手間ではないのだが。
「そこでですねえ、妙案がありまして――」
「ねえねえ、なあに? これー」
「「うおうっ!?」」
ひょこ、っと横合いから首を突っ込んできた一人の少年。
そのあどけない言葉遣いとは裏腹に、体つきはしっかりしている。
見た目と相反した中身は、どうやら彼がただの人間でないことを知らせていた。
しかるにその通り。ジューク・グラモフォンは人間ではない。
ヤドリガミ――すなわち、長年を経た器物の精霊なのだ。
極めて珍しいことに、彼はその名の通りジュークボックスを本体とする。
「ボク、あんまりキマイラフューチャー以外のこと詳しくないんだよねー」
「お、おう」
「でもなんかステキなモノっぽいね?」
「まあ、そうですね……?」
「じゃあみんなに教えてあげなきゃー!!」
「「ちょっと待てぇい!!」」
大声で『ここにエロ本あるよ』の"エ"まで声に出しかけたジュークを、
慌てて疾風と布静が抑え込む。口を抑えてシャットアウトだ!
「んー!! むー!? むーっ!?」
「……この絵面、別の意味でヤバいのでは?」
「んなこと言ったってさすがにご近所さんに大声で知らせるのはまずいっしょ!」
苦肉の策であった。ジュークがタップしたあたりで手を離してやる。
「び、びっくりしたー! いきなりなにするの!?」
「それはこっちの台詞ですよ……さすがにそれは、ねえ?」
「いくら性癖の坩堝と呼ばれた俺でもそれはキツいっす」
むしろそんな呼び名があったのか。自称でも多少でもだいぶイヤだ。
「いいですか? とにかくまず俺の話を聞いてください」
「うん、わかった!」
おとなしく素直に頷いたジュークに、ほっと胸をなでおろす布静。
「まずですね、今回の件はそもそも、邪神の依代が自分から移り変わったわけですよね」
「「ふむふむ」」
「ということは? もしかすると祭具をエロ本に移したのは、邪神の意思かもしれない」
「「ほうほう」」
「……つまり、邪神の性癖を暴けば! 転移先がわかるんじゃないかと!」
「「なるほ……なるほど……?」」
どうです! みたいなドヤ顔の布静に首を傾げる両名。
不思議なもので、この男がニコニコ笑顔でこれぞ事実でございと言い切ると、
奇妙な説得力で信じかけてしまうのが、布静の恐ろしいところだろう。
「となればこれはもう性癖暴露をするしかない! ですよね!?」
「えっそれ邪神のっすよね? 普通に俺らの性癖暴露では???」
「よくわかんないけど楽しそー! みんなも呼んでく」
「「だから待てぇい!!」」
まるでいつ起爆してもおかしくない核爆弾を隣に置いているかのようだった。
なぜかはちゃめちゃにやる気を出している布静。ニッコニコ笑顔だ。
いやでもどうなんでしょうね、そうなのかな、そうかも……?
「なにせ邪神ですからねえ、ええ、ええ! きっとそれはもう!
ステキな! ご趣味を!! しているんでしょうねっ!!!」
「……やっぱエロ本色々読みたいだけじゃないっすか? 否定しねえけど!」
男二人はぐっふっふと悪代官めいた笑みを浮かべ合う。
「? よくわかんないんだけど、セイヘキってなーに?」
ジュークの純朴な問いに、二人はどう言ったものかと首を傾げ、
「男のたましい、ですかね」
「好きなモン……かなあ?」
それぞれがこのように返答した。
ジュークはしばし考え込んだあと、ぽんと手をたたき、
「あ、じゃあボクもある! えっとねーえっとねー」
「「ほうほう」」
この純朴無邪気な小僧っ子にまでちゃんと性癖があると?
なんだかんだ興味を持った二人はしげしげ耳を傾けた。
「歌声がキレイな人がいいなあ。あ、それからね、ボクが硬いからー」
「「硬い!?」」
「柔らかそうな人がいいなー!」
「「柔らかそう!?」」
そこは驚くところなのか。いまいちポイントがわからない。
「こりゃあ……アレっすね」
「ええ。邪神の性癖もそうですが……」
「???」
意味ありげな二人の目線に無垢っ面で首を傾げるジューク。
――この未来あるヤドリガミに、どうか素晴らしい性癖(たから)を。
男達の思いは、いまここで合致した。
「こういうのは心に刺さるかどうかが大事ですからのー」
「宝探しの時間ってわけですね。……男はいつだって、少年の心を忘れない生き物だ」
邪神だってそうに違いない。いや間違いなくそうだ。
残念なことに、ここにツッコミ役はいなかった。
ただ、熱い男達の人生(うた)があった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヒルデガルト・アオスライセン
私は曲りなりにも公爵令嬢ですので
煩悩に左右される事はございませんけれども
カッチリしたスーツ姿に憧れた日も御座いました
しかし流麗・精巧の類は、見慣れてしまう
もっと活き活きとした飾らぬ姿が見たい
そう言った物に心惹かれるので御座います
果たしてそんな本は存在するのでしょうか…
口は渋々、脚は機敏に、吸い寄せられるように迷い無く
ステップで空を切り地上から見えない位置を探します
遭遇したらそれは
聖者の血が、道を指し示したのだと考えましょう
…はーん、これは接収致しましょう
それがいいですわ
…祭具?何のことですの?
わたくしはオフに本を見に来ただけですわ
性癖は汗
男女問わず今を生きる姿
スポーツが妥当かと
アドリブご自由に
トルメンタ・アンゲルス
はあ。
何と言いますか、まあ……。
何でそんな、移ろい易い媒体を用意したんでしょうかねぇ?
それにしても、紙媒体の情報記録ですか。
俺の世界線には殆ど残ってないんですが……
データベースとかで、さーっと調べることは出来ないんですよね?
仕方ないです、足を生かしてどんどん調べていきましょう。
これはあくまで調査のためであって一つ一つ中身を確かめていかなければいけないのであって決して興味があるとかどういうのが魅力的なのか知りたいという訳ではなくやはり女性は胸がある方が良いのか悪いのk(ry)
ふむ……。
おお………。
うわ…………。
※「筋肉(特に腕や脚)フェチ」(無自覚)
※ジャンル「中年男性×壮年女性」好き(無自覚)
●このお二人がほぼ同時にご参加されたもはや運命
「はあ」
実に気の抜けた声であった。
銀河帝国攻略戦で戦場を縦横無尽に駆け抜けた、嵐の天使はどこへやら。
いやここにいる。状況がおかしいんだから脱力するのも仕方ないよね。
「なんと言いますか、まあ……」
トルメンタ・アンゲルスはかなりの、かーなーりーの間を以て言葉を探した。
「…………なんでそんな移ろいやすい媒体を用意したんでしょうかねえ?」
多分ねえそれ邪教徒の方々にもわかんないと思う。
問いかけたところで答えは得られない(なにせまだ決まってないので)ため、
トルメンタはひとまず考えるのをやめた。任務だ任務、任務のこと考えよ!
「それにしても、紙媒体の情報記録……か」
彼女としては心惹かれる、というよりは興味深いモノである。
スペースシップワールド出身のトルメンタであれば、さもありなん。
もちろんスペースシップの中には旧き良き生活を模倣している船もあろう。
だが少なくとも、彼女が渡り歩いた宇宙では滅多にお目にかかることがなかった。
「データベースとかで、こう、さーっと調べられればいいんですけどねえ」
聞くところによると、ムフフな漫画はサブスクリプションサービスがあるらしい。
実写はどうなんでしょうね。まあなさそうですね。
「仕方ないです、足を生かしてどんどん調べていきましょう」
というわけで結論は、この世界でも同じところに帰結する。
だからって変身するわけにもいかない。変身したら大惨事である。
「とりあえずそれっぽい場所を――ん?」
そう、こんなとこでユーベルコードを、しかも機動系のヤツを使ったら大変である。
大変であるのだが、彼女の頭上をひょいーっと通り過ぎていく影があった。
「んん?」
しかもお嬢様である。どう見ても猟兵だ。
「んん!?!?!」
トルメンタはしばし考えた。でももう、考えるのはやめだ!
「あれ止めたほうがいいですよねえ!?」
バレてもUDC組織の皆さんがなんとかしてくれるので、実際はそんな問題ないのだが。
暴走特急をアレするようなはちゃめちゃダイ&ハードな仕事でばかりこの世界に来ていたトルメンタは、急いでその影を追うことにしたのである。
で、そのお嬢様らしき影。
「……――」
まごうことなきお嬢様である。彼女の名はヒルデガルト・アオスライセン。
いいとこの生まれではあるものの、求められる気性と実装された運用が合致しなかった。
そんなわけで彼女はぽーんと家を飛び出した。今こんな感じでスカイステッパーしてるように。
「なんとまあ、狭苦しい世界だこと」
ご令嬢はブロック化された住宅街と、息の詰まるようなコンクリートの密林に嘆息した。
庶民の暮らしとは実にせせこましいものだ。この世界はなんとも息苦しい。
「ましてや、煩悩に揺らがされ物漁りをするなどと――」
眼下では必死に宝物を奪い合う男子中学生達が、
ウォーシミュレーションゲームめいてちっぽけに見えた。
公爵令嬢である。そんな下卑た浅ましい行いなんてするわけがない。
わけがないのだが、
「――スーツよりは、もっと活き活きとした飾らぬ姿のほうが……」
ちゃっかり目星をつけたいご趣味はあるらしかった。
「! これは――」
その時である。彼女は第六感で何かを感じた。技能ではない。
いわばそれは聖者の血がもたらす超感覚。もしくはただの思いつき。
「……あそこね」
とんっ、と空中を蹴る。奇しくもちょうど10回目。
そして令嬢はふんわりと大地に降り立つ。立ち振舞は実に瀟洒に。
「まったく、こんな相応しからぬ行いをすることになるだなんて……」
ふぁさぁ。銀髪を実に手慣れた動作にかきあげ、渋々とした口ぶり。
ちらっ。落ちている本を盗み見る。表紙に踊る瑞々しい肉体。
「……公爵令嬢たるわたくしに課せられるには、実に下等な仕事ですわ」
きりっ。腕組みしていい感じの角度でつんと彼方を見やる。
……ちらっ。視線は同じところへ。おお、たくましきあの肉体。
「まったく本当に、猟兵の仕事というのは――」
「ちょっと待ったぁ!!」
「はぁっ!?」
ギャキキキキ! とコメディめいてブレーキを踏みつつやってきたトルメンタ。
思わず素の声で驚いたヒルデガルドだが、すぐに咳払いで猫を被り直す。
「……驚かせないでくださいます? 騒々しいですわね」
「ええ……いや、まあいいでしょう。あなた猟兵ですよね?」
「そうですが? ……なにか?」
スッ。さりげなーく視線を遮ろうとするヒルデガルド。
サッ。持ち前の機敏さで後ろのワオ……な本を確認するトルメンタ。
「なるほど」
「何がですの」
「いや大丈夫ですよ」
「だから何がですの」
「これはあくまで調査のためであって俺達が中身を検分するのも必要なことであり決して興味があるとかないとか世のニーズを知りたいとかそういう話ではなくやっぱり女性は胸があるほうがいいのかとか」
「わかりましたから落ち着いてくださる!?」
沈黙。
「……ほら、ね? 祭具の仕事があるじゃないですか」
「わたくしはオフで本を見に来ただけですわ」
「えっ」
「だからあなたはどうぞ別のところへお行きになって?」
「あ、いや」
「読みたいなら不問にしてあげますけれど?」
「………………………………はい」
よろしい。ご令嬢はなぜかペースを握ってトルメンタをお許しになった。
そして二人は静かに、しかし猫めいて不敵に本を拾い、読む。
題名、『滾る汗! ぶつかる肌! 筋肉祭りワッショイ!!』
「「…………」」
ぺらり。
「「はーん……」」
ぺらり。
「「ほーう……」」
ぺらり。
「「おお……」」
ぺらりぺらり。
「「うわ……」」
看板に偽りなし。筋肉と汗とワッショイがそこにあった。
そうまさしくこれは運命。同好の士を呼び込んだ聖者の運命なのだ……!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
セリオス・アリス
アドリブ歓迎
エロ本なぁ…?
実物の方が断然いいと思うが
そう言うのも気になるもんなのか
とにかく足を使って稼ぐしかねえな
ひたすら町を歩き回って祭具候補を集める
もし誰かに見られてたとしても
堂々としてりゃ怪しまれねえだろ
んで、この中にあるかも…なんだよな
確かめるしかないか
ペラペラと適当に捲って確かめる
そういや好みもなにも考えたことなかったなぁ
まあまったくないよりある方がいいだろ?でかすぎるのは勘弁だが
あとは―…
金髪、青目、人の良さそうな整った顔
でも流されるばっかは面白くねえ芯の強さもでてて
そんでなよっちい手よりしっかりした強そうな手の方が…
ん?なんか、知ってる誰かを思い出すような
気のせいか…?
フェチ:手
ノイエ・ウインタース
「おとこのせかいとあらばたちあがらざるをえない!です!(だだん!」
男らしさを求めて何か良く判らないまま異様に奇妙な集団に紛れ込みます。
えっちい本とはなんぞ?ともあれ本を探しているという事だけは把握
【POW】
共闘アドリブ歓迎。
「祭具、というのはわかりますが、えっちいごほんとはいったい…。」
一先ず、落ちてる本と言う本を【追跡】して集めてみましょう。紙の匂いがするくんくん
男らしいものは他の人に判断して貰えば良いですよね
何かしら集まったら誉めてもらいましょう。ほめてー
何方かの追加ダイス扱いになれば幸いです。
邪魔になったら襟首つままれて「わうー」っとぽいっちょされましょう。
性癖:なんですかたべものですか
紅呉・月都
【POW】
ムルへルベル、後でその本見せろよな
で、本探し…もとい祭具探しだったか?
公園に本が大量に…っつーのもおかしな話だが、どっから探すかなぁ
そーいう本ってあれだろ?
あからさまに見えるとこにはねーんだよな?
木の洞とか遊具の奥とかその辺の影を探してみっか
コレが祭具…なぁ?
ぺらーん、とめくって顰めっ面
“ムフフな本”……俺にはよくわかんねぇ
あっけらかんと言うヤドリガミにはまだその良さはわからず
ま、こんだけありゃ一つくらい当たんだろ
当たんなきゃ誰か欲しい猟兵(やつ)に渡せばいいか
・性癖…今はまだ不明
・アドリブ歓迎
山梨・心志
わかります
わかる
めっちゃわかる
わかるで……!!
薄い本はロマンやんな!青少年のひとつなぎの財宝やんな!!!
……ごほん
一般人を巻き込むなら一刻を争いますね
速やかに回収しなければ
……他意はありません。ええ
本を……いえ、大事な【物を隠す】のは得意です
つまり、自分ならどこに隠すかを考えそこを重点的に探せばいいということ(眼鏡クイッ)
思い付く場所に影で作ったおもちゃの追跡隊を派遣して探してみましょうか
何かの役に立つかもしれないので、厳重に梱包し落としても安心仕様の
俺の宝物(薄い本)を触媒に持っていきますか
春の新刊です
通販で買いました
祭具に変化したら泣きます
(読み物ならBL好き
性癖なら年上お姉さん)
●まあそんなわけで1章終わりますね
「…………おかしくねえ!?」
セリオス・アリスは道のど真ん中で大声を上げた。
道行くマダムや女子高生が、彼を見てひそひそと何かを囁き合う。
「っといけねえ……いやでもやっぱおかしいだろ」
彼は悩んでいた。というより納得がいっていなかった。
なぜか? というかそもそも、彼は一体これまで何をしていたのか?
「エロ本なんて拾ったことねえんだから、足使って捜すしかねえだろうよ……」
そう、彼はとにかく手当たり次第に街中を歩き回り、それらしい書物がないか探し回っていたのだ。
さながら昭和のベテラン刑事めいた、実に根性と気力の要る作業である。
「……なのになんでねーんだよっ!?」
そう、なかったのだ。びっくりするほど見つからなかった。
おかげで彼は完全に徒労を味わい、こうしてとぼとぼぶつぶつと不平不満を漏らしているわけである。
「おいおい、マジで言ってんのか?」
「あん?
そんな彼の背中にかけられた声ひとつ。振り向けば赤髪の男。
セリオスからは見知った顔だ。紅呉・月都、ヤドリガミの青年である。
「なんだよ月都か……ダークセイヴァーの時以来だっけか?」
「んだな。いやそれよかセリオス、お前、マジで言ってんのか?」
月都は繰り返し問いかけた。セリオスには何のことだか皆目見当もつかない。
首を傾げた様子のセリオスに、月都は呆れた感じの溜息をついた。
「あのなぁ……そーいう本があからさまに見えるとこにあるわけねーだろ?」
「いやまあ、そう……なのか? そうなのかもしれねえけどさ」
だとしても、彼が当たった場所のことごとくが不発だったのはおかしい。
そう言いたげなセリオスの視界に、月都の後ろからぬっと新たな人影が現れた。
「やれやれですね、お二人ともなんともアマチュアなことです」
「……誰だこのメガネ」
怪訝な顔をするセリオスに、仮称メガネはフッとキザな笑みを浮かべた。
しかもいちいちクイッと眼鏡を直したりもする。う、鬱陶しい……!!
「いやあ、実は探してる途中に知り合った猟兵でよ。たしか――」
「山梨です。山梨・心志。まあどうぞよろしく……ということで」
眼鏡クイッ。ただならぬカッコつけオーラにセリオスがうげっという顔をする。
「なんだこいつ……」
「いやこれが意外とすげえんだって! 見てみろよ!」
微妙にテンションの上がった月都が見せたのは……おお! 宝の山!
「うわっなんだこの量、めちゃくちゃあるじゃねえか」
セリオスが驚くのも無理はない。なにせ彼は足が棒になるまで歩き続けて、
拾うどころか一冊たりとも、影も形も見つけることが出来なかったのだから。
「だろ? 全部こいつが見つけたんだよ、な?」
「ええまあ、男子として当然のことじゃないですかね?」
眼鏡クイッ。鬱陶しいゲージがどこぞの仮装大賞じみた勢いで上昇していく。
「まあ仕事が捗るのはいいけどよ……なんでそんな勝ち気なんだ」
「なー。不思議だよなあ、ムフフな本っていまいち俺にはよくわかんねぇぜ」
月都が何の気なしに言った瞬間、心志のレンズがぎらりと不穏な輝きを帯びた!
「違うでしょう……!!」
「「うおうっ!?」」
イケメン二人は思わずびくりと身をすくませた。
けして怒声だったわけではないが、放たれる"圧"がすさまじかったからだ。
「違う。めっちゃ違う。ちゃうで……!! その反応はちゃうやろ!!」
心志、地の関西弁をぽろっとうっかり出しながらまくしたてる。
「エロ本やで!? 薄い本やで!? どう考えても男のロマンやんか!!
いわば青少年のひとつなぎの財宝やん、それをなんやわからんとかカマトトぶりよってからに!!」
「「ええええ……」」
さしものセリオスと月都ですら、色々言葉を失うレベルの剣幕であった。
だが心志君よ、君は間違っていない。
普段から関西弁を隠してカッコつけ口調を通しているあたりからして、
君は何もかも完璧だ。16歳男子たるもの、それでいいのだ!!
でもまあ二人が興味ないというかピンと来ないのも仕方ないよね。
色々大変な生まれだったりヤドリガミだったりするからね。多様性と未来ですよ。
「……ごほん」
閑話休題。心志は我に返って咳払いをすると、眼鏡をクイッとした。
「一般人を巻き込みかねない状況、いわば一刻を争う事態です。
無理解や偏見が仇になってはいけません、もっと臨機応変に速やかに対処すべきかと」
「「なんだこいつ……」」
セリオスと月都はちょっとヒいていた。だが不思議と妙な敬意も湧き上がっていた。
いまいちエロ本のよさはわからないが、これほどの熱意、そして執着!
男子たるもの、イケメンだろうがなんだろうが心の裡から湧き出るものがある……!!
あるんです。そういうことになりました。なので彼らは苦言を呈さなかった。
「……ま、まあなんにしてもだよ」
妙なことになった空気を、セリオスがちょっとぎこちなく引き戻す。
「そんだけあるなら、とりあえず一つずつ確認して祭具かどうかを確かめ――」
「祭具と言いましたか!?!?!?!?!」
「「「うおおおっ!?」」」
今度は三人揃って妙な声をあげてびくっとするターンであった。
あまりにも唐突に話に割り込んできたのは、三人の腰にも届かぬ小さな少女……いや。
「なんだお前、よく見たら男じゃねえか」
月都が最初に見抜いた。しかもよく観察すれば、この子供人狼である。
「猟兵か? ん、まさかお前……エロ本探しに来たのか?」
こんな子供が? 猟兵の風紀とかどうなってんだと少し不安になるセリオス。
「えっちいごほんというのはよくわかりませんが!!」
一方の人狼少年、尻尾をぶんぶん振りつつスパァン! とキレよく手を挙げる。
「おとこのせかいとあらば、たちあがらざるをえない! のです!!
ノイエ・ウインタース、てーこくどおりにただいまさんじょー! であります!!」
「……何もかもまるっきり理解してへんまま来たやつやんこれぇ!!」
ズビシィ! ガチ関西人の鋭いツッコミが炸裂した! ナイス心志!
「さすがにこれはまずくね?」
「やべえよな、かといって勝手に返すわけにもいかねえし」
意外にも割と常識のあるイケメン男子二名はひそひそと話し合った。
しかしですねえこのノイエ君、目をキラキラさせながらいそいそ何かを取り出すのです。
しかも服の下から。
大事そうに装束の下にしまっていたんですね。ノイエはかわいいですね。
「はい!! えっちいごほんをおもちいたしました!!!!!!!!!」
「「「いやいやいやいや」」」
6才児の全力放電ハイパー元気大声を慌てて押し止める男子三名。
ご近所様が聞きつけたらどうなることか。面倒事は避けたいところである。
めちゃくちゃ褒めてほしそうにしている駄犬をかかえ、そそくさと物陰へ。
……これはこれで、事案なのでは?
●まあもちろん祭具は見つかるんですけども
「……ええっ!!!!!! えっちいごほんはいけないものだったのですか!?!?!??!」
「だから! 声が大きいっつーの!」
「まあ堂々としてれば怪しまれないだろうけどよ」
「それはそれで逆に胆力ありすぎますよ毛でも生えてんですか」
というわけで公園の物陰。
車座になった一同は、ノイエに(悪影響が出ない範囲で)エロ本のなんたるかを教授し終えたところである。
「なんだかんだ一冊増えたしいいんじゃねーの? さっさと確認しようぜ」
月都はひょいっぱらぱらぱら、ひょいっぱらぱらぱらとありがたみもなんもなく一冊一冊チェックしていく。
取り扱い方も割とぞんざいである。心志は眼鏡を上げたり下げたりした。
「いやー、読んでみてもよくわかんねえわやっぱ」
「だよなあ。実物じゃねえのに何がいいのか」
「………………!!(眼鏡を上げたり下げたりしまくる)」
同年代でありながら、世界や種族が違うとこれほどまでに感覚が異なるのか。
ノイエはそんな三人の顔を、きらきらとした顔で交互に見やる。
「あー、はいはい。よく働いたな。ほれ」
「わうー」
イケメン達がぞんざいに頭をなでてやると、ご満悦という顔で尻尾を振っていた。
「……いや、せやけど、じゃなくてでもですよ?」
最後の一冊を読み終えた心志が、怪訝な顔で月都とセリオスを見つめる。
「言うてなんかこう、性癖というか好みとか、普通男ならあるのでは……?」
顔を見合わせる二人。
「よくわかんねーわ」
と月都。心志は全力で眼鏡を上げたり下げたりクイクイした。
が、セリオスは顎に手を当て、じっと考え込んでいる。
「……んー」
「おっ、セリオスさんあります? 暴露いっちゃう!? 俺そういうの待ってたんやでほんま~」
「お前ちょいちょいテンション妙なことになるのなんなんだよ」
月都のツッコミをスルーしつつ、心志が興味津々にセリオスをじっと凝視。
しばしの沈黙の後、セリオスはこう言った。
「……まあ、胸はないよりでっけえほうがいいだろ?」
「うんうん」
「あとは金髪で」
「「ほうほう」」
「青目で」
「「「ふんふん」」」
「人の良さそうな整った顔で……」
「「「……んん?」」」
セリオスは続ける。
「でも流されるばっかは面白くねえ芯の強さも出てて、
そんでなよっちい手よりしっかりした強そうな手のほうが――」
「「「…………」」」
「……なんだよ。つかなんでノイエまで興味津々なんだよ」
「なんとなくです!!」
心志と月都は深刻な表情で顔を見合わせた。
……ここまでの具体的な性癖はもはや性癖ではない。特定個人を指している。
しかもあの口ぶりとセリオスの顔からするに、おそらく……。
(どうしましょうかね。これ俺ら突っついていいんですかね)
(いやあそっとしといたほうがいいんじゃねーかな……)
ひそひそと話す二人(と飛んでるちょうちょをぼんやり眺めてるノイエ)をよそに、
「……なーんか知ってる誰かを思い出すような……?」
妙に脳裏に印象に残る"手"のイメージとともに、首を傾げるセリオスであった。
まあピンとくるわけもないよね。そうかあお料理上手な方の手のほうが……。
「いやそれよかよ!」
「あ、そうだよ。祭具なくね?」
「おお、そういえばそーですね!」
目的を忘れかけていた三人。おそらくこれで公園中のエロ本は全てだ。
「移り変わるって話だし、また別のなんかになったんじゃねーの?」
月都はあっけらかんと言うが、そこで心志の様子が急変した。
「どうした? なんか妙に汗吹き出してるけど」
セリオスが問いかければ、心志はぎぎぎぎぎ……と錆びた人形めいたぎこちない動きで、己の鞄を開く。
鞄というかジュラルミンケースである。厳重梱包すぎる。
「……この中には」
「「「この中には……?」」」
だくだくと脂汗を吹き出す心志の手が、ぱちぱちとロックを解除する。
「俺が何かの役に立つかもしれないと持ってきた、俺の宝物が入ってます……」
「なんでそんなもん持ってきてんだよ!」
「なんの役に立つと思ったんだよ!!」
「よくわかりませんがおばかですね!!」
怒涛の三連ツッコミである。
「は、春の新刊……壁サーの『プリティへそゴマ』さんのBL本なんですよ……」
「「えっ」」
「お、俺、これが祭具になってたら、俺……!!」
ぶるぶると震える手が、ジュラルミンケースを開く……!
……数分後、夕暮れに慟哭が響き渡った。
地面に突っ伏し滂沱の涙を流す一人の男を、青年達はただ見下ろすしかなかったという……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『六一一『デビルズナンバーはくし』』
|
POW : 悪魔の紙花(デビルペーパーフラワー)
自身の装備武器を無数の【白い紙製】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 悪魔の紙飛行機(デビルペーパープレーン)
【超スピードで飛ぶ紙飛行機】が命中した対象を切断する。
WIZ : 悪魔の白紙(デビルホワイトペーパー)
【紙吹雪】から【大量の白紙】を放ち、【相手の全身に張り付くこと】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:FMI
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●終わりの始まり
「さ、祭具を確保されました!」
「なんだと!?」
「くそっ、UDCの奴らめ!!」
邪教徒達は闇の中でささやきあった。
彼らの尽力もむなしく、祭具は猟兵の手に落ちてしまったのだ。
「もはや仕方ない、こうなれば禁呪を使って強制的に儀式を執行する!!」
「なんですって祭司長! ですがそんなことをしたら!!」
「そうです、我らの神に捧げるべき生命力は一体どこから!?」
よもや自分達が犠牲になるのかと、邪教徒ながら一般人である彼らは総身を震わせる。
だが祭司長と呼ばれた男は、この上なく邪悪な笑みを浮かべた!
「生命力はない。だがそれに匹敵するパワーならここにある……!
さあ我らの神よ! 溢れる活力を受け取り降臨めされよーっ!!」
カッ! 逢魔時の空に稲光が轟いた……!!
――同刻、住宅街にて。
「いやあ~今日は収穫だなあ」
ほくほく顔の男子中学生が、戦利品のエロ本を大事そうに抱えている。
「ほんとほんと、僕も好みの本拾えちゃってさあ」
「やったぜ! これで俺達の学生生活も安泰だ!」
だが見よ。彼らが大事そうにしまおうとしていたエロ本が……突如として開いたのだ。
「ん?」
「アッ!?」
「ウワーッ!?」
おお! そしてエロ本がひとりでに……ぱらぱらと、ほどけていく!?
「「「俺達のトレジャーがーッ!?」」」
なんたることか。さらにそれらは風もないのにひとりでに舞い上がり、
あろうことか……嗚呼! ALAS! こんなことがあってよいのですか神よ!?
ムフフな写真、アハーンな漫画、いや~んな文章、そのことごとくが!
「「「アアアアアーッ!?!?!?」」」
するりと溶けて消えていく……ただの白い紙に変貌してしまったのだ!!
あまりにも超自然的な現象に、男子中学生達はがくりと崩れ落ちる……!!
……そしてこの恐怖の現象は、そこかしこで起きていた。
「ウワーッ俺の『2016年キミに送る痴漢天国』がーッ!?」
「アイエエエ! 拙者の『ドキドキ悦楽天』がああああ!!」
「(お気に入りの写真集が白紙になったことに泡を吹いて倒れる)」
次々にエロ本が解け、白紙に変わり、公園目指して飛んでいく!
無論それは猟兵が手に入れた宝物もだ! なんたることか!!
これこそ邪教徒達のとった禁呪、デビルズナンバーの強制召喚儀式!!
……崩れ落ちた男子中学生達の体から、黒い靄がもわもわもわと溢れ出る。
それらは白紙――いや、デビルズナンバー"No.611"『はくし』とともに、
さながら黒雲めいて公園の上空にわだかまり、渦巻き始めたのだ。
「ハーハッハッハッハ!!」
祭司長が高笑いする!
「見よ! これこそ我らの神に捧げられるべき力強き活力!
希望から絶望への相転移、エロという希望を失った男子どものネガティブエナジーだ!!」
エロ本などという媒体を選んだのは、すべてこのためだったのか……!!
急げ猟兵よ、一刻も早くデビルズナンバーを倒し、エロ本を取り戻せ!
あるいは性癖(ゆめ)を打ち砕かれた少年達に、君達の性癖(ひかり)を見せてやれ!
絶望の闇を晴らさぬ限り、邪神は降臨してしまうのだ……!!
●2章追加ルール
基本的な戦闘プレイングに加え、以下のいずれかが1つでもあると、
ダイスが追加されます。
1.エロ本を奪われたことに対する絶望の叫びと、それを乗り越える具体的方法。
2.絶望した男子中学生達を鼓舞する台詞(後述)
3.取り戻したいエロ本の内容。
●2.について
これは割と自由です。
『実は俺にはこんな性癖があるんだ! あきらめるな!!』
みたいな己を恥じない性癖暴露であるとか(1章でやってる? もっとだ)
『エロ本はなくなったかもしれないが、実は俺は過去にちょっとだけエロい体験をしたことがある……』
などの自分語りでもいいでしょう。
ただし男子中学生達は繊細です。少年のハートを著しく傷つけられ、もはやガラスのミドルティーン状態。
あんまりにも過激だったり直接的すぎるのは、却って彼らを野生化させ、
リア充への怒りを雄叫ぶ恐るべきゴリラに先祖返りさせてしまうでしょう。
『学生時代に消しゴム落としたら隣の女子に拾ってもらえた』ぐらいの健全さでお願いします。
●これらの内容のあるなしによるダイスの差異
普通の戦闘プレイング:ダイス1個で判定。
上記の内容やそれに類するもの:ダイス1+1不可説不可説転個で判定。
いじょうです。
石動・劒
前回までのあらすじ
白紙と化したエロ本を見て、エロ本の中の女たちが攫われてしまったことを悔いた浪人は自刃。気絶する
自動発動したUC喜死快生によって亡霊剣豪と化した劔はエロ本ロスト・クライシスに陥る少年たちを守るため、はくしへ立ち向かうのだった
いつまで腑抜けていやがるつもりだ、お前さんら!
現実にゃエロ本に負けねえぐらいの思い出があるだろうが!
女の子がふと伸びをした時に強調されるおっぱい!
噴水で濡れた女の子の足をタオルで拭う!
そんなことだって現実で起こりうる!それを希望に俺たちは生きて、戦い続けられるんだろうが!
さあ、俺の春画本「美しきロリヰタの世界」を取り戻すぜ……!
実は性癖:ロリ
●これまでのあらすじ
「乳に病み/エロは枯野を/駆け巡る」
寂々とした辞世の句である。
やおら石動・劒は服をはだけ、逞しい上半身を顕にした。
「……然らば、いざ」
彼は士である。そして男である。
男子(おのこ)たるもの、女達を守ることこそ本懐なり。
ましてや斯様なおっぱいを。彼は躊躇なく刃を……ナムアミダブツ!
「グワーーーーーーーーーーッ!!」
さしもの劔とて、割腹の苦痛には抗えず、脂汗を滲ませて意識を手放しかかる。
おお、剣豪・石動よ。その侠気、まさにますらおの如くなり。
「ご、御免……」
がくり。侍・劔、口惜しくも気絶。
『…………』
ゆらり。
気絶した劔の影がひとりでに立ち上がり、揺らめく亡霊剣豪として開眼した。
幽世めいた双眸が、じとりと足元の勇士を見下ろす。その胸中、いかばかりか。
『ウッソだろオイ』
さもありなん。
●石動が斬る!(元エロ本を)
かくして黒雲蟠る鉄火場に、亡霊剣豪がざんと駆けつけた。
『いつまで腑抜けていやがるつもりだ、お前さんら!!』
勇ましい声! 俯いていたエロバカ小僧どもは泣きっ面をあげた。
『現実にゃエロ本に負けねえぐらいの思い出があるだろうが!』
「そ、そんなの俺達には……」
「席替えのたびに舌打ちされるし」
「修学旅行のキャンプファイヤーでフォークダンス踊ってもらえなかったし!!」
「下校中に通り過ぎた女子からクスクス笑われた!!」
おお、なんと悲痛な叫び。エロ本なんぞ拾ってるのが悪いと思う。
『――それでもだ』
亡霊剣豪は瞑目し、静かな声音で語った。
『女の子がふと伸びをしたときに強調されるおっぱい……』
「あ、あああ!」
男子の一人が震え始める。脳裏に蘇る甘酸っぱい記憶!
思い出せ少年達よ、君達割とそういうラッキーに出会ってるんだぞ!
『噴水で濡れた女の子の足をタオルで拭うとき……』
「えっわかんねえけど水泳の授業とかなら分かる!!」
「俺も!!」
「あと夏場とかこうかなり日光の関係でシルエット透けたりするよね!!」
『わかる(わか動・劔)』
「グレンキャノンを忘れるなんて!!」
男子達は色めきだった。さながらそれは光の巨人が子供達の声援を受けて立ち上がるように。
亡霊剣豪の言葉は、確かに彼らに性癖(ゆめ)を取り戻させ始めたのだ!
『そんなことだって現実で起こりうる……! それこそが希望ってもんだ。
だから俺達は煩悩(きぼう)を胸に抱いて、戦い続けられるんだろうが!!』
「「「お侍さま……!!」」」
男子達、はらはらと涙をこぼす。熱い、熱い男泣きであった。
哀しくて泣いているのではない、辛くて泣いているのでもない。
心の裡、魂の奥底より湧き出る熱が、この目頭を熱くしているのだ……。
『さあ、立てよ。立って戦え。そしてともに世界に光(エロ)を取り戻そうや』
飛来するデビルズナンバーを見返し、亡霊剣豪は莞爾と笑った。
『俺の春画本、"美しきロリヰタの世界"を取り戻すぜ……!』
「「「お供いたしやす、お侍さま!!」」」
(このへんで定番のBGMが流れ始める)
こうして、心強きお供を手に入れたわか動(るぎ)・劔。
だがそこへ恐るべき強敵が襲来する。はたしてロリヰタ連合は勝てるのか!?
次回、『壮絶! 亡霊剣豪死す!!(ユーベルコードの実体だから)』
ご期待ください!!
大成功
🔵🔵🔵
雷陣・通
うわああああああ!!
ゆかりちゃんがー!!
えっ……オッパイ先生……嘘だろ?嘘だと言ってよ!
(勝手に死んだと思い込む)
「……っ!」
ここで、折れちゃダメなんだ!
今こそ立ち上がらないと!
そして!!
はくしを倒す!
少年達を守り鼓舞するために走る
みんな!
諦めちゃだめだ!
例えエロ本が無くても俺達にはイマジネーションがある!
目をつぶるんだ……早く潰れぇ!(正拳)
俺達が冷たい視線のなか、焼き付けた躍動するオッパイ等高線、ヒップ曲線、太もも二等辺三角形、うなじ直方体
浮かぶだろ?
そうさ、エロはここにある!
俺達の心にパイアールツー(オッパイは2つあることを証明する公式って父ちゃんから聞いた)あるんだ!
性癖:オッパイ開眼
●ポケットの中のエロ本
亡霊剣豪がデビルズナンバー相手に死闘を繰り広げているその頃。
「う、うわぁあああああ!!」
雷陣・通は悲鳴を上げた。白紙になったエロ本、自刃した劔。
後者のほうがショック度段違いに高い。エロ本前にしてるんだから。
「俺のゆかりちゃんがー!! そ、それに、オッパイ先生!!」
不名誉極まりない敬称で切腹し(ようとして気絶し)た劔を呼ぶ。
「嘘だろ? 嘘だと言ってよオッパイ先生!」
すると悲しむ通の前にフワアっと光の玉が浮かび上がった。
呆然とする通。光の玉の中に、在りし日の劔の姿が見える。
『雷の、いいかい。よく聞いてくれ』
光の中の劔は語りかける。
『俺は多分死んでるだろうが、そのことでお前の親父さんや……、
エロ本を読ませなかった大人達を恨んだりしないでくれ』
「先生……」
『もし運良く生き延びて、(春画の)女達を取り戻せたらさ。
必ずお前さんに俺の自慢の春画を読ませてやるよ。約束だ』
光の中の劔は笑顔でオジギし、通に別れを告げて映像は終わった。
おそらく自刃前に残した映像なのだろう。どうやったのかはわからない。
「……っ!」
通は熱い涙を拭い、己を奮い立たせた。ここで折れてはならないと。
「今こそライトニングに立ち上がらないと! うおおおーっ!!」
そして駆け出す。おっぱい先生、忘れないよ……!
