バトル・オブ・オリンピア⑳〜オールラスト・セラフィム
●新生フィールド・オブ・ナイン
号令が響き渡る。
『新生フィールド・オブ・ナイン』のメンバーは、試合前のチームメイトたちが互いの士気を高めるように円陣を組んでいた。
まるで円卓の如き様相であった。
そこには席次など無意味であった。
集ったフォーミュラ全てが一騎当千の傑物たちであった。
「新生フィールド・オブ・ナイン、全員集合だ!」
ベースボール・フォーミュラにして、此処で言うところの旧フィールド・オブ・ナイン第3席『Mr.ホームラン』は己のバットを剣のように掲げてみせた。
その輝きにプロレス・フォーミュラ『デスリング総統』は不気味な笑い声を上げた。
「グロロロロ、遂に汝の出陣か! これは総力戦でいかねばなるまい」
「彼らは『本物』だ。私達全員が全力を出して、何の差し支えもない」
レース・フォーミュラ『ウィリアム・ローグ』はヘルメットの奥の髑髏を僅かに揺らした。笑っている、と理解できたのは、その声色が好敵手に対するものであったからだろう。
速さを求めた者『スピードの向こう側』、『アルカディアエフェクト』の継承者たちがいる、という充足が今の彼をさらに前に進ませる。
「9人人に足りないから、あと2人ダークリーガーを連れてきたよ~」
突如として現れたのは『マスコット』たるキャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』であった。
彼のテントの体……つまりお腹から現れた2人の影にテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』は頷いた。
そう、其処に居たのは『プラモーション・アクト』……通称『プラクト』のダークリーガーの2人であった。
彼は一人の少年を知っている。
亜麻色の髪を揺らす少年『フュンフ・ラーズグリーズ』。
そして、艷やかな黒髪を束ねた少年『サクラ』であった。
「もう善いのか、わらべよ。そして、そちらのわらべは初めましてだな」
『宮本・武蔵』の言葉に2人の『プラクト』ダークリーガーは頷いた。
「十分に見たよ。しあわせなゆめは。きっとこれが僕の求めるものだったんだと思う。けれど、これはゆめだ。ゆめからは醒めなくちゃあならない」
亜麻色の髪の少年『フュンフ・ラーズグリーズ』は力強く頷いた。
すでにその『名』は過去。
ならばこそ、『サクラ』と呼ばれる少年もまた頷いた。
翡翠の瞳を煌めかせていた。
「アンタは、今もこれを合戦と思っているのか」
「ああ、斯様に胸躍る合戦があるだろうか。何しろ、何人たりとて死ぬことがない」
「理由になってない」
『サクラ』と呼ばれた少年の『宮本・武蔵』の言葉にトライアスロン・フォーミュラ『時宮・朱鷺子』は、されど、と言葉を挟む。
「されど、武蔵様、『ガチデビル』の齎す『滅び』だけは、本物でございます」
そう、新生フィールド・オブ・ナインの中で唯一の邪悪。
放置すれば、このアスリートアースは滅びてしまうだろう。
故に。
「バトル・オブ・オリンピアさえ成功すれば、滅びは無効化できる」
『Mr.ホームラン』の言葉にサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』はやる気なさそうな顔をしていたが、首を鳴らした。
「別にアタシは滅ぼしてよかったんだが、|猟兵の皆様《御主人様》を悲しませるわけにはいかないからなあ……しゃあねえ、クライマックスといこうか!!」
彼女が手を掲げる。
その手に他の8人の手が重ねられた。
「『戦いに際しては心に平和を』……行こう。僕らは、きっと世界の滅びを回避しなければならない。そのためには」
「全力で猟兵とぶつからなければならない。俺たちを超えられないのならば、それまでだ。だが、きっと」
己たちを乗り越えられる、と『フュンフ・ラーズグリーズ』と『サクラ』は猟兵たちに向き直る。
その視線の先にはグリモア猟兵、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)が居た。
彼女の爛々と輝く瞳は、この状況に対して恐れを抱いているようには思えなかった。
そう、なぜなら。これは謂わばオールスターであるからだ。
恐るべき能力を持つ7人のフォーミュラたち。
加えて、2人の有望なる『プラクト』ダークリーガーが猟兵たちを迎え撃たんとしているのだ。
たしかに猟兵たちが負ければ世界は滅びる。
けれど、バトル・オブ・オリンピアが成功し『ガチデビル』を打倒すれば世界の滅びは回避できるのだ。
「ならばこそ、受けて立つ! と申し上げましょう!」
彼女はグリモア猟兵である。
転移を維持しているので、後方監督面をしているだけだが、それでも猟兵たちの勝利を祈っている。10人目の選手、サポーターなのだ。
「勝負の内容は如何なさいますか! ベースボールでしょうか」
「いいや、此処は『純粋な戦闘』と行こう。ただし、『スポーツマンシップに則り、互いに全ての力を出し切ることで、バトル・オブ・オリンピアのクライマックスを飾る』のだ!」
『Mr.ホームラン』は宣言した。
その言葉だけで十分だった。
それ以上の言葉はいらなかった。
こと此処に至りて、あるのは本気の勝負のみ。
今、此処に猟兵と『新生フィールド・オブ・ナイン』とのクライマックスが幕を開ける――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『バトル・オブ・オリンピア』の戦争シナリオとなります。
古代バトリンピア遺跡にて『新生フィールド・オブ・ナイン』と『Mr.ホームラン』が待ち受けます。
この勝負はスポーツ勝負ではなく、『純粋な戦闘』になります。
『新生フィールド・オブ・ナイン』は7人しかいないので、追加で『キャンピーくん』が未公式競技の『プラクト』より有望そうなダークリーガーを2人スカウトしてきています。
『新生フィールド・オブ・ナイン』と連携してくる『Mr.ホームラン』はチーム戦を挑んできているので、彼らと連携してきます。
今まで戦ってきたフォーミュラたちの能力を踏まえた上で密な連携を取っています。
加えて『プラクト』ダークリーガーの『フュンフ・ラーズグリーズ』と『サクラ』は己のプラスチックホビーを操って皆さんを攻撃してきます。
彼らは2人で一つの『二人羽織のようなロボットホビー』を操ります。
途中で二機に分離したり、合体したりしてきます。
プラスチックホビーは謂わば小型版キャバリアのようなものと考えてもらってかまいません。
ユーベルコードで強化されているので、攻撃力はフォーミュラ並であり、また小型のため回避能力が段違いです。
それぞれがとんでもない強敵ですが、他のメンバーがどれだけ健在でも『Mr.ホームラン』さえダウンさせられれば、皆さんの勝利となります。
プレイングボーナス……スポーツマンシップに則り、正々堂々戦う/Mr.ホームランを集中攻撃する/新生フィールド・オブ・ナインの連携に対処する。
それではアスリートアースに巻き起こる熱きスポーツバトルの祭典を戦い抜く皆さんの物語の一片となれますように、たくさんがんばります!
第1章 ボス戦
『Mrホームラン』
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POW : 大回転暗黒竜巻打法
自身の【バット】に【オブリビオン・ストーム】を宿し、攻撃力と吹き飛ばし力を最大9倍まで強化する(敗北や死の危機に比例する)。
SPD : ブラックホール打法
【超重力塊化しながら飛ぶ打球】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
WIZ : 誓いのスーパー打法
【最強無敗の野球選手であり続ける】という願いを【試合を見守る全世界の人々】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
イラスト:カツハシ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
天道・あや
最後はシンプルに互いの力と力をぶつけ合うと。
……成るの程、成る程!いいでしょう!ならばぶつけるぜ、あたしの全力を!!
夢よし、未来よし、あたし、いや、私よし!
そんじゃ、最高に盛り上げて行きまショータイム!!
スタートと同時にUC発動!一対多数ともなればまずは場の流れをこっちに向けないとね!
総統、ウィリアムさんの攻撃は【ダッシュ、見切り】で距離を取って避けて、武蔵さんとエルさんのボールは……拳で受け止める!【グラップル、ジャストガード】
そして!キャンピーくんと時宮さん、プラクトコンビのは……身体で受けるしかない!【激痛耐性、覚悟】
そんでホームランに辿り着いたらとっておきの一発を叩き込む!!!【情熱】
オールラスト。
これが最後の戦いであると示すように7人のフォーミュラと2人のダークリーガーが猟兵たちに迫る。
此処は古代バトリンピア遺跡。
このバトル・オブ・オリンピアのクライマックスを飾るに相応しい舞台であったことだろう。
そこに爆発と共に飛び出すのは、天道・あや( スタァーライト ・f12190)――いや、夢と未来照らす一番星!
「夢よし、未来よし、あたし、いや、私よし!」
彼女は超新星の如き爆発と共にフィールドに飛び出す。
目指すはベースボール・フォーミュラ『Mr.ホームラン』。
だが、彼の周りには連携を密にした最強のフォーミュラたち。これは純粋なる戦い。
故に、あやは走り出すのだ。
しかし、それ以上に速く迫るものがあった。
「なるほど。最速で場を盛り上げようというか」
レース・フォーミュラ『ウィリアム・ローグ』が拒絶の雲海を噴出させながら、あやに迫る。それだけではない。プロレス・フォーミュラ『デスリング総統』が空より凄まじい質量のフライングニーアタックをあやへとぶちかましてくるのだ。
「グロロロ! その意気やヨシ! だが、我がプロレス殺法も忘れてもらっては困る!」
「シンプルに互いの力と力をぶつけ合うということ……成るの程、成る程! ならばぶつけるぜ、あたしの全力を!!」
「簡単なことではないが。しかし、斯様な戦こそ胸がたかるというもの!」
「ハッ、御主人様たちとぶつかり合うってか! 最高じゃないか!」
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』とサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』の放ったボールが迫る。
あやの周囲に着弾する無数のテニスボールと、極大なる一撃を示すようなサッカーボール。
それらの爆発を背に受けながらあやは走る。
なんという攻勢だろうか。
一つも手加減というものがない。いや、だからこそ、そう、あやの心は燃え上がるのだ。
「そんじゃ、最高に盛り上げて行きまショータイム!!」
あやのユーベルコードは、古代バトリンピア遺跡の雰囲気を変える。
そう、それは己達猟兵に場の流れを引き込む力。
チェンジ・ザ・ムード!(カエテコウクウキ)
彼女は叫ぶ。
己の心の高まりをほとばしらせるように拳を握りしめ、サッカーボールと打ち合う。
「ハッ、流石は御主人様!」
「だが、まだ足りないぞ!」
トライアスロン・フォーミュラ『時宮・朱鷺子』がキャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』の能力によって『プラクト』ダークリーガーの操るプラスチックホビーと共に転移してくる。
「乗り越えられるはずだ。あなたたちなら!」
「できないなんてこと、理由になってない」
そうだ。そのとおりだと、あやは叫ぶ。
「HEY! HEY! Change! change THE mood!」
迫る攻勢をおのれの体躯だけで耐える。覚悟があった。どんな痛みにだって負けないっていう覚悟が。
だが、そこに覚悟をへし折るように振るわれるは『Mr.ホームラン』の大回転暗黒竜巻打法であった。
振るわれるバットから放たれる竜巻。
だが、それをあやは、おのれのやる気、テンションだけで乗り越える。
これがクライマックスだというのなら!
「あたしのテンションはマックス! みんなの進む、未来と夢を照らせる|星《スタァ》なんだから!!」
だから、とあやは己の拳で持って迫る暗黒竜巻を拳で叩き返す。
思いがあった、覚悟があった、このクライマックスムードに走る想いは、世界の破滅を回避するという輝かしい未来に向かって迸る。
「これが、とっておきの一発!」
あやは暗黒竜巻をも振り払い、『Mr.ホームラン』に光り輝く星のような拳を打ち付けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
九頭龍・達也
地獄の特訓の内容はちょっと興味があるけどそれはそれ、勝つよ。
……というかこの戦いそのものが地獄の特訓を超えた経験になる気がするな。
【竜神の再来】発動。
狙うはMrホームラン唯一人!
『九頭龍の紋章』を輝かせ無尽蔵な闘気を発現。闘気弾(エネルギー弾)で
大地を砕いて煙幕に。
光速機動でMr以外のナインを躱してMrに接近!(集中力×心眼×第六感)
最後は最強のバットと最強の|剣《勇者の剣》、どっちが強いか勝負!
無尽蔵に湧き出る闘気をさらに限界突破させて戦闘力を高め、UC由来の怪力で渾身の一撃を放つ!
