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帝都櫻大戰⑩〜誰がために炎は昌盛するか

#サクラミラージュ #帝都櫻大戰 #第二戦線 #護国鉄神零號 #司馬炎 #梟門の都 #鴉鷺の都

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●我が名は
 零號。
 それは嘆きと悲しみを零にするために生み出された鋼鉄の駆体。
 戦いはいつだって悲しみを呼び込む。
 戦いに赴く者にも、戦いから遠ざけられた者にも嘆きは生まれる。
 だからこそ、エンシャント・レヰス『護国鉄神零號』は立ち上がる。その超巨大なる体躯の内に内蔵されるのは、滅びし世界『鋼鉄共栄圏』にて喪われし魂、八億。

 鋼鉄共栄圏は滅びた。
 滅びの根本たる『敵』を倒す。
 それこそが『護国鉄神零號』の役目であり、果たされたものであった。
「それがあろうことか、倒した敵によってオブリビオン化されるとは……!」
『護国鉄神零號』は己に嘆く暇すらないことを知る。
 鋼鉄の駆体に収められた八億の魂。
 それら全てがオブリビオン化してしまっているのだ。
 滅びに瀕してなお、敵を打ち倒すために八億の魂は己に封ぜられることを選んだのだ。

 そのような高潔な魂たちは、オブリビオン化によって尽くが邪悪に歪む。
「我は止める事ができない……!」
 更に彼は骸の海を航行する『世界移動能力』をも備えている。
 歪んだ魂たちが叫んでいる。
 破滅を、と。
 己たちの得た滅びを他の世界にまで波及させんと吠え猛るのだ。
 八億の魂に平穏はない。
 ただ、破滅を望む歪み。
「心ある者達よ、命ある者達よ」
『護国鉄神零號』は世界を渡る。

 彼の目の前に現れたのは、封神武侠界と呼ばれる世界であった。
 広がる自然。
 あまりにも美しい世界。
 これを己は破壊してしまう。破壊したくはないと思いながらも、内包する魂たちが破滅を求めて狂うように叫んでいるのだ。
「我を打倒し、止めてくれ……!」
「相分かった! ならば応えよう。汝の、そして汝が駆体に内包する八億の魂に報いるためには!」
 その声は威厳に満ちたものであった。
 自信に満ち溢れ、同時に己が身の丈を知り尽くしているがゆえに、己自身でもって他者を推し量る。

 その瞳は赤く燃えている。
 壮麗なる玉に彩られた黄金の屠龍刀より放たれるは、砂漠に燃え盛る太陽の如き『シバの炎』であった。
 周囲に吹き荒れる炎は消えることはない。
「なるほど。汝は恐ろしく強大であるようだ。膨大な武力。ありあまる意志。だが、どうやら全ての動作に莫大な排熱を必要とする様子。なれば!」
 その声の主を知る者もいるだろう。

「これなるお方は晋の皇帝、『司馬炎』様です」
 グリモア猟兵、ノイン・シルレル(第九の悪魔・f44454)は薄紅色の瞳は転移を維持しながら、またもやあちらに見えますのは、とバスガイドのように『司馬炎』を示し、彼の放つ炎を見て『すっごい熱いですね』と呑気であった。
「許せよ、猟兵。しかし、汝らも気がついたであろう。あの超巨大なる鋼鉄の巨人は、その全ての動作に膨大な熱を排さねばならぬようだ。となれば」
「消えざる炎……これならば!」
「なるほど。消えぬ炎『シバの炎』に包まれた状態であれば十全に動けない、と」
 ノインの言葉に『司馬炎』は頷く。
 だが、同時に笑う。
「そして、このような事態が起こり得ると予見し、我は諸国を歩き渡り、人界、仙界から選りすぐりの武侠英傑たちを軍団として編成している!」
 彼が示す先にあるのは、大地を踏み鳴らす武侠、仙人の混成軍団。
 その中には、猟兵たちが出会ったことのある双子の兄妹仙人『天峰三師』と『牽連四将』の姿もあった。

「この状態でも余は勝機を見いだせずにいる。しかし、諸君ら猟兵ならば、活路を拓いてくれるはずだと信じておる!」
『司馬炎』の言葉に炎が吹き荒れる。
 彼の屠龍刀と武侠英傑たちの放つユーベルコードの炎が戦場に吹き荒れ、『護国鉄神零號』は業火に包まれている。
 動きは鈍いってはいるが、それでもなお、その強大な力は衰えを見せない。
「……あれだけ巨大な鋼鉄……」
 ノインは、ふむ、と猟兵たちを見やる。
「凄まじい炎。ならば、鉄板焼などできそうですね」
 なんで?
 猟兵たちは思った。
 だが、ノインはこれだから、と言わんばかりにやれやれと肩を竦める。なんか腹立つ。

「鋼鉄、炎とくれば鉄板焼でしょう。お肉は分厚い鉄板で焼くと美味しいと聞きます。『後光』をぶっ飛ばした後は、八億の魂の皆さんと焼き肉をすれば、彼等の憎しみに狂った心も癒やされるはずでしょう。肉だけに。|肉《にく》の油の|染み《しみ》つって、ですね」
 うまいこと言ったと思っているのだろう。
 ノインは、緊迫した事態とはあまりにもかけ離れた渾身のギャグに一人ツボに入ったようにお腹と口を抑え、猟兵たちの転移を維持するためにがんばっているようだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『帝都櫻大戦』の戦争シナリオとなります。

 封神武侠界の人界全域に幻朧桜が咲き乱れ、エンシャント・レヰス『護国鉄神零號』が出現しました。
 超巨大な鋼鉄の巨人たる『護国鉄神零號』は圧倒的な武力を持って封神武侠界を滅ぼそうとしています。
 これに対処すべく、皇帝『司馬炎』はこれまで集めてきた英傑武侠たちを集結させ対処していますが、『護国鉄神零號』の進撃を抑えることができません。
 ですが、『護国鉄神零號』は強大な力を振るう代償として、全ての動作に膨大な排熱を必要としています。

『司馬炎』の放つ炎によって戦場は業火に包まれ、動きを鈍らせています。
 この炎を利用すれば、戦況は此方に有利に働くかもしれません。

 プレイングボーナス……戦場に燃え盛る「シバの炎」を利用する/司馬炎や英傑軍団と協力して戦う。

 それでは、幻朧櫻舞い散る帝都にて戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばりるっす!
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第1章 ボス戦 『護国鉄神零號』

POW   :    零式噴進飛翔拳
かつて喰らった「【鋼鉄共栄圏の人々】」の魂を纏い、2倍ダメージ・2回攻撃・自動反撃を有した【ロケットパンチ】を装備する。
SPD   :    八岐大蛇機関砲
【自在に射角調整が可能な蛇型四連機関砲】を最大レベル秒間連射し続け、攻撃範囲にダメージと制圧効果(脱出・侵入を困難にする)を与える。
WIZ   :    護国熱血破壊砲
装備武器から【護国英霊波導砲】を発射する。自身の【放熱装置】削減量に応じ、威力・速度・発射数が増加する。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

バルタン・ノーヴェ
お久しぶりデース、司馬炎殿! 良い炎であります!
アツアツ上々の火加減! ならばさらに薪をくべて参りマショー!
滑走靴で火の手の届かない上空から強襲デース!

護国鉄神零號殿!
我輩たちが御身と御霊八億を安らげてみせマース!
ロケットパンチが飛んで来たらアクロバットな機動で回避、あるいはファルシオンでの受け流しでこらえてみせて!
我がUCを噴きつけマース!

「六式武装展開、炎の番!」
バーニングファイアー! すなわち更なる炎の投下デース!
戦場を包む業火とはまた一味違う、粘着する炎!
つまり弱火でじっくり! という温度差を堪能してもらいマース!

しかし、見事な鋼鉄。
これは良いお好み焼きが期待できそうデスナ、ノイン殿!