●バッチリミナー!
そして戦場!
「みんな! 諦めちゃダメだ!!」
膝を突く中学生達は、少年の声に顔を上げた。
「たとえエロ本がなくても、俺達にはイマジネーションがある!」
ぐっと拳を握り、瞼を閉じる通。
「目を瞑って、自分の理想を思い描くんだ……」
男子中学生達は困惑した。いきなり年下のエロ小僧に説教されたので当然だ。
しばらく沈黙していた通は、突然カッと目を見開き、中坊どもの目を突いた!!
「早く瞑れぇ!!」
「「「グワーッ!?」」」
物理的に視界を覆われのたうち回る中坊ども。無惨!
だが通は気にせず自論をぶつ。傍若無人すぎる。
「俺達が冷たい視線のなか、脳に焼き付けた映像の数々……。
躍動するオッパイ等高線、ヒップ曲線、太もも二等辺三角形、うなじ直方体!!」
「は、初耳すぎる」
「学問をなんだと思ってるんだ」
「でもパトスはすごいぜ!」
思春期男子ともなれば算数や数学の単語すらエロ単語に早変わりだ。
なぜここまでスルッと用語が出てくるのに通はおばかなのだろうか。
「どうだい、浮かぶだろ? 俺達の人生(エロス)が!」
「「「…………」」」
中坊どもの脳裏に浮かぶ薔薇色の片鱗……。
「俺もそうさ。オッパイ先生のおかげで、目覚めることができたんだ!
そう、これはいわばまさに……開眼! オッパイ!!」
なぜかパーカーを脱ぎ捨てる仕草をする通。
その有り余るリビドーに、中坊どもも心を揺り動かされた!
「あんたの言いたいことが」
「言葉でなく」
「心で理解できたぜッ!」
「わかってくれたか……!」
涙ながらに男子(おとこ)達は握手を交わした。
「オッパイ先生は死んだ、もういない。けど!!
俺の本(せなか)に、この性欲(むね)に! 一つになって生き続ける!!」
いまや少年達は無敵だ。オッパイという世界の真理がある限り。
彼らが発揮する力は、数式πr2=∞で導き出せるのだ!!
「みんな、行くぜ! 俺達の未来を取り戻すために!」
「「「ウオオオオオーッ!!」」」
隠してライトニングに男子達は征く。戦火の只中へ……!
(このへんで定番のBGMが流れ始める)
こうして恐るべきデビルズナンバーとの死闘に挑んだ少年達。
だが辛くもはくしを倒した通の前に、新たな強敵が現れるのだ!
お願い死なないで通! 章はまだ残ってる、ここを耐えれば邪神に勝てるんだから!
次回、「ゆかりちゃん(戦闘の余波で破けて)死す」 イェーガースタンバイ!
大成功
🔵🔵🔵
柊・明日真
【アドリブ歓迎】
【性癖:胸に貴賎は無い。おっぱいぶるんぶるんしてるのいいよね】
俺が絶望をぶち壊す!!!!!!!
おいガキ共、あの炎が見えるか?あれは俺のエロ本だ。俺のエロ本は!燃え尽きた!!折角厳選したのに!!!ちくしょうめええええええ!!!!
だがあの炎は今、この楽園を照らす大いなる光だ。失くしたもんはまた見つけりゃいい。
俺たちは何度でも立ち上がれるはずだ!
…それに考えてもみろ。
エロ本を奪われて悲しんでいられるのか?
俺たちのリビドーを踏みにじったあの野郎を!
ぶっ飛ばしたくはねえのか!!
怒れ!!お前らにはその権利がある!!
【復讐の刻印】『爆乳立志伝』を消し炭にされた怨み!万倍にして返してやる!!!
カイル・ヴァンガード
ウワーーーー!?NOーーーー!
ホワッツ!?なんで!?俺の隠し撮り麺類ふーふー大全集がーーー!!!!
絶版だったのに……。
……。
猟兵である俺たちが、中学生(同年代)の前で立ち止まるわけにはいかない
お前たち!
日常の中にもえっちは紛れている!
体操服の女子!
風の強い日の登下校!
二人きりの日直!
そこにフェチを、えっちを見つけるのはお前たちの妄想力だーーー!!
元気をだすんだ!
仇は俺たちがとる!
憎しみを込め、ドラゴニックエンドで攻撃だ!
外れたら「怪力」「2回攻撃」で戦う
うおおおエロ本の恨みーーー!!!
アドリブ、絡み歓迎
アルジャンテ・レラ
もし"書架"の書物が白紙と化したら黙ってはいられませんが……。
何故か今回ばかりは黙っていられそうです。
あくまで、私は、の話ですが。
……皆さん動揺しすぎでしょう。
何故そのように、この世の終わりのような顔をしているのです?
はあ……彼らに言葉をかければいいようですね。
最初からあれらの本はなかったのだと、そう思えばいいのでは?
……書物というものは、実に偉大です。
知識の宝庫ですから。
ですが、実際に己の眼球で見なければわからないことも確かにあります。
あなた方もそうしてください。
新たな世界を切り拓ける事でしょう。
おかしい。
真剣に言葉を選んだはずが……。
人の心はやはり未だ、私では理解が及ばないというのか。
杜鬼・クロウ
アドリブ、カオス歓迎
胸好き仲間とゆめを取り返してェ
本:黒髪ロングの巨乳女子、胸腹腋チラ見せ特集
信頼された上で俺だけに無防備晒してる風の写真が最高にエロくて俺好み
気持ち分かるぜ
俺も今さっき炎に揺られた夢の跡を見届けたばかりでよ(グラサン外し
袋とじのヤツまだ見てなかったのになァ…
けどな
ゆめってのはお前らが願う限り消えはしねェ
燃やせ(エロに対する)魂!
こんなトコで挫ける程ヤワなひかりじゃねェだろ!
誰もが抱く理想郷目指してエクスタシーしてけよッ
俺が示す(背中で
後は任せな
【煉獄の魂呼び】でフルボッコドン
俺は玄夜叉で属性攻撃・2回攻撃で竜巻の如く天へ
さっさと逝けや、オラァ!(恫喝、存在感でトドメの回し蹴り
●桃色の誓い
阿鼻叫喚の地獄……いや、叫喚すら絶えた荒野に、アルジャンテ・レラがやってくる。
そして嗚咽し悶絶する男子中学生や邪教徒(!)達を見渡して心底溜息をついた。
本から知識を得ようとするアルジャンテには、
エロ本(ゆめ)を奪われた彼らの気持ちが痛いほどにわかるはずだろう。
大事な書物が突然白紙と化したら、間違いなく黙っていられないはずだ。
「……なぜでしょう、今回ばかりは黙っていられそうです」
なぜだ、まったくわからない。鉄かなにかで出来ているんだろうか。
アルジャンテは思考を打ち切った。理解しなくていい気がしたからだ。
「それよりも……皆さん、動揺しすぎでしょう」
彼の目下の悩みは、一般人よりも仲間である猟兵達のほうである。
すなわちおっぱい連合の三巨頭。皆さんもご存知の通りの彼らだ。
え、知らない? なんで知らないんですか? じゃあ説明しますね。
まず"暮れなずむ巨乳フェチ"柊・明日真!
「俺の、俺の爆乳立志伝が……!!」
あそこで男泣きしてる赤髪がそうだ。
次に"素晴らしき厚唇フェチ"カイル・ヴァンガード"!
「ウワァアアアア、NOーーーーーーッ!! ホワッツ!?
なんで!? 俺の『隠し撮り麺類ふーふー大全集』がーーーー!!!!」
貴重な絶版本が失われたことに五カ国語で遺憾の意を表明してる金髪がそうだ。
そして"グラサン・ザ・腋チラ"杜鬼・クロウ!
「…………袋とじのヤツ、まだ見てなかったのになァ……」
ぱちぱちと燃え上がる夢の跡を前に佇むイケメンファッションリーダーがそうだ。
哀れ己の宝物を文字通り焼き捨てられた三人は、それぞれに黄昏れていた。
そんな彼らをジト目で眺め、アルジャンテは理解しがたいとばかりに頭を振る。
「なぜそのように、この世の終わりのような顔をしているのです?
いい加減にしっかりしてください。オブリビオンが現れたというのに……」
だがアルジャンテの言葉は届かない。彼にはその理由もわからないのだ。
なのでとりあえずあの三馬鹿はほっといて、一般人に意識を向けることにした。
しかしどう声をかけたものか。アルジャンテはしばし思案する。
……が、言うまでもなくこんな状況は初めてである。本で読んだこともない。
ええ~本当でござるかぁ~? ほんとに読んだことないんでござるかぁ~?
「おっほん!」
咳払いひとつ。気を取り直して男子中学生達に歩み寄る。
「いいですか皆さん。あんなものは結局、有害でそもそも成人向きの書籍です。
ならば、最初からあれらの本はなかったのだと、そう思えばいいのでは?」
男子中学生達は無言。アルジャンテは目を閉じたまま正論を振るう。
「……書物というものは、実に偉大です。知識の宝庫ですから。
あなた達がその叡智に惹かれ、心奪われたのも、ある意味では理解できます」
だが決まりを破るのはいただけない。ましてやあんないかがわしい書物を!
それはさておき、アルジャンテには実感があった。
「ですが書物で得られる知識だけでは、何事も限界があるのもまた事実。
実際に旅し、己の眼球で見て、肌で感じなければわからないことも確かにあるのです」
これまでの幾度となき戦い、冒険、あるいは日常を思い返す。
そのひとつひとつが、アルジャンテにとっては宝石のような宝物なのだ。
「だから、あなたがたもそうしてください。
そうすれば、新たな世界を切り拓けることでしょう。私が保証します」
……アルジャンテは、少しだけ誇らしい気持ちに胸を包まれた。
何も知らない自分でも、これまで体験してきた、歩んできた道程がある。
それをこうして、誰かに語ることが出来る。その事実が嬉しいのだ。
「「「…………」」」
「……あれ」
だが男子中学生達は無言である。アルジャンテは首を傾げた。
なにも傲慢ぶるわけではないが、それなりに説得力はあったという自負がある。
なるべく言葉を選んで、彼らのような若者にもわかりやすいよう噛み砕いたつもりだ。
やはり自分にはまだまだ知らないことがあるのだろうか。
アルジャンテが少しだけ、寂寥感を覚えた……その時!
「「「うるせえ!!!!!」」」
「うわっ」
くわっ!! と顔を上げて目を見開いた中坊どもに気圧されるアルジャンテ。
彼らは歯茎を剥き、ゴリラ一歩手前の凶悪な双眸で彼を睨みつける! コワイ!
「「「ガッコの先生みたいなこと言いやがってェーッ!!」」」
「いえ、私は特に教職に就いているわけでは」
「「「そういうとこだぞ!!!」」」
「ええ……」
中坊どもはスロードラミング(ゴリラ化初期段階に見られる特有の行動)を行い、
アルジャンテを威嚇する。いけない、このままでは彼らはゴリラ化してしまう!
「お、おかしい。真剣に言葉を選んだはずが……」
困惑するアルジャンテ。その時三馬鹿、もといおっぱい三巨頭の目が光った!!
「……どきな」
「あ、明日真さん?」
立ち上がった明日真は、極めてシリアスな表情のままアルジャンテを押しやる。
さらにカイルがアルジャンテの肩を叩き、クロウが静かに頷いた。
「アルジャンテ、お前は十分頑張った」
「カイルさん……?」
「だがなァ、こういうのは"プロ"に任せとくもんだぜ。しっかり見てな」
「プロってなんのプロですかクロウさん」
男達は取り合うことなく、アルジャンテを退かせ代わりに前に出る。
ゴリラワーク(ゴリラ化第二段階に見られるゴリラめいた行動)で威嚇する中坊ども!
「おいガキども、あの炎が見えるか?」
「「「ウホゥ……?」」」
ゴリ……中坊どもは、明日真の指差す先……火柱を見た。
「あれはな、俺のエロ本だ」
「俺のエロ本でもある」
「俺の宝でもあるなァ」
哀切にまみれた声音。三人は互いの悲哀に満ちた瞳を見つめ合い、頷きあった。
「俺の……俺達のエロ本は……」
肩を震わす明日真。頭を振るカイル。なぜか震える手でグラサンを外すクロウ。
「俺達のエロ本は! 燃え尽きた!!」
「せっかく厳選したのに!!」
「畜生ォめェエエエエエ!!」
グラサンを投げ捨て……るふりはするが投げないクロウ。お気に入りだし。
「おっぱいぷるんぷるん!!(怒りの度合いを示す明日真の叫び)」
「畜生一体誰がこんなことを!!」
「……この通りさ。だから俺達にも、お前らの気持ちはわかるんだぜ。
なにせ今言った通り、炎に揺られた夢の跡を見届けたばかりだから、よ」
ゴリラ……否、男子中学生達はドラミングを止め、三人の言葉に聞き入る。
「だがあの炎はいま、この楽園を照らす大いなる光だ。なにせエロ本が燃えてる」
俺達は確かに失った。だが、失くしたもんはまた見つけ出せばいい……」
「そうさ。性欲(ゆめ)ってのは、お前らが……いいや、俺らが願う限り消えはしねェ」
明日真の言葉をクロウが次ぎ、どんと胸を叩きながら言った。
そしてカイルが、拳を握りしめ震わせる。彼らを奮い立たせるために!
「お前達! いいか、日常の中にもえっちは紛れている!!」
くわっ! カイルが大きく目を見開く!
「体操服の女子!」
「はっ!」
中坊の一人が目を見開いた!
「風の強い日の登下校!!」
「ううっ!」
二人目の中坊が当惑した!
「二人きりの日直!!!」
「あああっ!」
三人目の中坊が天を仰ぐ!!
「そこに真実(フェチ)を見つけるのは、お前達の妄想力なんだーッ!!」
ガガーン! 一同の背景に雄々しき電流が走る!
「お前達は何度でも立ち上がれるはずだ! 俺達がそうであるように!」
明日真が勢いづいて呼びかける!
「魂(したごころ)を燃やせ。こんなトコでくじけるほど、
ヤワな性癖(ひかり)じゃねェはずだろ!!」
くわわっ。クロウが目を大きく見開いた!
なお、アルジャンテは後ろでドン引きしている。
「……それにな、考えてもみろ。エロ本を奪われて、悲しんでいられるのか?」
明日真はさながらアジーテータめいて呼びかけた。
「俺達のリビドーを踏み躙ったあの野郎を! ぶっ飛ばしたくはねえのか!!」
「そうだ! 元気を出すんだ!」
「「「……!!」」」
衝撃を受ける中坊達。だが彼らは悲しきかな所詮は一般人。
そんな彼らを見、一点優しげな声音でクロウは呼びかけた。
「お前らは自由だ。誰もが抱く理想郷目指して、成長(エクスタシー)してけばいい。
……そのやり方は、俺達が背中で示す。だから安心して……任せときな」
「「「ア、アニキ!!」」」
恫喝しておいてから優しくする。完全にインテリヤクザの手口だ。
だがクロウは一人ではない。ともに肩を並べる同志(なかま)がいる!
「なあ兄弟。俺達、こんな当たり前な答えに辿り着くのに時間がかかっちまったな」
愛武器を担ぎながら、明日真がふたりに言った。
カイルはふっと笑い、彼にこう答える。
「いいさ。おっぱいはすべて貴賤なく素晴らしい……揺れる乳も、控えめな乳も、な」
「……腹も、腋もな」
「ハッ、なんだよ! 兄弟にも拘り(フェチ)があったのか!」
「こいつぁ敵わねえや!」
「「「ハハハハハ……!」」」
笑い合う男達。おもむろに彼らは、互いの武器を掲げた。
ガキン! 力強い音とともに矛が交錯する!
「我ら生まれた日は違えど!」
「死す時は同じ日」
「同じハズレ本を願わん!」
「「「我ら三人、性癖(ゆめ)に誓う!!」」」
そして見据える! 邪悪なる敵を!
「行くぜお前ら、ぶちかませェ!!」
「エロ本の仇ィイイイイ!!」
「フルボッコドンだオラァアアア!!」
「「「俺達もついてくぜアニィ達ーっ!!」」」
「…………」
怒涛の如き進軍を見送り、アルジャンテはぽつりと呟いた。
「ひょっとして私、かなり必要な知識と経験を学んでいるのでは?」
とっぴんぱらりのぷう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
印刷された本が白紙に……?
不可思議な術ですね
これがリサイクルというものでしょうか
それにしても何故あんなにも落ち込んでいるのか
まぁ魔術書の類が白紙になったと思えば分からないでもないが
一先ず落ち込む事が敵の力となるんですよね
それなら、ええと……、
ほら、オルハさん。何か励ましてやってくださいよ
ううむ……
紙、ではないですか。紙
生身の方が良いのではないでしょうか
柔らかいと思うんですが……いえ、触れたことはないですけど
なにか逆効果のような……?
あの、どうすれば、オルハさん
助けていただきたいんですけど
……は? 女の敵とは……
そういう人ってなんですか、ちょっと
俺にどうしろと言うんだ
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
白紙になってくれてちょっと安心……ううん、なんでもないよ
まぁ、ヨハンにとっての魔導書と
同じくらいの価値があるってことじゃない?
ヨハンがちっとも落ち込んでないのは嬉しいけど内緒
励ますって難しいね……
ほら、大事なのは本の中身じゃなくて現実だから!ね?
現実と向き合ういい好機だと思えばいいんだよ
……!?
ちょっとヨハン……、
生身の方がいいってどういうこと!?
や、柔らかい……って……!!
触れたことがないという言葉は耳に届かず
最低!ハレンチ!女の敵!
ヨハンはそういう人じゃないって思ってたのに……!
もう知らない!
うう、喧嘩したいわけじゃないのに
どうしてこの任務引き受けちゃったんだろう
●
あちこちで鬨の声が上がっていた。
そう、男子(おとこ)達による熱き逆襲が始まっていたのだ。
まさに彼らは紅蓮の開放者(リベレーター)……!
が、皆が皆そうというわけでもない。
中には、こんなケースも存在する。
●言ったはずだダイスは一個だと
ぱらぱらと空を舞うデビルズナンバー・はくし。
見た感じはただの紙飛行機なのだが、れっきとしたオブリビオンである。
「印刷された本が白紙に……? 不可思議な術ですね」
黒雲を見上げるヨハン・グレインは、極めて理知的に言った。
なにせエロ本に対して感情移入してないし特に情緒もない。
そういうとこだぞ17歳男子。そんなだから……そんなだからだぞ!
「なるほど。これがこの世界で言うところのリサイクルというものでしょうか。
たしかオルハさんはこの世界で何度か戦ったことがありますよね?」
「へっ!? ここで私に振る!?」
予想だにしない話題振りに、オルハ・オランシュはびくっと驚いた。
ヨハンの理解は斜め上なのだが、オルハはそんな彼から目をそらし、
「白紙になってくれて、ちょっと安心した、とか……」
「はい?」
「う、ううん。なんでもないよ」
挙動不審なオルハの様子に首を傾げつつ、ヨハンは視線を戻した。
うなだれ、嗚咽する男達。再びヨハンは首を傾げる。
「それにしても、なぜあんなに落ち込んでいるのか……。
魔導書のたぐいが白紙になったと思えば、わからないでもないですが」
「ま、まぁそういうことじゃない? うん、多分きっと」
オルハは相変わらず目を背けている。
さっぱり落ち込んでいない、というかそもそも理解できていないヨハンを、
彼女は少しだけ喜ばしく思う。平たく言うと嬉しい。が、もちろん内緒だ。
なんでって? そんなのお前……17歳男子! そういうとこだぞ!!
「まあともかく、見た感じ彼らの落胆が敵の力になっているようですね」
「そ、そうだね」
「そうなると……。……ええと。あー、ほら、オルハさん」
「へっ、私?」
きょとんとするオルハ。ヨハンは微妙に視線をそらしながら言う。
「なにかこう、励ましてやってくださいよ」
「なんで私!?」
「俺よりはこの世界に詳しいと思いますし……」
マルナゲ! あろうことか女子に無茶振りするという悪手!
オルハが怒り出さないだけ幸運だと思ってほしい。そういうとこだぞ!
しかも彼女は怒り出すどころか、おずおずと男子中学生達に歩み寄るのだ!
なんだこの子、天使か? はたまた大天使か? オラトリオなのか?
「えーっと、ほら、大事なのは本の中身じゃなくて現実だから! ね?
現実と向き合ういい好機だと思えばいいんだよ! だから元気出し、て……」
しおしおと声が小さくなる。顔を赤らめるのも当然であろう。
男子中学生達は無言で、顔を上げない。打ちひしがれているから……、
ではなく、ほぼ同年代の女子の眼差しにいたたまれないからである。
「ううむ」
失敗したらしい。ヨハンはどうしたもんかと苦心した。
仕方ないので彼女の隣に立つと、自分なりに説得を試みる。
「あー。紙ではないですか、紙。所詮ただの書物です」
男子中学生達はやはり無言。どこかから舌打ちが聞こえた気がする。
「オルハさんの言う通り、生身のほうがいいんじゃ……」
「は?」
「えっ」
緑色の瞳は愕然とした、信じられないようなものを見る表情だ。
「ちょっとヨハン……生身のほうがいいってどういうこと!?」
「え、いや……触ったことがないのでわかりませんが、柔らかいでしょうし」
「はあ!?!?」
「えっ!?」
めちゃくちゃ吊り上がった眦に割と素でビビり散らすヨハン。
「や、柔らかいって! な、そんな……しかも私のせいにするの!?」
「いや、でもさっき現実が大事って」
「生身のほうが大事!? こんな事態なのに!?」
「ええええ……」
オルハは完全にヨハンを睨みつける。赤面したまま。
繰り返します、赤面したまま! ヨハンは困惑する! 喜べよ!!
「最低……」
「え」
「最っ低! ハレンチ! スケベ! 女の敵!!」
「ええ!?」
「ヨハンはそういう人じゃないって思ってたのに……もう、知らないっ!!」
ぷいっ! 可哀想なオルハはそっぽを向き、肩を怒らせて歩み去ると、
ウェイカトリアイナを手にばさりと翼をはためかせて空へ!
「ちょ、ちょっとオルハさん? なんで逆効果になってるんですか!?」
「「「リア充……!!」」」
「なんで睨まれてるんですか俺。あの、助けていただきたいんですけど」
「「「リア充!!!!!!」」」
「そもそも女の敵ってそういう人とかどういうおいちょっとあんたらやめうわ」
「「「ウオオオオオオーッ!!」」」
一方、空の上。
「はぁ」
オルハは自己嫌悪に苛まれながら、上の空でデビルズナンバーを倒していた。
「喧嘩したかったわけじゃないのに……。
うう、なんでこんな任務引き受けちゃったんだろう」
それはこちらが聞きたいぐらいです。
だが仕方ないのだ、悩める少女の心は複雑なのだから!!
地上の悲鳴は聞こえなかったことにしよう。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
彩波・いちご
アイさんと引き続き
まぁ、私は消えて困るものとかは特にないですけど…
…アイさんの様子がなんか…ポーカーフェイスですけど内心焦ってるような…触れない方がいいですかね、ええ
とりあえず眷族を攻撃するため【フォックスファイア】を展開しつつ
「えと、アイさん、とりあえず何か男子を奮い立たせるネタって何を言えばいいですかね…?
寮のお風呂やトイレでばったりとかそういう話でも…」
と、アイさんに相談…してたら、アイさんが足を滑らせて倒れてきて
受け止めはするものの、縺れ合って一緒に転ぶことに
「いたた……大丈夫です、か…?!」
転んだ弾みに何でこうなったのか、なぜか私の目に前にはアイさんのぱんつが見えているのでした…
アイ・リスパー
いちごさんとデート……じゃなかった、任務です。
ああっ、電脳空間に量子暗号をかけて多重バックアップしたコラージュ画像と
さらに私のいちごさん隠し撮り写真コレクションが消えていきますっ!?
一緒にお風呂に入るとき、こっそりと撮りためてきたお宝がっ!
さらにお宝動画までっ!
心の中で血の涙を流しつつ、眷属を倒してお宝画像コレクションを取り返すことを誓います。
そんな内心はポーカーフェイスで隠しながら、男子たちを慰める方法をいちごさんと相談します。
「って、いちごさんっ、お風呂とかトイレのことは言わないでくださいっ」
慌てて口を塞ごうとしたら躓いてしまい
いちごさんの顔に跨る格好になるのでした。
敵はUCで攻撃します。
●こういうケースも当然ある
乱舞する紙飛行機! デビルズナンバー・はくし!
「紙なら、オブリビオン相手でもこれが効くはずっ!」
彩波・いちごはフォックスファイアを展開し、敵を次々に焼き払った。
だがはくしは無数に現れる! なにせ奴らはもともとエロ本なのだ!
具体的に言うと数えきれないぐらい居る。32個程度の狐火では追いつかない。
「え、えとアイさん、とりあえず男子を奮い立たせるネタって、
何を言えばいいんですかね……?」
「私に聞くんですか!?」
血の涙を流さんばかりのすさまじい勢いであったという。
アイ・リスパーは決意した。必ずや眷属を倒しお宝画像コレクションを取り戻さねばと!
……まあ、あくまで表向きはポーカーフェイスであったのだが。
「そうですね、やっぱりいかがわしいこととか……」
「いかがわしいこと……あ!」
何かを思いついたように、いちごが手を叩く。
「寮のあちこちでばったりとか、そういう話でも」
「ちょっ」
アイは慌てた。いやそんなこと言い出すのも大概どうなんだ!?
「いちごさんっ、寮のあちこちであったことは言わないでくださいっ」
さしものアイも慌てた。
さもありなん、彼女の頭の中はいま表情に反してパニック状態なのだ。
さりげなく日々の中で隠し撮りしてきたお宝コレクションすら、
はくしに奪われて……えっ動画まで? 邪神教団の魔術そこまで作用するの!?
もはやそれはユーベルコードではないだろうか? 世界は奥が深い。
「うわっ!?」
ともあれそんなわけでふたりはもつれ合い。アイがいちごに覆いかぶさる形になる。
なんてことだ、このままではなんかこうラッキーがスケベしてしまう!
「「「ザッケンナテメッコラー!!!」」」
「「うひゃあっ!?」」
そこへ痺れをきらせた男子中学生ゴリラどもが殴り込んだ!
おまけにはくしまで次々に降り注いでくる! なんてこった!
張り付く大量の紙吹雪! 切断すら可能にする紙飛行機の群れ!
「い、いた! いたたたた!?」
「い、いちごさ……痛い痛い!?」
はくしが切り裂く! はりつく! 男子どもはドラミングをする!!
誰が敵で誰が味方なのか、わけわからん状況で苦戦を強いられるふたりであった。
失敗
🔴🔴🔴🔴🔴🔴
メア・ソゥムヌュクスス
「~~ッ!」
白いローブで顔を隠した人物が声ならぬ悲鳴を上げる。
偶然拾った純愛モノのそう言うアレの中身を見てしまい、顔を真っ赤にしながらも、胸の歯車の軋みが抑え切れず読み耽ってしまったのが運の尽き。
気付いた時には周りには男子中学生達(&猟兵)
ほろりと消えた本自体は惜しくは無いけれど、ソレを読む姿を、読んでいる物を見られてしまった事実は消えてくれない。
多大な混乱の果てにメアの辿り着いた結論は「証拠隠滅」。
フードを脱いで、果実の様に赤く染まる顔を両手で覆い、指の隙間から黄昏の瞳をその場の全てに向け、
「わ、わたしはえっちじゃないもんっ!」(全力催眠)
そしてその場から全力失踪。後にはふわりと甘い残香が。
●なぜこんなところに来てしまったのか
ようやく阿鼻叫喚の地獄らしくなってきた、黒雲渦巻く戦場。
だがその片隅で、ALAS! 大変な事態が引き起こされていた!
「あ、うう……」
メア・ソゥムヌュクススは進退窮まっていた。
実はさりげなーく猟兵達に混ざり、さりげなーく本を回収していたのだが、
偶然拾った純愛モノのアレ……? アレじゃわかんないな、エロ本ですね!
そうです! メアはエロ本を拾ったのです! 純愛モノの! エロ本を!!
「~~~~っ」
ともあれ彼女は中身をちらっと見てしまい、
いまのように赤面しつつもそれを読みふけってしまっていたのだ。
えっ!? 少女の姿をしたミレナリィドールが純愛モノのエロ本を!?
なんてことであろう。だがそれもすべては胸の歯車の軋みがいけない。
メアに罪はないのだ。たとえ彼女がエロ本をガン見していようと!
たしかに彼女は、純愛モノのエロ本を! それはそれはガン見していたが!!
なんならいま目を閉じても思い出せるぐらいに熟読していたが!!
それは胸の軋みがいけないのであり、メアは悪く! ないのだ!!
「「「な、なんてこった……」」」
だがその様子を目撃してしまった男子中学生達にとっては話が別である。
少女が……牡牛まる絵師の実に美麗で鮮やかなタッチで描かれそうなくらい、
とてもとても可憐でこの世ならぬ美少女が! エロ本を!?
しかも純愛ではあるが逆にけっこう描写がエグいやつじゃないか!
「……~~っ」
メアは首まで真っ赤にしながら、混乱した頭を必死に落ち着かせようとする。
己を取り囲む男子中学生達。否応なく注がれる視線。消えたエロ本。
いやエロ本自体はどうでもいい。たしかに我を忘れるぐらい読んでいたし、
ガン見していたし、なんだったら台詞も全部読み上げられるぐらいだが、
惜しくはない。なんで惜しくないかというと記録済みだからである。
それはさておき彼女は乙女なのだ! 羞恥心が高まってしまう!
「「「え、えらいこっちゃ、えらいこっちゃあ……!!」」」
だがテンパっていたのは男子中学生達も同じだ。
彼らはガラスのティーンエイジなのだ。混乱だってする。
これがなんか悪い奴らなら『ゲヘヘお嬢ちゃん何を読んでたんだい』とか、
なんかそういうことを言いつつ実は善人でしたみたいなオチがつきそうだが、
彼らはまごうことなき一般人かつぴっちぴちの中学二年生である。
眼の前の事実を受け入れきれず、見て見ぬふりも出来ずに立ち尽くしていた。
ご褒美とか考えたりもてはやすにはちょっと人生経験が足りないのだ。
「う……」
……メアは、多大な混乱のはてにひとつの結論を出した。
フードを脱ぎ、まっかっかなかおを両手で覆い、
しかし指の隙間から黄昏色の瞳をしっかりと男子中学生共に向ける。
あっちだってそりゃたじろぐ。むしろ逃げたい気分である。
「わ……」
「「「わ……?」」」
「わたしはえっちじゃないもんっ!!」
くわわっ! 両眼の魔眼がこの世ならぬ光を放った!
いたいけな男子中学生どもは催眠状態に陥ってしまう!
ちょっとまってほしい、これ逆にいかがわしくないか?
ともあれミアは全力疾走で姿を消した。男子どもは取り残された。
残るのは甘やかな香りと白紙のエロ本。あとついでに倒された敵である。
大成功
🔵🔵🔵
藤・稔
(検索)
(存在しない)
(架空のイケメンイイカンジBOOK)
KONOZAMA!!!!!!!!!!!
ええい聴きやがれ男子諸君!!良いですか、何も魅力的なのは本の中の女子だけじゃない、それに気付けば光明は射す
そう、少年には少年の色気があり……いけない扉が御座いましょう……
第一ボタンを外し……手を繋ぐ……。手のひらと手のひらの汗を共有、心音を聴き合いなさい……
わかりますか。
わかるでしょう。
男も女もーー細胞は同じ。
(腕から炎弾狙撃ガジェット展開)
後でゆっくり見るつもりで!!チラッと、チラッとしか見てなかったのに!!!
返せよ……タイトルがまだ脳に焼き付いてやがるんだ……!!!『君が綺麗だと識る春』!!!
●通販サイト書籍ってけっこうありますよね
スワイプスワイプスッスッスッ。
「…………」
この状況下で、藤・稔はマジ顔でスマホを操作していた。
周囲では鬨の声や嗚咽、悲鳴や雄叫び。死屍累々である。
「…………!!」
カカカカカッ。超絶フリック入力で書名をイン! 検索ボタンポチッ!
"この単語に該当する検索結果はありません"。
「konozama!!!!!!!!!!!!!!」
稔は打ちひしがれた。いやむしろ彼女の憤怒は燃え上がった。
忘れようもなし、『君が綺麗だと識る春』。タイトルはばっちりなのだ。
なんだったらタイトルだけじゃなく内容もそこそこ脳に焼き付いている。
でも明らかに展開があった! あの先どうなるのよォーっ!?
「…………」
みしりと音を立てたスマホをしまい、稔はカッと目を見開く。
「オーウ、故郷のマーマ」
「もうおしまいだ、おしまいだぁ」
「日本が滅ぶ! 滅びますぞーっ!!」
そして周囲にいるうなだれた男子中学生達を睨めつける!
「ええいうるせえ聞きやがれ男子諸君!!!!!!!」
「「「はい!!!」」」
すさまじい怒気に、騒いでいた男子どもはビシィッ! と気をつけをした。
鋭い眼差しでそれをにらみながら、大きく大きく溜息を突いて稔は言う。
「いいですか。何も魅力的なのは、本の中の女子だけじゃない。
それに気づけば、お前達の灰色の人生にも光明が射すんですよ」
男子中学生達は訝しんだ。まさか生身がどうこう説教されるのか?
ゴリラ化の気配が彼らを絡め取る……だが!
「そう……少年には少年の色気があり、いけない扉がございましょう……」
「「「えっ」」」
「第一ボタンを外し、手を繋ぐ……」
大きく両手を広げ、陶然とした稔は語る。
予想外の方向に転がり始めた状況に男子中学生達は困惑した。
彼らはまったきストレートである。だのになんだこの神々しさは……!?
「手のひらと手のひらの汗を共有、心音を聴き合いなさい……」
「「「いやあの僕らそういう趣味は」」」
「わかりますか」
「「「いやそうでなくてあの」」」
「わかるでしょう?」
「「「アッハイ!」」」
これ以上口答えするとガジェットがこっちを向くと痛感した男子ども。
明らかになにかを期待している稔の視線にビビリ散らしつつ、
彼らは互いに人差し指をそっと触れ合わせる……溢れる光(イメージ映像)!
「「「こ、これは……!?」」」
「そうです。男も女も――細胞は同じ」
「「「ごめんなさいやっぱわからな」」」
「わかってくれて嬉しいです」
「「「アッハイ!」」」
またひとつ善行をなしてしまったことに満足気に頷きつつ、
稔はガジェットを展開する。そしてすさまじい形相で空を睨めつけた!
「あとでゆっくり見るつもりでチラッと……チラッとしか見てなかったのに!!
返せよ……なあ、返せ! 宝物(エロ本)を、返せ!!!」
両眼が赤く発光し、懐かしの昭和ソングが流れそうな勢いの稔。
その姿が流星めいて空へ。かくして死闘の火蓋は切って落とされたのだ!!
敵? まあこんな勢いのガジェッティアに勝てるわけ無いですよね。
大成功
🔵🔵🔵
草野・千秋
色欲溢れる中学生からエロ本を奪うなんて!
あれは心の栄養ですよ!?
特にロリが属性の人は
二次元エロ本でしか発散出来ない
エロ本は性犯罪を未然に防いでるんです!
僕だってあのBL本を家に持ち帰って
ムラムラ発電(意味深)するつもりだったんですよ!?
いくぞ!(変身)
ダムナーティオー、推参!
中学生の人、ガッカリしないで下さい
エロ本はまた河原に落ちてるかも
しれないですよ
僕なんか腐男子バイで本屋で店員の目が痛い
男同士の友情、あれは青春時代は恋心と錯覚しがちです
でも君たちにはそうあって欲しくない!
少年飛翔のような友情であって欲しい!
でもブロマンスも良きもの……
BLを取り戻したいと思いつつ攻撃力アップ
銀山・昭平
全く、人の幸せを自分のために奪い去るとか酷い奴等だべな!
……学生のみんなは大丈夫だべ?おらが子供の頃は寺子屋の本(主に保健体育的なものの教科書)とか医学書、辞典とかも使った事があるべ。
というわけで【即席絡繰強化術】で強化された武器改造技術でレンチを更に大型化、思いっきりデビルズナンバーに振り下ろして潰してやるべ!!
花だろうが飛行機だろうがぺっちゃんこにすれば皆同じだべさ!!! 避けるようなら【気合い】で無理にでも当てに行くべ!
そういえばおらがさっき手に入れたガチめなハード緊縛SM本は無事だべか……?特集で調教されている工場長のおやっさんがおらそっくりだったからちょっと持ち帰りたいと思ってたべ。
●近いようで遠く深い溝
人と人は、簡単にわかり合えるわけではない。
もしも相互理解が出来たと思っても、実はそんなことないこともある……。
下手をすると、当人同士ですらそう思い込んでいるだけかもしれない。
世の中にはそういうことがある。
まあそんなシリアスな話はさておき。
「おのれ邪神教団、なんてことを……!!」
握った拳を震わせながら、草野・千秋は心からの怒りに歯を食いしばった。
あまつさえ強制召喚儀式の供物に、エロ本を利用するなど!!
「色欲溢れる男子中学生からエロ本を奪うなんて!
あれは心の栄養ですよ!? いや必須アミノ酸とすら言ってもいい!」
レンズの奥の瞳が怒りに燃え上がる……!
