帝都櫻大戰㉔〜誰がために涯を目指す
●歴史
骸の海満ちる世界が弾け、溢れ出す骸の海。
孵化するように新たなる世界に咲き満ちるは、美しい櫻の花。
天と地を覆い尽くす櫻の花弁は美しく、その壮麗たる光景は見る者の心を癒やしたかもしれない。
だが、その下ではおぞましい数の『冥府の蛆獣』たちがうごめいている。
この世界にある生命ある者は全て等しく急速に蝕んでいく。
あらゆる生命に牙を剥く侵略新世界の名は『サクラタルタロス』。
混沌の上に生まれし大地と冥界。
その名の通り、乖離されし狭間にて生命は生きるのならば、『サクラタルタロス』はまさしく生きる者全てを蝕む冥界そのものであったのだ。
「生命あるからこそ滅びは必定である。可能性は生まれ出るが、しかしその終着は一様に同じ場所に辿り着く。生まれた以上、死ぬるのが定め故に、人は死を恐れる」
『幻朧帝イティハーサ』は告げる。
そう、生命は死に向かって歩むもの。
理性は本能の影法師。
故に人は己に付きまとう死という影に怯え続ける。
そのような憂いに寄り添うのが愛と死の女神、エンシャント・レヰス『イザナミ』であった。
「生命の死は受け入れがたい。|『櫻の楽園』《サクラエリュシオン》は、そうした者たちの揺り籠であった」
『イザナミ』と融合し『意志』を得た『イティハーサ・イザナミ』は告げる。
「だが、すでに破滅を迎えた楽園は、生命を散らす冥界へと成り果てた。これ以上の生命は必要ない。死によって流れ着く可能性を骸の海は必要としていないのだ。全ての断片の可能性は得られた。これ以上は無駄極まりないものである」
「本当にそうでしょうか。本当に全てが無駄であると?」
グリモア猟兵、ノイン・シルレル(第九の悪魔・f44454)は薄紅色の瞳を爛々と輝かせながら、冥界の如き世界にありて告げる。
「無駄以外の何物でもない。同じ可能性は必要ない。重複したものは、ただ許容を圧迫するだけだ。お前のように」
「私だけが違うとは言いません。たとえ同じものであっても、生きた時間が違う。密度も違う。速度だって違う。全てが違うはずです。全てが同じものなど存在しない。たとえ、それが生命が願う愛や平和であっても」
「愛? 平和? それもまた創造しえるものだ。くだらないな。世迷い言に過ぎない。お前たちが望んでやまぬものでさえ、儂は世界をもって生み出すことができる。お前たちにできるのは、無為にそれらを壊すことだけだ。または消費することだけだ」
ノインは頭を振る。
確かに『イティハーサ・イザナミ』は強大な力でもって世界すら創造しうる力を持っている。
けれど、それも完全ではない。
猟兵たちは少なくとも二つの侵略世界を打ち破ってきている。
如何に創造できるからといって、万能ではない。
もしも、その力が強大無比なるものであるというのならば、己達猟兵の敗北は必定であったからだ。
「世界は滅びる。それは定められたことだ。如何に三十六世界が今のなお命脈を保ち続けているのだとしても、世界の破滅は生命と同様に定められたものだ」
「ならば、私は」
ノインは、その瞳に輝きを宿す。
たとえ、刹那の輝きであっても生命は虹の輝きを放つ。
永遠の如く灰色よりも、刹那の煌きこそが生命の輝きの戦列さを示すものであったことだろう。
故に彼女は言葉を紡ぐ。
原初の一人が告げた言葉だ。
その言葉が幾星霜もの時を経て大願を成就させたように。
『意志』とは即ち、諦観を打ち破る力である。
やり遂げるまで死ぬるものではないという|『意志』こそが、最悪の|結末《エンディング》を覆す。
否。
|破壊する《ブレイク》のだ。
そして、|破壊された《ブレクスルー》先にあるものは、いつだって無限に広がる可能性なのだ。
彼女は紡ぐ。
『イティハーサ・イザナミ』は言う。
世界の破滅は決定されたものである。必定である、と。
ならば告げよう。
最初の一歩が無ければ何も始まらぬように、最初の一人が立ち上がったからこその今がある。
「『それを決めたのは、誰なのですか――?』」
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『帝都櫻大戦』の戦争シナリオとなります。
エンシャント・レヰス『イザナミ』と融合を果し『意志』を獲得した『幻朧帝イティハーサ』は、侵略新世界『サクラタルタロス』を創造しました。
天と地は、美しい櫻の花に覆われた世界であれど、しかし櫻の下には無数の『冥府の蛆獣』が蠢き、皆さんの生命力を削ぐように牙を剥き急速に蝕むでしょう。
長くこの世界にとどまることはできません。
この世界は『死の静寂』に満ちており、皆さんは自身の生命力が尽きる前に『イティハーサ・イザナミ』へと地隙を加えて撤退するか……あるいは、取り込まれた『イザナミ』に向けて皆さん自身の『命の輝き』を示し、僅かな時間とは言え『イザナミ』と同化した幻朧帝を怯ませ『死の静寂』を止めることができるかもしれません。
プレイングボーナス……生命力が尽きる前に一撃を与え、離脱する/自身の「命の輝き」をイザナミに示す。
それでは、幻朧櫻舞い散る帝都にて戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『イティハーサ・イザナミ』
|
POW : 天矢『サクラタルタロス』
【射た矢が突き刺さった地点】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【冥府の蛆獣による寄生】の状態異常を与える【真白き死桜花の嵐】を放つ。
SPD : 神鷹『サクラタルタロス』
【神鷹の羽ばたきと共に白い花弁】を噴出し、吸引した全員を【冥府の蛆獣】化し、レベル秒間操る。使用者が製作した【世界の住人たる証】を装備した者は無効。
WIZ : 骸眼『サクラタルタロス』
レベルm半径内を【生命を拒む世界】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【死をもたらすための力】が強化され、【生を長引かせようとする力】が弱体化される。
イラスト:炭水化物
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シビュラ・ヴェルムリープ
決められた終焉等存在しない……決まっているものがあるとしたら一つ『決まっているもの等『決まっているもの等無い』以外存在しない』という事よ
UCを発現させ、聖杯槍に変身
オラクルのエンドブレイカーとして言葉を告げましょう
――『それを決めたのは、誰なのですか』……ではなく
――『天からの啓示は、即ち運命はそんな事望んでいないという事でしょう?』、と
世界の創造主を僭称するしゃれこうべよ
貴方の存在にこそ、意味はない
其れがわたくしが抱いた天啓……ブレイクスルーの後の未来よ!
駆動させたオラクルの聖杯槍を振るい、幻朧帝イティハーサのみに切っ先を突き立てる――
侵略新世界『サクラタルタロス』は一見すれば櫻満ち溢れる美しい世界だった。
しかし、ここは冥界と同じく『死の静寂』が満ちている。
生命が奏でる音など何一つない。
音のない世界は、全ての生命が息絶えた世界である。
この静寂を好ましく思うものもいる。
生命の鼓動が騒々しく、またけたたましいものであると不快感をあらわにしたものもいた。
生命が可能性であるというのならば、『死の静寂』は可能性の生まれ得ぬ停滞そのものである。
停滞したものを破壊するのはいつだって『意志』である。
不撓不屈なる意志こそが、あらゆる停滞を破壊していく。
ともすれば、それは壁のようなものであった。
これ以上はないという涯。
故に、行き止まり。
『イティハーサ・イザナミ』が言うところの、これ以上の生命が不要であるという言葉もまたそれに通じるものがあったのかもしれない。
「決められた終焉など存在しない……決まっているものがあるとしたら、一つだけ」
シビュラ・ヴェルムリープ(光桜天樹スプリールの聖女・f39562)は己の生命が削がれていくのを感じただろう。
この侵略新世界に存在しているだけで、ただそれだけで生命が失われていく。
それはこの世界の大地の下に『冥府の蛆獣』がうごめいているからだ。
だが、彼女は言葉を紡ぐ。
「決まっているものなどない、ということよ」
彼女のユーベルコードが輝く。
「いいや、決まっている。決まっていないように見えるのは、それが混沌という可能性の断片の坩堝を覗くからだ」
『イティハーサ・イザナミ』の言葉と共に生命を拒む世界が広がっていく。
それはシビュラの生命を削る。
削岩機で削るかのように肉体から生命が散っていく。
シビュラの瞳は輝く。
生命が最も輝くのはいつか。
生命が灯火に例えられるように、死の危機に瀕した時である。
今こそ彼女の生命は鮮烈に輝く。
「オラクルのエンドブレイカーとして言葉を告げましょう。――『それを決めたのは、誰なのエスカ』ではなく。――『天からの啓示は、即ち運命はそんなことを望んでいないということでしょう?』と」
「存続を望むのが生命ならば、滅びを求めるのもまた生命なのだ。それは断片の可能性が既に示している」
「世界の創造主を僭称するしゃれこうべよ。あなたの存在にこそ、意味はない」
「お前たちが歩んできた歴史そのもに意味がないというのならば、お前たちの足元が瓦解していくものである。儂自身が歴史であることは語るところである。それでもなお」
「わたくしが抱いた天啓……ブレイクスルの後の未来よ!」
星輪の終焉破壊・終焉を根絶せよ聖杯の槍たる天啓者(ステラリング・オラクルロンギヌス)。
ユーベルコードのきらめきと共に『聖杯槍』に変じた一撃が、放たれる。
終焉を破壊するという天啓の心。
それが静寂に満ちた世界を斬り裂く風切り音を響かせ、大気の壁を打ち抜きながら轟音を立てる。
それは『死の静寂』を打ち破る音だった――。
大成功
🔵🔵🔵
ブリュンヒルデ・ブラウアメル
貴様がどのように言葉を紡ごうと、呆けた老人の世迷言にしか聞こえん
――『それを決めたのは、誰なのですか』……
流石我らが始祖、決め台詞もエンドブレイカーの本質を捉えている
ならば我も――『それならば、あの日見た蒼穹はどうしてあそこまで美しかったのだ?』
あの日見た蒼穹の美しさ、その憧憬こそが我がUC
ヴァルキリーの翼を広げ、戦場内の終焉を変更――破壊していく
これこそ我が魂……命の輝きだ
この程度の『終焉』に、エンドブレイカーが屈するものか!
