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忘れられないあの味

#サイバーザナドゥ #サイバースペース #ヤマラージャ・アイビー

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#ヤマラージャ・アイビー


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 テーブルに並べられた大皿小皿から湯気が立っている。
 丸ごと焼いた七面鳥に、滑らかなマッシュポテト、黄金色に焼けたパイはバターの香しい匂いが立ち見るにも香ばしそうだ。
 こんな物がこのサイバーザナドゥで食べられるなんて。鶏も、芋も、小麦も、一般市民には到底手が出ない。ならばこの店が高級店であるかと言えば、

 客層を見る限り、曰く、
 禿げ散らかしたタンクトップのジジイ、
 ぺらいワンピースを着込んだ少女、
 皺の寄ったスーツ姿の、うだつが上がらなさそうなサラリーマンの男。

 ならば、見た目ばかりが良い張りぼてだろうか。一口齧ってみれば分かる。

「うっ……美味い……!」

 誰もが唸るこの味!

「もっと食べたい」
「喰わせろ」
「料理を食べさせて!」

 血走った目は焦点が合わず飛び飛びに、口角から泡が立ち、雫の塊となってテーブルへと滴った。
 喰わせろ! 食わせろ! 料理を!
 忘れられないあの味を!

 ●

「――と。良い施設ですよね。僕もそう思います。『立体印刷したフレーバーペーストに「旧時代に存在した料理の味と香り」を投影し、見た目と風味を再現して楽しめる』、画期的じゃあないですか。かなり美味しいみたいですし」
 八角・信彦(社畜・f42581)は腰掛けている椅子を軋ませながら足を組み直し、改めて、猟兵達の反応を窺うように数秒の間を置いた。
 軈てへらりと遜るように笑い、肩を竦める。
「まぁ、お察しと言うか、既にろくでもないと思っていらっしゃるでしょうが。そうです。運営がメガコーポですから……ただでは済まない訳です」
 トン、と。八角は猟兵達と自身を断つように置かれている机を指で叩いた。
「問題は中毒性。遅効性の思考破壊プログラムが仕掛けられているんです。その名も「ヤマラージャ・アイビー」」
 喰えば食う程虜になる。例えるならばアヘンかコカインか。そうして中毒になった人々の成れの果てはメガコーポの人形であると、八角は続けた。

「施設に乗り込んで「ヤマラージャ・アイビー」が仕掛けられている領域を特定し、これを破壊してください。敵の懐に飛び込むようなものですので、そうですね……客の振りをすると良いでしょう。中毒にならない程度に、業務を忘れない程度に、楽しんでください」


とみ
 一章、
 客の振りをしてARグルメバーを楽しみながら「ヤマラージャ・アイビー」を探してください。
 なおスタッフもメガコーポの手先となります。気取られないように気を付けてください。

 二章、
 集団戦になります。

 三章、
 ボス戦になります。

 ●

 こんにちは、とみです。
 一章から三章まで食材や料理が絡むシナリオとなります。
 皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 日常 『ARグルメバー』

POW   :    色々な料理の再現を試してみる

SPD   :    より再現度の高い料理を探す

WIZ   :    他世界の食べ物を再現してみる

イラスト:high松

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 電脳空間たるサイバースペースに件の店はあった。
 ネオン輝く小綺麗な外観からどうして物騒なプログラムが仕掛けられていると気取れるだろうか。
「「ネオイナリ社のARグルメバーへようこそ! ご希望の料理は何でしょう? フレッシュ無味な水から味の濃いブリトーまで何でもスタッフにお申し付けください!」」
 君達が一歩店へと足を踏み入れると数名のスタッフ達が丁重な辞儀と笑顔で出迎えてくれる。
 不可思議なのは辞儀の角度から、笑みからなる唇の吊り上がりと狐のような目の細さまでこのスタッフ達は寸分違わず、生き物と言うよりは造り物のようだ。
 それは訓練から成るものか、プログラムから成るものか、それとも——。
シモーヌ・イルネージュ
ザナドゥは相変わらずやることがえげつないね。
アイデアはいい。安くてうまいものをお手軽に出せるなんて最高だ。
だけど、そこで中毒にさせちまうのはさすがメガコーポ。
怖いね。

もちろん目的のブツを探すけど、せっかくだから色々試してみよう。
肉だ! 焼き肉もいいけど、しゃぶしゃぶ、すき焼きな鍋物も捨てがたい。
あえて、ローストビーフもいいか。

中毒にならないように【気合】で誘惑を抑えつつ、ブツを探そう。
まずは料理のペーストを作っているところだな。
サイバーアイで幻影を排除しながら、探してみよう。



 安い、美味い、手軽。三拍子揃っているのだ。アイディアは良い、しかし”後遺症”が問題だ。
「怖いね」
 シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)は店の戸に手を掛けながら呟いた。

 電脳空間が成せる技か、店内は外観よりも広々としていた。だだ広く小綺麗な空間をシモーヌはその青目に搭載されたサイバーアイを駆使しスキャンしながら、スタッフの案内に従い食卓に着いた。
 染み一つ無いテーブルクロスが掛けられたテーブル、中央に色とりどりの花が活けられた花瓶が置かれているが、【サイバーアイ】越しに見るテーブルは小ざっぱりとしていて、ただの長方形と棒の組み合わせだ。
「ご注文は?」
 と問うスタッフにシモーヌは答える。
「肉だ!」
 肉は正義。
「焼き肉もいいけど、しゃぶしゃぶ、すき焼きな鍋物も捨てがたい」
「それでは、最後まで美味しく頂けますようすべて少量ずつ持って参りましょう。ネオイナリ社のARグルメバーでは味覚・匂い・容の再現は勿論、生成する量まで自由自在です」

