帝都櫻大戰㉓〜弾幕死線の国
――再孵化せよ、と呼ぶ声がある。
「その身に搭載する8億の魂ごと新世界に寄越すのだ」
抵抗すら許されず、魂を守ることも果たせず。
絶望の中でエンシェント・レヰス『護国鉄神零號』はその意思すら奪われ、幻朧帝イティハーサの『器』としての役割を全うするためにのみ、その存在をいまも許されている……。
「エンシェント・レヰス『護国鉄神零號』と融合し、その『意思』を獲得した幻朧帝イティハーサの創造した侵略新世界『|殲機鋼鉄共栄圏《せんきこうてつきょうえいけん》』……!」
それは全国民が肉体を失い、|鉄人形《ロボット》と化した太平洋戦争期にも似た戦乱の世界。零號に搭載された8億の魂を使用して造られた新世界の国民は、今まさに幻朧帝の号令により他世界の侵略に乗り出そうとしている。
「死してなお尊厳を傷つけられ、憎き仇敵の先兵として狩り出されようとしている彼らの無念を思えば放っておくわけにはいかない。それに戦争が終わった時点でこの戦場が未制圧であった場合、侵略新世界『殲機鋼鉄共栄圏』は他世界の侵略に乗り出すだろう」
幻朧帝と融合した『護国鉄神零號』の力によるものだろうか、戦場には絶えず『ユーべルコードを帯びた銃弾と砲弾の嵐』が吹き荒れている。
「前進するどころか立っているだけでも瞬く間にダメージが蓄積するほどに危険な環境だ。しかし、これを乗り越えなければ幻朧帝に一撃を与えることすらできまい。何か対処法はあるか? 何とかしてこの鋼鉄の嵐をすり抜け、幻朧帝に皆の力を示してくれ。8億の魂の無念を晴らすためにも、頼む」
ツヅキ
プレイングを送れる間は人数に関わらず受付中です。
共同プレイングをかけられる場合はお相手の呼び名とIDもしくは団体名を冒頭にご記載ください。
『護国鉄神零號』の意思を奪い、幻朧帝が創造した侵略新世界『殲機鋼鉄共栄圏』。戦場に降り注ぐ絶え間ない銃弾の嵐をかいくぐり、8億の魂の尊厳を踏みにじる幻朧帝のもとへ攻撃を届かせましょう。
プレイングボーナスは『戦場を覆う銃弾の嵐に対処する』です。
第1章 ボス戦
『イティハーサ・零號』
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POW : 天矢『殲機鋼鉄共栄圏』
【命令と共に飛来する殲滅機械矢(ミサイル)】に乗り、レベル×5km/hで飛翔する。飛翔突撃も可能。
SPD : 神鷹『殲機鋼鉄共栄圏』
【飛翔する神鷹の真下の大地】から【無数の生命殲滅鉄人形】を召喚する。[無数の生命殲滅鉄人形]はレベル×5km/hで飛翔し敵を攻撃する。使用者はこれに騎乗可能。
WIZ : 骸眼『殲機鋼鉄共栄圏』
【骸眼の蠢き】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【足止め用の対猟兵鉄人形軍団】で囲まれた内部に【『殲機鋼鉄共栄圏』の爆弾の雨】を落とし、極大ダメージを与える。
イラスト:炭水化物
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
朱鷺透・小枝子
あの神に類するモノを壊せ!
この歪んだ世界を作った張本人を、
あの鉄神をも虐げたより強大な存在を!!壊せ!!!
夜剣大蛇【操縦】サイキックシールド展開、銃弾嵐を【オーラ防御】
頭部長身ドリル、内蔵回転刃を回し【武器受け】弾丸を弾き、
己が【闘争心】を燃やしながら、人工魔眼の【第六感】と【視力】と【瞬間思考力】で騎乗飛翔する『イティハーサ・零號』を捉え!
『亜空間アタック』発動!
穿て!夜剣!!るるるぅうううああああああああ!!!!!!
頭部長身ドリルの射程距離・規模を【早業】無限拡大!
