その熾火は何を目指す?
●砂塵逆巻く辺境にて
全てを覆い隠すほどに暗く夜の帳が降りて。
「それはそれは……無謀でしたな。国を憂う少年よ」
「……お前が何を知っているっていうんだ?」
「知っておりますとも……私は『神官』でしたからな」
「……!」
ボロボロの幌の中で『セラフィオンのレムナント』を名乗る者と老人が話している。
「セラフィム・ルミナは『機天の巫女』の専用機……決して余人によって起きる事はありませぬ」
「……っ」
告げられるのは神殿に属している者ならば誰でも知る話。
「例え、国を憂う者とて、国を救いたいと考えていても……条件が合わねば、起きる事はあり得ぬのです……」
「……」
老人の話に天を仰ぐレムナント。
そして次に……老人が悲し気に語り出す。
「ですが、条件が揃ったとて……セラフィム・ルミナが起動する事はもはやあり得ぬでしょう」
「……何故だ?」
「何故……? 操縦者たる巫女が神を裏切り、国を捨てたからです」
「なっ?! そんなことは無い!!」
老人の言葉にレムナントが驚愕の眼差しと叫びを向ける。だがその様子は老人の逆鱗に触れた。
「ならば何故!! 我らの国――セラフィオンが存亡の危機に際した時に、セラフィム・ルミナは現れなかった!?」
「……っ!!」
レムナントの勢いを跳ね返すほどの激昂。それに気圧されたレムナントは息を飲み、その様子を見た老人もまた冷静を取り戻す。
「……いずれにせよ、セラフィオンは滅びました。国中から人が消えたのです、当然でしょうね」
「『謎の大消失』……」
「残っているセラフィオンの民は、謎の大消失の際に国の縁か国外にいた者たちだけ。つまり、我々だけなのですよ」
そう言って幌から外に出る老人。そろそろ夜が明ける頃だ……仄かに明るくなってきた周囲に、大量のキャバリアが置いてある。旧式だが、この作戦の戦力としてなら十分だろう。
老人を追って外に出たレムナントもまたキャバリアを見上げ、そして遠方を振り返る。
「本当にこんな場所に『イグニス』が?」
「ええ。既に炎が尽きかけているとはいえ、我らが国の宝。このまま放置するわけにはいきますまい」
レムナントに並び、遠くを眺める老人。
二人の視線の先には――要塞。亡国セラフィオンの領地――今はだれも所有者がおらず空白となっている地帯――を狙うかつての隣国『鋼鉄国家ヴァルケイン』の要塞。
「でもその情報はどこから? 信頼できる筋なのか?」
レムナントの言葉に、老人は頷きを返す。
「そりゃ、俺が必死になって得た情報だからな!」
がしっ、とレムナントの頭を後ろから強引にぐりぐりっと撫でる大きな手。
「なっ!? だ、誰だ!?」
乱暴な扱いを嫌ってレムナントがその手から逃れる。振り返って見た先には、歴戦の戦士がいた。
「あなたは……?」
「俺は、カイル。あのキャバリアのパイロットさ」
そういって、カイルが背後を指さす。そこにいたのは『翼を持つ』機体。
「あれって……カラーズの隊長機?」
『翼を持つ機体』――それは機天王朝セラフィオンのキャバリア軍『カラーズ』において、各部隊の隊長機の象徴。
「カラーズ:ウィリディス隊長カイル殿の、愛機。先の大消失の際に偶々国外の任務に出ていたが故に、危機を免れた、唯一の隊長機ですな」
驚愕しているレムナントへ老人が補足を入れていく。
「カラーズの隊長……!?」
「気にすんな。元、だ。国が無くなればそんな肩書など消え失せる。今は、祖国を取り戻したいと願う、ただのゲリラ軍のひとりさ」
ひどく吃驚しつつ、乱れた帽子を深く被り直すレムナント。そんなレムナントの様子に、カイルは楽しそうに笑いながら告げ、要塞を見据える。
「正直、『イグニス』が戻ってきたところでどうなる、という話ではある。だが、動かねば。俺たちが動かねば、状況は一切変わらない……!」
カイルが決意を秘めた力強さで告げる。
「そう……機は熟しました。今こそ、我らセラフィオンの民。亡国の生き残り『|灰の王冠《アッシュクラウン》』が決起する刻!」
カイルの決意を継ぐようにして、老人もまた、声を張り上げる。
――そう、これは祖国を取り戻す戦いの、第一歩。
「夜明けとともに攻める! 各員、準備を怠るな!」
カイルが『灰の王冠』のメンバーに声をかければ、静かに、しかし力強い返事が返ってくる。
夜明け――灰の王冠は、ヴァルケインの要塞へと攻め込むのであった。
●グリモアベースにて
「亡国である『機天王朝セラフィオン』の生き残り――『灰の王冠』のキャバリア軍を止めて欲しいのです」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はグリモアベースに集まってくれた猟兵たちに一礼をしてから、そう告げる。
「特に軍事的な意味も政略的な意味も無く。ただ、灰の王冠のキャバリア軍がオブリビオンマシンになるから、という理由です」
セラフィオンの生き残りたちが集い、資材を集め、戦力を構築して、ようやく小規模ながらの軍となった灰の王冠。
それが亡国の国宝を取り戻す戦いを仕掛ける、その直前にオブリビオンマシン化は起こる。
「隣国に仕掛ける理由も戦時下においてはごく真っ当ですし、本来なら応援してあげたいくらいなのですが……」
オブリビオンマシンと化したキャバリアを放っておけば、どうやら乗っているパイロットを吸収融合して、周囲のあらゆるものを破壊する行動に出るらしい。……すなわち、戦火に巻き込むべきではない非戦闘員すらも。
「それは結果的に。灰の王冠の方々の意思にそぐわない結果となるでしょう。だから此処で止めて欲しい、のですが」
そこでステラが少し困ったような顔をする。
「皆さんは、先日の戦いでお会いした『|亡国《セラフィオン》の|残滓《レムナント》』なる方を覚えていらっしゃいますか?」
『|亡国《セラフィオン》の|残滓《レムナント》』――少し前に、セラフィオンの遺跡で繰り広げられた戦いにおいて、遭遇した人物。
「そのレムナント様が灰の王冠に参加しています。幸いにしてレムナント様のキャバリアはオブリビオンマシン化しないのですが……」
それは逆に、猟兵たちの行動の全てをつぶさに見られるという事でもある。
「言い訳は後で出来ると思いますので、巻き込まないようにだけ気を付けてください。レムナント様も『周囲がおかしい』事は気付くようですので」
要塞襲撃が失敗に終わり、撤退した後なら冷静に話す機会も得られるだろう。
「その後の事は、またその時に考えてみてください。まずはオブリビオンマシンと化したキャバリアの撃破を。よろしくお願いします」
そう言って、再び一礼したステラが猟兵たちを送り出す。
クロムキャバリアの小国家、ヴァルケインと元セラフィオンの国境付近。
新たな戦いはこの地で始まろうとしていた。
るちる
だいぶ間が空いてしまいました。忘れていたわけじゃないんですよ!!
そんなわけで、機天王朝セラフィオンにまつわる物語の第二幕。展開させていただきます!
●全体
3章構成の通常シナリオです。
どんなノリでもOKです。リプレイの雰囲気はプレイングの雰囲気に準拠。
禁止事項:公序良俗に反する行動および18禁行為。他の参加者への妨害行為、迷惑行為。お持ち帰り行為。コックピットを狙い撃つ攻撃。
外で戦闘の場合は、暴走衛星「殲禍炎剣ホーリー・グレイル」がありますので、高度には注意してください。
また、敵キャバリアへの攻撃は『意図的に』狙わない限りは、コックピット内は無事、という形になります。狙う行為? それは禁止事項です。
●1章
集団戦『ナイトゴースト』との戦い。
オブリビオンマシン化したナイトゴーストと、シンプルに戦闘です。
戦闘場所は荒野。付近は、『要塞からの視認性』を上げる為に障害物などが排除されている為、戦闘の邪魔になるものはありません。
位置的には要塞からまだ離れているので、ヴァルケインからの介入は心配しなくて良し。
詳細は断章で説明します。
●第2章
ボス戦『セラフィム・リッパー』との戦い。
元カラーズ:ヴィリディス隊長カイルとその愛機セラフィム・ヴィリディスと戦います。セラフィム・ヴィリディスは見た目変わっていませんが、オブリビオンマシンと化しており、カイルから制御を奪い、さらには彼の命を吸収融合しようとしています。
詳細は断章にて。
●第3章
日常『インターミッション』
撤退した『灰の王冠』の潜伏している秘密基地へ訪れます。
1章2章で敵対した皆さんに灰の王冠のメンバーは良い顔をしないでしょう。唯一レムナントだけがどっちにつけばいいのか困惑している状態です。
とはいえ、物資を持ち込めば背に腹は代えられないと取引(会話や交渉)には応じてくれるでしょう。
詳細は断章にて。
●シナリオ運営
OP公開後、各章とも断章を入れて状況を説明します。その後プレ受付開始です。
各章の情報は断章にて、プレの受付期間等の情報はタグにてフォローします。
それではご参加お待ちしておりまーす!
第1章 集団戦
『ナイトゴースト』
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POW : パラライズバレット
命中した【RSキャバリアライフル】の【特殊弾】が【エネルギー伝達阻害装置】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD : ゴーストミラー
【両肩のシールド】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、両肩のシールドから何度でも発動できる。
WIZ : 装甲破砕杭
対象の攻撃を軽減する【電磁装甲モード】に変身しつつ、【手持ち式パイルバンカー】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:カス
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●機天王朝セラフィオン
「先日の事件の後、気になって記録を調べてみたのですが……」
ステラは準備を整えている猟兵たちにそう前置きして話し出す。
「『機天王朝セラフィオン』――先日の事件が起こった付近にかつて『在った』小国家である事は間違いありません」
ちなみに、先日の事件はセラフィオンの国境付近にあたるという。
だが、その時猟兵たちは見ているはずだ。荒廃している大地を、砂漠化している国境を。聞いたはずだ、この地――すなわち、セラフィオンには『人』がいない、と。
「その言葉の裏付け……ではありませんが、セラフィオンという国が『無くなった』のは10年前。一夜にして、人とキャバリアが国中から消えた、との記録がありました」
誰が名付けたか、『謎の大消失』――建物などの無機質、稼働中のプラントはそのままに、人を含めた、生きている動物とキャバリアの機体だけが、本当に消えたのだ。
「その日は満月で、月明かりも確かにあったのですが、それよりも眩い閃光が国中を覆った、ともあります」
その後、消えた。
理由もわからない、消えた先もわからない。ただ。ただ、セラフィオンを営んでいた人たちは一切いなくなってしまった。言い方は悪いが、管理をしていた者がいなくなったのだ。後は荒廃していくだけ、なのは自然の摂理だろう。
そして所有者がいなくなったプラントなど、誰が放置しておくものか。それ以来、プラントの主権を争って、セラフィオンを囲んでいた三国は丁々発止の争いを続けている。
徐々に国境を浸食していき、領地を広げ、最終的にはプラントを手中に収める。どの国だって手段や方法は違えど、やろうとしている事は一緒。
「まぁ、その辺は『人の営み』なので。介入するとすれば『個人的』にするしかないので、さておいて」
ふぅ、とひと息ついてステラが話を続ける。
「『灰の王冠』はその『謎の大消失』を逃れたセラフィオンの民、という認識でよさそうです」
もちろん、戦火を好んで紛れ込んでいる者もいるかもしれない。だが、灰の王冠とすれば、国を取り戻す原動力になれば何でもいい。
「かの国の国宝がどんなものかまではグリモアの予知でひっかかりませんでしたが、情報を得て来た隊長は、二心が無いようでした」
老人もレムナントも。他のメンバーも最終的な思惑はさておき、今この時点では『セラフィオンを取り戻す』という御旗を裏切るような者はいない。
「だからこそ、今回の事件は『偶然』で『悲劇的』で。何故、と思わなくもありません。……ですが。あってはいけない事ですが、仮にこれが『何らかの介入の結果』ならば……私のグリモアはまだその気配すら掴めていないのです」
目を伏せるステラの表情はこの事件が『偶然』であってほしい、という思惑と悲哀に満ちている。
「……戯言で失礼しました。作戦に移りましょう」
改めて視線をあげたステラは、いつも通りの表情で告げる。
●襲撃は夜明けとともに
夜明けとともに、灰の王冠は行動を開始する。
現在の潜伏場所は、ヴァルケインの要塞からかなり離れている。
「というのは、国境の要塞だけあって、防御の為に有視界をかなり良好にしています」
戦闘場所となる荒野は本来、隠れる場所も多い。それらの障害物をあえて排除する事で、『要塞からの視認性』を上げている。要塞が耐えている間にキャバリアが敵を倒せば、何の問題もない、という方針だ。
「なので、灰の王冠も『見つかる覚悟』で突っ込むしかないわけです」
しかし、灰の王冠の作戦目的は要塞を落とす事では無く、国宝の奪還だ。
「見つかって乱戦になっても、要塞に忍び込んでそれさえ入手できれば問題なし、という事ですね」
それ故に、派手に突っ込むだろう、灰の王冠軍は。
「そこまで至ると、ヴァルケイン軍も相手どらなければいけません。それは避けたいので、荒野を移動しているところを仕掛けてください」
横から奇襲するか、殿から着実に仕留めていくかは皆の作戦に任せる。
「前で待ち伏せはヴァルケインからの介入を誘発する可能性があります。あまりお勧めしません」
それに隊列の先頭には隊長機がいる。それと一緒に兵たちのキャバリアを相手取るのもまた大変だ。
ただ、作戦は参加する猟兵たちに任せる。
「覚えておいてほしいのですが、隊長機も含めて、この戦いでキャバリアを撃破できればパイロットは救出できるようです」
動かなくなったキャバリアからのパイロット救出活動は、キャバリアに乗っていない灰の王冠のメンバーが行うだろう……おそらくレムナントの指揮の元。
「レムナント様のキャバリアはオブリビオンマシン化しないので、当然でしょうね」
それが何故か、という疑問も残るが、それは後にした方がいいだろう。戦場で解き明かす時間は無い。
「隊長機は最後に回しましょう。まず、兵たちのキャバリアの無力化をお願いします」
セラフィオンを巡る戦いが、再び始まろうとしていた。
●夜が明けて
「皆、用意は良いか!? 人の営みはすぐには整わない! その隙を狙う!」
カイルの号令が響く。その号令に従って、灰の王冠のメンバーの中でもキャバリア操縦に長けた者たちが、『ナイトゴースト』に乗り込んでいく。
ナイトゴースト――いまや旧式といってもいいだろう、しかし各国で幅広く、そして根強く使われている量産機。量産機の良さは調達がしやすいという事と足がつきにくいという事。そして、スクラップ同然の機体でもそれらからパーツを寄せ集めれば、『機体』を確保できる事だ。
それによって灰の王冠は小規模ながら軍と言える規模のキャバリアを保有する事が出来た。
それを率いるのは、元セラフィオンのキャバリア隊隊長。各員もキャバリア操縦にそれなりの練度がある。
――奇襲による陽動。その間に国宝の強奪。
これくらいなら目算で十分に勝機がある、と見て、灰の王冠は動いたのだ。
「……貴方は?」
キャバリアに乗り込もうとしたレムナントが、元・神官の老人に問いかける。『行かないのか?』と。
「100%の成功などあり得ませぬ。ゆえに、私は『灰の王冠』の中に燻る、愛国の火を決して消さないよう動くのです」
臆病風に吹かれたわけではない。万が一があった場合には灰の王冠が壊滅する、その危惧に対しての保険。この老人が慎重に慎重を重ねてきたからこそ、今の灰の王冠はある。
「なら、いってくる」
「ご武運を。そして我らが悲願の第一歩、頼みましたぞ」
老人を含めた一部のメンバーを残して、灰の王冠軍の準備は整った。
このタイミングを狙ったのは、2つの理由がある。
ひとつは、隙をつくため。夜が明け、『何事も無かった』という安堵感。日が昇り、『また1日が始まる』という意気込み。それらがない交ぜになって切り替わっていく時間帯は、どうしても『隙』が生じる。そこを突く。
もうひとつは、『誰がやったか』を敵に見せつけるため。灰の王冠の存在を知らしめるためだ。だから夜、誰がやったかわからないようでは意味がない。
今この時しかないのだ。
「敵さんの態勢が整うまでに要塞に到達して襲撃する! いくぞ!」
カイルの号令の元、発進する『灰の王冠』軍。その規模は小隊規模の50機ほど。その後続に、荒野に紛れる迷彩を施した幌トラックが疾走する。
少し縦長の隊列で突き進む先。まっすぐ荒野を突き進んだ先にある、ヴァルケインの要塞を目指す灰の王冠。
――だが、その変化は突如として起こった。
「おい、いくら急いでいるってそれは速度を上げ過ぎだ。ブースター落とせ! いま全力でどうすんだ!?
突如として、隊列が激しく乱れた。僚機が速度を乱し、隊列を乱し、そして武器を……味方に向ける!
「なん、だ、これっ!? 機体が言う事きかない!?」
その声は、味方に武器を向けたキャバリアのパイロットから。
謎の暴走。否、猟兵であれば気付いたであろう――オブリビオンマシン化。
それによって、灰の王冠の進軍は大混乱に陥ったのである。
シル・ウィンディア
ん-…。
なかなか難しい状況?
でも、オブリビオンマシンは見逃せないし、ね。
シル・ウィンディア、レゼール・ブルー・リーゼ、行きますっ!
高度に注意しつつ推力移動。
敵群を発見したら、ロングビームライフルを構えて狙撃。
狙うは、敵機のアンダーフレームもしくは脚部!
まずは移動を封じるよ!
その後は推力移動で再接近して、リフレクタービットを展開。
敵陣の周囲へ展開させてから、全砲門を構えてビーム兵器を撃つよ。
ビットの反射機構でビームの乱舞をお見舞いっ!
その隙に詠唱を開始して、使うのはエレメンタル・ファランクス!
