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the Rage

#ダークセイヴァー #ダークセイヴァー上層 #戦後 #第二層 #月光城 #【Q】 #月の眼の紋章 #応募〆切:02/05(水)26時頃

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#【Q】
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#月の眼の紋章
#応募〆切:02/05(水)26時頃


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●叶わぬ祈りに
「御機嫌よう、皆。よく来てくれたね」
 グリモアベースにある作戦会議室、招集に応じた猟兵たちをカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)は一礼で出迎えた。
 今回の予知はダークセイヴァー、その第二層での戦いに関するものだと彼女は告げる。

 闇の救済者戦争にてカタストロフの危機を退け、しかし猶もオブリビオンの支配が続く暗夜の世界。
 未だ謎多き「月光城の主」の一人が動きを見せたのだという。

「敵は『報復のユースティ・ティアドロップ』。元は|闇の救済者《ダークセイヴァー》の一人で……と、これは余談だね」

 ユースティは吸血鬼の実験体とされた犠牲者の生き残りでありオブリビオンの暴虐に抗う復讐者だ。
 しかし実験の後遺症で自らもオブリビオンと化した今、討つべき敵である事に違いはない。
 彼女との戦闘に於いて留意する点が三つあるのだとカタリナは指を立てる。

「二つは月光城の主としての特徴だ。つまり|人間画廊《ギャラリア》、そして月の眼の紋章だね」

 人間画廊とは月光城の主と輝く鎖で繋がれた、内部に人間を閉じ込めた数十個もの浮遊|水晶《クリスタル》の事だ。
 月の眼の紋章による「戦闘力66倍効果」のエネルギー源であり、人間を救出するたびに弱体化させる事ができる。
 また、眼球と満月を組み合わせたような形状のこの紋章は飛び出す棘鞭の強力な追加攻撃も繰り出してくる。

「三つ目はユースティ自身の性質。彼女に残った理性は人々の救出を望むけれど……これは楔でもある。
 囚われた人々が救出されると最終的に彼女は闘争本能に呑まれて全力で攻撃を仕掛けてくるから気を付けて」

 人間画廊の解放まではユースティの行動も何割かは猟兵側に利するよう動くようだ。
 敵自身と連携するというのも妙な話だが、紋章の力で跳ね上がった戦闘能力を掻い潜る助けとなるだろう。
 また、復讐者である彼女は特に他者を虐げる悪性に対し強く闘争心を燃え上がらせる。
 逆に該当しない猟兵には充分な力を発揮しないという事でもあるが……心当たりのある者は念頭に置いて損は無い。

「それと……既に幾つか前例があるように、彼女も撃破すると闇の種族へと新生を遂げるらしい」

 現れるのは『感情喰らいのハイドラ』。
 此度顕現する個体は暴走状態に陥り次第に自滅していくが、攻撃力が大幅に上昇しているとの事だ。
 危険な戦いになるが、これは『欠落』による無敵を攻略せずとも闇の種族を撃破できる数少ない好機でもある。

「どうか武運を。今回もキミたちの勝利と無事の帰還を祈っているよ」
 グリモアの放つ輝きと共に、豪奢な装飾の施されたゲートが開いて。


ふーみー
 当シナリオをご覧くださりありがとうございます、ふーみーです。
 此度はダークセイヴァー、謎多き月光城の主との2連戦!

 一章はVS月光城の主、『報復のユースティ・ティアドロップ』。
 彼女は『月の眼の紋章』により戦闘力66倍の強化を得ており、浮遊する数十個のクリスタル『|人間画廊《ギャラリア》』と鎖で繋がっています。
 人間画廊内に囚われている人々を解放する事で紋章は弱体化し、救出率50%で完全に効果を失います。
 通常攻撃に加え月の眼の紋章から飛び出す棘鞭による奇襲も仕掛けてくるためお気をつけください。

 二章はVS『感情喰らいのハイドラ』。
 月の如く煌々と輝く『異形の身体部位』を生やした状態での戦闘です。
 人間画廊に囚われていた人々の扱いはプレイング内で指定があれば準拠しますが、基本的には一章-二章のインターバル間で安全圏に保護できたものとして扱います。

 二章ではユースティの遺した禁呪兵装や身体部位を、任意技能一つをLv100で持つ装備として使用可能。
 たとえば《鎧砕き》Lv100の黒槍や《属性攻撃》の竜角、《弾幕》の銃や《義侠心》のリボンなど。
 データとしての取得も自由な他、以後ふーみーシナリオで本来の装備枠と別に一つまで使用可能です。
 もちろん特に使わずとも可。

 また、希望する展開の指標として難易度オプションも実施しています。
 興味のある方はMSページをご覧ください。
 それでは皆様の健闘をお祈りしています。
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第1章 ボス戦 『報復のユースティ・ティアドロップ』

POW   :    |Peony《憤怒》/私は赦さない
【他者を虐げる悪意への怒り】から無限に供給される【生命力】で自身を強化。【あらゆる禁呪兵装】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。
SPD   :    |Thistle《復讐》/あなたに報いを
【異端の神と同質に堕ちた体】から【恩讐の炎】を放つ。他のユーベルコードと同時に使用でき、【敵対者の悪性・悪行に比例する全能力剥奪】効果によってその成功率を高める。
WIZ   :    |Burnet《変化》/この身がどうなろうとも
【負けん気】【義侠心】【闘争心】【継戦能力】と【見切り】【勝負勘】【学習力】【肉体改造】を組み合わせた独自の技能「【禁獣因子の覚醒】」を使用する。技能レベルは「自分のレベル×10」。

イラスト:月日人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠カタリナ・エスペランサです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●救いの両手を
 ダークセイヴァー第二層……大地全てが血管で構築された、悍ましき異形の大地。
 流れる血液は五卿六眼の一角、腐敗の王が集めた『これまでこの世界で流された、全ての血液』であるという。
 無数の浮遊水晶に鎖で繋がれた身を引きずるように歩く少女の姿を見つけるのは容易い事だった。

「……退きなさい。行く手を阻むなら、容赦は――……いえ。あなたたち……猟兵ね。
 オブリビオンの暴虐に叛逆する……|闇の救済者《ダークセイヴァー》の、同志」

 束の間、熱に浮かされるように茫洋としていた瞳に力が戻る。
 その胸元に蠢く月の眼の紋章が妖しく輝き、周囲の空気が張り詰めた。

「|間に合って良かった《邪魔をするな》。|……囚われた彼等は、まだ。生きている人間よ《俺達の、私達の、復讐の。邪魔をするな》」

 発せられた声は奇妙に歪んで反響する。
 それは病的に白い肌を引き裂くように開いた第二第三の口が発するものであり、|人間回廊《ギャラリア》自体が発する呻きだった。
 少女の言葉を塗り潰すように、小柄な身体からは桁外れの狂気と闘争心が溢れ出す。

「|殺す――吸血鬼、闇の種族。私たちを苛んだ全て《見ての通り……面倒を押し付ける事は忍びないけれど》。|復讐を阻むもの悉く、殺して、殺して、殺し尽くす!《助けてあげて。……頼んでも、いい?》」

 その背を突き破るように現れた翼の如き双手、影より滲みだし実体化する忌まわしき武具の数々。
 悍ましく変異を続ける輪郭は狂い果てた怪物のそれに他ならない。
 犠牲の山から産まれ堕ちた怒りと嘆き、怨嗟と慟哭の結晶。その残骸。
 ……永劫の復讐に引導を。
 
ブラミエ・トゥカーズ
人間共はまだ生きているのか、それは良かった。
食事が無くなるのは避けたい事であるからなぁ。
吸血鬼への復讐は貴公等にとって当然の権利であり、生き物としての義務である。
故に遠慮はいらぬ、人として吸血鬼を打倒したまえよ。

敵の吸血鬼を憎む人間部分を刺激し、異界に神に堕ちた体からを人としての意思を確立させる

吸血鬼も病原菌も火に弱い
他生物に害する物として星が生んだ病の悪行は他から見ればどの程度であるか
全能力剥奪により、妖怪としての吸血鬼の姿、思考能力すべてが剥奪される
その結果、残るのは”猟兵になったウイルス”
知恵も善悪も矜持も生存本能も何もない、ただ生まれついての機能を自動的に行使し続けるだけの最弱最悪最小の最下等の存在
血液さえあればど増殖し続ける

真の姿
手枷足枷を嵌めた中世風村娘の型に凝縮したウイルスの集合体

てめぇの力のおかげでわしが話すのもこれっきりだろうけどな。
わしは星が産み、星が認めた生き物への悪だ。
歴史も数も足りねぇ異界の神程度で殺し尽くせると思うなよ。

世界に広がる血管からUCによる攻撃を行う



●一人負け
「人間共はまだ生きているのか、それは良かった」

 ――食事が無くなるのは避けたい事であるからなぁ。
 喉を鳴らし嗤うはブラミエ・トゥカーズ(《妖怪》ヴァンパイア・f27968)。
 出自こそダークセイヴァーとは異なる世界に有すれど、紛れもない|吸血鬼《ヴァンパイア》の系譜に連なる者だった。

「吸血鬼への復讐は貴公等にとって当然の権利であり、生き物としての義務である。
 故に遠慮はいらぬ、人として吸血鬼を打倒したまえよ」
「……あなたは……そういうモノとして、私の前に立つのね」
「取り繕う必要もあるまい」

 剣呑さを増した目は|人《・》としてのものだ。
 この世界の吸血鬼の実験により植え付けられた異端の神という性質からユースティ本来の意思を引き戻し確立させるための煽り文句。
 それはブラミエの吸血鬼としての飾る事無き本心でもあるが故に、効果は覿面だった。
 たとえ一片でも自我が残っている限り、ユースティという少女はそれを見過ごす事など出来はしない。

「ならば……私は|私《復讐者》として、この怒りを刻みましょう」
 自分自身さえ灼くように溢れ出るは悪を赦さぬ【|Thistle《復讐》】の炎。

(他生物に害する物として星が生んだ病の悪行は他から見ればどの程度であるか)

 答えはすぐに現れた。
 吸血鬼も病原菌も火に弱いもの。それだけではない。
 |その病《赤死病》が奪った命の分だけ、恩讐の炎ばブラミエの全てを奪い取る。
 ……単なる共感、共鳴の類か。それとも本当に犠牲者たちの怨嗟を呼び起こしたのか。
 妖怪としての吸血鬼の姿、思考能力までも喪われ消えていく中で真相は定かではないが。
 これが奪われた者の怒りか、と薄く笑う。

「――てめぇの力のおかげでわしが話すのもこれっきりだろうけどな」

 絞りだした声は随分と掠れていた。
 だとしても聞いているだろう。崩れゆく身体で構わず言葉を続ける。

「わしは星が産み、星が認めた生き物への悪だ。
 歴史も数も足りねぇ異界の神程度で殺し尽くせると思うなよ」

「……知らないわ。星が認めようと、私は認めない」

 唸るような声は果たしてブラミエに届いただろうか。
 聞こえていれば或いは、|それは《・・・》間違いではないと返してやったかもしれないが……生憎そこまでの猶予は無かった。
 猟兵としてのブラミエ・トゥカーズは一度消え去る。
 代わりに揺らめくのは手枷足枷を嵌めた中世風村娘の面影。正確にはその型にに凝縮したウイルスの集合体。
 オーバーロード――己が起源たる真の姿への回帰。

 【伝承解放・悪しき風と共に来たるモノ】……鬼の器に封されしは古き災厄。
 器は砕かれ、今ひとたびこの夜に零れ落ちる。
 血管の大地に満ちる血液を媒介に広がっていくウイルスを炎が炙る。
 単純な熱による殺菌作用としての死。僅かに奪われる繁殖力。
 たとえ何であれ罪無き者を害する存在を赦しはしないという、その意思に偽りは無いのだろう。
 人としての義憤だ。
 もしかすると四十年前、その病を撲滅した医師を突き動かしたのも同じ思いだったのかもしれない。

 温い。
 悪意ある蹂躙者に対する狂おしい程の憤怒に比べれば。
 知恵も善悪も矜持も生存本能も何もない、ただのウイルスに向けられる人並みの義憤など……あまりにも。
 その病を破る為に必要なのは異端の神の権能でも、禁獣の免疫機構でもなかった事を少女は知る由もない。

 ただ生まれついての機能を自動的に行使し続けるだけのもの。
 生存競争をさえ否定するのなら、それは喰わねば生きていけない生命の営みそのものの否定に他ならない。
 まして、過去となり果てたオブリビオンが生存競争に口を挟む筋合いなど。
 故に――この場で滅ぶべきはただ一人だと、彼女自身が理解している。

 世界に広がる血管から立ち込める霧がもたらす病は幻覚を引き起こす。
 戦いなど始まりもしない。
 標的を失った炎は自分自身を焼き焦がし、忌むべき力ごと殺していく。

「……この、病……囚われた人たちまで、平らげていくつもりでは……無いでしょうね……」

 その病に現代ではワクチンが存在する事を教えられる者がもうこの場に居なかった事はユースティの不幸か。
 体内で繰り広げられる不可視の闘病はしばらく続き……それもやがて終わりを迎えて。
 最後は人間が一人、倒れる音が一つ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
応。その頼み、黒騎士ブラックスミスが引き受けた

予め自動【誘導弾】として爆槍フェニックスを【投擲】
人間画廊と鎖を【叩き割り】閉じ込められた人々を【救助活動】をさせる

自身はユースティに接敵し【時間稼ぎ】
月の眼の紋章からの棘鞭や敵UCで同時使用するだろう禁呪兵装は黄金魔剣で【武器受け】、恩讐の炎は鎧の【火炎耐性】で防御
人間画廊に流れ弾など笑えん。総て真正面から受け、完全無効化できずともUC【騎士示すべき克私無想】による【覇気】【激痛耐性】で強引に凌ぎ【切り込み】続ける

人々を苛む暴虐を見逃す黒騎士などいない。
死ね、オブリビオン。我が【騎士道】こそ貴様の黄泉路だ。



●最期に見るもの
 世界は絶望に満ちている。
 そうでなければ復讐者など生まれない。生まれる必要が無い。
 救いの手が届かない事など、幾らでもあった。
 それでも。

「応。その頼み、黒騎士ブラックスミスが引き受けた」

 それでも、その声はルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)に届いた。
 自在に空を駆けるは爆槍フェニックス。
 青き炎の軌跡を描き、囚われた人々を救わんと|人間画廊《ギャラリア》に挑みかかる。

「……夢のようね。けれど……この世界で道を貫く為に何が必要か、知っているでしょう」
「無論」

 ルパート自身も自らと同じ銘持つ黄金の魔剣を携え正面から切り込む。
 迎えるは【|Thistle《復讐》】を冠する恩讐の炎――ジリジリと炙られるような感覚はあるにせよ、それだけだ。
 悪しきを憎む炎の影響は未知数だったが、寧ろ異形と化したユースティ自身の身を焼く始末。
 真に警戒すべき脅威は別にある。

「ならば、どうか……示してみせて」
「……ッ」

 月の眼の紋章から前触れなく飛び出した茨の棘鞭、爆槍を迎撃せんとする軌道に割り込み叩き落とす。
 同時に剣、槍、銃、果ては砲と呼ぶべき規格に至るまで、足元に落ちた影から滲むように実体化する禁呪兵装。
 全方位を薙ぎ払わんとした一斉放火をユースティの副腕が鷲掴みに捉え、一纏めに黒騎士へと叩き付ける。
 即座に大剣を構え直し受け止める――重い衝撃。生身なら臓腑を破壊されていても可笑しくない。

 だとしても初手は凌いだ……筈だった。
 ルパートを襲うのは鎧の身に本来有り得ない程の激痛、精神を砕かんとする破壊の意思。
 今なお増え続ける無数の武具一つ一つが神さえ殺す【|Peony《憤怒》】の具現であるという、その意味。

「――我が道にもはや栄光なく」

 構わない。踏み込み、大剣を振るう。
 己は健在であると、武を以て示す。

「されど、我が歩みに迷いは許されず」
「……無茶をするのね。全部、真正面から受けるつもり?」
「人間画廊に流れ弾など笑えん」
「そうね。……愚問だったみたい。此方もその心意気に応えるほか無いでしょう」

 眼前の相手の燃え滾るような闘争心が研ぎ澄まされていくのをルパートは感じ取る。
 抑え難い衝動を自ら解き放つ事で制御し、その全てを黒騎士へと収束させる。
 災害を凝縮したかの如き猛威は防御の上からも鎧を打ち据え、しかし倒れる事は無い。

 力と私情に溺れず、理性を放さず、為すべきを為せ。
 【|騎士示すべき克私無想《チェンジアップクルーエルカバレロ》】――それはルパートが定義する騎士の理想論。
 どれ程の苦痛、どれ程の狂気に晒されようと、騎士は決して倒れない。
 衰えぬ覇気は世界に満ちる闇に抗う星のように。

「ふふっ……」

 響き渡る熾烈な戦闘音に混ざり、空気を揺らしたのは場違いな笑い声。
 紋章による強化は人間画廊の半数も解放すれば完全に失われるのだったか。
 荒れ狂う暴力の嵐はどこまでも激しく、しかし最初に比べれば随分と規模を減じている。

「可笑しいわね。あれだけ私たちが焦がれていた救いの騎士の戦いの、特等席に居るのに。
 どうして私、敵の側に居るのかしら。……駄目ね。こんなの、はしたないのに」

 悲愴の色は無い。
 浮遊水晶と繋がっていた鎖は叩き割られ、肩の荷が下りたようなユースティの声には歓喜の響きすらある。
 正気など疾うに失くしていたのだ。
 祈りと、怒りと、闘争心と。一度バランスが崩れてしまえば、心など歯止めの効くものではない。

