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帝都櫻大戰⑪〜弥猛心のひと筋に

#サクラミラージュ #帝都櫻大戰 #第二戦線 #護国鉄神零號 #5thKING『勇者リリリリ』

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#5thKING『勇者リリリリ』


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●身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
 グリモアベースを来訪した猟兵達に、神楽火・綺里枝(メイデン・オブ・シグナム・f01297)は微笑んで頭を下げてみせた。
「お待ちしておりました。サクラミラージュより異世界に送りこまれし|超古代種族《エンシェント・レヰス》を迎え撃つために、皆様のお力をお借りしたいのです」
 向かう先はデビルキングワールドの黄金大迷宮、敵は八億の魂を宿せし超巨大鉄神『護国鉄神零號』である。
「敵の攻撃は苛烈にして必殺、防御は堅牢にして不壊にございます。従って、小技や搦め手の類は高火力と重装甲で押し切られるだけの下策となりましょう」
 乾坤一擲、肉を切らせて骨を断つ。我が身を顧みない全力を賭した一撃こそが、護国鉄神に痛打を与えうる手段となるだろう。
「とはいえ、皆様の身命が脅かされるのも避けたいところ。そこで、心強い味方の登場となります」
 山本五郎左衛門とキャンピーくんの手引きでかの地に降り立ったのは、『勇者リリリリ』であった。

●勇者の盾と猟兵の牙
 リリリリは猟兵達に先んじて護国鉄神零號と会敵、交戦を始めていた。
「戦況は一進一退……というよりも双方決め手を欠くと言ったほうが適切でございましょうか」
 どちらの攻撃も相手を打ち倒すには至らず、戦いは膠着状態に陥っている。しかし、ここに勝機がある。リリリリの盾のオーラは護国鉄神零號の攻撃を悉く弾き食い止めるが、彼女はそれを「他人に貸し与える」ユーベルコードを持っているのだ。
「つまり、今回の作戦はリリリリ様の助力を得て敵の攻撃を防ぎつつ、渾身の一撃を護国鉄神零號に加えていくというものになっております」
 リリリリのユーベルコードの効果をどのタイミングで受けるか――自分が攻撃した後の隙を突かれぬために、あるいは護国鉄神零號の攻撃をいなして反撃するきっかけを作るために――や、肝心要の猟兵自身の攻撃手段をどうするか。シンプル故に工夫を凝らす必要があるだろう。
「リリリリ様が戦闘に巻きこまれて倒されてしまうといった心配は今のところございません。何しろとても頑丈なお方ですから」
 小さく肩を竦めた後、綺里枝はグリモアを取り出した。
「それでは、準備のよろしい方からお送りいたします。皆様の猛き心と剛き力、存分に発揮くださいませ」


中村一梟
 猟兵の皆様ごきげんよう、中村一梟でございます。
 サクラミラージュの戦争シナリオ、異世界へと侵攻したボスとの決戦をお届けいたします。

●フラグメント
 戦争シナリオのため「ボス戦」のフラグメント1つのみのシナリオとなっています。

●ボーナス条件
 本シナリオでは下記の条件を満たすプレイングに対してボーナスが与えられます。
 1:隙や反動を顧みず、全力の攻撃を叩きこむ。
 2:勇者リリリリに守ってもらいながら戦う。

 それでは、今回も皆様と良い物語を作れることを楽しみにしております。
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第1章 ボス戦 『護国鉄神零號』

POW   :    零式噴進飛翔拳
かつて喰らった「【鋼鉄共栄圏の人々】」の魂を纏い、2倍ダメージ・2回攻撃・自動反撃を有した【ロケットパンチ】を装備する。
SPD   :    八岐大蛇機関砲
【自在に射角調整が可能な蛇型四連機関砲】を最大レベル秒間連射し続け、攻撃範囲にダメージと制圧効果(脱出・侵入を困難にする)を与える。
WIZ   :    護国熱血破壊砲
装備武器から【護国英霊波導砲】を発射する。自身の【放熱装置】削減量に応じ、威力・速度・発射数が増加する。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

深山・樹
僕は戦う
強くなりたいって願うから
勇者リリリリさんの力を借りたら
まだ弱い僕でもきっとしっかり戦える
だから来たんだ

「こんにちは」
礼儀もちゃんと銀誓館で習ったし
強い憧れの人にきちんと挨拶する

「僕の一番強い技は出したら動けなくなっちゃう、から」
でも力を貰ったら大丈夫って思って、って
一生懸命話します
「お願いできますか」

OK貰ったら頭を下げてから走ります
銀誓館の能力者でもあるからイグニッションもして
少しでも当たらないように避けて
守って貰うだけじゃなくて自分で!

