●道中
少年と少女が、寒風吹き荒れる雪原を抜けて行く。
背には籠、手には鎌。先を行くのは、少女の方だ。
「いっちごーいっちごー」
なんてご機嫌に歌いつつ、鎌をぶんぶん振り回している。
「ちょ、ちょっと、待て、よ……!」
対して、少年の足取りは重く、ついにはその場でしゃがみこんだ。
「なんだ、無理についてこなくていいのに」
少女が首を傾げつつ振り返ると、少年は慌てて立ち上がる。
「ひ、ひとりで行かせられるかよ! お前が向かおうとしている先は岩壁なんだ、危険なんだぞ! 危ないんだぞ!」
「それ、意味同じだし。ていうかそんなのわかってるから、岩壁を登るための準備も対策もしてる……ん? やば、伏せて!」
少女の言葉に、少年は素早く反応する。二人が伏せると、頭上を大きな鳥が飛んで行った。
「……まずいわね」
「ひ、引き返そうぜ。アレはさすがにやばいだろ……!」
腰がひけている少年に対し、少女は諦めきれないように雪原の先を見つめていた。
●グリモアベースにて
「果物は好き? なら、莓はどう? ……うんうん、その顔はつまりそういうことだね、おっと、『皆まで言うな』ってやつだよ。あのね、是非お願いしたいことがあるんだ!」
佐伯・キリカ(陽気な吸血魔法使い・f00963)は身を乗り出し、依頼の内容を説明し始める。
「すっごく美味しい莓が取れる場所が、アックス&ウィザーズ世界にあるみたいなんだよ。見た目は木苺に似ていて、甘さと酸っぱさの加減が絶妙、舌触りは滑らか、何よりほんの少し凍っているから天然のソルベみたいなんだって!」
けれど莓の自生地は岩壁。吹き付ける雪はもちろん、岩も凍結してかちかちのつるつるで、とても足場が悪い。
とはいえ付近の集落に住まう人々はたくましく、それがどうしたと莓を採集しにいく者が後を絶たない。当然危険なことは把握しているから、誰もが十分に対策をして向かう。
「問題は、オブリビオンなんだよ。岩壁に向かう途中の雪原に、強力な集団を作った個体がいてね。名を『暴食』のフィーラ、といって、食のためには手段を選ばないオブリビオンらしいんだ。今回は、莓を独り占めするために雪原を拠点としたみたいだね。猟兵のみんなには、このフィーラを倒して欲しいんだよ」
さらに、彼女が従えているのは魔力を含有した『氷凝鳥』。この氷凝鳥はフィーラを守るように付近を警戒しているというから、まずは彼らを倒す必要があるだろう。
「氷凝鳥を倒してフィーラも撃破したら、ぜひ莓の採集も楽しんできて欲しいな。ちょっと危ない場所だけど、何せ君たちは猟兵! いろいろ工夫すれば、採集しやすくなるはずだよ。それじゃ、今回もよろしく!」
と、キリカは猟兵たちをアックス&ウィザーズ世界へ送り出した。
雨音瑛
雨音・瑛です。
今回はアックス&ウィザーズにてどうぞよろしくお願いいたします。
●シナリオの流れ
第1章 『氷凝鳥』との集団戦。
第2章 ボスとの戦闘。
第3章 日常。岩壁で莓狩り。
●補足
時間はこちらでいう午前10時頃。天候は雪。
戦闘する場所は、岩壁近くの雪原。そこそこ雪が積もっています。
2章・3章開始時に、何かしら冒頭に記述する予定です。
途中参加もお気軽にどうぞ!
第1章 集団戦
『氷凝鳥』
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POW : 爪の一撃
【非情に素早い突進からの爪】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 氷柱雨
レベル×5本の【氷】属性の【鋭利な結晶体】を放つ。
WIZ : 大空を舞う
【空高く飛ぶことで】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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シン・ドレッドノート
連携、アドリブOKです。
子供たちが安心して苺を採りに行けるよう、オブリビオン退治と行きますか。
『狐の宿』の皆さんに苺のお土産を持って帰りたいですし。
雪原に映える真紅のマントを翻して立ち、敵の注意を惹きつけたら、【乱舞する弾丸の嵐】を発動し、右手の真紅銃と左手の精霊石の銃を複製、周囲に展開後、【異次元の狙撃手】による狙撃を行います。
「目標を狙い撃ちます!」
怪盗の単眼鏡で敵を各個にロックオン。真紅銃からは熱線、精霊石の銃からは火の精霊による弾丸を発射。射程ギリギリから狙撃していきます。
敵の攻撃はマントを翻してフェイント回避、もしくは閃光の魔盾で盾受けすると同時に、カウンターの射撃を撃ち込みます。
アルバ・ファルチェ
《SPD》
他の人との絡み、アドリブ歓迎
見た目は綺麗な敵なんだけどね…人を害するなら容赦はしないよ!
氷柱雨には『Molti Scudi』で対抗。
仲間を守るように展開するよ。
足りなければ【かばう】からの【盾/武器受け】も使って防ぐ。
【激痛耐性】や【氷結耐性】もあるし、【オーラ防御】や【見切り】もあるからダメージは最小限に出来るはず。
僕の前では傷つけさせたりしないんだから。
敵の動きを【戦闘知識】で予測したり、【情報収集】でなんとなくでも理解出来たら対応しやすくなるかな?
【地形の利用】も使って囲まれたりしないようには気をつけるよ。
コルノにはいつも通り【援護射撃】を頑張ってもらおうかな。
アガーテ・エルツ
天然の苺ソルベ…どんナ味なのデショウ?