「まったくだべさ!」
そんな千秋の怒りに同調したのは、ガチムチドワーフこと銀山・昭平。
「人の幸せを自分のために奪い去るとか、ひどい奴らだべな!」
「ええまったくです。特にロリ属性の人は、二次元のエロ本がなければ……」
「みなまで言うな、だべ。エロ本の大事さは誰もがわかっているべさ」
昭平は憐憫に満ちた表情で、うなだれる学生達を見やる。
「おらが子供の頃は、寺子屋の保健体育本とか医学書、
はては辞典なんかを読みふけったもんだべ……」
「おお……どうやらあなたは、信用がおける方のようですね!」
そこには男同士の理解があった。少なくともこの時点はまだまっとうだった。
……まっとうか? まあさておき、千秋は昭平の心意気に感服した。
「他ならぬ僕だって、あの本を家に持ち帰りたくて仕方なかったというのに!」
「おらだって同じだべさ! 持ち帰りたいと思ってたべ……!」
千秋と昭平は、互いの心の傷を認識し相互理解を増した。
だが待ってほしい、互いのエロ本のジャンルが近いようで遠すぎるのだ!
「こうなったら……いくぞ、変身ッ!」
ピカァ! 千秋が輝かしい雷光めいた鎧に覆われる!
「ダムナーティオー、推参!」
「おお、英雄(ヒーロー)……!」
昭平はその勇ましい姿に感服した。
そして千秋、もといダムナーティオーは悩める男子中学生達に向き直る!
「学生の皆さん、がっかりしないでください」
その語り口は、まるで良い子に社会のルールを教えるヒーローめいていた。
「エロ本はまた、河原に落ちているかもしれないんですよ……!」
言ってることはだいぶアレであるが。
「まったくそうだべ! それが冒険(トレジャー)ってもんだべ!」
「僕なんか本屋で目当てのものを買うたび、店員の目が痛いんです……」
マスクの下、悲痛な表情を浮かべてダムナーティオーは頭を振る。
「男同士の友情……青春時代真っ只中では、恋心と錯覚しがちです」
「! ヒーロー、おめぇ……そうか、そうだべか!」
言わんとしていることを(彼なりに)察した昭平は目頭を押さえた。
理解できる。理解できるとも。社会的にはいまだ認知の通らぬ性指向ゆえに。
スタンダードから外れた性癖を持つことの苦しみ、有り余るほどに!
だが待ってほしい、やっぱり例にもよって近いようで遠いのだ!
「でも君達にはそうあってほしくない! もっと爽やかな……。
そう、まるで少年漫画のような、熱くひたむきな友情であってほしいんです」
「やっぱりヒーローはいいこと言うべなあ!」
「でもブロマンスもいいもの……ですよね?」
「わかる、わかるべ! わかりがあるべ!」
がしっ。男達の間に熱い握手がかわされた。
ヒーローとドワーフは、同じ世界に生きる仲間を敬意を込めて称える。
だが気付いていないのだ、互いにかなりずれていることに……!!
「さあ行きましょう、世界にBL(ひかり)を取り戻すために!」
「おうさ! この世に衆道(ひかり)を取り戻すべ!!」
「「……ん?」」
なにかおかしかったきがするぞ?
近いようで下手すると地球とアンドロメダ銀河ぐらい遠い気がするぞ?
「「……まあいいか!」」
男達は戦場に向かう。互いの武器、そして勇気と覚悟を携えて!
「おらのレンチでみんなみんな叩き潰してやるべさ! 即席絡繰強化術ーっ!!
」
「僕は負けられないんですよ、僕が好きな性癖(ゆめ)のために!」
巨大化したレンチが、大幅に高まった攻撃力が!
飛び交う紙飛行機を撃ち落とし、叩き潰し、希望を取り戻していく!
おお、人々よ。あなた達は性癖(とき)の涙を見る……!
「「「……」」」
そんな男達の背中を、少年達は静かに見送った。
そして互いに互いを見やり、こくりと頷く。
「「「あの人達、あとで戦争になりそうだな!!」」」
人類平和の道はかくも険しい。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
薬袋・布静
まあ、同じ男なんでお気持ちお察しします
若人にとって自身で手に入れる手段が少ない
道端に落ちた宝は大変貴重でしょうとも、ええ
そんなアンタ等に朗報ですよー
この世で一番の宝は想像力だと思うんですわ
道端に落ちてた宝は所詮は紙面上の物でしかない
いつか消えゆく物
想像は自由な上に消えず自身の頭の中にある
ネタが無けりゃ想像が出来ない?
いやいや~
アンタ等の多感で未熟な学生生活なんて
想像のネタ宝庫なんっすわ
警戒心が薄く無防備な女生徒が少なくない
身に覚えありません?
夏場、下着の線が透ける前席
長い髪を結う時の髪留めを加える仕草と露になる項
『おっ』、と思う時がないとは言わせない
これをどう想像するかは――アンタ等次第ですよ
クロト・ラトキエ
ああっと!
本日3冊めの調査対象(ややHARD。若人には見せられない!)がー。
いやはや…
男子(おとこ)の欲望(きぼう)と性癖(ろまん)を弄ぶ邪な所業、許し難し。
僕に邪さなんてこれっぽっちも無いので、
アレは悪、即ち滅です。覚悟(つづきをかえし)なさいませ?
トリニティ・エンハンスで攻撃力強化した短矢でピッシピッシ射つつ、
若人らを鼓舞。
少年よ、大志を抱け!
君達には無限の可能性があるのです。
聖典(エ(略)本)を手にする未来だけでなく…
女子とキャッキャウフフできる可能性…
紙では無い生身に触れる機会さえ…ッッ!
さぁ、立ち上がるのです。そしてお答えを!
リビドーのままに生きたいかー!?
※アドリブ、弄り絡みも歓迎
●綺羅星!!
「ああっと!」
さながら戦争末期の泥沼めいた空中戦が繰り広げられる眼下。
地上をさまよい歩く、いっそ爽やかなイケメンメガネが何かを拾う。
「これもダメですか……本日四冊目の予定だったんですがねえ」
クロト・ラトキエは、懐にしまっていた(表向きはまともな)本を開く。
どれもエロ本である。しかも3冊目は特に……だいぶ、こう、アレだった。
そして彼の涼やかな視線は、うなだれる男子達に向けられた。
「いやはや……まったく嘆かわしいですね」
「その口振りの割にはショックを受けていなさそうですが?」
クロトの言葉に、近くに居た薬袋・布静が応答した。
「まあ、同じ男なんで、彼らのお気持ちはお察ししますがね」
「まったkづえす。男子(おとこ)の欲望(きぼう)と性癖(ロマン)を、
かくも邪悪で名状しがたい儀式に利用する所業……許し難いことです」
クロトは嘆息して頭を振った。
「若人にとっては、自身で手に入れる手段が少ないですからねえ。
道端に落ちた宝(エロ本)は大変貴重でしょうとも、ええ」
布静は実に可哀想なものを見る眼差しで男子中学生達を眺めた。
だが彼らは、見た目からはとても信じられないが30超えの成人男子。
クロトに至っては男子というかアラフォーである。大人の余裕……!!
「まあ僕、邪さなんてこれっぽっちもないんですけどね」
「うーんここまで自信満々に言われるとツッコミようがないですね」
満面の笑みのクロト、そのふてぶてしさにいっそ感嘆する布静。
「まあまあ。アレが悪、すなわち即・滅なのは変わりないでしょう?」
「たしかに。ですが今は、若人達を励ましてあげたほうがよさそうですねえ」
そんなわけでふたりは、うなだれる男子中学生達の前にザッと並んだ。
「悩み苦しむ少年達よ、アンタらに朗報ですよー」
布静が割とやる気なさげに言う。
彼の声に注目が集まったところで、クロトが朗々たる声で叫んだ!
「少年達よ、大志(もうそう)を抱け!!」
「「「クラーク博士!?」」」
あまりに自信満々な言葉ぶりに、さすがの中坊どももぎょっとした。
そんな彼らに、布静が静かに語りかける。
「この世で一番の宝は想像力だと思うんですわ。
道端に落ちてた宝は、所詮は紙面上の物でしかない、いつか消えゆくモノ」
「その通り、君達には無限の可能性があるのです」
こくりとクロトが頷く。
「想像は自由な上に、消えることなく自分の頭の中に在り続ける」
布静の言葉に困惑する男子中学生の一人がこう言った。
「で、でもネタがなければ想像なんて……」
それを布静は一笑に付す。
「いやいや~、アンタらの多感で未熟な学生生活なんてネタの宝庫なんっすわ。
警戒心が薄く無褒美な女生徒が少なくない……身に覚え、ありません?」
「「「…………」」」
「夏場――下着の線が透ける前の席」
「はっ!?」
その時男子中学生達に電流走る!!
「長い髪を結う時の、髪留めを咥える仕草とあらわになるうなじ」
「ああっ!?!?」
"おっ"と、思う時が必ずあるはずなのだ。いいやないとは言わせない。
……だが中には、そんな想像行為を無益だと躊躇する者も居る。
そこでクロトの出番だ。彼は笑顔でこう言った。
「言ったでしょう? 君達には無限の可能性がある、と。
想像どころか、女子とキャッキャウフフできる可能性もそのひとつです」
「「「!?!?」」」
「いいえ、それどころか、紙ではない生身に触れる機会さえ……ッッ!!」
「「「……!!!」」」
すでにクロトや布静には過ぎた日々、思い返すだけの青春。
それを無為に過ごすかどうかは、すべて今を生きる者の意思一つ。
これもまた、未来を守る猟兵としての責務なのだ!
……ほんとか?
「得たものをどう活かすか、想像するかどうか――アンタら次第ですよ」
「さあ、立ち上がるのです。そしてお答えを!」
男子中学生達は、ひとり、またひとりと呼びかけに応じて立ち上がる。
彼らの曇りなき、いやむしろ曇りしかない瞳がふたりを見つめる。
クロトは片手を掲げ、威風堂々たる声で叫んだ!
「リビドーのままに、生きたいかーッ!?」
「「「ウオオオオオーッ!!」」」
万雷めいた雄叫び! 満足げなふたり!
「……ところでですよ」
「はい?」
布静はすっかり気力を取り戻した学生達を見やる。
「これ教育に悪いんじゃないですかねえ?」
「なあに――答えは歴史が示してくれるでしょう」
他人事とも言う。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
山梨・心志
うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
お、俺の……俺の『プリティへそゴマ』さんの春の新刊が……限定本が……!
どこかの裏戦争ばりに
通販受付開始時間を電波時計で確認しながら待機して
『申し込みますか?』から『はい/いいえ』のボタンが現れる位置を計算に入れ三ヶ月前からマウスのクリック素振りをし
ようやく……ようやく手に入れた至宝が……!!!
許すまじ……許すまじ、デビルズナンバー……
……コノウラミハラサデオクベキカ……(ゴゴゴ)
謎のパワー(スチームエンジン)が白紙になった宝に宿る!
これなら……いける!
死ねぇぇぇ!!「本の角でぶつけたらめっちゃ痛い攻撃」!!
からの
「紙で切ったらやけに痛いし治りが遅い攻撃」!!
ノイエ・ウインタース
えっちいごほん認識:はだかんぼでよくないごほん
BLとは…あ、はい。えっちいごほんなんですね、ノイわかりました
いけないものと知りつつ(様々な方法で)愛し、
いけないものと知りつつ大人の人があそこまで涙する
おとこのせかいとはかくもきびしいものなのですね(圧倒され
【POW】
共闘、アレンジ歓迎
拳で戦います。本びりびり、ばりばり
紙の花弁攻撃は【人狼咆哮】で迎撃
味方を巻き込むようなら使用せず避けに専念
せっかくノイがひろったごほんだからとりかえさないといけませんね!
…あれ?どれでしょう?
生徒さんたちには特に語らず
男は黙って背中で語るのがよいでしょう
爺様や姉様とお風呂入るはだかんぼ体験ならあるんですが何か違う感
セリオス・アリス
アドリブ歓迎
あー…なんだ、元気出せ
あとでえっと…拐われて10年鳥籠で囲われてた人間の話(ノンフィクション)してやるから
なんとか絞り出した励ましがそれで
…まあ、あれだ
ちょっと重いしアレだし体験してんの俺だけど…
言わなきゃばれねえだろ!
言葉の響きだけで元気になってほしい
まあそういう諸々の話をするためにもさっさと片付けねえとな
歌で身体強化して『ダッシュ』で『先制攻撃』だ炎の『属性』を纏わせた剣で『2回』斬りつけて燃やす!
あー!ちょろちょろいろんなとこに飛ばしやがってめんどくせえ!
低く構え【蒼ノ星鳥】を飛ばす
焼き焦がせ!
燃えるエロ本に悲鳴が上がっても聞かないフリ
アレはもうただの白紙だ!
現実の女子を見ろ
●男の涙は成長の汗だ
「うわぁああああああああ!!!!!!!!!!」
山梨・心志は泣いた。声を枯らして泣いた。
それはまるで、格別の朋友を失った男の嘆きのようであった。
あるいは、国を喪った戦士のように、深く深く埋めがたい喪失である。
心志は泣いた。喉が裂け、血が溢れかえらんばかりに泣いた。
「うっうっ、うぐう、ふぐうう……!!」
どっ、どっ、と何度も何度も地面を叩きながら、むせび泣いた。
ガチ泣きである。多分ご家族でも見たことがないレベルのガチなやつである。
「BLとはいったい……」
そんな心志を見下ろし、ノイエ・ウインタースは呆然と呟いた。
「わかんねえほうがいいと思うな……」
セリオス・アリスは、そんな少年にひっそりとした声で応える。
彼らはただ、嘆きを見ていることしかない。のたうつ男を見下ろすしか。
だってそこまで泣いて咽ぶとかわかんない! 薄い本とかわからないもの!
「お、俺の……俺の『プリティへそゴマ』さんの春の新刊が……!」
だが心志は泣いた。嘆いた。天を仰ぎ声もあらわに叫んだ。
「毎年シャッター前ド安定の人気サークル……限定本が……!!」
あれを手に入れるため、心志がどれほど苦労したことか。
当然現地で並ぶには、サークルチケットが必須となる。
彼のような一般参加者が手に入れるには、通販サイトを使うしかない。
だが通販の購入難易度はすこぶる高い。
さながら国民的アイドルグループの、ライブチケットめいて!
「通販受付開始時間を電波時計で確認しながらサイトをスクショして待機して『申し込みますか?』から『はい/いいえ』のボタンが現れる位置を計算に三ヶ月前からマウスのクリック素振りをし水垢離して断舎離して幸運グッズまで買い込んでようやく……ようやく手に入れた俺の至宝が……!!!」
ここまで早口、一息である。そしておーいおいおいと泣き咽ぶ。
「最後の方ガチなやつになってんじゃねえか……」
セリオスはもはや、どう言葉をかけたもんかと困り果てた。
一方ノイエは、エロ本のことを『はだかんぼでよくないごほん』
程度に認識している純朴で無垢な少年は、雑な理解とともにうなずいた。
「いけないものと知りつついろんな方法で愛し、
いけないものと知りつつ大人の人があそこまで涙する……」
圧倒されていた。夢追い人の心からの嘆きに……。
「おとこのせかいとは、かくもきびしいものなのですね……!!」
「ねえお前それ本気で言ってんの???」
セリオスは思わずツッコミを入れた。
「あー……なんだ。まあ、あれだ。元気出せよ」
ギャグ漫画みたいな勢いでだばだば涙を流す心志の肩を叩くセリオス。
そこでふと閃いた。なんでもいい、代替になりそうなものを語ってやれば?
「あとで、えっと……ああ、そうだ」
「なんや……なんやぁ!!」
逆ギレめいて叫ぶ心志のガチ関西弁にちょいヒキつつ、
「拐われて10年鳥籠で囲われてた人間の話とか、してやるから」
なにげにノンフィクションである。セリオスの過去の話だ。
ちょっと、いやかなり重い上に体験談なので生々しいてなレベルではないが、
まあ多分言わなければバレないだろう。出来のいい薄い本と思うはずだ。
「ほんまか!?!?!?!?」
そしてその好みっぽい言葉の響きに、心志はがばっと笑顔になった。
「ほんまやねんな!? 絶対絶対嘘やあらへんな!?!?!?」
「お、おう」
食いつきっぷりにセリオスはまたドン引きする。
ニッコニコになっていた心志だが、ふっと表情が抜け落ちた。
「ひいっ!!」
ビビるノイエ。
「それはさておき許すまじ……許すまじ、デビルズナンバー……。
もしもあれがここに現れる要因になった猟兵がいたら一緒に倒したい……」
さりげなく不穏なことを言いつつ、心志がよどんだオーラを纏う。
「コ・ノ・ウ・ラ・ミ・ハ・ラ・サ・デ・オ・ク・ベ・キ・カ……」
ゴゴゴゴゴ……さらにはオォオオオオ……と不気味なフォントの効果音も。
まるでヤンデレ化したアニメヒロインめいた形相である。コワイ!!
「こ、ここここれほんとにだいじょうぶなのですか!?」
「気にするな、敵に向いてるだけマシと思え」
ビビり散らすノイエにセリオスはただ首を横に振るだけだった。
その時! 白紙になった新刊本がまばゆく輝いた!
「おおーっ、こ、これはー!?」
「いやこれどう見てもスチームエンジンの光じゃねーだろ!?」
だがユーベルコードは奇跡の力なのだ! これも蒸気エンジンだ!
「……これなら、いける!!」
くわっ。ロボットアニメの強化パーツ回みたいなシリアス顔になる心志。
「ふたりとも! 心配かけましたね、さあいきましょう!」
「りょ、りょうかいです! ノイいきます!」
「そうだな、さっさと片付けねえとな」
生返事で受け流すセリオス、そこへやってくるデビルズナンバーの群れ!
男子中学生達が猟兵達を見上げる。彼らは背中で語るのだ!
「うぉおおお死ねぇええ!! 本の角でぶつけたらめっちゃ痛い攻撃ーっ!!」
「「「グワーッ!?」」」
ワザマエ! 心志の怒りがデビルズナンバーを三体同時撃破!
「いやちょっと待てあいつらしゃべるのか!?」
セリオスのツッコミは誰の耳にも届かない。
「ノイだってしゃべれますよ! ああああああーっ!!」
ターザンめいた激しい咆哮で、ノイエが敵の攻撃を吹き飛ばす。
さらに落ちてきたデビルズナンバーを拳で殴り、びりびりと破り捨てる!
「なんかもうめちゃくちゃだな……!」
セリオスはツッコミを諦めた。
"青星"に炎の属性をまとわせ、神速の太刀筋で敵を切り裂く!
「「「アアアアアーッ!?」」」
悲鳴をあげる男子中学生達! 燃えるエロ本(だったもの)!
「あー! ちょろちょろいろんなとこに飛ばしやがってめんどくせえ!」
さらにユーベルコード"蒼ノ星鳥"を発動し、不死鳥めいた闘気を放つ!
「灼き焦がせ、蒼焔の星!」
「「「アバババババーッ!?!?」」」
「ええいうっせえ!!」
悲鳴をあげる男子中学生達を振り返りセリオスが叫んだ。
「アレはもうただの白紙だ! 現実の女子を見ろ!!」
「ってあれ燃えてるの俺の宝物の新刊のページじゃ……」
呆然とする心志。
「……新しいの買え!」
「アアアアアアアーッ!!」
心志はへなへなとくずおれた。
地獄絵図を見つつ、ノイエは思う……。
「……これが、おとこのたたかい……!!」
絶対に違うと思う。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御剣・疾風
なんて事を……
彼ら男子中学生達に何の罪があるというんすか!
エロ本は俺のような成人男性には兎も角
男子中学生にとっては夢、希望、情熱など諸々が詰まった
財宝、秘宝、いや神器と言っても過言ではない!
それを邪な目的で使おうなんて
神様が許そうと
この俺が許さねえっすよ!
エロ本自体が邪?
いやいや何を仰るウサギさん!
真っすぐな欲望、即ち純粋、つまり健全!
よって何も問題ないっす!
さあ、エロ本を返すっすよ!
元から落ちてたもの?
何のことかさっぱり分かりませんね
浪漫の前には全てが無意味!
改造銃や手榴弾で牽制して隙を作り
ユーベルコード忌まわしき戒めで
虚空から捻じれた腕を伸ばしエロ本を取るように掴みかかる
アドリブ、共闘歓迎
紅呉・月都
……おう、まぁ色々あったな
あいつの本が元に戻ることを祈りつつ、俺はとりあえず先に進むぜ
乗り越える方法…
アレじゃねえ?
そればっかじゃなくて、ちょっと休憩して別の分野(もん)にも目を向けてみろっつーお告げ的な
…知らねーけど
とにかくだ、しばらく別のことしてろって
その間に色々こっちでやっとくから
ずーっと見てるよりは何かをやった後に見た方が、こう色々といいんじゃねえの?
……や、知らねーけど
敵は紙だったか……燃やしていいんだよな?アレ
よし、燃やそう
で、あいつらの本の中身返してもらうぜ
そーすりゃ、また元気になんだろ
・アドリブ、絡み歓迎
・性癖:だからわかんねーっつうの
●男は誰だってそうなんだ
「……あー」
すさまじい阿鼻叫喚の地獄絵図の中、赤髪の青年は頭をかいた。
「おう。まあ、なんだ。……色々あったな」
紅呉・月都はとりあえずそれで済ませておくことにした。
こう、色々言いたいことは湧いてきたのだが、
多分誰も耳を貸さないだろうしそもそも彼はそんなことを言う性格でもない。
呆れを通り越してまあそういうこともあるよねみたいな境地に達していた。
「って、そこのアンタ! アンタっすよ!」
「あぁ?」
月都を呼び止めたのは、同じ猟兵の御剣・疾風である。
「この惨状に、なんか思うことはないんすか! 男として!!」
「…………」
月都は周囲を見やる。
泣き叫んだり雄叫びを上げたり、鼓舞したり洗脳したりする猟兵達。
泣き叫んだり雄叫びを上げたり、洗脳されたりゴリラ化する男子中学生達。
「地獄絵図だな」
「そうっす!!」
致命的な寓意のすれ違いを起こしつつ、疾風は言った。
「邪神教団どもめ、まったくとんでもねえことをしやがったもんっす。
ただエロ本を拾っていただけの男子中学生達に何の罪があるというんすか!」
「……エロ本を拾って読んでた罪じゃね……?」
極めてまともな月都のツッコミは疾風の耳には届かない。
なぜなら彼もまた憤る男の一人であり、そしてそれは言わぬが花だから……。
「エロ本は俺のような成人男性にはともかく、男子中学生にとっては!!
夢(せいへき)、希望(エロス)、情熱(ぱとす)など諸々が詰まった」
「いや待ていまなんか字と読み方に著しい誤差なかったか」
「財宝(すとらいく)、秘宝(うすいほん)、
いや神器(いっしょうもの)と言っても過言ではない!!」
「だからやっぱ字と読み方に著しい誤差あったよな!」
疾風は話を聞かない! なぜなら彼もまた怒れる男の一人だから!!
「それを邪な目的で使おうなんて……」
「そもそも拾ってる時点で邪じゃねーか」
「神様が許そうと、この俺が許さねえっすよ!!」
「神以外が許すと思う自信はなんなんだよ……」
月都は呆れ返っていた。それほどまでに隔絶があった。
なにせ彼はいまだ、己の性癖すらよくわかっていない純朴ボーイなのだ。
野卑で尖った青年男子が実は性癖に関してはウブ。なるほどいいですね。
閑話休題。
「エロ本自体が邪って言ったっすね?」
「聞こえてたのかよ!!」
月都のツッコミをまたまたスルーしつつ疾風はフット笑う。
「まっすぐな欲望――すなわち、純粋! つまり……健全。
よって! 何も問題ないっす!!!!!!!!!!」
「ううっ……!?」
月都は思わず気圧された。それほどの自信満々っぷりだった!
だが1秒後にはやっぱおかしいだろと冷静に考えていた。
「さぁ、エロ本を取り戻すっすよ!」
「もともと落ちてたもんだろ」
「なんのことかさっぱりわかりませんね」
「なんで急にまともな敬語になるんだよ」
もはや完全にボケとツッコミが成立していた。
「とはいえ……あのいたたまれない男子達をなんとかしてやりたいっすね。
お兄さん、アンタなんかいいアイデアはないっすか?」
「いきなり水向けてきやがったな」
やや困りつつも、月都は顎に手を当てて考えてみた。
「アレかねえ? こう、ちょっと休憩して別の分野にも目を向けてみろとか」
「別の分野(せいへき)!?!?」
「いや知らねーけど。てかまた妙な誤読された気がすっけど。
とにかくだ、しばらく別のことしてろ。その間にこっちで片付けとくから」
割とまともな意見に、疾風は逆に申し訳ない気持ちになった。
「ずーっと見てるよりはこう、別のこと考えてから見たほうが、
こう……色々といいんじゃねえの?」
「お兄さん割と理解あるっすね?」
「いや知らねーけど」
「それ照れ隠しっすね??」
月都は疾風の追求をスルーし、紙飛行機どもを見据えた!
「ありゃ紙だな。よし、燃やそう」
「それなら俺も得意っすよ! 銃とか手榴弾とかあるっすからね!」
しかも虚空からワイヤーとかも出せる。すごいぜ戦場傭兵!
「んじゃまあ」
「うす」
「「始めっか!」」
隠して健全な若者たちの未来を守るため、若者二人は敵へと挑みかかった!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
六六六・たかし
ん、デビルズナンバーいたのk…
いやいやいや、知っていた!
お前たちがいることは俺は知っていた!
だから俺はここに来た!そうだ!そうなんだ!
だって俺はたかしだからな!!
お前ら!いつまでメソメソしてるつもりだ…!
お前らの頭は!手は!何のために付いてるんだ!
性(エロス)を創造するためだろう…!!
エロ本を真っ白にされたぐらいで止まるような俺たちじゃないだろう…!!
作り上げるんだ!俺たちで!新たな!性(エロス)を!!!
お前らのエロ本の仇は俺がとってやる。
俺が作り上げた人形でな…!いくぞ「ざしきわらし」『悪魔の童女』だ。
(たかしは気がついていなかった。ざしきわらしのゴミを見るような視線に)
※アドリブ歓迎
●
時系列はことの始まりまで遡る。
●あなたの宿敵ですよ
「ふーむ、なるほど……なるほどな。なるほど~~~」
六六六・たかしは、しきりにそれっぽい頷きをしながらエロ本を読んでいた。
いかにもなんか株価とかニュースとか見るサラリーマンめいた表情だが、
読んでいるのはエロ本だし散らばっている本のタイプはバラバラすぎる。
ロリだろうがおっぱいだろうが、なんかもっとこうアレなやつだろうが、
彼にとってはみな同じだ。なぜなら彼は……変態(たかし)だから!!
「なるほどなあ、わかる。わかるぞ、俺はたかしだからわかる。
うーん……つまり人生だな。わかる、とてもわかりがある」
啓発系の新書とか読んでるおっさんっぽい顔をしているが、
彼が今読んでいるのは脚フェチ系のエロ本だ。絶対領域特集のやつだ。
こんなものを欲しがるのはそうそういまい……ましてや、
おとなしそうで気弱なゲーマー少年などもってのほかだろう!
「……ん?」
そこで事件が起きた。
ばらばらとひとりでにエロ本がめくれあがり、白紙になり、
そして空へと飛んでいったのだ。そこかしこから響く悲鳴!
だがたかしが動転することはない。彼にとってはエロはだいたい同じだ。
なんだったらそれっぽい形の影ですらそれなりの興奮できる。たかしだから。
「ん、ああ……デビルズナンバーいたのか」
大変だなーと思いつつ、この白紙のエロ本どうすっかなーとか、
そんなことを考えるたかし。……ん? デビルズナンバー?
「んっ!?!?」
空を舞うはくし! 彼の宿敵だ!
「いや! いやいやいや。知ってた。知っていたぞ! 俺はわかっていた!
なぜなら俺は、六六六(わかるずなんばー)・たかしだから……!!」
言い繕うあまりにだいぶアレな名前間違いをしていたたかしだが、
おほんと咳払いし宿敵どもを見上げる。
「おのれはくしどもめ、エロ本を奪うなど……俺がなぜ来たと思っているんだ」
……ん?
「いや違う。そうだ! お前たちを倒すために俺はここに来た!!
俺はわかる。だって俺はわか――じゃない、たかしだからな!!!!」
アイデンティティ・クライシスをかろうじて乗り越えたたかしであった。
そして男子生徒達の前に、彼は颯爽と駆けつける!
「お前ら! いつまでメソメソしているつもりだ……!!」
「「「あ、あんたは一体!?」」」
「俺にはお前達の苦しみがわかる。なぜなら俺は――」
キリッ。流し目!
「……たかしだから」
「「「たかし!?」」」
「だが、だ!!」
たかしはばっ、と大きく腕を広げた。
「お前らの頭は! 手は! なんのためについているんだ!?」
「「「…………?」」」
互いに顔を見合わせて首を傾げる中学生達。
たかしははーやれやれこれだからガキはみたいに大人ぶって溜息をつき、
くわっと大きく目を見開きつつ、堂々と言ってのけた!
「性(エロス)を、創造するためだろうっ!!」
どんっ!!
「「「!!!!」」」
「エロ本を真っ白にされたぐらいで、止まるような俺達じゃないだろう……!
作り上げるんだ! 俺達で!! 新たな!!! 性(エロス)を!!!!」
どどんっ!!
「で、でもたかし……本が!!」
「すまねえな、俺の宿敵がお前らのエロ本食っちまった。
これで好きなエロ本でも買ってくれや……」
ピーン。なぜかクールなキメ顔で500円硬貨を指で弾くたかし。
「でも俺、絵とか下手だし、あと解釈違いで叩かれたら……」
「何が出来るかじゃなく! 何が好きかでエロを語れよ!!!」
どんっ!!!!
たかしのエネルギッシュな言葉に、中坊どもは感化された!
「安心しろ、お前らのエロ本の仇は俺が取ってやる。
この、俺が作り上げた人形でな。行くぞ、『ざしきわらし』」
呼び声に応じ、"悪魔の童女"が出現する。彼の人形、デビルズナンバー!
『…………』
「「「あっ」」」
「みなまで言うなボーイ達。俺は問題ない。なぜなら俺は――」
キリッ。流し目。
「……たかしだから」
そして彼は、決まった……と内心ほくそ笑みながら戦場へ向かう。
男子中学生達は、ついぞ最後まで彼に真実を伝えられなかった。
ざしきわらしが、反抗期の娘がお父さんに向けるような眼差しをしていたことを……!!
大成功
🔵🔵🔵
祇条・結月
結構なお点前でした
……もとい、恥を忍んでエ……祭具候補を集めたのに強制的に儀式ができるとか反則だろ。
ほんと色んな意味で絶対許さないから、覚悟しとけよ!
……えーと、はい。
男子たちに呼びかけようか。
君たちの活動のおかげで期せずしてこの辺りの公園、綺麗になったよ。
この状況でなにができる? そう、お花見だね。
浪漫もいいけど、たまには気になる子とか誘って、出かけてもいいんじゃない?
髪を桜が飾る、とかぐっとくるでしょ。
……言っといてなんだけど、この話題、なんか恥ずかしいな、って顔は見せないように
はい。(仕切り直し)
戦闘はもとが紙じゃ苦無を投げたところであんまり効果ないだろうし、加速して無理やり削り取る
零井戸・寂
(メガネは激怒した。必ずやあの邪智暴虐のUDCを撃破せねばならぬ。)
来たな邪神!お前の暴虐を許しはしない……!
(メガネは弱者である。然し加虐者の存在といい感じの柔らかそうな太腿には人一倍敏感だった。)
諦めるな!
学校行ってない僕だってな……なんやかんやで歳の近い女の子が家に来る事になったりそういうイベントがあるんだ!
学校行ってたら女の子は沢山いる!君達にそういうイベントが起こる期待値は(多分)高い!!
さぁ、取り返しに行こう……僕らの夢!
(――そして失われし『ふともも写真館 制服写真部』を!!)
(想いを胸にCN:脚フェチが征く)
(敵?大きくなったNAVIがなんかこういい感じに引っ掻くよ。うん)
●かもめ亭の男子はどうしてこうも顔がいいのか
「……けっこうなお点前でした」
阿鼻叫喚の中、祇条・結月は空に手を合わせてオジギした。
彼はなんやかや真面目ないい子である。ラブとリスペクトが大事だ。
「……いやというか、恥を忍んでエ……祭具候補を集めたのにさ。
強制的に儀式が出来るとか、反則だろ……」
さもありなん。でも死人は出てないですよご覧の通り。
代わりに男子のリビドーは犠牲になった。悔しいだろうが仕方ないんだ。
「ほんと色んな意味で絶対許さないからな、覚悟しとけよ!」
ビシィ! 感謝もそこそこに空を舞うデビルズナンバーを指差す!
閑話休題。
「ところでだ、男子諸君」
彼はうなだれる男子中学生達に振り返り、こう言った。
「君達の活動(エロ本拾い)のおかげで、ひとつ予想外の効果があったんだ。
……このあたりの公園とか住宅街さ、すごく綺麗になったよ」
彼はいい子なので、そのへんにも目端が効くのである。
そして彼は空を仰ぐ。黒雲はさておき公園には桜が咲いていた。
ちなみにですがこういう土地の場合、
誰にも掃除されず積もった花びらの下とか捜すと割とお宝が見つかります。
なんで知ってるのかって? それは……だんしだから!
「この状況で何が出来ると思う?」
「「「……さらなるお宝探し……?」」」
「そう、お花見だね」
結月はいい子だが都合の悪いことはスルーする技能も持っている。
鍵開け17? よくわかんないけど多分これがスルー技能なんだろう。
「浪漫もいいけど、たまには気になる子とか誘ってみてもいいんじゃない?」
……その時、場が静まった。
だが結月は張り詰める緊張感に気づくことなく言葉を続ける。
「髪が桜を飾る――とか、ぐっとくるでしょ」
彼は真面目ないい子なので、照れた顔を俯かせつつ頭を掻いた。
さすが住居のロビーでいろんな女子とご歓談される身分は違はりますなあ!
さぞかし彼には応じてくれるご近所さんや戦友がおらはりますのやろなあ!
「だからこう、少しは現実を見て――」
「「「リア充……」」」
「え」
男子中学生達が……否、ゴリラ達が顔を上げる。
スロードラミング、からのゴリラワーク。そしてゴリラステップ。
ゴリラ化第一段階から第三段階への急速な進化! コワイ!
「い、いまの話のどこにリア充要素が」
「「「そういうとこだぞ……!!」」」
「ええ……」
もはや最終形態・エロゴリラまでは幾許もない!
このまま結月は敵と戦う前にゴリラどもに囲んで棒で叩かれてしまうのか?
いやユーベルコードがあれば大丈夫だが! 🔴が溜まってしまうのか!?
……その時!!
「――あきらめるな」
「「「ウホゥ!?」」」
「こ、この声は!」
結月は驚いた。ここに居ないはずの知り合いがいたことに!
「いいかい。僕は弱虫だ。弱者さ。ついでに言うと学校にも行ってない」
零井戸・寂は、はっきりと、弱虫ながらにまっすぐゴリラ達を見て言った。
彼は気弱である。涙は流すが戦闘フラグメントに参加することは滅多にない。
ゲーマーだから、一般人(メンタル)だから……ダッダダー!
「それでも僕はいま、怒っているんだ」
「フルイド……?」
「あの邪神は許せない。あの暴虐を、僕は許せない!!」
結月は、ここまでの気迫を漏らす寂を初めて見た。
いかにも寂は激怒していた。必ずや、あの邪智暴虐のUDCをアレせねばならぬと思っていた。
寂にはおっぱいがわからぬ。けれどもいい感じの柔らかそうな太腿には、
……あっ、あと圧制とか、なんかそういうのには人一倍アレだった!
「だから僕は君達に言うよ。いいかい!」
びしっ。ゴリラ達を指差す寂。
「学校行ってない僕にだってな、なんやかやで歳の近い女の子が家に来たり、
歳はちょっと離れてるけどお団子を食べさせてもらったこととかあるんだ!」
「「「は?????」」」
は?(威圧)
「つまりだ! 学校行ってる君達には、そういうイベントのチャンスがある!
だって学校には女の子が沢山いるし、あと……期待値だって多分高い!!」
寂はゲーマーなのでわかる。出る時は出るのが期待値なのだ。
でも出ない時に出ないのが期待値でもある。それは言わぬが花だ。
「「「な、なんて冷静で穴のない理論なんだ……!!」」」
だがゴリラ……もとい、男子中学生達の心には響いた。
彼らはシュンシュンと元の中坊に戻り、希望に目を輝かせた!
「結月」
「えっ」
「僕はね……夢を、取り戻しに行こうと思うんだ」
「フルイド……?」
「それはあの日の約束と同じぐらい、僕にとって大事な性癖(もの)なんだ!」
「フルイド……!?」
失われしエロ本、『ふともも写真館・制服写真部』を求めて。
彼の想いを受け、なんかデカくなったNAVIがにゃあああんと敵を裂いていた。
「だから結月、一緒に行こう! 君にも夢があるんだろう!?」
「いや、僕は」
「柚月!! セリヌンティウスの役やるかい!?」
「わかった行こうもうどうにでもなれだよ!!」
隠して少年達は肩を並べ、邪悪なる巨悪へと挑む!
「……僕は猫の手を借りるだけだけどね!!」
「この期に及んで!?」
「ところで結月はどんな性癖(ゆめ)が?」
「しかもそこ聞いてくるの!?」
少年達よ……男子(おとこ)の世界を守るのだ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ネグル・ギュネス
◆チームアサルト・+1で参加
野郎ども、いつまで腑抜けているッ!
つか、ワカッターミュートの方がヤバいわ、こわ、とずまりすとこ…
ともあれ、貴様らの情熱はそんなものではなかろう!
人に見つかりそうになり泣く泣く処分したり、見つけても解釈違いで悶絶してもなお、新たな宝を求めて諦めなかったろう!立ち上がれ!
あの敵は私に任せろ!
火の【属性攻撃】の弾丸で焼き払い、【ダッシュ】で近づいて、ユーベルコード【クラックメタル・インパクト】で砕く
戦闘後、同志を見つけるべく、フェアリー、羅刹、ヤドリガミ、UDCのお姉さん他色々写真を見せて語ろう
───全員友人?ハハハまさかそんなことナイアルヨ。
おら、相棒もなんかあるだろ!
ヴィクティム・ウィンターミュート
【アサルト+1】
ハッカーは激怒した。必ず、かの邪智暴虐のデビルズナンバーを除かなければならぬと決意した。
おぉ、竹馬の友ネグルンティウスよ。お前を人質として置いていくとか考えられないからアイツを殺そう(マジギレ)
いいか、よーーーーーーく聞けよ中坊ども!!(ドン!!!)
