8
バトル・オブ・オリンピア⑲〜ガチ・セラフィム

#アスリートアース #バトル・オブ・オリンピア #『勇者リリリリ?』 #1stKING『魔王ガチデビル』 #5thKING『勇者リリリリ』

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アスリートアース
🔒
#バトル・オブ・オリンピア
🔒
#『勇者リリリリ?』
🔒
#1stKING『魔王ガチデビル』
🔒
#5thKING『勇者リリリリ』


0




●常軌を逸したヤベーやつら
「フォーミュラ増殖、四次元殺法、無制限世界移動、アルカディアエフェクト、暗黒星雲、五輪書、二天一流、時間遡行……『新生フィールド・オブ・ナイン』は、やはり常軌を逸した軍団だった」
 諸悪の根源たる『魔王ガチデビル』は独りごちる。
 そう、此処までの計画は完璧だった。いや、完璧だったかなぁ……?
「『倒した相手をダーク化させる』……これは問答無用で、この世界の超人アスリートたちを従わせるには十分すぎる能力であった。こやつらを『悪魔契約書』で他世界にばらまくことで多数の世界を侵略することは十分可能だった……」
 加えて、彼の持つ『KING宝珠』を以て『新生フィールド・オブ・ナイン』の能力を得ることができれば、無敵のオブリビオンへと至ることもまた必定だった。

 なのに。
 なのに!
「なのに何故、こうも思い通りにならぬ!?」
 思わず『魔王ガチデビル』……が憑依している5thKING『勇者リリリリ』は首を傾げた。
 なんで?
 そう、『魔王ガチデビル』はたしかに『勇者リリリリ』の体に取り付き主導権を奪ったのだ。なのに、何故か、彼女は一定間隔で自我を取り戻し始めていた。なんで?
「運と実力が足りなかったんじゃないの~?」
「バカな! 運ならまだしも、実力が足りないなど!」
 たしかに、と思った。
『魔王ガチデビル』は最初にベースボール・フォーミュラ『Mr.ホームラン』を目覚めさせた。
 此処までは良い。
 彼らもダークリーガー。オブリビオンであるというのならば、世界の破滅を願うはずだ。そして、己の与えたデビルパワーでもってフォーミュラを増殖させ、一気に攻め立てれば如何に猟兵と言えど凌ぐことはできなかったはずなのだ。
 けれど、彼らは違ったのだ。
 己が与えたデビルパワーを侵略ではなく、ただひたすらにスポーツでの勝利への邁進を行おうとしたのだ。

 これがバトル・オブ・オリンピアの興りである。
「……………………あれ? あれれれれ???」
『勇者リリリリ』はかしげた首を反対側にかしげた。
「な~んか取り戻してきたかも! 自我取り戻してきたかも!」
「なっ!?」
 それは『魔王ガチデビル』にとっては信じられないことだった。
 完全に彼女の体を奪ったはず。
 なのに、どうして!?
「ほれこのように剣を振るうこともできます」
 ぶんぶんと剣を振りながら、手にした盾で、びーってビームも『勇者リリリリ』は放つこともできた。
「やめろ、頼む、これ以上面倒事を増やすな……!」
 哀愁すら漂いかけた『魔王ガチデビル』にさらに追い打ちを懸けるようにして響く声があった。

「見つけましたよ、『魔王ガチデビル』! バトル・オブ・オリンピアを引き起こした張本人にして諸悪の根源!」
 グリモア猟兵、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)が爛々と輝く瞳で見据え、猟兵たちと共に転移してきたのだ。
 続々と集まってくる猟兵達。
 その光景に『魔王ガチデビル』はめまいを覚えた。
 悪夢だ。
 これは悪夢だ。
「もう……私の許容範囲は……限界なんだ!!!」
 叫んだ。
 それはもう力の限り叫んだ。
 不備である。けれど、ここで『魔王ガチデビル』による滅びを実現させるわけにはいかない。

「お~、あれが噂の7thKINGたちってわけね。お~い、こっちこっち~!」
「あ、あなたは……5thKING『勇者リリリリ』? さん? ですよね? 自我を奪われていたのでは……」
「なんか取り戻してきたかも! あ、でも、これって一定時間ごとみたい。すぐに洗脳されちゃうから、私超強くて、大変かもだけど、がんばってやっつけてみてよ~!」
 軽い。
 滅茶苦茶軽いノリで『勇者リリリリ』は、ほれほれ、とワッペンみたいになった『魔王ガチデビル』を叩く。
「やめろ! どこぞのド根性なカエルみたいな扱いをするな!!!」
「え~? まあ、そんな感じ。一定時間ごとに無防備になるから、そこにユーベルコードぶっこんでこ! あと、盾からビームで治療してあげたりするから、単純に超強い私とがんばって戦ってね~」
 軽い……。
 だが、『魔王ガチデビル』は洗脳した『勇者リリリリ』と共に猟兵たちを仕方なく排除しようとしてくるだろう。

 これを阻まなければ、世界の破滅が訪れる。
「わかりました。では、皆さん!」
 ナイアルテは猟兵達を振り返り、告げる。
 そういうことだから! と説明らしい説明は全部『勇者リリリリ』がしてくれた、とバトル・オブ・オリンピアの最終局面を示すのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『バトル・オブ・オリンピア』の戦争シナリオとなります。

 かつてデビルキングワールドの5thKINGとして君臨していた堕天使の勇者こと『勇者リリリリ』に張り付いて肉体と自我を乗っ取っていた『魔王ガチデビル』との戦いです。
 5thKINGである『勇者リリリリ』の力は悪魔たちに恐れられるほどに強大な力を有していた存在です。
 特殊な能力はありませんが、シンプルに強い、という悪魔的強さをもっています。
 あれだけ最強の種族である悪魔たちに恐れられているのです。
 その強さは言うまでもないというところでしょう。当たり前のように先制攻撃してきます。

 ただし、クソ強いのですが、一定時間ごとに『魔王ガチデビル』の洗脳が解除され無防備状態になりますし、盾から放つビームで皆さんを治療したり防御力をアップしてくれたりします。
 これを上手く活用して『魔王ガチデビル』を退けましょう。

 プレイングボーナス……敵の先制攻撃に対処する/リリリリの洗脳解除タイミングを活用する。

 それではアスリートアースに巻き起こる熱きスポーツバトルの祭典を戦い抜く皆さんの物語の一片となれますように、たくさんがんばります!
273




第1章 ボス戦 『勇者リリリリ』

POW   :    5thKINGブレイド
霊力を帯びた【斬霊刀 】で斬る。対象にこの斬撃を防ぐ装備や能力があれば、全て無効化し、更に威力を増大する。
SPD   :    堕天シールド(ガチデビル形態)
【宝珠のついた盾 】から、斬撃・投擲・盾受けに使える【小さなガチデビルの顔がついた空飛ぶ小型盾】を具現化する。威力を減らせばレベル×1個まで具現化可能。
WIZ   :    大罪魔法「六つの大罪」
戦場全体に【大罪を司る無数の祭壇 】を発生させる。レベル分後まで、敵は【祭壇より現れる『六大罪獣』】の攻撃を、味方は【祭壇より放たれる『闇色の炎』】の回復を受け続ける。

イラスト:hoi

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

|タイムフォールダウン《高速詠唱早業先制攻撃》|時間質量を圧縮し凍結した時の牢獄が戒め一切合切の活動を禁じるだろう。《詰め込み重量/凍結/マヒ/気絶攻撃身体部位封じ多重詠唱結界術禁呪封印術》
|時の巻き戻しによる肉体の再構成《仙術、継戦能力、回復力》や|空間を切り刻んでからの再構築《ハッキング切断解体、切断部位の接続》による空間ジャンプ回避。
なるほど、強い。ならば、|生命の歴史をここに収斂しよう《リミッター解除、限界突破》。|形成されるは絶望を覆す希望の剣《高性能を駆使する》。さぁ、ガチデビル?あなたにこの重みを受け止めきれて?パイオニア・オブ・ホープ!



 常識の外のぶっちぎりでやべー奴ら。
 それは『魔王ガチデビル』にとっては、毎度おなじみだったのかもしれない。
 世界の破滅。
 それを一度ならずとも二度まで邪魔だてするは、猟兵であった。
 一度目は悪魔たちを。
 二度目は超人アスリート、ダークリーガーたちを。
 彼らを『悪魔契約書』によって異世界へと輸出する。それによって『魔王ガチデビル』は世界の破滅を齎すはずだった。

 諸悪の根源。
 それが己である。ならばこそ、彼は邁進する。
 例え何度邪魔されたって!
「なのに、どうしてこんなことになる!?」
「え~? そりゃあ、悪だくみすればバレるでしょ~」
 5thKING『勇者リリリリ』の肉体を奪うまでは本当に良かった。なんとか延命というか、その場を凌いだと思えた。
 だが!
 此処にも猟兵はやってきている。
 その上、『勇者リリリリ』は洗脳によって奪ったはずの自我と肉体の主導権を時折奪い返すのだ。
「ほれほれ」
「や、やめろー! もうこれ以上私の許容範囲を圧迫するのはやめろー!」

 なんとも言えない光景をみやり、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の混沌魔術師艶魔少女・f05202)は深く頷いた。
 なんだかんだ言いながらも5thKING『勇者リリリリ』は、最強の種族である悪魔たちを震え上がらせるほどに圧倒的な力でもってデビルキングの座を勝ち取った堕天使。
 マジで、単純に。
 強い!
「なるほど、強い」
 アリスは思った。
 こちらのあらゆる手段に対して、あの強靭な肉体と圧倒的な能力差は如何ともし難い。
 どうしようもないほどの力の濁流。
 剣を振るえば大地は割れるし、ビームは大気を震わせる。

 だが、勝機はあるのだ。
「ならば、生命の歴史を此処の収斂しよう。過去に生きた者、今に生きる者、未来に生きてる者、そのすべての歴史、そのすべての積み重ね……その重み、受け取りなさい」
 悪魔が一個人で最強であるというのならば、絶望を覆し未来を切り開く希望を持つ者がいる。
 連綿と紡がれてきた歴史がある。
 そして、その全てを以て脅威を打ち払う方策、その術策、その力を己が手に顕現せしめるのが、ユーベルコードであるというのならば。

「あ、いい感じに洗脳解けたかも~」
「やめろ、今重要な展開になっているのがわからんのか!」
「ていうことは、むしろ、今がチャンスじゃんね? ほらほら、今だよ~」
『勇者リリリリ』が剣を振って合図をしている。
 今こそ無防備。
 その状態をアリスを見極め、その必中必勝の剣、パイオニア・オブ・ホープを振るい上げる。
「さぁ、『魔王ガチデビル』? あなたにこの重みを受け止めきれて?」
 放つは必中必勝の剣。
 叩き込まれた一撃は『勇者リリリリ』へと迸り、その強靭な肉体から宙に浮かぶ盾ごと凄まじい衝撃を生み出し、光の柱を立ち上らせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天道・あや
……よく分かんないけど、これぞ好機って奴??

……

ガチデビルよし、リリリリさんよし!(?)あたしよし!

