6

【サポート優先】女狐の暇つぶし

作者：一縷野望

これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです（通常参加者を採用する場合もあります）。

●
　我、刃。
　嘗て、龍門石窟の堅牢なる囲いの先に隠されし拳法の流派あり。
　極限まで鍛え、柔軟自由自在なる身のこなしを得た者が細身の刃を手にすればどうなるか？　誰にも回避不能の殺人術となる。
　箸、フォーク、そのような食事の場にあるものすら殺傷力ある武具に変えてしまう「刀刃拳」は、暗殺にはうってつけであった。
　暗殺は金にはなる。邪な目的や捨て身で刀刃拳を修める者はどんどん増えた。
　だが、栄華は長くは続かなかった。
　権力者を屠れば恨みを買う。他の流派も目の上のたんこぶと疎ましがっていたので、利害が一致した。
　暗殺者のみに報復があればよいが、そうもいかぬ。刀刃拳を修めた者は手当たり次第に命を奪われ、いまや生きた使い手は存在するのか不明となるまで廃れてしまった。
　そんな封神武侠の拳術者だったものが、悪しき女狐により尖兵としていいように使われている。これは由々しき事態だ。
　この女狐めは、たちの悪い遊びをする。戯れに石化し落書きを施し戻す、その落書きは二度と消えぬ跡となるのだ。
　封神武侠の洞と獣人戦線の洞……たまたまだろうが地域も同じで景色も変わらぬ。
　頬や額に赤で狐の絵を描かれし刀拳術の使い手が獣の戦士らを駆逐する前に、猟兵の手で引導を渡して欲しい。
　そうしめくくると久礼・紫草（死草・f02788）は異界への扉をあいた。

第1章 集団戦 『刀刃拳門下生』

POW   :    刃化 【剣と拳を組み合わせた拳法、刀刃拳の技】が命中した対象を切断する。 SPD   :    舞刃演武 自身の【体を一振りの剣に見立て、空を舞う剣】になり、【舞う様に攻撃する】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。 WIZ   :    鍛磨 【身を鍛え、心を研ぎ技の切れ味を磨いた】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。 イラスト：ばんどー 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●
　刀刃拳を習得した者の年齢性別は多岐にわたる。
　つまり、不破・静武（人間の非モテの味方・f37639）のリア充爆発アーイを通して見れば、男と女が１メートル圏内にいる、それ即ちリア充。
「うおおお、そんなに近くでペアルックを見せびらかしやがってええ」
　ペアルック……まぁ、同門で揃いの拳法着だな、うん。
「リア充は消毒だ～～！！」
　血涙だくだく、悲嘆の海老反りからのー、酸素を口中にためこんでーーー、着・火🔥
　たらこめいた唇の間より加齢臭と共に吐かれし業炎は、瞬く間に男女を包み込む！！
「がーっはっはっはっ！　リア充は全て滅殺！！」
　おおっと、そう簡単にはいかないようだ。
　ドラムを叩くような小刻みな手首の動きにて、炎を刻む刻む刻むっ！　出来た隙間からシミターを掲げ吶喊してくるのは女だ。
　チッチッチッ、とイケメンだが金は稼げず女に集るバンドマン（偏見）が如くリズムで男が炎を刻み、女は林檎の頬を焼かれながらも厭わず静武を斬り刻んでくる。
「うぅおおおお、見せつけやがってええぇええ、ぎぃやあああ！！！」
　ずんばらりと女にお腹を斬られたが、それは脂肪の塊だから大して痛くない。だが身を犠牲にイケメンを庇う女を前にハートがもうズタボロだ。
　ちなみに静武の炎は周囲を焼き尽くしこの男女以外は焼却済と、非常に良い仕事をしていることを追記しておく。
　あと、この非モテのプライドに賭けてこのアベックも屠っといた。

