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土蜘蛛を狙う人狼騎士達

#シルバーレイン #決戦 #ヨーロッパ人狼戦線1 #シルバーレイン・アナザー

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●グリモアベース
「皆さんの協力のおかげで、|湊《みなと》 |優香《ゆうか》さんが無事目覚めました!」
 そう報告するのはグリモア猟兵のムゲン・ワールド(愛に生きたナイトメア適合者・f36307)だ。
 |湊《みなと》 |優香《ゆうか》とは、一言で言えば謎の少女であった。
 猟兵と同盟を結んだ勢力である奈良県五條市に存在する『土蜘蛛の檻』を狙うエネルギー体のオブリビオン『フェンリル』を撃退する際、その儀式上で儀式に利用されて眠らされていた暴走する能力者である。
 猟兵達はメガリス「ティンカーベル」を用いて、優香の夢の中に入り、無事、彼女の暴走を止めることが出来た。
 詳しくは過去の報告書を見てください、とムゲンは案内する。「シルバーレイン・アナザー」という名前でのタグでまとめてあるそうだ。ちなみに、読まなくてもシナリオの参加に全く支障はない。
「気になるのは夢の中に出てきた、頭にネジの生えたオブリビオンですね。|『シルバーレイン』《私達の世界》で夢の中にネジというと、一つ思い浮かぶものがあるんです」
 まぁ、それは仮説の話ですから、今度の話にしましょう、とムゲン。
「優香さんは説得の末、銀誓館学園に転入することが決まりました。彼女の能力についても、そこで適切に指導されていくことでしょう」
 ただ、どういう経緯であそこに寝かされていたかは気になりますよね、とムゲンは続ける。
「なので、彼女と言葉を交わしました。結論から言うと、彼女は人狼騎士に誘拐され、彼らのアジトでなんらかの〝処置〟を施された上で、儀式上に寝かされたようです」
 その〝処置〟こそが、彼女の夢の中に出てきた「頭にネジの生えたオブリビオン」と関係がありそうだが、大事なのはついに敵が判明した、と言うことだ。
「ただ、人狼騎士は既に銀誓館と同盟を結んでいます。それが今、こっそり銀誓館を襲撃するような真似をするとは思えません。ごく一部の暴走か……、あるいは、過去に『夢魔随筆』下巻が盗まれていた事による影響、つまり複製体か……」
 とにかく、調査が必要だ、とムゲンは言う。

「湊さんの話を聞いた影響か、敵のアジトについてはいくらか予知が出来ました」
 奈良県御所市と大阪府南河内郡千早赤阪村との境目にある山「金剛山」に、敵のアジトはある模様だ、とムゲンは言う。
「敵集団が再度、『フェンリル』を呼ぼうと儀式を行っているようです。まずはこれを止めてください」
 そのあとは、その奥の部屋で敵のボスとご対面です、とムゲンは続ける。
「相手は女性騎士で、槍型の詠唱兵器を用いるようですが……、詳しくは予知しきれませんでした。現地でぶっつけ本番になると思いますが、うまく対処してください。相手がただの能力者で、オブリビオンではない場合は、銀誓館に引き渡す必要があるので殺さず、うまく無力化してください。オブリビオンなら勿論倒してしまって構いません」
 予測出来ない事が多いですが、うまく対処して頂けると助かります、とムゲンは続ける。
「土蜘蛛の檻を狙う案件ですので、本当なら、眞由璃の力を借りたかったのですが、どうも今、『アヤカシエンパイア』にいる模様で、土蜘蛛オブリビオンに指示が出せない様子でして」
 と言うわけで、今回の戦いは我々猟兵だけで対処するしかないようだ。

「奈良県五條市の『土蜘蛛の檻』と銀誓館学園を狙うオブリビオン絡みの陰謀も皆さんのおかげで少しずつ明らかになりつつあります。この調子で頑張っていきましょう」
 そう言って、ムゲンはスラリと仕込み杖を抜き放ち、空中に振り下ろすと、そこに転送ゲートが出現した。


メリーさんのアモル
 こんばんは、アモルです。
 お久しぶりのキャンペーンシナリオ「シルバーレイン・アナザー」の時間です。
 詳しくはタグ「シルバーレイン・アナザー」をクリックして見て頂くか、マスターページの「シルバーレインキャンペーン「シルバーレイン・アナザー」状況」にも簡易的にまとめられております。

 そして、『それらを読む必要は全くございません』。ので、何も知らずただそう言うシナリオとして参加頂くのも大歓迎でございます。
 さて、各章について簡単に触れさせて頂きます。

●第一章
 集団敵です。魔狼儀式を行っている『大陸妖狐・尖兵』と戦って頂きます。
 特に特筆すべき点はないですが、ちょっとしたホールくらいの広さの部屋ですのでそれを考慮して戦って下さい。

●第二章
 ボス敵です。詳細は現状不明。詳しくは断章をお待ち下さい。

●第三章
 ボス敵です。詳細は現状不明。詳しくは断章をお待ち下さい。

 と言うわけで、今回は趣向を変えて、ちょっと謎多めのシナリオにしてみました。
 まぁ、予測は可能かと思いますが、お楽しみいただけましたら幸いです。

 それでは、死と隣り合わせの青春を!
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第1章 集団戦 『大陸妖狐・尖兵』

POW   :    アヤカシの群れ
戦場全体に【舞い上げた小石や粉塵に『小妖怪の幻影』】を発生させる。レベル分後まで、敵は【実体を持つかのような幻影たち】の攻撃を、味方は【幻影が与えたダメージ分】の回復を受け続ける。
SPD   :    約束の完成絵図〔パラノイア・ペーパー〕
自身が装備する【ページ無限の魔導書】から【切り離されたページの紙片】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【虚脱】と【アンチヒール】の状態異常を与える。
WIZ   :    トラウマ想起〔ナイトメア・ランページ〕
【紅い瞳による凝視】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【トラウマや黒歴史を再現する悪夢や幻影】で攻撃する。

イラスト:さいばし

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

嶺・シイナ

トラウマとか悪夢を操る敵か。
まあ、奴隷時代とか実験台時代に色んな目に遭ってるから、今更見せられてもな……あの人が帰ってくることはないのだし。
ユーベルコード発動。原稿用紙に書くのは「マッチ売りの少女」のような灯火の物語がいいかな。
ある者にとっては心を温める灯火でも、別な人間からすると身を焼く業火になりうる。本当に面白い。
さあ、互いの悪夢で焼き合おう、狐さん。
そっちは、新たな悪夢を生むために。僕は——悪夢の上でも生きるために。

