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ケルベロス・ウォー⑫〜万象のグラビティピラー

#ケルベロスディバイド #ケルベロス・ウォー #神経樹グラビティピラー #『神月円明』

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●ケルベロス・ウォー
『宇宙の神経』――そう評されるは、十二剣神『神経樹グラビティピラー』である。
 ビル街に望む巨体。
 しかし、それは本来銀河系よりも巨大な体躯であった。
 生命体の知覚力では、そのごく一部しか認識することは叶わなかった。
「抵抗は無駄であると 受容せよ。神経樹は宇宙を覆い尽くしている。即ち」
 瞬間、巨人の如き体躯の虚……その内側からユーベルコードの輝きが明滅する。
 ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)は転移を維持しながら見ただろう。
 次々と猟兵たちが瞬く間に行動不能に陥っていったのだ。

「こ、こんなことが……起こり得るのですか!?」
 驚愕しかない。
『神経樹グラビティピラー』を追い詰めている。
 だが、猟兵たちは皆一様に倒れ伏している。
 何をされたのかまるでわからなかった。しかし、猟兵たちは指先一つ体を動かすことはできなかったのだ。
「『グラビティ・ダウン』。受容せよ、死を。脆弱なる生命よ。醜悪なる生命は根絶する。絶対強者、永遠不滅でないものは、この宇宙には必要ない」
 猟兵たちは、死を強烈に意識させられたことだろう。
 何が起こっているのかわからない。
 動けないのならば抵抗できない。待つのは死だけだ。

「皆さん!」
 ナイアルテの声が響く。
 呼びかける声は必死だった。けれど、駄目なのだ。体が動かない。
 理解できない。
 それを嘲笑うかのように『神経樹グラビティピラー』は告げる。
「受容せよ。吾が神経樹は貴様たちの神経、精神を完全掌握した。これが、無敵のユーベルコード『グラビティ・ダウン』」
 迫るは無数の『グラビティピラー軍団』。
 為す術などない。

 しかし、知るだろう。
 神経樹に絡め取られた精神の奥底。
 それは最も柔らかく、最も強固な場所。
 即ち、記憶の奥底である。

 もしも、だ。
 もしも。
 猟兵の常なるものが戦いの日々であったというのならば、対するは常にオブリビオンである。
 記憶の奥底にあるのは、戦いの記憶。
 当然、敵がいなければ戦いは起こらないのだ。
 そして、神経樹によって絡め取られた影響は思いもしない影響を猟兵に引き起こす。

 ナイアルテもまた多少なりと影響を受けたのかもしれない。
 彼女の薄紅色の瞳に映るのは、幻影の如き存在であった。
 その名はもう存在しない。
 不敗を象る名。
『|■■■』《アズマ》――徒手空拳によって大地を砕き、海を割る存在。
 迫る『グラビティピラー軍団』を拳と蹴撃でもって砕き、切り裂く。組み付けば容易く投げ叩きつけて粉砕する姿。
 物言わぬ姿は無論、幻影である。
 彼女が過去、対峙した中にあって最大のオブリビオン。
 『過去の強敵』
 猟兵達にもまた、その幻影の如き姿がはっきりと現実に像を結ぶのを見ただろう。
「まさか、これは……! 皆さん! 今、あなたが嘗て相対した『過去の強敵』が見えるはずです! この気配、確実にオブリビオン……ですが、彼らは皆さんの意思の通りに動き、動けぬ皆さんの代わりに戦ってくれます!」
 ナイアルテの言葉に猟兵たちは理解する。
 自らは指一本動かせぬ。
 だが、己が記憶の奥底から現実に現れた『過去の強敵』たるオブリビオンを操り、戦うしかない。
 こうするしか手はないのだ。
 ならば、猟兵たちは躊躇わない。

 戦いの中の記憶を頼りに像を結んだ、過去の敵を己が刃に変えるのだ――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『ケルベロス・ウォー』の戦争シナリオとなります。

『十二剣神』、『神経樹グラビティピラー』を守る『永遠回廊』を破り、ついに攻撃を仕掛ける事が可能になりました。
 ですが、無敵のユーベルコード『グラビティ・ダウン』によって皆さんは行動不能となってしまいます。
 指一本たりとて動かせません。
 ですが、神経樹に絡め取られた結果、皆さんの記憶の奥底から、かつて対決した『過去の強敵』がオブリビオンとして出現しました。
 このオブリビオンは皆さんの意志のとおりに動き、その指示に従って『神経樹グラビティピラー』と戦います。
 彼らを操り、『神経樹グラビティピラー』を打倒しましょう。

 ※プレイングボーナス……「過去の強敵(任意)」を召喚し、操作して戦う。

 それでは、狙われた地球を守るために戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『十二剣神『神経樹グラビティピラー』』

POW   :    受容せよ。グラビティ・チェインは吾が力でもある
【濃密なグラビティ・チェインの霧】を最大でレベルmまで伸ばして対象1体を捕縛し、【重グラビティ起因型神性不全症(寿命削減)】による汚染を与え続ける。
SPD   :    受容せよ。神経樹は宇宙を覆い尽くしている
【天空から降り注ぐ神経樹の槍】【建造物から生える神経樹の槍】【大地から生える神経樹の槍】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ   :    受容せよ。デウスエクスこそが到達点である
視界内の任意の全対象を完全治療する。ただし対象は【神経侵食】に汚染され、レベル分間、理性無き【暴走デウスエクス】と化す。

イラスト:hina

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

早門瀬・リカ
ケルベロス・ウォー④〜その歌が届くまで
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=61276
の影椿姫を召喚して戦うよ。

自分の身体であるかのように戦ってもらうかな。
複雑な心境だけれど、見守らせてもらうよ。
やっぱり身体は女の子なんだね…うん。
幻影を見せる雷の刃でグラビティピラーを攻撃していこう。
一発一発の威力は小さくても複数の部位を同時に
攻撃する事で動きも封じて、影椿姫自身は飛翔して
グラビティピラーの反撃を回避していこう。
僕自身が狙われるようなら
再生の魔霧で回復させつつ守るようにして戦おう。
僅かの間の縁だけれど悔いの残らないようにかな。

アドリブ歓迎、NGなし



 まるで体が言うことを聞いてくれない。
 これが無敵のユーベルコード『グラビティ・ダウン』。
 十二剣神『神経樹グラビティピラー』の放ったユーベルコードは、瞬く間に猟兵たちを戦闘不能に陥らせた。
 肉体的な外傷があるわけではない。
「どうして……」
 早門瀬・リカ(星影のイリュージョニスト・f40842)は呻いた。
 自身が未熟であることは承知している。
 未だ修行の身であるからということも、自身が一番理解している。だが、こんな何もできずに倒れるとは思ってもいなかったのだ。

「受容せよ。その身は脆弱。永遠不滅には程遠い。故に醜悪なる生命は、この宇宙には必要ない。滅びよ、生命」
 迫る『神経樹グラビティピラー』。
 空より飛来し、大地がせり上がるようにして迫り、ありとあらゆる建造物からも神経樹の槍が鋭き穂先をもってリカの体躯を貫かんとしていた。。
 だが、次の瞬間、揺れるは黒衣。
 まるで死神の衣のように揺れる色をリカは見ただろう。

 それはリカの記憶の奥底から出現した『過去の強敵』。
 ケルベロス・ウォーが始まって以来、もっともリカが強敵だと記憶に強く刻まれた存在。
 その名を『影椿姫』 。
 物言わぬ死神は、瘴気宿す漆黒の太刀を一閃し、迫る神経樹の槍を寸断してみせたのだ。
「そんな、『影椿姫』……!」
 リカの言葉に背を向けた『影椿姫』は、寸断した神経樹の槍を蹴って飛翔する。
「無駄だ。受容せよ。滅びを受容せよ。強者の前に弱者は存在してはならぬ。強者の道を阻むものは全て、吾が根絶してくれる」
 響く声。
 けれど、その声が響く暇もなく放たれる斬撃が次々と迫る神経樹の槍を断ち切っていくのだ。

「複雑だな……僕の記憶の底にある強敵が、彼女なんて……うん」
 僅かな間の縁だった。
 けれど、紡がれた縁があるのならば、リカは己の意志で『影椿姫』を操ることができる。
 振るわれる斬撃で切り開く道を飛ぶ『影椿姫』。
 どんな攻撃だろうと幻影魔斬の一撃は防護を透過し、『神経樹グラビティピラー』の精神を切り裂く。
 あれだけの巨体な上に、あの巨体ですら一部でしかないのだと言う。
「なら、末端を切りつけても意味がない、よね。でも、末端でも精神は繋がっている。その精神を切り裂け、『影椿姫』!」
 リカの言葉に呼応するようにして『影椿姫』は雷の刃を振るい、飛翔する。
 悔いの残らぬように。
 僅かな縁でも紡がれたからこそ、わかるものだってある。
 だから、己の中から彼女が現れたのだ。
「なら、悔いの残らないように」
 飛翔する背中を見送り、リカはその死神の如き斬撃の煌きを瞳に刻み込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイミィ・ブラッディバック
駆動系は全てシステムが落ちましたか。ここまでとは。
しかし、私が自律型クロムキャバリアであったのは幸運でした。何故ならば、「キャバリア」の共通規格を活かせるからです。
──そうでしょう、|哪吒《ナタク》。

全武装パージ。
──殲禍炎剣の代行者よ。私の武装を託します。
LONGINUS、TRINITY ANGEL BLADE、CRESCENT MOONLIGHT、WORM KILLER、伊邪那岐、そしてEX-CALIBURN。
全てキャバリアのユニバーサル規格に合わせられてますから、貴方はこれを扱えるはずです。どうか今だけは。「機械仕掛けの熾天使」の代行を貴方に願います。
あの神経樹への裁定──伐採を。

EP風火輪による空中機動と伊邪那岐による牽制射撃で懐へ。RX金蛟剪、TRINITY ANGEL BLADE、CRESCENT MOONLIGHTで伸びる枝を伐採しつつ、ポインティングレーザーを照射。WORM KILLERとLONGINUSで動きを止め、EX-CALIBURNで焼き切ってもらいます。



 次々とシステムが落ちていく。
 奇妙な現象であったし、これまでに体感したことのない事象であった。
 ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/Mechanized Michael・f29697)は己の電脳が未だ健在であることを認識しながらも、駆体を動かす伝達系の全てが寸断されていることを認識していた。
「駆動系全てのシステムを強制的に遮断する。これが『グラビティ・ダウン』ですか。まさか、ここまでとは」
 ジェイミィは、もしも彼が人間であったのならば歯噛みしただろうか。
 いや、恐らくそうはしないだろう。
 歯噛みするよりも前にやるべきことがあったからだ。

「受容せよ。これより行うは生命の根絶である。受容せよ。これは必定である。強者のみが、この宇宙に相応しい。脆弱な生命は、醜悪そのもの。この宇宙の美しさを弱者の醜悪さで穢すことは許さぬ」
 十二剣神『神経樹グラビティピラー』は、そう告げた。
 迫るは濃密なグラビティ・チェインの霧。
 あれに捕縛されれば、ウォーマシンであるジェイミィと言えど、重グラビティ起因型神性不全症によって駆体の寿命が削られていくであろうし、電脳に致命的な障害が発生する恐れがあった。
 だが、動けないのだ。
 マニュピレータの一つすら動かせぬ状況。
 諦観が襲う。
 否である。
 ジェイミィはこと、この状況に至って尚、諦観とは程遠い思考でもって、己が視界に像を結ぶ。
 幻影かもしれない。
 確証はない。検証も済んでいない。だが、やるしかないのだ。

「幸運でした。なぜならば――そうでしょう、|『哪吒』《ナタク》」
 そう、ジェイミィの記憶の奥底から像を結んだのはオブリビオンマシン『哪吒』であった。
 三面六臂のオブリビオンマシン。
 鋼鉄の体躯がジェイミィの眼前に立つ。
「H1:Examine the [Holy Grail] Link System.H2:Six Arm Unit「RX-A六臂」……OK.H3:Leg Flight Unit「EP風火輪」……OK.H1:Rocket Arm Device「RXS-A乾坤圏」……OK.H2:Main Scissors Weapon「RX金蛟剪」……OK.H2:Head1 Head2(left) Head3(right) All Green.H3:Language System Downloaded……」
 起動を示すように三面六臂の鋼鉄の巨人の三対のアイセンサーが輝く。
「六番目の猟兵、吾が駆体を操るか」
「ええ、あなたはオブリビオンマシン……であれば」
 ジェイミィの駆体から全武装がパージされ、『哪吒』の全身に配されていく。

「――殲禍炎剣の代行者よ。私の武装を託します」
 それはキャバリアという兵器、最大の特徴を利用したものだった。
 そう、キャバリアはオーバーフレームとアンダーフレームに別れ、コクピットブロックを挟み込むように形成される戦術兵器。
 それ故に武装は全て共通規格。
 他者の武装であろうとも、扱うことができる。
「炎の破滅を代行する吾に、託すと」
「ええ、どうか今だけは。『殲禍炎剣の代行者』ではなく、『機械仕掛けの熾天使』おn代行を貴方に」
 願う。
 それは一種の賭けであった。
 もしも、己のメモリーに記録された『哪吒』そのままであるのならば、むしろ危機を窮地にするものであったことだろう。
 だが、記憶から出現したオブリビオンは猟兵によって操ることができる。

「あの神経樹の裁定――伐採を」
 その言葉を待たず『哪吒』は両足の火炎車輪型フロートユニットから炎の竜巻を噴射させながら、迫りくる濃密なグラビティ・チェインの霧を焼き払い『神経樹グラビティピラー』へと飛ぶ。
 空中機動とジェイミィより託された武装が牽制射撃を行い、砲火でもって『神経樹グラビティピラー』へと飛び込む。
「RX金蛟剪、BW-MXTB-000 "TRINITY ANGEL BLADE"、BX-CVWM-FS-2C "CRESCENT MOONLIGHT"」
 六腕に携えた刃が『神経樹グラビティピラー』の末端であろうとも、その体躯を切り裂く。
 さらにスタンニードルランチャー、キャノン形態へと変貌した機甲槍の砲身が縫い留めるようにして『神経樹グラビティピラー』を穿つ。

「WARNING:Disconnect unknown system "Holy Grail" immediately」
 ジェイミィの電脳から伝達されたプログラムが走り、『哪吒』に装備されたターゲッティングレーザーが『神経樹グラビティピラー』を捉える。
 瞬間、『哪吒』の胸部に備わるのは巨砲。
 その名を、E-WEAPON "EX-CALIBURN"(エクストリームウェポン・エクスカリバーン)。
 吹き荒れるようにして放たれる光条は、クロムキャバリアにおいては滅びの光。
 殲禍炎剣と同型のビームは『神経樹グラビティピラー』の巨体へと放たれ、その身を焼き払うかのように苛烈なる熱でもって穿つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジークリット・ヴォルフガング
●POW

かつて剣を交えし過去の|強敵《友》、か
私が居た『あちら側』では幾らでも居るが、死神の海と似ているようで異なる骸の海の『こちら側』では無理筋となろう

ならば、私が願う強敵は… 幼女総統『ギガンティック』
…まぁ、流石に私も酷い事をしたのだなという自責の念もあるので、謝罪も兼ねてだがな

久しいな…一年ぶりとなるか?
ふ、早速の恨み節か
あの時はああするしかなかった、改めて詫びよう
神経樹グラビティピラーと同等の巨大さで濃厚なグラビティ・チェインの霧晴らしてくれるのはありがたいが、私を巻き込まないでくれよ?

血路が拓かればこちらのものだ…星剣解放!
我が剣に宿りし星座の重力を受けよ!
ゾディアックブレイク!!



 ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・f40843)はゾディアックソードを地面に突き立て、膝を付いていた。
 だが、それ以上動けない。
 面を上げることもできない。
 だが、彼女に頭上には影が落ちていた。
 巨大。
 あまりにも巨大すぎて、ジークリットは戦場に夜がやってきたのだと思った。
 だが、違う。
 地鳴りが体に響き渡る。
「吾輩の脛を強かに打ち据えてくれた猟兵にしては、なんとも無様な姿よな!」
 その声は幼い。
 幼いが、どこか不遜であり、他者をみクアdスような雰囲気があった。
 その声をジークリットは知っている。
 は、と声が漏れるように笑う。

 そうか、とも思ったし、ある意味当然でもあったとさえ思っただろう。
 無敵のユーベルコード『グラビティ・ダウン』によってジークリットは一歩も動けない。そればかりか、腕一つ動かせない。
 だが、その影響か彼女の記憶の底にある『過去の強敵』が、眼前に像を結んだように出現したのだ。
 ジークリットにとって、かつて剣を交えし過去の|強敵《友》は、枚挙に暇がない。
 だが、彼女の言う|強敵《友》は、『あちら側』の話だ。
『こちら側』とは事情が異なる。
 であれば、当然。
「久しいな。幼女総統『ギガンティック』、か。すまない。流石に私もひどいことをしたのだな、という自責の念もある」
「殊勝な心がけではないか、猟兵! だが、吾輩はあの痛みを忘れてはいないぞ!」
「早速の恨み節か。だが、あのときはああするしかなかった、改めて詫びる。が、いいのか。私を見下ろしているばかりで、背中がお留守だぞ」
 ジークリットの言葉に、迫りくる重濃度のグラビティ・チェインの霧。
 それを振り返りざまに……いや、振り返るだけで猛烈な旋風を巻き起こしながら幼女総統『ギガンティック』はグラビティ・チェインの霧を振り払った。

「問題なし! 吾輩を誰と思っている! 幼女総統『ギガンティック』であるぞ!」
「おいおい、私を巻き込んでくれるなよ。一歩も動けないんだ」
「つまらん! 雪辱を晴らしてやろうと思っていたのにな!」
「再戦の機会があるかはわからんが……だが、今は無理だな」
『グラビティ・ダウン』は猟兵を行動不能にする。
 ジークリットと言えど例外ではない。
「まあいい。今一度吾輩の力を、その眼をかっぴらいて思い知るがいい! それ、幼女キーック!」
 山脈よりも巨大なる幼女は、同じく巨大なる『神経樹グラビティピラー』へと、幼女キックなる凄まじい衝撃を放つ一撃を叩き込む。
 それはもう怪獣大決戦など生やさしいほどの熾烈な戦いであった。
 ただ足を振り上げるだけで風圧が強烈に体に打ち付けられ、周囲は破壊を撒き散らされていく。
 確かに幼女総統『ギガンティック』は味方にすれば頼もしいことこの上ない。 
 これと一度は戦い、そして勝利したのだな、とジークリットは思い出してみても、とんでもないことだと自覚する。
「吾輩はでっかい! 生意気にも貴様も巨大なようだが!」
「……ありがたいが、少々乱暴がすぎるな」
 どれだけ巨大であろうと幼女。
 その気質は、イツまで経っても変わらぬのであろうな、とジークリットは動けぬ身ながら嘆息し、吹き荒れる破壊の衝撃に耐えるしかなかったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シズホ・トヒソズマ
私の記憶に一番濃いオブリビオン…本来はあいつですがアイツ呼びたくないし直接は相対してないので、代理でウシュムガル・ザ・ウインドゼファー、来て貰います

確かに貴方を邪魔した私達を助ける義理はないですね
でも奴は欲望を解放した貴方達やドンフリも生命は必要ないと切り捨て、敵対したでしょうね
そんな奴に欲望と生命の力を見せつけてやるのも面白いと思いません?
仲間の力は分けてあげますから!

幻想装身でエイプモンキーとラビットバニーの力を与えます
アクセラレイトデザイアによる高速飛翔やモンキーのメタ装置、バニーのバリアで霧を防ぎ
高速連続攻撃や嗤う竜巻でグラビティピラーの巨体を手当たり次第に動きつつ攻撃して貰います



 十二剣神『神経樹グラビティピラー』の放つ『グラビティ・ダウン』によって猟兵たちはいずれもが行動不能になっていた。
 立ち上がることもできなければ、指先の一つすら動かせない。
 視界に迫るは、巨躯。
 死を待つだけの時間。
「受容せよ。生命よ。滅びが必定である脆弱さは醜悪そのものである」
 シズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)は倒れ伏しながら、己の中にある強敵の記憶を呼び覚ます。
 最も色濃いオブリビオン。
 本来ならば、その名を口にすることもしたくない。呼びたくない。直接相対もしていない。
 であれば、とシズホが強く頭に思い浮かべたのは、姿視えぬほどの速度で彼女の傍を走り抜けた存在だった。

「ヒャヒャヒャ、まさかこの俺『嗤う剣ダイアモード』が世界を移動するとはな!」
「ここに至るまでの生と死。オブリビオンとしての蘇生、猟兵に倒された後に移植された『ウシュムガル』……」
 声だけが聞こえる。
 姿は視えない。
 何故なら、それは11の怪物が一柱『ウシュムガル・ザ・ウィンドゼファー』。
 シズホが思い浮かべた強敵は、かつてエンドブレイカー世界のおける大いなる戦いの最中に現れた脅威であった。
 あまりにも速い疾駆。
 風だけがシズホの頬に彼女の『ウシュムガル・ザ・ウィンドゼファーの来訪を告げていた。

「ふ、私の記憶にあるオブリビオン……その中でも『ウシュムガル・ザ・ウィンドゼファー』は随一の速度を誇るオブリビオン……私達を助ける義理はないですが」
 だが、これは彼女の記憶の中の『ウシュムガル・ザ・ウィンドゼファー』である。
 操ることができるのは己だけなのだ。
「でも奴は」
 シズホは凄まじい速度で『神経樹グラビティピラー』の周囲を走る『ウシュムガル・ザ・ウィンドゼファー』が言うまでもなく勢いを増し続ける竜巻を放ち続ける姿を認め、頷く。
 きっと、とシズホは思う。
「奴は欲望を解放した貴方達やドンフリも生命は必要ないと切り捨て、敵対したでしょうね
そんな奴に欲望と生命の力を見せつけてやるのも面白いと思いません?」
 その言葉に『ウシュムガル・ザ・ウィンドゼファー』は答えない。
 記憶の中の彼女は、己を卑怯と謗った。
 それ故に彼女には答えない。

 けれど、それでもシズホは構わなかった。
 己がユーベルコードの輝きはからくり人形から発露している。
 打倒してきたオブリビオンの幻影。
『エイプモンキー』、『ラビットバニー』。
 その幻影を『ウシュムガル・ザ・ウィンドゼファー』は見ただろう。
 シズホは己が身より流血しながらも、その幻影を見せたのだ。それは『ウシュムガル・ザ・ウィンドゼファー』のエゴを増幅させるものであった。
『ギャハハハハ! お前正直、活き活きしてるぜえ!!!』
『嗤う剣ダイアモード』の笑い声が響く。
 蘇らせたい者がいるというエゴ。
 長い人生を共に歩んだ『ウシュムガル・ザ・ウィンドゼファー』の大切な友達。
 その蘇生。
 その望みこそが速さを生み出す。
 いつだって変わらない。どんな困難を前にしても『ウシュムガル・ザ・ウィークポイント』は巨大な『神経樹グラビティピラー』から放たれる無数の神経樹の槍の一撃すらかいくぐり、剣を叩きつけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

コルネリア・ツィヌア
桜の、花弁
まさか私は、貴方を、喚んだの
――ソウマコジロウ殿!

一瞬、惑う
これでは幻朧帝と変わらないとか、私が記憶していたのが幻朧態の姿だった痛恨とか
けれど。仮に私が謝罪したとしても。
そこに私の意志や願望があろうとなかろうと、あの方は、謝罪には及ばぬと、戦うでしょう
なら、腹を決めるわ

無数の透明な日本刀で、神経樹の槍を迎撃
命中に比例して威力と切断力が上がるから、続ければ、本体にまで届くようになる筈
そして、少しでも声が出せるようになったら、UC発動
『この戦場で、私は弱者です。
それを受け入れて、お約束します。
弱者のままではいない。強さを継ぎ、繋げます。この世界の人々のように!』

最後まで、目を逸らさない



 大地についた膝が動かない。
 膝だけではない。腕も、指先も、首一つ動かすことができない。
 無敵のユーベルコード『グラビティ・ダウン』。
 十二剣神『神経樹グラビティピラー』は、ただの一手で状況を覆し、猟兵たちを戦闘不能に陥らせた。
 コルネリア・ツィヌア(人間の竜騎士・f00948)もまた膝つく一人であった。
 なんたる力であろうか。
 驚愕しかない。
 迫るは巨躯。
 見上げるほどの巨体が生み出す影がコルネリアの頭上から注ぐ。
「このままでは……」
 まずい。動かぬ体で『神経樹グラビティピラー』と相対するのは、ただ死を待つのみであった。

「受容せよ。生命の根絶を。絶命を。脆弱なる生命は、この宇宙には要らぬ」
「……くっ!」
 死を覚悟する。
 瞬間、コルネリアの視界をかすめるものがあった。
 薄紅色。
 まるで紙片のようにひらりと舞い落ちるそれは。
「桜の、花弁」
 コルネリアの瞳が見開かれた。
 そこにはまごうこと無き桜の花弁が舞い散っていた。その桜はただの桜ではない。
 このケルベロスディバイド世界においては、見られることのない桜。そもそも季節外れだ。あり得ない。
 まだか、とコルネリアは驚愕のままに視えぬが感じる気配の正体を悟る。

「私は、貴方を、喚んだの」
 信じられない。
 透明軍神。
 唯一にして無二。
 サクラミラージュにおける偉業。
 帝都を制圧せしめ、幻朧帝に後一歩と迫った偉大なる先駆者。
「遥けき昔……」
 声だけが聞こえる。聞き間違えるはずがない。
 戸惑いが刹那にコルネリアの胸中に走る。
 だが、彼女はその名を発したのだ。
「――『ソウマコジロウ』殿!」
「如何にも。心ある者達よ、生命ある者達よ」
 己の中にある過去の強敵との記憶。それが像を結び、今ここに顕現させている。これでは幻朧帝とやっていることは変わらない。
 痛恨と悔恨がコルネリアを支配しただろう。
 だが、これは結局自分の願望だ。わかっている。なら、己絵にできることは、腹を決めることだけ。

「誰がために君は立つ」
「この戦場で、私は弱者です。それを受け入れて、お約束します。弱者のままではない。強さを継ぎ、繋げます。この世界の人々のように!」 
 心にあるのは不屈。
 例え、この体が動けずとも諦念にとらわれることはない。
 コルネリアは、その眼差し一つ向けるだけで精一杯だった。
 けれど、透明な軍神は言う。
「ならば、君もまた再び立つだろう。不屈の意志が諦念をも超えていく。であれば」
 コルネリアの眼前んで透明軍神『ソウマコジロウ』は刀を構えた。
 迫る『神経樹グラビティピラー』のユーベルコードの光を切り裂くは、太刀。
 コルネリアが見ることができたのは、その太刀の煌きのみ。
 なら、目をそらす事は許されない。
 最後まで、コルネリアは、その煌きを己が目に焼き付けるようにして見つめ続け、気高き魂のあり方を知るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
さて
敵前で指ひとつ動かせねーとか大失態
念動で何とか、と粘るも
…うへ
これ一巻の終わりってヤツか?
自棄になる前に浮かぶ姿は
必死に殺し尽くそうとした猟書家、今川義元
…あら走馬灯じゃないン?
お久しゅう今川の大将殿
身分賎しい羅刹の忍びに助太刀とは
感謝申し上げるぜ
アンタの弓は神懸かってる
敵の被弾をいなしヤツへ攻撃を押し通らせることも出来るはず
あの紐束、命は否定しまくってるが物質では有るはず
ヤツに矢を撃ち込み破壊してくれ
今川の大将殿、アンタならあの紐束の要すら見通せるんじゃね?
今川義元の矢で攻撃と敵UCの相殺を
自身への流れ弾や被弾は【激痛耐性】で凌ぐ
憎い羅刹の為に骨折りしてくれた大将に内心で感謝を

アドリブ可



 海道一の弓取り。
 それは異名であった。
 何故、今そんなことを思い出すのかと鹿村・トーゴ(鄙の伏鳥・f14519)は思いがけない記憶にわずかに困惑した。
 あれ? これは走馬灯というやつなのではないか。
 なぜ、こんなことになっているのか。
 敵前をして指一つとして動かせないからだ。
 十二剣神『神経樹グラビティピラー』の無敵のユーベルコード『グラビティ・ダウン』によって猟兵たちは尽く戦闘不能に陥っていた。
 外傷はない。
 ただ、伸びた神経樹によって精神ごと絡め取られてしまっているのだ。
 念動力でどうにかしようとしても、その力ごと『神経樹グラビティピラー』己たちを押さえつけていた。
 粘ることも許されない。

「……うへ。これ一巻の終わりってヤツか?」
 そして、これが死の際に見る光景なのかと見上げる巨躯。
『神経樹グラビティピラー』の放つ濃密なグラビティ・チェインの霧が迫っている。
 あれに飲み込まれてしまえば、重度の重グラビティ起因型神性不全症によってトーゴの寿命は削れ消えゆくだろう。
 だが、次の瞬間、彼の視界に像を結んだのは己が必死に戦い続けた猟書家『今川義元』の背中であった。
「我が大弓のユーベルコードは『未来より放たれ、過去に着弾する』。これすなわち必中必殺なり」
「ハッ……お久しゅう、今川の大将殿。身分賤しい羅刹の忍びに助太刀とは、感謝申し上げるぜ」
 トーゴは皮肉を込めて『今川義元』に告げる。 
 だが、その皮肉を振り返った『今川義元』は一刀に付すようにばさりと切り捨てるようにして言葉を発した。

「要らぬ。結局、これは貴様の記憶の中にある『今川義元』よ。であれば、へりくだり必要もなければ、感謝も不要。そもそも、だ」
 背後に迫る『神経樹グラビティピラー』。
 しかし、『今川義元』は振り返ることもなかった。
「斯様な戦いなど、我にとっては造作もない」
「へぇへぇ、アンタの弓は神がかってる。これもオレの記憶だっていいたんだろうが、敵を前にして背を向けるってのは、一体全体どういうわけだい」
 確かにトーゴは『今川義元』の弓の技量を疑ってはいない。
 枝根束ねるような『神経樹グラビティピラー』の体躯、その要すら射抜くこともできるはずだと思っていたのだ。

 だが、『今川義元』は敵に背を向けている。
「言ったはずだ、我が大弓のユーベルコードは『未来より放たれ、過去に着弾する』、と。であれば、すでに着弾している」
 瞬間、『神経樹グラビティピラー』の頭上より注ぐ矢の一射が『神経樹グラビティピラー』を貫く。
「な……アハハ、なるほどな。すでに攻撃は終わってたってわけだ。これは一本取られたな」
 トーゴは内心で感謝を告げる。
『今川義元』にとっては憎き羅刹。
 であっても、記憶のより像を結んだ彼は、それでも矢を射たのだ。
 であれば、己だって少しの礼節くらいはわきまえていると、トーゴは言葉の裏に、その念を潜ませるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エミリィ・ジゼル
過去に戦った強敵
ならばこういうこともできるでしょう

こい!十二剣神、神経樹グラビティピラー!

