獣人世界大戦⑤〜Scary Sky
「──皆さん、獣人戦線の超大国群が、一斉に行動を開始しました」
緊張の面持ちで猟兵達へ告げるはグリモア猟兵、ジークルーネ・ラウフェリン(|勝利《生存》の言葉・f42996)。
「彼らの目的は、どうやらかつてこの世界に現れた『はじまりの猟兵』。ワルシャワ条約機構がその手掛かりを掴んだらしいとの情報をきっかけに、各超大国が行動を開始したのです」
その結果として巻き起こるは世界規模の大戦争。多くの獣人達が命を脅かされることも、結果として|世界の破滅《カタストロフ》が訪れることも、奴らは全く意に介さない。そのような行いを、許すわけにはいかぬ。
それに加えて、とジークルーネは言葉を続ける。曰く。
「超大国群がこれほど大規模に動く状況は、同時に好機でもあります。集結した敵の精鋭、或いは幹部。これらを殲滅できれば、超大国群に対して大きな打撃となる筈です」
そうして超大国群を弱体化させられれば、世界各地で抵抗活動を続けてきた獣人達の反攻を促すことも、或いは可能やも知れぬ。超大国群の支配からの解放が、一気に近づくやも──半ば希望的観測ではあるが、と断りつつも、ジークルーネはそんな期待を率直に語る。
ともあれ、獣人戦線を舞台とした一大大戦──『獣人世界大戦』が、此処に幕を開けたのである。
●
「まず皆さんに向かって頂きたいのは、イタリア半島となります」
獣人戦線におけるイタリアはゾルダートグラードの支配下にあるが、現地の飛行機乗りの獣人達が彼の地の空を守るべく頑強な抵抗を続けている地域でもある。
「此度の戦いの始まりと共に、ゾルダートグラードの大きな動きを察知したのでしょう。この飛行機乗りの方々が一斉に蜂起し、ゾルダートグラード空軍に対する反攻作戦に打って出ました」
飛行機乗り達とゾルダートグラード空軍の激突するは、アドリア海の上空。この空を奪った方がイタリアを空を獲る、と言える程の一大決戦。万一にも敵に空を奪わせるわけにはいかない。
そこで、この戦いに猟兵達も参戦し、飛行機乗り達と共にゾルダートグラード空軍を殲滅する。これが此度の依頼内容となる。
「飛行機乗りの方々は複葉機に搭乗しており、いずれ劣らぬ腕前の持ち主です。皆さんの援護があれば、敵を殲滅しきるのも不可能ではないでしょう」
速度ではジェット機に及ばぬ複葉機だが、その分小回りが効く。彼らの持ち味を存分に活かせる援護ができると尚良いだろう。
「敵は『火炎放射兵』の軍団となります。ジェットパックで空を飛び、名前通り火炎放射が主な攻撃手段となる敵です」
その火力、まともに浴びれば複葉機ではひとたまりも無い程だ。猟兵達にとっても充分脅威となる代物なので、注意が必要だろう。
「それと今回の戦場は空となりますので、皆さんも空を飛んで行く方が戦いやすいかと思います。もし空を飛ぶ手段が無いのであれば、複葉機の貸し出しが可能ですので、言って頂ければと」
性能はごく平均的な複葉機だが、うまく使えば充分戦うことは可能だろう、とはジークルーネの見立てである。
「それでは、転送を始めます。皆さん、どうぞよろしくお願いしますね」
告げると共にジークルーネはグリモアを展開。猟兵達を、陽光煌めくアドリアの海へと送り出してゆく。
五条新一郎
飛べない獣はただの獣。
五条です。
此度の戦争は獣人戦線。
超大国群が一同に会する世界大戦でございます。
此度も勝利目指して微力を尽くして参りたいと思いますゆえ、皆様どうぞよろしくお願いします。
さて最初の戦いは一大空中決戦。
現地の飛行機乗り達と共に、イタリアの空を奪還すると致しましょう。
●目的
『火炎放射兵』の殲滅。
敵はイラストでの姿に加えてジェットパックを背負っており、空中を自在に飛び回ります。
●戦場
獣人戦線、アドリア海上空。
基本的に一面の海です。
天気は晴れ。
●味方戦力
『飛行機乗り達』
複葉機に乗って参戦している獣人達。種族や獣人階梯は様々ですが、ユーベルコードは使えない模様。
武装は機銃のみ。
●プレイングについて
OP公開と同時に受付開始します。
「飛行機乗り達と協力し、空中戦で戦う」ことでプレイングボーナスがつきます。
自前の飛行手段の無い方は複葉機を借りることもできます。
それでは、皆様の天翔けるプレイングお待ちしております。
第1章 集団戦
『火炎放射兵』
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POW : ステーキになりやがれ〜!
【火炎放射器】から【燃え盛る炎】を放ち、敵及び周辺地形を爆発炎上させる。寿命を削ると、威力と範囲を増加可能。
SPD : 10秒後が楽しみだぜ〜!
