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黒き怪物に呑まれるか、エースの出生

#クロムキャバリア #【Q】 #地下帝国 #ACE戦記 #ACE戦記外典 #プラナスリー #フルーⅦ #エルネイジェ王国 #バンブーク第二帝国

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●タイプG
 黒髪が揺れていた。
 赤い瞳は凶暴性を煮詰めたようであった。
 だが、獰猛な口元は今や猿轡ような器具によって塞がれていた。
 手足は拘束されていたが、しかし、まるで彼の脅威を封じ込めていることができているとは到底思えなかった。
 彼はかつて『黒騎士』と呼ばれた謎のキャバリア――オブリビオンマシン『スカルモルド』を駆り、猟兵と対峙したパイロットである。
 狂気を克服するのではなく、塗り潰すようにしてさらなる執着でもって戦場を駆け抜けた青年。
 それが彼だ。

 そんな彼が拘束されている。
 が、その顔の表情は特別慌てている様子もなければ、諦観さえ浮かべていなかった。
「……」
「『フュンフツィヒ』、失態でしたね。とは言え、この程度、あなたには懲罰にすらならないのでしょうが」
 青年の視線が『ノイン』と名乗る存在を射抜いた。
 大凡、彼と彼女が同じ小国家に属しているとは思えない不穏なる雰囲気であった。
「そろそろ敗北の言い訳でも聞きましょうか」
「……」
「ああ、すいません。これでは口がきけないですね?」
 乱雑に『フュンフツィヒ』の猿轡めいた器具を取り払う。床に投げ捨てられた器具から血潮が滴り落ちていた。
 瞬間、口元から血潮を撒き散らして『フュンフツィヒ』が食らいつくようにして『ノイン』の喉元へと奔る。
 だが、それを見越していたように『ノイン』は彼の胸元を蹴り倒して床に押さえつけるようにして踏みにじった。
 呻く声が聞こえて漸く『ノイン』は満足げに頷いた。

「古代プラントは手に入れ損なう。乗騎を破壊される。そのうえでおめおめと戻って来る。一体全体どのような『教育』をされてきたのでしょうね。獣以下じゃあないですか、これでは」
「……ハッ、よく言うぜ。最初から使い捨てるつもりだっただろうがよッ」
「タイプG。因子タイプEの開発が難航した保険程度でよくもまあ、自分が一個戦力だとでも言いたげですね? 今更人権でも振りかざしますか?」
「いらねぇよ、そんなもんは。だがッ、俺は……!」
 獰猛な狂犬の意地であった。
 だが、同時に彼の瞳には狂気以外の色があるように見えて、『ノイン』はつまらそうに吐き捨てた。
「情を覚えた獣に価値などありません。ですが、あなたには利用価値があります。むしろ、あなたにしかできないこと、とでも言えばいいでしょうか」
 そう告げる彼女の背後には鮮烈なる赤い光が二つ灯った。
 巨大な何か。
『フュンフツィヒ』は見上げた。
 その『怪物』を――。

●スーパーロボット
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の事件はクロムキャバリア世界の小国家『フルーⅦ』に、滅びた地底帝国『バンブーク第二帝国』の跡地に収まった巨大巨竜型要塞『ベヘモット』を国土とする小国家『プラナスリー』の脅威が迫っています」
 彼女の言葉に猟兵たちは驚いたかもしれない。
 数々の戦乱を引き起こしてきた小国家『プラナスリー』。
 固有の国土なく、浮島一つほどもあろうかという巨大巨竜要塞『ベヘモット』を国土そのものとした小国家が、あろうことか滅びた地底帝国『バンブーク第二帝国』の跡地に収まっているというのだ。

 問題はそれだけではない。
 その地底帝国の残滓とも言うべき数々の武装を用いて、小国家『フルーⅦ』を殲滅せんとしているのだ。
 小国家『グリプ5』、『ビバ・テルメ』、『フルーⅦ』の三国に宣戦布告をした『プラナスリー』の狂気的な進撃は止まらない。
 此度の標的は『フルーⅦ』にて保護された嘗ての巨人の国、『バンブーク第二帝国』の皇女『ライスメキア』の駆る秘蔵されしスーパーロボット、巨大キャバリア『フラズグルズ』である。
『プラナスリー』は、この巨大キャバリア『フラズグルズ』と皇女『ライスメキア』の強奪を目論んでいる。
「本来であれば……『フラズグルズ』は小国家防衛の切り札。ですが、間の悪いことに今はオーバーホール中なのです」
 つまり、パーツ単位まで分解して整備しているのだという。
 恐らく、敵はこの隙を逃さぬつもりなのだろう。

「かつて、地底帝国のオブリビオンマシンには『有毒装甲』と呼ばれる毒素を撒き散らす装甲が装備されてました。その『有毒装甲』はキャバリアに騎乗していれば、パイロットに害をもたらすことはありません」
 だが、とナイアルテは問題は『有毒装甲』ではない、と告げる。
「問題は、この先鋒たるオブリビオンマシンです」
 彼女が示したのは、巨大なオブリビオンマシンであった。
 黒き城の如き威容。
 巨獣と呼ぶに相応しい雄々しき体躯。
 そう、オブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』であった。
 決戦用スーパーロボットとも言われ、障害を真正面から強行突破し蹂躙することが可能な戦術を破綻させる戦機である。

 しかも、パイロットは『フュンフツィヒ』と呼ばれる嘗て『黒騎士』と呼ばれるオブリビオンマシンを駆っていた存在である。
 技量と怪物的オブリビオンマシンの性能が合わさればどうなるかなど言うまでもないだろう。
「スーパーロボットである巨大キャバリア『フラズグルズ』の力なき『フルーⅦ』を守るためには、皆さんのお力添えが必要なのです」
 どうか、とナイアルテは頭を下げ、猟兵たちを転移させるために集中するように瞳を伏せたのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はクロムキャバリア、小国家『フルーⅦ』に嘗ての滅びし地底帝国『バンブーク第二帝国』の遺産を引き継いだ小国家『プラナスリー』が迫っています。
 間の悪いことに防衛用の決戦用スーパーロボット『フラズグルズ』はオーバーホール中です。この窮地を退けるためのシナリオになります。

 キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
 ただし、暴走衛星『殲禍炎剣』が存在しているため、空は自由に行き来できません。

●第一章
 ボス戦です。
 敵エース『フュンフツィヒ』の駆る『ギガス・ゴライア』は人体に有害な毒素を撒き散らす『有毒装甲』を持っていますが、真に脅威なのは扱えるパイロットが極端に少ないと言われる『ギガス・ゴライア』の本来の性能を引き出しているパイロットの技量と凶暴性です。
 他のどんな武装よりも、彼の獰猛さこそが皆さんにとっては脅威となるでしょう。
 はっきりといって強敵です。

●第二章
 集団戦です。
『ギガス・ゴライア』を退けても、行き着く暇もなく後続のオブリビオンマシン軍団が大挙として迫ります。
 途方もない大軍であり、進撃速度も極めて速いです。
 ですが、どうにかしてこの大軍を迎え撃ち、進撃をある程度でも遅らせることができれば、オーバーホール中のスーパーロボット『フラズグルズ』を短時間であれば戦闘可能な状態にして復帰してくれることでしょう。

●第三章
 ボス戦です。
 一際強力なオブリビオンマシンの一体が現れます。
 これまでの戦いで消耗激しいことでしょう。
 スーパーロボット『フラズグルズ』の防衛能力を頼みにすることもできますが、それ以上に短期決戦に持ち込まねば、間に合せの突貫修理のため『フラズグルズ』は再び沈黙してしまいます。
 どの道、最後は皆さんの力が必要なのです。

 それでは小国家『フルーⅦ』の窮地と『プラナスリー』の猛威。この局面を乗り切るために戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『ギガス・ゴライア』

POW   :    ベルセルクランページ
【腕部と背部のビームキャノンを連射して】から高威力の【巨躯と重装甲、瞬発力を活かした格闘攻撃】を放ち、レベルm半径内の【範囲を蹂躙して戦術を破綻させ、範囲内に】ある者全員にダメージを与える。
SPD   :    ハイパーパルスシールド・バースト
【敵の攻撃とバリアを消滅させるパルスの爆発】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    デストラクションストーム
【顎内部のBSデストラクションバスター】を用いた戦闘時に、一点を貫く【収束荷電粒子砲】と広範囲を薙ぎ払う【拡散荷電粒子砲】を一瞬で切り替えて攻撃できる。

イラスト:イプシロン

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ソフィア・エルネイジェです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「『フラズグルズ』は、出せないのですか!」
 巨人の皇女『ライスメキア』は、オーバーホール中のスーパーロボット『フラズグルズ』を前にして歯がゆい心持ちを示すようだった。
 迫るは黒き怪物。
 その重圧は彼女の魂を揺るがすようだった。
 あの怪物は、恐るべき存在だ。
 オブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』。
 その性能は言うまでもない。だが、真に『ライスメキア』が恐れたのは、その性能ではなく、駆るパイロットの狂気を塗り潰す凶暴性であった。
「あのパイロットは……!」
「邪魔ァ、すんじゃあねぇよ!! 俺はッ! あのばーっと明るくなって……まるで花畑みたいなあの光をもう一度、見るんだよッ!!」
「そんな力の使い方をしては……求めるものまで破壊しかねないと、わからないのですか!」
「知るかよッ! 俺ァ……! 壊して、壊して、壊して、そうやって手に入れることしかできねぇんだよ! だったらぁ!!」
「まるで駄々っ子……! そんな人に構う理由などありません!」
「人の心にズケズケと踏み込んできて知ったような口をきくんじゃあねぇよ!!」
 咆哮。
 それは正しく咆哮であった。
 ビームの光条が嵐のように吹き荒れ、さらに獣脚があらゆるものを粉砕する。
 パルスのほとばしりが爆発を引き起こし、あらゆるものを吹き飛ばしていく。
 顎部に配されたデストラクションバスターの砲口が光を湛え、広範囲に渡る荷電粒子砲の一撃が解き放たれた。
 それは市街地で使用される武装ではなかった。
 後先などまるで考えていない。
 破壊だけをもたらすためだけに、あらゆる力が用いられていた。
 狂気迸るのだとしても、それはただ一つの目的に突き進む愚直ささえあったのは皮肉だ。
『ギガス・ゴライア』のパイロット『フュンフツィヒ』は、コクピットの中にあって、みなぎる狂気を御しきれず、『フルーⅦ』の市街地を蹂躙する。
 彼が求めるものがなんであるかはわからない。
 だが、『ギガス・ゴライア』は彼の凶暴性を狂気でもって引き出し続け、恐ろしい戦いの音を轟かせる
 それは破壊しかもたらさない――。
シル・ウィンディア
…わぁ、なんていうか、ものすっごく大きい。
というか、キャバリアの枠なの?

ともあれ、全力以上でしないと時間稼ぎにもならなさそうだね、これ。

殲禍炎剣に引っかからないように注意して、推力移動から空中機動に移行するよ。
動き回って攪乱しないとね。

ロングビームライフル、左前腕ビームランチャー、カルテッドキャノン、リフレクタービットを同時に一斉発射。

攻撃と同時に、多重詠唱で魔力溜めをしつつUCの詠唱を行うよ。
化け物には超巨大魔力砲撃で対応だね。

詠唱が終わったら、全力魔法で限界突破のヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト!
これならさすがに少しは痛いでしょっ!
わたしの限界突破の一撃、遠慮せずもってけーーっ!!



 それは巨大な黒き城であった。
 キャバリアと呼ぶにはあまりにも重厚。装甲は城壁とも例えることができたかもしれない。
 黒鉄の城とも言うべきオブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』は小国家『フルーⅦ』の市街地を蹂躙するかのように進撃を開始していた。
 踏み鳴らす地響きは人々を恐怖に陥れる。
 そして、口腔に備えられたデストラクションバスターの光が満ち、解き放たれる。
 拡散するビームの光条。
 爆炎が市街地に一拍遅れて立ち上り、その威力の凄まじさを語るには、如何なる言葉が適当であったか。はたまた何一つ正しく、その一撃を示す言葉はないのかもしれなかった。
「……わぁ、なんていうか、ものすっごく大きい。というか、キャバリアの枠なの?」
 シル・ウィンディア(青き流星の魔女・f03964)は己の乗騎と『ギガス・ゴライア』の機体高の差に唖然とするしかなかった。

 それほどまでに『ギガス・ゴライア』は巨大である。
 巨大である、ということは装甲が重厚であるということであるし、また機体を動かすための出力もまた膨大であるということだ。
 一体どれだけのエネルギーインゴットでもって駆動しているのか。
 シルにはわからなかった。
「けど、全力以上でもないと、時間稼ぎにもならなそうだね、これ」
 拡散したビームの光条から間をおかずしてシルの機体に迫るデストラクションバスターの一閃。
「今度は、一点!? まさか、使い分けてるっていうの!?」
 シルは己の機体の空中機動でもって装甲を撃ち抜くかのような……それこそスナイパーばりの精密射撃でもって放たれた一撃をなんとか躱す。
 いや、『レゼール・ブルー・リーゼ』のウィングスラスターの翼が溶解し、吹き飛んだ。
 掠めただけで、この威力。

「くっ……!」
「高度を気にして、注意が散漫になるくらいならよォ!!」
 狂気溢れる『ギガス・ゴライア』のパイロット『フュンフツィヒ』の射撃は獰猛さとは裏腹に性格無比であった。
 撹乱しようにも、この世界での戦いは立体的な動きに制限を課せられている。
 天に座す暴走衛生の砲撃の危険性があるからだ。
 そのため、シルは空に蓋をされたと感じるだろう。
 武装の射撃武装を一斉に発射し、弾幕を張るが、それも豆鉄砲程度の威力しか『ギガス・ゴライア』には意味しない。
 重厚な装甲は、伊達ではないのだ。
「化け物……って言うには、正しく、だよね!」
「ちょこまか動いて撹乱しようってのが、目に見えてんだよ! その程度で引っかるんなら、空中機動なんざ、廃れるものかよ!」
 放たれる拡散ビーム。
 シルが空中機動を行うというのならば、あえて狙う必要はないというように面で制圧するように光条が迸る。

 周囲の建物が破壊され、爆炎が上がる中、シルの瞳がユーベルコードに輝いていた。
 それは詠唱の続行を意味していた。
 なまじ重厚な装甲を『ギガス・ゴライア』は持っている。
 であれば、生半可な一撃は反撃の一撃でこちらが墜とされる可能性がある。
「詠唱完了! これなら、流石に少しは痛いでしょっ!」
 シルは己の全力を持って魔力を駆動させる。
 回転した魔法陣がエネルギーを生み出し、『レゼール・ブルー・リーゼ』より強大な魔力砲撃であるヘキサドライブ・エレメンタル・ブラストの一撃を『ギガス・ゴライア』へと叩き込む。
 黒鉄の装甲の表面が沸き立つようにして剥げ落ち、その苛烈なる魔力の奔流は、怪物を飲み込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
【心境】
「あえて言おう。キャバリアの(外観に)限界はない…ということにしておこう。」
見た目は兎も角、性能は確かにやばいね。
油断…なんてしたことはないけど、一瞬でもそれしたらさすがにやられそうだ。
【行動】
行くよ、レスヴァントMk-2。
毒…いや、まずはキャバリアを落とす。
毒の浄化はその後が無難か。
悪いけど、初手から全力だよ!!
オーバーブースト・ラストスパート発動!!

地表スレスレを最速で加速して、攻撃を『瞬間思考力』で『見切り』回避しつつ、アストライアの『制圧射撃』を撃ち込みつつ、接近してイニテュウムで『捨て身の一撃』で『切断』し、離脱する。ヒット&ウェイだね。



 戦いで余裕を感じたことなど一度もなかった。
 あったのは焦燥にも似た感情だっけだった。
 一刻も早く戦闘を終わらせなければ、という使命だった。長引けば長引くほどに戦いは命を奪っていく。
 どうしようもないほどに、それが真理であったからだ。
「あえて言おう」
 ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は己が乗騎である『レスヴァントMk-2』と共に小国家『フルーⅦ』の市街地を蹂躙する黒き城の如きキャバリア……いや、今はオブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』の進撃を阻むために迫る。
「キャバリアの限界はない……ということにしておこう」
 巨大過ぎる。
 まるで城塞そのものが迫ってきているかのような圧迫感を『ギガス・ゴライア』は見せていた。

 圧倒的過ぎる重装甲。
 猟兵による魔力砲撃すら、その表面を焼くに至る程度であった。
 装甲は健在。
 加えて言うのならば、あの装甲事態が『有毒装甲』だ。
 キャバリアに乗っていない人間では、あの装甲が撒き散らす有毒な毒素を前にはひとたまりもない。
「デカイからって、撒き散らす毒素の量も半端ないってわけ……!」
 キャバリアを駆るユーリーに毒素は関係ない。
 だが、市街地に逃げ遅れた市民たちがいるかもしれない。
 であれば、あの『ギガス・ゴライア』の排除が最優先事項だった。
「まずは、落とす!」
「できるもんならァ!!」
『ギガス・ゴライア』のパイロット『フュンフツィヒ』が咆哮する。

 迸る狂気。
 それを塗り潰す凶暴性。
 まるで獰猛な獣を相手取っているかのような感覚にユーリーはしかし、たじろがなかった。
 今、ここで己が怯んでは市街地の蹂躙劇はさらに続くことだろう。
 毒素の浄化よりも何より、まずは『ギガス・ゴライア』の撃破を狙わなければならない。
 瞬間、『レスヴァントMk-2』を襲うのは、パルスの広範囲攻撃であった。
 炸裂する一撃に機体が揺れる。
「……ッ! 全方位攻撃……! なんて出力!」
 油断したつもりはなかった。
 だが、敵パイロットの判断は早かった。
 こちらが高機動戦闘を得意とした機体であると瞬時に悟り、無差別攻撃に切り替えてきたのだ。
 一瞬でも動きが、判断が遅れていたのならば、さすがのユーリーと言えどやられていたことだろう。

「初手から全力だよ!!」
「やってみろやァ!! この『ギガス・ゴライア』をどうこうできるってんならよォ!!」
 再び炸裂する広範囲の無差別攻撃。
 市街地の建物を立てにしてユーリーはパルスの一撃を躱す。
 敵の無差別攻撃はタイムラグがある。
 であれば。
「その一瞬で! オーバーブースト・ラストスパート……飛べーッ!!」
 ユーベルコードの輝きを宿したアイセンサーと共にユーリーは白い特殊粒子を噴出させながら、一気に空へと飛び立つ。
 それは自殺行為だった。
 いや、違う。
 それはユーリーのユーベルコード。
 殲禍炎剣に感知されぬ特殊粒子。これによって『レスヴァントMk-2』はクロムキャバリアにありながら、暴走衛生に補足されぬのだ。

 空からの直上たる一撃。
 放たれるキャバリアソードの一閃が『ギガス・ゴライア』の装甲を切り裂き、その黒き威容に傷を刻むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
帰ってきたのね、『黒騎士』が。『騎士』から『龍』に乗り換えて。
有毒装甲が撒く猛毒は、スペースシップワールドの極薄宇宙服で対応するわ。これももう必須装備ね。念のため「毒耐性」「オーラ防御」も併用。

これは本来市街地で使う術じゃないけど、あれが撒く毒のせいで、周囲に一般人が生き残ってるとも思えない。攻めて土葬に付してあげましょう。
「全力魔法」「範囲攻撃」「竜脈使い」「衝撃波」で地烈陣。
『ギガス・ゴライア』を中心に、一気に地面を砕く! 塵は塵に、灰は灰に、地より出でたるものは地の底へ!
機体が無事でも、パイロットへの衝撃は逃がしきれないはず。これでどう!
這い上がろうとすれば地盤が崩れる。簡単な蟻地獄よ。



「帰ってきたのね」
 スペースシップワールドの宇宙服を身にまとった村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は、小国家『フルーⅦ』の市街地を蹂躙するオブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』の威容を前にして呟く。
 嘗ては『黒騎士』と呼ばれたオブリビオンマシンを駆っていたパイロット『フュンフツィヒ』。
 彼が乗騎を新たにして単騎で襲来したことは、彼女にとっては意外ではなかった。
 オブリビオンマシンの狂気に侵され、破壊を振りまく黒鉄の城。
 正しく『ギガス・ゴライア』はそう表現するしかないほどの脅威であった。
 更に『有毒装甲』による周囲への汚染。
 生身単身では、この毒素に毒されて即死してしまう。
 故に対策は必須であった。
「キャバリアがないんなら、これはもう必須装備というところね」
 彼女は己が装備した宇宙服に解れが生まれては、即座に身に毒素が侵入し、体を蝕むことを理解している。
 だからこそ、耐性とオーラ防御を併用して『ギガス・ゴライア』に向き直る。

「本来は市街地で使う術じゃあないけれど……!」
『有毒装甲』が撒き散らす毒素で周囲に人がいるとは思えない。破壊された市街地の様相を見て、これ以上被害を広げぬことが肝要であった。
「戦域指定! 古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。竜脈宿せし大地よ。永劫の微睡みから目覚め、汝を忘れ去った者共に相応の報いを与えよ。疾!」
 ユーベルコードの煌き。
 瞬間、『ギガス・ゴライア』のアイセンサーが赤く剣呑に煌めく。。
「しゃらっくせぇんだよ!!」
 背部と腕部とに装備されたビームキャノンが連射され、ユーベルコードの輝きを導として『ギガス・ゴライア』はゆかりへと砲撃を叩き込む。
 生身のゆかりを狙うことはできないが、周囲に破壊が齎される。
 それだけでも規格外の火力であることは言うまでもない。

 だが、それだけに『ギガス・ゴライア』はとどまらない。
 その巨躯を翻し、如何にすれば、そのような俊敏性が得られるのかというほどの加速で持ってゆかりへと突進してくるのだ。
 戦域を包み込む地震などものともしない突進力。
 それは謂わば、戦術を破綻させる超過駆動。激震する大地。
 ゆかりは見上げただろう。
「押しつぶしてやるよッ!!」
「地烈陣(チレツジン)を舐めんじゃあないわよ! 塵は塵に。灰は灰に、地より出でたるものは地の底へ!」
「お前も送ってやるよ! 地の底へなァ!!」
 互いのユーベルコードが『フルーⅦ』の市街地に炸裂する。

 揺れる。
 激震する。
 振動が互いを包み込む。
 だが、ゆかりは目にしただろう。亀裂奔る大地を、黒鉄の城が疾駆するように駆け上がっている。
『ギガス・ゴライア』の性能を十全に引き出したパイロット『フュンフツィヒ』は、まごうこと無き『エース』。
 その技量でもってゆかりに迫っているのだ。
「砕けた瓦礫を踏み潰して足場にしてるっていうの!?」
「衝撃が逃がしきれないってんならよォ! テメェごと引きずり落としてやるッ!!」
 迫るアーム。
 それを躱してゆかりは飛ぶ。
「這い上がろうとすれば地盤が崩れる……蟻地獄だっていうのに! でも!」
 ゆかりは迫るアームを躱して、崩落する大地の奥に剣呑なる赤い輝きを見やる。
 これで終わるわけがない。
 そう、『ギガス・ゴライア』の逆襲は、これからだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イクシア・レイブラント
あのサイズの重装甲でここまで動くなんて、とんでもない戦力ね。
分析完了。鎧装騎兵イクシア、交戦を開始する。
[戦闘演算、瞬間思考力]でビームキャノンの射線を読んで[空中機動]で回避しつつ距離を詰め、
ベルセルクランページには【シールドバリア】をぶつけるように[盾受け]して勢いを殺す。
その隙に、敵の頭部に向かって[推力移動]して大型フォースブレイドで[空中戦、武器巨大化、なぎ払い]。
まだ暴れ足りないようね?
だけど、被害の拡大は見過ごせない。私たちがここで止める。

機械だから[環境耐性、毒耐性]で有毒装甲の影響は受けない。
戦いの余波で発生する衝撃波なども[通常攻撃無効]で気にせず戦うよ。



 黒鉄の城。
 正しくそう表現することしかできない巨大キャバリア……いや、オブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』の猛威は小国家『フルーⅦ』を未曾有の災害の如き力でもって襲っていた。
 破壊ばかりが周囲に満ちている。
 凄まじいばかりの砲火。
 踏み出すだけで激震が走る。
 崩落した大地から駆け上がる俊敏性は、凶暴性と言い換えることもできただろう。
「この程度で俺が止められるかよッ!!」
 パイロットである『フュンフツィヒ』の凶暴性の発露を示すように『ギガス・ゴライア』の咆哮が轟く。
 背部と腕部のビームキャノンが火を吹くように光条を解き放つ。
 砲火の嵐だ。

 その中をイクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)は飛ぶ。
「あのサイズの重装甲で此処まで動くなんて、とんでもない戦力ね」
 分析を終えてイクシアは頷く。
 火力は絶大。
 防御する装甲もまた狂人。
 加えて、人体に有害な毒素を撒き散らす『有毒装甲』。
 厄介極まりないオブリビオンマシンであると言えるだろう。
 だが、ここで退いたところで得られるのは破壊と蹂躙の痕だけだ。
「あれは、ここで止めなくては。鎧装騎兵イクシア、交戦を開始する」
 演算によって導き出された砲火の光条の軌跡。
 その軌跡を縫うようにしてイクシアは踏み込む。
 瞬間思考が彼女に最適解を示す。

「ちょこまかと!」
 イクシアの機動をないものにするかのように『ギガス・ゴライア』が踏み込んでくる。
 空中機動。
 だが、この空に蓋をされた世界にあって、イクシアの戦闘機動は大きく制限されるだろう。
 ある程度の高度は許されるが、しかし、高速飛翔ができない。
 この世界には、天に蓋する暴走衛生がある。
 ある高度を越えての飛翔は、ただそれだけで天からの無差別砲撃に晒されてしまうのだ。
 故に、イクシアは立体的でありながら、実質制限された機動しかできない。それを『ギガス・ゴライア』のパイロット『フュンフツィヒ』は理解していたのだろう。

 巨体の突進にイクシアは己がユーベルコードの発露でもって、シールドバリアを展開して防ぐ。
「ぐっ……!」
「豆粒程度の生身がァ!!」
「ぐっ……クッ! なんて突進力」
 イクシアはしかし、『ギガス・ゴライア』の突進を受け止める。
 ユーベルコードに寄る防衛結界。手にした盾による防御。
 それを差し引いた衝撃が彼女の身を打ち据える。凄まじい衝撃だった。だが、イクシアは構わなかった。
 受け止められたのならば、反撃に移れる。
「まだ暴れたないっていうのなら」
「邪魔すんじゃあねェッ!!」
 イクシアが掲げた大型フォースブレイドの閃光が迸る。
「被害の拡大は見過ごせない。私達が、ここで止める」
 放たれる一撃が黒鉄の装甲に激突して火花を散らす。強靭な装甲にフォースブレイドの出力が押される。
 規格外だ、とイクシアは思っただろう。
 だが、どれだけ強靭な装甲であろうと消耗はするのだ。己が一手は、『ギガス・ゴライア』を自由にさせぬ一手。
 この場に縫い留める一手として彼女は巨躯と真っ向から打ち合ったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
アルカ・スィエラ…アルカレクス・ドラグソリス……出るッ!!

