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エンドブレイカーの戦い⑪〜有頂天

#エンドブレイカー! #エンドブレイカーの戦い #骸殻工房ガルシェン

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 「骸殻荒野」と称されたのも今は昔、巨大工房都市へと発展を遂げた骸殻工房ガルシェンでは、例の怪物に対応するための武装制作の真っ只中にある。しかしながら、敵がそのまま放っておいてくれるわけもなく――。
 ずん、と地が揺れ腹に響く衝撃が走る。身の丈8mクラスの巨人たちが住まうこの地でも、これほどの足音を立てる者はそうは居ないだろう。
 現れたのは、全長20メートルを超える巨大なエリクシル。巨人達をも見下ろすその巨獣は、ゆっくりと、だがその巨大さ故の大きな歩幅でガルシェンの地下都市部へと向かっていた。
『カァッ……パァ……!』
 やたらとでかいせいか、低く間延びした響きの咆哮と共に、緑色の怪物が迫る――!

●ビッグハンティング
「巨人よりでかいとは、中々気合の入った相手じゃあないか」
 迫り来る巨影を遠目に眺めて、ヴィトレル・ラムビー(斧の狩猟者・f38902)が愉快気に笑う。まあ歩いているのがあの丸っこいシルエットなのだから、笑えて来るのも仕方のないことかもしれないが。
「とはいえ、みすみすこの街を潰されるわけにはいかん。悪いが皆、手を貸してやってくれ」
 集った猟兵達へとそう告げると、彼は近くに控えた武装した巨人達の方を示す。身長8メートルほどで、各々に蟹の手やら虎の牙やら動物の身体部位を備えた、勇猛果敢な彼等は生まれながらの戦士である。あの巨獣を迎え撃とうとするこの一団もまた、巨獣狩りの経験を持つ狩猟者達なのだろう。
『あのイキモノ、頭の上で何か光ってんなぁ』
『アレが弱点かァ……?』
『つってもよォ、アレにどう当てる?』
 そちらはそちらで何やら相談しているようだが……ヴィトレルが指笛を鳴らすと、こちらの様子に気付いたようで、のっそりと動き出した。
「この街の巨人達……まあ、こちらを小人扱いしてくる以外は気の良い連中だ。うまく手を結んであのでかいのを狩ってくれ」
 そうだな、例えば……巨人に天高く投げ上げてもらう、なんてのも有効かもな。冗談だか本気だかわからないそんなことを言いながら、ヴィトレルは一同を送り出した。


つじ
 メインターゲット:巨大カッパーニア
 という感じです。頑張っていきましょう!

●赤光のカッパーニア
 今回は20メートルオーバーに巨大化しており、色々と強化されています。多分POWだと巨大カッパが増える。
 熟練の狩猟者巨人達により『頭の皿が弱点である』と看破されていますが、当てるまでがそれなりに大変なので、巨人達と協力しつつ工夫してみてください。

●巨人狩猟者達
 それぞれサイの角、虎の牙、熊の右腕の特徴を持っている者などが居ます。彼等は『黒髭大犀角』とかそんな感じの名前をしていますので、身体特徴で呼び掛ければ大体通じるでしょう。
 プレイングでやってほしいことを伝えれば、概ね応えてくれます。

●プレイングボーナス
 巨人の狩猟者達と協力し、エリクシルの巨体に対処する。
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第1章 ボス戦 『赤光のカッパーニア』

POW   :    貶められた者の国カッパールドキア
【幻想の楽園から現れた兵士たちの攻撃】が近接範囲の対象に絶対命中する。元々の命中率が低いと威力減。
SPD   :    カッパルコプター
【頭の皿】を高速回転し続ける事で、威力増加・回転武器受け・レベル×5km/hでの飛翔を可能とする。
WIZ   :    無双相撲
【高速張り手】が命中した敵を【背中の甲羅】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[背中の甲羅]で受け止め[高速張り手]で反撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠クリーク・クリークフリークスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

サツキ・ウカガミ
そこの、肩が強そうな……武器投げが得意そうな、虎牙の旦那!
こんにちは、作戦があるんだけど、ちょっと聞いてもらえる?