行かせて貰いまショータイム!


とりあえずリリリリさんが自我コントロールを取り戻すまでは迂闊に攻めなれないし、【ダッシュ】で駆け回って相手の出方を伺う!
相手が大技を放ってきたら、紙一重で致命傷になるのを反らしつつ受ける!【覚悟、見切り、激痛耐性】

ーー痛い!けど、この後回復
出来るなら耐えてみせ、いや、耐えられる!

そしてリリリリさんの洗脳が解けたら、回復を受けながらすかさず反撃!

リリリリさん回復サンキュー!あと初めまして&あたしの曲、聴いてくださーーい!!【楽器演奏、情熱】

あ、ガチデビルさんも聴いてね!



 立ち上る光の柱。
 それは『魔王ガチデビル』を滅ぼすユーベルコードの一撃であり、同時に5thKING『勇者リリリリ』の強靭な肉体を打ち据えるものであった。
 だが、彼女は堕天使。
 最強の種族たる悪魔たちをも震え上がらせ、デビルキングへと至った規格外の存在。
 勇者。
 そう呼ぶに相応しいほどの力を持つ彼女は、その一撃を受けてなお立っていた。
 むしろ。
「お~いい感じ! いい感じにビリビリ来てるよ~!」
 軽い。
 滅茶苦茶軽い。なんていうか、彼女が悪魔たちを震え上がらせていたのがわかるほどに単純に強いことが理解できるだろう。

「やめろ! このままでは私もろとも貴様も滅びるのだぞ!」
「え~むしろ、自我と肉体を洗脳したのに、解除されて寄生主に迷惑かけるのって最高にワルじゃん?」
「……よくわかんないけど、これぞ好機って奴??」
 天道・あや( スタァーライト ・f12190)は『魔王ガチデビル』の悲鳴と『勇者リリリリ』のコントみたいなやり取りを見て、今が無防備状態ってやつなのかな? と思った。
 まあ、でもいっか!
 なんか今よろしく、って感じで『勇者リリリリ』が手招きしているのだから。

「『魔王ガチデビル』よし、『勇者リリリリ』さんよし(?) あたしよし!」
 指差し確認。
 レッツゴーぶっとばし!
「行かせて貰いまショータイム!」
「あ、ちょっちタンマ。今、また洗脳されそう」
「させるか、猟兵! 喰らえ、5thKINGブレイドの一撃を!」
 放たれる一撃。
 その手にした剣の斬撃は凄まじいものだった。あやが立ち止まったからこそ、余波だけですんだが、その余波だけでも体が吹き飛ばされそうだった。

 痛みが体中を走る。
「――痛い! けど!」
「めんごめんご! ほれ、ビームで回復」
「ああーっ! やめろ! せっかく猟兵に手傷を与えたというのに!」
 あやは笑ってしまった。
 非常に『勇者リリリリ』が協力的なのだ。『魔王ガチデビル』によって斬撃を受けても、その後に洗脳を解いた『勇者リリリリ』が回復ビームを放ってくれるのだ。
「『勇者リリリリ』さん、回復サンキュー1 あと初めまして&あたしの極、聴いてくださーーい!」
「おっけー、ばっちこい!」
「マッハ! ストーム! ギター!(ハジイテハジイテハジケ) いくよー! あ、『魔王ガチデビル』さんも聴いてね!」
「やめろ! これ以上はわけがわからん! 事態を収拾できなくなるぞ! カオスなのは『スーパーカオスドラゴン』だけでいいだろうに!」
「そんな事言わずに! さあ、いくよ!」
 あやはギターの速弾きによって奏でる音色を放ち続ける。
 ギャンギャンギャンギャンと音が奏でられ、『魔王ガチデビル』は耳を塞ごうにも肉体の主導権を奪われているので、塞げぬワッペンの身を呪う。

 さらに『勇者リリリリ』はあやのギターの旋律にノリノリでヘドバンしながら、テンションマックスになっている。
「イェイイェイ! ヒュー!」
「やめ、やめろ……! ゆれ、ゆれる……三半規管がぶっ壊れるわ!!」
「もっともっといくよー!」
 あやの言葉に『魔王ガチデビル』の悲鳴が、なんとも情けなく響いた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

李・麗月
もう諦めたらいいのに諦め悪いわねぇ。
まずは六大罪獣の獣ちゃんを対処ねぇ。
催眠と魅了と動物と会話でもってこっちの味方につけて
ガチデビルちゃんにけしかけるわねぇ。

自分が呼び出した獣を自分で処理してる間に
同じように催眠と魅了でもってリリリリちゃんを呼び起こしてみようと試みるわぁ。
呼び起こせたりガチデビルちゃんを魅了して
時間稼いで無防備になったなら指定コードで獣ごと焼き払っちゃうわねぇ。

アタシに見惚れてると大火傷するわよぉ、物理的に。



『魔王ガチデビル』は世界侵略を目論むオブリビオンである。
 最強にして良い子の種族、悪魔の中にあって、彼だけが唯一真に邪悪であった。
 故に彼を止めるためにデビルキング法が生まれ、悪魔たちはこれに対抗したのだ。
 そして、オブリビオンとして復活した後、デビルキングの座を掛けて猟兵たちと争い、これに敗れた。

 しかし、彼は舞い戻ってきたのだ。
 5thKING『勇者リリリリ』に取り付き、洗脳することによって強靭な肉体を得た。
「ふぅ~! 猟兵さんたちのビートはハートにギンギンだぜ~いえーい!」
 なのに。
 そう、なのに『勇者リリリリ』は、しれっと洗脳を解除し猟兵たちの一撃を前に無防備状態で棒立ちなのだ。
「乗るな! ノリノリになるな! ここは戦場なのだぞ!?」
『魔王ガチデビル』はなんとかして彼女の肉体の主導権を奪い返し、ユーベルコードを発露する。
 祭壇が生まれ六大罪獣たちを呼び出す。
「いけ! 猟兵を寄せ付けるな!」
「もう諦めたらいいのに諦め悪いわねぇ」
 李・麗月(《蠱惑娘娘》・f42246)はなんとも言えない緊張感の無さを感じながら、『勇者リリリリ』の生み出した祭壇より放たれた獣たちを見据える。

「ねぇ? 本当に諦め悪いったらないわよねぇ?」
「やめろ、当たり前のようにこちらのはなった獣を手懐けようとするんじゃあない!」
「いやねぇ。だって、これって私にとっては自然なことだもの」
 そう、寵姫にとってこれは自然なこと。
 瞳見つめ、言葉紡ぎ、所作でもって籠絡する。息をするのと同じなのだ。ならばこそ、麗月は微笑む。
 その微笑みに獣たちは勝手にゴロゴロ喉を鳴らすのだ。
「猫か、貴様らは!」
「おっと、ここで私、洗脳解除!」
「あああー!!!」
 麗月は微笑む。なんともコントじみたことだ、と。

「きれいなお姉さんの気配を感じたので!」
「あらぁ。嬉しいことを言ってくれるじゃない? それじゃあ、お姉さんと火遊び、してみる?」
「しまぁす!」
「じゃないだろうが、貴様ぁ!!!」
 最早戦いですらないのかもしれない。これは謂わば、互いの魅力を以て為す綱引きのようなものだ。
 そんな勝負の土俵に立ったことが『魔王ガチデビル』の敗因であったことだろう。

「はい、じゃあ、熱いのお見舞いするわよぉ」
 魅惑の炎(ミワクノホノオ)が麗月の手にした燭台型宝貝から戦場に吹き荒れる。
 それは六大罪獣たち毎燃やし尽くすような勢いで持って走り抜け、『勇者リリリリ』へと迫るのだ。
「アタシに見惚れてると大火傷するわよぉ」
「物理的にね!」
「貴様も燃えているんだが!? それはいいのか!?」
「なんとかなるでしょ~」
「ね~?」
 麗月と『勇者リリリリ』は互いにほほえみ、頷く。
 その狭間にあって『魔王ガチデビル』は、さらに悲鳴を上げて、己の不運を嘆くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

李・玉明
WIZ アドリブ歓迎

勇者リリリリを選んだこと。そしてダークリーガーを侮ったこと!
相手の大事な想いを知ろうとしなかった、お主の見通しの甘さが失敗の原因でもあろう!
行くぞ、魔王ガチデビル! この世界は滅ぼさせはしないのじゃ!

六大罪獣を踊るように躱して、近場の祭壇は芭蕉扇で雨雲を呼んで落雷で砕くのじゃ!
鬼さんこちら♪ 触れさせはせぬよ♪
そして洗脳が解除された瞬間に、UCを発動して真の姿に変身するのじゃ!

―――それでは、戯れましょう。
愉快なカエルの魔王様に、偉大な先々代の勇者様に。
一曲吟じて差し上げましょう。
ガチデビルへと歌と演奏を混ぜた超音波による衝撃をぶつけてあげましょう。
だるまさんがこーろんだ♪



「何故だ! 何故こうなる!?」
『魔王ガチデビル』は叫ぶ。
 そりゃあ、叫ぶってもんである。これまで彼がやってきたことは真に邪悪であっただろう。
 けれど、彼はあらゆる不運に見舞われているようだった。
 いや、誤算続きであるというのが正しいだろうか。
 7thKINGを懸けて戦えば猟兵たちに阻まれる。他世界にやってきたと思えば、ダークリーガーたちが求めるのはスポーツでの勝利。
 取り憑いた『勇者リリリリ』はいつの間にか時折自我を取り戻すまでに至っているのだ。
 何もかもが誤算だらけ。
 不運と踊っちまってるのである。

 そう理由をつければ簡単なことだっただろう。
 けれど、李・玉明(豪華絢爛西欧天女・f32791)は告げる。
「『勇者リリリリ』を選んだこと。そして、ダークリーガーを侮ったこと! 相手の大事な想いを知ろうとしなかった、お主の見通しの甘さが失敗の原因でもあろう!」
 彼女の言葉は真芯を突くものであった。
 そう、『魔王ガチデビル』は何かを利用することばかり考えていたのだ。
 ダークリーガーが勝利すれば、他者をダーク化できるという力を。
『勇者リリリリ』の強靭な肉体を。
 ただ、利用することしか考えていなかったらこそ、今という現状に追いやられているのだ。
「何が想いだ! そんなもので守れるものなどあろうはずもなかろう!」
「ならば、問答は無用じゃ。行くぞ、『魔王ガチデビル』! この世界は滅ぼさせはしないのじゃ!」
「しゃらくさいことを! 征け、六大罪獣よ! やつを喰らい尽くせ!」
 放たれるユーベルコード。
 祭壇より現れる巨大な六大罪獣たち。
 迫る爪を、牙を玉明は躱しながら扇を振るう。生み出されるは雨雲。
 それにひょいと乗ると、彼女はたおやかに笑う。
「鬼さんこちら♪ 触れさせはせぬよ♪」
 獣たちを引き付けるようにして彼女は走る。

