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斎藤福様の帰還を助けつつリア充は死ね(返り討ちもあり)

#封神武侠界 #サムライエンパイア #斎藤・福 #曹豹

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●一応クリスマスシナリオらしい
 改めて説明しよう。
 キャンピーくんによってサムライエンパイアから封神武侠界に転移された斎藤・福と首塚の一族。その役目も終わり、そろそろサムライエンパイアに帰ろうという事になった。で、その手段が『渾沌化オブリビオン』を首塚の一族たちの『鎖』で捕える事。手段はわかった。だがしかし。

「その渾沌化オブリビオンがなかなか出てくれないんだよねえ」
 大豪傑・麗刃(26歳児・f01156)は|傾奇者《ネタキャラ》ではあるが、それでもある程度の義侠心めいたものは持っているようで、首塚の一族たちがなかなか帰れない現状に対して思うところはあったようだ。
「でもちょうどいいところに、渾沌化オブリビオンの出現を予知できたのだ。で、さっそくみんなに向かってもらいたいのだが……その敵というのがねえ」

「ちょっと待ったぁ!そこから先はボクに説明させてくれ!」
 突然横から入ってきたのは不破・静武(人間の非モテの味方・f37639)。彼が出てきたという事は、つまりそういうことだ。
「今日は何の日だ?」
 今日。一応12/24だよね。ということは?
「聖戦の日であろう!」
 ……リア充爆発しろな人たちにとってはそういう日らしいね。
「そんなわけで!大豪傑のヤロウが予知したオブリビオンってのもなんだかそっち関係だというじゃないか!ということで遠慮する事はねえ!叩き潰して(独り身的な意味での)正義を示してやってくれ!ついでに戦いが終わったらリア充どもが楽しむらしいからメリークリスマスをベリー苦しみますに変えてやってくれ!頼んだ!」

 ところで昔から『人を呪わば穴二つ』という言葉があるそうですね。いや深い意味はないのですが。

「……そんなわけで」
 ネタキャラだから静武側と言いたいところだけど一応武門の次期当主なので見合い相手ぐらいは用意されてるんじゃないかなーな麗刃はちょっとばつの悪そうな顔をしながら、
「渾沌化オブリビオンだけど、はっきり言ってどんな技を使ってくるかはわたしにも予知できなかったのだ!なので、その、なんだ。がんばってもらいたいのだ!」
 いつものように投げっぱなしで猟兵たちを送り出すのであった。


らあめそまそ
 クリスマスイブ当日にクリスマス依頼(?)を出しても良い?らあめそまそです。
 今回第1章集団戦で一般オブリビオンと、第2章ボス戦で渾沌化オブリビオンと戦い、第3章で斎藤福様たちとクリスマスを楽しむという流れになります。たぶん第3章開始の頃には年明けてますが……細かい事はなしにしようや。渾沌化オブリビオンについては第1章終了後の幕間で説明いたします。

 それでは非リア、リア充等関係なく皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『面影鬼』

POW   :    ここは桃源郷
【己が何者であったかを忘れさせる桃の香】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
SPD   :    もはや帰れぬ桃源郷
戦場全体に、【強い眠気と記憶障害を誘発する桃の木】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    失われた桃源郷
【強い風とともに、闘争心を失わせる桃の花、】【困難に立ち向かう克己心を失わせる桃の実、】【生への執着心を失わせる桃の木の枝】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。

イラスト:high松

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ハーレムの幻
 渾沌化オブリビオンを倒すべく出撃した猟兵たちの前に立ちはだかったオブリビオン【面影鬼】。その攻撃はあまりに恐ろしいものであった……一部の猟兵たちにとって。
『リア充を打倒するなどという空しき使命は忘れ、幸せの中にまどろむがよい』
 その能力は相手に『桃源郷』の幻影を見せ無力化させる事。非リアにとっての『桃源郷』とは……つまり、わかるな?

 面影鬼たちの使うユーベルコードは以下の通りだ。
【ここは桃源郷】は相手に桃の香を浴びせ、幸せな光景を見せて無力化するというものだ。それを受けた者は高速治療されるとのことだが、体力が回復しても代償として幸福のあまり記憶がなくなってしまってはシャレにならない事になるだろう。
【もはや帰れぬ桃源郷】は相手を迷宮で閉じ込めるというものだ。迷宮の壁は破壊困難であり、それだけでも脱出困難だというのに、閉じ込められた者は耐えず眠気と記憶障害に苛まれるのだという。やがては幸せな夢とともに迷宮から出られなくなる事だろう。
【失われた桃源郷】は桃の花、桃の実、桃の枝をぶつける事で幸せな夢を見せて相手の攻撃力を下げ、ついにはユーベルコードを封じてしまうというものだ。そうなったら幸せな幻覚の中に完全に閉じ込められ、動くどころか生命活動維持すらもままらなくなってしまうだろう。

 以上。なにも指定がなければリア充の方々には『愛する人とらぶらぶに過ごす』、そうでない方には『ひとり(あるいは複数)の理想的な異性(あるいは同性)にモテまくる』という感じの幻覚を見せてくる事だろう。むろん他にあるなら『幸せな幻覚』の内容を指定するのはアリだ。いずれにせよ幸福な幻覚を打ち破るのはかなり骨だが、精神攻撃さえどうにかできれば直接攻撃力には欠ける相手のようだし、あとはどうにでもなるだろう。尖兵はさくっと片づけメインに備えようではないか。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
あの方々は、「そうやって騒ぐのを楽しんでいる」様に見えるのは気のせいです?

私の見る『幻覚』は『食物』になりそうですが、それでしたら、帰還の際の宴に色々とご用意すれば良いですし。

『FLS』により『FXS』『FQS』を召喚、『FXS』で精神干渉遮断の結界を形成し『桃の香』の『忘却』へ対応、尚影響が出そうな場合は『FQS』の『状態異常治癒』で再生可能な状態にしまして。
【衞盫】を発動、『FXS』の『状態異常低効率』と『FQS』の『治癒力』を其々強化、両者が突破される可能性を潰しましょう。
そのまま『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FBS』の斬撃で[範囲攻撃]、一気に叩きますねぇ。



●食いしん坊万歳
「あの方々は、『そうやって騒ぐのを楽しんでいる』様に見えるのは気のせいです?」
 と、リア充爆発しろを叫ぶ非リアどもを評した夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はたぶん正しい。互いに心を通じ合わせた異性(時として同性)と共に過ごせないのであれば、せめて境遇を同じくする者たちと共に過ごしたい……たぶん根本としてはそういう事なんじゃないかな、たぶん。まあ元ネタとなった人たちは本気で殺しにかかってた気もするけどね。
 さておき。
『なるほど、それが汝の望みか』
 これは筆者の偏見だがるこるのような豊満体形にして肌の露出部分多めの女性は色気系の欲求が強いと考えて9割9分9厘まで当たっているような気がしていたが、るこるはその希少な1厘に該当するらしい。その事を面影鬼はすぐに察したようだ。そして、それならそれでやりようはある。
『ならばこの桃源郷にて永久に尽きる事のない美食を思うがままに味わうがよい』
 次の瞬間、るこるがかすかな桃の香りを認めた瞬間、眼前に浮かんだ光景は地の果てまで広がるがごとき満漢全席の数々。これこそがるこるが色よりも臨んだ欲求の具現化であった。その一品一品すべて、最高級の材料を超一流の超級料理人が精魂込めて仕上げた極上の一皿である事は素人目にもわかるだろう。それがこれだけの量。いかなる王侯貴族であっても望むならるこるはこれを存分に楽しみ永遠に飢えとは無縁な世界で食欲を飽きる事なく満たし続ける事もできただろう。だがしかし。
「……それでしたら、帰還の際の宴に色々とご用意すれば良いですし」
 思いの外あっさりと夢から覚めた。夢で見た幻ほどのものを用意できるかはともかくとして、一応の回答を用意していた事、そして術のかかりが浅かった事が幸いしたらしい。だが記憶を失わせるという桃の香である。長時間術の影響を受けたらどうなるかわかったものではない。るこるは祭器を呼び出し桃の香に抵抗する結界を張り、状態異常治癒の準備を行う。そして。
「大いなる豊饒の女神、その『祭器』の異同なる姿を此処に」
 そのユーベルコードの名は【衞盫】といった。衞は衛、盫は庵だ。読みの『ボウアツノツイガサネ』は『防圧の衝重ね』であろう。これは防御系の祭器の力を強化するもので、これで結界と状態異常治癒の力を大幅に上昇させた。
『無駄な抵抗はやめよ、いかに贅を尽くそうとも現世の食はいずれ尽きる、我なら永遠に尽きぬ美食を与えられるぞ』
「それも悪くないかもですけどねえ」
 面影鬼は再度桃の香を放ち、今度こそるこるを永遠の夢の中に堕とそうとするが、強化された結界がそれを見事に防いだ。そしてるこるは反撃とばかりに攻撃用の祭器を大量に呼び出す。
「やっぱりおなかがすかないのもなんかおもしろくないような気がするんですよねぇ」
 そして放たれた集中砲火は無慈悲に面影鬼を吹き飛ばしていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
こーゆー幻覚ってオレ未だにミサキを思い出しちゃうワケよ
相棒ユキエ『未練がましー
返す言葉もアリマセン

敵の投げる桃の実や枝は幻で動揺してても【野生の勘と視力】で躱せるはず
てゆーか
こーゆー時オレに物投げてくる相手って当のミサキだし
『割れた瓦とか牛のフンすぐ投げるしね

そそ
よーミサキはいつまでも若いね
オレはちょっと歳食ったからも少し生き延びたら郷のカナと所帯持つよ
「いいけど。ユキエとじゃなくて?
イヤそれさすがにヤバない?
『ユキエは心の嫁って』
「私込みで三股か…
うへ言葉悪るぅ
さてらぶらぶ会話も堪能したし反撃と行きますかねェ
じゃーねミサキ
UCで桃を蹴散らし敵も斬り刻む
あー
オレってリア充側だったのね