確かに俺たちの手から聖典は失われ、サンクチュアリは危機を迎えたかもしれねぇ。だが!!思い出せよ!!
親にバレるリスクを避けるために!!ニューロンこねくり回して妄想した日々を!!エロいお姉さんにリードされる夢を!!見ただろ!!
ならばお前らは立てる。今こそアセンションの時。
イクゾオオオオオオオオオ!
あ、敵はユーベルコードで燃やしてぽいーで
ロク・ザイオン
※チーム・アサルト+1
助けに来た。
(耳障り故に通る声で少年たちを戦場から遠退かせ【かばい】立つ。
髪を束ねる霄の帯を解き「轟赫」展開。
26本の炎をバラバラに【先制攻撃】【早業】、こちらに迫る紙を先んじて燃やす)
(暴れる戦友たちを見守る。何やら叫んでいるのも聞こえる)
あれは。
はだかの女の写真がたくさんの本を。取り戻す、戦い。
本能の。
(そうでない男がいることは知るが、森番はどんぶり勘定である)
…キミたちは。
あのくらい大きくなっても。
年上とか。バブみとか。脚フェチとか。
求めて、戦う、未来を持つ。
強くなれ。
絶望よりも、本能は。
生きる力は強い。
鳴宮・匡
◆アサルト+1
◆アドリブ歓迎
やっぱ俺帰って……いや
まあいいや、お前らあんだけうだうだ喋ってたんだ
そっちの方は適当に任せるからな
……ロク、別に頭は痛くねーからな
アサルトライフルで応戦
飛んでくる紙を焼くのはロクに任せて
本体と思しき紙を判別・破壊することに専念
流石に動き見りゃ判別できるだろ
……ああもういちいちツッコまねーぞお前らの発言は
俺は自分の仕事しかしないからな……
◆2.
全く何の気もなく女の子と飲み物を回し飲みしたり
「この方が早いから」という理由で女の子を抱きかかえて運んだり
その他諸々
(無意識に・多分恋愛的な意味でなく)気にしている子への無自覚のやらかしがあります
しつこく話を振られたら答えます
●あるいはエロ本でいっぱいの空
ものすごくいまさらな話だが、あの紙飛行機一応オブリビオンである。
んで男子中学生達は一般人だ。つまり為す術がない。
『死ね! 男子中学生=サン! 死ねーッ!!』
ゆえにはくしの一部が、無辜のエロ男子どもめがけ落ちてきた!
「「「アイエエエ!?!?」」」
一般人の中坊どもに為す術はない! 大ピンチだ!
こんなギャグシナリオで人死にが出てしまうのか! ほんとか!?
……その時!!
――ごうっ!!
橙色の帯状の焔、併せて二十と六条が、紙飛行機を焼き尽くした。
そして彼らは見た。眼の前に立つ、少年めいた少女の背中を。
「「「だ、誰……?」」」
轟赫の髪を燃やした森番は、振り向いてひそやかに言った。
「――助けに来た」
ざりざりと鑢めいた声音。人を、獣を脅かす喝火の音。
だが中坊達は慄くことはなかった。彼らはただ呆然としていたから。
ロク・ザイオンはそんな彼らを庇い立ち、空を睨めつける。
「「「で、でも一人じゃ危ないですよ!」」」
振り向かぬままロクは答えた。
「大丈夫」
――頼れる仲間が、いるから。
そう、死線をともに潜り抜けた、歴戦の猟兵達が……!
●あっもう始まってる!
そんなロクとともに参戦した、イカれた猟兵達を紹介するぜ!
「野郎ども、いつまで腑抜けているッ!!」
フェアリー萌えのネグル・ギュネス!(ヤベーイ)
「11010010100010……」
部屋に二人っきりで幼女を泣かせたことのあるヴィクティム・ウィンターミュート!(怒りのあまり機械語状態)
「やっぱ俺帰って……いや、まあいいや」
完全に状況に巻き込まれている鳴宮・匡!(実は一番引き金が軽い)
以上だ!!
「――貴様らの情熱は、そんなものではなかろう」
そして常日頃から一番槍を務めることの多いネグルが、
超巨大機械獣に突っ込んだ時と同じ顔で男子中学生達に振り向く。
「大事なお宝が人に見つかりそうになって泣く泣く処分したり、
苦難の果てに見つけても解釈違いで悶絶したり、
隠してたはずの宝が机の上になぜか並べられていたとしても……」
くわっ! 紫色の瞳がエロ小僧どもを睨めつける!
「お前達は新たな宝を求めて諦めなかったろう! 立ち上がれ!!」
「おぉ、竹馬の友ネグルンティウスよ……!」
そんな彼の言葉に、機械語モードから回復したヴィクティムが感服する。
ハッカーは激怒した。必ず、かの邪智暴虐なアレをアレすると決意した。
今まさに自分がいかにフラグを持ってるか明かした脚フェチと同じように!
「えっ私置いてかれるの? 磔刑なの?」
「お前を人質として置いていくとか考えられないからアイツらを殺そう」
マジギレであった。
「こわ、とずまりすとこ……」
あまりの迫力になんか妙な訛りが出るネグルであった。
そこへ襲いかかるデビルズナンバー・はくし!
「……仕事するか」
ツッコミに疲弊した匡がものっそい雑にアサルトライフルで薙ぎ払った。
なんなら振り向いてすらいない。デビルズナンバー達は恐怖した……!
「よしいいか、よ~~~く聞けよ中坊ども!!」
くわわっ! 手が空いたのを幸いにヴィクティムが目を見開く!
ネグルの叱咤激励を受けて、いまだ打ちひしがれた……というか、
下手すると自分らより熱意あるお兄さん達にヒき気味の男子中学生達に!
「たしかに、俺達の手から聖典(バイブル)は失われた」
「いやただのゴミだろあれ」
「森に落ちてるものは全部恵みだから問題ない」
匡が結局ツッコミ、ロクが妙なまとめ方をした。
「楽園(サンクチュアリ)は危機を迎えている。だが……思い出せよ!!」
ばさぁ! なんか光学迷彩とかありそうなマントがはためく!
「親にバレるリスクを避けるために、脳味噌(ニューロン)こねくり回して妄想した日々を!!」
「「「うう……っ!!」」」
男子中学生どもは衝撃を受けた。英和辞典にマーカーを引いた日々を。
あるいはお母さんの通販雑誌に載っている、
エロさの欠片もない婦人用下着のページをドキドキと読んでいた日々を!
「――エロいお姉さんにリードされる夢を……見ただろう?」
カウボーイは笑った。凪の海は心底呆れた。
妖精萌えは強く頷き、森番はあねごロスでちょっとしょんぼりした。
そして男子中学生達は……強く、強く頷いた。
「ならばお前らは立てる。いまこそ〈覚醒(アセンション)〉の時だ」
「「「〈第六性癖(アセンション)〉……!?」」」
困惑する中坊ども。そこへ飛来するデビルズナンバーの群れ!
「カストリ雑誌はもういらない!!」
ネグルの振り向きざまのクラックメタル・インパクト!
「お前のそれそんなユーベルコードだったっけか……?」
訝しむ匡をさておき、デビルズナンバー第二波は死んだ。
「ところで、あなた達はそもそも一体……?」
とある男子が問いかけた。
さもありなん、なんか公園のあちこちに変人がいらっしゃる。
「俺は自分の仕事しかしないからな」
匡は言外に面倒を避けた。記憶消去銃持ってないし。
「おれ達は――」
「ロク?」
意外にもそこで森番が口を開いた。匡が訝しむ。
「はだかの女の写真がたくさんの本を、取り戻す、戦士だ」
「ロク???」
匡はもしかしてこの子もダメなのかな? と絶望を味わった。
いや彼にそんな感情はない。凪いだ水面は揺らがない(シリアス指数回復)
「キミ達は、このくらい大きくなっても」
森番はできるだけ恐れさせぬように、とぎれとぎれに語った。
だが中坊達が彼女の声に怯えることはない。何故か?
簡単である、どうやら女子だと気づいてそっちでそわそわしているからだ。
「年上とか」
ヴィクティムを見る。カウボーイは頷いた。
「バブみとか」
ネグルを見る。サイボーグは頷いた。
「……脚フェチとか」
「待てそこで俺を見るな」
匡はコンマゼロゼロ秒でツッコミを入れた。誰か彼を休ませてくれ。
「…………じゃあ、何が」
「そもそもねーよ」
匡のツッコミは弾丸めいて真っ直ぐである! 論破!
森番は気を取り直して男子達を見やる。
「……性癖(ゆめ)を求めて、闘う、未来を持つ」
彼女は脳裏に一人の男を思い描いた。未来のためにあがいた男を。
男はろくでなしだが、未来のためには誰よりも一生懸命だった。
なお、どこかの世界でなんかろくでなしがおもいきりくしゃみした。
「……強くなれ。絶望よりも、本能は――」
ふっと微笑む。男子達はドキドキする。
「生きる力は、強い」
「この状況じゃなきゃまともな説教なんだけどな」
匡の台詞で何もかもが砕け散ったという。
「よし、ならせっかくだ。同志(ソウルメイト)を捜すか」
スチャッ。ネグルはものっそい当たり前の顔でスチルなどを取り出した。
フェアリー(見た目と口調でわかりにくいが実はお酒が飲める)、
、羅刹(見た目と口調でわかりにくいが実は未成年)、
ヤドリガミ(機動戦艦の中央制御ユニットだが音速で匡に回収された)、
UDCのお姉さん(眼鏡美人だがこの状況を見たら間違いなく頭を抱える)、
他にも様々だ。なおスチルは全身・バストアップ・顔アップの3つがある。
「どうだね諸君、ピンと来る人はいるかな?」
「お前」
ヤドリガミのスチルを回収しながら匡が何かを言おうとするが、
「ちなみに複製などは勘弁してくれよ、さすがに私が殺される」
ネグルが割り込んだ。
「今の時点でもうだいぶアウトじゃないかこれ」
だが匡はひるまなかった。
「お前ホントそういうとこだぞ」
カウボーイがストライカー攻撃した。
「えっ」
「おれもそう思う」
「えっ」
森番まで敵に回ると思ってなかったのでネグルは怯んだ。
なお、スチルの内容量としてはフェアリーが圧倒的に多い。
そしてそこへ襲いかかるデビルズナンBRATATATATAT!!
「他にないだろうな」
アサルトライフルをリロードしつつ匡がマジ顔でネグルに言った。
もはや紙飛行機達は接近すらなく撃ち抜かれる運命であった。
「と、とにかくだ! 相棒もなんか……あるだろ!」
「なんかってなんだよ」
「アセンション?」
「ファミレス行く? みたいな発音で謎の言葉使うな」
「(まさか何かあると思ってなかったので宇宙を背負う森番)」
「ロクお前俺のことどう思ってるんだ」
三人からの追及を受け、匡はとてもとてもどうでもよさそうに溜息を突いた。
そこにデビBRATATATATAT!! リロードをしながら一同を見る。
「別に俺は何もねーよ」
「えぇ~? 本当でござるかぁ~??」
「ネグルお前なんで今回の仕事で時々口調バグるんだよ」
「01~? 01010101011~?」
「お前その発音どうやって出してんの???」
宇宙を背負う顔のロクに手を振って何もないとツッコミつつ、
匡はこの状況のいたたまれなさになんとも居心地の悪さを覚えた。
「……俺はもっと集中して仕事してくる」
なので当然真面目に敵を倒しに行こうとするのだが、
「あれは……おそらく一番エグい(性癖)を持ってるタイプだな」
と、ネグルがこれ見よがしに言った。
「マジかよ……フェアリーよりエグいのってなんだ」
「さりげなく私のことエグめの扱いしたな今」
「子供はいい」
「やべえ妙な連中引き起こした……ハッ!?」
そこでヴィクティムは愕然とした表情をした。
彼はハッカーである。電子の世界を垣間見る魔術士である。
ゆえに森羅万象のことをわかってしまったり、
幼女を泣かせたり幼女を泣かせてしまったことなどがある。
「――まさか、ババ」
「見えた。そこだな」
「いやなんでもないっつーかそもそも逃げるのがいけねえんだろチューマ!!」
「別に逃げてないだろ……どうでもいいだけだ」
が、このままだとかなり仕事に不都合が出そうである。
仕方ないので匡は踵を返し、一同を見やった。そこでデBRATATATAT!!
「そもそも他人の考えてることなんて、よくわかんねーよ」
リロードしながら匡曰く。
「じゃあ誰か女子とパレードとか見に行ったりはしないのか、相棒」
「そのぐらい誰でもあるだろ」
「……待て匡、その時何した?」
「何って」
「いいから」
なぜかマジ顔のカウボーイ。匡は仕方なく言う。
「何って、パレードを見る以外になんかあるのか?」
「そうじゃねェーよ!! いいからなんでも挙げてみろ!」
「……ジュースの飲み比べをしたり」
「「…………」」
ネグルとヴィクティムは顔を見合わせた。
彼らはわかりがあるので、今の発言でおおよそを察した。
「相棒、お前誰か女子をものすごく不機嫌にさせたことはないか?」
ネグルの質問に匡は片眉を釣り上げる。
「……なんでだよ」
「いいから」
「あるけど。戦闘中の話だよ、必要だからかばっただけで」
「「…………」」
わかる男達は顔を見合わせて、わかりあった。
「相棒」
「匡」
「ん?」
「「そういうとこだぞ」」
「えっ」
「おれもそう思う」
「明らかにそっちは適当だよな」
「「そういうとこだからな」」
「だから何がだよ……」
付近のデビルズナンバーは一層されていたという。
とっぴんぱらりのぷう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●お詫び
上記リプレイ中に致命的ミスがありましたが邪神の影響なのでごあんしんください。
引き続き男子(おとこ)達の物語が続きます。いじょうです。
トルメンタ・アンゲルス
◆プロローグ
トルメンタは激怒した。
必ず、かの邪知暴虐のカミを除かねばならぬと決意した。
トルメンタにはエロスがわからぬ。
トルメンタはSSWの戦士である。星雲を走り、相棒と駆け抜けて生き暮らして来た。
けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
~~
ああっ!俺の本!
いや俺のではないですが!
後ろ髪引かれる思いもない!
だがそれはそれとしてぶっ飛ばす!
俺からあれを奪った罪は重い!
来い相棒!
変身!
『MaximumEngine――Mode:Formula』
アクセルユニゾン、攻撃力重視で変身!
追撃のブリッツランツェと、その衝撃波でぶっ潰す!
目当ての本:筋肉真面目歴戦傭兵男×快活酒場の看板娘(女性向け、話重視)
ヒルデガルト・アオスライセン
そこのアース学徒、何をしてるんですの…!?
いつまで失った本を嘆いてらっしゃるんですか!
そう貴方達も私も大切な書を奪われました。…しかし
その目は節穴ですか!?
上天の渦をご覧なさい!!あれ全部秘蔵本ですよ!?
秘密結社とてミスを犯します、所詮人間です
少しの手違いで見た事もない宝に戻る可能性だって0じゃあない!!
まだ間に合う纏めて倒して奪い返すのです!!
それが徒労だったとしても呆然と立ち尽くすよりはマシというもの
きっとその勇姿に惚れる淑女もいる事でしょう
それとも心に決めた一冊すら取り戻せない腰抜けなのですか?それでも男ですか!!
もう構っていられません私は行きます!!
こっそり光で学生と自分のハートを回復
●これでメロスは三人目です
――トルメンタ・アンゲルスは激怒した。
必ず、かのアレなアレをアレせねばならぬとアレした。
トルメンタにはエロスがわからぬ。彼女は宇宙世界の戦士である。
戦争シナリオを駆け抜け、シリアスをして生き暮らしてきた。
けれどもギャグに対しては、人一倍に適正があった。
「ああっ、俺の本が! いや俺のではないですが!!」
ばさばさと空へ舞っていくはくしを見上げ、トルメンタは呻いた。
そんな彼女の周囲では、同じようにうなだれる男子中学生達。
「…………」
「俺のではないので、後ろ髪を引かれる思いも――」
「あなた!!」
「はい!?」
トルメンタの物言いに、ヒルデガルト・アオスライセンが声を張り上げた。
お嬢様の怒声ということもあり、男子中学生らもビシーッと立ち上がる。
「あなた達はいったい、何をしているんですの……!?」
「いや、これからかっこよく変身を」
「おだまりなさい!!」
「アッハイ」
ふぁっさーと髪をかきあげつつ、ヒルデガルトは言う。
「たしかにあなた達も私も、大切なエ……書を奪われました。
しかしいつまでも嘆いていたところで、喪った本は戻ってこないのです」
「ま、まあ……」
「「「でも俺ら一般人だし……」」」
「おだまり!!!!」
「「「「アッハイ!」」」」
ヒルデガルトはおもむろに、ピシィ……と片手を、指を空へとかざした。
トルメンタは意図を理解しかねる。中坊どもはアホ面で首を傾げた。
「……あなた達、その目は節穴ですか!?」
「いや言ってもらわないと俺も」
「シャラップ!!」
「英語!?」
トルメンタの言い訳を一蹴しつつ、ヒルデガルトは一同を見下ろす。
おお、黒雲渦巻く空にありて、その気高き姿は後光を纏うかのように輝く!
こ、これが気高きもの、貴き血筋の証左なのか!? まさに天上人!
実際は生まれながらの光を使っているだけなのだが、
その場にいる人々は誰もがあまりの迫力に飲まれたので指摘しなかった。
「上天の渦をごらんなさい。あれが何かおわかりで?」
「お、オブリ――わからないです、はい」
ヒルデガルトはトルメンタから目線を戻し、言う。
「あれは全部秘蔵本ですよ!?」
「「「「!!!!!」」」」
「つまり言わば――天の光は! すべて性癖(ほし)!!」
「「「「!!!!!!!!!!!」」」」
一同はあまりの語気に息を呑んだ。言葉の意味は誰にもわからない!
「秘密結社とて所詮構成員は人間、ミスを犯します。
少しの手違いで、見たこともない宝(ほん)に戻る可能性だって……。
あるいはあなた達がかつて喪ったものに戻る可能性だって0じゃない!!」
なんという説得力! これがお嬢様のトークスキルか!?
トルメンタは電撃に撃たれたような衝撃を受けた。
これが……これが、スペースシップワールド以外で戦うということ。
残念ながら彼女はツッコミ役にはなり得ないのだ!!
「まだ間に合うでしょう、纏めて倒して奪い返すのです!!」
「で、でも……もし、徒労に終わったとしたら?」
トルメンタは思わず問いかけた。ヒルデガルトは髪をかきあげる。
「それでも、呆然と立ち尽くすよりはマシというもの」
そしてちらりと中学生達をみやった。中坊どもはドキドキした。
「きっとその勇姿に惚れ込む淑女もいることでしょう」
「「「ウオオオオーッ!!」」」
彼らは一斉に吹き上がる! 所詮は10年ちょっとの人生ペーペーだ!
「それとも、心に決めた一冊すら取り戻せない腰抜けばかりなのですか?
それでも男ですか!! まったくこの……軟弱者!!」
「いや俺実は女で」
「えっ」
「えっ?」
「えっ……」
……やや妙な間があったが。
「もうかまっていられません、私は行きます!
あなた達のようなのろまには付き合っていられませんので!!」
ピククゥ~ッ!!(トルメンタの眉が跳ね上がる音)
「なんだァ? テメェ……」
トルメンタ……キレた!!
「俺に速さで勝負しようとはいい度胸! 見せてやりますよ真価をね!!」
マシンベルトを起動し、片手を掲げる!
「来い、相棒!!」
そして愛機が!
……シーン。
「……来い、相棒!!」
…………シーン。
「…………来てください相棒!!」
グォオオオン。やややる気なさげなエンジン音で駆けつけた。
何もなかった、みたいな感じでポーズを取るトルメンタ!
「――変身ッ!!」
《MaximumEngine――Mode:Formula》
一瞬エラーが出かけたベルトをガツンと殴って言うこと聞かせつつ、
装甲をまとったトルメンタ。上空の邪悪どもを見上げる!
「俺からあれを奪った罪は……重い。ついてこれますか、お嬢様?」
「愚問ですね。あなたこそ私についてらっしゃい!」
二人は頷きあう。そして空へと流星が消えていった――!
「……見えた?」
「俺は何も見てない」
「ねえ見えたよね?」
「俺は何も見てない」
中坊どもの間で謎の会話があったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
月宮・ユイ
結構な被害が?!
流石に絶望に共感はできないけれど、励ます位は…
【機能強化『奉仕、学習、感覚』】
むぅ、基が仲間謹製の義体故見た目は悪くないはずなのですが…
前章の結果受け体のライン確かめるように手でなぞる
昔の篭絡プログラムが残っていれば…(無くて正解「大人」の世界になる)
”コミュ力、優しさ”
明日への希望…なら騒動の打ち上げにお花見のお誘いを
”知識から学習力で情報収集”お弁当に自慢の”手料理”用意しますよ
足りないなら手繋ぎの散歩と膝枕も追加です
上手く感情を”操縦”程良く”誘惑し鼓舞”出来れば最良
性癖:両刀。強くありたい強がり故認めないが、無自覚に被支配欲強。強引に使われたい。奉仕好き
絡みアドリブ歓迎
●中学生というかこれ小学生では
「むぅ……」
月宮・ユイは唇を尖らせながら己の体のラインを撫でた。
言わずもがな、エロ本探索中に受けた仕打ち(?)が原因である。
男子中学生をちょっと大人のお姉さんっぽくからかってみたら、
あっちはスンッと冷静になって足早に去ってしまったのだ。
「……って、そんなこと言ってる間に結構な被害が!?」
あたりに響き渡る阿鼻叫喚。崩れ落ちて咽び泣く男子達。
さてどうしたものか、あの感じからするに同じ手は使えなさそうだと判断する。
そう、中坊どもはガラスのティーンエイジ。その心は繊細にして複雑だ。
「あなた達……明日への希望がほしいというなら……」
びくっ! 男子中学生達が一斉に顔を上げる!
「い、言うのなら……」
ユイは困惑した。なぜ彼らはガン見しながら微妙にキョドっているのか。
さもありなん、ヤドリガミである彼女にはわかりづらかろう……。
彼らはエロ本を捜すぐらいには欲望はあるのだが、
ある意味それ以上に女性には耐性がないのだ! むしろだからこそだ!
そうでもなければこんな風に邪神呼べそうなもわもわ出さんのである。
「…………そうね、お花見とかどうかしら」
熟考のはて、ユイは当たり障りがなさそうなところに着地点を見出した。
お花見。ジャパニーズ・チェリーブロッサム・パーリーである。
おまけに手料理までついてくる? これは……せ、青春!!
「「「…………」」」
男子中学生達は静まり返る。クイズ番組の解答めいたプレッシャー……!
「あっ、じゃ、じゃあ俺ぜひ!」
そこでひとりの男子が起き上がった! すると!!
「うわっ里中マジかよ」
「女子と花見とかまじかよ~」
「里中エロじゃん」
「エーロ! エーロ!」
突如として同級生らしき男子中学生達が少年をからかい始めたのだ!
ALAS! エロ本拾いに来といてお前らどの口がほざくんだという話だが、
これがガラスのティーンエイジの複雑さ……里中少年は追い込まれた!
「ばっ! ち、ちが、エロじゃねーし!」
「「「エーロ! エーロ!!」
あっというまに男子中学生どもは元気を取り戻し彼を囃し立てた。
誰かをからかう時、男子は恐ろしいまでのパワを発揮する……!
「……もしかして難しく考えすぎただけなのかしら……?」
あ、ユイさんの呆れはもっともだと思います。
大成功
🔵🔵🔵
夏目・晴夜
敵は【怪力】なニッキーくんで殴って【なぎ払い】や
【踏みつけ】させます
実は私は超絶貧乏子沢山な一家の末っ子長男です
つまりは姉が大勢いるんです
わかりますか、姉です姉
数は本当に多いので体型、外見年齢、性格、様々な属性を網羅しています
私に似て顔はかなり良いです
実弟的には何も思わないけど他人的にはエロい光景ってありますよね
そして光景って写真にして残せますよね
差し上げますよ。お好きな属性を持つ姉の写真をタダで
エロ本並みのは無いですが、かなり悪くないと思いますよ
成人漫画よりも少年漫画の些細な描写のほうが寧ろエロいみたいな感じで
■
記憶消去銃を持ってる方は、後で彼らの記憶消しといてください
写真とか持ってないんで
●優しくて可愛いけど血塗られたロッジにいそうな
「ニッキーくん、やっちゃってください」
SMAAASH!! 恐ろしい風貌のからくり人形の豪腕が唸る!
あわれデビルズナンバー・はくしは、まさに四散した!
風圧で煽られた紙飛行機は鉄槌じみたストンプで地面に叩きつけられる。
「いやあ、優しくて可愛い上に強いだなんて、ニッキーくんは最高ですね!」
夏目・晴夜は心の底からの満面の笑みで、
自らが操るからくり人形の性能と可愛らしさを褒め称えるのだった。
それを見ていた男子中学生達はあまりの"圧"に子鹿めいて震えている。
「さて皆さん」
そんな彼らを向き直り、晴夜はアルカイックスマイルを浮かべた。
エロカーストの最下層民に対する侮蔑と嘲笑をあらわに……ハイランダー!
「実は私は、超絶貧乏子沢山な一家の末っ子長男でして」
「「「……?」」」
晴夜の言葉の意味を判じかね、男子達は震えながら顔を見合わせる。
思わず『うーんやっぱりエロ本拾うぐらいしか女子と接点のないお馬鹿なお子様には難しいですかねえ』とか日頃の毒舌が出かけた晴夜だが、
それをぐっと飲み込み、懇切丁寧に説明してやる。
「つまりは、姉が大勢いるんです。……わかりますか? "姉"です、"姉"」
「「「姉……!!!!」」」
まさか、自慢か。姉を自慢しようというのか。
男子中学生達の内なるゴリラが目覚め始める。野生解放の瞬間である。
「数は本当に多いですからね、体型も年齢も性格も様々ですよ。
そして私に似て、顔はかなりいいです。ニッキーくんほどではないですが」
「「「アッハイ」」」
ゴリラ化はひとまず収まった。
ともあれ晴夜は、たっぷり5秒ほど置いてからニヤリと笑う。
「実弟的にはなんにも思いませんが、よく考えるとエロい光景ってありますね」
そして現実に起きたことは大抵の場合、写真……PHOTOに残せる。
「……差し上げましょうか? もちろん、無料(タダ)で」
ざわ……!
男子中学生達がにわかにざわめく。晴夜に向けられる視線の色が変わる。
警戒と憎しみが、そう、畏怖と敬意と羨望のものに……!
「「「神(GOD)……!!)」」」
「やだなあよしてくださいよ、それほどでもありますが」
どうやら完全にやりこめたらしいので、晴夜は満足げな笑みを浮かべた。
やいのやいのと好みの属性を騒ぎ立てる学生達を宥めてから席を外す。
「あ、もしもしUDC(組織)の方ですか? 一つお願いがありまして。
ええ、はい。記憶消去処理を後々お願いしたく……」
彼はそのへんの根回しは徹底していた。なにせ、なにせ……そう!
「ええ、はい。姉がどうとか言う連中がいたらそいつら全員で。
私に姉とかそういうの居ないんで。はい、よろしくお願いします」
な、なんたることか! おお、神よ……!!
大成功
🔵🔵🔵
三咲・織愛
本が白紙になってしまうなんて、悲しいことです。
それも、たくさんの人の夢が詰まっていたというではありませんか…!
許せませんね!
敵さんの攻撃は見切り、noctisでえいえいと範囲攻撃をいたしましょう。
落ち込んでいる男子学生さん達は励ましてあげませんとね。
本との出逢いは一期一会。
気に入りの本が読めなくなってしまってはさぞ悲しい事でしょう。
ですけど元気をお出しになって!
きっとまた素敵なご本と出逢えますから。
それに、繰り返し読んだものでしたら、心の中に残っていますでしょう?
思い出は消えません。
何度も反芻して楽しめる…そんな本と出逢えた事がなによりの喜びの筈ですよ。
がんばって!
*アドリブ絡み歓迎です
叶・都亨
どうしてそういうことするの!!!!!!(悲痛な叫び)
なんたやつらだ…絶望した…もう死ぬしかない…
……いや待て。だんだん腹が立ってきたぞ
ってかなんなん?邪教徒って
エロ撲滅でも掲げてんの?
人の事絶望させておいて自分たちは…… はっ?!自分たちのエロ本だけは無事なのでは?!?!
許すまじ邪教徒!
立ち上がれ青少年!
俺たちのエロパワーはこんなもんじゃあないはずだ!
例え白紙になろうとも心にエロがある限り!妄想は無限大だ!
たゆんたゆんのおっぱい、張りのある絶妙な尻のライン、うなじに唇、目を閉じても思い浮かぶだろう!
この妄想こそが絶望から立ち上がる力となるんだぜ!
えっ戦う必要あんの?
じゃあ適当に矢撃っときます
●時として善意が人を殺すこともある
「どうしてそういうことするの!!!!!!」
阿鼻叫喚の地獄の中、叶・都亨は悲痛な叫びを天に向けた。
絶望である。こんなのは三段重ねのアイスを転んで台無しにしたとき以来だ。
「もう死ぬしかない、鬱だ死のう……」
ほんとに15歳かな? みたいなことをぶつぶつ呟いていたが、
そこではっと我に返る。エロ小僧の天恵が炸裂した!
「まさあいつら、自分達のエロ本だけは無事なのか……そうなのでは!?!?
おのれ許すまじ邪教徒ども! こんなことしてる場合じゃねえ!!!!!!」
がばっ! 立ち上がり拳を握りしめ、中坊(どうし)達に呼びかける!
「立ち上がれ青少年! 俺達の底力(エロパワー)はこんなもんじゃあないはずだ!!」
生気に満ち溢れた叫びは、絶望するしかなかった仲間達を鼓舞する。
「たとえ白紙になろうとも……心にエロがある限り妄想は無限大だ!!」
「「「お、おお……!!」」」
「たゆんたゆんのおっぱい、張りのある絶妙な尻のライン、うなじに唇!!」
「「「おおおおーっ!!!」」」
エロに対する飽くなき執念を燃やすエロガキどもにかかれば、
目を閉じればそこがすなわちパラダイス。それを思い出した!
「この妄想こそが、俺達を絶望から立ち上がらせる力となるんだぜ! さあ」
「そうです、元気をお出しになって!」
「えっ」
突然の合いの手に、都亨はびくうっと驚いて振り返る。
するとそこには、真剣な表情で両手をぐっと握りしめる美少女エルフが!
「えっ!?」
「え? どうされたんです?」
「あ、あああああの、い、いいいいい一体いつから」
都亨はガタガタ震えた。だが美少女エルフ……もとい三咲・織愛は、
にっこりと微笑むと『ついさっきです!』と答えたのだ。
彼女は知らない。男子中学生達がうなだれていたのか、その詳細を。
ただ『なんか本が白紙になって絶望していた』ぐらいの認識しかないのだ。
「たくさんの人の夢が詰まっていた、大切なご本だと聞いています。
なんて悲しいことでしょう……そんなことをする人達、許せませんよね!」
「ソウデスネユルセマセンネ」
都亨は一刻も早くこの状況から逃げ出したかった。
なにせ織愛はたいそう麗しい少女である。というかお姉さんである。
そんな純朴なお姉さんが、勘違いから心から自分達を慮り、
あまつさえ励ましてくれているのだ。罪悪感が半端ねえ!!
あと、織愛が真実を知った時、ドン引きでもされようもんなら心が砕ける。
「本との出逢いは一期一会。お気に入りの本が読めなくなったとしても、
いつかまたきっと素敵なご本と出会えます。それに思い出は消えません」
さっきそんなようなことをおっしゃってましたよね?
みたいな清楚なゆるふわスマイルが都亨に向けられた。
一切の邪気も皮肉もない、天然100%混じりっけなしの善意である。
「アババババーッ!?」
「きゃあああーっ!?」
あまりの緊張といたたまれなさとあとなんかもうわけわかんなくなったので、
都亨はそのままのけぞってぶっ倒れた。だ、大惨事だ!
「まさか、これも邪神の攻撃だというのですか……?」
誤解に誤解を重ねた織愛は、きっと空の黒雲と敵影を見上げる。
倒さねばならない、こんないたいけな少年達を苦しめる悪の枢軸を!
「待っていてくださいね、皆さんのご本は必ず私が取り戻します!」
「「「アバババババーッ!?」」」
「きゃあああーっ!?」
悲劇は繰り返された。ぺんぺん草一本残らねえ。
「まさか一般人にまで、これが邪神教団だというんですか……!?」
織愛は悲しげに頭を振る。都亨はなぜこんなことになったのか運命を呪った。
このまま誤解されてても真実が明らかになっても地獄である。
というかもういまここが地獄である。おお、神よ……!
「俺が何をしたっていうんだよぅ……!!」
原罪(エロス)は、男達に常に重くのしかかるのだ……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ユーリ・ヴォルフ
生き甲斐を奪うとはなんという非道なことを
だがこの程度で負けるな!
実は先日…部屋に散乱させていた参考書を
こっそり片思いしている相手に見られてしまってな…
『ケモミミ☆パラダイス』『肉球パーティー!』
『亜麻色えくすたしー』年上彼女×年上彼氏漫画
『オレンジダイアリー』助けた兎が美少女になり
恩返しに訪れるというハートフルストーリー
※全てR18
無知だったのか幸いキョトンとしていただけだったが
正直死線を渡る思いだった!
しかも最近艶めいた表情をするようになり(新IC)
誰かに片思いでもしている疑いが生じてきたモウシヌシカナイ
私はそれでも逞しく生きて戦っている!
君達も心を強く持て!前へ走り続けるんだ!
敵へUC攻撃
テン・オクトー
白紙になっちゃった。ちょっとだけ残念。でもほぼノーダメージだよ。
WIZ
え?紙攻撃してくの?じゃあ…
UCの【鉤爪】【竜巻】効果でビリビリビリ〜!
え?やる気あるよ、あるある。
それよりも打ちひしがれた男の子達が見てられないよ。(ダイスのためにも)鼓舞しよう。
えっと、うん、とても素敵な本だったけれど、やっぱり本物のほうがいいと思うよ!触れるし、多分温かいし!いい匂いもすると思うし、きっとドキドキ楽しいよ!これからは本物を求めたらいいんだよ。(と無知故にムチャなフォローをする)
あ、なんだか前回のお兄さんに続き、お祖父ちゃん(UCの)のボクを見る目も生暖かい!?鼓舞してるの聞かれた!?
連携アドリブ歓迎です
●なにせ戦闘してるリプレイの方が少ないですからね
「うーん……」
この阿鼻叫喚の地獄の中にあって、ほぼノーダメージな少年がいた。
まだ10歳にも届かぬケットシー、テン・オクトー……無垢な8歳児だ。
……なんでそんな小さな子がこんなところにいるんだろうか?
というか来てしまったんだろうか? 2章になったが答えはまだわからない。
「敵のこともあるけど、打ちひしがれた子達が見てられないよ……」
「ああ、だが奴らはそれだけ非道なことを行ったのだ無理もない……」
「あっ、さっきのモフモフ好きのお兄さん!」
「ユーリ・ヴォルフだ! 名前を覚えてくれてもいいのでは!?」
したり顔で頷いていたユーリがツッコミを入れた。
気を取り直し、彼はうなだれる男子中学生達にこう呼びかける。
「君達の心の傷の痛みは察するにあまりある。だがこの程度で負けるな!!」
「お兄さん……!」
テンはきらきらと憧れの眼差しを向けた。かっこいい背中だ!
「……実は先日、自室に散乱させていた参考書(エロ本)を、
こっそり片思いしている相手に見られてしまってな……」
「お兄さん……?」
「私の大事な『ケモミミ☆パラダイス』や『肉球パーティー!』、
さらに『亜麻色えくすたしー(年上彼女×年下彼氏漫画)』や、
はては『オレンジダイアリー』(※全て成人指定)まで……!」
「お兄さん?」
「特に『オレンジダイアリー』は私のお気に入りなんだ。
あらすじとしては、助けた兎がある日美少女になって恩返しに来るというハートフルストーリーなのだが、耳尻尾のみのオーソドックスなスタイルだけでなく、マズルと毛皮つきの半ケモ形態、さらには頭身低め逆足のガチケモ形態でまでワーオなシーンがあるというこだわりっぷりがいい!! 特にヒロインが発情期を迎えてしまうくだりが最高で」
「ねえお兄さん男の子達割とドッ引きしてるんだけど!?」
「はっ」
我に返ったユーリは、こほんと咳払いして気を取り直した。
「と、とにかくだ! 彼女は無知ゆえか先ほどの彼(テンのこと)のようにキョトンとしていただけだったが、
私としては正直死線を渡る思いだった……生きた心地がしなかった」
「う、うん、それは大変だったね……」
「しかも最近妙に艶っぽい表情をするようになってだな」
「お兄さん……?」
「誰かに片思いでもしているのではないか、いや下手をすると妙な輩に騙されているのではないかという疑いが生じてきた一体誰なんだそんな奴は私が出ていってぶっ倒してやる私はそんなの許さないぞいやでも私はあの子の保護者でもなんでもないしもうダメだ死ぬしかない」
「お兄さん!?」
「はっ!!」
再び我に返ったユーリ、咳払いをして三度気を取り直す。
「なんにしてもだ……私はそれでも、この通りたくましく生きて戦っている!
君達も心を強く持て! 未来へと……前へと、走り続けるんだ!!!」
「すごく無理やりなまとめ方だけどいい感じだよお兄さん!」
テンはぽふぽふと拍手した。ユーリは照れた。
「それにボクはそういうのまだわからないし、あれは素敵な本だったけど、
やっぱり本物のほうがいいと思うよ! 触れるし、多分あったかいし!」
「……少年?」
「いい匂いもすると思うし、きっとドキドキ楽しいと思うな!
だからさ、これからは本じゃなくて本物を求めたらいいんだよ!」
「少年! そこまでだ! タップ! タップ!!」
ユーリは慌てて止めた。男子中学生達のメンタルに大ダメージ!