「ぬぅぅぅ! 逃げてばかりで勝てるものか!」
「そうじゃろうなぁ……だが」
「そうそう。ほれ、こうして私が自我を取り戻すのを待っていたんだよ」
「ぬぁ! またか、貴様!」
『勇者リリリリ』が手をふる。
 自我を取り戻したのだ。それを見た玉明の瞳がユーベルコードに輝く。

「――それでは、戯れましょう」
 白面銀毛九尾仙狐(シロガネノハーミット)が其処に居た。
 真の姿。
 己の中には物事を楽しむ心がある。迫る獣たちも、踊ればただの児戯。追いかけっこに過ぎない。なら、これはきっと楽しいことだと彼女は笑う。
「愉快なカエルの魔王様に、偉大な先々代の勇者様に」
「誰がカエルか!」
「似たようなもんじゃん~。ほれほれ。ワッペンみたいになってさぁ」
「やめろ!」
「一曲吟じて差し上げましょう。ガチガエル、いえ、ガチデビルに。ほーら、だーるまさんがこーろんだ♪」
 放たれるは衝撃波。

 歌と演奏を混ぜた超音波。
 それが炸裂し、無防備な状態となった『魔王ガチデビル』と『勇者リリリリ』へと炸裂する。
「ばばばば。これすっごい! ぺっしゃんこになりそう!」
「のんきなことを言っている場合か……! 私が、潰れる……!」
「偶さかには遊戯に耽るも一興よの。これにて再び滅びへと至るがよい、『魔王ガチデビル』よ!」
 玉明の歌声が響き渡る。
 それは『魔王ガチデビル』にとって、滅びの一歩だった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第二『静かなる者』霊力使いの武士
一人称:私 冷静沈着で辛辣
武器:白雪林

ああ、空気を読めない方ですね、本当に。
今までので、薄々こうなることはわかっていたでしょうに。
あと、憑依からの操りって簡単ではないんですよ。

さて、自己主張の激しい盾は…四天霊障で受け止めて弾きましょう。武器受けですね。
これを、無防備になるまでやります。

そして…無防備になったのならば、即座にUCを。リリリリ殿は痛いかもしれませんが…|ガチデビル《空気を読めない方》倒すためにも、ね?
無数ですから、受けきることもできないでしょうし。


陰海月と霹靂のガチデビルへの認識『空気を読めない人』



 ワッペンのような体を押しつぶされながら『魔王ガチデビル』は呻く。
 たしかに猟兵は強い。
 べらぼーに強い。それは理解していたことだ。埒外たる力。
 それをどうにかしてかいくぐらねば、彼の望む世界の破滅は訪れない。
 ならばこそ、だ。
 規格外なる存在には規格外の存在をぶつければ良いのだ。だからこそ、彼は悪魔たちの力を求めたし、他者をダーク化させる能力を持つダークリーガーに目をつけた。
 だが、その尽くが裏目に出ている。
 なんたることだろう。
「私の計画は完璧だったはずだ! なのに、どうしてこんな不測の事態が興り続けるのだ!」
 嘆きか、それとも怒りか。
『魔王ガチデビル』の叫びがほとばしる。

「ああ、空気読めない方ですね、本当に」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『静かなる者』の言葉に『魔王ガチデビル』は苛立つ。
「今までので、薄々こうなるとわかっていたでしょうに」
「そんなの関係あるものか! 私の許容範囲を超える出来事が起こること事態がおかしいのだ! それを!!」
『勇者リリリリ』の手にした盾が無数に分離し、飛び立つ。
 それは攻防一体。
 まるで子機のように分裂して『静かなる者』へと迫るのだ。

 それは『勇者リリリリ』の力であったのかもしれない。
 単純な強さで言うのならば最強の種族、悪魔。彼らを震え上がらせたほどの力を持つ堕天使。彼女の力であるというのならば圧倒的であった。
 霊障で受け止めても、砕かれるし、踏み込んで来る。
 受け止めきれないのだ。
「たしかにこれが『勇者リリリリ』の力である、というのならば恐るべきことでしょう。ですが」
「そうだよね~こうやって私が自我を取り戻しちゃうっていうことがなければ、完璧で最強の勇者様って感じだけどさ~!」
『勇者リリリリ』が自我を取り戻してしまう。
 そう、『静かなる者』は待つだけでよかったのだ。迫る力は強大であろうとも、それが他者の力であり、また操っているのならば、いずれ綻ぶ。

「ほれほれ。簡単なものだよね~猟兵さんよろよろ」
 ほれ、と『勇者リリリリ』は構えていた盾を無防備に下ろして、身を晒す。
「『勇者リリリリ』殿には痛いかもしれませんが……」
「あーあー、いいってことよ~」
 さくっと行ってみよっか! と軽いノリで『勇者リリリリ』は無防備に手を広げている。
「バカなことを! 敵のユーベルコードだぞ……!?」
「では、|ガチデビル《空気読めない方》を倒すためにも、ね?」
『静かなる者』の瞳がユーベルコードに輝く。
 破魔への祈りにより、引き絞った弓より放たれるは霊力の矢。

「躱せ……! そうでなければ!」
 強引にでも『魔王ガチデビル』は『勇者リリリリ』の体を動かそうとするし、無数の盾が動き出そうとする。身を守ろうとしているのだろう。
 けれど、『勇者リリリリ』は笑って言う。
「いや~無理っしょ~だってさ」
「ええ、この数です。私が認識したもの全てに射掛けることのできるユーベルコードですから」
 その言葉と共に次々と霊力の矢が分裂しながら空を飛び、生み出された盾に付いた『魔王ガチデビル』の小さな顔を射抜いていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
祭壇を盾にしながら攻撃を凌ぐのでっす!
祭壇が減ればそれで良し、破壊されないならされないで盾としてはバッチリなのでっす!

思い通りにならない理由でっすかー。
幾らなんでも他人任せが過ぎたからではー?
フォーミュラー軍団はホームランさんが結成したものでっすし、宝珠も他力本願でっすし、肉体さえもお嬢さんのものでっすしー。
自身が結成したチームで連携して戦っているホームランさんとは大違いなのでっすよー!
と挑発&痛いところをついて攻撃を単調にしたり心を折りにかかるのでっす!
時間稼ぎは十分にできたはず!
お嬢さんよろしくなのでっす!
口撃で耳が痛くなってる魔王さんにUCをお届けするのでっす!
藍ちゃんくんでっすよー!



「ここまで私を虚仮にしてくれおって……! 許さぬ!!」
『魔王ガチデビル』は咆哮する。
 もう怒りしかない。この怒りは迫る猟兵たちを滅ぼし尽くさねば尽きぬものである。故に彼は、『勇者リリリリ』の力を発露する。
 洗脳による肉体の乗っ取り。
 これ自体はうまく行っていたのだ。誤算であるというのならば『勇者リリリリ』が自我を一定周期で取り戻し、無防備状態になる、ということだ。
 ならば!
「一定周期の前に貴様らを滅ぼせばいいのだ!! 私の思い通りにさせぬというのならば!!」
 その言葉と共に繰り出されるは六大罪獣たち。
 祭壇より呼び出された獣たちが戦場を駆け抜ける。迫りくる猟兵たちを噛み殺さんとせまる。

 その祭壇の間に隠れるようにして紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は走る。
「思い通りにならない理由でっすかー」
「そこか!」
 迫る六大罪獣が祭壇の裏に隠れようとした藍へと迫る。
 強靭な顎が祭壇を砕く。
「いくらなんでも他人任せが過ぎたからではー?」
「そうそう。ほんとうそれ。ほんそれ」
「黙れ!」
「いいえ、黙らないのでっす。フォーミュラ軍団は『Mr.ホームラン』さんが結成したものでっすし。宝珠も他力本願でっすし。肉体さえもお嬢さんのものでっすしー」
 そう、『魔王ガチデビル』は全てが他者を利用することを前提としている。
 最強の種族、悪魔たちもそうだった。
 ダークリーガーたちも。

 全てが己が利用するべきものとしているからこそ、この誤算である。
「自身が結成したチームで連携して戦っている『Mr.ホームラン』さんたちとは大違いなのでっすよー!」
「たまには自分でガチにやってみればいいのにね~?」
 藍と『勇者リリリリ』の口撃に『魔王ガチデビル』は辟易していた。
「貴様、もう自我を取り戻しているんじゃないのか!?」
「そうとも言うよね。というわけで、猟兵さん、今だよね!」
「はいなのでっす! お嬢さんの口撃、やりますね!」
「猟兵さんもね!」
「貴様らは!!」
 藍と『勇者リリリリ』の口撃は熾烈なものだった。バチバチに『魔王ガチデビル』の自尊心を傷つけまくるものであった。
 さながらそれは。

「十円傷つけられた感じっしょ!」
「それはそうでっすね! 高級車を台無しにする10円玉! 正しくなのでっす!」
「やっかましいわ!」
 その言葉とと藍は笑った。
 手にはユーベルコードの輝き満たす、藍ちゃんくん愛用マイク。
 息を吸う。
「そんな、自尊心傷だらけ大魔王にお届けしまっす! 永遠にアンコーッルなのでっすよ!」
 始まるは、藍ちゃんくんワンマンショー!(ワールド・イズ・アイ)である。
 藍の歌声は、収束するように大大音響美声衝撃波となって『魔王ガチデビル』を打ち据える。
 ぐえぇ、となるほどの強烈な音の波。
 それはまさに『魔王ガチデビル』の心をへし折りにかかる重しとなって彼の体をさらに薄く伸ばすようだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
ガチデビル。…壊れろ。
その身体から!!

この忌々しい悪魔への【闘争心】を破魔の鉄大団扇に込め、
【浄化】の豪風とし、召喚された六大罪獣、祭壇の放つ闇色の炎、無数の祭壇ごと【吹き飛ばし】『魔眼考動』発動。人工複魔眼の【視力】でガチデビルを捉える!

壊れろ!!|その身体《リリリリ殿》から|退去《い》ね!!!

精神破壊でガチデビルの精神へ壊れろと【呪詛】を叩きつけ、
リリリリ殿が洗脳解除、無防備となった瞬間、時間停滞付与。
メガスラスター【推力移動】加速、加速!加速!!

この腐れ悪魔が壊れろぉおおおおあああああああああ!!!!!!

ワッペン目掛け、【怪力】で破魔の大団扇を振るい超加速【浄化重量攻撃】
叩きつける!!!