 やがてシモーヌの卓には焼きから鍋まで様々な肉料理が並んだ。
 その美しいまでの赤身と脂身のコントラスト。香ばしい匂い。少し箸で触れるだけで分かる柔らかさ、弾力。シモーヌは思わず唾を呑み込んだ。
 まずは網の上でジワジワと音を立て、肉汁を滴らせている焼き肉。一口齧ると、
「…………!!!」
 シモーヌは目を瞠った。今すぐ貪り食いたい。誰もが唸る、忘れられない、この味!
 脳髄でスパークし、髄液掻き乱れる耐え難い衝動!
「……っ!」
 【気合い(40)】がシモーヌの食指を制する。
 理性を取り戻したシモーヌはスタッフの後ろ姿に注意を払う。

 料理はどこから運ばれて来たのか。スタッフが戻る方角が恐らくそうだろう。
 この料理の原料は何か。ペーストだ。
 中毒性が強過ぎる料理。ペースト。その原料は。

 シモーヌは客席の合間を縫い、隠れ、気取られないように先のスタッフが去って行った方角へと向かった。
 そこに壁がある、行き止まりだ。
 ——シモーヌの【サイバーアイ】には地下へ続く階段が見えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・絶華
UC常時発動中
此処がサイバースペースか
まるで現実の様だなさっちゃん?
「この世界も技術が偏ってるみたいですね主様…?だけど…このパスタうめー!」
さっちゃんが楽しんでいるようで何よりだ
しかし…どうも…此処は…料理忍の気配を感じるな…?
「料理忍…?」
ああ…料理で人を虐殺する狂った螺旋忍軍の一派だ
KB世界で戦う事はなかったが一部の料理忍が異世界に飛んだようだな…?
「いや主様のチョコも危険物し」
何か言ったかさっちゃん?(ぜっちゃんチョコ捻じ込み
「ぐぉああああ!?」
因みに食べるが基本変わらず
美味しい不味いという概念が実はない
【念動力・第六感】
薄く念動力を広範囲に展開しながらも怪しい動きや場所の捕捉
後は直感



 テーブルを囲む男女。片や銀髪、片や黒髪。二色のコントラストが遠目にも良く映えている。
「まるで現実のようだなさっちゃん?」
 銀髪の青年、皇・絶華(影月・f40792)が問うと、
「この世界も技術が偏ってるみたいですね主様……?」
 黒髪の少女、さっちゃんがそれに答えた。
 片手にはフォーク、その先端に薄赤いソースが絡んだパスタが巻き取られている。
 アルデンテに茹でられ程好く芯が残ったこの絶妙な噛み応えの素が、まさかペースト状だなんて到底信じられない。
 楽しそうに、美味しそうに、頬を綻ばせパスタに舌鼓を打つさっちゃんに対し、絶華の前には水が入ったグラスのみが有った。
 絶華は料理に狂わない。何故ならばそれを口にしていないから。
 さっちゃんも料理に狂わない。さっちゃんに取って、美味も無味も不味も全てが平等だった。
「だけど……このパスタうめー!」少女は無邪気にはしゃぐ。

 少女には美味や不味と言う概念が無かった。

「しかし……。どうも……、此処は……、料理忍の気配を感じるな……?」
「料理忍……?」
 料理で人を虐殺する狂った螺旋忍軍の一派の仕業ではあるまいか。
 歴戦の勘だ。絶華はさっちゃんに語りつつも【念動力(58)】を菌糸のように繊細に、薄く、周囲に展開した。

 血眼になって料理に喰らい付く客がフォークを皿に頻りに叩き付けている。お代わりを、早く次を持って来い。
 スタッフがテーブルに差し向けた新たな皿が何かのスイッチのようにカチリと音を立てる。
 そうして踵を返して去って行くスタッフが行く先には道が無い。あれは壁――。

「いや主様のチョコも危険物」
 ふと、眼前へと意識を戻される。さっちゃんの皿はいつの間にか空になっていた。
 よろしい、ならばデザートだ。
「何か言ったかさっちゃん?」
 喰らえ、ぜっちゃんチョコ!
 栄養価のみに重きを置いた異常に濃度が高い且つ漢方のえぐみや得体の知れない虫が入り混じった狂気の産物を!(一息)
「ぐぉああああ!?」
 さっちゃんは身悶えし叫んだ。
 しかし、安心して欲しい。少女には美味や不味と言う概念が無い。
 嘗ては多くの毘盧遮那を絶望の淵に墜とした恐るべきぜっちゃんチョコを喰らいながらも正常でいられるのは偏にもその特性のお蔭なのかも知れない――。
 おかわりもあるぞ。

「お客様、お持ち込みになられた食べ物を当店でお召し上がりになるのは――」
 騒ぎを聞きつけたスタッフが二人が向かい合うテーブルへとやって来た。
 しかし、絶華の椀の形に広げられた右手に焦げの様に黒く、仄かに高麗人参だか木クレオソートだかの臭いを放つ、針金のような足が飛び出た『何か』が乗っているのに気付き、スタッフは息を呑んだ。
 ゴクリッと言う音が絶華とさっちゃんの耳にも届いた。
「私手製のチョコレートだ。よければ――」
「……しっ、失礼しました……!」
 絶華の言葉を聞き切らずスタッフは足早に去って行った。

 ――兎も角、あの壁が怪しいだろう。絶華の【第六感(94)】がそう告げている。
 怯えたスタッフがちらちらとこちらを窺っている。あの目が離れた瞬間を狙い、向かおう――。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『高級卵『プリオンスター』』

