獣人世界大戦⑳〜|『A』ubade《オーバード》
●m'aider
すべてのはじまりは、祈り。
罪深き刃に縋ることこそが弱さの証明か。
ならば、息を絶つ誰かが伸ばした手は意味がなかったのか。
祈り、見上げた昏い星がすでに滅びていると知らなかったことが罪なのか。
流れる血の色も鼓動も、今も生きて生命を彩るというのに。
生命紡ぐ祈りこそが、この世を滅ぼす愛だというのならば、芽生えた思いを終わらせなければならない。
芽生え咲く、誰かの死に痛む心を終わらせなければならない。
どんな生命だって終わりを見せる。
避けようのない悼みならば、心なんて最初から要らないと哭くしかなかった。
それでも世界は残酷なまでに美しい。
「……六番目の猟兵!!」
その声はいつかの祈りが結実した日のことを想起させるものであったかもしれない。
「待っていました。ずっと、待っていました!」
その言葉は結界がほどけた『はじまりの場所』から響いた。
溢れ出す闇の中に一人の少女がいた。
彼女こそが、超大国、渾沌氏『鴻鈞道人』といった並み居るオブリビオンたちが求めた存在。
『はじまりの猟兵』である。
「あなたが……!」
ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)は、目を見開く。
彼女は知るだろう。
いや、対峙した猟兵たちの全てが理解する。
彼女はオブリビオン――即ち、世界の敵である。
「はい、わたしの寿命はとうに尽き、|世界の敵《オブリビオン》と化しています。本当は、今すぐ皆さんに全てを伝えたいけれど……」
彼女は逡巡していた。
ためらうように、というよりは葛藤していた。
「いっそ紙芝居にすれば……いや……」
「なんと?」
「いえ、こちらの話です。真摯に皆さんに真実を告げたいのです。けれど、すでにオブリビオンとなった身、皆さんに嘘の情報を渡してしまうかもしれません」
その可能性はひどく高いようだった。
こうして獣人世界大戦が勃発する原因となった『はじまりの猟兵』へと至ったというのに、猟兵達は何一つ成果を上げられぬのかと肩を落とすかも知れない。
けれど、『はじまりの猟兵』は頭を振る。
「わたしと戦ってください!」
それは猟兵たちにとっては驚きの提案であった。
確かに彼女はオブリビオンである。彼女をオブリビオンとして倒さなければ、世界が滅ぶ。わかっている。けれど。
「用意に復活できぬ程叩きのめされれば、その末期に少しだけ、真実を語ることができます」
彼女は言う。
そうすることでしか伝えられぬ真実がある、と。
そして、更に驚くべきことを告げる。
「わたしが今回伝えたいのは、『ニ番目から五番目の猟兵について』です」
「私達が六番目の猟兵と呼ばれるまでに至った経緯、ということでしょうか」
「それを知るためには」
「あなたを倒すしかない、と」
「はい。言っておきますが、わたしは最も古き者……」
ごくり、とナイアルテは生唾を飲み込む。
猟兵たちも同様であった。
最も新しき者が最も強いとは限らない。
どんな物事にも栄枯盛衰がある。だが、最も古きものが頂点ではないという理屈もまたないのだ。
故に『はじまりの猟兵』の実力が全ての猟兵たちの頂点あるという可能性もないのだ。
「正直言って、弱いですよ!」
誰もが真実かどうか確かめる術はただ一つしかないと知る。
彼女がオブリビオン化したが故の、欺瞞情報かもしれない。だが、ナイアルテは知るだろう。
彼女の所作。
その一つ一つから伺い知れることがある。
「……確かに、あなたは最古の猟兵。最新の猟兵である皆さんとは幅が違うのでしょう。でうすが……」
「はい、姑息卑怯と言われても、わたしは一向に構いません。生き残るために、勝利を得るために、己が取れる手段全てを使い尽くす『戦場の戦い方』で皆さんに挑みます」
それが生きるということだ。
継ぎ接ぎの翼をもがれてなお、絶望の海に餐まれるのだとしても。
例えどんなに醜い醜い姿に成り果てるのだとしても。
半壊した心臓さえも掲げて。
いつしか生命を否むすべてを何もかもこの手で壊す。
涙さえ流さない。
泣かないのだ。
泣いて、生き残ることができるのならば、いくらでも涙は溢れただろう。
けれど、世界は残酷なまでに美しい。
「征きましょう、みなさん。何千何万回と生命の危機が迫るのだとしても、明けぬ夜はないように。歌が世界に響くように。この戦いの先にあるどうしようもない闇があるのだとしても、歌いましょう。|暁の歌《オーバード》を高らかに」
ナイアルテの言葉と共に戦いが始まる。
獣人世界大戦。
その最後の戦いが始まる――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『獣人世界大戦』の戦争シナリオとなります。
シベリアの奥地の深き森……結界に覆われた大地より膨大な闇に包まれた『はじまりの猟兵』が出現し、オブリビオン化した彼女が戦いを挑んできます。
彼女は皆さんに真実を伝えたいと思っていますが、オブリビオン化のせいか嘘の情報を渡してしまう可能性を危惧しています。
故に戦闘中に質問をしても答えません。
戦いの勝利し、獣人世界大戦が終結した時に、彼女は『二番目の猟兵から五番目の猟兵について』の情報を語ります。
ですが、彼女は最古の猟兵ながら高レベルの戦闘に関する技能を一通り習得しています。
これと三つのユーベルコードを組み合わせ、姑息卑怯とも取れるような彼女が保ちうる全ての手段を使い尽くす『戦場の戦い方』で挑んできます。
油断できません。
プレイングボーナス……「戦場の戦い方」に対抗する/圧倒的な力や最新戦術で叩き潰す。
それでは、超大国をも巻き込んだ獣人世界大戦にて多くを救うために戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『はじまりの猟兵』
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POW : ストライク・イェーガー
レベルm半径内の対象全員を、装備した【ライフル】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
SPD : プログラムド・ジェノサイド
【予め脳にプログラムしていた連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : キューソネコカミ
【ライフル】が命中した敵を一定確率で即死させる。即死率は、負傷や射程等で自身が不利な状況にある程上昇する。
イラスト:hoi
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
セリカ・ハーミッシュ
アドリブ、連携歓迎
はじまりの猟兵さんは同じ猟兵という事だけあって、
フレンドリーな印象だね。
それだけにオブリビオンとして
戦わないといけないのは残念だけど全力で応えるよ。
質問はそうだね…その仮面の下の素顔が見たいかな?
戦いの際はUCで自分とそっくりの分身を生み出して
ライフルの狙いを付けられないようにだね。
と、昔ならそれ以上の事は一度には出来なかったけど
今なら同時に別のUCで攻撃する事も出来る。
手裏剣投げでダメージを与えつつ【影縫い】で
回避もできないようにするよ。
優勢になっても気は緩めずにライフルによる狙撃は警戒、
可能ならライフルを破壊して攻撃手段を潰すよ。
はじまりの猟兵さんとの別れは笑顔でかな。
「みなさん、戦いましょう。わたしが齎す情報は、今際の際のみが真実。ならば、わたしの全力を持って最後までオブリビオンとして戦い抜くまでです」
『はじまりの猟兵』は、その仮面の如き骨格の面の奥で瞳をユーベルコードに輝かせた。
確かに彼女は最古の猟兵。
対するは最新の猟兵――六番目の猟兵である。
セリカ・ハーミッシュ(氷月の双舞・f38988)は確かに『はじまりの猟兵』がオブリビオンであることを肌で感じる。
滅ぼさなければならない。
滅ぼされるかもしれない。
その二つの可能性を感じるのだ。
だが、彼女はなんとも言えない気持ちになっていた。
「『はじまりの猟兵』さんは、同じ猟兵というだけあって、フレンドリーだね」
「わたしが待ち望んだ六番目の猟兵が遂にきたのです。こうもなりましょう。ですが、わたしはオブリビオン。そして、戦場に生きてきた者。ならばこそ、すでに演算は終了しているのです」
瞬間、『はじまりの猟兵』が戦場に満ちていた闇の中に溶けるようにして消える。
それこそが彼女の『戦場の戦い方』である。
オブリビオンは猟兵以上の力を持っている。
言うまでもないことであるが、自らの力が劣っていると自覚しているのならばこそ、卑怯姑息と言われようともなんら恥じることがない。
強大な敵を倒す、ということは斯様なことであると示すように彼女は闇に紛れ、セリカの視界から消え失せたのだ。
「不意打ち上等ってところだね。けれど、どうかな、それは」
セリカもまたユーベルコードの輝きを宿す。
『はじまりの猟兵』は己という存在を標的に定めた。
闇に紛れたの不意打ちをするためであろう。
けれど、それは標的が定まっていれば、の話だ。
ソード・ミラージュ。
セリカは己が精巧な分身を残像で生み出す。『はじまりの猟兵』はセリカただ一人を打ち倒すためにユーベルコードによってあらかじめ脳にプログラムしていた連続攻撃を繰り出すのだ。
如何に不意を討つのだとしても、セリカの残像分身に標的を惑わされては、その初撃が狂わされてしまう。
「空振り!?」
「そうだよ。自分とそっくりの分身を生み出すユーベルコード。確かにそのライフルは怖いし、不意打ちだって見事なものだけど」
セリカは笑む。
「その標的がそもそも間違っていたのなら、そのプログラムは意味をなさないよね?」
そして、とセリカは放った手裏剣で『はじまりの猟兵』の影をそのばに縫い止め、動きを止める。
プログラムは肩透かし。
されど、その動作は止められない。
「すごい! これが六番目の猟兵の戦い方……!」
「褒めてくれるのは嬉しいけれど、これで終わりじゃないよね!」
セリカは己を狙うライフルの銃口を見る。
そう、油断なんてできない。
彼女の言葉はそれ自体がブラフである可能性が高い身体。
卑怯姑息と言われても、それでも生きるために戦った『はじまりの猟兵』である。己がユーベルコードに対応されても、次なる次善策をプログラムとして組み込んでいても可笑しくない。
「そのライフルは!」
壊させてもらう、とセリカが走る。
影縫いで動きを止めているが、しかし放たれた一撃を『はじまりの猟兵』は己が徒手でもって受け止める。
「壊させはしません! 武器がなくば戦えないことなどないのです。あらかじめ!」
「汎ゆる状況に対応したプログラムを書き込んでいたってことかな? うん、すごいよ。最古の、なんて。弱い、なんて。そんなことない」
セリカは彼女に敬意すら覚えながら、ユーベルコードの明滅が染め上げる戦場に笑顔と共に戦いを繰り広げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
キトリ・フローエ
ごきげんよう、はじまりのあなた
六番目の猟兵の一人として
あなたに逢えてとっても嬉しいわ
あなたは自分を弱いと言うけれど
ずっと長い間ひとりで戦い続けてきたあなたが
弱いはずなんてないでしょう?
それじゃあ、全力で戦いましょう!
あなたの放つライフルの弾は
当たればそれだけで死んでしまう可能性がある
なら、当たらなければいいのよね?
空中機動力を活かして木々の間を飛び回り
その間に魔力を溜めて高速詠唱
第六感と幸運にはちょっと自信があるの
的も小さいあたしに攻撃を当てられるかしら?
これがあなたに贈るあたしの全力魔法
銃撃が止んだ瞬間を見計らい
虹色の流星雨を放つわ
あなたの姿が闇や木々に紛れても
全部纏めて吹き飛ばしてあげる!
最も古き者が最も弱き者であるのか。
その命題を前にして最新の猟兵たるキトリ・フローエ(星導・f02354)は、その小さな体躯を風に舞わせるように紫銀の髪と共に降り立つ。
はじまりは深い森の奥。
ただ一人きりでいることに対して彼女は如何なる思いを抱いただろうか。
奇しくも『はじまりの猟兵』もまた、深い森の奥にて佇む。
噴出する闇の奥に白い骨格を仮面のように覆った彼女の眼差しをキトリは見ただろう。
「ごきげんよう、はじまりのあなた」
「こんにちは、六番目の猟兵のあなた」
互いに言葉をかわすことは、親しみをもたせるものであった。
けれど、『はじまりの猟兵』にとって、それは敵の不意を打つための予備動作でしかなかった。
彼女は『戦場の戦い方』に長けている。
あらゆる戦闘における技能。
その全てを高レベルで体得している彼女にとって、言葉を交わすという動作一つが相対する者の視線、動き、思惑というものを制動するものであったのだ。
恐るべきことである。
これが『はじまりの猟兵』。
「あなたに逢えて嬉しいわ。あなたは自分を弱いと言うけれど、ずっと長い間ひとりで戦い続けてきたあなたが、弱いはずなんてないでしょう? だから、
全力よ」
キトリは小さな体躯でもって宙を舞う。
『はじまりの猟兵』の構えたライフル。
その銃口がユーベルコードの輝きを湛えている。
一撃。
ただの一撃でも窮鼠猫を噛むかのように『はじまりの猟兵』は己より強大な敵を打ち倒す。
こと、最古の猟兵である彼女にとって最新の猟兵であるキトリと戦うのは危機的な状況であると言えるだろう。
故にキトリが弾丸を受ければ、即死する可能性は高い。
ならばこそ、彼女は確実にライフルの弾丸をキトリに当てようとするだろう。
「そうよね。きっとあなたならばそうすると思ったわ」
キトリは木々の間を飛び回る。
小さな体躯が幸いして、森の木々が次々と『はじまりの猟兵』の放つ弾丸にへし折られていく。
「すごいわね、やっぱりあなた」
「いいえ、わたしはただ生き残るためだけに必死だっただけです。みなさんのように千差万別、法則性すら見いだせぬ力を手繰るものではないのですから」
それに、と『はじまりの猟兵』はキトリに弾丸を命中させることができない。
彼女の体躯が小さいことも、木々をうまく利用してることも要因だった。
「第六感と幸運にはちょっと自身があるの」
「それに小さな体! 当てにくいです1」
「だから、これがあなたに贈るあたしの全力魔法」
キトリはライフルの残弾の数を数えていた。
ライフル故に弾丸を装填するための隙ができる。その一瞬の隙をついてキトリの瞳がユーベルコードに輝く。
「願いを抱く星々よ、その輝きを見せてあげて!」
煌めくは幾何学模様を描くユーベルコードの光。
キトリのユーベルコードが空を埋め尽くすように生み出されていく。
ライフルのマガジンを交換する一瞬。だが、その一瞬すらも刹那に勝る早業でもって『はじまりの猟兵』は交換を終えて、ライフルの引き金を引くのだ。
「必ずそうすると思っていました! だから……!?」
「でも、虹色の流星雨(カラフル・ミーティア)は止められないわ」
色とりどりの輝く流星が降り注ぐ。
如何に早業たるマガジン交換をしようとも、キトリの手数の方が上だった。
「全部まとめて吹き飛ばしてあげる!」
降り注ぐ流星が、ライフルの弾丸も、『はじまりの猟兵』が逃げ込む森の木々さえも打ち砕きながら、その言葉通りに周囲一体を吹き飛ばすように降り注ぎ、闇を払うようにユーベルコードの明滅を戦場に刻むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
穂村・耶子
君がはじまりの猟兵なんだね
残念だけど、君の動きを見切れるほど、僕は強くない
だから、ちょっとずるい手を使わせてもらうよ
刀を抜いて構えるけど、それはフェイク
UCで自分の身体と武器を鬼火で包み、視聴嗅覚全てでの察知が不可能な状態に
これで身体を包む鬼火を含めて僕は透明かつ無音になる
君は僕の位置を特定できないはず
死角に回り込んで鬼火を発射
相手がこちらの攻撃から位置を特定して来ることを予測して、Uの字を描く軌道で真横に回り込む
そのまますれ違い様に斬り付けるよ
剣士は接近戦しかできないとか、狙撃手はその場から動かないといった常識を覆す
予めプログラムされた行動で、この全てに対処するのは難しいんじゃないかな?