敵を狙う時間に比例して、攻撃力・命中率・必殺率が上昇する【火炎】を武器に充填し続ける。攻擊すると解除。
WIZ : 吠え面かかせてやるぜ〜!
【火炎放射器】を使って「どのように攻撃するか」を予想できなかった対象1体に、【火炎放射】の一撃が必ず命中する。
イラスト:うぶき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
ええ、開戦ですねぇ。
参りましょう。
【炳輦】を発動、防護結界を纏って飛行しますねぇ。
更に『FLS』により|各『祭器』《未装備含》を召喚後空間歪曲障壁を形成、『FES』の対火結界を重ねて攻撃に備えましょう。
高速での飛行能力に『転移』、[空中戦]の経験則も併せれば、回避行動は容易ですぅ。
敵味方の位置や動向は『FPS』の探査で把握、『時空切断の嵐』による[範囲攻撃]で一気に叩くと共に、不利な状態の友軍がいた場合は近い位置に『転移』、狙う相手に『FRS』『FSS』の[砲撃]を回し、優先的に撃墜することでガードしますねぇ。
大がかりとは言えまだ初戦、着実に叩いて次へ繋げましょうかぁ。
オリヴィア・ローゼンタール
「はじまりの猟兵」も世界の命運も、オブリビオンの思い通りにはさせない
強大なりし超大国、叛逆の牙を突き立ててくれる!
転じるのは白き翼の姿
地から天へ、逆しまの流星が如く飛翔する(空中戦・空中機動)
飛行機乗りたちへ砲口を向ける火炎放射兵の土手っ腹を、すれ違いざまに聖槍で【串刺し】
恐れるな!! 猟兵は獣人と共にあり!!
これは世界を解放する聖戦だ!!
【威厳】ある【大声】で獣人たちを【鼓舞】する
雲霞の如く押し寄せる敵兵へ、先陣を切って吶喊!
我が身に纏うは聖なる炎!(神聖攻撃・全力魔法・破邪・破魔)
貴様たちの悪しき炎など物の数ではない!(焼却・蹂躙)
【烈煌天翔翼】で【薙ぎ払う】!!
アドニア海に浮かぶ小島へと転送された猟兵達は、頭上で響く幾つもの音に気付いて空を見上げる。
プロペラを回すエンジンの唸り音、機銃が弾丸を吐き出す音、男達の叫ぶ声。
ジェットの炎が空を裂く音、火炎放射が空を焼く音、『ヒャッハー!』という下劣な叫び声。
更には断続的に爆発音も響く。即ち此処は、既に戦場の真っ只中だ。
「既に開戦しておりますねぇ」
そんな様子を一通り見渡して、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は状況を端的に表現する。
「ええ。暴虐なる超大国と、其に抗う獣人達の戦、ですね」
並び立つオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は応えると共に視線を鋭く上空へ。複葉機へ挑みかかり炎を浴びせんとする、獣人兵のオブリビオンを睨み据える。
此度の戦は『はじまりの猟兵』と世界の命運とを巡る戦。それら恣にせんとするオブリビオン、奴らの思い通りになどさせぬ、とオリヴィアは戦への意志を新たとする。
「強大なりし超大国――叛逆の牙を、此処に突き立てるとしましょう!」
呼びかけるが早いか、その姿はシスター服を纏ったものから一瞬で白きレオタードを纏った姿へと変じ。背に純白の天使翼を広げるや否や、瞬く間に上空へと飛び上がってゆく。
「はい、参りましょう」
るこるは緩やかに応えながら、その手を合わせて奉ずる女神へ祈りを捧げる。祈りは|女神の奇跡《ユーベルコード》を励起、その証たる祭器の衣を身に纏えば、るこるもまた戦場たる空を目掛けて飛翔する。
その上空では、ゾルダートグラード空軍所属の兵士達がジェットパックで空を飛び、携えたる火炎放射器から次々と炎を撒き散らしては、飛行機乗り達が駆る複葉機を追い立てんとしていた。
「くそっ、厄介だぜ……!」
「あの炎はヤバい、迂闊に近づいたら火達磨だ!」
広範囲に撒き散らされる炎は、僅かでも複葉機を炎上墜落せしめる脅威。敵の機動力もあって、パイロットたる飛行機乗り達は慎重に距離を取らざるを得ない。
「「ヒャッハー! ステーキにしてやるぜー!」」
ならばとばかり、己から距離を詰めてゆく火炎放射兵。無残に焼き殺してやろうと、火炎放射器のノズルを向けた――その直後!