私モ食べテみたいデスが、
何よりお子サン達ガ再び楽しめル様にしたいデス
【POW】
「鉱糸」を使いマス
素早く強い一撃モ当たらなけれバ良イ
ならバ近寄られル前に此方から攻撃ヲしまショウ
十分に距離ヲとり、突撃ノ仕草より疾ク「先制攻撃」ヲ
「2回攻撃」ヲ「全力攻撃」する事デ、突進ヲ止めマス
連携を意識し、
同行の人ヲ攻撃しようトしている対象が居れバ優先して狙いマス
行動中ハ転ばなイ様に注意デス
*アドリブや同行者交流歓迎デス
デンドリティッククオーツのクリスタリアン、アガーテ・エルツは雪原に足を踏み入れ、首を傾げた。
「『天然の苺ソルベ』……どんナ味なのデショウ? 私モ食べテみたいデスが、何よりお子サン達ガ再び楽しめル様にしたいデス」
喜怒哀楽が未発達ゆえ無表情のままだが、黒曜の瞳は好奇心を刺激されたように輝いている。
「そうですね、まずはオブリビオン退治といきましょうか。無事に退治できたならば、『狐の宿』の皆さんに苺のお土産を持って帰るとしましょう」
同意するのは、年齢不詳のシン・ドレッドノート。女性とも男性とも判別のつかない整った顔には穏やかな笑みが浮かんでいる。
「おっと、向こうもこちらを敵と認めたみたいだね。見た目は綺麗なんだけど……人を害するなら容赦はしないよ!」
灰色の空に青い鳥たちが舞うのを見て、盾の騎士、アルバ・ファルチェは身構えた。
ところどころに透き通る氷塊が見える鳥たちの名は、氷凝鳥。今回、猟兵たちが最初に仕留めるべき相手だ。
「コルノは援護射撃、よろしくね」
小さな翼と立派な角が自慢のドラゴンランス「コルノ」に声をかけ、アルバは氷凝鳥の動きに注視し始める。
では、と最初に動いたのはアガーテだった。けれど、駆け出すわけではない。氷凝鳥との距離を充分に取ったまま、先制攻撃のタイミングを狙っているのだ。
雪を踏みしめ、転倒しないようにとしっかり足場を確保する。
「こんナ事も出来マス」
やがてアガーテの間合いに入った氷凝鳥が、傾いた。見えぬ鉱石の糸が、氷凝鳥の足を絡め取ったのだ。アガーテはそのまま引きずり下ろすように糸を引き、全力で雪原に叩きつけた。氷凝鳥が動かなくなったのを確認しながら、次の標的に狙いをつける。
「今のうちデス」
二人を攻撃しようとする氷凝鳥がいれば、優先的に鉱糸を絡ませては落とすアガーテ。
一方のシンは、真紅のマントを翻して雪原に立つ。
「ありがとうございます、アガーテさん。……とはいえ、任せっきりというのも性に合わないんですよね。さあ、こちらですよ!」
敢えて敵の注意を引きつけ、シンは両手の銃、その銃口を氷凝鳥へと向けた。
「ターゲット、マルチロック…目標を乱れ撃つ!」
シンの周囲に、真紅銃と精霊石の銃が瞬く間に複製されてゆく。氷凝鳥は、狙いを定めるようにホバリングしている――と、シンが判断したその時、氷凝鳥の周囲に何か煌めくものが見えた。
300にも及ぶそれは、鋭利な結晶体だ。冷気を纏い、流星のように落ちてくる。
「僕の前では誰も傷つけさせないよ」
アルバの装備する盾「Scudo di Orgoglio」と「Ali e Croci」が、それぞれ30近くも複製される。降り注ぐ氷柱の雨を弾きつつ、アルバは氷凝鳥の動きに警戒する。
「流石に全部は受けきれないから、確実にこちらに来るものだけ弾いてるよ!」
「助かります、アルバさん」
マントを翻しながら氷柱の落ちた場所を進むシンは、複数の氷凝鳥を怪盗の単眼鏡で捉えた。
「目標を狙い撃ちます!」
先ほど複製した真紅銃からは熱線を、精霊石の銃からは火の精霊による弾丸を撃ち出せば、まるでそれが当然の成り行きであったかのように氷凝鳥が次々と落ちてゆく。
順調、と思われる中、突如氷凝鳥の1体がアガーテの背後から迫った。他の個体に姿を潜めつつ飛来したのか、あるいは高高度から一気に距離を詰めたのか。原因を思案している余裕はない、既にその距離は30cmを切っている。
「――っ! 危ない、アガーテちゃん!」
盾ひとつを手に、アルバはアガーテと氷凝鳥の間へと割り込む。氷凝鳥の鋭い爪は盾を抉り、盾を持つアルバの手へも及んだ。
「ありがとうございマス。……大丈夫デスカ?」
「平気平気、これくらいなんてことないよ」
アルバが浮かべた人懐っこい笑顔は、決して無理をしているものではない。激痛と氷結への耐性もあれば、オーラ防御も用いてダメージを軽減しているのだ。剣もかくやという鋭い爪が通過したはずの腕は、軽く引っ掻かれた程度の傷で済んでいる。
それでも、まだまだ氷凝鳥の数はかなりのもの。もう少し、戦闘を続行する必要がありそうだ。
再び降り注ぐ鋭利な結晶体を、今度は閃光の魔盾で受けるシン。
氷凝鳥が連なるように並んだその時、熱線が彼らを貫く。
降りしきる雪が真紅銃の銃口に触れると、一瞬にして蒸発した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
霄・花雫
【灯くんと】
苺食べたーい!ねっ、行こ!
甘酸っぱくてソルベみたいになってるんだってー!
行こう行こうとねだって遠慮なく手を掴んで引っ張って来た友達と。
む、あたしの前で空中戦しようなんていい度胸じゃない。鳥にだって負けないんだから!
行っくよー!姫ねぇさま、叩き落としちゃえ!
風の精霊姫を喚び、高く飛んで避けようとするなら上から叩き落としてしまえとばかりに毒を纏う風でダウンバースト【早業、空中戦、毒使い、全力魔法】
【第六感、野生の勘、見切り】で動きを予測して、避けられないように【誘惑、フェイント】で惑わせてくよ。
地上に落としさえすればおっけー!あとは灯くんお願いっ!
皐月・灯
【花雫と同行】
……いきなり手ぇ引っ張るから何かと思ったら……あのな。
まあ、いいけどよ。来ちまってるし、その苺ってやつも気にな……っ!
……いや、その。べ、別に、んな興味はねーけどな!
……拳じゃ流石に届かねーか。
翼がねーのは構わねーが、こういうときは面倒だ……なんてな。
普段なら、ここで手を考えるところだがよ。
お生憎だな、鳥ども――花雫の風は変幻自在だ。
高度上げて逃れられる程、アイツの「ヒメネーサマ」は甘くねーんだよ。
そんでこのオレも、隙を見逃すほど甘かねーってな!
ダウンバーストで振り落とされたところに、
【全力魔法】で《猛ル一角》を発動するぜ。
拳で虚空を打って「衝撃波】を放ち、風と衝撃で挟み撃ちだ!
