まだ、満開桜が咲くには、少しばかり時期が早いというのに。
川沿いに長く続くその道沿いには、見事なほどに桜が咲き綻んでいる。
延々と続く花の道、早咲の満開桜、川のせせらぎ、ぽっかりと耀い浮かぶ月が照らすその風景は、人の心を掴んで止まない。
そして歌枕に至るためには、この長い長い桜道を通らねばならないという。
ひとひら、またひとひらと薄紅が舞い降って、静かに降り積もってゆく春の夜道を。
楽しみ眺めつつ歩くのも良いし、暫しひと休みするべく花見に興じてもいいだろう。
ただ、必ず最後は道の先を――歌枕を、目指して欲しい。
月に照らされた桜に心奪われ、酔い痴れ、本来の目的を忘れてしまっては。
夢の中で生きることを良しとする教義を説く妖の、思う壺だから。
●桜逍遥、春巡り
「春の季節が巡って参りましたが、ひとつ皆様にお願いしたい案件があります」
冷泉・辰乃丞(青の鎮魂歌・f42891)は丁寧に皆に頭を下げた後、今回予知した案件の詳細を告げ始める。
「向かう先は、私達の在るアヤカシエンパイア。世の人々が平和に暮らせるのは、平安歌人が和歌を詠み上げて構築した「平安結界」の内部だけ……そして結界は経年劣化や妖の攻撃によって弱っていく為、歌人達は定期的に「歌枕」と呼ばれる各地の名所を訪れ、新たな和歌を捧げて結界を維持・強化しております」
通常、「歌枕」とは多くの和歌に詠まれた名所を指す言葉であるが。
アヤカシエンパイアにおける歌枕とは、まさしく歌人たちが作り出した幻影にして、「平安結界の要となる、人類守護の要衝」であるのだという。
「……ですが、この平安歌人が訪れたとある歌枕に「妖の裂け目」が生じ、なだれ込んできた妖どもが歌人を狙い撃ちにして殺してしまうという予知がありました。ですので、歌枕を巡る平安歌人の旅に同行し、襲来する妖を返り討ちにすると共に、平安結界の維持にも協力していただきたいのです」
それから辰乃丞は、さらに詳細に語る。
「まずは、妖の襲撃を受けることが予知された平安歌人に同行し、平安結界が弱り始めた方角にある歌枕を目指して旅を始めていただきたいのです」
今回同行する平安歌人は、瑠璃という名の歌人であるというが。
彼女は、8才の少女であるのだという。
幼いながらにして、父親から継いだ天賦の歌の才を発揮しており、今回初めての歌枕への旅になるのであるが。
「その道にはやはり妖の影があります。例えば道中、どこまでも続くのではないかというほど長い、川沿いの満開桜の道を通るのですが……この桜の道は、妖の領域であると思われます。とはいえ、この場所では妖はまだ襲ってはきません。美しい桜で人々の心を惑わし、十分に油断させる目論見のようですので。通りかかる時刻は夜になりますが、その日は雲一つない月明かりの夜、美しくも幻想的な満開桜を眺めながら歩いたり、足を止めて花を愛でるひとときや、休憩を兼ねて花見に興じても問題ありません」
そして辰乃丞は続ける――その後、道の先の歌枕を目指していただければ、と。
それから桜の道が終わりを告げた時。
「夢の中で生きることを良しとする教義を説く、夢の力を操り、人を眠らせ、幸福な夢や悪夢に誘う妖が出現するというので、祓ってください」
桜の美しさの余韻に浸っている中、難解だが甘美な言葉や術で惑わしてくる妖の群れが現れるというので、瑠璃を護るべく殲滅して欲しい。
「そして妖の脅威が祓われ妖の裂け目も塞がれれば、そのすぐ先が、目的の歌枕の地です。平安結界を維持する為には、「雅で美しい平安時代の光景」を詠み込んだ平安歌人の和歌が不可欠です。ですので、桜や梅などの春の花咲く宴の手配を私の方でいたしますので。花を愛でながら、新たに平安結界を張り直す為にも、雅やかなひとときを過ごしていただければ、それだけで歌人の歌詠みも捗ることでしょう」
本来ならば、なかなか見られない桜と梅の共演。
それは妖の術ではなく、平安結界の内部だから見られる春の風景だ。
そこで辰乃丞が宴の準備を整えるというので、皆はいわゆる、お花見を楽しんで欲しいというわけだ。
そこまで説明を終えた辰乃丞は、こう続ける。
「今回皆様と同行する平安歌人の瑠璃は、私の腹違いの妹なのですが……私は道中は共に参れませんので、彼女のことをよろしくお願いいたします。瑠璃は聞き分けが良く聡明な子ですし、特に構わずとも旅を楽しんでいるかと。子どもらしさもある人懐こい子ですので、皆様にもすぐに打ち解けるかと思いますし、初めての旅に心躍らせているようです」
そして青龍のグリモアを成しながら、改めて深々と猟兵達へと頭を下げるのだった。
どうか、歌枕へと瑠璃を導いていただけるよう、よろしくお願いいたします――と。
志稲愛海
志稲愛海です。
よろしくお願いいたします!
※ご連絡※ 受付開始日等はシナリオタグやMSページで連絡します。
各章詳細を記載した断章を受付開始前に各々掲載予定です。
今回の内容は以下です。
第1章:妖の領域(冒険)
第2章:泡影比丘(集団戦)
第3章:貴族の宴(日常)
冒険章と日常章はPOW/SPD/WIZは気にせずOKです。
どの章からでも、気になった章のみでも勿論歓迎です。
ありそうなもの、できそうな事は大抵OKです、お好きな様に!
平安歌人の瑠璃に関しても、特に構わず過ごして全然構いません。
第1章、満開桜咲く月の下、長い桜の夜道を往くひとときです。
時間帯は、夜です。
見事なほどに川沿いの道に桜が咲き誇っていますので。
眺めながら歩き、物思いに耽ったり、誰かとお喋りしながら歩くも良し。
途中、休憩がてら、お花見をするのも良し。
お好きなように、幻想的な月夜の満開桜を楽しんでくださればOKです。
第2章は、現れる妖の群れとの戦闘です。
第3章は、桜と梅が咲く歌枕での、春の花の宴が楽しめます。
詳細は断章に記載いたします。
公序良俗に反する事、他人への迷惑行為、20歳以下の方の飲酒喫煙は厳禁です。
締切等はMS個別ページやTwitterでお知らせします。
第3章は、辰乃丞をはじめ、当方のグリモア猟兵もお声かけあればご一緒させていただきます。
平安歌人の瑠璃も、お声掛けいただければご一緒させていただきます。
●お願い等
同行者がいる場合は【相手の名前(呼称推奨)と、fからはじまるID】又は【グループ名】のご記入をお忘れなくお願いします。
グループ参加の人数制限はありません、お一人様~何人ででもどうぞ!
ですが、ご指定の同行者が参加していない場合は返金となる可能性もあります。
ご参加お待ちしております!
第1章 冒険
『妖の領域』
|
POW : パワーで突破
SPD : テクニックで攻略
WIZ : インテリジェンスで通過
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「わたくしは、瑠璃ともうします。猟兵のみなさま、よろしくおねがいいたします」
そう最初は少し緊張気味に、だが礼儀正しくぺこりと挨拶をしたのは、まだ幼き少女。
だが、瑠璃と名乗った彼女はれっきとした平安歌人であり、歌枕を目指す旅に出る。
とはいえ、年相応の少女らしさも持ち合わせていて。
「本格的な旅ははじめてなので……とてもたのしみなのです。歌人としてのお仕事も、いっぱいがんばります」
わくわくと期待に胸を膨らませ、長い道中も元気に歩んでいる。
兄の辰乃丞からは、この旅で妖に襲われて命を失ってしまうということは、聞かされてはおらずに。
とはいえ、妖に襲われるかもしれないので猟兵の皆に同行してもらい守っていただく、ということは十分心得ており、危ない行動などは一切取らないだろう。
聞き分けのいい子なので、道中で特に世話をしたり構わなくとも、全く問題はないし。
逆に、人懐っこい素直な性格なので声を掛けたりしても喜ぶだろう。
そして、日中の旅は滞りなく終わり――迎えた夜。
「わあ、すごいです……桜がたくさん咲いているのです」
金色の瞳をキラキラと輝かせる瑠璃の視界いっぱいに咲き誇るのは、川沿いの道に咲く満開桜。
勝手に駆け出すようなことなどは勿論ないが、その表情は高揚していて。
いきましょう、と感性を刺激されたように心躍らせる瑠璃を護りつつ、猟兵達も桜の道へと足を踏み入れる。
桜咲く、妖の魅せる領域へ。
だが、どこまで続くかわからぬほどの長い道を染める薄紅は美しく。
月明かり耀う中、満開に咲いた桜は見事なもので、はらりひらりと舞う花弁の景色は息を飲むほどに幻想的だ。
それにこの桜咲く月夜の道では、存分に魅了されて欲しいからか、妖は襲ってはこないというから。
夜桜を眺めながら物思いに耽ったり、誰かと語り合ったり、他愛のないお喋りに興じるも良し。花見と洒落込みながら、持ち込んだものを食べたり飲んだり、ゆっくり休憩を取る時間も十分にある。
瑠璃を不安に思わせないためにも、すっかり桜に心奪われてしまっていると敵に思わせ油断させるためにも。
暫し、この桜の夜道の逍遥を目一杯楽しむのが良いだろう。
たとえ此処が妖の領域であっても――春の季節の訪れは、確実に再び巡りきて、芽吹いているのだから。
白矢羽・尭暁
れーくんの妹を危険な目に合わせるわけにはいかないからね
あの子と会うのも久しぶりだなぁ
そういえば、最近れーくんの家に遊びにいってないな、今度いこ!
瑠璃、久しぶりだね
僕も一緒にいくよ
此度はれーくんの代りに僕が兄をしよう
このような時、れーくんはどうするのかな
手を繋ぐ?それとも抱っこ?
どちらがよいかな
僕に妹がいたらこのように一緒に過ごしていただろうか、なんて思う
美しい光景の中を歩めば自然と笑みが零れる
足を止めて、舞い落ちるひとひらを手の上にのせて
美しい光景だというのに、兄君がいないのが残念だね、瑠璃
今度は皆で来よう
兄君も、父君たちも一緒に
死なせたりはしない
必ず守るよ
花の道の終わりに、心のうちで誓いを
普段ならば、付き従われるような身分であるが。
今回は、同行するという立場での旅。
しかも転送の任があり、いつもならば側にいる従者の姿も旅の間はない。
それはそれで少し寂しい気はするものの、だがこのような状況は新鮮でわくわくもしているのも事実だ。
とはいえ勿論、白矢羽・尭暁(金烏・f42890)は今回己が成すべきことを忘れてなどいない。
平安歌人を歌枕へと導くために守る任、しかもそれが知り合いとなれば尚のこと。
(「れーくんの妹を危険な目に合わせるわけにはいかないからね」)
……あの子と会うのも久しぶりだなぁ、なんて。
白矢羽・尭暁(金烏・f42890)は、己の従者の妹との再会に柔く金の瞳を細めながら。
(「そういえば、最近れーくんの家に遊びにいってないな、今度いこ!」)
今回の旅を無事終えた後、馴染みの屋敷に遊びに行こうと思いつつ。
彼女を見かけ、声をかければ。
「瑠璃、久しぶりだね。僕も一緒にいくよ。此度はれーくんの代りに僕が兄をしよう」
「! 尭暁様っ、おひさしぶりでございます! はわ、尭暁様もご一緒……っ」
ぱっとキラキラな瞳で見上げながらも、瑠璃はほわりと頬を赤く染める。
そして幼き少女の熱い眼差しには気づかず、尭暁はふと考えてみる。
(「このような時、れーくんはどうするのかな」)
自分には知る限り兄妹はいないが、弟妹が沢山いる従者の兄としての振る舞いを思い返してみつつ。
「手を繋ぐ? それとも抱っこ?」
……どちらがよいかな、なんて視線を向ければ、はわわっと決めきれないようだから。
道のりは長いし、どちらもしてあげることにして。
手を繋いで歩けば日もいつしか暮れて、差し掛かった桜月夜の道を並んで歩き始めれば。
(「僕に妹がいたらこのように一緒に過ごしていただろうか」)
美しい光景に想い馳せつつ、自然と笑みも美しく零れ咲く。
そして小さなその手を握ったまま足を止めて。
舞い落ちるひとひらを、掌の上にひらり招けば。
「美しい光景だというのに、兄君がいないのが残念だね、瑠璃」
「兄様やみんなにも見せたいくらい、きれいです」
「今度は皆で来よう。兄君も、父君たちも一緒に」
そう紡いだ尭暁の手をきゅっと握りしめて。
差し出された春の一片を受け取りながらも、瑠璃は続ける。
「はい。でも……尭暁様とふたりで見た春の景色とこのひとひらは、瑠璃の宝物です」
桜色に頬を染め、そう夢見心地に。
そしてそんな彼女の楽し気で幸せそうな笑顔をみれば、尭暁は改めて誓うのだった。
――死なせたりはしない、必ず守るよ、って。
花の道の終わりに、そっとその心のうちで。
大成功
🔵🔵🔵
真宮・奏
【星月の絆】で参加
お父さん達から先に行って、と。辰乃丞さんは依頼で星羅と朔兎が何度がご一緒したことがあります。もう戦友と思ってるほど親しく思ってるようで。幼いあの子たちにとって同世代の故郷の能力者との交流はなにより大事。そうですよね、瞬さん。
瑠璃さんにご挨拶を。お兄様には義妹と弟分がいつもお世話になってます。なによりもこの子達にとって瑠璃さんは同世代で同じ故郷。危険な旅、守らせてください。
もふもふなお友達をよびだして楽しそうに瑠璃さんと話す星羅と朔兎を見守りましょう。年が近いものしかわからないものがあるんでしょうからね。
綺麗な桜ですね。瞬さん。私たちではなしえなかった出会いを大事にしてほしい。
神城・瞬
【星月の絆】で参加
お父さん達は4人で花見を楽しむようで。辰乃丞さんに関わりが深いのは星羅と朔兎ですからね。能力者になったばかりのころ心細いころ何度がご一緒した縁は大切にした方がいいですしね。それも同世代の同郷の方と一緒なら。
こんにちは。妹と相棒がお世話になってます。この子達にとって瑠璃さんとの出会いは幸運でした。よろしくお願いしますね。
精霊顕現で9体の氷の精霊をよびだして瑠璃さんと星羅と朔兎の会話をはなれて見守ります。同世代しか伝わらないことがあるでしょうしね。
桜綺麗ですね。奏。そうですね。僕と奏が育ってきた生活は同郷で同世代の戦士なんて出会えませんでした。大切にしてほしい。この旅を。
神城・星羅
【星月の絆】で参加
何度も戦場を共にした辰乃丞のお願いであれば。年が離れた姉はいますしね。血縁はありませんが、大切な姉様ですしね。大切な妹君を守りたい気持ちは良くわかります。
はじめまして。瑠璃さん。お兄様には戦場でお世話になりました。あいたかたです。私と朔兎様は年代からして稀有な高位の猟兵です。同世代のわかちあえる瑠璃さんに出会えてよかった。
隣にいるかたは将来をお誓いした愛しい方です。私は音律特化の陰陽師ですから、歌人である瑠璃さんと話があうかと。朔兎様と共に桜をながめながらお団子を食べましょう。ああ、たのしい。
ええ、ぜひこの旅を無事にすごしましょう。かならず、お守りします。
源・朔兎
【星月の絆】で参加
辰乃丞さんはお世話になってるしな。年が離れていようと血が半分しかつながってなかろうと大切な妹君には間違いない。俺の家族のきょうだいなんて血縁ないし年はなれてるしな。同世代、同郷で同じ高位、俺と星羅の存在は稀有だ。瑠璃さんにぜひあいたい。
瑠璃さん、はじめまして。源朔兎だ。俺が皇族だってことはわかるとおもうけど同世代だから気安く接していいぜ!!大変だよな、俺たちのような年での危険な任務の旅って。だから桜みながら桜餅食べよう!!
うん、危険な旅だろうけど、絶対成功させような!!俺たちはまだやることたくさんあるし!!
