バトル・オブ・オリンピア⑮〜神月円明・セラフィム
●ネオ巌流島
風が吹いていた。
それは頬を撫ぜる穏やかな風だった。しかし、熾火に力を送り込む風であった。
風は火に力を与える。
雷は天より大地に走り、火を齎す。風が人の祈りなのならば、雷は巨茴香によって願いの火へと変わるだろう。
「ここは、本当に良き場所だ」
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』は二振りのラケットを風吹く青空を見上げていた。
そう、ここはアスリートアース。
己が生命をもって駆け抜けたサムライエンパイアは血潮溢れる争いの世界であった。
人の生来持ち得る善性が生み出す優しさは枷にしかならなず。
悪性を止めるには力がなければならなかった。
故に武と呼ぶ。
例え、それが戈持ち歩む者を示す言葉であったのだとしても、しかして、願いは祈りに昇華する。
起源が異なれど、戈を止める力として武を示す。
なぜなら人は優しくなければ生きる資格すらないのだから。
「殺し合わず、競い合うことで生まれた|恒久の平和《しあわせなゆめ》。故に生命と飯を危惧する事なく、老いて死すまで部の道を歩むことができる」
『宮本・武蔵』は全身に刻まれた刺青型ユーベルコード『五輪書』を起動する。
しあわせなゆめは、醒める。
されど、と彼はかたわらにあるダークリーガーの少年を見つめる。
彼が見つめた幸せな夢は、いつかの誰かに紡がれていく。
「しあわせなゆめは見れたか、わらべよ」
頷く少年は瞳を見開く。
黒い瞳が彼を見つめ、そして迫る猟兵たちの姿を認めた。
風が、吹いていた。
亜麻色の髪をさらうように――。
●誰が呼んだか!
「此処は我がテニスコート『ネオ巌流島』。よく来た、と言っておこう、猟兵の諸君」
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』は二刀の如きラケットを手に迫る猟兵たちを迎えた。
泰然自若たる眼差し。
そこにあるのはサムライエンパイアに知れ渡る伝説の剣豪『宮本・武蔵』ではない。
今の彼は剣豪ではなく。
究極の大魔道士。
己が流派『二天一流』と全身に刻み込まれた刺青型ユーベルコード『五輪書』を極限まで鍛え上げたテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』だった。
「み、『宮本・武蔵』……!? あの伝説の剣豪の……!?」
グリモア猟兵、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)は驚愕する。
いや、困惑していた。
彼女の知っている『宮本・武蔵』は剣豪である。
だが、テニス・フォーミュラたる彼は大魔道士となっていた。それどころか、刀を置き、ラケットを二振り手にしていたのだ。
「今はテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』である」
「で、ですが……何故刀を……」
「無論。決して手加減のためなどではない。見よ。我が体に刻みし『五輪書』、そして我が『二天一流』。いずれも究極の大魔術詠唱術式……即ち、テニスの習得により、ここに歓声を迎えた」
「わけがわかりません!」
ナイアルテと同様に猟兵たちも困惑していた。
えっと、何?
しかし、『宮本・武蔵』は頭を振る。
困惑など切って捨てるかのような声色dった。
「今の我をエンパイアに伝わるかつての我と思わぬ方が良い」
思えないが?
どう見てもテニスの武蔵様である。果たして本当に、本当の意味でのテニスをやってくれるのかどうかも怪しかった。
「我は、刀を手にしていた時より、遥かに強い……!」
「え、えぇ……?」
ナイアルテの困惑。
猟兵たちはしかし、迫る『宮本・武蔵』の武と魔術を極めた精髄を示すかのように生み出された無限に湧き出るテニスボールと共に二振りのラケットを構える。
その熾盛たるは、精神の煌めき。
『二天一流』の精髄。
自然体にして極致。恐るべき魔力量。一瞬のうちにして打ち出されるは無限のボール。
その一つ一つがユーベルコード『剣刃一閃』となって迫ってきているのだ。
煌めく剣閃。
雨のように間断なく。雷鳴のごとく疾く、閃光のごとく鋭く。
「誰が呼んだか『テニス・フォーミュラ』、『宮本・武蔵』、参る……!『戦いに際しては心に平和を』!」
迫るは、伝説の剣豪の業――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『バトル・オブ・オリンピア』の戦争シナリオとなります。
サムライエンパイアにて知られる伝説の剣豪『宮本・武蔵』が何の因果か死後アスリートアースにて蘇り、テニス・フォーミュラとして『ネオ巌流島』にて皆さんを待ち受けています。
彼は刀をラケットに持ち替え、大魔術詠唱儀式『テニス』を極め、己が剣『二天一流』と全身に刻み込んだ刺青型ユーベルコード『五輪書』を起動し、決闘を挑んできます。
無限に湧き出すテニスボールにユーベルコード『剣刃一閃』……命中した対象を切断する力を込め、凄まじい速度でテニスボールを打ち込んできます。
この大群のテニスボールに加え、『宮本・武蔵』は先制攻撃をしかけてきます。
これに対処できなければ、勝利はできないでしょう。
プレイングボーナス……敵の先制攻撃に対処する/剣刃一閃テニスボールの大群に対処する。
それではアスリートアースに巻き起こる熱きスポーツバトルの祭典を戦い抜く皆さんの物語の一片となれますように、たくさんがんばります!
第1章 ボス戦
『宮本・武蔵』
|
POW : 二天一流「燕返し殺し」
【ふたつのラケットの間に生じる超魔力球】が命中した敵をレベル×10m吹き飛ばす。
SPD : 二天一流「ホーミングファントム」
【二振りのテニスラケット】から発射した【無数のテニスボール】を、レベル回まで跳弾できる。跳弾回数に比例して命中率・致死率が向上。
WIZ : 二天一流「五輪の極み」
【刺青型ユーベルコード「五輪書」】に封じた【地水火空風の5属性の都市破壊級魔術】と合体し、あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になる。ただし解除時にダメージを全て受ける。
イラスト:紙乙
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
…まあな?スポーツと武は通ずる所あるとは思うぞ?
(今回の戦争で、一番出てる人)
じゃが…まさかの大魔術。
しかして、やらねばならぬ。
先制は…あちらのUCは防御型になったから、あとはボールか!
テニスなので一つだけラケットで打ち返し、他のは…結界を構築、切断されたら切断部位の接合で再び閉じる!
で、UC可能になったら…陰海月が光りだした。
以後はまあ…普通にテニスよな…。
※
陰海月「ぷきゅ!」
ポンポンもってフレフレ応援。UC使えるようになったら踊る。
加速する、陰海月のテニスへの勘違い
霹靂「クエッ」
薄々、違うんじゃないかと思った霹靂
ふりふりと揺れるポンポン。
それは触腕と前脚によって振られるエール。
巨大なクラゲ『陰海月』とヒポグリフ『霹靂』による応援を受けて馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』は手を上げて応えた。
「応援というのは心に染みるものであるな」
互いに強者。
故に、と得られるシンパシーがあったのかもしれない。
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の言葉に『侵す者』は然り、と応えた。
「……まあな?」
「ふ、素直に喜ぶのがよろしいかと思うが。しかし、さりとて武人とお見受けする。ならば、一太刀……いや、一打受けて頂こう」
「受けて立たねばならぬのが猟兵家業。いざ」
「尋常に」
互いに武を極めんとした者同士。
相対するだけでわかる。
互いの技量がどれほどまでに練り上げられているのかを。
というか、『侵す者』はなんとも言えない気持ちだった。
サムライエンパイアに轟くは大剣豪『宮本・武蔵』の逸話である。かの剣豪をサムライエンパイアでは知らぬ者はいないだろう。
それほどまでに高められた技量は凄まじいの一言に尽きるのだ。
猟兵たる身となってもなお、その高みに追いつけるかどうか。
だが、やらねばならない。
『宮本・武蔵』の体に刻まれる『五輪書』のによって彼は都市破壊級魔術と合体し、ほぼ無敵となっている。
その上、である。
「受けよ、この我が身に宿したユーベルコードと、武の極致! 加えて魔術をも極めし一打!」
無限に湧き出すテニスボール。
その二刀ならぬ二振りのラケットが一瞬で振るわれる瞬間、『侵す者』は己が手にしたラケットを構える。
ボールが走る。
己の瞳に捉えるは、音速を越えた一打である。
ラケットで受け止める。一打、二打、とボールが走る。結界でもって対処してもあらゆる物を切断するユーベルコードが発動してるのだ。
結界などまるで役に立たない。
構築した結界が切断される端から縫合し、さらに閉じる。
だが、それさえも切断されていくのだ。
「なんたる……!」
「これこそが我が流派と魔術の精髄! 剣刃一閃!」
打ち込まれたボールを張り巡らせた結界を何度も縫合することによって漸く『侵す者』は打ち返す。
放たれたボールは、『陰海月』のユーベルコードによって翳鏡虫霓(カゲニテヤサシクヒカルゲーミングクラゲ)たる輝きを満たして、まばゆい輝きを放つのだ。
「ぬっ……これはゲーミングカラーというものでは!? 具体的には1680万色の!」
「いやに詳しいの!?」
なんで知っているのだろうと思わないでもない。
だが、ユーベルコードによって結界の回復、そして『侵す者』の体を刻む剣刃一閃の一撃にこらえることができる。
「これにより普通に後はテニスをするだけよ!」
普通のテニスとは一体。
祖思わないでもない『霹靂』。
「ぷきゅ!」
だが、『陰海月』にとっては、これが普通のテニスである。
この場において『霹靂』だけが、これが普通のテニスではないことに思い至っているのだが……。
「まさかの大魔術とはの!」
「名前が違うだけのこと。極める者がたどりし道程は数あれど、いたりし場所が同一なのと同様に!」
打ち合う二人の武人。
なんか、なんか、なんか……! と『霹靂』は言葉にできないもやもやを抱えながらも、なんとか応援を続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
自分みたいな者が言うのも何ですが…
達人の晩年は、流派の完成とか精神修養に於ける悟りの境地とかに心血を注ぐようになるものですが…
貴方もそのクチですか
剣聖、天下無双
呼び名は数知れず
然りとて人斬りの業が消え去るわけでもなく。
大魔道士、スポーツマンシップ、殺さずの誓い
綺麗事をよくも並び立てたもの
何を捨てて、何を得たのか
見定めさせて貰いましょうか
◆妖剣解放
限界突破の早業で寄らば斬る
クイックドロウ+心眼でボールの乱打を片っ端から切り刻み
切り込み+フェイントのステップで距離を詰めます
怪力+乱れ撃ちの|鎌鼬《太刀風》
本性を曝け出すも良し
本気で生まれ変わったと言うのならば。
その覚悟を見せてみろ!宮本武蔵!
