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Role of Justice ~ 正義の心 ~

#サイバーザナドゥ #カクリヨファンタズム #竜神親分『碎輝』

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#竜神親分『碎輝』


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●竜神碎輝と帰還の宴
「御機嫌よう、皆。よく来てくれたね」
 グリモアベースにある作戦会議室、招集に応じた猟兵たちをカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)は一礼で出迎えた。

 以前サクラミラージュで起きた帝都櫻大戰に際し、数多くの世界から助っ人が駆けつけた事を知る者は多いだろう。
 転移を担ったキャンピーくんが行方知れずとなった事から、彼等の多くは未だ転移先に取り残されているのだが……その帰還の一助となる戦いを予知したのだと彼女は告げる。

「舞台はサイバーザナドゥ。|碎輝《さいき》帰還のお手伝いになるよ」

 最弱にして最強、無限に成長するという性質を持つカクリヨファンタズムの竜神親分碎輝。
 碎輝は「宴」と呼ばれる儀式を通じて幽世へと戻る方法を知っている。
 だが神王サンサーラとの戦闘で成長し過ぎた彼がそのまま帰還すれば、幽世にカタストロフを引き起こしてしまう危険があるのだという。

 グリモア猟兵の説明によれば此度の手筈は三段階。
 まずは碎輝を正面戦闘で撃破する事による無限成長の停滞。
 次に「|決闘ごっこ《カクリヨバトリズム》」による既に蓄積したパワーの発散。
 最後に幽世へ渡る為の「宴」を行い、幽世帰還の行程進行。

「最初が最難関になるけれど、碎輝の無限成長には特徴があってね」

 それは“自分がヒロイックな状況に追い込まれる程パワーアップする”というもの。
 即ち猟兵側が正々堂々格好良く戦う事で成長を抑制する事が出来るのだ。
 一度ダウンを取れれば碎輝は小学生形態に変身し、成長はひとまず落ち着くらしい。

「それと今回の決闘ごっこはサイバースペースを利用したリアルシミュレーションゲーム形式との事だよ」
 限られたコストで戦闘機や戦車を編成、指揮して行う陣取り合戦。
 勝敗以上に有り余る力で作成したユニットを大暴れさせる事が重要になるとカタリナは語る。

「後は……宴は普通の宴会らしいね。ついでにシミュレーションの延長で色々遊べるみたいだ」
 曰く、色々なジョブになりきるレクリエーションを儀式としての宴にも流用して云々。
 料理人や芸術家、アスリートや魔術師etc.……碎輝と共に普段と違う姿を演じるのが今回のお題なのだとか。

「アタシとしても助力への義理は果たしたいところだしね。苦労を掛けるけれど、どうか力を貸してほしい」

 見送る言葉と共にグリモアが輝き、豪奢な装飾の施されたゲートが開いて。


ふーみー
 当シナリオをご覧くださりありがとうございます、ふーみーです。
 異世界に取り残された助っ人たちの帰還お手伝い、今回は竜神親分|碎輝《さいき》編!
 このシナリオで得た​🔵が「299個」を超えるまで碎輝のパワー発散と宴の儀式を繰り返せば、碎輝を幽世に帰す事が出来るようです。

 一章は竜神親分『碎輝』とのボス戦。
 無限の力を振るう神王サンサーラと真っ向勝負を繰り広げる程に成長した事で非常に強大ですが、猟兵が正々堂々格好良く戦う事で成長を抑制できます。
 正義や信念、美学等を語ったり格好良い口上・詠唱等でアピールしたりすると有利に戦えるでしょう。
 二章は碎輝との|決闘ごっこ《カクリヨバトリズム》。
 ミニゲーム形式の対決となります。ルールは断章でご確認ください。
 三章は碎輝が幽世へ渡る為の「宴」。
 碎輝と共に任意のジョブになりきって思い思いの時間を過ごす章です。

 なお極力再送願いはせず進める為、必要な🔵数の関係から二章・三章は比較的〆切が早くなる事が予想されます。
 「サポート・オーバーロードを除きシナリオクリアに必要な🔵を満たしたプレイングの期限」が目途。
 日付は適宜タグでもお知らせする予定です。

 また、希望する展開の指標として難易度オプションも実施しています。
 興味のある方はMSページをご覧ください。
 それでは皆様の健闘をお祈りしています。
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第1章 ボス戦 『竜神親分『碎輝』成長電流形態』

POW   :    成長電流
【黄金竜】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【状態から次第に強くなっていく電流】を放ち続ける。
SPD   :    黄金竜神
【体に雷を纏う】事で【無限に成長を続ける黄金竜の姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    超電竜撃滅衝
自身が装備する【槍】から【無限に成長する巨竜型の雷電】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【麻痺】の状態異常を与える。

イラスト:108

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●深淵にて
「ん……? おお、よく来てくれたな!」

 裏社会の人間さえ見向きもしないサイバースペースの奥深く。
 薄暗く何も無い空間に黄金の竜神はひとり佇んでいた。

「こっちも事情はある程度把握してる。いや、正直ちょっと参ってたんだ有難い!」

 仮初の空間を満たすのは息苦しさを感じる程の威圧感。
 まともに鼻が利く者なら好き好んで近付こうとは思わないだろう。
 抑えようとして猶も滲み出る強大な力は、今こうしている内にも高まり続けている。

「それじゃ、成長が進み過ぎる前に始めよう。準備はいいか?」

 神さえ屠る黄金が輝く。
 
神臣・薙人
碎輝さんには
サンサーラとの戦いでお世話になりました
微力ながら帰還のお手伝いを致しましょう

碎輝さんも事情はある程度ご存じなのですね
ではこちらも正々堂々と参ります
私は神臣薙人
桜の精の白燐蟲使いです
共に生きる蟲達と共に貴方へ挑みます

口上の後に白燐想送歌使用
一時的にでも槍を封じられれば
少しは戦いやすくなるでしょう
碎輝さんの動きをよく見て
攻撃の直撃を避けつつ
真正面から白燐蟲をけしかけて攻撃
こちらが負傷した場合
碎輝さんの武器封じが解除された場合は
UC再使用
私と白燐蟲の関係は共生です
使役するのではなく
共に生き、共に戦う
それが私達の力です
さあ思い切り戦いましょう
貴方がこの戦いの中で成長しても
耐え抜いてみせます



●つよく、やさしく
「碎輝さんにはサンサーラとの戦いでお世話になりました」
 仮想の空気を涼やかな声が揺らし、幻想の桜が淡く薫る。
 神臣・薙人(落花幻夢・f35429)の訪れは周囲に満ちる重苦しさを僅かに和らげるようだった。
「微力ながら帰還のお手伝いを致しましょう」
 為すべき事は互いに明瞭、故に話は早い。
 ぴんと真っ直ぐに背筋を伸ばし、紡ぐ声は朗々と。

「私は神臣薙人、桜の精の白燐蟲使いです。共に生きる蟲達と共に貴方へ挑みます」
「俺も改めて名乗ろうか、竜神親分の碎輝だ! よろしく頼むぜ薙人!」
「それでは、いざ尋常に」

 響き渡る【白燐想送歌】が先手を制した。
 不殺と反戦の主張を込めた歌声は白燐蟲に伝わり、範囲内に存在する敵対者の武器を封じ込める。
 碎輝の【超電竜撃滅衝】は槍を起点とするユーベルコード。
 先の戦いでは無限をも穿った切り札への対策は、まず戦闘を成立させる為の必須事項だった。

「おっと……! へぇ、やるな! だが勝負は此処からだぜ!」
「覚悟の上ですよ」

 神王サンサーラとの共闘で薙人が担った役割は成長途上の碎輝の守護だが、成長を遂げた後の戦いも見届けている。
 彼自身も幾つもの戦争を戦い抜いた一線級の猟兵だ。
 槍持つ片手の塞がった儘に仕掛ける碎輝の猛攻にも怯む事なく、白燐蟲と共に真正面から立ち向かう。

「っ……まだまだ!」
「良い闘志だ! あの時からもっと成長したお前の強さも見せてくれ!」
「勿論……!」

 絶え間なく襲い掛かる拳打蹴撃の威力は勿論の事、その身から迸る雷電も単なる余波の域に留まるものではない。
 白燐蟲の反撃を合わせて直撃を避けながら、純粋なエネルギー量の暴力は着実に少年の身を焼いていく。
 それでも、後れを取りはしない。

「そうか、その力は!」
「ええ――私と白燐蟲の関係は共生です」

 歌声に応え白燐蟲がもたらすもう一つの恩恵、負傷の治癒。
 ダメージそのものを防げる訳ではない。
 だが、歌を奏でる限り戦い続ける事は出来る。

「使役するのではなく……共に生き、共に戦う。それが私達の力です」
「絆って奴か! へっ、道理で……!」

 支え合い信じあう彼等の戦い方は碎輝の成長を抑制するに充分。
 緩和された碎輝の成長と薙人たちが与えるダメージ、焼き焦がす雷電と白燐蟲の癒し。
 息つく間も無い綱渡りの攻防の上に成り立つダメージレースは確かに碎輝の力を削っている。

「さあ、思い切り戦いましょう。貴方がこの戦いの中で成長しても――耐え抜いてみせます」
「ははっ、頼もしいな! どんどん行くぜ薙人っ!」

 薙人の耐え抜く強さは他ならぬ碎輝も目の当たりにしている。
 激しく火花を散らす長期戦の果て……いつしか竜神の荒ぶる力も穏やかに鎮められて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カグヤ・モンデンキント(サポート)
モンデンキント級植民艦3番艦カグヤに宿ったヤドリガミですわ。
女性に年齢を聞くものではなくてよ。

まずは地球型惑星を破壊できる規模の主砲であるユーベルコード「ジャッジメント・クルセイド」を放ちますわ。
あるいは周囲から慌てて止められ、仕方なしに別のユーベルコードを使いますわね。

多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は致しませんわ。

あとはおまかせ。よろしくおねがいします。



●ぶつかり合う滅びの光
「御機嫌麗しゅう。猟兵としての名義はカグヤ・モンデンキント(天体娘・f31348)
 ……モンデンキント級植民艦3番艦カグヤに宿ったヤドリガミですわ」

 陰鬱な空気の立ち込めるサイバースペース深奥部、乗り込んだカグヤは静やかに名乗りを上げる。
 現実ならざる仮想空間ではあるが亜空間に保護している本体との接続は無事に完了。
 元より余人の寄り付かない広大な戦場、力を十全に振るうに当たって不都合は無さそうだ。

「本体ならざる仮初の肉体でのお相手になる事は些か申し訳なく思いますが……」
「あー……まぁ、ヤドリガミってそういう種族だしな。世話になる側だ、わざわざいちゃもん付けはしねぇよ」
「であれば何よりです」

 竜神親分『碎輝』、その暴走に近しい過剰な成長を鎮める為に一度打ち倒す事がこの戦いの目的。
 彼を最弱にして最強たらしめる無限の成長を抑制する鍵が正々堂々と戦う事なのだという。
 種族も戦い方も千差万別ではあるが、問題が無いなら自分に出来る手段で務めるまでの事。

「寧ろそんな本体に下手なフィードバックいかねぇか心配だが……力を借りる身で言う事でもねぇな!
 それじゃ、遠慮なく相手になってもらうぜ!」
「要塞主砲ジャッジメント・クルセイド――放て!」

 碎輝の【超電竜撃滅衝】とカグヤの【ジャッジメント・クルセイド】が放たれたのは殆ど同時。
 相殺――否。
 インドラの矢に例えられ惑星をも破壊する赫奕たる主砲型神器、その一撃が掻き消される。

 サクラミラージュより複数世界にまで戦線の拡大した帝都櫻大戰、援軍として駆け付けた碎輝は猟兵との共闘を経て無限の力を振るう神王サンサーラを穿つ程に成長を遂げた。
 戦いが終わった後も治まる事無く成長が続いていた事の意味。
 このまま帰還すればそれだけでカクリヨファンタズムにカタストロフィを引き起こしかねない程の、純粋にして絶大なエネルギー量の発露が荒れ狂う雷電の巨竜だった。

「道理で、私の火力が必要とされる訳ですわね……!」

 手応えはあった。
 雷竜のエネルギー量と成長のペース、主砲との激突による力の減衰は要塞側である程度観測できている。
 成長停滞の為にどれ程削る必要があるかは定かでないが、少なくとも撃ち続ける事には意味がある。
 次弾装填。
 迸る雷電のもたらす麻痺に苛まれる体に鞭を打ち、此処からが本番だと指先を向ける。

「幸い、無茶の効く仮初の肉体……! 幾らでも付き合って差し上げますわ!」
「礼を――いや、それは宴の後までとっておくか。今はきっちり発散して応えさせてもらうッ!」

 個人レベルにして星間戦争級の大火力がぶつかり合う戦いの果て……
 満足するかのように雷電の巨竜が霧散する頃、碎輝もまた小学生形態にまで背丈を縮めるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

北条・優希斗(サポート)
『敵か』
『アンタの言う事は理解できる。だから俺は、殺してでも、アンタを止めるよ』
『遅いな』
左手に『蒼月』、右手に『月下美人』と言う二刀流を好んで戦う剣士です。
自らの過去を夢に見ることがあり、それを自身の罪の証と考えているため、過去に拘りと敬意を持っております。その為オブリビオンに思想や理想があればそれを聞き、自分なりの回答をしてから斬ります。
又、『夕顔』と呼ばれる糸で敵の同士討ちを誘ったり『月桂樹』による騙し討ちを行なったりと絡め手も使います。
一人称は『俺』、口調は年上には『敬語』、それ以外は『男性口調』です。
見切り、残像、ダッシュ等の機動性重視の回避型の戦い方をします。



●その刃に籠めるもの
「竜神親分、碎輝。こうした形で会うのは初めてになるかな」
 北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)の双眸は静謐に碎輝を見据えた。
 戦う必要のある相手でこそあれど敵ではない。
 寧ろ猟兵にとっては複数回の戦争で助力を受けた恩人であると言っていい。
 一方、彼との戦いを幾度となく予知した優希斗はその強大さをよく理解していた。

「俺は北条優希斗。一介の妖剣士に過ぎぬ身なれど、先の助力に報いるべくお相手しよう」
 名乗りを上げ、少し考えて付け加える。
 正々堂々を掲げるならば、碎輝とのこの戦いは|それ《・・》に値するだろう。
 気安く振り翳す類のものではない。
 故にこそ、明かす事は覚悟の表れと言えた。
「――そうする事が、俺の贖罪の道にも通じると信ずるが故に」

「そうか」
 僅かな瞑目。無論、碎輝に優希斗の事情を知る術は無い。
 ただ、その宣言の裏に込められた意思を感じ取るのみ。
「礼は宴の後までとっておこう。今はお前の背負うもの、その覚悟の程を示すがいい!」
 咆哮が轟く。
 黄金竜へと変じた碎輝が放つ【成長電流】は初手から尋常ならざる火力で戦場を蹂躙する。

 黄金と紫電の輝きが照らし出すのは既に張り巡らされていた紫色の鋼糸。
 優希斗の狙いは短期決戦。
 ユーベルコードの域にまで鍛え上げたオーラの防護を最大限に、碎輝自身へと電流を跳ね返す。

『うおっと……!? やるな、大した技だ!』
「出し惜しみはしない。全力でいかせてもらう!」

 拮抗は数秒。
 抑制されて猶も緩やかに成長を続ける電流は直にオーラさえも焼き払うだろう。
 夕顔――罪たる花の名を持つ鋼糸を踏みしめ、飛翔する黄金竜へと距離を詰める。
 碎輝の脅威は電流だけではない。
 その羽搏き、薙ぎ払う竜爪にも雷撃に等しい速度と破壊力が込められている。

『こっちも遠慮は無しだ! 超えてみせろ、優希斗ッ!』
「ああ、超えてみせるとも……!」

 火花と呼ぶには苛烈に過ぎる閃熱が爆ぜた。
 ひとたまりもなく消し飛ばされたかに見えた青年の姿は残像。
 蒼月・零式の透き通る刃を煌かせ、瞬時に加速して駆けた優希斗は黄金竜の頭上を取って。

「終わらせる。汝の裡に潜む――その罪と魔と深淵を」

 優希斗が選んだ【闇技・罪業断裂蒼覇斬】はある種の賭けだった。
 碎輝を最弱にして最強たらしめる無限の成長、望まずして世界を脅かす程の業。
 通じる保証は無い。無いが、この闇技の対象となるのなら決着を付ける切り札足り得る。
 選択の時は疾うに過ぎている。
 ただ一心に振り抜いた魔刀が確かな手応えを返し……

「……成程な。見事なモンだ……!」

 ヒトの姿に戻った碎輝が地へと墜ちていく。
 贖罪の意志を籠めた一撃はその肉体を傷つける事なく、過剰な成長のみを斬り祓った。

成功 🔵​🔵​🔴​

夜城・さくら(サポート)
キャバリアでの戦闘をメインに。
『オーバーフレーム換装』では、装甲を犠牲に攻撃力か射程を上げて仲間を援護するように攻撃します。【スナイパー】技能使用。
手数が必要な時は『無限射撃地獄』です。敵がビット攻撃してきた際には相殺するように展開することも。

