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歌人の|守護聖人達《ガーディアンズ》

#アヤカシエンパイア #歌枕 #単独参加OK! #プレイング受付中

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●|平安戦《へいあんいくさ》の予兆
「皆さん、今日は良くお集まりいただきました。早速ですが、本題に入ります。アヤカシエンパイアにて奇妙な予兆がありました。そこで君達にはグリモア猟兵である僕のテレポート能力で、アヤカシエンパイアの|世界《ワールド》へ行って……その予兆の原因を探って貰います」

 グリモア猟兵であるパズクルス・ヴィリーヴ(初心忘るべからず……な放蕩者・f45022)の口調は真剣そのものだ。事態は急務だと言わんばかりに。場所は、はじまりの場所。グリモアベースである。

 向かう先は平安の世――アヤカシエンパイア。

 果たしてその『奇妙な予兆』とは――?

「実はその『予兆』ってーのはかな~り厄介なんだよね。何せ『歌枕』を詠み上げる歌人に『妖の裂け目』から集団で出現した妖どもがその歌人を狙い撃ち。最終的に命を奪い取っちまうんだから」

 ゾクリ……! と、派遣された|猟兵《イェーガー》達の背筋を悪寒が撫でる。敵は集団で歌人を殺した。まだ発生していないが、それは確かに起こりそれを防ぐのが自分達の役目になるのだろう。

 ピリピリとした緊張感が走る。

 『歌枕』とは本来、多くの和歌に詠まれた名所を差す言葉なのだが、このアヤカシエンパイアでは少し事情が違う。平安結界内部で人々が平和に暮らせるのは……この地で平安歌人達が結界の経年劣化や妖の攻撃により弱る為に定期的に『歌枕』と呼ぶ各地の名所を訪れ、新しい和歌を捧げる事で結界を維持あるいは強化する事だ。

 正にアヤカシエンパイアにおいて『歌枕』とは、歌人達が作り出す幻影。『平安結界の要となる、人類守護の要衝』なのだ。

「そこで! ここにいる皆には事件が発生する前に、その歌人と行動を共にし『妖の裂け目』から出てくる妖どもをお見事返り討ちにして欲しいんだ♪ もちろん見合った報酬は払うよ?」

 目的はシンプルだ。『歌枕』を巡る平安歌人の旅に同行して、予兆通りに『妖の裂け目』から襲い来たる妖を討伐。その後、平安結界の維持にも協力する事。

 このかつて『|禍津妖大戦《まがつあやかしのおおいくさ》』が発生し、世界は妖が蠢く死の大地と化した地。アヤカシエンパイア。

 陰陽師であり、平安貴族の彼等彼女等が庶民から秘匿して、ユーベルコードを駆使し『平安結界』を守護し妖を祓う……束の間の平穏。

 彼等彼女等は庶民の目から見れば普段から遊び呆けている様に見えなくもない……が、この平安の世を創り上げたのも同じ戦闘集団である陰陽師の平安貴族なのだ。

 そうして『平安時代』は守られて来たのだ。誰にも知られずに。

「彼等彼女等、貴族達のたゆまぬ努力を無駄にしない為にも……君達|猟兵《イェーガー》の協力が必要なんだ。さて、僕からは以上だ。準備は良いかい?」

 パズクルスの一言に皆は静かに頷き、そして平安の世。アヤカシエンパイアへと|瞬間移動《テレポート》した。


ふーもん
 初めましての方、初めまして。前回のシナリオに参加して下さった皆様、お久しぶりです。ふーもんです。

 早速本題に入ります。今回の舞台はアヤカシエンパイア。『歌枕』を巡って何やら妖達が襲撃し歌人達の命を狙う予兆がありました。
 そこで|猟兵《イェーガー》の皆様には歌人の護衛はもちろんの事、彼等の旅に同行して『妖の裂け目』から出てくる妖どもを追い払って下さい。
 妖討伐後、平安結界の維持も手伝ってくれれば助かります。

 私のシナリオ&リプレイ傾向はMSページをご閲覧下されば少しは詳細を把握出来ますのでお勧めです。

●第一章『呪詛を探れ』(冒険)
 妖の襲撃が予知された平安歌人に同行。平安結界が弱り始めた方角に向かい、『歌枕』を目指します。

 攻略のヒント! もしかしたらある人物が呪詛によって侵されている可能性もあるかもしれません。原因を探り、解決に導こう。

●第二章『化け雑色』(集団戦)
 妖の裂け目が生じました。妖どもが出現し、平安歌人に襲撃を敢行してきます! 戦略を練り、戦って応戦。歌人を守り抜きましょう。

 攻略のヒント! 宮仕えをする下級貴族『|雑色《ぞうしき》』に化けた低級の妖なので蜥蜴の如く手足が異形化、尾も生えています。正体の看破はそれほど難しくありませんが、気配を隠され深く宮中の奥まで潜り込まれたら厄介になります。

●第三章『盤上で語らう』(日常)
 妖どもを無事に退治しました! 妖の裂け目を塞ぎ、目的である歌枕に辿り着いた日常の始まりです。さて、平安結界を維持する為にも『雅で美しい平安時代の光景』を詠み込んだ平安歌人の和歌が不可欠となります。新たに平安結界を張り直す為にも、平安時代らしい雅な日常を過ごし歌人に歌の題材を提供しましょう!

 攻略のヒント! 平安貴族達の間では、囲碁や将棋といった卓上遊戯も広く嗜まれています。彼等と対局するかは|猟兵《イェーガー》の自由です。
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第1章 冒険 『呪詛を探れ』

POW   :    庶民や貴族へ聞き込み。

SPD   :    怪しい場所へ潜入。

WIZ   :    呪詛の痕跡を辿る。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●美しき平安の世
 アヤカシエンパイアに|瞬間移動《テレポート》した|猟兵《イェーガー》達は直ぐに辺りを見渡す。
 まずは例の『妖の裂け目』を塞ぐ為に『歌枕』の歌人を探す。

「おお……あなた方が例の守護聖人様でしょうか? 今宵は『歌枕』の御同行感謝致します。直ぐに旅支度を整えましょう。『妖の裂け目』が私達の邪魔をして、困り果てておりました」

 歌人は既に|瞬間移動《テレポート》した場所で待機。『歌枕』を巡る攻防戦がこの先待っている。
 旅支度を整えた|猟兵《イェーガー》達はそれぞれが持ち場に付き『歌枕』を詠む歌人を護衛する為、一緒に付いていく事に。

「妖は下級貴族の『|雑色《ぞうしき》』に化けている可能性も御座います。是が非でも『歌枕』を詠んでいる間。私達をお守りくださいませ。守護聖人様」

 守護聖人……ではなく|猟兵《イェーガー》なのだが、細かい事は気にしない。今は呪詛を探り『歌枕』を目指そう。
 聞き込み調査。潜入任務。そこから導き出される呪詛の痕跡を辿る。今、出来る事は可能な限りやっておきたい。

 少しの緊張感を抱きつつ、この『平安時代』を混乱の渦中に陥れない為にも……歌人の正体を隠して、妖討伐の旅は始まった。
飯綱・杏子(サポート)
狩った獲物は持ち帰ってもいいっすか?

ジビエ|食材《オブリビオン》がヒト型でなければ料理して喰らうっす
ヒト型の食材を料理するときはこちらがヒト型を辞めるのが|マナー《マイルール》っす

リビングアーマーや宇宙船の類だってきっと貝類みたいに美味しい可食部があるし、食器としても活用するっす
どんなに癖のある|肉《ジビエ》でも濃い味付けにすれば食えない肉はないっす

悪魔だから|毒は利かない《【毒耐性】持ち》っす。酔うけど。腐敗も発酵もわたしには一緒っす
あと|八つ裂きにされても死なない《【切断部位の接続】持ち》っす

シナリオや同行者の都合で、ヒト型を性的な意味で食い散らかしてもいいっすよ
白子もミルクも大好きっす



「狩った獲物は持ち帰ってもいいっすか?」

 いきなり歌人にぶっ飛んだ質問をかます飯綱・杏子(悪食の飯テロリスト・f32261)はこれから起こる予兆。戦闘への緊張感もなんのその。
 彼女の食欲は睡眠欲・性欲よりも旺盛だ。

「ジビエ|食材《オブリビオン》がヒト型でなければ料理して喰らうっす」
「え……ええ。まあ、相手は妖。倒した後に奴等を調理するのは個人の自由ですけれども……。相手は人に化ける妖ですよ?」
「ヒト型の食材を料理するときはこちらがヒト型を辞めるのが|マナー《マイルール》っす」
「……はあ。まあこちらとしては、襲って来る妖を倒して貰えればそれで良いのですが」

 ――本当に妖を食べるのか? この人。と、そんな複雑な表情になる平安貴族の歌人。同行者である。

「よーし! じゃあ、早速庶民や貴族への聞き込み調査を開始するっすよ」

 ジビエ料理に舌鼓を打つ為に……いや、もちろん妖の討伐へと辿り着く為にも飯綱は旅の途上で会う人会う人に呪詛の痕跡を問い掛ける。
 唯、その調査はやや斜め上の方向にぶっ飛んでいて、直球勝負で行った所が変化球になる。

「ねえ、そこのおじさん。ここいらで何か怪しい場所を見なかったっすか? 例えばわたしの大好物♪ 妖怪が住まう場所とか」
「食べられる妖を見ただって? あんた何を言ってるんだ?」

 めげずに調査は継続。飯綱の食欲は困難な時に直面し、尚且つ時間が経つごとに増すのだ。

「お姉さん。妖怪が出た場所とか知ってるっすか? わたし食べたいんだけど……」
「妖? あなた何を言ってるのですか? ここは平安の世。そんな物騒なものいる訳ないでしょう? しかもそれを食すなんて出来る訳ないと私は思いますよ?」

 当然だが人々は妖の存在とこの世界の真実を知らない。これは困難な調査になりそうだ。

「……う~ん。リビングアーマーや宇宙船の類だってきっと貝類みたいに美味しい可食部があるし、食器としても活用するっす。どんなに癖のある|肉《ジビエ》でも濃い味付けにすれば食えない肉はないっす」

 その時だ。歌人と共に冒険と『食』に関する妖調査を一通りしていた飯綱の鼻をくすぐる香ばしい匂いがどこからともなくやって来た。何だコレは?

「飯綱さん。ここいらで休憩致しましょう。ちょうど正午ですし、お腹は空いていませんか? あそこの鰻屋さんにでも立ち寄りましょう」

 同行している歌人はそう言って、とあるお店を指差した。

 食事処『カバの炭焼き♪』と掲げられた看板が嫌でも目を引く。

「今の所、妖の出現する裂け目による情報は入ってこない様ですし、『歌枕』の旅はまだまだ続きます。疲労を溜め込むのは体に毒ですよ?」

 どうやら先程の香ばしい匂い。その正体は近場の鰻屋からこれでもかと漂う蒲焼きの煙によるものだった様だ。

「悪魔だから|毒は利かない《【毒耐性】持ち》っす。酔うけど。腐敗も発酵もわたしには一緒っす。あと鰻の蒲焼きの様に|八つ裂きにされても死なない《【切断部位の接続】持ち》っす」

 体に毒という言葉に律儀に反応する飯綱。鰻の焼け爛れる肉の匂い、そして極上のタレをその上に塗りたくるその店特有秘伝のソースが飯綱の『食欲』という煩悩を引きずり出す。
 ……鰻の蒲焼き! 思わず涎を垂らす飯綱。

「良いっすね~♪ 鰻の蒲焼き! 早速食べるっす!」

 まるで鰻の魔法に掛けられたみたいに香ばしい匂いにつられて店内へと一歩また一歩と歩を進めていく飯綱と歌人なのだった。

 *

 ――ガビーン! 驚愕を覚える飯綱。

「どうかしたんですか? 箸が止まってますよ飯綱さん」

 向かいの席では歌人がさもありなんと美味しそうに鰻重を食している。こっそりと店員さんを手招きで呼ぶ飯綱は顔面蒼白でブルブル小刻みに震えている。
 何だ? 蒲焼きの中に寄生虫でも入っていたのか?

「お客さまいかがいたしましたでしょうか?」

 年若い、まだ未成年の女店員さんが震えている飯綱の様子を見ても全く動じずに応対する。こちらはこちらで何か変なキャラだ。

「……シェフ(調理師)を呼んでくれっす」
「シェフ(調理師)ですか。かしこまりましたー。料理長のカバさ~ん! お客様がお呼びですよ~」

 この鰻屋『カバの炭焼き♪』の『カバ』とは調理人。その料理長の事だった。まあ、良くある話だ。

「ちょっ……! どういうつもりですか飯綱さん! 勝手にシェフ(調理師)なんか呼び出して……! てゆーか、カバさんって……こちとら美味い飯が台無しだ~」
「うるさい! 少し黙っててくれっす……! これは重大な過ち……『食』文化に対する冒涜っす!」
「一体、この店の鰻重に何の恨みが? 寄生虫でも入っていたんですか?」

 こんなに美味しいのに……と、愚痴る歌人に対し腕を組んでだんまりを決め込む飯綱。そこへ例のシェフ(調理師)。料理長のカバさんご登場♪

「こちらがクレーマーのお客様です。カバさん」
「ほ~う。俺様の鰻重に何か御不満でもあるってか?」

 『クレーマー』とは中々言ってくれるぜ若い女店員さん。未成年だからって何もかも許される訳じゃない。世の中の|作法《ルール》を体で教えてやろうか? ここは『平安時代』だけど――等と勝手気儘にあれこれ脳内で罵る歌人。

「――不満? そんなの決まってるっす。この鰻重……」
「この鰻重が……何だ?」

 ピリピリとした緊張感が迸る。いきなり戦闘モードに突入しないでくれよ――そんな事を思いつつハラハラドキドキ|UC《ユーベルコードの|構え《ポーズ》を何気なく取る歌人は冷や汗を掻く。

「美味すぎっす! 是非とも調理方法を教えてくれないっすか? わたしの持参している調理器具で!」

 一瞬の間。静寂が過ぎる。ポカーンとその場にいる店内の皆が唖然とした。しかし、理解は出来た。

「お、何だいそういう事か♪ 気に入ったぜ姉ちゃん。だったら俺様の厨房に来いよ。あんたの腕前も知りたいし、オリジナルの料理を作らせてやるぜ? オイ、お前。案内してやれ」
「何だ寄生虫でも入っていたのかと思った。それではお客様こちらへどうぞ~」

 そんなこんなで食事処『カバの炭焼き♪』の厨房へお邪魔する事になった飯綱。

「……あれ? 私の護衛は?」

 *

「やるっすよー」

 敵は単なる鰻だが全力で挑む飯綱……!

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『エクストリーム調理道具』(エクストリーム・クックウェア)発動! いま戦っている対象に有効な【エクストリーム調理道具】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
 更にグルメ知識10と料理13の技能を用いて鰻を『知識』と『技術』の両攻めで颯爽と捌く! 使っているのは柳刃と呼ばれる刺し身包丁だ。

「へい! お待ちどうさまっす♪」

 捌かれ、焼かれ、味付けされたその鰻の蒲焼き。鰻重を食べた『カバ』はこれまで食べた事の無い珍味に色んな意味で驚愕した。因みに同じタレを使っている。

「これが……あんたの鰻重。まさか俺様と同格……いや、それ以上の味を引き出す事が出来る奴がいるとは」
「ふっふっふ♪ ご都合とあらば、ヒト型を性的な意味で食い散らかしてもいいっすよ。白子もミルクも大好きっす」
「最後に聞こう。あんたの名前は……?」
「飯綱……飯綱・杏子っす」
「……ふっ! 生涯忘れる事はないだろうな。その名前をよ!」

 何だコレ。傍から見ていた歌人は思わず溜め息。確かに美味しいけども。今まで食べた事の無い鰻重だけども。
 本来の目的を見失いかけてたその時。思わぬ情報が舞い込む。

「あんたの鰻重食って頭が冴えたせいか思い出したんだがよ。この間、妙に気味の悪い場所があったんだ。ああ言うのを『呪詛』って言うのかね?」
「えー!?」

 こうして最初の調査は無事終了。食事処『カバの炭焼き♪』を後にする歌人と飯綱。

「もしかして最初から情報が入ると知って……お店の厨房まで侵入したんですか? 飯綱さん」
「ふっふっふ! その通りっす♪ わたしは未知の『食』を追い掛ける為なら、『呪詛』だって食べてやるっす!」

 呆れた歌人と高笑いする飯綱。取り敢えず『呪詛』の痕跡は嗅ぎ付けた。

 因みに鰻重のお代は|無料《タダ》にして貰えたある意味ラッキーな二人なのだった♪

成功 🔵​🔵​🔴​

アラタマ・ミコト(サポート)
|荒魂鎮神命《あらたましずむるのかみのみこと》ことアラタマちゃんなのです。
極楽浄土でいろいろ経験してきましたが、それでも世界は広く多いのです。
即身仏ゆえに感情が表に出てきづらいのですが、本当はとても感動しているのです。
極楽浄土で使われていた「かたかな」という文字は未だに苦手なのですが、どうぞよろしくなのです。



「|荒魂鎮神命《あらたましずむるのかみのみこと》ことアラタマちゃんなのです」
「今日は護衛をして下さり有難う御座います。え~……『アラタマちゃん』で宜しいでしょうか?」

 今回の護衛任務。いきなり登場して申し訳ないのですが、早速護衛対象の歌人を混乱の渦中に陥れたのは『アラタマちゃん』事――アラタマ・ミコト(極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935)だ。

「歌人殿、そうです。アラタマちゃんはアラタマちゃんなのです。どうぞ遠慮せずに『アラタマちゃん』と呼んで下さい。それとも何か? 変ですか?」
「いえいえ、滅相も御座いません。それでは遠慮なくアラタマちゃんでいこうと思います。今日の護衛。宜しくお願い致しますよ」

 この先ずっと『アラタマちゃん』で通すとなると、この旅路。本当に恐ろしい妖討伐の過程なのか……疑問が湧いてくる歌人。何だか偏頭痛がする。『妖の裂け目』も無事に見つけられるのか?

