遅れて来たハロウィンパーティ
●|恐怖《アイドル》の始まり
とある新人アイドルは悩んでいた。彼女はつい先日アイドルの力を手に入れたばかりだが、その力を発現する形……つまりアイドルとしての方向性が全く定まっていなかった。一応他のアイドルの支援役として場に出たことは数回あるが、後ろからその他大勢的に援護射撃をしていただけだ。
テンプレ通りの格好でいいこと言ってキラキラビームを放つ。それでスターダムに立てるのは超一級の実力者だけ。王道とは時に最も険しい道でもあるのだ。自分がその域に至れるとは流石に思っていない。
故に彼女はフィクションとされているものも含めた資料をあちこちから集め、自分の能力と何が合致するかを考える。
「孤独に苦難に立ち向かう薔薇のお姫様、お宝求めて大冒険のマジカルフェアリー、セルフプロデュース系エンジェリックアイドル……歌で戦う女の子ってだけでも割と種類があるなぁ……」
待って君その資料どこから持ってきたの。
ともあれ、現在迷走中の彼女。ふと窓の外に目をやると、役目を終えたハロウィン用装飾が片付けられて行くのが見える。
「ホラー、かぁ……」
●終わらない|恐怖《ハロウィン》
「はい、それでは依頼ですわ」
ゾンビーヌ・ロッテンローズ(元カルト組織「リビング・デッド魔導会」の腐薔薇姫・f40316)が集まった猟兵に言う。
「本日はアイドル☆フロンティア。戦争は終わりましたけど骸の海がなくなったわけではなく、オブリビオンは出るしアイドルの活動も変わりなく続いているようですわね」
誰もが骸の海を心に抱え、|選ばれし戦士《アイドル》が人知れずそれと戦う世界。一見煌びやかに見えて闇と戦いが溢れる世界であるというのは未だ何も変わっていないようだ。
「シャングリラ☆クライシスの関係で新人アイドルも多く誕生したようですが、その中にはいきなり大物に当たって命を散らせてしまう者もいる模様。今回はそんなアイドルを助けに行っていただきますわ」
綺麗な言葉で飾っても、アイドルの役目は結局オブリビオンとの命のやりとり。叶わない相手に当たることもあるし、負ければそれは破滅を意味する。
「アイドルの名は寺洞・フィア。方向性に迷っていたところホラー系アイドルとしてこの度デビューしようとしたのですが、初っ端から強敵に当たってしまったようですわね」
敵からも観客からも自分だけが目を向けられる単独|ライブ《決戦》。そのデビュー戰がボス級というのは流石に荷が重すぎるだろう。
「相手となるのは、『ヴィジュアル系・ヴァンパイア』という男性オブリビオン。心から溢れた骸の海により禁断の闇を得た常闇の救世主にして吸血鬼……という設定の、男性アイドルなオブリビオンですわね」
負のアイドル活動を行うオブリビオンもこの世界にはしばしばいる。彼もその一人ということだ。
「彼はオブリビオンとしてもアイドルとしても実力者。自らの歌による魅了や美貌による相手の隷属、さらには自身の|眷属《ファン》であるバンギャたちを召喚してけしかけるという、アイドルらしくもヴァンパイアらしい戦法を使ってきます……なんでこっちが味方じゃありませんの!」
歌や美貌も『興味ない』程度では抗えないレベルのものであり、吸血を魅了に置き換えたヴァンパイアそのものと言ってもいいような能力だ。
「ご存知の方も多いでしょうが、アイドル☆フロンティアの戦いには観客が召喚されるので、それを煽るようなパフォーマンスを見せればこちらの力がも上がります。それを意識した方が戦いは有利に進むと思いますわ」
アイドルとオブリビオン、双方の属性に合わせホラー調のステージでの戦いとなるという。ならばそれに合わせたパフォーマンスをした方がより効果は見込めるだろう。
「一応、ボロボロですがフィア様も戦闘には参加します。先に少し一戦交えるくらいはしているので、敵の特徴や弱点のの一つや二つくらいは気づいているんじゃないでしょうか」
自分で突くことは出来なくても、出来る誰かにそれを託すことは可能かもしれない。彼女もまた戦う仲間であるとして、少しでも力にしてやるのもいいだろう。
「で、終わりましたら残ったアイドルステージでハロウィンパーティです。ちょうど先日仮装した方もいらっしゃるでしょうし、それを見せびらかすのもいいんじゃないですか? ハロウィン終わってますけど」
オブリビオンの危険もなくなり、ステージはパーティ会場へと変わる。仮想して歩くためのランウェイに、ハロウィンにちなんだホラーな見た目の料理、ちょっとしたゲームなども用意され、思い思いにハロウィンを楽しむことができるだろう。
「また、助かったフィア様は皆さんを先輩アイドルとして、色々教えを乞うてきます。アイドルとしてや戦闘者として、色々アドバイスしたり一緒にパーティしてあげるのもいいでしょう」
人の心をつかむパフォーマンスのやりかたや、オブリビオンと戦うための戦闘技術など、まだ自分を確立できていない新人へ指導することはいくつもあるはずだ。自分に教えられそうなことを教えてやるのも先達の務めと言えるだろう。
「他にも周囲には観客もまだ残ってますので、色々ファンサしたり一緒に楽しんであげるのもいいかもしれませんわね」
平和なパフォーマンスを見せて一緒に盛り上がってもいいし、かつてアイドルとしての姿を見せた観客なら本人の姿で観客席に召喚されている。そういうのがいる猟兵なら名指してステージに上げて濃いファンサをしてあげてもいいだろう。
「以上ですわね。何か質問は……わたくし? まあ、呼ばれれば行きますけど……」
見た目はともかく性格的にはハロウィンもアイドルも興味なしのゾンビーヌ。そんな彼女だからこそ苦手な光あふれる場に引っ張り出し、弄り回してやりたいと思うならそうしてもいいだろう。
「ともあれ、オブリビオン案件であることは間違いないので、どうにか片付けてきてくださいませ」