ここ最近毎日グラビティピラー伐採してますしね
わたくしにとっては昨日も過去です

というわけで敵グラビティピラーに対して記憶の中のグラビティピラーをぶつけます
そしてグラチェの霧で拘束し、汚染ダメージを与えます

わたくし「やれ」
記憶のグラビティピラー「はい」

こちらも向こうも、その強さは同一。であれば結果は相打ちでしょう
ですが、それで問題ありません
こちらは所詮は使い捨て
それで相打ちまで持っていければ御の字というものです



 視界に像を結ぶのは、過去に戦った強敵。
 過去。
 それは『今』より過ぎ去りしもの。
 そして、踏みつけることによって未来に進むための轍そのものであるとも言えるだろう。
 エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)は己が身が僅かにも動かせぬことを自覚していた。
 だが、彼女はまるで慌てもしなければ焦りも感じていなかった。
 無敵のユーベルコード『グラビティ・ダウン』。
 それは恐るべき力である。
 だが、だからこそ、だ。

「過去は『今』から振り返った先にあるもの。ならば、こういうこともできるでしょう」
「脆弱なる生命に何ができる。受容せよ。滅びを、根絶を、絶滅を。生命よ、その醜悪なる生命を失い、宇宙に静寂を」
 聳えるような巨体が迫る。
 十二剣神『神経樹グラビティピラー』。
 動けぬ今、エミリィに対抗する手段はない。だが、彼女は高らかに宣言した。
「こい! 十二剣神『神経樹グラビティピラー』!」
 その言葉と共に、エミリィに迫る『神経樹グラビティピラー』の眼前に現れたのは、まるで鏡合わせによって像を結んだ『神経樹グラビティピラー』そのものであった。

 それは異常な事態だった。 
 何故、そのようなことが可能なのか。 
 言うまでもない。
「わたくしにとっては、毎日毎日、伐採しまくるかのごとく戦っている過去の強敵、それがあなただからです!」
 過去とは一体いつからを示すのか。
 言うまでもない。
 一秒後の出来事を過去と呼ぶのだ。 
 であれば、エミリィがこれまで相対してきた強敵の中において、最新最大の強敵とは如何なる存在か。
 言うまでもない。
『グラビティ・ダウン』操る恐るべき存在、『神経樹グラビティピラー』である。
「強敵には強敵をぶつけるんですよ!」
「……理解しがたい。脆弱なる生命に、どうしてこのようなことが可能なのだ。この吾すらも操る、だと」
 困惑が伝わってくる。
 だが、エミリィは遠慮なんてしない。
「やれ」
「はい」
 その言葉と共にエミリィが操る『神経樹グラビティピラー』からグラビティ・チェインの霧が走り、『神経樹グラビティピラー』そのものを拘束し、汚染していく。
 それは同時に『神経樹グラビティピラー』からも放たれる。
 相殺ではない。 
 互いに絡みつき、汚染していく。
 だが、問題はない。
「どうせこっちは使い捨てですからね。相打ちに持ち込めなくても、弱らせることができれば御の字というものです」
 己たちの想像力を侮ったのが敗因だとでも言うようにエミリィは己が記憶の『神経樹グラビティピラー』を操り、これを追いやるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギージスレーヴ・メーベルナッハ
この身は眼や唇に至るまで動かず、我が兵への召集も届かず。
ならば此処が、余の闘争の終わりか。

否、否である。
余と同じく闘争を望む者の声、その腹心たる者の影が湧き出る。
ならば、余の闘争は未だ終わっていない!

そうだろう、『機甲戦乙女ロスヴァイセ』。
余に代わり、鉤爪の男の望むに倣い。
貴様の闘争を、彼奴に見せつけてやるがいい!

ヴァルキュリア・バラージ起動、戦場の空へ高速飛翔。
飛来する神経樹群を絶え間ない射撃で迎撃或いは機動力で回避。
そのまま神経樹本体へも射撃を繰り返しつつ接近、レーザーソードで斬り裂く。

今は一度の別れだ、戦乙女。
いずれ、再び地の獄にて見えようぞ。
鉤爪の男にも、伝えておくが良い。



 無敵のユーベルコード『グラビティ・ダウン』。
 まさしく無敵だ、とギージスレーヴ・メーベルナッハ(AlleineBataillon・f21866)は理解しただろう。
 己が体の眼、唇に至るまで動かない。
 声を発することもできない。
 己が兵を呼び寄せることもできない。
 万策尽きたと言っていい。
 もはや死に体である。ここから逆転の一手など、そもそも一手すら打たせてもらえないのであれば、どうしようもない。
 手詰まりよりもひどい。
 チェックメイトよりも無体。

 此処が、己の闘争の終わり。
 死を予感する。覚悟する。あっけないものだ、と思ったかもしれない。存外、そういうものなのかもしれないという諦念すら心に湧き上がりかけた。
 だがしかし、ギージスレーヴは、己が瞳、その視界に結ばれる像を見ただろう。
「受容せよ。生命の根絶を。脆弱にして醜悪な存在など、美しくはない。真理ではない。故に滅びよ」
『神経樹グラビティピラー』の声が響く。
 終わる。

 否。否である。
 己の内側から闘争を望む者の声が響く。
 鋼鉄の翼が眼前に広がる。
 ああ、ならば。
「余の闘争は未だ終わっていない! そうだろう、猟書家『機甲戦乙女ロスヴァイセ』」
 その言葉と共に完全なる像を結んだ過去の強敵の姿があらわれる。
 風になびくは銀髪。
 赤い瞳は『神経樹グラビティピラー』を見上げていた。
 振り返ることはなかった。
 ギージスレーヴの言葉に返す言葉はなかった。
 
 ただ。
「敵性存在を捕捉。排除を開始します。ヴァルキュリア・バラージ始動。|標的《ターゲット》、『神経樹グラビティピラー』、一体」
「だろうな、『機甲戦乙女ロスヴァイセ』、貴様はそういう存在だ。余に代わり、鉤爪の男の望むに倣い、貴様の闘争を、彼奴に見せつけてやるがいい!」
「起動」
 瞬間、ギージスレーヴの言葉を背に受けて鋼鉄の翼が飛翔する。
 迫る神経樹の槍をかいくぐる。
 いや、かいくぐるのではない。
 はじめから視えているかのような高速機動。
 針の穴を通すような機動でもって『機甲戦乙女ロスヴァイセ』は『神経樹グラビティピラー』へと肉薄する。

 間断なき神経樹の槍の猛攻を物ともせず、『機甲戦乙女ロスヴァイセ』は巨大なる『神経樹グラビティピラー』へと迫る。
「脆弱。この程度で吾を」
 神経樹の槍が『機甲戦乙女ロスヴァイセ』の身を貫く。
 だが、止まらない。
 槍を引きちぎるようにして飛翔した彼女のレーザーソードの一撃が『神経樹グラビティピラー』の体を縦一文字のごとく振り抜かれ、傷を生み出す。
 霧散するように鋼鉄の翼が消えゆく。
 役目を果たした『機甲戦乙女ロスヴァイセ』の像が消えゆく。 
 その背中にギージスレーヴは言葉を投げかける。
 届いているかもわからないけれど、それは確かな約定であった。
「今一度の別れだ。戦乙女。いずれ、再び地の獄にて見えようぞ。鉤爪の男にも伝えておくがよい」
 地獄までも闘争に明け暮れよう、と――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

柊・はとり
シナリオ『戻らぬを悲しみ』より犬吠埼サヤを召喚
宿敵の台詞や心情はお任せ

犬吠埼さん…?
俺を助けるのか?
俺はあんたを救えなかったばかりか
深く傷つけただけで終わったのに

誰かを助けたいという想いが輝く間
彼女の攻撃速度は何倍にもなる
邪神と化した犬吠埼さんも
人を大量に殺していた事は事実だ
だが動機が決定的に異なる
神経樹は『生命を根絶やしにしたい』
彼女は『救うために殺さざるを得ない』
相容れるわけない
犬吠埼さんは…人が大好きだから

なら俺ができるのは
今度こそ彼女の献身がこいつの邪悪を凌駕し
切り裂く速度が敵の手数を上回ると信じるだけだ

…助けてもらったな
輝いてるよ、今のあんたは
謝らないでいい
ただ有難うって言わせてくれ



 過ぎ去ったものは戻らない。
 戻ったように視えても、それはただ歪み果てただけだ。
 過去の集積による圧力は、如何なる存在をも歪める。そういうものだ。理解している。
 けれど、どうしたって。
 人間の感傷というものは歪められたものですら、見て見ぬふりをする。
 それが心を護るためなのか、それとも愚かしさなのかはわからないけれど。
「犬吠埼、さん……?」
 柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)は、十二剣神『神経樹グラビティピラー』が放った無敵のユーベルコード『グラビティ・ダウン』によって、戦闘不能に陥っていた。
 体が動かせない。
 鉛のように重たい体。
 何もできない。
 待つのは死だ。
 どうしようもない死が己に迫る中、彼の瞳が像を結んだのは、一つの影だった。

 見覚えがある。 
 いや、忘れようとして忘れられるものではない。
「すみません……私、どうしても、どうしても、痛くせずにはいられないんです。すみません……」
 誰に一体詫びているのか。
 はとりは、呆然と像を結んだ影を見上げるしかなかった。
 それは、嘗て人の理に反しても譲れぬ想いと人を思う優しさの矛盾に懊悩し、『切り裂き城』にて消えた女性の姿だった。
 その女性が今、己の前に経っている。
「俺を助けるのか? 俺はあんたを救えなかったばかりか、深く傷つけただけで終わったのに」
「戻らぬを悲しみ……すみません。でも、私」
 閃く。
 それは、彼女――赤い霧『犬吠埼・サヤ』のふるった手元より走った光だった。
 背に迫った『神経樹グラビティピラー』の槍を容易く切断したのだ。
 だが、はとりごと貫かんとした槍の全てを切断するには九連撃全てを振るわねばならなかった。
 自傷せねば寿命を削る。
 そのデメリットを無視していた。

 何故、と問いかけるまでもない。
「私、人が大好きなんですもの――」
 まただ、とはとりは思った。
 泣き笑いのような笑顔。最期の表情。それがはとりの胸を締め付けるように、斬りつけるように痛みを走らせる。
 彼女はいつだってそうだった。
 誰かを助けたいと想い、輝く。
 邪神と化した彼女は、その想いとは裏腹に大量殺人を犯していた。

 ならば。
「受容せよ。生命の根絶を」
 いや、とはとりは思う。決定的に相容れない。目的の結果が同じでも動機がどうしても、決定的に異なるのだ。
『神経樹グラビティピラー』と『犬吠埼・サヤ』。
 生命を根絶やしにするという結果と、救うために殺さざる得ないという動機。
 相いれる訳が無い。
「そうだよな……犬吠埼さん、あんた……人が大好きだもんな」
 なら、とはとりは面を渾身の力で上げた。
「俺ができるのは、信じることだけだ」
「すみません……私には|こんなこと《献身》しかできなくって。でも、私」
「いいよ。わかってるよ。輝いているよ、今のあんたは。謝らないでいい」
 きらめくように手にしたメスが閃く。
 寸断され続ける神経樹の槍。
 それは『神経樹グラビティピラー』にすら届く斬撃であった。
 はとりは、その光景を見ながらかすれるように言葉を発するのだ。

 彼女の献身に応える事のできる言葉を。
「有難うって、言わせてくれ」
 泣き笑いは、重なり続ける閃きの中に溶けて消えゆく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
果てさて思わぬ反撃を受けているピラーさんでっすが。
次々現れる記憶の皆様を少しは警戒してるでっしょうかー?
それともこの程度と強がってるでっしょうかー?
どちらにしろ関係ないのでっす。
出現したことにも気付かせず、必中先制攻撃は着弾してるのでっすから!
ピラーさんが諸悪の根源、だなんてそんなことをおっしゃったから。
彼が、目覚めたのでっす。
命をかけて、諸悪の根源を討とうとした彼が!
精神を侵食どころか融合されて尚、思い通りにさせなかった彼の名は!
――透明軍神『ソウマコジロウ』
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=58236
ここに推参なのでっす!
ピラーさんも抵抗するでしょうが。
自身を治癒しようにも、コジロウさんを神経侵食しようにも。
どちらも、見えないのでっす。
透明人間なコジロウさんはもとより、必中先制攻撃の透明念動弾を受けてしまった以上は、ピラーさん自身も透明化しているのでっすから!
見えない状態で果たして、視野内の対象を選んで行使する能力を使用できまっすかー?



「次々と皆様の記憶が現れては消えていっているのでっしてー」
 紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は己の五体がまるで動かぬことを理解している。
 正直に言って、絶体絶命の状況である。
 十二剣神『神経樹グラビティピラー』の『グラビティ・ダウン』は恐るべき力であった。
 歴戦の猟兵たちが手も足もでないのだ。
 だが、それは神経樹が彼らの精神を絡め取ったからである。同時に、彼らの精神への影響もまた『神経樹グラビティピラー』にとっては不測の事態であったことだろう。
 あらわれる過去の強敵たち。
「抗うのは寄せ。受容せよ。生命に滅びは必定。であれば、抵抗こそ無駄、無為」
 その言葉に藍は確信しただろう。

 何故なら、己たちをあと一歩と追い詰めておきながら『神経樹グラビティピラー』はその一歩を踏み込めていなかった。
 何故なら、猟兵たちの記憶から現れた過去の強敵たちを前にして、その僅か一歩が埋められないからだ。 
 どんな存在があらわれるか予想もできない。
「この程度のことで、滅びが否定されるわけではない。滅びは必定。永遠不滅でもない貴様たちには。可能性に縋ることすら許さぬ」
 ああ、と藍は確信を更に強めた。
 いや、どちらにしたって関係ない。

「そうでっすよねー?」
 瞬間、『神経樹グラビティピラー』の巨体に激震が走る。
「!?」
『神経樹グラビティピラー』は、その巨体を揺るがす事態に困惑したようだった。
 何が起こったのかすら理解できていなかっただろう。
「ピラーさん、ご自身を諸悪の根源とおっしゃいました。そんなことをおっしゃれば、どうなるか藍ちゃんくん、わかっちゃったのでっす!」
 藍の瞳に像は結ばれていない。
 影も形もない。
 無色透明である。 
 だが、現に『神経樹グラビティピラー』は傾ぐ。

「何が、起こっている。吾の体躯が、傷つけられている? 猟兵は攻撃できない。貴様たちの記憶が結んだ像も、何処にもいない。なのに、何故だ」
「彼が、目覚めたのでっす。命をかけて、諸悪の根源を討とうとした彼が!」
 そう、藍は知っている。
 ただ一人。
 安寧という支配に沈む世界にあって一人、諸悪の根源の存在に気づき、これを討たんとした者。
 精神を侵食どころか融合されて尚、思い通りにさせなかった。
 |歴史《イティハーサ》と呼ばれた諸悪の根源にすら、抗った者。
 その名を藍は誇らしげに、高らかに歌うように宣言する。

「透明軍神『ソウマコジロウ! 推参なのでっす!」
「今一度、立とう。心あるものよ。生命あるものよ」
「ええ、わかっているのでっす! コジロウさん!」
 その言葉と共に『ソウマコジロウ』は視えぬ先制必中たる一撃は必ず叩き込まれる。
 そして、その一撃は周囲を透明化する。
 無論、『神経樹グラビティピラー』も、だ。
 であればこそ、『神経樹グラビティピラー』は攻撃しようにも対象を選べない。全てがすり抜けるようにして、事態を悪化させていくのだ。
「その力、今一度諸悪の根源を討つために、お願いしますでっすよー!」
「無論」
 声が聞こえる。
 それだけで安心する。藍は己の歌声もそうであった欲しいと願いながら、『ソウマコジロウ』の視えぬ戦いを耳で視るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