頭の上が弱点みたいなんでしょ。
丸太でも何でも良いから、カッパーニアの上に、何か武器を投擲してもらえないかな。
そしたらボクが、その[武器に乗って飛]んで、カッパーニアの上から攻撃するからさ!

上手く上空まで飛ばしてもらえたら、タイミングを[見切り]敵の上に飛び降りて皿まで[ダッシュ]して[急所突き]の[2回攻撃]。
そのまま暴れられたら振り落とされちゃいそうだから、皿に向かって【火輪竜巻の術・改】を使ってから撤退!消えない炎で、皿を燃やして上げよう。
ガルシェンへは、行かせないよ!


アルクス・ストレンジ
…は?
カッパって確か、地球の日本に伝わる架空生物じゃ…気にするだけ損か
さっさと倒して街を護る。やるべきことは見えてるからな
戦争に勝って、この世界を見て回りたいんだ
邪魔する奴は容赦しない

投げ上げてもらう、か
自前の翼で高度を上げるより早そうだな
そこの、いい腕した…熊剛腕、でいいか?
オレが敵の足を止めたら、空に投げ上げてくれないか
アンタの腕なら間違いなく届くだろ?

ってことでまずは
敵の足に【螺旋氷縛波】
足を凍てつかせて動けなくしちまえば
奴の攻撃を封じ、かつ弱点を狙い定めやすくなるだろ?
…今だ、投げてくれ!

空に上がったら
弱点目掛けてケルベロスチェイン『投擲』
念動力で鎖を伸ばし、先端を弱点に突き刺してやる



●足は霜焼け頭は大火事
『カァッ……パァ……!』
 間延びした低い雄叫びと、荒野を揺るがす巨大な足音。ガルシェンの地に向かい、進撃するのは薄緑いろの怪物だった。シルエットは何やらやたらと丸い気がするが、口元の嘴に背中の甲羅、頭の皿と来ればこれはもう河童である。
「……は?」
 その巨体を見上げて、アルクス・ストレンジ(Hybrid Rainbow・f40862)が思わず首を傾げる。カッパとは地球の日本に伝わる架空生物……まあヨーカイとかそんな類のものだったはず。実際問題この地に住まう巨人達も、その生物には見覚えがないようだ。
「……気にするだけ損か」
 そんな感じのエリクシルが存在してしまったんだから仕方ない。とにかく今重要なのは、あrをさっさと倒して街を護ることだ。この世界を回るには、やはり平和であってほしい。その邪魔をするというのなら――。「そこの、いい腕した……熊剛腕、でいいか?」
「そっちの虎牙の旦那も肩が強そう!」
 巨人達に話しかけたところで、似たようなアイデアに至ったサツキ・ウカガミ(|忍夜皐曲者《しのびよるめいはくせもの》・f38892)もそれに参加する。
「こんにちは、作戦があるんだけど、ちょっと聞いてもらえる?」
 その内容は極めてシンプル、頭上が弱点だと看破出来ているのだから、その上に投げ上げてもらえば良い、というものだ。例えばぶん投げられた武器に乗って飛ぶことも、サツキには多少覚えがあるのだと。
『そうは言うけどなぁ』
 二人の提案を聞いたところで、巨人達は顔を見合わせる。「投げろ」と言う以上、身体の心配は二の次になっているようだが。
『そんな目立つ真似して、大丈夫かいあんたら』
 この荒野で工夫も無く飛べば、当然敵にも捕捉される。まさか猟兵達が頭上に乗るのを、敵が待ってくれるはずもなく、そのまま実行すれば恐らく普通に叩き落されるだろう。
「ま、そこはオレがうまくやるさ」
 それに対してはアルクスが請け負って、とりあえず作戦は決定した。
 やり口としてはそう複雑なものではない、仕掛けは敵の間合いに入る前。
「――凍てつけ」
 狙うならば防御に向いた甲羅が届かぬ、足元。アルクスの手から放たれた氷結の螺旋は荒野を駆け、敵の動きを縫い留める。
『カ……パ……?』
 巨大さ故かダメージに動じた様子はほとんどない。だが凍って動かぬ足元をどうにかしようと、手を伸ばして。
『カパ……』
 体形のせいで手が届かない、と悲しげな声を出した。
「よし今だ、投げてくれ!」
『おう!』
 力ずくで氷が外されるその前に、巨人の手によってアルクスの身体が空中へとぶん投げられる。自前の翼で飛ぶのとは違う乱暴な飛翔、空気抵抗を殺すようにしながら空へと上がったところで、彼は翼を広げた。
「行くぞ……!」
 繰り出されるは猟犬の鎖、念動力を以て放たれたケルベロスチェイン、その漆黒の先端が、カッパーニアの頭頂部の皿を打ち据えた。
『カパァ……ッ!?』
 同時に、下から投じられた槍に乗って、忍びの者が高く空を舞う。槍の軌道と彼我の位置を一瞬で見切り、空中で槍を蹴ったサツキは、見事敵の頭上へと着地、落下の勢いを乗せた斬撃を見舞う。連続して放たれるそれに弱点の皿を刻まれ、カッパーニアは身を捩るようにして暴れ出した。
 頭上のサツキを皿から振り落とそうする意図もあるだろうが、その動きを彼女は既に読んでいる。
「吹けよ、神風!」
 足元が大揺れ状態になる前に、後方へと跳躍した彼女は、去り際にその頭頂部に向かって術を放つ。『火輪竜巻の術・改』、羽団扇の一戦と共に燃え盛る竜巻が生じて、カッパーニアの頭上を吹き荒れる。皿が乾く、とか以前の火炎を受けて、カッパーニアは重低音で悲鳴を上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エルシェ・ノン
ええと、お二人ほど手を貸して頂けないでしょうか?
犀の角の方と、熊の腕の方へお声がけ