そう言ってゾンビーヌは転移を開き、猟兵たちを終わらないハロウィン会場へと送り出すのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。今回はアイドル☆フロンティアで遅めのハロウィンです。
第一章では『ヴィジュアル系・ヴァンパイア』とのボス戦。彼は歌や美貌での魅了や、配下のバンギャたちによる集団攻撃をかけてきます。彼の魅了はUCなので、きちんと対策しないと恋人持ちや同性にも普通に効きます。
戦闘はホラー調のアイドルステージで行われるので、それに合わせた演出をしつつ戦うことで観客の応援によるバフを得られます。これがないと相手はとんでもなく強いので、ここは意識した方がいいでしょう。
また彼と交戦していた新人アイドルが味方として登場します。詳細は後述。
第二章では、残ったステージでのハロウィンパーティ。ここでは遅まきながらの仮装行列やホラーな見た目の料理、パーティゲームを楽しめます。料理やゲームは相応しいものであれば望めば大体なんでも出てきます。お声がけ頂ければゾンビーヌも同行いたします。見た目だけはハロウィン系なので好きに使ってください。
こちらでは新人アイドルが教えを乞うてきますので、戦闘力やアイドル力についてアドバイスしてあげてください。
以下新人アイドル紹介。
|寺洞《てらほら》・フィア 人間のお騒がせ☆アイドル×悪霊(15歳・女)。オレンジの髪に黒い瞳、南瓜と魔女を組み合わせたような舞台衣装。
シャングリラ☆クライシスの影響か最近目覚めた新人アイドル。方向性に悩んだ結果ホラー路線で行ってみようと思い、今回がソロデビュー戦。ホラー自体は元から嫌いではなくそこそこ知識もあるが、何ホラーかは定まっておらずまだ色々迷走中。性格的にはいたって普通……のつもりの若干天然。名前は兄や姉が計三人いるので、ドイツ語で4を意味する『vier』が元ネタらしい。ちなみに貧乳。
それでは、プレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『ヴィジュアル系・ヴァンパイア』
|
POW : ピジョン☆ブラッド
【自身の歌声と召喚された吸血鬼バンドの演奏】で楽曲「【ピジョンブラッド】」を奏で、曲に込められた【甘き死と甘美なる闇への抗えぬ誘惑】に圧倒された対象全員にダメージと畏怖を与える。
SPD : 堕天使☆降臨
【堕天使の如き此の世ならざる美貌】を宿し戦場全体に「【|魂を捧げよ!《僕のファンになってね☆》】」と命じる。従う人数に応じ自身の戦闘力を上昇、逆らう者は【黒薔薇の花弁と堕天使の羽根の嵐】で攻擊。
WIZ : ファンネーム☆迷える黒羊
【ステージ下】からレベル×6体の【ファングッズと黒い衣装を纏ったバンギャ達】を召喚する。[ファングッズと黒い衣装を纏ったバンギャ達]は弱いが、破壊されるまで敵を自動追尾・自動攻撃する。
イラスト:謠
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「仇死原・アンナ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ホラー風の飾り付けがされつつも煌びやかなアイドルステージ上、オブリビオンとアイドルが向かい合っていた。
「君は頑張ったよ。もう休んでいい頃だ」
白と黒の衣装に赤いマントの美男子が優しくアイドルに声をかける。向き合う少女の前には、ボロボロになった|ホラーグッズ《武器にしようと持ち込んだもの》がいくつも転がっていた。
スプラッタなチェーンソーは布一枚被されただけで壊れた。藁人形に五寸釘は目の前で打っても効果がない。ヤンデレサイコは手を捻られてあっさり包丁を取り落とした。鮫は流石に用意できなかったのでフカヒレスープを持ってきたが美味しくいただかれただけだった。
「……まだまだ!」
今度は注連縄を自分にたすきのように巻いて『あの祠壊したんか!』とか言いたげな邪神になってみる。
彼女は|寺洞《てらほら》・フィア。今日がソロデビューのホラーアイドル。ただしホラーキャラも今回の直前に決めたことで、何がどうホラーなのかは全く定まっていない。翻って相手は、多数の|信奉者《ファン》を従える強力な|ヴァンパイア《オブリビオン》。
ホラーにおいても戦いにおいても、そしてアイドルとしてもまるで格が違う。このアイドルステージはそれを覆せるほどの|力《歓声》をアイドルに与えてくれるが、まだ固定ファンもいないフィアにはそれも齎されることはない。
しかし、諦めることだけは決してしない。
「あたしだって、自分で望んでアイドルになったんだから! 流石にここでイモ引いたらかっこ悪すぎる!」
彼女はお騒がせ☆アイドル。何度も失敗はするが、諦めることだけは決してない。その悪霊の如き執念が、自分自身を舞台から降ろすことを許さない。
「そうか……悲しい子だ。ならば君のその魂を解けさせよう。我が眷属となって、永遠の闇の中で安らぐと言い」
男は甘く、危険に囁き闇の魅力を周囲に溢れさせる。
さあ、恐怖の扉はもう開かれている。偉大な|先輩アイドル《猟兵》たちよ。このホラーなアイドルステージにその闇さえ飲み込む力を魅せて、新人アイドルとともに会場を|恐怖《歓声》でつつみこめ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
初戦で戦うには無理の有る相手ですねぇ。
『FAS』で飛行し『FLS』で各『祭器』を召喚、『FXS』の結界と『FES』の真空結界で私と寺洞さんの周囲を覆いましょう。
『歌と演奏』を聞いた相手に効果を及ぼすなら、真空で『音の伝達』を防ぎ効力を軽減、精神干渉遮断で音以外に起因する影響を防げば高確率で対処可能ですぅ。
ホラーなら『巨大生物系モンスターホラー』は如何です?