成功 🔵​🔵​🔴​

●
　刀刃拳の教えは武力のみあらず。
　心を研ぎすまし、相手の行動を推理し先手を打つに長けた文武両道の面も大きいのだ。それ故、あらゆる状況下での暗殺を可能とする。
　それが門下生の爆発的増大と目立ち敵視されての滅亡につながったのは皮肉な話である。
　今もまた、前座とは思えぬ知の鋭さでもって、あらゆる猟兵の出方を伺っている――。
「あああ゛あぁあ゛……今日も場違いだわ……どうしてこう次から次へうちのＰは過酷な仕事を取ってくるのかしら……」
　うさみみツインテールをぐっとつかみ、今日も音駆螺・鬱詐偽（帰ってきたネガティブアイドル・f25431）はちっちゃくしゃがみ込む。
　目立つのやだ恐い。
「はぁい♪　なんだかややこし～ヒト達の集まりだから～、てっとりばやくいきましょ」
　いっぽうで、胸の谷間にスカーフのあざとさ、艶やかな布地が肌に沿って陰影刻むから余計にこうなんだ、目のやり場に困るなぁって感じのミーガン・クイン（規格外の魔女・f36759）は、いつも通りにおおざっぱである。
　ストレスなさそう。
「あなたって、バーチャルアイドルなのよね？」
「ひぃいい……ッ！　そんな滅相もないわ！　むしろあなた様の方がイラアド高くて、あ、イラストじゃないわよね……ごっ、ごめんなさい！　悪意はないのよ……」
　んーっとタイと同じ色のマニキュアつきの人差し指で唇を押さえ、ミーガンは小首を傾げる。
「おっきいと目立つし～、いいわよね。え～い♪」
　息するように拡大魔法。今回の対象は鬱詐偽ちゃんだ。
「Σひぃいい！！！　私に何をしたの」
　ぐんぐんと足元の影が広がるのに鬱詐偽は怯え、目をまん丸にする。うさぎの形をした影に刀刃拳の面々が覆われ塗りつぶされていく。
「おっきくなるのはアイドルちゃんに譲ってあげる。さ～あ、巨大アイドルが為す術なく鍛えし男達を屠っていく様を～み・せ・て♥」
「そんなのできる訳ないわぁあ～、いやぁああ！！」
　鬱詐偽は囁いてるつもりなのに、大きな声は場を揺さぶる。音波だけで足元を掬われすったもんだ。出方を伺っていたが、｜圧倒的な物量《あしのうら》の前では無力だ。
　ぷち★
「いやぁあああ～ごめんなさぁ～い！　私、私が恐いぃいいいい」
　震える度にふっととばされててんやわんや。鬱詐偽の恐怖が招いたレギオンは本人を攻撃しようとするのだが……小さき者なぞ、その余波で瞬殺余裕なのである。
「ふふふ、どんどん潰れちゃってるわね～」
　そんな有様をミーガンはたっぷり堪能。今年もいい年になりそうだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

●
　エリー・マイヤー（被造物・f29376）は、細剣を翼に見立て自在に飛び回る白き群れを前にして、ヤニ臭い嘆息を吐く。
　ぶんぶん虫のように飛び交う鬱陶しさを煙越しならば少しはマシにできるだろうかなんて、そんな希望的観測はいつだって裏切られる。
　織り込まれるようにタールが肺腑に張り付いて、今日も清浄すぎる空気のフィルターの役目を果たしてくれる。
　かつりっと隣で岩が弾かれる音がしてすぐに、エリーは銀の筒に煙草を落とした。
「失礼。煙が行かぬよう制御はしていたのですが……」
　これしきの毒の塊で猟兵の頑健なる肉体が傷つくことはないだろうが、喫煙者が周囲を気遣うのは古今東西で尊ばれるマナーだ。
「大丈夫よ、そんなにやわではないわ。だからどうか自由になさって」
　シャンパンゴールドの髪を優美にたらし、橘・レティシア（灼滅者のサウンドソルジャー・f44010）は微笑み返し。あるがままの自然体、そうやって歌ってきた。
「どのような戦場であれ歌えるよう喉は普段より鍛えてるのよ」
　するりと華奢な腕が取り出したるは、赤と銀のチェーンソー剣。その花は、可憐なるレティシアに非道く似合う。
「そうですか、ではお言葉に甘えて……ご迷惑でしたら仰って下さい」
　エリーは匣から一本咥え取るとオイルライターで火を入れる。精神ばかりでなく肉体を安定させる緩慢なる毒を食み、さてと横目で切り出した。
「あの飛び交っているのを落とせばいいでしょうか」
「そうね。落ち着いて歌を聞いてくれる方々でもなさそうだし」
　レティシアの声は涼やかだが、けたたましいチェーンソーの駆動音をねじ伏せてエリーに届く。成程、これも鍛錬の成果か。
「追い打ちで確実に倒すのが得意よ」
「了解。そこまで聞けばこちらのやることは明白ですね」
　ありがたいです。
　その声だけが残る。煙は残さない、それが喫煙者のマナーだ。
　ぶちまけた念動力を踏み、蒼い髪のフラスコチャイルドは虚空へ昇る。口元より継ぎ足される煙はまるで飛行機雲だ。
「さぁ、堕ちていきましょう」
　光の剣が刀身を一瞬だけ膨らませて飛び交う奴らを薙ぎ払う。サイキックエナジーの莫迦食い回避の為、継続はＮＧだ。
　ぼたぼたと降ってくる拳法家を前に、レティシアの腕で相棒が歌声を最大限の音量で叫ぶ。空間をこれでもかとギザギザにする刃にて、ひとりひとりを真っ二つだ。
　触れれば散る。
　塵と散る。
　振り切り戻し、刻みあげ。
　瞬く間に虚空を満たす無粋な｜虫《・》は姿を消した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

