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帝都櫻大戰⑳〜ゆめみたもの

#サクラミラージュ #帝都櫻大戰 #第三戦線 #幻朧帝イティハーサ #ソウマコジロウ

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●残酷なまでに美しい世界を
「来たか」
 第三戦線に突入し、遂に幻朧帝イティハーサ自らが動き出した帝都櫻大戰。
 猟兵たちを迎えたグリモア猟兵にはカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)の面影がある。

「イティハーサの創造した侵略新世界へと転送する。そこで再孵化させられたソウマコジロウを討て」

 式神が配った資料によれば、戦場となる新世界は名を『輝けるサクラミラージュ』と言う。
 テロルや猟奇事件は尽く平定され、影朧は癒され、何処までも発展していく理想郷。
 幻朧帝の完全滅殺に成功し、帝都の無限繁栄を約束した立役者としてソウマコジロウが見守るこの世界は他世界侵略に加担する事は無い。
 だが、幻朧帝の力で造られた偽物の世界なのだ。破壊すべき幻想である事は変わらない。

「送る先はソウマコジロウの同志であった影朧の元だ。協力してやれば或いは声が届く事もあるか」

 幻朧帝と融合した影響なのか、今の彼に帝都桜學府で猟兵と交戦した記憶は無い。
 だが英霊達の影朧と協力しソウマコジロウの記憶を呼び起こす事が出来れば彼を正しく葬れる可能性もある。
 なお、今回は影朧発生の報を受けて自ら転生させる為に出陣してきたソウマコジロウとの遭遇線という形だ。
 ユーベルコード効果としての透明化は健在だが、必中先制を繰り出してくる事は無いらしい。

「奴等の殉じた理想の世界……それが偽りに過ぎぬ事を。偽りの儘に在り続ける冒涜を許すな」
 豪奢な装飾の施されたゲートは、普段より何処か痛ましい輝きを帯びて。


ふーみー
 当シナリオをご覧くださりありがとうございます、ふーみーです。
 |真の姿《別人格》でのご案内ですがシナリオへの影響は特にありません。
 最終局面に突入した帝都櫻大戰@第三戦線、今回は『ソウマコジロウ幻朧態』とのボス戦になります。
 プレイングボーナス:英霊達の影朧と協力し、ソウマコジロウの記憶を揺さぶる/ソウマコジロウと共にいる幻朧帝の力だけを攻撃する。

 プレイング受付は断章投稿~送信可能な間はいつでも。
 また、希望する展開の指標として難易度オプションも実施しています。
 興味のある方はMSページをご覧ください。
 それでは皆様の健闘をお祈りしています。
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第1章 ボス戦 『ソウマコジロウ幻朧態』

POW   :    透明逆転剣
【舞い散る幻朧桜】が命中した敵を一定確率で即死させる。即死率は、負傷や射程等で自身が不利な状況にある程上昇する。
SPD   :    透明魂魄刀
【鷹の如く飛翔する、無数の透明な日本刀】で攻撃する。命中すると【世界創造の力】を纏い、レベル分間[鷹の如く飛翔する、無数の透明な日本刀]の威力と切断力が上昇する。
WIZ   :    透徹たる眼光
戦場内に、見えない【幻朧桜の花弁】の流れを作り出す。下流にいる者は【オブリビオンと化す運命】に囚われ、回避率が激減する。

イラスト:炭水化物

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●輝ける世界の護り手
 諸悪の根源たる幻朧帝イティハーサは討たれた。
 世界は幻朧帝の封印という使命から解き放たれ、人々を苦しめる悲劇は駆逐された。
 未来は無限に広がっていく。
 理不尽に涙を流す者の居ない優しい世界が、きっとやって来る。

「発生報告が在ったのは此処だな……影朧の精神干渉を受けた者も居るのか? 案ずるな、直ぐに助ける」

 人々に害為す影朧が現れれば、転生へと導くべく軍神は自ら駆けつける。
 見慣れない猟兵の姿も彼には救うべき対象として映るらしい。

 ――友よ。我等が同志よ。
 ――この世界は。我等の欲してやまなかった理想郷は。
 ――それでも、夢なのだ。

 それが怨敵の力に作り出された、覚めるべき幻想である事を。
 影朧だけが知っている。
 
 
※共闘する影朧には特にデータは設定されていません。
 任意のデフォルトUC一種、剣技や魔術等、プレイング内で指定があればそれに準じる手段で猟兵と共闘します。
 
フィーナ・シェフィールド
→アドリブ歓迎

ソウマコジロウさん、また帝にいいように使われて…
もうこれ以上、帝の好き勝手にはさせません!

