エンドブレイカーの戦い⑰〜永劫回帰
●大魔女スリーピング・ビューティ
質量を持つ雷雲の中を蠢くようにして巨大な蛇の如き姿をした帝竜は、天地開闢の如き光景を前にして苛立つようであった。
かつて『帝竜戦役』において猟兵たちに打倒された帝竜『ワーム』。
『彼女』は『11の怪物』の一柱『ラハム』を喰らい、『再孵化』を果たしていた。
故に名を『ラハム・ジ・エンドテイカー』。
本来ならば生命の進化を見守るための力である、やり直し能力『エンドテイカー』を己が欲望のためだけに恥ずかしげもなく使う女。
「笑わせるな、『11の怪物』、あの強いだけの者たちに、『拒絶の壁』が構築できるものか。あの無知蒙昧なる輩に『大地母神暗殺』が立案できるわけもない。そう、全て私だ! この私が全て考えたのだ!」
彼女は『ラハム』と融合を果たした体でもって嗤う。
その体は『帝竜戦役』の折に持ち帰った『ヴァルギリオスの精髄』を消費する必要があったが、それだけの価値を有していた。
何故なら、彼女は『11の怪物』を取り込むことで、以前の力を取り戻そうとしていた。
すなわち、生前たる大魔女『スリーピング・ビューティ』の力である。
「過去を何度でもやり直せる究極の能力、『エンドテイカー』! 未だ不完全ではあるが、既に他の魔女や往時の『イヴ・ザ・プリマビスタ』を量がしている! この戦争を全て最初から『やり直し』してくれよう」
だが、と彼女には不安要素があった。そう、迫りくる猟兵である。
猟兵達は確かに一度己を滅ぼしいるのだ。
忌々しいことに事実だ。
しかし、『帝竜戦役』では『エンドテイカー』能力がなかったのだ。
「『60秒の巻き戻し』しかできぬ不完全さではあるが、しかし、十分だ。これならば迫る猟兵を殺し尽くせる!」
彼女は笑う。
その心はただ汚れていた。
己の欲望のために。己のためだけに強大な力を振るう傲慢さ。そして、己以外の全てを認めぬ凶暴さ。
それらが組み合わさることで、汚れた心だけで世界を破滅に導く者が生まれ落ちていた。
「私こそが、世界のすべて」
傲慢極まる言葉だった。
だが、それを確かに彼女は為してきたのだ。全てを意のままに。不条理たるエンディングを振りまいてきたのだ。
故に、彼女は宣言する。
「私に勝てる者など、この世にはありはしないのだ……!」
その女の名は大魔女『スリーピング・ビューティ』。
嘗てエンドブレイカーに敗れし、悲劇のエンディングをもたらす悪しき心の持ち主――。
●エンドブレイカーの戦い
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。『11の怪物』の一柱『ラハム・ジ・エンドテイカー』の所在が判明しました。エンドブレイカーの皆さんであれば、かつて大魔女『スリーピング・ビューティ』の居城と言えば、わかりやすいでしょうか」
ナイアルテの言葉に猟兵の中には、忌々しげな表情を浮かべる者がいたかもしれない。
嘗て、エンドブレイカー! 世界においての大敵として君臨していた大魔女『スリーピング・ビューティ』。
彼女に勝利し、『11の怪物』の一柱『ギルタブリル』を打倒したことでエンドブレイカーたちは世界を救った。
しかし、またこの世界を襲わんとしている。
「帝竜『ワーム』。それこそが大魔女『スリーピング・ビューティ』だったのです。彼女は帝竜戦役の折に『ヴァルギリオスの精髄』を得ており、これを持って『ラハム』と融合を果たすことで、生前の能力を取り戻そうとしています」
『エンドテイカー』――すなわち、『やり直し能力』である。
望まぬ未来を何度でもやりなおし、脅威なる能力。
望む未来を得るまで何度でもやり直す事のできる規格外の能力。
これにより、彼女は猟兵たちを確実に殺し、この世界を我が物としようとしているのだ。
「このやり直し能力『エンドテイカー』は『最大60秒前』までしか、やり直しができないようなのです。そこに何らかの『エンドテイカー』能力を突破するヒントがあるかもしれません」
しかし、『60秒前』までやり直せるという脅威は、依然驚異的なことに変わりはない。
本当にこんな途方もない能力を持つ者に勝利することができるのだろうか。
だが、ナイアルテは力強く頷く。
そう、如何に大魔女『スリーピング・ビューティ』とは言え、一度は打倒しているのだ。
ならば、恐れる必要はない。
過剰な恐れは、ただ、諦観を呼び込むだけでしかない。
故にナイアルテは猟兵たちの背中を一礼でもって送り出す。
「代償無き力は重さがありません。これまで何度も彼女はやり直してきたのでしょう。どれだけ追い詰められても、やりなおせるという気負いのなさを万能感と履き違えただけの存在。そんな存在にみなさんが負けるとは私は思いません」
故に、とナイアルテは微笑みと共に猟兵達の背中を押すのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『エンドブレイカーの戦い』の戦争シナリオとなります。
嘗ての大魔女『スリーピング・ビューティ』の居城にて『11の怪物』の一柱『ラハム』と融合を果たした帝竜『ワーム』こと『スリーピング・ビューティ』は『ラハム・ジ・エンドテイカー』として皆さんを迎え撃ちます。
絶対たる自信を持ち、『最大60秒』までやり直すことのできる恐るべき能力『エンドテイカー』を使用し、彼女は皆さんを確実の殺しつくそうとしています。
この『エンドテイカー』能力に対抗する術を保たねば、誰であろうと『ラハム・ジ・エンドテイカー』の定めた終焉、すなわち猟兵の敗北たるエンディングに抗うことはできません。
プレイングボーナス……「エンドテイカー」への対抗策を考える(敵は必ず先制攻撃してきます)。
それでは、エンドブレイカー! 世界から猟兵たちを放逐せんとする『11の怪物』と対決する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『ラハム・ジ・エンドテイカー』
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POW : 遺失魔術パワーワードキル
【過去をやり直すエンドテイカー能力】を使い、予め設置しておいた【内部の敵の命を奪う『死の魔法円』】を起爆する。同時に何個でも、どんな遠距離からでも起爆可能。
SPD : 遺失魔術メテオスウォーム
自身が【勝利への意志を失わずに】いる間、レベルm半径内の対象全てに【降り注ぐ隕石】によるダメージか【過去をやり直すエンドテイカー能力】による治癒を与え続ける。
WIZ : 私こそが、世界の全て。
【エンドテイカー能力により繰り返される戦闘】の継続時間に比例して、自身の移動力・攻撃力・身体硬度・勝負勘が上昇する。
イラスト:須田デジタル
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
メンカル・プルモーサ
(飛行式箒【リントブルム】に搭乗)
…自分の望む未来を掴むまで何度でも過去をやり直す…か…
…諦めなければ…と言えば聞こえは良いけど、ねぇ…
……幾らでもやり直しが利くからって雑になったりしないのかな…
落ちてくる隕石を空中機動で回避…そして【我が身転じて災魔となる】を発動…
…時食みと合体して周囲の時間を『食べる』ことで時間の流れを遅くしよう…結果的に隕石も回避しやすくなる…
…箒で飛んだままラハムに接近…黎明剣【アウローラ】から魔力の刃を伸ばして斬りかかるとしようか…
…過去をやり直そうとしても…私は時間干渉を無効化する…すなわち私が付けた傷も同様…
…だからその傷はそのままだ…『今』のツケを払うと良いよ
己の定めた結末を得るまで永遠にやり直す能力『エンドテイカー』。
それは本来、生命の進化を見守るための能力であった。
より善き生命を育むため。
己ではなく他者のために使われる能力であったのだ。しかし、それを大魔女『スリーピング・ビューティ』は己の欲望のためにだけ使う。
かつてエンドブレイカー! 世界においてそうであったように、再び蘇った彼女は『ラハム・ジ・エンドテイカー』として、未だ不完全ではあるが『60秒』の永遠の如きやり直しを敢行する。
「私こそが世界。私の望むものが未来だ!」
帝竜『ワーム』の巨体の内側から裂けるようにして仮面に覆われた女の顔が見える。
その顔を見やり、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は息を吐き出す。
「……自分の望む未来を掴むまで何度でも過去をやり直す……か……」
飛行式箒にまたがりながら彼女は恐るべき能力を手繰る『ラハム・ジ・エンドテイカー』の姿を認める。
今、こうして己が思考しているのも何度目かはわからない。
『ラハム・ジ・エンドテイカー』は、それほどまでにやり直し能力『エンドテイカー』を自在に操るのだ。
「……諦めなければ……と言えば聞こえは良いけど、ねぇ……いくらでもやり直しが利くからって雑になってやしないかな……」
「黙れ、猟兵! 貴様らに私の望む未来を阻ませはしない。この世界は私そのものだ。この私が定めた未来こそが、最も善きものだ。そこに貴様らの存在は必要ない!」
遺失魔術メテオスォーム。
天より降り注ぐ隕石は、まさしくメンカルたち猟兵をこの世界から排除せんとする『ラハム・ジ・エンドテイカー』の勝利への意志を感じさせるものだった。
空中で降り注ぐ隕石をメンカルは躱しながら、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「我が盟友よ、結べ、混ざれ。汝は合身、汝は災禍、魔女が望むは流転を阻む悪食の怪」
眼の前に迫る隕石。
しかし、その隕石の軌道は確かにメンカルに迫りながらも、明らかに遅かった。
『ラハム・ジ・エンドテイカー』は訝しむ。
エンドテイカー能力は、未だ不完全。
最大『60秒』しかやり直せないが故に、その仕様は限られる。慎重に能力の起点を選ばなければならなかった。
だからこそ、その判断は正解であり、同時に間違いであった。
骸魂『時食み』とメンカルは合体し、一時的にその身はオブリビオンへと変貌する。
その能力は強力であったが、しかし、その代償は周囲の時間を消費することで賄われている。時を消費すること。
すなわち、メンカルに迫れば迫るほどに時間は喪われ、加速を得られなくなる。時が過去を排出して進むというのならば、時を消費する今のメンカルは、存在するだけで彼女の周囲の時間を遅らせている、ということになる。
「時を食う、だと……? 馬鹿な、それでは……!」
「そう、『エンドテイカー』能力。やり直しの能力は、やり直そうにも、私の周囲だけ時間の流れが違う。つまり」
『ラハム・ジ・エンドテイカー』とメンカルとの間には時間の相違が生まれている。
だから、遺失魔術による隕石の一撃すらメンカルは容易く躱してみせたのだ。
「……そして、過去をやり直そうにも……私は時間干渉を無意味にする。つまり、私のつけた傷も」
メンカルは『ワーム』、『ラハム』という二つの怪物を食らった『スリーピング・ビューティ』の体へと飛行式箒に跨ったまま加速し、黎明剣の斬撃を叩き込む。