翼を広げ、蒼き我が剣を振るってイティハーサを斬滅するべく『終焉』を破壊していく――
『死の静寂』は、生命を認めない。
騒々しくも響き渡る鼓動。
世界とは、そもそもの静寂でなければならない。
完璧なものとなるには、不確定な可能性を生み出し続ける生命など必要ない。停滞こそが不変。
ならば、生命という変数は極まれば無音に至るのだろう。
故に生命は不要。
「もはや可能性の断片は煮詰まったも同然である。これ以上は必要ない」
『イティハーサ・イザナミ』の言葉と共に矢が放たれる。
侵略新世界『サクラタルタロス』の地面に突き刺さった矢より広がる境界。
大地から湧き出すのは『冥府の蛆獣』たちであった。
蛆虫のような姿をした獣たちがブリュンヒルデ・ブラウアメル(蒼翼羽剣ブラウグラムの元首『剣帝』・f38903)に迫る。
「貴様がどのような言葉を紡ごうと、呆けた老人の世迷い言にしか聞こえん」
「ならばお前たちは如何なる言葉を儂に紡ぐというのだ。歴史そのものである儂に」
「――『それを決めたのは、誰なのですか』……流石我らが始祖、決め台詞もエンドブレイカーの本質を捉えている。ならば、我も――『それならば、あの日見た青空はどうしてあそこまで美しかったのだ?』」
見上げた空は櫻の包まれている。
この世界はどこを見ても櫻に覆われている。
大地と空とを乖離するものがない。
足下には『冥府の蛆獣』がうごめいて、生命を削るように牙を剥く。
生命が存在してはならぬというように、蠢く蛆獣がブリュンヒルデに殺到する。
瞳を閉じる。
瞼の裏に刻まれているのは、あの日見た蒼穹の美しさであった。
そこに憧憬を持つというのならば、己のユーベルコードこそがはトロ出会った。
「終焉を破壊せよ、我が蒼き翼! 翼を広げ、戦場に蔓延る全ての悲劇の終焉を打ち砕き改変する事を以て、その終焉に終焉を!」
己が魂の輝き。
生命の輝きの色は如何なる色か。
ブリュンヒルデが思うのは、あの青空だった。
どこまでも広がっていく青。
己が天に落ちるように錯覚するほどの感覚。空を飛ぶ。飛翔する。落下する。
落ちるなら、空がいい。
「これこそが我が魂……生命の輝きだ。この程度の『終焉』に、エンドブレイカーが屈するものか!」
「『意志』こそが全てを破壊していく。どんなものであっても破壊していく。だからこそ、儂は『意志』を以て新たなる世界を創造するのだ」
迫りくる『冥府の蛆獣』をブリュンヒルデは蒼き剣を振るって斬り捨てる。
眼の前に広がるのは『終焉』だ。
なら、それを破壊しなければならない。
終焉を識るものは、希望を喪う。
最早戦うこともできなくなってしまう。けれど、その終焉を知りながらも、破壊するために戦うものたちがいたのだ。
たとえ、悲劇であっても。
果敢に立ち向かうことこそが、生きることなのだと|『意志』《ガッツ》をみなぎらせ、幾度となく脅威に立ち向かってきた者たち。
その名は、エンドブレイカー!
大成功
🔵🔵🔵
マデライン・アッシュリア
死の女神イザナミ様は
死の花嫁の私にとって勝手ながらお義姉さまのようにも思えるお方
必ずお救いしなければなりません
ええ、私は死の花嫁、既に死したるデッドマンゆえ
お義姉さまのUCは私にはあまり意味がなさそうですね、ふふっ
とはいえ幻隴帝に取り込まれたお義姉さまのもたらす死は
純粋な意味でのそれとは異なるのかもしれませんし注意は必要です
呪詛を満たした結界を限界突破して展開し霊的防護とオーラ防御も併用して
影響を最大限防ぎます
永く持ちはしないでしょうし一瞬のみに全力を懸けましょう
我が屋敷を召喚し最大限の一撃を加えて離脱
死は確かに美しいものですが
それは懸命に生きた命のあとだからこそ
無知蒙昧な幻隴帝よ、消えなさい
愛と死の女神、それが『イザナミ』である。
嘗て『サクラエリュシオン』にて死を憂うものの枕元に立ち、楽園へといざなうもの。
故に『イザナミ』。
その『意志』を獲得した『幻朧帝イティハーサ』は、新たなる世界『サクラタルタロス』を生み出し、壮麗なる櫻でもって覆う。
大地と空を分かつものは櫻。
そして、大地の下に蠢くのは『冥府の蛆獣』。
踏み出せば、生命が削られる。
そう、この世界は『死の静寂』に満ちている。
「勝手ながら」
マデライン・アッシュリア(死の花嫁・f32233)は悪霊である。
デッドマンであり、また『死』そのものの花嫁となった少女。
愛するは『死』。
この世界満ちる静寂は、彼女にとって『イザナミ』の望むところではないことを識る。
「死の女神『イザナミ』様は、私にとって、お義姉さまのようにも思えるお方。必ずお救いしなければなりません」
広がるは、無数の『冥府の蛆獣』たちが蠢く世界。
その世界に立ちながら、マデラインはまるで意に介していない。
なぜなら、生命を削る『冥府の蛆獣』が彼女にはまるで意味がないからだ。
「悪霊……そして死を超越したものか。そのような可能性すら生命は生み出す。だが、それでどうなるわけでもないだろう」
『イティハーサ・イザナミ』の言葉にマデラインは頷く。
死とは停滞。
停滞とは無音であること。
生命の鼓動が満ちる世界を騒々しいと言ったものもいたが、しかし、この世界は『冥府の蛆獣』が生命を赦さぬとばかりにうごめいている。
その力は純粋な意味での死とは異なるのかもしれない。
故にマデラインは呪詛デミタした結界を展開し、己に対しる影響を減じようとする。
だが、長くは保たないだろうという予想もまた正しい。
霊的な防護であれ、オーラであれ、呪詛であれ、それが流動するように変化するということは、動いているということ。
動いているということは、そこにエネルギーが発生しているということ。
『死の静寂』は如何なる動きも許さない。
動けば音が響く。
故に、マデラインの行うこと全てを生命失いし、デッドマンであり悪霊である彼女をしても『死の静寂』は排除すべしと力を発露するように『冥府の蛆獣』でもって迫るのだ。
「一瞬に全てを」
マデラインは即座に判断した。
いかに己が命なきものであったとしても、それでも『サクラタルタロス』は己を排除しようとするだろう。
故に彼女は己が力をすべて込めたユーベルコードの輝きを瞳に宿す。
「アッシュリア館は飛翔し海征き地を駆ける(ブレイクオブホーンテッドマンション)のです」
彼女の言葉と共に巨大な幽霊屋敷が『サクラタルタロス』に顕現する。
呪詛を纏った輝きと共に、その質量が『イティハーサ・イザナミ』の頭上より降り落ちる。
まさしく大圧殺。
単純な質量攻撃であったし、また同時にマデラインの持てる最大の一撃であったのだ。
「死は確かに美しいものですが、それは懸命に生きた命の跡だからこそ」
そう、マデラインは死を愛する。
だが、死は命の結果である。また道程は、軌跡を描く。
その煌きこそが彼女に愛を教えるのだ。
「懸命であろうとなかろうと、命の結末は変わらぬであろう」
「いいえ。無知蒙昧な幻朧帝よ」
それは違うのだとマデラインは告げ、その瞳に煌めくユーベルコードと共に、痛烈なるアッシュリア館の鉄槌が『イティハーサ・イザナミ』へと叩きつけられる。
その激突は衝撃を生み出し、『サクラタルタロス』の櫻を大いに散らす。
マデラインは館の上で睥睨する。
それは『イティハーサ・イザナミ』の為したことも、言葉も、全てが死を冒涜するものであったからだ。
怒りにも似た感情を浮かべ、その瞳は告げる。
「消えなさい――」
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎
【SPD】
私は
未だ未熟で
知らない事も多いです…
けど
イティハーサさん…!