キャバリア以外では、『ギタギタ血まみれの外科手術』で仲間の治癒と戦闘力増強に励みます。
「ちょっと痛いですよ? でも大丈夫。すぐに元気すぎるくらいになりますからね」
笑顔でノコギリを振るいます。大丈夫怖くない怖くない。



●5倍×未知数α
「ふむふむ、なるほど? 助け合えるに越した事はありませんね」
 量産型キャバリアAZのコクピットに乗り込み、周囲に満ちる重圧など感じてもいないように夜城・さくら(不思議ちゃんの量産型キャバリア・f30006)はにこりと微笑む。

「というわけでお初にお目に掛かります碎輝さん。夜城さくらと申します」
「おう、よろしく頼むぜ!」
「それでは尋常に参りましょう。アーマーパージ、最初からフルスロットルでいきますね!」
「っと、思い切ったな……!?」

 キャバリアをキャノンフレームに変形させる【オーバーフレーム換装】、さくらは躊躇なく装甲を切り捨てる。
 攻撃力か射程を向上させるのが常だが、此度はどちらを選んだものか。

「まぁ決まっていますよね」
「こっちも飛ばすぜ、あっさり沈んでくれるなよ!」

 碎輝が黄金竜としての姿を露わにすると同時、アンサーヒューマンたる瞬間思考力が判断を下す。
 規格外の出力と飛行能力、戦術的には射程外からの引き撃ちに詰まされる事をこそ警戒するべきだろう。
 だが、相手は碎輝だ。
 正々堂々を旨とするこの戦い、案ずるべきはただ力が及ばないという事態のみ。

「っ……」

 ばちり、と戦場全体に荒れ狂う【成長電流】が襲い掛かった。
 たとえ重厚な装甲を備えていようと貫いてくる事は想定内。
 既にかなりの成長を遂げた状態から放たれたその威力を分析、事前に構築した戦術に補正を掛ける。
 この戦いの目的は碎輝からダウンを取る事。
 ただ一度でいい。
 アンサーウェアの耐性でなけなしの稼働時間を確保、発射したダズルビットで牽制。
 駆け抜けていく熱と痺れが不随意に筋肉を引き攣らせるのを感じながらも、さくらの動作に淀みは無い。

「正面突破です。碎輝さん、受けてくれますね?」
『当然ッ! 見せてみな、お前の力を!』
「|保護機構凍結《プロテクトオフ》、|全武装制御《コントロール》|手動指定《オーバーライド》・|炉心出力120%《オーバードライブ》。レーザーキャノン|改造接続《エヴォリューション》――」

 それは元々存在した構想か、或いは成長電流に焼かれた思考回路の閃きか。
 ユーベルコードにより強化された性能を更に技術で引き上げる。言葉にすれば単純だ。
 自分自身さえパーツの一つとして定義し、キャバリアを即興で組み替える。
 一度きりの最大威力を発揮する為の火砲へと。

「――|全行程強制完了《ノープロブレム》、|撃ちます《ファイア》っ!」

 仮初の地より電脳の天へと放つは破壊の閃光。
 嵐の如く荒れ狂う雷電を貫き、その一撃は黄金竜を撃ち抜いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

陰日向・千明(サポート)
「このあと用事があるんで、さっさと地獄へ堕ちるッス」
◆口調
・一人称は「うち」、二人称は「あんた」、くだけた敬語をつかう
◆性質・特技
・マイペースで合理主義
・雨女
◆行動傾向
・特権階級者の車に轢かれ事故すら揉み消された女子高生の悪霊
・地元を鎮守する竜神の力を借りて受肉を果たした
・利己主義で秩序や慣習にこだわりはなく、勝つためなら手段を選ばないしたたかさを備えているが、なんだかんだで面倒見はよい
・神器化したスマホで霊界通信サービス「天孫(あまそん)」に武器を注文して戦う
・一度死んだ経験から死に対する恐怖心がなく、戦闘をゲームのようにとらえている。敵にも当然慈悲はない
・誤って買ったキャバリアは千明の切札



●夢と現の|随《まにま》に揺れて
「まぁ、助っ人をほったらかしってのも後々面倒臭いッスからねぇ……」
 気怠げに現れた陰日向・千明(きさらぎ市の悪霊・f35116)は平常運転。
 巡り合わせや都合もあれど、見て見ぬフリも出来ないというもの。
 重く圧し掛かるサイバースペース深層の陰鬱な空気にも負けないアンニュイを漂わせ、碎輝を前に緩く構える。

「このあと用事があるんで、さっさと片を付けるッス」
「ははっ、手間を掛けさせるな! それじゃあサクッと決めるくらいの力、見せてくれよ!」

 その身に雷を纏い碎輝は【黄金竜神】へと姿を変える。
 帝都櫻大戰の援軍として駆け付けた際には無限の力を振るう神王サンサーラをも穿った無限成長の本領。
 このまま幽世に帰還すればカタストロフを引き起こしかねない程に強まった力は開幕から猛威を振るう。

「序盤は最弱でバランス取ってるのに、コレは割と反則じゃないッスか親分?」
『まぁ猟兵と最初に接触した大祓百鬼夜行の時も成長済みの超電竜撃滅形態でバトったりしてたしなぁ』

 身体、頭脳、精神、あらゆる分野に於いて適応される無限の成長。
 その進行が示すのは凡そ付け入る隙の無い最強の存在だ。
 いや、正々堂々を旨とする在り方はある種の弱点にもなり得るが……難敵である事に違いは無い。
 仮に攻めあぐねれば更に成長し手の付けられない存在になっていく、その性質は敵対者からすれば厄介この上ない。

『あんまり力を溜めると良くねぇからな、ガンガンいくぜ! 覚悟は出来てるか!』
「一回死んでるせいでそういうのはよく分かんないッスけど……」

 覚悟。そんなものとは無縁のまま理不尽に命を奪われた日から今日まで、どうにも地に足の付かない浮遊感がある。
 怨念で悪霊として現世に留まり、竜神の力を借りて受肉を果たし、そして猟兵となった。
 そうなる前はただの女子高生だったのだ。
 今も、この瞬間でさえ、どうにもリアリティというものが感じられない。
 とはいえ。或いは、だからこそ。

「……まぁ、やる事はやるッスよ」

 間に合った。
 今や竜神の系譜に連なる神器遣いとして、神器化した千明のスマートフォンは霊界回線に繋がっている。

「配送は当日即時っす。敗走は許されない……」

 戦闘開始時には注文していた【|天孫購臨《アマソン・コーリン・》「|通販で取り寄せた両手剣《ツーハンドソード》」】。
 市販の神剣は強力だが、その性質は神器には珍しくもないシンプルなものだ。
 即ち、寿命を代償とした性能の強化。
 必要な分を必要なだけ、躊躇なく封印を取り払う。

『うおっ、お前そこまで……!?』
「じゃ、こんな感じで……」

 どれだけの寿命を消費したのか、そもそもどれだけの寿命が残っているかもよく分かっていない。
 とりあえず今回は足りたのだろう。
 碎輝をして意表を突かれる程の超加速、電脳空間が震撼する程の一撃。
 すれ違い様に黄金竜を叩き落とせば、神剣も木っ端微塵に砕け散って。

成功 🔵​🔵​🔴​

中村・裕美(サポート)
副人格のシルヴァーナで行動します
『すぐに終わってしまってはもったいないですわね』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

裕美のもう一つの人格で近接戦闘特化。性格は享楽的な戦闘狂
戦闘では【残像】が残るような優雅ステップで敵に近づき、惨殺ナイフによる【切断】を【早業】で繰り出す
ドラゴンランスを使うことがあれば、相手を【串刺し】にするか、竜に変えて【ブレス攻撃】
【瞬きの殺人鬼】使用後の昏睡状態はもう一つの人格に切り替えカバー
電脳魔術が使えないので裕美の能力が必要な場合は【オルタナティブ・ダブル】で呼び出します

あと、虫が苦手



●嗤う白銀の殺戮技巧
「やれやれ……すぐに終わってしまってはもったいないですけれど」
「お、おう?」
「わたくし、裕美の中におります副人格のシルヴァーナと申しますの。碎輝さんにおかれましてはどうぞお初に」

 優雅に一礼を決めるは中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)の宿す別人格、シルヴァーナ。
 令嬢然とした振る舞いとは裏腹、敵対者の排斥を根幹とする享楽的な戦闘狂である。

「そう胡乱なお顔をなさらないで? せっかく助力に伺ったのに悲しくなってしまいますわ」
「いやぁそいつは分かってんだが、分かるだけに調子が狂う事もあるっつーか……そっちも分かってて言ってんだろ」
「あらあら、わたくしには何の事やら」

 碎輝を最弱にして最強たらしめるのは望まずとも世界を脅かす程にまで無限に成長し続けるという性質。
 その成長はヒロイックな状況に追い込まれる程パワーアップするという特徴を持ち、逆に相手が正々堂々格好良く戦う事である程度抑制する事が出来る。
 己が享楽の為に力を振るうシルヴァーナの在り方だけを見るなら一般的な正義とはお世辞にも言い難い。
 だが、過剰な成長で迂闊に動けなくなっている碎輝の元を訪れたのは紛れも無い善意による行動と言う他無く。

 揶揄うようにくすくすと笑い、それからシルヴァーナは自然と戦闘態勢に移る。
 軽いやり取りを経て今なお続いていた碎輝の成長はある程度抑制できた。
 しかし本格的に鎮めるにはやはり、一度しっかりノックアウトして発散させる必要がある。

「それでは――そろそろ始めるといたしましょう」
「と、そうだな。今の俺は結構成長してるから気を付けろよシルヴァーナ!」

 サイバースペースを震わす雄叫びを放ち、碎輝は【黄金竜神】としての姿を現す。
 援軍として駆け付けた帝都櫻大戰では無限の力を振るう神王サンサーラをも穿つ程に成長を遂げた邪神殺し。
 仮想空間の天を覆う程の巨躯は雷電そのものの超高速で飛翔する。

「成程、これはこれは……」

 碎輝に戦意はあれど敵意は無い。必要が生じて戦う事になったとはいえ、その立場は味方側なのだから当然だ。
 そんな事が、象と相対する蟻にとってどれ程の意味を持つか。
 純然たる質量、内包するエネルギー量の差。
 時としてそんなものは覆してしまうのが猟兵とはいえ、その断絶は観測可能な現実として確かに存在する。

『それじゃあ思いっきり行くぜ、超えてみせろ!』
「まぁ、一発勝負という趣向も偶には悪くありませんわね」

 此度の得物は惨殺ナイフ。
 身のこなしには自信があれど、速さ比べをするなら歩幅の違いで一歩譲るか。
 ならば勝る一点で勝負に出るまで。

「わたくし達に立ち塞がる者は、すべて切り裂いて差し上げますのよ」

 心身の打たれ強さと生来の気質に由来する度胸。
 万物を打ち砕かんばかりの突撃を正面から迎え撃ち、完璧なタイミングで宙に身を躍らせる。
 竜神の纏う雷を浴びながらも怯む事無く刃を突き立て、相対速度をも己が力として利用する【|切裂姫《プリンチペッサ・ロ・スクァルタトーレ》】の手並み。

「さて――こんなものでしょうか。ごめんあそばせ?」

 いっそ曲芸じみた捨て身の離れ業を成し遂げ、微笑む姿はしてやったりと。

成功 🔵​🔵​🔴​

ギュスターヴ・ベルトラン(サポート)
よう、お出ましだな?
…ソレが怨嗟による存在であっても、殺す事に歓びを得る存在であっても
人の間に悲しみと苦しみが広がる以上は…神敵必滅、躯の海に叩き返す

■行動
柄が悪くとも信心深いため、戦う前に【祈り】を捧げる事は忘れない
敵の主義主張は聞き、それを受けて行動する。行動原理を理解しないままの行動はしない
連携相手がいるならば相手のフォローに、居ないなら全力で敵をシバきに行く
戦場によっては屋内でも空が飛べるタイプの魔導バイクを乗り回す
「公序良俗に反することはしてねえぞ」と言うし実際にそうするタイプ

■攻撃
主武器:リングスラッシャーと影業
近距離攻撃が不得意なので敵とは距離を取って戦う

アドリブ連帯歓迎



●再会
「よう、碎輝さん」
「ギュスターヴか! 前の戦いじゃ世話になったな!」
「そりゃこっちの台詞だよ」

 神王サンサーラ撃退戦を共に戦った竜神親分の元気そうな姿にギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)は苦笑を一つ。
 真直ぐに人を助くため、彼がどれだけ力を尽くしたかギュスターヴはよく知っている。
 ……まるで牢獄のような電脳空間の深淵で己の力を抑え込む碎輝。
 これがあの戦いの代償だと言うなら、元の世界に戻れるよう手を尽くすのは当然だ。

「無事に帰還まで済ませてこその完全勝利だからな。ああ、ハロウィンにはちっと遅ぇかもだがあんたも食うかい?」
「お? そんじゃ有難く頂くぜ!」
 碎輝に軽く投げ渡しつつ自分もあの時と同じように持ち歩いているお菓子を噛み砕き準備万端。
 クリアになった思考で祈りを捧げ、魔導バイクの|内燃機関《エンジン》に火を入れる。

「で、まずは一発全力でシバけばいいんだな?」
「おう! こっちもあんまり加減は出来ねぇ、遠慮なく頼むぜ!」

 その槍から放たれた【超電竜撃滅衝】は過剰な成長を続ける力そのもの。
 雷電の巨竜は余波でさえ重篤な麻痺を引き起こす程に、広大な戦場全てを蹂躙せんと荒れ狂う。
 想定内だ。
 その力の程をギュスターヴは既に見届けている。

「――天にいますわれらの父よ、御名があがめられますように。御国がきますように」

 半ば勘任せのフルスロットル、祝福に護られているのを感じながら一度目の突撃を掻い潜る。
 祈り紡ぐ【|人類進化:到達《サイキックハーツ》】がもたらしたのは小さな魔鍵。
 迷う時間は無い。自らにその魔鍵を突き刺し、引き抜く。

「頼むぜ、【マインドブリンガー】……!」
「……ならばこの一時。汝の神に代わり、その祈りに応えよう」

 現れた追憶の守護者を見紛う事は無い。
 かつて幻朧帝イティハーサを封じ、帝都櫻大戰ではオブリビオンとして蘇らされたエンシェント・レヰスの一角。
 黄金の輝きを宿す神王サンサーラが再びサイバースペースへと姿を現す。

「だが、心せよ。ユーベルコードによって召喚された私はオブリビオンではなく、無限の力は持ち得ない」
「充分さ、おんぶに抱っこじゃこっちも格好が付かねぇってもんだ。にしてもあんたが来るとはな!」
「私の過ちを止めてくれた事、櫻花幻朧界を護ってくれた事……その恩に報いられるならば本望だ」

 無限の力を持たない今のサンサーラは、傷一つでも負えば顕現を維持できないという制約にも縛られない。
 それは同時、今ならば同じステージで共に戦えるという事でもある。
 神王と猟兵と竜神親分の激突、僅かに形を変えての再演。
 戦いの果て……此度は|広大無辺の仏国土《サンサーラディーヴァ》が雷電の巨竜を抑え込み、鎮めてみせた。

「……役目は果たせたか。現世が平穏であるように、私も骸の海から祈っていよう……」
「助力に感謝するぜ、サンサーラ。あんたにも安らかな眠りのあらん事を」

 静寂の戻ったサイバースペース、消えゆくサンサーラを小学生形態にまで縮んだ碎輝と共に見送って。

成功 🔵​🔵​🔴​

アラタマ・ミコト(サポート)
|荒魂鎮神命《あらたましずむるのかみのみこと》でございます。
此度は妖討伐の任を受け馳せ参じてございます。
極楽浄土より持ち帰りし法具の力を開放いたします。
活路は切り開きませたでございましょうか?