やりなおせない。
その事実に『ラハム・ジ・エンドテイカー』は驚愕する。
時間の遅れ。
己の時間軸と対する猟兵の時間軸の違い。
それだけで己のやり直し能力がここまで機能しなくなる事実に彼女は怒りの形相を刻む。
「許されぬことをしたな、猟兵!」
「……それは此方の台詞。どれだけの生命を、その欲望で、願いで弄んできた……その傷は、やりなおせない……『今』のツケを払うと良いよ」
メンカルは決してやり直せぬ、時間軸の異なる傷を『ラハム・ジ・エンドテイカー』の体へと刻み込み、血潮迸る戦場に隕石の発する衝撃波を躱しながら飛び、汚れし心を持つ存在へと報いの刃を刻み込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
リカルド・マスケラス
「魔女さん、ちょーっと聞いてくれないっすかね?」
【コミュ力】で時間稼ぎする狐のお面
「マスカレイドのもっといい運用方法があったはずっすよ」
次のやり直しの際は、と提案するように話しかける
「マスカレイドの力を他の種族に大いに利用してもらい、頼らせ、依存させて『マスカレイド無しでは生きていけない!』ってなってから優位性を示すのもアリだったのでは?」
敵対でなく融和で取り込んでみては?などと話している間にこっそり【破魔】で周囲の魔法円を消す
消してから巻き戻せないくらい時間が経ったらUCで強化した宇宙バイクのビーム砲で攻撃
「哀れっちゃ哀れっすよね。まあ、ここで引導を渡すのも『ヒーローマスク』の務めっすかね」
「おのれ、おのれおのれおのれ!! この私の! 比類無き美しき体に傷をよくも!!!」
激昂する『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨体が戦場に揺れる。
咆哮は衝撃波を生み出し、戦場に迫る猟兵達を阻もうとしていた。
未だ不完全なるやり直し能力『エンドテイカー』。
最大『60秒』までしかやりなおせないにしても、その力は絶大にして恐るべきものだった。
故に、リカルド・マスケラス(希望の仮面・f12160)はなんとかして彼女の気を引くことができないかと画策した。
「魔女さん、ちょーっと聞いてくれないっすかね?」
「黙れ、猟兵の言葉に耳を貸す必要性などない」
「いえ、マスカレイドのもっといい運用歩法があったはずっすよ」
彼の言葉に『ラハム・ジ・エンドテイカー』は苛立たしげに叫ぶ。
「私が間違うことなどない。私が全て正しい。私以上の知性など存在しない」
「そうっすかね? マスカレイドの力を他の種族に大いに利用してもらい、頼らせ、依存させて『マスカレイド無しでは生きていけない!』ってなってから優位性を示すのもアリだったのでは?」
リカルドの言葉に『ラハム・ジ・エンドテイカー』は鼻で笑うようだった。
「利用される立場の存在に何故、阿る必要がある。それを決定するのは私だ。私こそが世界なのだから、私に無条件に従うのが筋というものだ。依存など意味はない。何故、あの仮面に依存させる必要がある」
彼女の汚れし心は何処まで行っても自分本位であった。
自ら世界だと宣う傲岸不遜たる態度。
尊大たる自己を咎める者がいないからこそ、彼女はここまで増長したとも言えるだろう。それをリカルドは確かに感じ取った。
己の言う敵対ではなく、融和。
取り込み、己の一部とすることを考えもしない。
何故なら、世界が己であるという自負があるからだ。
絶大なる能力、『エンドテイカー』。
そのやりなおし能力があればこそ、そのように思うのかもしれない。さもないことである。
そして、彼女は己の生命を奪うための魔法円を既に仕込み終えているだろう。恐るべき『エンドテイカー』能力ならば、それが予め仕掛けることなど造作もないはずだ。
故に己の破魔の力でもってそれを打ち消すのだ。
しかし、打ち消す力が足りない。
「魂胆などわかっているぞ、猟兵。貴様の言葉は方便でしかない。私を前に時間を稼ぐなど意味のないことだ。この遺失魔術パワーワードキルの前ではな!」
炸裂する魔法円。
その内部にありし存在の生命を奪う凄まじ魔術によってリカルドの生命は風前の灯火……いや、違う。
リカルドは破魔の力によって弾かれるようにして魔法円の外に飛び出していた。
牽牛星覚醒(アルタイル・オーバーロード)。
それは彼がまたがる宇宙バイク『アルタイル』の馬力を強化することによって得られた瞬発性だった。
破魔での魔法円の消去は一種の賭けだった。
次善策である『アルタイル』による魔法円からの緊急脱出。
それは恐らく一度目の『やり直し』があればこそ。リカルドにはわかっていた。すでに『ラハム・ジ・エンドテイカー』は己との対話をやり直していたのだ。
そのために彼女は付き合うようにして鼻で笑っていたのだ。
絶対樽己の力を過信するからこそ、そのような尊大なる態度が取れる。そして、リカルドがすべきことは唯一つ。
己の行動を巻き戻せるのは『60秒』のみ。
リカルドが魔法円から脱出がどうあっても成立する『60秒』を稼げればそれでよかったのだ。
「哀れっちゃ哀れっすよね。まあ、ここで引導私のも『ヒーローマスク』の務めっすかね」
リカルドは増強された宇宙バイクの搭載武装を全て開放し、その絶大なる火力で持って『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨体へと叩き込み、その傲慢たる意志を砕くように砲火を荒ばせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
戒道・蔵乃祐
60秒程度のやり直しでたった一人が戦局を覆す等と、浅慮に他ならない浅はかさには脱帽の2文字しかありません
全盛期
エンドテイカーの力で勇者達を下し、神に成り代わる支配を目論んだ事は汎ゆる生命体にとっての脅威だったでしょう
しかし何も成し遂げられずやり直す事ばかりに終始した貴女には
培われるべき戦闘経験が無いも同然
無様に地を這い
血と泥を啜り
屈辱感を噛み締めて尚戦い続ける意思こそが
何者にも屈しない本当の強さへと変わるのだから
◆龍顎龍尾龍撃乱舞
見切り+心眼で巻き戻しの起こりを読み、メテオスウォームの嵐を乗り切る
フェイント+怪力を織り交ぜた限界突破のグラップルで隕石を砕き治癒の追い付けない手数を乱れ撃ちで連打
帝竜『ワーム』の体がかしぐ。
『60秒』のやり直し。
『エンドテイカー』能力によって巻き戻すことができる時間は限られているのだとしても、それでも依然『ラハム・ジ・エンドテイカー』の能力は凄まじいの一言であった。
遺失魔術メテオスォームによって放たれる隕石は確実の猟兵たちの行動を既に知っているかのようにピンポイントで降り注ぐ。
その一撃を前にしながら、戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)は、浅慮に他ならぬ浅はかさであると頭を振る。
「60秒程度のやり直しでたった一人が戦局を覆す等と」
「それが可能であるのが私だ。何も可笑しいことはない。私ならばできる。私が世界そのもの。全てであるのだから」
『ラハム・ジ・エンドテイカー』の言葉はあまりにも傲慢であった。
やりなおし能力である『エンドテイカー』は本来、生命の進化を見守るための能力だ。生命がより善きものになるようにと、やり直すための能力。
己ではなく、他者のための能力だったはずなのだ。
それを己の欲望のために使う浅はかさに蔵乃裕は、脱帽でしかないと言い切る。
「全盛期、エンドテイカー能力で勇者たちを下し、神に成り代わる支配を目論んだことは、汎ゆる生命体にとっての脅威だったでしょう」
「そのとおりだ。私こそが頂点にして全てであるのだから。当然であろう?」
彼女の汚れた心より発する言葉に、混じりっ気はない。
完全なる邪悪そのものだった。
「しかし、何も成し遂げられずやり直すことばかりに収支した貴女には、培われるべき戦闘経験がないのも同然」
蔵乃裕は荒ぶ隕石の衝撃と直撃によって身を焼かれながらも、その拳でもって飛来する岩石を砕く。
「謗るか、この私を。浅はかが過ぎるぞ、猟兵! この私を侮辱するとは! 無様に血に塗れ、泥にまみれる情けない姿を晒して死に絶えろ!」
その言葉に蔵乃裕の瞳がユーベルコードに輝く。
「無様に地を這い、地と泥をすすり、屈辱感を噛み締めてなお戦い続ける意志こそが、何者にも屈しない本当の強さへと変わるのだから」
それを知らぬ者に負ける道理はない。
どれだけ巻き戻されるのだとしても、蔵乃裕の瞳にユーベルコードの輝きは失せることはなかった。
そう、彼の拳は、彼の蹴撃は、彼の放つ衝撃波は。
全てが組み合わされ、一手一手が軽いものであったとしても、最低でも140秒は継続し続ける。
つまりそれは。
「やりなおしが追いつかないでしょう」
放たれる龍顎龍尾龍撃乱舞は、正しく彼の言葉通りだった。
『エンドテイカー』能力は未だ不完全。
最大でやりなおせるのは『60秒』のみ。しかし、彼の放つユーベルコードは確実にそれを越えた領域に在る。
仮に巻き戻したとしても、打撃、蹴撃、衝撃波は中途半端に残されてしまう。
残す80秒は、メテオスォームの一撃を身に受けてもなお、お釣りが出るほどの圧倒的なアドバンテージとなって『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨体へと傷を残すことになる。
そう、戦い続けるという意志は、勝利するという意志に勝る。
かつて勇者『ラズワルド』がそうしたように。
永劫の如き時を戦い続けるという意志に、そして、終焉を終焉させるという|意志《ガッツ》にこそ彼女が敗北を喫したように。
「あなたは、敗北を得ながら、それを否定した。認められぬと否定した。その浅はかさが、『今』のあなたを殺すのです」
「馬鹿な、この私の、『エンドテイカー』能力が追いつかぬなど……! 不完全でなければ……! この体ではなければ……!」
勝利することができたのに、と叫ぶ『ラハム・ジ・エンドテイカー』を蔵乃裕は、『60秒』を越えて征く蹴打によって圧倒するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
只今の時間をお知らせする超絶大声藍ちゃんくんなのでっす!
一分経ちましたが大丈夫でっすかー?
戻さないでも良いのでっすかー?
あ、10秒経ちました!
いえ30秒でっす!
やっぱり1分なのでっす!
などなど時間経過を口にしまくり挑発するのでっす!
もちろん正確に数えてるわけではないでっすよー?
むしろ焦らせるために適当なのでっす!
大魔女さんは何度もリトライする根気はあるのでっすがー。
それはあくまでも無制限に能力を使えた時の話なのでっす。
今の大魔女さんは常に60秒を意識して戦わざるを得ず、戻す度にたったの60秒しか戻せてないことを意識させられるストレスだらけな状態かと!
なのでそこを突きつけまくればイライラで動きも単調になるのでは?
せっかくの勝負勘も感情が先走って台無しなのでっす!
ではでは美声をどうぞー!