最初っから死に物狂い、【ACE Breaker】……!!
照射途中での切り替え可能の可能性を考えて、荷電粒子砲は『Eフィールド』では受けず、口部展開と頭部の向きに集中し見切っての回避を、近距離であるならその顔面ぶん殴って無理やりにでも口を閉じさせてやる!!

後予想されるのは推力と質量を活かしての突撃や尾での一撃
突撃にはフィールド展開での受け流し、尾には『ドラグキャリバー』での武器受けを!

今までの連中の行動を考えれば、あの機体が使い捨て…最悪「敵陣自爆前提の特攻兵器」の可能性もある。
生け捕りは考えない、出来る限り早く完全な破壊を狙う……!!



 戦い続く小国家『フルーⅦ』の惨状を見やり、アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は猶予がないことを知る。
「アルカ・スィエラ……『アルカレクス・ドラグソリス』……出るッ!!」
 敵は巨大なオブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』である。
 黒鉄の城を思わせる巨大な体躯。
 有毒装甲を持ち得ながら、その装甲は重厚にして強靭。
 正しく、城そのものが迫ってくるような威圧感をアルカに与えるものであった。
「邪魔をすんじゃあねェッ!!」
 咆哮と共に『ギガス・ゴライア』の口腔に備えられたデストラクションバスターの砲口が煌めく。

 集約された光が明滅した、と思った瞬間に解き放たれ、光条が戦場を切り裂く。
 凄まじい威力の一撃。
 周囲の市街地、その残骸が一瞬で蒸発するほどの熱量である。
「なんて、威力……!」
 エネルギーフィールドで受け止めなくてよかった、とアルカは思っただろう。
 あの一点突破の一撃は、こちらのバリアなど容易く貫通するであろうことが知れたからだ。
 脅威と言う他ない。
 尋常ならざる相手であるということは理解していたはずだ。
 だが、それでもなお底が見えない。
「近距離なら!」
「できると思ってんのかよッ!」
 集約されていた光条が突如分散し、雨のように『アルカレクス・ドラグソリス』へと降り注ぐ。

「っ、くぅっ!?」
 機体が弾き飛ばされる。
 エネルギーフィールドでなんとか直撃は避けられたが、しかし光条の一撃、その熱量は凄まじいものだった。
 フィールドを通してさえ、熱が伝わり『アルカレクス・ドラグソリス』の装甲を灼くのだ。
 さらに、その身を打ち据えんと『ギガス・ゴライア』のスマッシャーテイルの一撃が迫る。
「質量攻撃まで!」
「使えるもんは使う! そんだけだろうがッ!」
 手にした『ドラグキャリバー』でスマッシャーテイルを受け止める。
 軋むフレーム。
 だが、アルカの瞳にはユーベルコードの輝きがあった。
 劣勢に際して尚、その輝きは潰えない。

 なぜなら、彼女は。
「エースでも、大軍でも、誰が相手だろうと私は……負ける訳に、いかないのよ……ッ!!」
 そう、ACE Breaker(エース・ブレイカー)。
 敵が己より強大なことなど、ざらだ。
 だからこそ、踏み越える。
 今まで己が生き残ってきたことが証明である。故に彼女は手にした『ドラグキャリバー』の一撃を『ギガス・ゴライア』のスマッシャーテイルに叩きつけ弾き返す。
「生け捕りなんてッ考えられない……完全な破壊をッ!!」
 打ち合う剣戟の音。
 その苛烈な戦いは、火花散って尚、戦場に傷跡を残すように繰り広げられるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

防人・拓也
リベレーションゼロに搭乗。
指定UCを発動し、機体各所に組み込まれたグラント・サイコゼロフレームから翠色の光が溢れ出し、機体が光を纏う。
敵が拡散荷電粒子砲やビームキャノンで攻撃してきたら、UCで強化された機動性と反応速度を生かして回避、又は強化されたビームシールドで防御。
だが、相手は馬鹿ではない。牽制でこちらの動きを止めつつ、本命の収束荷電粒子砲を撃つはずだ。
本命の攻撃はあえて両腕部のシールドを最大出力にして正面に展開し、受け止める。サイコゼロフレームの光は人の意思に反応し、それが強ければ強い程、人智を超えた力を発揮できる。
リベレーションゼロ…俺の意思に応えろ。俺は狂気に飲まれたこいつに負ける訳にはいかない。こいつに勝たねば、光ある未来を掴めない。その未来を掴む為…お前の力は伊達じゃない事を証明しろ。だから必ず勝つんだ…こいつに!
本命の攻撃を凌いだら、反撃で全火砲の一斉射撃を食らわせる。狂気に満ちた力では何も掴めはしない。ただ悲しみと虚しさだけが残るだけだ。
アドリブ・連携可。



 戦場にあるのは黒鉄の城。
 まさしく、その表現の通りであった。
 オブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』。その巨躯と強靭な装甲はあらゆる敵をはねのけるものであったし、振るう火力は炎の嵐を呼び込むようなものでもあった。
 苛烈なる戦いの軌跡は、戦禍として小国家『フルーⅦ』に刻まれていた。
「どいつもこいつも邪魔なんだよッ! 俺はッ!!」
 咆哮と共に背部のビームキャノンが光条を放つ。
 まるでハリネズミだ、と防人・拓也(奇跡の復活を遂げた原初の魔眼の開眼者・f23769)は思ったかもしれない。
 それほどまでに膨大な火力が市街地を吹き飛ばし、破壊の渦を広げていくのだ。
 
「狂気に侵されていても、馬鹿ではない、か」
『リベレーションゼロ』が戦場を翠色の残光を刻み込みながら、疾駆している。
 グラント・サイコゼロフレーム。
 機体の随所に配された機構が拓也の機体より光を発しているのだ。
「目立つ色をしてッ! 狙ってくださいって言っているようなもんだろうが!」
 放たれるビーム嵐の中を『リベレーションゼロ』が走り抜ける。
 爆風が荒び機体が弾けるようにして加速した。
 苛烈な攻勢。
 如何に機動性を向上させ、反応速度を極限まで高めたとて、『ギガス・ゴライア』の圧倒的な火力は機体の装甲を融解させていく。
「やはりな……、牽制でもこの威力。であれば!」
 拓也は理解する。

 これまでの砲火は全て牽制であるが、全てが致命打に成り得るものばかりであった。
 だからこそ、それで仕留められないのならば敵は必ずこちらを仕留める本命打を持ち得ているはずだと理解していたのだ。
「顎部の砲撃……! それが本命だろうっ!」
「馬鹿が! 動き回る敵にはァ!」
 巨躯でありながらの俊敏性。
 まるで獣。
 黒き猟犬のような踏み込みでもって『ギガス・ゴライア』の体躯が『リベレーションゼロ』へと迫る。
 質量攻撃。
 己の巨躯を生かした突進の一撃はあらゆる戦術を破壊する。
 眼前に迫る城塞の如き体躯を『リベレーションゼロ』は両腕を突き出してう受け止める。
「シールド、最大出力!!」
 勇敢なる意思の奇跡の極光(ブレイブ・ミラクル・オーロラ)が迸る。

 機体に配されたフレームの光は、拓也の意志を飲み込んで膨れ上がっていく。
 人の意志でもって人知を超える。
 それが拓也のユーベルコードであった。
 人の域から逸脱するのならば、その意志は如何なるものであっただろうか。
「『リベレーションゼロ』……俺の意志に応えろ。俺は狂気に呑まれたこいつに負けるわけにはいかない。こいつに勝たねば、光るある未来は掴めない」
「未来なんてのはなァ、いつだってお先真っ暗なんだよッ! 甘っちょろいことばっかりの夢見心地で戦いができるってのか、あァ!?」
 軋むフレーム。
 尋常ならざる圧力に『リベレーションゼロ』の腕部フレームがひしゃげる。

「その未来を照らすための力だ。お前の力は、伊達じゃないことを証明しろ。だから必ず勝つんだ……こいつに!」
「言うだけなら、誰にだってできるだろうがッ!」
 腕部フレームが悲鳴を上げる。
 だが、猛進は止まった。
 瞬間、拓也の『リベレーションゼロ』の全火砲が『ギガス・ゴライア』に叩き込まれる。
 強靭な装甲と言えど、ゼロ距離での火砲の集約は堪えるだろう。
「狂気に満ちた力では何も掴めはしない。ただ悲しみと虚しさだけが残るだけだ」
 拓也は、『ギガス・ゴライア』を押しのけるようにして翠の光を膨れ上がらせ、その巨躯を腕部をひしゃげさせながらも後退させたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルマ・フィーリア
……
……オブリビオンマシン……敵……。
(所業を目の当たりにしたところから目のハイライト消失、言葉少なとなりドラグリヴァーレと融合合身して『鋼竜殲騎アルマリヴァーレ・ドラグスキア』化します。

|自身《アルマリヴァーレ》の損傷はまるっきり無視、機体各部の|鋼竜石《金属細胞》の増殖による自己補修で継戦し、展開形成により発生させた竜の首「ドラグヘッド」を展開、近接戦ならヘッドの口部より魔力の刃を延ばして斬撃戦を、距離があるなら口部より魔力砲撃を実行し、同時に過剰増殖したり攻撃で剥離した鋼竜石を変化させて【ドラグ・サーヴァント】を展開し、追撃を行います。

躊躇も容赦も、他者への反応もなし、淡々と戦闘します)



 破壊が、渦巻いている。
 何処を見ても無事な場所などなかった。
 小国家『フルーⅦ』の市街地は、徹底的に破壊されていた。
 それが物質的な破壊だけであったのならば、まだマシだったことだろう。そこかしこに生命が奪われた痕がある。
 戦いが常なる世界クロムキャバリアにおいて、それは日常茶飯事であったかもしれない。
 だが、それでも奪われた生命に涙する者が後を絶たぬ。
 悲しみだけが連鎖していく。
 憎しみだけが膨れ上がっていく。
「……」
 アルマ・フィーリア(鋼竜石の妖精・f44795)は己の乗騎である『アルマリヴァーレ』のコクピットの中で呆然としていた。
 瞳から光が失われる。

 正気などない。
 勝機も計算することもできない。
 あるのは、怒りか、それとも諦観か。
 いずれにしても彼女の身に渦巻くのは、得体のしれない感情であった。
「……オブリビオンマシン……敵」
 見据えるは、『ギガス・ゴライア』。
 黒鉄の城とも形容されるべき存在であり、敵。
 機体と融合合身し、変貌するは『鋼竜殲騎アルマリヴァーレ・ドラグスキア』。
 思考はもう真っ白だった。
 何も考えない。
 戦術など関係ない。損壊など無視した。
 放たれるは、光条の砲火。
「棒立ちで、邪魔くせェんだよッ!」
『ギガス・ゴライア』のパイロット『フュンフツィヒ』の叫びと共に『アルマリヴァーレ・ドラグスキア』へと叩き込まれる光条の一撃。

 デストラクションバスターの威力は言うまでもなかった。
 装甲が融解し、内部フレームすら溶断する一撃。
 だが、それでも『アルマリヴァーレ・ドラグスキア』は止まらなかった。
 痛みなど感じていないかのようであったし、迫る砲火を前にしてただ前進するばかりであった。
 まるで、それは鋼鉄の不死者めいた姿であった。
 穿たれた一撃が機体をえぐる度に、放たれるは、竜の首。
『ドラグヘッド』と呼ばれた自律兵器が飛び立ち、『ギガス・ゴライア』へと襲いかかる。
「無線兵器かよッ、鬱陶しいッ!」
 火線が拡散され、迫る自律兵器を撃ち落とす。
 だが、本当に警戒しなければならなかったのは、『アルマリヴァーレ・ドラグスキア』であった。
 穿たれた損壊箇所が蠢くようにして再生しているのだ。
 それは『金属細胞』による効果であった。
 彼女の機体もまた『金属細胞』で攻勢されている。損傷をまるっきり無視していたのではない。
 構う必要性がなかった、それだけなのだ。
 ただ、淡々としていた。
 目の前の敵を打ち倒すため、それだけのために『アルマリヴァーレ・ドラグスキア』は前進を続ける。
 
 打倒すべき敵を。
 屠るべき敵を。
 ただ、その双眸に映し、揺らめく炎の中をただひたすらに進み、己が機体より発せられる自律兵器の猛攻と共に『ギガス・ゴライア』を、その場から一歩も動かさぬと言うように縫い留めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
機神搭乗

おいこらわんわん野郎!さくっと脱出とか格好つけやがって!
ふざけんじゃねぇぞごらぁ!今度こそとっ捕まえてソフィアに突き出して色々げろさせてやるぞごらぁ!
「おうおう☆メルシー達から逃げ切るとか生意気だぞ☆」
メルシー…許す…掘れ☆
「ひゃっはー☆フュンフツィヒ君だっけ☆お尻を洗って待ってろよ☆」

【情報収集・視力・戦闘知識】
ゴライアの動きと構造を過去の交戦記録(?)と共に把握
多分サトシ君…じゃねぇ…サリアちゃんと同じリダクトモデルだよな?
「フュンッフィヒ君の狂暴さで強化されてるね☆」
だったら簡単だ…獣狩りだ
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源と音と匂いを隠蔽
【念動力・弾幕・空中戦】
UC発動
超絶速度で飛び回り念動光弾を乱射
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
イザリスはどうやら巨神を苦戦させたいようだが…
「メルシーだって易々とやられないぞ☆」
つーわけでぶっとばしだこの野郎!
鎌剣で切り刻み武装諸々強奪!
ソフィア狙うとかおめードスケベだな!
「男の子だもんね☆」



 凄まじい戦いの痕であった。
 だが、それは市街地に刻まれた戦いの軌跡であり、末端でしかなかった。
 未だに戦いは続いている。
 逃れ得ぬ宿命とでも言うべきか。
 クロムキャバリアにおいて小国家は平和ではいられないのかもしれない。
 戦火を鎮めたとしても、新たなる火種が燻り始める。
 弾けた火種は、復興という灯火すら容易く吹き飛ばすのだ。
 それを人の愚かさというのならば、その通りなのかもしれない。だが、これを仕組んだのはオブリビオンマシンだ。
 オブリビオンマシンのもたらす狂気こそが、人の争いに拍車をかけ、鎮火したはずの炎を再燃させるのだ。

 オブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』もまた、その火種の一つでしかない。
「おいこらわんわん野郎! ふざけんじゃねぇぞごらぁ! 今度こそとっ捕まえてソフィアに突き出して色々ゲロさせてやるぞごらぁ!」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の言葉に『ギガス・ゴライア』のパイロット『フュンフツィヒ』は鼻で笑い、獰猛な表情を作ってみせた。。
「できるかよ、テメェに!」
『おうおう☆ メルシーたちから逃げ切れるとか生意気だぞ☆』
「テメェらがとれーからだろうがッ!」
 その言葉に二人の何かが切れる音がした。
 遅い?
 己たちが?

「メルシー……許す」
 何を。
『ひゃっはー☆』
 もはや関係などなかった。これから何を引き起こそうとしているのか、それを事細かに詳細に説明するのは憚られるが、しかし、あえて言おう。
 ひどいことが起こる。
「許す許さねぇなんてのはなァ! 力あるヤツだけが吐ける言葉だってことを教えてやるよッ!」
「なら、やってみろやッ!」
『ギガス・ゴライア』へと迫る『メルクリウス』。
 リダクトモデル。
 つまりは、オリジナルよりマイルドに凶暴性を抑えたと言われている輸出型のキャバリア。それが『ギガス・ゴライア』である。
 だが、カシムは理解していた。

 あれは、おそらくオリジナルと似通っている。
 相違点は存在しているが、それはオリジナルに劣っているということを意味しない。
「本当にあれがリダクトモデルか、おい!」
『フュンフツィヒ』君の凶暴さで強化されてるのかも☆ でも、それだけじゃ』
 説明がつかない。
 こちらの加速性能に追従するのは、『フュンフツィヒ』のパイロットとしての技量であろう。
 それは理解できる。
 だが、それだけじゃあない。
 存在を隠蔽しても、まるで獣の嗅覚で捉えているかのように攻撃を放ってくるのだ。
「うろちょろと、邪魔だッ!」
 吹き荒れるパルスの爆発。
 全方位に撒き散らされる攻撃にカシムは呻く。
 如何に超高速機動を行える機体とは言え、全方位の攻撃には対処しきれない。
 機体の装甲がひしゃげ、『メルシー』の悲鳴が上がる。
「まだやれんだろ、メルシー!」
『メルシーだって、簡単にはやられないぞ☆』
「つーわけで、ぶっとばしだ、この野郎! いやつーか!」
 鎌剣が叩きつけられる。
 加速した一撃が『ギガス・ゴライア』の装甲に傷をつける。

「ソフィア狙うとか、おめードスケベだな!」
「あァ!? 狙う狙わねーじゃねーんだよッ! 奪うって決めたんなら、奪う。それだけだろうがッ!!」
『うーん、男の子☆』
 互いの言葉と攻撃が交錯する。
 それは男の身勝手極まりない言葉であったが、しかし、その狂気に冒された力の発露は真の暴力そのもの。
 苛烈なる力は『ギガス・ゴライア』より発せられ、その強烈な力は嵐となって戦場に渦巻くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティオレンシア・シーディア
…また随分とごっついのが出てきたわねぇ…
あれだけの大駒が半ば露払いの鉄砲玉だなんて、ホント嫌になるわぁ…

攻撃も防御もまとめて消し飛ばすパルスの無差別全周攻撃…単騎で完成された戦力なら、実質なんのデメリットにもならないわよねぇ。で、そんな便利なモノを常時展開してないからには、できない理由があるはず。
…ってことで、イヤガラセしましょうか。スノーフレークに○騎乗して相手の射程外から●射殺・解識で射撃○爆撃雨霰と降らせるわよぉ。マホガニーはクロスボウだからHEATやSSFも撃てるのよねぇ。全周攻撃のタイミングが○見切りやすくなるし、さほどダメージ徹らなくても援護射撃としては十分でしょ。



「……また随分と」
 黒鉄の城とも形容できる巨大キャバリアを見上げて、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は量産型なれど高い汎用性を持つキャバリア『スノーフレーク』のコクピットの中で色づくような甘い声で息を吐き出していた。
 目の前迫るは『ギガス・ゴライア』。
 無論、オブリビオンマシンである。その猛威は嵐そのものであったし、周囲を満たすパルスの爆発は、全方位に向けた無差別攻撃。
 市街地は瞬く間に廃墟となり、瓦礫ばかりが山積する光景へと早変わりしていた。
 圧倒的な破壊。
 その渦の中に飛び込まねばならないのだ。
「しかも、あれだけの大駒が半ば露払いの鉄砲玉だなんて、ホント嫌になるわぁ……」
 途方も無いことである。

 小国家『フルーⅦ』へと侵攻を開始した『プラナスリー』。
 その先鋒として繰り出された『ギガス・ゴライア』は凄まじい破壊をもたらしている。
 尋常ではない。
「邪魔ァ、すんじゃあねェッ! どいつもこいつもォ!!」
 パイロットの『フュンフツィヒ』の咆哮が轟く。
 狂気に侵されて尚、その凶暴性は薄まるどころか、狂気すら凌駕しているように思えてならなかった。
「まったく、単騎で完成された戦力なら、他部隊との連携なんて必要ない……無差別全集攻撃なんて……特にデメリットなしじゃないの」
 しかも、他国の市街地を破壊し尽くしても構わない、というのならばなおさらである。
 だが、とティオレンシアは見抜いていた。
 確かに、あの武装は攻防一体であり、隙もない。

「でも、そんな便利なわけがないのよねぇ。とりわけ、キャバリアなんて規格ならなおさら。常時展開なんて、できない。できているのなら、それ一辺倒でいいんだもの。それをしないっていうことは……」
 できない理由がある。
 確かにティオレンシアの機体だけでは『ギガス・ゴライア』に致命打を与えることはできないだろう。
 だが、消耗させることはできる。
「イヤガラセ、しましょうか」
 彼女の瞳が輝く。
 パルスの爆発の外側……とは言え、ギリギリの射程から『スノーフレーク』のアイセンサーがユーベルコードに煌めく。
 AI『マルガリータ』のサポートとティオレンシアの戦術勘でもって、射程外から認識した『ギガス・ゴライア』を捉える。
 敵が巨躯でよかった。
 もしも、通常サイズのキャバリアであれば、攻撃の範囲外から捉えることはできなかっただろう。

 そういう意味では、『ギガス・ゴライア』の巨躯はティオレンシアにとっては付け入る隙になっていたのだ。
「機械式大型クロスボウ、構え、ねぇ?」
 ぎりぎりときしみを上げる機械式大型クロスボウ『マホガニー』。
 つがえられるのはグレネード。
 放たれた一撃は、射殺・解識(クー・デ・グラ・ヴォワール)。
 敵の射程外からの一撃。
 それは電磁パルスの展開の合間を塗った一撃。
 しかも、視認できぬ箇所からの一撃は『ギガス・ゴライア』を始めて揺るがす。
「……ッ! どこからッ!」
「あら、これでも装甲は抜けない、のねぇ?」
 意外ではなかった。
 だが、ティオレンシアは充分だと思った。敵は射程外からも攻撃してくる、という認識を『ギガス・ゴライア』のパイロットが得れば良い。
 それだけで、仲間の機体が動きやすくなる。
 ティオレンシアはフィクサーらしく機体のコクピットで笑み、さらに追撃のグレネードを放ち、『ギガス・ゴライア』を翻弄するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・銀静
疾駆する神発動中
共にサリア搭乗

(対峙するギガス達
何だお前…生きてたのか
そいつは重畳
何より…それに乗ってるならな
「Gooooo…!」(銀静お兄さん!あの子に乗ってる人…あの子の力を引き出しているよ!凶暴性じゃぼくは…

安心しろサリア…確かにお前は凶暴性じゃオリジナルより下だろう…だがその穏やかさと理性こそがお前の武器だ
凶暴性は僕が担うからその力を貸せ

【戦闘知識】
敵の動きと能力を把握
【空中戦・二回攻撃・切断・属性攻撃・弾幕・念動力・功夫・蹂躙・リミットブレイク】
UC発動
槍の神発動

きひっ…!付き合ってやるよ小僧
敵と同じロケットブースターで突撃
至近距離から両腕部の荷電粒子砲を撃ち込み

きひっ…きひ…きひひひひ…!
げぁーはっはっはぁぁぁぁ!!

尻尾で薙ぎ払い
爪で切り刻み
互いに食らいつきあいながらそのエネルギーを強奪!

まさしく彼をも食らい尽くさんと
即ち正面からの格闘による大激闘

力づくってのは楽しいもんだなぁ!

サリア…その力…限界以上に引き出して…此奴を砕く!!

一応不殺徹底
構造はサリアと大体同じだろうからな



 爆風服着荒れる中、二組の赤い双眸――アイセンサーが睨み合う。
 それは互いに同じ姿。
 オブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』と、『サリア』と名付けられた皇・銀静(陰月・f43999)の乗騎であった。
 敵対する意志を見せておきながら、銀静の第一声は戦場にあっては異なるものであった。
「何だお前……生きてたのか」
「あの程度でくたばるか? その程度のしょうもない人間のように俺が思えたか?」
「いや、そいつは重畳。何より……」
 それは気安い言葉だった。
「Goooooo……!」
 銀静の騎乗する『ギガス・ゴライア』の咆哮の意味を銀静は理解する。
 臆している。
 目の前の狂気を踏み潰すかのような凶暴性。
 それを前にして『サリア』は怯んだようだった。

 力を引き出している。
 紛れもなく、『ギガス・ゴライア』はリダクトモデル。
 凶暴性を抑えた機体であるはずだ。なのに、それはオリジナルに比肩するとも、劣るとも言えぬ凶悪性を持っていた。
「安心しろ『サリア』……確かにお前は凶暴性じゃオリジナルより下だろう……だが、その穏やかさと理性こそがお前の武器だ」
「ハッ! 理性が武器? 馬鹿げてんなァ!」
 背部のビームキャノンが迸るようにして光条を放つ。
 此処まで来て、『ギガス・ゴライア』は消耗しているはずだ。
 だと言うのに、未だこの出力。
 明らかにおかしい。
 まるでエネルギーインゴット以外の出力を得ているようにしか思えない。

 それこそ、目の前の『ギガス・ゴライア』を駆る『フュンフツィヒ』の凶暴性をエネルギーに変換しているとしか思えないほどの出力であった。
 互いに装甲は堅牢。
 だが、苛烈なる砲火を打ち合う中にあって、理性と穏やかさとはウィークポイントでもあったことだろう。
「凶暴性は僕が担う。だから、その力を貸せ」
「Goooooo!!」
 銀静の瞳がユーベルコードに輝く。
 周囲の生命力やエネルギーを奪う邪気が満ちて尚、『フュンフツィヒ』の凶暴性は拭えなかった。
 狂気を塗り潰すほどの凶悪性なのだ。
 ならばこそ、銀静は笑う。
「きひっ! 付き合ってやるよ小僧」
「誰が小僧だッ!」
 互いに激突する巨大な体躯。
 黒き装甲が火花を散らし、互いのフレームを歪めさせる。ロケットブースターによる突進の衝撃は凄まじいの一言に尽きる。
 至近距離での打ち合い。
 砲火が荒び、散るビームの飛沫が周囲の瓦礫を溶解させていく。
「きひ……きひ……きひひっひ……! げぁーはっはっぁぁぁぁ!!」
 スマッシャーテイルが交錯し、爪が装甲をえぐる。
 それは互いの機体に鏡合わせのように刻まれていく損壊であった。

 エネルギーが無尽蔵かのように思える『ギガス・ゴライア』と凶暴性でもってエネルギーを強奪する『サリア』。
 二騎の巨大なる黒鉄の城は、互いを食らいつくさんとするかのようであった。
 大激闘。
 そう呼ぶに相応しい激突は、互いの力を引き出し続ける。
「力づくってのは楽し良いもんだなぁ!『サリア』……その力……限界以上に引き出して……此奴を砕く!!」
 振るわれる一撃。
 交錯した腕部がひしゃげながらも互いのファングバイトの牙が装甲をえぐる。
 互いに一歩も引かぬ激烈なる戦いは、周囲にさらなる破壊を呼び込み、嵐のように小国家『フルーⅦ』を包み込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
Gだ!
Gが上陸したぞ!
-1000くらいにされてしまうー!!
この冬はG泣き!多分同時上映でハムスター映画有ります!