本当に大きなカッパーニアだなあ
遠い目しつつ距離があるうちに仕掛ける
頼んだよヒューピー(星霊ヒュプノス召喚)
どうにか眠らせたい、うとうとでもいい
睡魔に抗う間は必死に逃げる、街に被害が及ばない方へ
丸い分、接地面は少ないって信じてるっ

少しでも意識が朦朧として地面に降りてくれたら、巨人のお二人、出番です!
二人にそれぞれロープの端を持って貰って巨獣へ突進
足、引っ掻けたいんだ
あれだけ丸けりゃ、いい感じに転んでくれそうかなあって
狙い通りすってんころりんしたら、これまた巨人のお二人、渾身の一撃を皿へぶちかましちゃってくださーい!


フェリチェ・リーリエ
…プッ、いやはやあの丸っこい巨体がのしのし歩いてんのってなんともシュールで笑えてくるべ…ククク…いや笑ってる場合じゃねえけども。

どんなにでっけえ相手でも、バランス崩せばひとたまりもねえと思うだよ。つーわけでスーパートラップヴァイン発動、敵の足をトラップヴァインで絡めとり転ばせこっちに引き寄せる!
飛んで逃げられんようにちょっと敵の足とか手とか巨人の兄ちゃんに抑えといてもらってトラップヴァインでしっかり【捕縛】。
こんだけでかくて丸っこけりゃ起き上がるのも難儀なはず、さあ巨人の兄ちゃん達今のうちに頭の皿を集中攻撃だべ!

