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妖艶なれど悪鬼羅刹

#アヤカシエンパイア #不死の妖

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#不死の妖


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●不死の羅刹
 祇園精舎の鐘の声、悪鬼羅刹の宴有り。
 草木も眠る丑三つ時、平安貴族邸宅。
 邸内、灯りの中、上座に座るのは羅刹私羅刹女。褐色の肌に桃髪に毛先は赤い、妖艶なる美女。脇には配下たる鬼女たちが控えている。
 その羅刹私羅刹女に対して、下座では複数の平安貴族の人間が平伏していた。
「羅刹私羅刹女様! 新鮮な贄を用意してございます……!」
 そう言って差し出されたのは、縄に繋がれた幼い子供たち。羅刹私羅刹女は吟味するようにその贄を見回した後、
「福徳円満、良き稚児よ。そなたらの働き、好ましい」
「は、ははぁー!」
 羅刹私羅刹女は慈愛とも取れる微笑みで、貴族の人間達の心を掴む。最初は暴力と恐怖で、次第に微量の愛情と忠誠で支配する。
「御恩奉公、喜ばし。わらわを崇めるならば、引き続き羅刹の庇護を与えよう」
「ははぁー!」
 しかし、所詮は悪鬼羅刹。この後、羅刹私羅刹女は無垢な贄をむさぼり喰らう。
 今までこの妖を倒そうと何人もの戦士が挑んだが、全ては羅刹私羅刹女の雷炎の剣の錆となった。
 単純な技量なら、羅刹私羅刹女に匹敵する戦士はいた。だがこの不死の妖は、首を落とされても心臓を刺されても、すぐに蘇るのだ。
 羅刹私羅刹女は立ち上がり、雷炎の剣を抜き放って、脇の鬼女たちに楽器と歌を命じた。
「不敗不滅、そも永久。そなたらの気のすむまで、不死のわらわを、崇め奉るとよい」
 羅刹私羅刹女は、贄の子供に舌を這わせて味見する。
 一部の鬼女たちは、支配下の人間で力ある武人を見つけると、進んで酌をしにいく。
 今宵も、宴が始まる。

●ブリーフィング
 グリモアベースにて、糸島・夜々(鋏角衆のサイバーニンジャ・f45353)は明るく敬礼した。
「どもどもっ。女子高生忍者こと猟兵、糸島夜々です。今回の任務はー、アヤカシエンパイアの平安貴族からの依頼! 不死の妖の討伐です!」
 夜々が背中の蜘蛛の足から取り出したるは大型モニター、アヤカシエンパイアの貴族邸宅内部が映されている。
「今回の不死の妖は、羅刹私羅刹女と呼ばれる女性型の妖です。恐怖と暴力で貴族の一部を支配する狡猾さ、生贄を喰らう残忍さ、そして自分を崇めさせる宴を行う、とんでもない奴です。宴は決まって夜にやってるみたいですね。また、配下の妖として鬼女たちも控えています」
 羅刹私羅刹女のイメージ映像と共に、鬼女の姿がモニターに表示される。
「羅刹私羅刹女は正攻法では倒せません。不死の妖の通り、死なないチート能力の持ち主。ただし! 不死の妖には決まって弱点があるもの。不死の力の源を探し出し、無効化することができれば、勝機は必ずあるはずです」
 夜々は再び広々とした邸宅内部の映像を表示する。
「作戦予定時刻は深夜、天候は晴れ。邸宅内は灯りで照らされ、酒宴が開かれます。猟兵の皆さんには、生贄としての『貢物』か、羅刹私羅刹女の『崇拝者』としてまずは侵入するのをおすすめします。邸宅内部には羅刹私羅刹女本人、配下の鬼女たち、生贄の子供たち、そして支配下に置かれている人間の平安貴族たちがいます。いずれかの信頼を得る事ができれば、邸宅内部を探索したり、羅刹私羅刹女についての情報を得る事が出来ると思います。ちなみに生贄の子供たちですけど、宴が終わる朝までは無事なので、それまでは放っておいても大丈夫っす。もし猟兵さんから他の潜入のアイディアがあれば、遠慮なくおっしゃってくださいね。一応羅刹って名前ですから、昔の伝承から弱点が読み取れるかもしれないっすね……」
 夜々は表情を引き締めて敬礼した。
「最初は潜入からの諜報活動を行い、羅刹私羅刹女の情報を得て弱点を洗い出してください。その後は鬼女たちと、羅刹私羅刹女との直接対決になるでしょう。アヤカシエンパイアの平和を守るため、武運をお祈りするっす!」


大府安
 ご覧いただきありがとうございます。
 大府安と申します。よろしくお願いいたします。

 今回の目的は、不死の妖『羅刹私羅刹女』の討伐です。

 第1章。
 羅刹私羅刹女と鬼女が開く宴の元へ、『貢物』または『崇拝者』として侵入します。
 他のアイディアがあればそれでも大丈夫です。できる限り対応します。
 羅刹私羅刹女は不死の力を得ており、その不死の力の秘密を解かない限り、勝ち目はありません。
 まずは邸宅にいる者の信用を得ることで、不死の力の手がかりを探しましょう。
 成功判定で、手がかりを得る事ができます。

 第2章。
 羅刹私羅刹女の配下、鬼女たちとの戦闘です。
 鬼女に不死の力はありません。

 第3章。
 羅刹私羅刹女との直接対決です。

 それでは、皆様のご参加お待ちしております。
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第1章 冒険 『汝、今を時めくやんごとなき御方なりしや?』

POW   :    力ある武人や武官のふりをする

SPD   :    秀でた官吏や文官のふりをする

WIZ   :    優れた神官や知識人のふりをする

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎!