 踏み込み、大剣を薙ぎ払う。
 燃やし続けてきた怒りさえ薄らいで、復讐者の振り翳す力は酷く脆く斬り裂かれた。

「人々を苛む暴虐を見逃す黒騎士などいない」
「素敵ね。その正義が本物だと、私にも信じさせて」

 悪を赦さぬ恩讐の炎にその身を焼かれながら、瞳に憧憬を宿して|怪物《少女》は笑う。
 猛攻は絶え間なく、僅かにでも集中を切らせば滅ぼされるのは此方の方だろう。

「死ね、オブリビオン。我が騎士道こそ貴様の黄泉路だ」
「……嗚呼。それは、なんて贅沢な――」

 最後の交錯は一瞬。
 黄金の剣閃は願われた通りに、災い振り撒く|怪物《オブリビオン》の命脈を断ち斬った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィゼア・パズル
WIZ/アド絡○
徐々に人間性が狂気に塗り潰され入れ替わる様子に目を細める。
月の紋章を一瞥し、浮遊水晶を見渡して嘆息した。
「いくら私でも、これを食べる気には、ならないよ。」
軽く小突いてくる相棒の梟を撫でる。復讐心や嘆きは良く解る。内容の如何ではなく、その感情、怨み辛みの動きを理解出来てしまう。
「かと言って同情するほど傲慢にもなれないな。」
だから、文字通り「断ち切ろう。」借りるぞ、エスタ。
先制攻撃で魔滅福来を発動、破邪の範囲攻撃で閉じ込められた呪詛を全て相殺。加えて破邪属性、2回攻撃の風炎刃で囚われた人々を繋いだ全ての鎖を断ち切る。
「次は、其方か?」
敵の攻撃へ、カウンター
フロゥラの刃で貫く



●邪を斬り祓う事
 仮初の正気から不可逆の狂気へ。
 徐々に人間性が狂気に塗り潰され入れ替わる様子にヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)は目を細める。
 生前と変わらぬ者、初めから生前と掛け離れた性質で黄泉還る者、ユースティのように次第に狂っていく者。
 オブリビオンの在り方も様々だが、果たしてどのケースをまだマシな部類だと捉えたものか。

 討つべきオブリビオンの胸元にはそれ自体も意思を持つかのように蠢く月の眼の紋章。
 無数に浮遊する水晶は囚われた人々の抱く呪詛と怨嗟を響かせながら、不気味な程に透き通る。
 獣としての真の姿に戻った際のヴィゼアは魔鉱石「晶精霊」を主食とするものだが。

「いくら私でも、これを食べる気には、ならないよ」

 軽く小突いてくる相棒の梟を撫で、嘆息を一つ。
 復讐心や嘆きは良く解る。
 ヴィゼアが内容の如何を論ずる事は無い。ただ……その感情、怨み辛みの動きを理解出来てしまう。

「……かと言って同情するほど傲慢にもなれないな」

 多くの悲劇があったのだろう。今更、横から知った風な口を効く事など出来はしない。
 だが、このまま復讐に突き進ませては揃って破滅に沈むだけだ。

「だから、文字通り『断ち切ろう』――借りるぞ、エスタ」

 |異能《ユーベルコード》と遜色ない域まで磨き上げた技術を以て機先を制する。
 異端の神、或いは異形の禁獣。
 冒涜的に変貌していくユースティの全身から溢れ出す恩讐の炎の前に、地獄より出でし鬼が立ち塞がる。

「赦さない……私たちは、決して。奴等をのさばらせては、おけない……!」
「此処に至るは地の縁、八熱越える角の使徒、以て来るは火の車輪」

 その速度は紋章の強化を十全に受けた月光城の主をして食らいつくに足りた。
 鬼が放つ呪詛返しの呪詛、【|魔滅福来《ドゥームブレイカー》】はユーベルコードを相殺する。
 跳ね返った【|Thistle《憤怒》】は66倍の効力を以てユースティ自身を焼き焦がし、|人間画廊《ギャラリア》に囚われた人々の呪詛をも奪い去って。

「邪念と成り果ててしまったのであれば」

 暗く燃える炎の中にあって淡く輝く鎖と水晶はよく見えた。
 紋章から飛び出した棘鞭、そして伸縮する副腕ごと薙ぎ払って迫る黒槍。
 大振りな軌道を見極め軽いステップで踏み込む。
 無防備に通った射線、無数に浮遊する水晶は罠を疑う程に隙だらけだ。

 風炎の刃が閃く。
 破邪の属性を宿した斬撃は鎖から伝わる抵抗ごと全てを断ち、人々を捕らえた人間画廊を切り離す。

「次は、其方か?」
「あら……付き合ってくれるのかしら」
「そうだな」

 役割を失った鎖は根本から変質し、幾多の毒蛇と化して新生を遂げる。
 副腕は自ずから解けるように形を失いながら更に肥大、金属質の光沢を放つ触手めいた有様に。
 呪詛返しの呪詛が反応する。
 ユースティ自身の、そして毒蛇の眼の一つ一つが視るだけで世界に影響を及ぼす魔眼の類。
 相殺の効力が拮抗した一瞬に再び地を蹴る。

「だが、私は闘争に溺れに来た訳ではないからね」
「……残念ね。私としては、礼を言うのが筋なのでしょうけど」

 紋章の強化が失われ、ユースティの意識が闘争の一色に染まるまでのごく僅かな空隙。
 人間画廊を解放したのと同じ風炎の斬撃が毒蛇と触手の群れを押し留める。
 ユースティ自身が振るう黒槍は先程より遥かに鋭い。
 紙一重に掻い潜り、捌いた攻撃すべてが背後から迫るのを感じながら更に加速。

「先に告げた通りだ。|狂気《それ》も、断ち切ろう」
「ッ……!」

 身体変異をも意の儘に操り技能の数々を組み合わせた【|Burnet《変化》】の戦闘技巧。
 それも制御する意思の源だった義侠心を欠いては片手落ちだ。
 精彩を欠き生じた隙を逃す事なく、己が身を一振りの刃と為し――突き立てる。
 剣の柄と一体化した指揮杖フロゥラの力は禍々しい異形を貫き、疾風の如く駆け抜けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
(実験体の犠牲者の生き残りなのであれば
彼女も元は被害者の一人。)
「なら、この先は彼女が新たな咎人としないのが
俺の務めか。」

「ああ、救ってみせるさ。」
(魂がその形を保てなくなっているようだ。
あまり時間は無いかもしれないな。)

order bookを発動、
香夜胡蝶乱舞
冥空へと至る影
アンノウンブレス
魔草剣舞陣
ホーリーフロウ
の力を籠める。
香夜胡蝶乱舞は人々救出のために常時発動し
他で攪乱、攻撃。
敵の強化があるうちは極力真面に戦わない。
異形部位に注意しつつ
紋章からの棘鞭にも警戒。
此方からの攻撃は極力異形部分に集中し
精神の侵食の遅延を試みる。

冥空へと至る影で強化されたファントムレギオンを
攻撃を遮る盾としてその隙に呪装銃「カオスエンペラー」で攻撃。

敵からの攻撃はアンノウンブレスで召喚した幽霊の
超感覚で感知し念動力で妨害。

魔草剣舞陣使用時は剣神カズラで敵を取り囲み
人間画廊と繋がる鎖を切り裂き
幻惑の花で惑わせる。

接近されれば身体をホーリーフロウで変異させて
躱すと共に浄化の力で異形、禁獣の力を弱める。



●神域闘儀
 ユースティ・ティアドロップは吸血鬼の実験体とされた犠牲者の生き残りなのだという。
 彼女がどれ程の仕打ちを受けたのかは分からずとも、異形と化した姿を見れば察する事は出来る。

「なら、この先は彼女が新たな咎人としないのが俺の務めか」

 元はユースティ自身も被害者の一人。
 復讐者に身をやつす程に“悪”を憎む彼女を復讐対象と同じ悪に堕とさせるのはあまりに酷だとフォルク・リア(黄泉への導・f05375)は考える。
 |人間画廊《ギャラリア》に囚われた人々の救出がユースティの願いでもあるというのなら。

「ああ、救ってみせるさ」
「|……頼もしい事ね。なら、始めましょうか《やめろ。俺達に関わるな。放っておいてくれ》」

 魂がその形を保てなくなっているようだと、死霊術士であるフォルクには感じ取れる。
 ユースティの精神と部分的に同調している人間画廊の人々も同じ事。

(……あまり時間は無いかもしれないな)
「魔導の深遠、呪詛なる厄災、術法の理。我が求めに応じ、魔本に宿りて掛かる苦難を打ち払う力となれ」

 大振りな黒槍の薙ぎ払いを飛び退いて躱し、魔導書エンドオブソウルに力を籠める。
 【order book】――五種類ものユーベルコードの装填、継続的な並列発動を可能とする大技。
 ユースティの攻撃は牽制、まだ挨拶代わりの域を出ない。
 だというのに、紋章の強化を十全に受けたそれは既に速度も威力も段違いだ。
 その暴威に抗うべく呪文の刻まれたページに魔力を走らせ、立て続けに詠唱を紡ぐ。

「その翅に虚ろなる瞬きを宿せし夢幻の蝶。その燐光に触れし者を常夜へ導け――」

 一つは人々を救出する要となる【香夜胡蝶乱舞】。
 触れたものを満月夜の世界に誘う翡翠色の蝶の群れを人間画廊へと差し向ける。
 ユースティが翡翠蝶の群れを阻む事は無い。
 それは矛先の全てがフォルクに向く事を意味する。
 故に二つだ。

「――冥府への門たる忌わしき影よ。その枷を外し闇の力を我に届けよ」
「器用な事をするのね」
「為すべき事を為すために、必要な手を打つだけさ」
「そう。……身に覚えのある台詞だわ」

 溢れ出す【|Thistle《復讐》】の炎を死霊の集合体たるファントムレギオンで受け止める。
 恩讐の炎を燃やす“悪”とやらが実際のところ何に反応するかは定かでない。
 法か、倫理か、或いは自分自身の抱く罪悪感の類か。
 いずれにせよ未だ十全な紋章の強化を受けて猶、能力剥奪の影響自体はそれなり程度だった事は僥倖だろう。
 紋章の棘鞭と共に伸縮し食らいつく毒蛇の牙、更なる副腕を増やしての薙ぎ払い、新たに生えた竜の首が放つブレス……半ば自ら潰し合うような猛攻の余波の方が、今は遥かに厄介だ。
 その苦心を――そして翡翠蝶による人々の救出という活躍を【|冥空へと至る影《ディアボロス》】は力に変える。
 呪装銃が照準する先は猛威を振るう異形の肉体。
 人ならざる部位の影響を封じればその分だけ、少なくともユースティへの更なる侵蝕は遅らせる事が出来る筈だ。

 今のところフォルクの狙いは功を奏しているように見えた。
 人間画廊に囚われた人々を解放するごとにユースティの意識は闘争へと傾いていく。
 だが、そのペースは翡翠蝶の働きに比してかなり抑えられている。

「気遣い、痛み入るわね。けれど……そろそろ、遠慮は無用よ」
「そうか」

 その言葉を発したのが次第に喪われてゆく理性か、解放を欲する闘争心かは判別し難い。
 どちらも真実という事もあるだろうか。いずれにせよ、頃合いだという見立てはフォルクも同じだった。

「冥府の徒たる魔の物をも討ち果たす剣神葛。冥空を越えてその姿を現し我が敵を切り裂く刃となれ」
「……!」

 抑えきれない力の発散という形が主となるユースティに対し、戦局を見極め的確に行動を選択しているフォルクの方が機先を制するのは必然。
 冥府植物剣神カズラの召喚が織り成す【魔草剣舞陣】、相手が幻惑の香に免疫を構築する為に要する時間まで見当をつけるだけの情報は集め切っている。
 翼の様に進化した広葉と鋭利な剣枝、人間画廊を繋ぐ鎖を纏めて切り裂き残り僅かな囚人を救い出す。

「……漸くね。ああ、待ち遠しかったという意味。遅かったと言いたい訳ではないの」

 恐らくユースティも水際で踏み止まっていたのだろう。
 ふつりと自制の糸が切れるように、その気配が明瞭に切り替わる。
 未だ幻覚に惑っている筈の双眸が正確にフォルクを見据える。

「見せて、あなたの力を。そうすれば私はもっと強くなれる。もっと速く、多く、奴等を狩れる……!」
「――いや。もういいんだ」

 全身に纏うオーラは時間の流れごと自らを加速させる。角に宿る輝きは色彩に応じた属性現象を引き起こす。
 超重力を発生させる魔眼の力も、時空ごと断ち斬る黒槍の鋭さも、小競り合いを通じて既に見せられた後だ。
 さながら無数の邪神が同時に襲い掛かってくるように膨大な手札が、明確な闘志の下で牙を剥けばどうなるか。
 対策は既に立ててある。

「地の底に眠る不明なる霊。呪われたる棺の蓋を開きて、その異能を存分に振るい。
 我に仇なすものを退け、我と共に歩む者を助ける力となれ」

 地底から現れた棺群が一斉に開き、濃密な呪詛と優に七百を超える霊を解き放つ。
 個々が超感覚や強力な念動力を備えた【アンノウンブレス】の幽霊は正体不明にして変幻自在。
 知覚不能の脅威も、概念干渉さえも真っ向から食い止め渡り合う。

「ふふっ、言葉はつれないのに椀飯振舞ね!」
「まったく。紋章の強化があった時より余程恐ろしいな」

 翼の推進力と獣の脚力、ほか諸々の能力を駆使して戦争規模の激突を突っ切ったユースティの姿は眼前に。
 槍を放り捨てた手には短刀のような鉤爪、見た者を呪う瞳はこの強襲にどう応じるのかと期待に輝いている。

 ……経験上、フォルクの力を侮らない者ほど決め手は至近の白兵戦に勝負を懸けがちな傾向がある。
 |魔導士《ウィザード》が近接戦闘に弱いのはセオリーであり、そう錯覚するよう誘導するフォルクの立ち回りあっての策だが。

「清き流れよ。清浄さを以って邪を払う聖なる泉よ。その姿を現し、我が道を遮る全てを浄土の果てに押し流せ」
「ッ――私とした事が……!」

 先走る闘争心に逸ったが故か、ユースティには致命的な見落としが二つあった。
 一つは接近戦で不意を突く事がフォルクの狙いだった事。
 もう一つは人間画廊を解放した今、【order book】によるユーベルコード同時発動の枠は二つともユースティへの対処に使える事。
 自らの身体部位を癒しと浄化の流水に変異させる【ホーリーフロウ】が、咄嗟に防御したユースティを捉える。
 その心身を貫いたのは浄化の力だ。

「……文字通りの冷や水ね。狡いわ」
「悪いな」

 もはや分離も叶わない程に侵蝕された魂。闘争に溺れる心もユースティの本性の一つに成り果ててはいたのだろう。
 彼女がその凶暴性をどれだけ律しようとしていたかはこの戦いだけでも分かる。
 故にこの結果は必然だ。
 束の間引き戻された理性はユースティの闘争心に歯止めをかけ……動きが止まれば均衡を破った【アンノウンブレス】の全火力が、全てを一気呵成に捻じ伏せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シンシア・シェリンガム
まだ、人の心を有しているのですね。
ならば、闇に完全に飲み込まれる前に。
自らが守ろうとした人達を自らの手で殺めてしまう前に。
その願い通り、骸の海へと還すことをこの双剣に誓いましょう。

敵の動きを見据えつつ、解放の紋章の力を発現。
片方の剣を敵に向けつつ、もう片方の剣にバハムートの風を纏わせ、その斬撃波で鎖を斬り落とすことを狙います。

風を纏って飛翔し、敵の射撃や棘鞭を見切り、躱しつつ接近します。
躱しきれないものは対UCの力を発現させた剣で受け流します。

貴方の願いを叶える。
その誓いが私に力をもたらす。
全ての風を込めたこの剣をもって|貴方《オブリビオン》に――|貴方《未来の私》に人としての終焉を!