有毒装甲やだー!
偶には無毒装甲でフローラルな香りをまき散らしながら襲ってこんかい!
【Ex.Code:A.P.D】起動
転身、プラズマドラグーン
毒素も言わば物質
稲妻というエネルギー体となった体には効かない効かない!
そしてキャバリアはめっちゃ機械…即ち通電物質!
更に言うとパルスの爆発も大体電気信号だったりなんやかんや
つまり通電物質!
敵の攻撃を待ってパルスの波にのって通電物質内移動
そのまま敵機体の内側にパルス発射機構から侵入
キャバリア内部で雷鳴電撃をぶっ放し、内側からダメージを叩き込む!



「うーん、これは怪獣大進撃……」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、目の前で繰り広げられるオブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』同士の戦いに目を見開いた。
 鋼鉄の怪獣同士の激突。
 苛烈なる砲火の打ち合い。
 それは彼女がサブカルチャーに詳しいからこそ、理解できるものであったのかもしれない。
 砲火は熱線。
 散る装甲の破片は鱗や体皮。
 大地に沈むオイルは血潮。
 まさしくこれは大激闘と呼ぶに相応しい戦いであったことだろう。

「これってG! Gが上陸したぞ! マイナス1.000くらいにされてしまうー!! この冬はG泣き! 多分同時上映でハムスター映画あるやつ!!」
 Gって言うと別なのが思い浮かぶかも知れない人がいるので、それくらいにしておいたほうが良いかもしれない。
 主にあったかくなるとでてくるやつね。
 キッチン周りとか、水事場の四隅にね、こう……ね!
「っていうか『有毒装甲』やだー! まさか、バ●サン焚かれる側になるとは思いもしないんだけど! 偶には無毒装甲でフローラルな香りを撒き散らしながら襲ってこんかい!」
 やんややんや。
 玲は二振りの模造神器を掲げて、ぶーぶーとシュプレヒコールを唱える。月夜・玲! 総勢、一名! みたいなノリである。

「って言っても聞いてはくれないんだろうなー。なら、いいよ! こうなったら、雷龍解放、転身…プラズマ・ドラグーン!」
 玲の瞳がユーベルコードに輝く。
 有毒装甲は確かにキャバリアに乗るか、はたまた毒性に対する耐性を持つ何らかの手法を用いねば防げない。
 玲は、それに己がユーベルコードで対処するのだ。
 彼女の肉体が蒼雷をほとばしらせながら、天より落ちる稲妻に呑まれる。
 いや、違う。
 融合したのだ。
 人体と雷の癒合。
 天より降り注いだのは、一瞬であったが龍であることを視認できたかもしれない。

「Ex.Code:A.P.D(エクストラコード・アヴァタールプラズマドラグーン)……稲妻というエネルギー体となった体には毒なんて効かない効かない! もう人体じゃないからね! 人体じゃないってすごいね!」
 そして、玲は雷のそものとなった体で『ギガス・ゴライア』へと飛ぶ。
 攻撃するためではない。
 いや、攻撃と言えば攻撃であったかもしれない。
「キャバリアはめっちゃッ機械……即ち、通電物質! 更に言うと!」
 吹き荒れるパルスの爆発。
 だが、雷そのものとなった玲には作用しない。それどころか、そのパルスを逆手に取って一瞬で玲は『ギガス・ゴライア』のパルス発生装置の内部へと飛び込んでいた。

「大体の機械って通電物質! ならさァ!」
 玲は『ギガス・ゴライア』の発生装置の内部で雷鳴攻撃をぶっ放す。
 加減なんていらない。
「ぶっ放す、と決めたのならば、すでにぶっ放しているッッ!!」
 宣告なんてない。
 それが玲のやり方である。
「……ッ!? 内部で爆発……ッ、何が起きてやがる!」
 困惑するパイロット『フュンフツィヒ』とは裏腹に玲は、その内部をズタズタにするように雷をほとばしらせたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
|エイル様《主人様》の!
香りがしまぁぁぁすっ!!
緊急時につき、ちょっと声量抑えめで!

ライスメキア様はこの後に備えてくださいませ
今は臥薪嘗胆の時です
ここは我々、猟兵の出番ですので!

『ケルーベイム』!いきますよ!

この声、『此処』を襲撃した男のものですね!
何回も挑んでくる気概は嫌いじゃありませんが
ただの狂犬のようでもありますね?

この巨体、まともにやりあってもたいしたダメージにはならなさそうですが!
メリサ様にならって、『蜂の一刺し』といきましょう!
ケルーベイム!フローリス展開!
速度と高機動でビームをくぐり抜けるつもりですが
これは……!
プレッシャーがすごいですね!
攻撃の前のその隙を【|ヘレヴ《剣》】で突く!

突撃行きます!
この速度、貫けずとも止めることはできないでしょう!
ソッドSN-00からSN-02フェリーレを
連撃による殴り倒しで僅かでも隙が出来ればあとは!

そこです! コール! プロメテウスバーン!!

タイプGが何だかしりませんが
エイル様のメイドたる私がここを通すわけにはいきませんので!



 内部より破壊の爆発が起こる巨大なるオブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』。
 その爆発音を切り裂く声があった。
 いや、叫びがあった。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁぁすっ!! 混ざりものするなって私、言いましたよね!!」
 緊急時につき、声量抑えてもこれである。
 全く抑えられていないではないかというツッコミは無しにしていただきたい。
「『ライスメキア』皇女殿下は、後にお備えくださいませ」
「ですが」
「今は臥薪嘗胆の時。ここは我々、猟兵の出番ですので!」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、巨人の皇女『ライスメキア』に告げる。
 そう、彼女専用のスーパーロボット『フラズグルズ』は小国家『フルーⅦ』防衛の要だ。確かに今はオーバーホール中だが、緊急で組み立てが開始されている。
 今すぐに出撃ることはできない。
 よしんばできたとしても、長く稼働することはできないのだ。
 であれば、やはりステラの言葉通り備えなければならないだろう。
「……わかりました。お頼みします」
「おまかせを! では『ケルーベイム』! いきますよ!」

 ステラと共に戦場に飛び出す『ケルーベイム』。
 眼前には傾ぐ『ギガス・ゴライア』の姿があった。
 装甲は剥離し、それでもなお機体の頑強さを示すように、その砲火の力は健在であった。
 内部から爆発したのは、恐らくパルス発生装置の破壊を成されたからであろう。
「チッ……どいつもこいつも、まるでそこかしこから現れやがる。鬱陶しいッ!!」
「この声……『此処』を襲撃した男のものですね!」
「だったらァ!!」
 背部のビームキャノンが砲火を放つ。
 その火力は未だ健在であった。『ケルーベイム』が翻るようにして爆風を受けながら躱すも、その熱量は装甲を粟立たせるように炙るのだ。

「何回も挑んでくる気概は嫌いじゃありませんが、ただの狂犬のようでもありますね?」
「ハッ! 知ったことかよ! 誰になんと言われようともなァ! そんなのは知ったこっちゃねぇんだよ!!」
 迫る巨躯。
 あの巨体での圧砕は、あらゆる戦術を瓦解させるだろう。
 だからこそ、ステラは思う。
 まともにやり合っていては、大したダメージを与えられそうにない。
 ならば。
「『メリサ』様にならって『蜂の一刺し』といきましょう!『ケルーベイム』!」
 スカート状の装甲が花のように広がり、スラスターとして機能する。
 噴射光と共に『ケルーベイム』が戦場を疾駆し、砲火を躱す。
 熱線の如き一撃は、かすめる度に装甲を融解させていく。
 だが、スラスターの突撃は、他の猟兵の攻撃によって傾いだ強靭な装甲を引き剥がすように破り、フレアソードの一撃が叩き込まれる。

「チッ! パワーダウンしてねぇってのに、装甲を!」
「祈るものとて、剣を取らないわけではないのです!」
「なら、その剣ごとォ!!」
 身を捩る巨躯。 
 だが、『ケルーベイム』は『ギガス・ゴライア』に組み付いていた。
「如何にプレッシャーが凄まじかろうとも! 混ざりものに負けるつもりはありません! タイプGだかなんだか知りませんが!『エイル』様のメイドたる私がここを通すわけにはいきませんので!」
「押し通る、つってんだろうがッ!」
「いいえ、させません! コール!」
 瞬間『ケルーベイム』の胸部装甲が展開し、砲口が現れる。
「テメェ……それはッ!」
「ええ、ご存知!『プロメテウスバーン』!!」
 炸裂するは、熱線砲の一撃。
 こじ開けた装甲のうちに叩き込まれる火線の一撃は『ギガス・ゴライア』の巨体を揺るがし、その身に凄まじい爆発を巻き起こすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
クロガネ(f43673)
デバイス殿(f43671)と共闘

……奔れ!!

ディスポーザブル01、02、03合体【操縦】
人工魔眼の【動体視力】で敵機を捉え、機械絆で接続情報共有、
敵機機動を【瞬間思考力】で処理
メガスラスター【推力移動】距離を詰める!

フュンフツィヒぃいいいいい!!!

『悪騎兵』より【鉄壁】『禍葬鋼鱗』発動!
あの時奴が宣った、次なる戦いが、それが今だというのなら…
その為に、燻り続けた己が【闘争心】を燃やし戦闘力を更に増強!
その【怪力】でゴライアの格闘攻撃に電磁拳を叩きつけ【重量攻撃】
電磁パルスを迸らせ、叩き返し【マヒ攻撃】

オブリビオンに呑まれたのか!どうなんだ!!フュンフツィヒ!!!
壊せ!壊れろ!壊れろ!!壊れろぉおおおお!!!!

同時使用UC『陽月光』ゴライアへ超振動波破壊で継続ダメージ
フュンフツィヒが有毒装甲で死なないよう再生治癒させながら、
重機爪で叩き抉る。装甲の上から、攻撃の上から、拳を叩きつけ、
爪を突き立て、引き裂き抉り、壊す!

るぅううううううああああああ!!!!!!!


クロガネ・コウサク
朱鷺透(f29924)
コマ(f43671)と共闘

奴に呑まれてくれるなよ朱鷺透。

マシン接続装置でディスポーザブル02接続【操縦】
『オブリビオン・ヴォイド』を発動、
ビームキャノンとデストラクションバスターを数十秒使用不可能に。

|あんなもの《荷電粒子砲》を好き勝手に撃たれては溜ったものではない。
だがこちらも射撃はできん!距離を詰めろ小枝子!

01、03と合体し強化情報共有、主操縦を小枝子に譲渡しメクサラ・ブースター展開【推力移動】

朱鷺透が戦っておる間に【急所を見抜く】
【早業】武装連結部、顎内部、装甲の脆い部位等を共有情報から見抜き、
背中にある02の複腕操縦、高速伸縮させ灼熱光剣で【貫通攻撃】


クロガネ・デバイス
・共闘
朱鷺透小枝子(f29924)
クロガネコウサク(f43673)

・25m級陸戦型外殻ユニット装着ディスポーザブル03
クロガネデバイス接続【操縦】

敵機確認 『スーパー合体』選択 発動。
がったいだー!

・01、02、03スーパー合体。大きさ3倍の75m級合体ロボ化
主操縦を朱鷺透小枝子に譲渡。
敵機自機の機動【戦闘演算】分析、情報を味方と共有。

・対消滅サイキックエンジンからエネルギー転送。
合体ディスポーザブル【エネルギー充填】
各武装チャージ時間短縮、各機能最大稼働。

・【鉄壁】適時バリア展開

・クロガネコウサクのUC効果時間終了と共に、
内蔵ビーム砲【一斉発射】『ギガス・ゴライア』へ照射。



「『フュンフツィヒ』ぃいいいいい!!!」
 それは咆哮であり、叫びだった。
 激情満ちる声は戦場を切り裂き、そしてオブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』へと迫っていた。
 そう、その声の主は朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)である。
 彼女が駆る『ディスポーザブル01』とさらに同時に転移してくる『ディスポーザブル02』、そして『03』。
 その三騎が『ギガス・ゴライア』へと迫っていた。
「……奔れ!!」
「猛るのはいいが、やつに呑まれてくれるなよ朱鷺透」
 クロガネ・コウサク(ビハインドニンジャ・f43673)の言葉に小枝子は答えなかった。
 応える暇がなかった、とも言える。

 彼女の叫びに呼応するようにして『ギガス・ゴライア』は爆炎上げる駆体を動かし、その顎部に備わったデストラクションバスターから拡散する光条を解き放っていた。
 苛烈なる砲火。
 それは雨のように三騎へと降り注ぐ。
 装甲が容易く融解するほどの一撃である。
 如何に瞬間思考があるとは言え、高速で迫るビームの一撃を視認して躱すにはあまりにも膨大な攻撃であったのだ。
 だが、小枝子は止まらない。 
 前進することをやめない。
 あの日、あの時。
『フュンフツィヒ』が言った、次なる戦いというのが今であるというのならば、己が燃え上がる闘争心こそが原動力であった。

「|あんなもの《荷電粒子砲》を好き勝手に撃たれてはたまったものではない」
「なら、合体だよね! 敵機確認。スーパー合体選択。発動。 がったいだー!」
 ユーベルコードの光りに包まれる三騎のキャバリア。
 クロガネ・デバイス(頭脳戦車猟兵・f43671)の言葉と共に合体し、巨大な合体ロボへと変貌する。
 アイセンサーの煌き。
 それは小枝子の闘争心を示しているようであった。
「主操縦を朱鷺透・小枝子に譲渡。敵機自機の機動分析開始。しらべちゃうよー!」
「ならば、オブリビオン・ヴォイド!」
 コウサクの言葉と共に放たれるのは骸の海。
 溢れる骸の海は一瞬で周囲を満たし、射撃武装を封じる。 
 だが、それは同時に合体を果たした自らの火器もまた使用できないということであった。それはデメリットの方が大きいように思えた。
「敵の荷電粒子砲は封じたが、こちらも射撃できん! 距離を詰めろ小枝子!」
「小細工をやってくれるじゃあねぇか、オイッ!」
 眼前に迫るは『ギガス・ゴライア』の巨躯。

 互いの駆体が激突し傾ぐ。
 衝撃に揺れるコクピットであったが、しかし、互いが組み合う。
「オブリビオンに呑まれたのか! どうなんだ『フュンフツィヒ』!!!」
「ハッ! 知るかよ! 今の俺にあるのはァ!! 破壊だけだ!! テメェもそうだろうがァ!!」
「壊せ、壊れろ! 壊れろ!! 壊れろぉぉおおおお!!!!」
 互いの激昂が激突する。
 駆体同士が衝撃に揺れ、一歩も譲らぬ。
 しかし『ギガス・ゴライア』は他の猟兵たちの攻撃を受けて、その機体が損壊を得ているのだ。
 このまま力押しができるのならば、こちらが勝てる。
 コウサクは少なくともそう思えた。
 だが。

「押し負ける、だと……!」
「スーパー合体時の出力上昇。こっちだってまけてないのにー!」
「コマ……どうにか、チャージ時間を短縮できないか!」
「チャージ開始。各機能最大稼働。がんばるー!」
 電磁パルスほとばしらせながら、『ギガス・ゴライア』のビームキャノンの一撃を受け止める。
 肩部を居抜き、脱落する片腕。 
 だが、小枝子はまるで意に介していなかった。脱落した腕部を掴み上げ、それを鉄槌のように『ギガス・ゴライア』の顔面へと叩きつけて、顎部のデストラクションバスターの砲口を地面に向けせたのだ。
 放たれた光条が地面を穿ち、爆風を巻き起こす中、スーパー合体を果たした『ディスポーザブル』が空中に舞う。
 それはまるで、ムーンサルトとでも言うべき見事な駆体のひねりと共に空中聖堂を果たし、『ギガス・ゴライア』の背面を取る動きへと繋がっていた。
「……ッ! 背部のパルス発生装置が内部から破壊されている……であれば!」
 コウサクは合体を果たした機体の背面に装備された副腕を動かし、灼熱の光剣を『ギガス・ゴライア』のパルス発生装置へと叩き込む。

 炸裂する爆発。
 その中でコウサクのユーベルコードの効果が切れた瞬間。
「効果終了。内蔵ビーム砲使用可能。いっきにうっちゃえー!」
 コマの言葉と共に放たれるビームの一撃。
 光剣での貫通とビームの一撃に『ギガス・ゴライア』がたたらを踏むようにしてよろメック。
 そこへ小枝子は叫ぶ。
「るぅううううううあああああ!!!!!」
 それは獣の戦いであった。
 互いに人と認識してない。
 ただひたすらに獣を狩るかのように……いや、違う。
 互いの生存をかけた戦いをするように生命のやり取り思わせる鋼鉄の駆体は、その爪でもって互いを抉り、その破片を撒き散らす。

 苛烈なる戦いはまだ、続く。
 だが、それでも黒鉄の城『ギガス・ゴライア』は陥落を許さぬと言わんばかりに咆哮するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジェラルド・エルネイジェ
【聖竜騎士団】
フュンフツィヒ
それが黒騎士の名か
ギガス・ゴライアは|輸出仕様《リダクトモデル》か否か、どちらにせよ機体の凶暴性を引き出すその闘気
我が父、グレイグ・エルネイジェを想起させるな

ギガス・ゴライアは巨神をも討ち滅ぼすべくして生み出されたキャバリアだ
遺憾だが、サラマンダーの牙は奴に届くまい
しかし勝っているものがある
それは滾る炎の熱だ

烈火炎心
最大加速で懐に飛び込む
さもなくばデストラクションバスターをみすみす撃たせてしまうからな
首が回らない位置取りをすれば撃てるものも当たるまい

接近戦を挑むが、奴の格闘戦能力は尋常ではない
牙、爪、尻尾、巨躯の身動ぎすらも必殺の威力だ
逆にこちらの攻撃はパルスシールドとアダマンチウム装甲に阻まれるだろう
しかし敢えて執拗に周囲を跳び回り、攻撃を繰り返す
小回りならばこちらに分があるからな
ブレイズディスチャージャーとバーニングバスターの炎を交えれば目眩ましにもなる

しかし俺の攻撃は前座だ
奴が暴れるほどに周囲は破壊され、射線の通りが良くなる
狙いはそこだ
ヘレナ!撃て!


ヘレナ・ミラージュテイル
【聖竜騎士団】
ホントにギガス・ゴライアじゃなーい
あれってエルネイジェの決戦用スーパーロボットなのよ?
オリジナルは実質グレイグ皇王陛下の専用機だし?
設計データにしろ現物にしろ、誰がお漏らししたのかな?
そろそろランベール家にもお仕置きが必要かもねー?

ディアストーカーであんなの相手するなんて絶対ムリ!
なのであたしは遠く離れた影から見守ってまーす
ジェラルド殿下ぁ~頑張ってね~

まずはジャミングスモークを焚いて姿を晦ますわ
レーダー対策はステルス塗料でバッチリ
ビルの影に隠れてオクトカムマントを被って周りの景色に溶け込むわ
熱も遮断できるから赤外線探知も安心よ

その後はスナイパーセンサーでじっくり観察
あくまで観察よ?
殺気を立ててたらバレちゃうかも知れないし?

ん~、ここからじゃ見通しが悪いわね~?
でもあの暴れっぷりだから、周りの建物なんて見境なく壊してくれそうね?
見晴らしが良くなったらチャンス到来!
スナイパーキャノンでコアユニットの位置を狙って~?
影討!
イリスちゃ~ん!あとよろしく~!
あたしは逃げちゃいまーす


イリス・ホワイトラトリア
【聖竜騎士団】
ギガス・ゴライアって、たしかグレイグ皇王陛下のキャバリアですよね?
性能を落とした輸出モデルは大人しい性格にされているって聞きましたけど、あれは物凄く狂暴に思えます
このままじゃフルーⅦの街がめちゃくちゃにされちゃう…

ベヒーモス様はガンナーモードで街の外で待機します
街中を歩くだけで大変なことになってしまいますから…

本当は攻撃して動きを止めたいんですけど…まだダメです
ヘレナさんから合図が来るまで我慢しなきゃ

マルチレーダーセンサーのジャミングメーカーでサポートします!
相手のレーダーを妨害すればジェラルド殿下は敵に捉え難くなりますし、ヘレナさんは隠れやすくなります

合図を待っている間にブリッジの管制機能でロックオンを済ませておきますね
使う武器は…ええっと
20連装中型誘導弾
3連装超大型対艦誘導弾
三連装砲
そしてハイパーレールガンです
合図が来たら一斉発射します!
どれも街に向けて撃っちゃいけない武器ですけど…ここで食い止めなきゃ、もっと被害が大きくなっちゃう
ライスメキア皇女様!お許しください!



「ホントに『ギガス・ゴライア』じゃなーい」
 ヘレナ・ミラージュテイル(フォクシースカウト・f42184)は猟兵たちの猛攻にすら耐えるオブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』、その黒鉄の城を思わせる難攻不落さを前にして驚愕した。
 確かに『ギガス・ゴライア』は輸出を目的としたリダクトモデルが存在する。
 それは本来の凶暴性を落としたものだ。
 扱いやすくした、とも言える。
 だが、それでも扱える者は限られるし、性能を十全に引き出せる者ともなれば、恐らく存在しないのではないかとさえ言われていた。
「ぎ、『ギガス・ゴライア』って、確か『グレイグ』皇王陛下のキャバリアでしたよね? せ、性能を落とした輸出モデルだっていうんですか……? でも、あれじゃあ、まるで……!」
 イリス・ホワイトラトリア(白き祈りの治癒神官・f42563)は胸騒ぎを覚えた。
 己が小国家『エルネイジェ王国』の皇王が駆るスーパーロボット『ギガス・ゴライア』とまるで遜色のない重圧を感じたからだ。
「このままじゃ『フルーⅦ』の街が……」
「いや、もう手遅れだろうな」
 イリスの言葉にジェラルド・エルネイジェ(炎竜皇子・f42257)は答えた。
 市街地に無事な場所は何処にもない。
 そこに街があった、という確証すら得られないほどに瓦礫の山、焦土と化していた。

 放たれる火線。
 振り回される巨躯。
 戦えば戦うほどに市街地への猛威は広がっていく。加えて言うならば、あの強靭な装甲は『有毒装甲』だ。
 毒素を撒き散らし、生命を許さない。
「そんな……」
「だが、どちらにせよ、だ」
「ええ、そうですよねー。設計データにせよ、現物にしろ、誰がお漏らししたのかな? そろそろランベール家にもお仕置きが必要かもねー?」
「いいや、問題は如何にしてあの『ギガス・ゴライア』を撃破するか、だ」
「やーん、ジェラルド殿下ぁ~頑張ってね~」
 ジェラルドの言葉にヘレナは自分の機体では無理だ、と後退しようとする。
 だが、それを留めるようにジェラルドは己が乗騎『サラマンダー』と共に退路を塞いだ。

「んえ!? いやいや、殿下! 無理ですってば!『ディアストーカー』であんなの相手するなんて絶対ムリ! なのであたしは遠くから離れた影から見守ってまーすってばー!」
「それもよかろうが、わかっているだろう?」
「……わかってますってば! やりますから!」
「え、あの……私は……」
「イリスは待機! そもそも『ベヒーモス』の巨体だと、あの『ギガス・ゴライア』のデストラクションバスターの的にしかならないわよ。合図まで待機ね!」
「は、はい!」
 ヘレナの言葉にイリスは頷く。
 市街地の外に聳えるようにして『ベヒーモス』が動きを止める。
 進撃するのではない。
 マルチレーダーセンサーのジャミングメーカーの作動と共に『ベヒーモス』は砲撃形態へと変形していく。
 この形態は移動ができない。
 だが、通常射程の三倍の攻撃形態となることで敵の射程外から砲撃を可能とするのだ。
 艦橋のシートにイリスは身を預ける。
 心臓が痛い。
 撥ねている。
 胸騒ぎが止まらない。
 本当に大丈夫なのか。コマンドサイトに武装を選択するようにと指示が出ている。
 20連装中型誘導弾、3連装超巨大対艦誘導弾、三連装砲。
 そして、ハイパーレールガン。
 いずれもが、街に向けて撃ってはならないものだ。
 だが、ここで『ギガス・ゴライア』を仕留めなければ、さらなる被害が危ぶまれる。であるのならば、イリスも非難の声を覚悟してでも引き金を引かねばならないのだ。
「止めなきゃ、もっと被害が大きくなっちゃう。だから、私が、私が、やらなくてはならないんです……だから」
 息が乱れる。
 艦橋モニターに映し出されていたのは、赤い機械神『サラマンダー』と『ギガス・ゴライア』の激突であった。

「ハッ! 赤い機械神かよッ! 久しいなッ! だが、この『ギガス・ゴライア』はァッ!!」
「ああ。『フュンフツィヒ』、『黒騎士』、そなたの名だな。それはリダクトモデルであろう。だが、機体の凶暴性を落ち着けていたはずだ」
「獣は死ぬまで獣だろうがよ。首輪をつけた程度で、飼い慣らせたつもりだってんなら、それはただの驕りだろうがッ!」
「そうか。その闘気……やはり、我が父、『グレイグ・エルネイジェ』を想起させるな」
「だったら、なんだってんだ! 俺の出自なんざなァ、どうだっていんだよ!」
『ギガス・ゴライア』の顎部より展開したデストラクションバスターの砲口が開口する。
 それをジェラルドは見切っていた。

 拡散性の火線。
 一瞬であったが、開口したことを見極めたジェラルドは拡散性の攻撃が来る、ということを見越して『サラマンダー』のイオンブースターを点火し、一気に加速し扇状に拡散した一撃を躱したのだ。
「大したもんだッ、褒めてやっても良い! だがよォッ!」
 笑う声が聞こえた。
 収束する光条。出力を絞って圧力を上げる一点突破。
 そして、それは剣でもって『サラマンダー』を横薙ぎに払うように振るわれる。
「デストラクションバスターを撃たせた時点で、終わってんだよッ!」
「だろうな。『ギガス・ゴライア』は巨神を討ち滅ぼすべくして生み出されたキャバリアだ。遺憾だが、『サラマンダー』の牙はお前には届くまい」
「そこまで分かっていて、それでも立ち向かうか。大した騎士だよッ!」
「いいや」
 ジェラルドは迫る光条を前にして笑むでもなく、その瞳をユーベルコードに輝かせた。

「牙は届かないが、負けるとは言っていない」
「負け惜しみを!」
「いいや。勝るものがある。それは」
 烈火炎心(サーマルハート)――滾る炎の熱。
 イオンブースターの加速によって駆体が赤熱する。フレームすら炎を噴出させ『サラマンダー』が超過駆動を果たす。
 それは炎を撒き散らしながら幻影ように火線を躱す『サラマンダー』の姿を『フュンフツィヒ』の瞳に刻ませたことだろう。
 光は熱。
 であるのならば、炎を撒き散らす『サラマンダー』は捕らえられぬ。
 炎を手に掴むことができぬように、炎の化身たる『サラマンダー』を黒鉄の城『ギガス・ゴライア』は捕らえられない。