「極楽浄土で使われていた『かたかな』という文字は未だに苦手なのですが、どうぞよろしくなのです」

 『アラタマちゃん』事、アラタマは焦茶色の髪を軽く揺らして会釈した。少しゆるい感じの少女だが、礼儀はシッカリとしている。歌人はホッと安堵する。

「それで『歌枕』の旅に同行するのは良いですが、歌人殿。アラタマちゃんがやるべき事は護衛で宜しいでしょうか?」
「そうですね……。それと出来れば周囲の人達に聞き込みと怪しい場所の特定・侵入。呪詛の痕跡を辿ってくれれば私としては有り難いのですが――」

 きゃあー!

 いきなり、謎の叫び声。若い女性のものだろうか? アラタマと歌人はお互いに顔を見合わせて、現場へと急ぐ。

 そこには若い女性が地面にへたり込んでいた。余程、怖い目に遭ったのだろう。膝が笑っている。

「大丈夫ですか? 女性殿」
「……あ、あなた達は?」

 正気を取り戻した女性はアラタマと歌人が自分の悲鳴を聞いてやって来た事を覚る。

「アラタマちゃんと歌人殿はちょうど今、旅の途中で近くを歩いていたのです。女性殿、名前は何と言うのですか?」
「私は『|弥生《やよい》』と申します。ああ~……! でも、困りましたわ!」
「何が困ったのですか? |弥生《やよい》殿」

 その問いを聞く前に、歌人が吃驚発言。

「むむむ。何やら呪詛の痕跡が微かにします……! もしかして|弥生《やよい》さん。あなた……」

 まだガクガクブルブル震えている|弥生《やよい》は声にならない声で小さく呟いた。

「我が家の秘刀を賊に盗まれてしまいましたの……! このままでは親方様に怒られてしまいますわ」
「秘刀? 一体その刀を奪ったのは何者ですか?」

 腰が砕けている|弥生《やよい》をアラタマは支えて助け起こし、直ぐに問題の箇所を質問する。

「一瞬でしたので、良くは分かりませんわ。でも、いきなりぶつかって来て……気付けば大切な私物が無くなっておりましたの」

 目配せをするアラタマに対し、首肯して答える歌人。恐らくそのぶつかって来た何者かが呪詛の主なのだろう。最悪の事態を想定すれば妖かもしれない。

「良かったら|弥生《やよい》殿。詳しい話を聞かせてくれないですか? このアラタマちゃんと歌人殿が事件を解決に導きますよ」
「ほ、本当ですか!? 助かります!」

 こうして呪詛の痕跡を辿るべく、|弥生《やよい》の話を聞く事になったアラタマと歌人。

 *

「実は私が持っていた秘刀。それはそれは途轍もない値打ちものでして……。恐らく賊の狙いは金品目当てなのかもしれませんわ」

 場所はとある茶屋の縁側。先程、助けてくれたのと自分の話を聞いてくれるお礼に|弥生《やよい》はみたらし団子とお茶を御馳走してくれた。

「賊の狙いが本当に金品目当てなら、『歌枕』を狙う妖とは関係なさそうですね。歌人殿」
「……う~ん。これでも私は確かに呪詛の痕跡を察知した筈なのですが」

 |弥生《やよい》には聞こえない様にヒソヒソトークを展開しているアラタマと歌人。
 幸い|弥生《やよい》は先程の事態のショックで呆然とみたらし団子を齧っては溜め息。全くこちらに気付く様子はない。

「|弥生《やよい》殿。その秘刀とはどの位の値打ち物なのですか?」
「……はぁ~。私の家は代々名物と業物を取り扱う伝統格式ある鍛冶屋なのですが……今日は親方様に頼まれてとある武家屋敷にそれを届ける役目を仰せつかりまして。その秘刀は伝家の宝刀。名物打刀の『|小烏丸《こがらすまる》』と呼ばれる物です」

 名物とは『鑑賞する価値のある刀』の事で、対する業物とは『兵器による価値のある刀』の事だ。
 至極簡単に言うと鑑賞する刀が『名物』、武器としての切れ味が鋭い刀が『業物』となる。

「|小烏丸《こがらすまる》ですって!? そりゃあ~大変だ!」
「……え? どういう事ですか? 歌人殿」

 事態の大きさに気付いていないアラタマにそっと耳打ちする歌人。

「他世界からやって来た|猟兵《イェーガー》のアラタマちゃんが知らないのも無理はないですね。伝家の宝刀……名物打刀『|小烏丸《こがらすまる》』はこの平安の世。アヤカシエンパイアでは言わずと知れた名刀です。|鋒両刃造《きっさきもろはづくり》と言う独特の刃の形状をした『平安時代』の刀の代名詞とでも言いましょうか」
「なるほど、う~ん。だとしたら尚更おかしいです」

 アラタマちゃん事、|荒魂鎮神命《あらたましずむるのかみのみこと》は突如として真剣な表情になり、みたらし団子を頬張った。

「は?」
「何がです?」

 |弥生《やよい》と歌人は頭上に『?』マークだ。

「その|小烏丸《こがらすまる》を盗み出した何者かの正体。取り敢えずおぬし。この|荒魂鎮神命《あらたましずむるのかみのみこと》を例の武家屋敷まで案内してございませんか?」

 |弥生《やよい》は静かに頷いた。

 *

「ほほ~う。それが例の伝家の宝刀。『|小烏丸《こがらすまる》』か。実に良い出来栄えじゃ。そなた。名は何と言う?」
「へぇ。私はここいらじゃ有名な鍛冶屋『天下泰平』の奉公人で御座います。名は|雨嵐士《あめあらし》」
「おや? 確か、ここに来る奉公人は|弥生《やよい》と言う者じゃなかったかの?」
「へぇ。それが|弥生《やよい》は道中お怪我をしてしまいまして。私が代わり番をしてここまでこの『|小烏丸《こがらすまる》』を届けに来た次第で御座います」
「そうかそうか。それはご苦労だった。それでは『|小烏丸《こがらすまる》』を我に献上してはくれぬか?」

 ニヤリ……とその|雨嵐士《あめあらし》と自称する者はほくそ笑んだ。その時だ。

「騙されないでごさいますか? その男はおぬしをその|小烏丸《こがらすまる》で殺すつもりでございます」
「……む!? 何奴だ?」

 武家屋敷の主人が振り向いた先には『アラタマちゃん』事アラタマと歌人、そして鍛冶屋『天下泰平』の奉公人。|弥生《やよい》の姿があった。

「これは……どういう事か? 誰か説明してくれないか」

 武家屋敷の奉公人が急いでやって来た。

「ご主人様、その御方の言う通りで御座います。こちらが|弥生《やよい》さんで間違いありません! 『天下泰平』の親方様から直接お伺い致しました」
「私はその|雨嵐士《あめあらし》と言う人物に|小烏丸《こがらすまる》を届ける途中、奪われてしまったのですわ!」
「何だと……!? それではお前は何奴だ?」
「チッ! この|小烏丸《こがらすまる》さえあれば、ここをアジトに出来たというのに……! とんだ邪魔が入ったな」

 武家屋敷の主人の一番近くにいた|雨嵐士《あめあらし》は咄嗟に|小烏丸《こがらすまる》を翳した。今にも斬りかかる勢いだ。

「そうはさせないでございます!」

 |UC《ユーベルコード》(POW)『殲剣陣羽織』をアラタマは発動した! 【将軍鎧】に密着した『己が武器とみなしたもの』全てを【念動力】で操作し、同時一斉攻撃及び防御に利用できる。
 アラタマが着ていた【将軍鎧】には幾つもの武器が装着されており、まるでその一つ一つが強大な意志を持つ生き物の様に宙を舞い、|小烏丸《こがらすまる》を持つ|雨嵐士《あめあらし》に襲い掛かる!
 剣、薙刀、刀、槍――等がまるでこの世の重力など元から存在しないかの様に軽く俊敏な速さで|雨嵐士《あめあらし》を翻弄する。

「くっ! まさか、これは武器の……」
「……そうでございます。おぬしの大好きな武器の雨。存分に味わわせてございましょう」

 アラタマが|UC《ユーベルコード》を発動して敵を足止めしている間に歌人と|弥生《やよい》が武家屋敷の主人をその場から引き剥がし、何とか避難させた。
 これで勝負あった。敵は武器の雨を何とか凌ぎつつも、最終的に|小烏丸《こがらすまる》を取り落とす。だが、最後の悪足掻きか捨て台詞を残す。

「ふん! 勝ったつもりか? 調子に乗るなよ。|猟兵《イェーガー》如きが……! これはまだ序章に過ぎないのだ。この平安の世。私達のモノにしてみせるぞ。必ずな……!」

 そう言って、|雨嵐士《あめあらし》は倒れた。

 *

「有難う御座います。何とお礼を申し上げれば良いのか……。お陰様で助かりました。アラタマちゃんに歌人さん。これで私は安心して鍛冶屋『天下泰平』に帰れます。しかし、あれは何だったのでしょうか?」

 その後、|雨嵐士《あめあらし》はお見事お縄に付いたのだが……本人に記憶はなく、歌人そしてアラタマの説得によって何とか刑罰は免れた。

「アラタマちゃんも極楽浄土でいろいろ経験してきましたが、それでも世界は広く多いのです。恐らく|雨嵐士《あめあらし》殿は|小烏丸《こがらすまる》に邪気を突かれて衝動的に犯行に及んだのでしょう」
「邪気……ですか?」
「そうです。優れた刀にはその人の感情を揺り動かす程の力が籠められてます。|雨嵐士《あめあらし》殿は運悪くその力に誘導されたのでしょう。それが今回の事件の真実です」
「ならば……私も気を付けなければいけませんね。鍛冶屋の奉公人として何時その邪気を突かれるのか分かりませんですわ」

 そうして|弥生《やよい》と別れたアラタマと歌人。しかし、歌人は少しだけ疑問が残る。

「本当にこれで良かったのでしょうか? 私としては|弥生《やよい》さんを騙した様で気が気じゃないですよ」

 そう。|雨嵐士《あめあらし》なる人物は呪詛に侵されていた。だが、この『平安時代』を守り抜く為にも|弥生《やよい》には刀の力と言う事で片付けたのだ。
 噓も方便と言うやつだ。

「即身仏ゆえに感情が表に出てきづらいのですが、本当はとても感動しているのです」
「はぁ。何にですか?」
「|弥生《やよい》殿の清らかな心にです。あの人ならば刀の力に邪気を突かれても大丈夫でしょう」
「なるほど。それは私も同じ気持ちですよ」
「それと……|弥生《やよい》殿が御馳走してくれた茶店のみたらし団子。絶品でしたね」

 歌人は一瞬キョトンとして、思わず苦笑。

「時間はまだありますし、寄って行きますか」

 『アラタマちゃん』の目が感動で輝いていたのかは……想像に難くないだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳳凰院・ひりょ
ふむ、俺は呪詛の痕跡を探ってみるか
護符に力を注ぎ込み式神と化し周囲へ複数展開
呪詛の影響を受ける式神がいるようならば、その式神が向かった先に何か痕跡があるはずだ
UCを発動させ呪詛の痕跡調査に集中

護符に浄化の力を注ぎ込めば呪詛の解除の手助けにもなるだろう
呪詛に侵されている人がいるようなら、浄化護符で治療を試み

呪詛の絡繰りとかは、この世界の人の方がより詳しいかもしれないし
俺はその援護を主に行くか
幸い呪詛に対しては多少耐性があるから、少し危険な手伝いも可能だ

一応今の所は護衛対象にも危険は、ないと思うが…
呪詛の痕跡周囲には何があるかわからないから、刀や護符でいつでも戦えるよう心積もりも必要かもしれないな



「ふむ、俺は呪詛の痕跡を探ってみるか」

 護符に力を注ぎ込み式神と化し周囲へ複数展開したのは鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)である。
 式神を操る事を得意とする鳳凰院は呪詛の影響を受ける式神がいるようならば、その式神が向かった先に何か痕跡があるはずだと目星を付ける。

「鳳凰院守護聖人様、護衛任務。頼みますよ」
「もちろん分かってるさ。歌人さん。唯、今回の旅路。『歌枕』を目指す途中に何があるか分からないから、警戒するに越した事は無いよね」

 今回は歌人の旅の護衛。しかし、その他にもやるべき事は沢山ある。その内の一つが呪詛の痕跡を辿る事だ。
 もしも、呪詛の臭いを嗅ぎ付けたらUCを発動させ呪詛の痕跡調査に集中する。
 一応今の所は護衛対象にも危険は、ないと思うが……。

「何か臭うな。歌人さん、この辺りで分かる事があったら教えてくれないか。些細な事でも何でも良いから」
「そうですね。私も出来る限りの事は致しましょう。……ん? そう言えばこの辺は……」
「もう何か思い当たる節があるのか?」

 周囲は少し町から離れた農村で、既に式神は放たれた。後はその式神に異変があるかどうか察知する。

「いえ、ここは奇怪な事件がありましてね。数日前に動物の変死体が複数発見されたんです」

 動物とは鶏や牛などの家畜から、野生動物に至るまで様々だ。どの動物も外傷らしきものは見当たらずにここで暮らす農民達は皆、神様の祟りだと気味悪がっていたらしい。

「それは確かに不気味な話だね。仕方ない、俺の放った式神を確かめるにはまだ時間が掛かる。早速聞き込み調査をしよう」

 *

「……え? この村の土地に有力者が突然現れたのですか?」
「ええ。わてら農民はその様な話は聞いておりませんでしたから……。きっと何かの間違いだと抗議したのですわ。そしたらその御方は一定の作物を献上しなければ災いが降り掛かると脅して来たのですわ」

 呪詛の絡繰りとかは、この世界の人の方がより詳しいかもしれないし――そう思い聞き込み調査したのは良いがどうやら更に複雑な話になってしまった。
 まさか、祟りの類だと本気で思ってるのか? ここは町から少し離れた土地。町民が騙されにくいとは思わないが、農民は作物を献上しなければ災いが降りると言う云わば弱みを握られてしまっている。
 詐欺の常套手段。鳳凰院は混乱した。

「それで? 本当に災いは起きたのですか?」
「ええ。もちろん。それがあの動物達の変死事件ですわ。わてらの家畜も何件か被害に遭ったで。このままでは窮乏して生活していけないだ」
「鳳凰院様。恐らくこの事件の全貌は――」

 歌人が呪詛によるものだとこっそり鳳凰院に耳打ちしようとしたその時。

「違うだ! あれは妖怪の仕業だー!!!」

 突然の大声。耳をつんざく叫び声に思わず鳳凰院と歌人はその声の主に振り向かずにはいられない。

「コラ! |茶鉄《さてつ》!! おめえまだそんな事言ってるだかか? あんまりしつこいと次の祟りはおめえに落ちるぞ」
「……だって、オイラ見ただ! その御役人さんが動物達に奇怪な呪文を唱えてる所を」

 『妖怪』と言うワードを敏感にキャッチする鳳凰院。直ぐさま話の対象者をその少年。『|茶鉄《さてつ》』に切り替える。

「|茶鉄《さてつ》君と言ったかい? その御役人とはこの村の土地に名乗りを上げた有力者の事なのかな?」
「そうだ。数日前にオイラ、真夜中の家畜小屋近くに怪しい人影を見つけただ! こっそり覗いてみたら……あの御役人さんがいて、御札の様な物を使って何か唱えていただ」
「それが奇怪な呪文の事だね。それで? |茶鉄《さてつ》君。その後の事は覚えてるかな?」
「そしたら次から次へと『大和』や『卑弥呼』が倒れていって……オイラ、怖くなって直ぐに逃げ出しただ」

 『大和』に『卑弥呼』とは家畜の鶏や牛の事だろう。|茶鉄《さてつ》の証言から、この村の土地の有力者を名乗るその御役人が犯人で間違いなさそうだ。

「でも、何で妖怪なんですか?」
「だってあいつ目が光っていただ。それに、あの呪文。今まで聞いた事の無い言葉だったで」

 歌人の質問にも正直に答える|茶鉄《さてつ》。人外の言葉。呪詛を唱える御役人。そしてその直後に家畜達は命を落とした。
 既にカードは揃った。後はその御役人をどうやって捕まえるか?