『世界を…イザナミさんを…冒涜される様な、そのご行為…許す事はできません…!』
翼で飛翔
【空中機動】等
【空中戦】で
立体的に立回り
【浄化】を込め
UC発動
更に
自身の髪に
マリーゴールドを咲かせ
『イザナミさん…マリーゴールドの花言葉には…「生命の輝き」の意味があるそうです…この領界は…私の示す…命の輝き…』
攻撃等
【第六感】【心眼】【残像】
【結界術】【オーラ防御】で
防御や回避
UCで回復
【武器巨大化】した
クイーンオブハートキーや
【ハートのA】で
UCと併せ
【全力魔法】や
【誘導弾】の【一斉発射】
【弾幕】で
イティハーサさんに
攻撃
世界に舞うは白い花弁。
噴出した花弁は周囲を覆い、そして『冥府の蛆獣』でもって蠢かせる。
その有り様は恐るべき物であった。
侵略新世界『サクラタルタロス』は、生命を許さない。『死の静寂』は、生命の命脈が鼓動を打つことを許さない。
静寂こそが停滞の証。
それ以上もなければ、それ以下でもない。
どこまでも平坦。
故に静寂。
生命の可能性は、波を生み出す。波は音になって響き渡る。
それは静寂と真逆。
「もはや、可能性は必要ないのだ。だというのに、何故抗う」
「私は」
アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司神姫アリス・f01939)は己の生命が削られる音を心臓から聞いただろう。
早鐘のように打ち据える心臓の音。
己の耳元で聞くようであった。
「未熟で知らないことも多いです……けど、イティハーサさん……!」
「聞くに堪えぬ。そのような言葉は。己が未熟を盾にお前は何を投げかける」
「……世界を……イザナミさんを……冒涜されるような、そのご行為……許すことはできません……!」
「であれば、どうする。お前たちは過去を踏みつけて前に進む。その行為は、過去への冒涜ではないのか。忘却という果てに過去を追いやり、己達ばかりが可能性満ちる未来へと進むことは、冒涜ではないというのなら」
吹き荒れる花弁。
生命を削る『冥府の蛆獣』たちの牙。
アリスは飛翔し、地上に蠢く『冥府の蛆獣』たちから逃れる。
浄化の力を込めて、彼女の瞳はユーベルコードに輝く。
「……わかっています。でも、イザナミさん……マリーゴールドの花言葉には……『生命の輝き』の意味があるそうです……」
だから、と【月黄泉之淡島姫・意富加牟豆美命】(ツクヨミノアハシマヒメ・オオカムヅミノミコト)たる力をアリスは発露する。
神気満ちる領界が戦場を塗りつぶしていく。
『冥府の蛆獣』をアリスは邪なるものと規定する。
破魔と浄化の力を受けた光気は、『冥府の蛆獣』を吹き飛ばす。
彼女の髪に咲く花。
己の生命の発露だった。
ただの花。
けれど、その花の美しさが、誰かの胸を打つこともあるのだ。そうやって生命は、己以外の何かを愛でることができる。
たとえ、それがくだらないものだと謗るものがいたとしても。
止められるものではない。
感情こそがあらゆる理屈を超越するものであるからだ。
手にした鍵が巨大化し、宝石が飛ぶ。
「私の……示す、生命の輝き。これが……」
自分だ。
自分という生命。
その輝きによってアリスは、『イティハーサ・イザナミ』の中に融合した『意志』に訴えかける。
生命とはこんなにもきらめいているものであると。
救われるばかりのものでもなく、救うものでもあるのだと示すようにアリスは、己の輝きを解き放つ――。
大成功
🔵🔵🔵
葛城・時人
解ってる
俺一人が努力しても蟻の一噛み
人智を越えた激烈な力
世界と宇宙そのものが
立ちはだかって
全ての命を刈るその瞬間に
俺が出来る事は余りに少ない
俺も刈られる側の
命の一つでしかないから
だけど
俺は力を持ってる
戦う力と意思で
ほんの僅かたった一瞬でも
その『刻』に抗う事が出来る
だから来て
光蟲の槍の創出に入った
集中で威力が上がる技を
光と俺の蟲の力を借りて
無心に編み上げる
今迄の敵を思い出す
まだ足りない
容赦なく身体が朽ちるのを感じる
まだだ
埒外とはいえ生存本能はある
その警告も命も籠める力も衰える最期の瞬間
「…今だ!」
渾身の投擲
凄まじい反動で随分飛ばされたけど
過たず直撃出来たのが見える
「俺の全力が届いたなら本望だよ」
光が満ちる。
いや、炸裂する、というのが正しいだろう。
猟兵たちの見せる生命の輝き。
それは鮮烈であったし、強烈であった。
『イティハーサ・イザナミ』は、その内部に『イザナミ』の『意志』を融合している。なまじ『意志』があるからこそ、猟兵たちの放つ『生命の輝き』にこそ怯むのだ。
「この輝き……この熱があってなお、生命は冷めていくのだ。それを」
「解ってる」
葛城・時人(光望護花・f35294)は理解していた。
生命は消えゆく。失われていくものである。
それを熱と表現したことも解っている。
どうしようもないことだとも理解しているのだ。
死と隣り合わせの青春を送ったからこそ、誰よりも理解しているのだ。いつだってそうだ。生命が奪われるのは一瞬であるし、それをどうにかすることもできない。
悲しいが、それもまた現実である。
そうした現実の前で己の力は努力しても努力しても足りない。
まるで蟻の一噛み程度のものだ。
「でも、それでも」
そう、人智を超えた強烈な力。
世界と宇宙そのものが立ちはだかり、全ての生命を刈り取る瞬間に己ができることはあまりにも少ないのだ。
けれど、嘆いてはいられないのだ。
「それでもなんだ。お前たちの生命もまたオブリビオンへと形を変える。生命とは冷えゆくものであるからだ」
「俺も狩られる側の生命の一つでしかないなんてことはわかっている。だけど、俺は力を持っている。戦う力と意志で、ほんの僅かな一瞬でも」
時人の瞳がユーベルコードに輝く。
手にするのは、光蟲の槍(コウチュウノヤリ)であった。
「その『刻』に抗うことができる。だから来て」
握りしめる。
光蟲はひとかたまりになって槍へと形成される。
勝負は一瞬だ。
この『サクラタルタロス』の中において生命は赦されざる存在である。
大地に蠢く『冥府の蛆獣』たちは、己の生命を奪うように牙を向いている。消耗していく。
肉体と魂が悲鳴を上げている。
けれど、まだだ。
そう、己のユーベルコードの輝きは未だ不完全。
警告するように肉体が悲鳴を上げ続ける。もう無理だ。限界だと。
けれど、それでも時人は踏ん張り続けた。
「無駄なことを。歴史そのものたる儂を本当に滅ぼせると思っているのか? 積み重ねてきた時はお前たちの比ではない。巨象と蟻そのものだ」
「それでも!」
どれほどに敵との差があるのだとしても。
時人は渾身の力を込めて槍を放つ。
その一撃は『冥府の蛆獣』を吹き飛ばしながら『イティハーサ・イザナミ』へと迸る。
投げはなった反動で身が飛ぶ。
くらむ瞳。
けれど、見るまでもない。
己の投擲、その一撃は過たずに『イティハーサ・イザナミ』へと吸い込まれている。
「俺の全力だ。それが届いたのなら、本望だよ」
如何に身がくちようとも。
戦うと決めたのだ。そうすることで失われた生命に贖うことができるのだと、あの死と隣り合わせの青春で知ったのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
グエーッ!
これは拙者が冒頭から突然死んだサインだよ
そしてこれはリスポーンしたサインさ…まあ158秒するとまた死ぬが…
しかし死にっぱなしは良くないでござるな
いいこと思いついた、次死んだ時のリスポン地点をお前の身体に!そして三身合体だァ!ギャグ時空の命の輝きを見ろ!
抵抗は無意味ウッ!だ、拙者と同化しろ…という訳で誕生しました、エドゥハーサ・ルデナミでござる
拙者の因子継承!成功!始めに言ったろ158秒経つと死ぬって?お前達もずっと死をもたらすための力で強化されたギャグな感じで死に続けるんだ!もう助からないゾ❤
じゃ次死んだらギャグ時空の出る死体を残して拙者だけ合体離脱リスポンすっからあとはよろしく!
グエーッ!
それは唐突な叫びであった。
ミステリ小説であれば、冒頭のナレーションで死ぬ被害者のあれである。
タイトルをつけるのならば、『黒ひげは二度死ぬ(ニカイイジョウシンデマスヨネ)』かな。
そうかもしれないし、そうでないかもしれない。
であるのならば、その叫びはなんだったのか。
侵略新世界『サクラタルタロス』に響き渡る哀れ、犠牲者の叫び。
無論、犠牲者というのは、エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)に相違ない。
グエーッと叫んだような表情を貼り付けたエドゥアルトが仰向けに倒れいる。
まごうことなき死体である。
「……生命は冷えゆく。この『サクラタルタロス』であれば、当然の結果であろうがな」
『イティハーサ・イザナミ』は、エドゥアルトの死体を見下ろす。
だが、それ以上近づくことはなかった。
猟兵の理不尽さなど言うまでもないことである。
その点で言うのならば、エドゥアルトの理不尽さは群を抜いたものであったことだろう。
「そう、その叫びは拙者が冒頭ナレ死した音っていうか、サインだよ。そして、これは拙者がリスポーンしたサインさ」
エドゥアルトは当たり前のように立っていた。
いや、二人いるよね?
『イティハーサ・イザナミ』は知っている。
この手合とまともにぶつかれば飲み込まれるのは己であるということを。
だが、エドゥアルトは『イティハーサ・イザナミ』が離れることを許さない。
エドゥアルトの死体からギャグ時空が噴出し、戦場のシリアスな空気をぶち壊……無力化したのだ。
だが、その万能の如きギャグも長くは続かない。
一度スベれば、永遠の死が訪れる。
芸人を殺すに刃物はいらぬ。スベった空気さえありゃいいのである。
そういう意味ではエドゥアルトのユーベルコードは彼に158秒という走馬灯であってももうちょっとサービスしてくれるでしょうっていう時間しか与えてくれないのである。
「まあ、何度死んでもリスポーンするのでござるけれど、いやしかし死にっぱなしにはよくないでござるな」
うんうん、とエドゥアルトは残された時間が少ないことを気にした様子もなく頷く。
まあ、死んでもリスポーンすりゃいいのである。
「何を言っている」
「いやなに。次死んだ時のリスポン地点をお前の体にグエーッ!」
最後まで言わせてもらえない。
当たり前である。
得体がしれないのならば、即殺である。いちいち説明させる道理などないのである。
「ふっ、最後まで説明冴えてくれなくても、それもまた一つのギャグよ! というわけで三振合体だァ!」
できるわけないのである。
『イティハーサ・イザナミ』のユーベルコードと『冥府の蛆獣』によってエドゥアルトはまたも儚く死んじゃう。蜉蝣みたいである。
「無駄無駄ァ! 抵抗は無意味ゥッ! 拙者と同化してエドゥハーサ・ルデナミでござる!」
「理不尽だな。だが、それは相成らぬ」
「なっちゃうんだなぁ、これが! 拙者の因子継承! 成功!始めにいったろ158秒経つと死ぬって? お前たちもずっと死をもたらすための力で強化されたギャグな感じで死に続けるんでござるぞ! もう助からないぞ、はーと!」
エドゥアルトは二度死ぬ。
そんでもって、ギャグ時空は世界を侵食していく。
どんなに強大な力を持っていようとも、ギャグはすべてを飲み込む器。でっけえ器なのである。
世界が許さなくてもギャグは全部赦してくれるのである。
さながら、カレーみたいなもんである。
素材の味?
