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仮面舞闘会

#クロムキャバリア #トリアイナ

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#クロムキャバリア
#トリアイナ


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●マスカレード・オブ・アリーナ
 光があれば影もある。
 他国を圧倒する軍事力ではなく海運を主とした経済力を武器としている強かな企業体小国家『トリアイナ』であるが、その輝かしい繁栄も例に漏れず歪がある。
 巨大な港湾と企業城下町の中心街から離れるに連れて城壁の如き旧市街地が広がり、かつてはコンテナ船が絶え間なく行き交っていた一角は今や企業再開発の波から完全に取り残されていた。
 潮風で錆びた倉庫の隙間に無数の仮説住居が寄りかかるように建ち並んだ錆びた鉄板と廃材で作られたスラムの住民は、殆どがトリアイナのお零れに与ろうと職を求めて他国から流れ着いた非正規労働者、あるいは戦火から逃れた難民である。
 彼らはここを住処としながら港で日雇いの荷役なり犯罪に手を染めるなどして細々と生きているが、ここ最近は妙な熱狂に満ちていた。

「始まったぞ!」
 潮臭い淀んだ空気が溜まる廃材で囲った狭い共同スペースに数十人の住民が群がる。
 ホロスクリーンの画像は粗いノイズに塗れ、配信中継ドローンから発信される違法電波を捉えながら映し出されていく。

 ──『|仮面舞闘会《マスカレード・オブ・アリーナ》』

 現在トリアイナを悩ませる闇興行だが、旧市街地の住人にとっては唯一の娯楽であり、希望であり、ささやかな叛逆の象徴だった。
 元々は港湾労働者たちの鬱憤を作業用キャバリア同士でぶつけ合う私闘から始まった。トリアイナ側はガス抜きになると放置していたが、何時しかそこに闇社会の『組織』が介入したことで組織化された違法賭博へと変貌した。
 表向きは武装私闘の禁止を掲げているが、その意図は公営バトリングの興行利権を守るための規制に過ぎない。
 それでも仮面舞闘会は過激で刺激的な闘争として旧市街地のみならず新市街地をも密かに魅了し、この違法配信を富裕層も密かに視聴しているという噂すらある。
 ほどなく画面が安定して廃ドックの内部が映し出された。
 廃コンテナの山に囲まれたアリーナの照明はドローンのスポットライトと非常灯のみであり、潮風が低く震いながら鉄と火薬の気配を観戦場まで運んでくる。

「いけ、そこだ!!」
 今回はタッグマッチで、最上位ランカーの二人組に対する挑戦であった。
 先に主導権を握ったのは挑戦者側、赤と青のキャバリアだ。
 赤い機体は軽量化されたフレームを活かしてRXレーザーブレードを宙に閃かせ、敵機の視界と間合いを斬り裂いていく。
 まるで舞踏のような洗練された動きに呼応する形で青い重装機が遅れて前進し、バックパックに懸架されたRSグレネードキャノンが爆圧と破片で逃げ場を容赦なく塞ぐ。

「来るぞ……!」
 だが、迎え討つ最上位ランカーの動きは精確だった。
 キャバリア用に鍛造された斬艦刀を構えた白い機体が光刃の一閃を磁場コーティングが施された刀身で受け、弾き、踏み込む。物理質量を持つ刃が振り抜かれた瞬間、赤い機体の左腕装甲がひしゃげながら吹き飛んだ。それと同時に白い機体の僚機である黒い機体が陽電子突撃砲を発射し、青い機体の耐ビームコーティングが施された重装甲を穿つことが叶わなくとも制御系に電子妨害のノイズを流し込んだ。
 全てが一瞬であったが、RXレーザーブレードの軌道が乱れ、RSグレネードキャノンの照準が僅かにだが狂った。

「今だ!」
 斬艦刀が下から掬い上げるように振り抜かれば、重く、鈍く、確かな一撃によって赤い機体の頭部が装甲ごと断ち切られて宙を舞い、その姿に意識が移った青い機体の虚を突く形で黒い機体が放った陽電子の奔流が追撃が頭部を穿つ。
 勝利条件でもある頭部の切除と破壊の決着はあまりにも明確だった。
 そんな結末に子どもたちは目を輝かせ、大人たちの歓声と罵声が飛び交う中、恒例のファンサービスが始まった。

「ヒュー! |閃光の淑女《ライトニング・レディ》様ー!」
「|黒執事《バトラー》のジジイも一段と渋いぜー!」」
 白い機体の中から現れたのは頭まで覆うヘルメット型の仮面を被った少女だった。
 細身のシルエットで長い栗毛色の髪を揺らし、仮面の下から覗く唇には微かな微笑みを浮かべさせ、舞踏会の貴婦人が挨拶するようにドローンに向かって優雅に会釈する。
 続いて黒い機体からは、目元一帯を隠すバイザー状の仮面の下から老練さが伺える白髭を覗かせる老執事が姿を見せる。姿勢は完璧に正しながら仮面の少女の隣に並び、静かに片手を胸に当てながら威厳と優雅さを兼ね備えた仕草で深く礼する。
 身バレというリスクがありながらも堂々と姿を晒す好意そのものはトリアイナ側への挑戦状でもあり、画面が突如乱れてノイズが激しくなる。

「ようやく保安部様のお出ましか。ご苦労なこった」
 上空に響く爆音はトリアイナ保安部の軍警察所属であるキャバリアを運んでいるEPヘリオーバーを改造した輸送機だ。
 旧市街地の住民らは現場に駆けつけた頃には残骸しか残っていないのにと、ほくそ笑んだ。


●バレバレの変装
「……という顛末だな」
 リコ・エンブラエル(鉄騎乗りの水先案内人・f23815)は予知した戦いの顛末を集まった猟兵たちの前で映し終えると、次は見覚えのある少女と老執事の顔写真を映し出す。

「既知の者も居るだろが|海洋貿易国《トリアイナ》を代々取り仕切るトラヴィス家の末娘クラウディア・トラヴィス、その執事のセバスティアヌス。先程の映像と照らし合わせれば……一目瞭然」
 ただ仮面を被っただけの変装なので見比べれば本人と分かってしまうが、原因として考えられるのはオブリビオンマシンによる認識障害の類だろうとリコは結論付けた。

「しかし、証拠は本人たちとよく似ている点なので接触して問い質しても知らぬ存ぜぬで通されるのが目に見える。なので、トリアイナで流行り始めた違法キャバリア賭博『|仮面舞闘会《マスカレード・オブ・アリーナ》』に参加して貰う」
 曰く、参加するに必要なのはキャバリアと仮面だけ。
 極端な例えだが、ジャンク品を掻き集めてツギハギしたポンコツでも参加資格を満たせば、一国を治める一族の令嬢だろうがスラム街の住民だろうが問われず参加できる。

「それに裏社会の『組織』が関わっているとなると、ハロウィン・ドールズの一件でクラウディア嬢を利用した連中の可能性が高い。簡単には尻尾を掴ませないだろうが、奴らが運営しているだろう違法賭博に参戦することで何かしらの手がかりは得られるだろう」
 そしてだが、とリコは付け加える。
 この仮面舞闘会はランク付けされており、最上位ランカーのふたりが座しているのは最高ランク。対戦するにはそこまで勝ち上がらなければならない訳である。

「トリアイナは海運を主とする小国家だ。闘争に飢えた連中が海を越えて参加しているだろう。もしかしたら、思いがけない因縁との巡り合わせもあるかもだ。ルールは概ねキャバリアファイトに準じ、頭部破壊、あるいは機体その物の破壊。それと……本人の身バレだ」
 闘いが始まれば治安維持でトリアイナ保安部の軍警察部隊が出動する。
 彼らが現場に到着するまでが制限時間でもあり、勝っても逃げ切らなければ敗者とカウントされる。

「何故このふたりが参加していてオブリビオンマシンに乗っているのは、仮面を剥がした後に問い質せば自ずと分かるだろう」
 そうして猟兵たちは異常な熱狂に包まれるトリアイナへと転送されるのであった。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 昨年は色々と忙しい年でしたが、今年も凄まじい積雪からのスタートとなってようやく落ち着いたところとでしょうか。
 そんな訳で半年ぶりなシナリオとなります。

●シナリオ概要
 諸外国にまでその名を轟かせる超人気アイドル、市民の生活に寄り添う大企業の御曹司や若くして何冊もの大ヒット作を出したベストセラー作家などなど「一見戦争とは無縁な立場の有名人」が実は正体を隠してキャバリアを駆り、幾つもの勝利を収めてきた凄腕の覆面パイロットでもあったことが予知で判明しました!
 ……問題はこの有名人の搭乗するキャバリアがつい最近オブリビオンマシンと化しており、本人の思想も少しずつ狂い始めてきているということです。市民人気が高く発言力のある立場であるこの人を狂っていくままにさせていけば、遠からず多数の人々を巻き込んで何らかの大事件を起こしてしまうことは間違いないでしょう。
 理由があって正体を隠しながら戦っていた有名人には悪いですが、例え事情や正体を暴露することになるとしてもオブリビオンマシンは破壊しなければなりません。
 戦場に赴き、身分を隠した有名人が搭乗しているオブリビオンマシンを見つけ出して破壊しましょう。

 第一章は【冒険】フラグメントとなります。
 違法賭博『|仮面舞闘会《マスカレード・オブ・アリーナ》』に参加し、対戦相手を倒すだけのお仕事となります。
 参加資格は仮面を被ってキャバリアに乗るだけですが、仮面の人らしくそれらしい偽名もといエントリーネームもあればよろしいかと。
 対戦相手はプレイングに書かれた内容となり、場合によっては猟兵たち同士のマッチングも可能です。その場合はプレイングに沿った内容か軍警察の到着で勝敗がうやむやになったりなどになるかと思われますが、対戦宜しくお願いします。

 以降の章は展開に応じて公開しますので、ご了承ください。

 それでは皆様の白熱するキャバリアファイトと熱いプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『キャバリアファイト』

POW   :    正面突破! 真っ直ぐと攻撃する!

SPD   :    敵をスピードで翻弄し、隙を突いて攻撃する!

WIZ   :    特殊な兵装、操縦で相手を惑わせて攻撃する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「こちら保安部機動鎮圧課、特務機動隊『ネレイデス』。第二機動小隊の目標エリア到達まで3分」
 EPヘリオーバー改造輸送機から伝わる振動がコックピットが僅かに震える。
 吊り下げられて輸送されたキャバリアが捉えた夜の旧市街地をモニターに映し出し、遠くには新市街地の繁栄っぷりを示さんとばかりに眩い夜景が広がっていた。
 こちらは潮風で錆びた鉄板と屋根が連なりながら起重機の影がまるで墓標のように突き立っているの対し、あちらはガラスと光で出来た宝冠の突起を思わせる高層ビル群が対照的である。
 同じ国、同じ夜、同じ時間でいても、まるで別世界のようだ。

「配信開始から逆探知しつつのスクランブル……今回も間に合いますかね?」
「さぁな。泥仕合だったら間に合うかもだ」
 隊員のひとりがサブモニターに映し出される中継を観ながらぼやくが、通信回線からの応答も不満が漂っていた。
 それも『仮面舞闘会』が何時、何処で開かれるか未だ掴み切れていない実態がある。
 今までの配信内容は全て旧市街地の遺構か郊外の廃墟都市群で行われており、新市街地内部でも開催される可能性からどうしても警備主力は中央に集中せねばならない。ましてや再開発もままならず生活インフラの老朽化も著しい旧市街地に住まざるを得ない貧困層や他国から流れてきた戦争難民らは、割に合わないて低賃金の重労働せざるを得ない貴重な労働力層である。
 それ故に違法ながらも不満のガス抜きを名目にキャバリアを用いた違法賭博を保安部は黙認していたのだが、その影響力が旧市街地を越えて新市街地にまで及ぶようになれば話は変わってくる。
 ひとつの試合で動く金額は推定だけでも肥大化し、麻薬売買ネットワークさながら高度に分業化されて末端のスカウトマンを検挙した程度では運営組織には辿り着けない。
 黒幕はトリアイナ経済の妨害と弱体化を目論む|他国《商売敵》の経済工作か、はたまた国際的に暗躍する犯罪組織によるものかを掴むべく現場を押さえる必要があった。

「……今回も早々な決着か。また間に合わない、な」
「そうなると、今回も掃除役で現場の後片付けですか」
 一基のEPヘリオーバー改造輸送機で一機のキャバリアを懸架して空輸しているが、その速度は鈍足と言わざるを得ない。だが、地上からは難民らが立てた違法住宅や違法営業の屋台などで路地を狭めて現場急行の妨げとなっているので、これでも展開は早い方だ。
 それでも『組織』が警戒のために飛行させているドローンが自機を検知し、結果として相手側に大まかな到着時刻を与えていることにもなっている。
 しかし、保安部に登録されていないキャバリアがオブリビオンマシンである可能性がある以上、屍肉を求めるハイエナのようにまだ使えて売れそうな部品を漁りに来る貧民らに回収させない働きとしては十二分に果たしているのも事実だ。
 現場まで残り1分というところで中継映像が乱れ、サブモニターから仮面の少女と老人が消えると眩いバーニア光が廃ドッグから飛び立ち、置き土産さながらチャフ機能も備わった目眩ましの閃光弾を放つとレーダーから反応が消失した。

「やられましたね。チャフと同時に疑似信号も撒いてます」
「毎度のことだ。追わずに現場を押さえるぞ」
 輸送機群が廃ドッグ上空に到着すると、サーチライトが底に打ち捨てられた二機の残骸を照らし出す。
 それらを目標に吊り下げられていたキャバリア、黒に近い深みある紺色のピースメイカーが次々と降下して重低音を響かせながら着地し、その衝撃で舞い上がった粉塵がサーチライトの白光を受けて雪のように散った。
 保安部は暴徒鎮圧や治安維持活動を主業務とするため軍用とは異なり、下方視界やサーモグラフ及び動態センサーなどのレンジが拡大した対地対人制圧用に特化されている。同時にそれらは現場検証に役立つ機能でもあった。

「熱源反応、残骸より消失確認。|容疑者《パイロット》は既に現場より逃走」
「残置熱源反応より逃走経路確認。容疑者は逃走中と思われる。難民窟に潜られては面倒だ。後続の車両班は封鎖範囲を倍に広げろ、地下水路の出口も手当たり次第封鎖だ」
 通信回線に短い返事が飛び交う中、輸送機がドッグ内へゆっくりと降下して現場に残された赤と青の残骸回収準備に取り掛かり始める。
 今回も遅れを取ることになったが、地道な捜査の甲斐があって仮面舞闘会が開かれる規則性はある程度絞られ始めている。犯人は現場に戻るとことも見据えて会場となった跡には感知センサーが取り付けられており、網に掛かれば違法放送の電波から逆探知する現状を打破できる見通しでもある。

「……次こそは開演時間に間に合ってみせるぞ」
 隊長機のモノアイは|二機《ホシ》を最後にレーダーで捉えていた方角、夜闇の先に広がる新市街地の夜景を無言で見つめていた。
メディア・フィール
プレイング改変・アドリブOK
他PCとの絡みOK

自分の経歴に合わせて漆黒のドラゴンマスクで登場しますが、意図せず中二病っぽくなってしまったので、とても恥ずかしくなってきます。しかし、ここで躊躇するとよけい恥ずかしくなるので頑張って名乗ります。
「我が名は暗黒竜の末裔”クロウ・オブ・ダークドラゴン”!」
……暗黒とダークが被っているような気がするのは気のせいです。
その相手は”ミス・ウィドウ”。ミスでありながら未亡人を名乗る、なかなかの強敵である。試合自体は意外にも高機動大火力の相手の機体をメディアが待ち受けて捉える形になり、一時は翻弄されますが、最後は動体視力の差でなんとか勝つことができるでしょう。



「まさか、またここに来るだなんて……」
 漆黒のドラゴンマスクを被ったメディア・フィール(人間の|姫《おうじ》武闘勇者・f37585)は、愛機『ネオン』が捉える映像をモニターを通して外周を見渡した。
 場所は|殲禍炎剣《ホーリー・グレイル》の暴走によって引き起こされた100年にも続く戦乱でプラントが破壊された廃棄都市。
 場所こそは3年近く前に参加したクラウディア嬢誘拐騒動……いや、それを偽装した事件でハロウィン・ドールズ残党が根城としていた廃棄都市とは別だが、自分と歳が近い彼女がまた関わっていると思うと同じ場所と錯覚してしまう。