扇状にして、コックピットを避けて…。
さぁ、全力全開受けてみてっ!
あとは、退避勧告を。
早くマシンから降りて
●
グリモアの光、転送を通り抜けて。
シル・ウィンディア(青き流星の魔女・f03964)は愛機『レゼール・ブルー・リーゼ』に乗った状態で、クロムキャバリアの空へ到着した。空の高い位置とて、浮いているだけなら、暴走衛星「|殲禍炎剣《ホーリー・グレイル》」も反応しない。
コンソールに指を滑らせて、状況を確認するシル。
センサーが捉えた通りなら、眼下を『灰の王冠』のキャバリア隊が進軍しているところのようだ。
「んー……。なかなか難しい状況?」
グリモア猟兵の話を思い出して、シルは何とも複雑な表情を見せる。灰の王冠の言い分はわからないではない。
「でも、オブリビオンマシンは見逃せないし、ね」
改めて、愛機の操縦桿を握り直すシル。その決意に応えてか、クロムキャバリアの空に青の機体が一度煌めいて。
「シル・ウィンディア、レゼール・ブルー・リーゼ、行きますっ!」
青き流星が空から荒野へと降る。
●
灰の王冠のキャバリア隊におけるオブリビオンマシン化は、混乱という形で可視化された。
すなわち、同士討ちである。
「くっ……何してんだお前っ!」
味方からの攻撃を回避しながら声をかけ続けるパイロット。だが、自身の機体も徐々に言う事をきかなくなって――攻撃が止んだと同時に『攻撃する側』へと取り込まれていく。
その混乱の中を空から。
(捉えたっ!)
シルが射程内に灰の王冠のキャバリア――『ナイトゴースト』を捉えた瞬間、ブルー・リーゼが射撃体勢をとる。
「まずは移動を封じるよ!」
ロングビームライフル『エトワール・フィラント』を構えると同時に発射! 空中から、しかし角度をつける事で、丁寧に確実に、ナイトゴーストの脚部を狙撃していくシル&ブルー・リーゼ。機体を高速バレルロールさせて狙撃点をずらしながら、隊列に光条を楔の様に撃ちこんでいく。
「な、なんだ!?」
「敵襲!? 上か!?」
咄嗟にキャバリアライフルを構えるも照準を定める前にシルのブルー・リーゼは空を翔けていく。追いすがるように撃った弾丸も当たる気配は無い。
「迎撃だ! 構えろ!」
誰かがそう言って、ナイトゴースト各機が電磁装甲モードへ移行する。通常の装甲の上に、電磁の装甲を纏い、同時に手持ち式パイルバンカーで武装するナイトゴーストたち。
「おおっとー? そのまま突っ込むのは危険かな?」
一度、敵軍をやり過ごした後、ブレイクターンで戻ってきたシルがナイトゴースト軍を見て、呟く。それは油断しているわけでは無く、しかし気負った様子も無い。ただ、事実を告げて――ただ、対策するだけだ。
風を切る音が鳴る。それはレゼール・ブルー・リーゼの機体から|反射機構付き《リフレクター》ビット『プリューム』が展開した音。さながらブルー・リーゼの僚機のように周囲を飛翔乱舞するリフレクタービットは、シルの指示を受けてナイトゴーストたちの真上を舞い踊る。
「いくよーっ」
ぎゅん、と風を踏みつける音を立てて急制動したブルー・リーゼの機体が、同時に全砲門を展開する! 背中から肩へ展開された二門と腰の二門、計四門の高出力ビームキャノン、右手のロングビームライフルに左手のビームランチャー。そして頭部のビームバルカン。その全砲門から一斉に放たれるビーム射撃。
それは『ただ放つ』だけなら、単純な面攻撃だろう。だが、ビームが向かう先はナイトゴーストではなく、その頭上に展開しているリフレクタービット。
「ビームの乱舞をお見舞いっ! どうだっ」
ビットの反射機構で複雑に反射したビームはそれによって収束度を高めて、より高い出力でナイトゴーストを電磁装甲ごと射抜いていく。
ナイトゴーストが跳躍してビットを破壊しようとも、ビットそのものが縦横無尽に動いている。それを捉える機動力はナイトゴーストには無い。
さらに追撃の全砲門ビーム射撃。加えてプリュームはビット自体もビームを放つ機構をもつ。つまり、ビームを反射させながらも、自身が射撃を加えていけば、もはや手の付けようがないほどの、ビームの雨がナイトゴーストたちに降って、敵機を翻弄していく。
(この隙に……!)
操縦桿から手を放して、胸の前で両手を握る。掌の間に生まれるは精霊呼ぶ声。
「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ……」
シルの口元が詠唱を紡ぎ、魔力と精霊の力を光へと集約していく。
それはブルー・リーゼを通じて、クロムキャバリアの空に展開される――精霊の光が輝く。
「我が手に集いて、全てを撃ち抜きし光となれっ!!」
そしてブルー・リーゼの周囲に生まれる、数多の魔力の短槍。それは火・水・風・土の4属性を集約した事で生まれた精霊の光にして魔力砲撃の弾丸。
(扇状にして、コックピットを避けて……)
発射角度と範囲を調整して、準備は整った。
「さぁ、全力全開受けてみてっ! 【エレメンタル・ファランクス】!!!」
シルの言葉に応えるように、ビームの雨よりも激しく鋭く、ナイトゴーストたちの上に降る、魔力砲撃のファランクス。精霊の力を帯びた光条がナイトゴーストの頭部や腰の辺りを撃ち抜いて、完全に行動不能へ追い込んでいく。
ビームの嵐が過ぎ、魔力砲撃の嵐が過ぎ去った後。
残されていたのはスクラップ同然と化したナイトゴーストたち。
「早くマシンから降りて。今なら『戻れる』から」
ナイトゴーストの頭上、空からシルがレゼール・ブルー・リーゼのコックピットより告げる。
圧倒的な戦力で殲滅させられた灰の王冠軍はキャバリアを捨てて、退避していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
荒珠・檬果
私、戦記物の中でも、とくに『国を取り戻す話』が好きなんですよ。だからこそ、今回の話は複雑で。
突然のオブリビオンマシン化って、本当に迷惑ですね…。
私は前回関わらなかったですが…できることがあるのです。行きますよ。
白日珠をキャバリアサイズの薙刀に。
オレンジライト・スピードキャバリア(略してO.L.S.C.)に乗り、横から奇襲!
ええ、【たとえそれが強行であっても】!地形は、召喚憑依させた将と共に把握済み。
そのライフルでの攻撃を見切り、死角からの攻撃で薙ぎ払って…縛り付けてうまく動けないように!
そして、確実にキャバリアのみを破壊していきますよ!
●
グリモアの光に包まれた後、目を開くとその身はクロムキャバリアの世界にある。
荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は、愛機『オレンジライト・スピードキャバリア』のコックピットの中で、ふぅ、と息を吐く。
(私、戦記物の中でも、とくに『国を取り戻す話』が好きなんですよ)
国を取り戻す――それは歴史の中で度々姿を現して人々を魅了する。為せたか為せなかったかももちろん大事だが……そこに関わる、あるいは絡まる、人の縁が織り成す物語。
(だからこそ、今回の話は複雑で)
シートに預けていた体重を戻して、戦闘態勢を整える。
人同士の思惑だけでも複雑に絡み合うというのに、そこに輪をかけてオブリビオンは介入してくる……しかも人の都合など考えずに。
「突然のオブリビオンマシン化って、本当に迷惑ですね……」
それは猟兵だから『区別がつく』のであって、人々が『外から見たら』どのように思うだろうか。それでも。
「私は前回関わらなかったですが……できることがあるのです。行きますよ」
檬果の言葉に応える様に、オレンジライト・スピードキャバリアが顔を上げる。橙色をしたサイキックキャバリアはスピード重視の仕様。かなり遠くで土煙を上げている『灰の王冠』の軍でも……届く。
「ええ、【|たとえそれが強行であっても《セメルベキハイマ》】!」
キャバリアのサイズに合わせて、巨大な薙刀に変じた『白日珠』を手に、檬果&オレンジライト・スピードキャバリアが突撃する!
●
檬果のユーベルコードは、憑依という形で『将』の力を借りる。無理やりでは無く、契約の元で。彼らの意志の元で借りる力は、もはやその『将』が援軍として助力しているのと変わらない。
今、檬果に憑依しているのは破蜀将『鄧艾』――彼は地形を、地図を見るのが好きである。
(すなわち、進軍経路も……!)
これから征く地形も戦う地も、既に召喚憑依させた将と共に把握済み。
古来、戦いに勝つには『天地人』を押さえるべきだと言われている。
天の時――は、グリモアの予知が。人の和――は檬果たち猟兵という存在。そして地の利――は檬果に憑依している鄧艾の力。
3つが揃ったならば……!
「て、敵襲っ!?」
灰の王冠軍の誰かが叫ぶ。だが、その時には檬果のオレンジライト・スピードキャバリアが突っ込んできている。同時に振るわれる薙刀が『ナイトゴースト』の腕部を軽やかに切断する。なぎ払った勢いを殺さず、頭上で一回転させた刃を真上から振り下ろせば、敵コックピットを割けて、キャバリアを一刀両断する。
「くっ……!」
周囲のナイトゴーストがキャバリアライフルを構えて解く特殊弾を放ってくる。が、慌てているようで狙いが甘い。
「当たりません、ねっ!」
弾道を見切り、迫る弾幕をかいくぐる檬果&オレンジライト・スピードキャバリア。そのまま突っ込むと見せかけて、スライド移動。死角に回り込んで、薙刀を振るう。たとえ、一撃で戦闘不能に追い込めなくても、ダメージさえ与える事が出来れば、白日珠から放たれる霊力の縄が敵機を捕縛し、そのまま締め付けダメージを与え続ける。
(その間に、攻撃力さえ奪ってしまえば!)
後は、縛られて動けないキャバリアが残る。
「そして、確実にキャバリアのみを破壊していきますよ!」
薙刀の一刺しが動力パイプと機体のみを切断して、キャバリアをシャットダウンさせていく。
檬果&オレンジライト・スピードキャバリアの攻撃によって、戦場に『動けない機体』が量産されていく。それは戦場を駆けるオレンジのキャバリアにとって、新たな『死角を作り出す』障害物となり、同士討ちをさけようとする灰の王冠軍からは攻撃を躊躇する理由にもなる。
「まだまだ! いきますよー!」
檬果の声に、オレンジライト・スピードキャバリアが応える。
橙色の風は、さながら馬に乗った将のごとく。|戦場に流れる大河《敵軍の隊列》を軽やかに、切断していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
レムナント殿がいらっしゃるなら、あの時と同様の事態だと事情を理解してくださる可能性はあるか。
……なんにせよ、マシンは壊さねばならない!!
回点号【操縦】低空をメガスラスター・ウィングブースター【推力移動】高速で、流れ弾を抑える一直線に、サイキックシールドの【オーラ防御】で射撃を防ぎながら急速接近!から『戦塵剣』双剣変形フォースサーベルの刃でシールド、電磁装甲ごと【早業切断】
自分は猟兵!その機体は暴走状態にある!!故に、壊させてもらう!!!
パイロットは速やかに退避せよ!!繰り返す!退避せよ!!!
自身の目的を宣言、そしてパイロットへの退避勧告を告げ殺意がない事を伝えつつ素早く【解体】行動で以て示す!
●
グリモアの光が一瞬、クロムキャバリアの大地を照らす。
直後、光の中を通り抜けて、1体のキャバリアの2本の脚が、クロムキャバリアの少し痩せた大地を掴む。
『|回点号《クロムキャバリア》』――朱鷺透・小枝子(|亡国の戦塵《ジカクナキアクリョウ》・f29924)の愛機が、遠くに在る『灰の王冠』の隊列を視認する。
まだ、遠い。小枝子の指がコンソールを叩く。アップになったウィンドウに映る映像は、小枝子と回点号の前方――既に他の猟兵による攻撃が始まっているのだろう。少し長く伸びた隊列、その中盤から後方に土煙が見える。対して、前方は土煙こそ上がっていないものの、動きが止まっている。恐らくは『ナイトゴースト』のオブリビオンマシン化による影響。
小枝子の脳裏に、かの人物の顔が浮かぶ。
「レムナント殿がいらっしゃるなら、あの時と同様の事態だと事情を理解してくださる可能性はあるか」
『|亡国《セラフィオン》の|残滓《レムナント》』――そう名乗った、あの人物は少なくとも感情的に叫ぶ者では無かった。
「……なんにせよ、マシンは壊さねばならない!!
小枝子が猛り、回点号が背中にある『ウイングブースター』と『メガスラスター』を展開する。直後、推進剤を全力で解き放って――。
「いけっ!!」
小枝子が操縦桿を押し込むとともに、回点号が飛翔する――回点号が低く真っ直ぐ。他への流れ弾を抑えるために一直線に進む様は、さながらライフルの弾丸の様に|翔《と》んで……小枝子&回点号が瞬く間に肉薄する!。
「なんだっ!?」
「ただでさえ、味方がおかしいってのに!!」
灰の王冠のメンバー――まだ暴走していないメンバーが小枝子&回点号の接近に気付いて、防御態勢を取る……直後、何故かその場にいたナイトゴースト達が一斉に小枝子の回点号に向けて、キャバリアライフルの銃口を向ける。
「おい!? なんだ、勝手に?!」
「アレにビビってるのか!? いや、キャバリアだぞ?! そんな動物的な!」
パイロットの操縦を受け付けないのだろう、勝手に動き出したナイトゴースト達に灰の王冠のメンバーは困惑している。
猟兵の接近――あるいは小枝子のオブリビオンへの執着に触発されたか。
いずれにせよ、どの機体も|火種《オブリビオンマシン化》を抱えていた機体も一斉に小枝子に向けて銃撃を放つ――レムナントの機体を除いて。
迫る弾幕。
「だが、無駄だっ!」
突撃の速度は緩めない、否、加速する。そして回点号の前面に『サイキックシールド』を展開すれば、弾幕とサイキックシールドが激突する。彼我相対速度で以て、通常弾の弾幕を蹴散らす小枝子&回点号。
弾幕を蹴散らしながら突撃してくる回点号。そのあまりにも『直情』すぎる動きは、おそらく戦場や軍の戦い方としては『異常』なのだろう。だから、対応が一瞬遅れる。
その刹那があれば充分だ。
小枝子と回点号がナイトゴーストの隊列に急接近。同時に抜き放った『変形フォースサーベル』を双剣へと変じさせて。
「そこだ! もらう!!」
叫びのままに回点号に双剣を振るわせる小枝子。両肩のシールドで防御態勢に入っていたナイトゴーストに反応する暇を与えず。シールドごとナイトゴーストの両腕を切断する!! 素早く無敵斬艦刀へ組み直した変形フォースサーベルの刃を横薙ぎに振るえば、ナイトゴースト達の脚部が切り離されて、胴体だけが地に落ちる。
電磁装甲すら役に立たず、無力されていくナイトゴースト達。
「な、なにものだ!?」
迫る脅威を排除しようとどうにかキャバリアライフルを放つナイトゴースト達。しかし、力量に差があり過ぎる。
ただただ、戦場から排除されていく様を見ているしかできないパイロットの誰かが叫ぶ。
「自分は猟兵! その機体は暴走状態にある!! 故に、壊させてもらう!!!
パイロットは速やかに退避せよ!! 繰り返す! 退避せよ!!!」
告げ、直後に破壊していく回点号の姿はどのように映ったか?