嬉しそうに話す霄・花雫に手を引かれ、皐月・灯は雪の上を駆ける。
「莓食べたーい! ねっ、行こ! 甘酸っぱくてソルベみたいになってるんだってー!」
「まあ、いいけどよ。来ちまってるし、その莓ってやつも気にな……っ!」
そこまで言って、灯は言葉に詰まった。咳払いひとつ、立ち止まって続ける。
「……いや、その。べ、別に、んな興味はねーけどな!」
言い切ってそっぽを向けば、視線の先には氷凝鳥の群れ。花雫の手が離れると同時に、灯は橙と薄青、二色の瞳で敵を観察する。
こちらは地上、あちらは空中。流石に拳が届く距離ではない。
翼が無いのは構わないが、こういう時ばかりは面倒だと思う灯だ。普段ならここで手を考えるところであるが、今日は事情が異なる。
なにせ、隣には精霊術士のスカイダンサーがいるのだ。空中戦に不安などなく、むしろ当然の結末があるだけにすら思える。
実際、花雫も強気の笑みを浮かべて上空を見ていた。
「あたしの前で空中戦しようなんていい度胸じゃない。鳥にだって負けないんだから!」
八重歯をのぞかせた花雫が喚ぶのは、彼女が「姫ねぇさま」と呼ぶ風の精霊だ。
「行っくよー! 姫ねぇさま、叩き落としちゃえ!」
高高度へと向かう氷凝鳥を、花雫の声援を受けた精霊が見定める。氷凝鳥の動きは速く、下降にも似た速度で上昇してゆく。
しかし、花雫はそれを余裕の表情で見守っていた。
「逃げても無駄だよ。その動き――見切った!」
花雫の指示のもと、風の精霊は空中を舞うように飛行する。
「お生憎だな、鳥ども――花雫の風は変幻自在だ。高度上げて逃れられる程、アイツの『ヒメネーサマ』は甘くねーんだよ」
そう呟く灯の口角が上がった。無論、灯とてただ花雫と精霊の動きを見守っているだけではない。
「今だよ! 上から叩き落としちゃえ!」
やがて氷凝鳥の動きが鈍り始めた頃、精霊が毒纏う風で全力のダウンバーストを起こした。その凄まじい圧に、氷凝鳥たちは為す術なく下方へ圧されてゆく。
「あとは灯くん、お願いっ!」
「任せろ、隙を見逃すほど甘かねーってな!」
氷凝鳥との距離が想定の範囲になったその時、灯は高らかに告げる。
「アザレア・プロトコル1番――《猛ル一角》!」
こちらもまた、全力。術式を籠めたを以て、真下から迎え撃つ。
上からは風、下からは衝撃波。二人の圧倒的な連携だ。
氷凝鳥たちは弾けるように飛ばされ、1体、また1体と無様に雪原へ落ちてゆくのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
フレズローゼ・クォレクロニカ
🍓ミモザちゃん(f0033)と!
アドリブ等歓迎
よーし!ミモザちゃん!美味しい苺、食べにくよ!
ボク、苺だーいすき!
それに苺はボクの名前の一部、特別なのさ!
気合いも自然に入っちゃうよ!
ひゃ、冷たい風!大きな氷の鳥!
綺麗だけれど……乙女のいちご狩りの邪魔はさせないんだ!
ミモザちゃん、凍ったりしないでね
ミモザちゃんを鼓舞
空中戦で飛び上がり、攻撃は見切りで躱して、オーラ防御でいなしていくよ
炎の属性を込めて全力魔法、描くのは灼熱の薔薇さ!飛ばして放って攻撃して、女王陛下は赤が好き、でばーんと爆破!
敵との間合いには気をつけて、深く入り込まないようにする
冬は終わり、春が来る
キミの冷気ごと、塗り替えたげる!
ミモザ・クルセイル
フレズローゼ(f01174)さんと行動
他猟兵との協力やアドリブ行動も歓迎
【SPD】
◼️行動
これは…大きな鳥さんですね
凶暴そうです
しかし村の子供達(と莓)の為にも負けられません!
(鼓舞されてやる気がアップ)
技能「氷結耐性・ダッシュ・スライディング・地形の利用」で寒さ軽減&攻撃回避を狙い、崖の際や窪みや雪溜まりを見つけ防御に活用を図ります
回避の際はフレズさんの手を繋いで引き込むなど、お手伝いができれば
フレズさんの攻撃で敵が弱ったら「スナイパー・二回攻撃」を付けて
UC『斥候の一撃』を発動、靴も脱いでより効果的な援護を狙います
氷は全てを美しく閉じ込める物
輝きに惹かれますが…終わらない冬はないのですから
雪原を吹き抜ける冷たい風に、フレズローゼ・クォレクロニカは身震いした。けれど、と空を舞う青い鳥を眺める金の瞳は、強い意志に満ちている。
「ミモザちゃん! 美味しい莓、食べようね!」
フレズローゼは、莓が大好きだ。それに名前の一部でもあるから、莓は彼女にとって特別なもの。自然と気合いも入ってしまうというもの。
「はい、莓、食べましょう! しかしこれは……大きな鳥さんですね。しかも凶暴そうです」
ミモザ・クルセイルが空を見上げ、小さく息を吐く。薄若葉の瞳は、静かなれど確かに決意に燃えていた。
「うんうん、それに綺麗だけれど……乙女のいちご狩りの邪魔はさせないんだ! ミモザちゃん、凍ったりしないでね!」
「はいっ、村の子供達の為にも負けられませんし!」
フレズローゼの鼓舞にいっそうやる気を出しつつ、ミモザは動き出した。
まずは氷結耐性にて寒さを軽減した、窪みを見つけて駆け込む。そこからは、フレズローゼの援護に動くつもりだ。
接近する氷凝鳥の動きを見切り、羽の一部でも触れようものならオーラ防御でいなすフレズローゼ。羽ばたいて空中戦を仕掛けるフレズローゼは、都度的確に対処してゆく。
「さー、いっくよー!」
全力の魔法は炎の属性、けれど距離には気をつけて。灼熱の薔薇を描いて発露した魔法は、青い鳥に赤い炎を灯らせる。
フレズローゼの攻撃で弱った氷凝鳥を、クロスボウにて狙いを定めるミモザ。靴を脱ぎ、より早い射出を狙う。
「駆け抜けてみせます!」
放たれた矢は2本。炎の灯った氷凝鳥
氷は全てを美しく閉じ込めるもの。その輝きに惹かれないわけではないミモザだが、ふと表情を緩める。
「……終わらない冬はないのですから」
そう呟くミモザが空を見上げると、羽ばたく氷凝鳥の周囲に冷気が収束してゆくのが見えた。
直後、数百もの鋭利な結晶体がミモザ目がけて降り注ぐ。雪原に突き刺さる氷の結晶は雪煙を巻き起こし、ミモザの姿を覆い隠した。
「み、ミモザちゃ――!」
慌てて降下しようとしたフレズローゼであるが、雪煙の中に、ひときわ輝く白肌と白髪が見えて留まる。
「大丈夫です、フレズさん!」
「よ、よかったぁ……!」
手を振る少女を見て胸をなで下ろし、フレズローゼは氷凝鳥へと向き直った。
「ミモザちゃんが無事だったとはいえ、許さないんだよ! ――枯れ木に花を咲かせるように、美しい《赤》の世界を描きだしてみようか!」
フレズローゼの装備している武器が、赤と白の薔薇の花びらへと変じてゆく。
合図は一瞬、宙を舞う赤薔薇の花びらはそこかしこで、氷凝鳥の羽毛へと入り込んだ白薔薇の花びらは内側から爆発を起こした。
「冬は終わり、春が来る。キミの冷気ごと、塗り替えたげる!」
こちらは無事と手を振るミモザに笑みを向け、フレズローゼは落ち行く氷凝鳥の群れを見遣る。
猟兵たちの圧倒的な攻撃の前に、氷凝鳥たちは我先にと逃げ出し始めていた。
成功
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第2章 ボス戦
『『暴食』のフィーラ』
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POW : あらぁ〜、食べて良いんですかぁ〜?やったー!