自分もソードハープの刃を振るい、頭の皿を【串刺し】にして【部位破壊】。



●ずのうせん
『カッパル……コプタァ……!』
 頭上から強烈な攻撃を受け、一粒涙を零したカッパーニアが呻く。すると、頭上の皿が素腰ずつ動き始めた。徐々に回転数を上げ、プロペアのように唸りを上げ始めたそれの力によるものか、巨獣はその身を宙へと浮かび上がらせた。
「はー……飛ぶんだね、あれ」
『たまげたなあ』『あれじゃ投げても届かんぞ』
 思わず呟いたエルシェ・ノン(青嵐の星霊術士・f38907)の言葉に、巨人達が応じる。
 巨大な彼等でも見上げるサイズだったそれが、さらに上昇。これでは先程のように頭上に何かを投げ込むのは難しいだろう。
「……プッ」
 だが若干シュールで遠近感のおかしくなりそうな光景に、フェリチェ・リーリエ(嫉妬戦士さんじゅうはっさい・f39205)が吹き出してしまう。あの丸っこい巨体で飛ぶ姿は子供向けの風船か何かを思わせる。秘かに喉を鳴らしながら、笑いの衝動を押し殺していたフェリチェだが、彼女自身も笑っている場合ではないことはよくわかっていた。
 先程までの重低音の足音からすると、あの巨体はかなり重い。それが上空から降って来れば、ここら一帯を破壊の嵐が吹き抜けかねない。
「何とか引っ張り下ろさないとまずいべ……」
「まあ、その辺りも含めて――」
 ご相談、とエルシェが巨人達へと声を掛けた。
「ええと、お二人ほど手を貸して頂けないでしょうか?」

 ということで巨人達の協力を取り付けて、急いで配置についてもらったところで、エルシェが仕掛ける。
「頼んだよヒューピー」
 現れたのは星霊ヒュプノス、丸っこいヒツジを思わせるそれは、彼の意に従って上空へと飛び上がっていった。
『カパ……?』
 突如目の前に現れたヒュプノスの姿に、カッパーニアが身構える。だが前進の勢いと体重差、このまま撥ね飛ばしてしまえると判断したのか、カッパーニアはそのまま星霊へと体当たりするように飛翔した。
 もふっ。
『カ……カパー……?』
 予測された衝撃に反する柔らかな感触が広がる。特有の柔らかな毛で体当たりを受け止めた星霊は、そのまま膨らむようにしてカッパーニアの顔を包み込んだ。
「あれは効くよね……」
 体験者は語る。使い慣れた寝具、それも選択して干した後のそれに飛び込むような感覚だと。
 カッパーニアの前進が止まり、頭上の皿の回転が徐々に緩くなっていく。ヒューピーの毛並みで見えないが、多分幸せそうな顔をしながら、カッパーニアはふらふらと下降し、やがてゆっくりと着陸した。
「ほい、かかったべな」
 立ち止まってうとうとと、寝落ちしかけているその足元に、スーパートラップヴァイン――地面を突き破るように伸びた蔓草が絡みつく
「では巨人のお二人、出番です!」
「巨人の兄ちゃん達、あとは頼むべー」
 え、なになに? ときょろきょろしているカッパーニアの左右で、巨人二人が左右から蔓草を思い切り引っ張る。足にしっかりと絡みついたそれが引かれ、カッパーニアはバランスを崩して引っくり返った。
『カ、カパァァーーーッ!?!?』
「思ったよりいい感じに転んでくれたね」
「ま、あの体形じゃ仕方ねえべな」
 やたらと丸いし重心が高すぎるのが災いした、というべきか。ずずん、と地響きを立てたカッパーニアは、すぐには起き上がれないでいる。
 計画通り、と笑って、フェリチェはソードハープを掲げて見せた。
「さあ巨人の兄ちゃん達、今のうちに頭の皿を集中攻撃だべ!」
「ぶちかましちゃってくださーい!」
 エルシェの声援に合わせて、蔓草で脚を引っ掛けた巨人達が地を駆ける。振りかぶったハンマーが、斧が、横向きになったカッパーニアの頭のお皿を叩いて、最後に駆け付けたフェリチェが剣の切っ先で打ち貫いた。