「観客は居ない……か。その代わりドローンが飛び回ってるけど、なんか気が散るなぁ」
 自身の動きをトレースする機構で全周囲モニターとなっているコックピット内で頭を仰げば、上空には羽根虫さながらブンブンとプロペラ音を立てながら撮影しているドローンが飛び交っている。
 数機は撮影用、他すべては電波の中継用で、トリアイナ新市街地に隣接する旧市街地よりも離れた場所に位置する廃棄都市で違法興行の実況中継を行うとすればこのような数となるのだろうが、それも低ランクならではの配慮とも言える。こうもトリアイナ中心都市群から離れていれば治安維持出動するトリアイナ保安部の軍警察部隊の到着まで時間を要することとなり、勝敗を決するまでの時間が長引く泥仕合となっても身の保証はなんとか保たれるということである。
 尤も、裏を返せば早々と決着を付けるまでの実力がなければランクマッチの昇格を望めなく、最上位ランクとなれば『|閃光の淑女《ライトニング・レディ》』もといクラウディア嬢が叩き出したタイムが求められて新市街地と目と鼻の先で闘争を繰り広げる資格が与えられない訳だろうが。

『あら……今回のお相手は可愛らしい声のお嬢ちゃんですの?』
 共通チャンネルの無線が突如と入り、廃ビル群の障害物越しに機体の反応が浮かび上がる。メディアは旧市街地で出会ったダン・ペインと名乗るハゲ頭に出っ歯、左目の眼帯、眉間と頬には傷がある酒浸りとなったパイロット崩れの最末端仲介人が語っていた対戦相手の情報を思い出す。

 ──『ミス・ウィドウ』。

 ミスでありながら未亡人を名乗っているが『|仮面舞闘会《マスカレード・オブ・アリーナ》』の対戦相手が常に先立たれるから……だったか。
 キャバリアも蜘蛛を想起させる細長いシルエットと多腕状のサブアームに仕込まれたRX-Aアームチェーンソーに気を付けろとダン・ペインは熱弁していた。

「お嬢ちゃんじゃない。我が名は暗黒竜の末裔”クロウ・オブ・ダークドラゴン”!」
 予め考えていた名乗りの向上を捲し立てたメディアであるが、実際に言葉にすれば意図せず中二病っぽくなって羞恥心が込み上がってくる。
 しかし、ここで躊躇するとよけい恥ずかしくなるので勢いのままに続けるしかない。

『まぁ、怖い怖い。けど……遊び甲斐はありそうね?』
 試合開始を告げるシグナルの電子音がコックピット内に響くと同時、廃ビルの壁面を蹴るようにして細長い影が跳躍する。

(速い──っ!?)
 蜘蛛めいたシルエットの黒い機体が崩れた都市の残骸を縫うように疾走し、折り畳まれていた複数のサブアームが展開されるや否やRX-Aアームチェーンソーが不気味な唸りを上げながらネオンの装甲を掠めると火花が飛び散る。

『ほらほら、先程までの威勢はどうしましたの? 暗黒竜の末裔ちゃん?』
(チェーンソーの間合いが予想より広い……サブアームの可動域が長いんだ)
 初戦こそは高機動で大火力であるミス・ウィドウのキャバリアに圧倒されるが、回転する刃の長さ、サブアームの伸縮角度、重心のわずかな偏り……それらすべてが鏡のように波紋ひとつない水面へと落ちる水の一滴となって見えれば、時間が引き伸ばされたように感じる刹那の中でチェーンソーの軌道を紙一重で躱す。

「そこだ!」
 次なる一手を加えようとするミス・ウィドウを見据えるメディアの瞳は曇り無き水鏡だったが、その奥底ではユーベルコードが顕現する煌めきと共にメディアの|掌《たなごころ》は烈火の如く激しく燃え上がる。
 機体を通して放たれるは『竜闘死連撃』。
 炎を纏った拳撃がサブアームの脆弱な関節部を打ち砕き、瞬く間に三本の腕を破壊した後に深く踏み込んで放った最後の一撃が狙うは頭部。
 残った最後のサブアームもネオンの首を跳ねようと薙ごうとするが、それを予見していたように機体を僅かに捻らせながら炎を纏った拳がミス・ウィドウ機の頭部ユニットへと叩き込まれる。

『……あらまぁ?』
 どこか愉しげな声がノイズ音でかき消されると、蜘蛛めいた機体がふらりと態勢を崩して倒れ込む。それを見届けたドローン群が一斉に高度を下げ、勝敗判定のシグナルが都市の廃墟に反響させた。

「なんとか……なったぁ」
 羞恥心とは別の高鳴りで心臓がバクバクするが、安堵も束の間で数機の撮影ドローンがコックピット前で滞空している。
 仮面舞闘会のお約束となった勝者の|勝鬨《パフォーマンス》である。

(あ……来るよね、うん)
 ここで黙ってお辞儀しただけでは、さっきの名乗りが本当に痛いだけで終わる。
 やるなら最後までと決めたメディアは深く深呼吸した後、コックピットハッチを開けてカメラへ一言述べる。

「……暗黒竜の爪はまだ折れてない。次に散るのはキミかい?」
 うわぁぁぁ……言い切った。言い切ってしまった。
 漆黒のドラゴンマスクを被っているお陰で平静を装っているだろうが、内心では転げ回りたい衝動で一杯だ。
 さて、やることはやったので後はこの場で逃げるだけ。
 ミス・ブラックはどうしたのかと視線を落とすとガコンと鈍い金属音と共にミス・ウィドウ機の胸部装甲が内側から弾け、煙の中から黒い影が飛び出した。

「え?」
 それはコックピットの操縦席も兼ねていた脱出用バイクであり、目元をすっぽり覆い隠す白いカーボン製マスクを被ったライダースーツ姿である金髪の女性がメディアを一瞥する。

『ここからは追手との第二ラウンドでしてよ、暗黒竜の末裔ちゃん。次はもっと……激しく愉しみましょうね?』
「だーかーら、ボクの名前はクロウ・オブ・ダークドラ……っ!」
 長々しいエントリーネームを口にしようとして思わず舌を噛んだメディアの姿に微笑ましく笑みを浮かべ、ミス・ウィドウが操る脱出用バイクは瓦礫の隙間を縫うように去っていく。メディアは舌打ちしそうになるのを堪えながら、事前に目星をつけていた退避ルートから戦域から離脱するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

迅瀬・ナクタ(サポート)
「ちっ、見て見ぬふりも、ばつが悪い。オレも参加してやるか」

人間の「トイロボバトル」アスリート×オブリビオンマシン使い
 
トイロボと言う小型ロボットを特殊なデバイスで操作するホビースポーツのアスリートです。

基本的には愛機である『OM-NATAKU』を使ってスポーツや戦闘をします。しかし、本人もアスリートなので身体を鍛えており、場合によってはトイロボを使わずスポーツ・戦闘を行います。また、巨大戦では別に所持するオブリビオンマシンを操作することもあります。

仲間や一般人にはぶっきらぼうな態度で接しますが、相手がピンチの時はなんだかんだと助けてしまうタイプです。

あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 ──富、名声、力。
 野心を持つ者なら一度は願う、ありふれたみっつの頂き。
 ある者には黄金の山として、ある者は喝采の嵐として、またある者には他者を踏み伏せる権能として。
 だが、その全てをひとつに束ねて掴み取る者が居るとしたら……人はそれを『英雄』と呼ぶのか。それとも『怪物』と呼ぶのか。
 何れにせよ、その名は歴史に刻まれる。
 望もうと望むまいと消えぬ痕跡として……尤も、迅瀬・ナクタ(闇を抱くトイロボバトラー・f37811)にとっては、そんなものはどうでも良かった。
 欲しかったのはただひとつ……母との安寧な日々。それだけであった。

「ちっ、負けてしまったものは仕方ない。ファイトマネー稼ぎにオレも参加してやるか」
 先日のトイロボバトル大会では決勝戦まで勝ち上がったが、何かと対戦する機会ある腐れ縁とも言うべき好敵手に敗北を喫したナクタ。敗北を喫した際は呆然となってしまったが、彼が語った戦いの中で楽しさを見出す『ロマン』を無意識に自覚され、これまで己の心を覆っていた闇が晴れるのを感じた……が、それはそれでこれはこれは別問題だ。
 難病を患う母の纏った治療費の目処であった優勝賞金を逃してしまった事実は覆らず、トイロボバトルもまだ小さな規模の競技だ。大会の開催も市場のトイロボ人気に応じたスポンサー次第であり、安定した収入源とはとても言えない。
 ならばと河岸を変えて挑んだのが、アスリートアースとは別世界のクロムキャバリアで開かれていた『|仮面舞闘会《マスカレード・オブ・アリーナ》』。
 最初はバカバカしいとも思ったが新規挑戦者でも勝つと得られるファイトマネーは小規模な大会の賞金程であり、勝ち上がってランクが上がるにつれてその額も跳ね上がる。
 そう思えば同じトイバトルスポーツであるプラクトと似たようなものであり、頭部の破壊で勝敗が決する不殺のルールがあればそれに従うだけだ。

「エントリーネームは……ナタク。行くぞ、ラシャ」
 黒騎士を想起させる仮面を被ったナクタは、今日も謎のオブリビオンマシン『ラシャ』のコックピットに座していた。
 視界を満たすのは隠れ家として使っているトリアイナ郊外の廃施設内部であり、『OM-NATAKU』を通してラシャが起動する。
 その最中、ナクタの意識の奥底で僅かなざわめきを感じた。まるでこちらの感情をなぞるように、機体そのものが呼吸しているかのような錯覚とも言うべきか。

「ふん、今日も勝つぞ」
 初戦で歴代タイムレコード更新という華々しいデビューを飾ったナクタは、まさにダークホースと言っても差し支えない人気倍率であった。
 だが、今回の対戦相手は現ランク上位の『グリム・スパイン』。その槍、RXキャバリアグレイブはこれまで幾つもの機体の首を刎ねてきた強豪と言えよう。
 事実、装甲が軋み火花が散る紙一重で槍を躱す防戦を強いられ、高機動カスタム機であるグリム・スパインの軌道を勝負勘で先読みせざるを得なかった。

「くっ……! ちょこまかとッ!」
 まるで相手を注意を逸らすようにグリム・スパインの槍先が不規則に揺らめき、RXキャバリアグレイブの穂先が空気を切り裂くたびにナクタは躱していく……が、相手は既に次の軌道を描いていた。グリム・スパインはまるで影のようにナクタの死角を埋め、必殺の一撃を繰り出す。

「……ッ!?」
 モニターに映し出され迫りつつある穂先とけたたましく鳴り響く警告音。
 覆らない現実から追い出されるようにナクタの意識が現実から隔絶され、1秒が10秒、または1秒が1分と感じる母との記憶が走馬灯となって飲み込む。
 白い病室、細くなった指先、痩せこけた母の笑顔──警告音が次第に遠のく一方で心臓の鼓動だけが異様に大きく響く中、激しい振動でコックピット全体が揺さぶられた衝撃でナクタの意識が現実へと引き戻された。

「──ラシャ!」
 モニターに映し出されていたのは槍先を掴み止めていた腕の映像。
 駆動部が獣のような唸り声を上げながら、ラシャの右腕がグリム・スパインのRXキャバリアグレイブを鷲掴みにしていた。
 グリム・スパインの操縦者が慌てて槍を引き戻そうとバーニアを逆噴射させるがラシャが掴む力は鉄の枷その物で、槍先を潰さんとばかりにマニピュレーターを沈めていく。

『離せ、この化け物がッ!!』
 近距通信から漏れる焦りの色を滲ませた相手の叫び声に、ナクタは仮面の下で薄く笑った。

「化け物……か。いい響きだ」
 再び操縦桿を握る力が蘇り、ナクタは左腕でグリム・スパインの首を掴むとこちら側に引き寄せる。ミチミチと配線ケーブルや油圧ホースが千切れ、黒いオイルが噴水のように飛び散った。
 程なくしてグリム・スパインの首部装甲が金属の悲鳴を上げながら歪み潰れ、そのまま引き千切れば頭部を喪った敗者に成り果てる。

「……今回は助けられたな」
 勝利者の|特権《パフォーマンス》を終えて戦域から離脱する中、ナクタはコックピット内で低く息を吐いた。
 今回のファイトマネーで優勝を逃したトイロボバトル大会の賞金分は稼げただろう。
 後はこれを貴金属に変えてアスリートアースで換金すれば良いが……まだ残る勝利の高揚感は奴が言っていた『ロマン』と言うものなのだろう。
 ここで下りるか勝利の充足感を得るためまだ続けるか、そう思案を巡らせながらナクタは隠れ家へと帰投するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

朱鷺透・小枝子
ある種の興行である以上、ある程度の魅せも必要か。さりとて時間もかけられない。……ともあれまずは、勝たねば

仮面被り、クロムキャバリアで参戦。エントリーネームはクローム。
対戦相手は接近戦特化機、通常であれば距離を取るべき、だが!
メガスラスター【推力移動】からの【シールドバッシュ】
盾で強襲からの【格闘術】で苛烈な殴り合いを演じ【残虐ファイト】

……!!

攻撃を【見切り】敢えてギリギリで躱し、頭部目掛け拳を振るい、対戦相手が躱そうと距離を取った所へ盾を【投擲】から『戦塵侵撃』RX騎兵刀【切断】
腕部を【部位破壊】、脚部を破壊し次いで頭部を【怪力】で握り潰す。

時間です。

対戦相手のコックピットを掴み無言で離脱。



(ある種の興行である以上、ある程度の魅せも必要か。さりとて時間もかけられない)
 何処かの廃棄都市、あるいは|殲禍炎剣《ホーリー・グレイル》によって文字通り抉られた大地の爪痕を目指して一機のキャバリアが往く。
 その機体は特徴がないのが特徴とも称するべきの市場に広く出回っている汎用型クロムキャバリアであり、コックピットには仮面を被った朱鷺透・小枝子(|亡国の戦塵《ジカクナキアクリョウ》・f29924)がセンサーが捉えてモニターに映し出される|小型無人機反応《出歯亀たち》を一瞥する。
 エントリーネームであるクロームと名乗り仲介人と思しき人物との接触、そこから手渡された一切れのメモに書かれていた指定された日時と座標ポイント……トリアイナ本国でも違法賭博の取り締まりに躍起となっていれば最も秘匿性があり隠滅も容易な紙面でのやり取りが主になるのはよく分かる。

「……ともあれまずは、勝たねば」
 小枝子は軽く息を吐いて仮面の下で唇の端をきつく結ぶと、操縦桿を握り直して機体を瓦礫の物陰に隠して様子を伺う。それと同じく開始時刻となれば同時に上空を飛び交うドローンが軍用の電磁波を阻害・かく乱させる特性を持った素粒子を散布したのか、モニターから無数にあった小型無人機反応は消失した。保安部の取り締まりが徐々にだが慣れて対策が進めばこちらも相応の対策を取るイタチごっこであり、なおかつ有視界という制約が平穏の中で闘争という名の刺激を求める観客たちのニーズに合っているか。

「……!!」
 幕を切って落としたのは相手の方からであった。
 側面の壁が崩れたと思いきや、そこから現れたのは接近戦に特化された重装のキャバリア。後から知ったのだが、それはトリアイナ隣国の傭兵小国家ヘキサで古くから使われている汎用機『ピースメーカー』を徒手空拳のバトリング興行用に改修した物で、機体の上部を構成するオーバーフレーム全体が増加装甲で肥大した筋肉さながら異様な迫力を放っていた。
 立ち昇った粉塵で視界が遮られる中、対戦相手『ケール・ナ・グール』の乗機『マイティコング』はモノアイの赤い燐光を走らせながら、鈍い咆哮のような駆動音を響かせて突進して来た。小枝子は舌打ちすると同時に機体を翻すように後退させるが、相手は逃さまいとばかりに巨腕を振るって追撃する。

(対戦相手は接近戦特化機。通常であれば距離を取るべき……だが!)
 ここが|仁義《ルール》なき戦場であれば相手に合わせる義理などないが、ここは即席のコロッセオだ。現にこの場に観客らで囲まれていればブーイングの嵐を浴びせられるだろうし、モニター上に表示されない制限時間という制約もある。取り締まり側も馬鹿でないなら不審な電波干渉地帯を発見した後に急行するのは容易に考えられるので、この場での最適な行動は……打って出るのみ。
 髪で隠れた左目の眼底から熱き炎が狂気と理性の二律両立を帯びながら吹き出せば、|超常《ユーベルコード》が顕現する迸りが身体を通してキャバリアの回路を駆け巡ると機体のフレームが一瞬だけ赤黒い輝きを帯びた。そして操縦桿を押し込んだ直後、強烈なGが小枝子の小柄な身体をコックピットのシートに深々と押しつけた。