相対するは最古。
最古にして過去の化身。
それが『はじまりの猟兵』である。
彼女の戦闘技能は、最新の猟兵である穂村・耶子(甘党残念剣士・f35497)にも引けを取らないものであった。
いや、彼女は思う。
引けを取らぬものどころか、あらゆる戦闘技能が己よりも上である、と。
「君が『はじまりの猟兵』なんだね」
「はい、間違いなく。だからこそ、全力で戦っていただきます」
会話の最中にあってなお、『はじまりの猟兵』は耶子の目前へと鋭い踏み込みでもって肉薄する。
恐るべき速度である。
一瞬で間合いを詰める歩法。加えて、その動きにためらいがない。
それはあらかじめ脳にプログラムされていた動きを忠実に肉体が際限していることを示していた。
五体を操ること、寸分たがわず己のが生み出した戦法を繰り出すことのできるユーベルコード。
これを以て彼女は己よりも強大なるオブリビオンを打倒してきたのだろう。
それが今まさに己に向けられているということを耶子は理解する。
「残念だけど、君の動きを見切れるほど、僕は強くない。だから、ちょっとずるい手を使わせてもらうよ」
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
構えた刀。
その刀で何かをしようというのか、という思考。
僅かな思考であっても、敵が得物を持っている、というのならば、それに対する方策を練り上げるのが『戦場の戦い方』である。
故に、『はじまりの猟兵』は、それがブラフでると看破してもなお、その一瞬の思考を止められない。
「戦いに在って、生き残ることを第一とするのならば、それこそが真。ならば、何を恥じることがありましょう!」
「……だよね。だから、こうする」
耶子の瞳が見開かれ、手にした刀が鬼火の渦に覆われていく。
それは視聴嗅覚で感知されぬ力。
焔狐火界陣(エンコカカイジン)と呼ばれるユーベルコードは、耶子自身の存在を『はじまりの猟兵』から覆い隠すのだ。
同時に、彼女の放った鬼火は、それ自体が攻撃の手段へと変貌する。
「……自分を鬼火にする能力? いえ、これは」
「そう、無音になる。僕は、君から見ることもできなければ、僕のたてる音すら認識できない」
「嗅覚にも引っかからない。なら」
熱はある、と『はじまりの猟兵』は炎が一層強く渦巻く場所へと攻撃を叩き込む。
だが、それも耶子にとっては駆け引きの一つであった。
「キミは確かに戦場の戦い方を知っている。見事だよ。だから、鬼火の勢いが大きいところを狙って攻撃する」
耶子は己が生み出す鬼火をもって『はじまりの猟兵』を取り囲む。
如何に認識できなくても、音すらえ聞こえなくても、嗅覚が頼りにならなくても、それでも『はじまりの猟兵』ならば如何にしてか己の所在を突き止めるだろうと耶子は理解していたからこそ、交錯するようにして彼女に踏み込む。
「キミは見たね。僕が刀を構えたのを。それを見て、即座に判断したはずだ。僕が剣士だ、と。なら、必ず近接戦法を持って迫るだろう、と。だから、その常識を、定石を覆す」
踏み込んだ耶子は鬼火の渦を爆発させ、四方八方から『はじまりの猟兵』を飲み込ませる。
『はじまりの猟兵』は強い。
己を最古、弱い、と語る彼女の言葉は彼女を正しく評価しない。
彼女の保ち得る最大の力は、ユーベルコードの多彩さでもなければ、技能の高さでもない。
戦いにおけるセンスそのものだ。
己が持てる全てを使いこなす柔軟性。
故に、耶子は己を認識せずとも、あらかじめ不測の事態に組み込まれていたプログラムでもって迫る『はじまりの猟兵』の姿を認め、刀を振るう。
「そこですね!」
「見つけるか、でも!」
プログラムはあらかじめ組み込まれたもの。
その初撃を外した『はじまりの猟兵』は耶子に致命打を与えることはできない。
故に耶子は、己が鬼火でもって『はじまりの猟兵』を再び包み込み、これを爆発でもって吹き飛ばすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
印旛院・ラビニア
「自分から最弱って言ってる相手ほど怖い相手はいないよ。強者の慢心もなければなりふり構う隙もないんだから」
高い技能、それを体験して【学習】するくらいの気概でやらせてもらうよ
基本は【ダッシュ】【ジャンプ】で駆け回りながらのアサルトライフルでの撃ち合い。UCのアイテムポーチの素材から【拠点構築】で障害物になりそうな壁や建物を造って呼び出し【地形の利用】、死角からクリーピングコインや【召喚術】で呼んだモンスターを【集団指揮】で連携して襲わせたりなどもする
「学ぶだけじゃなく、勝ちにいかないとね」
最終的には死角にいる時にポーチの中に潜んで、近づかせたりしてから奇襲とかかな
「対戦ありがとうございました!」
『はじまりの猟兵』は己のことを弱い、と言った。
最古であるがゆえに最新には敵うべくもない、と。
だが猟兵達は知っている。
オブリビオンという存在を。
過去の化身でありながら、個体としての力はむしろ、猟兵を上回っている。
「流石は六番目の猟兵さんたち……! わたしの知り得ないユーベルコードを手繰り、追い詰めてくる……!」
鬼火の渦から脱した『はじまりの猟兵』は呻く。
けれど、その姿を認め、印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)は頭を振る。
「自分から最弱って言ってる相手ほど怖い相手はいないよ」
「確かに自虐が過ぎました!」
「そうだね。強者の慢心もなければ、なりふり構う隙もないんだから」
ラビニアは踏み込む。
己を狙うライフルの銃口。
ユーベルコードに輝くそれは、ゆらめくようにしてラビニアに追従している。
此処まで来てなお、その銃口がラビニアを狙って止まなかった。
あの狙いを躱すことは難しいだろう。加えて、あのユーベルコードは即死すらあり得る力。
「その高い技能、それを体験して学習するくらいの気概でやらせてらもうよ!」
走る、飛ぶ。
狙いを付けさせぬように上下の動きを加えたラビニアは、手にしたアサルトライフルを持って引き金をひく。
弾丸が交錯する。
当たれば、即死すらあり得る弾丸である。
できるだけ当たらないことが肝要であった。
「どこでも工房(ドコデモクリエイションガデキルアトリエ)!」
ラビニアの瞳がユーベルコードに輝く。
手にしていたアイテムポーチにあらかじめ吸い込んでいた障害物たる壁や建物を組み上げて放出するのだ。
突如として現れた建造物に『はじまりの猟兵』は目を見開く。
「なんです!? 突然、建物が……!?」
「種も仕掛けもあるんだな、これが!」
「流石は六番目の猟兵! なんでもありですね! ですが!」
地形を利用することは『戦場の戦い方』を熟知した彼女にとってはむしろ好都合であった。
障害物が生み出されたというのならば、それを利用する。
ラビニアは、失敗した、と思ったかも知れない。
己がライフルの銃口を遮ろうとして出現させた障害物はむしろ逆に『はじまりの猟兵』に利用されてしまったのだ。
「でも、学ぶだけじゃなく、勝ちにいかないとねって思っていた所なんだよね!」
「獲った!」
『はじまりの猟兵』が飛び込んでくる。
だが、そこにラビニアの姿はいなかった。一斉に襲いかかるのは『クリーピングコイン』や召喚術で呼び寄せたモンスターたちであった。
彼女には足止めにもならない。
なのに、そこにラビニアは居ない。
「一体これは……!?」
「吸い込めるってことは、身を隠すにも使えるってこと!」
ラビニアは己がアイテムポーチに潜み、機を伺っていた。
そう、彼女のユーベルコードはアイテムポーチに抵抗しない対象を吸い込むものである。ならば、自分だって抵抗さえしなければ吸い込めるのだ。
そして、その中はゲーム世界のようにアイテムを自動合成できる空間。
そこで生み出した武器を手にラビニアは『はじまりの猟兵』の虚を突いて飛び出したのだ。
「これもまたユーベルコード……!」
「対戦ありがとうございました!」
ラビニアは、そう告げ、完璧なる強襲でもって『はじまりの猟兵』を打ち倒すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
別に第何猟兵とかはどうでもいい
拙者ははじまりちゃんの事が知りたいでござるね太ももの径とか
戦場を制するのはいつだって投じた鉄量でござる…なのでこう!【流体金属】君と合体!拙者は人間を辞めるぞォォ!
金属と流体の特性を兼ね備えた身体ですぞ!銃弾程度なら跳ね返すし物理的な罠ならすり抜けるでござる!もっと撃ってきなさい!もっと!ンもっとぉ!
このまま追い詰めてだきしめてやるぞぉ!イヤホゥッイヤホゥッ
逃がさんぞ
捕まえたら流体金属君と合体解除!そのまま押さえててくれよな!
今から拙者が|隅々まで調べ《全年齢の範囲内で恥ずかしめ》てやるからな~覚悟しろよなァ~
まずは身長と体重と太もも径を詳細に調べて公開して…
多くのものが求める『はじまりの猟兵』。
彼女の存在がオブリビオンにとっても、猟兵にとっても重要であることは言うまでもない。
その理由を未だ猟兵は知らない。
故に知らなければならない。
他ならぬ彼女の口から情報を得るためにこそ、戦わなければならないのだ。
「まだわたしは、倒れていませんよ!」
吹き飛ばされてなお、彼女は立ち上がる。
不撓不屈なる精神性を有する彼女にとって、この戦いは本来ならば意味のないものであったかもしれない。
オブリビオンとなった身であるがゆえに、間違った情報を猟兵に渡してしまう可能性を危惧するがゆえに、全力で戦わなければならないという回り道。
しかし、いつだってそうだ。
正しいのは回り道であり、厳しく険しい道だ。
故に、エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)の瞳がユーベルコードに輝く。
びこん! とものすごく輝いていた。
「別に第何猟兵とかはどうでもいい」
「え!?」
「拙者は、はじまりちゃんのことが知りたいでござるね太ももの経とか」
なんて?
その場にいた誰もがエドゥアルトの言葉に首をかしげただろう。
なんて?
「ふとももの経とか」
もう一回言った。
『はじまりの猟兵』は思わず己の足を隠した。頭蓋の如き仮面の奥で赤らんでいる頬があるのかもしれない。
故に、エドゥアルトは益々持って、ハイテンションに至る。
「戦場を制するのはいつだって投じた鉄量なのでござる……なのでこう!拙者の体を貴様に貸すぞ!」
「うム実ニよク馴染む……拙者達は……ワカり会えタ……判り合ウ事ガできタ……可愛い女の子いいよね!」
流体金属と肉体を一時的に融合した、メタル黒ひげことメタルエドゥアルトへと変貌し、彼は人間をやめた。
もうすでにやめてなかった? というツッコミは野暮である。
「君と拙者とで合体!」
「いやー!?」
『はじまりの猟兵』は思わずライフルをブッパしていた。
それもそうである。今のエドゥアルトは、生理的な危機感を覚えさせるものであった。
だが、ブッパされた弾丸をエドゥアルトは、にゅるんと流体金属である特性を持って躱す。
なんなら跳ね返しているし、物理的な罠とかを当たり前みたいに、にゅるってすり抜けたのだ。
「もっと撃ってきなさい! もっと! ンもっとぉ!」
完全にやばい絵面である。
映像化されたら、確実に黒塗りかモザイクである。
「やだー!! こんなのわたし聞いてないです!」
「それそれぇ! このまま追い詰めて抱きしめてやるぞぉ! イヤホゥッ、イヤホゥッ! 逃さんぞ」
「きゃー! やめてください! あれ!? なんでわたし押さえつけられているんですか!?」
エドゥアルトの流体金属が『はじまりの猟兵』の手足をがっちり掴み上げて押さえつけている。
やばい。
絵面がやばい。怒られるあれである。
「今から背者が|隅々まで調べ《全年齢の範囲内で恥ずかしめ》てやるからな~覚悟しろよなァ~」
もう完璧にやばい。
わきわきと流体金属の腕がお決まりの動きをする。
「まずは身長と体重とふとももの経を詳細に調べて公開して……」
瞬間、エドゥアルトの急所へと突かれるライフルのグリップ。
勢いよくぶちかまされたそれは、流体金属でなければ危なかったところである。しかし、『はじまりの猟兵』は荒い息と共にエドゥアルトから逃れる。
「な、なんてことするんですか!」
「チィッ、戦闘系技能を高レベルで習得しているということを忘れていてぬかったか!」
「ぬかったか、じゃないです!」
「ならば、もう一度組み敷くまでよォ!」
あれは!