「ぐぬぉおおお!! この、まだ、まだ私は負けられぬ! このまま我が侵略がなせぬままなど……!」
『大魔王ガチデビル』は呻く。
 これまで猟兵たちのユーベルコードは彼の体へと重くのしかかっていた。
『勇者リリリリ』の肉体をもってしても耐えきれるとは言い難いほどの威力だったのだ。たしかに彼女は最強の種族、悪魔をも震え上がらせるほどの力を持った堕天使であった。
 その肉体を乗っ取ることができたのだから、本来ならば猟兵なぞ如何様も退けることができたはずなのだ。
 なのに。
「なんでこうなるのだ!」
 祭壇から放った六大罪獣たちを朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は手にした鉄の大団扇でもってしばき倒していた。

 ハッキリ言って異様な光景だった。
 何がどうなれば、そうなるのだというほどに小枝子は鉄の団扇でもって六大罪獣をケツバットよろしく体育会系体罰でもってしばき倒していたのだ。
 そんなことある? と『魔王ガチデビル』は思った。
 だが、現実である。
「『魔王ガチデビル』……壊れる」
 なんか物騒なことも言っている!
「その身体から!!」
 迫る小枝子の瞳……その人口魔眼が燃えるようなほとばしる力を噴出しながら『勇者リリリリ』へと迫っているのだ。
 ハッキリ言って恐怖しかない。
 六大罪獣をしばき倒していたこともだが、彼女の鬼気迫る眼差しに押されっぱなしだったのだ。

「貴様は……!」
「お~、おっかなぁ! 一刻も速く逃げたいって思ってるっしょ」
 でも、ねぇ、と『勇者リリリリ』は己の肉体の主導権を奪い返して無防備に迫る小枝子の前に手を広げた。
「壊れろ!! |その身体《リリリリ殿》から|退去《い》ね!!!」
「逃げるの無理くない?」
「それはそうかもしれんが!」
 小枝子は魔眼考動(スタガリング)でもって、『勇者リリリリ』に取り憑いている『魔王ガチデビル』を睨めつけていた。
 的確に取り憑いている己だけを狙っているのだ。

 振り上げる鉄の団扇。
 束ねられた、もはや鉄の棒とも言うべきそれは破壊の呪詛と共に無防備なる『勇者リリリリ』へと叩きつけられる。
 しかも、的確にワッペンみたいになっている『魔王ガチデビル』だけを捉えていただ。
「ごはぁっ!? な、何故私だけを……!?」
「見えているからだ! 捉えているからだ!」
「む、無茶苦茶なことを!」
 メガスラスターの噴射でもってさらに威力を増している。ギシギシと『魔王ガチデビル』のワッペンのような小さな頭が悲鳴を上げる。

「壊れろ!! この腐れ悪魔が壊れろぉおおおあああああああ!!!!!」
 最早、『魔王ガチデビル』にとって一撃の威力は関係なかった。
 ただ、ただ、怖かった。
 小枝子の執念が。鬼気迫る気合が。
 叩きつけられる一打は、小枝子の怒りだった。加速した一打は振り抜かれ、『魔王ガチデビル』の脳天を叩き割るようだった。
 凄まじい衝撃が走る。
「あ~あ、こりゃさらいぺしゃんこになっちゃうじゃんね~」
『勇者リリリリ』は小枝子の一撃に笑ってぶっ飛ばされながら、ワッペンよりもさらに薄くなった『魔王ガチデビル』の顔をぺちぺちと叩くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
勇者リリリリ……どんな人物かと思っていたら中々愉快な性格のようで
いや、デビルキングワールドらしくはある……か?

大刀【冷光霽月】を抜いて相対
斬霊刀の攻撃は防げない。なら敢えて此方からも攻めにでる

俺の間合いの方が幾らか長い。距離を保ちつつ大刀を振り回し相手の踏み込みを牽制
攻撃を未然に防ぎ、もしくは踏み込みを浅くさせる事で斬撃の威力を削る

負傷は洗脳解除時に幾らか回復して貰える。なら、致命傷を受けなければそれでいい

適宜攻撃をしていると言っても、やはり洗脳解除時が最大の隙
剛式・参の型【截鉄】で一気に攻めつつ、ダウンさせたついでに刀を弾き飛ばしておく
武器を失えば、少々戦いづらくなるだろう



 5thKING『勇者リリリリ』。
 それは歴代デビルキングに列挙される堕天使の名である。
 最強の種族、悪魔。
 彼らを恐怖で震え上がらせるほどの力を持つ勇者にして堕天使。ならば、その力の強大さは言うまでもないだろう。
 掲げる5thKINGブレイドはあらゆるものをぶった斬る。
 山だろうが海だろうが、なんだろうが、ぶった斬るのである。問答無用である。悪魔たちが震え上がるのが理解できるほどの力である。

「あちゃ~これやりすぎっしょ」
「バカなことを! 生き残るためならば、この力を振るわんでなんとする!」
『魔王ガチデビル』の言葉に『勇者リリリリ』は首を傾げている。
 え、もう自我取り戻してないか、と思わないでもなかったが、口だけ取り戻しているのだろう。
 彼女の振るった5thKINGブレイドの一撃を受けた夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)はなんとも言えない気持ちになった。
 彼は『勇者リリリリ』がどんな人物なのか興味があったのかもしれない。
 想像と違った、という意味でも彼女の性格は愉快なものだった。

 いや、彼女の剣はまったくもって愉快とも言い難い一撃を鏡介に叩きこんでいた。
 牽制も、距離も、間合いも。
 何もかもが無意味だった。
『勇者リリリリ』の一撃は、正真正銘デビルキングたる所以を示すものであった。
 だが、鏡介は立っている。
 先制攻撃を受けてなお、立っている。ならば、彼は己の傷を厭わない。
「おけおけ。自我取り戻したよ」
「本当か……?」
「ほれほれ、このとおり。治癒びーむ!」
 おらぁ! と盾からビームが迸り、鏡介の傷を癒やしてくれるのだ。なんていうか、『魔王ガチデビル』が不憫になる。

「やめろ、ばかもの! 敵を癒やしてどうする!?」
「え~私にとっては猟兵さんのほうが味方っしょ~あ、今のうちだよ、猟兵さん」
「悪いな。ならば、そのワッペンみたいなやつを叩き斬る――剛式・参の型【截鉄】(ゴウシキ・サンノカタ・セッテツ)」
「やめろ! そんなついでみたいな、こんな軽い感じで私を打倒しようとするんじゃあない!」
「いや、そうでもないさ」
 鏡介の瞳がユーベルコードに輝き、袈裟斬りの一撃でもって『勇者リリリリ』の鎧を切り裂く。
 さらに返す刃で足元を払い、転倒させるのだ。
 振りあげた刃が煌めいた。

「ま、待て待て! 貴様、こいつごと斬るつもりなのか!?」
『勇者リリリリ』のことを『魔王ガチデビル』は言っているのだろう。人質のつもりなのかもしれない。
 けれど、鏡介は頭を振る。
「相手は5thKING『勇者リリリリ』だぞ? この程度でどうにかなるほどヤワではあるまい。無論、斬るのはお前だけだ、『魔王ガチデビル』」
『勇者リリリリ』は、へへっ、照れるぜ、みたいな顔をしていたが『魔王ガチデビル』はそれどころではない。
 たしかに『勇者リリリリ』の肉体は頑強なので耐えるだろう。
 だが、取り憑いている自分は。
「やめろー!」
 やめるわけないだろ、と鏡介は、己の刀を振るう。
 斬撃は『魔王ガチデビル』の悲鳴を切り裂くようにして振るわれ、凄まじい衝撃を生み出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヌグエン・トラングタン
あれだけ言ったからな。殴りに来たんだが。なんてーか、既にキャパシティーオーバーしてんなぁ?
把握してなかったお前が悪いんだが。
あと、その欲望は否定するからな。

先制は油断ならねぇんだよな。防御する、って選択肢がないなら…これはもう回避するしかねぇ。
集中して、視力で見切るしかねぇな。

そんで、リリリリがコントロールを取り戻したら、一気に近づいて…UC使って素手で殴る!
レイドのときよりも威力高いからな。地面にめり込んでも知らねぇよ。
ガチデビルがその欲を持ってきたのが悪いんだろうが。怠惰とは程遠い奴だな、本当に!



 斬撃の一撃が衝撃を生み出し、粉塵が立ち上る。
 その中から漆黒の翼を羽ばたかせながら『魔王ガチデビル』は『勇者リリリリ』の肉体と共に飛び出す。
「やってられるか! こんな戦い! 何故、我が洗脳が一定時間で解けるというのだ!?」「よくわかんないけど、なんかやれたらできたので!」
「できたので!?」
『勇者リリリリ』のキリッとした顔が無駄に腹立たしいのだろう『魔王ガチデビル』は忌々しげに吐き捨てながら、その手にした5thKINGブレイドを掲げる。
「ええい、こうなれば一気に!」
 振るわれた斬撃は迫る猟兵を両断せんと、その威力を見せつけるようにして空間を薙ぎ払う。

 ヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)は、その一撃を受け止める。
 見えた、と思った瞬間に奔る一撃。
 流石は最強の種族である悪魔たちを圧倒的な武力でもって震え上がらせた5thKINGの力であると言わざるを得ないだろう。
 見えたとて、躱せなかった。
 その斬撃を身に受け止めながら、ヌグエンは大地に叩きつけられる。
 けれど、立ち上がるのだ。
「あれだけ言ったからな」
 そう、殴りに来たのだ。
 バトル・オブ・オリンピアを台無しにしようとしている諸悪の根源。
 それをぶん殴ると決めたからこそ、彼はゲームの世界からやってきたのだ。

 だが。
「ほれほれ~っと。治癒ビーム治癒ビームっと」
「や、やめろー!」
 自我を取り戻した『勇者リリリリ』の盾からビームが迸り、ヌグエンの傷を癒やしていくのだ。
「ついでに防御アップ、っと!」
「な、なにを……!」
 せっかくぶっ飛ばしたのに、と『魔王ガチデビル』は嘆く。
「なんてーか、既にキャパシティーオーバーしてんなぁ?」
 ヌグエンは苦笑せざるをえなかった。
 これだけ凄まじい攻撃を先制攻撃ではなってくる相手だというのに、それをしれっとなかったことにするように治癒されてしまうのだ。
『魔王ガチデビル』が嘆くのも無理ないことである。
 自分でダメージ与えて、回復してしまう。マッチポンプも善いとこである。

「なんでこんなことに……世界の侵略が……」
「把握してなかったお前が悪いんだが。あと、その欲望は否定するからな」
 ヌグエンは拳を握りしめる。
「悪いが、歯を食いしばってもらうぜ」
 鍛えた身体は嘘をつかない(チカラノイッテンシュウチュウ)というようにヌグエンは無防備な状態の『勇者リリリリ』へと踏み込む。
「ばっちこい! 真正面どストレートに、此処に打ち込むんだよ~」
「おうよ!」
 振り抜かれた拳が『魔王ガチデビル』のワッペンみたいな顔に叩き込まれる。

「な、なぜだー!?」
「その欲を他世界に持ち込んだのが悪いんだろうが! 怠惰とは程遠い奴だな、本当に!」
 振り抜いた一撃は凄まじい衝撃と共に『勇者リリリリ』ごと『魔王ガチデビル』を地面にめり込ませる勢いで放たれた。
 その衝撃の最中ヌグエンは言う。
 そう、欲望を肯定する。
 されど、世界の破滅を願う欲望だけは許せないのだと言うようにヌグエンは己の拳の骨を鳴らすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャルロッテ・ヴェイロン
まあね、別にそちらの事情なんてどうでもいいことですし。
それに一度滅びたのが復活したってんなら、完全消滅するまで何度でも滅ぼせばいいわけですから。