●まことの意思を以て
 薄暗く陰鬱なサイバースペースの深奥部に淡い後光が差す。
 舞い散る蓮の花弁と共に姿を現したのはアラタマ・ミコト(極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935)。

「|荒魂鎮神命《あらたましずむるのかみのみこと》でございます。此度は妖討伐の任を受け……」
「えっ」
「……ではなく。碎輝殿の過剰な成長を鎮撫する一助となるべく馳せ参じてございます」
「俺は竜神だけど妖怪親分的には妖枠でもあるしな。びっくりしたぜ……!」

 帝都櫻大戰にて猟兵と共に神王サンサーラと戦った碎輝の事はミコトもある程度把握している。
 故郷に帰れず困っている彼を助ける事に否やは無い。

「知っての通り、まずは俺を一回ぶっ飛ばしてくれりゃ成長もある程度は落ち着くと思う。
 あんまり加減する余裕もねぇけど、よろしく頼むぜ!」
「お任せください。お役目、果たしてみせましょう」

 碎輝の振るう槍より放たれるは【超電竜撃滅衝】。
 今のままカクリヨファンタズムに戻ればカタストロフを引き起こしかねない程の絶大な力を宿した雷電の巨竜はただ顕現するだけで常人なら心臓まで止まる程の麻痺を戦場にもたらす。
 生前より膨大な神通力を備え、猟兵として多くの場数を踏んだミコトであっても影響は小さくなかった。
 十全な動きの封じられた彼女へと雷竜は容赦なく襲い掛かり――

「――無論……覚悟の上。極楽浄土より持ち帰りし法具の力を開放いたします」

 その瞬間、ミコトを中心に【極楽の香気】が溢れた。
 生命の埒外たる猟兵の肉体さえ消し飛ばす程の破壊力がもたらす損傷と完全治療のユーベルコードが拮抗する。
 代償は軽くない。
 極楽の蓮の花による汚染は時間にして9420秒、ミコトを理性無き天上界の獣と化す。

「ミコト、お前……」
「がぶがぶ、でございます……!」
「いや痛ってぇ!?」

 その身を雷電の巨竜に喰いつかれながら碎輝本体へ構わず迫り、物理的に喰らいつく。
 此処までが彼女の覚悟。
 理性を失ってでも為すべきを為すと定め、一番大事な事を見失いはしないと自分を信じた。
 結果が仁義無き泥仕合の様相を呈する絵図なのだが、ともあれミコトの意思は正しく碎輝にも伝わった。
 洒落では済まない威力の雷電を受けながらも怯む事無く戦い続け、遂に渾身の一撃で碎輝を打ち倒す。

 ……無事に碎輝が小学生形態に縮んだ後も時間切れまで暴走は続き、多少てんやわんやの羽目になったのはご愛敬。

成功 🔵​🔵​🔴​

陽環・柳火(サポート)
東方妖怪のグールドライバー×戦巫女です。

悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
正面からのぶつかり合いを好みますが、護符を化け術で変化させて操作したりなどの小技も使えます。
全力魔法使用後の魔力枯渇はにゃんジュール等の補給で補います
名刀『マタタビ丸』は量産品なので、もしも壊れても予備があります。
アームドフォードを使用する場合はイラストからイメージをしてもらえれば

 ユーベルコードは指定した物か公開しているものを使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動し他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。



●火事と喧嘩は何処ぞの華と
「オーケー、とりあえずぶっ飛ばせばいいんだな?」
 悪党という訳ではないが、相手も承知の上なら引け目を感じる事も無い。
 話はシンプルだと陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)は気合いを入れる。

「俺は陽環柳火だ。一丁暴れてスッキリしようぜ、竜神親分!」
「ああ、分かり易いのは嫌いじゃねぇ! 簡単に吹っ飛ぶんじゃねぇぞ!」

 その姿を黄金竜に変えた碎輝の羽搏き一つで衝撃波が吹き荒れ、戦場を【成長電流】が蹂躙する。
 そして……二人のユーベルコード発動はほとんど同時。
 彼のアイスエイジクイーンの絶晶を見本に作った氷の鎧と紅蓮獅子大火輪を使い、柳火もまた【絶晶フォーム】に変身を遂げた。
 エンシェント・レヰスとさえ渡り合ったオリジナルそのものではないが、その堅牢は折り紙付き。
 燃え盛る紅蓮パーツと凍りつく絶晶パーツを生やし、猛る雷電にも揺るがずキャバリア級の巨躯を聳えさせる。

「真っ向勝負だろ? 来いよ親分、受けて立つぜ!」
『よく言った、良い度胸だッ!』

 稲妻、或いは流星。天より襲い来る竜の猛威を表すには何れの比喩を以てしても不足か。
 サイバースペースの仮想の大地ごと打ち砕いて余りある一撃を、柳火は正面から迎え撃つ。

「とは言え、流石に馬力には差があるが……!」

 左の半身より放つは冷気の渦、右の半身より放つは灼熱の嵐。
 拳打で突撃のベクトルを僅かに逸らし、後は変形したアームドフォートの装甲と気合いと根性で受けきる。

「ぐ、っ……!」
『まさか本当に受け止めるとはな! だが流石に限界か?』
「なに言ってんだ、此処からだろ!」

 痺れる総身に喝を入れ、返事代わりに殴り飛ばす。
 滾る闘争心は衰えを知らず、組み合う両者は拳の間合い。
 そこからは泥沼の|格闘戦《ステゴロ》だった。
 怒りも憎しみも無い。
 ただ本能の命ずるまま、有り余る力の赴くままに殴り合う。

 やがて自作した絶晶が砕け、変身も解ける頃――碎輝も黄金竜から青年、いや少年の姿に戻り大の字に転がって。

「いやー暴れた暴れた! ありがとうな、柳火!」
「へへっ、そうかよ。落ち着いたなら何よりだ」

 暴走に近しい過剰な成長は鎮められた。
 次は蓄積した力を発散する為の|決闘ごっこ《カクリヨバトリズム》だが……今はその前に一休み。

成功 🔵​🔵​🔴​

アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。



●助太刀は義の下に
「アス・ブリューゲルト。必要とあらば力を貸すぞ……」
「かたじけないな、頼むぜ!」

 碎輝の溌溂とは裏腹、周囲に満ちる威圧感は物理的な重圧を錯覚する程に強さを増す。
 その身を黄金竜へと変じさせ、荒れ狂う【成長電流】が戦場を満たした。

「成程な……これが先の戦争では神王の無限さえ穿った力か」

 そのユーベルコードは事前に把握済みだ。
 サイキックキャバリアを駆り、アス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)は上空の黄金竜を追う。
 碎輝を最弱にして最強たらしめる無限成長の力。
 猟兵たちの味方として振るってくれる事は幸いだが、望まずしてカタストロフを引き起こしかねない程のリスクを背負う事は彼にとって如何程の負担か。
 まして、此度のそれが先の戦争における助力の代償だと言うならば。

「……その儘にはさせん」

 短い言葉に決意を宿し、心身を苛む雷電の猛威に抗う。
 飛翔する碎輝は逃げている訳ではない。
 巻き起こす暴風と共にその身を翻し、真っ直ぐにアスの元へ突っ込んで来る。

『さぁ行くぜ! アス、この一撃止められるか!』
「どうだろうな。だが……俺には俺なりの戦い方がある」

 迫るはただ勢いを乗せ叩きつけるだけでも大地を砕く程の絶大なエネルギー。
 脅威の程は正しく理解している。
 無論、勝算もある。
 重要なのはタイミングだ。
 回路が焼き切れんばかりにサイバーアイを稼働させ、コマ送りのような時間の中でその一瞬を見極める。

「ふ――ッ」
『おっ?』

 キャバリアは囮。
 激突前にコクピットを離れ、当の黄金竜へと飛び移る姿は乾坤一擲の博打にも見えたか。
 思い切った策に出たものだと声を上げた碎輝は即座に動きを合わせ対応してくる。
 勢いを殺さぬまま急旋回。
 強烈なGに振り払われれば最後、動きを制限される空中で抗う術は無い。

「逃がさん……獲物も、勝機もな……!」

 両足に内蔵したレッグエンジンウェポンを展開、攻撃力特化の【ヴァリアブル・ウェポン】を零距離から叩き込む。
 無限成長を停滞させるには一度でもダウンさせられれば充分なのだという。
 ある種のショック療法のようなものなのだろう。
 ならば反動も度外視した最大威力の一撃を。
 その衝撃はサイバースペースを震撼させ……黒煙を一つ吐き出し、小学生形態に縮んだ碎輝が地上へ墜ちていく。

「けほっ……あー、どうにか落ち着いたみたいだな。助かったぜ」
「気にするな。お安い御用だ」

 小さな身体が空中にある内にキャッチ、騎士は如才なく降り立って。

成功 🔵​🔵​🔴​

バルタン・ノーヴェ(サポート)
「ご安心くだサーイ! ワタシが来マシタ!」
ご用命あらば即参上! アドリブ連携歓迎デース!

普段の口調:片言口調(ワタシor我輩、アナタ&~殿、デス、マス、デショーカ? デース!)
戦闘スタイル:白兵射撃の物理系

各種武装の中から敵に有効なものを選択して用いてくだサーイ!
刀も銃器も、内蔵兵器や換装式ウェポンも、何でもOKデス!

アタック重視でもディフェンス重視でも対応可能デース!
斬り込み、爆撃、弾幕を張ったり、パリィ盾したり、臨機応変に立ち回りマース!

指定ユーベルコードが使いづらいなら、公開している他のものを使用しても問題はありマセーン!
オブリビオンを倒して、ミッションクリアのために力をお貸ししマース!



●友を扶くは紡ぎし絆
「ご安心くだサーイ! ワタシが来マシタヨ碎輝殿!」
「バルタンか、幽世以来だな!」
「ご用命あらば即参上! アドリブ連携歓迎デース!」
「アド……?」

 重苦しい空気など吹き飛ばすようにスタイリッシュな着地を決めたのはバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)。安心と信頼の平常運転であった。
 ともあれ彼女も最前線で戦う猟兵の一人。
 神王サンサーラ撃退に際し過剰に成長を遂げた碎輝を鎮めるのは至難だが、相手取るに不足は無い。

「とにかく、お前も相手になってくれるのは有難い! 早速いくぜ!」
「では骸式兵装展開、剣の番! 懐かしのピサロ将軍の力で――やっぱ今回は別のにしマース!」
「お、おう。そうか」

 以前の戦いでも活躍した七大海嘯が一人“邪剣”ピサロ将軍の力は確かだが悪逆非道のコンキスタドール。
 正々堂々格好良い戦いというポイントを抑えるなら適任は他にもあるかと手札を選ぶ。

「というワケでカクリヨメモリ、ロゴスイグニッション! 今回はこれでいきマショー!」
「ゴホンゴホン! んじゃ、改めてこっちも飛ばしていくぜ!」

 黄金竜へと変身し【成長電流】を放つ碎輝に対し、バルタンの用いるユーベルコードは【|模倣様式《イミテーション》・|幽世幻想《アヤカシオヤブン》】。
 カクリヨファンタズムの四体の親分、各々を模した姿に変身し自らを強化する業である。

「竜神親分碎輝殿! お世話になったアナタ自身、そして同胞たる親分たちの力でアナタをお助けしマース!」
『あの前振りからなんつーかストレートにカッコいいので来たな!?』

 現時点から成長電流形態の力で碎輝の成長に追いつくのは分が悪いか。
 まず選ぶのは西洋親分『しあわせな王子さま』の防御力。
 その頑丈さを借り受けて戦場に荒れ狂う電流を防ぎ、空中機動で黄金竜へと距離を詰める。

『だけどこっちも手は抜けねぇぞ! その力、どこまで使いこなせるか見せてみろ!』
「モチロン! お茶の子サイサイでありマスヨ!」

 このまま幽世に帰還すればカタストロフを引き起こしかねない程に成長した碎輝は純粋なフィジカルも規格外。
 速度と破壊力を兼ね備えた圧倒的な暴力――ならば奇策で掻い潜るが常道か。
 タピオカの如く柔軟に肉体を変幻させるは新し親分『バズリトレンディ』十八番の一芸。
 刹那の攻防を制し射程内、絶好の好機を得た。
 此処で切るべき札は何か。最大威力に決まっている。

「いざ必殺の椀飯振舞! 二重起動でフィニッシュデース!」

 東方親分『山本五郎左衛門』、国士無双の怪力を振るう暴獣形態。
 そして竜神親分『碎輝』、一撃必殺の雷撃を放つ超電竜撃滅形態。
 二つの力を一つに束ね限界以上の出力で叩き込む捨て身の荒業、繰り出した一撃は正確に黄金竜を撃ち抜いて。

「ははっ……! ぶっ飛ばされて何だが、壮観だなぁ……!」
「御満足いただけましたカナー?」

 黄金竜から青年のものへと戻った碎輝の姿はそのまま縮んで小学生形態へ。
 内に秘めた力は未だ強大だが、際限のない成長に歯止めを掛ける事には成功したようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

柳・依月(サポート)
俺は柳依月、UDCアースの大学生だ。……だが、実は人間じゃない。妖怪だ。それでも俺は人間が好きで人間と共にある。彼らの日常を守る為、てのが俺の戦う理由になるのかな。
戦闘時は基本仕込み番傘での近接戦だが、中長距離や支援に回る時などは呪髪糸や禍魂による呪いなんかも使用する。
非戦闘なら情報収集が得意だ。主にネットだが、聞き込みとかもする。【化術】も得意だからな。

以下PL
ギャグ系の状況でもノリはいい方です。
 UCは指定した物をどれでも使用し(詠唱ご自由に)、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。



●人の世を守る者たち
「俺は柳依月、UDCアースの大学生だ」
 サイバースペース深層の空気を靴音が震わせる。
 抑えようとして猶も滲み出る力の気配。本能に脅威を訴えかける重圧感も、或いは怪談にはお誂え向きか。
「……だが、実は人間じゃない。妖怪だ」

 幽世に於いては妖怪親分の一角を占める竜神親分『碎輝』を前に、柳・依月(ただのオカルト好きの大学生・f43523)は己の素性を明かす。

「それでも俺は人間が好きで人間と共にある。彼らの日常を守る為、てのが俺の戦う理由になるのかな」
「へぇ、格好良いじゃねぇか!」
「君も先の戦いではこの世界を、ひいてはこの世界の人間の営みを守る為に戦ってくれたんだろ?」

 サクラミラージュに留まらず、無数の世界に侵攻が及んだ帝都櫻大戰も全面的に猟兵側の勝利で決着した。
 碎輝の助力も犠牲を最小限に抑えきれた要素の一つである事は間違いない。
 その彼が助力の代償として幽世に帰還できず困っていると言うのなら。

「俺だって手を貸さない道理は無いよな」
「恩に着るぜ! んじゃ、早速だが遠慮なく行くぞ!」

 電脳空間を咆哮が揺るがす。
 碎輝が変身する【黄金竜神】こそ、無限の力を振るう神王サンサーラを穿った無限成長の象徴が一つ。
 依月との会話を経てある程度成長は抑制されたにせよ、既に高まった力は理外の業を振るう猟兵たちの基準をして規格外の域に達している。

「こいつはとんでもない。……それだけ本気で戦ってくれたんだな」
 一度でもダウンを取る事が出来れば碎輝の成長を落ち着かせるには充分らしい。
 お安い御用とは言い難いが、そうであるなら不可能という事も無い。
 まして碎輝自身も小細工無しで正面から向かってくるのだ。やり様は幾らでもある。

「ああ、来いよ。お望み通りお相手しよう」
 雷を纏い、音速をも遥か置き去りに飛翔する黄金竜の突撃は仮初の天地を砕く雷撃そのものか。
 僅かな前兆から初動を見切り、先んじて地を蹴り跳躍し、それで漸くタイミングが合う。

「――誰でもあって誰でもない。“柳依月”も所詮仮の姿でね」

 どろんバケラーが得意とする化術は森羅万象あらゆるものになれる脅威の技。
 当の彼等はその真価を理解せず使っている事が大半なのだが……意識して用いればこの通り。
 ネットロアを起源に持ち、幾度も己の名と顔を変えてきた彼の【匿名希望】はその力を存分に活用する。

「今回はシンプルにパワーで決めようか!」
『うおおっ……!?』

 ポテンシャルの全てをただ一撃の威力に特化させた、黄金竜にさえ比肩する程の巨大な拳。
 文字通り全身全霊を傾けた奇襲は碎輝を纏う雷の上から殴りつけ、その巨躯を叩き落とした。

成功 🔵​🔵​🔴​

政木・朱鞠(サポート)
ふーん、やっと、ボスのお出ましか…。
もし、貴方が恨みを晴らすためでなく悦に入るために人達を手にかけているのなら、不安撒き散らした貴方の咎はキッチリと清算してから骸の海に帰って貰うよ。

SPDで戦闘
代償のリスクは有るけど『降魔化身法』を使用してちょっと強化状態で攻撃を受けて、自分の一手の足掛かりにしようかな。
ボス側の弐の太刀までの隙が生まれればラッキーだけど…それに頼らずにこちらも全力で削り切るつもりで相対する覚悟で行かないとね。
得物は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】【生命力吸収】の合わせで間を置かないダメージを与えたいね。

アドリブ連帯歓迎



●止まらぬ成長の鎮め方
「ふーん、いきなり大ボス級のクライマックスか……」

 帝都櫻大戰では無限の力を振るう神王サンサーラ撃退の鍵を担った一人である竜神親分『碎輝』。
 今も収まらない成長を抱えてサイバースペース深層に留まる彼の力の程を、政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)は空間に満ちるプレッシャーから痛い程に感じ取る。

「貴方が困ってるのが他所の世界の人たちを助けに駆けつけてくれた代償だって言うなら、
 キッチリ元の世界に帰って貰えるように私も協力するよ」
「おう、世話になるな! それじゃあ早速飛ばしていくぜ!」

 今のまま帰還すればカクリヨファンタズムにカタストロフを引き起こしかねない程に高まった力。
 周囲に影響を及ぼさないよう努めて猶も抑えきれない程の重圧を放っていたのだ。
 その身を【黄金竜神】へと変え解き放った力の程は推して知るべしというものだった。