「これは幻だから…」
【交響詩『天秤の女神』】を奏で、ツウィリングス・モーントから戦場中に破魔の力を込めた歌を響かせます。

「目覚めて、ソウマコジロウ!幻朧帝に、『また』負けちゃダメ!」
ソウマコジロウの中の幻朧帝に対し、悪しき魂に響く破魔の旋律によるダメージを与え、英霊の影朧とソウマコジロウの魂に、疲れ傷ついた身体と心を癒す慈愛の旋律による治癒を与え続けます。

「みんな、帝を真に討ち滅ぼすために…もう一度、力を貸して!」
心からの祈りと願いを歌の乗せて、この地の戦いが終わるまで、全力で歌い続けます!



●解放の歌声
「ソウマコジロウさん、また帝にいいように使われて……」
 この戦争の第一戦線に於いても幻朧帝の尖兵とされたソウマコジロウ。
 望まぬ破壊儀式に加担させられながらも彼が予兆で伝えた警告、そこに込められた想いをフィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)は知っている。
 それだけに一層、彼自身の意思を利用される今の姿は見るに堪えないと映って。

「もうこれ以上、帝の好き勝手にはさせません!」
「君は、何を言って……」
「これは幻だから……魔を祓い、傷つきし者を癒す。響け、聖なる旋律!」
「幻朧帝は……彼奴は我が手で滅ぼし、そして……この世界の未来を……」

 浮遊する2対のスピーカードローンがフィーナの【交響詩『|天秤の女神《ユースティティア》』】を戦場全体に拡散する。
 幻朧桜の花弁さえ押し返して|双子の月《ツウィリングス・モーント》より響き渡る歌声に、ソウマコジロウの動きが戸惑うように揺れる。
 否、揺らいだのは彼だけではない。
 破魔の旋律に苛まれ、彼に取り憑いた幻朧帝の存在が暴き立てられようとしているのだ。

「目覚めて、ソウマコジロウ! 幻朧帝に、『また』負けちゃダメ!」
「ぐ、……ッ!?」

 その歌は、悪しき魂に裁きを。そして疲れ傷ついた身体と心には慈愛の癒しを与える。
 呼び起こすのは彼の失われた記憶。そして、影朧たちの声を同志に届かせる為の力。

「そう……か。我は――」
 ……記憶が、戻る。押し寄せるのは力の及ばなかった後悔、偽りと知らされた理想の世界への未練。
 だが。
 敵はまだ居る。戦いは続いている。
 なればこそ、軍神と称された男はもう誤らない。

「みんな、帝を真に討ち滅ぼすために……もう一度、力を貸して!」
「承知した。……今度こそは……!」
 抵抗するように激しく蠢くイティハーサの力をフィーナの歌が縛り、ソウマコジロウが封じ込める。
 これで全てに決着を。
 凛と響く旋律に導かれるように、影朧たちの刃が元凶を斬り裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
【覚醒】
あのユーベルコヲドは危険だ。
英霊のみんなが倒されたら、コジロウ様が目を覚ますきっかけを失いかねない。
きこやん、結界術を最大化、ヨナは天候操作で風を!

コジロウ様、ここにいらっしゃる方がお分かりですか?
影朧は、この世界に未練を残したもの、その未練こそが貴方様です!

ユーベルコヲド、超攻葬送掃射乱舞で背後に潜む幻朧帝との繋がりを一時的に弱めて、説得を。
どうか、この世界が幻の中である事を気づかせてもらう為に、声を届けて。

幻朧帝、お前だけは絶対に許さない。
死者を弄ぶその傲慢さ、生者の世界、光あるところでは隠れ潜み、炙り出されれば孤独。
存在がなくなる恐怖を噛み締めて、過去にすらさせない。



●ソノ魂、過去ニスラ還ルコト能ハズト
 ひらひらと舞い散るは幻朧桜の花弁。
 幻朧帝の力を取り込み強化された【透明逆転剣】は唯の一撃でさえ即死の危険を有する。

「きこやん、結界術を最大化、ヨナは天候操作で風を!」
 国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ|乙女《ハイカラさん》・f23254)の指示に応え、その身に宿る稲荷狐と上空の航空巡航艇が動いた。
 相手の狙いは影朧たちの浄化。
 コジロウに縁ある英霊が倒され、彼が目覚めるきっかけを失う事態は避けねばならない。

「コジロウ様、ここにいらっしゃる方がお分かりですか?」
「何……?」
 鈴鹿が影朧を守った事を訝るコジロウに呼び掛ける。
 この世界の彼は守護者として在るのだから。心からの訴えに耳を傾けない筈は無い。