 ぴしりと音を立て、白く輝く皿の表面に穴が開いて――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アディリシア・オールドマン
POW アドリブ連携歓迎

ほう。20m級のエリクシルか。
巨人たちも大きいが、なんとも巨大なカッパ……カッパーニアだな。
いいだろう、私も加勢するとしよう。

バシリッサ、第三段階封印解除。
《Tyrant》を使用して、力づくで押し通る。
純粋な図体だけならば、今の私の方が上回ったぞ、カッパーニア。
拳を高く振り上げて、頭の皿を叩き割ろうとしてみせよう。
そのまま叩き込めれば、よし。敵のUCで現れた兵士たちに妨げられるならば、近接攻撃による痛みを無視して強引に薙ぎ払う。

見るからに脅威である私が注意を引き付けている間に、狩猟者たちや他の猟兵が弱点を突いてくれれば、それもよしだ。
スモウのように押さえつけてもいいな。


菱川・彌三八
見上げる程の大入道
然し獅子と化けた俺にとっちゃお前ェも河童も小さい小さい
…ありゃ河童か?

さあて、誰を投げ飛ばすって?
なんなら俺はお前ェ達を乗せる事だって出来らあ
…流石に数は少ねェが
俺が近場の攻撃を受け大男達が皿を割るでも、其の逆でも構わねェ
先ずは乗った乗った

地を蹴り河童の上方へ
攻撃のやや外側に迫ったら、念の為咆哮で身を縛っておく
攻撃も、動けにゃ出来まい
数が増えりゃ炎で牽制
其の隙に思いっきり暴れな

あんまり大変だってんなら、大男達を上にぶん投げ、真っ向から俺がやり合う
気が此方に逸れたが好機
空から自慢の爪や牙を突き立ててやるが良いぜ

俺も一匹くれえ潰してェ
足止めを任せたら、上から爪を振り下ろしてやら


シキ・ジルモント
成程、良い考えだな
ヴィトレルの案に乗らせてもらおう

熊の腕を持つ者等、力自慢の巨人狩猟者にカッパの頭上へ投げ上げてもらうよう頼む
かなりの高さだ、高度を稼ぐ為なら多少乱暴になっても構わない
頑丈さには自信がある、遠慮なく頼む

投げ上げてもらうまでの間、召喚される敵兵士の接近を警戒
エンチャントアタッチメントを銃に装着
氷の魔力を纏う弾丸で敵の足元を凍らせて足止めしつつ、増えたカッパに接近される前に投げてもらう

皿が射程に入り次第、ユーベルコードでカッパ達の皿を片っ端から攻撃
ほぼ自動的に射撃を皿へ叩き込みつつ、意識は不安定な空中での姿勢制御に向ける
使い慣れた銃での攻撃、加えてこれだけ大きな的だ、外す方が難しい