力貰ったら全力で暗黒処刑弾!
今の僕の最大攻撃!

放ったら動けなくなったけど…リリリリさんがすぐ助けてくれて
ちょっと恥ずかしいけど、ちゃんとお礼言います



 勇者と鉄神が対峙する戦場に、深山・樹(処刑人・f37164)は到着した。
「こんにちは」
 学園で学んだ通り、礼儀は大切に。挨拶する樹に向かって、リリリリは笑みを浮かべてみせる。
「こんにちわ~。もしかして、かわりに攻撃してくれる人~?」
 問いかけに、樹はこくりと頷いた。
「僕の一番強い技は出したら動けなくなっちゃう、から」
 リリリリの力を借りて、攻撃の後の守りを任せたい。丁寧な語調に秘められた懸命さが伝わり、勇者はにこりと笑みを大きくする。
「おっけ~。わたしたちで一発やってやろう~」
 一礼して、樹は駆け出した。一枚のカードを取り出し、唱える。
「|起動《イグニッション》!」
 次の瞬間、樹の手の内に一振りの刀が現れた。いかなる苦境においても共に在るとの想いがこめられたそれを手に、樹はさらに加速する。
 肉薄する孤影に向けて、護国鉄神零號の肩部に装備された蛇型機関砲がその顎――砲口を向ける。四つの頭がかっと瞳を輝かせるや、無数の砲弾が降り注いだ。
「レンタル~スタート~っ!!」
 リリリリの声が響く。勇者の盾そのままの形をしたオーラ光が現れて、八岐大蛇機関砲の掃射を遮った。弾幕の中にぽっかりと空白地帯が生まれる。左手で刀を地面に突き立てて支えとし、樹は右手をまっすぐに伸ばし構える。
「今の僕の最大攻撃――必殺の一撃だ! いけっ!!」
 叫ぶ。掌中に闇が集い、集束し、一発の徹甲弾となって射ち放たれた。
 音さえも置き去りにして、ユーベルコード『暗黒処刑弾』は一直線に飛翔。護国鉄神零號の胴部に着弾し、その内に秘めた暗黒を炸裂させた。
 鉄神の巨影が揺らぐ。同時に、樹の両脚から力が抜け、彼はその場に膝を着いた。
「お願いできますか」
 小さく呟く。
「お安いご用ですとも~」
 盾を掲げて砲弾の雨を突っ切ってきたリリリリが少年の体を横ざまに掻っ攫い、八岐大蛇機関砲の射程外へと連れ去った。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルテミシア・アガメムノン
リリリリさんはお久し振りです!
運動会以来ですけれどお元気だったみたいですわね。なによりです。
さて、護国鉄神零號さん。貴方が本意ではないのは存じています。
魔界に害が及ぶ前にぶっ飛ばしてあげますから安心なさい!!

ということでリリリリに防御は完全にお任せしますと伝えて自身は攻撃に全集中です。『魔王の肉体』に宿った無限の魔力を極限を超えて高めに高めて――【虚無への追放】を発動!!
護国鉄神零號さんの周囲の空間ごと『無』へと還してあげましょう!