「あ、あれえ? おかしいなあボク何か間違えたのかな……」
『テン……テンよ……』
「「こ、この声は!?」」
ふたりは振り返った。そこにはアグラ姿勢で浮遊するケットシー霊が!
『テンよ……大きくなったな……だがまだまだ青い……』
「お、おじいちゃん!?」
「お祖父様なのか!?」
『ひとつ、おぬしにワシからインストラクションを授けよう……」
「おじいちゃん……!」
「なぜ微妙にニンジャめいているのだ……」
くわわっ! 祖父の霊は大きく目を見開く!
『たしかに現実は現実でよい! じゃが!! それはそれ!!』
「「!!」」
『これは! これ!!!!!!』
「「!!!!!」」
『忘れるなよテン……ワシもよく婆さんに叱られたものじゃ、フォフォフォ』
「おじいちゃーんっ!!」
「お孫さんに贈る言葉がそれでいいのですかご祖父殿ー!?」
満足げな顔でご先祖様の霊は消えていく。
それはそれ、これはこれ。テンは、また一歩大人になったのだ……!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
違法論・メグル
ヒ、ヒデェーーーッ!!
あんまりだぁ!
な、なんてことするんだこの鬼!悪魔!邪神!
あっ邪神だった
みんな元気を出して!
こういうときこそ己を奮い立たせるために楽しかった思い出を頭に描くんだ!
そう……二の腕の感触が似てるって話題になって自分でそっと揉んで……
虚しくなりつつも必死に脳内補完していたあの日を思い出せ!
って感じで皆を説得するよ
どう?元気でた?
それはよかった、ここは危ないからちょっと離れててね!
ハァ……ぼくの二の腕も女の子の胸の感触に似てれば良かったのにな……
ほぼ液体だもんな……
男子生徒諸君が安全そうなら【バウンドボディ】で一気に近づいて攻撃するよ
返せ!僕の『厳選グラビア写真集』を!
アドリブOK
ジューク・グラモフォン
わあ、何だか大変なことになってるみたい?
大切なものを奪われたら、悲しいよね
うん、ボクにも分かるよ…って、え?何か違う?
ともあれ、傷ついたときにはやっぱり歌を歌うのが一番元気が出ると思うんだ〜
そんなワケで、キマフュで元気が出そうで年頃の男の子たちの事を歌った歌を歌うよ
(何かいい感じに男子の欲望をさらけ出したらコミックソングを歌う。ついでにUCでみんなの治療もできるよ、やったね!)
どうかな?元気出たかな?
?イマイチ??
何でだろ?
みんなの宝は全部取り戻したいなぁ
どれもすっごく大切なんだろうね!
(強いて言うなら、囁きセクシー音声記録媒体とかあったら、真っ赤になって慌てて本体に逃げ帰るかも知れない)
エドゥアルト・ルーデル
むしろあの本の内容(BBA)なら奪われても別にいいのでは?拙者は訝しんだ
そこながっくりしてる少年!制服は好きでござるか?【女生徒の制服】(※性癖)だ!!
若い身を包むセイラーにブレザー、若さと青春の象徴だ!
失ったならまた取り戻せばいい!手に入れられなかったらまた探せばいい!若いうちならいくらでもやり直せる!
だからあの紙共は燃やそう!未練を断ち切って新たな一歩を踏み出すために!
こうやって紙の花びらのど真ん中に【超大型爆弾】をシュゥゥゥゥ!行け!忌まわしき記憶とともに!
敵をあの記憶ごと纏めて【吹き飛ばし】てくれ!!
アドリブ・絡み歓迎
●かくして地獄が終わる
「ヒ……ヒデェーーーーーッ!!!!」
違法論・メグルは暗澹たる黒雲と地獄絵図を前に思わず叫んだ。
それは慟哭のようにやるせなさに満ちていた。おお、神よ……。
「いくらなんでもあんまりだぁ! 儀式だからってここまでするかよ!
この鬼! 悪魔!! 邪神!!! ……あっ、邪神教団だったわ」
思わず今回の目的が色々すっ飛ぶぐらいの衝撃であったという。
「ホントだ、なんだか大変なことになってるみたいだね」
一方、駆けつけたジューク・グラモフォンはのんびりした様子である。
なにせジュークはヤドリガミな上、エロ本文化のことがよくわからない。
おかげでさっきは色々騒動を起こしかけたのだがそれはさておくとしよう。
「きっとみんなにとっては、とっても大切なものだったんだね……。
大事なものを誰かに奪われたら悲しいよね。ボクにもよくわかるよ」
「多分っていうか絶対だけどその理解は完全に間違ってると思うよ!!」
「えっ、そうなの?」
メグルのツッコミにもはてなマークをいくつも浮かべる始末である。
「そうか……じゃあこういうときは得意分野でみんなを助けてあげないとね。
傷ついた時には、やっぱり唄を歌うのが一番元気が出ると思うんだ~」
「ええ……?」
怪訝な声を出すメグルをよそに、ジュークは高らかに歌声を響かせる。
さすがはジュークボックスのヤドリガミ、その声量には定評がある。
の、だが……いかんせん、彼の選曲はキマイラフューチャーに依存する。
しかも選んだのが、なんというか割とエグめというか、
ガラスのティーンエイジにとってはまだちょっと早めのやーつだったのだ!
「待った待ったストップストップ!」
「えっ、なあに? イマイチだった?」
「そんな曲聞いてるのバレたら学校でからかわれちゃうもの……」
「??????」
ヤドリガミであるジュークにはわかろうはずもない……。
日本の学校における男子社会、そう、恐るべき烙印制度……!
授業中にトイレに行ったり、格闘ゲームとかで女性キャラを使うことによる、
不名誉で下品なあだ名やからかいネタが定着してしまう恐怖は!!
「そっかあ、この世界のヒト達はなんだか大変なんだね」
せっかくの自らの機能が十分に働かなかったことにしょげるジュークだが、
そこで不審者にしか見えない黒髭のおっさんが目を輝かせて現れた!
「「ひえっ!?」」
「恐れなくていいのでござる、拙者は味方でござるよ!!」
言葉通りエドゥアルト・ルーデルは立派な猟兵なのだが、
すさまじい怒気とオーラと不審者そのものの見た目のせいで説得力がない。
「いまなにやら学校がどうとか話していたでござるな!?」
「「う、うん」」
「学校……そう! そこながっくりしている少年ども!!」
くわわっ! 黒髭のおっさんが目を見開く! 気持ち悪い!!
「制服は好きでござるか……? 女子生徒の制服は!!!!!」
「そ、そう来たかァーッ!!」
「???」
感嘆するメグル! はてなマークを浮かべるジューク!
「若い身を包むセイラーにブレザー、若さと青春の象徴だ!!
失ったなら取り戻せばいい、手に入れられなかったらまた探せばいい!!
やり直せるのでござる、若いうちなら。若いうちなら、若いうちなら!!」
「三回言ったね」
「大事なことだからね……」
きょとんとするジュークと色んな意味で頭を振るメグル。
エドゥアルトの言葉にはいろんなものが詰まっていた。
含蓄とか、若き者達へのエールとか、失った青春に対するノスタルジーとか。
「で、でもそうだよ! みんな元気を出して!」
勢いに乗り、さっきまで打ちひしがれていたメグルも鼓舞した。
「こういうときこそ、己を奮い立たせるために楽しかった思い出を描くんだ!」
「そうでござる! 拙者にだって楽しい学園生活が……」
「……生活が?」
黙りこくるエドゥアルトを心配そうに見つめるジューク。
「……女子に笑われたり、机を離されたり、拙者だけハブられたり……」
ずーん。目に見えて落ち込んでいくエドゥアルト。
が、次の瞬間にはぱあっと笑顔で顔を上げる。
「まあ今になってはご褒美なんでござるがな!! さすが拙者!!」
「なんかわかんないけどどうしてキモがられたのかはよくわかったよ」
感慨深い顔で頷くジュークであった。
そんな二人をよそに、メグルはぐっと拳? 袖口? を突き上げる。
「そう……二の腕の感触が似てるって話題で、自分で二の腕を揉んだり……。
車に乗ってる時に窓から手を出して、感触を確かめたあの日を思い出せ!」
「えっそれって何の感触に似てるの?」
「言うまでもなくおっぱいでござるよぉ~デュフフフ!」
「そうなんだぁ~!」
なんか外野がうるさい! そしていらない知識を植え付けている!
「虚しくなりつつも、必死に脳内補完をしていたそのバイタリティ!
それがあれば、ぼくらは何度だって立ち上がれるんだ……!!」
厳選グラビア写真集を取り戻すため、メグルは燃えていた!
「「「俺達、まだやれるのかな……?」」」
「やったね、みんな元気になったみたいだよ。宝を取り戻せるね!」
なんだかんだで心配はしているジュークは再起を喜んだ。
が、ここでエドゥアルトが、漆黒の意志を両眼に燃やす。
「けどよぉ、拙者とんでもねえBBA本掴まされたんでござるよ……。
思い出は大事だが、未練を断ち切らなきゃ前へは進めねえよなぁ?」
「「えっ」」
エドゥアルトはなぜかお腹についたかまぼこみたいな形のポケットから、
にゅっと物理法則を無視した超巨大爆弾を取り出したではないか!
「だから! あの紙どもは燃やそう!!」
「「えっ!!」」
「超大型爆弾をデビルズナンバーにシュウウウウウウ!!」
「「超エキサィティングしてるー!?」」
ひゅーん。アラフォーギリギリの強肩が爆弾を空へ放り投げる!
「行け、アクシス(爆弾名)……忌まわしき記憶とともに……!!」
「ああっ! 哀しみがあそこから始まっちゃうーっ!!」
悲鳴をあげるメグルと男子達、だが無慈悲にも……KA-BOOOOOM!!
「わあ、たーまやー!」
一人きゃっきゃしているジューク。
「これでいい……これでいいのでござるよ……」
「そんな……ぼくらにまたエロ本を探せっていうのかい……?」
愕然とするメグル達に、エドゥアルトはサムズ・アップした。
「それでいいのでござる。いわば拙者らは……終わりなき旅人。
メビウスの輪に囚われたようなものなのでござるからな!!」
爆炎が、夕暮れの空を照らし出していた……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『クゥイラトァ・グラルハ・メラルヒニトの書』
|
POW : 読み解けば死
【恐怖や狂気】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【宙に浮く文字】から、高命中力の【呪詛の塊】を飛ばす。
SPD : 目が合えば死
【視線】を向けた対象に、【本に記載されている呪詛の言葉】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : 理に至れば死
【開かれた本】から【呪詛の塊】を放ち、【具現化した文字の群れ】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠違法論・マガル」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●最終決戦!!
かくしてリビドーの黒雲もろとも、
デビルズナンバー・はくしは消え去った。
だがエロ本が戻ってくることはない。なぜか!?
『オオオオオォオオ……』
見よ! 空に現れた巨大な存在を……あ、あれは!
すさまじく巨大な……本。ただしエロ本ではない、魔導書だ!
「おおーっ!? なんということかーッ!?」
UDC組織の面々に拘束された、邪教団のリーダーが叫ぶ!
「儀式が失敗したことにより降臨されるべき邪神のエナジーのみが現世に表出、
あたりに満ちていたリビドーとエロ本への執着心が混じり合い、
あのような写本の形を取ることで不完全に顕現するとはーッ!?」
実にありがたい説明セリフだ! これで状況把握は完璧だ!
『オオオオオオ……猟兵よ……』
天に滞空する超巨大な魔導書……『クゥイラトァ・グラルハ・メラルヒニトの書』の単眼が、ぎょろりと眼下の天敵達を睨んだ。
『よもや我をこのような書物の形に縛り付けるとは……。
そもそもエロ本を媒体に我を降臨させようとか、
マジでふざけておるのかどいつもこいつも……!!』
本来、一ページめくるだけでも恐るべき狂気をもたらす人皮の魔導書。
その写本の一つ(を元にした物理肉体)に押し込められた邪神の意識は、
この状況そのものに割とブチギレていた。さもありなん。
『我は完全性癖物質…エロスの憎しみが増大せしもの……!
天敵どもよ、貴様らと生あるものを憎むものなり……!!』
ピシャーン! それっぽくあちこちに稲妻が落雷する!
『そういうわけで我、この体を利用し貴様らにショッキングなもの見せるから。
恐怖とか狂気ってエグい性癖のことなので覚悟するのだぞ天敵ども!!!!』
名状しがたき(超巨大な)人皮魔導書の目と口が呪いを叫ぶ!
さあ今こそ最終決戦の時だ!
世界にニッチ性癖をばらまこうとするやけくそになった邪神をぶちのめせ!!
●業務連絡
『クゥイラトァ・グラルハ・メラルヒニトの書』は、
青少年が見たらトラウマ間違いなしのエグい性癖を飛ばしてきます。
恐怖とか狂気とか呪詛とかそういうのはだいたいそれです。覚悟せよ。
性癖暴露とかいらない(そんなの戦闘に不要ですよ当たり前じゃないですか)ので、
なんかこうそういうニッチな性癖を乗り越えるかっこいい台詞とか、
『俺はそもそもエグい性癖だから効かないぜ!』とか、
なんかそういうのがあればいいんじゃないか?
プレイングの採用は4/8~9日あたりから開始します。
●追記
言うまでもないですが直接的描写とかイヤーンとかそういうのはしませんので、
これまで同様過激すぎるものなどはゴリラ化やむしろ逆に精神ダメージを招きます。
いじょうです。
アイ・リスパー
いちごさんとデート
「私のお宝映像の恨み、全力で晴らさせてもらいますっ!」
【チューリングの神託機械】で情報処理能力を向上。
【マックスウェルの悪魔】と【アインシュタイン・レンズ】で邪神を燃やします。
今どき、電子化してない書籍なのがいけないのです。
「これは、いちごさんの写真の分、
これはいちごさんの動画の分、
そしてこれはいちごさんの3Dモデルの分ですっ!」
敵がニッチな性癖を飛ばしてきたら、
万能コンピューターによる情報処理で対抗です。
「どんな性癖の画像を飛ばしてこようとも、
全ていちごさんの顔に変換する脳内フィルターで変換してしまえば私にはご褒美ですっ!」
神託機械の代償で鼻血を流しながらキリッと答えます。
彩波・いちご
アイさんと引き続き
つまり、ニッチなエロ本の邪神……?
けど、ニッチな性癖になんか負けません
っていうかそもそも、私自身が男の娘とか女装男子とかのニッチな性癖そのものじゃないですかっ
…という最悪に開き直りで敵の攻撃に耐えます
私はいいですけど、アイさんは…と意識を向けるとすごい事言いだしてて…
「って、アイさん、今までそんな事してたんですかっ?!」
私のコラ映像とかそんな…どういう反応すればいいんですかこれー?!
と、とにかく、紙の本なら火には弱いはずですよね
【フォックスファイア】の狐火を大量に召喚して、一気に燃やし尽くしてあげます
アイさんい詳しい話を聞くのはあとで…聞かない方がいいかもしれませんがっ
●ちょっと待ってくださいこの状況がデートと申される
「私のお宝映像の恨み、全力で晴らさせてもらいますっ!!」
気合一喝! 栄えある――いや不名誉極まりないトップバッターを取った……取らされてしまったのは、旅団・恋華荘からお越しのアイ・リスパーさん。
あとさりげなく今回の事件そのものがデート扱いされている彩波・いちごさん。プレイングありがとうございます!(ラジオDJ風)
「私自身がニッチ性癖そのもの、つまりそんなものに負けません!」
『我が言うのもなんだが貴様言ってて恥ずかしくないのか……???』
真顔で言い切るいちごの迫力にさしもの邪神も並行したという。
最悪な開き直りという他にない。おまわりさんこっちです!
「そこ! 私を無視しないでください!!」
アイは複数のユーベルコードを続けざまに連続発動!
最後には重力レンズを展開し、光を束ねることで邪神に光線を放つ!
「いまどき電子化もしてないだなんて生意気な……!」
『フ――フフ、フハハハハ! フハハハハハ!!』
強烈なレンズ光線を受けながらも邪神は高らかに笑う! なぜ!?
『なるほどたしかに強力な攻撃だ! だが!
貴様がその準備を整える間、我にも十分な時間があったということだーッ!!』
「ふっ、何を言うのです。その程度私の脳内フィルターに比べれば!」
「アイさん何言ってるんですか!?」
「いちごさんの写真のぶん、いちごさんの動画のぶん、いちごさんの3Dモデルのぶん!!
まだまだ支払わせたいツケはいくらでもあります、覚悟してください!!」
「だからアイさん何言ってるんですか!?」
鼻血を垂らしながら不敵に笑う。おらこんなバーチャルキャラクターさ嫌だ!
邪神はパラパラとページをめくり、ぐるんと自らの巨体を反転させる。
アイは余裕の顔だ。いちごを色んな意味でこよなく愛する彼女にとって、
だいたいのヤバげなアレは脳内でうまいことコラージュすれば無敵である。
むしろご褒美と言っていい。そこまでするのにどうして御本人には及び腰なのか。
「さあ、矢でも鉄砲でも火炎放射器で、も……?」
「アイさん……? ……う、うわぁああああああっ!?」
アイ、そしていちごは悲鳴を上げた! ALAS! なんたることか!!
『さあどうだァ! 男の娘もだいたいいつかはこうなるのだァーッ!!」
「ウワーッ割とリアルめな汚い体のおじさんとあの可愛い子の顔がコラージュされてるー!?」
「ほんとに割とリアルめのおっさん選んでるのが卑怯すぎる!」
「野郎、タブー中のタブーに触れやがった!!」
戦いを観戦していた男子中学生達は、邪神のあまりの邪悪っぷりに戦慄した!
未来予想図を出すとか、そんなの、ダメだろう!
それだけはエロ本とか妄想とかそういう話でやっちゃダメなやつだろう!
でも邪神はやるのだ! だって邪神だからね!!
「あ、あああああ、いちごさんが、胸毛、胸毛……!!」
「アイさんしっかりしてください! ここで倒れたらどうするんですか!?
いや私コラージュがどうとか聞きたいことが山ほどあるんですけど!!」
完全にデフラグ状態に入ったアイをがくがくゆさぶるいちご。
だが彼は意を決し、渾身のフォックスファイアを放った!
「邪神よ、ひとつだけ言っておきます!!」
『何っ!? バカな、貴様はいずれこうなるのだぞ!? なぜ心折れない!』
「私は――」
ぐっ。この状況に似つかわしからぬシリアス顔で拳を握る!
「妖狐なので、そんなγGTPとかがヤバそうな体にはなりませーーーーんっ!?」
『バカなーーーーーーーーッ!!』
ファンタジー種族に血糖値とか脂肪肝とかは無縁だ!
精力吸ってればなんとかなるしね! 完全論破! 論破です!!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
クロト・ラトキエ
恐怖? 狂気?
未来ある若人に見せるなんてとんでもない!
その様なモノ、余さず呑み下してみせましょう。
伊達に此方、強いてきた側……
悪鬼畜生(略さない表現)呼ばわりされたこともある側ではありません。
この見た目ですけど!
この見た目ですけど!!
こら、誰が眼鏡か。
――ともあれ。
僕と貴方、どちらがエグいか、いざ尋常に♪
トリニティ・エンハンス使用、炎の魔力を防御力に振り、
範囲攻撃の応用で、張り広げた鋼糸を即席の盾代わりに。
一般人に被害が及びそうであればそれで受け、
返すフック付きワイヤーで邪神を縛り上げたく(意味深ではない)
基本的は一般人の保護を第一に。
邪神の本格的な撃滅は、頼れる猟兵の皆様にお任せ致しますね?
草野・千秋
ついに現れたか、邪神
僕の家族の仇の眷属、邪神、滅ぼしてやる
エロスはタナトスと対立するもの
だが
僕は生きるためにエロスを肯定する
人が人である証だ
、生殖活動を求めるのは
これまで人の心を惑わした罪を思い知るがいい!
(変身)
ダムナーティオー、推して参る!
エグい性癖?
血の海、地獄、狂気、そんなものならとうに見た、恐れはしない
オブリビオンがこの世から消えてなくなるまで
僕の戦いは終わらない
2回攻撃、捨て身の攻撃を主軸に戦う
邪神が弱ってきたら怪力で殴り、地面に叩きつけ
決め場所があればUCを
大事なエロ本仲間が攻撃されるくらいなら
盾受け、かばうでカバーリングします
みなさん、お怪我は!?
●世に眼鏡男子というジャンルありにけり
恐怖(にっち)。狂気(じらい)。呪詛(とくしゅせいへき)――。
邪神がもたらす名状しがたい知識(せいへき)は、それ自体が正気を奪う。
おぞましき異界の知識。垣間見れば猟兵とて……!
「そのおようなモノ、余さず飲み下してみせましょう」
笑顔でクロト・ラトキエは言い切った。ウッソだろオイ!
『バカな、貴様……我が深淵(とくしゅせいへき)が恐ろしくないと!?』
「そりゃあもう、私どちらかというとそういうの強いてきた側ですし」
『うわっ怖……我帰ってパッパラパッパー(※異界で流行中の音ゲー。パンチとかキックとかジャンプとかする)とかしよ……』
でももう降臨しちゃったので帰れないことを思い出し、邪神は凹んだとさ。
「ふふ、どうしました邪神さん。私を恐怖(ニッチせいへき)で塗りつぶすのでしょう?
悪鬼畜生とも鬼畜眼鏡とも呼ばれた私にはたして通用しますかね!?」
この見た目だから恐ろしくしっくり来てしまう。
黒髪で眼鏡で割合笑顔でおとなしめな性格のおじさま。役満ですね。
「こら、誰が鬼畜でドSな眼鏡ですか」
『我何も言ってないんだけど???』
割とクロトはノリの良いタイプだった。
「……ついに現れたか、邪神」
だがそんな漫才の空気を一撃でぶっ飛ばすシリアスさんがいた。
し、シリアスさんが生きてるる! 心臓が動いていたのよ!!
「僕の家族の仇の眷属、邪神……形がどうとかなんて関係ない」
草野・千秋は、極めて真面目な表情で過去設定を暴露した。
これはかなりのシリアス濃度である。どこぞの仮装大賞並みにゲージが跳ね上がったことだろう。
決然と空を舞う超巨大エロ本……もとい、人の皮で装丁されし禍々しき肉体に封じ込められた邪神を見上げ、彼はつぶやいた。
「……エロスとタナトスは対立するもの、だが!
僕は、生きるためにエロスを肯定する! ……生きるために!!」
『なんで二回言ったのだ貴様』
「人が人である証だからだ。生殖活動を、求めるのは……!!」
『やっぱ避けようとして結局クラッシュしておらぬか貴様』
「黙れ邪神!! お前達の言うことなど耳を貸すものかッ!!」
千秋は怒りを燃え上がらせる。割とツッコミ体質な邪神は相手にしたら負けだ!
シリアスさんもまだかろうじて息がある。こ、この調子なら!
「これまで、多くの人々の心を惑わせた罪を思い知るがいい」
『我どちらかというと被害者側なんだが』
「エロ本を使って現世に降り立とうだなんて……!!」
『我不本意だったんだけど???』
「問答無用!! ……変身ッ!!」
非常に便利な四字熟語でしつこいツッコミを切り捨てると、
千秋は変身ヒーロー・ダムナーティオーへとその姿を変えた!
「ほほう、あれはなかなか……頼りになりそうですね」
にこにこしたまま、クロトはダムナーティオーの背中を見て頷く。
若者が元気で立派なのはいいことである。猟兵となればなおさらだ。
クロトもまたトリニティ・エンハンスを発動し、炎の魔力を纏った!
「千秋さん、いえダムナーティオーさん、力を借りますよ」
『お任せください。エグい性癖なんてはねのけてやりましょう!』
血の海、地獄、狂気――そんなものはもう見飽きたのだ。
オブリビオンがこの世から、世界の全てから消えて失せるまで、
ダムナーティオーの戦いは終わらない……!(微回復するシリアス濃度)
「私は一般人の皆さんの保護を優先します」
『では前衛は僕が! とうっ!!』
ダムナーティオー、その勇姿を空へと!!
『おのれぇええ……ならばこれでも喰らえぃっ!!』
邪神が選びだしたのは……おお、なんたることか。
胸毛とか、ギャランドゥとか、こうもじゃもじゃでマッチョな方々が……噫!!
「「「アババババーッ!?」」」
男子中学生達は泡を吹いて気絶する!(色んな意味で)早すぎたんだ……!
「ほほう、なるほど、これはこれで♪」
クロトは笑顔で乗り切った。
『――それは、それで!!』
ダムナーティオ―もなんだかんだ大丈夫だった!
腐ってやがる……性癖メタすぎたんだ……!!
『行くぞ邪神よ、その報いを貴様の体で購ってもらう!』
『我を痛めつけるつもりか? 薄い本みたいに! 薄い本みたいに!!』
『僕はそういうのも悪くないと思う!!」
「私もですねえ」
ある意味で無敵のコンビであった。
かくして炎の魔力が、戦士の拳が容赦なく邪神を打ち据える!
『せ、性癖とは一体……うごごごご!!』
ダムナーティオーはもはや退くことはない。
もしもこれ以上エロ本仲間(かぞく)が脅かされるならば、
己の心と体でエグいやーつのダメージを受け止める覚悟……。
まさにヒーローとしてのたゆまなきエゴイズムだ。なんと気高き後ろ姿か!
「ところでこれ、シリアス保ててますかね?」
クロトは笑顔で首を傾げた。残念ながら肯定する人はいなかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フルール・トゥインクル
えぇと、邪神が不完全に復活とか聞いたのですけど(話を中途半端に聞いて駆けつけた)
なんなのです?エロ本……そ、そういうのはいけないと思うのです!
二重にも三重にも悪い意味で悪さをする前に止めないとですね
ところで性癖って聞こえるのですけどなんなのです?
ライオンライドでお友達のライオンさんに乗って走ってもらうのです
できるだけ視線に入らないようにお互いに小さいことを利用して、物陰に隠れながら接近、そのまま突撃して本のページを切り裂いてもらうのです
もう読めないぐらいびりびりにしてもらうのです
え、そ、そ、そういうことは、好きな人とす、するものなのですから!
中途半端な邪神さんも変なもの見せないでください!
●先に言っておくとこの次の次あたりでもちろんあの方々を採用します
「えぇと、邪神が不完全に復活? とか、聞いたのですけど……?」
きょろきょろと、なにやら決戦の気配に包まれた公園を見渡しながら、
転送を終えたばかりのフルール・トゥインクルが誰にともなく問いかける。
そう、可愛らしいけど実はお酒が飲める年齢の、フルールさんだ。
つい先月末に誕生日を迎えられ、キマイラフューチャーで盛大にお祝いしたフルールさんだ。
「で、でっかい本なのです! あれは、魔導書……?」
『ほう、我を知らずにここまで来た猟兵がいたか……』
「……!!」
邪神の強烈なプレッシャーと狂気がフルールに降り注ぐ。
フルールは己を強いてそれに耐える。いやよく考えるとそこまで威厳はない。
『我はただの魔導書ではない……そう、エロ魔導書!!』
「エロ魔導書!?!?」
『エロ本と魔導書を組み合わせた全く新しい邪神なのだ!!』
「な、な、な……」
フルールはあっという間に顔を真っ赤にしていく。
いくらお酒が飲める年齢だからって、彼女は乙女なのだ!
女性は何歳になろうがそうなのだ! それをこの邪神は!!
「そ、そういうのはいけないと思うのですっ!!」
『フハハハハハ! お前を特殊性癖にしてやろうかぁ~!!』
「せいへき……?」
『えっそこから? 貴様そこからなの?』
ちょっと悪役っぽく振る舞っていた邪神は純朴さが心配になったという。
「と、とにかく!!」
首まで真っ赤なフルールはぶるぶると頭を振って我を取り戻し、
ユーベルコードを使用。相棒である黄金のライオンを召喚した!
「二重にも三重にも悪い意味で、悪さをする前に止めるのですっ!」
『つまり貴様、我が何しようとしてるのか実はわかっておるのだな?』
「止めるの! です!!!!!!」
『わかっておるのだな? エロ本がなんなのかとかわかっておるのだな!?!?』
「ら、ライオンさん! やってしまってなのですーっ!!」
空を舞うライオン! 振るわれる爪! ビンタする尻尾!
フルールはライオンの影に隠れ、魔導書の内容を見まいとする。
『我を見ぬとするか。我はゆるそう……』
「ほっ」
『だがライオンはどうかな!?!?』
ギラリ! 邪神の瞳とライオンさんのつぶらな瞳がかち合った!
直後! ライオンは悲鳴を上げてフルールをぶら下げたまま大きく飛び退く!
「ら、ライオンさん! どうしたのです!?」
『隙ありィーッ!!!!』
まるで恐ろしいセールスマンめいてビカビカと明滅する邪神アイ!
フルールは目の当たりにしてしまう……そして、脳裏によぎる呪詛の言葉!
『我思うんだけどさ、フェアリーって同種族以外と恋愛出来るものなのか?』
「え、な、なにを突然」
『いやだって……なあ? だって……なあ……? だってだってだってだって……なあなあなあなあ……?(残響音含む)』
邪神の言わんとしている言葉が、呪詛の言葉(テレパシー)となってフルールに流れ込む……。
きょとんとしていたフルール、やがて顔を、いや肩まで真っ赤っ赤に!
「そ、そそ、そそそそそそういうことは、す、すす、好きな人とす、するものなのですから!?」
『え? 何が? そういうことって何が?』
「ライオンさんーっ!!」
『我わかんないなあ全然わかんないなあ!!』
「もうびりびりのばりばりに引き裂いてくださいなのですーーーーーー!!」
フルールは心の底から思った。
こんなとき、あの強くかっこよく、けれどもどこか間の抜けた、三枚目なひとがいてくれればと。
優しいけど不器用で、そのくせ実は脆い鉄のひとがいてくれれば。
きっと自分を助けてくれるだろうと。幻影とともに疾走して。
こんなトンチキでふざけた邪神なんて、きっとやっつけてくれるはず――。
願いは通じた。だがフルールは知らなかったのだ。
その男、もうヤバいぐらいにフリーダムに暴れまわっていることを。
大成功
🔵🔵🔵
リア・ファル
なんちゃってヤドリガミだよ(挨拶)
ボクは、スペースシップワールドの最新鋭艦
(故に器物百年の神髄など、ほど遠い。…まだ稼働14年の、小娘なのだ)
違う娘さんのスチルを出そうとしたんでしょう。許す
しかし揃って、
「興味ない」「年下は範疇外」「電子の妖精? モノホンと比べちゃうとねえ…」
的な感じなのか
失礼極まりなくない!?
いま説教中だから後にしてくれるかな!
(ヌアザで邪神を斬り飛ばす)
分かればよろしい
【我は満たす、ダグザの大釜】で薄い本とか動画とか提供しよう(お代は頂くけど)
良いかいキミたち、成人すれば至極まっとうに手を伸ばしても良いんだよ、
今ある自分の性癖を大事にしようよ!
…じゃ年齢認証して?(非道)
●その件は大変にご迷惑を
「いいかなキミ達、趣味は人それぞれだし、個性は尊重すべきだと思うんだ」
『あの』
「たとえ理解できないものがあったとしても、お互いにその存在を認めあって、
パーソナルなラインを守る。それが、本当の意味での多様性ってものだよね」
『あのすみませんいいですか』
「でもね、だからって『興味ない』だの『年下は対象外』だの、
あまつさえ『電子の妖精? モノホンと比べるとね~』とか……」
『すみませんちょっとお話を』
「いま説教中だからあとにしてくれるかな!!」
『アバーッ!?』
リア・ファルは邪神をものっそい雑に切り飛ばした! コワイ!
そんなわけで新たに戦場に駆けつけるなり、一部の男子中学生達を呼び寄せ、
突如としてお説教を始めたバーチャルキャラクターのリア・ファル。
そう、バーチャルキャラクターの、リア・ファルだ。
決してヤドリガミではなく、わずか10余年の稼働期間しかない、
どこをどう見たって間違える余地のない電脳存在の、リアさんなのだ。
本当にすいませんでした!!!!!!!!!
「……とにかく」
リアの説教の内容は、ようはそんな自分をロリっ子扱いして微妙な反応した、
食わず嫌い(?)の男子中学生達への失礼な態度を窘めていたというわけだ。
邪神? 奴さん、多元干渉デバイス『ヌアザ』でぶった切られて死んだ。
『だから我を無視するなぁああああ!!!!!』
生きてた。
猛烈な怒りを燃やしながらリアを威圧する邪神! コワイ!!
「あーもう、ほんとにうるさいなあ。ボクの邪魔しないでよ」
腰に手を当て、リアはぷんすこと唇を尖らせながらそちらを向いてやる。
『貴様……我がどうでもいいというのか!?』
「うん。だってボク自身は性癖がどうとかあんまり興味ないし」
『ならば貴様にエグい呪詛(せいへき)を見せて』
「バーチャルキャラクター流ヌァザ斬りぃーーーーーー!!!!」
『アバババババーーーーーッ!?』
無慈悲! 敵の攻撃を許さぬ完全な不意打ち一刀両断だ!
なにせ彼女の振るう"ヌアザ"は次元を斬り裂き万物に干渉する魔剣祭具。
空を飛んでいようが邪神だろうが、ムッキムキマッチョでビキニパンツなホットガイ達がアレしてこうしてるやーつだろうが、見る前にぶった切れるのだ!
……冷静に考えると反則すぎやしないだろうか? さすがは宇宙艦。
「さてキミ達、ボクの話はわかってくれたかな?」
「「「アッハイ」」」
「ほんとかなあ、さっきから微妙な反応だけど」
リアはいまだ不満げな様子だ。だが彼女は気づいていないのだ。
中学生達は、なにもリアに本当に興味が無いわけではない。
いやむしろ実際は興味津々である。なにせリアは……スタイルが、いい。
バーチャルキャラクターらしいサイバーチックな衣装のデザイン、
そして血色のいい肌と綺麗な黒髪、明るくにぱっとした笑顔!
辺銀グリコ絵師がほんのり趣味入ってるなこれって感じの細緻な筆使いで描きそうなほど、リアの姿は可憐なのである。
つまり男子中学生達は、照れ隠しをしていただけなのだ。
好きな女の子ほどからかう、実にバカらしい思春期男子の、あれだ!
「まあいいや、わかればよろしい」
うんうんとお姉さん風味な優しげな口調で、リアはようやく納得した様子。
「いいかいキミ達。成人すれば拾ったりなんてせずに、
まっとうに売り買いしていいんだよ。ほら、こういうのとかああいうのとか」
リアの周囲に立体映像がいくつも投影され、ワーオな薄めのご本とか、
ウフーンな動画のサムネイルとかが表示された! 天国(パライソ)……!
「「「エッいいんですか!?」」」
「お代は頂くけどね。ボクの話、最後までわかった?」
「「「はいもちろんです綺麗なリアお姉さん!!」」」
「うんうんそっかそっか、じゃあ年齢認証してくれる?」
「「「アバババババーーーーーッ!?!?!?」」」
現実の非情さを知ったガラスのボーイ達であった。
大成功
🔵🔵🔵
零井戸・寂
*インストラクション
トラウマとしてぶちまけられる『女装』の性癖。
ライトな部類かもしれないが元々顔と名前が女っぽいのもあり本人のトラウマどストライク!どうなるシズカ・フルイド!
ぁぁぁやめろ僕をそんな目で見るな!!男だぞ僕は!!
メイド服を持ち出すな着せようとするんじゃない!!
(※幻覚です)
くそっ負けるなイメージしろ僕!
(脚線美を!姫的なあの子のバニーとか赤頭巾なあの子のバニーとかトナカイ豹のあの子が何処かの依頼で着たバニーとか!!)
この思い(ルビ:想像力)がある限り!!僕はブラクラなんかに絶対に負けない!!
……えっ待ってちょっと予想だにしない人がいるし説教とかえっ待って
※好きにして下さい
祇条・結月
なんでそっちがキレてるんだよ!
ほんともう覚悟しとけよ……!
そういうニッチなやつはほんとお呼びじゃない、ないから
邪神の成り損ないが見せる絶望なんて、信じない。
そう。浴衣、やっぱり浴衣の可能性を僕は信じてる……!
花火大会とかで待ち合わせとかして、そこに髪を結って浴衣を着こなしたあの娘がいて。
僕に気づいたらきっと、いつもとは違ってちょっとはにかんだみたいに笑いかけてくれたりとかきっとするから。
……。…………。
待って。なんであの娘で考えてるんだろ。
あ、いや。ランタンだから。暗い想像を掃う光だから。きっとそう。
かくして、邪神は去り……えっ、鳴宮さん?
なんでいるの!?
十河・アラジ
少し離れてる間にひどいことに!?
っていうかアレボクが戦っても良い相手なの!?
いや、でもこれも人々の為に(以下略)
……え、いやこれ……きつ……
(余談だが十河・アラジは幼き頃年上のお姉さんに失恋しているのでそういうアレとかに弱い)
だめだだめだ逃げちゃだめだ!
どんなものを見せられようとボクの心は決して屈しないぞ!
綺麗な思い出の数々よ、ボクに邪なあれこれに打ち克つ力を……!(祭りやお花見で女子と遊んだ事とか思い出し)
……よし!!!!(生まれながらの光に包まれる)
――え、説教?いやボクは人々の(以下略)
なんでですかー!
※全てお任せ
――故郷の父さん母さん、ボクを見守って……やっぱり今回だけは見守らないで!
●建国祭ではおたのしみでしたね
「なんでそっちがキレてるんだよ!!!!!!」
邪神の逆ギレっぷりに対する祇条・結月のツッコミは至極まっとうだった。
エロ本拾いさせられたあげくそれがわやんなってこの有様である。
むしろ猟兵のほうがキレたい。オブリビオンが何言ってんだという話だ。
「ってボクが少し離れている間にそんなことがあったんですか!?」
離れていた間、十河・アラジはどこへ行って何をしていたんだろうか?