知らん!
えっ、158秒で『イティハーサ・イザナミ』を?
全部エドゥハーサ味にしてやらぁ――!
大成功
🔵🔵🔵
御影・しおん
くすくす。確かに終わりはいつか必ず訪れけど、いつ、どんな形で訪れるのかは案外分からないし……終わりと始まりは繋がっているものよ?
櫻の楽園の終焉が強欲の海の始まりであり、またその記憶からあなたがこの世界を「造った」ように。
わたしの周りの『境化衣』によって自他の境界線を引き、戦闘時間を確保、
おまけで出所不明由来不明な戦闘義体『ハガネシオン』に降霊してカラダ代わりに動かしましょうか。
そして【境界操作の陸『時喰い蟲の穴』】を放ち、爆破して時空の穴を開け、出現する「未来的な殲滅機械」と共に攻撃するわね?
うふふ、案外、この機械たちが、未来のこの世界の住人かもしれないわね?誰にも証明はできないけれど。
終わりは物事の必定である。
生命にとっての死であるように、物事には終焉が訪れる。
だが、その時が訪れるまで誰もが認識できないものである。そこにある、と理解できても、眼の前にやってくるまで認識できない。
訪れて初めて理解する終わり。
その境界を引くのは誰か。
くすくす、と笑う声が聞こえる。
櫻の冥界。
嘗て櫻の楽園と呼ばれた『サクラタルタロス』は、櫻に覆われていた。
しかし、その下には生命を許さぬ『冥府の蛆獣』がうごめいている。
『死の静寂』とは程遠い戦場。
ここには生命がきらめいていた。
生命と死。
その境界の上に立つ御影・しおん(Unknown・f27977)は笑む。
「確かに終わりはいつか必ず訪れ、いつ、どんな形で訪れるのかは案外わからないし……終わりと始まりはつながっているものよ」
「故に輪廻は巡る。骸の海に流れ着いた可能性から新たな世界が創造されるように、だ。それを理解していながらお前たちは何故抗おうとするのだ」
『イティハーサ・イザナミ』の言葉にしおんはやはり、笑むのだ。
「つながっているのならば、終わっていない、ということでもあるのではなくて? あなたは死が終焉だと言う。可能性はもういらないとも。けれど、その境界線はどこにあるのかしら。裁定者がいなければ、そのつながりすら認識できないのではなくて?」
しおんは、周囲に境界線を引く。
生命を蝕む世界。
どうあっても生命を削る『冥府の蛆獣』たちの力は削ぐことはできない。
時間がほしかったのだ。
故に、己と世界との間に境界線を引く。
「させると思うのか?」
真白の櫻嵐がしおんを包み込む。
ユーベルコード。
『イティハーサ・イザナミ』はしおんの生命を削り切ろうとしている。
如何に境界を引くのだとしても、そこに生命があるのならば『冥府の蛆獣』は牙を剥くだろう。
「そうね。だから、こうするのよ」
境界操作の陸『時喰い蟲の穴』(ボーダー・オブ・イラ)より現れるノアh、異質なる巨大古代生物かのような殲滅機械であった。
群れなす殲滅機械は『冥府の蛆獣』と激突する。
互いの牙と牙が突き立てられる。
「うふふ、案外、この機械達が未来のこの世界の住人かもしれないわね?」
しおんはまた笑む。
未来はわからない。
確定もしていない。
過去と現在の境目があっても未来と現在の境界はひどく曖昧なものだ。
ちょっとしたきっかけで境界は揺らぎ、進む時という水の流れは変る。しおんにわかるのは彼岸と此岸の境界のみ。
故に、未来はわからない。
「誰にも証明できないことだけれど、それでも未来というのは過去にあった可能性以外のものを生み出すものよ。あなたが未来を見ていないのならばなおさら、歴史そのものであるというのなら殊更」
しおんは、己が穿つ穴より噴出し続ける殲滅機械たちの群れが『冥府の蛆獣』たちを押し留めるのを見届け、未来へつながる分水嶺に立つのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
流れ込んできた思い出の余韻がする
そこには、知った面影もあったかしら
命の数だけ光がある
似ていても、繋がっていても、一つとして同じものはない
私が知る彼等も、あの子も
かつての誰かと同じ道を往くとは限らない
過去に縛られず
きっと誰も知らない未来を歩んでいく
けれど、私もあえて言うわ
『まだ間に合うって思うなら』
後先考える前に挑んでやると
勝負は一瞬
心のオーラを滾らせ、死桜花の嵐と蛆獣を焼き
燃えるようなアスリート魂の輝きを込めて、矢を放つわ
薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)はきしむ頭を抱える。
その痛みの余韻。
彼女の瞳ではなく、脳にに映し出された影法師。その姿形、輪郭しかわからなくても静漓は思う。
そこにいたのだ。
如何に可能性というものがあらゆるものを構成し、新たに生み出すことのできる要因でしかないのだとしても。
それでも彼女が見た者たちは、出会ってきた者たちは、確かにかけがえのないものだったのだ。
「生命の数だけ光がある」
静漓の瞳は青く輝く。
「可能性とはそういうものだ。だが、これ以上はいらない。十分なのだ。無為に失われる生命などない方がいい。平和とはそういうものだろう?」
『イティハーサ・イザナミ』の言葉は確かに頷ける所があったのかもしれない。
可能性に揺らぐからこそ、個は生まれ、個は他の個と衝突する。
それが争いというものだ。
そして、争いは平和を遠のかせる。
「お前も見たはずだ。あらゆる世界にて多くの可能性の類似点を。同じ名、同じ姿、同じもの。そうしたものを。ならば、理解できるはずだ」
「似てはいても、つながっていても、一つとして同じものはない」
静漓は頭を振る。
生命を蝕む『サクラタルタロス』にありながら、彼女は頭を振った。
彼女は知っている。
数字を冠した名を持つものたちを。
あれもまた可能性の発露であるというのならば、『イティハーサ・イザナミ』の言う所は正しいのかもしれない。
「私が知る彼等も、あの子も、かつての誰かと同じ道を往くとは限らない」
「いいや、同じだ。可能性は収束する」
迫る死の真白き櫻嵐。
生命を削る音が聞こえる。
けれど、静漓の瞳はユーベルコードに輝く。
「過去に縛られず、きっと誰も知らない未来を歩んでいく……けれど、私もあえて言うわ」
静漓はせつな(セツナ)に、全てを見透かすように櫻嵐の中舞う花弁を躱す。
それはまるで身動き一つしていないかのような速さだった。
静謐なる気配。
確かに動いているというのに、静漓の速さは圧倒的だった。
「『まだ間に合うって思うなら』――私は、後先考える前に挑んでやる、と」
それは正しく刹那にも勝る速さだった。
僅かな一瞬。
瞬き一つ。
その瞬間に静漓は踏み込み、己が心の中よりあふれかえるものをオーラに変えて真白の櫻嵐を灼く。
「何故燃える」
理解が及ばない。
速さは、熱。
生命の輝き。それは静漓が獲得してきたものだ。誰かから与えられたものではない。他者を見て、知って、そして、己もまたそうありたいと願ったからこそ、手は伸ばされる。
己の手で伸ばして掴み取ったものは、何一つ失われない。
真に出会ったのならば別れは来ない。
故に、静漓は己が腕に輝く矢をつがえ、放つ。
「これがアスリート魂。その輝き」
放つ。
鮮烈なる光の矢は生命の輝きを灯しながら『イティハーサ・イザナミ』を貫く――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクトリア・ノウェム
ん、なんかイザナミってのが他人の世界にちょっかい出してきた、と。
でそれをやらせたのが其処に居る敵だって聞いた、です。
つまり……とりあえず全力であの爺をぶっとばいいってのは分かったです
というかあーだこーだうるさいです。大体、まだ借金返済も馬鹿両親見つけるのも何も終わってなんかいないです。変な枯れ老人の譫言には付き合ってられない、です!
Aドライブのリミッターを解除!レミエールⅢと一緒にエル・セプスで飛び、ミスリルセイバーとDアヴェンジャーの牽制からケルベロスファングを喰いつかせ、ぶん回してなげ飛ばしたところに【G.A.F.C.】での一撃に賭ける、です!その蛆虫も嵐も、全部ぶち抜く、です……!