まずはホワイトラビットを【操縦】し、敵【先制攻撃】の予兆を【見切り、残像】が付くくらいの【ダッシュ】で回避しつつ接近。そして敵の能力を解析(【戦闘知識・情報収集】)し強化(攻撃力重点)。
で、敵の洗脳が解けたところで追加の強化を受けたうえで(【限界突破・リミッター解除】)、【破魔・属性攻撃】をコーディングしたビームソードで【切断】してやりましょう。

※アドリブ・連携歓迎



 地面にめり込んだ『勇者リリリリ』の身体と共に『魔王ガチデビル』は飛び出す。
 逃げる、というのではない。
 彼は己が乗っ取った『勇者リリリリ』の手にした5thKINGブレイドの一閃を以てめり込んだ大地ごと切り裂きながら迫る猟兵へと攻撃を叩き込んだのだ。
 なんたる一撃であろうか。
 凄まじい、と形容するしかないほどの一撃。
 大地がまるでバターか何かのように、溶断されるのだ。

「これだけの力がありながら! 何故世界を望まぬ! 貴様もデビルキングの一人だろうに!」
「え~別にいらなくない? 世界? 救うっていうのなら勇者としてやるけどさ~」
「バカな……!」
「まあね、別にそいらの事情なんてどうでもいいことですし」
 シャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)は5thKINGブレイドの一撃の爆風からキャバリア『ホワイトラビット』と共に飛び出す。
 機体の状況は良くない。
 けれど、耐えきれた、という事実が重要だった。
 致命傷を避けることができたのは、彼女の能力があればこそだろう。

「わ~ロボット壊してめんご! ほれ、ビームで修理しちゃおうね~」
「またか、貴様! なんて便利なビームをどうして自分には使えんのだ!?」
 盾から放たれたビームに『ホワイトラビット』の損壊箇所が修復していく。たしかに、とシャルロッテは思った。
 あの盾ビーム、自分に使えばいいのに、と思ったがどうやら自身には使えないようである。ままならないなぁ、と『魔王ガチデビル』の嘆きにシャルロッテは同情……はしなかった。
 まあ、どうでもいいことである。
 なにせ。
「一度滅びたのが復活したってんなら、完全消滅するまで何度でも滅ぼせばいいわけですから」
「物騒が過ぎないか!?」
「そういうもんだし。一度見かけたら、何度でもってね~」
 今だよ、と無防備になった『勇者リリリリ』は両手を広げる。

「目標確認、データ解析――」
 すでに解析は終えている。
 多次元世界に跨る電子及び、霊的なネットワークにアクセスし、すでに『勇者リリリリ』の戦闘力をは解析済みである。
 恐るべき力である。
 最強の種族たる悪魔たちを震え上がらせただけのことはある。
 だが、それに対する方策がないわけではない。彼女はユーベルコードによって、情報を解析したのだ。
 そして、その最適解も。

「『勇者リリリリ』、あなたにはこのプログラムが有効ですね!」
「そう、ばっちこい!」
「やめろ! 躱せ!」
 PROGRISE:INSTALL(プログライズ・インストール)によって強化された『ホワイトラビット』が戦場を駆け抜ける。
 リミッター解除し、出力の限界を突破した一撃が放たれる。
 しかも、その一撃、ビームソードには破魔の力が込められている。一撃。その一撃を効果的に叩き込むためには!

「そのワッペンを切り裂くのが一番と見ました!」
 そう、ワッペンの如きぺらぺらな『魔王ガチデビル』。そここそが、弱点。
「ワッペンと言うな!」
「いいえ、ワッペンでしょう、どうみたって!」
 薄っぺらいんですから、何もかも、とシャルロッテは膨れ上がった出力を得たビームソードの一閃でもって『魔王ガチデビル』へと、その強烈なる一撃を叩き込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
POW
アドリブや連携も大歓迎

「シンプルに強いか。ガチデビルを一時押さえ込めるんだから、
その実力は確かみたいだな!いざ!全力で勝負しようか!」
勇者に向き合うならば最大限の[勇気]を見せつける
燃え上がる光焔を手足に集束させて[力を溜める]
先制攻撃の剣を直感で回避していく
防御は意味が無いからダメージは[気合い]と[根性]で耐える

攻撃を捌いたらUC発動
黄金の光焔が更に燃え上がって全身を覆う
リリリリの身体を傷つけずにガチデビルのみに大ダメージを与えていく
この焔は邪悪を滅する故にガチデビルには特攻だ

「超必殺!シャイニング・デビル・パニッシャー!!」
右手に光焔を集束させてガチデビルが宿る装甲部分を殴り飛ばす



「させる、かー! この私が! 滅びるなど、二度もあっては!」
『魔王ガチデビル』は『勇者リリリリ』の持つ5thKINGブレイドの一閃を振るう。
 ワッペンのようになってしまった顔をひきつらせるのは猟兵たちのユーベルコードが幾度も打ち込まれているからだろう。
 いい加減諦めたら良いのにね。
 だが、その一閃は凄まじいものだった。
 最強の種族、悪魔たちを震え上がらせるほどの力を示した堕天使『勇者リリリリ』。その力の発露であったからだ。

 その一撃を気合で保って耐えきった空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は、根性のみで立っていた。
 凄まじい一撃だった。
 強烈過ぎた。これが、と思う他なかった。
「シンプルに強い、か」
 たしかに、と己の鎧を切り裂くほどの一撃に清導は呻く。
 だが、其処にビームが降り注ぐのだ。
 何故か『勇者リリリリ』がドヤ顔で盾から奔るビームでもって清導を回復しているのだ。

「あああっ! また……!」
 そう。そうなのである。『勇者リリリリ』は自我を取り戻せば、すぐに猟兵に『魔王ガチデビル』が己の体で放った攻撃を回復してしまうのだ。
 元の木阿弥である。
「その実力は確かみたいだな!」
「どや! ふふんのふん。もっと褒めてくれちゃっていいよ! 私の鼻がぎゅんぎゅんのびるけど!」
「なら、アスリートアースに倣おうか! いざ! 全力で勝負しようか!」
 清導の心には勇気があった。
 己の願い、誓い。
 それを込めた光焔が身を包む。
 拳に集約されていくのだ。

「オレは誰かを助けるヒーローだ!それはキミも例外じゃない!!だから待ってな。今、解放してやる!!」
「何がヒーローだ! この体は渡すものか!」
『魔王ガチデビル』が咆哮する。
 そう、ここにいたって『勇者リリリリ』の邪魔だてはあれど、しかし、まだこのシンプルに強い体があるのならば十分に猟兵を殲滅することはできるはずだったのだ。
 だが、それを前にしても清導は迷わなかった。
「『魔王ガチデビル』、お前は幸せを妨げる悪意そのものだ! だから! ここで!」
 “無敵”のヒーロー(セイヴァーズ・フレイム)は拳を握りしめた。

 救うための力ならば、此処にある。
 ためらうことはない。
「行くぜ、超必殺! シャイニング・デビル・パニッシャー!!」
 集約された光焔の拳が『魔王ガチデビル』へと叩き込まれる。
「これは……肉体を傷つけるものではない……!?」
「悪意だけを攻撃するってことだから……うん。私にはあんまり意味ないね。でも、『魔王ガチデビル』には」
「そうさ! この拳は『魔王ガチデビル』に格別に効くんだよ!」
 清導は拳を振り抜く。
 倒すべき敵はただ一人。このバトル・オブ・オリンピアにおいて、真に邪悪なのは『魔王ガチデビル』だけだ。

 ならばこそ、迷わずに拳を打ち込むことが出来る。
「それが、俺がヒーローである理由だ!」
 清導は叫ぶ。
 みんなが求める明日を阻み、世界を己の悪意だけで滅ぼそうとする存在を許さぬと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
このしあわせな世界は悪魔も調子を崩してしまうのね
ふふ……本当に、楽しいところ
さあ『勇者リリリリ』と力を合わせて頑張りましょう

『六大罪獣』が現れ続ける間は防御に徹するわ
あと『勇者リリリリ』を「がんばれ」って応援するわ
(誰かの応援で強くなれるって、この世界で私は教わったから)
水精の剣を抜き、結界術を展開
それでも相手の攻撃が届くのならば
敵の動きを見切り、浄化の力を宿した剣で武器受けしましょう

洗脳が解けた瞬間を狙って反撃よ
『勇者リリリリ』の協力に合わせて光刃を放つわ
覚悟しなさい『ガチデビル』



 しあわせなゆめを見る。
 それは誰しもが心の中に抱くものであっただろう。
 誰だって幸せになりたい。けれど、その幸せが誰かの不幸せを願うものであったのならば、それはやはり叶えてはならないものであるのだろう。
『魔王ガチデビル』は何故だと戸惑いと共に叫ぶ。
 迫る猟兵たちのユーベルコードの明滅が己の欲望を否定する。阻む。
 世界の破滅。
 侵略すること。それを望む彼にとって猟兵は最大の障害であった。だが、どうしてだろうか。
 最強の種族、悪魔すらも震え上がらせた5thKING『勇者リリリリ』は洗脳を一時的とは言え、解いてくるし、さらにダークリーガーたちはスポーツの勝敗にしか興味がない。
 世界を滅ぼすことになど少しも興味がないのだ。

 この場において唯一の邪悪。
 それが己である。
 だからこそ、『魔王ガチデビル』は叫ぶのだ。
「何故だー!?」
「えー、だから散々言われてんじゃんねぇ?」
「ええ、本当にそう。このしあわせな世界は悪魔も調子を崩してしまうのね。ふふ……本当に、楽しいところ」
 薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は笑っていた。
 笑っていると自覚していなかっただろうが、笑っていた。彼女の背には声援が届いている。自分の背中を押している。
 迫る祭壇の六大罪獣たち。
 恐るべき獣たちである。けれど、己の結界で防ぐ。
 それがどんなに難しいことであっても、己の背には声援があるのだ。

「あなたも、がんばって」
「いよ~し、そんじゃま、私もがんばるとするよ~なんか自我たくさん取り戻せそ!」
「やめろ! 何をいっている!? 何だ、その言葉は、その言葉だけで何故私の洗脳が解ける!?」
『魔王ガチデビル』の驚愕も尤もだろう。
『勇者リリリリ』が静漓の言葉に応えるようにして洗脳を解いたのだ。
 一時的だろうが、しかし、確実に彼女は無防備になったのだ。彼女に取り憑いているワッペンのような『魔王ガチデビル』は慌てふためく。
 これまでも幾度となく己の支配を解かれてしまている。
 不足はなかったはずだ。なのに!」

「なぜだ!?」
 静漓は『水精の剣』を抜く。結界術が展開し、迫る獣たちを斬り伏せ一歩を踏み出す。
 がんばれ。
 がんばろう。
 その言葉が己の背を押している。わかっている。これは吹く風だ。温かい風だ。この暖かい風が己の背中を押してくれている。
 あの笑顔を思い出す。
 あんなふうに笑えたのならば、と思うように彼女の心からユーベルコードの輝きが輝く。

 あの笑顔が太陽なら。
 自身が掲げるは。
「月よ、月よ」
 静漓は、月の剣(ツキノツルギ)を掲げる。
 彼女は教わった。誰かの応援で強くなれると。この世界で教わったのだ。ならば!
「よっしゃ! ばっちこい!」
「やめろ、躱せ! 何故こんなむぐぐぐっ!」
「はい、お口チャックしよね~!」
『勇者リリリリ』は笑っていた。自分も笑っていたように思える。彼女の剣が『魔王ガチデビル』を抑え込んでいる。
 なら、後はそこに自身が叩き込むだけだ。
「覚悟しなさい『魔王ガチデビル』」
 放たれるは三日月の光刃。それはこの、しあわせなゆめ見る世界の全ての笑顔のために彼女が振るう最大の一撃だった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

相手も勇者さん……?
た、たしかにこのオーラ、そして隙のない構え。
そしてなによりこの可愛さ!