当然、ダメージを癒そうと時間を戻すでしょうが、大魔女さんの精神だけはそのままでっすよね。
つまり藍ちゃんくんをうるさく思ったままな以上は戻った瞬間延々美声リスポーンキルになっちゃて時間を稼げなくなるのでっす!
やりなおし能力『エンドテイカー』。
それは大魔女『スリーピング・ビューティ』が持ち得る最大の能力であり、己が望む結果を手繰り寄せるまで幾度となくやりなおすことのできる規格外の力である。
本来の使い方ではない、とだけ注釈するのならば、『エンドテイカー』は他者のために使う能力だ。
生命を見守り、より良く進化できるようにと願われた力。
しかし、『スリーピング・ビューティ』はただ己のためだけに能力を使う。
「私こそが世界なのだ。ならば、私が望む結果にならなければならない!」
『ラハム・ジ・エンドテイカー』として蘇った彼女の『エンドテイカー』能力は大きく減退している。『60秒』。それが彼女のやり直し限界点。
「只今のお時間をお知らせるのは藍ちゃんくんなのでっすよー!」
その大声量は、戦場に響き渡る。
紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)の凄まじいまで声。
「一分経ちましたが大丈夫でっすかー?」
「やかましいことこの上ないな、猟兵! 何をほざく!」
「いえ、戻さないでもいいのかなって思いましてー? 今この瞬間に致命的なことが起こっているとは思いませんかー?」
藍の言葉に『ラハム・ジ・エンドテイカー』は表情を変える。
しかし、状況は刻一刻と変化している。
確かにやりなおし能力は強力だ。しかし、未だ完全なる復活を遂げていない彼女にとって、時間制限は最大のネックだった。
「あ、10秒経ちました! いえ、30秒でっす! やっぱり1分なのでっす!」
「デタラメで私を撹乱したつもりか。それはすなわち、貴様が何も私になし得ていないという証明ではないか!」
「そうでっすかー? 本当に? 本当に何も感じていないのでっすかー?」
あくまで藍の言葉は挑発であり、また同時に焦らす作戦でもあった。
『ラハム・ジ・エンドテイカー』には何度もやりなおす能力がある。例え、今致命的なことが起こっているのだとしても、やり直すことができる。
しかし、使えば、それだけ時は確実に進んでいく。
『60秒』よりも前に致命的なことが起こっていたのならば、それを取り戻す術はない。
そう、今まさに彼女はジリジリと猟兵たちに追い込まれている。
傷跡がいえていない、やり直せていないところを見るにやはり『60秒』という制限は『ラハム・ジ・エンドテイカー』の能力を大きく制限している。
そこに藍が挑発めいたことを言うものだから、彼女の性格を考える上では、それは相当なストレスとなって蓄積していくだろう。
「やっぱりなのでっす! たった『60秒』しか戻せないってことに苛立ってまっすねー? 他の猟兵さんたちがつけた傷跡! 消えてないでっすもんねー?」
藍の口撃は確かに届いている。
しかし、それ以上に『ラハム・ジ・エンドテイカー』は焦れるように帝竜『ワーム』の巨体毎、藍へと突進してくるのだ。
「その減らず口をそのまますりつぶしてくれる!」
「あやー! イライラしまくってまっすねー? 折角の勝負勘があっても、感情が先走って台無しなのでっす! それでは、貴方の為に歌いまっす! ええ、遠慮なんてしないでいいのでっすよー!」
吹き荒れるは藍ちゃんくんワンマンショー!(ワールド・イズ・アイ)。
迸る愛用マイクから迫る極大音響美声衝撃波が『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨体を吹き飛ばすように強かに打ち据えられる。
しかし、次の瞬間、藍は目の前に迫る『ラハム・ジ・エンドテイカー』の姿を見るだろう。
やりなおされた、と自覚した瞬間に藍は笑う。
「ほら、やっぱりやりなおしたでっすねー? わかっていたのでっしょう? 藍ちゃんくんにしてやられる未来が! でも、また同じことを繰り返すだけでっす!」
「貴様のやかましい歌声を消し去るのみ! 私の世界に、この世界たる私に、そのような歌声は必要ない!」
「あやー、勝負勘どころか、感性まで失っちゃってまっすねー?」
迸る歌声。
それは『ラハム・ジ・エンドテイカー』精神をすり減らす。
何度でもやりなおせるということは、何度でも藍の歌声でもって精神を打ちのめされるということだ。
つまり、藍の喉が枯れ果てるまで、延々と繰り返される。
それは拷問めいた時間だったことだろう。
そして、時間は遂に『60秒』を超える。藍はやり遂げたのだ。もうこれ以上、『ラハム・ジ・エンドテイカー』がその歌声を聞きたくないと、思うその時まで、時間を稼ぎ続けたのだ――。
大成功
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雨倉・桜木
うーん、これ利くかな。自信ないな。ダメ元でやってみようか。戦う前にひとつ君を寿ごう【今この瞬間の君こそが強く美しい】とっておきのお呪いの言葉だよ、覚えておきたまえ。
先制には第六感と呪詛で対応を。敵の攻撃を受けぬよう、受けても軽度で済むように己にお呪いをかけるのさ。気休めだけれどね。
さて、さあ、それで時を遡ってごらん?そのお呪いはとけてしまうから。遡れば遡るほど君は強くも美しくもなくなってしまうのさ。勿論、進んでもとけてしまうけれどね。100年の眠りからさめた姫君が本当に美しいままだと思うのかい?彼女は停滞していたから美しかったのさ。
同じ名前を頂くならば君もお眠り。これは手向けさ(UC)
美しいということは絶対だということだ。
世界が己であり、己が世界であるという傲慢。
あらゆる結果は己の望んだものになる。それが『エンドテイカー』という能力だ。故に『ラハム・ジ・エンドテイカー』は己こそが絶対であることを確信している。
この体、帝竜『ワーム』の体は美しさとは言い難い醜悪そのものだと彼女は思っている。
だが、それも終わりだ。
『11の怪物』、『ラハム』を喰らい、今まさに己は再誕しようとしている。
本来の姿。
かつて、大魔女『スリーピング・ビューティ』と呼ばれた存在へと戻ろうとしている。
完全なる己。
それこそが最も美しい。
しかし。
「戦う前にひとつ君を寿ごう」
雨倉・桜木(花残華・f35324)の言葉に『ラハム・ジ・エンドテイカー』は睥睨する。
何を、いまさらと彼女は思っただろう。
猟兵とは己の不倶戴天の敵である。
先んじた『帝竜戦役』の折においても邪魔だてしてくれた憎き存在である。それが己を言祝ぐというのである。
「正しく今更である。それに何の意味がある」
「『今この瞬間の君こそが強く美しい』。覚えておきたまえ」
「取り繕うのだとしても、遅きに失するな、猟兵! その程度の賛辞で貴様らがしてきたことが帳消しになるとでも思っているのか!」
『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨体が桜木に迫る。
その圧倒的な質量は『ワーム』の巨躯があればこそ。これまで猟兵たちと戦い、やりなおしてきた時間に応じて力を増す彼女の一撃は桜木へと襲いかかり、その躰を吹き飛ばす。
だが、桜木の躰は吹き飛ぶばかりで、致命傷に至らない。
故に『ラハム・ジ・エンドテイカー』はやり直す。
「一撃で殺せなければ、一撃で殺せるまでやりなおすまで!」
「……やりなおしたね。言っただろう。あの時こそが君は最も美しかったのだ」
「何を言っている」
「やり直す度に君の美しさは損なわれていく。ぼくの主観だけれど、確かに君は美しくなくなっている」
桜木の言葉に仮面に覆われた『ラハム・ジ・エンドテイカー』の表情が歪む。
それは他愛もない言葉でしかなかったかもしれない。
けれど、己の美しさを損なう発言だけは赦してはおけなかった。
「100年のねむりから覚めた姫君が本当に美しいままだと思うのかい? 彼女は停滞していたから美しかったのさ」
桜木は言う。
お伽噺の眠り姫は、停滞しているからこそ美しかったのだと。
変わらぬこと。
不変たること。
それ故の美しさ。だが、やりなおす度に進む『ラハム・ジ・エンドテイカー』に不変は存在しない。
代わり続けていく。
どんなにやり直しを繰り返したとて、だ。
「同じ名前を頂くならば、君もお眠り。これは手向けさ」
桜木の瞳がユーベルコードに輝く。
荒べ、と呟く声は、花風の戯れ(ハナカゼノタワムレ)に。燃え上がる八重紅枝垂れ桜の花弁が煌々と渦を巻き、『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨体を包み込み、切り裂くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
黒影・兵庫
(「勝つまで再戦って見苦しいにも程があるわね」と頭の中の教導虫が呆れる)
使用者の性格に見合った能力だと思います!せんせー!
(「強すぎる能力のせいでああなったのかも…さてどう戦う?」)
『早業』で{蜂蜜色の靄}からオーラの『残像』に『メイク』を施し囮にして攻撃を回避します!
(「黒影自身は靄の『迷彩』で隠れるわけね」)
はい!そして囮の残像を見ることで発動する認識阻害の『催眠術』を敵に掛けます!
(「敵に反撃の準備を気付かせないため?」)
その通りです!UC【煉獄蛍】で敵を60秒以上前から炎で包み
時を巻き戻しても逃げられないようにします!
(「よし!回避不能の終焉を喰らわせてやりなさい!」)
はい!せんせー!