ユーベルコード発動中以外は鮫剣で対応するのがほとんどです。



 奈良県御所市と大阪府南河内郡千早赤阪村との境目にある山「金剛山」。
 敵のアジトはその山の中腹にあった。
 猟兵達は素早くそのアジトに入り、入り口から敵陣地へ侵入する。
 その入り口近くの広場で狐耳に狐尻尾を生やした何者かがエネルギー体のオブリビオン『フェンリル』を呼び出すための魔狼儀式を遂行している。
 見た目は大陸妖狐のようだが……。なぜ人狼騎士に組しているのか。
「トラウマとか悪夢を操る敵か」
 それを見てそう呟くのは藍色の髪に一房白い髪が混じっているように見える蛇『竜胆』を生やした怪奇人間の猟兵、嶺・シイナ(怪奇人間の文豪・f44464)だ。
 オブリビオンとして既に目撃例のある存在なので、その報告からシイナはその戦闘スタイルを知っていた。
 鮫の牙のような無数の刃が生えた呪剣『鮫剣』を構えながら、シイナは真正面から儀式を行う敵集団『大陸妖狐・尖兵』に向かっていく。
「! 猟兵ね!」
 『大陸妖狐・尖兵』は現れた敵対勢力を一目で猟兵と看破した。シイナの武器である『鮫剣』は|『シルバーレイン』《この世界》において銀誓館に身を寄せている「カースブレイド」と呼ばれる能力者の武器に酷似している。つまり、一目見ただけなら、銀誓館学園の戦力と判断されてもおかしくないはずなのに、だ。
「ってことは、オブリビオンか」
 なぜオブリビオンは人狼騎士に与しているのかは謎が多いが、オブリビオン相手であれば猟兵として力を振るう事に躊躇する理由はない。
 先に動いたのは『大陸妖狐・尖兵』。その紅い瞳でシイナを凝視する。
 すると、一瞬、黒い馬が実体化したかと思うとそれが見た目を変え、シイナのトラウマを実体化させる。
 それは鞭を持った看守のような姿をしていた。
「まあ、奴隷時代とか実験台時代に色んな目に遭ってるから、今更見せられてもな……あの人が帰ってくることはないのだし」
 だが、シイナの反応は冷ややかだ。多数の辛い経験を乗り越えてきたシイナにとって今更その過去を突きつけられても効かないのだった。
 とはいえ、その鞭による攻撃そのものは脅威だ。何より、『大陸妖狐・尖兵』は数がおり、その数だけ看守が出てきているので、数による不利もある。
 シイナは鞭による攻撃を『鮫剣』で防ぎながら、後方に飛び下がり、原稿用紙を取り出す。
「花には棘がある、未来ある果実を守るために。果実は渇きを潤す、花の恩に報いるために」
 看守が追ってくる。
 だが、それよりシイナの万年筆を進める手の方が早い。
「『マッチ売りの少女』のような灯火の物語がいいかな。ある者にとっては心を温める灯火でも、別な人間からすると身を焼く業火になりうる。本当に面白い」
 実体化するのはマッチを持った少女。
 少女がマッチを擦ると、火とともに幸せな光景が浮かび上がる。それはシイナにとっても癒しとなり、看守によって僅かになりとも受けた精神的ダメージを癒す。
 そして、マッチの火は飛び掛かる看守の服に飛び移り、看守を、そしてその背後にいる『大陸妖狐・尖兵』の服を燃やす。
「うわぁ、熱い熱い!?」
「さあ、互いの悪夢で焼き合おう、狐さん。そっちは、新たな悪夢を生むために。僕は——悪夢の上でも生きるために」
 ユーベルコード『|花実相愛《ダレカヘノアイラブユウ》』。原稿用紙に文章を書き続けている間、原稿用紙に書き記した内容の具現により、ダメージや治療を行うユーベルコードだ。
 今それは、『大陸妖狐・尖兵』の呼び出した悪夢幻影とぶつかり合い、そして、『大陸妖狐・尖兵』をも焼いていた。
 マッチの火は小さく見えるが、その影響範囲は実に半径132mにも及ぶ。
 シイナは看守の攻撃を軽くあしらいながら、確実に敵の数を減らしていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

酒井森・興和
ふむ
優香さんは目が覚めたか
あのポルターガイスト…
念動が彼女由来か処置の産物かは解らないな

しかし金剛山とは
連中が我等の御山すぐ傍で活動してると?

墨糸を付けた逆鱗を四方へ【投擲し目潰し】攻撃と敵UC妨害も狙う
同時にUC仕込として追撃行い糸で戦場囲む
妨害が間に合わず敵UC被弾もあり得るか
葛城に近いこの場所で過去の悪夢は最悪だな
ただでさえ我等の領域山系に入り込んでの粗相に腹立ちなのに
怒りと恐怖で目前の敵なら子狐でも牙で喰い殺して回りそうだ
【落ち着き】動揺抑え三砂で【重量攻撃しなぎ払い】囲み中へなるべく多数を誘導
カードを掲げUC行使

此の地への執着は僕個人の勝手だがね
どこであろうと魔狼なぞもう喚ばせないよ



「ふむ。優香さんは目が覚めたか」
 グリモア猟兵の報告を聞き、そう呟くのは、『フェンリル』との戦いにおいて優香を発見、回収した張本人、酒井森・興和(朱纏・f37018)だ。
「あのポルターガイスト……。念動が彼女由来か処置の産物かは解らないな」
 恐らく今後、銀誓館学園で能力の手解きを受けていくうちに判明することだろう。
「しかし金剛山とは。連中が我等の御山すぐ傍で活動してると?」
 興和は土蜘蛛戦争を生き残った土蜘蛛だ。彼らは葛城山を拠点に活動していた。
 そして葛城山から見て、金剛山は実にすぐ南に存在する山である。まさに「すぐ傍」といって差し支えないだろう。
 興和はその事実に何事かを思いつつ、先の猟兵に続いて敵性オブリビオン『大陸妖狐・尖兵』との戦闘に突入した。
 興和が構えるのは朱色に塗られた『逆鱗【朱纏】』。過去に直属の土蜘蛛より二つ名と共に与えられ、以来愛用する逆鱗である。
 今回、この逆鱗には自身の黒い服を解いた糸である墨糸が付けられている。その意味は、この戦いの中で分かることだろう。
「もう一人現れたな、猟兵め」
 ユーベルコードを発動しようとする『大陸妖狐・尖兵』に対し、興和は即座に逆鱗を投擲し、相手の視界を奪って、ユーベルコードの発動を抑止する。
 それは同時に周囲に墨糸を展開する意味もある。
 とはいえ、敵行動の抑止と効率の良い墨糸の展開を同時にやろうというのは流石に難しかったようで、敵行動の抑止が万全とはいかず、『大陸妖狐・尖兵』がユーベルコードを使う僅かな隙を作り出してしまう。
 興和が『大陸妖狐・尖兵』に紅い目で凝視されると同時、『大陸妖狐・尖兵』のすぐ傍に黒い馬が実体化したかと思うと、それが興和にとっての悪夢へと変化していく。
「葛城に近いこの場所で過去の悪夢は最悪だな」
 それは言葉から受け取れば、とても有効であるかのように聞こえた。
「ただでさえ我等の領域山系に入り込んでの粗相に腹立ちなのに、怒りと恐怖で目前の敵なら子狐でも牙で喰い殺して回りそうだ」
 だが、それは真逆の意味。折角策を練っているのに、それをぶち壊してしまうかもしれない、という厄介さであった。
 興和は深呼吸をして動揺を抑え、実体化した悪夢に対し、ツルハシ状の愛用武器『三砂』で薙ぎ払って迎撃しつつ、墨糸で作られた八角の結界の中へと敵を誘導していく。
 そして、機は熟した。
 銀誓館の能力者なら誰でも持っているそのカードが掲げられる。
「|起動《イグニッション》!」
 『イグニッションカード』が起動すると同時、ユーベルコード『呼焔』が発動。
 墨糸で囲われた八角の中へ八連の白熱火矢が落とされる。
 見た目は地味だが威力は折り紙付きだ。
 その攻撃は着実に墨糸で作られた八角内部の『大陸妖狐・尖兵』を殲滅していった。
「此の地への執着は僕個人の勝手だがね。どこであろうと魔狼なぞもう喚ばせないよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