「進め……ッ!!」
 クロムキャバリアでも到底再現できない加速。
 リミッターを強引に焼き切り、乗り手の安全もを無視した強引なオーバーブースト。
 剛性はあれど質量の差を物理的に埋めれないのであれば、メガスラスターの出力をユーベルコードで限界を超えさせる。まさに狂気と理性が相反する吶喊で風を斬る音は咆哮と化し、廃棄都市の瓦礫を蹴散らしながら一直線に突進した。

「っ……ッ!!」
 マイティコングの巨腕が風を圧縮しながら横薙ぎに振られる。増加装甲を纏ったその一撃は剛性に優れたクロムキャバリアのフレームと言えども、直撃すれば簡単に殴り潰されるものだ。
 しかし、小枝子はそれを避けなかった。加速を殺さず精巧な|指先《マニュピレーター》を保護するように突き出した盾は、今やユーベルコードで凶器その物となっている。
 そして速度に任せた一撃でマイティコングの拳は空を斬り、小枝子の一撃が重厚なオーバーフレームに叩き込まれる。その衝撃で盾は使い物にならないまでにひしゃげた鉄屑に成り果てるが、マイティコングの巨体が大きく傾いて片膝を突くようにしてバランスを崩した。重装甲の巨体が軽快な汎用機の一撃で膝を付かされる……その光景は興行として十分に「魅せ」になろう。
 だが、ケール・ナ・グールもそう易々と沈む男ではなかった。
 オートバランサーに頼らないマニュアル操作なのだろうか、態勢を持ち直したと同時に大振りと小振りの連撃を仕掛けてくる。小枝子もまたそれだけで沈む相手でないと感じ取っていたのか、地面に着地したと同じく機体を走らせて躱しながら鉄塊となった盾をグローブとさせて苛烈な殴り合いを演じてみせる。
 しかしながら、先程の激突によって油圧系統に支障をきたしたか。マイティコングの拳の切れは鈍っており、小枝子が頭部目掛け拳を振るえばワンテンポ遅れて反応する。だがそれはフェイントであり、狙いは鉾であり盾でもあるマイティコングの腕部。シールドの接続部をパージして投げつけ、損傷を免れたマニュピレーターがRX騎兵刀を抜刀する。
 
「時間です」
 如何に強固な装甲で守られていても関節部は脆弱であり、ユーベルコードを乗せた一閃によりマイティコングの片腕と片脚が瞬く間に破壊される。それでも相手に戦意があれば試合は継続するルールである。ならばと、ベース機の原型を留めた頭部を掴み上げればアンダーフレームとオーバーフレームを分離させる出力に任せて引き剥がし、その勢いで頭部を握り潰してゲームセットとなった。
 この死闘を演じている最中に電波障害を引き起こす素粒子の効果が薄れたのかモニターには上空を飛び交うドローンの反応が表示され、そうなればすぐさまこの場から離脱せねばならない。

(……試合相手のよしみとして助け舟を出しますか)
 剥き出しとなった対戦相手のコックピットを見やると無言のまま掴み、小枝子は冷却が完了したメガスラスターを点火させると戦域から離脱したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・銀静
神機

銀狼の仮面を被る
エントリーネームは「ダークムーン」

機神搭乗
お前か…エロスケベクズ小僧
「わーい☆これ堂々と腐れ叡智皇をぼこぼこに出来るよね☆」
…つくづく小賢しいが…必要か

ふん…そうだな
「全力でいきたいけどね☆」
【戦闘知識】
カシムとメリクリウスの立ち回りを分析
之までの戦い方も

…くそ…忌々しい
「…読まれてるねグリムちゃん達も」

【オーラ防御・空中戦・念動力・属性攻撃】
UCは使用しない

互いに飛び回りながら念動光弾と火炎弾の弾幕展開
激しい打ち合い
「念動力がお母サマの専売特許と思うなよ☆」
【二回攻撃・功夫・リミットブレイク・串刺し・貫通攻撃】
近接に移れば宝剣と槍による猛攻

後は技を尽した激闘!

毎回毎回誰が陰キャだ!?
大体お前こそ間抜け面のエロスケベクズ小僧だろうが!

はぁぁぁ!?別に死んでないわ!きらきらっだろうが!
「…ごめん主ー…でも死んだ目の主もとても素敵だよ♥」
フォローになってねぇぞクソが!?
「というか…普通にジャパニア滅ぼしたお母サマなんだからとっととお詫びにグリムちゃんに叩き潰されちゃえ♥」


カシム・ディーン
神機
ドラゴンの仮面を被り参加
エントリーネームは「ドラゴンアイ」
おめーが相手かよ陰キャ野郎
「うへへへへ☆これ堂々とグリムちゃんぶちのめせるぞ☆」
取り敢えず…互いにUCは無しで構わないな?(他者に情報を渡さぬ為
【情報収集・視力・戦闘知識】
銀静とグリームニルの立ち回りと動き
戦いのスタイルと周辺状況を分析
之までの共闘や戦闘記録も分析

【属性攻撃・空中戦・念動力・弾幕】
光学迷彩は…今は止めておくか
「見破られそうだし?」
手は易々見せるもんじゃねぇからな

念動光弾と凍結弾の弾幕合戦
「随分生意気じゃない☆」

【二回攻撃・切断・電撃】
電撃を纏った鎌剣での斬撃を叩き込みに

己の技能を尽した猛攻でぶつかり合う!

つかよぉ…(猟兵としては)僕がパイセンだから敬えやこの陰キャ野郎!

はぁぁぁ!?このインテリ系のカ…このドラゴンアイさんに生意気一点じゃねぇぞボケェ!?そもそも目が死んでるじゃねぇか!?

「はぁ?グリムちゃん…君がそもそも叛乱かましてジャパニア荒らしたんでしょ?そろそろ分からせないといけないかなぁ?(びきびき」



 低ランクから始まった|仮面舞闘会 《マスカレード・オブ・アリーナ》も、順調に勝利を重ねてランキングを駆け上がれば場も変わってくる。
 勝ち星の数ほど腕がある証明ともなれば、高ランクのハンデマッチとして徐々に戦場はトリアイナの郊外から旧市街地へと近づいてくる。そうなれば保安部が現場に到着する時間も短くなり、制限時間ギリギリまでは元より時間切れによって勝負がお流れしてしまう低ランクよりも洗練され、上位者同士の激しいバトルで多額の金が賭け合われる。
 そして今宵も仮面を被った舞踏会がしめやかに執り行われる──。

「さーて、今日のお相手は誰だ?」
 竜の仮面を被ったカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、覗き穴から見えるモニターに表示される夜景を一望する。遠くにはトリアイナ首都の夜景が星空のように疎らに見え、麓の黒い広がりは旧市街地だろうか。相手も時間通りフィールドへやって来たのであれば、こちらと同じく夜闇に紛れて索敵を行っていることだろう。

『ご主人様のエントリーネーム、「ドラゴンアイ」に恐れをなして逃げたのかも☆』
「だと良いんだけどなー」
 ニワトリ型の端末がバサバサと頭上で羽ばたくが、帝竜の力を宿した宝石をあしらった半仮面を被っているカシムはさも平然と受け流す。
 ──ドラゴンアイ、それが彼らのエントリーネーム。
 意志ある界導神機『メルクリウス』との共演でランキングを駆け上る様はまさに破竹の勢いであり、この調子で勝ち星を上げ続ければ収めれば最上位ランク入りも夢ではない。尤も、そういう時に限って思わぬ邪魔が入るものでもあるのだが。

「相手は誰かと思えば、お前か……エロスケベクズ小僧」
 そんな楽勝ムードのメルクリウスを夜闇に紛れ見下ろす銀狼の仮面。
 エントリーネーム「ダークムーン」。「賢者の石」で構成された万物を司る機神『グリームニル』に乗ずる皇・銀静(陰月・f43999)は、唾棄すべき存在を前にして苦虫を噛み潰したように口元を歪ませる。

『わーい☆ これ堂々と腐れ叡智皇をぼこぼこに出来るよね☆』
 そんな銀静の胸中を代弁するように、ケットから小さな小さな茶色い仔猫が顔を出して煽り立てる。彼女もまたグリームニルの端末であり、名はグリム。道化めいた声色と仕草で主人の決断を後押しさせる。

「……つくづく小賢しいが……必要か」
 ここで会ったが百年目とでも言うべきなのだうが、流石にそんな陳腐過ぎる台詞はグリムの役目で自分の口からは出てこない。そして自分が示すは言葉ではなく行動で、開始時間となったと同時に操縦桿を一気に押し傾けて呑気な二人組に強襲する。

『……ご主人様! この反応!!』
「あぁ、分かってる……おめーが相手かよ陰キャ野郎」
 夜闇に残光を残し一陣の風となって貫くはずだった大槍が鎌剣で切り払いられれば、決闘の開始を告げるゴングが鳴らされたかのような激しい金属音とともに飛び散った赤々とした火花が二機の姿を照らし映す。
 両機が交差すれば、共に背後から追撃を仕掛けようと光弾の応酬が繰り広げられる。
 牽制しつつも確実に当てようとするが目では確認し得れない障壁から発せられる力場の抗力により弾道を反らされ、さながら花火が打ち上げられたかのような閃光と炸裂音を放つ弾幕が激しく撃ち合われる。

『うへへへへ☆ これで堂々とグリムちゃんぶちのめせるぞ☆』
「メルシー、光学迷彩は使うな。ユーベルコードも極力禁止だ」
『見破られそうだし?』
「観戦してる客は博打を楽しんでいる連中だけじゃない。それに、陰キャ野郎にも手は易々見せるもんじゃねぇからな」
 カシムの言葉通り、周囲を飛び回る撮影用ドローンの違法配信はトリアイナ当局の物ではなくオブリビオンマシンを供与する『組織』による違法興行である。映像として記録が残される以上はいずれ潰す相手に自身の安易に手の内を晒すのは愚の骨頂であり、今後の対戦相手との戦いにも対策が練られる遠因にもなりかねない。

「……くそ……忌々しい」
『……読まれてるねグリムちゃん達も。だけど、念動力がお母サマの専売特許と思うなよ☆』
 それは銀静とグリムも同様であったが、こちらはそんな物に頼らずとも十分に勝てる自身の表れでもある。
 仔猫の端末が得意げに尻尾を振るのと同時にグリームニルは急旋回し、互いに光弾を迎撃し合いながら宝剣と槍による猛攻を仕掛ける。

「つかよぉ…(猟兵としては)僕がパイセンだから、ちったぁ敬えや! この陰キャ野郎!」
「……毎回毎回、誰が陰キャだ!? 大体お前こそ間抜け面のエロスケベクズ小僧だろうが!」
 まさに売り言葉に買い言葉。
 光弾の撃ち合いでは埒が明かないとカシム側も電撃を纏った鎌剣での斬撃を叩き込みに掛かり、神機同士の共鳴により成せる魔力の伝播による言葉の応酬も繰り広げられる。当然ながら撮影用ドローンには感受されない物なので、映像を通して観戦している側からすればしょうもない痴話喧嘩同然の罵詈雑言は聞こえていない。

「はぁぁぁ!? このインテリ系のカ…このドラゴンアイさんに生意気一点じゃねぇぞボケェ!? そもそも目が死んでるじゃねぇか!?」
「はぁぁぁ!? 別に死んでないわ! きらきらっだろうが!」
『……ごめん、主ー……でも死んだ目の主も、とても素敵だよ❤』
「フォローになってねぇぞ、クソが!?」
『というか……普通にジャパニア滅ぼしたお母サマなんだから、とっととお詫びにグリムちゃんに叩き潰されちゃえ❤』
『はぁ? グリムちゃん……君がそもそも叛乱かまして、ジャパニア荒らしたんでしょ? そろそろ分からせないといけないかなぁ?』
 ……など、己の技量をぶつけ合う手に汗握る闘いの裏でそんな身バレ待ったなしの口撃が繰り広げられているなど露知らず、観戦している側の賭け額は既に天文学的な数字に膨れ上がっていた。
 だが、それもこの仮面舞闘会があっての物であり、決着がつかないまま制限時間切れの|引き分け《ドローゲーム》となれば払い戻されるからでもあり、決着の時は唐突に訪れたのであった。

『そこまでだ! ドラゴンアイおよびダークムーン、即時降下ならび機体放棄を命ずる! 抵抗すれば容赦なく制圧する!!』
 上空から地上を照らし出す照明弾、拡声器からの怒声が夜闇を切り裂いた瞬間、二機の神機は同時に動きを止めた。
 周辺は騒ぎを捉えたトリアイナ保安部のキャバリア隊に包囲されており、構えられたライフルの冷たい砲口が狙いを定めていた。

「メルシー、ばっちし見張れって言ってただろうがぁぁぁっ!!」
「グリムッ、ちゃんと見張れって言ってただろうがぁぁぁっ!!」
『『ごめーん☆❤』』
「「はぁぁぁっ!? お前らマジで役立たずかよ!!」」
 仲が良いのか悪いのか。
 カシムと銀静、二匹の端末の言葉とタイミングは見事に|重な《ハモ》り合い、互いのコックピット内では赤い照準レーザー光を感知した警告音が喧しく鳴り響く。

「メルシー、状況は!?」
『えぇっと……キャバリア一個中隊に増援っぽい後続がいっぱい。さっきまで調子乗って撃った弾が遠くからでもよく分かる目印になってたみたい☆』
「てめぇが一番役立たずじゃねぇか!」
 確かにここまで派手にやり合えばと、竜の半面の下でカシムの顔が僅かに引きつる。

「グリム……お前、本当に見張ってなかったのか?」
『えへへ❤ だって主の「陰キャ野郎をぶっ殺す顔」がカッコ可愛すぎて、つい録画しちゃってて……❤』
「消せ。今すぐ」
 一方グリームニルのコックピットでは、銀静が振動でズレた銀狼の仮面の位置を直しながら溜め息をついていた。

『繰り返す! ドラゴンアイ、ダークムーン! 即時降下ならびに機体放棄せよ! 抵抗すれば──』
「「抵抗するわボケェ!!」」
 再び叫び声が重なり合い、鍔迫り合い状態だった神機らが離れ合えば、威嚇用に出力を低威力まで抑えた光弾が保安部のキャバリア隊めがけて放たれ合う。

「勝負はお預けだ。ずらかるぞ、陰キャ!」
「誰が陰キャだ、エロスケベクズ小僧!」
『『やっぱり仲良いよねー☆❤』』
「「うるせぇ!!」」
 二匹の端末がまた同時に茶化し、二人の怒声がコックピット内に反響し合う。

『抵抗するか!? 撃て! 撃てぇ!!』。
 そして保安部が十字砲火で応戦すれば、流局した勝負から二機は治安当局から無事に逃げられるかの賭けが仕切り直されたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『二四式戦域制圧機「烈風」』

POW   :    二三式陽電子突撃砲
自身の【機体内蔵型の飛翔ユニット】でレベル×100km/hで飛翔し、射程無限・直線上の全てを切断貫通する【二三式陽電子砲から陽電子の奔流】を放つ。
SPD   :    発展型白兵支援システム
指定した敵1体か自身が死亡するまで、負傷を無視して毎秒【陽電子突撃砲と斬艦刀】で攻撃し続け、敵の攻撃を【斬艦刀】で弾く。
WIZ   :    三号戦域制圧機搭載型 電念波探信儀
敵1体に威力0の【データリンクに連接した火器管制レーダー波】を照射し続ける。照射時間に応じた量の【攻撃に必要な位置や速度、移動方位】が解析され、敵の全能力値が低下する。

イラスト:イプシロン

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「……で、これが破竹の勢いで勝ち上がってる者共なのですわね?」
「はい。異例の事態とのことで、纏めて私たちへ挑戦させる……とのことです」
 優雅な昼下がり。
 クラウディア・トラヴィスは自室に流れ込む心地よい潮風に長い栗毛色の髪を揺らされながら、執事服姿のセバスティアヌスへタブレット端末を返す。
 部屋の中はふたりだけの空間で、今は午後のお茶の時間。
 少し冷めたティーカップを口に添え、イレギュラーとも言えよう勝ち上がりを続ける相手への対策と手立てを思案する。