飛翔する奴の機動を【見切り】一瞬でドリルを伸ばし【貫通攻撃】
穿ち抜き、ドリルを回転しながら【怪力】で地面へ叩きつけ【重量攻撃】
壊せ、と小枝子の魂が叫ぶ。
あの神に類するものを殲滅せよ。
この歪んだ世界を作った張本人を逃してはならない。
あの鉄神をも虐げたより強大な存在を!!
必ずや、絶対に。
――壊せ!!
サイキックシールドで防御を固めた夜剣大蛇はもはや鉄壁の城砦も同然であった。鉄の驟雨が激しい音を奏でて降り注ぐが、そのいずれも致命傷には程遠い。頭部から伸びる長身ドリルの内蔵回転刃を回し、弾幕に穴を穿つように|掘り進む《・・・・》。
燃えろ、闘争心。
捉えろ、我が人工魔眼。
持ちうる感覚を総動員し、どこまでも見透かす視力によって得られた情報から敵の居場所を特定するまで僅か数秒。
「穿て! 夜剣!! るるるぅうううああああああああ!!!!!!」
標的を捉えた小枝子を止められるものなど誰もいなかった。距離も規模も無限に拡大する亜空間攻撃の前では神すらも抗えない。
恐るべき速度でドリルの射程が拡大し、殲滅鉄人形に騎乗する『イティハーサ・零號』の機動を見切るなり貫通攻撃を仕掛ける。
「まさか?」
イティハーサは驚きに目をみはった。
「これほどまでに早く、殲滅鉄人形の動きについてくるとは恐るべし……」
さらに小枝子は操縦桿を掴み、渾身の力でドリルを回転しながら穿ち抜いた相手の巨体を地面に叩きつけたのだ。信じられないほどの怪力、重量による圧殺とも言うべき猛攻の一部始終がそれであった。
大成功
🔵🔵🔵
スコグル・ノルン
●心情
戦士たちの末路は、もっと誇りと尊厳に満ちているべきです
そして戦いそのものにも意思と思いがあるべきです
これは、あんまりではないでしょうか
今のあなた達に誇りと意思はありますか?
●戦闘
この戦場は魂も意思も感じず、美しくない
それを根拠として、銃弾の嵐も、爆弾の雨も、鉄人人形も、戦闘ではないただの妨害行為とみなしてUCの無効化の対象にします
無効化したら幻朧帝イティハーサと互いの肉体と武器を使った殴り合いと切り合いです
射られる矢はよく見て武器受けをしつつ、時には幸運にも頼ります
さあ泥臭く行きましょう。これが血肉の通った戦いです。意思の通った美しい戦いです
そしてこの戦いが8億の魂たちにも届きますように
戦士たちよ。
あなた方の末路はこのような野心に汚されてよいものではありません。
もっと誇りに満ちて、威厳に輝いて。
尊き星のように大切に掲げられるべき意思と想いを取り戻しましょう――……。
「果たして、今のあなた達に誇りと意思はありますか?」
そこは新世界などではなくただの過去の紛い物だった。
魂も意思も感じられない。それゆえに美しさの欠片も存在しない。あるのは無理やりに戦わされている鉄人人形たちの悲哀だけ。ゆえにスコグルは拒絶しよう。
|こんなのは《・・・・・》、|認めない《・・・・》と。
其のユーべルコードはスコグルの魂からの渇望を戦場に解き放つ。美しき戦いのみを求める願い、希望、そういった思いは誰にも邪魔できない。
そう、眼前の|戦いでさえも《・・・・・・》。
……戦いそのものにも意思と思いがあるべきだ。
