●
「っなんで……こんな…………っ?!」
歳の頃は二十代そこそこ。長身で桃色の髪の青年は、見積書を握りしめ、怒りに震えていた。
そこに記された額は、到底彼が提示した額とは程遠い。
有名美大を卒業し、有名な賞を取ったことで評価された彼の絵画は、今や200万は下らない。鮮烈な色彩、繊細なタッチ。そしてなにより見るものの目を惹きつけるのは、そこに描かれる生き物とも化物ともつかない|なにか《・・・》。
見るものの心をざわつかせ、あるものは怖気が走り、あるものは畏怖の念を抱く。
まるで本当にそこに在るような圧倒的な存在感。彼が血の滲むような努力で得たものであり、それでいて祖先から受け継いだものでもある。
彼の身体には、UDC怪物の血が流れていた。髪の毛の色も地毛である。その祖先の代から脈々と受け継がれてきた技法を用いて、彼は絵画を描いていた。そしてそれが実は邪神やそれに類するものを召喚する禁術を発動する為の呪符のようなものであったと言う事が発覚したのは、つい先日。
その呪符が発動する為に必要なものが呪符を描いたものの血液と発動する意思そのものである事。しかし、その為には当人に素質がないといけない事、そして、彼──柊・浩介にはその素質があるという事がわかったのも、つい先日の事だ。
しかし、絵画に血液が付着し、尚且つ本人にそれを発動する意思がなければ発動しないのだ。そして、彼には術を発動する理由がない。だから、画商を通して販売しても問題はない。
その事実は、身内とほんのわずかな美術関係者のみの秘密のはずだった。なのに。
『化物の絵などこれで十分。言いふらされたくはないだろう?』
殴り書きされた額は、たったの1万円。
自身の努力を無碍にされたと憤る彼は、アトリエにしている街外れのロッジで、自身の指先をナイフで切り裂いた。
「許さない……」
彼の努力を蔑ろにした画商に復讐する為に。
●
「絵画から邪神を召喚する能力を持ったUDC怪物の末裔が、画商を襲うという事件が発生します」
プルミエール・ラヴィンスは集まった猟兵達に事件の概要の説明を始める。
「彼はUDC怪物の血を引いているという事を隠して生活していましたが、何かがきっかけで秘密が漏れてしまいます。その為に脅されてしまいますが、その脅した相手に復讐する為に禁術を発動します」
場所は街外れのアトリエ。とりあえず周囲に人気はないが、だからと言って誰も来ないと言うわけではない。
「街の住民、画商、画家である柊・浩介……確かに画商は悪いかもしれませんが、殺されて良い訳がありません。柊も可哀想かもしれませんが、人を殺す理由にはなりません。みなさん、どうか……柊の凶行を止めてください」
よろしくお願いします。
プルミエールはそう言って、頭を下げたのだった。
秋野
●
全3章となります。
●第一章
柊が召喚したUDC怪物達が集団で破壊活動を行っています。このままでは街中に進出してしまう為、早めに撃破してください。
●第二章
犯人である柊を探す為、街へ向かいます。
●第三章
柊が召喚したUDC怪物との戦闘になります。
それでは、ご参加お待ちしております!
第1章 集団戦
『欲望に飲み込まれた者たち』
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POW : たっぷり遊んでやるぜ
レベル×1tまでの対象の【身体を抵抗できなくなるまでいたぶり、体を】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD : 一緒にいじめてやろうぜ
自身が【加虐心】を感じると、レベル×1体の【不良仲間たち】が召喚される。不良仲間たちは加虐心を与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ : 謝るのなら今のうちだぜ
対象への質問と共に、【相手の後ろ】から【ナイフ使いの仲間】を召喚する。満足な答えを得るまで、ナイフ使いの仲間は対象を【相手が最も嫌悪する嬲り方】で攻撃する。
イラスト:V-7