伝説の剣豪。
それがサムライエンパイアに轟く『宮本・武蔵』の渾名の一つであった。
二つ名は数しれず。
そして、その逸話もまた凄まじきものである。
故に、その境地に至るまでに得たものは全てが輝かしいものばかりではないだろう。結局のところ武とはそういうものである。
「自分みたいな者がいうのも何ですが……」
戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は己を中庸と寛容を是とする生臭坊主であると言う。
俗世の文化は己を破戒僧の如き振る舞いへと導いた。
だが、彼が最も許せなかったのはオブリビオンの悪逆無道である。
救世救道の戒律は何も救わなかった。故に、彼は己を悪僧と呼ぶ。
「貴方もそのクチですか。剣聖、天下無双。呼び名は数しれず。然りとて人斬りの業が消え去るわけでもなく」
「然り。そのとおりである。我は死せるその時まで人の生死が生み出す血道の中に在った。認めよう。その罪業が消えることはないし、我もまた消えて善いものであるとは思っていない」
「それ故に、大魔道士、スポーツマンシップ、殺さずの誓い、綺麗事を良くも並びたてもの」
蔵乃祐は多くの世界を知る。
故に、その考え方は柔軟であっただろう。また同時に己の真芯にあるものを考えれば、その罪業は死してオブリビオンとなり、ダークリーガーとしてアスリートアースに転生していたのだとしても、拭えるものではなかただろう。
「気に入らぬか。ならば、示してみせるが善いだろう、猟兵」
放つは二振りのラケットより放たれる無数のテニスボールの乱打。
そのテニスボール一つ一つに『剣刃一閃』たるユーベルコードが込められている。その上、彼の放つボールは魔球である。
空中で跳ねることなく軌道を変え、嵐のように蔵乃祐へと迫るのだ。
「むんっ!」
蔵乃祐は迫るテニスボールをかたっぱしから切り刻む。
テニスボールにユーベルコードが込められているというのならば、そのテニスボール事態を切り裂くのだ。
コートに落ちるボール。
互いに寄せ付けぬ応酬。
「何を捨て、何を得たのか!」
「何も捨ててはおらぬ。。我が刀は我が罪業の示した軌跡。テニスラケットは我が得たもの。武とは何か、を問うまでもないだろう。我が生きたサムライエンパイアは生きねば死する世界。死を足場にしなければ立ち行かぬ世界」
「生まれ変わってなんとするのです!」
蔵乃祐の瞳がユーベルコードに輝く。
妖剣解放。
手にしたラケットに妖刀の怨念をまとわせ、振るう一打は衝撃を生み出し、込められた魔力をもって『宮本・武蔵』へと迫る。
その一打を打ち返しながら、彼は言う。
「武の頂きは、極致。確かに武でなくてもいいだろう。あらゆるものを極めた後、至る場所はただの一点。我にとっては武がその道程である。肉体は生まれ変われど、我が罪業は背負い続ける。我が得た生は、数多の死によって成り立つものと知るのならばこそ!」
「それを覚悟と言いますか、『宮本・武蔵』!!」
蔵乃祐は打ち返す。
問答と問答。
そのは当てに在るのは、如何なる悟りであったか。
世界の成り立ちが異なれば、こうも目の前に広がる有様は異なるものである。
故に。
人の心の善性を信じるのだ。
生来持ち得た悪性を御する力を。
故に、蔵乃祐は感じるのだ。ラリーの応酬のさなかに、『宮本・武蔵』が真に平和を求めてやまぬことを――。
大成功
🔵🔵🔵
李・玉明
WIZ アドリブ歓迎
知っておるぞ。
|五《5》輪書と|二《2》天一流をかけ合わせれば、|テニス《10 is》となると!
恐るべき、みやもとむさし!
じゃが、負けてはおれんのぅ。妾もまた、仙術式テニスの使い手なのじゃ!
『ウィンブルドン』を乗り越えた技量で対抗するのじゃー!
当たれば切断の剣刃一閃、打ち返せねばラリーにならぬ……。
ならば当たらず打ち返せばよいのじゃ!
ラケット替わりに使い続けてテニスに馴染んだ芭蕉扇!
荒ぶる強風がテニスボールを吹き飛ばして返すのじゃー!
五輪の極みの都市破壊級魔術に対するは、泣く子も眠る子守歌よ!
聴いて下さい、鎮世沈静揺籃歌!
攻撃には無敵であろうとも、状態異常は如何かのぅ!
世の理を知るのならば、物事は足し算だけではないこともまた真である。
故に、李・玉明(豪華絢爛西欧天女・f32791)はネオ巌流島へと降り立ち、テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』を見やる。
「知っておるぞ、『|五《5》輪書』と『|ニ《2》天一流』を掛け合わされば、|テニス《10is》となることを!」
玉明は言う。
そう、世の理は足し算引き算だけでは測れぬのだ。
そこに割り算掛け算が合わさるからこそ、四則演算が生まれる。これを基本にして多くの物事が図られ、発展を遂げていく。
つまり、死後転生したアスリートアースにて伝説の剣豪『宮本・武蔵』がテニスと出会い、刀をラケットの持ち替えるはある種の必然。
儀式魔術と武の融合。
極致へと至る道程は一つではない。
多くの道程あれど、しかして辿り着くべき極は唯一つ。
故に!
「誰が呼んだかテニス・フォーミュラ、みやもとむさし! 恐るべきことよ! じゃが、負けてはおれんのぅ! 妾もまた、仙術式テニスの使い手なのじゃ!」
初耳である。
だがしかし、玉明がそうである、というのならばそうなのだろう。
故に彼女はラケット代わりにした芭蕉扇を突きつけるようにして無限のテニスボールがひしめくコートへと降り立つ。
あの絢爛豪華たる『ウィンブルドン』での死闘はこのときの為にあったのだ。
乗り越えた儀式魔術。
その技量を玉明は己が胸に抱き、その手にしたラケットっていうか、芭蕉扇を構える。
「腕に覚え在りと見た。ならば、我もまた示すとしよう。この武とテニスの精髄! そのありったけというものを!」
漲るは『五輪書』。
刺青型ユーベルコードによって五体に満ちるは魔力。
属性によって強化された体躯はほぼ無敵。そして、二振りのラケットより放たれるテニスボールは全てが魔球のように触れたものを切断せしめるユーベルコード『剣刃一閃』が込められている。
当たった瞬間に切断されるのならば、魔力を込めて打ち返さなければならぬ。
「さあ、くるがよいのじゃ!」
これまで幾度となく戦場を駆け抜けてきた芭蕉扇。
もしも、意識というものがあったのならば、ラケット代わりに使われるなんて思いも叱ったであろう。
だが、ただの扇ではないのだ。
扇ぐだけで風や雲、雨を呼び込むのだ。
その力によって迫るテニスボールを吹き飛ばす。そう、触れるものを切断するというのならば、触れなければ良いのだ。
「ほう、そう対処するか!」
「のじゃ! 荒ぶる無限のテニスボールならば、妾は! 泣く子も眠る子守唄よ!」
「……なんと?」
「それでは聴いて下さい、鎮世沈静揺籃歌(ララバイ・トランキライザー)!」
そう、『五輪書』は『宮本・武蔵』を無敵にする。
だが、ほぼ、なのである。
ほぼ。
ここが肝要。つまり、外からの攻撃には強いが、玉名の歌声のように眠りを誘うのならば!
「斯様な手段をもって我が『五輪書』を破るか! なんとも……心地よき歌声、正しく天女……!」
「そう褒めるでない。この歌声に対抗しうるとは、そちの精神力もなんとも強靭なことよ。流石は伝説の大剣豪、みやもとむさしよ!」
テニスに人の生き死には絡まない。
だからこそ、と平和なのだ。
ちょっと、その、大げさすぎるかも知れないけれど。それでも、と玉明は笑って歌う。
しあわせなゆめはいつか醒めるけれど。
それでもうたた寝のように心地よい夢を見るのがよい、と――。
大成功
🔵🔵🔵
葛城・時人
うん、話聞いてるだけでアタマ痛い
けど立ち塞がる敵であるのは間違いないね
テニスは軟式しか知らないけど
全力で立ち向かうだけなら俺にも出来る
一応借りたラケットは持ってくけど
ていうか…もうこれテニスの問題じゃないしね!
「って訳で…勝負!」
武蔵と色んな猟兵が闘っているから
戦域に強く風が吹いてる
その幸運を生かそう
俺の蟲笛は意味が違うけど風笛だ
風さえ通れば幾らでも
ククルカンが湧き出して止まる事はない
彼らで先制攻撃をまず止める!
「任せたよ!」
何時も通りの可愛い声の応えと共に
蟲達に護られ初撃はどうにかやり過ごせた!
躱し切れない分も無論あったけど
戦闘継続出来ない程じゃない
踏み止まる為、自分を奮い立たせるために
継戦能力や限界突破、オーラ防御等を励起し
真っ直ぐラケットで宮本武蔵を指し示そう
UC天より来る百億の光使詠唱
詠唱が終われば
吹き飛ばされようと踏みにじられようと
「超連続フォルト取るのとおんなじだ!」
一応テニスだし
一度でもボール打ち返せるなら渾身の力で!
最後は健闘を称え合えたら良いな
「ホント強かったよ!」
って
「うん、話聞いているだけでアタマ痛い」
葛城・時人(光望護花・f35294)はネオ巌流島にて頭を抱えそうになっていた。
何にって、そりゃあ儀式魔術テニスに、である。
此処アスリートアースにおいてテニスは魔術儀式の側面を持っている。
打ち出すボールに魔力を込め、ラリーの度に魔力は増幅していく。その魔力の重さに堪えなければならないし、何より、テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の絶大な力は猟兵をして強敵と言わしめるものであったからだ。
いや、ていうか、その前に『宮本・武蔵』?