●
　麗しき金色の衣を翻し、アラタマ・ミコト（極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935）が顕現する。
　荘厳なる光景に、刀を閃かせ飛ぶ者達もしばしその目を吸い寄せられた。
「……この衣もまた極楽浄土より持ち帰りし法具。既に其方らはあらたまちゃんの術中に嵌まっているのです」
　斬。
　そう言い終わるや否や、振るわれしダイカタナが血潮で汚れた。首が七つほど人形からもぐようにして飛んだ。
　無限なる複製故、そのような有様が彼方此方で見かけられる。
『！！！！！』
『――？！？！！！！』
　刀刃拳の使徒どもは混乱した。
　心血注ぎ磨き上げし技も、｜極楽浄土《GGO》へ至りし｜命《みこと》の前では児戯に等しい。
「そのような技は、既知である」
　灰色の唇が動き語るは、GGOのある和風世界の大規模イベントでの出来事である。
　あれは哀しい事件であった――運営（？）がヤケになってクリア不能の炎上不可避な覚悟完了で実装したが、あらたまちゃんの｜経験値アップする《徳を積み上げる》だけであった。運営のドラゴンプロトコルさんは今どうしてるんだろうなぁ。
　拳刀士の群れを無に帰したあらたまちゃんは、すとんっと着地する。
　口端に零れた赤の分だけ、此度も命が削れた模様。

大成功 🔵​🔵​🔵​

●
　本来はあり得ないルートだ。
　だが二つ目のエラーは、ありとあらゆる｜手段《ユーベルコード》にて無秩序に世界を書換え、良識にコーティングされた常道を覆す。
「さぁ、どこからでも刻むがいいわ。この通り、わたしは丸腰よ」
　先ほど人間向けの店で手に入れたコスプレアリスドレスを身に纏い、アリス・セカンドカラー（不可思議な腐敗の｜混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202）は宣言する。
「ふふふ、今日はかわいらしい女の子と遊びたい気分なの。だから、みーんな女の子にしちゃったわ」
　生涯平らな胸で生きてきた屈強なる男たちは、柔らかな膨らみが現れたのに戸惑いを隠せない。案の定、抗うように胸に刃を入れて斬り落そうと試みる。
「あら、止めた方が……ほぉらね♪」
　親切めかした表情で嘲笑う、正体不明の少女の前で、男達は自刃以上のダメージを負って次々と消滅していく。直接手を下すまでもない、故に武装は一切不要。
「サヨウナラ。わたしはあの女狐のように甘くはないのよ」
　そう言い放ち、少女は石礫をうまく避けて先へと進む。

成功 🔵​🔵​🔴​

●
　真っ白な翼がぱさりと鳴った。乾燥気味の空気のせいか、羽音は一段と怜悧だ。
「皆さんとても手際がよろしくて、回復は不要のようですね」
　うぅんっと首を傾げる響納・リズ（オルテンシアの貴婦人・f13175）の金色の糸がゆれて零れる。
　眼前の拳法家らの内、暗殺に手を染めた輩は因果応報であろう。だが真摯に修行をしていたが、他の流派に目をつけられ落命した者達へは気の毒さを抱いてしまう。
　彼らが力を溜め掛かってこないから、なおさらリズは思考の海へと囚われる。
　ぱふぱふ★
「ひゃん！」
　ほっぺたになにか細くてもちっとしたものが当たった！　瞳をぱちくりさせるリズの前に回り込んできたのは布かぶりお化けだ。
「わぁっ！　とびっくりー！　今年最初のいたずらはいただきですわー」
　蛇の可愛いぬいぐるみを掲げて、納花・ピンチン（ブギーモンスターの勇者・f31878）は愉しげに裾をふりふり。
「まぁ！　ピンチンさんってば、いたずらっ子ですね」
　メッと指をたてるリズは、思い悩みから開放されたようだ。良い意味でリラックスした破顔をみせる。
「そっちで難しいこと考えてるのはお任せですわ。アタシはスットレートにつっこんでくるそやつらを相手どりますのー」
　ぴょーいっと宙返りでリズの頭上を越えていく。ふにゃっとした蛇ぬいちゃんに似た｜触手？《ナニカ》が見えたって？　キノセイキノセイ。
「はぁ、チョッキンなーあ、チョッキンなー」
　突き出されし刃はお花飾りの鋏でぱっちん。いとも容易くへし折ったなら、そのまま手首を掴んで腕を折り曲げ自刃で攻撃★　どこか遊ぶように軽やかに、偽りの生を断っていく。
「ピンチンさん、後ろに気をつけてください！」
　注意喚起を終える頃には、隙窺いから攻撃へと移行した男は憐れ雷の餌食に。三日月の元で揺れる蒼石が、再びの黄金を抱くその時――残党は一掃される。
「ヒュウ！　さんきゅうやで……っと、ですわー」
　慌てて口元を押さえるブギーモンスターへは、月を胸に抱きほんのりと微笑み返し。そうしてから、塵へと還る拳法家達へ祈るように瞼をおろす。
「あなた達の眠りを破いた女狐は、必ずや討伐致します。ですからどうか安らかに」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