今回の案件は、平安歌人の歌枕を目指す旅への同行依頼。
けれど任務の完遂は勿論のこと、折角なので、気を抜かぬ程度に道中も楽しみたいところ。
だから今回も家族全員で……赴いては、いるのだけれど。
(「お父さん達から先に行って、と」)
(「お父さん達は4人で花見を楽しむようで」)
父達はゆっくりと花見を楽しむとのことだから。
そんな大人組よりも先に、真宮・奏(絢爛の星・f03210)と神城・瞬(清光の月・f06558)は妹分と弟分と共に、子供組でまずは行動することに。
いや、先に征くのは、大人達がゆったり花見を楽しむからというだけでなく。
「辰乃丞さんはお世話になってるしな」
「何度も戦場を共にした辰乃丞のお願いであれば」
奏と瞬の妹分と弟分である、源・朔兎(既望の彩光・f43270)と神城・星羅(黎明の希望・f42858)は、気合も十分。
今回の案件を予知したのが、これまでもこの世界の事件を共に解決してきた同志であるとなれば、俄然力も入るというもの。
そして朔兎と星羅の言葉や様子に、奏と瞬も納得するように頷き合う。
「辰乃丞さんに関わりが深いのは星羅と朔兎ですからね」
「辰乃丞さんは依頼で星羅と朔兎が何度がご一緒したことがあります。もう戦友と思ってるほど親しく思ってるようで」
それに今回は、そんな戦友からの依頼というだけではないのだ。
今回同行する平安歌人を思えば、朔兎と星羅にとって、きっと特別な旅になると思うから。
「幼いあの子たちにとって同世代の故郷の能力者との交流はなにより大事。そうですよね、瞬さん」
「能力者になったばかりのころ心細いころ何度がご一緒した縁は大切にした方がいいですしね。それも同世代の同郷の方と一緒なら」
戦友である彼の妹であり、自分達と同郷で同世代の平安歌人である瑠璃との出逢いは。
何より、朔兎と星羅はよく知っている。
「年が離れていようと血が半分しかつながってなかろうと大切な妹君には間違いない。俺の家族のきょうだいなんて血縁ないし年はなれてるしな」
「年が離れた姉はいますしね。血縁はありませんが、大切な姉様ですしね。大切な妹君を守りたい気持ちは良くわかります」
年の離れた腹違いの兄妹であるという彼と彼女も、互いが大切に思う家族には違いないだろうと。
だって、血のつながりがなくても、年が離れていても、大切な家族が自分達にもいるのだから。
だから朔兎は思うのだ。
(「同世代、同郷で同じ高位、俺と星羅の存在は稀有だ」)
……瑠璃さんにぜひあいたい、と。
そして、転送された先の平安の地で。
此処へと送り届けてくれた彼と同じ、銀の髪をした少女へと声を掛ける朔兎と星羅。
「はじめまして。瑠璃さん。お兄様には戦場でお世話になりました。あいたかったです」
「瑠璃さん、はじめまして。源朔兎だ」
「わたくしは、瑠璃ともうします。お二方は、辰兄様と、おしりあいなのですね」
それからどこか少し緊張気味な瑠璃へと、ふたりはこう続ける。
「俺が皇族だってことはわかるとおもうけど同世代だから気安く接していいぜ!!」
「私と朔兎様は年代からして稀有な高位の猟兵です。同世代のわかちあえる瑠璃さんに出会えてよかった」
そんなふたりの言葉を聞けば、はい、と頷いて。
緊張が解れた様子の瑠璃に、瞬と奏も挨拶を。
「こんにちは。妹と相棒がお世話になってます」
「お兄様には義妹と弟分がいつもお世話になってます」
そしてやはり兄のことをふたりも知っているとなれば、瑠璃も丁寧に頭を下げつつも安心したような表情を宿して。
瑠璃へと、ふたりも確りと心に宿す思いを伝える。
「なによりもこの子達にとって瑠璃さんは同世代で同じ故郷。危険な旅、守らせてください」
「この子達にとって瑠璃さんとの出会いは幸運でした。よろしくお願いしますね」
「はい、わたくしの方こそ、このたびはよろしくおねがいいたします」
そして貴族の子らしく礼儀正しい振る舞いではあるけれど。
「わたくしは、本格的な旅は今回がはじめてなので……とってもたのしみです」
わくわくしたその姿は、年相応の少女のもの。
だから、最初は緊張していたり力みがあった瑠璃だけれど。
同郷で同じ世代の朔兎と星羅と、楽しく並んで道中を歩く。
「おふたりは、ご兄妹なのですか?」
「隣にいるかたは将来をお誓いした愛しい方です」
「! はわ、将来をお誓いした方、なのですね」
瑠璃はそう羨望の眼差しを改めてふたりに向けつつも。
頬を染めてちらりと一瞬視線を向けた殿方は、彼女の初恋の相手……なのかもしれない。
それに話に聞いていた時から、共通点も多いと星羅は思っていたが。
(「私は音律特化の陰陽師ですから、歌人である瑠璃さんと話があうかと」)
そう思った通り、芸術的感性が高い者同士、すぐに仲良くなって話も弾んで。
初めての旅だという瑠璃を気遣いながらも、でも折角の旅を一緒に楽しみたいって、そう思うから。
「大変だよな、俺たちのような年での危険な任務の旅って。だから桜みながら桜餅食べよう!!」
「朔兎様と共に桜をながめながらお団子を食べましょう」
「わぁ、甘味はとても好きです。はい、ぜひごいっしょさせてください」
桜咲く道を楽しく進んだり、途中で甘味休憩を取ったりと。
月夜の桜の下で、春のひとときをたくさん一緒に堪能する。
瞬と奏はそんな楽しそうな3人へと目を向けつつ、少し距離を取って歩きながらも。
「わ、かわいいのです……!」
奏はもふもふなお友達を、瞬は9体の氷の精霊をよびだして。
「同世代しか伝わらないことがあるでしょうしね」
「年が近いものしかわからないものがあるんでしょうからね」
桜が舞い降る中、今は彼ら彼女らの子供らしさを大切に見守ることにする。
色々と似たところがある3人だからこそ、わかりあえると思うから。
「はじめての歌枕へ旅、成功させたいです。みなさまのお力を、かしてください」
「うん、危険な旅だろうけど、絶対成功させような!!」
「ええ、ぜひこの旅を無事にすごしましょう」
改めて瑠璃からお願いされれば、朔兎と星羅は勿論、大きく頷いて返して。
――俺たちはまだやることたくさんあるし!!
――かならず、お守りします。
そう続けたふたりに、瑠璃は再び頭を下げる。ありがとうございます、と花笑んで。
そしてすっかり打ち解けている様子の3人を微笑ましく見つめながら。
「綺麗な桜ですね。瞬さん」
奏はすぐ隣を歩く彼へと視線を移して続ける――私たちではなしえなかった出会いを大事にしてほしい、って。
「桜綺麗ですね。奏」
瞬もそう並んで進む彼女へと目を向ければ、そうですね、と頷いてから。
奏の髪へと舞い降ってきたひとひらをそっと取ってあげながらも、同意するように紡ぐ。
「僕と奏が育ってきた生活は同郷で同世代の戦士なんて出会えませんでした」
楽し気な少年少女の姿を改めて見守りつつ――大切にしてほしい。この旅を、と。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
真宮・響
【調和の絆】で参加
同行する瑠璃は私たちにとっては親のような年の差だし、実際に縁がある子達が実際に話した方がいいだろう。はじめての任務だ。驚かせてはいけない。
なので親たちは親らしく、4人で咲き誇る桜みながらあるこう。隣には大事な盟友の麗奈がいる。麗奈は世界に戻ってきてはじめての桜の春、楽しくすごしてほしい。いつもすんでいるサクラミラージュの桜は幻の桜だし。本物の桜はいいだろう。それにドルイド系統の魔女である麗奈には咲き誇る桜は見ものじゃないか。
まだ肌寒いのでボトルのお茶を飲みつつ麗奈と咲き誇る桜道をあるこう。綺麗だねえ。
神城・麗奈
【調和の絆】で参加
そうだね、私たち親世代は瑠璃は初対面だし、親のような年の差だから直接話をしても気後れさせるだけだろう。慣れない任務で余計な心労を与えたくない。じゃあ親同士花見といこう。盟友の響と並んで咲き誇る桜をみよう。
そうだね、私がいた世界は桜は咲いてなかった。世界に戻ってからのはじめての春・・・・幻の桜とちがって本物の桜はいい。
そうだね、専門としている魔術の都合上咲き誇る桜は興味深い。咲き誇る美の象徴、裏にある散り際の美しさ。どの意味も重要だ。ヤドリギを使うものとしては。
まだ肌寒い季節だからボトルのお茶を飲みながら響とあるく。ああ、満足だよ。その夢のような時間を盟友と過ごせるのは。
真宮・律
【調和の絆】で参加
直接関わったことのあるのは星羅と朔兎だし、初対面でいきなり親世代が4にいると不安にさせるだけだろう。親達で並ぶ桜の花見といこう。舞台プロデュースも手がける陽輝さんは美の象徴である桜の並木をみることはいい経験になるかと。
見事ですよね、桜。桜は春の鮮やかさをあらわす美の象徴、散り際の美しさなどさまざまな面をもつそうで。陽輝さん、なんかインスピレーションうかびましたか?感嘆の息を漏らす陽輝さんの表情に響と奏の面影をみいだして微笑む。本当ににてる。
桜茶をさしだしながら、陽輝さんとの花見をする。ああ、いい時間だ。
天野・陽輝
【調和の絆】で参加
年頃の幼い子は感情が周りに影響しやすい。初対面で親世代の4人がいきなり現れるとびっくりさせるだけだからな。ただでさえ危険がまつ旅だ。心安らかに過ごしてほしい。
住んでいるサクラミラージュの桜も見事なものだが幻の桜だからね。律と共に桜並木を見て歩くよ。春の美の美しさをあらわし、裏には散り際の美しさ。いろんな面を持つ桜は舞台のプロデュースをする私にとって実にいい題材だ。ああ、いろんな場面が浮かんでくるねえ。
ああ、見事すぎて夢のようだ。え?響と奏に似てる?まあ、血筋だから。似てくるものだよ。桜茶か。風流だねえ。
目の前に咲き誇る桜。隣には律がいて。うん、幸せだ。
今回同行する平安歌人は、初めて歌枕の旅に出る、まだ幼い少女だと聞いて。
先に子供達を行かせたのは、それが良いだろうという大人達の相違の意見だったから。
「同行する瑠璃は私たちにとっては親のような年の差だし、実際に縁がある子達が実際に話した方がいいだろう」
……はじめての任務だ。驚かせてはいけない、と。
そう紡ぐ真宮・響(赫灼の炎・f00434)に、神城・麗奈(天籟の氷華・f44908)も頷いて返せば。
「そうだね、私たち親世代は瑠璃は初対面だし、親のような年の差だから直接話をしても気後れさせるだけだろう。慣れない任務で余計な心労を与えたくない」
「直接関わったことのあるのは星羅と朔兎だし、初対面でいきなり親世代が4人いると不安にさせるだけだろう」
真宮・律(黄昏の雷鳴・f38364)も、今回守るべき平安歌人である瑠璃との交流はまずは、年の近い家族に任せることにして。
天野・陽輝(眩耀の曙光・f44868)も同じく、心からこう思うから。
「年頃の幼い子は感情が周りに影響しやすい。初対面で親世代の4人がいきなり現れるとびっくりさせるだけだからな」
……ただでさえ危険がまつ旅だ。心安らかに過ごしてほしい、と。
妖が襲ってくることは避けられない。だが勿論、危害を加えさせるなんてさせないし。
そうなる前の初めての旅の出発は、彼女にとって楽しいものであってほしいから。
だから、4人は顔を見合わせて頷き合う。
「なので親たちは親らしく、4人で咲き誇る桜みながらあるこう」
「じゃあ親同士花見といこう」
そう盟友同士並んで咲き誇る桜の道を歩き始めた響と麗奈に続いて。
「親達で並ぶ桜の花見といこう」
「住んでいるサクラミラージュの桜も見事なものだが幻の桜だからね」
律と陽輝も、月夜の桜を共に眺め、歩き始める。
そして聞こえた父の声を耳に、改めて響は思うのだ。
平安歌人の瑠璃に対してもそうなのだけれど。
(「麗奈は世界に戻ってきてはじめての桜の春、楽しくすごしてほしい」)
隣には大事な盟友の麗奈がいる。そんな彼女にも、この春の宵を楽しんで欲しいと。
だから、はらり桜花弁が舞う中、響は声を掛ける。
「いつもすんでいるサクラミラージュの桜は幻の桜だし。本物の桜はいいだろう」
「そうだね、私がいた世界は桜は咲いてなかった」
麗奈もそう紡ぎながら、月に照る満開桜を見上げれば。
改めて、実感する。
「世界に戻ってからのはじめての春……幻の桜とちがって本物の桜はいい」
そんな盟友の横顔を見つめつつ、瞳を細める響。
「それにドルイド系統の魔女である麗奈には咲き誇る桜は見ものじゃないか」
「そうだね、専門としている魔術の都合上咲き誇る桜は興味深い」
どこまでも続きそうな、月夜の桜の道。
そしてそんな見事な景色を歩きながら交わす会話。
「咲き誇る美の象徴、裏にある散り際の美しさ。どの意味も重要だ。ヤドリギを使うものとしては」
それは束の間の、穏やかな盟友同士の春のひととき。
それから、響と麗奈に続いて歩きながらも。
(「春の美の美しさをあらわし、裏には散り際の美しさ。いろんな面を持つ桜は舞台のプロデュースをする私にとって実にいい題材だ」)
(「舞台プロデュースも手がける陽輝さんは美の象徴である桜の並木をみることはいい経験になるかと」)
律は、きっと彼の感性にもこの景色は良いものだろうと、物思うように桜を眺める義父へと視線を向けて。
「見事ですよね、桜。桜は春の鮮やかさをあらわす美の象徴、散り際の美しさなどさまざまな面をもつそうで」
ふとこう、訊ねてみるのだった。
「陽輝さん、なんかインスピレーションうかびましたか?」
「ああ、いろんな場面が浮かんでくるねえ」
そんな向けられた問に、陽輝はそうすぐに頷いて返してから。
改めて、桜咲き花弁舞う春の夜を眺め、感嘆の息を漏らす。
……ああ、見事すぎて夢のようだ、と。
そして満開に咲く夜桜の美しさにも目を奪われるのだけれど。
律が見つめるのは、隣を歩く陽輝の表情。
だって、思ってしまうから――本当ににてる、って。
響と奏の面影をみいだして、微笑んでしまうほどに。
そんな律が思わず落とした呟きに、陽輝は瞳を瞬かせるも。
「え? 響と奏に似てる? まあ、血筋だから。似てくるものだよ」
前を歩く愛娘や愛孫を見れば、無意識に宿るのは嬉し気な表情。
それに何より、見つめる先の子や孫が楽しそうにしている姿が嬉しくて。
そして陽輝の視線の先で、まだ肌寒いからとボトルのお茶を飲みつつ咲き誇る桜道を共に歩きながら。
「綺麗だねえ」
そう口にした響に、麗奈も頷いて返す。
「ああ、満足だよ」
……この夢のような時間を盟友と過ごせるのは、って。
律も陽輝との花見を楽しみつつ、義父へと桜茶をさしだして。
「桜茶か。風流だねえ」
陽輝はそれを受け取り、爛漫に咲く幻想的な春の夜に思うのだ。
(「目の前に咲き誇る桜。隣には律がいて」)
「ああ、いい時間だ」
隣で紡がれた家族の言葉に同意するように――うん、幸せだ、と。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
八秦・頼典
ミルナ様(f34969)と
へぇ、冷泉殿に可愛い妹君がおられたとはね
そう固く畏まらずとも結構
正一位としてのボクは政務に励んでいる事になっており、ここに居るのは瑠璃様と共に歌枕へ同伴する一介の陰陽師ですので…そうだよね、ミルナ様?
まるでボクらにも歳の離れた妹が出来た心地だけど、桜花爛漫たる桜の夜道で少し休憩しようか
もの思ふと
過ぐる旅路も
知らぬまに
花のひもとく
歌うに会ふらむ
ミルナ様と即興に軽く歌い合い、瑠璃様の不安を晴らそう
ここが妖の領域であってもボクらが瑠璃様をお護り致しますのでご安心を
だったら、ボクも光る君に肖って桜色の直衣を着てくるべきだったかな?
などと場を和ませ、恋しい姫の菓子と茶を頂こう
ミルナ・シャイン
頼典様(f42896)と。
初めまして瑠璃様、この度護衛を努めさせていただくミルナと申します。どうぞお見知りおきを。
ええ、わたくしも頼典様とはたいへん親しくさせていただいてますの!