特訓というのは強敵に打ち勝つためのものである。
己の限界を見極めるためにあるのではなく、己の限界を越えるためにある。
そうした戦いの中で成長していくことこそ、人の本質であったことだろう。
何度くじけたって良い。
何度心折られたって良いのだ。
誰だって傷つかずには生きてはいけない。他者が存在するのならば、そこに摩擦が生じるだろう。
だからこそ、心は燃えるのだ。
摩擦に寄る熱が心を燃やす。
「勝つよ」
「吠えたな、猟兵! グロロロ!!」
プロレス・フォーミュラ『デスリング総統』が九頭龍・達也(大宇宙帰りの勇者・f39481)へと迫る。
そのラリアットの一撃はそれだけで五体を砕くには十分なものであった。
けれど、達也の瞳はユーベルコードに輝いていた。
己の闘気。
活性化することによって得られる光速の機動力で持って彼は『デスリング総統』のラリアットを躱す。
しかし、その速さに対応してくる者がいた。
レース・フォーミュラ『ウィリアム・ローグ』である。
『アルカディア・エフェクト』によって無窮の速さを得た彼ならばこそ、達也の速度を凌駕するものであったことだろう。
だが、それでもマシンパワーあればこそ。
彼の『ローグ・インタセプター』は規格外の速度を持ちながらも、そのマシンゆえに小回りにおいては人間である達也が上回る。
「躱すか、我々を!」
「ああ、そうさ。躱すし、倒すし、勝つよ。だが……!」
最早これは特訓だ。
地獄の特訓とも言うべきフォーミュラたちが集った戦い。それを超えた経験になるような気がすると達也は予感していた。
「狙うはただ一人『Mr.ホームラン』!」
「そうであろうな。故に我らが居る」
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』とサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』の放ったボールが達也を襲う。
斬撃の如き無数のテニスボールが体を刻み、暗黒星雲を封じ込めたボールが迫る。
超再生能力でもって達也はテニスボールの斬撃を受け流し、踏み込む。
「アタシの必殺シュートは再生する隙すら与えずに御主人様をぶっ飛ばすぜ、どうする!」
「なら、こするまでだよ!」
振るう拳。
それは惑星破壊級の怪力によって放たれる一撃。
星雲込めた威力のボールとぶつかりあって、古代バトリンピア遺跡に衝撃波が迸る。
「おおおっ!」
竜神の再来(クズリュウ)たる拳の一撃が大地を穿ち、立ち込める煙幕を生み出す。
踏み出す一瞬において、達也は『Mr.ホームラン』へと迫る。
「ふっ、ユーが狙うはオレのみ。ならば、来るだろうと思っていたよ!」
振るうは暗黒竜巻打法。
バットの真芯と達也の拳が激突する。
火花散るようなユーベルコードの明滅。
「最強のバットと!」
「最強の|剣《勇者の剣》! どっちが強いか勝負!」
達也は裂帛の気合を込めて溢れ出る闘気と共に暗黒竜巻を打ち据える。
限界を超えた一撃。
渾身を込めた一撃。
それによって吹き荒れる風は、滅び齎す暗黒の竜巻すら打ち破るようにして、『Mr.ホームラン』へと叩き込まれるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
李・玉明
WIZ アドリブ連携歓迎
むっふっふ~♪
新生フィールド・オブ・ナイン。まさに、錚々たる顔ぶれじゃな!
プラクトの二人も強敵と見える!
なればこそ、全力で挑むのじゃ!
行ってくるのじゃ、ナイアルテ! 猟兵ファイトー、オー♪
そちらにチームメイトがいるように、こちらにも仲間はいるのじゃ!
デッキから、モルヒネとマジカル・イート・ドラゴンを召喚!
『よっし、付き合ってやるか!』『ガウ!』
そしてビッグ・ザ・老君、ショウタイム!
『オオオオ!(全力で戦おうぞ!)』
妾は老君の肩の上に、モルヒネはドラゴンの頭の上に乗って、疑似騎馬戦の形を作るのじゃ!
さあ、正々堂々出し惜しみなし! 力の限り正面からぶつかるのじゃ!
頑張れー!
眼の前に居並ぶは、バトル・オブ・オリンピアを彩ってきた7人のフォーミュラたち。
集う彼らは一丸となっている。
目指すは唯一つ。
バトル・オブ・オリンピアの成就のみ。
故に彼らは強い。けれど、一つだけバトル・オブ・オリンピアの成就を阻むものがあった。それが『魔王ガチデビル』である。
かの存在が齎す滅びだけは世界の崩壊を示すものであった。
故に。
「俺たちを乗り越えていって貰わねばならない。だがしかし、加減など不要。これはアスリートの祭典なのだ。ならば!」
ベースボール・フォーミュラ『Mr.ホームラン』の言葉に李・玉明(豪華絢爛西欧天女・f32791)は笑って応える。
「むっふっふ~♪『新生フィールド・オブ・ナイン』。まさに、錚々たる顔ぶれじゃな。そして、その心意気もまた!」
彼女は笑いながらもしかし、サポーターたるグリモア猟兵へと振り返り拳を突き上げる。
「なればこそ、全力で挑むのじゃ!」
「グロロロロ! その意気である! さあ、貴様の技を見せてみろ!」
プロレス・フォーミュラ『デスリング総統』の前に玉明はユーベルコードを瞳に輝かせる。
「そちらにチームメイトがいるように、こちらにも仲間がいるのじゃ! ドロー!」
玉明が手にするは、カードデュエルに使用する二枚のカード。
掲げ、煌めくユーベルコードを受ける姿は神のカードに抗う虎柄スカジャンの女子中学生『モルヒネ』と高レベルのモンスターカードに描かれた『マジカル・イート・ドラゴン』であった。
彼らを玉明を呼び出し7人のフォーミュラと加えて『プラクト』のダークリーガーたちへとけしかけるのだ。
「よっし、付き合ってやるか!」
「ガウ!」
「ほう、カードの中からモンスターを召喚する、か。なるほど。だが、それだけでは!」
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の放つテニスボールが乱打され、あらゆるものを切断する『剣刃一閃』たる力が走る。
その一打一打が『マジカル・イート・ドラゴン』の体躯を切り刻むが、しかし、さらに現れるのは、巨人であった。
「『ビッグ・ザ・老君』、ショウタイム!」
「オオオオオ!」
巨人型宝貝にトライアスロン・フォーミュラ『時宮・朱鷺子』が強靭なる肉体でもって立ち向かい、その巨体を打ち据える。
だが、『ビッグ・ザ・老君』とて負けては居ない。
拳打ち合い、火花散るような力の激突。
「たしかに巨大であることは質量があるということ! ですが!」
「小回りは効かない。なら!」
「内側から破壊するまでだ」
2人の『プラクト』ダークリーガーたちの操るホビーが『ビッグ・ザ・老君』の内側へと侵入し、その内部から攻撃を仕掛ける。
揺れる巨体に玉明はしがみつきながらも、『モルヒネ』と『マジカル・イート・ドラゴン』たちに士気高揚激励舞踊(チア・フォー・ユー)たる舞いと歌声を届かせる。
それは応援であり、彼女と共に戦う彼らの能力を底上げしていくのだ。
「出し惜しみはなしじゃ! 力の限り正面からぶつかるのじゃ!」
「オオオオオ!」
例え、内側から破壊されながらも『ビッグ・ザ・老君』は拳を振るいあげる。
「ならば、オレも誓うとしよう。最強無敵の野球選手であることを!」
『Mr.ホームラン』が『時宮・朱鷺子』をも吹き飛ばした玉明の応援を受けし拳と打ち合う。砕け散る拳。
けれど、もう片方の腕が残ってる。
「頑張るのじゃー!」
玉明の声に応えるように『ビッグ・ザ・老君』が『Mr.ホームラン』へと拳を叩きつけ、『モルヒネ』と『マジカル・イート・ドラゴン』の突進が彼へと叩き込まれる。
それは正しく一大決戦。
もはや、試合の最後には一片の力も残さぬというような苛烈なる戦いは玉明の応援に彩られ、さらにヒートアップしていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
天ヶ崎・聖羅
うわ〜、錚々たるってレベルじゃないね、この面子。
いたいけな幼女相手にみっともな〜い❤️
…ってふざけてる場合じゃないか。
カードデュエリストとして、正々堂々全力でやらなきゃね!
「魔霧の外套」で【残像】を生み出し居場所を撹乱、「惑わす黄金蝶」への【おびき寄せ】も併せて、わたしを直接狙う攻撃を回避。
広範囲に飛んでくるテニスボールは、アルティナを召喚して【弾幕】で撃墜してもらうよ。
傷は清かなる浄香の間の【回復力】で凌いでく。
Mr.を間合いに捉えたら、皆が攻め込んでくるのに合わせて『不敵な願い』発動。
作るカードは『避雷針』。このターンの全ての攻撃を対象の一人に集中させる効果。
対象は勿論、Mr.ホームラン!
熱い戦いが繰り広げられている。
7人のフォーミュラたちと2人の『プラクト』リーガー。
彼らと激突する猟兵のユーベルコード。
それは正しく錚々たる面々の戦いであり、アスリートアースにおける最高レベルにも到達するかのような苛烈なる戦いであったのだ。
「うわ~、本当にすっごい戦い……でもぉ、この面子。いたいけな幼女相手にみっともな~い……な~んて、ふざけてる場合じゃないよね」
天ヶ崎・聖羅(メスガキデュエリスト・f41704)はいつもの調子が出てきたのだが、しかし、飲み込んだ。
そう、ここはまさすくオールラスト。
最終決戦なのだ。ならばこそ、彼女とて己がカードデュエリストであることを示さねばならない。
「正々堂々全力でやらなきゃね!」
彼女はデッキからカードをドローし、その手札を掲げる。
「装備魔法カード『魔霧の街灯』! 装備することで幻影を映す霧を纏う!」
「ほう、カードデュエリストか。それで……」
どうする、とレース・フォーミュラ『ウィリアム・ローグ』は拒絶の雲海を撒き散らしながら、聖羅の放った魔法カードによる霧を吹き飛ばす。
そう、彼らはフォーミュラ。
これまで戦ってきたがゆえに猟兵たちは彼らの手の内を知っている。だからこそ、聖羅はさらなるカードを輝かせる。
「霧を出せば、速度で勝るあなたが出てくると思った! けれどね、もう一枚カードを伏せていたんだよ!」
聖羅の手札が開かれる。
そこに在ったのは魔物カード『惑わす黄金蝶』。
幻惑的な輝きで他者を引き付けるカードであり、スピードで勝るレース・フォーミュラ『ウィリアム・ローグ』を惹きつけ、幻影の中に呼び込むコンボを決めていたのだ。
「ならば、この私の視界に映る君は……!」
「そ、すっかりトラップコンボにハマっちゃったってわけ!」
「ここまでは未来で私がみている! 武蔵様!」
「応とも!」
トライアスロン・フォーミュラ『時宮・朱鷺子』の言葉にテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の無限のテニスボールが聖羅へと襲う。
『剣刃一閃』たるユーベルコードの込められたテニスボールが乱打され、聖羅へと迫る。
だが、彼女の眼の前に現れたカード、『機界姫神アルティナ』が、すの姿を示す。
巨大なロボットのようなモンスターが『宮本・武蔵』の乱打されたボールを尽く撃ち落とすのだ。
けれど、そこに飛び込む小さな影があった。
2人の『プラクト』ダークリーガーによって操作されるプラスチックホビー、二人羽織のような装甲を持つロボットホビーが小さい体躯ながら聖羅の呼び出した巨大ロボットを打ち据え、横転させたのだ。
「大きいだけでは!」
「な、なぁ……んてね!」
彼らの言葉に聖羅は微笑む。
たしかに状況は悪い。けれど、彼女は笑ったのだ。その瞳はユーベルコードに輝いている。
「ざんね~ん。ここからでも逆転できるカードはありま~す」
手にするは、魔法カード『不敵な願い』(ボールド・ウィッシュ)。
そう、彼女の持つカードの知識から、この困難な状況を乗り越えたいという願いを叶えるカードを生み出す。
創造されるカード。
それは。
「一発逆転ホームラン!『避雷針』!」
「む……それはどういう効果なのだ!?」
「これはねぇ……雷様が避雷針めがけて飛んでくるのと一緒! 今がチャンスだって、フォーミュラのみんなはわたしを取り囲んで攻撃しようとしているでしょ? そ・れ・がぁ~」
次の瞬間、ユーベルコードによって生み出されたカードの効果が発動する。
そう、カード『避雷針』。
それはこのターンの全ての攻撃の対象を一人に集中させる効果。
即ち。
「なるほど……つまり!」
「そう、わたしは宣言するよ! カード『避雷針』の対象は『Mr.ホームラン』! さああ、6人のフォーミュラと2人の『プラクト』ダークリーガーの集中攻撃を受けて、やられちゃえ~」
その言葉と共にカードの効果を発動した一撃が、フォーミュラたちから『Mr.ホームラン』へと放たれ、その凄まじい逆転劇を聖羅は示してみせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
夢は起きてても見れるのでっすよー?
夢を魅せるのが藍ドル!
藍ちゃんくんを通して皆様方が自分自身に夢を見る、得る、取り戻す!
それこそが藍ちゃんくんでっすよー!
歌うのでっす!
お望み通り全力で歌うのでっす!
この歌は戦意を奪う歌。
命を奪い合うのではないこの戦いの結末には相応しいかと!
過去の存在である皆々様に藍ちゃんくんたちになら託していいと思わせる歌を歌うのでっす!
連携攻撃?
真っ向から受け取るのでっす!