「通常ならチーム戦か個別戦でございますが、これも保安部が壊滅的損害を受けた影響もあるかと」
「ええ、先程見ました……なんとかアイでした? 照明弾のように撃ち合って保安部のキャバリア隊を呼び寄せた挙句、廃墟都市を更地にする勢いの大逃走劇でしたわ」
 飲みかけのティーカップをソーサーに戻したクラウディアが思わずクスリと笑みを零すほど滑稽な対局であったことを、セバスティアヌスも恭しく一礼をして同意する。

「まさに花火と言っていいほどであり、お屋敷からでも見えるものでした」
「ふふっ……本当に、まるで戦争が起きてるかのようでしたものね?」
「左様でございます。お嬢様が憂いておりました危機意識の改革……海と言う天然の防壁越しに起きている画面越しの戦乱を肌で実感させる。旧市街地全域、いえ新市街地近域で夜会を行えるのはまさに渡りに船でございましょう」
「そうですわね……。その点に関しましてはこの場で感謝を申しましょう。ですが、セバスティアヌス。明日の夜会までに彼らのデータを全て揃え、機体の整備も万全に仕上げて頂戴。驕るもの久しからず……でしょ?」
「畏まりました。お嬢様」
 クラウディアこと『|閃光の淑女《ライトニング・レディ》』は『|黒執事《バトラー》』へと|命令《オーダー》を下し、セバスティアヌスは深く一礼をすると部屋を後にする。

「破竹の勢いでしたわね? ならばこちらも竹を割るように迎え撃ちましょう。華麗に、優雅に、そして容赦なく」
 潮風が何処か楽しげなクラウディアの言葉を運ぶように部屋を吹き抜けていった。
鈴乃宮・影華(サポート)
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です

かつての様にイグニッションカードを掲げ
「――|起動《イグニッション》!」で各種装備を展開
友人から教わった剣術や
体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用

TPO次第では
キャバリアの制御AIである『E.N.M.A』が主体となるユーベルコードを使用したり
『轟蘭華』や乗り物に搭載した重火器をブッ放したり
「|神機召喚《アクセス》――|起動《イグニッション》!」からのキャバリア召喚で暴れます

例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかけるような行為はしません
不明な点はお任せします


柳・依月(サポート)
俺は柳依月、UDCアースの大学生だ。……だが、実は人間じゃない。妖怪だ。それでも俺は人間が好きで人間と共にある。彼らの日常を守る為、てのが俺の戦う理由になるのかな。
戦闘時は基本仕込み番傘での近接戦だが、中長距離や支援に回る時などは呪髪糸や禍魂による呪いなんかも使用する。
非戦闘なら情報収集が得意だ。主にネットだが、聞き込みとかもする。【化術】も得意だからな。

以下PL
ギャグ系の状況でもノリはいい方です。
 UCは指定した物をどれでも使用し(詠唱ご自由に)、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。



 熱狂と欲望が渦巻くトリアイナ旧市街地の夜天に二機の影が飛翔する。
 一機は純白の機体で、もう一機は付き従うように追従する漆黒の僚機。
 そのキャバリアの正式名は、二四式戦域制圧機『烈風』。
 完全な飛翔能力、長射程のエネルギー兵装、高度な電子戦能力など現代戦において必要となる能力の悉くを高水準で実現しており、一部地域において本機以前と以後でキャバリアの役割が変質する程の影響を与えた傑作機である。
 小国家によってはエースパイロット用のワンオフカスタム機に匹敵する|性能《スペック》を要しているが、真に恐ろしいのはこれがただの量産型キャバリアと言う点であろう。

「へぇ、アレが最上位ランカーのふたり組か。映像と実物では迫力が違うな」
 旧市街地の古ビルの屋上で白と黒のキャバリアが舞い起こすビル風で着物をはためかせながら、暢気そうにくるくると番傘を回している柳・依月(ただのオカルト好きの大学生・f43523)は目で追いかける。

「確かにそうですけど……だからこそ、分かることもあるものです」
 その隣では鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)が濡れ羽色の黒髪と暗赤色の首巻を吹き抜ける突風になびかせながら、今宵の夜会『|仮面舞闘会《マスカレード・オブ・アリーナ》』を配信中継させるドローンの飛翔音を耳で追いかけていた。

「研究室に籠って書籍を漁っているか、実際にフィールドワークで外に出向いて確かめるぐらい違うな。さぁて、俺はキャバリアなんて物を持ってやしない。ここで軍警察のキャバリア隊がやって来ないかどうか見張っているよ」
「この仕事はキャバリア同士の決闘ですからね……では、行ってきます。|神機召喚《アクセス》――|起動《イグニッション》!」
 影華がイグニッションカードを掲げて叫べば、白い極光が場を支配する。
 その光に目を眩ませないようにと依月は番傘を傾けさせ、収まった頃合いに上げれば……そこには白銀の装甲で月光を反射させる|祈光風神機《サイキックキャバリア》『レガリア・ベルクス』が顕現され、影華は既にコックピットに収まっている。

『お嬢様……未登録機の反応が』
『飛び入り参加、ですわね。招待状がお持ちでなくとも……お相手差し上げますわ!』
 こちらに向かって強襲する正体不明のキャバリアを迎え撃つべく、クラウディアとセバティアヌス……否、『|閃光の淑女《ライトニング・レディ》』と『|黒執事《バトラー》』が乗ずる烈風が編隊を解いて迎撃に当たる。
 淑女の機体である純白の烈風が斬艦刀をすると同時に刀身が赤熱化し、レガリア・ベルクスが首巻状として纏うサイキックエナジーが巨大な光剣として再形成されたBX大黒燐創鋼剣『影蘭』と激しい剣戟を繰り広げられる。

「くっ……!?」
 まさしく両者がせめぎ合う攻防であったが、それに水を差すかのように眩い粒子の奔流が夜闇を斬り裂いた。淑女が急に離れたことで仕切り直しを図って後退した影華であったが、レガリア・ベルクスがそのまま動くか追撃を仕掛けようとしていたならば陽電子砲に穿たれていたであろう。
 射線から執事の機体が位置する地点を割り出すが、反撃をさせまいと再び淑女が踊るような機動で斬り込んでくる。

「うーん……やっぱりか」
 上空で繰り広げられている苛烈な仮面舞闘会の狂騒を間近で見物していた依月であったが、とあることに気づく。
 まず、長機である純白の烈風が必ずと言っても良いほど先制攻撃を仕掛けている。
 空戦を主体とした設計で高性能なレーダーを搭載されている烈風ならば先に相手を発見してのことであろうが、その有利性は最初の一撃のみであり、仮に攻撃を躱された場合はその優位性は失われてしまう。
 だからこそ性能の足並みを揃えている量産機ならではな二機一組の連携により片方が囮となってもう片方が奇襲を掛ける、あるいは互いの死角をカバーし合うことによって常に「先手」を維持しようとしている。
 だからこそ、夜間でも目立つ白い塗装と溶け込むような黒い塗装をしている理由にもなろう。

「オブリビオンマシンも、大抵は一機だけ……ですからね!」
 依月が導き出そうとしている答えは、影華も嫌というほど実感させられている。
 クロムキャバリアにおけるオブリビオンマシン騒動は特定の個人が乗っているキャバリアによるものであり、それを起点として周囲の機体もオブリビオンマシンの狂気に呑み込まれるのが常である。
 そこで猟兵は騒動の元凶であるオブリビオンマシンを集団で戦い対処していたが、今回のケースはその逆であり、眼の前の二機はそれぞれ独立したオブリビオンマシンなのだ。
 更には乗っているパイロットも小国家のエースパイロットに匹敵する腕の持ち主であって、優秀な量産機が持つ機体の性能に頼って最上位ランカーに君臨していた訳でないのだろう。

「だけど……当然、この息の合った連携のも仕掛けがある」
 それも肌で確かめるために依月はわざと古ビルの屋上に居るのであり、感じるのは烈風より放たれる電波の嵐。
 恐らくであるがレーダー波の類いであり、反射された電波によって攻撃に必要な位置や速度、移動方位を解析処理や互いの情報共有もされているのであろう。
 何故それをキャバリアに疎い依月が導き出しているのかと言うと、去年に研究室のチャラそうな同学部生が毎週決まった曜日に眠そうな顔をしていたことに端を発する。
 聞いてみればロボットアニメの新作が日付を越えた深夜枠に放送されており、SNSでトレンド入りしていたのも知れば放っておけないのがネットロア怪異の性。
 勧められるがまま途中から一緒に見ることになり、昼間もチャラそうな同学部生は工学部に行った方が良かったのではないかと思えてしまうぐらい設定を語られれば忘れようにも忘れられないものであった。
 それが巡り回って攻略の糸口を導き出せれたとなれば、感謝すべきなのだろう。

「本日紹介するのは『写し身の怪異』。 鏡に映った自分がいつの間にか入れ替わってるって噂……」
 そしてそれを実行すべく、依月は|超常《ユーベルコード》を実行に移す言霊を紡いでいく。
 意識を集中させて溶け込むは電波の嵐の中、どんなに秘匿された暗号であろうともぬるりと淑女と執事の間に割り込んでくる。

「さて……今のお前は本物か?」
 その直後、純白の烈風が剣戟の最中に僅かであるが機体を硬直させ、漆黒の僚機も陽電子砲を再チャージする最中で僅かに高度をずらした。

 ──『怪異変転:映身』。

 電波と信号と言う『鏡』をすり替え、互いの位置情報や観測データを微妙にズラしてしまえば、完璧な同期を前提とした二機一組の連携に極めて小さな、されども致命的な『ズレ』が生じる。
 その証拠に放たれた光の奔流はレガリア・ベルクスの背後を掠め、旧市街廃ビルの壁際を抉っただけだった。

「彼の力を以て世界を蝕む──敢えて言います。『真の蟲使いは目で殺す』と」
 偶然にも依月とタイミングが重なるように、影華も自身のユーベルコード『新生・呪いの魔眼』を行使していた。
 禍々しい怨念に満ちた瞳による睨みつけがレガリア・ベルクスのカメラアイを通して放たれ、烈風の目であるデータリンク機能に不調を齎す。
 そうなれば戸惑いが生じた淑女の機体に僅かながらの硬直を与え、その間隙を突く形でサイキックエナジーの刃で左肩部の装甲を深々と斬り裂いたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メディア・フィール
「……って感じで、それなりの立場だったらこっちのデータを収集して来るよね」
そこであえて普段のキャバリアの戦い方とは違う、新たな戦い方を模索し、訓練します。
連装ビームキャノンで牽制しながら距離を詰め、ロングレンジアーム・焔とトライデントで中距離格闘戦を行うという戦闘パターンは自分で確立した定石どおりですが、攻撃で少しずつ削りながらもあえて懐まで飛び込ませ、そこでアームをロングではなくショートに引き戻して超近接戦に持ち込みます。普段のキャバリア戦ではいかに自分の得意な格闘技のリーチを伸ばすかを意識していますが、それとは逆に、いかに本来の自分にとって最適なリーチに持ち込むかの勝負です。



『オイオイオイ、嘘だろ!?』
『無敗の|閃光の淑女《ライトニング・レディ》に手傷を負わせただって!?』
 何時もは『|仮面舞踏会《マスカレード・オブ・アリーナ》』の運営組織が指定する廃墟やポイントからの実況中継であるが、今夜は旧市街地全域を夜会の会場であるとならば住民らは総出で路上で見上げたり屋根に登ったりと観戦している。
 キャバリアの飛行によって生じる大気の振動、鋼と鋼が激しく衝突し合う轟音が旧市街地を震わせ、夜空を切り裂く閃光で廃ビルの谷間を白く染め上げる。

『くっ、先程のダメージでバランサーが……』
 |淑女《クラウディア》の白い機体が高度を下げて地上へと着陸をする最中、それを追うようにメディア・フィール(人間の|姫《おうじ》武闘勇者・f37585)の動きをトレースさせたネオンで迎え撃つ。

「クラウディ……じゃなかった。|閃光の淑女《ライトニング・レディ》、そこまでだ!」
 データリンク機能が封じられた烈風の軌道を読んだ二連装ビームキャノンによる牽制。 威力は市街地戦も考慮して最低限まで絞らているが、それも数年前の『事件』でメディアと知らぬ仲ではないクラウディアに直撃させないためでもあった。
 だが、それは杞憂であったと白き烈風は連装ビームキャノンより放たれた二条の光の筋を間を潜り抜ける回避行動を見せつける。

『あら、御機嫌よう。|暗黒竜の末裔《クロウ・オブ・ダークドラゴン》……いいえ、メディア・フィール!』
 狂ったバランサーの再調整が完了した烈風は右腕に据えられた陽電子砲を突撃砲モードに切り替え、連続する炸裂音とともに発射される光弾がネオンを容赦なく迫撃する。

「えっ!? なんでボクだって分かったの!!?」
『あんなバレバレな変装で猿芝居……誰だって分かりますわよ!』
 淑女……否、トリアイナ名物と言っても過言ではないお転婆でお騒がせな令嬢であるクラウディアのツッコミめいた叫びと共に、白き機体が優雅に舞いながらも容赦なく迫る。
 左肩が損傷していても、斬艦刀の華麗であり苛烈な剣戟はまさに烈風の如し。

(やっぱり、こっちの|戦い方《データ》を収集している……!)
 ネオンは伸縮自在のロングレンジアームとRXキャバリアトライデントを巧みに操り、接近戦では無敵の強さを誇る。
 だが秀でた特性は逆に弱点にもなり、戦場のような初見殺しはともかくトーナメント式のキャバリアファイトともなれば対策が取られるのは必然。
 最上位ランカーを維持し続けるまで卓越した技量を持っているクラウディアでさえも、配信される試合の様子を観戦して対策を講じる弛まぬ努力をしているということだ。

「それなら……ボクだって! 閃光の淑女の正体がキミだってすぐ分かったんだから!」
『あら、私の変装は完璧でしてよ? 今まで誰も気づきませんでしたから!』
(それはオブリビオンマシンのお影なんだけどなぁ……)
 例えそれを口にしていたとしても、オブリビオンマシンの狂気に再び取り憑かれている彼女の耳には入らないだろ。
 メディアは内心で苦笑しながらトライデントを高速回転させつつ後退させて仕切り直しを図ろうとするが、クラウディアはそうはさせまいと激しい剣筋の嵐を刻み込む。
 数年前の『事件』ではオブリビオンマシンの性能に頼っていた彼女であった。
 しかしあれからどんな経緯があったのか知らないが、今やオブリビオンマシンはクラウディアの思想を極端に歪める程度であって、キャバリア乗りとしての実力は本物である。
 その事実はこうして通信を交えながら余裕な声色を浴びせられ、どうにかして突破口を見つけ出さなければまでメディアを追い詰めていく。

「すぐ分かったさ! だって……ボクより胸が小さかったから!!」
『……な、なななな、なんですってぇええええっ!!』
 ……事実かどうかはさておき、実際クラウディアの身体は細身で控えめな方である。
 それは映像でファンサービスをやっていたパイロットスーツ姿の彼女からもはっきり分かるものであったが、人一倍プライドの高い彼女にとっては|地雷《コンプレックス》だったようで動揺はすぐさま機体の動きに現れていた。
 些細な程度であっても、メディアは見逃さず更に畳み掛ける。

「仮面の変装は考えたけど、頭隠して胸隠さずだね!」
『お、お黙りなさい! 貴女こそ……貴女こそ、胸のことを気にしてる癖にっ!』
「けど、ボクの方が大きい!」
『だから、私の方がですわ!!』
 クラウディアの上ずった叫びには、明らかな苛立ち、羞恥心、怒りが滲んでいる。
 オブリビオンマシンによる狂気ではなく彼女本来の叫びであると確信したメディアであったが、それならこのキャバリアを破壊すれば元に戻れるという確証を得るには十分であった。

『この屈辱……絶対に許しませんわ! 今すぐ貴女の素っ首を斬り落として差し上げ』
「それを待ってたのさ!」
 徹底的にメディアの戦い方と攻略法を研究して得意とする距離を封じていたクラウディアだったが、猛然と斬艦刀を振りかざすとネオンの首元を狙って強襲する。
 しかしメディアもまた新たな戦い方を、普段の戦い方とは違う戦法を作り出していた。
 それが先程のレスバによる挑発であり、相手を敢えて懐まで飛び込ませて蛇腹状の腕をロングからショートに縮める逆転の発想によるカウンター。
 暗黒の炎を拳に纏わせる『邪竜黒炎拳』の灯火にクラウディアは既の所で気づくが、同時に突出した拳を白き烈風の装甲を歪ませながら激しく叩き付けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桐嶋・水之江
おーっとここで黄金のキャバリアが突如乱入…みたいな感じでセミ・ワープドライブで出場するわ
既に出場してる猟兵さんを座標にすれば転移事故なんて起きないわよ
エントリー名は…黄金仮面ってことで

にしても烈風とは珍しいわね
ハリボテじゃなければハイエンドモデルよ

さっそく陽電子砲を撃ってきたわね
だけどこっちにはカナリア装甲があるのよ

問題は斬艦刀ね
接近してくるのは確定的に明らか
拡散モードのメガビームキャノンで迎撃しましょう
引き撃ちで左右交互にリズム良く連射
ジリジリ削ってあげるわ
怯まないし弾かれる?
結構
真っ直ぐ突っ込んできたところを、ハイパーメガバスターの直撃を狙うわ
斬艦刀一本でこの飽和火力を受けきれるかしら?