「因みにその御役人さんの身分は確かなのかな?」

 話を|茶鉄《さてつ》の証言から戻し、農民の男に振る鳳凰院。

「……ええ。何でも宮中から遣わされた御役人さんだそうで」
「なるほど」

 得心がいった鳳凰院は取り敢えず自分が複数展開した式神の様子を見にその場を辞去した。

 *

「やっぱりな。あの少年。|茶鉄《さてつ》君の言ってた事は本当だ」
「これは……呪詛の痕跡と見て間違いないですね」

 鳳凰院が放った式神。それは元々和紙で出来た御札だったが、展開した直後。異形の姿に変化。
 異形とは言っても御札が人の形に化けた物だが、その全てが何かに燃やされた様に黒ずんだ和紙に戻っていた。

「だが、俺の式神を呪詛に侵した犯人。例の御役人さんとやらが宮中から遣わされたと言うのはとんでもない嘘だよね」
「なるほど。その犯人自身が既に呪詛によって侵されていると言う訳ですね」
「そうだね。これ以上、被害を拡大させない為にも元凶のそいつを捕まえないといけないな。今から放つ護符に浄化の力を注ぎ込めば呪詛の解除の手助けにもなるだろう」

 最悪の事態を想定して呪詛に侵されている人が他にもいるようなら、浄化護符で治療を試み俺はその援護を主に行くか。
 幸い呪詛に対しては多少耐性があるから、少し危険な手伝いも可能だ。

「それで? 算段は付いているのですか? その呪詛に侵された犯人を捕まえる手段は」
「ああ、もちろん。唯、それには|茶鉄《さてつ》君の助けが必要だね」
「……へ? でも、あんな子供を事件に巻き込むのは危険かもしれませんよ?」
「その通りだ歌人さん。だから|茶鉄《さてつ》君の護衛は頼む」

 本来護衛される側の歌人は少年|茶鉄《さてつ》の護衛を任されて何だか複雑な気分になったが、渋々了承した。

「呪詛の痕跡周囲には何があるかわからないから、刀や護符でいつでも戦えるよう心積もりも必要かもしれないな」

 *

 その日の夜。周囲は静寂に静まり返っていた。

「こっちだて! 旅人様」

 少年|茶鉄《さてつ》の|案内《ガイド》により辿り着いた場所は一軒の農家。
 まだ、例の動物変死事件の被害に遭っていない家屋である。
 そこには豚と鶏、牛が納屋にそれぞれ隔離されていた。今の所、例の宮中から遣わされたと言う御役人は姿を見せていない。

「あんまり、近付くと妖怪に気付かれちまうだ。こっちの草むらに身を潜むのが一番だで……!」

 |茶鉄《さてつ》が手招きして、急いでそこに隠れる鳳凰院と歌人。暫く様子を窺う。

 すると……。

「くくく。本日の生贄はお前達で決まりだ。悪く思うな、寧ろ光栄に思え。お前達の命がここアヤカシエンパイアの『平安時代』を断ち切る糧になるのだ」

 そう言いながら御札を手に怪しい呪文を唱えようと合掌する、御役人。

「そうはさせないな」
「何奴!?」

 素早い身のこなしで、振り向いた矢先。そこに立っていたのは鳳凰院だ。

「勘違いするな。俺はあんたに降り掛かった呪詛を解く為にここまでやって来た。宮中から遣わされた御役人さんのね」
「ほ~う? あなたがここ数日、この農村で無駄な調査をしていた旅人さんですか。それで? 家畜変死事件の犯人は見つかりましたか?」
「まだそんな事をほざくのか。これはちょっと荒療治になりそうだね」

 もう既に家畜を殺した犯人は目の前にいる。すると、そいつは手にしていた御札から人外の呪文を唱え始めた。

 ――世の|理《ことわり》に滅 罪人に再会せし 裁きの刻限 迫り来る妖魔の 裂け目に|出《いずる》天国――

 五七五七七の和歌。意味不明な内容だが、これが呪詛によるものだとは理解出来た。確かに子供である|茶鉄《さてつ》にとっては人外の言葉だ。

「……ぐ! これが呪詛か! だがな、生憎俺はその程度の耐性は持ち合わせているんだよ!」

 次に仕掛けたのは鳳凰院だ。|UC《ユーベルコード》(WIZ)『精霊の祝福』(セイレイカラノゴホウビ)を発動する!
 敵の呪詛に精神を脅かされながらも、鳳凰院は自分に言い聞かせる。

「今は、目の前の事に集中……」

 そうでもしないと呪詛に精神を乗っ取られるからだ。

 |UC《ユーベルコード》『精霊の祝福』(セイレイカラノゴホウビ)は【1つの物事へ集中する行動】の継続時間に比例して、自身の移動力・攻撃力・身体硬度・勝負勘が上昇する。

「ほう。貴様、|猟兵《イェーガー》か。どうやって私の居場所を探り出し、正体を見破った?」
「それに大人しく答える程、俺はお人よしじゃないんだよね!」

 上昇した勝負勘と移動力を活かし、技能。野生の勘1と空中浮遊1を強化。敵の視界から一瞬で消え去る鳳凰院。

「消えた!?」
「俺はここだよ。灯台下暗しって言葉を知ってるかな?」

 敵の至近距離。懐に潜り込んだ鳳凰院はそのままアッパーカットでそいつの顎を強打。

「……がっ!?」

 必然的に呪詛は途切れ、何が起きたとでも言いたげに苦悶の表情を浮かべた御役人は気絶。勝負あった。

 *

 ――後日談。

 あれから村の家畜変死事件は起きていない。
 例の御役人は呪詛に操られていた為にそれを浄化させた鳳凰院は彼に罪は無いと説得するのに大変だった。
 そこは歌人と共に『御役人は祟りに遭っていた』と言う事で上手く纏められたから助かったものの……問題なのは、あの少年。|茶鉄《さてつ》だ。
 事件の全貌を見ていた|茶鉄《さてつ》が今度は自分達の事を怪しく思っていないか、気掛かりなのも事実である。

 だが、それは杞憂に終わる。

 村を後にした直後、|茶鉄《さてつ》が道のど真ん中に仁王立ちしてこう言った。

「……オイラ、全て見てただ! でも、旅人様は悪い人の様にはどうしても思えないだで。それに……」
「……それに?」
「オイラ、決めたんだ! いつか旅人さんみたいに強くなって村の皆を妖怪達から守ってみせるって。だから、ありがとうだで旅人様!」

 そう言って、|茶鉄《さてつ》は村へ帰って行った。
 思わず顔を見合わせた歌人と鳳凰院は軽く吹き出した。

「何とか誤魔化せた様ですね」
「いや、もしあの子が大きくなって|猟兵《イェーガー》や|UC《ユーベルコード》使いの平安貴族。歌人さんみたいな存在になったら……今回の事件。全てバレてしまうな」

 ハッハッハッハ♪ 愉快に笑う歌人と鳳凰院。

 果たして少年|茶鉄《さてつ》の将来はどうなるのだろうか?

 それは、誰にも分からない。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『化け雑色』

POW   :    隠し尾の一撃
【蜥蜴の如き尾】が命中した対象を切断する。
SPD   :    蜥蜴草子
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【手足の爪】の威力と攻撃回数が3倍になる。
WIZ   :    見様見真似の歌詠み
敵のユーベルコードを【和歌を書くための短冊】に呪文として記録し、戦闘終了まで詠唱で使用可能。敵を倒せば戦闘後も永続。

イラスト:佐鳥キヨ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●『平安時代』の危機
 アヤカシエンパイアにて歌人と行動を共にした|猟兵《イェーガー》達。
 そして遂に目的地である『歌枕』に辿り着く。
 条坊制の四角い区画に囲われたその中心部。立派な宮中内部。

「むむむ……! 戦闘準備は整いましたか? |猟兵《イェーガー》の皆様」

 その言葉に皆は頷く。一体全体どこから敵はやって来るのか?

「あれを……! 見て下さい! 守護聖人様」

 歌人が指差した先。そこは何もない空間で、気味の悪い音と共に少しずつ切り裂かれていく。

 グギリグギリグギリ……!

 これが――『妖の裂け目』!

「ふ♪ くくく! やはり|猟兵《イェーガー》を連れてきましたか。だが、どうでしょうか? 私達妖は既にこの宮中に潜んでいますよ」

 それを聞いた歌人はハッとして表情が強張る。

「……くっ! 何て卑怯な事を! |猟兵《イェーガー》の皆様。どうやら敵は宮仕えをする下級貴族。『|雑色《ぞうしき》』に化けている可能性があります!」

 『妖の裂け目』だけに集中してたら、痛い目に遭うだろう。奴等、妖は人に化けて既に解き放たれた。
 『歌枕』を詠み上げる歌人を守りつつ、この宮中内部から襲い来たる妖を退治して……最終的に『妖の裂け目』を閉じる事。

 戦いの幕は切って落とされた!
リカルド・マスケラス(サポート)
『正義のヒーローの登場っすよ~』
装着者の外見 オレンジの瞳 藍色の髪
基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地のNPCから身体を借りることもある
NPCに憑依(ダメージはリカルドが請け負う)して戦わせたりも可能

接近戦で戦う場合は鎖鎌の【薙ぎ払い】と鎖分銅の【ロープワーク】による攻撃がメイン
遠距離戦では宇宙バイク内臓の武装で【薙ぎ払い】や【一斉発射】。キャバリアもあります
その他状況によって魔術的な【属性攻撃】や【破魔】等使用

猟兵や戦闘力のあるNPCには【跳梁白狐】で無敵状態を付与できる
また、無力なNPCが大人数いる場所での戦闘も彼らを【仮面憑きの舞闘会】で強化して戦わせつつ身を守らせることも可能。



「正義のヒーローの登場っすよ~」

 基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地の他者から身体を借りることもあるリカルド・マスケラス(希望の仮面マスカレイド・f12160)。
 ダメージはリカルドが請け負うが他者に憑依して戦わせたりも可能。

「くれぐれも奴等の挑発に乗らないように。リカルド様、お気を付けて下さい!」
「わ~ってるっすよ。歌人、後ろに下がってろ。後は自分が片付けるっす」

 その言葉に歌人は静かに首肯。自分は『歌枕』を詠み上げる。

「わあああ~! 化け物が現れた!」
「きゃああああ……! 近寄らないで!!」

 既に宮中内は妖の存在を認知してパニック状態。リカルドは取り敢えずその内の一人の男に憑依。
 直ぐにオレンジの瞳に藍色の髪を宿した装着者の外見に変化した。

「フフフフフ……! 随分と芸達者な真似を。余裕ですねぇ~」

 ねっとりとした気味の悪い声音に負けじとリカルドもバイクに跨り声を上げる。

「こっちの台詞っす! 『|雑色《ぞうしき》』に化けた妖如きにこの『平安時代』を終わらせるつもりはないっすよ」

 颯爽と敵は至近距離に迫る。今、相手をしているコイツは『妖の裂け目』から出現した奴で間違いない。何せ、平安貴族の衣装を着ていないからだ。
 床、壁、天井。家屋内の地形を利用して敵はまるで|三角形《トライアングル》を模した戦法で移動。
 リカルドからの攻撃照準を乱れさせ、更に自分は『蜥蜴草子』と呼ばれる【手足の爪】の威力と攻撃回数が3倍になる素早さが肝の連続攻撃を仕掛けてくる……!
 だが、それだけじゃない。室内にある壺や掛け軸、観賞用の飾り薙刀、宝剣。ありとあらゆる物品を一瞬、一瞬の移動の度に掴んでは投擲。
 それら全ての速さ、威力共に――3倍! 一発でも喰らったら致命傷だ。
 唯、バイクに乗っていたリカルド。小回りや柔軟な瞬発力こそ通常の直立二足歩行には及ばないが、爆発的な機動力、スピードは圧倒的に上だ。
 次から次へと飛んでくる危ない物を機動力とスピードで避ける。壺等の陶器類やぶつかってもダメージは軽いと判断した物にはわざと最高速の車体にぶつけて猛追。

「チッ! 中々やるっすね。今度はこっちの番っす!」

 接近戦で戦う場合は鎖鎌の【薙ぎ払い】と鎖分銅の【ロープワーク】による攻撃がメイン。
 なぎ払い42で目の前に超高速で飛んできた危ない物をぶっ飛ばし、次の瞬間更に距離を縮めて近付いてきた敵を視界にロックオン!
 バイクの操縦席。その更に前面のフロント部分に乗っかってこようと仕掛けてきた奴の脳天にロープワーク65を駆使して絡め捕る……!

「ぐぎっ……!?」
「よ~し! 先ずは一匹ゲット♪」

 見事に絡め捕り、捕縛したそいつは運転の邪魔なので早々に鎖分銅の遠心力で後頭部を強打。お釈迦にする。
 そのまま運転を継続していたリカルドは瞬間、|停止《ストップ》。周囲を見渡す。
 他の|猟兵《イェーガー》や戦闘力のある平安貴族達には【跳梁白弧】で無敵状態を付与できる。

「さ、今は無敵のヒーロータイムっす。好きに暴れるといいっすよ」

 その内の一人に憑依。これに対しリカルドは念道くらいしか出来ないが、代わりに全身を【ヒーロースーツに変え、主導権を装着者主体】に変える。
 あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。

 『無敵のヒーロータイム』――味方のヒーローショーがお面リカルドの|UC《ユーベルコード》によりお見事決まり、敵対勢力の妖達は次から次へと淘汰されていく。

「ぐっ……! やりますねぇ~」

 明らかに劣勢に立たされている妖。それでも余裕を見せているのは単なる強がりか秘策でもあるのか?

「こうなれば……こちらも手段は選ばないですよ?」

 『歌枕』を詠んでいる途中の無力な歌人や逃げ惑う宮中内の民に攻撃を仕掛けに行く妖。
 どうやら彼等彼女等を人質に取って、こちらの弱みを握る算段だ。

「まだまだっす! お痛はダメっすよ♪」
「フン! この状況下で今更何ができ……」

 そこに追い打ちを掛けるリカルド。こちらも単なる強がりではない。更なる秘策だ。

「さあ、楽しい宴の始まりっすよ!」

 また、無力な歌人や民が大人数いる場所での戦闘も彼らを【仮面憑きの舞闘会】(マスカレイドパーティ)で強化して戦わせつつ身を守らせることも可能。
 【狐面の分体を召喚して憑依させることで、】【周囲の自身のLv体までの対象に対し、】【リカルドの身体能力や技能】を宿し超強化する。
 強力だが、自身は『呪縛』、『流血』、『毒』のいずれかの代償を受ける。
 一度に沢山の人に憑依可能な半面、本体への負担は計り知れない。
 口元に流血を垂らしながら、それでもリカルドの戦闘意欲は衰えない。寧ろ闘志が漲っている。
 まるでこの死闘を心の底から楽しんでいるかのチャラ男。オレンジ色の瞳は色褪せない。

「……くっ! 何奴だ貴様!」

 遂に余裕を失い化けの皮が剝がれた妖。

「え? 唯の|猟兵《イェーガー》だけど?」

 律儀に答えるリカルド。妖にとってこの戦いは想定外。相手が悪すぎた。
 リカルドのその様子を見て初めて臆した妖はこの場において撤退した。それもその筈。数で仕掛けていったら逆に数で押され不利に立たされた。
 しかも【跳梁白虎】と【仮面憑きの舞闘会】(マスカレイドパーティ)はどちらもリカルドの身を犠牲にした荒技なのだ。
 周囲の平安貴族や|猟兵《イェーガー》達の単純な戦闘力が明らかに増している。
 その|頭脳《ブレーン》はお面のリカルド。
 敵が殆ど逃げ腰で退いたが、そこを突かない程リカルドはお人よしではない。
 遠距離戦では宇宙バイク内臓の武装で【薙ぎ払い】や【一斉発射】。キャバリアもあります。
 機銃の一斉掃射の如くミサイルが飛来。|猟兵《イェーガー》を相手にしている妖と言えど避けるのは至難の業だ。

「……ぐはぁ!」
「もういっちょ! いっとこうか~♪ イケるよな? 俺! イケるよな? 妖!」

 素の自分が飛び出したリカルドは油断が顔に出ていた。敵の妖がそれに抵抗出来る絶好の|機会《チャンス》を突いた!
 力任せの『隠し尾の一撃』……! 【蜥蜴の如き尾】が命中した対象を切断する。

 バシィ……! 確かに手応えはあった。勝利を確信した妖。だが、またも期待を裏切られる。

 切断した相手はリカルドではなく、下級貴族の『|雑色《ぞうしき》』に化けた妖。

「うわ! 不味ったっす。まだそんな余力を残してるとは吃驚♪」

 リカルドはとっさの判断で自身が|UC《ユーベルコード》で強化した他の|猟兵《イェーガー》や平安貴族達が倒した妖の肢体を床から拾い上げて盾にした。

「……」

 今度こそ討ち取れると確信しての悪足掻き。まさかまたもや数で攻めたのが仇となる――策士策に溺れるとはこの事か。

「……く! ここまでか。ならば私も切り札を出そう」
「へ~? まだ何かあるってのか妖! 自分も全力で応えるっすよ」

 その他状況によって魔術的な【属性攻撃】や【破魔】等使用するリカルド。だが、妖はこれまでとは異なる|雰囲気《オーラ》を纏い、怯む事無く短冊を手にし何かを書き記している。
 嫌な予感がしたリカルド。バイクに乗りつつ後退し、先程の言葉通り全力で応じる。
 先手を打ったのは、妖の方だった。あの謎の|雰囲気《オーラ》の正体は何なのか?