POW   :    のこさずたべてね!
【卵白に擬態した耐熱ナノマシン群】に【生身】で触れた敵に、【体内侵蝕と生体組織破壊】による内部破壊ダメージを与える。
SPD   :    しんせんでいきがいいね!
【殻の表面に幾何学模様が現れ、硬質化する】事で【高速戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    のうがとけるほどおいしいよ!
【とても美味しそうな卵】に変身する。隠密力・速度・【卵黄に擬態した洗脳型ナノマシン群】の攻撃力が上昇し、自身を目撃した全員に【「この卵を食べたい」という欲望と憧憬】の感情を与える。

イラスト:すずや

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 電脳空間にプログラミングされた壁はファイアウォールよりも脆く見掛け倒しで、君達が少し手を触れたならばその手が壁にめり込むだろう。否。正確には擦り抜ける。
 もう少し勇気を出してみようか。その身をめり込ませてみると良い、向こう側へと出られるだろう。
 そこに在るのは地下へと続く階段。底から漂う得も言われぬ香しい匂いに手招かれるように階段を一歩、また一歩と降りて行けば、広々とした空間に出る。
 三つ並んだ棚には皿がみっちりと犇めき合っていて、中央には乾燥機能付きの洗浄マシーンと、立体印刷機、
 そして卵があった。

 どうやらこの耐え難い匂いの根源のようだ。

 【とても美味しそうな卵】だ。
 【「この卵を食べたい」】【「食べたい!」】【「食べたい!」】【「食べたい!」】【「食べたい!」】。

 果たしてこの卵がヤマラージャ・アイビーなのか……?
シモーヌ・イルネージュ
この匂い。美味しそうだ。
でも、ここの食材がどれもヤバいのは理解してる。
食べたらダメだろ。
それに本命のヤマラージャ・アイビーはまだ先だ。

ここは食欲に負ける前に、早々にケリを付けてしまおう。
UC【フロストファング】を発動。
絶対零度の剣で、自分の周囲も含めて凍結しよう。
これで切っていけば、飛び散りも凍って安全だ。
冷凍卵にしてやるよ。

代償はあるけど、さっき食ったばかりだから、少し動いて体温を戻していこう。



 新鮮なハーブとスパイスを複雑に混ぜ込んだような、はた又脂の乗った肉をじっくりと焼き焦がした様な、甘く、香ばしく、芳醇な匂い。殻に覆われた卵一つにこのような匂いを纏う事が出来るものだろうか。
 この匂いに何人の人々が惹かれ、惑わされた事だろう。
 シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)は理解している。この耐え難い衝動は罠だ。きっとこの卵は己等が探す物ではない。ヤマラージャ・アイビーはまだ先だ。
 シモーヌの口内にはじんわりと唾液が込み上げて来ていた。食欲に負ける前に早々にケリをつけてしまおう。

 ――【卵黄に擬態した洗脳型ナノマシン群】の威力は凄まじく、それは「この卵を食べたい」、「食べさせなければ」と言う信仰にも似た狂気を植え付ける。今日も店は盛況だ。
 俊敏な判断力によりシモーヌは生唾と共に込み上げて来る【欲望と憧憬】を振り切る!

 【フロストファング】発動。

 シモーヌの【体温】が急激に失われて行く。代償により生成された【絶対零度の剣】は周囲の空気を冷やし、次第に壁や床に花のような霜が降り始めた。
 吐く息が白い。
「代償はあるが、……腹ごなしだ」
 少し動いて体温を戻そう。荒事は己の領分だ。シモーヌは口角を吊り上げ、不敵に笑った。
 シモーヌは地面を覆う霜の花に足跡を残し、高々と跳ねり『高級卵『プリオンスター』』へと切り掛かる。
 ――バリンッ!!
 卵型ともよく言うが、卵とは頭に向かうに連れて細い。その細い頭に罅が入り、ほろほろと崩れた殻の奥の深淵を蕩かしたような闇の中から白身がまろび出、直ちに透明さを失い濁った。

 ――ギャリリリリリリッ!!

 金属同士を擦れ合わせた様な甲高い音が部屋いっぱいに響き渡る。それは、プリオンスターの悲鳴だろうか――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィデル・マルカ
「この卵を食べたい」
神器に呑まれないために日々気を張っている僕の心にも勝手に湧き上がるこの衝動
これは食べたら人生の終わりを意味しているのかもしれない
時間経過で状況が良くなると思えない、倒そう

導者のマントを【投擲】して卵に被せ身軽になる
卵が見えなくなることで食欲が収まれば幸運だけど
無いと思っておいたほうが無難
卵へ距離を詰めてUC翔空を発動
【早業】で【2回攻撃】を決めるつもりで攻める

敵が高速移動を始めたら隙を見てマントを回収
攻撃を仕掛けてきたら【武器受け】で卵を受け止めたり
マントを巻きつけて行動を制約したい

目が無い敵と戦うってこんなにやりにくいのか
今後似た敵と戦うかもしれない
戦法を色々試しておこう



 代々受け継がれて来た神器に呑まれぬように日々を張り詰めて生きて来た。なのに、

 この卵を食べたい――

 屈強な心にも込み上げる衝動。
 それは蝶を誘う蜜。しかし、過ぎたる美味は毒だ。
 アレを食べたその時、己の人生は終わりを告げるかも知れない――

 フィデル・マルカ(静かな伝承者・f29494)は静かに唇を硬く結ぶ。
 時間経過で状況が良くなるとは思えない、倒そう。

 フィデル・マルカ(静かな伝承者・f29494)は漆黒のマントを高級卵『プリオンスター』に【投擲20】する。
 高級卵『プリオンスター』は甲高い鳴き声を上げた。それは硝子と硝子が引っ掻き合わさった音にも、無数の小さな螺子が鉄板に叩き付けられた音にも似ている。
 生まれる事無く食材となった卵のどこから聞こえて来るのか。獰猛な獣の口腔のようなその割れ目から溢れる宇宙の奥に名状し難い『何か』がいるのか――。