アドリブ可



●よるの夢こそまことか
「ひさしぶりね」
「あー、やっぱりか」
 強い風を感じた瞬間、鹿村・トーゴ(鄙の伏鳥・f14519)の眼前に現れたのはひとりの少女。かつて愛した……というより、取り返しのつかない事になって初めて愛していた事に気付いてしまった娘の名はミサキ。
「こーゆー幻覚ってオレ未だにミサキを思い出しちゃうワケよ」
 来るのが分かっていただけに自分が幻覚の中にいる事はすぐに理解できた。なにせあのグリモア猟兵絡みの依頼だけでも2回目である。そして。
『未練がましー』
「……返す言葉もアリマセン」
 肩に止まる黄芭旦のユキエの声がトーゴを現実世界に繋ぎとめてくれた。だから面影鬼が放った次の言葉もよーく聞こえた。
『これは幻ではない、汝が望むならまこととなろう』
 トーゴは無意識のうちに体を動かしていた。幻で見えないながらも、面影鬼が投げつけてきた物が自分の横を空しく通り過ぎていったのがよくわかる。その時のトーゴは眼前のミサキに視線を向けつつも、見ているのはどこか遠くであった。
「こーゆー時オレに物投げてくる相手って当のミサキだし」
『割れた瓦とか牛のフンすぐ投げるしね』
「そそ」
 ……こう見えて結構気の強い子だったらしい。そして今回は物を投げたわけではないミサキの幻に、トーゴは改めて相対した。
「よー、ミサキはいつまでも若いね」
「ううん、トーゴも変わってないよ」
「変わってない、か」
 喜んでいいやら悲しんでいいやら。ただ見た目は別にして、確かに変わった事はあったのだ。というより、変わらなければならない事だった。
「……オレはちょっと歳食ったからさ」
 先に進むために。
「少し生き延びたら郷のカナと所帯持つよ」
「別にいいけど」
 それが幻で見る理想像だからか、あるいは生きていたとして本当にそう言ったのか、ともあれ、いつの間にかそういう相手ができたと知らされたミサキの反応は存外さばさばしたものであった。
「ユキエとじゃなくて?」
「イヤそれさすがにヤバない?」
『ユキエは心の嫁って』
「私込みで三股か…」
「うへ、言葉悪るぅ」
 かつては里でもこんな感じで他愛のない会話をしていたのだろうか。しばし時を忘れそうになったトーゴだが、それでもこれは現実でも、ましてや桃源郷などでもないのだ。
「さて、らぶらぶ会話も堪能したし反撃と行きますかねェ」
 トーゴはクナイを握りしめた。そしてユーベルコード【菜靡】を発動させると、クナイは菜の花の花びらに変わる。
「……じゃーねミサキ」
「うん、またね」
 トーゴは目を閉じた。以前と変わらないようにも、ちょっと寂し気にも見えたミサキの笑顔が消える。代わりに現れたのは一面の桜吹雪ならぬ桃吹雪。トーゴは菜の花を飛ばすとたちまち黄色と桃色の嵐が正面からぶつかり合う。だがコントラストは長くは続かず、やがて黄色が戦場を支配し、面影鬼をも斬り裂いていった。

「あー、オレってリア充側だったのね」
 かつて自らを称し、闘争本能を満たす意味ではリア充だと言ったトーゴ。だがまさかこっちの方でもとは……まあいいや。いずれにせよ、ちょっと今回は闘争本能を満たすには足りなかっただろう。それにふさわしき相手はおそらくこの先にいる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェリチェ・リーリエ
っしゃあ!嫉妬戦士フェリチェ出陣だべ!首洗って待ってろリア充!

…と、意気込み飛び込んだ先に見たのは乙女ゲームよろしく見目麗しいイケメン達が「君可愛いね」「早く俺のモノになれよ…」等と甘く囁いてくる逆ハーレムだった、が。

オエェー…なんつー悪夢だ、おらはイケメンアレルギーなんだべ、どこが幸福な幻だコラァ!
非リアだと思ってなめやがって!全ての非リアがハーレム望んでると思うな!

自分にとっては幸福どころか最悪な夢にブチ切れあっさり目を覚まし、あー嫌なもの見た、と口直しにライフベリーもぐもぐしつつ土にも植えて攻性植物に【捕食】攻撃させる。

嫉妬戦士であることはおらのアイデンティティだ、空しき使命とか言うな!



●条件設定ミスと言うべきなのだろうか
 3人目でようやっとグリモア猟兵の片方が熱望した種類の人物がやってきたようだ。その猟兵、フェリチェ・リーリエ(嫉妬戦士さんじゅうきゅうさい・f39205)は称号が、そして。
「っしゃあ!嫉妬戦士フェリチェ出陣だべ!首洗って待ってろリア充!」
 自らに気合を入れた言葉が示した通り、悪(リア充)を憎み正義(独り身的な意味での)を示す正統派の非リアであった。そんなフェリチェを面影鬼はあくまで冷静に迎えた。
『空しき使命に殉ずるとは哀れな女よ、しばし心を休めるがよい』
 そして桃の香がフェリチェを覆う。たちまちフェリチェは幻の中に閉じ込められた。そして非リアが見る夢は決まっていた。すなわち。
「君可愛いね」
「早く俺のモノになれよ…」
「結婚したのか、俺以外の奴と」
「僕が大きくなったらお嫁さんにしてあげる」
「私がこうする事で喜ばぬ女はいなかった」
「やらないか」
 若い子から大人まで。美形から可愛い系まで。真面目からワル系まで。熱血系からクール系まで。そりゃもう様々なジャンルの見目麗しいイケメン達が乙女ゲームのごとくに甘い言葉をささやいてくる、いわゆる逆ハーレムであった。むろんフェリチェがこれに心を許したら、面影鬼が言うようなしばしなどではなく永遠に夢の中に閉じ込められてしまう事だろう。が。
「オエエエエエエエエ」
 あろうことかフェリチェの反応は強烈な拒絶であった。
「なんつー悪夢だ!おらはイケメンアレルギーなんだべ!」
 そうらしいね。フェリチェは嫉妬戦士ではあるが、それは自分がリア充になれない事への裏返しではなく、自分がリア充になる事すら嫌なぐらいにリア充を憎んでいるらしい。
「どこが幸福な幻だコラァ!非リアだと思ってなめやがって!全ての非リアがハーレム望んでると思うな!」
 このあたり、あのグリモア猟兵だったらなんと言うだろうなあ。それはともかく、この反応は面影鬼にとってはいささか想定外だったようだ。
『馬鹿な、幸福を見せたつもりがここまで拒絶されるとは、我が見誤ったというのか』
 確かに標的を桃源郷の幻に閉じ込めるプロフェッショナルとして、フェリチェの好みを見極められなかったのは不覚としか言いようがあるまい。ただまあ、(本人の希望がない場合)事前に非リアに見せる夢はこうですよー、って提示してしまった以上、それを変えるのはなかなかに難しいもので。
『作戦ミスを認めねばなるまい……いやミスをしたのは我ではなく筆者なのでは』
「なにをごちゃごちゃ言ってるべか!?あー嫌なものを見ちまったべ!」
 失策を悔やむ面影鬼に、口直しとばかりにライフベリーをかじるフェリチェが迫る。こんな最悪な夢を見せてくれた相手に目に物見せてやるべく闘志は最高潮だ。それに加えてフェリチェにはもうひとつ言わなければならない事があった。
「嫉妬戦士であることはおらのアイデンティティだ!空しき使命とか言うな!」
 かくして怒りとともにフェリチェが送り込んだ攻性植物は面影鬼をあっさり捕食したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

源・朔兎
え?恋する男として試練を受けてこいなんていい笑顔で家族に送り出されてとても悪い予感がしたんだがなんだこりゃあ!?愛しの星羅が可愛いワンピース着て微笑んで甘えてきてるぞ!!・・・確かに桃源郷だな。

幸せに頭がくらくらするので月読の使いに頼る!!戦闘不能になる前に治癒したり話しかけたり敵に攻撃してくれ!!

いや、清楚で控えめな星羅がこんなに甘えてくるはずがない!!いつも俺の気持ちを考えて接してくれる優しい姫なんだ!!悪いが本物の姫の元へ帰らせてもらう!!

月読の使いと共に【限界突破】で幻影を【斬撃波】で切り裂く!!

ぜいぜい。まだ俺は未熟だな・・・



●思春期
 あのグリモア猟兵ならば間違いなく源・朔兎(既望の彩光・f43270)の事をリア充と呼ぶ事であろう。心に決めた相手は既におり、いろいろと紆余曲折はあったようだが現在はその相手とともにとある猟兵ファミリーに世話になっているようである。で、朔兎とその相手の仲はファミリー公認であるということで。
「恋する男として試練を受けてこいなんていい笑顔で家族に送り出されてとても悪い予感がするんだが……」
 朔兎が封神武侠界にいるのもはそういうことらしい。早速倒すべき相手の面影鬼と相対したわけだが。
『それが汝の望みか、ならば存分に幸福を楽しむがよい』
 言葉とともに桃の香が鼻腔をくすぐる。と同時に朔兎の眼前に現れたのは。
「朔兎様!」
 それは朔兎にとっては慣れ親しんだ声であった。そしてその姿を認め。
「え?なんだこりゃあ!?」
 朔兎は思わず絶叫していた。当然その姿は既に話題に出ていた思い人のものであった……が。いつもの陰陽師の服装ではない。異世界の服装、それもなんとも可愛らしいワンピース姿である。
「……た、確かに桃源郷だな」
 認めざるをえまい。普段と違う姿を見せているという事が、なんとも破壊力をもって迫って来るという事を。
「どうしました?私の顔に何かついてますか?」
「い、いや、そういうわけじゃないんだけど」
「うふふ、変な朔兎様」
 そしてその彼女が朔兎の横にぴとっとくっつくと甘えるように頬をすり寄せてきた。明らかに普段と違う、のだが。それでもこれは正常な男の子にとってはなんともきつい。
(いや、清楚で控えめな星羅がこんなに甘えてくるはずがない!!いつも俺の気持ちを考えて接してくれる優しい姫なんだ!!)
「朔兎様、あったかいですぅ」
「うっ……こ、これは……」
 義理の家族の実に良い笑顔が頭に浮かぶ。確かに彼らの言う通り、これは試練だ。本物じゃないことは頭ではなんとかわかっていてもなおこれを跳ねのけるのはなかなかに厳しいものがあった。それでもどうにかしないとならない。ここに永久に留まってしまうわけにはいかないのだ。
「……と、とりあえず、任せた!」
 現状を打破すべく、朔兎は狩衣姿の【月読の使い】を159体召喚した。使いたちは二手に分かれると、片方の群れは朔兎に呼びかけたり治癒したりしてどうにか精神攻撃に飲まれないよう尽力してくれた。その間に別の群れが面影鬼を攻撃に向かう。さらなるあまあまな攻撃に耐えつつ、朔兎はひたすらに気を伺った。そしてついに幻覚が途切れ始めるのを朔兎は確かに見た。使いたちが面影鬼をとらえたのだろう。そして朔兎は刀を抜いた。
「悪いが本物の姫の元へ帰らせてもらう!!」
 裂帛の一撃は瞬く間に幻影を斬り裂き、そして面影鬼を両断していた。後に残されたのは桃源郷でもなんでもない封神武侠界の光景のみ。
「まだ俺は未熟だな……」
 どうにか破る事ができたとはいえ精神攻撃は強烈だった。荒い息を吐きつつ朔兎はつぶやいたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天野・陽輝
なんか家族から朔兎の救援にいってくれ、と頼まれた。色々経験したものとして助けてくれ・・・駆けつけた風景にため息をつく。まあ、まだ若い朔兎にはハードな試練だな。