たしかに勇者感ばっちりですね!

って、なんでガチデビルさんに共感してるんですか!?
あとそれ『リリリリ』さんのことじゃないですよね!?

あ、ほら、ステラさんが呼ぶから『リリリリ』さん出てきましたよ。

はじめまして、光の勇者のルクスっていいますー♪
ガチデビルさん倒したら勇者同士お友だちになってくださいね!

ここはいっきに【ラデツキー行進曲】で、とバイオリンを構えたら……。

あっ、あっ、バイオリン返してくださいー!
真面目ですよ!?思いっきりシリアスで……いたいの!?

なんでわたしもいっしょにビンタなんですかー!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
(とおいめ)
この勇者感…身に覚えが…
ええ、ガチデビルは倒すべき敵で倒します
ですが、勇者のお供として申し上げましょう
『これだから勇者は!!』
何なんですかほんと!
支援系なのに破壊音波だし
運で生き抜いてるじゃないですか!

理不尽!勇者と書いて理不尽と読みます!
ええ、貴方の苦労
私だけが理解できる
さあ、ガチデビル!
いざシリアスにしょう……だから何で今出てくるの!!
もうやだ……
ルクス様もライバル感を感じて楽器を構えない
真面目にやってください真面目に
鼓膜を破壊するのもワッペンみたいにびたんびたんするのも勇者の所業ではないです
かくなる上はビンタしかありませんね
【スクロペトゥム・フォルマ】でビンタです



「ほれほれ~もうだいぶ自我取り戻したかも!」
「やめろやめろ、もうこれ以上私をかきみだすな! もう一杯一杯なんだぞ!」
 煌めく猟兵たちのユーベルコード。
 その戦場にありて『魔王ガチデビル』はなんとかして『勇者リリリリ』の肉体の主導権を奪い返す。
 絵面が面白いことになっているが、それは言ってはならぬことのようにステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は思えた。
 なんていうか、既視感。
 デジャヴュってやつである。
 遠い目をしてしまうのも無理なからぬことであった。
「この勇者感……見に覚えが……」
 わかっている。確かに『魔王ガチデビル』は倒すべき敵である。
 わかっているのである。
 だが! だが! である。ステラにとっては、あまりにも日常感。なんとも言えない気持ちにもなろうってもんである。

「ですが、あえて言わせて頂きましょう! 勇者のお供として!」
「え、なになになんそれ~?」
 緊張感ないなぁって思ったが、まあこの際置いておく。
「『これだから勇者は!!』なんなんですか、ほんと! 支援系なのに破壊音波だし、運で生き抜いてるじゃないですか!」
 そんなステラの慟哭にルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は首を傾げる。
 敵も勇者であると聞き及んでいる。
 わかる。
 同じ勇者である自分にはわかるんだ。あれなるは。勇者。オーラ、気品、隙のない構え。なにより可愛さ!
 やっぱりシンパシーってあるもんである。
 ルクスは自分もそうであるというように深く頷いた。それはもう海溝よりも深く頷いた。頷くな、とステラは思ったかもしれない。

「確かに勇者感ばっちりですね!」
「でっしゃろ~? もっと言って。もっと言って自己肯定感マシマシにしとこ~」
「理不尽!」
「ええ、勇者と書いて理不尽と読みます。ええ、貴方の苦労。私だけが理解できる」
 ステラと『魔王ガチデビル』は共感していた。
 なんで?
 なんでってそりゃあ、普段から勇者に振り回されている者同士にしかわからないものがあるのである。ルクスはそんなにステラに迷惑を懸けているつもりなんてなかった。
 むしろ、だいぶお助けしているのだから、感謝こそすれ、ってやつであった。
 けれど、ステラは叫ぶ。

「さあ、『魔王ガチデビル』! いざシリアスにしょう……」
「なんで『魔王ガチデビル』さんに共感しているんでしょか?! あとそれ『勇者リリリリ』さんのことじゃなくてわたしのこと言ってません?」
「そうだそうだ~勇者のことは勇者が一番わかってんだぜ~?」
 ほれ、と言うように『勇者リリリリ』は自我を取り戻して、剣をブンブンしている。
 なんで?
 なんで今戻ってきているの? とステラは己が望むシリアスなど到底やってこないことを知る。絶望しかなかった。
「もうやだ……」
「ひかりの勇者ルクス! いきますよー♪『魔王ガチデビル』さん倒したら勇者友になってくださいね!」
「ズッ友!」
 やだー! とステラは叫んだが、2人の勇者は気に留めてなかった。

 ルクスがなんかバイオリンを構えている。
 あっ、とステラは凄まじい速度でインターセプトする。
「あっ、あっ、バイオリン返してくださいー!」
「真面目にやって下さい真面目に。鼓膜を破壊するものでワッペンみたいにびたんびたんするのも勇者の所業ではありません」
「ワッペン?」
 え、それって私のこと? と『魔王ガチデビル』は思った。
 まあ、この場においてワッペンみたいなのは『魔王ガチデビル』しかいなかった。
「えっ」
「まあ、そうですよねー。あ、でもわたし、ちゃんと真面目ですよ。思いっきりシリアスで……いたいの!?」
 ステラは無言でルクスをビンタしていた。なんで?

「かくなる上はしかたありませんね」
「なんでいま私も一緒にビンタされたんですか?」
「『魔王ガチデビル』。ガン=ビンタです」
 なにそれ!?
 そんな叫びをよそにステラはつかつかと歩み寄って『魔王ガチデビル』のワッペンみたいな体を拳銃でビンタするのだ。
 それってビンタかなって誰もが思ったが、ステラのやつれたような顔を見てルクスもみんなも何も言えなくなってしまうのだ。

 一番ダメージを今回追ったのが誰かと問われたら、『魔王ガチデビル』ではなくステラなのである。
 心労は胃に来るからね!
 お大事に――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユーシア・ロクス
……ここで終わりです!いざ、勝負です!魔王!
アイゼンケーファーに搭乗、マシンガンとミサイルを放ち、差し違えるつもりで突貫します!

3P「確かに、防ごうにもほぼ無理、受ければ機体はHP0で撃墜・爆発でしょうけどね…けど!」
2P「ハッチこじ開け強制脱出!これはス〇ロボじゃないんすよ!機体を犠牲に初撃を回避っすよ!」

爆発に紛れて『カギ』を手甲形状に変更、更にUCでBGMもなんかこうオーケストラアレンジのメインテーマな感じに変更です!なんとなくあの勇者さんはそういうのにノる気がします!

そうしたらそのまま接近戦を挑み、攻撃は見切って……
生じた隙に、【ユーシアのプレイ日記~格闘ゲーム~】を決めます!



 鋼鉄の巨人が戦場を疾駆する。
『アイゼンケーファー』はユーシア・ロクス(まっさらゆうしゃ・f26126)を載せ、一気に『魔王ガチデビル』が憑依する『勇者リリリリ』へと迫る。
 これまで戦場にいくつものユーベルコードが煌めいた。
 しかし、なおも『魔王ガチデビル』は諦めていなかった。
 頑強なる肉体。
 最強の種族、悪魔を震え上がらせるほどの力を示す5thKINGブレイドを掲げる『勇者リリリリ』を操ることができているのだ。
 ならば、諦める理由などなかった。
「だが!」
 もう心が保たないかも、と『魔王ガチデビル』は思った。
 だって、そうである。洗脳しているのに、洗脳を一時的に解除するわ、猟兵たちを癒やすビームを乱打するわ、邪魔するわで散々なのである。
 正直に行って、もう心がへし折れそうだった。

「……ここで終わりです! いざ、勝負です! 魔王!」
 そこにきてユーシアのノリノリな宣言である。
 刺し違える覚悟で迫る彼女を前に『魔王ガチデビル』の許容範囲はパンパンだった。いつ決壊してもおかしくないほどであった。
「黙れ! 受けろ、5thKINGブレイドの一撃を!!」
 放たれる剣閃。
 それは凄まじい衝撃と共に光となって『アイゼンケーファー』へと迫る。防げるものではなかった。
「確かに! 受ければ、これは……!」
 3Pの声が響く。
 流石は5thKINGとでもいうのだろうか。その一撃は一瞬にして『アイゼンケーファー』のHPを0にしてしまう。
 HP?
「けど! ハッチをこじ開け強制脱出!」
「これはロボット作品が入り乱れてクロスオーバーするシュミレーションタクティクスゲームじゃないんすよ!?」
 2Pのツッコミが冴え渡る。
『魔王ガチデビル』はもう何も言えなかった。敵の鋼鉄の巨人は撃破したのに、なんか当たり前のよにユーシアは飛び出してくるのだ。なんで?

「おっと、ここで私カットイン! ほれほれ、自我取り戻したよ~! 今だよ~合体攻撃ってこんな感じ?」
「多分違うっすけど、結果オーライ!」
「さあ、わたし! 決めちゃってください!」
 キラリと3Pのメガネが光る。
 その言葉を受けて、鳴り響くはなんか壮大にして派手なBGMであった。
 そう、いうなればこれは!
 システム:必殺技演出ON(リョウヘイヒッサツムービー)!