 食事は目で楽しむ物とも言う。実際マントに隠され目に見えないだけで、込み上げる衝動の締め付けがほんの僅か弱まったようにフィデルは感じた。
 フィデルは身軽にプリオンスターに迫り、【翔空】と【早業50】による目にも止まらぬ【2回攻撃】を繰り出した!
 ――パリッ
 布に隠れた内側で何かが割れる音がする。皮切りにマントの裾から眩い光が溢れ出た。
「……っ!」
 フィデルが身構え飛び退いた瞬間、プリオンスターが高速回転を始める。
 被ったマントの裾がひらひらと翻り、まるでダンスでも踊っているかのようだ。此方へ向かって来る!
 フィデルは一弾の弾丸のように素早く手を差し伸べ花のように広がるマントの裾へと指先を引っ掛けるや、【早業50】によりプリオンスターの突進を間一髪避けた。

 空中で広がり、やがてフィデルの手元で垂れて収束するマント。
 勢いづいた物は急には止まれない。プリオンスターは斜向かいに在った地下室と階段を隔てる扉へと激突する。
 中程から無残に拉げた扉がその衝撃を物語っている。
 ギャリリリリリと言う金属質な音を立てながら懲りず回転を始めるプリオンスターの【殻の表面には幾何学模様が】浮かんでいた。

 【硬質化】したのか、扉にぶち当たった筈の箇所に罅一つ入っていない。先細りの頭にぽっかりと開いた穴は先のフィデルの攻撃により穿たれた物か。
 が、よく見ると宇宙を零す割れ目からホロホロと灰のようなきめ細やかな欠片を零している。

 代償が無い訳では無いらしい。この人の欲望を固めたような卵は命と引き換えに硬く【新鮮で生きが良い】のかも知れない。脳裏に勝算が過り、フィデルは目を細めた。
 ――プリオンスターがフィデル目掛けて突進する。
 フィデルは【武器受け】で卵を受け止めた。

 キィンッと言う、甲高い音が立った――。

大成功 🔵​🔵​🔵​


「…………ふむ」
 ギャリリリリリリッ――! 甲高い悲鳴を上げ続ける高級卵『プリオンスター』。
 皇・絶華(影月・f40792)は思案気な表情で『プリオンスター』を見詰めていた。
「どうしたんですか主様?この卵……滅茶苦茶美味しそうなんですけど?」
 皇・絶華に寄り添うサートゥルヌスことさっちゃん。皇・絶華のチョコレートの洗礼が舌根に残っていた。
「そうですよ主様!香りも素晴らしいですしきっと最高級の品ですよ!朕も食べたい!」
 ライオンの着ぐるみを身に纏うロクシアス・コロニスはその見目の幼さに違わない無邪気な声で己が主に訴えていた。
「とても……とても残念だ」
 魅惑的な卵が手招く誘惑の先に何がある物――。それを皇・絶華は知っていた。
 あれは毒だ。
「ちょこっと齧っちゃいましょう、主様。ちょこーっとだけ……」口一杯に唾液が込み上げて来る。さっちゃんがあっと口を開いて『プリオンスター』に忍び寄ろうとしたその時。
 気付けばさっちゃんの口にはぜっちゃんチョコが捻じ込まれていた。

「ぴゃあああッ!?!?」

 さっちゃんは叫んだ。



 そもそも毒である以前に栄養値が足りんのだ。皇・絶華は眉間に皺を寄せ心中独り言ちた。
 やはり我が≪ぜっちゃんとチョコの神々≫――チョコレートを追加してこの卵を更なる上位へと進化させなければ!
 ふと気付くと、皇・絶華の手にはチョコレートがあった。端正な皿に御丁寧に乗せられた茶色い固形物。
 さっちゃんとライオン着ぐるみの幼女ロクシアスでなければ見逃してしまうね。

 それを三つの残像を残し、『プリオンスター』へと捻じ込む――!

「「ぴょゎぁぁぁあああ!?」」

 『プリオンスター』は叫んだ。
 さっちゃんは胸に込み上げた奇妙な親近感を噛み締め、両手で顔を覆っていた。

「我がチョコを食す事で圧倒的なパワーを宿すハイパーチョコに……いや! ……スーパーぜっちゃんチョコになるというものだ!」
 堂々たる面持ちの皇・絶華。ドンッ! と言う効果音が見えるようだ。
「「た、たまご要素が……消えた……!?」」
 一方ざわつくさっちゃんと幼女。

 『プリオンスター』の体臭に仄かに漢方の匂いが漂い始めた。最早、≪しんせんでいきがいい≫とは到底言い難い。圧倒的パワーを前にその卵は余りにも無力だった。
 絡み付く邪神植物を振り払う事すら出来ない。『プリオンスター』はまるで復活祭のために飾り立てられたイースターエッグのようだった――。
皇・絶華
神機達の主発動中
………ふむ
とても…とても残念だ
サートゥルヌス「どうしたんですか主様?この卵…滅茶苦茶美味しそうなんですけど?」
ロクシアス・コロニス「そうですよ主様!香りも素晴らしいですしきっと最高級の品ですよ!朕も食べたい!」(ライオン着ぐるみ金髪ふわふわ幼女

やめておくといい。これは毒だ
残念ながら圧倒的なパワーは感じられない(そしてぜっちゃんチョコを捻じ込み

UC準備開始
やはり我がチョコを追加してこの卵を更なる上位へと進化させなければ
「「ぴょゎぁぁぁあああ!?」」
というわけでぜっちゃんチョコをたまごにねじこみねじこみ

そうだ…卵だというのにあまりにもこれは栄養価が足りなさすぎる!
だが…我がチョコを食す事で圧倒的なパワーを宿すハイパーチョコに…いや!…スーパーぜっちゃんチョコになるというものだ!