他世界を侵略するエンシャント・レヰス。
それは帝都櫻大戦の第二戦線で起こった出来事である。
ヴィクトリア・ノウェム(はらぺこ空戦天使・f33941)は他の世界にちょっかいを出すことに如何なる感情を憶えていただろうか。
面倒だと思っただろうか。
それとも怒りを憶えただろうか。
いや、それ自体に怒りを覚えることはなかったのかもしれない。
彼女が怒りを覚えるのならば、それを指図した諸悪の根源に、である。
「つまり……とりあえず全力であの爺をぶっ飛ばせばいいってことだけは解ったです」
ヴィクトリアは一気に己が飛空艇と共に『サクラタルタロス』に座す『イティハーサ・イザナミ』へと飛ぶ。
この世界にあるかぎり生命が削られていく。
どうしようもないほどに生命を阻むものが満ちているのだ。
『冥府の蛆獣』は櫻の下にうごめいている。
『死の静寂』を乱す生命を許さぬとばかりに牙を向いている。その悍ましき光景を眼下に見ながら、ヴィクトリアは真白き櫻嵐を巻き起こす『イティハーサ・イザナミ』へと迫る。
光の矢に穿たれて体勢を崩してなお、櫻嵐はヴィクトリアを阻む。
生命が削られていく。
「無駄だ。たとえ、お前たちが如何なるユーベルコードを手繰るのだとしても。全ては此処で終わりゆく。生命の必定は死なのだ」
「あーだこーだうるさいです」
ヴィクトリアは櫻嵐の中、にべにもなく突き返すように言葉を紡ぐ。
そう、ここで止まってなどいられない。
戦う度に積み重なっていく借金。その返済。
更には己の両親もまだ見つけられていない。
何もまだ終わっていないのだ。
己の物語は、こんなところで終わって言い訳がない。やり遂げるまでヴィクトリアは、たとえ己に生命の危機が迫るのだとしてもやりきらねばならぬという気概があったのだ。
「変な枯れ老人の譫言には付き合ってられない、です!」
ドライブのリミッターが解除され、『レミエールⅢ』がドッキングした己の飛空艇『エル・セプス』の動力補助として出力を担保する。
加速した機体が一気に櫻嵐を突っ切る。
ガトリング砲の牽制射撃と共に一気に鎖が飛ぶ。
「捉えた、です!」
ヴィクトリアの瞳がユーベルコードに輝く。
「この程度……」
「なーにが、この程度、ですか! ケルベロスファング!」
絡みついた鎖が『イティハーサ・イザナミ』の体躯を空へと投げ放つ。
「限界チャージ……G.A.F.C.(ギガ・エンジェリック・フォース・キャノン)……耐えられるものなら、耐えてみればいい、です……!」
己の魔力、異界の動力炉、そして天使核。
流入されるエネルギーが極大の光条を放つ。
膨大な魔力が収束した砲撃の一撃は『イティハーサ・イザナミ』を守るようにしてせり上がった『冥府の蛆獣』ごと焼き払う。
「全部、ぶち抜く、です……!」
ふらつく体。
なんとか飛空艇の推力で持ってヴィクトリアは高度を維持しながら『サクラタルタロス』から後退する。
けれど、彼女は見ただろう。
己の放った光条の一撃が『イティハーサ・イザナミ』を打ちのめしたのを――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
香りとかわかりませんし、そんなことより!
『ノイン』さん、またシリアスしてます……。
これはもう事案ですね。
光の勇者として、『ノイン』さんに必要経費として練乳代を請求します!
いえ、わりとまじめに。
練乳代、けっこう馬鹿にならないんですよ。
よろしければ業務用の1kgパウチをケースで買ってください。
冗談では済まないです。
そのことはあとでお話詰めるとして、『ノイン』さん、いい反撃ですね
世界の破滅は決定されたもの?
まさに「誰に?」って感じですよね。
ならばわたしはいいましょう。
世界の破滅は決定なんてされていない。
むしろなにも決まってない!
ソースはわたし!
無理無茶理不尽は勇者の専売特許ですよ!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の香りが!
全くしませぇぇぇぇぇんっ!!
つまりシリアス!
ルクス様死す?
ノイン様、転送能力で練乳の補充を!!
まぁ冗談はさておき今日も今日とてノイン様無双
生命あるからこそ滅びは必定、当然ですね
ですが、同じ終着点だったとしても道のりが違います
ええ、そこへ至るには様々な|道《糸》があり
それが織りなすものが歴史
おやおや?
ご自身の名前なのに意味に負けてらっしゃる?
これはもう|理不尽《光の勇者》の勝利ですね
未来は決まっておらず
それを掴み取る意思は光――ルクス様出番です!
そして私は【ガレオンチェンジ】からの
【テンペスタース・クリス】突撃行きます!
この一途さが私の生き様ですので!
光条の一撃が『イティハーサ・イザナミ』を撃つ。
膨大な熱量が『サクラタルタロス』に満ち、櫻のしたにて蠢動する『冥府の蛆獣』たちは、その熱の生み出す音に怒り狂うようにしてのたうち回る。
「……無駄だというのに理解しないか。この儂は歴史そのもの。歴史とはこれまで紡がれてきた可能性の集約だ。質量が違うのだ。だというのに」
苛立つのか。
それとも諦観なのか。
猟兵が止まらぬことを知っていながら、それでもなお、己の強大なる力の前に猟兵が屈すると信じて疑わなかった『イティハーサ・イザナミ』の誤算なのか。
いずれにしても。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りが! 全くしませぇぇぇぇぇんっ!!」
もしかしたら、加齢臭はするかもね。
『イティハーサ・イザナミ』の!
「まったくもって嬉しくもなんともありませんが!」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は地団駄を踏む。まったくもってクールメイドのかけらもない所作であったが、まあ、そういうkとである。
「香りとかまったくわかりませんし、そんあことより!」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は続くシリアス展開に窒息寸前であった。
こひゅーこひゅーと息ができなくなりそうだった。
息が詰まるってこういうことを言うんだろうね。もう事案である。どんな事案?
「練乳がたくさん必要ってことですよ!」
「転送能力で練乳をダイレクトシュートしていただけませんか! えっ送料? 代引き?」
ステラは首を傾げるが、どさどさ落ちてくる練乳の箱に、あっ! と思った。
望まれたら全部やっちゃうのが歓喜の悪魔である。
「わーいやったー。必要経費として請求してもいいんですよね!」
ええやで。
そんなサムズアップが見えた気がした。
「よろしければ、業務用の1kgのパウチをケースで勝ってください!」
「冗談はさておき」
ステラは思った。
やっていることは冗談めいたことであるが、眼の前の現状は現実である。やらねばならないことは山積しているのだ。
ここで歩みを止めては猟兵の名折れ。
「いえ、わりとまじめに。練乳代、結構ばかにならないんですよ」
「今、そういうのいいですから」
ステラはルクスの言葉をピシャっとシャットアウトする。
「冗談では済まないですよ」
「生命あるからこそ滅びは必定、当然ですね。ですが、同じ終着点だったとしても、道のりが違います。ええ、そこへ至るには様々な|道《糸》があり、それが織りなすものが歴史」
「そうですよ。世界の破滅は必定されたもの? まさに『誰に?』って感じですよね」
二人の瞳がユーベルコードに輝く。
迫る真白の櫻嵐。
それを前にして彼女たちはまるで怯むことを知らなかった。
なぜなら、彼女たちの瞳には見えていたからだ。そして、輝いてもいたのだ。
何が、と問われれば応えよう。
そこには生命の輝きが満ちていたのだ。
「ならば、わたしはいいましょう。世界の破滅は決定されていない。むしろ何も決まっていない!」
ルクスは言い切る。
己という勇者の物語の結末は、何も決まっていないのだ。
情報ソースは自分!