「影朧は、この世界に未練を残したもの、その未練こそが貴方様です!」
「我が未練だと?」

 困惑の視線が影朧に向けられる。
 本懐は果たされた。今の自分に憂う事など何も無い筈なのに。
 ……剣筋が乱れる。
 その技を曇らせたのは単なる疑念|ではない《・・・・》。

「お前か……ッ!」
 見えた。
 この偽りの世界ではソウマコジロウに討たれ、猶も彼に取り憑き誑かす諸悪の根源。
 双式機関銃に特殊弾頭を装填、馬脚を現した幻朧帝の|残滓《力》を撃ち抜く。

「皆様、どうか説得を!」

 本来の世界でソウマコジロウと共に幻朧帝に立ち向かった英霊の影朧。彼等は鈴鹿の作った好機を逃さない。
 危険を承知で歩み寄り呼び掛ける。その一言ごとに幻朧帝の力が器から引き剥がされていく。

「幻朧帝、お前だけは絶対に許さない」
 対精神・対霊の【|超攻葬送掃射乱舞《フュウネラル・バレットパレヱド》】。一撃で済ませるものか。
『おお……汝、よもやこの儂を……』
「死者を弄ぶその傲慢さ、生者の世界、光あるところでは隠れ潜み、炙り出されれば孤独!」

 自らを骸の海と称する幻朧帝に死者が抗う事は叶わない。
 刻み付ける。怒りを、彼等の分まで叩きつける。

「存在がなくなる恐怖を噛み締めろ。お前は過去にすらさせない」
 風穴、蜂の巣でも生温い。
 弾頭を撃ち尽くさんばかりの戦術的射撃――跡形も残らぬ程に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

銀月地獄花・スイセン
転身化身で|主の姿を模した仮の肉体《魂の契約、絆攻撃》で挑みましょう。

おいたわしやソウマコジロウ殿。
攻撃はすべて私が引き受けます、英霊殿達はコジロウ殿への呼びかけを。
心眼、気配感知で透明化へ対処。大鎧での受け流しは|無意識でもできます。《自動防御》回避率が激減しようと|守りに徹した《シャドウパリィ》私の防御は鉄壁ですよ。
さて、コジロウ殿を器とする幻朧帝の状態は一種の魂の契約と解することもできましょう。ならば、|その繋がりを断つ《絆攻撃、切断》ことも難しくはないでしょう。見事切り離せたならば、さぁ、コジロウ殿、最期はその手で



●夢の終わり
「……おいたわしやソウマコジロウ殿」

 主たる少年の姿を模した転身化身で戦場に臨んだ銀月地獄花・スイセン(魔銀の大業物・f44474)は目を伏せる。
 記憶の欠落を挙げるまでもなく、不可視の流れを作り出す【透徹たる眼光】一つ取ってもその歪は明らかだ。
 輝ける理想の世界を願った男が、オブリビオンと化す運命を強いる力を振るう事など良しとするものか。

「攻撃はすべて私が引き受けます、英霊殿達はコジロウ殿への呼びかけを」
「む……!」

 透明人間としての性質を見抜く対応力、武者の大鎧を用いた受け流し。
 守りに徹したスイセンの防御は第一戦線での戦いより力を増したソウマコジロウの攻勢さえ押し留める。
 拮抗が生じれば思惑通り。
 英霊達の訴え、このソウマコジロウは影朧の言葉であれ無碍にはしない。

「この世界が……偽り、だと? ならば……我は……」

 ……それを阻む者が居る。
 輝けるサクラミラージュに於いてはソウマコジロウに討ち滅ぼされたとされるイティハーサ。
 彼を器とする幻朧帝の力がその心を惑わせている。

「これと同列に見做されるのはご遠慮願いたいものですが」

 絆と呪いは紙一重。
 存在の根底に使い手との深い繋がりを持つスイセンには、コジロウを器とする幻朧帝の状態を看破出来た。
 見えるという事は斬れるという事。なんなら見えずとも斬れば分かると宣うのが坂東武者である。

「――その悪縁、断ち奉る」
「ッ……!」

 迷いの生じた動きを捉える事は容易だった。
 魔銀の一閃はソウマコジロウとイティハーサの繋がりを断ち斬り、引き剥がす。

「さぁ、コジロウ殿、最期はその手で」
「…………ああ。恩に着る」
『余計な事を……ソウマコジロウ。我が器よ。儂を討てばこの世界は消えると分かっているのだろう』
「黙れ」

 その光景は恐らく、本来のサクラミラージュでの古き戦いの再現であるかのように。
 世に|破壊《カタストロフ》を振り撒く幻朧帝とこれを討たんとするソウマコジロウ、その同志たる英霊たちが相対する。
 かつて彼らの志が叶う事は無かった。今になってそれを成したとしても、過去が変わる訳ではない。
 だとしても。
 彼等の悲願を彼等の手で成し遂げる事には、きっと意味がある。