『お嬢様!? 今お助けを……!』
 与えられた一撃でバランサーが狂い地表へと滑落する主を追おうとする『|黒執事《バトラー》』は、こちらも機体を傾けて追従しようとするが……行く手を阻むように突如と空間がぐにゃりと歪んだ。

「セミ・ワープドライブは……うん。無事成功ね」
 眩い閃光と共に漆黒に塗られた烈風の前に顕現したのは、装甲の継ぎ目から翠色の燐光を重装型キャバリア。

『あれはカナリア級……また乱入者、と言ったところでしょうか』
「ええ、そんなところよ。取り敢えず簡略的なエントリーだけでもしておきましょうか……私は輝ける金仮面を被った黄金仮面。それ以上でもそれ以下でもないわ」
 桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)は、自らを黄金仮面と名乗り上げる。
 飄々としていてどこか場を楽しんでいるような語り口に、黒執事はふむと彼女の人となりを推察していく。

『これはご丁寧な挨拶を|黄金仮面《レディ》。では、私めからのご挨拶を』
 加速器を稼働させてチャージ済みの陽電子砲がカナリアの頭部を目掛けて放たれる。
 一見すると水之江の語り口は無邪気な少女の物であったが、その中には利己的で倫理観が欠如し、己の興味を満たすためならば他人を道具として平然と扱う冷徹さがある。
 トラヴィス家に仕える前は数々の戦場を渡ってきたからこその感でもあり、黄金仮面を名乗る不審人物を即座に排除すべきであると本能が即断させた。
 陽電子砲の鋭くも眩い奔流が夜闇を切り裂いてカナリアの頭部へと一直線に突き刺さった……はずであった。

「ふふっ……さっそく陽電子砲を撃ってきたわね。だけどこっちにはカナリア装甲があるのよ?」
『実体弾以外のエネルギー伝達を遮断するゴールド・オリハルコニウム装甲……やはり本物のカナリアでしたか。これは厄介なお相手です』
 カナリアの頭部を穿つ直前で陽電子の収束が霧散され、数多に分かれた光の筋が旧市街地エリアを照らし出す。

「あら、私のカナリアを知ってるだなんて意外ね」
『はい。情報収集が専業なものですので、お噂がかねがね伺っております。確か……現れた小国家にはペンペン草も生えないとまで』
「ぐうの音が出ないまでの散々な云われようね。にしても烈風とは珍しいわね。ハリボテじゃなければハイエンドモデルよ。何処でそんな過ぎた玩具を買ってきたのかしら?」
 確かに烈風は極めて高い完成度を誇る量産機であるが故、それを生産及び数を取り揃えて運用できるほどの国力を有する小国家は限られる。
 更にジェネレーター直結式の二三式陽電子突撃砲も理論上は射程がほぼ無限で、出力を最大値まで引き上げれば如何なる重装甲も貫通せしめる火力。機体内蔵型の飛翔ユニットが作り出す揚力も燃費はお世辞にも優れたものではないので、稼働時間の短さもネックとなっている。さしずめ兵ではなく騎兵であり、少数の選抜した高練度のパイロットらを戦隊した特殊部隊用途ともである。
 海運交易を主としてトリアイナの資源貯蔵量と資金力をもってすれば主力戦力とすることも可能であろうが兵力の大部分を隣国の傭兵国家であるヘキサの傭兵に依存しており、彼らは型落ちしていても乗り慣れた旧型機をカスタマイズして使う傾向が強い。
 だかこそ、この|烈風《キャバリア》自体が金持ちの道楽で買った物として水之江は睨んでいた。

『それはお答え出来かねます』
「でしょうね。概ねブラックマーケットと目星は付いてるもの……それで黒執事さん。お嬢様が地上で私のお仲間と交戦してるけど、助けに行かないで良いのかしら?」
「はい。ですので、貴女を全力で排除致すだけです」
 次の瞬間、烈風が猛烈な加速でカナリアで迫る
 ゴールド・オリハルコニウム装甲によって陽電子砲が効かなければ物理で殴るだけであり、抜刀した斬艦刀の刀身が赤々と赤熱化していく。

「でしょうね」
 研究目的で烈風の諸元を知り尽くしている水之江は漆黒の風となって襲い掛かる烈風から逃れようと見せかけ、両肩に据えられたメガビームキャノンで迎撃を図る。
 拡散モードで偏向する荷電された粒子の光条が烈風の接近路を扇状に切り裂くが、黒執事はそれを読み切っていた。
 漆黒の機体が拡散されるビームの間隙を紙一重で滑り抜け、赤熱して磁場を帯びた斬艦刀で粒子の軌道を逸らして距離を縮めて来る。
 そんなキャバリアの姿を仮面の下でほくそ笑む水之江は、予定通りに次の一手を打つ。

「流石の腕前ね。だけど、お嬢様の背中はがら空きよ?」
 これが一対一の決闘ならばカナリアの対空網は突破されていたであろう。
 カナリアが手にするライフルが構えられるが、狙っているのは黒執事の機体ではなく……地上で交戦する純白の烈風。
 先程の交戦により通信が今も途絶える中、僚機が長機に上空から狙われていることを伝える手立ては今はない。

『まさか、狙いは……!』
「そう。本命は白い烈風よ♪」
 黄金仮面の狙いが分かれば黒執事は即座に行動を移す。
 このまま斬り込んでも引き金を引かれるなら……取るべき行動はひとつであった。
 黒い烈風は最大速度で下降し、それに合わせてカナリアのBSハイパーメガバスターが放たれる。幸いにも黒執事の機体は火器管制レーダー波を照射する機能が生きており、機体が予測した地点で斬艦刀を振るえばハイパーメガバスターから放たれたビームの軌道に入る。
 斬艦刀の刀身では受けれないあまりの熱量で僅かにだが射線を逸らす程度であったが目的を達成するものの、間近で浴びせられた光条からの膨大な熱によって飛翔ユニットに不調をきたした漆黒の烈風も地表へと滑落していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
……壊せ!

引き続きクロムキャバリア操縦
盾は壊れたので無し、代わりにRX騎兵刀とRSパルスマシンガンを構え、
ジャミングユニット起動、敵機レーダー波妨害、『魔改造能力者』発動!

此方の性能が上がる事は既知の事。

高速【推力移動】かつ【念動力】で変則機動を取り、射線を逃れつつ、
念動力で弾道変化【貫通攻撃】歪な姿勢から、電磁徹甲弾を当てる!

だが、|これ《超能力》は見せていない!!

パルスミサイル【一斉発射】念動力と【瞬間思考力】で全弾軌道操作【フェイント】敵機がミサイルを掻い潜り此方に距離を詰めてきた瞬間、
【早業】転移転送能力でミサイルと自機の位置入れ替え【爆破マヒ攻撃】
RX騎兵刀で、追撃を行う!壊れろ!!



 連勝無敗のふたり組が押されている。
 その事実が上空を旋回する中継ドローンにより実況され、熱狂、期待、失望……そして何より「ついに」という暗い歓喜がトリアイナという企業小国家を呑み込んでいた。
 実況映像はキャバリアでも受信できるほど広域なもので、違法興行を取り締まる保安部に甚大な被害が及んでいるのを差し置いてオブリビオンマシンが齎す狂気によるものだろうと、朱鷺透・小枝子(|亡国の戦塵《ジカクナキアクリョウ》・f29924)は無言のまま機体を旧市街地街を走らせる。
 連戦に次ぐ連戦、捜査の目を掻い潜るような|拠点《アジト》では満足な整備と補給はままならない。その事実をありふれたクロムキャバリアが如実に物語っており、本来ならば滑らかな音を奏でる駆動音が小枝子の胸の奥でふつふつと湧き起こるオブリビオンマシンを殲滅する破壊衝動を代弁するように低く、歪んだ唸りを上げていた。

「……壊せっ!」
 コックピットの中でも聞こえる潤滑油の不足した軸受がまるで自分自身が歯軋りしているかのような擦り合わせられる金属音が、より神経を苛立たせて思考が破壊に染まっていく。それでもなお猟兵としての矜持は見失っておらず、ジャミングユニット起動させれば合成音声混じりの実況映像が歪んでノイズ音がコックピット内を支配した。

『広範囲の強力なジャミング……ですわね!』
 開幕早々に自慢の三号戦域制圧機搭載型電念波探信儀に不調をきたした|閃光の淑女《ライトニング・レディ》もまた実況映像を目として状況の把握を行っていたが、それも封じられれば有視界戦闘の決闘をせざるを得ない。
 この事態を予め予測していてか各種センサーをマニュアルで切り替え、モニター上に浮かび上がった音響と熱源の頼りに|小枝子《クローム》の機体に照準を合わせる。距離が十分なら然るべき充電時間による陽電子突撃砲を放てるだろうが、地を這うような低空飛行をせざるを得ない状況下に置かれてはそうは言ってられない。

「当たる……ものかッ!!」
 悲鳴を上げ続ける機体の損耗率では、あの白い奴に追いすがることも出来ない。
 前髪で隠れていた小枝子の左眼に赫い燐光が燈される。それは己の|超能力《ユーベルコード》、『魔改造能力者』が顕現される顕れであった。
 ボロボロに損壊の激しいキャバリアを賦活させ、小枝子の脳をチリチリ灼かせながら念動力がガタガタとなった駆動系の抵抗を最小まで修復して滑らかさを復活させる。
 急に動きが変われば二三式陽電子突撃砲が狙った予測を狂わせると同時に、手にしたRSパルスマシンガンの弾道にも電磁加速を齎し、空気抵抗を限りなく抑えさせることで高機動戦によるブレを最小の物としていく。

『動きが変わりましたか……ですが!』
 このまま射撃戦のドッグファイトにもつれ込めば、ジェネレーター直結式の陽電子砲を撃ち続けることにより稼働時間が潰えるのも時間の問題である。
 そう判断した淑女が建造物を足場として蹴り、変則的な機動を取るクロムキャバリアの頭上を取って陽電子の奔流で穿たんと右腕のユニットを向けた。

「っ……だが、|これ《超能力》は見せていない!!」
 白い烈風の思いがけない行動を前に脳髄が焼き切れそうな小枝子は左眼の赫い燐光を燃え上がらせるように発光させ、肩部に装着させていたミサイルコンテナで迎撃を図る。
 装填されているのは炸裂すれば妨害電波を撒き散らすパルスミサイルであり、電子戦を前提とした烈風のセンサー類を容赦なく掻き乱すものだ。
 しかしそれは炸裂させなければ良いだけの話であり、ミサイルの信管にも一定の距離を巡航した後に作動する安全装置がある以上は烈風の機動力をもって掻い潜れば良いだけである。

『これでチェックメイト、でしてよ!』
 閃光の淑女は眼前に迫るクロムキャバリアに向けて引き金を絞った……いや、絞ったはずであった。
 ちょこまかと動き回るのであれば頭部に砲口を密着させた零距離射撃を行うはずであったが、淑女の眼前にあるのは突破して今は上空に向かって飛んでいるはずのミサイル群。自動追尾でも大きく蛇行せざるを得ないこの場に無いはず物が信管を作動させて炸裂すれば、小さな爆風と同時に広がる妨害電波の嵐が烈風のセンサー網を容赦なく掻き乱した。
 
「壊れろ、壊れろ!! このまま全部、ぶっ壊せッ!!」
 それは全てユーベルコードが成す超常である。
 上空を飛んでいたパルスミサイルと位置を入れ替えたクロムキャバリアが咆哮のような駆動音を撒き散らしながらRX騎兵刀を振りかざし、動揺する淑女の背後から確かな一太刀を、背部装甲を斜めに抉ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

迅瀬・ナクタ
「乗っている機体に関してはオレは言うことは無い。コイツらも|オブリビオンマシン《いわく付き》だしな。……ただ|オブリビオンマシン《その機体》に乗っている以上、何か歪まされているかもしれない……それだけは忘れるな」

UC【人機一心】そして、その効果でUC【攻撃UCコマンド『ライトニングスラッシュ』】を使用
OM-NATAKUをアイテム【トイロボ用飛行ユニット】を装着させた状況で『ラシャ』から勢いよく射出

……まぁビットのようなものだ。

OM-NATAKUと『ラシャ』で挟み打つように光の斬撃を放ちます。


最近はよく|あの時《猟兵になる前》、|あの戦い《初めて負けた時》を思い出す。……オレは奴のような光になれない。だが少なくとも今のオレは猟兵だ。何かできることもあるはず。


アドリブ・連携は歓迎です。



 母の治療費を当分工面できる額を稼ぎ終えた。
 ただそれだけの理由だけで『|仮面舞闘会《マスカレード・オブ・アリーナ》』に参戦し、連戦連勝の成績を上げてきた迅瀬・ナクタ(闇を抱くトイロボバトラー・f37811)にとって既に何時でもリングから降りることは可能だった。

「……ここまで来て勝ち逃げすれば、トイロボバトラーの名が廃る」
 それはアスリートとしての原動力であり、本能でもある『闘争心』。
 勝利への意欲こそがアスリートの武器であるが、勝利への意欲が強すぎれば強すぎるほどドーピングに手を出すようにダーク化してまで勝とうとする。
 トップアスリートの勝利意欲は低いが闘争心は高いとも云われており、勝利意欲は「勝ちたい」意識が結果に向いている心理である中、闘争心は「負けるものか」と意識が勝負に向いている心理とよく云われている。
 勝負に意識が向いているからこそ勝敗を分ける局面で力を発揮できるもので、トイロボ大会決勝でナクタを負かしたライバルにあって自分に無かったものこそがこれだったなのだろう。こうしてトイロボバトルから離れてキャバリアを用いた違法賭博興行に身をやつしていたからこそ初心に立ち返えられ、チャンピオンである白と黒のキャバリアに挑戦を挑むというアスリートとしての新たな目標が生まれたのかもしれない。

「乗っている機体に関してはオレは言うことは無い。コイツらも|オブリビオンマシン《いわく付き》だしな。……ただ|オブリビオンマシン《その機体》に乗っている以上、何か歪まされているかもしれない……それだけは忘れるな」」
『ほう、私たちの機体がオブリビオンマシンであると?』
 地上へと降下させれた黒い烈風に乗る『|黒執事《バトラー》』と対峙し、同じ黒騎士へとナクタが通信を送れば首を傾げる声色の返事が返ってくる。

「……そうだ。どのような経緯でこの|オブリビオンマシン《機体》を得て、どのような理由でこのような茶番をやっているか……勝った後に聞かせて貰おう」
『それは楽しみでございますな』
 しわがれた声質から、相手は初老の男性と言ったところか。
 だが、その事実を否定するように烈風は黒き暴風の如く機動を見せつけ、貫通性能は劣るがその分速射性を高めた陽電子砲で牽制しつつこちらに迫ってくる。
 この程の加速と旋回を行えば操縦するパイロットに苛烈な負担が掛かるものだが、それを物ともしないのは卓越した技量と精神力において他ならない。
 迫る黒い烈風が暴風と共に舞い起こす斬撃をオブリビオンマシン同士が共鳴し合うかのように、ヤシャもまた咆哮のような駆動音を鳴らしながら双剣でいなそうとする。されども刃の角度や機体の捌きかで勢いを逸らして体勢を崩した隙を生み出そうとしても、初老の対戦相手も若き天才の狙いを読み解いて激しい剣戟の応酬を繰り広げる。