(恋人ですから!…というのは、言わなくても伝わるでしょう)とさり気なく頼典様の腕をとり。
そうですわね、こんなに綺麗な夜桜ですし…平安歌人の瑠璃様には及ばないでしょうが、わたくしもひとつ。
はかなくも
今を盛と
咲き誇る
月夜の桜に
似るものぞなき
源氏物語の花宴に出てくる歌から着想を得まして。物語の宴もこんな感じだったのかしら。
宴というほどのものではありませんが、持ってきた桜のフレーバーティーとクッキーで英気を養いましょう。
平安貴族として、そして猟兵として、互いに見知った間柄ではあるが。
八秦・頼典(平安探偵陰陽師ライデン・f42896)は、確かに知る彼と同じ銀髪をした、眼前の小さな少女を見つめて。
聞いていた通り、年の割にはしっかりしている印象を受ける瑠璃ではあるが。
「へぇ、冷泉殿に可愛い妹君がおられたとはね」
「わ、わたくしは瑠璃ともうしますっ。辰兄様もですが、その、わたしや兄様には、腹違いの兄妹がいっぱいおりまして……」
それでもあわあわと彼女が慌てるのは、頼典の地位を知っているからだろう。
そしてそのような反応には、頼典自身も慣れているから。
「そう固く畏まらずとも結構」
柔く笑んで返し、同じ目線に屈んでみせて紡ぐ。
「正一位としてのボクは政務に励んでいる事になっており、ここに居るのは瑠璃様と共に歌枕へ同伴する一介の陰陽師ですので」
……そうだよね、ミルナ様? って。
共に在るミルナ・シャイン(トロピカルラグーン・f34969)へと視線を移して。
それから、頼典の|位《くらい》の高さと気品に、やはりまだ緊張気味な瑠璃の気持ちを和らげるように、ミルナも彼女へと声を向ける。
「初めまして瑠璃様、この度護衛を努めさせていただくミルナと申します。どうぞお見知りおきを」
そして改めて立ち上がった彼の腕をさり気なく取って。
「ええ、わたくしも頼典様とはたいへん親しくさせていただいてますの!」
彼の呼びかけに大きく頷いて返しつつも……恋人ですから! なんて。
あえて言うことはしないのは、自分達への瑠璃の羨望の眼差しを見れば、それが伝わったことがわかったから。
それから挨拶を交わし終え、歌枕への旅に出発し、暫く共に歩けば。
瑠璃の緊張も随分と和らいで、礼儀正しい中にも、子供らしさをみせるようになれば。
頼典は微笑ましく思う。まるでボクらにも歳の離れた妹が出来た心地だ、と。
けれど勿論、小さな瑠璃や恋人のミルナのことを、細やかに気遣って。
「桜花爛漫たる桜の夜道で少し休憩しようか」
満開桜が咲く景色が眼前に広がる中、どこまで続くかわからぬ月夜の道の先を思い、そう提案を。
そしてわくわく心躍らせている様子でありながらも、初めての旅には不安もつきものだから。
頼典は、瑠璃様の不安を晴らそう、と。桜の風景に、華やかに咲かせる。
もの思ふと
過ぐる旅路も
知らぬまに
花のひもとく
歌うに会ふらむ
この旅と花を歌った、即興の一句を。
それから、小さな歌人を安心させるために、さらに言葉を紡いでみせる。
「ここが妖の領域であってもボクらが瑠璃様をお護り致しますのでご安心を」
ミルナも、そんな頼典の歌や言葉に、こくりと頷いて。
「そうですわね、こんなに綺麗な夜桜ですし……平安歌人の瑠璃様には及ばないでしょうが、わたくしもひとつ」
はかなくも
今を盛と
咲き誇る
月夜の桜に
似るものぞなき
「源氏物語の花宴に出てくる歌から着想を得まして。物語の宴もこんな感じだったのかしら」
一句読んで彼と歌い合いながらもそう口にすれば。
歌人であり、勤勉で物語を読むことも好きだという瑠璃は、ぱあっと嬉し気な表情をして。
「わ、ミルナ様もお読みになられたのですね! 瑠璃も、光の君のおはなしはよみましたっ」
「だったら、ボクも光る君に肖って桜色の直衣を着てくるべきだったかな?」
場を和ませるべく頼典が言えば、女子たちは瞳をキラキラ。
「それは是非見たいですわ、頼典様」
「瑠璃も拝見したいです、きっと本物の光の君みたいにすてきかと……!」
それからそう話が盛り上がる中、ミルナは休憩のお供にと取り出し、ふたりに差し出す。
「宴というほどのものではありませんが、英気を養いましょう」
この景色にぴったりな、持参した桜のフレーバーティーとクッキーを。
そんな紅茶や甘味に、子供らしく嬉し気な瑠璃の様子を見守りながらも。
頼典もその手を伸ばし、楽しむことにする。
月夜に美しく幻想的に咲き誇る桜を共に愛でながら……恋しい姫の菓子と茶を頂こう、と。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふわぁ、歌枕ですか。
どんな所でしょうね?
平安歌人さん達が和歌を詠み続けるような場所ですから風景が素敵な場所なんでしょうね。
ふえ?それなら私も一句詠むべきって、アヒルさんなんで短冊なんて用意しているんですか?
うう、全然思いつきません。
アヒルさんは何か和歌ができましたか?
雅なアヒルさんにはこの程度だって、
ただガアガア言っているだけじゃないですか。
雅なアヒルさんの高尚な和歌は凡人には理解できないって、一応私はアヒルさんの言っていることは分かりますけど、本当にガアガアしか言ってませんよね。
今回の依頼は、小さな平安歌人のお供をして、歌枕へとたどり着くこと。
とはいえ、吹く春風に大きな帽子をそっと手でおさえつつ首を傾けるのは、フリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)。
「ふわぁ、歌枕ですか。どんな所でしょうね?」
アヤカシエンパイアの平安歌人には馴染みの場所かもしれないが、歌枕と聞いただけではピンとこないのも事実。
けれど、どういうことをする場所かは、ちゃんと聞いて知っているから。
「平安歌人さん達が和歌を詠み続けるような場所ですから風景が素敵な場所なんでしょうね」
そう想像を膨らませていれば……刹那向けられたアヒルさんの主張に、大きな赤の瞳を思わずぱちり。
それからアヒルさんに改めて目を向ければ、さらに瞬きをしてしまう。
「ふえ? それなら私も一句詠むべきって、アヒルさんなんで短冊なんて用意しているんですか?」
すちゃっとばっちり、歌を詠む準備も万端なその姿に。
でも確かに、歌を詠むことで平安結界も維持されるというし。
同行する歌人である瑠璃への挨拶かわりに、一句詠むのもいいかもしれないから。
フリルも雅な歌を、真剣に考えてみるも。
「うう、全然思いつきません。アヒルさんは何か和歌ができましたか?」
全く出てこないから、アヒルさんをちらり。
というわけで、えっへんドヤ顔で、歌い人なアヒルさんがここで一句――。
「雅なアヒルさんにはこの程度だって、ただガアガア言っているだけじゃないですか」
ガアガアと歌を詠みました!
いえ、嘴で突っつきたいところを雅な心でおさえながらも、アヒルさんはガアガア。
そして、それを聞いたフリルは。
「雅なアヒルさんの高尚な和歌は凡人には理解できないって、一応私はアヒルさんの言っていることは分かりますけど」
頷ける、分かる部分もまぁ、あるといえばあるのだけれど。
でもやはり何よりも、雅に歌っているらしいアヒルさんの和歌にこう思うのだった。
……本当にガアガアしか言ってませんよね、って。
大成功
🔵🔵🔵
八坂・詩織
初めまして瑠璃さん、今回の旅に同行する八坂・詩織です。よろしくお願いしますね。
瑠璃さんは平安歌人なんですよね。私も和歌には興味がありまして、最近は自分で歌を作ってみたりもしてるんですが…
聞いていただけますか?
春の夜の夢の中にや入りにけむ
月夜を染める花景色とは
それっぽく詠んでみただけでちゃんと勉強したわけでもないですから、歌人には程遠いかと思いますが…
瑠璃さんの歌もまた聞かせてくださいね。
まだ夜は少し冷えますし、よければこのお茶を…自動回復もつきますから。
指定UCのチャイを差し出し。
異国の飲み物ですからお口に合うかどうか、スパイスは控えめにして甘めにしましたけど。
口直しにビスケットもどうぞ。
普段から少年少女とは、仕事で沢山顔を合わせているのだけれど。
今回同行する彼女は、自分の受け持つ生徒達よりも、もっと幼い少女。
「初めまして瑠璃さん、今回の旅に同行する八坂・詩織です。よろしくお願いしますね」
「冷泉・瑠璃ともうします、こちらこそよろしくおねがいいたします」
知人と同じ銀の髪を持つ彼女、瑠璃はまだ8才で。
これがはじめての、歌枕への旅であるという。
だが幼いながらもその才は開花しているという話だから。
「瑠璃さんは平安歌人なんですよね。私も和歌には興味がありまして、最近は自分で歌を作ってみたりもしてるんですが……聞いていただけますか?」
「ぜひ、詩織様の和歌、おききしたいです!」
子供らしさを垣間見せつつもわくわく待つ彼女へと、詠んだ一句を聞いてもらう。
春の夜の夢の中にや入りにけむ
月夜を染める花景色とは
「それっぽく詠んでみただけでちゃんと勉強したわけでもないですから、歌人には程遠いかと思いますが……」
「いえ、詩織様の歌、とてもすてきです! 夜桜のげんそうてきなふんいきや美しいかがやき、春の月夜の情景がうかんできます」
小さくてもやはり平安歌人。そう楽し気に、歌を聞いてくれた瑠璃へと、詩織は瞳を細めて。
「瑠璃さんの歌もまた聞かせてくださいね」
「はい。あ、ここだけのおはなしですが……辰兄様が詠む歌は、まったく風流さがないのです」
「そうなんですか? ふふ、ここだけの話、ですね」
「兄様はまじめに詠んでいるのですが、同じ平安歌人の父様とびっくりしちゃうのです」
そんな雑談を交わしながら、楽しく満開桜咲く月夜の道を歩いて。
結構進んだはずだけれど、まだまだ先は長そうだから。
「まだ夜は少し冷えますし、よければこのお茶を……自動回復もつきますから」
……暑い時も寒い時もチャイは美味しいですよ、と。
休憩がてら詩織が差し出すのは、淹れてきた特製チャイ。
そして、インド式ティータイムを一緒に楽しみつつも。
「異国の飲み物ですからお口に合うかどうか、スパイスは控えめにして甘めにしましたけど」
「! のんだことない味わいで、ぽかぽかしておいしいですっ」
「それならよかったです。口直しにビスケットもどうぞ」
手渡したビスケットを口にした瞬間、ほわりと。
その甘さに嬉々と輝く瑠璃の瞳を見れば、彼の兄に甘味を差し出した時のことを思い出すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
星川・玲蘭
【WIZ】
連・アド可
8歳の才児かぁ……わたしにはちょっと想像つかないかな
でも、|当時《平安時代》は15歳で|元服《成人》って言われている訳だし
中には女の子だと早々……其れこそ1桁の年齢の頃から婚約とかされている時代だったらしいって聞いたことがあるからなぁ……
そう考えると、わたしよりもずっと教養ありそうだよね、瑠璃ちゃんって
と言う訳で、当時の詩詠みとかの学びと交流を深める事も兼ねて
この旅路に同行させて貰うね!
【行動】
平安歌人、歌枕についてとか色々とお話を聞いて、この時代の殿方にはどういうのが受けがいいのかとか、そういう話を聞いてみるよ
意外にそう言う所に新しいアイディアって言うのはあったりするからね
後は、瑠璃ちゃんと一緒に花見に興じながら、色々と歌詠み(この場合、連歌になるのかな?)に
協力して、お花見を楽しんでいくよ
御免ね、政治的な事情とか、瑠璃ちゃんがどんな心持でいるのかに関しての事情には疎くて
でも…それでも、仲良くしたいとは思うし、わたしにも良い刺激になると思うから、全力は尽くすよ
歌枕へと至るべく、旅に出る。
それはこのアヤカシエンパイアの平安結界を維持するために必要な、平安歌人としての任であるとのことだけれど。
そんな歌人の旅の護衛という今回の依頼の話を聞いた星川・玲蘭(人間のフレッシュ☆アイドル・f45163)は、やはりまずこう思ったのだった。
(「8歳の才児かぁ……わたしにはちょっと想像つかないかな」)
8歳といえば、現代地球でいえばまだ小学生。
とはいえ、少数ではあるが小学生の人気アイドルもいるから。
8歳で才が開花した平安歌人というのも、それと同じような感じかもしれないし。
それに、ここが平安の世であることを思えば。
(「でも、|当時《平安時代》は15歳で|元服《成人》って言われている訳だし。中には女の子だと早々……其れこそ1桁の年齢の頃から婚約とかされている時代だったらしいって聞いたことがあるからなぁ……」)
この世界の人たちは早熟なのかもしれない。
そして転送された先、件の小さな平安歌人とご対面すれば、玲蘭は改めて思うのだった。
「このたびは、わたくしのために、ありがとうございます。瑠璃ともうします」
「わたしは星川・玲蘭、よろしくね、瑠璃ちゃん!」
礼儀正しくぺこりとお辞儀する8歳の少女を見つめ、挨拶を返しながらも。
(「そう考えると、わたしよりもずっと教養ありそうだよね、瑠璃ちゃんって」)
それから、初めての旅にわくわくしつつも、やはりドキドキしている様子の彼女に、アイドルらしい笑みを向けて。
「と言う訳で、当時の詩詠みとかの学びと交流を深める事も兼ねて、この旅路に同行させて貰うね!」
「はい、よろしくおねがいいたしますっ」
見る人が元気になるような玲蘭のその笑顔に、少し緊張気味だった瑠璃の表情も和らぐ。
だってきっと、お互い抱く気持ちは同じだと思うから。
絶望も悲しみも、どの世界にだって溢れるほどあるけれど……でも、希望があるのもちゃんと知っているからこそ思うのだ。
様々なものを抱える人達を、少しでも救いたいと――アイドルとしてでも、平安歌人としてでも。
とはいえ、いくら才のある子だとしても、瑠璃は8歳の少女には違いないから。
「平安歌人は定期的に歌枕で和歌を捧げて結界を維持するって聞いたけど、歌枕ってどんなところなのかなぁ?」
「わたくしも、はじめてまいりますが……歌がたくさんうかぶような、感性にひびく風景がひろがるような場所が多いみたい、なのです」
「感性に響く、かぁ。この時代の殿方にはどういうのが受けがいいのかな?」
桜咲く月夜の道を、楽しく話しながら歩けるようにと。
雑談がてら、瑠璃に色々と話を聞いてみる玲蘭。
そして礼儀正しいが人懐っこいと聞いていた彼女は、楽しそうにそれに応じて。
「受けがいい……やはり男女とわず、恋の歌などは好まれますし。わたくしはまだおさないので、美しいものや可愛いものにかんしての歌を多く詠みます」
「恋の歌かぁ、それはどこの世界も似たようなものなんだね。桜と恋だと、ちょっと儚いような、別れと出逢いの春の歌……って感じなのかな? アイドルの歌と似てるかも」
「あいどるとは、どのような御方なのか知りませんが……玲蘭様も、歌をたしなまれるのですね」
「うーん、和歌ではないけど……確かにアイドルはみんな、歌は嗜んでいるかなぁ」
瑠璃の言葉や会話の内容ひとつひとつに、きっちりと耳を傾ける玲蘭。
……意外にそう言う所に新しいアイディアって言うのはあったりするからね、って。
違う世界に在る者同士、自分では思いつかないようなことも、色々聞けそうだから。
そして、これも折角の機会。
「一緒に花見に興じながら、色々と歌詠み……この場合、連歌になるのかな?」
「おたがいに歌を詠んで連ならせる、すてきです!」
舞う桜花弁たちを聞き手に、歌を詠み合いながら協力しつつ、花見を楽しんでいく。
それから満開に咲く桜の下で、暫しひと休みすることにすれば。
玲蘭は瑠璃へと、こう紡ぐ。
「御免ね、政治的な事情とか、瑠璃ちゃんがどんな心持でいるのかに関しての事情には疎くて。でも……それでも、仲良くしたいとは思うし」
「わたくしも、玲蘭様とお友達になりたいのです」
そしてすぐに返ってきた言葉に瞳を細めながらも、月の耀く桜空に誓うように。
玲蘭は約束を紡ぐ……わたしにも良い刺激になると思うから、全力は尽くすよ、って。
どれだけ共に歩いたか――あれだけ満開だった桜の道が、はらりひらり、終わりを告げたから。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『泡影比丘』
|
POW : 夢髄武顕現
【夢の中】から、斬撃・投擲・盾受けに使える【悪夢の剣】と【吉夢の槍】を具現化する。威力を減らせばレベル×1個まで具現化可能。
SPD : 永眠夢魘法
【夢の中】から出現する【悪夢の鎖】を最大でレベルmまで伸ばして対象1体を捕縛し、【悪夢】による汚染を与え続ける。
WIZ : 夢想眠永誘
【夢の中】からレベル×1個の【夢の破魔矢】を召喚する。[夢の破魔矢]に触れた対象は【睡眠】【金縛り】の状態異常を受ける。
イラスト:すずや
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
桜の道が終わっても、花の余韻に浸ってしまう。
それほどに、美しくも幻想的の満開桜であったのだけれど。
春の色に酔い痴れる者達をただひたすら静かに、だが確実に、待っている輩がいた。
『|現世《うつしよ》は無常、夢の境地こそ真の極楽なり』
『夢想に溺れたる時、其の者は永遠の悦楽を得るだろう』
『恐るること無く、夢路へと身を委ねれば佳き』
目的地の歌枕もすぐそこだというのに――「妖の裂け目」から現れたのは、|泡影比丘《ほうようびく》の群れ。
この妖どもは、常に落ち着いており、如何なる時も取り乱すようなことはなく、夢の中で生きることを良しとする教義を説くという。
難解な言い回しや言葉遣いで、夜桜の余韻冷めやらぬ者達を誑かし、夢の力を操り、眠らせ――幸福な夢や悪夢に誘うのだ。
そしてこの場に現れたのは、教義に邪魔な平安結界を強化する平安歌人を殺すため。
確かに、満開に咲く月夜の桜は美しかったけれど、そんなことを勿論許すわけにはいかないし。
猟兵達は、己がやるべきことを違えたりはしない。
「! 裂け目から、妖が」
すかさずそう驚愕する瑠璃の盾となるべく位置取り、迎え撃つべく身構える。
泡影比丘の群れを蹴散らし、彼女を歌枕へときっちり送り届けるために……各々の得物を手にして。
白矢羽・尭暁
瑠璃、おいで
今日は僕が兄の代りをするといったからね
それにみんなも守ってくれるし、君は傷一つつけさせないよ
きっとれーくんなら抱えあげて守るだろう
しっかり掴まっているんだよと声かけて太刀を抜く
攻撃はなるべく避けるか、太刀でいなすか
直接あたらないように気を付ける
瑠璃もだけど、僕に傷があればあとで心配されるだろうし
幼い少女に妖が血を噴くとこは見せたくないなぁ
肉体は斬らずに斬ってしまおう
我血、今日はちょっとだけだよ
瑠璃が心配してしまうだろうから
悪夢の鎖が届いても、僕はもそれを払う術を知っている
ひとりではないと、知っているから大丈夫なのだ
それに屈することはない
いらない鎖と悪夢は斬り払って、良い夢をみせよう
美しい桜で惑わせ、小難しい甘言を吐き、幸福な夢や悪夢に誘う妖。
現れたそんな|泡影比丘《ほうようびく》どもは、夢の中で生きることを良しとする教義を説くために、冷静に狙いを定めて襲いくる。
彼らにとって邪魔な存在である平安歌人を。
「! あ、妖……!?」
その姿を見れば、これまで楽し気だった瑠璃の表情も思わず強張るけれど。
すぐにハッと我に返れたのは、その耳に確かに届いたから。
「瑠璃、おいで」
聞きなれた、優しくも頼もしい白矢羽・尭暁(金烏・f42890)の声が。
そして胸に飛び込んできてはぎゅっとしがみつく彼女の頭をそっと撫でてあげながら。
「今日は僕が兄の代りをするといったからね」
安心させるように紡いで聞かせる……それにみんなも守ってくれるし、君は傷一つつけさせないよ、って。
それから、しっかり掴まっているんだよと。
そう声かけてスラリと太刀を抜いたのは、こう思ったから。
(「きっとれーくんなら抱えあげて守るだろう」)
そして夢の中から出現する悪夢の鎖の軌道を確りと金の双眸で見据えれば、瑠璃を抱いたまま身を翻して。
『夢幻こそ極楽なり』
『我々は人々をその境地へと導く存在』
『其れを阻むものは悪夢へと堕つるが良い』
泡影比丘の放つ攻撃を躱し、太刀でいなし、直接あたらぬよう意識して立ち回る。
だって、怪我をするわけにはいかない。
(「瑠璃もだけど、僕に傷があればあとで心配されるだろうし」)
きっと自分にしかわからぬ機微で眉を潜め、心痛に思う様子が目に浮かぶから。
それに、自分の腕の中で微か震えながらも、必死に気丈に振舞わんと頑張るその小さな姿を見れば。
(「幼い少女に妖が血を噴くとこは見せたくないなぁ」)
尭暁はそう思うから、握る愛刀へとこう断りを入れる。
「我血、今日はちょっとだけだよ」
……瑠璃が心配してしまうだろうから、って。
そして妖を滅する皇族の血を少しだけ飲ませた刃を閃かせる。
『ふ、その様な刃など恐るる我々では……ッ、!?』
その清冽たる一太刀をもって――肉体は斬らずに斬ってしまおう、と。
だがそれでも懲りずに、泡影比丘が再び悪夢の鎖を繰り出してきても。
尭暁は知っている、届いたそれを払う術を。
(「ひとりではないと、知っているから大丈夫なのだ」)
だから――それに屈することはない、と。
「た、尭暁様……っ」
不安げに見上げる視線に、大丈夫だよと、柔く美しく笑んで返してみせる。
いらない鎖と悪夢は斬り払って、良い夢をみせよう――って。
大成功
🔵🔵🔵
八坂・詩織
瑠璃さんは下がっていて下さい、すぐに終わらせますから。
|起動《イグニッション》!