久遠寺・遥翔
グラビティ・ダウンももう慣れた。まぁ俺自身対抗する術はないけど。

さて、まだ記憶に新しい強敵がいる。
進化を受け入れなければ見る事すら叶わなかった文字通り次元が違う強敵。
十二剣神『神経樹グラビティピラー軍団』(ケルベロス・ウォー⑫〜森羅のグラビティピラー)
お前達も俺にとっては既に乗り越えた過去の強敵だ。
そしてお前は今の自分を到達点と満足した不変の存在。だから軍団を成した過去の自分を越えることは出来ない。不完全な俺達とは違ってな。
使用UCは「受容せよ。神経樹は宇宙を覆い尽くしている」
今の相手は単独。しかしこちらは軍団で相手を上回る圧倒的な物量の槍で覆い貫いていく



 この感覚、何度目であろうかと久遠寺・遥翔(焔の機神イグニシオン/『黒鋼』の騎士・f01190)は息を吐き出した。
 無敵のユーベルコード『グラビティ・ダウン』。
 猟兵を須らく戦闘不能に陥らせる凄まじき力。
 例外はない。
 十二剣神『神経樹グラビティピラー』に相対するものすべてを屈服させる力は、彼の体を地面に押し付けるようであった。
 体のどこにも力が入らない。
 指先一つすら動かせない。
 だが、慣れた。
 もう何度目かわからないからだ。
 いや、それでも自身が『グラビティ・ダウン』に対抗する手段は持ち得ない。

 これに抗う方策はただ一つ。
 己が強敵の記憶より像を結ぶほかないのだ。
「受容せよ。滅びを。どのような方策を手にするのだとしても、貴様たちの滅びは必定なのだ。生命ある限り、それは覆らぬ」
「そうだろうな。けど、まだ俺は生きている。なら」
「無為、無駄。それは意味のないことだ。如何に記憶から像を結ぶのだとしても」
「そうかな? 俺にとっては記憶に新しい強敵がいる。そいつが貴様を倒しうる可能性を持っていると思うんだがな」
 例えば、と遥翔は、その視界に『いくつもの像』を結ぶ。
 そう、それは進化促すグラビティ・チェインを受容して初めて認識できる存在達。

『グラビティピラー軍団』である。
 
 宙に浮かぶ軍団は、全てが遥翔に背を向けている。
「お前達も俺にとっては既に乗り越えた過去の強敵だ」
 そして、と遥翔は倒れ伏しながら告げる。
「貴様は今の自分を到達点とした不変の存在。だから軍団をなした過去の自分を越える事はできない」
 宙を走る『グラビティピラー軍団』。 
 それは不可視たる軍団と激突して消滅していく。
 分かっている。こうなることくらいは簡単にわかることだった。
 だが、遥翔は言う。
「不完全な俺たちは、貴様とは違う。不変ではない。だからこそ、俺の記憶の中の貴様たちすら変わっていく。故に」
 溢れるは神経樹の槍。
「今も尚、変わっている。今の貴様よりも、俺の記憶の中の貴様は強い」
『グラビティピラー軍団』が一斉に放つ間断なき槍の雨。
 それは四方八方を埋め尽くすユーベルコード。
 まさしく、宇宙を覆い尽くすかのような物量。 
 圧倒的な物量と共に放たれる神経樹の槍は、星団よりも大きいと言われる『神経樹グラビティピラー』の全身に突き立てられ、その身を削り取るようだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルドラ・ヴォルテクス
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=37665

【偽神再臨】

動かせない躰の奥底に眠る記憶が叫んでいる。

偽りの神『デミウルゴス』
いや、今ならば……神の如き、死を超克したと嘯く、デウスエクスを鏖殺する剣となる。

UC、デミウルゴス・ヴァイオレーション!

偽神断罪剣を解き放ち、死に至る毒で神経を、命を拒絶するフェノメノンと化せ。

生あるものよ、心せよ、かの者の名は『デミウルゴス』、偽りの神にして、祈りと命、その一切合切を死に導くもの。
略奪者よ、心せよ、今相対する者が呼んだ奪還者の名代が、『汝の業を喰らう略奪者でもある事を』

デミウルゴスの偽神細胞が喰らうUCは、かの者の業となる。
己の業を知れ、断罪の剣の一刀は、その心臓を穿つ。

『デミウルゴス』
嘗て、俺が闘争につぐ闘争において、救世の使命を覚醒させた存在。
その強さ、哀しみを、その身、心、魂に刻め。



 昏い慟哭が聴こえた。
 まるで動かぬ五体。 
 されど、五感は生きている。生きているのだという実感が身を走る。
 ルドラ・ヴォルテクス(終末を破壊する剣“嵐闘雷武“・f25181)は、己の躰の奥底に眠る記憶が叫ぶのを聞いただろう。
 かろうじて見上げた先にあるのは、十二剣神『神経樹グラビティピラー』の巨躯である。
 圧倒的である。
『グラビティ・ダウン』と呼ばれるユーベルコードはまさしく無敵であった。
 如何なる存在も、戦闘不能にする力。
 例外はない。
 ルドラもまた、その力によって大地に膝をついていた。
 抵抗すら許されなかった。

 僅かに動いた首。面を上げた先に見上げる絶対的な死の気配。
 絶望と言うのだろうか。
 だが、湧き上がる絶望を吹き飛ばすような慟哭が響いていた。
 彼の瞳が像を結ぶ。
「……世界を救わなければならない。俺の手は届かない。誰にも届かない。誰も救えなかった。破壊をもたらすだけの力など、死を齎すだけの力など」
 それは救世主ではない。
 そう否定する声にルドラは瞳を見開く。

「神にもなれず、ヒトに成れぬ、自分が何者かである自由すら奪われ、苦しみ嘆く者」
 しかして、滅びを破壊する力を願われた者。 
 故に、嵐を呼ぶ者――ストームブリンガー。
 その祖たる偽りの神『デミウルゴス』。その黒き嵐の如き力が吹き荒れる。
「だが、今ならば……神の如き、死を超克したと嘯く、デウスエクスを殺す剣となる」
 それはまさしく救世主。 
 ケルベロスディバイド世界に迫る侵略者を打ち倒す宿願の体現者。
「受容せよ。如何なる願いも、永遠不滅を砕けない」
『神経樹グラビティピラー』の声が響く。 
 濃密なグラビティ・チェインが侵食によって、像を結んだ『デミウルゴス』を暴走させようとしている。

 吹き荒れる嵐。
 けれどルドラは、何を見ただろうか。
 紡ぐ言葉が全てを証明していた。
「生あるものよ、心せよ。かの者の名は『デミウルゴス』、偽りの神にして、祈りと生命、その一切合切を死に導くもの」
 そして、ルドラは視線を『神経樹グラビティピラー』へと向ける。
「略奪者よ、心せよ。今相対する者が喚んだ奪還者の名代が、『汝の業を喰らう略奪者でもあることを』」
 膨れ上がるは偽神断罪剣。
 生命の拒絶たる事象。
 振るう斬撃は『神経樹グラビティピラー』が放ったグラビティ・チェインすら切り裂く。

「俺は神に非ず」
「お前はヒトに非ずとも」
 それでも。
 『偽神』として救世主たらんことを願われ、その願いに応えようとした|己《ルドラ》の生命の根源。
 業とて、誰かの標となる。
 闘争に次ぐ闘争。
 その最中に芽生えたのが使命であったのならば、その強さと哀しみとが己を形作ったのだ。
「『神経樹グラビティピラー』よ、強さと哀しみとを、その身、心、魂に刻め」
『デミウルゴス』が走る。
 ただ願われ、なし得なかった者。
 人の願いと祈りは、嘆きと苦しみが生み出したもの。
 荒廃した世界にあっては、それは常なるものだっただろう。だからこそ、救世主足ることを願われたのだ。
 その根源たる偽神が咆哮する。
 断罪だ、と。
 これは断罪なのだ。
 何もなし得なかった己のヘ断罪は、今再び世界を救うために振るわれる。

 命の根絶を願うものへの断罪を。
 その背をルドラは見送る。
 今再び、彼は心と魂とに刻み込む。
 叫ぶ。 
 叫ぶことなどできなかったが、魂が叫んだ。
「征け――!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
「惨めねぇ。どんなに抗っても、ぜぇんぶ、むだぁ」
なぜか、私が思い描いたのは……動けない私を嘲笑う『紅角の鬼姫』
「世界は残酷。奪われるのが当然なのよ」
……たしかに、あなたはそういう存在だった
けれどこれはただの幻影、その力を使わせてもらうわ

響く神経樹『グラビティピラー』の声が彼女の美しさを否定する
それは彼女の逆鱗に触れるでしょうね
「ふーん……わたくしを、醜いですってぇ? ふっざけないでよぉ!

液状の鬼の腕がうねり、扇が開く。風刃が神経樹を切り裂く
苛烈に戦う姿に、不思議な縁を感じるわ
もっともっと、と求め続ける……あなたと私、どこか似ていたのかもしれないわね



「惨めねぇ」
 その声は心底おかしそうに嗤う声だった。
 見下げるような声に薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は面を上げることはできなかった。叶わなかった、というのが正しいだろうか。
 体が、動かない。
 十二剣神『神経樹グラビティピラー』の放ったユーベルコード『グラビティ・ダウン』によって彼女は戦闘不能になっていた。
 一歩も動けないどころではない。指先一つ動かせない。
 そんな状況の静漓を見下ろす影があった。
 姿はわからない。
 けれど、その声を静漓は知っていたのだ。
「どんなに抗っても、ぜぇんぶ、むだぁ」

 嘲る声。
 この危機的状況において静漓が思い浮かべていたのは、何故か『紅角の鬼姫』だった。
 美しいものを欲して手を伸ばす無邪気さと邪悪さを兼ね備えた存在。
 むだぁ、と何度も『紅角の鬼姫』は静漓の前に立って、ゆらゆらとおかしそうに笑い続けていた。
「世界は残酷。奪われるのが当然なのよ。だって、わたくしに奪われる為に存在しているんだもの。当然よねぇ?」
「……確かに、あなたはそういう存在『だった』」
「あぁん? どういう意味よ。それぇ?」
「けれど、あなたはただの幻影。私の記憶の奥底に眠る強敵の記憶。なら、その力を使わせてもらうわ」
 静漓は動けぬ体のまま瞳を向ける。
 紅の瞳と青い瞳が交錯する。

「このわたくしを操ろうっていうの? なまいきぃ」
「できない、わけではないわ」
「はん、どうだかぁ……」
「受容せよ、醜き生命。その醜悪さで宇宙から静寂を奪う愚かさ、許しがたい」
『神経樹グラビティピラー』の言葉に『紅角の鬼姫』は振り返って、その眉根を歪ませて苛立つように吐き捨てた。
「なんですってぇ? このわたくしのどこが醜いのよ! 見なさいよ、この美しさを! どこを切り取っても天上の何物にも代えがたい美しさでしょうがぁ!」
「醜い。不変でありながら、変わりゆくことを望む悍ましさ。醜さの集約である」
「あ、そう……ふーん……このわたくしが、あくまで醜い、ですってぇ?」
 ぶるぶると『紅角の鬼姫』の肩が震える。
 怒りが込み上げてきている。
 轟々と風が刃となって『神経樹グラビティピラー』へと放たれる。

 液状の腕がうねり、開かれた扇でもって風を刃へと変えて、その枝葉たる『神経樹グラビティピラー』の体躯を切り裂いていたのだ。
「ふっざけないでよぉ! 言うに事欠いて、このわたくしを! 醜いだなんて! 天に唾することと同じよぉ! その巫山戯た体、このわたくし手ずから伐採してやろうじゃあないのよぉ!!」
 苛烈なる力。
 紅角が煌き、溢れ出る激情と共に風が『神経樹グラビティピラー』の体躯を切り裂く。
「このわたくしは、もっと美しくなるの! 美しいものをもっと、もっともっともっと手にしてねぇ! 後悔なさい、このわたくしを謗ったことぉ!!」
 ああ、と静漓は戦いの音を聞きながら思う。
 もっともっと、と求める。求め続ける。
 どこか、自分と似ていたのかもしれない、と今更に思う。
 それが正しかったのかはわからないけれど。
 美しいもの、輝けるもの。光り輝くもの。
 それを追い求めてしまう性質は、確かに赤と青……相対しながらも根幹で繋がっていたのかも、と静漓は風の音に思うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アンジェリカ・ディマンシュ
さて、デウスエクスが到達点、とおっしゃるのですか……
ハッキリ言って、余計なお世話ですわ

わたくし達の世界において、デウスエクスは不死を失った代わりにグラビティ・チェインの枯渇から解放され、飢えから解放されましたの
――貴方、デウスエクスを飢えさせて『進化』させているのではないですか?

そんな風に問い質しながら、UCを発動すると同時に過去の存在を招来
相対したのはアンジェローゼですが……いえ、だからこそ相応しいでしょう
――聖王女エロヒム猊下
貴方の力を以て、この『諸悪の根源』に終止符を打って下さいな!

かつて十二創神最強格の魔竜王と相打ちに成ったのがエロヒム猊下
なら、その実力は分体とはいえお墨付き
わたくしのUCも用いて支援すると同時、グラビティ・ダウンへの音響魔法陣による鹵獲を試みながら、エロヒム猊下の分体であるアンジェローゼ――『攻性植物の聖王女』と呼ばれながら正真正銘エロヒム猊下の分体だった少女
『ゲートなしに魔空回廊を出現させる』能力を以て、グラビティピラーを攻め立てていく――



 永遠不滅こそが到達点。 
 静寂の宇宙に相応しきもの。
 それが十二剣神『神経樹グラビティピラー』の語るところであった。
 生命はあまりにも脆弱。
 死は必定であるし、不変ではない。常に変わり続ける。それを可能性と呼び、騒々しくも静寂を打ち破る。
 それは耐えられない。
 生命の鼓動が紡ぐ騒音は、宇宙を穢していくものだったからだ。
「故に受容できぬ。生命の醜悪さは許しがたい。故に、この宇宙はデウスエクスで満たさねばならなぬ」
「ハッキリ言って、余計なお世話ですわ」
 アンジェリカ・ディマンシュ(ケルベロスブレイド命名者・f40793)は、言い放った。
 動けぬ身。
 圧倒的なユーベルコード『グラビティ・ダウン』によって彼女の五体はまるで動かすことができなかった。
 
 指先とて動かない。
 膝を折り、その場から一歩も動けない。
 だが、それでも彼女は迫る巨体『神経樹グラビティピラー』の威容を見上げ、きっぱりと言い放ったのだ。
「わたくし達の世界において、デウスエクスは不死を失った代わりにグラビティ・チェインの枯渇から解放され、飢えから解放されましたの――貴方、デウスエクスを飢えさせて『進化』させているのではないですか?」
「永遠不滅にはグラビティ・チェインが必要不可欠だ。永遠不滅の代わりに飢えることなど、些細なことだ。絶対強者であれば、奪えばいい。強者には、それが認められている。権利であるとも言えるだろう」
 アンジェリカは、問いただしながら、平行線だと思っただろう。
『神経樹グラビティピラー』の語る言葉は、強者こそが絶対であった。
 強者以外のものに価値はない。 
 それどころか、醜悪であると蔑みさえしていたのだ。

 己の記憶が撃鉄を起こす。
「――聖王女エロヒム殿下。貴方の力を以て、この『諸悪の根源』に終止符を打って下さいな!」
 その言葉と共にあらわれるは、過去の記憶より像を結ぶ影。
 かつて十二創神最強格の魔竜王と相打ちに持ち込んだのが、聖王女エロヒム。
 であるのならば、その像を結びし姿の持ち得る力は十二剣神の一柱と相まみえるのは十分であると思えただろう。
 己は一歩も体を動かせない。
『グラビティ・ダウン』は猟兵を戦闘不能に追い込む。
 ただ、この絶対ぜ越名の状況においてできることはただ一つ。
 そう、己が過去の強敵、その記憶から像を結んだ存在を操ることだけ。
 相対した存在を操るということは、その記憶が如何に鮮烈であったかを語るものであったことだろう。
 迫る高濃度のグラビティ・チェイン。
 神経を侵食するすらも退け、アンジェリカが像を結んだ聖王女エロヒムは、『神経樹グラビティピラー』を押し返し、攻め立てていくのだった――。。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダーティ・ゲイズコレクター
指一本動かせなくても名乗ることはできます!