●明日は我が身と悟れども
「まだ、人の心を有しているのですね」

 骸の海より黄泉還ったオブリビオンであるという事。
 狂気に染まり世界に仇為す災厄と成り果てる宿命にある事。
 その意味をシンシア・シェリンガム(円卓の騎士・f44932)は知っている。

「ならば、闇に完全に飲み込まれる前に。自らが守ろうとした人達を自らの手で殺めてしまう前に。
 その願い通り、骸の海へと還すことをこの双剣に誓いましょう」
「……そう。あなたはそちら側に居られるのね。羨ましいわ」

 ある種の本能として、猟兵とオブリビオンは互いの存在を誤解無く認識できる。
 異色の双眸を僅かに見開き、それからユースティは小さく首を横に振って。

「つまらない事を言ったわね、ごめんなさい。騎士の作法には疎いけれど……礼で応えるべきなのでしょう」
「お構いなく。逆の立場なら恐らく、私も同じ事を考えたでしょうから」

 禍々しい黒槍を構える動きに合わせ、その身を|人間画廊《ギャラリア》と繋ぐ鎖が音を立てる。
 シンシアが解放の紋章を励起するのと、異形と化した肉体から恩讐の炎が溢れ出すのは同時だった。

 悪を焼くのだという【|Thistle《復讐》】の炎はシンシアにとって殆ど無害だった。
 もし|百獣族《バルバロイ》が知れば憤りを覚える者も居るかもしれない。
 頭の片隅によぎった益体も無い思考を、今この時は押し込める。
 炎は寧ろユースティ自身を焼き焦がしているようだが、単純に視界を遮られるのは厄介か。

「散らしてしまって構わないわ。どうせ私の眼には視通せるから」
「なら、遠慮なく……!」

 聖剣の片割れに宿すはバハムートの風。
 一振りで炎を吹き散らし、淡く輝く鎖までも断ち斬って人間画廊を解き放つ。
 晴れた視界には肌を炙るような呪詛が形を成した【|Peony《憤怒》】を冠する禁呪兵装。
 一つ一つの狙いは粗い。だが、余波でさえ空間そのものを揺るがす程の威力がある。

「……これが、月の眼の紋章の力」

 異端の神に禁獣、ダークセイヴァーに悪名高い化け物の力を移植されたユースティ自身の戦闘力も大概だ。
 恩讐の炎による自滅を加味して猶、最大値66倍もの強化を施す紋章の力が発揮する相乗効果は常軌を逸している。
 攻撃を繰り出す挙動の軽さと実際の威力が釣り合わない様は認識の方が狂わされそうな程で。

「それでも……!」

 風を纏って飛翔し、吹き荒れる衝撃波を乗りこなす。
 襲い掛かる棘鞭を受け流し、飛ばす斬撃は最後の浮遊水晶を鎖から切り離した。

「見事、と言いたいけれど……本番は此処からよ」
「いいえ。終わりです」

 人間画廊の解放による紋章強化の喪失と闘争本能の肥大は半ば連動するかのように。
 自在に舞う剣刃、次元をも貫く槍、幾千の属性が宿る弾幕を展開する銃口に遥か上空の暗雲までも消し飛ばす砲口。
 禁呪兵装の全てが明確にシンシアへと照準を定めた。

「私は赦さない――絶対に。この力は怒りの具現。あなたに超えられるかしら」
「無論です。……その怒りは、私に向けられたものではないでしょう?」
「……ッ!」

 或いは目の前に居るのが仇敵たる吸血鬼や闇の種族であれば、ユースティは決して倒れず戦い続けるのだろう。
 暴走する闘争心とは裏腹に、悪意への怒りと直結した出力は不完全燃焼も甚だしい。
 【騎士道の誓い】に懸けて|そんなもの《・・・・・》に後れを取る事は出来ないのだと、双剣を振るい正面から切り込む。

「貴方の願いを叶える。その誓いが私に力をもたらす」

 ユースティの姿を見据え、焼き付ける。
 |ビハインド《オブリビオン》であるこの身も辿り得る姿。
 解っている。初めから他人事などでは無かったのだ。

「全ての風を込めたこの剣をもって|貴方《オブリビオン》に――|貴方《未来の私》に、人としての終焉を!」
「……それなら、私からは……あなたの道行きに、身勝手なエゴと祈りを」

 応えは刹那の交錯の後、僅かに遅れて紡がれた。
 託しておきながら多くを語らなかったのは、背負わせる事を望まなかったが故だろう。
 矛盾していると思う。或いはそれ故に偽りの無い本心なのだ、とも。

 残心とほぼ同時、一方の倒れる音が空気を揺らす。
 ともすれば鏡合わせのような両者の戦いは、斯くして一つの結末を迎えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ(サポート)
アドリブ・連携〇

同伴者がいる場合は同伴者を支援するよう行動
戦い方は遠近両用
接近戦→【破魔】を付与した破魔刀
遠距離→精霊の護符の【乱れ撃ち】
同伴者が苦手な方を受け持ちます

単独で戦う場合は敵の苦手とする方での戦い方を主軸に
護衛対象がいる場合は自分の身を挺して【かばう】
仲間達に危害を加えるような行動はまず取らず
誰かを傷付けるくらいならば自分が傷付く方を選びます
任務に関わる人達の笑顔を取り戻す為に全力を尽くします

指定したUC以外への変更及び演出的なUC複数発動も可
采配はMS様にお任せします

狙えるならば『精霊憑依』からの『レベル×』有UCへ繋げ、大打撃も狙う

圧勝・苦戦からの勝利等、どんな演出も可


アイクル・エフジェイコペン(サポート)
猫っぽい舌足らず口調にゃ。こんにゃ感じで、可能なら末尾だけじゃにゃくて途中にも入れてほしいにゃ。めんどいならいいけど。
ちなみに機嫌悪い時は「に゛ゃ」って濁点入る感じにゃ。

正直状況とかよくわかってにゃいけどなんとなく気に入らない顔してるからぶっ殺すに゛ゃ。
パワーイズジャスティス。真正面から行っておもいっきり攻撃するのみにゃ。ユーベルコードは何使ってもいいにゃ。

基本はむちゃくちゃ猫かぶってかわいい子演じてるものだから、なるべくスマートに『せーとーはなれでぃー』的な感じで戦おうとするけど、むちゃくちゃ怒ったら地が出てむちゃくちゃ口が悪くなる。
「ぶっ殺おおおおおおす!●ぁぁぁぁぁぁっく!!」


バルタン・ノーヴェ(サポート)
「ご安心くだサーイ! ワタシが来マシタ!」
ご用命あらば即参上! アドリブ連携歓迎デース!

普段の口調:片言口調(ワタシor我輩、アナタ&~殿、デス、マス、デショーカ? デース!)
戦闘スタイル:白兵射撃の物理系

各種武装の中から敵に有効なものを選択して用いてくだサーイ!
刀も銃器も、内蔵兵器や換装式ウェポンも、何でもOKデス!

アタック重視でもディフェンス重視でも対応可能デース!
斬り込み、爆撃、弾幕を張ったり、パリィ盾したり、臨機応変に立ち回りマース!

指定ユーベルコードが使いづらいなら、公開している他のものを使用しても問題はありマセーン!
オブリビオンを倒して、ミッションクリアのために力をお貸ししマース!


バラセル・アドミス(サポート)
バラセルはバラセル。今は他の何者でもない。ただそれだけ。

主にチェーンソーを使って戦う。時には同じくチェーンソーをつぎ込んだキャバリアにも乗る。あと、料理も意外と上手だと言われた事もある。

オブリビオンに恨みがあるわけでも無いが、バラセルの障害になるのであれば確実に刻むだけ。今はただそうする事にする。

(〇ユーベルコードは何を使っても構いません。(18禁でない且つ)彼女の個性(設定)を活かしてくれると大歓迎です。よろしくお願いします。)


カグヤ・モンデンキント(サポート)
モンデンキント級植民艦3番艦カグヤに宿ったヤドリガミですわ。
女性に年齢を聞くものではなくてよ。

まずは地球型惑星を破壊できる規模の主砲であるユーベルコード「ジャッジメント・クルセイド」を放ちますわ。
あるいは周囲から慌てて止められ、仕方なしに別のユーベルコードを使いますわね。

多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は致しませんわ。

あとはおまかせ。よろしくおねがいします。


アリス・セカンドカラー(サポート)
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい♥

それはまるでチートのような、とんでもない才能であると便利な|舞台装置《デウス・エクス・マーキナー》役な|狂言回し《サポート》。

瞬間的に|主観の世界観を切り替える魔術的パラダイムシフト《高速詠唱早業先制攻撃多重詠唱拠点構築化術結界術》で妄想を魔力具現化する|混沌魔術《欲望開放》で|戦闘、諜報、輜重《多重詠唱×各種技能》とマルチに活動可能。
|大概のことは高水準でこなせるわ《高性能を駆使する、応用力》

依頼の成功を大前提に、あわよくば己の欲望を満たそうとするかも?
|エナジードレイン《大食い×魔力供給×料理》と|融合《捕食×魔喰》でえっちなのうみそおいしいです♥


ゾンビーヌ・ロッテンローズ(サポート)
デッドマンのコミックマスター×自由農夫、18歳の女です
普段の口調は「女性的(わたくし、~様、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、心を許したら「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です

ゾンビとして蘇った文字通りの『腐』女子
男性が好きですが恋愛対象でなく、妄想のネタとして男同士でくっつけることを好みます
口調は作っているもので、本性は内気な陰キャです

ユーベルコードは所持する物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


アウル・トールフォレスト(サポート)
(基本好きにお任せします)
「今日はどんなところに行けるのかな?」

楽観的でマイペース、夢見がちで元気いっぱいな女の子
好奇心旺盛で無邪気であるが、根本が人でない故に残酷

神出鬼没に出現し、気まぐれに歩き回り、楽しげに爪を振るう
猟兵の役割は理解し依頼も遵守しようとするが、それはそれとして常に楽しい、面白いで物事を判断しているので、時にはそれを優先して行動することも

バイオモンスターの特徴として、肉体は植物の性質を持つ

戦闘では怪力の発揮や身体の巨大化、鋭い爪での引き裂き、即時回復目的の捕食等、野性味溢れる肉弾戦を好む
理力の扱いも得意で、体表で自生する蔓や苔植物を操り、防御や隠密に罠等サポートも行わせる


ベルト・ラムバルド(サポート)
キャバリアを使用できる環境なら愛用のキャバリアを操縦します
そのとき装備してるキャバリア用の剣と槍を振るい騎士道の名のもとにボスと戦います
キャバリアの操縦技術は優れています
キャバリア使用不可なら生身とその時の装備してる物で戦いますが残念ながら生身だとそんなに強くありません
それを補助するのが己のハイカラなオーラとセンスと瞬間思考力とUCによる謎の召喚術で頑張ります


印旛院・ラビニア(サポート)
・境遇的なものもあり、思考や嗜好は成人男性のものです(恥ずかしいので自分からは喋らない)
・基本的にはヘタレで気弱、強者にビビるし弱者に慎重な面もありますが、物事がうまくいったり周りに煽てられるとイキって墓穴を掘ることもあります
・なんだかんだで人がいい
・やり込みゲーマーで現状を学ぶ【学習力】と自分のプレイに【チューニング】できる応用力が武器
・キャバリア・劫禍との関係はUCの秘密設定あたりで察してください

 UCは活性化した物をどれでも使用し、例え依頼のためでも、公序良俗に反する行動はしません。えっちな展開はコメディ目であれば許容
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ノインプラス・エバースプリング(サポート)
 ブラックタールの文豪×ダークヒーロー、17歳の男です。
 普段の口調は「砕けている(僕、お前、だね、だよ、~的な?)」、怒った時は「毒舌(僕、貴様、だ、だな、だろう、なのか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


クリスティナ・バイエンス(サポート)
火の神の名を持つキャバリアに選ばれたサイキックキャバリア乗り
水着みたいな格好なのは、コックピットが蒸し風呂みたいに熱いから仕方なくだからね

正直キャバリアを降りての戦闘はあまり得意じゃないのよ
でもキャバリアを使っての戦いは任せてね、みんな炎で薙ぎ払ってやるわ
とはいえ、必要ないところで炎を使うつもりはないの危ないもんね
使わなくても私の〔炎神機カグツチ〕は十分強いもの

よろしくね!


鈴乃宮・影華(サポート)
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です

かつての様にイグニッションカードを掲げ
「――|起動《イグニッション》!」で各種装備を展開
友人から教わった剣術や
体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用

TPO次第では
キャバリアの制御AIである『E.N.M.A』が主体となるユーベルコードを使用したり
『轟蘭華』や乗り物に搭載した重火器をブッ放したり
「|神機召喚《アクセス》――|起動《イグニッション》!」からのキャバリア召喚で暴れます

例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
不明な点はお任せします


ネッド・アロナックス(サポート)
めずらしい そざいはある?
なければ じょうほうを しいれて かえろうかな!
(※セリフはひらがな+カタカナ+空白で話します)

探し物や調べ物は楽しくて得意だよ
"くらげほうき"や"ゆきソリ"で空を飛んだり泳いだりしてヒトや物も運ぶよ

戦闘はサポートに回ることが多いかな
手強い敵は基本隠れながら隙を作って逃げる!
"クリーピングコイン"で物をひっかけて飛ばしたり
"しろくじら"の歌で余所見をさせたりね

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません
あとはおまかせ
よろしくおねがいします!


ギュスターヴ・ベルトラン(サポート)
よう、お出ましだな?
…ソレが怨嗟による存在であっても、殺す事に歓びを得る存在であっても
人の間に悲しみと苦しみが広がる以上は…神敵必滅、躯の海に叩き返す

■行動
ガラが悪くとも信心深いため戦う前に【祈り】を捧げる事を忘れない
敵の主義主張は聞き、それを受けて行動する。行動原理を理解しないまま行動はしない
連携相手がいるならば相手のフォローへ、居ないなら全力で敵をシバきに行く
戦場によっては屋内でも空が飛べるタイプの魔導バイクを乗り回す
「公序良俗に反することはしてねえぞ」と言うし実際にそうするタイプ

■攻撃
主武器:リングスラッシャーと影業、魔導書
近距離攻撃が不得意なので敵とは距離を取って戦う

アドリブ連帯歓迎


九段下・鈴音(サポート)
『この力を使ってくりゃれ』
『妾が護ってやる。安心せい』

 自分よりも他者を優先する性格。
 ユーベルコードや技能はどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
 性格上他の猟兵をかばうことはあっても、迷惑をかける行為はしません。
 また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 エログロはNGです。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


陽環・柳火(サポート)
東方妖怪のグールドライバー×戦巫女です。

悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
正面からのぶつかり合いを好みますが、護符を化け術で変化させて操作したりなどの小技も使えます。
全力魔法使用後の魔力枯渇はにゃんジュール等の補給で補います
名刀『マタタビ丸』は量産品なので、もしも壊れても予備があります。
アームドフォードを使用する場合はイラストからイメージをしてもらえれば

 ユーベルコードは指定した物か公開しているものを使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動し他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。


鳶沢・成美(サポート)
『え、これが魔導書? まあどうしよう?』
『まあどうでもいいや、オブリビオンなら倒すだけですよ』

故郷UDCアースの下町の古書店でたまたま見つけた魔導書を読んで覚醒した自称なんちゃって陰陽師

昨今でいう陽キャラ? みたいな行動は正直よくわからないのでマイペースに行動
でも集団での行動も嫌いじゃないですよ
元ボランティア同好会でつい気合い入れて掃除しちゃったりしなかったり
一応木工好きでゲートボール好きキャラのはず……たぶん

例え好みの容姿だろうと、事情があろうと敵ならスパッと倒すだけですよ

実はシルバーレイン世界の同位体である自分と融合していたことが判明
三角定規型詠唱定規の二刀流で戦う様に

アドリブ・絡み・可


ミーガン・クイン(サポート)
 はぁい♪
サキュバスの魔女、ミーガン・クインよ。

 私のユーベルコードの拡大魔法や縮小魔法、
アイテムの巨大化薬や縮小薬で色んなものを大きくしたり小さくしたり。
きっと楽しいことが出来るわね♪

 サポートに不思議な魔法の力はいかがかしらぁ?
私のことを好きに使ってみてね♡


御形・菘(サポート)
※語尾に「のじゃ」は不使用
はっはっは、妾、推っ参!
敵は決してディスらんよ、バトルを彩るもう一人の主役なのでな!
強さも信念も、その悪っぷりも誉める! だが妾の方が、もっとスゴくて強い!

バトルや行動は常に生中継+後で編集しての動画配信(視聴者が直視しては危ない系は除く!)
いかにカッコ良く魅せるか、見映えの良いアクションが最優先よ
とはいえ自身の不利は全く気にせんが、共にバトる仲間にまで不利を及ぼす行動はNGだぞ?

戦法は基本的に、テンションをアゲてボコる! 左腕とか尾で!
敵の攻撃は回避せず、受けて耐える! その方がカッコ良いからのう!
はーっはっはっは! さあ全力で来るがよい、妾も全力で応えよう!