だが、その中でただ一人。
「……あの、声は、たしか……? 暴走状態……? いや、それよりも無事な人を!」
レムナントだけが困惑の中で。
レムナントの指揮によって、ナイトゴースト『から』パイロット達を救出していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
イングリット・イングラム
要塞から介入、偵察に来たキャバリアがオブリビオンと化して要塞に戻る――
そのようなことになっては目も当てられません
要塞が何らかの決定を下す時間すら与えないように対応しなくては
まずは脱出した方々がいる場所に法力で結界を構築
飛び散る破片程度であれば防ぐことができる筈です
治癒や浄化は全てが終わった後に
キャバリアの力をもって低空飛行し、敵の部隊に接近
弾丸は見切って回避し、又は幾重にも張った結界で逸らします
UCの力を宿した法剣で敵の脚部と頭部の斬り落としを狙いましょう
区別が付かない、いつオブリビオン化するか分からない以上、疑わしきは罰する
今日この日への想いは察するに余りありますが、全て倒します
●
グリモアの光を抜けて、新たな猟兵がクロムキャバリアへと到着する。
白亜の人造竜騎『ユニコーンキャバリア』――イングリット・イングラム(法剣士・f35779)の愛機が大地を踏みしめる。
到着した地点は、『灰の王冠』の隊列からもう少し前方。どちらかといえば、ヴァルケインの要塞に近い地点。
イングリットがコックピットでレバーやボタンを押してシステムを確認する。モニターに映る周囲は異常なし……いや、灰の王冠の隊列だけが乱れ、土煙をあげている。
「要塞から介入、偵察に来たキャバリアがオブリビオンと化して要塞に戻る――
そのようなことになっては目も当てられません」
イングリットの懸念は、オブリビオンマシン化がウィルスのように感染していく事。それはあるかもしれないし、杞憂かもしれない。されど、疑念は元から潰しておくに限る。
「要塞が何らかの決定を下す時間すら与えないように対応しなくては」
操縦桿を押し込むように倒すと同時に、ユニコーンキャバリアが白い閃光と化して、灰の王冠の隊列へと突撃する。
それは横合いから突撃する形で鮮やかな奇襲として、灰の王冠の隊列をさらにかく乱する。
「くっ、なんだ、いったい何が起こっているんだ!?」
困惑するパイロットがキャバリアライフルを向けてくる。まだ『正常』の範囲にいる『ナイトゴースト』だろう。だが。
乱射されるライフルの弾を幾重にも張った結界で弾き返しつつ、腕を振るうユニコーンキャバリア。その指の先、大破したキャバリアを盾に隠れている人々へイングリットは法力で結界を構築する。
(これで飛び散る破片程度であれば防ぐことができる筈です)
命さえ繋いでいてくれれば、治癒や浄化は全てが終わった後に出来る。
後は、オブリビオンマシンを排除するのみ。
ユニコーンキャバリアが低空飛行でナイトゴーストへ肉薄する。
「くっ!」
正常な機体も既にオブリビオンマシン化している機体も一斉に通常弾、特殊弾をライフルから発射し続けるが、それらの全ては法力の結界で弾き返される。
「区別が付かない、いつオブリビオン化するか分からない以上、疑わしきは罰する」
ユニコーンキャバリアの振りかぶった腕。その手に握られているのはユーベルコードの力――オブリビオンを世界から切り離す力を宿す法剣がキャバリアライフルごとナイトゴーストを【切断】する。
(狙うは、敵の脚部と頭部の斬り落とし――)
攻撃の要である腕を牽制で斬り落とした後、下から跳ね上げる刃で両脚を切断。そのまま機体を一回転させて頭部を切り離す一撃を。一拍の間でそれを成し遂げるイングリット&ユニコーンキャバリア。
(今日この日への想いは察するに余りありますが――)
それでも、やらなければならないことがある。
「全て倒します」
白亜の機体が、ナイトゴーストの機体と土煙を軽やかに切断していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
天宮・紫苑
アドリブ・連携:可
使用技能:騎乗、空中機動、騎乗突撃、曲芸騎乗、操縦
セラフィオンに何が起こっているのでしょうね。
「ですが、まずはオブリビオンマシンを止めませんとね」
現地到着後、すぐにUCを発動し愛機のRファーストで低空を飛翔します。
敵以外を巻き込まないために、敵達の側面に回り込むようにしつつ、脚部を破壊するように低い箇所をUCで薙ぎ払います。
これで全て行動不能になってくれれば良いですが、まぁ、そう上手くはいかないでしょう。
後は移動する時はUCを使いつつ、攻撃は通常攻撃で破壊しすぎないように気をつけながら、行動不能に追い込んでいきます。
「申し訳ありませんが、ここで止めさせて頂きます」
●
『灰の王冠』――機天王朝セラフィオンの隣にあるヴァルケインの要塞目掛けて突き進んでいた『ナイトゴースト』の小隊はもはや既に隊列など崩壊して、ただただ混乱に陥っている。
「くっ! どうなってんだ!? 出撃前のチェックはオールグリーンだったはずだ!」
灰の王冠軍、キャバリア隊を率いていたカイルが自身のセラフィム・ヴィリディスのコックピットで叫ぶ。だが事態が収束していく気配も無く、ただ仲間からの攻撃をしのいでいる状態だ。
大混乱の灰の王冠軍を遠くに確認できる位置で、グリモアの光が瞬く。次の瞬間、黄金の人造竜騎がクロムキャバリアの大地に立っていた。
天宮・紫苑(人間の魔剣士・f35977)が駆る、剣戟戦に特化させた人造竜騎『獅子剣神『Rファースト』』である。
「セラフィオンに何が起こっているのでしょうね」
世界を越えた後であるため、自身の愛機の状態を確認する。コックピットのモニターが告げる状態はオールグリーン。
眼前のモニターには外の様子――混乱の極みにある、灰の王冠のナイトゴースト群が見える。
「ですが、まずはオブリビオンマシンを止めませんとね」
無骨な武人を想起させるRファーストの背面で、スラスターが推進剤を噴射する。基本的なオーバーフレームが備える機能――そこに紫苑のユーベルコードの力が加わる。
「いきますよ! Rファースト!」
紫苑の声に応えるように、Rファーストが地を蹴る。同時に急加速、低空を飛翔して、まっすぐナイトゴースト軍へ突っ込むRファースト。
「敵襲か!?」
カイルのセラフィム・ヴィリディスが反応する。振り向き様の無敵斬艦刀一閃!
だが、紫苑のRファーストは速度を維持したまま、そのまま真横へ空中機動。位置をずらして攻撃を回避しながら、隊列を回り込んで、オブリビオンマシン化しているナイトゴーストの側面を取る。
(――これで!)
Rファーストが大剣を真横に薙ぐ。その一撃はユーベルコードによって昇華した極みの一撃――射程無限・直線上の全てを切断貫通する次元斬を放つ【|黒の剣《シュヴァルツ・シュヴェールト》】。
大剣を振るった軌道がそのまま次元を断つ境目となる。それに沿って脚部を切断されていくナイトゴーストたち。
(これで全て行動不能になってくれれば良いですが……)
大剣を肩に担ぐように構えなおすRファーストのコックピットの中で、土煙の中へ意識を集中する。見えるのはゆらぐ土煙……不自然に揺らぐそれは。
「まぁ、そう上手くはいかないでしょうね」
低空高速飛翔によるバックステップ。そしてさっきまでRファーストが立っていた位置へキャバリアライフルの弾丸が叩き込まれる。命中したならばエネルギー伝達が阻害されるパラライズバレット。その攻撃を迅速に回避しながら一時後退。しかる後に大きく踏み込むRファースト。
土煙が晴れると同時にナイトゴーストに肉薄していたRファーストは上段からの一閃で、ライフルを持つナイトゴーストの腕と片足を破壊切断していく。
紫苑の操縦によってRファーストが重厚ながらも素早く斬撃を放つ動きで以て、的確にナイトゴーストを行動不能へ追い込んでいく。
「申し訳ありませんが、ここで止めさせて頂きます」
コックピットを回避しながら、Rファーストの大剣が幾度も煌めき、ナイトゴーストの機体を切断していく。
全てを断ち切る黒の剣が、戦場を制圧していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『セラフィム・リッパー』
|
POW : 断罪の剣
【無敵斬艦刀】が命中した対象を切断する。
SPD : エンジェルビット
自身が装備する【BS-Fクリスタルビット】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : フォールンウイング
【光の翼】を向けた対象に、【プラズマビーム】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:棘ナツ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●灰の王冠視点
「くそっ! 何だ! 何が起こってるんだ!?」
自身のセラフィム・ヴィリディスのコックピットの中で、部隊を率いるカイルは混乱の極みにいた。
この作戦については、慎重に慎重を重ね、闇に闇を被せて、あらゆる目を、耳を、直感すら欺いて、『此処に至った』はずだ。
だからこそ、作戦を実行した結果、『失敗した』はあり得ても、作戦自体が失敗するなどあり得ない。それが『|灰の王冠《アッシュクラウン》』の共通認識だった。
だが、現実はどうだ?
謎の同士討ち。
どこからか襲撃をかぎつけて部隊を強襲した謎の敵。
(さっきまで……つい、30分ほど前まで何事も無かったというのに!?)
ヴィリディスにライフルを向けてくるナイトゴーストの腕を無敵斬艦刀で叩き切る。そのまま体当たりで吹っ飛ばし、動きを封じる。
そのナイトゴーストに乗っているのは、仲間だ。灰の王冠の仲間。
もちろん、灰の王冠のメンバー全てが高潔であるとは思っていない。様々な思惑が絡んでいるだろう、中には私利私欲の為に動いている者だっているはずだ――だがそんな事は承知の上で、戦力として組み込んだ。それだけの選抜は行った上での作戦だ。
そもそも『灰の王冠』は寄せ集めではあるが、『機天王朝セラフィオンの復興』という旗の元に『集まってきた』者たちだ。そして、カイルが率いる小規模ながらの軍でもある。『そちら』を向いていない者は排除する事ぐらいはやってきた。いまだ巧妙に隠れている者がいたとしても、こんな……作戦が『始まる前に大崩壊する』要素は無い。事実として、『無い』のだ。
――それが、人の思惑など意にも介さぬ、人智を越えた何かでない限り。
思考に振り回されそうになっている自身の頭を強引に振るって、余計な考えを追い出すカイル。
考えるべきは、『今をどう乗り越える』かだ。
「ちっ! このままではヴァルケインに気付かれる!」
自身に向かってくるナイトゴーストの脚部をぶった切って、行動不能にしつつ、カイルは回線を開いて全軍に通達する。
「全軍撤退だ! 動ける者はそのまま後退しろ! 機体から脱出した者は誰かに連れて行ってもらえ!」
苦渋の決断を下すカイル。
突然襲撃してきた謎の敵の目的はわからないが、人命まで奪うつもりは無いらしい。そのおかげで貴重なメンバーの命は救出されている事はカイルも認識している。
後は……いまだ行動している、味方を撃ってくるナイトゴーストとそのパイロット。
「くっ……こいつらは……こいつらは……!」
苦悩するカイル。何故か? ……それは彼らが元よりカイルについて来た、かつてからの部下だったからだ。だからこそ、『こんな事をするなんて』思えないし、『どうにか助けたい』とも考えてしまう。
その瞬間、だった。
『……セラフィオン……フカンゼン……』
声が聞こえた。それはカイルの頭の中に。
「なんだ……?」
困惑が声となって零れる。そんなカイルの混乱を無視して、声は続く。
『ワレラ……ナク……クサビ……メッシ……』
直後。
カイルのセラフィム・ヴィリディスが光の翼を開く。同時にクリスタルビットを展開させて……全周囲に向けて、全力の射撃を放つ!!!
「なっ?!」
カイルがコックピットが驚愕の叫びをあげる。
この挙動はカイルの操縦ではない。これがそうであるなら、先ほどまでの苦悩など無い。
ならば、何か……?
これこそが、もうひとつの『人の思惑など意にも介さぬ、人智を越えた何か』――オブリビオンマシン化。
『ワレラ……チョウキ……アレ!!』
まるで、ヴィリディスが意思を持ったかのように挙動し始める。
「くそっ!? ヴィリディスが……動かねぇ?!」
コックピットの中であらゆる操作を行ってみるが、まるで隔離されたかのようにセラフィム・ヴィリディスはカイルの意志を受け入れない。
「違う……勝手に動く!? 待て! あいつらは無事なんだ! 撃つな! 撃つなヴィリディス!!」
ヴィリディスの光の翼が向けられている先……それは先ほどの全力射撃で撃ち抜いたナイトゴーストたち。どうにか急所が外れて、中のパイロットたちが無事だとわかって。カイルがほっとした直後の出来事。
カイルの意思を無視して。
ヴィリディスが全力の射撃を再度、放つ。
●レムナント
セラフィム・ヴィリディスが最初の全力射撃を放つ直前。
「……!!」
灰の王冠の仲間を救出して回っていたレムナントが何かに気付く。……いや、それは『聞こえる筈の無い距離』で発せられた呟きであるはずだ。だが、それは鮮明にレムナントの耳に届く。同時に『何か』に気付いたレムナント。
「いかなきゃ……」
救出活動を中断して、レムナントのナイトゴーストがスラスターを噴射し始める。
「おい、レムナント!? どこへいく!!」
無事だった仲間が、下からレムナントに声をかける。それに対して、レムナントは迷いなく答えた。
「カイルさんのところへ!」
「バカ! お前のキャバリアは一番ボロボロだろうが!! 動くのが精いっぱいの機体だろ!?」
「それでも……いかなきゃ!!」
心配する仲間を振り切って、レムナントが駆ける。
(ボクが……いや、今は! ボクなら、ボクじゃなきゃ出来ない!)
真っ直ぐ、カイルの元へ突撃するレムナント。
●それは戦いの始まり
「撃つな! 撃つなヴィリディス!!」
カイルがコックピットで叫ぶ。だが、カイルの意思を無視して。
ヴィリディスが全力の射撃を再度、放つ。
「やめろー!!!!」
カイルの絶叫をかき消すくらいの轟音が迸り、セラフィムの光が半壊したナイトゴーストたちへ迫る。
その刹那。
その射線に割り込む影――ナイトゴースト。ナイトゴーストが身を盾にして、セラフィムの攻撃を一身に受ける。弾け飛ぶ腕部に脚部、ついで頭部。だが、どうにか胴体部は残って、膝をつきながらもナイトゴーストは健在だ。
「ぐ、ぅぅ……! でも、間に合った!」
中でパイロットであるレムナントが安堵の息をつく。ヴィリディスの攻撃に激しく機体を揺らされた事もあり、レムナント自体も頭から血を流しているが、健在だ。
「レムナントか! どうして……ドウシテ……? レムナント? れむなんと……れむなんとぉぉぉぉぉ!!!」
カイルもまた安堵の息をはいて……しかし、その瞬間。気の緩んだその瞬間。『囚われて』しまう。
「取り込まれた!? くっ、引き離すしか!」
片足を失った機体を無理やり起こす。スラスターを全開にして、その場から離脱すれば、カイルのセラフィム・ヴィリディスもまた、『レムナント』を追いかけてくる。
だが、そもそも整備不良の機体とカラーズの隊長機であるヴィリディスでは機体性能が違い過ぎる。
(くっ、追いつかれる。まだ、まだボクは……!)
そう強く思いながら、ナイトゴーストのスラスターを全開にする。……それでも、足りない。それどころか、推進剤をすべて失って、ナイトゴーストの機体が地面へ墜落した。慣性の法則で地面を滑っていくナイトゴーストの中でレムナントは迫る気配に身を縮こまらせる。
(やられる!?)
だが、その未来は訪れなかった。
ヴィリディスが急制動して反転する。その視線の先、ヴィリディスの後ろには、キャバリアが、猟兵たちのキャバリアが迫っていた。
オブリビオンマシン化したナイトゴーストの全てを行動不能にしてきた後、セラフィム・ヴィリディスを追いかけてきた猟兵たち。
その脅威を感じてか、セラフィム・ヴィリディスはまず猟兵たちを迎撃すべく、態勢を立て直す。
(彼らは、彼女らは……わかるのか?)
そんな事を思いながら、レムナントは気を失った。
●猟兵たちがやるべき事
灰の王冠の部隊のほぼ全てがオブリビオンマシン化していた。それ故に、また今後の憂いを断つべく。その場にいたナイトゴーストを全て破壊して行動不能にしていた分、少し遅れたようだ。
オブリビオンマシン化したセラフィム・ヴィリディスとの接敵。
その直前に猟兵たちは、グリモア猟兵の言葉を思い出す。
「問題は、隊長機のオブリビオンマシン化です」
隊長機であるゆえか、あるいは別の要因か。カイルのセラフィム・ヴィリディスがオブリビオンマシン化するのは一番最後になるだろう、とステラは言っていた。
「タイプとしては、セラフィム・リッパーの改修機ですね。1対多を得意とする機体で、BS-BサイレントヴォイスとBSプラズマグレネードを追加装備しているようです」
これがオブリビオンマシンと化して、猟兵たちに襲い掛かってくる。
しかもカイルはヴィリディスに取り込まれてしまうという。
「隊長機を破壊すれば、元に戻れる範囲ではあります。もちろんコックピットを貫けば死んじゃいますが」
なのでコックピットを狙うような事はしないでほしい。心配しなくても普通に攻撃を仕掛けていれば問題ない。
そしてパイロットの救出は灰の王冠の無事なメンバーが行うだろう。
だから、猟兵の皆は、セラフィム・ヴィリディスの撃破のみに注力してくれればいい。
「セラフィム・ヴィリディスは皆さんを優先して攻撃してきます。ですから、少し移動して敵を引き付ければ、巻き込む人もいなくなるでしょう」
問題なく全力で、セラフィム・ヴィリディスを撃破してほしい。
「よろしくお願いします。後のフォローの事は、戦いの後に考えてからで十分に間に合いますので」
ステラの言葉を思い出し、今の状況と照らし合わせる。情報に大きな差は無い。
あるとすれば、セラフィム・ヴィリディスを挟んで向こう側で倒れているナイトゴーストだが、それもこの場を移動すれば問題無いだろう。灰の王冠の他のメンバーも来やすいはずだ。
セラフィム・ヴィリディスを引き付けて場所を移動する猟兵たち。
それを追いかけて、セラフィム・ヴィリディスが飛翔し、背中の光の翼を開く。光条が幾条にも降り注ぐ中を、猟兵たちのキャバリアは回避しながら態勢を整える。
振り返れば、こちらに突撃してくるセラフィム・ヴィリディス。
周りを気にする必要はなくなった。後は……倒すのみ!!
※シナリオ補足※
セラフィム・ヴィリディスこと『セラフィム・リッパー』との戦いです。
追加武装(通常攻撃手段)が2点ほどありますが、普通にセラフィム・リッパーと戦うプレイングで大丈夫です。
場所は引き続き荒野。見晴らしは良いので、機動力勝負に充分持って行ける環境です。もちろん、足を止めて堅牢に戦ってもOK。
灰の王冠のメンバーは巻き込まれるような距離にいないので、全力で戦って大丈夫です。
それではよろしくお願いします!
荒珠・檬果
オレンジライト・スピードキャバリアに乗ったまま。
こういうとき、目立つ色かつスピードタイプにしていてよかったと思うんですよね。引きつけに最適。
よし、ここなら全力でいける!
白日珠はそのまま、キャバリアサイズの薙刀。
【三国よ、鼎立の根を張れ】で纏うは【鳳祖王『曹操』の風】で、強化するは機動力!
第六感プラスして、これでそのプラズマビームを回避していきましょう!
避けるばかりでなく、攻撃もするんですけど。
真っすぐに来るように見せかけて、攻撃直前に横にスライドして、からの薙ぎ払い…そして、石突きの方での突き!