「まやかしを!」
 振るわれるスマッシャーテイルの一撃。
 だが、それすらも炎は揺らめき実体を捕らえさせない。
 最大加速に到達した『サラマンダー』は、その超過駆動による炎熱のゆらめきと共に『ギガス・ゴライア』の巨躯による格闘攻撃のことごとくを躱していたのだ。
「丁度闘志に熱が入り始めた頃合いだが……口惜しいな。ややもすれば、もっと貴殿とはもっと長い時間かけて戯れていたいと思える」
「……それは」
 己もだ、と『フュンフツィヒ』は口を開いた瞬間だった。
 そう、ジェラルドの攻勢は前座であった。
 本命は、その後。

「ヘレナ! 撃て!」
「はいはーい」
 その言葉と共に光条が迸る。それは本来、そこには何も存在しいない虚空から放たれた一撃だった。
 否、それはヘレナの駆る『ヴェロキラ・ディアストーカー』の一射であった。
「さすが殿下ぁ。随分とまあ、見晴らし良くしてくれちゃて!」
 そう、彼女はただ雲隠れしたわけではない。
 ジェラルドを囮にしての、精密射撃に寄る『ギガス・ゴライア』のコアユニットの狙撃。
 これを成したのだ。
 それも、ただの一射。
 緻密なる影討(スニークキル)の一撃は『ギガス・ゴライア』の消耗した装甲を居抜き、そのコアユニットを撃ち抜いた。

「……この一撃のために、まさか……!
「ああ、我が身を囮にした。そうでもしなければ、貴殿は討てぬ。そう判断したまで」
「ハッ……そうかい。なら、俺はこういうしかないんだろうな。『やりやがったな、こいつめ』!」
 瞬間、遥か遠方から飛来するは亜音速の砲撃。
 市街地の外に配された『ベヒーモス』からの偉大なる巨竜の砲手(ベヒーモス・ガンナーモード)であるイリスを共とした苛烈なる一撃が『ギガス・ゴライア』の巨躯を打ち据え、ついに『フルーⅦ』の市街地にて『ギガス・ゴライア』を沈黙させるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『シリウス』

POW   :    ガードスラスト
【ソードライフルの攻撃】が命中した敵を【シールド】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[シールド]で受け止め[ソードライフルの攻撃]で反撃する。
SPD   :    ディフューズミサイル
【ミサイル】をレベル個に分裂し、【縦横無尽】の如き軌道で射出する。個々の威力は低下するが回避困難。
WIZ   :    チャージビームキャノン
敵を狙う時間に比例して、攻撃力・命中率・必殺率が上昇する【荷電粒子】を武器に充填し続ける。攻擊すると解除。

イラスト:イプシロン

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 漸く、というべきであったことだろう。
 多くの猟兵たちを苦しめた『ギガス・ゴライア』は、その装甲の多くを脱落させ、コアユニットすら破壊されて、立ち往生するように沈黙した。
 パイロット『フュンフツィヒ』の生存はわからない。
 だが、猟兵たちにそれを確認する暇はない。
 そう、破壊の嵐に晒された小国家『フルーⅦ』に迫るのは、『プラナスリー』のオブリビオンマシン軍団であった。
 青いオブリビオンマシン「シリウス』。
 それは整然と……それこそ機械か昆虫のような規則正しくも不気味な挙動でもって迫っていた。
 本当に人が乗っているのか、と思うほどの一糸乱れぬ挙動。
 不気味さが込み上げてくるだろう。
「まだ、戦力が……! 組み上げはまだなのですか!」
「急いでいますが……戦闘の余波がすごすぎて、作業が!」
『ライスメキア』の言葉に『フラズグルズ』を組み立てていた整備員たちの悲鳴のような声が響く。
 まだ、防衛用決戦スーパーロボット『フラズグルズ』は機動できない。
 迫るオブリビオンマシンの大軍。
 消耗した猟兵達。
 未だ窮地を脱することもできず、存亡の危機、その淵に今まさに亀裂が入ろうとしていた――。
村崎・ゆかり
二番手が来たわね。よくもまあぞろぞろと。

あたしはむしろ量産機を相手取る方が得意でね。遠慮なくいくわよ。
「全力魔法」「範囲攻撃」風の「属性攻撃」「天候操作」「衝撃波」「なぎ払い」で風吼陣!
その華奢なスタイルで、この暴風に耐えられるかしら?
竜巻に混じった無数の剣が、いいところに刺さるといいわね。
まともなパイロットが乗った機体なら、乗り手はあれに振り回されて動けなくなるはずだけど、機体はまだ動くかしら?

歩みを止めないというなら、いくらでも相手になるわ。陣が一旦解除されたら、すぐに次の陣を敷く。
こっちだって、切った張ったの覚悟は十分なのよ! さあ、暴風に巻き込まれて、まとめて吹き飛びなさい!



 青きオブリビオンマシンの軍団が、瓦礫とかした小国家『フルーⅦ』の市街地にずらりと居並ぶ。
 立ち往生のように沈黙した『ギガス・ゴライア』をまるでないものとするかのように青いオブリビオンマシン『シリウス』らは、一斉に同一の挙動でもって手にしたソードライフルを構えた。
 整然としている、といえば聞こえがいい。
 だが、それはあまりにも規則正しく、あまりにも不気味だった。
 まるで同一の存在が操縦しているのではないかと思うほどに規則正しい動きだった。

「二番手が来たわね。戦力の逐次投入……よくもまあぞろぞろと」
 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は呻くようだったが、むしろ、彼女にとってはこちらのほうが好都合であった。
「あたしはむしろ、量産機を相手取る方が得意。なら、遠慮なく行くわよ!」
 迫る『シリウス』たちを前にゆかりの瞳がユーベルコードに煌めく。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。天上までも響き渡る破壊の風よ。その身に宿せし無限の剣刃により触れるもの悉くを裁断せよ。疾!」
 展開するは、風吼陣(フウコウジン)。
 吹き荒れる暴風。
 形成された暴風圏は、『シリウス』たちを取り囲む。
 機体に配されたシールドを構え、迫る無数の刀剣を受け止めている。

「へぇ、案外狼狽しないのね。でも、その華奢なスタイルで、この暴風に耐えられるかしら?」
 ゆかりの言葉と共に暴風の中に飛ぶ刀剣が『シリウス』の装甲を刻む。 
 だが、それでも『シリウス』は恐れを知らぬと言わんばかりに防風の中を着実に進んでくるのだ。
 並のパイロットであれば、恐怖心で動けなくなっても仕方ないところだ。
 なのに『シリウス』たちは一糸乱れぬ行軍を持って嵐を抜けて来ようとしている。
「……まだ動く。いえ、進んでくる。歩みを止めないというなら、いくらでも相手になるわ!」
 ゆかりは、さらにユーベルコードを展開する。
 敵の進軍がどれだけのものであったとしても、これ以上市街地には近づけさてはならない。
 嵐を壁とするようにゆかりは『シリウス」たちの行軍をとどめ、己の背後にていまだ組み立て整備の行われている防衛決戦用のスーパーロボット『フラズグルズ』の作業が完了するまでの時間を稼ぐように、瞳を輝かせる。
「こっちだって、切った張ったのは覚悟の上よ! さあ、暴風に阻まれて、まとめて吹き飛びなさい!」
 渾身の力と共に暴風を生み出し、ゆかりは『シリウス』の進軍を遅らせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シル・ウィンディア
ウイング部分の損害か…。
というか、掠っただけでこれはすごかったなぁ~。

よし、切り替えていくよっ!
量産型とはいえ、新型っぽいしがんばるっ!

相手のビームキャノンは結構厄介そう。
だから動かしていくか。

左前腕部のビームランチャーを連射しつつ、推力移動でホバー走行っ!
上が取りにくいなら、これでどうだっ!
とはいえ、ビルの高さ位なら飛べると思うしね。
上下左右前後に揺さぶりつつ攻撃。
そして、詠唱開始。

ビームキャノンは残像で回避しつつ、魔力障壁とオーラ防御防御も固めて…。

さぁ、行って、ブリューム!
エレメンタル・バラージだよっ!!

ヘキサより威力は低くても…。
対複数戦なら持って来いだから、この魔法っ!



 シル・ウィンディア(青き流星の魔女・f03964)は己の乗騎『レゼール・ブルー・リーゼ』の機体状況を確認する。
 破壊されているのはウィングスラスター。
 無傷ではいられなかった。
 オブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』は、それほどの敵だったのだ。
 荷電粒子砲の一撃。
 直撃ではないにせよ、掠めただけで機動の要でもあるウィングスラスターの損壊は手痛いものだった。
「掠っただけでこれはすごかったなぁ~……よし、切り替えていくよっ!」
 シルは即座に心を切り替えた。
 まだ敵の襲来は終わらない。
 ただの第一波が終わりを告げただけに過ぎない。

 逃げ出すこともできた。
 だが、そんなことシルには一欠片とて思い浮かぶことはなかった。
 迫る敵を打ち倒す。
 今彼女にできることはそれだけだ。
 そんな彼女の前に規則正しい行軍でもって、ある種の不気味さを醸し出す青いオブリビオンマシン軍団。
『シリウス』と呼ばれる最新型とも取れる機体。
 油断はできない。
「量産型……でも、新型だよねっ! なら、厄介な敵だってことには変わらないんだっ!」
 シルは機体を走らせる。
 機動しなければ、数で劣り、また損壊している機体状況の彼女は直ぐ様に数で圧倒されてしまうだろう。

 だから、機動する。
 狙いをつけさせない。
「機体の出力温度が上がってる……ってことは、チャージしてるってことだよねっ。なら!」
 機体の左前腕のビームランチャーを連射しながら、スラスター出力が落ちて尚地面を這うように『レゼール・ブルー・リーゼ』が戦場を銀盤とするかのように滑走する。
「上が取れないなら、これでっ! でもっ!」
 跳躍。
 迫る荷電粒子砲の一撃が爆風を巻き上げ、機体を揺らす。
 照準を付けさせないように機体を撥ねさせ、スラスターで地面に吸い付くように急降下する。
 さらに機体を左右にふる。
 デッキることは全部しなければならない。
 生きるってことはそういうことだ。

 だが、その生きる意志を『シリウス』からは感じられない。
 どの機体にも感じられないのだ。。
 まるで、人間ではない者が乗っているのではないか、とさえ思えてならない。
「考えるのは、あと! 今は……行って、ブリューム!」
 シルの声と共に機体から小型ビットが飛ぶ。
 そして、彼女の瞳と『レゼール・ブルー・リーゼ』のアイセンサーがユーベルコードの輝きを灯す。
「精霊達よ集いて力になり、すべてを撃ち抜く力となれっ! エレメンタル・バラージ!」
 己に向けられた敵意。
 その全てに呼応するように小型ビット『ブリューム』が飛ぶ。
 複合属性の魔力弾が飛翔し、ビットに反射して『シリウス』たちを取り囲む。
 数で劣るというのならば、敵の視覚外からの攻撃を行えばいい。
「威力は低くても……対複数戦なら、もってこいだからね、この魔法っ!」
 シルの言葉と共に無数の魔力弾がビットの乱反射でもって戦場を檻のように包み込み、その一撃は『シリウス』を貫く。
 その光景は徹底的に破壊された小国家『フルーⅦ』においいて、散華のごとく照らすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
【心境】
「質の次は量か…。」
しかし、いったいどれだけの戦力をどこから用意したのか…。
他の世界でいうなら、無駄使いってやつなのよ!!

【行動】
数には数ってね。
鉄血騎鋼団を出撃させる。
ボク自身は引き続き、レスヴァントMk-2で出撃するよ。
<レスヴァント>と<パールバーティ>の複製機体を『念動力』で『操縦』
レスヴァントは前衛で『制圧射撃』しつつ接近戦でイニテュウムで『重量攻撃
パールバーティは後衛で『援護射撃』でレスヴァントが接近するチャンスを作る。
さすがにこの数を同時に操作はきついけど『瞬間思考力』で素早く操作しつつダークマンティスの『レーザー射撃』を『範囲攻撃』モードで撃ち込むよ。



 迫るは不気味な青き軍団。
『シリウス』と呼ばれたオブリビオンマシンは、その体躯の洗練された装甲や技術から察するに最新鋭量産機であると伺えただろう。
 如何なる伝手があれば、そのような戦力を用意できるのか。
 少なくともユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は知り得ないことだった。
「質の次は量か……」
 第一波たる『ギガス・ゴライア』は圧倒的な脅威であった。
 その力の強大さは、小国家『フルーⅦ』の惨憺たる状況を見やれば理解できるところであっただろう。

「他の世界で言うなら、無駄遣いってやつなのよ!! これは!!」
 ユーリーの瞳がユーベルコードに輝く。
 迫るは、無数のディフューズミサイル。
 空中で分裂して複雑な軌跡を描いて『レスヴァントMk-2』へと殺到するのだ。
 不気味だった。
『シリウス』と呼ばれた青いオブリビオンマシン。
 その動きはいずれもが画一的であった。そこに兵士の意志が感じられない。揺らぎのようなものを一つもユーリーは感じられなかった。
 まるで亡霊か、はたまた同一人物が乗っているのではないかとさえ思えるほどであった。
「数には数! 鉄血騎鋼団(アイゼンブラッドパンツァー)、全機前進開始。全兵力を持ってこの戦場を制圧するッ。総攻撃開始!!」
 彼女の背後に居並ぶは、『レスヴァント』と『パールバーティ』。
 それも百数騎。
 全てがユーリーの念動力によって操作される。

 敵が画一的な攻撃しかして来ないのならば、充分に対処できると彼女は思っていた。
「オフェンス!」
 その言葉と共に『レスヴァント』がシールドを構えて一気に前進する。 
 飛来するミサイルをアサルトライフルの制圧射撃で撃ち落とし、爆散させる。空中で吹き荒れる爆風が凄まじい勢いで破壊された市街地を舐め尽くすように駆け抜けていく。
 そのさなか、後方より『パールバーティ』が背に追ったキャノンを放つ。
 援護射撃を受けた『レスヴァント』たちが一気に『シリウス』へと肉薄する。
「流石に……この数の同時操作はッ」
 キツイ、とユーリーは念動力を発する己の頭脳が軋むのを感じた。
 だが、それでも瞬間思考でもって一気に処理する。
 素早くコマンドを入力するように、彼女は一気に『レスヴァント』を操作し、近接戦闘を行う。
 引き抜かれたキャバリアソードが『シリウス』と鍔迫り合い、さらに援護射撃によって敵の部隊を突き崩していくのだ。
「バックスは任せてもらおう! ダークマンティス、起動!」
 背面の砲身が水平に稼働し、充填された砲撃の一撃が『シリウス』たちを薙ぎ払っていく。
 
「敵の数はまだ健在……一体どれだけの戦力を何処から用意したのか……ええい、考えるのはあと! 今は!」
 ユーリーは痛む頭を抑えながら、念動力を発露し百数騎の『レスヴァント』と『パールバーティ』を操作し、第二波たる『シリウス』部隊を押し留めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イクシア・レイブラント
風が吹いてる…ゆかりさんも戦っているのね。
なら、私はこちら側ね。
戦闘パターンが複製された無人機であれば動きが同じもおかしくないけれど、
私がドローンを扱うように遠隔操作をしている可能性もある。
試してみた方が良さそうね。

|裁判槌《ガベル》を振りかざして【削り抉る電磁嵐】を起動。
あらゆる攻撃を防御できるるとても、シールドで守れる範囲は限られている。上部や側面から直撃させて[データ攻撃]。外れても電磁波の[ジャミング]。
動きが鈍るようなら大型フォースブレイドで[武器巨大化、なぎ払い]。

ソードライフルの反撃は[戦闘演算、弾道計算、空中機動]で回避。
素早く一撃離脱してシールドの追撃からも逃れつつ戦うよ。



 戦場に風が吹いている。
 イクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)にとって、それは共に戦う猟兵の存在を感じさせるものであった。
 これだけの荒廃を巻き起こした存在。
『ギガス・ゴライア』を第一波であるとするのならば、迫る青きオブリビオンマシン軍団『シリウス』は第二波である。
 波状攻撃であるというのならば、そのとおりであろう。
『ギガス・ゴライア』は敵拠点に甚大な被害をもたらす突出した個。
 この襲撃の後に蹂躙すべく迫るのが『シリウス』である。
 言うまでもなく、その洗練されたシルエットから察するに最新鋭の量産機。
 つまり、性能も言うまでもない。
「なら、私は」
 彼女は『シリウス』たちの動きが画一的であることを知る。

 例えば、学習コンピューターのように戦闘パターンが複製された無人機であるという可能性。
 であれば、動きが同じでもおかしくはない。
 だが、これまで『プラナスリー』との交戦から鑑みるに、その線は薄い。
 無人機特有のタイムラグが存在していない。
 だが、同時にこうも思う。
 もしもだ。
 あの機体に搭載されているのが無人機を遠方から操作するものではなく、そもそも人間ではない、人間の代わりになるものが搭載さているのだとしたら。
「……試してみた方が早いわね」
 イクシアが手にするのは、『マレウス・アウレリオス』を掲げる。
 振りかざした軌跡が描くは、高電圧の光。
 振り下ろされた|裁判槌《ガベル》。
「目標範囲確定。対象……捕捉。FCS、オールグリーン。全弾射出!」

 イクシアの瞳がユーベルコードに煌めいた瞬間だった。
 電子機器をダウンさせるほどの強力なプラズマ。それが誘導弾となって射出され、『シリウス』へと走るのだ。
 だが、それは『シリウス』のシールドに防がれる。
「……動きは、鈍らない。動いている」
 シールドで防御した『シリウス』がソードライフルを掲げてイクシアに迫る。
 敵起動を演算子、回避したイクシアはさらに誘導弾を放つ。
 削り抉る電磁嵐(エレクトロ・スラッシュ・サンダーストーム)は、『シリウス』の電子機器をダウンさせてはいるが、対策は取られているようだった。

 何のために?
 当然、考えられるのはこうしたジャミング対策であろう。
 だが、そこまでするだろうか?
 内部の電子系統を焼き切られることを恐れてのことならば、まだわかる。しかし、イクシアのように攻撃できる兵器は限られている。
 それこそ、狙い撃ちしないかぎりは。
「であれば……」
 イクシアのフォースブレイドが『シリウス』のコクピットハッチを斬り、跳ね飛ばす。
 そこにあったものは、巨大な脳であった。
 まるで巨人の脳。
 肥大化した脳とも言うべきものが、『シリウス』のコクピットに収まっていたのだ。
 漸く理解した。
 画一的な動き。意志を感じさせない動き。
 嘗て、このようなものが使用された機体がいくつか事例として上げられていたのを思い出す。
「これが……!」
 マンパワーを消費しない『プラナスリー』のからくりだ。
 兵力を使い捨てにしてもなんら消耗にならず、他国を間断なく侵攻することのできる最大の強み――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルマ・フィーリア
……敵、ボクたちの、敵……

(引き続き『アルマリヴァーレ』。先ほどの損傷や機体欠損は|鋼竜石《EP-Xドラクティス》の増殖により補填(継戦能力+リジェネレート)し、尻尾が変形した大型実体剣『ドラグキャリバー』を抜き再度戦闘態勢に

機体装甲各部が変形して|竜の首《ドラグヘッド》を生やし、そこからのランダム魔力砲撃、回避を試みた機体には飛翔接近後、魔力を纏わせたドラグキャリバーで斬撃・切断、
UCでの防御を試みた場合はこちらもUCを使用、受け止めようとした盾ごと貫通・切断します。損傷に対しては倒した敵機に対して竜の首で噛付き、鋼竜石で侵食し鋼竜石装甲の増殖・に利用、装甲を再生させ戦闘を続行します)



 アルマ・フィーリア(鋼竜石の妖精・f44795)は呟いていた。
 瞳は虚ろ。
 光はなく、あるのは瞳の色だけであった。
 艶を消したような瞳は、虚空を眺める。
 否。
 虚空ではない。
「……敵、ボクたちの、敵……」
 彼女が見つめる先にあるのは、瓦礫の街を往くオブリビオンマシン軍団『シリウス』。
 青き機体は、整然と、それこそ画一的な動きでもって小国家『フルーⅦ』の瓦礫の山溶かした市街地を進みゆく。
 手にしたソードライフルから銃火がほとばしり、周囲を破壊に巻き込んでいく。

 乗騎である『アルマリヴァーレ・ドラグスキア』の損傷の度合いはひどいものだった。
 なにせ、あの『ギガス・ゴライア』に真っ向から向かい損傷など気にもとめぬ戦い方をしていたのだから。
 ある意味当然と言えば当然である。
 しかしだ、彼女の機体は鋼竜石と呼ばれる『生きている』金属で覆われている。
 合体及び、自己修復を備える金属は、穿たれた損壊箇所を覆い、たちまちの内に修繕していくのだ。
「……『ドラグキャリバー』、抜剣……」
 アルマは面を上げる。
 そこにあるのは敵だ。
 打ち倒すべき敵だ。
 尾が変形して錬成された大型実体剣を構え、再度臨戦態勢に移る。

 例え、彼女の意志が薄弱だとしても、その胸に宿るのは敵を打倒さねばという強烈な感情であった。
 そう、感情が意志を凌駕する。
 膨れ上がる怒りと共にアルマは、飛び出すようにして『アルマリヴァーレ・ドラグスキア』と共に『シリウス』へと襲いかかる。
「ドラグキャリバー、展開」
 アルマの瞳がユーベルコードに輝くのと同時に『アルマリヴァーレ・ドラグスキア』のアイセンサーが煌めく。
「……斬断せよ。世界ごと、忌むべき『敵』を」
 機体装甲から生み出された竜の首が飛び出し、『シリウス』のシールドへと食らいつく。
 だが、次の瞬間『シリウス』はソードライフルを至近距離で放ち、『アルマリヴァーレ・ドラグスキア』を引き離そうとする。
 この距離での銃撃は自殺行為だ。
 だが、それでも構わないと言わんばかりに『シリウス』はソードライフルを連射する。

 それ以上に。
「切り裂く」
 振るわれる『ドラグキャリバー』の一閃が『シリウス』を唐竹割のように一刀両断する。
 爆炎が巻き起こり、『アルマリヴァーレ・ドラグスキア』を飲み込む。
 しかし、爆炎の中から次なる獲物を求めて『ドラグヘッド』が飛び出し、新たな獲物たる『シリウス』を引き酔える。
 侵食し、装甲を再生させ、傷を受けようともその場で修復していく。
 まるで異形のキャバリア。
 忌むべき姿とも言うべき、その体躯でもってアルマは己が敵を屠るためだけに、そのチカラをふるい続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

防人・拓也
リベレーションゼロに搭乗。
ダメージコントロール…チェック及び作業完了。腕部はひしゃげたものの、まだシールドも張れるし、両手も動く。まだやれる。
さて、今度は集団か。指定UCを発動しつつ、迎撃する。
チャージビームキャノンを撃たせないように先読みし、ビームライフルやファンネル、レールガンで先制攻撃。
ミサイル攻撃は頭部バルカンやファンネルで迎撃。
敵の他の攻撃は動きを読んで回避又はファンネルでバリアを張って防ぐ。
次の戦いの事もある。消耗は最小限に抑えながら、敵を効率良く片付けなければならない。それに『フラズグルズ』が完成するまでの時間を稼がないとな。少々骨が折れるが…やってみせるさ。
アドリブ・連携可。



「ダメージコントロール……チェック」 
 防人・拓也(奇跡の復活を遂げた原初の魔眼の開眼者・f23769)は、己の乗騎である『リベレーションゼロ』の機体の損壊状況を具に確認する。
 目を走らせ、機体状況が如何なるものかを理解する。
 己が肉体と違って、鋼鉄の巨人であるキャバリアはこうしてチェックしなければ、不測の事態に対処できない。
「腕部はひしゃげているか……フレームまで歪みが到達しているのは予想外だが……いや、幸いだった、と言うべきか」
 コンソールでのチェックを終えて、機体の出力が未だ戦闘に影響を及ぼすものではないと拓也は理解していた。
 腕部がうまく使えなくても、シールドを張ることもできれば、動かそうと思えば動かせる。
 であるのなら。
「まだ、やれる」

 モニターの向こうには瓦礫の山と化した小国家『フルーⅦ』の市街地がある。
 もはや市街地とは言えないほどの惨憺たる状況であるが、しかし、まだ人々が生きている。なら、ここを守らねばならないだろう。
 しかし、これの状況に至って迫るのは第二波。
 一個戦力として投入された『ギガス・ゴライア』の次は波状攻撃のごとき『シリウス』の軍団である。
 いずれもが画一的な動き。
 よく言えば、一糸乱れぬ練度の高い部隊であると言えるだろう。
 だが、拓也は不気味さを感じていた。
「……何だ、この感覚」
 いやな、と思えるものだった。
 まるで群体の虫の動きを見ているような、不快感。
 意志すら感じさせぬ『シリウス』の動きに拓也は困惑しながらも、迫るミサイルの雨を躱し、戦場を疾駆する。

「飽和攻撃……ここに来て面倒なことを! だが!」
 ミサイルによる飽和攻撃の後に来るものはなにか。言うまでもない。
 こちらの動きが鈍ったところを狙い撃ちにしようというのだ。ならば、その機先を削ぐ。
「先読みができないわけじゃあない!」
 死神の予測術(リーパー・プリーディクション)とも言うべき拓也の勘が冴えわたる。
 迫るミサイルをライフル、ファンネルで迎撃し、さらに『シリウス』へと踏み込む。
「動きは良いが、わかりやすい。ならッ!」
 踏み込んだ拓也の『リベレーションゼロ』のひしゃげた腕部に張られたシールドが、まるでグローブのように展開し、『シリウス』の胴体部へと叩きつけられる。
 ひしゃげ、吹き飛ぶ駆体をよそに拓也は瓦礫が山積する市街地で『シリウス』と大立ち回りを演じる。
「まったく……骨が折れる」

 そう、彼がしているのは時間稼ぎだ。
 切り札たるスーパーロボット『フラズグルズ』。
 そのオーバーホールが終わるまで、敵を押し留めなければならないのだ。
 こちらの数は劣っている。
 であれば、敵の飽和攻撃、波状攻撃は理にかなっている。
 戦術的に見ても、敵の攻勢は一気呵成。
 なら、それを押し留めるために戦力比は覆さなければならない。
「……やってみせるさ」
 拓也は損傷した『リベレーションゼロ』と共に獅子奮迅の働きを見せ、『シリウス』の軍勢を己が背後に突破させぬのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
機体状況チェック……損傷はあるけど問題ない、まだいけるッ!!