それらも全部、皆様方の歌なれば!
皆様方からのバトン、受け取ってみせるのでっす!
テニスも、サッカーも、トライアスロンも、レースも、キャンプも、プラクトも、レスリングも!
全部全部取り入れて皆様とのライブにするのでっす!
勿論野球もなのでっすよー!
バットが藍ちゃんくんを砕くことはないのでっす。
命を奪わぬ戦いに死の危機はないのでっす!
敗北だって無いのでっす!
何故なら勝つのは藍ちゃんくんと皆様方なのでっすから!
皆様方からバトンを受け取った藍ちゃんくん達がガチデビルに勝つ……。
アスリートアースの勝利なのでっす!
夢は眠りに落ちた時に見るものだ。
故に、しあわせなゆめからは醒めなければならない。
けれど、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は言う。
「夢は起きてても見れるのでっすよー?」
それは2人の『プラクト』ダークリーガーに向けての言葉であったかもしれない。
この平和な世界。
人の生き死にがない世界において、決するは勝敗のみ。
「夢を魅せるのが藍ドル!」
藍はそう言ってのける。
いいや、歌ってのける。
己を通して、多くの者たちが自分自身に夢を見る、得る、取り戻す。
それが己の歌うものであると藍は叫ぶ。
「ならば、全力だ。そうだろう!」
ベースボール・フォーミュラ『Mr.ホームラン』はバットを掲げた。
振るうは大回転暗黒竜巻打法である。彼の振るうバットから暗黒の竜巻が放たれる。それは文明すら砕く一打であっただろう。
さらに迫る6人のフォーミュラたち。
彼らの力は藍も経験してきた。凄まじいものだ。多くが途方も無い力であると言う他無い。だからこそ、藍は歌うのだ。
「ええ、全力でっす!」
響き渡る歌は幸福を呼ぶ青い鳥のオーラとなって、フォーミュラたちの身を包み込む。
戦闘意欲を喪わせる翼に包み込まれる体。
「生命を奪い合うのではないこの戦いにの結末には相応しいかと! 過去の存在である皆々様に藍ちゃんくんたちになら託していいと思ってもらえるよう!」
「たしかにな。悪くはない」
「グロロロロ! しかし、これに抗って見せてこそのフォーミュラ! 故に!」
プロレス・フォーミュラ『デスリング総統』が立ち上がる。
継続でダメージが入っているはずなのに、それでも彼は立ち上がった。いいや、ある種当然であるとも言えるだろう。
そう、彼はダークプロレスラー。
全ての技を受けきってこそ、反撃することを標榜するアスリートなのだ。
故に、彼は藍へと迫る。
その一撃を受け止め、藍はなおも歌う。
これはバトンだ。
彼らの歌だ。
心が震えている。魂が震えている。
己の目指した極致へと迫らんとする心。それがあるからこそ、過去の存在でも今に在ることができる。
だからこそ、藍は受け止める。受け取るのだ。
「テニスも、サッカーも、トライアスロンも、レースも、キャンプも、レスリングも、プラクトも!」
全部! と藍は貪欲にフォーミュラたちの攻撃を受け止める。
歌はそれでも止まらない。
歌うことは止められない。なら、それらを全てライブに取り込んでいくのだ。
「歌うことは生きることと見つけたり」
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』から放たれるテニスボールを藍はステップを踏むようにして躱す。
放たれたボールが古代バトリンピア遺跡の地面を砕く。
蹴り込まれたボールが、さらに藍の体を宙へと舞い上げる。
「すっごいのでっす! 皆々様の歌が、こんなにも!」
「負けてられないからな、御主人様!」
「だが、勝敗だけはつけねばならないのだよ!」
「いいえ、いいえ、生命奪わぬ戦いには死の危機はないのでっす! なら、敗北だってないのでっす!」
だが、確実に争うのならば、二つの結末が生み出される。
敗北と勝利。
その二つが。
けれど、藍は言う。
これは。
「藍ちゃんくんと皆様方が勝つ歌なのでっすから!」
どういうことだと問いかける瞳があった。
だから、藍は喜んで歌うように宣言するのだ。
天に掲げた指を下ろして、指差す。
「藍ちゃんくんたちが『魔王ガチデビル』に勝つ……皆々様と一緒に勝利する。謂わば、これはアスリートアースの勝利なのでっす!」
だから、此処に敗北はないのだと示すように藍は、歌う。
「ああなんて素敵!」
そんな未来を掴むために、と歌声は高らかに響いた――。
大成功
🔵🔵🔵
空桐・清導
POW
アドリブや連携も大歓迎
「アンタら兄弟はどれだけオレを熱くしてくれるんだ!Mrホームラン!
この大勝負!スポーツマンシップに則って全身全霊で挑ませて貰う!
いくぜ新生フィールド・オブ・ナイン!準備運動は十分か!」
キッチリ準備運動で[気合い]十分
UCを発動して煌めく鉢巻きを締めて突っ込む
今回籠めた願いは『相手の想定を上回る未来をたぐり寄せる』
ただし、UCはきっかけに過ぎず実行するのは自分
だが、その僅かな希望を手に一気にナイン達を突破
Mrホームランとタイマンだ
「超必殺!フルブレイズ・スマッシュ!」
振り抜かれるスイングを[限界突破]して一歩後ろに下がって回避
そのまま全身全霊の右ストレートを叩き込む!
これはバトル・オブ・オリンピアの成功を決める一大決戦。
そう、この戦いなくば世界の滅びは阻めず。
そして、『魔王ガチデビル』の画策したカタストロフは無効化されない。故に、猟兵たちは集う。
例え、敵が『新生フィールド・オブ・ナイン』の全てのフォーミュラに加え、『プラクト』ダークリーガーの2人を加えた9人との一斉に戦うことになるのだとしても、だ。
「アンタら兄弟はどれだけオレを熱くしてくれるんだ!『Mr.ホームラン』!」
空桐・清導(ブレイザイン・f28542)の言葉にベースボール・フォーミュラ『Mr.ホームラン』は笑った。
闊達な笑みであった。
彼が手にするはバット。
その大回転暗黒竜巻打法は、あらゆるものを砕く。
文明すら砕く暗黒竜巻を生み出すバットは、正真正銘、彼が敗北を知らぬ無敵の野球選手であることを示していただろう。
「それは君の中の熱がそうさせるのだろう。オレたちが何かをしたわけじゃあない。そういうものなんだよ、猟兵」
「なら、この大勝負! スポーツマンシップに則って全身全霊で挑ませて貰う!」
「グロロロロ! 威勢だけは善いようだがな!」
「いいえ、これまで彼らは私達の課してきた試練を乗り越えてきています。ハッタリでも虚勢でもないのです」
プロレス・フォーミュラ『デスリング総統』にトライアスロン・フォーミュラ『時宮・朱鷺子』は告げる。
そう、これまで猟兵たちは乗り越えてきたのだ。
フォーミュラたちとの対決。
彼らはまごうこと無きアスリートであった。
だからこそ、乗り越えた。乗り越えねばならぬ壁として立ちふさがる彼らとの戦いに魂が燃えないわけがなかった。
「いくぜ『新生フィールド・オブ・ナイン』! 準備運動は十分か!」
清導は気合十分にユーベルコードを発露させる。
己の望みを反映した黄金の光焔。
それが渦を巻くようにして体にまとわれる。
真の姿。
「全力全開!不撓不屈たる証明を此処に!!(オール・トランセンデンタル)」
そう、それは言葉でしかない。
けれど、それを己が手繰り寄せる為に前に進むのならば、それを実現するために己の肉体は躍動するのだ。
迫りくる『デスリング総統』の一撃も、『時宮・朱鷺子』の未来を見通してきたかのような動きも、『ウィリアム・ローグ』の凄まじい速度も、『エル・ティグレ』の必殺シュートも。
何もかも己が乗り越えてきた証。
故に、これはきっかけなのだ。
己が見た僅かな希望と共に清導はフォーミュラたちの攻撃をかいくぐり『Mr.ホームラン』へと走る。
「真っ向勝負!」
「タイマンだ!!」
2人の視線が交錯する。
振るわれるバットから放たれる暗黒竜巻。全てを砕く竜巻であれど、今の清導を砕くことはできない。
そう、今において彼は無敵。
あらゆる負傷、疲労、致命傷。
その全ての影響を受けぬ状態へと至った清導は己の拳を握りしめる。
「超必殺! フルブレイズ・スマッシュ!」
放つは全身全霊の拳。
それは誇張なしに己の全てを込めた一撃だった。
例え、己のユーベルコードが五体砕けるような痛みを戦い終えた後にもたらすのだとしても、清導は決めたのだ。
真っ向から戦うと。
それを証明するように『Mr.ホームラン』へと己は拳を叩き込むのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
レジーナ・ビエルニィ
……分かった。バトロワシューターとして、相手になる
開始直後に相手方向へゆきだまグレネードを投擲、武蔵やMrに打ち返されないよう即座に撃ち抜いて目くらまし。UCで姿を消しつつシューズの力で迅速に移動開始。向こうには飛び道具持ちが最低でも3人、こっちの位置を掴ませないよう足を止めずに移動。合間を縫っての敵大将への狙撃を試みる。
移動に長けるローグ、時宮にはアサルトライフルの弾幕で妨害、直撃なしでも壁や床を凍らせて移動妨害。あとティグレは移動力と飛び道具を備えてるし、優先して撃つ。
プラクトの2人には臨機応変に。武蔵とMrは打ち返してくるとして、手にした用具を狙いの牽制射撃から続けて本命の狙撃を狙うよ。
「……分かった。バトロワシューターとして、相手になる」
どんな状況であろうと、どんな敵であろうと自分らしさを喪わないのならば、百戦危うからず。
それがレジーナ・ビエルニィ(雪女のバトロワシューター・f37984)のアスリートとしての在り方だった。
そう、どんな時だって冷静であること。
戸惑うことはあるかもしれない。けれど、それを己の意志で克服することができる。乗り越えることができる。
「見事な克己心であると言えるだろう!」
それでこそ、とベースボール・フォーミュラ『Mr.ホームラン』は言う。
息を吸う。
吐き出す。
単純な動作だけれど、レジーナにとっては、それだけでよかったのだ。
見事な動きで持ってレジーナは『ゆきだまグレネード』を投擲する。
だが、レジーナにはわかっていた。
そう、グレネードとは言え、投擲したものだ。投げはなったものだ。ならば、それを打ち返すのが野球でありテニスである。
彼女が最も警戒しなければならなかったのは『Mr.ホームラン』とテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』である。
彼らならば即座に己が放った『ゆきだまグレネード』を打ち返してくるだろう。
だからこそ、レジーナな即座にグレネードを撃ち抜く。
炸裂する冷気。
それは大気中の水分を凍結させ、網目のようにフェンスを生み出す。
「フェンス……いや、これはネットか!」
そのどちらでもないとレジーナは駆け出す。
7人のフォーミュラに加え、2人のダークリーガーが存在しているのだ。その中で飛び道具を扱うのは最低でも3人。
サッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』が猛虎のように咆哮する。
「しゃらくせえですよ、御主人様!」
蹴り出される暗黒星雲ボールが生み出された氷のフェンスを打ち砕く。
破片舞う中、レジーナは間隙を縫うようにして『Mr.ホームラン』へと迫る。狙うは彼だけなのだ。
だが、そこに即座にインターセプトするのがレース・フォーミュラ『ウィリアム・ローグ』であった。
「速さで私を越えていけ」
「それはすでに未来で見た戦法だ、猟兵!」
さらにトライアスロン・フォーミュラ『時宮・朱鷺子』が迫る。
「……!」
放つ弾丸の弾幕。
凍結させた地面をレジーナは『ペンペン君シューズ』でもって駆け抜ける。
更に迫るはプロレス・フォーミュラ『デスリング総統』の盛大なボディプレスであった。
衝撃が凍らせた地面を砕く。
これでは、と機動力が失われたところに衝撃波の中から二人羽織のロボットホビーが飛び出す。
「此処が仕掛けどころだろう」
その言葉はレジーナにとっては、勝負勘を働かせるには十分な理由だった。
彼女は瞳をユーベルコードに輝かせる。
息を吸う。
迫るフォーミュラを見つめる。さらには暗黒竜巻が『Mr.ホームラン』から放たれているのだ。
多段にも増す圧倒的な攻勢。
だが、すでに仕込みは済んでいる。
「……うん。仕掛ける」
周囲の気温が突如として下がる。
レジーナは冷気の中に消えていく。それをフォーミュラたちは目を見開く。そう、すでに彼女は多くのフォーミュラたちへと銃撃を放っていた。
着弾した箇所は凍結し、氷塊に閉ざす。
つまり。
「全てのフォーミュラを閉じ込めたか! だが!」
振るわれる暗黒竜巻が氷塊すら砕く。
けれど、とレジーナは冷静だった。そう、仲間を助けるために『Mr.ホームラン』は必ずバットを振るう。
ならば、その一瞬こそが。
「ここ」
引き金を引き、放たれた弾丸が『Mr.ホームラン』の額へと叩き込まれた――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
自分は全力で壊す。この戦場を壊す!