自身の【何かを食べたい欲望】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : わたし〜、おなかが空きましたぁ〜
自身の身体部位ひとつを【口のみが存在する伸縮自在】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : いただきまぁ〜す♪
【隠し持つ調味料】が命中した対象に対し、高威力高命中の【噛みつき攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
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「あらぁ〜、何ごとですかぁ〜?」
手にした籠からクッキーひとつを摘まみ、『暴食』のフィーラは雪原に降り立った。
「まぁまぁまぁ、氷凝鳥たちがいなくなってるじゃないですかぁ〜、困りましたねぇ〜」
言いつつクッキーをひとつふたつみっつ、立て続けに食べるフィーラ。猟兵たちを見渡すのはそのついで、と言わんばかりだ。
「莓を食べる邪魔をされるのは嫌ですしぃ〜、ここはわたしが戦うしかなさそうですねぇ〜」
きりっ、としたかと思えば、すぐにふにゃっと笑って。
「戦うよりも食べていたいんですけどぉ〜、仕方ありませんよねぇ〜。さぁ、かかってきなさい〜!」
小宮・あき
暴食のフィーラ、初めて対峙します。
依頼は出遅れてしまいましたが、その分役立てるよう気を引き締めて参ります!
(第2章から参加。連携・アドリブ歓迎です)
●WIZ
後衛、火力大砲型。基本前衛には出ません。
一定の距離を取り【全力魔法】で【早業】のUCジャッジメント・クルセイドを撃ちます。
両手杖を握りながら向ける指先は判り難いはず。【だまし打ち】。
隠し持つ調味料かあ。隠し持つ…【視力】でしっかりと動きを見ておきましょう。
敵の投擲距離が判りませんが、物理距離を保ちつつ、注意を怠らないように。
【聞き耳】で周囲の音や相手の動きに気を配り、
【第六感】【野生の勘】を信じ【ジャンプ】【ダッシュ】【逃げ足】で回避。
シン・ドレッドノート
アドリブ連携OKです。
スナイパーで援護射撃をメインに行動します。
「ターゲット・ロックオン!目標を狙い撃つ!」
【真紅の狙撃手】を発動。
【異次元の狙撃手】による狙撃&行動阻害を行います。
相手が空中でも、射程では負けません。
常時ビームを展開した閃光の魔盾で防御しつつ、ビームの隙間から狙撃します。
アタッチメントを装着してスナイパーライフル仕様にした真紅銃でフィーラを狙撃。
まずは羽根を狙って飛行能力を奪い、味方が攻撃しやすいようにします。
「貫け、真紅の衝撃!」
地上に降りた後も引き続き狙撃し、3発の銃弾をヒットさせて攻撃を封じていきます。
後は味方の行動タイミングに合わせて狙撃し、気をそらして援護しますね。
アルバ・ファルチェ
これが普通の女の子だったらお茶のお誘いのひとつでもするんだけど、皆と仲良く出来ずに独り占めしちゃう悪い子にはお仕置きしなきゃね。
(絡みやアドリブ歓迎)
仲間への支援、防御を主に。
攻撃はなるべく、第六感にも頼って見切る。
見切り損ねたものも武器や盾で受け、オーラで防御する。
仲間がいた場合は庇うことも忘れずに。
おびき寄せや誘惑、存在感で引きつけることも出来そうであれば試みる。
ドラゴンランスのコルノには援護射撃で仲間の支援。
自分も余裕があればカウンターなどで攻撃をするが、防御が、疎かにならないように気をつける。
怪我をした人が出ればAmour Gratuitや医術での回復も試みる。
アガーテ・エルツ
食べる事ヲ楽しむのハ悪い事でハないと思いマス
でも、独り占めはイケマセン
皆で食べるノも、キット美味しいと思いマス、よ?
【WIZ】
『エレメンタル・ファンタジア』を使いマス
「炎のつむじ風を」で、まずはフィーラの籠を狙ってミマス
調味料が籠以外の所にありそうナラ、それモ
クッキーや調味料を燃やす事デ
意欲を削いだり、そちらニ意識をやり隙を作るのガ狙いデス
「フェイント」を折りまぜて「全力」で臨みマショウ
*アドリブや皆サンとの連携歓迎シマス
シン・ドレッドノートは、閃光の魔盾を展開しつつフィーラを見据える。
攻撃が来る、と判断したのだろう、羽ばたき始めたフィーラをシンがそのままにするはずがない。
「貫け、真紅の衝撃!」
フィーラの動きを感知するが早いか、シンはビームの隙間から狙いを定める。たとえ相手が空中にいようと、射程距離で負けるつもりはないシンだ。
その証左に、口元の笑みはまだ消えていない。
「ターゲット・ロック…目標を狙い撃つ!」
アタッチメントを装着した真紅銃は、いわばスナイパーライフル仕様。さらに怪盗の単眼鏡を通してロックオンし、弾丸の嵐を見舞う。続けて撃ち出された3発の紅い光弾こそ回避されたものの、フィーラの体には無数の傷が走っていた。
けれどまだ飛行を続けるフィーラを見て、シンはやはり笑みを浮かべたままだ。
「飛行能力は奪えないようですが……移動速度を落とすのには役立てたようですね」
「あらぁ〜! それならぁ〜、わたしも容赦しませんよ〜!」
直後、フィーラは腹部を展開してシンへと襲いかかる。
だが、それを許すアルバ・ファルチェではない。
「これが普通の女の子だったらお茶のお誘いのひとつでもするんだけど」
腹部を頭部に変えて噛みつきを仕掛けるフィーラに笑みを向け、アルバはひとつの盾を思念で喚び、受け止める。さらに、コルノに射撃を依頼するのも忘れない。
そうして射撃に怯んだフィーラが距離を取れば、片目を閉じて。