「すっごいな……! でも大丈夫、ばっちり相手してあげる!」
『ありがてぇが無理はすんなよ!』
「まぁ代償のリスクはあるけど……」

 妖怪・悪鬼・幽鬼を宿す【降魔化身法】で破格の強化を施し、更に全力を防御に傾け初撃の突進をどうにか受ける。
 電脳空間の天を覆うほど巨大な黄金竜の体積と質量、纏う雷電さえ余波に過ぎないその身に宿す莫大なエネルギー。
 音速など及びもつかない程の速度でただ突撃するだけで災害級の破壊を巻き起こすのだから手に負えない。

「でも、此処からまだ成長するって言うなら……初手から喰いついていかないと、ね!」

 あらん限りの力を込めて振るうは拷問具『荊野鎖』。
 堅固な竜鱗にも罅を入れて絡みつき、辛うじて振り落とされないよう固定する。

『痛てっ……! けど、それだけじゃダウンにはまだ足りねぇな!』
「根競べは此処からだよ。時間を稼ぐのは得意なんだよね……!」

 正々堂々、正面からぶつかる事で碎輝の成長はある程度抑えられた。
 後はユーベルコードで強化した生命力の吸収、成長以上の速度で奪い尽くす事が出来れば理論上は勝利も必然。

『やるな、それが狙いか! こっちもタダでやられはしねぇぞ、何処までやれるか見せて貰うぜ!』
「相手してあげるって言ったでしょ! 望む、ところ……っ!」

 超高速飛行により生じる暴力的なG、加えて碎輝の纏う雷までもが指向性を持って襲い掛かる。
 今や命綱となった鎖を握りしめ、吸い上げた生命力も自己強化に上乗せして黄金竜の身体を足場に駆け回り……
 どれ程の時間を稼げばいいのか、まともに数えていてはやっていられない程の極限状況。
 目が眩み全身を痺れさせる物理的に刺激的な鬼ごっこの果て、黄金竜の姿が消えるのも突然だった。

「あー、疲れた……なんとかミッションはクリアな感じ?」
「おかげさんで一段落だ。やる事はまだちょいと残ってるが……とりあえずありがとうな!」

 人型の姿に戻り、そのまま小学生形態にまで縮んだ碎輝と地上に墜落。
 動けるようになるまでしばしの間、そのまま大の字に転がるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ラムダ・ツァオ(サポート)
ラムダよ、よろしく。
相手が強いのなら、削れる機会は逃さず、相手に隙は見せず、
長期戦を覚悟して着実に狙うのがいいわね。
勿論、隙があれば見逃したくないけど。
見切ったり足には自信があるけど、過信せずに落ち着いて戦況を見極めるわ。

行動指針としては以下の3通りが主。
1.囮役としてボスの注意を引き付け、味方の攻撃を当てやすくする。
2.ボスの移動手段→攻撃手段の優先順で奪っていく。
3.仕留められそうな場合は積極的に仕留めに行く。
 (他に仕留めたい人がいればその手助け)

台詞回しや立ち位置などは無理のない範囲でご随意に。
ユーベルコードは状況に応じて使い分けます。
アドリブ・連携歓迎



●a smart crash down
「ラムダよ、よろしく。帰還のお手伝い……って事で、まずは一回やっつけないといけないのよね?」
「おう! 世話になるな、よろしく頼むぜ!」

 薄暗く陰鬱なサイバースペース深層の闇に身を溶かすように姿を見せたのはラムダ・ツァオ(影・f00001)。
 聞けば碎輝はサクラミラージュに端を発する帝都櫻大戰で猟兵側の助っ人として駆け付けた一人なのだという。
 無限の力を振るう神王サンサーラに対抗すべく無限成長の力を発揮した彼は、このままカクリヨファンタズムに帰還すればカタストロフを引き起こしかねない程に力を増してしまったのだ。
 今なお続く過剰な成長を落ち着かせる為に戦って一度ダウンを取る……それだけでも相当の難題だが、そのような事情とあらば放っておく訳にもいかない。

「溜め込んだ力は発散させねぇとだし、あんまり加減は出来ねぇが……!」
「まぁ、何とかやってみるわよ」

 雷を纏った碎輝が【黄金竜神】に変身する。
 充分に成長する前の彼は自他ともに認める最弱だが、先の戦いを経た今となっては最強たり得るポテンシャルが全面に出ている。
 身体、頭脳、精神面、いずれにおいてもトップクラスに躍り出た碎輝とは生半可な実力では勝負にもなりはしない。
 電脳の空間を震撼させる咆哮と共に黄金竜が迫る。
 ただ正面から突撃するだけでもその力は立ち塞がる全てを打ち砕く程の破壊を巻き起こすだろう。

「一回ダウンさせればいいのよね。それなら……!」
『うおっと……!?』

 それは一瞬にも満たぬ間の事だった。
 碎輝の背に新たに生じたのは黄金竜の巨躯にも見劣りしない、158メートルもの光の双翼。
 この戦いの目的は誰も脅かさず碎輝が元の世界に戻れるよう、彼の過剰な成長を鎮める事だ。
 即ち碎輝とラムダ、両者は同じ“勝利条件”を共有している。
 碎輝自身の力を利用し、その大きさに相応の加速を生む【応援の翼】は突撃のベクトルを逸らし――最大速度、最大威力で仮初の地上へと叩きつける。

「けほっ……これが現実世界だったら、そうそう使えない手ね。だけど……」

 轟音、そして吹き荒れる衝撃波。
 懸念があるとすればその一撃がサイバースペースそのものを打ち砕いてしまう可能性くらいか。
 幸いにして此処は近寄る者も居ない深奥部。巻き込まれる周囲の被害を気にする必要は無い。

「……上手くいったみたいね?」

 ようやく破壊の余波が収まった爆心地。
 そこにはすっかり小学生形態にまで縮み、目を回す碎輝が残されて。

成功 🔵​🔵​🔴​

エリー・マイヤー(サポート)
フラスコチャイルドのサイキッカー × 寵姫です。
常に丁寧語で、あまり感情を乗せずに淡々と話します。
ユーベルコードは習得した物をどれでも使用し、目的達成のために全力を尽くします。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

***
ごきげんよう。
戦力が必要と聞いて手伝いに来ました、エリーです。
念動力で、戦いをサポートしますね。

敵の攻撃を妨害したりとか目潰ししたりとか、そういうセコイ工作は任せてください。
攻撃は念動力で締めたり潰したり斬ったり突いたり。
敵の物性に合わせてそれっぽくやりましょう。

キャバリアは……まぁ、必要そうなら乗ります。



●念動アフターケア
「お久しぶりです碎輝さん。元気そうで何より」
「おう、エリーか! 前の戦いではありがとうな!」
「はぁ、ここらの空気は|綺麗《息苦しい》ですね……」

 腐敗したメガコーポが幅を利かせる現実世界なら話は別かもしれないが、サイバースペースの空気は綺麗なものだ。
 煙草で汚染物質を補給しつつエリー・マイヤー(被造物・f29376)は溜息を一つ。
「という事で手伝いに来ました、話は聞いています。戻れる見通しがあるならその案でいきましょう」
「今回も頼りにさせてもらうぜ! よろしくな!」
「まったく……気軽に言ってくれるものです」

 碎輝が放つは【超電竜撃滅衝】。
 エリーの念動力さえ寄せ付けなかった神王サンサーラを撃退する鍵となった力は衰える事無く、寧ろその後も僅かにだが成長を続けている。

「……まぁ、何とかしてみましょう」

 エリーが起動した【アルジャーノンエフェクト】は160秒後の昏睡を代償に、全ての能力を6倍に引き上げる。
 賭けという程の選択でもない。
 無限に成長を続ける碎輝を相手に時間切れまで粘っても駄目なら、その時点で勝機は無いだろう。
 増強した脳の演算速度で思考を巡らせる。
 相手は強大。なればこそ、要素は分けて考えるべきだ。

 正々堂々と戦う事で戦闘中の成長を抑制する効果が期待できるという事。
 基準は些か曖昧だが、碎輝の様子から察するに概ねクリアできていると考えてよさそうか。
 この戦闘の目標である、碎輝を一度ダウンさせて本格的に成長を落ち着かせるという事。
 本体を狙うという手もある。だが現にその力の要となっているのはユーベルコードの雷竜の方である点を踏まえると、可能なら此方に対処する方が望ましいか。
 ならばその為にどういった手段が許容されるかという事。
 愚直な正面衝突で突破できる保証は無い。碎輝の気質を考慮するに、雷竜を攻略する為の工夫それ自体が正々堂々に抵触するリスクは少ない筈だ。

「っ……」
「うおっ、相変わらず凄ぇな!」

 無限の成長を代名詞とする碎輝だが、エリーの念動力もまた極限の域にまで練り上げられている。
 拳で打ち上げるように雷竜の突撃を逸らし、戦場悉くを蹂躙する雷電の麻痺は防御に回した念動力で食い止める。
 手応えはあった。勝算は見えた。時間が足りるかは微妙なところだ。

「……仕方ありませんね……ちょっと手伝ってください」
 稲妻の速度で暴れ回る雷竜の猛攻を捌きながらサイキックキャバリアを呼び寄せる。
 正規のプロセスまで強引に省略する必要は無い。
 一瞬で終わる。

 虚空より姿を現すはアレクサンドラ、庇護する者の名を持つ騎士の如き機体。
 搭乗したエリーの薄く広げたサイキックエナジーで雷竜を捕捉、飛翔して真っ向から切り込む。
 喰らいつく巨大な顎門を躱し、喉元に突き立てた光剣を最大出力のサイキックエナジーが輝かせる。

「力だけでゴリ押してくれるなら、脆いものです」

 そのまま互いの相対速度を利用し、正中線から真っ二つに斬り飛ばす。ついでに余波でその先の本体も吹き飛ばす。
 消耗は相応に甚大だが、碎輝からダウンを取るという作戦目標は文句なしに果たせただろう。
(もし心残りがあるとすれば……)
 キャバリア無しの出力にも感嘆の声を上げていた彼のリアクションに意識を向ける余力も無い事くらいか。
 160秒のタイムリミットが迫るまでの一時、倦怠感のままコクピットにその身を沈みこませて。

成功 🔵​🔵​🔴​

高嶋・瑞希(サポート)
絡み・アドリブ歓迎
戦闘開始と同時に「イグニッション!」の掛け声で武装を装着し戦闘状態へ移行します。
遠距離では結晶輪と氷霊手の「エネルギー弾」「誘導弾」で攻撃、近距離ではなぎなた、七支刀、アイスガントレットを使い分けて攻撃します。
敵の攻撃は「気配感知」「第六感」「霊的防護」「オーラ防御」「武器受け」で回避又は防御します。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●冴え渡りしは絶対零度
「お話は伺いました!」
 陰鬱な空気の立ち込めるサイバースペース深層に涼やかな風が吹き抜けた。
「どうやらお困りのようですね! 高嶋瑞希、参上です!」
「悪いな、世話を掛ける。助かるぜ」
 駆けつけたのは高嶋・瑞希(雪女のストームブリンガー・f36313)。
 先の戦争での助力の折、今のままカクリヨファンタズムに帰還すれば望まずしてカタストロフを引き起こしかねない程に成長を遂げた碎輝。
 その成長を停滞させるため、戦って一度ダウンを取る……難題だが瑞希に躊躇は無い。

「それでは行きます! イグニッション!」
「んじゃ、お相手願おうか! 遠慮なく飛ばしていくぜ!」

 武装の展開と黄金竜への変身はほとんど同時。
 既にかなり強化された状態から放たれる【成長電流】を、霊的防護とオーラ防御で食い止める。
 戦場全体を呑み込む電流に逃げ場は無く、その威力は戦う間にも上昇していく。
 故に狙うは短期決戦。
 召喚した蒼き氷龍を駆り、瑞希は上空の黄金竜に挑む。

『へぇ、正面から向かってくるか! 策ありと見たぜ受けて立つッ!』
「勿論よ、どうぞ御照覧!」

 瑞希の氷龍は氷雪と雷雨を司る。
 純粋な出力という点で今の碎輝は規格外だが、能力の規模で言えば此方もおいそれと遅れは取らない。
 故にまずは一手。真っ向勝負へ漕ぎ着けるだけの後押しにはなる。
 黄金竜の羽搏きに振るう爪牙、鞭の如く自在に襲い掛かる竜尾。
 その全てが電脳の仮想空間を引き裂く程の破壊力を秘め、しかし成長電流とは違い僅かな回避の余地がある。
 研ぎ澄ませた第六感で気配を捉え、掠めるだけでも危険な暴力の権化を掻い潜り、氷龍から黄金竜へ飛び移る。

『身一つで飛び込んでくるとは大した度胸だ! チャンスは一瞬だぞ、ものに出来るか!?』

 咆哮と共に迸る稲妻の衝撃波。乗り越えられなくては一瞬のチャンスにさえ辿り着けはしない。
 望むところだと瞬時に限界以上の魔力を引き出し手元へと収束させる。
 最弱にして最強を冠する竜神の頭領に叩き込む為の最大火力。

「やってみせましょうとも! これなら――どうかしら!!」

 魔力を代償に絶対零度の冷気を放つ薙刀を創造する【アイスグレイブ】、此度捧げたのはありったけ。
 一撃でいい。ただ一瞬の為にポテンシャルの全てを注ぎ込む。
 全身全霊を懸けた斬撃は雷電の爆発めいた衝撃を斬り裂いて……力の限りに振り抜けば重い手応え。
 天駆ける黄金竜の巨躯を、見事地上へと叩き落とした。

成功 🔵​🔵​🔴​

網野・艶之進(サポート)
「正直、戦いたくはないでござるが……」
◆口調
・一人称は拙者、二人称はおぬし、語尾はござる
・古風なサムライ口調
◆性質・特技
・勤勉にして率直、純粋にして直情
・どこでも寝られる
◆行動傾向
・規律と道徳を重んじ、他人を思いやる行動をとります(秩序/善)
・學徒兵として帝都防衛の技術を磨くべく、異世界を渡り武芸修行をしています
・自らの生命力を刃に換えて邪心を斬りおとす|御刀魂《ミトコン》の遣い手で、艶之進としては敵の魂が浄化されることを強く望み、ためらうことなく技を用います
・慈悲深すぎるゆえ、敵を殺めることに葛藤を抱いています……が、「すでに死んでいるもの」や「元より生きていないもの」は容赦なく斬り捨てます



●時として、深き慈悲ゆえにこそ
「……正直、戦いたくはないでござるが……」
「そういう奴だって居るよな。じゃあ、お前はなんで来てくれたんだ?」

 重苦しい空気が立ち込めるサイバースペース深奥部、気の進まない様子ながらも踏み込んだのは網野・艶之進(斬心・f35120)。
 自らの生命力を刃に換えて邪心を斬りおとす活人剣の運命もある。艶之進自身の気質もある。
 戦う事を望まないのは本心だ。
 だが。

「それでも、戦いに。おぬしを元の世界に帰す為、必要な事ならば……!」
「そっか、ありがとうな。見上げた覚悟だ」

 艶之進の言葉に碎輝は意識を切り替える。
 敵意は無い。だからと下手に加減して成長の抑制を果たせなければ、それこそ目も当てられない。

「んじゃ、改めてよろしく頼む! お前の名を聞かせて貰おうか、猟兵!」
「刀を振るう必要のない、泰平の世のために……!! 網野艶之進、参るっ!」

 大きく振りかぶった槍から碎輝が繰り出すは【超電竜撃滅衝】。
 サクラミラージュから他世界にまで戦線の拡大した帝都櫻大戰、無限の力を振るう神王サンサーラとの戦いに援軍として駆け付けた碎輝はそのままカクリヨファンタズムに帰還すればカタストロフを引き起こしてしまう程に過剰な成長を遂げたのだという。
 彼を最弱にして最強の竜神たらしめる力、その具現。
 生半可な実力で相手取れば猟兵とて無事では済まないだろう。
 その恐ろしさを理解しながら、艶之進は前へと踏み込む。

「色褪せ、散り、虚ろな影となり……で、ござる」

 規格外のエネルギーを宿した雷電の巨竜が艶之進に喰らいつき、傷つける事無くすり抜けた。
 自身を霊体化する【網野御刀魂流歩法《褪散虚影》】は彼を物理法則の制約から解放し、回避能力を跳ね上げる。
 竜神の権能たる雷である以上、絶対の守りには至らない。それでも渡り合う事は出来る。

「この身命を賭して……いざ!」
「来るか! 受けて立つぜ艶之進ッ!」

 相手は強大だが、殺める為でなく助ける為に戦う事が出来る。
 今この瞬間に相対するは碎輝自身ではなく、彼が繰り出した雷電の巨竜。
 ――であれば、斬る事に些かの躊躇いも無し。

 望まぬ破壊を世にもたらす原因として、碎輝の過剰な成長も邪心に類するものと言えるだろうか。
 自らの生命力を退魔刀「久遠丸」の刃に換え、風に舞う花弁の如くに再び襲い来る雷竜の背後を取る。

「一刀、馳走仕る……っ!」

 斬られる前に斬れ、そう伝えられた網野流剣術の秘伝。
 絶技にして禁断の秘技たる御刀魂の一閃は雷電の巨竜を鮮やかに斬り裂いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!