禍神塚・鏡吾

ネジと言えば、噂の「ニーベルングの指輪」が思い浮かびますね
オブリビオンになる前のドクター・オロチが、人狼騎士を操るのに使ったメガリスだとか
しかして、今ここに居るのは大陸妖狐です
黒幕は何者なのでしょう? 恐らくはオブリビオンなのでしょうが

「これはこれは、集団を攻撃するのに良いユーべルコード
折角ですから、お借りします」
まずは目前の敵から片付けましょうか
飛来するページの軌道を弾道計算にて割出し、本体(鏡)の複製を自分の周囲に円陣を組むように展開して受け止めます
どうしても被弾したら、狂気耐性、呪詛耐性、破魔などの技能で状態異常だけ堪えます
敵のUCを受け斬ったら、漏れなく撃ち返して差し上げましょう



「ネジと言えば、噂の『ニーベルングの指輪』が思い浮かびますね」
 グリモア猟兵の報告を聞き、そう呟くのは自らを「魔法の鏡」と名乗る、喋る西洋鏡から生まれたヤドリガミ、禍神塚・鏡吾(魔法の鏡・f04789)だ。
「オブリビオンになる前のドクター・オロチが、人狼騎士を操るのに使ったメガリスだとか」
 そして此度も人狼騎士が敵であるとグリモア猟兵は言っていた。やはり何かしらの関係があるのか、鏡吾は考える。
「しかして、今ここに居るのは大陸妖狐です」
 そう、奇妙にも目の前に立ち塞がるのは『大陸妖狐・尖兵』。銀誓館学園に与していない『大陸妖狐』の一団、その尖兵である。
「黒幕は何者なのでしょう? 恐らくはオブリビオンなのでしょうが」
 謎は深まるばかりだが。
「まずは目前の敵から片付けましょうか」
 目の前に立ち塞がる『大陸妖狐・尖兵』を倒さないことには前には進めない。
 前に進み、敵の首魁とさえ邂逅出来れば、多少なりとも真実は分かるはずである。
「新たな猟兵を確認、対応します!」
 『大陸妖狐・尖兵』の数体が現れた鏡吾に反応し、対応のために動き出す。
 彼女らが取り出したるは、 ページ無限の魔導書。そこからページの紙片が切り離されて、放たれる。
「これはこれは、集団を攻撃するのに良いユーべルコード。折角ですから、お借りします」
 そう言って、周囲に無数の鏡が出現する。
 ページのひらひら舞うその軌道は極めて読み辛かったが、鏡吾はなんとかその弾道を読み、円陣を組んだ無数の鏡でそのページを受け止めていく。
 それはただの鏡ではない。ユーベルコード『錬成カミヤドリ』で複製した鏡吾の本体、つまり、喋る西洋鏡の複製である。
 巨大怪獣の放射熱線も一度ならはね返せるよう、表面を人工ダイヤモンドでコーティングしたそれは、魔導書の紙片程度であれば極めて容易に受け止めてしまう。
「撃ち返してみせましょう」
 そして、それで終わりではない。『錬成カミヤドリ』はこのユーベルコードの効果で発動したに過ぎない。本来発動したユーベルコードは『ファイヤーミラー』。
 複製した本体の鏡で受け止めたユーベルコードを鏡の性質らしく、撃ち返すものだ。
「跳ね返ってきた!?」
 『大陸妖狐・尖兵』達はその恐るべし結果に驚愕するが、あまりに遅きに徹している。
 跳ね返った紙片達は周囲一帯の『大陸妖狐・尖兵』に襲い掛かり、ダメージと虚脱、そしてアンチヒールの状態異常を与え、苦しめる。
 ダメージにより撃破するのは勿論のこと、巻き添えで反撃された『大陸妖狐・尖兵』達も多く、非常に多くの『大陸妖狐・尖兵』が虚脱状態回復不可状態に陥っている。
 鏡吾は自分自身の戦闘を有利に進めるだけでなく、後ろに続く味方の戦闘を有利に進めるチャンスをも作り出していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

向・存(サポート)
もし手助けが必要でしたらお手伝いするのですよぉ~。
得意なのは近接戦闘とか、【情報収集】も兼ねた見回りとかお話を伺うのも好きですよぉ~。
非道なことをなされる方には手加減無用、全力で参らせていただきますねぇ~。
大丈夫ですよぉ~。手足の二・三本くらいもげてもなんとかなりますのでぇ~。

ユーベルコードの出し惜しみをするつもりはありませんよぉ~。
使いどころに迷ったときはぁ、ご同輩に相談するのも良いですねぇ~。
あとは最後まで油断大敵、【咄嗟の一撃】も放てるように【逃亡阻止】は意識しておきましょう~。
堅実にきちんと片づけたら、皆で美味しいものでも食べて帰りましょう~。
※アドリブ・連携歓迎


鈴乃宮・影華(サポート)
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です

かつての様にイグニッションカードを掲げ
「――|起動《イグニッション》!」で各種装備を展開
友人から教わった剣術や
体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用

TPO次第では
キャバリアの制御AIである『E.N.M.A』が主体となるユーベルコードを使用したり
『轟蘭華』や乗り物に搭載した重火器をブッ放したり
「|神機召喚《アクセス》――|起動《イグニッション》!」からのキャバリア召喚で暴れます

例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかけるような行為はしません
不明な点はお任せします


マロン・ビネガー(サポート)
◎連携・アドリブ歓迎
知的好奇心旺盛で少し不思議+ひんやり系な性質の僕っ子。思考は理系寄り
戦場ルールと他者の意志は尊重する方
現地住民や先輩には「礼儀作法」で丁寧な対応を心掛ける

◆戦闘傾向
エキセントリック+トリックスター
属性魔法や精神攻撃/誘惑、地形の利用等で撹乱するタイプ

主な得物は蓬莱の玉枝orレイピア、弩

技能は主に「天候操作」、
特に雨・雪系を好む

攻撃系UCに合わせて「電撃」+「貫通攻撃」、
回復系UCに「浄化」を載せる等

勝利の為なら代償・取引系UCも躊躇いませんが
保護対象や共闘する方々を攻撃に巻き込む事は極力避けます
必要なら「結界術」等で防御、場所感知等
臨機応変に支援行動も可

