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三尺庵二番勝負

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●奪われる庵
 三尺庵。それがこの庵の名である。
 家督を譲った隠居の老人が、残る晩年は一人、気楽に茶の湯などを楽しみながら過ごそうと結んだものだ。
 町から少し外れた寂れた場所に建てたお陰で俗世の煩わしさもそうそうは届かず、今も茶を立てるべきか否かを楽しく迷いながら、そよぐ度に雨音に似た音をさせる裏手の竹林にいつ次の風が吹くのだろうかと心待ちにしていられる呑気な生活だ。
 ――前触れもなく、鈴の音が響いた。
 はて、聞き間違いかと顔を上げると、また別の方向から鈴がした。
 あちらこちらと聞こえる方向を追いかけて首を巡らせている内に、いつしか鈴の音は幾つも重なり鳴り響いている。
 何事が起きているのかと、そっと風炉先窓の隙間から窺ってみれば、ふわふわと浮かぶ何かが竹林に集まりつつあるのが見えた。
「魑魅魍魎か、これはいかん」
 老人はぴしゃりと窓を閉めると急いで立ち上がり、静かに庵から出て行った。

●グリモワベースにて
「皆さん、集まっていただき有難うございます」
 四面四角の挨拶をした陸刀・秋水(スペースノイドの陰陽師・f03122)が猟兵達に一礼すると、そのまま会議でも始めるかといった様子で手元のファイルを開く。
 ここまで場の空気を和ますような雑談は一切無い。
 したくないのではない、出来ないのだ。
 なので、話は淡々と進む。

「では、今回の事件について説明を始めます。
 発生地は世界名『サムライエンパイア』――皆さん、ご存知の方も多いでしょう。徳川家光公が統治されている世界ですね」
 控えおろう、この上様が目に入らぬかの上様である。
「この世界では邪鬼、怨霊、妖怪変化と呼ばれるオブリビオンですが、今回はそれらが、とあるご老人の庵を占拠しました。そこを拠点に近隣の村に襲撃をかけようと目論んでいるのでしょう。実際に侵攻が始まる前に我々で急襲します」
 なお、ご老人は占拠前に逃走しており、現在は一番近くの大沢村で保護されていますので安心してくださいと秋水が補足を付け加えた。何の憂い無く討伐に集中出来そうだ。
「オブリビオンについて、現時点で確認されているのは鈴を抱えた魑魅魍魎の集団です。背後にいる存在には調査が及んでいませんが、これは皆さんが現場で確認した方が早いでしょう」
 有象無象が集まるにも理由がある。いつもと同じように何かがいると思って間違いない。
「どうか近隣の村人の為、そして庵を奪われたご老人の為に、是非ともご助力下さい。あとは、そうですね」
 確認事項を浚うように見た後、最後に、と秋水が付け加える。
「庵を取り返したら、ご老人に奪還完了のご報告をお願いします。サムライエンパイアの伝統文化であるお茶――向こうでは『茶道』と呼ぶそうですが、茶道が趣味との事ですから、お礼に振舞ってくれると思いますよ」
 煩わしい雑音もなく、茶の湯の作法と竹のそよぐ音を聞きながらゆるりと過ごす時間。
 生き急ぐ事も多い猟兵達の中にも、心寛がす最良の時間と思える者はいるのではないか。
 秋水もその部類のようで、目元を和らげるとファイルを閉じた。説明は終わりという意味だろう。
「現時刻から5分後に現場への転移を開始します。ああ、10分の方が良いですか?
 ――では、5分経過時に準備の終わっていない方は自己申告下さい。合流はいつでも可能ですから、慌てなくても大丈夫です」
 時計を見ながら秋水が待機の体勢を取った。時折、準備を進める猟兵達を和らいだ表情で眺めてはいたが。
 しかし、それも仕方無いだろう。
 信頼出来る猟兵達が事件解決の為に動き始めた。それはつまり、鮮やかに眩い未来が人々に齎されていく事に繋がるのだから。


山崎おさむ
 数あるシナリオの中から当シナリオをご覧くださり、誠に有難うございます。
 ヘイ、そこの猟兵さん。ちょっとお茶しない?というシナリオです。その前に戦闘がありますが。最終的にはお茶します。お菓子もどうぞ、美味しいよ。
 どうぞお気楽にご参加ください。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
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第1章 集団戦 『黄泉の本坪鈴』

POW   :    黄泉の門
【黄泉の門が開き飛び出してくる炎 】が命中した対象を燃やす。放たれた【地獄の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    人魂の炎
レベル×1個の【人魂 】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
WIZ   :    後悔の念
【本坪鈴本体 】から【後悔の念を強制的に呼び起こす念】を放ち、【自身が一番後悔している過去の幻を見せる事】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:marou

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

宇冠・龍
由(f01211)と一緒に参加します

守護霊ではなく悪霊の類でしたら放ってはおけませんね

戦闘では、あえて後悔の念を受けます。……いえ、受けても効かないといった方が正しいですかね
私の最も後悔しているのは、夫と子を失ったこと――そしてその念は、ずっと絶えることなく、私と共にあるのですから
「竜逢比干」で亡き夫の霊を召喚。「氷」属性攻撃のブレスを全力で周囲に放ち、相手の炎で竹林に被害が出る前にすべてを凍てつかせましょう
魑魅魍魎が消えても、竹林や庵が燃えてはおじいさんが可哀そうですしね

「……あまり、不躾に心を覗くものではありませんよ?」
静かに、けれども少し怒気の孕んだ声で𠮟ります


宇冠・由
お母様(f00173)と戦いますわ

場所は竹林、炎は悪手ですわね……って相手も炎を使いますのね、これは燃え広がらないように注意しないとですね

お母様が相手の動きを止めてくれますので、私はそれが成功しやすいように、挑発して惹きつけ一か所にまとめます
私、挑発力には自信がありますし、何より宙を舞うヒーローマスク、空中戦も得意でしてよ

もし相手が「黄泉の門」や「人魂の炎」を使う素振りを見せた場合、放つよりも先に「十六夜月」で阻止、炎による攻撃は絶対に出させません

お母様の作戦で相手が凍ったら、順次「十六夜月」の狼たちで攻撃していきましょう

(お、お母様がお怒りになられてます……まずいですわ、非常にますいですわ)



転移を終え、駆け付けた宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)と宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)の母娘が見たのは、庵を囲むように浮かぶ幾つもの影だった。
 それらはふわふわと曖昧に浮かびながらも、竹林の合間を飛び回っている。
「あれが……。悪霊の類でしたら放ってはおけませんね」
 敵を目視した龍が死霊術師の使命として呟けば、それに由も同調して頷いてから少し考える顔付きをした。
「竹林ですから炎は悪手ですわね……。相手も炎を使いますし、これは燃え広がらないように注意しないとですね」
「ええ、竹林や庵が燃えてはおじいさんが可哀そうですしね」
 ――失う事は哀しい。それを愛する家族が奪われる経験から知っている二人が老人を思って優しい決意を抱く。
 と、リィーンと高い音が響いた。それは侵入者に気付いた黄泉の本坪鈴が鳴らす警報だったのだろう。波及していくように黄泉の本坪鈴達が身を震わせ、猟兵達目掛けて飛んで来ている。