頭の中の教導蟲の声が響く。
黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は『ラハム・ジ・エンドテイカー』と退治し、その巨体を見上げていた。
あまりにも巨大。
それは帝竜『ワーム』と呼ばれたオブリビオンの体躯であり、その内側から覗く大魔女『スリーピング・ビューティ』の仮面に覆われた顔を一層不気味なものにしていた。
『勝つまで再戦って見苦しいにも程があるわね』
呆れるような教導蟲『先生』の言葉に兵庫は同意する。
「使用者の性格にあった能力だと思います! せんせー!」
兵庫の言葉に頷く。
だが、やりなおし能力『エンドテイカー』の力は強大そのものだ。
どれだけ『ラハム・ジ・エンドテイカー』に傷を負わせても『60秒』のうちであればやり直されてしまう。
だが、猟兵達の先んじた攻撃は、確かに巨体に刻まれて癒えてはいないのだ。
ならば、やりようがあるはずだと兵庫は確信していた。
『強すぎる能力ののせいで、あんな性格になってしまったのかもね……さて、どう戦う?』
その言葉が響いた瞬間、兵庫は戦場を走る。
敵の先制攻撃を見越してのことだった。事実、兵庫のいた場所に魔法円が煌めき、その内部に在る者の生命を奪う遺失魔術が炸裂している。
しかし、次の瞬間、兵庫は己が駆け出す前にやりなおされていることを知る。
「……! これが!『エンドテイカー』能力!」
やりなおされたことを自覚するより早く、兵庫は駆け出していた。
蜂蜜色の靄から発せられるオーラに残像を施し、己の囮にして攻撃を回避する。
だが、次の瞬間、またやりなおされている。
しかし、時間はわずかでも進んでいるのだ。先程と状況が違う。ならば、兵庫はその進んだ時間を担保に入れて一足先に動くまでだった。
囮の残像は、認識阻害の催眠術がかけられている。
徐々に魔法円の位置がズレてきていることを『ラハム・ジ・エンドテイカー』も理解しているのだろう。
だが、それが何故なのかという種が割れていないのだ。
「どういうことだ。やり直す度に私の仕掛けた魔法円がズレている! こんなことがあってはならない! やはり、私が完全に取り戻せていないからか!」
そう最大『60秒』。
それが『エンドテイカー』能力の、今の限界点だ。
ならばこそ、確実にやり直す度に時は進み、兵庫の生み出した囮に仕掛けられた催眠術は認識阻害によって、魔法円の位置を決定的にずらす。
そして、『ラハム・ジ・エンドテイカー』は気がつくだろう。
己が致命的な間違いを犯したことに気がつくのだ。
「これは……!」
「やっぱりな! 自分が望む結果、俺を滅ぼすというお前にとっての最高の結果を引き寄せるために、自分がユーベルコードを向けられているということも認識していなかった!」
そう、兵庫は己に放たれた遺失魔術の一撃目を躱した後、即座にユーベルコードを放っていた。
無数の蛍が発する光。煉獄蛍(レンゴクボタル)を。
それは森羅万象に着火する翠玉色の炎であり、『エンドテイカー』能力を発動する一瞬に放たれる。
そして、『ラハム・ジ・エンドテイカー』が望んだのは兵庫の打倒。
己への攻撃をやりなおすためではない。
「こっちの反撃を悟られなければよかっただけだ! すでにやり直す前からお前は、俺のユーベルコードが放つ炎に包まれることが決定していたんだよ!」
「おのれぇぇぇ!!!」
最大『60秒』。
それを越えた時点に放たれた炎は、兵庫の狙い通り、『ラハム・ジ・エンドテイカー』に最早取り返せぬ楔を打ち込んだのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
一度……いや、エンドブレイカー達に倒された時の事も含めて二度
既に倒されているというのにまた蘇ってくるとは。なんとも諦めが悪いな
神刀の封印を解除。神気によって身体能力を強化して、ダッシュでラハムへ接近
隕石は俺を狙って降り注ぐが、しかし俺だけに命中するなんて器用な動きはしないのだろう
ならば、寧ろ奴の近くにいる方が安全だろう。奴を遮蔽にする形で隕石を躱す
接近後は陸の型【爪嵐:響】の構えで相対
相手に攻撃を加えれば加える程に、自身の行動を最適化する構え
巻き戻しで負傷は癒やされるのだろうが、しかし俺が攻撃を加えた経験は消えない
何度やり直しても同じだけ、何度でも攻撃を加えて、やがて致命の一撃を叩き込むまでだ
翠玉色の炎が『ラハム・ジ・エンドテイカー』の体を包み込む。
それは決して、やりなおし能力『エンドテイカー』が万全ではないことを示していた。猟兵達のユーベルコードは、そのやりなおし能力の盲点を突くものだったからだ。
今の『ラハム・ジ・エンドテイカー』のやりなおし能力の最大点は『60秒』である。
これをわずかと見るか、長いと見るかは猟兵次第である。
しかし、確実にやりなおした数だけ時は進み、傷は蓄積していく。やりなおし能力を行使するのをためらったり、無為に時間を経過させる事が『ラハム・ジ・エンドテイカー』を追い詰めていく。
すなわち、時は猟兵の味方であり、『ラハム・ジ・エンドテイカー』の敵なのだ。
「一度……いきゃ、エンドブレイカー達に倒された時のことも含めて二度。すでに倒されているというのにまた蘇ってくるとは。なんとも諦めが悪いな」
神刀の封印を解除し、神気によって身体能力を強化した夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)に遺失魔術による隕石の落下が迫る。
その一撃は強烈なものであったし、また己の身を確実に討ち滅ぼすために放たれたい。
自分が如何にして躱し、如何にして迫ろうとしているのか。
それを『ラハム・ジ・エンドテイカー』は既に知っているようだった。
「なるほど、すでに数度、やりなおしているということか」
鏡介はしかし、その都度、己が隕石を躱し、『ラハム・ジ・エンドテイカー』へと肉薄していることを知る。
「私にひれ伏すことを覚えぬからだ! 私こそが世界のすべて。私こそが世界。それを認めぬ者は何人たりとて、存在を許さぬ!」
鏡介は再び己がやりなおされていることを知る。
なんという力であろうか。
これだけの力を本来は他者のために使うのならば、エンドブレイカー! 世界はもっとより良い物となっていただろう。
だというのに『ラハム・ジ・エンドテイカー』は己のために。その欲望のためだけに能力を行使していたのだ。
「何度やり直しても同じだ。俺は諦めない。そして、徐々に時が進んでいる以上、お前はもう取り返しの付かないところまで来ている」
「わかるものか。私にとって最高の結果をもたらすまでやり直す。それだけのこと。たが、数秒私に迫った程度で!」
勝ち誇るな、と降り注ぐ隕石を鏡介は躱す。
敵の懐に踏み込めば、恐らく『ラハム・ジ・エンドテイカー』は己が傷つくことを厭うように隕石を止めるだろう。
ならばこそ、鏡介は何度もやり直される、くりかえしの光景が都度変わっていくのを見るだろう。
「漸く此処まで来た」
それはどれほどのやりなおしの後であったことだろうか。
わずかに進む時間。
それを自覚し、幾千ものやりなおしをされてなお、鏡介は『ラハム・ジ・エンドテイカー』に肉薄したのだ。
そして、迫る隕石は躱しようのない一撃となっていた。
彼女もまた己が望む最良の結果を呼び込んでいたのだ。
「黙れ! 近づいたとて、貴様が滅びることに例外はない!」
「そうかな。お前はあまりにも浅はかだ。己の力を万能と過信し、俺の接近を此処まで赦した。その時点で、お前の負けは決まっている。お前は自身が致命的な状況に陥るまで、それを自覚できない」
つまり、と鏡介の瞳がユーベルコードに輝く。
この最大まで接近した瞬間こそが、最大の好機。
「響け剣戟、一切を逃さずに――陸の型【爪嵐:響】(ロクノカタ・ソウラン・ヒビキ)。わずかでも時が進むのならば、この剣閃がお前の体に叩き込まれるという、致命に至るまで何度でも叩き込むまで」
それがどれほど精神を削る行いであるのかは言うまでもない。
誰もが心折れる。
あの日、あのときの勇者たちだってそうだったのだ。
だが、彼女走るだろう。あれは、己が万全であったからだ。そして今は。
「お前は万全んではない」
その言葉と共に致命的な一撃を鏡介は叩き込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
マシュマローネ・アラモード
◎
【エンドテイカー】
自分の身を傷つけられて逆上するなら……。
『崩壊する星』の起爆点を設定しながら、攻撃を斥力結界(吹き飛ばし)と推力移動の高速飛行で回避して、時間を稼ぎましょう。
もう、攻撃の段は始まっておりますわ。(エンドテイカーのやり直しをわかるようにクロックを刻みながら)
戦いというものを知りなさい。
【起爆】
UC『崩壊する星』。
時間をかけて、連鎖起爆に巻き込みましょう。
そして、爆破後にエンドテイカーが発動しても即座に設置済みの『崩壊する星』を起爆しましょう。
確定された60秒前には既に私の攻撃の開始でした。
周囲のどこに潜んでいるかわからない爆弾処理とやり直し、いつまで続けられるかしら?
やりなおし能力。
名を『エンドテイカー』。
終焉を繰り返す。
己が望む未来を得るまで、やりなおし続ける脅威なる力。しかし、それは本来の使い方ではない。
本来の使い方は誰かのためである。
他者のためである。間違っても己の欲望を満たすために使う能力ではなかった。
より善きを求めるのは生命体として正しい在り方だ。
けれど、『エンドテイカー』は、正しい進化をもたらすためにあったはずだ。
「何がより善き進化のためだ。この能力は私の能力だ。私こそが世界なのだ。私の望む未来こそが、正しき未来にして唯一だ。それを理解できぬ猿共など、滅びて当然であろう!!」
『ラハム・ジ・エンドテイカー』は咆哮する。
帝竜『ワーム』の巨躯から覗く仮面の女。
大魔女『スリーピング・ビューティ』。その悪しき心が発露するのを、マシュマローネ・アラモード(第十二皇女『兎の皇女』・f38748)は見ただろう。
「この私の体を傷つけることなど許されない暴挙と知れ!」
「モワ! 戦いというものを識りなさい。あなたは戦いを誤って認識している。やりなおし続けたからこそ、経験しなかったことでしょうけれど」
マシュマローネは飛ぶ。
迫る『ラハム・ジ・エンドテイカー』はこれまで幾千幾万ものやりなおしを為してきた。だが、そのいずれもが彼女の肉体に傷を累積させていく結果しかもたらせていない。
何故ならば、『ラハム・ジ・エンドテイカー』のやりなおしは最大『60秒』。
つまり、やりなおす度に時が進んでいく。
遅々たる進みであっても、確実に進んでいく。そして、『60秒』という制限が付いている以上、彼女は慎重にならざるを得ない。
慎重なれば、判断が遅れる。
刹那に生きる生命体であれば、当然のように備わっている直感を彼女は利用できない。
故に、気が付かない。
マシュマローネが飛びながら、縮退の起点を戦場のあちこちに打ち込んでいることに気が付かない。
己が攻撃されないがゆえに、脅威とみなせない。
直感がもしも、彼女にあるのならば、それを排除するために『やりなおして』いただろう。
「このまま轢き潰す!」
巨体がマシュマローネに迫った瞬間、彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
覚醒権能『崩壊する星』(グラヴィティ・コラプス)。
それはマシュマローネが設置した縮退の起点を起爆する輝きだった。
「異なる矛盾の力、拒絶と抱擁の中、崩壊の螺旋が顎を闢く、これが星の終わり」
「攻撃! 馬鹿め! 私には『エンドテイカー』がある! それを!」
やりなおした瞬間、『ラハム・ジ・エンドテイカー』は気がついた。それは確かに攻撃の開始を意味した起爆であった。
けれど、マシュマローネは設置していたの。
いくつのかの条件があった。
敵が巨体であること。
『エンドテイカー』能力が限定的であること。
そして、何よりも、彼女が設置した起爆点が『無数』に存在すること。
これらの条件を同時に満たした瞬間こそ、マシュマローネのユーベルコードは縮退爆発を同時に何個でも、どんな距離からでも起爆することが可能となる。
すなわち、それは。
「確定された『60秒』前に私の攻撃は素手柄に開始していますわ。つまり――」
マシュマローネの瞳がユーベルコードに輝く。
「『エンドテイカー』能力では最早、私の攻撃の起点はやりなおせないのですわ」
「な、ならば、起爆の瞬間からやりなおせば」
「一体どれだけの数が潜んでいるかもわからない爆弾処理とやり直し。その瞬間に貴方は取り返しの付かない時点まで時を進ませることになるのですわ」
故に、とマシュマローネは射抜く。
その瞳に輝くユーベルコードで持って、必ず届く縮退爆発の起爆を『ラハム・ジ・エンドテイカー』に叩き込む瞬間が来ることを知るように。
そして、『ラハム・ジ・エンドテイカー』は気がつく。
もう、己は後戻りできない崖っぷちに立たされていることを。
それを示すように凄まじい爆発が彼女の巨体を揺らした――。
大成功
🔵🔵🔵
空桐・清導
POW
アドリブ大歓迎
「エンドテイカーね。恐るべき能力だけど、怖くはないぜ。
先達はアンタを一度討っている!