 勇者リリリリは再び護国鉄神零號へと向き直った。と、そこに投げかけられる声。
「リリリリさん、お久し振りです!」
 その声の主はアルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)であった。
「運動会以来ですけれどお元気だったみたいですわね。なによりです」
「うん、まだまだいけるよ~」
「では、防御は完全にお任せしますわ」
「おっけ~」
 す、と一歩進み出て、アルテミシアは己の身に満ちる魔力を掌に集中させていく。その唸りを感知した護国鉄神零號もまた、その躯体に封じられた力を解放する。
 鋼鉄共栄圏八億の魂。オブリビオンと化したそれは、アルテミシアの魔力に呼応して鉄神の右腕へと膨大なエネルギーを注ぎ始めた。
「護国鉄神零號さん。貴方が本意ではないのは存じています。魔界に害が及ぶ前にぶっ飛ばしてあげますから安心なさい!!」
「本当に、倒す事ができるのか……? ならば我は汝に願おう、八億の魂に平穏を……」
 アルテミシアはひとつ頷いて、全ての魔力を解き放った。
「無限の彼方へと消えなさい」
「零式噴進飛翔拳……!」
 閃光と鉄拳が激突した。衝撃が天地を揺るがす。
「やはり――駄目か――」
 護国鉄神の呻き。万物を消滅させうるはずのアルテミシアの『虚無への追放(カオス・カズム)』はしかし、彼の右腕ひとつさえも消し去ることができずにいる。
「汝の力がいかに強大であっても、大海すべてを干すことなど――」
「――お黙りなさい!!!」
 嘆きの声を、アルテミシアの一喝がかき消した。
「わたくしは!! デビルキングですわ!!」
 光が弾ける。黄金迷宮よりもなお眩い金色が一帯を染める。それが去った時、護国鉄神の右腕は消え失せていた。
 おお、と鉄神の低い感嘆。魔力の枯渇した体を叱咤して、アルテミシアは傲然と胸を張る。
「どうです――」
 口を開きかけたアルテミシアに向かって、消滅したはずの右腕が再び出現し襲いかかった。零式噴進飛翔拳の二回目の攻撃。先の攻防で魔力を使い果たしたアルテミシアには打つ手がない。
「おおっとぉ~」
 風のように現れたリリリリが、その一撃を盾で受け止めた。すさまじい音がして、勇者が吹き飛ばされる。
「やっぱりすごくいた〜い。でも、ぎりぎりセーフだったかな~」
 立ち上がったリリリリと振り返ったアルテミシアは、笑みを交わし合った。

成功 🔵​🔵​🔴​

朱鷺透・小枝子
リリリリ殿!ご助力お願い致します!!

盾のオーラを付与して頂き【オーラ防御】
【継戦能力】『護国鉄神零號』が蛇型四連機関砲の弾幕を耐えながら、
『亜空間アタック』発動、同時使用ユーベルコードに『戦塵剣』を選択!!
その場から移動せず、騎兵刀をおおきく振りかぶり、
振り下ろしながら刀身の届く距離と、刃の大きさを拡大!!
質量増加・威力増強に、戦塵剣の【呪詛】を載せ【重量攻撃】を放つ!!

斬って、壊せ!!るぅうううああああああああ!!!!!!

【念動力】念動の【怪力】も込めて素早く振り下ろし!
『護国鉄神零號』の神威たる装甲を無効化!!更なる威力増強を載せ、
大質量の大刃で『護国鉄神零號』を【切断】する!!!



「リリリリ殿! ご助力お願い致します!!」
 弾丸のように駆け進んでいく朱鷺透・小枝子(|亡国の戦塵《ジカクナキアクリョウ》・f29924)の背に向けて、リリリリは手を掲げた。
「レンタル~スタート~!」
 顕現した光の盾が、迎撃の弾幕を弾き返す。砲弾と防御壁とが散らす火花で視界が埋め尽くされる。小枝子は疾走を停止、その場で剣を抜き放ち、大上段に構えてユーベルコードを発動。
「斬って、壊せ!! るぅうううああああああああ!!!!!!」
 獅子吼と共に振り下ろす。空間を超越した一閃が、護国鉄神零號の左肩に食いこんだ。悲鳴のような音を立てながら、装甲を断ち割っていく。
 そのまま敵を両断せんと小枝子が両の腕にさらなる力をこめた瞬間、手応えが重さを増した。何かが刃に抗っている。装甲材ではない。いかなる鋼鉄であろうと、ユーベルコード『戦塵剣』は断ち斬るはずだ。
「――世界だ」
 解答は護国鉄神零號から与えられた。
「斬撃を防いでいるのではない。世界そのものを斬ることはできぬ。汝のユーベルコヲドを以てしても、斬れぬものは斬れぬのだ」
 ともすれば、それは既に滅び去った鋼鉄共栄圏が過去となることを拒んでいるのかもしれない。だが、その八億の魂を斬れないと言ってしまえば、デビルキングワールドの、さらには他の多くの世界が滅亡の危機を迎えることになる。その危機を食い止めるために、小枝子達猟兵はここにいるのだ。
 刃に宿った霊力が、護国の志を斬るために威力を発揮する。悲鳴のような音がいっそう高く、大きく響き渡る。
 刃金と鋼の競り合いがどれだけ続いただろう。終結の訪れを告げたのは、リリリリの声だった。
「ごめ~ん、そろそろレンタル期間が終わっちゃうよ~」
 歯噛みして、小枝子は剣を引いた。同時に八岐大蛇機関砲の掃射の勢いが弱まる。限界が近いのは互いに同じであったのだ。
 小枝子は後退していく。残ったのは、護国鉄神零號の胴に深く刻まれた刃の痕のみであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

朱鷺透・小枝子
今一度です!リリリリ殿!お願い致します!!
蝕め、抗体兵器!!夜剣を覆え!!!