 ――心ある者達よ。命ある者達よ。どうか、輝ける未来を。

 本懐は果たされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
もしソウマコジロウの反乱が成功していたら、こんな世界になっていた……か
彼の真実を知った今となっては、ずいぶん複雑な気持ちだよ

神刀の封印を解除して、廻・漆の秘剣【蒼鷹閃】の構え
蒼色の神気によって身体能力を強化して、此方に飛んでくる日本刀を斬撃波で叩き落とし、影朧達を援護する
ソウマコジロウを説得するにしても、まずは彼らの言葉を届けてもらう方が効果的だろう
彼らが伝えるべき事を伝えるまでは、こっちでなんとか凌いでやるさ

確かにここは理想郷に思えるよ。だがそれは見せかけ、偽物だ
幻朧帝を討たんとしたソウマコジロウなら分かる筈だ

それでも分からないというのなら力付くだ
素早く移動して撹乱し、一気に斬り込もう



●終幕
「もしソウマコジロウの反乱が成功していたら、こんな世界になっていた……か」
 夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)が初めて聞いた彼の名は花の帝都を制圧した大罪人としての悪名だった。
 残された歴史と相反する事実。ソウマコジロウの真意。この輝けるサクラミラージュを消し去るという事。

「……今となっては、ずいぶん複雑な気持ちだよ」
 やりきれない思いを吐き出し、神刀の封印を解く。
 眼前に居るのは透明軍神と称された男が幻朧帝イティハーサの力を取り込んだ存在だ。
 それを相手取って戦う意味を鏡介は正しく理解している。

「少し動かずにいろ。直ぐに終わらせる」
「そういう訳にはいかないんだよな……! 駆けて刻め、蒼き爪痕ッ!」

 如何に精強な英霊たちと言えど、振るわれる世界創造の力の前では些か以上に分が悪いだろう。
 襲い掛かるは【透明魂魄刀】。
 鏡介の心眼は飛翔する無数の透明な刀、その動きの裏にイティハーサの神鷹の存在を感じ取る。
 その身に纏うは蒼色の神気。
 影朧たちを祓わんとする猛攻を、【廻・漆の秘剣【蒼鷹閃】】の斬撃波で叩き落とす。

「援護は任せてくれ。ソウマコジロウを説得するにしても、まずは同志の言葉を届けてもらう方が効果的だろう」
「説得? いや……反乱が成功していたら、だと? 君は、何を言って……」
「伝えるべき事を伝えるまでは、こっちでなんとか凌いでやるさ。……だから耳を傾けてやってくれ」

 言葉の後半は訝しむソウマコジロウに向けて。
 イティハーサの作り出した偽りの世界に囚われているにせよ、その心が本来の彼のものであるなら。
 自らに訴える同志たちの言葉は。彼等の心はきっと届く筈だと。

「確かにここは理想郷に思えるよ。だがそれは見せかけ、偽物だ」
 思うところはある。
 それでも突き付けなければならない。この幻の世界が続く事それ自体が仇敵たる幻朧帝に利用されるのなら猶更だ。

「幻朧帝を討たんとしたソウマコジロウなら分かる筈だ」
「………………そう、だな」

 内面の葛藤を反映するような重苦しい沈黙を経て、ゆっくりとソウマコジロウが頷く。
 飛翔する無数の刃、束の間だけ鎮まった切っ先が鏡介に向けられるのを感じる。

「貴殿は……過ちを正さんと訪れたのだろう。ならば、果たしてみせよ」
「ああ。この幻想に幕を下ろそう」

 結末を猟兵に託し、ソウマコジロウは最期まで守護者である事を選んだ。
 これ以上の言葉は不要。世界創造の力を纏い、【透明魂魄刀】は再び牙を剥く。
 決着は一瞬だった。
 戦場内を自在に駆け巡る無依の脚力で攪乱し、俊足で一気に斬り込めば158の連撃を以て畳み掛ける。

「さよならだ。ソウマコジロウ」

 技と言葉を最後の手向けに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリス・フリーウインド
連・アド○
…この世界が本物であれば、どれ程幸なのでしょうね
ですが、此は幻朧帝によって貴殿が与えられた夢にして虚偽の世界
その様な世界を創設した立役者である事を
貴殿が本当に望んだのであれば
私達超弩級戦力に
素性を明かして、幻朧帝を倒す願いを託す理由もございませぬな
ソウマコジロウ様
この世界に集いし英霊達よ
貴方方は知っているのでしょう?
かの方が与えられた玩具の様な世界の為に
幻朧帝に逆らった筈が無いと
そのソウマコジロウ様の真の願いの為に私に力をお貸し下さいませ
UC+集団統率+神聖攻撃
英霊の皆様の力を結集して呪詛剣黒羽を振るい
ソウマコジロウ様に一撃を与えて離脱します
それが今、私が出来る精一杯でございますから