「くくくく。この状況を逆手にとってやりましょう♪」

 最後の切り札に余程自信があるのか、その妖は余裕を取り戻した。ゾクリ……! 背筋が凍るリカルド。
 何かヤバいモノが来る事はこれまでの|猟兵《イェーガー》の経験から理解出来た。だが、果たして何をしてくるのかはその目で見てみないと分からない。

 『見様見真似の歌詠み』――敵(リカルド)の|UC《ユーベルコード》を【和歌を書くための短冊】に呪文として記録し、戦闘終了まで詠唱で使用可能。敵(リカルド)を倒せば戦闘後も永続。

「これは厄介っすね……! でも、これこそ戦いの醍醐味っす。自分もここらでいっちょ、熱くキメるっすよ!」

 |UC《ユーベルコード》(WIZ)『猛狐十字焔』(プレイジングクロス)を発動!
 【ロープや壁、障害物等を蹴った反動の加速】から【燃え盛るフライングクロスチョップ】を放ち、敵及び周辺地形を爆発炎上させる。寿命を削ると、威力と範囲を増加可能。

 果たして妖の『見様見真似の歌詠み』が先かそれともリカルドの『猛狐十字焔』(プレイジングクロス)が先か?

 妖が短冊にリカルドの|UC《ユーベルコード》を書き記した直後。これまでの戦いでズタボロになった宮中内の床、梁、天上、壁の耐久力を信じて宇宙バイクで疾駆するリカルド。
 そして敵が呪文詠唱しようと口を開き、【跳梁白狐】を使用可能になるゼロコンマ2秒前にリカルドの『猛狐十字焔』(プレイジングクロス)、全身が【燃え盛るフライングクロスチョップ】が炸裂した!

 ズドーン!!!!!!!!!

 寿命を削る事はしなかったが、寿命が縮む思いで放ったその威力は凄まじく……やっとこさ妖との決着は付いた。討伐完了である。

「ふぅ~♪ 熱い一撃だったぜ! まあ、終わり良ければ全て良しだよな? 歌人~お前、『歌枕』は読み終えたか?」

 歌人の様子を見ると、未だ無心に『歌枕』を詠んでいる。
 まるでこれまでの戦い等無かったかの様な集中力。

「歌人……ある意味、お前が一番凄いかもな」

 ずで~ん! さすがに疲れたリカルドはその場に大の字で倒れた。勝利の余韻に浸りながら……。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイクル・エフジェイコペン(サポート)
猫っぽい舌足らず口調にゃ。こんにゃ感じで、末尾だけじゃにゃくて途中にも入れてほしいにゃ。めんどいならなくてもいいけど。
ちなみに機嫌悪い時は「に゛ゃ」って濁点入る感じにゃ。

正直状況とかよくわかってにゃいけどなんとなく気に入らない顔してるからぶっ殺すに゛ゃ。
パワーイズジャスティス。真正面から行っておもいっきり攻撃するのみにゃ。ユーベルコードは何使ってもいいにゃ。

基本はむちゃくちゃ猫かぶってかわいい子演じてるものだから、なるべくスマートに『せーとーはなれでぃー』的な感じで戦おうとするけど、むちゃくちゃ怒ったら地が出てむちゃくちゃ口が悪くなる。
「ぶっ殺おおおおおおす!●ぁぁぁぁぁぁっく!!」



「正直状況とかよくわかってにゃいけどなんとなく気に入らない顔してるからぶっ殺すに゛ゃ」

 戦闘中は基本、ぶっ●す――なアイクル・エフジェイコペン(クロスオーバー三代目・f36327)は1メートルに満たない肢体を仰け反らせ仁王立ち。キレッキレのオラオラオーラである。

「宜しくお願いしますよ、アイクル守護聖人様。私は今から『歌枕』を詠み上げますので……え~と。大丈夫ですか?」

 小さなアイクルの肉体からは想像も出来ない謎の威圧感を感じ取る歌人。てゆーかコレってもしかして殺意? あの少女の背後に『鬼』が見えるのは気のせいか。

「だ、大丈夫にゃ♪ あたし頑張るにゃん❤ 歌人さん、あなたはすぐ『歌枕』に集中して欲しいにゃ!」
「わ……っかりました~。戦闘と護衛はお任せします!」

 歌人は予定通り『歌枕』を詠み上げ始める。今、宮中内は大混乱に見舞われている。
 そして、アイクルと『妖の裂け目』からやって来た何匹もの妖。所謂『化け雑色』と対峙する。

「ウフフフ。相手は|猟兵《イェーガー》と言えど、まさか幼児をこの手に掛ける事になろうとは……。果たして勝負になるのかどうか?」
「ぶっ殺おおおおおおす! ●ぁぁぁぁぁぁっく!!」

 基本はむちゃくちゃ猫かぶってかわいい子演じてるものだから、なるべくスマートに『せーとーはなれでぃー』的な感じで戦おうとするけど、むちゃくちゃ怒ったら地が出てむちゃくちゃ口が悪くなる。
 アイクルの背中には天使の羽……であれば良いものの、歌人の見えた『鬼』は気のせいじゃなかったのだ。

「クックック。さて、威勢だけは良いお子様をどう料理してあげましょうか」
「パワーイズジャスティス。真正面から行っておもいっきり攻撃するのみにゃ。ユーベルコードは何使ってもいいにゃ」
「……ほほう?」

 次の瞬間、妖の目の色が変わった! 遂にバトル開始である。

 ――シュタッ! と、床を蹴る音がした。

 消えた……! いや、跳躍して一瞬視界からその姿形が見えなくなっただけだ。

 当然、そんな事朝飯前で理解しているアイクルは単純に顔を天井に向け視界を上げる。首だけ動かし、視野に入ったのは妖の尻尾……!

「その度胸と気迫だけは敬意を表します。ですが、死ぬのはあなたの方です」

 空からの奇襲。力尽くの『隠し尾の一撃』は【蜥蜴の如き尾】が命中した相手を切断しに掛かる!

「そ・れ・は……こっちの台詞だに゛ゃあ――――――!!!!!」

 |UC《ユーベルコード》(POW)『びったんびったん』――レベル×1tまでの対象を【尻尾や足】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。

 バシィ……! と、渾身の一撃を浴びせたつもりだった。妖は意表を突かれる。
 敵であるアイクル目掛けた【蜥蜴の如き尾】の攻撃を易々と両手で受け止めてアイクルは腕を固定しガッチリと|保持《キープ》する。

「……な!? その華奢な体のどこにそれだけの力があるのですか」
「んなもんお前の知る事じゃない……に゛ゃあ! ぶっ殺おおおおおお――――す!!!」

 一見すると適当な事言ってるかもしれないが、よくよく考えたら至極妥当な答え。
 だが、この小さな力持ちアイクルはんな事気にも留めずに鬼の形相で敵を鶯張りの床に叩き付けた。何度も。

 びった~ん! びったんびったんびったん!!!

「ふげっ! ごふっ! ひでぶ! や、め、て……!」

 これ以上やったら床がぶっ壊れる。その辺の配慮を考えてもいないアイクルは妖の要求通り、そのまま小さな肢体を捻って野球選手のバッティングフォームの様に綺麗な|型《ポーズ》を取り敵をぶん投げた!
 ちなみに機嫌悪い時は『に゛ゃ』って濁点入る感じにゃ。とは、彼女談。これまでの経緯から如何にアイクルがブチギレていたのかが良く分かる。
 しかし、妖の『化け雑色』も負けてはいない。ぶん投げられた途中でくるりと反転、シッカリと壁に四肢を着地させて見せた。さっきまでのダメージが嘘の様な曲芸である。

「に゛ゃ……!?」さすがに唖然とするアイクル。

「まだまだこれからですよ……!」

 お次は素早さを活かした『蜥蜴草子』をこちらは遠慮容赦なく発動してくる。アイクルの(ほんの砂漠の中の砂金一粒レベルな)フェアプレイ精神に対してあまりにも卑怯な常套手段である。
 さすがは敵さんだ。だが、ここで終わるつもりは毛頭ないのはアイクルも同じなのだ。
 『蜥蜴草子』で主戦場の宮中の室内。戦うにはゲリラ戦を強いられる地形や壁。この狭いスペースにおいて元から置かれた物品や建造物を利用して戦う妖の【手足の爪】の威力と攻撃回数が3倍になった!
 まるで鎌鼬か五月雨だ。シュバシュバシュバ! っと、風切り音が空を裂いていく。

「フフフフ! 一撃でも喰らったら致命傷ですねぇ~?」

 だが、凄いのは決して妖だけではない。寧ろアイクルの方だった。
 彼女はその素早い連続攻撃を紙一重で全てかわしている。ブチギレているのに恐るべき集中力。判断を一つでも間違えれば妖の【手足の爪】に切り裂かれるのは目に見えている。
 更にアイクルは技能の対空戦闘52に切り替えた。空中を燕の様に素早く優雅に飛翔し、小回りの利くその肉体で身体能力をこれでもかと発揮!
 速度を落とさずに敵の攻撃を避けまくりながら、捨て身の一撃111の気を窺う。

「防戦一方ですねぇ~? どうしたんですか――」

 ガシッ!

 相手が余裕を見せている時が|好機《チャンス》。そう言わんばかりにアイクルは宙に浮いたまま、妖の足首を鋭い動体視力で引っ掴んだ!

「防戦一方? 上等だに゛ゃ! ここからがあたしのぶっ殺しコース! 殺戮タ~イムに゛ゃ……! どれを選ぶのかにゃ? 時間をくれてやるに゛ゃ♪」

 Aコース――怪力使ったぶん殴り崩壊観覧車♪
 Bコース――ぶん回し死ぬまでメリーゴーランド♪
 Cコース――スペシャル|UC《ユーベルコード》の絶叫マシン♪

「……く! なんて奴だ。私の『蜥蜴草子』の攻撃を全て避けるなんて……!」

 やっとこさ化けの皮が剝がれた妖は本音を吐露。

「はい、タイイイムアップ! 迷ってるそんにゃあなたにはABC豪華フルコースをプレゼントだにゃあ♪」

 開始3秒も経たない内にタイムアップ宣言。そりゃそうだよね。最初から敵に時間を与える程世の中甘くないんだよね。
 アイクルの背中に天使の羽……ではなく『鬼』が舞い降りたのを確かに見た妖。あーあ可哀想。

「はい先ずはAコオオオオオス! ぶっ殺おおおおおす!」

 Aコースは技能――怪力133を使ったぶん殴り崩壊観覧車♪
 どこ等辺が観覧車なのかは良く分からないが、兎に角さっきの捨て身の一撃の気を窺っていたアイクルの怪力を活かした崩壊するまでぶん殴り放題なのは間違いない。

 ビシ! バシィ!! ドゴォ!!!

 下から上へ。敵の急所を的確に突いて行く。Aコース――怪力を使ったぶん殴り崩壊観覧車。
 なるほどその所作は回る様にリターンして同じ場所をぶん殴り放題。崩壊観覧車である。

「グホォ! ハグぅ!! ウオェ~!!!」

 妖の悲痛の叫びが宮中内に響き渡る。もうなんかアイクル怖い。

「はい次~♪ Bコオオオオオス! ぶっ殺す! ぶん回し死ぬまでメリーゴーランドの回だに゛ゃあ~!!!!!」

 死の瀬戸際を彷徨う妖の手首を引っ掴んでメリーゴーランドの要領でグルグルぐるぐる何度も遠心力を活かした回転♪
 そして最後に手を離した。
 当然、豪快にぶっ飛んでいく妖。そのまま壁に衝突!

 ずど~ん!

「ゴホ……! コホコホコホ!」

 パラパラと零れ落ちる砂埃の煙で咽る妖。そして最後に待っているのは……。

「ぶっ殺おおおおおおす! ふぁあああああああっく!! ……(検閲)」

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『正統派なレディの大激怒』(セイトウハナレディノダイゲキド)――【せーとーはなれでぃとは思えないような罵倒】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。

 謎めいた歌をハミングしながら花畑の中を歩いていた妖になんかの歌をハミングしながら現実の戦いですっかりボロボロになった宮殿の一区画で、一歩また一歩近づいて来る『鬼』=アイクル。
 その殺気で妖は目が覚めたが、時既に遅し。周囲にいた妖達も含めた全員に|爆弾《ダイナマイト》攻撃を仕掛ける!

 ズドド―――――ン!!!!!!

「……!」
「さすがに死んだかにゃ?」

 そう思い、瓦礫の山と化した宮中内部で敵から背を向けたアイクル。だが、その時!
 ガバッ! と、妖が立ち上がる。

「にょ?」

 まだ戦えるのかと、さすがの『鬼』=アイクルも中々タフな奴だにゃ。と思ったが、その心配は杞憂に終わる。

「な、めるな……よ! 小娘。わ……たしはまだ、や・れ・る!」

 |UC《ユーベルコード》――『見様見真似の歌詠み』で短冊を手にした妖。アイクルの|UC《ユーベルコード》を盗もうとしたが……。

 トスン……。アイクルの軽い腹パンで遂に崩れ落ち、力尽きた。

「やり過ぎです。アイクル様」

 振り向くと、瓦礫と化して何とか奇跡的に部屋の形成を保ってる宮中内で『歌枕』を詠み終えた歌人が唖然としていた。

「だって~あいつが先に仕掛けて来たんだにゃ! 自業自得にゃん?」

 てへ♪ と、猫っぽい舌たらず口調でかわい子ぶりっ子しても最早後の祭り。だが、歌人はその暴虐無人っぷりの強さに惹かれたのか妙な事を言い出した。

「どうやったらそこまで強くなれるんですか? もしかしてその猫口調に秘密が隠されているのでは……是非ともご教授下さい師匠!」

 いきなり弟子志願者が現れた。だが、『師匠』と呼ばれるのもそう悪くない。少なくとも『鬼』よりはマシだ。
 アイクルは珍しく上機嫌になり、歌人にレッスンを開始♪

「猫っぽい舌足らず口調にゃ。こんにゃ感じで、末尾だけじゃにゃくて途中にも入れてほしいにゃ。めんどいならなくてもいいけど」

 ……何だコレ?

 さっきまでの戦いが嘘の様に平和な光景が繰り返された。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳳凰院・ひりょ
相手の手札は『こっちのUCのコピー』か
少々厄介だな

指定UCの効果により手持ち護符へ【影の追跡者の召喚】と【邪念を断つ】を装填

護衛対象の周囲へ警戒の為に防御結界を形成
俺のオーラも纏わせた結界なら、多少は敵の攻撃を防ぐ事も出来る
また、相手が気配を消して強襲してきた際にも
護衛対象に最接近する前に俺の結界に進行を阻まれるはずだ

敵への対抗策だが
一度目視が出来れば【影の追跡者の召喚】での追跡は可能だ
護符での遠距離攻撃にマヒ攻撃を付与して敵の動きを阻害しつつ【邪念を断つ】で敵の邪念をまず絶ち、弱体化を図ろう
万一指定UC及び装填UCをコピーされても、俺なら対処可能だ
邪念も邪念の塊ともいえる妖に比べれば…、ね



「相手の手札は『こっちのUCのコピー』か少々厄介だな」

 敵である妖の『見様見真似の歌詠み』に警戒心を露わにしたのは鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)だ。
 農村での事件を一件落着に解決し、歌人の護衛をしながら遂に目的地である『歌枕』に辿り着いた。
 その場所は立派な条坊制に築かれた宮中内部。
 問題の『妖の裂け目』が遂に破け、そこから妖達が湧いて出てくる……!

「クヒヒヒヒヒ……! 見~つけた♪ 我々の邪魔をする愚民どもよ」

 妖の正体。それは蜥蜴の様に全身が鱗で覆われたオブリビオン!
 しかし、その中には拙いながらも和装を施し、宮仕えの下級貴族『|雑色《ぞうしき》』に化けた妖もいた。
 それなりに知性が回る。このままでは不味い。小賢しい手だが、この宮殿内部には戦えない民もいるのだ。

「鳳凰院守護聖人様……! 頼みます。私は『歌枕』を詠み上げますのでその間に!」
「分かってる! 奴等を蹴散らして、『平安時代』を守ってみせるさ。だから歌人さんは気にせず平安結界の修復に専念してくれ……!」

 鳳凰院はその言葉を吐くと同時に護衛対象の周囲へ警戒の為に防御結界を形成。
 また、相手が気配を消して強襲してきた際にも護衛対象に最接近する前に俺の結界に進行を阻まれるはずだ。

 バチリ……! いきなり背後から攻撃を受けた。
 どうやら宮中内部に潜んでいた下級貴族の『|雑色《ぞうしき》』に化けた妖が鋭い爪で手刀をかましたみたいだ。

「ほほう♪ これはバリアですかねぇ~?」

 余裕を見せる『|雑色《ぞうしき》』に化けた妖。果たしてそれは単なる強がりか否か?

「俺のオーラも纏わせた結界なら、多少は敵の攻撃を防ぐ事も出来る」

 危なかった。後、数秒でも遅れていたら……全く予想だにしていないダメージを受けた所だろう。
 正直、数では奴等の方が優勢。これが単純な1対1なら、ここまで警戒する必要も無い訳だが。
 問題は敵は一人ではなく、宮中内部の至る所に出没する危険性を孕んでいる。
 守っている歌人が結界を修復させて、更にあの『妖の裂け目』も塞いでしまえば……この劣勢を覆す事が出来る。

「チッ! 少しは楽しめそうだね」
「あなたのその自信に満ちた眼……気に入りませんね。今こそ絶望の色に染め上げてみせましょう。奈落の底の様な、どこまで這い上がっても二度と戻れない闇の中に」

 敵の不意打ちから始まった戦闘! そして周囲には他の|猟兵《イェーガー》や突然の出来事でパニくっている宮中内の民。そして『歌枕』を詠む歌人がいた。
 このまま敵の勢いに呑まれたら不味い。例の|UC《ユーベルコード》『見様見真似の歌詠み』を何とかして防ぐ為にもその打開策を講じる!