その信条に反した者達は瞬く間に動きを止めていった。銃弾の嵐もそう、爆弾の雨もそう。当然、鉄人人形たちも――否、何よりも彼らこそがその最たるものではないか。
「これは戦いではありません。ただの妨害行為です」
「何度言っても分からぬか……」
「ええ、わかりたくもありませんから」
スコグルは幻朧帝イティハーサの弓矢を武器で受け止める。望むは直接対峙。己の身体と武器で殴り合うような泥臭い戦いこそ、血肉の通った戦いなのだ。
とっさの判断で鎌から斧に持ち替えたスコグルは小柄な身を生かして弓矢をかいくぐり、敵の懐へ潜り込んだ。
「!」
一見すると、運悪く相手が態勢を崩したように見える。
だが、その実、スコグルの突っ込むタイミングの方が良過ぎたのだ。攻撃を放った後の隙を突いた形で振り回した斧刃がイティハーサの胴体を薙ぎ払う。
「く……」
「さあ、まだこれからですよ」
この戦いが8億の魂にとどきますように。
「これぞ、戦いです。美しき闘争を続けましょう」
大成功
🔵🔵🔵
儀水・芽亜
これはまず、守りを固めないと話になりませんね。骸の海に満たされているよりはマシですが。
「全力魔法」「結界術」「範囲攻撃」でサイコフィールド展開。フィールドは「回復力」で自己修復するように設定しておきましょう。
これで、鉄火の雨霰も防げるというものです。最悪、貫通されても回復できますし。
サイコフィールドの起点を神楽鈴に設定。これで結界ごと移動できます。
生命殲滅鉄人形は、飛び道具はないのでしょうか? 私の世界に飛び込んでくるなら、魂を眠らせますよ。
そうして幻朧帝の元まで。
総勢八億の魂を使役するお手並み、見事と言えましょう。ですが、あなたのようにはなりたくない。
「音響攻撃」「衝撃波」で打ちのめします。
これはまず、守りを固めなければ――芽亜は全力で魔法と結界術を紡ぎ、広範囲を包み込むサイコフィールドを展開した。骸の海に満たされているよりはマシとはいえ、回復力での自己修復なしではどうなっていたことやら。
芽亜を守るフィールドは鉄火の雨霰を受け止め、多少の損耗なら見る間に修復していく。あとは、起点に設定した神楽鈴を手に歩めばいい。
結界を維持しながら接近する芽亜に襲いかかるのは無数の生命殲滅鉄人形たちであった。果たして飛び道具は持っているのだろうか?
「いずれにせよ、私の世界に飛び込んでくるなら構いません。さあ、魂を眠らせますよ」
サイコフィールドに突撃するなり、彼らは意識を失って墜落する。
芽亜が歩んだ後にはそうやって作り上げた鉄人形たちの山が出来上がった。こうやって進めばいずれ幻朧帝の元までたどり着けるであろう。
「よもやあの驟雨の中をくぐり抜けてたどり着くとは、六番目の猟兵の面目躍如といったところか」
「総勢8億の魂を使役するお手並み、まずはお見事といったところですね。もっとも、あなたのようになりたいとはこれっぽっちも思えませんが」
叩きつけるのは音響攻撃と衝撃波。
芽亜の手元で鳴り響く神楽鈴から発せられた衝撃波は鉄人形の守りを失った幻朧帝を強かに打ち据えたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
菱川・彌三八
狡いだなんだと云っちゃいられねえ
戦だからな
彼方が手段を選ばねェってんなら、此方とて同じ事
この鉛の嵐を如何するかってェ話だろ?