●真に願った未来
「……この世界が本物であれば、どれ程|幸《さいわい》なのでしょうね」
 人々を守らんとする意思が害為すものを退ける。
 日々の営みが明るい未来に繋がっていく。
 このような世界の在り方を、いったいどれだけの命が求め続けた事だろう。

「ですが、此は幻朧帝によって貴殿が与えられた夢にして虚偽の世界」
 だからこそ、この夢は覚まさなければならない。
 エリス・フリーウインド(夜影の銀騎士・f10650)は影朧を祓わんとするソウマコジロウの前に立ちはだかる。

「その様な世界を創設した立役者である事を貴殿が本当に望んだのであれば。
 私達超弩級戦力に素性を明かして、幻朧帝を倒す願いを託す理由もございませぬな」
「願いを……託した? 君はいったい、何を……」

 帝都櫻大戰の始まりを告げたソウマコジロウの叫びを覚えている。
 心ある者達に、命ある者達に。
 |櫻花幻朧界《サクラミラージュ》の真実を明かし幻朧帝討滅の願いを託した彼の意思は、確かに届いたのだから。

「ソウマコジロウ様。この世界に集いし英霊達よ。貴方がたは知っているのでしょう?
 かの方が与えられた玩具の様な世界の為に幻朧帝に逆らった筈が無いと」

 強大な敵に身命を惜しまず立ち向かう者が何を想い、何を願うのか。
 戦ってきた世界は異なれど、エリスはそれを知っている。

「そのソウマコジロウ様の真の願いの為に。私に力をお貸し下さいませ」

 輝ける幻想に否を唱える英霊達の想いは一つ。
 その意思は【銀の守護者の名の下に】集い力を増す。
 数多の世界を滅ぼした幻朧帝イティハーサ、その力を取り込んだソウマコジロウにも抗し得る程に。

「我は……民の脅かされる事無き世界を……いつまでも続く平和を……ッ」
「さあ、共に行きましょう。我等が為すべき事を為す為に」

 揺れる感情の儘に【透明逆転剣】が荒れ狂う。
 舞い散る幻朧桜、その一つ一つが即死の危険性を秘めた恐るべき花嵐。
 ――臆する事無く踏み込んでいく。

「ソウマコジロウ様……貴方の繋いだ意思を、此処でお返しします!」

 英霊達の切り拓いた道を突き進み、彼等の想いと力を乗せて呪詛剣黒羽の一撃を見舞う。
 これが今のエリスに出来る精一杯。全霊を出し切り離脱する彼女をソウマコジロウが追う事は無い。

 嘗ては志を果たす事叶わず散ったのだとしても。この理想の世界が幻に過ぎないとしても。
 彼の願った理想はこれからも続いていくのだと。
 その想いもまた、確かにソウマコジロウへと届けられたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御桜・八重
この世界が本物だったらどんなにいいだろう。
きっとソウマコジロウさんもお仲間も浮かばれるよね。 
でも、今はこの幻を壊さなきゃ。

わたしの前にいる影朧は舞扇を持った女性。
「お名前、教えてもらえるかな」
貴女の言葉、きっと伝えるね。

影朧の女性にUC【黄龍の風】を使用してもらい、即死効果の花弁を吹き飛ばす。
風と花弁の流れで見えたコジロウさんの位置に捨て身の覚悟で駆け寄り、
陽刀の一撃を突き込む。

「○○さんが言ってたよ。『紛い物なんて、吹き飛ばしちまえ』って!」
生前、彼女がよく言っていた言葉。
苦しい時もそう言っていつも笑い飛ばしてたって。
あなたを縛る幻朧帝はわたしが吹き飛ばすから。
思い出して、みんなのことを!



●無くならないもの
「……この世界が本物だったらどんなにいいだろう。きっとソウマコジロウさんもお仲間も浮かばれるよね」

 説明を受け、転移から戦闘が始まるまでの僅かな時間。それだけでも『輝けるサクラミラージュ』が人々を大切にしている世界だと御桜・八重(桜巫女・f23090)には感じ取れた。
 誰かを悲しませる為でなく、守る為に力が使われる世界。
 守りたいという意思が正しく果たされる理想の世界。
 こんな世界が訪れ、続いていくなら。人々の安寧を願い戦ったソウマコジロウたちも報われるのだろう。