「皆と仲良く出来ずに独り占めしちゃう悪い子には、お仕置きしなきゃね」
星の力を宿す剣「Leone e Fanciulla」を軽やかに振るえば、フィーラの腹部に一文字の傷が刻まれた。
「ごめんね?」
なんて言いつつ、悪戯っぽい笑みを浮かべるアルバ。そのまま後方に退けば、フィーラも同じ程度の距離を取る。
「今のところ怪我をしている人はいないみたいだね」
ならば、ひとまずは防御に専念を。
「謝ってもぉ〜、ゆるさないですよぉ〜」
今度は腕の先を頭部へと変形させたフィーラは、一直線にアルバへと突っ込んでくる。
「許さない、って言っても……見えてるんだよね、その動き!」
そう言い切ったアルバの周囲に、既に盾はない。自身の第六感のみで見切り、フィーラの噛みつきを躱す。
「うぅ〜、お腹がすいてきちゃったじゃないですかぁ〜!」
フィーラが頬を膨らませて拗ねると、彼女の足を銃弾が貫通した。銃弾は、シンの手元から放たれたものだ。
「きゃっ!? も〜、またあなたですかぁ〜!」
足をさすり、フィーラはゆるりと宙を舞う。だが、シンは動揺するどころか、むしろ愉しげに笑った。シンの行動、その主軸はあくまで援護なのだ。
「此方ばかりに気を取られていると、痛い目を見ますよ?」
「その通りです!」
同意するのは、両手杖を握る小宮・あき。淡いピンクの髪が、雪混じりの風に揺れる。
「あなたとは初めて対峙しますが……容赦はしません!」
あきの全力魔法は、既に放たれている。両手杖を握ったままフィーラを指し示していたのだ。
曇り空を割って降り注ぐ光に、フィーラが包まれる。やがて光が収束すると、腕や足を灼かれたフィーラの姿があった。
「いたたぁ〜……もう、痛いじゃないですかぁ〜! そんなことする子はぁ……いただいちゃいますよぉ〜!」
言いつつ、フィーラは隠し持っていた調味料を投擲した。白っぽいそれは、塩の入った瓶だろうか。
フィーラを注視していたあきはすぐさま数歩下がり、自らの勘を信じて回避行動を取る。
「逃げ足なら、少しは自信があるんですよ!」
雪原を駆け、瓶が迫るタイミングを見極めるあき。空を閉じ込めたような水色の瞳は、真剣そのものだ。
それもそのはず、氷凝鳥との戦いに参加できなかった分も含めて「役に立つ」のがフィーラとの戦いに臨むあきの決意なのだから。
あきの耳に、空を切る音が聞こえる。感知したのと同時に跳ねれば、雪原に瓶が埋もれてゆくのが見えた。
「よし、ばっちりかわせました! アガーテさん、程よい距離ですよ!」
「そのようデスネ、続きマス」
アガーテ・エルツが応えると、フィーラが声を張り上げる。
「むぅ〜、どうして食べさせてくれないんですかぁ〜!」
「食べる事ヲ楽しむのハ悪い事でハないと思いマス」
恨めしげなフィーラの視線を受けつつ、アガーテは続ける。
「でも、独り占めはイケマセン。皆で食べるノも、キット美味しいと思いマス、よ?」
アガーテの提案に、フィーラは子どものように大きく首を振った。
「いやですぅ〜、全部わたしのものなんですぅ〜」
「……ならバ、仕方ありマセン」
アガーテは全力で炎のつむじ風を起こし、フィーラを狙う。
と見せかけて、本当の狙いは籠だ。炎の軌道が逸れ、籠を包み込む。フィーラは一度だけ目を見開いたが、すぐに籠をはたいて炎を消し止めた。けれどいくつかの食物は消し炭となっていたようで、フィーラの手元でぼろりと崩れる。
「んもう、食べ物を燃やすなんてひどいことしないでくださいよぉ〜! 終わったら、あなたたちも、莓も、食べ尽くしちゃうんですからねぇ〜!」
「そんなことハさせマセン、ここデ止めてみせマス」
アガーテが防備に身を固めれば、フィーラはどこからともなく取り出した瓶を投げつける。想定よりも早い速度で到達しそうな瓶にアガーテが目を細めれば、アルバの盾が割り込んで瓶をはじき返した。
「またしてモ、ありがとうございマス」
「言ったでしょ? 僕の前では誰も傷つけさせない、って」
何やらわめくフィーラをよそに、アガーテはぺこりと頭を下げ、アルバはにっこりと微笑んだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
皐月・灯
【花雫と同行】
手段を選ばねーとは聞いてたが……ここまで見境なしとはな。
食われてやるつもりはねー。
とっととブッ飛ばして片づけるぞ!
……とは言ったけどよ。
大丈夫だろうな、花雫?
捕まんじゃねーぞ。……もっとも、好きにはさせねーけどな。
作戦はこうだ。
花雫がヤツを引き付けて隙を作り、オレが渾身の一撃でブッ潰す……。
おそらくヤツは花雫を捕えるために、身体の部位を変えてくる。
……食らいつく瞬間こそ最大の油断だ。
オレはその瞬間を【見切り】、花雫とヤツとの間に割り込んで【カウンター】を放つ。
口のド真ん中に、【全力魔法】の《轟ク雷眼》を叩き込んでやるのさ。
オレのとっておきだ。ようく味わいやがれ、強欲女!
霄・花雫
【灯くんと】
莓はみんなのものなんだから、独り占めなんて見逃せないよね!
え、だって灯くん間に合うでしょ?平気平気。
あの持ってる籠の中身、毒でダメにしちゃえばすぐに食べられるものなくならないかな。だって、戦闘中に立ち止まって莓ちまちま摘むの大変じゃない?
あたしだって毒魚だもん、莓を避けて毒くらい使えるよ。【毒使い、全力魔法】
怒らせて【挑発】で敵のヘイトを集めて、【早業、見切り、第六感、野生の勘】で避けながらタイミングを図るよ。
灯くんが動きやすい位置まで来たら、【パフォーマンス、誘惑】でわざと体勢を崩して見せて隙を演出して攻撃を誘う。
だいじょーぶ、だって灯くんいるもん。
やっちゃえ!