あー大丈夫大丈夫です、個人のプライバシーってものがありますからね。
男子の世界に踏み込んだばかりの12歳少年のプライバシーはさておいて、
悪者っぽい雰囲気の邪神を人々のためとかなんかそういうモチベーションでアレしたアラジである。大義名分は守られた。
『フハハハハハ!! 貴様らのような若者の性癖を捻じ曲げるの我大好き!!』
「「なんだかんだ愉しんでるじゃない(です)か!!」」
アラジと結月は声を揃えて、ノリノリの邪神に対してツッコミを入れた。
でも仕方ないんだ、あいつもやってるうちに楽しくなってきたんだろう。
成長すれば誰しも大人になるものだし邪神もきっとそういうやつだ。
決して書いている内にキャラがブレたとかではないので気にしないでほしい。
「……ふたりとも、一体何をしているんだ」
「「その声は……!?」」
振り向いた少年達は驚愕した。それも仕方あるまい!
うつむきがちに謎めいたオーラを纏って現れたのは……おお!
「脚フェチ!」
「脚フェチだ!」
「噂の脚フェチが来たぞ!!」
「どこへ行っていたんだチャンピオンッッ!!」
「僕らは君を待っていたッッ!!」
男子中学生達が歓声を上げる。零井戸・寂の登場だ!
「フ、フルイド……?」
寂が放つただならぬ気配に気圧され、結月は訝しげに声をかけた。
はたしてこれは本当に、自分達が知るあの気弱なバトルゲーマーなのか?
恐るべき邪神を前にしながらも、その戦意いささかも揺るぎなし……!
「結月、アラジ。男って、一生にどれほどの涙を止めてあげられるのかな」
「「えっ」」
急にシリアス顔で語りだした寂に色んな意味で困惑する少年達。
寂は気にせず、邪神を睨みつけながら語る。
「僕は思うんだ。誰もが膝を突いてしまうような悪意に対して、
どれほど怖くても己を奮い立たせて立ち上がり、立ち向かう……。
――それがきっと、英雄(ヒーロー)なんじゃないか、ってね」
「すごくかっこいい台詞だけど言うタイミング滅茶苦茶だよ!?」
「ついでに言うと来る世界も間違っている感がものすごくあります!」
結月とアラジのツッコミも、残念ながら"覚醒"めた寂には届かない。
「三人で、英雄(ヒーロー)にならないかい。結月、アラジ」
「「…………!」」
彼らは背後を振り返った。歓声を上げ、自分達を応援してくれる中学生達。
いやUDC組織の皆さんはなんで保護とか避難とかしてくれないんだ、
とも思ったが、見た感じ邪神が手を出す気配は(まだ)ないので大丈夫だ。
「……僕達が、英雄(ヒーロー)になる……?」
「(エロ本が好きな)誰かの涙を止めるための……」
ふんわり発光するアラジの聖痕。えっこれで?
「やろう。僕達で、あの悪の親玉をやっつけるんだ」
寂は決意に満ちた瞳で二人を見て頷いた。
結月、そしてアラジは寂の目を見返し……笑って、頷き返した!
「僕は弱虫だけど、今ここで退くわけにはいかない! さあふたりとも!」
「わかったよ。僕らの力で、あの邪神を倒すんだ! 三人で一緒に!!」
「それが人々のためになるならば――ボクも、お力を貸します!」
寂、結月、そしてアラジは互いに拳を突き合わせた!
そして恐るべき邪神に向き直り、各々の武器を、
『はいそこに呪詛の塊ドーーーーーーーーーーーーーーン!!』
「「「グワワワワワーッ!?」」」
カッコつけている場合ではなかった。
●これまでのあらすじ
邪神の放ったユーベルコードにより、それぞれの精神世界に囚われた三人。
深層心理から読み取られたえっぐい性癖やトラウマがそれぞれを襲う。
寂よ、結月よ、アラジよ! 悪意に屈することなく再び立ち上がるのだ!
そこへチームアサルトのみなさんが高速射出エントリーされ……。
●男子達の闇
「あぁぁぁああ!! やめろ!! 僕をそんな目で見るな!!!!」
精神世界のなか、寂は無我夢中で腕を振りながら苦悶した。
目の前には巨大な姿見。そこに映る彼の姿は……ワーオ可愛らしい。
「ち、違う! こんなのは僕の趣味じゃない、やめろっこんなものー!!」
バリーン! お前ほんとにナードかという力強さで鏡を叩き割る寂。
だが散らばった破片には、多種多様な女装姿の弱が映し出されている!
メイド。スク水(!)。バニー。魔女っ子。割烹着。ワンピース。バニー。ウェイトレス。バニー。バニー。バニー。
「バニー姿多くない!?!?!?!?!?」
やがて全ての破片がバニー服姿の寂を映し出した。ワーオ。
照れて目線をそらしている全身イラ……ではなくバニー姿の寂の幻覚、
割とノリノリでバニー服を着ている寂のバストA……ではなく幻覚、
女友達に無理やり着せられ泣きながら逃げる2ピン……ではなく幻覚!
「やっぱりバニー多いよね!? なんなの!?」
性癖としてはライト……ライト? な女装、寂にはたまったものではない。
しかもトラウマらしい。えっつまり着たことがある?
なぜイラストを発注していないんですか? 挿絵申請お待ちしています!
「落ち着け、くそっ負けるなイメージしろ僕!!」
目を閉じ、寂は悶々とした己の"リビドー"を引きずり出す。
脚線美……むっちりしていたり、ほっそりしていたりするおみ足を!
タイツとかパンストがあるとなおいい。彼は素肌も履物も美味しく食べれる。
お姫様でメモリなあの子のバニーとか、赤ずきん聖者なあの子のバニーとか、
トナカイなあの子がキマイラフューチャーで着せられたバニーとか……!!
バニーばっかり想像してますよ、やっぱ好きなんすねえ!
「……!!」
くわっ。寂は何故普段からそんな凛々しい顔が出来ないのか、
というぐらいのシリアス顔で大きく目を見開く。
「この想い出(ルビ:想像力)がある限り! 僕は絶対に負けない!!
精神的ブラクラにも、写真撮影(ルビ:ピンナップ)の誘いにもだー!!」
雄叫びとともに、精神世界がひび割れていく……!
一方、結月の精神世界にて。
「邪神のなり損ないが見せる絶望なんか、僕は信じない」
彼は決然とした顔で言い、そしてマジ顔でもう一度言った。
「邪神のなり損ないが見せるエグい性癖になんか絶対に負けない!!」
くわわっ。まるで凛々しい女騎士めいた気高い宣誓だ!
そんな結月さんにはこちら。お母さんどころかおばあちゃんぐらいのお歳の、
マダムというかグランマって感じの方の……オーウ、ワーオ。ワーオ!
「アバババーッ!?」
ALAS! 結月はすさまじいダメージを食らって崩れ落ちた!
だが目を閉じようと俯こうと、熟女の……ワーオ、オーウ、ワオ……は、
否応なしに頭の中にねじ込まれる! 地獄!!
(落ち着け――僕は信じる。この世界の可能性を!)
彼は心に秘めた希望をかき集め、邪悪な幻影を振り払おうとした。
「僕には信じるものがある……浴衣の可能性がっ!!!!!!」
は?
「こう、花火大会とかで待ち合わせをして、僕は先に待ち合わせ場所に着いてるんだ。そわそわしながら待ってたら、そこに『待たせちゃったカナ?』っていつもみたいな感じで言いながら、けど髪を結って見事に浴衣を着こなしたあの娘がいて、よく見ると表情もちょっとはにかんだ感じのドキッとするような笑顔で、世間話とかしながらどちらともなく手を繋ごうとしたりなんかしたり(一息)」
は???(威圧)
「…………はっ!! 僕はなぜあの娘で考えてるんだ……!?」
"は?"はこちらの台詞である。
ランタンだからとか暗闇を払う光だからとかそんな言い訳は無用だ。
「と、とととにかく! この光がある限り、僕は負けない!!
……浴衣かあ、きっと似合うんだろうなあ、こないだのときみたいに……」
精神世界が溶け崩れていく。夏場になったら覚悟しておいて戴きたい。
そしてアラジの精神世界にて。
「え、いやこれ」
アラジの目の前に映し出されたのは、一見するとわりとご褒美めなやつだ。
だいたい20代中頃と思しきお姉さんが、こう、優しく撫でてくれたり。
あとは膝枕とかをしたり、他にも……オーウ、ワーオ。ワーオ!
「うぐぐぐーっ!!」
アラジよどうした!? なぜ胸を抑えてうずくまる!?
だが無理からぬもの。彼には今よりも幼い頃に一つトラウマがあるのだ。
子供にありがちな、年上のお姉さんに恋をしちゃう、あれだ!
いいですね! でも失恋しちゃったって!? いいですね!!
そういうわけなのでなんかこうお姉さんに甘やかされるやーつが!
「うぐ、うぐううう……!!」
割と泣きそうな顔(元がいいので泣きそうな顔もまた顔がいい)になりつつ、
アラジは逃げたい気持ちに包まれる。見知らぬ天井とか見えてきた。
「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ……!!」
自らに言い聞かせ、勇気を振り絞る。屈してはならない!
心に残った綺麗な想い出の数々を、いまこそ思い出す時だ!
銀髪が見目麗しい馴染みのあの娘とお花見をした楽しい記憶とか、
冗談が好きなヤドリガミのお姉さんと出店を冷やかし……お姉さんいるんじゃないですか!!
それはさておき、ロビーであの娘やあの娘とお話した記憶だとか、
あとはあの娘のメイド服(想像)だとかどこぞのお姫様のバニーだとか、
バニーだとかバニーだとかバニーだとか米粉めこ絵師のバニーなどである!!
「…………………よし!!!!!!!」
ピカーッ! 恵まれた12歳小僧の全身がまばゆい光を放つ!
かくして精神世界を破ることに成功した……!!
『バカな!? 貴様らなぜ!』
我に返った三人を見下ろし、邪神は驚愕した。
「――バニーの力さ」
寂はクールに決めた。おずおずしてる二人にアイサインを出す。
「……浴衣(しんじるもの)の輝きだよ」
結月は照れながら言った。アラジに逃げるなよという顔をした。
「お祭りやお花見の想い出です!!」
「「は?」」
「えっ」
あなや! 仲間割れの危機だが三人はとりあえず水に流すことにした。
「お前の呪詛なんて効きはしない!」
「もういい加減ほんと覚悟しろよな!!」
「故郷の父さん、母さん! ボクを見守ってください!! いやいいです!!」
やけになった三人は今度こそシリアスにポーズを決める!
さあ、いざ戦いだ!!
「……お前らあとで説教な」
「「「えっ!?」」」
「何がえっだよ。お前ら18歳未満だろ」
「「「ええっ!?」」」
傭兵の鷹のような瞳は決してごまかされなかったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鳴宮・匡
◆アサルト+色々なんかお任せで
◆アドリブ歓迎
…………
なんで最後までこういう感じなんだ?
まあいいや
可及的速やかに終わらせよう
もう俺お前らのフォローしねーからな、適当にやれよ
相手が飛ばす恐怖とか狂気とか呪詛とかを【抑止の楔】で相殺
完全に封じきれなくても
なんかこう致命的にエグいところとかを巧くどうにかする感じで
俺にとってはどうでもいいけど
うち(かもめ亭)の青少年に悪影響を及ぼされるのは困る
……ああ、そうそう
そこにいるフルイドとか結月とかアラジはあとで説教な
何って、お前ら18歳以下だろ
◆
凪いだ水面は揺らがないので
どんなエグイ性癖が流れ込んできても無心
感覚情報が拾うノイズをひたすら棄てながら攻撃します
ネグル・ギュネス
アサルト+1で参加
本が喋ってる。
───好みの声で朗読しないだろうか?あの本やこの本
少し捕まえて試してみるか
本気を出さなければな
呪詛を受け、エグいもの
其れは好みの解釈違い!
フェアリーが妖艶になったり、羅刹がえらくドジっ子になったら一瞬戸惑ってしまう
───が!!
この男、性癖はキャッチャーからバックスクリーンまで、守備範囲は無限にある
悪くないと受け入れながら、【ダッシュ】と【残像】を使いながら接近し、本を鷲掴みし、【クラックメタル・インパクト】で捕縛
ふん捕まえて、もっと出せやと絞る
無いと言われたら、舌打ち混じりに炎の【属性攻撃】廻し蹴り
成る程、これがアセンションか
悪くない、空が澄み渡って見えるぞ…!
ヴィクティム・ウィンターミュート
【アサルト+1】
許せねぇ…!人々の幸福な性癖を穢そうとするなんざ、見過ごせねぇ!
可哀想なのじゃ興奮できねえんだよ。分かるか?エロってのはな…幸福で…救われてなきゃいけねえんだ。哀しみの涙も、怒りも、憎しみもいらねぇ。
人が皆、心に抱く性癖のサンクチュアリを守る為、いざアセンションの時。
俺はあえて奴のエグい性癖を受ける。ユーベルコードを展開して受けることで、エグい性癖を乗り越えて!!
年上攻めと素晴らしさを再確認してパワーを配布だ!
あぁ、確かのお前の見せる性癖はえぐい。正直ブラウザバックもんだ。
けどな?いいことを教えてやる
住み分けだ。
そう言う性癖もあるよね!俺には関係ないけど!
いいんじゃないかな!!
ロク・ザイオン
※アサルト+1
【可愛い少女は、優しい両親に囲まれ暖かなお家で幸せに暮らしていました
――そう
あの日までは
今や両親もお家も失われ
食べるものもろくに与えられず
凍える足でマッチを売り歩く少女に街の人は冷たく
家に帰れば恐ろしいおじさんが少女を――】
…ああぁアアア!!!
(ガチ咆哮である)
よくも、よくも、あんな、かわいそうな
――もえおちろ!!!!!!
(猛る轟赫の二十七を束ねて一に、灼熱する烙印刀に纏わせ全力でブン殴る
皮だろうが紙だろうが焼けば燃えるのだ)
(森番は小さい子供が可哀想なのがマジでダメだった)
…うう…
おれはあの子になにも…できない…
(暫く引きずって泣く)
(そんな絵本が実在すると知って宇宙を背負う)
●最年長ですもんね
「別にあれこれ正論振りかざす気はないけどさ、お前らそれでいいのか?」
「「「……」」」
「……ロビーで話題にしても」
「「「すいませんよくないです!!」」」
「だよな。つまりそういうことだろ。わかったらちゃんと気をつけろよ。
でないと(後ろを振り向いて親指で示す)ああいう風になるぞ」
「「「ああいう風に」」」
「気をつけろよな、ホント」
「「「アッハイ!」」」
「あと別に黙っとくつもりはないから、そのつもりで」
「「「アアアアアーッ!?」」」
頭を抱える若者三人達をよそに、鳴宮・匡は疲れた顔で踵を返す。
あとで色々説教しなおすとして、正直こっちもこっちで頭が痛い。
匡は仲間達を、そして上空を振り仰ぎ、ぽつりと呟いた。
「…………なんで最後までこういう感じなんだ?」
残念! 徹頭徹尾ネタシナリオなのでした!
●天の邪神はすべて敵
「本が喋ってる」
小学生並みの第一声であったという。
ネグル・ギュネスは呆然としていたが、やがてシリアスな顔で考え込んだ。
もう絶対アホなこと言うだろうなという顔の匡を見つめるネグル。
今回ばかりはちゃんとキメる。そんな顔をしている。
「――あんな本やこんな本を好みの声で朗読してくれないだろうか?」
「お前もしかして宇宙戦の後遺症とか残ってんの???」
だが匡の肩をぐっと掴み、ヴィクティム・ウィンターミュートが押し留めた。
無言で頭を振る。両目にメラメラと燃え上がる怒りの炎……!
ブレイズキャリバーではないので、特に判定に有利になる要素はない。
「仮にそうだとしてもよ、あんな外道を放っておいちゃいけねえんだ……!」
「せめてもう少しマシなポイントで怒れよ」
「人々の幸福な性癖を穢そうとするなんざ、見過ごせねぇ!!」
「今一番不幸なのお前の目の前にいるんだけど」
ヴィクティムは『え? 誰のこと?』みたいな顔で周囲を見渡したあと、
何いってんのお前って顔で匡を見て首を傾げた。匡は引き金に指をかけるとこまでは行った。
「とにかくだ、いいか? 可哀想なのじゃ興奮できねえんだよ、俺は!!」
「わかる(ワカル・ギュネスは顎に手を当てて頷いた)」
「おれもそう思う(ロク・ザイオンはすこぶる神妙な顔つきで頷いた)」
「エロってのはな、もっと幸福て、救われてなきゃならねえんだ……」
「それな(ワカル・ギュネスはキザな笑顔で同意した)」
「おれもそう思う!!(ロク・ザイオンは食い気味に同意した)」
「哀しみの涙も、怒りも、憎しみもいらねえのさ――」
至言だな、とメモを取るワカ……ネグル。
首取れない? 大丈夫? という勢いでぶんぶん頷くロク。
匡は可及的速やかに事態を片付けようと決意した。
だが撃っても撃っても当たんねえ。ムービーシーン中だからね。
「さあ野郎ども!! いざ――アセンションの時だ!!」
ヴィクティムは拳を握りしめ、力強く宣言する。
人が誰しも抱く、心の裡に秘めた性癖を、聖域(サンクチュアリ)を守る。
それはいわば未来を守ることと同意義だ。今決めたのでそうなのだ。
グリモアベースで言おうもんなら袋叩きにされそうだが、そうなのだ!!
『ほざけ猟兵ども! 我が呪詛を恐れ(BLAMBLAM!)グワーッ!?』
「お、ようやく通った」
匡はリロードしながらダメージが通ったことに気づき、再射撃した。
なんかもうツッコミとかうんざりである。なぜこんなことになった。
どこかで間違えたはずだ。無慈悲に射撃しながら匡はこれまでを振り返る。
謎の性癖談義、ツッコミ、エロ本拾い、ツッコミ。
息巻く男どもの調停、ツッコミ、ツッコミ。
自分を引きずるネグルとヴィクティム、ツッコミ、ツッコミ、ツッコミ……。
「なあお前ら」
「どうした相棒、まさか邪神の攻撃が!?」
「なんてこった治す方法は俺だけが知ってる俺に任せろ!!」
「お前ら撃っていい?」
「「なんで!?」」
匡が戦場傭兵なことがいい意味でも悪い意味でも作用しているのであった。
「ところで、エグい性癖とはなんだ」
攻撃を行いつつ、ロクはマジな顔で一同に問いかけた。
匡は完全にフォロー放棄していたので、結果的にアホ二人が答えることに。
「俺にとっては無関係なもの――だな」
ネグルは爽やかな笑みを浮かべながら答えた。
彼は本気である。本気であの空飛ぶエロ本を捕まえるつもりだ。
もしかすると催眠音声とかにも手を出しているのかもしれない。ヤベーイ!
「ロク、お前は知らなくていい。そのままでいていいんだぜ」
ヴィクティムは笑った。彼は最初からそのつもりであったのだ。
この無垢な少女(実は彼より3歳年上)を守るためにはこれしかないと。
「だからよ、俺は行くぜ! 止めてくれるなよ!!」
「止めねーよ、壁でもなんでもなってくれよ」
かばうつもり満々のヴィクティムに匡は辛辣な言葉を浴びせた。
だが完全にシチュエーションに酔ってるカウボーイは一同に言う!
「ネグル! お前の性癖……強かったぜ!」
「ヴィクティム……!」
「匡! 恋でもしてちったあ、青少年らしくなりな」
「お前俺より一回り年下だろ」
「ロク! いつまでも幼女を愛でるやさしさを忘れるな」
「…………(森番はマジな顔で力強く頷いた)」
「フルイド! お前とは1対1で語り合いたかったぜ! いいダチを持ったな!」
「えっそこで僕らのほうに話振るの!?」
正座させられていたかもめ亭男子トリオと仲間達を見渡し、
ヴィクティムは頷く。そして、おお、自ら空高く飛んだ!!
『バカな貴様、死ぬつもりか!?』
「生き残るつもりさ……!!」
容赦なく浴びせられる呪詛(エロ)、恐怖(エロ)、そして狂気(エロ)!!
ヴィクティムの脳髄に流し込まれる無数のえっぐいやつ!!
『それはそれとして別にかばうとかないので貴様らも喰らえ!』
「グワーッ!?(大きくのけぞるネグル)」
「なん、だと……(宇宙を背負うロク)」
「やっぱりそうなるのかよ(冷静に相殺する匡)」
ALAS! 約一名を除き、おぞましい特殊性癖が襲いかかる……!!
●エロを心に"いいね"と唱えよ
『マッチはいかがですか マッチはいかがですか』
少女は寒さに凍えながら声を張り上げますが、それでもカブは抜けません。
混ざった。とにかくマッチが売れなくてなんかまあ色々あって少女は死んだ。
「…………」
ロクは呆然とした。何度も何度も脳内に浮かんだ本を読み返した。
読み飛ばしとか袋とじとか、あとあぶり出しとかないか確認した。
……ない。彼女の頭に流し込まれた情報はこれで全てなのだ。
「……しあわせだったのに」
優しく暖かな両親も、慣れ親しんだ家も、食べるものも失い、
恐ろしいおじさんにいじめられながら、毎日マッチを売っていた少女。
やがてある日、少女のもとに毒りんごを持った魔女が現れて……。
いや混ざった。とにかく少女は死んだし、特に救いはないのだ。
最後になんか幻覚とか見えていたがそんなの燃えさしにもならねえ!!
マッチだけに! マッチだけに!!!!
「あ――」
ロクは泣いた。マジ泣きした。
おわかりの通り、ロクが受けた呪詛はエロでもなんでもなく童話である。
なのだが、ロクにとってはエグエグのエグな超絶特攻攻撃だ!
だって! 小さい子供が可哀想なのとか!! ダメじゃん!!!!
「ああああああ……」
へなへなと崩れ落ち、さめざめとマジ泣きするロク。
「おれはあの子に、う、うう、なにも……できない……!」
「……ロク。ロク!」
「はっ!」
ロクは我に返った。へたり込む彼女の肩を叩き、ネグルが微笑む。
「ネグルは、いいのか。あの子が……うう……」
「何を見たのかはわからないが、邪神の幻覚を恐れる必要はない」
ネグルは頭を振った。彼は無効化したというのか!? なぜ!!
『バカな……貴様にはたしかに地雷をたっぷり見せたはず!!』
「ああそうとも」
ネグルは……鋼の男は、邪神を真っ向から見上げた。
「純朴なはずが妖艶になったうえいきなり人間サイズになるフェアリー、
戦闘狂のはずが急なテコ入れで今どきマジかよってドジっ子になる羅刹、
のほほんとしたおっぱい大きいお姉さんにいきなり立つ病死フラグ。
お前が見せたものは、たしかにどれも恐ろしい性癖だったとも」
「逐一羅列する理由あるのか???」
匡のツッコミを無視し、ネグルはビシィ! と邪神を指さした!
「だが! 私には通用しない! 相棒とはまた違った理由でだ!!」
『な、何ぃ!? いったいなぜ……!?』
「それは――」
ふっ。記憶を失ったが性癖は忘れなかった男は、微笑んだ。
「――これはこれで、悪くないからだ……!!!!!!!!」
「期待した俺がバカだったわ」
匡は諦めて射撃に戻った。ネグルは腕組みして不敵に笑う!
そう! このワカ……ネグルという男、守備範囲が広いのだ!
野球ゲームなら守備職人・魔術師・レーザービーム持ちなぐらいには!!
「場外であろうと必ずキャッチしてみせる――それが私の信念だ」
匡はこいつの不調はヴィクティム以外なら誰に相談すればいいのかと割と真剣に考え始めた。
でも男はみんなそういうものなんだ。いずれわかってもらえると思う。
「そしてロク、相棒よ。あの男が帰ってくるぞ」
「あの男……?」
「むしろまだいたのかあいつ」
ネグルが指差す先、太陽光を背に大の字で降りてくる人影は!!
……時間軸はやや巻き戻る。
「グワーッ!! グワーッ!! グワーッ!?」
精神世界(イメージ)で幻影に取り込まれたヴィクティムは苦悶した。
さもありなん! 彼は年上攻め属性だが何事にも限度というものがある!!
周囲に浮かぶ幻影は、しわくちゃなおばあちゃんが……おお、おお!!
「やめろーッ!! 敬老精神が刺激されるだろうがーッ!!」
ヴィクティムはのたうち回った。だが熟女攻勢は収まる気配がない!
追い打ちとばかりの次なる幻影! 一見すると彼好みの年上ものだが、
『実は本命の彼氏がいて付き合いの一環でからかってるだけでした』だの、
『なんやかやあって結ばれるけど待ち合わせ場所に車が突っ込んだ』だの、
コレジャナイにもほどがある展開で叩き落としにきているのだ!
「グワワワワワーッ!!」
『さあ屈服するがいいハッカーよ、ギブアップせい!!』
邪神の声が残響音混じりに響き渡る、ヴィクティムは……だが、しかし!
「……ふっ」
笑っていた。いつものようにシニカルな笑みを浮かべて。
たしかにコレジャナイ展開もいきすぎた年上ものも彼を苦しめた。
だがそのたびに彼は思い描いた。理想のお姉さんの姿を……!!
「……家は喫茶店の自営業……」
『何ッ?』
「普段はめったに客が来ない店、時給も安めで俺の他にスタッフはいない……。
おまけに店長(28歳喫煙家・巨乳)はしょっちゅう俺をこき使うのさ……」
口元のほくろが特徴的で、いつもへらへらと薄笑いを浮かべている店長。
いや~悪いね~などと悪びれた様子もなく言いつつ、
やれ荷物運びだ買い出しだと何かにつけて車を転がさせるのだ。
「そんなある日店長が言うのさ、『いつもありがとね。たまにはお礼にいいことをしてあげよう』ってな。
そして店長はおもむろに店を閉め、俺をバックヤードにつれていく!!」
『こ、こいつ……!!』
邪神は戦慄した。ヴィクティムは免許持ってないしそもそも未成年だ。
そんな店長もいない。店もない。つまり……全て、妄想!!
「その日から始まる俺と店長の秘密の関係!! めくるめく浪漫!!!!!」
見える見える、あらゆることが都合のいい理想世界が!
それがある限り、いかならず特殊性癖にも彼が負けることは……ない!!
「さぁ主役ども! 仕事の時間だぜ!!!!」
爆弾めいた微笑みを浮かべ、着地したヴィクティムが力を解き放つ!
ネグルとロクはその力を雄々しく受け入れた! 匡は全力で拒否した!!
『なぜだ、なぜ!? なぜ我が性癖を乗り越えられたのだ!?』
「ああ、邪神よ。お前の呪詛(エロ)はたしかにエグい」
ヴィクティムは立ち上がりながら淡々と言う。
正直これがインターネット上なら即座にブラウザバックものだ。
「だが、その恐怖(エロ)が相手に利用されたらどうなると思う?
そしてそのために必要なものがなにか――いいことを教えてやるよ」
ビシィ! 気障な笑みで邪神を指さした。
「世の中は住み分けだ」
「そこまで溜めて言うことがそれかよ」
『住み分け……!?!?!?!?』
「そこまで驚愕することか???」
邪神の性癖破れたり! 猟兵達は再び立ち上がる!
「――よくも」
ざわざわとロクの赤毛がうごめく。燃え上がる!
「よくも、あんな、かわいそうな――ああァアアアア!!」
「「ガチ咆哮!?」」
ビビり散らすネグルとヴィクティムをよそにロクは跳躍!
炎を纏う烙印刀で邪神の巨体をざっくりと切り裂いた!
「もえおちろ……!!!!! あの子のマッチのように!!!!!」
「一体何見たんだロクのやつ」
「……マッチ売りの少女? いやまさかな」
「知らないんじゃないか童話だってこと。俺にはどうでもいいけどな」
着地したロクは全力で宇宙を背負いながら一同を見返したという。
「童話」
「有名だぞ」
匡は普通の表情で答えた。
「ゆうめいなのか」
「俺も昔は知らなかったけどな。常識らしいぜ」
「(ロク・ザイオンはスペースな猫の顔で放心した)」
「ま、まあそういう性癖もあるんじゃね!? 俺には関係ねえけど!」
「そうだ。みんな違ってみんないい――だが、邪神よ!!」
ネグルもまた飛び上がり、左拳によるストレートを叩き込む!
『グワーッ!?』
「出せ! 出してみせろ!! エロの全てを!!」
地雷とは可能性の別名と冷たく嘯く。
だが地雷には解釈違いがひっそりと寄り添うことを知るがいい。
ネグルには関係ないが。
『な、ないです! ありません!! 売り切れです!!』
「チッ……絶望が貴様の終着点だ!!!!」
『グワワワワワーッ!?』
燃える回し蹴りが邪神を吹き飛ばす!
何もかもが面倒になって一切合切の入力データを切り捨てていた匡だが、
スキが生まれたのは見逃さない。苦し紛れの呪詛(エロ)が飛んでくる!
「お前のことはどうでもいいんだけどな」
BLAM。銃撃! 凪の海はどれだけヤバいエロでも揺らがない!!
「うちの青少年に悪影響を及ぼすな。あとこいつらを調子づかせるな」
『後半は我のせいでは(BLAM!)アバーッ!?』
容赦ない銃撃に断続的な悲鳴が響き渡る。
ヴィクティムとネグルは(ロクは宇宙状態なのでさておき)顔を見合わせた。
「どうだいチューマ、世界は広がったか?」
「ああ。――なるほど、これがアセンションか」
ネグルはまぶしげに空を見上げる。
「悪くない、世界が澄み渡って見えるぞ」
「悪くないのですか?」
「ああ、むしろいい気分とすら言える」
「あんないかがわしいものを見たのに喜んでるのですね」
「ふっ、守護神ネグルとは私のえっ待てその声は」
ネグルは振り返った。絶対零度の冷たい表情をした妖精がそこにいた。
「ネグルさんはそういう人だったのですね」
「ち、違、私そんなつもりでは」
「……ばかーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
銃声の合間に、サイボーグの悲鳴が響き渡ったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
せっかく変な本が白紙になってくれたと思ったのに……
ふざけるのも大概にしてくれない?
憎しみとかセーヘキとかどうでもいいよ
私、今すごく機嫌が悪いんだから
蹴り続けてもいいよ、止めないでおくね
はぁ……
戦う前からこんなに疲れるの、初めて
ヨハンに何見せたの!?
全然効いてないみたいでちょっと安心したけど……
って、ううん、そういう問題じゃないんだから!
全ての頁を切り刻むように【早業】で何度も斬り裂いてあげる
お喋りが過ぎるようなら口内を一突き、そして抉るように二突き
……お互い熱くなりすぎちゃったかな
ねぇ、今日見たものは全部忘れるんだよ
いいよね!?
私はまぁ……君がなんともないなら、大丈夫
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
人皮魔導書か……これはなかなか興味が……
……ん?
何か言ってる事がおかしいような……
は???
とりあえず俺はあそこの邪教団のリーダーを、
泣いて許しを乞うまで蹴り続けてやりたいんですけど
駄目ですかね
やりたいんですけど
見たくもないもん見せられて腹が立つ
キレてんのはこっちの方だクソが
焔喚紅から黒炎を呼び出し焼き尽くす
はぁ。死ねよ
そもそもなんだ?
こんな顕現の仕方して恥ずかしくないのか?
で、こんなもんを見せて何がしたい?
死にたいのか?死ぬか?
……苛立ち過ぎてしまった
忘れたいとは思いますが……、
何故そんなに凄むんですか
俺の事ばかり気にしてますけど、
そちらは大丈夫だったんですか?
●雨降って地固まる
『フハハハハそこな若者どもも喰らえぃ我が呪詛グワーッ!?』
意気揚々とユーベルコードを発動しようとしたまさにその時である。
ヨハン・グレインは間髪入れずに指輪から黒い炎を解き放ち、
空飛ぶ人皮魔導書(in邪神feat.エロ本)を思いきり着火した!
あまりにも攻撃が決断的すぎる! そして目が全力でキレている!
「人皮魔導書だからと興味を持った俺がバカでしたよ」
「ヨ、ヨハン?」
完全に目が据わった様子の相棒を見て、オルハ・オランシュは逆にヒいた。
せっかくエロ本が白紙になってくれたと思っていたらあんなのが出てくるし。
なんかわけわからんことをのたまっていてイライラしてくるし、
ヨハンと妙にこじれてしまったのでその八つ当たりをするつもりだったのが、
そのヨハンがいきなりキレた。ここまでの怒気はなかなかないだろう。
「おまけに言ってることもやってることもなにもかもおかしいでしょう。
キレてる? キレてんのはこっちの方ですよいやこっちの方だクソが」
「ヨハン!? どんどん口が悪くなってるよ!?」
だがヨハンは止まらない。バリバリ黒炎を解き放って燃やしまくる!
魔術に全身全霊を注いだ若き死霊術師としてのプライドが邪神に怒ったか、
あるいはオルハが(ヨハン的に)よくわからない理由で怒っていたせいか、
見たくもないものを見せられそうになったことで全てが嫌になったのか!?
「そもそもなんだ? こんな顕現の仕方して恥ずかしくないのかお前」
『いやだから我それでこう怒ってる振る舞いとかしてグワーッ炎グワーッ!!』
「おまけにクソどうでもいいもの無理やり見せて何がしたい死にたいのか??」
『仕方ないだろう我そういう依り代で呼ばれグワーッ火力増加グワーッ!?』
「は??? 邪神の分際で言い訳か? 死ぬか?? いや殺すが?????」
もはや火刑の拷問、英語で言うとカトン・トーチャリング状態であった。
ウェイカトリアイナを手にしたオルハが、呆然と攻撃を忘れるほどの怒り。
怒り! 激しい怒り! 燃え上がるってそういう意味じゃないぞ!!
『お、おのれーッ!! ならばそちらの小娘だけでもーッ!!』
黒炎に責め苛まれながら、不屈のガッツを無駄に持つ邪神は、
オルハを標的にユーベルコードを使用しようとする!
「え? 何? 私? 何するつもり!?」
『ぐ、グワーッ!? おのれ炎が邪魔で視線が合わさらなグワーッ!?』
なんたることか! ヨハンがいまだに火力をガンガン上げているせいで、
黒炎が邪神の視界を遮りオルハを捉えることが出来ない!
「今度はそっちに手出すとかどこまで腐ってんだなら燃やすか燃やす死ね」
『ググググググワーッ!?』
「ヨ、ヨハンがなんだかものすごく怖いけど……よし、いまのうちに!」
気を取り直したオルハはばさりと翼をはためかせて大きく飛翔。
悶え苦しむことで隙だらけになった邪神を、烈風とともに切り刻む!
「これはヨハンと喧嘩させられた私のぶん!」
『それ我悪くないだろアバーッ!?』
「これはヨハンが変な本を読まないか余計な心配をさせられた私のぶん!」
「そこは読まさせられた俺のぶんとかなのでは???」
『しかもカウント二回目ではアバーッ!?』
「そしてこれが……なんだか妙に疲れちゃった私の分だぁーっ!!」
『もはやただの気分の問題ではアバババババーッ!?』
オルハは斬った。斬って突いて払って薙いで、うるさい口をさらに突いた。
たっぷり攻撃の洗礼を浴びせたあと、すっきりした様子で着地する。
なんてことだ。せっかくのエロ本邪神をこんなガチ攻撃で痛めつけるなんて!
「「……はぁ」」
ヨハンとオルハはまったく同時に、まったく同じ疲れたため息をついた。
徹頭徹尾ペースが狂ってもう散々である。なんなんだこの事件は。
「……お互い熱くなりすぎちゃってたかな」
「……そうですね。苛立ちすぎてしまいました」
若い二人は互いの過ちを認め、ぎこちなくも仲直りをした。
そもそも別に仲違いをしていたわけではない。すれちがっていただけなのだ。
「あ、でも今日見たものは全部忘れるんだよ? いい? わかった!?」
「なぜそんなに凄むんですか……別に覚えていたいとは思いませんが」
もっともこの通り妙なすれ違いというか意固地は健在なのだが。
「な、なんでって、そんなの……だって、変な本が……」
ぽつぽつと視線をそらしつつ何かを呟くオルハ。
「別に興味ないって言ったじゃないですか。本に限らずそういったこと自体」
「……そうなの? でも生身のほうがいいって」
「あれは言葉の綾というか……オルハさんが思ってるような意味ではないです」
このように正面切って話し合えば、きちんとお互いを理解できるのだ。
そう、これが若狭という可能性を持つ二人の姿……。
エロ本によってこじれかけた仲は、エロ本を痛めつけることで解決する。
『まさにエロ降って地固まるというわけだなフハハハハ!!』
「「死ね!!」」
『アバババババーッ!?』
邪教団のリーダーへの怒りも載せた倍増の猛撃が邪神を襲ったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
三咲・織愛
まぁ……!!
なんて不気味な魔導書なんでしょう!
ついに邪神が顕現してしまったのですね……
これ以上の悲劇が生まれぬよう
しっかりと倒してみせましょう!
……えっ?
……
きゃあああーーーーーっ!!
なんですか!?い、一体なんなんですか!?
????(見せられた物に対して脳が理解を拒みます)
どうして…っ、どうしてそんなものを見せるんですか!!(殴る)
やめてください!!(蹴る)
とってもふしだらです!!!(両手を組んで振り下ろす)(ダブルスレッジハンマー)
もうっ、もう……、信じ、られま、せん!!!(二段連続廻し蹴り)
……はぁ。お、恐ろしい敵でしたね……。
もう、帰ります!
叶・都亨
お、お、お前…お前えぇぇ!!
なんでエロ本戻ってこないの!おかしいでしょ!!
覚悟すんのはそっちの方だバーカ!バーカ!
目と鼻と口に矢突っ込んで奥歯がたがた言わせたるわボケェ!!
え、なに。こんなものが…?!俺の知らない世界!やだこわい!
俺NTRはちょっと苦手カナー?
あっでも尻を愛でるのは分かる…分かるぞ…
いやそれ男の尻じゃん!やめて!!(顔を覆う)
いや…いや…!俺は性別で差別なんてしないぞ!!
男だって全然イケる!変な意味じゃなくて!!
いやでもやっぱ女の子がいいし出来ればおっぱいの形のいい子がいいですけど!!!
変なもん見せてくるのはやめなさい!
矢を放つぞ!
危うく変な方向に目覚めるとこだったぜ。ふぃー
●はいじゃあ二人でペア作ってー
「お、お、お前……」
わなわなと総身を震わせながら、叶・都亨が邪神を指差す。
身体を震わせるのは恐怖か? あるいはエロか? いや違う。
違うのだ……都亨の全身を震わせるもの、それは……怒り!!