貴殿らの、そして数多のアスリート達の生きる世界を壊させぬ為に!!
『劫火焦霊』双剣変形フォースサーベルに劫火の【|念動力《霊障》】を注ぎ込み、駆ける
人工魔眼の【視力】で戦場を広く認識
【第六感】でも攻撃を感じ取り、己が【瞬間思考力】で取るべき行動を弾き出す!
…多分、自分は貴殿らの事を好ましく感じている。
平和の世界を築き上げ、正々堂々戦わんとする貴殿らが、
まったくもって、|恨めしい《素晴らしい》からか、
|【早業】《素早く》振るう双刃、その刀身から収束した劫火霊障の【衝撃波】を放ち、敵の攻撃を【吹き飛ばし】焼き払い、己が身を念動力で捩じり【空中機動】で躱すべきを躱し、【闘争心】を燃やす。限界を超克し続け、駆け抜ける。
なんだか自分でもよく分からなくなってきました。ただ、自分は
フォースサーベル無敵斬艦刀変形、劫火を推進力に高速回転を加え、
ありったけ念動力を込めて思いっきり劫火の棍棒を振りかぶって【なぎ払い】
Mrホームラン殿を、打つ。
勝ちたいのだ!!!貴殿らに!!!!
猟兵の放った一打にベースボール・フォーミュラ『Mr.ホームラン』は僅かにぐらつく。
これがベースボールであったのならば、死球であろう。
しかし、彼が宣言したようにこれは純粋な戦いである。
スポーツマンシップに則るのならば、敵の大将たる彼を狙うは道理であった。
故に彼は笑ったのだ。
「苦難も困難もどこまでも乗り越えてくる。それが君たちだ、ならば!」
「自分は全力で壊す。この戦場を壊す! 貴殿らの、そして数多のアスリートたちの生きる世界を壊さぬ為に!!」
咆哮が轟く。
朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は、劫火焦霊(マグナフラム)へと至る。
劫火満たすフォースサーベルを手に、闘争心を燃やす。
人口魔眼が燃える。燃えるように熱い。限界まで駆動しているせいだろう。
認識する。
7人のフォーミュラに加え、2人の『プラクト』ダークリーガー。
彼らを相手取らねばならない。
「グロロロ!! ならばやってみせるがいい! この五体が砕けぬと知るのならば!!!」
プロレス・フォーミュラ『デスリング総統』の巨体が迫る。
その肉体に叩き込む斬撃。
けれど、彼は壊れない。金剛石のような強靭さでもって小枝子の一撃を受け止めたのだ。四本腕が迫るのを小枝子は感じ取った。
四次元殺法は骸の海へと己の体を投げ飛ばす。
だが、彼女は舞い戻る。いや、黄泉より還るのだ。
此処にあるのは狂悪霊である。
「ほう、我が四次元殺法を受けてなお舞い戻るか!」
「……多分、自分は貴殿らのことを好ましく感じている」
「リスペクトは必要なことだが、しかし、これは戦いだ。戦いに、それは不必要ではないか?」
トライアスロン・フォーミュラ『時宮・朱鷺子』が迫る。
小枝子が舞い戻ることを予見していたのだろう。
さらにサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』の放った暗黒星雲ボールが必殺シュートとなってフィールドを叩き割る。
瓦礫の小枝子は思うのだ。
己の心を。
『平和の世界を築き上げ、正々堂々と戦わんとする貴殿らが、まったくもって、|恨めしい《素晴らしい》からか」
わからない。
けれど、そう思ってしまったのだ。
振るう双剣でもって迫るボールを砕き、衝撃波でもって『時宮・朱鷺子』を吹き飛ばす。さらに迫るはテニスボールの凄まじい乱打。
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の無限の乱打だった。
雨のように降り注ぐテニスボール。
「怨念返しはない。此処には、しあわせなゆめしかない。ならば、悪霊。アンタはどうする」
『プラクト』ダークリーガーの『サクラ』が問いかける。
その言葉に小枝子は心を燃やす。
思考が炎に包まれる。
わかっていることだ。わかっていたことだ。
けれど、と小枝子は思う。この思いを抱く度に、抱いたと自覚する度に己の中の何かが引きちぎれていくのを。
だからこそ、小枝子は問いかけに応える。
「なんだか自分でもよくわからなくなってきました」
「だろうな」
「ただ、自分は」
手にした双剣を小枝子は束ねる。
無敵斬艦刀へと変形し、劫火を束ねる。
「勝ちたいのだ!!! 貴殿らに!!!!」
「ならば、受けよう! これは己の力を極限まで高めるが故に! 君に答えよう!」
『Mr.ホームラン』の大回転暗黒竜巻打法がうなりを上げる。
生み出される暗黒竜巻と劫火の激突による凄まじい暴風が古代バトリンピア遺跡に吹き荒れる。
それは暖かな風となってアスリートアースの端々へと駆け抜けていくだろう。
全力でぶつかること。
戦いの衝動を平和に還るただ一つの方策。
競い合うこと。
そこに人の生死は関連せず。故に平和な世界を実現せしめ、その平和を壊そうとするものを壊さんとする小枝子の咆哮が轟くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
乙葉・あいね
此処はわたし、あいねがお相手いたすのです!
とはいっても多勢に無勢、「うれたんの剣」の形の『魔剣の影』を掃射して牽制、早めに相手との位置取りを調整するのです
上手く相手を正面に見据えたら、此処が勝負どころ!【異界剣「アスリートアース」】!
異界の力に呼応しその姿を変えた『陰陽の双星:競』を二刀流で構え、真正面から受けて立つのです!
そのまま攻撃の軌道そのものを見切り、
突進は叩いて弾き飛ばし、飛び道具は叩き落すのです!
そして、「|葬《ほうむ》らん」氏の「ぶらっくほーる打法」を待って……
その軌道、見切ったのです!
勢いよく双星(競)二刀流での「飛び道具を跳ね返す」スマッシュを叩きこんでお返ししちゃうのです!
ユーベルコードが激突する。
それは互いの渾身を込めたものであったからこそ、風を生み出すのだ。
平和を求めて戦うこと。
世界の破滅を防ぐために彼らは戦ってきた。そこには敵味方に分かれども、一丸となっていることを示していた。
だからこそ、乙葉・あいね(白と黒の刃・f26701)は古代バトリンピア遺跡へと駆け出す。
「此処はわたし、あいねがお相手いたすのです!」
彼女はウレタンの剣を魔剣の影にて作り出し、打ち出す。
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の放ったテニスボールの乱打と打ち合う。
だが、多勢に無勢である。
敵は7人のフォーミュラに2人のダークリーガー。
9人を一斉に相手取るのは至難の業であったことだろう。
けれど、だからといって諦める理由にはなかっていない。
ならばこそ、彼女の瞳はユーベルコードに輝く。
これは戦いだけれど、それでも平和を求める戦いだ。故に、彼女は。
「此処が勝負どころ!」
「それをさせはせぬよ」
レース・フォーミュラ『ウィリアム・ローグ』が己がマシンと共に一気に距離を詰めてくる。凄まじい速度だった。
けれど、あいねは構わなかった。
彼女は真正面にベースボール・フォーミュラ『Mr.ホームラン』を捉えていた。
そして、他のフォーミュラたちも己のユーベルコードを前に一列に並ぶようにして立ちふさがっているのだ。
ならば、とあいねは己の瞳を見据える。
「異界剣「アスリートアース」(キソイタカミヘイドムモノタチノケン)! 刀でなかろうとも、これこそが他ならぬ彼らの『武器』!」
掲げるは二振りのラケットだった。
「おおっ、ラケットに持ち替えたか、剣を!」
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の歓声が聞こえる。
あいねは思わず笑ってしまった。
戦いにあって笑うとは何事かと言われるかも知れない。けれど、笑ってしまったのだ。これがスポーツだ。
真剣であればあるほどに心の中に湧き上がる感情が、己の頬を緩ませる。
競い合うことで高めあっていくこと。
故に。
「「|葬《ほうむ》らん氏の!」
「物騒なネーミングだが!」
『Mr.ホームラン』が超重力の打球を放つ。
それは一直線にあいねへと迫る。受ければひとたまりもないだろう。
けれど、あいねの瞳はユーベルコードに輝いている。
振るうラケットは、その超重力の一打を完璧に見きってスマッシュでもって相殺するのだ。
超重力の一打をも相殺する力。
さらにあいねは『宮本・武蔵』の放ったテニスボールを捉える。
「油断していたら、あの世まで葬らん! なのです!」
放つは立ちふさがるフォーミュラたちをも巻き込んで吹き飛ばす強力スマッシュの一打。
その一打をもって、あいねは示すのだ。
きっと世界の破滅を回避してみせると。
そのためにこそ練磨してきた技が、体があるのだと――。
大成功
🔵🔵🔵
ステラ・タタリクス
|エイル様《主人様》の! 香りがしまあぁぁっぁぁぁっす!!!
正確に言うと、エイル様ネクストジェネレーションの香りですが!
というか、フュンフ様だけじゃなくて|超人皇帝《植物好き》も何やってるんですか
迎えに来たのか遊びに来たのかどちらなのでしょう?
貴方がたは|束の間の休息に訪れた戦士《ゆめ見る旅人》
この世界に対するパッセンジャーともいうべき存在
しあわせなゆめから目覚めるというのなら
全力で|お相手しましょう!《お見送りしましょう!》
レッツ・アクトです!
セラフィムにはセラフィムを!
クリムゾンリッパー、いきます!
真っ向勝負が好みですし
【クリムゾンウイング突撃】で仕掛けるとしましょう
ウイング展開
狙いはお二方の赤い機体
Mr.ホームランはじめ敵の攻撃は速度で振り切る……
ええ、ビーム斉射を弾幕にしつつ
敵を足止めたら、そのまま置き去りに!
赤い機体、捉えました!
方向転換も使いつつ逃がしません!
分離したところで!
残念ながらその『熾盛・改』は既に見ておりますので
その動きは予想済
そこです!
どちらも逃がしませんので!