髪を解き、瞳は青く変化。防具『雪月風花』を纏う。
うつし世は夢 夜の夢こそまこと、と何処かの文豪も言っていたそうですが…
夢の世界で生きることの是非をここで論じるつもりはありません、ただ今やるべきことは瑠璃さんを守って無事歌枕の地まで送り届けること。道を開けてもらいますよ。
【早業】【結界術】で素早く厚い氷の壁を作り身を守りつつ、UC『ルナティック・マグネタイト』発動。悪夢の鎖は月光の刃で【切断】。今宵は月夜ですから時間制限なしで使えるはず。そのまま敵も刃で攻撃します。
私は教師です、子供に悪い夢は見せたくないんですよ。
夢の如き桜の道が終わりを告げれば、訪れるのは悪夢のような妖の襲来。
それは、先陣を切って盾となる仲間の元から後退してきた少女にとってはどんなに恐ろしいか。
だがこのような事態になることは、彼女以外の猟兵にはわかっていたこと。
むしろ少女を護り、妖を祓うために、自分達は今此処に在るのだから。
八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)は懸命に退き駆けてくる瑠璃を守るように位置取れば、はらりと髪を解いて。
「瑠璃さんは下がっていて下さい、すぐに終わらせますから」
――|起動《イグニッション》!
刹那、瞳の色が変化すると同時に。
その身に纏うは白く美しい着物、ひらり袖と裾にピンクの花と蝶が舞う雪月風花。
『夢こそ真理、幸福の境地』
『掬われたければ、夢幻に溺れよ』
眼前に迫るは、夢の中で生きることを良しとする教義を説く妖・|泡影比丘《ほうようびく》の群れ。
如何なる時も取り乱すようなことはなく、難解な言い回しと言葉遣いで、夢へと人々を誘わんとするのだという。
それが幸福か不幸か、相手が妖だという時点で明確ではあるが。
「うつし世は夢 夜の夢こそまこと、と何処かの文豪も言っていたそうですが……」
だが詩織は、紡がれる世迷言に誑かされたりはしない。
「夢の世界で生きることの是非をここで論じるつもりはありません、ただ今やるべきことは瑠璃さんを守って無事歌枕の地まで送り届けること」
だから――道を開けてもらいますよ、と。
素早く結界術を駆使し、厚い氷の壁を成しながらも、月光の魔力を迸らせる。
(「今宵は月夜ですから時間制限なしで使えるはず」)
そう、何せ今日は、雲一つない月が浮かぶ夜なのだから。
満開の夜桜を美しく照らしていた今宵の月が、今度は詩織に大いなる加護を与えて。
悪夢に染め上げんと夢の中から泡影比丘どもが生み出した鎖が、月光の刃で切断されていく。
『何故、幸溢れる夢を否定する……ぐッ!?』
『我々の教義に耳を傾けぬ愚か者は、鎖に捕らわれ悪夢に堕ち……ぐはっ!』
襲い来る妖と論じる気は、やはり毛頭ない。
けれど、小難しい教義を説く泡影比丘どもへと、詩織は刃と共に向ける。
「私は教師です、子供に悪い夢は見せたくないんですよ」
月の輝く春の夜に――揺らぐことの無い、己が成すべきことを、言の葉にして。
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふええ、妖さんが現れました。
ふえ?その気持ちを句にして和歌を詠めって、アヒルさんこんな時に何を言っているんですか?
今日は雅な依頼だから雅を極めるって、私は現代っ子ですから雅さは必要ないです。
ふええ、と言ってもアヒルさんが聞いてくれる訳はないんですよね。
えっと、
ふええええ
歌枕への
道中に
妖さん出て
大変です
全然、雅じゃないってしょうがないじゃないですか。
そういう勉強はしてないんですから。
ふえ?急に眠気が……zzz。
ふええ!アヒルさん起こす時はもっと優しくしてください。
どこが雅なんですか。
それより敵から没収した破魔矢で攻撃って、持ったら眠ってしまいますよ。
ふえ?念動力で投げればいいって、そうでした!!
桜の風景も終わりを告げ、歌枕も目前……であったのだけれど。
フリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)は大きな帽子をおさえながら、おどおどと眼前の光景に目をみはる。
「ふええ、妖さんが現れました」
『夢こそ最上の幸福なり』
『それこそが我々が説く教義』
そして何だか小難しい言葉を紡ぐ泡影比丘を見遣っていたフリルは、今度はつぶらな瞳をぱちりと瞬かせる。
「ふえ? その気持ちを句にして和歌を詠めって、アヒルさんこんな時に何を言っているんですか?」
あひるさんがびしっと主張するそんな提案に。
だがそんなあひるさんの言い分に対し、こう思うフリル。
「今日は雅な依頼だから雅を極めるって、私は現代っ子ですから雅さは必要ないです」
平安歌人が雅を解し、歌を詠めば、平安結界は修復や維持されるが。
現代人である自分が歌を詠んでも雅かどうかはわからないし、今回は平安歌人の護衛が仕事だ。
だから、歌を詠む必要は……とやっぱり思うのだけれど。
でもフリルはこうもわかっているのだ。
「ふええ、と言ってもアヒルさんが聞いてくれる訳はないんですよね」
あひるさんがそれを取り下げることもないだろうし、下手をすれば嘴でつんつん突かれかねないなんて。
だからここはひとつ。
「えっと……」
アヒルさんの言うように、歌を詠んでみることにする。
ふええええ
歌枕への
道中に
妖さん出て
大変です
そして詠み終われば、どうですか? と言わんばかりに、アヒルさんを見遣るフリルであったが。
「全然、雅じゃないってしょうがないじゃないですか。そういう勉強はしてないんですから」
アヒルさん曰く、詠んでみた歌は、あまり雅ではなかった模様……?
さらに敵が夢の破魔矢を放ってくれば、ふわぁっと大きなあくびがふいに出て。
「ふえ? 急に眠気が……zzz」
すやぁと、心地良い夢の中へ――は、いけず。
「ふええ! アヒルさん起こす時はもっと優しくしてください。どこが雅なんですか」
全然雅ではない起こされ方しました。
そして不服気なフリルにアヒルさんが差し出したのは。
「それより敵から没収した破魔矢で攻撃って、持ったら眠ってしまいますよ」
先程の眠気の原因の破魔矢?
なんでこんなものを、と最初は不思議顔であったフリルだけれど。
その意図がわかれば、こくりと大きく頷いて。
「ふえ? 念動力で投げればいいって、そうでした!!」
お仕事に不要な物を取り上げる没収の魔法で取りあげたそれを、敵へと念動力で投擲してお返しです!
大成功
🔵🔵🔵
星川・玲蘭
連・アド可
…ふーん
悪夢で、瑠璃ちゃんを夢の境地に連れて行くつもりなのかな?
…まあ、残念だけれど
わたしの前でそれが通じると思わない方が良いよ?
と挑発しつつ敵に指先突きつけてUC発動
ミュージック、スタート☆
初手:UC:君だけの☆アイドル+カバー・オブ・ドキドキ☆ハートLOVE
であなたを釘付けにして感動させてダメージを与えたら
反撃UCが来るだろうから
それをUC:フリーダム☆アイドルで反射+ドキドキ☆ダイナマイト!
でわたしにあなたの攻撃を釘付けにしれ、追撃のダメージを与えて上げるね☆
…悪夢はね
覚めるものっていうのが
わたしなりのアイドルの矜持だからね(流し目)?
…まあ、あなたには分からない話だろうけれど
月夜に咲く満開桜の道は、確かに夢のように幻想的だったけれど。
折角の美しい春の余韻を刹那、台無しにする輩が現れる。
けれど、星川・玲蘭(人間のフレッシュ☆アイドル・f45163)が全く動じない。
「……ふーん。悪夢で、瑠璃ちゃんを夢の境地に連れて行くつもりなのかな?」
だって、こうなることは事前に分かっていたし。
現れた泡影比丘の目論見だって、お見通しだから。
こてりと挑発するように首を傾けてみせつつ、玲蘭は妖の群れに教えてあげる。
「……まあ、残念だけれど、わたしの前でそれが通じると思わない方が良いよ?」
『夢幻こそ究極の幸福なり』
『夢に溺れれば、この忌まわしき現世から救われる』
それらしい言葉を並べ立てて誑かしてくる泡影比丘どもの言葉などに耳を貸すこともなく。
かわりに、びしっと指先突きつけて響かせるのは、そう!
――いっくよー! ダンガン・ソング♪
戦場に歌を響かせればそこはもう、玲蘭がセンターに立つライブ会場に!
そして、まず最初に披露してあげるのは。
「さーて、ミュージック・スタートだよ! ドキドキ☆ハート☆」
光の意志と希望を込めたこの曲――カバー・オブ・ドキドキ☆ハートLOVE!
ある少女が異世界で響かせていたカバー曲を歌い上げて。
『く、斯様な歌唱なんぞで、我々の教義が揺らぐとでも……、ッ』
敵を釘付けにし、感動させてダメージを与えた後。
ハッと気を取り直せば、ペンライトのかわりに振りかけていた夢の破魔矢を放ち、必死に響く歌に抗わんと反撃してくる泡影比丘。
でもそれに負けずに、次に歌うのは、この曲!
「悪いんだけれど、そう簡単にあなたの手に乗るつもりはないよ!」
燃え盛るアイドルオーラを迸らせて披露する、フリーダム☆アイドル!
悪夢の鎖による攻撃を、玲蘭は熱く歌い上げる旋律で釘付けしながらも。
音符が連なって曲を奏でるかの如く、次々と衝撃を与えていって。
「……悪夢はね、覚めるものっていうのが、わたしなりのアイドルの矜持だからね?」
ぱちりと、流し目アイドルウインク!
……まあ、あなたには分からない話だろうけれど、なんて。
堪らず揺らぐ無粋な観客達に、早いところ戦場というこの舞台から降りて貰うために。
大成功
🔵🔵🔵
真宮・奏
【星月の絆】で参加
来たか。まず瑠璃さんは後ろに下がらせて、と。剣と槍はできるだけ私が受けるから、朔兎は迎撃頼めるかな?できるだけ補助はする。
破魔矢の方は瞬さんと星羅に任せる。お互い無事で!!
スーパージャスティス発動!!【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【ジャストガード】【鉄壁】【硬化】【回復力】【拠点防御】!!
きついなあ。でもきょうだいの前で倒れてらんない。【かばう】【護衛】の最優先は瑠璃さんだけど、次に優先するのは朔兎かな。スピードタイプだから防御がおろそかになりやすい。
攻撃の余裕があれば【衝撃波】で援護。瑠璃さんの任務を無事成功させるのが星羅と朔兎のような強い子になる未来に必須だし!!
源・朔兎
【星月の絆】で参加
さすがに数揃えてきたな。大丈夫、瑠璃さんは絶対守るぜ。奏さんに負担強いる以上できるだけ迎撃頑張るな。奏さんの守りは信頼してるけど、手数が厄介だし。
瞬さんと星羅も気をつけて!!さあいくぜ!!
黎明の進撃発動!!【残像】【オーラ防御】【幻影使い】【心眼】で剣と槍を回避しつつ、【瞬間強化】+【限界突破】で【衝撃波】に【凍結攻撃】を付与して凍結しつつ叩き落とす!!攻撃が本体に届けば上出来だ!!
俺は手数スピードタイプだからなあ。奏さんに庇われるような事態は避けたい。俺も強くなったしな。できれば奏さんの代わりに【かばう】役目しても。
瑠璃さん、絶対旅を成功させよう!!いつか肩を並べる為に!1
神城・瞬
【星月の絆】で参加
瑠璃さん、下がって。星羅の隣に。剣と槍を奏と星羅に任せる分、矢の対処は任されましょう。
矢の防御は僕がやりますので、対処はまかせられますか、星羅。信頼してます。
凍てつく炎発動。大きい炎を5つ作りだし、【魔力増強】と【魔力供給】で強度をそこあげ。迎撃力をあげる為に【魔力具現化】でサポートに氷の狼を具現化。ここから先は通しません。幼い命が二人いる。
自らの防御も疎かにしてはいけませんね。【残像】【オーラ防御】【心眼】で耐えます。できれば炎の球のついでに【電撃】打てればいいんですが。
星羅、術行けますか!?ええ、瑠璃さんと星羅が共に並び立つ未来のために、できることをしましょう。
神城・星羅
【星月の絆】で参加
瑠璃さん、私の隣に。【式神使い】で狼と狛犬を召喚し、【護衛】させます。手数が多い剣と槍の対処を瞬兄様と朔兎様にお任せする以上、矢の対処は引き受けます。
防御は兄様が担ってくださいますが、矢は私も使います。私の方に矢がきたら、【高速詠唱】【結界術】【魔力具現化】で盾をつくりだし、弾き返します。自分の防御は【オーラ防御】【幻影使い】でなんとかしますかね。
瑠璃さんがそばにいる以上、攻撃を届かせる訳にはいきません。できるだけはやく音律の調べを発動させましょう。矢に付与される悪影響をかんがえれば術そのものを無効にした方がいい。
瑠璃さんは未来に続く現世がある。奪わせません。絶対に。
月の夜に浮かぶのは、もう美しい桜ではなく。
『夢の世こそ、極楽浄土の地』
『抗わず其の夢幻に溺るる者にこそ、幸が訪れるだろう』
小難しい言葉で勝手な教義とやらを説く敵、泡影比丘の群れ。
そんな妖どもを見遣り、源・朔兎(既望の彩光・f43270)は真宮・奏(絢爛の星・f03210)と並び立って。
「さすがに数揃えてきたな」
朔兎の声に、来たか、と奏も敵を見据えつつ、避難するべく下がり駆けて来た瑠璃をさらに後方へと促して。
「大丈夫、瑠璃さんは絶対守るぜ」
「剣と槍はできるだけ私が受けるから、朔兎は迎撃頼めるかな?」
瑠璃へと声をかける朔兎へとこう続ける……できるだけ補助はする、と。
そしてそんな声にこたえ、頷いて返しながらも。
「奏さんに負担強いる以上できるだけ迎撃頑張るな」
朔兎は改めて眼前の敵の群れを見遣り、思う。
(「奏さんの守りは信頼してるけど、手数が厄介だし」)
そして朔兎と奏が敵の前に立ちはだかる中、瑠璃を迎え入れるのは、神城・瞬(清光の月・f06558)と神城・星羅(黎明の希望・f42858)。
「瑠璃さん、下がって。星羅の隣に」
「瑠璃さん、私の隣に」
瞬の声を聞いて、すかさず自分の元へと駆けてきた瑠璃を、星羅は召喚した狼と狛犬の式神で護衛させて。
予め聞いて把握している敵の攻撃へ対処するべく、各々改めて互いに己のやるべきことを再確認する。
「手数が多い剣と槍の対処を瞬兄様と朔兎様にお任せする以上、矢の対処は引き受けます」
「剣と槍を奏と星羅に任せる分、矢の対処は任されましょう」
そして奏と朔兎も、瞬と星羅へと目を向ければ。
「破魔矢の方は瞬さんと星羅に任せる。お互い無事で!!」
「瞬さんと星羅も気をつけて!! さあいくぜ!!」
何よりも、猟兵として敵の群れを蹴散らすべく、いざ妖の群れを迎え撃つ。
奏の全身を黄金のオーラが覆えば、その意志の力を強さに変えて。
戦場を駆け、翔けながらも、守りのオーラを纏い、盾や武器で敵の攻撃を受けつつも、ジャストガード!