『なるほど。お若いながらも腕は確かですな……しかし!』
 鋼と鋼が激しくぶつかり合い火花が散り合う中で黒い烈風が仕切り直そうとして距離を取ろうと後退した刹那、左腕と一体化した陽電子砲の射線をラシャの頭部に据えて砲口を向けさせる。
 先程までの攻防は単なる時間稼ぎ。
 白い烈風ならば決闘さながら決着が決まるまで斬艦刀での勝負を行っていただろうが、勝ち方に拘りを持たず今まで戦場を生き残ってきた老兵にとってそんな物は犬も食わぬプライドであろう。
 充分な時を稼ぎ、最大出力とまでは行かないが頭部ユニットを貫くまでの威力までチャージし終えれば、後は仮面舞闘会のルールに則り夜会より退場頂くのみ。溢れ出た脳内麻薬物質で時間その物が緩やかに流れる錯覚を覚える中、ナクタは不敵な笑みを浮かべた。

「……そう来ると思ってたさ。NATAKU!!」
 今まで闘ってきた勝負が配信されている以上、相手は戦い方を研究して対策や戦法を練る。それはアスリートも例外でなく、可能な限り試合を行う相手の情報を徹底的に調べ上げて勝ちを狙っていくものである。
 ……稀にそんなことは卑怯だの正々堂々と戦うだのというお人好しも居るのだが、そう言った連中は本番に限りなく強い部類であるので除外するとする。
 黒執事は射撃を得意としており、相手を倒す際には左腕の陽電子砲で頭部を撃ち抜くのがお約束の流れであると言っていいまでであった。だからこそ、限りなく自然で相手がそう動くようにナクタは立ち回っていたに過ぎず、こうしてどう足掻いてもラシャが手にした双剣では詰みの状況を演出している。
 この状況を打開する秘策は……剣戟の応酬の最中、自らのユーベルコード『人機一心』にトイロボ用飛行ユニットを装着させて機外に放出させたOM-NATAKU。
 5メートルサイズのキャバリアからすればトイロボなどムシケラのように小さく脆い存在であるが、だからこそプラスチックを主体で構成されたボディはキャバリアのセンサーには捉えられ難い。自らを囮にしてOM-NATAKUが本命の光の斬撃『ライトニングスラッシュ』を脆弱な関節部を切り抜けば、ジェネレーターと直結して電力を供給するケーブルなど破断する程度なら容易いものだった。

『まさか! 極小のキャバリアを!?』
「キャバリアとも違いが……まぁビットのようなものだ。NATAKU、オレに合わせろ!」
 出力が急激に喪われて通信越しでも戸惑いの色を隠せない黒執事に追撃を仕掛ける中、ナクタの胸中に自身を負かした能天気な|好敵手《ライバル》の顔が過る。

(最近はよく|あの時《猟兵になる前》、|あの戦い《初めて負けた時》を思い出す。……オレは奴のような光になれない。だが少なくとも今のオレは猟兵だ。何かできることもあるはず……!)
 光が強ければ闇が深まり、闇があれば光は輝く。
 今はまだ同じ道を歩むのが難しいかも知れないが、奴を切っ掛けに自分は何か変わりつつあるかもしれない。そんな本心の吐露を夜闇を照らすように光り輝く双剣に乗せ、黒きオブリビオンマシンを挟み打つ四刃の斬撃を与えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
神機

…よぅ陰キャ野郎
チーム戦らしいがてめー僕の足を引っ張ったら〆るぞ
「グリムちゃんも邪魔するんじゃないぞ☆」

【情報収集・視力・戦闘知識】
淑女と執事の動きと立ち回り
過去のデータとの照合からの分析や考察を銀静達と共有

主従って事は相応に連携もこなすだろうな
「それなら…☆」
各個撃破だ
僕は淑女をヤる
「ご主人サマのドスケベ♥」

【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源隠蔽

【空中戦・念動力・弾幕】
UC発動
超絶速度で飛び回りながら念動光弾(今回は不可視)の弾幕展開
その動きを制限させ
特に斬艦刀を狙

【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み・電撃】
鎌剣で切り刻みながら電撃で動きを鈍らせ
突撃砲と斬艦刀を強奪狙

厄介すぎる能力だから…剥がさせて貰うぜ!
ま、本来はベッドで剥がしたい所だったがなぁ!
「ひゃっはー☆ご主人サマってば下劣で素敵だぞ♥」
淑女様にはちょいとばかり刺激的だったか?

【瞬間思考】
なんて言いながらも常に相手の狙いや行動を冷徹に分析しながら戦っている

常に張り付き連携は取らせない


皇・銀静
神機
チーム戦
よりによって腐れエロスケベクズ小僧と共闘かよ…
「グリムちゃんも遺憾だよ主ー☆」
というかお前は何猫の姿取ってるんだこら?(頭むぎゅー
「むぎゃー☆主って猫ちゃん好きじゃん☆」
猫は嫌いじゃないがお前が好きなわけでもない…!
「奥様もよく茶色い仔猫ちゃんに猫変身してるよね☆」

お前こそ邪魔するなよ小僧が…!

ふん…スケベ小僧が…だがあの執事も中々戦るなら…味わうのも悪くないな

【戦闘知識】
…あれ量産機だよな?
武装が凶悪すぎないか?
「それで乗り手も実力者なんて怖いね主☆」
楽しいって事だ(きひっ

という訳で執事に襲い掛かる
【空中戦・念動力・属性攻撃・弾幕】
槍の神
UC発動
超高速で飛び回りながら火炎弾と念動光弾を乱射
常に淑女との連携を崩し一対一に持っていく
お誘いには応じるもんだぞ執事さんよ
【二回攻撃・リミットブレイク・切断・功夫・串刺し】
全力で距離を詰めて
魔剣による連続斬撃から槍での刺突

鉄山靠を叩き込んでから拳も叩き込んでの超近接攻撃へと持ち込む

ダンスは密着してやるもんだろ執事さんよぉ!



「……よぅ、陰キャ野郎。チーム戦らしいが、てめー僕の足を引っ張ったら〆るぞ」
「それはこっちの台詞だ。よりによって腐れエロスケベクズ小僧と共闘かよ……」
 不満……明らかな不満の声。
 つい先日の激しく誹り合い闘っていた対局から日が浅いとなれば仕方ないが、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)と皇・銀静(陰月・f43999)はお互いに猟兵の立場というものがある。それがなれば今すぐここで倒すべき相手なのだろうが、オブリビオンマシンを倒すという共通の目的から呉越同舟せざるを得ない。

『グリムちゃんも邪魔するんじゃないぞ☆』
『グリムちゃんも遺憾だよ、主ー☆』
 男同士でこれなら、女(?)同士でも端末らも通信越しでバチバチと火花を散して合っている。コックピット内をコケコケにゃんにゃんと忙しなく威嚇しあっており、流石に鬱陶しかったのか銀静は子猫姿の端末を抱え上げた。

「というか、お前は何猫の姿取ってるんだこら?」
『むぎゃー☆ 主って猫ちゃん好きじゃん☆』
「猫は嫌いじゃないがお前が好きなわけでもない…!」
『奥様もよく茶色い仔猫ちゃんに猫変身してるよね☆』
「……それを言うな!」
 口の減らない端末を黙らせようと必死に頭をむぎゅむぎゅ捏ねくり回すが、当のグリムはじゃれられて嬉しいのか銀静の成すがままじゃらける。
 そんな様子が通信越しからでも思い浮かぶのにカシムはクソデカいため息をわざとらしく吐き、彼の頭の上で座っているメルシーも似たような仕草で頭を下げた。

「さぁて、先駆けを譲ったが……その甲斐あって淑女と執事の動きと立ち回りはだいたい分かってきたな」
『映像だけじゃ分からないところもあったからね☆』
「まーなー」
 半仮面の竜面でこんな奴に手を貸すのは小癪だがと言いたげな表情を隠しつつ、銀静側に今までの分析データを送信する。
 送られたデータの着信に気づいた銀静は、グリムを捏ねくり回しつつカシム側から送られたデータを軽く一読した。

「……やはり主従関係の間柄か、連携は脅威の一言だな」
「それに量産型とは言え、あの性能だぞ」
「量産機の割に武装が凶悪すぎないか?」
「戦争は数と質だぜ?」
 確かにオブリビオンマシンは、ひとりのエースパイロット用に特注された機体に部下の量産機が付いてくるイメージが強い。
 だが、量産型の脅威とは元となった機体の生産性を上げるために多少の簡略化や万人向けの調整がなされることが多いが、一定の完成度と性能の水準を満たしたまま大量生産できる点と部品の共有化は試作機にはないアドバンテージである。
 そのような意味合いにおいて、烈風は『エース向け高級量産機』であり、古典作劇的に「試作機=看板役者」「量産機=切られ役や三下」の役割を振られることの多い量産機本来の姿である『完成品』において他ならない。

「……同じ量産機でも乗ってる人間の技量次第では手強い存在にもなり得るか」
「そんなとこだ。お仲間に分断させて貰ってるが、このまま合流させずに各個撃破といこーぜ。僕は淑女をヤる」
『やだー☆ ご主人サマのドスケベ❤』
「(腐れエロスケベクズ小僧が……)なら、こっちは執事を相手する」
『敢えて乗り手も実力者の方を選ぶなんて……怖いね主☆』
「楽しいって事だ」
 きひっと含み笑いが通信越しからでも聞こえ、カシムはこれだから陰キャ野郎はと口に出し掛けそうになるが、ここは我慢のしどころ。
 神機『メルクリウス』、『グリームニル』が散開し、白と黒の両機を目指して旧市街地の廃ビル群を縫うように疾走した。

『くっ、お遊びが過ぎましたわ。黒執事と合流して態勢を整えなければ……』
「そうはさせないぜ?」
 屈折する水の障壁を利用した光学迷彩と熱源隠蔽でセンサーから存在を隠していたメルクリウスが姿を現し、手にしていた鎌剣を振り落として白い烈風の右腕を斬り落とす。

『早くお嬢様と合流しなければ……』
「よぉ、執事さん。そんなに急いで何処に行こうってんだ?」
 同じ時刻で同じタイミングに、超高速で地面スレスレに飛び回りながら魔剣と槍の双撃で黒い烈風の行く手を阻むグリームニル。
 上空や周囲では忙しなく実況撮影用ドローンが飛び回って鬱陶しい限りだが、追々と水を指してくる保安部の介入が入る前に両者を撃破しなければならない。
 今回は前回と異なり端末らがちゃんと仕事をしており、熱源反応とレーダーによる解析から数分……それが今回の制限時間となろう。

「仮面舞闘会のルールに則って頭を狙ってたが……厄介すぎる飛び道具だから、剥がさせて貰うぜ! ま、本来はベッドで剥がしたい所だったがなぁ!」
『な、な……ベッドで剥がしたいって……俗物っ! 俗物っ! 俗物っ!!』
『ひゃっはー☆ ご主人サマってば下劣で素敵だぞ♥』
 腕は立つが舌戦では……の見通し通り、ちょっと卑猥な言葉で煽ればこの反応だ。
 本来なら黒執事が淑女の戸惑いを鎮める役目を負っているだろうが、今は分断されて陰キャ野郎と死闘を繰り広げているところだろう。

「お誘いには素直に応じるもんだぞ、執事さんよ?」
『そうしたい物ですが、出来れば御婦人からのお誘いであればよろしいのですがね?』
 淑女に対して執事の煽り耐性は流石なもので、銀静の挑発に乗らず粛々と斬艦刀で火花を散らしながら高速機動戦を繰り広げる。
 本来ならば間隙を狙った陽電子砲による狙撃を与えられるところだが、先の猟兵との闘いで右腕は損傷している。無理に撃てばジェネレーター直結式の構造による本体側の誘爆もあり得れば、片腕のまま対応せざるを得ないところであった。
 両機は付かず離れずの距離を保ったまま張り付き周り、合流しようとすれば牽制を与えて機動を絶えず逸らしていく。そうしていく内に刻々と時間が過ぎていき、残り時間まで後僅かなところでカシムと銀静は同タイミングでユーベルコードの煌めきを顕現させる。

「さぁて、お遊びは……」
「ここまでだ……!」
 メルクリウスが仕掛けるは、神速戦闘機構『速足で駆ける者』。
 バランサーの故障で思うように機動戦を取れない白い烈風を手数と速度で押していき、電撃を纏わせた鎌剣で機体の反応を徐々に削いでいく。
 グリームニルが仕掛けるは、『四門開門・凶』。
 機体を周囲の敵の生命力やエネルギーを奪う邪気で覆うことで出力低下を招かせ、自身の内から溢れる苛烈な闘争心を燃料に飛翔能力と戦闘能力を増強させる。
 技量だけでは太刀打ちできない暴風を巻き起こし、魔剣と槍を両肩を貫きさせればそのまま体当たりを掛けて鉄拳を叩き込んでいく。

「ダンスは密着してやるもんだろ執事さんよぉ!」
「勝ったらアフターも付き合って貰うぜぇ!!」
 そんな無法者らが放った最後の一撃は同タイミングで白と黒の烈風の頭部を破壊せしめて、決定的な決着を撮影実況用ドローンが見逃さまいとカメラを向ける。
 オブリビオンマシンが討たれた瞬間を映像越しで伝わった間を起き、二機の神機は周囲に向けて無数の光弾を放った。
 次々と映像を実況中継していたドローンは撃ち落とされ、トリアイナの住民らが観ていた画面は黒くブラックアウトして仮面舞闘会は今夜限りで閉幕となったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『クロムキャバリア小国家の首都観光』

POW   :    食事! 首都ならではのグルメを楽しむ。

SPD   :    名所! 首都の観光名所やスポットを巡る。

WIZ   :    名産! おみやげや掘り出し物を探すショッピングに回る。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 仮面舞闘会の一夜を明けた旧市街地内では、保安部の軍警察による非常線が敷かれていた。夜会に参加していた猟兵のキャバリアは既に世界転移によりグリモアベースに帰投されており、生々しい戦闘跡が残る廃ビルの間には頭部が破壊された白と黒の烈風が転がっているだけである。
 そしてだが、コックピットのハッチは開放されており、主犯である『|閃光の淑女《ライトニング・レディ》』と『|闇執事《バトラー》』の足取りは掴めていない。
 ふたりの顔写真代わりに配信された映像の一部が映し出され、淡々と報道内容を読み上げるニュースキャスターの声が流れる。オブリビオンマシンの支配が徐々に消えつつある国民の感心はTVとラジオの報道に向けられていた。

「誠に……申し訳ございませんでしたわ」
「私というお目付け役が居ておきながら……一生の不覚でございました」
 そして、ここは新市街地にほど近い旧市街地の空き家の中。
 保安部が淑女と執事を逮捕される前に破壊されたオブリビオンマシンより引きずり出されたクラウディアとセバスティアヌスは、こうしてほとぼりが冷めるまでこの隠れ家に匿われていた次第である。
 ふたりも事情を聞かされれば反省の色を示しているが、いずれは保安部の捜査の手がここに及ぶのも時間の問題である。

 オブリビオンマシンを討伐するのが猟兵の仕事であるが、穏便に事件を解決するべくこのふたりを新市街地まで護衛する追加ミッションがここに始まる。
 どうやってふたりがあのオブリビオンマシンを乗ることになったか、仮面舞闘会の胴元は如何なる組織であるか疑問に持つ猟兵が居ることだろうが、今は安全地帯ではなくなるこの建物から出ることが先決であった。
政木・朱鞠(サポート)
とりあえず、感覚共有した『忍法・繰り飯綱』を放ち【追跡】や【情報収集】で周囲を探って敵の分布や地形の情報を把握しておきたいね。
目標としている存在の大体の位置や大きさとかが解かれば良いんだけど、無理に深掘りしないように注意しないとね。

アドリブも連携もOK


メディア・フィール
プレイング改変・アドリブOK
他PCとの絡みOK

「保安部のひとたちだって仕事でやっているんだから、あんまり力押しっていうのはダメだよね」
まず空き家がある地区の包囲を遅らせるため、少しずれた地区に二人が潜伏しているらしいという誤情報を口コミで流します。野次馬をそっち方面に集めて、通行の阻害などを起こさせるのが目的です。そして、野次馬に紛れながら二人を逃がそうとします。もし見つけられそうになったらアイテムの【光輝の精霊石】を空中に投げて謎の爆発を起こし、ちょっとした騒動を起こして混乱させつつ、次の護衛の猟兵にバトンタッチしつつ、二人とは別れて自分が囮になります。心の中で保安部の人に謝りながら。