●大河童相撲
『カパァァァァァァッ!!!』
 続く猟兵達の攻撃に対し、カッパーニアが半泣きで悲鳴を上げる。すると巨獣の周囲の空間が歪んで見えて、次の瞬間には幻想の楽園から呼び出されしカッパの兵隊たちが、大挙して押し寄せてきた。
『カパー?』『カパッカパッ』『カパーー!』
 なんかよくわかりませんが敵ですね? くらいの状況理解で暴れ出したカッパ兵達は、付近の猟兵や巨人達を追い立て、本体から引き離してしまう。一端の仕切り直しとなった戦場にて、シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)はこの巨大カッパ兵の群れを乗り越える方法を模索する。恐らくは彼等とて弱点は同じ、頭頂部の皿だろう。
「だとすると、やはり上か?」
『しかしなあ、あそこまで届くかどうか……』
 先程同様猟兵を投げ上げる、というのが一案だが、さすがに巨人の腕力を以てしても兵隊全てを越えていくのは厳しいか。
「とにかく高度を稼いでくれれば、後は何とかできると思うが……」
 彼の得物は銃、直接届きさえしなくとも、射線が通れば対応はできるだろう。そんな相談をしているところに、菱川・彌三八(彌栄・f12195)が加わった。
「花火でも打ち上げンのか、景気の良い話だなァ?」
『なんだ、お前さんも運んでほしいのかぁ?』
 投げ上げる風の仕草をする巨人の様子に「ははあ」と笑って、彌三八が応じる。
「逆だ、逆」
 描き出されるは『唐獅子牡丹』、ユーベルコードの力によって、彌三八は巨人やあのカッパーニアを上回るサイズの唐獅子へと姿を変えた。
『おあ……!?』『こりゃあたまげた』
 真紅の身体を一振りすると、「おお、小さいなお前ェ達」と先程の仕返しのように笑ってやる。
「で、誰を投げ飛ばすって?」
 立場は逆転、その背に巨人達を乗せてやり、真紅の唐獅子は敵の群れへと跳び上がった。河童たちを見下ろし、威嚇するように咆哮を上げれば、怯んだ彼等の動きが止まる。まさか自分達より大きな者に襲われるとは思っていなかったのだろう、慌てふためく彼等を前肢の一撃で弾き飛ばす。空中に放り投げられる形となった巨人達が降下と共に皿に一撃を加え、唐獅子の上からシキの放った氷の魔弾が、敵の鼻先を、眼前を、凍り付かせて撹乱していく。
 大きさという単純な要素で上を取ったことで、形勢は逆転、したものの。
「しっかし、数が多くていけねえ」
 やたらと増えたそれらへの対処は少々骨が折れる。そうぼやいたところへ、アディリシア・オールドマン(バーサーカーinバーサーカー・f32190)が次なる一手を付け足した。
「――ならば、私も加勢するとしよう」
 バシリッサ、第三段階封印解除。漆黒の鎧に身を包んだ彼女の身体もまた、見る見るうちに巨大化していく。兜の隙間から輝く赤と青、色の違う瞳は巨人達を、そしてカッパーニアをも上回る場所へと上っていく。
 巨大なはずの敵の群れを、子供に対するように睥睨する。その様は正に魔王の風格。
「純粋な図体だけならば、今の私の方が上回ったぞ、カッパーニア」
『カパッ、カパパー……!!』
 負けるものか、とでも言ったのだろうか。アディリシアの振り上げた拳に完全に腰が引けていたカッパ達は、カッパーニアの一言で気合を入れ直し、群れを成して彼女に向かって飛び込んでいった。
「ほう、スモウというやつか……?」
 回避困難な捨て身のタックル、そしてそのまま取り付いてくるカッパ兵達に、アディリシアは地を踏みしめて対抗する。今の彼女ならばこの程度、力負けすることなどあり得ない。暴虐の化身たるその姿を活かし、強引に捻じ伏せてしまう。だがこちらは数で立ち向かうつもりなのだろう、数体がかりで飛び掛かり、彼等は力比べに拮抗する。
 なるほどこれは面白い。狂戦士の血を湧き立たせ、そのままの突破を思い付く彼女だが。
「邪魔するようで悪いが――」
「こっちも暴れ足りねえとよ」
 もう一つの目的、『敵の眼を引き付ける』という狙いは十分に果たしていた。
 鬣から伸びる炎が周囲のカッパ兵達を牽制し、その間に四つの足で地を蹴り付け、身を撓ませた唐獅子の動きに合わせ、跳ね上げられるようにシキの身体が宙を舞う。翼持たぬその身にとって、そこは支えの無い不安定窮まる場所のはずだが。
「まあ、これもいつも通りか」
 風を捕まえるようにして姿勢を制御、後は本能と、今まで積み上げた経験のままに右腕を踊らせる。眼下に見えるカッパ兵達の白い皿は、大きな訓練用の的みたいなものだろう。
 銀色に輝く大口径の拳銃が吠える。半ば自動的に、反射的に撃ち出された銃弾は、真っ直ぐに標的に向かって飛んでいく。
 弾倉の中身を片端から吐き出して、手持ちのそれらを次々と再装填。脳天を射抜かれたカッパ兵達は次々と昏倒し、最後の一発がカッパーニア本体の皿を穿った。
 全長からすればほんの小さな弾丸だが、弱点を射抜かれたカッパーニアはぴゃっと身体を跳ねさせる。
「押し通るぞ」
 拮抗の破れたそこを、アディリシアの剛腕が引き裂く。薙ぎ払うような一撃で気絶したカッパ兵達を弾き飛ばし、群れを無理矢理押し広げるようにして、進む。その突進の勢いは誰にも止められず、ついにカッパーニア本体を捉えた。
『カパーーー!!』
 ぶちかましに目を回しながらも対抗したカッパーニアと、巨人化したアディリシアが四つに組む。やはり本体は兵隊達よりも強力なようだが、彼女にかかれば崩すのは容易いだろう。だがそうし動きを抑え込んだところで、頭上から声が響く。
「俺にも一匹潰させなァ」
「――いいだろう」
『カパッ……!?』
 悲鳴を上げる暇もあらばこそ。アディリシアが引いたところに、頭上から降ってきた巨大な脚の一撃が頭頂部の皿をぶん殴る。猟兵達の連撃、そして銃弾の穿ったそこから一気に亀裂が広がり、ついでにびたんと地面に叩きつけられたカッパーニアは、巨体にあるまじき弾力で跳ねて、荒野をごろんごろんと転がっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
やや、巨人さん達がお困りな様子!
ここは任せて欲しいのでっす!
カッパさんを踊らせちゃうのでっす!
ブレイクダンスなのでっすよー!
背中を地面につけてくるくる回っちゃうのでっす!
相撲ならこの時点で両者負けでっすが、狙いは甲羅封じなのでっす!
これで甲羅での追撃も防御もできないかと!
踏ん張れてない状態での張り手は威力激減でしょうしねー!
回ってる都合上狙いにくいかもでっすがー、寝転んでる分、お皿は狙える位置にあるかと!
巨人の皆様、今なのでっす!
お皿を攻撃してくださいなのでっすよー!
お皿が弱ったらヘッドスピンに移行してお皿をかち割っちゃいましょう!
あの巨体、自重も相当でしょうしねー!