伝説のルパンダイブ!
そこから凄まじい攻防があったことは言うまでもない。
熾烈なる戦い。
『はじまりの猟兵』はエドゥアルトの魔の手からなんとか体重のプロフィールだけは死守するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
ご機嫌よう、『はじまりの猟兵』。
望み通り、あなたを|沈めて《鎮めて》あげに来たわ。
村崎ゆかり、陰陽師。いざ参る!
先制攻撃を仕掛けてくるだろう彼女に、偶神兵装『鎧装豪腕』に「盾受け」させながら、こちらもユーベルコードを紡ぐ。
「全力魔法」「霊的防護」の摩利支天九字護身法。これでそう簡単にはあたしを貫けないわ。
派手な大呪術も、奇を衒った策もないわ。あたしはただ防御を固めるだけ。
どちらが先に削りきれるか、勝負よ。
『鎧装豪腕』を銃撃からの盾にしながら、一気に距離を詰める。
油断はしない。最大限の警戒と敬意をお目にかける。
「オーラ防御」が機能しなくなる前に薙刀で「斬撃波」を放ち、それを牽制に「串刺し」よ。
「ご機嫌よう、『はじまりの猟兵』。望み通り、あなたを|沈めて《鎮めて》あげに来たわ」
荒い息は猟兵との戦いで消耗したからか。
『はじまりの猟兵』は、その言葉に顔を上げる。
骨格の仮面の奥にある瞳は如何なる感情の色を灯していたかはわからない。
けれど、たった一つだけわかっていることがある。
「村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)、陰陽師。いざ参る!」
戦わなければならない。
そう、たった一つの真実を得るためには、この厳しい戦いを制しなければならない。
回り道であるように思えただろう。
もっと簡単な道があるのかもしれない。けれど、それは正しくない。
いつだって正しいのは遠回りの厳しくも険しい道だ。
だからこそ、ゆかりは踏み込む。
『はじまりの猟兵』は己を最古であり、弱いと言った。
だが、ゆかりは理解する。
それは大きな間違いである。彼女は戦闘に関する技能を高いレベルで保持している。
この世界で戦い続けるために多くの技能が高められていったのだろう。
そして、それら全てを用いた姑息卑怯とも言える『戦場の戦い方』に躊躇がない。
「陰陽師、わたしの知らないジョブです」
「そうでしょうね」
その言葉と共に放たれるのはライフルの弾丸だった。
間髪入れずに連射される弾丸。
不意を撃つなど朝飯前であった。ゆかりは『鎧装剛腕』を持って防ぐが、しかし、貫通してくる。
「これが技能を高めたものの力ってわけ……!」
「でも貫けていないですね。何か防御を用いている。なら、同じ箇所を寸分たがわず狙えば
……!」
ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
己がオーラ防御の技能を更に高める。
容易に貫くことはできないだろう。しかし、慢心はできない。
なにせ、『はじまりの猟兵』の技能の底がまだ見えていない。隠し玉めいたものがあってもおかしくない。
それほどまでに『はじまりの猟兵』の力は最古でありながら最新を穿つ一矢となり得るのだ。
「摩利支天九字護身法(マリシテンクジゴシンホウ)……これでそう簡単にはあたしを貫けないわ」
ゆかりは、派手な大呪術も奇をてらった策も必要ないと断じる。
自分ができることは防御を固めること。
それによって『はじまりの猟兵』の体力を削る。
そうすることで次につなげることができる。
「なるほど。自分を要塞化して、他者のユーベルコードをつなぐ。そのための堡塁……!」
「勝負よ!」
ゆかりは踏み込む。
守ってばかりでは勝てない。
いつだって踏み込まなければならない。誰かに手を伸ばすためには、己が身を顧みないことこそが肝要だった。
「守りに慢心はしない」
ゆかりは『鎧装剛腕』ごと『はじまりの猟兵』へと叩きつける。
容易に貫けないということは、敵もこれを無視できないということだ。故にゆかりは『鎧装剛腕』を叩きつけながら、その盾をこそ『はじまりの猟兵』の視界を遮る障害物と成して側面から踏み出す。
手にした薙刀に宿る力。
震えば、斬撃波となって『はじまりの猟兵』を襲うだろう。
だが、その一撃を彼女は躱す。
「一撃で終わるとは思ってないわ!」
踏み出し、突きを放つ。
ライフルの銃身と交錯し、火花をちらしながら、ゆかりは見ただろう。
己が肩を穿つ銃撃と鏡合わせのようにして『はじまりの猟兵』の肩が己の一撃によって血を噴出させる姿を――。
大成功
🔵🔵🔵
エルシェ・ノン
初めまして、はじまりの|猟兵《キミ》
オレに騎士の礼を尽くす誉れをくれるだろうか?
なんて嘯きながら、手を取れる距離まで一気に間合いを詰める
これでキミが有利
オレは即死さえ回避できればいい
万一に備え全身を結界で守るくらいオレも臆病者で卑怯者
目を逸らさないのも見切る為
泥臭いのはお互い様
一撃を受ける覚悟で迷わず首筋を銀の短剣で切り裂きUC発動
オレに消えない傷を残した母を捨てた|諸悪の根源《父》を召喚
本当は姿も見たくない
けどこれがキミの献身へ捧げるオレの礼儀と感謝
オブリビオンと化してなお真実を伝えようとしてくれるキミは、何を祈って“今”にいるのだろう
正直、胸が痛いよ
でも笑おう
本当のキミの話、楽しみにしてる
『消えない傷』こそが己がエンドブレイカーである証。
予知した未来を覆す力。
エルシェ・ノン(青嵐の星霊術士・f38907)は、スカードである。
「はじめまして、『はじまりの|猟兵《キミ》』」
その言葉に肩から血を流しながらも『はじまりの猟兵』は呼応するように頷く。
本来ならば、彼女と戦う理由はない。
けれど、彼女はオブリビオンと化している。自分たちに情報をもたらそうとするが、しかし、今はその時ではない。
彼女がオブリビオンとなった今、滅ぼし滅ぼされる間柄でしかないのだ。
欺瞞たる情報を齎さないとも限らない。
故に、戦いの末にこそ真の情報を語ることができると多くの猟兵たちが戦いを挑んでいるのだ。
エルシェもまた同様だった。
「オレに騎士の礼を尽くす誉れをくれるだろうか?」
「それはなんとも面映いですね?」
互いに語る言葉は、どこか浮足立っているようにさえ思えた。
エルシェの言葉はささやくようであった。
まるで初めて会った相手に気さくに手を伸ばすような所作だった。いや、それはまごうことなく彼我の距離をゼロにするものであった。
互いに考えていたことは同じだった。
距離を詰める。
至近距離で己がユーベルコードを叩き込まんとしたのだ。
「この距離ではあなたが有利」
「いいや、キミがまだ有利だ。その即死の弾丸は」
「あなたを穿ちます」
だろうね、とエルシェは目をそらさずに呟く。
ユーベルコードの輝きが互いの瞳に輝いている。
見つめていたのは、見切るためであった。同時にそれは『はじまりの猟兵』にも言えることであった。
彼女は戦闘に関する技能を高い水準で有している。
つまり、これは互いの動きを読み切った方が先に初撃を叩き込むことができる刹那の攻防であった。
「その覚悟!」
「いいや、オレは臆病者で卑怯者だ。だから、こんなことができる」
迫るは即死の弾丸。
ゆっくりと迫るようにさえ見えたのは、エルシェが己が動体視力、そして思考を総動員して、この窮地を脱するために動いているからだ。
手にした銀の短剣は『はじまりの猟兵』にではなく、己が首筋へと奔る。
それは『消えない傷』跡。
己が存在の証明。
決して消えることのない憎しみの権化。
血潮が飛ぶ。
瞬間、エルシェにとって、消えない傷を残した存在が出現する。
それが銃弾を受け止めた。
本当は姿も見たくない。
このユーベルコードを使うことすら忌避していただろう。
それは己が憎しみと対峙するようなものであったからだ。故に、エルシュは、これこそが『はじまりの猟兵』の献身に捧げる己の礼儀と感謝であると見開いた瞳で彼女を見つめる。
現れた憎しみの化身は、己が父である。
諸悪の根源。
母を棄てた男。
見たくない。忘れられない。消えない過去が、己の足元にあるということを思い起こさせ得る。
吐き気さえ覚える姿。
だが、それでも。
「キミは、オブリビオンとなっても真実をオレたちに伝えようとしてくれている。一体どれだけの時間を孤独に待ち続けたのだろうか。何を祈って“今”にいるのだろう」
夙に滅びが邂逅を定めていたのだとしても。
そえでもエルシェは笑う。
正直に言えば、胸が痛む。
「その痛みは、あなただけのものです。誰かのために胸を悼みを覚えるのは、あなた自身の過去から連なる“今”なのです。後悔も、寂寞も、すべてあなただけのもの。けれど、他者の憂いに寄り添おうとするのならば」
あなたは、と『はじまりの猟兵』はエルシェの憎しみの化身の骨がむき出しの拳を受け止めるのだ。
「ありがとう。本当のキミの話、楽しみしている」
エルシェは弾丸に砕けていく憎しみの化身の向こうにて打ち据えられた『はじまりの猟兵』の、骨格の仮面の奥にある瞳の色を見た気がした――。
大成功
🔵🔵🔵
臥待・月紬
あなたが灯した抵抗の灯が受け継がれて、自分もここに立ってるッス。
だから、その挑戦に全力で応えます。
言葉よりも強く、この感謝を伝えられるなら!
【操煙術・不知火】で煙幕を展開。
長く身を隠せないのは予想済み。
時間を稼いでカウンターの準備を整える。
本命UCで『化術』を強化。
相手が仕掛けてきた瞬間、地面に描かれた絵の如く2次元化して連続攻撃を回避する!
さらに潜伏中に仕掛けておいた爆弾を起爆!
普通なら自爆の間合いだけど『破壊工作』技能で爆風が抜ける方向は計算済み!
平面化で自分だけ回避させてもらうッス!
化術はトンチキな方が刺さるし、なにより面白い!
今日まで戦ってきた自分の経験、全部出し切ってぶつけるッス!!