「はぁ……まったく、お騒がせなんだから」
『はい……海より深く反省致しています』
 仮面を脱いだパイロットスーツ姿のクラウディアにメディア・フィール(人間の|姫《おうじ》武闘勇者・f37585)は徒労混じりのため息を吐くしかなかった。
 頭部を破壊する観衆への決定的な勝敗の映像、実況中継する撮影用ドローンの破壊、個人の特定する証拠や痕跡を残さないオブリビオンマシンの完全破壊、そしてふたりの救出と庇護……いくら猟兵と言えども、保安部の到着までやれることは全てやった。
 本来であれば夜が明ける前に新市街地への脱出も図りたかったことだが、想像以上の野次馬とふたりがパイロットスーツ姿のままであったので近場に確保していた隠れ家へと逃げ込むしかなかった。ふたりが使用していた格納庫は新市街地にあるトラヴィス家が保有する施設と土地にあるとのことで、着替えをするにもここまで移動するしか今はない。

「よっと。ただいま~」
「おかえり。どうだった?」
 隠れ家から新市街地への脱出経路の偵察を終えた政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)が建物の影となっている窓から戻り、今の外の状況を淡々と報告する。

「予選で鎮圧部隊を壊滅したのもあって、保安部の軍警察はやっきになって捜索しているってところね。戻る途中でこっちに治安維持用キャバリアが向かっていたから、秘伝薬の香煙を使って穏便に眠らせてきたわ」
「あちゃー。もうこっちにまで来ちゃってるのかぁ」
 流石は忍者と感心しつつも、この隠れ家に捜査の手が伸びるのも時間の問題である。
 ほとぼりが冷めるどころか事態は悪化の一途を辿るのであれば、ここを引き払って強行軍に打って出るしかない。

「じゃ、私は適当にかく乱しておくから、護衛の方はよろしくね~」
 軽めの水分補給を済ませた朱鞠が再び窓から跳び出ると、荊野鎖を廃ビルの手すりに絡めながら次から次へと跳び移っていく。
 メディアが手渡していた光輝の精霊石と誤情報の流布で彼女が時間を稼いでいる中、こちらも早々にこの隠れ家を放棄して逃げねばである。

「保安部のひとたちだって仕事でやっているんだから、あんまり力押しっていうのはダメだよね」
『はい。保安部も予算削減を避けるべく、失態を挽回すべく、私たちめの確保に必死でしょうから』
 セバスティアヌスは主のクラウディアへ無いよりマシなボロの毛布を被せ、パッと見た感じでは旧市街地に住んでいる難民に見立てさせると自身も同じ姿となる。
 ふたりの仮面を被るよりマシな変装をメディアは確認すると、静かに外へと出るドアを開いて聞き耳を立てる。
 遠くでは光輝の精霊石によるものであろう謎の爆発音が潮風に乗って聞こえ、錆びた通路に響いていた足音も次第に遠くなっていく。

「今だよ」
 メディアが水先案内して先行する形でふたりを案内して廃ビルの隠れ家から脱出することが出来たが、この先はどうなっているかは分からない。
 騒ぎを聞きつけた新市街地の住民、旧市街地に流れ着いた余所者に扮して各妨害行動の行っている猟兵と合流すべく、心の中で保安部の人たちに謝りながら路地裏を進んでいくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

桐嶋・水之江
光と闇が両方備わって最強に見えるわね
そっちのレディは連邦に反省を促すために敢えて行動したとかじゃなくて?
まあ、細かいことはどうでもいいでしょう
新市街地まで送ればいいのよね?
でも外はポリスメンがウロウロしてる
ノコノコ出てったら三秒でしょっぴかれそうね
こんな時は陽動作戦よ
カモン、ちびのえさん軍団
ワラワラ大勢で出て行って人目を引いてきなさい
その隙にこっそり脱出するというわけよ



「光と闇が両方備わって最強に見えるわね……そっちのレディは連邦に反省を促すために敢えて行動したとかじゃなくて?」
『光と闇が両方……はともかく、反省を促すためには何と言いますか……過去にやっていましたと言いますか……』
 隠れ家を発ってから間もない頃、不法移民が建てたのであろう路地裏を邪魔するようにせり出した細長いバラックにクラウディア、セバスティアヌス……そして、桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)が窮屈そうに身を寄せ合いながら周囲の様子を伺っている。
 耳を澄ませばキャバリアの駆動音、警報、悲鳴近い叫び声が聞こえてくる。あの様子だとこの機に乗じて旧市街地に蔓延る犯罪の種を摘む名目で、犯罪に手を染めている不法移民の摘発なり危険思想を持った不満分子の摘発も行っているのだろう。

「ふぅん、この若さでハロウィン・ドールズのパトロンをね……。もう四年近く前の話だなんて意外だけど、お金とカリスマ性をどっちも持っているからこそかしら?」
『うぐぐ……褒められていないのは確かでしょうけど、またオブリビオンマシンに狂わされるだなんて……一生の不覚ですわ』
『お嬢様、お気を確かに。それはお目付け役の私めも同じでございます』
 オブリビオンマシンの狂気から解放された人間は後悔の果てに自らの命を断つ者も珍しくないが、この調子であればふたりはそんな気を起こさずに自ら犯した過ちを認めながら前へと進んでいくのだろう。

「まあ、細かいことはどうでもいいでしょう」
『ですが、封鎖線がこれほど厳しいと脱出もままならなく──』
「ああ、大丈夫。そろそろちびのえさん軍団の仕事が利いてくるから」
『利いてくるって何を……っ!?』
 遠くだろうか、それとも近いのだろうか。
 爆発音が鳴ると地面を伝った衝撃でバラックを構成する廃材がカタカタと震え、不安で神経が苛立っているお嬢様はビクリとさせた。

「アレ? 大丈夫、ちびのえさん軍団の誰かが護送車に爆弾でも仕掛けてファイヤーしたと思うから……あら。物資の調達もしてくれたみたいね」
『物資……ですか』
 戸惑いの色を隠せないクラウディアとは大局的に初老の執事であるセバスティアヌスは状況を飲み込んでおり、その点は才覚あるが経験が浅い若者と数々の修羅場を潜り抜けた歴戦の老兵と言ったところか。
 場所が場所なので店から買ってきたとは思えない固形食のレーションバー、それと柔軟剤を使った洗濯をしていないであろう生臭い臭いが漂い服も何点かをちびのえさん軍団がわらわらと持ち込んできた。

「ポリスメンはすぐ応援に向かわないでしょうし、今出ても仕方ないわね。それまで着ているパイロットスーツの着替えなり食事なりを済ませると良いのだわ」
『確かにそうでございますね』
『はぁ……我が身の不覚とは言え、これじゃ没落したようですわ』
「そうさせないため、こうして色々やっているのよ……あ。また爆発音」
 不穏な空気が漂う中で着替えなり食事なりが出来る貴重な時間が出来たの……であるが、この裏ではユーベルコード『ちびのえさん軍団』によって召喚された小さな水之江らがゲバ棒と火炎瓶に即席爆弾などで破壊の限りを尽くしているとは淑女が知る由もない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
揺籃の子守唄から【超音波】発振【索敵】同時に『陽月光』発動。
【催眠術】催眠音波で保安部等、護衛の邪魔になる者の思考や認知を操り、穏便な突破を試みます。それと、

【破壊工作】こんな事もあろうかと、で1章での戦闘で得た報酬で事前に雇っておいたケール・ナ・グール殿から、新市街地への穏便な侵入路の情報と、その内一つの確保を依頼しておきましたので共有します

前金は払っておりますし、彼の豪快な戦い様からして謀りはないと思いますが、万が一があってはいけませんので先行して通路の無事を確認。
大丈夫そうならお二方を呼び込みます。ついでに彼から仮面舞闘会についても聞いておきます。危なそうなら陽月光でグール殿を回収し撤退



『はぁ、はぁ、はぁ……!』
「こっちであります。既に無力化済みですが、急いでください」
 ボロを纏い、小汚い服に着替え、栗毛色の長髪を揺らしながら息を切らせたクラウディアが走る。その傍らにはお付きの執事と朱鷺透・小枝子(|亡国の戦塵《ジカクナキアクリョウ》・f29924)が寄り添いながら並走し、まだオブリビオンマシンの狂気が残滓となって燻り続けるような路地裏を駆けて行く。
 住民らは苛烈に抵抗し、保安部の軍警察もまた暴動鎮圧には過剰すぎるといった戦力をもって互いに衝突し合う。そう仕向けたのは仲間の猟兵であるのであるが、やはりオブリビオンマシンの影響は消えつつあるが電波によって拡散された熱狂の炎は完全に消えるまで幾ばく時を要するのだろう。

「見えたであります! 眼の前にある廃ビルに入って……」
『止まれ!』
 路地裏から表通りへと出ると、そこには敷かれていた封鎖線と虚ろな目となって呆然と立っている保安部の面々の姿があった。
 これらは事前に小枝子の手によって、ユーベルコード『陽月光』を乗せた揺籃の子守唄の調べにより謂わば催眠状態に掛けられている。例え他の部隊が来ようとも機械的に動いで通し、何か聞かれても異常はないとだけ繰り返すのみの肉人形と言ったところであるのだが、キャバリアは彼女たちに銃口を向けて威圧する。

『ひっ!?』
 一国のエースパイロットにも劣らない腕を持つ気丈なお嬢様とて、5メートルの鉄巨人から見下されて大筒を向けられれば萎縮してしまう。だが、小枝子はそんな脅しには動じずに敬礼の仕草をキャバリアに送った。

「お勤めご苦労様です、グール殿」
『なんだ嬢ちゃんか。遅かったじゃないか』
『あ、あの……これは……?』
 状況をまだ呑み込めないクラウディアの横で、眉間の皺を緩めたセバスティアヌスが納得した顔持ちで、

『なるほど。パイロットを入れ替えたお仲間……ということですか。この声は確か……ケール・ナ・グール様でもお間違いないですね?』
『流石は黒執事だ。話が早くて助かる』
 更に時間をトーナメントまで戻し、小枝子は戦域から離脱した際に対戦したケール・ナ・グールを随伴させていた。本来は彼からも情報を得ることであったが、得られたのは傭兵稼業であって腕試しと賞金稼ぎに|仮面舞闘会《マスカレード・オブ・アリーナ》に参加していたという情報だけ。
 彼の場合は仕事がない時はバトリングで小遣い稼ぎをしていたという経歴もあってのことであるが、その他の参加者も似たうような動機で法外なファイトマネーに釣られてであった。小枝子もこれ以上のことは淑女と執事に聞かねば埒が明かないとなり、傭兵らしく稼いだファイトマネーで雇ったという次第である。

『金と強えヤツは正しい。これが傭兵の掟であって矜持ってもんだ』
「それでグール殿、状況は?」
『今も無線を拾ってるが、行っても大丈夫そうだ。俺はここでもう暫く時間稼ぎするさ』
『あ、あの……!』
 ケール・ナ・グールが再び軍警察のふりをしようとすると、ようやく状況を呑み込めたクラウディアが絞り出するように声を上げ、

『あ、ありがとうございます』
『……良いってことさ。それに淑女と執事の素顔も見たかったしな。おっと、安心しな。この秘密は墓まで持っていくから、とっとと行きな』
 ぺこりと感謝の言葉を送られれば、まんざらでもなさそうな声でケール・ナ・グールは周囲の警戒へとあたる。

「さ、お二方。こっちであります」
 本来であれば閉ざされた廃ビルは旧市街地が機能していた頃の変電所ビルであり、今は停止しているが地下には管理用のトンネルを経由して各建物へと電力が供給されていた。ここも何れは捜査の手が及ぶだろうが、その前に利用してしまえである。

「ところで……そちらはどうして仮面舞闘会へ?」
 明かりなど無いライトの光だけが頼りな暗闇の中、小枝子は通路の安全を確かめながら先行しつつ問いを投げかける。

『そうですね……。事の発端はお嬢様の我儘、でしたね』
「ワガママでありますか?」
『はい。お嬢様は兄上様と真逆で勉学は苦手でございますが、キャバリアを操る才は人一倍秀でておりまして。自らの腕を試したく……でございますね』
『セバスティアヌスの通りですわね……。公営のバトリングに偽名と仮面を被ったお忍びで参加していましたが、勝ち続けますと有名になって身バレしてしまうでしょ?』
「確かに……そうでありますね」
『なので、私に相談する間もなく非公認の闇バトリングに参加していたようで……。そこでまんまと、でしょうか』
「は、はぁ……」
 何とも拍子抜けする真相であったが、人が道を踏み外すのはそんな些細な切っ掛けなのかもしれない。
 壮大な陰謀が潜んでいるのではないかと考えていた小枝子は肩透かしを食らった気分である中、地上で時間を稼いでいる戦友の無事を祈っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

迅瀬・ナクタ
「ふん、ここまで乗り掛かった舟だ、送りぐらいは付き合うさ。」
護身用に競技用なぎなたを手に持ち、タクトデバイスとOM-NATAKUは懐に忍ばせつつ護衛に同行します。

「……そのなんだ、あんた等、頭はクリアになったか?一応|黒執事《じいさん》には勝ったら聞かせてもらうって言ったからな。何があって|オブリビオンマシン《あんな機体》に乗っていたのか教えろよ。」
心配七割、好奇心三割で声をかける
聞いたからと言って何かできるとも思えないが……オブリビオンマシンに関わった者同士として何か聞けることがあるかもしれない。 オブリビオンマシンと完全に手を離した先輩に何か聞くことがあるかもしれない。
そんなことを考えながら、淑女と執事、二人に対しぶっきらぼうに会話をしにいきます。


アドリブ・連携は歓迎です。



 地上では慌ただしく人や車両が動き、上空ではヘリやドローンが飛んでいる。
 猟兵がバトンを繋ぐ護衛も迅瀬・ナクタ(闇を抱くトイロボバトラー・f37811)へと託され、周囲のかく乱に向かった仲間の後ろ姿を見送る。

「ふん、ここまで乗り掛かった舟だ……送りぐらいは付き合うさ」
『ええ。よろしくお願いします』
 周囲の様子をせわしなく気にしている|淑女《クラウディア》に代わり、どこか落ち着きがある|執事《セバスティアヌス》が会釈した。
 昨夜の決闘で聞き覚えがある声にナクタは彼が|黒執事《バトラー》であると確証を得るが、その見た目は何処にでも居る初老の紳士そのもの。
 機体越しにでも感じ得た鬼気迫る気迫は影を潜んでおり、ナクタは一瞬だけ目を細めると黒ずくめのコートの襟を立て直し、フンッと軽く鼻を鳴らした。

「……そのなんだ。あんた等、頭はクリアになったか?」
『はい。一晩頭を冷やしまして、すっかりと』
 心配七割、好奇心三割で尋ねたが、眼の前の爺さんは飄々としながら軽く答えている。
 自分とそう歳の離れていない|淑女《レディ》は本当の戦場を知らないのもあって不安げなのと対象的であるが、この余裕ぶりはただの執事という訳でもなさそうだ。

「ある程度の下見は済ませてある。こっちだ」
 既に現場となったキャバリアの残骸から遠く離れていれば封鎖線も少なくなり、軍警察の捜査員やキャバリアなどの気配は少なくなっている。人員は無限でなく有限であればそうなのだが、その穴を埋めるべく自律型のパトロール用ドローンが上空を巡回している。

『アレに見つかっても身分証明証を提示すれば問題ありませんが……』
「無ければ通報されるか。なるほど、不法移民が殆どの住民が道に居ない訳だ」
 ブンブンと甲高いドローンのプロペラ音が廃ビルの壁に反響しながら近づき、カメラアイに連動した赤いスキャンライトが路地の入口をゆっくりと舐めていく。
 物陰に身を潜めた三人のすぐ頭上を掠めて過ぎていくが、執事の助言だとセンサーは熱源と動きに敏感だが都市の残熱を利用して静止していればやり過ごせれるとのこと。そうなればナクタが手にしている競技用なぎなたは兎も角、タクトデバイスとOM-NATAKUによる陽動も悪戯に刺激させるために下手を打てない。
 今は只々やり過ごすしかなく、ライトが遠ざかりプロペラ音が薄れるまで誰も動かなかった。

『もう大丈夫……ですわよね?』
『いいえ。警戒レベルが最高となっていましたら、暫くはこの近辺を重点的に捜査するかと』
「つまり、もう暫く身を潜めてになるか……一応|黒執事《じいさん》には勝ったら聞かせて貰うって言ったな。何があって|オブリビオンマシン《あんな機体》に乗っていたのか教えろよ」
 一瞬、重い沈黙の時間が三人の間に流れ、セバスティアヌスが静かに語りだす。

『この件に関しましてはお嬢様がお招きした失態でございますが、ご内密頂ければ』
「内密も何もオレの個人的な質問だ。それに世間へ風潮する趣味は持ち合わせていない」
『では……ハロウィン・ドールズをご存知で?』
 ハロウィン・ドールズ……それはナクタが猟兵へ覚醒するよりも前、クロムキャバリア各地で蜂起した南瓜を模したヘルメットを被ったテロリスト集団である。今はその影も無く、過去の騒動として記憶に埋もれて久しい。