確かに私は名家で音楽家でいろんな舞台をプロデュースしてきた。社交的に数多くの女性と接した経験がある。それは否定できない。

でも私は亡き妻に愛を捧げている。その信念は揺るがない。下心のある愛などごめんだよ。丁重にお断りする。

幻を【回復力】【狂気耐性】【集中力】で耐えながら黎明の音楽隊でピクシーをよび、狙撃銃で出口を探す。私ぐらいの歳になれば色の伴った精神攻撃など些細な障害だよ。残念だったね。



●幾時代かがありまして
「さて、色々経験したものとして助けてくれと言われては来たものの」
 天野・陽輝(眩耀の曙光・f44868)は先に参加していた別の猟兵の家族であった。家族といってもなかなか複雑な関係なようで、娘の義理の息子なので義理の祖父孫の関係という事になろうか。ともあれ、その猟兵家族から義理の孫の救援ということで送られた先には、早速苦戦真っ最中の孫、そしてそれと相対するオブリビオン。どうやら孫は何やら幻覚を見せられている事はなんとなく察した。ただそれが何なのかを推測する前に、陽輝の前にも別の面影鬼が現れたのである。
『汝は長い旅を続けてきたようだな』
 面影鬼の言葉とともに陽輝の周囲が大量の桃の木で覆われた。事前の情報としては聞いていたが、どうやら巨大な迷路に閉じ込められたようだ。木を叩いてみたがどうやら破壊は難しそうだ。さらに四方から包み込む桃の香りとともに、陽輝の目にも幻覚が見えてきた。
『しばしここで足を休めていくがよい』
 面影鬼の言葉と、目の前に現れた光景に、おそらく似たような目にあっていると思われる義理の孫の事を思い、陽輝は思わずため息をつく。
「まあ、まだ若い朔兎にはハードな試練だな」
 陽輝は妻を亡くしていた。先刻似たような状況の猟兵はリア充判定だったが今回は非リア判定となったのだろうか。その眼前に現れたのはまさにハーレム。様々なジャンルの美女美少女が陽輝を囲んでいたのだ。
「あらぁ、素敵なおじさまねえ」
「ゆっくりしていってくださいなぁ」
「わ、私が付きあってあげてもよくってよ」
「おじちゃーん、あたしと遊ぼうよー」
「……あの……あなたなら……いいです」
 大人から子供まで、美人系から可愛い系まで、クール系からプリティ系まで。清楚系から色気系まで。そんな美女たちを見ながら陽輝が思い出すのは昔の事。
(確かに私は名家で音楽家でいろんな舞台をプロデュースしてきた。社交的に数多くの女性と接した経験がある。それは否定できない)
 それはそれとして、もうひとつ、これも確かな過去。
(でも私は亡き妻に愛を捧げている。その信念は揺るがない)
 陽輝は【黎明の音楽隊】を発動、ピクシーを294体召喚した。奇しくも義理の孫と同様の召喚系ユーベルコードだ。そしてピクシーに出口を探させると、自身は愛用の狙撃銃を抜く。
「下心のある愛などごめんだよ。丁重にお断りする」
 そして銃声の響きで出口を推測すると果たしてその方向に向かったピクシーが出口を探し当ててくれたようだ。あとは精神力で幻に耐えながらそこまでたどり着くだけだ。
『どうやらまたも読み違えたようだ、我としたことが』
 亡き妻の姿を見せれば良かったと悔やむ面影鬼。その前に幻を振り切った陽輝がついに辿り着く。
「私ぐらいの歳になれば色の伴った精神攻撃など些細な障害だよ。残念だったね」
 狙いすました一撃は正確に面影鬼を撃ち抜いていた。そして迷路が消滅し、どうやら義理の孫も『試練』を突破したらしい事を確認した陽輝は笑顔をみせた……が、それはすぐに消える。

 渾沌化オブリビオンが、来たのだ。戦いはむしろここからだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『曹豹』

POW   :    血盟軍団員全員集合
敵1体を指定する。レベル秒後にレベル×1体の【曹豹血盟軍軍団員】が出現し、指定の敵だけを【白兵戦による集団戦術】と【弓矢の一斉射撃】で攻撃する。
SPD   :    娘婿への内通
【娘婿・呂布】の霊を召喚する。これは【方天画戟】や【赤兎馬の騎乗突撃】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    魔人の罵声
【真剣な或いはどこか滑稽な、魂からの罵倒】を給仕している間、戦場にいる真剣な或いはどこか滑稽な、魂からの罵倒を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。

イラスト:聖マサル

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠大豪傑・麗刃です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●渾沌!渾沌!!また渾沌!!!
「そーっひょっひょっひょっひょ」
 けったいな笑い声とともに現れたのは【曹豹】という武将だった。名の読みは『そうひょう』あるいは『そうほう』。まあ好きな方でいいだろう。お初の人もいるので簡単に解説しよう。
 司馬炎の天下統一より70年ほど前に徐州の主である陶謙に仕え、劉備が徐州を受け継いだ後はそのまま劉備の配下となった武将だ。だが劉備が外敵との戦いで留守にしている際、城を守っていた劉備の義弟張飛といさかいになってしまった。その後はそのまま張飛に殺された説と、張飛への恨みから呂布に内通した(生死不明)説があり、現在では三国志演義が採用した「呂布に内通した後張飛に殺された」という両者のハイブリッド説がよく知られている……これだけなら英傑と呼ぶにはちょっと寂しい人物だが、どういうわけだかごく一時期の局地的な範囲でとはいえその人気が爆発してしまった事があった。そのため大英雄と思われたかどうかは知らないが、韓信配下だったり禁軍猟書家だったりとなかなかの出世をしたものである。まあ現在はただの在野のいちオブリビオンなわけだが。
『このわしがお前らの剣のサビになってくれるわ!お前らをみんなぶち倒し!「猟兵など雑魚かった」と総評してくれよう!曹豹なだけに!!』
 なにやら言ってる事がおかしい気がするが馬鹿にしてはいけない。曹豹の『魔人の罵声』を馬鹿にした者はとんでもない目にあうのだ……具体的には後述。

 今回の曹豹はかつて使ったEP風火輪や狂風は使わないらしい。代わりとして【渾沌】を使ってくる。この渾沌、何が来るか……わからない。そう筆者にも。というのも、|どっかの世界《ゴッドゲームオンライン》に|『ランダムなユーベルコード』が発動するユーベルコード《それはまるでチートのような、とんでもない才能》てのがあるらしいが、渾沌とはそれに近いものらしいのだ。ただし曹豹自身にも選択ができず、どっかの誰かがダイスを振って決めるらしい。近接攻撃遠距離攻撃バフデバフ等何が来るかまったくわからないのだ。なお明らかに戦闘に使えそうにないユーベルコードを引いた場合はなんとかがんばってアレンジして戦闘に使うらしいが、どうしても無理そうな場合は大成功(曹豹にとってはファンブル)として無条件突破になるらしいよ。

 それに対処した上で、曹豹固有の以下の三種類にも対応しなければならない。
【血盟軍団員全員集合】は曹豹血盟軍軍団員を呼び寄せて白兵戦や弓矢で猛攻をくわえるものだ。軍団員たちは戦意も曹豹への忠誠心が高く数も多い。幸いにも軍団員は来るのに多少時間がかかるらしいが、曹豹は渾沌で血盟軍が集まるまでの時間を稼ぎにかかることだろう。
【娘婿への内通】は世に知られた天下無双の飛将軍・呂布を呼び寄せるものだ。実は曹豹の娘が呂布の側室となっていた事がある(残念ながら早世したようだが)。一日千里を行くとされる名馬『赤兎馬』に乗り、方天画戟を振るう呂布が強いのは当然だ。韓信配下にも呂布がいてそっちは滅び去ったらしいがこっちはいまだに健在だ。
【魔人の罵声】は冒頭に出たような曹豹得意の罵声を受けた者の行動速度を超絶的に減少させるものだ。行動速度が減少したら渾沌への対処もきわめて困難となるだろう。対抗するには罵声に対してあきれたり白けて馬鹿にしたり怒ったりするのではなく『楽しむ』必要がある。曹豹的に『楽しむ』とは『畏敬の念を抱いて平伏し忠誠を誓う』程度の意味らしいが、そこは猟兵なのである程度の恣意的解釈も可能だろう。なおプレイングの字数に余裕があれば『曹豹に言わせたい罵声』を書いてみるのもおもしろいかもしれない。

 ともあれ、猟兵たちはこの渾沌曹豹を弱らせ、そこを首塚の一族たちに捕らえさせればミッションは成功だ。本来のユーベルコードに加え渾沌まで使ってくる厄介な相手であるが、ひとつだけ言える事がある。このシナリオ的な話になるが、前述した通り曹豹こう見えて娘がいた。なので。

 こいつリア充だ。

 それで闘志を燃やす人も、関係ないかなって人も、とにかくこいつをやっちゃってください。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
何となく、美人の奥方がいそうな気がしますねぇ。
土行孫さんと鄧蟬玉さんの例も有りますし。

『FAS』で飛行、『FLS』で各『祭器』を召喚後、空間歪曲障壁を展開しまして。
『FPS』で曹豹さんの情報を調べ、【慥鑒】を発動しますねぇ。
『渾沌』の内容が何であれ「それに対して絶対的優位を得る『祭器』」を召喚して用いれば対処可能、『使用前の封印系』は『FIS』の転移で防ぎましょう。
『血盟軍』の方々は『FTS』で周囲の『土』を回収し『空堀』を作って戦場到達を阻害、射撃だけなら空間歪曲で問題有りません。
そのまま『FRS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]で[範囲攻撃]、配下共々叩きますねぇ。