 戦場はさながら地獄の釜茹での如き熱気に溢れていた。
 封神武侠界、その人界に出現した超巨大なる鋼鉄の巨人、エンシャント・レヰス『護国鉄神零號』を取り巻くのは、消えぬ炎。
『シバの炎』と呼ばれる消えぬ炎は、『護国鉄神零號』を包み込み、さらに周囲に展開する軍団……英傑、武侠、仙人の混成軍団が己の持てるユーベルコードでもって炎の勢いを減じさせはしないと炎を吹き荒れさせる。
「しかし、これでもなお勝機は見えぬ。如何にすべての動作に膨大な排熱を必要とするとは言え、あの圧倒的な巨体。八億の魂の質量はいかんともし難いか」
 晋の皇帝『司馬炎』は戦況を正しく認識していた。
 これだけの武侠仙人の英傑たちをしても覆せぬ戦場。
 ならば、あと一押し必要ナノは言うまでもない。

 そして、その最期の一押しとは。
「お久しぶりデース、『司馬炎』殿! よい炎でありますな! アツアツ上々の火加減!」
 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)であった。
 彼女は滑走靴のかかとから噴射する推力で持って、炎に包まれた戦場の空を飛ぶ。
 地上は熱に塗れ、その温められた空気が上昇気流を生み出し、荒れ狂う風となって吹く。
 その中をバルタンは飛翔し、『護国鉄神零號』へと迫るのだ。
「頼んだぞ、猟兵」
「おまかせあれデース!」
 バルタンは炎の及ばぬ上空から超巨大なる『護国鉄神零號』へと肉薄する。

「『消えぬ炎』……確かに我の駆体を動かすことを妨げているが……!」
 振るうは巨腕。
 そして、その駆体に内蔵された八億の魂が憎しみに歪みながら、その鉄拳をバルタンへと打ち出す。
 ロケットパンチ。
 それは単純明快なる一撃であった。
 巨腕の一撃は圧倒的な質量を持つ。加えて、八億の魂のオーラがまとわれることによって、さならる強大な一撃となってバルタンへと迫るのだ。

「『護国鉄神零號』殿! 我輩たちが御身と御霊八億を安らげてみせマース!」
「その前に汝の五体が砕ける! 避けるのだ!」
「御霊が荒ぶるのならば、受け止めねばやりどころがなく、また怨恨のみが膨れ上がるだけデース!」
 バルタンはファルシオンを構え、ロケットパンチの一撃を受け止める。
 避けがたき一撃。
 こらえがたき一撃。 
 骨身がきしみ、受け止めた腕がひしゃげるような強烈な痛みが襲う。
 だが、それでもバルタンの瞳はユーベルコードに輝いていた。

 己が受け止めた。
 そして、荒ぶる魂を鎮めるために必要なのは、いつだって器なのだ。
「六式武装展開、炎の番!」
 炎はあらゆるものを燃やし、灰燼に帰さしめることによって浄化する。
 破壊は再生の前触れ。
 そして、燃え尽きた後に芽吹く新緑の美しさもまた人は知る。

 故にバルタンは火炎放射器(フランメヴェアファー)内蔵されし己の駆体から火炎を放つ。
 それは『消えぬ炎』とは異なり、粘着性を持つ炎。
 張り付くように『護国鉄神零號』の体躯へと張り付く炎は、その駆体の熱を皿に上げていく。
「これは……炎が張り付く……一体何故」
「これがワタシのユーベルコードデース! 戦場を包み込む業火とはまた一味違う粘着する炎! つまり弱火でじっくり! という温度差を堪能してもらいマース!」
 炎は、さらに『護国鉄神零號』の駆体の排熱を許さない。
 軋むように動く駆体。
 明らかに動きが鈍っている。
「しかし、見事な鋼鉄。これはよいお好み焼きができそうデスナ!」
 グリモア猟兵の言葉をバルタンは思い出す。
 だが、件のグリモア猟兵はきっとこういうだろう。
『なら豚玉で』、と。
 なんら悪びれる素振りもない顔で――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

飛・曉虎
●POW

ムハハハ!
鉄板焼きとは愉快千万!!
吾輩自ら狩った獣の肉を焼いて進ぜよう…と行きたいところなのでああーるが、司馬炎殿とは兄者よりも偉い主君よりも偉い御仁であるのよな?
ムムム…ともなれば、吾輩が無礼を働けばゲンコでは済まされぬのであろうな…

ええい、止めだ止め!
焼き肉など巫山戯ず、吾輩の大力無双っぷりで護国鉄神零號を止めてみせるわ!!

シバの炎で進撃は止まろうども、上半身は稼働しているのであれば…あの拳を飛ばしたりしてくるのであろうな
何故分かるか?
吾輩も似たような技を得ておるのでな… 『渦輪粉碎鐵拳』!
拳を飛ばされる前に乾坤圏をぶつけ、互いに押し合う!
さすれば内部に膨大な熱が生じるであろう!!



 巨大な鋼鉄の駆体。
 それはエンシャント・レヰス『護国鉄神零號』を示す。
 確かに、と思う。
 確かに超巨大な鋼鉄の巨人を構成する装甲は一枚の分厚い鉄板のように思えなくもない。
 加えて、戦場は炎に包まれている。
 赤熱する装甲。
 湯気立つほどに熱せられた鋼鉄は、まさしく焼き頃と言えば、そうであった。
「ムハハハ! 鉄板焼とは愉快千万!!」
 飛・曉虎(大力無双の暴れん坊神将・f36077)は盛大に笑い飛ばす。

 この戦場の有り様を見て、鉄板焼き、即ち食欲に直結する思考を持つ者は、己と相性がよいように思えた。
 むしろ、己も率先して鉄板焼に興じてやろうではないかという考えさえあったのだ。
「吾輩自ら狩った獣の肉を焼いてしんぜよう……」
 だが、曉虎はピタと動きを止める。
 眼下に見えるは武侠、仙人の英傑軍団。
 その陣頭に立つのは、晋の皇帝『司馬炎』である。彼の放つ『消えぬ炎』が『護国鉄神零號』の動きを鈍らせているのだ。
 とは言え、この状況。
 一進一退ともいかぬ。
 ただ『護国鉄神零號』の進撃を押し留めているだけだ。

 均衡が崩れれば、容易く英傑軍団であろうと『護国鉄神零號』は蹴散らしてしまうだろう。
 いや、曉虎にとって重要なのはそこではない。
「『司馬炎』殿は皇帝。即ち、兄者よりも偉い主君よりも偉い御仁であるのよな」
「人界をすれば、そういうことになろうな。だが気にすることはない。能力あるものは、その出自、身分関係ない。我は汝の能力を評価している」
『司馬炎』の言葉に曉虎は、うむ、と頷く。
 が、しかし。
 頭をちらつくのは兄者の顔より、拳であった。
 あの固い拳で脳天をゴチンとやられるのが、何よりも恐ろしい。
 ここであのグリモア猟兵共々ふざけるとどうなるか。

「ムムム……」
 ゲンコで済まされないかもしれない。
 それ以上があるかもしれない。
 天秤にかけた。掛けるまでもなかったが、簡単に傾く。
「ええい、止めだ止め! 焼き肉など巫山戯ておるのか!」
 突然の裏切りである。
「吾輩の大力無双っぷりで『護国鉄神零號』を止めてみせるわ!」
「来るぞ。ならば、その力、大力無双たるを余に見せてくれ」
「言われるまでもなかろう! 遠からば寄って見よ! そして、刮目せよ! 吾輩のユーベルコード、渦輪粉碎鐵拳(スパイラル・マグナム)を!」
 唸りを上げるは『乾坤圏』。
 迫るは『護国鉄神零號』のロケットパンチ。
 御霊八億を乗せたオーラ、その一撃は苛烈にして激烈。
 大地を砕かんとする一撃に、曉虎は真っ向から立ち向かうように、己が拳で持って『乾坤圏』を放つ。

 正と負。
 その反発し合うエネルギーによって放たれた一撃は高速回転でもって『護国鉄神零號』のロケットパンチと真正面から激突する。
「吾輩と似たような技を放つとは猪口才な! 巨大であるからといって偉そうな顔をしておられるのも今のうちよ!」
 推し合う拳と『乾坤圏』。
 その激突は凄まじい熱を生み出す。そう、摩擦熱。
 彼女のユーベルコードは『乾坤圏』を高速回転させ、ロケットパンチの装甲を砕くまでは行かずとも、摩擦熱でもってロケットパンチの勢いを減じ、さらには『護国鉄神零號』の内部を加熱していくのだ。
「この熱、これならば……!」
「そうともよ! ムハハハ! この吾輩、知恵比べも力比べも負けぬのである――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒珠・檬果
はーい、私、参上!!
推し世界のためにも、零號さんのためにも、私は行くのです!