【弆貭】を発動し『マインドミナBVA』の因子と同化、星獣サイズの『擬人化クエーサービースト』の様な姿に変化しますねぇ。
後は【BVAエクスタリ】で更なる『音対策』を追加、変化する外殻と巨大化した『祭器』で薙ぎ払いますぅ。
オブリビオン『ヴィジュアル系・ヴァンパイア』と新人アイドル寺洞・フィア。僅かな交戦でも分かるほどに両者の戦力差は圧倒的であった。フィアの攻撃はことごとくいなされ、ヴァンパイアの方は全くダメージを受けた様子はない。
「さあ、君にも闇の安らぎを与えよう。カモン!」
ヴァンパイアの号令と共に、彼の背後にバックバンドが現れる。いずれも妖しげな美男子で構成されたヴァンパイアバンドが、前奏を奏で始めた。
「それじゃあお送りするよ。『ピジョン☆ブラッド』」
男の代表曲、『ピジョン☆ブラッド』がアイドルステージを包む。ヴァンパイアがもたらす甘き死と、甘美なる闇への抗えぬ誘惑に満ちたその曲が聴衆を危険な魅了の中へ引きずりこもうとする。
「あ、ああ、あたし……」
数多くの|眷属《ファン》を作り出してきたその曲に圧倒され、闇がさらに大きな闇に飲まれるかのごとくにフィアはその曲に飲まれそうになる。
だがその曲が、突然聞こえなくなった。
「初戦で戦うには無理の有る相手ですねぇ」
現れたのは夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。真空結界を張って音を遮断し、相手の歌を聞こえなくした上で彼女の救援に駆け付けたのだ。
通常のアイドルとは違う登場の仕方に、フィアも目を丸くする。それは困惑に満ちてはいたが、曲によるダメージと魅了からは解き放たれた姿でもあった。
突然の乱入者の登場だが、ヴァンパイアはクールな姿勢を崩さない。
「歌というのは大事だが全てではない。闇は全てを覆うのさ」
男は自分の指先を口元にやり、鋭い犬歯に充てて僅かに傷をつけた。指先から垂れた血がステージに落ちると、そこから生えだしたかのように黒い薔薇が床に満ちる。さらにマントを翻すと突然白い羽が舞い上がり、それがさらに蝶になって羽を広げた。蝶たちは黒薔薇に舞い降りるとその蜜を吸い、その花に侵されるかのように白い羽を少しずつ黒く染めていった。
圧巻のパフォーマンス。音がなくてもその派手さは目に入るだけで相手の心を奪い、むしろ静寂が視覚効果をより際立たせるほど。
ヴァンパイアが血の垂れる指先をフィアの方に向けると、それに射抜かれるかのようにフィアは胸を抑えた。
ダメージの条件は曲を聞くことではなく、圧倒される事。アイドルにとってはパフォーマンスも曲の内とすれば、その視覚効果は馬鹿にできない。あるいは新人とはいえフィア自身アイドルだからこそ、その効果はより大きく伝わるのか。胸を抑えた手の指の間から、僅かに血が垂れている。
るこるは続けて精神遮断を張るが、すでにフィアの受けたダメージは大きい。少しずつでも負傷が重なっていけば、遠からず彼女は倒れてしまうだろう。
やはりここでは、攻撃にせよ防御にせよアイドルの流儀に則って戦う必要がある。だが真空結界によって相手の曲は防げているが、代わりにフィアの声も外には届かない。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『星獣の加護』をお与え下さいませ」
自ら動くしかないと、るこるは【豊乳女神の加護・弆貭】を発動。『マインドミナBVA』を擬人化したような巨大怪物へと変身した。
元々球体感のある本体っぽいところが腹~尻に当たり、外殻と地表感のある地肌を組み合わせることで装甲っぽさを再現。さらにちょうど二つある突起が両乳に当たり、ドリルだらけのブラが胸に張り付いている。その上に外殻に覆われたるこるの頭部がのり、巨大モンスター娘爆誕だ。
そのまま一踏みで、ヴァンパイアのパフォーマンス用薔薇畑を踏み潰す。
「うわぁ!?」
思わず倒れるヴァンパイア。そこに一緒に巨大化した祭器をぶつけての攻撃。それは比喩ではなく、本当につかんで振り下ろしての攻撃だ。
「ホラーなら『巨大生物系モンスターホラー』は如何です?」
クエーサービーストはまさにコズミックかつ超巨大なモンスター。美しく、格好よく立ち向かうイケメンがあっさり無様に潰されるのは、モンスター映画の導入部でのお約束だろう。外殻を展開してフィア用の結界を補強すれば、彼女を『なぜか襲われない主役キャラ』に仕立てることもできる。
そこからやり過ぎなくらいにヴァンパイアを踏みつけステージ上で暴れまわるるこる。直前までの相手の流れを完全にぶった切りモンスターパニック一色に染め上げる。
前に展開されていたパフォーマンスが緻密であればあるほど、それが台無しにされて塗り替えられた時の衝撃は大きい。『前振りにどれだけ力入れてんだよ』とか『あんなに大物感出しといてかませかい』とかそんなツッコミどころもB級ホラーなら味の一つだ。
現にフィアは完全にヴァンパイアのパフォーマンスなど忘れ、るこるの方に圧倒されている。そしてその大暴れに歓声が送られるほどに、|怪物《るこる》のパワーはましていく。モンスターパニックの主役は、壊せば壊すほど大歓声が送られるのだ。
「うわぁぁぁぁ!」
悲鳴と共に足の下に消えるヴァンパイア。その姿は彼を所詮はただの手の込んだ前振り程度の存在に下げ、実はモンスターと少女の物語が本編というストーリーに塗り替えるのに充分であった。
成功
🔵🔵🔴
鈴乃宮・影華(サポート)
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です
かつての様にイグニッションカードを掲げ
「――|起動《イグニッション》!」で各種装備を展開
友人から教わった剣術や
体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用
TPO次第では
キャバリアの制御AIである『E.N.M.A』が主体となるユーベルコードを使用したり
『轟蘭華』や乗り物に搭載した重火器をブッ放したり
「|神機召喚《アクセス》――|起動《イグニッション》!」からのキャバリア召喚で暴れます
例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
不明な点はお任せします
印旛院・ラビニア(サポート)
・境遇的なものもあり、思考や嗜好は成人男性のものです(恥ずかしいので自分からは喋らない)
・基本的にはヘタレで気弱、強者にビビるし弱者に慎重な面もありますが、物事がうまくいったり周りに煽てられるとイキって墓穴を掘ることもあります