夜剣大蛇【操縦】リリリリ殿のオーラ付与を今一度受け取り機体強度増強!
そして『逆鱗抗体兵器』発動!【呪詛】無数の機械鉄片、
第二次聖杯戦争、命の萌芽たるディアボロスランサーとの戦いで役立った、この生命と敵対せし夥しい呪いを秘めた抗体兵器を夜剣大蛇と攻撃力重視合体!!

あれなる鉄神を、世界を壊す力となれ!!夜剣!!!
貫き穿てーーーー!!!!

己が【闘争心】を夜剣の神殺兵装、抗体兵器と一体化し|穿孔力《殺傷力》を増した頭部長身ドリルへ注ぎ、大回転!!
メガスラスター【推力移動】最大速度で【頭突き】ドリルで護国鉄神零號を穿ち壊す!!!



「今一度です!」
 再び、戦場に朱鷺透・小枝子(|亡国の戦塵《ジカクナキアクリョウ》・f29924)の方向が響き渡る。
「|蝕せ《しょくせ》! 蝕め、抗体兵器!! 夜剣を覆え!!!」
 ユーベルコード『逆鱗抗体兵器(グレイブ・ローカスト)』の発動と共に、鋼の大蛇が鎌首をもたげる。パンツァーキャバリア『|夜剣大蛇《やつるぎのおろち》』。神すら弑する呪毒を備えたそれが、飛来した無数の鉄片に覆われ、一回り大きさを増す。
 巨敵の出現に応じて、護国鉄神零號が左腕部を掲げた。正拳の構えから射出。
「リリリリ殿! お願い致します!!」
 彗星となって飛来する零式噴進飛翔拳を、リリリリが小枝子に貸し与えた盾が弾き返す。その隙を突いて小枝子の駆る夜剣大蛇が驀進、護国鉄神零號の左側方から襲いかかった。
「あれなる鉄神を、世界を壊す力となれ!! 夜剣!!!」
 機体頭部に装備されたドリルが唸る。ユーベルコードによって強化されたそれは激しく回転し、天地を穿つ槍と化した。
「貫き穿てーーーー!!!!」
 舞い戻った護国鉄神の左腕が掴みかかる。が、夜剣大蛇の方が早い。大回転するドリルが鉄神の装甲を噛み、凄まじい火花を散らす。
 護国鉄神零號は渾身の力をこめて、脇腹に食らいついた大蛇を投げ飛ばした。空中でスラスターを吹かし、小枝子は機体を着陸させる。ずしん、と轟音が響いた。
 ついに、護国鉄神が膝を折った。胴部に穿たれた傷は深く、いずれ右腕部のように再生されるにしてもしばしの時間が必要になるだろう。
 ――ならば、好機は今だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

疋田・菊月
護国の鉄神……なんという威容でしょうか
鋼鉄共栄圏という世界にも興味が湧きますねー
移民船のような貴方がたを撃破せねばならないのは忍びないですが……
幻朧桜が本来の力を取り戻した暁には、皆さんの無念も報われることを願いつつ

とはいえ、相手は八億の御霊を搭載した太古の巨神
ヴァルラウンの火力でどうなるものか
しかし、こんなこともあろうかと!
はるちゃんには、試作型光子ロケット弾を積んでいるのです
反物質対消滅の要領で物質を光子化する超兵器ですが、原価がすごいことになってるので一発こっきり!
勇者様、どうかお守りを!
このロケット投射機が吹き飛んだら、うちの移動屋台もろともバラバラですね
大和魂!


アルテミシア・アガメムノン
あれを耐えるなんて頑丈ですわねえ。
(深呼吸して無限の魔力を供給、回復)
とは言え護国鉄神零號さんももう限界でしょう。
リリリリさん、もうちょっとだけ頑張って下さいね!