ではですね、七色竜珠を合成し、先制攻撃でこちらのUCをば。
炎に重ねて炎ですよ!しかも、UC封じというね。
さらに排熱困難にしますね!

そこを、皆さんと一緒に突撃して、ダメージを与えましょう。
あ、私は破魔浄化属性を攻撃に加えてます。それが、八億の魂と零號さんに届けばいいな、と思いつつ。

ええ、止めてほしいと願われたのならば。私は全力で応えますから。
それは、召喚する者たち共通の思いでもありますよ。



 推し。
 それは尊いものである。
 推し。
 それは守らねばならぬものである。
 推し事。
 それはきっと己の心を救うものであっただろう。
 故に、荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は幻朧桜が咲き誇る封神武侠界の人界へと降り立つ。
「はーい、私、参上!!」
 すたっと着地。
 気分はもうスーパーヒーロー。
 しっかりと片膝立てて着地しているところからしてプロの仕事である。あれ絶対膝を痛めるよね、と外野に言われようが言われまいが、とにもかくにも世界の窮地を救うためにやってくるのならば、このような着地にもなろうってもんである。

「推し世界のためにも、零號さんのためにも、私は行くのです!」
 眼前に迫るは超巨大なる鋼鉄の巨人。
 エンシャント・レヰス『護国鉄神零號』、その威容は凄まじいものである。
 鋼鉄の体躯に宿すは八億の魂。
 いずれもがオブリビオン化し、歪み、憎しみばかりを宿している。
 恐るべきことである。
 さらに背には、八岐大蛇機関砲。
 フレキシブルに動くさまはまるで大蛇がのたうつようであり、その機関砲の斉射は武侠、仙人という英傑たちを寄せ付けぬ。

「このままでは……!」
「敵の攻勢、苛烈なり、か。進撃は留められても攻勢に出ることができぬ」
 晋の皇帝『司馬炎』の言葉に檬果は頷く。
「ここはお任せを! 炎に重ねて炎を!」
 檬果の瞳がユーベルコードに輝き、己に焔議将『陸遜』を憑依させる。
 手にした宝珠、『白日珠』より放たれるノノは、ユーベルコードを封ずる反射向こうの浄化炎矢。
 解き放たれた矢は、鋼鉄の巨人『護国鉄神零號』の体躯へと降り注ぎ、『シバの炎』と共に『護国鉄神零號』の排熱を許さぬと燃え盛るのだ。
「なんという苛烈なる炎……! これならば我は動けぬ……!」
 あらゆる行動に膨大な排熱を必要とする『護国鉄神零號』。
 確かにその力は強大である。

 だが、ここにあるのは茅の一刺し(イリョウノカケイ)。
 消えぬ炎と共に『護国鉄神零號』の鋼鉄の駆体にまとわりつき続ける檬果は、猛烈な熱を生み出し続けるのだ。
「止めてくれ……! 我が体躯に宿りし八億の魂は、他世界の侵略など望んではいない……!」
「ええ、止めて欲しいとねがわれたのならば。私は全力で答えますから」
 檬果は見上げる。
 鋼鉄の巨人。
 その瞳に輝く光を見る。
 敵の恐ろしさは言うまでもない。
 けれど、それでも止めねばならないのだ。オブリビオン化した魂たちが嘗て望んだであろうことを。

「同時にそれは、召喚するものたち共通の思いでもありますよ」
 檬果は呟き、己が手にした『白日珠』より放たれる炎の矢を『護国鉄神零號』に降り注ぎ続け、その動きを止め続ける。
 これ以上他者を害することがないように。
 それだけのために、彼女の炎は鋼鉄に降り注ぐのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
破滅の機械神と成り果てたその器を壊し、その魂を開放する!
『我らはまつろわぬ大魔にして半人半蛇!!神を、敵を引き裂き、壊すモノだ!!!』

『夜剣化身』夜剣大蛇と己を合体させ、機械の半人半蛇と化す!
神威を喰い破る魔蛇群を召喚し、護国英霊波導砲の【砲撃】を【捕食】
神殺兵装・種別:赤手召喚装備!
【呪詛】魔蛇達をシバの炎に焚べ!更に赤手から呪詛炎を放ち!
神を呪う炎へと激化!!その装甲を焼き溶かす!!!
【早業】神殺兵装デストロイドリル追加召喚装備!構える!

廻れ廻れ!!!奴を穿ち、壊す為に!!!!

神への【|闘争心《憎悪》】を注ぎ回転!
メガスラスター【推力移動】『護国鉄神零號』へ【貫通攻撃】を穿ち抉り込む!!!



 鋼鉄共栄圏。
 それはすでに滅びた世界。
 しかし、滅びれど御霊八億は一つの器に収まり、世界を滅ぼす敵を打倒せんとする。
 覚悟。
 まさしくそれは覚悟であった。
「だが、よもやオブリビオン化されてしまうとは……! 我の駆体、その内側にありし魂すらもオブリビオン化し、歪む。そして、我はそれを止めることができぬ」
 器故にエンシャント・レヰス『護国鉄神零號』は嘆くようでもあった。

「破滅の機械神と成り果てたその器を壊し、その魂を開放する!」
 その声は戦場に響いた。
 戦場は今や消えぬ炎に包まれ、膨大な熱をもたらしている。
『護国鉄神零號』が身動きできぬのは、そのためである。
 確かに『護国鉄神零號』は強大な存在だ。
 しかし、あらゆる動作に排熱を必要とする。それ故に周囲が炎に包まれている限り、その駆体は排熱できず動けないのだ。

 それが唯一、封神武侠界にありて進撃ままならぬ要因であった。
 その超巨大なる鋼鉄の巨人を前にして、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は、まつろわぬ大魔『夜剣大蛇』と融合を果たし、その半人半蛇たる駆体をさらけ出す。
 まさしく人魔合一。
 彼女の駆体は、そのうねりを持って超巨大なる『護国鉄神零號』と相対するのだ。
「我らはまつろわぬ大魔にして半人半蛇!! 神を、敵を引き裂き、壊すモノだ!!!」
「だが、壊す前に我の護国英霊波動砲が……!」
 巨大な体躯よりせり上がるは砲口。
 その内部に湛えられた圧倒的なエネルギーの奔流が、小枝子に迫る。

 如何に半人半蛇たる姿、夜剣化身(ヤツルギノケシン)となっても身一つで八億の魂を搭載した世界そのものとも言える敵を前にしては、塵芥と同じ。
 放たれる光条の一撃を前に小枝子は無数の魔蛇を召喚する。
 食い破るようにして魔蛇たちが光条を受け止め、そのエネルギーを飲み込んでいく。
 凄まじい熱波が小枝子の頬を、肌を焼く。
 ジリジリとした痛み。
 走る痛みに小枝子は笑うでもなく、歯を食いしばるでもなく、たたひたすらにその瞳に怒りをにじませていた。
「廻れ廻れ!!! やつを穿ち、壊すために!!!!」
 そう、怒りだ。
 これは怒りでしかない。
 痛みなど己が身に感じることに意味はない。