「でも、今はこの幻を壊さなきゃ」
 だとしても、これは幻朧帝イティハーサの力で創造された侵略新世界。
 ソウマコジロウにはこの世界だと完全滅殺された筈の幻朧帝の力が今も取り憑いている。
 消し去らない限り、彼等が本当に望んだ世界は訪れないのだ。

「貴女もそれを知ってるんだよね。お名前、教えてもらえるかな」
 八重の前に佇む影朧、舞扇を持った女性がこくりと頷く。
 直接に鼓膜を震わせる声ではない。けれど、その想いが伝わってくる。

「椿さん。貴女の言葉、きっと伝えるね」
「影朧の発生報告が在ったのは此処だな」

 そこに。影朧を祓い幻朧桜の転生へと導くため、ソウマコジロウが姿を現す。

「君は……少し動かずに居ろ。案ずるな、直ぐに助ける」
「ううん。助けるのはこっちの方だよ」
「なに……?」

 影朧と共に居る少女は彼の目に救出対象として映ったのだろう。
 八重の言葉には訝しむように眉を顰めたのも一瞬の事。
 精神干渉を受けていると判断したのか、影朧を祓わんとすぐさま攻撃を仕掛けてくる。

 放たれた【透明逆転剣】は八重を狙うものではない。
 しかし無数に舞い散る幻朧桜は一つ一つが即死の力を宿した強力なユーベルコードだ。
 先ず力量そのものが足りなければ動く前に全てが終わる。動けたとして、舞い散る花弁に飛び込む事は自殺行為でしかない。

「椿さん!」

 轟と荒ぶる風が応えた。
 影朧の翻す舞扇より吹き荒れた【黄龍の風】が押し寄せる花弁を吹き飛ばす。
 逆風が切り開いた一瞬の好機。
 突風は託す想いと共に八重の背を押して、桜花爛漫の陽刀が突き込まれる。

「【桜花一心】! 届け、この想い!!」
「く、っ……!」
「椿さんが言ってたよ。『紛い物なんて、吹き飛ばしちまえ』って!」
「その言葉は――」

 生前、彼女がよく言っていた言葉。
 苦しい時もそう言っていつも笑い飛ばしていた、その強さを知っている。

「あなたを縛る幻朧帝はわたしが吹き飛ばすから。だから! 思い出して、みんなのことを!」
「我は……我等が戦った、のは……!」

 随分と大雑把な言い分だと言った事があった。
 彼女は……椿は何と応えたのだったか。

 ――いいんだよ。本当に大事なものは、吹き飛びなんかせずにずっと残るんだから。

 夢が、覚める。
 イティハーサの力がソウマコジロウの意思を叶える事で存在していた世界だ。
 二つが揃わなければ作り物の世界は成立しない。

 有難う、と。
 薄れ消えていく世界が遠ざかる中、八重の心に伝わったのは英霊たちの感謝の想い。

大成功 🔵​🔵​🔵​

伊澄・響華

ここは幻想の世界。きれいな世界ね。嫌いじゃないわ。
でも、わたしは殺人鬼。
幻朧帝を討つのがお仕事。
たとえボロボロになっても、お仕事は終わらせるわ。

帝と戦った英霊たち…その声、届けてあげるわ。
「あなた、また帝に負けるの?」
第一戦線といい、今回といい。帝に使われたままでいいの?
幻の世界に生きる貴方の姿、悲しいわよ。

敵対者を否定するオーラ、Verweigerungを全力展開。
見えない幻朧桜が直接身体に触れるのを拒絶します。

「消えなさい、ジジイ」
攻撃を受け流しながら【存在抹消】を発動。
心眼で見抜いたコジロウの位置にKette des Waffeを放ち、幻朧帝の魂、存在理由のみを貫きます。
「さようなら」



●真なる完全滅殺
 ここは幻想の世界。
 結局は作り出した者にとって都合の良い箱庭に過ぎないからこそ、その性根が透けて見える。

「きれいな世界ね。嫌いじゃないわ」
 輝けるサクラミラージュ。社会の闇に向き合い、乗り越えて進まんとする世界。
 人々の平穏を願うソウマコジロウの心に偽りは無かったのだと伊澄・響華(幻惑の胡蝶・f44099)は思う。

「でも、わたしは殺人鬼。幻朧帝を討つのがお仕事」
 幻朧帝イティハーサはこの世界を隠れ蓑としてまだ生きている。
 器とされたソウマコジロウの討伐と侵略新世界の破壊。
 それが仕事を終わらせる為に必要なら為すまでだ。