「行って参ります、お母様」
 黄泉の本坪鈴に対抗するように、炎で人型を織り上げた由が飛び出して行く。
「こちらですわ!」
 自信を持って大きな声で挑発すれば、近寄ろうとしていた黄泉の本坪鈴達の多くは彼女へ注意を向けた。接近して来た一体に対抗するように肉薄してくるが――。
「私、空中戦は得意でしてよ」
 衝突する直前、由が跳ぶ。そして、黄泉の本坪鈴の頭上を越えて身を翻す。
 すると、彼女の回りに集まっている黄泉の本坪鈴達が何かを呼ぶように激しく鈴を掻き鳴らし始めた。禍々しい気配は今まさに黄泉の門を開こうとしているものだろう。
「それは絶対に出させません。――私に力を貸して」
 風一陣。完全な円には少し欠けたつむじ風が吹くと同時に、歴戦の趣き漂わせる狼の群れが周囲の黄泉の本坪鈴へと襲い掛かり、切断していく。
 だが、それで全ての敵が片付いた訳ではない。まだ不吉な音は彼女へ敵意を向けながら鳴らされている。
 これが全て放たれては自分だけでなく、周囲への被害も大きくなってしまう。
「――お母様!」
 娘の声に、龍は解っていますと頷いた。
「竹林に被害が出る前にすべてを凍てつかせましょう」
 そして、龍は虚空へ手を差し伸べる。
「強き猛き尊き者、共に歩みてその威を示せ」
 その言葉に誘われて、無形の何かがまるで霧が一つに集まるように武装したドラゴニアの男の姿を作り上げていく。
 龍が小さな声で夫の名前を呼んだ。龍の手と竜型の夫の霊の手は一瞬触れあったかのように通り過ぎる。龍が、伏目がちとなった。
 召喚された夫の霊は妻の想いに応えて竜の顎門を開き、氷のブレスが前方の敵を薙ぎ払いながら、その景色を白いものへと変えていく。
 きらきらと氷の欠片が舞い落ちると共に、音と炎を失った敵が凍てついた姿で次々に地面へ落ちていく。
 由はその光景を安堵と共に眺めたが、辛うじて範囲から外れていた敵から放たれた炎を肩に受けてしまう。くっ、と散らされた我が身の炎を再構築しながら、母は無事かと視線を走らせると、顔を覆ってよろめいている龍の姿が見えた。由が慌てて母の元へと駆け付ける。
「ご無事です、か――」
 尋ねる声が、顔からゆっくりと手を離す龍を見て、引き攣るように止まった。
 
 龍が後悔しているのは、否、後悔し続けているのは、夫と子を失った事。記憶に残る喪った時の光景が、黄泉の本坪鈴の念で増幅されて五感を錯覚させるほどの幻となって彼女の精神を乱していた。
 けれど、後悔し続けているからこそ、それはいつも龍の中にあるもので。
 だからこそ、そこに土足で踏み入るような真似をする敵が許せないものと思え――。

「……あまり、不躾に心を覗くものではありませんよ?」
 静かに、些少であろうとも確かな怒気の孕んでいると解る声が龍の口から毀れ出た。
 言葉は穏やかに叱るものであったが、それを聞いた由ははっきりと悟る。
「(お、お母様がお怒りになられてます……まずいですわ、非常にまずいですわ)」
 由の体が人間と同じであったならば、つ、と冷や汗が流れていたに違いない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

白峰・慎矢
白峰・雫(f05281)と一緒に行くよ

雫は初めての戦闘だから、リラックスしてもらえると良いな。いつもみたいに頭を撫でる、とかかな。

雫が相手を撹乱してくれるみたいだから、俺は隙を見せた相手を一体ずつ「剣刃一閃」で倒していこう。
敵の数が多いみたいだから、囲まれないように注意しないとね。
もちろん、雫を守ることも忘れずにね。雫には指一本触れさせないよ。
「俺は大丈夫。雫も無茶だけはしないでくれよ」

俺への攻撃は残像とか使って、上手くかわそう。


白峰・雫
白峰・慎矢(f05296)との共同

初めての実戦で怖いけど頑張らないとね

【フォックスファイア】で複数の敵に攻撃して動揺を誘おうかな
前衛は慎矢に任せるよ。無茶だけはしないようにね
もし敵が近寄ってきたらなぎなたで牽制して距離をとるよ



戦場に満ちる殺気を感じて白峰・雫(白狐の巫女?・f05281)の顔が強張った。
 雫にとってはこれが初めての戦闘だ。息苦しさを感じていると、ふわりと頭が撫でられた。
 
 「緊張しすぎるなよ?」
 見上げると、そこには白峰・慎矢(弓に宿った刀使い・f05296)の心配する顔があった。
 彼は雫の生家である神社に祀られていた弓に宿ったヤドリガミだ。
 雫の両親は生まれてすぐに亡くなった。だから、雫は歳の離れた姉と慎矢を両親代わりにして育ってきていた。姉が結婚して家を出た今、最も身近な保護者が慎矢なのだ。
 その彼は、いつも自分を弟のように可愛がってくれる。
 白い狐耳をくすぐったそうに動かした雫だが、慎矢のいつもと変わらぬ仕草で怖かった気持ちも少しずつ落ち着いて来るようだった。
 少女のようにはにかみながら微笑む雫に、慎矢も安堵の笑みを浮かべた。ぽん、と最後に軽く叩いてくる。
「雫は俺が守るから。安心していこう」
「慎矢、無理だけはしないでね?」
 準備は良いかと尋ねる慎矢に、雫は前衛を頼む事になる彼を気遣う言葉を返した。彼はきっと大丈夫だと言うのだろうけれど――。
「俺は大丈夫。雫も無茶だけはしないでくれよ」
 やっぱり、そう言った。思わず笑みが毀れていく。

 緊張も解れた雫は大きく息を吸い込み、狐火を次々と灯して行く。曼珠沙華の小さな野のように広がった狐火の中心で、慎矢の視線に大丈夫だと雫が頷いた。
「じゃあ行くよ」
 一斉に放たれた狐火が黄泉の本坪鈴達へと飛んで行く。小さな破裂を伴いながら竹林が明るく照らされていく中、前に出た慎矢はゆらり揺れ落ちるのを堪える一体目掛けて剣刃を奔らせる。白い閃きの直後に、ゴロン、と鈍い音を立てながら黄泉の本坪鈴が地面に落ちる。

 狐火の薙ぎ払いは複数の敵を撹乱させながらも、同時に生き残った敵達の注意を引く行動にもなっていた。
 基本的に慎矢が斬り捨ててはいたが、時折、彼の横を抜けて雫の元まで辿り着くものも存在した。牽制の薙刀を振るって距離を取ろうと一生懸命になる雫だが――。
「んっ、あぁ!」
 鈴からの黒い念に覆われて雫が動きを止めた。やだやだ、と首を振る彼に迫ろうとしてた別の敵を、雫に指一本触れさせはしないと慎矢が阻む。
 そんな彼へ、邪魔だと言わんばかりに放たれた炎――。
 先程までなら残像を残しながら回避していたが、今避ければ背後の雫に当たってしまう。
 覚悟を決めた慎矢は敢えて避けなかった。衝突した炎が慎矢を包む。けれど雫を心配させないように呻き声すら我慢した慎矢は、衣服をあちこちを燃え上がらせながら眼前の敵を切り捨てていく。敵が息絶えると同時に炎は消えたのだが、それでも。
 
「無理しないでって言ったのに!」
 背後で雫の震える声が聞こえた。
「いや、このくらいかすり傷にもならないよ」
 宥めながらも慎矢は敵から目を離さない。
 まだ敵はいる。後ろでまた狐火が灯ったのが解る。
 懸命に闘い続けようとしている、この大切な存在を守り切りたい。その為に、慎矢は武器を握り直した。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

遠呂智・景明
「邪魔するぜ」
場所は庵。いつもの様に打刀を振り回すのには狭いかもしれない。
故に懐から【懐刀 棗】を取り出し構えると【剣刃一閃】を発動。

「っしゃ行くぞ!」
【ダッシュ】で敵の方へ飛び込むと手近な個体から【2回攻撃】を用いた連撃を放つ。【鎧無視攻撃】によって敵の装甲はものともしない。さらに【殺気】【残像】【フェイント】によって敵の的を絞らせず翻弄する。