「なんだこの音楽は?!」
「知らないのですか。これは必殺技演出。即ち!」
 世界を隔絶する何故か聞こえるBGM! なんか唐突に鳴り響くよ!
「そう、これがわたしたちの必殺技!」
 オーケストラアレンジまで加えられて、もうやりたい放題である。
 前期OPが此処で流れるあれである。第六猟兵的に言うなら『ユーベルコード』である。イントロから始まるアレンジオーケストラに乗ってユーシアは己の拳を握りしめる。
「いいよね。ラストバトルのBGMが前期OPって。男の子ってこういうのが好きなんでしょ」
『勇者リリリリ』が深く頷いている。
 何の話だ!? と『魔王ガチデビル』は困惑していた。

 だが、そんな困惑などつゆすらずユーシアは握りしめた拳を『魔王ガチデビル』の顔面へと叩き込むのだ。
「流石は『勇者リリリリ』です! 理解ってる! そして、此処で一発!」
 踏み込んだ一撃は凄まじい衝撃を放ち、連続コンボを決めていく。
 HIT数が表示されるあれである。
 拳を突き上げ、ユーシアは勝利を確信するように宙に舞う『魔王ガチデビル』の涙目を見やるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夕凪・悠那
おいたわしやガチデビル
まあ自業自得っていうか因果応報っていうか、同情の余地とかないけどさ

先制攻撃は『Virtual Realize』で防壁プログラムを具現化して防御
続けて四天王っぽいキャラを具現化して時間稼ぎしつつ、
【Take Over】で堕天シールド(ガチデビル形態)のコントロールを奪って攻防に利用(ハッキング)

……あれ? これもある意味洗脳じゃない?
この盾ガチデビルの顔ついてるし……
……ふぅーん(にんまり)
こう、必要以上に盾同士とかガチデビル(本体)にガンガンぶつけてみたりしよっかー!
はいトドメに[爆破]

アドリブ○



「なんでこうなるんだー!? 私は、確かに勝てる戦いに……! この『勇者リリリリ』の肉体を手に入れたはずなのに、どうして、何故! こんなに良いようにされてしまうのだ!?」
『魔王ガチデビル』の声が響く。
 なんていうか悲哀に満ちていた。
 猟兵たちのユーベルコードにぶっ飛ばされるのは、まあわからんでもない。けれど、5thKING『勇者リリリリ』の肉体を乗っ取ったのだ。
 頑強なる肉体であり、悪魔たちを震え上がらせた力。
 なのに、それを自由に震わせてもらえないのだ。
「おいたわしや『魔王ガチデビル』」
 夕凪・悠那(電脳魔・f08384)はちょっとだけ同情した。

 何一つ思い通りに行かないどころか、やることなすこと全てが裏目に出てしまう運命。
 その運命の荒波にこれまでも何度も翻弄されてきたのだろう。
 わからんでもない、その苦しみ、悲しみ。
 でも。
「まあ、自業自得っていうか因果応報っていうか、同情の余地はないよ」
 僅かに残っていた同情の感情もこれまで世界を騒がせてきたことと天秤に懸けたら普通に傾くってもんである。同情なんて天高く放り投げられたようなもんである。
「ええい、黙れ! 貴様らを退ければいいだけの話! 私の許容範囲をこれ以上パンパンにするな!」
 やけくそみたいに分裂した盾が飛ぶ。
 それは防御だけではなく、攻勢にも使用することができる。空を飛ぶ盾が一斉に悠那へと迫る。

 それを防御プログラムでもって受け止める。
「さらに四天王っぽいみんな、よろしくね!」
 彼女はプログラムからキャラクターを具現化し、さらに受け止めた盾をハッキングするのだ。
「やめろ! なんで私の中に入ってくる!?」
「洗脳してるやつが言う事かな? ……あれ? これもある意味洗脳じゃない?」
 なんか盾に『魔王ガチデビル』の小さな顔がついているし。
 悠那はニヤリ、と笑った。
 ぞわ、と『魔王ガチデビル』は怖気が奔るのを感じただろう。
 絶対、この猟兵、碌でもないことを考えている。いや、十中八九、碌でもないことを思いついている。
「……ふぅーん」
「や、やめろ。何を考えているのか知らんが、やめろ。きっとよくないことだぞ」
「真に邪悪の『魔王ガチデビル』が何を言っているのやら。こうさ、ハッキングした盾をさ?」
 悠那は操る盾を迫る盾にぶつける。
 必要以上にぶつける。がっちゃんこさせるのだ。火花散って弾け飛ぶ様は、超エキサイティングであった。
 なんかこう、回転するベイなブレードの玩具を遊んでいる感じに見えたのは気の所為かもしれないが、気の所為でないかもしれない。

 互いに同じなら、互いにぶつかり合う度に擦り切れていく。
 分身しているのならばなおさらである。
 ガンガンぶつけ合う様は、正しく遊びであった。
「なんかおもろーなことしてるじゃん!」 
 私もやるー、と言わんばかりに『勇者リリリリ』が自我を取り戻して手にした盾をぶん回して投げるのだ。
「お、やるね」
 悠那はもノリノリである。
 やめろー! という悲鳴が木霊しているが、気にもとめない。そう、だって、これは遊びなのだ。
 戦いにすらなってない。

「――掌握完了っと」
 いや、もうずっと前から掌握していたが、そこは些細なことである。
「さ、Take Over(テイクオーバー)。最強の盾と盾がぶつかりあったのなら!」
「それ矛盾の話しようとしているのではないか!?」
「似たようなもんだよ。はいトドメ」
 バン、と悠那は操った盾を爆破させ、『魔王ガチデビル』の顔面に猛烈なる爆風を打ち付けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戒道・蔵乃祐
5thKING『勇者リリリリ』
4thKING『キング・ブレイン』の次代のデビルキングでしたね
一騎当千の戦闘力だけで玉座を勝ち取った猛者
邪智暴虐を得手として、他者を煽動する事に長じた魔王からしてみればそもそも相性最悪ですが

悪魔は元来真面目極まりない種族ですから、ガチデビルもその|宿命《因果》に背く事は無いのですね…

◆絡繰機構・鬼の爪
※キャバリア戦闘
RSライフルで早業+クイックドロウの射撃戦を仕掛け、見切り+空中戦で小型盾を撃ち落とす

切り込み+フェイントで接敵しつつ接近戦を誘い、斬霊刀は装甲で武器受け+ジャストガード
限界突破の乱れ撃ちでニードルガン全弾発射
ガチデビルの顔面に全て受け止めて貰いますね



 戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は深く頷いた。
「5thKING『勇者リリリリ』、4thKING『キングブレイン』の次代のデビルキングでしたね」
 その言葉に『魔王ガチデビル』に洗脳されているはずの『勇者リリリリ』は然り! と胸を張った。あれ、もうこれ洗脳解けてない? と思ったが、まだ解けてない。本当である。
「そのとーり! 私のことをちゃんとリサーチ済みとか偉い!」
「一騎当千の戦闘力だけで玉座を勝ち取った猛者。邪智暴虐を得手として、他者を煽動することに長じた『魔王ガチデビル』からしてみれば、そもそも相性最悪ですが」
「だからこそであろうが! この戦闘力と私の力があれば、無敵のオブリビオンになることも叶うはずなのだ! 故に!」
『魔王ガチデビル』はもうやけっぱちであった。
 生み出した盾を分裂複製し、一斉に蔵乃祐へと放つ。

 それは謂わば全周囲から迫る攻勢であったことだろう。
 圧倒的な手数。
 だが、それを蔵乃祐は己のキャバリアを駆り、弾き飛ばしながら突き進む。
 吶喊、というのならばそうであったのだろう。
 多少の損壊など気にも留めないのだ。弾きながら、蔵乃祐は溜息を吐き出す。
「悪魔は元来真面目極まりない種族ですから、あなたもその|宿命《因果》に背くことはないのですね……」
「何をごちゃごちゃと言っている! この私は、無敵のオブリビオンとなるべく生まれた存在だぞ! それを!」
 侮るか、と生み出した盾の猛攻が更に迫る。
 だが、それを蔵乃祐の駆るキャバリアより放たれた弾丸が撃ち落としていくのだ。小さな『魔王ガチデビル』の顔が盾についているので、狙いやすかった。

「ごふっ、何故こうまで思い通りにいかぬのだ! 私は何も間違っていないはずだ。何も! 何もだ!」
「いいえ、間違えているでしょ。初手で」
「そうそう。そもそも運が無いんだからさ~ないなりにやればいいのに、高望みしすぎてつま先立ちでブルってるのが今じゃん。ね~?」
『勇者リリリリ』が同意を示すように首を傾げているのを見て、蔵乃祐は苦笑いを噛み殺すしかなかっただろう。
 もはや、理屈とかはどうでもよかったのかもしれない。

「というわけで、自我を取り戻したよ治癒ビーム~!」
「なっ!?」
 びーってビームが盾から照射され蔵乃祐のキャバリアの損壊を修復していくのだ。
「ありがたい! それでは、アーマーパージ!」
 装甲が配され、損壊の修復した機体と共に蔵乃祐は『魔王ガチデビル』へと迫る。
 絡繰機構・鬼の爪(ザ・クイック・アンド・ザ・デッド)。
 煌めくユーベルコードは、内蔵されていた兵装ラックよりニードルガンを取り出し、刹那にも満たぬ瞬間に『魔王ガチデビル』の顔面へと突きつける。
「やめ……」
 やめろ、という言葉すら間に合わなかった。
『魔王ガチデビル』のワッペンみたいな体に打ち込まれるは無数の鉄杭。

 それも見事に『魔王ガチデビル』の顔だけを狙っていたのだ。
 そもそも突きつけている以上、はずしようがない。
「その顔面にて全て受け止めていただきますね」
 蔵乃祐はニッゴリと笑った。
 どっちが邪悪な顔しているかわからないな、と『勇者リリリリ』は思ったが、空気読んで黙ってた。
 炸裂する鉄杭の乱打に『魔王ガチデビル』は涙目になって叫ぶのだ。
「なぜだー!!」
 その答えは、もう出ているというものである。
 そう、世界の破滅さえ願わずにいたのならば、こんな目に遭わなかったのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム
ガチデビル、現れるなら何度だって
全力で守り抜きますとも。どの世界もです!

相手の先制攻撃5thKINGブレイドには、
致命を避けつつもあえてこの身で受けますよ
きゃぁぁっ!

悲鳴こそ上げますが私は戦士、
覚悟を持って踏みしめれば一撃では倒れない
激痛耐性もあります、動きも鈍らず
狙うは相手の武器の内側、格闘術での超接近戦です!
功夫を生かした鎧砕きの打撃で相手の護りを貫き、
組みついて投げを叩き込みますっ

リリリリさんが洗脳が解けたタイミングで力を合わせ
ラッシュをかけますね、限界突破の攻撃を重ね

最後はピンポイントにガチデビルの顔めがけ
全オーラを収束させた《トランスクラッシュ》の
ヒップアタックで、粉砕を狙いますよ!



