●夏休み、モラ真っ盛り
「毎日暑いですわねぇ……」
エリル・メアリアル(|孤城の女王《クイーン・オブ・ロストキャッスル》・f03064)が、実に気怠げな声で猟兵達に語り掛けた。
季節は夏。燃えるような暑さには、猟兵であっても参ってしまいそうだ。
「こんな季節にふさわしい……と言ったらいいのかしら。そんな事件がございましてよ」
エリルは汗を拭ってグリモアを取り出した。
「シルバーレインの世界に、メガリスが存在するのはご存じかしら?」
メガリスとは、シルバーレインの世界に眠る太古の遺産である。
かつての戦いでは、メガリスによる様々な事件が起こったという記録が残されている。
現在その力の多くは失われたか消失したと言われているが、未だ力を持つメガリスも存在しており、しばしばシルバーレインの世界で不思議な現象を引き起こしている。
「そんなわけで、今回は皆様にメガリスを回収しに行って頂きたいんですの」
そう言ってエリルがグリモアを通して見せたのは、ふわふわの毛玉だ。
「これはケセランパサランというメガリスですわ。ある海水浴場にふわりと落ちてきた途端、その地域に異変が起きましたの」
エリルが神妙な顔で告げる。僅かに走る緊張。だが、すぐにエリルは小さく笑って言葉を続けた。
「なんと、このメガリスに引き寄せられて、野良のモーラット達が集まってきてしまっているようなんですの!」
くすくすと笑うエリル。メガリスの効果はたったこれだけなのだ。
とはいえ、メガリスをこのまま放置しておくことはできない。
「というわけで……海水浴場に行って、メガリスの回収をしてくださいませ!」
折角、新調した水着もあるのだし! と、エリルは楽しそうに笑って猟兵達を促すのであった。
「これだけモーラットがいたら、どれがケセランパサランなのやらわかりませんわ。まずは野良モーラットと遊びつつ、捕まえてくださいませ」
モーラット達は完全に無害だ。遊んで疲れさせたり、ちょっと抱っこすれば大人しくなるだろう。海で一緒に水遊びなんかをするのも良いだろう。
「モーラットを捕まえれば、もうケセランパサランの回収は簡単。その後は折角の海なのだから、少し遊んできたらいかがかしら?」
事件は事件だが、猟兵達にとっては良い夏休みになるだろう。
「わたくしも今年新調した水着で、遊びにいきますわっ!」
エリルもなんだか張り切りながらグリモアを輝かせ始める。
「暑い夏でも、こうやって楽しめるのならいい季節ですわよね!」
グリモアの周囲から熱気が漏れ始める。シルバーレインでの夏休みは、まだまだ終わらない!
G.Y.
こんにちは。G.Y.です。
毎日暑いですね。そんな夏に合う? シナリオです。
今回は世間に出回ったメガリス回収を行うシナリオです。
メガリスは不思議な力を放ち、野良モーラット達を集めています。
モーラット達を捕まえて、メガリスを回収しましょう!
第1章は冒険です。
集まったモーラットを捕まえましょう。
一緒に遊んで疲れさせたり、抱きついたりして捕まえればすぐ大人しくなります。
また、他の一般人はいませんので気兼ねなく遊べます。
第2章は日常です。
水着で海水浴を楽しみましょう!
地味にメガリスのもうひとつの影響でこの地域はプライベートビーチ状態になっています。
好きなように遊ぶことが出来ます。
8月に入りましたが、まだまだ夏はこれからです。
皆さんの素敵なプレイングをお待ちしております!
第1章 冒険
『野良モーラットをつかまえて!』
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POW : 走り回ってつかまえる
SPD : 罠をしかけてつかまえる
WIZ : お菓子でおびきよせる
イラスト:RAW
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
真っ青な透き通る空にふよふよと白い影が舞う。
静かな波の音にもきゅーという音が混ざる。
メガリス『ケセランパサラン』の影響で、この海水浴場には今、野良モーラット達が大挙して押し寄せてきていたのだ!
モーラット達は人間に友好的で、これだけ数がいても基本無害。
けれど、メガリスを回収しない訳にもいかない。
そのために、まずは大量のモーラット達を捕まえよう!
折角だから、水着でね!
天風・光華
いつき兄様(f37164)と参加なの!
兄様は水着新しいのかえなくてしょんぼりしてたの
でもそんなことよりみつか、兄様と海水浴が嬉しいの!
がっこうの水着もとってもかわいいの!
「兄様兄様!うみなの!それにもーらっとさんなのー!」
みつかもーらっとさん大好きなの!
いっぱいつかまえてあげて、いっぱいぎゅーってするの!