 あの巨大な体躯の内部にて魂がオブリビオン化し、歪む魂の叫びにこそ小枝子は怒りを覚える。
 周囲の炎、『シバの炎』に魔蛇をくべる。
 さらなる熱を伴って小枝子は、その蛇たちを己が手に集約させる。
 渦を巻くようにして集まった蛇たちは消えぬ炎を纏いながら、赤手へと変容する。
 呪詛の炎が吹き荒れ、神威を乗ろう炎へと激化させていく。
「その器は檻ではない。ましては歪まされていいものではない!! ならば、それをなした敵への怒りをこそ、自分は!!」
 咆哮する。
 憎悪と闘争心が結びついた小枝子は、神殺兵装『デストロイドリル』を己が召喚した蛇と炎を巻き込みながら回転させる。
「抱くのだ! そして、この怒りこそが!! 回転を生み出し、穿つ!!」
 小枝子が放つ一撃は『護国鉄神零號』の放った光条を穿ちながら、その強靭なる装甲を貫き、巨体を傾がせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紅月・スズ
おぉー強者がたくさんアル!……これは腕がなるアルね!
え?相手はそっち(武侠英傑)じゃなくあっち?
おぉぉーでかいアル!……これは腕がなるアルね!

『風蹴爪』で空を蹴り、風に乗り空中機動、周囲に意識を集中して飛拳は回避するアルよ
もう一発?そっちも避けるアルね!あれだけ大きければ動きで生じる空気の流れも解りやすいアルよ!
そしてせっかく周囲に炎があるアル、護業天象拳、お見せするアルよー!
【炎腕】を使うアル!「炎を己の腕と成」すんだから、別に他人の炎を使っても問題無いアルよね!その分制御に気を使うあるケド!
そのまま炎を己の腕として操り相手の体を掴んで『豪炎掌』!外に逃がさず全ての熱を込めてくアルねー!



 封神武侠界、その人界に溢れるは桜。
 ただの桜ではない。
 季節から言えば、狂い咲き。されど、それは通常の桜であったのならば、の話である。今まさに咲き誇るは幻朧桜。
 花弁散れど、花が散り切ることなどない桜。
 異様なる光景はこれだけではない。

 戦場に並ぶは英傑たち。
 仙人、武侠の混成軍団。加えて、戦場には晋の皇帝『司馬炎』の放つ『シバの炎』が燃え盛っている。
 消えることのない炎。
 その炎に彩られた戦場に紅月・スズ(路上格闘僵尸娘・f32726)は立ち、感嘆の声を上げる。
「おぉー強者がたくさんアル!」
 これは腕がなる。
 彼女にとって強者との戦いは、業天象拳伝承者としての戦いでもある。
「猟兵と見受けるが、汝の敵は我らではないぞ」
「お?」
『司馬炎』の言葉にスズは首をかしげる。
「じゃあ、どっちネ?」
 黄金の屠龍刀の切っ先が示すはスズの背後。眼前に落ちた影に振り返り、見上げるは超巨大なる鋼鉄の巨人。
『護国鉄神零號』である。

 圧倒的な威容。
 世界そのものと言われる鋼鉄の巨人が軋みながら拳を振り上げている。
 動きが鈍いのは。
「かの巨人は全ての動作に膨大な排熱を必要とする。今は余たちのユーベルコードによって加熱されているがゆえに、ここにとどまっているが」
「なるほどネ! でっかいアル! 改めて言うアル……これは腕がなるアルね!」
 スズは空を蹴り、風に乗って拳振り上げる『護国鉄神零號』に迫る。
 振り抜かれた拳の一撃が大地を砕く。
「我にはこの駆体の動きを止められぬ……!」
「アイヤー、なんとも難儀なことね! その体躯に宿るは八億の御霊アルか! でも、安心することアルよ!」
 スズは振り抜かれた拳と地上に燃える炎で持って生み出された上昇気流を利用して、『護国鉄神零號』の頭上へと飛ぶ。

「油断するな、我が腕は二本ある……!」
 更に放たれる拳。
 だが、スズは見ただろう。その拳がただの一撃ではないことを。
「飛拳ネ!」
 放たれるロケットパンチ。
 その一撃をスズはなんとか躱す。だが、その一撃が生み出す衝撃波に体勢が崩れる。
『護国鉄神零號』に残された拳はもう一つある。

 今この体勢で、あのロケットパンチを叩き込まれればスズの体躯は粉微塵に吹き飛ぶだろう。
 その脅威を前にスズの瞳がユーベルコードに輝く。
「ご照覧あれアル! これぞ護業天象拳! お見せするアル! ワタシのこの腕が真っ赤に燃えて……、ん?燃えてるのを腕にしたんだっけ?えーととりあえず燃やすアル!」
 炎腕(ウデガモエテルアル)は、戦場に吹き荒れる炎を巻き取りながら巨大な腕を生み出す。
 彼女のあやつる炎の腕は『護国鉄神零號』を掴み上げる。
 あれだけの巨体であろうともスズのユーベルコードは戦場に満ちる炎を持って動きを封じるのだ。
「これぞ豪炎掌! その熱、外に逃さずに全ての熱を込めていくアルねー!」
 苛烈な炎は、『護国鉄神零號』の装甲を焼けただれさせ、さらに熱をこもらせていくのだた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
ああ、私もダークセイヴァーが故郷だしね。黒幕は倒したが、まだまだダークセイヴァーは平和は遠い。敵の無念の気持ちも良くわかる。皮肉だね、強大な力持つゆえに死して後も純粋な破壊力のみを利用されるなんてね。

炎ならアタシも得手とするところだ。司馬炎が自らでてくるほど差し迫ってるんだね。軍勢の加勢も頼もしい。共に戦おう!!

まあ、逃げ場がなくなるし、進み辛くなるが、好都合だ!!しっかり【オーラ防御】【迷彩】【心眼】【残像】【回復力】でしっかり踏ん張りながら情熱の炎!!これ、敵だけ巻き込むからね!!

アタシの情熱の炎、受けてくれ!!この炎が哀れな敵将の業を浄化してくれることを祈るよ。



 鋼鉄共栄圏。
 それはすでに滅びし世界である。
 そして、エンシャント・レヰス『護国鉄神零號』は、世界が滅びし時に喪われし八億の魂を搭載し、敵を打倒する存在である。
 決戦兵器と呼んで差し支えない。
 超巨大なる鋼鉄の巨人。
 敵を打ち倒せど、その鋼鉄の体躯はオブリビオン化してしまった。
 無論、体躯に搭載された八億の魂もろともにである。
 過去に歪む魂たちは、世界の滅びを求める。皮肉なことだ、とダークセイヴァー世界を故郷に持つ真宮・響(赫灼の炎・f00434)は思う。
「黒幕を倒しても戦いはまだ続く。平和には遠い」
 それが現実だ。

 オブリビオン・フォーミュラを打倒してもオブリビオンの脅威は残っているのだ。
 故に無念を理解する。
「強大な力持つ故に死して後も純粋な破壊力のみを利用されるなんてね」
 背面から伸びる蛇のように蠢く機関砲が猛烈な火力を持って、武侠、仙人たち英傑軍団を圧倒する。
 晋の皇帝『司馬炎』の放つ消えぬ炎と猟兵たちのユーベルコードが熱でもって動きを留めているがジリジリと後退しているのだ。
「炎が足らぬか。このままでは、圧される」
「炎ならアタシも得手とするところだ。諦めちゃあだめだ。共に戦おう!!」
 響きは一気に炎の戦場へと飛び込む。

『司馬炎』を始めとする封神武侠界の英傑たちのユーベルコードは頼もしい。
 しかし、炎の戦場は不退転の覚悟で踏み込まねばならない。
 何せ、逃げ場がない。
 どこを見ても炎。
 そして、眼前には超巨大なる『護国鉄神零號』が放つ機関砲の弾幕。
 進むも退くも地獄の業火に晒されるようなものだ。
 だが、それでも響は己の体躯をオーラで多いながら一気に踏み出す。
「踏ん張りどころは此処だよね!」
 弾丸がオーラにぶつかり、火花を散らす。
 凄まじい衝撃が響の身を打つ。