・なんだかんだで人がいい
・やり込みゲーマーで現状を学ぶ【学習力】と自分のプレイに【チューニング】できる応用力が武器
・キャバリア・劫禍との関係はUCの秘密設定あたりで察してください
UCは活性化した物をどれでも使用し、例え依頼のためでも、公序良俗に反する行動はしません。えっちな展開はコメディ目であれば許容
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
田中・香織(サポート)
『あたしに任せて』
ヤドリガミの戦場傭兵×鎧装騎兵、22歳の女です。
普段の口調は「明るく元気な女性口調(あたし、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、真剣な時は「勇敢なヒーロー(あたし、あなた、呼び捨て、なの、よ、なのね、なのよね?)」です。
いわゆる熱血ヒーロータイプで一直線に行動する性格です。
戦闘では重火器一斉射撃など火力でごり押し型のシンプルな戦い方をし、ユーベルコードもそういった使い方をします。
描写上のタブーは一切無し、フリー素材やNPC感覚でご自由にお使い下さい。
数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」
基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。
探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。
情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。
戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。
アスカ・ユークレース(サポート)
時に敵を救うために倒すという心情で戦う
機動力が欲しいときはフェイルノート、破壊力が欲しいときはbinary starと状況に合わせて武器を使い分ける
動体視力、反射、隠密能力、空間把握認識能力等機動型射手に必要な能力が高いレベルで備わっており射出武器使いとして優秀。
ド派手な弾幕とは裏腹に射程武器の強みを活かした中遠距離からの仲間の援護、連携の穴を埋めるバランサーとしての役割を最も得意とする。
遠距離からの一発必中の、隠密狙撃も行う。
肉弾戦は苦手だが近接が苦手なわけではなく下手に近づけばむしろゼロ距離射撃でボコボコに
後は状況に合わせて対応可能。
アイドル舞台上での戦い。その強さは戦闘力だけでは決まらない。どれだけ観客を魅了し、歓声を受けるかで全ては決まると言っても過言ではないのだ。
そのステージに、五人の女性が乗り込んできた。
「へえ、君たちはアイドルグループかい。一人一人が星のように輝いている……だからこそ、闇に堕ちるに相応しい」
ヴィジュアル系・ヴァンパイアが手を広げて乱入者たちを迎えるようなポーズをとる。もちろんこれも彼のパフォーマンスの一つ。戦いは既に始まっているのだ。
「やっかましい! こっちだってやりたくてアイドルやってるわけじゃないわ!」
口火を切ったのは数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)。彼女はアイドルとか魔法少女とかそういうまさにこの世界にぴったりな衣装を複数持っている……のだが、それを着用した時の|写真《イラスト》の表情は大体固い。
そんなやらされてる系アイドルの多喜が繰り出したのはというと。
「アタシの自信作だ!」
芋煮。何となく調理法や食感は似たものがあるかもしれないが、被子植物類というところまで遡らないとカボチャとは同類にならないくらい遠い植物である。多喜はホラー全開のステージ上でそれに変身した。
「1カメさん、こっち!」
そして芋煮と化した多喜がカメラを呼ぶ。今までそんなものがあるなど言及はされていないが、アイドルステージ自体が超常の場所。アイドルがあるといったらあるのである。
そしてカメラが芋煮になった多喜を映す。じっくりと。ねっとりと。
二時間半芋煮だけを映す【芋煮ックX】の放送開始であった。
「……いや、何これ」
後ろでフィアがドン引きしている。さすがにアイドルステージ、それもホラーでこれはないんじゃないか……という感じだろう。
しかしフィア、そしてヴァンパイアも知る由はないが、実はあるのだ。流石に二時間半はないが、10分間ほぼ同じ映像映しっぱなしのホラービデオ(もちろん商業)が実在するのだ。
そんな相手のアイドル力に対する破壊力五倍の映像が流されるが、一方味方側もカメラに映らず膠着状態。これでは攻め手に欠ける……と思われた時。
「さて、ゲットさせてもらうよ〜。ストレージ内は電脳空間だからね。ほぼいくらでも入るんだよねこれが」
カメラがすっと引いて切り替わった。印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)が【誘いの矢印】で|芋煮《多喜》を回収し、映像を元に戻したのだ。
「獣の君、僕のステージを戻してくれてありがとう。お礼にその魂を啜ってあげよう」
ヴァンパイアがラビニアの方に手を差し出して言う。それに対し、ラビニアは嫌そうな表情で返した。
「えー……そんなこと言うと、また芋煮映しちゃうよ?」
ラビニアが収納場所からちらちら芋煮を出して言う。それにはヴァンパイアも思わず怯み、彼のパフォーマンス力も低下を見せる。
基本的に耽美とイケメンで売っているヴァンパイアは、ギャグ状態への耐性は低い。対応できない、ということを逆にパフォーマンスに加えてもいいが、プライドが許さないのかそちら方面の慣れがないのか、その手を取ることは出来ないようだ。
「ほれほれー、出しちゃうよ? 出しちゃうよ?」
芋煮を出したり引っ込めたりしてイキるラビニア。ホラー効果こそないものの、相手の動揺だけは誘えている。
だがこれもやられた方はたまったものではないが、完全にギャグの方の脅しである。相手の力を削ぐ方向には続けてうまく作用しているが、攻撃の手にはなっていない。
「うわあっ!?」
そこで突然のヴァンパイアの悲鳴。彼が振り返ると、そこにはにこやかな笑顔のアスカ・ユークレース(電子の射手・f03928)がいた。
「な、なるほど……今までのは全て油断を誘うためということかい。よく考えているね」