オレ達猟兵に出来ない通りはないぜ!!」
強い宣誓と共にラハムの前に立つ
エンドテイカーへの対策は真正面からの突破
全て対策されてしまうのであれば、万全の体勢を整えるまで
[オーラ防御]を展開してダメージ軽減
[仙術]による永続的回復
後は[気合い]と[根性]で突っ切る
これを60秒間以上続けて発動を潰させないようにする
奴は傲慢だ
望み通りの展開なら時間を戻さないだろう
「此処からは、オレのターンだ!」
UCを発動させて時を巻き戻す前に全力の一撃を叩き込む!
仮に戻すんなら上等だ!そのたびに[限界突破]するだけだ!
恐れは震えに直結する。
震えは躊躇いに変わる。
躊躇いは死につながる。
ならば、空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は、恐怖を克服する。どれだけ恐るべき能力を持つ敵が相手であったとしても、己が為すべきことは何一つ変わらず。
自身の胸に宿す勇気は依然燃え盛っていることを自覚する。
「『エンドテイカー』ね。恐るべき能力だけど、怖くはないぜ」
その言葉に『ラハム・ジ・エンドテイカー』は笑う。
恐ろしくはない、と己に言ってのける様は滑稽ですらあった。何故なら、彼女にとってどんな力もやり直すことができたからだ。
例え、『60秒』という僅かな時間であっても、猟兵達の行動はやりなおさせることができる。
「馬鹿め。恐れを知らぬ白痴に私が倒せるものか!」
「いいや、怖くはないぜ。何故なら、先達はアンタを一度討っている! オブリビオンになっているのが証明だ。アンタは絶対じゃあない。オレ達猟兵にできない道理はないぜ!!」
それは宣誓だった。
眼の前の強大な敵に対して一歩も退かぬという宣言。
その宣言を清導は何度しただろう。
己が突っ込むたび、身を穿つ痛みに耐えながら、しかし前に進むこと数百。
すでに『エンドテイカー』能力によってそれだけやりなおされていた。
望む結果を得るまでやりなおすことのできる能力が『エンドテイカー』である。
しかし、『60秒』までしかやりなおせないという制限がついている以上、遅々とした歩みであるが、たしかに時は前に進んでいる。
「やはりこちらの制限を踏まえた上で徐々に。忌々しい」
「やはりな! 気合と根性でどうにかならない道理なんてない! 確実にやりなおす時点が前に進んでる!」
清導が賭けたのは『ラハム・ジ・エンドテイカー』の傲慢さ。
彼女は己が求める最高の結果が得られるまでやりなおす。それは生前の制限のない『エンドテイカー』能力の乱用を見ていればわかる。
望むものを望むだけ手に入れることに慣れた者にとって、『60秒』という制限は十分に思えながら、やはり不足だったのだ。
そして、清導が十分に傷ついたのを見ても、必ず死に絶えるまでやり直すだろう。
故に、清導は己の身を黄金のオーラでもって纏う。
数百のやりなおし程度で己の心は折れない。
どれだけやりなおすのだとしても、己は前に進む。
むしろ、上等だとさえ思ったのだ。
どれだけやり直すのだとしても、その度に己は限界を超えていく。
瞳に輝くユーベルコードはそれを成さしめる。意志の力でもって人は限界を超えていく。やりなおすことができる、という保険を手にしたものと、今という一瞬に懸命に生きる者とでは、その力の重さが違う。
「何度迫っても無駄だ! 私こそが最高たる存在。世界そのものなのだ! それを!」
「否定するさ、何度でも! どれだけやりなおすのだとしても、アンタは気が付かないのだろうな! オレが近づいて、そして、やり直す時間がもはや致命的な領域まで到達してることを!」
「黙れ! 猟兵ふぜいが、この私を!」
「ぶん殴ってやるさ! それはもうオレが決めたことだ!」
清導は己の意志の限界を超えて、幾千ものやりなおしを経てなお、擦り切れることのない強靭なる意志でもって、その拳を『ラハム・ジ・エンドテイカー』に叩き込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
遠野・路子
なんというか、いつもラスボスは理不尽だね
エンドテイカー能力、60秒の巻き戻しか
巻き戻しで得られる利点は情報
狙われるのは私との情報の齟齬
厳しいのは初見時かな
転送直後から的確に狙われる想定で動こう
回避先まで読まれてそうだ
こっちの利点は予知の内容
『内部の敵の命を奪う』死の魔法円なら
必ず私の周囲に円が在るはず
『蒼銀の光芒』をクイックドロウで全周囲に射出しつつ
万が一は『翠銀霊障』を盾に
ごめんね、でもここで負けるわけにはいかない
同時に【空より至る百億の星】発動
指定はもちろんラハム
指定だけならバレないはず?
さて『127秒』頑張ろうか
とにかく魔法円の対処を
エアシューズで絶えず移動して
蒼弓も使いつつ回避と魔法円破壊でしのぐ
……時間さえしのげば!
きた
おいで宇宙ゴーストたち
残念だね
私のユーベルコードは127秒前に発動している
60秒の巻き戻しをどれだけ繰り返しても
少しずつ時間は進む
だから私は『どれだけ巻き戻されても耐えればいい』だけ
ラハム・ジ・エンドテイカー
貴女の敗因はエンドテイカーを捨て切れなかったことだよ
『エンドテイカー』能力。
それはやりなおすことのできる能力であり、時間さえ巻き戻す。
より善き結果を求めるための能力であり、本来は生命の進化をより良いものにするために備わった能力であった。
しかし、大魔女『スリーピング・ビューティ』は汚れた心でもって、その能力を己のためだけに使っていた。
当然だ。
我欲にまみれているのならば、他者のことなど顧みない
己が世界だと宣うものに、他者の存在など介在しないのだから。独りよがり故に、己のことしか瞳に映らない。
他者から己がどのように見られていようとも、やりなおし能力がある以上、些細なことだったのだ。
「私の存在を認めぬという愚かしさ!」
咆哮する帝竜『ワーム』の巨体から覗く仮面の女の顔は憤怒にまみれていた。
猟兵たちに怒り狂っているのは当然であったが、しかし彼女が誠に怒り狂っていたのは、己の『エンドテイカー』能力が不完全であることに対してだった。
「なんていうか、いつもラスボスは理不尽だね。『エンドテイカー』能力、『60秒』の巻き戻しか」
そう、遠野・路子(悪路王の娘・f37031)の言葉の通り、『ラハム・ジ・エンドテイカー』の能力は大きく制限がかかっている。
最大『60秒』しかやりなおすことができない。
そして、やりなおす度に時は遅々としてではあるが、確実に進む。そして、取り返しの付かない傷を、その巨体に刻まれることになる。
その証明のように猟兵たちのユーベルコードが煌めく度に、『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨体には癒えぬ傷が、やりなおせぬ傷が刻まれているのだ。
「とは言え、やりなおすことで得られるのは情報。狙われるのは私との情報の齟齬」
なら、と路子は転移後に即座に己が狙われることを自覚していた。
やりなおし能力がすでに発動しているのだ。
ならばこそ、彼女を的確に狙うことができる。路子が確信していたのは、『ラハム・ジ・エンドテイカー』の狡猾さだった。
「でも、そういうことだよね」
己の周囲に浮かぶ魔法円。
遺失魔術パワーワードキル。
魔法円に囲った内部にある生命を奪う魔術である。それが転移した路子の足元に即座に浮かんでいたのだ。
「死ぬがいい。愚かな猟兵よ!」
瞬間、路子は光の矢を解き放ち、そして同時に己に釣られて集まってきていたゴーストになる直前のモノたちを盾にして魔法円から飛び退く。
ごめんね、と言う謝罪の言葉はやりなおしの彼方に解けて消える。
路子は自覚する。
やりなおされた、と。己の目の前にあるのは転移の光ではない。
自覚した視界の中に在るのは『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨体と、その内部から覗く仮面の女の顔。
つまり、確実に時間が進んでいる。
己が自覚するより早く路子はその場を蹴って飛ぶ。
だが、次の瞬間、己の足元に魔法円が煌めく。回避先まで事前に遺失魔術によって魔法円が設置されているのだ。
「私が、こうするってわかっていたような……そう、これが『エンドテイカー』。でも、転移直後じゃない」
なら、と路子は再び己の視界が切り替わるのを知る。
またやりなおされた。
「無駄だ! どれだけ私の意表を突こうというのだとしても! 私には『エンドテイカー』能力がある! やりなおせばいいだけのことだ! 貴様の死という結果を得るまでな!」
「浅はか」
「何……?」
路子は息を吐き出す。
彼女にとって、『ラハム・ジ・エンドテイカー』への攻撃は既に『始まっている』。
やりなおせるのは『60秒』が最大。
ならば、路子のユーベルコードはすでに、『始まっている』。
彼女のユーベルコードは、敵を指定するところから始まっている。その時点で攻撃されることはない。
そう、彼女のユーベルコードは時間がかかる。
つまり、『60秒』のやりなおしでは、すでに発動はやりなおせない。
「127秒後。これが私のユーベルコードのちからが発現する瞬間。そして、あなたはもうやりなおしても、私のユーベルコードの発動前まで遡れない。残念だね」
「何を、言っている?」
「私の言葉の意味を測りかねている。だから、やりなおさない。私の言葉の意味がどんな意味を持つのか、その結果を見てからでもおそくないと思っている時点で、貴方はもう負けている」
「何を、いっていると私が言ったのだ! 答えろ!!」
激昂した瞬間、天を路子は指差す。
「きた。おいで宇宙ゴーストたち」
示す先にあるのは空より至る百億の星。宇宙ゴースト。それは重力剣と流星魔法でもって『ラハム・ジ・エンドテイカー』を狙っていた。
止まらない。
『エンドテイカー』で何度遡っても消えない。
何故、など今更だ。路子のユーベルコードは、127秒前にすでに始まっていたのだ。
「『ラハム・ジ・エンドテイカー』、貴方の敗因は『エンドテイカー』を捨てきれなかったことだよ。私達に勝とうと思うのならば、やりなおせるなどと思った時点で」
敗北は決定しているのだと路子は降り注ぐ星と共に打ち砕かれる巨体を見やるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
やり直しの力を持ってなお今の奴がいる。つまり…
回点号【操縦】サイキックシールド展開、死の魔法円から【オーラ防御】
更に、己が|【闘争心】《破壊衝動》を以て命奪う呪法に対抗し、
『恐喜歩』発動
壊せぬ道理など、ない!!