「そうはさせん!!」
「な、アバーッ!?」
力強い声音と共に、翔び上がってきた逆しまの流星が兵士を貫く。飛翔の勢いを乗せて繰り出されたオリヴィアの破邪の聖槍は、火炎放射兵の胸を鋭く抉り抜き、その一撃で以て其を骸の海へと還してゆく。
「ハッ、情けねぇ奴だ!」
「俺らは今のうち……な、何ぃ!?」
倒された仲間をも嘲り捨てて、別の火炎放射兵の一団が複葉機群を狙う。放たれた炎が大波の如く空へと溢れ――突如現れた『何か』に防ぎ止められる。
「危ない処でしたねぇ」
ほっとしたようなるこるの声音が、その『何か』――彼女が衣と共に纏う防御結界の内側から響く。敵兵の攻撃を前として飛翔では間に合わぬと判断、祭器を以てしての転移で敵兵の前へと現れ出たものだ。
祭器群を以て炎への耐性を強化した防御結界は、ユーベルコードを帯びた火炎放射さえも防ぎ凌ぐ。この敵にるこるの護りは突破し得ない、そう確信できる程の安定感。
直後、唖然とした兵士達は全身をズタズタに斬り裂かれて墜落する。るこるが纏いたるユーベルコードのもう一つの力、時空切断の嵐に巻き込まれたのだ。
「獣人達よ、恐れるな!!」
どうやら一先ずの危機は去ったらしい。安堵を漏らす飛行機乗り達の耳に、オリヴィアの大音声が届き響く。
「我ら猟兵は、獣人達と共に在り!!」
其処に在るのは、黄金に煌めく聖槍を掲げ、聖なる炎を纏いたる天使の姿。正しき者を護り悪しき者を裁く天使、そう称すに相応しき威厳を纏うオリヴィアの姿。壮麗にして勇壮たるその姿は、飛行機乗り達の心にもまた炎を灯す。勇気という炎を。
「――これは、世界を解放する聖戦だ!!」
宣言するが早いか、オリヴィアは再び空を駆ける。まさしく聖戦を先導する天使かの如く勇壮に。
時速15000kmにも及ぶ飛翔速度を以て、新たに迫り来た火炎放射兵の只中へと吶喊する。気付いた兵達、一斉にオリヴィア目掛けて火炎を放射するが。
「貴様たちの悪しき炎など!」
だがオリヴィアは其を前としても怯まぬ。真っ向より吶喊し、自らの纏う炎を恃んで炎の中へと突入してゆく。彼女の纏う炎は聖なる炎、オブリビオンの吐く炎を打ち祓い退ける。
「物の数ではない!!」
そのまま、大した負傷もなく炎を突破。兵士達に驚く暇すら与えぬまま、敵群を一気に突き抜けてゆく。その魔力と気力と速度とを乗算した力強い飛翔の威力は、余波だけでも兵士達を薙ぎ払い仕留めてゆける強烈なものだ。
「着実に叩かせて頂きますねぇ」
其を耐え凌いだ者達にも、るこるの祭器群による砲撃が襲い掛かる。撃ち放たれる炸裂弾が空中で盛大に爆裂し、その衝撃と追撃の熱線とが敵兵を次々と引き裂き、焼き焦がし。
オリヴィアに続けとばかりに飛行してきた複葉機達が更に機銃で以て追撃。敵を逃がさず撃ち抜き仕留め、全滅せしめてゆく。
斯くして、アドリア海上空を巡る一大空中決戦の幕は、華々しく切って落とされたのである。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
天城・千歳
【SPD】
ここにきてユーラシア大戦ですか。余程「はじまりの猟兵」の情報が欲しいんですね。
サテライトドローン群を戦闘空域外周に展開、通信・観測網を構築開始。
本艦の電子・光学系観測機器及びドローン群による【索敵・偵察】で【情報収集】し、収集した情報を元に【戦闘知識・情報検索・瞬間思考力】で分析後UCで最適の迎撃パターンを構築します。
構築した迎撃パターンに従って戦闘を開始後、【情報伝達】で戦闘空域内の味方の管制と誘導を行いつつ、敵に対し【ジャミング】を行い連携を妨害します。
無人騎兵隊と自立砲台群は【自動射撃・遊撃】で味方を支援
向かって来る敵は搭載火器の【一斉発射・範囲攻撃・弾幕・対空戦闘】で迎撃
風吹・香織
アドリブ連携歓迎
ほほう、空中戦? 戦闘機乗りとしては面白いと言わざるを得ないね。
早速参戦させてもらおうか。いくよ、|P-38 ライトニング《相棒》
そっちが炎なら、こっちは雷だよ!
とにかく高速で飛翔して、雷で攻撃していこう。
狙えば狙うほど命中率と必殺率が上がるのは厄介だね。
しっかり周囲を警戒して、こっちを狙ってると分かったら、即座にそちらに向けて機関銃で攻撃。攻撃を誘発させて、低い威力の火炎を浴びることで勘弁しよう。
うちの相棒は頑丈さには自身はないが、まぁ大丈夫だろう。大丈夫だよね……?
こうして撹乱しているうちに、側面を突いてもらおう。
私が注目を集めるほど有利に動けるはずだ。
レナータ・バルダーヌ
故郷の復興作業を優先して猟兵のお仕事から離れていましたけど、ようやく一段落着きました。
今をもって戦線に復帰します!