生贄を好む妖艶な羅刹、ねー
その上不死身の秘密、これは手ごわそう
じゃあ、まずはそこらへんから探らなきゃねー

そうだね、じゃあ、「羅刹私羅刹女を崇拝しつつも恐れ知らずにも永遠の美を羨む女」を演じてみよっか
【女狐式交渉術】で周囲の人間に羅刹私羅刹女の居場所を案内させつつ、好感度を上げて宴の場に溶け込めるようにしよう
実際、羅刹私羅刹女の不死身に不老の効果があるかは知らないけど、羅刹私羅刹女にたどり着いたら精一杯媚びを売って、不老の秘密を知りたいとすり寄ろっか
無論、はぐらかされるだろうけど、酒の席でうっかり口を滑らせるかもしれないし、それを狙ってみるよ



 サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)が宴に馴染んでいるのは、決してその魅惑的な妖狐の外見のせいだけではない。
 サエ自身の美貌を存分に活かした流し目に、平安貴族たちは見とれて惚ける。鬼女たちも警戒心をもたない。
 サエは特に自分へ熱い視線を向ける男性貴族へ目を向けると、前かがみになって甘い声を出し、
「ねー、ちょっとお願いしたい事があるんだけどさー♪ 羅刹私羅刹女様に紹介してくれない? お礼は後でたっぷりと♡」
「ももも、もちろん! こちらへ……!」
 女狐式交渉術は効果抜群、男性貴族の紹介で、上座で座る羅刹私羅刹女の対面する。
 サエは膝まづいて猫撫で声を出し、
「羅刹私羅刹女さまぁ~♡ なんて美しいお姿♡ お会いしたかったですぅ」
 鬼女から酌を受け取った羅刹私羅刹女は、微笑んでサエを迎えた。
「妖怪歓迎、苦しゅうない。酒を告げ」
 不死の力があるゆえに、たとえサエが潜入した敵だとしてもなんの問題もない。羅刹私羅刹女の余裕の態度を、サエはそう受け取った。
 しかし、ここから相手の心に入り込むのがサエのユーベルコードの真骨頂。「美しいお姿♡」という言葉に反応したのを、サエは見逃さなかった。
「ねー。羅刹私羅刹女様はどうしてそんなにお美しいのですかぁ♡ 不死ということは不老でもあるのかなあ?」
 酒をどんどん注いでいくサエ。サエの言葉に気を良くしたのか羅刹私羅刹女は次々と飲み干し、頬に赤みがさしていく。
「不老不死、といえど、日々姿見を見て体をいたわり、美を保つが肝要」
「体をいたわる♪ 大事なことですねえ……それじゃあ、特に体で大事にいたわっているところって、ありますぅ?」
 不死の妖怪に、いたわらなければいけない場所がある? サエは会話の中で違和感をもった。
「それは――」
 羅刹私羅刹女の意外な言葉を、サエは深く記憶に刻んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神崎・伽耶(サポート)
アドリブ連携OK!
人懐こく、底抜けに明るい、マイペースなお姉さん。
一見、何も考えてないかのような突飛な行動が多い。

情報感覚は鋭敏、違和感を感じると突っ込まずにはいられない。
手持ちのアイテム、ユーベルコードを駆使し、手がかりを探しては突撃する。

複雑なことを考えるのはあまり得意ではなく、瞬間的に判断して、反射的に動く。

基本は善良。
困った人がいれば損得抜きで行動しがち。
活動の原動力は、好奇心!

なお、ネーミングセンスは最悪。
悪食で何でもいただくが、味覚は優秀。

遠山の金さん風に動かしていただけると幸甚なり!



 宴の中に、明るい女文官が、せわしなく鬼女や貴族へ酒を注いでいる。潜入した神崎・伽耶(トラブルシーカー・ギリギリス・f12535)だった。
「どうぞどうぞ! お兄さんならお酒もっと飲めますよー!」
「そうかい? ははは」
 伽耶の明るく人懐っこい仕草に、平安貴族の男はここが不死の妖の宴であることも一時忘れ、すっかり気をよくしていた。
 伽耶の目的は情報収集、羅刹私羅刹女の不死の秘密を探らなければならない。
 伽耶はWooden Replica(ウーデン・レプリカ)で羅刹私羅刹女の模型を作っていた。造りは荒いが、それを平安貴族に見せ、
「どうです!? 羅刹私羅刹女様に似てると思いません?」
「ん、んん? まあ、特徴は捉えているかな……?」
 伽耶の狙いは話題の誘導。巧みに羅刹私羅刹女の話を聞きだし、ついに有力な手掛かりを聞きだした。
「この前、羅刹私羅刹女、様が、御前試合とかって、俺たち羅刹私羅刹女様と武士の殺し合いを見せられて……。その時、羅刹様がやけに焦った時があったんだよ。ここに剣が命中した時に……」
 伽耶が作った羅刹私羅刹女の木造のある場所を、貴族の男は指し示した。