メガスラスター【推力移動】
時空を歪ませる怨念結界の【呪詛】で魔法円の範囲から、そして
己をやり直し能力から切り離し、ラハムに肉薄、結界に取り込み奴自身もやり直しから切り離し、【早業】フォースサーベルで【切断】連続攻撃
壊せ!壊れろ!大魔女!!貴様は何者でもない、只の死人だ!!!
【追撃】フォースサーベルを突き刺し無敵斬艦刀に変形
【念動力】を刀身に流し込み、爆砕させる!
おとなしく、眠ってろ!!!
幾度となく繰り返されるやりなおし――『エンドテイカー』。
その能力の恐るべき脅威は言うまでもない。
しかし、より善き結果を求めるがゆえに、『ラハム・ジ・エンドテイカー』は、この結果を認められない。
『60秒』までしかやりなおせぬ欠陥。
それは生前であれば、存在しないリミットであった。故に、彼女は見誤る。
これまでどんな存在であれ、彼女の眼の前では無制限に『エンドテイカー』を使い、巻き戻し、戦いの場にすら到達できぬ状況までやりなおせばよかったのだ。
だが、しかし、今『60秒』という枷を得た彼女は、その無制限なる力の使い方に慣れて居たがゆえに、考えなしに『エンドテイカー』を使用し、やりなおせぬ時点まで時が進み、傷を追っている。
それを認め、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は叫ぶ。
「貴様を壊せぬ道理など、ない!!」
キャバリアを駆り、サイキックシールドを展開しながら、己を囲う魔法円を脱出する。しかし、即座にやり直される。
「馬鹿め! そのような猪突猛進で私をどうにかしようなど!」
視界が変わる。
やり直される度に視界の先で魔法円が輝いている。
だが、小枝子は咆哮する。
壊す。
ただそれだけのために彼女は叫ぶ。嘗て、エンドブレイカーたちが悲劇のエンディングを壊すためだけに、その力を、純然たる力を行使したように。
彼女もまた、己の中にある闘争心という名の破壊衝動でもって己の生命を奪わんとする遺失魔術パワーワードキルに対抗するのだ。
生命を砕く痛みが走る。
だが、すでに小枝子は悪霊だ。
生命などない。
故に、『ラハム・ジ・エンドテイカー』は己が誤ちに気がつく。
「こいつ、まさか……!」
悪霊。それこそが生命奪う魔術に対する術。生命なき悪霊に、奪われる生命など存在していない。生命に見えるだけのなにか別のものなのだ。
故に小枝子は踏み込む。
メガスラスターが運出仕、一気に時空すら歪ませるほどの怨念結界を展開する。身に纏う彼女の恐喜歩(アドバンス)は、ユーベルコードの輝き。
己の真の姿を曝す。
「貴様、悪霊……! 命なきものか!!」
「自分は知らない。恐れも、喜びも、この歩みを止められやしない。自分は!」
真の姿を曝け出す。
踏み出す。
破壊する。ただそれだけを小枝子離さしめんとする。汎ゆる魔術も、どんな攻撃も、今の小枝子を損なうことはできなかった。
魔法円を振り切って小枝子は飛ぶ。
やりなおされたとて、同じ行動を繰り返す。何度やりなおされたとて、結果は変わらないと示すように小枝子は遅々として進む時間さえも歪ませ、『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨体へと迫る。
抜き払ったフォースサーベルの剣閃が巨体に煌めき、その体躯を切り刻む。
「壊せ! 壊れろ! 大魔女!! 貴様は何者でもない、ただの死人だ!!!」
「悪霊風情が何を言う! この私に! 世界たる私に!!」
「黙れ」
小枝子の瞳がユーベルコードに輝く。
体躯に突き立てたフォースサーベルが形を変え、無敵斬艦刀に変形し、念動力が迸る。巨躯に流し込まれる力は、爆ぜるようにして『ラハム・ジ・エンドテイカー』の内部を破壊する。
それは憎悪でもなければ、激昂でもなく。
ただ目の前の物を壊すという意志のみ。
故に、小枝子は叫ぶのだ。
「おとなしく、眠ってろ――!!!」
大成功
🔵🔵🔵
ワルルーナ・ティアーメル
……ふん何故だか貴様が「大魔女」を名乗ること自体、
エリクシル云々を抜きになんでかめっちゃ嫌悪感が沸いてくるな!
いつもの魔王結界、それに己の肉体改造とドーピングにより空中機動力を上げて奴の攻撃を避け、一応ワルレーンが行動前に潰されぬよう、都合の良い幻を見せる催眠幻覚性ブレスを吹き、我自身を肉盾とし庇い、UCを使うぞ!
後は単純だ。【緑涙ノ大津波】が奴がUCで得た強化効果も、奴の異能も、全て奪い無効化だ!奪った異能をこっちが使う必要はないし、ずっと奪う必要もない。60秒以上異能を使わせなければ最早こっちのUC発動を奴は阻止出来ぬ、そうなれば後は奪った強化も上乗せし集中攻撃を仕掛けるのみなのだからな!
巨体が爆発する。
内部より放たれた念動力が炸裂し、『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨体を揺らしていた。
その光景は、やりなおし能力である『エンドテイカー』を猟兵が打ち破ることのできた証明でもある。その光景が、やりなおしによって消えていないという事実を認識し、ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)は笑う。
「……ふん」
鼻で、笑っていた。
そう、ワルルーナは何故かはわからないが、『ラハム・ジ・エンドテイカー』が『大魔女』を名乗ること事態が『エリクシル』云々を抜きにしても、嫌悪感を覚えてしまっていた。
理由は判別としない。
しかし、確実にワルルーナはふつふつと込み上げてくる嫌悪の感情に己の身が膨れ上がるのを感じたのだ。
「今、私を、この世界たる私を嗤ったな?」
『ラハム・ジ・エンドテイカー』の、帝竜『ワーム』の内部より覗く仮面の魔女の顔が憎悪に染まるのをワルルーナは見ただろう。
だが、それに臆することなく彼女は言ってのけるのだ。
「そうとも! 我は貴様を嫌悪しておる! 何故だか分からぬが、我が身に湧き上がる嫌悪! これを否定できぬ! 故に!」
「黙れ! この私を笑うものなど、この世に存在してはならぬ! 私こそが世界なのだ。私を崇め奉ることこそあれ、笑うものなど!」
これまで積み重ねてきた幾千、幾万のごとき『エンドテイカー』能力により、その巨体の力は圧倒的な強化を得てワルルーナをすり潰さんと迫っている。
だが、ワルルーナは魔王結界と、己の肉体改造、そして、ドーピングによって飛翔し、ブレスを解き放つ。
本来の『エンドテイカー』能力であれば、その攻撃の起点ごとなかったことにやりなおされていたことだろう。
だが、今の『エンドテイカー』能力は『60秒』という制限がついている。
故に、傷が蓄積しているのだ。
「この私が轢き潰し、死をくれてやろう!!」
だが、『ラハム・ジ・エンドテイカー』は、ワルルーナを轢き潰した感覚を得られなかった。いや、己が強大になりすぎて、攻撃した、という感触すら覚えなかったのかも知れない。
あの猟兵はその程度のものだったのだと、半ば都合の良い思考に至ってしまう。
それほどまでの傲慢。
しかし、『ラハム・ジ・エンドテイカー』にワルルーナの声が響く。
「どうやら都合の良い幻覚を見ているようだな、『ラハム・ジ・エンドテイカー』とやら!」
ワルルーナの声が頭上より聞こえ、『ラハム・ジ・エンドテイカー』は見上げる。
そこにあったのは万全の体勢のワルルーナと第2の獣ワルレーン/緑涙ノ大津波(ワルレーン・ティアーフラッド)であった。
緑の雨と巨大な津波。
翼持つ人魚が持つ雨は、『ラハム・ジ・エンドテイカー』の能力を奪う。
つまり『エンドテイカー』能力だ。
やりなおしは効かない。
限られた時間ではあるが、ワルルーナの瞳がユーベルコードに輝いている以上、『ラハム・ジ・エンドテイカー』は『エンドテイカー』を使用できない。
「この私の能力を!『エンドテイカー』を簒奪するだと!?」
「そうだ。だが、この異能を使う必要はない! 我には不要よ。我こそは百胎堕天竜魔王ワルルーナ! この名を覚えて奥が良い! 貴様がこれまで繰り返してきた異能による強化のみを頂く!」
やりなおしはいらない。
ワルルーナは数多の願いを叶えてきた。
それが己の欲望でもあったからだ。けれど、ワルルーナはやり直そうとは思わない。己にとって不都合があるのだとしても、それでもやりなおさない。
自分が懸命に生きているということを証明しているからだ。
「願いとは、やりなおせぬからこそ生まれるもの! 懸命なる生命の煌めきよ! それを塗り潰す貴様のやり口など、我が踏襲するものか!」
ワルルーナの肉体改造された巨竜の一撃が、これまでやりなおされ、なかったことにされてきた数多の生命の重さを載せるように放たれ、『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨体を大地に叩きのめすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルジェン・カーム
機神搭乗
…僕からいえる事は一つ
お前…生きてて恥ずかしくないんですか?(一切の感情が消えた顔
限りなく小さい嫉妬で此処までの惨劇
種族として持ってるだけの特徴を最高と宣う精神性
お前は何度やり直そうと此華咲夜若津姫の足元にも及ばない
いや…どの魔女にも及ばない
史上最低の魔女…お前は悪ですらない
お前は唯のつまらない生き物ですよ
だから…消えてしまいなさい
対先制
【戦闘知識】
降り注ぐ隕石の位置と安全地帯の把握
【念動力・弾幕・武器受け】
念動光弾を乱射して隕石を迎撃
対エンドテイカー
【空中戦・二回攻撃・切断・貫通攻撃・串刺し】
UC発動
超高速で飛び回り
最初に砲撃兵装で頭を串刺しにして…破壊の波動を中に流し込み精神も破壊して意識ごと破壊する
これで殺せるとは思ってません
そのまま何度も破壊の波動を込めた聖刃と宝剣で切り刻み60秒以上魔女所意識を飛ばす!