燐・十命(サポート)
なァに、アタシはしがない情報屋さァ。
情報収集ならお手の者ってことで。流石に敵サン(集団敵orボス敵)以外の誰かサンには手荒な手段はしないさねェ。
た・だ・し、敵サン相手にはUC【黒燐蟲尋問術(コクリンチュウジンモンジュツ)】でじわじわ追い詰めるかもよ〜?
虫たちの扱いなら任せときなァって。
(一人称:アタシ、二人称:アンタ、お前サン、
〜だねェ、だなァなど独特な語尾)
ま、この十命サンに任せときなって。


試作機・庚(サポート)
はーい呼ばれてなくても参上する庚さんデスよ
サポート参加ってやつデスね

…サポート参加って何書けばいいんデスかね?
とりあえず口調はこれでわかると思うんデスけど…
まぁ私はその時々で色々変わるデスから気にしない気にしない
私が出来ることなら大体の事はするデス
あーけど、基本私はハピエン厨デスからあまりにも酷いことはしないデス
私がされる分には基本何されても別に問題ないデスけど…
私以外の奴…例え敵でもあまりにも可愛そうだと感じたら手を差し伸べる場合があるデス
まぁ必要があればやることやるんデスけどね
仕事デスし
なんでそこの判断は任せるデース

こんなもんでいいデスかね…?
あっ忘れてた『UCの詠唱は自由にどうぞ』デスよ


シン・クレスケンス(サポート)
◆人物像
落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。
窮地でも動じず冷静な状況判断で切り抜ける。

◆戦闘
射撃(愛用は詠唱銃だが、様々な銃器を使い分けている)と魔術による広範囲攻撃が主。
魔力の操作に長け、射撃の腕も確か。
作戦次第では、闇色の武器を召喚(UC【異界の剣の召喚】)して前衛を務めることもある。

◆特技
・情報収集
・機械の扱いにも魔術知識にも精通している

◆UDC『ツキ』
闇色の狼の姿をしており、魂や魔力の匂いを嗅ぎ分けての追跡や索敵が得意。
戦闘は鋭い牙や爪で敵を引き裂き、喰らう。

◆口調
・シン→ステータス参照
(※使役は呼び捨て)
・ツキ→俺/お前、呼び捨て
だぜ、だろ、じゃないか?等男性的な話し方


夜鳥・藍(サポート)
生まれも育ちもサクラミラージュ。誰かの願いで転生した元影朧。そのため影朧には同情しがち。
それなりの良家の出で言葉遣いは丁寧。だが両親とは違う種族で生まれたのを悩み高等部(高校短大相当)卒業を機に家を出ている。現在は帝都で占い師。

もふもふ大好き。
実家ではいろいろ我慢してたのもあって、飼えなくとも一人暮らし&猟兵となったことで爆発しがち。
猟兵になっていろいろ経験し悩みを乗り越えた。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭いません。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は絶対にしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●for the Pain
「はーい呼ばれてなくても参上する庚さんデスよー。サポート参加ってやつデスね」
「…………?」
「メタ発言……とも限らないわね、助っ人的な意味では」
「そう」

 一触即発の状況に違いはないが、戦場に降り立った試作機・庚(|盾いらず《フォートレス》・f30104)とアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)は共に手練れだった。無論、シリアスな戦闘能力的な意味でも。
 無尽蔵の生命力と禁呪兵装、無限に進化を続ける異形の肉体、溢れ出す【|Thistle《復讐》】の炎。
 個にして群なる絶大な規格に対応すべく、二人は同時にユーベルコードを励起する。
 【|到達点《グランド・フィナーレ》】【それはまるでチートのような、とんでもない才能】……性質は類似。
 如何な力が発動するかは術者自身にも選べない代わり、有用である事だけは保証された|異能《ユーベルコード》の発動。

「あると便利な|舞台装置《デウス・エクス・マーキナー》役な|狂言回し《サポート》、依頼はしっかり成功させるわ♥」
「これが一つの到達点ってやつデスね」
「有難い事、だけど……隙を晒したものと受け取るわよ」
「付け入る余裕があるなら御随意になさいな」
「!」

 亜空間より放たれたのは【ジャッジメント・クルセイド】。
 クレリックが得意とする標準的な攻撃ユーベルコードと同質だが同じではない。
 ヤドリガミであるカグヤ・モンデンキント(天体娘・f31348)の本体、モンデンキント級植民艦3番艦カグヤに搭載された同名の主砲型神器より発射される、惑星をも破壊するという一撃。
 インドラの矢に例えられる光は副腕の一振りで掻き消された。
 そもそもの地力に紋章による66倍もの強化が乗っている“月光城の主”が異常なのだ。
 ユースティは隙と言ったが、庚とアリスのユーベルコード発動までに介入できる程の時間など本来は存在しない。
 一瞬にも満たない一手の浪費。それだけで充分。

「成程ー、異端の神要素にも染まってるなら確かに特効入りそうデスね?」
 庚の手に収まったのは一冊の魔導書。
「ふむふむ。いつもの混沌魔術とは違う系統だけど、分かってるじゃない♥」
 アリスの周囲で意の儘に舞うのは護符揃え。

「という事でー、お覚悟!」
「お覚悟っ♥」

 主観の世界観を切り替える魔術的パラダイムシフトは|混沌魔術師《ケイオト》の常套手段。
 25600㎡もの五芒星結界を描く【五芒結界符】が範囲内に齎すのは継続的な敵対者へのダメージと味方の回復だ。
 単純だからこそアリスの力量が直截に反映される、その効果は並大抵のものでない。

 そして……見切ろうとする癖が却って仇となる。
 結界の影響で計算が狂った瞬間を逃さず突き立ったのは魔導書が放つ【アンチサイキックレイ】の神秘否定光線。
 名を聞けば原理は語るまでもないだろう。
 66倍の強化と言うならそれ以上の弱体化をぶつければいいという一つの解答。実に100分の1の攻撃力減衰である。

「まぁ効果時間も100秒きっかりデスがね!」
「……そう。それだけの時間で、勝負を決めるつもり?」
「途中でもチャンスを見計らって継ぎ足していくデース」
「それもそうね」
『うおー!! ベルト・ラムバルド参上っ!』

 ユースティ自身は未だ動かない。
 だが、虚空より滲むように現れ続ける禁呪兵装は結界のダメージ、光線の弱体化にも構わず牙を剥こうとする。
 そこに黒きキャバリアを駆り勇ましく割り込んだのが ベルト・ラムバルド(自称、光明の暗黒騎士・f36452)。
 そして大量のモーラット。
 【|モラの恩返し《モッピモキュキュピモキュキュキュピ》】に駆け付けた彼等の数は総勢161にも及ぶ。

『あ、あの時保護した野良モーラット達じゃないか! 助けに来てくれたのか!?』
「……っ!」

 モーラット達の士気は高いが彼等に戦闘力は無い。
 減衰して猶も凄まじい飽和火力で溢れ返る戦場への参戦は自殺行為に他ならない――筈だった。
 あわやモーラット達を屠らんとしていた凶刃凶弾の軌道が揃って捻じ曲がる。
 代わりに向いた矛先に猟兵側は各々が対処を強いられるのだが、それはそれとしてモーラットには傷一つ無い。
 嵐の如く吹き荒れる恩讐の炎、悪を憎む憤怒の具現も無害にすり抜けていく事から立てられる予測は。

「おー危ない……今のアンタの仕業だよねぇ? どういう風の吹き回しだい?」
「……そこの騎士が意図して無辜の命を盾にしたのなら、何としてでも滅ぼしていたでしょうね」
「無力な善意のモーラットは傷つけられない、と。いいね、その調子で弱点とか色々教えておくれよ」

 滑稽なまでの偽善だ。そんな理性、良心が残っているなら大人しく無抵抗に滅ぼされるのが筋だろう。
 燐・十命(黒燐蟲は知っている・f38657)は胡散臭い薄笑いを貼り付けユースティに問いを重ねる。
 その呪髪から煙のように湧き出るは徐々に増加する黒燐蟲。

「さア、何か答えないとアンタはコイツらの餌食になっちゃうよォ~」
「酷な要求ね。私、あまり口が回る方ではないのだけれど」

 撃破に有用な情報を引き出せるなら良し。
 そうでなくとも増加し続ける黒き大群は、何処までも獲物を追い詰め続ける。

 モーラット達の応援による援護効果も然る事ながら、ユースティの攻撃に対する遮蔽となってくれる恩恵も大きい。
 猟兵側も攻撃に彼等を巻き込まないよう留意する必要がある点を差し引いてもお釣りが来る程に。
 それが相手の理性に由来しているなら、何処まで信を置けるかは不透明だが……

「まあどうでもいいや、オブリビオンなら倒すだけですよ」

 事情、心情、真相。何であれ為すべき事は変わらないのだ。
 一つ呟いて鳶沢・成美(三角定規の除霊建築士・f03142)は己が役割を果たす。
 既にアリスの結界が敷かれた戦場へ新たな結界を重ねる事は容易ではないが、上手く重ね合わせた際の相乗効果は難易度に見合うリターンをもたらす。
 難事だとしても、本職の除霊建築士である成美にとって不可能な事ではない。
 目に見えぬ陰陽の気の流れを作り出す【除霊建築学・陰陽八卦】――八卦炉結界は構築された。

「……やってくれるわね。大したものだわ」
「それはどうも。ま、逃がしはしませんからご安心を」

 すぐさま看破したユースティの視線が成美を射抜けば呪詛に蝕まれる感覚。魔眼の類か。
 構わない、と笑みを作ってみせる。攻撃は最大の防御、とは言ったものだ。
 回避率の激減した好機、最大限に活かせる味方が居る事を成美は知っている。

「あなた、なんでそんなにガマンしてるの?」
「当然でしょう。……無辜を害する輩を滅ぼす為の力を、その無辜の命に向けるなんて。有り得ないわ」
「ふぅん。嘘じゃないけど、嘘だね」

 自身に纏わりつく、ユースティ自身を焼き焦がすのと同じ恩讐の炎を見下ろしてアウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)は顔を顰める。
 嘗て出した犠牲。或いは矮小な人間の生命に対する断絶、その怪物性をこの炎は悪と断じたらしい。
 アウルが見通すのはその奥だ。
 目一杯に己が力を振るうのは楽しい。そんな簡単な欲求を彼女は抑え込んでいる。

「その鎖がジャマなのかな? じゃあ、先にわたしから存分に見せてあげる」

 ざわりと畏怖が空気を揺らす。
 【|深緑より這い出よ、黄金《フンババ・ザ・フィアー》】――バイオモンスターの巨体を更に巨大化させ、顕現するは『高き森の怪物』。
 併せ、踏み込むもう一人の姿があった。

「さて……妾もこの力を使いやんしょう」

 ユースティの能力で最も厄介なのは膨大な手札に由来する対応力だ。
 二重の結界に捕らえ、攻撃力を削ぎ、モーラットたちの存在で行動を制限し、黒燐蟲を差し向けた。
 幾重にも重ねた策に嵌めて猶も紋章に由来する純粋な出力強化は厄介だ。
 適応される前に状況を進めるなら頃合いだと九段下・鈴音(黒桔梗・f01929)も判断する。

「囚われた者共も妾が護ってやる。安心せい――【ブレイド・ランページ】! 全てを喰らいつくせっ!」
「ッ……!」

 襲い掛かるアウルの薙ぎ払いと同時、鈴音の妖刀も引けを取らない程に巨大化する。
 二人の繰り出したユーベルコードの強みは規模相応の威力と攻撃範囲。
 そして、大振りながら敵味方を識別する命中精度。
 炎による能力剥奪は奪われる端から五芒星結界の回復が食い止めるおかげで影響も軽微。
 回避率を低減させられたユースティにそれを避けきる術は無い。
 その身に繋がっていた鎖は断ち斬られ、|人間画廊《ギャラリア》は纏めて解放される。

「……礼を、言うべきなのでしょうね。ええ、感謝しているわ。心から」

 紋章の強化は失われた。囚われていた人々は救い出された。
 次は“月光城の主”を討ち滅ぼす番だ。
 その認識は正しい。何も間違いは無い。

「さぁ! 遠慮も加減も無用よ――私を殺してみせて、猟兵!」

 更に変異の進んだ副腕を翼と化し、ユースティは羽搏き一つで超高高度へと飛翔する。
 地上に狙いを定めるのは近未来的な造形をした無数の砲門。
 際限なく昂る闘争本能の儘に猟兵たちを滅ぼさんとする姿は、先ほどまでより余程|世界の敵《オブリビオン》として正しい。

『そんなの、言われるまでもないよ!』

 地上から後を追うように飛び出したのはクリスティナ・バイエンス(炎のキャバリア乗り・f30044)。
 救出すべき人々を捕らえた人間画廊がユースティから切り離された今、その力を振るう事に懸念は無い。
 彼女の駆るキャバリア、炎神機カグツチが力の高まりに熱く雄叫びを上げる。
 タイミングを合わせ更なる上空から薙ぎ払うカグヤのジャッジメント・クルセイド。
 上下から挟み撃つように滾る力を解き放つ。

『いっけぇぇえええ! ツインヒートストォォォォム!』
「成程ね……!」

 【|二重灼熱旋風《ツインヒートストーム》】は禁呪兵装の爆撃とぶつかり合い、着弾座標から半径152mを灼熱に染め上げる。
 如何な呪詛を宿す攻撃であろうと、残留し燃え続けるユーベルコードの灼熱は地上にまで被害が及ぶ事を許さない。

「けれど、まだよ。大した力だけど、何処まで撃ち合えるか――」
『――そうだね』
「ッ!」

 ユースティを打ち据えたのは迸る破魔のオーラを宿した強烈な一撃。
 死角からの奇襲が功を奏した?
 否。クリスティナとの激突は激しい余波を生じさせたが、異形と化した肉体には死角など物理的に存在しない。
 急襲を成功させたのは鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)の速度だ。
 ユーベルコードの効力を倍増させる【精霊憑依】、愛機ルクス・テネブラエと自らを合体させる【|憑依一体《ユウゴウガッタイ》・|天魔機神《テネブラエ》】の合わせ技。
 精霊王と光・闇の疑似精霊の力を束ねる三位一体。
 戦闘の開始時から練り上げた全身全霊に結界がもたらす強化を上乗せし、隙とも呼べないような隙に喰らいつく。

『高空爆撃による一方的な蹂躙は確かに脅威だ。だからこそ、此処で墜とさせてもらう!』
「ふふ、良い気迫ね! 墜としてみせなさい、出来るものなら!」
『勿論。精霊の王よ、ルクス・テネブラエよ、光と闇の疑似精霊よ……。今こそ、俺の体を媒体にその力を示せ!』

 この瞬間、【|Peony《憤怒》】を冠する禁呪兵装は二重灼熱旋風との激突に割かれている。
 襲い掛かるのは恩讐の炎、そして自在に変幻する【|Burnet《変化》】の異形。
 竜頭のブレスをビームシールドで受け止め、無数に増殖し掴みかかる腕の群れを闇の刃で斬り払う。
 高速飛行と並列して全身を変異させての猛攻はユースティにとっても至難の業だ。
 ジャッジメント・クルセイドの援護射撃が防御を強いた瞬間を見逃さず、機体ごと激突するように畳みかける。
 機体に叩き付けられる攻撃にも構わず推力を全開に、捨て身の流星と化して。
 一秒でも長く注意を引き付けられるなら望むところだ。行動の全てが|次《・》に繋がるのだと知っている。

「ご安心くだサーイ! 年貢の納め時という奴デース!」
「恨みがあるわけでも無いが、望むなら確実に刻むだけ」

 飛翔したユースティをひりょ達が再び墜とすまでに要した時間はそう長くない。
 その僅かな時間を一瞬たりとも無駄にする事無く、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)とバラセル・アドミス(|或る時の鎖鋸《チェーンソーソルジャー》・f44852)は準備を整えている。

「以前の戦争の時とは逆デスネー! 骸式兵装展開、祈の番ッ!」
「その力は……っ!」
「おや、何か御存知でしたカナ?」

 過去に交戦したオブリビオンの能力模倣はバルタンの十八番。
 【|模倣様式《イミテーションスタイル》・|鮮血双刃《プレイヤーズ》】が再現するのは――嘗てこの世界を滅ぼさんとしたフォーミュラの姿。
 この戦場、ダークセイヴァー上層の大地を構成する血管の大地に流れるのは過去にこの世界で流された全ての血液。
 膨大な鮮血を生贄として力に変える最古のフォーミュラに対し、猟兵たちは血の記憶を味方として立ち向かった。
 ユースティの場合はその逆だ。
 この地に満ちる血に宿った無念、悲嘆、憤怒。人間画廊に囚われていた人々の精神と共鳴していたように、狂気に呑まれても喪われる事の無い蹂躙者への復讐心に血の記憶は引き寄せられ尽きる事の無い力となる。

「デスガー、それでは皆様あまりに報われないと存じておりマスノデ!
 我が生贄魔術を以て引き剝がさせて頂きマショー!」
「技とは真逆に腹立たしい程の正論ね。でも、邪魔をさせは……!」
「いいや、阻ませはしない」

 生者である人間画廊に囚われていた人々を巻き込む事は良しとせず、死者である血の記憶は利用するのか?
 そうではない。
 バルタンの言が正しい事を認めながら、猶も己の戦いを優先する。
 それはユースティの憎む悪の発露に他ならないだろう。

「決して逃さず 決して見落とさず、貴殿と我 どちらかが倒れるまでは、この見世物から逃げられると思うな」
「――――!」

 墜落地点に生じた【DEMOLITION ROOM】、凶悪に吠え猛る無数のチェーンソーは味方を巻き込む事なくユースティからのみ体力と精神力を吸収する。
 まだだ。
 再度飛翔しようとするユースティに茨の蔦が絡みつく。

「わたくしの薔薇からは決して逃げられませんことよ」

 【|戒める腐薔薇《ロッテンローズグラップル》】はゾンビーヌ・ロッテンローズ(元カルト組織「リビング・デッド魔導会」の腐薔薇姫・f40316)の意の儘に縛り、引き裂く。
 関節を固め身動きを封じんとする蔦と絶え間ない肉体の変異は何処か鼬ごっこにも似て。

「大人しくするかこのまま腐り逝くか……あなたの運命はもうわたくしの手の中ですわ」
「そう。破り甲斐があって結構な事ね……!」
「わあ やるきいっぱいだ でも だめだよ」

 力尽くに振り切らんとしたユースティに圧し掛かる重圧。
 ネッド・アロナックス(ガムゴム人の冒険商人・f41694)の掲げるゾディアックソードを加工したつるはしが発する【ゾディアックサンクチュアリ】は、星座の重力を以てユースティだけを押さえつける。

 ただでさえ無数のユーベルコードをその身に受け、一人一人が撃破の決め手となり得る猟兵を相手取っているのだ。
 比喩でなく一秒以下の隙でさえ勝敗を決しかねない極限状況。
 飛行によるアドバンテージの獲得から地上での決戦へ、ユースティの切り替えは迅速だった。