冴島・類
成る程?
河童の弱点は皿、なのは同じなんだなぁ

うーん
投げてもらうのがわかりやすいですね!
角が立派な巨人さんにお声がけし
すみません、僕翼がないもので…
なるべく高いところから、あのかっぱー!って言ってる子に向けて
投げ飛ばしてくれますか?

落下はなんとかしますので
遠慮なく!
人間大砲は、既に過去経験済みです

投げていただいたら
頭部の上空まで届くよう
連れた白薔薇、りりの力も借り
花の雲を喚び
じゃんぷ台にして跳び
距離調整しつつ見切り相手の攻撃回避を

頭上を取れたなら…
破魔の力込めた刀での薙ぎ払いを
皿に向けて、放つ

無事割り倒すこと叶ったら
落下も、薔薇の雲に受け止めてもらい
ありがとう、と
りりや巨人さんへのお礼も忘れずに



●Shall We Dance?
 ごろんごろんと転がったカッパーニアが、荒野の端で横たわる。頭の皿に罅も入ったし、だいぶ精神的にもやられているようだが、驚異の巨大エリクシルたるカッパーニアは、すぐにやる気を取り戻すだろう。見た目はだいぶくたびれていても、とどめを刺すまで気を抜くわけにはいかない。
 ということで最後の詰めを期して、冴島・類(公孫樹・f13398)もまた巨人との協力関係を築きにかかっていた。あの巨大河童がまた立ち上がったとして、頭上を取るのなら、やはり。
「投げてもらうのがわかりやすいですね!」
 まあまあというか結構な無茶だがわかりやすい一手が必要だ。
「すみません、なるべく高いところから、あのかっぱー!って言ってる子に向けて投げ飛ばしてくれますか?」
『お前さんもか? 大丈夫だろうな……?』
「落下はなんとかしますので遠慮なく!」
 何しろ過去には人間大砲だとして撃ち出されたこともある、と言ったらさすがに巨人も引くだろうか。だがそれを確かめる前に、巨人は片眉を上げた。
『でもなぁ、今はやめといた方が良いぜ』
「何故です?」
『なんか、踊ってるみたいだからよぉ……』
 はい?