どつかれた頭を抑え言うヴァンパイア。ようやくダメージが入ったが、一方でこれでついに真面目に戦闘が開始されるということ。
ヴァンパイアはマントを翻し、バックバンドたちを呼び出した。
「さあ、それじゃあ僕たちの戦い方を魅せよう。君だけに捧げる、『ピジョン☆ブラッド』だ」
その場でヴァンパイアバンドたちが一斉に演奏を開始する。その音はバンドとヴォーカルに挟まれたアスカにダイレクトにぶつけられ、その音圧で彼女を圧倒せんとした。
「本来私は弾幕で圧倒するのが得意なんですけど……」
その音の中、アスカの体に傷がついて血が流れだす。本来遠距離狙撃や弾幕を得意とする彼女、このような相手に囲まれるような状態では本領を発揮できないのではないかとも見える。
彼女が本来の得意分野を捨ててまで相手に囲まれた、その意味は。
「黒山羊さんたら読まずに食べた……なんて、ね?」
アスカは【電子星装:磨羯の衣】を発動、空中に浮き上がりながら妨害電波をを放った。効果は弱いが広範なその効果は、ヴァンパイアの美しい歌声やバンドの演奏を乱しマイクを通した声にノイズを駆けてしまう。
これだけでもUC対策としては効果的ではあるが、この場に限っては本命は別の所にある。
今のアスカの姿は、黒いヤギ角と耳を生やしたもの。|吸血鬼《ヴァンパイア》と|悪魔《バフォメット》、どちらが格上か一概に断じることは出来ないだろう。
その状態でアスカが銃を抜く。その瞬間、ステージ外側から爆音の銃声が響いた。
「待ってたよ! もう撃ってもいいんでしょ!?」
大量の【援護部隊要請】を引き連れた田中・香織(ヒーローに憧れた人形・f14804)が、アームドフォートに接続したありったけの火器を乱射しながら突進してきた。
「ええ。血に染めることがこの方への『救済』になるようですので」
そう言って後ろにいるバンドメンバーの一人の眉間を撃ち抜くアスカ。その|間を埋めるための役《ギャグからホラーへの転換点》を受けて、香織はここからが出番とありったけ撃ちまくる。
「あっははははは! 自分で言うのも何だけど、あたしは熱血ヒーロー! 皆の|歓声《悲鳴》があたしの力! だからみんな、|応援よろしく《恐怖に泣き喚け》!」
普段の自分のキャラクターに若干ホラー風味を混ぜ、香織が銃を撃ちまくる。
「ひっ、わっ……きゃあっ!?」
四方八方にばらまかれる弾丸がフィアの足元を掠め、フィアはわたわたとステップを踏んで転ぶ。それはまるで味方に当たることも厭わないトリガーハッピー。だが実際はフィアがどう動いても当たらないようきちんと狙って撃っている精密な演出だ。
「君って素人さん? これからが楽しいのに」
転ぶフィアの前に出るのはラビニア。その表情はギャグシーンにあったイキリウサ子ではなく、ようやく|本業ができる《敵を撃ち殺せる》という喜びに満ちた危険な笑顔。
「彼女はどちらかというとこちらの領分……案内は私が」
「あっそ。じゃ、ボクは行くから」
最後に現れた鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)に後を任せ、ラビニアは弾幕に加わった。影華はフィアを助け起こしながら彼女に続ける。
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました。銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です」
「え、ぎん……なに?」
シルバーレインの核となる能力者組織である学園。そこは高校までしかなく、ここにいる猟兵は全員18歳以上。かつフィアはまだ15歳ということで、少々こじつけではあるが嘘は言っていない。もちろんフィアは何のことか全く理解していないが、パフォーマンス的には『何も知らない視点人物の元に現れた謎多き強者』と言ったところだろう。
「今は分からなくても構いません。いえ……できれば一生『普通』のままの方が」
ほんの少し本音を滲ませながら影華が取り出すのは、試作詠唱バズーカ『破蘭華』。弾幕型の三人とは違い、いかにも一撃が重そうな重火器だ。
それを担ぎ、影華は狙いを付ける。
「皆、集まって――行くよ!」
そのバズーカにチャージされるのは、火薬でもエネルギーでもなく黒い呪詛の靄。それが筒にもうもうと集まっていき、巨大な砲弾となって発射された。
呪いを込めたその筒先から放たれるのもまた通常の弾丸ではなく、うじゃうじゃと集まった黒い蟲の塊。【黒燐装攻】の靄は影華の思い通りに命中率を高め、前に出て撃ちかける仲間たちやその弾幕の間を抜けてヴァンパイアの体に直撃した。
「む、むし……?」
「当たれば消えるのだから視覚的には優しい方です」
何なら彼女の受けた傷を蟲で塞いでやってもいいのだが、これは見た目的にホラー度が高すぎるのは自覚している通り。怖がらせたいのは敵と観客が主体であって、|演者《仲間》の一人であるフィアをビビらせすぎるのはよろしくない。
そのまま影華も戦列に加わり、バズーカを連続でうちまくる。
全員の弾幕にすでにステージ上は破壊の嵐。逃げられないようにアスカが一人一人的確に足を撃ち抜き、ラビニアが体や頭を撃って致命傷を与える。ヴァンパイアバンドは楽器ごと影華のバズーカで吹き飛ばされ、香織に至っては相手が死んでいようがお構いなしにその上に楽し気に弾幕を張り続ける。
四人とも種類は違うが、全員が笑顔。弾幕吹き荒れる絵図はアクション映画のようだが、綺麗な顔で殺戮を楽しむ女子、という構図が見る側を単純な高揚に至らせない。
その弾の嵐の中に紛れるように、ヴァンパイアは這って逃げようとしていた。
「こんなの……僕のステージじゃない……!」
その手の上に何かが乗る。
「やーっと弱ってくれたな。こういうのは分野じゃないからさ、アンタがボロクズになるのを待ってたんだよ」
そう言うのは最初振りの出番の多喜。明らかにネタ寄りUCを使った関係でホラー転換以降出番がなかったが、それを解除してサブマシンガンを携えての登場だ。
その体は愛車の宇宙バイクの上。そしてそのタイヤが、ヴァンパイアの手に乗っていた。
「アタシは|こいつ《バイク》が使えないようなところじゃまともにやれないんだよ。だからさぁ……」
そう言って多喜はバイクのアクセルを握る。
「ちょっとくらい使わせてくれよ!」
そのままスロットルを開け、ヴァンパイアの手をひき潰した。
「ぎゃああああ!!」
片手を引き裂かれ絶叫するヴァンパイア。
絶体絶命の彼の前に、フィアが跪いた。
「えっと……あたし、こうすればいいって……」