●
「あら、お困りかしら？」
　無粋な狐マークを配下に刻む、そんな女狐をひと目見てやろうと現れたのは政木・朱鞠（狐龍の姫忍・f00521）である。
　そしたら、先客の翡翠のおさげがふわふわ、メイド服の裾もひらひら、立ち尽くすバルタン・ノーヴェ（雇われバトルサイボーグメイド・f30809）を見かけた次第。
「イヤー、なんとでもなるんデスけどネ」
　刀と一体化ししなやかな武闘は、武器を内臓し至近距離でぶっ放す当機とも共通点もあると頷くバルタン。対する朱鞠はふむりと頷く。おっきな狐のおみみがぴこっと左だけ外に。
「なんだか竹トンボみたいに飛んでるのもいるわねぇ」
　しゃなりと柳めいた動きで朱鞠は飛んでくるのを難なく躱す。過ぎていく拳士の口には確りと猿轡が嵌まっている。次々に掛かってくるのも追い詰められぬように身を翻しては手際良く処理する。
　猿轡、手枷、足に拘束ロープと順繰りにかけたらできあがるのは｜程の良いダルマ《的》だ。
「手際がイイですネ」
「押し負けるわけにはいかないもの」
　もはや飛べぬダルマとて元々は凄腕の拳法家ではある。良い稽古の相手にはなると、朱鞠はすんなり伸びた脚で鞭めいた打撃を加える。
「その蠅達はお任せしマス！」
　そばで連携するよりは、あちらでずっと隙を窺っている奴らを相手取った方が良さそうだ。そう判断したバルタンはエプロンドレスを翻し地を蹴った。無機質な翡翠の双眸が、銀剣の像で一杯になる。
　斬。
　着地点より逆算した場に置かれた刃は、しかし靄を割ったのみ。物理的に煙に巻かれた有様が、そこかしこで発生している。
　確かに翡翠が飛来した。
　だが、悉く煙りを掴まされる。
　静かな苛つきが満ちた刹那、ある拳士の手首が｜くんっ《・・・》と９０度ほど折れた。
「ハーイ！　ご機嫌イカガでしょうカ？」
　細身の銀剣の上に艶やかな黒靴を揃えのり、スカートをたくし上げてメイドさんのお辞儀。そのままサマーソルトキックを喰らわして宙返り。その手には軽快に身を揺さぶるガトリングガンがいつの間にやら握られている。
「こちらを喰らいやがれデース！」
　雑なばらまきに見えるのは、人生の全てを戦場で費やしたバルタンにとって余りに日常の作業だからだ。
　呆気なく目の前は穴だらけ。先の景色が見通せる。彼らが修行した無骨な岩場にそっくりのそれは、水墨画のように美しい。
「絶景カナ、絶景カナ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

●
　男♥天国！
「まぁまぁまぁまぁ！　なぁんて都合のいいことでしょう。女性は全て倒されましたのねぇ！」
　きゅうん♥
　若葉色の頬に拳をあてて、フリフリ甘めのゴシックロリータなお嬢さん、ゾンビーヌ・ロッテンローズ（元カルト組織「リビング・デッド魔導会」の腐薔薇姫・f40316）はもうたまらんと身震いする。
　屈強なる拳刀士らはなにかを悟ったのだろうか、刀を伸べる手がそれぞれにカタカタと震えている。
「んー、刀で傷つけ合う抱擁もなかなかにおいしいですけれどぉ、やっぱり★がっつりと肌と肌で抱き合って欲しいですわね」
　二次創作はお好み次第の設定を幾らでもぶちこめるのが魅力で或る。ゾンビーヌはそーいっと鞭を振り上げると刀を握る拳だけを狙い斬り落した。
　そこら中からからんからんと刃の落ちる無機質な音が響く。断面からだくだくと血を流し、それでも彼らはゾンビーヌ目掛け蹴りを繰りださんとす。
「ああぁん、闘志は折れぬってことですの？　た・ぎ・り、ますわぁああ」
　興奮に呼応して腐女子の背後より薔薇（意味深）の花が咲き茎を伸ばす。それらは男達を無理矢理に｜巻き取り《カップリングして》ギュウギュウと締めあげる。
　ぶぢん！
　濁音まみれの肉が弾ける音と断末魔はほぼ同時。抱き合ったまま果てていく男を前にして、ゾンビーヌはほぅっと熱あるため息を零すのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