「っと、危ねぇ危ねぇ」
敵がユーベルコードを使用してきた場合は【見切り】場所を【地形の利用】によってうまく活用しながら回避する。

「文化人との交流なんて滅多に出来ねぇからよ。それを解せねぇお前らは寝てな!」


夜神・静流
●心情
茶道は私も多少の心得はございますが、まだまだ勉強中の身ですので学ぶ良い機会となりそうです。
その為にも、悪しき妖を討伐せねばなりませんね。

●行動
ダッシュ・早業・先制攻撃・破魔・衝撃波の技能を使用し一ノ太刀・隼で攻撃。
「我が剣は迅。邪なる者よ、消え去りなさい。一ノ太刀・隼」

敵の攻撃に対しては残像・見切り・第六感の技能を用いて回避を試みます。
多少の火炎耐性は所持していますが、避けられればそれが最上でしょう。
回避できない場合や味方を庇う場合は武器受け・オーラ防御・火炎耐性で防御し、被害を最小限に。


ユーイ・コスモナッツ
宇宙騎士ユーイ、義によって助太刀いたしますっ!
……と、勇んだは良いものの。
ご隠居が大切にしている庵や竹林を壊したくはない
だけどそうなると、
狭い空間では宇宙バイクが使いづらいジレンマ

かくなる上は、剣と盾とで勝負ですっ!
戦いのさなか、庵の方向へ弾が飛んでいったら……
ユーベルコード【無敵城塞】!
この身を盾にして、三尺庵を守りますっ


ムイナ・ドラベルシア
オブリビオンの掃討なら私の得意分野ね、任せて頂戴。
――さて、それじゃさくっと終わらせるか。

数が多いだけの相手、確かに対処は難しいけれど要は当たらなければいいんだろ? 【残像】【見切り】で被弾を最小限に抑える。どうしても避けられなそうなものは【盾受け】で防御するとするか。
一体一体はそんなに強くないようだし、まとめて叩き切ってやる。ユーベルコードを使いつつ尖鋭之太刀で【なぎ払い】と【衝撃波】だ。当たれば叩き斬り、当たらなくても体勢を崩せれば儲けもんだな。
他の猟兵に手柄負けないように、全部まとめて薙ぎ払ってやるぜ……!


人形原・九十九
なるほど…近隣の村に襲撃…
そうなればいつか人形原家の皆様に届くやも知れませぬ…
オブビリオン許すまじ…全てこの世から祓って差し上げましょう

炎は少し苦手です…当たらないよう注意ですね…
【人形操作】で人形を操作して盾に

素早く近づいて薙刀でなぎ払い【なぎ払い&範囲攻撃】
下がるのひっと&あうぇい戦法…

後悔…わたしがあの時ヤドリガミでただの人形でなければ……
いえ、今後悔したところでどうしようもない事…

今はこの厄を祓う勤めを果たしましょう



「邪魔するぜ」
「お邪魔いたします」
 戦場に似合わぬ訪いの声が聞こえた。
 その声は、懐手にした遠呂智・景明(大蛇殺しのヤドリガミ・f00220)と、おっとりと微笑む夜神・静流(退魔剣士の末裔・f05903)のものである。
 姿は対照的な二人であったが、茶道への興味との点で共通していた。
「まだまだ勉強中の身ですので茶道を学ぶ良い機会となりそうですが――」
「こいつらが邪魔って事か」
「はい。悪しき妖を討伐せねばなりません」
 ここに来るまでにしていた話をそう結ぶと、二人はほぼ同時に敵へ見て、そして地を蹴った。

「っしゃ行くぞ!」
「夜神静流、参ります」
 二人はまるで引き絞られた弓から放たれた矢のように、敵へと疾走していく。
「我が剣は迅。邪なる者よ、消え去りなさい。一ノ太刀・隼」
 迎え撃たんとする敵に先じて、静流が抜き打ち気味に白刃を閃かせた。軌跡を描く白銀の閃光は振り抜いた敵を越えても伸びていき、黄泉の本坪鈴達を破魔の力で切り裂いていく。
 静流の斬撃で生まれた道を更に広げていこうと、景明が懐から懐刀、棗を抜き払った。
「文化人との交流なんて滅多に出来ねぇからよ。それを解せねぇお前らは寝てな!」
 通り過ぎざまに黄泉の本坪鈴のを鈴ごと一つ断ち斬ると、更に奥にいたもう一体の懐へと飛び込み、一刀の元に斬り伏せる。
 敵の的とならぬよう、二人はそのまま走り続けていく。
 惑わす動きに残像を織り混ぜればこちらへの狙いは定まらぬようで、絶えず居場所を変える姿を目で追ってはもたついている。
 それでも多少知恵のある者はいた。仲間が地獄の門からひとつだけ炎を生み出す中、仄暗い人魂の群れを生み出すと一斉に周囲へと放って行く。
 「っと、危ねぇ危ねぇ」
 黄泉の門から誘われた炎を見切り、景昭が竹を盾にして躱す。
 静流も優れた勘働きで人魂を背後に置き去りにするように走り抜けていったが、見当違いの方向へ向かう炎の行く手には庵があった。
 このままでは当たる。だが――。

「宇宙騎士ユーイ、義によって助太刀いたします!」
 声が響き渡ると同時、ユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)が炎の前に割り込んだ。
「ユーベルコード【無敵城塞】!」
 盾を前に構えて宣言した直後、炎が彼女を包み込むが、ユーイの体は火傷一つつきはしない。
「はぁ、良かった……。宇宙バイクが使いづらいから、どきどきしちゃったよ」
 彼女の普段の戦法はスターライダーの戦法を掛け合わせたもの。
 故に、竹林との狭い空間による制限を考えたユーイは剣と盾で勝負を挑んでいる訳だが、三尺庵を守りたいとの自分の誓いに似た想いだけは叶えたかった。
 彼女へ向けて別の炎が放たれたが、無敵城塞を続けるユーイは小揺るぎもしない。したくないのだ。
 騎士としての役割を果たすユーイを少し離れた場所から見て、人形原・九十九(厄を祓うの守護人形・f09881)も自分の使命を果たそうと、残り僅かとなってきた黄泉の本坪鈴達の数を更にを削るように、薙刀で纏めて叩き落として行く。
 彼女の使命は、自分の名字にした人形原家、その家の人々を守る事。
 ここで魑魅魍魎達の占拠を許せば――。
「いつか人形原家の皆様にも届くやもしれませぬ……」
 守り人形である彼女として、それは絶対に許される事では無い。
「オブリビオン許すまじ……全てこの夜から祓って差し上げましょう」
 ぼとり、ぼとりと落ちた敵を一顧だにせず、九十九は自分へと放たれた炎に対して、黙ったまま己が身を固めさせるのに生み出していた和人形を前に出す。
 本体が人形であるからこそ苦手とする炎は、盾にした和人形に当たり華の如くと散っていく。
 そして、焦げ落ちた和人形を見て、九十九は一人、想起する。
(「後悔……。わたしがあの時ヤドリガミでただの人形でなければ……。いえ、今後悔したところでどうしようもない事……)」
 過ぎ去りし過去は変えようもない。ならば、今はこの厄を祓うが己が勤め。
 決意を新たに九十九は後ろへと飛んだ。
 攻撃しては離れるつもりの跳躍は、本来ならば離れれば即座に敵が追ってくるいたちごっこへと変わるのだが、それも戦うのが一人であればの話。
 追い掛けて来た黄泉の本坪鈴の横合いから、獰猛に飛びかかる者がいた。
「堅固な鎧、不動の防御、大いに結構。その分オレも、斬りごたえがあるってもんさ!」
 裂帛の気合と共に太刀が振るわれた。
 ――薄刃陽炎。黄泉の本坪鈴に気付く暇すら与えぬ一撃は、一瞬でその鈴を砕いて行く。
 その骸を踏み越えてムイナ・ドラベルシア(狂乱の刀・f08528)は、更に前へ出る。
 命の遣り取りがある。その最中に自分もいる。身を震わすような喜悦に笑みは消えず、その顔付きは肉食獣が獲物を前にして牙を剥くのと同じだった。
「他の奴の手柄に負けちゃいられねぇからな!」
 ムイナに目を付けられた黄泉の本坪鈴達が竦み上がっていく。
 周囲の剣戟の音は収束しつつある。既に戦況は掃討に推移しているならば、それは彼女の得意分野だ。
 黄泉の本坪鈴達は近付くなとばかりに威嚇の音を掻き鳴らし、炎を放って来るが、ムイナはそれらを簡単に見切って躱して近付いて行く。一応と盾は持ってきているが、その出番すらなかった。
「――さて、それじゃさくっと終わらせるかね」
 言い終えるが早いか、尖鋭之太刀が黄泉の本坪鈴へ力強く振り抜かれた。その斬撃は太刀の届く範囲を越え、衝撃波の及んだ順から栗が弾けるように黄泉の本坪鈴達を破砕していく。
 眼前の全てを薙ぎ払い、新たな骸を作り出したムイナは足元の鈴の欠片を、ざり、と踏んで口の端を持ち上げた。
「これなら手柄で負けちゃいねぇだろ」
 他の猟兵達も多くは倒した。しかし、ムイナが倒した数も他に劣るものではなかろうとは自信を持って言えた。