『はじまりの猟兵』は、まさしくはじまりの祈りだったのだろう。
彼女の祈りがあったからこそ、この地にユーベルコードが齎された。
外界からの侵略者に抗う力。
それを罪深き刃と呼ぶものがいる。
けれど、それは臥待・月紬(超級新兵(自称)化け狸・f40122)にとって些細なことだった。
「あなたが灯した抵抗の灯が受け継がれて、自分もここに立ってるッス」
それが猟兵の戦い方だ。
個体として勝るオブリビオンの強大なる力。
これを紡ぎ、つなぐことで打倒してきたのだ。
その軌跡は彼女の言う通り、まさしく受け継がれてきた灯火なのだろう。
「だから、その挑戦に全力で応えます。言葉よりも強く、この感謝を伝えられるなら!」
「そうです。それでいいのです。互いに全力。死力を尽くした戦いの果てにこそ、わたしは皆さんに……」
真の情報を伝えることができる、と『はじまりの猟兵』は言う。
同時に月紬は煙幕を展開する。
周囲に濛々と立ち込める白い煙。
だが、これが『はじまりの猟兵』に有効であるとは思えない。
彼女はむしろ、この様な状況でこそうまく戦うことのできる存在だ。高い水準で戦闘に関する技能を有する『はじまりの猟兵』。
ならば、この程度の煙幕など乗り越えることは容易。
加えて言うならば、逆に利用されることも月紬は理解していた。
彼女がほしかったのは時間だ。
準備するための時間。
「遅いです! その一瞬こそが、わたしのユーベルコードの一撃を叩き込む最大の隙になるのです!」
あらかじめプログラムされていた戦闘行動。
それをもって『はじまりの猟兵』は月紬が隠れる煙幕を、己が拳で強引に吹き飛ばしたのだ。
恐るべきことである。
だが、月紬にとっても、それは好都合であった。
化術は、戦闘に直接関与しない。
そう、あくまでそれは化けるための術。故に、月紬は迫る凄まじい怒涛の連続攻撃をまるで紙のようにペラペラになりながら、躱したのだ。
「んなっ!? なんです、その姿は!?」
「これが、陣中変化・808式(バケジュツノキホンニシテシンエン)ッス!」
己が構造定礎を楔に、質量を仮定にまで落とし込み、己が認知に対する侵食そのものを防護する。
それでも足りなければ、後は気合のみ。
彼女は、化術によって己が体躯を紙よりも薄っぺらくして『はじまりの猟兵』の超連続攻撃の初撃を躱したのだ。
何としても躱さなければならなかった。
それほどまでに彼女の脳に直接プログラムされた行動は多岐にわたり、あらゆる回避行動にも対応するものだった。
「あなたの凄まじさは言うまでもないッス! 用意周到さも! なら! あなたの想像を超えることをするしかないっす!」
さらに、と月紬は仕掛けていた爆弾を起爆する。
「爆弾!? この距離では、あなたも……!」
「いいえ、爆発の指向性はすでに決定づけられているっす! そして! 爆発は、平面化した自分ならば風に煽られる紙のように!」
炸裂する爆発。
凄まじい爆風が月紬の体躯を吹き飛ばし、『はじまりの猟兵』をも巻き込んでいく。
「いかがっすか! これが化術ッス! トンチキであればトンチキであるほどに刺さるっす! なにより面白いッス!」
卿まで戦ってきた自分の経験がなせる技だった。
全て出し切る。
月紬は、そのために土壇場まで『はじまりの猟兵』を引き付けてきたのだ。
負けられない。
未来の礎になるために己が身を犠牲にしてでも戦う彼女に報いるためには、己が全力を用いるのだというように月紬は、己が磨き上げた化術を持って彼女を翻弄するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ミレア・ソリティス
ミレア・ソリティス、戦闘を開始します
敵は「自動射撃に攻撃を任せ、本体は防御や敵観察に専念しチャンスを伺い、生じた隙を逃さず大技を撃ち込む」という戦法と推測。
3型兵装で出撃、敵ライフル弾に『ヴィントシュティレ』での迎撃・防御を行い、本体のバリア機能は有事に備え温存したまま『アクティブステルス』で姿を隠し、常に移動を行い位置を悟らせないよう狙撃を実行します
敵がこちらに勘付いた時点で敵UC使用に合わせ『ジャミングミサイル』を及び【コード・ファントム】を使用、重度の認識阻害を実行して時間を稼ぎ、その間に兵装を4型兵装へと換装、敵は早期に状態復帰するものと見て迅速に全兵装での一斉射撃を撃ち込みましょう
推測と推論を持って、現実に迫る状況に対処する。
戦いとはそういうものだ。
頭で考えるものは全てが机上の空論だ。
いずれも迫る現実に勝る実証はない。故に、柔軟な対処こそが『戦場の戦い方』である。
そういう意味では『はじまりの猟兵』は見事なものだった。
オブリビオンに劣る個体としての力。
されど、ユーベルコードだけが全てを凌駕するものではないと彼女は知っている。
生き残るために戦うこと。
そのために己が持てる全ての手段を用いる。時に卑怯姑息と言われるような戦い方であったかもしれない。
けれど、それでも彼女は生き抜いてきたのだ。
ミレア・ソリティス(軍団たる「私」・f26027)は転移した森の中にて、そう思う。
最古にして最弱。
そんな理屈が通るのならば、オブリビオンという強大な敵を打ち倒してきた猟兵たちの戦いそのものを否定してきたものであった。
「『自動車撃に攻撃を任せ、本体は防御や敵観察に専念しチャンスを伺い、生じた隙を逃さず大技を打ち込む』という戦法と推測」
彼女は武装に配されたバリアシステムを展開する。
『はじまりの猟兵』から放たれたライフルが空中を疾駆する。
銃口から弾丸が絶え間なく放たれている。
弾幕だ、とミレアは理解しただろう。だが、こちらにはバリアシステムがある。これを撃ち抜くことができなければ、ミレア自身に有効打を与えられないと『はじまりの猟兵』も理解しているはずだ。
なのに、この弾幕。
「やはり」
ミレアは理解する。
己が展開したアクティヴステルスで姿を隠したのと同じように彼女もまた森という障害物が多い状況を利用して身を翻し、隠しているのだ。
弾幕は、その一助。
ならばこそ、ミレアは本命が迫ると理解する。
逃げているわけではない。
機会を伺っているだけなのだ。
必ず、来る、とミレアは判断しユーベルコードを発露する。
「現実改編コード起動、周辺への認識阻害及び隠蔽工作を開始します」
己を認識することのできぬほどの情報齟齬を周囲にジャミングミサイルで散布し、時間を稼ぐ。
敵はこちらの武装を砲撃専用だと思っているだろう。
だからこそ、ミレアはユーベルコードによって稼いだ時間を持って兵装を換装する。
現実を改変する装備。
バリアフィールドが一瞬で展開する。
「遅かったですね」
ミレアは火花散るフィールドを見やる。
己の頭上から『はじまりの猟兵』が手にしたナイフを叩き付けていた。
こちらが完全に情報を隠蔽していたというのに、如何なる理由からか『はじまりの猟兵』はミレアの所在を認識していた。
一瞬でも遅れていれば、ミレアが敗北していたのは言うまでない。
だからこそ、ミレアは躊躇わない。
己の武装、その全てによる一斉射撃。
「やっぱり六番目の猟兵はすごいです。これだけの……!」
「油断はしません」
爆発が巻き起こり、ミレアは己の空となったミサイルコンテナを廃し、立つ。
まだ戦いは終わらない。
だが、追い込んでいるはずだ。そう信じてミレアは、手ごわき敵『はじまりの猟兵』の技量と己の推論が正しいことに結論をつけるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
フリッツ・バーナー
ご機嫌よう、|お嬢さん《フロイライン》
そしてさようなら
狩り甲斐のある古強者を前に、逸る興奮を抑えきれない
歓喜の感情に誘われ、空間を裂いてバルバロッサが現れる
刃状に変型した機体の腕を振るって牽制しつつ、機体に手を触れて一体化
機体内部の『ODE/AN-DIE-FREUDE』が励起し、心拍の如く高鳴る
際限なく湧き立つ歓喜のエネルギーが高密度の|靄《オーラ》として漏れ出す
装甲と併せて防御は申し分無い
よほど致命的な攻撃以外は避ける必要もなし
さあ、ここからどのように足掻くのか
君の持てる全てを見せてくれ給え
集約したエネルギーを全方位への衝撃波として解き放つ
両肩部のレーザー砲と併せ、森林ごと薙ぎ払おう
戦場にあってユーベルコードの明滅は、その戦いの激しさを示すものであったことだろう。
猟兵に対するは『はじまりの猟兵』である。
最もオーソドックスにしてアーキタイプとも言うべき彼女のユーベルコードに物珍しさはない。
猟兵が保ち得る千差万別なる力ではなく、誰もが知るようなものばかりだった。
宙に浮かぶライフルが放つ弾丸だって取り立てて説明するものではない。
ただ単にライフルを有効な浮遊砲台のように使うことができる、という他愛のないものだった。
だが、彼女が猟兵たちに凌駕するのは戦闘に関する技能であった。
高い水準で保持されている技量。
その全てを惜しげもなく、恥ずかしげもなく、臆面もなく活用して、時には卑怯姑息とも言える戦い方によって彼女は、この戦場を駆け抜けている。
「ご機嫌よう、|お嬢さん《フロイライン》」
フリッツ・バーナー(武器商人・f41014)は自身が興奮というものを抑えられていないという自覚があった。
対する敵。
『はじまりの猟兵』は彼にとって狩り甲斐がある得物というよりも、古強者であった。
彼女自身が己を最古の弱い猟兵であると語るが、実情は異なる。
あれだけ単純なユーベルコードしか保ち得ぬのに、ただの技能だけを駆使して一騎当千たる猟兵たちを川歯痛dけているのだ。
故に、これは歓喜だ。
「そして、さようなら」
その感情に呼び寄せられるようにして現れるは、空間さえ切り裂いて降り立つ『バルバロッサ』であった。
「赤……黒い、鋼鉄の巨人?」
「オブリビオンマシンという。そして、我が御旗の威光を見よ」
フリッツはオブリビオンマシン『バルバロッサ』と一体化し、戦場を駆け抜ける。
己が心拍が如く高鳴るはジェネレーター。
出力の高まりを感じさせるようにしてアイセンサーがッ煌めく。
高密度の|靄《オーラ》を噴出しながら、一気に鋼鉄の巨人と呼ばれたオブリビオンマシン『バルバロッサ』、そしてフリッツが戦場に残光を刻み込む。
「か、硬い……! 全身が本当に鋼鉄なんだ!」
「その通り。ライフル程度では傷すらつかぬよ」
たまらず『はじまりの猟兵』が後退する。その殿を務めるように宙を奔るライフルたちが『バルバロッサ』へと弾丸を叩き込む。
無駄だ。
けれど、フリッツは違和感を覚えた。
この弾幕。やけに多い。
まるで装甲に当てて音を反響させている……いや、させるためにあえて効かぬと理解して弾丸を打ち込んでいるのだとさえ思えるのだ。
「ここから足掻くのか」
面白い、とフリッツは笑う。
どんな劣勢であっても、諦めることはない。
それこそが『はじまりの猟兵』の最も優れたる才覚にして素養であったのかもしれない。
センサーが狂うほどの反響する弾丸の音。
そのさなかにフリッツは理解する。
踏み込まれた、と。
「如何に鋼鉄の巨人と言えど、中に人がいるんですよね。なら」
コクピットハッチを強引に引き剥がされていた。
『はじまりの猟兵』が生身で『バルバロッサ』に接近していた。後退していると見せかけての弾幕に寄るセンサー障害を加え、その隙にオブリビオンマシン最大の急所であるパイロットを直接狙ってきたのだ。
「これが君の持てる全てか。ならば!」
集約したエネルギーが全方位に放たれる。
己が砲撃すれば必ず彼女は避ける。だからこそ、全方位。肩部に配されたレーザー砲と共にフリッツは戦場となった森ごと焼き払うようにして『はじまりの猟兵』を追い詰めるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
李・玉明
うむ! はじめましてじゃのぅ!
お主が声はちゃんと妾たちに届いたのじゃ!
はじまりの猟兵の話したいこと、伝えたいことを聞かせてもらうために。
ぶつかり合ってわかり合うのじゃー!
禁軍猟書家との戦いで妾の所に来た第一の猟兵の武器、リュートを奏でながら歌うのじゃよ!
妾は、はじまりの猟兵みたいに戦場の戦い方は知らぬ。
けれど、歌って踊って楽器を演奏して、戦いに加わることはできるのじゃ!
聴いてください、天変万物地異流転!
ライフルの攻撃を空中を浮遊する舞踊で回避しながら、森の中をハチャメチャにするのじゃ!
戦場の作法で勝てぬなら、戦場そのものを失くしてしまうのじゃー!
大地が鳴動して、天空が驚き転がる大演奏なのじゃ!
凄まじい火砲が戦場となった森を焼く。
燃え盛る戦場は、まさしく煉獄の如く。
その中に『はじまりの猟兵』は立っていた。これだけの戦いがあってなお、彼女は未だ健在だった。
単純なユーベルコードしか保ち得ぬというのに、彼女が今もなお生き残っているのは『戦場の戦い方』を熟知しているからだ。
時に欺き、時に欺瞞を撒き散らし、あらゆる状況に対応する柔軟性。
それこそが彼女が最も優れたる武器であった。
「さすがは六番目の猟兵……ここまで奇想天外だなんて」
「うむ! はじめましてじゃのぅ! お主が『はじまりの猟兵』か!」
李・玉明(豪華絢爛西欧天女・f32791)は、炎の戦場にありて拱手でもって一礼する。
どんなときだって礼儀は忘れない。
そういうものだ。
「お主の声がちゃんと妾たちに届いたのじゃ!」
「ありがとうございます。けれど、今は」
「うむ! ぶつかり合ってわかり合うのじゃー!」
玉明は踏み込む。
迫るはライフルの弾丸。あれを受けるわけにはいかない。
即死の可能性さえあるユーベルコード。
彼女が保ち得るユーベルコードの中において、一際強烈な力であろう。だが、玉明が警戒していたのは、窮鼠猫を噛むようなユーベルコードの一撃ではない。
手にしたリュートの弦が震える。
「……それは」
「禁軍猟書家との戦いで妾の元に来たのじゃ!『はじまりの猟兵』よ、妾はお主のように戦場の戦い方を知らぬ。けれど、歌って踊って楽器を演奏して、戦いに加わることができるのじゃ!」
「音楽……!? それが一体」
「こうするのじゃ! まずは、一曲聴いてください、天変万物地異流転(ナチュラルモード・ロックンロール)」
敵が戦場での戦い方を熟知しているというのならば、玉明は、戦場というテクスチャーそのものを塗りつぶす。
舞踊のように彼女は迫る弾丸を躱しながら炎の戦場を塗りつぶす。
大地鳴動。
驚天動地。
まさしくそう言うに他ならぬほどに属性が乱舞し、目まぐるしく変わる。
炎は水に、水は風に、風は雷鳴に。
次々と変わっていく戦場に『はじまりの猟兵』は戸惑っていた。
「これは……こんな規格外な力を振るうことができるなんて!」
「妾の曲じゃ、歌じゃ、世界そのものが妾の歌を聴いてくれているのじゃ! それが!」
竜巻が巻き起こり、津波がせり上がり、動植物が蔓延る。
森と呼ぶには最早、あまりにも渾沌じみていた。
「こんなにも……!」
「そうじゃ。お主が汎ゆる技能を駆使して戦うように、妾は世界そのものを使って戦う。歌は響く。どんな戦場にだって歌は響くのじゃ」
玉明はユーベルコードに輝く瞳で『はじまりの猟兵』を見つめる。
これが彼女のもたらした戦う力だ。
世界の敵に対抗するための力。
罪深き刃と呼ばれようとも、それが生命を生かしてきたことに変わりはない。
故に玉明は戦うというよりも、笑う。
笑って、歌う。
これが生命賛歌、と。
生命を謳歌することだと示すように『はじまりの猟兵』に己を示すように歌い続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
せいぞんせんりゃくー!
なにって、生き残るためですよ!
なんでこんなにシリアスなんですか!?|始まりの猟兵《ぽんこっつ》さん、紙芝居っていってたじゃないですかー!
紙芝居がだめなら、人形劇でも講談でもいいですから!
とりあえず何か演目を! そしてわたしに甘いものを!
紙芝居屋さんなら、お菓子とか持ってますよね!
痛いです……戦わないとダメなんです?
それじゃ、わたしたちが勝ったら、猟兵のお話とかききますから、
そのときは練乳用意してくださいね。
それでステラさん、どうしましょうか!
いえほら、シリアスに対抗するにはステラさんのやべーしかないかな、と!
わたしは応援も兼ねて、後ろで演奏してますのでー♪
ステラ・タタリクス
【ステルク】
貴女様がはじまりの猟兵……!