戦いに似つかわしい絶叫が聞こえた。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁっぁぁぁぁっす!!!」
それは雄叫びだった。
もう何度目かわからないが、しかし、聞こえたのである。
おい、と『プラクト』ダークリーガーの一人『サクラ』が『フュンフ・ラーズグリーズ』を小突いた。
え、と彼は困惑しているようだった。
「正確に言うと『エイル』様ネクストジェネレーションの香りですが!」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の目はガチだった。
ガチのガチだった。
怖い、と『フュンフ・ラーズグリーズ』は思った。
「アンタの担当だ、あれは」
「え、ちが……」
「というか、『フュンフ・ラーズグリーズ』様だけじゃなくて、貴方様も何やってるんですか! 迎えに来たのか遊びに来たのかどちらなのでしょう!?」
ステラの言葉に2人は、えぇ……という顔をしていた。
だが、ステラは収まらない。
「貴方がたは|束の間の休息に訪れた戦士《ゆめ見る旅人》。この世界に対するパッセンジャーとも言うべき存在。しあわせなゆめから目覚めるというのなら」
ステラは息を吸う。
呼吸を整え、雄叫びで吐き出した酸素を肺に取り込む。
あ、と彼らは思った。
これは、やばい、と。
「全力で|お相手しましょう!《お見送りしましょう!》 さあ、レッツ・アクトです!」
飛び出すは、ステラのプラスチックホビー。
真紅の機体は閃光のように戦場を駆け抜ける。
「『セラフィム』には『セラフィム』を!『クリムゾン・リッパー』、いきます!」
「厄介だぞ、あれは」
「わかってるよ……でも、やらなきゃならないっていうんなら!」
二人羽織のプラスチックホビーが飛び出す。
互いの速度は互角。
だが、ステラの瞳がユーベルコードに輝く。
「『セラフィム』!」
真紅の光の翼が展開し、一気に二人羽織のプラスチックホビーへと迫る。
ビームの光条が迸り、機動を阻むようにして追い込んでいく。
ハッキリ言って、ここまで追いつかれるとは思っていなかったのだろう。
「援護しよう」
『Mr.ホームラン』の放つ暗黒竜巻が二機の間に割って入る。
だが、それをステラは速度で振り切って迫る。
「ビームは!」
「目眩ましだろう。そういう動きをしている。こちらが足を止めたのならば……」
「その通りです! 捉えました!」
宙を舞うようにして真紅の翼の残光が二人羽織のプラスチックホビーを取り囲む。
逃しはしない、と言わんばかりである。
だが、彼らの瞳は諦めていなかった。
二人羽織の機体が分離する。
羽織っていた装甲が人型へと変形し、二機のプラスチックホビーへと変貌したのだ。
「分離したところで!」
そう、ステラは知っているのだ。
見ていたのだ。
あの争乱しかない世界にあって、その機体『熾盛・改』の性能を。故に、彼女にとって、その分離機構は予想外ではなく。
「予測済み、そこです!」
『クリムゾン・リッパー』が踏み込む。
二機とも逃さないというようにビームが迫る。
「『セラフィム』――!!」
噴出するは熾火の如き青い光。二機のプラスチックホビーの間に形成される光がステラの機体を吹き飛ばす。
それはあの、大空の世界で見た光景であったことだろう。
人の思いを増幅させ、つなぐ光。
その光の圧力がステラの『クリムゾン・リッパー』すらつなぎとめる。
「多くの幸いのためになりますように、と願った者がいる。『平和』を多くもたらそうと願った者がいる。歪められたというのなら」
それを正す旅路もまた潔斎行路。
故に、とステラは見ただろう。
己の『クリムゾン・リッパー』のエネルギーさえも吸い込んでいく光景を――。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
この人数差で正々堂々も何もないと思うが……まあ、祭典の終わりにはこれくらい派手な方が相応しいのかもな
神刀の封印を解除
戦力差を考えれば一点突破するに限る――参の秘剣【紫電閃】を発動。行動速度を強化して、Mr.ホームランを狙いにいく
ここで一番注意すべきはエル・ティグレの暗黒星雲ボールでUCを食われる事
それと単純に強い時宮・朱鷺子……勿論、Mr.ホームラン自身も含めて、誰一人油断できない相手だが
視界と気配、心眼その他で大まかに敵の行動を把握。斬撃波で牽制と、ついで暗黒星雲ボールや遠距離攻撃を切り落とし
Mr.ホームランの打球を刀で打ち返した後に至近距離まで踏み込んで、高速の連続攻撃を叩き込む
7人のフォーミュラと2人のダークリーガーの総勢9人との一大決戦。
夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)はその戦いに足を踏み出す。
平和の祭典の如き戦い。
古代バトリンピア遺跡には風が吹き荒れていた。
多くの猟兵達のユーベルコードがきらめいている。
誰もが平和を臨んでいる。この得られた平和を、しあわせなゆめのような世界を壊させないと、滅びを迎えさせぬというように彼らは共に戦う。
いや、競い合っていると言っていいだろう。
「派手だな」
「嫌いかい、こういうのは」
鏡介の言葉にベースボール・フォーミュラ『Mr.ホームラン』は首をかしげた。
笑っている。
戦いに在っても笑っている。
これがスポーツであるからだろう。人の生き死にが関連しない戦いだからだろう。
ならば、と鏡介は己の神刀の封印を解除し、笑った。
そう、これは競い合うだけのこと。
「神刀解放。我が刃は刹那にて瞬く――参の秘剣【紫電閃】(サンノヒケン・シデンセン)」
ユーベルコードに輝くは瞳。
己が見据えるべき敵を、競うべき相手を見定める。
「はっ、だろうな! そうするだろうと思っていたですよ、御主人様!」
やはり、と鏡介はサッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』の放った暗黒星雲ボールのシュートの軌跡を認める。
あのボールはユーベルコードを食らうユーベルコード。
彼女を征服王とした最大の力である。
ならばこそ、鏡介は、シュートの軌道をかすめるようにして走る。
思考が走る。
己の速さの極致。
その一歩を踏み出すた瞬間、己の居た位置が無数のテニスボールによって切り刻まれる。
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の放ったボールだった。
「速さを高めたとて!」
未来がわかっているのならば対処できるというように『時宮・朱鷺子』が迫る。
時間遡行できる彼女ならではだった。
踏み込んだ瞬間、彼女が眼前に迫っている。
いや、それもまたわかっていたことだ。必ず彼女が来るとわかっていたのならば、鏡介にとって最も警戒しなければならなかった相手は。
「私だ。速さを極致とするのならば、この私こそ警戒せねばならなかった」
レース・フォーミュラ『ウィリアム・ローグ』が加速の究極としてのアルカディアエフェクトを噴出しながら『ローグ・インターセプター』と共に迫る。
たしかに速い。
けれど、と鏡介は、その立ちふさがるマシンを己の神刀の剣閃でもって叩き伏せる。
「道は切り開くものだ」
立ちふさがるのならば、切り開く。
そのためにこそ彼は刀を振るう。
一気に踏み込む。
迫るは超重力の打球。『Mr.ホームラン』のはなったボールが己の眼前に迫っていた。額が割れる。
血が噴出する。
だが、それでも前に踏み込み、己の刀を振るう。
至近距離へと至った己の振るう剣閃が『Mr.ホームラン』のバットと交錯し、火花をちらした――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
私もこの戦いに『プラクト』で挑みましょう
さあ『セラフィム』、レッツ・アクトよ
『アイン』達も出られるなら一緒に戦いたいわね
オールスター、だもの
『フュンフ・ラーズグリーズ』は向こうのチームなのね
応援はしてるけど、負けないわ
お互いに悔いのない勝負をしましょう
敵の動きを見切り、乱れ撃ちの矢で目眩まし足止めして連携を妨害
超重力なら攻撃も引き寄せてしまうのかしら
その打球を撃ち落としてあげる
危険球は受けない……『宮本武蔵』との戦いで学んだの
風と共に駆け抜け、結界術で機体を覆って強化し
勢いをつけて飛び込み『Mrホームラン』をぶっとばす、わ
オールラスト。
これが最後の決戦である。ならばこそ、と薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は、己の手に在るプラスチックホビーを見つめる。
『五月雨模型店』のアスリートたちとともに汲み上げたホビー。
多くの思い出があった。
多くの出会いがあった。
彼女にとっては得難いものであるように思えたかもしれない。そうであったのならばよい、と彼女自身も思うものであっただろう。
だからこそ、万感の思いを抱いて彼女は言う。
「さあ『セラフィム』、レッツ・アクトよ」
投げはなった『セラフィム』が飛び出す。
プラスチックホビーであるが、しかし、この戦いにおいては十分な力だった。
なにせ、彼女の瞳は認めていたのだ。
『フュンフ・ラーズグリーズ』の姿を。
「行くよ」
言葉は短かった。けれど、それで十分だった。
敵と味方。
時には背中を預けたこともあったけれど。でも、今は違う。戦うのではない。競い合う相手なのだ。
ならばこそ、静漓は心のなかで呟く。いや、心の中だけにとどめておけなかった。
「応援しているわ。でも、負けないわ。お互い悔いのない勝負をしましょう」
「……! うん!」
子供らしい返事に静漓は柔らかく微笑んだかも知れない。
迫るは二人羽織のようなプラスチックホビー。
恐るべき完成度だった。
これまでの『フュンフ・ラーズグリーズ』の動き以上の動き。それを実現しているのは、もうひとりの『プラクト』ダークリーガー『サクラ』の力もあるのだろう。
2人で一つ。
熾火のような青い光を纏う赤いプラスチックホビーが静漓の『セラフィム』を圧倒する。
乱れ打ちの矢で牽制しても、二振りのプラズマブレイドで切り払われていく。
そこに『Mr.ホームラン』の放った超重力の打球が飛び込んでくる。
「……!」
さらには『宮本・武蔵』のテニスボールの乱打が降り注ぐ。
圧倒的だった。
けれど、静漓は諦めなかった。
諦観など今は彼女の心にはない。
風が吹いていた。
それは暖かな風であったし、誰かの心を後押しする風だった。
誰かを応援したい。
誰かのためになりたい。
そう思う心があったからこそ、彼女はこれまで『五月雨模型店』のメンバーたちを応援してきたのだ。
彼女たちのように、と思ったのだ。
それは、その想いの翅(オモイノツバサ)は此処に結実する。
「静漓ねーちゃーん!!!」
声が聞こえた。
少女の声だった。
「がんばれー!!!」
たくさんの声が聞こえた。振り返ってはならないと思った。振り返ったのならば、己の瞼から多くのものが零れそうだった。
だから、振り返らなかった。
そうしなくても誰かなんてわかっていた。
これはオールラストにして、オールスター。なら、この己の背を押す声援は、応援は、いつだって、自分がそうしたかった者たちの声だったからだ。
共に在る。
それを感じた。
「いい風が」
「吹いているな。アンタのこれまでが、アンタの背中を押している」
『サクラ』の声が聞こえた。
笑っているような、そんな声だった。
「なら、応えないと!」
ええ、と静漓は頷く。
『セラフィム』から光の翅が噴出するようにして出現し、一気に『Mr.ホームラン』へと飛び込む。
「ぶっとばす、わ」
「見事な絆だ、猟兵!」
迎え撃つ『Mr.ホームラン』のバットと『セラフィム』が激突する。
火花散らし、その激突はアスリートアースに風を吹かせた――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
よーし正々堂々勝負…いや多くない?まあ良いけどさ…
…遅発連動術式【クロノス】を利用して多重発動した重奏強化術式【エコー】で強化した【夜空を別つ月閃の翼】を発動…
…連携を迎撃しながらMrを狙うしか無いね…他を倒してる暇も無い…
…高速飛行して接近するとしよう…武蔵とエルのボールは術式装填銃【アヌエヌエ】の銃弾と光の羽を叩き込んで迎撃して逸らし…
…フュンフとサクラのプラクトには分離・合体機構に術式組紐【アリアドネ】を噛ませて一時的に行動不能に…
…ウィリアム・ローグの突撃とデリング総統のボディプレスは【アルゴスの眼】のよる軌道予測を利用して寸前で回避する事で通過…
…キャンピーくんには手を振って…
時宮には現影投射術式【ファンタスマゴリア】で分身を数体作って一瞬気を逸らし…そこに操音作寂術式【メレテー】による轟音弾で朦朧とさせよう…
…最後にブラックホール打法を光翼を数枚犠牲にする形で防いで…その勢いのまま直進…黎明剣【アウローラ】から魔力の刃を伸ばしてMrホームランに一撃を加えるとするよ…
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は思った。
総勢9人。
それが7人のフォーミュラと2人のダークリーガーである。そして、猟兵たちとの純粋な戦闘だった。
ユーベルコードの輝きが満ちている。
そして、風が吹いていた。
アスリートアースの未来へと時を推し進める風だった。
平和を求め、平和を実現し、滅びを否定する風だった。
「よーし、正々堂々勝負……いや、多くない? まあ善いけどさ……」
メンカルはそれでも構わないと思った。
どれだけ不利であったとしても。どんな状況だったとしても、それでも己は猟兵である。やらねばならないことはわかっている。
だからこそ、彼女は術式を多重に発動していく。
連動を組み込み、強化していく。
これが自分のできることだ。
「満ち欠ける光よ、放て、羽ばたけ。汝は月晄、汝は照翼。魔女が望むは闇夜に輝く月灯り」
彼女の全身から吹き荒れるは翼状に形成された高密度の月の魔力だった。
己の能力が倍増する。
「本気ということだな、ならば受けよ。我が秘剣を!」
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の放つ魔球が迫る。
それをメンカルは受けることなく躱し、飛び込む。
今の彼女ならば迫る魔球を躱すこともできる。見えている。ならばこそ、さらにユーベルコードを食らうユーベルコードたる暗黒星雲シュートの一撃もまた躱すのだ。
「これを躱すかよ、流石は御主人様だな!」
サッカー・フォーミュラ『エル・ティグレ』は笑っていた。
こんな状況であっても、笑っていた。
これが生命の取り合いではないからだ。スポーツだからだ。平和を求める戦いであれど、しかして競い合うからこそ互いに笑い合うことができる。
術式装填銃『アヌエヌエ』より放たれた弾丸がボールの軌道をそらす。
それは己が踏み込むコースを確保するためだった。
だが、コースを確保すれば、其処に飛び込んでくる影があった。
二人羽織のような形をしたプラスチックホビー。『プラクト』ダークリーガーの2人が操る機体だった。
小さいけれど、その力は十分すぎるほど強化されている。
青い熾火を纏い、こちらの動きを阻害しようとしているのだ。
「いかせないよ」
「ここでアンタは止める。そうでなければ」
メンカルは『Mr.ホームラン』へと至るだろう。だからこそ、此処で止めるというように彼らのホビーが迫ったのだ。
だが、倍増されたメンカルの身体能力を止められない。
「……力ずくで行くよ」
「なら!」
分離機構を有するホビーが二機に分離し、熾火の光を網目のようにしてメンカルを捉えるのだ。
だが、メンカルは笑った。
なら、と。
分離機構に術式組紐を放つ。
絡まる術式の組紐は二機を絡め取るようにして動き回り、己を捉える網を緩めさせるのだ。
飛び出す。
後は一直線に走り抜けるだけだと、と思ったメンカルの頭上に影が落ちる。
それは。
「グロロロロ!! させぬのである!」
「ここで止めさせてもらおう!」
プロレス・フォーミュラ『デスリング総統』とレース・フォーミュラ『ウィリアム・ローグ』が迫る。
だが、それは予測できていた。
来る、とわかっていたのならば、身体能力は彼女に応える。
マシン、『ローグ・インターセプター』の車体を蹴って飛ぶ。視界の端に『キャンピーくん』がいたので手を振る余裕すらあった。
「そう来るとわかっていたのなら!」
『時宮・朱鷺子』が自家遡行でもって、ここまでメンカルが迫るのを知っていたように踏み込んで来る。彼女の身体能力は厄介だった。
けれど、メンカルは慌てなかった。
いかに強靭な能力を持っているのだとしても。
炸裂する轟音を前には無意味。
揺れる視界と三半規管。対策を取っていたとしても、一瞬揺らぐ。
なら後は!