「お前ぇええええええ!!」
少年は叫ぶ! 溢れんばかりの激怒を咆哮めいて解き放つ!
「なんで! エロ本!! 戻ってこないの!!! おかしいでしょ!!!!」
あっそっちの方向性!? いやでも男子なんだから仕方ない。
「まぁ……! ああいった本が戻ってきたほうがよかったんですか?」
「当たり前じゃないか覚悟すんのはそっちのほぎゃあああああーっ!?」
都亨は面白いぐらいにぴょーんと飛び上がってビビリ散らした。
そんな彼の反応に、いまだによくわかってない三咲・織愛は首を傾げる。
心臓が口から飛び出そうな勢いの驚き。なぜだ? ……魔導書のせいか!?
「まさかすでに何かの攻撃を? なんて不気味で恐ろしい邪神なのでしょう!」
『我思うのだが貴様わざとやってるんではないのだろうな???』
「これ以上の悲劇を生み出させるわけにはいきません、必ず倒します!」
『ねえしかも貴様なんでその可憐さでめっちゃグー握りしめてるの???』
邪神にもわかった。あのグーで殴られたら死ぬという確信が。
「そ、そうだぞ! そういうとこだぞ邪神! あの……いけないぞ!!
目と鼻と口に矢突っ込んで奥歯がたがた言わせたるわボケェ!!!!」
矛先がうまいこと邪神の方を向いたので、都亨は乗っておくことにした。
『おのれふざけおって……我が力を見せてくれるわーッ!!』
くわわっ!! 邪神の(表紙にある)目が大きく見開かれる!
「えっ?」
織愛はそれをおもいっきり直視してしまった!
「あっ」
都亨もおもいっきりそれを直視してしまった!
二人してユーベルコードを指定してないとかそんなのは関係ないのだ!
そして二人の脳内に送られたのは、奇しくも全く同じ映像であった。
なにやら怪しげな雰囲気の二人組、しかも片方には別の相手がいるらしい。
ALAS! 不倫、浮気、あるいはもうちょっと薄い本的に言うとNTR展開だ!
「な、なんですかこれ、い、いいい一体なんなんですか……?」
織愛はわけがわからず困惑し始めた。かわいそうに。
「うーん俺NTRはちょっと苦手カナー? 悪くないけどナー?」
都亨のほうは割と平気な顔をしていた。そんなもんだから映像が急展開を!
具体的に言うと二人組の性別が変化して、男性同士が……ワーオ。ワーオ!
「………………??????」
「あっ、お尻? お尻を愛でるのはわかる!(わ叶・都亨)
ってこれ男の尻じゃん! あーいややめて! うわーやめてー!!!!」
あまりの急展開&今まで触れたことのない文化なために理解を拒む織愛。
全部わかってしまう上に割と柔軟に受け止める感性なばかりに苦しむ都亨。
それぞれ翻弄される理由は大違いだがもう大惨事だよこれ!
だが脳内映像はさらに加速する! マッチョな二人が、オーウ……ワオ!
「「き(ぎ)ゃあああああああああーーーーーっ!?!??!」
『フアハハハハ! さあどうだ苦しめぃ!!』
絶叫を上げるふたりを悠然と見下ろす邪神! Evil godにふさわしい暴虐!
いい気になった邪神はフワーッと高度を下げて苦しむ様を観察しようとする。
「ど、どうして……どうしてこんなものを見せるんですかっ!!」
『それは我がそういう依り代だからグワーッ!?』
SMAAAASH!! 顔を真っ赤にした織愛の鉄拳が邪神に炸裂だ!
「やめてください!(蹴り)いますぐ!(蹴り)やめてください!!(踏みつけ)」
『なんで混乱してる割にコンビネーションしてグワワワワーッ!?』
「こんなふしだらなものを見せるなんて!!!」
KRAAAAAAAAAASH!!! 堂に入ったダブルスレッジハンマー炸裂だ!
メギャッてした、邪神の物理肉体からメギャッて。折れたってかひしゃげた。
『アバーッ!?』
「もう、もうっ、信じ(回し蹴り)られま!(二段目)せん!!(三段目!)」
『ヤ! ラ! レ! ターッ!?』
本当に混乱しているんですかというレベルの痛烈な連続攻撃!
織愛は首まで真っ赤にしながら、見たものを忘れようと努めた。
でもなぜか脳内にはこびりついた。あるいはこれが……"覚醒め"……?
一方の都亨! 必死に脳内の映像に抗おうと……いや様子がおかしいな?
「俺は性別で差別なんてしない……! なんなら男だって全然イケる!!
いや変な意味じゃなくて!! だから大丈夫、俺はイケる! 男もアリ!!」
変な意味以外の何者でもない自己暗示で脳内映像を乗り越えたのだ!
実際今の世の中は多様性だ。お互いを認め棲み分けする……Peace……。
「いやでもやっぱ女の子がいいしできればおっぱいの形がいい子がいい!!
よくも変なもんを見せやがって喰らえーーーっ!!(シュパパパパ)」
『アババババーッ!?』
一瞬にして矢衾になる邪神! 都亨はふーっと額の汗を拭った。
「危うく変な方向に目覚めるところだったぜ……! でもある意味ありかな!」
「ありなんですか?」
「まあね! やっぱり温故知新っていうのかな、女の子っていいなってね」
「女の子のほうがいい……?」
「改めて思ったよね! できればおっぱいもだけどお尻も形のいい子が」
「あなたもふしだらなことをおっしゃるんですね!?」
「えっあっいや待ってやめてくださいごめんなさいだからそのグーを下ろして!?!?!?」
問答無用。半泣きの織愛は混乱したままの頭で思いきり拳を振り上げる!
「……ふしだらは!! いけませんっっ!!!!」
「『アババババーーーッ!?』」
かくして、悪は滅んだ。いや邪神まだ生きてるけど。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ユーリ・ヴォルフ
エグい性癖か…いいぞ。人の趣向は人の数だけあるものだ
物理的に痛そうなものは気が引けるが
様々な変わった性癖があるというのであれば、是非聞いてみたいものだ
魔導書よ!ウェルカム!レッツカモン!
私の知的好奇心を満たしてくれ!
ところでドラゴン×兎というカップリングはどう思う?
私の性癖はあまりに一般的で普通で個性に乏しい
だが私は物怖じしないぞ。好きになった相手が!性癖だ!
こんな感じで私は魔導書など恐れるに足らずだが
同士(テン・オクトー)は大丈夫だろうか
危険であれば身を挺して庇うぞ
何、巨乳姉萌えを分かち合った戦友ではないか
私は少年の明るい未来を守るのだ
それが先輩としての責務であり宿命だ!
UCで魔導書を燃やす
テン・オクトー
そんなのだめだよ!お外でとかきっとよくないよ。そういうのは二人だけの場所とかで!公園とかもってのほか!他の人に見られでもしたらっ
は…!狂気に当てられてしまった。思わず頭がのぼせて火照っちゃったよ。
ボクは外ででもいいのはココまでだと思うんだよね。ココから先はやっぱりゴニョゴニョ。よく知らないけど感でそう思う!(自分なりのルールがあるらしい)
狂気を乗り越えられたらUC攻撃するよ。
エグい癖:外でとかよくないと思うんです。
連携アドリブ歓迎です。
●その先達の姿を見よ
ユーリ・ヴォルフは笑顔だった。そりゃもう満面の笑みだった。
痴れ狂ったのか? いいや違う、彼は男の中の男なのだ。
「エグい性癖、か。いいぞ」
『えっ!?』
邪神のほうが驚いた。それほど潔い第一声だったのだ。
「人の趣味嗜好は人の数だけあるものだ。私はそれを好ましいと思う。
物理的に痛そうなものはさすがに気が引けるが……それはそれというもの!」
ばっ! ユーリは両手を大きく広げ、晴れやかな表情で言う!
「様々な変わった性癖があるというのであればぜひ聞いてみたいものだ!
さあ来い邪神よ、魔導書よ! ウェルカム! レッツカモン!!」
『貴様頭がおかしいのか知的好奇心が旺盛なのかどちらだ……?』
「ふっ、甘く見るな。ところでドラゴン×兎ってカップリングはどう思う?」
『なるほど前者か!!』
ユーリはそんな馬鹿なという愕然とした表情になった。
彼的には一般的で普通で個性に乏しいらしい。うーんどうでしょうかね!
「って、そんなのダメだよ!?」
そこへ止めに入ったのがテン・オクトーである。奇しくも立場が逆だ。
「お外でとか、多分、ううん、きっとよくないよ!」
でも止める理由がずれているようななんか微妙にアレな感じである。
「そういうのは二人だけの場所とか……とにかく公園とかもってのほかだよ!」
他の人に見られたらどうするというのか。テンはそこを心配していた。
そもそも無理やり趣味でもない性癖を押し付けられることへの忌避感とか、
そういうのはあんまりないらしい。8歳だからか? ほんとか??
「ふうむ、たしかに同士の言うことにも一理ある……」
「えっ待っていつボクがお兄さんの同士になったの???」
「違ったのか!?」
「いやわかんないけど!?」
またしても驚愕するユーリ、困惑するテン。なんだこの図は。
「何を言うんだ同士よ、私達は巨乳姉萌えを分かち合った仲ではないか!」
「だからそういうのをこんなところで大声で言うのがよくないって!!」
テンは頬を赤らめつつわたわたと両手を振った。至極まっとうな意見である。
『我思うんだがエロ本拾いだなんだしといていまさらなのでは?』
「…………!!!!」
今度はテンが愕然とした。反論の余地すらありゃしねえ!
「私はそれはそれで逆に乙なものがあるのではないかと思うがな!」
「お兄さん時を経るごとに壊れてない!? 大丈夫!?」
終始笑顔のままなんかタガの外れたことを言うユーリが真剣に心配になったテンであった。
『油断したな! そこだ喰らえ我がユーベルコードをーッ!!』
「ふぎゃーっ!?」
危ない! 未来ある少年に向けられる恐ろしい性癖!
だが飛来した呪詛の塊は、両眼をきつく閉じたテンに触れることはなかった。
「……お、お兄さん!?」
そう! ユーリが身を挺してテンをかばっていたのだ!
「ふっ……同士よ、私は君を……いや、少年の明るい未来を守ることが使命」
「初めて聞いたよ!? 大丈夫なの!?」
「案ずるな……それこそが、人生の先輩としての責務であり、宿命!!」
くわっ! ユーリは大きく目を見開き脳内映像を刮目する!
ドラゴン(ドラゴニアンではなくわかりやすい四足歩行のやーつ)が?
なんだかピカピカ綺麗な乗用車に近づいて? おもむろに……ワーオ!
ドラゴンが! 擬人化されていないただの車と! 車に! オーウ……!
「こ、これは……!!」
「お兄さん?」
「………………なるほど!! これはこれで!!!!」
「お兄さん!?!?」
やっぱり外でこんなあれこれはよくない。テンは心からそう思った。
ついでに言うとユーリがあれこれあけっぴろげに言うもんだから、
先ごろに読んだエロ本の内容とか思い出して頭が火照ってしまったという。
「ご、ご先祖様! これ以上は色々いけないから力を貸してーっ!!」
テンの呼び声に応じ現れる祖父の霊! 生暖かい笑顔でテンに頷く!
おじいちゃん明らかに何か勘違いしている! 言い訳する前に邪神へ突進!
「ありがとう邪神よ、またひとつ世界が広がった……だがここまでだ!!」
そしてユーリもまたドラゴニック・エンドを発動する!
槍! 鉤爪! ドラゴン! 竜巻!!
『グワーッグワーッグワーッグワーッ!? バカナーッ!?』
「我々を嘗めるなよ邪神よ。同士と私のエロの絆は誰よりも強いのだ!!」
「ねえお兄さんいちいちボクのこと巻き込むのやめて!? お外だよ!!」
テンの冷静な言葉はまったくユーリの耳に入っちゃいかなったという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ノイエ・ウインタース
おっしゃってる意味がよくわかりませんが、
たぶん、かみさまとほとけさま的に冒涜的ななにかがとんでくるんですね。
いや、ここで退いてはおとこがすたります。ノイいきます!(拳ぎゅ
【POW】
共闘、アレンジ歓迎。
>行動
エグい性癖について。
えっ?て顔で周囲を見ます。大人の男性ってそんなことするのって顔。
味方のニッチな性癖にもええっ?て顔をします。
すごいなおとな。おとこのみちはいばらのみちだった。
ノイが思ってたよりはげしくけわしいです。
でもノイはやりたくないな。
罰あたりそうだし。かみさまからもほとけさまからも
2,3発で許容量を超えてきゅうっと気絶します
あ。ボスにはUC【灰燼拳】で攻撃です。「かいじんけーん!」
山梨・心志
(灰になった『プリティへそゴマ』さんの春の新刊を胸にゆらりと立ち上がる)
(その目は復讐に燃えている)
薄い本は一期一会…もう二度と出会えない…それを…それを…
お前の血は何色やーー!!
え?燃やしたのは仲間?知らん!忘れた!!
俺の怒り受けてみろ!
…は?
このBLのモデル…まさか…
や、ヤメロォォ!俺はノーマルやー!あと身内ネタはNG!NGやから!次会うたときどんな顔して話せばいいのかわからんなるから!!
思い出せ…女子の素晴しさを
依頼で会った可愛い子を
この技を教えてくれた美人人妻先生のたわわを
向けられてドキッとした笑顔を
柔らかい手から繰り出された強烈な掌底を…あれ?
これ違う意味でドキドキするやつやな!?
紅呉・月都
なんつーか…媒体に関しては同情するぜ、ドンマイな
何か背景で誤魔化してるが、お前。
完全にエロ本に影響されてんじゃねえか
残念そうな白い目で本を見るヤドリガミ
あー…
まぁ、今日一日で人それぞれ色んな性癖(もん)腹に抱えてるってわかったからなぁ
あれだ、お前はそーいうのが好きってことなんだな。わかった、わかった。
俺はお前の趣味にとやかく言わねえ。
理想と現実はちげーだろうが、骸の海でも頑張れな?
っつーわけだ…さっさと燃えて消え失せろ!!!
性癖暴露の延長戦だと思っており、うんうんと魔導書の性癖を認めた後にユーベルコード発動
敵の傷口を抉って串刺しにして、尚且つ怪力で容赦無くぶった斬って燃やし尽くそうと試みる
セリオス・アリス
アドリブ歓迎
紙なら…燃える!
マジでよくわかんねえけどこの悲しい(っぽい雰囲気のよくわかんねえ)話をさっさと終わらせよう
【青星の盟約】を『歌い』攻撃力をあげて『ダッシュ』で『先制攻撃』だ
とびあがって炎の『属性』を剣に纏わせ『2回攻撃』
しかし…色んなやつらがあんなダメージを受けるってどんな性癖だ
えっこわという顔で本を斬りつける
色々見せられたら
青くなったり赤くなったりしながらプルプル震え
…せんじゃねえ…
んなもん、見せんじゃねぇ…!!
結局真っ赤になって『全力』の炎をのせて斬撃による『衝撃波』を放つ
かっこいい台詞とか知るか!
俺はお前がやめるまでお前を殺す!
そういや鳥籠の話…マジでしなきゃ行けねえのか…?
●ざんねん! うすいほんは はいになった!
「ささやき、いのり、えいしょう、ねんじろ……。
ささやき、いのり、えいしょう、ねんじろ……」
灰の山を前に、山梨・心志ぶつぶつと謎めいたうわ言を繰り返す。
それは男が愛したものの残滓。兵どもが夢の跡、もはや宝物はどこにもない。
「…………(やべえこの流れで『紙なら燃える』とか言えねえ……!!)」
なにげに心志の宝物を(他のエロ本もろとも)焼き払った張本人、
セリオス・アリスは非常にいたたまれない顔でその背中を見つめた。
悲しい背中だ。なんだかそのせいで妙に物悲しい雰囲気が漂っているが、
よくよく考えるとなんだこの状況! トンチキすぎてもうわけわからん!
「なんつーか……邪神もお前も、どいつもこいつも同情するぜ、ドンマイな」
一方で徹頭徹尾マイペースな紅呉・月都は呆れ半分で言った。
「けどよ邪神、お前なんか背景でそれっぽく誤魔化してるけどさ。
完全にエロ本に影響されてんじゃねえか。むしろ愉しんでるだろ!」
『フハハハハ!! バレたか!!!!』
もはや隠そうともしない邪神であった。月都は残念なものを見る目をした。
「ノイにはみなさんのおっしゃってる意味がよくわかりませんが!!
たぶんなんかこう、冒涜的でいけないかみさまなのですね!?!?」
雑なようでわりかし的確な理解を得たノイエ・ウインタース、やる気だ。
「ここで退いてはおとこがすたります! おとこはどきょうとききました!
あと、なんでもやってみるものさとか! ノイいきますよぉ!(拳ぎゅっ)」
気合十分なのはいいことだが、なんだかちょっと危うさが垣間見える。
「……薄い本は一期一会なんや……」
ゆらり。心志が立ち上がるとセリオスはびくっと肩を震わせ、
万が一にも矛先がこっちに来ないよう目をそらして口笛を吹いた。
「一度逃せばもう二度とは出会えない……それを……それを……!
邪神め……お前の、お前の血は、いったい何色なんやーーーー!!」
「いや魔導書に血の色とかねーよ!?」
「あったとしてもたいしてきかない気がします! わるいかみさまなので!!」
月都とノイエは至極当たり前でごもっともなツッコミを入れた。
『そもそもだ。貴様のそれ燃やしたの我ではないであろうが!!』
びくくぅ! セリオスはだらだら汗を垂らしながら全力で目をそらす!
心志はそちらを見る。しばしの沈黙……くるっ(邪神の方を向いた音)
「知らん!! 忘れた!!!!」
『何ぃ!?』
「俺の……いや、俺達の怒り、受けてみろ!!」
「勝手に巻き込むんじゃねーよ!」
「ノイはだいかんげいですよ! いっしょに戦うんですからね!!」
ものすごく迷惑そうな顔の月都とふんすふんすと乗り気のノイエ。
経緯を正しく理解しているかどうかでこれほどまでの差が出る。理解大事。
「い、いや! そうだ、俺達の力を見せてやろうぜ!!」
しかしこのチャンスを逃すセリオスではない。全力でノッていく!
勢いで誤魔化せば色々他のもごまかせる! 責任の余地とか!
「だからほら、まじでさっさと終わらせようぜこの事態! な!!」
「せや! みんなでかましたるで! みんなでな!!」
(これで鳥籠云々の件は誤魔化せたはず……計画通り)
さりげなく邪悪な笑みを浮かべるセリオスであった。策士……!!
『ならば喰らうがいい我が呪詛をーっ!!』
くわわっ! 邪神の単眼がえっ怖っ! ってくらいに大きく見開かれる!
さらに呪詛の塊を爆撃めいて飛ばしまくり、猟兵達が怯んだ瞬間に追撃だ!
否応なく呪詛(せいへき)に晒される四人! これは……危険だ!!
まず四人の脳内に直接送り込まれたのは……イケメン同士が、二人で……!
「グワーーーーーーーッ!?!?」
「「「!?」」」
まだ序盤だというのに、いきなり悲鳴を上げて心志が倒れ込む!
さもありなん! 脳内映像のモチーフは彼自身、そして……ALAS!!
「や、やめろぉ!! 俺はノーマルやー!! しかも身内ネタはNG!!
次会うたときどないな顔して話せばええかわからんなるやろがぁー!!」
じたばたとのたうち回る心志。まるで嫌な思い出を想起した大人のようだ。
「えっ、これがおとなのおとこのすることなんです?」
鳩が豆鉄砲を秒間200発ぐらい食らったような真顔で二人を見るノイエ。
「「いやいやいやいや!!」」
色んな意味を込めて月都とセリオスが首を振る。色んな意味を込めて。
だがノイエは完全に宇宙を背負った猫(人狼だが)みたいな有様だ!
『貴様らには効果が薄いか? ならばこれを喰らえ、イヤーッ!!』
さらに流し込まれる脳内映像! 今度は……OH、女王様の登場だ!
ボンテージ姿の女性が鞭を振ったり蝋燭をあれしたり! あんなことまで!
「うわーっ!! こ、これがおとなのおとこのたしなみ……!!」
「「だから違うって!!」」
男の道は茨道。ノイエは極めて偏った誤解を得てしまった。
脳内映像はさらにヒートアップしていく! ノイエは目を回し始めた!
「ノ、ノイが思ってたより、はげしくけわしい……きゅう」
「「ノイエー!!」」
ばたり。許容量を超えた人狼少年は哀れその場に昏倒してしまう……!
「く、くそっ! さっきから妙なものばっかり見せやがって!!」
セリオスは武器を構えて攻撃しようとするが、
『イヤーッ!!』
「うわっなんだこれ! ガチムチなおっさんじゃねーか! うわ! うわー!」
セリオスは青くなったり赤くなったりツッコミしたりとても忙しい!
なお、ドレで青くなったり赤くなったりしたのかは伏せておく。
個人のプライバシーである。多様性って大事だからね!
『フハハハハハ! さあ苦しめ苦しめ! フハハハハァー!!』
万華鏡めいて変貌する無数の呪詛(エロ)。もはやこれまでか……!?
『……ハッ!!』
その時邪神は気づいた。平然とした顔の男がひとりいることに。
そう、月都である。彼は残念なものを見る目を通り越して、
なぜか微妙に生暖かくややヒいた感じの目で邪神を見上げていた。
『き、貴様……なんだその色んな意味でアレな目は!?』
「あー……まあ、なんだ」
月都は言いにくそうに頭をかきつつこう言った。
「今日一日で、人それぞれ色んな性癖(もん)を腹に抱えてるってわかったからなぁ。お前はそーいうのが好きってことなんだろ?」
『えっいや違うが!?』
「わかったわかった。色々あるもんなオブリビオンにも」
『えっ我貴様らに見せたの全部好きだと思われてる!?』
「俺はお前の趣味にとやかく言わねえから、な」
ALAS! ある意味無効化されるよりも邪神にとっては辛い結果だ!
月都はまあ頑張れよとか理想と現実はちげーとかアドバイスまでしている!
『ヤメローッ!! 我を哀れみ含んだ目で見るなーッ!?』
痛烈なカウンターによって苦しみ悶える邪神……!
「……せんじゃねえ……」
『えっ何?』
「こんなもん、いちいち見せんじゃねぇーっ!!」
そこに首まで真っ赤になったセリオスの追撃だ!
ユーベルコードによって強化された攻撃力により、斬撃の炎がぶち当たる!
『グワーッ!?』
「かっこいい台詞とか知るかぁ! 俺は!
お前がやめるまで!! お前を殺すのをやめないッ!!」
『いやそれ我どっちみち死ぬだろグワーッ!?』
……一方、倒れ伏す心志。
(思い出せ……思い出せ! 女子の素晴らしさを……!!)
朦朧とした意識のなか、彼は己の深層意識に深く潜り込んでいく。
思い出せ、これまで戦ってきた中で出会った可愛い女の子達の姿を……!
マグロをアレしたりキマイラフューチャーで騒いだときの記憶を……!!
猟兵は個性豊か、見目麗しい女の子だってたくさんいるではないか!
(そしてこの技を教えてくれた、美人人妻先生のたわわを……!!)
揺れるたわわ。近づくたわわ。向けられるドキッとした笑顔。
その割に腰が入っている上にめちゃくちゃしなやかな掌底を……!
なんか見つめられてるなと思ったら完全に攻撃のためだったあの眼差しを!
「……あれこれ違う意味でドキドキするやつやな!?」
ビシィ! 自分自身に対するツッコミが心志を闇の淵から救い出した!
「はっ! おいノイエ、おい! 起きんかい!!」
びびびびびん。気絶した少年に容赦ない連続ビンタだ!
「あうっ! はっ、ここは誰? ノイはどこ……?」
「逆やないかい! それよかほれ、あれ!」
心志が指さした先、セリオスと月都が猛烈な攻撃を叩き込んでいる!
燃やしたり斬ったりえぐったり串刺しにしたりもう散々だ。
ここまでされるいわれはない! いやよく考えるとありまくりだ!
「タイミング合わせて、イェーガーダブルパンチや!!」
「イェーガーダブルパンチ!? ノイもですか!?」
「お前もや! いくで!!」
そして二人は跳躍! 邪神めがけ拳を振り上げる!
「百合ヶ丘神拳喰らえやおらーっ!!」
「かーいじーんけーん!!」
『グワワワワワーッ!!?』
大ダメージ! 邪神も呪詛(エロ)も、少年達は無事に乗り越えたのだ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御剣・疾風
邪神さん可哀想
心から望んでいたなら兎も角
流石に同情しますわ
経緯はさておき
こいつ真面目に強いっすね!?
邪神そのものが強いのか
集まった力がとんでもないのか知りませんが!
しかし青少年たちの純粋な心を穢させるわけにはいかねえっす!
男子中学生たちが狙われたら全力で庇うっすよ!
はっ、俺は性癖の坩堝と呼ばれた男っすよ?
数多くの作品に触れ
公共の場で言えないような物も含め
幾多の可能性を乗り越えてきたっす!
むしろ新しい物を知る機会をくれてありがとう邪神さん!
ユーベルコード:無数錬成でC4爆薬を複製して
念力で操って相手にくっつけるか近くで爆発させます
アンタとは別の形で会いたかったっすねえ
アドリブ、共闘歓迎
月宮・ユイ
絡みアドリブ歓迎
邪神荒ぶってるわね
まぁ、ちょっと器物仲間としては同情するわ。これは無いと…
ニッチ、エグい…問題ないわ。このところ色々あって学んだの
敵相手はともかく味方相手ならどんな性癖でも大丈夫
だって性癖は好きな物でしょう、ならそれを満たすのは悪い気がしないもの
だから、実際にやらされるならともかく見せられる程度なんともないわ。
今でもやっぱり、一方的に責められるのは悔しいのだけれど…
”高速詠唱、全力魔法、範囲・2回攻撃、誘導弾”【不死鳥】
とはいえ変な嗜好広められるのは困るから、とっとと燃やすわ
【機能強化『学習、感覚、奉仕】
後日談:花見。声上げてくれた里中君にはこっそりとたっぷり歓待しておきました
●時として同情のほうが神を追い込む
猟兵との死闘により、邪神はその体力を大きく削られつつあった。
だがいま、エロ魔導書もとい邪神を見つめる二人の男女は、
完全に別の方向性から全く同じ憐れみの視線を向けていたのである。
「邪神さん可哀想……」
御剣・疾風は、本当にいたたまれないものを見る目で頭を振った。
「心から望んでいたならともかく、ありゃさすがに同情しますわ」
「ええ、だいぶ荒ぶってるけどアレは仕方ないわね……」
その隣に立つ月宮・ユイも、同じように嘆息した。
「ちょっと器物仲間として同情するわ。これはないと……。
ていうか邪神のほうもだけど依り代にされたほうも可哀想よね?」
「エロ本扱いっすからね」
「エロ本扱いだものね……」
本来、クゥイラトァ・グラルハ・メラルヒニトの書は禍々しい魔導書なのだ。
人の皮で装丁されたそれは、読んだ者をたやすく狂気の淵へ追い込む。
怖ろしくて、そしてなによりシリアスなオブリビオンなのだ!
それがこのザマだ! 多分父は冷凍刑に母は死んだりしていると思う!
『や、やめろ貴様ら! 我をそんな哀れみの籠もった目で見るな!!』
仮にも邪神である。人間を睥睨して見下ろすイモータルなのだ。
定命のもの、しかも天敵である猟兵に憐れまれるとか心理ダメージ半端ねえ!
「いやあまあ、大人しく死んだほうが身のためっすよ」
「むしろ心のためね。大丈夫、優しくしてあげるわ」
『絶対に断る! 我はまだまだ青少年の発育を歪めてやるのだーっ!!』
「「ノリノリじゃないっすか(じゃないの)!!」」
もうしっちゃかめっちゃかでどうしようもなかったという。
……かくして戦いは始まった。の、だが!!
「こいつ真面目に強いっすね!?」
「これが煩悩の力……!」
そう、邪神は真面目に戦うと意外と強いのである。
エロのリビドーがそうさせたのか、もともとヤバい神だったのか。
どっちかはさておき、依り代自体が危険でインセインなこともたしかだろう!
いいですか、クゥイラトァ・グラルハ・メラルヒニトの書はほんとは名状しがたくて禍々しい、とてもシリアスで恐ろしい敵なんですよ!
そこらへんわかったらメモしておいてくださいね、テストに出ますよ!
『喰らえ呪詛(エロ)の塊ーっ!!』
そして放たれる恐るべき呪詛の塊、さらに名状しがたい単眼の視線!
攻撃の隙を突かれた二人は、否応なく幻影に晒される……が!!
『……バカな、何故揃って平気な顔をしている!?』
そう、疾風もユイもまったく平然とした顔をしていたのだ。
いやむしろ疾風にいたっては、不敵な顔で腕組みして笑っている!
「はっ! 俺は性癖の俺は性癖の坩堝と呼ばれた男っすよ?」
『それはドヤ顔で言うことなのか!?』
「勿論っす!! 数多くの作品に触れ、ここでは言えないような物も含め、
幾多の可能性(せいへき)を乗り越えてきたっす! むしろ!!」
疾風は無数のプラスチック爆薬を錬成し、それを邪神へ貼り付ける!
「新しい性癖(もの)を知る機会をくれて、ありがとうっす!!」
『アババババーッ!?』
KA-BOOOOOM!! 爆炎に飲まれ邪神はもんどり打った!
そこへさらに不死鳥めいた炎を放つユイ! ふぁさあと髪をかきあげる!
「どれだけエグくても、性癖とは誰かにとっての好きなものでしょう。
ならそれがどんなものであれ私は否定しないわ。世の中多様性なのよ!」
『なんたる先進的な思想かグワワワワーッ!?』
紙は本に弱い。いや違った、本は紙に弱い。
……でもない。紙は炎に弱い! 名状しがたいページがどんどん燃えていく!
「邪神……アンタとは、別の形で会いたかったっすねえ」
「生まれてくる時代と世界と、あと相手と場所を間違えたわね……」
ふたりは、遠くを見る目で炎上する邪神を眺めたという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
夏目・晴夜
うわ、ド健全な私には理解できない性癖ばかりです
何故こんな性癖を我々に見せつけてくるんですか?
ああ、わかりました。あなたなりの性癖暴露ですね、コレ
否定しなくても大丈夫、エロカースト勢にも優しいのがこのハレルヤの長所です
しかしどの性癖も酷い
きっと愛された経験が少ないんですね
温もりを知らないから、こんなクソ汚い性癖をこしらえたんですね
敵ながらなんて不憫な……
ニッキーくん、せめて強く、強く抱き締めてあげてください……
遠慮はいりません
ニッキーくんは見ての通り可愛い上に優しいので、
ヤバさカンストな性癖持ちにも平等に愛を与えてくれますよ……
『死の抱擁』で抱き締めた敵は妖刀でニッキーくんごと【串刺し&目潰し】
●邪神いじめ
「うわ……」
あちこちで響き渡る悲鳴やら雄叫びやら断末魔やら、
邪神の呪詛(エロ)に苦しめられる猟兵達と垣間見えるエグいやつ。
夏目・晴夜はドン引きしていた。彼はまるで常識人みたいな顔をしている。
「ド健全な私には理解できない性癖ばかりですね……」
『ねえ貴様鏡見てそれ言える? ほんとに言えるか??』
「なぜこんな性癖を我々に見つけてくるんですか? 私のような一般人にまで」
『我貴様のようにすらすらホラ吹ける猟兵がいることにびっくりだぞ???』
だが邪神のツッコミを完全無視し、晴夜は掌を叩いた。
「ああ、わかりました。あなたなりの性癖暴露ですね、コレ」
『は!?』
「否定しなくても大丈夫ですよ。エロカースト勢にも優しいのが、
このハレルヤの数多ある長所のひとつです。ドン引きはしますが」
『勘違いだし貴様どの口でそれを優しさとか抜かしよるのだ!?』
例にもよって邪神の言い分を完全無視しながら、晴夜は周囲を見渡した。
女王様、ガチムチなおっさん達、熟女、あとなんか色々……。
「どの性癖も酷い……あなた、きっと愛された経験が少ないんですね。
温もりを知らないから、こんなクソ汚い性癖をいくつもこしらえたんですね」
『貴様やっぱりわかってて言っておるよな!?!?!』
完全に哀れみの眼差しで頭を振る晴夜。
こうなるともう本人すら自分の言ってることを信じそうなのがすごい。
晴夜がぱちんと指を鳴らすと、背後からシリアルキラーが! コワイ!!
『なんだそれ!? 山奥の殺人鬼かなにかか!?』
「ニッキーくん、せめて強く……強く、抱きしめてあげてください。
遠慮はいりませんよ。ニッキーくんは見ての通り可愛い上に優しいですから」
『我狂ってるのが我なのか貴様なのかわからなくなってきてグワーッ!?』
ごうーん。丸太めいた両腕が容赦なく邪神を掴み引きずり下ろす!
そして抱きしめる! だが巨大なので腕が上手く回らない!
そんなわけでニッキーくんは逆にすることにした。つまり広げた。
メキメキメキメキ! 背表紙とかからすさまじい音がする!
『アバババババーッ!?』
「さすがニッキーくん、可愛い上に優しいですね……!」
ほろりと感動の涙すら流しつつ、晴夜はチャキッと妖刀を構えた。
そして躊躇なく刺した。ニッキーくんもろとも。もろとも!?
『アバーーーーーーーッ!?』
「遠慮はいりませんからね! さあ!!」
『貴様さらに抉るとかサディアババババババーーーーッ!?!?!?』
どっちがオブリビオンなのかわかりゃしねえ残虐ファイトだ!
大成功
🔵🔵🔵
薬袋・布静
エグい性癖とか
女子会の席で交わされる
男の評論会という名の酒のつまみと
どっちがエグくて恐ろしいんでしょうねー
純粋に夢を描く男共なんぞしゃらくせえ!って
ぶっ壊していくんですよ?
それに比べたら…、ねえ?
そう思いません?
ああ、それとエロい姉や妹の幻想を抱いてる野郎共
すぐさまその考えを改める事をオススメしやす
アイツ等は女を武器にしたモンスターだ
女はこうゆう者だと現実を押し付け
幻想をぶち壊し楽しんでる…
邪神に近いモノを感じますわ
遠い目であの日々を思い出す
そう姉妹達に強いられては、女に幻想を抱く暇さえ与えず
粉々に砕かれたのを
まあ、思い出に耽るのも程々にやりますか
青煙泳ぐ毒を含む友へ贄を――さあ、食事の時間だ
●経験者かく語りき
邪神の宣言に対して、恐れおののくでも嘲笑うでも憤るでもなく、
ものすごーく微妙なテンションで微妙ーな表情をする男がいた。
「エグい性癖ねえ……」
薬袋・布静である。彼はうなじをぽりぽりとかきながら、
とても思い出したくないものを思い出したような苦みばしった顔になる。
『なんだ貴様、何が言いたい!!』
「いやあ……女子会の席でかわされる男の評論会とどっちが上なのかなあ、と」
布静は女所帯であった。おかげで女性の恐ろしさをまざまざ学んでいる。
完全に酒のつまみとして、知り合いの男達をランク付けする女性がたとか、
誰それがタイプだの誰それはあいつと付き合ってそうだの語る女性がた……!
性癖の幻影なんぞと比べれば、むしろそっちのほうがエグくて恐ろしい。
『えっなにそれ我怖い』
「でしょ? 純粋に夢を描く男どもなんぞ『しゃらくせえ!』って、
否定するだけならともかく夢をぶっ壊していくんですよ?」
それに比べたら……ねえ? と、邪神に同意を求める始末。
邪神は震えた。人間の業(カルマ)の深さに……!!
「ああ、あとね」
くるり。布静は背後を振り返る。男子中学生共がそこにいた。
「こんなかにエロい姉だの可愛い妹だの、好きな野郎はいやす?」
「「「はい!!」」」
「考えを改めることをオススメしやす。その幻想、いますぐ捨てたほうがいい」
「「「えっ」」」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔でぽかんとする男子中学生達。
これが清楚ぶった方の正論によるお説教なら即座にゴリラ化するところだが、
布静の顔には割とマジげな苦悩と陰鬱が大きく影を落としていた。
ガチな奴だった。彼は憐れみすら込めて姉妹属性の方々を見やる。
「アイツらは女じゃない、女を武器にした怪物(モンスター)ですわ」
「「「も、怪物(モンスター)……!!」」」
「女はこういうもんだと現実を押し付けて、幻想をぶち壊し楽しむ。
もうね、あれっすわ。邪神に近いモノを感じますわ。むしろ上かも」
『我さすがにそこまではしないのだが!? 人間ヤバくないか!?』
布静はキマイラなのだが、まあそこは細かい話である。
彼は遠い目をして思い出す。女性に幻想を抱く暇すら失った過去を。
姉妹達による容赦のない現実の押し付け、トラウマ級の粉砕の過去を……!
『えっ怖! 怖ぁ!?』
「まあそれはそれとしてアンタは滅ぼさんとね」
『この流れで我攻撃するのか!? 貴様も大概怖いが!?】
ユーベルコード"蛟竜毒蛇"を発動し、巨大なアオミノウミウシを召喚する。
青い天使、青い竜、海燕……この生物を呼ぶあだ名は数多い、が。
「アンタにだって毒は効くでしょう?」
『えっ』
「さあ、食事の時間だ。友よーー贄を受け取れ」
ものっそい邪悪な笑顔で笑う布静! 邪神は心底震え上がったという。
大成功
🔵🔵🔵
柊・明日真
【アドリブ歓迎】
ぐわああああーーーーッ!!(呪詛の塊が直撃、全身から血を吹き出す)
(【トリニティ・エンハンス】で防御を固めていなければ即死だった)
ま、まさかニッチがこれほどの破壊力を持つとは…!
だが奴もエロ本である以上、ページ数には限界があるはず…不完全な顕現なら尚のこと。
ならば俺のやるべき事は一つ。奴の手札を引き出して、限界まで消耗させる…!!
ニッチ…全部だ…!
全ページでこい…!!