透明なら当たらねえだろうさ
拳にぐっと銅板を握り込んで姿を消し、怯む事なく前へ
此の世界を確と目に焼き付けておいてやる
あの絡繰がどんな奴かは知れねェが、此処がお前ェの國じゃねえことくらい分かるさ
さて、俺とて何時までも透明の怪異で居るわけにゃいかねえ
此処まで来れた、それで十分さ
爺の側で姿を表したら、屹度鉛の嵐が来るだろう
構うか
透過の次は、変化だ
成るは、炎の大入道
で、全力で拳を振り下ろす
ハナっから巨人で居ろって?野暮云うねェ
手が一つしかねえって思わせておくのが良いんだヨ
世の中には細かいことをごちゃごちゃと言ってられない時、というのがある。たとえば狡いとか卑怯だとかそういう奴だ。
戦いってのはそういうもんだろう。
此奴のように甚だしく話の通じない相手の場合は特に、ってもの。彌三八の思案はそう長くは続かなかった。ぴん、と|銅板《メダル》を弾いて手の中へ握り込む。
「手前の出番だぜ」
選ぶ効果は|透明《・・》だ。
鉛の嵐だとて相手が見えなければどうやって当てる。
――馳せろ。
この世界を確と目に焼き付けながら。
かつて失われた世界。
幻として甦った世界。
これから、この手でぶち壊す世界。
「絡繰、絡繰、また絡繰だな。八億か、凄ェや」
よくもまあ、我がもの顔で他人の國を乗っ取れるものだと感心する。元の世界を知らない彌三八でもそう思う。いわんや、意思とやらを利用された鉄神の心中といったら忸怩たるものがあったはず。
――そろそろ頃合いか。
何時までも透明の怪異で居ても仕方あるまいと彌三八が再び姿を現した時、|幻朧帝《爺》はもう目の前だった。
「そこにおったか」
鉛の嵐が再来するが、構うものか、とそのまま突っ込む。
まだ大天狗の相は変化を残しているのを知らいでか。
姿を炎の大入道に変え、弾幕をかいくぐり、最後は全力で――拳を振り下ろした。神だろうが帝だろうが等しく殴る。
「ハナっから巨人で居ろって? 野暮云うねェ」
最初っから奥の手を見せる奴がどこにいるってんだ。おかげで、彌三八の行動を読み切れなかった幻朧帝はまだ立ち直れていなかった。
「な? 手が一つしかねえって思わせておくのが良いんだヨ」
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
…時は来たれり!幻朧帝を討ち倒す為に!
この世界を救う為に…さぁ行くぞ!私は…処刑人だッ!
【ペイル・ライダー】で骸骨馬を召喚し騎乗
不死の力を得て鉄塊剣を抜き振るい空中を駆け抜け戦場を行こう
飛び交う銃弾を鉄塊剣を盾代わりにして武器受けで防御しつつ
銃弾を浴びても地獄の炎の回復力と修復で傷を無理矢理修復しながら
殲滅機械矢に乗った幻朧帝を追跡しよう
私は処刑人…ッ!
貴様のように命を弄ぶ者には死を…!八億の無数の魂と鋼鉄巨神に安らかなる鎮魂を…!
逃がしてなるものか…!我が名はアンナ!処刑人が娘也ッ!
鉄塊剣による怪力と重量攻撃で敵ごと殲滅機械矢を真っ二つに鎧砕きで切断し切り捨ててやろう…!
「……時は来たれり!」
アンナが告げ、骸骨馬が嘶いた。
轟き渡る蹄音はまさしく、処刑人の登場を咎人たちに知らしめる。蒼い炎を纏いて中空を翔ける骸骨馬の疾走を一体だれが止められる?
容赦のない弾丸の驟雨の中を、アンナは鉄塊剣を掲げ、強引に突き抜けた。肉を、骨を穿つ弾丸の痛みがないわけではない。
だが、――だが!
我が使命の前にそのような痛みに構っていられようか。
不死の属性に身を委ねたペイル・ライダーの状態にあるアンナを弑することは難しい。たとえ銃弾を浴びようが傷口から噴き出す地獄の炎が銃創を埋め、無理やりに修復しながら突き進む。前へ。
不気味な軌道を描いて飛翔する殲滅機械矢の上に仕留めねばならない者がいた。
「愚かな。未来にしがみついて何になるというのか」
「私は処刑人……ッ! 死を弄ぶ者には死を……!」
八億だ。
既に眠りについていたはずの魂をその魂蔵たる鉄神ごと暴き、己が目的のために利用した咎人を逃してなるものか。
無数の魂と鋼鉄巨人に安らかなる鎮魂を与えんがため、処刑人が娘は馬を駆る。その名はアンナ。咎人の命を刈り取る炎獄の執行人……!!
「無駄なことを……」
だが、アンナは幻朧帝の想定とは裏腹に追いつき始めていた。やがて殲滅機械矢と骸骨馬が並走するに至る。
「まさか――」
「ぬぅんっ!!」
圧倒的な膂力で振り切った鉄塊剣がその重量でもって叩き潰すように幻朧帝と彼の乗った機械矢を破壊したのだ。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
如何なる世界も創り上げてやろうなんて大層な事を言っていたが
アイツに作れるのは、こういう碌でもない世界だけなんじゃないか?