無理無茶理不尽は勇者の専売特許である。あと無謀無策もね。
「世迷い言、戯言をよくもほざく」
「おやおや? ご自身の名前なのに意味に負けてらっしゃいますね? 余裕がなくなっているのは、なまじ『イザナミ』様の『意志』を取り込んでいるからでしょうか?」
ステラは気がつく。
もしも『意志』なき『幻朧帝イティハーサ』であったのならば、此処まで追い込まれることはなかっただろう。
けれど、現実として彼は追い込まれている。
「これはもう|理不尽《光の勇者》の勝利ですね」
「ルビ!」
「未来は決まっておらず、それを掴み取る意志は光――行きますよ。一途さこそが私の生き様です!」
「一途っていうか、やべーっていうか」
「だまらっしゃい! 行きますよ!」
二人のユーベルコードの光が重なる。
旋律と共に風を切るステラ。
飛空艇に変じた彼女の突進は風を纏い、ルクスの音は真白の櫻嵐すら吹き飛ばし、『イティハーサ・イザナミ』へと打ち付けられるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ティオレンシア・シーディア
|9×8を6×12や4×18に変える《因子を分解・再構築する》事によって見た目上の|式《世界》を増やしている、けれど新しく|加算《創造》はされない…さながらやってることは素因数分解ねぇ。結局|元の数《結果》が変わることはないんだからどの道どこかで詰みそうではあるけれど。
|風天印とエオロー《風の結界》で防壁を展開、|ラド《車輪》と|韋駄天印《迅速》で機動力を強化したミッドナイトレースでテイクオフ。マルガリータのオートパイロットに回避を任せて限界まで魔術文字を展開、●黙殺・絶吼を叩き込むわぁ。
後のことを気にする必要ないんだし、思いっきりド派手にブッ放せるわねぇ。
「|9×8を6×12や4×18に変える《因子を分解・再構築する》事によって、見た目上の|式《世界》を増やしている、けれど新しく|加算《創造》はされない……」
ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は、『幻朧帝イティハーサ』の能力を、そう理解していた。
可能性。
世界の破滅に寄って生命は無数に骸の海に流れ着く。
堆積した過去は確かにオブリビオンとして歪めるだろう。
圧力の違い故に、どんな強固なものも歪み果てるのだ。
そして、とティオレンシアは告げる。
「さながらやっていることは素因数分解ねぇ。結局、|元の数《結果》が変わることはないんだから、どの道どこかで詰みそうではあるけれど」
「それを完結と呼ぶのだ。これ以上もなければ、これ以下もない。それが停滞という名の完結。ならば、これ以上は無意味であるということも理解できるだろう」
『イティハーサ・イザナミ』を中心に真白の櫻嵐が荒ぶ。
それは生命を削る。
櫻のしたの『冥府の蛆獣』たちの蠢動に寄ってティオレンシアは、この侵略新世界『サクラタルタロス』にあるかぎり、生命を削られ続けるのだ。
「そうね。限られた数字……10個の数字で完結しているのが、あなたの言うところの可能性なのだものね。そうであるのならば、正しいのかもしれない」
けれど、閉塞感を完結と示したのはあまりにもお粗末だとティオレンシアは思ったかもしれない。
元より、数字にたとえ、それを許容した時点でティオレンシアは『イティハーサ・イザナミ』が如何に強大な力を有していようとも恐れることはなかった。
迫る櫻嵐を己が生み出した風の結界の防壁で持って防ぐ。
それでも押し負ける。
地力が違うのだろう。
正しく歴史そのもの。力という出力が違いすぎる。
押し込まれるようにしながらもティオレンシアは魔術文字を描き続ける。
車輪と迅速。
その魔術文字が示すは、己が騎乗するバイクを加速させる。
いや、飛ぶ。
加速された車輪と己が生み出した風の結界が射出台となって機能したのだ。
「『マルガリータ』、任せたわよぉ」
AI制御のバイクが櫻嵐の中を突っ切る。
己の生命が尽きるカウントダウンが始まる。
状況は厳しい。厳しいが、悲観するほどでもなければ、諦観するほどでもない時間だ。
「だって、後のことを気にする必要なんてないんだし」
「捨て身というのならば、それこそ無駄だ。生命を無為に散らすだけだ」
『イティハーサ・イザナミ』の言葉にティオレンシアは笑む。
なんともせっかちな解答なのだ、と。
「歴史そのものというわりには、重みが足りないわねぇ。後のことを気にする必要がな一定のはぁ……」
己一人で戦っているわけではないということだ。
猟兵たちの戦いは連なり、紡ぐもの。
確かに己一人では『イティハーサ・イザナミ』にはかなうべくもない。
だが、後に続くものがいる。
「歴史を名乗る割に、後に紡がれる者を見ようともしないのねぇ」
煌めくは、黙殺・絶吼(デザイア・デストラクション)。
意識が途切れそうになった瞬間、ティオレンシアは、接続し続けた魔術文字群より極大の一撃を解き放つ。
過負荷に意識が焼ききれそうになる。
けれど、それでもその一撃は『イティハーサ・イザナミ』へと連なってきたものとしての重みでもって、確かに圧するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
応ともさ
世界は何時かは滅びよう
生命も何時かは絶えるだろう
然してそれは選択の末に起きるものであり、その意思決定は人々の総意が答えを出すべきものだ
老いも苦しみも痛みもない生命無き冥府の世界!笑止千万!
足掻くからこそ考えよう
求めるからこそ愚かにも賢くもなろう!|カテゴライズ《 コピー&ペースト 》された|画一されし世界《 侵略新世界》
それはただの思考放棄
幻朧帝、お前は実につまらない
『過去』でも『未来』でもないお前の思考は何処にも向かわずに『停止』している
◆罪深き刃
限界突破のダッシュで死桜花の嵐に切り込み、クイックドロウの乱れ撃ちで蛆獣を切り刻む
イティハーサを怪力+グラップルの重量攻撃でぶっ飛ばす!
世界の滅びは必定。
それはどうしようもない理である。
骸の海に浮かぶ三十六世界。かつては、それ以上の数の世界が存在していたのだろう。
多くが滅んだ。
そして、骸の海には多くの可能性が満たされていく。
「そう、可能性は満ちた。これ以上は必要ない。儂が為したように新世界は生み出される。新たな世界はいくつでも生み出せる。だというのに、それでもなお、抗うか」
「応ともさ」
戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は、当然というように応えた。
「世界は何時かは滅びよう。生命も何時かは絶えるだろう」
それは覆しようのないものである。
始まりがあれば、終わりがあるように。
何時かは訪れるものであり、不可避なる現実である。
「然して、それは選択の末に起きるものであり、その意思決定は人々の総意が答えをだすべきものだ」
「論じるに値しない。お前の語るところのそれは、どこまで言っても生命という個の側に立つものだ。総意と言いながら、個である限り生命に総意など出しようがはるはずもないのだ。生命が生命である限り」
そうかもしれない。
個と個とが出逢えば、争いが起こるのは当然だ。
互いに違うと認識し、どうあっても分かりあえぬ部分があると知って絶望するのもまた生命だ。
だからこそ、老いも苦しみも痛み生まれる。
それらがあるからこそ、生命は輝くのだ。
この『死の静寂』満ちる『サクラタルタロス』では、絶対に有りえぬ現状である。
故に蔵乃祐は『イティハーサ・イザナミ』の言葉を一笑に付すのだ。
「笑止千万! 足掻くからこそ考えよう! 求めるからこそ愚かにも賢くもなろう!」
蔵乃祐は己が体躯の、腹の底から笑う。
「|カテゴライズ《コピー&ペースト》された|画一されし世界《侵略新世界》なぞ、それはただの思考放棄」
「創造を思考放棄と謗るか。可能性を組み上げることを」
「幻朧帝、お前は実につまらない」
蔵乃祐の瞳がユーベルコードに輝く。
己が手にしたのは、 罪深き刃(ユーベルコード)。
『m'aider!』 と呼ぶ声に応える力。
絶望に抗う力とはなんだ、という問いかけに応えるは『意志』である。
迫る真白の櫻嵐に斬りかかる一撃。
迫る『冥府の蛆獣』を打ち据える拳。
そう、『意志』。
『意志』こそがあらゆる歩みを止めさせない。
一足飛びで全てが為し得るなど、誰が信じられるだろうか。
一度に多くのことを為し得るものなどいない。
いや、多くのことを、大きな事をなしえた者は、一足飛びでそれを為したように見えるかもしれないが、事実、それは連鎖反応に過ぎない。
小さな一つ一つを積み上げ、成し遂げていく。
その重なりこそが偉業であり、一つ一つを積み重ねていく『意志』こそが全て。
「『過去』でも『未来』でもないお前の思考は何処にも向かわずに『停止』している。それが、今を生きてなお常に考え続けているものたちにかなうべくもない!」
蔵乃祐は踏み込む。
握りしめた拳に怪力が宿り、己が拳は鋼鉄に至る。
生命を削る?
むしろ望むところである。
生命を消費しながら前に進んでいくのが人というもの。そして、己がユーベルコードあh、歴史そのものですら吹き飛ばして見せる力を持っているのだとしめすように、振り抜いた拳は、輝く――。
大成功
🔵🔵🔵
雪・兼光
●SPD
けっ、クソIA絵師もどき爺がほざいてらぁ
やれやれ、だぜ…(どうするんだよ、これ…)
見るだけなら美しい、写真を撮る暇がないのが残念だ
浄化と狂気耐性と霊的防護とオーラ防御で、防御の準備
白い花弁を範囲攻撃と2回攻撃、乱れ打ちのブラスターの攻撃焼き払う事も忘れずに
これは幻朧帝イティハーサが射程内に入るまで
幻朧帝イティハーサ、あんた上位存在だよな?なら、コイツ(ユーベルコード)が凄く効くよな?
亡霊(ロートル)には浄化の力込みでこの三十六世界からご退場を願おうかぁっ!
くらえ!これがこの雪・兼光の命の輝きよォ!
穿けぇっ!!(スナイパーで命中率が上がるなら)
最後は幻朧帝イティハーサに中指立てて離脱する
拳に寄って打ち上げられた体が言うことを効かない。
それは『イティハーサ・イザナミ』にとっては予想外の事態であったかもしれない。なまじ『イザナミ』の『意志』を取り込んだことにより、いのちの輝きを放つ猟兵を前にして、その体躯が怯んでいるのだ。
「たかが生命一つの輝きで、数多の、それこそ混沌の如き骸の海である儂が何故、たじろぐ必要がある」
「けっ、もどきの爺がほざいてらぁ」
雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)は美しき櫻満ちる『サクラタルタロス』を疾駆する。
彼にとって、この世界は確かに見るだけならば美しいものだった。
写真を撮る時間があるのならば、シャッターを切っていただろう。
残念でしかたない。
だが、己が見を苛むのは『死の静寂」であり、『冥府の蛆獣』である。
この世界は生命を許さない。
存在することも、その熱を発することも、鼓動の音さえも許さない。
静寂とは停滞。
停滞とは完結した物事を示すものである。
それ以上でもなければ、それ以下でもない。
この世界にあって変化をもたらし、静寂を破る音を生み出す生命は招かれざるものなのだ。
故に兼光は、己がブラスターでもって舞い散る花弁を焼き払いながら、『サクラタルタロス』を疾駆する。
「やれやれ、だぜ……」
諦観にまみれているわけではない。
絶望に伏したわけでもない。
ましてや、恐怖したわけでもない。
ただ思っただけだ。
眼の前にいるのは己以上の存在。
恐らく神、創造神とも言って差し支えない存在が眼の前にいるのだ。
「あんた、上位存在だよな?」
「無論、お前たちとは異なる歴史そのものだと語るところである。故に」
「ああ、そうかい。そうだろうな。だったらよ、コイツの出番ってわけだ」
兼光の瞳がユーベルコードに輝く。
己は確かに『イティハーサ・イザナミ』よりも劣るかもしれない。
けれど、劣っているから盤面を覆せぬわけでもないことは言うまでもないのだ。己のユーベルコードは、むしろ、そのためにある。
「劣っているからって舐めんじゃねぇよォ!!」
振りかぶった手。
その掌から炸裂するのは閃光だった。
「|亡霊《ロートル》には、この三十六世界からご退場願おうかぁっ!」
炸裂する神殺しの閃光。
そして重ねるのは、己の生命の輝き。
たとえ、この世界において生命が削られるのだとしても、己が念じるのはただ一つ。
そう、眼の前の創造神を名乗る存在を穿つこと。
ただそれだけを念じるように、己が掌を突き出し、その閃光でもって『イティハーサ・イザナミ』を穿つ。
閃光が激突する衝撃に煽られ、兼光は吹き飛ぶ。
体が生命の消費で動かない。
けれど、これだけはせねばならないと渾身の力を込めて兼光は己の手の指、中指を立て己の意志を示して見せるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
トラスト殿(f43307)鳥羽殿(f43670)と連携
グリモアエフェクトが示している。
あれの戯言を破壊し、その先へ、破壊を為せ!!!