鍛え方が違うんだ…!それっぽっちじゃ俺は殺せないぜ…!!
アルジャンテ・レラ
ふざけているのは、あなたでは?
魔導書ならばもっと魔導書らしく振舞っていただきたいですね。
ばら撒く物がおかしいですし、
口調もあまりに幼すぎる。
書痴の端くれとして、私はこのように考えます。
この本は処分すべきだ、と。
援護射撃……と言いたいところですが
ペースを乱されている人の対処をまずは優先しましょうか。
しっかりしてください。戦闘中ですよ。
見てしまったものは仕方がありませんが、
自分を見失うようではいけません。
……クゥイラトァ・グラルハ・メラルヒニトの書と言いましたね。
私にそんな物を見せてどうするのです?
生憎ですが興味も関心も一切ありませんよ。
皆さんを翻弄できたからと調子に乗らないことです。
杜鬼・クロウ
アドリブ、カオス◎
グラサン破損可
最後バシッと決めりゃァ全部丸く収まるな
俺へのアレソレなイメージも払拭出来るだろ(手遅れ
エグい性癖撒き散らしてもトラウマどころか新たな性癖に目覚めるヤツいるンじゃね?
神サマ様々だなァ!青少年ナメンな
世界は広い
異常性癖(ニッチ)の数だけ変り者(スキモノ)がいる
テメェ如きが分かる世界じゃねェンだよ
あと小一時間ほど説き伏せてェ気持ちだが、仲間と続き(おっぱい)語りてェからさっさと逝けやオラァ!(恫喝・先制攻撃で回し蹴り
【煉獄の魂呼び】使用
禍鬼は棍棒で敵を蹴散らす
霆で援護
敵の攻撃は玄夜叉で武器受け・カウンター
仲間と連係
何かあればかばう
属性攻撃・2回攻撃で灼熱の業火で燃やす
カイル・ヴァンガード
うわきもちわる。あんなのがエロ本だったら絶対むり
……待てよ、母ちゃんよけになるんじゃ?
いやいやふざけてる婆じゃないか
ニッチな性癖……くっ頭に、直接流れ込んでくる!?
やめろ、俺は…俺はーーーーー!!
ラーメンふーふーのお姉さんが!
唇のあついお姉さんが―!!!!
やめろ…俺は、俺は綺麗なお姉さんたちを、見ていたいんだ!!
あ、待って今のちょっとよかった
もどして
夢を壊したな、許さん!
ユーベルコード、ドラゴニックエンドでよく狙いすまして攻撃だ!
いつも通り外れたら「串刺し」「二回攻撃」「怪力」でぼっろぼろにしてやる1!!
アドリブ、共闘歓迎
●三馬鹿+1ここにあり
「…………ふざけているのは、あなたでは?」
ま、マジレス! アルジャンテ・レラのマジレスが炸裂だ!!
まったく表情を変えることなく、淡々とした声音で突き刺した!
『グワーッ!?』
「魔導書ならば、もっと魔導書らしく振る舞っていただきたいですね」
『いやだから我邪神と言っているだろうが!?』
「なおさらです。ばらまく物がおかしいですし、口調も幼く威厳がなさすぎる」
『グワワワワワーッ!?』
邪神は容赦ない言葉の暴力にのたうち回る! やめたげてよぉ!
「本来はきっと怖ろしく名状しがたい魔導書なのでしょうね……。
クゥイラトァ・グラルハ・メラルヒニトの書。それ自体は興味があります」
アルジャンテの思っている通り、本来この魔導書はシリアスなのだ。
いや違うそうではない。名状しがたく狂気じみていて恐ろしい存在なのだ!
それをこんなトンチキな方法で邪神おろされたから! おのれ邪教徒!
「書痴のはしくれとして、私はこのように考えます。早急に処分すべきだ、と」
そうでしょう? とアルジャンテは振り向いた。
いかがわしい本の数々は燃えた上に白紙に帰り、元凶(という名のこちらもこちらで被害者)が姿を表したのだ。
まさに決戦の場。猟兵として気合を入れるのは当然のこと。
きっと三馬鹿……もとい三人もシリアスになってくれるはずだと考えていた。
いやむしろそれ以外の可能性をありえないと思っていた。だが!!
「んんんん……!! 許(ゆる)るさん……!!」
誤字ではない。柊・明日真はなぜか微妙に間違った言葉で、
しかしメラメラと怒りを燃やしながらぶるぶる拳を震わせていた。
怒り。激しい怒り! オレンジ色の瞳が力強く燃え上がる!
「なぜだ邪神め……なぜ! 俺達のエロ本を返してくれねえ!!」
「そこですか」
「どうせ見せるならエロ本の中身を見せろよ!!」
「見せられること自体を批判しましょうよ」
もはやアルジャンテのツッコミは流れるようであったという。
「ほんとだよなあ気持ち悪い見た目してやがるし!」
カイル・ヴァンガードはドン引き顔で明日真に同意した。こっちもか!
「あんなのがエロ本だったら俺絶対無理だ。買えないわ」
「そもそもカイルさん未成年ですよね?」
「……待てよ」
はっ、としたシリアスな表情でカイルはなにかに気づいたらしい。
ようやくまともになるかな? どうかな? 無理じゃないかな?
「逆に母ちゃんよけになるんじゃね……!?」
ダメでしたね。
「いや、いやいや! それにしたってふざけてる姿だろう!」
「どの口がふざけてるなんて言うんですかね」
「エロ本ってのは装丁も大事なんだぞ!!」
「大事にすべきものもっとありますよね」
残念ながら例にもよってツッコミは完全スルーされている。
「テメェら! もっとしっかりしやがれェ!!」
そんな中、ただ一人まともなことを言いだしたのが杜鬼・クロウだ!
彼はさすがの最年長ぶりで威風を纏い、
二人(となぜかアルジャンテ)をバシッと一喝した!
「いいか、決戦だぞ! あれが親玉だ、シャキっとしねェでどうする!」
「クロウさん……」
アルジャンテは心なしか感心した。いやこれが感動というものか?
ひび割れた感情回路にたしかなゆらぎを感じる。信じていてよかった!
「ここでバシッと決めて丸く収めりゃ、アレなイメージとかも払拭だぜ!」
ダメでしたね。
「ていうかまだ払拭できると思ってるんですか……?」
「当たり前だろうが! 俺はそういうキャラじゃねぇンだよ!!」
アルジャンテのツッコミに反応するぶんまだマシかもしれないが、
言ってることはだいぶアレなクロウである。もう手遅れじゃないですかね!
「それになァ、エグい性癖撒き散らすったって、恐れる必要はねぇンだ」
クロウはサングラスを掛け直し、ふっと不敵に笑った。
なにか必勝の策があるというのだろうか? 一同の視線が集まる!
「トラウマどころか、新たな性癖に目覚めるヤツだっているかもしれねェ。
――それが、青少年(にんげん)の可能性ってヤツだ。ナメンな!!」
「そんな自信満々に言うことですか???」
完全に呆れた様子のアルジャンテ。一方!
「「な、なるほど!!」」
カイルと明日真は感服した表情である! こいつらバカだ!
『ぬうう、小癪な……!!』
邪神は邪神でぐぬぬ顔をしていた。こいつもバカだ!
「――なぜ私はいまだにこの戦場にいるのでしょう」
遠い目で彼方を見つめるアルジャンテであった。
●赤癖の戦い(赤壁の戦いとかけた超面白いダジャレ)
「ぐわあああああーーーーーーーッ!!」
「「明日真ーっ!?」」
断末魔の雄叫びをあげ、全身から血を吹き出しながら明日真が膝を突く!
無理もない、呪詛の塊が直撃したのだ……耐え抜いただけタフといえる。
「いや待ってください、流血する要素ありました?」
「くそっ、トリニティエンハンスで防御を固めてなきゃ即死だったぜ……!」
「ユーベルコードが性癖にどう関与するんですか……?」
悲しいかなアルジャンテのツッコミは無視される運命なのだ!
『ほう、いまの呪詛(せいへき)を耐えるか、面白い……』
「チッ、思ったよりやるじゃァねえか神様野郎! オイ、まだ行けるか?」
「明日真のことは頼む、ここは俺が時間を稼ぐぜ!!」
「待ちやがれカイル、死ぬぞ!!」
だがクロウの制止を振り切り、カイルは突撃する!
『喰らえぃ!!(呪詛の塊を放つ)』
「グワーッ!?」
ALAS! エロい感情があるのでユーベルコードの前提条件がバッチリだ!
カイルの脳裏に流れ込む何かしらの幻影……おお、おお!
「こ、こいつ、頭の中に直接……!? くっ、何を流し込んでくるつもりだ!」
だが脳内に流れた映像は、カイルの好きな厚唇のお姉さんがたであった。
お姉さんがたはアツアツのラーメンをふーふーしながら食べる。
「あれ? 普通だぞ?」
『フッフッフ……こうだァ!!(単眼ビカーッ)』
「あっ待て、なぜカメラがテーブルの下に移動する? おい待て!」
『イヤーーーッ!!(目ビカアーーッ)』
「おいまさか、やめろ! ああ! うわーっお姉さんが! お姉さんなのに!?
お姉さんじゃん!? なん、えっ男……う、うわあああああああああ!!!」
「「カイルーっ!!」」
ビターン! 泡を吹きながら昏倒するカイル!
「野郎、なんてトラップを仕掛けやがった!」
「さすがにそれはキツいだろ手加減してやれよ……!」
「ちょっと待ってくださいなんで見えなかったのに内容わかるんですか」
わかるのだ。それが、桃色の誓いを果たした義兄弟のKIZUNA……!
お姉さんだと思ったらお兄さん。いやあえて言うならおにねーさん。
異性装というレベルではない、つまり……こう、わかれよ! アレだよ!
「まさかニッチがこれほどの破壊力を持つとは……!!」
「しっかりしてください戦闘中ですよ。自分を見失うようではいけません」
「アルジャンテの落ち着きぶりはこういうとき頼りになるぜェ……」
だが明日真は思考した。彼はバカだかバカなりに考えた。
なにせ彼はマジックナイトであり、実はWIZも割と高い。
つまり知能指数が高い! そしてひとつの結論に至った!
「……全部だ」
『何……?』
ぎらり。橙色の双眸が敵を睨めつける!
「ニッチ……全部だ。全部で来い!! 全ページを俺に見せてみろ!!」
『な、何!? 貴様死ぬつもりか!?』
そう、いかに邪神とてエロ本ならば(魔導書だけど)ページには限界がある。
不完全な顕現ならなおのこと……その手札を全て引きずり出す!!
「明日真ァ、テメェ……!」
「普通に避けるか波状攻撃をかけるべきでは」
明日真はクロウの言葉と、アルジャンテのまっとうなアドバイスを、
頭を振って遮った。その横顔は、覚悟を決めた男の表情である。
「さあ来い! 俺の心をへし折ってみせやがれぇ!!」
『抜かしたな小僧! イイイィイイイヤヤヤヤヤヤヤッ!!』
「グワーーーーーーーッ!?!?」
明日真の脳裏を万華鏡めいて、あるいは走馬灯めいて駆け巡る映像!
ありとあらゆるニッチが……うっわそんなのまで!? まじで!?
全身から血を吹き出し、目鼻から血涙を流しながら、明日真はしかし!
「……鍛え方が違うんだよ……それっぽっちじゃ! 俺は殺せねえ!!」
『な、何ぃ!?』
耐えた。耐えてみせたのだ! なんたる不屈の男か!
「ああそうさ……世界ってのは広いンだぜ」
その姿に勇気づけられ、クロウがゆらりと立ち上がる。
「異常性癖(ニッチ)の数だけ変人(スキモノ)がいる。
戦士(ヘンタイ)の数だけ、それぞれの武器(フェチ)も違うンだ!!」
『き、貴様! その目、敵対を止めぬ瞳……!!』
「テメェ如きにゃわからねえだろうなァ、俺達の絆はよォ!!」
『な、ならば喰らえ! ウオオオオオーッ!!』
浴びせられる呪詛の塊! つるつるでぺたーんな小さい女の子の、アレだ!
「がは……ッ!!」
クロウのサングラスがピシリとひび割れ、彼は崩折れかかる。だが!
「……おっぱいがある限り、俺達は負けねェ……!!」
彼もまた立ち上がる。その闘志がカイルをも蘇らせた!
「よく考えたらいまのちょっとよかった! あれはあれで!!」
「……これもまたユーベルコードの起こした奇跡なんでしょうか」
アルジャンテは至極真面目に考察していたが間違いなく無駄だ。
「混淆解放(リベルタ・オムニス)――血肉となりて我に応えろ!!」
シリアスな詠唱で禍の鬼を呼ばうクロウ! かっこいい姿だ!
そして血まみれの明日真とカイルも武器を構える! 映える絵面だ!
だが待ってほしい、こいつらの頭の中はおっぱいでいっぱいだ!
「テメェらァ! 行くぞォ! おっぱいのために!!」
「「おっぱいのために!!」」
「「「ウオオオオオオーッ!!」」」
ご覧の有様だよ! 雄叫びを上げて突撃する三人(と召喚された禍鬼)!
「……性癖、か」
援護射撃いらねえなこれという結論に至ったアルジャンテは、黙考した。
性癖。ミレナリィドールである彼にはさっぱりわからん概念だが。
興味も関心も一切ないし、むしろだいぶアレげにちょっとヒいてるが。
「やはり、私の知らない価値があるのでしょうか……?」
わずかに思った。おっぱいおっぱい叫ぶ三馬鹿と邪神を見た。
「ないですね。私の考えすぎでした」
そうですね! まったくその通りだと思います!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
六六六・たかし
ふざけてなどいない…!俺は…!俺たちは…!!ずっと真剣だ!!!!
真剣にエロを…!エロを手に入れようと頑張ってきた…!
それを否定することは俺ことたかしがさせん…!!
そのためには魔本…!お前には消えてもらう…!!
エグい性癖だと!?知らん!!!
どんなにエグい性癖だろうと俺は受け止める…!!
それが男ってものだろう…!
でも、受け止めるのと好みは関係ないのでそこは勘違いしないでほしい。
あと、一部で俺がエロ本を白紙にした原因なのではと言われているが
ソレは違う、原因は全部あの本だ。俺は一切関与していない。
なぜなら俺はたかしだから。
そして喰らえ!必殺!!『六六六悪魔の斬撃(デビルたかしストラッシュ)』!!!!!
●未来へ……!
しばし瞑目していた六六六・たかしが、くわっと目を見開く。
集中線がつくほどの威圧感! 空の邪神を睨みつける!
「ふざけてなどいない!!!!!」
『ぬうっ!?』
あまりのプレッシャーとオーラに、邪神すら気圧された。
オサレな感じのオーラを纏い、真っ白な背景に屹立するたかし。
「俺は……いいや、俺達は! ずっと真剣だ!!!」
『なん……だと……!?』
「真剣に! エロのことを考えている!! 四六時中だ!!!!」
力強い言葉! 男子中学生達が手を握りしめて頷く!
恥じることなどない。エロは男子の宝だからだ。
「エロのことを考え、エロのために生き、エロに死ぬ覚悟を固めてきた。
未成年なりにどうにかしてエロを補給しようと頑張ってきたのだ!!」
『それはさすがにまずいのではないかと我思うのだが』
「やかましい! それを否定することは、俺がさせん! なぜならば!!」
ビシィ! たかし(と後ろの男子中学生達)がポーズを決める!
「――俺はたかしで、俺達は男子(おとこ)だから」
ここに今、男子(おとこ)達の心はひとつとなった。
「魔本に囚われし邪神よ。お前にはここで消えてもらう……!!
世界の平和のため、そして俺達の平和(エロ)のためにな!!」
『小癪なーッ!!』
「うぉおおお行くぞぉおおお!!」
「「「ウオオオオーッ!!」」」
たかしと男子中学生達の勇気がUDCアースを救うと信じて……!
デビルズナンバーの次回作にご期待下さい!
●これまでのあらすじ
恐るべき邪神の性癖攻撃により、ひとりまた一人と倒れていくZ戦士(ZはZakoの略)達。
ついにたかし一人になったとき、彼の秘められた力が目覚める……!
●そうですあの人がはくしをああ使えって
「グワーッ!!」
「きよしー!!(男子中学生の名前)」
倒れ伏したきよしを見下ろし、たかしは目を閉じる。
幸い命に別状はない。ただちょっとガチな洋物を見て気絶しただけだ。
いたいけな男子中学生に、エラの張った金髪な方々は刺激が過ぎたのである。
『フハハハ……もはや残ったのは貴様だけだ、たかしよ!!』
邪神は勝ち誇る。だがたかしの目は死んではいない!
そこへ降り注ぐ呪詛の塊! ハードでエグめの洋物の映像が頭の中に!
『これで貴様は終わりだ! フハハハハハ! フハーハハハハハ!!』
「知らん……」
『何ッ!?』
「エグいだのエグくないだの、俺は知らんッ!!!」
どんっ!! 見開きっぽい感じでたかしは目を見開く!(集中線)
「どんなにエグい性癖だろうと、エロければ俺は受け止める!!
俺がたかしだからとかではない、それが――男ってものだろう!!」
「「「た、たかし……!」」」
倒れていた男子中学生達が、その勇ましい背中を見上げた。
「でも受け止めるのと好みは関係ないのでそこは勘違いしないでほしい」
「「「たかし?」」」
「というか俺は女体ならだいたい割となんでもいい」
「「「たかし!!」」」
「極論を言えば人型でなくともおっぱいがあればいける!!!!!」
「「「たかし……!!!」」」
邪神は気圧された。たかしが必殺の一撃の構えを取る!
超魔銃剣・たかしブレードを逆手に持ち、腰だめに構えるのだ!
『お、おのれ! デビルズナンバーたかし! 貴様はぁ!!』
「喰らうがいい――六六六悪魔の斬撃(デビルたかしストラッシュ)!!!!!」
ズバァ!! エフェクトつきのクールでかっこいい一撃だ!
漫画で言うと2ページ見開きで『ズンッ』とかオサレな擬音のみで表現されるあれだ!
『グウウウウウワアアアアアアアアーッ!!』
邪神はもんどり打つ! 大ダメージだ!!
「やったぜ! さすがたかしだ!」
「ところでデビルズナンバーってあの紙飛行機と同じ名前じゃない?」
「えっじゃあたかしのせいでエロ本あんなことになったの?」
歓声を上げていた男子中学生達が一斉に彼を見つめた。
「いや違う。俺はエロ本を白紙にした原因などではない」
「でもデビルズナンバーって」
「あとなんか倒しに来たとか言ってたし」
「たかしがエロ本台無しにしたの?」
「それは違う。原因は全部あの本だ。俺は一切関与していない! なぜなら!」
決めポーズ、そして流し目。
「――俺は、たかしだから」
「「「たかしのせいなの???」」」
「話を聞け貴様ら!!!!」
しばらくクソどうでもいい言い争いがあったという。
大成功
🔵🔵🔵
銀山・昭平
そりゃエロ本を媒体にされたら余程のアレな神サマ以外は怒るべなぁ。
というわけで戦闘では眼の前の人皮装丁本を火炎放射器に改造したガジェットで焼いてやるべな!!
【即席絡繰強化術】で鍛えた火炎放射器の青い炎でこんがりだべ!!!
おらだってだいたいのハードな本は事故もあったけどそれ含めて楽しんで乗り越えてきたべな!!
受け入れられるものは受け入れる、そうでないものは存在を否定せずに見なかったことにする、それが一番健全だべ!
というか見せられるえぐいものもたぶんいくつかはおら本人も経験済みだべ。
※因みに本人もドMだったりします
エドゥアルト・ルーデル
スッキリした所にこってりとした性癖!
無駄に性癖ばっかり尖らせやがって!そういうの嫌いじゃないわ!嫌いじゃないわ!
しかしニッチ属性を飛ばすだけとは…こちとら幾多の戦場(即売会)を乗り越えてきた"歴戦兵"でござるよ?
エグいネタばっか飛ばせば良いってもんじゃあない!見ろ!性癖の出し過ぎで一つ一つのネタが薄い!
だからこのウ=ス異本(人皮本)は出来損ないだ、読めたもんじゃないよ、と批評ですぞ
だからこの本も【爆撃機部隊】で 念入りに 燃やす
次はしっかり実用的な本になるんでござるよ!ついでに今あっさりした制服物が欲しいんだけどならない?服の上から下着のラインが浮き出たりとか透けたりするやつ
アドリブ・絡み歓迎
●至高のエロVS究極のエロ
「このエロ本を作ったのは誰だぁっ!!」
イマジナリーのれんをくぐりながらのエントリー!
エドゥアルト・ルーデルは美食家っぽい顔で怒鳴りつける!
「ははーっ、おらでございます!」
銀山・昭平はなぜか即座に土下座の姿勢をとった! なぜ!?
「貴様! 貴様はなんだ!」
「はーっ! ドMのガチムチドワーフでございます!」
「タガメをゲンゴロウするのか!?」
「ははーっ! おらの発明品でございます!!」
かなりセインでない会話である。
「このエロ本を見ろ! 性癖の出しすぎで一つ一つのネタが薄いではないか!
だからこの魔導書は出来損ないだ、読めたもんじゃないでござるよ」
辛辣な批評! 幻影を見せられようが歴戦のエドゥアルトには通じない!
「ふっ……エドゥアルト、おめぇさも耄碌しただな」
だがここでなぜか昭平が悪役みたいな笑みを見せた。
「エロ本を読む連中はエロを読んでるんじゃねえ、情報を読んでるんだべさ!!」
「情報を読んでいる……!?」
「男子中学生が皆エロ本好きというナイーブな考えは捨てるべさ」
心なしかツルッパゲっぽい面持ちでシビアな意見を口にする昭平。
『我に批評をした上ガン無視で寸劇まで始めるとは……貴様ら!!
貴様らは我の上を行ってみせることで邪神としての面子を潰したのだぞ!!』
くわっ。魔導書の単眼が大きく見開かれる!
『我が可哀想とか思わないのか! 若い猟兵が陥りがちなエゴだな!!』
「「拙者(おら)達アラサー(フォー)なんでござる(だべ)が???」」
『やかましい!!』
邪神はたいそうご立腹だ。だが二人だってご立腹なのだ!
「スッキリしたところにこってりとした性癖!
強くてエロ本なのでござるね! 嫌いじゃないわ! 嫌いじゃないわ!!」
「けんども、おらだってだいたいのものは受け入れてきたべさ。
そうでないものは存在を否定することなく住み分ける、それが一番健全だべ!」
「あぁそういうこった。つまり貴様は何もかもすっとろいんだよォ!」
エドゥアルトと昭平が肩を並べてビシッと敵を指差す!
『ぬうう……ならば我に恭順せよ! 貴様らの好きなものを見せてやるぞ!」
「「ノウ」」
『では今すぐにエロ本を返してやる、それならどうだ!』
「「ノウ!」」
『イエスと言え!!』
「「絶対にノウッ!!」」
敵対を止めぬ瞳でふたりは力強く邪神を睨みつける……!
猟兵として一人の男子として、ここで退いてはならないのだ!
「そんなわけで焚書三銃士を呼んできたでござるよ」
『焚書三銃士!?』
驚愕する邪神!
「ガジェット改造の専門家、銀山殿」
「うっす、よろしくだべ」
「急降下爆撃の専門家、スツーカ爆撃部隊withエース(召喚体)」
『休んでる暇はないぞ出撃だ!!』
「そして最後がこちら」
「…………」
昭平、邪神、爆撃機部隊の全員が最後の一人を見つめる。
首にコルセットを巻いた知らないおっさんだ。
『誰!?』
「誰だべさ!?」
『『『怖いよぉ!!』』』
「誰だ貴様は、あっちへ行け!!」
「……………」
エドゥアルトも知らなかったらしい。そのままどこかへ追い払われた。
なお一応、エドゥアルトのユーベルコードで召喚されたはずのおっさんである。
誰なんだろうか。CIAでも正体は掴めなさそうだ。
「さあともあれ爆撃機部隊feat銀山殿発進でござる!!」
「おらの改造術を味わうがいいべーっ!!」
『グワワワワワーッ!?』
KA-BOOOM! KA-BOOOM! KRA-TOOOOOM!!
夕焼け空を、爆風が赤く染め上げる……!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヒルデガルト・アオスライセン
あれがエロスの神ですか…
神の拝顔を得るのは初めてなので新鮮ですわ
混沌神が仰るエグい、どんな水準かむしろ興味が御座います
塔でも本ばかり読み漁っておりました
我が子を食らったりするのでしょうか?
取り返しが付かない類がやはり、感性に強く訴えかけます
文字だけの方が想像を掻き立てられるので好みですわ
私、飽きっぽいので
大丈夫じゃないかなと存じます
聖職者、刃を禁じられし者
最後に頼るのは己が肉体と精神
ルーキーが武器もなく丸腰
壁が最適ではないかと
自らを治癒しながら
「これ大衆受け狙って日和ってません?」と追加注文を取り遮蔽となる
近付いたら蹴ります
我が歩みを止めるのは恐怖でも狂気でもない
好奇心が尽きた瞬間ただ一点です
●法と混沌の天秤も助走をつけてぶん殴ってくる
「あれがエロスの神ですか……」
公爵令嬢・ヒルデガルト・アオスライセンは呆然と呟いた。
感嘆すらあったかもしれない。なにせ神の御尊顔を拝謁するなど初めてだ。
……ははあん、ひょっとするとお嬢様は人の話も神の話もお聞きあそばれない!?
『我不本意に顕現してるって威厳たっぷりに言ったはずだが!?』
「混沌神よ。あなたが仰る"エグい"、どのような水準かむしろ興味がございます」
『えっ』
ぽかんとした邪神 in the 魔導書に、ヒルデガルトは滔々と語る。
「私、塔でも本ばかり読み漁っておりました。エグい、というからには……。
(はっ)やはり、我が子を食らったりするのでしょうか!?」
『それ性癖っていうか神話であるよな!?』
カニバルカーニバルはご勘弁いただきたい邪神である!
もうこの時点でヒルデガルトのほうがだいぶ上を行っているが!?
「私、取り返しのつかない類がやはり、感性に強く訴えかけるのではないかと」
『我に講釈ぶってどうするの!?』
「文字だけのほうが想像を掻き立てられるので好みですわ」
『あーそれ我ちょっとわかるかも。想像力って無限だよね!』
だよね、ではない。
ともあれなんかノッてきた邪神はばさぁ!! と魔導書を開いてみせる!
……どう記すべきだろうか。とりあえずご要望(?)の趣向に合致しているのはたしかだ。
なんか羊が沈黙しそうな感じのことが色々とアレしている、やーつだ!
「…………」
ヒルデガルトははじめこそまじまじと邪神のそれを見つめていたが、
やがてふう、と悩ましげなため息を漏らした。
『え、あれ? あの、えっと?』
「困りました。私飽きっぽいものでして」
『えっ!?』
ほんわかと聖痕を輝かせながらヒルデガルトは云う。
これどちらかというと他者回復用のユーベルコードなのでは!?
でもまあご自身も回復できる。出来ますね。もはや貴族の後光である。
「これ、大衆受け狙って日和ってません?」
『えっ』
「もう少しエグい描写があってもいいのではないかと……。
ほらこう、頭の中で天使とか悪魔の囀りが聞こえるとかどうとか」
『なんで我に注文つけてるのだ貴様!? 何様のつもりグワーッ!!』
思わず近寄ろうとした邪神の本体に痛烈な蹴り! 理不尽!!
「混沌神が聞いて呆れますね……」
刃を禁じられたので打撃技とか王者の技(ルビ:サブミッション)で戦う系のヒルデガルトは、至極残念そうにため息をついた。
「わが歩みを止めるのは恐怖でも狂気でもなく!
好奇心が尽きた瞬間、ただ一点のみ……!!!」
『我怖い、人間怖い!!!』
邪神のほうが震え上がる有様だったという。
大成功
🔵🔵🔵
トルメンタ・アンゲルス
ふざけんなよ……?
戦争の悲愛?
手足の喪失?
女の子がボロボロにされて傷ついて、それを楽しむ……?
そこに性的興奮を見出す……?
そんなもん、こちとら経験してんだよ。
絵空事で済まして良いもんと悪いもんがあるだろうがよォ……!!
聞こえるか、悲痛な叫びが!!
(主に浪漫本が無くなったりリア充を嫉む声だが)
分かるか、俺の怒りが!!
(見たい本が無くなった怒りも含まれる)
テメェは、全ての世界線から消し去る!!
おおおぉぉおおぉおおおお!!
(両手を、物を抱えるように前に。グリッタービーム発射口と両手からエネルギーを発して収束・圧縮し、高密度のエネルギー球に。ス○ナーs(ry))
バスタァァァァ、ノヴァアアアアアア!!!
違法論・メグル
わーっ!なんかヤバそうな奴きたぁ!
ヤケクソ起こしてる!
喋り方も心なしかお茶目になっちゃってフフフ
くそぉ、こんな面白いモノを見られないなんてもったいない……
マガルを引きずってでも連れてくればよかったなぁ
とはいえ悪い魔導書だからね、倒さなくっちゃ!
【バウンドボディ】で浮いてる本にジャンプで向かっていって、真上から蹴って蹴って蹴りまくろう
僕のシューズは硬いんだ!
ギャーッ!呪詛エグゥい!
ちょっとちょっと、いたいけな青少年に向かってなんてもの見せるのさ!
もっと健全な攻撃にしてくれる!?
ヤバい感じのエグい性癖がすっ飛んで来たら
ブラックタールの身体をちょっとばかし溶かして
黒い腕で覆い隠して修正をかけるね
雷陣・通
いや……見せなくていいと思うよ。
とは言え!
此処で、お前は倒さないとオッパイ先生や、ランドセルゆかりちゃんが無駄になってしまう!
大人になった雷陣・通が元服した身として、今、「治に居て乱を鎮める武を以って、お前の性癖をビニールに封じ込めん!」
『前羽の構え』とかばうを使用して皆の壁になって、攻撃する時間を稼ぐぞ
その間に少年のピュアな心が前後から汚れていく気配を見せるが、大人の階段を上った俺にはもはや不動。
腰を落としたその姿故、動くかもしれないものは目立たない
耐えに耐え抜きそして
父ちゃんが言っていた……ニッチなのは絶対少数なだけって。だからお前を受け入れ……ねーよ! ライトニングエーッジ!! 死ね!
●じゃあいい感じに煮えてきたし、そろそろ終わりにしようか!
そんなこんなで猟兵を脅かしたり脅かされたり殴ったり蹴られたり、
燃やされたり燃やされたり燃やされたりダメ出しされたり……。
さんざっぱら好き放題して好き放題された邪神は、だいぶヘロヘロだった。
『我、ただこの依り代に詰められただけなのになんでこんなことに……。
かくなる上は、この恐怖(エロ)と呪詛(エロ)をばらまいてくれるわぁああ!!』
ずごごごご……!! 神のオーラが解き放たれ周囲に衝撃波が舞う!
奴は自爆するつもりか!? そんな事を起こしたらどうなるというのか!?
『フハハハハ……この世界のエロ本すべてエッグいのにしてくれる……!!』
地味にめんどくせえ!!
「わーっ! なんかヤバそうなの来たと思ったらやけくそ起こしてるー!!」
違法論・メグルはなんか赤く染まり始めた邪神を見上げて慌てた。
彼の知るクゥイラトァ・グラルハ・メラルヒニトの書とは似ても似つかぬアレっぷりである。
喋り方とかなんかもうお茶目通り越してフレンドリーだし。なんだこいつ。
邪神が放り込まれたからとかそういうレベルを超えているのではなかろうか?
「マガルを引きずってでも連れてくればよかったなぁ~。
こんな面白いモノを視られないなんてもったいないじゃないか!」
万が一これで討滅してしまったらもったいないどころの話ではない。
なんにせよメグルは、この書の存在を確かめるためにこそここへ来たのだ。
どれだけふざけていようがオブリビオンはオブリビオン。倒さねば!
「……というかさ、そもそもそんなもん見せなくていいと思うよ」
これまでの惨状をレイ……光のない眼で傍観していた雷陣・通は、
それを言っちゃあおしめえよって感じのことをぽつりと漏らした。
そんなこんなしている間に邪神は爆発寸前だ! 物理的な意味で!!
「くっ! ここでアイツを倒さないと、オッパイ先生の死も、
ランドセルゆかりちゃんとの出会いも何もかも無駄になっちまう!!」
気を取り直した通はメラメラと両目に炎を燃やす。なんの炎かって? 煩悩。
「やい邪神! 俺はもう、ただのライトニングな小僧じゃねえ!
そう、俺は大人になった雷陣・通……つまりは元服した身も同然!!」
バチバチバチバチ! 生体電流が火花を散らす!
「治に居て乱を鎮める武を以って、お前の性癖をビニールに封じ込めん……!
この世全てのエロを活かすために戦う俺の名は、雷陣・通サバイブだ!!!」
(煩悩の)炎が通を包み込む! ブレイズキャリバーでもないのに!!
かくして色んな意味で成長した通は、決然と前に歩み出る。
全てのものを救い、繋げて破壊したり時空を超越したりするために……!
「…………ふざけんなよ」
一方で、実は性癖攻撃(呪詛の塊相当)を受けて倒れていたトルメンタ・アンゲルスが立ち上がった。
纏った装甲のあちこちは特に意味もなくひび割れ、バチバチと火花を漏らしている。
満身創痍である。なんせまだ彼女は実は16歳の……乙女!
見た目は割と男性めいているが、そう、乙女なのだ!!
「戦争の悲愛? 手足の喪失? 女の子がボロボロにされて傷ついて、それを楽しむ……?
SENKAだなんだうるせえ! そんなもんは……そんなもんはなああ!!!!」
ALAS! 邪神のチョイスが最悪すぎる!
トルメンタにとってそれはフィクションでもなんでもないのだ!
エロはフィクションだからこそ楽しめるもの! 現実と混同してはいけない!!
「もう許せねえ……俺は俺の意思でてめえを砕く!!」
理由はどうあれ、根源的な怒りにマシンが応える。
邪神何するものぞ。体内のコアマシンすら励起するほどだ! この状況で!?
『オオオオオオ……!! 我が呪詛(せいへき)を受けて絶望せよ……!!』
「ギャーッ! 修正とかされてないエッグいやつが来るー!!」
ブラックタールとしての本分を生かし、海苔めいた修正をかけようとするメグル!
だがそんな彼の前に通、いや通サバイブが立ち、呪詛の塊を弾いた!
「ワオ! すごいねその防御、腰を落として堂に入ってるし!!
……ところでなんで動かないの? そういうユーベルコードだから???」
メグルは至極純朴な、なんの意図もない質問をぶつけた。
通サバイブは前羽の構え取ったまま、仁王立ちして動かない。
動けない? 違う、動かないのだ! だってそういうユーベルコードだから!!
「大人になった今、ピュアな心が汚れようと俺には関係ねえ……!
どんだけニッチな性癖だって俺がライトニングに受け止めてやるぜ!」
「すごいや! だいぶ意味がわからない!!」
だが頼りになりそうなので、メグルはおとなしく通の影に隠れた。
「よくやったな少年達……だがもう少しだけ力を貸してくれ!」
降り注ぐ呪詛の塊(せいへき)に耐える通とメグルのもとへ、
ボロボロのトルメンタが駆けつけた。具体的に🔴をよこせと言いに来たのだ。
「キミは一体!? なにか秘策があるのかい!?」
「信じてるぜヒーロー……どれだけだって耐えてやらぁ!」
いま、トルメンタに力を送り込むのはふたりだけではない。
志半ばにして楽園に果てた者達の、残留思念が。
ここまで共に戦い抜いてきた、男子中学生達の意地が!
そして失われたエロ本の、煩悩とあとなんかこうあんまよくないやーつが!!
「邪神よ! 聞こえるか、この悲痛な叫びが! 分かるか、俺達の怒りが!!」
『オオオオオォオオ……知らぬ……愚かな人間どもめ……!!
自然を破壊したり、あとなんか優しい心を忘れたりする奴らめ……!!』
非常にフワッとした人間のエゴ批判を始める邪神。爆発寸前だ!
「貴様にはわかるまい、俺の体を通して出るこの性癖(ちから)が……!!」
シュワシュワと謎めいたパワーを集めたトルメンタが、両手を腰だめに構える。
心なしか勇壮なBGMが流れてきそうなポーズ! 大地がひび割れ浮かび上がる!
「テメェは、俺達の力で! 全ての世界線から消し去ってやる……!!」
「猟兵ー! 僕の最後のユーベルコードだぜー! 受け取ってくれー!!」
「ライトニングだぜぇええええ!!!」
メグルの、通の、そして男子達の力が! トルメンタに集まる!!
「バァアアアスタァアアアア……ノォオオオオヴァアアアアアアアッ!!」
ゴォウッ!! 膨れ上がる強烈なエネルギー光弾!
さながら野球漫画めいて解き放たれたそれが、邪神を飲み込む!
『グォオオオオ……!!!??!?!?!?』
「「「やったか!?」」」
全く同時に同じ台詞を吐く三人!
『……フ、フハ……フハハハ、フハハハハハハ!!』
その身を滅ぼされながらも邪神は高笑いする。
『トルメンタ! メグル! 通! そして全ての猟兵と男子達よ!!
我の牽いたレールもこれで最後だ! あとは貴様らで切り拓け……人類の、未来(せいへき)を!!』
「「「…………!!」」」
邪神は哄笑とともに、光の中に飲まれて消えていく!
黒雲が……エロのリビドーが、空から薄らいで消えていく……!!
「……これで全てが終わったのでしょうか」
状況を観測していた、UDC組織の研究者が呟いた。
その隣りにいる、なんか色々真相を識ってそうなヒゲの爺科学者が首を振る。
「わからん。だが一つだけ、たしかなことがある」
「それは一体……?」
「――世界は救われたのだ。エロを愛する男子(おとこ)達のてによって」
「女性も割といますが……?」
「性別に貴賤はない!! さあ、これから忙しくなるぞ!」
かくして傷ついた猟兵達は日常へと回帰していく。
悪い夢はこれで終わりだ。僕らには帰れる場所があるんだ……!!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2019年04月13日
宿敵
『クゥイラトァ・グラルハ・メラルヒニトの書』
を撃破!
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