●
戦いの舞台となる荒野に、セラフィム・ヴィリディスこと『セラフィム・リッパー』改修型の光の翼から、敵を貫く光条が空から降る。
「――!」
咄嗟に自身の愛機を、『オレンジライト・スピードキャバリア』を後退させる荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)。鮮やかな橙色の軌跡を残しながら檬果&オレンジライト・スピードキャバリアがヴィリディスからの光条を回避する。射程から外れるオレンジライト・スピードキャバリアを追って、ヴィリディスが突っ込んでくる。
(こういうとき、目立つ色かつスピードタイプにしていてよかったと思うんですよね)
引きつけに最適、とか思いながら、オレンジライト・スピードキャバリアの両脚を大地へ接地させる。後退の勢いを大地との摩擦で相殺しながら態勢を整えた檬果&オレンジライト・スピードキャバリアが周囲を確認する。
現状。オブリビオンマシン化したセラフィム・ヴィリディスが檬果&オレンジライト・スピードキャバリアを追いかけてきている。
攻撃に巻き込む周囲に人影はない。もちろんキャバリアもいない。レムナントからの引き離しにも成功した。現在地はヴァルケインの要塞からさらに遠く移動した。反応すら見せていなかった要塞から茶々を入れられる事は無いだろう。
「よし、ここなら全力でいける!」
檬果がコックピットの中でそう判断し、同時にオレンジライト・スピードキャバリアの手にキャバリアサイズの薙刀がうまれる。『白日珠』から形を変えたそれを両手で掴み、構えるオレンジライト・スピードキャバリア。
その間にもセラフィム・ヴィリディスが再び射程内にオレンジライト・スピードキャバリアを捉える。即座に光の翼を広げて、プラズマビームの乱舞を放ってくる。
今度は数歩だけバックステップ。最初のプラズマビームを回避しつつ、檬果が『将』を呼ぶ――【|三国よ、鼎立の根を張れ《アヤウイキンコウ》】によって纏うは、鳳祖王『曹操』の風――オレンジライト・スピードキャバリアの機体がふわり、と軽くなる。数歩下がって地に足をついたその瞬間。
風を纏ったオレンジライト・スピードキャバリアがプラズマビームの乱舞の中へ突撃する!
強化された機動力と檬果の第六感。これを組み合わせて、『見る前に』回避機動を取る。乱雑にランダムに地へ突き刺さるプラズマビームを、的確な動きで回避しながら前に出るオレンジライト・スピードキャバリア。
(避けるばかりでなく、攻撃もするんですけど)
一度に射出できるプラズマビームの条数に限りがあるのだろう。セラフィム・ヴィリディスへ近づくにつれて、光条の数が減っていく……抜けた!
『――!』
抜けてくるのは想定内だったのだろう。オレンジライト・スピードキャバリアの動きに合わせて、プラズマグレネードを投擲してくるセラフィム・ヴィリディス。
「残念ながら……!」
それは檬果の想定内でもある。突っ込むオレンジライト・スピードキャバリアと投擲されたプラズマグレネードの軌道が接触する……直前!
オレンジライト・スピードキャバリアが突撃の軌道を、速度を落とさず真横へ転じる。弾ける様にその場から離脱するオレンジライト・スピードキャバリア。それは逃げの軌道では無く、弧を描いてセラフィム・ヴィリディスへ向かう。
「たーっ!」
猛烈なGをどうにか乗りこなしながら、オレンジライト・スピードキャバリアが薙刀を横に構える。スピードを乗せた薙ぎ払いの一撃!
『――?!』
強襲された一撃を無敵斬艦刀で受け止めるセラフィム・ヴィリディス。ダメージは免れたが、動きが止まった……その一瞬を檬果は逃さない。
(ここで、こうする!)
薙刀の刃と無敵斬艦刀の刃が接触した一点を支点にして。機体の速度をうまく反転させる檬果&オレンジライト・スピードキャバリア。薙刀が無敵斬艦刀の下をかいくぐる様にしてすり抜けつつ、薙刀の前と後ろが入れ替わった
「――そこです!」
薙刀の石突きに機体の全力スピードを乗せて。
痛烈なる突きがセラフィム・ヴィリディスの左肩へ直撃する!
『?!』
セラフィム・ヴィリディスの装甲が弾け飛ぶ。左肩を抉り取る檬果&オレンジライト・スピードキャバリアの一撃が、セラフィム・ヴィリディスを吹っ飛ばすのであった。
大成功
🔵🔵🔵
シル・ウィンディア
セラフィムリッパーの改修機っていうけど、なんか別ものになっている気がするんだけどっ!特にサイレントヴォイスとか。
でも、機動力勝負なら、ブルー・リーゼも負けないよっ!
常に空中機動を行って空中戦を。
向こうも飛べるんだから大丈夫っ!!
左腕ビームランチャーとビームバルカンを連射しつつ牽制。
気を付けるのはプラズマグレネード。
投擲して来たら急速回避しつつビームランチャーとバルカンで撃ち抜くよ。
攻撃は、全砲門+リフレクタービットからの一斉発射っ!
砲撃系と思わせつつ…。
キャノン、ロングビームライフルの推力器も全開にして一気に接近っ!
ビームセイバーの間合いでエレメンタル・スラッシュ・バーストを!
悪意を切り裂く!
●
猟兵と邂逅したセラフィム・ヴィリディスこと『セラフィム・リッパー』改修型は、レムナントよりも猟兵たちを優先して攻撃を仕掛ける。
先制攻撃から応酬。だが猟兵の方が動きは上だ。強烈な一撃によって吹っ飛ばされたセラフィム・ヴィリディスが態勢を立て直そうとするが、左肩を損傷しているせいか、翼の動きが若干おかしい。そのまま地に叩きつけられるセラフィム・ヴィリディス。
「――チャンスっ」
青い空よりも青いキャバリアが空から飛来する。およそ通常のキャバリアでは不可能なピーキーな機動も『レゼール・ブルー・リーゼ』なら――シル・ウィンディア(青き流星の魔女・f03964)ならお手の物だ。強烈なGは『対G衝撃緩和キャバリアコックピット『グラビティ・ガード』』が吸収してくれる。
射程内まで飛び込んだブルー・リーゼが砲門を展開して、セラフィム・ヴィリディスへ追撃しようとしたその瞬間。
『――!』
セラフィム・ヴィリディスが光の翼を開く。同時に放たれるプラズマビームの乱舞。
「くっ……!」
的確に飛んできたプラズマビームをブルー・リーゼは不規則な空中機動で回避していく。後退、スロットルオフ、急上昇に横回転。空を交錯するように放たれた光条を鮮やかに回避しつつ、急降下で大地に着陸する。どうやら光条は地上までは追ってこない。
「ふーっ」
ひと息をつきながら、視線の先――大地に立ち上がったセラフィム・ヴィリディスを見据えて、シルは改めて思う。
(セラフィムリッパーの改修機っていうけど、なんか別ものになっている気がするんだけどっ!)
特にサイレントヴォイスとか。突進した時に放たれたらどうしたらいいのかこれ。
セラフィム・リッパーの高機動力を特化するのではなく、弱点の防御を強化した形。それは確かに運用の仕方も違う、新たな機体といってもいいのかもしれない。
でもベースはセラフィム・リッパー。つまり、高機動力と高い攻撃力で敵を蹴散らすタイプ。
だが、それなら。シルが操縦桿をしっかりと握る。
「でも、機動力勝負なら、ブルー・リーゼも負けないよっ!」
背中のウイングスラスター『アジュール・リュミエール』が展開して、光の粒子を放つ。ふわり、と大地より浮かび上がる様はさながら天使のごとく。
対して、セラフィム・ヴィリディスはエンジェルビットを周囲に展開する。丸い球が光の翼を以て、空を縦横無尽に飛び回る。
それを見て、ちらりと上を見るシル。気になるのは、暴走衛星『|殲禍炎剣《ホーリー・グレイル》』の存在。だが、目の前のセラフィム・ヴィリディスは低空ながら高軌道戦闘を行っているし、エンジェルビットもとんでもない速さで高速機動を繰り返している。
(向こうも飛べるんだから大丈夫っ!!)
シルの思いに応えて、ブルー・リーゼがスラスターを解き放つ。『常に空中機動を行って空中戦を』――それがシル&ブルー・リーゼの作戦だ!
空に上がろうとしたブルー・リーゼを追って、エンジェルビットが追撃する。軌道を追いかけるものと前に立ちふさがるもの。
(見えてるからっ!)
左腕のビームランチャー『ヴォレ・ブラースク』を展開、即座に連射。合わせて頭部のビームバルカン『エリソン・バール改』を放って、前方に展開しようとしていたエンジェルビットを蹴散らし、真っ直ぐ突き抜ける。爆風の中を飛翔しつつ、適当な当たりをつけて、振り返らず後方へビームランチャーを連射。適当な狙いながら雑に撃っているわけではない。エンジェルビットがブルー・リーゼの攻撃を警戒して、射程内に入れない。
爆風を突き抜けたその先。空で弧を描いて迫ろうとしたセラフィム・ヴィリディス……からのプラズマグレネード!
「……っ!!」
気付いたシルがブルー・リーゼを急制動! 一瞬の静止から急降下してプラズマグレネードの直撃軌道を避けつつ、プラズマグレネードが頭上に至る前に、ビームランチャーとビームバルカンでプラズマグレネードを撃ち抜く。
爆発するタイミングがわかれば対策のしようもある。強烈な爆風をやり過ごした後、余波が残る中を、真っ直ぐ上昇するシル&ブルー・リーゼ。
目標点で急制動&静止したと同時に、全砲門と|反射機構付き《リフレクター》ビット『プリューム』を展開する!
「いっけーーーーっっっ!!」
手に構えたロングビームライフル『エトワール・フィラント』も含めた全砲門とプリュームからの一斉射撃!! それが様々な光条がひとつの濁流となって、セラフィム・ヴィリディスへ迫る。
『――!』
咄嗟にセラフィム・ヴィリディスがサイレントヴォイスを展開する。指向性をもった音波が前面から迫るビーム兵器の乱舞と衝突してその威力をそぎ落としていく。さらに自身の前に呼び戻したエンジェルビットを盾にして攻撃を相殺していくセラフィム・ヴィリディス。激しい爆発がセラフィム・ヴィリディスの前で起こり、周囲を爆風と砂塵が覆っていく。
その時。空を切り裂く青い流星。それは砂塵に包まれたセラフィム・ヴィリディスでは。『地に堕ちた』天使では見る事が叶わなかったであろう。
腰のビームキャノンとロングビームライフルの推進機構も利用した、本気で全力の高速機動。それで以て、刹那の間にシル&ブルー・リーゼはセラフィム・ヴィリディスの背後へ回り込む!
爆風と砂塵が晴れた直後の、僅かな時間。セラフィム・ヴィリディスがブルー・リーゼを見失っていたその隙。
もう、今は。そこは。ブルー・リーゼのビームセイバー『エトワール・ブリヨント』の間合いだ!
「六芒星に集いし精霊達よ、我が身に宿りて悪しきものを斬り裂けっ!」
シルの詠唱に応じる様に、ビームセイバーの刃が、火水風土の四属性の精霊力で出来た光の刃となる。
「【エレメンタル・スラッシュ・バースト】!! その悪意を切り裂く!」
振り返った無防備なセラフィム・ヴィリディスへ、シル&ブルー・リーゼの【エレメンタル・スラッシュ・バースト】がクリティカルヒット! セラフィム・ヴィリディスの右腕を斬り飛ばすのであった。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
……思考しろ、そして、その躰に巣食うオブリビオンを!
回点号【操縦】『加速戦闘演算』人工魔眼の超【視力】を以て
クリスタルビットの軌道を捉え【瞬間思考力】で超戦闘演算を行う!
彼らの尊厳を穢すものをこそ、壊せ!!
【霊剣術】BX変形フォースサーベルから偽神霊物質製の刃を形成、
ダブルブレード変形【投擲】演算によってビットに次々と刃を当て、跳弾と同時に【捕食】
回点号メガスラスター【推力移動】騎兵刀でビットを数機破壊しながらヴィリディスへ斬り掛かる!
壊れろ!!セラフィム・ヴィリディス!!!
【フェイント】敵機が躱す、弾いた跳弾ダブルブレードを回点号の【シールドバッシュ】で敵機へ再跳弾!
偽神霊物質を叩き込む!!
●
セラフィム・ヴィリディス――『セラフィム・リッパー』改修型の右肘から先が宙を飛ぶ。猟兵の攻撃がそこまでに鋭く素早かった反動だ。
『――!』
自身の右腕を視認した瞬間、セラフィム・ヴィリディスはその場から大きく跳び退って距離を取る。まるで『ヒト』が脅威から咄嗟に退避するがごとく。
高機動型のセラフィム・リッパータイプが全力で退避すれば、敵機の間合いから逃げる事は、隙を突けばそう難しい事では無い――個対個ならば。だが、群体で以てひとつの|存在《猟兵》たる彼女らは、入れ替わり立ち替わり――結果として、常にセラフィム・ヴィリディスへ迫る。
『――!』
大きく後退した先に、キャバリア。『|回点号《クロムキャバリア》』――朱鷺透・小枝子(|亡国の戦塵《ジカクナキアクリョウ》・f29924)の愛機。
「……」
回天号のコックピットの中で小枝子は目を閉じていた。迫るセラフィム・ヴィリディスの『気配』はわかる。だから、焦りも無く、油断も無く――ただ。
瞳を見開いて、視据える! そして小枝子の猛りに応える様に回天号のカメラアイが強く灯る。
『――!!』
セラフィム・ヴィリディスもまた、新たな戦闘の気配を感じ取ったのだろう。素早く制止した後、大地を両足で掴む。
回天号と距離を取って向かい合い――掲げた右腕が、肘から先が無かった腕が、不気味な音とともに『生えていく』。
(……再生した?)
油断なく、ただの事実として小枝子はその現象を『確認』する。もちろん装甲は無い。だが、腕が生え、よく見たら左肩の抉れた機構も穴自体は塞がっている。黒い、何か人の筋肉の様な――それに小枝子は『見覚え』がある。
(まさか――いや、今は!)
小枝子が思考を巡らせる前に、セラフィム・ヴィリディスが光の翼を開く。迸るプラズマビームを素早く回避しつつ、小枝子は【|加速戦闘演算《バトル・アンサー》】を起動する!
――思考しろ、そして、その躰に巣食うオブリビオンを!
超戦闘演算能力で以て、|演算《シミュレート》する小枝子。それは実行キーが押されるのを待つコンピュータの様ではなく、視覚から得た情報を元に自然と脳裏で組み上げられていく、実質的な反応速度の上昇だ。
回天号が回避をしている間に、セラフィム・ヴィリディスがエンジェルビットを展開している。セラフィム・ヴィリディスの周囲を不規則に飛ぶエンジェルビットは見様によっては不安定で、逆を言えば何があっても小枝子&回点号を攻撃する、という意思に溢れている。
(だが、させない!)
回天号を突撃態勢にして突っ込む小枝子。その回天号を狙ってエンジェルビットが強襲してくる。その軌道、射線を小枝子の左瞳――人口魔眼が捉え、超戦闘演算能力が導く結果を、小枝子がトレースする。結果が提示される。
エンジェルビットからのレーザー射撃を回避しつつ、『変形フォースサーベル』をダブルブレードモードへ。直後、『偽神霊物質』製の刃が前後に生成されて、小枝子はエンジェルビットとのすれ違いざま、その刃を叩きつけて破壊する!
――彼らの尊厳を穢すものをこそ、壊せ!!
振り抜く態勢と次の射撃を回避する行動は『同じ』で、回天号が体を起こした瞬間には、ダブルブレードが投擲されている。横回転によって鋭い円状の刃と化したフォースサーベルがエンジェルビットの悉くを|捕食して《喰らって》いく。飛翔速度とエンジェルビットの抵抗力が均衡した瞬間、斬り裂く円は跳弾の動きで以て、一撃目を凌いだエンジェルビットへ飛び掛かる。
斬り裂く円の偽神霊物質の刃が通り過ぎた軌跡に残るものはなく、全てを喰らって道を開ける。
大きく、綺麗に空いた空間を、小枝子の回天号が駆ける。手に構えるのは『|亡国《戦塵》の騎兵刀《サーベル》』――破壊呪詛物質を秘めた、騎兵刀『群』。残ったエンジェルビットを騎兵刀で叩き落しながら、小枝子の回天号がセラフィム・ヴィリディスへ迫る。
ダブルブレードの斬り裂く円がセラフィム・ヴィリディスに弧を描いて迫る。それをセラフィム・ヴィリディスが弾き返したその隙へ、回天号が迫る!
『――!!』
しかし、セラフィム・ヴィリディスがサイレントヴォイスを起動する。叩きつけられる音はさながらセラフィム・ヴィリディスを守る壁と化して、回天号に立ちふさがる。
「……?!」
押し留められる愛機。だが、だがだがだがだが!!
「――壊せ、壊せ壊せ壊せ壊せ!!」
小枝子が猛る。その猛りによって回天号が突き進む。その音の壁を、装甲をやられながらも、その壁を回天号が突き破る!!
大きく振りかぶった騎兵刀。その動きをセラフィム・ヴィリディスは把握していて防御態勢――の瞬間、足元から跳弾してきたダブルブレードが直撃する!
『――?!』
体勢を崩すセラフィム・ヴィリディス。
「壊れろ!! セラフィム・ヴィリディス!!!」
騎兵刀を叩きつけた後、流れる様に回天号のシールドバッシュを叩き込む小枝子。その衝撃にセラフィム・ヴィリディスの機体が吹き飛ぶ。追撃する様にスラスターが光を放ち。
「これで! 終わりだぁぁぁ!!!!」
小枝子の叫びとともに、機体を喰らう偽神霊物質が再び叩き込まれたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
天宮・紫苑
アドリブ・連携:可
使用技能:騎乗、空中機動、騎乗突撃、曲芸騎乗、キャバリア突撃
オブリビオンマシン化も気になりますが、調査するにしても……。
「まずはリーダー機を止めないといけませんね」
止めるためには、攻撃力と機動力を削ぎましょう。
ということで、UCを発動して低空を飛行、そのまま突撃しましょう。
コックピットに当てないように気をつけつつ、脚部の破壊を狙います。
また、脚部だけではなく可能な限り武装も狙い、抵抗できないようにしていきます。
「このまま撃破します」
相手からの攻撃は徹底回避です。
UCで機動力も上がっているので、空中機動や曲芸騎乗などの様々な騎乗技術を駆使して、特に敵のUCは絶対に回避します。
●
それは呪いであり、オブリビオンを阻むものだった。
セラフィム・ヴィリディスこと『セラフィム・リッパー』改修型に叩き込まれた物質が、セラフィム・ヴィリディスの『再生』を阻む。いや、阻む傍から喰らっているのだ。徐々に蝕んでいく毒。『今』のセラフィム・ヴィリディスに効く、唯一の毒ともいえよう。
『――』
戦闘距離からどうにか離脱したセラフィム・ヴィリディスはその物質を排除しようとする。それは生物の本能のようで、本来、機械が持つものではない。
だからこそ、隙が出来る。
動きが止まっていたそこへ、飛来する機体――天宮・紫苑(人間の魔剣士・f35977)の『獅子剣神『Rファースト』』だ。
(オブリビオンマシン化も気になりますが、調査するにしても……)
紫苑の視界に飛び込んできた『奇妙な光景』もその気になる事に含まれただろうか。まるでキャバリアが人が刺さったナイフを取る動き。
でもそれよりも。
「まずはリーダー機を止めないといけませんね」
Rファーストが大剣を抜き放つ。
『――!』
Rファーストの接近に、セラフィム・ヴィリディスは的確に反応する。同時に、物質の排除を諦めて、光の翼を大きく展開。プラズマビームを叩きつけてくる。
「……っ!」
Rファーストのスラスターを噴射して突撃しようとしていた紫苑は、迫る光条を視認して即座に回避行動。雑に放たれたプラズマビームを軽やかに回避する。
光の翼に遠距離を制する攻撃手段。なかなかに厄介のようだ。
(止めるためには、攻撃力と機動力を削ぎましょう)
紫苑がRファーストのコックピットの中で、大きく息を吸い込んで、一気に吐き出す。瞬間、発動させるユーベルコードは【|黒の剣《シュヴァルツ・シュヴェールト》】――Rファーストのスラスターが激しく推進剤を放って、空へ、空を|翔《か》ける!