戻った所で切り刻まれる未来を返させはしない
お前のやり直しの|理想の未来《エンドテイカー》は…僕が破壊します
理想の未来にお前という存在は必要ありません
お前は唯…消えていけ
冥皇神機『プルートー』と共に戦場に転移したアルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)の表情に感情はなかった。
「お前…‥生きていて恥ずかしくないんですか?」
その言葉は『ラハム・ジ・エンドテイカー』に向けられるものだった。
己から言えることは一つしかなかった。
アルジェンにとって、大魔女『スリーピング・ビューティ』とは、ただ一つの嫉妬を於いて此処までの惨劇を生み出した大罪の存在である。
故に、オブリビオンと成り果て、二度までも世界の破滅に手をかけたのだ。
己自身が世界だという傲慢さ。
己以外に最高はないという精神性。
そのどれもが、他の何者にも及ばぬものであり、汚れた心の証でしかない。
故にアルジェンは言う。
「お前は何度やり直そうと此華咲夜若津姫の足元にも及ばない。いや……どの魔女にも及ばない。史上最低の魔女……お前は悪ですらない」
アルジェンの言葉に『ラハム・ジ・エンドテイカー』は哄笑した。
それがおのれに敵対する者が己に対して吐き続ける憎悪のそれと変わらなかったからだ。故に彼女は笑う。
「この期に及んで、そのようなことしか言えぬのだな、猟兵。確かに私は未だ不完全。されど、『エンドテイカー』はこの手にある。貴様がどれだけ私に歯向かおうとも、貴様の死は決定しているのだ! そう、この私が決めたのだから!」
降り注ぐ遺失魔術。
天より飛来する隕石。
それらは一瞬にしてアルジェンを捉え、その一撃で持ってキャバリアごと破壊せんと迫る。
どのように動いても、どのようにしても、迫る隕石は都度、眼前に迫っている。
これが『エンドテイカー』。
己の願う結果を得られるまでやり直される力。
だが、『60秒』という制限が付いている。
「やはり、お前はただのつまらない生物ですよ」
アルジェンは息を吐き出す。
『プルートー』より放たれる念動光弾で隕石を砕く。
次の瞬間、砕いたはずの隕石が己に迫っている。
なるほど、とアルジェンは理解する。己が隕石を砕く、回避する度にやりなおしているのだ。
だが、超高速で飛び回りながら、隕石をどれだけ眼前に迫ろうともアルジェンは破壊し、躱し続けた。
『60秒』という制限は、遅々としてではあるが、確実に時を前に進ませる。
やりなおせばやりなおすほど。
己が隕石を回避し、砕く度に『エンドテイカー』は使用され、時間が進む。
「僕にそれが知覚できなくても、眼前に迫る隕石程度、買わせないわけではないでしょう」
超高速で飛翔する『プルートー』と共に万物を分解崩壊させる波動を解き放ち続ける。
迫る隕石は必ず砕ける。
己に到達する依然に、己がこのユーベルコードを、対神滅殺機構『冥界の神』(スピアオブハーデス)を発動した時点で、『ラハム・ジ・エンドテイカー』の遺失魔術は破壊される運命を決定漬けられていたのだ。
「その波動は!!」
「ええ、これで殺せるとは思っていません。お前のやりなおしの|理想の未来《エンドテイカー》は……僕が破壊します」
アルジェンは『プルートー』と共に斬撃を放つ。
破壊の波動。
それを籠めた聖刃と宝剣。
無数に放たれ続ける斬撃は、幾度のやり直しを経ても、『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨躯を切り刻むという結果を変えない。
到達するその時まで、どれだけのやりなおしが行われても、一切損なわれる事なく放たれ続ける斬撃。
「貴様は……この私の! 世界を否定するか!」
「それはお前の望む未来でしょう。僕の理想の未来にお前という存在は必要ありません」
アルジェンは斬撃を放ちながら言い放つ。
やりなおしなどいらない。
不可逆な時の流れがあるからこそ、前に進むことができる。
眼の前に訪れた未来がどれだけ理不尽なものであったとしても、エンドブレイカーはそれを破壊して未来に進んでいったのだ。
ならば、過去の残滓とも言える『ラハム・ジ・エンドテイカー』は彼にとって必要のない存在だった。
故に、彼は言う。
「お前は唯……消えていけ」
放たれる斬撃は、その巨躯を切り刻み、『ラハム・ジ・エンドテイカー』の怨嗟の咆哮を轟かせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎
清々しいまでに、自分のことしか考えておらんな。
だが、逃がしてはならぬやつである。
さて、どれだけ強化されようが…その一撃は、見切って避けよう。
ちなみに、巻き戻されて方法変わろうが、武を修めておらんと…わりとわかりやすいぞ?
さて、こちらのUCであるが。できるようになったら即座に使う。
ただし、取り巻く呪詛は不可視にしておこう…。
黒燭炎で反撃し、カウンター攻撃食らっても良い。『60秒』以上不可視の呪詛で消えておくか。
そして…時間経ったら、再度攻撃。強化は消えぬし、四天霊障で広域押し潰しにしたから、逃げられぬよ。
『ラハム・ジ・エンドテイカー』は己の欲望を叶えることこそが、世界の理であると信じて疑わない。
世界とは己。
己とは世界。
それは傲慢極まる思考であったが、彼女が嘗て手にした能力『エンドテイカー』を考えるのならば、そのような極地に至らしめるのは無理なからぬことであったかもしれない。
それほどまでに『エンドテイカー』能力は強大にして脅威であったのだ。
しかし、その能力も今は制限がある。
最大にして『60秒』。
それがやりなおす限界点だった。それにより、大きく足枷をつけられた『ラハム・ジ・エンドテイカー』は己の能力の限界を超えられない。
生前に無制限に能力を使用してきたツケであろう。
傷を得て、なお、彼女は経験を活かせないでいた。やりなおせばいい、という安直さが彼女の戦闘経験の無さを示していた。
『エンドテイカー』能力ありきの戦い方しかできぬからこそ、帝竜『ワーム』の巨躯を手に入れても傲慢極まる思考しかできないのだ。
「清々しいまでに、自分のことしか考えておらんな」
「世界こそが私であるからだ、それ以上の意味などありはしない。私が求めることこそ、世界の正しき未来だ。それを理解せぬ愚物に説く言葉などない!」
吹き荒れるようにして、これまでやりなおしてきた『エンドテイカー』の回数を思わせるような強化を得た巨体が、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』へと迫る。
「そうかよ。だが、逃してはならぬことだけはわかっておる。おぬしは、ここで終いよ」
「バカバカしい! この私に終わりなど無い!」
迫る巨躯。
確かに強大で、巨大。
だが、『侵す者』にとって、その突進はまるでイノシシを相手にしているかのようでさえあった。
「少し大きいばかりの猪ではないか。猪突猛進たる猪武者のほうがまだ可愛げがある」
「この私を謗るか!」
「単調。どれだけやりなおしたとて、わしには届かぬよ。武を修めることもなく、そのわかりやすい動きは、ただただ、質量にかまけた一撃でしか無い」
「黙れ!」
帝竜の巨躯でもって『侵す者』の体がすり潰される。
しかし、次の瞬間『ラハム・ジ・エンドテイカー』は知る。
どれだけすりつぶしたと思っても『侵す者』は悪霊である。その肉体は呪詛で持って再構築され、瞬時に己の体を取り戻す。
その上、教科を伴って放たれた一撃を受けた力に比例するようにして『侵す者』の戦闘力は増強されていくのだ。
「抜かったな。いや、一手仕損じたとでも言うべきか」
『侵す者』は『エンドテイカー』能力が『60秒』という制限を得ていることを知っている。
『ラハム・ジ・エンドテイカー』にとって、それは足枷そのものであったし、また使い慣れぬ制限でもあった。
故に、やりなおせないほどの時間が過ぎ去っても認識することができなかったのだ。
それは先んじた猟兵達のユーベルコードが傷跡として巨躯に残されていることからも推察できる。
「やはり、ダメだな。おぬしは。戦い慣れておらぬ。幾度も同じ結果を求めてやりなおしただけで、単調なのよな」
「私を謗るな! この世界たる私を!!」
「故に負けたのであろうな、エンドブレイカーに。やりなおす者が破壊する者に勝てる道理などないのだ」
因果は巡り回る。
どこまでも、その結果は変わらない。
そう、『ラハム・ジ・エンドテイカー』の敗北という未来はもう覆らない。それを示すように、放たれた槍の一撃が、その巨体を穿ち、内部に在りし魔女の仮面を砕き、血潮を噴出させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
マウザー・ハイネン
アウィンも大概でしたが貴女も別の方面で大概ですよね。
全く憧れない方ですが。
今再び蘇るなら…何度でも、滅ぼします。
先制攻撃には距離を取りつつとにかく時間を稼ぎます。
下手に攻撃、或いは逃げすぎてもやり直され強化される可能性があるので程々の距離で敵の挙動に集中、見切って受け流し。
突進は背中側など見え難い方へ飛び込んだりしつつ魔法は破魔の力宿した氷槍で対抗します。
発動準備出来たら更に60秒距離を取りつつ応戦。
経過したらUC起動、吹雪で凍てつかせます。
やり直されたら再び即UC、戦場全体の吹雪…発動時点で無傷で逃げる事は叶いません。
阻止の為飛び込んできたら飛来した聖剣でカウンターを。
※アドリブ絡み等お任せ
はじまりのエンドブレイカー『アウィン』。
それは『11の怪物』をして化け物と言わしめる存在であった。その存在が、かつて口にした言葉こそが発端。
恐らく絶対的な存在であった大魔女『スリーピング・ビューティ』の『エンドテイカー』能力を砕くただ一つの|意志《ガッツ》。
それ故に彼女はエンドブレイカーに敗れたのだ。
「再び蘇るなら……何度でも、滅ぼします」
二度目の邂逅であろう、マウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)は氷の如き刀身を持つ細剣を手に『ラハム・ジ・エンドテイカー』の前に立つ。
確かに『エンドテイカー』能力は恐ろしい力である。
やりなおす。
己が求める最高の結果を手繰り寄せるまでやり直し続ける。
けれど、今、その能力には大きな制限が伴う。すなわち最大『60秒』。それを超えてはやりなおすことができない。
猟兵達のユーベルコードが明滅し、その度に『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨躯に傷跡が刻まれていく。
やりなおしの限界点を超えているためだ。
確実に蓄積されて行っている。その傷跡を認め、マウザーは認識を改めた。己達の始祖『アウィン』は確かに規格外の意志を持っていたが、しかし、大魔女『スリーピング・ビューティ』もまた大概だと思っていた。
しかし、マウザーは『ラハム・ジ・エンドテイカー』を前にして全く恐れもなければ、憧憬も感じることはなかった。
ただ、一つだけ確かなことがある。
「貴方を滅ぼす」
「さえずるな、エンドブレイカー! この私が、二度の敗北を得るなどありえない! この私こそが世界なのだ! 世界たる私に間違いはない! 貴様たちエンドブレイカーこそが、猟兵こそが、世界に対してのイレギュラーなのだ!」
凄まじまでの圧力と共に『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨体がマウザーに迫る。
しかし、その一撃を見切る。
単調な突撃だ。
巨躯を誇るがゆえの突撃。あまりにも単調。それもそのはずだ。これまで『ラハム・ジ・エンドテイカー』は戦いというものを経験してきては居ても、そこから得ているものはなにもない。
何故なら、『エンドテイカー』によってやりなおしていたからだ。
それさえしていれば勝てるのだから、経験を積むことも、研鑽することも必要としない。だから、これだけ単調な突撃を臆面もなく行うことができる。
工夫もなにもない。
その一撃を見え透いた、と言い換えることがマウザーにはできるのだ。
「どきなさい」
「貴様が退けッ! エンドブレイカー! この私の道行を前に立つな!!」
やり直し能力。
しかし、マウザーは警戒している。結果より逆算して『60秒』。この間にやり直されることは確定している。
だが。
「私の邪魔をするなら排除します」
彼女の手にした細剣を媒介にして放たれる魔の吹雪が『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨体を凍りつかせる。
それは即座にやり直される。
しかし、『エンドテイカー』能力は不完全。
使用する度に時間が累積していく。遅々たる歩みであっても確実に、マウザーの放つ吹雪は『ラハム・ジ・エンドテイカー』のやりなおし限界点を超えていく。
そのための吹雪。
魔の吹雪は、動きを止め、そして攻撃の起点からやりなおすことを許さない。
決定づけられた吹雪による攻勢は、もはや『ラハム・ジ・エンドテイカー』の賽の目を変えることを許さない。
氷獄の吹雪と共に希望は来たれり(クナンノハテ)。
マウザーのユーベルコードが吹雪の中に煌めく。
飛来する聖剣が空中を駆け抜ける。
「何故だ、何故、私の未来が凍りつく。確定する!」
「滅びは必定。あなたはだた、不滅ではなく、滅びを先延ばしにしてきただけにすぎない。故に」
『今』こそが滅びの時。
マウザーは聖剣を手に取り、その一撃を『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨躯、内部より覗く魔女の仮面を切り裂くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
んもー
まったく何度も何度もやり直してごくろうさまだね
でもそれももう終わりかな?分かるかい?そういう流れってやつさ
いやいや流れってのは案外逆らうことのできないもんなんだよね
キミもそうやって流れのなかで負け続けてきたんだからね!