で、でも兄様にいわれたからそーっとなの
「わ、わわ、びっくりさせっちゃったの…?」
気を付けて捕まえるの!
たくさんたくさんあつめていっぱい大事にしてあげるの!
もふもふたくさんでうれしいの!
あ、でもこのこもーらっとさんじゃないの
ふしぎな毛玉さんなの…?
「もーらっとさん、一匹もってかえっちゃだめ…?」
深山・樹
妹の光華(f37163)と行く
僕にカイショウ?なくて
水着買ってあげられなかったから
銀誓館で使っているので来たよ
「うん、かわいいよみつか」
みつかモーラット本当に大好きだし
今回は本当に何も危険無いし僕も安心
すぐ駆け出すみつかから離れないよう追いかけて
「むぎゅーしたらモーラットビックリするかも」
でも今回は本当にモーラットもおとなしいね
「大丈夫みたいだ」
僕もつかんだり掬い取って捕まえるよ
乱暴にしたらみつか泣いちゃうから…そーっと
「あ。みつかナイス!それ当たりの子だよ!」
モラとケサランパサランの中で笑うみつかが可愛くて
カメラ欲しいなって思いながら
一緒にモーラットまみれになろう
すごく楽しい夏休みで嬉しいな
ほわん、ほわん。もきゅー、もきゅー。
「兄様兄様! うみなの! それにもーらっとさんなのー!」
ふわふわ浮かんだモーラット達が、海水浴場にひしめく様子に、天風・光華(木漏れ日の子・f37163)が目を輝かせながら深山・樹(処刑人・f37164)に笑いかけた。
「うん、みつかは本当にモーラット大好きだね」
樹はそんな光華を暖かい目で見ながら笑い返す。
今日は二人で海水浴。メガリス回収という任務はあるが、危険がないこともあって、樹は安心した様子で光華を見守ることが出来ていた。
そんな二人は銀誓館学園の指定水着を着用している。実はその格好の事で、樹はここに来るまでしょんぼりとしていた。
(「僕にカイショウ? なくて水着を買ってあげられなかったから……」)
今年の水着はお預けになってしまったことを悔いていたのだ。けれど光華はそんなことまったく気にする様子もなく、ずっと嬉しそうにしている。
だって、光華の大好きなモーラットがこんなにいるのだ。そして。
「そんなことよりみつか、兄様と海水浴が嬉しいの!」
そんな光華の輝く笑顔の前には、樹のしょんぼり気分も瞬く間に吹き飛んだ。
「がっこうの水着もとってもかわいいの!」
「うん、かわいいよみつか」
二人はそう笑い合って、このひと時を楽しむことにしたのだった。
「みつか、むぎゅーしたらモーラットビックリするかも」
はしゃいでモーラット達に駆け寄っていく光華を軽く窘めながら、樹が後を追いかける。
光華は「あ、そっか」というような顔をして足を止めると、今度はそろーり、ゆっくりモーラットに近付いてゆく。
「えいっ」
「もきゅーっ」
光華がモーラットに抱きつくと、モーラットが鳴き声を上げた。
「わ、わわ、びっくりさせちゃったの……?」
慌てた光華だったが、モーラットはもふーっと目を細めて、落ち着いたような表情を見せる。
「大丈夫みたいだ」
樹がそう言うと、光華が安心した表情で少し抱きつく力を強める。
むぎゅっと柔らかくふんわりした感触が光華を包んで、暖かくて心地よい。
「今回は本当にモーラットも大人しいね」
樹が一匹のモーラットを抱っこしながら呟いた。これもメガリスの力なのかもしれない。真偽はともあれ、これなら捕まえるのは簡単だ。
「気を付けて捕まえるの!」
光華は元気に、次のモーラットを捕まえ、一か所に集めてゆく。
むぎゅっと捕まえられたモーラット達を、光華は大事に大事に扱ったおかげかモーラット達はなんとも満足げな表情でその場にとどまってくれている。
「乱暴にしたらみつかが泣いちゃうから……そーっと……」
樹ももぎゅっと掴んだり、掬い取ったり、大切に扱いながらモーラットを捕まえていく。
あっという間に、海岸の一角にもふもふの山が出来上がったのであった。
「もふもふたくさんでうれしいの!」
そう言って光華がモーラットの群れに飛び込んだ。モーラット達はもきゅーっと楽しそうに鳴きながら、光華を迎え入れている。
そんな時。ふわりと白い毛玉が空に舞った。
「……あ、でもこのこもーらっとさんじゃないの」
そんなふわふわの毛玉を見上げて、光華が首を傾げた。
「あ。みつかナイス! それ当たりの子だよ!」
樹が言う。それこそがメガリス『ケセランパサラン』だ。
「ふしぎな毛玉さんなの……?」
モーラット達に紛れてふわふわ浮かぶケセランパサランを、不思議そうに眺める光華。