 痛みが走る。
 それでも構わない。あの鋼鉄の体躯の内側にある八億の魂にあるのは、憎悪と悲しみだ。そして嘆きが満ちている。
 死せる魂は、何れ歪み果てる。
 そういうものだ。
 それがこの世界の理。そして、咲き誇る幻朧桜は、そうした魂を癒やし、転生を促す。
 彼等にそれが適応されるかはわからない。
「けれど! アタシの情熱の炎(ジョウネツノホノオ)、受けてくれ!!」
 掲げた手より放たれるは荒ぶる情熱の炎。
 燃え続ける消えない炎は、『司馬炎』のものと同様に『護国鉄神零號』を取り囲み、その動作を鈍らせる。
 排熱を許さぬ炎。
 それでもって響は炎を渦巻かせ、願うのだ。
「この炎が哀れな敵将の業を浄化してくれることを!」
 祈る。
 今できることはそれだけなのだというように響きは、炎に祈りを込めて『護国鉄神零號』の動きを封じ続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

どこの世界でも、まるでブレない自重しない。
そこに痺れる憧れるぅ! ってそんなわけないじゃないですか。

このままだとほんとに三十六世界でやべー認定されますよ?

って、、、『ノイン』さん、なんて?

炎、鉄板、焼肉!?
まさかこんなところで師匠の同類項がいらしましたとは!

わかりました。
さぁ『セラフィム』を貸してください。

シバの炎とセラフィムで、最高の焼肉を……って、え?セラフィムない?

そして丸投げって!
ステラさん、わたし焼肉係じゃないんですか!?

甲板で焼く気まんまんだったんですけど!

しかたないです。
あのゴーレムを鉄板にしましょう。

ソナーレ、あれ潰しますよー!
鉄板にするには叩いて伸ばすんです!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!
香りがしまぁぁぁぁっす!!!
『天峰三師』様と『牽連四将』様におかれましてはご機嫌麗しゅう
初対面の気がしますがエイル様の香りにひかれてメイド参上です!
実は憂国学徒兵の香りなんじゃ?という話はスルーします

しかしノイン様
|鉄板《敵》で焼肉とか……それはいけません
ルクス様が頑張ってしまうではないですか!?
ほら!料理人の顔してるぅ!!
ま、演奏よりはいいか

では後ろは勇者に任せて
私は前に出ます
皆様支援お願いします!
【ガレオンチェンジ】からの
【テンペスタース・クリス】突撃行きます!!
血路は私が貫き開きましょう!
後はルクス様に丸投げ!
久しぶりにガレオノイドっぽいことしました!



 ぶれないということは真芯が据えられているということである。 
 戦いにおいて、結局はそこが起点となる。
 そして、そのブレぬ真芯を持つからこそ意志は魂を凌駕する。猟兵たちは何度もそのような光景を見てきただろう。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁぁっす!!!」
 ブレないことはいいことだ。
 わかっている。
 言うまでもないことである。
 けれど、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の雄叫びを前にまるで自重していないな、と思った。
 どんな世界でも、状況でも、場合でも、時を弁えない。
「そこに痺れる憧れるぅ!」
 どこぞの悪役チンピラムーブが板についてきたのではないだろうか。
 いや、勇者として、それはどうなのだろうか。
 思わないでもないッ。

「って、そんなわけないじゃないですか!」
「『天峰三師』様と『牽連四将』様におかれましてはご機嫌麗しゅう」
 そんなルクスのセルフツッコミをスルーしてステラは炎の戦場にて戦う英傑軍団の中に一際視線を奪われる双子の仙人たちを目の当たりにして、カーテシーを決める。
「初対面な気がしますが『エイル』様の香りに引かれてメイド参上いたしました!」
「ご助力感謝致します……けれど、め、メイド?」
「面妖なこと。香りが、その、何、と?」
「こ、こっちの話でーす! す、ステラさん! このままだとほんとに三十六世界全てでやべーやつ認定されますよ!?」
「構いません。むしろ、この香り、実は『憂国学徒兵』の香りなんじゃ? と思わにでもありませんが、なんだか匂いが新しい気がします!」
 こわ、とルクスは思った。
 匂いの新しい古いまで認識し始めてるのか、このメイド、と思った。

「しかし、|鉄板《敵》で焼き肉とか……それはいけません」
「炎、鉄板、焼き肉!?」
 そう、今度はルクスがやべーやつになる番である。
 やべーはターン制バトルだからな。そういうことである。
「まさかこんなところで師匠の同類がいらっしゃいましたとは!」
 風評被害がひどいので止めて欲しいです。
 肉の油の染みで憎しみつってね、みたいなのは、思いついたときはウケると思ったんです。結果は、スベった感じになったのは言うまでもない。
 だがまあ、ルクスには関係なかった。

 ルクスはもう勇者の顔から料理人の顔になっていた。
 どういうこと?
「わかりました。さぁ、『セラフィム』を貸してください。シバの炎と『セラフィム』で最高の焼き肉を……」
 ないですね。
 そこになければないですね。如何にグリモア猟兵の彼女が猟兵界の100均であろうと、在庫がなければないのである。
 そういうもんなのである。
「まあ、演奏するよりはよいですね。では、後ろお任せいたしまして、私は前にでます!」
「ステラさん、わたし、焼き肉係なんじゃないんですか!? 装甲で焼く気満々だったんですけど!」
「ないものないとおっしゃられたばかりでしょう! ガレオンチェンジからの!」
「甲板で焼き肉していいですか?」
「どうして、いいですよ、と言われると思ったんですか? 却下、却下! 却下に決まってます!」
 血路は己が開くと言わんばかりにステラは、テンペスタース・クリスの勢いで持って『護国鉄神零號』と激突する。
 吹き荒れる炎と風。
 その最中にステラは『ソナーレ』を駆り、『護国鉄神零號』へと飛び込む。

「久しぶりにガレオノイドっぽいことをしました!」
「種族メイド、みたいなところありますもんね! やべーほうのメイドという意味で!」
 ルクスは『ソナーレ』と共に『護国鉄神零號』へと飛び込む。
 迫るロケットパンチ。
 その一撃を真っ向から強烈なる一撃でもって受け止め、叩きつける。
 亀裂走る『護国鉄神零號』の拳。
 これまでの応酬で消耗しているのだ。ステラの『ソナーレ』の一撃が遂に『護国鉄神零號』の片腕の拳を砕き、その破片と共に飛空艇に変身したステラの甲板へと降り立つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィンデ・ノインテザルグ
Fireflyに搭乗し戦場へ。
規模は違えど、貴公の国も滅んだのだな。
瞬けば【心眼】を通じて拳に宿る群衆が視える。

周囲の英傑に対し回線を開き
これから飛翔してくるであろう敵機両腕について伝達を。
皆の道力で可能な限り腕を撃ち落とし、或いは消耗させてくれ。
その間に私は本体を狙おう。

UCを起動し、人機一体となりアサルトブーストを使用。
被弾を厭わず急接近し、炎によるスタンを確認。
Leviathanを頭部に向け、十字を切るように撃ち込んで目眩ましを。
その隙に翡翠色の胸部に狙いを定め
Asmodeusによる【貫通攻撃】を叩き込みたい。

案ずるな、祓いも弔いもしない。
…私は神父だ。
彷徨える魂は全て、安寧へと導こう。



 猟兵たちのユーベルコードが炎の戦場に煌めく。
 その煌きの一打によってエンシャント・レヰス『護国鉄神零號』の拳が砕けて散る。
 その内部に搭載されていた八億の御霊。
 魂の嘆きをヴィンデ・ノインテザルグ(Glühwurm・f41646)は己がキャバリアのコクピットから見た。
 瞬く瞼。
 その合間に垣間見えるは嘆き。
「規模は違えど、貴公の国も滅んだのだな」
 ヴィンデは、嘆きの魂たちがどれほどに歪み果てているのかを知る。