第2章 ボス戦 『石化妖狐『石九尾』』

POW   :    獣喰いの九尾 【九つの尻尾】に【闇のオーラ】を注ぎ込み変形させる。変形後の［九つの尻尾］による攻撃は、【尻尾へ取り込み石化】の状態異常を追加で与える。 SPD   :    石の狐火 【身体に纏う闇のオーラ】からレベル×1個の【灰色の狐火】を召喚する。［灰色の狐火］に触れた対象は【遅効性の石化】の状態異常を受ける。 WIZ   :    闇のオーラ レベルm半径内に【闇のオーラ】を放出し、味方に治癒を、敵に【石化】の状態異常、全員に興奮作用を与える。 イラスト：おおやけさかな 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●石九尾の微笑み
「まぁまぁ、あたくしが来る前にすっかりと果ててしまったのねぇ。まぁよろしくてよ。代わりは幾らでもあるもの」
　アラタマ・ミコト（極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935）の眼前で、あれよあれよと言う間に先ほど倒した刀刃拳の使い手がまた現れる。
「ふむ、また呼びつけたわけですか。キリが無い……これは危機でございます！」
　拳刀士を屠るためには寿命を削る羽目になった。それほどに油断ならぬ相手なのだが、更に石九尾も加わるとなれば、戦いの難易度はうなぎ登りである。
　その筈、なのだが。
「うっふっふっ」
　石九尾は含み笑いを浮かべると、手近な拳刀士を尻尾で巻き上げる。
『うぉお……』
『がっ……』
　憐れ、修行を収めた屈強なる男女は死の眠りを破かれた直後に、生きるも死ぬも叶わぬ石へと変えられてしまった！！
　アラタマは信じられぬと目を見開き苦渋に奥歯を噛んだ。
「そなたはなんと惨いことをなさるのか……」
「あら、お説教はごめんだわよ」
　石にした者を尻尾で弄び、石九尾はご満悦。指でつき爪でほじり罅を入れ、怨嗟の容がますます歪んだように見えるのに寿ぐのだ。
「ぬぅ。もうこれ以上の狼藉は捨て置けぬ。あらたまちゃんの逆鱗に触れたことを後悔するがよいわ！」
　吼え猛る即身仏は将軍鎧に身を包み、女狐へと突撃する。
「あっはっは！　其方も石に変えて永遠に妾が愛でてやろうぞ！」
　ばふんっと尻尾が翻るのをしゃがんで避けて帷子に触れた拳刀士だったものを掴む。
「貴様らの魂はあらたまちゃんが全て背負う。往生せよ！　往生せよ！」
　叫び、石化拳刀士にて大きく振りかぶる。
　石九尾は「ギャンッ」となさけない獣の悲鳴をあげて、彼方へ叩き飛ばされるのである。
　

大成功 🔵​🔵​🔵​

●
「みすずちゃん、突撃ー！」
　冬でも元気、諏訪野・みすず（不思議系ダンサー・f00636）は、チューブトップにダメージジーンズのラフな恰好そのもの。
　作戦？　突撃、殴る、以上！　しんぷるいずべすと。
「わかりました。それでは私もあわせますね。
　眼鏡の向こうの瞳はオドオドと彷徨うのに、アレクサンドラ・ヒュンディン（狗孤鈍狼・f25572）の戦闘に対する姿勢も豪快だ。力任せにぶちかます、攻撃はライフで受ける！　以上！　同じくしんぷるいずべすと。
「待ってくれる」
　酒の場では酔った者勝ち。素面な人が全ての世話をしなくてはいけない。今回の仇死原・アンナ（処刑人、獄炎の花嫁、焔の魔女、恐怖の騎士・f09978）のように。
　白磁の頬を引き攣らせ、鴉羽色の双眸の間をもみほぐす。しなやかな人形めいた掌には、厳つい錆色の乙女が握られており、パワータイプ二人の行く手を阻んでいる。
「あの女狐は、近づく者を石に変えるわ。無策での突撃は思う壺よ」
「あっ、あっ、すみません。考えが浅かったですね……」
　しゅんっと白い耳をたらし、どうしましょうか？　とアレクサンドラは上目だ。
「んー、じゃあどうすればいい？」
　指示よろっとみすずは軽快に敬礼。
「そうね……直接やりあえば石化は免れないようね。それこそ先ほどの彼女みたいに石化した味方を武器にされる、なんて意表を突かない限りは接近戦は不利のようよ」
　意表を突くのは回数を重ねるごとに難しくもなる。ならばここは、３人いる事を生かすべきだろう。
「耳を貸して……」
　アンナの囁きを聞いた後で、みすずは瞳を輝かせる。
「よおし、結局は突撃していいんだね！　やったぁ！」
「私が着火役になろうと思うのだけれども……巻き込んでしまうと心苦しいからアレクサンドラさんも離れていて」
「いいですよ、多少のことでは壊れませんから。頑丈さが自慢です」
　まだ戸惑うアンナへアレクサンドラはことりと首を傾ける。
「……じゃーあ、戻ったら肉まんをひとつ奢ってください。美味しいものが待っていればどこまでもがんばれますから」

　――さて。
　まずはアンナが先陣を切る。
　仲間の無謀なる突撃を阻んでいた血吸いの処女が、戦場一帯を網羅。巨大化した剣を力任せに振り回した。錆色の風圧は石遊びのお人形を一瞬で粉にした。
「！　クッ……狐火、あれを黙らせておいで」
　不快さ露わに石九尾は狐火を排出する。
「掛かりましたねぇ……」
　アンナの三振り目で頬に裂傷を得た白狼が流れる血をぺろりと舐めた。その瞳はけだもの、先ほどまでの内気な娘の面影はない。
「ばらばらに、なれぇえ……！」
　咆吼と同時に八方に広がる髪が、狐火を一刀両断だ！　触れた髪先が石となりはらりはらりと剥がれ落ちるも、すぐに新たに伸びた毛に上書きされるのみ。
「くぅっ、下品なのよ！」
　アレクサンドラの髪が狐めの鼻先もかすめるも、辛うじて石にした拳刀士を盾にして凌ぐ。
　かしゃん……軽い音で砕けた命の先に、ひゅるりと現れたのはサンダルの足裏である。地上を席巻する錆色の風も白の剛毛も空で遊ぶ娘には全くもって関係ない！
「ちぇすとーーー！！！」
　ごいんっと、みすずの踵落としが女狐の脳天をこれでもかと直撃する。
「ぎゃああああ！」
　悲鳴をあげるほっぺたを空中回し蹴り。みすずのクリティカルヒット！　見事なる連携にて屠る。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