「た、たまご要素が…消えた…!?」

UC発動
たまごに襲い掛かる邪神植物

これでお前も圧倒的なパワーを誇るすぺしゃるチョコへと進化を遂げるだろう!
まずは我がチョコを食し!圧倒的なパワーに酔いしれるがいい!!



「…………ふむ」
 ギャリリリリリリッ――! 甲高い悲鳴を上げ続ける高級卵『プリオンスター』。
 皇・絶華(影月・f40792)は思案気な表情で『プリオンスター』を見詰めていた。
「どうしたんですか主様?この卵……滅茶苦茶美味しそうなんですけど?」
 皇・絶華に寄り添うサートゥルヌスことさっちゃん。皇・絶華のチョコレートの洗礼が舌根に残っていた。
「そうですよ主様!香りも素晴らしいですしきっと最高級の品ですよ!朕も食べたい!」
 ライオンの着ぐるみを身に纏うロクシアス・コロニスはその見目の幼さに違わない無邪気な声で己が主に訴えていた。
「とても……とても残念だ」
 魅惑的な卵が手招く誘惑の先に何がある物――。それを皇・絶華は知っていた。
 あれは毒だ。
「ちょこっと齧っちゃいましょう、主様。ちょこーっとだけ……」口一杯に唾液が込み上げて来る。さっちゃんがあっと口を開いて『プリオンスター』に忍び寄ろうとしたその時。
 気付けばさっちゃんの口にはぜっちゃんチョコが捻じ込まれていた。

「ぴゃあああッ!?!?」

 さっちゃんは叫んだ。



 そもそも毒である以前に栄養値が足りんのだ。皇・絶華は眉間に皺を寄せ心中独り言ちた。
 やはり我が≪ぜっちゃんとチョコの神々≫――チョコレートを追加してこの卵を更なる上位へと進化させなければ!
 ふと気付くと、皇・絶華の手にはチョコレートがあった。端正な皿に御丁寧に乗せられた茶色い固形物。
 さっちゃんとライオン着ぐるみの幼女ロクシアスでなければ見逃してしまうね。

 それを三つの残像を残し、『プリオンスター』へと捻じ込む――!

「「ぴょゎぁぁぁあああ!?」」

 『プリオンスター』は叫んだ。
 さっちゃんは胸に込み上げた奇妙な親近感を噛み締め、両手で顔を覆っていた。

「我がチョコを食す事で圧倒的なパワーを宿すハイパーチョコに……いや! ……スーパーぜっちゃんチョコになるというものだ!」
 堂々たる面持ちの皇・絶華。ドンッ! と言う効果音が見えるようだ。
「「た、たまご要素が……消えた……!?」」
 一方ざわつくさっちゃんと幼女。

 『プリオンスター』の体臭に仄かに漢方の匂いが漂い始めた。最早、≪しんせんでいきがいい≫とは到底言い難い。圧倒的パワーを前にその卵は余りにも無力だった。
 絡み付く邪神植物を振り払う事すら出来ない。『プリオンスター』はまるで復活祭のために飾り立てられたイースターエッグのようだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

百地・モユル(サポート)
熱血で好奇心旺盛
本が好きな小学生

正義感が強く困っている人は見過ごせない

UCは業火の一撃や灼熱の束縛を中心に使用
攻撃には怪力、属性攻撃、2回攻撃、グラップルなどの技能をのせる

逆に敵の攻撃をからみんなをかばう、耐えるために
武器受け、挑発、おびき寄せ、時間稼ぎ、激痛耐性なども使用
敵に一撃入れられそうなら咄嗟の一撃や捨て身の一撃、カウンター

みんな大丈夫?助けにきたよ!

そんなの許せない、ボクの炎で焼き払ってやる!

技能の勇気、覚悟、気合いは常に発動状態

アドリブ絡み歓迎

サクラミラージュの影朧などの場合は説得もしたい



 その卵は此の世の美味を溶かし混ぜ上げ固めたような匂いをしていた。
 その卵は些か漢方臭かった。

 その卵はつるりと丸く、喉越し豊かに見えた。
 その卵はまろび出た白身がまるで血潮のようだった。

 その卵はホロホロと灰のようなきめ細やかな欠片を零していた。
 その卵は今にも割れかけていた。

 百地・モユル(ももも・f03218)の体は≪灼熱の炎≫を纏い光り輝いた。
 何かを悟った『プリオンスター』は身動ぎ、見様によってはぶるぶると小刻みに震えたようだった。
 燃ゆる炎は勇気のしるし。
 「喰らえ――ッ!!」
 百地・モユルが高らかに叫びながら軽やかに床を蹴り、突進する。
 火の粉を浴びた床が黒く塗れ、仄かな漢方の香りに焦げ臭さが混じった。最早抗いがたい芳醇さは鳴りを潜めた。そこに在るのはただの壊れかけの卵だ。