機械翼「カノン」装備で参戦。
敵も兵隊さんなら、何らかの指揮系統の下に行動しているはず。
【Ψ:J.ディスペンサー】で通信を妨害して連携を乱し、味方が有利に戦えるよう援護します。
複葉機が標的にされたら【空中での機動】力を活かして駆けつけ、サイキック【オーラで防御】します。
多少威力が上がっても、誰を狙っているかわかった方が却って【かばい】易いです。
複葉機の皆さん、必ずしも致命傷を与える必要はありません!
火炎放射器のボンベにジェットパック……当たればタダでは済まないのは相手も同じはずです!
「な、何だありゃあ!?」
「飛行船……!? いや、それにしちゃデカ過ぎる……!」
アドリア海上空に突如現れた巨大な宇宙戦艦。獣人戦線の文明レベルを大きく超える兵器の出現に、ゾルダートグラードの兵達も飛行機乗り達も驚愕の声を上げざるを得ない。
『ゾルダートグラードの支配に抗う飛行機乗りの皆さん』
其処に声がする。この宇宙戦艦――航宙宇宙戦艦『天城』のコアユニットでもある猟兵、天城・千歳(自立型コアユニット・f06941)のものだ。
『我々は猟兵です。この地をゾルダートグラードより解放するべく、これより皆さんとの共闘を開始します』
告げる声音は淡々としつつも、飛行機乗り達と共闘せんとする確かな意志を伴う。見目にも力強い友軍の登場は、飛行機乗り達に少なからぬ心強さを齎すものだ。
「アレほど心強くはないかもしれないけど、私達も参戦させてもらうよ!」
「ええ、わたし達も皆さんの力になります!」
更に、その『天城』から飛び立ってくる二つの影。双胴型の戦闘機『P-38ライトニング』に搭乗する風吹・香織(怠惰な「双胴の悪魔」乗り・f39889)と、己の背に負った機械翼『カノン』にて空を飛ぶレナータ・バルダーヌ(護望天・f13031)だ。
「さぁて空中戦だ。戦闘機乗りとしては腕が鳴るね、相棒」
唇を捲りながら、香織は相棒と称したる愛機へと語りかける。雀獣人ではあるものの己の翼での飛翔は十代の頃にやりきった、という事か戦闘機での飛翔を好む彼女にとり、この戦場はまさに己の為にあるとさえ言えた。
「私にとっては復帰戦ですが――大丈夫、戦えます!」
一方のレナータ、丁度一年前の闇の救済者戦争の後は故郷の復興に注力していた為に猟兵としての活動からは離れていたが。其がひと段落したが故の戦線復帰。背の傷より噴き出す地獄の炎も、身に纏う念動力も以前と変わらず力を発揮する。なれば戦うに問題は無し。
『サテライトドローン群展開完了、通信・観測網構築完了。敵戦力の情報収集と分析を開始します』
其処へ二人と飛行機乗り達のもとへ届く千歳の声。確立された通信網が、対応する通信機器が無くとも各々へと千歳との情報のやり取りを可能とする。即ち、連携の準備は万端ということだ。
「有難いね。それじゃあ、行くとするか!」
「ええ、戦闘開始です!」
香織の呼びかけるにレナータも応え、共に敵群へ突撃。飛行機乗り達の複葉機も其に続き、空中戦の開始と相成った。
「ヒャッハー! あのデカブツにはちょっとビビったがお前ら程度ならなぁ!」
「オレらはあっちを狙うぜ! コイツらは任せた!」
なれども火炎放射兵達も退かない。前衛の者達が炎を広く撒き散らして香織やレナータを迎撃せんとすると共に、後衛の兵達は散開しつつノズルを複葉機の数機へと向けて狙い定める。
『敵前衛が猟兵戦力を惹き付け、後衛が戦闘機乗りの皆さんを狙い撃つ戦法の模様。後衛部隊への対応を推奨します』
だが、敵群の情報分析を進める千歳にはその動きも筒抜けだ。通信を介して敵の狙いを各員へと伝達すれば。
「了解だよ!」
真っ先に応えた香織は操縦桿を思い切り引き機体を上昇。迫る炎を躱しつつ宙返りすると、そのまま眼下に散開した後衛部隊を捉える。
「そっちが炎ならこっちは雷だよ!」
それらに対しユーベルコードを励起すれば、愛機から迸るはその名に相応しい無数の電撃。拡散する電撃は視界内の火炎放射兵達を次々と撃ち抜き、これを焼き焦がしながら墜落せしめてゆく。
『目標捕捉。自立砲台群での援護射撃を開始します』
電撃を逃れた兵達にも『天城』からの砲撃が襲い掛かる。分析によってその挙動パターンを詳らかとされた敵に対し、自立砲撃はその回避機動を的確に追尾してビームを連射、敵兵を撃ち抜き仕留めてゆく。
「クソッ、うざってぇ……! 時間が足りねぇが仕方ねぇ!」
狙撃を狙った仲間達が次々落とされてゆく中、未だ落とされずにいる兵士は最早充分に狙いをつける時間も無いと判断。威力は高まりきっていないながら、狙いをつけていた複葉機へ向けてビームじみた火炎放射を繰り出す。空を裂いて飛翔する火炎は、そのまま複葉機を目掛けて――