 黄泉の本坪鈴を全て討ち果たし、周囲には静寂が戻ってきた。
 だが、背後で気配が動いてユーイがはっと振り返る。
 守り続けてきた三尺庵、その奥からのっそりと――誰かが出て来たのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『用心棒』

POW   :    剛なる居合い
【居合い 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    飛刃縮地の構え
自身に【修羅の気 】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    死者の誘い
【用心棒が殺した死者 】の霊を召喚する。これは【悲痛な叫び声】や【生前持っていた武器になりそうな物】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:高橋ろでむ

👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠犬憑・転助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「人が寝ている時に、一体何だ」
 猟兵達の前に現れたのは、みすぼらしい身なりをした粗野な男だ。だが、その瞳は剣に狂った者特有の濁りを湛えている。――人殺しの目だ。
 黄泉の本坪鈴達が倒されているのに気付いた男は、その目で猟兵達を眺めながら咽喉の奥に籠らせるように笑い声を立てる。自分の欲求を満たせると悦ぶ、何処までも暗い声。
「どうやら寝ているよりも、お前らを斬る方が面白そうだな」
 男は嫌な殺意を放ち始めながら腰の刀に手を掛ける。ぬらりと刀身を光らせながら刀が引き抜かれた。
 人斬りの狂気に取り憑かれたこの男を倒さねばならぬようだと猟兵達が気を引き締め直す。
 三尺庵での二番勝負、その最後の戦いが今始まる。
遠呂智・景明
「人斬り相手なら容赦はいらねぇな!」
【ダッシュ】で敵の懐へ踏み込むと【殺気】をこめ【風林火陰山雷 風の如く】を発動。
「先手必勝!ぶった斬れろ!」
【大蛇切 景明】の斬撃で敵を切り裂く。

一撃を放った後は【見切り】【残像】で敵の攻撃に気をつけながら距離を取る。
「さて、こっからは手数だ」
【2回攻撃】【フェイント】【傷口をえぐる】を用いて連撃を放ち休む隙を与えない。

「俺一人で戦ってるわけじゃねぇし、てめぇを引きつけるのが俺の役目よ。」
本当は一対一で斬り合いたい。が、その気持ちは抑えておく。
「抑えてるうちにくたばりやがれ!」



「人斬り相手なら容赦はいらねぇな!」
 狂気の人斬りに臆する事無く、遠呂智・景明(大蛇殺しのヤドリガミ・f00220)が、己が本体の柄に手を掛けて駆け出す。
 故事曰く、その速きこと風の如くせよ。それを体現するような速度で懐へと飛び込むと鞘を払った。
「先手必勝! ぶっ倒れろ!」
 景明が振り下ろす刀の銘は大蛇斬景明。戦乱の時代にあっては様々な主の元で戦い抜き、大蛇の怪物を斬り捨てた事により銘を持つに至った歴戦のいくさ刀は、時が移ろうた今の時代にあっても切れ味を衰えさせていない。
「ぬっ!?」
 電光も斯くやとばかりに大上段から疾った一閃は、刀を構えようとした人斬りの顔と腕に血華を咲かせた。たじろいだ隙に景明は距離を取ろうとするもそれを素早く人斬りが追い、抜き付けに景明の腹を裂いたと一瞬見えた。
「残像か!」
 人斬りが声をあげた。斬られたと見えた景明は虚であり、景明本人は寸の見切りで斬撃を躱した後は既に次なる攻撃の構えに入っていたのだ。
「さて、こっからは手数だ」
 景明の手の中、大蛇斬景明の刀身に光が滑る。
 そこから始まる虚実織り混ぜての閃きの二連。人斬りの腕の傷へ更に傷を重ねて深いものとなるよう刻み付けた。
 体ごと飛び込んできた人斬りの刀を景明が大蛇斬景明で受け止める。鎬を削り、ぎりぎりと鍔迫り合いをしながら睨み合う。
「俺一人で戦ってるわけじゃねぇし、てめぇを引きつけるのが俺の役目よ」
 一騎討ちは戦の華。このまま斬り合っていたい気持ちをぐっと抑え、景明と人斬りの二人は、互いに弾かれるようにして後ろへ退った。
「抑えてるうちにくたばりやがれ!」
 自分に抜け駆けはさせるなと景明が叫んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜神・静流
「では、私も続きましょう」
夜神の剣は、人斬りの堕落した剣などには負けません。
殺気に対しては勇気・覚悟・気合い技能で対抗。

ダッシュ・暗殺・残像・早業・先制攻撃の技能を使用し、遠呂智様が引きつけている間に、静かに素早く死角へと潜り込みましょう。
そして、こちらも速さを重視するといたしましょうか。
「我が太刀は迅。瞬断せよ、一ノ太刀・隼」
怪力・早業・先制攻撃・衝撃波の技能を使用して攻撃します。

相手の反撃に対しては見切り・武器受け・オーラ防御・残像等で対処。
後はもう一撃入れる隙を伺いつつ、投擲技能を使って鉄礫を投げ、牽制をするのも有りですね。



「では、私も続きましょう」
 仲間の声に応じて静流も一陣の風と化す。
 己が速さを武器に間合いを詰め、静流は未だ仲間に注意を払っている人斬りの死角へと潜り込むと、手を添えるに留めていた十六夜の柄を、すっと握った。
「我が太刀は迅。瞬断せよ、一ノ太刀・隼」
 早業の抜き打ちだった。起きる刃風すら刃とした斬撃に、人殺しの脇腹から血が繁吹く。
「ぐ、うっ!」
 直後、纏う空気を変えた人斬りが振り返りざまの一撃を抜き付けた。衝撃波が静流を襲う。
 静流は気を纏い、残像を残してその場から逃れようとするも、僅かに遅れた。
 キン、と甲高い音が響き、跳びながらどうにか振った十六夜が斬撃の軌道を逸らしはした。だが、受け切れなかった刃風は静流の着物の袖を裂き、白い腕から血を滴らせていく。
「小娘如きが刀を使うとは生意気な。女は女らしく厨にでも籠っておれ」
 修羅が如き剣気を発しながら睨んで来る人斬りの目を、静流は赤い瞳でひたと見詰め返す。
「女であれど、私は夜神。そして夜神の剣は、人斬りの堕落したなどに負けません」
 狂気の淀みを拒絶するように、静流は凛と清浄な言葉が響かせた。そして牽制するように鉄礫を投げた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユーイ・コスモナッツ
力も技も、剣の勝負では私に分が悪いみたい
ならばこちらも奥の手です
反重力シールドに乗って、
【流星の運動方程式】を起動!

突撃槍を構えて、最高速度の一撃を見舞います
三尺庵や竹林を壊したくない気持ちに変わりはありません
得意の騎乗技能を活かして、被害を出さないようにしたいなあ
一撃必中の心構えで!