アルカレクスのまま戦闘を続けるわ。
それと、気休め程度だけど整備機械人形『ARC-02 フローリア』達を後方、作業箇所へと向かわせておく。……少しは足しになればいいけど。

侵攻ルート上に陣取り、相手のミサイルには『Eフィールド』のバリアと『リフレクションスケイル』を浮かせ迎撃、最悪盾代わりにして対応。
避けにくいというのなら撃ち落とすまで…!

そして、散々あなた達が好き勝手してくれた|おかげ《せい》で「視界は十分」よ……!!
UC!!【虹剣ドラグキャリバー】を限界まで伸ばして横薙ぎに振るい、迫る敵部隊…全部纏めて、薙ぎ払ってやるわ!!



 オブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』との戦いは苛烈そのものであった。
 機体の損壊もそうであるが、あのパイロットの気迫というものは、狂気以上の凶暴性に支えられているものであった。
 立ち尽くすようにして破壊された黒鉄の城を見やり、アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は己の機体の状況を知る。
 損傷はある。
 だが、まだ戦える。
 戦わねばならない。
「まだいけるッ!!『アルカレクス』!!」 
 アルカは、市街地に迫る青きオブリビオンマシン軍団『シリウス』の姿を認める。

 見たことのない機体だ。
 恐らく、最新鋭機。
 それも量産体制が整っていると見て違いない物量だ。
 これほどの数を未だに『プラナスリー』は繰り出してくる。物的な消耗も猟兵たちの活躍によって激しいはずだ。 
 それだけではない。
 三国に向かって宣戦布告をしていて、何故、ここまで人的な消耗を感じさせないのか。
 それが不気味さに拍車をかけていた。
「でも……今は!」
 アルカは機体から『フローリア』と呼ばれる機械人形を射出し、気休めとわかっていながら『フルーⅦ』の防衛決戦の切り札『フラズグルズ』の整備へと向かわせた。
 わかっている。
 焼け石に水だということは。
 だが、それでもなにかしなければならない。手を止めてはならない。歩みを止めてはならない。
 時間は止まってくれない。 
 敵もまた止まってくれないのなら、アルカは少しでも多くのことを成さねばならなかったのだ。

「……ロックオンアラート……!」
 けたたましく鳴り響く警報音。
 それに視線を向ければ、迫るは雨のようなミサイル。
 複雑な軌道を描いて、空中で分裂して注ぐミサイルの爆風に機体が揺れる。
 エネルギーフィールドのバリアと装甲を浮かせたことで衝撃を逃がす。だが、それでも次々と注ぐミサイルには辟易してしまう。
「防ぐだけじゃあ、足りないっていうのなら……撃ち落とす!」
 ユーベルコードに煌めく『アルカレクス・ドラグソリス』のアイセンサー。
 手にした『ドラグキャリバー』より放たれる膨大なエネルギーが開放され、アルカの視界に移る全てのミサイルを一閃で薙ぎ払うのだ。
 空中で爆散するミサイル。
 爆風が閃光を生み出し、戦場に影を落とした瞬間、『アルカレクス・ドラグリヴァーレ』は『シリウス』へと切り込んでいた。

「散々、あなたたちが好き勝手してくれた|おかげ《せい》で『視界は充分』なのよ!」
 振るう斬撃は、虹剣ドラグキャリバー(ドラグキャリバー・カラドボルグ)。
 彼女の瞳はユーベルコードよりも何よりも、怒りに満ちていた。
 そう、このような状況にあってなお、戦いを辞めない者たちへの怒り。
 狂気に駆られているとは言え、それでも許せない。
「全部まとめて、薙ぎ払ってやるわ!」
 振るう斬撃は横薙ぎに『シリウス』たちを切り裂き、その駆体を爆散せていく。
 どこまで行っても戦いは、こうした破壊しか齎さない。
 そのことに一抹の虚しさも覚える暇はない――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
竜眼号搭乗
「ご主人サマー☆最新鋭の軍団だぞ☆それに時間稼ぎ…いや殲滅するなら…もうあれだよね♥」
うっがぁぁぁぁ!!!(絶叫

【情報収集・視力・戦闘知識】
敵軍の数や陣形と動きを把握

地獄のUC発動…!
【集団戦術・弾幕・属性攻撃・念動力・二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
10師団は都市と竜眼号の護衛
光水属性を軍団と竜眼号に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源隠蔽

1師団
ギガスゴライアの中の調査
死体か痕跡が無いかを把握しておく

残り
後は突撃
念動光弾を乱射しての殲滅開始
一応群がって分解
中に人がいないはちゃんと確認する

中に人がいる場合は不殺徹底だがいない場合は容赦なく殲滅
機体は分解して資源として回収!
まさに蝗?



 瓦礫と化した市街地に迫るは青きオブリビオンマシン軍団『シリウス』。
「おいおいおい、どう見ても最新鋭機じゃあねーか! どうなってんだよ、物量ってのは!」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は思わず呻いていた。
 地平線を埋め尽くすような行軍。
 一糸乱れず進む様は、ある種の不気味さを醸し出していたことだろう。
 どう考えても、『プラナスリー』の物量というものがおかしかった。
 一体どれだけのプラントがあれば、このようなことが可能なのか。そもそも、だ。
 機体が生産できても、それを駆るマンパワーがなければどうにもならないはずだ。
『ご主人サマー☆ 最新鋭の軍団だぞ☆ それに時間稼ぎ……いや殲滅するなら……もうあれだよね❤』
 カシムは『メルシー』の不穏な言葉に頭を抱えた。
 いやだったからだ。
 彼女の語る所のあれとは、即ち。
「ううがぁぁぁぁ!!」
『ご主人サマ!依り代お願い!』
 ユーベルコード、対軍撃滅機構『戦争と死の神』(メルシーハルノヨウジョマツリ)によって幼女『メルシー』たちが一斉に飛び出す。
 それは対する『シリウス』たちに一斉に襲いかかる。

 一体どちらが不気味かなどわからない。
 どちらも、だとカシムは思ったことだろう。
「くそっ、しょーがねー! こうなったら、あの『ギガス・ゴライア』の中も調査しとけ!」
『らじゃ☆』
 眼前では、『幼女メルシー』たちが『シリウス』と戦いを広げている。
 どちらも不気味なくらい連携が取れている。
 いや、『幼女メルシー』が連携が取れるのは当然と言えば当然だ。
 だが、『シリウス』はおかしい。
 まるで意志を感じさせないのに、連携だけは十全に取れているのだ。まるで巨大なネットワークで一つに繋がっているかのように、互いの損壊を気にもとめずに敵を仕留めるためだけに最適化された動きをしてるようにも思える。

 それは謂わば、昆虫の群体めいた動きであったことだろう。
 故にカシムは思う。
「おい、あれって本当に中に人がいるのか?」
『うーん? 人はいないよ!』
『メルシー』の言葉にカシムは違和感を覚える。
 人『は』いない。
 その言葉に問いただそうと身を乗り出してカシムは『ギガス・ゴライア』の調査に向かった『幼女メルシー』たちの報告に耳を疑う。

「コアユニットは撃ち抜かれてたよー!」
「コクピットブロックは無事みたいー」
「あとねー」
「なんかねー」
「まとめてから話してくれんかな!?」
「うん、信号発信しているよー!」
 その言葉にカシムは目を見開く。
 信号?
 どこに? 何のために? 嫌な予感がカシムの心の中を占めていた。信号。『シリウス』を呼び寄せるためか?
 いや違う。
 なぜなら、敵の狙いは『フルーⅦ』のスーパーロボット『フラズグルズ』だからだ。
 なら、なぜ信号を今発しているのか。
 それも『ギガス・ゴライア』の残骸が。 
 その意味を知るのは――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティオレンシア・シーディア
…有象無象とはいえ、よくまあこんなにぞろぞろと揃えたもんだわねぇ…
まああたしの場合大物食いより雑魚散らしのほうが得意だし、さっきよりは気分的に楽ねぇ。

数も数だし、盛大に○弾幕バラ撒きましょうか。●黙殺・目録より黙殺及び黙殺・妨害を展開、合わせて黙殺・砲列を同時起動。属性攻撃やら状態異常やらドカ盛りの三重弾幕にスノーフレークのGG・MG・GLも合わせてド派手に大規模火力投射で空間制圧ブン回すわよぉ。

…というかこれ、無人機じゃないの?
一糸乱れないにも限度ってモノあるし…ああでも量産型レプリカント系な可能性もあるかぁ。
質はともかく良識とか倫理蹴り飛ばせば割とどうにかなっちゃうのよねぇ、この辺。



 迫るはオブリビオンマシン軍団。
 膨大な数のオブリビオンマシン『シリウス』は、その数に似合わぬ最新鋭。
 量産機と言えど、洗練されたフレームと性能は正しく量産機としての格の違いを思わせるものであった。
「……さっきみたいな突出した個じゃない有象無象とはいえ、よくもまあこんなにぞろぞろと揃えたもんだわねぇ……」
 甘やかな声が艷やかな吐息を漏らし、『スノーフレーク』のコクピットの中でティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は首を傾げた。
 そう、おかしい。
 小国家の国力というものは、保有するプラントによって決まる。
 プラントはあらゆる物資を生産する遺失技術の結晶だ。
 新たに生み出すことはできない。だからこそ、小国家はプラントを巡って常に戦乱状態にある。

 だが、である。
 如何にプラントと言えど、キャバリアを操縦する人間まで生産できるわけではない。
 例え、機体が潤沢にあっても、これを駆る人間がいなければ戦争どころではない。つまるところ、『プラナスリー』という小国家は、プラントの生産力とマンパワーが釣り合っていないのだ。
「まあ、あたしの場合は大物食いより雑魚散らしのほうが得意だし、さっきより気分的に楽よねぇ……」
 だが、ティオレンシアの懸念は払拭されない。
 とは言え、ここで立ち止まってもいられない。
 数多の『シリウス』たちが市街地へと踏み込んできているのだ。幸いに、瓦礫と化してしまった市街地は、遮蔽物らしいものはない。
 ならば彼女の瞳は薄っすらと瞼の奥でユーベルコードの輝きに満ちていた。

「黙殺・目録(デザイア・インベントリ)、起動。黙殺及び、黙殺・妨害展開合わせて……」
 魔術文字に込められたユーベルコード。
 描く度にユーベルコードの効果が発露していく。
 黙殺・砲列まで同時に機動し、ティオレンシアは笑む。
「さあ、ド派手に大規模火力をぶん回すわよぉ」
 描く魔術文字が煌き、空に刻まれるのは魔力の矢の軌跡。
 迸る弾幕に空は染まる。
 巡るようにして次々と矢が装填されていく。
 その魔力の矢は次々と『シリウス』たちを貫き、その装甲を砕いていく。

「……というかこれ、無人機じゃないの?」
 ティオレンシアは魔力の矢、その弾幕に晒されて尚、挙動する『シリウス』たちを見やり、呟く。
 人の意志が感じられない。
 戦場に対する恐怖や、これを克服しようという感情の揺らぎが、一切見えないのだ。
 だが、無人機特有の動きでもない。
 どこか人の癖さえ見えるのに、それが画一的なのだ。
 人が乗っているのならば、ここまで同一というのは限度がある。
「ああ、でも量産型レプリカント系って可能性もあるのかぁ……質はともかく」
 そう、とティオレンシアは魔力の矢で引き剥がされた『シリウス』のコクピットハッチの奥を見やり、益々その瞳を細めた。

 そこにあったのは、巨大な脳。
 かつては『疑似脳』と呼ばれたもの。人ではない。まるで巨人の脳だ。
 それが『シリウス』のか細いコクピットブロックに搭載されている。それが、『プラナスリー』のマンパワーの正体。
「ま、良識、倫理を蹴り飛ばせば、割とどうにかなっちゃうのよねぇ。その証明じゃあないの」
 ティオレンシアは息を吐き出す。
 迫りくる敵の大軍を押し留めながら、その内情を知り、その狂気に直走る『プラナスリー』の恐ろしさをも知るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
ふぅ、ようやく混ざりものの臭いが消えました、か……?
いえ、そう簡単に消えるものではありませんね、『因縁』は
探索も調査もしたいところですが、今は!

ケルーベイムの消耗具合は……よし、いけますね
有象無象とは言いませんが、数で来たところで
何人たりとも先には行かせません!

ケルーベイム!【クーストース】で仕掛けますよ!
フェリーレを装備
フローリス、展開!!
|番人《メイド》たる力、お見せしましょう!

コックピットは狙いから外して
突撃と同時に速度を乗せたフェリーレでの一撃
……まぁまた、『脳』のようなものが乗っていそうですが
悪趣味も程が過ぎますし
しつこい女は嫌われますよノイン様!
そろそろ直接やりあうとしましょう!



 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は息を吐き出す。
 オブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』のパイロット『フュンフツィヒ』がどうなったかはわからない。
 だが、あの黒鉄の城は、立ち往生するように半壊して動きを止めている。
 であれば、と彼女は吐き出した息を再び吸い込み、迫る青きオブリビオンマシンの軍団『シリウス』を見やる。
「ようやく混ざりものの臭いが消えました、か……いえ、そう簡単に消えるものではありませんね、『因縁』は」
 その要因たるものを調査したい。
 ステラはそう思ったが、状況は予断を許さない。
 今は、小国家『フルーⅦ』を守らねばならないのだ。
 そして、そのためには防衛決戦用のスーパーロボット『フラズグルズ』のオーバーホールの完了を待たねばならないのだ。

「仕方ございません……『ケルーベイム』の消耗具合もありいます。ここは!」
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 迫る『シリウス』は量産機であれど、最新鋭の機体。
 疾駆し、迫る様はまるで昆虫のようだった。
 一糸乱れぬ連携。
 全てに同一のパイロットが乗っているのではないかと思うほどに、同じ動きで持ってステラの駆る『ケルーベイム』へと肉薄してきているのだ。
「クーストース! 主は御座にありて……何人たりとも先には行かせません!!」
 ステラと『ケルーベイム』のアイセンサーの煌きが同期した瞬間、『ケルーベイム』は瞬間移動にも等しい動きで持って『シリウス』の背後を取っていた。

「|番人《メイド》たる力、お店しましょう!」
 背後からバックパックウェポンを両断する。
 ミサイルラックを切り裂き、さらにキャノンをもひしゃげさせる。
 それは両腕に装備したトンファー『フェリーレ』の殴打たる一撃。
 コクピットを外したのは、確認するためだった。
 武装と四肢をひしゃげさせた『シリウス』のコクピットハッチを『ケルーベイム』が引き剥がす。
 そのハッチの奥にあるものを見て、ステラは理解する。
 やはり、と予測が当たったことを喜ぶべきか。

「……『疑似脳』!」
 そう、そこにあったのは、巨大な脳であった。
 肥大化した脳。まるで巨人の脳である。これをもって『シリウス』は動かされていた。
 全ての動きが画一的であり、連携が取れていて当然だ。
 全てが同じだからだ。
「悪趣味も程が過ぎますし、しつこい女は嫌われますよ『ノイン』様!」
 ステラは生命弄ぶ行いに激怒した。
 全てはあの『ノイン』と呼ばれる存在がしたことなのだろう。 
 だからこそ、ステラは吠えた。
「そろそろ直接やりあうとしましょう!」
 その言葉に応えるものはいない。
 だが、それでも数多の『シリウス』は洪水のように迫り、『ケルーベイム』はユーベルコードの輝きを宿しながら、その洪水の中であっても燦然と輝くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
スクラップ回収の時間だぁぁぁぁ!!
…いや、プラントあるから要らんでしょとか言わない
こういうのは、漁るのが楽しいんだから
そう、言わば宝探し
ゴミの山から使える物を見つけた時の感動
これこれ!

その為にも先ずは、ゴミの山を作らなきゃね
地産地消が地方経済を…違うか

《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
【剣技・蒼嵐剣】起動
遠距離から剣を振り、斬撃と風の刃で敵オブリビオンマシンの四肢と頭部を狙っていこう
上手くパーツの接続部に当てられたら…100点だよ!
攻撃軌道に竜巻を残し、敵の行動を妨害
移動阻害に『天候操作』で竜巻を更に縦にながーく拡張
ミサイルも巻き込んで攻撃も妨害していこう!



 ぶっ壊したのならば、何ができるのか。
「スクラップ回収の時間だぁぁぁぁぁ!!」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、はしゃいでいた。
 まあ、当然と言えば当然である。彼女にとって、スクラップとは宝の山である。
 その感覚はクロムキャバリアにおいては、少しばかり理解が及ばないものであったかもしれない。
 多少のスクラップを利用することはできるし、当然、キャバリアがオーバーフレームとアンダーフレームに別れ、コクピットブロックを挟み込む機構である以上、損壊した機体のオーバーフレームとアンダーフレームとをつなぎ合わせたパッチワーク的な機体も存在しているのも事実。
 だが、である。
 困窮した小国家出ない限りは、プラントで建造した方が早いのである。
「マジで、そういうの野暮! ホント野暮!」 
 瓦礫と化した市街地の中で玲は叫んだ。

 そう、こういうのは漁るのが楽しいのおだ。
 謂わば、宝探し。
 ゴミの山から使える物を見つけたときの感動。あれを味わいたいのだ。
 レア物をディグる快感。
 いつの時代、どの世界にあっても、共通した事柄であろう。
「そうそう、これこれ……って、その前に。うん」
 玲は模造神器を抜刀する。
 そう、ゴミ山を採掘するためには。
「まずはゴミの山を作らなきゃね。地産地消が地方経済を……いやなんか違うか」
 違う。
 本当に違うと思う。
 だがしかし、どの道、と玲は狙いを迫る青いオブリビオンマシン軍団に向ける。

「あれどう見ても最新鋭機でしょ。量産機でも最新鋭機っていうのがいいよね。心躍るよね。まだ何処にも知られていない機体の機密をね、こう、ね」
 くいっと、と彼女はまるで居酒屋で一杯やっているような所作でもって示す。
 誰もわからん。
 が、玲の瞳はユーベルコードに輝き、『シリウス』を見やる。
 敵も此方を認識したのだろう、ミサイルサイロからディフューズミサイルが放たれ、空中で分裂して雨のように玲へと降り注ぐのだ。
「今更飽和攻撃ってさ!」
 彼女の模造神器は、風の刃を生み出し、振り抜かれる。
 斬撃波とも言うべき斬撃がミサイルを空中で爆散させ、彼女の髪と肩に羽織ったコートを激しく揺らす。

「蒼嵐大系、まずは基本の技からってね」
 さあ、と彼女は踏み出す。
 その瞬間、放たれた斬撃は音速を超え、雷鳴の如き音を立てながら空気の層をぶち抜き、『シリウス』の四肢と頭部を寸断させたのだ。
 駆動部と関節部。 
 それを狙った斬撃は一瞬で『シリウス』を無力化し、更に生み出され竜巻を蹴って飛ぶ。
「うんうん、縦にながーくね。ミサイルは全部巻き上げよう」
 迫るミサイルは全て、竜巻に巻き取られるようにして空中で爆散し、竜巻は炎を巻き込んでさらに膨れ上がっていく。
 その最中、玲は両断して己が百点満点を付けた無力化した『シリウス』のコクピットハッチをこじ開ける。

「……うーん、やっぱりかー。倫理観飛んでるわー引くわー」
 その視線の先にあるのは、巨大な脳。
『シリウス』のコクピットには巨人の脳の如き肥大化した肉塊が詰め込まれていた。
 あの動きが全て画一的であったのは、このためだ。
 非人道的と言えばその通りである。
 だが、だからこそだ。『プラナスリー』のマンパワーの源。からくりは、その『疑似脳』にこそあったのだと玲は理解し、迫る『シリウス』たちを風の刃で寸断し爆炎に背を向けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・銀静
機神搭乗
ギガスゴライア出撃発動

サリアは牽制射撃しつつ都市を守れ
「grrrrr…!」(わかったよーぼくがんばる!)
全く雲霞のごとく沸きやがって
しかし都市の奴等は何を急いでるんだ?
「一生懸命兵器を復旧させてるんだよ主☆」
成る程、つまりお前より高性能って事だな?
「あははー☆ジャパニア最強のグリムちゃんの方が凄いに決まってるジャーン☆」
なら…この程度…やれるな?
「勿論だよ☆」
【戦闘知識】
敵軍の動きや陣形と距離を把握
【二回攻撃・切断・属性攻撃・念動力・弾幕・串刺し・リミットブレイク・功夫】
UC発動
槍の神発動
一気に飛び込み拳

蹴りや念動光弾や真空波を叩き込み殲滅にかかる
どれもコックピットは狙わず不殺徹底!



 市街地に迫るのはオブリビオンマシン軍団『シリウス』であった。
 見るからに最新鋭。
 量産機と言えども、その動きは悪くないように思えた。
 いや、全てが画一的過ぎる。
 連携が取れている、と言われればそれまでであったが、どうにも奇妙な具合であった。
 オブリビオンマシンと言えど、人を載せねばならない。
 そして、小国家『プラナスリー』は国土が他の小国家と比べて特異だ。
 拠点らしい拠点を持たず、巨大巨竜型要塞『ベヘモット』を国土としている。プラントの数は他の小国家以上であろうが、プラントがあるからといって、慢性的なマンパワーの不足は否めないだろう。

 だからこそ、だ。
「全く雲霞のごとく湧きやがって。『サリア』は牽制射撃しつつ都市を守れ」
 皇・銀静(陰月・f43999)は己が乗騎である『サリア』にそう告げ、小国家『フルーⅦ』の様子を見やる。
「しかし都市の奴らは何を急いでいるんだ?」
「一生懸命兵器を復旧させているんだよ主☆」
 彼の疑問に応える言葉。
 みやれば、確かになにか組み上げているように思える。
 キャバリアにしては巨大なのは、それが巨人専用のキャバリアであるからだろう。人間の三倍の体躯を持つ巨人がキャバリアを使う、となれば、当然、その体高も単純に三倍になるであろう。
 15m級のキャバリアともなれば、当然その整備、オーバーホールというものも時間がかかるのがわかる。
「成る程、つまりお前より高性能ってことだな?」
 銀静は煽るようなことを己が機体『グリームニル』に告げる。

 まるで発破をかけるようであった。
「あははー☆ ジャパニア最強のグリムちゃんの方が凄いに決まってるジャーン☆」
「なら……この程度……やれるな?」
「勿論だよ☆」
 その言葉に迫る『シリウス』たちの群れ。
 手にしたソードライフルから放たれる弾丸が『グリームニル』を襲う。
「まるで豆鉄砲だよね☆」
「白虎門……反転……すべからく……砕け散れ」
 銀静の瞳がユーベルコードに煌めく。
 裏白虎門開門(ウラビャッコモン)により、『グリームニル』の機体が邪気を纏う風を宿す。
 それは痛烈なる拳打と蹴撃となって『シリウス』へと繰り出される。
 装甲をひしゃげさせるのではない。
 その邪気纏う風が刃となって『シリウス』の駆体を容易く寸断していくのだ。
「コクピットは狙うな」
「でもさー、これって『人』て言えるのかな☆」
『グリームニル』の言葉に銀静は訝しむ。

 なぜなら、敵の動きは画一的が過ぎる。
 いずれもが人の意志の発露を感じさせない。感情の揺らぎすら見えないのだ。
『グリームニル』の言葉に銀静は違和感を覚えた。
 何かが、おかしい。
「……まさか」
 戦闘力を奪った『シリウス』のコクピットハッチを引き剥がす。
 そこにあったのは、巨人の脳とも言うべき肥大化した脳、『疑似脳』が詰め込まれたコクピットブロックであった。
「……」
 人と言えるのか。
 わからない。
 機械の生体部品でしかないと言うものもいるかもしれない。
 一体どこからが人であり、生命なのか。
『シリウス』は次々と迫り、さらなる破壊を齎さんとしている――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェラルド・エルネイジェ
【聖竜騎士団】
武を交えて確信した
フュンフツィヒが帯びる闘気は、我が父のそれと同じだ
偶然と片付けるには度が過ぎているほどにな

だが状況は思案の暇も許さんらしい

ベヒーモスを中心に迎撃陣形を構築する
敵はこれだけの軍勢だ
ミサイルの面制圧力は凄まじい規模に違いない
分裂するなら尚の事だ
しかし避けられないのならば防げば良いのだ
ベヒーモスの光の盾を頼らせてもらう

イリス、先の戦闘で友軍も消耗しているだろう
融通を効かせてやれ

ヘレナ、お前の炎が欲しい
サラマンダーの足元を狙え

ヘレナの熱い心、確かに受け取ったぞ
先の戦闘で蓄積した熱
内で燃え続ける炎
ヘレナの狐火
それらを煉獄の奔流で解き放つ
サラマンダー!敵軍を焼き払え!


ヘレナ・ミラージュテイル
【聖竜騎士団】
やっとギガス・ゴライアをやっつけたと思ったら今度は大軍?
しかもシリウスってレイテナ・ロイヤル・ユニオン(東アーレスの国家連合体)の最新鋭量産機よ?
プラナスリーの交友関係は一体全体どーなってるの?

ジェラルド殿下からいきなり愛の告白?
それじゃあ私の熱い想い、ちゃーんと受け取ってね?
サラマンダーの足元に狐火弾を撃ちまーす
真面目に返さないでくれる?
本気にしちゃうわよ~?

お二人がたは派手ねぇ?
あたしは地道に狙い撃ちまーす
ベヒーモスを盾にして、スナイパーキャノンで一機ずつ丁寧に
一番真っ先に撃たなきゃいけないのはビームキャノンをチャージしてる奴よ
放っておいたら一撃必殺の威力になっちゃうんだから


イリス・ホワイトラトリア
【聖竜騎士団】
ごめんなさい…!
私が街中に砲撃したせいで、フラズグルズの整備が遅れちゃったみたいで…

これ以上進ませちゃいけない!
聖盾の守護で壁になります
威力の低いライフルやミサイルなんて効きません!
ジェラルド殿下とヘレナさんに向かう攻撃も受け止めます!

ウェルドックを開放します!
補給が必要な人はベヒーモス様の中へ!

敵の動きが妙ですね
何て言うか…整いすぎてるような…?
もしかして無人機なのでしょうか?
周りはもう瓦礫しかない…人がいない今なら!

レーダーセンサーで敵が密集している地点を探します
そこが攻撃目標です!
ベヒーモス様!ギガンティックバスターを発射してください!
敵軍を一気に薙ぎ払います!