「そうはいきませんよ!」
だが、その間に飛び込んできたのはレナータだ。千歳からの通信を基に、狙撃を実行する敵の所在と対象を看破した彼女は素早く駆け付け、展開したオーラの障壁で以て炎を防ぎに入ったのだ。
彼女を守るオーラの障壁は非常に堅牢、十全に威力の高まりきっていないユーベルコードでは貫くこと叶わぬ。複葉機どころかレナータにさえも届かすこと叶わず、そのまま空中で霧散する。
「クソッタレがぁ! どうなってやがんだこれはよぉ!」
「オレらの動きが全部分かってるってのかよ!」
最早連携どころではなく、只管手近な敵へと火炎を撒き散らすばかりとなる兵士達。まるで己らの立ち回り全てが筒抜けの状況、一方で自分達は仲間との連絡すらうまくいかないという、集団戦における圧倒的ビハインドを背負った状態に半ば自棄になったとも見える。
それらは全て、猟兵達のユーベルコードによって構築された状況。千歳が展開するプログラムは、収集せし情報をもとに未来予知じみた予測演算を可能とし、レナータが展開するサイキックオーラを伴うチャフはゾルダートグラード兵達の通信を封鎖し連携を妨げる。
「全く完璧な連携だね! これなら大丈夫そうだ!」
圧倒的な情報アドバンテージが齎す安定感。これなら己の役割も十全に果たせそうだ、と前衛を担っていた敵の間を飛び回りつつ香織は笑う。殆ど目の前の敵しか見えぬ状況へ追い遣られた敵兵達は徒に香織を追い回し炎を撒き散らすが、彼女の愛機を捉えるには至らない。狙いをつけようにもその飛翔速度の前では数秒も照準を定められぬ。
「今です皆さん! 敵の背中を狙って撃ち抜いちゃいましょう!」
その様子を見て、レナータが飛行機乗り達へと呼びかける。敵の背中には火炎放射器用とジェットパック用それぞれの燃料を詰めたタンクが背負われている。其処を火器で撃ち抜かれればどうなるかは――想像するまでもなく。
「おう! 今なら狙い放題だな!」
「背中がガラ空きだぜー、ってな!」
応えた飛行機乗り達は一斉に愛機を駆って敵の側面や背面を取り、其処へ機銃掃射。生じた爆発や発火が、火炎放射兵を吹き飛ばしながらアドリア海の空に幾つかの花火を咲かせたとか。
大成功
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紫・藍
自慢のキャバリア、藍ゼン・シュテルンで空中戦なのでっす!
飛行機乗りの皆様、すごいのでっす!
小回りが効くのを活かしてひょいひょい避けまくってるのでっす!
これは兵隊さん達、相当しっかり狙って当てようとするのでっはー?
でしたら、ええ!
兵隊さん達が十分狙って今だとなるところで!
歌うのでっす!
藍ちゃんくんでっすよー!
ファンになった兵隊さん達のターゲットは藍ちゃんくんに切り替わるのでっすが!
藍ちゃんくんは今狙われたばかり!
ロックオン時間のリセットにより補正は0!
避けたり耐えたりできるかと!
勿論、改めて狙われるのはピンチですが、藍ちゃんくんが一人狙われる=飛行機乗りさん達はフリーでっすので!
今なのでっす!
結城・有栖
アドリア海の飛行機乗りの方々は勇敢だと聞きますね。
「なら、私達も勇敢に戦おうカ。トラウムも準備万端みたいダヨ」
了解です。空を荒らす輩を蹴散らしましょう。
今回はトラウムに搭乗し、シュトゥルムで飛翔して出撃。
まずはUCによる【先制攻撃】でトラウムの手から幻影の雷さんを放って【範囲攻撃】。
敵を感電させて動きを鈍らせ、催眠で敵味方の認識を狂わせて同士討ちを狙います。
飛行機乗りの方々にもこの隙に攻撃してもらいます。
こっちを狙ってきたら【野生の勘で見切り】、【空中機動】と、トラウムの想像力を使った【残像】を駆使して撹乱。
飛んでくる炎はシュトゥルムの風で【薙ぎ払い】、風の【斬撃波、属性攻撃】で反撃です。
「そらそら、どうしたどうした!」
「そんな炎じゃ俺らの尻尾だって焦がせねぇぜ!」
アドリア海上空の空戦が始まってより暫し。敵戦力が在る程度の減少を見せたが故か、飛行機乗り達の戦いぶりにも余裕が出始めていた。
愛機を右へ左へ、時には上下へ。小回りを活かした巧みな空中機動で、ゾルダートグラードの火炎放射兵達の放つ炎を悠々躱し続けている。
『飛行機乗りの皆様、すごいのでっす!』
『アドリア海の飛行機乗りの方々は勇敢だと聞いてましたが本当ですね……』
そんな彼らの華麗とさえ言える立ち回りに感嘆するは、其々キャバリアに搭乗する二人の猟兵。