●
　戦場に降り立った刹那、シュドール・レッドジルコン（じっと見つめる・f45059）の紅玉が、ギラリと異様な輝きを帯びた。
「危ない……！」
　キィ……ンッと澄んだ高音、シュドールの瞳を専有し命奪わんと牙を剥く刃が砕け散った。羽ばたきで破片を弾き庇い立つのはシホ・エーデルワイス（捧げるもの・f03442）である。
「大丈夫ですか？」
　こくり、とシュドールは頷くと、予め綴っておいた華奢な文字列を見せる。
『名前は『シュドール・レッドジルコン』。呼びにくかったら『シューコ』と呼んでくれても良い』
「シューコ……さん。良かったです」
　シホは弾丸をばらまき敵を牽制。だが仲間が現れたのを見て取り、引き金から指を外す。
　飛んでくる狐火をシュシュシューっと見事に分割し、しゅたりっと着地するのは布被りお化けの納花・ピンチン（ブギーモンスターの勇者・f31878）だ。
「シューコさんは、もしかして戦場は初めてさんですの？」
「……むー？」
　シュドールはことりと首を傾ける。己にとってもどこか正体不明。だがそれでもわかっている事がある。
「……ん！」
　ピンチンの手にする勇者の剣の持ち手のカラーはクリスマスの赤と白。そしてシュドールが大好きなのは丸太の形をしたブッシュ・ド・ノエル。
「まぁ、まぁまぁ……！　クリスマスが過ぎてしまいましたけれど、こちらをどうぞ」
　売れ残りなんて言っちゃダメ！　ジンジャーマンクッキーは美味しいんだから！　……なぁんてやりとりができるのは、シホが拳刀士を排除し石九尾を相手どってくれているから。
　――聖銃二丁が奏でるはクリスマスコンチェルト。舞台装置は灰色の光、堕ちる墜ちる、その度にあり得ざる輝きを放って消える。
『ぐぅうう、なんて数の弾丸なのかしら！　野蛮ったらないわねぇ』
　女狐を包む闇が撓み、新たなる狐火を生み出すも、その全てはシホの｜聖銃《タクト》の元に消えていく。
「シホさんってばさすがですわ！　アタシ達も負けていられませんわね」
「……」
　ぐっとクッキーを噛みしめたらブッシュ・ド・ノエルと似た幸せのあまあまが口に広がった。
　ほわり。
　シュドールの赤い双眸が柔らかにゆるむ。その眼差しを見たピンチンも心がほわっとあったかくなった。
「まぁ、こ・れ・は！」
　それだけじゃない、体がキレッキレの予感ー！
「なんだか温泉でひとっ風呂キメたけど疲れが全く来てないベストコンディションですわー！」
　女狐より放たれし闇のオーラはなんのその！　幾ら拳刀士を癒やそうが、鋏でつけた目印は消えない。ピンチンはひらりひらり飛ぶ鳥の如く舞い踊り、｜くすぐり《・・・・》をお見舞いだ。
「シューコさん、援護します」
　入れ替わり傍らにきたシホは、石九尾の狐火を的確に消しながら斜め下の赤い双眸を見た。すると激戦にて知らず負った痛みが気力で書換えられていく。
「これは……ありがとうございます。まだまだがんばれそうです」
　仲間の微笑みを見て取り、シュドールもまたすこーしだけ口角をもちあげる。本当にすこーしだけ。そうしてメモ帳をしまい掲げた腕に葡萄茶の髪が絡みつき……驚くなかれ、長柄の斧へと変じたではないか！
「こちらがあいてますわよー！　ふんぬっ！」
　拳刀士を蹴飛ばしピンチンが台詞通りに｜あけた《・・・》。
「道は作ります、さぁ、思うままにいってください！」
　シホが奏でしはクリスマスコンサートでよく歌われる賛美歌だ。
　ブッシュ・ド・ノエルが一番愛されるその日を浮かべ、シュドールは地面を蹴る。全てが全て祝福が折り重なる中を少女は駈けた。
『お前も妾の｜コレクション《石人形》にして可愛がってあげる！』
「……ん！」
　返事の代わりに、ぶぅんっと斧が風切り音。問答無用の一刀両断、九つの内ひとつの尻尾を斬り飛ばす！