お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ

口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ

よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね

アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!



●華麗なる舞闘の流儀
「キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊されるなんて許さないんだから」
「その声は衣吹……えーと、ネイルだっけか」
「ええ、御明察! お久しぶりね♪」

 彼女……ネイルは仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)の人格の一つ。
 碎輝とはサクラミラージュでの戦争以前、定期的に成長をリセットする為に戦っていた頃よりの縁である。

「けど今の俺はあの時よりずっと成長進んじまってる状態だぜ、大丈夫か?」
「あら、アタシだってあの時より強くなってるのよ? 同じだと思ってたら痛い目を見るんだから」
「そうかい、そいつは楽しみだ! お前の成長も見せてもらうぜ!」

 此度も碎輝は黄金竜へと変身し戦場全体へ【成長電流】を放つ。
 成程、既に随分と成長した状態の雷電の威力は以前と比べ物にならない。
 だからこそ――それなら相応の戦い方というものがある。

「バトルだって芸術よ。美しく戦うのがアタシの流儀!」

 眩き雷光には黒影の闇を。
 視聴嗅覚での感知を不可能にする闇のオーラがネイルを覆い、その存在を雷電に紛れさせる。
 それだけではない。
 逃げ場無く襲い掛かる成長電流を逆に伝い、闇は際限なく成長し続ける碎輝から生命力を吸い上げる。

『へぇ、そんな戦い方も出来たんだな! 大した技だが……視えてるぜ!』
「今回は正々堂々がポイントなんでしょう? 隠れるのはオマケ、織り込み済みよ」

 電流とオーラを介し常に接触状態にある両者の居場所はその手応えから筒抜けと言っていい。
 少なくとも此処まで成長を遂げた碎輝がその存在を見落とす事は無い。
 既にある程度までペースを落とした成長と生命力の吸収で渡り合い条件は互角。
 上空からその爪牙で襲い掛かる碎輝とルーンソードを携え軽やかに舞うネイル、両者の距離は瞬く間に縮まって。

「ふふっ、今度はどんな策で仕掛けるか考えてる?」

 その声は独り言に近しい。聴覚感知も遮る闇のオーラはネイルの言葉も遮断する。
 彼女の戦闘は使えるものを全て活用する技巧派スタイル、意識の裏を掻く手口を碎輝も忘れてはいない。

「――だから今回は裏の裏。見えずとも鮮烈な闇の彩、ってね♪」
『うおっと……!?』

 身のこなしを最大限に活かした【黒影剣】の一閃。
 成長電流から吸収した生命力をも上乗せし、ルーンをあしらった刀身は鮮やかに黄金竜を捉えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

クリスティナ・バイエンス(サポート)
火の神の名を持つキャバリアに選ばれたサイキックキャバリア乗り
水着みたいな格好なのは、コックピットが蒸し風呂みたいに熱いから仕方なくだからね

正直キャバリアを降りての戦闘はあまり得意じゃないのよ
でもキャバリアを使っての戦いは任せてね、みんな炎で薙ぎ払ってやるわ
とはいえ、必要ないところで炎を使うつもりはないの危ないもんね
使わなくても私の〔炎神機カグツチ〕は十分強いもの

よろしくね!



●神なる灼熱と雷電の地獄
「何やらお困りのようね! 安心なさい、わたしが来たわよ!」
 サイバースペース深層の陰鬱な空気を吹き飛ばすように、燃え盛る灼熱と共に現れたのはクリスティナ・バイエンス(炎のキャバリア乗り・f30044)。
 二つ名の通り彼女の本領は火の神の名を持つサイキックキャバリア“炎神機カグツチ”を駆っての大規模戦闘。
 周辺被害を気にする事無く戦えるこの領域は、全力を発揮するにお誂え向きと言えた。

「とりあえず一発あなたをぶっ飛ばせばいいのよね? このクリスティナ・バイエンスに任せなさい!
 わたしと、この炎神機カグツチは強いわよ!」
「そうか、そいつは助かる! 遠慮なく頼むぜクリスティナ!」

 槍を構え、碎輝が放つは【超電竜撃滅衝】。
 そも、カクリヨファンタズムにおいて竜神親分を務める彼の備えた性質こそ無限の成長。
 最弱にして最強の存在として知られる彼は、帝都櫻大戰に於いて無限の力を振るう神王サンサーラに対抗する為その力を存分に引き出したのだ。
 過剰な成長は戦いが終わった後も治まる事を知らず、荒ぶる雷電は初手から極大出力で解き放たれる。
 極大――これでもまだ最大ではない。
 雷電の竜は繰り出されてからも勢いを衰えさせる事無く、寧ろ何処までも強さを増していく。

「っ、なんて力……!」

 溢れ出す電撃の余波でさえ念動破砕砲の振動で減衰するのが精一杯。
 コクピットを襲う炎神機の灼熱も忘れる程に駆け抜ける強烈な痺れ、直撃を受ければどうなる事か。

「……でも、それだけ本気で……リスクも承知で味方してくれたのよね。なら!
 こっちだって炎神機の力を見せてあげるよ! 【|炎熱機雷《フレイム・マイン》】展開ッ!」
「熱っ……この感じは……!」

 位相は違えど、この戦場にはクリスティナと同じように碎輝の帰還を助けるべく戦った猟兵たちの力の痕跡が染み付いている。
 彼女が行使したのはそれを無数の高熱を放つ火球として利用するユーベルコード。

「要するに力が高まり過ぎて困ってるんでしょう? 火球から放つ高熱波は戦闘力を直に削り取るわ!
 わたしもめちゃくちゃ熱いし暑いけど……暴走してる成長の力が治まるまで、付き合ってあげるわよ!」
「成程、大した力だ! ……いやマジでめちゃくちゃ暑いな!?」
「まぁ慣れてるわ。カグツチに乗って全力で戦うと大体こんな感じだし」
「そっか、お前も頑張って戦ってんだな……」

 荒ぶる電流と仮想の電脳空間が茹で上がる程の灼熱に耐える事しばらく。
 猛る巨竜型の雷電が霧散する頃には、碎輝もすっかり縮んで小学生形態へと移行するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『鋼鉄の軍勢!』

POW   :    自慢の火力で薙ぎ払う!

SPD   :    急所を狙ってスマートに!

WIZ   :    システムに干渉して乗っ取る!

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●THE・|電脳《サイバー》・|決闘ごっこ《カクリヨバトリズム》
「ふぅ……助かったぜ、おかげで成長の方は良い感じに治まったみてぇだ!」
 猟兵との激闘を経て小学生形態にまで縮んだ碎輝。
 彼の宿していた絶大な力まで失われた訳ではない。
 だが、成長の治まった今なら安全に発散する方法を彼は心得ている。

「此処でヒマしてる間、成長を刺激しないようにしながら組んでたプログラムがあってな。
 実はもう準備は出来てるんだが、ついでに付き合ってもらってもいいか?」

 サイバースペースに合わせてアレンジを加えたという決闘ごっこ。
 ちょっとしたゲームのようなものだと碎輝は笑う。


※~ルール説明~
〇セミオート制御の兵器ユニットを指揮して行うターン制バトルシミュレーション。
 サイバースペースをフル活用したスパ〇ボとかファイ〇ーエ〇ブレムみたいな感じ。

〇ステージは陸上以外にも宇宙、海戦、空中戦など指定可能。
 大型空母や戦車、戦闘機といったユニットを編成して激突します。
 勝利条件は敵の全滅だったり陣地の確保だったりモードによって色々。

〇碎輝や猟兵自身も兵器の部隊を相手に無双する単独戦力として行動可能。
 ですが同一ターン内に別エリアでも兵器ユニットの戦闘は進む為、戦術的な運用が鍵になります。
 召喚系能力も効果を発揮するのは猟兵が居るエリアのみ(別エリアへの派遣は不可能)。

〇上記の設定は大体のフレーバーなので詳細はアバウト。プレイング準拠のレギュレーション描写になると思われます。
 敗北可(評価に影響無し)。プレイング先頭に勝の一文字で勝利、敗の一文字で敗北、分の一文字で引き分け。
 
神臣・薙人


小さい碎輝さんを拝見するのは初めてですね
目線が下がります…
でも決闘ごっこにはあまり関係ありませんね
喜んでお手伝いしましょう

こういったプログラムを触るのは
ほぼ経験がありませんが
やってみればそのうち分かるでしょう

ステージは陸上を選択
シンプルに敵の全滅を狙うモードにします
戦車を複数配置したグループを幾つか作って…
まっすぐ、ごー、です
正面から撃ち合いになりますが
なんとか隙を見付けて
敵ユニットにダメージを与えて行きます

碎輝さんは流石にお上手ですね
…あう
見惚れていたら後ろから撃たれました
ここから反転は難しいですね
負けてしまいましたが
碎輝さんの力を発散するお手伝いは出来ましたので
結果としては成功、です
多分



●|一度は言いたい決め台詞《チェック・メイト》
「小さい碎輝さんを拝見するのは初めてですね」
(目線が下がります……)
 激戦を経て過剰な成長を鎮められた小学生形態の碎輝は16歳で加齢が停止している神臣・薙人(落花幻夢・f35429)より更に小さい。
 彼が旧き竜神の一柱だと分かっていても、溌溂とした無邪気な様子は本当に幼い子供のような無邪気さがある。
「まっ、中身はあんまり変わってないんだけどな。
 溜まった力を発散させるには一手間掛かるんだが……もうちょい付き合って貰ってもいいか?」
「決闘ごっこに背丈はあまり関係ありませんね。ええ、喜んでお手伝いしましょう」
「ありがとな! それじゃルールを説明するぜ!」

 薙人がこうしたプログラムに触れるのはほぼ初めてという事もあり、ステージはシンプルな地上戦。
 射程や攻撃力・防御力の異なる戦車を選んで部隊を編成、遮るものも無い平地で会敵する。

「薙人、準備はいいな?」
「はい。どうぞお手柔らかに」
 3,2,1……事前に設定されていた合図が鳴り、戦闘が始まる。
 戦車はゲーム用のユニットとして多少デフォルメ化されているが、本物さながらのスケールとゲームならではのエフェクトが効いた演出は中々の迫力だ。

「様子見が有効なレギュレーションでもねぇからな、早速いくぜ!」
「まっすぐ、ごー、です」

 双方前進。必然、鋼鉄の軍勢は正面からの撃ち合いとなる。
 攻防に優れたユニットを前衛に立てて長射程の戦車で後方から援護。
 種類が同じ戦車の性能は薙人も碎輝も変わらないため、自ずと戦況は膠着状態に陥る。
 こうなれば互いの操作が勝敗を分かつ。
 戦列の様子に目を凝らし、自軍の戦車に細かく指示を出して隙を突く。

「碎輝さんは流石にお上手ですね」
「おっと……! やるな、そっちこそ中々良い狙いじゃねぇか!」

 手応えは互角……いや、もしかすると此方の方が若干だが有利だろうか。
 思ったより善戦できている気がする。
 だが攻撃面を重視して編成された相手の部隊、碎輝が直接操作していると思しき精鋭をあと一歩というところで落としきれない。

「もう一息……!」
「けど残念だったな! チェック・メイトだ!」
「……あう」

 被弾の鈍い衝撃と警告音。
 振り返ればいつの間にやら後方に回り込んでいた敵部隊の砲口が此方を向いている。
 実のところ戦力自体は然程のものでもないのだが、バックアタックの対処に回せる戦力が無い状況なら話は別だ。

「ここから反転は難しいですね……」
 すかさず切り込んできた敵軍との挟み撃ちに晒され、総崩れに陥る部隊。
 薙人自身が操作する戦車は食い下がろうとするが、システムで制御している他のユニットはそうもいかない。
 決着まで時間は掛からなかった。

「負けてしまいましたが……碎輝さんの力を発散するお手伝いは出来たでしょうか?」
「おう、ばっちりだ!」
「それなら結果おーらい、です」

 碎輝によればサイバースペース仕様の今回とは多少の違いこそあれど、幽世でも密かに人気で大会が開かれる事もあるのだという。
 一度のバトルでも奥深さは感じられたが……今は本命、帰還の宴へと取り掛かって。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!

お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ

口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ

よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね

アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!



●戦術という芸術
「ふむふむ……事前に練習とか出来るかしら?」
「お安い御用だぜ! 敵も出せるけど要るか?」
「そうねぇ。あんまり待たせるのも美しくないし、最初からアリでお願いするわ」

 仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)は無数の世界を股に掛けて戦ってきた歴戦の猟兵だが、敢えて戦闘経験の多い環境を参考にするなら無難に平野での地上戦になるか。今回の決闘ごっこのような指揮経験は流石に豊富とは言い難く、シンプルな環境の方が動きやすいだろうという読みもある。
 此度の舞台に上がるのも衣吹の備えた人格の一人、ネイル。
 碎輝の用意したシミュレーションでユニットの挙動を確認し、小さく頷く。

「OK、お待たせしたわね。準備完了よ」
「そんじゃ始めるとしようか! よろしく頼むぜ!」

 レギュレーションは平野ステージでの陣取り合戦。
 戦車や戦闘機ユニットを指揮してチェックポイントを奪い合い、制限時間内に確保した拠点数で勝敗を競う。
 なお、今回の勝負では拠点数および互いのユニットの動向は全て俯瞰視点のマップで公開されている。
 ユニット編成が終わり、開始の合図を受けて両軍は初期陣地から一斉に動き出した。

「いくぜ、電光石火の速攻だ!」
「成程ね。アナタらしいスタイルだわ」

 碎輝軍の編成は機動力に長けた戦闘機ユニットが中心。
 開戦と同時に最速で進行し、両軍の中間にある拠点を迅速に制圧していく。
 制圧済みの拠点に配置したユニットの性能には小さくないボーナスが付与される。
 シンプルなルールでの対戦だからこそ、王道を外さないセオリー通りの動きは純粋に強力だ。

 対するネイル軍は……複数種のユニットを均等に揃えた混成型。
 良く言えばバランスに優れ、悪く言えば明確な強みに乏しい。
 碎輝軍と同様に素早い戦闘機を先行させるも、制圧状況には前線に乗り込めた兵力の差がそのまま反映される。

 形成は4:6……いや、3:7程の比率で碎輝側が有利か。
 エリア中央の激戦区で得たアドバンテージを維持しつつ、自陣営側に配置された拠点を着々と抑え碎輝軍は勢力を拡大していく。
 対するネイル軍はと言うとユニットの大半をエリア中央に集中させていた。
 制圧した拠点の恩恵を存分に活かす碎輝軍に比べ、此方は拠点自体をあまり活用できていないようにも見える。

「悪いけど手は抜かねぇぞ! 幽世に戻った後でもリベンジは受け付けてるからな!」
「あら、もう勝ったと思った? ふふっ……此処からよ」

 初心者にありがちな戦術ミス、等ではない。
 計算通りだと不敵に笑い――反撃の狼煙が上がる。

 碎輝が気付くには少しの時間差があった。
 とはいえ、ほんの数秒の事だ。
 その数秒の間に、エリア中央のイニシアチブはネイル軍が掌握している。

「なにっ……!?」
「戦術だって|芸術《アート》よ。美しく決めないとね!」

 碎輝軍の中核を成す戦闘機ユニットは機動力に長け攻撃力も高いが、防御性能には難がある。
 拠点ボーナスがあればある程度は補えるが、それでも鈍足高コストの代償に攻防に長けた重装戦車であれば正面から打ち破る事も不可能ではない。
 そしてネイルの策はもう一つ。
 彼女が狙ったのは拠点そのものではなく、エリア中央の各拠点に繋がるいわば要衝地帯。
 充分な戦力が揃うまで粘ってからの反転攻勢は、まさに電撃戦の様相を呈して碎輝軍の拠点複数を一気に陥落させたのだ。

 今度はネイル側が攻め立てる番。
 中央部の制圧で得たアドバンテージを元に、碎輝の確保した他の拠点も落とす必要がある。
 確保した拠点の数という点では相手の方がまだ多い。果たしてこの差をタイムリミットまでに覆せるか。

「へへっ……! 望むところだ、燃えてきたぜ!」
「秘策はまだあるのよ。魅せてあげるわ!」

 勝敗の行方は最後の最後まで定まらず、白熱するままにタイムリミットまでもつれ込んで。

成功 🔵​🔵​🔴​

アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。



●|蒼き仮想宇宙戦記《ヴァーチャル・スペース・ウォーゲーム》
「次は|決闘ごっこ《カクリヨバトリズム》か……」
「おう、設定はどうする?」
「ふむ……」

 先の戦闘を経て無限成長の落ち着いた碎輝は小学生形態にまで縮んでいるが、力そのものは未だ健在だ。
 彼の成長は身体能力に限ったものではなく頭脳、精神面にまで及ぶ。

(とはいえ、異境の地であるサイバースペースを利用する決闘用プログラムまで構築してしまうとはな……)
 器用なものだと目を細めつつアス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)は仕様説明を確認する。
 多岐に渡るステージと対戦形式、幾多の戦いを超えてきたアスにとっては何であれ不足は無い。
 幾つかの確認を経て対戦のレギュレーションは定められた。