成功 🔵​🔵​🔴​

シモーヌ・イルネージュ
人の味覚にいちいち文句を言うのも無粋だけど、人間を喰うっていうのなら話は別だ。
ぶっ倒さないといけないな。
でも、不死はダメだ。何度もやれるというのはいいんだけど、さすがに飽きるし疲れる。
弱点は見つけ出さないといけないけど、さてどうしたものか。
崇拝者って柄じゃないから、生贄として近づこう。
稚児じゃなければダメ? じゃ、今から10歳な。

羅刹私羅刹女に近づいたら、サイバーアイでじっくりと観察しよう。
鬼の弱点といったら定番は角だけど。おそらくはそうじゃないんだろう……
ならばおへそとか??

雷様はおへそをとるって聞いたことがあるような。
豆でもぶつけて様子見てみるか。



 生贄として選ばれ縄に繋がれた稚児たちの中に、シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)は潜伏している。
 シモーヌは生贄の中では大きめの体格だったが、羅刹私羅刹女は気にしている様子はなかった。彼女は生贄を侍らせているため、至近距離で羅刹私羅刹女を見る事ができる。
 羅刹私羅刹女は上座で酒に口をつけ、すっかりリラックスしている様子だった。シモーヌは各種センサーを内蔵したサイバーアイを発動する。
(「じっくりと観察しよう。鬼の弱点といったら定番は角だけど。おそらくはそうじゃないんだろう……」)
 羅刹私羅刹女の角、顔、髪、首、心臓へと解析していく。特に変わった様子はない。
(「ならばおへそとか?? 雷様はおへそをとるって聞いたことがあるような)」
 おへそを見た時、サイバーアイの反応が一瞬揺らめいた。シモーヌは違和感を覚えた場所へ、刺激を与えてみることにする。
「(豆でもぶつけて様子見てみるか)」
 鬼は外、と言わんばかりに、シモーヌは祝いの席に出されていた豆を掴んで羅刹私羅刹女に投げる。
 おへそに命中した時、羅刹私羅刹女の顔が一瞬強張った。
「一葉知秋、ネズミよ。気はすんだか?」
 羅刹私羅刹女がゆっくりと立ち上がり、シモーヌを見つめる。
 シモーヌもにやりと笑った。サイバーアイの反応が変化したことと、戦いの予感に。
「不死はダメだ。何度もやれるってのはいいんだけど、さすがに飽きるし疲れるからな。楽しくやろうぜ、人食いの鬼」
 祝いの席の、空気が変わった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『鬼女』

POW   :    鬼神変
自身の【片腕】を【異形巨大】化して攻撃し、ダメージと【強化無効】の状態異常を与える。
SPD   :    鬼火玉
レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
WIZ   :    穢れの風
視界内の任意の全対象を完全治療する。ただし対象は【鬼の穢れ】に汚染され、レベル分間、理性無き【悪鬼羅刹】と化す。

イラスト:もりさわともひろ

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 宴の中で、気を良くした羅刹私羅刹女は口を滑らせた。
「それはへそよ。美もまた、体の中心より広がり、いたわり、気を込め精進せねばならぬ。我の気の中心ゆえな」
 宴の中で、平安貴族から、かつての羅刹私羅刹女の戦いの話を聞きだした。
「ここ、相手の剣がお腹の中心に剣がかすった時、すごい焦ってたんだよ。別に不死なのにな」
 その場所に刺激を与えた時、羅刹私羅刹女は明確に態度を変えた。
「宴安酖毒、ネズミがまぎれこむのも一興。駆除の時かな」

 猟兵に気づいた鬼女たちが演奏と酌をやめ、羅刹私羅刹女の元へ集まってきた。
 羅刹私羅刹女は上座で座りなおし、
「日省月試、わらわの雷炎の剣の錆に値するかどうか、鬼女ではかるとしよう。包囲殲滅、そなたらの屍を肴に、贄をしゃぶるか」
 鬼女たちが四方から包囲し、一斉に敵意を向ける。平安貴族たちは対象外なのか、彼らは悲鳴をあげて宴から逃げていった。
 邸宅内で相対するのは猟兵たちと鬼女たち。縄につながれていた子供たちは、鬼女によって別室へ移されていった。
 もはや遠慮する必要はないだろう。全力で戦う時が来た。
 鬼女たちは統率が取れており、知能も高いようだ。強い者を好むようで宴での噂によると、羅刹私羅刹女に惜しくも敗れた武人を治療しようとしたこともあったそうだ。とはいえ、鬼に違いはないが。
 戦いの火ぶたが落とされる。鬼女たちを突破すれば、羅刹私羅刹女が待っている。
サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎!