硬化を誇る鉄壁のまもりを固めながら、回復力や拠点防御で致命傷を決してもらわぬように立ち回れば。
――とにかく全力だ!! と。
朔兎が黎明の進撃を発動させれば、その身に輝くは純白のオーラ。
さらには奏と同じく意志の力をもって己をより強化し、残像や幻影使いで敵を攪乱しつつ、オーラで守りを固めながらも。
心眼で迫りくる剣と槍を回避し、持ち前の瞬間強化と限界突破の力で攻めへと転じれば。
繰り出す衝撃波に凍結攻撃を乗せて、凍てつかせては叩き落とす!!
だがそれだけではなく、踏み込んで狙うは勿論。
(「攻撃が本体に届けば上出来だ!!」)
『何故、幸ある夢への導きに身を委ねぬのだ……く!』
泡影比丘へも積極的に攻撃を仕掛けていく。
けれど勿論、数の多い敵たちの攻撃も。
(「きついなあ。でもきょうだいの前で倒れてらんない」)
(「俺は手数スピードタイプだからなあ」)
次々とふたりへと向けられるも、だがしかし、ぐっとしっかりと地を踏みしめて。
(「かばったり護衛する最優先は瑠璃さんだけど、次に優先するのは朔兎かな。スピードタイプだから防御がおろそかになりやすい」)
(「俺は手数スピードタイプだからなあ。奏さんに庇われるような事態は避けたい。俺も強くなったしな」)
互いが互いを庇い合い攻撃を肩代わりしたり、隙があれば衝撃波で援護したりと、支え合って。
そんなふたりが戦場を駆ける中、瞬は共に征く星羅へと声を掛けながらも。
「矢の防御は僕がやりますので、対処はまかせられますか、星羅」
信頼してます、と紡げば――これは見た目通りの炎ではないですよ? と。
凍てつく炎を刹那発動させ、5つ作りだすは巨大な青白き呪いの炎。
魔力を増強させ供給させて、強度をそこあげすれば。迎撃力をあげる為に魔力を具現化し、サポートにと氷の狼を顕現させる。
「ここから先は通しません。幼い命が二人いる」
だって何が何でも、打ち漏らすわけにはいかないから。
それから星羅も、敵の矢が己へと放たれれば。
(「防御は兄様が担ってくださいますが、矢は私も使います」)
高速詠唱して結界術を展開し、魔力の具現化で盾をつくりだしては、弾き返して。
自分の防御もオーラや幻影を使ってなんとか凌いでみせながらも。
(「瑠璃さんがそばにいる以上、攻撃を届かせる訳にはいきません」)
「星羅、術行けますか!?」
敵を食い止めている隙を縫って向け垂れた瞬の声にこたえるように、星羅も術を編み出す。
……できるだけはやく音律の調べを発動させましょう、と。
矢に付与される悪影響をかんがえれば、術そのものを無効にした方がいい、と瞬時に判断して。
「紡ぐは妙なる調べ!!」
振り上げられた指揮棒から、押し寄せる波を放って、思惑通り相手の攻撃の効力を消し去れば。
『ぐ、夢の世界に溺れれば良いものを……なんと愚かな』
よろめきつつも戯言を懲りずに吐く敵たちへと、皆で一気にたたみかける。
「瑠璃さんは未来に続く現世がある。奪わせません。絶対に」
「瑠璃さん、絶対旅を成功させよう!! いつか肩を並べる為に!」
星羅と朔兎、そして瑠璃にとって、この旅は大きな意味を成すと。
本人太刀は勿論のこと、奏や瞬だってそう思うから。
「瑠璃さんの任務を無事成功させるのが星羅と朔兎のような強い子になる未来に必須だし!!」
「ええ、瑠璃さんと星羅が共に並び立つ未来のために、できることをしましょう」
『なっ、ぐぅっ!』
互いに連携し支え合いながら、敵の数を確実に減らしていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
真宮・響
【調和の絆】で参加
おお、派手にやってるねえ。本当に質が悪い奴らだね?幼い子達のトラウマになったらどうするんだい。全く。即刻退治しよう。
父上は大丈夫かい?無茶するねえ。なら剣と槍の方をなんとかするか。律は麗奈のフォローに。この中で一番脆いのは麗奈だからね。
うわ、本当に手数が多い。【残像】【迷彩】【心眼】【オーラ防御】で回避しながら【衝撃波】で叩き落とす。でもキリないので早めに赫灼の闘気を発動。半ば強引に召喚物ごと敵を攻撃する。
妖の言葉なんて知ったことか。親世代としてはね、確かな現世の経験を経て、子供たちには確かな未来を与えたい。もう子供たちに悲しい思いはさせたくないんだよ!!
真宮・律
【調和の絆】で参加
厄介な邪魔な集団だな。言い分からして体的にも精神的にも多大な負担を強いるタイプとみた。子供達の前にいつまでもいさせるのはよくない。さっさと排除するか。
響も陽輝さんも無茶するな。麗奈さんのフォローか。確かに明確な術師タイプにはこのタイプはきついだろうな。任された。
【遊撃】【陽動】を使って【電撃】【斬撃波】を振り撒き、攻撃の注意をこちらにひきつける。【残像】【オーラ防御】【心眼】【回復力】で凌ぐ。
本当にいやらしい攻撃してくる。長引くと不利だな。黒雷の意志発動。一気に薙ぎ払う。
子供達は現世の経験を経て成長するものだ。一度子供を置いて行った身としては子供達の未来を阻むのは許せない。
天野・陽輝
【調和の絆】で参加
舞台には悪役が付きものだが現実に出てきて呪いの言葉を吐くとは気分悪いね。子供達には悪影響があるだろう。大人としてしかりと処理しよう。
攻撃の質は事前情報で聞いている。悪夢の鎖の方は私が引き受けよう。一人に的を絞らせる。響と律と麗奈は気をつけて。
鎖か。軌道が読みやすいな。後音もするだろう。回避音感の心得。【残像】【オーラ防御】も含めて鎖を回避し、回避のコツを3人に伝える。
回避しながら【援護射撃】。【貫通撃】で【音響弾】を【制圧射撃】の勢いでうちこめばさぞや邪魔だろう。悪いね、悪辣な振る舞いはそれなりの対応をする。
子供達には現世での経験が必要だ。彼方には連れていかせないよ。
神城・麗奈
【調和の絆】で参加
まあ、俗にいう呪い専門の術師かね。本当に醜悪だ。よりにもよって未来ある子供の前で現実忘れろという。罪深いね。とっとと裂け目の向こうに退去してもらおう。
悪いね、心配させて。手数で攻撃されると厳しい。術の中断されるし。律も気をつかわせるし、援護は任せてくれ。
破魔矢の攻撃は【風を操る】+【凍結攻撃】で凍らせて叩き落とすか、【オーラ防御】【残像】【身かわし】で凌ぐが、手数が多いのできりがない。早めに【高速詠唱】で氷華の魔弾で破魔矢共々本体を攻撃する。
一度子供を置いて行ったものとしては子供達には確かな未来をあげたい。もう子供達を悲しませるのはまっぴらだ。
妖の裂け目から次々とわいては出てくる泡影比丘。
『現世は無常、夢幻こそ幸福の境地なり』
さらには、勝手な教義を押し付けてくるけれど。
だがそんな世迷言などに流されることなく、敵が出現すれば迎撃していく猟兵達。
「おお、派手にやってるねえ」
瑠璃を確りと守りながらも、敵を蹴散らしていく先行している子供達や仲間達の立ち回りを見つつ、真宮・響(赫灼の炎・f00434)は改めて敵の群れを見遣って。
「厄介な邪魔な集団だな。言い分からして体的にも精神的にも多大な負担を強いるタイプとみた」
「まあ、俗にいう呪い専門の術師かね。本当に醜悪だ。よりにもよって未来ある子供の前で現実忘れろという。罪深いね」
夫の真宮・律(黄昏の雷鳴・f38364)と親友の神城・麗奈(天籟の氷華・f44908)の声に頷きつつ、敵へと呆れたような声を向ければ。
「本当に質が悪い奴らだね?幼い子達のトラウマになったらどうするんだい。全く。即刻退治しよう」
「とっとと裂け目の向こうに退去してもらおう」
勿論、そんな響の言葉に麗奈だって勿論同感で。
「舞台には悪役が付きものだが現実に出てきて呪いの言葉を吐くとは気分悪いね。子供達には悪影響があるだろう。大人としてしかりと処理しよう」
「子供達の前にいつまでもいさせるのはよくない。さっさと排除するか」
義父である天野・陽輝(眩耀の曙光・f44868)と共に、律も敵を殲滅するべく戦場を駆ける。
そしてまず最初に敵前へと躍り出たのは、陽輝。
「攻撃の質は事前情報で聞いている。悪夢の鎖の方は私が引き受けよう」
一人に的を絞らせる、と。
――音楽家は音で動きを把握できるのだよ。
発動するはそう、回避音感の心得。
音楽家としての経験を基に、培われた絶対音感から敵の動きを見極めて。
「鎖か。軌道が読みやすいな。後音もするだろう」
回避のコツを3人にへと伝え、教えられた皆も同じ回避の音感を与えると同時に。
響と律と麗奈は気をつけて、と言の葉を付け加える。
そんな真っ先に先行した陽輝の後に続きながら。
「父上は大丈夫かい?無茶するねえ。なら剣と槍の方をなんとかするか」
「響も陽輝さんも無茶するな」
夫婦互いに声を掛け合いつつ、響は律へとこうお願いを。
「律は麗奈のフォローに。この中で一番脆いのは麗奈だからね」
「悪いね、心配させて。手数で攻撃されると厳しい。術の中断されるし」
「麗奈さんのフォローか。確かに明確な術師タイプにはこのタイプはきついだろうな。任された」
そんなスムーズな連携ややりとりは、互いの戦い方を知っているからこそ。
律は響の言葉に頷いて、麗奈が魔術を編み上げる間、敵を引き受けるべく動いて。
遊撃や陽動を使い、電撃や斬撃波を振り撒き、攻撃の注意を自分へとひきつければ。
残像やオーラ防御で敵を攪乱し身を守りつつ、心眼や回復力でそれを凌ぐ。
「本当にいやらしい攻撃してくる。長引くと不利だな」
けれど勿論、攻撃を受け流してばかりではない。機とみれば、すかさず攻勢に転じて。
――これをただの雷と思ったら大間違いだ!!
『幸多き夢に抗おうというのか……ぐっ!?』
泡影比丘へと降り注がせるのは、感電を伴う強烈な黒き雷。
黒雷の意志を発動させ、一気に敵を薙ぎ払いにかかって。
「うわ、本当に手数が多い」
響は裂け目から続々と現れる有象無象に、思わずそう紡ぎ落すけれど。
残像や迷彩で姿を晦ましつつ、心眼やオーラ防御で敵の攻撃を回避しながら、衝撃波で叩き落としていくも。
でもキリないので早めにと繰り出すのは、赫灼の闘気。
――アタシの燃える闘気はアンタらの暴虐を許さない!!
そう半ば強引に、召喚物ごと敵を攻撃し打ち倒していく。
そんな皆が敵を引き付けている間に、麗奈の魔力も十分に満ちたから。
「律も気をつかわせるし、援護は任せてくれ」
迫る破魔矢の攻撃も、風を操り、凍結攻撃で凍らせて叩き落として。
オーラ防御で防ぎ、残像や身かわしで凌いでいきながらも。
だがやはり、手数が多いのできりがないと同じく判断したから。
――氷華の魔弾に凍てつくといいよ。
高速詠唱し、朧月夜のカードから早めに氷華の魔弾を繰り出しては、破魔矢共々敵の本体に狙いを定めて。
衝撃と同時に、その身すらも凍てつかせる。
陽輝も戦場を縦横無尽に駆け、回避しながらも援護射撃を試みて。
そして貫通撃で音響弾を制圧射撃の勢いでうちこみつつも、瞳を細める。
「さぞや邪魔だろう。悪いね、悪辣な振る舞いはそれなりの対応をする」
自分達の連携や猛攻に右往左往する、敵どもの様子に。
『ぐ、夢に身を委ねれば、極楽浄土へと至れるというのに』
『其の真理から目を背けるとは、何とも愚かなり』
そしてその数を確実に減らしながらも、懲りずに、夢の中で生きることを良しとする教義を説く泡影比丘であるけれど。
「妖の言葉なんて知ったことか。親世代としてはね、確かな現世の経験を経て、子供たちには確かな未来を与えたい」
「一度子供を置いて行ったものとしては子供達には確かな未来をあげたい」
――もう子供たちに悲しい思いはさせたくないんだよ!!
――もう子供達を悲しませるのはまっぴらだ。
母親として、響と麗奈は、妖の甘言を真っ向から否定して。
「子供達は現世の経験を経て成長するものだ。一度子供を置いて行った身としては子供達の未来を阻むのは許せない」
律だって勿論、父親として同じ気持ちで。
陽輝も、父として祖父として、よく分かっているから。
3人を支えながら共に戦場という名の舞台を駆け、殲滅するべき妖へと、衝撃と己の意思を向ける。
「子供達には現世での経験が必要だ」
だから――彼方には連れていかせないよ、と。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ミルナ・シャイン
頼典様(f42896)と
頼典様の和歌にはっとさせられ…たしかに幻を紡ぐ平安結界の中にある|この世界《アヤカシエンパイア》は夢と現し世の間とも言えるかも…
でも、それでも。悪い夢はもちろん、幸せな夢もお断りしますわ!
そう、この恋は夢なんかじゃなく現実ですもの。甘い夢なら間に合ってますからお引き取りくださいな。
わたくしも、平安を守るための結界を張りましょう。UC『クリスタルバリア』展開、さらに斧を【武器巨大化】させ、【重量攻撃】をのせて【なぎ払い】、半端な盾受けは夢ごと【叩き割り】ますわ。
武器をいくつ出してこようと瑠璃様には指一本触れさせませんとも…!
素敵な|騎士様《ナイト》もついているんですから!