先んじて戦ってた猟兵とフィーラの動きを、皐月・灯は半目で眺め遣った。
手段を選ばないと聞いてはいたが、まさかここまで見境なしとは思わなかったのだ。
「何にせよ食われてやるつもりはねー、とっととブッ飛ばして片づけるぞ!」
と、霄・花雫に言ったものの。
「大丈夫だろうな、花雫?」
「え、だって灯くん間に合うでしょ? 平気平気」
なんて笑って、霄・花雫は駆け出した。
「捕まんじゃねーぞ。……もっとも、好きにはさせねーけどな」
花雫の背中を見送り、灯は静かに零した。
花雫が初めに取った行動は、フィーラの籠に入った食物に魔法で毒を与えることだった。
「ああっ、どうしてみなさんわたしの食べ物を狙うんですかぁ〜!」
毒々しい色へと変わったクッキーを手に、フィーラは怒りの形相で花雫に迫る。さらにはぺしぺしとパンチのようなものを仕掛けるが、それを素早く躱す花雫である。
「莓はみんなのものなんだから、独り占めなんて見逃せるわけがないでしょ!」
「みんなのもの、なんていつ誰が決めたんですかぁ〜!」
「誰かひとりのものなんて決まりもないでしょ?」
そんなやり取りをする二人を見つつ、灯はタイミングを待つ。
「わたしもの、っていったらわたしのものなんですぅ〜!」
「あのねえ、子どもだってもっとマシな言い訳すると思うよ?」
「わたしぃ〜、子どもじゃないですぅ〜!」
やがて花雫が空中を蹴り、高みから挑発しようとしたその時。
「これ以上話しても無駄だね。……ほらほら、あたしを止めないと莓を採りに行っちゃうよ〜? こーんな風に飛ん……わわっ!?」
飛ぼうとした花雫が前方に傾き、転びそうになる。フィーラは好機とばかりに、胸部を頭部へと変形させた。
「ふふふ〜。みなさんがわたしの食べ物狙ってばかりくるからぁ〜、わたし〜、とってもおなかが空きましたぁ〜」
第二の頭部、その口が伸縮して大きく開く。
このタイミングこそが、灯の狙っていたものだ。灯はすかさず花雫とフィーラの間に割り込む。
「ええっ!?」
「灯くん、やっちゃえ!」
突然の乱入にフィーラは驚き、第二の頭部が大きく開いたまま止まる。
一方、体勢を崩したと思しき花雫は地面を蹴って灯の後ろへと着地した。
「オレのとっておきだ。ようく味わいやがれ、強欲女! アザレア・プロトコル3番――《轟ク雷眼》!!」
灯の拳が第二の頭部の口へと叩き込まれると、迸る轟雷がフィーラの前身を駆け巡る。そのまま数秒ほど動きを止めていたフィーラであったが、轟雷が消滅したとたん、力なく雪原の上に倒れた。
「おなか……すいたぁ〜……」
籠から零れたクッキーに、フィーラが手を伸ばす。指先がクッキーに触れるが早いか、雪に顔を埋めたフィーラは消滅した。
大成功
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第3章 日常
『ちょっと気の早い莓狩り』
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POW : 体力と気力で勝負!ひたすら岩壁を登って莓を収穫。
SPD : 身軽さと器用さが武器!一足飛びに足場を利用して莓を収穫。
WIZ : 頭と道具は使いよう!アイテムや知恵を絞って莓を収穫。
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オブリビオンが倒されたことで、様子をうかがっていた少女は再び歩みを進め始めた。
「はー、すごかったねー! これで危険は無くなったし、さ、行こうか!」
「……い、行くのか……危険が無くなったわけじゃないと思うけどな……」
ほくほく顔の少女の横を、青ざめた少年も共に歩む。
オブリビオンがいようといまいと、莓を採集する難易度自体は変わらない。何せ、莓は切り立った岸壁に自生しているのだから。
少年の顔は、不安に満ちている。
けれど、嬉しそうな少女の横顔を見て。なんだか自分も嬉しくなってきているのを感じて。
ほんの少しだけ背筋を伸ばして、雪原を行く。
二人が目指すのは、莓。
滑らかな舌触りなうえ、甘味と酸味の加減が絶妙。ほんの少し凍ったその果実は――『天然のソルベ』と、評判なのだ。
猟兵たちも採集できたなら、きっと気に入ることだろう。
小宮・あき
【楽器演奏】と【歌唱】で小鳥さんを【おびき寄せ】をしましょう。
上手く言ったら【動物と話す】で「登りやすい場所を知りませんか?」と質問します。
お礼に【ドライフルーツ】をお渡しします。砂糖不使用なので小鳥さんもどうぞ♪
脚武器【レガリアスシューズ】で行きましょう。
【気合い】と【覚悟】と【勇気】をもって、うん、全力【ダッシュ】してからの【ジャンプ】!
念のため【オーラ防御】と【激痛耐性】で、万が一に備えます。
【失せ物探し】の要領で【視力】を凝らして苺を探します。
猟兵では聖職者。しかし真の私は、商人!
この苺で何が作れるだろう!?持って帰れないかな!?
ハイテンションで、出来ないだろうに考えてしまいます。
岸壁の前で、楽器と歌声が重なっては響く。どちらも、小宮・あきによるものだ。
「〜♪ ……あっ、来てくれましたね!」
肩に小鳥が乗るのを見て、あきは破顔した。その後は驚かせないようにと気をつけながら、小鳥に微笑みかける。
「ちょっとお尋ねしたいのですが、登りやすい場所を知りませんか? ……ふむふむ、少し西寄りの場所が登りやすいんですね? ありがとうございます、お礼にこれをどうぞ♪」
あきが差し出したのは、砂糖不使用のドライフルーツだ。掌に載ったそれをついばんだ小鳥は、鳴き声ひとつ、どこかへと飛び去って行った。
岸壁の西側へと移動したあきは、気合いと覚悟、それに勇気をもって岸壁を見上げた。脚にはレガリアスシューズを装着し、ある程度距離を取って全力で駆け出す。タイミングを見計らって、踏み切り、ジャンプ。
「失せ物を探すのとはちょっと勝手が違うかもですが……見つけました!」
目を凝らしていたあきは、すぐに表情を明るくして手を伸ばす。
触れた果実は冷たく柔らかく。着地をした後に口の中へと放り込んだなら、あきの目がきらきらと輝いた。
猟兵の仕事をこなす時は聖職者であるが、真のあきは大型リゾートホテルのオーナー、すなわち商人。顔つきは瞬く間に商人のそれへと変わり、莓の味を確かめながら素早く思考を巡らせる。
「この苺で何が作れるだろう、どんなものを作ったらたくさん売れるかな……!? あっ、でもその前にもう少し食べておきたいかもしれません……!」
興奮気味の口調で、あきは再び岸壁に向かって跳躍した。
大成功
🔵🔵🔵
霄・花雫
【灯くんと】
何でもないよ、楽しみだなーって!
甘酸っぱい莓ソルベ……どんな味だろ。
はしゃぐ勢いで、宙を蹴ってトトトンッと駆け上がる崖の上。
だって連れてくなんて男の子に言えないもん。
獲ろうって自分から言ってくれたってコトは、灯くんも楽しみにしててくれたんだなーって思えてとっても嬉しい。でも、灯くんには言わないよ。
だって、言ったら黙っちゃうでしょ?だからヒミツ。ね。
そっと莓を摘んだら、ひんやりしててびっくりしちゃった。
わ、わ、冷たい、ホントに半分凍ってる!
んんっ、おいしー!しゃりしゃりしてる!
えへ、灯くん灯くんコレおいしいねぇ。来て良かったなー。
あのね、一緒に遊んでくれてありがと!また行こうねぇ。
皐月・灯
【花雫と同行】
邪魔もんは片づけたし、さっそく苺獲るか。
……天然のソルベか。さて、一体どんな味なんだか……ん?
なんだよ、花雫。
……そうか。
さて、簡単に採らせちゃくれねーらしいが……。
オレの靴……メテオ・レイダーには身体軽量化の術式を仕込んである。
その効果を多少なりとも期待して、たまには素直によじ登るぜ。
誰の命もかかっちゃいねーんだ。
ゆっくり気楽に登ればいいさ。
……いや、流石に花雫よりあんまり遅れるのはまずい気がするけどよ。
これが噂の苺か……準備はいいか、行くぞ。
…………へぇ。
(唇の端が緩む)
……こいつに引っぱられてこなきゃ出会えなかった味、か。
……別に、なんでもねーよ。
んだよ、何も言ってねーよ!