●なんで暢気にこんな話をしているのかというと
ボクはもうすでに勝っているからさ!
とぶちまけた屁理屈とそれに倣う世界改変、そして…巻き戻し!
この三つがそろったときキミの力をちょっとだけなかったことにできる
UC『神論』また楽しんでくれた?
もっともキミにはとってはこれが初めてだろうけど!
と力を封じてる隙に[球体]くんでドーーンッ!!
また巻き戻してみる?
「んもー全く何度も何度もやりなおしてごくろうさまだね!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は辟易していた。
何度も繰り返される光景。
『ラハム・ジ・エンドテイカー』のやりなおし能力によって『60秒』巻き戻される感覚。
わかっている。
それこそが彼女の最大の力。
遺失魔術などおまけに過ぎない。
降り注ぐ隕石を前にして彼は首をすくめた。
「でもそれももう終わりかな?」
「終わりなど無い。私に終わりは来ない。私こそが世界なのだから!」
「いやーわからないのかなー。そういう流れってやつ」
「何を言っている」
激昂するように刻まれた傷跡を抑え『ラハム・ジ・エンドテイカー』は叫ぶ。忌々しい限りであった。
猟兵達は、『エンドテイカー』能力の限界点を見定め、執拗にやりなおしを迫り、時間を遅々としてであるが進めてきた。
それ故に『60秒』を超えてのやり直しができぬがゆえに傷が累積していっているのだ。
なんとも許しがたいことであった。
けれど、目の前の猟兵の言うことが理解できなかった。
「いやいや、流れってのは案外逆らうことのできなもんなんだよね。キミもそうやって流れの中で負け続けてきたんだからね!」
その言葉に『ラハム・ジ・エンドテイカー』は怒り狂う。
「私は負けていない! 現にこうして蘇っている! ならば、未だ敗北は決定していないだろう!!」
「うわー、それは子供の屁理屈だよね。でもさ、可笑しいって思わないかな?」
ロニはまた首を傾げた。
降りしきる隕石の雨の中、何故彼はこんなに悠長に話をしているのか。
何もかもがおかしかった。
「のんきなことだってキミは思っていたかも知れない。破れかぶれって思ったのかも知れない。もしかしたら、気が触れたのかも、って思ったでしょ。でも、全部違うんだよねぇ」
ロニは笑う。
その笑いが奇妙だったことを『ラハム・ジ・エンドテイカー』は覚えた。故にやりなおした。
だが、そのやりなおしは。
「もう無理だって。さっきからおかしいでしょ? どうして」
指差す先にある隕石の雨が、降り注がないのか。
停止しているのか。
否、停止しているのではない。理不尽な世界改変によって、動きながら止まっているのだ。意味がわからない。『ラハム・ジ・エンドテイカー』は理解できなかった。
何が起こっているのか。
停止しているのではないのならば、目の前の光景はなんなのだ。
「時間遡行ってやつだよね! キミのやりなおし能力と一緒さ!」
ロニは笑う。
神論(ゴッドクィブル)は此処で終わりだ。
ロニの子供じみた屁理屈と理不尽な世界改変、そして時間遡行。
その三つが『ラハム・ジ・エンドテイカー』を既に捉えているのだ。そう、それこそがロニのユーベルコード。
「……遺失魔術が封じられている!?」
「そういうこと。キミの『エンドテイカー』能力は時間遡行で拮抗している。時間は、進んでいるんだよ。進んでいないのはボクとキミだけ? 楽しんでくれた?」
もっとも、とロニはこれが始まりであり、初めてのことだろうけど、と笑う。
振りかぶる球体が『ラハム・ジ・エンドテイカー』の頭上に膨れ上がる。
それを見上げることしかできないのは、時間遡行が『エンドテイカー』能力と拮抗しているからだ。
拮抗している能力は上回ることはない
『ラハム・ジ・エンドテイカー』は己に残された手札がないことを識り、その振り下ろされる一撃を受け止めるほかないのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アンゼリカ・レンブラント
何度もやり直そうと、必ずエンドブレイカーが
そして猟兵がお前さんを阻む
これを一番に学ぶべきだったな
相手の60秒の巻き戻しには
第六感と勝負勘を生かして見切り、
パワーワードキルの起爆に合わせ覇気を全開、
ダメージを最小限に防ぎ致命を防ぎ接近、
光の属性攻撃を宿す斧剣で斬り込むよ
60秒程度戻っても同じことの繰り返しさ!
戻っても戦況が変わらないほどのラッシュを続け
押し込んでいこう
勇者達が託した未来は確かに私達が拓いている
お前さんの出る幕は残念ながらもうないよ
さぁ今度こそきっちり倒す
仲間と連携、追い詰めていき
トドメはエネルギー充填、気合い全開っ!
全身全霊の《真・断罪閃光剣》の一刀で仕留めよう
世界に青空が戻るね
「何故だ……何故、世界たる私がこうも容易く傷つけられる……!」
巨躯に刻まれた傷跡は猟兵達が打ち込んだユーベルコード故。
そして、やりなおし能力を持つ『ラハム・ジ・エンドテイカー』は制限されているとは言え、『60秒』という時間をやり直すことができる。
だというのに、傷が累積している。
おかしなことだった。
絶対である己がこうも追い込まれている。
その事実に『ラハム・ジ・エンドテイカー』は受け入れがたい感情を爆発させる。
「あり得ない! こんな結果は認められない! だというのに、何故やりなおせない!!」
「何度やり直そうと、必ずエンドブレイカーが、そして猟兵がお前さんを阻む。これを一番に学ぶべきだったな」
その言葉は『ラハム・ジ・エンドテイカー』の脳裏に幾度となく響く言葉だった。
何度やり直しただろう。
だが、結果は変わらなかった。より良い結果を求めるために賽の目を振り直す力。
『エンドテイカー』。
だが、いたずらに時だけが進んでいく。
遅々とした歩みであっても確実に時間は進んでいく。
合わせ鏡の中に己が居るような思いであった。何度も何度も声が響く。
「学ぶべきだったな」
その言葉が最後だった。
「私に、学ぶべきことなどない! 私が! 私こそが!」
「世界だというのだろう、その傲慢にして汚れた心で叫ぶのだろう。多くを弄んできたのだろう。故に」
戦場に黄金が棚引く。
それは、アンゼリカ・レンブラント(黄金戦姫・f38980)の風に流れる金色の髪であり、手にした斧剣が宿す輝きであった。
アンゼリカの体は血潮にまみれていた。
遺失魔術パワーワードキルの力を減退させるために迸った覇気さえ、砕けていた。
だが、致命を防ぎ続けていた。
何度も。
何度もやり直したのだ。なのに、結果は同じだったのだ。己の滅びという結果は、『エンドテイカー』能力で先延ばしにすることしかできなかった。
しかも、その先延ばしには限界点が存在している。
『60秒』。
刹那に満たぬやりなおしの瞬間。
それが堆積することによって、『ラハム・ジ・エンドテイカー』は傷を確実に得ていく。変えようのない未来に迫っていくしかないのだ。
「勇者たちが託した未来は確かに私達が拓いている」
「何を言っている? 勇者? それがなんだというのだ!」
覚えては居ないだろう。
いや、覚えていたとしても、それを糧に『ラハム・ジ・エンドテイカー』はできない。安易なるやりなおしによって己の求める結果しか得て来なかったからこそ、苦渋に塗れた道のりを知らない。
苦しみを得ぬものに、栄光はない。
栄光なきものに苦しみはない。あるのだとしても、それに真っ向から立ち向かうことはない。
故に、何も得られない。
アンゼリカたちの道のりは苦渋に塗れていたことだろう。喪うことも。得られぬことも、何もかも経験してきたことだろう。
故に、今がある。
「お前さんの出る幕は残念ながらもう無いよ」
アンゼリカの瞳がユーベルコードに輝く。
数多の猟兵達が追い詰めた『ラハム・ジ・エンドテイカー』は巨躯の中で頭を振る。それは滅びを否定する駄々めいた所作であった。
「これが、お前さんへの裁きの光! 我が身に集いて剣となり全てを切り裂け――真・断罪閃光剣(シン・ジャッジメントセイバー)!!!」
裂帛の咆哮と共にアンゼリカは峻烈なる裁きの光を解き放つ。
全身全霊たる一撃。
それは『ラハム・ジ・エンドテイカー』の巨躯を一刀両断し、その下面を切り裂く。
閃光は空に立ち上り、見上げる先には。
青空が戻っていた。
永劫たる回帰も。
悲劇の終焉も。
何一つ砕けぬものはない。嘗てそうだったように。
誰かの瞳に映る悲劇を見るのならば、必ず砕くものが現れる。その名は。
――『エンドブレイカー!』
大成功
🔵🔵🔵