自身を模したクロムキャバリア『|藍色の灯火《藍ゼン・シュテルン》』のコクピットからは紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)の驚嘆の声が上がる。機体の特性を活かした回避機動はまさしく見事の一語。
魔女じみた意匠のサイキックキャバリア『トラウム』からは結城・有栖(狼の旅人・f34711)の感心したような声が発される。炎に弱い機体の多い複葉機を駆りながら、炎を恐れぬあの立ち回りは、噂に違わぬ勇敢ぶりだ。
『しかしこれは兵隊さん達、相当しっかり狙って当てようとするのでっはー?』
然し藍は一方でそんな懸念も口にする。見れば実際、何体かの兵士が飛び回る複葉機へと火炎放射器のノズルを構え狙いを定めているのが見える。
『なら、私達も勇敢に戦おうカ。トラウムも準備万端みたいダヨ』
有栖の内から声。オウガブラッドたる彼女と共に在るオウガ『オオカミさん』のものだ。このままみすみす彼らを撃墜されることのないように、と二人を促せば。
『了解です。空を荒らす輩を蹴散らしましょう』
『ええ、ええ! 藍ちゃんくん達もいざいざ空中戦なのでっすよー!』
有栖と藍が其々の言葉で応えると共に、風を纏いたるトラウムと藍色のバーニア炎を噴く藍ゼン・シュテルンとが戦場へと飛翔する。
「ヒャァ! 我慢できねぇ! 丸焦げにしてやるぜー!」
その時、丁度狙いを定めきったらしい火炎放射兵が複葉機目掛けて必殺の炎を撃ち放とうとしている処であった。このままいけば、卓越せし飛行機乗り達であっても避けきれぬ炎が彼らと彼らの乗機を襲うことだろう――
『藍ちゃんくんでっすよー!!』
だが其処で藍が動く。いつもの挨拶に続いて乗機から響かせるは、妙なる歌声から繰り出される持ち歌のパフォーマンス。藍ドルとして如何なる状況でも最高のパフォーマンスを引き出せるようにしている彼の歌声は、キャバリア越しであろうと何らその美しさを損ねることが無い。
「「「ヒャハー!?」」」
それ程の歌声故であろう。それまで複葉機達を狙っていた兵士達のノズルは、その全てが藍の方へと向けられる。巻き起こされる熱狂の渦が、それまでの意図の一切を破却せしめる程の強烈な魅了効果を発揮したのである。
『では、これはおまけです。幻惑の雷さん、来て』
其処へ有栖が追撃をかける。トラウムの手を掲げさせると共にその掌から放たれるは、有栖の想像力によって生み出された幻惑の雷。アドリア海の空に迸った雷光が兵士達を次々に撃ち抜き、少なからぬ数を撃墜せしめてゆく。
それでも残った者達が、藍ゼン・シュテルンを目掛けて火炎を放つが。雷に伴う感電と催眠の効果はその狙いを大変粗いものと変え。更に直前までの狙いを急に変えたことで、ユーベルコードによる強化は一切かからず。大半が藍ゼン・シュテルンを避けて飛び去ってしまい、数少ない命中炎もかの機体のドレスアーマーを僅かに焦がした程度に留まる。
『凌ぎましたね。皆さん、攻撃のチャンスです』
その結果を見届けた有栖は飛行機乗り達に呼びかける。敵の狙いが藍に向き、その上で十全に戦闘力を発揮できぬ現状こそ好機と。
『飛行機乗りの皆様ー! 今なのでっす!』
ちょうど歌の間奏に入ったところで藍もまた呼びかける。加えて彼の場合、現状で改めて己を狙われるとそれはそれでピンチ、というのもありつつ。
「おう、やってやるぜ!」
「これだけ隙だらけなら!」
飛行機乗り達も其に応え、一気に攻勢へと出る。放たれる機銃が次々と敵兵士達を撃ち抜き、これを仕留めていき。
『これで、この辺りは一掃ですね』
有栖もまたトラウムに纏われる風から斬撃波を放ち、火炎放射兵を斬り捨て仕留めてゆく。この空域の敵が全滅するまで、長い時間はかからなかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
飛行機乗り達へ!
敵の注意を引く為、吶喊します!!
その隙に撃滅されたし!!!
回点号操縦『戦塵突撃』【闘争心】を燃やし|攻性障壁展開《サイキックシールド》【オーラ防御】メガスラスター【推力移動】高速飛翔!
【念動力】火炎を攻性障壁で【受け流し】そのまま敵目掛けて【頭突きシールドバッシュ】念動粉砕!爆炎と共に吠えよう!
自分は此処だ!さぁ壊しみせろ!!さもなくば自分が壊す!!!
【継戦能力】十分敵の注意を引いたらウィングブースターで【空中機動】火炎放射を掻い潜り、味方飛行機乗り達が不意打ち!
敵が飛行機乗り達に注意を引かれたらその隙にブースターをウィングキャノンに切り替え【レーザー射撃】纏めて吹き飛ばす!!