敗れた武人を治療しようとした、かぁ
でもそれってきっと、汚れの風で悪鬼羅刹に変えようとしたって事だよね
結局、そういう存在が好みって事なのかな

それじゃ、適度に実力を隠して、傷ついて負ける事にしようかな
それで相手の汚れの風を敢えて受けて全回復しつつ、悪鬼羅刹になってやろうじゃん
ただし、【インビジブル・タトゥー】で理性を繋ぎとめてだけどね♪
お望みの強化した強い存在に反逆される気分はどうかな?



 邸宅内で、鬼女たちの猛攻が始まった。鬼女たちから一斉に放たれた鬼火玉は自在に動き、サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)に襲い掛かる。
 サエは軽やかな体捌きで、追尾してくる鬼火玉を見切り、退路がなくなれば邸宅の壁を蹴り登って宙返りして退路を作る。
「ほう……」
 上座で座る羅刹私羅刹女が感嘆の声を上げる中、サエは得ている事前情報を元に思考を巡らせていた。
(「鬼女が敗れた武人を治療しようとした、かぁ。でもそれってきっと、汚れの風で悪鬼羅刹に変えようとしたって事だよね。結局、そういう存在が好みって事なのかな」)
 サエは思考を進める。この場に居る鬼女と自分の実力の差はどうか。1体1なら何の問題もないが、数は多い。割と感情的に見える羅刹私羅刹女を揺さぶるの面白そうだ。
(「それなら♪」)
 サエと鬼女たちの戦いは一進一退、サエの茨の剣が鬼女の異形の爪と激しく打ち合う中、ついに数に押されてサエは壁に弾き飛ばされる。
 追い詰められたサエ。追い詰めた鬼女も満身創痍だったが、なぜかサエに対して微笑んでいる。
 鬼女は強者を好む。サエを汚染して回復し、悪鬼羅刹の仲間入りにさせるように見えた。鬼女から穢れの風が吹き、サエは微笑む。ここまで計画通りに行くとは。
「刻み刻まれ……って感じかな!」
 サエに刻まれていた傷は全てなくなったが、その体も精神もまったく汚染されていない。サエの『インビジブル・タトゥー』は、技を受ける事で効果を制御して記録するユーベルコード。
「お望みの強化した強い存在に反逆される気分はどうかな?」
 全回復して鬼の身体強化をいただき、サエは剣を一閃。
 拮抗していたはずの鬼女たちは全く反応できず吹き飛ばされ、羅刹私羅刹女の傍らに倒れ伏していく。
 羅刹私羅刹女の刺すような視線に対し、サエはウインクして微笑みを返した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シモーヌ・イルネージュ
まず力試しというわけか。
アタシもアンタとやる前に肩慣らしがしたいと思っていたんだ。
ここで失望させるわけにはいかないな。

『ガンマプリズム』を指で弾いて、装備解放。
準備OK。お待たせだ。

黒槍『新月極光』で戦うよ。
まずは鬼火が面倒だから、UC【氷雪旋風】を発動。
絶対零度の冷気で鬼火を打ち消そう。
サイバーアイの視野を広げることで同時攻撃されることを防ぎつつ、【武器受け】や【吹き飛ばし】も使って、包囲を崩していこう。
うかつに近づくと、氷漬けだよ。



 敵意を持った鬼女たちに包囲されても、シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)の視線は、上座で優雅に座る羅刹私羅刹女に向いていた。
「まず力試しというわけか。アタシもアンタとやる前に肩慣らしがしたいと思っていたんだ。ここで失望させるわけにはいかないな」
 シモーヌはパチンと指を弾き、ガンマプリズムに収納していた装備を解放する。
 虚空より勢いよく飛びだした武器は黒槍『新月極光』。シモーヌは羅刹私羅刹女に視線を向けたまま片手で掴み、一度空を薙ぐ。
「準備OK。お待たせだ」
 四方から放たれたのは鬼女たちの鬼火。シモーヌは回避行動をとらず、
「氷の精霊よ。我の下に集い力を示せ」
 『氷雪旋風(ヴァン・デ・グラス)』。氷の精霊が作り出した冷気によって、シモーヌは鬼火を中和する。中和で発生した水蒸気を隠れ蓑に、左右から鬼女たちが鬼神変で接近攻撃を繰り出そうとしていた。しかし、シモーヌのサイバーアイが煌めいている。
 シモーヌは黒槍を片手で回し、左右から来た爪撃を穂先と石突で受け止めて勢いを殺すと、そのまま左右の鬼女の肥大化した指に槍を引っ掛け、
「喰らえ!」
 槍で水平に円を描いて鬼女を吹き飛ばす。右の鬼女が吹き飛んで複数の鬼女を巻き込んで倒れると、シモーヌはそこへジャンプして槍を下へ突き刺し、棒高跳びの要領で包囲を脱した。
 着地したシモーヌの背中へ襲い掛かる鬼女たちだったが、
「うかつに近づくと、氷漬けだよ」
 氷の精霊の加護が鬼女たちを凍りつかせ、その隙に振り返りざまのシモーヌの渾身の突きが、鬼女を突き飛ばす。
 突き飛ばされた鬼女は羅刹私羅刹女がいる上座へ飛んでいき、羅刹私羅刹女は雷炎の剣で鬼女を弾き飛ばした。
「アンタも退屈じゃねえか? こっちに来るまで、いくらでも飛ばすぜ」
 羅刹私羅刹女が発した殺気に、シモーヌは笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