「ブラックホール打法を受けてもらおう!」
『Mr.ホームラン』の一打が迫る。
超重力の打球。これをメンカルは翼の魔力を全て総動員して相殺する。
「……勢いに乗る」
メンカルはためらわなかった。
魔力を僅かに残すのが精一杯だった。なら、と後はすべて出し切るのみ。手にした『黎明剣』より放たれた魔力の刃が『Mr.ホームラン』へと放たれる。
一撃を叩き込むのでやっとだった。
けれど、それでいい。
これは猟兵が求める競い合い戦い。
なら、届いたという事実が重要なのだ。打ち込んだ一撃は、『Mr.ホームラン』を傾がせ、さらなる戦いへと紡いでいくのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
カツミ・イセ
僕の神さまは言ったよ。『楽しんできてね』と
たしかに、ラストも楽しまなきゃね。
さて、そちらも絆はあって人数が多いな。
なら、こちらも人数を増やそう。【似姿】だよ。
…みっちりした気がするけど、大丈夫だよね。
水流燕刃刀ごとの似姿だから、展開したら…逃げ場はないよ。
まあ、水を切れそうな人がいるけど…瞬時にくっつくしなぁ。水だから。
そしてそのまま、『Mr.ホームラン』を集中攻撃だ。
水流燕刃刀での薙ぎ払いを受けてみなよ。
戦い際しては心に平和を。
その言葉は祈りだったことだろう。
戦乱の世界にあっては、平和を目指すために。
ならば、このスポーツの勝敗だけが全てを決める世界に在って、その言葉は何のためにあるのだろうか。
競い合うこと。
それは言うまでもなく戦うということであろう。
ならば、とカツミ・イセ(神の子機たる人形・f31368)は己を生み出した神様はきっとこう言っているのだろうと理解する。
「僕の神さまは言ったよ。『楽しんできてね』と」
この世界を。
この平和たる世界を。
思う存分に、と。なら、カツミは楽しまなければと思ったのだ。これがオールラスト。
アスリートたちと競い合い、共に笑った日々がある。
たしかに世界の破滅を防ぐための戦いではあるけれど、楽しかったのだ。
殺し合うためではなく。
滅ぼし合うためでもなく。
ただ、共に己の技量を高め合う戦い。
対するフォーミュラたちの絆もまた深いものだったのだろう。
「なら、僕だって負けては居ないさ。ボクの神さまからの賜りし水の権能、その一つ。僕と似たものたちをここに」
ユーベルコードに煌めく瞳。
水でできた無数の球体関節人形たちが召喚される。
それはカツミの写し身とも居べき存在だっただろう。
百を超える数でもって一気にカツミは古代バトリンピア遺跡を埋め尽くす。
「……みっちりした気がするけど、大丈夫だよね」
「ああ、問題にはならぬ。数は!」
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の放った無限のテニスボールに寄る乱打が、カツミの生み出した写し身たちを切り裂いていく。
凄まじい攻勢だった。
けれど、カツミは笑ったのだ。
「大丈夫。どれだけ斬られても水だからね」
だから、問題ないのだというように写し身たちは次々とフォーミュラたちへと襲いかかる。
浄化の水を持って生み出された写し身たち。
「ハッ、やるじゃん。流石は御主人様!」
「だが、全て受けきってみせるのであーる! グロロロロ!!!」
『エル・ティグレ』と『デスリング総統』は盛大に笑っていた。
どれだけ物量をぶつけられても、彼女たちはユーベルコード食らうユーベルコードたるボールを打ち込み、更には攻勢を受けきってからの四次元殺法でもってカツミの写し身たちを吹き飛ばしていくのだ。
すごいな、とカツミは思ったかも知れない。
彼らは皆、己の技量の全てを高めている。それも、ただ一つの目的のために。
そう、世界の破滅を防ぐために、だ。
それがとても良いことのようにカツミには思えた。
「そうだよね。みんなで一丸になる。それは味方も敵もない」
迫る暗黒竜巻。
それは『Mr.ホームラン』の放ったユーベルコードであったことだろう。
「そうだ。これは皆で勝ち取る平和だ。故に!」
本気でなければならない、と彼は言う。
同意するようにカツミは笑い、己の神さまが言ったように『楽しむ』ことをするのだ。
吹き荒れる水の刃と共にカツミは踊るように『Mr.ホームラン』へと迫り、その薙ぎ払う一撃で持って、さらに平和へと一歩前に進むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
安野・穣
(アドリブ連携歓迎)
マジで最後までアスリート精神なんすね…
『ジェード』展開。空間を<ハッキング>し相手メンバーの干渉を遮断させてもらうっす。
マウンドに立つ『カサンドラ』が見えるっすかMr。
バッテリーが砲台または一対を意味することはご存知っすね?
『シビュラ』で操作する投手が|捕手《俺》目掛けて<念動力>を込めた球を放つ。
返せればあんたの勝ち、損ねたらそのまま念力でバットを折る。
まあ、俺が受け止める必要はあるっすけど。念力の補助でギリってとこか。
競技には競技なりの苦難があるんでしょうよ。
でも殺し合わず競い合える今は、この世界の人間達が実現した平和だ。
だから…いつか醒める|虚構《夢》なんて言うなよ。
「マジで最後までアスリート精神なんすね……」
それは呆れにも近い感情だったかもしれない。
けれど、悪いものではないと安野・穣(with"CASSANDRA"・f30162)は思えただろう。
このアスリートアースはたしかに平和を実現した世界だ。
己の世界、戦乱満ちる世界と同様に争いが多く頻発していても、それは競い合うことに昇華されているのだ。
争えど、人の生き死には生まれない。
命を奪うことも。奪われることもない。
それがどんなに己たちが求めてやまぬものであるかを彼は知るからこそ、オブリビオンであるダークリーガーたちであっても、こうやって競い合うことに喜びを感じたのかも知れない。
「悪いっすけど、干渉は遮断させてもらうっす」
「ほう、一対一を所望か」
ベースボール・フォーミュラ『Mr.ホームラン』の言葉に穣は頷く。
電脳空間を広げ、マウントの上に『カサンドラ』が立っている。
その光景に『Mr.ホームラン』は笑む。
これはベースボールだ。つまり、『カサンドラ』は投手。己がバッターということか、と理解したのである。
「もうこの光景が意味する所をご存知っすね?」
「ああ、君らはバッテリーということだろう?」
ニヤリ、と笑う『Mr.ホームラン』。穣も笑った。
自分は捕手。
そして、バッターがいるのならば、やることは唯一つ。
「返せればアンタの勝ち。損ねたらそのままバットはおらせてもらう」
『カサンドラ』より放たれたボール。
それは凄まじい勢いで持って放たれる。穣は少し不安になった。あれを俺が念動力を補助してなお受け止められるのだろうか、と。
けれど、それは杞憂だった。
『Mr.ホームラン』がMr.ホームランと呼ばれる所以である。
放たれた球は高らかに打ち上げられていた。
「……ふっ、なるほどな」
「なんつー打率なんすか。あれを捉えるとか……」
マジかよ、と穣は思っただろう。
高らかに打ち上げられたボールは、しかしスタンドを割ることはなかった。
言ってしまえば、フライ。
放たれたボールはたしかに凄まじかった。それを打ち返す『Mr.ホームラン』もまた。けれど、その打球は伸びなかったのだ。
外野に落ちる。
もしも、外野手が居たのならばキャッチされていたであろうことを考えれば。
「君らの勝ちだ。だが、バットに捉えたのだ。これは折らせない」
それでいいだろう? と彼は闊達に笑っていた。
それをみやり、穣は肩をすくめる。
同意するしかない。
それに、と思う。
彼らは彼らの苦難があったのだと。でも、此処は違う。殺し合わずに競い合うことができる。
この世界は、この世界の人間たちが実現した平和だ。
「なら、これがいつか醒める|虚構《ゆめ》なんて言うなよ」
彼が見据えるは2人の『プラクト』ダークリーガー。
彼らはこの、しあわせなゆめから醒めると言った。
どこに向かうのかはわからないけれど。その旅路は潔斎行路である。歪んだ願いは過去の堆積によるものではなく、願いを手繰る者によって捻じ曲げられたのだ。
その道行がどれほど険しくとも。
「この世界のことを思い出せばいい。そうだろ」
そう言って穣は最後の戦いの行方を見守るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
えっ。
ナイアルテさんがサポーター?忍んでる?
のんのん♪ナイアルテさんはいつだってメインステージのセンターだよ!
むしろわたしたちが、ナイアルテさんを引き立てるサポーター。
さぁ、今回もナイアルテさんの依頼を成功させるように、全力全開で推し事だね!
新生フィールド・オブ・ナインが強敵なのは解ってるけど、
わたしたちの推し事パワーなら、負けはない!
とはいえ、野球するんじゃないんだね。
せっかく大●グローブ借りてきたのに。(無許可)
も、もちろん、あとで返しておくから!
なにはともあれ!
サージェさんが攪乱してくれるというなら、わたしはMr.ホームラン狙い!
征け、魂の|ストレート《熱線》!
サージェ・ライト
【理緒さんと】
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとかそんなことないもんっ!
ナイアルテさんのチョコ肌たゆんくらいになれば別かも?
サポーターなのに目立ってるナイアルテさんは最高だと思います
それはさておき
新生フィールド・オブ・ナインはまさに強敵
理緒さんもシリアスかりおりおパワーを全開にしないとヤバいのでは?
ええ、足止めと頭数はおまかせください!
【かげぶんしんの術】でいっぱい増えておいて
かく乱しつつ突撃します
いかに増えても私ひとりでは
新生フィールド・オブ・ナインに勝てる見込みはほぼゼロでしょう
ですが私には理緒さんという強力な相棒がいるのです
具体的に言うと後はまかせた!!
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)と菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は思いを馳せる。
何にって言われたのならば、まあ、そのなんていうか明言するのは避けたいところである。
なんていうか嫌な予感がするから。いや、悪寒かもしれない。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ。胸が大きくて忍べてないとかそんなことないもんっ!」
サージェの言葉に理緒は深く頷いていた。
いや、忍べてないよなぁ、と。
ついでにいうとサポーターのグリモア猟兵も忍べてない。
ものすごく忍べてない、と頷いていた。
「サポーターなのに目立っているなんて最高ですよね」
「うんうん。いつだってメインステージのセンターだよ!」
ほらやっぱりーとグリモア猟兵はなんとも言えない気持ちになっていた。
でもまあ、しゃーなしである。二人にとっては、そうなのだから。
「むしろ、わたしたちが引き立てるサポーターまである。今回も成功させるために全力全開で推し事だね!」
「ですね! いや、さておきと申しますか!『新生フィールド・オブ・ナイン』はまさに強敵!」
「うん、でも! わたしたちの推し事パワーなら、負けない、よー!」
よー! じゃないとグリモア猟兵はどこかで思った。
「グロロロロ! その意気や良しと言っておこうか! だが、我の四次元殺法を前にしても同じことが言えるかな!」
「言えますとも!」
サージェの瞳が輝く。
プロレス・フォーミュラ『デスリング総統』が迫る中、彼女はかげぶんしんの術(イッパイフエルクノイチ)でもって己と同じ分身を生み出し、『デスリング総統』を足止めするのだ。
「数を頼みにするか。ならば、こちらも数で行こうか」
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の放つ無数のテニスボールがユーベルコード『剣刃一閃』でもって叩き込まれ、サージェの分身たちを両断していくのだ。
「ひえぇ……いっぱい増えても増えた端からぶった切られていくんですが! り、理緒さーん! はやく!」
「わかってるよー、もうちょいまってて! てっきり野球するとばかり思っていたから、借りてきたグローブが無駄になっちゃった!」
無許可だから後で返しておこうね。
「なにはともあれ! 撹乱もうちょっとよろしく!」
「見きっているとも。その作戦はな」
トライアスロン・フォーミュラ『時宮・朱鷺子』が迫る。
彼女は時間遡行によって、サージェが分身でもって撹乱することを理解していたのだろう。そして、その撹乱で稼いだ時間で理緒が一打を放つことも。
「わー! やっぱり無理です!『新生フィールド・オブ・ナイン』やっぱり半端ないですってば!」
サージェが悲鳴を上げる。
膨大な数の分身たちがいるからこそ、まだ保っているが、しかし、時間の問題だ。
それほどまでにフォーミュラたちの猛攻は凄まじい。
「理緒さん、その相棒力を見せてやってください! 具体的には後は任せたともいいますが!」
「おっけー! まかせておいて! 今、この推し事パワーの高まりを感じているから!」
理緒の瞳がユーベルコードに輝く。
「屈折率、固定……収斂。これがわたしの魂のストレート、だよー!」
放つはボール。
ではなくて、熱線であった。
大気を屈折させレンズを生成。収束させた光による熱線。
それは『Mr.ホームラン』を狙い彼の放った暗黒竜巻すらも撃ち抜いていく。これぞストレート。火の玉ストレートである。
絶対違うけど、そうだと言ったらそうなのである。
時には押し切る勇気も必要なのである。
理緒はサージェの分身たちと共にフォーミュラたちをもぶっ飛ばしながら、一直線に熱線を、いやさ、魂のストレートを『Mr.ホームラン』へと投げ放つのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヌグエン・トラングタン
…観戦予定変更。俺様も行く。
あんないい欲望(バトル・オブ・オリンピアを成功させる)を、放っておけるわけねーじゃん。
俺様は、『欲望竜』だ!