 それで漸く、殆ど同時。

「はーっはっは! さながら一大レイドバトル、大ボス戦のハイライトといった風情よのう!
 正面からのアンブッシュで失礼するぞ!」
「千客万来というのかしら。当然、歓迎するわ……!」

 御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)の【ハイディングヴァイパー】から繰り出される一撃は防御の上からも浸透して猛毒で蝕む。
 阿修羅の如く増殖した腕に握るは幾多の禁呪兵装。
 異形の膂力に禁呪の力、いずれも強大だがある程度の負傷は結界の治癒で賄える。問題ない。
 返礼にと降り注ぐ嵐のような連撃を受け止め、神殺しの左腕で以て薙ぎ払う。
 数えきれない程の死線を超え鍛え上げられた力は拮抗、一歩も譲らぬ激突は両者にノックバックを強いる。

「ド派手でよろしい、ナイスファイトである! だがのう、見せ場はまだまだノンストップであるぞ?」
「実は、あまり気乗りはしないのですが」

 そこは既に間合いの内側。いつの間に、と問うなら先刻から。
 菘の吶喊に気配を紛れさせ共に接近していた鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)は既に武装を展開し、激突により生じた空白地帯に踏み込んでいる。

「彼の力を以て世界に告げる――皆、おやつの時間よ」

 自身の身体部位を無数の黒燐蟲に変換する【|黒燐憑依法《ファントムカンパニー》(|摘食《スナックタイム》)】はユースティの異形にも引けを取らない。
 凶暴な本能を剝き出しにした捕食攻撃の威力は保証書付きだ。
 喰らいつき、引き裂き、生命力を奪い取る。異形同士の喰らい合う様は地獄のように悍ましく。

「確かに、好んで使うには見た目が気になる技ね……!」
「気にしてるところ抉ってくるのやめてくれない?」
「あっ……ごめんなさい、悪く言うつもりでは無いのよ」

 互いに手を緩める事の無い凄絶な絵面と不釣り合いなやり取りは闘争心に身を委ねているが故の事か。
 眼前の相手との戦いに意識を集中させている……訳ではないのも、両者とも同じ事だ。
 ユースティは隙を突かせない為に。影華たちは最大限に連携を活かす為に。
 だからこそ。目移りさせないよう、捨て身も承知で死力を尽くす必要があった。

 ミーガン・クイン(規格外の魔女・f36759)が得意とするのは拡大魔法と縮小魔法。
 常人では巨人に為す術も無いように、|規格《サイズ》の違いは力の違いだ。
 理外の御業たるユーベルコードを扱う猟兵・オブリビオンの戦闘に於いても、度が過ぎれば同じ事。

 立て続けに縮小魔法を放つ。ユースティは碌に反応もしない、と表すのも語弊があるか。
 一つは純粋に、菘・影華と苛烈な肉弾戦を繰り広げながら背後にまで手を回す余力が無いという事。
 弾幕の一部や伸縮する毒蛇の牙などは襲い掛かるが、ミーガンもまた歴戦の猟兵。今なお結界や茨蔦をはじめとするユーベルコードをその身に受けながら繰り出される片手間の反撃に後れを取るほど柔ではない。
 一つは猟兵たちの攻勢における脅威度の差。6分の1に縮小されるなら、すぐさま6倍に巨大化すればいい。
 尋常の理屈が通じない禁獣化した肉体は、まともに取り合うのが馬鹿らしい程の解法を実践してみせる。
 一つは三重の縮小魔法を立て続けに放つミーガンの手並みだ。
 最初の縮小への対応は本能的な反射。違和感を覚えた時には二度目の縮小魔法が効果を発揮している。

 それでも。
 縛められた翼に無数の眼が開く。
 石化に腐敗、|念動力《サイコキネシス》から|発火現象《パイロキネシス》その他諸々の権能を宿した魔眼の数々は莫大な消耗と引き換えに、ただ視るだけであらゆる敵に破滅を与えるだろう。

「させない――!」
「そうだね、正念場だ」

 報復を謳う正当なバックボーンを持ち、凡そ一般的な倫理に於いても悪とされる存在に憤怒を燃やす。
 化け物と成り果てた肉体とは裏腹に、それは正義と称するに差し支えないだろう。
 血みどろの死闘を目の当たりにしながらノインプラス・エバースプリング(S級文犯・f45042)は一つ頷く。

「でもね、いいかい? 主人公は絶対に物語の途中で退場しないんだよ」

 異形頭のブラックタールが掲げるのは「正義に対する悪の抵抗」。
 【|役割付与:主人公《ロール・プロタゴニスト》】は趨勢を決定づける主役としてミーガンを選んだ。
 危機感と共に向けられた敵意をトリガーと為し、必然の事故が乾坤一擲の迎撃を退ける。

「しまっ……!」
「残念、もう手遅れよ♪ 矮小で惨めな存在になりなさい♪」

 そして三発目。
 ただでさえ茨蔦の束縛と星の重力に足止めを受けながら、八卦炉結界に回避を阻まれているのだ。
 途絶える事の無い猛攻を相手取りながら【|縮小魔法《ミニマムスペル》・|人権剥奪《ディプライブ》】を躱す事は不可能と言っていい。
 そう――一つ一つに攻撃力減衰の効果を備えたそれは、単なる縮小魔法ではない。
 三発全てを受けた標的は、ユーベルコードを封印される。

 身体の縮小を相殺したのはユーベルコードと無縁なまでに馴染んだ肉体改造能力に依るものだろう。
 その身は揺らぎ、猟兵の猛攻を食い止めきれずに吹き飛ばされる。
 妥当な結果だ。
 禁獣因子の覚醒は五芒星結界の継続ダメージやゾンビーヌ・菘に付与される毒に対処する要。
 猟兵によっては恩讐の炎に受けていた能力剥奪の解除で本領を取り戻した攻撃力を、受けきれる筈が無い。

「――それでも……!」

 裂けた血管の大地から噴き出す血霧を纏って跳ね起きる。
 バルタンの生贄魔術と干渉し合い、血の記憶がこれ以上ユースティに力をもたらす事は無い。
 虐げられた痛みが、怨嗟が、無限の生命力を与える事も最早無い。
 だというのに……或いは。だからこそ、だろうか。
 闘争心はますます昂るようで、彼女は有限となった禁呪兵装を一斉に構える。

「まだ……私は、戦える……ッ!」

 叫ぶ声そのものが破壊力を伴う呪的な衝撃波。
 剣に槍に槌に他諸々、火砲からホーミングレーザーまで。
 ユーベルコード抜きとは思えない程の飽和弾幕が解き放たれ、ユースティ自身も切り込んでくる。

「ああ、そうかい。なら気が済むまで付き合ってやるよ」
「……正直まだ事情とかよくわかってにゃいけど、なんとなく気に入らないに゛ゃ」

 迎え撃つように動いたのは陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)とアイクル・エフジェイコペン(クロスオーバー三代目・f36327)。
 月の眼の紋章による強化が健在だった時の力を、そしてユーベルコードを乗せた動きを見てきた。切り抜けてきた。
 ユースティが残している力は未だ底知れない。
 だが消える寸前の火が一際強く燃えるように、これが最後の力を振り絞っている事は分かる。
 だからこそ。

「――オラァッ!! 喰らいやがれってんだ! 折角の大盤振る舞いなんだからよ!」

 限界以上の力を引き出す【妖刀オーバーロード】、禁呪兵装と撃ち合ったマタタビ丸は三分の制限時間を迎える事なく砕け散る。惜しいが悼む暇も無い。
 すぐさま予備に持ち替え、再び3倍の力を発揮して迎え撃ち、砕ければまた次を振るう。

「いい加減にぶっ殺されるにゃ! シャアアアアアアアッ!!」
「ッ……まだ……!」

 ユーベルコードを封じられ、縮小魔法を相殺する巨大化にリソースを割かれ、その身体変異は半ば張子の虎だ。
 アイクルの【びったんびったん】は力持ちの代名詞、158tもの純粋な膂力強化。
 副腕が変化した無数の鎌、襲い掛かる毒蛇の牙、そうした悉くを文字通り千切っては投げ捨て散らしていく。

「……まだ……この世界には、吸血鬼が……理不尽に命を弄ぶ連中が、のさばっているのに……!
 赦せない……奴等を一匹残らず、根絶やしにするまで……私は……!」

「――いいんだよ」
「退きなさい……!」
「ううん、止めてみせる」

 禁呪兵装を柳火に迎え撃たれ、異形の身体部位さえアイクルに捩じ切られ、それでもユースティは止まらない。
 一体どれ程の執念に突き動かされているのか。
 恐ろしいと思う。それでも、印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)は立ち塞がる。
 恐ろしくて、痛ましい。
 その慟哭に偽りは無いのだろう。オブリビオンと化しても、その怒りは紛れもない本物なのだろう。
 それがボロボロに痛めつけられて、猶も戦いを愉しむ狂気の言い訳に貶められていく様は、見るに堪えない。

「決めるよ、カウンター!」
「其処です――飛べ!」

 最後に残ったのは禍々しい黒槍の一振り。
 ラビニアのサーベルと交錯する寸前、その動きは不意を打つように加速し――電撃を帯びた衝撃波に逸らされた。
 夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)の【|彗星《コミティス》】、神速の居合はユースティに刹那の硬直を強いる。
 直後、捨て身の【マキシマムカウンター】が渾身の力を込めて黒槍を弾き飛ばした。

 五芒星結界に黒燐蟲の群れ、茨蔦の毒を始めとしたユーベルコードの数々は今もユースティを苛み続けている。
 如何に強力な個体であれオブリビオン一体を消し去るには充分過ぎる、次の瞬間には跡形も無く消え去ってもおかしくない程のダメージ。
 凡そ全ての力を打ち砕かれ……闘志だけが、それでも尽きない。
 順番が逆なのだ。
 力ゆえに戦うのではなく、止まりようのない狂気こそが異端の神を、禁獣を、禁呪を喰らい糧としていたのだと。
 それこそ指の一本、細胞の一欠片でも残っている限り|復讐《戦い》は終わらないのだろう。
 永劫の復讐、呪縛と化した怒りに幕を引く事ができるとすれば。

「潮時ですよ。……と、言葉にする事にも意味は無いのでしょうが」
「こうして世界に在り続ける限り、あんたは自分さえ燃やし続けるんだろうな」

 シン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)の手には魔術研究所。
 ギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)の手にはロザリオ。
 求めるのは共に、終わらせる為の力。

「……今のあなたの意思に誤りがあるなら。その悪は、あなた自身の|怒り《炎》が裁くでしょう」
「……そんな、筈は……」

 シンの【魔法鹵獲術】には既にユースティの【|Thistle《復讐》】の炎が刻まれている。
 荒れ狂う激情の具現は理性で制御する類の力ではない。
 恩讐の炎の熱が完全ならざる我が身を炙るのを感じながら、初めの比ではなく灼かれるユースティの姿を見る。

「だから言ったのです。潮時だと」
「――天にいますわれらの父よ、御名があがめられますように。御国がきますように」

 ギュスターヴの【|人類進化:到達《サイキックハーツ》】、その祈りに応じ現れたのは質素な造りの刀だった。

「日本刀の扱いは全然ダメ、なんだがなぁ……」

 その力が引き出したユーベルコードが何なのかは分かる。
 己の為すべき事も、分かる。
 柄を握る手に感じる重みはきっと、この戦闘で蓄積した消耗だけが原因ではないだろう。
 恩讐の炎に炙り出され、斬るべきものはよく見えた。

「その魂に安らぎを――悪いな。あんたの怒り、断ち斬らせてもらうぜ」

 振るう【強制改心刀】が捉えるのは対象の邪心。
 狂い果て、狂い尽くす事で刻み付けた怒りと嘆きを――ユースティ・ティアドロップという復讐者の全てを。
 その一刀は否応なく断ち斬った。

「……嗚呼……仕方ない、なんて言葉。大嫌いだった……筈なのだけれど……」

 それで終わり。
 限界など疾うに振り切って久しかったのだ。
 全ては燃え尽き、残るものは何も無い。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『感情喰らいのハイドラ』

POW   :    味付け
【各仮面の感情のこもった声や叫び】を披露した指定の全対象に【心が保てないほどの喜怒哀楽、どれかの】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD   :    感情喰らい
自分の体を【霧状に周囲に霧散】させる攻撃で、近接範囲内の全員にダメージと【霧に触れた者の心を奪い、戦闘終了まで廃人】の状態異常を与える。
WIZ   :    調理
【無数の仮面】から、戦場全体に「敵味方を識別する【ことが出来なくなるほど心を搔き乱す瘴気】」を放ち、ダメージと【錯乱、または発狂】の状態異常を与える。

イラスト:井渡

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフィーナ・ステラガーデンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Last will
 決着は付いた。
 救いを願った|人間画廊《ギャラリア》の人々は解放され、尽きぬ妄執は断ち切られた。
 燃え尽きるようにして骸の海に還らんとするユースティの、閉じられていた瞼がおもむろに持ち上がる。

「……そういう事。こんな往生際の悪さは、とても不本意なのだけれど……。
 いつか、悪しき月を墜とす為に……今の私に出来る、最後の事を」

 立ち上がるユースティに先刻のように苛烈な闘志は無い。
 彼女は今この瞬間に消え去ってもおかしくない状態だ。その言葉が真実であるという保証も無い。

「今から……闇の種族の一体を、引きずり下ろすわ。
 滅ぼして。それが私の、最後の勝利にもなる……なんて言うのは、虫が良過ぎるかしら」

 少し咳き込み、それから彼女は天蓋に居座る六つの赤い月を睨み上げた。
 他の“月光城の主”たちが最期にそうしてきたように、叫ぶ。

「それでも、私は尚も、五卿六眼の欠落を求める……!!」

 続く現象もまた、これまでと同じだった。
 降り注ぐ赤い月光がユースティを照らし、その身を裡より突き破るように闇の種族が羽化する。

「――――――――」

 初めは嘲笑だった。
 『感情喰らいのハイドラ』が餌食としてきた感情を表す白面が耳障りな音を立て――内側から炎を噴き上げる。
 どれほど狂い果てようとも悪を赦さない恩讐の炎。
 嘲笑は驚愕に変わり、憤怒と狂乱に塗り潰されていく。

 月光城の主が遺した置き土産、今その真意を知る術は無い。
 確かなのはただ、これを野放しにすれば誰も望まない災いを振り撒くだけだという事。
 狂奔する怪物を討ち果たせ。


※ユースティのドロップについては冒頭MSメッセージの通り。
 二章ボス『感情喰らいのハイドラ』は暴走状態。各所の異形の身体部位を中心に盛大に燃えています。
 具体的には攻撃力上昇、防御力・回避率低下、スリップダメージ。
 これを利用したプレイングにはプレイングボーナスが発生します。
 本シナリオの最終決戦、皆様の健闘をお祈りしています。
 
ブラミエ・トゥカーズ
空気の中に紛れるウイルスや血霧が集まり吸血鬼に戻る
声、霧、瘴気による空気感染という敵UCに親近感、友愛は無い
余は血を侵し狂わすモノであるが、貴公は脳髄を侵し感情制御を狂わすモノであるのだな。
即ち、貴公は病である。
ならば、殺すのは余ではない。

真の姿を経由したのちUC発動
てめぇが病だと分かれば、殺す方法なんざよぉく知ってんだよ。
同類の誼だ、わしの死に様を見やがれ。

変身した人間は只の人間の精神構造のため、敵UCの影響を受ける
しかし、病への憎悪と怒りは最初から最大値
感情が人の許容値を越えた場合は別の人間に変化する

過去、赤死病《ブラミエ》に殺された人間の数だけ変化可能
勇気と恐怖、積み重ね《罪重ね》た犠牲の歴史

彼らはユースティの遺した武具を用いて反抗する
死しても知ったことを次の変身に引き継ぐ
いつか必ず踏破できると信じて

誰かが言う、自分たちはいつか必ず勝利すると。
病は謡う、星の征服者にして捕食者たる人間に勝てるわけねぇだろうと。

彼らは、敵を見つけ、敵を避け、敵を捕らえ、敵を殺し、そしていつか支配する。



●踏み越え、征く者ども
 月光城の主は去り、代わりに現れたのは闇の種族。
 そして――空気中に紛れたウィルス、斬り裂かれた血管の大地より滲む血霧が集まり吸血鬼のカタチに戻る。

「余は血を侵し狂わすモノであるが、貴公は脳髄を侵し感情制御を狂わすモノであるのだな」

 人の心を弄び、喰らい、収集するのだという感情喰らいのハイドラ。
 声、霧、瘴気による空気感染という|能力《ユーベルコード》はブラミエ・トゥカーズ(《妖怪》ヴァンパイア・f27968)にも何処か親近感を覚えさせるものだった。
 尤も、同類であるという認識自体が好悪の理由になる事もないが。

「即ち、貴公は病である。ならば、殺すのは余ではない」
「――――――!」

 それはハイドラにとっても同じ事。或いはそれ以前の生態と言うべきか。
 どろどろと蟠る悪感情を満たす為だけに動く怪物にとって、すべては等しく餌に過ぎない。
 ゲル状の流動する巨体を以て薙ぎ払うだけの物理的破壊力でさえも大地を砕く暴威となる。