百地・モユル(サポート)
熱血で好奇心旺盛
本が好きな小学生

正義感が強く困っている人は見過ごせない

UCは業火の一撃や灼熱の束縛を中心に使用
攻撃には怪力、属性攻撃、2回攻撃、グラップルなどの技能をのせる

逆に敵の攻撃をからみんなをかばう、耐えるために
武器受け、挑発、おびき寄せ、時間稼ぎ、激痛耐性なども使用
敵に一撃入れられそうなら咄嗟の一撃や捨て身の一撃、カウンター

みんな大丈夫?助けにきたよ!

そんなの許せない、ボクの炎で焼き払ってやる!

技能の勇気、覚悟、気合いは常に発動状態

アドリブ絡み歓迎

説得できる余地がある場合は説得したい
同情の余地がある敵の場合は情を漏らすことも

書いてなくても場合によっては持ってる技能を使うよ



「興味津々、稚児も炎を使うか」
 羅刹私羅刹女が興味深そうに見たのは、鬼女たち相手に大立ち回りを演じる百地・モユル(ももも・f03218)。
「燃ゆる炎は勇気のしるし! ボクのパフォーマンスを見てくれよ! バーニング‪☆フレイム!」
 モユルは踊るように鬼女の鬼火玉を回避し、飛び上がって超勇者アイドルに変身する。
 輝くアーム&レッグ、炎を纏うアイドルヒーローと化したモユルが拳を振るうと、お返しとばかりに炎の魔弾が鬼女たちへ降り注ぐ。
 吹き飛んでいく鬼女たち。羅刹私羅刹女は微笑み、
「錦衣玉食、可愛がって喰ろうてやろうぞ」
 モユルを見ながら酒を飲み、舌なめずりをした。
 モユルは着地と同時に、怒りをもって羅刹私羅刹女へ応えた。
「みんなを暴力で脅し、子供たちを生贄に捧げるなんて、そんなの許せない! ボクの炎で焼き払ってやる!」
 鬼女が近接戦を仕掛けるが、正義感あふれる炎のカウンターが鬼女を吹き飛ばし、羅刹私羅刹女の眼前へ飛ばす。モユルの宣戦布告だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴乃宮・影華(サポート)
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です

かつての様にイグニッションカードを掲げ
「――|起動《イグニッション》!」で各種装備を展開
友人から教わった剣術や
体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用

TPO次第では
キャバリアの制御AIである『E.N.M.A』が主体となるユーベルコードを使用したり
『轟蘭華』や乗り物に搭載した重火器をブッ放したり
「|神機召喚《アクセス》――|起動《イグニッション》!」からのキャバリア召喚で暴れます

例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかけるような行為はしません
不明な点はお任せします



「祇園精舎の鐘の声――」
 邸宅内に響く涼やかな女性。
「――諸行無常の響きあり」
 鬼女たちに混ざり琵琶をかき鳴らす仕草をしているのは、鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)。
 気づいた鬼女たちが一斉に鬼火を影華へ向けようとするが、謎の脱力感にガクリと膝を落としていく。
 memento mori(メメント・モリ)、影華が放つ不可視の琵琶から放たれる呪詛の黒い霧が、鬼女たちにまとわりついて、みるみるうちに老いさせていく。
「悪逆無道……何者ぞ」
 上座の羅刹私羅刹女がつぶやき苦い顔をした。老いていく鬼女を見るのは大分応えているようだった。
 影華は琵琶の動作を止め、「――起動イグニッション!」の掛け声とともに魔剣『黒の葬華』を手にする。
「どうも、銀誓館の方から来ました。銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です。悪逆無道は生贄を喰らうあなたです。速やかに討伐します」
 背後からせまった鬼女の爪撃も、影華は体ごと回転して横一閃の斬撃で切り飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔴​

クローネ・マックローネ(サポート)
普段の口調は「クローネちゃん(自分の名前+ちゃん、相手の名前+ちゃん、だね♪、だよ!、だよね★、なのかな?)」
真剣な時は「クローネ(ワタシ、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

基本は一般人の安全を優先で♪
多少の怪我は厭わず積極的に動くね♪
シリアスな場面では状況の解決を優先するよ
コメディ色が強い場合はその場のノリを楽しむ方向で動くね♪
えっち系はばっちこい★状態変化もばっちこい♪
絡みOK、NG無しだよ★