ええ、戦う力などただのカタログスペック
私たちを猟兵足らしめている者は祈りに応える愛
それが世界を歪ませるのだとしても
私たちはその道を征く覚悟があります
ちょっと待ってくださいね
うちの勇者が暴れてまして
本当に申し訳ありません(スリッパで頭すぱぁぁんっ
ルクス様ステイ
あと誰がやべーメイドですか
まぁ演奏が最適解という気もします
戦場に歌は必要なく、されど生きるためには歌が必要な時もある
ええ、明けぬ夜はないと、朝は必ず来るのだと
歌いましょう、|暁の歌《オーバード》を
【アウルム・ラエティティア】――黄金のような喜びを此処に
貴女様を謳いましょう
そして私たちは未来へ進みます!
戦場を塗りつぶすは歌。
その歌を聞き『はじまりの猟兵』は骨格の仮面の奥で笑むようだった。
どれだけこの力が罪深き刃と呼ばれようとも、それでも選んだことに後悔はなかった。
故に、彼女もまた覚悟を決めているのだ。
オブリビオンへと変貌しても、それでも後に託せるものがある。
眼の前に待ち焦がれた六番目の猟兵たちがいるのだから。
「まだです、六番目の猟兵さんたち。わたしは、まだ生きていますよ!」
彼女の周囲にライフルが浮かび、さらなる弾丸を持って猟兵たちを圧倒する。
戦場が塗りつぶされようが、それでも即応して生き残るための戦いを行える。
それこそが彼女の真の強さであった。
「貴女様が『はじまりの猟兵』……!」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は理解していた。
彼女の身体能力やユーベルコードが如何に単純なものであり、語る通り弱いものである、と。
けれど、それは瑣末事であった。
「ええ、戦う力などただのカタログスペック。私達を猟兵たらしめているものは、祈りに応える愛。それが世界を歪ませるのだとしても、私達はその道を征く覚悟があります」
その言葉に『はじまりの猟兵』は頷く。
止まらないこと。
どれだけの困難が眼の前に迫るのだとしても、それでもなお前に進む気概。
それがなければ、力など唯の力でしかない。
故に、猟兵として戦うのならば意志なくば勝利を得ることなどできはしないのだ。
そんなシリアスな雰囲気にルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は耐えかねたように叫んだ。
「せいぞんせんりゃくー!」
「なんです?」
「あ、ルクス様、今はシリアスの時間ですよ」
「生存戦略、それは生き残るための戦略です! なんでこんなにシリアスなんですか!?」
それは最終決戦というか、局面であるからだ。
そういうもんなのである。
「|『はじまりの猟兵』さん《ぼんこっつ》、紙芝居って言ってたじゃないですかー!」
「それは最終手段というわけで」
「紙芝居がダメなら、人形劇でも講談でもいいですから! とりあえず、何か演目を! そしてわたしには甘いものを!」
「はいはい、ちょっとお待ち下さいね。うちの勇者が暴れてまして。本当に申し訳ありません」
「紙芝居屋さんなら、お菓子とか持ってますよね! 紙芝居にはお菓子が必須ですよね! そうですよね!?」
そこまでいってルクスはステラのスリッパに後頭部をぶっ叩かれていた。
いい加減に、と言うようであった。
「ルクス様ステイ」
「うわーん! 痛いです……戦わないとダメなんです?」
「それは……はい、そうです」
「じゃあ、わたしたちが勝ったら、猟兵のお話とか聞きますから、その時な練乳用意してくださいね」
「れ、れん……?」
「いい加減に」
また快音が響いた。
なんていうか、ペースを乱されっぱなしであった。
「シリアスに対抗するならステラさんのヤバさしかないですよね! 三十六世界どこでも追いかけ回すヤバさ……」
「誰がやべーメイドですか」
言うまでもないがステラのことである。
「あの、そろそろ……」
「おっと、これは失礼いたしました」
参りましょう、とステラの口腔から迸るはユーベルコードであった。
衝撃波を伴う歌声と共にステラは語る。
戦場に歌は必要ない。けれど、生きるためには歌は必要だった。
何かを伝えるための歌であっただろうし、その内容は様々であった。
だからこそ、伝えねばならない。
「ええ、明けぬ夜はないと、朝は必ず来るのだと。歌いましょう、|暁の歌《オーバード》を。黄金のような喜びは此処に」
「わたしは演奏してまーす♪」
「それが余計なのですが、貴女様に謳いましょう。私達は未来に進むと!」
響くはあらゆる耳栓・遮音物を貫く音の洪水と歌声。
「そ、相殺しながら迫ってくる衝撃波……これって……!」
「そう、私の耳に迫る破壊音波を相殺する力。特定の音に反応するのです!」
『はじまりの猟兵』はそこまで特定にメタはった力ってある? と思いながら、しかし迫る衝撃波に吹き飛ばされるしかなかったのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
猟兵語りのはじまりはじまり~って
それならまず|第一猟兵《はじまり》についてから語るべきなんじゃない?
んもー洋ドラじゃないんだから引き延ばしはダメだよ~
●団子さんky…スリーダンゴブラザース!!
戦場であらゆる手を尽くすっていうなら戦場ごと!
ポンと空飛ぶ[球体]くんに乗ってそのままUC『神罰』パワーでその球体くんを超拡大!
して戦場全体をドーーーンッ!
まだまだー!さらにその上からもひとつドーーーンッ!
そしてこれでー!団子さんきょうd…スリーダンゴブラザーズでドーーーンッ!!
さぁ約束通りそのお面の下を見せてもらうよ~ほらほら~(ぐいぐい)
えー?そういうお話じゃなかったっけ…?
戦場に歌が響いている。
そのどれもが生命の煌きにも似たものであったことだろう。
誰もが歌を持っている。
言ってしまえば、それは主題歌だと思えたことだろう。
「猟兵語りのはじまりはじまり~って、それならまず|第一猟兵《はじまり》についてから語るべきなんじゃない?」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)の言うことは尤もであったことだろう。
けれど、『はじまりの猟兵』は、二番目から五番目の猟兵について語りたいと言った。その言葉の意味を考えるのならば、全ての真実を語ることができない以上、己のことを語るよりも優先度が高い情報であることが伺いしれるだろう。
「んもー洋ドラじゃないんだから、引き伸ばしはダメだよ~」
「それは本当に申し訳なく思っているんですけれど、誤った情報を皆さんに渡してしまう確率のほうが高いんです。それはわたしの望むところではないですから」
『はじまりの猟兵』の言葉にロニはぶーたれた。
体よくあしらわれたような気がしたからだ。
「でもまあ、戦わなければ何も得られないっていうのは、賛成かな!」
「はい、ですから戦ってください。本気の本気、命をかけた戦いの最期にしか私は真を語ることができないですから」
「なら! 戦場ごと潰してあげるよ!」
ロニは空中を飛ぶ球体へと降り立つ。
ユーベルコードに輝く瞳が己が立つ球体の最大経を引き上げていく。
まるでピンチアウトのように拡大されていく巨体。
「本気でとはいいましたが、やりすぎじゃないですか?」
「そんなことないない。これくらいしなきゃね!」
ロニの瞳は、神罰(ゴッドパニッシュメント)に輝く。
単純明快な力。
多種多様な技能を手繰る『はじまりの猟兵』が小細工、策を弄するというのならば、それを真正面から打ち砕くのは純粋な力だ。
故に、ロニは球体を叩きつける。
容赦などない。
「はい、ド――ンッ!」
叩きつける。
単純明快である。どんな小細工も力を前にしては無意味になる。小細工が通用するのは、そこに隙があるからだ。
複雑怪奇になればなるほどに隙が多くなる。
ギミックの多い機構が強度を確保できないのと同じだ。
それ故にロニは。
「もうひとつド――ンッ!さらにもうひとつド――ンッ!」
笑って、単純明快な力を叩きつけ続ける。
「これでだんご三兄弟! スリー団子ブラザーズでドーンッ!!」
叩きつけられた球体は、戦場にそびえ立つオブジェのようだった。
諸々権利問題が危ういところである。
面白がるようにロニは叩きつけた球体の上に立つ。
これでもなお、『はじまりの猟兵』は倒せないだろう。
けれど、構わない。
いつだってそうだけれど、猟兵の戦いというのはこういうものだ。
「めちゃくちゃがすぎません!?」
「そういうものだよ! さあ、約束通り、そのお面の下を見せてもらうよ~」
「そんな約束はしてませんけど!?」
迫るロニから逃げるようにして『はじまりの猟兵』は脱兎のごとく戦場を駆け抜けていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ティグリ・ブリヤジール
……よしだいたいわかったのだー!とりあえずやっつけてから色々考えるのだ―!
とはいえ隙が無いのだ―……できる相手なのだー
こうなったら切り札なのだ―!戦場でかき集めた残骸で組んだ機体『オルグ・ケストル』をぐりもありょーへ―さんに転送してもらうのだ―!そしてUC発動なのだ―!それで、この機体を…持ち上げてライフルの盾代わりにしながら進撃するのだ―!
相手がライフルの集中射撃で壊しに来たら「|武器《キャバリア》を投げつけ」るのだー!
投げた機体を盾にして突撃、至近距離でのグレネードを足元にぶつけて視聴嗅覚にあたっく!必要なら足元を蹴って砂かけ目潰しだってやるのだー!そしてそのまま二刀流で攻撃するのだー!
それぞれに事情というものがある。
ティグリ・ブリヤジール(トラの戦闘猟兵・f40385)は学んでいた。
己が部隊の隊長や先輩たちから多くを学んでいた。戦い方だけではないだろう。隊員たちとのコミュニケーション。
一見、戦いに関係のないことこそが、戦いを支えるものだと。
故に、ティグリは『はじまりの猟兵』の言葉に頷く。
「……よしだいたいわかったのだー! とりあえずやっつけてから色々考えるのだー!」
難しいことはわかんない。
なら、自分にできることをしなければならない。
戦ってくれ、というのならば戦い。
たとえ、それが命をかけた戦いであっても、ティグリは臆することはなかった。
眼の前にいるのは歴戦にして何としても生き残るという『戦場の戦い方』を熟知するものであった。
「それえいいのです。わたしと戦って、そして、その先にみなさんが向かってもらうためには」
『はじまりの猟兵』のライフルが宙に浮かぶ。
ひとりでに引き金が引かれ、弾丸が宙を奔る。
ティグリは、隙がない、と思っただろう。
はっきり言って技量だけでいうのならば、『はじまりの猟兵』は自分たちよりも上だ。
あらゆる戦いに関する技能が高水準に至っている。
それらを全て惜しげもなく使って此方を追い詰めようとしている。
「できる相手なのだー! こうなったら切り札なのだー!」
瞬間、ティグリの眼前に降り立つは一騎のパンツァーキャバリアであった。
あまりにも不格好な姿。
寄せ集めた残骸で組み上げられたそれは、どうしてパンツァーキャバリアとして機能しているのか、そして動くことができるのか、まるで不明であった。
言ってしまえば、残骸の塊だった。
名を『オルグ・ケストル』。
その不気味な塊となった機体はティグリによって持ち上げられ、本来の用途とは程遠い使い方によって迫るライフルの弾丸から身を隠す盾へと変貌するのだ。
「それって本当にそう使うものですか!?」
「きっとこうなのだー!」
「本当に!?」
ティグリにとって、それはよくわからない塊だった。
ただの鉄塊にしか思えなかったし、事実使い方としてはそのようなものであった。ただ、残骸を張り合わせたパンツァーキャバリアの区分に位置する、というだけの代物。
それを彼女は、己が膂力をユーベルコードにまで昇華し振るうのだ。
なにせ、手でつかめる部位……即ち、砲身はティグリにとって柄でしかない。
「えいやー! なのだー!」
ティグリは、『オルグ・ケストル』を『はじまりの猟兵』へと投げ放つ。
どう見ても、投擲武器ではない。
けれど、ティグリにとってみれば、それは立派な投擲武器でしかないのだ。
「本当に違いますよね、それ!?」
『はじまりの猟兵』にとって、ティグリはセオリーというものが通じない相手であった。
汎ゆる行動が規格外。
何をどういったところで、ティグリはきっと理解しないだろう。
「くっ……!」
「そこにグレネードなのだー!」
放つは閃光と爆音、そして悪臭を撒き散らすグレネード。
だが、その不意をついた一撃を『はじまりの猟兵』は躱す。予測できていたと言わんばかりに踏み込んできたのだ。
ティグリの前脚が大地を蹴り上げ、砂を持って『はじまりの猟兵』へと目潰しを敢行する。
それさえも躱し『はじまりの猟兵』はティグリに踏み込む。
最大の武器を投げはなった彼女に防ぐ手立てはない。
「これで終わりじゃないのだ!」
抜き払うは軍刀。
二振りの残光が煌き、ティグリは『はじまりの猟兵』に斬撃を見舞うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
星野・祐一
「例え正気を保っていてもオブリビオンである以上は打倒するしかない、か」
SPD
「…ま、暗くなっても始まんねえか。全力で行くぜ!」
それで、だ…3つのUCを使ってくるたぁ羨ましいことで
瞬間思考力で弾道計算して射線に入らないよう常に見切らないとな
UCで先制攻撃を仕掛けるのと同時に無数のホログラフ残像を放ち
ホロと雷球の光に紛れながら流星/彗星の2回攻撃でマヒ攻撃を蓄積させる
体勢が崩れる程に蓄積したの見計らい再度UCを使用。次は同時に迷彩を起動して姿を隠し
ライフルに気を付けつつ接近したらエネルギー充填済みの雷鳴の零距離射撃を叩き込むぜ
「これが最新戦術の一つさ。あんたのお眼鏡にかなうといいが!」
アドリブ歓迎
『はじまりの猟兵』はまごうこと無きオブリビオンである。
対峙すればわかる。
どうしようもなく眼の前の存在が世界の敵であり、猟兵である己が打倒しなければならない存在であると。
そして、それは相対する『はじまりの猟兵』にとっても同様のことだっただろう。
「例え、正気を保っていてもオブリビオンである以上は打倒するしかない、か」
「ええ、そのとおりです。戦って、全力のわたしを倒して初めて、私は真の情報を皆さんに語ることができます。だから」
戦うしかないのか、と星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は頷く。
こんな形で正直出会いたいともは思わなかった。
誰もがそう思ったことだろう。
『はじまりの猟兵』は即ち、己達猟兵の祖とも言うべき存在だ。
どんな存在であっても過去になることをやめられない。
己たちが立っている大地は今、多くの死を踏みしめることによって成り立っているのだと否応なく理解させられる。
「……ま、暗くなっても始まんねえか。全力で行くぜ!」
祐一は一気に踏み出す。
放り投げた雷球が一瞬で破裂音と共に……いや、音よりも疾く戦場に広がり、雷撃となって『はじまりの猟兵』を穿つ。
「疾い……!」
「聞こえた時には、手遅れだ!」
サンダークラップの一撃と共に帯電するスパークによって『はじまりの猟兵』の体躯へと異常を付与する。
加えて、無数のホログラム残像を解き放ち、熱線銃の一撃を叩き込む。
体勢を崩した、と祐一が判断した瞬間、『はじまりの猟兵』の仮面の奥の瞳が輝く。
ユーベルコード。
怖気が奔るほどの強烈な感覚に祐一は理解する。
これが戦場の戦い方。
敵に何もさせないのも、戦場の戦い方であろう。
時に卑怯姑息と言われる戦い方であるが、しかし、生き残ることが勝者であるというのならば、これほど正しい戦い方もない。
故に祐一は知るだろう。
己の先手必勝たる一撃を『はじまりの猟兵』は、こちらを引き付けるためのブラフにしたのだ。
迷彩を起動する。
だが、遅い。
それよりも疾く『はじまりの猟兵』が踏み込んでくる。
「今までのは三味線弾いてやがったのか!」