「帝と戦った英霊たち……その声、届けてあげるわ」
 影朧を祓い転生させんとするソウマコジロウ、その前に割って入る。

「君は……なぜ我の前に立つ」
「あなた、また帝に負けるの?」
「何だと? 我があの帝……幻朧帝に……?」

 響華の声、英霊たちの訴えはソウマコジロウに届いている。届いて|いた《・・》。
 それを阻む者が居る。
「――……ッ!」

 突如として荒れ狂う桜吹雪。響華が咄嗟に展開した|オーラ《Verweigerung》を舞い散る幻朧桜が打ち据える。
 それは一つ一つが即死の危険性を宿す【透明逆転剣】。
 エンシェント・レヰスたちの世界さえ滅ぼしたイティハーサの力は片鱗と言えど常軌を逸している。
 まして自分だけでなく影朧たちも護るとなれば、その負荷は並大抵のものではない。

 窮地――否。これは前進だ。
 器の精神が揺さぶられたからこそ、潜んでいたイティハーサが泡を食って介入してきたのだから。

「第一戦線といい、今回といい。帝に使われたままでいいの?」
 拒絶のオーラを維持したまま呼び掛ける。
 彼も傀儡として仇敵を利する事など望む筈が無いのだ。
 猛威を振るうユーベルコードも悪足掻きに過ぎないのだと響華は知っている。

「幻の世界に生きる貴方の姿、悲しいわよ」
「ッ……我……は……!」

 想いは届く。
 それがソウマコジロウの望んだ、この世界の在り方なのだから。

『愚かな……此処は他の侵略新世界とは違う。
 汝等の望む理想とやらが存在するというのに、それを幻と拒む理由が何処にある?』
「消えなさい、ジジイ」

 漸く馬脚を現した。
 襲い掛かる桜吹雪の中を、陳腐な背後霊の如く揺らめくイティハーサ目掛けて駆け抜ける。
 共に花弁を切り開くのは英霊の影朧たち。
 射程圏。
 霞の如く消え去り煙に巻こうとしたイティハーサの姿が、軍刀で串刺しに縫い止められる。

「我は……我等は、幻朧帝を討つ……ッ!」
「あら。上出来」

 |漆黒の鎖《Kette des Waffe》が非物質へと昇華される。
 その先端の針が貫くは幻朧帝の魂、存在理由。

「さようなら」

 イティハーサを捉えた【|存在抹消《イレイザー》】はその力を十全に発揮して……
 別れの言葉は消えゆく世界と、今度こそ眠りにつく英霊たちに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

森宮・陽太
【SPD】
アドリブ連携大歓迎

確かに理想世界ではあるが
絵に描いたような理想はいらねえんだよ

この状況なら、俺は記憶を揺さぶりつつ幻朧帝の力への攻撃も狙う
「高速詠唱、言いくるめ」+指定UCでマルバス召喚し
「範囲攻撃」で敵味方問わず黄水晶の雨を降らせながら呼びかける

ソウマコジロウ
この世界は確かにお前が望んだ世界かもしれないが
一方で影朧の英霊たちは決して報われることのない世界だ
このままだと、てめぇの仲間の英霊たちは転生の輪に乗り
…てめぇのことを忘れてしまうぞ
本当にそれでいいのか?

もしソウマコジロウが幻朧帝の撃破を望めば
黄水晶の雨は幻朧帝を病を齎すはず
二槍伸長「ランスチャージ」で確実にぶち抜いてやる!



●夢が悪夢と堕つ前に
 輝けるサクラミラージュ。
 その在り方は確かに誰もが思い描く理想郷の一つだろう。
 だが。

「絵に描いたような理想はいらねえんだよ」

 森宮・陽太(未来を見据える元暗殺者・f23693)は吐き捨てる。
 とどのつまりイティハーサがソウマコジロウの意思を利用して作り出したに過ぎない箱庭だ。
 良くも悪くも彼が認識していた以上の、望み得る以上の事象は起こり得ない。
 一人に世界を背負わせる無謀でもあり、過去の組み合わせで世界を作ると宣うイティハーサの限界の一端でもあり。
 したり顔のイティハーサがこんな世界を量産する未来など、想像だけでも嫌気がさす。

「……テロル組織の残党か」
「違ぇよ。俺も御免だが、勘違いでもお前の同志たちまであんな連中と一緒にしてやるな」

 戦意は向いているが会話は成立するようだ。
 この状況なら、と陽太は改造型ダイモンデバイスの引鉄に手を掛ける。

「疫病を司りし獅子の悪魔よ、我との盟約に基づき、此の地に疫病と癒しを齎せ!」
 【|悪魔召喚《サモンデーモン》「マルバス」】――雄叫びと共に黄水晶の雨を招くは強壮なる獅子。
 ソウマコジロウの放つ【透明魂魄刀】が襲い掛かるが、雲と雨の援護を受けた英霊たちが迎え撃つ。