「そう……貴公を滅ぼすのは余ではない。この血に宿る人の決意である。
 愛しき者よ。余が慰めよう。余が称えよう。貴公の怨敵を打倒したまえよ」

 ただでさえ死にたての直りたて、吸血鬼の器は脆く砕けて再び本性を晒す。
 変化は止まらない。
 ブラミエ・トゥカーズという人格、姿かたちは自ずから失われていく。

「てめぇが病だと分かれば、殺す方法なんざよぉく知ってんだよ」
 先に滅ぼされたもの。消えゆく病が最後に嗤う。
「――同類の誼だ、わしの死に様を見やがれ」

 そうして変化したのは人間だ。病を憎み、病に斃れた只の人間。
 ハイドラの仮面が発する叫びに心を砕かれ、呆気なく狂い死ぬ。
 次。
 同じように過去、|赤死病《ブラミエ》に殺された別の人間が立ち上がる。

 【吸血鬼幻想・血潮に宿るは人の遺志】は呪いであり祈り。
 勇気と恐怖、|積み重ね《罪重ね》た犠牲の歴史――元より意思など持たぬ最弱の生物なればこそ、そこに宿る遺志は愛しき怨敵の歴史。その全てを憶えている。

 誰かがユースティの遺した禁呪兵装を手に取った。
 力及ばず散る者が居る。力を御しきれず自滅する者が居る。
 時に停滞や逆行を味わい、それでも彼等は足掻き続ける。
 悠久の生と強大な力を持つ超越者から見れば塵芥の如き進歩が、少しずつ引き継がれていく。

 誰かの振るう黒き槍がハイドラの白面を叩き割った。
 疑似的に再現された人類の進歩は、いつしか闇の種族と真っ向から渡り合う程に前進している。
 そんな思い上がりを打ち砕くようにハイドラの暴虐が矮小な生命を挽き潰す。
 そして、また別の誰かが続く。

 誰かが言う、自分たちはいつか必ず勝利すると。
 病は謡う、星の征服者にして捕食者たる人間に勝てるわけねぇだろうと。

 星が産み、星が認めた生き物への悪……嘗てそう在った|赤死病《ブラミエ》は斯くの如く敗れた。
 次は|お前《ハイドラ》の番だと、血みどろの足跡が突き付ける。

 ――彼らは、敵を見つけ、敵を避け、敵を捕らえ、敵を殺し、そしていつか支配する。
 どこまでも貪欲に続く侵略行。
 踏破された歴史に並ぶ|過去《打倒済》の障害、新たにハイドラの名が連ねられて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギュスターヴ・ベルトラン
さっきの刀が禁呪兵装化してるが、先にあれの暴走してる奴をどうにかしねえとやべえ
自前で用意した耐性も耐え切れねえ可能性が

待て
今、オレ自身の手で自分の首を斬り落とそうとしなかったか…?
だが首に傷はない…良く見りゃ【浄化】が籠った刀じゃねえか
つまりこれで、肉体を傷つけずに邪心だけ斬ったって事か

…狂気に飲まれてねえ今が好機だ
回避率が下がっている、そして継続ダメージを既に負ってる状態ならこれがトドメになるはずだ

UC発動
こいつは発動したら最後、中止は不可能なやつだ
…また狂気に飲まれたとしても、この攻撃は止められねえ
避ける間もなく、手数で押し切る

161秒間に聞こえる天使の喇叭をしっかりと聞き届けてくれよな



●然れど、その調べは福音の如く
 ギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)の手には未だ、ずしりと重い感触。
 ユーベルコードにより一時的に実体化していた筈の刀だがどうにも消える気配が無い。
 先刻ユースティが振るっていた禁呪兵装と同質の気配が感じ取れるのは、これも置き土産の一つという事だろうか。
 とはいえ、今はそれよりも。

「先にあの暴走してる奴をどうにかしねえとやべえな……!」

 眼前には身を焼き焦がす炎に暴走する闇の種族、感情喰らいのハイドラ。
 白い無数の仮面から放たれるのは犠牲者を狂わせ殺す瘴気の嵐。
 ギュスターヴ自身もこの手の精神侵蝕にはかなりの耐性を備えているが、それも果たして何処まで有効か。
 手を拱いている暇は無いと自らの首に刀を添え切り落として、

「――いや待て」

 強烈な違和感。
 自らの首に手で触れる。傷は無い。まだ繋がっている。

「今、オレ自身の手で自分の首を斬り落とそうとしなかったか……?」

 冷たくも熱い感触は鮮明だ。未遂どころか完遂だった。
 クリアになった思考が刀に籠められた浄化の力を認識する。
 ユースティの邪心を斬った【強制改心刀】と同様の性質がこの刀に焼き付いているのだろう。

「――――――――!!」
「っ、と……!」

 叫びと共に白面が放ち続ける瘴気、そして狂乱の儘に叩き付けられる一撃を飛び退いて躱す。
 再びじわじわと這い寄る狂気を感じながら、今度こそ冷静に敵の状態を見極める。
 恩讐の炎に焼き焦がされ、相手は既に手負いだ。
 未だ強大である事に違いは無い。なら、動きに精彩を欠いた隙を逃さず叩き込むべきは最大火力。

「――この世の国は我らの主とそのメシアのものとなった。主は世々限りなく統治される」

 暗夜の世界に光が差し込む。鳴り響くのは災害の先触れ、第一から第七の天使が吹く喇叭の音だ。
 直撃を受けたハイドラの肉体に、半径1メートルの風穴が開く。
 毎秒、変わらぬペースで。

「――――――!?」
「仮に……また狂気に飲まれたとしても、この攻撃は止められねえ」

 【|黙示録の喇叭吹き《トロンペット・ドゥ・ラポカリプス》】は消滅をもたらす。
 悪意と災禍を煮詰めたような巨体もこの御業の前では的に過ぎない。
 もはや逃れる術もなく、断末魔めいて傷口から溢れ出す更なる瘴気さえ喇叭の音色に消し飛ばされる。

「……161秒だ。天使の喇叭をしっかりと聞き届けてくれよな」

 浄化は為された。
 喇叭吹きの天使たちが去りし後、闇の権化は存在した痕跡さえ残す事を赦されず。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
あぁ、確かに虫が良過ぎる
力は貸そう。報復は飽く迄その魂で下せ

UC【我が炎魂に応えよ黄金魔剣】
攻撃力を5倍、攻撃回数を半分、更にUCによる形態変形【武器改造】
【生命力吸収】する【呪詛】の応用、この鎧に撃たれた恩讐の炎・禁呪兵装の弾を吸収しその【力溜め】た【降霊】形態

敵UCには【カウンター】
先んじて己に対し【呪詛】【精神汚染】
心を焼く呪いにて心因性による難聴を発症し仮面の声を遮断
今、聞き届けるべきは唯一つ
禁呪兵装越しに魔剣に宿るユースティの【悪への憎悪】を込め渾身の【斬撃波】を撃ち込む!

貴殿の炎に【魂の契約】を
我が身、我が剣……この刹那だけはその恩讐に捧げる!



●猛き炎に応えるもの
「あぁ、確かに虫が良過ぎる」

 月光城の主の最期を見届け、ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は小さく頷く。
 兜の奥から見据える先には不完全な顕現に荒れ狂う感情喰らいのハイドラの姿。

「力は貸そう。報復は飽く迄その魂で下せ」

 物分かりの良いフリをするには未だ早い。その|魂《怒り》は今も戦い続けているのだから。
 闇の種族を灼き焦がす恩讐の炎へと言葉を続け、黄金の魔剣を構え直す。

「――我が過去は既に亡く。されど、捧られし|黄金《チカラ》は未だ朽ちず!」

 【|我が炎魂に応えよ黄金魔剣《ブラッシュアップブレードオブブラックスミス》】は担い手と銘を同じくする大剣を新生させるユーベルコード。
 注ぎ込むのは過剰な生命力、のみならず。
 先の戦いに於いてその|鎧《身》に受け止めた恩讐の炎、禁呪兵装の弾丸――未だ燃え続ける怒りを取り込み上乗せする。

「――……――――――…………ッ!!」
「温い」

 数多の仮面が発する叫びが血管の大地を揺るがす。
 精神を破壊するユーベルコードの絶叫はルパート|達《・》には届かない。
 闇の種族の玩具に成り下がった感情より余程強い呪詛が、怒りが、意思が、その心を焼き続けている。

 今、聞き届けるべきは唯一つ。
 降霊形態の魔剣へと禁呪兵装越しに宿るユースティの激情、怨敵を前に猛り昂る悪への憎悪を解き放つ。

「貴殿の炎に魂の契約を」

 のたうち回る粘性の巨体、その暴威が溢れ出す灼熱の余波に退けられる。
 尽きる事無き怒りが生み出す無限の生命力。
 心を玩弄する邪悪をして本能的な脅威を覚える程の純然たる力の高まり。
 もう遅い。否、初めから逃がす余地などありはしない。

「我が身、我が剣……この刹那だけはその恩讐に捧げる!」

 渾身の斬撃波がハイドラを捉える。
 闇の種族はただ一振りで消し飛び、断末魔さえ許されず打ち砕かれた。
 僅かに残る肉片、それまでこの血管の大地に怪物が存在していた痕跡も恩讐の炎に焼かれ共に消えていく。

『……感謝を。あなたと戦えた事、光栄に思うわ。
 願わくば、あなたの往く道に……武運の久しからん事を――』

 最期の勝利を土産代わりに、過去と化した残滓もまた骸の海へと還る。
 再び静寂の戻った大地に残るは騎士のみ。
 戦いは続く。
 嘗てひとたび潰えた騎士の魂は、猶も未来へと進み続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「最後の勝利が願いなら、叶えない理由はない。
それは俺の望みでもあるから。」

引き続きorder bookを発動するが内包する
ユーベルコードは変更。
観察力
輪廻天還
ファントムリキッド
ディメンションカリバー
知恵の魔物
を宿す。

「噴き上がる炎、捨て置いても身体ごと灰となりそうだが。
俺がこの手でその悪趣味な仮面を打ち砕く。」

状態異常を警戒して
輪廻天還を発動。錯乱、発狂を反射。
瘴気に対してもファントムレギオンの死霊を使った
【オーラ防御】、【結界術】で防御しながら
観察力で敵の弱点を調べ。
情報を得たらそれを元に攻撃を【見切り】。
ユーベルコードを切替え
ファントムリキッドを発動。回避しながら
ファントムレギオンにディメンションカリバーの魔石を搭載し
死霊の刃で攻撃。

戦闘の最中に回収していたユースティの使っていた黒槍の刃の欠片を
取り出して。
「君の望みを叶えるためだ。少し手を貸して貰うよ。」
(保有技能は【急所突き】)
敵に接近すると急所を狙って傷をつけ知恵の魔物を発動。
発動したユーベルコードを使って急所を攻撃。



●墓標には|雛罌粟《Papaver rhoeas》の手向けを
「最後の勝利が願いなら、叶えない理由はない。それは俺の望みでもあるから」

 フォルク・リア(黄泉への導・f05375)の声はきっと、ユースティにも届いただろう。
 油断なく【order book】にユーベルコードを再装填し、鋭く研ぎ澄ませた闘志と共に眼前を見据える。
 感情喰らいのハイドラ……恩讐の炎にその身を焼かれ、欠落の無敵性を持たない不完全な状態で受肉した闇の種族。

 無数の白面は犠牲となった人々の墓標であり、今もその心を玩弄し続ける悪意の象徴。
 黒い粘性の巨体を貫く異形の身体部位が纏う恩讐の炎に焼かれながら、怪物は猶も荒れ狂う。

「噴き上がる炎、捨て置いても身体ごと灰となりそうだが。
 俺がこの手でその悪趣味な仮面を打ち砕く」

 罪無き人々を踏み躙り、世界を闇に閉ざした怨敵の一体。
 怒れる報復の意思……赦さないのは、フォルクも同じなのだから。

「――――、――――…………!!」
「その戒めの力。我に届く事叶わず。輪廻の道を巡り裁きの天命となり還るだろう」

 戦場全体に響き渡るハイドラの叫び、瘴気の奔流は狂気をもたらすユーベルコード。
 闇の種族が振るう暴威は術士一人を容易く飲み込み――【輪廻天還】により跳ね返る。
 効果はあった。純粋な防御のみならず、ハイドラ自身を捕らえた錯乱と狂気はその動きを狂わせる。
 視点によっては寧ろ厄介とも言えるか。
 理性無き知性、或いは知性無き理性。
 悪性を焦がす恩讐の炎に焼かれ、怒り狂いながらもしつこく失われる事の無い闇の種族の悪辣。

「群れ成す魂、我が矛にして盾なる者どもに命を下す。斬り払え」
 ユーベルコードの作用だけでなく、それ自体が万物を蝕む瘴気を阻むはファントムレギオン。
 従えた死霊の集合体を結界として心身を護り、フォルクは同時にもう一つの手札を切っている。

「往生際の悪い事だ。だが……弱点というものは隠そうとするほど目立つものさ」

 これは闇の種族に限らず、オブリビオンは往々にして現世に現れるたび発揮する力に振れ幅があるものだ。
 無論、如何な状態であれ世界の敵たる脅威に違いは無いが……その点、此度のハイドラは随分と強大らしい。
 現在進行形で恩讐の炎に力を奪われながらも暴れ続ける生命力、反射された自らのユーベルコードで更に深く狂いながらも未だ他者を貶め害さんと企む底無しの悪意。
 迂闊に覗き込めば却って呑まれかねない深淵を、超常の【観察力】は|詳《つまび》らかに暴き立てる。

「森羅に遍く湖水の亡霊。我に宿りて、此の身を不浄の水へと変じ。仇讐討ち果たす無双の刃と成せ」
「――……――――……――――!!」
「無駄だ」

 ハイドラの肉体に満ちる悪意は触れるだけでも心身を腐らせる猛毒の穢れ。
 苦痛にのたうち回りながらもフォルクを侵さんと狡猾に狙う攻撃を、水霊を宿す【ファントムリキッド】により獲得した流動性を活かし巧みに掻い潜る。
 圧倒的な体積と質量はそれだけで攻防ともに厄介だ。まずはある程度削る必要があるか。

「広大なる大空の力を内包せし魔なる欠片。この手に宿りてその力を示し。聖も魔も、絹も鋼も等しく断ち切れ」
「――――――――!!」

 【ディメンションカリバー】の魔石を宿したファントムレギオンがその力を増大させる。
 距離を無視し、空間さえ断つ死霊の刃。
 狂えるハイドラの猛攻を見切りながら、嵐の如く苛烈な斬撃が黒き巨躯を斬り刻む。

 ――視えた。
 絶えず形を変える粘性の肉体の中、しぶとく逃げ回るハイドラの急所たる存在核。
 不規則に蠢き叫びを放つ無数の白面に於いて幾つか、攻撃を受けぬよう密かに立ち回るものがある。
 如何に巧妙に立ち回ろうとも、フォルクの観察力は逃がしはしない。
 切り札を切るなら此処だろう。
 その手の中で今も燃えるような熱を放つのは黒槍の刃の欠片、ユースティが振るった禁呪兵装の一部。

「君の望みを叶えるためだ。少し手を貸して貰うよ」

 言葉としての返答は無い。
 だが、焼き付いた意思が怨敵を前に更に燃え盛り応じるのをフォルクは感じ取る。

「影の狭間で歴史を眺め、知識を喰らうもの。我が呼び声に応えて危難を越える術を与えよ」

 |黒薔薇《Black rose》の花弁が舞った。象徴する花言葉は憎悪と怨嗟。
 最終局面に【|知恵の魔物《ブックイーター》】がもたらしたユーベルコードは【薔薇の剣戟】。
 水霊を宿す流体の体が身軽さを増す。
 一つ、二つ、三つ。
 黒き斬撃は的確に獲物の実態を捉え、そのたびに白面を叩き割っていく。

「――――、――――! ――――――――!!」
「そう長くはない時間だが。報復の意思を――怒りを。その魂に刻み付けて逝くといい」

 四つ目の斬撃が終焉を告げる。
 不可避の死は残された白面を打ち砕き、粘性の肉体は跡形も無く焼き尽くされて。

 ――ありがとう。
 風に乗った声無き意思に、どういたしましてと短く返す。

 最後の勝利……その願いは果たされた。
 叶うなら僅かにでも、理不尽に傷つけられた魂にとっての慰めとならん事を。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シンシア・シェリンガム
あれが彼女が引き摺り下ろした闇の種族。
彼女の炎がその身を焼いているうちに止めを刺します。

――これは精神干渉?
剣を構えつつ、心眼で視る。
あの叫びそのものが私に干渉している。
紋章で剣の力を解放し、大気を震わす叫びそのものを斬りましょう。
余波は鎧と全身に纏う風で防ぎます。

しかし、あれだけの仮面の数。
このまま防戦を続けていては――あぁ、手助けしてくれるのですね。
ならば、私も誓いましょう。
貴方達の主であった彼女に最後の勝利をもたらすことを。

周囲に浮かび上がった数丁の銃に私のUCの力を乗せる。
彼女の怒りが込められた幾多の弾丸が仮面を撃ち抜いていく。

風を纏って一気に接近。
剣に力を込め、その黒き身体に止めを!