私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!

そんな私が助力を乞うのは1stKing!ガチデビルさん!

私の次かその次くらいにワルな貴方なら
あの腹が立つくらい目立つグラビティピラーさんを倒すことなど容易いはず!

そして受け取ってください!私が名乗ったことで集めた視線の力『ゲイズ・パワー』を!

見せてください!何度でもよみがえった不屈のワル魂を!

邪なる王の魂よ!万里を抱きし腕を以て永久の嘆きを響かせよ!

【極悪!万抱穢腕】!



 諦めからは最も遠い。
 ダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)は、指一本動かせぬ絶体絶命の状況にありながら、しかして、その瞳を燃やしていた。
 絶望にも程遠い。
 何故なら!
「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
 倒れ伏しながらもダーティは言い放つ。
 それは強がりだった。
 どうしようもない事態に陥ってのヤケクソでもあった。
 だがしかし、彼女は真にそう思っていたのだ。

 どんな状況だろうと諦めもしなければ、絶望もしない。
 何故なら!
 己が魔王だから。凶悪で極悪で劣悪で最悪。
 四つも悪が付いている魔王。ワルの四倍。そう名乗るのならば、己の記憶の中にある過去の強敵を生み出すことなど造作もない。
 そう、己が目指す魔王と激突した存在。
「おいでませ、1stKing!『魔王ガチデビル』さん!」
 ダーティの視界に像を結んだのは、巨大な異形。
 白き巨大な翼と大蛇の体躯。
 そして、腹部は巨大な顎。
 圧倒的邪悪なフォルム。
 その威容と共に『魔王ガチデビル』は宣言する。

「1stKING『魔王ガチデビル』である! ケルベロス・ウォーに参戦を表明する……!」
「さすがは私の次か、その次くらいにワルな方!」
「私が最も邪悪なのだ。囀るな、ダーティ・ゲイズコレクター! ……いやまて、何故私の体が動かぬ……? 何故だ、何故、うごかぬ!」
「当然です! この私の記憶の中の像があなたなのです! であれば! その体の自由は私のもの! であれば、あの腹立つくらい目立つ『神経樹グラビティピラー』さんを倒すために戦ってもらいます! たやすいですよね!」
「何……?」
『魔王ガチデビル』が振り返る。
 そこにあったのは、ビル街よりも巨大な威容を持つ存在『神経樹グラビティピラー』であった。
 迫るは無数の神経樹の槍。
 天と地、そして空より迫る槍は、躱す暇もなかっただろう。 
 だが、『魔王ガチデビル』は、その胸部の口腔を開き、凄まじい咆哮の如き光条でもってこれを吹き飛ばしたのだ。

「たやすいことよ! だが!」
「ええ、まだです! あなたの何度でも蘇った不屈のワル魂は、こんなもんじゃあないはずです! 邪なる王の魂よ! 万里を抱きし腕を以て、永久の嘆きを響かせよ!」
 膨れ上がるようにしてダーティから視線によって得られたエネルギーが『魔王ガチデビル』の暴食を示す顎へと叩き込まれる。
「もがぁ!? や、やるのならばやると言え!」
「そんな暇はありません! さあ、そのエネルギーで放つのです! 極悪!万抱穢腕(バンホウアイカイナ)の一撃を!」
「む、むちゃくちゃしおって……あ、いかん。これは、このエネルギーの量は暴食でも、おおすぎ……」 
 る、とまでは続かなかった。
 吹き荒れるエネルギーの奔流と共に『魔王ガチデビル』はエネルギーを炸裂させながら打ち上げ花火のように『神経樹グラビティピラー』へと凄まじい爆発に巻き込みながら爆散するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

幸・鳳琴
参照
ケルベロス・ウォー①〜新型試作兵器の実戦テスト

デウスエクス「ジェミ・フロート」を
記憶から呼び出し戦ってもらいます

堂々と剣を構え、真向グラビティピラーに挑みます
そう、機械の身体を持ちつつも
内蔵兵器ではなく、己の肉体を頼みに戦うのでしたね

神経樹、「寄り添わねば生きられぬ生命は、
断じて強者ではない」と断じましたね

けれどデウスエクスにもジェミさんのように
いえ。首魁たるゾディアック自身でさえ
絆や繋がりを理解している者もいます!

「ブレイド」の一撃を叩き込み勝利を掴みますね

私はデウスエクスではなく
ケルベロスの貴女も知っていますよ、ジェミさん
戦いの果て。妹機と手を繋ぐことが出来た貴女。
…きっと、こちらでも



 体が動かない。 
 絶体絶命の状況にあって、過去の強敵を思い浮かべる。
 相対する敵との戦いに容易いことなど何一つとてなかった。いずれもが苦しい戦いだった。戦いとは常にそういうものだったし、いつだって変わらぬことだった。
 幸・鳳琴(精霊翼の龍拳士・f44998)はだからこそ戦い続けてこれたのだろうと思う。
「だから、というわけじゃあないですが」
 彼女が思い浮かべたのは、記憶に新しきデウスエクスであった。
 名を『ジェミ・フロート』。
 赤毛が揺れ、堂々たる佇まいで剣を構えている。

「彼女はまさしく烈士でした」
 鳳琴は思い出す。
 十二剣神の騎士。
 同胞が戦う姿も、主が戦いに赴く姿も、全てが戦いの理由になると剣を携えたデウスエクス。
「『神経樹グラビティピラー』、あなたは『寄り添わねば生きられぬ生命は、断じて強者ではない』と言いましたね。けれど」
 そう、彼女は『ジェミ・フロート』に烈士たる面持ちを見た。
 いや、彼女ばかりではない。
 デウスエクスの首魁たる十二剣神『ゾディアック』ですら、絆や繋がりを理解している者だっているのだ。
 それを知ったからこそ、彼女は『ジェミ・フロート』を操る。

「そうではないのです」
「否。死を受容できぬ生命の戯言でしかない。強者は阿ることをしない。永遠不滅であるからこそ全てを手にするに相応しいのだ。可能性などという愚かしくも醜いもののに縋る生命などには!」
 迫るはグラビティ・チェインの霧。
 鎖のように走る霧は、一気に『ジェミ・フロート』を捉えようとするだろう。
 だが『ジェミ・フロート』は、その一撃を剣で弾き飛ばしていた。

「私はデウスエクスではなく、ケルべロスの貴女も知っていますよ、ジェミさん」
「そこから先の言葉は、次なる機会に聞こう」
『ジェミ・フロート』の言葉に鳳琴は、動かせぬ体でありながら、視線で答えた。
 戦いの果て。
 妹機と手を繋ぐ事ができた彼女を思う。
 あの忠義と忠節を携えたデウスエクスであるのならば、鳳琴は思うのだ。
「……きっと、こちらでも」
 彼女が知る光景が再び生まれるだろうと。
 それを可能性と呼ぶのならば、この戦いを制しなければならない。
『ジェミ・フロート』は、その願いを受けてダモクレスブレイドの斬撃を『神経樹グラビティピラー』へと叩き込み、迫る猛威を退けるように、この戦いを十二剣神に捧げるという宣誓を現実のものする果敢なる戦いぶりを見せるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクトリア・ノウェム
【POW】
確かに難敵だったです、けど……何で居るです「『皇帝』パッセンジャー」
まあいいです、いいからちょっと手伝う、です。とりあえず戦ってくれるのなら細かい事は気にしないです
……あいつは確かに植物だけど……多分皇帝はあいつの事も嫌いだと思う、です。
それに、神経樹の方も皇帝を敵視すると思う、です

下手すると皇帝はあいつのUCを避けようとしないかもですけど、それならそれでいいから攻撃するです
無敵機械がどこまで再現されるかはわからないし、「グラビティ・チェイン」は吸収できるエネルギーか分からないけど、敵本体にはあの|光の檻《【パッセンジャー・ケイジ】》も当たるはず、です…!

※アドリブ等歓迎する、です



 己の記憶の奥底にある『過去の強敵』。
 これを引き出さなければ、十二剣神『神経樹グラビティピラー』を前にしてただ、死を待つだけの運命だった。
 それが運命だというのならば、抗わねばならない。
 生きている限り、もがき続けなければならない。
 それが生命というものだからだ。
 ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)はそう思っていたし、心の底から生存を叫んだだろう。

 過去の強敵。
 それは彼女の記憶に鮮烈なる爪痕を残した存在だった。
「たしかに、難敵だったです、けど……なんで居るです超人皇帝『パッセンジャー』」
 震える唇。
 ただ、其処に存在するだけで、周囲の生命を吸い上げていく超機械を纏う存在の背中をヴィクトリアは呆然と眺めることしかできなかった。
「理由などない。ただあんたが俺を思い出しただけだ。それだけだ」
「だ、だからといって……いや、そもそも」
 己を助力してくれるのか?
 いいや、気にしていられない。あれはあくまで己の中にある強敵の記憶。
 であれば!
「戦ってくれるんなら、それでいいです!」
「そうか」
 短く告げ、振り返ることもなく超人皇帝『パッセンジャー』は超機械と共に飛ぶ。
 放たれる光。
 それは超機械より放たれる一撃であった。

「生命を吸い上げるか」
 その力は『神経樹グラビティピラー』と似通っていた。
 グラビティ・チェインか、生命力か。 
 その違いでしかない。
「ならば、貴様は生命に仇為すものであろう。なにゆえ、生命を護る。醜悪なる生命は、静寂なる宇宙を穢す。それを」
「――理由になってない」
『神経樹グラビティピラー』の言葉を『パッセンジャー』はにべにもなく斬って捨てた。
 語る理由などなく。
 馴れ合う理由もない。
 ただ、目の前に居る敵対者を屠る。
 いや、違うのだ、とヴィクトリアは理解しただろう。

 あの『パッセンジャー』は、花を愛する。
 花だけが彼の心を慰めている。そして、彼は見たのだ。あの巨体たる『神経樹グラビティピラー』が街のあちこちに飢えられていた草花を踏みつけにした姿を。
 ただ、それだけの理由で『パッセンジャー』は、その超機械の力の全てを使って光を放ち、光の檻を形成し、『神経樹グラビティピラー』をも覆う力を発揮しているのだ。
 狭まる光の檻は、格子状に迫り『神経樹グラビティピラー』からエネルギーを奪いながら刻んでいくのだ。
 圧倒的な力を前にヴィクトリアは、生唾を飲み込むしかなかった。
「そう、理由になってない」
「……マジか、です……」
 ヴィクトリアは、己が呼び出した強敵が、その力を振るい『神経樹グラビティピラー』を追い込んでいく光景を見上げるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第四『不動なる者』盾&統括役武士
一人称:わし 執事う古風

強敵なら、いくつか思い当たるが…此度は、彼といこう。
軍神『ソウマコジロウ』。幻朧帝に乗り移られておらぬ彼をな。
一度、切り結んだ相手であるからな。その強さはよく知っている。
それに…たとえ、透明化が通じぬ相手だとしても、それすら斬り伏せるであろうよ。
それに…樹にとっては天敵である炎を伴っておるしな。

わしはなぁ、そなたが味方であれば…と何度か思うたのよ。
それが、此度叶うと言うなれば…呼ぶのも、当然であろう?



「これはどうにもならぬな」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱、『不動なる者』は冷静であったが、しかしてこの窮地を如何にして乗り越えるべきかと思案していた。
 迫るは巨躯、十二剣神『神経樹グラビティピラー』。
 溢れるグラビティ・チェインの霧は、鎖のように己達に迫っている
 対するこちらは一歩も動けない。
 戦闘不能になっているのだ。
 外傷はない。されど、無敵のユーベルコード『グラビティ・ダウン』によって、指先一つ動かせないまま、大地に膝をついていた。
 立ち上がれない。
 腕に力が入らない。
 恐らく、神経樹が精神ごと体に絡みついているためであろう。

 しかし同時に窮地は好転する余地にもなり得るのだと理解した。
 本来ならば、猟兵にそのような力はないが、過去の強敵と相対した記憶が現実に像を結んでいるのだ。
 不可思議なことである。
「だが、これしかあるまい」
 強敵。
 いくつか思い当たるが、強く思い描いたのは、この状況をひっくり返す力を持ちえるものであった。
 そう、透明軍神『ソウマコジロウ』である。
 諸悪の根源たる『イティハーサ』をあと一歩まで追い詰めた偉業もつj先駆者。
 幻朧帝に操られていない彼。
 その力は一度切り結んだ己が最もよく知るものである。

「命あるものよ、心あるものよ。然らば」
「うむ。頼まれてくれるか」
 視えぬ姿。
 されど、そこに居る、ということはわかる。
 彼の透明化は凄まじいものだった。
 手にした軍刀。その閃きは『神経樹グラビティピラー』の体躯を切り裂く。
「受容せよ。抵抗など無意味、無駄、無為。何故わからない。生命など、どれだけ醜悪であるかを。そして、その醜さが宇宙を穢すのだと。何故わからない」
「わからない。ただ、生命あるものは心あるものだ。この不肖の身に答えてくれた者たちがいる。それだけで、戦う理由に値するものだ」
『ソウマコジロウ』の剣が冴えわたるように『神経樹グラビティピラー』の巨大なる体躯を寸断していく。

 ああ、と『不動なる者』は思う。
 何度か思ったのだ。
 彼が味方であったのならば、と。どれだけ心強いか、と。
「ふ、それが此度、叶うたわ……。征け、『ソウマコジロウ』。軍神と呼ばれ、大逆者と歴史に謗られようとも、そなたの行いはわしらがしかと記憶しておる」
 故に、と『ソウマコジロウ』の戦いぶりは鮮烈なる輝きを放つ。
 それは嘗てありし、諸悪の根源との戦いを想起させる凄まじき戦いぶりであり、動けぬ身なれど、『不動なる者』は己が魂を震わせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

厳・範
お爺、半人半獣形態できた。

なるほど…これほどまでの強敵であるか。即座に行動不能へと陥らせるなぞ。
だが…だからこそ、呼べるものもいるか。

呼ぶは『護国鉄神零號』。…彼ならば、奮戦するは必然であろう。
かつて、故郷を失い…その喪失の悲しみをしっているが故に。
だからこそ、同じような悲しみを、この世界の者らにさせないように。…その八億の魂と同じ道を辿らせぬように。

神経樹の槍は…軽いからこそ、穿つに能わず。
護国鉄神零號は…強いでな。
…すまんな、あの海で寝ているところを、起こして。



 半人半獣であれども例外はない。
 ユーベルコード『グラビティ・ダウン』。
 それは汎ゆる敵対者を神経樹によって絡め取るもの。力を失い、膝を折る。大地の冷たさすら感じられぬほどに感覚が鈍っている。
 指一本すら動かせない。
 それほどまでに『グラビティ・ダウン』の力は圧倒的だった。
 戦う力すら奪い去られ、厳・範(老當益壮・f32809)は思わず呻いた。
「なるほど……これほどの強敵であるか」
 侮ったつもりはない。
 だが、予想以上であることは言うまでもなかった。

「受容せよ。滅びを。貴様たちは、醜悪なのだ。生命を持ち、可能性を謳い、騒々しくも静寂なる宇宙を穢す者たち。それを許容できるほど吾は弱者を肯定できぬのだ」
「弱者を否定するか。だが」
 範は己がこれまで戦ってきた過去の強者たちの姿を思い浮かべる。
 全てが強者だっただろうか?
 いや、確かに強かったのだろう。 
 否定はしない。
 だが、それは力の有無であっただろうか?