 イリス・ホワイトラトリア(白き祈りの治癒神官・f42563)は、『ベヒーモス』の艦橋ブリッジのシートの上で肩を震わせていた。
 敵を、『ギガス・ゴライア』を打倒するためとは言え、砲撃は小国家『フルーⅦ』の市街地をを揺るがすものとなってしまった。
 逆に言えば、そこまでしなければ『ギガス・ゴライア』を止めることができなかった、とも言えるだろう。
 それでも、だ。
 己が引き金を引いた。
 その引き金の重さを彼女は知っているからこそ、身を震わせたのだ。
「ごめんなさい……! 私が!」
「良いのです。異国の方。あなたはあなたの成すべきことを成された。その責任の重さにあなた自身が潰される必要はないのです」
 イリスは通信の先にいる巨人の皇女『ライスメキア』の言葉に、目を見開く。
 そうだ。
 戦いはまだ終わっていない。
 迫るは青きオブリビオンマシン軍団『シリウス』である。
「これ以上進ませちゃいけない!」
「今度は大軍とはね?」
 ヘレナ・ミラージュテイル(フォクシースカウト・f42184)は、俄然やる気になっているイリスの姿に一つ笑む。
 だが、迫るのはオブリビオンマシンの大軍だ。
「しかも、『シリウス』って。『レイテナ・ロイヤル・ユニオン』の最新鋭量産機よ?『プラナスリー』の交友関係は一体全体どーなってるの?」
 ヘレナは諜報員として知り得る情報を探っても、『プラナスリー』の繋がりがわからない。
 一体何がどうなれば『エルネイジェ王国』のりダクトモデルや、他国の最新鋭機が手に入るというのだ。
 それがわからない。

 そして、そんな二人をよそにジェラルド・エルネイジェ(炎竜皇子・f42257)は一つの確信に至っていた。
「武を交えてはっきりと分かった。『黒騎士』……『フュンフツィヒ』が帯びる闘気は、我が父のそれと同じだ」
 偶然とは言えない。
 他人の空似とも思えない。
 武の極地に至ったものが、全て同じであるとは思えない。
 度が過ぎるほどに似通うオーラは、ジェラルドに如何なる心境をもたらしたか。だが、それを探るための思索の暇も今は与えられない。
 迫る『シリウス』の軍勢にジェラルドは即座に解を導き出す。

「イリス、『ベヒーモス』を中心に迎撃陣形を構築する」
「は、はい! 聖盾の守護(セイントプロテクション)にてお守りします!」
「ああ、奴らのミサイルは面制圧力に長けている。あの数で放たれるミサイルは、正しく此方の切り札である『フルーⅦ』のスーパーロボットの整備場まで波及するだろう。分裂するのならばなおのことだ」
「『ベヒーモス』様、前進を!」
 イリスの言葉に『ベヒーモス』が移動を開始する。
「同時にウェルドックの開放を! 補給が必要な方は、『ベヒーモス』様の中へ!」
「はいはーい。弾の補充よろしくね~」 
 ヘレナの『ヴェロキラ・ディアストーカー』がウェルドックに飛び込み、自動給弾装置によって補給を受ける。
 その間にジェラルドの駆る『サラマンダー』が戦場を疾駆する。

「イリス、融通は」
「勿論です!」
「ならば良し。『ベヒーモス』の光の盾、頼らせてもらおう」
 炸裂する『シリウス』の放つミサイルの爆風。
 これを『ベヒーモス』が盾になることで『フルーⅦ』に被害が波及しないように壁を作っている。
「まったくお二人方は派手ねぇ? あたしは地道に狙い撃ちまーす」
 ヘレナは『ベヒーモス』を盾にして、スナイパーキャノンで『シリウス』を一撃で仕留めていく。
 丁寧な、といえるほどの見事な射撃。
 射線さえ通れば、彼女の射撃は狙いを外さないのだ。
「ヘレナ」
「はい、殿下ぁ。聞こえてますよ~」
「お前の炎が欲しい」
 それは、ともすれば告白めいた言葉に聞こえただろう。少なくとも、時と場所と場合というものを選べば、だが。
 その言葉面というもにヘレナは冗談めかして返す。

「ジェラルド殿下からいきなり愛の告白?」
 ヘレナは冗談めかして言う。
「それじゃあ私の熱い想い、ちゃーんと受け取ってね?」
「え、え、ええっ、あの、殿下とヘレナさんって……! っ、そういう!?」
 イリスは一人でワタワタしている。
「『サラマンダー』の足元を狙え」
「はいはーい」
 狐火弾(フォックスファイアバレット)が『ヴェロキラ・ディアストーカー』より放たれ、『サラマンダー』の周囲を炎で包み込む。
「ヘレナの熱い心、確かに受け取ったぞ」
「や、やっぱりそうなのですね!?」
「真面目に返さないでくれる? 本気にしちゃうわよ~?」
 ヘレナの言葉にイリスは益々顔を赤らめる。
 これが、燃え上がる恋(物理)なのだと彼女は勝手に想像していた。いや、絶対に違うと思う。
 だが、それをさせぬと迫るは『シリウス』であった。
 動きが整いすぎている。
 無人機、にしてはあまりにも動きが人間臭い。けれど、感情の揺らぎ目痛者が感じられないのだ。
 それがイリスには不気味で仕方なかった。

「でも、人じゃあないのなら……今!」
 放たれるギガンティックバスターの一撃。それが『シリウス』部隊を薙ぎ払い、さらなる炎を周囲に撒き散らす。
「内なる炎……ヘレナの狐火。そして」
 イリスの『ベヒーモス』の放った一撃。
 周囲の熱を吸収した『サラマンダー』から発せられるは、煉獄の奔流(バーニングバスター・トーレント)の如き一撃。
 バーニングバスターより放たれる一撃は、敵軍を一気に討ち滅ぼす煉獄。
「煉獄の奔流に灼かれるがいい」
 その言葉と共にジェラルドは、迫った『シリウス』の軍勢を焼き払い、押し寄せる敵軍を追いやるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロガネ・デバイス
・共闘
朱鷺透小枝子(f29924)
クロガネコウサク(f43673)

・ディスポーザブル01、02、03コウサクにより再合体【操縦】
ライスメキア、整備員がUC影響化に入るよう後退。
本機を彼らの盾に。

だいじょぶ?
炉心サイキックエナジー 散布 とまれー!

・『サイキックサンクチュアリー』発動。
対消滅爆発的サイキックエナジーにより機体【エネルギー充填】
ライスメキア、整備員達の気力充填、疲労も癒し作業効率を向上。

・ミサイルコンテナ展開。
対消滅爆発的サイキックエナジーからサイキックミサイル大量生成
【誘導弾一斉発射】間断なき弾幕で敵のシールドごと圧し返す。

おじいちゃん、なんだかひとがのってるか、あいまいなのよ?


朱鷺透・小枝子
クロガネ(f43673)
デバイス殿(f43671)と共闘

……自分はまだ、壊れていない。
クロガネ、デバイス殿、まだ戦えますか!?

【継戦能力】コウサクにより、
ディスポーザブル01、02、03再合体修復。
そして『悪騎兵』より『覩剣所丙式』『戦塵剣』発動。
RX騎兵刀を刃の花びらに変え範囲内に入ってきた敵機、
ミサイルを霊力・崩壊霊物質纏う刃で【切断】破壊!

ギガス・ゴライア、フュンフツィヒ!
戦え、其処にいるなら、戦え!!

『壊塊兵』発動。死亡したギガス・ゴライア|を《喰らう》
【鉄壁】の黒い巨兵に変え【念動力】で遠隔【操縦】
デストラクションバスター【範囲攻撃】
拡散荷電粒子砲でなぎ払い壊す!!


クロガネ・コウサク
朱鷺透(f29924)
コマ(f43671)と共闘

応、戦いは続くか、であれば……

コマに代わり『合体術』発動。
ディスポーザブル01、02、03再合体。

引き続き情報共有、主操縦をコマへ移し、儂は伸縮する複腕を操作
ファウダー、並びに03の内蔵ビーム砲台群による【弾幕】を展開しよう。
荷電粒子の充填を行っている敵機とをミサイル弾幕を優先して狙い、
撃ち落とす。

ふむ……確かめておくか。

敵機の肉体を破壊する電磁徹甲弾の【貫通攻撃】に精神のみに当たる電磁徹甲弾を混じらせ敵機シリウスの躯体を無視して搭乗者の精神へ【呪詛】の【恐怖を与える】
中身が人であるなら、精神操作の類であれば、何かしら反応があろう。



 戦いはいつだって傷だらけになるものだ。
 無傷でいられた試しなどない。
 流血と油。
 その臭いが混ざりあったものが、戦禍の匂いだというのならば、その通りなのだろう。
「……自分はまだ、壊れていない」
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は、半壊したオブリビオンマシン『ギガス・ゴライア』の姿を認める。
 だが、己の体は動く。
 動くのならば戦わねばならない。
 そういうものだ。己はそういうものなのだ。どこまで行っても戦いの連鎖から逃れることもできなければ、逃れようとも思っていない。
 なぜなら、それは己の宿命であるからだ。

「クロガネ、デバイス殿、まだ戦えますか!?」
「応。戦いは続くか、であれば」
 クロガネ・コウサク(ビハインドニンジャ・f43673)は己が身を楔として再び三騎のキャバリアを融合合体させる。
 取り込み、さらに複雑化していく駆体。
 足りぬ部分は補えばいい。
「だいじょぶ?」
「コマよ、案ずるな」
 クロガネ・デバイス(頭脳戦車猟兵・f43671)の言葉にコウサクは頷く。
 再合体を果たした『ディスポーザブル』の三騎。
 情報を共有し、主操縦権をデバイスへと映し、コウサクは己が体躯によって副腕を操作する。

「来るか」
「ええ、あれは……恐らく敵の最新鋭機……量産化されている、ということは」
「数を頼みにする、か」
「ええ、ですから!」
 迫るミサイル。
 それは空中で分裂し、雨のように合体を果たした『ディスポーザブル』へと降り注ぐ。
「炉心サイキックエナジー 散布 とまれー」
 対消滅サイキックエンジンに宿る、対消滅爆発的サイキックエナジーが機体より溢れ出し、周囲に伝播していく。
『シリウス』の駆体には爆発的なサイキックエナジーによって足止めを行い、味方……『フルーⅦ』の切り札たる防衛決戦用スーパーロボット『フラズグルズ』の整備を行っている作業員たちの気力や疲労を回復させる。
「作業効率の改善 うん、これで元気でたー?」
 デバイスの言葉に通信の先の巨人の皇女『ライスメキア』は頷く。
「ありがとうございます。お力添え、ありがたく。もう暫く持ちこたえて頂きたいのですが、できますか?」
 その言葉にデバイスは力強く頷くような仕草を見せただろう。
「だいじょうぶ」
 ミサイルコンテナが展開し、サイキックエナジーから生み出したサイキックミサイルを大量に生成し、誘導弾を一斉発射する。

 敵がミサイルによって此方を絶え間ない攻撃にさらすのならば、こちらだって敵を間断なき弾幕でもって敵のシールドごと押し返せばいいのだ。
 だが、デバイスは感じていた。
 相対する『シリウス』たち。
 あの機体には人が乗っている気配がまるでしないのだ。
「おじいちゃん、なんだかひとがのってるか、あいまいなのよ?」
「ふむ……」
 コウサクはコマの言葉に頷く。
「朱鷺透! 行けるか!」
「ッ、無論です!」
 その言葉に『ディスポーザブル』は『シリウス』へと組み付く。
 敵の機体を破壊するよりも、と電磁徹甲弾を叩き込み、その駆体を無視して搭乗者へとコウサクの呪詛を叩き込むのだ。
 もしも、『シリウス』に登場して言うのが人だというのならば、この呪詛に反応を示すことだろう。

 だがもし、無人機であれば空振りになるはずだった。
「……これは」
 そう、『シリウス』の動きに乱れはない。
 人で『は』ない。
 それがはっきりわかる。だが、無人機とも思えなかった。
 背に配された副腕が『シリウス』のコクピットハッチを引き剥がす。
 そこにあったのは、巨大な脳であった。
 巨人の脳とも言える巨大さ。肥大化した脳が『シリウス』のコクピットブロックに収められていたのだ。
「これは……まさか」
 数多の技術がクロムキャバリアにはある。 
 禁忌と言われるようなものも。非人道的とも言われるものも。 
 その多くが、ここにある。

「『ギガス・ゴライア』、『フュンフツィヒ』! 戦え、其処にいるのなら、戦え!!」
 小枝子の言葉とともにユーベルコードが煌めく。
 だが、その煌きは鉄の城に弾かれる。
 つまり。
 死亡していない、ということだ。
 そして、小枝子は理解した。
「まさか」
 天を仰ぐ。
 それは、白い粒子を纏うもの。
 そして、空より飛来するもの。本来ならばありえない光景。
「まさか……――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『戦域管制ユニット』

POW   :    我らがあるべき場所
【ダークマターと念導波の濁流】を降らせる事で、戦場全体が【念導波に満ちた宇宙空間】と同じ環境に変化する。[念導波に満ちた宇宙空間]に適応した者の行動成功率が上昇する。
SPD   :    我らがなすべき事
【召喚した巨大な艦載砲】から、戦場全体に「敵味方を識別する【念導波によって誘導されるγ線バースト】」を放ち、ダメージと【超高熱と電磁波、放射線による身体と機械へ】の状態異常を与える。
WIZ   :    我らがうしなった物
戦場全体に【人格統合を強制する念導波】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【管制ユニットから提供される情報と並列思考】による攻撃力と防御力の強化を与える。

イラスト:key-chang

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ティー・アラベリアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 それは本来であればありえない光景であった。 
 天より半壊した『ギガス・ゴライア』へと迫るは、高速飛翔体。
 そう、それは暴走衛生『殲禍炎剣』に感知されるものであった。しかし、その飛翔体を覆うは白き粒子。
 短時間であれど、暴走衛生に感知されぬ特殊粒子。 
 これを猟兵たちの中には見たことがあるものもいただろう。
 皮肉にも、それは嘗て希望であった。
 だが、今は違う。
 
 飛翔体は半壊した『ギガス・ゴライア』へと砲撃のように飛び込み、その駆体と『合体』を果たす。
 その光景もまた嘗て在りしものであった。
「我ら」
 声。声が響いた。
 不気味にも抑揚無き声。
「我ら」
 空より飛来した飛翔体。
 それは『戦域管制ユニット』。破壊された『ギガス・ゴライア』の胴体と結合し、いびつな形へと変貌を遂げた異形の超巨大オブリビオンマシン。
「我らがあるべき場所へ。我らがなすべきこと。そして、我らがうしなったもの」
 明らかに技術が違う。
 キャバリアでありながら、多世界の……先に進みすぎた技術を感じさせるオブリビオンマシン『戦域管制ユニット』は『ギガス・ゴライア』の駆体をもって、再び黒鉄の城をそびえ立たせるように『フルーⅦ』に猛威を振るう。
 だがしかし。
 そう、こちらには『フラズグルズ』がある。
「お待たせいたしました!『フラズグルズ』、出撃ます! ですが……やはり長引かせることはできません。どうかご容赦を」
 白き巨大キャバリア『フラズグルズ』が漸くにしてオーバーホールを終えて出撃する。
 其の性能の根幹にあるのは、拠点防衛。
 護ることにとっかした性能は、猟兵たちを護るだろう。だが、突貫作業によって猟兵たちへの攻撃を防げるのは、一人につき一度のみ。
 それ以上は、再び『フラズグルズ』が沈黙してしまうのだ。

 だが、一度とは言え、絶対防御。
 敵のユーベルコードは『ギガス・ゴライア』というオブリビオンマシンの規格外の出力を持って絶大。
 これを活かさねば、勝利は得られないだろう――。
村崎・ゆかり
また変な展開になってきたわね。これもプラナスリーの計算のうち?

今度は宇宙空間か。でもお生憎様。こっちは有毒装甲対策のために最初から宇宙服を着てるのよ。念導波は「霊的防護」「狂気耐性」で防ぐ。
『フラズグルズ』は念導波の中和をお願い出来るかしら? かなり強力に干渉してくる。
攻撃はあたしが担当するから。

せっかく宇宙へ呼んでくれたんだもの。そのお返しはしないとね。
「全力魔法」破壊の「属性攻撃」「衝撃波」で天絶陣。
小天体を敵機に叩きつける。ここなら、使える小天体に困りはしない。
相性が悪かったわね。迎撃で破壊されるとしても、砕けた破片は機体に降り注ぐわ。
あなたに蹂躙される側というものを教えてあげる。



 黒鉄の城の如き『ギガス・ゴライア』と結合を果たした巨大オブリビオンマシン『戦域管制ユニット』は、恐らく方角から見て『プラナスリー』より飛来したことが予測される。
 嘗て猟兵たちが『バンブーク第二帝国』との決戦に赴いた際には、暴走衛生に感知されぬ特殊粒子を纏って味方のキャバリアが飛来した。
 それを逆手に取ったような事象が今まさに目の前にて起こったのだ。
 まるで鏡合わせ。
「また変な展開になってきたわね。これも『プラナスリー』の計算のうちっていうのなら……一体どこまでが仕込み?」
 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は目の前にて起こった事態に訝しむ。

「我らが」
 その声が響く。
 不気味な声だ。抑揚がなく、機械音声だと言われたら、そのように聞こえたかも知れない。
 だが、ユーベルコードの煌きと共に周囲に満ちるのはダークマター。
「これは……!」
『フラズグルズ』を駆る巨人の皇女『ライスメキア』は驚愕した。
 市街地を飲み込むダークマターは、宇宙空間とも言うべき無重力空間へと変貌を遂げているのだ。
 戸惑うのも無理もない。
「大丈夫。キャバリアならば気密性もあるでしょう。なら、『フラズグルズ』、その能力、念導波も中和できるかしら?」
「やってみます……!」
「かなり強力に干渉してくるから……攻撃はあたしが!」
 ゆかりの言葉と共に『フラズグルズ』より飛翔した小型ビットがゆかりの周囲に張り巡らされる。
 宇宙服を来ている彼女であれば『有毒装甲』から発せられる毒素と共に宇宙空間へと変貌した戦場にも対応できる。
 彼女が対応できなかったのは、念導波くらいなものであった。
 だが、それを『フラズグルズ』が中和してくれている。
「できるよう、ですが……長くは」
「保たないってわけね。なら!」
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。

 瞬間、『戦域管制ユニット』が融合を果たした『ギガス・ゴライア』の巨躯と共にゆかりに迫る。
 突撃、とも言うべき己が駆体をもって質量攻撃を敢行しようというのだ。
「せっかく宇宙に呼んでくれたんだもの。。そのお返しはしないとね……さあ、いざ! 天絶陣(テンゼツジン)!」
 彼女のユーベルコードと共に降り注ぐのは光の流星雨。
 そして、その流星雨が『戦域管制ユニット』に触れた瞬間、燃え盛る巨大隕石が、その巨躯へと飛来する。
「小天体の一撃……あえて宇宙空間にしたのが運の尽きね!」
「我ら」
 その声と共に『ギガス・ゴライア』のビームキャノンが注ぐ巨大隕石を砕く。
 だが、爆散したとしても破片は消え失せることはない。
 むしろ、細かく砕かれて雨のように巨体へと降り注ぐのだ。
「あなたに蹂躙される側というものを教えてあげる」
 ゆかりは、そう告げ、己がユーベルコードによって放たれた流星雨を『戦域管制ユニット』へと注ぐように叩きつけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シル・ウィンディア
えーーー、空を高速で飛んでくるとか反則だーーっ!!
わたしも飛びたいーっ!!

全部の火器をつかっても弾かれそうだしなぁ。
ここは、一発逆転で行くか。

フラズグルズの人、わたしの射点の確保する時間を稼いでもらってもいい?
あなたが守ってくれるなら、わたしは剣になるっ!

…多重詠唱で魔力溜めと魔力増強を同時進行で行使。
魔術知識で魔力制御を行って精密に溜めて…。

全砲門解放っ!
使うは全力魔法での青の奔流。
魔力全開っ!限界突破まで使っていくよっ!!
堪えてね、ブルー・リーゼっ!!

…これが、わたしとリーゼの限界突破の一撃っ!
砲身が焼け付くまで限界で撃ち続けるっ!!

全力全開限界突破、遠慮せずにもってけーーっ!!



 クロムキャバリアにおいて天を飛翔することは無法の極みであった。
 当然である。
 天には無差別砲撃を行う暴走衛生が座す。
『殲禍炎剣』。
 かの暴走衛生が存在するがゆえに空の往来はなく、長距離通信もまた途絶している。
 故に人は不和を解消することができず、猜疑に走り、相争う。
 それを一方的に無視することができたのならば、どうだろうか。
 例えば、遠隔地の友軍の窮地に援軍を高速飛翔でもって届けることもできる。

 そう、シル・ウィンディア(青き流星の魔女・f03964)の目の前の光景がまさに、であった。
「え――、空を高速で飛んでくるとか反則だ――っ!!」
 そう、反則である。
 短時間という制限があるのだとしても、一時的にでも暴走衛生を無視できるのならばやらない手はない。
「わたしも飛びたいーっ!!」
 シルはそれが叶わないと知りながらも乗騎『レゼール・ブルー・リーゼ』でもって瓦礫と化した市街地を疾駆する。
 敵は『ギガス・ごライア』の半壊した駆体と合体を果たしている。
 あの強靭な装甲は健在だと見て取るべきだろう。 
 生半可な火器を使っても弾かれるだろうことは予測されることだった。
「ここは、一発逆転で行くか」
 シルの瞳がユーベルコードに輝く。 
 多重詠唱。
 だが、それをさせぬと巨大なオブリビオンマシンへと変貌した『戦域管制ユニット』が怪しく煌めいた。

「我ら」
 それは無機質な声であった。
 抑揚なく、ただただ人に不安を齎すものであった。
 煌めくは『ギガス・ゴライア』の顎部に搭載されていたであろうデストラクションバスターの砲口。
「くる……っ!『フラズグルズ』の人、わたしの射点を確保する時間を稼いでもらってもいい!?」
「承知しました。ですが、一度だけしか……!」
 巨人の皇女『ライスメキア』の言葉にシルは頷いた。
「充分っ、あなたが護ってくれるなら、わたしは剣になるっ!」
 迫るは凄まじい電磁波の奔流と光条。
 あらゆる者を粉砕する強烈な一撃。
 ユーベルコード、クロムキャバリアの技術の領域を超えているであろう一射がシルの『レゼール・ブルー・リーゼ』へと迫る。

 だが、その一撃を防ぐものがった。
「護ってみせます!」
『レゼール・ブルー・リーゼ』の眼前に飛び出したのは防衛決戦用スーパーロボット『フラズグルズ』のバリアビットだった。
 複数機で展開されたバリアが苛烈な一撃を受け止めた。
 明滅する視界。
 だが、シルの瞳はユーベルコードに輝いていた。
 その光は、魔力の充填を示すものであったし、彼女の機体の砲門の全てに湛えられるものだった。
「力充填完了………ターゲットロック……リミッター解除……ブルー・リーゼ、全力砲撃で行くよっ!」
 すべての砲門より迸るは、青の奔流(ブルー・トレント)。
「これが、わたしとリーゼの限界突破の一撃っ! 正真正銘全力全開限界突破、遠慮せずにもってけ――っ!!」
 その一撃はバリアビットに受け止められていた苛烈なる一撃と真っ向から激突し、その膨大な出力を押しのけて『戦域管制ユニット』を覆う強靭な装甲の一部を脱落させるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
ちっ……本当に嫌らしい|女《ノイン様め》!
これは|セラフィム・エイル《ヴィー様》と戦った時に
熾盛・改が活用していた特殊粒子ですし
この光景はまるでヴィー様が『|殲術再生弾《キリングリヴァイヴァー》を使った時のようではないですか
どこまでも焼き直し……いえ、戦いを繰り返させるというのですか?

ともあれ、ケルーベイム
ここまで来たら貴方の機体性能とコンセプトを信じるのみ!

すなわち、突撃あるのみ!

ライスメキア様、頼らせていただきます!
私が突っ込みますので、フルーⅦの護りを
後顧の憂いを絶つ、とても大切なお仕事ですので

こちらはお任せください、ビームキャノンの乱射くらいなら
掻い潜ってみせましょう!
そして何度でも貫いてみせましょう!
ケルーベイム、【ヘレヴ】!
一度崩れた装甲をどれだけ取り繕ったところとて
壊れているものは壊れているのです!
そこ!先ほどの装甲突破点を再度突く!
剥き出しですよ!
コール! プロメテウスバーン!

それにしてもこの技術、雰囲気、そしてカタチ
このユニットは……SOWの神器に関わりがあるもの……?