「力よ、我が護符に宿れ!」

 颯爽と鳳凰院は|UC《ユーベルコード》(WIZ)『精霊力の装填』(セイレイリョクノソウテン)を放つ。
 その効果は自身のユーベルコード5つを装備中の【精霊の護符】に籠め、24時間、行動毎に[精霊の護符]から2種類づつ発動できる。
 この指定UCの効果により手持ち護符へ【影の追跡者の召喚】と【邪念を断つ】を装填。

「ほ~う? 一体何を企んでるのかねぇ~?」
「それはこっちの台詞だね」

 妖が直ぐに距離を詰めて来る! 地を蹴り、壁を蹴り、天井すらも蹴って何度も空中戦を仕掛ける。
 それは『蜥蜴草子』によるスピードを活かした|UC《ユーベルコード》で戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【手足の爪】の威力と攻撃回数が3倍になる。

「フヒヒヒヒ……!」
「くそ!」

 防戦一方になる鳳凰院に対し、かなりの速度で攻撃を放ってくる妖。このままだと強力な一撃をお見舞いされるのも時間の問題だ。
 敵への対抗策だが、一度目視が出来れば【影の追跡者の召喚】での追跡は可能だ。しかし、この素早い相手を目視するのに一苦労なのも事実だった。
 ガードで両腕を上げた際、敵が一瞬視界から消えるのだ。まるで瞬間移動をしているかの様に。それが鳳凰院にとってネックだった。
 何とか攻撃を凌ぎつつ、|機会《チャンス》を窺う鳳凰院に対し、敵である妖も|機会《チャンス》を狙っていた。それが今だと言わんばかりに。

「そんな頑なに守備に専念されるとつまらないですね! そろそろ死んで貰いましょう……♪」

 敵は力技に打って出た。『隠し尾の一撃』――【蜥蜴の如き尾】が命中した対象を切断する。だが、その時こそ鳳凰院にとって恵まれた|機会《チャンス》だった!

「死ね!」

 明らかに油断から来た慢心。
 『隠し尾の一撃』はその攻撃力は確かだが、一瞬態勢を整える為に隙が生じる。
 それを黙って見過ごす程、鳳凰院は甘くない。
 シッカリと敵をその眼で捉えた直後、【影の追跡者(シャドウチェイサー)】を召喚する。
 それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
 更に技能の落ち着き2と見切り11、オーラ防御2に残像1を駆使。

「ははっ! さあ、どうする? 妖とかげさん♪」

 次に余裕を見せたのは鳳凰院の方だった。だが、それは油断でも慢心でもない。敢えて挑発する事で【影の追跡者(シャドウチェイサー)】の存在を覚らせない為の策だった。
 云わば口撃である。
 そんな中、敵の態勢が整う。

「く……ガキが調子に乗るな!」

 妖の一撃。【蜥蜴の如き尾】の大振りな攻撃が確実に鳳凰院を捉える! どうやら敵さんは【影の追跡者(シャドウチェイサー)】に気付かず頭に血が上る。
 最初の作戦成功。しかし、敵の尻尾による攻撃は目前! 鳳凰院は先程の技能と連携。遊撃1と吹き飛ばし1を追加した。

 バシ―ン! と、鳳凰院の遊撃と尻尾が同時にぶつかる。強烈な相殺音がして、鳳凰院はニヤリと微笑み、妖は苦い顔をした。
 そのまま鳳凰院の吹き飛ばしで二人は大きく距離を取った。

「退くのだけは得意の様ですね。一体どこまで逃げるのですか?」
「勝つまで逃げるんだよ。『逃げるが勝ち』って言葉の意味を知らないのかな?」
「ならばこちらは捕まえるまでだ!」

 やっとこさ妖と1対1の局面を作った鳳凰院。敵は怒りで周りが見えていない。
 今度は護符での遠距離攻撃にマヒ攻撃を付与して敵の動きを阻害しつつ【邪念を断つ】で敵の邪念をまず絶ち、弱体化を図ろう。

「クックック! 地獄の鬼ごっこの始まりですね~♪」

 敵である妖が動き出す。先程のミスから学習し空中戦による戦術ではない。シンプルに正面突破を図り徐々に距離を縮めて来る!

「やっぱりそう来るか! でも……」

 幾つかの護符を投擲。それをかわそうとする妖はすぐさま身構えた! 唯、その時――

 ガシィ! と、何者かに背後から羽交い絞めに遭う妖。予想だにしない出来事。一体何が起きた?

 答えは先程放った【影の追跡者(シャドウチェイサー)】だ。
 鳳凰院の五感と共有連携してこの戦いの最中。ずっと敵である妖の背後から追跡していたのだ。

「こ、この状況で敵がもう一人? 確実に一対一だと思っていたのですが……」
「捕まえた。鬼は俺の方なんだよね。さてここから反撃開始だ!」

 投擲された護符が身動きの取れない妖の肉体にズバズバ! と、突き刺さる。
 そこで【影の追跡者(シャドウチェイサー)】との五感共有を止めて、|UC《ユーベルコード》『邪念を断つ』(ハマノイチゲキ)を発動する為に意識を切り替える鳳凰院。
 拘束が解かれた形となった妖だが、生憎自分の肉体に突き刺さった幾つかの護符にマヒ攻撃が付与されていた。全身がピリピリする痛覚に表情が険しくなる。
 これにより、鳳凰院に更なる好機が訪れた。
 敵がマヒで思う様に動けない中、|UC《ユーベルコード》『邪念を断つ』(ハマノイチゲキ)を使う時間はたっぷりある。

「その身に宿る邪を断ちます!」

 【霊力】を籠めた【退魔刀】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【邪心】のみを攻撃する。

 グオオオァァアアア……! 悲痛な叫び声だけを残し、敵対していた妖は倒れた。
 だが、敵は一体だけではない。最初の不意打ちの時の様にまだこの宮中のどこかに平安衣装を着込んだ妖が潜伏している。

「歌人さん! 『歌枕』は詠み終えたかい?」
「……もう少しです。鳳凰院様は残りの連中を!」

 その時。つい今し方妖を退治した鳳凰院の背後から見えない何者かが、がしっ! と羽交い絞めにして来た。

「これは……まさか俺の|UC《ユーベルコード》【影の追跡者(シャドウチェイサー)】か!?」
「フフフフ♪ 先程の戦い。じっくり見ていましたよ? 見事なお点前でしたねぇ~」

 どうやらもう一人の妖が『見様見真似の歌詠み』でこちらを覗き見ながら【和歌を書くための短冊】に呪文として記録し、遂に詠唱してきた!
 だが、こちらも|猟兵《イェーガー》だ。そんな事は想定内。寧ろ、この局面を打開する策を講じるのに頭が冴え渡る……!

「万一指定UC及び装填UCをコピーされても、俺なら対処可能だ」
「強がりは止して下さい♪ それは貴方のここでのこれまでの戦い。その美学に反するのでは?」
「美学? 冗談止してくれ。俺はこの『平安時代』を守る為にやって来たんだよね。それを破壊する妖どもが美学を語るな」

 他に戦っている仲間達を支え、共に戦い抜く為にも鳳凰院の存在は大きい。

 邪念も邪念の塊ともいえる妖に比べれば……、ね。

 そして|戦《いくさ》は加速していく!

成功 🔵​🔵​🔴​

東・御星(サポート)
御星「さあ、美結行こうか!遅れないでついてきて!」
「今日を明日に変える事さえ欲望だよ?」
美結「はい、御星さん!ふふ、大好きです。」
「空間把握と電脳であれば私の分野です」
御星と美結、2人で1人の猟兵です。婚約しています。
元々美結は統制機構の一般人でしたが御星によって猟兵となりました。
欲望は生きるエネルギーと概ね肯定する姿勢を持ち、強敵に対し窮鼠即ち猫を噛むという戦闘スタンスです.
基本は全射撃装備による三次元一斉射撃が主戦術で、近接戦もこなせます。現実でも等身大や巨大戦に使える電子戦闘体にデータ化して2人で乗り込みます。
UCは選択したものを使用します。
あとはおまかせです。



「さあ、美結行こうか! 遅れないでついてきて!」
「はい、御星さん! ふふ、大好きです」

 生き生きと勢い良くこの『妖の裂け目』が生じた主戦場に躍り出たのは東・御星(破断創炎の閃鋼・f41665)。
 それと『2人で1人の|猟兵《イェーガー》』を営むパートナーの美結。

「頼みますよ。二人で一つの|猟兵《イェーガー》……守護聖人様! 私が『歌枕』を詠み終えるまで、出来るだけ多くの妖を退治しちゃって下さい! 護衛もお願いします!」

 歌人は東(と美結)に護衛と妖退治の手伝いを依頼し、自分は早速『歌枕』を詠み上げ始める。

「……あの女。もしかして|単独《ひとり》ではない? これは、厄介ですねぇ~♪」

 ペロリと妖は蜥蜴独特の長い舌を出しては引っ込めた。中々、勘の鋭い妖である。
 御星と美結、2人で1人の猟兵です。婚約しています。
 元々美結は統制機構の一般人でしたが御星によって猟兵となりました。

「今日を明日に変える事さえ欲望だよ?」

 ――と東が言えば、

「そうだよね☆ 今は目の前の小さな目的に集中だね♪」

 ――と美結が意気揚々に答える。この|二人《コンビ》の息はピッタリだ♪

「小さな目的……と、仰いましたか?」

 額にビキリ……! と、青筋を浮かべる妖。冷静沈着で逆に敵対する相手を挑発する側の妖が珍しくキレた。

「うわあ……。どうやら私達、敵の逆鱗に触れたみたいだよ? 美結」
「うわあ……。どうやら私達、敵さんの逆鱗に触れちゃったみたいだよ! 御星さん」

 東と美結は直ぐに警戒し、戦闘モードに入る。
 二人の欲望は生きるエネルギーと概ね肯定する姿勢を持ち、強敵に対し窮鼠即ち猫を嚙むという戦闘スタンスです。

「我々の意志を侮辱したな? 舐めるなよ……クソアマ――――!!!」

 一気に距離を詰めて来る妖。スピードを活かし、|戦場《フィールド》の地の利を活かした『蜥蜴草子』だ。
 堪忍袋の緒が切れる。怒りのリミッター解除した妖の『蜥蜴草子』は凄まじく、戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【手足の爪】の威力と攻撃回数が3倍になる。
 そこにブチギレた妖の逆鱗を上乗せすると、4倍にも5倍にも跳ね上がりそうだ。実際は3倍に収まっているが。

「……く! 凄い迫力! それと顔が怖い! でも、やれるよね? 美結」
「もちろんだよ! 御星さん」

 基本は全射撃装備による三次元一斉射撃が主戦術で、近接戦もこなせます。
 そこでまず東が構えたのは――装備している『ツーサイドロッドバレルVer.2.0』だ。
 硬質残光を動力とした可変式の魔法の箒です。サイズ・ガン・ブルームの三形態に可変。
 敵が接近中に素早くそれのエネルギー弾1を射出。妖目掛けて貫通攻撃2を仕掛け、ぶっ放す!

 ズドン! 強烈な銃声が鳴り響き、我を失っていた妖の脳天を吹っ飛ばした――

 ――筈だったのだが……。

「クヒヒヒ♪ ハッズレ~♪ ですが良い獲物をお持ちですねぇ~? お陰様で目が覚めましたよ」

 美結が電脳と管制を東が実戦を担当する。しかし、照準がブレたのか? 2人のコンビネーションも虚しく空を穿つ。

「……美結? これはどういうことなの」
「たぶん、あの妖さん……敵の動きが私の予測を上回ったんだよ! さすがだね♪」

 初回から敵の逆鱗に触れるにはまだ早い。戦闘開始序盤から飛ばし過ぎたみたいだ。
 リミッター解除した妖。その動きはまるで姿が幾重にも重なった分身の術。

「空間把握と電脳であれば私の分野です。間違いないんだよ!」
「へぇ~。妖、やるね! 美結の電脳でさえも凌駕するなんて……!」
「余程ご機嫌を損ねちゃったんだね♪ でも、次は負けないんだよ!」

 もう既に敵。妖のデータは採取した。後は東が実戦にそれを活かし、その|補助《サポート》を美結が見事にやってのければ完璧だ。
 だが、本当の戦いはここからなのも事実だった。この妖。『化け|雑色《ぞうしき》』は頭が回る。寧ろ冷静に戻してしまったのは痛手とも言える。
 遊びは終わり。そこで、美結の指令で東は|UC《ユーベルコード》を展開する……!

「さあお姉さんお立合い。玲さん力を貸してよ! 氷炎龍睦ノ型・『玲』!」

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『氷炎龍睦ノ型・「玲」』(サラマンドラロクノカタ・レイ)の発動!

 東が中空に文字を書き【喜多嶋玲の変異した氷炎龍を召喚し】【それが用いる自身の無数の炎の幻の分身と】【あらゆるものを自在に映し偽物を作る氷の鏡】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。

 グオオオオオオンンンン!!!!!

 喜多嶋玲が変異した氷炎龍が突如出現し、咆哮を上げる。

「な、なんて巨大な……!」

 思わず後退る妖。一方、現実でも等身大や巨大戦に使える電子戦闘体にデータ化して東と美結は2人で乗り込みます。
 『氷炎龍睦ノ型・「玲」』(サラマンドラロクノカタ・レイ)に乗り込んだ東と美結はその巨大ドラゴンの背に跨り、司令塔と化す。その|脳《ブレーン》はもちろん美結だ。

「……く! こちらとて負ける訳にはいかない! 一気に片を付けましょう!!!」

 すると、この宮中に潜んでいた『化け|雑色《ぞうしき》』達が数で攻めて来た! 質よりも量だとでも言わんばかりに『隠し尾の一撃』――【蜥蜴の如き尾】が命中した対象を切断しに掛かる!
 だが、『無数の炎の幻の分身』そして『偽物の姿を映し作り出す氷の鏡』が幾体もの『氷炎龍睦ノ型・「玲」』(サラマンドラロクノカタ・レイ)を生み出し、その敵。妖達を蹂躙する。
 こちらも質よりも量。だが、その差は明白だ。数匹もの蟻が幾体もの巨象を敵にする様なもの。

「やっぱり美結の方が一枚上手なのね」
「ふっふっふ! その通りだよね☆」

 次から次へと淘汰されていく妖達。そして、最後の一人。
 最初に対峙していた妖が切り札を出す。賢さを活かした『見様見真似の歌詠み』で、この東と美結の|UC《ユーベルコード》を盗もうと物陰に隠れながら機を窺い【和歌を書くための短冊】に呪文を記録し、詠唱する。
 だが、相手が悪過ぎた。東と美結の2人がそんな隙を与える筈も無く……詠唱途中で炎と氷の化身『氷炎龍睦ノ型・「玲」』(サラマンドラロクノカタ・レイ)の餌食になる。

「「いっけぇ――――♪」」東と美結の掛け声が重なる。

 ズドーン……!!!! と、巨大ドラゴンに乗り込んだ東と美結の2人は豪快に決着を付けた。

 *

「正直に言いましょう。やり過ぎです……御星様と美結様。この宮中をぶっ壊すつもりですか?」

 『歌枕』を詠み終えた歌人が軽く皮肉気に窘める。
 終わってみれば、最初こそ危うく苦戦したが、ラストはもうやりたい放題だ。

「……えと、う~ん。やっぱりやり過ぎなのね。でも、指示したのは美結なのよね?」
「あ、そんな事言っちゃうんだ御星さん! だったらこっちだってあるんだよね☆ 実際に戦ったのは御星さんなんだよ!」

 こんな所で夫婦喧嘩されても困るな。未だ小競り合いを続ける両者。東と美結の様子を見て、思わず吹き出してしまう歌人。
 ここは『平安時代』で『妖の裂け目』も塞いだ。まあ、平和を取り戻せたのは良い事だ。

 終わり良ければ何とやら。唯、この二人組のイチャイチャした戦いは当分終わりそうもない。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴乃宮・影華(サポート)
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です

かつての様にイグニッションカードを掲げ
「――|起動《イグニッション》!」で各種装備を展開
友人から教わった剣術や
体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用

TPO次第では
キャバリアの制御AIである『E.N.M.A』が主体となるユーベルコードを使用したり
『轟蘭華』や乗り物に搭載した重火器をブッ放したり
「|神機召喚《アクセス》――|起動《イグニッション》!」からのキャバリア召喚で暴れます

例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかけるような行為はしません
不明な点はお任せします



「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
「おお……! |猟兵《イェーガー》の守護聖人様!! 助かります!」

 物静かな女性。鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)を歌人は大歓迎した。

「銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です。それで……歌人さん? 状況は?」
「既に『妖の裂け目』は解き放たれました。この宮中内の至る所に妖は『化け|雑色《ぞうしき》』の下級貴族に変装しています」
「……なるほど。確かに」

 周囲を見る。すると、他の|猟兵《イェーガー》達が歌人を守りながら妖軍団と派手に戦っている姿が見受けられた。

「このTPO次第では……キャバリアの制御AIである『E.N.M.A』が主体となるユーベルコードを使用したり『轟蘭華』や乗り物に搭載した重火器をブッ放したり、色々出来ますね」
「鈴乃宮様。私はこれから『歌枕』を詠み上げます。その間に敵を殲滅して下さい。派手に戦っても構いませんが……せめて建物の原形は出来るだけ保つ様に努めて下さいね」
「ふふ……分かっています。例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかけるような行為はしません。歌人さん、あなたは安心して『歌枕』に集中して下さい」

 ……と、その時だ。早速敵さんが襲い掛かって来た!