 答えは否である。
「ならば、エンシャント・レヰス……『護国鉄神零號』よ」
 思い描く。
 滅びし世界『鋼鉄共栄圏』にて、その滅びに際して失われた全ての魂を搭載して『敵』倒す者。
 それが鋼鉄の巨人であった。
 八億の魂を内包する鋼鉄機の巨大なる腕が振るい上げられる。
「生命失って尚、可能性に縋る醜悪さ、此処に極まれり」
 放たれる無数の神経樹の槍。
 天より、地より、空より迫る膨大な槍に『護国鉄神零號』はしかしてたじろぐことはなかった。
 その体躯を踏み出し、真っ向から槍に向かっていくのだ。

「侮るなよ、『神経樹グラビティピラー』よ。彼らは故郷を失い……その喪失の哀しみを知っているがゆえに。だからこそ、同じ哀しみを、この世界の者らにもたらさぬ。そう、その八億の魂と同じ道を辿らせぬようにな」
「数の問題など、些細なことだ。生命失って尚、絶滅しないというのならば、その残滓ごと滅するのみ」
「できるものか。ここにありしは『世界そのもの』。その重みを知らぬものに、この『護国鉄神零號』は打ち倒せぬ」
「そうとも! これ以上哀しみを広げぬためにと戦うことこそ、貴殿の本懐。本来の姿! 歪められて尚、その鋼鉄に宿りし意志に歪みはなかった。故に!」
 範は動けずとも、己が魂を震わせた。
 失っても、失っても。それでも前に進む意志こそが、全てを凌駕していくのだ。
 振るう一撃は鉄槌。 
 生命をそしり、醜悪と罵る者への怒りの鉄槌――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイン・セラフィナイト
体も、精神も掌握される……身じろぎ一つできないなんて。
神経樹の大きさもとんでもないけど……ここは召喚されるオブリビオンに全てを託すしかないね。

書架の王、ブックドミネーターを召喚するよ。

時間凍結で周囲の時間の停滞、および凍結することで、神経侵食を防いでいこう。
……ブックドミネーター。僕の|境界術式:叡智ノ書架《書架》を託すよ。
あなたなら、僕の書架内の魔導書を自由に把握、閲覧できるだろうしね。

飛翔しながら蒼氷の刃で攻撃、僕の書架内の魔導書から有効そうな魔法を選んで使ってもらおう。

もし負傷しても、時間凍結による零時間詠唱で即座に回復できるだろうしね。
……僕の書架は、満足できるものだったかな?



 指先まで感覚を失ったような冷たさだけが、心に感じられる唯一だった。
 神経樹に絡め取られた精神。
 肉体ごと影響を及ぼすユーベルコード『グラビティ・ダウン』、身を持って実感したアイン・セラフィナイト(全智の蒐集者・f15171)は、自身が思う以上に状況は最悪なのだと理解しただろう。
 そう、何一つ行動できない。
 力を発露することも、行使することも。
 全て、何一つ満足に行えない。
 膝を折り、だらりと落ちた腕。
 面はかろうじて前を向いているが、もはや動かすこともできない。
 迫る巨躯……十二剣神『神経樹グラビティピラー』を前にして、何もできない。

「……けれど」
 そう、最悪であるが、しかし覆せぬものではない。
 汎ゆる災いと不幸を封じ込めた箱の中に希望が唯一残ったように、アインたち猟兵には、ただ一筋の希望があった。
 皮肉であるのは、それが『過去の強敵』との記憶であるということ。
 本来ならば、滅ぼし滅ぼされる間柄でしかないオブリビオンの存在が、猟兵の窮地を今救う一手となっているのだ。
 アインは躊躇わなかった。
「書家の王『ブックドミネーター』」
 呼びかけた瞬間、記憶が現実に像を結ぶ。

 あらわれるは影。
 されど、その影はアインの記憶によって彩られ、同時に静謐なる青と共に時間凍結によって周囲を停滞させる。
 例外はない。
『神経樹グラビティピラー』すらも、その時間凍結によって動きを停滞させていたのだ。
「……私を思い出すか、六番目の猟兵よ。まさか再び戦場で出会うことになるとは、これもまた必然ということだろうな」
 その言葉にアインは言葉を発する。
 動くことすらできないが、確かにアインは己が『ブックドミネーター』を手繰ることができると理解できただろう。
「……『ブックドミネーター』。僕の、|書架《境界術式:叡智ノ書架》を託すよ。あなたなら、僕の書架内の魔導書を自由に把握、閲覧できるだろう」
「無論だ。書架の王、その名に偽りがあるとでも?」
「いいや、そうは思わないよ。ただ、一つだけ心配しているんだ」
「裏切りをか?」
「違うよ」
 それは、と言いかけて、しかし彼らの邂逅は中断される。
 迫るは神経侵食。
 時間凍結であろうとも『神経樹グラビティピラー』の視界にあるものを侵食するユーベルコードは届くのだ。

 そのユーベルコードの力を躱すように『ブックドミネーター』は蒼氷の刃でもって、迫る巨躯を切り裂き、さらに託された書架より魔導書を召喚し、一気に戦列を組むように空中に飛翔させる。
 頁がまるで翼のように羽撃き、魔法陣を描く。
 尋常ならざる速さであった。
 次々と展開されていく書架。
 魔法弾を発射すると同時に入れ代わり立ち代わり、複雑な軌跡を描きながら魔導書が飛び、斉射のように魔力を解き放つのだ。
 それは間断なき弾雨。
 凄まじき力の奔流を書架の王は、その名の通り示し続けていた。
「それで」
「え?」
「それで、何が心配事だと?」
「……ああ、それはね」
 アインは僅かな沈黙とともに答えた。

「僕の書架は、満足できるものだったかな――?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
……諸悪の根源、生命を滅ぼす根本!
貴様でなければ、他のどいつでもなく、貴様でなければ!
彼を、彼らを呼び起こそうとは思わなかっただろう!!
……生命を守る為に!今一度、護国の鉄神よ!此処に!!

『護国鉄神零號』
記憶より呼び起こすは八億の魂を搭載せしエンシェント・レヰス
「世界そのもの」たる彼の拳打と八岐大蛇機関砲による弾幕を以て、
神経樹の槍を弾き千切り、撃ち砕き、零式噴進飛翔拳でなぎ払う!

生命を醜いものと断じる貴様に、目にものを魅せてくれる!!
寄り添い合った高潔なる魂の熱で、焼けて壊れろ!!!

己が【闘争心】の声無き叫びで、八億の魂に、その闘志に働きかけ、護国鉄神零號の巨大な体躯から砲口をせり上げる。
嘗ての戦いで己を焼いた光条、記憶に焼き付いた魂の煌き、その最大火力を此処に!!
|放熱装置《継戦能力》全削減!!!

最大出力 護国熱血破壊砲 発射

護国英霊波導砲だぁああああああアアアアアアアア!!!!!!!!

八億の魂の、熱き英霊達の煌きを神経樹へ叩きつけ【焼却】
生命に対する認識、その侮りをこそ焼き尽くす!



「……諸悪の根源、生命滅ぼす根本! 貴様でなければ、他のどいつでもなく、貴様でなければ!」
 それは怒りの咆哮であった。 
 慟哭でもあった。
 安らかなる死など、存在しない。
 そういうかのように鋼鉄の巨人は戦場に立つ。
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)にとって『それ』は歯がゆく、口惜しい現実だった。
 己の体躯は指先一つ動かせない。
 十二剣神『神経樹グラビティピラー』の放った『グラビティ・ダウン』は例外なく猟兵を戦闘不能に陥らせていた。
 恐るべきことだ。
 如何に怒りと憎悪に膨れ上がる体躯があれども、その身より力は抜け落ち、小枝子は己が無力さに打ちのめされながらも、その怒りに身を焦がし続けていた。
「彼を、彼らを呼び起こそうとはあ思わなかっただろう!!」
 巨大なる鋼鉄機。
 それは『世界そのもの』。

 そう、例え、それが小枝子の中の強者の記憶であったとしても、もう二度と戦いに駆り立ててはならぬものであったのだ。
 故に、小枝子は己の無力さに怒り、『神経樹グラビティピラー』に憎しみを向けた。
「……今一度、生命を護るために! 今一度、護国の鉄神よ! 此処に!!」
 巨大なる鋼鉄機の眼光が輝く。
 それは内包する八億の魂の励起そのものであった。
 そう、その名は『護国鉄神零號』。
 世界そのものたるエンシャント・レイス。
 八億の魂はすでに失われている。だが、それでも、だ。
 戦う意志は失われていない。
 世界が滅びても尚、敵を打倒さんとする意志がみなぎっている。

 迫る神経樹の槍にすら臆することなく『護国鉄神零號』は踏み出し、その鉄腕の鉄槌を叩きつけ、槍を撃ち落とす。
「我、征くは世界の敵との対決。なれば、この八億の魂の安寧、平穏は未だ遠く。その無念を此処に晴らす」
「脆弱なる生命を内包した鉄塊が、永遠不滅を前にして立ちふさがることなど許されない。その八億の魂と共に、消えよ」
 激突する拳と槍。
 火花散り、拳が砕ける。
 だが、それでも振り抜かれた鉄腕は『神経樹グラビティピラー』の巨体をなぎ倒しながら、さらに踏み込む。
 空より注ぐ槍が鋼鉄の駆体に突き立てられ、その動きを縫い止めようとする。

「無意味、無駄、無為。どんなことをしようとも、吾の力は、醜悪なる生命を絶命させるためにある」
「生命を醜いと断じる貴様に、眼にもの魅せてくれる!! そうだろう、『護国鉄神零號
』!!」
 小枝子の咆哮に応えるように振るわれるは砕けた鋼鉄の拳。
 幾度砕けようとも構わない。
 そこにあるのは鋼鉄の意志。
 世界の敵と戦うために、魂の安寧すらかなぐり捨てた者たちの拳は、ただ一つで究極であるとか永遠であるとかを語る耄碌者を打ち据えるためにあるのだ。
 故に、鉄槌は叩きつけられる。
「寄り添い合った高潔なる魂の熱で、焼けて壊れろ!!」
 咆哮は闘争心によって燃え盛る魂。
 膨れ上がった熱は、八億の魂にすら伝播することだろう。

 嘗ての戦いにて己を焼いた光条、そして記憶に焼き付いた魂の煌き、その最大たる火力。
 その力を今こそ見せる時なのだ。
「征け、『護国鉄神零號』!! 貴殿の熱は自分が引き受ける! その『敵』を撃て!!!」
 出力が最大にまで膨れ上がり、八億の魂の煌きと共に放たれるは、護国熱血破壊砲。
「征くぞ、猟兵。その熱、その意思、その怒り。我が同胞たちとともに!」
「これが護国英霊波動砲だぁあああああアアアアアアアアアア!!!!!!」
 小枝子の雄叫びと共に重なる八億の咆哮。
 煌めく光条は一気に炸裂し、『神経樹グラビティピラー』を打ち据える。
 生命への誹り。そして侮り。
 その全てを焼き尽くす熱線は、鮮烈なる一撃となって『神経樹グラビティピラー』を焼くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スキアファール・イリャルギ
(参照 https://tw6.jp/gallery/?id=128629

「抵抗は無駄、あぁ俺もそう思うよ、見てると嗤えるさ!
「でもなあ、おまえの思考が俺は気に食わないな
「醜く不完全な知的生命体が居なきゃ、俺がそいつらで遊べないじゃないか!


っ、猟書家リュカ・トワル……!
なんでおまえが……
くそ、でも今はこいつに頼るしかないのか
相変わらずふざけた蜘蛛野郎め……肉は食わせないからな

あの剣神の巨体なら、透明な蜘蛛糸も羽の刺突も当て易いだろ
(POW【アレニエの罠】参照)
その羽で飛び回って遮蔽物も利用すれば霧も避けられる
あ? 扱いが雑じゃないかって?
嫌ってんだから当たり前だろうがクソが
(※終始顰め面です



 生命の醜悪さを語る者がいる。
 それはきっと、永遠不滅という灰色を見て変わらぬことこそが最上であるし、何物にも染まらぬ強さを持つがゆえであると思うからだろう。
 だから、そうなのだ。
 力抜け、全く動けなくなった己の体躯。
 スキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)は苛立つように、指先一つ動かぬ己の体を呪う。
「無駄だ。受容せよ。滅びを受け入れよ。どのみち生命などというものは、必滅である。ならば、抵抗は無駄だ。無為だ。無意味だ」
 十二剣神『神経樹グラビティピラー』の声が響く。
 放たれたユーベルコード『グラビティ・ダウン』によって、スキアファールは、己が『神経樹グラビティピラー』の語る通り、無力であると知った。
 だが、それは今に居たって実感したことではなかった。
「抵抗は無駄。あぁ、俺もそう思うよ。見てると嗤えるさ!」
 己の醜態。
 語るところの醜悪以下だ。なんとも情けないことだ。嫌になる。だが、だが!

「でもなあ、お前の思考が俺は気に食わないな。醜く不完全な知的生命体が居なきゃ、俺がそいつらで遊べないじゃないか!」
 それは闇色の翼を持つ存在。
 スキアファールの記憶の底から像を結んだ存在が、身勝手な理屈を騙りながら己の眼前に経っている。
 まるで動けぬ己の代わりと言わんばかりに『神経樹グラビティピラー』の前に立っているのだ。
「おまえ……っ、猟書家『リュカ・トワル』……! なんでおまえが……」
「そんなの決まってる。死を前にして、思い浮かべたのが俺だってことだ。むかつくことに、俺と|あいつ《神経樹グラビティピラー》を重ねたってことだ! 自分じゃあ敵わないって自覚して、じゃあ、敵いそうなやつをぶつけてやろうっていうおまえのひねた根性ってもんが、俺という像を結んだんだろう?」
 皮肉でもって『リュカ・トワル』はスキアファールの眼前に顔を突き出していた。
 至近にあって、スキアファールは彼をどうにかすることもできない。
『グラビティ・ダウン』はそれほどの力なのだ。

 だが、同時にスキアファールは理解した。
『リュカ・トワル』は己の『強敵の記憶』なのだ。それを操っているのは自分なのだ。
 であれば。
「相変わらず巫山戯た蜘蛛野郎め……肉は食わせないからな」
「いらないよ。うまそうな肉っていうのは、自分で叩いて熟成させて初めて味わい深いってもんだからな。即席なんぞに興味なんてあるわけないだろ?」
 吐き捨てるように言いながら『リュカ・トワル』は踏み出す。
「だったら!」
 スキアファールの言葉と共に『リュカ・トワル』が飛翔する。
 迫っていたグラビティ・チェインの霧を躱し、さらに建造物も利用して『神経樹グラビティピラー』の攻撃を躱していくのだ。
「扱いが雑だなぁ! 下手くそめ! そんなに記憶の中の俺は、飛ぶのが下手くそだったか!」
「知るか。嫌いなんだから当たり前だろうがクソが」
 スキアファールは毒づきながら『リュカ・トワル』を動かす。
 それはでたらめな動きであったが、何も考えていない飛翔ではなかった。
 そう、羽ばたく翼が排出していたのは、蜘蛛の糸。
 それも透明な糸は『神経樹グラビティピラー』を取り囲み、予め攻撃を前に仕掛けるものであった。
 瞬間、円網状の羽が強烈な刺突となって『神経樹グラビティピラー』の体躯を貫く。
 それはアレニエの罠。
 巧妙に仕掛けられた蜘蛛糸は、ただ闇雲に仕掛けられたものではないのだ。
 蜘蛛の糸は刺突を加速させ、敵対者の身を縛る。
「相変わらず、悪辣な罠だ。クソが」
 スキアファールはしかめっ面で毒づき、しかし、『神経樹グラビティピラー』を追い込んだ実感を得るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
オー! 指一本動かせマセーン!
しかし神経樹のエッセンスで過去の強敵がオブリビオンでエントリー!
この現象、グラビティピラーの目論み通りなのデスカナ?
とはいえこのパワーに頼るしか道はナッシング!
――我輩が召喚するライバルは決まりマシタ!
弊予知【https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=49773】からコンニチハ!
新血親分『バスリブラッディ』!
……トンチキエッセンスが難易度ルナティック、なので臨機応変なアドリブで五卿六眼『祈りの双子』にシフトされても大丈夫デスヨ!
ワタシをズバッとカットして溢れる鮮血を提供すれば、どちらのパターンでも戦えマース!
レッツパーリィ!