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

●
　――既に｜仲間《前幕の役者》が時間を稼いでくれた。
　故に、シェーラ・ミレディ（金と正義と・f00296）は万全の状態で舞台にあがる。
「一切の束縛から逃れきる、時の流れにも似た激情」
　詠唱の締めくくりを最初の台詞へ昇華させる。
　手にした｜彩《精霊銃》を空中に放っては受け止めて、｜観客《拳刀士》の死んだ双眸が吸い寄せられるのも想定通り。
『ごちゃごちゃとうるさいわねぇ。その口も石にすればあなたの麗しさだけが残るでしょうよ！　人形！』
　蔑みには眉一つ動かさずに、シェーラは傷を塞がれ再利用される拳刀士を真っ向から捉えた。
「辿り着く約束のいつか。果ては彼岸より遠く」
　精霊の行き先は視えている。
「旅人は歩み続ける」
　闇には闇を。
　相克を選ばず敢えて同じ彩にて格の差を見せつける。
　シェーラの銃口より鈴なりの精霊が黒き衣を翻し、迷いなくオブリビオンを灼いていく。醜く歯がみする女狐は、そのままの顔で額に疵だけ増やし倒れた。
「そろそろ幕だ、大根役者」

成功 🔵​🔵​🔴​

●
　倒れた女狐は、石のように硬い尻尾が背中に当たりますます腹が立った。｜コレクション《石像》を増やす愛しきそれを憎むだなんて……。
　そう悔しがる女の周囲に、カラフルな🍄がそこかしこから生えてくる。
『？　え……なによ、これ……』
　なんとかしろと拳刀士に鋭い視線を向けるも、死闘のプロである彼らは本能的な恐怖より、じりじりりと後ずさる。
「キノキノ！　キノの陽気な仲間の力を見せてあげるね！」
　明朗さで一杯の声をあげ、キノ・コバルトリュフ（キノコつむり🍄🍄🍄🍄🍄の星霊術士・f39074）は自分の笠をもちあげる。
　ぼふんっ！
　するとどうだ、キノの夜色をした笠そっくりのキノコ笠達が、くるくると楽しげに空を埋め尽くす。
　あんぐりと阿呆のように口をあく拳刀士らは、その隙を突かれて悉くキノコ笠の毒にて霧散していく。
『このっ役立たずめええっ！』
　いらっと跳ね起き……ようとした女狐はふらりと倒れ伏す。
　毒だ。
　周囲に生えている🍄をよく見れば、空を飛ぶキノコ笠と同じ模様をしているではないか！
　たんっと飛び込んできたキノは女狐を召し捕ったキノコたちをぷつりぷつりと摘みねぎらった。
「んー……狐鍋っておいしいのかなー？」
　キノコキノキノ、一緒に煮込めばさいのこう！

成功 🔵​🔵​🔴​

●
『あっらぁ～、とっても愛らしい兔さんだこと！　妾のペットに丁度いいわぁ』
　ぞわっ！
　印旛院・ラビニア（エタらない人（仮）・f42058）が身につけているもふもふがケバだった。
　ラビニアは語ればながーーくなる事情でこのようなラブリーバニーなアバターだが、精神はまっとうな成人男性のそれである。狐に色目を使われる謂れはない。
　ん？　成人男性なら美人の範疇に入る石九尾からのアプローチはカモーンなのか？
『狐火！　さぁ、じわじわと石におなり！』
「やっぱなしー！」
　おみみをきゅうっと下げて縮こまる。それにしても夥しい狐火の数だ。ラビニアは跳ねるように逃げながらも目視でざっくり数を把握。
　ひゃくろくじゅういちよりいっぱい。
　よし！
「召喚！　神滅の戦乙女・ジークヒルデ！」
　黄金色の戦乙女の影に隠れ（狐火を喰らわぬ為に、大事！）ラビニアはずびしっと天に指をかかげる。
「行け、ヴァルグラム・ノヴァ！！」
　戦乙女の構える剣が、きゅおんきゅおんと集積したオーラを一気に解き放つ！
『なんの！　相殺……ッ？！　なに、この力は……妾を軽く凌駕して……』
　狐火を一瞬で灰に変え、ラビニアより遙かにレベルが高いであろう女を灼き尽くす。
「教えてあげるよ！　こういうのは窮鼠猫を噛むって言うんだよ」
　兔だけどまあそこはね。

成功 🔵​🔵​🔴​

●
　いち、にー、さん……いっぱいある。
　けど全部避ける。
　ティモシー・レンツ（ヤドリガミのポンコツ占い師・f15854）は数を数える時もよく間違うし、要はおおざっぱなのかもしれない。
　だがおおざっぱ故に、女狐の放つ狐火の軍団にも怯えることはないのだろう。
「いや、恐いですよ。恐いから避けるんです」
　占いは当たらないのに敵の次の手の予想は正確だ。集団で挟み撃ちにされても、袖を流麗に翻し右へ左へ、そして前へ。
　バンッ！　っと、勢いで女狐の容とにらめっこ。こんなに近づいてしまったなんて……！
「おやおや、案外と皺がありますね」
『お前、絶対許さないわぁあああ』
　ゴゴゴゴゴゴ！　眉間の皺を更に深くして、石九尾は目の前の不遜なる少年を狐火で火だるまにしてやるっと息巻いた。
『消し炭からでも石像で復元できるのか興味深い所ねぇ……ん？』
　狐火がぶつかりあって石化していく足元には『フール』のカードだけがある。
「“ばーか”って言いたいんじゃあないんですよ？　いやカードの名前は愚者ですけど……ええっと意味はなんだったっけ？」
　ティモシーは首を曲げてもとんと意味がでてこない。
　だが、こうやって全て避けきり稼いだ時間が仲間のトドメを助けることとなる。