●美人な方がコンセプト的にはおもしろくはあるか
 今回、第1章に参加した猟兵の中で唯一曹豹と交戦経験のある夢ヶ枝・るこるであったが、曹豹に娘がいる以上奥方も当然いるという観点を提示されたのは今回が初めてであった。
「何となく、美人の奥方がいそうな気がしますねぇ。土行孫さんと鄧蟬玉さんの例も有りますし」
 根拠として挙げたのは封神演義であった。土行孫は原作では当初そそのかされて殷軍として戦った後周に帰順、のち戦死。藤崎版では最初からずっと周で戦い、最後まで生き残る(代わりに師匠の懼留孫が戦死)という感じで違っていたと。鄧蟬玉と結ばれるという点では共通していたが、ただこのあたりも両者結構差異があり、原作では結婚を希望したのが土行孫(と蟬玉の父の九公)であり、の戦死に激高した蟬玉が敵討ちに出陣して戦死、藤崎版では乗り気なのが蟬玉で土行孫と九公は正直乗り気ではなかったのを無理やり押し切って結婚、と。ともあれさえない風貌な土行孫と美女の鄧蟬玉がくっついたのは確かなわけで、なので御覧の通りさえない風貌な曹豹の奥方だってあるいは。
『何を言うか!わしのような美男子を捕まえてさえない風貌とは!』
 曹豹ぷんむくれ。まー気持ちはわかる。ポジティブなのは良い事だ。時と場合によりはするが。ともあれ曹豹は眼前のるこるを敵と認めたようだ。
『出会え出会え!敵襲ぞ!我が忠実なる精鋭よ!』
 早速曹豹は【曹豹血盟軍団員】に招集をかけた。説明を忘れていたが、前述した通り曹豹はごく一部の限定的な場で人気が爆発したわけだが、その時に曹豹人気を支えたのが曹豹血盟軍なる団体だったとされている。な、わけで曹豹が呼べばすぐ来る……はずだったが。

「……」
『……』
「やっぱりいつも通り来ませんねえ」
 そういえばるこるは毎回曹豹と戦う時は血盟軍を選んでたんでしたっけ。さすがにこの展開もすっかり慣れっこであった。
『ええい!連中このシナリオがクリスマスシナリオだからといって飲み食いしているに決まっておるわ!もうクリスマスどころか年があけておるのじゃぞ!』
「じゃ、行きますよお」
 怒る曹豹に構わずるこるは宙を舞った。空中から一方的に叩く心づもりのようだ。むろん曹豹とて黙ってやられるわけにはいかない。
『馬鹿め!今日のわしは渾沌曹豹じゃ!わしひとりだってどうにかしてくれるわ!』
 早速新たに得た能力を披露する時だ。曹豹は【渾沌】の力を開放した。
『なんか大当たりな能力出てくれい!頼むぞ!』

 現れたのは、大量の泡。水泡とも気泡ともとれるそれは空中のるこるに一気に向かっていった。正体のわからない技に対してるこるはどう対抗すれば良いかといえば。
「それならこちらも相手に合わせて千差万別の変化ができるユーベルコードを使えば良いのですよぉ」
 なるほど一理ある……が。そこまで万能なユーベルコードなんてあるのだろうか。それこそ前述したようなGGOの全ユーベルコードからひとつ選ばれるとかそういうのでもなければ……?
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『鏡姫の加護』をお与え下さいませ」
 どうやらるこるは別解を持っていたらしい。その名は【慥鑒】といった。慥=確、鑒=鏡であり、読みの『カクゼンタリシトウエイ』は【確然たりし投影】であろう。そして現れた鏡が飛んできた渾沌性のユーベルコードを映し出す。
「っと、分析結果が出たようですねえ」
 祭器が知らせたデータによれば、どうやら一番近いユーベルコードはサイキックハーツ世界の【しゃぼん玉】と呼ばれるもののようだ。文字通り、しゃぼん玉を出現させて相手の行動を阻害するものらしい。少なくとも曹豹にとってははずれではない。血盟軍団員到着までの時間を稼ぐには十分有用といえるものであった。ただオリジナルのしゃぼん玉が【ピュアな愛】の心を具現化させたものらしいので、その点は曹豹とはかけ離れている気がしたが、まあ渾沌バージョンなので多少アレンジされているのだろう、たぶん。
「さて、何が出てくるでしょうか」
 鏡から出てきた新たな祭器は……なにやら四角い本体にチューブがついた、大型の掃除機めいた機械であった。だがチューブの先から物を吸い込む掃除機とは真逆で、チューブの先端の吹き出し口から次々と放出されたのは飛んできたのと同じ……しゃぼん玉めいた半透明の球体であった。
『鏡が出したものだからわしの渾沌と同じものだということか?ならば甘いわ!』
 それならば【ピュアな愛】ならぬ渾沌力の具現化であるしゃぼん玉として、より渾沌力が高い方が勝つ。そしてるこるが猟兵である限り渾沌を持つはずがない……そう曹豹は予測したのだが。
『……そひょ?』
 曹豹とるこるが見守る前で互いのしゃぼん玉が次々に衝突し、相殺されていった。曹豹のしゃぼん玉はただのひとつもるこるのもとに到達する様子をみせない。
『馬鹿な!わしの渾沌力が負けるはずが』
「ん~、ちょっと惜しかったですねえ」
 結論を言えば曹豹の推測は間違っていた。鏡が生み出すものは相手の能力の鏡合わせではなく、その相手に対してメタを張るための祭器だったのだ。なるほど確かに渾沌が全ユーベルコードの力を発揮できたとしてもその全てに対応できると。ものすごく簡単に言うなら、そもシャボン玉は水の表面張力が弱まる事で作られるが、るこるのシャボン玉はその表面張力を元に戻す力があったのだ……これ以上の説明はちょっと筆者にも無理ですごめんなさい。
『曹豹様~!お待たせいたしました~!』
『思い切り待ったわ!とっととこやつをやってしまえ!』
 そうこうしているうちにようやっと血盟軍団員たちが戦場に到着したようだ。一応曹豹の渾沌は時間稼ぎという当初の目的は達したようだ……が、その時間はるこるが血盟軍対策の時間でもあった。いつの間にかできていた空堀で血盟軍は接近を阻まれていたのだ。
『な、なんちゅうことをッッッ』
「そちらの行動は終わりのようですねえ、それでは私のターンですねえ」
 そしてるこるはありったけの射撃用祭器で曹豹と血盟軍を同時に一網打尽にしたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
夫の律(f38364)と参加

朔兎と父上がトラップ突破するだけで全体力使いそう(特に朔兎)なので大将は私と律が引き受けるよ。まあ、家族関係で色々苦労したらしいが、首狩の一族は戦争で世話になった恩があるので名前に関係なくぶっ倒す。

予測不可能な【渾沌】は厄介だね。【迷彩】【心眼】【残像】【オーラ防御】【回復力】で何がきても致命傷にならないようにする。

迫ってくる呂布は真紅の騎士団を召喚して物量で押しつぶす。おもうんだが、あれだけ大口叩いといて娘婿頼りとは大将らしくないよね?

アタシも攻撃の手は緩めないよ。なにしろ血盟団を引き受ける律の負担が大きい。【限界突破】で【気合い】をいれた【衝撃波】で攻撃!!


真宮・律
妻の響(f00434)と参加

敵の強烈な攻撃に朔兎と陽輝さん(特に朔兎)には大将の相手はきつそうなので俺と響がきた。娘婿・・・瞬のことかな。いい子で本当によかった。振り回された挙句の末路を目の前にみるとな。


【渾沌】ってそんなに手軽に多くのものに使えるものなのか?ああ、だからランダムで博打要素が強くなってんだな。最大限警戒して【迷彩】【心眼】【瞬間思考力】【気配察知】【残像】【オーラ防御】【回復力】を駆使して軍団の攻撃に耐える!!もちろん火雷の意志も使うぜ!!

ああ、アンタも娘がいたんだな。まあ共通点はそこだけだ。全力で【怪力】【重量攻撃】【切断】で両手剣を振り切る!!