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鳥居・祐介(サポート)
戦闘スタイルは所謂「タンク」タイプです。
武装はほとんどが収納可能もしくは不可避なため一見丸腰に見え気弱でおどおどした外見で油断を誘って敵を引きつけ味方の突破や攻撃のための囮になります。
攻撃に対しては【激痛耐性】で多少の攻撃には怯まず耐え必要とあらば【怪力】で押さえつけます。
こちらの意図や強さを見抜く的にはグレートソードを抜いて大振りな攻撃を仕掛け否が応でも意識せざるを得ない状況にします。
ダメージが蓄積し瀕死になったら『風魔神顕現(アウェイキング・フレスヴェルク)』にて高い戦闘力を待つ風が人の形を成したような魔神を召喚して敵を薙ぎ払います。
●
「あいつを殺せ……俺の努力を、ゴミのように扱うあいつを!!」
血反吐を吐くようにそう呟きながら、柊は只管に絵を描き、指先から滲んだ血液を血判でも押すようにキャンバスへと押し付ける。
キャンバスが唸るように見えた数秒後、空間が歪んで生み出されるUDC怪物達は、順番にアトリエから出て街へと向かっていく。
「そうはさせません……!!」
そこへ駆け付けた鳥居・祐介(「風魔神に憑かれし者・f05359)は、肩を怒らせてまるで世紀末的な不良のように歩くUDC怪物達の前へと立ち塞がる。
「アァン?! やるってのか、てめぇ!!」
「オラァッ!! 邪魔するってのか?! なぁおい、てめぇら!! 一緒にいじめてやろうぜ!!」
欲望に飲み込まれた者たちのうちの一体がそんなことを言えば、それぞれに応じ、そして。
「オラッ!!」
「今更許さねぇからな!!」
それぞれの獲物で祐介を殴りつける彼ら。その攻撃に、祐介はひたすら耐える。
「っ、こいつ……やけに丈夫だぜ……?」
増殖する不良仲間達も加わり祐介を嬲るが、祐介は倒れない。しかし、ダメージは着実に溜まっていく。
「そ、そろそろ限界です……! 僕に宿りし風魔神よ……契約に従い、今こそ力を貸してください!」
多勢に無勢の祐介の呼びかけに、風魔神フレスヴェルクが喚び出される。
「な、なんだこいつ」
そう呟き、一歩彼らが退くその一瞬前に、フレスヴェルクが腕を振い、巻き起こる風が彼らを薙ぎ払う。
「さぁ、反撃開始……です!!」
祐介が反撃に転じた瞬間は、祐介が狙っていた通り、敵を十分惹きつけたそのタイミングだった。
弱い者いじめのつもりで群がった不良達は、祐介が振るう大剣とフレスヴェルクの攻撃により、一気に屠られていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
リカルド・マスケラス(サポート)
『正義のヒーローの登場っすよ~』
装着者の外見 オレンジの瞳 藍色の髪
基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地のNPCから身体を借りることもある
NPCに憑依(ダメージはリカルドが請け負う)して戦わせたりも可能
接近戦で戦う場合は鎖鎌の【薙ぎ払い】と鎖分銅の【ロープワーク】による攻撃がメイン
遠距離戦では宇宙バイク内臓の武装で【薙ぎ払い】や【一斉発射】。キャバリアもあります
その他状況によって魔術的な【属性攻撃】や【破魔】等使用
猟兵や戦闘力のあるNPCには【跳梁白狐】で無敵状態を付与できる
また、無力なNPCが大人数いる場所での戦闘も彼らを【仮面憑きの舞闘会】で強化して戦わせつつ身を守らせることも可能。
ティモシー・レンツ(サポート)
基本は『ポンコツ占い師』または『本体を偽るヤドリガミ』です。
カミヤドリも魔法のカードも、「Lv依存の枚数」でしか出ません。(基本的に数え間違えて、実際より少なく宣言します)
戦闘についてはそれなりですが、戦闘以外は若干ポンコツ風味です。(本体はLv組で出せない、UCの枚数宣言や集団戦は数え間違える、UCを使わない占いは言わずもがな)
ヤドリガミの「本体が無事なら再生する」特性を忘れて、なるべく負傷を避けつつ戦います。
オブリビオン(最後の一体)に止めを刺すためであれば、猟兵としての責任感が勝り、相討ち覚悟で突撃します。