そう、時人にとっても『宮本・武蔵』は知るところの人物であっただろう。
だからこそ、余計にわからない。
伝説の大剣豪がなんでテニスプレイヤーに?
どういうこと?
だが、彼は頭を振る。
「立ちふさがる敵であるのは間違いないね」
「そのとおり。我が『二天一流』は此処に完成を見たり。故に、猟兵よ。我が至高、精髄たる一打を受けよ!」
振るうは二振りのテニスラケット。
その間にて生み出される超威力の打球。
加えて、無限に湧出するテニスボールは、一球一球にユーベルコード『剣刃一閃』が込められている。
つまり、触れれば切断されるボールの乱打と超威力を込めた『二天一流』の奥義たる『秘剣燕がし返し』をどうにかしないといけないのだ。
「テニスは軟式しか知らないけど、大丈夫かな!?」
「テニスと名がついているのならば、硬式軟式問わず! これはそういう戦いである!」
「そういうものなのかな……って訳で勝負!」
風が吹いていた。
それは彼にとっては幸運だったことだろう。
多くの猟兵たちとの戦いによって風は吹いている。それが彼にとっては幸運だと思ったのだ。
風が通れば、いくらでも己の白燐蟲は湧き出す。止まる所を知らぬ彼らは次々と『剣刃一閃』込められしテニスボールを受け止めていく。
「まずは、無限に迫るボールを止める!」
「無論、その程度の対策ができぬとは思ってはおらぬよ! 故に、二段構えである!」
放たれた超威力の打球。
それを前に時人は叫ぶ。
「任せたよ!」
いつものように白燐蟲たちがなく。
あらゆる物を切断して見せる『剣刃一閃』。
凄まじいというほかない物量である。
けれど、それでも自分は白燐蟲たちを信じている。手にしたラケットで迫る超威力の打球を受け止める。
骨身がきしむ。
痛みが体に走る。けれど、それでも時人は己を奮い立たせる。
踏みとどまるために。
打ち返すためではない。
己ができることは多くはないだろう。けれど、それでも彼はラケットをへし折られながらボールを返したのだ。
「見事! だがラケットなくして次なる一打を如何にする!」
『宮本・武蔵』の声が響く。
それをみやり、へし折れたラケットを向ける。そこに白燐蟲たちが這うようにして絡みつき補強する。
「こうするのさ! 光使となりて来い、ククルカン!」
時人の瞳はユーベルコードに輝いていた。
何一つ諦めていない。
この試合、勝負。どれ一つとして投げ出すことのない意思が宿っていた。劣勢であっても構わない。己ができることをしようという気概があったのだ。
天より来る百億の光使(テンヨリキタルヒャクオクノコウシ)は彼の前に立つ。
擬似的に翼人化した白燐蟲が現れ、迫る無限のテニスボールへと光の剣を叩き込む。
「どんなにボールを打ってこようと、吹き飛ばされようと、踏みにじられようと!」
「強き意思で我に立ち向かうか!」
「そのとおりだ!」
渾身の力で白燐蟲によって補強されたラケットを振るう。
確かに力負けもしている。技量だってそうだろう。
けれど、意思があるのだ。
勝ち負けしかない戦場。けれど、生き死には関わらず。
平和的に全てが終わる。
それは『宮本・武蔵』が臨んだものであったのだろう。頂きを目指すのに、血は必要なく。奪われる生命もなく。
ただ、前身する意思さえあれば、どこまでも究極へと駆け上がっていくことができると示すのだ。
「ホント強いよ! でもね、それでも俺は!」
『宮本・武蔵』に勝つのだという意志を発露し、ボールを打ち返してみせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
あなたも、この世界が好きなのね
その志と向き合い、試合に挑みましょう
結界術を発揮し、無数の球と切断攻撃に対抗し
武器受けの要領で球を拾い一球でも多く打ち返す気概を見せるわ
敵が強ければ強いほど、試合を通じて私もまた強くなる
わざと上空に吹き飛ばされれば、空中は羽衣人の領域
空を舞い相手のコートに向けて球を叩き込むわ
もっと速く、もっと鋭く、もっと靭やかに
あなたの強さを学んで、私は成長する
宮本武蔵、すごい人だわ
いつかプラクトでも戦ってみたい
この世界では、ついそんな未来を夢見てしまうわね
テニスボールを打ち返す。
その衝撃で風が生まれていた。アスリートアースに吹く風は戦いの風。
嵐を呼ぶかのようなラリーの応酬をみやり、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は軽やかにネオ巌流島に降り立つ。
テニスコートにテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』は二刀ではなく二振りのラケットを携え立っていた。
「ほう、天女かと見紛うたが」
「あなたも、この世界が好きなのね」
静漓の言葉に『宮本・武蔵』は然り、と頷く。
飢えを案ずることもなく。
戦による怯えもなく。
ただひたすらに極致を目指して邁進することができる。斯様な世界があると彼は知らなかったのだろう。だからこそ、この世界に滅びを齎すためには行かぬと、本気でテニスに挑んでいるのだ。
バトル・オブ・オリンピアを成せば滅びは回避できる。
だからこそ、本気なのだ。
「生き死になく武を、己を磨くことができる。この恒久の平和満たす世界を愛さぬ理由などない。故に!」
「本気なのね。ならば、その志に向き合い、挑みましょう」
その言葉を同意とみなした『宮本・武蔵』の背後から湧き出すは無限のテニスボールであった。
それらを彼は瞬く間に二振りのラケットでもって撃ち放つ。
そして、二振りのラケットが合わさり、凄まじい威力の一打を叩き込んでくるのだ。
静漓はテニスボールに込められた『剣刃一閃』の力を結界で受け止める。だが、切断される。触れたものを切断するユーベルコードは彼女の結界と相性が悪かった。
けれど、諦めない。
そう、諦観はすでに彼女は捨てている。
他ならぬこの世界で知ったのだ。
どんな逆境にも笑って立ち向かう少年少女たちがいた。
その顔を思い起こすことが出来る。そして、彼女もまた足を踏み出す。
「なおも一歩を踏み出すか! その気概、見事であるといえよう。しかし! 技術足りぬのならば!」
敗北は必定。
彼女の体が燕返し返しによって吹き飛ぶ。
ラケットで受け止めているが、しかし、衝撃に空中へと吹き飛ばされてしまうのだ。
強い。
伝説の大剣豪は刀をテニスラケットに持ち替えてもなお、その力を示した。
逃れ得ぬ罪業、罪過あるのだとしても、それらを捨てることなく、なかったことにしないがゆえの重みが其処に在った。
ならば。
「私は」
彼女は羽衣人である己を忘れない。空は己の領域。舞うようにして彼女は受け止めたラケットでもってボールと共に空中で回転する。
それは螺旋を描くようだった。
もっと速くと願った。
もっと鋭くと思った。
そして、もっと靭やかにと己の五体を、その駆動する関節の全てを活用して打ち込まれた一打を受け流し、さらに己の力へと変換するのだ。
「あなたの強さを学んで、私は成長する」
すごい人、と彼女は呟いた。
天人結界(テンジンケッカイ)がなければ、己は此処まで速く、鋭く、靭やかにはいられなかっただろう。
彼だったからこそ、此処まで自分はできた。
「『宮本・武蔵』、すごい人だわ。そんなあなただからこそ、いつか『プラクト』でも戦ってみたい」
願う力はユーベルコードとなって煌めき、彼女の一打が叩き込まれる。
彼女は思う。願う。祈る。
この世界ではいつも、そうなのだ。
明るい未来を信じている。
しあわせなゆめは醒めるのだと知ってなお、それでもと、夢見ることはやめられないのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
鹿村・トーゴ
田舎者のオレでも名を知る剣豪
武蔵殿
骸の海から蘇っても鍛錬三昧
魔術も剣もテニスも極めるのにまっしぐら
思う道を邁進出来る世界
あは
そりゃァ滅法強いはずだねェ
これは命懸けだけど殺し目的じゃない
そんな戦いならオレも大好きだ
羅刹紋を顕し高揚
球技には疎いがそこはご容赦を
何でも切断するなら防御は無理だな
速さと【野生の勘と聞き耳】フル活用し最小の動きで躱し時にはコートの端まで跳んで避け被弾や掠った負傷を【激痛耐性】
最後の1、2球を槍化した猫目雲霧で【捨て身の一撃】で打ち返しその球に追随させUC
全て威力最大で武蔵に撃ち込む
切断効果の切れた球があれば
猫目雲霧を咥えて両手逆手持ちしたクナイでも打ち返したり
アドリブ可
天下に轟く大剣豪。
それが『宮本・武蔵』である。
戦国の世においては、その二刀流の業の冴え渡るところは千里を駆け抜けるものであった。しかし、それは血に塗れた道であったに違いない。
無法の者も、人外も、あらゆるものが刀の前には切り捨てられる。
生きるために。
殺されぬために。
そのために殺すという矛盾。
その修羅道にありて、『宮本・武蔵』は求道者だった。
「田舎者のオレでも名を知る剣豪。武蔵殿」
鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)はネオ巌流島というテニスコートにて猟兵と打ち合う嘗ての大剣豪をみやり、笑う。
骸の海から、このアスリートアースに転生を果たした彼は武の頂きを目指して邁進し続けた。
生き死にの関連しない勝負。
勝敗だけが全て。
その世界にあって彼が剣豪から大魔道士にクラスチェンジし、儀式魔術テニスに傾倒するのをトーゴは理解できただろう。
殺さず。死さず。
邁進するだけの世界。
「あは、そりゃァ滅法強いはずだねェ」
童のように笑った。その表情にテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』は笑む。そのとおりだと。
「生命を懸けることはない。殺すことが目的でもない。これは戦いなれど、互いを高めるものであるがゆえに」
「そんな戦いはオレも大好きだ!」
羅刹の紋が浮かび上がる。
全力を引き出す。放たれる無数のテニスボール。
無限にも思えるボールの乱打。それを支えるは、二刀流の如き二振りのテニスラケット。その殴打によって放たれるスマッシュは空中で自在に軌道を変える。
トーゴは走る。
己の筋力を速さに変換する。敵を打ち砕き、潰すためではなく。ただボールを追ってコートの中を走る。
それは心躍るものであった。
生き死に関係しない。ただひたすらに己の体躯、その力を発露するためだけの戦い。
なんと楽しいことだろうか。
「楽しいな、猟兵」
「ああ、本当に楽しいな!」
迫るテニスボールには『剣刃一閃』のユーベルコードが付与されている。触れれば切断されるが、それでもトーゴは構わなかった。
瞳にユーベルコードを輝かせる。
手にした黒曜石の鏃を放つ。
黒曜箭(コクヨウセン)は迫る『剣刃一閃』のボールと激突する。
切断されるが、しかし、切断されたのならば、それは無数の礫となって『宮本・武蔵』を襲うだろう。
テニスコートが砕ける。
だが、それでも『宮本・武蔵』は体勢を崩すことはなかった。
トーゴが必ずや己のスマッシュを返してくると信じていたからだ。
「そんな期待した顔をされちゃあな!」
逆手に構えたクナイをラケットの変わりにしてトーゴは『宮本・武蔵』のスマッシュを打ち返す。
体の真芯まで響く威力。
流石は大剣豪。
いや、今は違う。
「誰が呼んだかテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』殿! なら、これを受けろよ!」
放つスマッシュ。
それは空を切り裂く。轟音を立てるボール。
羅刹の体躯の全てを総動員して放たれた一打に『宮本・武蔵』は笑う。
獰猛ではなく、ただ、ひたすらに強者と武を競い合う今に笑った。それはトーゴにもまた言えることだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ハロ・シエラ
二天一流。
私も二刀を扱う者、知識にはありますが……相見える事になるとは。
しかもテニスで……予想不可能でした。
まずテニスボールですが、手袋から放つ【衝撃波】で【吹き飛ばし】てしまいましょう。
【見切り】が上手く行けば斬り捨てる事も出来そうです。
問題は超魔力球。
私の剣よりリーチが長そうですが、距離を取って動き回りながら【第六感】にも頼って回避を試みます。
そのままテニスボールと魔力球に押されて自分の間合いに踏み込めない、と思わせてユーベルコードで剣を巨大化して【騙し討ち】の一撃を入れましょう。
五輪書に曰く、大事なのは水の心。
例えテニスコートであろうと、いつも通りの心で勝負に挑みます!