「邪魔もんは片づけたし、さっそく苺獲るか。……しかし、天然のソルベか。さて、一体どんな味なんだか……ん? なんだよ、花雫」
岸壁を見上げる皐月・灯は、霄・花雫の視線に気付いて彼女を見た。
「何でもないよ、楽しみだなーって!」
「……そうか」
さて、甘酸っぱい莓ソルベはどんな味だろう。
簡単に獲れるものではないと聞いてはいるが、灯の靴、メテオ・レイダーには身体軽量化の術が仕込まれている。その効果を期待しつつ、灯は素直に岸壁をよじ登り始めた。
何せ、誰かの命がかかっているわけではない。ゆっくり気楽に上ればいい、と思う灯であったが――。
(「……いや、流石に花雫よりあんまり遅れるのはまずい気がするけどよ」)
そう、少し先には、はしゃぐ勢いのままに宙を蹴り、リズムよく岸壁を駆け上がる花雫の姿があった。
しかし、上機嫌にステップを踏む彼女にも、いろいろと思うところはあるようで。
(「だって、連れてくなんて男の子に言えないもんね」)
獲ろう、と灯が自分から言ってくれたということは、彼も楽しみにしていてくれたのだろう。そう思うと、花雫の顔に自然と笑顔が広がってゆく。
けれど、それを口にすることはしない。
(「言ったら灯くん、黙っちゃうだろうから。だから、ヒミツ」)
悪戯っぽい笑みを浮かべ、花雫はそっと莓を摘んだ。同時に灯もすぐそばの莓を摘み、花雫を見遣る。
「これが噂の苺か……準備はいいか、行くぞ」
せーの、で同じタイミングで口の中へ。
「…………へぇ」
唇の端が緩む灯に対し、花雫はといえば。
「わ、わ、冷たい、ホントに半分凍ってる! んんっ、おいしー! しゃりしゃりしてる!」
ひんやりした感触に驚きつつも、頬を抑えて表情を緩めたりと忙しそうだ。
「えへ、灯くん灯くんコレおいしいねぇ。来て良かったなー」
「……こいつに引っぱられてこなきゃ出会えなかった味、か」
ごく小さく呟いて花雫を見遣れば、灯の顔を覗き込むように首を傾げている。
「……別に、なんでもねーよ。んだよ、何も言ってねーよ!」
「ふふ、そっか! ……あのね、一緒に遊んでくれてありがと! また行こうねぇ」
ん、とだけ返す灯に、花雫は一段と嬉しそうな笑顔を浮かべた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アガーテ・エルツ
さア、後は苺を採りに行くのみデスね
とはイエ、足元は矢張り気ヲ付けテ
崩れやすイ所、滑りやすイ所は特に注意シテ、クライミングデス
苺ハどんナ所に生えやすいのデショウ?
モシモ、どうしてモ手を伸ばし憎イ所に美味しそうナ苺があったら
「鉱糸」の遠隔操作デ摘み取りマス
勿論潰さないようニ注意シテ
んん…!甘酸っぱくて、ひんやりシテ、とても、美味しイ
シャリシャリした歯ざわりモ良いデス
もしも少年や少女ガ採れないで困っている様ナラ
同じく「鉱糸」でお手伝いしまショウ
何処の苺ガ気になりマスか?
ご一緒に戦った方々ともお手伝いしタリ、楽しめたら嬉しイ
助けて頂いタお礼ニ、採りマショウか?
アルバ・ファルチェ
【絡みやアドリブ歓迎】
《WIZ》
切り立った崖壁に登るのは危ないよね…。
近くに鳥や崖を登るのに適してる動物が居たら【動物と話す】特技でおすそわけして貰えないかお願いするんだけど、さすがに難しいかな?
せめてコルノにお願いする事なら可能かな…。
【視力】【情報収集】で苺の位置を確認してから収穫…少しくらい食べちゃってもいいけど僕の分も残して貰えると嬉しいよ?
さすがにそんな手が無理なら諦めて、苺取りに夢中になり過ぎて怪我した人が居ないか見て歩こうかな。
美味しいから夢中になっちゃうのは分かるけど危ないからねって【医術】も使って治療するよ。
何事も楽しく、元気に、安全に!だよ。
小萩・胡桃
【泉の畔】団長さん(f04916)レイくん(f05238) と同行
(他の方とも絡み&アドリブOK)
頑張ってたくさん採るにゃりよ!それにしてもすごい岩壁にゃりね
サイバーアイで分析、野生の勘と早業で足場を選んで登る
凍結は【しっぽビーム】で溶かす
ひとつ摘まみ
こ、これはまさに天然莓ソルベにゃり!
収穫した莓はリュックへ
上にまだまだあるにゃりね、これは燃えるにゃり!ってレイくんが燃えてるー!?
なんでサイコキネシス使わないにゃりか!
(落ちていく二人に)ちょ、あぁー!!?
二人を追い降りて医術で手当するにゃり
子供たちに莓のお裾分けも忘れずに
メイドはお手伝いさんにゃりからね!
残った莓はタルトとジャムにするにゃり♪
ハイペリカ・エレクタン
【泉の畔】レイクスさん(f05238)小萩さん(f13327) と同行
(他の方とも絡み&アドリブOK)
小萩さんから苺狩りと聞いてたんですけど、ちょっと環境が過酷すぎませんか?
私の分だけなら気をつけて翔べはすぐ集まりそうですから他の方のお手伝いをしましょう。
空を翔びながら【フェアリーランド】で苺を預かっていきましょう。
小萩さんも、レイクスさんも、器用に登りますね。
って!? レイクスさんが落ちました!?
空を飛んで引っ張りあげますけど、さすがに無理っっ!!(墜落)
幸い大ケガはしませんでしたし、苺も【フェアリーランド】で無事ですね。
沢山ありますから小萩さんに何か作ってもらいましょう。
レイクス・ファブカル
【泉の畔】妖精さん(f04916)メイドさん(f13327) と同行
(他の方とも絡み&アドリブOK)
ふふふ、おいら普段からよくこんな崖登ってるもんね!
自前の爪と【野生の勘】を駆使して崖を登っていくんだ。
採掘と採取は勢いが大切だよ!
ちょっと寒いのは【ブレイズフレイム】で大丈夫!
あ、あれ?お、おちるぅ~?!
調子に乗りすぎて手を滑らせたけど、妖精さんとメイドさんのお陰で大ケガはしなかったよ。
苺まだ食べてなかったから残念だけど・・・て、苺あるの? 良かったー!
えへへー、美味しい苺また食べたいね!
え、【サイコキネシス】?