低空で飛翔するRファースト。
その突撃に対して、セラフィム・ヴィリディスがプラズマグレネードを投擲してくる。
「――!」
グレネードが炸裂する前に、Rファーストを大きく真横に機動。同時に速度を上げて突っ込む。グレネードの炸裂をやり過ごして、その隙にセラフィム・ヴィリディスへ肉薄したRファーストが大剣を叩きつける。
『――!』
それを無敵斬艦刀で受け止めるセラフィム・ヴィリディス。Rファーストが飛翔の速度と勢いで以て押し込むが、大地を両足で掴んだセラフィム・ヴィリディスが押し返してくる。
「……なら!」
その勢いをすかす様に空中機動。Rファーストの上体を後ろに倒して、脚部を前へ。無理なく機体を回転させたRファーストがその爪先でセラフィム・ヴィリディスを蹴り飛ばす!
『――!?』
吹っ飛ばされるセラフィム・ヴィリディス。態勢を立て直そうとして前面に隙が出来る。
「そこです!」
対して蹴り抜いた勢いすらも利用して、地を蹴ったRファーストが大剣を構えて突っ込む。間合いに入ると同時に大剣を真横に一閃する!
『――?!』
前に出ていた左足が斬り飛ばされる。態勢を崩したセラフィム・ヴィリディスが一瞬止まって。
『――!』
慌てた様に光の翼を展開して放つ光の放射によって態勢を立て直す。
(……今の間は……何かをしようとして出来なかった?)
思考は走らせながらも、攻撃の手は緩めない。止まっていたなら迫るだけだ。
傾きかけた機体が光の翼の噴射によって起き上がる、その瞬間へ大剣を叩きつける。次の切っ先は無敵斬艦刀を握る右手へ。手首から先を無敵斬艦刀ごと斬り飛ばした紫苑&Rファーストがさらに踏み込む。
「このまま撃破します」
大剣を振り抜いた勢いをそのまま弧を描く軌道に乗せて。振り回される訳では無く、振り回す。そうすればすべての攻撃の余波すらも次の攻撃の強化へと繋がる。剣撃のコンボによって大剣が縦横無尽に軌跡を描き、その都度、セラフィム・ヴィリディスの武装が斬り裂かれる。
サイレントヴォイスの発射口、光の翼の片翼、そして、頭部。視界を失ったのだろう、セラフィム・ヴィリディスの動きが一気に鈍る。
「――!!」
その隙を紫苑が逃すはずもない。
真っ直ぐ。【黒の剣】が迸る!!
紫苑&Rファーストが放つ大剣の軌跡上の全てを切断貫通する次元斬が、セラフィム・ヴィリディスの機体を一刀両断するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
イングリット・イングラム
オブリビオンと化してまだわずかな時間しか経っていない
それなのにもう搭乗者が飲み込まれている
あの機体はそれだけ強い干渉力、侵食力を有しているのでしょう
決してここから逃がすわけにはいきません
また、私達を相手するために空へと逃げ、
殲禍炎剣に討たれるようなことがあってもいけません
法力により敵を逃がさないための多重結界を構築します
音波攻撃の範囲攻撃は法剣で斬り、法衣で余波の威力を低減
斬艦刀の軌道や間合いを見切り、躱しつつ接近します
まずは斬艦刀を持つ腕の斬り落としを狙いましょう
もし、こちらがコクピットを狙わないことを認識しているようなら好都合
それを逆手に取り、コクピットに掌や剣先を当てUCを放ちます
●
猟兵が駆るキャバリアによる猛攻撃。武装を斬り飛ばしてからの次元断の連携攻撃に、セラフィム・ヴィリディスこと『セラフィム・リッパー』改修型は成す術もなく、その機体を胴から真っ二つにされる。再生はその前に撃ち込まれた『楔』によって妨害されている。つまり、回復する手段は無く、セラフィム・ヴィリディスは左足、右手、そして右の翼に胴体を切断され……そこまで斬り離されてなお、セラフィム・ヴィリディスは動く気配を見せる。
『――クサビ――メッシ――ワレラ』
残った光の翼の片翼とスラスター、全部を使って姿勢制御。左手で無敵斬艦刀のみを回収して持ち、迫るキャバリア――イングリット・イングラム(法剣士・f35779)が駆る『ユニコーンキャバリア』へ苦し紛れのプラズマビームを放つ。
「――!」
その攻撃を、機体に標準装備されているスラスター噴射で滑るように回避する。
(オブリビオンと化してまだわずかな時間しか経っていない――)
態勢を立て直しつつ、イングリットの思考は眼前のオブリビオンマシンへ。
(それなのにもう搭乗者が飲み込まれている……あの機体はそれだけ強い干渉力、侵食力を有しているのでしょう)
それがイングリットの導き出した答え。ならば、やる事もひとつ。
ユニコーンキャバリアが法剣を構える。
「決してここから逃がすわけにはいきません」
騎士のように構えた法剣の切っ先から法力が展開される。
(私達を相手するために空へと逃げ、殲禍炎剣に討たれるようなことがあってもいけません)
法力による多重結界――これによってセラフィム・ヴィリディスを閉じ込める。
『――!』
閉じ込められた事を認識したのだろう、セラフィム・ヴィリディスがサイレントヴォイスを放ってくる。
「……!」
迫る音波を法剣で叩き切るユニコーンキャバリア。残った余波は纏っている法衣によって低減する。
攻撃をしのいだイングリット&ユニコーンキャバリアがセラフィム・ヴィリディスへ一気に迫る!
(まずは斬艦刀を持つ腕の斬り落としを――)
ろくな態勢――損壊の大きい機体では振るう支点を作る事すらできないだろう、ただ無敵斬艦刀の大きさと鋭さを以てぶん回すだけの攻撃。それをかいくぐる様に回避しながら、ユニコーンキャバリアの法剣が煌めく。
「……! そこです!」
一閃。セラフィム・ヴィリディスの左腕が斬り飛ばされる。
『――!』
近接攻撃の手段を封じられたからか、残った光の翼の片翼からプラズマビームを発射しながら後退するセラフィム・ヴィリディス。
音波攻撃を行うにもグレネードを投げつけるにも距離と態勢が整っていない。今、セラフィム・ヴィリディスに取れる行動は後退のみ――だが、機体の前面が、両腕を失った機体では敵と相対している面ががら空きになっている。
(――好機)
ユニコーンキャバリアを突撃させる。機体の駆動もスラスターから噴射される推進剤の量も、何もかもがユニコーンキャバリアの方が上。ならば追いつくのは必然。
コックピットがあるであろう部位にユニコーンキャバリアの掌が押し当てられる。
直後、放たれるユーベルコードは【抹消】――オブリビオンを抹消する力で以て命中した箇所を破壊するユーベルコード。今回で言えば……コックピットを浸食するオブリビオンマシンの影響を破壊する――。
セラフィム・ヴィリディスの動きが鈍る。そこへユニコーンキャバリアの法剣を突き立てる!
『――ガ……オノ、レ』
そんな『言葉』を残して。セラフィム・ヴィリディスが崩壊していく。パーツごとに砕けて地面に転がるセラフィム・ヴィリディス。その一部、コックピットが地面に堕ちた衝撃でハッチを解放する。中に座っていたパイロット――カイルは無事そうだ。
「終わりましたか」
イングリットがそう告げて。
荒野における、セラフィム・ヴィリディス――『セラフィム・リッパー』改修型との戦いは猟兵たちの勝利で終わったのである。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『インターミッション』
|
POW : 基地やバザーで、キャバリア用の補給物資を手に入れよう
SPD : 格納庫に佇む、戦いで傷ついたキャバリアの修理をしよう
WIZ : 次の戦いに備えて、キャバリアを強化改造しよう
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●戦地にて
戦闘が終わる。突如として、世界に音が戻ってきた感覚が辺りを包み、この周辺で動いているのは『生きている』人と、猟兵たちのキャバリアのみ。
そう。隣国ヴァルケインの要塞を目指して進軍していた『|灰の王冠《アッシュクラウン》』の軍は壊滅した。
周囲を確認する猟兵たち。どうやら無事だった灰の王冠のメンバーがこちらに向かっているようだ。
『まずはオブリビオンマシンと化したキャバリアの撃破を』『後のフォローの事は、戦いの後に考えてからで十分に間に合いますので』――グリモア猟兵の予知に添えられた言葉に従って、猟兵たちはこの場から撤退――否、誘われるように眼前に現れたグリモアの光の中へ飛び込んでいく。
その時、大破したコックピットの中で、レムナントが目を覚ました。
「う……終わった……? あの、光は?」
ふらつく頭でゆっくりとかぶりを振りながら、カメラが映し出すモニターには一点に収束して消えていく謎の光。
「――」
レムナントの胸中に『何か』がよぎる。……が。
「レムナント!! 無事か!!」
灰の王冠のメンバーたちが駆け付けてくる。それはキャバリアに乗っていなかった従軍メンバー。灰の王冠軍が戦闘をしている間に、要塞へ秘密裏に乗り込む工作兵たちがトラックに乗ってレムナントを回収しに来たのだ。
「無事だ! でもこのキャバリアは……」
「大丈夫……っていっていいのかどうかわからんが、その機体がマシに見えるくらい、他の機体はやられてる。全機放置して撤退するぞ」
数機ならば、とキャバリアを運搬できるトレーラーも用意してきた。だが、ここまで破壊されては回収して修復するより、新しいキャバリアを調達した方がいい程だ。
それに持ち帰っている最中に見つかれば――言い逃れが効かない。
素早くこの場を撤退する。それが灰の王冠の判断だった。
レムナントを荷台に乗せて、トラックが元来た道へ戻ろうと疾走する。
荷台で激しく揺られながら、レムナントが問いかける。
「カイルさんは?」
「向こうだ。ヴィリディスが細切れになって落ちているって話だ。でも、無事、らしい……」
そこまで聞いて……レムナントがはっとした表情で問いかける。
「……人的被害は?」
「――ゼロだ。もちろんケガはしてるが、死んだ奴はいねぇ」
忌々しい、という顔で答えてくるメンバー。
「くそっ。なんだったんだアイツら……! オレたちの邪魔しやがって……」
そんな怨嗟の言葉が響く中。レムナントが空を見上げる。
(彼らは……彼女らは……おそらく……)
誰にも告げない想いが虚空へと溶けていく……。
キャバリアを放置、パイロットを全員回収して、灰の王冠のメンバーは撤退。
無事に拠点へ戻り、そこから本来の隠れ家たる秘密基地へと後退していったのである。
●グリモアベース
「皆様、お疲れ様でした。無事のお帰りを嬉しく存じます」
グリモアベースでステラが猟兵たちを迎え入れる。
グリモアの予知から発生した依頼、『オブリビオンマシンの破壊』はこれで完了だ。
ステラの言葉に、解放感から吐息をはく猟兵たち。その猟兵たちに、ステラが少しだけ、申し訳なさげに声をかける。
「ここからは完全なるプライベートなお願いなのですが……『灰の王冠』の秘密基地へ物資を届けに行ってもらえませんか?」
『え?』という声と共に猟兵たちが振り返る。
「商人は口が堅いのが重要でして。今回は例外ですよ?」
対して、ステラは微苦笑しながら説明する。
ステラの生業――クロムキャバリアにおける仕事は行商人である。主に、小国家から小国家を渡り歩いて物資を仕入れ、売りさばいていく。|用命《オーダー》があれば何でも運ぶ、何でも屋。とはいってもクロムキャバリアの倫理観を以てして、人の道にもとる行為はしてないが。
そんなステラを利用する……社会の裏に潜んでいる灰の王冠には都合が良かったのだろう。またステラもセラフィオンの調査の為に現地を何度か訪れている。邂逅は必然だったのかもしれない。
「程なく、定期便である物資を届けるタイミングなのです。今回はけが人もいるでしょうし、医療物資も入っていますので、こちらを届けて頂きたくて」
そこまで言うステラに、猟兵たちはもっと首を傾げる。『自分で運べばいいではないか?』と。
それに対して、ステラは困ったように首を振った。
「グリモア猟兵は、自身のグリモアで見た『内容』にタッチできませんので」
それは鉄則。未来を『変質』させない為の暗黙のルールだ。
「皆様とレムナント様の邂逅――そこまでがグリモアが導いた予知。私はまだ、入り込む事は出来ません」
だが、現実問題として、現地は定期便を求めている。まだ、『現地』で『猟兵』と『レムナント』が『会っていない』なら、きっとグリモアの予知が示しているのは、この物資便なのだろう。
「既に準備は整っているのです。運搬用の車もお貸ししますので問題はありません」
秘密基地近くに用意してある車でそのまま移動してもらえば事は済む。
「デバンニング(中の物資を運び出す事)は人手と時間さえかければ、灰の王冠のメンバーだけで事足りるのですが……」
今回はけが人もいる為、人手が少ないかもしれない。
手伝う必要があるだろうか? それは猟兵たちの判断に任せる。
「もうひとつ。コンテナごと置いてくる、という手もあります。……が、その場合はキャバリアが必要になります」
貸してもらう……事は不可能だろう。
「皆さんがご自身のキャバリアを使えば、きっと『襲撃してきた者たち』とバレるでしょう」
そうなった時に、灰の王冠のメンバーの『反応』が変わるのは必至だ。
「ですが、『だからこそ』聞ける内容もあるかもしれません」
感情が高ぶった状態だからこそ。
あるいは、知っている存在だからこそ。
出てくる言葉もある。
「あと、一度レムナント様にお会いした事がある人は注意してください。レムナント様『には』バレます」
とはいってもバレたところで何かが起こる事もないようだ。
「どうやらレムナント様も灰の王冠の構成員……というよりは食客みたいな感じのようで」
事を荒立てるつもりは一切無いようだ。それほど……灰の王冠に愛着がないのかもしれない。
そこまで説明してから、ステラが改めて猟兵たちに向き直る。
「此処からは正真正銘、『私』からの依頼です。依頼に乗ってくださる方だけで大丈夫です。もちろん報酬はお支払いしますのでご安心を」
そう言って、ステラがグリモアを取り出す。
今度は先導して、クロムキャバリアのとある地まで移動する。グリモアの光を抜けて出た先はクロムキャバリア。
「セラフィオンの領地跡地の一角です。ここからだと近いので」
そう言ってステラが左手首を触る。直後、発動するユーベルコード【ステラ'sコンテナ】――次元を隔てる扉が開き、中にはステラがユーベルコードで創り上げた格納庫がある。
「あれです。『タベルナ・タタリクス』――私の移動店舗を兼ねた、コンテナトレーラーです」
本来はステラの居住区域もあるのだが、それは外してあるので、貸出部分はお店と、秘密基地に運び込む物資のコンテナだけ。もちろん、先頭にはそれらを引っ張るトラクターヘッドがある。
「あ、そんなに暴れ馬ではないので、誰でも運転できると思いますよ」
キャバリアに乗れたら大丈夫、な設計らしい。簡単オートマ設定。
「秘密基地はここから北上した――荒野の中で崩落した大穴の中にあります」
水脈の関係か、派手に地面がへこんでいるらしい。その中にキャバリアなどを隠しつつ、灰の王冠は潜伏している。
だが、こんな荒野のど真ん中……誰か通ったら一発でバレるのでは?