『二天一流』――それは二刀流を持って示す流派である。
二刀を扱う者であれば、いずれたどる道筋の一つでもあろう。
武芸者として、剣豪として。
その名を知らぬ者はいないだろう。
『宮本・武蔵』――武の極致へと至ったであろう伝説。
それが今、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)の眼の前にいる。
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』として。
「まさか、相まみえることになるとは。しかもテニスで……予想外でした」
「期待は裏切らぬつもりであるが」
「それはそうでしょう。剣豪から大魔道士にクラスチェンジしたとて、その武の極致は」
放たれる無限のテニスボール。
その一球一球にユーベルコード『剣刃一閃』が込められている。
あらゆるものを切断するユーベルコード。
それが無限とも思える数で持って叩き込まれるのだ。
それだけではない。
「その通り。これは加減をしているのではない。究極、そのいただきに到達するのに誤った道筋など何一つ無い。なにか一つを極めれば、確実に其処に至る。それだけのこと!」
二つのラケットによって生み出されるは凄まじい魔力の塊へと変貌した魔球の一打である。
その一撃を受けてはハロは吹き飛ばされるだろう。
それ以前に。
「無限のテニスボールというのが厄介ですね。ならば、点ではなく、面!」
ハロは己の手袋から放たれる風圧でもって迫るボールを吹き飛ばす。
触れれば切断されるというならば、触れずに吹き飛ばすのだ。
コートの外へとはじき出された無数のボール。
道筋は見えた。
迫る魔球。
「問題は」
「そう、我が必殺スマッシュの一打をどう凌ぐ!」
「凌ぐ……そうですね」
無理だろう、とハロは思った。
だが、『宮本・武蔵』は言う。看破していた。己が騙し合いをしているのだと。だが、それを咎めるものではなかった。
なぜなら、それはスポーツにおいては駆け引きというものであるからだ。
スポーツにおいては、それもまた技術の一つ。
互いの手の内を知るのならばこそであったし、また高い身体能力を有するのならば、なおのことであっただろう。
「何かを狙っているな?」
「見破られていましたか。ですが、関係ありません」
ハロの瞳がユーベルコードに輝く。
息を吸い込む。
肺に溜め込まれた空気が送り出される。肺活量による圧倒的な呼気の噴出。
それは彼女の気合。
「ちぇえすとぉおぉおぉおぉぉぉぉ!」
煌めく。
己の全身にある全ての体力、魔力を己の手にした剣へと込める。
それによって巨大化する剣。まるでラケットのように膨れ上がった刀身で必殺魔球の一打へと叩きつける。
きしむ体躯。
だが、ハロは言う。
「『五輪書』に曰く、大事なのは水の心」
裂帛の気合は炎のようだった。だが、うちに秘めたる心は波紋生み出さぬ水面。
恐れあれど、しかし、大剣豪を前にしてもなお、スターブレイカーの如き彼女の瞳は輝く。
「然り。流石であると言おう!」
「例え、テニスコートであろうと、いつもどおりの心で勝負に挑みます!」
打ち返す一打はネオ巌流島に嵐を呼び込む――。
大成功
🔵🔵🔵
メルクーア・シュヴェーフェル
情報が、情報が多い…!
…ちょっとだけ始めるの待ってもらっていいか?ツッコミを飲み込むのに少しかかりそうだ。
…よし、もう大丈夫だ。かかって来やがれ!
意味が分からんが強いのは確かだからな。
まず『メフィスト』を適用してステータスを限界突破。
無数の剣刃一閃ボールはインスタントウェポンでコートを砂に変えて、砂の波で壁を作って防ぐぞ。
砂なら切断されてもすぐ戻るからな。
跳弾してくるボールは『鷲獅子』と『赤い不死鳥』で撃ち落として対応。
攻撃を凌いだら【コンバイン・ウェポン】を発動。
召喚した武装を最大まで合体させてラケット作って、
飛んできたボールの一つを思いっきり打ち返すぞ。
数が多けりゃいいってもんじゃねえぞ!
テニスコート、ネオ巌流島。
それはテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』待ち受ける儀式魔術テニスの決戦の地であった。
誰が呼んだかテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』。
手にした二刀はテニスラケットに置き換えられ、羽織るジャージと鉢金が尾を引くように風に揺れていた。
そう、伝説の大剣豪は大魔道士へとクラスチェンジしていた。
「武の極致を目指すに、生きることは殺すことと同義であったサムライエンパイアより転生せし我がいたりしは恒久の平和を実現せしアスリートアース! ならば、何の呵責もなく、何のしがらみもなく武の頂きを目指すことができるといもの!」
彼の言葉にメルクーア・シュヴェーフェル(NPCショップ『ザルツ』店主・f41973)は己の世界、ゴッドゲームオンライン以上の情報の多さに混乱していた。
「情報が、情報が多い……!」
「そうだろうか」
「……ちょっとだけ始めるの待ってもらっていいか? ツッコミを飲み込むのに少し時間がかかりそうだ」
「それはすまないことをしたとは思うが。まあ、善いだろう。万全の状態で我も互いに競い合いたいものであるから」
ちょっと休憩。
いいのか、と思ったがいいのである。
猟兵達とユーベルコード煌めくネオ巌流島は凄まじい戦いだ。そりゃハーフタイムっていうか、休憩だっているだろう。
「……よし、もう大丈夫だ」
「よいのか?」
「問答は無用! かかってきやがれ!」
「ならば! 受けよ、我が魔球! ホーミングファントムを!」
「なにそれ!?」
メルクーアはやっぱりツッコんだ。
なに、なんて? とメルクーアは思ったが、しかし溢れるようにして放たれる無限のテニスボールをみやり、目を見開く。
意味わからない多くの設定にメルクーアは困惑しきりであった。
だが、『宮本・武蔵』が強いことに、強敵であることに変わりはない。
故に、と彼女は己のステータスを限界突破する。迫るボールにはすべてユーベルコード『剣刃一閃』が込められている。
触れれば切り裂かれる。
ならば、と己のコートを砂に変貌させ、壁を持って防ぐ。
「壁を作るか。だが、我が一打の前には壁など無意味!」
その通りだった。
砂壁は容易くボールによって切り裂かれる。穿たれるのではなく切り裂かれるという異常事態。だが、メルクーアは笑う。
「だろうな。だが、砂は元より結合しているだけ。切り裂かれても、すぐに戻る!」
故に、と彼女は迫るボールを撃ち落としながら、砂壁を解除する。
己の瞳がユーベルコードに輝き、『宮本・武蔵』を見据える。
「数が多けりゃいいってもんじゃねえぞ!」
「ならばなんとする! この魔球を前にして如何なる一打を我に返す!」
「こうすんだよ!」
召喚した武器、コート、あらゆるものを束ねる。
コンバイン・ウェポン。
「武装よ、集え!」
その言葉と共に彼女の手にした武装の全てが合わさっていく。それは、ラケットの形をしていた。
あまりにも巨大。
まるで扇のようであった。それを振るう。無限にボールが湧出して打ち込まれるというのならば。
「全部いっぺんに打ち返してやるよ! それで文句ねえだろうが!」
渾身の力を込めて巨大ラケットを振るう。
それはコート一つを覆うほどの巨大さ。
そう、一つのボールを見定めるのではなく。
「ハハハ、愉快だな! そうか、全てか!」
「そうだよ! 舐めんなよ!」
こちとら、とメルクーアは思う。ゴッドゲームオンラインで多くのゲームプレイヤーたちの無茶振りを飲み込んできたのだ。
これくらいなんともない、と迫るボールの全てをただの一打でもって打ち返し、彼女は拳を天に突き上げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
アスリートアースの青空を貫く雄叫びも、馴染んできましたね。
それにしてもステラさんの嗅ぎ分けはすごいです。
え?褒めてないですよ? やべー方向ですから!
って、わたしの得意?テニス、ですよね?
わたしの巨大バイオリンでボール打ち返したりとかです……?