夜剣大蛇【操縦】『毒液流葬』【呪詛毒使い】神特攻・毒属性付与!
己が【闘争心】を夜剣に、頭部長身ドリルを、内蔵回転刃を振るい回す!
メガスラスター【推力移動】猛毒液奔流を纏い神殺呪毒をばら撒き、櫻を、白い花弁を枯らし【吹き飛ばし】
神なる鷹を、|冥府の蛆獣《神の眷属》共を毒殺し、神の世界を殺し征き、『イティハーサ・イザナミ』へ吶喊!
壊れろ!!イティハーサぁああああああアアアアアアアア!!!!!
長身ドリルの一撃、同時に神殺呪毒と麻痺毒の奔流を叩き込み、穿ち抜き貫通!離脱!
トラスト・レッドライダー
小枝子(f29924)鳥羽(f43670)と連携
小枝子の言う通りだ。進むべき先は見えている。
女神に、俺達の、未来へと進む意志を見せるぞ!!
いけるな、鳥羽!!
亡国の主【操縦】『レッドライダー・オーバーハート』
己が|炉心《【情熱】》を最大駆動!
アンガーブレードをプラズマ大剣に変形させ、
メガスラスター【推力移動】で小枝子に追従。
彼女の突撃を邪魔するものがいれば【なぎ払い】
彼女が【切り込み】こじ開けた道を通って、
『イティハーサ・イザナミ』に接近する!!
すまない、いや、いくぞ、イザナミ神!!!
【追撃】小枝子の攻撃に続き、
プラズマ大剣を振るいプラズマ【エンジン重撃】その肉体ごとイティサーハを焼き払う!!!
鳥羽・弦介
トラスト(f43307)の野郎、後、朱鷺透(f29924)と連携
あんたに言われるまでもねぇ!!
あの女神さんに、クソ爺の妄言なんざ吹き飛ぶ衝撃をぶち込んでやるよ!!
回点号【操縦】『サイキックバースト』!!
自身の【|念動力《生命力》】を【限界突破】させて
ウィングキャノンとバウンスに込め展開【レーザー射撃!】
俺の【|超能力爆発《命の爆発》】を女神さんに叩きつけてやらぁ!!
ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!
【早業】ウィングブースター展開【超能力爆発推力移動】
トラストと朱鷺透の後へ続き!焼き払われた女神さんの肉体、
そん中にいるイティサーハのクソ爺を【第六感】で捉えて、RX退魔刀で【浄化切断!!!】
閃光が瞬いている。
それは猟兵たちのユーベルコードであり、意志であり、生命の輝きであった。
侵略新世界『サクラタルタロス』。
生命を阻み、生命を拒む世界。
この世界に在りて生命は招かれざるもの。
削り、えぐり、排除することで『死の静寂』を完結させるための世界であるとも言えただろう。
この脅威を前にして三人の猟兵は同じものを見ていた。
同じ光景を見ていた。
強大なりし、歴史そのものである『イティハーサ・イザナミ』。
巻き起こるは真白の櫻嵐。
圧倒的な力は、三人をして圧倒するものであった。
けれど、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は己が瞳を輝かせる。
「無駄だ。どれだけ抗おうとも、その輝きが放つ熱さえも冷めていく。その理を覆すことなどできはしないのだ」
『イティハーサ・イザナミ』の言葉を小枝子は無視した。
聞くに堪えない。
「あれの戯言を破壊し、その先へ、破壊を成せ!!」
大蛇の如きキャバリアと共に小枝子は一気に櫻嵐野中を突き進む。
己が闘争心をキャバリア『夜剣大蛇』へと流し込み、頭部に備わった衝角を、内蔵されし回転刃を駆動させ、一気に毒液流葬(ポイズントレント)そのものとなって戦場を横断していく。
白い花弁を染め上げる毒。
その最中にトラスト・レッドライダー(レプリカントのデスブリンガー・f43307)と鳥羽・弦介(人間のキャバリアパイロット・f43670)は共に飛び込む。
「小枝子の言うとおりだ。進むべき未来は見えている」
「あんたに言われるまでもねぇ!!」
互いの機体が交錯する……いや、二重らせんを描くようにして『夜剣大蛇』に随伴し、戦場を斬り裂く。
「女神に、俺達の、未来へと進む意志を見せるぞ!! いけるな、鳥羽!!」
「わーってるよ! あの女神さんに、クソ爺の妄言なんざ吹き飛ぶ衝撃をぶち込んでやるよ!! サイキックバースト!!」
『回天号』より発露する光。
弦介より発露する念動力が機体を介しては撮るし、その限界突破された大爆発とも言うべき衝撃が、迫りくる『冥府の』』を蹴散らすように吹き飛ばすのだ。
「これが俺の、ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!」
明滅する瞳。
炸裂する超能力の爆発は強烈な衝撃を伴って、トラストの機体『亡国の主』の背を押す。
「行けよ!!」
ウィングキャノンから放たれる砲撃を支援に、トラストは踏み込む。
「魂の代わりに、赤き血潮の代わりに、心を燃やせ」
炉心が燃える。
トラストは、己が体躯より流れ出るエネルギーの全てを『亡国の主』へと注ぎ込む。
機体から流れでたエネルギーは、手にした『アンガーブレード』にプラズマを発生させ、その刀身を形成させていく。
「すまない、いや、いくぞ、『イザナミ』神!!!」
レッドライダー・オーバーハート。
己が情熱とも言うべきいのちの輝きを発露しながら、トラストは踏み込む。
迫る櫻嵐を切り裂き、振るうプラズマ大剣。
苛烈なる攻勢は、機体を阻むだろう。
「なにやってんだ! ちんたらやってる暇なんてねぇんだよ!!」
弦介が『回天号』のウィングブースターを展開し、一気に『イティハーサ・イザナミ』へと迫る。
「どれだけ束ねようとも、それが生命であるのならば歴史という重さ、その圧力、厚みを突破することなどできようはずもない」
「やらなきゃわからねーだろうが!」
叩きつけられる退魔刀の一撃。
衝撃がほとばしり、力の奔流が周囲を破壊していく。
止められている。
けれど、そこに打ち込まれるのはプラズマ大剣であった。
「……無駄と知りながら」
「そうかな。これまで俺達は見てきたぞ。他の猟兵達の戦いを。お前を穿てぬ道理などなかった。お前は『意志』なきもの。なら、俺達の生命の輝きは!」
煌めく光。
トラストと弦介の体より発露する生命の輝きのまばゆさに『イティハーサ・イザナミ』はたじろぐ。
「この光……!」
「壊れろ!! イティハーサぁあああああアアアアアアアア!!!!」
咆哮と共に小枝子がトラストと弦介に抑え込まれた『イティハーサ・イザナミ』へと『夜剣大蛇』の衝角を叩き込む。
神性を殺すには、古来より毒と相場が決まっている。
生命の輝きこそが『イザナミ』の意志を獲得した『イティハーサ・イザナミ』への毒そのもの。
それを小枝子は穿ちながら叩き込む。
「この一撃が! 自分たちの!! 意志だ! 破壊を為す、意志そのものだ――!!!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん?