後は基本お任せです



 オブリビオン『大陸妖狐・尖兵』との戦闘は猟兵側優位に進んでいる様子だが、まだ決着がつくには手が足りない様子だ。
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
「同じく。銀誓館から援護に来たよ」
 そこに銀誓館学園にて|銀の雨降る時代《シルバーレイン》から戦ってきた二人の能力者にして猟兵が援護に現れる。
 元・銀誓館学園の学生で、オブリビオンの襲撃などによって大学受験を逃している人間の鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)と、大学も卒業し、気候変動観測機関の研究員として働いていたが、運命の糸症候群により若返ってしまったルナエンプレイス(こちらも後天的になったものだ)のマロン・ビネガー(くりかぼちゃ・f37213)の二人だ。
 どちらもオブリビオンの襲来により運命が様々に変わってしまった二人、オブリビオンと戦う理由は多分にある。
「――|起動《イグニッション》!」
「|起動《イグニッション》」
 ならば迷う必要などなく二人の能力者にして猟兵はかつての戦いのようにイグニッションカードを掲げその武装を見に纏う。
「もし手助けが必要でしたらお手伝いするのですよぉ~」
 そこにさらに蜀の地を憂う想いから、死して尚その魂を躯に宿し、蜀の地に再び舞い戻った僵尸の向・存(葭萌の幽鬼・f34837)も加わる。
「新たに猟兵が三人ですか! 苦しい戦いですが、勝って見せます!」
 『大陸妖狐・尖兵』は素早く周囲に展開し、拳を握る。
 存は『刻銘剣』を、影華は『黒の葬華』を、マロンは『深雪六華』をそれぞれ構える。
 最初に動いたのは『大陸妖狐・尖兵』。『ページ無限の魔導書』を取り出し、そこから切り離されたページの紙片を三人に向けてけしかける。
 それは周囲一帯の全員に向けてダメージと共に状態異常を与える厄介なユーベルコードだが。
「私が受けるわ」
『E.N.M.Aから通告――それ、要らないから返すわ』
 影華が操るサイキックキャバリアの制御AIである『EP全環境対応型戦闘支援疑似人格『E.N.M.A』』がそんな言葉を発する。
 言葉と同時に発動するユーベルコードは『tu fui ego eris』。受けた状態異常を解除した上でカウンター魔法を発動して効果を反射するユーベルコードだ。
「きゃあっ!?」
 従って、三人に迫っていた切り離されたページの紙片はその場で反転し、『大陸妖狐・尖兵』に襲いかかる。
 その隙を逃さず、存が一気に『大陸妖狐・尖兵』へと肉薄する。
「だったら、これならどう!?」
 『大陸妖狐・尖兵』が次なるユーベルコードを発動させ、紅い瞳で存を凝視する。
 黒い馬が一瞬出現したと思った次の瞬間、存が没した葭萌関で相対した敵兵士達が実体化し、存に襲いかかる。
「私を殺した兵士たちですかぁ。その程度の過去、とっくに乗り越えてますよぉ」
 だがその兵士達を存は容易く切断し迎撃していく。
「今だ!」
 兵士達との戦闘に気を取られた存に向かって『大陸妖狐・尖兵』が襲い掛かり、四肢が弾け飛ぶ。
「ふっ」
「油断大敵ですよぉ~?」
 勝利を確信した『大陸妖狐・尖兵』。だが次の瞬間、存の切断された四肢から包帯が放たれ、捕縛して動きを封じる。
 ユーベルコード『四肢抱絞』だ。
「なっ」
「今ですよぉ〜」
「うん、こっちの準備はオッケーだ。電子の海から、にゃん」
 突如、無数の覚醒ケルベロスオメガが出現し、レッドファイア奥義とブラックセイバー奥義で攻撃を敢行する。
 指定した後、一分以上の時間経過後に発動するユーベルコード『|電獅子王《フェリスレオ・パンテーラ》奇譚』だ。
 マロンは事前にこのユーベルコードの標的として『大陸妖狐・尖兵』達を一人ずつを指定し、時が来るのを待っていたのだ。
「おのれ……、おのれ、猟兵め! おのれ、銀誓館め!」
 覚醒ケルベロスオメガの群れに飲み込まれた『大陸妖狐・尖兵』が悔しげな声を上げる。
 同時、周囲に小石や粉塵が舞い上がり、そこに『小妖怪の幻影』が出現する。
 それは戦場全体の猟兵達にダメージを与え、自身の体力を回復するはずだったが。
「回復、出来ないでしょう? 『E.N.M.A』が返したものね」
 そう、影華の『tu fui ego eris』により、『大陸妖狐・尖兵』はアンチヒール状態にある。
 体力の回復は叶わなかった。
「じゃ、終わらせましょうか。|神機召喚《アクセス》――|起動《イグニッション》!」
 もはや敵は死に体。キャバリアを召喚し暴れ始めた影華を筆頭にした三人の猟兵による近接攻撃に敵うべくもなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『『色欲』』

POW   :    「この一撃の元に両断されてしまいなさい」
【槍の形をした抗体兵器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    「私のためなら味方を殺すことさえ厭わないわ!」
自身の【槍の形をした抗体兵器の先端】が輝く間、【槍の形をした抗体兵器】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    「この槍の雨の前には、軍勢すら無意味よ!」
【槍の形を抗体兵器】を手または足で射出する。任意の箇所でレベル×1個に分裂でき、そこからレベルm半径内に降り注ぐ。

イラスト:森乃ゴリラ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ムゲン・ワールドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「邪魔しに現れたか、猟兵!!」
 『大陸妖狐・尖兵』を退けた猟兵達を待ち受けるのは、「人狼騎士団」らしき装いをした槍を持つ女性騎士。
 だが、中には銀誓館学園の生徒もいるこの場において、集団を銀誓館ではなく猟兵と断定した。やはり彼女は『夢魔随筆』下巻によって生み出された複製体のオブリビオンか。
 そして、そこには驚くべきことに縛られて転がされている「人狼騎士団」らしき装いの騎士達もいた。
「銀誓館の人間か! 助かった! 彼女は本人じゃない! 『人狼戦線』の時の状態を複製された存在だ! 安心してくれ!」
「黙れ、銀誓館に与した裏切り者ども!」
 女性騎士オブリビオンが怒りを露わにする。
「すまない。彼女の名誉のためにも、秘密裏に彼女を処理しようと馳せ参じたのだが、この様だ。我々のことは気にしなくていいから、なんとか彼女を止めてくれ!」
「まぁいい。裏切り者どもの処刑は後だ。まずは猟兵を始末しなくてはな」
 そう言うと、女性騎士オブリビオンの周囲をリリスらしきゴーストが纏わりつき、その見た目が変んじていく。
「さぁ、覚悟しなさい!」
 パフュームリリス『色欲』。銀誓館に討伐されたゴーストの一体のようだ。と言うことは、先程の女性騎士と合わせてオブリビオンだろう。オブリビオンなら不殺などを気にする必要はない。
 周囲の人狼騎士も戦闘能力は有しているようだ。助ければ加勢してくれるかもしれない。
 敵の巧みな槍術の前にその余裕があれば、だが。
禍神塚・鏡吾
アドリブ連携歓迎

人狼騎士そのものではなかったのは僥倖ですが、謎は深まりますね

「奈良県の『土蜘蛛の檻』を狙うのも、銀誓館に与したからですか?」
彼女は、オブリビオンと「ネジに操られた人狼騎士」の自我が混じり合っているように見えます
黒幕や目的について喋るとは思えませんが反応は見ておきましょう

さて、戦闘です
「貴女は早い。しかし、同じ速さで動く敵にいつまで抗しきれますか?」
松山鏡で『色欲』を複製し、同じユーベルコードで戦わせます。
複製体には、寿命を気にせず増えた攻撃回数を全て敵に向けて、じっくり押し込んでいって貰います