成功 🔵​🔵​🔴​

●
　ティモシーに翻弄された石九尾は、完全に注意力を奪われてしまっていた。
『あーっはっはっはっ！　チョロチョロ逃げるお前もこれで妾のコレクションよ！』
　意気揚々と膨らました尻尾は芥子色の外套で覆われる。もたつくようにもどかしく揺れる尻尾、ここまでしても破れない時点でこれは猟兵の持ち物であることは明白だ。
『狐火！　やっておしまい！！』
　何処に居ようが数をばらまけば圧倒できる、そんなことは仲佐・衣吹（多重人格者のマジックナイト・f02831）からすればお見通しである。
「「「「「全くもって美しくないわ」」」」」」
　カナリアの囀りのように麗しきサラウンド。方々から、反響と黒銀のダガーが狐火をかいくぐり石九尾に突き刺さる。
『くぅ……よくも妾に痛みを……けど、いい気になるのはここまでよ！　死ね！』
　肩や太ももから血を流しながらも、石九尾は狐火を指さす場所へ送り込む。そこには品の良いベストを着た麗しの紳士が佇んでいる。
　狐火に蝕まれ衣吹は石へと果てる……筈であった。いや、実際、衣吹は消え失せた。何故なら『彼』は残像だから。
「鬼さんこちら」
　からかい声と共にベストが石九尾の顔に投げつけられる。振り払おうとしたがさせじと、額の位置にダガーが突き刺さる。
『ぎゃぁあぁ！』
　濁った悲鳴が余りに耳障りで、衣吹は眉を顰める。
「数打ちゃ当たる戦法にお似合いの悲鳴ね、潰れたヒキガエルみたい……本当に美しくないわ」

成功 🔵​🔵​🔴​

●
「へーえ、石化してお持ち帰りしたいんだね」
　石九尾はぞわりと肩を竦める。頬にはりつく、このねばっとした感触はなんだ？　目玉を動かし辛うじて見て取れたのは『黒』
「ふふふー★」
　冷貌なる赫を弓に曲げ笑みめいた表情にて真正面に回り込んだのは、クローネ・マックローネ（｜闇《ダークネス》と｜神《デウスエクス》を従える者・f05148）である。
「じゃーあー、その願いを叶えてあげるね★」
　いとも容易く己を投げ捨てる。その言葉に違わず無防備で、石九尾の肩へとしな垂れかかる。
「ほーらー、はやくしてよー♪はーやーくー……食べちゃってよ★」
　ひゃっと乙女のような悲鳴をあげた後で、狐は取り繕うように怒気孕む容で闇色の尻尾をゆする。
『小娘ぇ、妾を挑発したことを後悔するがよいわぁ！』
「やぁん★カタイ～♪」
　クローネの姿は尻尾に挟まれ消え失せた。褐色を越えた黒い肌は灰色に変わり、ふざけ台詞のはしゃぎ顔でまさに固められた。
『ふんっ！　なにも言えま…………ん？』
　ガクンッと石九尾が膝をついた。
　召喚済の拳刀士が維持できず、拭き取るように世界から消失していく。
　頭が割れるように痛い……否、実際に割れている。ぼたぼたと落ちる血は、両の瞳、口端、耳、他あらゆる穴から滴るものだ。
　命がこの身から抜けていく。
　止らない、
　トマラナイ！
『あぁああ！　何をしている？！　止めなさい、止めて……ッ！』
　クローネは変わらず石の儘だ。
　だが石にされたぐらいで手段を奪えるなんてのは全くもって甘い考えが過ぎる。パワーストーンの逆だ、クローネは狐の生命力を簒奪する。
『くぅぅ！　妾から離れろおおおおッ！』
　それも無理な相談だ。尻尾に封じ石に変えたのは石九尾に他ならないのだから。矛盾に悶絶する狐めは、憐れ全ての命をクローネに吸われ切ってしまう。
　四肢から頭、そして最後に残った尻尾も霧散すると同時に、放り出されるようにフレッシュなクローネが解放された。
「なぁんだ、石になっても案外普段と変わらないなんて、つまんないね」
　最後まで燻る狐火をヒールで踏みにじり、一仕事を終えたクローネはうぅんっと伸びをして帰路につくのだ。
　
　
　



ワタシの超生命力吸収（ブラック・スーパー・ライフドレイン）
『より広範囲から、より多くの生命力を吸収するように強化した技能…見せてあげる！』
技能名「【生命力吸収】と【範囲攻撃】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。

成功 🔵​🔵​🔴​

最終結果：成功 完成日:2025年01月20日