「敵を欺くのまた戦い方一つです!」
雷撃を受けて動けないと見せかけて、攻撃を敢えて受ける。
そのブラフを持って彼女は祐一に肉薄する。まずい、と思っただろう。
彼女の脳には既に攻撃プログラムが幾重にも書き込まれている。自動的だが、これ以上ないほどに効果的だった。
「だがよ! これが!」
祐一はエネルギーを重点した熱線銃を『はじまりの猟兵』へと突きつける。
ゼロ距離。
『はじまりの猟兵』にとって、彼我の距離を詰めることは必須だった。
だからこそ、祐一は狙っていたのだ。
敵の初撃に合わせた一撃。
「最新戦術の一つさ。あんたのお眼鏡にかなうといいが!」
炸裂した熱線銃のエネルギー。
その爆発はゼロ距離故に祐一すらも巻き込むものであったが、しかして『はじまりの猟兵』に痛手を負わせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
…オブリビオン化は色々と厄介だな…本当に…
…弱いと自称する奴が厄介ではなかった試しがあるだろうか…油断禁物…
…攻撃手段は…「主に」ライフルとみるべきか…
…現影投射術式【ファンタスマゴリア】で自分の幻影を作り出して囮にして死角から術式装填銃【アヌエヌエ】で攻撃をしよう…
そして【空より降りたる静謐の魔剣】を発動…はじまりの猟兵の行動を制限するように魔剣を発射して足止め…
…今まで幻影に取らせていた行動を自分が、死角からの攻撃を囮に行わせることで囮と私を誤認させて氷剣による一撃を叩き込むとしよう…
…不意の一撃に備えて念のためUC発動時に硬度を高めた氷剣を幾つかローブの下に仕込んで急所を守っておこう…
過去の化身、オブリビオン。
その存在は過去の堆積に歪み、滲み出ることによって世界の脅威となる存在である。
オブリビオン化するということは、即ち死せるということ。
「……本当に……」
厄介極まりない、とメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は思う。
『はじまりの猟兵』。
彼女を求めた多くのオブリビオンがいた。
この獣人世界大戦は、彼女の存在が契機となって勃発したようなものだった。
「確かにわたしは弱いです。けれど」
「……弱いと自称するやつが厄介でなかった試しがあるだろうか……」
『はじまりの猟兵』の言葉をメンカルは鵜呑みにしなかった。
その証明とするように数多の亮平たちのユーベルコードを受けきってなお、『はじまりの猟兵』は立っている。
汎ゆる技能を惜しげもなく、生存するために臆面もなく使うことができる技量。
いずれもが高い水準でなければできぬことであるが、しかし、彼女はこれを使いこなしていたのだ。
故にまだ立っている。
メンカルは冷静に分析する。
彼女の主武装はライフルだろう。だが、主に、と見るべきだ。どんな武装を隠し持っているかわからない。
事実、猟兵たちに対してライフル以外の打突による攻勢すら仕掛けて見せていた。
恐るべきことである。
きっと、己が生み出した術式に寄る幻影すらも看破するだろう。
「本当に六番目の猟兵の皆さんの戦い方は千差万別ですね!」
「……」
メンカルは答えない。
彼女の言葉は心からのものであろうが、彼女は、その言葉による心理戦すら仕掛けてくる。隙を見せれば、一瞬で喉元を食い破られるとさえメンカルには思えたのだ。
放つ術式装填銃の弾丸さえも彼女は躱す。
不意打ちなど看破していると言わんばかりの挙動であった。
「……加えて、あっちの攻撃は一撃死が在り得る弾丸と来たものだ……戦術とユーベルコード、この二つを高い水準で組み合わせることで、此処まで脅威とは……」
メンカルの瞳がユーベルコードに輝く。
空より降りたる静謐の魔剣(ステイシス・レイン)でもって彼女は魔剣を操作し、一気に己の囮と合わせて『はじまりの猟兵』を取り囲む。
スイッチング。
今まで幻影の囮に取らせていた行動を己が取り、本体たる己が取っていた行動を幻影に取らせる幻惑。
これでどうにかなるとは思わない。
まだ彼女は己がユーベルコードによって生み出した剣がただの刀剣を飛ばす程度のユーベルコードでしかないと思っているだろう。
ゆえにメンカルは凍結させる氷の属性持つ剣の一撃をひた隠しにして、この不意打ちを成功させるのだ。
「……!」
「確かに面白いです。でも、ただの剣なわけがないですよね。だったら」
『はじまりの猟兵』は立ち止まっていた。
剣が己に突き立てられる瞬間に構えていたのだ。
何の、と言うまでもない。ライフルの射撃体勢。それはメンカルを狙うもの。幻影に目もくれず、本体たる彼女を狙う銃口。
迸る銃弾。
必中にして必殺。
だが、メンカルはさらに策を講じていたのだ。
ローブの下に仕込んでいた氷剣。
これをもって彼女は即死たる一撃を防いでみせたのだ。
「……危なかった」
「流石は……!」
互いに言わんとすることはわかる。
謀り合いにおいて、互い以上の存在はいないと認め合うような僅かなる視線の交錯。されど、戦いはまだ続くのだ。
メンカルと『はじまりの猟兵』は互いに銃撃と剣戟とでもって打ち合い、まるで踊るように戦場を疾駆するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
……行きます。
デモニック・ララバイ操縦。
ドロモス・コロス達を召喚【オーラ防御】守りを固めライフルを防ぎ、
殺戮音叉発射[回点弾]発動。撃ちだした殺戮音叉に【念動力】で回転を加え【貫通攻撃】、更に弾道変化ではじまりの猟兵へと誘導、攻撃する。
そして、このユーベルコードと同時に使用するユーベルコードは─
『さてー、私を持ってきたってことは奏者!歌うのかい?歌うのだろう!?そうだねぇ、此処はナイアルテ君にあやかって[君の歌]でも─』
クレイドル・ララバイを遮る。
此処は少し、ズラします
【楽器演奏】己が【闘争心】と【優しさ】を込めて[幻想太陽曲]演奏。
戦場に、このシベリアの大地を照らす幻想の太陽を召喚する!
明けぬ夜が、ないというのであれば!どれほどの闇が世界を覆おうとも!
猟兵が|明かす《壊す》のだと、彼女にそう見せつけるのだ!!
だから、世を照らせ、幻想太陽!!!
灼熱の陽光を以て【範囲攻撃】闇を【浄化】し、殺戮音叉念動弾ではじまりの猟兵を日の光の下へと引きずり出し、焼き滅ぼしながら、その身を温かい陽光で包む
戦いの場は大いに荒れていた。
森であった場所は炎へと変じ、さらには多くの驚天動地たる光栄に変わり果てた。
だが、それでも『はじまりの猟兵』は立っている。
多くの猟兵たちのユーベルコードを受けてなお、それでもまだ立っている。
恐るべきことである。
彼女は最古の猟兵。
ユーベルコードすら、古典的とも言えるものしか保ち得ていない。
それでも彼女は己が戦いに特化した技能を手繰り、これを迎え撃ち続けている。
「まだです、六番目の猟兵さんたち!」
己はまだ最期に至っていないと言うように叫ぶ。
「……行きます」
その言葉に朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は応えるようにしながら『デモニック・ララバイ』、そして随伴する『ドロモス・コロス』と共に戦場を疾駆する。
迫るは必殺の弾丸。
一定確率とは言え、その即死を齎す弾丸は脅威そのもの。
故に小枝子は己が乗騎から殺戮音叉を解き放ち、これを撃ち落とす。
だが、限度がある。
「鋼鉄の巨人……それさえも皆さんは手繰るのですね!」
「……ッ!」
強い。
体格差、ユーベルコードの多彩さ、汎ゆる点において現行の猟兵が最古の猟兵たる『はじまりの猟兵』に劣る理由はない。
されど、彼女は在り得る戦闘技能を全て駆使することによって、この不利を容易に覆しているのだ。
『さてー、私を持ってきたってことは、奏者! 歌うのかい!? 歌うのだろう!? そうだよねぇ! ここまで盛大にして長い前フリってものがあったんだから、そりゃもう此処で謳わなければ嘘ってもんだよ。そうだろ? いや、みなまで言わなくても私にはわかっているよ! 全部まるっとお見通しってやつさ、此処はあやかって行こうじゃあないか!』
「理解語りませんね」
『んんっ!? どういうことだい!?』
「此処は、少しズラします」
これが最後の戦いだというのならば、それは締めくくるに良い歌であっただろう。
けれど、小枝子は思うのだ。
此処が終わりではない。
破壊することしかできない己であっても、けれど、闘争心だけではないことを示さねばならない。
いつだってそうだ。
戦いとは非情なるもの。
誰もが傷ついていく。それをやめられないし、停めることできない。
だからこそ、優しさというものが必要なのだ。
この戦場に照らすものが必要だと小枝子は思った。
だからこそ、高らかに叫ぶのだ。
「明けぬ夜が、ないというのであれば! どれほどの闇が世界を覆おうとも!」
小枝子の瞳がユーベルコードに輝く。
『奏者、これは……!』
小枝子の瞳が燃えている。
いつものような苛烈さを湛えながら、しかし、心の内にあるのは優しさだった。
相反する感情は内在することはできないだろう。
だが、それを決めたのは誰だ。
誰も決めていない。
己の心を決めることができるのは己のみ。
故に小枝子は叫ぶ。
「ああ、これが……」
「そうだ! 猟兵が|明かす《壊す》のだと、見せつける! だから、世を照らせ、幻想太陽!!!」
響くは機体より溢れる音。
演奏と呼ぶには拙くて。
激情と呼ぶにはあまりにも優しい。
その音色とも旋律とも言えぬ音は、戦場に強烈な幻想なる太陽を生み出す。
それこそが、幻想太陽曲(サン・ファンタジア)である。
小枝子が生み出した太陽は戦場にとどまり、暖かい陽光を持って『デモニック・ララバイ』の装甲に穿たれた銃痕を修復し、さらに灼熱の陽光が『はじまりの猟兵』へと降り注ぐのだ。
「その身が闇に覆われているのならば、照らすまで! 自分は、自分たちは、そういうものだ! だからこそ!」
「だからこそ、前に進んでいるのですね。わたしは、そんなあなたたちだからこそ、待ちわびていた」
真の情報が如何なるものであったとしても、小枝子たちは立ち止まらない。
その強さを宿しているからこそ、託すことができるのだというように、陽光の元に仮面の奥で『はじまりの猟兵』は笑むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ジェイミィ・ブラッディバック
「はじまりの猟兵」、貴女には敬意を表したい。
ですが、まずは一手お手合わせを。
猟兵、ジェイミィ・ブラッディバック。
またの名をJaeger Model Executioner……参ります。
あちらは純粋な戦闘技能に関しては上。しかしその実「既存の戦術の組み合わせ」となる。であれば、蓄積された猟兵の戦闘記録のデータベースから類似の事例を導出、最適な対抗戦術を瞬間思考力で編み出します。
敵UCは特に予測しやすい。WHITE KNIGHTによる未来予測で回避し、WORM KILLERとAEGIRで動きを封じ、LONGINUSでトドメを。
共に戦う者にオブリビオンとの戦い方を教えた貴女の手法は、時を越えて今も有効でした。
クロムキャバリア世界のアンサズ地方では、かつて貴女と共に戦った獣人と同様に、オブリビオンに対抗する術を人々が編み出した。「O事案マニュアル」……私が提言したものですが、同様の事を私よりもはるか昔に貴女が実施していたと知り、尊敬の念を覚えました。
……ありがとうございます、偉大な先達よ。
暖かで、しかし降り注ぐ太陽の光は『はじまりの猟兵』を覆う闇を拭うようであった。
その闇が如何なるものかはわからない。
けれど、ユーベルコードを罪深き刃と呼び、それに縋ることこそが弱さであったというのならば、確かに彼女は語る通り弱者であったのだろう。
だが、それは正しくはないだろう。
ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/Mechanized Michael・f29697)は少なくともそう思う。
彼女の強さとは、力の強弱だけにて語れるものではない。
駆体の性能でもない。
身体能力の上下でもない。
はたまたユーベルコードの多彩さでもない。
あるのは、その意志だ。
強靭なる意志。例え、罪深きと謗られることがあったとしても、それでも前に進み続けることのできる意志を持つことこそが、彼女の最大の武器であった。
「『はじまりの猟兵』、貴女には敬意を表したい」
「わたしは褒められたものではないです。ただ、立ち止まらなかっただけです」
「ご謙遜を。ですが、まずは一手お手合わせを」
「いいえ、一手から全開で参りましょう。そうでなくては!」
互いに語るところに真はない。
そういうように『はじまりの猟兵』はジェイミィに迫る。
「ならば、応じましょう。猟兵、ジェイミィ・ブラッディバック。またの名をJaeger Model Executioner……参ります」
迫るは超高速の連続攻撃。
ライフル、五体による打突、さらには隠し武器による攻勢。
汎ゆる手段をプログラムし、あらかじめ脳にインストールすることによって精密なる動きと、あらゆる状況に対応するルートを手繰るのが『はじまりの猟兵』であった。
己より強大な敵との戦いに慣れているとも言える。
それほどまでに彼女の動きは凄まじかった。
純粋な戦闘技能だけで言うのならば、最古の猟兵たる彼女を凌ぐものはいなかっただろう。
だからこそ、ジェイミィは思う。
蓄積された猟兵の戦闘記録。
そのデータベースに類似する点が見受けられる、と。
故にそこから最適な対応戦術を引き出し、編み出していく。
特に『はじまりの猟兵』の攻撃プログラムは読みやすい。
「N.E.U.R.O. DATABASE [ver.6.1] launch...completed. Welcome back.」
ジェイミィの瞳がユーベルコードに輝く。
初撃を躱す。
だが、その初撃を躱されるという事態を想定したプログラムが『はじまりの猟兵』の中に走り抜け、更に即応してくるのだ。
なんということであろうか。
獣人の反射速度と、あらゆる状況を想定したプログラムをあらかじめ組み込む先見の明。
それを手繰るは、百戦錬磨の猟兵。
これまで戦ってきたオブリビオンの中において、もっとも戦いづらいと言える者。それが『はじまりの猟兵』であった。
だが、ジェイミィもそれらを回避する。
予測と演算。
この速度をウォーマシンである己に勝る者はいない。
故に、踏み出し、スタンニードルランチャーを突きつける。
外しはしない。
ジェイミィは思う。
共に戦う者に異界からの侵略者と戦う術を伝えたのが彼女であるというのならば、それは時を超え、世界を変えてもなお有効そのものであった。
多くの者が、それで救われただろう。
戦い方を知らぬままに死せる生命がどれだけ救われただろう。
無為に失われる生命が減り、そうすることで世界は破滅を迎えることなく今まで続いてきたのだ。
どんな物事にもはじまりはある。
そのはじまりの一歩を果敢にも踏み出した者がいる。
「貴女のおかです」
「わたしがしたことは一歩を踏み出しただけ。その後に続く連綿とした道筋を歩むことをやめなかった者たちがいたことこそがわたしの誇りです」
「……尊敬の念を覚える他ありません」
ジェイミィは引き金を引く。
意識しなくてもできる。ニードルランチャーから放たれる一射が『はじまりの猟兵』を捉え、吹き飛ばす。
彼女は己の一歩を他愛のないものだと言う。
けれど、やはりジェイミィは思うのだ。
「……ありがとうございます、偉大なる先達よ」
その一歩がなければ何もはじまることはなかったのだ。
己の戦いも。
悲哀に満ちる人々を救うことも。
故にジェイミィは感謝と共に『はじまりの猟兵』を打ち倒して前に進むことこそが、己の邁進すべき道だと知るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
アドリブ歓迎
状況了解であります、はじまりの猟兵殿!