人狼騎士達にも助力をお願いします
もし囚われたままなら、複製体が戦っている間に救助します



「人狼騎士そのものではなかったのは僥倖ですが、謎は深まりますね」
 捕まった人狼騎士からの話を聞いて、そう頷きながら、呟くのは禍神塚・鏡吾(魔法の鏡・f04789)だ。
「さぁ、覚悟しなさい!」
 『色欲』が右手に持つ槍の形をした抗体兵器の先端が輝く。
 地面を蹴った『色欲』はそのまま高速の突きを鏡吾に向かって放つ。
「貴女は早い。しかし、同じ速さで動く敵にいつまで抗しきれますか?」
 恐るべし連続攻撃を後退しながら回避した鏡吾はその速度に感心しながら、そう言うと、素早くユーベルコードを発動する。
「鏡を覗く貴方の瞳は、貴方が見たい貴方を見る。しかし貴方が目を逸らす貴方も、鏡は映しているのです」
 きらり、と鏡吾の構える『西洋鏡』に『色欲』の姿が映る。
 『色欲』はそれを攻撃とも思わず、さらに一歩踏み込んで、鏡吾に向けて槍を薙ぐ。
 直後、『西洋鏡』からもう一人の『色欲』が飛び出してきて、|左《・》|手《・》で構える抗体兵器の槍でその槍を受け止めた。
 鏡吾のユーベルコード『|松山鏡《テイル・オブ・ミラー・イン・トレジャーボックス》』により出現した対象と鏡像の具現体である。
「ぐっ、厄介なユーベルコードね!」
「覚悟なさい、私の偽物!」
「偽物はそちらでしょう!」
 自己中心的な『色欲』。お互いを偽者と罵りながら、ぶつかりあう。
 その間に鏡吾は人狼騎士を救助し、援護を依頼する。
「助かった。これより我々も戦闘に協力させてもらう」
「ありがとうございます。敵は右手で槍を構えている方です」
「分かった」
 頷いた人狼騎士達は一斉に十字架型の紋様を放つ。
 敵を追尾するその十字架型の紋様が『色欲』と重なると同時、人狼騎士達は『詠唱ライフル』を構えてその中心めがけて弾丸を次々に発砲する。アビリティ『クロストリガー』だ。
「チッ、銀誓館に与した裏切り者どもめ!」
「さて、奈良県の『土蜘蛛の檻』を狙うのも、銀誓館に与したからですか?」
 鏡像『色欲』への対処で手一杯になり人狼騎士からのアビリティを避け損ねて痛打を負い、たまらず舌打ちする『色欲』に向けて鏡吾は問いかける。
(彼女は、オブリビオンと「ネジに操られた人狼騎士」の自我が混じり合っているように見えます。黒幕や目的について喋るとは思えませんが反応は見ておきましょう)
 『色欲』と「オブリビオンである女性人狼騎士」は似ているようで若干性格が異なる。
 そこで、後者の人格が強く出ているタイミングで問い掛ければ何か情報が得られるのではないかと考えたのだ。
「そうだ! 奈良県に配置されたオブリビオンは全て一つの目的のために存在する。にも関わらず、我らを裏切り、銀誓館に与するなどと!」
 やはり、五條市の『土蜘蛛の檻』が狙われるのは銀誓館に与したためらしい。
 そして、〝一つの目的〟とは一体。
 ともかく得られた情報に鏡吾は頷きながら、鏡像の『色欲』を操り、戦闘を優位に進めていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

嶺・シイナ
◎×
ごめん、僕、シルバーレインの事情よく知らないし、興味もない。
裏切り云々とかどうでもいいし、生きていたら裏切りの一つや二つには遭うでしょ。
いちいち喚かれるのは五月蝿くてかなわない。
じゃあなんでここにいるかって?
興味はなくても、無縁じゃないからね(鮫剣構え)

残像で掴ませず、姿をくらまし、闇に紛れる。槍は薙ぎ払おうか。
接近したら、ユーベルコード。

目的とやらは知らないけど、成功させたいなら、祈ればいいだろ。
オブリビオンが何に祈るかは、知らないけど。



「ふぅ、なんとかあの偽物は消えたみたいね。で、あなたが次の猟兵? その武器、銀誓館に与する能力者なのかしら?」
 先の猟兵の鏡像『色欲』を撃破した『色欲』は新たに現れた猟兵に向けて抗体兵器の槍を向ける。
「ごめん、僕、シルバーレインの事情よく知らないし、興味もない」
 その言葉と槍を向けられた猟兵、嶺・シイナ(怪奇人間の文豪・f44464)はただそう言って首を横に振った。
「裏切り云々とかどうでもいいし、生きていたら裏切りの一つや二つには遭うでしょ」
「個々人ならそうだろう。だが、組織とはそうではない。裏切りは粛清されなばならない。でなければ第二第三の裏切りを呼ぶ。私は個人としてここにいるのではない。『人狼騎士』の有志としてここにいるのだ」
 シイナの言葉に、「オブリビオンである女性人狼騎士」の人格が表出する。
「どうでもいいよ。いちいち喚かれるのは五月蝿くてかなわない」
 だが、そんな女性人狼騎士の言葉のシイナの関心を買うには至らない。
「じゃあなんでここにいるかって? 興味はなくても、無縁じゃないからね」
 カースブレイドの象徴たる『鮫剣』が構えられる。
「ふぅん、縁とやらは良く分からないけど、とにかく私と戦いたいってことね。なら相手してあげるわ」
 両者同時に地面を蹴る。
「この槍の雨の前には、軍勢すら無意味よ!」
 空中に飛び上がった『色欲』は空中でサマーソルトを決めるように、そのまま槍を足で蹴り、無数に分裂させ、シイナに迫る。
「こちらのことはお構いなく!」
 味方の人狼騎士達は『詠唱ライフル』を構え、無数に分裂した槍のうち自身に弾着しそうなものを迎撃し始める。
「なら、任せた」
 シイナは残像を発生させながら、味方の人狼騎士に紛れるように姿をくらまし、闇へと紛れて消える。
「なっ、消えた!? ……けれど、それならもっと広範囲に槍をばら撒けばいいだけでしょう!」
 『色欲』は再び、槍を今度は手で真上に投擲し無数に分裂させ、降り注げさせる。
「あなたの武器は近接武器。であれば、私の周囲に展開されれば避けられないでしょう!」
「——っ」
 シイナは自身に降り注いでくる槍を『鮫剣』で薙ぎ払う。
「ふっ、そこ!」
 そこにすかさず『色欲』が槍を突き出す。
 だが、シイナはその動きを予測し、『鮫剣』を新路上に差し出すことで槍を逸らす。
「神という形のないものに祈れて、存在が確実な新月に祈るのを、何故できないというのか」
 シイナが一気に『色欲』に向けて肉薄する。『色欲』は槍を突き出したばかりで防御も攻撃も出来ない。
「目的とやらは知らないけど、成功させたいなら、祈ればいいだろ」
 『鮫剣』が命中した胴体が切断される。ユーベルコード『月も照らさぬ|孤独の終幕《エンドロヲル》』だ。
「オブリビオンが何に祈るかは、知らないけど」
 相手はオブリビオン。『色欲』は素早く胴体を接合し、再生する。
「私は神に仕えるもの、神に祈るに決まっているわ」
 『色欲』はリリスになる生前、過激な思想に取り憑かれた「教会」で育てられた暗殺者だったらしい。だから、きっと神に祈るのだろう。まぁ、シイナにしてみれば。
「興味ない」
 胴体再生中の今は隙が大きいはず。攻撃のチャンスだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