ま、まさか演奏してもいいんですか!?いいんですね!
いいってことにしちゃいますよ!!
そーれーでーはー!
たくさん増えるボールには、コートいっぱいの演奏を♪
悪の波動は光の波動で上書きです!
癒やしの光でボールの威力を相殺……ってあれ?
な、なんでボールが破裂していくんですか!?
え、えっとこれは……。
光の波動が強すぎたってことでいいんですよね、ステラさん!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁぁぁすっ!!
ええ、正確に言うならフュンフ・ラーズグリーズ様の香りですが
お目覚めになられたのですかフュンフ様?
この|しあわせなゆめ《アスリートアース》から
ならば恥じぬ戦いをせねば
|メイド《犬》として!
ルクス様行きますよ!
この勝負、シリアスに見せかけてルクス様の得意分野だと思いますので!
ラケットには敵わぬまでも私も二刀流と参りましょう
『ニゲル・プラティヌム』を使って【スクロペトゥム・フォルマ】で仕掛けます
ええ、その超魔力球、叩き落してみせましょう
メイドの銃撃、甘く見ないことです!
というか、ルクス様の破壊音波の前で形が残るとは思わないことです!!
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は瞳を閉じた。
何故、と問われたのならば、こう応えるだろう。
いつものやつが来るから、と。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁぁぁすっ!!」
ほら、とルクスはテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』のなんとも言えない顔を見ながらうなずいた。
これである。
アスリートアースの青空を貫く雄叫び。
馴染んできたなぁ、とルクスは思った。
それにしても、と思うのだ。
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の嗅ぎ分け能力である。嗅ぎつけ能力っていった方がいいかもしれない。
だが、今回に限って言えば、嗅ぎ分け能力が正しい。
「ええ、正確に言うならば、『フュンフ・ラーズグリーズ』様の香りですが。お目覚めになられたのですか『フュンフ』様?」
「わらべのことを知っているか、猟兵」
「ええ、『主人様』のご子息ならば、その香りもまた酷似しているというもの。私ほどになればそれはもう嗅ぎ分けることなど造作もありません」
ステラの言葉にルクスは、ちょとうわ、と思った。
褒めるつもりなんて毛頭なかったのだが、マジでやべー方向にステラの嗅覚が育ってきていることに戦慄した。
マジのマジでやべーメイドになっている。
「この|しあわせなゆめ《アスリートアース》からお目覚めになるというのならば、恥じぬ戦いをせねば、|メイド《犬》として!」
「台無しじゃないですかぁ」
「いいえ、そんなことはございません」
「まあ、よいか。始めても構わぬよな?」
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の言葉にステラは頷く。
むしろ、問答は無用! とばかりに打ち込まれる可能性もなきにしもあらずだったのであるが、此処はアスリートアースである。
サムライエンパイアのように一寸先は死、ということはないのである。
しかし、『宮本・武蔵』の一打は殺人的だった。
無限に湧出するテニスボールを繰り出し、その一球一球に『剣刃一閃』が込められている。その上、凄まじい魔力がボールに込められているのだ。
まともに受けてはこちらがぶっ飛ばされる。
「この勝負、シリアスに見せかけてルクス様の得意分野だと思います!」
「えっ。わたしの得意分野? テニス、ですよね、これ?」
どう見てもテニスっぽくない。
自分の知っているテニスとは違う気がする。こんなボールは一気にたくさんコートに乱れ打たれないし、何よりボールで儀式魔術ってどういうことなのだろうかとルクスは思った。
だが、ステラは言ったのだ。
自分の得意分野であると。
得意分野。
なら、自分の得意なこと。
特異なことじゃないよ。念のため。念のため。念のために言ったからね。
「巨大バイオリンでボールを打ち返したりとかです……?」
「まあ、そんな感じです」
ステラは気のない返事をした。ステラは迫る無数のボールを手にした銃を構えて撃ち落とす。
スクロペトゥム・フォルマ。
それは両手に構えた拳銃により繰り出される銃撃と体術を組み合わせた超近接専用の『銃の型』である。
さしもの大剣豪も、この銃撃を組み合わせた型を知らぬだろう。
刀と槍、弓矢はあれど、彼が生きた事態においては拳銃はなく。
火縄銃はあったかもしれないが、しかし、小型の拳銃でもって力で劣る女性が男性を凌駕する手段を手にすることができる未来を知り得なかった。
けれど、此処はアスリートアース。
誰もが超人アスリート。故に、この程度の非現実は、現実のうちなのである。
「見事に捌く、猟兵!」
「お褒めに預かり光栄ですが! メイドの銃撃、甘く見ないことです!」
「あの、もしかして、演奏してもいいんですか!? いいんですね!?」
「今忙しいんですけど!」
無限に打ち込まれるボールを撃ち落とすのに必死なのだ。『宮本・武蔵』、そのふざけたなりからは想像できないほどの高速乱打でもってステラの銃撃を圧倒してくるのだ。
「いいってことにしちゃいますね! そーれーではー!」
にっこり、とルクスは巨大バイオリンを構える。
Canon(カノン)。
演目はキミにきめた!
「ぬ……この音は……」
眼の前で次々とボールが破裂していく。
ルクスの放った音波は破壊そのものである。如何にユーベルコードを込めたボールであろうと、反響と音波によってボールの内側にある魔力に干渉して爆発させたのだ。
「な、なんでボールが破裂していくんですか?!」
「魔力に干渉する力か……なるほど。面白いな。これもまた武の一つか」
『宮本・武蔵』はなるほど、と関心しているが、ルクスとしてはちっとも嬉しくなかった。
「え、演奏しているだけなんですよ!?」
「ふっ、ルクス様の破壊音波の前で形が残るとは思わないことです!!」
「ひ、光の波動が強すぎたってことですよね!? 破壊音波じゃないですよ! 本当ですよ」
抗議するルクスの言葉にステラと『宮本・武蔵』は、またまた、というような顔で肩をすくませるノリの良さをルクスに見せつけるのだった。
「違いますから――!!!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
乙葉・あいね
その名、わたしでも聞いたことがある気がするのです!
それに「剣が敵を斬るに非ず、使い手の意思こそが剣に宿り敵を斬る」
……持ってるのが刀かどうかは関係ないのです
決して油断しないで行くのです!
相手の先制攻撃には「この世界で一般的な斬撃武器の形をした」無数の『魔剣の影』を呼び出し、制圧射撃のごとくカウンターで放ってぶつけていくのです!切断されても続けて召喚・射出で迎撃するのです!
そして、こっちもラケット二刀流!さらにUCにてこのラケットを「魔剣化」します!これで遠隔攻撃と「自在に操作」を可能とし、見切り、残像、カウンターも絡めて打ち合っていくのです!
……ところで「テニス」ってこれであってます?
『宮本・武蔵』
その名をサムライエンパイアの隠れ里に眠っていた白黒一対の刀『陰陽の双星』、乙葉・あいね(白と黒の刃・f26701)は知っていた。
己でも聞き及ぶ大剣豪。
伝説と言っても差し支えぬほどの異名。
「剣が敵を斬るに非ず、使い手の意志こそが剣に宿り敵を斬る……」
あいねは、ネオ巌流島……テニスコートに立つ『宮本・武蔵』の姿を認める。
手にするは刀にあらず。
しかして、それは手加減ではないことは重々承知。
二振りのラケット。
それによって、誰が呼んだか、彼はテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』なのだ。
「決して油断しないです!」
「そのとおりだ。我が持つはラケットなれど、これは手加減のためではない。この儀式魔術テニスにおいては、このラケットこそが我が得物よ。故に」
無限に湧出するテニスボール。
その一球一球にユーベルコードが込められていることをあいねは知るだろう。
『剣刃一閃』……それは触れたものを切断せしめるユーベルコード。
武の極致とも言うべき場所に居たらんとする『宮本・武蔵』は、背後に浮かぶ無数のテニスボールを一気に二振りのラケットで打ち込む。
一瞬だった。
一瞬だというのに、あいねの眼前に迫るは無数のテニスボール。
「……!」
油断はしない、と決めた。
だが、油断せずとも目の前に迫る無数のボールは、そんな意識すら刈り取るような凄まじさでもって彼女に迫る。
だが、無数のボールが迫るのならば彼女は無数の魔剣の影を呼び出し放つのだ。
「無駄だ。我がボールにはユーベルコードが込められている。どのような武器を前面に押し出すのだとしても!」
そう、切断されるのだ。
テニスボールに込められたユーベルコードによって次々と切り裂かれる魔剣の影。
しかし、それでもあいねはかまわなかった。
切断されても召喚と射出をシームレスに行うことによって寒暖無き無限の乱打に対抗したのだ。
「そのままでは、押し切られるだけであるぞ」
「ならば、こっちもラケット二刀流です! さらに!」
あいねの瞳がユーベルコードに煌めく。
「さあ! 目覚めちゃうのです!」
手にした己のラケット。
それもまた魔剣。
剣霊覚醒・陰『魔剣咆哮』(マケンホウコウ)によって、あいねの手にしたラケットがまけんへと至る。
互いに二刀流。
打ち合うボールの凄まじさは言うに及ばず。
まるで嵐か竜巻か。
二人のラリーはネオ巌流島を風で包み込むようだった。
「やるな! やはり、すぽーつは善いものだ。死ぬこともなく、殺す必要もなく。無限のとれーにんぐでもって、武の頂きを目指すことができる!」
「同意します。けれど、その……ところで『テニス』ってこれであってます?」
どうにもあいねの知識的には、これはテニスとは呼ばない気がしたのだ。
だが、アスリートアースにおいて、テニスとは!
魔力を込めて打ち返す度に増幅していくボールをどちらかが耐えきれなくなるまで続ける儀式魔術のことを言うのだ!
だから!
「いいや、何も間違ってはいないさ。さあ、続けよう! この武の頂きまで!」
そうなのかなぁ、とあいねは思いながらもしかし、『宮本・武蔵』と共に嵐のような乱打劇に興じるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
サージェ・ライト
【理緒さんと】
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとかそんなことないもんっ!
ええ、和要素たっぷり!
そちらがラケット二天一流なら
私は二対でひとつ『ハリケーンスラッシュカタール』でお相手しましょう!