●偶然って本当に恐ろしいね
 多くの場合、グリモア猟兵の依頼を受けた猟兵が冒険の最初から参加した場合、そのまま最後まで参加し通すか、あるいはなんらかの事情で途中脱落する、というケースが大半であろう。そんなわけだから真宮・響(赫灼の炎・f00434)と真宮・律(黄昏の雷鳴・f38364)がこの戦場にいるというのはレアケースといえた。
「朔兎と父上はトラップ突破するだけで全体力使いそうって踏んでたけど、おかげで無駄足にならずに済んだようだね」
「そうだな、朔兎と陽輝さんには少し休んでてもらおう。大将まで引き受けさせるのはさすがにきつそうだ……特に朔兎には」
「首狩の一族は戦争で世話になった恩があるからね、名前に関係なくぶっ倒す!」
 改めてになるがふたりは夫婦である。で、第1章に参加したうち、年配の方は響の実の父親であり、律にとっては義父ということになる。で若い方はふたりの養子になると。いずれにせよふたりともなかなか強烈な精神攻撃を辛くも切り抜けたわけだが、ちょっと疲労が激しかったらしいと。特に年若い者にとってはそりゃあもうね。まだアオハルの入り口ぐらいの若者にはさすがに酷すぎたようだ。そんなわけでふたりが代打で出張って来たと、そういう話のようだ。
『そーっひょっひょっひょっひょ!そんな事情なんかどうでもよいわ!』
 ふたりの前に早速渾沌曹豹が立ちふさがるといつものような高笑いをした。
「早速来たね!」
「そのようだな」
 敵大将の登場に、響も律も得物を握りしめ気合を入れた。敵の能力に対する互いの役割は決まっている。後は何が来るかわからないという渾沌への対策だけだ。
「それにしても……渾沌ってそんなに手軽に多くのものに使えるものなのか?」
 律のつぶやきは当然のものであった。まあなんというか。封神武侠界における『渾沌』って、要するに『骸の海』そのものらしいので、手軽かどうかは別にしても多くのものには使えそうではある。実際はといえば……書き手それぞれに解釈は任されておりますとかどうとか。
「ああ、だからランダムで博打要素が強くなってんだな」
 こんなランダムで内容決めるなんてのはさすがにらあめそまそ以外にはやってないようですが。
「なんにせよ、予測不可能なのは厄介だね」
 で、予測不可能な敵に対してはどうするか。夫婦が選んだのは考えられる数の対策を用意する事だった。とはいえ限りがあるようなので、どちらかといえば直接間接的な攻撃への対策手段を多めに取ったようだ。まあ妥当な線といえよう。対する曹豹は。
『いずれにせよ、相手がふたりならばこちらも数を増やさざるをえまい!じゃがのお』
 先刻同様、忠実なる精鋭部隊である血盟軍を呼ぼうと考えたが、前の戦いで甚大な被害を受けているためにちょっと来るのに時間がかかるようだ。なのですぐに来てくれる方を呼ぶ事にした。
『まあ良い!来たれ婿殿よ!』
『呼んだか義父上』
 現れたのは赤兎馬にまたがり、翎子と呼ばれるキジの尾のような飾りのついた兜の精悍な武将。手には方天画戟、とくれば三国志最強の武将呂布その人に他なるまい。他世界だったら奉先なる字も有名だが封神武侠界なので字は存在しないか秘匿しておくものらしいのでただの呂布で良いと。
『我の相手は貴様らか、少しは我を楽しませてくれるのだろうな』
『おお!頼もしいぞ呂布!とっととたたんでしまえ!』
「……おもうんだが、あれだけ大口叩いといて」
 世に聞く屈指の猛将を前にしても歴戦の猟兵として退くわけにはいかない。むしろ強気でかかるべしという事か。響が口を開いた。
「娘婿頼りとは大将らしくないよね?」
『何を言うか!帥たるもの後方でどっしり構えておればよいものよ!自ら前線に出る必要なんかないのじゃ!』
 曹豹の言葉はこれだけ聞くとなんとなくそれっぽい事を言っている気もするが、実際オブリビオン世界って偉いオブリビオンはみんな自らが強いわけだから、偉いからには強くあってほしい、というのはある。しかし、これもまた最初に書き忘れた事ではあるが、本来の曹豹は武官なのだがこの曹豹はたぶん横山三国志版が反映されているようで扱いとしては文官になるらしく『白兵戦は弱い』と明記されてしまっているのだ。鎧着てるのにね。なのでやっぱりちょっと残念感は出てしまうわけで。
『我の相手はどちらだ、なんならふたりまとめてでも構わんぞ』
「アンタの相手はアタシだよ!」
 呂布の前に響が進み出た。響が呂布を、律がこれから来るであろう血盟軍を相手にする。これが当初からの計画だった。
『よかろう、片方ずつだろうと両方同時だろうと、最後にもろともに葬れれば良いだけの話』
「残念だけど、それだけじゃないんだよね」
 戟を握りなおした呂布に対し、律はユーベルコードを発動させた。
「さあアンタ達!出番だよ!!」
 現れたのは総勢159体の【真紅の騎士団】であった。目の前に現れた武装した集団だが、呂布はひるむどころかむしろ獰猛な笑みを深くした。
『愚かな、数を頼みにすればどうにかなると思うてか、我を呂布と知っての事か』
「やっちまいなぁ!」

 響が呂布を食い止めている間に律は曹豹と対峙していた。
「どうやら血盟軍とやらはまだ来ないようだな」
 律は【|火雷《ホノイカヅチ》の意志】を発動、全身を雷と炎のオーラで覆っていた。戦闘力の大幅な増強と高速飛行の力をもって、敵の援軍が来る前に曹豹を片付けてしまう事もできるかもしれない。曹豹が倒れれば呂布もまた消滅するだろう。そんな事を考えていたが、曹豹とてただでやられるわけにはいかない。
「ああ、アンタも娘がいたんだな。まあ俺との共通点はそこだけだ。容赦はしないぞ」
『なめるでないわ!わしにはまだ渾沌の力がある!なんかいいの出てこい!』
 曹豹が渾沌を発動させた瞬間驚くべき事が起こった。曹豹の全身が光り輝くと、その全身がなにやらド派手できらびやかな服装に変わったのだ。ゴージャスとも悪趣味ともとれる見た目だが、それよりも重要なのは明らかに戦闘能力が急激に上昇した事である。
「な、なんだ?これは……」
 驚きながらも律は冷静に敵将の状況を見極めんとした。曹豹を覆うオーラはどうやら律が使ったものと近い種類のもの、ヒーローズアースに由来する力のようだ。そしてそれに加えられたのは、さらに速度上昇と戦闘力上昇をもたらす力。実はアリスラビリンス由来の力なのだがさすがにあれをそのまま持ってくるわけにもいかなかったようでかなりアレンジされてはいたが。
「きょ、強化系がふたつ!?」
 そう。猟兵がふたりである以上、渾沌の力もふたつ発揮される。そしてそれが両方とも自己強化系なのは本当にダイス目の偏りによるもので作為とかはまったくないのですよ。いや本当に。
『ウオオオ!すごい力がみなぎってくる!これは一体……』
 知らん……何それ……怖……ともあれさすがにこんな展開筆者ですら予測できなかったのだから律とて当然予想の範疇にはない事態だろう。いかに白兵戦技が弱いとはいえ一応強力に分類されるオブリビオンだ。それがここまでブーストされては手もつけられまい。
『ふはははは!わしを剣のサビにするがよいわ!』
「くっ……」
 かくして曹豹の猛攻が始まった。律も事前に準備を整え、さらにユーベルコードによる自己強化も加わった事でどうにか敵の苛烈な攻撃を受けつつ致命傷だけは免れていた。だが強化の度合いが違い過ぎる。そしてさらに厄介な事に。
「曹豹様~!お待たせいたしました……って何やらすごい事に!?」
 ついに血盟軍も戦場に到着してしまった。これまで屈せぬ意志で戦い通してきた律であったが、さすがに超強力な曹豹にくわえて援軍まで加わっては、果たしてどこまで意志力をもたせる事ができるだろうか。
『ふっ!偉大な相手というのは輝いて見えるものだよ!とっととこのふらちな猟兵をやってしまうぞ!』
「ウィルコ!」
 血盟軍団員たちが一斉に弓矢を構えた。律危うし……だがその時。

「大丈夫かい?」
 呂布を騎士団に任せた響が律の援護に来たのであった。
「負担が大きいとは思ったけど、思った以上だね、こりゃ」
「……なあに、大した事はないさ」
 聞きなれた声に、律は屈せぬ意志を改めて取り戻した。それは妻の存在だけではない。曹豹に娘婿がいるように、夫妻の娘にも夫がいる。
(呂布と違って瞬がいい子で本当によかった)
 曹豹と呂布の間は別に悪いということはなかったようだが、そも呂布といえば義父と呼んだ男をふたりも殺しているのだ。実に頼もしい義理の子の事、そしてここにいる者、いない者含めた家族の存在が改めて思い出された。彼らのためにもこんな所で折れるわけにはいかないのだ。手間取ったら呂布が来るかもしれない。その前にカタをつけるしかない。
「よし!戦いはここからだ。こいつをぶっ飛ばす!」
「ああ、そうこなくっちゃ!アタシも気合を入れるよ!」
『そーっひょっひょっひょっひょ!やれるもんならやってみるがよいわ!』
 血盟軍の矢に守られながら曹豹が真宮夫婦に突撃をかけた。前に立った律が両手剣を全力で振り下ろし、その後方から響が衝撃波を飛ばし援護する。
 両軍の最大攻撃が真っ向から衝突した。

『……義父上?無事か?』
 どうにか真紅の騎士団を突破した呂布が戦場に到着した時、全ては決していた。曹豹は生きてはいたが地に倒れ伏し、血盟軍は既に撤退していた。そして猟兵ふたりは呂布の到着前にと既に戦場から離脱していたらしい。いずれにせよ倒れた曹豹の姿が、いずれに分があったかは雄弁に語っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
混沌つーかバクチじゃん
おっさ…イヤ曹豹さんスゲーな
で、結婚=りあ充扱い…強引やなー
まー曹豹がりあ充でも何でも構わねーぜ
婿でも馬でも強けりゃイイとも
UCで全強化し混沌も力押し対処
攻撃系>【野生の勘】で躱し【カウンター】
広範囲術>【激痛耐性】で凌ぐ
不動無敵になるUC>落書き…いや【罠使い】
まぶた上に毒針貼り瞬きしたら刺さる仕掛けとか?
【ロープワーク】で動いたら首締まるように結ぶとか?

敵UC召喚>名の残ってる強者と戦えるとはねェ
クナイ+布と槍適宜切り替える猫目雲霧で敵武器を捌き馬の脚を縺れさせ
足下に入り念動力と羅刹の剛力で投げ飛ばす
トドメは曹豹、婿、馬全て槍化の猫目雲霧で【暗殺・串刺し】だ