酒井森・興和

其方にも盟約めいた物があるのかね
でも僕は土蜘蛛の眷族
女王が組まぬなら僕の敵だ
我等の御山すぐ傍で他族の儀式は気に障るしねえ

正気の人狼騎士は各々行動任せる

パフュームリリスか
厄介だが近接も止む無し
敵が少しでも不利なうちに追い詰めておきたい

三砂を構え
【第六感と集中力、気配感知】で敵の連撃を感覚で避け全弾直撃は避けたい
捌ける攻撃は【怪力で受け流し、なぎ払い】抗体槍の先を弾き飛ばす
その勢いのまま三砂で【重量攻撃】を腹や再生直後の部分に撃ち込み姿勢を立て直す隙にUC行使
敵は槍の使い手
全糸当たらずとも傷か毒は負わせるはず
逆鱗で【追撃、毒使い投擲】
毒で攻めるは鋏角衆の常套
卑怯でないよ
三砂で【急所打ち】叩き込む



「其方にも盟約めいた物があるのかね」
 『色欲』と先の猟兵との会話を聞き、そう呟くのは酒井森・興和(朱纏・f37018)だ。
 返事は期待せずの呟きだったが。
「応える切りはないわね」
 やはり返事には期待出来なかった。
「まぁ、僕は土蜘蛛の眷族。女王が組まぬなら僕の敵だ。我等の御山すぐ傍で他族の儀式は気に障るしねえ」
「その言い方、あなた、あの裏切り者の土蜘蛛に忠……いえ、違うわね。本来の土蜘蛛の女王に忠誠を誓う者か。そういうことなら、お互い語る言葉はないわね」
 『色欲』が胴体を抑えながら槍を構える。
 興和もそれに応じ、『三砂』を構える。
「人狼騎士の方々、各々行動任せる」
「承知した。後方より援護させてもらう」
 そう言うと、人狼騎士達は射程ギリギリの20mまで下がり、『詠唱ライフル』を構える。
(パフュームリリスか。厄介だが近接も止む無し)
 胴体の負傷の分、守りに入ったか、先手を取ったのは、興和。一気に地面を蹴って、『色欲』に肉薄する。
「!」
 遅れて反応した『色欲』。槍の形をした抗体兵器の先端を輝かせ、興和に攻撃を仕掛ける。
 だが、興和が先に動いた分、その進路を塞ぐように飛んでくる槍の進路は、興和の予測の範疇を超えない。
 持ち前の怪力で『三砂』を振るい、槍の先端を弾き飛ばすと同時、その勢いで腹部のブイ再生中部位へとそのつるはしの先端を撃ち込む。
(敵が少しでも不利なうちに追い詰めておきたい)
「八相、獲刺」
 指先で描いた八点から鋼糸が放たれる。
「!」
 慌てて『色欲』は後方に飛び下がろうとするが、再生中部位を狙われたことで、動きが明白に鈍り、回避するどころか、真正面から無防備にその鋼意図を受け止めることになる。
(全糸当たらずとも傷か毒は負わせるはず、と思ったが。これは)
 想定以上の戦果。すかさず、『逆鱗【朱纏】』で追撃をかける。
 イニシアチブを取り戻したい『色欲』を槍を振るって、鋼糸を抜け出しながら後方に飛び下がり、逆鱗をかすり傷で済ませるが、直後、顔を歪ませる。
「これは、毒か!?」
 そう。鋼糸と逆鱗には毒が塗られていたのだ。
「毒で攻めるは鋏角衆の常套。卑怯でないよ」
 後方に飛び下がった『色欲』を興和は再び地面を蹴って肉薄。
 再生中の胴体に向け、さらに渾身の『三砂』の一撃を叩き込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真波・祭

人狼騎士の人達を裏切り者呼ばわりするのはクルースニクとしてで、
土蜘蛛を裏切り者呼ばわりするのはオブリビオンとして、ってこと?

なんだか頭の中がこんがらがっているみたいね。
まずはすっきりするように、その仮装を燃やしてあげるわ。

《炎剣》を携え、《炎翼》を展開して飛翔。
敵との距離を保ち、槍の間合いに入らないようにしながら、こちらは《炎弾》で攻撃。

パフュームリリスって確か魅了の香りを放つ奴よね?
香りは纏った《炎衣》で防御するわ。

敵が苛立って動きが雑になったり、又は隙が見えたりしたなら、その動きを先読みして一気に接近。
《炎剣》で槍を弾き飛ばしてこちらの間合いに入り、その身体を斬り払う!



「人狼騎士の人達を裏切り者呼ばわりするのはクルースニクとしてで、土蜘蛛を裏切り者呼ばわりするのはオブリビオンとして、ってこと?」
 これまでの猟兵達とのやりとりを見て、二つの異なる性格を持つ『色欲』の様子にそう呟くのは、悪しき未来を見通す眼とその未来を覆す力を受け継いできた「知られざる一族」の末裔にして、グリモア猟兵の話にあった優香を目覚めさせる戦いにも貢献した真波・祭(白炎のエアライダー・f42349)だ。
「その通りだ。こいつらは銀誓館に与する裏切り者だ。そして、あの土蜘蛛どもはオブリビオンの恥晒しよ!」
「なんだか頭の中がこんがらがっているみたいね」
 まさに二つの性格が入り混じる返答に、祭は笑う。
「まずはすっきりするように、その仮装を燃やしてあげるわ」
 太陽の光と熱を司るオーラを剣として具現化させて構え、翼として具現化させて空中に飛び上がる。
「やれるものならね! この一撃の元に両断されてしまいなさい」
 地面を蹴って祭に向けて槍の形をした抗体兵器を振り回す『色欲』から後方に飛び下がって距離を取ることで回避しつつ、オーラを弾丸の形に具現化させて放つことで攻撃する。
 シンプルなその攻撃は『色恋』にも予測可能。オーラといえど物理的に具現化しているなら、槍で迎撃出来るとばかりに、振り回した槍で炎の如き弾丸を迎撃していく。
「パフュームリリスって確か魅了の香りを放つ奴よね?」
 その通り。「パフューム」と呼ばれる香りを自分の周囲に漂わせ、20m以内の対象全てを魅了する恐るべし抗体ゴースト。それがパフュームリリスであった。
 ここまで味方がその被害に遭っていないことを考えると、このオブリビオンはパフュームまでは再現していない名ばかりパフュームリリスである可能性が高かったが、祭は念の為、オーラを炎の衣へと具現化させ、身に纏うことで防御する。
 果たして、それは効果があった。
「このままでは膠着か。なら再現を強めて、これならどう!」
 直後、膠着した状況に焦れた『色欲』がパフュームを放ってきたのだ。
(これを待ってたのよ)
 だが、炎衣によりパフュームは防がれた上に、焦れたその瞬間こそが祭の待っていた瞬間だった。
 一気に翼をはためかせ、祭が『色恋』に肉薄する。
 発動するはユーベルコード『天眼』。
 槍の軌道全てを未来を見通すその力で見極めて回避し、鋭い炎剣の一撃が、『色欲』を見事に一刀両断した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『十字皇の使い』