●死して猶、勝利の栄光が輝かん事を
「あれが|彼女《ユースティ》が引き摺り下ろした闇の種族……」

 ダークセイヴァー|第三層《上層》を支配する闇の種族が一体、感情喰らいのハイドラ。
 ただ受肉を果たしただけで戦場の空気が一変する。
 無数の白面に黒い粘性の巨体、その異形が醸す不気味さというだけではない。
 纏わりつくように陰湿な悪意をシンシア・シェリンガム(円卓の騎士・f44932)は肌で感じ取っていた。

「……彼女の炎がその身を焼いているうちに止めを刺します」

 これは本来なら闇の種族に備わっている無敵性が失われた不完全な状態なのだという。
 全身を焼き焦がす恩讐の炎にのたうつハイドラを睨み、剣を構えて。

「――――…………――――!!」

 猟兵の姿を認め、白面が一斉に絶叫を放つ。
 それは知覚してしまえば嵌められる悪質なユーベルコード。
 この闇の種族に喰らわれ玩具に成り果てた、犠牲者たちの感情の発露が心を砕かんと押し寄せる。

「――これは精神干渉?」

 呑まれれば一巻の終わりだ。
 シンシアの心眼が迫る叫びを視覚的に映し出す。
 紋章を励起させ聖剣の力を解き放ち、その叫びが自分の元へ到達する前に迎え撃つ。

「ッ……!」

 剣の形をした聖遺物は形無きユーベルコードをも断ち斬る。
 斬られた瞬間に爆ぜた猛毒に等しいドス黒い悪意は身に纏うオーラの風が受け流した。
 一息つく間もありはしない。
 ハイドラの流動する本体は身悶えしながらも|首《・》を伸ばしてシンシアを取り囲もうとする。
 狂乱する動きの精度そのものは低い。問題は圧倒的な体積と質量。
 巧みに宙を駆け死角を補うも、あらゆる方向から絶えず押し寄せる猛攻が緩む様子は無い。

「このまま防戦を続けていては――」

 風の護りを貫き、聖鎧に達した叫びが加護に阻まれ火花を散らす。
 切り返す余力は無い。
 無いが、強引にでも押し返す以外の活路も無い。
 捨て身の覚悟を決めたその時、獣の咆哮を思わせる銃声が響いた。

「――あぁ、手助けしてくれるのですね」

 シンシアの傍らに浮かび上がるのは数丁の銃、ユースティが遺した【|Peony《憤怒》】の禁呪兵装。
 得られた刹那の猶予に呼吸を整える。
 文字通り息を吹き返した身体が活力を取り戻す。

「ならば、私も誓いましょう。貴方達の主であった彼女に最後の勝利をもたらすことを」

 【騎士道の誓い】に応じたのは轟く銃声。
 復讐者の怒りを込められた弾丸はバハムートの風を宿し、叫びを上げる仮面を片端から打ち砕く。
 道は開けた。

 一陣の風と化して騎士は駆ける。
 攻撃にのみ意識を集中させ、その身に纏う風をも聖剣の刃に乗せ渾身の力を込めて。

「心を踏み躙る非道に報いを――これで、止めです!」
「――、――――………………!」

 全霊の斬撃が黒き身体に輝く十字を刻み付ける。
 蓄えた膨大な悪意ごと斬り裂かれ、闇の種族は声ならぬ断末魔と共に弾け飛んだ。
 飛び散る血肉は炎に焼かれ、跡形も無く消えていく。

「……せめて、眠りは安らかに」

 戦いは終わり……騎士は瞑目して闇の種族の犠牲になった魂と、骸の海へ還った復讐者を想う。
 誓いは果たされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シェーラ・ミレディ(サポート)
※OK:シリアス
※NG:エロ、ネタ、コメディ、心情系
※傭兵的なスポット参戦

称号通り、僕の身体を維持するための金儲けと、弱者をいたぶる醜い行いが許せぬ義侠心が行動指針だ。
美しいものは愛でるべきだが、恋愛には結びつかないなぁ。
性格ブスは醜い。見るに堪えん。

複数の精霊銃をジャグリングのように駆使する、彩色銃技という技(UC)を使って、敵を攻撃しようか。
敵からの攻撃は基本的に回避する。が、護衛対象がいるならかばうのも検討しよう。
……嗚呼、僕を傷付けたなら、代償は高くつくぞ!


鈴乃宮・影華(サポート)
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です

かつての様にイグニッションカードを掲げ
「――|起動《イグニッション》!」で各種装備を展開
友人から教わった剣術や
体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用

TPO次第では
キャバリアの制御AIである『E.N.M.A』が主体となるユーベルコードを使用したり
『轟蘭華』や乗り物に搭載した重火器をブッ放したり
「|神機召喚《アクセス》――|起動《イグニッション》!」からのキャバリア召喚で暴れます

例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
不明な点はお任せします


ベルト・ラムバルド(サポート)
キャバリアを使用できる環境なら愛用のキャバリアを操縦します
そのとき装備してるキャバリア用の剣と槍を振るい騎士道の名のもとにボスと戦います
キャバリアの操縦技術は優れています
キャバリア使用不可なら生身とその時の装備してる物で戦いますが残念ながら生身だとそんなに強くありません
それを補助するのが己のハイカラなオーラとセンスと瞬間思考力とUCによる謎の召喚術で頑張ります


政木・朱鞠(サポート)
ふーん、やっと、ボスのお出ましか…。
もし、貴方が恨みを晴らすためでなく悦に入るために人達を手にかけているのなら、不安撒き散らした貴方の咎はキッチリと清算してから骸の海に帰って貰うよ。

SPDで戦闘
代償のリスクは有るけど『降魔化身法』を使用してちょっと強化状態で攻撃を受けて、自分の一手の足掛かりにしようかな。
ボス側の弐の太刀までの隙が生まれればラッキーだけど…それに頼らずにこちらも全力で削り切るつもりで相対する覚悟で行かないとね。
得物は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】【生命力吸収】の合わせで間を置かないダメージを与えたいね。

アドリブ連帯歓迎


サエ・キルフィバオム(サポート)
アドリブ歓迎

基本的には情報収集が得意かな
相手が何かの組織だったら、その組織の一員になり切って潜入して、内側から根こそぎ情報を頂いちゃうよ
そうじゃなければ、無害で魅力的な少女を演じて、上手く油断させて情報を引き出したいね
効きそうな相手なら煽てて誘惑するのも手段かな♪

戦いになったら、直接力比べの類は苦手だから、口先で丸め込んだりして相手を妨害したり、糸を利用した罠を張ったり、誘惑してだまし討ちしちゃうかな
上手く相手の技を逆に利用して、手痛いしっぺ返しが出来ると最高♪
敢えて相手の術中に陥ったふりをして、大逆転とかも良く狙うよ


マチルダ・バレンタイン(サポート)
ケルブレ世界から来たヴァルキュリアの鎧装騎兵
普段着がメイド服
外見から想像出来ないが大食い
戦闘前に余裕が有れば事前に【情報収集】をする
戦闘時はバスターグレイブと23式複合兵装ユニットの【エネルギー弾、誘導弾】の【一斉発射、砲撃】で攻撃。接近戦になったらゲシュタルトグレイブの【なぎ払い】で攻撃
敵の攻撃は【ジャストガード】で受けるか回避する。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


シュドール・レッドジルコン(サポート)
むー?……ん!

『名前は『シュドール・レッドジルコン』。呼びにくかったら『シューコ』と呼んでくれても良い。』
『好物はブッシュ・ド・ノエル。』
『髪の毛武器を長柄の斧として扱う事が主。身体能力は、こう見えて素早い方。』
『シューコの目に入った人物は何だかやる気が上がる。故にいつも誰かを見つめている。面白いから。』
(↑と言う内容の、いくつかの文章をカンペに書いている)

〇超絶無口なので、普段は『ん』か『む』以外の単語を言いません。
〇ユーベルコードは何を使っても構いません。(18禁でない且つ)彼女の個性(設定)を活かしてくれると大歓迎です。よろしくお願いします。


城田・紗希(サポート)
基本的には考えるより行動するタイプ。
でもウィザードミサイルや斬撃の軌跡ぐらいは考える。…脳筋じゃナイデスヨ?
暗器は隠しすぎたので、UC発動時にどこから何が出てくるか、術者も把握していない。

逆恨みで怒ってる?…気のせいデスヨ。UCの逆恨みじゃアルマイシ。
ちゃんと説明は聞いてマシタヨ?(地の文と目を合わせない)

戦闘は、範囲系ユーベルコードなら集中砲火、単体攻撃なら可能な限りの連続使用。
必要に応じて、カウンターでタイミングをずらしたり、鎧破壊で次の人を有利にしておく。

……防御?なんかこう、勘で!(第六感)
耐性……は、なんか色々!(覚えてない)


アメリア・イアハッター(サポート)
【サポート】
他の猟兵の行動が成功するようにサポートに徹し、下記のような行動をとります。
・機動力が必要であれば宇宙バイク「エアハート」に仲間を乗せる。
・仲間の攻撃が当たるように、敵の行動をUC「風の友」で読んだり、氷系のUCを使って敵の機動力を封じる。
・仲間の攻撃を強化するために支援系UCを使ったり、鼓舞をする。
・敵の注意を逸らすため、宇宙バイク騎乗や空中にて囮となる。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ティモシー・レンツ(サポート)
基本は『ポンコツ占い師』または『本体を偽るヤドリガミ』です。
カミヤドリも魔法のカードも、「Lv依存の枚数」でしか出ません。(基本的に数え間違えて、実際より少なく宣言します)
戦闘についてはそれなりですが、戦闘以外は若干ポンコツ風味です。(本体はLv組で出せない、UCの枚数宣言や集団戦は数え間違える、UCを使わない占いは言わずもがな)

ヤドリガミの「本体が無事なら再生する」特性を忘れて、なるべく負傷を避けつつ戦います。
オブリビオンに止めを刺すためであれば、猟兵としての責任感が勝り、相討ち覚悟で突撃します。
でも負傷やフレンドファイヤ、代償は避けたいお年頃。


キノ・コバルトリュフ(サポート)
キノキノ、キノが来たから
もう、大丈夫だよ。
キノノ?キノだけじゃ心配だって?
マツタケ!キノには星霊の仲間がいるから大丈夫!!
トリュフ!!キノ達の活躍を見せてあげるよ。
シメジ?キノが苦戦はありえないけど、その時は一発逆転を狙っていくよ。
キノキノ、みんなよろしくね。


シン・クレスケンス(サポート)
◆人物像
落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。
窮地でも動じず冷静な状況判断で切り抜ける。

◆戦闘
射撃(愛用は詠唱銃だが、様々な銃器を使い分けている)と魔術による広範囲攻撃が主。
魔力の操作に長け、射撃の腕も確か。
作戦次第では、闇色の武器を召喚(UC【異界の剣の召喚】)して前衛を務めることもある。

◆特技
・情報収集
・機械の扱いにも魔術知識にも精通している

◆UDC『ツキ』
闇色の狼の姿をしており、魂や魔力の匂いを嗅ぎ分けての追跡や索敵が得意。
戦闘は鋭い牙や爪で敵を引き裂き、喰らう。

◆口調
・シン→ステータス参照
(※使役は呼び捨て)
・ツキ→俺/お前、呼び捨て
だぜ、だろ、じゃないか?等男性的な話し方


島津・有紗(サポート)
絡み・アドリブ歓迎
「じゃあ、始めましょうか」
戦闘前にイグニッションカードから装備を展開して装着します。
味方と連携しつつ【地形の利用】をしながら【索敵】して行動します。
戦闘になったら強弓を使い、遠距離から【スナイパー】【範囲攻撃】【貫通攻撃】で攻撃します。
中距離以下の距離ではなぎなた、ガンナイフを使い分け【切り込み】【薙ぎ払い】【零距離射撃】で攻撃します。
味方と連係する場合は、【援護射撃】【威嚇射撃】で味方を援護します。
敵の攻撃は【戦闘知識】【瞬間思考力】で判断し【見切り】で回避するか【武器受け】【オーラ防御】で防御します。
UCは状況に合わせた物を選択して使用します。


数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」

基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。

探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。

情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。

戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。


アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。


仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!

お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ

口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ

よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね

アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!


エリー・マイヤー(サポート)
フラスコチャイルドのサイキッカー × 寵姫です。
常に丁寧語で、あまり感情を乗せずに淡々と話します。
ユーベルコードは習得した物をどれでも使用し、目的達成のために全力を尽くします。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

***
ごきげんよう。
戦力が必要と聞いて手伝いに来ました、エリーです。
念動力で、戦いをサポートしますね。

敵の攻撃を妨害したりとか目潰ししたりとか、そういうセコイ工作は任せてください。
攻撃は念動力で締めたり潰したり斬ったり突いたり。
敵の物性に合わせてそれっぽくやりましょう。

キャバリアは……まぁ、必要そうなら乗ります。


アラタマ・ミコト(サポート)
|荒魂鎮神命《あらたましずむるのかみのみこと》でございます。
此度は妖討伐の任を受け馳せ参じてございます。
極楽浄土より持ち帰りし法具の力を開放いたします。
活路は切り開きませたでございましょうか?


シホ・エーデルワイス(サポート)
助太刀します!


人柄

普段は物静かで儚げな雰囲気ですが
戦闘時は仲間が活躍しやすい様
積極的に支援します


心情

仲間と力を合わせる事で
どんな困難にも乗り越えられると信じています


基本行動

味方や救助対象が危険に晒されたら身の危険を顧みず庇い
疲労を気にせず治療します

一見自殺行為に見える事もあるかもしれませんが
誰も悲しませたくないと思っており
UCや技能を駆使して生き残ろうとします

またUC【贖罪】により楽には死ねません

ですが
心配させない様
苦しくても明るく振る舞います


戦闘

味方がいれば回復と支援に専念します
攻撃は主に聖銃二丁を使用


戦後
オブリビオンに憎悪等は感じず
悪逆非道な敵でも倒したら
命を頂いた事に弔いの祈りを捧げます



●for the Rage
 “月光城の主”を喰らい闇の種族は新生した。
 その身を苛む恩讐の炎が燃え盛る様を見るまでも無く――不可視の波濤めいて押し寄せる悪意が、この怪物を滅ぼすべき敵であると直感させるだろう。
 黒い粘性の肉体は瞬く間に膨れ上がり、血管の大地さえ取り込むように猶も少しずつ肥大化していく。

「――――――――――――!!」

 苦悶にのたうつ巨体から乱雑に伸びた無数の白面がバラバラに叫び、瘴気を放つ。
 それは逃げ場なく戦場を覆い尽くし、獲物の精神を破壊するユーベルコードの多重発動。

『うおー! させるものかよ闇の種族め!
 このベルト・ラムバルドが居る限り、貴様の思い通りにはさせーん!!』

 キャバリア『パロメデス』に搭乗して猶も見上げるような巨体の正面へ、飛び込んだベルト・ラムバルド(自称、光明の暗黒騎士・f36452)の後光が激しい輝きを放つ。
 あらゆる攻撃をも遮断して【ハイカラさんは止まらない】。
 最前線に飛び出し、且つユーベルコードを維持するため非戦闘行為に没頭するのは並大抵の事ではない。
 戦う術を自ら放棄し、一瞬でも防御が途切れれば即座に命取りとなる綱渡り。
 それが味方に勝利のバトンを繋ぐ一手だと、ベルトは理解している。

「んー……」
 そして、闇の種族がもたらす絶望の前に立つ者がもう一人。

「む…………!」
 シュドール・レッドジルコン(じっと見つめる・f45059)の双眸が煌めいた。
 ベルトの後光に阻まれ拡散した叫びと瘴気、それに抗うように熱風が生じる。
 【|宝石のような赤い目で《エクスプロージョンレッドアイズ》】――その熱は直截に他者を傷つけ、滅ぼす為のものではない。

「むん……っ!」
 心地良ささえ感じさせる熱風は受けた者を昂らせ、猶も心を蝕まんと迫る悪意を祓う加護となる。
 やる気に満ちた眼差しに見送られ、この場に集った猟兵たちは既に行動に移っている。

「やいオブリビオン! お前だ! お前だろう!? なぁおやつ泥棒だろうお前!!」
 城田・紗希(人間の探索者・f01927)の言い掛かりはある種の常套手段。
 精神汚染の類への対策……として何処まで意識しているかは定かではないが。
 少なくともオブリビオンの撃破という目的をブレさせる事なく、彼女の怒りはユーベルコードのトリガーとなる。

「私の! おやつを! 返せー!!」
 【|餓鬼による反撃《タベモノノウラミ》】が呼び寄せるは百と五十六の餓鬼の群れ。
 単純な体積と質量に由来する災害の如き暴威にも怯まず、数を頼みにハイドラを取り囲み襲い掛かって。

「シメジ? スピちゃんもやる気いっぱいみたい?
 マツタケ! それじゃあいってらっしゃい!」

 シュドールの熱風を受けてか、常以上に張りきった様子を見せたのはキノ・コバルトリュフ(|キノコつむり《🍄🍄🍄🍄🍄》の星霊術士・f39074)の頭上を定位置としている【星霊スピカ】。
 戦闘能力という観点から見たハイドラの能力は多岐に渡るが、その一つが無数の白面による全方位感知だ。
 例えば十人の猟兵が全方位から同時攻撃を仕掛けたとして、敵は十の白面でその全てを目視し不定形の身体を変形させ応戦する事ができる。
 そして――星霊スピカのダンスには敵の注意を逸らす作用がある。
 引き付け過ぎれば自らを危険に晒す事にも繋がるが、その匙加減を誤るキノとスピカではない。
 敵の動きと味方の動き。
 目まぐるしい推移を続ける状況を見極め、ハイドラの死角を作り出す。