八秦・頼典
ミルナ様(f34969)と
世の中は
夢かうつつか
うつつとも
夢とも知らず
ありてなければ
…この世は現実なのか夢なのか、結局あるようでないものか
アヤカシエンパイアの在り方その物を詠んだかのような歌だけど、かと言ってそう夢に溺れるほど世の中は捨てたものでもない
何故か、と問われればお答え致そう
ボクがミルナ様と巡り会えた事、お互いに甘い夢を贈り続けている事…そして夢みたいな恋は現実である事さ
結界の中でも盤石に…阿近、吽近、瑠璃様の警護を任せたよ
例え夢の世界に送られようとも、『霊剣鳴神』の輝きで幻術を晴らすよ
ミルナ様の背後を突く夢の剣や槍を変幻自在の霊剣で払い落とし、彼女との夢を邪魔する無粋者にはご退場願おう
泡影比丘どもが説く、夢の中で生きることを良しとする教義。
それは人々を幸福に導くために紡がれているのではなく、陥れるための戯言。
けれども、八秦・頼典(平安探偵陰陽師ライデン・f42896)はこの世界に在り、昇りつめた地位に在るからこそ、言の葉にするのだ。
世の中は
夢かうつつか
うつつとも
夢とも知らず
ありてなければ
そしてふと彼の君が詠んだ歌を耳にしたミルナ・シャイン(トロピカルラグーン・f34969)は、ハッとする。
(「……たしかに幻を紡ぐ平安結界の中にある|この世界《アヤカシエンパイア》は夢と現し世の間とも言えるかも……」)
言ってしまえば、|この世界《アヤカシエンパイア》だって、夢幻であるのだ。
歌い手である頼典も、詠んだ歌に続いてこう紡ぐも。
「……この世は現実なのか夢なのか、結局あるようでないものか。アヤカシエンパイアの在り方その物を詠んだかのような歌だけど、かと言ってそう夢に溺れるほど世の中は捨てたものでもない」
そう――でも決して、|この世界《アヤカシエンパイア》の在り方を憂いたり否定するような歌ではないのだ。
そして。
「何故か、と問われればお答え致そう」
その理由をはっきりと、頼典は改めて告げる。
――ボクがミルナ様と巡り会えた事、お互いに甘い夢を贈り続けている事……そして夢みたいな恋は現実である事さ、と。
妖どもが説く様に夢に溺れることと、夢のような甘やかな現世を愛しき相手と謳歌することは、全く違うのだから。
だから、たとえ|この世界《アヤカシエンパイア》が、夢と現し世の狭間の如き存在であるとしても。
でも、それでも……ミルナだって、迷わずにこう紡げるのだ。
「悪い夢はもちろん、幸せな夢もお断りしますわ!」
だって、よく知っているから。
「そう、この恋は夢なんかじゃなく現実ですもの」
それに、妖に与えられなくたって十分。
それは愛し君が、たくさんいっぱいくれているのだから。
「甘い夢なら間に合ってますからお引き取りくださいな」
そして今回自分達がやるべきこと、成すべき任をふたりが違えることなどないから。
結界の中でも盤石に……と、頼典は抜かりなく差し向ける。
「阿近、吽近、瑠璃様の警護を任せたよ」
仲間に守られてこれまで無傷で、自分達のところまでまで下がってきた瑠璃を守るべく。
荒々しく燃え盛る炎の如き阿近と静かなる激流の渦が如き吽近に、そう命じれば。
(「わたくしも、平安を守るための結界を張りましょう」)
ミルナが刹那展開するは、水晶のように透き通る結界を構築するクリスタルバリア。
さらに握る斧を巨大化させ、重量攻撃をのせて大きくなぎ払って。
『夢幻に身を委ねよ、其れこそ民の幸福……う、ぐっ!』
半端な盾受けだって、悪辣な夢ごと叩き割る。
そして例え夢の世界に送られようとも、大きく揺らいだ敵が生み出した幻術を、頼典は今こそその手で晴らす。
己の霊力より成した伸縮自在な霊気の剣――『霊剣鳴神』を創造し、その輝きをもって。
「武器をいくつ出してこようと瑠璃様には指一本触れさせませんとも……!」
すぐ隣でそう紡ぐミルナの背後を突く夢の剣や槍を、振るう刃で払い落として。
彼女と共に、全ての妖を祓い、終わらせる。
「彼女との夢を邪魔する無粋者にはご退場願おう」
「素敵な|騎士様《ナイト》もついているんですから!」
『愚かなっ、現世に救いなど無……がはっ!』
美しくも雅なこの世界の春の夜に、妖どもの戯言など無粋の極みなのだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『貴族の宴』
|
POW : 大いに飲み食いし、主催者のもてなしを褒め称える
SPD : 他の参加者と共に遊戯や歌に興じる
WIZ : 花や月を愛で、その美しさを語らう
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
妖の脅威が祓われ、妖の裂け目も無事に塞がれれば。
到着したそこは目的の地、歌枕。
晴れ渡った空の下、桜と梅が爛漫に咲き誇る、春の風景が広がっていて。
これから催されるのは、花を愛でながらの春の宴。
そして。
「みなさまのおかげで歌枕へとたどりつくことができました、感謝いたします! あとはわたくしが、平安歌人としての任をしっかりとはたしますので。どうぞみなさまは、ごゆるりとお過ごしください」
ぺこりと丁寧に頭を下げ、そう礼を告げる瑠璃。
猟兵の手によって、彼女の命も守られたのだ。
けれど、平安歌人としての任も、勿論なのだけれど。
「ですが……それはそれとして。わたくしもみなさまと、春の宴をたのしみたいと思っておりますので。もしもお時間があるようでしたら、おいしいものをいただきながら、色々なお話などもお聞きしたいです」
わくわく好奇心旺盛な、年相応の少女の姿もそこにはあった。
歌枕での時間を楽しく過ごし、宴を共に堪能し、会話を交わしながら雑談に興じれば。
彼女の感性も刺激されて、良い和歌がきっと詠めるだろうし。平安歌人として確りと事を成さねばと気負っているかもしれない瑠璃の緊張も、用意された菓子や皆の他愛のない会話などで、ゆるりと解れることだろう。
恩人の皆が穏やかに過ごしているだけで瑠璃も嬉しく思うだろうし、居てくれるだけでも安心すると思うし。好奇心旺盛な彼女はひとりでも花を愛でながら楽しむし、兄とも過ごすだろうので、無理に構うこともない。
春の宴は、赤い野点傘の下に縁台が置かれた、花見宴席が用意されていて。
平安の世ならではな、桜餅や椿餅や|粉熟《ふずく》、干し果物や揚げ菓子等は勿論。
三色団子にお花見あんみつ、苺大福や梅最中、春の和パフェなど、辰乃丞が桜の世界・サクラミラージュから調達してきたという、平安の世にはない春の甘味も今回は用意されているという。甘党な選者の好みがちょっぴり反映されていて甘い物が心なしか多めではあるが、桜型のおかきやあられ、梅ゼリーなどの甘くないものの用意もあるし。見目華やかなちらし寿司やひとくちサイズの春らしい手毬寿司などの軽食もいただける。
そして飲み物も、定番の番茶や桜緑茶や梅昆布茶、珈琲や紅茶などの他にも。成人していれば、梅酒や日本酒、桜色のビールなどの酒類の用意もある。ちなみ瑠璃は、兄が異世界から調達してきた、桜色の苺ミルクラテがお気に入りのようだ。
そんな春の宴や花見を楽しむのも良いし、ふらりと桜や梅が咲く歌枕の地を散歩してみたり、敷かれた|花茣蓙《はなござ》の上で昼寝などをしてもいいだろう。
そう、猟兵達のおかげで脅威は去り――これからは穏やかな、歌枕での春花の宴のはじまり。
星川・玲蘭
連・アド〇
無事辿り着けて何よりだね~
(ライブで流した汗を軽く吹きつつ)
そうだねぇ
折角だし、わたしは瑠璃ちゃんと一緒にお茶を頂こうかな?
まあ、作る側より食べる側の方が慣れているのもあるけれど
一先ず宴を楽しみつつ瑠璃ちゃんと話をするよ
瑠璃ちゃんはお兄さんが調達してきた桜色の苺ミルクラテがお気に入りなんだね
わたしも甘いもの好きだから
この時代(平安)ならではの、桜餅とか椿餅が多いなら
番茶を頂こうかな?
…この時代のお茶って、確か凄い貴重品だって聞いた事あるな…
お茶を飲んで、お茶請けに桜餅等を頂きながら、瑠璃ちゃんに季語とかを聞いたりして親睦を深めるよ
こう言う機会に聞ける話ってとても勉強になるからね
妖の群れを退け、裂け目も確りと塞がれれば。
足を踏み入れた歌枕の地に広がるのは、先程までの魑魅魍魎が湧き出る様相とはかけ離れた、美しい春の景観。
「無事辿り着けて何よりだね~」
星川・玲蘭(人間のフレッシュ☆アイドル・f45163)は、ライブで流した汗を軽く吹きつつも、くるりと視線を巡らせて。
「そうだねぇ。折角だし、わたしは瑠璃ちゃんと一緒にお茶を頂こうかな?」
予見されていた脅威は去り、幼き平安歌人……瑠璃の命も救われたから。
(「まあ、作る側より食べる側の方が慣れているのもあるけれど」)
一先ず春の宴を楽しみつつ、瑠璃と話をすることに。
そしてそう思っていれば、瑠璃の方が先に玲蘭のことを見つけ、たたっと逸るように駆け寄って。
「玲蘭様、宴はたのしんでいらっしゃいますか? よければ、ご一緒したいなって思いまして」
やはり年の割にしっかりした瑠璃であるが、無事に歌枕に辿り着けたことで、緊張も解れているようであるし。
共に旅をしてきた玲蘭になついているように、嬉し気に微笑みを宿している。
そんな瑠璃に、玲蘭も咲かせた笑みを返しながら。
「瑠璃ちゃんはお兄さんが調達してきた桜色の苺ミルクラテがお気に入りなんだね」
「はい! 異世界の飲み物って、こんなにも美味なものなのだと感激しています」
キラキラと年相応に瞳を輝かせる瑠璃に頷きつつも。
「わたしも甘いもの好きだから。この時代ならではの、桜餅とか椿餅が多いなら、番茶を頂こうかな?」
「番茶ですね、甘いものにとてもあいますよね」
今、兄様にお願いしてお持ちしますね、と。
張り切る瑠璃の姿を見つつも、玲蘭はそっとこう思うのだけれど。
(「……この時代のお茶って、確か凄い貴重品だって聞いた事あるな……」)
用意された茶は美味なもので、皇族直属の平安貴族ともなれば、問題なく用意できるらしい。
そして受け取ったお茶を飲んで、お茶請けに桜餅等を頂きながらも。
「桜や梅がきれいだねぇ。梅や桜も、歌を詠むときの季語になったりするのかな?」
「異世界では、春の花は桜だとおききしましたが、梅の方がよく歌われますね。あ、でも、梅に鶯だと早春の季語になります」
「確かに、春の花は桜っていうイメージだねぇ。桜の季語ってどんなのがあるのかな?」
「花便りだとか、花影、花の雲、花吹雪、花衣……などでしょうか」
瑠璃に和歌や季語について訊ねてみたりと、楽しくお喋りしつつ親睦を深めてみる。
……こう言う機会に聞ける話ってとても勉強になるからね、と。
麗らかな春の歌枕の地で、雅を解するようなひとときもまた、この世界らしい過ごし方だから。
大成功
🔵🔵🔵
真宮・奏
【星月の絆】で参加
瑠璃さん、ご無事でよかった。任務も滞りなく終えられそうで。
お勤め終わったら、瑠璃さんも交えて美味しいもの食べましょう!!瑠璃さんのお兄さんは甘味好きなんですね。実は瞬さんも甘味好きで。得にサクラミラージュの甘味なんか夢中なんですよ。
瑠璃さんと並んで楽しそうに苺大福やお花見あんみつを頬張る星羅や朔兎をみて眩しいものをみるように目を細めます。こういう日々は私と瞬さんが10代の頃はなし得なかった。なんか春の和パフェがとても美味しい。
ええ、星羅と朔兎にとっても私と瞬さんもいい経験になりましたね。苺ミルクラテを飲む3人をみながらゆっくり桜色のビールを瞬さんと味わいます。
神城・瞬
【星月の絆】で参加
瑠璃さん、無事に任務を果たせそうで。任務を終えられたら美味しいものたべませんか?星羅と朔兎がなんか隣に3人ならんで食べたそうにしてますので。
瑠璃さんを挟んで美味しそうに苺大福とお花見あんみつを食べる3人をみてああ、僕と奏の10代の頃は同世代でスイーツ食べるなんてできませんでしたしね。せめて幼い二人には幸せな日々を過ごしてほしい。瑠璃さんの兄君はサクラミラージュの甘味好きですか。僕もです。
星羅と朔兎ももちろんですが僕と星羅にも今回の任務はいい経験になりましたね。ミルクラテを飲む3人を見守りながら桜ビールを乾杯。
神城・星羅
【星月の絆】で参加
瑠璃さんが無事でよかった・・・・。歌枕のお勤めが終わったら縁台で朔兎様と私と瑠璃さんで美味しいもの食べませんか!!3人ならきっと楽しい!!
辰乃丞さんが瞬兄様と同じくサクラミラージュの甘味好きとは・・・色々お話したいですね。苺大福やお花見あんみつを食べながら!!
元々響母様と律父様は駆け落ちだし、律父様と麗奈さんは一度死んでるし、奏姉様と瞬兄様は義兄妹から夫婦になったし、陽輝爺様は響母様に再会したら孫4人できてるし。まあ、今家族一緒にいるだけで奇跡のようなものです。
なので瑠璃さんも家族や人の縁を大事にしてくださいね。きっと人生に役にたつはず。あ、ミルクラテ美味しい。
源・朔兎
【星月の絆】で参加
瑠璃さんのお勤めも大事だが、美味しいもの食べよう!!俺と星羅は同年代の瑠璃さんとサクラミラージュの甘味食べるの楽しみにしてた!!ささ、遠慮しないで。(瑠璃さんを挟んで座る)
この苺大福とお花見あんみつ美味しいな!!え?俺たちの後にすぐきた4人連れ?まあ母上二人と父上とお爺様だ。星羅のいう通り事情ありまくりだけど大事な家族には違いない。俺も星羅追っかけて家押しかけてさぞや迷惑だったのにとても良くしてもらってる。
瑠璃さんも兄君はもちろん人の縁を大事にするのはとてもよい影響になるぜ。もちろん今の任務の縁もな。(ミルクラテを飲みながら)
梅と桜が綻び咲く、麗らかな春の景色。
到着した皆を歓迎するように花たちが彩るこの場所はそう、歌枕の地。
平安貴族としての任を果たすため、真剣に和歌を作りはじめる、まだ小さな少女。
そんな彼女の姿を見守りながら、神城・星羅(黎明の希望・f42858)と真宮・奏(絢爛の星・f03210)はホッと安堵するように言葉を零す。
「瑠璃さんが無事でよかった……」
「瑠璃さん、ご無事でよかった。任務も滞りなく終えられそうで」
猟兵達が同行しなければ、瑠璃はこの旅を無事に終えることはできなかった。
瑠璃本人はそのことは知らないが、そんな悲劇を防げた今となっては、知る必要もないことだろう。
神城・瞬(清光の月・f06558)もふたりの声を聞いて、改めて瑠璃へと目を向けて。
「瑠璃さん、無事に任務を果たせそうで」
そして作品を数個生み出した後、少し気分転換にと暫し休憩に入った彼女へと、こう声を掛けてみる瞬と奏。
「任務を終えられたら美味しいものたべませんか?」
「お勤め終わったら、瑠璃さんも交えて美味しいもの食べましょう!!」
「星羅と朔兎がなんか隣に3人ならんで食べたそうにしてますので」
瑠璃は平安歌人として、そして星羅と源・朔兎(既望の彩光・f43270)は猟兵として、幼いながらに己の責務を果たすべく行動しているわけであるが。
でもそんな彼や彼女らは、年相応の子どもでもあるのだから。
「縁台で朔兎様と私と瑠璃さんで美味しいもの食べませんか!!」
星羅は同じ年頃の瑠璃へと誘いの声を掛け、そして続ける――3人ならきっと楽しい!! って。
朔兎もわくわく、星羅に続いて口にする。
「瑠璃さんのお勤めも大事だが、美味しいもの食べよう!! 俺と星羅は同年代の瑠璃さんとサクラミラージュの甘味食べるの楽しみにしてた!!」
そしてそれは勿論、瑠璃だって同じで。
「わたしも、是非おふたりと甘味をいただきたいです」
そう嬉しそうな言葉と笑みがかえってくれば、朔兎は彼女を早速促す。
自分と星羅で、挟んで座りながら……ささ、遠慮しないで、と。
それから奏は、宴にと用意された、気持ち甘味が多めなラインナップを見て瑠璃とお喋りを。
「瑠璃さんのお兄さんは甘味好きなんですね。実は瞬さんも甘味好きで。特にサクラミラージュの甘味なんか夢中なんですよ」
「はい、兄様は甘いものが大好きです。特に常桜の世界の甘味が美味だと……って、瞬様もなのですね」
星羅も、そう頷く瑠璃と会話を交わしながらも。
「辰乃丞さんが瞬兄様と同じくサクラミラージュの甘味好きとは……色々お話したいですね」
わくわくと心躍らせながらも紡ぐ……苺大福やお花見あんみつを食べながら!! って。
そして瞬は、瑠璃を挟んで美味しそうに苺大福とお花見あんみつを食べる3人をみて紡ぐ。
「僕と奏の10代の頃は同世代でスイーツ食べるなんてできませんでしたしね」
「こういう日々は私と瞬さんが10代の頃はなし得なかった」
それから……せめて幼い二人には幸せな日々を過ごしてほしい、と言う瞬の声に頷いた後。
はむりと一口、用意されている甘味をいただけば、奏は目を細める。
……なんか春の和パフェがとても美味しい、なんて。
瑠璃と並んで楽しそうに苺大福やお花見あんみつを頬張る星羅や朔兎を、眩しいものをみるように。
そしてそんな瞬と奏にさり気なく微笑まし気に見守られながらも。
「この苺大福とお花見あんみつ美味しいな!!」
「あの、さしつあけなければ、ですが……朔兎様たちの後からいらっしゃっていた方々は?」
「え? 俺たちの後にすぐきた4人連れ? まあ母上二人と父上とお爺様だ」
何気に気になっていたのか、訊いてきた瑠璃へとそう朔兎は返して。
星羅も彼のこたえに、付け加える。
「元々響母様と律父様は駆け落ちだし、律父様と麗奈さんは一度死んでるし、奏姉様と瞬兄様は義兄妹から夫婦になったし、陽輝爺様は響母様に再会したら孫4人できてるし。
まあ、今家族一緒にいるだけで奇跡のようなものです」
「星羅のいう通り事情ありまくりだけど大事な家族には違いない。俺も星羅追っかけて家押しかけてさぞや迷惑だったのにとても良くしてもらってる」
「はわ、様々なご事情がおありなのですね。でも、とてもみなさま仲良しなのだなと、見ていてわかります」
「なので瑠璃さんも家族や人の縁を大事にしてくださいね。きっと人生に役にたつはず」
「瑠璃さんも兄君はもちろん人の縁を大事にするのはとてもよい影響になるぜ」
それから、兄様も家族も瑠璃は大好きですから、と笑んで頷く彼女と一緒に。
「あ、ミルクラテ美味しい」