・・・えへへ、忘れてた~
アガーテ・エルツは、足場に注意してゆっくりとクライミングをしてゆく。
「苺ハどんナ所に生えやすいのデショウ?」
とりあえず、低い場所に映えていないのは確かだ。高度を確認しながら登ってゆくと、ちらほらと莓が目につき始めた。
「なるほど、この程度ノ高さカラ、数が増えてくるのですネ」
足場に気をつけ、アガーテは取りやすそうな莓を探し始めた。
岸壁を見渡したアルバ・ファルチェは、莓の生えている場所を確認してからコルノに笑みを向けた。
「コルノ、あのへんに生えている莓を取ってきてくれる?」
アルバの言うことをしっかりと理解したコルノは目を輝かせ、素早く岸壁をよじ登っていく。
途中、採集する量について伝え忘れていたことに気付き、アルバはコルノの背中に声をかける。
「少しくらい食べちゃってもいいけど、僕の分も残して貰えると嬉しいよ?」
一生懸命岸壁をよじ登るコルノに、果たして聞こえていたかどうか。
コルノが莓の生えている場所までたどり着くには、少し時間がかかりそうだ。
さて、莓に手が届く場所に到達したアガーテはひとつ摘まんで、ぷちりともぎ取る。躊躇なく口の中に入れれば、冷たさと同時に期待以上の味わいが広がった。
「んん……! 甘酸っぱくて、ひんやりシテ、とても、美味しイ」
シャリシャリした歯触りも独特ではあるが、心地よい。
不意に下を見れば、苦戦する少年少女。二人に気付いたアガーテは、声を張り上げた。
「何処の苺ガ気になりマスか?」
二人の指差す先にある莓は、なるほど、鏡面のように輝く氷に囲まれている。
アガーテは見えない鉱石の糸にて莓を絡め、彼らの場所へ落としてやった。
笑顔で手を振る少女とぺこりと頭を下げる少年を見て、どうしたしまして、と言わんばかりに頷くアガーテであった。
「さテ……鉱糸にハ、もう一仕事シテもらいましょウ」
岸壁の前には、次々と猟兵たちが集まってくる。
「頑張ってたくさん採るにゃりよ! ……と意気込んでみたにゃりが、すごい岩壁にゃりね……」
小萩・胡桃が、岸壁を前に息を呑む。しかし他ならぬ莓のため、まずはサイバーアイにて岸壁の状況を分析。その後は野生の勘と早業を駆使して、足場を選びながら着実に登ってゆく。
途中、回避しようのない凍結箇所を見つけた胡桃であったが、彼女の行く手を阻むものにはなり得ないようで。
「む、凍結注意にゃり! エナジー装填完了!喰らうにゃりよ!にゃんこびーむ!」
と、装着した尻尾からレーザービームを放って溶かすのだった。
「……ちょっと環境が過酷すぎませんか?」
そう零すのは、胡桃から「莓狩り」とだけ効いていたハイペリカ・エレクタンだ。
言いつつも困る素振りを見せないのは、ハイペリカがフェアリーであるから。薄く透ける羽根を羽ばたかせて雪の中を舞えば、自分の分だけならすぐに集まることだろう。
実際、小さな壺に莓を吸い込みながら莓を集めるハイペリカの速度はなかなかのものであった。
「みんなすごいなあ……今のところ、手当の必要は無さそうかな。……ん?」
コルノを待ちながら猟兵たちの様子にも気を配るアルバの足元に、ぽとりと何かが落ちてきた。
紛う事なき、莓だ。
莓を拾いつつ見上げれば、アガーテの姿が見える。
「助けて頂いタお礼デス、ドウゾ」
アガーテが、アルバに近い位置に落とせるであろう莓を切り離したのだ。
「ありがとう、アガーテちゃん!」
さっそく一粒を口に入れ、アルバは初めての風味を楽しむ。
莓を見つけた胡桃はひとつ摘まみ、しゃりしゃりとかみ砕く。そうして次の瞬間にはカット目を見開き、
「……こ、これはまさに天然莓ソルベにゃり!」
感激しつつも、莓を次々とリュックへ入れるのだった。
普段から切り立った崖を登っているというレイクス・ファブカルは、得意気な表情で崖を登っていた。
「採掘と採取は勢いが大事だからね! どんどん登るよ!」
時前の爪と野生の勘を駆使し、がしがしと力強く。
手近な場所にある莓をひととおり集めた胡桃は、上を見上げてにんまりと笑った。
「上にまだまだあるにゃりね、これは燃えるにゃり! ってレイくんが燃えてるー!?」
それがユーベルコードだと理解した胡桃は、すぐに胸をなで下ろした。
莓を集める手を止めたハイペリカが周囲を見れば、胡桃とレイクスも器用に登っているのが目に入る。
「これは、お手伝いは必要なさそうですね……って!? レイクスさんが落ちました!?」
そう、レイクスが爪を引っかけた場所は岩肌ではなく、分厚い氷だった。鋭い爪を突き立てられた氷は砕け、バランスを失ったレイクスが落ちてゆく。
「あ、あれ? お、おちるぅ~?!」
慌ててレイクスのところまで飛行し、引っ張り上げようとするハイペリカ。
けれど、身長160cmを超えるキマイラの少年を、フェアリーが支えきれるわけもなく。
「――さすがに無理っっ!!」
と叫んで、レイクスと共に墜落してゆく。
落ちてゆく二人に手を伸ばしつつ、こうしちゃいられないと胡桃は岸壁を急ぎ降り始めた。
「ちょ、あぁー!!?」
数秒の後、レイクスが落ちた場所は幸いにも雪の上。大怪我もなく、莓も壺の中で無事だ。
「大丈夫にゃりか!? なんでサイコキネシス使わないにゃりか!」
急ぎ駆け寄る胡桃は、すぐに医術で治療に取りかかった。
「……えへへ、忘れてた~」
「大丈夫? あんなに美味しいんだから夢中になっちゃうのは分かるけど、ね」
アルバも医術とAmour Gratuitを併用し、手当てを手伝う。
「アルバくんも、手当ありがとう! ……あっ、君たちも心配してくれたの?」
レイクスが気付いたのは、莓を取りにきた子どもたち。二人とも、心配そうにレイクスを見ている。
治療を終えた胡桃は両手に乗る程の莓をリュックから取り出し、子どもたちへと差し出した。
「彼はこれでも猟兵にゃり、大丈夫にゃりよ。あっ、これお裾分けにゃり! メイドはお手伝いさんにゃりからね、困っている人は放っておけないにゃりよ!」
莓を受け取ってはしゃぐ二人を見て、レイクスは視線を落とす。
「そうだ、苺まだ食べてなかったから残念……」
肩を落とすレイクスに、ハイペリカが壺から莓をひとつ取りだして手渡した。
「ふふ、大丈夫ですよ。莓、小萩さんのリュックにも入ってるみたいですし」
「良かったー! ……うん、美味しい! また食べたいね!」
「私の壺の中にもまだまだ沢山ありますから、帰ったら小萩さんに何か作ってもらいましょう」
「そうにゃりねえ……うん、決めたにゃり! タルトとジャムを作るにゃりよ!」
「わあ、タルトとジャム! えへへ、楽しみだなあ……!」
そのまま食べても美味しい莓は、加工したのならばどんな味になるのだろう。
すっかり元気を取り戻したレイクスを見て笑顔になりつつ、アルバは戻ってきたコルノを撫でる。
「何事も楽しく、元気に、安全に! だよね、コルノ?」
力強く頷くコルノであるが、口の周りには莓の赤がべったり。苦笑するアルバに気付いてかどうか、小さな働き者は彼の手にいくつかの莓を載せた。
大成功
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