人斬りが鞘で鉄礫を弾いた瞬間を狙い、ユーイは展開させた重量シールドに飛び乗った。
「ブースト・オン! いっけぇ――っ!!」
 流星の運動方程式を起動をさせたユーイは手に突撃槍を構え、一直線に人殺しの元へと疾駆していく。剣の勝負で分の悪いならば、挑むは自分の土俵での戦い。これは、その為に切った奥の手だった。
 上昇させた移動速度を突進力へと変換し、突撃槍の穂先に人斬りの姿を捉えてユーイが真っ直ぐに飛び込む。心構えは一撃必中。最高速度での突進は、躱そうと体を捻った人斬りの胸に歪んだ真一文字の裂傷を刻み込み、更には突進の衝突で三尺庵から引き離すように弾いて行く。
 その代償として、衝突の衝撃で反重力シールドが大きく揺れて横へと滑った。
「この、女子供がちょろちょろと!」
 一度地を転がり、血濡れた身を土で汚した人殺しは膝立ちのままで鞘から刀を抜き放った。同時に放射された衝撃波がユーイの背を裂く。
「く、ぁっ!」
 ユーイが思わず声を上げた。ぶれるように揺れた反重力シールドが一本の竹へと突っ込みかけるも、痛みを堪えるユーイは、その巧みな騎乗技術を発揮して華麗に躱す。そしてそのまま、三尺庵と竹林を背にする位置へと滑りこんだ。
「は、あ……。三尺庵や竹林を壊したくないからね」
 守りに来たものに被害は出したくない。騎士らしい守護の精神を発揮させながら、ユーイはその為にも倒さなければならない敵がいるのだと、陽炎のように殺意を揺らめかせる人殺しを見詰めるのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

人形原・九十九
他の猟兵さん(f00220)が引きつけているうちに…

姿を霊体化…見えなくして【忍び足】で足音は出さないよう
意識が向こうに向いている間に背後から急所や関節等になぎなたを走らせましょう

卑怯とは言いませんよね?

人斬り、容赦をする必要がありません…
その刀が人形原家の皆さんに届く前にここで後顧の憂いを絶たせてもらいます

と言っても九十九の軽い腕では一撃といかないでしょう…
でも、動きが鈍れば…それだけ他の攻撃が当たりやすくなるはずです



意識は仲間に向いている。
 それを確認した九十九は、己が姿を掻き消す術を使う。
「この姿は虚ろ……幽鬼……」
 その声すら幽けきものと聞こえ、九十九の体や武器は淡く透けていく。まるでこの世界から姿を消したようでもあったが、一度だけ、しゃり、と微かな音が響いた。
 それは九十九がそっと歩き出した証左であり、人斬りの背後へ回る為の動きでもあった。
 人斬りの後ろ姿が見える位置まで来ると、九十九は薙刀を振るった。
 相手が人斬り相手と思わば、その一撃に容赦は無い。
 いつかその凶刃が人形原家に届くやも知れぬならば、ここで後顧の憂いを絶とうとするのは、九十九にとっては当然だった。
 真後ろから頭を薙ぎ払う。己の細腕を思えば、その一撃は必殺とは成り得ぬのは最初から解り切っていた。だが、その動きを鈍らせる事は出来よう。
 刹那、人殺しと目が合った。気配を察したのだろう。
 しかし薙刀を避けるには至らず、鈍い殴打の音の後、人殺しの体がぐらりと傾いだ。
「卑怯とは言いませんよね?」
 地に片手をつき、静かに尋ねる九十九を血走った目で捜す人殺しは、獣が唸り上げるような声を上げ始める。
「ぐ、おぉぉおお――!!」
 まるで、その声に引き摺り出されたかの如く、足元から不吉な気配が湧き出した。反射的に距離を取る九十九が見ている中、気配は無残に殺されたのだと一目で解る青侍風の青年の姿となった。目から血涙を流す青年が悲痛な声で叫ぶ。
『娘には手を出すな! 娘だけには、助け、うわぁぁーー!!』
 死の間際を再現するような声は不可視の鋭利な細片を周囲へ飛び散らせていく。躱す九十九の白い肌膚にも薄らと傷が付いていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

宇冠・龍
由(f01211)と共に戦います

「……あなたは、先程の本坪鈴のお仲間なんですか?」
訪ねながら「竜逢比干」で夫の霊を召喚
(先程の怒りから無意識に真の姿を開放。瞳が青く輝きます)

用心棒の間合いに入らないよう竹林を利用しながら、呼び出した周囲の悪霊たちを優先的に排除
他の方が攻撃しやすいように道筋を作ります
私はドラゴニアン特有の膂力とその拳圧による衝撃波で、夫は風を纏った槍で仕留めていきます

もし用心棒が私に狙いを定めるようであれば、後ろに下がって周囲の猟兵たちが攻撃しやすいように誘い込みましょうか
居合いの緊急回避策として、持ち物の「光る霊」を光らせて目を潰します


宇冠・由
お母様(f00173)と一緒に戦いますわ

お母様と共に、他の方が戦いやすいようにサポート致します
お母様は周囲の死者を狙いますので、私は用心棒の技と動きを封じましょう

飛刃縮地の構えを見せた瞬間、「熾天使の群れ」で四方八方から攻撃
移動をさせず、衝撃波を迎撃としてあえて出させてその場に釘付けにさせますわ
「根競べといきましょうか。私とお侍様、どちらがより手数が多いか」

もし無理矢理突破して私の方に向かってくるなら、空高く逃げて緊急回避
ヒーローマスクですもの、空中戦は得意でしてよ

そして回避しつつ「熾天使の群れ」を放ちます
(……お母様の怒りが酷くなる前に決着をつけなくては)
内心焦っているのは内緒です



殺した相手を呼び出し、無理矢理戦わせる。それは邪法の域であろう。
 龍は哀しげな眼差しで苦悶する死霊を見た後、無意識に青く輝く瞳を人斬りへと移した。
「……確かに貴方は先程の本坪鈴のお仲間のようですね」
 ゆらりと剣気を纏いながら立ち上がった人斬りは、戦場には似つかわしくないたおやかな姿でありながらも威を放つとの龍を一瞬訝しげに見遣るも、すぐに嬲るように嘲笑する。
「仲間? あれは便利な駒よ」
 その声音は鼻で笑うようでもあり、何ら罪悪感無く人の心を、命を、踏み躙る存在であるのが伝わってくる。死霊術師として、心ある者として。許してはならない。
「貴方の所業は許されるものではありません」
 真の姿を解放した龍の怒りが静かに膨れ上がっていく。
 それを間近で感じる由は、自分の見積もりを投げ捨てて諦めの境地に入る。
(「これはもう……無理ですわ……」)
 母の怒りが酷くなる前に決着を付けなくてはと考えていたが、事ここに至れば無理だと悟った。
 いちいち母を逆撫でする者を相手にどうすれば良いというのだ。
 龍がすっと竹林へ入って行った。地の利を活かして敵と立ち向かうつもりなのだろう、戦意は旺盛と見て良い。
 由は、せめて母の怒りの時間を短くしようとと、空を滑りながら人殺しに向かう。
「根競べといきましょうか。私とお侍様、どちらがより手数が多いか」
 人殺しが体を沈み込ませたのに合わせて、由は己の体から炎を分散させて不死鳥の大群を織り上げる。
「この技を見切ることができまして?」
 技の名は熾天使の群れ。不死鳥が放たれた。人殺しは高速でつづら折りに避けて行くも、翼はばたかせる不死鳥は四方八方から追い掛けていく。
「あら?」
 放つ斬撃と共に自分目掛けて突っ込んで来た人殺しを、由が爪先の炎を散らされながらも空高く飛んで躱す。
「――チッ、面妖な」
 足下で声と不死鳥の群れが通り過ぎる事で、追尾の攻撃を逆に自分に当てようとしたのだと気付いた由がマスクを傾けた。
「発想としては解りますけど、相手が悪かったですわ」
 空を飛べない相手ならば良かったが、由は空を飛べたのだ。
 その間にも人殺しは追い込まれていき、次々に炎の着弾を受けて行く。
 その技は熾天使と名付けられた通り、天使の守護が如くに敵の攻撃の威力を落とす効力を持つものであった。そして、全て当たれば技を封じるものである。忌々しげな舌打ちが、また聞こえた。