等と内心で呟きながら、神刀の封印を解除して刻の型【瞬久】の構え
自身の知覚と思考を加速させて、銃弾の嵐がどこから・どのように飛んでくるかを把握して
どれを避けて、どれを防ぎ。或いはどれを受ければ被害を最小限に抑えて前進できるかを考え
後はその通りに実行するのみ
生命殲滅鉄人形が召喚されたとしてもやる事は変わらない。それらへの対処も含めて考え、動けば良い
これを繰り返すと体感では相当な時間が経過することになるが……最後まできっちり対処を続けて幻朧帝の元へ接近
一撃叩き込んでやろう
「やれやれ、大層なことを言うものだな……」
如何なる世界も造り上げてやろうなんて、実は大言壮語なんじゃないかなんて鏡介は思ってしまうのだが。
だって、それで出して来た侵略新世界とやらが|こういう禄でもない世界《・・・・・・・・・・・》ばかりなのだからさもありなん。
(この有り様で、アイツにまともな世界が作れるとは思えないな)
鏡介は神刀を抜刀し、その封印を解いた。
――刻の型【瞬久】。
構えに応じて、時の流れが緩やかに感じられるようになる。ほとんど止まったかのようだ。否、逆なのだ。鏡介の方が知覚と思考を加速させることで周囲が遅くなったかのように感じられているのだった。
躱す。
必要なものとそうでないものを見抜き、最小限の動きで捌き切る。取捨選択しろ。最も受ける傷の浅いコースはどれだ?
――鏡介の鍛え抜いた剣技と身体は己が下した決断を見事に実行してみせた。神鷹に導かれるように現れる鉄人形も弾幕と同様に効率よくかいくぐる。
そういえば宇宙旅行なんかも体感時間の方が実際よりも長くなったりするのだったか。長く先の見えない時間の経過にも気を抜かず、鏡介は幻朧帝の元を目指した。
一撃でいい、ただし、とっておきの奴をだ。
おそらく相手は何が起こったのかわからないうちに傷を負ったことになるのだろう。鏡介は出し抜かれたことを知った時の幻朧帝の顔を想像しつつ、神刀を渾身の力で薙ぎ払った。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
青い鳥の守護を纏って弾幕の中を突っ切るのでっす!
最短距離でまっすぐに!
それが一番弾丸にさらされる時間も空間も省けますしねー!
それでも当たってしまうでしょうがー。
パワーアップしている藍ちゃんくんを止められはしないのでっす!
それにええ。
何故か。致命的な当たりはないのでっしてー!
そのまま帝さんの突撃も迎え撃つのでっす!
ミサイルである以上正面衝突は愚策でしょうがー。
信じてますので。
幸運を?
いいえ。皆様を、なのでっすよー!
ミサイルが不発弾だったり、たまたま戦場を覆う銃弾の嵐で自爆してしまい帝さんが巻き込まれたとして。
帝さんは不運だった、藍ちゃんくんがついてたと思うでしょうがー。
藍ちゃんくんはこう思うのでっす。
藍ちゃんくんがここまで辿り着けたのも。
ミサイルから助かったのも!
銃弾が都合よく帝さんに当たってらっしゃるのも!
全部が全部、帝さんが尊厳を踏みにじってらっしゃる皆様の必死の抵抗であり、鋼鉄共栄圏の意地なのだと!
信じられませんかー?
帝さんを封じた皆様はすごいのでっすよー?
「藍ちゃんくんでっすよー!」
今日も藍ドルは笑顔で元気いっぱいに戦うのだ。望む人がいるのならいつだってどこへだってすぐ其処に駆けつけよう。
――青い鳥の童話はご存じですか?
幸福を運ぶ青い鳥の守護は驟雨の如く叩きつける鋼鉄の弾丸から藍を守るため、いつにも増してより一層綺麗に輝いた。
最短で、最速で、真っすぐに――!