UCは集団召喚系か範囲攻撃系を優先して使うよ♪
状況に応じてMS様が好きなのを使ってね★

後はMS様におまかせするね♪



 鬼女たちの間を縫うように駆け回るバトモンへ、クローネ・マックローネ(闇ダークネスと神デウスエクスを従える者・f05148)は的確に指示を与えていた。
「いくよ、トウレックス♪ かみくだく★」
 クローネのバトモン、トウレックスは自慢の牙で鬼女の爪を受け止め、そのままかみ砕いて押し返す。
「ほう、妖を使うものが鼠にもいたか」
 上座の羅刹私羅刹女の言葉に対して、クローネはオンゾウとシャッコイに指示を出しながら、
「妖じゃなくてバトモン♪ ネズミじゃなくてクローネちゃんだよ♪ シャッコイ、オンゾウ、このまま畳みかけちゃって★」
 鬼女の爪に対してクロスカウンターで殴りかつシャッコイ、巨大化して突進し鬼女を突き飛ばすオンゾウ。
 クローネにも鬼女が接近攻撃をしかけたが、
「トケロウ♪」
 硬化したトケロウが鬼女の攻撃を受け止め、その隙にクローネがドスソード改で鬼女を袈裟切りにして斬り飛ばす。
 鬼女の包囲の一角は、クローネとバトモンたちの活躍で崩された。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『羅刹私羅刹女』

POW   :    足切一撃、小手調べ
【雷炎を纏う剣】で近接攻撃し、与えたダメージに比例して対象の防御力と状態異常耐性も削減する。
SPD   :    一撃必殺、後は無し
【雷炎を纏う剣】を構えて【闘気】を纏い、発動前後が無防備となる代わりに、超威力・超高速・防護破壊の一撃を放つ。
WIZ   :    死合享楽、何処までも
【雷炎を纏う剣】での攻撃のたびに、指定秒数後に遅れて敵を攻撃・麻痺させる、追尾型の【潜伏する雷や炎】を放つ。

イラスト:月曜休み。

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はディ・エルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 羅刹。ヒンドゥー教の鬼神ラークシャサが仏教に取り入られ、転じて羅刹となったという。
 しかしここはアヤカシエンパイア。原典は今は関係なく、羅刹私羅刹女は実在する人食いの鬼。
 鬼女たちは全滅し、上座で座っていた羅刹私羅刹女はゆっくりと立ち上がり、猟兵たちを見て舌なめずりをした。
「香美脆味、これほどまでに食いがいのある贄がそろうとはのう」
 褐色の肌と桃色の髪はつやがあり、しなやかで品がありつつ女として熟れた体。もし人食いの鬼でなければ、女神と言われても信じるものは多かったかもしれない。
 羅刹私羅刹女がゆっくりと広い石庭へと歩を進めると、突如天より雷が煌めいて羅刹私羅刹女を貫く。
 羅刹私羅刹女は無傷にして帯電。「はふぅ……」と体をくねらせて艶めかしい吐息をしたあと、炎と雷を伴った剣を右手より出現させ、夜の闇を照らした。
「天下無敵、降臨雷炎。わらわの暇をつぶし、腹を満たすにたる武士(もののふ)どもよ」
 数多の武士をほふってきたその剣の腕は本物。雷と炎を自在に扱う不死身の悪鬼羅刹。
 しかし、猟兵は知っている。彼女の弱点を。
 羅刹私羅刹女は猟兵たちを見つめ、歯をむき出しにして笑う。
「臨命終時、存分に交わおうぞ!」
 妖艶なれど悪鬼羅刹、決着の時。
ベルベナ・ラウンドディー
手伝いますよ

【雷鳴ドリフト】
敵を正面に捉えたまま滑るように敵側面に移動する
そこから抜刀術で弱点の臍を狙います
私は【居合】の技能はない、完全我流の抜刀術の十字斬りです

【雷鳴ドリフト・ぶん回し】
鞘中で直刀を"滑らせ"つつ、己の腰をぶん回す
その動きを手腕、刀の先まで伝え「刀を滑らせたまま剣先のアタマの向きを変えてやる」
進行方向とは違う方向に向きを変え、軌道を曲げるドリフトの動きを"刀で"瞬間的に"行います
炎も雷も、届く前に打つ一撃離脱の一発芸です。
技の成否を問わず打ち終えたら距離を取って戦線離脱。

グリモア猟兵の余地では心配無用とのことだが…
子供の様子は気がかりですので見てきますね
とどめはお任せです



 雷鳴が響いたとき、一早く羅刹私羅刹女の剣に合わせたのは、
「手伝いますよ」
 ベルベナ・ラウンドディー(berbenah・∂ラウンドディー・f07708)だった。
 滑るように敵側面へ移動し緑白の髪をなびかせながら放たれた抜刀術の十字斬りは、羅刹私羅刹女のへそに向かう。
 途上、羅刹私羅刹女の剣と激突した。羅刹私羅刹女が笑う。
「歓天喜地、竜の妖にしてこの剣、不足なし」
 二つの雷鳴が煌めくと同時に、ベルベナは再び距離を取って納刀。滑るような巧みな体捌きは、まるで雷のごとき軌跡を辿るドリフト移動。
「足切一撃、小手調べ」
 羅刹私羅刹女の雷炎を纏う水平切りに対し、ベルベナは鞘中で直刀を滑らせつつ、己の腰をぶん回して抜刀一閃。
 再び刃が激突するかと思われたその時、ベルベナは刀を滑らせたまま剣先のアタマの向きを変える絶技を披露した。
「ぬぅっ!?」
 剣閃の軌道にて再現した雷鳴ドリフトは、羅刹私羅刹女の剣を避けつつへそを切る。
 ベルベナの滑るような体捌きはそのまま、羅刹私羅刹女の炎と雷が届く前に一撃離脱していた。
 羅刹私羅刹女は苦々しく顔を歪める。羅刹私羅刹女は立ち姿は変わらず戦意を滾らせていたが、へそからは血の変わりに炎と雷が漏れ出している。
 しかしベルベナは邸宅の方へ意識を向け、
「グリモア猟兵の余地では心配無用とのことだが…子供の様子は気がかりですので見てきますね。とどめはお任せです」
「切歯痛憤、覚えておれ……!」
 羅刹私羅刹女は怒りを露わにしたが、ベルベナ以外にも猟兵がいる。殺気を失くしたベルベナではなく、他の猟兵へ剣先を変えた。
 ベルベナは戦いの機先を制し、邸宅内へ向かう。ほどなく縄に繋がれた子供たちを見つけ、保護を完了した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