何かを指示されたらしい彼女が男の残った手を取り、指先を相手の顔に向ける。その瞬間、男のステージの上からフィア以外の存在が全て消え失せた。
彼女がアイドルである証の力、【君だけの☆アイドル】。フィアのアイドル力が、ヴァンパイアを彼女の世界に引き込んだ。
そして観客視点でカメラが引くと。
男の見えない世界で五人の美女が突きつけた筒が一斉に引かれ、ステージを血に染めた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
第2章 日常
『わいわい☆パーティタイム』
|
POW : 料理を食べる
SPD : ゲームに参加する
WIZ : パフォーマンスを披露する
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
かくしてオブリビオン『ヴィジュアル系・ヴァンパイア』は退けられ、新人アイドル寺洞・フィアのステージは守られた。
しかし|繰り広げられたホラー《モンスターパニックと美少女スプラッタ》の関係上、ステージは破壊しつくされもう何が何だか分からない状態だ。その壊れたステージの上にフィアが立つ。
「あーあ、ボロボロ……でも……」
息を吸って、歌い出す。ゴシック・ロック調で暗く不気味なメロディーラインだが、全体的に力強く明確なサビや盛り上がりがありとっつきやすい歌。
そしてその曲に合わせて踊ると、手を振ればステージの傷が消え、ステップを踏むと軌跡をなぞるように床が修復される。さらに指さした部分にはハロウィン装飾のテーブルが現れ、指をクンと曲げるとそこにナイフの突き立ったパンプキンパイが飛び出てくる。
それからもケタケタ笑うジャックオランタンが飛び出し重なり、壁から染み出してきた|名状しがたいモンスター《なんか一杯ゲーム持ってきた裏方》が天井を這い回り、宙に舞うナイフが|死体《人型に組み合わせた食肉》を切り裂いて真っ赤な|鮮血《ワインソース》を垂らし、突然現れた巨獣と怪魚が贄の如く自ら皿の上に寝る。歌と踊りに合わせてステージが修復されて行くのは、ヴァンパイアが駆逐された今このホラーステージが完全に彼女のものとなった証左だ。
最後のサビに差し掛かるころには観客たちのサイリウムも曲に合わせて振られており、その声援がステージの構築を加速させていく。そしてフィアが両手を広げ最後を歌いきった時、ステージは歓声と拍手に包まれた。
「刻に弄ばれ捨てられたもの共が今這い出した。31の禍なる時は永遠に明けぬ。恨みを吐け。血を流せ。喰らい壊せ。我が歌の下に全てを許す」
事前に考えていたのか即興なのか。いかにもそれらしい台詞で、フィアが時期遅れのハロウィンパーティの設定と開催を告げた。
「……オリ歌なんてないから版権曲だけどね!」
もちろんお騒がせ☆アイドル的にオチも忘れずに。
そしてフィアが共にステージにいる猟兵たちに向き直る。
「えっと……あのヴァンパイアを倒すくらいなんだから、皆すっごい|アイドル《戦闘者》なんだよね」
まるで歯が立たなかった敵を倒して見せた相手。アイドル歴の短いフィアにもその規格外ぶりは十分に伝わった。
「だからよければ、あたしにアイドルのコツとか……できればホラー方面で……教えて欲しいかなって」
今後も|アイドル活動を《戦い》続けるのならば、強い先達の意見は聞いておいて損はない。
「あ、もちろんタダとは言わないから! ほら、ここの料理とかゲームとか、何かあたしが歌えば無限に出てくるっぽいし! 理屈は分からないけど!」
そう言ってステージ上にぽこぽこ|ジャックオランタン《食えないカボチャ》を積み上げるフィア。アイドル☆フロンティアは現実では異能の存在すら認知されていない反面、ステージ上ではアイドルは歓声と輝きさえあれば何でもやり放題なのだ。
ともあれ、すでに脅威は去ったし、フィアは知らぬことなれど猟兵は実はこの世界の危機すらもう一度救っている最強アイドルだ。あるいは性格はさておき、この依頼を紹介してきたグリモア猟兵も外見だけならハロウィンど真ん中だ。呼べば盛り上げ役には最適かもしれない。
さあ、|神《審神者》すら震え上がらせた最強のアイドルよ。|この闇の主《新人アイドル》の|命じた《依頼した》通りに|恨みを吐け《パフォーマンスを見せろ》。|血を流せ《ゲームで遊べ》。|喰らい壊せ《ハロウィン料理を食い尽くせ》。ハロウィンの夜は、まだ明けていない。
政木・朱鞠(サポート)
とりあえず、感覚共有した『忍法・繰り飯綱』を放ち【追跡】や【情報収集】で周囲を探って敵の分布や地形の情報を把握しておきたいね。
目標としている存在の大体の位置や大きさとかが解かれば良いんだけど、無理に深掘りしないように注意しないとね。
アドリブも連携もOK
クローネ・マックローネ(サポート)
普段の口調は「クローネちゃん(自分の名前+ちゃん、相手の名前+ちゃん、だね♪、だよ!、だよね★、なのかな?)」
真剣な時は「クローネ(ワタシ、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪
基本は一般人の安全を優先で♪
多少の怪我は厭わず積極的に動くね♪
他の猟兵に迷惑はかけないよ♪
シリアスな場面では状況の解決を優先するよ
コメディ色が強い場合はその場のノリを楽しむ方向で動くね♪
えっち系・状態変化系もばっちこい♪
絡みOK、NG無しだよ★
UCは状況に応じてMS様が好きなのを使ってね★
後はMS様におまかせするね♪
よろしくおねがいします★
戦い終わり、修復された寺洞・フィアのアイドルステージ。その上では遅れて来たハロウィンパーティが開催されていた。
「ふーん、ホラーアイドルねぇ……それならこのまま行けばいいかな」
舞台上で歌うフィアを見て政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)は呟く。
歌がひと段落したところでステージに上がり、朱鞠はフィアに声をかけた。
「お疲れ様、アイドルさん。ちょっと聞くけど、妖怪もオッケーな感じ?」
「もちろん! 狐とかは定番だよね!」
朱鞠の耳と尻尾を見てそういう仮装だと思ったのだろう。気軽に答えるフィア。
「そう、良かった。それなら……」
彼女が軽い気で言っているのを察し、朱鞠は手印を作る。
「我が魂魄の欠片よ目覚め……力を行使し見聞きせよ……急急如律令」
少し大仰に印を切ってから、【忍法・繰り飯綱】を発動した。そのパフォーマンスにフィアも感心したように手を叩く。