「フフフ! 随分と余裕ですねぇ~♪ この戦場と化した宮中内で悠長に世間話ですか……! そこの眼鏡の巨乳お姉さん、直ぐに地獄から解放してやりましょう」

 その言葉の意図する所は『死』の世界への招待。妖の殺害予告である。
 ビキリ……! と、こめかみに青筋を浮かべた鈴乃宮。

「……何か、言った?」

 かつての様にイグニッションカードを掲げる鈴乃宮。既にキレています。

「ええ! 言いましたとも……! 何度でも言いましょう。あなたと歌人を殺します」

「――|起動《イグニッション》!」で各種装備を展開する鈴乃宮。既にキレています。

 そこに追い打ちを掛ける様に力技『隠し尾の一撃』で攻撃してくる妖! 命中した対象を切断する【蜥蜴の如き尾】である。

 ズバッ……!

 しかし、切断されたのは鈴乃宮――ではない! 長剣『黒の葬華』を展開し友人から教わった剣術を遠慮容赦なく披露。左手に持ったその物騒な代物で奴の【蜥蜴の如き尾】を斬る。

「ギャアアアアアアア―――――!」

 苦痛にのた打ち回る妖。しかし、鈴乃宮は勝利を確信した微笑みも怒りの境地に達した鬼の形相も無い。ひたすら眼鏡の奥に隠された無表情で敵を見つめる。

「あらまあ……とかげの尾を斬ってしまったわ」
「フフフ♪ 敵は一人では無い事をお忘れでは?」
「|神機召喚《アクセス》――|起動《イグニッション》!」

 瞬時の判断からのキャバリア召喚で暴れます。
 敵は『蜥蜴草子』でこの宮中内の地形、物、建造物を利用して戦うと、【手足の爪】の威力と攻撃回数が3倍になる。
 ……そうだった。背後から妖の声がしなかったら危なかった。敵は複数潜んでいる。この宮中内のどこかの至る所に。

「確か歌人さんの要求は……建物の原形を保つ程度。それさえ守れば何やっても良いのでしょう」

 キャバリア召喚した鈴乃宮はその機体の|操縦席《コックピット》に乗り込み、予定通り制御AIの『E.N.M.A』を主体とする|UC《ユーベルコード》を使う!

「『E.N.M.Aから勅令――光あれ』」

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『fiat lux』(フィーアト・ルクス)――【召喚or搭乗したキャバリアの五指】から【戦艦の主砲級の破壊光線】を放ち攻撃する。
 その後、着弾点からレベルm半径内が、レベル秒間【漆黒の闇すらも光に変える超発光】状態になる!

 ズドン! ズドン! ズドーン!!!

 宮中内に潜んでいた妖達。|標的《ターゲット》一体一体を確実に|索敵《サーチ》し、ロックオン! 破壊光線が辺り一帯を蹂躙し、消し炭に変える。
 超発光が眩く戦場を照らし出した。それにより敵の発見がより容易くなる。そこに『轟蘭華』で搭載した機銃を浴びせる!

 タパパパパパ……!! 逃げ惑う妖達の悲鳴が彼方此方で発生し、仕留められすぐに消える。

 もうなんか本当の戦場と化した。それでも歌人達には一切ダメージを与えていないのが逆に恐ろしい。

「さて……と。キャバリアで妖掃除するのも飽きてきましたね。最後の後始末はこれでいきましょう」

 |UC《ユーベルコード》(WIZ)『黒燐幻想劇弾・封神大戦』(イマジンファース・ホウシンウォー)――【『黒匣』の中のミニ封神台】に自身の血液を1~100%捧げ、戦場を怪物蠢く【メガリス『封神台』内部を再現した仮想】の迷宮に変える。迷宮難度は捧げた%に比例。

「彼の力を以て世界を欺く――ようこそ、死の世界へ」

 各種装備を展開。友人から教わった剣術やキャバリア召喚で大暴れした後は、体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用。
 ミニ封神台に捧げた血液は50%程。直ぐにこれまで自身が築き上げてきた戦場の宮中内が怪物蠢く迷宮に変化。

 やめろ! やめてくれえええええ!
 ……ぐぎゃあああああ!

 迷宮の彼方此方で怪物に襲われ逃げ惑う妖達の叫び声が聞こえてくる。……断末魔だ。

 こうして、歌人が『歌枕』を詠み上げる間……ずっと背景のBGMとして妖達が殺られる悲鳴だけが無情に響き渡った。

 一番怒らせてはいけないのは『妖の裂け目』から来た『化け|雑色《ぞうしき》』ではなく――

 ――他でもない。鈴乃宮である事は間違いない♪

成功 🔵​🔵​🔴​

風薙・澪(サポート)
戦闘は剣、ポンプアクション散弾銃、魔法を主に使って戦う。
近距離は剣、中距離は銃、遠距離は魔法が主な攻撃手段だが、
状況に応じて距離に拘らず扱う時もある。
概ね敵の数が多いときは身体強化魔法を利用し剣、銃で止めを刺していく

剣も銃も基本は両手で扱う為、右手に剣、左手銃のような二刀流的なことはほぼしない
剣は両手持ちではあるものの軽快に扱い、フットワークを軽くして戦う

銃はほぼ9粒装弾の散弾を使っているが、対象を打ち抜けないときなどはスラッグ(一粒弾)も使う
いずれにせよ射程はあまり長くない
弾倉はチューブマガジンで後入先出。(最後に込めた弾薬が最初に撃ち出される)



「あの『妖の裂け目』……だっけ? あそこから出てくるのが下級貴族『|雑色《ぞうしき》』に化けた妖なのかしら?」

 何だか緩い感じでこの宮中内の様子を探る風薙・澪(ウィザードウォーリア・f17869)はあくびを噛み殺しながら歌人に対し呟いた。

「ええ。そうです! 護衛と戦闘。頼みますよ……私は『歌枕』に集中しますので」
「はーい」

 戦闘は剣、ポンプアクション散弾銃、魔法を主に使って戦う。
 特に今回の様な|場合《ケース》。
 概ね敵の数が多いときは身体強化魔法を利用し剣、銃で止めを刺していくのを旨とし、戦闘では剣術を中心に、拳術、弓術、魔術、銃術とマルチにこなすオールレンジファイターになる。

「またしても|猟兵《イェーガー》が我々に殺される為にやって来ましたか♪ 何度やっても無駄と分からないのですか?」
「うっさいわね。それはこっちの台詞よ。あなたみたいなとかげさんに侮辱されたり貶されたりする程、私達|猟兵《イェーガー》は甘くはないって事体で分からせてあげるわ。覚悟しなさい」
「そうですか。残念です。少し大人しくしてれば……死なずに済んだものを!」

 ……!!

 唐突に戦闘は始まる。まずは敵の牽制ジャブ。力技の『隠し尾の一撃』――【蜥蜴の如き尾】による命中した対象を切断する攻撃。
 近距離は剣、中距離は銃、遠距離は魔法が主な攻撃手段だが、状況に応じて距離に拘らず扱う時もある。
 唯、今回はあくまでも集団戦。目の前の敵にだけ集中してたら背後から奇襲を受けていた――なんて事も想定しておく風薙。

 ガキーン! 剣の刃と妖の尻尾、その皮膚の表面に張り付いた硬い鱗がぶつかる音が宮中内に響き渡る。

 風薙が取り出した剣。それは氷魔剣【凍華】! 意匠を凝らした鞘の長剣。氷魔狼の牙が埋め込まれておりその名の由来の通り強い氷属性を備える。

「フヒヒ♪ やりますねぇ~。……む!?」
「気を付けなさい。このまま密着してたら尻尾から体ごと氷に侵されて全身氷漬けになるわよ?」

 そんな事を言ってる間も妖の下半身は完全に氷に侵食されていく。両脚をいくら踏ん張っても最早逃げ場は無い。宣告通り妖の氷の彫像が出来上がった。
 そいつを両手持ちの氷魔剣【凍華】の斬撃を浴びせ、バラバラにしてやった。

 パリ―ン!

「まずは一匹ってとこかしら」

 剣は両手持ちではあるものの軽快に扱い、フットワークを軽くして戦う。
 剣も銃も基本は両手で扱う為、右手に剣、左手銃のような二刀流的なことはほぼしない風薙。

「さて……そこのとかげさん? 私の|UC《ユーベルコード》を盗もうとしても無駄よ?」
「……ヒヒ!?」

 途中まで笑いながら機を窺っていた妖。どうやら風薙が戦っている最中に|UC《ユーベルコード》を使うと思っていたのだろう。
 『見様見真似の歌詠み』で【和歌を書くための短冊】を建物の陰で今か今かと準備していた。
 だが、それすらも看破される。既に風薙はそいつの居場所を戦闘開始直後から特定していたのだ。

「ク、クソ……!」

 中距離にいるそいつが戦闘態勢に入る前に素早く銃に持ち替える。
 その物騒な獲物は漆玖式散弾銃【雷光】! 意匠を凝らした装飾を施した散弾銃。チューブ弾倉で固定銃床付きのポンプアクション式だ。

 ズドン!

「グギ……!」
「残念だけどやらせないわよ」

 銃はほぼ9粒装弾の散弾を使っているが、対象を撃ち抜けないときなどはスラッグ(一粒弾)も使う。いずれにせよ射程はあまり長くない。
 弾倉は――最後に込めた弾薬が最初に撃ち出される――チューブマガジンで後入先出。

「これで二匹目。あ~もう! 面倒臭いわね。コソコソしてないで出てきなさいよ! 全員纏めて相手してやるわ」

 すると……三人の妖が風薙の周囲360度を囲んで現れた。さすがの|猟兵《イェーガー》である風薙もこれには虚を突かれた。

「仲間達の無念……晴らしてあげましょう」
「フヒヒ♪」 
「私達三人が『蜥蜴草子』をかませば奴とてひとたまりもありませんね♪」

 さすがにそればかりは不味い。

 そう覚った風薙は|UC《ユーベルコード》(POW)『三界祝聖』(トライエレメンタルブレス)を発動した!

「永遠に遍く揺蕩し、幾多数多の精霊達よ。炎に揺らぎ、水に移ろい、風に駆ける者達よ。その力、一時なれど、我に授けん」

 【炎の精霊力】【水の精霊力】【風の精霊力】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。

 風薙が選んだのは【水の精霊力】である『防御力』!

「ふふ♪ さあ、かかって来なさいよ。三匹のとかげさん?」

 【水の精霊力】の御加護を受けた風薙。その身に纏う姿は三つの世界の聖なる祝福。その一つ。渦を巻いた水流が少女の肉体を包み込む。

「そこまで言われると……殺るしかないですね」
「それは挑戦状と受け取りましょう」
「……二人は『蜥蜴草子』であの|女子《おなご》を八つ裂きにしてやりなさい。私はその間に『見様見真似の歌詠み』で――」

 ズドン!

「グハァ……」

 一番厄介な『見様見真似の歌詠み』の準備をする妖を優先して始末する。抜け目のない風薙は面倒臭そうにあくびを嚙み殺し、奴等の一角を漆玖式散弾銃【雷光】で仕留めた。

「悪いけど、こっちも本気なの。下手な小細工は通用しないわよ」

 風薙の目は鋭く相手を睨む。その威圧的な眼光に残る敵二人は一瞬怯んだ……が。

「やりますねぇ~。こうなったら……」
「……コンビネーションですね」

 コンビネーション? 一瞬何の事か分からず、思考して武器の構えを解いた風薙。そこを突いて来る妖二人のコンビネーション!
 それは二つ分の強烈なつむじ風! いや、『蜥蜴草子』の超高速移動による連続攻撃!
 戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【手足の爪】の威力と攻撃回数が3倍になる。それが更に倍になる。
 正直、恐怖を覚えた風薙。だが、すぐ気持ちを切り替えて近接戦闘で二人の妖を相手に氷魔剣【凍華】を振るう!
 |UC《ユーベルコード》『三界祝聖』において、【水の精霊力】の加護。『防御力』を高めていた為か敵二人の攻撃もさほど脅威ではない事に気付いた。
 そこで、風薙はちょっとした曲芸を思い付く!

「チッ! やりますねぇ」
「運も実力の内よ♪」
「その余裕面。気に入りませんね! 八つ裂きにしてやりましょう」

 だが、二人の妖が風薙に対し、攻撃に転じたその直後!
 冷やりとした感触が妖コンビを襲う。

「ぐ……!?」
「何が……!?」

 そこで攻防は終わった。いや、強制的に停止したのだ。風薙の装備している氷魔剣【凍華】とその身に纏う【水の精霊力】の加護によって。
 彼女を守る属性『水』に氷魔剣【凍華】の刃を触れさせ、即席の冷気を作り出して妖コンビから身を守りそして気付かれない様に徐々に凍らせ、動きを鈍くさせた……!
 これが風薙が思い付いた曲芸だ。

「く……! 汚いぞ」
「その通りだ……右に同じ」
「残念だけど、あなた達に言われる筋合いはない。それに……」

 運も実力の内よ♪

「ふう。助かったわ。それじゃあまたね。とかげさん達♪」

 ズバズバ! パリ―ン♪

 声にならない声を上げ、二人の妖を葬り去る風薙。ちょうどその時。歌人が『歌枕』を詠み終えた様子で、目の前にやって来た。

「『歌枕』は詠み終えました……が、この宮中内に『|雑色《ぞうしき》』に化けた妖がまだ、潜んでいるかもしれません! シッカリと確認して、『平安時代』を守り抜きましょう」

 それを聞いた風薙はあくびを嚙み殺し一言。

「うーん、めんどくさいわ」

成功 🔵​🔵​🔴​

賤木・下臈(サポート)
敵襲ですか。この下臈、官位は従五十六位下・蟻の軽輩ながら、謹んでお力添えいたしましょう。もし守るべき人々がいるならば、そちらの防衛に当たります。髪の毛一筋損なわせはしませぬ。私には髪の毛ないけど。

戦法
下臈は戦闘の主力となるよりも、他の人々の支援を行うことに重点を置きます。

UC「G. E. R. O. U. ACTx」
1:WIZ。変な幻の夢を見せての攪乱。大体幻覚のどこかにゴリラがいる。
2:POW。自爆による敵の攻撃(特に爆発系)の無効化。攻撃のための自爆は好まないが、必要ならば行う。
3:SPD。烏帽子に仕込んだ拳銃を使わないカラテチョップ。拳銃を使わないことを見破られると弱い。



「敵襲ですか。この下臈、官位は従五十六位下・蟻の軽輩ながら、謹んでお力添えいたしましょう」

 賤木・下臈(おいしいクッキーです・f45205)はこの『平安時代』を守る為に参戦。
 宮仕えをする下級貴族『|雑色《ぞうしき》』に化けたであろう妖達を掃討。迎え撃つ。

「助かります! 賤木様。私が『歌枕』を詠む間に敵を倒し、一般の方達の安全を確保して下さい。お願い致しますよ……!」

「もし守るべき人々がいるならば、そちらの防衛に当たります。髪の毛一筋損なわせはしませぬ。私には髪の毛ないけど」

 下臈の戦法は戦闘の主力となるよりも、他の人々の支援を行うことに重点を置きます。

「ふむ……。あれが『妖の裂け目』でしょうか? 成る程。次から次へと妖が出てきますね。これは大変です。下臈が何とかしないといけませんね」

 『妖の裂け目』から出てくる妖達。その一人が賤木の方に気付いた。首から上だけをこちらに向けてギョロリ! と、眼を動かし長い舌を出す。

「フヒヒヒ♪ あなたはもしや私達の邪魔をする|猟兵《イェーガー》ではないですか?」
「おや? もう下臈の正体に気付いたのでしょうか? これはいけませんね」

 周囲にはまだ逃げきれていない人々でごった返している。他の|猟兵《イェーガー》は戦いに、歌人は『歌枕』を詠む事に夢中で、これ以上の被害は避けたい所だ。
 逃げ遅れた一般人に対し、賤木は聞こえる様に大声で叫ぶ。

「皆さん、大丈夫でございます! ここは私、下臈が敵を足止めしますが故に。その間に退避を……!」
「ほ~う? この状況下で余裕ですね~? さすがは|猟兵《イェーガー》と言った所でしょうか? ならば私はあなたから始末するとしましょう♪」
「私を始末するのでございますか? 妖さん、あなたには無理でございましょう」
「この期に及んで強がりを……! 死ね!!」

 敵の『隠し尾の一撃』だ。力任せの【蜥蜴の如き尾】が命中した対象を切断する。

「強がり等では無いのでございます」

 そこで、賤木も戦闘に入る。|UC《ユーベルコード》(WIZ)『G. E. R. O. U. ACT1』(ゲロウ・アクト・ワン)を発動!

「Gerotic Ethereal Reverie Of Underlings【賤しき者たちの下臈(げろ)い幽玄夢想】」

 変な幻の夢を見せての攪乱。大体幻覚のどこかにゴリラがいる。

 敵の妖が『隠し尾の一撃』で確かに賤木を捉えた……! そう思った次の瞬間。それは空を切る。

「何だこれは? どこにいる……!?」

 謎世界に閉じ込められ狼狽える妖。そして見つめる先には……4人の賤木。そしてなぜかゴリラが一匹。ウッホウッホ♪ 言ってる!