熊ヶ谷・咲幸(サポート)
お騒がせ☆アイドル×力持ち、12歳の女の子です。

戦闘時など、アイドル⭐︎フロンティア以外ではコンパクトを力技で【こじ開け】て変身します。そのせいかリボンが絡まるなど不完全な変身も
変身時に出現したキラキラエフェクトはしばらく物質化しており、攻撃を防いだり掴んで投げたり出来ます
がむしゃらに頑張るタイプで【怪力】による正面突破や力技がメインですが、力をコントロールできなかったり等でドジをすることもしばしば。【奇跡のドジ】でいい方向に向かうことも

ユーベルコードは指定した物や公開されている物をどれでも使用します。また、公序良俗に反する行動はしません。

あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「子供たちの未来のため、アヤカシエンパイアの平和のために! チアフル⭐︎クレッシェンド、遅ればせながら登場です!」
 コンパクトを力技でこじ開けて変身したのは、お騒がせ☆アイドル熊ヶ谷・咲幸(チアフル☆クレッシェンド・f45195)。
 羅刹私羅刹女は笑い、剣を突き構えして咲幸を狙う。
「千客万来、食らい甲斐のある稚児よ」
 咲幸を補佐する八朔の熊妖精クマリンは、羅刹私羅刹女の殺気に対し警戒を促す。
「咲幸ちゃん! 相手の剣に気を付けて、弱点をうまく狙うリン!」
「ちょっとまって変身のリボンがっ、腕に絡まっちゃって……!?」
 右往左往する咲幸へ、羅刹私羅刹女の雷炎の一撃が迫る。
「一撃必殺、後は無し」
 羅刹の音速の一撃が、咲幸に煌めく。
「咲幸ちゃん!?」
 クマリンの悲鳴、光が弾けて視界が戻った時、うめき声を上げたのは、
「空前、絶後……くっ……」
 羅刹私羅刹女だった。へそを抑え、一度バックステップして距離を取る。
 とうの咲幸はというと、
「目、目が回ります~……手も、いたたぁ……」
 膝をついて手をさすっている。
 咲幸と羅刹私羅刹女が邂逅した時の真実。咲幸はリボンをほどこうと勢いよく体を伸ばし、自らの足と足を絡ませて回転転倒。雷炎の一撃は頭上を通り過ぎ、咲幸が伸ばした手は螺旋を描いた殴打となり、羅刹私羅刹女のへそに直撃していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎!

うーん、弱点のへそを狙わないといけないわけだよねー
知ってると分かってて狙わせてくれるわけもないわけだし、どうしたもんかな~

超威力、超高速、それに防護破壊の一撃、普通に考えたら食らったら終わりだよね
だからこそ、それを食らっても相手が生き残るのは考えていないはず
【一狐の腋に如かず】、防護破壊だろうと無効化なら防げる
そうだね……、さっきみたく羅刹私羅刹女に取り入ろうとしているフリをして、くだらないやつと呆れられて一撃で仕留められるって展開を演じて、罠にハメてみよっか