「オー! 指一本動かせマセーン!」
 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は、己の身に襲いかかったユーベルコード『グラビティ・ダウン』の力に衝撃を受けていた。
 いつもならば仰け反るほどであったが、それすら今は敵わない。
 そう、『グラビティ・ダウン』は無敵のユーベルコードである。
 精神ごと体を絡め取る神経樹によって、即座に猟兵を戦闘不能に陥らせるのだ。
 恐るべき力である。 
 これに抵抗する力など、猟兵は持ち合わせていなかった。
 迫るは巨躯。 
 死を実感する。
 数多の猟兵たちの、『強敵の記憶』を持ってしても、未だ『神経樹グラビティピラー』は健在であり、健在であるのならば当然のように生命を滅ぼさんと迫っているのだ。

「とんでもないデース! ですが!」
 バルタンは己の絡め取られた精神が扉を開くように音を立てたのを知るだろう。
 そう、『強敵の記憶』――オブリビオンとの戦いの記憶を持つ猟兵であれば誰でももちえる扉が、『グラビティ・ダウン』の影響をもって開いたのだ。
「この現象……『神経樹グラビティピラー』の目論見通りなのデスカナ? いえ、どちらでも構いマセーン! このパワーに頼るしいか道はナッシング!」
 ためらいはない。
 躊躇っていては生命が失われる。
 己だけではない。
 この世界に生きる多くの生命が失われてしまう。
『神経樹グラビティピラー』は、それができる。できてしまうのだということをバルタンは実感していたのだ。
 だからこそ、バルタンは記憶の扉をこじ開ける。

「コンニチハ!」
 それはバルタンにとってはどんな存在だっただろうか。
「よくぞワイちゃんを喚んでくれたな! もう大丈夫! 何故って、ワイちゃんが来た!」
 それはバルタンが予知した事件。
 本来ならば五卿六眼『祈りの双子』の間に挟まっていた新血親分『バスリブラッディ』であった。
 まさかの。
「ワイちゃん、単体で来た!!」
「ワーオ」
 なんていうか、思いもかけない強敵である。いや、強敵……強敵、か? いや、そうかもしれない。 
 ある種のメタをぶち抜いてくるような気配すら感じ、バルタンは、それならまあいいかと思った。
 むしろ、そうでもしなければ『神経樹グラビティピラー』は退けられないと心の何処かで考えた結果なのかも知れない。

「では、『バスリブラッディ』サン! ずばっとカットしてワタシの鮮血を代償に! ってアーッ!?」
 言うまでもないと言わんばかりに『バスリブラッディ』はバルタンの手首をズバッとずんばらりんしていた。
 噴出する鮮血。
 まるで噴水のようであった。
 そこだけみたら、まるでコメディである。 
 シリアスなんてない。どっかそこらへんで死んでる。

「話を最後まで聞かないって? 実は、ひとの話を聞かなくてもなんとなくでやれちゃう特殊能力を持ってんだ! 人の話聞かないの、癖になってんだ……」
「いや、ちゃんと聞きマショー!? ええい、どっちでもいいデース! とにもかくにも戦いマース! レッツパーリィ!」
「いえい、いえい!!」
 いえい、じゃあないな、とバルタンは思った。
 だが、シリアス死んだ今、コメディしか生き残っていないのだ。
 ならば、無理矢理にでも『神経樹グラビティピラー』をコメディ沼に引きずり込むのみ。そうやってどうにかこうにか敵を消耗させるしかないのだ――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・絶華
おお…!ピラー!お前こそぜっちゃんチョコに相応し…ぐわーっ!(無力化

過去の強敵
太陽神アポロン
http://tw5.jp/adventure/replay/?scenario_id=8798

「はははははは!!昇らぬ太陽がないように!朕は何度でも蘇る!」

アポロンの槍による猛攻と共に
太陽の一撃神罰覿面による超高熱と光による焼き払い
蝗群捕食により食らい尽くしての猛攻を仕掛ける

「十二剣神だと?宇宙の創世神たる十二創神たる朕を前にそれを名乗るとは不敬にも程がある!我が神罰を以て焼かれ朕の供物としてその身を捧げる事でその贖罪とするが良いわ!……食材なだけに」(!?

……(やっぱりこの神アホなのでは…?



 皇・絶華(影月・f40792)はずーっと思っていた。
 この戦いが始まってから、十二剣神『神経樹グラビティピラー』に期待しか抱いていなかった。
 あれだけの力。
 やはりぜっちゃんチョコの材料に相応しい存在なのだ、と。
 どうにかこうにかして、材料として確保できないかな、と。
 虎視眈々と狙っていたのだ。
 だがしかし、だ。
『神経樹グラビティピラー』は無敵のユーベルコード『グラビティ・ダウン』を放ち、即座に絶華のみならず、猟兵全てを戦闘不能に陥らせていたのだ。
 恐るべきことである。
「ぐわーっ!」
 せっかく、チョコになれる栄誉というものがどれだけのことなのかを伝えようと接近したのに、もう一歩も動けない。

 地面に伏せることしかできなかった。
 なんでこんなことになるのだろうと思うしかなかったし、この絶体絶命の窮地に合って、彼の記憶の中にある強者が像を結ぶ。
「ははははは!! 昇らぬ太陽がないように! 朕は何度でも蘇る!」
 それは黄金。
 否、太陽神アポロンであった。
 黄金の体躯を持つ姿、そして槍。
 その一撃は超好熱の熱によって迫る神経樹の槍を焼き払っていた。

「受容せよ。永遠不滅に至るために。デウスエクス。何故、受容しない。お前たちならば強者になれる。絶対的な強者に。それを何故」
「十二剣神? はっ、宇宙の創世神たる十二創神たる朕を前にそれを名乗るとは不敬にもほどがる!」
『太陽神アポロン』は不遜極まりな態度であった。
 迫る神経樹の槍を薙ぎ払いながら、さらに一歩、一歩と踏み出す。
 無論、絶華が操っている。
 けれど、その動きはどこか本来の『太陽神アポロン』のそれを想起させるものだった。
「我が神罰をも以て焼かれ朕の供物として、その身を捧げることで、その贖罪とするが良いわ!」
「無為、無駄、無意味なことを」
「食材だけに」
 ん? と絶華は思った。
 今なんか、言ったな?
 まさかとは思うが、贖罪と食材とを掛けた冗句を言ったのではないか?
 いやまさか。 
 でもまさかな、と絶華は思った。

「食材だけにな、な! ははははははは!!」
 思い違いではなかったし、聞き間違いでもなかった。
 絶華は思った。 
 己の中にある強者の記憶。
 それがまさか、こんなまさか。 
 阿呆なわけがない。いや、そんなわけない。うん、いや、やっぱり阿呆かもしれない――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティオレンシア・シーディア
参照:アルカディア争奪戦⑳〜刹那の綻びを狙い撃て!
『『聖女皇』ベアトリクス・マグナ』
使用『 封印術「武装崩壊」』

…あたしもそこそこ長いこと猟兵やってきたけれど。流石に文字通りの意味で「本当に手も足も出ない」相手は初ねぇ…
相応に強力でこっちにそこそこ協力的で…って考えると、このヒトかしらぁ?
聖女皇様、お願いするわねぇ?

ただでさえ軽い攻撃から攻撃力を奪って不幸まで押し付けるんだもの、いくら数を揃えても大した痛手にはならないはず。
これだけ運に差があるなら、何処に攻撃しても「運良く」当たるしどんな攻撃も「偶々」徹るんじゃないかしらぁ?
戦争案件ほどの出力は出ないにしても、まあなんとかなるでしょ。



 猟兵としての歩みは、それなりに長いものだという自負がある。
 オブリビオンとの戦いは多くの強敵との邂逅の連続であった。
 だからこそ、だ。
 文字通りの意味で、今まさにティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は己が『本当に手も足も出ない』状態であることが初めてであると知ったのだ。
 ユーベルコード『グラビティ・ダウン』は即座に猟兵を戦闘不能に陥らせる。
 恐るべき力である。
 抵抗する術はない。
 例外はない。
 ただ只管に動けない。指先一つすら動かせない絶体絶命の状況。

 その中にあってティオレンシアはどうしたものかと思った。
 己の中にある『強敵の記憶』。
 これを現実に引き出すしか、術はない。これまた『グラビティ・ダウン』の影響なのか。判然としな中、しかしそれでもやらねばやられるという状況において、手段はえり好みなどできようはずもない。
「聖女皇様、お願いするわねぇ?」
 その言葉と共に記憶が現実に像を結ぶ。
 
 現れたのは、マグナ聖帝国『聖女皇』ベアトリクス・マグナであった。
「絶対強者……それは、もっとも大切なこと。皆の幸せを長いながら、わたくしは弱かった。襲い来る帝竜に太刀打ちできず、封印する手段しか選べなかった」
 彼女は面を上げる。
 迫るは神経樹の槍。
 天と地を埋め尽くし、その間隙すら埋めるように膨大な数の神経樹の槍が迫っているのだ。
 その恐るべき光景を前にしながら、『ベアトリス・マグナ』は光り輝く慈愛の波動を解き放つ。
 それは一瞬にして新家樹の槍を封印せしめるユーベルコード。
 眼前に迫っていてた全ての神経樹の槍が彼女の波動に飲み込まれ封印されたのだ。
「だからこそ、悔いているのです。力があれば……しかし、生命全てを滅ぼすというのならば、わたくしの民もまた滅ぼすということ。それは」
 許されることではないと『ベアトリス・マグナ』は、封印した神経樹の槍の総量と同じ不幸を『神経樹グラビティピラー』へと放つ。

「滅びるのは弱者だからだ。それを知らず、愚かにも可能性というおぞましき物に手を伸ばすのであれば、それは滅ぼさねばならぬものなのだ」
 再び放たれようとする神経樹の槍。
 だが、如何なる理屈か。
 その槍は互いに激突して反射し、『神経樹グラビティピラー』自身へと跳ね返っていくのだ。
「恐いわぁ……ただでさえ、どんな攻撃だって奪って不幸を押し付けるんだもの。数が多ければ……当然、運悪く自分に攻撃が返ってくる、っていうこともあり得るわよねぇ」
 ティオレンシアは、その戦いぶりを見て思わず嘆息する。
 次々と『神経樹グラビティピラー』へと突き刺さっていく槍。
 それはもう此方が何をしないでも、致命的であったことだろう。
 こと、此処からに至っては、全てが運悪く作用するだろう。であれば、それで十分だ。
「まあ、後はなんとかなるでしょ」 
 ティオレンシアは動けずとも、己が操る『ベアトリス・マグナ』にともわれて、己たちを追う『神経樹グラビティピラー』の攻撃から逃れるようにして、飛翔するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

にゅあああ~
つ、潰れる~~
うにゃああ~

●そんなとき思い出すのは
超スーパーグレート超次元の…
……あちょっとちょっと!帰って!呼んでないからね!宇宙とか空とかパーッと金色に光らせて天使くんたちなんか舞い降りさせてもダメだから!

●いったんキャンセル!ここはもっと普通の…そう普通の少女!
●究極と美は着かない少女エル・|なんちゃら《ティグレ》!
やあよく来てくれたね!
ボクは最初からキミしかいないと思ってたよ!
キミに決めた!ってやつ!

ここではなんかボクがキミを操作する?みたいだね!
あ、なんだかすごく楽しそうな気がしてきた!
さあボクのコントローラーガチャ押しプレイを見せてあげるよ!



 潰れる、と思ったのは本当に体が重圧で潰れるからではない。
 己の体の力という力が抜け落ちてしまったがために、体がピクリとも動かせずに倒れ込んでしまったからだ。
「にゃあああ~つ、潰れる~うにゃああ~」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は、なんたることだと思っただろう。
 どうしようもない。
 彼が如何に神であろうとも、猟兵である以上、十二剣神『神経樹グラビティピラー』の放つユーベルコード『グラビティ・ダウン』を前にして抵抗する術はなかった。
 身が潰れるような錯覚と共に倒れ伏すロニは、己が味わったことのない感覚におののきながら、記憶の蓋が開くのを感じただろう。

「……あちょっとちょっと!帰って!呼んでないからね!宇宙とか空とかパーッと金色に光らせて天使くんたちなんか舞い降りさせてもダメだから!」
 お迎え?
 そろそろ天界におかえりよ、とかそういうあれ?
 いやいや、待って待ってとロニは慌てるが体が動かない。
 記憶の蓋を思いっきり頭の中で踏んづけるイメージを働かせる。
「きゃんせる! 一旦キャンセルで! 此処はもっと普通の……そう、普通の少女!」
 別の蓋をパカリと開ける。
 兎にも角にも、あの蓋はまずいのだとロニは自覚していたのだ。

「んだよ、御主人様たち。かったりいなぁ、です」
 其処にいたのは、サッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』であった。
 若干ブスっとしているのは、普通の少女呼びされたからであろうか。
「やあ、よく来てくれたね!」
 いけしゃあしゃあである。
「ボクは最初からキミしかいないと思ってたよ! キミ決めた! ってやつ!」
「どう考えても面倒事じゃあねぇかよ、です」
『エル・ティグレ』は嘆息しながら、現実に像を結んで嘆息していた。ロニの記憶の中なので、これが『エル・ティグレ』のデフォルトである。
 めんどくさー、と言う具合に一つ伸びをしている。

「あ、でもここではなんだかボクがキミを操作する? みたいだね!」
「あ、おい、やめろってば、です!」
「いやいや、ボクが動かさないと動かないんだから、結局ボクがやらないきゃね!」
「ぜってーめちゃくちゃやるだろ! です!」
「いやいや、そんなことないよ! ほら、みていなって。ボクのコントールガチャ押しプレイ、そこそこやるって話なんだよ!」
「そんな話聞いて余計に不安になるわ! です!」
 まあまあ、ロニはいいから、と言うように『エル・ティグレ』を動かす。
 軽快な動き……いや、どうみても軽快とは言い難い動きで『エル・ティグレ』は暗黒星雲ボールを蹴り出す。
 あらゆるユーベルコードを飲み込む暗黒星雲ボールは、なんだかこころなしかヘロヘロしているように思えただろう。
 だが、それでも暗黒星雲ボールの力が失われることがないのが、恐るべきことである。
 ロニは、そんな『エル・ティグレ』を操りながら、あーでもない、こーでもないと記憶の強敵のイメージを補強するために、暫く彼の言うところのガチャ押しプレイでもって『エル・ティグレ』を『神経樹グラビティピラー』へとけしかけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紅葉・紅葉
な、なんと! 段ボール箱に神経が?
わ、私の身体が動かない……動けない!?
あ、ああ、トラウマが……車輪が無かった頃の無力な箱だった頃の|後悔《守れなかった》が!
やはり、|紅葉《私》如きでは……。

とここまで前提条件で絶望寸前のところでオリチャー発動(過去の強敵召喚)!
あ、あなたは……! ミスター・ウィリアム!
(バトル・オブ・オリンピア⑭〜理想を託すために)
戦場内にアルカディア・エフェクト……そうか、そうでした!
過去は過去! 現在こそ未来!
ええ、その通りですウィリアムさん!
速さを追求したグランプリレーサー!そして私もグランプリレーサー!
全速全力全気合を以て奮って!この|戦い《レース》を勝ちましょう!