そんな問いに、ステラは微苦笑する。
「誰か通れば……確かにそうです。しかし、滅んだ国の、街も資源もない荒野を誰が通ると?」
それなら所有者のいなくなったプラントを押さえに行く方がよっぽど経済的だ。それがわかっているからこそ、灰の王冠はこの場所を選んだ。セラフィオンの民だからこそ、人が消えた国の、一番『今の自分たちに優位な場所』がわかったのだろう。
「昔は街を繋ぐ主要道路があったそうですよ。それを取り戻すのも……彼らの目的なのでしょう」
タベルナ・タタリクスのエンジンをかける。駆動音は良好。これなら問題なく、秘密基地へ到達できるだろう。
【ステラ'sコンテナ】から外に出てから、ステラは運転席を猟兵へと譲る。
「すみません。私は此処までです。後は、よろしくお願いします」
そう言って。
猟兵たちを見送るのであった。
●
そろそろ、灰の王冠の秘密基地が見えてくる頃合い。
望遠鏡で覗いても何も見えない。いや、陥没してるかもという大地は見えるが、その周辺、または穴の中に怪しいものは確認できない。
きっと、周囲からの視線も計算して、身を潜めているのだろう。
タベルナ・タタリクスはいつも物資便で使っている車だ。この車とステラのサインがあれば、初対面の猟兵とて、物資を運ぶ役割は充分にこなせる。
問題はそこではなく、『猟兵』として灰の王冠の者と会うかどうか、そして、レムナントと会話をするかどうか、だ。
正体を明かさず、物資の搬入やけが人の治療を行う事も出来る。それはそれで感謝されるし、世間話くらいは出来るだろう。代わりに、踏み込んだ話は出来ない。
正体を明かして乗り込めば、物資は受け取ってもらえるが、それ以上は会おうとしている人による。人によっては会話にもならないだろうし、もしくは向こうから話をしたいという者がいるかもしれない。憎悪を乗り越える事さえできれば、彼ら彼女らもまたこちらが知りたい事を教えてくれるかもしれない。
後は、レムナントと話す。
レムナントは、今回では無く、先の遺跡の戦いで助けてくれた人たちの顔を覚えている。その者たちなら顔を合わせた瞬間、知己であると言ってくれるだろう。ただ、レムナント自体に監視がついているので、踏み込んだ話はしづらいかもしれないが。
いずれにしても、『この際だから、聞きたい事を聞いてみる』チャンスではある。
どのように動くのが、自分の願いなのか。その心のままに動いてもらって構わない。
ステラからの依頼は『物資を送り届ける』――それだけなのだから。
※シナリオ補足※
戦い終わって束の間の、あるいは次の戦いへ備えるための休息。
灰の王冠は戦いをやめないでしょう、セラフィオンを取り戻さない限り。
この章で出来る事は、『物資を送り届ける』『けが人の治療をする』『灰の王冠のメンバーと話をする』『レムナントと話をする』がメインとなります。他にもキャバリアの修繕とか基地の居住性をあげるとかありますが、その辺はご自由に。
POW/SPD/WIZの選択肢は参考程度で大丈夫です。無視しても可。
秘密基地の中には人工的な建物はなく、テントあるいはプレハブやコンテナといったものを利用して、人の居住空間としています。大地に固定した物体は目立つ上に取り回しが大変なため。これは彼らの原則となっています。
ちなみに、秘密基地の位置ですが、マジで人が通る事はありません。理由としては、『此処に至るまでの道が悪すぎる』『用がなければこないが、その用が本当に無い』。空から見たら一発じゃん、という意見については、現在セラフィオンの元領地は戦いの最中にある事が理由となります。ヴァルケインを含めた周辺国がセラフィオンの元領地を得ようと武力で浸食していっているわけですが、そんな中を空を飛んでいけば敵に攻撃の理由を与えてしまう為、自分たちの不利になるようなことはしません。なら気づかれない様に低空をゆっくり飛ぶ……ならば、灰の王冠が気づくので撃ち落としています。そりゃ攻撃届くんだから落としますよ。
というわけで、見つかる可能性はあるものの低い、という箇所になります。
正体を明かす明かさないは自由なタイミングで行えます。最初は黙っておいて、カイルに会ったら正体を告げる、なんて行動も可。
また、自分のカミングアウトは、他の猟兵には一切影響しないものとします。
正体を現さない=ステラの手伝いの身分でいくならば、灰の王冠は友好的な態度で受け入れてくれます。物資の搬入やけが人の治療といったパブリックエリアで行える作業は携わせてくれるでしょう。ただし、機密にあたるキャバリアには触れませんし、セラフィオンについてはステラが知っている以上の事は教えてくれないでしょう。
正体を現す=今回の作戦を潰した一因である、と告げるならば、反応は人によって変わります。一番拒絶感が強いのが、①拠点や秘密基地に残っていたメンバー。次に、②トラックなどで従軍していた工作兵。最後が③直接攻撃されたパイロットたち(カイル含む)
①の人には取り付く島もありません。②は会話には応じてくれますが、信用してもらうには時間が足りないでしょう。③の人はいる場所まで乗り込む事が出来れば、会話も成立しますし、ある程度の回答をしてくれます。また場合によってはキャバリアの修繕を手伝ったりも出来るかも。
これは拒絶の強いメンバー程、現地を見ておらず、失敗したという結果が到底信じられるものではない為。現地にいてオブリビオンマシン化に巻き込まれた人間ほど、猟兵に協力的です。
レムナントは、前回参加者は問答無用で顔バレし、今回からの参加者は自分から身バレしない限り気付きません。が、気付いたところでレムナント自体は何もアクションをしないので、特に問題ありません。逆に前回参加者は、救出の事でお礼を言ってもらえるかもしれませんが……レムナントは食客に近く、今回の作戦からの参加なので終始監視がついています。キャバリアにも近づけない上、話も全部監視に聞かれるのでその点はご注意を。
とまぁ、何をしていいんだ? 何をやればいいんだ? 的な章ですが、やる事が無くて困ったら、けが人の治療か、カイルを見つけて話をしましょう。それが一番簡単に『成果』を得られます。
とはいっても、ここで灰の王冠ととことんこじれても、今後のシナリオ展開には一切影響しない事はお伝えしておきます。
レムナントはいずれにしてもイグニス奪還作戦の間だけ居るつもりだったようで、この後灰の王冠を脱退しますので。
それでは、よろしくお願いします!
荒珠・檬果
…よし、物資運んで怪我人治しますが!
ええまあ、『物資を運んでほしいと頼まれて来てみたら、怪我人がいたので治療技術の心得がある私が手を貸した』っていう感じですね。
念のため、UCで作った不思議発明品も積み込んでました。選択したのは『回復液』で、出来た発明品から出てくる精製液体を塗るか浸した布を巻けば、回復の後押しをする、と。
急激すぎるのも身体に負担がいくので、その負担少なめ…でも、早く回復できる塩梅なんですよ。
で、あとは布の上から乾燥防止のために包帯とかも巻いていきますか。
●
グリモア猟兵からの依頼。『灰の王冠』へと物資を届けて欲しい。
それは個人的な依頼でもあり、グリモアが導いた予知でもある。
グリモア猟兵から預かった車が程なくして、灰の王冠の秘密基地へ到着する。荒廃した大地の中、陥没した穴の中に築いた拠点は、長居や居住を目的とした設計にはなっておらず、ただ隠れ、手札を整える為の拠点だ。
「お、普段のねーちゃんとは違うのか?」
「ええ。今日は頼まれてきました」
灰の王冠メンバーの問いかけに、荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)はそう言って、荷主のサインが入った伝票を見せる。
「……ん、良し。いつも通り、ってか、医療品も多いな。助かる……けが人が多くてな」
「それはまた……あ、私、治療技術の心得ありますけども」
独り言ちたメンバーの言葉に、さりげなく乗っかっていく檬果。
『物資を運んでほしいと頼まれて来てみたら、怪我人がいたので治療技術の心得がある私が手を貸した』というのが檬果の今日のストーリーだ。
「ほんとか? そうしてもらえたなら助かるが……雇い主が怒るんじゃないか?」
「ええまあ。許可ももらってますし」
どちらかというと、雇い主がお任せした形だが、何の問題もないのでスルーする。
「……よし、物資運んで怪我人治しますか!」
そんな感じで、檬果さんがコンテナから荷物を降ろし始める。量がそこそこあるので、全部と言わず、まずは医療品から。
その中にこっそり檬果がユーベルコード【|不老長寿の薬は至らずとも《ハツメイヒンヤカイリョウヒンテンコモリ》】によって作った不思議発明品も含まれている。
「それは?」
「不思議な発明品、ですね」
「はい?」
問われた檬果がそのまま答えたら、案の定、きょとんとした顔になった。
「いや、不思議なのは構造とかで効果は安定ですから。ここから出てくる精製液体を塗るか浸した布を巻けば、回復の後押ししまして……」
精製液体をボウルに満たして、その中に包帯を漬け込む檬果。絞ってすこししっとりした状態のガーゼを、負傷兵の傷へ押し当ててテープで固定する。
見た目は劇的な変化はない。だがそれにも理由がある。
「急激すぎる回復も身体に負担がいくので、これならその負担少なめ……でも、早く回復できる塩梅なんですよ」
「ほうほう。まぁ一朝一夕で治るものじゃねぇ。悪くならなきゃ、なんでも使ってくれ」
「わかりました!」
そう言って、改めて負傷兵の方を向く檬果。
「あとは布の上から乾燥防止のために包帯とかも巻いていきますか」
そういいながら、手際よく包帯を巻いていく。
「よし、これで」
「悪いな。なんか楽になった気がするよ。ありがとう」
「それはよかった」
そう言って立ち上がろうとする檬果に、負傷兵は他のケガをしたメンバーにも手当てをして欲しいと頼む。
「まだ……まだ、死ねないんだ俺ら。故郷を取り戻すまでは」
そう呟く負傷兵の声は深刻にして切望の響きを含んでいる。
「いつか、取り戻せる日が来ますよ」
檬果が告げる。それはお世辞ではなくて、唐突に降ってきた――さながらグリモアの予知の如く。
「そうなるさ。そうするんだ、俺たちが」
そう言って笑う負傷兵はどこまで希望に溢れている。
成功
🔵🔵🔴
天宮・紫苑
アドリブ・連携:可
目的は、輸送と調査。
「解決に繋げたいですね」
カイルさん達に話を聞きたいです。
とはいえ、作戦失敗の直後ですし、正攻法での接近は難しいかもしれません。
なので、こっそり近づきましょう。
「突然ですみませんが、少し話をさせて頂きたい」
荷物を輸送し手続きが済んだら、拠点内を散策します。
人目につかない場所で姿隠しのためUC使用、カイルさん達を探します。
カイルさん達を見つけたら声を掛けさせていただきましょう。
まず自分が大剣装備の黒いキャバリア乗りであることを伝えます。
そして、オブリビオンマシン化の時に何があったのかを質問します。
今回や前回の問題に繋がる何かがわかると良いのですが……。
●
『灰の王冠』の秘密基地へ物資を届けに。
そんなグリモア猟兵からの依頼を受けて、預かったトレーラーと一緒に秘密基地へ入り込んだ天宮・紫苑(人間の魔剣士・f35977)は荷物の搬出を手伝っていた。普段が普段なので、性別や仕事っぷりで何かを言われることもなく、先に入った猟兵によって手続きも万全なので怪しまれる事もない。
「助かったよ。今回はちょっと動ける人が少なくてさ」
「いえ、仕事ですので」
灰の王冠のメンバーとそんな会話を交わしながら、自身の担当分を終わらせた紫苑。
(さて……)
『物資』に関しては終わった。後は……。
「カイルさん達に話を聞きたいです」
思わず呟く紫苑。その声をメンバーが拾い上げる。
「なんだ? カイルさん知ってるのか? 両足折れてて大変だけど、逆にやる事ないから、最近はあっちの区画によくいるぜ?」
「え、あ、はい」
メンバーが教えてくれる。今の紫苑は『物資搬入』をしてくれた『敵でも味方でもない』存在。むしろ物資の定期便を考えれば少々の便宜を図るべき人物である。
「歩いて回る程度はいつもの人もやってるから大丈夫だろうけど」
ダメって言われた所には近づかないようにな、と念を押されて。
紫苑は基地内の散策を許可されたのである。
「うーん、少し拍子抜けですが」
てくてく、と歩きながら紫苑が呟く。『作戦失敗の直後』であるから、『正攻法での接近』は難しい、と手段を用意していたのだが、不要らしい。それもそうか、物資は灰の王冠にとっての生命線なのだから。
だがカイルに話す内容は、大勢の前ですべきか、といえば、おそらくノー。タイミングを見て、『当時のパイロット』だけのシチュエーションで話しかけるしかない。
「解決に繋げたいですね」
程なくしてカイルを見つける。ちょうど自身のスペースに戻るところなのか、一人の様だ。そこへ紫苑が歩み寄って、驚かせない距離で声をかける。
「突然ですみませんが、少し話をさせて頂きたい」
「……君は?」
「物資を運んできた隊のひとり、ですが……」
警戒するカイルに敵意が無い事を示しながら紫苑が近づく。
「大剣装備の黒いキャバリア乗りです」
「……!?」
囁く声が届く距離。遠巻きにしている者には決して聞こえていないだろうカミングアウト。
再び距離を取って紫苑がカイルに向き直る。その表情を見る……と、とても複雑な表情をしている……けれども。
「……わかった。俺のスペースで話そう」
そう言って、自身のスペースに戻っていくカイルについて、紫苑もまた移動していく。どうやら、灰の王冠の部隊を率いるカイルのスペースはある程度の遮蔽性を持っているらしい。
だが見張りが数人。
「大丈夫だ。そいつらもこの前の戦いに出ていた。何なら交代で話を聞くか?」
紫苑の視線にカイルが苦笑する。
「そうですね。出来れば」
紫苑の言葉に、見張りを一人残して、部下たちもまた中へ。
「まず最初に。変な事はしないでくれ。今のあんたを見ていると、俺らへの恨みつらみで邪魔した訳じゃないことはわかるが……それでも俺たちはあれだけ入念に準備した作戦を邪魔された」
カイルの言葉を紫苑はじっと聞き入る。
「だが、その一方で……たぶん此処にいる誰もが感じた事だが……あのままじゃ『ヤバかった』のも事実だ。その点は感謝する。これは『命を助けてくれた礼』だ」
そう言って肩を竦めるカイル。
「だから、『話をする』にはお互い大人しくしている事が絶対条件だ。いいな?」
「もちろん。本当に話を聞きたいだけなので」
カイルの確認に首肯する紫苑。
「で、何が聞きたい?」
「『あの時』、何があったのかを」
「『!!!!』」
紫苑の言葉に、その場にいた全員に緊張が走る。地雷を踏み抜いた、とかではない。誰もが、あの瞬間を思い出さない様にしていたのだろう。だが、紫苑が悪意で以て問うている訳では無い事は火を見るよりも明らか。
カイルが大きく深呼吸してから……話し出す。
「正直言って、原因はわからんからな? あの時の状況だ。ヴィリディスとナイトゴーストでの違いは、後でそいつらにも聞いて、自分で判断してくれ」
そう、前置きしてカイルから話し出す。
「『俺から』の視点だ。センサー含めて後ろが騒がしいと気づいて振り返ったら、既に小隊は大混乱に陥っていた。仲間からの攻撃で、だ」
「そこで作戦遂行が不可能と判断して、全軍撤退の命令を出した。そこまでは普通に小隊長の仕事が出来ていたよ。でもその後だ」
「キャバリアから、ヴィリディスから声が聞こえたんだ。何かを恨む様な、邪魔に思うような、そんな……」
「直後だ。ヴィリディスが勝手に動き出した。いや、誰かに乗っ取られた? そんな動きをし始めた」
「味方も撃ったし、何より『何か』を探す様に移動しようとしたところで、レムナントのナイトゴーストが射線に割り込んできたんだ。それで、そいつらのナイトゴーストが無事だった」
「レムナントに呼びかけた、時。俺は『どうしてお前が此処に?』って聞こうとしたんだ。でも急に『自分の中』からどす黒い何かに浸食される感覚が広がって……すまん、後はほとんど覚えていない」
そういってかぶりを振るカイル。
「覚えている事は、キャバリア……あんたの黒いキャバリア含めて何かと戦っていた事と、その間も『自分の中から響く声』に突き動かされていた感覚、かな」
「そうですか。……他の方は」
カイルの話を聞き終えて、紫苑が話を部下の人達へ振る。
「いやー、こっちはそんな余裕なく、急に意識がブラックアウトした感じです」
「だな。他の、オレたちの部下にあたる奴らの機体がフレンドリーファイアし始めたから、それを止めようと反転したところで、オレも一緒」
「タイミングは微妙に違うけど、ほぼ同時期に『飲み込まれた』感じかな」
「飲み込まれた?」
不思議な表現に紫苑が首を傾げる。
「うん。そうなんだ。『足元から見えない何かに飲み込まれた』感じ。キャバリアは……もしかしたら隊長のヴィリディスみたいな事は無かったのかもしれない」
「だなぁ。現に操縦ログ見ても普通に乗ってたもんな。俺らのナイトゴースト」
「そう、ですか……」
あの戦いに参加していたヴィリディスとナイトゴースト、それぞれのパイロットの話。外の見張りの人も交代してもらって話してみたが、ナイトゴーストは同じ状況だったようだ。
「……」
話を聞いて、情報を纏めようと思考を巡らせる紫苑。
「役には立てたかい?」
カイルが声をかける。その声は、最初と違って何か『楽になった』感覚。知らずと胸の内に溜め込んでいたモノが解放されたのかもしれない。
「まだ『解決』した訳では無いですけれど。はい、とても助かりました」
「そうか。それは良かった。今度は邪魔しないでくれよ」
「そう、願いたいですね。私も皆さんを邪魔したい訳では無いので……」
微苦笑する紫苑に釣られてカイル達もまた微苦笑する。
カイルのスペースを後にして。
物資を運んできたトレーラーまで歩きながら紫苑が思考を巡らせている。
(今回や前回の問題に繋がる何かがわかると良い、と思ったのですが……)
どうやら、キャバリア側からは『道筋』が見えない。あるとすれば、隊長機クラスのキャバリアが『しゃべった』くらいだろうか。前回のエヴォルグもそうだった。
(……他の方の情報も待ちましょう)
そう結論付けて。
紫苑は待機場所にいるトレーラーへと戻っていったのである。
成功
🔵🔵🔴
シル・ウィンディア
補給物資搬入だね。
食料品、医療品、水、それぞれの場所に搬入っと。
荷物搬入後はチェックリストで確認をして、残荷がないかも確認だね。
パイロットたちの所に行って、エレメンタルドライブ・ネレイドを使用。
さっきの戦闘は大変だったね。
あ、大丈夫。何をするわけじゃないから。
さっきの戦闘、キャバリアに変なことはなかった?
何かにとりつかれた感じとかあったら教えて?
そういうのを退治するのがメインだから。
国を取り戻すとかはあなた達の好きにすればいいよ。
干渉するつもりはないし。
そう意味でキャバリアを調べさせてほしいな。
細工するつもりはないよ?