 変化していく『ギガス・ゴライア』の残骸。
 巨大なオブリビオンマシン『戦域管制ユニット』は、その駆体を取り込むようにして融合を果たし、合体する。
「我ら」
 響く声。
 抑揚のない声に意志はない。
 あるのは、ただの音でしかないのかもしれない。
 そう思えるほどに無機質であった。
 まるで多世界……その姿は、まるで技術が極まって一周回って中世のそれをおmを焦るものであった。
「ちっ……本当にいやらしい|女《ノイン様め》!」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、この事態が嘗て在りし事件と重なって見えた。
 いや、焼き増しのようにも思えたのだ。
 まるで当てつけのようであるとさえ思えたことだろう。

 地下帝国『バンブーク第二帝国』。
 その最終決戦において、『熾盛・改』が活用していた猟兵より齎された特殊粒子。
『セラフィム・エイル』との戦いに駆けつけた彼らを送り届けた技術が、敵の側に遂に渡ったことを理解しただろう。
 どこまでも焼き直し……いや、焼き増しだ。
「……戦いを繰り返させるというのですか?」
 答えはない。
 だが、戦わねばならない。
 そうしなければ、世界は悪意の炎に灼かれてしまうだろう。世界の破滅は、たった一人の悪意からでも燃え盛り、全てを焼き尽くしてしまうのだということを証明されるようでもあった。
 ならば。
「『ケルーベイム』!」
 ステラの瞳がユーベルコードに輝く。

 信じるのは己が乗騎。
 瞬間、周囲にダークマターと念導波が溢れる。
 重力が失われる。機体のバランサーが瞬時に宇宙空間へと変容した戦場に適応する。
「ここまで来たら貴方の機体性能とコンセプトを信じるのみ! すなわち、突撃あるのみ!」
 ステラの声に呼応するように『ケルーベイム』のアイセンサーが光を放つ。
「『ライスメキア』様、頼らせていただきます!」
「存分に、と言いたいところですが……」
「バリアビットは各員一度きり、そうですね?」
 そうなのだ。
 巨人の皇女『ライスメキア』が駆る防衛決戦用スーパーロボット『フラズグルズ』の絶対防御の力は、オーバーホールからの突貫作業によって長時間の稼働ができない状態なのだ。
 ならばこそ、ステラは頷いた。
「私が突っ込みます。貴女様は、『フルーⅦ』の護りを!」
「ですが、それでは」
「後顧の憂いを絶つ、とても大切なお仕事です」
 故に、とステラは『ケルーベイム』と共に宇宙空間へと変貌した戦場に飛ぶ。

 ユーベルコードの輝き、その残光をアイセンサーほとばしらせ、戦場を駆け抜ける。
 スカート状の装甲、スラスターが宇宙空間には完全に適応していた。
 迫る念導波は見えない。 
 だが、宇宙空間でスラスター噴射による変幻自在なる機動でもって『ケルーベイム』は一気に『戦域管制ユニット』へと肉薄する。
『ギガス・ゴライア』の背面にあったビームキャノンなどものともしない。
 どれだけ弾幕を張るのだとしても、『ケルーベイム』には無意味だった。
 超高速機動による突撃。
 その仕様を前に『戦域管制ユニット』は念導波で機体を捕まえようとしていた。
 だが、ステラは機体の性能に後押しされるように巧みに周囲に浮かぶデブリすら利用して駆け抜けていったのだ。
「貫きなさい、『ケルーベイム』ッ!」
 放たれるフレアソードの一撃が『戦域管制ユニット』の強靭な装甲をこじ開けるようにして叩き込まれ、亀裂走る装甲に腕部を貫く。

「如何に取り繕ったところで、一度は壊れた部位。であればッ!」
 ステラの瞳がユーベルコードの光を鮮烈にほとばしらせた。
「壊れているものは壊れているものです!」
 引き裂くようにしてこじ開けた装甲に『ケルーベイム』の胸部装甲が展開し、その砲口を露出させる。
「コール!」
 光が迸る。
 祈る者。
 讃歌を以て、その勇猛なるを讃えるのならば、それは咆哮であった。
「プロメテウスバーン!」 
 炸裂する火線の一撃。
『戦域管制ユニット』の内部を焼き切るような熱戦の苛烈なる一撃は、その巨大なる機体の内部から巻き起こる爆発でもって反撃の狼煙を上げる――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
おい…あのわんわん野郎のホトケはあったか?(一応確認はしておく

まぁ…彼奴狂犬気取っておいて意外と冷静だから脱出してるだろうがな
UC発動中
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵機の能力と構造と現在の状態を把握

ありがてーがそいつは都市を守る為にやってくれ
「メルシーは簡単には当たらないぞ☆」
【属性攻撃・迷彩・念動力】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源も隠蔽
更に念動波も此方の念動力で相殺

【弾幕・空中戦】
速足で駆ける者
竜眼魔弾同時発動
超絶速度で飛び回り念動光弾を叩き込み蹂躙し
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣で切り刻みコックピットブロックは強奪!
いるとは思えねーが痕跡位は見つけてやる



「おい……」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、目の前の現状に幼女メルシーたちに問いただす。
 そう、あの空より飛来した高速飛翔体。
 あれはオブリビオンマシン『戦域管制ユニット』だ。それはいい。だが、あの『戦域管制ユニット』は『ギガス・ゴライア』の残骸と合体を果たしたのだ。
「わんわん野郎のホトケはあったのか?」
「ホトケ?」
「ホットケーキ?」
「違うわ! パイロットの死体っつー意味だよ!」
「だから言ったよー人『は』いないよーって」
「チッ、なら、うまい具合に脱出したってことか? まあ、以外に狂犬気取っておいて、彼奴は冷静だからな……なら!」
 カシムは、即座にユーベルコードを発動させる。
 戦況はどうなっているのか、そおれを即座に知るのだ。

「我ら」
 瞬間、戦場に溢れるのは念導波であった。
 溢れるそれは、一瞬で己たちに人格統合を強制させるようであったし、またそれ自体がカシムの脳を軋ませるものであった。
「チッ……まためんどーなものを!」
 さらに『ギガス・ゴライア』の武装であるビームキャノンが嵐のように注ぐのだ。
「防御を!」
 巨人の皇女『ライスメキア』の声にカシムは頭を振る。
「ありがてーが、そいつは都市を守るのに回してくれ」
『そうだぞ☆メルシーは簡単には当たらないぞ☆」
「ですが」
「問答している暇はねーんだ。だからッ!」
 ユーベルコードが煌めく。

 神機解放機構『界導神機』(メルクリウスフルバースト)。
 その光は明滅する二つの輝き。
「メルシー……お前の力を尽くせ!」
『任せてご主人サマ☆ メルシー本気出しちゃうぞ☆』
 加速する機体。
 圧倒的な速度でもってビームキャノンの火線を躱し、さらに『戦域管制ユニット』から溢れ出す念導波を己が念動力で相殺する。
 それでもカシムの身に降りかかる負荷は相当なものだった。
 加速に肉体が軋む。
 血反吐が溢れそうになる。
 だが、それを飲み込んで、カシムは『メルクリウス』と共に巨大な『戦域管制ユニット』へと飛び込む。
 手にした鎌剣が翻り、強靭な装甲を切り裂く。
「というか、どこがコクピットブロックだよ!」
 わからない。 
 だが、それでも、もしいるのならば、パイロットの脱出の助けになるかもしれない。
 カシムは魔弾と共に砲火の最中を駆け抜け、その鎌剣をふるい続けるのだった――。。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・銀静
神機搭乗
ギガスゴライア出撃発動中
サリア騎乗


UC発動中

…合体…だと
「Grrroooo…!」
「どうやらリサイクルの様だね☆」
ち…流石にやりすぎな気がするがな

【戦闘知識】
敵の動きと現状の構造を把握
更に都市へと被害を起こしにくい立ち位置を意識
【念動力・砲撃・弾幕・属性攻撃】
勝利の神発動
火炎弾を乱射しながらもサリアより両腕の荷電粒子砲や爪による攻撃を仕掛け

【二回攻撃・切断・串刺し】
魔剣で切り裂き魔槍で貫いての蹂躙
そのまま都市を背に動きを封じて

「主ー☆グリムちゃんとサリアちゃんが力を合わせれば凄いのいけるよ☆」
都市を巻き込まないならいいだろう
【砲撃・属性攻撃】
都市を背に神・デストラクションバスター発動!



「……合体……だと」
 皇・銀静(陰月・f43999)は目の前で起こった事態に目を見開くでもなく、小さく呟いた。
 確かんにオブリビオンマシンと『ギガス・ゴライア』の残骸が融合するように合体し、巨大なオブリビオンマシンへと変貌したことは驚くべきことだった。
 だが、それでも、だ。
 負けるつもりはないし、負ける気もしなかった。
「Grrroooo……!」
『どうやらリサイクルのようだね☆ てゆーか、融合して取り込んでる?』
「ち……流石にやりすぎな気がするがな」
 そもそも、あれは本当にキャバリアと呼べる範囲のものなのだろうか。
 疑問しかない。
 到底、オーバーフレーム、アンダーフレームといった規格にあうようには思えない。
 そして、問題なのは、周囲に満ちる念導波である。

 銀静の頭に呼びかけられる声。
「我ら」
 その声は無機質であり、また抑揚のない声であった。
 イントネーションというものもない平坦な音としか言いようのない声であった。
「この声は一体なんだ」
『いっしょになろーってことかな? それとも同一にしてやんよ! みたいな☆』
「どちらにしても面倒なことだ。ならば、グリム……お前の力を開放しろ」
『神機解放機構『絶対神機』(グリームニルフルバースト)だね☆ 任せて主。グリムちゃん……神機の凄いところをみせちゃうよ☆』
 その言葉と共に『グリームニル』より光が満ちる。
 ユーベルコードの輝き。
 そして『サリア』に騎乗した『グリームニル』が戦場を駆け抜ける。
 火炎弾を乱射しながら、さらに荷電粒子砲が『戦域管制ユニット』へと迫る。
 砲火の嵐が、意志を持ったように戦場を練り歩くように闊歩するのだ。

 例え、念導波が彼らの脳へと直接ダメージを与えてくるのだとしても構わない。
「蹂躙だ」
『グリムちゃんとサリアちゃんが力を合わせれば、凄いのいけるよ☆』
「都市を巻き込むなと言っている」
『あのスーパーロボットのバリアがあるから大丈夫でしょ☆ ほら、いくよ☆』
『Grrroooo!!!』
 咆哮と共に『サリア』の荷電粒子砲……デストラクションバスターが開放され、その膨大なるエネルギーの熱線、奔流が『戦域管制ユニット』へと叩き込まれ、その強靭なる黒き装甲を穿つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェラルド・エルネイジェ
【聖竜騎士団】
あの粒子は殲禍炎剣の審判を欺くのか?
エルネイジェが持つべきものではないな
さもなくば、ベヒーモスDoGに嵌めた自戒の枷を解き放つ事となるだろう
もっとも、エルネイジェだけに限った枷とも思えんがな
この空がパンドラの箱の蓋ではないと、誰が断言できる?

毒は遮断できても放射線はな
ベヒーモスに帰艦するぞ
アダマンチウムの装甲がここで役立つとはな

敵が如何に強大であろうと、短期で勝負を付けねばなるまい
サラマンダーよ、炎竜の旋風を巻き起こせ
守備はフラズグルズに任せられる
こちらは奴を滅するに徹しよう
奴ただ一機だけを焼却するべく、制御に集中する
無闇な拡散を抑えれば、それだけ炎の収束が見込めるというものだ


イリス・ホワイトラトリア
【聖竜騎士団】
まるで神像のような…まさか機械神?
声がしますけど、あのキャバリアが喋っているのでしょうか?
しかもギガス・ゴライアを取り込むなんて…

敵に高エネルギー反応!?
放射線の反応まで!?
いけません!皆さん!ベヒーモス様の中へ!
アダマンチウム装甲は放射線を遮断するんです!
まさかこの機能が役立つ時が来るなんて…

ライスメキア皇女様が守ってくれるとは言っても…!
ベヒーモス様!偉大なる巨竜の塁壁を!
少しでもダメージを減らします!

ベヒーモス様の火砲はギガス・ゴライアにも通用しました
あのキャバリアにだってきっと…
ハイパーレールガンを直撃させます!
1番から4番砲塔通電完了!
トリガーはヘレナさんに預けます!


ヘレナ・ミラージュテイル
【聖竜騎士団】
ギガス・ゴライアは出てくる
シリウスはワラワラ出てくる
しかも中身はよく分かんない脳みそみたいなの
今度は妙なのが降りてきてギガス・ゴライアと合体した
今日はおかしなことばっかりねぇ?

ガンマ線!?冗談じゃないわ!
即ベヒーモスの中に避難!
フラズグルズの方は大丈夫なの?
守ってくれるならその隙に反撃の準備をしておくわ

今度こそディアストーカーにできる仕事はなさそうねぇ…
イリスちゃ~ん?
ハイパーレールガンの砲座にお邪魔するわよ~?
フラズグルズとベヒーモスが耐えている間に呪炎殺を弾に籠めて…と
ギリギリまで充填してから~?発射!
真ん中のなんか気持ち悪い部分!そこを撃ち抜いちゃうから!



「ね~え、これってどうなってるの?」
 ヘレナ・ミラージュテイル(フォクシースカウト・f42184)は己が乗騎である『ヴェロキラ・ディアストーカー』のコクピットで天を仰いだ。
 正直に言って今日はおかしなことばかりが起こっている。
 はっきり言って、驚天動地とはこのことだ。
 オブリビオンマシンとして他国に『ギガス・ゴライア』が出現したこと。
 敵対している小国家の最新鋭量産機は尋常ではない数現れたこと。
 しかも、その中身はよくわからない巨人の脳の如き『疑似脳』とよばれるもの。
 これだけでも頭が痛いというのに、さらには空より飛翔体が降り立ち、『ギガス・ゴライア』の残骸と合体しているのだ。
「本当にわけわっかないわ~」
「あの白い粒子は、『殲禍炎剣』の審判を欺くのか?」
 ヘレナの疑問にジェラルド・エルネイジェ(炎竜皇子・f42257)は答えなかった。
 此処は答えて置くべきタイミングでしょ、とヘレナは思ったがジェラルドにそれを期待するのが間違いでもあった。

「あれは」
「あれも欲しいって言わないでくださいよ~? あ、妬いてるわけじゃあないです」
「エルネイジェが持つべきものではないな」
 ヘレナはそうか? と思った。
 むしろ、あの白い特殊粒子があるのならば……。
「『ベヒーモス』に嵌めた自戒の枷を自ら解き放つことになるだろう」
 そう、もしもわずかでも暴走衛生の目を欺くことができたのならば、それは新たなる戦乱の火種でしかない。
 であればこそ、ジェラルドは、そうあってはならないと理性的に判断していたのだ。
「これより戦闘記録は禁ずる。いいな、ヘレナ、イリス」
 ジェラルドの言葉にヘレナは王族の命令であれば、とレコーダーをオフにする。
「は、はい……ですが、あのオブリビオンマシンは……!」
 イリス・ホワイトラトリア(白き祈りの治癒神官・f42563)は、ジェラルドの言葉に頷く。
 しかし、艦橋ブリッジから観測された巨大オブリビオンマシン『戦域管制ユニット』の姿を彼女は認め、驚愕する。

 キャバリアの技術体系にそぐわぬ造形であったからだ。
「まるで神像のような……まさか機械神? それに、声が……」
「惑わされるな、イリス。。これは機械神の声ではない。それはお前が最もよく理解しているはずだ」
「ですが、『ギガス・ゴライア』を取り込むなんて……ッ! 敵機に高エネルギー反応!?」
 艦橋に鳴り響く警告音。
 そのけたたましい音にイリスは肩を震わせる。
 モニターに表示されていたのは、高エネルギー反応だけではなく、放射線の反応まで現れているのだ。
「いけません! 皆さん!『ベヒーモス』様の中へ!」
「……!? ガンマ線!? これ!」
 瞬間、『戦域管制ユニット』より放たれるは、膨大なエネルギーの一閃であった。
 念導波によって誘導されたガンマ線バースト。
 指向性を収束された一撃は凄まじい一撃となって『ベヒーモス』へと注ぐ。

「いけませんっ!」
『フラズグルズ』のバリアビットが『ベヒーモス』の艦橋を護り、そしてさらにアダマンチウム装甲が放射線を遮断していた。
「ここで役立つとはな」
「い、いやいや! ていうか、大丈夫なの!?『フラズグルズ』は!」
「ご心配には及びません……なんとか、防ぐことはできましたが」
 しかし、『フラズグルズ』から白煙が上がり始めている。
 凄まじいガンマ線バーストの一撃。
 明らかに『戦域管制ユニット』は、このクロムキャバリア世界の技術力というものを越えている。
 ともすれば、超新星爆発とも言える膨大な一撃は、『ベヒーモス』と『フラズグルズ』の絶対防御能力がなければ防げるものではなかっただろう。
 偉大なる巨竜の塁壁(ベヒーモス・カーテンウォール)とも言うべき護りがなくば、巨体は傾ぐばかりではなかっただろう。

「臆するな。如何に強大であろうと、短期で勝負をつけねばなるまい。やつを滅するに徹しよう」
 瞬間、ジェラルドと『サラマンダー』より炎竜旋風(サラマンダー・ワールウィンド)が吹き荒れ、『戦域管制ユニット』を取り囲む。
 炎が環となって巨大な駆体を熱するのだ。
「今度こそディアストーカーにできる仕事はなさそうねぇ……いや、そうでもないか」
「ええ、そおうです!『ベヒーモス』様の火砲は『ギガス・ゴライア』にも通用しました。あのキャバリアにだってきっと……ハイパーレールガン、一番から四番砲塔通電完了!」
「イリスちゃ~ん?」
「ヘレナさん、トリガーを!」
「結局そういうわけね! じゃ、砲座にお邪魔してっと」
 ヘレナは収容された『ベヒーモス』のウェルドッグからレールガンの砲座に飛び乗る。
 狐火の呪が、砲座に充填んされていく。
「あなたのハートに火をつけちゃうんだから……って言うような相手でもないわよねぇ?」
 ま、どっちでもいいや、とヘレナはあっけらかんと笑って引き金を引く。
 充分に充填された呪は、『ベヒーモス』のレールガンの砲塔から迸るようにして宙を走る。
 あのガンマ線バーストの一撃は、そう何度も連射できるようなものではないはずだ。
 であればこそ、今のうちに致命打を与えるべきなのだ。

「ヘレナ、狙いは」
「わ~かってますって! 真ん中のなんか気持ち悪い部分! そこでしょ!」
 空気の壁を粉砕するような轟音が轟き、レールガンの砲弾が一気に『戦域管制ユニット』の念導波を打ち抜き、さらには取り込んだ『ギガス・ゴライア』の装甲さえも撃ち抜いて、その巨大の中心へと到達する。
 衝撃が吹き荒れ、コアらしき部分に亀裂が走るのをヘレナは見ただろう。
 そして、ジェラルドは目を見開く。
「我ら」
 声が、聞こえた。
 己に聞こえた。
 世界の声ではない声。
「黙れ」
 ジェラルドは、声を否定した。
 この空はパンドラの箱の蓋ではないと誰も断言できない。
 空に蓋をされた世界。
 厄災が満ちたと世界だと考えるのではない。ともすれば、この空の先こそ、正しく災厄満ちる箱そのものなのかもしれないのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イクシア・レイブラント
目的が何であれここはこの国の人たちのもの。渡さないよ。
ライスメキア様、フラググルズのパワーならあの巨体も押さえられる?
その隙に制御ユニットを叩くよ。

[環境耐性]と各種装備で宇宙空間の戦闘に支障はなし。
[カウンターハック、落ち着き、狂気耐性、邪心耐性]で念導波も遮断する。
そして[情報収集、戦闘演算]で残存する特殊粒子の濃度確認し可能と判断できるなら[推力移動]で加速。
『ギガス・ゴライア』の身体に【融合切除】を使うことで戦域管制ユニットの接続にダメージを与えて
弱体化を図り、そのまま大型フォースブレイドで[空中戦、武器巨大化、なぎ払い]。
内と外の両面から破壊を試みるよ。



「『ライスメキア』様、『フラズグルズ』のパワーなら、あの巨体も抑えられる?」
 イクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)は、己が傍にある小国家『フルーⅦ』の防衛決戦用スーパーロボット『フラズグルズ』を見上げて、そう尋ねた。
 巨人の皇女『ライスメキア』が駆るスーパーロボットはオーバーホールを終え、突貫作業で組み立てを起こった間に合せの急造だ。
 だが、絶対防御能力は猟兵一人に付き、一度限りとは言え有効であった。
「長くは、保ちません」
「そっか。なら、少しでもいいんだ。。その隙に私が『戦域管制ユニット』を叩くよ」
「頼みます」
 敵の目的がなんなのか、未だ判然としない。
 だが、イクシアにとって、ここは『フルーⅦ』に住まう人々のものだ。
 渡すわけにはいかない。 
 そこにどんな事情が絡み合っているのだとしても、だ。

「我ら」
 それは同時にイクシアの頭に直接響くようでった。
 無機質で平坦な声。
 まるで抑揚のない声で短く何度も頭の中に響いてくる。
「これ…‥念導波……!」
 瞬間、イクシアの目の前に広がるのは宇宙空間だった。
 ダークマターが溢れ、イクシアと『フラズグルズ』、そして『戦域管制ユニット』を飲み込んだのだ。
「宇宙空間……だけど!」
 ふわりと浮かぶ体。
 念導波をイクシアは遮断し、頭を振る。
「気味の悪い声で私を呼んだって!」
 あの白い特殊な粒子の残量が残っていないかを確認する。どうやらあれは、『戦域管制ユニット』が、ここに飛来するために使用されて消費しきってしまているらしい。
 であれば、その粒子を利用して飛翔しようとしていたが、イクシアは宇宙空間へと変貌した戦場、その周囲に浮かぶデブリたる瓦礫を蹴って己がスラスターから得られる推力でもって『戦域管制ユニット』へと飛ぶ。

「機体の、制御が!」
「無理しないで! ここは!」
『フラズグルズ』はそもそも地上専用だ。宇宙区間に突如変わって対応しろというのが無理な話であった。
 だからこそ、イクシアは前提が崩れたことを歯噛みする間もなく、『戦域管制ユニット』へと迫る。
 先んじた猟兵たちの攻勢で、『ギガス・ゴライア』を取り込んだ装甲やコアらしき部分を覆う部位がもろくなっている。
 であれば、と思った瞬間、『ギガス・ゴライア』のビームキャノンがイクシアを襲う。
 加速していたイクシアに躱す余裕などなかった。
 そこに『フラズグルズ』のバリアビットが飛び、ビームの一撃を防いだのだ。
「今ですっ!」
「ありがとう‥…、なら」
 イクシアの瞳がユーベルコードに輝く。
 因果事象の修復力を込めたフォースブレイドの一閃が『戦域管制ユニット』と『ギガス・ゴライア』の融合合体を融合切除(フュージョンブレイカー)の一撃となって放たれた。
 
 その一撃は、強靭な装甲の結合部に損壊を与え、機体を揺らがせる。
「これなら、敵の硬い装甲に阻まれることもない!」
 敵を倒すためではなく弱体化でもって次につなげるのだとイクシアは狙い、その目論見通り『戦域管制ユニット』は、その融合を揺らがせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
確かに、星の海での戦闘経験があっても最適化されていない、サイズも機動性も向こうが上。
状況は劣勢、けれど……そんなものは理由にならない。やりましょう、ドラグレクス…!私達の敵を、討つ為に!

下手に動かずEフィールドと姿勢の維持に専念、
悪いけど念導波対策はフラズグルズに丸投げすることになるわ。
……これで、「この戦場で最も大きく、高速で動いている」のは、あの敵だけ。
ドラグレクスの次元転移機能を限界突破させる事で「複数の異なる次元への門」を開き、門の向こうの「755体のドラグレクス達」が放つ焔、【ARC-00X ルクス・ソリス・インフィニタス】で……|在るべき場所《骸の海》へと、叩き返してあげる!!



 戦場は宇宙空間へと変貌していた。
 破壊された市街地の残骸はデブリとなって宙を舞い、その中に巨大なオブリビオンマシン『戦域管制ユニット』が浮かぶ。
「我ら」
 その平坦な声が響く。
 無機質そのものであり、全く抑揚のない声。
 まるで信号のようだとアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)には思えたことだろう。
「宇宙空間を呼び出す……なんて、一体どんなユーベルコードッ!」
 彼女は己が機体、『アルカレクス・ドラグリヴァーレ』のコクピットで呻く。
 確かに星の海での戦闘経験はある。
 だが、最適化されているとは言い難いだろう。
 更に言えば、サイズも機動性も敵が上。その上、弱体化しているとは言え、『ギガス・ゴライア』の強靭な装甲を取り込んでいるのだ。

 スペック的に見ても、状況的に見ても消耗激しい此方側が劣勢であると言えるだろう。
「……けれど、そんなものは理由にならない。やりましょう、ドラグレクス……! 私達の敵を討つ為に!」
 迫る念導波が『アルカレクス・ドラグリヴァーレ』へと襲いかかる。
 エネルギーフィールドによって社団はされるが、しかし、此方のフィールドが徐々に試食されているのがわかるだろう。
 このままでは慣れぬ宇宙空間でジリ貧になるのは目に見えていた。
「僅かですが、念導波への対処は、こちらが!」
『フラズグルズ』のバリアビットが『アルカレクス・ドラグリヴァーレ』の周囲を取り囲む。
「これは……」
「一時とわずかではありますが……」
「充分! これで、いける! 姿勢制御に注力! 次元転移システム、フルドライブ……!!」
 唸りを上げるジェネレーター。
 加速していくエネルギー循環炉から膨れ上がっていく出力。
『ドラグレクス』に配された次元転移機能を限界突破さえることで、『複数の異なる次元への門』を開き、千に近づくほどの『ドラグレクス』の超出力ビーム砲撃を敢行するのだ。

 焼ききれるような熱量。
 門より降り注ぐ光条。
 そのいずれもが、アルカの切り札とも言うべきユーベルコードであった。
「ARC-00X ルクス・ソリス・インフィニタス(ルクス・ソリス・インフィニタス)……! ここが切り札の切り時でしょう! オブリビオンマシン!|在るべき場所《骸の海》へと、叩き返してあげる!!」
 放たれた光雨の如き砲火は、この洗浄において最も大型の、そして最も早く動くであろう『戦域管制ユニット』へと集約され、その出力の苛烈さを示すように、巨体へと注ぎ、不安定な接続となった『ギガス・ゴライア』の装甲を引き剥がすように激烈なる衝撃で持って襲うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルマ・フィーリア
……敵、オブリビオンマシン、再起動、確認……
(空間戦闘の経験なんて当然ないけど気にしません…が、結局上手く動かせないんだから大変だし、機体の鋼竜石増殖による装甲追加と損傷個所修復でなんとかしようとするけど劣勢になるので切り札を切ります)

――行こう、ドラグ■■■、■達の敵を、滅ぼす為に―――

(無感情に何処かの|鋼竜の戦姫《アルカ・スィエラ》を思わせる言葉を口にしたのちUC【終極輝煌カースス・デストラクティオー】を放ち、そのまま実質退場します。

フラズグルズに対して特に指示は出しませんが、かといって完全無視もしません。UC使用前の準備のタイミングか、発動し気絶後の|防御《フォロー》をお願いします)



 砲火の雨が注ぐ宇宙空間。
 ダークマターの濁流を切り裂く光条にあってなお、巨大オブリビオンマシン『戦域管制ユニット』は、その駆体に融合した『ギガス・ゴライア』の強靭な装甲の接合を緩めるに至るだけだった。
 あまりにも強靭な装甲。 
 正しく脅威であった。
 しかも、周囲には念導波が溢れている。
「我ら」
 その声は何かの信号を発しているようにさえ思えたことだろう。
 それほどまでに無機質であったし、抑揚がなかったのだ。
 
 だが、アルマ・フィーリア(鋼竜石の妖精・f44795)には関係なかった。
 彼女が見据えていたのは、敵だった。
 オブリビオンマシン。
 災禍を撒き散らす存在。
「……敵、オブリビオンマシン、再起動、確認……」
 宇宙空間など経験はない。
 天地がわからなくなる無重力空間。本来の大地も、空もない。
 注ぐ念導波がアルマの駆る『アルマリヴァーレ・ドラグスキア』を襲う。
 機体の損壊を塞ぐ鋼竜石も追いつかない。 
 次々と機体装甲を剥離させるような念導波が機体を襲う。
「装甲追加」
「我ら」
「損傷箇所、修復」
「我ら」
 響く声にアルマは頭を振る。
 違う。
 自身とオブリビオンマシンは違う。敵だ。この声は敵なのだと強くアルマは念じる。