 『プリオンスター』と百地・モユルが激突する!
 ――パリンッ!!
 硝子をアスファルトに叩き付けたような甲高い音が響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『毒殺料理忍『アントニオ』』

POW   :    毒殺料理『香り高きキノコパスタ』
【食せば確実に猛毒に掛かるキノコパスタ】を給仕している間、戦場にいる食せば確実に猛毒に掛かるキノコパスタを楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
SPD   :    劇毒料理『絶品たる猛毒フグ海鮮ピザ』
【必ず猛毒に掛かるフグが入った絶品海鮮ピザ】を見せた対象全員に「【食べろ!】」と命令する。見せている間、命令を破った対象は【ユーベルコードを含む全ての能力】が半減する。
WIZ   :    決戦の料理舞台
戦場内を【絶対料理決戦】世界に交換する。この世界は「【戦いは全て料理勝負】の法則」を持ち、違反者は行動成功率が低下する。

イラスト:もとい

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はテラ・ウィンディアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 この焼き卵にどれ程の魅力があるものだろうか。
 ――”焼き卵”だなんて無粋な呼び方だって?
 異様に漢方臭く、ドロッとした半透明な白身が目立つ、殻混じりの卵だ。目玉焼きとも、スクランブルエッグとも、況してやオムレツだなんて口が裂けても言えやしないだろう。
 これはただの焼き卵、だ。食べ物かどうかも怪しい。

「ブラボー、ブラボー」

 部屋の奥からパチ、パチ、とやる気の無く両手を打ち鳴らしながら『毒殺料理忍『アントニオ』』が姿を現した。
「あなた方は見事我がヤマラージャ・アイビーを破壊しました。……お目当てだったんでしょう? おめでとう、おめでとう御座います!」

「なぁんて」

 滅茶苦茶に混ぜられた鍋の中身のように『毒殺料理忍『アントニオ』』の手元が渦を巻き、伸び縮みし、揺らいだ。
 もう少し、目を凝らして。ほら、よく見てみるといい。
 不意にちらつく変数と返却値、nullと0と1の羅列が君達の目にも見える筈だ。
※トミーウォーカーからのお知らせ
 ここからはトミーウォーカーの「猫目みなも」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
キノ・コバルトリュフ(サポート)
キノキノ、キノが来たから
もう、大丈夫だよ。
キノノ?キノだけじゃ心配だって?
マツタケ!キノには星霊の仲間がいるから大丈夫!!
トリュフ!!キノ達の活躍を見せてあげるよ。
シメジ?キノが苦戦はありえないけど、その時は一発逆転を狙っていくよ。
キノキノ、みんなよろしくね。



 巷で人気のARグルメバー――しかしてその実態は、中毒性を持つ『料理』で人をヤマラージャ・アイビーの犠牲へ導くメガコーポ施設。その正体を暴き、思考破壊プログラムをも破壊してみせた猟兵をまるで心のこもらぬ賛辞で出迎えたシェフは、掌の上に再び『料理』を具現化させ、笑う。
「では、我が社に損害を与えてくださった皆様に、心ばかりのおもてなしですよ。さぁ――プリモ・ピアットから、ご遠慮なく!」
 |第一の皿《プリモ・ピアット》。そう称して投げつけるようにサーブされたのは、香り高いキノコをふんだんに使った晩秋のスパゲッティ……と見せかけて。
「キノキノ! そんな盛り付けじゃ、キノの目はごまかせないからね!」
 キノ・コバルトリュフ(|キノコつむり《🍄🍄🍄🍄🍄》の星霊術士・f39074)は料理ではなくシェフの方へとずびしと指を向け、きっぱりと言い放つ。見た目と香りこそ素晴らしいが、パスタの上に乗せられたキノコはどれもこれも人体にはあまりに有害なものばかり。そう指摘されても、シェフは肩をすくめて笑う。
「おや残念。では、ゆっくり……そう、ゆっくりと! 我々が開発した至高の料理をお楽しみいただきましょう」
「いただきまーす!」
「!?」
 キノ、何の迷いもなく毒キノコパスタを食べた――! これにはシェフも驚愕――ッ!
「はぐっ……うんうん、この香りは普通のバターじゃなくて、トリュフバターを使ってキノコをソテーしてるのかな? 何重もの芳香のハーモニーが……いいね! 舌にはちょっとピリピリくるけど、これはシメジにも負けない旨味! アルデンテにシコシコ食感のキノコが合わさって……歯ごたえエリンギ!」
「ば、バカな……!? 食せば猛毒を免れない、我が毒殺料理を貴様……ッ!?」
「あ、それはだいじょーぶ。お腹がいたくなっても、キノにはスピちゃんがついてるからね!」
 いい笑顔で親指を立て、美味しい美味しいと毒キノコパスタを楽しむキノコ少女に、どうやらシェフもだいぶおののいている! この隙を逃すな、猟兵!