「あー……記録でなら知ってるな」
『結構。トリアイナもハロウィン・ドールズの被害がありましたが、その手引きと出資をしていましたのはクラウディアお嬢様でして……』
 その事実にナクタは驚きの色を隠せなかったが、当の本人は苦々しく若気の至りであった記憶が蘇ったのか。顔を真っ赤にしながら目を瞑り、耐え忍んでいる。

『うぐぐぐ……』
『お嬢様もさぞ耳が痛いでしょうが、お耐えください。雨降って地固まる、と言いましょうか。全てはお嬢様の寂しさを「組織」に利用されたのが始まりであり、此度も同様でございました』
「『組織』……? 敵対している小国家の工作活動か何かか?」
『それならまだ手立てはございますが……彼らは国境なき武装組織。オブリビオンマシンに狂わされ国を滅ぼし、それに飽き足らず世界を灰燼に喫するまで燃やし尽くすを信条として掲げた主義者による「|秘密結社《ソサエティ》」となれば中々』
 オブリビオンマシンが搭乗者を破滅的な思想に狂わせるのは戦火をより拡大させるためであり、自身の国を灼き尽くせば標的は隣国へ、そして世界へと向けれる。
 それは自然と過激なイデオロギーと昇華し、オブリビオンマシンの乗り手による組織が形成され、ある者は戦場で狂気を扇動させ、ある者はオブリビオンマシンの汚染を拡大させる死の商人として活動する。
 クラウディアは後者の餌食となってしまい、彼女の卓越した操縦技術に見合った機体をブラックマーケットを通じて入手したのが全ての始まりであった。

「戦火をより拡大させるため……か」
 それを聞けば|オブリビオンマシン《ラシャ》を所有している自分も耳が痛くなる。
 猟兵とは、オブリビオンと戦い続けるのを宿命付けられた生命の埒外なる存在。
 自分たちの戦いが正しい物であると、戦乱を鎮める物であると誰が保証出来るものか。
『そのような訳でございまして、世界を破滅に導く秘密結社の歯牙に再び引っかかったという訳でございますな』
『だって……私の操縦に付いて来られるキャバリアがありましたら、キャッシュでポンとお支払い出来るお値段でしたら、買いたくなってしまいますでしょう?』
「……美味い話には裏がある、だな」
『|その通りでございます《イグザクトリー》。将を射んと欲すれば先ず馬を射よ……私めらを足がかりにオブリビオンマシン汚染を招こうとした企みでございましたな』
 真相を聞けば何とも間抜けな話だが、トイロボバトルのアスリートであるナクタとしてはクラウディアが自分の技量に見合う機体を欲していたのは理解出来る。
 理解できるからこそ、自分とどうしても重ねてしまう。
 闇に魅入られ、破滅と引き換えに得られた力を存分に振るう快感を……。

「……けど、何で爺さんはそこまで詳しく」
『そろそろドローンが他の区域に向かう頃合いですな。さ、ナクタ様、お嬢様。今が絶好の機会ですぞ』
 確かにドローンのプロペラ音が遠くへと移っていく気配がする。
 良い感じに話をはぐらかされたと悪態を吐きながら、ナクタは監視網の隙間を縫うように淑女と執事の先導として再び歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
神機

よし、キャバリアが世界転移で帰ったなら僕は自由
「ちゃんとメルシーもここにいるぞ♥」(UC強制発動☆
うっがぁぁ!

というかお嬢さんよぉ…下ネタに可愛い反応してんじゃねーよ!そこは「ふ…この私を手籠めにとは…火傷しても知りませんわよ?」とか格好よく返せよ!(理不尽!
「ご主人サマってばお嬢様に夢見ちゃってるぞ☆」
ま、このまま護衛ってなら付き合うぜー

【情報収集・視力・戦闘知識】
新市街地までの安心安全ルートについて一緒に相談と情報確認

【属性攻撃・迷彩】
ルーン魔術発動
r:道
z:守護×2
ルーンの結界に光水属性を重ね光学迷彩と水の障壁と音や熱源の隠蔽を兼ねた結界を展開

所謂隠密のまじないって奴だ

折角だから色々聞くか
そもそもあのマシンはどこから調達したんだ?
「同元の組織も気になるぞ☆」
周辺警戒しながら色々聞く事にする

そもそも何でこんな仮面舞闘会に参加してたんだ?
腕試しって奴か?確かに中々いい腕してたみたいだが…?
「もしかして調べ物とかあったのかな☆」
若しかして僕ら同様に調べたりしてたのか…?


皇・銀静
神機
終わりか…なら帰って酒飲んで寝るのも悪くないが…何でお前が此処にいる?
UC強制起動
「そりゃ主の安全確保だよ☆それに今度は執事さんとお嬢さんの護衛ミッションだよ☆」
ち…それなら報酬にそこのお嬢様の身体でも…(ふと悲しそうに見つめてくる妻が脳内に浮かぶ)
…僕はスタイルのいい女が趣味だからな…せめて信子ぐらいでないとな(ぷいぷー

せめて報酬は色付けて貰うとするか(お酒飲むのは自重
「別にお酒飲んでもこの子達守れると思うよ☆」
別にそれはどうでもいい
之から此奴らを襲う奴らを迎撃するときに|手加減《・・・》ミスると面倒だろうが
「そっちなんだ!?」

【蹂躙・功夫】
保安部とか襲ってきた時は取り敢えず変装して…生身のまま襲い掛かって制圧する
地味にUC効果も利用

雑に主従達の素性を聞きつつも詳しい事は他の猟兵に任せる

折角なので執事の素性とか話を聞きつつ手合わせ
お前の動きを見ればわかる…生身でも結構やるだろお前?
という訳で寸止めとあくまで模擬で訓練もかねてやりあったり

【オーラ防御】
広い範囲に展開し不意打ちさせない



『はぁ……後もう少しのところで、セバスティアヌスとはぐれてしまうだなんて……』
「仕方ないだろ。後もうちょっとで脱出できるってところで見つかっちまったんだから」
 遥かと東方の島国に伝わる格言で、木登りの名人は軒先まで降りてきても怪我をしないように降るという言葉がある。これは目眩がするくらい危ない高さに立っていれば怖くて自ら気を引き締め、安全な高さにまで戻れば気が緩んだ時こそ事故が起こるという戒めである。
 現に|淑女《クラウディア》がようやく旧市街地から脱出できると油断したので警戒網に引っかかり、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)と共に護衛していた皇・銀静(陰月・f43999)が|執事《セバスティアヌス》との組に分かれて逃走していた。
 自ら招いた失態とは言え、

『……よりによって、セクハラスケベクズ下郎とふたりっきりだなんて』
「オイオイオイオイオイオイオイ、陰キャ野郎の口癖が感染ってしまったじゃねーか?」
『でしたら、決闘の最中にあんな破廉恥な舌戦を口にしませんわ!』
 それを言われてしまえばカシムもうぐっと罰が悪そうにたじろぐが、そんなことで怯む彼でもない。

「というかお嬢さんよぉ……下ネタに可愛い反応してんじゃねーよ! そこは『ふ……この私を手籠めにとは……火傷しても知りませんわよ?』とか格好よく返せよ!」
『はぁ!? 火傷どころか八つ裂きにして差し上げますわよ!? 私が手籠めされて良いお相手は世界にたった一人、ルキウスお兄様だけで……あっ!』
「ふぅーーーーん? へぇーーーー? ほぉーーーー? ルキウスお兄様だけ……のお続きは何なのです、お嬢様?」
 まさに藪蛇であったブラコンカミングアウトな失言を引き出してしまったカシムは、他言されなかったら……と言わんばかりな無言の意思表示で両手をわきわきしだす。
 顔から火を吹くように赤らめたクラウディアへと迫ろうとしたが……彼の背後から何者かが首をキメて制する。

『ご・主・人・サ・マ? 目を離すとコレなんだからー☆』
「メ、メルシー!? おま、キャバリアの世界転移で先に回収されたんじゃ……っ!」
『ご主人サマが浮気しないよーに、ちゃんとメルシーもここにいるぞ♥ それと、ご主人サマってばお嬢様に夢見ちゃってるぞ☆』
「うっがぁぁ!」
『フン、良い気味でしてよ』
 銀髪の女性がギリギリと首を締め、カシムがそれを止めさせようとタップする中、クラウディアは両人差し指で目尻を下げながらあっかんべーする。
 カシムの遠のく意識の中で「これでもうちょっと可愛げがあって、胸もあれば……」などという言葉が横切れば、何かを察したメルシーがより力を込めたのは言うまでもない。

「あ゛ー、ひどい目に遭った……」
『へー……仮面舞闘会は自分の腕を試したく挑戦して、オブリビオンマシンも知らないで買っちゃったんだ☆』
『ここに来るまで他の方々にもご説明した通りですわ……また|秘密結社《ソサエティ》に利用されるとは、一生の不覚です』
「オブリビオンマシンに乗った連中が一致団結集して、世界を炎で燃やし尽くそうとする原理者集団なー……赤き清浄なる世界のためになスローガンに掲げてる過激思想な連中ってことか。だと盟主とか居るのか?」
『仮にも末端組織を束ねていた経験と記憶はありますが、そんな責任ある者は居ませんわよ。言うなれば輪となって思想だけを共有し、各々の手口で小国家を破滅に導かせる連中ですわよ』
「流石、ハロウィン・ドールズと残党のパトロンやってただけあるな。今回は仮面の一派がしてたみてぇだが、低所得層に不法移民で溢れかえっている旧市街地は絶好の活動の場でもあったって訳か」
 仮面舞闘会の花形であり、違法放送によってオブリビオンマシンの狂気を伝染させていた|閃光の淑女《ライトニング・レディ》と|黒執事《バトラー》のコンビが敗北した以上、彼らはこれ以上の活動は組織の破滅を招くと理解して手を引いたに違いない。
 今のところは保安部の軍警察が仕事をすれば良いだけであって、自分たち猟兵は予知された何らかの活動を切っ掛けに動くしかないのだ。

「さぁて……ここを抜ければ旧市街地から抜け出せれるが……」
『それを判っていての封鎖線だもんね☆』
 軍警察の人員は野次馬対策と中心部の集中的な捜索に割かれており、要所要所に敷かれている検問所では数人程度の班で構成されている。今まではルーンの結界による所謂隠密のまじないでやり過ごしていたが、後はここを抜ければ良いだけなので強行突破も選択の余地もある。
 考えていても仕方ないと、クラウディアの護衛はメルシーに任せてルーンの加護を得ているカシムが動こうとしたところ……それは起きた。

(なんだぁ……仲間割れか?)
 相手には見えないはずのカシムが物陰から姿を見せれば、軍警察の一部は仲間に対して拳法のような体術でどんどんノシていく。
 もしや『組織』の手の者では……と構えようとした瞬間、仮の検問所を制圧した彼らはこっちに手を振った。

『セバスティアヌス!』
 何が起きたのかと物陰から顔を出したクラウディアがひとりの顔を見るや駆け寄っていくが、確かにそれはセバスティアヌス本人。

「情報部上がりのお前が言った通り、お嬢様はこの検問所に来たようだな」
『はい。お嬢様の行動や何処を通るかなど、簡単に読めますもので』
「なーんだ。陰キャ野郎に執事のじーさんが変装してたってことかよ」
『主の安全確保でグリムちゃんも居るぞ☆』
 金髪少女のひとりもキャピッと両人差し指を頬に沈めさせるのは、奪った制服でミリタリールック姿となっていたグリームニルであった。
 その姿を見たメルシーは合流を喜ぶようにして駆け寄り、主らを差し置いて盛り上がっている。

「……陰キャ野郎も逃れない運命だったか」
「ああ……。後始末が終わったら酒場にでもしけ込んで寝るのも悪くなかったが……エロスケベクズ小僧は放って置くと襲いかねないから、良い監視役だったじゃないか?」
「なんだとテメー!?」
『ええー? 主も『報酬にお嬢様の身体でも』とか言ってたじゃない☆』
「……それは訂正済みだ! 僕はスタイルの良い女が趣味だからな……慎ましいのも良いが胸はもっとこう、これだけなければ」
「奥さんが聞いたら泣くぞ、オメー」
 合流して再開し、変装を解いて騒ぎを聞きつけた野次馬に紛れ込めばこちらの物。
 街並みは次第に治安が良いものへと移り変わっていき、トリアイナ名物でもある朝市通りに出てれば最早安全圏に入ったと言っても良い。

『やっと戻れたね☆ けどメルシー、何も食べてないからすっかりお腹ペコペコだぞ❤』
「もう少しで昼の時間だしなー。お嬢様はそんな時間まで屋敷を抜けて大丈夫なのかよ」
『いつもの事ですから大丈夫かと。それに影武者のアンドロイドの方がもっとらしく振る舞ってるでしょう』
『セバスティアヌス! ……確かに影武者人形の方がお淑やかなのは否定しませんが。ですが、このまま謝礼せずではトラヴィス家の恥。お昼は簡単なもので良いのでございましたら、喜んでお招きいたしますわ』
『主もお酒を飲まずに仕事してたんだし、報酬に良いお酒を貰っていけば?』
「そうだな。生身でも結構やる執事と生きて脱出できれば模擬戦をする約束であったし……それがてら屋敷に招かれるのも悪くはない」
 そうして観光地の街並みから高級住宅街へと移り変わり、一番奥に佇む豪邸が見えるとクラウディアが嬉しそうに人差し指を指して示した。

『あれが私のお屋敷ですわ!』
「……は?」
「……へ?」
 カシムと銀静が想像していたのは、お嬢様らしい白亜の巨大な屋敷。
 広大な庭には噴水があり、使用人もさぞ大勢居るという古典的なものであったが……現実は想像を遥かに越えており、眼の前に聳えるのは城郭と言って差し支えないレベルである。門前には近衛兵さながら儀礼兵装のキャバリアが槍を構えて鎮座し、蟻一匹も通さない厳重な警戒態勢が敷かれている。

「もしかして、お嬢様って……超が付くほどのお金持ちでいらっしゃいます?」
『それはもう……闇市場で相場よりお高い最新鋭機をポケットマネーで私めの分までお買い上げしたほどいられますし?』
 言われてみればそうだとふたりは互いに顔を見合わせ、そしてほぼ同時に控えめな胸を張っているクラウディアへ跪いて頭を垂れた。

「お嬢様……いえ、姫様への数々のご無礼をお赦しください!」
「僕もこの卑しいこそ泥と同じく、海よりも深く反省しております!」
『え? あ、あの……そう畏まらず、今まで通り振る舞って頂ければ……』
「いいえ! それはそれでこれはこれ。ですが、お赦し頂けるのなら結婚を前提としたお付き合いを……!!」
「僕は妻帯の身でありますが、愛人ならばいくらでも席は空いていますので……!」
『ご・主・人・サ・マ? メルシーが居ながらの財産目当ての玉の輿は許さないぞ❤』
『主ー☆ 愛人契約詐欺する気なら、奥さんにチクっちゃうよぉ?』
 にこやかな笑みを浮かべながらも言葉にできないプレッシャーを与える機神の化身が修羅場めいたアトモスフィアを飛ばそうと、執事はオホンとわざとらしく咳払いする。

『大丈夫です。私めの目が黒いうちはそのような不届き者どもに手を出させはしません。特に……』
 にこやかな笑みを浮かべていたセバスティアヌスの目が鋭い眼光を放ち、カシムと銀静を交互に見据え、

『この腐れエロスケベクズ小僧様とむっつり陰キャ野郎様には、特に目を光らせます故』
「言い方がエグいぞ、じーさん!」
『ご主人サマも……メルシーの前で求婚とか命知らずにも程があるぞ☆』
「おい、グリム! 僕はそんなやましい気持ちなんて一欠片もだな……!」
『いーけないんだ、いけないんだー☆ 奥さんに言ってやろー☆』
 こうして淑女と執事の正体は猟兵と一部の者だけが知る秘密となった。
 熱狂という狂気に満ちた仮面舞闘会も昨夜限りで閉幕となり、人々の記憶から徐々に消えていき……新たな話題に過去となって忘れられていくだろう。
 しかし、組織……秘密結社の企みはまだ潰えたとは言えない。
 彼らは世界を炎の灼き尽くすその日まで、仮面を被りながら日常に溶け込んでいるのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2026年08月03日


挿絵イラスト