 劣勢に立たされて尚、アルマは敵を打倒さねばという意志に突き動かされる。
「――行こう、ドラグ■■■、■達の敵を、滅ぼすために――」
 それは同じ戦場に在りしものの言葉と同じだった。
 かすれて途切れたような声であったが、たしかに響いたのだ。
「……これで終わらせる、終極輝煌カースス・デストラクティオー(カースス・レスレクティオ)」
 アルマの瞳にユーベルコードが煌めく。
「何を……!」
 巨人の皇女『ライスメキア』は『フラズグルズ』の中から、その光を見た。
 そして『アルマリヴァーレ・ドラグスキア』は、己が胸部の装甲を無理矢理にこじ開けた。
 それは奇妙な光景であった。
 己が機体の自壊を望むことなどあるのだろうか。それが戦いに利するとも思えなかった。
 だが、アルマにとって、重要なのは、己の機体の損壊ではなかった。
 開かれた装甲の隙間から放たれるは閃光。
 それは一瞬で『戦域管制ユニット』の前面に押し出した装甲を寸断した。
 一瞬。
 刹那と言っていい。
 閃光が走った、と思った瞬間に『戦域管制ユニット』は『ギガス・ゴライア』の保ち得ていた強固な装甲を全て貫かれ、その巨体を傾がせたのだ。
「我ら」
 声に感情はのならない。
 確かに、アルマの一撃は『戦域管制ユニット』を揺るがし、追い込んだ。
 だが、揺らめく機体は『アルマリヴァーレ・ドラグスキア』も同様であった。
 融合状態が解除された機体は、『フラズグルズ』のバリアビットに守られ、宇宙空間を揺蕩い、戦いが終わるその時まで保護されるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
【心境】
「『殲禍炎剣』ニ感知サレナイナンテ...何テ危険ナ粒子ナンダロウ...」
うん、さすがに使いすぎたなぁ。そりゃ研究されてるよね。あれ便利だから...。
技術ってこんなもんだって知ってたんだけどなぁ…
まるで血を吐きながら続ける悲しいマラソンだよ。この世界は…。

【行動】
はあ、反省と責任は一旦保留。
『戦闘演算』と『瞬間思考力』で敵機の動きを『見切り』、攻撃を『操縦』テクで回避し『オーラ防御』で高熱と電磁波から身を守りつつ接近!!
<ワルツ・オブ・キャバリア>発動。外部装甲をパージ『軽量化』し加速、アストライアの『制圧射撃』を『零距離射撃』で叩き込み、イニテュウムで『切断』する。



 ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は装っていた。
 平静を装っていた。
 脂汗が出る、というのならばきっと彼女は『レスヴァントMk-2』のコクピットの中でダラダラと顔を青ざめさせていたことだろう。
「『殲禍炎剣』ニ感知サレナイナンテ……何テ危険ナ粒子ナンダロウ……」
 思わずカタコトであった。
 それもそのはずである。
『戦域管制ユニット』が高速飛翔体として飛来したのは、暴走衛生に感知されぬ特殊粒子があればこそである。

 それは嘗て彼女も見た光景であっただろう。 
 味方がこれを使うのは許容できる。 
 だが、オブリビオンマシン側が、此方の技術を吸収できぬ道理などない。己が幾度となく戦場において使用してきたのだ。
 解析され、研究され、対策を取られる、もしくは利用されることなどあり得る話であった。
「うん、さすがに使いすぎたなぁ。そりゃ剣侠されてるよね。あれ便利だから……」
 だが、ユーリーは息を吐き出す。
 技術とはこういうものだと知っていたはずだ。
「まるで血を吐きながら続ける悲しいマラソンだよ。この世界は……」
 反省が負のスパイラルを呼び込むようであったが、ユーリーは頭を切り替える。
 迫る敵。
『戦域管制ユニット』は猟兵たちの猛攻によって消耗している。
 巨大であるが、しかし。

「……ッ!?」
 放たれるは、ガンマ線バースト。
 膨大なエネルギーが念導波によって誘導され、閃光のように迸るのだ。
 戦闘演算と瞬間思考。
 この二つを高度に掛け合わせることのできるものでなければ、ガンマ線バーストの一撃を躱すことはできなかっただろう。
 いや、違う。
 偶然だ。
 あの一撃は不可避なる一撃。
 敵が外したのだと理解した瞬間、ユーリーは吹き荒れる電磁嵐の中を『レスヴァントMk-2』と共に駆け抜ける。
「我ら」
「我ら」
「我ら」
 声が響く。
 信号にもにた声。無機質で平坦で、抑揚のない声。
「小うるさい!」
 ユーリーは己の脳に迫る念導波を払いのけるようにして『戦域管制ユニット』へと飛び込む。

 他の猟兵たちの攻勢によって敵が消耗しているからこそできたことだった。
「ジャケットアーマーパージ。高機動モードへ移行。ぶっとべー!! ボクの『レスヴァントMk-2』!!」
 瞬間、機体装甲が廃され、一気に『レスヴァントMk-2』が飛ぶ。
 高機動モードの踏み込みは、次なるガンマ線バーストを放つ暇を与えない。
 アサルトライフルの至近距離での弾丸、さらには手にしたキャバリアソードによる斬撃を装甲緩んだ『戦域管制ユニット』の接合部へと叩き込む。
 爆発が巻き起こる中、ユーリーは加速した機体と共に戦場を駆け抜ける。
「今ここで、こいつは叩き潰す!」 
 そう、せめて、なのだ。
 己の保ち得る技術がオブリビオンマシン側にも流れ始めている。イタチごっこもいいところだと自覚しながらも、ユーリーは血を吐くような思いで、この戦いを終わらせんと疾駆するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

防人・拓也
リベレーションゼロに搭乗。
また巨大キャバリアが相手か…。困難な状況ではあるが…対抗できる手段はある。ライスメキアにはフラズグルズで念動波の軽減を頼む。俺が攻撃の為に使用する仙術魔力を溜めるまで、少し時間を稼いで欲しい。
たとえ宇宙空間にされようとも、リベレーションゼロは宇宙空間でも戦闘可能なキャバリアだ。そこは問題ない。
自然環境とそこに存在する仙術魔力を自身の力として利用できるのが仙魔疾走の特徴だ。焦るな…落ち着いて仙術魔力を溜めろ。そして勇気と覚悟を決めろ。
…よし、仙術魔力は十分に溜まった。後は攻撃するのみだ。ライスメキアに射線を空けてもらい、仙術魔力が溜まった拳を構える。
「風と空気を利用する|仙魔疾走《せんましっそう》!|荒れ狂う巨大竜巻の仙魔疾走《エアロストーム・マジックドライブ》!!」
と拳を敵に向かって突き出し、巨大竜巻を放つ。敵が攻撃に利用する念動波を吸収し、巨大竜巻は更に威力が増していく。
お前の強力な念動波が裏目に出たようだな。竜巻でバラバラに切り裂かれろ!
アドリブ・連携可。



 巨大なオブリビオンマシン『戦域管制ユニット』は、『ギガス・ゴライア』の残骸を取り込むようにして融合を果たしていた。
 だが、猟兵たちの攻勢によって、その強靭な装甲は剥離するように脱落を始めていた。
 仕掛けるのならば、今が好機であると防人・拓也(奇跡の復活を遂げた原初の魔眼の開眼者・f23769)は理解していた。 
 とは言え、である。
 また巨大なキャバリア、オブリビオンマシンとの戦いである。
 困難な状況であることも理解している。
「だが、対抗できる手段はある。『ライスメキア』、『フラズグルズ』で念導波の防御を頼む」
「承知いたしました。ですが」
「時間が限られている、だろう?」
 そうなのだ。
 巨人の皇女『ライスメキア』が駆る防衛決戦用スーパーロボット『フラズグルズ』はオーバーホールからの突貫での組み立て作業で長期間の運用ができない。 
 勝負は短期決戦が望ましいのだ。
 絶対防御たるバリアビットも、そう長くは保たない。
 だからこそ、拓也は頷いた。

「俺が戦術魔力を溜める間の少しの時間でいい。頼む」
「我ら」
 声が響いた。
 脳内に響く声。
 それは拓也の脳の領域を締め上げるようでもあった、徒にかき乱す信号のようでもあった。 
 越え、と認識するのも阻まれるような抑揚のない声。
 それを『フラズグルズ』のバリアビットが阻むのだ。
 だが、同時に周囲にはダークマターが溢れかえり、戦場を宇宙空間へと変貌させる。
 恐るべきユーベルコードである。

「『リベレーションゼロ』の艦橋適応能力を舐めるな。だが!」
 バリアビットがなければ、この信号めいた声をは阻むことができない。 
 拓也が手繰る戦術魔力は自然艦橋に存在する戦術魔力を己が力賭して利用する事ができる。
 焦りはある。
 時間が限られているということも理解している。
 だが、その焦りは心を揺らがせる。心が揺らげば、集中は途切れ、集めた魔力は霧散していく。
 だからこそ、覚悟を決めるのだ。
 勇気があるのならば、己が身を案じるのではなく、己を支えるものたちをこそ思わねばならない。
「我ら」
 声が、響く。
 呼びかけているような、己達を同一のものとせんとするような強制力。

 だがそれを拓也は振りほどく。
「俺は俺だ。俺は俺以外の何者にもなるつもりは、ない! いくぞ、風と空気を利用する仙魔疾走! 荒れ狂う巨大竜巻の仙魔疾走(エアロストーム・マジックドライブ)」
『リベレーションゼロ』のアイセンサーがユーベルコードに煌めく。
 ひしゃげ、歪んだ腕部フレームを突き出す。
 それは『戦域管制ユニット』へと向けられたものであり、また同時に『リベレーションゼロ』の腕部を己が集めた戦術魔力でもって自壊させるほどのものであった。 
 吹き荒れるエネルギーは巨大竜巻へと変貌し、周囲にあった念導波すら飲み込み、強大な一撃となって『戦域管制ユニット』を飲み込むのだ。
 渦巻く力は、駆体を散り散りに引き裂くように凄まじい力を持って押さえつけ、バラバラにせんとするように吹き荒れ、その猛烈なる刃となった魔力は『戦域管制ユニット』の周囲にあった装甲を散々に痛めつけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
合体ギミックはなあ!
後で立体化する時に整合性が変になるんだぞ!
こういう無茶苦茶合体は特に!
3つの心が1つになっても、1つの正義の完全変形合体も出来ない!
分かってる、それを求めるべきじゃないって
でも無理でもやりたくなるのが、玩具野郎
…閑話休題
そういう無茶苦茶を壊すのが猟兵仕事
やってやれない事は無い…と、軌道修正するのだ

祈り此処に在らずとも
以下略!
超克…オーバーロード!
外装展開、模造神器全抜刀
そっちが2機分なら、こっちも2つ分じゃい!
何が2つ分とかは言わないオヤクソク
【Load[Summon Data]】起動
雷龍、不死鳥、機神召喚
例え戦場を変な空間に変化させようとも、問題無いね
ましてや宇宙空間なんてさ、スペースノイド舐めて貰っちゃ困るね

先ずは不死鳥全てで上から仕掛け、飛行能力を阻害
次いで雷龍、全方位から『ブレス攻撃』
ブレスで更に動きを止める

えっと…フラズグルズさんは何かそこで踊っててもろうて…

最後は私!
4剣を構え『念動力』で身体の保護と機械腕を操作
私をぶん投げさせて、『串刺し』貫通じゃい!



 合体。 
 それはロマンである。
 言うまでもないが。そういうもんである。
 到底現実的ではない。合体したからどうだっていうのだと言う者だっているだろう。
 否定できぬことである。
 だがしかしである。
 現に目の前の巨大オブリビオンマシン『戦域管制ユニット』は『ギガス・ゴライア』の残骸と合体を果たし、その力でもって猛威を振るっているではないか。
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、すぅーっ、と息を吸った。
 それは深い深い深呼吸とも言えるものであった。
 そして、彼女の口が開く。
「合体ギミックはなあ! 後で立体化する時に整合性が変になるんだぞ! こういう滅茶苦茶合体は特に!」
 そう、サブカルマニアである彼女ならではの論点であった。

 立体化?
 いや、現実だ。。実際に合体してるのだ。融合とおも言えるかも知れないが。
「三つの心が一つになっても、一つの正義の完全変形合体もできない!」
 玲は頭を振った。
「わかってる、それを求めるべきじゃないって。でも無理でもやりたくなるのが、玩具野郎」
 確かに。
 完全変形合体とか心踊る文言である。
 整合性以上に関節部とか、そういう負荷がかかる場所を触るときなどは心に緊張が走るもんである。
 ……完全に話がそれたような気がする。
 本筋から離れまくっている。
「……閑話休題。そういう無茶苦茶を壊すのが猟兵仕事。やってやれないことはない……と、軌道修正するのだ」
 できてない。
 まったくできていない。
 びっくりするくらい玩具の話になっている。

「祈り此処に在らずとも。以下略!」
 だが、玲さんはそんな流れを問答無用にぶった切った。
 超克、オーバーロードによって力技でぶっちぎったのだ。
「外装展開、模造神器全抜刀!」
 彼女の背には二本の機械腕。そして、引き抜かれた蒼き刀身を持つ模造神器が煌めく。
 もう何も言えない。
 全抜刀なんて絶対かっこいいやつである。
 どんなに寸前まで玩具の話していても、強引にこっち側に引っ張り込まれる。
 溢れるダークマターも空気を読むってもんである。
 いや、読んではいない。周囲に満ちたダークマターが戦場を宇宙へと変貌させる。恐るべきことに、空間そのものを置き換える力さえ、『戦域管制ユニット』は保ち得ていたのだ。

「はん、そっちが二騎分なら、こっちも二つ分じゃい! 何が二つとは言わないオヤクソク」
 オヤクソクならしゃーなしである。
「そういうわけで、読み込み制限解除。さあお祭りといこう!」
 瞬間、玲のユーベルコードが煌めく。
 12体の雷で構成された龍、炎で構成された不死鳥、そして巨大な機械腕。
 それらが宇宙空間に現れ、『戦域管制ユニット』の発する念導波を押しのけるようにして放たれるのだ。

「スペースノイド、舐めてもらっちゃ困るね」
 そう、戦場を塗り替えられても元より玲はスペースノイド。
 宇宙空間とは彼女の庭である。
 ただちょっと、サブカルマニアが講じて|お外《宇宙空間》に出ることがちょっと稀なだけなのである。
「我ら」
「はいはい、わけわかんない信号出してないで。どこにも届かない信号出してどうすんの!」
 不死鳥が『戦域管制ユニット』を取り囲み、一気に挙動を抑え込む。
 強靭な装甲が他の猟兵達によって排除されているため、抑え込む事は用意であった。さらに雷龍がほとばしり、全方位からのブレスでもって駆体を圧倒する。
「最後は私!」
「あ、あの、私は……」
 巨人の皇女『ライスメキア』の声が聞こえる。
 見やれば『フラズグルズ』が所在なげにしているではないか。
「えっと……何かそこで踊っててもろうて……」
「えっ!?」
「まあ、そういうわけだから! 機械腕、行っておこうか!」
 彼女のみを掴む機械腕。
 振りかぶって。投げた!
 玲は自らを砲弾として宇宙空間を飛び、手にした四振りの模造神器を交差させ、加速した体躯と共に『戦域管制ユニット』の装甲を両断し、さらに駆体を傾がせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロガネ・コウサク
朱鷺透(f29924)
コマ(f43671)
ライスメキアと共闘

……まったく、物思いに耽る暇もないわ。
お主ら、頼めるか。

コマによりディスポーザブル01、02、03合体維持。
主操縦を代わり、『毒装術』発動。
メクサラ・ブースター展開【推力移動】02で無重力操縦には慣れておる。
防御を朱鷺透とライスメキアに任せ、超高速で距離を詰め02の軟体が組み込まれた機体関節を伸縮させ最大速貫手【貫通攻撃】致死毒オーラを生成する。

……今一度距離を詰める必要はない。
朱鷺透、お主自身が奴を殺すウィルスと成れ。

致死毒オーラをサイキックシールド伝いに朱鷺透へ流入し、
朱鷺透と人格で繋がっておる戦域管制ユニットへ致死毒を届かせる。


クロガネ・デバイス
・共闘
朱鷺透小枝子(f29924)
クロガネコウサク(f43673)
ライスメキア

もうひとふんばり、たたかうぞー!
|アナタ《ライスメキアちゃん》もいっしょにがんばるぞー!!

・再選択『スーパー合体』発動。01、02、03合体状態を維持。
朱鷺透小枝子、クロガネコウサク、クロガネデバイスのレベル分機体強化。
主操縦:クロガネコウサク

・対消滅サイキックエンジン、03機能と小枝子の闘争心により
エネルギー転送。合体ディスポーザブル【エネルギー充填】
各機能最大稼働。

・ミサイルコンテナ展開、念動波対策として【誘導弾】に、
サイキックミサイルを纏わせて火力を強化【一斉発射】
パルスミサイルでの機能低下も狙うよ


朱鷺透・小枝子
クロガネ(f43673)
デバイス殿(f43671)
ライスメキア殿と共闘

守りは自分とライスメキア殿にお任せを!
ライスメキア殿!無理はなさらず!

【継戦能力】ディスポーザブル01、02、03合体維持。
サイキックシールド展開【オーラ防御】貫手貫通力強化、念導波から機体保護
ギガス・ゴライアの一撃をフラズグルズに防御して頂き、
念導波による人格統合攻撃は自分が受け持ちます!

……壊せ、この命が壊れ失せるまで!!
自分がぁッッ!!貴様らだ!!!

人格統合されるなかで『ディスポーザブル』発動!
相手側の人格ごと、精神を元の|朱鷺透小枝子《自覚なき狂える悪霊》に変形。【闘争心】で残る戦域管制ユニットの人格を喰らい返す!!



 戦いは続く。
 どこまでも続く。
 それが負の連鎖であるということは理解できるところであった。
 だがしかし、だ。
 クロガネ・コウサク(ビハインドニンジャ・f43673)は思う。あの『シリウス』と呼ばれたオブリビオンマシンのコクピットに配されていた巨人の脳を思わせる巨大な脳はなんだったのか。
『疑似脳』。
 あれは、あれによく似た技術というものをコウサクは見たことがあった。
 だからこそ、である。
「……まったく、物思いに耽る暇もないわ。朱鷺透、コマ、頼めるか」
「はいはーい もうひふんばり、たたかうぞー!」
 コウサクの想いとは裏腹にクロガネ・デバイス(頭脳戦車猟兵・f43671)の声は明るかった。
 三騎のキャバリアがスーパー合体を維持したまま、宇宙空間へと変貌を遂げた戦場を飛ぶ。
 無重力空間。
 これは通常のキャバリア戦闘ではありえない状況だった。
 巨大オブマシン『戦域管制ユニット』は、そのあり得ないことを成し得るオブリビオンマシンだったのだ。

 どう考えてもオブリビオンマシンの……クロムキャバリアの技術の常識というものを越えている。いや、逸脱していると言ってもいいだろう。
「我ら」
「我ら」
「我ら」
 響くは信号のような声。
 これが声と言えるのかもわからない。呼びかけられているのかもわからない。だが、これが鬱陶しいものだということは、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)に理解できていた。
「守りはお任せを!『ライスメキア』殿! ご無理は!」
「大丈夫です。あともう一息なのでしょう?」
 白い防衛決戦用スーパーロボット『フラズグルズ』。その絶対防御のバリアビットは強力である。
 しかし、オーバーホールからの突貫での作業で長くは保たない。 
 であれば無理は禁物だった。
 だが、巨人の皇女『ライスメキア』は譲らなかった。
 小国家『フルーⅦ』が滅亡の危機にひんしているのだ。彼女を受け入れた『フルーⅦ』のためにもここで怖気づくわけにはいかなかったのだ。
「であれば、往きましょう!」
「防御は任せた」
 そして、コウサクの瞳がユーベルコードに煌めく。

「でも、きょりがとおいよー」
「……今一度距離を詰める必要はない」
「ですが、どうされます」
「簡単な話だ。朱鷺透、お主自身がやつを殺すウィルスと成れ」
 その言葉に小枝子は頷いた。
 コウサクの毒装術(ヴェノム・オーラ)は、超高速無音機動を可能とする。加えて、相対する敵に対する致死毒を打ち込むユーベルコードだ。
 だが、同時に溢れる信号。
 そう、『戦域管制ユニット』による人格統合強制の念導波である。

「そういうことですか」
 小枝子は全てを理解した。
 拒むことはなかった。
 その必要性を感じさせなかったし、人格を統合して此方の機体を奪おうというのだろうという『戦域管制ユニット』の目論見さえ理解できていた。
 故に小枝子は抗うことなく『戦域管制ユニット』の声に同調し、人格を統合させる。
 瞬間、小枝子の瞳がユーベルコードに輝く。
「我ら」
「いいや、どの道、この生命が壊れ失せるまでのことだ。だから」
 塗り替える。 
 形を変えるというのならば、己のユーベルコードも同様である。
 己の精神はどうなても元の自覚なき狂える悪霊なのだ。そのユーベルコードがウィルスそのもの。
 統合された人格そのものを変容させるユーベルコードは『戦域管制ユニット』のコアすらも歪ませる。

「わ、わわわわれっれっれれらっっっらあああ」
 壊れ様に声が響く。
「戦って、戦って、戦って。そうして生命は壊れ果てる。だから」
 小枝子の瞳が煌めく。
「……壊せ、この生命が壊れ失せるまで!! 自分がぁッッ!! 貴様らだ!!」
「見事よ」
 コウサクの致死毒がシールドを伝って一気に小枝子を経由して『戦域管制ユニット』へと到達する。
 小枝子の狂気さえ感じさせる意志に接続を切っても、もう遅い。
 致死毒は既に打ち込まれた。
「たーまやー」
 そこへデバイスの放ったミサイルが『戦域管制ユニット』へと襲いかかる。
 それは『戦域管制ユニット』の機能を低下させ、さらに致死毒を、その巨体へと巡らせていく。
「後は
「じかんのもんだいってやつだねー」
 その声が、人格を切り離した小枝子の耳に届く。
 そう、後は。
「壊すだけだ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティオレンシア・シーディア
…短時間とはいえ「高速飛翔」が可能ってのは、この世界だと相当な無法よねぇ。
攻勢にしろ守勢にしろ、戦術ドクトリン粗方見直さないといけなくなるんじゃないかしらぁ?

まあ、それより今は|再生怪獣《アレ》どうにかしないとねぇ。
機体そのものはさっきと変わらないし、半端な攻撃じゃ掠り傷。…となると、一度限りとはいえ絶対防御のあるうちに強烈なの叩き込まないといけないわねぇ。
スノーフレークは全環境対応型汎用機体、当然宇宙空間にも適応可能。ライスメキアさんに念導波の防御をお願いして乾坤一擲、●黙殺・絶吼ブチかますわぁ。
…マルガリータ、あとはオートパイロットで退避、よろしくねぇ?



 巨大オブリビオンマシン『戦域管制ユニット』が動きを止めた。
 猟兵たちの猛攻。 
 それによって漸く『ギガス・ゴライア』と融合を果たした巨体が動きを止めたのだ。時間をおけば、必ずや駆体は元の残骸へと戻ろう。
 だが、戦場に未だ念導波は溢れ、周囲を宇宙空間へと塗り替える。 
 それは『戦域管制ユニット』が持つ無法の一つである。
「……短時間とは言え、高速飛翔が可能ってのは、この世界だと相当な無法よねぇ」
 加えて言うのならば、この宇宙空間もそうだ。
 ダークマターの濁流によって戦場そのものを塗り替えてしまう。
 この世界のキャバリア……戦術兵器の殆どが、空戦を想定していない。であればこそ、宇宙空間に適応できる機体は限られてくるだろう。

 そうなった時、『戦域管制ユニット』は他のキャバリアを取り込み、さらに強大な力を振るうに至るであろうことは予想に固くはなかった。
 言ってしまえば、攻勢に出るにしろ、守勢に回るにしろ、戦術ドクトリンを根本から見直さなくてはならない。
 そして、見直す時間を与えないのがオブリビオンマシンというものだ。
「まあ、それはね。今は|再生怪獣《アレ》にトドメを刺さないとねぇ」
『ギガス・ゴライア』を取り込んだ駆体は、猟兵達によって消耗している。だが、それでもまだ残っているということは、『戦域管制ユニット』がいまだ諦めていない、ということだ。

 であれば、だ。
「どんなちゃぶ台返しをやってくるかわからないってわけ、ねぇ?」
 なら、とティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
 瞬間、彼女の頭に響くのは信号めいた声であった。
 抑揚のない声。
 呼びかけるようでもあったが、それは此方に対して干渉を仕掛けようという意志があるからそう思えただけのことであったのかもしれない。
「我ら」
「我ら」
「我ら」
「まったく、ずけずけと人の頭に踏み込んできて……礼儀がなっていないわねぇ。作法と言ってもいいけれどぉ」
「念導波は、こちらで遮断いたします! 何か索があるのであれば!」
『フラズグルズ』から入る巨人の皇女『ライスメキア』の言葉にティオレンシアは頷く。

「ええ、一度きりとは言え、絶対防御。集中したいから、お願いねぇ?」
 瞬間、信号の様に響いていた声が消える。
 あれだけ響いていた声が途切れれば、こんなにも自分の思考が静かなものだったのかと思うことだろう。
「ま、それはいいわぁ、さ、外せば終わりの乾坤一擲、出たとこ勝負の大博打、ねぇ?」
 煌めくユーベルコードが彼女のキャバリア『スノーフレーク』より発せられる。
『戦域管制ユニット』は動かない。 
 いや、動けないのだ。
 これまで猟兵たちが叩き込んできたユーベルコードが、『戦域管制ユニット』を追い込んでいたのだ。

 故に動けない。
 如何に己に有利な環境に引きずり込んだとしても、並み居る猟兵たちの攻勢を凌ぐことはできないのだ。
 故にティオレンシアは吐息のように、滑らかに囁く。
「――|Take That, You Fiend《これでもくらえ》なぁんてねぇ?」
 描いたのは、意味消失寸前まで接続した魔術文字群。
 それは一つ一つが弾幕を形勢するに至るほどの物量であったが、一気に収束、臨界を迎える。
 無数の魔術文字を描いたマルチタスクによる脳への負荷は多大なものとなるだろう。
 だが、それでも、これがベターな一打。
 否、ベストだ。
 黙殺・絶吼(デザイア・デストラクション)。
 それは恐らくどんな強靭な装甲だろうと撃ち抜く超広範囲レーザーの一射。
 宇宙空間を形成するダークマターを貫くような一閃。
 それは『戦域管制ユニット』のコアユニットを打ち抜き、さらには、その巨体すらも拡散したレーザーが破断させ、粉砕させる。

 その光景尾をティオレンシアは視ることはなかった。
「……『マルガリータ』、あとはオートパイロットで退避、よろしくねぇ?」
 そう、小さく呟きティオレンシアはダークマターが収束していく中にて爆散する『戦域管制ユニット』の最後に瞳を閉じたまま人差し指を向け、昏睡するように微睡みへと落ちていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年03月08日


挿絵イラスト