『こうすると幽世に流れ着いたゲームのラスボスみてぇだなぁ!』
「ん……準備はいいか……」
『ああ、バッチリだ!』

 ステージはスペースシップワールドを思わせる無重力の宇宙空間。
 様々なステータスのユニットからなる大規模艦隊を従え、再び黄金の竜神に変身した碎輝とキャバリアに乗り込んだアス――厳密には両者とも決闘ごっこ用に再現した指揮官ユニットだが――が相対する。
 勝利条件は指揮官、即ち碎輝またはアスの撃破。
 星の爆ぜる演出が開戦を告げた。
 宇宙戦艦から発進した戦闘機が先陣を切り、両軍は激突する。

『へぇ、全軍で正面から来るか! いいぜ! |宇宙竜神軍《スペースドラゴンフォース》が受けて立つッ!』
「ふ……開幕から大将が先陣を切るか」

 二人の指揮する艦隊戦力自体は同等。
 本来なら拮抗が生じる筈の最前線に、汎用ユニットとは一線を画したステータスを持つ黄金の竜神が乗り込み怪獣映画さながらの大暴れを繰り広げる。
 まず単純な|規模《スケール》が違う。
 このままだと絶大な破壊力と攻撃範囲は瞬く間にアス軍を壊滅状態にまで追い込むだろう。

「――充分だ」
『おっ?』

 アスの駆るキャバリアは竜神のばら撒く派手なエフェクトに紛れ、既にその至近にまで迫っている。
 律儀に自軍は巻き込まないようにしている竜神の動きは落ち着いて目を凝らせばある程度は察せられる。
 竜神が規格外の力を振るうように、同じく指揮官ユニットであるアクアブループラチナⅡが秘めたポテンシャルは攻撃力・防御力・機動力に於いて最高水準のパフォーマンスを叩きだす。

「さて、始めるとしよう。……貴様の最後の幕引きをな」
『ぐわっ……!』

 一閃――未だ健在な碎輝軍の追撃を難なく切り抜け、蘇生スキルで踏み止まった竜神にとどめの追撃。
 大打撃を受けながらもアス軍の反撃が蓄積させていたダメージと範囲・射程を絞った代わりに凄まじい威力を発揮するアスの最大火力は竜神のHPを削りきり決着を付けた。

「随分な電撃戦になったな。力の発散という目的は果たせたようだが……」
「自分でセッティングしといてなんだが、こう……あぁいう風に暴れるイメージが浮かぶとウズウズしちまってな」
「……そうか」

 ボールプールのアトラクションに飛び込む子供のような心理と思えば分からなくもないか。
 いずれにせよ残すは帰還の宴のみ。
 此度の行程は恙無く進みそうだと、アスは生真面目に一つ頷くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

バジル・サラザール(サポート)
『毒を盛って毒で制す、なんてね』
『大丈夫!?』
『あまり無理はしないでね』

年齢 32歳 女 7月25日生まれ
外見 167.6cm 青い瞳 緑髪 普通の肌
特徴 手足が長い 長髪 面倒見がいい 爬虫類が好き 胸が小さい
口調 女性的 私、相手の名前+ちゃん、ね、よ、なの、かしら?

下半身が蛇とのキマイラな闇医者×UDCエージェント
いわゆるラミア
バジリスク型UDCを宿しているらしい
表の顔は薬剤師、本人曰く薬剤師が本業
その割には大抵変な薬を作っている
毒の扱いに長け、毒を扱う戦闘を得意とする
医術の心得で簡単な治療も可能
マッドサイエンティストだが、怪我した人をほおっておけない一面も

アドリブ、連携歓迎



●平和な戦い
「今回は毒や薬で何とかする案件ではなさそうだけど……出来る事があるなら力になるわよ」
「ありがとうな、恩に着るぜ!」
「いいのよ。それに今回は私たちの方が助けてもらった側でしょう?」

 竜神親分『碎輝』がサイバーザナドゥからカクリヨファンタズムへ帰還する為の|決闘ごっこ《カクリヨバトリズム》。
 そも、彼がこのまま幽世へ帰還すればカタストロフを引き起こしかねない程にまで成長してしまったのは先の帝都櫻大戰にてオブリビオンの脅威から人々を守るため助っ人に駆け付けた為なのだとバジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)は知っている。
 そのアフターケアとあれば猶の事、彼女も協力を惜しむ事は無い。

「あなたの用意したユニットを指揮して戦う形式になるとは聞いているけれど……」
「そうだな、細かいところは調整できるから希望のシチュエーションがあれば合わせるぜ」
「希望ねぇ……」

 闇医者にしてUDCエージェントたる身として、バジルもコンピュータの扱いには慣れている。
 臨場感あるバーチャル環境フル活用よりもボードゲームのように俯瞰視点で操作できる方がやり易いか。

「ルールはある程度簡略化してターン制で……と。こんな感じでどうだ?」
「ええ、大丈夫よ。大軍の指揮には慣れている訳じゃないから、お手柔らかにね」
「俺も|こっちの世界《サイバーザナドゥ》バージョンにアレンジしてやるのは初めてだからなぁ。いざ尋常に、だ!」

 戦場は山あり谷あり森ありの自然の中。
 スクエア状に仕切られたマップで戦車や戦闘機等のユニットを操作し、指揮官機の撃破か敵軍の全滅を狙う形になる。

「こんな感じでいいのかしらね……?」

 事前に確認したステータスや地形の補正を参考に堅実に軍勢を動かしていく。
 猟兵としての戦闘経験こそ豊富なバジルだが、専門外という自覚はある。
 軍師、或いはゲーマーとしてこのような案件に強い猟兵も少なくは無いが……それでも数多く存在する猟兵全体の割合から見れば多いとも言い難いのだ。
 とはいえ今回は必ずしも勝利しなければならない訳でもない。
 誰かを傷つける事も、傷つけられる事も無く人助けができるというのは悪くない。

(それに……)
「しまった挟み撃ちか! だけどこれくらい、切り抜けてみせるぜ……!」
「……ふふっ」
「ん、どうした?」
「いえ、何でもないわ。戦術を考えてただけよ」

 かつてUDCアースから邪神を駆逐した竜神を統べる者、碎輝。
 彼がどのような存在かは分かっているが、小学生形態に縮んだ彼が戦況に一喜一憂する様は年相応の子供のように微笑ましく見えて……

「……本当に。たまにはこういうのも悪くないわね」

 そうして一進一退の真剣勝負に興じる事しばし。
 過剰な成長に伴う碎輝の力は発散され、帰還の宴に取り掛かる準備は無事に整えられたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロビン・バイゼ(サポート)
「困っている人を助けたい」と強く願う少年。
時には自身を犠牲にしてでも助けようとします。

アイテム・技能・UCは状況に応じて好きなものを使わせて構いませんが、拷問具や拷問系UC・咎力封じは基本ヴァンパイア・闇の種族にしか使いません(逆に両者に対してはよく使用)

絵を描くのが好き。でも描く絵はピカソや岡本太郎のような抽象画。だいたい何描いてあるか分かりません。
基本無表情。何があっても表情変わりませんが、芸術的なもの・博物館・拷問具を見ると瞳が輝きます。
「…」や「、」多めの喋り方。
好きに使ってください。よろしくお願いします。

台詞例
「……びっくり、した」
「……すごい」
「……少しは、役に……立てた、かな」



●合縁奇縁の一勝負
「ん……囲まれ、ちゃった」
「思い切った作戦だったが、それで指揮官が無防備になってたら見逃す道理も無ぇからな!」

 囲まれているのはロビン・バイゼ(芸術と鮮血・f35123)。
 囲んでいるのは竜神親分『碎輝』、そして彼の率いる戦車たち鋼鉄の軍勢。
 あくまで決闘ごっこの一幕だ。
 本当の意味での絶体絶命という訳ではないが……それはそうと勝敗が今にも決しようとする瞬間ではあった。

 先の帝都櫻大戰にて他世界にまで及んだオブリビオンの脅威を退ける為、碎輝はカクリヨファンタズムから此処サイバーザナドゥまで援軍として駆け付けた。
 戦争は無事に猟兵の勝利で幕を閉じたのだが、その戦いの中で成長し過ぎた彼が幽世へ帰還するには意に反してカタストロフを引き起こしかねない強大な力を発散する必要がある、という訳だ。
 その手段こそ|決闘ごっこ《カクリヨバトリズム》。
 今回のそれはサイバースペースを利用して作った戦場で戦車等のユニットを指揮し激突するというもの。
 勝利条件は戦場に配置された拠点を一定数制圧する事、敵軍を全滅させる事……そして敵軍の指揮官を仕留める事。

 ロビン軍は機動力に特化した戦闘機ユニットを中心に据えた編成。
 戦闘開始と同時に速攻を仕掛け幾つもの拠点を制圧したはいいものの、置き去りにされる形で孤立したロビンの本隊へと碎輝軍が強襲を仕掛けてきた形だ。
 碎輝自身のユーベルコードは序盤という事もあり大きな効果を発揮しないが、彼の引き連れた精鋭は高水準の攻撃力と速度を両立した攻撃型ユニット。
 指揮官機のステータスは汎用ユニットに比べ高く設定されているとはいえ、集中砲火を浴びればひとたまりも無いだろう。

「……でも、ね」
「ん?」
「……計画、通り」

 不意に鮮やかな桜吹雪が舞う。
 ロビンを中心とした【桜の癒し】は範囲内の対象に睡眠と回復を付与するユーベルコード。
 相手は戦車だが決闘ごっこに落とし込んだ結果しっかり眠る――行動不能に陥るのだ。
 それは碎輝も例外ではない。本当に眠りに落ちる訳ではないが、ユニットは一時的な行動不能に囚われる。
 同時に響くのは高らかなジェット音。
 問答無用の行動不能は強力な反面、有効時間は限られる。
 機動力に特化したロビン軍はその好機に遅れはしない。

「成程、そこまで見越して自分を囮に! こいつは一本取られたな……!」

 碎輝の性格なら自分で決着を付けに切り込んで来る事は読めていた。
 制圧した拠点から大返しを決めた戦闘機の攻撃力は平均的だが数を揃えれば侮れないダメージソースとなる。
 まして睡眠状態に陥った碎輝たちは無防備。
 爆撃が雨霰と襲い掛かり、指揮官機のHPを削り切って勝負を決める。

「ふー……! とりあえず力は発散できたし帰還の宴も始められそうだ、ありがとうな!」
「うん……どういたしまして」
「機会があれば今度は本家カクリヨ流でリベンジしてやるからな! またやろうぜ!」
「……いいよ。楽しみに、してるね」

 身を起こした碎輝が挙げた手に、控えめなハイタッチの音が重なって。

成功 🔵​🔵​🔴​

飯綱・杏子(サポート)
ジビエ|食材《オブリビオン》がヒト型でなければ料理して喰らうっす
ヒト型の|食材《オブリビオン》を料理するときはこちらがヒト型を辞めるのが|マナー《マイルール》っす

リビングアーマーや宇宙船の類だってきっと貝類みたいに美味しい可食部があるし、食器としても活用するっす
どんなに癖のある|肉《ジビエ》でも濃い味付けにすれば食えない肉はないっす

悪魔だから|毒は利かない《【毒耐性】持ち》っす。酔うけど。腐敗も発酵もわたしには一緒っす
あと|八つ裂きにされても死なない《【切断部位の接続】持ち》っす

シナリオの傾向によっては、ヒト型を性的な意味で食い散らかしてもいいっすよ
白子もミルクも大好きっす



●|鋼鉄の捕食者《サイバー・バイキング》
「喰いに来たっす」
「おう、よく来てくれたな! ……うん?」

 飯綱・杏子(悪食の飯テロリスト・f32261)の第一声に彼女を出迎えた碎輝は首を傾げた。
 此度のミッションは先の帝都櫻大戰に際し助っ人として駆け付けた先のサイバーザナドゥに取り残された碎輝が帰還する為の宴を手伝う事。
 その為には戦争での激闘を終えて猶も続く過剰な成長を鎮め、溜まった力を発散させる必要がある。
 前者は既に満たされ、今は発散の為の|決闘ごっこ《カクリヨバトリズム》の段階。
 宴――それも儀式であり、必ずしも一般的な宴会同様とは限らないが――の開催はもう少し先になるが……。

「あー、それは把握してるっす。碎輝さんが決闘ごっこ用の|戦車《食材》とかプロデュースしてくれるんすよね?」
「お、おう。ルビがなんかおかしい気もするけどまぁそうだな」
「噂に名高い竜神親分のパワーで形成された食材。レアものに違いないっす……」
「いや戦車だぞ? 食えるってんなら止めやしねぇけど……そしたら指揮官役は本人が直接やれるように設定しねぇとだな……」

 とりあえず決闘ごっこの形式に合わせる為にレギュレーションの設定と説明をする事しばし。
 戦場は遮蔽になりそうな小山が点在する荒野、勝利条件は指揮官の撃破または敵軍の全滅。
 開戦の合図が鳴り響き……いただきます、と杏子は手を合わせた。

「おいしくいただくっす」
「マジか」

 杏子の【|食材化の視線《ワイルドフード・ゲイズ》】はお誂え向きに無機物対応。
 浅く広く種類を揃えた杏子軍の戦車その他部隊が文字通りの餌食となり、みるみる内に胃袋へと収められる。

「味はまぁ鉄っすけど……|栄養《エネルギー》的には漲ってるー、ような?」
「そういうモンなのか?」
「軽く腹拵えも出来たし、戦争ごっこの方もちゃっきりやるっすよー」
「と、こっちにも来てくれんだな! それじゃ相手させて貰うぜ!」

 とはいえ自ら自軍を食材化してしまった杏子がどう戦うのか……答えは残る手勢を引き連れての突撃であった。
 容赦なく襲い掛かる集中砲火。
 指揮官が撃破されればそれで決着だが、しかし杏子は斃れない。
 デビルキングワールドの悪魔らしい持ち前の出鱈目な頑丈さ、更にユニットの食材化と捕食が決闘ごっこのシステム的に自己強化&回復として処理されたらしい。
 戦力として悪質なのは食材化の対象は自軍に限定されない点か。
 指揮官ユニットの高性能と食材化で敵軍を食い散らかし、そうして自己強化を重ねて更に暴れ回る。

(碎輝さんは無機物でもオブリビオンでもないから食材化の対象外なんっすよね……)
「不埒な視線を感じたぞオイ」
「興味はあっても食ったら問題になる相手はきちんと把握してるっす!」
「なら良しッ!」
「うっす!」

 よくよく考えれば凄惨な気がしないでもない泥仕合も力の発散という目的には上手く合致したようで……
 決闘ごっこの決着と共に、碎輝に残っていた過剰な力も問題無いレベルにまで霧散したのだった。

「ところで宴ってご馳走は出るんすか?」
「特には……あぁいや、そういうのもアリかもしれねぇな……?」

 今回の宴は“演じる”事が肝になるのだと碎輝は語る。
 例えば農家や料理人……自身がなってもいいし、或いは他の誰かがなってくれるかもしれない。
 気が向けば顔を出してみるのも一興だろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

政木・朱鞠(サポート)
とりあえず、感覚共有した『忍法・繰り飯綱』を放ち【追跡】や【情報収集】で周囲を探って敵の分布や地形の情報を把握しておきたいね。
邪魔をする敵が湧くのなら、武器は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使い【傷口をえぐる】でダメージを与えたいね。

アドリブも連携もOK



●忍者の本懐
「それにしても……随分ちっちゃくなっちゃったねぇ」
「落ち着くまでの成長で溜まった力はまだ残ってるんだけどな」
「それを発散させる為の決闘ごっこなんだっけ?」
「そういうこった!」

 無限成長を鎮める過酷な消耗戦を乗り越え、政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)は碎輝と決闘ごっこの設定を入力していた。
 ゲームであり真剣勝負でもある決闘ごっこ。
 歴戦の猟兵として様々な状況での作戦に精通した朱鞠だが、折角なら慣れたシチュエーションの方がやり易いか。

「よし! 朱鞠、お前も設定はこれでいいか?」
「オッケー、それじゃ次に会う時までごきげんよう!」

 選択したステージはサムライエンパイア風の山あり谷あり森ありの広大な戦場。
 朱鞠と碎輝は和風絡繰テイストに仕上げられた互いの戦車部隊を指揮して手探りに進軍していく事になる。
 勝利条件は戦場に配置された無数の拠点の全制圧、部隊全滅、指揮官撃破のいずれかを満たす事。
 開戦のデジタル法螺貝が鳴り響き、逃げも隠れもせず進軍する碎輝部隊の動向は遠目にも確認できた。