舞い上がったケセランパサランに合わせて、モーラット達もふわふわと浮かび始めた。たくさんのモーラット達が、光華を中心にして、空中を楽しそうに泳ぎ始める。
「わぁ……っ」
そんなふわふわにまみれた光華のかわいらしい姿に、樹はカメラが欲しいな、なんて考える。
カメラは持ってないけれど、代わりに樹はこの光景をしっかり心に刻み込もう。そして、そこに楽しい思い出も一緒に刻み込めば、きっと写真にも負けない、ずっと色褪せない記憶になる筈だ。
「すごく楽しい夏休みで嬉しいな」
優しく笑って、樹も一緒にモーラットの群れに飛び込んでいくのであった。
ところで。
「もーらっとさん、一匹もってかえっちゃだめ……?」
光華が一匹を抱きしめながら、瞳を潤ませてお願いする。
まぁ、みんな野良だからきっと、一匹くらいは連れて帰っても大丈夫な、はず。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アリス・フォーサイス
わー、モフモフがいっぱい。もふもふしほうだいだね。あ、いや、これは任務だから。任務だから仕方なくだから。もふもふー。
たくさん捕まえてもふもふを楽しむよ。でも、任務のことも忘れてないから。ちびアリスも使って、大量ゲットだよ。
(ちびアリスたち)
もふもふー
もふもふもふー
幸せだなー。
青い空、白い雲、そして、モーラット。
ほわん、ほわんと空に揺れるモーラット達の姿に、アリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)が目を輝かせた。
「わー、モフモフがいっぱい。もふもふし放題だね」
そう言ってわくわくしていたアリスだったが、ハッとして言葉を続ける。
「いや、これは任務だから。任務だから仕方なくだから」
取り繕う様に誰かに言い訳をするアリスだが、もはや心はもふもふだ。
「もふもふー」
そう言いながら、アリスは野良モーラット達に駆け寄るのであった。
「もふもふ、もふもふ~」
近くにいたモーラットを捕まえたアリスが、そのふわふわな毛玉に顔を埋める。
ふわふわふかふかで、暖かい。モーラットも暴れる気配はなく、されるがままだ。
だが、これだけではまだまだ大量に浮かんでいるモーラット達を捕まえた頃には日が暮れてしまう。
「もちろん、任務のことも忘れてないから」
アリスがモーラットを抱きかかえたまま、手をかざす。
「いでよ! ぼくの分身!」
その掛け声とともに、小さな二頭身くらいのアリスがわらわらと現れた。その名もちびアリス。
「さぁ、みんなも捕まえて」
「もふもふー」
「もふもふー」
アリスの掛け声に従って、ちびアリス達がモーラットに飛び掛かってゆく。
「もきゅー!」
「もきゅきゅー」
全身いっぱいにつかって、ちびアリスがモーラットに抱きついた。捕獲したモーラット達は本体のアリスたちのもとへと連れられてゆく。
「もきゅ」「もきゅ」
もっふもっふと積み上げられてゆくモーラット。そのもふもふの山に埋もれて、アリスは満足気に呟いた。
「幸せだなー」
そんなモーラット達の山の近くで、ケセランパサランがふわりと揺れた。
幸運を与えるとされる名を冠したケセランパサランは、アリスにたっぷりと幸せを分け与えたようであった。
大成功
🔵🔵🔵
儀水・芽亜
野良モラ依頼ですか。在学中はよく行ったものです。
とはいえ、モーラットを引き寄せるメガリスとは。害はないですが、ちょっと困りますね。
竪琴を小脇に、一曲奏でましょうか。
「範囲攻撃」深睡眠の「属性攻撃」「歌唱」「演奏」でヒュプノヴォイス。
これで一気に、モラ達を眠りに落とします。
あとは、カートを押して歩きながら眠っているモーラット達を回収していって、集積場まで運べばお勤めは終了。
日傘を使っていたとはいえ、どうにも暑いですね。そろそろ水着に着替えましょうか。
水着は前面と後背が別れた白のワンピースで、脇の下から腰までをゴールドのリングが繋いでいます。
来年はこれでコンテストに出るのもありですね。
さて、海へ。
ほわわん、ほわんとモラが飛ぶ。
それを日傘の下から見上げて、儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)はふと懐かしい記憶を蘇らせた。
「在学中はよく行ったものです」
かつて銀誓館学園の生徒として活動していた芽亜は、当時も似たようなことがあったと思い返す。