アドリブ可



●戦闘狂と天下無双
「混沌つーかバクチじゃん」
 曹豹を前にした鹿村・トーゴの言葉はまったくもって身もふたもない率直極まりないものであった。まあそりゃあそうなんだけど。それでもそのバクチに巻き込まれる側にとってはたまったものではない。
『何を言うか!だからこそ対処が難しいんじゃろうが!』
 曹豹の反論は一定の説得力はあるようには思えなくもない。実際、何が来るかわからない渾沌に対してどう対処しようか、猟兵はその事に頭を悩ませなければならないわけで。対策のリソースをそちらに分散できただけでも、一応は効果はあったと言えそうだ。
『そしてわしぐらいの英雄ならどのような効果を引き当てたとしても適切に使ってみせることができるのじゃ!』
「マジか、おっさ…イヤ曹豹さんスゲーな」
 それは……まあ、これまでハズレを引かなくて良かったね、としか言いようがない。有頂天道人の時といいね。実際ハズレ引いちゃったら判定的にはいいだろうけどリプレイ的にはあんまりおもしろいことにならないからそんなのをもらった猟兵にもちょっと悪い気がするし。
「いや、それはそれで楽でいーんだけどな」
 さておき。今回はまだハズレになると決まったわけではない。それなのでトーゴも考えられる限りの対策はとってきた。
(直接攻撃が来たらいつもと同じだな、察知して全力で回避してカウンターと。避けられない攻撃は……なんとか我慢するしかねーか)
 他には、どっかの世界に動けない代わりに無敵になるユーベルコードってのもあるらしいので、それに対する固有の対策は必要だと考えたようだ。
(動けない間に落書き……いやいやいや、動いた瞬間に発動する罠でも仕掛けとくかな)
 個別の対策はこのあたりにして、やはり決定版はどんなギミックが来ようと実力でどうにかする事であろう。トーゴが選んだのは【降魔化身法】であった。化生を我が身に宿す事により、決して軽くない副作用の代わりに戦闘能力を大幅に上昇させる、化身忍者にとっては代表的な技。危険ではあるがトーゴにとっては慣れた技だ。やはり慣れた技で対策できるのならそれに越した事はないということだろう。
『呂布よ!来るのじゃ!』
 相手が超絶強化したのを見た曹豹は、強者には強者とばかりに呂布を召喚した。再度現れた呂布は連戦のダメージなどまったくものともしていないような堂々たる姿だ。
『呼んだか義父上よ』
『この相手ならお前も少しは満足できるじゃろ!存分に武を振るってみせい!』
「名の残ってる強者と戦えるとはねェ」
 現れた呂布にトーゴは恐れをなすどころかむしろ笑みさえ浮かべた。やはり根っからの戦闘民族たる羅刹としては強者を相手にしたら燃え上がるものなのだ。そして改めて呂布と曹豹が義理の親子関係にある事を思い出すと。
「……にしても、結婚=りあ充扱い…強引やなー」
 いや、まあ。ここでそれに触れますか。これはもう、あのグリモア猟兵の片方が「イ~~ヤッ自然じゃッッ」と断言しているから仕方がない。トーゴが理解できないのはまあ重々承知の上ではあるんですけどね。そういう点では実は呂布も妻子持ちだからリア充に分類されてしまうわけだが、それはまた次の猟兵の時に語るとして。
「まー曹豹がりあ充でも何でも構わねーぜ、婿でも馬でも強けりゃイイとも」
『なるほど、木っ端どもよりは骨がありそうだな』
 馬上の呂布もトーゴを強者と認めたのだろう。改めて全身から気迫を漲らせ、方天戟を構えた。
『貴様なら少しは我を満足させる事ができるのだろうな』
「さてね」
 トーゴの武器はクナイ、そして術の力で槍に変わる猫目雲霧という名の手ぬぐいだ。
「満足させられねーかもしれねえぜ、オレの方が強すぎてな」
『ほざけ!』
 トーゴの挑発に乗る形で呂布が真っ向から突っ込んできた。対するトーゴは正面を避けて横や馬の下を取る動きをとった。いかに羅刹が戦闘民族といえ、万全な状況の名将と戦いたくはないものだ。
『ふん、少しは利口なようだが、いずれは我が戟が貴様を叩き潰す事だろう』
「そりゃ怖いね」
 トーゴは嵐のような方天戟の攻撃をどうにか捌き、一方の呂布もトーゴが投げるクナイをやすやすと跳ね飛ばす。ただペースはトーゴが握っているはず。このまま相手の動きを見切り、勝機に結び付ければ……と思ったところでそれは来た。
「!?ぐっ……」
 突然、口の中に激痛を覚え、トーゴが血とともに吐き出したのは数本の棘。一体いつの間にこんなものが。思い当たるのはひとつしかない。おそらくは曹豹の渾沌の産物だろう。
「ちっ、どうやらはずれじゃなかったみたいだな」
 オリジナルは対象がこれまでついた嘘に応じてダメージを与える技だったが、果たして今回はトーゴの何がダメージのトリガーとなったのだろうか。それはわからない。が、ダメージそのものより痛みで眼前の呂布に対する集中力が途切れてしまうのが最大の問題だった。ただ今回は幸いにも激痛耐性で耐える旨が既に提示されていたため、致命的な問題にはならなかったようだ。
「備えとくもんだな、まったく」
 なんか遠くの方で曹豹が『ありゃ?効いてないのか?それともハズレを引いたか?』のような顔をしているのが見えた。大丈夫、精神的にも余裕が出てきた。一方で呂布の方は戦いが長引くにつれ疲労が蓄積したのだろうか、人はともかく馬の動きは明らかに悪い。
『どうした赤兎、もうひと踏ん張りせよ』
 ここが好機だ。トーゴは猫目雲霧を槍から布に戻すと赤兎馬の足めがけて投げつけた。見た目よりもはるかに頑丈な布は赤兎馬の足にからみつき、その動きを封じる。そして一気に赤兎馬の下に潜り込むと、前足に手をかけ、一気に投げ飛ばした。
『!!??』
 さすがにこれには呂布も驚愕。なんとか空中で体制を立て直し、転倒だけは免れたものの、着地したその瞬間を狙い槍と化した猫目雲霧が飛ぶ。これも呂布はどうにか回避した……が。
『……そ、そひょ!?』
 完全に油断していた曹豹に、槍が深々と突き刺さっていた。
「ふう、うまくいったようだな」
『お、おのれ卑怯な手をッッッ』
「悪りーな、オレ忍びだし」
 痛みに苦しみながら激高する曹豹に対して柳に風なトーゴ。そして呂布は。
『……猟兵よ、それなりに楽しませてもらったが、次に会った時はさらに武を競い合おうぞ』
 言い残し、曹豹がダメージを受けた事で消滅した。曹豹はまだ健在ではあるが傷は深い。決着の時は遠くないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェリチェ・リーリエ
出たべなリア充!…って、その顔でリア充なんだべか…?
あれか、かつての嫉妬団長と似たようなパターンか!なんか思い出したらめっちゃ闘志湧いてきたべ…!

こちとら絶望のエンディングを何度もブレイクしてきたエンドブレイカーだでな!
自由農夫の【野生の勘】、【回復力】を持つ【幸運】のハーブなど使えそうなものは何でも使って渾沌に対処。

は?娘婿?まだリア充出てくるべか、許さん!
指定UC発動、嫉妬のオーラを纏い【オーラ防御】しつつ爆走。名馬にだって引けは取らねえ、4倍の攻撃力を持ってソードハープで斬りかかる…と見せかけて【騙し討ち】、リア充爆破スイッチで曹豹諸共【爆破】攻撃!
リア充は爆破するのがお約束だべ!



●まさにリア充
「出たべなリア充!」
 現時点において、ではあるが、結局今回参戦した中ではフェリチェ・リーリエが唯一のグリモア猟兵サイドという事になりそうである。そんなわけでかどうかはわからないが、眼前の曹豹に対してフェリチェはすさまじいばかりの闘志を燃やしていた。
『ひょひょひょ!りあじゅうというのはよくわからんがたしかにわしのリアルは充実してはおるぞ!』
 このあたり、正直なところリアル曹豹の生涯が充実していたかどうかはわからないが、少なくとも最期はかなり非業のものであった事を考えれば、オブリビオン生活はたしかに充実していると言えなくもない。まあ、一時期の持ち上げられ(貶められ?)ぶりについては彼にとってどうなんだかはよくわからないが。
「……って、その顔でリア充なんだべか…?」
 ただフェリチェもそのあたりは非常に気になったようだ。まあ気持ちはわかる。やっぱりリア充たるもの、そうなる素養みたいなのがやっぱりあるって考えるのが普通であり、そういう点も含めてフェリチェは美形嫌いなのかもなあとか云々。
『なにを言うか!わしのような美形を捕まえてその顔とは!』
「あれか、かつての嫉妬団長と似たようなパターンか!」
 これはわからない人のために説明しなければなるまい。フェリチェはかつてのエンドブレイカー世界で独り身専門の旅団の団長をやっていたのだが、そこの前団長が明らかに美形ではなかったんですよ。わりと細面な感じは曹豹どんにも通じるところがあるかもしれない感じだったけど、なんとその前団長に彼女ができてしまったという大事件が発生、かくしてフェリチェが新団長になったという経緯があり。
「なんか思い出したらめっちゃ闘志湧いてきたべ…!」
 まあね。そりゃあフェリチェが燃えるのは当然といえば当然なわけで。なお話の詳細について思い出そうとするとなぜか筆者の頭痛が痛くなる(強調表現としての二重表現)のでこれ以上の説明はできそうにない。
『なんだか知らんがイチャモンをつけられているような気がしてきたぞ』
「お?渾沌とやらが来るべか?こちとら絶望のエンディングを何度もブレイクしてきたエンドブレイカーだでな!」
 曹豹の動きを察知したフェリチェはハープを握りしめた。これまでエンドブレイカーとして、そして猟兵として戦ってきた経験に基づく直感、あるいはハープの持つ力で正体不明の攻撃に対処しようとした、が。
『このわしが貴様の軍門にくだってやるぞ!』
「はい?」
『だから頭を下げて平伏するがよいわ!』
「……逆じゃねえべか?」
 あれ、ひょっとして魔人の罵声とやらが飛んできたのか、と一瞬フェリチェは思ったが、どうやら違ったようだ。タネを明かせばサイバーザナドゥの巨大企業に所属する者が用いる交渉法に近いものだったらしい。対象の反応に基づいて論理的思考力あるいは冷静な判断力を奪うものだった……が、残念ながらあまりに突飛すぎてフェリチェには理解不能だったらしい。ちなみに理解不能な場合、奪われるのは曹豹への注目度だったらしいが。
「ええい誰がリア充なんか頼まれても手下になんかしてやるもんべさ!」
『ちょっと待て誰がお前の手下になるなんて言ったんだ貴様がわしの手下になるんじゃろうが』
「??」
『??』
 ……結局注目度云々はあまり関係なかったようだ。
『ええい!呂布よ!この生意気な女をやってしまえ!』
『ふん』
 ともあれ曹豹、今回三度目の呂布召喚である。さすがは三国志最強の武人、連戦の疲れなど感じさせぬ堂々たる様子でフェリチェの前に立った。むろんその手には方天画戟、そして赤兎馬に跨っての登場だ。
『女であろうが関係はない、要は我を少しは満足させる事ができるか、それだけだ』
 呂布にとってはそれが全てであった。自分が曹豹の娘婿であり、そして眼前の相手が曹豹の敵だとか、そのような事にはまるで関心がないような様子である。
「……ちょっと待つべ、今なんて言った?娘婿!?」
 そうですね。確かに呂布は曹豹の娘と結婚しているので娘婿って事になりますね。
「まだリア充出てくるべか!許さん!」
 付け加えるならば曹豹の娘は呂布の側室でした。なので当然正室がいます。で娘もいます。さらに妾として中国四大美女のひとりである貂蝉ってのもおりますね。
「ぬおおおおお!!超許せねえべ!!」
 リア充に対する大激怒に突き動かされるようにフェリチェは【嫉妬戦士は止まらない】を発動させると漆黒のオーラを全身に纏った。そしてソードハープを握ると真っ向から呂布に突っ込んでいく。その速度は一日千里を駆けると言われた赤兎馬にもまったく引けを取らないものだ。
『なんだかわからぬがその気迫やよし、受けて立とうではないか』
 呂布は戟をしごいてフェリチェを迎え撃った。これだけの高速の相手に対しては自ら動くよりもどっしりと構えて相手が突っ込んでくるのを待った方が得策と判断したのだろう。方天画戟のリーチは明らかにソードハープよりも長い。タイミングさえ合えば先制攻撃は十分に可能だろう。そして呂布が気付いていたかどうかは不明だが、凄まじい勢いのためか今のフェリチェは攻撃力回避力の大幅な上昇と引き換えに、攻撃を受けた際のカウンターダメージもまた極端に増大していたのだ。最悪一撃ですら致命傷になりかねない……と思いきや。
「今だべ!」
『!!??』
 呂布に突撃しようとしたフェリチェが突然動きを止めると手にした爆破スイッチをぽちっと。完全に虚を突かれた呂布、ついでに呂布に任せて後方で高みの見物をとしゃれこんでいた曹豹は無防備のまま大爆発に巻き込まれた。そう、これこそフェリチェの狙いだったのだ。
「リア充は爆破するのがお約束だべ!」
 ここに機は熟した。曹豹が十分に弱ったのを見て、斎藤福が首塚の一族を率いて
「猟兵の皆様、よくやってくれました!後は私共にお任せください!首塚の一族よ、あのオブリビオンを拘束せよ!」
『そ、そひょー!!??』
(ぬう、此度の戦はここまでか、まだ我は戦い足りぬというのに……次こそは……)
 曹豹が捕らえられたと同時に呂布の霊も消滅した。かくして首塚の一族たちはサムライエンパイアに戻るための一歩を進める事ができたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『雪遊び』