でも負傷やフレンドファイヤ、代償は避けたいお年頃。
「うわっ?! な、なに……こいつら……?!?!」
人通りは少ないが、ゼロではない。
そんな街外れに偶々通り掛かってしまった青年が、群がる に慌てて後退りする……が、時既に遅く。
「おーおー、お前もアレだろ、ケチ付けに来たんだろ」
「な、何のだよ……!!」
本当に偶々通り掛かっただけだった彼は、意味がわからず、状況も理解出来ず、ただ困惑するのみ。
「そういう事言っちゃうんだぁ? 俺らの主は傷付いたぞ。人を傷付けたら、セキニン取んなきゃなぁ……まぁ、謝ったら許してやるぜ?」
欲望に飲み込まれた者達の背後から、ナイフを手にした仲間が現れる。召喚されたナイフ使いなのだが、彼にそんな事は理解出来ないし、理解出来たからとて抵抗する事も出来ない。
意を決した彼の視界を横切る何か。
「ちょっとお邪魔するっすよ!!」
何かことリカルド・マスケラス(希望の|仮面《マスカレイド》・f12160)は、そう言いながらひらりと彼の側頭部に引っ付く。
「え?! えっ?! なに、なんですか?!」
「君の事を助けに来たっす! 少しの間、身体借りるっす!! ちゃんと無傷で返すっすから!!」
そう朗らかに声を掛けてくる怪しい仮面など、信用して良いのか悪いのか。しかし、どちらにせよ彼にとってはこの絶望的な状況における僅かな光明だ。
「約束、ちゃんと守ってよ!!」
そう言って身体を明け渡した彼に感謝しながら、リカルドは防御姿勢を取る。勿論ダメージは全てリカルドが請け負うので、約束を違える気はなかったが。
そんなリカルドが見据える先で、ナイフ使いが横に吹き飛んでいく。
「加勢が必要かな、なんて……いらなかったですか?」
はらはらと薔薇の花びらを撒き散らしながら着地したティモシー・レンツ(ヤドリガミのポンコツ占い師・f15854)に、リカルドは肩を竦める。
「いや、正直助かったっすよ。この身体の彼をこの場から逃がしたいんす。手伝ってもらえるっすか?」
「勿論ですよ。僕はあっちを片付けますね」
頷くティモシーは先程正面から退かしたナイフ使いに追撃をかけていく。
リカルドは、というと。
「じゃあ……一気に蹴散らさせてもらうっすよ〜」
気合を入れて、忍法・|木の葉竜巻の術《コノハタツマキノジュツ》で竜巻を発生させて、敵の前衛を吹き飛ばしていくのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アメリア・イアハッター(サポート)
【サポート】
他の猟兵の行動が成功するようにサポートに徹し、下記のような行動をとります。
・機動力が必要であれば宇宙バイク「エアハート」に仲間を乗せる。
・仲間の攻撃が当たるように、敵の行動をUC「風の友」で読んだり、氷系のUCを使って敵の機動力を封じる。
・仲間の攻撃を強化するために支援系UCを使ったり、鼓舞をする。
・敵の注意を逸らすため、宇宙バイク騎乗や空中にて囮となる。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
タカシ・セイヒ(サポート)
元アルダワの生徒異端児セイヒです
感心は魔術探求にありますが猟兵としての仕事を疎かには致しません
場を乱さず他の猟兵の皆さまと協力して事件の解決に従事して参ります
魔術師なのであまり前に出ての近接戦は得意ではありませんが魔術の撃ち合いや後方支援や援護等で皆さまのお役に立ちたいと思います
珍しい魔術や遺跡等には好奇心が先走りたまに暴走することもありますが出来るだけ自制して参ります
腕が四本も有りますので素早い作業等もお役に立てると思います
本業は魔術研究者なのでその知識をいかして対魔術や対魔獣でもお役に立つと思いますのでどうぞよろしくお願い致します。
ロビン・バイゼ
……なんだろう。僕……画商、の人……より……柊さんの、方に……モヤモヤ……する……(むぅ)
絵は……復讐の、道具じゃ……ないよ……
とりあえず……柊さんを、止めないと……
……なんか……不良……っぽい人達が、いるね?