 静かに喜んでいる賤木、静かに怒りの形相をしている賤木、静かに泣いている賤木、静かに微笑んでいる賤木。
 喜怒哀楽の賤木。そしてなぜかゴリラが一匹。やっぱウッホウッホ♪ 言ってる!

「……!? どれが本物の奴だ? それと何でこんな所に動物? それもゴリラがウッホウッホ♪ 言ってる!」

 レベルm半径内を幻の【不条理でナンセンスな夢】で包む。これは遮蔽や攻撃効果を与え、術者より知恵の低い者には破壊されない。

 ――ふふふ。妖さん。運勢が良いですね? そのゴリラ。出現確率は1%ですよ――

 幻覚の中から確かに聞こえてくる謎の取説。エンカウント率1%のゴリラって、誰得だよ!

「ぐ! クソォ~……意味が分からない。このままでは頭がどうにかなってしまいそうだ……」

 ――ここは神聖な場。お静かにお休みなさいませ……。ゴリラのドラミングは拳ではなく平手でするのが正しいそうです。さしみ――

 ぐっはぁ~! 妖は脳天が殺られて、そのまま意味も無く吐血し倒れた。ある意味最強な|UC《ユーベルコード》だ。恐るべし賤木のチート|魔術《マジック》とでも言おうか。

「良し! まずは一匹。私の前では恐るるに足らないのでございます」

 賤木の意味不明な(?)|UC《ユーベルコード》の攻撃に周囲の妖達は皆、何が起きた!? と、狼狽える。だが、ここで退く事は『負け』を意味していた。数では勝っているのだが……。

「お、お前~! 一体仲間に何をしたぁ――――!?」

 そんな中、いきり立って『蜥蜴草子』を仕掛けてくる妖が1人。戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【手足の爪】の威力と攻撃回数が3倍になる――恐怖の素早い連撃だ。

「……素早いでございます。さすがは妖さんでございましょう」

 そこで、賤木も戦闘に入る。|UC《ユーベルコード》(SPD)『G. E. R. O. U. ACT3』(ゲロウ・アクト・スリー)を発動!

「Gerotic Erratic Ruse Of Underlings【賤しき者たちの|下臈《げろ》い飄忽計略】」

 烏帽子に仕込んだ拳銃を使わないカラテチョップ。拳銃を使わないことを見破られると弱い。

「ふっ! ほい! せいやぁ……!」
「うお! 何だ? この、爺!」

 スピードは……まさかの互角! 上段、中断と来て最後にカラテチョップ! だが、その時お約束のアクシデント発生♪
 ポロリもあるよ♪ とでも言いたげに烏帽子が落下! キラリと光る脳天には拳銃が乗せられていた。誰得だよ!

 【烏帽子に仕込んだ拳銃】を使って「どのように攻撃するか」を予想できなかった対象1体に、【真正面からのカラテチョップ】の一撃が必ず命中する。

 ……ぽすっ♪ と、カラテチョップは命中したが弱い。

「実は下臈は烏帽子に拳銃を仕込んでいないが、なぜか実際に出て来る日がある。怖いでしょうか?」
「怖い――――!」

 敵である妖すらも圧倒する程の|恐怖《フィアー》。何故かダメージを受けていないのに敵はそのまま高速で逃げてった。恐るべし賤木のチート|魔術《マジック》その二とでも言おうか。

「良し! この調子でいきます。それにしても……やはり拳銃の件は怖いでしょうか?」

 怖いよ。誰もが無言でツッコミを入れていた。

「オイ! あのジーさんから先に始末しましょう。これ以上奴の好きにさせてたまるか……!」
「……フ、フフフ。そうですねぇ~♪」
「覚悟しなさい……爺」

 妖達の視線が交錯し、賤木に集中する! だが、これまでの|戦《いくさ》を制してきた賤木も負ける訳にはいかなかった。

 覚悟しろ――――! クソ爺!!!

 正に最初に言ったであろう敵襲が賤木に向かって滝の様になだれ込む!

「やはりそう来ましたか。だが、妖さんがいくら来ようがこの下臈。最後に一花咲かせてみせます」

 |UC《ユーベルコード》(POW)『G. E. R. O. U. ACT2』(ゲロウ・アクト・ツー)を発動!

「Gerotic Explosive Retribution Of Underlings【賤しき者たちの|下臈《げろ》い爆発応報】」

 自爆による敵の攻撃(特に爆発系)の無効化。攻撃のための自爆は好まないが、必要ならば行う。

「な!?」
「この期に及んで自爆だと……!?」
「クッソが――――!」

 妖達のいきり立つ声。それに上乗せして賤木の最期の声が響き渡る……!

「なぜなら私は|下臈《げろう》だから!」

 自身が戦闘不能となる事で、【そこらへんにいる】敵1体に大ダメージを与える。【「なぜなら私は|下臈《げろう》だから!」】を語ると更にダメージ増。

 ズド――――ン!!!!!

 派手にぶっ飛んだ妖達(と賤木)。その轟音と同時に歌人の『歌枕』は完成。詠み終えた。

 ……賤、……賤木さ、……賤木様! 大丈夫ですか!?

 駆け付けて来た歌人。朦朧とした意識の中、賤木は最後に一言。

「もう、私に戦闘力は残っていませんでございます……。あ、後は皆さんが、妖達を……もんにょふ」

 攻撃対象なしの自爆により、敵の攻撃(特に爆発系)を打ち消すのが主な使い方……らしい。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『盤上で語らう』

POW   :    リスクを恐れず、果敢に攻める

SPD   :    定石を敢えて外れた奇手で勝負する

WIZ   :    打ち筋から相手の性格や思惑を推測する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●新しき平安の世
 アヤカシエンパイアに平和が訪れた。
 全ては今回の事件に関わった|猟兵《イェーガー》達全員の賜物である。
 だが、まだやるべき事は残っている。戦闘で壊れた宮中内部の修復や怪我した一般人の応急処置。

 そして他でもない平安結界の維持。張り直す為に歌人達に歌の題材の提供だ。
 全てが終わったら卓上遊戯に嗜むのも一興。

 この『平安時代』――新しき平安の世を生み出す為にも、有終の美を飾ろう。
仇死原・アンナ(サポート)
普段はぼんやりですが敵前では獄炎操る処刑人と化します

鉄塊剣『錆色の乙女』,妖刀『アサエモン・サーベル』、戦闘用処刑道具『赤錆びた拷問器具』、『鎖の鞭』等装備してる物を使います

UCは指定した物どれでも使用

普段の口調は(私、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、なの?)
戦闘中は(ワタシ、お前、呼び捨て、言い捨て)

ぼんやりしつつ日常を楽しみます。一人で楽しむ事も苦じゃないみたいです
ダークセイヴァー出身なので複雑な機械の操作はかなり苦手ですがキャバリアの操縦はそこそこ(本職に比べたら劣る)
流行には疎いけどまぁそんなモノもあるんだと認識する感じです



「歌人。あなた、この妖達をどうするつもりなの?」

 仇死原・アンナ(処刑人、獄炎の花嫁、焔の魔女、恐怖の騎士・f09978)は歌人に一応訊ねた。
 その内容はさっきまで|猟兵《イェーガー》達と死闘をした妖達。その生き残りの処置だ。

「ひええ……!」
「……どうか情けを!」

 『妖の裂け目』から出て来た結構な数がいる。無論、妖達は宮仕えをする下級貴族の『|雑色《ぞうしき》』に化けた奴も含め探すのに苦労した。
 今はそれぞれが|猟兵《イェーガー》達にコテンパンにされて捕縛状態。文字通りお縄に付いている。

「ああ、奴等でしたら……|猟兵《イェーガー》の仇死原様にお任せします。今、私達歌人は平安結界の新たな和歌を詠む事に集中しなければならないので」

 それを聞いた仇死原。普段はぼんやりですが敵前では獄炎操る処刑人と化します。

「そうか。分かった。ここは私の出番だな。妖、貴様等は運が良い。なぜなら楽に死ねるからな」

 炎獄の執行人仇死原は十八番の処刑道具を取り出した。
 鉄塊剣『錆色の乙女』、妖刀『アサエモン・サーベル』、戦闘用処刑道具『赤錆びた拷問器具』、『鎖の鞭』等装備してる物を使います。

「ギャ~!!!!」
「怖い!!!!」

 |残酷な処刑タイム《三分クッキング》の始まりだ。
 だが、仇死原はこのあばら家同然と化した宮中内部も気になった。
 元が立派な和風建造物の内装だっただけに、さすがにこのまま放置と言う訳にもいかない。

「ここは……少し『地獄の悪魔兵士』にでも協力して貰おうかな。時間があれば何とかしてくれるかもしれないしね」

 |UC《ユーベルコード》(POW)『地獄の百鬼隊』(デビル・センチュリオン)を仇死原は発動!

「出でよ、地獄の兵士共! 武器を構え……進めッ!!!」

 レベル×1体の【武装した地獄の悪魔兵士】を召喚する。[武装した地獄の悪魔兵士]は【獄炎】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。

 武装しているが、『地獄の悪魔兵士』達の役割はその城や街の開拓技術を応用したここ宮中内部の修復だ。
 仇死原の号令により、テキパキと内装の修復工事は始まった。
 それを見た捕らわれの妖達は九死に一生を得たかの様にホッと安堵の吐息を吐く……が、次の仇死原の一言によって地獄へ真っ逆さま。

「安心しろ。貴様等は私が直々に手を下してやる。今の内に自分の犯した罪を悔いて念仏でも唱えるんだな」

 ……そんな殺生な!

 敵には炎獄の執行人である仇死原。正に妖達の悪鬼羅刹!
 さて、そんな中でも『地獄の悪魔兵士』達の宮中内部の修復工事は進んでいく。もちろん仇死原自身もそれの指揮系統及び、作業に参加する。
 それにはキャバリアを動かすのが手っ取り早い。重い木材や多くの機材を一纏めにして運べるからだ。

「鋼鉄の巨人よ……心の臓に地獄の炎を宿し、動くがいい……!」

 そこで|UC《ユーベルコード》(SPD)『リビング・アーマードゴーレム』(サマヨイウゴクヨロイノキョジン)を発動!
 【キャバリアのエンジン部に地獄の炎を宿す事】によって、自身の装備する【キャバリアや借りたキャバリア】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。

 本職に比べたら劣るが、ダークセイヴァー出身なので複雑な機械の操作はかなり苦手ですがキャバリアの操縦はそこそこ出来る仇死原。
 それに|UC《ユーベルコード》を駆使して、文字通りキャバリアのエンジンに火を点ける。
 技能――『地形の利用10』『解体10』『早業10』も使って、『地獄の悪魔兵士』達と共にテキパキと作業していく。

 そんなこんなで内装作業は一段落付いた。新しくなった宮中内部。その軒下にて休憩する仇死原。ぼんやりと庭園を眺める。

「いや~お疲れ様です。仇死原様。お陰様で大分宮中内部も綺麗になりましたね。これどうぞ」

 歌人が差し出したのは草団子と御茶だ。見てるだけでも何だか和む。和菓子である。

「……ありがとう。それで一般人達の『平安時代』の認識はどうなの?」
「ええ。それなんですがねぇ~。あれだけ大暴れしたもんですから収拾するのに苦労しましたよ」

 実際、妖達が現れてこのアヤカシエンパイア。『平安時代』の日常を破壊したのだ。そう簡単に混乱は収まらないだろう。

「まあ、仇死原様も含めて私達には|UC《ユーベルコード》がありますし……少しずつ平穏な暮らしに戻りますでしょう。何、時間が解決しますよ」

 ハッハッハ! と快活に笑う歌人。人の噂も七十五日と言う訳か……でも、確かにそれも日常が戻って来た証なのかもしれない。
 仇死原は草団子を齧る。ほんのり柔らかい感触とほのかな香りがして美味しい。

 ぼんやりしつつ御茶をすすり日常を楽しみます。仇死原は一人で楽しむ事も苦じゃないみたいです。そこで、歌人が仇死原に一声掛ける。

「宮中内部の修繕作業も一通り終わりましたし、どうですか? 仇死原様も囲碁か将棋に一興」

 どうやら卓上遊戯のお誘いの様だ。仇死原はアヤカシエンパイアの流行には疎いけどまぁそんなモノもあるんだと認識する。
 唯、彼女が指した一手は迷いなく一つだ。

「……私は妖達の始末が残っているの。悪いけどその誘いには乗れない」

 力尽くでリスクを恐れず、果敢に攻める……そんな感じです。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィルジニア・ルクスリア(サポート)
 サキュバスの悪霊×魔女、14歳の女です。
 普段の口調は「ダウナー(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪い時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
ダウナーだが、猟兵として行動する時はアクティブに行動する。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「これは酷い有り様ね」

 妖との激しい戦いを繰り広げた宮中内部にてヴィルジニア・ルクスリア(|甘やかな毒《ダークメルヘン》・f36395)は憂鬱に呟いた。
 場所はボロボロになった宮中内部の一区画。
 普段は妖達が化けた下級貴族の『|雑色《ぞうしき》』や歌人達が囲碁や将棋を楽しみながら、御茶や和菓子を嗜む『平安時代』の娯楽場。

「……ええ。まあ皆さん派手に戦いましたからね。正直、『妖の裂け目』からあんなに大量に敵が襲い掛かって来る事は予想外でした」

 歌人としては――それだけ妖がいたのだから、建物内部に気を遣う余裕が無かった。と、言いたいのだろう。
 だが、ヴィルジニアは納得いかない。
 確かにここで戦った|猟兵《イェーガー》達が敵を殲滅するのに必死だったのは分かる。何せ自分も立派な|猟兵《イェーガー》だ。戦闘で周りが見えなくなるのも仕方がない。
 ダウナーだが、|猟兵《イェーガー》として行動する時はアクティブに行動する自分もきっとこの宮中内部の心配などする事はない。
 だからこそ妖達の襲撃が憎い。……せめて戦うならここではなく外でして貰いたかった。実際、一般人にも怪我人は出ているのだ。

「ヴィルジニア様……大変申し上げ難いのですが、ここの修復と怪我人の治療をお願い出来ませんか? もちろん私達歌人が平安結界を張り直す和歌を詠む間に」

 ヴィルジニアは深い溜め息を吐き、首肯した。無論、彼女はその為にここに来たのも事実なのだから仕方がない。
 機嫌が悪くなると無口になるヴィルジニアは歌人からの要請を受け承諾しつつも、このオンボロ部屋の隅っこで捕縛されている妖達をキッ! と、睨んだ。

「ひええ……!」
「せめて命だけは……!」

 これだけやりたい放題やらせたのだ。妖には罪滅ぼしのきっかけとしていっその事修復工事の奴隷になり働かせてみるのも良いかもしれない。
 そんな事も考えてみる。サキュバスの悪霊×魔女、14歳の女です。

「……妖の処遇はとりあえず、今はやるべき事をやるわ」

|UC《ユーベルコード》(WIZ)『それはまるでチートのような、とんでもない才能』を発動!
 ランダムなユーベルコードをひとつ使用する。種類は選べないが必ず有効利用できる。そこで選ばれたのは――

 ――|UC《ユーベルコード》(WIZ)『鏡像作業』(ミラーリング)――

 自身の【装備する魔法の鏡】から、自身の技能どれかひとつを「100レベル」で使用できる、9体の【自分(自身と同じ能力・アイテムを持つ)】を召喚する。

「鏡よ鏡」

 ヴィルジニアがそう唱えると、9体の自分が『魔法の鏡』(もしその世界にインターネットがあれば分かる程度の質問に答えてくれる、喋る鏡です)から出現した。
 選択した技能は『薬品調合1』『浄化1』『加護1』の3つの内から悩んだが、怪我人の治療に最も適していると思われる『薬品調合1』を100レベルにしてそこから『浄化1』『加護1』を応用し、使い分ける事にした。
 ヴィルジニア本人と『魔法の鏡』から召喚した9体の自分を合わせると10人になる。これだけいれば『家屋の修復工事』班と『怪我人の治療』班に分けられる。

 ――5人は『家屋の修復工事』班――
 ――5人は『怪我人の治療』班――

 ……と言った具合に。本当は妖達にも手伝って貰いたかったが、捕縛を解くと何仕出かすか分からないのでそのまま放置。
 早速、それぞれの班が動き出す。因みにヴィルジニア本人はレベル100の『薬品調合1』を持つ4人の自分の分身の|頭脳《ブレーン》として指揮系統をする。
 それと『家屋の修復工事』班5人もレベル100の『薬品調合1』を持っているので、修繕が済んだら怪我人の治療に当たる。

 そんな中、家屋(宮中内部)の修繕と怪我した民間人の治療は始まった。

「痛たたた……!」
「……大丈夫よ。きっと良くなる。これを飲んで、暫く安静にしてね」

 ヴィルジニアがレベル100の『薬品調合1』で作り上げたのはどれだけ重症でも瞬時に治まる究極の鎮痛剤だ。
 そこに『浄化1』『加護1』の技能スキルを展開し、傷口の処方とその後のリハビリ期間に傷が悪化するのを予防する。
 5人の『怪我人の治療』班が幾人かの治療を済ませている間にも、5人の『家屋の修復工事』班も資材の搬入や機材を上手く活用し、テキパキと壊れた宮中内部を直していく。
 |UC《ユーベルコード》(WIZ)『それはまるでチートのような、とんでもない才能』と|UC《ユーベルコード》(WIZ)『鏡像作業』(ミラーリング)の有効利用が功を奏して2つの班の作業は順調に事を運んだ。