「凄い、それっぽい! 何か色々出てきそう!」
「きそう、じゃなくて出てるんだけどね……これなーんだ?」
そう言う朱鞠の手にあるのは、いかにも魔女が被っていそうな大きな帽子。そしてフィアのアイドルコスチュームは魔女に南瓜の衣裳を加えたもの。つまり……
「あ、それあたしも持ってる! もしかして同じ店で買った? ひょっとして近所に住んでたり?」
察していなかった。予想以上に天然だと朱鞠が苦笑いしていると、その手から帽子がひょいと取られる。
「これはこれは、あんまりイジワルしちゃだめだね★」
クローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)が朱鞠から取った帽子をフィアの頭の上に乗せた。
「え? あれ……これってあたしの!?」
被っていたはずの頭に帽子を乗せられ、フィアが自分の頭の上を掴む。その様子に観客席からは笑いが起きるが、ホラーとしての演出はここから。
「そういうこと。ほら、よく見て……」
朱鞠が自分の手をフィアの前に突き出す。言われた通りフィアがそこに目を凝らすと、そこにはうっすらと小さな狐のような何かが見えてきた。
「え、これ……」
それだけではない。照明の上、テーブルの影、ゲームに興じる参加者の足元、そこかしこに、小さな透明な狐がいた。朱鞠がUCで呼び出した子狐に似た分霊たちは、すでにこのステージ中に潜んでいたのだ。
その狐を発見したフィアは気づく。朱鞠の狐耳の根元には固定具など一切見えない。地肌から生えている本物だと。
「帽子だけで済んでよかった……と思いなさい?」
実際は調査用の分霊にそこまでの力はないが、怖がらせた方がいいというならそうしておこう。
「だいじょぶだいじょぶ、キミも才能はあるはずだから♪」
軽く後退ったフィアにクローネが後ろから抱き着いた。体を押し付けて腕を回すと、フィアの背中で豊満な胸が潰れる。
「うおお、でっか……あたしはあんまりこっちはその……」
貧乳アイドルなフィアでは真似できないアピールポイント。なのでこれはちょっと勉強にならないというフィアに思い切り胸を押し付けてから、クローネは彼女を解放した。
「それは残念、クローネちゃんも頑張って歩み寄ったんだけどね♪」
そう言う彼女の胸は、元の半分の大きさほどに潰れていた。形を保ってサイズが小さくなったのではなく、何かに押し付けて歪に潰れた形がそのまま保持されたような状態でクローネの胸はそこにあった。
「え、これ偽物? そういうおもちゃ?」
「いや、天然でやらせて貰ってるよ♪何ならこういう風にも★」
クローネが力を入れるそぶりをすると、潰れた部分がぽんと膨れて元に戻る。そのまま胴部を関節を無視した状態でにゅるりと曲げ、クローネは上半身だけをフィアの前に回り込ませた。
「えぇぇぇ!? 何これ、スライム!?」
「正確にはブラックタール……だけどまあ、それでもいいよ★」
種族特徴を活かしたアピールにフィアも驚くばかり。
だがそもそもハロウィンでなぜ魔物の仮装をするのか。一つには地上に魔物があふれ出る日であるため、仲間のふりをして襲われないためだという説がある。逆に言えば、仮装に紛れて本物がいてもおかしくない日なのだ。
「ティンときた★良かったら、クローネちゃんと一緒にアイドルやらない?」
そして、クローネがフィアの小さな胸を軽くつつく。すると突然フィアの背中に被膜の翼が、尻に矢印のような尻尾が現れ、彼女を魔物へと変貌させた。
「え、えぇぇ、何これ、本物!? あたし悪魔になっちゃったの!?」
相手のアイドル力を上げる【クローネちゃんの淫魔アイドルプロデュース★】。悪魔でなく淫魔なのだが、一般的な性的魅力は薄い彼女にはそうは見えないらしい。
「ま、ちょっとした魔法かな★そのうち解けるから心配しないで♪」
「でも似合ってるじゃない。少し一緒に遊びましょ?」
二人がそう言うとステージ上に音楽がかかる。今度は暗めなイントロから始まり、やや低音主体の曲。それを低めの声を作ってフィアが歌い出す。
そして猟兵二人も一緒にオンステージ。洋の東西、時代の新旧もとわない妖怪が並ぶ様をイメージさせる三人の歌声がステージに響く。
妖狐とスライムと悪魔の声が妖しく導くアイドルステージが、観客を恐怖と興奮の中に飲み込んでいった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
そういうことでしたら、有難く頂きますぅ。
助言です?
まずは方向性ですかねぇ?
「ホラー」と言っても色々と有りますし、それ次第で好みやアピール層、準備等も変わりますので。
「ホラー全般を共通項目に据え|毎回《能力ごとに》方向性を変える」場合でも「基本の軸」は有った方がやり易いのではないかとぉ。
具体的な方向性は、外見的に丁度よいゾンビーヌさんにご登場願い、彼女に尋ねて頂いた方が良さそうですかねぇ?
その様にお話しつつ、ハロウィン系の洋菓子や料理等を大量に頂きますねぇ。
「一見普通なのに、明らかに|奇妙な現象《桁違いの食事量》が起きている」というのも、ホラーとして参考になるでしょうし。
アイドル☆フロンティアのアイドルステージはある種の不思議空間である。声援が送られればそれが力に変わるし、そのステージの主役となればなんだってやりたい放題になるのだ。
猟兵の助けを借りてこのステージでオブリビオンを倒した寺洞・フィアも今はこのステージの主役。彼女が望み、歌うままにステージ上のハロウィンパーティは広がっていく。
「そういうことでしたら、有難く頂きますぅ」
ならば遠慮は無用と、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も出されたハロウィン料理に手を付ける。赤いソースのかかったステーキに、手のような形になるようカットされた巨大唐揚げ。ライチとレーズンを重ねて目玉のようにして楊枝で刺したフルーツと、グロテスクな見た目ながらいずれも絶品。
UCで大食い&早食い強化した上でそれを味わうるこるに、フィアが声をかける。
「さっきはありがとう。すっごいモンスターだったよ! あたしもあんな風に敵を怖がらせたいんだけど……」
猟兵の規格外ぶりは先の戦いで彼女も十分すぎるほどに思い知った。故にるこるにアドバイスを求めるフィア。
「助言です? まずは方向性ですかねぇ? 「ホラー」と言っても色々と有りますし、それ次第で好みやアピール層、準備等も変わりますので」