こういう、喧嘩っ早い……人達、には……これが、効く……かな……
空中に【早業】でしあわせな王子さまの肖像を描く【先制攻撃】
これで……拳を、収めてくれると……いいけど
後ろ? 後ろには……「1/1スケールしあわせな王子さまの銅像」置いて……おいた、から……ナイフは……届かない、よ【自動防御】
……王子さま、盾にしちゃって……ごめんね。守ってくれて……ありがとう(終わった後で銅像に語りかけ頭撫で)
「ふむふむ……ざっくり言えば、召喚術で呼び出された人達……いえ、UDC怪物ですか」
タカシ・セイヒ(探究者の成れの果て・f37132)は、わらわらと肩を怒らせて歩く不良達を眺めつつ、独りごちる。
血筋が関係している禁術というのだから、全く関係のない者の再現性は限りなく低い。原理を究明したとして、果たして役に立つかどうか。
しかし、研究者というものに、役に立つか立たないかは関係ないので、彼女の探究心は刺激されてしまうのではあるが、それはそれとして。
「………………いえ、それよりも、猟兵としての役目が第一ですね」
気を取り直し、身構えるタカシ。
一方、ロビン・バイゼ(芸術と鮮血・f35123)はというと、その禁術より敵の数より何より、今回の事の発端である、柊の事が気になっていた。
「なんだろう。僕……画商、の人……より……柊さんの、方に……モヤモヤ……する……。絵は……復讐の、道具じゃ……ないよ……」
とにかく柊を止めなければ。
そう判断したロビンは、巨大絵筆を手に取る。
「こういう、喧嘩っ早い……人達、には……これが、効く……かな……」
呟きながら筆を滑らせていくロビンが描いたのは、しあわせな王子さまの肖像画。
「王子さまも……争いはやめて、って、きっと言うよ」
|しあわせな王子さまの肖像《ポルトレート・グリュックリヒェン・プリンツェン》により出現したしあわせな王子さまの幻影が、不良達の戦闘の数人へと直撃する。
直撃を受けた彼らは戦闘意欲を失ってその場に蹲ったものの、そんな彼らを乗り越えて、後ろの不良達が前進を進める。
「おいこらテメェ、何してくれてんだよ!! この一瞬でこんな腑抜けになっちまって……謝るのなら今のうちだぜ?!」
そう凄む不良は、その行為によってロビンの背後にナイフ使いの仲間を召喚する。
「おい答えろよ、ヒャッハーーー!!」
答えを求めてきておきつつ、その実答えよりも甚振る事の方を楽しみにしているようなナイフ使い。振り上げたナイフが陽光を弾き、きらりと光り、そして──勢いよく振り下ろされる、が。
「ナイフは……届かない、よ」
ロビンの背後に置いてあった1/1しあわせな王子の銅像に弾かれる。
『……王子さま、盾にしちゃって……ごめんね。守ってくれて……ありがとう』
この戦闘が終わったら、労わってあげないと。
ロビンはそう心に決めたのだった。
「禁術が気になるにしろ、本人に言いたい事があるにしろ……まずはこいつらを蹴散らさない限りは、先に進めないんだからね」
アメリア・イアハッター(夢想空流・f01896)は、完全なる不意打ちを防御されたことに狼狽えたナイフ使いに向かって足を振りかぶり、そして。
「ごめんね、足癖悪くって!」
蹴飛ばされ、猛スピードで発射されたその辺に落ちていた石は、まっすぐに先頭の不良の額に直撃する。
「早くこいつらを片付けてしまいましょう。出でよ、無音の追跡者よ」
タカシが召喚したスケルトンチェイサーは、気配なく不良達の背後へと回り込む。
「同じ事をやり返してあげよう」
ナイフ使いはあっという間に倒され、気が付いたら挟撃にあっていた欲望に飲み込まれた者たちは、その外観の割に大変ビビったような様子で、しかしなんとか継戦するも、全滅するまで大した時間はかからなかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第2章 冒険
『狂気の芸術』
|
POW : 美術館などをとにかく巡り絵画展を特定する等
SPD : 聞き込みや美術商の調査で絵画展を特定する等
WIZ : 絵画の魔力を辿ったり美術知識で絵画展を特定する等
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
柊が召喚したUDC怪物達を蹴散らした猟兵達。
しかし、彼らが辿り着いたアトリエには、もう誰もいなかった。
柊は、もうすでに画商を探しに街へ行ってしまったに違いない。
猟兵達は各々、柊と画商、そして件の絵画を探し始める。
シェーラ・ミレディ(サポート)