甘いミルクラテを並んで口にすれば、ほわほわ。
子供らしい表情をみせながら笑い合って。
そして朔兎は瑠璃へと、こうも続ける。家族の縁も大事だし、それに。
「もちろん今の任務の縁もな」
「はい。おふたりと共に旅ができて、瑠璃はとてもうれしいです」
境遇や立ち位置もどこか似た、貴重な同世代の友人と知り合えたこの縁も。
そして瞬と奏は、そんな3人の様子を眺めつつ、改めて思うのだった。
「星羅と朔兎ももちろんですが僕と星羅にも今回の任務はいい経験になりましたね」
「ええ、星羅と朔兎にとっても私と瞬さんもいい経験になりましたね」
お揃いの苺ミルクラテを飲み、桜と梅が咲き誇る春の只中で――年相応に仲良く笑い合うその姿を、何よりの肴にして。
3人と同じようにゆっくりと、ふたりで春が咲く桜ビールで乾杯して味わいながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
真宮・響
【調和の絆】で参加
瑠璃は無事に務めを果たせそうだ。まあ、直接瑠璃と過ごすのは若い子達に任せるとして、親世代4人はゆっくり花見を楽しもうかね。
父上はこの桜と梅が咲き誇る桜の宴が実に驚嘆に値する、と満足そうだ。舞台プロデュースもする父上としてはとてもいい場面が浮かんでそうだ。植物系の魔女である麗奈も嬉しそう。粉熟、干し果物、揚げ菓子。この世界独特のお菓子は大人4人にも満足する味だね。とてもよくできている。
梅酒をいただきながら、花ござに寝転がる律を見て微笑む。ああ、いい時間だ。子供たちも楽しそうで。この世界の平和を守るのも幼い3人の未来につながると思うと気合いがはいるね。
真宮・律
【調和の絆】で参加
まあ、すごい騒動だったが、瑠璃は無事に任務を果たせそうだ。瑠璃と直接交流するのは子供達に任せるか。親世代4人はのんびり花見といこう。
見事に桜と梅が咲き誇ってるな。陽輝さんの目の輝きが半端ない。なんか盛り上がりのシーン考えていそうだ。麗奈さんも満足そうで。植物系も使うからな。春の植物の盛りは見物だろうな。
俺はこの世界独特の菓子は好きだ。材料の入手が不自由な分色々作り方を工夫していい味に仕上げているしな。いくつでも食べれる。
口直しに桜緑茶を飲んで、と。ああ、眠たくなってきた。ござも用意されて
るから寝ていいか。傭兵に俺にとって敵襲の心配のない屋外での昼寝なんか貴重だしな。
天野・陽輝
【調和の絆】で参加
幼い子の初任務が悲劇にならないで本当によかった。そうだね、引き続き瑠璃さんの相手は子供たちに任せよう。親世代はゆっくり花見がいいね。
私のいたダークセイヴァーは春に咲き誇る桜と梅の美しさとは無縁だった。本当に人生損した気分だよ。今はそばに娘がいて、直接干し果物と揚げ菓子を渡してくれる。幸せだ。見事な桜と梅だね。さて、どんな場面に仕立てようか。
確かに私の人生は悔いだらけだった。でも家族とともに桜と梅と美味しいものを味わう。今を大事にしたいと思うよ。梅酒をいただきながら宴を楽しもう。
神城・麗奈
【調和の絆】と参加
瑠璃の初任務はなんとかなりそうだ。幼い子は何より経験だ。星羅と朔兎もそうだが、生き延びてこそ未来がある。まあ引き続き瑠璃の相手は子供達に任せて、親世代で花見か。いいね。
私の使う魔術は氷系と植物系だから、春の華やかさを彩る桜と梅の咲き誇るのは実に見応えがある。生命の象徴だしね。律さんと陽輝さんも目を加賀かせているし。陽輝さんなんか最高な華やかな場面を想像してそうだ。
そうだね、一度死ぬ前の故郷ではこの咲き誇る桜と梅の風景なんて望むべきもなかった。今は目の前で微笑んでる息子夫婦と楽しそうにしている幼い未来ある子達。そばには大事な盟友。ああ、幸せだと思うよ。
先程までの妖の襲撃が嘘のように、静かな春がそこには広がっていて。
桜や梅の花が咲き乱れる中、和歌を真剣に詠んでいる小さな歌人の姿を遠目に見守りつつも。
「瑠璃は無事に務めを果たせそうだ」
「まあ、すごい騒動だったが、瑠璃は無事に任務を果たせそうだ」
真宮・響(赫灼の炎・f00434)と真宮・律(黄昏の雷鳴・f38364)が夫婦で頷き合えば、天野・陽輝(眩耀の曙光・f44868)も安堵の表情を宿す。
「幼い子の初任務が悲劇にならないで本当によかった」
「瑠璃の初任務はなんとかなりそうだ」
神城・麗奈(天籟の氷華・f44908)も、平安結界維持のために頑張る瑠璃の姿に瞳を細めながらもこう続ける。
「幼い子は何より経験だ。星羅と朔兎もそうだが、生き延びてこそ未来がある」
幼いながらに己の任を果たし、そして年相応に楽しそうな子ども達の姿をあたたかく見つめながら。
とはいえ、大人たちの意向はこれまでと変わらずに。
「まあ、直接瑠璃と過ごすのは若い子達に任せるとして、親世代4人はゆっくり花見を楽しもうかね」
響の声に勿論、律も賛成して。
「そうだね、引き続き瑠璃さんの相手は子供たちに任せよう。親世代はゆっくり花見がいいね」
「まあ引き続き瑠璃の相手は子供達に任せて、親世代で花見か。いいね」
陽輝の声に、麗奈も親世代で花見を楽しむことにする。
そう、眼前には見事に綻んでいる春の花たち。
「見事に桜と梅が咲き誇ってるな」
律はそんな花たちを見上げながらも、ちらりと目を向ければ。
(「陽輝さんの目の輝きが半端ない。なんか盛り上がりのシーン考えていそうだ」)
(「父上はこの桜と梅が咲き誇る桜の宴が実に驚嘆に値する、と満足そうだ」)
響も同じくそう父を見て、予想通りの様子に瞳を細める。
「私のいたダークセイヴァーは春に咲き誇る桜と梅の美しさとは無縁だった。本当に人生損した気分だよ」
物珍し気に瞳を輝かせ、感嘆の声を漏らす陽輝の姿がそこにはあって。
だがそれも、彼の出身世界を思えば、納得するし。
(「舞台プロデュースもする父上としてはとてもいい場面が浮かんでそうだ」)
舞台プロデュースも手掛けるその感性も刺激されているようだ。
そして響は律と共に、宴の席に用意された、この世界ならではな食べ物をいただくことにする。
「粉熟、干し果物、揚げ菓子。この世界独特のお菓子は大人4人にも満足する味だね。とてもよくできている」
「俺はこの世界独特の菓子は好きだ。材料の入手が不自由な分色々作り方を工夫していい味に仕上げているしな。いくつでも食べれる」
それから陽輝も、春の景色を堪能しつつも。
(「今はそばに娘がいて、直接干し果物と揚げ菓子を渡してくれる。幸せだ」)
響から平安の甘味を受け取りながら、改めて今の幸せをかみしめて。
「見事な桜と梅だね」
……さて、どんな場面に仕立てようか、なんて。
浮かんでくるアイディアも沢山、プロデュースもかなり捗りそう。
(「陽輝さんなんか最高な華やかな場面を想像してそうだ」)
麗奈も彼の言動にそう微笑まし気に瞳を細めつつ。
(「麗奈さんも満足そうで。植物系も使うからな。春の植物の盛りは見物だろうな」)
(「植物系の魔女である麗奈も嬉しそう」)
律や響が思うように、どこか嬉々とした表情を宿している。
何せ、麗奈が使う魔術は氷系と植物系だから。
(「春の華やかさを彩る桜と梅の咲き誇るのは実に見応えがある」)
平安の世の花は優美で、そして自然そのままに楚々と咲いていて。
春を満開に染め上げる姿に、思わず目を奪われてしまうし。
(「生命の象徴だしね。律さんと陽輝さんも目を輝かせているし」)
そう春の景色に心躍るのは、やはり自分だけではないようだから。
子供たちの楽しそうな様子を見守りながらも、大人は大人で、花の宴会を楽しむ。
そして、梅酒をいただきながらも……ああ、いい時間だ、と。
響が感じて微笑む視線の先には。
(「口直しに桜緑茶を飲んで、と。ああ、眠たくなってきた」)
花ござに、ごろんと寝転がる律の姿。
ぽかぽか春の陽気がまた、ふわりと眠気を誘うのだけれど。
「ござも用意されてるから寝ていいか」
でも律は今日はこのまま、この春の心地に抗わずにいようと思う。
……傭兵に俺にとって敵襲の心配のない屋外での昼寝なんか貴重だしな、と。
だって、子供たちも楽しそうで、隣にはすやりと昼寝をし始めた夫。
そんな光景を見れば、響は改めて思うから。
「この世界の平和を守るのも幼い3人の未来につながると思うと気合いがはいるね」
そして陽輝も、今のこの時間を目一杯堪能することに。
(「確かに私の人生は悔いだらけだった」)
でも――家族とともに桜と梅と美味しいものを味わう。そんな今を、大事にしたいと思うから。
梅酒を美味しくいただきながら花を愛で、春の宴を楽しむつもり。
麗奈も響の言葉にこくりと頷いて返して。
「そうだね、一度死ぬ前の故郷ではこの咲き誇る桜と梅の風景なんて望むべきもなかった」
でも今は、故郷のものとは全く違う風景が広がっている。
目の前で微笑んでる息子夫婦と、楽しそうにしている幼い未来ある子達。そして、そばには大事な盟友。
そしてそんな今に咲き誇る気持ちを、麗奈は口にする――ああ、幸せだと思うよ、って。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ミルナ・シャイン
【つなぎ】の3人で
瑠璃様と辰乃丞様もお誘いしてお花見を。
お花見は賑やかな方が楽しいですもの。
サクラミラージュのお菓子も華やかで美味しいですけど、アヤカシエンパイアのお菓子も素材の味を活かした上品な味で良いですわよね。
ではここでひとつ歌でも…
ひさかたの
月夜も清し
花の宴
梅と桜を
かざしに遊ぶ
そんな、全然ですわ…もっと巧く詠めると良いのですけど。
あぁ…たしかに平安貴族でご兄弟が多いとそういうこともありますわよね。
(平安文学を思い出しつつ)
でしたらジゼル、歌ってくださいな。わたくし琴で伴奏しますわ。まだ練習中ですけれど…
頼典様の笛に合わせ、たどたどしくも心を込めて演奏を。
花は散るとて今日を忘れず、と。
ジゼル・サンドル
【つなぎ】の3人で
瑠璃と辰乃丞先輩も誘って花見宴席へ。
道中お疲れ様だ、おいしいとこだけ参加させてもらって申し訳ないが…
でも本当に美味しい!(椿餅や粉熟もぐもぐ)アヤカシエンパイアのお菓子はどれも自然な甘みで優しい味だな。
よし歌ならまかせてくれ!
…ってそっちの|和歌《うた》か…
わたし詠む方はさっぱりなのだよなぁ。ミルナいつの間にそんなに上達したんだ?
平安貴族というのもなかなか複雑なのだな…
瑠璃と辰乃丞先輩は仲良さそうでけっこうなことだが。
そういえばミルナ琴の練習してたな、じゃあお菓子のお礼に合奏といこうか。詠まれた歌を歌うから。
琴と笛の音色に乗せて道中からこれまでの和歌をメドレーのように歌う。
八秦・頼典
【つなぎ】の3人で
ジゼル様と合流し、冷泉殿と瑠璃様の厚意にお与りして花見宴席へ
いやいや、遅れて来られても問題ない
珍しい菓子ばかりの宴も、大勢居た方がより美味しいし楽しいからね?
これはミルナ様
また一段と腕をお上げになられたね
では、ボクも…
世の中に
たえて桜の
なかりせば
春の心は
のどけからまし
桜とは出会いと別れの花…
素敵なものを見つける事はつまり、いずれ素敵なものと別れを告げる事
腹違いで兄妹となれば、色んな事情で簡単に逢えぬのが平安貴族の定めだ
饗してくれた返礼に、そんな御兄妹が共に過ごした思い出に残る余興をひとつ…
ボクが吹き奏でる五月雨の龍笛
ミルナ様が弾き奏でる琴の音
ジゼル様の歌による合奏をここに…
歌枕に無事に至れば、あとは花咲く春のひとときをゆるり楽しむ。
それが、猟兵として旅に同行した今回の依頼で、最後に成すこと。
だから、ミルナ・シャイン(トロピカルラグーン・f34969)は、瑠璃と辰乃丞にも誘いの声をかけて。
「私達もお邪魔してもよろしいでしょうか」
「ええ、もちろん。お花見は賑やかな方が楽しいですもの」
「瑠璃もご一緒できて、うれしいです」
共に仲睦まじく花見の席に混ざる兄妹の姿に海色の瞳を細める。
そして合流し共に春の宴を楽しむのは、瑠璃たちだけではなくて。
「道中お疲れ様だ、おいしいとこだけ参加させてもらって申し訳ないが……でも本当に美味しい!」
そう早速、宴の席に用意された椿餅や粉熟をもぐもぐといただいている、ジゼル・サンドル(歌うサンドリヨン・f34967)。
そんなジゼルの言葉や様子に、八秦・頼典(平安探偵陰陽師ライデン・f42896)も穏やかに笑んで。
「いやいや、遅れて来られても問題ない。珍しい菓子ばかりの宴も、大勢居た方がより美味しいし楽しいからね?」
「アヤカシエンパイアのお菓子はどれも自然な甘みで優しい味だな」
「サクラミラージュのお菓子も華やかで美味しいですけど、アヤカシエンパイアのお菓子も素材の味を活かした上品な味で良いですわよね」
そう会話と美味に興じつつも、ミルナは花咲く景色の中、こう思い立つ。
「ではここでひとつ歌でも……」
「よし歌ならまかせてくれ!」
ジゼルも歌と聞けば、俄然張り切るのだけれど――。
ひさかたの
月夜も清し
花の宴
梅と桜を
かざしに遊ぶ
「……ってそっちの|和歌《うた》か……」
うたはうたでも、歌ではなく|和歌《うた》違いであることに気づいて。
「わたし詠む方はさっぱりなのだよなぁ。ミルナいつの間にそんなに上達したんだ?」
「そんな、全然ですわ……もっと巧く詠めると良いのですけど」
「これはミルナ様。また一段と腕をお上げになられたね」
ジゼルの言葉に、頼典も頷いてから。
では、ボクも……と、続いて一句。
世の中に
たえて桜の
なかりせば
春の心は
のどけからまし
「桜とは出会いと別れの花……素敵なものを見つける事はつまり、いずれ素敵なものと別れを告げる事」
それから頼典は、穏やかに仲良く並ぶ兄妹へと視線を向けて紡ぐ。
「腹違いで兄妹となれば、色んな事情で簡単に逢えぬのが平安貴族の定めだ」
「あぁ……たしかに平安貴族でご兄弟が多いとそういうこともありますわよね」
ミルナもそう聞けば、読んだことのある平安文学を思い出しつつ頷いて。
ジゼルは揚げ菓子をはむはむ食べながらも口にする。
「平安貴族というのもなかなか複雑なのだな……」
「頼典様のおっしゃるとおり、わたしと兄様も、はじめてお会いしたのは1年ほど前なのです」
「私どもの父は何というか、少々自由な|性質《たち》でして……急に妹だと瑠璃を屋敷につれてきたのですが、慣れておりますので」
「瑠璃と辰乃丞先輩は仲良さそうでけっこうなことだが」
そう話す兄妹は、頼典の言う通り、少々複雑な事情はあるようだが。
ジゼルが感じるように、お互いが兄と妹だと認め合って大切にしている様子はわかるから。
「饗してくれた返礼に、そんな御兄妹が共に過ごした思い出に残る余興をひとつ……」
頼典が紡ぐそんな声をきけば、ミルナもジゼルへと目を向けて。
「でしたらジゼル、歌ってくださいな。わたくし琴で伴奏しますわ。まだ練習中ですけれど……」
「そういえばミルナ琴の練習してたな、じゃあお菓子のお礼に合奏といこうか。詠まれた歌を歌うから」
恐縮しつつもその言葉に甘えて耳を傾ける兄妹へと。
――ボクが吹き奏でる五月雨の龍笛、ミルナ様が弾き奏でる琴の音、ジゼル様の歌による合奏をここに……。
頼典は花咲く春に笛の音を響かせ、彼女達と共に贈る。
ジゼルも、琴と笛の音色に乗せて、道中からこれまでの和歌をメドレーのように歌えば。
ミルナも頼典の笛に合わせて、たどたどしくも、でも心を込めた演奏を。
無事にたどり着いた、春爛漫な歌枕の地にて――花は散るとて今日を忘れず、と。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふわぁ、さすが歌枕です。
すごく素敵な風景ですね。
ふえ?アヒルさん、何をいそいそと準備をしているんですか?
お茶会の準備ですか、アヒルさんにしては珍しく気が利いてますね。
妖さんと戦ったり、歌を詠んだりとお腹がペコペコ……。
あのアヒルさん、お茶会の準備ですよね。
なんで、筆と短冊まで用意されているんですか?
ふえ?古来よりお茶の席では一句詠むのが習わしって、まさか一句詠むまでこのお菓子はおあずけってことはないですよね。
ふええ、相変わらずアヒルさんはぐわぐわ言っているだけで一発OKなのに、私は何度もダメ出しを受けているんですか。
春満開
桜や梅が
咲き誇る
春のお菓子が
おいしそうです
無事に辿り着いた歌枕の空を見上げれば、無粋な裂け目などはもう塞がれて見えなくて。
大きな帽子も、はらりひらりと桜花弁が積もって春色に。
いや、桜だけでなく、この地には梅も咲いていて、まさに春爛漫の花盛りである。
そんな景色をきょろりと見回しながらも。
「ふわぁ、さすが歌枕です。すごく素敵な風景ですね」
フリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)はそう感嘆の声を漏らすも。
ふと、何だか忙しないアヒルさんの様子に気づいて、こてりと首を傾ける。
「ふえ? アヒルさん、何をいそいそと準備をしているんですか?」
それからアヒルさんの行動に、ちょっぴり感心したように。
「お茶会の準備ですか、アヒルさんにしては珍しく気が利いてますね」
そう言いつつも、そういえばと、フリルは気づく。
妖さんと戦ったり、歌を詠んだりとお腹がペコペコ……と。
それから改めて、アヒルさんへと目を向けてみるけれど。
眼前にアヒルさんが用意してくれているのは、平安の宴に相応しい、雅やかな美味……ではなくて。
「あのアヒルさん、お茶会の準備ですよね」
そっと訊いてみるフリルの瞳に映るのは、どう見ても食べられないもの。
「なんで、筆と短冊まで用意されているんですか?」
そう、筆とか短冊とか、そういう類のもの。
フリルはきょとりとするも、でもアヒルさんの主張を聞けば、瞳をぱちりと思わず瞬かせて。
「ふえ? 古来よりお茶の席では一句詠むのが習わしって」
……まさか一句詠むまでこのお菓子はおあずけってことはないですよね、と。
恐る恐る訊いてみれば……ビンゴみたい。
ということで、宴は宴でも、お菓子が食べられるかどうかが決まるらしい、歌会のはじまりです!?