フィアのコンセプトは『ホラー』ということしか決まっていない。とりあえず衣装は見た目やキャッチーさで魔女+南瓜で行っているようだが、それ以外に何かはっきりした軸があるわけでもない。
「うん、だからあたしも色々持ってきたんだけどなぁ……チェーンソーとか藁人形……一応モンスターも持ってきたんだよ。ほらこれ」
そう言ってフィアが見せるのはスープジャー。中にはフカヒレスープが入っており、そこを極小の鮫が背びれを出して泳ぎ回っている。
とりあえずそれはそれで貰っておき、るこるはさらに話を続ける。
「「ホラー全般を共通項目に据え|毎回《能力ごとに》方向性を変える」場合でも「基本の軸」は有った方がやり易いのではないかとぉ」
何でもありのごった煮というのも一つのコンセプトだ。だが、本当にただ寄せ集めただけではそこに自分はなく、『寺洞・フィア』である必要性が全くない。
その軸をいかにして確立すべきか。それをアドバイスするために、るこるは一人の猟兵を呼んだ。
「というわけでゾンビーヌさん、よろしくお願いしますぅ」
「分かりましたわよ。全くなんでわたくしが……」
ぶつぶつ言いながら出てきたのは、グリモア猟兵ゾンビーヌ・ロッテンローズ。腐った緑の肌にゴスロリ衣装を纏った、見た目だけなら直球ハロウィンな|ゾンビ娘《デッドマン》である。
「おお! ゾンビ! あなたもホラーアイドル?」
「違いますわ! まず、完全に自己満足でやるならともかく、他人に見せるつもりなら相手受けをある程度意識しなさい。特にあなたは応援されていくらなのでしょう? だったら多少媚びる程でもいいくらいですわ。まあ、あなたの場合意識しなくてもそれは出来そうですけど」
思ったより真っ当なアドバイス。アイドルに限らず自分を見せるということは、相手の好み、今の流行をきちんと押さえる必要がある。自分が好きなものが他人も好きとは限らないし、こだわるほどに理解されなくなるのも当然という部分もある。お騒がせ☆アイドルであるフィアは下手に受けを狙うより、自然体でやって失敗を見せた方がいいということもきちんと踏まえている。
「その上で、自分らしさをしっかり通してみることですわね。対象が流行りものだったり統一性がないにもかかわらず『またお前か』『お前だと思った』『お前じゃなかったらどうしようかと』と言われるくらいの特徴があればそれが自分の地位とも言えますわ。ちなみにわたくしは、何事も薔薇に染め上げることで自分の世界としていますわ。まああなたは操作系ではなさそうなのでわたくしと同じには出来ないでしょうけど」
コミュ障のくせに一度喋りだすと多弁になるのが陰キャの特権とばかりに語るゾンビーヌ。自身が創作活動(意味深)をしている故のアドバイスでもありところどころネット用語や隠語は混ざるのだが、ヤバ目の直接表現は使ってないためフィアは普通に聞き入っている。
「確かに同じには出来ないかなぁ……あたしスタイルよくないし」
モンスター化を解除しても一部はナチュラルモンスターなるこるを始め、|救援《サポート》に来た猟兵も好スタイル揃い、かつゾンビーヌも実は割かしある方。るこるの脳裏につい最近起こった親しい仲間と某三十歳児の珍事がよぎるが、フィアが妙な勘違いをしないことを祈るばかりである。
「でも、軸探しっていうのは確かにそうかも! あたしが何ホラー系か、色々試しながら作っていこう! とりあえず今回は……ちょっとそれ貸して!」
ゾンビーヌが携える薔薇を一輪受け取り、それを力を込めて睨みつけるフィア。すると深紅のその薔薇が、先の戦いでヴァンパイアがパフォーマンスに使ったような黒色の花弁に変わった。
「やった、できた! とりあえずヴァンパイア的なの一個覚えた! 使い道は知らない!」
まあ多分アイドルステージ効果でできただけな気もするしヴァンパイアと黒薔薇に直接の因果関係はなさそうでもあるのだが、本人的には何かをちょっと掴んだ気でいるらしい。
そしてそんなに力を入れて薔薇を握れば当然。
「いった~~~~~~~~!?」
棘が刺さり涙目になって薔薇を落として手を振るフィア。転んでもただでは起きない代わりにただでは何も得られないのも彼女のキャラクターになるか。
「軸探しを軸にする……いつか行き詰りそうですわね」
「でも、新人アイドルさんならではの特権とも言えますねぇ」
そんな風に話しながら、るこるはハロウィン系の洋菓子や料理等を大量に頂いている。
それはもう絶え間なく。一瞬とも途切れず、そして大量に。
「ありがとう! それじゃモンスターの人は折角だから伝説級のモンスター料理を……あれ?」
るこるに礼をしようとして、フィアが何かを探すように辺りを見回す。
「あれー? ベヒモスくんとリバイアさんどこ行った? ステージ直してるとき出てきた奴」
最後の日に皿に乗るという伝説の魔獣。その名に相応しく軽く100人前分くらいのステーキと焼き魚でできているはずのそれが、皿を残していなくなっていた。
「一見普通なのに、明らかに|奇妙な現象《桁違いの食事量》が起きている」というのも、ホラーとして参考になるでしょうし」
にこやかにるこるが|最後のアドバイス《自分が食べたこと》を告げる。恐怖とは大々的に目の前に現れて襲ってくるだけではない。何でもない穏やかな日常に、一点の染みのようにさした僅かな不安。そんな静かな侵蝕の方が時に人の心を震え上がらせることを、フィアは自ら身をもって学んだのであった。
その後も続いたハロウィンパーティの延長戦。短くない時が経ったところで、フィアがステージの中心に立つ。そのステージは、端から少しずつ薄くなり始めていた。
「みんな、応援ありがとう! お陰であたし、ソロデビューできました! まあちょっと……いっぱい? 手伝って貰っちゃったけど……」
さすがに彼女が自力で倒したとはとても言えない結果だろう。だが、それでも強力なオブリビオンに立ち向かった寺洞・フィアの頑張りは、ここにいる観客の心に焼き付いたはず。
「もし皆が|心の闇《骸の海》に負けそうになったときはあたしを呼んで! あたしが必ず皆の心を……」
希望の光で照らしてあげる、なんてお定まりのキラキラ台詞はホラーアイドルは言わない。
「もっと深い闇で包んであげる。恐怖を探して、引き連れて。暗い所をあたしで染めて。あなたの心を染めるのはあたしだけ。あたし以外の事なんて、何も怖がらなくていいんだから……」
妖しく冷たい笑顔と共に、ステージは闇に溶けて消えた。
こうして時期遅れのハロウィンパーティも終焉を迎えた。だが誰かの心から骸の海が溢れる時、|恐怖《アイドル》は再び現れて、人々の心を|闇《希望》で|染める《洗う》のだ。
大成功
🔵🔵🔵