「んん……? 妙だな……」

 快進撃の報告を自軍部隊から受け取りながら碎輝は首を捻る。
 このレギュレーションだと直接遭遇以外に敵を発見する手段は無い。
 故にまずは拠点の制圧を目指し、同様に拠点を狙う相手との遭遇戦を制する事でアドバンテージを重ねていくのが序盤の常道だ。
 これを制する為の部隊展開、及び交戦した部隊の細かい指揮がプレイヤーの腕の見せ所となる。
 違和感があるとすれば、|順調過ぎる《・・・・・》のだ。
 編成の条件は互いに五分。生じる差は部隊の運用に由来する事になるが……。
 と――思考を巡らせる碎輝の前に現れる人影。

「見ーつけたっ!」
「ッ……!」

 戦車部隊を指揮する朱鞠と碎輝は生身のユニットとして戦場に配置されている。
 先の戦闘でも使った荊野鎖の先制攻撃を碎輝は紙一重に回避。

「私の戦車部隊も一緒に合流できれば楽だったんだけど……そう上手くはいかないね」
「そうか、まさか……! 初プレイで暗殺特化の作戦で来るとはな!」
「まぁね。私、本業は忍者だし」

 碎輝の感じた疑念への答えは単純。朱鞠は自軍の部隊全てを“目”として運用したのだ。
 どれだけ拠点を奪われようと、部隊を撃破されようと、指揮官一人落とせば勝敗はそれで決する。
 戦車で狙えば接近を悟られるというなら、生身の指揮官が暗殺役を果たせばいい。

「へへっ……でも最大の壁がまだ残ってるぜ。指揮官がやられれば終わりなのはそっちも同じだからな!」
「そうだね。ま、“私一人なら”勝算は五分だったかな?」

 碎輝の背後にもう一つの気配。
 咄嗟に反応した彼の隙を逃さず、荊野鎖の一撃が碎輝を打ち倒す。
 茂みから姿を見せたのは……【忍法・繰り飯綱】、隠密に長けた子狐似の分霊。

「うわ、やられた……! 指揮官仕様じゃなけりゃまだまだやれたのになー!」
「ふふん……お命頂戴、ってね?」

 碎輝という指揮官ユニットの撃破には、その一撃で充分。
 決着に伴い決闘ごっこのフィールドも消えていく中、得意げなウィンクで〆を飾って。

成功 🔵​🔵​🔴​

ギュスターヴ・ベルトラン(サポート)
|C’est du soutien, ok.《サポートだな、了解》

一人称:オレ
二人称:相手の名前+さん呼び、敵相手の時のみ呼び捨て
口調:粗野で柄が悪い

■行動
信心深いため、戦う前に【祈り】を捧げる事は忘れない
敵の主義主張は聞き、それを受けて行動する。行動原理を理解しないままの行動はしない
連携相手がいるならば相手のフォローへ、居ないなら全力で敵をシバきに行く
戦場によっては屋内でも空が飛べるタイプの魔導バイクを乗り回す
「公序良俗に反することはしてねえぞ」と言うし実際にそうするタイプ

■攻撃
主武器:リングスラッシャーと影業
近距離攻撃が不得意なので敵とは距離を取って戦う

アドリブ連帯歓迎



●それはまるでチートのような
「決闘ごっこなぁ」
「あー……敬虔な聖職者的にはあんまり良くなかったか?」
「いや、別にリアルで被害を出す訳でもないしな。人によっちゃ難色示す事もあるかもだが」

 決闘ごっこ……聞くところによれば今回は戦車等の部隊を指揮して激突する戦争ゲーム仕様。
 無暗に快とするのは確かによろしくはないだろうが、これも碎輝を幽世に帰すため必要な行程なら忌避する事でもないとギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)は考える。
 レギュレーションは幅広く選択できるようだが、大元の設定としては戦車等のユニットを指揮して行う大規模戦闘。
 六番目の猟兵が把握している世界だと|遥か広がる星の海《スペースシップワールド》や|暴力蔓延る退廃の荒野《アポカリプスヘル》にありがちなシチュエーションか。

「……どうにも馴染は薄いんだよなぁ。ま、やれるだけやってみるか」
「そういう事もあるよな。それじゃ、設定はスタンダードに寄せてくぜ!」
「悪いな、任せる」

 今日のお菓子をつまみながら相談する事しばし、出来たステージは砂塵舞う廃墟。
 ギュスターヴと碎輝は俯瞰視点のマップを見ながら部隊を指揮し、敵軍の全滅――或いはタイムリミットを迎えた際により多く累積ダメージを与えた側の勝利を狙う事になる。
 部隊の編成と配置を済ませれば、手元に浮かぶ管理用画面にエフェクトが燃え上がり開戦を告げた。

「お手柔らかに頼むぜ」
『うおお行くぜギュスターヴ! 【成長電流】展開ッ!』
「お手柔らかにっつったろうが!!」

 とは言ったが決闘ごっこ用に調整された【成長電流】はターン経過ごとに効果を増していく|必殺技《ユーベルコード》。
 使うなら初手がセオリーではある。
 そしてこれを攻略するなら成長前に落とさなければ大変な事になるのは目に見えている、のだが。

『くっ、ストライカーA、キャノンB……お前たちの犠牲は無駄にしねぇ……!』
「防御型でもない連中にあと一歩で邪魔されるの凄ぇ歯痒いな!」

 攻撃寄りの部隊編成は碎輝らしいと言えばらしいか。
 現状はギュスターヴ軍の優勢だ。
 しかし多大な損害を出しながらも守られ成長を続ける碎輝の脅威はステータス画面からも確認できる。

「えぇい、こうなったら――天にいますわれらの父よ、御名があがめられますように。御国がきますように」
 こんな事で切っていい手札か少し悩んだが、ともあれ祈る。
 ゲームではあるが真剣勝負だ。
 碎輝がユーベルコードを使う以上、此方も使って条件は同等だろう。
 再び捧げた祈りに応え【|人類進化:到達《サイキックハーツ》】が授けたのは一枚の護符。

『よし、此処から一気にひっくり返すぜ!』

 そうこうする内に充分な強化を遂げた碎輝が反撃に出た。
 戦場全体に与えるスリップダメージも洒落にならず、当人の攻撃は防御力に秀でる重装戦車を一撃で粉砕する。
 対するギュスターヴのターン。
 ステータスとしては高水準バランス型といった具合の指揮官ユニットは臆せず竜神に隣接し――

「悪く思うな。主はこの行いを赦し給うた」
『えっ』

 ぺたり、と貼り付ける護符の正体は【七星七縛符】。
 一発逆転を懸けた碎輝の無限成長は決闘ごっこのルールに則り無慈悲に封じられる。
 本来なら命懸けのユーベルコードだが、決闘ごっこで使う分にはHP消費型スキルの一つだ。問題は無い。
 後は言わば賭けに敗れた|賭博師《ギャンブラー》の末路。即ち順当に、コテンパンに。

「負けたぁーッ!」
「まぁ……そうなるな」

 斯くして此処までの成長で溜まっていた過剰な力も無事に発散し、帰還の宴の準備は無事に整ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴乃宮・影華(サポート)
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です。よろしく

学生時代の経験から、大概の状況は冷静に対応できます
体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用
シルバーレイン世界の技術レベル程度ならハイテク機器も扱えますが
それ以上だとキャバリアの制御AI『E.N.M.A』に頼ります

例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
あとえっちなのは絶対にNG

なお、コメディ色が強い等のネタ依頼の場合は
「これ、真面目にやると負けなのでは……?」と考え
姉の『鈴乃宮・光華』の演技で語尾を「にゃ」にする等全体的にきゃる~ん☆とした言動に変わります



●仮想の世界にて彼の力を振るう
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました。
 銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です。よろしく」
「おう、わざわざありがとうな! よろしく頼むぜ!」
(これが幽世の竜神親分……)

 猟兵との戦闘を経て、彼を最弱にして最強の竜神たらしめる無限の成長は鎮められた。
 しかし小学生形態にまで縮みつつも、先の戦争に際し碎輝が蓄えた力は猶も健在だ。
 帝都櫻大戰の元凶、幻朧帝イティハーサよりも強大だという神王サンサーラさえ穿った雷霆の凄まじさを鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)は感じ取る。
 敵意など向けられていないにも関わらず、このままカクリヨファンタズムに帰還すればカタストロフを引き起こしかねないというそれは本能的な危機感を呼び起こす程のものだった。

「その力を発散させる為の|決闘ごっこ《カクリヨバトリズム》……という話でしたか」
「そういうこったな! 基盤は組んであるから、後はやり易いように細かい設定すれば始められるぜ!」

 とはいえ今回のミッションは直接戦闘ではない。
 碎輝が有り余る力でサイバースペース上に再現した無数のユニットを指揮し行う大規模戦闘シミュレーション。
 黒燐蟲に様々なスクラップ由来の素材を取り込ませた兵器を運用する影華には相性の良い案件だと言えた。

「ところで碎輝さん、ユニットの性能も調整お願いする事は可能でしょうか?」
「ん? 内容次第だが、まぁ割と融通は効くと思うぜ」
「ありがとうございます。それでは……」

 相談する事しばし、影華軍のユニットは普段使っているものとだいぶ近い感覚で運用できるようにアップデート。
 指揮官役を演じる影華自身の周囲から離れたものはユーベルコード等の恩恵を受けられない一般ユニットとしての扱いだが、それでも随分と動かしやすくなった。
 ステージはクロムキャバリア世界の平野を模した戦場。
 勝利条件は敵軍の全滅、或いは指揮官の撃破。
 初期配置に互いの操作する戦車やキャバリア系のユニットがずらりと並び、そして開戦の合図が響く。

「じゃあ早速お披露目といこうか! 行くぜ、【黄金竜神】起動ッ!」
「これが碎輝さんの……!」

 少なくとも決闘ごっこという枠組みの中では同じ指揮官ユニットとして、碎輝と影華の発揮できる能力は同等だ。
 そして碎輝には現実と同様、最弱の状態から強大に成長していくという特徴がある。
 全身に雷電を纏う黄金の威容は竜神たる覇気に溢れているが、現時点ではそれも見掛け倒し。

(それよりも、意外と言ってはなんですが……部隊の指揮にも長けているようで)

 百戦錬磨の戦闘経験を重ねてきた影華にとって黒燐蟲部隊の指揮は手足を動かすようなものだ。
 その影華をして一時も気を抜けないほど巧みに碎輝も自軍を操る。
 身体に留まらない成長という特性のポテンシャル。
 彼自身の気質と傾向という要素こそあれど、能力という観点では全方位に隙が無い。

『高度に制限があるのは動き難いな。うっかりすると腹を地面に擦りそうだ――けど、慣れてきたぜ!』
「それは何より。では……その力、拝借するとしましょう」

 ユニットとしては成長前の状態が弱点である以上、序盤にそこを突いて落とすのが定石。
 影華がそうしなかった事には無論、理由がある。

「彼の力を以て世界を模倣する――汝は汝、我も汝」

 観察は充分。
 本来なら【|黒燐幻想劇弾《イマジンファース》・|見様見真似《シェイプシフター》】は影華自身の肉体を再構築する荒業だが、決闘ごっこ上での仕様は更にシンプル……即ち対象ユニットのコピー。
 新たに現れた黒雷の竜神は、成長強化を遂げた碎輝のステータスを写し取る。

『なにっ……!?』
「では、ボロが出る前に決めてしまいましょう」

 あくまで同等であるが故に奇襲こそが最大のアドバンテージ。
 充分に強化された碎輝のステータスを使える事も強みだが、成長という変動を続ける彼の情報を捕捉し続ける事にはリスクを伴う。
 この一瞬で勝負を決する為に誂えた布陣、周囲に展開した黒燐蟲の火力も上乗せして最大火力で一気に押し切って……

「いやー驚いた! やるなぁ鈴乃宮!」
「ふぅ……お役に立てたなら何よりです」

 決闘ごっこの前に感じていた威圧感も無くなっている。力の発散という目的は無事に果たせたらしい。
 サイバーザナドゥからカクリヨファンタズムへ、帰還の儀式……宴が始まる。

成功 🔵​🔵​🔴​

エリー・マイヤー(サポート)
フラスコチャイルドのサイキッカー × 寵姫です。
常に丁寧語で、あまり感情を乗せずに淡々と話します。
ユーベルコードは習得した物をどれでも使用し、目的達成のために全力を尽くします。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

***
ごきげんよう。
手が必要そうなので手を貸しに来ました、エリーです。
念動力で解決できることならお任せください。
そう、遠くから押したり引いたり掴んだりとか、
持ち上げたり回したり投げたりとか、
そんな感じに遠隔で力を加える系のあれです。
セコい工作はとても得意です。
物理的な手段でどうにかなるなら、大体何とかしましょう。



●念動バイオレンス
「決闘ごっこですか……」

 碎輝の過剰な成長を鎮めるための戦闘は無事に制した後の事、それまでの成長で蓄積した分の力を発散する為の決闘ごっこも成り行きで手伝う流れになっていたのはエリー・マイヤー(被造物・f29376)。
 ちなみに|キャバリア《アレクサンドラ》は帰った。
 ステージやレギュレーションはある程度自由。
 大まかな共通設定として、戦車等の様々なユニットを編成した部隊同士を激突させ勝敗を競うのだという。

「……|指揮官《私》も戦場に配置できるなら念動力で全部磨り潰せば済むのでは?」
「エリーなら出来るんだろうけどシステムの方が追いつかなくてな……」
「では仕方ありませんね」

 まぁ適当に……無論ゲームとはいえ真剣勝負ではあるのだが、純粋な戦闘と違って条件は互いに五分。
 ならば|適当に《適切に》立ち回れば勝敗はともかく目的を果たす事は難しくないだろうと考える。
 ステージセレクトは南国の海。深い意味は無い。
 勝利条件はシンプル、部隊の全滅か指揮官の撃破。進行はリアルタイム。
 ルールとキャラクターデータを一瞥し、少し考えてから部隊編成を済ませる。

「此方は準備完了です。そちらは如何ですか、碎輝さん」
「おう、こっちも大丈夫だぜ!」
「それでは始めましょう」

 システムメッセージと派手なエフェクトが戦いの始まりを告げる――刹那、のどかな南海を嵐が襲った。

「マジか……! いや、やるかなとは実際ちょっと思ってたけど! やりやがったなエリーッ!!!」
「だってアナタ時間掛けるほど強くなるじゃないですか」

 もはや語るまでもなくエリーの念動力である。
 決闘ごっこの枠組みで再現不可能という事は、つまり|上限《カンスト》性能が保証されているという事。
 現実のように単騎で軍勢を壊滅させられる程のバランスではないが、同時にエリー側にも指揮下の軍勢がある。
 選んだのはこの速攻に追随できる機動力と可能な限りの防御力。

「多分こうするのが一番強いと思います」
「くっ、戦力差に屈しない人類の……もとい竜神の叡智を見せてやる! 行くぜ【超電竜撃滅衝】ーッ!!」

 蓄積すると痛い敵軍の反撃は自軍を盾に防ぎ、念動力の暴力で薙ぎ払う。
 エリーと同じく指揮官ユニットである碎輝もポテンシャルは同等だが、無限成長の特性を反映しているが故に序盤の性能は高くない……いや、低い。
 そして通常ユニットでは念動力が猛威を振るう射程内に収まったが最後、砲撃を放ってエリー軍の戦艦に阻まれる程度しか出来る事が無い。

「はいドカーン」
「ぐわーっ!?」
「身も蓋も無いですが、まぁ戦いなんてそんなものですね」

 視線一つで爆ぜる【念動エクスプロージョン】が情け容赦なく碎輝(小学生形態)を吹き飛ばす。
 斯くして嵐は過ぎ去り、戦いは無情にも決着を迎えた。
 碎輝に残っていた力も無事に発散され、帰還の宴に取り掛かる準備が整ったのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

陰日向・千明(サポート)
「正直ダルいんスけど、なんかほっとけないんで……」
◆口調
・一人称は「うち」、二人称は「あんた」、くだけた敬語をつかう
◆性質・特技
・インドア派で怠惰
・雨女
◆行動傾向
・特権階級者の車に轢かれた恨みで黄泉還った女子高生の悪霊。竜神の力と復讐心から受肉を果たす
・利己主義にして合理主義。その世界の秩序や慣習にとらわれない傾向にあるが、良心がいたむのかなんだかんだで面倒見はよい
・霊界通信販売サービス「天孫(あまそん)」でさまざまな道具を配送召喚できる神器スマホは異世界の必需品
・一度死んだ経験から傷付くことへの恐怖心が鈍っており、あえて窮地に飛び込むフットワークの軽さを発揮することだろう



●勝者無き勝利の大団円
「正直ダルいんスけど、なんかほっとけないんで……」
「付き合って貰って悪いな。さっきは随分と寿命削ってたっぽいけど大丈夫か?」
「あー……まぁ大丈夫じゃないっスかね。多分」

 碎輝の過剰な成長を鎮める為の戦いを経た後、陰日向・千明(きさらぎ市の悪霊・f35116)は蓄積した力を発散させる為の決闘ごっこも手伝う事になっていた。これも乗りかかった船か。
 サイバースペースを利用した大規模戦闘シミュレーションという事で雰囲気は掴めた。
 元々ただの|JK《女子高生》だった千明にとってゲーム風の形式は殺し合いの戦闘より余程分かり易い。