剣での一撃なら、攻撃が終わった時には超至近距離にいるよね
奪った雷炎を纏った手刀で、へそへの一撃を狙ってみるよ



「乾坤一擲、我がへそを知り狙うか。遊びは終わりぞ」
 羅刹私羅刹女はへその傷を雷と炎で渦を巻いて隠した。雷と炎を羽衣のようにまとい、邸宅の屋根、傾斜のついた巨大な檜皮葺へと一足で飛ぶ。
 羅刹私羅刹女のギアが一段上がっている。そう判断したサエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)も一息に屋根へと移動し、茨剣RX-Aメルズピナンを構えて対峙する。
(「うーん、弱点のへそを狙わないといけないわけだよねー。知ってると分かってて狙わせてくれるわけもないわけだし、どうしたもんかな~」)
 もう猟兵の狙いは察知された。
 サエは唯一、宴の中で直接羅刹私羅刹女と会話し、彼女の性根に触れている。
(「罠にハメてみよっか」)
 敵はプライドが高い戦闘狂、今は完全に戦闘モードになっている。
 それならばと、サエは武器をしまい無造作に歩いて近づいていく。
「羅刹私羅刹女様ぁ♡ そのお美しい姿が傷つくなんて、私耐えられません♡」
 怪訝な顔をする羅刹私羅刹女。サエはその様子をつぶさに観察し言葉を選ぶ。
「私もお手伝いますわ♡ 妖怪同士、手と手を取り合って敵を……」
 閃光がきらめき、羅刹私羅刹女の突き出した剣が、サエの腹を貫いていた。
「愚昧蒙昧、興がそがれるわ。滅ぶがいい」
 容赦のない雷炎の刺突。
 サエは力及ばず……。
「倒した……って、思ったでしょ♪」
「!?」
 剣に貫かれたままのサエがにっこりと笑い、羅刹私羅刹女は驚愕の表情。
 ユーベルコード『一狐の腋に如かず(アトラクティブ・カウンター)』は、完全な脱力状態でユーベルコードを受けることでそれを無効化し、自身に有利な効果へ変換。さらに強烈な魅力を体から排出する。
 剣を引き抜いた羅刹私羅刹女の目が一瞬揺らめき、サエの頬に手で触れようとする。
「眉目秀麗、美しき女子よ……わらわの傍へ」
「人を食べる鬼さんは断固拒否。ざーんねん♪」
 サエの雷と炎をまとった手刀が、羅刹私羅刹女のへそを貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シモーヌ・イルネージュ
やっと出てきたな。
こっちは散々お預けを喰らってるんだ。
体も十分にほぐれたから、ここからは気持ちよくやり合おうじゃないか。

黒槍『新月極光』で戦おう。
どの程度まで不死身であるか興味はあるけど、試してみる暇は無さそうだな。
かと言って、簡単に急所は突かせてくれないか。
羅刹私羅刹女の攻撃はサイバーアイの動体【視力】で対応するとして、
お互いに決定打が無さそう。

ならば誘うか。虎穴に入らずんば虎児を得ず、と言うしな。
あえて隙を作って、攻撃を誘導【戦闘演算】。
UC【神燕武槍】や【瞬間強化】も使って、へそに槍を叩き込もう。



 月光は隠れ暗澹たる黒雲、羅刹私羅刹女のへそより、血しぶきのかわりに雷炎。
 触手めいてあたりを照らしたその雷炎は、羅刹私羅刹女の体にまとわりつき、その触先は右手へ、雷炎の剣へと接続された。
 その瞬間、あまりの発光現象に猟兵たちは羅刹私羅刹女を見失う。
 羅刹私羅刹女は、邸宅屋根の主棟中央に移動していた。その位置は、シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)と対峙する場所。
「やっとアタシの前に出てきたな。こっちは散々お預けを喰らってるんだ。ここからは気持ちよくやり合おうじゃないか。へばっちゃいないよな?」
 羅刹私羅刹女はつきものが落ちたようにシモーヌを見つめ、
「心配無用、命に刃がかかり、血が漏れ出た時こそ、戦士の真価が問われるというもの」
 雷炎の剣の刃を上に、水平にして顔の高さまで上げて切っ先を相手へ向ける霞の構え。
 シモーヌもまた片手で黒槍『新月極光』を持ち、手首で回転させたのちに切っ先を羅刹私羅刹女へ向ける。
 月光が二人を照らし、雲影が再び舞い降りた時、殺意の斬撃が激突し雷と火花が散る。
 へそを狙った突きは羅刹の柄の頭ではじかれ、そのまま踏み込んだ羅刹の突きから雷炎が蛇のように迸る。サイバーアイで見切ったシモーヌは大きく間合いをとって回避した。
(「簡単に急所は突かせてくれないか。ならば誘うか。虎穴に入らずんば虎児を得ず、と言うしな」)
 サイバーアイが再び光る。一瞬の静寂ののち、シモーヌの神速の突きが踏み込んだ羅刹の頭部を跳ね飛ばした。だが羅刹は不死ゆえ止まらず、雷炎が煌めくと同時に頭部が再生し、その間に槍の間合いの懐へ入ってシモーヌを斜めに切りあげる。
 シモーヌは、槍の柄で受け止めて致命傷を避ける。演算通り、槍の柄によって雷炎の剣を弾き上げ、腕を上げた羅刹の体が開く。
「我に時の流れを委ね、滅びの力を与え給え」
 右手は支点、左手の握力だけで弾くように槍を引き、再び前へ。神燕武槍(イロンデル)は、羅刹私羅刹女のへそを貫く。

 羅刹私羅刹女は天を見上げた。その表情は、敗北を受け入れられない絶望。人を喰らってきた鬼には似合いの最後だったかもしれない。
 炎が消え、雷鳴が止むと同時に、羅刹私羅刹女は焼けこげた煤となって風に流れた。

 朝陽が差し込む。解放された子供たちの笑顔が映る。
 猟兵の見事な頭脳と策略で、猟兵の見事な観察眼と武技をもって、羅刹私羅刹女の討伐を果たした。
 ここはアヤカシエンパイア。平和を乱す妖はまた現れるかもしれない。
 しかし心配無用。今回のように心技体を備えた猟兵たちが、きっとまた、駆けつける。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年09月19日


挿絵イラスト