POW   :    かまくらや雪だるまを作る

SPD   :    雪合戦をする

WIZ   :    露天風呂に入って、雪景色を眺める

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●これを書いている現在の日付は1月16日
 ひとつの戦いは終わった。

 気が付いた時にはあたり一面の雪景色だ。そういえば今日は12月25日。

 ……
 12月25日ですよ?何か問題でも??

 ということで。
 果たして斎藤福と首塚の一族がいつ帰れるかはわからないが、ひとまず休息を取ってはいかがだろうか。
 サムライエンパイア世界にもクリスマスは伝わっている事だし、おそらくサムライエンパイアから流れ着いた者が集まっているらしいこの楽浪郡でもクリスマスを祝う風習はある事だろう。
 君たちはリア充的にクリスマスを楽しんでもいいし、非リア的に楽しんでも(?)いい。汝の欲するところを為すがよい。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
さて、後は宴ですかねぇ?

先程の幻も有りましたし、丁度良いので色々とお料理しましょうかぁ。
【豊饒佳饌】を発動し[料理]と[グルメ知識]を強化、『FLS』で召喚した『FFS』と『FTS』から必要な食材や機材を取出しまして。
『BBQコンロ』でクリスマスらしく、大量の鶏もも肉を焼きますねぇ。
味付けは醤油ベースを基本に、塩胡椒やバジル、タンドリーチキン風等、色々とご用意しましょうかぁ。
最近は何故か鮭が求められることも多いそうですので、焼きサーモンも有った方が良いです?
宜しければ、福さんや一族の方々、楽浪郡の方々も如何でしょう?

……邪魔する方は、『F●S』総動員でお相手しますねぇ?



●やはりクリスマスなら食べねばなるまい
 戦いは終わった。ならばあとやる事は。
「後は宴ですかねぇ?」
 折しも時はクリスマス。ならば当然料理は出てしかるべきだ、と夢ヶ枝・るこるが考えたのは当然の流れではあった。そこには幸せな幻を見せてくる相手との戦いですごいごちそうを見せられた事も影響しているのだろう。
「丁度良いので色々とお料理しましょうかぁ。大いなる豊饒の女神、豊かなる恵みを齎す叡智をお貸しくださいませ」
 早速るこるはユーベルコード【豊饒佳饌】で料理関係の技能を大幅に上昇させた。技能レベルでいうなら1610だ。そして祭器から食材や調理用品を大量に取り出すと早速調理にとりかかった。
「やっぱりクリスマスといえばこれでしょうねえ」
 まずはやはり鶏もも肉だ。七面鳥の代わりに鶏を食べるのはサムライエンパイア風といえよう。異世界からの転移者が多い楽浪郡なら十分受け入れられるだろう。味付けはこれまたサムライエンパイア風に醤油ベースをメインとしたようだが、さすがに一種類だけでは飽きるという事で、塩胡椒やバジル、タンドリーチキン風と多種多様な味付けを用意したようだ。ちなみに封神武侠界でクリスマスに食べるものは何かと調べたらこれがなんとリンゴらしい。
「あとは……最近はなぜかこれが求められることも多いそうですねえ」
 とるこるが用意したのは焼きサーモン。たしかにどういうわけだろうねえ。ちなみに元ネタは2018年のクリスマス頃の話らしい。もうそんなに経ってると言うべきか、まだ6年程度と言うべきか。その他さまざまな料理が次々につくられていき、やがてクリスマスと一仕事終了後に相応しい豪華絢爛たる御馳走の数々が並べられた。
「さあ、どうぞ遠慮なくお召し上がりくださいませぇ」
「これは、過分なご配慮感謝いたします、一族の者たちも喜ぶことでしょう」
 そして猟兵たちの他には斎藤福に首塚の一族たち、楽浪郡の者たちも集まり、それはそれは飲めや歌えやの盛大な宴が繰り広げられたのであった。まだ首塚の一族たちがサムライエンパイアに戻れる日は遠そうだが、彼らにとっても一時の良い休息となったのは間違いあるまい。

 皆が山海の珍味に舌鼓を打つその裏で。
「さて、これで邪魔する方が来られても大丈夫でしょうねえ」
 るこるはありったけの迎撃用の祭器の配備を済ませていた。果たして本当に突っ込んでくる非リアが存在するのかわからないが、まあ今回のシナリオがシナリオだし、備えあれば憂いなしというやつであった。
 役に立たなければそれに越した事はないのだが、果たして??

大成功 🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
POW
別の世界に来られて心細いだろーに
見掛けより気丈な方だよねェ
まあ妖狐だから見掛けはアテにならないか、…っとと
春日局さまのご帰還を祈っとこう
(身分が違いすぎるので直接会わないとこでお祈り

さてー
くりすます…
猟兵になったから知ってるけど多分オレの郷じゃまだ知られて無さそ
相棒ユキエ『忍びだし知ってるかもよ』
あ、それはそーね
郷は暮れつーても寒いだけで忙しくないしなんか寄り合いにかこつけてスケベ騒ぎしそ
『鳥より節操なーい』
そんなオレはかまくらでユキエと雪見酒…(みかんと甘酒ぽいの貰った)
鳥とでもりあ充なのだろか
『ユキエ心の嫁よ?よし!巣作って卵産む?』
Σちょ…
そりゃー
鬼にも業が深いしナシよー

アドリブ可



●人とモーラットが結婚する実例はあるらしいとはいえ
 鹿村・トーゴは最初は宴会の中にいたようだが、いつの間にか抜け出して相棒のユキエとともにかまくらの中で暖を取っていた。
「別の世界に来られて心細いだろーに、見掛けより気丈な方だよねェ」
 斎藤福については宴席の場で遠目には見ていた。自分とは身分が違い過ぎるとして直接会話する事は躊躇われたようであった。このあたりは猟兵として上様より天下自在符を与えられた時点でそこまで気にする必要もない……と少なくともあの同郷のグリモア猟兵は言うかもしれないが、それでもエンパイア住人としては気になるものはどうしても気になってしまうのであろう。
「まあ妖狐だから見掛けはアテにならないか」
 影ながら福と首塚の一族たちの早期の帰還を祈りつつ、改めて様々な事に思いをはせる。
「さてー、くりすます……」
 もともとクリスマスなどとは無縁だったサムライエンパイアにクリスマスを持ち込んだのは徳川家光その人である。ただしキリスト教がどうとかとは全く関係ない、恋人同士がイチャつくお祭りとして、だったようだが。前述のとは別のグリモア猟兵大激怒案件である。
「猟兵になったから知ってるけど多分オレの郷じゃまだ知られて無さそ」
 あくまで流行ってるのは都会のみで田舎まではまだ情報伝わってないかも、とトーゴは考えたが、そこにユキエから異論が。
『忍びだし知ってるかもよ』
「あ、それはそーね」
 確かに忍びつーのは戦闘集団であるのと同様に諜報集団だから社会情勢には詳しいだろう。
「郷は暮れつーても寒いだけで忙しくないしなんか寄り合いにかこつけてスケベ騒ぎしそ」
『鳥より節操なーい』
 あー、前にも言ってましたねえ。トーゴの郷はわりと性に奔放みたいな事。あれはたしかホワイトアルバム事件の時。結局クリスマスあろうがなかろうがグリモア猟兵が大激怒する事は避けられなさそうだ。
「そんなオレはかまくらでユキエと雪見酒……」
 宴会から持ち出してきたみかんと甘酒ぽいのをちびちびと味わいつつ、トーゴはつぶやく。
「鳥とでもりあ充なのだろか」
『ユキエ心の嫁よ?』
「ん、そだねー」
 ついさっき、郷に結婚考えてる相手がいるとは言ったものの、今は独り異世界に。そんな状況にあっては鳥とはいえユキエの優しい言葉が身にしみる。なんか妙にしみじみとしてしまいそうになったトーゴだった……が。
『よし!巣作って卵産む?』
「Σちょ……」
 さすがにそれはどうだろう。いやあるいは理外の存在である猟兵ならばもしかしたら……いやいやいやいやいや。
「そりゃー……鬼にも業が深いしナシよー」
 結局常識的な返答をせざるを得ないトーゴであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

源・朔兎
義理の祖父の陽輝さん(f44868)と参加

精神的に力尽きていたところを助けてもらった・・・助かった。え?実家の方が立て込んでるから帰る?じいちゃんと水入らずに過ごしてこい?本当に風のようにあらわれ、風のように去っていったな。まあ、じいちゃんと過ごすの嬉しいし。え?露天風呂がいい?