「――まったく! パワーは図体通りの癖に、大したスピードじゃない!」

 宇宙バイク「エアハート」のエンジンが唸り、触手のように突き出したハイドラの攻撃を掻い潜る。
 不気味に蠢き形を変える巨体の攻撃は読み難いが、狂乱ゆえか動きそのものは単調だ。
 星霊スピカと共にハイドラの頭上を己が舞台とし、アメリア・イアハッター(夢想空流・f01896)は更に加速。

「もちろん負けてやる気は無いけどね! そっこーでケリをつける!」

 【風の瞬き】は宙をも駆ける加速に加え、相手を空へと打ち上げる竜巻の放射を可能とする。
 ハイドラの巨体を完全に浮かび上がらせるのは至難の業だが、その威力はバランスを崩させるに充分。
 何より地上での攻撃と息を合わせた上空からの援護はスピカの陽動と合わさり、敵に絶えず注意の分散を強いる。

 狂乱するハイドラの手数は計り知れないが、攻撃手段そのものは二つ……いや、三つに分けられる。
 一つはユーベルコードにより白面を起点として放たれる叫びと瘴気。
 ベルトの後光が遮蔽として機能するほかシュドールの熱風が影響を緩和しているが、それでも至近から直撃を受ければ重篤なダメージは避け得ないだろう。
 一つは自在に形を変える粘性の巨体を叩き付ける物理攻撃。
 純粋な破壊力に加え、掠るだけでも濃密な呪詛の汚染が心身を蝕む猛毒となって蓄積していく。
 そしてもう一つは不意に肉体の一部を爆発させる、ある種の自爆攻撃。
 唐突に拡大する攻撃範囲は回避・防御をより困難にする特に危険度の高いものだと言えた。

 不意を突くような攻撃のランダム性は何処までがハイドラの狙いによるものか。
 猟兵の死角へ回り込もうと伸びた首の一つが前触れなく切断され宙を舞った。

「おっと……そこは残念、射程圏内だよ♪」

 戦闘開始から十秒と経たぬ間の早業。
 サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)の【|絡みつく金縛《ワールドワイドワイヤー》】はハイドラを取り囲むように設置され、獲物を逃がす事は無い。

「うんうん、ユーベルコードの乗ったワイヤーなら闇の種族でも問題なく斬れるみたいだねー♪」
 剛柔合わせ持つワイヤーは目に見えぬほど細く、そして束ねれば束ねる程に威力を増す。
 流動する肉体を活かす猛攻には変幻自在の罠を。
 これも暗殺技術の応用の一つ。後の先を制し、ハイドラの手数を殺していく。

「お膳立て御苦労。ならば僕も相応の切り札を披露してやろう」

 シェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)の物言いは常通り尊大だが誤りではない。
 ハイドラを撃破するには猛攻を食い止める防御、不完全な顕現で猶も強大な存在を消し飛ばす火力の双方が必須。
 この瞬間の為に繋った連携だという理解と自負が彼女にはあった。

「――貴女の御前に傅く僕が、偉大な御身を讃える事をお許しください」

 故に、シェーラが行使するのは言葉通りの切り札の一つ。
 感情喰らいのハイドラ。ダークセイヴァー上層を支配する闇の種族。
 恐れるに足りずと信仰にも近しい祈りを捧げ、【|彩色銃技・口寄せ・金色夜叉《アトラクティブガンアーツ・コールレジーナ》】は果たされる。

「貴女は例えば炎、果実、黄金。総てを降して天に座す、日輪が如き猛き花!」

 五卿六眼の禍つ月が見下す暗夜の世界を、金色の輝きが照らし出した。
 |彼女《・・》はシェーラと同じく、弱者の心を玩弄する醜悪を許しはしない。
 騎士鎧を纏い完全武装した精霊の女王、その斬撃はただの一振りでさえ深い傷をハイドラの巨躯に刻み付ける。

「……本当の敵が眼前に居るんだもの。あなたも黙ってはいられないわよね」

 先の戦いで黒燐蟲の牙を通じ喰らった復讐者の血肉。
 踏み躙られた犠牲者に代わり、踏み躙った悪に鉄槌を。
 異端の神の因子や禁獣細胞に侵蝕されて猶も消えない報復の意思が生み出す無尽蔵の生命力を鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)は感じ取る。
 本懐を遂げさせる事に異存は無い。
 怒りの、嘆きの、絶望の深さを……直に触れたからこそ感じ取れた事もある。

「いいわ、ありったけをぶつけてやりましょう。|神機召喚《アクセス》――|起動《イグニッション》!」
『E.N.M.Aから応答――オッケー、大暴れの時間ね!』

 呼び声に応じるは祈光風神機『レガリア・ベルクス』、キャバリアに搭載された武装が黒燐蟲の呪詛を纏う。
 黒く、深く、昏く。
 本来【|黒燐装攻《アームドカース》】は攻撃力、命中率、攻撃回数いずれかを特に強化するユーベルコードだ。
 それが、選択しなかった二つの要素さえ格段に引き上げる程に。

「おやつどころか、とんでもない御馳走だったわね」
「おやつ!?」
「違う違う」
 誰にともなく叩いた軽口に誤反応した紗希と餓鬼には軽く手を振って否定しつつ。
「皆、集まって――行くよ!」

 残像を残す程の急加速、目にも止まらぬ連続攻撃の一つ一つにハイドラの巨体が揺らぐ程の重さがある。
 シェーラの召喚した精霊女王にも引けを取らない猛攻。
 白面の発するユーベルコードではなく、黒く粘つくハイドラの表面が激しく波打ち悲鳴を上げた。

「さぁて……」

 敵との相対であってもまずはコンタクトを取ろうとするのが数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)だ。
 流儀と言ってもいい。
 相手の行動原理を理解してから、彼女ははじめて次の行動に入る。
 その点で言えば多喜はハイドラと言葉を交わす事こそなかったが……テレパスの超感覚は言葉より雄弁にその意思を感じ取っていた。
 焼き焦がす恩讐の炎に苛まれながら揺るぎもしない、その身以上にドス黒く濁った悪意。
 呼吸の如く当たり前に他者を害する事を愉悦とし、そうしなければ生きられない。変えようの無い生態。

「よーく分かったよ。遠慮は無用って事がね」
『多喜ちゃん! ここは変身するしかないよ! さあ!』
「はぁ!?」

 そして突如現れた謎の霊的存在の扇動。
 猟兵側も全力を尽くしている。
 ハイドラが絶大な力を振るう闇の種族である事は確かだが、必ずしも戦力が不足しているとは限らない。
 それが、多喜が手を抜く理由になる事も無い。
 ……そんな思考が半強制的な変身に対する抵抗の妨げになったのは幸か不幸か。

『今だっ!!!』
「いやだー! 変身したくなーい!?」

 斯くして淡い光の粒子が多喜を包み【|荒唐無稽の体現者《シャインラジカル・ドレスアップ》】。
 多喜が備えた真の姿、その一つ……魔法を行使できる魔法少女スタイルが顕現する。

「心情は汲むがせめて虚勢でも堂々としていろ。その有様では格好に関わらず見苦しいぞ」
「分かっちゃいるけどさぁ……! あーもう、やってやんよオラーッ!」

 自棄気味にキュートなステッキの一振り、飛び出したマジカルなレーザーはハイドラに特大の風穴を穿つ。
 元より猟兵として最前線で戦い続けてきた多喜の実力が変身により飛躍的に上昇しているのだ。
 不本意ながらもこの|大真面目《シリアス》な戦況で切る手札、その力の程は伊達ではない。

「座標指定、クリア。魔法陣展開……使ってください!」
「援護ありがとうございます!」
「使わせて貰うよ、サンキュー!」

 島津・有紗(人間の戦巫女・f04210)が設置した魔法陣を経由した攻撃は急激に鋭さを増してハイドラを襲う。
 【魔弾の射手】が付与するのは運動エネルギー3倍の恩恵。
 重さと速度を増した攻撃は意表を突く奇襲となり、単純な三倍以上にダメージを上昇させる。
 戦況全体の流れを見極め、最も効果を発揮できる位置へ。
 本来なら同時に多数設置する運用を前提としたユーベルコードではない。
 だからこそ意識を集中させ一つ一つを丁寧に展開し、維持する。

 そして舞台に彩りを添える演者はもう一人。
 暗夜の世界、躍動する猟兵は各々がオブリビオン討伐の要となり得る特異点なればこそ……
 例えばその中の一人が、いつの間にか姿を消していようと直ぐには気付けない。

 無防備な白面を、真正面から強烈な一撃が粉砕する。
 或いは猟兵の一人に迫っていた攻撃が、突如として標的を見失う。

「ま、ちょっとした手品だけどね♪」

 業の名を【|影も形も《ツヴァイ・クラールハイト》】――仕掛け人たる仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)に宿る人格の一人、美術好きのネイルが微笑を零す。
 それは自分自身に加え、指定した任意対象一体を透明化させるユーベルコード。
 代償は毎秒の疲労だ。闇の種族討伐の大一番、彼女もまた相応の覚悟と共に立っている。
 手並みは上々。
 効果の程は――目には見えずとも御覧の通り。

「――――――――――――!!!」

 がなり立てる白面の絶叫、黒く波打つ巨体の怒号。
 精神を破壊するユーベルコードの作用はやはり熱風の加護に抑制され、痺れを切らすように|巨躯《・・》全体が動く。
 実のところ苦し紛れの一手だ。
 ユーベルコードの叫びは言うに及ばず、鈍重な体当たりは威力という点なら勢いを付け振り回す触手にも劣る。
 ただ、これまでのようには止まらない。
 止めるべき|点《・》の存在しない、体積と質量に物を言わせた面制圧。

『ぬおー!! 上から来るぞ気を付けろ!!』
「任せろ、引き受ける!」
「支援します!」

 まず展開されたのは有紗の魔法陣。
 【魔弾の射手】のもう一つの力、通過した範囲内で対象の運動エネルギーを十分の一に低減させる。
 迫るは卓袱台返しにも等しい無法の一撃、キャバリアであっても単独でフォローしきれる攻撃範囲ではない。
 故に、後光輝かす黒騎士と並んでマチルダ・バレンタイン(ヴァルキュリアの鎧装騎兵・f40886)が進み出た。

「23式複合兵装ユニット、フォーメーション換装。対質量防御、出力最大ッ!」

 アームドフォートを変形させる【タクティカル・トランスフォーム】が防御力を10倍に跳ね上げる。
 ただ装備の性能を頼みにするだけではない。
 接触面からダイレクトに叩き付けられる精神侵蝕に歯を食い縛り、修めた技術の限りを尽くし最大効率で迎え撃つ。

「ぐ、ぅ……ッ……!」

 ベルトのような無敵を伴わない、己が耐久力による防御。
 変形したアームドフォートはその身一つでハイドラの全身を受け止めるが、それは被弾面積の増大と同義だ。
 ――食い止めた。
 その身、その存在を砦と成し不条理を阻む大戦果。

 単純な時間を数えるなら、ハイドラの放った開幕の叫びが対処されてより数分と経ってはいないだろう。
 惜しみなく振るった力は闇の種族を相手取りながらも優勢を保ち、しかし消耗も相応に甚大。

「という事で、此度もそろそろ使いどころと存じます。|荒魂鎮神命《あらたましずむるのかみのみこと》でございます」

 数多の戦いに助力してきたアラタマ・ミコト(極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935)の能力については既に知っている者も少なくないかもしれない。
 ハイリスクハイリターンを体現する切り札が一つ、即ち完全回復のユーベルコード。

「極楽浄土より持ち帰りし法具の力を開放いたします。
 ……活路は切り開きませるでございましょうか?」

 【極楽の香気】に伴う代償は極楽の蓮の花がもたらす汚染、161分に及ぶ――実力の向上に伴い、また効果時間が伸びている――理性無き天上界の獣への変貌。

「やれやれです……それでは、此度は僕がフォローを請け負いましょう」
 誰が言ったか、特に共闘時に於いてリスクとは踏み倒すもの。
 ピーキーな性能は即ちコンボの拡張性に等しいのだと。
 彼女との連携も何度目になるか、シン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)は手札を切る。

「これも貴重な研究材料だったのですが……仕方ありませんか」
 費用対効果を考えれば上々と割り切り。
 その香気の作用は既知だ。【|魔法薬生成《ウィッチズ・コルドロン》】は特効薬を振り撒き理性喪失のデメリットを打ち消す。

「ちょうど全快した事ですし、折角です。|此方《・・》も継ぎ足しておきましょう」
 空いた手にいつの間にか開いていたのは魔術研究書。
 そこには先の戦いで【魔法鹵獲術】が記憶した【|Thistle《復讐》】、いま敵を焼いているのと同じ恩讐の炎が刻まれている。
 その性質は敵対者の悪性・悪行に比例する全能力剥奪。そして、ユーベルコードとの同時起動。
 有効度合いが状況に大きく左右されるという点で言えばピーキーは此方も大概か。
 燃え盛る憤怒、報復の意思はハイドラの巨体にも劣らぬ程に溢れ出し全身を焼き焦がす。

「――、――……――――――!!」
「っ、まさか……!?」

 諦めの悪さ、悪足掻きと言うには何処か無機質な癇癪の爆発。
 悪意の発露を都度阻害され続けた結果、行き場を塞がれたそれが段階的に次のカタチへ移行するかのような。
 即ち【味付け】の叫び、【調理】の瘴気に次ぐ第三のユーベルコード。
 自らを霧散させ放つ【感情喰らい】――仮に全身が爆ぜれば、どれ程の被害をもたらすか。

「させませんよ」

 それが、力尽くに捻じ伏せられた。

「――いい加減、大人しくしててください」

 猟兵の能力というものは千差万別だ。如何な分野であれ一概に優劣を付けられるものではない。
 その上で。
 こと念動力の扱いにおいて、エリー・マイヤー(被造物・f29376)は最上位の一人だ。

 彼女の【|念動プリズン《サイ・プリズン》】は毎秒失われる寿命をコストに対象を捕縛し、ユーベルコードを封殺する。
 猛り狂うハイドラの抵抗がもたらす反動は多めに見積もっていた予想をも幾分上回ってきた。
 だとしても……手負いの獲物と万全の此方。
 後れを取る気は毛頭無い。

「うわー、やるねぇ。これが俎上の鯉ってやつか……」
「正念場というものでしょうかね?」
「まー、こいつの悪性は散々披露して貰ったからね。その咎、きっちり清算して貰おうか」

 政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)が【降魔化身法】の強化を最大限に引き出すと同時、ティモシー・レンツ(ヤドリガミのポンコツ占い師・f15854)が何処か頼りない足取りでハイドラへと踏み込む。
 地に足の付かない、とは物の例えだが……浮いている。物理的に。

「さーがーしーもーのーはー、っとー……!」

 その軌跡を追うように花弁が散る。
 放つ異能は【薔薇の剣戟】、四度の命中が問答無用の死を刻む必殺の連撃。
 気の抜けた掛け声と共に四撃。
 ……何も起きない。

「……あれぇ?」
「視えた……!」

 四発のいずれか。即死が機能しなかったのは、命中していなかったからだ。
 体液の循環に乗るようにティモシーの連撃から逃れたハイドラの実体を、己が身を以てその力を馴染ませた朱鞠の知覚は確かに捉えた。
 炙り出されたのは一つや二つに留まらず分散した、存在核とでも言うべき急所。
 肉体に降ろした妖怪、悪鬼、幽鬼の力を以て連撃を放ち追い立てる。
 今にもトドメの攻撃を叩き込まんとする味方の全員が、狙い目を外す事の無いように。

 念動力の拘束による無力化が事実上のタイムリミット。
 無防備を晒す闇の種族を討滅するべく最大火力を叩き込む為の最大の好機。
 最後の大攻勢、その先陣を二人の猟兵が同時に切った。

「隙を見せたな……そこだ!」

 残光の尾を引き切り込んだのはアス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)。
 手にしたフォースセイバーに自らの念動力を巡らせ、秘めた真価を解き放つ。

「惑わす魔に他ならぬその心! 破邪の刃で断ってみせる! 【退魔念導破邪斬】!!」

 その刃が斬るは実体に非ず、対象に巣食う邪心のみ。
 邪心そのものが形を為したかの如きハイドラに対しては、悉くを斬り滅ぼす天敵となり得る奥義。

「終わらせます――歪みの主よ、喰らわれた魂たちを解放してください」

 シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)の技はアスの振るった斬撃にも似て、しかしその在り方はどこか対照的でもあった。
 胸に抱く感情は憎悪の類ではない。
 無論忌むべき邪悪、討つべき敵対者である事は理解した上で……一撃に籠めるのは救済の祈り。
 【【祓符】魔を討ち祓う聖なる護符】は悪しき力のみを撃ち祓う。

 叫びも、身動ぎさえも無い。
 最早この一時、縛られた闇の種族には如何なる抵抗も赦されていない。

 直後に畳みかけたのは餓鬼の暴力、竜巻の衝撃。
 或いは妖精女王の剣舞であり、禁呪宿す黒燐蟲武装の猛攻であり、魔法少女の乱れ撃ちでもあった。
 持てる火力を出し尽くす事が最大の連携であると、数多の破壊が一つに重なって……
 舞い上がる粉塵が晴れた後には、血肉の一欠片とて残るものは無く。

 斯くして顕現した闇の種族は、そのまま骸の海へと叩き落とされた。
 オブリビオン、幾度となく現世に染み出す過去の残骸。
 だとしても……与えた痛手がまた一つ、確かな爪痕を刻み付けた事は間違いない。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2025年02月09日


挿絵イラスト