「そうだ。我は鋼鉄共栄圏滅びし時に敵を打倒するために生み出された存在。この鋼鉄の腕は敵を打ち倒したが……しかし、その敵によってオブリビオン化されてしまったのだ。何よりも業腹であるのは……!」
「貴公の体躯に宿る総八億の魂もオブリビオン化してしまった、ということか」
 ヴィンデの駆るキャバリアへと放たれるのは、未だ無事な腕より放たれるロケットパンチの一撃であった。
 苛烈なる一撃。
 炎によって動きを制限されてなお、その一撃は痛烈なる一打となって英傑軍団を打ち据えるだろう。
 即座にヴィンデは回線を開く。
「敵機剛腕の一打が来る。皆の道力でもって……」
「言われるまでもない!」
「これより先には一歩たりとてゆかせぬ!」
 英傑たちの声をヴィンデは聞く。
 やはり、在野にありし、武芸百般に秀でたものたちである。ヴィンデの思惑を即座に理解してくれていたのだ。

「征け、猟兵!」
「ああ、感謝する。父と子と聖霊の御名に於いて――この戦いの勝利を確約してみせよう」
 ヴィンデの座るコクピットシートの背部より連結装置がせり出し、彼の肉体とキャバリアを合一せしめる。
 それは非人道的な装置であったが、彼自身をキャバリアに、キャバリアをヴィンデに変貌せしめる力。
 システムの名は、Suicide Parade(スーサイド・パレード)。
 精神レベルまで合一した機体と肉体は、互いに影響し合う。
 即ち、機体の損壊は肉体の損壊。
 故に非人道的な装置なのだ。
 しかし、合一せしめた機体は人の領域を越える。人の意識が、機械を底上げし、機械が人の意識を引き上げる。

 そうして戦場を駆け抜ける機体は、消えぬ炎の熱をヴィンでに伝えるだろう。
 アサルトブーストによる強化。
 それによって英傑たちのユーベルコードによって勢いを削がれたロケットパンチの手の甲を蹴って飛ぶ。
 手にしたビームダガーが装甲を切り裂き、さらに斬撃が飛ぶ。
『護国鉄神零號』の頭部、そのアイセンサーへと放つ斬撃は目くらましにしかならないだろう。
 けれど、ヴィンデは頭部ではなく胸部へと飛ぶ。
 翡翠に発光する機関。
 そこに八億の魂が集約されているのかもしれない。だからこそ、手にしたパイルバンカーの一撃を叩き込むのだ。

「案ずるな、祓いも弔いもしない」
 振りかぶった鉄杭の一撃が叩き込まれる。
 ひしゃげる格子。
「……私は神父だ。彷徨える魂は全て、安寧へと導こう」
 それこそが己にできることだというように鉄杭の一撃は『護国鉄神零號』の胸部を穿ち、膨大な熱量に寄る熱波を吹き荒れさせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
(―――貴様と違い、己が世界の仇も討てず、逃げ延びた民も満足に護れなかった不甲斐無き守護竜だが……貴様達を看取る役目、我らに任せてもらおう)

……っ、今のは、ドラグレクス…?
くっ、アルカ・スィエラ、『アルカレクス・ドラグソリス』……出るッ!

下手に大型機同士の打ち合いになれば周囲に影響が出る……だったら!相手の攻撃に対してまず『Rスケイル』を展開しエネルギー偏向効果で軽減、更に『Eフィールド』での防壁を使う!
そして…【陽皇剣エクス・ドラグキャリバー】!!
竜の紅炎と超重力で相手の動きを阻害し、味方への回復効果で支援を!
さらにこっちからも『ドラグカプト』Ⅰ~Ⅳ番までを全基展開!
全力での砲撃を叩き込む!



 声が聞こえる。
 それは悔恨の声であっただろう。
 総八億の魂が荒ぶっている。怨嗟とも取れたであろう。滅びることは必定なれど、滅ぼされるのと滅びるのとでは意味が違う。
 滅ぼす者がいる。
 憎しみの対象がいる。
 だが、エンシャント・レヰス『護国鉄神零號』の体躯に収められた八億の魂は歪み果てた。
 憎しみの理由も。
 悲しみの理由も。
 何もかも敵によって歪めさせられ、憎むべき相手さえ忘れてしまう。

 その胸部の格子が砕け、噴出する魂の怨嗟をアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は聴いただろう。
 そして、もう一つの声を聞く。
(「――貴様と違い、己の世界の仇も討てず、逃げ延びた民も満足に護れなかった不甲斐なき守護竜だが……貴様たちを看取る役目、我らにまかせてもらおう」)
「……っ、今のは『ドラグレクス』……?」
 頭に響く声にアルカは困惑する。
 このようなことは初めてであったのかもしれない。
 けれど、事態は逼迫している。

『護国鉄神零號』を取り巻く戦場。
 炎に包まれた戦場は超巨大なる鋼鉄の巨人の歩みを留めさせている。
 加えて、猟兵たちのユーベルコードによって鋼鉄の腕、その一腕の一つは砕かれ、更には胸部の格子に覆われた翡翠の輝きを宿す部位もまたひしゃげている。
 畳み掛けるのならば今しかない。
 故にアルカは融合合身果した『アルカレクス・ドラグソリス』で『護国鉄神零號』へと飛び込む。
「下手に大型機同士の打ち合いになれば周囲に影響が出る……だったら!!」
 放たれる砲撃。
 波動砲の一撃を展開された結晶ユニットで受け止める。
 エネルギー偏向効果によって波動砲の一射はそらされるが、しかし防壁を張ってなお、機体を傾がせるほどの熱量を持っているのだ。

「これが炎によって排熱が十分にできな機体の一撃なの……?!」
「我が体躯に収められし八億の魂が叫んでいる……! これが、オブリビオン化した彼等の叫び……!」
「なら! ドラグキャリバー、あなたがただ敵を斬るだけの剣でなく、絶望と闇夜を断つ剣である事を……今、此処に示せ!!」
 突き立てられるは、陽皇剣エクス・ドラグキャリバー(エクス・ドラグキャリバー)。
 地面に突き立てた剣。
 吹き荒れるは竜の紅炎。
『護国鉄神零號』の体躯にまとわりつく竜の紅炎は、さらに排熱をさせぬと多くのダクトを塞ぎ、さらなる行動を阻害してみせる。

 加えて、戦場に吹き荒れる炎は、英傑軍団の傷を癒やすように広がっていくのだ。
「傷が癒えていく……これがあの機神の力か!」
「そう、炎と重力、この二つで動きを止めて、仲間を癒やす……だけじゃあない!『ドラグカプト』!」
 五騎の『ドラグカプト』が中を舞い、砲撃を『護国鉄神零號』へと叩き込む。
 吹き荒れる炎は、悔恨を慰撫するかのように竜の形となって『護国鉄神零號』を取り囲み、さらなる籠もる熱でもって、その破壊への歩みを留めさせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

まーなっちゃったものはしょうがないよ
ボクらに出来ることは送り返してあげることだけさ
盛大に!

●ファイアパンチ!
そう燃え盛る炎を纏ってパンチでドーーンッ!って行きたかったけど熱い!
まずは飛んでくるロケパンに大怪獣大対決もさながらに鉄神くんにも負けないサイズの[超重浮遊鉄球]くんたちを炎を纏わせながらガッツンガッツンぶつけてくよ!
そしてボク自身もUC『暴風の化身』で灼熱の嵐となって炎をさらに燃え上がらせながらドーーンッ!!
熱を逃がさず閉じ込め鉄溶かす高炉状態を作り出す勢いで(知的!)