露天風呂でじいちゃんの背中を流す!!俺、実の家族しらないからすごく嬉しい!!露天風呂でじいちゃんの愛の日々の話を聞く。もう奥さんなくなって20年以上経つのにしっかり奥さんの晴れ姿覚えてるなんてすごいな。

まあ、母さんと父さんが駆け落ちしたりして大変だったな・・・え?俺?まだ結婚できるの先だし。頑張る・・・(ぶくぶく)


天野・陽輝
義理の孫の朔兎(f43270)で参加

精神的に力尽きていた朔兎を解放していたら風のように加勢して風のように帰還していったね。我が娘夫婦はフットワークが軽い。まあ予定が立て込んでいたみたいだしね。朔兎とゆっくりすごそう。露天風呂がいい。

え?私と妻の話を聞きたい?妻は優れた歌い手でね。舞台にたって歌う姿は今も目に焼き付いているよ。体が弱いので若くして亡くなったが、響が歌い手を継いでくれて嬉しく思ってるよ。まあ、律と駆け落ちはびっくりしたが、結果的にいい方向にいったからね。

そういえば朔兎の愛しの姫の歌と舞もいいものだね。まあ、朔兎もまだまだ成長の余地がある。結ばれるまで精進することだ。



●男同士
 人間の精神をむしばむ幻覚との戦いで消耗していた源・朔兎と天野・陽輝もどうにか復活したようだ。特に朔兎のダメージが大きく、いち早く回復を果たした陽輝が介抱に回らねばならない程であった。その間に加勢に来た夫婦……朔兎にとっては義理の両親であり陽輝にとっては娘と義理の息子となる……が渾沌化オブリビオンをどうにかしてくれたようで、でせっかくのクリスマスなので三世代で異世界のクリスマスをゆっくりと過ごす、と思いきや。
「え?実家の方が立て込んでるから帰る?」
 と、あっという間にまた別世界に取って返してしまい、義理の祖父と孫だけが残される事になった。
「風のように加勢して風のように帰還していったね。我が娘夫婦はフットワークが軽い」
「じいちゃんと水入らずで過ごしてこいって言われたけど……どうしよう?」
「そうだな、露天風呂がいい」
「露天風呂?」

 実際の歴史と同じだと仮定するならば、ではあるが、封神武侠界において風呂といえば巨大な桶のようなもので、裕福な住人が週一程度で入るものだったらしい。ただ楽浪郡では事情が違っているようで、現在UDCアースでいうところの朝鮮半島のあたりは日本ほどではないが火山があり、高温の温泉が存在している。アース世界の歴史においてはそれらの温泉は日本統治下において開発されたものであるが、サムライエンパイア住人が『神隠し』の形で移住してきて定着している地域ではそれにかなり先だって温泉開発も行われた事だろう。朔兎と陽輝が入りに来た露天風呂もそんな温泉のひとつだった。夜の雪景色がなんとも美しい。代わりに極寒の世界ではあるが、それも温泉に入ってしまえば問題もない。
「じいちゃん、背中流すよ」
「うむ、ありがとうな」
 生まれた場所、時代、そして風呂の入り方も違っただろうふたりがこうして家族として同じ風呂に入っている。なんというめぐり合わせであろうか。運命、偶然、そのような言葉で片づけて良いものか。ただ言えるのはふたりともここに至るまでの道のりは平坦でないどころか山あり谷あり花も嵐も踏み越えて思えば遠くへ来たものだ。そしておそらくここすらも安住の地ではなく、猟兵として戦っていく以上いまだ道半ばであろう。それでもこうして一時なりとても安らげる時間を持てる事はなんとも贅沢な事と言えたかもしれない。
「俺、実の家族知らないからすごく嬉しい!!」
「ん、そうか」
 そしてふたりして湯舟にゆっくりと浸かり、話を切り出したのは朔兎であった。
「ねえ、じいちゃんとばあちゃんの話を聞かせてよ!」
「ばあちゃん……ああ、妻の話を聞きたいのかい?妻はね……」
 陽輝は語り始めた。陽輝の妻は歌い手で、かつては音楽家である陽輝が作曲し、自ら演奏した音楽に合わせて歌っていたらしい。
「もうかなりの昔……それこそ20年以上前の事だけど、舞台に立って歌う姿は今も目に焼き付いているよ」
「しっかり奥さんの晴れ姿覚えてるなんてすごいな」
 残念ながら病弱のため若くして亡くなったらしい。才能が有り神に愛されたがゆえに早くに召されたのだろうか……だがふたりの娘である響が母の歌の才能を見事に引き継いでいた。それはまさにこの世に存在を刻んだ証がいまだにこの世界に残されているという事で、ふたりにとっては僥倖であっただろう。
「まあ、まさか駆け落ちするとは思ってなかったけどね」
「大変だったんだな……」
「さすがにびっくりしたけど、結果的にいい方向に行ったからね」
 娘と再開するまでに陽輝が(娘を探すためではないが)世界中を放浪したり、一方で駆け落ちした側も本当にいろいろあったようで、結果的にいい方向に行ったと一言で済ませるにはあまりに紆余曲折がありすぎたようではあるが、まあ今は今だ。
「そういえば朔兎の愛しの姫の歌と舞もいいものだね」
「え?」
 いきなり話を振られて朔兎はさすがに戸惑った。先刻のあれやこれやが急に思い出されたのは仕方のない事だったかもしれない。
「まあ、朔兎もまだまだ成長の余地がある。結ばれるまで精進することだ」
「俺?まだ結婚できるの先だし……」
 まじめ半分からかい半分の陽輝の言葉に、二重三重の恥ずかしさから思わず顔半分まで朔兎は湯に沈めた。顔が赤くなっているのはお湯の温度のためだけではないだろう。
「……が、頑張る……」
 ようやっとのことで朔兎はそれだけを絞り出した。まあ、こういう機会でもなければできる話でもないし。そういう意味では良かったのかもしれない。かくして義理とはいえ祖父と孫の時間は過ぎていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フェリチェ・リーリエ
…え?サムライエンパイアにもリヴァ、じゃなくてクリとマス(違)は伝わってるって?
こんなとこにまでリア充イベントが広まってるべかこんちくしょう!非リアの安寧の地はどこにあるんだべ!?

仕方ねえ、こうなったらリア充どものクリとマスをクルシミマスに変えてやるしかねえべな!
呼べるなら静武(f37639)も呼んでさあ雪合戦だ!リア充を見つけ次第豪速の雪玉を投げつけたる!
ちなみに塩を混ぜて通常より硬くした特製だべ!あと中に冷凍ミカンでも忍ばせておくべか!

非リアにとっちゃ元からクルシミマスだべさ!この苦しみを少しは思い知れー!

(まあ返り討ちにされそうなので、あとはライフベリーのケーキでも作って傷心を慰めます)



●爆発オチなんてサイテー
 フェリチェ・リーリエの出身地であるエンドブレイカー世界にはリヴァイアサン大祭という祭りがあった。本当にたまたま我々世界で言うところのクリスマスイブと同日である毎年12月24日に行われている祭りは当初は『パートナー』(詳細について触れるとむちゃくちゃ長くなるから略)同士の絆を深め合うための祭典であり、現在では広い意味の『パートナー』同士がこれまた広い意味での絆を深め合うための祭典となっているようだ。当然フェリチェたち嫉妬戦士にとっては忌むべき日なわけで。
「……え?サムライエンパイアにもリヴァ、じゃなくてクリとマスは伝わってるって?」
 そんな忌むべき日がサムライエンパイアに、さらには封神武侠界は楽浪郡にあると聞き、当然フェリチェは愕然。そののち激怒。あまりの怒りのためにちょっとまずい言い間違えをする始末である。
「こんなとこにまでリア充イベントが広まってるべかこんちくしょう!非リアの安寧の地はどこにあるんだべ!?」
「わかる、わかるぞッッッ」
 同意するのはフェリチェに呼び出されたグリモア猟兵のうち嫉妬戦士な方である不破・静武。おそらくもうひとりいた方に送ってもらったのだろう。ついでに言うなら他でも書いたけどサムライエンパイアにクリスマスを持ち込んだのは他ならぬ徳川家光公であり、しかもキリスト教の事を切り離した恋人たちがイチャつくための祭典として持ち込んだというからねえ。
「おのれハーレム野郎!仕方ねえ、こうなったらリア充どものクリとマスをクルシミマスに変えてやるしかねえべな!」
「おうよ!ボクたちの力をリア充どもに見せてやるぞ!でも具体的には何をしてやろうか?」
「ふっふっふ。それはこれだべ!」
 フェリチェが取り出したのは雪玉である。なるほど一方的に雪合戦を仕掛けるわけだ。折しもホワイトクリスマスである。材料ならいたるところに存在する。しかも雪玉ならまあそれほどの被害にもならないだそうし。
「甘いべ!塩を混ぜて通常より硬くした特製だべ!」
 なるほど雪玉を硬くするためにそういう手が。北国のガチの雪合戦では握力でむちゃくちゃ固めるとかいう方法もあるわけだが、そんな事をしなくても強力にする手段はいくらでもあるわけだ。ましてや石を入れるような事をしなくても……
「石は入れないけど中に冷凍ミカンは忍ばせてあるだよ!」
 ……しっかり仕込んでいたようだ。なお冷凍ミカンは後でフェリチェとグリモア猟兵が全部いただきました。たぶん。
「非リアにとっちゃ元からクルシミマスだべさ!この苦しみを少しは思い知れー!」
 そして意気揚々とリア充どもに突撃を敢行しようとしたフェリチェとグリモア猟兵……だったが。そういえば迎撃装置を設置してた猟兵がおりましたね最初の方に。どうやら無駄にならずに済んだようだ。たちまち火を噴く全砲門。そして大爆発。
「ぎにゃー!!」
 爆発の所で惨劇が起こっている事など気付かぬ者たちは、打ち上げ花火と呼ぶにはちょっと低いところで起きた光と音が生み出す一大スペクタクルにしばし見とれ歓声をあげたそうな。

「……ラ、ライフベリーでケーキ作っただよ、ミカンと一緒に食べるべ」
「付きあいまし」
 そして嫉妬戦士ふたりは残念パーティで傷心を慰め合っていたとか。

 何はともあれ、斎藤福と首塚の一族たちはサムライエンパイア帰還に向けた新たな一歩を踏み出す事ができた。実際に戻れるのがいつになるかはわからないが、それもそう遠い日でないと思いたいなとか考えつつ。
 リア充も非リアも、全ての人たちに。メリークリスマス。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年01月24日


挿絵イラスト