成功 🔵​🔵​🔴​

響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです



「食事とは、人々のお腹のみならず心も満たす大切なものの筈です。それを、あなたは……!」
 本来であれば人の命を、心を繋ぐ筈のその行為を、人を壊す為に利用した。メガコーポのその所業に怒りの色を露わにしながら、響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)はシェフの真正面に立ちはだかる。
「個人の主義主張をここで語られても困りますねえ! ここは飲食店、より美味な料理こそが人を惹き付けるのは道理! ――そうではありませんか、お嬢さん?」
「……」
 拳を握り締め、リズは紫水晶の瞳でシェフを睨みつける。けれどそれに動じるでもなく、シェフは掌を天井に向けた。
「つまりこうです、お嬢さん。これよりここは、決戦の料理舞台。食事の何たるかを語るのであれば、私に料理勝負で勝っていただきましょうか!」
「……承知しました。その勝負、受けて立ちますわ!」
 と、勢い込んで料理勝負を受けたはいいものの、リズ本人はどこからどう見ても箱入り育ちのお嬢様だ。曲がりなりにもプロの料理人に調理技術で勝てる訳も――。
 ――というのは、彼女の力を知らない敵の慢心でしかなかった。確かにジャガイモの皮を剥く手つきには危なっかしいところがあったし、砂糖と塩を間違えかけていたのは1度や2度ではなかった。けれど調理の最終盤、いよいよ最後の仕上げを行おうというところで、彼女は静かに息をつく。
「……そろそろ、良いですわね。これで……!」
 瞬間、彼女の纏っていた淡く澄んだ魔力が明らかに濃さを増した。増強した魔力を惜しみなく『調理の補助』にのみ回し、リズは文字通り魔法のような鮮やかさで見事な一皿料理を作り上げていく。どうぞ召し上がれ、と差し出されたそれを口に含むなり、シェフは刮目した。
「こ、これは――!」
 あまりの美味さ、そして知らぬうちにリズから溢れ出していた聖なる魔力に打たれてダメージすら受けているシェフの姿に、微かに微笑んで――そして、そこでリズは大幅な魔力増強の反動に昏倒した。

成功 🔵​🔵​🔴​

向・存(サポート)
もし手助けが必要でしたらお手伝いするのですよぉ~。
得意なのは近接戦闘とか、【情報収集】も兼ねた見回りとかお話を伺うのも好きですよぉ~。
非道なことをなされる方には手加減無用、全力で参らせていただきますねぇ~。
大丈夫ですよぉ~。手足の二・三本くらいもげてもなんとかなりますのでぇ~。

ユーベルコードの出し惜しみをするつもりはありませんよぉ~。
使いどころに迷ったときはぁ、ご同輩に相談するのも良いですねぇ~。
あとは最後まで油断大敵、【咄嗟の一撃】も放てるように【逃亡阻止】は意識しておきましょう~。
堅実にきちんと片づけたら、皆で美味しいものでも食べて帰りましょう~。
※アドリブ・連携歓迎



「成程、料理勝負ですかぁ~。受けて立つしかなさそうですねぇ~」
 間延びした言葉遣いとは裏腹に、用意されたキッチンに立つ向・存(葭萌の幽鬼・f34837)の目つきは真剣だ。猟兵としてひと仕事した後には仲間を食事に誘うこともままある彼女にとっても、偽りの美味で人を狂わせるメガコーポの所業は許しがたいものなのだろう。
 既に戦場内は敵のユーベルコードによって絶対料理決戦世界と化している。あくまで『人に美味いと感じさせる料理』で、万一にも負ける気はないという敵の矜持か傲慢かのいずれかなのだろう――ご丁寧に用意された清潔な調理台に立ち、存はふむりと首を捻る。
「あちらが『美味』をもたらす毒料理で攻めてくるならぁ~、こちらは……やはり、この前読んだ本に書いてあった、あのレシピを試してみましょうかぁ~」
 何種類もの野菜をはじめとした食材を丁寧にサイズを揃えて刻んで、水を加えてじっくり煮出したスープに白米を加え、更に丁寧に煮詰めていくことしばらく。土鍋の蓋をぱかりと開けて、立ち上る湯気の中で存は告げる。
「……医食同源、という考えが私の故郷にはありましてぇ~。こちら、ほっこり美味しい薬膳スープ粥ですぅ~」
 身体の内部より熱と滋養を与え、毒を排出させることに特化しながらも優しい風味と僅かに効かされた香辛料が食欲をそそる薬膳スープ粥。それが、敵の猛毒料理に対する言わば特攻兵器と化したのは――勿論、言うまでもない。

成功 🔵​🔵​🔴​

仇死原・アンナ(サポート)
鉄塊剣『錆色の乙女』,妖刀『アサエモン・サーベル』、戦闘用処刑道具『赤錆びた拷問器具』、『鎖の鞭』等装備してる物を使います

UCは指定した物をどれでも使用

普段の口調は(私、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、なの?)
戦闘中は(ワタシ、お前、呼び捨て、言い捨て)

処刑人として敵と戦います
同行者がいれば協力
メインは鉄塊剣で攻撃
鉄塊剣の使用が不向きな相手・場所では刀剣をメインにして相手をします。
拷問具や鞭を使い敵の行動を阻害、鉄塊剣や刀剣で敵を攻撃します。影朧にはできる限り説得しますが説得不能と判断すれば容赦なく屠ります
キャバリアを操縦したり生身でも戦います



 中毒的に美味な食事を文字通りの『餌』として人を集め、彼らを遅効性思考破壊プログラムで狂わせ、自らの傀儡としてきたメガコーポ。背徳と退廃蔓延るサイバーザナドゥを牛耳る彼らは、まさしく罪そのものと称して差し支えない存在であろう。
 であるからこそ、仇死原・アンナ(処刑人、獄炎の花嫁、焔の魔女、恐怖の騎士・f09978)の振るう剣は容赦ない。用意されたテーブルを踏み越え、赤く禍々しい炎を帯びた鉄塊を振りかぶって、彼女は処刑人として言葉を発する。
「お前を討つ。その為に私は来た」
「マナーのなっていないお客様ですねぇ! ですがご安心を――さあ、召し上がれ!」
「ッ!」
 サーブされてきたピザの上にトッピングさせているのが猛毒の魚だということは、既に知っている。故にアンナは口を堅くつぐんで巨大な剣の刃先を下に向け、剣の腹で防御の構えを取る。刀身に弾かれたピザが焦げ臭いにおいと共に宙を舞い、同時に地獄の炎を纏った剣先が跳ねた。殆ど自動的にと言っていい速度で振り上げられた鉄塊剣が悪の料理人の顎を捕らえ、斬撃と焦熱を共に叩き込む。鍋の中の豆のように高く吹き飛び、けれど意外なほどに機敏な動きで床を転がり衝撃を殺して、幾許かの焦げ跡を纏いながらもシェフは口の端を吊り上げる。小さく舌打ちして、アンナは再び剣を構えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