特にメリットないしね。
調査してオブリビオンマシンの気配がないかを確認だね。
●
『灰の王冠】の秘密基地への物資運搬。
それは戦いともオブリビオンマシンとも関係なく。
生きようとする者が生きる為に正しく行われた取引である。
その手伝いというならば、猟兵たちもまた気軽に判断できる。従うのは自身の心のみでいい。
シル・ウィンディア(青き流星の魔女・f03964)もまた自身の判断と心で搬入を手伝ってくれている猟兵のひとり。
「えっと、これは食料品……」
「それはあっちだ」
「次は水、かな? おも……」
「こっちだ。半分持とう」
「医療品!」
「あー! こっちこっち! よろしく!」
灰の王冠のメンバーと一緒に補給物資を搬入していくシル。
「後はチェックリストで確認をして……」
荷主から預かっていたチェックリストを手に、コンテナの中を確認。
「――よし、残荷ないね。オッケー」
しゅっ、と最後のチェックを入れて完了だ。
浮かべていた笑顔をより一層明るくして、コンテナから出るシル。
「これで終わりです!」
「こっちの依頼リストとも合致してる! ありがとう!」
距離があるので若干大きな声でやり取りして。
シルがコンテナの扉を閉めて、灰の王冠のメンバーのところまで歩いてくる。
「ちょっとお願いがあって」
「ん? 何だい?」
シルがメンバーを見上げて告げる。
「ケガした人の治療させてもらえませんか?」
「あんたに? そりゃ拒む理由もないが……」
しかし、ここにいるメンバーではその判断の可否も下せないようだ。上官に指示を仰ぎに行ったのだろう。メンバーが基地の中へと駆けていく。
「良いってさ」
「じゃあ、遠慮なく」
案内されてパイロットたちが療養しているテントの中へと足を踏み入れるシル。
中は、ケガをしたパイロットたちでひしめきあっていた。先ほど搬入した医療品や医薬品で追加の手当てをされている者もいる。
その様子を入り口から見て、シルは胸の前で手を組み――紡ぐ。
「水の精霊よ……我が身に宿りて、癒しの力となれっ!」
シルの力ある言葉に集うは水の精霊。その力を宿したシルの指先から、テントの中全体を包み込むような優しい流れの水流が舞う。【エレメンタルドライブ・ネレイド】――水の精霊の力を借りた治癒の力がこの場を包み込む。
「これは……」
「痛みがひいていく……?」
水の幻影のようなものが体を包むごとに、痛みがひき、ケガが塞がっていく。さすがに骨折のような大きなけがは完全に元通りとはいかないけれど。外傷そのものは消えていった。
「よし、これで大丈夫かな?」
ふぅ、と息ひとつはいて、シルが水の精霊を還す。人々の視線の先にいるのは、いつもの笑顔の少女だけだ。
「助かった、ありがとう」
パイロットの誰かがそう告げて、シルは笑顔を返す。そして、告げるのだ。
「この前の戦闘は大変だったね」
と。
「『――!!』」
その言葉に、パイロットたちは気付く。『何故この少女は「戦いが在った」事を知っているのか』と。そしてその中でも勘のいい者は、思い至る――先のシルが使った力が、自分たちのナイトゴーストを撃ち抜いた、実弾ともビームとも違う、不思議な弾丸に似ていた事を。
ぴりっ、とした緊張感がテントの中に満ちる。
「あ、大丈夫。何をするわけじゃないから」
対して、シルはからっとした笑顔でパイロットたちの警戒を否定した。
「何かするつもりなら、治療なんてしないよ」
「……言われてみれば、それもそうか」
「じゃあ何でわざわざ正体言うような事をしたんだ?」
至極最もな質問が飛んできて、思わずシルは微苦笑する。確かに、言われてみれば回りくどかったかも。でも必要な回り道だった。
だから、今度は直球で。
「聞きたい事があって。この前の戦闘、キャバリアに変なことはなかった?」
「『……!!』」
シルの質問に、一同が一様に息を飲み込む。それを見て、シルは確認する。何かあった、と。
「何かにとりつかれた感じとか……あったら教えて?」
「とりつかれた……いや、あの感覚は『飲み込まれた』……?」
「そう。突然意識がブラックアウトした感じだよ」
話を聞いていくシル。
この場にいる大勢が言うには、『普通に乗っていたら、突然意識がブラックアウトした。その後は覚えていない』というものだった。
「まるで、大きな魚に一口で飲み込まれたみたいだったよ」
「キャバリアにおかしいところは?」
「いや、無かったはずだ。置いて来たから証明も難しいけど」
言い淀みながらもそこまでは教えてくれる。……が、そこからはまだ警戒が強い。逆に問われる。
「ってか、そんなこと聞いてどうするんだ?」
「ん? 実は――そういうのを退治するのがメインだから」
「そう、なのか……?」
「そう。だから、国を取り戻すとかはあなた達の好きにすればいいよ。干渉するつもりはないし」
さばさばっとした口調でそう言うシル。それは事実で、そしてパイロットたちにとっては青天の霹靂ともいえる事であっただろう。自分たちの妨害をした少女の主張。
しかし、パイロットのひとりが、納得した様に頷いて言葉にする。
「貴女も誰かに雇われた傭兵ってところですか?」
「そんな感じだねー」
その言葉があまりにも腑に落ちたのだろう。パイロットたちの口が途端に軽くなる。シルへの警戒を必要以上にしなくなったのだ。
「操縦ログ、抜ける奴は抜いて来たんじゃなかったか?」
「あと、キャバリアは無理だけど、パーツは拾えるやつ拾ってきたって言ってたぞ工作班」
「状況的に仕方なかったとはいえ、全然普通に撤退できる機体も捨ててきたんだよなー惜しい……」
そんな話が出てきた時、誰かがシルに『傭兵』を問うたパイロットへ話しかける。
「そういや、お前のナイトゴースト、無事だったんじゃないのか?」
「いやあ、纏めてやられたよ。確か……『区別が付かない、いつうんたら』って言われてばっさりと」
「あ、あははは……」
その話を聞いて、シルが苦笑する。確かに、どれがオブリビオンマシン化するかわからない以上、そうするしかないって猟兵の事情はわかるのだが。
しかし、その時気付く。
「ん? 待って。あなたは『無事』だったの?」
「そうだよ。機体がやられたから退避しただけで、皆みたいな事にはなってなかったね」
その時にケガしたから負傷兵だけど、と苦笑いするパイロット。
「……あなた、灰の王冠のメンバーなの?」
「失礼な……と言いたいところだけど、生粋のメンバーじゃないね」
あはは、と笑ってパイロットが告げる。
「俺は貴女と一緒で傭兵なんだ。灰の王冠に雇われた、ね」
「傭兵……」
呟くシルをよそに、他のパイロットたちが口々に言う。
「そんなこと言うなよ。お前も立派なメンバーだろ?」
「てか、機体整備も出来るパイロットが貴重過ぎてもう手放せん」
「生まれは違えど、セラフィオンを取り戻すまではともに行こうって誓ったろ?」
そんな事を和やかに言い合うパイロットたちをよそに、シルがその『言葉』を拾い上げる。
「生まれが……違う?」
「うん? そうだよ。俺は隣国のクロノヴァ出身なんだ」
パイロットの言葉に、シルが顔を上げる。
「他に、セラフィオンの出身じゃない人いる?」
聞けば、数人いるらしい。だが、この場にはおらず、キャバリアの整備をしているらしい。
元気になったクロノヴァ出身のパイロットを伴って、キャバリアの整備場まで移動するシル。
同じことを聞けば、同じことが返ってくる。
これが原因かどうかはわからない。しかし、事実としては『セラフィオン出身じゃないパイロットの機体はオブリビオンマシン化していない』――。
あとはキャバリア側……。
「ねえ。キャバリアを調べさせてほしいな」
「……何する気だ?」
あからさまに警戒されたが、シルは気にしない。
「細工するつもりはないよ? 特にメリットないしね」
これが純然たる事実だ。シルの目的からすればこの通りでしかなく、そうである事は先の点との会話で判明している。クロノヴァ出身のパイロットもフォローしてくれた。
「何を調べるんだ?」
「皆の『意識がブラックアウト』した原因。何か見つかるといいんだけど……」
そういって、(そうはいっても)監視の元、シルが拠点に残っていたキャバリアを調べていく。特に不審な点はなく、またオブリビオンマシンの気配も一切無い。
「そういえば、操縦ログがあるの?」
「そんなに多くは無いぞ?」
そう言って、オブリビオンマシン化したナイトゴーストの操縦ログを見せてもらう。
「これって……」
シルがキーボードを叩きながら、言葉を失う。その結果に、だ。
機体に異常はない。パイロットの操縦通りに動いていただけだ。
(でも、あの戦場で戦ったキャバリアには確かにオブリビオンマシンの気配があった……)
だから、シルもブルー・リーゼを駆ってナイトゴーストと戦ったのだ。
(え? どういうこと? そんなの……)
シルの脳裏によぎる可能性――それは。
パイロットが、オブリビオンマシン化した?
(そんな事なんて……あるの?)
シルのその疑問に……まだ、答えは無い。
成功
🔵🔵🔴
朱鷺透・小枝子
・物資運搬
揺『対応ありがとうね!奏者に代わってお礼を言うよ!』
先の戦闘で彼らに声をかけてますので、
会話は揺籃の子守唄に任せます。理由ははぐらかします。
このご時世、誤魔化しはできましょう
『そうだ、見ての通り奏者は駆け出し演奏者でね!一曲弾かせてもらってもいいかな!?
おひねりの要求なんてしないからさ!』
【言いくるめ】で演奏許可を得、【楽器演奏】『陽月光』発動。
【催眠術】狂気に負けぬよう、ひと時、彼らの心に安らぎを。
それとなく再生治癒もします。
演奏を聴いてもらいたい、を理由にカイル殿に接触、
密かに身分を明かし、超機帝国、ダークカラーズと言った覚えがないか聞きます。
後ちゃんと演奏治癒も聞いて頂きます。
●
失われた国、『機天王朝セラフィオン』――その復興を目指す『灰の王冠』はセラフィオンの生き残りで構成されている。とはいっても100%では無いけれど。
それ故に、『国を取り戻す』――セラフィオン復興にかける熱意はとても高くて熱い。グリモアの予知……すなわち世界の危機に対して介入したとはいえ、『何も知らない』――先の猟兵との戦いですら見ていない、灰の王冠メンバーにとって、作戦を妨害した猟兵たちは不倶戴天の仇となりえるだろう。
「そいつはこっちに運んでくれ!」
朱鷺透・小枝子(|亡国の戦塵《ジカクナキアクリョウ》・f29924)がまずは『正体を隠して』、|商隊《キャラバン》の一員として動くのも理にかなっている。
灰の王冠のメンバーの指示に従って、荷物を降ろし、搬入していく小枝子。
「よし、これで終わりだ。今、搬入のチェックをしてるから待っててくれ」
「……」
そういうメンバーにこくりと頷きを返して、コンテナの方を見れば、同じ車で来た猟兵のひとりが手を振っている。どうやらチェックは問題なかったらしい。
「完了だな。助かったよ、お嬢ちゃん」
だいぶ年上の男が小枝子にそう告げれば。
『対応ありがとうね! 奏者に代わってお礼を言うよ!』
その声は、小枝子の持っているバイオリンから。『|揺籃の子守唄《クレイドル・ララバイ》』――小枝子の戦闘・演奏用の陽気なサポートAIが搭載された魔楽機である。
先の戦闘では敵対時に声をかけている。不用意な発覚はデメリットしか生まないだろう。それを防ぐには『声を出さない』――シンプルで強固なガード方法だ。
(このご時世、誤魔化しはできましょう)
素性を隠して活動するなんてざらにある。ならば、信用を得る要素は別にあるということだ。例えば『騙さない』事、例えば『腕が立つ』事。
そういう条件を満たすのならば、会話を『揺籃の子守唄』が対応しても、不信感など抱かれるはずもない。
「今時、AIに喋らせるって……喋れないのか?」
「――」
男の言葉に、あいまいに微笑む小枝子。その儚げな笑顔に、男も追及をやめる。
『そうだ、見ての通り奏者は駆け出し演奏者でね! 一曲弾かせてもらってもいいかな!?
おひねりの要求なんてしないからさ!』
「ん? そういう事なら問題ないと思うけど、ちょっと上に確認してくるよ」
そう言って男が走っていく。しばし待つ事数分。男が戻ってくる。
「良いってさ。あっちは別の人が行ってるっぽいから、こっちにきてくれって」
男の案内で小枝子と『揺籃の子守唄』が移動した先は、パイロットたちが療養しているテントの中。どうやらいくつもこういったテントがあるらしい。
「テントの許容量超えてるんだよな。まぁ死ぬようなケガの奴はいないから、安心してすし詰めするんだが」
苦笑しながらそう言って、小枝子を中へ案内してくれた。ついで、小枝子が慰労の演奏をしてくれることを周知すれば、その場にいるパイロット達の、様々な思惑を乗せた視線が小枝子に集中する。
「……」
動じることなく、バイオリンを構える小枝子。
『いくよー』
と『揺籃の子守唄』が告げれば、バイオリンから音色が響く。
確かに『揺籃の子守唄』が言うように、小枝子の演奏はまだ駆け出し演奏者といったレベルの演奏かもしれない。それでも込められた想いは音色を響かせていく。
【|陽月光《ヘリオスフェガリ》】と名付けられた音楽は、テントの中に満ちていく。
(狂気に負けぬよう、ひと時、彼らの心に安らぎを)
それは催眠術を応用した意識付け。小枝子から、皆へのエール。
小枝子の想いを乗せて、音色が響く、流れる、揺蕩う。
それとなく、再生治癒もしておいて、それもちょっと認識誤認させて誤魔化しておいたりおかなかったり。
「――」
一曲を終えて、ふぅ、とひと息つけば。
直後、沸き起こるは喝采。小枝子を称える拍手。先の様々な視線は既に無く、ひとつの『感謝』という想いだけが拍手に乗って響き、返ってくる。
ひと仕事終えて、テントの中を改めて見てみる小枝子。
(カイル殿……はいないか)
明らかに兵士だけが集められているようだ。それを察してか、『揺籃の子守唄』が話し出す。
『隊長さん、ありがとー!』
「いや、隊長いないよ?」
『揺籃の子守唄』の言葉に、パイロットのひとりがツッコむ。
『え? そうなの? 隊長さんにも聞いてもらいたいなー。大変だったんでしょ?』
「あー、なるほど」
流れるような言いくるめ作戦。『揺籃の子守唄』の提案に、周りもすっかり納得する。それに体調も『何故か』良くなっているようだし?
それらを受けて、カイルのテントに案内される小枝子と『揺籃の子守唄』。作戦立案、あるいは機密。そういったものを含めて、別テントになっているのがカイル。
演奏を気に入ってくれたのか、案内の男がカイルのテントまで連れていってくれる。
「体の調子が良くなる演奏? なんだそりゃ……?」
とか言いながら、まぁ休憩も必要か、とカイルが手招き、それに応じるように小枝子がテントの中へ入っていく。
入れ違いで案内の男が出ていったところで――小枝子が口を開く。
「実は、カイル殿に聞きたい事があるのであります」
「……! その声……」
聞き覚えがある、というよりは、記憶に引っかかっていたのだろう、あるいはその記憶に対して『どうして?』『なぜ?』という自問自答を繰り返していたからかもしれない。
カイルが小枝子の正体に気付き……手で『待った』と制する。
「……!?」
その仕草に小枝子が身構える……が、それは杞憂に終わる。
「いや、拒否じゃない。ちょっと心を整理させてくれ。あんたで二人目だから、まだ気持ちに余裕はあるけどな」
そう言いつつ、深呼吸を繰り返すカイル。
「おい、お前らも入ってこい。また『お客さん』だ」
「えーまたー」
「言う事一緒じゃないですかオレらー」
そう言って3人が入ってくる。
「俺の腹心だよ。裏切りもないし、情報は多い方がいいんだろ?」
普段は外で監視役をしている部下を中に招き入れてくれたらしい。
「あ、無いと思うが、変な事はしないでくれ。今のあんた、いや、あんたらを見ていると、俺らへの恨みつらみで作戦を邪魔した訳じゃないって理解してるが、それはそれ、これはこれだ」
カイルの言葉に、こくり頷きを返す小枝子。
「そして、これはさっきの子にも言ったが……此処にいる誰もが感じた事だ。あのままじゃ『ヤバかった』。その点は感謝する。これは『命を助けてくれた礼』だ」
「ありがとうございます。感謝であります」
深く一礼をして、小枝子が話し出す。
「超機帝国、ダークカラーズ、と言った言葉に、聞き覚えは?」
小枝子の言葉に、その場にいる全員が一様に息を飲み込み。そして告げた。
「『なんだそりゃ』」
全員が全員口を揃えて、綺麗にハモって言った。それはもう清々しい程に覚えがないってわかった。
「全然聞いた事ないわー」
「どこから出てきた言葉なんです??」
そんな言葉が飛び交う中、カイルが苦笑しながら告げる。
「まぁ、カラーズはセラフィオンの正式軍の名称だ。俺のヴィリディスは『緑』、ルベルは『赤』、変わったところだとプルプレウス、『紫』。大隊の冠に『色』がついているから、カラーズ。簡単だろ?」
そして、隊長機はそれぞれセラフィムの名を戴く。つまり、セラフィム・ヴィリディスやセラフィム・ルベルといった機体が隊を率いるのだ。
「そのカラーズのダーク版? ってことか?」
「流行りのくすみカラーってやつですか?」
「誰が作るんだそんな隊」
カイルの言葉に、部下たちがやいのやいの言うが、クリティカルな内容は何も出てこない。本当に覚えがないようだ。
「そうでありますか……」
「悪いな、力になれなくて」
気落ちする小枝子に、カイルが申し訳なさそうに声をかける。……が、ふと思いついたように言葉を漏らした。
「しかしまぁ、超機帝国って、なんだそりゃって感じだな」
カイルが嘆息をつきながらそう言う。その言葉に首を傾げる小枝子を見て、カイルが笑う。
「いや、『機械を超えて』何になるんだ? 人か? 神か? あれか、セラフィム・ルミナを超えるってか?」
「……言われてみれば」
あの、小枝子が『邂逅』した『喋るキャバリア』は何だったのだろう? というか、AIが話すならまだしも、あれは『肉声』だった。何がどうなれば……キャバリアが喋るというのだ?