※OK:シリアス、戦闘のみ
※NG:エロ、ネタ、コメディ、心情系
※傭兵的なスポット参戦
称号通り、僕の身体を維持するための金儲けと、弱者をいたぶる醜い行いが許せぬ義侠心が行動指針だ。
複数の精霊銃をジャグリングのように駆使する、彩色銃技という技を使って、敵をしとめていこうか。
美しいものは愛でるべきだが、恋愛には結びつかないなぁ。
性格ブスは醜い。見るに堪えん。
シェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)は、観光案内にマークのついている美術館や画商を数える。
数にして、大凡20。人気若手画家がアトリエを構え、取引をする画商がいると言うだけあって、どうやらこの地域はその手の施設が多いらしい。
「どこに行っても美しいものがあるんだろうが……」
件の画商のように性格ブスばかりでは話にならない。
美しいものだけを鑑賞出来る場所はないものか。いや、それだと捜索にならないか。
「仕方ない……一番の街外れから攻めていくか」
作品を蔑ろにされた被害者に、義侠心が少しばかり反応しないでもないが、だからと言って力にものを合わせるのも美しくはないようにも思う。どちらにせよ、このまま放置しておけば当人に悪評と前科が、画商には命の危機が、そして街に暮らす他の人々には災害よりも酷い被害が出るに違いない。
誰にとっても損しかない未来しかないのではないだろうか。
なるべく早く、目的の人物のもとに辿り着けるようにと願いつつ、シェーラは目的地へ向けて歩みを進めるのだった。
成功
🔵🔵🔴
紫洲川・珠璃(サポート)
キャラの雰囲気は落ち着いたお姉さんの感じです
口数はどちらかというと少なく物静か
戦闘は果敢に攻め入り、
速度を生かした撹乱を主として手数重視の攻撃で戦います。
足は止めず常に動き回り、奇策より正攻法を好みます。
武器は主に一振りの刀(虚鐵)を両手持ちで使い、まれに脇差として所持している二本目を抜きます。
弓は事前に必要性がわかっていれば持ち込みますが、持っていないことも多く歯噛みすることも
ユーベルコードは基本は以下の順で制御しやすいので利用しますが
状況に応じて適切なものを利用します。
【使いやすい】⇔【使いづらい】
炎狐=妖剣解放<黒狐召喚<神狐召喚
「絵画展……画商……この辺りはたくさんあるんですね」
紫洲川・珠璃(夜を追う者・f00262)は、役所が設置しているリーフレットの案内を眺めながら呟く。
美大と公立美術館を中心とした、言うなれば美術都市。あちこちにある施設の中から、今回の事件の犯人である柊と柊を騙した画商を探す。
柊が取引をしていた画商は数多く、そんな画商がいるであろう画廊や絵画展を回るだけでかなりの数だ。
もちろん、他の猟兵達と手分けをしているから個々人で回る必要がある割り振り自体は少ないが。
「いえ、こんなところで悩んでいても仕方ないわ。時間をかければかけただけ、被害が拡大する可能性もある……急いで施設をまわっていかないと」
なんせ始める前なのだ。まずは始めるところから。見つかる見つからないは、その後だ。
珠璃は自身の気持ちを鼓舞し、そして。
「我、此処に喚び顕すは、狐軍の将。暗きに顕れ、黒きに還る、漆黒の獣将よ。今一時なれど、其の力、共に振るわん」
召喚した自身の身長の2倍の漆黒の狐に騎乗して、目的地に向けて街を駆け抜けるのだった。
成功
🔵🔵🔴
百地・モユル(サポート)
熱血で好奇心旺盛
本が好きな小学生
正義感が強く困っている人は見過ごせない
UDCアース出身
技能の世界知識でほかの世界のこともわかるかも
あとボクが持ってる技能で
使えるのは…
情報収集、コミュ力、時間稼ぎ、救助活動、学習力、暗視、聞き耳あたりかな?
それに勇気と覚悟と気合い!
ほかにも持ってる技能を使って調べられることは調べたいし
もし力仕事とかで必要ならトリニティエンハンスやストロンゲストモードなどのパワーアップ系UCも使うよ
今日はここの世界か…どの世界も、ボクたちがちょっとずつ良くしていければいいね
アドリブ絡み歓迎
ロビン・バイゼ
美術……館!(目をきらきらさせて)
柊……さんや、画商を……探す、ためとはいえ……美術館巡り、できるなら……役得、かも……。
【全てを見通すグリモアの光】発動した状態で美術館を回る。
柊さんが、隠れて……何か、しようとしてる、なら……これで、察知……できる、はず。
ついでに……絵も、見て……回りたい、な。絵画鑑賞……好き、だし……。
……もしかしたら、件の絵画も……見つかる、かも?