 由が人殺しを相手取る間に、龍は竹林で夫の霊を呼んでいた。
「強き猛き尊き者、共に歩みてその威を示せ」
 そして夫妻で立ち向かうのは、死してなお人殺しに玩弄される死霊だ。
『止めろ……止めてくれ……』
 うわ言のように呟きながら、手にした刀で斬りかかって来るのを二人で躱す。
 己の執着だけに留まる霊ならば他者の声は聞こえないだろう。そう解っていながらも、龍は憐れみの言葉を掛ける。
「貴方を殺した男は私達が倒します。ですから、今はゆっくり眠っていてください」
 そして、龍はドラゴニアン特有の膂力で振るう拳の圧力で、夫は風纏う槍を目にも止まらぬ速さで繰り出して一瞬の内に散らして行った。
「どうぞ、安らかに……」
 鎮魂を願いながら、龍は夫と共に由を見る。今も熾天使の群れを使い、その場に釘付けにしてくれているならば、念の為に持って来た回避手段も必要無いのではないか。
 頼もしい娘に姿に淡く微笑みながら、龍はそっと夫の腕に手を添えるようにする。
「行きましょう、彼の為にも、私達の家族の為にも」
 ――あの邪悪を倒すのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ムイナ・ドラベルシア
……あの目。剣に溺れた奴の目か。まぁ、そんなことはどうでもいいか。何はともあれ――
「切り結ぶのをご所望か? なら、おあつらえ向きだな……ッ!」
――全力で叩き斬るだけだ。

まずは機動力を削ぐぜ。【なぎ払い】【衝撃波】【二回攻撃】で、ひたすら攻撃を放つ。防がれようが、余波に煽られればダメージも貯まるだろうしな。
動きが鈍ってきたあたりで、【見切り】【戦闘知識】で奴の動きを予想し、【薄刃陽炎】を放つ。防御されようが、その防御の上から叩き切ってやるぜ。

「――剣にすら勝てねぇお前なんかに、オレが負けるわけねぇだろうが!」



健闘を続ける猟兵達の手により、人斬りの放つ威は弱まりつつあるが、それでもまだ油断ならぬ敵である事はこの場の誰もが察していた。
 ぎょろりと動いたその目が、強く睨み付けるムイナに気付いて止まる。
 ――剣に溺れた目。ムイナは人斬りの目を見てそう思うも、すぐにどうでも良いかと打ち捨てる。戦場に立つならばやるべき事は既に定まっているのだ。
「切り結ぶのをご所望か? なら、おあつらえ向きだな……ッ!」
 全力で叩き斬る。ただ、それだけだ。
 闘争を悦ぶ鬼子が人斬りの鬼へと斬り掛かる。尖鋭之太刀を鞘で抑え込もうとした動きごと横へ薙ぎ、逆側から一撃重ねていくと、そちらへの防御は間に合わなかったようだ。衝撃波が互いの髪を靡かせ、そして人殺しの血も舞わす。
 他の猟兵達から受けた攻撃、技の影響があった所にムイナの力強い連撃を受けた人殺しの動きが僅かに鈍った。その為、刹那の遅れを見せた居合の斬撃をムイナは見切った。
「甘いんだよ!」
 体を逸らすと切先がムイナの胸元を掠めていくが、こんなものは騒ぐ程の傷ではない。
 後ろ足に掛けていた重心を前に押し戻すとの瞬間の動作と共に、ムイナは尖鋭之太刀を紫電一閃と疾らせていく。
「――剣にすら勝てねぇお前なんかに、オレが負けるわけねぇだろうが!」
 その技は薄く陽炎が揺らめくかの如く、しかして刃を秘めており――。
 人斬りの胴に血華が咲き、ムイナは返り血に染まる。だが、ムイナが気を抜く事は無い。まだ人斬りの目から光が消えていないと気付いていたからだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

鼎・詩奈
……団子を食ろうて居ったら、喉に詰めるとは不覚。ましてや転移にも遅れるとは。魑魅魍魎……妖怪変化が怖かったのでは…無い…ぞ? ゴホン、此度の相手は人斬りじゃの。確かに人を斬り覚える流儀もあるとは聞くが、人の獣であっては「殺人刀」よな。ふむ。構えを見るに、田宮流かの。居合と知れば、薙刀の敵ではないわ!

・行動 【達人の知恵】
【巴形大薙刀】の間合いにより【居合い】は封殺。【薙ぎ払う】で刀を弾き飛ばす。
【斬撃による衝撃波】は【残像】で躱した上で【2回攻撃】で動きを止める。
【死者の霊】これを祓うのは神主の本領。【範囲攻撃】・【摩利支天降臨】の弓で浄化を狙う。
「おぬしに逃げられては、世が乱れるのじゃ。」


七星・桜華
「風情のある庵に人斬りかい?折角だ、風情を守るために…死合いといこうじゃないか!!」

多数の【残像】を発生させて【残像】に濃密な【殺気】を乗せながら【ダッシュ】で突撃する。

【第六感】と【野生の勘】に【見切り】で攻撃を回避しながら【力溜め】と【2回攻撃】による一撃必殺のユーベルコードを狙う。

「人斬り…『過去』の存在なんかには斬れる存在なんて『今』にも『未来』にも無いんだよ!!」


白峰・雫
面白そうだって理由で斬られるのは嫌かな

スナイパーと援護射撃を使って焔狐で足を中心に狙って他の人の援護をしようかな
用心棒に隙ができれば【フォックスファイア】で攻撃するよ



その険呑な光を消し、倒し切るにはあともう一押し。
 「風情のある庵に人斬りかい? 折角だ、風情を守るために……死合いといこうじゃないか!!」 大声で言いながら七星・桜華(紫煙を纏う紅髮の羅刹巫女・f00653)は残像を生み出した。それらを人殺しの注意を乱す存在にするのか、殺気を乗せながら、桜華は走り出す。
「来るか!」
 未だ炎の枷に囚われながらも、人斬りは構えを整えて迎え撃とうとする。だが、その前に寸刻火の走る音がした。直後、銃声が響く。足を撃ち抜かれた人殺しの構えが崩れる。
 当たった、と雫はマスケット銃である焔狐のスコープから目を離す。
「ぼくが援護するから、みんな頑張って!」
 次の早合に手を伸ばす雫は、人殺しに睨まれようとも仲間を鼓舞する。
 面白そうだって理由で斬られるのは嫌だと自分だって思うのだから、人斬りに今まで斬られて来た人も、そしてこれから斬られる人もそう思う筈。なら、これから斬られる人だけは絶対に出す訳にはいかない。
 支援射撃に徹する雫の援護を受けて、元から勘に優れた桜華は俄然読み易くなった人殺しの攻撃を容易く躱しながら、必殺の一撃の為に力を溜めていく。
 桜華がそうしている間隙を埋めるように、鼎・詩奈(人間の薙刀名人・f07687)は注意を引く為、そして技の準備行動として、己が見極めたものを披露するように人殺しへ語る。
「居合に自信があるようじゃがの、その技の弱点は間合いじゃのう」
「くっ!」
 人斬りに歪んだ技はもはや我流であったが、居合は居合。
 詩奈が中段に構えていた巴形大薙刀から雷光の速度で人殺しの小手を打つ。すると、詩奈の背後から守護明神が出現する。
 獣の皮を被った人として殺人刀を振るい続けるならば捨て置けはしないのだ。暫しの間であれど、詩奈の守護明神は居合の技を封じてくれる。
 ――食べていた団子を咽喉に詰まらせて転移に遅れたとか。そしてそれは魑魅魍魎や妖怪変化が怖かったからこその言い訳ではなかろうかとか。
 そんな少女らしい愛らしさを持つ詩奈ではあるが、今は人殺しに対峙する姿は凛々しい。
 抜刀出来ぬ代わりに鞘ごとと殴り付けようとしてくるも、そこに雫の狐火が飛んで来るのだから支援としては有り難いばかりだ。
「おぬしに逃げられては、世が乱れるのじゃ」
 だからここで倒さねばならぬ。詩奈がすっと後ろへ下がると、その言葉を受けたように桜華が人殺しへと肉薄した。
「人斬り……『過去』の存在なんかには斬れる存在なんて『今』にも『未来』にも無いんだよ!!  腰には五振りの刀。その中から抜き払うのは、突きに特化した天之羽々斬突型だ。
 そして力を解き放つ。
「散れ! 星屑のように――」
 ――破突刃・零式。刀の力が合わさり、何物をも突き破る技へと変化する。人殺しの肩を貫き、一度引き戻すと今度は身を捩ってこちらを向いた人殺しの胸を突いた。
「あ、が……! っ、が……!」
 人殺しが呻く。天之羽々斬突型を引き抜くと、支えを失った体は血をぼたぼたと流しながらよろめく。止まらぬ血を押さえようと胸元を手で押さえるも己が命脈が尽きると察すると、口から血泡を溢しながら、桜華を、そして猟兵達を見て哂った。
「く、は、は、は。良い、死合いで、あった、わ」
 声がごぼごぼと溢れる血泡に掻き消されていく。
「ああ、そうだね」
 剣に生きる者として、命の遣り合いをした者への情から桜華が答える。しかし、人殺しは息絶えていた。どさりと倒れたのを見遣り、桜華は静かに血振りをくれた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『茶の湯を楽しむ』