ファルコ・アロー
おおー、良いじゃねーですか!
こーゆー空中戦ですよ、ボクがやりたかったのは!
いーですか複葉機のやろーども!
まずはボクが突っ込んで連中をきりきり舞いさせてやるですから、アタックは任せたですよ!
あの翼もねー狼ども、空から叩き落としてやれです!
とゆー事でチェンジ・ファルコン!
複葉機よりは速いと思うですから、先行してビーム撃ちながら敵陣に突っ込んで大雑把に攻撃していくですよ!
倒し切れなくても撹乱出来れば十分です。
複葉機の機銃でも狼くらい撃ち落とせるはずです。
ジェットパックや火炎放射器の燃料タンクに当たったらもっと派手に楽しめるですよ!
敵が火を放ったら複葉機が燃やされないよう衝撃波で散らしてやるですかね!
エドゥアルト・ルーデル
モヒカンだよ、かなりモヒカンでござるよこいつら
拙者も汚物を消毒したかったァ~
これから『空戦』をします
【航空機召喚】、機体はJu87Gでござるよ!やっぱでっかい砲は最高でござるなウェヒヒヒ!
拙者はこれに乗るけど後ろにも機銃座があるから現地民を一人強制徴募な
編隊と編隊同士正面からヘッドオンしようぜ!
突っこんで来る…そこをガツンだ!火炎放射よりも射程の長い37mm砲をドッカンボッカンぶち込むんだよ!生身で直撃したら粉みじんでござるよたまらねぇな!
直撃しなくてもスゲェ衝撃で周りにいる奴らも体勢と陣形を崩すぐらいはするでござるよ
崩れてれば複葉機でも戦果を挙げられるだろ
後ろに乗ってるのはもっと機銃を撃て!
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【POW】
※愛機搭乗、絡み歓迎
ヒャッハー、騎兵隊だよ♪自由な空はいいねえ♪
当然【ナイト・J】で【シャル】も一緒さ
「飛行機乗りの皆さん、|光の航空図《ホログラフ》をどうぞ。
赤い矢印が敵兵の位置と進行方向、数字が高度ですっ」
シャルがEWAC機能で収集した戦況データを元に
オペ148番【オール・アズ・エース】でホロUI提供
戦術面にも全力介入して自軍のスペックを底上げ♪
アタシ自身もシャルとUIの恩恵を受けて空中戦
《瞬間思考力/応用力》&生体電脳による思考《操縦》と
【アシュヴィン】ブースター形態2種4基で超音速飛翔
【エクスキューショナー】で機関砲の様にビーム連射
【メルクリウス】を張って炎を凌ぎ体当たり♪
「大分敵は減ってきたか」
「ああ、だが……」
猟兵達の活躍により、アドリア海空域における戦いの趨勢は徐々に己らの側に傾きつつある。なれど、飛行機乗り達の表情には緊張が滲む。
「まさか主力部隊を俺達が受け持つコトになろうとはな」
相対する敵部隊は数も多く、その挙動も至って秩序立ったもの。この空域における敵軍の中核戦力であることは間違いない。つまりは相当の強敵。味方の数も多いが、全く楽観視できる状況ではない。
なれど、出会った以上は戦うのみだ。改めて操縦桿を握り直した飛行機乗り達であったが。
「………!?」
「な、何だこれは!?」
突如、操縦桿の上辺りに出現した奇妙な図形。上には幾つもの赤と青の矢印が数字を添えて示されている。これは一体。
『飛行機乗りの皆さん、|光の航空図《ホログラフ》をどうぞですっ』
其処へ聞こえてきた声。見れば、後方から三機のキャバリアと一機の戦闘機、そして自らの翼で飛翔する少女の姿が在る。声はキャバリアの一機からだ。
『私達が皆さんの情報面をサポートさせて頂きます』
『情報管制はシャルにお任せ、戦闘はアタシも手伝わせて貰うよ♪』
キャバリアのうちの二機、その片割れ『ナイト・ジャッカロープ』からのシャルの言に付言するかのように、もう一機『ナインス・ライン』からリーゼロッテ・ローデンヴァルト(|KKS《かわいくかしこくセクシー》なリリー先生・f30386)が語る。
飛行機乗り達のもとに現れたホログラフは、シャルが乗機のEWACシステムで収集した情報をリーゼロッテのユーベルコードで出力したもの。その見方を伝えれば、飛行機乗り達も成程と納得したように頷く。
「これから『空戦』をします――ご機嫌は如何でござるか兄弟ィ?」
「いきなり拉致っといて何言ってやがる! まあ此処まで来たんだし付き合ってやらぁ!」
唯一の戦闘機はJu87G。爆撃機を対地攻撃機として再設計したこの機体に乗るのはエドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)。因みに後部機銃座に乗るのはその辺で強制徴募してきた狼獣人である。当然不満タラタラだが此処まで来たならと腹は括った模様。