百地・モユル(ももも・f03218)は、街の入り口を前にふんすとひとつ気合いを入れる。
「広い街だからなぁ……気合い入れないと!!」
とはいえ、これといって予想も付かないので、手分けした自分の受け持ち範囲を、全力で探しまわるしかない。
そう考えたモユルは、トリニティ・エンハンスで風の魔力を自身に付与する。
追い風を受けて、スピードを上乗せして、全力で街中を駆け回る。聞き耳を立てて走れば、それらしき情報も手に入るかもしれない。
「よしっ!!」
ぱんっ、と腿を叩いて気合いを入れて、モユルは走り出したのだった。
一方その頃、ロビン・バイゼ(芸術と鮮血・f35123)はというと。
「わぁ………………!!」
好奇心や憧れやそういった気持ちはひとまず置いておいて、全てを見通すグリモアの光を発動しながら歩き回った美術館の3軒目で聞いた情報を元にやってきた画廊には、見るものを引き込むような不思議な魅力のある身の丈ほどもある大きな絵画が額縁に飾られていた。
さっきの美術館で観た絵画も不思議な魅力できらきらと輝いて見えたけれど、この絵画もまた魅力的で、背筋がぞわぞわと鳥肌が立つようだった。
「お客様お目が高い。こちらは新進気鋭の画家の新作でして。お客様も聞いた事があるかもしれませんが……今話題の柊という画家の作品なのですよ」
今にも絵画から飛び出して来そうな生き物に、目を奪われる。
「そうですか…………これが……柊、さんの…………」
それと同時に、自身に話しかけて来た画商の中に、悪意を感じ取る。画商はロビンの肩を持ち、そのまま奥の商談用のソファに座らせた。
「お気に召しましたか? お値段の方、少しお安くさせてきただいて…………本来300万円はかたい最新作ですが、特別に……250万円で、いかがでしょう?」
柊から一万円で買い取った絵画だろうか。だとすれば、柊の無念はいかほどだろう。だからと言って、許される行いでは決してないが。
「──────来ましたか、ね」
気配を察し、ロビンは弾かれるように顔を上げる。
「ヒッ…………柊?!」
引き攣った画商の声。
彼らの視線の先には、いつのまに進入したのか、絵画の前に仁王立ちする柊の姿があった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 集団戦
『邪神の肉腫』
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POW : 邪神の囁き
戦場内に【甘い香りに満ちた猛毒の息】を放ち、命中した対象全員の行動を自在に操れる。ただし、13秒ごとに自身の寿命を削る。
SPD : 邪神の指先
自身の身体部位ひとつを【敵に対して最も効果的な触手】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ : 邪神の涎
全身を【思考力を奪う粘液】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【身体的接触数】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
イラスト:mappa
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アラタマ・ミコト(サポート)
|荒魂鎮神命《あらたましずむるのかみのみこと》助太刀に馳せ参じてございます。
かの軍勢が障害なのでございますね。
では、極楽浄土で身に付けし武芸でお相手いたしましょう。
●
「あんた……すごいよな。この絵がさ、ただの絵じゃ無いってわかるってのは、やっぱり絵を見る才能はあったって事だ。だけどさ、人としては最悪だよ」
画商に向けて不気味なほど穏やかに微笑みながらそう言った柊は、血が滴る手のひらを、絵画に押し当てた。
うぞうぞと、絵画の中から、明らかに質量のおかしい大きさ、数のUDC怪物──邪神の肉腫が溢れ出る。
「おや、こっちに来ますね」
画商を背に庇うように立つアラタマ・ミコト(極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935)の落ち着いた口振とは打って変わって、庇われている画商は最早半狂乱であった。
そして、蠢く肉塊の向こう側では、召喚した当人である画家である柊も、肉塊に取り込まれようとしていた。
「こいつらを倒してこの人を助ける……あの人は、その次になりますね」
自業自得だと言うことと、この数メートルの距離が障害になること。
その2つを頭に羅列するミコトへと、牙に縁取られた丸い口が向けられる。どうやら何かを吐き出す気らしかった。
ぷくんと膨らんだ胴体。次の瞬間、甘い香りに満ちた猛毒の息が吐き出される。しかし。
「あらたまちゃんにそのような効果は効かないのです。これはそちらにお返しするのです」
|利負麗玖此四《リフレクション》により跳ね返されたのであった。
成功
🔵🔵🔴
諏訪野・みすず(サポート)
リーダー役が必ずいると思うので、ソイツを先に倒すようにします。「リーダーが倒れたら、あとは烏合の集だよ」アドリブ、共闘歓迎です。
「リーダー役が必ずいる……はず、なんだけど…………!!」
諏訪野・みすず(不思議系ダンサー・f00636)は、スチームエンジンの効果を付与したレガリアスシューズで邪神の肉腫の集団の外周を駆け抜ける。
どんな戦闘集団にも、基本的にはリーダーがいるものだ。そうでなければ、統率の取れた戦闘行動が出来ないから。
だけれども。
「………………っ、どこぉ?!」
読んで字の如く、肉腫。
ただ生物としての──いや、UDC怪物としての本能のようなものに突き動かされているのか、それともその細胞に(単細胞生物かもしれないが)行動パターンが刻まれているのか。
特に同士討ちなどはなさそうなのに、不思議とこれといったリーダーはいなさそう。
強いて言えば。
「退いて!!!」
みすずは僅かに動きの妙な付近の中心へと向けて走りながら、邪魔な邪神の肉腫に強烈な蹴りを入れていく。
その中心にいるのは、恐らくは、こいつらを呼び出した張本人である柊と、それから柊が恨みを抱く画商。
その2人のうちの、どちらかだろう。
成功
🔵🔵🔴
轟・やゆよ(サポート)
語尾に「だわさ」「なのよさ」とかつく熱いアニソン好きな女の子
またわらわらと出てきただわさ…
まとめて倒すのよさ!