一番ダメージを受けないで済むだろう軌道を過たずに選び取った藍は、流星みたいに空を駆けめぐった。もちろんそれでも全てを躱せはしないだろう。だが、今の藍は止められない。燃えるみたいに輝く思いの強さに守られ、殲滅機械矢なるミサイルに乗って突撃を目論む幻朧帝の突撃すらも恐れることなく突っ込んで。
そうできる理由は、ただひたすらに信じているから。
幸運じゃない、|皆様《・・》を!!
「何だ、何が起こっておるのだ?」
幻朧帝もその現象に気が付き始めていた。
何かがおかしい。
さっきから――いや、最初からだ。
なぜ、不発してばかりなのか? 弾幕の精度が落ちているのか? さっきから流れ弾によく当たるような気がしている。
「ようやく気付きましたか!」
「汝、いったい何をしたのだ?」
「したのは帝さんなのでっす。帝さんに尊厳を踏みにじられた皆様の必死の抵抗であり、鋼鉄共栄圏の意地を見せてくださっているのでっすよー!」
「馬鹿な、有り得ぬ」
「有り得ない? では、どうしてこうなっているのでしょう?」
「は――」
その時、戦場を覆う銃弾の嵐が幻朧帝の乗ったミサイルを巻き込んで暴発し、自爆に繋がった。
「ぐっ……今のも、ただの不運であろう」
「いいえ、凄いのは皆様なのでっすよー?」
藍は両手を広げた。
今は敵かもしれない。
だが、それでも己の信念を託せるものに幸福をもたらすという奇跡は起こるのだ。そのきっかけを運んだ青い鳥は藍を連れて美しく空を舞う。愛と感謝を伝えるために。希望はいつでもそこにあるのだと、藍の笑顔は言っていた。
大成功
🔵🔵🔵
雪華・風月
桜媒刀離…幻朧桜の迷路を場に作ります……
幻朧桜の木々が銃弾や砲弾から身を隠す影となり、身を守る壁となる…
桜の木の塹壕…
これであれば銃弾の嵐も幾分が和らぎましょう
その上で躱しきれるものは『ダッシュ』で躱し
難しいものは雪解雫にて『武器受け・受け流し』ます
迷路であれば飛んでくる方向も限定されますし…
足止め用の対猟兵鉄人形軍団、ですが囲まれてるのはそちらも同じ…
桜花の刃で足止めされる前に破壊させてもらいます…
そしてイティハーサ・零號の元へたどり着き『居合』にて断ちます!
…はいもし可能であれば8億の魂達、彼らの魂に癒やしを幻朧桜…
風月が瞑目し、呪いを唱えると辺り一面に迷路ができあがる。それは幻朧桜が作り出す妙なる細道であった。
まるで、桜の木の塹壕のような……。
創り出した主である風月を迷わせることはない。ただその身を護るための盾となり、壁となり、襲い来る鋼鉄の驟雨を防いでくれる。
「では、参りましょう」
雪解雫を抜刀し、急所を刃で受け流しながら疾走する。
そうやって駆けながら大半をくぐり抜け、躱し切れないものだけを相手にしながら迫る鉄人形軍団を桜花の刃で斬り伏せた。
櫻迷路を舞台にした活劇は激しい戦いそのものであった。だが、風月は地の利を受けて彼らの予想を上をいった。
「囲まれているのはそちらも同じ……」
うまく迷路を抜けたとて、そこから来るとわかっていれば対処のしようはいくらでもある。足止めなどされてなるものか。
風月は即座に包囲を突破して、イティハーサ・零號の元へ――!!
「鉄人形共も役には立たぬか」
この期に及んで8億の魂の尊厳を踏みにじり続ける幻朧帝に対し、風月の答えは問答無用の居合斬りであった。
「それ以上の侮辱は赦しません」
……舞い散る花弁が動きを止めた鉄人形を埋めてゆく。どうか彼らに安らかな眠りと癒しを与えたまえ、幻朧桜……――。
大成功
🔵🔵🔵
真月・真白
即座にUC発動、本体を開きペンを片手に砲撃の嵐の中歩み続けます
歪んだ形に再編された世界。けれど断片は確かなる『過去』ならば、記し『歴史』として遺します。彼らの世界を歴史を残すその一遍として
世界を滅ぼすためではない、滅びに抗うために彼らが使った『|力《祈り》』正しい在り方として、鉄人形にされた者達の言葉を拾い上げます
例え過去が棄て去らねばならない理だとしても、拾い記し、『歴史』として遺して『|未来《いのち》』への道標とする。それが『|歴史書《僕》』の在り方です。
イティハーサ、未来を不要とする貴方とは、決して相容れる事は無い!