 ……という会話が為されるちょっと前に、立ち上がったカッパーニアの前には、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)が立ちはだかっていた。
「藍ちゃんくんでっすよー!」
『カパ……?』
 とはいえサイズの違いは歴然、カッパーニアの短い足の一歩か、高速張り手の一撃で、藍はぺちゃんこになってしまうだろう。だがそうなる前に、敵の注目を引いた藍は、見せつけるようにその場で踊り出す。歌って踊れば大体そこは彼にとってのステージ、『藍ちゃんくんと愉快な観客達』という構図の出来上がりだ。
「さあ、カッパさんにこれが真似できますかねー!」
 見事なパフォーマンスでありながら、そのダンスはどこか単純でわかりやすく、合わせられそうだという気分にさせられる、そんな代物だった。
 愉快で明るい挑発に乗って、カッパーニアは藍に倣い、踊りだしていた。
「今度はブレイクダンスなのでっすよー!」
 背中を地面に付けてくるくると、カッパーニアがそれをやれば、甲羅を地面に付けることになる。くるくる回る動きはスムーズだったが、この状態では甲羅と張り手を組み合わせた得意戦法は使えないはず。
「巨人の皆様、今なのでっす!」
『お、おう』『いけるかこれ!?』
 確かに弱点のお皿の位置は下がったが、高速回転する巨体はそれだけで脅威であり、これはこれでやりづらい。だが勇猛果敢な巨人達が及び腰なのには、もう一つ理由があった。
 秘かに天を指さす巨人の仕草に意図を読み取り、藍はそのまま追撃にかかった。
「ここらは、カッパさんも得意のヘッドスピンでっすよー!」
 回転する動きの軸を徐々に移して、頭を地面に付けて回る。それはつまり、カッパーニアが真似をしてしまうと。
『カ、カパァーッ!?』
 ひび割れた皿を地面に押し付けて大回転する羽目になるのだ。

「うわ、痛そう」
 そのある意味非情な光景に、類がそう感想を漏らす。
 彼が居るのはオドルカッパーニアの遥か上空、連れた白薔薇、りりの力で生み出した花の雲の上だ。敵がダンスに夢中になっているのは投げ上げてもらうのに丁度良い隙だった。とはいえダンス中の敵に取り付くのは自殺行為なので、こうしてタイミングを窺っていたのだ。
 藍の手によりごりごりと皿を削ることになったカッパーニアは、目を回し、へろへろになりながらも体勢を戻す。
「そろそろ、幕引きにしてあげましょうか」
 かわいそうになってきた。りりに声を掛け、最後に花の雲のジャンプ台をひとつ。もう息も絶え絶えなカッパーニアの頭上、雲の上から降下した類は、刀の一振りでひび割れた皿を打ち割った。
 かぱー、と力のない断末魔を上げて、丸い巨体が後ろに向かって倒れ行く。

 最後にもう一度、白薔薇の紡いだ雲をクッションに、類は無事地面へと降り立った。
「うまくいきましたね」
 ありがとう、と白薔薇に、それから巨人達へ礼を伝える。
『なあに、礼を言うのは俺らの方だ』
 発展を遂げたこの都市を、おかげで守り抜くことが出来た。そう口にして、巨人達もまた猟兵達と共に、積み上げられた都市の外形を見上げる。
 それは巨人よりも、巨獣よりも、大きく高くそびえている。彼等の営みの証はそこに、世界を巡る戦いを経てもなお、変わらず残っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年09月10日


挿絵イラスト