(虫系の敵は苦手でちょっと怯える)
説得の通じる相手なら説得を試みるしワケありの相手には思わず情を口にするだわさ
その場で必要なUCや技能を使って攻撃や支援をするだわさ
もちろん公序良俗に反することや他人の迷惑になることはしないのよさ!
アドリブ絡み歓迎
鈴乃宮・影華(サポート)
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です
かつての様にイグニッションカードを掲げ
「――|起動《イグニッション》!」で各種装備を展開
友人から教わった剣術や
体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用
TPO次第では
キャバリアの制御AIである『E.N.M.A』が主体となるユーベルコードを使用したり
『轟蘭華』や乗り物に搭載した重火器をブッ放したり
「|神機召喚《アクセス》――|起動《イグニッション》!」からのキャバリア召喚で暴れます
例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかけるような行為はしません
不明な点はお任せします
うぞうぞと蠢く邪神の肉腫に、轟・やゆよ(あにそん伝道師・f06396)は僅かに息を呑む。
なんせ、ちょっとばかり虫っぽい。飛ぶやつじゃなくて、這うやつ。具体的に言うと、芋虫とかそういう系。
だがしかし、それで退くわけにもいかないのだ。なんせバーチャルアイドルで、猟兵なのだから。
「まとめて倒すのよさ!」
そう鼓舞するように自分に言い聞かせ、やゆよは、ビートステッキを片手に持ち、もう片方の指先で、邪神の肉腫を指し示す。
「はい注目だわさ〜!」
あんまり見つめられても困るし、自分としても見つめたくないけれど。
バーチャルアイドルであるやゆよは内心をおくびにもださず、軽やかにステップをし、激しく熱く歌う。
そんなやゆよのチャーミング☆ソングが注意を惹きつけられる相手は、実のところ単体なのであるが、相手が知能の低い肉腫故に、なんとなくその惹きつけられる感覚が周囲にも伝播し、なぜか複数体の肉腫達がやゆよの歌と踊りに惹きつけられ、つられて身体を揺すっている。
「あんまりいい光景とは言い難いけれど……まぁ、チャンスなのは間違いないですね」
鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)は、自身の両手を前に突き出す。その先には、うぞうぞと身体を揺する邪神の肉腫達。
とにかく邪神の肉腫達はやゆよにばかり注目しており、他の猟兵達を気にする素振りはない。多分、本当に気にしていないのだろう。ならばこれを逃す手は無い。
気付かれてしまったら、対策されてしまう。身構えるより前に、本気の一撃を。
すう、と息を吸い、意識を集中し、告げる。
「我が友の教えを此処に――顕現せよ、神喰の奔流!」
神殺しの呪詛を纏った黒燐蟲のスタンピードは、濁流のように邪神の肉腫へと真っ直ぐに突き進み、直撃する。
「神殺し……邪神の欠片にどの程度通用するものかしら」
影華の心配を他所に、邪神の肉腫は黒鱗蟲のスタンピートの前に、数体が塵と化したのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
クリスティナ・バイエンス(サポート)
火の神の名を持つキャバリアに選ばれたサイキックキャバリア乗り
水着みたいな格好なのは、コックピットが蒸し風呂みたいに熱いから仕方なくだからね
正直キャバリアを降りての戦闘はあまり得意じゃないのよ
でもキャバリアを使っての戦いは任せてね、みんな炎で薙ぎ払ってやるわ
とはいえ、必要ないところで炎を使うつもりはないの危ないもんね
使わなくても私の〔炎神機カグツチ〕は十分強いもの
よろしくね!