POW   :    お茶より和菓子! 甘味は正義!!

SPD   :    正座? 問題ないです。作法もしっかり学びます。

WIZ   :    百聞は一見に如かず。知識を生かして体験しましょう。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●三尺庵での一服
 猟兵達は老人の元まで倒した報告を告げに行った。
 戦いの後片付けは老人の息子など、協力してくれる者達の差配で何とかしてくれるようだ。
 大人数が集まり、一部望んだ猟兵達の手伝いもあり、三尺庵と竹林はあっという間に平和な姿を取り戻した。
 もし、気になった猟兵達が、死体はどうなるのかと尋ねれば、本坪鈴のはいつの間にか消え、男の死体は近くの寺で無縁仏として供養されるとの答えが返ってくるだろう。死ねば仏はこの世界の考え方の一つのようだ。

 全てが終わり、三尺庵の主である老人が薄く細くなった髷の乗る白頭を猟兵達へと下げた。
「皆さま、此度は私めの庵の為に戦っていただきまして、誠に忝のう存じます。御礼代わりと申し上げてはなんですが、私からお茶を一服差し上げたく思うのですが如何でございましょうか」
 にこにこと笑う老人が、諾を返す猟兵達を庵へと招く。
「ささ、どうぞこちらへ。狭苦しい所ではございますが、中は温めておきましたので」
 履物を脱いで庵に上がり、案内された部屋に入ると、既に炉に火が入っているようで暖かい。
「気楽な席ですので、作法などお気になさいますな」
 盆に菓子を乗せて戻ってきた老人がそう告げる。実際、気楽に茶を愉しんで来た老人だ。尋ねられたならば自分の知っている事を語るも、そも御礼の席でなんぞ作法を強いる事があろうか。
 正座が無理なら足を崩そうとも構わぬし、縁側に出て景色を見ながら愉しまれても結構。どろりと濃い濃茶でも、さらりとした薄茶でも好みでお点てましょうと、様々な冬の花を象って作られた菓子を並べながら、老人は猟兵達へ笑ってみせている。
七星・桜華
「ふう…良い庵で濃茶でゆっくりするのは良いね…作法には疎いんだ悪いね」

ゆっくりと庵の横の竹林を見ながら和むも別の考えが頭をよぎる。

「平和な場所は戦場にならない…次の戦場を探しに行かないとねぇ…」

そう思いながらも庵の雰囲気に和み腰が上がらずに寛いでしまう。

※戦闘では無いのでユーベルコードは使いません。
ひたすらにダラダラとしているように表現していただけると嬉しいです。



茶を啜り、桜華がほっと暖かい息を吐いた。
「ふう……。良い庵で、濃茶でゆっくりするのは良いね……。作法には疎いんだ、悪いね」
 言って、椿を模した菓子を口に入れる。
「いえいえ、お気になさいますな。旨ければそれで良い、寛いでいただくのが一番ですからねえ」
 鷹揚に笑う老人は好々爺としておりながら自然体で、こちらが思わず気を遣ってしまうというような瞬間を持たない人だった。
 お陰で何を気構える事もあろうか。桜華は総身から力を抜き、ゆっくりと竹林を眺めて和んだ心地を得ていたのだが、ふと過ぎった考えを呟きとして溢した。
「平和な場所は戦場にならない……。次の戦場を探しに行かないとねぇ……」
 剣に生きる者なれば、戦いを求めるのは性であろう。安穏とした暮らしに浸ったとしても、いつか戦場を求めて飛び出して行くに決まっている。
 けれども今暫く、今暫くくらいは寛いでいても良いだろう。この温かさと庵の雰囲気は非常に和むのだ。
「――は。旨いね」
 桜華がまたお茶を啜って、心地良さそうに息を吐いた。
 『今暫く』がどれだけ伸びたかは、まぁ、語るのも野暮だろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

宇冠・龍
由(f01211)と一緒にお茶をしましょう

(由にはしたない姿を見られてしまいましたね、自粛しなくては……)
感情的だった行動を振り返り、頬を染めつつお茶を飲みます

隣で甘味を食べる由の仮面をひとなで
「本当に、由は頼もしくなりましたね」

その成長に嬉しいけれど、少し寂しさを感じながら、義娘とのひとときを過ごします


宇冠・由
お母様(f00173)と一緒にお茶ですわ

――まぁ、苦いお茶よりもお菓子を頂きますが!
ヒーローマスクは口が食べられない? ノンノン、お嬢様に不可能はないのでしてよ

むしゃむしゃと甘味をお上品に貪りながら、お母様から撫でられます
(ふふっ、お母様の手は温かいですわ)

この庵を、お爺さんの居場所を、そして隣にいる大事な家族を守れたことを胸に刻みながら、お菓子を食べます――食べつくす勢いで



あ、美味しい。
 菓子を一口食べた由は心の中で賛辞を呟いた。
 ヒーローマスクでどう食しているのか、それはお嬢様に不可能は無いという事として。
 兎も角、ほろりと解ける甘さに由は思わず笑みの感情を滲ませると、隣に座る母へと顔を向けた。
「お母様、このお菓子美味しいですわ」
「ええ、そうですね」
 少女らしい無邪気な喜びを表す由に、龍も穏やかに微笑み返す。
 そうしながらも、龍は内心で反省していた。
(「先程は由にはしたない姿を見られてしまいましたね、自粛しなくては……」)
 先程の戦いの最中、自分は少々感情的に過ぎたのではないか。
 怒りを抱いた事への後悔は無い。だが、親として義娘の前で見せるべき姿ではなかったかもしれない。
 羞恥で差し昇る頬の熱を、温かさが理由のものへと誤魔化すように茶を啜る。掌にも丁度良い温度は、口に付けると爽やかな苦みを齎し、気分をすっきりとさせてくれた。
 「どうしました?」
 じっと龍が見詰めているのに気付いて、由がそう尋ねてくる。龍はそんな彼女に手を伸ばすと、慈しむ手で彼女の仮面を撫でた。
「先程の事を思い出していたのです。――本当に、由は頼もしくなりましたね」
 母を守ろうと敵へ向かった義娘。その成長は頼もしくもあり、嬉しくもあり。けれど、いつか親元から離れて旅立ってしまうのだと寂しくもあった。
 感慨を込めた手に、由は目を細めるような心地でいた。
(「ふふっ、お母様の手は温かいですわ」)
 母と共に戦い、庵を、お爺さんの居場所を守れたのは嬉しい。
 けれど、それ以上に隣にいる大事な家族を守れたのだと胸に刻む由ならば、大切な家族を孤独にする事は無かろう。
「お母様もお菓子を召し上がってみてください。そうでないと私が食べ尽くしてしまいますよ?」
 由がそう悪戯っぽく伝えると、龍が目を細めて笑った。
 まだ撫でる親の手に喜び、共にある一時を愉しんでくれているならば、寂しがるのは早かろうと。
 茶よりも心を温かくする家族の時間が、ここにはあるのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユーイ・コスモナッツ
庵に被害がなくて良かったぁ
さ、帰ろ!
……え、お茶ですか?
だけど私、
戦闘と片付けでこんなに泥だらけですし、
お作法も知りませんし……
……それでも構わない?
そこまでおっしゃるのでしたら