尚、エドゥアルト機にもリーゼロッテ達提供のホログラフは展開されている。彼自身はこれに頼らずとも空戦をこなせるパイロットではあるが、あれば頼りになるのは確かだ。
「いーですか複葉機のやろーども!」
やがて、唯一生身での参戦となるファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)が自らの飛行能力で以て飛翔し戦列の最前へと移動しながら呼びかける。
「まずはボクらが突っ込んで連中をきりきり舞いさせてやるです! アタックは任せたですよ!」
以て翼なき狼どもを空から叩き落としてやれ、と気炎を上げる。其に並び立つ如く、キャバリアの残る一機が前に出る。クロムキャバリア『回点号』だ。
『自分も敵の注意を引く為、吶喊します!! その隙に敵を撃滅されたし!!』
搭乗者たる朱鷺透・小枝子(|亡国の戦塵《ジカクナキアクリョウ》・f29924)が闘争心に満ちた声音で飛行機乗り達へと呼びかける。彼らが其に応えるのが早いか。
「ウィングアップ! チェェェェンジ! ファルコン!!」
『進め! 進め!! 突き進めぇぇッ!!!』
ファルコはその身を全長10mの戦闘機へと変形させ、小枝子は乗機を超能力による攻性障壁で覆い。其々に速度を一気に上げて敵陣へと猛然と突撃してゆく。
「ヒャッハー! 正面からとか馬鹿な奴らめ!」
「消し炭にしてやるぜぇ!!」
そんなものは格好の得物と言わんばかり、燃え盛る火炎を一斉に浴びせにかかる火炎放射兵。だが。
「そんなモン当たらねーですよ!」
「あぎゃー!?」
ファルコは即座に機体を上昇させて回避。その直前に撃ち放ったビームを逆に兵士へ当ててこれを仕留める。
『そんなものは――』
一方で小枝子はメガスラスターの最大出力にて正面から炎の中へ突撃。前面に|攻性障壁《サイキックシールド》を展開して炎を受け――直後、大爆発。巻き起こる爆炎が回点号を呑み込む。
「ヒャッ……ハー!?」
快哉を上げかけた火炎放射兵達、だが直後に其は驚きに取って代わられる。
『――自分は、此処だ……!』
爆炎の中から小枝子の唸るような声が響いた、次の瞬間。爆炎を斬り裂き、回点号が飛び出してきた!
『さあ壊してみせろ!! さもなくば――』
その機体に損傷らしい損傷は見られず、僅かに攻性障壁が減衰した程度。それもまた、即座に補われ――再加速した機体が、兵士目掛けて肉薄し。
『自分が!! 壊す!!』
「「ぐげゃー!?」」
そのまま障壁ごと体当たり、兵士達の全身を粉砕しながら吹き飛ばしてみせた。
「な……っくそ、こいつら……!」
そのまま敵中を突破してゆく小枝子と、頭上を取らんとするファルコ。彼女達に警戒し意識を向けた兵士達だが――直後、その判断の間違いを悟らされる。
「ちょっと予定と違うがそこをガツンだ!」
「「がぼぁー!?」」
其処へ飛来するは無数の機関砲弾! エドゥアルト搭乗のJu87G、その特徴たる37mm機関砲が火を噴いたのだ。元々対戦車を想定して作られたものをユーベルコードで強化して放てば、オブリビオンといえど生身で耐えられるものではない。直撃を受けた兵士達は粉微塵に消し飛び、其を免れた者達も衝撃に姿勢を崩される。
「まだまだいくぜおらぁぁ!」
更に後部銃座の狼獣人も半ばヤケの勢いで機銃を連射。態勢を崩した兵士達が撃ち抜かれ仕留められてゆく。
『それじゃー、アタシもオマケさせてもらおうかな♪』
駄目押しとばかりリーゼロッテも乗機を飛翔させて突撃。機体周囲に展開したビット群からビームを機関砲の如き勢いで連射し、エドゥアルトの攻撃を免れた兵達を次々撃ち落とし。
『そーれ、どっかーんっ♪』
「アバーッ!」
辛うじて反撃叶った者達の放った炎もバリアで悠々と突破、そのまま体当たりをかけて仕留めてみせて。
「やろーども! 今がチャンスですよ!」
其処へファルコの呼びかけに応え、飛行機乗り達の複葉機群が一斉攻撃を開始。雨霰と撃ち込まれる機銃の雨が、火炎放射兵達を片っ端から撃ち抜き仕留め、一気に数を減らしにかかる。
最早ゾルダートグラード兵達は総崩れ。ファルコやリーゼロッテのビームに撃ち抜かれ、小枝子の突撃で摺り潰され、エドゥアルトの機関砲撃に爆ぜ飛ばされ、飛行機乗り達の銃撃で蜂の巣とされ――不運な者は燃料タンクに被弾して自分が火達磨とされて。
そのまま、全滅の憂き目を見たのである。
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以て、猟兵と飛行機乗り達の連合軍はアドリア海空域、その一部を制圧。イタリアの空の解放に向けて、また一歩前進を果たしたのである。
大成功
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