とかやっている間に、理緒さんの煽りがひどい
これはひどい
回避方法もアスリートとしてはどうなのか
え?私ですか?
先制攻撃だって相殺すれば問題ないんですよ
というわけで攻撃力重視の【疾風怒濤】!
超魔力球は相殺です
理緒さん今です!
ボールをって手持ちのボールとか無いんですが!?
え?ちっちゃくないボール?
理緒さん持ってるんです??
まぁとりあえず手数な【疾風怒濤】でテニスボール叩き込みますよ!
菫宮・理緒
【サージェさんと】
え? 先制攻撃?
武蔵さんって『後の先』だから、先制とかしないんじゃないの?
しかもそれって、サーブ権あげませんってこと?
ずるくない? 武士の矜持とかなくない!?
とりあえず先制攻撃は、コート外に待避して回避しながら見。
ボールが追ってくるならアウトだし、ぜんぜんおっけーだよね。
2打目からは【偽装錬金】で全部のボールを打ち消していくよ。
その間にサージェさん!
手持ちのボールを打ち込んでポイントを……って、しまった。
サージェさんのボール、テニスボールほどちっちゃくなかった!
むしろテニスボールはわたしだ!(泣いてないよ?)
持ってないよ! っていうか、テニスボールほど大きくないよ!(滂沱)
誰が呼んだかネオ巌流島。
誰が呼んだかテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』。
その二振りのテニスラケットに持ち替えた腕に刻まれた刺青型ユーベルコード『五輪書』は、迫る猟兵たちと嵐のような試合を繰り広げていた。
あまりにも規格外。
武の極致に至りし者というのは、斯様に滅茶苦茶なのだろうかと思わせるには十分だった。
だが、猟兵とて負けていはない。
生命の埒外。
ならば、武の究極に足を踏み入れた『宮本・武蔵』になんら負けてはいないのだ。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、胸が大きくて忍べないとかそんなことないもんっ!」
「まあ、忍べていないことは変わりないが。クノイチか」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)の前口上に『宮本・武蔵』は特別驚くことなく、水面のような心で相対していた。
眼の前にどれだけ、その、忍べてないバディをもったクノイチが現れようと心揺らされることはないのだ。
これもたゆみない練磨の賜物である。
サージェのはたゆたゆしていたが。其処は今は関係ないことである! 関係ないったら無い! ないの!!
「さりとて問題あるまい! 受けて頂こう、この我が魔球の一打を!」
「え、先制サーブ? 武蔵さんって『後の先』だから、先制とかしないんじゃないの?」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は数多の世界に轟く大剣豪の『宮本・武蔵』の言葉を思い出したように呟く。
たしかにそうである。
確かにね。うん、確かに。でも、これは果たし合いじゃあないし。テニスだし。儀式魔術だけど、スポーツなのでね?
ルールとしてね?
「しかも、それって、サーブ権はあげませんんってこと? ずるくない? 武士の矜持とかなくない?!」
理緒は畳み掛けた。
あわよくば、と思ったが『宮本・武蔵』は水面の心で受け流した。
「今の我は武士ではなく、一介のアスリートであるがゆえに! 御免!」
打ち込まれる一打。
「あ、ずるい!」
「ずるくはない!」
「ふっ、そちらがラケット二天一流なら、私は二対で一つ! あれー!? なんか格好良くカタールを構えていたら、理緒さんの煽りがひどいことになってますよ!?」
いきなりの場外戦術である。
スポーツにおいては正々堂々が美徳とされるが、これまたスポーツの側面であることに変わりはなく。
故に『宮本・武蔵』は理緒の煽りも甘んじて受け入れていたのだ。
たしかになぁと思うのだ。
後の先。
打たせていて、打つ。
それこそが武芸の極みたるものであろう。だが、『宮本・武蔵』もまた一人の求道者。武の極み、そしてテニスの極みを目指すのならば。
「これはひどい」
「なんの! 口撃もまた攻撃の一つなれば!」
「なんだかんだ言って、結構効いてるよ、サージェさん!」
理緒の言葉が飛ぶ。
ふれふれー! がんばえー! と彼女は等価具現(トウカグゲン)でもって迫りくる無数のテニスボールを打ち消していくのだ。
ずるい!
「ずるくないない! サージェさん、いまだよ! 手持ちのボールを打ち込んでポイントをゲットしちゃってー!」
「手持ちのボールって……ボールは全部理緒さんが打ち消してしまったのですが」
サージェはラケットを手にして途方に暮れていた。
クノイチなら衣装替えも一瞬で出来るでしょ。テニスウェアクノイチとかいいでしょ。新しいでしょ。やって、役目でしょ。
だが、サージェは途方にくれる。
だって、ボールないし。
「あるでしょ! サージェさん、ボールを二つも……って、しまった! サージェさんのボール、テニスボールほちっちゃくなかった!」
「え、ちっちゃくないボール……?」
なんのことだろうとサージェは首を傾げる。
其処に差し込まれる無意味なインサート。
サージェの胸元である。他意はない。なんとなくカメラさんが寄っただけである。その結果なのである。他意はない。二度言う。
「むしろ、テニスボールはわたしだ!」
泣いてない。
決して泣いていない。理緒の眦にキラリと光るものがあっても、泣いてないのである。
『宮本・武蔵』はなんとも言えない感じの顔をしていた。
なんとコメントしても荒れそうだったからである。
「理緒さん持ってるんです?」
「追ってないよ! ていうか、テニスボールほど大きくないよ!!」
言わなくてもいいのに、と思ったが、理緒は叫んでいた。
サージェは困惑していた。
とことこと『宮本・武蔵』はネットに近づいてきて、サージェにテニスボールを手渡す。
こくり、とうなずいていた。
無言だった。
これは武士の情けである。
傷口に塩を塗り込むことなんてないのである。そういうかのように『宮本・武蔵』とサージェは、理緒の滂沱の涙を振り払うように疾風怒濤(クリティカルアサシン)のように試合を展開させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
ぬう…あれはかの有名な大魔術詠唱式テニス…あれを究めし者は地を裂き空から隕石を落し太古の竜を絶滅させたという…
…確かにボールという遠距離への攻撃手段を手に入れた以上…刀と同じと思わない方がいいだろう…
ところで剣士がテニスプレイヤーになって魔術師になるのはちょっと情報量多いよね…(急に正気に戻る)
…さて…いや『五輪の極み』で守りを固めてテニスボールの大軍で攻撃してくるのは普通に厄介だ…
…とは言え…流石に跳弾能力までは付与出来なかったようだから…
…斥力結界を張って『弾く』事で対処しよう…
そしてこちらから術式で攻撃を重ねつつ五輪の極みを解析…
【崩壊せし邪悪なる符号】で解除を狙うとしようか…
「ぬう……あれはかの有名な大魔術詠唱式テニス……」
知っているのか、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)!
ネオ巌流島にて繰り広げられる猟兵とテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の試合。
嵐渦巻き、青空に雷鳴が轟く。
それほどまでに彼らの試合は凄まじかったのだ。
超人アスリートひしめくアスリートアースにおいても、これほどまでの熱戦は数多くはないだろう。
故にメンカルは、劇画調の顔になってうなずいた。
画風が違いすぎるが、そこはそれである。
「……あれを究めし者は地を裂き、空から隕石を落とし、太古の竜を絶滅させたと言う……」
恐竜絶滅の原因。
それは隕石の衝突。だが、その隕石を招来せしめたのが、かの儀式魔術テニスであったというのは近年の研究においては主流となっていることは、最早周知の事実である。そうなの?