皇・絶華
神機の主発動中か…貴様…料理忍軍!?
「本当に料理忍軍だったんですか!?」
私の読みが当たっていたとはな…そして久しぶりだなアントニオ…相も変わらず狂った料理を作っているようだな!

改めて言おう…お前達は間違っている!
料理とは人を虐殺するようなものではない!

そう…料理とは…チョコとは…数多の人々に圧倒的なパワーを授けるものだ!
それを忘れたお前に我が我がチョコを以て圧倒的なパワーを教導しよう!
「「わ…わぁ…!」」

アントニオの認識
史上最凶最悪の料理忍『ぜっちゃん』

美味さで人を爆破する技を持ちながら狂った味のチョコを量産し続けた男
料理忍の首領は彼を次期後継者にしようとしてたが全力でぜっちゃんは逃亡したのだった…!

UC準備開始
【薬品調合】
猛毒パスタの解毒剤を配合したぜっちゃんチョコもぐもぐ
そしてパスタもぐもぐ
何という事だ…毒ばかりで貴様のパスタにはパワーが足りない!
ふざけるな!料理はパワーだと言っただろうが!

UC準備完了
【爆破】
次は私のチョコ料理だ!お前に教えよう
料理とは…チョコとは…パワーだと!
発動



「私の読みが当たっていたとはな……そして久しぶりだなアントニオ……相も変わらず狂った料理を作っているようだな!」
「本当に料理忍軍だったんですか!?」」
 シェフに指先を突き付ける皇・絶華(影月・f40792)の隣で、謎の黒髪の少女が驚きの声を上げる。けれどそのどちらも意に介さずといった調子で、アントニオと呼ばれたシェフは両腕を広げた。
「狂った……? 参りましたねえ。よりにもよって、あなたのような者にそう呼ばわられたくはないものですよ」
 そう言う彼が絶華をどこまで理解したうえでそう言っているのかは定かでないが、いずれにせよ確かなことはただひとつ。
 ここに相対する二人は、決して相容れぬ存在だということだ。
「改めて言おう…お前達は間違っている! 料理とは人を虐殺するようなものではない!」
 それは、これまでこのシェフに向けて他の猟兵達も次々に投げかけてきた言葉。けれど、その言葉が悪しき料理人を揺り動かすことだけはなかったこともまた事実だ。だからどうしたと興が醒めたかのような表情を僅かにみせたシェフを前に、絶華は更に言葉を続ける。
「そう……料理とは……チョコとは……数多の人々に圧倒的なパワーを授けるものだ! それを忘れたお前に我が我がチョコを以て圧倒的なパワーを教導しよう!」
「わぁ」
 絶華の傍らに立つ少女が、何とも言えない表情で声を零した。ついでにシェフからも似たような呻きじみた声が零れたような気もした。何せ咆哮と共に絶華が掲げてみせた彼自慢のチョコレートは、……何と言うか、何だろう、こう……「本当にそれは食品なのか?」とまず問いたくなるような、名状しがたき蠢き方でのたうつどす黒い固形物の塊だったのだから。
 名状しがたき固形物(本人曰くチョコ)を堂々と頬張り、次に絶華はシェフが今しがた作り上げたばかりのパスタを口に含む。
「何という事だ……毒ばかりで貴様のパスタにはパワーが足りない!」
 テーブルを勢いよくだんと叩き、絶華は吼える。パスタの毒性はなんやかんやでチョコレートに忍ばせていた解毒剤がそれなりに中和しているらしい。
「ふざけるな! 料理はパワーだと言っただろうが!」
「……どうにも、あなたとはやはり相容れないようですねえ……!」
「次は私のチョコ料理だ! お前に教えよう、料理とは……チョコとは……パワーだと!」
 ところでつい2分半ほど前、ここに乗り込んできた時に、絶華はしっかりとシェフ・アントニオを指差していた。これが意味するところに、まだシェフは気付いていない。その動作こそが、時限式のユーベルコードの発動対象を指定する予備動作だったのだ、と。
 まるで狙いすましたかのように放たれたその口上の終わりと共に、100をゆうに超えるであろう邪神の眷属……ではない、これチョコだ! チョコと呼ばわっていいのか? これを?
 ……とにかく本人がチョコだと言い張る名状しがたき有機物が飛来し、シェフの口内へと飛び込んでいく。その光景はさながら宇宙から襲来した触手状のエイリアンが人体に寄生蹂躙を仕掛ける様だ。地獄の如き物量攻撃はオブリビオンの体内を余すことなく蹂躙し、破壊し尽くし、哀れ悪のシェフは爆発四散!
「……料理とはパワー……その真実を最後まで認めなかったお前の負けだ、アントニオ」
 絶華の言葉に答える者は最早いない。ともあれ、ここに殺人シェフが支配する猛毒レストランは終焉を迎えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年12月14日


挿絵イラスト