「んじゃ、レギュはこんな感じで……」
「お、おう。慣れてんな?」
「それなりに……」

 力の発散が目的なら派手な方がいいだろう。多分。
 それくらいの気持ちでステージは宇宙空間、兵数は|最大値《MAX》、どちらかの全滅を以て勝利条件とする決戦モード。
 未だ見ぬ|宇宙世界《スペースシップワールド》の星間戦争を思わせる壮観な隊列を戦場外のコントロールパネルから確認し頷き一つ。

「千明、そっちも準備はいいか?」
「うっス。いつでもどーぞ」

 派手なエフェクトに彩られた開戦の合図。
 もし現実なら国どころか星の戦力を総動員したかのような大軍勢が千明の指先一つで意のままに動く。
 ……動くのだが。

(よく分からんな……)

 サブカル経由で聞きかじりの知識こそあるが、当然ながら実際にこうして指揮を執るのとはまるで違う。
 確認できるデータを見る分には形勢は互角だろうか。
 だだっ広い戦場で目まぐるしく推移する戦況を眺めつつ、砲撃支援する後方の戦艦が隙を晒していれば装甲の厚い前衛を回して護衛に当たらせる。機動力に秀でた戦闘機が自殺同然の特攻を仕掛けていれば下げて別方面に差し向ける。
 セミオート制御の自軍の時に頓珍漢な挙動をフォローしつつ戦況をチェック。
 やはり戦場の中央が最大の激戦区か。
 片手間にコマンドを入力、タイミングは山勘でセットして――

「――ふっ、油断したな千明! 大将首は此処で貰うぜ!」
「おおっと?」

 文字通りの全方位に広がる無重力の戦場、上空から千明の指揮官機に奇襲を仕掛けたのは碎輝側の指揮官機。
 仮に旗艦が落とされたとしてもどちらかの全滅まで戦いは続く。
 だが、自らも高めのステータスを誇り自軍にバフを与える旗艦の撃破は戦場に大きな影響を及ぼすだろう。

「一騎駆けとはあんたらしい戦法っすね。でも……」

 避けきれない。被弾。
 残りは配下の砲撃を集中させて削り切るつもりなのだろう、碎輝軍の旗艦自体はそのまま駆け抜け離脱を図る。
 そうはさせないと、千明側も指揮官機自体を遮蔽にして退路を遮る。

「? 何を狙って――」
「20XX年。戦場は核の炎に包まれた……」
「はっ?」

 戦場の中央に投げ込まれたのは先程セットした|核爆弾《ニュークリア・ボム》、コストパフォーマンス度外視の最大火力。
 敵味方を識別するような気の利いた機能は無い。
 悪夢のような効果範囲は千明と碎輝、両者の旗艦を仲良く呑み込んで。

「いやいやいや、無茶苦茶やるなお前!」
「争いは斯くも虚しいもの……っス」

 両軍とも指揮官を失い、壊滅的な打撃を受け、しかし全滅の時まで泥沼の戦いは続いて……
 何はともあれ、溜め込んだ力の発散という目的は無事に果たされたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『夢、売ります』

POW   :    戦士系のMODを選ぶ

SPD   :    諜報員系のMODを選ぶ

WIZ   :    超能力者系のMODを選ぶ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●境界ゆらめく仮想の宴
「ホントありがとうな! おかげで力も無事に発散できたし、これなら幽世に帰っても大丈夫そうだ!」

 過剰な成長を鎮め、溜まっていた強大な力も|決闘ごっこ《カクリヨバトリズム》で発散した。
 碎輝もこれで安心して宴……カクリヨファンタズム帰還の儀式を進める事ができる。

 内容そのものは貸し切り状態に改造されたサイバースペースを会場とする普通の宴会だ。
 料理もデータだが現実と変わらない食事を楽しめるし、広間で騒いでもいい。
 ちょっとした遊園地や映画館といったアトラクションも設けられている。

「妖怪たちが居ねぇのはちっとばかり寂しいが、その分も俺が主催としてもてなすからよ! 楽しんでってくれ!」

 碎輝が言うには目玉は「夢、売ります」がキャッチコピーのMOD販売ショップ。
 たとえば戦士は学者や魔術師に、紳士淑女はアウトローに、人間は妖怪に、妖怪は人間に……
 普段と違う|在り方《種族・ジョブ》になり切る事で宴の効果を高める事が出来るのだとか。

「まずは今回助けてくれた礼と、この縁がこれからも続く事を願って――乾杯!」

 戦いが続く日々の合間、ひとときの平穏な時間が流れていく。


※宴です。宴会っぽい事は大体できます。
 特に妖怪や現地民は居ませんが、代わりに碎輝と一緒に遊ぶ事が可能。
 おひとり様でサイバースペースの設備や風景を楽しむのも可。

※今回MOD販売ショップでは任意の種族・職業になりきる事ができます。
 第三章では「本当に自分がその種族・職業」であるかのような能力も再現されます。
 普段と違う戦法で模擬戦に興じたり、異種族の感覚を体験したり、アーティストになって作品を作ったり……
 思い思いの一時をお過ごしください。
 
神臣・薙人
碎輝さんがお帰りになるお手伝いが出来て
本当に良かったです
後は宴、ですね

もっどというのがあるのですね
初めて知りましたが
普段とは違う在り方になれるのは楽しそうです

乾杯の後MOD屋さんへ
折角ですから普段とは全く違う
洋装の軽戦士になります
刃物は苦手なので
武器はスリングショットとかで

身軽になったので斥候ごっこをします
サイバースペースの物陰に隠れて
周囲の様子を注意深く窺いましょう
敵の姿はありません
このまま先へ進みます

それっぽい物陰があれば身を潜め
周りの安全を確認します
時間いっぱいまで遊んでみたいですね

碎輝さんがお帰りになる時はお礼を
楽しい時間をありがとうございました
また機会があればお会い出来ると嬉しいです



●Mission:cherry blossom
「碎輝さんがお帰りになるお手伝いが出来て本当に良かったです」
「へへっ、そうか! 俺も薙人が助けに来てくれて嬉しかったぜ!」

 それは碎輝のトラブル解決に向けて前進した安堵であり、彼の力になれた事の喜びでもあり。
 後は「宴」の儀式……神臣・薙人(落花幻夢・f35429)は碎輝と穏やかな一時を過ごしていた。

「|もっど《MOD》というのがあるのですね」
 乾杯して戦闘や決闘ごっこの疲れを癒した後、意識が向いたのはやはり目玉だというMOD販売ショップ。
「初めて知りましたが、普段とは違う在り方になれるのは楽しそうです」
「おう! まだバリバリに成長してた時にセッティングした奴だからな、クオリティもバッチリだぜ!」
「なるほど……」

 メニューを開けば種族や職業、無数のリストがずらりと並ぶ。
 隣で碎輝が検索を手伝ってくれるが、一つ一つ丁寧に目を通していればそれだけで日が暮れてしまうだろう。

「薙人はどんな感じのが気になるとか、あるか?」
「そうですね……折角ですから普段とは全く違う洋装の軽戦士に」
「オッケー任された! 他にリクエストあればじゃんじゃん言ってくれよな!」
「では、刃物は苦手なので武器はスリングショットとかで……」

 わいわいと相談しながら進める事しばらく、イメージチェンジした薙人の姿は本職顔負けの|斥候《スカウト》風味。
 変わったのは外見だけではない。
 幾らか鋭敏に研ぎ澄まされた感覚、身軽になった身のこなし。
 冒険活劇の主人公にでもなったかのように自ずと心も浮き立って。

「ふぅ……」

 軽やかに地を蹴り、音も無く建物の影から影へ移動する。
 物陰に身を潜め、周囲の様子を注意深く窺う。

「……敵の姿はありません。このまま先へ進みます」
『了解だ。油断せず慎重に行こう』

 MODに付属していた通信用の護符で碎輝と連絡を取りながら気配を探る。
 微かな物音――聞こえた方向に目を凝らせばミニゲーム用に配置されたバルーン状のターゲット。
 狙いを定めたスリングショットの一発は見事に標的を撃ち抜き、ファンファーレと共に花吹雪が舞う。

『ナイス、命中だ!』
「よしっ……と、移動しなくては見つかってしまいますね」

 小さくガッツポーズを取り、予め目星を付けていた潜伏地点へと身を隠す。気分は敏腕エージェントだ。
 童心に帰る……という表現が今回適切かは分からないが、どこか一欠片の懐かしさを内包した高揚感。
 興じる遊びはそう複雑でもないのに、時間は飛ぶように過ぎていって……宴もお開きの時を迎える。

「楽しい時間をありがとうございました。また機会があればお会い出来ると嬉しいです」
「こっちこそありがとうな、楽しかったぜ!」

 握手を交わした手は小さく、けれど溌溂とした元気に満ちている。
 酸いも甘いもかみ分けた身だろうに、見上げた鬼灯色の双眸には純粋な光が宿って。

「……良い思い出が増えたよ。ああ、また会おうな!」
「碎輝さんも、どうかお元気で」

 願わくば――明日の先にも、優しい風が吹くように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリー・マイヤー
なりたいものになれる、ですか。
別に、自分の能力にも美貌にも、私はそこまで不満はないですが…
ああ、そういえば、気になる種族が一つありました。
せっかくですし、一度なってみてもいいかもしれませんね。
人間に。

おお…
なんか全然サイキックエナジーが漲りません。
頭も微妙に回りませんし、お肌の調子もイマイチですね。
なんか顔も言うほど美しくもなく、体も若干不調です。
そして何より、|空気が美味しい《息がしやすい》。
デザインされてない人間って、なんかこう…
まぁ、別にそんなもんかって感じですね。
お父さんは、思った以上に私達の性能を盛っていたようです。
ありがたいことですね。
…ちなみに、碎輝さん的にはどっちがお好みです?



●Butterfly dream
「なりたいものになれる、ですか」

 変身願望……現状の脱却あるいは理想の成就。
 古今東西、枚挙に暇の無いテーマである事をエリー・マイヤー(被造物・f29376)は知っている。
 今回のMOD販売ショップは碎輝プレゼンツだが、こんな店がある辺りサイバーザナドゥも例外ではないのだろう。

「別に、自分の能力にも美貌にも、私はそこまで不満はないですが……」
「自分で言うんだな……でも満たされてるってのも良い事だ!」
「ああ、そういえば、気になる種族が一つありました」
「へぇ?」

「せっかくですし、一度なってみてもいいかもしれませんね。……人間に」

 |終末世界《アポカリプスヘル》にフラスコチャイルドを作り出した、|被造物《クローン》ならざるものたち。
 父や協力者、出資者たちの顔をなんとなく思い出す。
 MODの適応は一瞬だった。
 システムメッセージが流れ、文字通りの瞬き一つで感覚が切り替わる。

「おお……」
「変わったな。気分はどうだ?」

 表情は変わらないなりに感嘆の声が零れた。そのまま備え付けの鏡の前へ。
 今に限っては“元”が付くが、フラスコチャイルドとしてエリーは自己分析にも慣れている。

「なんか全然サイキックエナジーが漲りません。
 頭も微妙に回りませんし、お肌の調子もイマイチですね。
 なんか顔も言うほど美しくもなく、体も若干不調です」

 その気になれば細かい設定も出来たのだろうが、それをしていない今の姿は素直に“もしエリー・マイヤーというフラスコチャイルドが人間だったら”という仮定に対する答えの一つと言える。
 まぁ、予想の範囲内だ。元より知識としての理解はあった。

「そして何より、|空気が美味しい《息がしやすい》」

 深呼吸。
 人間だから清浄な空気を吸う事に違和感は無いのだが、その事自体に違和感があるような。
 新鮮、と表現してもいいのかもしれない。

「デザインされてない人間って、なんかこう……」
「こう?」
「まぁ、別にそんなもんかって感じですね。お父さんは、思った以上に私達の性能を盛っていたようです」
「愛されてたんだなぁ」
「ありがたいことですね」

 宴の時は過ぎていく。一時の夢もじきに覚める。

「……ちなみに、碎輝さん的にはどっちがお好みです?」
「もちろん両方良いと思うけど、選ぶなら普段の方だな」
「竜神親分は面食い、と……」
「そういう理由じゃねぇよ」
 真顔で飛ばすジョークにはひらりと手を振って。
「エリーはこれからも元の姿に戻って生きてくんだろ? 寄り道したり、立ち止まったりしながら、
 そうやって足跡を刻んで進む|お前達《生命》の姿が俺は好きなんだ」
「アナタも大概、筋金入りですね」
「まぁな!」
「……それっぽく生きていきますよ。これからも」

 碎輝は妖怪たちの幽世に、エリーは人の生きる世界に。それぞれの日々へと戻っていく。
 縁があれば、また会う事もあるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギュスターヴ・ベルトラン
普段と違う在り方…これ使ったらオレも日本刀とか使えるようになれるんだな?
そっかぁ…
(無言でMODを使う)
(いつの間にか手元にあった刀を振る)

ウワー、楽しい!!
刀ってカッコいいよなぁ…こう、サムライ!って感じがするのホントいい

日本刀は学生の時に一回持ったことがあるんだよ
でも振ってみようとすると全ッ然ダメで
逆に刀に振り回されて、自分の腕を切り落とすんじゃねえかなって思ったんだよな…
自分の腕切り落とすならまだ良い
友人とかに怪我させたら、取り返し付かねえことになったらって考えたら…ま、止めとくかって思ったわけだ

しかし一振りするだけで何でも細切れに出来るのってどういう理屈なんだろうな?
サムライ凄いなー



●Longing of boys
「普段と違う在り方……これ使ったらオレも日本刀とか使えるようになれるんだな?」
「おう! 自由自在だぜ!」
「そっかぁ……」

 操作方法は実にユーザーフレンドリーだった。
 ギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)が無言で設定を入力すると、手元にはいつの間にか見事な誂えの日本刀が出現している。
 おもむろに手に取り、お試しスペースで軽く素振り。

 鋭い呼気と共に放つ一閃は鮮やかで、気合いを入れたら斬撃を飛ばせたりもする。
 連撃を繰り出せば上衣の裾が舞うように翻り、力を溜めて打ち込むと幾重にも走る斬線がバーチャル案山子を微塵に斬り刻んだ。

「ウワー、楽しい!!」
「ははっ、気に入ったなら何よりだ! 醍醐味ってヤツだな!」
「刀ってカッコいいよなぁ……こう、サムライ! って感じがするのホントいい」
「分かるぜ。俺の武器は槍だけど、なんつーか……カッコいいんだよなぁ……!」

 武器としての機能美、芸術品としての側面も持つ造形美。
 シンプルな造りながら携えているだけでも絵になるのはサムライへのある種の|憧れ《幻想》が宿っている面もあるのだろう。
 ……等と筋道立てて語る事は“最弱”に戻った今の碎輝には些か不向きなのだが。
 敢えて言葉を重ねずとも少年魂は通じ合うのだ。

「日本刀は学生の時に一回持ったことがあるんだよ」
「へぇ、そうなのか?」
「でも振ってみようとすると全ッ然ダメで」

 もう何年前になるか、遠い日の記憶に思いを馳せる。
 要素で言えばそれなりの長さの鉄の塊、重心の関係もあって常人の膂力で容易く振り回せるものではない。

「逆に刀に振り回されて、自分の腕を切り落とすんじゃねえかなって思ったんだよな……」
「思ったより重くて勢いで変にバランスが崩れるんだよな。ホント振り回されてるって感じで」
「碎輝さんでも最弱モードの時はそんな感じなんだな。なんにせよ自分の腕切り落とすならまだ良い。
 友人とかに怪我させたら、取り返し付かねえことになったらって考えたら……ま、止めとくかって思ったわけだ」
「よしんばケガは治ったとしても、ケガさせちまったらその事は色々尾を引くモンだからなぁ」
「おかげで今は話のタネにも出来るんだ、冴えた判断だったろ?」
「かもしれねぇな!」

 今なら適切に修練を積めば剣技の一つや二つは会得できるかもしれない。
 が……憧れは憧れでいいかと、ゲームやコミックのような剣技を体験しながら今は思う。

「しかし一振りするだけで何でも細切れに出来るのってどういう理屈なんだろうな? サムライ凄いなー」
「マジで凄いよなー」

 MOD適応中の今は感覚でなんとなく分かるが故に、門外漢としては却って謎も深まるというもので。
 卓越した技量であったりフィジカルであったり、それを身に付けるまでの過程であったり。
 |現実《リアル》でも時に荒唐無稽で摩訶不思議な剣術を可能にしてしまう人間のポテンシャルに感心しつつ……碎輝と年甲斐もなく日本刀談義、カッコいいもの談義を繰り広げる内に宴の夜も更けていく。

「いやぁ、それにしても……」
「ん? どうした?」
「平和だなぁ……」
「そうだなぁ」

 師も駆け回るという年の瀬だ。
 こうして一息つく日があってもいいだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年12月08日


挿絵イラスト