「……たしかにボールという遠距離への攻撃手段を手に入れた以上……刀と同じと思わない方がいいあろう……」
メンカルは冷静に分析していた。
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』。彼の技量は大剣豪であったころと何ら遜色はない。いや、むしろ、スポーツである『テニス』を極め、大魔道士へとクラスチェンジしたことによってさらなる磨きを掛けていることは言うまでもないのだ。
劇画調の顔からいつもの、ちょいぼんやりした顔に戻ったメンカルは頭を振る。
「剣士がテニスプレイヤーになって魔術師になるのは、ちょっと情報量が多いよね……」
いきなり正気に戻るメンカル。
『宮本・武蔵』は、そんな彼女の言葉に笑う。
「そうかもしれんな。だが、我に一部の隙もなし!」
彼の体に刻み込まれた刺青型ユーベルコード『五輪書』が煌めく。
その輝きは彼をほぼ無敵へと昇華する。こうなっては、どんな攻撃だって彼の体勢一つ崩すことはできないだろう。
故にメンカルは彼が二振りのラケットで打ち放つ無数のボールを前に構える。
「……うん、普通に厄介」
無敵たる体躯。
無限の湧出するボール。
さらにはそのボール一球一球に『剣刃一閃』が込められているときたものである。
だが、そこに跳弾能力を付与できなかったというのならば。
「……斥力でもって『弾く』」
メンカルは結界でもってあらゆるものを切断せしめるユーベルコードが煌めく中、斥力でもって触れる前に弾くことを選択したのだ。
テニスコートが切り刻まれ、破片が飛び散る。
「防ぐだけでは勝てぬぞ!」
「……わかっているよ。だから……」
メンカルの瞳が見つめる。
情報を解析する魔術。それによってメンカルは『五輪書』を解析し、崩壊せし邪悪なる符号(ユーベルコード・ディスインテグレイト)でもって、『宮本・武蔵』の無敵性を相殺してみせたのだ。
「ほう、我がユーベルコードを相殺するか!」
「少なくとも無敵ではなくなった……なら」
後は、とメンカルは飛び退く。『宮本・武蔵』をテニス・フォーミュラとして絶対的としているのは、二つのユーベルコードである。
即ち『五輪書』。
その一角を突き崩し、メンカルはさっきの劇画調の顔は一体なんだったんだろうね、とい自問するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
刀を辞めたのはともかく、そこからテニスを始めたのは謎でしかないのだが
とはいえ、強いというのは嘘じゃない……それはよく分かる
背負った大刀【冷光霽月】を抜いて武蔵と相対
大刀の長さを活かして振り回し、テニスボールを切り払い弾き飛ばして武蔵に接近していく
ボールは湧き出てくるといっても、飛ばすには打ち込む必要がある
その動きをよく見れば、大半は凌げるだろう
ボールを捌きながら少しずつと接近。間合いに入ったら剛式・伍の型【払暁】――の寸止め
戦いが長引けば徐々に削られていくから一気に決めたかったが。とはいえ「命のやりとりは無し」って事で
……尤も、武蔵のUCを考慮すると命中しても平気だった可能性もあるが
夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)にとって、それは不可解なことだった。
剣の道を往く者ならば、誰しもが一度は心に浮かべる名。
それが大剣豪『宮本・武蔵』である。
しかし、猟兵としての己の前に立つのはテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』。彼は刀ではなくテニスラケットを二振り持ち、迫る猟兵たちと嬉々としながらボールを追っているのだ。
「刀を置くことはともかく、そこからテニスをはじめたのは謎でしかないのだが」
「さりとて不思議なことではあるまい。なにかに打ち込むこと、それは剣技であろうとテニスであろうと変わりないこと。ならばこそ、我が五体に満たすユーベルコード、我が無敵たる所以を今一度見るがいい」
一度は相殺されたユーベルコード。
しかし、誰が呼んだかテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』は、再びその体に無敵性を宿し、放つ無数のテニスボールに『剣刃一閃』たるユーベルコードを込めて、叩き込むのだ。
背に追う太刀を抜き払い、鏡介は迫る無数のテニスボールと相対する。
太刀の長さを活かして振り回し、テニスボール事態を切り払う。
一度に薙ぎ払えば対処可能。
だが、無限に湧出するテニスボールを打ち込む速度は尋常ならざるものであった。
ラケットの面で捉えてテニスボールは放つものだ。
なれば、その挙動から隙も見えると思っていたが、目の前にいるのは大剣豪『宮本・武蔵』である。
彼はラケットの側面やグリップの底すらも使って嵐のようにボールを放つのだ。
接近できない。
暴風雨のような乱打を前に鏡介は一歩も進めない。
いや、ジリジリと進んでいるが、しかし。
「なんという……!」
「凌ぐか。だが」
迫るボールは無限。触れれば切断されるのだ。これを前に鏡介は一歩前に踏み出す。
傷つくことを恐れていては、何も得ることはできない。
武の頂きを目指す者だというのならば、なおさらである。
踏み出すことは喪うこと。
されど、ここはアスリートアース。
『宮本・武蔵』が喜んだのも頷ける。
人の生き死には関係なく。
勝敗のみをもって決着する世界。血に塗れた道歩まずとも、その道程は必ず高みという極へと至るのだ。
喜ばしいこと以外の何物でもない。
だからこそ、鏡介は踏み込む。
「闇を払う一刀を――剛式・伍の型【払暁】(ゴウシキ・ゴノカタ・フツギョウ)」
振るうは一太刀。
だが、その太刀は『宮本・武蔵』の眼前で止まる。
これはスポーツだ。
生命の取り合いではない。そう、スポーツであれ、武であれ、極めていけば辿り着くは一点。
その一点においてのみ。
それを鏡介は思い出したのだ。
「ふっ……いつの世も求道者の眼差しは煌めくものだな」
「尤も……あなたならば受けても平気であったでしょう」
『宮本・武蔵』は笑う。
これはスポーツなのだ。
ならば、と。
「それは詮無きこと」
「そういうものですか。それが」
刀を置いた理由ですか、と鏡介は伝説の大剣豪を前に得心言った顔を向け、一礼するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
武芸者に語れるほど深い言葉も偉い言葉も無い!
だから、奏でろ!!ララバイ!!!
デモニック・ララバイ【楽器演奏】機体全身から殺戮音叉を発生させ、己が【闘争心】を込めて!ララバイの中で太鼓形態の魔楽機を叩きまくって【斬撃波・衝撃波】で大群のテニスボールを、ホーミングファントムを纏めて【範囲攻撃】で【吹き飛ばし】
戦場を、掻き鳴らせ!!
【追撃】『斬奏抜剣』発動。無数の斬撃波を追加で宮本武蔵へ放ち!
その軌跡に残る音波を【念動力】で操って、ホーミングファントムの跳弾を乱し、更に人工魔眼の超動体【視力】【瞬間思考力】で【戦闘演算】
ボールの跳弾先を操って宮本武蔵への斬撃弾幕にテニスボールでの追撃を加える!!
伝説の大剣豪『宮本・武蔵』。
その偉業、その求道の果てというもはあまりにも有名すぎた。
武芸者として何かを語れるものが己にはない、と朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は思う。
なにか偉ぶった言葉を放つこともできはしない。
己ができることは破壊することのみ。
ならば、言葉はいらないのだ。
「奏でろ!! ララバイ!!!」
小枝子は、手にした魔楽機『デモニック・ララバイ』を奏でる。
機体から発せられる音叉の反響する音は、ネオ巌流島を包み込む。
己の闘争心を音に変えるように太鼓の形へと変貌した魔楽機を打ち据えるのだ。
衝撃波が生み出され、迫る無数のテニスボールを吹き飛ばす。
あれに触れてはならない。
触れれば断ち切られてしまう。一球一球にユーベルコードが込められているのだ。
「ふむ。なるほど。我が打球を尽く触れることなく音波でもって凌ぐか」
『宮本・武蔵』は、ラケットを握りしめる。
重圧が一気に増したようだった。
重くのしかかるテニス・フォーミュラたる所以。渾身の一打は魔球。
どれだけ音波が迫るのだとしても、その打球は音波を見切るように加速し、曲がり、急制動を掛けながら小枝子へと迫るのだ。
「だが、あえて言わせてもらおう! それではその先にへは行けまい!」
「何を……!」
「それはただ戦場をかき鳴らしているだけに過ぎない。単一の音を奏でるだけでは、複雑怪奇なる人の有様を見せることはできないだろう」
故に、と振るう打球の一撃が『デモニック・ララバイ』の躯体を打ち据える。
衝撃が走る。
なんたることだろうか。
ただの打球。
その一打でもって、己の躯体は打ちのめされている。
だが、小枝子は立ち上がる。
どれだけ破壊されても立ち上がる。それしかできないと言ってもいい。如何にボロボロにされようとも、限界を超えるはいつものことだ。
常に壁をぶち抜いていく。
今、『宮本・武蔵』が己に壁を示した。
それでは駄目だと。
ならば、己はそれをぶち抜くのみ。壊すことができないのならば、それ以外を求めることはしない。
「掻き鳴らせ!!!」
斬奏抜剣(クイック・トーン)を振るう。
無数の斬撃波が生み出され、打球を運ぶ。
「自身と世界の協会を探すことはやめることだ。それは理合を阻むものであると知れ」
「何を言っている!」
「わからずとも善い。こればかりは己の感覚。己の肌。己の知覚によって得られるものである。知識ではないのだから」
跳ね返される打球。
その鋭さはましている。受けきれないかもしれない。
けれど、小枝子はテニスコートに残された己の斬撃波の音波を蹴って飛ぶ。
超える。
超えていく。
そうしなければならないというのなら、と小枝子は高く飛び立ち、己のラケットを振るう。
「届け! 自分の全力を!!」
斬撃波と共に小枝子は打球を打ち込む。
届かなくたって良い。いや、届かなくてはならないのだ。できなくて良いことなんて何一つない。
そういうように小枝子は咆哮し、その一打をもって己の限界を超えたのだと示すように『宮本・武蔵』へと叩き込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
レジーナ・ビエルニィ
……そう、エンパイアってのはよく解らないんだけど、始めていいんだよね?
まずは相手の先制テニス弾幕に対してバトロワ式アサルトライフルによる凍結弾幕での侵入阻止の迎撃で対抗する。勿論、直接相手は狙わないよ
一応跳弾で動き回るテニスボールに対しても弾幕と、他のボールが凍結してることである程度は軌道の制限と時間稼ぎにはなる筈だし、何とか反応する
凌いだらUC【迎撃態勢】を取る
もう一度相手の攻撃でテニス弾幕を繰り出してきても、今度は全部正確に撃ち抜いて凍結させ相殺し止めて、ボールを精確に打ち返してく
あなたの前歴がどうとかは今の試合に関係してこないなら別に構わない
大事なのは、今、この時、この勝負だから。
「……その、エンパイアっていうのは良く解らないんだけど、始めていんだよね?」
猟兵たちとテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の闘いは苛烈を極めた。
いや、人死には出ていない。
なぜなら、これは儀式魔術テニスであるからだ。スポーツだからだ。
如何に殺人的なスポーツであっても、超人アスリートひしめくアスリートアースに置いては、この程度日所茶飯事。
故にレジーナ・ビエルニィ(雪女のバトロワシューター・f37984)は、伝説の大剣豪『宮本・武蔵』が大魔道士になっていても、テニスプレイヤーになっていても、特にたじろぐことはなかった。
むしろ、いつも通りである。
迫る無数のテニスボールの乱打。
嵐のようにユーベルコードを込められたテニスボールが迫っている。
だが、レジーナは構わない。
どんなに打球が己を襲うのだとしても、彼女は己のバトロワアサルトライフルを構える。
凍結弾丸でもって迫る乱打を尽く凍結させるのだ。
凍結させたボールは後続のボールを切り裂きながら、さらに迫っている。
「……凍結させて制限できると思ったけど」
「むしろ、触れたものを切断するユーベルコード故、無意味であるが!」
「でも、球の軌道は見えるし、一度切断したのなら、そのボールはもうただのボール」
ならば、とレジーナは『ペンペン君シューズ』でもってテニスコートを疾駆する。
滑るように、華麗に彼女は踏み込み、テニスラケットを握りしめる。
打ち返した球は凡庸な一打だった。
ラリーを続けるためだけに打ち返された一打だった。
「……何か、狙っているな?」
「……すぅ」
息を吸い込む。
深呼吸。瞳を閉じる。それは瞬きに満たぬ時間であったけれど、レジーナにとっては十分な時間だったのだ。
そう、あえて凡庸な一打を返した。
だが『宮本・武蔵』は必ずや踏み込んで打ち返してくるだろう。その一打の強烈さは言うまでもないものだ。
だからこそ、レジーナはその一打の間に迎撃態勢(カウンタースタイル)を整えたのだ。
「ならば、あえて誘いに乗らせていただく!」
打ち込まれるスマッシュ。
強烈なる一打。
レジーナの瞳が見開かれる。
瞳輝くはユーベルード。
迫るは無数のテニスボール。
たしかに先程は凍結で持って僅かに止めることしかできなかった。けれど、今は違う。
先程の一撃でレジーナは『宮本・武蔵』のユーベルコードを正しく認めていた。ならば、如何に跳弾してくるホーミングファントムであってもレジーナは反応できる」
「……全部。止めきってみせる」
彼女の放つ弾丸が無数のボールを一気に連鎖的に凍結さえ、止める。
そして、その間隙を縫うようにして圧倒的な精度でもってレジーナはラケットを握り、跳弾し迫る一打を打ち返すのだ。
見事な打ち返し。
「あなたの前歴がどうかとかは、今の試合に関係してこないから別に構わない」
「然り」
「大事なのは、今、この時、この勝負だから」
レジーナは己の全てを掛けたように打ち返したのだ。
その見事な反応に『宮本・武蔵』は称賛を送るように、コートのうちに跳ねるボールを目で追い、彼女の言葉に頭を垂れるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
むう!創作でも意外と観たこと無いラケット二刀流!