さてと、こうなったら正々堂々と…『Mr.ホームラン』だけ狙うしかねぇな。
今回向ける感情は『戦意』だからな、条件は充分に。
さて、では…UCを発動したら、即座に『Mr.ホームラン』へ。
間に挟まるであろう他のナインは無視。攻撃をかわし、さらには追いつけさせねぇ。
今回用いるは拳、しかも殴りつけだ。その方が話しやすいしな!
『最強無敵の野球選手であり続ける』ってのは、結構な強欲だなぁ?
だが、それこそ『欲望竜』たる俺様も肯定する『欲望』だ!
アスリートアースにおける大いなる戦い。
それがバトル・オブ・オリンピアである。
その戦いは多くの世界に中継されていたことであろう。例えば、ゲームの世界、ゴッドゲームオンラインにも。
「……俺様も行く」
ヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)は思わず立ち上がっていた。
眼の前に広がっているのは、熱戦の様子だった。
『新生フィールド・オブ・ナイン』の全員が集結した、謂わばオールスター。
加えて言うのならば、オールラスト。
この一大決戦をただ座して見ていることなんて彼にはできなかった。
バトル・オブ・オリンピアを成功させる。
ただそのためだけにダークリーガーと猟兵が集い、競い合っているのだ。
それは欲望とも言えただろう。
彼にとって、それは欲望なのだ。なら。
「あんないい欲望を放っておけるわけねーじゃん」
なぜなら。
そう、なぜならば!
「俺様は『欲望竜』だ!」
飛び出す。
世界をまたぐことなんて、これっぽちも恐れにはならない。
気がついたらもう、古代バトリンピア遺跡へとやってきていた。風が吹いてる。世界を平和へと導くために後押しするような風が。
煌めくユーベルコードの数々に圧倒されそうに成る。
けれど、それでも己の闘志は漲っている。戦意は確実にあるのだ。
ならばこそ、彼は宣言する。
「『Mr.ホームラン』! 俺様はあんたを狙うぜ! 避けられるなら避けてみろ!!」
その宣言に『Mr.ホームラン』は笑っていた。
これまで猟兵たちのユーベルコードが幾度となく激突してきた。
けれど、それらの尽くを彼は受け止めてきたのだ。
多くのフォーミュラたちが己の邪魔建てをするだろう。
けれど、関係ない。
それに予備動作は必要なく(ミキワメテミロ)。
ただ、宣言するだけで良かった。己の戦意を向けた相手へと一瞬で踏み込む。
振るわれるバット。
交錯する己の拳がすれ違うようにして火花を散らす。
「『最強無敵の野球選手であり続ける』ってのは、結構な強欲だなぁ?」
「そうあるべき、ではなく。オレがそう在りたいと思ったことだ。そして、次第にそれは観客たちを巻き込んでいく。オレを見た者が、そうであってほしいと願う心があればこそ、オレは最強を、無敵を目指すことができる!」
それがスター選手の宿命であるというように『Mr.ホームラン』は笑っていた。
そこには、欲望あれど、悪意はなかった。
どこまでも求めるは平和。
スポーツに寄る競い合い。
その欲望の深さを知り、また高潔さをもヌグエンは知るだろう。
故に己の拳を届けなければならない。
一度敗北に塗れたことが、無敵たらしめないのか。最強たらしめないのか。
そんなことはないはずだ。
だからこそ、彼は拳を振るう。
「それでこそだ!『欲望竜』たる俺様も肯定する『欲望』だ!」
己は勝つ。
その無敵に勝つという欲望を発露するようにヌグエンの拳が『Mr.ホームラン』を捉えたのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
そうとも私達にはなんかこう、友情とか努力とか熱血とか
お金とかで結んだ絆がある!
うおぉぉぉ!絆最高!絆最高!
絆の力が世界を救うと信じて!!
…ヨシ!
はい、ではね普通にやっていこうと思います
お付き合いいただきありがとうございました
ここからは通常運転で行きます
超克…オーバーロード!
模造神器全抜刀、出力全開!
分かってる、Mrホームランを狙うのが安牌だって事は
だけども、先ずはひと殴りしなきゃいけない相手が出来た!
【Unite Dual Core】起動
外装2剣の雷刃を随時伸縮延長させて新生フィールド・オブ・ナインを牽制、追尾蒼炎でランダム攻撃
連携を少しでも乱す!
そして狙うは…
そこのプラクトダークリーガー2人!
なんだなんだその言い草は!
ゆめは醒めるもの…とか達観してるんじゃねー!
いやまあダークリーガーだし仕方ないかもだけど、良い夢見たらそれを現実にしてやるくらいの気兼ねを見せろや斬り!
で敵のプラモを斬る!
本当はプラモで対抗したかったけど!
斬ったら返す刃、速攻の4剣雷刃『居合』でMr.ホームランを斬る!
風が吹いている。
それはユーベコード同士の激突の光であり、祈りであり、願いであったことだろう。
平和を願う。
もうこれ以上、無為に生命が奪われぬようにと。
「そうとも私達にはなんかこう、友情とか努力とか熱血とか、お金とかで結んだ絆がある!」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は叫んでいた。
類を見ないほどに今の彼女は高まっていた。
絆!
そう、絆である。
例え、ダークリーガーであっても紡がれる絆があることを彼女は知ったのだ。
故に!
「うおぉぉぉ! 絆最高! 絆最高! 絆の力が世界を救うと信じて!!」
彼女は叫ぶ。なんかこう、色々過剰な気もするし、ノルマかなんか課せられてる? と思うほどであったが。
「……ヨシ!」
玲は、ひとしきり叫んだ後、冷静になっていた。
賢者みたいな悟りを開いた顔をしていた。
「はい、ではね普通にやってこうと思います。お付き合いいただきありがとうございました。ここからは通常運転でいきます」
うわぁ、いきなり素に戻るな! と言いたく成るほどに玲はスン、としていた。
もうなんていうか、さっき前の熱い叫びが嘘みたいに落ち着いている。
「だが、やる気は十分なのだろう?」
ベースボール・フォーミュラ『Mr.ホームラン』の言葉に玲は応える。
「モチのロン! 初っ端から行くよ! 超克……オーバーロード! 模造神器全抜刀、出力全開!」
溢れる力。
雷と炎が玲の身より噴出している。
疑似邪神との合体。
それによって増加する力は、圧倒的だった。
だが、玲が見据えるは『Mr.ホームラン』ではなかった。
そう、わかっている。
総大将たる『Mr.ホームラン』を狙うのが安牌であることは。
そうすることが最も善いことであることも。
だがしかし! そうしかし! 玲は今燃えている。何にって怒りに!
「えっ」
なんで、と『プラクト』ダークリーガーの『フュンフ・ラーズグリーズ』は玲の闘志みなぎるっていうか、怒りっちえうか、こいつは絶対ぶっ飛ばす! という意志がただ漏れな瞳に、ちょっと怯んだ。
そりゃ怖いはずである。
歴戦の猟兵が超克、オーバーロードまでしてこっちを見ているのだ。
え、なんか僕やりました? と思わないほうがおかしいのである。
大抵の場合、こういうときは、なんかやっちゃってるのである。やってない自覚があっても、やってるのである。
つまり、玲さんの逆の鱗に触れたような触れてないような、いやちょっと触った? お触り厳禁なんですけど!! と言わんばかりん気迫が満ちている。
「『Mr.ホームラン』、ちょっと今回は預けておくよ! まずはひとなぐりしなきゃいけない相手ができた!」
外装副腕の握りしめた模造神器が雷の力を解き放つ。
放たれた雷が『新生フィールド・オブ・ナイン』たちを退けるようにして走り、さらに蒼炎がほとばしるのだ。
「ぬっ……これは、四刀流……! 本気のようだぞ、あの猟兵は」
『宮本・武蔵』の言葉に『フュンフ・ラーズグリーズ』は戸惑った。いや、戸惑ってどうなるかなんてことはない。
けれど、それでも。
「そこの『プラクト』ダークリーガーの二人!」
「なんだ」
『プラクト』ダークリーガーの一人『サクラ』は玲の言葉に頷く。
泰然自若としてるのがなんか気に食わない。
「しあわせなゆめから醒める? なんだなんだその言いぐさは!」
「しあわせなゆめから醒めることは……!」
それは仕方のないことだと『フュンフ・ラーズグリーズ』は言う。
ゆめか醒めなければ、現実に向き合えない。
向き合うためには、そうしなければならないのだ。だから、と言う彼の言葉を玲は遮る
蒼炎と雷を解き放ちながら、彼女は二人の二人羽織のプラスチックホビーへと狭うr野田。
「ゆめは醒めるもの……とか達観してんじゃねー!」
玲は叫んだ。
こちとらいつまでも惰眠を貪っておきたい年頃なのだ。
社会人っていうのは、大変なのだ。
どんなに夜遅くまで残業しても、明日の朝には同じ時刻に起きて出社しなければならないものなのだ。
そういうもんなのである。
いやまあ、ダークリーガーだし仕方ないのかもしれないけれど。けれど。
「良い夢を見たらそれを現実にしてやるくらいの気概を見せろや斬り!」
「それは技名なのか?」
「今それどころじゃないだろ!」
放たれた蒼炎の斬撃が二人羽織のプラスチックホビーを唐竹割りのように両断する。
「本当はさ、プラモで対抗したかったけど!」
でも、と玲は笑う。
唐竹割りに切り裂いたプラスチックホビーの間に生まれる光。青と赤の熾火が広がっていく。
その光景をみやりながら彼女は飛ぶ。
「おまたせ! ついでみたいだけど『Mr.ホームラン』斬りー!!」
「それも技名なのか?」
『サクラ』の言葉に玲は笑いながら『Mr.ホームラン』へと四振りの二連十字の雷刃を叩き込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
虹川・朝霞
なるほど。此度の祭典は、俺も(ガ以外)楽しんで見てましたが。
参加するのもよさそうですね…!
というわけで、【竜神飛翔】にてお相手しましょう。
これ、俺の竜神としての姿なので、本当に全力出すにはいいんですよ。
間を縫うように…ひたすら『Mr.ホームラン』へと。
むろん、弱い雷には生命力吸収をつけてますから、当たれば疲れますよ。
そのバットによる吹飛ばしと、紫雲刀による斬撃…どちらが勝つか。
それは、魔性面からやりましょう!それこそ、スポーツマンシップの一つでしょう?
楽しい、ということは心を踊らせる。
そう、バトル・オブ・オリンピアはダークリーガーとの戦いであり、世界の滅びを回避するための戦いでもあった。
だが、人の生死が絡まぬ戦い故であろうか。
どこか朗らかとした印象を受けるのは仕方のないことであった。
故に、アスリートたちが切磋琢磨し、競い合う姿は虹川・朝霞(梅のくゆり・f30992)にとって好ましいものであった。
「見ているだけでも楽しかったのですが……参加するのもよさそうですね……!」
オールラストに飛び込み参加。
それはむしろ、歓迎されるべきことであっただろう。
謂わばお祭り。
祭典。
ならば、己が飛び込むは、むしろ道理であるともいえただろう。
「というわけで完全竜体でもってお相手しましょう」
朝霞は笑って迫りくる無数のテニスボールの乱打を躱す。あれに触れてはユーベルコード『剣刃一閃』によって両断される、ということを理解しているからだ。
そう、あれに触れてはならない。
もう散々に絢爛なるテニスを見てきたのだから。
「なら、こっちはどうだい! 御主人様の変身がユーベルコードであるってんなら、アタシのユーベルコードを食らうユーベルコード。この必殺シュートは!」
『宮本・武蔵』の放ったスマッシュを躱した朝霞に迫るは、暗黒星雲を込めたボールの一打。
シュートの勢いは凄まじい。
だが、それも知っている。
見てきたのだ。
この祭典が始まって以来、ずっと彼らの戦いを。
ならばこそ、彼は身をくねらせるようにしてボールを受けることなく空へと飛び立つ。
「常に雷を放ち続けるか。こちらに予測を与えぬままに」
「グロロロロ! だが、ワガハイたちも負けていないのである!」
「ああ、彼らは本物だ。何の加減もいらない。全力で挑むまで!」
次々と迫るフォーミュラたち。
それを朝霞は空より雷と共に立ち向かう。
これはスポーツマンシップに則る戦いである。ならばこそ、互いの全力をぶつけ合うのが筋である。
そういうものなのだ。
これまでのオブリビオンとの戦いとは違う。
こうやって互いを高めあっていく。戦いの中で共に成長していく。
朝霞は笑う。
楽しい。戦いにあって、このように心踊ることは久かたなかったのかもしれない。だからこそ、並み居るフォーミュラたちの猛攻を耐えきって『Mr.ホームラン』の眼前に迫るのだ。
「楽しいだろう。競い合うというのは、高め合うというのは!」
「ええ、どちらが勝つのか……」
「それは真正面からやりあわなければわからない!」
「それこそスポーツマンシップというものでしょう?」
互いに抜き払ったバットと紫雲刀が激突する。
火花散るような苛烈なぶつかり合い。
だが、二人は互いに笑い合っていた。
楽しい、という感情を発露させていたのだ。どんなに苦しく険しい道のりであったとしても。
たどる道のりの先に在るのが平和であるというのならば。
この苦しみも、辛さも。
全てが報われるというもの。
ならばこそ、乗り越えると言わんばかりに朝霞は己の刀を振り抜き、『Mr.ホームラン』へと斬撃を届かせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
陰海月「ぷっきゅ!」
…陰海月語を翻訳します…
よーし、ぼくもやっちゃうぞー!おじーちゃんたちは中から、霹靂は観客席から見ててねー!