それでは思う存分心残りがないほどに!
全力フルパワーで戦いに臨みマース!
いざ尋常に、デスガ持ち得る手段を活用して、勝負デース!
最弱こそが最も恐ろしいという事実、改めて噛みしめマース!
卑怯姑息は誉め言葉、戦場では生き残った者が勝ちなのであります!
なので、取りこぼしの無いように!
全武装の一斉発射!
ライフルで戦うはじまり殿に、圧倒的火力で応戦しマース!
グレネードランチャーやガトリングガン、火炎放射器で罠や地形ごと吹き飛ばし!
パイルバンカーやチェインハンマー、チェーンソードで罠や銃弾を蹴散らして!
最大火力でアタックしマース!
遠慮なく叩き潰しに参りマース!
打ち込まれたニードルランチャーの一撃受けてなお、『はじまりの猟兵』は立つ。
継戦能力の凄まじさは言うまでもない。
己が生命が尽きるのが刹那であろうとも、それでもなお戦うことへの意志を潰えさせぬ瞳が骨格如き仮面の奥の瞳に宿っていた。
故にバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は、その意志に頷く。
戦わなければならない。
どんな事情があろうとも、どんな状況があろうとも、それを望む者がいて、そうすることでしか伝えられぬのだと言うのならば、バルタンは躊躇わない。
「『はじまりの猟兵』殿! 思う存分心残りがないほどに!」
燃える心があった。
胸に宿った熱は、きっとはじまりの誰かが灯したものであったことだろう。
それがなければ、己達は此処までやってくることなどなかったのだ。
故にバルタンは最初から全開で行くと決めていたのだ。
「いざ尋常に!」
バルタンの全武装が展開した瞬間『はじまりの猟兵』はバルタンに踏み込んでいた。
展開する一瞬の隙を突くような一瞬の歩法。
長きに渡る功夫による縮地めいた踏み込みで持ってバルタンに彼女は迫っていた。
彼女に対処しようとすれば、即座に宙に浮いたライフルが放たれるだろう。
二者択一なれど、しかしバルタンにはどちらかが確実に当たる。
どちらが当たっても致命傷になることは避け得ぬものであった。
だからこそ、バルタンは躊躇わなかった。
どちらも対処しない。
どちらかに対処すれば、一手遅れる。
ならば、こそバルタンは全開だったのだ。
「フルバースト・マキシマム、デース!」
放たれる一斉砲火。
それは最弱こそが最も恐ろしいという事実を噛みしめるが故の行動だった。
生き残るために卑怯姑息たるは、むしろ褒め言葉。
戦場においては生き残った者こそが勝者である。
故に、バルタンの一斉射は、僅かなる可能性すらも排除するように砲火でもって荒ぶ。
圧倒的な火力。
ライフルの射撃も、『はじまりの猟兵』の五体より繰り出される打突も。
全て火力でねじ伏せる。
それがバルタンの選んだ三つ目の選択肢だった。
グレネードランチャ、ガトリングガン、火炎放射器。罠に加えて、地形を利用した追い込み。
パイルバンカーの一打が打突と激突して火花を散らし、チェインハンマーが唸りを上げて叩きつけられる。
その尽くが『はじまりの猟兵』の五体による殴打、蹴撃によって蹴散らされていた。
「なんともまあ、それで弱いと言えたものデース! 正直言って怖いデース!」
「でも、わたしからすれば!」
その圧倒的な火力。手数こそが恐るべきものであったことだろう。
故にバルタンは押し込むようにしてチェーンソードを振りかぶる。
銃弾が身を穿つのだとしても止まらない。
生命がまだ終わってない。
ならばこそ、バルタンは踏み込む。
「遠慮なく叩き潰しマース! それが『はじまりの猟兵』殿に対する唯一の!」
手向けであろう。
故にバルタンは振りかぶったチェーンソードを『はじまりの猟兵』へと叩きつけ、己が身に打ち込まれる銃弾すらも気に留めることなく振り抜くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
*共闘OK
それは何時、何処から始まったかも分からない永く、終わらない戦いの『はじまり』
遂に…漸く。僅かな兆しが見えてきたというところか
僕達が『終わらせる』事ができるかどうかはこれからだけれど、志半ばでこの命尽きることになろうとも。必ず前に進み続けると誓う
それが貴女、或いは貴女達の生きた証に報いる最初で最後の手向けだから
六番目の猟兵にして破戒僧、戒道・蔵之祐。|いざ《参る》
◆ブーステッド・オーヴァード
金丹仙薬を服用、限界突破のドーピング
射撃を我が身で武器受け
急所狙いは見切りとグラップルでジャストガード
その技と歴史の全て
全身全霊で貰い受ける
心眼+読心術で機を見定め、怪力+重量攻撃で一気に消し飛ばす
世界を巡る戦い。
過去の化身オブリビオンと世界に選ばれた戦士、猟兵。
この二者における戦いは、何時、何処から始まったのかもわからないほどの永劫の先にあったのかもしれない。
終わらない戦いの『はじまり』を戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は意識しただろう。
これまで猟兵たちがしてきたのは、場当たり的な対処療法でしかなかった。
世界の悲鳴に答え、オブリビオンを打倒する。
しかし、終わりは見えない。
骸の海に流れ着く過去は、いつだって『今』に端に発している。
いつだってそうだ。
己たちが生きる『今』は、過去を踏みしめることで未来に進むことができる。
時間とはそういうものだ。
「遂に……漸く。和図穴兆しが見えてきたというところか」
「それでもまだあなたたちの戦いは続くのでしょう。終わらせることができるかおうかは」
「僕たち次第ということですか」
『はじまりの猟兵』の言葉に蔵乃祐は頷いた。
志半ばで生命が尽きることもあるだろう。
その可能性の方が高いかも知れない。けれど、それでも前に進み続けるという意志こそが肝要であると彼は知る。
そう、いつだってそうだ。
前に進むことを決意した者こそが、戦うことができる。
そして、その『はじまり』にあるのが『はじまりの猟兵』である。
「どんな物事にもはじまりがある。なら、僕らが前に進み続けると誓うこと。それが貴女、或いは貴女たちの生きた証に報いる最初で最期の手向けだから」
「ええ、そのとおりです。たゆまず、止まらず、絶えず」
「六番目の猟兵にして破戒僧、戒道・蔵乃祐。|いざ《参る》」
ユーベルコードが互いの瞳に宿った瞬間だった。
蔵乃祐は躊躇わなかった。
金丹仙薬を煽るようにして飲み干し、己が体躯に限界を超える駆動を強いるドーピングを敢行する。
こうでもしなければ、宙を自在に飛ぶライフルの銃撃を躱すことなどできない。
いや、躱すこともできないのならば、防ぐしかない。
己が五体を鋼鉄と為すようにして彼は踏み出す。
急所さえ防げていればいい。
だが、その鋼鉄の五体を貫くかのような打突が迫る。拳が触れた、と理解した瞬間に衝撃が蔵乃祐の心臓に奔る。
拳に寄る殴打が触れた瞬間にさらなる二連撃。
肘による一撃が『はじまりの猟兵』により放たれ、己が心臓を止める。
時が止まったかのようにさえ錯覚させるような一撃、否、二連撃。
瞬間、周囲を囲うはライフル。
銃撃が狙っている。
ならばこそ、蔵乃祐は限界を超える。
己が姿は真の姿。
ブーステッド・オーヴァードへと至りし力は、しかして己の五体を損傷するたびに動き出す。
如何に心臓を停めるかのような一打があれど、しかして彼は踏み出す。
止まらない。
心臓が止まった程度で止まる猟兵などいない。
「――その技と歴史の全て」
「……止まらないッ!」
「全身全霊で貰い受ける」
踏み出す。
己が五体に宿るエネルギーはとっくに肉体というキャパシティを越えている。
限界など越えていくものだ。
故に蔵乃祐は踏み込み、己が五体に宿る全身全霊たる一打を『はじまりの猟兵』へと叩き込み、その体躯を吹き飛ばすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクトル・サリヴァン
向こうも長いこと待ってたみたいだね。
二番目から五番目…もしかするとグリモアとか【Q】はその間に?