POW   :    我らは嘗て在りし者の残滓、故に
戦場全体に【心の闇を消し去る光の世界】を発生させる。レベル分後まで、敵は【十字光】の攻撃を、味方は【十字光】の回復を受け続ける。
SPD   :    全き光
【メガリス】を纏わせた対象1体に「攻撃力強化」「装甲強化」「敵対者に【自我消失、記憶の混濁、五感の消滅】を誘発する効果」を付与する。
WIZ   :    我らが望むのは闇無き世界也
レベルm半径内に【心の闇を消し去る十字光】を放ち、命中した敵から【生命力】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。

イラスト:えんご

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠白石・明日香です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「そんな、こ、この私が!!」
 両断された『色欲』が霞のように消えていき、最初の女性人狼騎士の姿に戻る。
「バカな。私が……裏切り者どもなどに……」
 そして、女性人狼騎士もまた、膝をつく。
 直後、女性人狼騎士が『色欲』の両断面と同じ方向に避けていき、そこから緑色のツインテールをしたオレンジの瞳の女性が姿を現した。
 頭に巨大なネジを生やしたオブリビオン。
 優香の夢の中で見たオブリビオンと同種のものだ。状況から推察するに、女性人狼騎士を操っていたメガリス「ニーベルングの指輪」の効果がオブリビオンとして実体化したものだろう。
 ニーベルングオブリビオン、とでも言おうか。
「……」
 新たなオブリビオン『十字皇の使い』は静かに戦闘体制を取る。
 どうやら、まだこいつを倒さなければ、事態を収拾したとはいえなさそうだ。
 周囲にはまだ味方の人狼騎士もおり、新たなオブリビオンの登場に合わせて、『詠唱ライフル』を構えている。協力を要請することも出来そうだ。
酒井森・興和

さっきの女騎士か、それともあなたか
能力者の少女を昏睡させ儀式に利用していたのは
誰のどういう思惑なのかな?
後で人狼騎士の方々にも訊ねておこう

ふむ
これはあなたの攻撃が作り出した世界か
何とも妙な空間…落ち着かない気もするねえ
【狂気耐性】でどこまで敵UCに抵抗できるか
攻撃には【気配感知で受け流し】即【追跡、カウンター】
【早業】で逆鱗を【毒使い、投擲】
手応えを感じれば【追撃】する
三砂で【重量攻撃】を撃ち込み【急所突き】、ツルハシ部分で掻き斬る様に【切断】怯ませるか隙を突き
UCを行使
回復されるより多くの負傷を【2回攻撃】使い叩き込む

ネジのメガリスは過去の厭な敵を思い出すよ
今も何やら残滓がありそうだがね…


嶺・シイナ

さくさく終わらせようか。

文庫本を開き、情念の獣を呼び出す。
ほんとう、オブリビオンのくせに、くだらないことを言うね。
過去のくせに、組織云々とか、今を生きているみたいなことを言って。

光とか闇とか、裏切りは粛清しなければとか、なんだか自分が正しいみたいな振る舞いをする。
滑稽だよ。

正しいものなんてないだろ。
ただ己の中に棲む情念という獣に従って生きているんだ。
僕も、お前も。

応じるように、情念の獣が唸った。


禍神塚・鏡吾

技能:閃光、言いくるめ、集団行動
妖狐に人狼騎士、リリス、果ては土蜘蛛の檻まで、元は一つの目的の為にあったとは
全てが真実とは限りませんが、大きな陰謀が動いている様子
これまで遭遇したオブリビオンも、首謀者にとっては駒の一つに過ぎないのでしょうか
それでも目の前の駒を一つひとつ取り除いていくことに意味はあります

鏡から光を放って室内の暗闇を無くし、敵UCの威力増加を防ぎます
そして【魔法の鏡】でこの場の猟兵と人狼騎士達に呼び掛けます
「過去に誠実であるため、今なしたい事のため、理想とする未来のため……皆、戦う理由は違えど、メガリスで意思を操る所業を看過できないのは同じの筈
手を携えてあの敵を倒しましょう!」



「さっきの女騎士か、それともあなたか。能力者の少女を昏睡させ儀式に利用していたのは
誰のどういう思惑なのかな?」
 そう呟くように尋ねるのは酒井森・興和(朱纏・f37018)だ。
「……」
 だが、尋ねられた先であるニーベルングオブリビオン『十字皇の使い』はと言うと、一切の発言をせず、ただ戦闘体制を取って猟兵の出方を伺うのみと言った様子だ。
「これは、後で人狼騎士の方々にも訊ねておいた方が良さそうだ」
「わ、我々は何も知りませんよ」
 こちらの答えはすぐに返ってきた。
「ただ、先の偽人狼騎士は我々が発見するまで随分長くここに滞在していた様子。色々と暗躍していたのは彼女かもしれません」
 と人狼騎士達は『詠唱ライフル』を油断なく構えながら自分達の集めた僅かな情報を続ける。
「果たしてそれは、先程の女騎士のオブリビオン本人の意志なのか、彼女を操るネジらしきこのオブリビオンの意志なのか」
 いや、それは重要ではないか、と呟くのは禍神塚・鏡吾(魔法の鏡・f04789)。
「それにしても、妖狐に人狼騎士、リリス、果ては土蜘蛛の檻まで、元は一つの目的の為にあったとは、全てが真実とは限りませんが、大きな陰謀が動いている様子。これまで遭遇したオブリビオンも、首謀者にとっては駒の一つに過ぎないのでしょうか」
 鏡吾の中で思い出されるのは『色欲』が告げた言葉。少なくとも目の前のこのオブリビオンを倒してこれまでの事件は全て解決、とはいかないのは間違いなさそうだ。
「それでも目の前の駒を一つひとつ取り除いていくことに意味はあります」
 そうすればいつかは黒幕に辿り着くことが出来るだろう。
「……!」
 焦れたか、何かを隙と見たか。先に動いたのは『十字皇の使い』。
 十字光を放ち、周囲一帯の猟兵とそして人狼騎士から生命力を奪わんとする。
 猟兵であれば大したダメージではないが、人狼騎士には致命傷になりかねない。
 鏡吾は『西洋鏡』から激しい閃光を放って暗闇を無くし、そのダメージを軽減する。
「私は真実をもって答えるのみです」
 そう言いながら、鏡吾は本体である『西洋鏡』から言葉を発する。
「過去に誠実であるため、今なしたい事のため、理想とする未来のため……皆、戦う理由は違えど、メガリスで意思を操る所業を看過できないのは同じの筈。手を携えてあの敵を倒しましょう!」
 ユーベルコード『|魔法の鏡《スレイブ・イン・ザ・マジックミラー》』。本体である喋る鏡からの言葉を聞いて共感した者の戦闘力を増強するものだ。
「そうだ。私達は二度と『ニーベルングの指輪』には屈しない!」
 その言葉が一番効いたのは、人狼騎士達。かつて『ニーベルングの指輪』に翻弄された彼らは、一際洗脳に対する怒りが強い。
 それを思い出した彼らは一斉に『詠唱ライフル』を構え、|能力《アビリティ》『クロストリガー』で攻撃を始める。
「あぁ、全く。ネジのメガリスは過去の厭な敵を思い出すよ。今も何やら残滓がありそうだがね……」
 そして、興和もまた、その言葉に頷く。土蜘蛛戦争以来、銀誓館学園にいた彼は人狼騎士達の次に『ニーベルングの指輪』についてよく知っている。
「まぁ、さくさく終わらせようか」
 一方、鏡吾の言葉に強くは共感しなかったのは、嶺・シイナ(怪奇人間の文豪・f44464)だ。
「さっきの奴。ほんとう、オブリビオンのくせに、くだらないことを言ってたね。過去のくせに、組織云々とか、今を生きているみたいなことを言って」
 そう言いながら、開かれるのは一冊の文庫本『文庫本「亜桜研究所」』。
「光とか闇とか、裏切りは粛清しなければとか、なんだか自分が正しいみたいな振る舞いをする。滑稽だよ」
 しかし問題はない。彼女は彼女で、オブリビオンを生かしておきたい理由はなかった。
「正しいものなんてないだろ。ただ己の中に棲む情念という獣に従って生きているんだ。僕も、お前も。そうだろ?」
 その問いかけと同時、『文庫本「亜桜研究所」』から蛇の姿をした上年の獣が飛び出し、唸る。
「……」
 やはり『十字皇の使い』は問いかけには応じない。しかしそれでいい。ユーベルコード『其の答えを識るまで、僕は死ぬ事もままならぬ』は答えを得るまで攻撃し続けられるのだから。
「……!」
 飛びかかってくる蛇を後方に飛び下がって距離を取りながら回避しつつ、『十字皇の使い』は戦場全体に光の世界を展開する。
「ふむ。これはあなたの攻撃が作り出した世界か。何とも妙な空間…落ち着かない気もするねえ」
 引き続き飛んでくる十字光を興和は気配感知で受け流し、素早い動きで『逆鱗【朱纏】』を投擲し、『十字皇の使い』に命中させる。
 攻撃を放った直後が最も隙が多い。そう見抜いた興和によるなんとも見事なカウンターの一撃。
 その隙を逃さず、シイナが呼び出した蛇の姿をした情念の獣が『十字皇の使い』に牙を立てる。
 隙をついた一撃は次なる隙を生む。興和は更なるその隙を逃さず、一気に地面を蹴り、追撃をかける。
 構えるは『三砂』。その心の臓に向けて、強烈な一撃を叩き込む。
「……」
 そのダメージは十字光により回復を始めるが、興和とシイナが使役する情念の獣はそれを許さない。
 傷ついた胸の傷に情念の獣が牙を立てる。
「……っ!」
「!」
 『十字皇の使い』が思わず表情を歪めたその瞬間、興和は右手を『十字皇の使い』の胴体に突き立てる。
 呼気により練り上げられた興和の「気」が、『十字皇の使い』の体内に流れ込み、内蔵をズタズタに破壊する。
 さらに、左手の指先が再び『十字皇の使い』の胴体に突き立てられ、もう一度内臓がズタズタに破壊される。
「っ……」
 『十字皇の使い』は慌てて後方に飛び下がろうとするが、人狼騎士達の制圧射撃がそれを許さず、興和とシイナが使役する情念の獣による攻撃が続く
 鏡吾の強化から始まった一連の攻撃は確実に『十字皇の使い』に痛打を与え、その継戦能力を刈り取ったはずだ。
 決着は間も無くだ。このまま崩していこう。
 なお、鏡吾のユーベルコード『|魔法の鏡《スレイブ・イン・ザ・マジックミラー》』はまだ有効だ。鏡吾の言葉に共感を示せば、強化を受けて戦闘が可能だろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真波・祭