 猟兵たちのユーベルコードが煌めいている。
 戦場に明滅する光は世界の破滅を阻むものであった。そう、誰もが願っていたのだ。世界の破滅を防ぐことを。
 だが、この場に置いてただ一人。
 そう、ただ一人『魔王ガチデビル』だけが世界の破滅を願っていたのだ。
 ならばこそ、その願いの天秤はただ一人の願望に傾くことはない。
「『魔王ガチデビル』、現れるなら何度だって全力で守り抜きますとも。どの世界でもです!」
 ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)は宣言する。
 その宣言を忌々しげに『魔王ガチデビル』は睥睨するだろう。

 真に邪悪であるからこその苛立ち。
「この私を前によくもほざいた! ならば!!」
 これまで猟兵たちにコテンパンにされながらも、よくもまあ、そんな宣言ができるものである。だが、その自信は彼が洗脳し乗っ取った『勇者リリリリ』の力があればこそであろう。
 彼女の力は凄まじい。
 堕天使であり、勇者。
 ただ腕っぷしだけで最強の種族、悪魔たちを震え上がらせてきた悪行の凄まじさは言うまでもないだろう。
「受けろ、5thKINGブレイド!」
 放たれた一撃をユーフィは受け止める。
 悲鳴が上がる。強烈な一撃。だが、ユーフィは歯を食いしばった。

 確かに強烈な一撃だ。
 だが、己は戦士だ。悲鳴をあげたのならば、それを食いしばってこらえる。
 そう、覚悟があれば一撃で身を大地に沈めることはない。
「そう、覚悟さえ決めれば!」
「いくらなんでも暴論が過ぎないか!?」
「そんなことありません! これが私の重ねてきた功夫!」
 ユーフィは斬撃の跡をたどるようにして踏み込む。そう、己は戦う戦士だ。これしきのことで、己の誇りは砕かれないのだ。
 組み付くようにして『勇者リリリリ』の体を揺する。

「起きて下さい! 洗脳を解いて!」
「う~んむにゃむにゃ。もう食べらんないよ~」
「ふざけている場合か!?」
「あ、もしかして猟兵さん?」
「そうです!」
「おけおけ。じゃあ、傷を癒やすビームの後に、ラッシュよろよろね~」
 軽い。滅茶苦茶軽い。
 だが、その軽さがユーフィにはよかった。このような状況にあってなお、それでも笑う余裕が在るのだ。
 洗脳を一時的にでも解いた『勇者リリリリ』が示すは、ワッペンのような『魔王ガチデビル』であった。

「此処にオラオラよろしくね!」
「はい! 行きます! この鍛えられた肉体を! めいっぱい叩き込みます!!」
 瞳がユーベルコードに輝く。
 見据えるは唯一にして一点。
 そう、ワッペンみたいな『魔王ガチデビル』である。
「や、やめろ! 何をするつもりだ!?」
「そりゃ決まってるでしょ」
「ええ! これが! 私の!!」
 ユーフィーの体が『勇者リリリリ』の足裏によって蹴り上げられる。盛大に空へと飛び立つユーフィの瞳のユーベルコードが煌めいた。

「ま、まさか!」
「これが私の! トランスクラッシュ(クラッシュ)!!」
 闘気纏うヒッピアタックの一撃が『魔王ガチデビル』の顔面に炸裂し、ある意味で幸せな衝撃と共に吹き荒れるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

んもーどうしてキミはそうなんだい?
いや生まれついてのサガというならそこまでは否定しないけれど
そう生まれてしまったならば…
でもそうじゃない可能性だってあったかもしれない
というかボクが見てみたい

●『勇者リリリリ』と『魔王ガチデビル』
そう二人が仲良く、良い(良い?)悪魔をやってた可能性だってあるかもしれないじゃないか
とUC『神門』で別の彼らを呼び出してガチデビくんの容量をさらに溢れさせてこう!

ボクは?ボクはほらあれだよ
ガチデビくんの支配が解ける時機を良い感じに【第六感】で読み取って二人に今だよ「今だよ!(キリッ)」って指示する役だよ!

ペリッとガチデビくんを剥がしちゃおう!



「ぐおおおおっ!?」
 なんで? と『魔王ガチデビル』は思わずには居られなかった。
 いや、これまでずっと思っていたのだ。
 何故、自分の目論見はこうも上手くいかないのだと。どうしてか邪魔が入る。最強の悪魔たちを従えるためにデビルキングになったというのに、悪魔たちの反撃にあって退けられた。
 二度目のデビルキングの座を狙えば猟兵たちがやってきた。
 三度目の正直である今回だってダークリーガーたちはこちらの目論見に乗ることなくスポーツに興じている。そのせいで猟兵に付け込まれる始末である。
 何をどうやっても上手くいかないのだ。
「なんでだー!?」
 その問いかけ地味た咆哮にロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は、首を傾げた。

「んもーどうしてキミはそうなんだい?」
「これが私だからだ! 支配を、侵略を! 世界の破滅を! 望むのが私だからだ!!」
「いやー生まれついてのサガだっていうんならそこまでは否定しないけれど。そう生まれてしまったのならば……でも、そうじゃない可能性だってあったかもしれない」
 そういう未来だってあったかもしれないじゃないかとロニは思ったのだ。
 けれど、そうはならなかった。
 見てみたかったけれど、とロニは深く頷いた。
「そうそう。大体運が悪いってことに自覚的じゃないのがいけないよね」
「運が悪い!?」
『勇者リリリリ』がうんうんと頷いている。もう洗脳解けてない? 解けてないですよ。解けたら大したもんすよ。

「うん。もしも、それに自覚できたのなら、2人が仲良く、善い悪魔やってた可能性だってあるじゃないか」
「ほら、こんな具合に」
 神門(ゴッドゲート)にて現れるはもうひとりの『勇者リリリリ』であった。
 なんかワッペンみたいな感じになっている『魔王ガチデビル』は涙目である。もうコテンパンにされた後であろうし、洗脳だって解けているのであろう。
 もう完全にマスコットに成り下がった『魔王ガチデビル』が其処に在ったのだ。

「んなっ!?」
「ほれ、この通り。いやぁ、やっぱり最後はパワーだよね~」
 なんか物騒な事を言っている『勇者リリリリ』であるが、実際、デビルキングになった時もこんな感じだったんだろうなぁというのが伺える有様である。
「確定した未来を見せられる気分ってどんな気分~?」
 最悪であろう。
 正直に行ってもう『魔王ガチデビル』の容量はパンパンのパンである。もうだめだろう。
「今だよ!」
 ロニは無駄にキリっとした。
 なんやかんやと並行世界へと通じる門から『勇者リリリリ』の平行世界同位体を呼び込んだのはこの時のために。

 掲げるは5thKINGブレイド。
「や、やめろ……そんな、私は!」
 もい一杯一杯なのだ。もう何がなんだかわからない状況なのだ。
 そんな状況で、この仕打ちなんてあんまりであろう。
「それでもやるのがボクだよね!」
「まあ、普通にやるよね~ほれっ!」
 雑に『勇者リリリリ』の平行世界同位体が5thKINGブレイドの一閃を『魔王ガチデビル』へと叩き込む。
 光の柱が立ち上り、そのさなかに『魔王ガチデビル』の疲労困憊なる悲鳴が響き渡るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ワルルーナ・ティアーメル
いや、他人を「自分に都合の良い能力の有無」でしか見ておらんからでは

相手の攻撃、大罪獣には第2、第3、第4の冠…嫉妬、憤怒、怠惰の力を込めたブレス攻撃で
「羨ましい状況の幻覚」「怒りの増幅」「やる気の喪失」状態にし、時間を稼ぐぞ
まあ勇者が相手だ、最悪下の首の1本2本は覚悟しておこう。生やせるし

時間さえ稼げれば……UCだ!
部下の長所も短所も全部把握し「我が一番貴様らを有効に動かせるのだ!全て我に任せるがよい!」と豪語する
「傲慢」の魔将、【第1の獣ワルフォン】を呼び出すぞ!
大罪獣どもを操ってボコボコにしたり、勇者が己をとりもどすまで体の制御を奪い面倒事を増やして奴のメンタルに負担を掛けたりしてやろう!



 怨嗟の声が聞こえる。
 それは己の望むものが何一つ叶わぬことを世界が示すが故であった。
 ユーベルコードの明滅が知らせているのだ。『魔王ガチデビル』が望む世界の破滅は何一つ叶えられることはないと。
「何故だ! どうしてこうなる。やることなすこと全てが裏目に出るのだ!?」
 その慟哭地味た叫びにワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)は応えるだろう。
「いや、他人を『自分の都合の良い能力の有無』でしかみておらんからではないか」
 その言葉に『魔王ガチデビル』は怒りをあらわにする。
「それの何がおかしい。誰とて物差しにするだろう。能力の高さを! それを!!」
 生み出された祭壇より這い出すは六大罪獣。
 その威容は凄まじいものであった。恐るべき力であった。

 これが5thKING『勇者リリリリ』。
 悪魔たちをも震え上がらせる力を持った堕天使のユーベルコード。
 はっきりいってワルルーナは分が悪いと思っただろう。己単身であったのならば。
 だが、彼女は一人ではない。
 例え、己の力を配下に分け与え、大本は己の力であるのだとしても。
 一人では何もできない。
 ただ一人では。何も為し得ない。世界には己以外の誰かがいることを知る。だからこそ、放たれるブレスは数多の力へと分岐していくのだ。
「何故、私に追従するものはなく、貴様には……!」
「何が見えているかしれんが……だが、貴様は他者を都合の良い相手か否かでしか見ていないのだろう。そんな者に誰がついてくるというのだ!」
 吐き出されたブレスより『魔王ガチデビル』が見るは、他者に囲まれるワルルーナの姿であった。

 それは幻影などではない。
 真の姿であった。己の欲望が、他者の欲望を叶えることである以上、ワルルーナの周りには他者が溢れるだろう。
 故に『魔王ガチデビル』は怒りを覚え、そして、己のやっていることが全て徒労に終わるのではないかという可能性に失望を覚え始めるのだ。
「私には誰もついてこない……!? そんなことはない! 圧倒的な力を前に他者は、服従するものだ!」
「ならば、何故、貴様の取り憑いている『勇者リリリリ』もまた服従しないのだ?」
「そういうこと! というわけで自我取り戻したかも!」
『勇者リリリリ』が笑って、剣をぶんぶん振っている。
「やめろ! 何故、私の邪魔をする!」
「そりゃ、世界の破滅なんて願うからでしょ~」
「その通りである! 征くぞ、第1の魔将ワルフォンよ!」

 ワルルーナの瞳がユーベルコードに輝く。
 すでに敵は無防備。ならばこそ、現れるは、第1の獣ワルフォン/支配する光輝(ワルフォン・ドミネーションレイ)であった。
 光輪背負うグリフォンたる『ワルフォン』が放つは能力強化光線。
 放たれた光線は六大罪獣に吸い込まれる。それは彼らの能力を強化するものだった。打ち倒すのではない。
「フハハハハ! 我が一番貴様らを有効に動かせるのだ! 全て我に任せるがよい!」
 豪語。
 それは正しく傲岸不遜の如き豪語であったことだろう。
 だが、事実でもある。ワルルーナの言葉に六大罪獣たちが『魔王ガチデビル』に迫るのだ。

「動け、動け! 動かねば……!」
「だから~無理だってば~」
「こんな、こんなところで私は諦めるわけにはいかんのだ……!」
「いいや、諦めろ! 世界の全ての願いと、貴様の願いが同等のはずがなかろう! 世界を滅ぼそうという欲望! それは世界の全ての者たちが抱く世界を救いたいとい思いを前に屈するだけよ! そんな簡単なこともわからぬというのならば!」
 ワルルーナは叫ぶ。
 己の寿命を削るほどのユーベルコード。
 殺到する六大罪獣たちが『魔王ガチデビル』を取り押さえる。
 そこに飛び込むのだ。
「今一度滅びるがいい! 我が叶えるは、世界に生きとし生けるもの全ての欲望よ!」
 振るう一撃が『魔王ガチデビル』のワッペンみたいな体を砕いた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年01月29日


挿絵イラスト