見様見真似で正座して、
お茶が運ばれるのを待ちます
……待ちますが、いけない、疲れのせいか安心したせいか、ついウトウトと……



そろそろと畳の上に腰を下ろしたユーイは、老人を不安げに窺った。
「あの、私……本当にお邪魔して大丈夫ですか?」
「ええ、ええ。私がお願いしてお誘いしたのですからな」
 老人の誘いにユーイは最初、戦闘や片付けで泥だらけだし、作法も知らないからと遠慮したのだが、一切合財構いませんと手を取るようにこの場へと招かれていたのだ。
 祖は地球時代の近衛騎士との武門の家柄であるユーイは、どうやらその出自に見合うように確りせねばと思う意識があるらしい。
 見様見真似で正座しているユーイを、老人はまるで孫を見るような好ましげ目で見ている。
「こんな年寄りの庵より、お嬢さんの身の方が余程大事でしょうに。それでも、お嬢さんにはこの庵を一生懸命守っていただいたそうで。大変感謝しているのですよ」
 少女であるユーイが敵に立ち向かう事を心配しながらも、その志が嬉しかったと老人が語って行くその間、手元では茶筅が心地良い音を立てている。
 ユーイも受け答えはしているのだが、ゆったりと茶を点てる音に誘われるように頭が船を漕ぎ始めてしまう。
(「疲れたせいかな、安心したのかな……。段々と……」)
「小さな体で、一生懸命頑張ってくださいましたな」
 まどろみに浸る中、優しく頭を撫でられてから、肩にふわりと暖かいものが掛けられた。ユーイが覚えているのはそこまでで、そこからは皆と共に帰るまで穏やかな眠りに就くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鼎・詩奈
薙刀を刀掛けに掛け、庵の外の庭と竹林を見渡して
「見事な庵よな。手入れも細かくされておる。これは美味い茶が楽しめるかもしれぬ。」
寺社で学んだ作法故、正式な茶の湯ではないのじゃが、と前置きした上で並ぶ猟兵の一番最後に上がるとするかの。なにせ出遅れた故な。

庵主、世俗からはなれるには良い場所よなぁ、菓子も季節あしらっておるし、心づくしに感謝を「茶禅一味」と聞く通りじゃ。

(お薄と菓子で感謝しつつ)


人形原・九十九
人形原家の物としてお茶の【礼儀作法】は把握しています

元人形ですからあまり得意ではないですが…
えぇ、とても美味しいです。結構なお点前で…

ヤドリガミとしては茶碗や茶器が気になるところです
とても大切に扱われているのを見て微笑が

ひとまずは厄は祓われました…
一時の平和を楽しんで、また、厄を祓うとしましょう


アドリブ、絡み大歓迎


夜神・静流
しっかりと背筋を伸ばして正座をして、有難くお茶をいただきます。
固くなりすぎないように、適度にリラックスした状態で。
ご老人の姿や茶席全体をよく見て、学ばせていただこうと思います。

「なるほど……最初は驚きましたが、こういう自由で気楽な茶席も、これはこれで悪くないものですね」
大事なのはおもてなしに対する感謝と、お茶を楽しむ心……でしょうか。作法に固執して、それらが失われてはいけませんし。
勉強になりました。

礼儀作法の技能を使用。
茶道については基本は修めている程度。
正座は普段からしているので平気。



「お点前頂戴いたします」
 老人へと頭を下げ、静流が茶碗を手に取る。掌の上で軽く回す所作や茶を飲む姿勢は、作法に則ったものであると九十九には見えた。そう見た九十九も作法を知っているからであり、それは人形原家にいる内に自然と覚えた事のひとつだった。飲み終えた後に丁寧に茶碗を畳の上へ置く仕草も好ましい。
「なるほど……最初は驚きましたが、こういう自由で気楽な茶席も、これはこれで悪くないものですね」
 寛ぎながら静流が顔を綻ばせて言うと、詩奈がそれに首肯した。手にしていた薙刀は既に預けてある。
「うむ。外から見ても細かく手入れがされておったし、美味しい茶が飲めると期待していた通りじゃの」
「そこまで言って頂くにはお恥ずかしいあばら屋ではございますよ」
 老人のその言葉を謙遜と受け取り、詩奈は機嫌良く首を振る。一番遅くまで庵の外と竹林と眺めていたが、手入れの行き届いた景色を気に入ったのだ。
 この部屋のしつらい同様で、きちんと整えられてはいるが堅苦しさは無い。季節をあしらった菓子にも心づくしが感じられる。
 九十九が床の間に目を止めて微笑を浮かべた。茶も結構なお点前であったが、そこに置かれていた品もも良い。
「あの花器も、良いですね」
 椿が一輪ほど活ける事の出来る陶器の小さな釣鐘型の一輪差しだ。飛び抜けて高価な品ではないとは、ヤドリガミとして人形原家の様々な器物を見、そして注視する九十九の見立てだったが、その目から見ても大切に扱われているのが伝わって来たのだ。
 その目は上へ滑り、同じ器物である掛軸も見た。こちらも大切に扱われているのが解る品ではあったが、本紙に描かれているものを見て小さく首を傾げた。筆で丸が描かれているのみである。
 同じ物を見ていた詩奈が声を上げる。
「ほう、円相か」
「円相、というのですか」
「うむ、茶禅一味との言葉もあってな。茶道と禅は親しいものよ。故にあれも悟りや仏性などを様々なものを示す図とされておるな。そうは言っても、どう見るかはその者の解釈に任せられるが」
 詩奈は神仏を共に祀る鼎神社の跡取りであり、茶道の作法もそちらで学んでいる。故に、見慣れた図と、九十九へ簡単に教えてみせた。
「ご老人はあれをどう見ておられるのだ」
 禅問答に慣れた詩奈の問い掛けに、老人は猟兵達を見て微笑みながら返す。
「さて、その日によって見えるものも変わりますが、今日は和でございましょうな」
 それを聞き、今まで学び落としのないようにと茶席全体を見ていた静流が、和、とひとつ呟いた。もてなす心と、それに感謝する心。楽しげに茶を入れる老人と、その茶を愉しむ自分達の心。
 それらは穏やかに繋がり、ここに和している。
 作法に固執していては欠けてしまうだろうと、円相を眺めた静流が改めて感慨深く吐息を溢す。
「本日は勉強になりました」
 姿勢正しく静流は感謝を込めて頭を下げた。
「これも、皆さまのお陰でございますよ」
 猟兵達が戦ってくれねば、こうした時を過ごす事も出来なかっただろう。だからこそ老人は、静流へ、そして猟兵達へ深く頭を下げ返したのだった。

「おや、風が」
 皆が顔を上げた。
 さぁっと驟雨のような音が響いて行く。その一時、この場にいる全員が心地の良い沈黙に浸って行くのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2018年12月30日


挿絵イラスト