まあバット二刀流で野球やるよりは説得力あるー?
●うけよかみのちから?
ならばそのきわみのせいずいみきわめてしんぜよう
なんて言おうとしたけど舌を噛みそう!
武力の世界では“機|《タイミング》”こそがキモだっていうね
じゃあボクの勘【第六感】で機を読むボクをキミに越えられるかな!
と【第六感】ですっとんでくる超魔力球を回避し…
ボールは無限でもキミの腕は二本だけ!
とばかりにUC『神パンチ』でボールを打ち返しながら反撃してドーーーンッ!!
どんなゲームもいつか終わりは来る…
でもだからこそ次来るゲームが楽しめるってものさ!
そう思わない?
二刀流。
それは人間の腕が二本あるからこその限界点であろう。
手数が全てを決するというのならば、その腕にラケットを二本携えるのは、当然の帰結であったのかもしれない。
けれど、それを自在に手繰る事ができるのとは問題が異なる。
誰もが思いつくが、誰もが出来ることではない。
それが『二天一流』である。
「むう! 創作でも意外と観たことないラケット二刀流! まあバット二刀流で野球やるより説得力あるー?」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は首を傾げる。
無理ななからぬことである。
かつてサムライエンパイアにおいては知らぬ者など居ないほどに名を馳せた大剣豪『宮本・武蔵』が今やアスリートアースにおいてはテニス・フォーミュラなのである。
何がどうなればそんなことになるのか。
ハッキリいってさっぱりわからない。
「自然このような形になったが故。言葉にすれば陳腐であろうが、我が剣技とテニス、その精髄を受ければ自ずと理解もできよう」
「うっ、なんか舌噛みそうなコト言ってるけど、よく言い切ったね!」
「これもまた修練の賜物なれば」
「なら、来なよ1」
かもん、とロニはラケットを揺らして『宮本・武蔵』の一打を誘う。
放たれた一打は凄まじいものだった。
無数のテニスボールが二振りのラケットによって打ち込まれ、まるで嵐のようにロニに迫るのだ。
触れればあらゆるものを断ち切るユーベルコード『剣刃一閃』の込められし打球。
これが無数に打ち込まれているのだ。
そして、その奥にきらめくはユーベルコード。
『宮本・武蔵』の必殺打球。
合わせたラケットより生み出される極大魔力の塊のような一撃が嵐をも切り裂くようにロニめがけて飛ぶのだ。
「武の世界では“|機《タイミング》”こそがキモだっていうね!」
だから、とロニは踏み込む。
己の第六感。
これによって機を読む己を超えられるか、と迫るボールを神パンチ(カミパンチ)でもって打ち返す。
「どんなゲームにもいつか終わりは来る」
だが、だからこそ次なるゲームを楽しむことができる。
この試合だってそうだ。終わりは必ずやってくる。
ならばこそ、とロニはボールを打ち返しながら、迫りくる極大魔力の塊たるボールをラケットでもって受け止める。
凄まじい魔力によってラケットが保たないだろう。
けれど、ロニはそのラケットを蹴り上げるようにして二本の腕では足りぬ力を足でもって加え、ボールを『宮本・武蔵』へと叩き返すのだ。
「だから、次のゲームに期待したくなるし、楽しめるって思うんだよ。キミもそう思わない?」
明日も続くゲーム。
それは戦いに明け暮れ、明日をも知れぬ毎日を過ごした、過去とは違う。
今日も明日も、その先も。
ずっと続く、武の頂きを目指す喜びを示すものだった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
超克…オーバーロード!
外装転送、模造ラケット神器全抜刀!
危ない所だった…
ラケット二刀流でごりっごりにネタが被る所だった…
いやそんな事ある???
二天一流がテニス選手になってラケット二本持つとか普通想定出来る???
出来ませんでした
まあこれでこっちは四刀流
そっちより手が多い!
テニスボールの大群+先制攻撃、随分と太っ腹な攻撃じゃん
テニスボールの大群は剣刃一閃が込められているけど、所詮はそれだけ!
軌道を変化するような技じゃない…なら!
ラケット四刀流で『斬撃波』を放ちテニスボールを『吹き飛ばし』続ける!
そして相手を吹き飛ばす程の超魔力球…例え吹き飛ばされてもこれはテニス!
弾いて相手のコートに入れればゲームは継続
『オーラ防御』でラケットを強化、四本のラケットを束ねて弾き返す!
私は吹き飛ばされるけど…次でスマッシュを決めれば問題ない!
【断章・機神召喚】起動
『念動力』で腕を操り、巨大模造ラケット神器を構える
四刀流じゃない…五刀流だ!
返って来たボールを『カウンター』
ネット際でスマッシュを決める!
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は冷や汗をかいていた。
迫るテニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』の放った打球に、ではない。
そう、彼女が焦っていたのはラケット二刀流がごりっごりにネタ被りしそうなことに対して焦っていたのだ。
そんなことある?
あるのである。
「でも、大丈夫!」
え、ここからでもどうにか出来る方策があるんですか?
「そう、超克……オーバーロードならね!」
外装が転送され、模造ラケット神器が抜刀される。
テニス・フォーミュラ『宮本・武蔵』がラケット二刀流の『二天一流』なのならば、玲は外装副腕を含めた四振りのラケットでもって四刀流である。
本来ならば、いつも通り二振りのラケットで二刀流でよかったのだ。
だが、誰が想像できただろうか。
『二天一流』がテニス選手になってラケットを二本持つとか、普通想定できない。
玲にはできなかったのである。
だが、結果オーライ。オーバーロードが全部解決してくれる。
そう、真の姿たる玲の振るう副腕を含め、さらには模造神器をラケットに改造して振るう姿は、正しく猛威。暴風の化身そのものであったことだろう。
「これでこっちは四刀流! そっちより手が多い!」
「単純ながら、確かに数は負けよう。しかし、速さでは負けぬよ! 受けるがいい。無限のボールによる乱打を!」
迫りくる無数のボールを玲は四振りのラケットで斬撃波を放つ。
そう、あの一球一球にはユーベルコード「剣刃一閃』が込められている。触れれば切断する絶技であるが、触れなければどうということはない。
しかし、これがテニスである以上、ボールにはラケットが触れねばならない。
触れたら切断する力。
なら、ラケットさえも切断せしめるだろう。
故にラケットで直接受けられないのならば、触れないように斬撃波でもって吹き飛ばせば良いのだ。
「だが、それだけで我が魔球を凌げる道理にはなるまい! 受けよ、我が最高の一打!!」
『宮本・武蔵』の放つ極大魔力の塊。
それは儀式魔術テニスにおいて、最大の魔力であったことだろう。
まともに受ければ、こちらがボール毎吹き飛ばされかねない一撃。しかし、玲は笑う。
そう、たしかにまともに受ければ、だ。
「でもこっちは四本あるからね! これをこうして、こう!」
重ねたラケット。
四本のラケットでもって凄まじい威力の一打を受け止めたのだ。一本であったのならば押し負けただろう。
けれど、玲には都合四本のラケットがある。
「なんの!」
恐るべきは『宮本・武蔵』である。
彼の一打は四本のラケットであっても、玲の体を吹き飛ばしたのだ。
宙をボールと共に舞う玲の体。
そのままコートの外まで飛び出せば、『宮本・武蔵』の勝利である。
だが、玲は笑ったのだ。
「勝利を確信して笑うなんて、二流のやることだよね!」
「……!?」
「私はたしかにコートの外までぶっ飛ばされてるけどさ! ボールはコートの地面につくまでわからないもんだよ! ならさ!」
ユーベルコードに煌めく瞳。
四本のラケットでは防ぎきれなかった。
ならば!
「四刀流を超える……五刀流だ!」
その言葉と共に現れるは、断章・機神召喚(フラグメント・マキナアーム)によって呼び出された巨腕である。
その巨腕は玲の動きをトレースするようにして巨大ラケットを掲げる。
でかければでかいほど良い。
玲のラケットで受け止め、宙を舞うボールを巨腕のラケットが捉える。
「だが、我がその一撃を返せば勝利は我が物ぞ!」
「これで決めれば問題なし! さあ、いくよ!」
念動力が発露する。
巨腕をコントローするためには、膨大な力が必要となるし、『宮本・武蔵』の放った打球は強烈過ぎた。
故に限界を超える。
「こなくそぉ!!」
だっしゃー!! と玲は気合一閃をもって打球を打ち返す。
空が震えるほどのスウィング。ラケットが大気を切り裂く音が轟音となって放たれ、打ち返した打球を包み込む。
圧倒的な速度に『宮本・武蔵』は反応できたが、しかし、伸ばしたラケットがへし折れる。
「なんと……!」
「そう簡単に私の全力を込めたスマッシュが受け止められてたまるもんかい! 二刀流を超えた四刀流……いや、五刀流だよ!」
これが、と示すように支えきれなかったラケットごとボールがコートに沈み、ネオ巌流島は、猟兵たちとの激しい戦いを物語るように、最後のスマッシュの一打でもって猟兵たちの勝利を示すように砕かれるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