彼らの歴史を記し続け攻撃の嵐に巻き込む
無理なら記し続け攻撃の引き付け役に
紙の上をペンが走る音は、好きだ。
真白はただ一心に己の本体である歴史書を開き、空白の広がるページに書き込み続けた。
書くことはいくらでもあった。
歪んだ形に再編されたこの世界で、滅びに抗う彼らの力を収奪して作り替えた鉄人形軍団。その者たちの言葉、想い、生き様といえるもの。
「それらは断片であろうが確かなる『過去』……ならば記しましょう。『歴史』として僕の歴史書の一遍として」
彼らの世界を歴史に遺すため、どんな小さな欠片でも構わない。彼らが使った『力』――祈りにも近いそれらの正しい在り方として、書き留めよう。
砲撃の嵐の中を歩み続ける真白に、攻撃は届かない。
どれだけの砲弾が驟雨のように襲いかかろうとも、歩み記し続ける歴史書のページは無限に増え続ける。
そして、外部からの攻撃は全て遮断される。
「六番目の猟兵……ユーべルコードをそこまで使いこなしておったとはな……」
幻朧帝は臍を噛む。
真白が告げた。
「例え過去が棄て去らねばならない理だとしても、拾い記し、『歴史』として遺して『|未来《いのち》』への道標とする。……それが『|歴史書《僕》』の在り方です」
「過去などただの材料に過ぎぬ。新たな世界を創るためのな」
「いいえ、違います」
はっきりと、真白は彼を拒絶する。
「イティハーサ、未来を不要とする貴方とは、決して相容れる事はないでしょう。『歴史』を弄ぶのは、もう終わりです」
真白は書き続ける。
そして、歩み続ける。
攻撃の嵐を引き連れて、幻朧帝をも渦中に引きずり込むべく。もはや彼にそれを止める手段がないのを承知の上で。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎
相談の上、わしが行くことになった。まあなあ、幻朧帝嫌いなのは、四人総じてじゃし。
※何もしてないのに機械壊す人格
さて、絶え間ない銃弾の嵐であるならば、まあUC使えば強化に反転するのよな。
だが…そうだとしても足止めにはなってしまうからの。できるだけ、素早く…ダッシュしていこう。足を止めぬのが大事じゃて。
足止めの軍団は、黒燭炎から放電し、その隙を見て囲みから抜けるように。
そしてなぁ、この増幅した力を、その幻朧帝への一撃に。上から叩くようにな。
…怨嗟は、正しく向けられる相手に向けられたのよ。
さて、『侵す者』の出番である。
武の天才と呼ばれた豪快古風の武人は腕を組み、首を傾げる。四人で相談した結果であった。もっとも機械を無自覚に壊すからといってさすがにこいつらは別であろうと本人としては思わないでもないのだが……やれやれ……。
「まあなあ、幻朧帝嫌いなのは総意じゃしな」
絶え間ない銃弾の嵐を如何抜けるか、に関しては四悪霊の呪詛で反転させてしまうのが早そうだ。
ただし、ダメージは受けるのでまともにくらっていては反撃するまえにお陀仏という可能性もなきにしもあらず。
「よし、走るか……なるべくこう、素早くな」
足止めに召喚された鉄人形軍団には黒燭炎から放電したやつで驚かせ、隙を見て囲みから抜け出した。
「そこにおったか、幻朧帝よ」
狙いは――頭上。
たっぷりと増幅させた力を、一撃に乗せて。
「怨嗟は向ける相手を間違ってはならぬものよな。さあ、くらうがいい」
激しく突き出された黒燭炎が幻朧帝を貫いた。それまで受けた砲撃のダメージを丸々乗せた一撃はイティハーサであろうともただでは済むまい。
大成功
🔵🔵🔵