 紅葉・紅葉(歩く宅配便・f40976)は困惑していた。
 己は段ボール型ミミックである。
 であるのならば、神経などあってないようなものだ。いやまあ、段ボールが駆動して高速で走ったりする、という時点でちょっと考えものであるが。
 しかし、彼にとっては十二剣神『神経樹グラビティピラー』との戦いの最中、己が身がまるで動かなくなってしまったことに驚愕と共に絶望に叩き落されてしまっていた。

 走ること。
 配達すること。
 それが己のアイデンティティであった。
 動かない段ボールは、ただの段ボールである。今の己はアイデンティティがクライシスする寸前であった。
 そして、ひび割れたアイデンティティはトラウマを呼びコス。
 そう、車輪がなかった頃の無力な己。ただの段ボールだった頃の、|後悔《守れなかった》が込み上げてくるのだ。
 体がが動かない。
 ただそれだけで紅葉は魂を震え上がらせていた。
 身震いすらできない。
 これが『神経樹グラビティピラー』のユーベルコード『グラビティ・ダウン』の力である。猟兵に対抗する術はない。
 ただただ、死を待つのみ。
 あえなくあの巨躯でぺっしゃんこにされる運命しかないのだ。
 どうしようもない。

「やはり、|紅葉《私》如きでは……」
「死を超えた後に、得られるものもある……」
 それは己の過去の記憶から溢れ出した言葉であった。
 知っている。
 紅葉はこの声を知っている。
「富や栄光をかなぐり捨て、速さだけを追い求めたものだけが到達できる至高の領域……私が生涯をかけて追求し、死後漸く得られた|スピードの向こう側《アルカディア・エフェクト》……」
「あ、あなたは……! レース・フォーミュラ『ウィリアム・ローグ』! ミスター・ウィリアム!」
 紅葉が見上げる先にあったのは、レーサースーツに身を包み、そのフルフェイスヘルメットの奥に見えるしゃれこうべ。
 皮膚の一片すら残さぬのは、彼があらゆるものをかなぐり捨てたが故であろう。
 そして、戦場に満ちるのは、アルカディア・エフェクト。

「……そうか、そうでした!」
「理解るだろう。きみも。全てをかなぐり捨てるということは、何も富や栄光だけを捨て去ることではないのだ。きみのそのトラウマさえも捨て去って走り抜けなければならない。であれば」
「はい! 過去は過去! 現在こそ未来! ええ、そのとおりですウィリアムさん! 速さを追求したグラプリレーサー! そして私もグラプリレーサーなのです!」
 ならば、と紅葉は見上げる。
 体は動かない。
 だが、『ウィリアム・ローグ』のモンスターマシンに乗せれば!
 共に往ける!

「全速全力全気合を以て奮って! この|戦い《レース》に勝ちましょう!」
「ああ、振り落とされるなよ、グラプリレーサー!」
「はい!」
 紅葉は『ウィリアム・ローグ』のモンスターマシンと共に他の追従を許さぬ圧倒的速さでもって『神経樹グラビティピラー』を圧倒し、漆黒の炎を放ちながら強制進化によって『神経樹グラビティピラー』の末端から『進化』という『成長』でもって燃やし枯らしていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドワルダ・ウッドストック
【炎心】
清導、レイトさん、ジェラルディンさんと連携
過去の強敵:バシュム-単一世界バシュム
アドリブ歓迎

くっ、なるほど、指一本動かせませんわ……!
この手で戦うこともできないとは、口惜しいですわね…。
けれど、強い弱いで判断するなんて視野が狭いですわよ。
わたくしたちが乗り越えてきた強者、その恐ろしさをたっぷり味わってもらいますわ!

脳裏から生じるのは、エンドブレイカーの戦い!
独りでは死んでいた怪物!
死を覚悟することは幾度あれ、今でも良く勝てたなと震えて止まない怪物でしてよ!
清導の強敵なら、御し方もご存じでしょう!
やっておしまいなさい、バシュム!
11の怪物最強の座に君臨したその毒液を吐く能力で、神経樹を!


空桐・清導
【炎心】
POW
エド、レイト、ジェラルディンと連携
過去の強敵:別の未来の自分
シナリオ:第二次聖杯戦争㉑〜君に何かがあった未来

『貴様、グラビティピラーか。
いいだろう。もう一度根まで殺し尽くす。
指示をよこせオレ。手を貸してやる。
他のオブリビオン共と手を組むのは見逃してやる。』
雄々しく苛烈に轟炎を撒き散らす英雄は、
他のみんなの呼び出した者達に鋭い目を向けた
この世界の清導は驚きつつも心強いと思っている

最前線へと縮地によって駆け出し、
霧と不全症をこの刹那の命だと一切気にせず、
地獄の激痛に表情一つ変えずに憤怒の焔拳を無限に叩き込む
他のオブリビオンの動きも見知っているように合わせる
それは正しく無双の英雄だった


ジェラルディン・ホワイトストーン
【炎心】
清導、レイト、エドワルダと連携
アドリブ歓迎

っ。……こいつは、堪えるな……!
グラビティ・ダウンか、とんでもねぇ力だ。
……だけどな、だからといって……行動不能になった程度で、抵抗を諦める理由にはならねぇんだよ。
ブレイズ・ハートのみんな、記憶をキメるぞっ!

俺は、そうだな……。猟兵になって初めて戦った百獣族を呼び起こすよ。
【ピルグリメイジの呪詛】で暴れてくれた獣騎ワイバーン、名は『アハト』。
突然悪いな、力を借りたい。
ここは異界の戦場だ。縁も所縁も、恨みも憎しみもありはしない。
あの時は捨て身覚悟の突進でしか勝ち目がなかった、アンタのブレス。アンタの誇り!
俺の代わりに堂々とぶちかましてやってくれ!


馬神・レイト
【炎心】
WIZ
エド、清導、ジェラルディンと連携
アドリブ歓迎

「へぇ、こういう敵は初めてだな...やばいなおい。」
『これは絶体絶命と言ってもいいかもな、レイト』
相棒のシーグウルムと共に重力で受けない今、俺達の力だけじゃ戦えない。
『だから早くその頭から強敵の記憶を出して、戦え馬鹿もん‼』
「いやそう言われても出ないんだよ‼急に言われても、ピンっと来ないんだよーーくぅ、動け頭ーー何かを、出せ!」
その声を応えるように、空から落ちた黒鉄の守護神、そう、『護国鉄神零號』である‼
「あ、あの時のロホ‼頼む、皆を、守ってくれぇ~!」
その黒鉄の巨人との縁は薄い物、けど、確かに、そこにいる。



「……やばいなおい」
 馬神・レイト(通りすがりのカードデュエリスト・f43310)は呻くことしかできなかった。
 十二剣神『神経樹グラビティピラー』の放ったユーベルコード『グラビティ・ダウン』によって、戦場に集った猟兵たちは尽くが戦闘不能に陥っていた。
 外傷はない。
 ただ神経樹によって精神ごと肉体が絡め取られてしまったのだ。
 指一本動かせない。
 体はもがくことすら許されない。
 共に『神経樹グラビティピラー』に迫った仲間たちも同様だった。
『これは絶体絶命といってもいいかもな、レイト』

 相棒である『シーグウルム』と共に抗おうとしても、抗えるものではない。
 問答無用なのだ。
 どうしようもない。猟兵である以上、逃れ得ぬものであったのだ。
「受容せよ。貴様たちの行いは、全て無駄である。無為である。無意味である。必滅の定めを持つのならばこそ、ことさらに。醜悪な生命など持つからこそ、可能性に手を伸ばす。その醜悪さは、視るに耐えない。この宇宙に必要ないものだ」
 響く『神経樹グラビティピラー』の声。
 数多の猟兵たちが引き出した『強敵の記憶』でもって追い込まれているはずなのに、未だ『神経樹グラビティピラー』は己たちを滅ぼそうとしているのだ。
「くっ、なるほど、これが『グラビティ・ダウン』……! この手で戦うこともできないとは、口惜しいですわね……!」
「っ。……こいつは、堪えるな……! とんでもねぇ力だ。だけどな、だからといって……行動不能になった程度で抵抗を諦める理由にはならねぇんだよ」
 エドワルダ・ウッドストック(金雀枝の黒太子・f39970)とジェラルディン・ホワイトストーン(シャドウエルフのタイタニアキャバリア・f44830)は未だ抵抗を諦めていなかった。

「ええ、そのとおりですわ。強い弱いで判断するなんて、視野の狭い者なのでしょう」
「ああ、そのとおりだぜ。だが、どうする!」
「やるっきゃねぇだろ。ブレイズ・ハートの皆、記憶をキメるぞっ!」
「記憶!?」
「決まっていますわ! わたくしたちが乗り越えてきた強者、その恐ろしさをたっぷり味わってもらいますわ!」 
 エドワルダの言葉にレイトは未だ半信半疑であった。
 いや、強者の記憶、と言われて即座にでてこなかったのだ。
「これまで対決してきたオブリビオンだ! 早くその頭から強敵の記憶を足て戦え、馬鹿もん!!」
 相棒のシーグウルムが急かす。
「そうは言っても簡単に出てこないんだよ!! 急に言われてもさぁ! ピンと来ないんだよ――くぅ、動け頭――何かを、出せ!」
 逆に言えば、それはレイトにとって強者という敵対者ではなかったのかもしれない。
 カードデュエリストであるからこそ、同じ強者とかいても『ライバル』としか認識できなかった。それ故に彼が思い浮かべる強者としての敵対者が思い浮かばなかったのだろう。

 だが、今はそんなことを言う暇などないのだ。
 一刻を争うようにグラビティ・チェインが重濃度の霧のように迫っているのだ。
 あれに捕まってしまえば、寿命を削られてしまう。
 そして、自分たちは逃げられない!
「貴様、『神経樹グラビティピラー』か」
 それは冷たく響く声であったが、同時に猛々しく轟炎と共に現れたものだった。
「いいだろう。もう一度根まで燃やし尽くす」
「……!」
 共に戦場に赴いていた空桐・清導(ブレイザイン・f28542)が立っていた。
 何故。
 彼もまた『グラビティ・ダウン』によって戦闘不能になっていたはずだ。
 なのに、彼は炎をまといながら立っていたのだ。
「おいおい、どういうことだよ!?」
「違いますわ、あれは!」
「まさか……ブレイザイン!?」
 そう、それは本来の清導ではない。
 彼の身に何かが起こり得た未来においての姿。
 故に、その轟炎は光焔へと代わりながら、倒れ伏す清導を睥睨していた。

「指示を寄越せ、オレ。手を貸してやる。他のオブリビオンと共に手を組むのは見逃してやる」
 苛烈なる焔を撒き散らしながら、英雄と呼ばれた戦士は清導の決断を待つようであった。
「みんな……」
「悩む必要なんざねぇ! 来てくれ、獣騎ワイバーン『アハト』!」
 ジェラエルディンの言葉と共に記憶が像を結ぶ。
 それは飛竜。
 鋼鉄の飛竜であった。獣騎ワイバーンと呼ばれる人間族への憎しみ湛えた存在。呪いを撒き散らし、己たちが受けた仕打ちを復讐でもって返さねばならぬと怒り狂う飛竜。
「突然悪いな。だが、力を借りたい」
「何故。ここは我らが介在していい戦場ではなかろう。縁もゆかりも無い。憎しみも恨みも、戦う理由すらない」
「いいや、理由ならあるさ! アンタの誇りを俺は知っている!」
「誇り、だと?」
「そうさ! アンタの誇りは並々ならぬものだった! であればだ! 許せねぇだろ! 生命を醜悪だと誹り、根絶線としているやつは!」
「……然り」
 そう、絶滅にまで追い込まれた種族。 
 それが百獣族である。
 今の『神経樹グラビティピラー』が成さんとしていることと、彼らの境遇は似ていたのだ。
 だからこそ、もう二度とそのような行いが許容されてはならないとジェラエルディンは訴えたのだ。
 そして、彼女の知る強敵の中で、最も気高き誇りを持ち得るものが獣騎ワイバーンだったのだ。
「決まりだ! 俺の代わりに堂々とぶちかましてやってくれ!」

 そして、エドワルダもまた記憶から強敵を引きずり出す。
 そう、彼女の脳裏にあったのはエンドブレイカーの戦いであった。
 一人では叶うべくもなく、世界を侵す毒に飲み込まれて死んでいたであろう。
 それほどまでに11の怪物は強烈な印象を彼女に与えていた。
 今でも思う。
 よく勝利を収めることができたものである、と。
 思い出す度に震えが止まらない。
 けれど、それでも。
「エリクシルを創造する力すら持たぬ無能、されど極限の一を持ち得る怪物!『バシュム』!!」
 その声と共にあらわれるのは巨大な蛇の如き威容。
 ゆっくりと溢れ出すのは、毒液。
 ただそれだけで、11の怪物の頂点に君臨している怪物なのだ、『バシュム』は。
 風はやみ、水は腐り、大地は崩れ落ちる。
 その毒液は迫る神経樹の体躯すら溶かし、侵食していくのだ。

「これほどの、毒、だと……まさか、世界すら毒す、毒液だとでもいうのか?!」
『神経樹グラビティピラー』の声にエドワルダは己が引きずり出した記憶が、一種の賭けであり、その賭けに己が勝ったのだということを下だろう。
「やっておしまいなさい、『バシュム』!」
 その毒液を飛び越えるようにして『獣騎ワイバーン』がブレスでもって『神経樹グラビティピラー』を焼きながら、『ブレイザイン』を背に乗せて飛翔する。
 迫るグラビティ・チェインを躱しながら『獣騎ワイバーン』は一気に巨躯へと突撃する。
 だが、それだけでは巨体は傾ぐことはない。
「ああ、もう! 何か! 来い!!」
 遅れてレイトが記憶から引きずり出したのは、空より落ちる黒鉄であった。

 それは人型をしていたが、圧倒的な巨躯を誇るものであった。
 その名は。
「あ、あのときのロボ!!」
 エンシャント・レイス『護国鉄神零號』である。
 八億の魂搭載せし、世界そのもの。
 その鉄腕は、敵を打ち倒すために振るわれ、そして今まさに仲間を守るために振るってくれと願う者の心に応えるのだ。
「頼む、皆を護ってくれぇ~!」
 巨躯が『神経樹グラビティピラー』を抑え込むようにして組み付き、知覚できる範囲とは言え、巨体を引きちぎる。
 それを認めた『獣騎ワイバーン』が再び、口腔に光を湛え始め、『バシュム』また毒液を吐き出す。
 
 その毒液と『獣騎ワイバーン』のブレスが合わさり、苛烈なる焔となって『神経樹グラビティピラー』へと解き放たれる。
「今だ……受けろ、大灼怒『義焔咆哮 』(ラース・オブ・ブレイザイン)」
 それは『ブレイザイン』の怒りや悲しみ、痛みや苦しみそのものであった。
 膨れ上がった焔を巻き取るようにして拳に集約し、『ブレイザイン』は飛び込む。

「生命など、醜悪そのものだというのに。それを護ることなど」
「意味がないとおっしゃるのでしょう。ですが、そんな言葉に惑わされることなどありませんわよ」
「そうだ、誰だって生きたいって思うだろう。懸命に生きていれば、なおさらだ。それを醜悪だと言われる謂れはねぇんだよ!」
「ああ、俺たちは唯生きているんじゃあねぇ。誇りを抱いて、明日も、明後日も、その先も。そうやって次に繋いでいく為に生きているんだからな!」
「不滅ではないもの。強者ではないもの。弱者の理屈で宇宙を穢すのならば!」
 膨れ上がる力。
 だが、それすらも凌駕する炎が吹き荒れ、『ブレイザイン』は言う。
「オマエはオレを、オレたちを本気で怒らせた!!!」
 それが答えだというように煌々たる光焔が渦巻き、『神経樹グラビティピラー』を打ち据え、灼熱の柱を宇宙にまで立ち上らせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年05月16日


挿絵イラスト