 綺麗に様変わりした和風建築の室内でホッと一息。歌人に提供された御茶と和菓子の大福餅を嗜んでいると何人もの下級貴族『|雑色《ぞうしき》』にお礼を言われた。

「助かりました。ヴィルジニア様。貴女の鎮痛剤が無ければあのまま痛みでのた打ち回っていましたよ」
「この宮中内部もすっかり綺麗になりましたね。お陰様で後100年は持つでしょう」

 それに対し、元々ダウナー気質なヴィルジニアは会釈で返した。
 多少、照れ隠しもあったのかもしれないが嬉しいのも事実だ。
 そんな時、歌人達が平安結界の維持。『雅で美しい平安時代の光景』を詠み込む為にどの様な和歌を詠うのか悩んでいた。

「……歌の題材。どうしようかしら? ……ん? そう言えば」

 ポツリと呟くヴィルジニアの目に付いたのは捕縛されながらも悪態を吐く妖達の姿。正に魑魅魍魎。
 ヴィルジニアはせっかくなので今回の事件の首謀者。人ならざる妖達をテーマにしたものにすれば良いのでは……。と、申し出る。

「憎い妖を詠えば……その分、平安結界の維持も強力になるのかもね」
「言われてみれば、確かにそうですね。正直、妖達を歌の題材にしよう等とは夢にも思いませんでした! 逆転の発想♪ その案を採用しましょう」

 正にダウナーなヴィルジニアの発想をそのまま活かす和歌。
 魑魅魍魎によって二度とこの様な事件が起こらない様に……。と、祈願の想いを籠めて。
 風水や占いではないが、その方が『妖の裂け目』が再び発生する確率も低くなる……。そんな気がした。

「さて、ヴィルジニア様。今日はお疲れ様でした。せっかくここまでやって来たのですから私達と一局、指しませんか?」
「そうですね。妖達の処罰について考えていたのだけれど……まあ、今はどうでもいいわね」

 その後、少女。ヴィルジニア・ルクスリアの頭を使った打ち筋から相手の性格や思惑を推測する思わぬ一手に悶絶する歌人達の悲鳴が後を絶たなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エドゥアルト・ルーデル(サポート)
『ヒャッハー!頭ねじ切ってオモチャにしてやるでござる!!』

口調:拙者、名字+氏、~でござる、~ですぞ
属性:混沌・悪

弱きを困惑させ強きを嫌がらせの果に弄り倒す正義なんてどこ吹く風なゴーイング・マイ・ヒャッハー系

シリアスな空気だと破壊するか自分が爆発する
可愛い女の子を見れば興奮する変態
エンジョイ&エキサイティングをモットーに好きなように生きて好きなように死ぬギャグキャラ
オタクらしく戦闘中でも状況に有ったセリフやパロ技を適当にぶっ込みながら戦う様はイカレポンチすぎて敵味方問わず困惑と驚愕させることに定評がある
公言しないが空軍のパイロット



「ヒャッハー! 頭ねじ切ってオモチャにしてやるでござる!!」

 破壊された後のオンボロ宮中内部にて、どこからか突然現れたのはエドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)だ。
 弱きを困惑させ強きを嫌がらせの果に弄り倒す正義なんてどこ吹く風なゴーイング・マイ・ヒャッハー系な属性:混沌・悪なオッサンである。

「大変申し訳ないのですが……妖達との戦闘はもう終わりました。エドゥアルト様」

 歌人が――何だコイツ、変な薬やってんのかみたいな――白い目でそうフォロー(と言う名のツッコミ)を入れる。その事実だけは伝えとかないとエドゥアルトは何しでかすか分からないからだ。

「え!? 『本気』と書いて『本気』でござるか!? 歌人氏、拙者戦闘準備は万端で来たのでござる……! 何とかならないでござろうか?」

 エンジョイ&エキサイティングをモットーに好きなように生きて好きなように死ぬギャグキャラは歯がゆそうに頭を抱えた。
 それは歌人も同じで、何でコイツをここに派遣したのか? 時折エンカウントする|猟兵《イェーガー》の中でもかなりイッチャッてる系だと、|配役《キャスティング》を呪いたくなる。
 それでも今更これまでの経緯。『歌枕』の旅や妖達との集団戦。そして今回の『妖の裂け目』をやっとこさ塞ぎ、平和な日常を取り戻しつつある『平安時代』の脚本を変える事は不可能だ。

「え~と……。『本気』と書いてマジですね。だからエドゥアルト様にやって欲しい事は――」

 歌人が本題に入ろうとした矢先の出来事。可愛い女の子を見れば興奮する変態が宮中の侍女を担う可愛い女の子に目を付けた。

「うおおおお……! 女だ女だ女でござる! 拙者と今宵飲み明かさないでござろうか? その前に名前を教えて欲しいでござる♪」
「キャア! 何ですか誰ですかこの人! 怖い!」

 当然の様に逃げる侍女。当然の様に追いかけるエドゥアルト……の首根っこを背後から引っ掴んで、目の前にバシン! と、跪かせる歌人。まるで幼気な子供を叱る小学校の先生になった気分だ。

「人の話は最後まで聞いて下さいね? エドゥアルト様。ここであなたにやって欲しい事は可愛い侍女を侍らせる事……ではなくて、壊れた家屋の修繕に怪我人達の介抱です。宜しく頼みましたよ……!?」

 額に青筋をひくつかせながら、何時でも冷静沈着な歌人は何とかキレるのを堪えて笑顔を装いそう言った。ある意味貴重な|場面《シーン》だ。

「ヒャッハー! 分かっているでござる歌人氏。心配しないでも拙者なら大丈夫……! ここから本領発揮して『|●解《ばんかい》』するでござる!!」
「そうですね。頑張って下さい」

 やたらと圧が強い。そこがエドゥアルトの良い所であり悪い所でもあるのだ。それとさっきの『|●解《ばんかい》』とは某アニメ。BL●ACHのパロディーなので伏字にさせて貰いました。

 めっちゃ棒読みの歌人の本音は↓

 っか~……! 誰か|配役《キャスティング》を変える便利な|UC《ユーベルコード》持ってないかな?

 本気でそんな事を思い始めた歌人です。

 オタクらしく戦闘中でも状況に有ったセリフやパロ技を適当にぶっ込みながら戦う様はイカレポンチすぎて敵味方問わず困惑と驚愕させることに定評があるエドゥアルトです☆ 公言しないが空軍のパイロット☆彡

 そんなこんながありーのまあ、やっとこさ仕事に取り掛かるエドゥアルト。その間、歌人は平安結界の維持の為に和歌を詠む。
 さて、まずは率先して怪我人達の治療だ。

「くっそ~……! まさか宮中内で怪我をするとは……いつつ! 思ってもみなかった」
「大丈夫ですぞ。拙者の技能を駆使すれば、直ぐに良くなるでござる!」

 技能スキル『医術10』と『浄化50』を使って、傷口の消毒。縫合と患部にガーゼを当てて包帯で処置。その手際はテキパキと素早く慣れたものである。

「おお……! ありがとう! さすがだな。あんた|猟兵《イェーガー》だろ? 助かった。礼を言うよ」
「ヒャッハー! その通りでござる。拙者に出来ない事はこの天下御免に三つとてないでござる……!」

 その時だ。捕縛されている妖達の方から罵る声が聞こえて来た。

「……チッ! クソが! |猟兵《イェーガー》さえいなければ今頃我々は……!」

 どうやら敵はまだ罵声を浴びせるくらいの元気はあるみたいだ。しかも、何やら怪しく目が光っている……! 最後の悪足掻きか!?

「貴様! 見ているなッ!」

 シリアスな空気だと破壊するか自分が爆発するエドゥアルト。今回は破壊を選んだ。

 |UC《ユーベルコード》(POW)『バックドアー』(アノヨヘノトビラ)を発動!

 【ステータスを見ようとする相手をハックし】【バグ混入、ステータス書換、データストーム】【暴力】で攻撃し、ひとつでもダメージを与えれば再攻撃できる(何度でも可/対象変更も可)。

「ぐおわああ……!! |猟兵《イェーガー》……! どうして私がした事を見抜いた?」
「俺の『勘』だろ。文句あるか?」

 敵の最後の悪足搔き。目が光っていたのはステータスのハッキング行為だった様だ。だが、それに一早く気付いたエドゥアルト。
 ボクサーがクロスカウンターする様にハッキングをやり返し、データを改変する。そして一発ぶん殴り、他の捕縛されてる妖達に睨みを利かせる。
 本音で話す時はまるで戦場の男気溢れる戦士。
 中々格好良いではないか。

「あ、エドゥアルトさ~ん♪ 和歌詠み終えたので、こちらで休憩しませんか~? 御茶菓子用意しましたよ」
「ヒャッハー! 待っていましたでござる! 歌人氏、拙者の好みはきな粉餅ですぞ♪」

 素に戻るのも早いな。

 その後、色々と混乱を生みつつも何とか無事に怪我人達の介抱と宮中内部の修築は済んだ。

 唯、歌人達に誘われた卓上遊戯で定石を敢えて外れた奇手で勝負するエドゥアルトのヒャッハー! な戦略は誰の手にも及ばない(?)ものであったのは言うまでも無い。

成功 🔵​🔵​🔴​

夜城・さくら(サポート)
キャバリアでの戦闘をメインに。
『オーバーフレーム換装』では、装甲を犠牲に攻撃力か射程を上げて仲間を援護するように攻撃します。【スナイパー】技能使用。
手数が必要な時は『無限射撃地獄』です。敵がビット攻撃してきた際には相殺するように展開することも。

キャバリア以外では、『ギタギタ血まみれの外科手術』で仲間の治癒と戦闘力増強に励みます。
「ちょっと痛いですよ? でも大丈夫。すぐに元気すぎるくらいになりますからね」
笑顔でノコギリを振るいます。大丈夫怖くない怖くない。



「今日の私に課せられた仕事は怪我人達の治療とこのボロボロになった宮中内部の修復で良いのですか?」

 歌人にそう尋ねたのは夜城・さくら(不思議ちゃんの量産型キャバリア・f30006)だ。
 闇医者でもある夜城にとって宮中内部の修復は兎も角置いといて怪我人の治療は持って来い(?)だ。

「ええ、その通りです。夜城様。その間に私はここの平安結界の維持に努めるべく和歌を詠んでいますので、何か緊急事態が起こらない限り出来るだけ自分の持ち場は離れないで下さいね」
「分かりました」

 さて、そんなこんなで歌人は和歌を朗々と詠み始めた。夜城も自分の持ち場に付く。

「今日はキャバリアでの戦闘をメインに。……と、言いたい所だけど肝心の敵があの様子じゃ出番は無さそうですね。ちょっと残念」

 沢山の怪我人達が運ばれて来た――数多くある宮中内部の別室。その渡り廊下にある幾つかの柱に妖達はこれでもかと頑丈に縛り付けられていた。
 中には梁に体ごと固定されて吊るされている妖もいた。それを見た夜城は戦闘は既に終了した事を覚る。

 ――何か緊急事態が起こらない限り出来るだけ自分の持ち場は離れないで下さいね――

 さっきの歌人の言葉を思い出し、早速夜城は患者の治療を開始する。……だが、その間に異常事態は既に発生していた。
 一匹の妖が徐々に緩くなってきた縄を解く事に成功。頭の良いそいつはあたかも捕まっている振りをしていたのだ。

 ……ククク。後はどうやって捕まった仲間達を解放するかだな。

 妖がとんでもない事を企んでいる。それでも夜城を含め、誰もその事に気付いていない。

 そんな時。夜城が取り出したのは『医療ノコギリ』――患部を切断する為の、切れ味鋭い大型ノコギリです。
 そして、夜城の『ギタギタ血まみれの外科手術』でキャバリア以外では、傷付いた仲間の治癒と戦闘力増強に励みます。

「ちょっと痛いですよ? でも大丈夫。すぐに元気すぎるくらいになりますからね」
「ギャ~! ちょっと、それ、ノ・コ・ギ・リ~!!!」

 患者さんの悲鳴も何のその。笑顔でノコギリを振るいます。大丈夫怖くない怖くない。

 ぎゃあああ……!!
 ひぃいいい~!!!
 オーマイガー!!

 地獄のハーモニー。大合唱がなぜか鳴り響く。
 回復するまで暫くお待ち下さい。

 ……と、その時だ。遂に予期せぬ出来事。事件が発生した!

 キャア――――!

 明らかにこの『地獄のノコギリ病室棟』からかけ離れた場所からの悲鳴。すぐに察知した夜城は事件の臭いを嗅ぎ取った。
 声のした方へ向かう。するとそこには信じられない事態が発生していた。

「た、助けて下さい……!」
「フヒヒヒ……! おっと、そこの女|猟兵《イェーガー》さん? それ以上動くとこの若い女中の顔をズタズタに引き裂きますよ?」

 先程、悪事を企んでいた妖が遂に行動開始したのだ。恐らくそいつの狙いは――

「――キミの狙いは分かってるよ。その女中さんの命と引き換えに……ここに捕らわれた妖達の解放ね」
「フフフ♪ だ~いせ~いか~い♪ さて、どうしますか~?」
「良いね。キミの要求を呑むよ」

 至極あっさりと敵の要求を呑んだ夜城。早速、歌人にこの事態を告げて捕縛された妖達を連行してきた。

 ――ちょ、ちょっと大丈夫なんですか? 夜城様。このままでは奴等の思うつぼですよ?
 ――大丈夫。ここは私に任せてね。

 相手に覚られない様に小さく呟く歌人と夜城。

「まずキミ達、妖全員の内半分をそちらに引き渡すよ。そしたらその女中さんを解放してね」

 その言葉通り、夜城は妖達の半分を引き渡した。一方歌人は気が気でなかった。するとその人質を取っていた妖はニタリと笑い……こちらの要求通りに行動に出た!

「……ふぅ~確かに。それではこの女中さんをそちらに引き渡すとしますか。ホラよ!」
「キャア!」

 何とそいつは人質の若い女中さんの背中を蹴り飛ばし、すぐに戦闘モードに入ったのだ。

「予想通りね。妖とはなんて汚い連中なの? でも、これで思う存分キャバリアで暴れられるよ」

 寧ろ戦闘は大歓迎な夜城は『量産型キャバリアAZ』――高い汎用性を誇る、緑色の量産型キャバリアです――に乗り込み、颯爽と|UC《ユーベルコード》(POW)『オーバーフレーム換装』を展開!

 自身の【キャバリア】を【キャノンフレーム】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
 『オーバーフレーム換装』では、その独自の要素を利用して装甲を犠牲に攻撃力か射程を上げて仲間を援護するように攻撃します。そこで、すかさず【スナイパー】技能使用。

「敵は前での戦闘で弱ってるから……『攻撃力』よりも『射程』を重視した方が良さそうね」

 『射程』を5倍にし、その代わりに『装甲』を半分にする夜城。

「行くよ? 妖。こっちは痛い所じゃないから覚悟してね」

 仲間の歌人や他の|猟兵《イェーガー》達が民間人を避難させている。
 そこに襲い来たる妖に照準を合わせてロックオン♪ スナイピングで頭部。ヘッドショットを撃って撃って撃ちまくる!

 パアン! ……ぐわっ!
 パアン! ぎょえ~!
 パアン! ぎゃああ!

「一体全部で何匹いるのよ。いくら撃ってもキリが無いね。こうなったら……」

 手数が必要な時は『無限射程地獄』です。
 敵がビット攻撃してきた際には相殺するように展開することも。だが、今回は妖が敵だ。当然キャバリアが他にあるか奪われない限り、その危険は無いだろう。
 そもそもアヤカシエンパイアの妖が真面にキャバリアを操縦出来るか疑問だ。

 |UC《ユーベルコード》(SPD)『無限射程地獄』(オールレンジヘル)を発動!

「貴方は蜘蛛の巣に捕らわれた蝶。哀れな蝶に終止符を」

 【脳波コントロール】によって、自身の装備する【ダズルビット】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。

 装備していた『BS-Fダズルビット』はキャバリアにより増幅された思考波で制御する、迷彩型戦闘ドローン。
 夜城の思い通りに遠隔操作された『BS-Fダズルビット』が次々と妖達を捉え、玉砕していく。

 ドカ~ン! うぎゃ~!
 ドッカ~ン! ……ひでぇ~!
 ドカドカドッカ~ン! ギィエエエアアアア~!

 そうこうしてる内に今度こそ敵は殲滅した。

 *

 ――それは良かったのだが……。

「いくら何でもこの宮中内部でキャバリアに乗るのはやり過ぎですよ。夜城様、見て下さい。この光景を……」

 歌人が指摘したのは既に建物の体を成していない宮中の変わり果てた姿。

「今日は徹夜でここを修築して貰いますからね! 夜城様。せっかくキャバリアなる機械もありますし」
「……う~ん。戦闘に夢中で、建物に気を遣うのを忘れてしまいました」

 成る程。これ以前に宮中内部がボロボロだったのも頷ける。
 妖との戦闘で幾人もの|猟兵《イェーガー》達が自分の|UC《ユーベルコード》で破壊の限りを尽くしたのだろう。

 そんな彼女――夜城の卓上遊戯での一手はやはりと言えば良いのか?

 リスクを恐れず、果敢に攻める! と、言った所だろう。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2025年04月16日


挿絵イラスト