さあ8億+1の魂たち!
キミっちの本当の願いをかなえてあげる!
後はボクらに任せて行くといい



 吹き荒れる炎が竜のようにうねり、エンシャント・レヰス『護国鉄神零號』の体躯にまとわりつく。
 消えぬ炎。
 英傑軍団のユーベルコードの煌き。
 そして、猟兵たちが紡いできた高いの軌跡が今、結実しようとしている。
『護国鉄神零號』の体躯に収められしは、八億の魂。
 鋼鉄共栄圏にてありし嘗ての魂は、オブリビオン化によって歪む。
 世界の破滅を望む魂の咆哮は傷つけられてもなお、その力を発揮し、鋼鉄の駆体たる『護国鉄神零號』を突き動かすのだ。
「まーなっちゃったものはしかたないよ。ボク等に出来ることは送り返してあげることだけさ。それも盛大にね!」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は巨大なる敵を見やる。

 超巨大なる鋼鉄の巨人。
 その威容に人は恐れを抱くだろうが、神性であるロニには、そうした感情はない。
「わー、でっかーい」
 それくらいのものだ。
 振るわれるロケットパンチの一撃にですらロニはたじろぐことはなかった。
「燃え盛る炎を送り火にしてパンチして送り返して上げたかったけど、あっつい! なにこれ熱い! 残暑厳しいってレベルじゃないくらいに暑いよ!?」
 ロニは周囲の炎を見やる。
 それに『司馬炎』が応える。
「致し方無しと思ってくれ。かの巨人の武力は凄まじい。が、すべての動作に排熱を必要とする。ならば」
「わかってるってばー! でも、あーもー、暑いけど球体くんたち、がんばってね!」
 迫るロケットパンチに無数の球体たちをぶつけ、勢いを減ずる。
 しかし、それでも衝撃波凄まじい。

 炸裂したロケットパンチは直撃こそしなかったが、凄まじ衝撃波を生み出し、大地を砕く。
 その衝撃によって炎が散って、『護国鉄神零號』は、その巨体をもって更に進撃しようとするのだ。
「おっと、そのまま進ませるわけにはいかないのさ!」
 ロニの瞳がユーベルコードに輝く。
「ビューっと吹いてバーッと過ぎ去るものってなーんだ?」
 答えは、とロニが笑う。
「暴風の化身(ゴッドウィンド)――そう、ボクさ!」
 周囲の炎を巻き取りながらロニは、神砂嵐から灼熱の嵐となって燃え上がる炎と共に『護国鉄神零號』を取り囲む。

「熱を逃さない、つまりは、溶鉱炉みたいなものだよね! ボクってば知的だと思わない?」
 ロニが変じた嵐は『司馬炎』の炎を巻き取りながら一気に熱を上昇させていく。
 十全の状態であったのならば、堪えられたかもしれない。
 が、すでに猟兵たちのユーベルコードが『護国鉄神零號』に損傷を追わせている。排熱すれど、その損傷から入り込んだ熱が、内部をさらに焼き熱を上げていくのだ。
「さあ、八億足す一の魂たち! きみっちの本当の願いを叶えてあげる!」
 後は自分たちに任せるといい。
 そういうようにロニは、炎、その灼熱の嵐と化した身でもって『護国鉄神零號』を取り囲み、さらなる熱で追い込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風

ふふ、司馬炎殿も、あの双子も…お久しぶりですねー。
この世界、私の母の出身地ですし…守るには充分。

UC使用。ではですねー、『シバの炎』ごと結界術で囲ってしまいましょう。
あの炎は消えないんで、こうしても大丈夫ですしー。
そして、そこへ…漆黒風を貫通攻撃つきで投擲。穿っていきましょう。
その機関砲での狙いは、排熱妨害で上手く作用させずに。

私は悪霊で呪う者ですがー。零號殿とその中にいる魂へのたちは、直接呪う気が起きませんよ。
だってねぇ、やりたくないって、聞こえてるんですから。



 炎が嵐となってエンシャント・レヰス『護国鉄神零號』を取り囲む。
 膨大な熱が周囲に吹き荒れ、その超巨大なる体躯は動きを止めた。とは言え、しかしまだあの一つの世界とも言える鋼鉄の巨人は、体躯に宿した八億の魂の叫びによって突き動かされんとしていたのだ。
「護る理由は十分……」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は、炎のまかれながらも突き進もうとする巨人『護国鉄神零號』を見やる。

 一柱『疾き者』の母親の出身地が封神武侠界。
 なればこそ、と駆けつけたのだ。
 その瞳に映るのは、人界を守らんとする英傑たち。
 晋の皇帝『司馬炎』をはじめ、猟兵としての戦いで見知った顔もある。
 久方ぶりだと、旧交を温める時間はあまりない。
 だからこそ、『疾き者』は『護国鉄神零號』の背より蛇のように自在に動き回る機関砲の弾幕を躱しながら疾駆する。
「なんという弾幕なのでしょうねー」
 凄まじいというほかない。
 駆体の損壊があってなお、この動き。
 加えて、シバの炎という消えぬ炎による排熱を停滞させているのに『護国鉄神零號』は圧倒的な力でもって迫る。

 魂の総量が違う。
 それが決定的だった。
 如何に封神武侠界の英傑たちの能力が高かろうとも、八億の魂を搭載した『護国鉄神零號』は世界を滅ぼすに容易い存在だったのだ。
「……ここは悪霊のあるところ」
 四つの魂を束ねても対抗することはできない。
 だが、此処には人の叡智が結集している。
 力もまた同様である。
 戦場に盛る炎、シバの炎を巻き上げながら『疾き者』はユーベルコードに煌めく瞳でもって『護国鉄神零號』を見上げる。
 迫る機関砲の弾幕を躱せるのは、熱による排熱が追いついていないからだろう。

「まるで呪う気が起きませんねー」
 怨嗟と怨恨。
 それが『護国鉄神零號』に搭載された八億の魂たちの上げる声であった。
 歪み果てた魂。
 彼等は、本来そうではないのだろう。
 オブリビオン化によって歪んだからこその怨恨、怨嗟。
「やりたくないと私には聞こえるのですよー。ならば、そんな者たちを更に呪いで歪めることなど、誰ができましょうや」
『疾き者』は巻き上げた炎でもって『護国鉄神零號』をさらに追い込んでいく。
 手にした棒手裏剣が装甲を穿つ。
 吹き荒れるようにして噴出する熱波。
 けれど、その熱波に負けずに『疾き者』は『護国鉄神零號』の装甲を穿ち続ける。

 たとえ、彼等の魂が救われることないのだとしても。
 それでも、その魂が望まぬ所業を成してしまうことを阻むことはできる。そのためにも『疾き者』は一歩も退けぬと、己の持てる力を持って『護国鉄神零號』の装甲に楔のように攻撃を叩き込み続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

淳・周
…こんなの作れる世界があったのか?
見るからにつよそうだがこれだけの支援が、期待があるなら応えねえとな!
八億の魂だろうが止めてやろう!

UC起動し紅炎の装甲纏って挑む!
消えぬシバの炎に紛れ接近しぶん殴る!
自動防御は厄介だがそこは炎纏わせた連撃を叩き込んで更に熱を加えてやるか。
反撃は直撃コースのものは見切って回避、多少の傷は覚悟の上で少しでも攻撃叩き込むことを優先。
排熱がまともに機能しない状況で発熱し続ければいずれは装甲自体が溶ける熱量になるだろう。
壊れたロケットパンチじゃ自動反撃もままならない、そこを狙って本命…全力を胴体にぶち込んでやるぞ!
アタシの魂の拳も中々のモンだろう?