自身の思考に陥っていく小枝子。悩んだままのポーズで固まっていたらカイルから声をかけられた。
「で? 演奏は嘘なのか?」
「あ、失礼しました。嘘ではありません。今からご覧いれましょう」
『まーちーくーたーびーれーたー』
バイオリンを構えると、じっと待っていたであろう『揺籃の子守唄』が声を上げる。
そして、再び『陽月光』が響き渡る。ゆっくりとした演奏治癒、再生治癒も添えて、カイル達の士気を少し、向上させるのであった。
「お粗末でありました」
「いやいや」
「良い腕してるよ。自信もって」
「いいねーやっぱり音楽は良いなぁ」
様々な言葉が飛び交うが、否定的な言葉は無く。
小枝子が笑みを浮かべて応える。
その時。
「何やら楽しい音が聞こえてきたけど? って、君は……」
不意に聞こえる声は後ろから。咄嗟に振り返ってしまった小枝子の視界に入ってくるのはレムナント。カイルに会いに来たのだろう。
「……!!」
偶然の遭遇に『しまった』と顔を隠そうとするが、間に合わない。……声音からしてバレた。
「レムナント? 知り合いか?」
カイルが不思議そうにレムナントに問いかける。
「いや。知ってる顔だな、と思ったけど、違う人だったようだ。他人の空似ってやつ?」
そう言って、すたすたと小枝子の横を通り抜けていく。
「これ、セラフィム・ヴィリディスのフィードバックデータ。今度の機体に取り込んだら、多少楽になるかも」
「おいおい……よく引っ張ってきたな? っていうか、また暴れ出したら、俺はやだぞ?」
「変なデータは入ってなかった。しっかり確認済だよ。大丈夫大丈夫」
「そうか、ならいいけどよ」
そう言ってレムナントからメモリーを受け取るカイル。
「――機体は、ね」
「……? なんか言ったか?」
レムナントの呟きは、複雑な心境からか受け取ったメモリーに集中していたカイルには届かなったようだ。
踵を返して戻ろうとするレムナントが、また小枝子の横を通る……その時。
「君は、君達は……アレの区別が、つくのかい?」
「……?!」
誰にも聞こえない様な、小さな小さな声で、レムナントが小枝子に問いかけてくる。
驚きながらも小枝子は身じろぎせず、やり過ごす。やり過ごしてから振り返る。視界にレムナントが入ってきた。
「また会う事があれば」
そう言って、レムナントは去っていった。
「いつもよくわからん奴だが、腕は良いんだよなぁ」
「それはキャバリアの操縦? それとも整備っすか?」
「どっちもだよ」
賑やかになってきたテントの中。
その中を小枝子が一礼して、退室しようとする。
「今度は邪魔しないでくれよ」
「自分もそうあって欲しいと願っております」
そんな言葉を交わして。
小枝子はトレーラーまで戻っていく。聞いた話を頭の中で整理しながら。
成功
🔵🔵🔴
イングリット・イングラム
◎
治癒や浄化は全てが終わった後に――
その言葉を違えるつもりはありません
トレーラーの中でUCを発現
基地を結界で包み、負傷者の治癒と浄化を行います
ある程度の治癒と浄化を終えたなら、結界を解除
後は個別対応が必要と思われる方を当たります
特にセラフィム・ヴィリディスの搭乗者は、強い精神汚染を受けている筈です
自分に法術が使えることを伝え、施術を申し出ましょう
上層の方々には自分の正体を明かします
訊かれたことには、猟兵としての自分の認識の範囲で正直に答えます
自分自身や部隊に何が起きたのか、100年以上戦乱が続くこの世界で何が起きているのか
これからのためにも皆さんにはそれらを知る権利と義務がある筈です
●
『灰の王冠』の秘密基地へ定期便である物資を届ける。
グリモア猟兵からの依頼はつつがなく終了し、あとは猟兵たちの自由時間となっている。目立たない時間まで待ってから帰路につくのだ。
そんな中、イングリット・イングラム(法剣士・f35779)は、物資を運んできたトレーラーの移動店舗の中にいた。
戦いの際に告げた言葉――治癒や浄化は全てが終わった後に――。
(その言葉を違えるつもりはありません)
その想いとともにユーベルコードを発動する。『法力』という、どこにでもは無いが、世界のどこかにはある能力の効果を、猟兵のユーベルコード級に高める【強化】――それによって、秘密基地を密かに包み、その中にいる負傷者の治癒と浄化を行うイングリット。
祈るように手を組み、基地の隅々まで法力を巡らせていく。治癒力の向上とオブリビオンマシン化による汚染の浄化。
それが隅々まで行き届いたのを感じて、イングリットは法力の結界を解く。
(後は……)
個別に対応が必要と思われる人々への対応だろうか。
(特にセラフィム・ヴィリディスの搭乗者は、強い精神汚染を受けている筈です)
コンテナから降りて、イングリットが基地の中を進む。
「……?」
微かな違和感。しかし、それが何か……が判明する前に、基地内を巡回していたカイルに会う。
「もう此処まで来ると、怪奇現象にしか思えねぇよ」
とか言いながら。
松葉杖をつきながら歩いていたカイルが、まだ痛みが少々残る程度まで回復した。こんな事は『異常』だ。だから何があったのか、と基地内を巡回していたのだ。
そりゃ、猟兵が4~5人、ユーベルコードで回復していけばそうなる。悪い事では無い。ただ、『理解の出来ない話』は怖いものだ。それに対する反発行動というところか。
そんなカイルの前にイングリットが進み出る。
「これは……本日3度目のパターン」
「ついにカイル隊長に……!」
「何にも起こらねぇよ!!」
引き連れていた部下たちを一喝して、カイルがイングリットに向き直る。そして掌を見せて、押し留める様な態勢。
「だいだいわかった。この前の戦いの『関係者』、だな?」
カイルの言葉に頷きを返すイングリット。
「わかった、テントまで戻ろう。此処では話すに適さない」
そう言って踵を返すカイルと部下たちについていくイングリット。
程なくして案内されたテントはカイル専用の、ある意味、秘密を守る為の領域だ。
「此処なら他の奴らを刺激しない」
そう言って定位置に座ったカイルがイングリットへ告げる。
「そいつらも一緒だが、構わないよな? 俺の腹心だ。裏切りも無い」
と告げて。ひと息あけて、カイルが話し出す。
「他の子らにも言ったが、変な事はしないでくれ。あんたらを見ていたら、俺らへの恨みつらみで作戦を邪魔した訳じゃないって事は理解してる」
カイルの言葉を静かに聞くイングリット。
「だが、直接危害を加えられたその限りじゃない。これは覚えておいてくれ」
「わかりました」
首肯で以て応えるイングリット。
「そして、これまでの子らにも言ったが……此処にいる誰もが感じた事だ。あのままじゃ『ヤバかった』。助けてくれた点は感謝する。この応対は『命を助けてくれた礼』だ」
何かあるなら、聞きたい事があるなら言ってくれ、とカイルが告げれば、イングリットが間髪を入れずに申し出る。
「私は法術が使えます。治療の施術をしても構いませんか?」
「あー……もう十分元気なんだけどなぁ……これもあんたらの仕業って事か」
足の骨折れてたんだけどなぁ、とか呟くカイル。それが普通に歩けていたのだから、もう治療とか要らないと思っても仕方ない。
しかし、イングリットの目的は『治癒』だけではない。
「では念の為」
「まぁ、そこまで言うなら」
カイルが手を差し出す。その手をイングリットが両手で包み込み、法力を展開する。
(――)
カイルの体の中を走査するように調べていくイングリット。やがて、彼の中にオブリビオンに近しい『種』のようなものがある事を突き止める。
(やはり、強い汚染を受けていましたか……ならば)
握った手を通じて、浄化の力を乗せた法力を流し込むイングリット。
その時だった。
「ぐっ……?! がはっ!?」
「……?!」
直後、カイルが血を吐いて倒れ込む。慌てて手を離すイングリット。
「おい、あんた!」
和やかな雰囲気を保っていた部下たちが銃を構えて銃口をイングリットに突き付ける。
「ま、待て……」
それを制止したのはカイルだった。
「しかし隊長!!」
「落ち着け。彼女の仲間が言っていたんだろう? 我々を殺すことに『特にメリットはない』と」
「「!!」」
それは他の猟兵が告げた言葉。そして事実の言葉。それが報告としてカイルに上がってきていたのだ。
「よくわからんが、何かを倒す役目を負っているんだろう?」
「……はい」
ようやく冷静を取り戻したイングリットがカイルに応える。その言葉を聞いて、納得したカイルが手を差し出す。
「この傷だけ治してくれ。さすがにこのままでは人前に出れん」
カイルに言われるがままに治癒の力だけを流し込む。それによってカイルの体が『正常』に戻る。……悪魔の『種』を残した状態が『正常』なのだと。
だが、それはあまりにも『異常』な話だ。だからイングリットはこのまま引き下がらない。
「少し、調べるだけいいでしょうか? 先の力は使いません」
「……調べるだけだぞ?」
了承を得て、イングリットが法力を走査させる。流れる法力がカイルの体の隅々までを確認して……そして判明する。
(これは……心臓と『種』が一体化している)
これにより、種を排除しようとした際に、心臓へ負荷がかかったのだ。
「ありがとうございます」
「もういいのか?」
そう言って手を離すイングリットに、カイルが問いかける。その言葉を聞いて……イングリットはもう一歩だけ踏み込む事にした。
「他の方も調べさせていただいても?」
「俺は構わんぞ。あとは本人に聞いてくれ」
そう言ってカイルが微苦笑する。
イングリットが振り返るとカイルの部下が3人。内、一人は銃口は降ろしたものの、いまだ銃を握っている。
「妙なことをしたら……」
「やめろって」
カイルの制止があって、どうにか調査だけは終わる。
その結果は……。
(……皆さん、同じ?)
全員が同じ結果。心臓と『種』が一体化している。
此処に至って、イングリットは悟る。
この事件は――浄化といった普段は功を奏する手段が、全く役に立たないのだ、と。
『種』の秘密を解明しない限り、根本的な解決は望めない、とも。
浄化は成せなかったが、情報は得た。
それを持って、イングリットもまたトレーラーに戻っていく。
後は、猟兵たちで情報を共有するだけだ。
●エピローグ
各々の自由時間を終えて、|商隊《キャラバン》が灰の王冠の秘密基地からこっそりと帰路につく。見つかる訳には行かない往復路だ。
その中で、猟兵たちは得られた情報を共有し合う。
「なんというか、ごくごく普通の人たちでしたね」
そういう檬果にシルが頷きながら話し出す。
「だね。とっても普通だった。ちゃんと話したらお話も聞いてもらえたし」
「セラフィオンを取り戻す、という熱意はすごかったですが」
「それはね」
はは、と微苦笑するシルに、檬果も笑みを浮かべる。
「オブリビオンマシン化、についてですが」
紫苑の言葉。車内の緊張感が一気に張り詰める。
「普段とは違う、と思いませんでしたか?」
紫苑の言葉に、一同が頷く。
「わたし、キャバリアを調べさせてもらったんだけど」
シルが真っ先に口を開く。
「……キャバリア側には何の問題もなかったよ」
「基地に置いてあった予備機だからでは?」
シルの言葉に、檬果が首を傾げる。それに対してシルが首を横に振った。
「戦場から回収した操縦ログも見せてもらったよ。機体に『異常なし』。パイロットの操縦通りに動いていたって事」
「ということは……」
「異常行動をしていたのはパイロット、って事だね」
紫苑の言葉に、シルが天を仰ぐ。
「ナイトゴーストのパイロットの話は聞いた?」
「ええ。何でも『突然、意識がブラックアウトした』と」
シルの問いに紫苑が頷き、答える。
「何かに『飲み込まれた』感覚とも言ってたね」
紫苑の言葉を肯定しつつ、さらに情報を追加するシル。
「カイルさんは、少し違うようです」
「?」
カイルにも話を聞いていた紫苑が言葉を続けると、シルが首を傾げる。
「飲み込まれたのではなく、声が聞こえた、と。乗っていたキャバリアから声が」
「なるほど。こっちは普通にオブリビオンマシン化してそう」
「ええ。勝手に動き始めた、とも言っていました。こちらは乗っ取られた可能性がありますね」
シルの見解に、紫苑がこくり頷き。
それを受けて、小枝子が言葉を挟む。
「ではカイル殿はキャバリアから汚染されて?」
「いえ。カイルさんが言うには『急に『自分の中』からどす黒い何かに浸食される感覚』があった、と」
「なんなんだ、もー」
紫苑の話がまたそちらに収束していく。その内容に、ついに頭を抱え始めるシル。
「あのー、話を聞いていると、パイロットの方がおかしくなった、としか聞こえないのですが?」
檬果が手を上げつつ首を傾げつつそう告げる。
「その通り、だと思います」
その声に応えたのは、此処まで沈黙を保っていたイングリットであった。
「何があったのでありますか?」
小枝子が問う。
「浄化を試みました。ですが、浄化はしきれず、より強力な浄化を施そうとすれば、倒れてしまったのです」
「『!?』」
イングリットの言葉に、皆が驚愕の表情を浮かべる。
それはイングリットが実際に目の前で経験した事だ。
「汚染の跡を排除する事は叶いませんでした。つまり、あの方々の『中』に、悪意の、オブリビオン化の『種』があります」
「「……」」
イングリットの告白に、一同が押し黙ってしまう。
しばしの沈黙……そして小枝子が口を開く。
「強制的に浄化してしまえばよかったのでは?」
小枝子が疑問を口にすれば、イングリットが首を横に振る。
「いえ。どうも心臓と一体化しているようです」
つまり、浄化=死、だ。
「ということは」
「自分でもおかしな事言ってるなーって思うけど」
「パイロットがオブリビオンマシン化した、ということでありましょうか?」
「ですねぇ」
紫苑、シル、小枝子、檬果が順番に口を開いて、思わず目を閉じる。
「キャバリアは正常だった、ということですね」
檬果の言葉に、異議ありと手を上げるのは小枝子だった。
「それはおかしいであります。カイル殿のヴィリディスは喋っていたし、明らかにパーツが再生していたので」
再生を封じたのは偶然。作戦が意図せず嵌ったから。
「前の黒い奴もそうでした。喋るし、再生するし……」
小枝子の言葉を、紫苑が話を受け継ぐ。
普通に話しているが、第三者がこの話を聞いていたら、きっと正気を疑う。
機械は再生しない。リジェネの様な効果で回復する事があったとしても、それは本質的には復元に近い。再生とは生きている者が持つ能力だから。
そしてオブリビオンマシンとはキャバリアがオブリビオンになったものだ。人型サイズのキャバリアがオブリビオンマシンになる事はあっても、生きている人がオブリビオンマシンになる事は無い。
「『………………』」
各々がシンキングタイムに入ってしまう。それ程までに『これまでにない異常』であった。
そして……小枝子が呟く。
「……セラフィム?」
「セラフィム? セラフィム・ルミナって機体の事?」
突っ伏していたシルが上体を起こして首を傾げる。
「いえ、倒した機体の方であります」
「となると、確か最初がセラフィム・エイル」
「今回がセラフィム・ヴィリディス、でありますね」
小枝子の答えを聞いた紫苑が前回の事を思い出す。
(今回や前回の問題に繋がる何かがわかると良い、と思っていたのですが……)
こんなところに繋がりがあるとは。
そして、いまだ機体すら拝めていないが、セラフィム・ルミナ、という機体がセラフィオンには大きく関わっている。
「セラフィムを起点に何か起こってるってことですかね?」
「たぶんー。でもこれ以上は無理ー」
檬果の言葉に頷きを返しつつ、シルさん再びテーブルの上に突っ伏す。
「あ、忘れてた。オブリビオンマシン化する『人』はセラフィオン出身の人だけみたい」
隣国出身の傭兵は何ともなかった、という情報をシルが共有する。
「わけがわからん!」
くわっと檬果が声を上げ。
「少なくとも『常軌を逸している』としか言いようがありませんね」
イングリットもまたそう告げて、嘆息をひとつ。
これで話は終わり、となりかけたところで、紫苑が思い出したことを口にする。
「そういえば、カイルさんがレムナントさんに話しかけようとした時に、意識が飲み込まれた、と言っていましたね」
顎に手を当てながら、ふむ、と吐息をつけば。
「レムナント殿といえば……偶然顔を合わせてしまったのありますが」
「え? バレちゃったの?」
小枝子の言葉にシルが心配そうに声をかける。
「いえ、特に何事も無く。それも不思議なのでありますが、もうひとつ。代わりにこのような言葉を」
小枝子もまた何かを思い出したように告げる。
「『君は、君達は……アレの区別が、つくのかい?』と」
「『……!』」
唐突に不穏な雰囲気が漂い始める。
「そういえば、レムナントさんの機体もオブリビオンマシン化してなかったよね?」
「シルさんの情報によるなら、かの方もセラフィオン出身じゃない、のでしょうか?」
シルが呟き、檬果が見解を述べる。
だがそれを確認しに戻る訳にも行かない。
「ステラさんが知っていたりしませんかね?」
「『それだ』」
紫苑の言葉に、一同が声を揃えて。
今度こそ、帰路につく一同であった。
「ありがとうございます。助かりました、皆さま」
戻ってきた猟兵たちに対して、ステラがお辞儀をしつつお礼を述べる。
そして、猟兵たちがレムナントの事を聞く。
「いえ? レムナント様はセラフィオン出身と聞いていますよ。どこかで情報がねじ曲がっていたらわかりませんけど」
ステラが答える。
深まる謎――セラフィオンには、謎が潜んでいるようだ。この謎を解き明かす事が復興に繋がる、もうひとつのルートかもしれない。
そして、この謎の鍵はレムナントが握っている。そう、強く確信する猟兵たちであった。
成功
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