街中、しかも画廊から始まった戦いではあるが、邪神の肉腫達の数は多く、画廊からはみ出し公道を埋め尽くす程になっている。
「ここが大通りで良かったわ」
これならキャバリアに乗っていても、被害が少なく済む。
愛機炎神機カグツチのコクピットから邪神の肉腫達を見やりながら、クリスティナ・バイエンス(炎のキャバリア乗り・f30044)は呟く。
避難は済んでいる────画商と今回の事件の引き金となった画家である柊を除けば。
画商はまだ死んではいないようだ。柊もまた死んではいないようではあるが、画商同様、自身が喚び出したUDC怪物である邪神の肉腫達に狙われてはいるらしい。
無差別なのか、それとも喚び出した当人を喰らう性質があるのか。
定かではないが、画廊の中の事は中にいる猟兵達に任せる。自身のやるべき事は、今ここで画廊からはみ出て街中を蹂躙しようとしている自身の肉腫達を肉塊へと変える事。
「いっけぇぇぇぇ!!!」
クリスティナは、正確無比な狙いでもって、RX焔ノ剣を振い、|秘剣炎熱夢幻斬り《ヒケンエンネツムゲンギリ》で邪神の肉腫達を蹴散らしていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
ロビン・バイゼ
ペイントブラッシュ・ランページで纏めて邪神の肉腫を【なぎ払い】、攻撃
触手も叩き潰す
柊さんも、いるし…(何か言いたげな瞳で彼を見て)3回攻撃はしない でも【2回攻撃】
…こんなことのために、絵を…使わないで
…ああ、そうか。僕、怒ってるのか…絵を、復讐の道具にした…柊さんに。彼の絵を、ないがしろにした…画商、よりも。
柊さん。あなたの絵は、確かに…素晴らしい。きっと、すごく…努力、してきたんだと…思う。だからこそ…復讐なんかに、絵を…使って欲しくない。せっかく素敵な絵、なんだから。
僕…柊さんの絵、好きだよ。
それより…僕に、絵を…教えて。僕も、絵は、描く、けど…独学、だから。ちゃんと、学んで…みたいんだ
「柊さん…………」
ロビンは残り僅かとなった邪神の肉腫から辛くも逃げ延びたと思しき柊の方へ、ちらりと視線を向ける。
言いたい事はあるけれど、それはまたあとで。
しっかりと肉腫を見据え、ロビンは巨大絵筆を巨大化し、構える。攻撃対象はあくまで肉腫のみ。見える所にはいない画商も、それから柊も、傷付けないように。
「……芸術は……時に、荒れ狂う……もの」
ロビンは巨大絵筆で肉腫を薙ぎ払う。
柊さんの事は助けたいと思う。だけれども、こんな事に絵を使った柊さんのことを…………。
「そうか……僕は…………怒ってるんだ……」
1回、2回。
ロビンが気付いたのは、彼自身の怒りだった。
巨大絵筆の2回にわたる攻撃で肉腫最後の一欠片を完膚なきまでに粉砕したロビンは、呆然と座り込んでいる柊の元へと歩み寄る。
「柊さん」
呼びかけられ、柊はひっ! と小さく悲鳴を上げ、後退りをする。その表情に浮かぶのは、恐怖の色。自身がやってしまった事のへの恐怖か、それとも断罪されるかもしれない恐怖か。彼自身にも、最早わからなかった。
「ち、違う……違うんだ、ただ俺は……俺の努力を、まるでなかったように扱われて……!!」
故に彼は、がむしゃらに言葉を紡ぐ。そんな柊に、ロビンはしゃがみ込んで目線を合わせ、ゆっくりと語りかける。
「あなたの絵は、確かに……素晴らしい。きっと、あなたが言うように、すごく……努力、してきたんだと……思う。だからこそ……復讐なんかに、絵を……使って欲しくない。せっかく素敵な絵、なんだから」
ロビンの素直な感想に、柊は一瞬ぽかんと目を見開いた。
「素敵な……絵? 本当に?」
幼く響くその問いに、ロビンはこくりとひとつ頷いた。
「僕……柊さんの絵、好きだよ」
きらりと、柊の恐怖と恨みで濁った瞳に、光が差した。
「え…………好き? 俺の、絵の事を?」
僅かに柊の頬が紅潮し、瞳が潤む。一つ瞬きをすれば、ぽろりと一粒、涙がこぼれ落ちた。
「もし良かったらだけど……僕に、絵を……教えて。僕も、絵は、描く、けど……独学、だから。ちゃんと、学んで……みたいんだ」
そのロビンの願いに、柊はぐしゃりと顔を歪め、それから止まらなくなった涙を必死に拭いながら、何度も何度も頷く。
「ありがとう…………!!」
鼻水も涙も止まらないぐしゃぐしゃの顔のまま、柊は何度も何度も頷き、そして精一杯の笑みを浮かべて見せた。
「絶対、教えるよ……俺の好きな絵の事を……君にたくさん、話したいんだ」
犯した罪は消えないかもしれない。償いも必要になるかもしれない。だけども、いつかきっと──いや、絶対に。
柊が伸ばした小指に、ロビンはゆっくりと小指を絡める。
「烏滸がましい事を言うけれど……約束、してくれないか? 俺はきっと、君みたいな人のために……いや、君みたいな人と一緒に、絵を描きたかったんだと思うから……いつかきっと、一緒に絵を描こう」
柊の誓いに、ロビンはゆっくりと頷いたのだった。
大成功
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