※アドリブ絡み等お任せ



 それは強大に過ぎるものであった。
 鋼鉄の巨人。
 超巨大と形容するのが正しいほどの存在。
 エンシャント・レヰス『護国鉄神零號』は、まさしく一つの世界とも言える存在であった。
 まるで魂の揺りかご。
 されど、その目的は敵を打倒するもの。
 御霊、火の玉と為す。
 本来であれば滅びし世界、鋼鉄共栄圏が為すべきは世界の敵を打倒すべきこと。
 その目的は『護国鉄神零號』が語るところによれば、成し得たのだろう。八億の魂が喪われてもなお、果したのだ。

 だが、皮肉である。
 倒した敵によってオブリビオン化されてしまった魂と『護国鉄神零號』は、今、敵と同じ所業に手を染めんとしていたのだ。
「……八億の魂だろうが止めてやろう!」
 淳・周(赤き暴風・f44008)は、真紅の炎を巻き上げながら、その瞳にユーベルコードの輝きを湛える。
 そう、正義のヒーローは嘆きに沈む魂に答えなければならない。
 悪を滅する炎。
 それが彼女なのだ。
「派手に燃えて行くぜぇっ!」

 紅炎装纏(オーバーヒート)。
 それは周囲の炎を巻き上げ、己が体躯へと纏うユーベルコード。
 晋の皇帝『司馬炎』の放つ消えぬ炎、シバの炎を纏う周は、一気に飛び込む。
『護国鉄神零號』はすでに片腕を失っているが、しかし、あのロケットパンチの一打を受ければ、周と言えど危うい。
 いや、まともに受ければ五体が砕けることは言うまでもないだろう。
 故に、周は踏み込む。
 敵を打倒するために前に進むのは必定。
 故に彼女は己が炎をまとわせた拳の連打によって『護国鉄神零號』を取りまく炎の熱をさらに上げ、排熱を滞らせるのだ。

「我の動きが鈍っている……此処まで連綿と紡がれた戦いが、この鋼鉄の駆体をここまで……!」
「その装甲も、これまでの炎によって溶解しかけているな!」
 周は見やる。
 猟兵たちのユーベルコードによって穿たれた傷跡、そして巻き上げられた炎。
 これによって『護国鉄神零號』の装甲は赤熱し、溶け出しているのだ。
「だが……我の駆体は、我に搭載された八億の魂は……!」
 振りかぶられ、放たれる鋼鉄の拳。
 赤熱する拳の一撃が周囲の空気を熱波に変えて衝撃波と共に周へと迫る。

 この状況でさらなる一撃を叩き込んでくる敵の強大さに周はおののくのではなく、不敵に笑む。
 そう、彼女は正義の味方。
 救わねばならぬ者を討たねばならぬというのならば、せめて笑顔で何も後顧の憂いはないのだと示さねばならない。
「これが、アタシの拳だッ!!」
 交錯する拳と拳。
 周の拳は炎と共に『護国鉄神零號』のひしゃげた胸部、その格子に覆われた翡翠の如き輝きを放つ部位へと叩き込まれる。
 鉄杭の一撃を受けて亀裂走るそこへ叩き込まれた炎の拳は、巨大なる体躯を吹き飛ばす。
「アタシの魂の拳も中々のモンだろう?」 
 拳が痛む。
 それでも、周は笑顔を浮かべる。
 いつだって、誰かの笑顔が救われぬ誰かの悔恨に塗れた魂を拭うのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファルコ・アロー
けっ、バカでけー機体に8億の英霊ですか。
ご大層なこってすけど、操られてちゃ世話ねーですね。
てめーもロボット、つまりボクの兄弟みたいなもんでしょう。
ちっと気合い入れて我慢してやがれです、お望み通り止めてやるですから!

どうやらアイツを止めるには熱が重要みたいですね。
だったらまずは近付くです。
バリアを纏えばあの炎に巻き込まれてもそう問題はねーでしょう。
ロケットパンチは痛そうですけど、クリーンヒットを避ければ何とかです。
そのまま突っ込んで地面を引き摺り回してやるですよ!
その摩擦熱で敵を熱しつつ、どっかの岩にでもぶつけてやるです!
一発で楽にしてやれなくて悪ぃですけど……したくねー事はさせねーですからね!



 傾ぐ巨体。
 胸部を打ち付けられた鋼鉄の巨人、エンシャント・レヰス『護国鉄神零號』は、その体躯をよろめかせた。
 赤熱する装甲は焼けただれるようであり、また同時に猟兵と英傑たちのユーベルコードによって穿たれた亀裂は、さらにひび割れを大きくしていく。
 限界が近づいている。
 それを予見させる光景にファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は、飛翔し飛び込む。
 あれだけの巨体に八億の英霊の魂。
 大層なことだと思う。
 けれど、オブリビオン化し、いいように使われているのならば世話がない。
 そう思った。
 鋼鉄の巨人は望まぬ戦いを強いられている。

 八億の魂たちもそうだ。
 オブリビオン化によって歪み果て、本来の望みとはかけ離れた所業に手を染めようとしている。
 それは尊厳に蹂躙にほかならなかった。
 それがどうしてもファルコには我慢しがたいことだったのだ。
「てめーもロボット、つまりボクの兄弟みてーなもんでしょう」
「我と、同じ……だと?」
「そうです! なら、ちっと気合い入れて我慢しやがれです、お望み通り止めてやるですから!」
 ファルコは赤熱する『護国鉄神零號』へと飛び込む。
 周囲に巻き起こる炎は、シバの炎。
 消えぬ炎によって『護国鉄神零號』は動きを止められている。全ての挙動に膨大な排熱を要するがゆえに、周囲を熱で取り囲むことで動きを阻害しているのだ。
 だが、それでもなお『護国鉄神零號』の放つロケットパンチは脅威であった。

 隻腕となってもまだ、その拳は片方が残っている。
 放たれる一撃。
 強烈な熱波と共に放たれた赤熱する拳は、ファルコを掠める。
 肌を焼く熱波。
 痛みがジリジリとこみ上げてくる。
 直撃は避けたはずだ。それでも、ファルコは歯を食いしばった。負けてはいられない。あの鋼鉄の兄弟を、オブリビオン化という呪縛から解き放つために己は飛ぶのだ。
 そのために今、己は此処にいる!

「シールド全開……最大戦速ぅ!!」
 ユーベルコードに煌めく瞳。
 バリアを纏い、炎を巻き取りながらファルコは『護国鉄神零號』の巨体に体当たりした。
 胸部の格子はひしゃげていたし、亀裂も走っている。
 量へたちのユーベルコードによって、その胸部は破壊されようとしていたのだ。そこにファルコの突撃である。
 最期の一押しとなって胸部が砕け、『護国鉄神零號』の体躯が傾ぎ、大地へと叩きつけられる。
 倒れる巨体。
 地鳴りが響き渡るが、しかしファルコは止まらなかった。
「だが、我は……!」
「でしょーね! 一撃で楽にしてやれねーのは悪いですが……でも!」
 ファルコの瞳が輝く。
 自分にできることは多くはない。
 空を飛ぶレプリカント。
 己を示す言葉はそれだけ。

 そして今、己が出来るのは愚直なる突進のみ。
「……したくねーことはさせねーですからね!」
 彼女は押し倒した『護国鉄神零號』の巨体を大地に叩きつけるままに押し出す。
 地面との摩擦、戦場の炎。
 それらによって極限まで熱せられた装甲が砕け、ひしゃげていく。
 容易く曲がる装甲は、超巨大なる体躯をバラバラに砕き、その四肢が封神武侠界、その人界の荒野に飛び散っていく。

 ファルコは見下ろす。
 明滅する『護国鉄神零號』のアイセンサーを。
「……我は、感謝する。そして、八億の魂たちもまた、同じだ……! 心ある者よ、命ある者よ……これで、八億の魂に平穏を……与えてくれ、て……」
 その言葉をファルコは聞くことしかできなかった。
 哀れとは思わない。
 生きて、生きて、生きた結果、目的を彼等は果したのだ。
 その後にこのように操られたことは悲運というしかない。
 けれど。
「言ったでしょーが、ボクらが止めるって! させねーですって!」
 だから、とファルコは立ち上がり、頷く。
 己が為すべきことは、果したのだと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年09月20日


挿絵イラスト