あのネジ――なるほど、あの忍者の同類ってこと。
|他人《ひと》の頭の中に隠れてこそこそやってると思ったら、仲間同士でも同じようなことをやってるのね。

また隠れられたら面倒。
ここで骸の海に還してあげる!

ベルトから取り出した詠唱銀を一齧りして力を補充。
UCの力を込めた炎を全身に纏う。

《炎翼》を広げ、一気に接近。
《炎弾》で十字光を迎撃し、残滓は《炎衣》で防御。
オーラを込めた《炎剣》で攻撃する!

併せて、敵のみを焼き尽くす《炎嵐》で敵のUCそのものを燃やし尽くす。
回復なんてさせない。

お仲間の忍者は、貴方達の主人が私達猟兵を必ず倒すって言っていたけど、逆よ。
私達猟兵が貴方達の主人を必ず倒してみせるわ。



「あのネジ――なるほど、あの忍者の同類ってこと」
 ニーベルングオブリビオン『十字皇の使い』の頭に生えた巨大なネジを見て、そう呟くのは真波・祭(白炎のエアライダー・f42349)だ。
 そう、祭がかつて全てが飛び交う優香の夢の中で出会った忍者のオブリビオンも恐らくニーベルングオブリビオンだったのだろう、と推察出来る。
「|他人《ひと》の頭の中に隠れてこそこそやってると思ったら、仲間同士でも同じようなことをやってるのね」
 恐らく間違いなく、両者は同じ勢力により埋め込まれたものだ。
「また隠れられたら面倒。ここで骸の海に還してあげる!」
 先の猟兵も言っていた。確実に駒を潰し続ければ、いつかは黒幕の元辿り着けるはずだから。
 祭はベルトから取り出した詠唱銀を人齧りして力を補充し、ユーベルコード『業火』を発動する。
「……」
 対する『十字皇の使い』は身体中、特に胸につけられた傷を回復するため、周囲に光の世界を展開して、十字光による回復を試みる。
 そうはさせないと祭は太陽の光と熱を司るオーラを炎の翼として具現化させ、一気に『十字皇の使い』に肉薄せんと地面を蹴る。
 『十字皇の使い』は祭の接近を阻もうと十字光を放って弾幕を張るが、オーラを炎の弾として具現化させ、十字光を迎撃していく。
「……!」
「残念だけど」
 迎撃した十字光の残滓がせめて少しでも祭を削ろうと迫るが、炎の衣として具現化したオーラがそれを阻む。
「回復なんてさせない!」
 炎の剣として具現化したオーラが『十字皇の使い』を、その展開した光の世界ごと焼き尽くす。
 ユーベルコード『業火』によって発現するこの炎はユーベルコードをも焼き尽くすのである。
 『十字皇の使い』は最後の力を振り絞り、窓ガラスを突き破って屋外へ離脱しようとする。
 このまま行方をくらませるつもりだ。
「お仲間の忍者は、貴方達の主人が私達猟兵を必ず倒すって言っていたけど、逆よ」
 祭はそれを追って地面を蹴り、窓から外へと飛び出す。
「私達猟兵が貴方達の主人を必ず倒してみせるわ」
 それは心からの思いであり、同時に、先の猟兵のユーベルコードの強化を受けるための宣言でもあった。
先の猟兵のユーベルコードの効果により戦闘力が増強され、祭は炎の剣を手に一気に『十字皇の使い』に迫る。
「……!」
 『十字皇の使い』が目を見開く。だが、空中では回避も出来まい。
 炎の剣が『十字皇の使い』の胸に開いた大きな傷へと突き刺さり、そしてそれが、トドメとなり、消滅していく。
 このまま祭は山の下へと自由落下していくことになるわけだが、心配には及ばない。
 祭は太陽のエアライダー。その本業能力はエアライドであり、どんなに高いところから落下しても、学校の机から飛び降りた程度であるかのように安全に着地出来るのだ。

 かくして、戦いは終わった。
 謎は多く残されたが、得るものもあった。
 今は銀誓館学園に戻り、次の戦いに備えよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2025年03月16日


挿絵イラスト