真実伝えるため倒されることが望みなら、海の仲間たちとして戦わせて貰うよ。
UC起動、空シャチ召喚し百頭を一頭に合体し騎乗、残りで敵を撹乱しつつ見逃さないよう追跡してもらうよ。
俺は空から高速詠唱で水属性の魔法を使い、地上や木の上に移動するはじまりの猟兵を水弾で攻撃。
森の中で戦うと罠とか卑怯殺法にやられそうだしこっちから押し付ける位で。
多分空シャチの背中飛び乗って直接連続攻撃仕掛けて来るだろうけど空シャチに号令し一気に急降下、空中に放りだしてそこに水纏わせた銛の投擲打ち込もう。
※アドリブ絡み等お任せ
永い、長い時を過ごしてきたに違いないとヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は思う。
『はじまりの猟兵』。
ユーベルコードを同胞たちにもたらしたと言われる存在。
彼女がどれだけの時を待ちわびていたのかはわからない。
何故、六番目の猟兵なのか。
その意味を猟兵達は知らない。
故にヴィクトルは、その永劫にも近しい時を経て邂逅を得たオブリビオン『はじまりの猟兵』を見据える。
「真実を伝えるために倒されなければならないなんて、因果なことだね」
「ですが、それしか方法がありません」
猟兵による数多のユーベルコードを受けてなお『はじまりの猟兵』は立ち上がっていた。
恐るべきことである。
戦場に歌が響き渡り、その様相を変えていくのだとしても、彼女は未だ立っている。その最期にこそ真を語ることができるというのならば、様変わりした戦場など些末なことであったのかもしれない。
「なら、海の仲間たちとして戦わせて貰うよ」
ユーベルコードに互いの瞳が煌めく。
空泳ぎたちの狂宴(スカイ・オルカ)が此処に始まる。
ヴィクトルが呼び寄せた空を泳ぐ空のシャチたち。
彼らは空中をこそ己が海とするように一気に陣形を組んで『はじまりの猟兵』へと迫る。
狩る、という行為を集団で遊びのように行うのがシャチである。
それは空中であっても変わらないことだった。
「空を飛ぶシャチなんて!」
「はじめて見た?」
「大体そうじゃないです!?」
それはそうかもしれないが、ヴィクトルにとっては、大したことではない。
迫るシャチを躱しながら、しかして追い込むようにしてヴィクトルもまた水弾を生み出し打ち出していく。
「戦場は一変させたのに、また器用に立ち回る!」
「できないわけないですから。そこに戦場があるのならば、どんな場所だってわたしの戦場です!」
ライフルが飛ぶ。
浮遊砲台にするつもりか、とヴィクトルが考えた瞬間『はじまりの猟兵』がシャチたちの囲いを飛び越えてヴィクトルへと肉薄する。
手にした武器はない。
なのに踏み込んできた、ということは。
打突。
五体。その打撃と蹴撃。
これを以て、ヴィクトルを打ち据えようとする恐るべき攻撃が空を切る。
一瞬遅れてヴィクトルは我に返る。
召喚士たシャチたちの背びれを掴んでいなければ、恐るべき超連続攻撃によって滅多打ちにされていたことだろう。
シャチたちが『はじまりの猟兵』と、まるで空中で打ち合うようにして舞う。
なんとも恐るべき敵である。
「デタラメにも程があるね」
「いいえ、これがわたしの戦い方!」
ならば、とヴィクトルは水まとわせた銛を構える。
勝負は一瞬。
敵のプログラムされたパターンは、恐らくシャチたちが抑えてくれている。いや、もしかしたのならば、すぐさま破られるかもしれない。
だからこそ、ヴィクトルは己が一手に掛けるのだ。
これを外してはならない。
外せば、なんてことはもう考えない。
「シャチばかりと思っていたら、痛い目を見るよ」
「……ッ!」
「これで!!」
合体したシャチたちが『はじまりの猟兵』を抑え込み、ヴィクトルは己が一撃を投げ放つ。
宙を奔る銛の一撃がシャチへの対処にかまけた『はじまりの猟兵』の体躯を貫き、その鮮血を宙に舞わせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎(と漆黒風)
なるほどな?一通り技能を修めておいて、弱いと言うか。
それは充分強いと思うのじゃが。
だからこそ、わしが全力でいく!
まあなあ、ライフルで狙われ続けるは当たり前であろうて。それは、四天霊障に纏わせた炎属性で弾を溶かす。
ついでに、四天流星で位置を誤魔化しておるからな…当たりにくいはずじゃて。
で、肝心の攻撃なんじゃが。見せた武器は黒燭炎である。
だが、この時ばかりは…腕の操作だけを『疾き者』に委ね、漆黒風を投擲してUCである!
…久々に使ったのう、この戦術。
疾「だいたい貴方が壊していくからですよー…」
「なるほどの?」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は理解する。
『はじまりの猟兵』という存在を。
彼女はほぼ古典的とも言えるユーベルコードしか保ち得ていない。
現行の猟兵のように多種多彩なユーベルコードを知らない。
だが、彼女の戦闘に関する技能は高水準にて全てを網羅している。それは『戦場の戦い方』を熟ししているがゆえである。
戦い抜くこと。
生き残ること。
それに全てを割り振っているのだ。
生きることに汚いとも言えるだろう。けれど、それを卑怯姑息というのは、あまりにも浅慮であった。
「それでもなお、己を弱いと言うのは、それだけ敵が強大であったということの証明」
それに故に十分強いと思うのだ。
だが、それをしてなお勝ち得ぬ者がいる。
だからこそ、と『侵す者』は踏み出す。
「だからこそ、わしが全力でいく!」
迫る銃撃。
それ自体は脅威ではないが、しかし浮遊するライフルが常に己を狙っている、というのは面白くない。
当たり前のことであろう。
「だからこそ、よな!」
迫る弾丸を霊障の炎で溶かし尽くす。
到達する前に溶解させることによって、銃撃を意味のないものへと貶めるのだ。
「流石ですね! でも!」
そう『はじまりの猟兵』には戦闘技能がある。
汎ゆる戦闘技能を網羅し、さらに高水準で保持している。
ユーベルコードが如何に古典的なものであったとしても、それさえも逆手に取って彼女は『侵す者』の死角へと飛び込む。
だが、しかし。
そう、彼は一人ではない。
もとよりこれは一対一の戦いではない。
彼の中には三柱の悪霊たちがいる。もとよりフェアではないのだ。
故に死角は存在していない。
「……気づかれているのなら!」
「それでも踏み込むか!」
霊障と激突する拳。
徒手空拳であっても『はじまりの猟兵』の一撃は重たいものであった。
「こらえきれんとはな。だが!」
己の振るう槍では取り回しが悪い。
故に『はじまりの猟兵』は己の懐に踏み込んできたのだ。
槍の取り回しの悪さ、間合いの内側に入られては十分に振るえぬという事実。一目見ただけでそこまで看破した敵に『侵す者』は称賛さえ覚えただろう。
故に、取れる選択は一つ。
己が腕だけを『疾き者』に明け渡し、棒手裏剣を持って、ユーベルコードを放つのだ。
それは火のように(シンリャクスルコトヒノゴトク)迸る一射。
炎を疾風に乗せて放つ一撃は懐に踏み込んでいるがゆえに躱すことのできぬ一撃。
それは『はじまりの猟兵』の体躯を貫く。
「……久々に使ったのう、この戦術」
「だいたい貴方が壊していくからですよー……」
いくらでも、というわけではない。
だからこそ、土壇場にて生み出された一撃は輝くのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
エドワルダ・ウッドストック
アドリブ歓迎
はじまりの猟兵、わたくしたちの起源。
最も古き猟兵……。この胸の気持ちを何と表現すればいいのか。
尊敬、興奮……ええ、ポジティブなのは確かですわね。
何にせよ、その生き様、立ち居振る舞いに……生きる獣人として、感謝を。
礼を込めて、全力で対抗させていただきますわ。
ナイフを手に、崖などを背に攻撃の来る方向を制限して待ち構えます。
如何に策を弄しようと、正面から攻撃せざるを得ない状況に持ち込みますの。
超高速連続攻撃が発動されたならば、正面突破ですわ!
わたくしの、シカとしてのUC! 聖餐儀式!
あらかじめ切り裂いた肉を食うことで!
負傷を治して、強引に接近して攻撃するのですわ!
ありがとうございますわ。
はじまりを知る。
どんなことにもはじまりは存在する。
故に、エドワルダ・ウッドストック(金雀枝の黒太子・f39970)は思う。
戦場には歌が満ちている。
どこまでも響く歌声。
戦いにあってなお、歌がある。
それはきっと夜明けが近いことを示すものであったことだろう。
「『はじまりの猟兵』、わたくしたちの起源」
最も古き猟兵。
そして、獣人たちにオブリビオンに対抗するために術、ユーベルコードをもたらした者。
胸に去来する感情をエドワルダは如何にして言葉にすればいいのかわからなかった。
尊敬とも言えるし、興奮とも言える。
高揚とも言えるし、畏敬とも言える。
いずれにしてもポジティヴな感情でしかない。
「そうです。わたしが『はじまりの猟兵』。だからこそ」
「ええ、だからこそ」
エドワルダは思う。
戦わなければならない。己の祖たる者を前にして、己が頭上に掲げられた雄々しき角が震えるようだった。
その生き様、立ち振舞、意志。
全てが果敢そのものであったことだろう。
今を生きる獣人の一人として。
「感謝致しますわ。その御礼は、全力で対抗させていただきますわ」
エドワルダが踏み出す。
如何に策を弄するのだとしても、真正面から戦わざるを得なければならない状況だ。
すでに戦場は驚天動地たる歌によって森から一変している。
恐るべきことに、この状況にあってなお『はじまりの猟兵』は、己が身一つでもってエドワルダに強襲を仕掛けてくるのだ。
「なっ……一体どうやって……!?」
真正面に捉えていたはずだ。なのに、気がついた瞬間にはエドワルダの背後から一撃が迫っていたのだ。
「敵の視線を誘導する。敵の意識を惹きつける。なら、それを突き放す方策もまた熟達すれば、できるというもの。闇に紛れるのではなく、相対するものの死角に潜むのです。そうすれば」
意識の外から攻撃が仕掛けることができる。
エドワルダは己に迫る殺気を感じ取り、転げるようにして迫る超連続攻撃を受け流す。
躱しきれなかった。
だが、受け流すことはできる。
捌く。
全てを捌き切って、反撃に……とエドワルダは考える。
だが、その意識を上回る超連続攻撃が彼女の身を打ち据える。
止まらない。
止められない。
だからこそ、エドワルダは躊躇わなかった。
自食。
それは、聖餐儀式。
己が手にしたナイフ。それによって切り分けられた己が肉をエドワルダは血に塗れながら喰らう。
瞬時に己が体躯に打ち込まれた『はじまりの猟兵』の超連続攻撃の痛手が回復する。
「遅い!」
それさえも上回る超連続攻撃がエドワルダを襲う。
けれど、エドワルダは大地に足を踏みしめ、堪えた。
この痛みが、長きにわたり戦ってきた同胞たちのものであり、また同時に『はじまりの猟兵』のものであるという自負があった。
故に、聖者の光を放ちながら彼女は一歩を前に踏み出す。
それはかつて『はじまりの猟兵』が踏み出した一歩と同じであっただろう。己よりも強大な敵へと立ち向かうための一歩。
彼女もまた、その一歩を踏み出したのだ。
「あなたの一歩があるからこそ、わたくしの一歩があるのです」
だから、踏み出せる。
エドワルダは己が一撃を『はじまりの猟兵』へと叩き込む。
そして、告げるのだ。
最も告げたかった言葉を。
「ありがとうございますわ――」
大成功
🔵🔵🔵
シエル・アストライト
|はじまりの猟兵《先輩》に、敢えて言わせてもらいます
まだ新人の私はさしずめ猟兵のはじまりであると
負けず劣らず弱いですよ
敵を前に迷いを捨てきれませんし
姑息卑怯もまんまと迎え撃ってしまいます
謙遜し合いつつ
『戦場の戦い方』を星光双剣とフィールドバリアの【ジャンプ/受け流し/鉄壁/対空防御】で凌ぎます
勿論、防戦一方では終わりません
隙を【見切り】先輩にしがみ付き、そのまま遥か上空へ【推力移動&高重力適応】
私の戦場、三次元戦闘に持ち込みます
装備の【高性能を駆使する&空中機動&空中戦】と
更なる上空への【吹き飛ばし】も織り交ぜた【アクセルコンボ&双剣使い】で
落下する先輩を縦横上下無尽に攻めた後、UCを放ちます
戦場に歌が響いている。
それは猟兵たちのユーベルコードであると知ることができただろう。
炎に塗れ、戦場となった森事態を塗りつぶすかのようなユーベルコードが満ちている。
これが猟兵である。
種族や主張、主義のみならず、扱う力さえもカテゴライズできぬほどの渾沌。
それが猟兵というものである。
シエル・アストライト(Sleeping Beauty・f43373)はつくづく実感する。
「|『はじまりの猟兵』《先輩》に、敢えて言わせてもらいます」
彼女は最早森とも言えぬ戦場にて立つ。
対峙するのは最古の猟兵『はじまりの猟兵』である。
歌による衝撃波に吹き飛ばされてもなお、立ち上がっている。
そのタフさは称賛に値するものであっただろう。
「まだ新人の私はさしずめ猟兵のはじまりであると。負けず劣らず弱いですよ」
「それでも可能性に満ちている。死して止まった時の堆積から滲み出るわたしとは違うのです。決定的に。だから」
迫るは凄まじい連続攻撃。
シエルは迷いを棄てきれなかった。
どれだけ戦わなければならないと知っていながらも、『はじまりの猟兵』はオブリビオン。敵と理解しながらも、しかし、ためらってしまった。
『はじまりの猟兵』の持つ『戦場の戦い方』によってシエルは超連続攻撃の一撃目を受けてしまっていた。
ライフルと打突。
五体を組み合わせた変幻自在なる攻撃。
星光双剣で打ち合うも、尽くが押し負ける。
フィールドバリアがなければ、その一打が致命傷になっていたと理解できるものであった。
「謙遜するのは」
「むしろ、失礼とわかっているのですが。しかし」
シエルは攻防を繰り返しながら、なんとか踏みこらえていた。
フィールドが徐々に力を喪ってきているのがわかる。このまま押し切られる可能性だってゼロではない。いや、むしろ、高い。
上にシエルは賭けに出る。
生き汚いというのならば、きっとそうなのだろう。
だが、それは『はじまりの猟兵』も同様だった。シエルは超連続攻撃の打突を受けながらも『はじまりの猟兵』にしがみつくようにして突撃し、そのまま上空へと飛ぶ。
「わっ?! と、飛んでる!?」
「そうです。私があなたに勝てる戦場はここしかありません」
そう、彼女の戦い方は常に大地に根ざしたものであった。だからこそ、シエルが持ち込んだのは空中戦。
三次元戦闘こそがシエルの本領。
「ですが、空飛ぶものへの対処ができないとでも!」
「でしょうね。ですが!」
シエルのブーツのヒールがユーベルコードに輝く。
空中、その何もない大気を踏みしめるようにして彼女はステップを踏み、見えない階段を駆け上がるようにして打ち上げた『はじまりの猟兵』へと迫る。
間合いは詰めた。
ここは、己の距離。
雷を放ちながら、シエルは己が双剣を振るう。
「雷閃斬の雷鳴は、先輩、あなたに余韻を残さない」
放つは、四連撃。
雷のような斬撃であった。
「これが、あなたたちの」
「ええ、私達のユーベルコード。雷閃斬(ライトニング・スラッシュ)です」
刻まれるは四つの傷跡。
それは夜明けを知らしめるように輝く。
最後の煌きに『はじまりの猟兵』は笑み、そして、最期に語るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