『Mr.ホームラン』を集中攻撃しなきゃ。でも、それは相手もわかってるよね。
なら…四天霊障(極彩色)による広域範囲押し潰し攻撃をするよ!重量攻撃+範囲攻撃に、『おもおもおじーちゃん』の重力も加えたやつなんだー。さらに、そこに極彩色光珠もプレゼント!
その間に、シュシュッと『Mr.ホームラン』に近づいてー。この触腕(極彩色)による精一杯の怪力パンチをやっちゃうよー!
この祭典、楽しかったよ!
お礼はちゃんと言いなさいって言われた!
※
霹靂「クエッ」
前脚で、ポンポンをフレフレ
「ぷっきゅ!」
四悪霊・『虹』(ゲーミングカゲクラゲノツヨサヲミヨ)によって馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)と合体した『陰海月』が古代パトリンピア遺跡へと降り立つ。
1680万色に輝く四悪霊の呪詛纏いし姿はあまりにもまばゆい。
だが、フォーミュラたちもまた歴戦のアスリート。
戦場がどれだけまばゆかろうとも、それは彼らがこれまでの人生で浴びてきた栄光に比類するものである。
ならば、眩さに瞼を閉じることはなかったのである。
「やる気は十分と見た。ならば、問答は無用であろう!」
『宮本・武蔵』より放たれるテニスボールの乱打。
それを霊障でもって防ごうにも、込められたユーベルコード『剣刃一閃』で切り裂かれる。
だが、その破片が押し出すようにボールごと飛び出すのだ。
「ぷっきゅ!」
『陰海月』は燃えていた。
自分も、と思っていたのだ。
これまで多くのダークリーガーとの戦いを見てきた。誰もが懸命だったし、貪欲だった。
勝利を目指して駆け出していた。
その熱さに惹かれたからこそ『陰海月』は飛び出したのだ。
自分も、と。
「重力を操るか。だが、速度の前には!」
レース・フォーミュラ『ウィリアム・ローグ』のマシンがアルカディアエフェクトを撒き散らしながら疾駆する。
捉えられない。
けれど、構わなかった。
捉えられないのだとしても、面で押しつぶせば良い。
逃れられないほどに広範囲に広げた呪詛が『ウィリアム・ローグ』を捉える。
さらに投げ放つ光珠を『時宮・朱鷺子』が蹴り出す。
なんという反応速度だろうか。
いや、違う。彼女は知っていたのだ。時間遡行による未来。
その未来で『陰海月』がこうすると知っていたからこそ、特訓を得て対処してきているのだ。
「近づかれますよ!『Mr.ホームラン』!」
「わかっているとも。だが、真っ向勝負! さあ、受けてもらおうか! オレの一打。この無敵最強の野球選手である、という自負を掛けた一撃を!」
振るわれるバット。
『陰海月』は己の怪力を信じる。
そこには倒さなければならない敵に対する感情はなかった。
あったのは、敵ではない。
共に競い合う好敵手。
故に『陰海月』は己の触腕に怪力を込める。
遠く鳴き声が聞こえた。
視界の端に映る友達の姿がった。前脚でポンポンを振るっている『霹靂』の姿。その姿に『陰海月』は後押しされるようにして触腕を振るう。
「ぬう!」
激突したバットと触腕。
共に力負けはしていない。煌めくはユーベルコード。
1680万色に輝く姿は、未来への導だ。
そう、平和を求め、実現してきたアスリートアース。この世界を壊させはしない。その意志を込めた一撃と一撃が激突すれば、フィールドに広がるは極彩色の輝き。
数多の平和の願いがそこに発露するように、満ちる輝きは示す。
「ぷっきゅ!」
皆が笑って過ごせるような、平和な世界を――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
盛大にきたねー
ていうかナイアルテーは意外と体育会系?
●神覧
正々堂々やろういうんならこれも卑怯とは言わないだろうね!
とUC『神門』でこちらも彼ら…ナインを呼び出そう!
サッカー少女の『エル・ティグレ』!
テニスの武蔵様こと『宮本武蔵』!
あとはほらあれだよ!以下略!
長い!
後は、ボクたちの勝負だ
キミたちの試合の全て、キミたちの築き上げた全て、捧げられたオリンピアの競技の全て
確かに見させてもらったよ!
感動した!
だからボクも今日はたったひとりの選手としてキミを打ち取ってみせるよ!
とバットを構えた彼に向けて【第六感】に任せて最大最強の[超重浮遊鉄球]くんを投球!
ドーーーンッ!!
「おー、盛大だねー。此処まで揃うと壮観!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は古代バトリンピア遺跡にて繰り広げられるバトル・オブ・オリンピアのいち大決戦の有様に関心する。
そう、此処には7人のフォーミュラと2人のダークリーガーが居る。
『Mr.ホームラン』率いる『新生フィールド・オブ・ナイン』。
彼らを打倒し、バトル・オブ・オリンピアを成功に導くのだ。
ていうか、とロニは思った。
これで正々堂々やろうというものなのかなって思った。
たしかに猟兵はたくさんいる。
たくさんやってきている。けれど、このフォーミュラたちの囲いを突破するのは一人でなくてはならない。
少なくともロニは一人で突破しようとしていた。
「流石にこれは人数多すぎない?」
「多すぎるというほどでもないでしょう。猟兵が相手であるというのなら!」
「ま、そういうこった。御主人様。諦めてやりあおうじゃねーの!」
その言葉にロニは笑う。
「じゃあ、これも卑怯とは言わないだろうね! 神門(ゴッドゲート)よりおいでませ、君たち!」
その言葉と共にユーベルコードが煌めく。
現れるは『新生フィールド・オブ・ナイン』であった。
「サッカー少女の『エル・ティグレ』! テニスの武蔵様こと『宮本・武蔵』! あとはほらあれだよ! 以下略!」
「ちゃんとしましょうよ」
「長いからヤダ!」
ロニの言葉と共にユーベルコードの彼方から現れるは、平行世界の同位体。
すでにロニによって説得されて協力的というところがずるいところである。
「でも、あとはボクたちの勝負だよ。『Mr.ホームラン』」
ロニの背後では『新生フィールド・オブ・ナイン』同士の闘いが繰り広げられている。
これならば、邪魔はされないとロニは笑う。
「キミたちの試合の全て、キミたちの築き上げてきた全て、捧げられたオリンピアの競技の全て、たしかに見させてもらったよ!」
「ふっ、素晴らしいものだっただろう」
「感動した!」
ロニは深く頷いた。
たしかにロニからすれば人間はか弱い存在だろう。
吹けば飛ぶようなものであった。
でも、それでも。
自らの五体を鍛え上げ、競い合う。
血で血を洗うような凄惨たる奪い合いではなく。ただ己の五体でもって他者と競い合い、最後には手を取り合う。
そのスポーツマンシップにロニは心打たれたのだ。
「だから、ボクも今日はたったひとりの選手としてキミを乗り越えるよ!」
ロニは己の球体を掲げる。
それは言ってしまえば、野球勝負。
一球入魂!
渾身の力を込めた最大最強の球体を投げ放つ。
「来たまえ!」
バットがぐるりと揺れた。
「ド――ンッ!!」
放つ投球は凄まじいものだっただろう。まるで『Mr.ホームラン』ごと押しつぶすような圧倒的な質量。
きしむ音。
バットがきしみながらも、しかし打ち返すのだ。
それをロニは受け止め、球体を掲げて笑う。
「打ち取ったよ!」
そう、これは勝負であれど、スポーツ。
ルールがあって、それに則っている。なら、後に残るは遺恨ではなく。
爽やかな風が古代バトリンピアの遺跡に吹き込み、互いの笑い声を響かせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
兄貴…まさかスーパー戦車の弟?いやいや…
見た目はプレジデント
或いはヴォーテックス一族かもしれませんが
嘗てこれ程までに平和な世界を愛するオブリビオン・フォーミュラ達と相対したことは無かった
独善的ではなく、真に世界崩壊を憂いて止まぬその決意に二心は無い
ならば此方も今一度、大義を以て救世救道を貫き通すのみ
|正々堂々と仕合開始です《 Ready Set Hut!!Hut!!Hut!! 》!
◆邪氣虎牙紋
最高のタッチダウンを決めてみせる!
怪力+限界突破のダッシュで全力疾走
焼却+切り込みで魂を燃やせ!!熱く燃え上がれ!!
見切り+フェイントでディフェンスを躱し、心眼+激痛耐性でMr.までグラップルを届かせる!
ベースボール・フォーミュラ『Mr.ホームラン』の能力は凄まじいものだ。。
フォーミュラの増殖。
それによって嘗ては『フィールド・オブ・ナイン』を生み出したと言う。
アポカリプスヘルに同時に複数体のオブリビオン・フォーミュラが出現したのは、彼の能力が在りきであったのだろう。
それを戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は知る。
おそらく『プレジデント』の弟なのだろう、と。見た目からして、と思ったが。
「いえ、或いは、ということもあるのでしょう。ですが、それは今においては瑣末事。なrば!」
蔵乃祐の瞳がユーベルコードに輝く。
最高のタッチダウンを決めてみせる。
迫るフォーミュラたちもまた気力体力共に底をつこうとしている。
これまで猟兵たちの果敢なる闘いによって、此処まで消耗しているのだ。ならばこそ、蔵乃祐は足を踏み出す。
「嘗てこれ程までに平和な世界を愛するオブリビオン・フォーミュラ達と相対したことはなかった」
そう、彼らは臨んでいた。
恒久の平和を。
生命と死の連鎖ではなく。繋がるは、切磋琢磨という果て。
故に、この世界において超人アスリートたちは、平和をこそ維持するために己を鍛え上げ続けた。
戦うのは克己のため。
ならばこそ、と蔵乃祐はフォーミュラたちの在り方に独善性を見出さない。
「あなたたちは真に世界崩壊を憂いてやまぬその決意を僕に見せてくれました。二心ないと、と」
「ならば、なんとする」
「こちらも今一度、大義を以て救世救道を貫き通すのみ」
互いにむきあう。
拳を交え、互いに練磨した武がある。
その意義は、もはや嘗て在りし原義を越えたものであろう。
戈持ち歩む者ではなく。
争いを止める者足らんとする。
故に蔵乃祐は叫ぶ。
「|正々堂々と仕合開始です《Ready Set Hut!Hut!Hut!!》!」
飛び出す。
己の五体に迫るはフォーミュラたちの鍛え上げた、極致。
テニスボールの連打。
暗黒星雲込めた必殺シュート。
時間遡行さえ行い組み込まれた対策。
速度の彼方へと居たりしマシン。
さらに無制限の世界観移動。『キャンピーくん』が、コーヒー飲んで休憩する? と言っているが、蔵乃祐ははっきりと丁寧にお断りして、前に進む。
最後に立ちふさがるは『デスリング総統』であった。
「見事な受けである! グロロロロ! これにてワガハイも最後の一撃である! 受けよ!」
「応!!」
激突する五体。
火花散るような汗の飛沫が輝いた。
さらに蔵乃祐は飛び込む。『デスリング総統』の巨体を押しのけ、邪氣虎牙紋(シィェチイフゥヤアウェン)を浮かべながら飛び込むのだ。
「見事だ。ならば、俺も答えよう! この無敵最強たる野球選手の所以をもって!」
振るわれる『Mr.ホームラン』のバット。
激突する。
だが、それでも蔵乃祐は止まらない。
己が肉体を白虎のように雄々しく吠え猛り、そのまま『Mr.ホームラン』を押し込むようにしてラインを割るように拳を届かせる。
互いに渾身。
故に、2人は互いの健闘を称え合うようにし肉体を支えあい、意識を途切れさせる。
だが、たしかに届いていた。多くのアスリートアースに生きる人々に。
この闘いが、決戦が、アスリート魂を燃え上がらせた結果であり、遺恨も何一つ残さぬ爽やかな風を呼び込み、世界の滅びさえも押し返したことを――。
大成功
🔵🔵🔵