【地母神の戦域】を発動。
リリリリさんはあんまり傷ついている様にみえませんが一応、癒しの風で回復しておいて……
金色の神炎を無数に出現させてそれを掲げた『黄金の神剣』に集束です!
神剣を眩く煌かせて――護国鉄神零號さんを真っ二つにするべく超巨大神炎斬撃波を放ちましょう!

リリリリさん、お疲れ様です。せっかくの故郷ですし、お茶でもしましょう!奢りますわよ!



「護国の鉄神……なんという威容でしょうか」
「あれを耐えるなんて頑丈ですわねえ。は言えもう限界のようですわね」
 疋田・菊月(人造術士九号・f22519)とアルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)は呟いて、護国鉄神零號が再び動き出す前に行動を開始した。
「後ほどお茶でもしましょう! 奢りますわよ!」
「期待してるね~」
 サムズアップするリリリリに見送られて、アルテミシアは前進。ユーベルコードの射程に護国鉄神を収めた。
 彼女は大きく息を吸った。身の内に巡る魔力は十分に回復している。両手を掲げ、終わりの始まりを告げる。
「この戦場はわたくしの支配下にあります」
 アルテミシアを中心に、輝く霧が広がった。『地母神の戦域(ティアマト)』。攻防一体の領域が猟兵達と|超古代種族《エンシェント・レヰス》を包みこむ。
 護国鉄神零號の八岐大蛇機関砲がすぐさま応射。横殴りの弾丸驟雨に、盾を掲げたリリリリが立ち塞がる。膨大なオーラが翼のように広がって、一発すら通さない。
「リリリリさん、もうちょっとだけ頑張って下さいね!」
 癒しの風を受けて、守護の翼はさらに大きく。アルテミシアが掲げた手の内に、黄金の炎が集っていく。

(相手は八億の御霊を搭載した太古の巨神。通常火力でどうなるものか)
 芳しい風に頬を撫でさせつつ、菊月は思考を巡らせる。これまでの攻防から推察するに、並みの威力でどうにかできる相手ではなさそうだ。
 ならば、導き出される解答はひとつ。
「いやはや、困りましたね。これを使うときが来てしまうとは!」
 自動随伴輜重機『はる』の後部にかけられた幌を外す。荷台を占拠する巨大なくろがねが姿を現した。
 試作型光子ロケット弾。反物質対消滅の要領で物質を光子化する超兵器。欠点はとんでもなく高い原価のため一発しか存在しないことと、誘爆すれば射出地点たる移動屋台もろともに吹き飛んでしまうこと。
「勇者様、どうかお守りを!」
「――え~?」
 リリリリの返事を待たずに、菊月は運転席に備えられたボタンを押しこんだ。蒸気が噴出し、光子ロケット弾を投射。弧を描いて飛んでいく。
 飛来する砲弾を見上げたの護国鉄神零號の両眼が輝きを帯びる。護国英霊波導砲、エネルギー充填――。
「そうはさせませんわ!」
 アルテミシアが吠えた。その両手の内には金色の神炎纏う一振りの剣。鋭い呼気と共に、彼女はそれを振り下ろした。
 剣身を象った黄金炎が、護国熱血破壊砲の光条を斬り裂いた。そのまま鉄神の頭部に襲いかかる。
「あ~、さすがにこれはちょっと~――」
 そして、試作型光子ロケット弾が着弾した。
 二人の攻撃が炸裂した瞬間を目撃した者はいなかった。極大化したリリリリのオーラ防壁が全てを阻み、覆い隠したのだ。
 だから、彼女達に見えたのは、消えていく護国鉄神零號の姿だけだった。

 崩壊は右腕から始まった。一度消滅させられ、再生したために他の部位に比べて質量が少なかったのだろうか。さらさらと砂のように崩れていく。
 暗黒の弾丸の弾痕が刻まれ、超重の斬撃に裂かれた胴部へと崩壊は波及していく。やがて、左脇腹に穿たれた大穴を起点にして巨体が真っ二つに折れた。上半身が横倒しになり、下半身はそのまま崩れ去る。
 護国鉄神零號の顔が猟兵達と勇者とを向いている。その両眼には、己が世界を破壊し尽くす邪悪ではなくなることへの安堵だけがあった。
「貴君らの奮戦に――我ら八億――心から――」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年09月19日


挿絵イラスト