「ソウマコジロウ。この世界は確かにお前が望んだ世界かもしれないが……
 一方で影朧の英霊たちは決して報われることのない世界だ」

 拮抗する局面。充分だ。
 彼へと声を届かせる、その猶予を作る事に意味がある。

「報われない……だと?」
「聞いてやれよ、同志の言葉を。このままだと、てめぇの仲間の英霊たちは転生の輪に乗り
 ……てめぇのことを忘れてしまうぞ。本当にそれでいいのか?」
「良い筈のあるものか。……我は……」

 問いに返ったのは即答だった。その意思が変わっていないなら、真実に辿り着くのはそう難しい事ではない。
 飛翔する見えざる刃の動きが鈍る。
 マルバスの権能は“敵”の存在を逃がしはしない。
 ソウマコジロウから、取り込まれる形でその身に潜むイティハーサの力へとその標的が移り変わる。

『愚かな……我が器の望む全てがこの世界に在るというのに。何故それを否定する……?』
「それしか無ぇ世界に縛り付けてんじゃねぇよ。イティハーサ、てめえは確実にぶち抜いてやる!」

 伸長する二槍を携えた吶喊。
 濃紺と淡紅の双撃は、その存在を暴かれたイティハーサの残滓を貫き消し飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪華・風月
背に背負った柳緑花紅の霊力…『焼却』の力で幻朧桜の桜花を燃やし
触れないように…

ある程度ソウマコジロウさんとは距離をとり対処を…
黒塗、『ナイフ投げ』にて此方へ惹きつつ影朧さんに呼びかけて記憶を揺さぶってもらいます…
それで隙が出来たのなら更にダメ押し…刃邪剣正…
『ダッシュ』で一気に距離を詰め歪んだ心…傷つけずに幻朧帝の力を断つ!

えぇ、確かにこの世界は夢…作られた幻想でした…
ですが…完全な夢ではありません…
この先このような平和な世界を実現させるために動くことはできます…



●蕾がいつか花開くように
 幻朧桜の花弁が舞う。
 その一つ一つが【透明逆転剣】、即死の危険性を秘めたユーベルコード。
 不利に追い込まれるほど致死性を増すという性質は発揮されていない状態だが、影朧の英霊たちを纏めて呑み込むに充分な桜吹雪の物量は数字上の確率を捻じ伏せて余りあるだろう。

「柳緑花紅……!」

 迎え撃つは雪華・風月(若輩侍少女・f22820)の背負う大太刀の霊力。
 押し寄せる花弁に呑まれぬよう焼き払うと同時、影朧と別方向に駆けた風月は黒塗の短刀を放つ。

「む……っ」
「影朧さんは……ソウマコジロウさんに呼び掛けを……」

 不自然な記憶の欠落、かつて共に戦った同志たちが影朧として存在する事の違和感。
 ソウマコジロウの自我そのものは本来の彼の儘であるが故に、その呼び掛けは確かに届く。
 根底が過去を誤魔化して作った偽りの世界なればこそ、細かな粗を気付かせるには……気付いてしまうにはそれだけで事足りた。

「……この世界が、偽りだと言うなら。……我は――」
「好機……!」

 動揺が荒れ狂う桜吹雪の動きを乱す。
 か細くも確かに開けた活路、駆け抜け一心に刀を振るう。

「正義の一閃にて……悪しき心を断つ!」
『度し難い……汝、汝等はあくまで儂を否定しようというのか……』

 雪解雫による【刃邪剣正】の一撃は歪んだ心のみを攻撃する。
 取り込まれる形でソウマコジロウに取り憑いていたイティハーサの力を捉え、打ち砕いて。

 刹那、僅かに触れたソウマコジロウの心から伝わってきたのは言葉になる事の無かった悲嘆。
 輝けるサクラミラージュが消えるべき幻想に過ぎなかったという無念。

「えぇ、確かにこの世界は夢……作られた幻想でした……」
 イティハーサの力が霧散した事で存在を維持できなくなった侵略新世界も次第に消えていく。
 ソウマコジロウの夢見た理想の世界は無意味に過ぎなかったのだろうか。
 そんな事は無いのだと言葉を続ける。

「ですが……完全な夢ではありません……」
 未来は不要と告げ、生命を否定したイティハーサの企みは阻まれたのだ。
 人々の営みは続いていく。
 ソウマコジロウの本当の願いもサクラミラージュの民の知るところとなるだろう。

「この先このような平和な世界を実現させるために動くことはできます……」

 輝けるサクラミラージュの光景が、いつか現実となるように。
 夢見たものは受け継がれていくのだと。
 
 
 
 
 
―― ソウマコジロウ幻朧態、撃破 ――

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年09月26日


挿絵イラスト