そしてアヒルさんがまずは、ぐわぐわと一句詠んで。
それに続いてフリルもこう歌を詠んでみるのだけれど。
春満開
桜や梅が
咲き誇る
春のお菓子が
おいしそうです
お菓子ゲットには至らなかった模様。
いえ、フリルが何よりも疑問に思うことは。
「ふええ、相変わらずアヒルさんはぐわぐわ言っているだけで一発OKなのに、私は何度もダメ出しを受けているんですか」
アヒルさんのぐわぐわ和歌が、思いのほか高い評価を受けていることです??
大成功
🔵🔵🔵
八坂・詩織
辰乃丞さん(f42891)、瑠璃さんと一緒にお花見を。
辰乃丞さん宴のご用意ありがとうございますね。
甘味のチョイスにほっこりしつつ。
私も心ばかりですが宴席に合わせてお茶を…
私の家は茶道をやってるんです。
お茶を点てる様子を実演しつつ。家は裏千家ですから細かな泡をたてて…
桜モチーフの落雁と春らしい金平糖と一緒にお出しして。
少し苦いですけど瑠璃さん飲めるかな…
この渋味がお菓子の甘さを引き立ててくれるんですが。
さて瑠璃さん、良い歌は詠めそうですか?
真打ちの前に前座として詠ませてもらいましょうか。
梅薫り桜も匂ふ月夜にて
いざや歌はむ歌枕の地
…とまあ、大した歌ではありませんが。
辰乃丞さんも詠みます?
春の宴に相応しく、用意されているのは華やかな美味。
八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)は、それを準備した彼の姿を見つけて声をかけて。
「辰乃丞さん宴のご用意ありがとうございますね」
「此方こそ、瑠璃を歌枕まで導いていただき、詩織殿や皆様には大変感謝しております」
相変わらず真面目な様子で丁寧に頭を下げる辰乃丞を見れば、ほっこりしてしまう。
表情は不愛想に見えるのに、並ぶチョイスに甘味がやたら多いことに。
そして彼が甘い物が実はとても好きだとは知っていたから。
「私も心ばかりですが宴席に合わせてお茶を……私の家は茶道をやってるんです」
「そのような心得がお有りなのですね、さすがは詩織殿」
「お茶、ですか?」
まだ平安には茶道は伝わっていないからか、瑠璃はきょとりしつつも。
詩織のお茶を点てる様子を興味津々、わくわくと見つめて。
「家は裏千家ですから細かな泡をたてて……」
「わ、このようなお茶、瑠璃ははじめてみます」
桜モチーフの落雁と春らしい金平糖と一緒に振舞えば、甘いものが好きな辰乃丞は微かにそわり。
「お点前頂戴いたします」
「辰乃丞さんは作法をご存じなのですか?」
「異世界の書物で、知識としては。ですので、失礼があるかと思いますが……しかしこのような機会は、大変興味深く」
「作法に興味あるなら教えますし、かしこまらず気楽にいただいてくださいね」
それから、兄や自分の様子を窺いながらも、わくわくしている様子の瑠璃へと今度は目を向けて。
「少し苦いですけど瑠璃さん飲めるかな……この渋味がお菓子の甘さを引き立ててくれるんですが」
「えっと、おてまえちょうだいいたします……でいいのでしょうか?」
兄の真似をしてそう言いつつ、瑠璃もそっと茶碗を手にして。
点てた茶をふたりが口に運べば。
「わ、苦い……ですけれど、たしかにお菓子が甘くかんじますっ」
「きめ細かな泡を立てることで、このようなまろやかな味わいになっているのですね」
それぞれの反応や感想に、詩織は笑み咲かせる。
それから、ちびちびと茶を口にしている瑠璃へと訊ねてみて。
「さて瑠璃さん、良い歌は詠めそうですか?」
はい、おかげさまで、と返事を聞けば、こう申し出る。
「真打ちの前に前座として詠ませてもらいましょうか」
梅薫り桜も匂ふ月夜にて
いざや歌はむ歌枕の地
「……とまあ、大した歌ではありませんが」
「詩織様のお歌、とても素敵です!」
そう詩織の歌を聞けば、ほわりと笑んで喜ぶ瑠璃であったが。
「辰乃丞さんも詠みます?」
「私も、ですか。では――」
辰乃丞がその気になった瞬間、大きく瞳を瞬かせて。
「あっ、辰兄様っ。瑠璃は、その、桜餅が食べたいのですっ」
さり気なく気を使って兄を誘導する妹のその姿を見れば。
彼の歌がどのようなものなのかを、ちょっぴり察する詩織であった。
大成功
🔵🔵🔵
白矢羽・尭暁
ここが瑠璃が歌を詠む場所?
ふふ、美しい場所だね
少し僕と歩くかい?
先程みたいに抱き上げて…兄君にして貰うほうがいいかな?
れーくん、君の妹はしっかりと守ってきたよ
今日は堅苦しい宴ではないから僕も気が楽だ
そうだなぁ…瑠璃は何を楽しみたい?
苺ミルクラテが好き?
…あの甘い飲み物か…なら甘い…パフェも好きそうだね
れーくんと一緒に食べるといいよ
れーくんもほら、瑠璃と一緒に食べると良い
僕? 僕は一口もらえたらそれでいいかなぁ
ふふ、れーくんも準備ありがとう
楽しい旅だったし、こうして最後に君と一緒に花見を出来て僕は嬉しい
父上も、皆とこんな風に花見をしていたんだ
仲の良いものと花を楽しめるのは幸せなことだね
桜も梅も、どちらも咲き誇る春の景色。
それは、平安結界が見せている春の幻かもしれないけれど。
「ここが瑠璃が歌を詠む場所? ふふ、美しい場所だね」
花の如き美しい笑みを開き咲かせて、白矢羽・尭暁(金烏・f42890)は駆け寄ってきた瑠璃へとこう声を掛ける。
「少し僕と歩くかい? 先程みたいに抱き上げて……兄君にして貰うほうがいいかな?」
「! はわ……よろしければ、ともにっ。それに……瑠璃は、尭暁様に、していただきたいです」
ちょっぴりもじもじとそう告げた彼女を、ご所望通りにひょいと抱き上げてあげれば。
桜や梅よりも頬を色づかせ、はわはわしている少女の様子に気付かない尭暁は、罪作りである。
それから、他の皆をもてなし、挨拶や礼を告げ終えた己の従者の姿を見つければ。
「れーくん、君の妹はしっかりと守ってきたよ」
「主の手を煩わせてしまい……ですが、此度は有難うございます、尭暁様」
そう頭を下げる従者が、妹が無事で心底ほっとしているとわかるのは、主である自分だけ。
そんな従者に笑み向けてから。
「今日は堅苦しい宴ではないから僕も気が楽だ。そうだなぁ……瑠璃は何を楽しみたい?」
「尭暁様のおそばにいられれば、瑠璃はそれだけでうれしいですが……兄様が調達してきた異世界の飲み物……いちごみるくらてを、いただきたいです」
「苺ミルクラテが好き?」
「確かに、あの飲み物は美味です」
「……あの甘い飲み物か……」
相変わらず機微ではあるが、とてもうきうきしているのがわかる従者の様子に、尭暁はそう呟きを落とした後。
「……なら甘い……パフェも好きそうだね」
そういえば瑠璃は、実は甘党な辰乃丞の妹。
なので、甘いパフェをお願いして。
「れーくんと一緒に食べるといいよ」
「……私も、よろしいのですか?」
「れーくんもほら、瑠璃と一緒に食べると良い」
「しかし、尭暁様は……」
「僕? 僕は一口もらえたらそれでいいかなぁ」
「兄様……! このぱふぇという甘味、とってもおいしいのです!」
やはり思った通り、甘い物に幸せそうな瑠璃に微笑んで。
またほわわっと見惚れる彼女の視線には気づかずに、では、と嬉々とパフェを食べた従者に目を向ければ。
「やはり、非常に美味です」
違う意味でほわわっと機微している従者に、満足げに金の瞳を細めて。
「ふふ、れーくんも準備ありがとう。楽しい旅だったし、こうして最後に君と一緒に花見を出来て僕は嬉しい」
そうふわりと笑み向ければ、こう返す辰乃丞。
「主の傍に在るのは、従者のつとめですから」
そんなある意味彼らしい相変わらずな言葉に、ちょっぴりだけ密かに苦笑するも。
でも、嬉しいことには変わりないから。
花咲く春の景色を愛でながら、従者とともに並んで歩く。
「父上も、皆とこんな風に花見をしていたんだ」
父は、花をとても愛していたと、そう聞いていたし。
父の従者からも、花を共に楽しんだという過日の思い出話は沢山聞いているから。
その時の父の気持ちが、今の尭暁にはわかる気がするのだ。
だから、いつでも傍に在る己の従者に花笑んで、紡ぎ咲かせる――仲の良いものと花を楽しめるのは幸せなことだね、って。
大成功
🔵🔵🔵
映日果・花隹
【春逢花】
宴席達の端にぽつんと或る野点傘の下で
悠々と花見酒を嗜むとしようかの
妾のこの龍の躰では
辺りに居る人の子等に迷惑が掛かろうて
塩漬の桜が入った酒とは
長生きはしてみるものじゃ
遷ろう四季と街並みの中でも
雅な物は不変で心が落ち着くのう
茫と桜を見上げて
こくりと酒を口に含めば、ふと視線に気が付く
気配の方へ見遣れば
春の小花が顕現されたような愛らしい乙女の姿よ
あられを肴に
1人で眺める桜も悪くはないが
折角の花見じゃ
風情を語れる話し相手を望んでいた処よ
共に楽しもうではないか
――妾は 花隹 と申す
嗚呼、自己紹介などしたのは何時振りかの
新たな出逢いに感謝せねばな
お主の名は?
……春鈴
ふふ、良い名じゃ
お客人が座れるように長い龍の躰を撓らせれば
硝子の鱗がからりと鳴る
妾も甘味は好物故
戴こうとするかの
お主もあられを摘むと良い
甘塩交互に口にすれば、飽きも来ず楽しめるだろうて
苺の入った大福を一口齧れば
瑞々しい果実感に頬が緩んで
斯くにもハイカラで珍しい甘味が在ったとは……
お主さえ良ければ
もっと教えてくれぬか?
花染・春鈴
【春逢花】
美しき春の宴…
脅威も無事に祓われているようで安心しました
私もそっと宴を楽しんでゆきましょう
苺大福に苺ミルクラテを頂き
何処で楽しもうか当たりを見渡していれば
ふと眼の先に留まったのは
春の花と共に咲くが如く美しい御姿
其の神秘を纏う方は竜神さま?
心惹かれる儘にとその方の傍へと歩み寄ると
ふわり柔らかな所作で礼をする
今晩は
よければ…お隣よろしいですか?
宴に参加したものの一人物寂しくなってしまいまして
共に宴を楽しむ事をお許し頂けますか?
許しを頂けたなら花綻ぶように微笑した
ふふ、それはとても光栄な事です。花隹様
わたしは、春鈴と申します
この良き日の出逢いに感謝を
彼女のお隣りへ座ると
花隹様は甘いものはお好きでしょうか?
…此方も一緒に如何ですか?
美味しそうな苺大福を頂いてきたのですよ
少し多く頂いていたので、お酒のお供に
わたしも一つ大福を食べると
ん。美味しいですね…
お花見に苺大福が一番絶品です
花隹様にも、気に入って頂けたのならよかった
ええ、勿論です
折角ですから、あられを含め色んなものを頂きましょう
温もりと花の香をふわり纏う風がそっと頬を撫で、春の花たちが淡く美しく咲き誇る。
辿り着いた歌枕に広がる風景は、まさに麗らかな爛漫の春。
そしてこの歌枕で開かれているのは、ゆったりと心穏やかなひとときを提供する、雅やかな宴。
そんな春の彩りの中、花染・春鈴(花祝・f42773)は周囲へと視線を巡らせて。
(「美しき春の宴……脅威も無事に祓われているようで安心しました」)
……私もそっと宴を楽しんでゆきましょう、と。
平安結界を維持するためにも、この歌枕の地で過ごすひとときを堪能せんと赴いたのだから。
花見には団子がつきもの、苺大福に苺ミルクラテをいただいて。
何処で楽しもうかと、和やかな空気が流れる宴の光景を見渡していれば。
ふと瞳に留まり咲いたのは、春の花と淡彩色を湛える美しい姿。
春鈴自身も半分は同じ種族であるから、春纏うその気配を目にすればわかったのだ。
(「其の神秘を纏う方は竜神さま?」)
そして、そんな春鈴の視線の先――宴席達の端にぽつんと或る野点傘の下で。
(「悠々と花見酒を嗜むとしようかの」)
……妾のこの龍の躰では、辺りに居る人の子等に迷惑が掛かろうて、なんて。
長くしなやかな龍の体でもゆったりとできる端で、映日果・花隹(嘯く花弁・f43135)は、満開に咲く彩りを愛でながら花見酒に興じていた。
そう――花隹は唯、美しいモノさえ愛でられれば、それで良いのだから。
それに、歌枕の美しい春の景観を肴に、くい、とひとくち。
「塩漬の桜が入った酒とは、長生きはしてみるものじゃ」
春の風情宿す美味い酒まであれば、言うことなしであるし。
遷ろう四季と街並みの中でも、このような四季の巡りを味わえば、花隹の春色の尾もご機嫌にゆうらり。
――雅な物は不変で心が落ち着くのう、と。
茫と桜を見上げ、こくりと酒を口に含んで楽しんでいれば、ふと気が付く。
自分へと向けられている視線に。
そしてその気配の方へと見遣れば……歩み寄り礼をする、ふわり柔らかな所作の少女。
心惹かれる儘にと、見かけた竜神さまの傍へやってきたのはそう、春鈴であった。
それから彼女から紡がれるは、こんな問いかけ。
「今晩は。よければ……お隣よろしいですか?」
(「春の小花が顕現されたような愛らしい乙女の姿よ」)
そう思って眺めていれば、春鈴はこう続ける。
「宴に参加したものの一人物寂しくなってしまいまして。共に宴を楽しむ事をお許し頂けますか?」
あられを肴に、1人で眺める桜も悪くはない。
けれど、誰かと共に愛でるのもまた、佳きものだから。
「折角の花見じゃ、風情を語れる話し相手を望んでいた処よ」
野点傘の下に、春を思わせる乙女を、花隹は喜んで招き入れて。
その言葉を聞けば、花綻ぶように微笑する春鈴。
それからまずはやはり、互いに口にするは、己の名。
「――妾は 花隹 と申す」
そして心に生じた擽ったさに、ふっと瞳を細める花隹。
「嗚呼、自己紹介などしたのは何時振りかの。新たな出逢いに感謝せねばな」
「ふふ、それはとても光栄な事です。花隹様」
そう花笑む少女に、花隹は訊ねてみる。
「お主の名は?」
「わたしは、春鈴と申します」
「……春鈴。ふふ、良い名じゃ」
……この良き日の出逢いに感謝を、と。
同じことを考えていた春鈴の言の葉に、花隹も笑み開き咲かせて。
それから、ふと耳に聞こえるは、からりと鳴る硝子の鱗の音色。
そんな花隹の隣へと座れば、春鈴はそっと取り出す。
「花隹様は甘いものはお好きでしょうか?」
……此方も一緒に如何ですか? って。
「美味しそうな苺大福を頂いてきたのですよ。少し多く頂いていたので、お酒のお供に」
先程いただいておいた、もちもち甘い苺大福を。
そして花隹は、己の知らぬ差し出された甘味へと、その手を伸ばしてみて。
「妾も甘味は好物故、戴こうとするかの。お主もあられを摘むと良い」
甘い大福と塩気の効いたあられ――それを交互に口すればそう、いわゆる味変。
飽きも来ず楽しめるだろうて、と勧めながらも。
手にした苺の入った大福をはむり、一口齧ってみれば。
瞳をぱちりと瞬かせた後、思わず頬が緩む花隹。
「斯くにもハイカラで珍しい甘味が在ったとは……」
もちもちな中にぎゅっと詰め込まれた、優しい餡の甘さと瑞々しい果実感に。
そんな花隹に続いて、春鈴も一つ、苺大福を食べてみれば。
「ん。美味しいですね……お花見に苺大福が一番絶品です」
その美味しさに大きくひとつ頷きつつ、ふと、ふわり笑みを綻ばせる。
「花隹様にも、気に入って頂けたのならよかった」
向けた視線の先――ほくほくと苺大福を美味しそうに口に運ぶ、その姿をみれば。
それから嬉々と、花も大福も堪能しつつ。
花隹は淡き尾を揺らめかせ、春鈴へとこう紡ぐ。
「お主さえ良ければ、もっと教えてくれぬか?」
まだ知らぬ様々な未知と、出逢いたいから。
そして春鈴は、すぐにその言の葉に頷いて返して。
「ええ、勿論です」
折角ですから、あられを含め色んなものを頂きましょう、と。
花隹に勧められたあられにも、手を伸ばしていただくことに。
麗らかな春、新しい素敵な出会いに――この麗らかな佳き日、嬉しさを満開に咲かせながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