武器:漆黒風
命尽きて終わりなどとは、思えませんよねー。そう、『私たち四悪霊』からすれば。
四天霊障による風属性結界にて、その花弁を近づけさせないように。
ええ、命尽きてなお足掻こうとする。それが許されているのですから、ただがむしゃらにいくのが、『私たち』なんですよ。
UC付きで漆黒風を早業投擲。鎧無視…つまり防御無視な貫通攻撃にしてますからー。
ええ、この一撃に全てを。
ああ、本当に。私はあんたが嫌いだ。
次々と戦場――侵略新世界『サクラタルタロス』に生命の輝きが明滅する。
その鮮烈なる輝きは長くは続かない。
いずれもが明滅しては、この世界からはじき出されていく。
そう、どれだけ強烈な光であろうとも長くは瞬くことはない。
空に浮かぶ星であっても同じだ。
永遠不滅などない。
もし、仮に永遠不滅があるというのならば、それは完結し、停滞し、閉じきった可能性の中にのみ存在しているのだろう。
そうい意味では、眼の前に広がる『サクラタルタロス』、『死の静寂』は完結していた。
これ以上はない。
これ以下もない。
あるのは、ただ『死の静寂』のみ。
故に『冥府の蛆獣』たちは踏み込んでくる猟兵たちという生命を排除せんとするのだ。
生命の音は騒々しい。
静寂を突き破り、冷めきった停滞を壊そうとする。
許されることではない。
「生命尽きて終わりなどとは、思えませんねよねー」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は悪霊である。
己たちがそうであるように、この『死の静寂』にもまた熱はあるのだと思うのだ。
死してなお突き動かされれる衝動がある。
それを人は呪詛と呼ぶだろうし、また執着と呼ぶのかもしれない。
だからこそ、迫りくる櫻嵐を寄せ付けぬようにと足掻くのだ。
「終わりだ。等しく生命は尽きれば終わりを迎える。骸の海にも往くことを拒んだものが、終わりを語るなど」
『イティハーサ・イザナミ』の言葉に『疾き者』は頷く。
「そうでしょうね。私達は、死に、そしてその先へ向かうことを拒否したもの。悪霊とは未練がましくもこの世にとどまり続ける存在なれば。されど、生命尽きてなお足掻こうとするのもまた生命。それが許されているのは、私達が証明しています」
悪霊はすがりつく。
過去ではなく、今に。
時の流れという激流に流されぬようにと。
それはがむしゃらというものであったかもしれない。
みっともないと言われるかもしれない。
けれど、それが。
「それが、『私達』なんですよ」
ならば、これもまた生命の延長線上にあるものである。
死という終わりを通過したからこそ言えることであった。
「この一撃に全てを」
握りしめた棒手裏剣が放たれる。
宙を走り、櫻嵐を穿ちながら突き進む一条の光。
「ああ、本当に。私はあんたが嫌いだ」
それだけの一念を込めて『疾き者』は己が一撃を、四更・風(シコウ・フウ)を叩き込む。
ただ単純に気に入らない。
全てを停滞に飲み込み、完結することばかりを望む。
死さえも己という生命を完結させなかった。ただの通過点に過ぎなかった。
だからこそ、今己たちは今此処にいるのだ。
それを無為にする行いをする者を許せておけるわけもない。膨れ上がる呪詛と共に、その一撃は『イティハーサ・イザナミ』の体躯へと突き立てられるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
|櫻の楽園《サクラエリュシオン》も今はこの有様かー
永遠で、不滅で、不倒のものなんてありはしない…
ボクだって、存在する限りは生き続けるだろうけれどいつかは死を得ることもあるだろう
しかし、だけど…
んもー
ボクの言うことをちゃんと聞いてた?
永遠で不滅で不倒のものなんてありはしないって言ったでしょ
それはボクだってそうだけど、キミだってそうだよ
必要なだけの力を加えれば倒れないものなんて無い!
ボクは生命にはそれができるって信じてるのさ
少なくとも、滅びにはまだ早い!まだもっともおっと楽しめるってね!
輝け!もっと輝けー!!
光り輝くUC『神撃』でもってサクラタルタロスごとドーーーンッ!!
「|櫻の楽園《サクラエリュシオン》も今はこの有り様かー」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は新たに生み出された侵略新世界『サクラタルタロス』を見やる。
滅亡した世界。
『サクラエリュシオン』という可能性から組み上げられた永遠の死もたらす世界。
ただここに存在しているだけであるというのに、生命が削られていく。
大地の下に蠢くのは『冥府の蛆獣』たち。
生命を許さぬ蛆獣は、その牙でもって生命を削り続ける。
「永遠で、不滅で、不倒のものなんてありはしない……」
「いいや。死こそが永遠なのだ。故に、かの女神もまた死を恐れる者を安寧へといざなう。永遠を欲するのならば、死こそが到達点」
「そうかな? 確かにボクだって存在する限りは生き続けるだろうけれど、いつかは死を得ることもあるだろう。しかし、だけど……」
「ならば、お前もまた骸の海へと沈むべきなのだ」
そうすることで死を得られる。
迫るは真白の櫻嵐。
それらは一気にロニを取り囲み、その身を引きずり込もうとする。
「んもー、ボクの言う事ちゃんと聞いてた?」
如何に死が永遠なるものであったとしても。
それでも不滅であることはない。
死そのものもまた不滅ではないのだ。
死を克服するものが存在している。死の先を進む者たちがいることをロニは知っているのだ。
「それさえも永遠不滅で不倒なものなんてありはしないって言えるんだけれど。ボクがそうであるように、キミだってそうだよ」
神だって死ぬ。
神だって殺せる者がいるのだ。
未だ残りしさん十六世界であっても、その例外はない。
「神殺しだっているんだもの。必要なだけの力を加えれば、倒れないものなんてない! ボクは生命にはそれができるってことを信じてるのさ!」
でもね、とロニは笑う。
まだ遊び足りない。
もっと遊びたい。
生命が確かに可能性を満たしたのだとしても。
「少なくとも、滅びにはまだ早い! まだもっともおっと楽しめるってね!」
ロニは思うのだ。
己のユーベルコードが拳に宿る。
煌き、輝き、その光を灯していく。
「輝け! もっと輝けー!」
光り輝くのは、その拳。
神撃(ゴッドブロー)たる一撃を籠めた拳を持って、ロニは櫻嵐を突っ切って、『イティハーサ・イザナミ』へと迫る。
「キミが生み出したこの新しい世界ごと砕いてあげるよ、ド――ンッ!!」
振り抜いた拳は目もくらむような輝きを放ちながら『イティハーサ・イザナミ』ごと『サクラタルタロス』へと叩き込まれる。
その衝撃は世界を揺らし、亀裂を走らせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
鏡島・嵐
生命の灯火、それそのものをかき消す力、か。いろんな強敵を見てきたけど、指折りの力だな。
いつも以上に身体が震えてる。怖くて、逃げ出したくて堪んねえ。
でも。
思い出す。祖母ちゃんだったか誰だったかから、聞いた言葉。
魂は生きて旅をしている。すべての世界に生きるすべての魂は、生という旅の中に身を置いている。
どこに向かう旅なんかは誰にもわからねえ。もしかしたらどこにも行けなくて、辿り着く場所さえもあやふやで。その旅の価値は皆バラバラで……それを死ぬまで続けるんは、きっと過酷で。
でも、だからこそ最後まで成し遂げて、正しい価値を見出さなくちゃなんねえ。
その旅を邪魔したり、強制的に切り上げさせたりするようなことは、いけねえことだ。人殺しがいけねえってのは、そういうコトなんだ。
そして、その旅の価値は、それきり終わるものじゃねえ。
たとえ不本意な形で旅が終わるとしても、その輝きは、次の誰かに受け継がれるから。
きっとおれも、いつか誰かに、この灯を渡す日が来る。
それまでは、この輝きを消させやしねえ―――!
世界に亀裂が走る。
『イティハーサ・イザナミ』が生み出した侵略新世界『サクラタルタロス』は、猟兵たちの生命の輝きによって、その構造の骨子が揺らぎ亀裂が走っていた。
「『意志』が怯む。儂自身であれば、揺らぐこともなければ、たじろぐこともない。だが、取り込んだ『イザナミ』の意志が、この儂を揺らがせるとは皮肉である」
『イティハーサ・イザナミ』は言うまでもなく強大な存在である。
だがしかし、彼は今まさに揺らごうとしていた。
それは『意志』故である。
猟兵たちの見せた輝き。
それは生命だけではなく、『意志』もまた輝くからこそ、この状況を引き出していたのだ。
だが、その紡がれた最後にあってなお、鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は怖いと思ったのだ。
生命の灯火、それそのものをかき消すのが、この『サクラタルタロス』だ。
足下の大地には『冥府の蛆獣』たちが蠢き、己の生命を削っていく。
敵は強敵。
その中でも指折り。いや、最大とも言っていい脅威だ。
だからこそ、体が震える。
怖い。
逃げ出したい。
でも。
そう、でも、だ。
思い出すのだ。
祖母だったか、誰だったかわからない。
聞いた言葉が今の己を構築している一つなのだ。たとえ、一欠片であるのだとしても、たしかに己という存在を構築したものである。
「何処に向かう旅なんかは誰にもわからねえ。もしかしたらどこにも行けなくて、辿り着く場所さえもあやふやで。その旅の価値は皆バラバラで……それを死ぬまで続けるんは、きっと過酷で」
「何がいいたい」
己の語る言葉がどれもが芯のないものであることは自覚していた。
借り物のの言葉であったし、贈られた言葉であったからだ。
己の言葉ではない。
けれど、此処から先は己の言葉だ。
己が恐怖を感じるように、これまでの旅路で感じてきたことだ。
故に嵐は瞳に超克の輝きを宿す。
「でも、だからこそ最後まで成し遂げて、正しい価値を見出さなきゃなんねえ」
「ならば、死こそが絶対である。不変なる価値そのものである。ならば」
「いいや、そうじゃあねえ! お前のやってんのは、その旅を邪魔したり、強制的に切り上げたりするようなことだ! いけねえことなんだよ、そういうのは! だから、人殺しはいけねえんだ! そういうことなんだ!」
嵐は踏み出す。
一歩ここで踏み出さなければ、己は何処にもいけない。
そう思ったからこそ、そのユーベルコードは輝く。
笛吹き男の凱歌(ラッテンフェンガー・パラード)は、己の言葉。
そして、贈られた言葉。
そうした言葉が己の中に内在して、新たな可能性を生み出す。
「だが、死へ向かう可能性は、最早無価値だ。そのような可能性は、満ち溢れている」
「そうじゃねぇ! それきりで終わるものじゃねえ!。たとえ、不本意な形で旅が終わるとしても、その輝きは、次の誰かに受け継がれる」
己がそうであったように。
生命の旅路は続く。
生命が尽きても、さらに次の生命へとつながっていく。
きっと己もそうだ。
年老いて、一歩も進めなくなる時がやってくる。
「おれも、いつか誰かに、この灯を渡す時が来る。それまでは、この輝きを消させやしねえ――!」
振り抜いた一撃が『イティハーサ・イザナミ』を砕き、さらに櫻覆う冥界をも破壊する。
嵐は、恐れを踏み越え、己が意志でもって灯を紡ぐと決めたのだ。
それを証明してみせた嵐の拳は、天に突き上げられた。
その先には、満天の星空が広がっていた。
まるで、生命の旅路を祝福するように――。
大成功
🔵🔵🔵