だが、思い出に浸ってばかりもいられない。集まったモーラット達を捕まえて、メガリスを回収しなくてはならないのだ。
「害はないですが、ちょっと困りますね」
そう言って芽亜は、小脇に抱えた竪琴を爪弾き始めた。
「さあ、眠りの幕に包まれ、意識を手放しましょう。甘美な微睡みの縁ほど魅惑的なものはこの世にありません」
ぽろん、ぽろんとした竪琴の音とともに、アリアデバイス『ムジカ・マキナ』から優しい歌声が響き渡った。
「もきゅ……」
「もふぅー……」
モーラット達が目をしぱしぱさせ始めた。大きくあくびをするものや、ゆっくり目をつぶるものも。そしてとうとう、ゆらゆら、ぽてんとモーラットたちが砂浜に落ち始め、すやすやと眠りについた。
「さて……」
砂浜のところどころで転がっているモーラット達を、芽亜は一匹一匹抱え上げてゆく。抱え上げたモーラットは、コロコロと転がしたカートに乗せて、一気に集積所まで連れてゆく。
すやすや気持ちよさそうに眠るモーラット達を起こさないように並べてゆくと、芽亜がふぅ、と一息ついた。
「これでお勤めは終了です」
ふぅ、と額の汗を拭って、芽亜は小さく笑う。これでメガリス『ケセランパサラン』も簡単に見つかるはずだ。
それにしても……と、芽亜は燦々と照った太陽をちらりと見る。
日傘をさしていたのにどうにも暑く、肌はじっとり汗ばんでいる。
「そろそろ水着に着替えましょうか」
芽亜は、ゆっくりした足取りで更衣室へと向かっていった。
そしてしばらく、爽やかな白いワンピースに身を包んだ芽亜が砂浜に現れた。
ひらりと風に舞うスカートに、日傘をさした姿はとても可憐だ。しかし、脇の下から腰までをゴールドのリングで繋いだデザインには、大人の色気も感じさせる。
「来年はこれでコンテストに出るのもありですね」
くすりと笑って日傘を閉じると、芽亜はゆっくり歩き出す。
「さて、海へ」
優雅に、しかし楽しげに、芽亜は海へと向かうのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アルジュン・ラオ
・心情
モーラットとても愛らしいです、1匹持ち帰っても良いでしょうか…
・行動
暁彪(f11122)さんと共に
暁彪さんはこのような子とは触れ合った事ありますか?
…折角です、持ってきたこの檸檬パイを暁彪さんと楽しみましょう
「ふふ、とても美味しいですね」
あーんなるものも履修してきました、こうして楽しんで居ればよってきませんかね?
寄ってきたら共に檸檬パイをたべましょうね
無理そうなら無機物ノ寵愛を使うと致しましょう
桐生・暁彪
アジュン(f30791)と一緒に
心情
モーラットとは愛らしい生き物なのだな。
モーラットは初めての生き物だが…集め方や落ち着くなで方などに動物知識が役立つといいが。
行動
レモンパイか、初めてだな。
モーラットもお菓子がすきらしいし、楽しんでいたら警戒せずによってくるだろうか。
浜辺でパイ…冷たい飲み物もほしくなるだろうかと考えていたらアジュンから予想外のワードが出てきて何を履修してきただってと聞き返そうと思ったが、一口味見したパイのうまさに「アジュンも食うか」と差し出す無意識。
もし近づいてきたら捕まえてモフる。
アジュンは持ち帰りたいのか?まあ、許可されれば持ち帰りを検討してもいいのかもしれんが…
青い海、白い雲、そして浮かんだモーラット。
もきゅー、もきゅーという鳴き声とともに、砂浜に楽し気なモーラット達がひしめいていた。
「モーラットとは愛らしい生き物なのだな」
「えぇ、とても愛らしいです」
モーラット達が浮かぶ光景を見て、桐生・暁彪(龍屠りし羅刹・f11122)が呟いた。彼と一緒に砂浜へと訪れたアルジュン・ラオ(鬼視ノ病・f30791)も頷き、そして尋ねた。
「暁彪さんはこのような子とは触れ合った事ありますか?」
「モーラットは初めての生き物だ」
暁彪は少し首を傾げた。ビーストテイマーとして培った動物知識が役立てば良いが……とも思ったが、どうやらここに集まったモーラット達はみんな人懐っこいらしい。あまり深く考えることなく、モーラット達を集めることが出来そうだ。
「モーラットもお菓子が好きらしいな」
「えぇ、折角です。一緒に檸檬パイはいかがです?」
アルジュンが籠からパイを取り出して、暁彪に見せた。
「レモンパイか。初めてだな」
珍しそうにアルジェンの差し出したパイを眺める暁彪。これを楽しんでいたらモーラット達も近寄ってくるだろう。
(「浜辺でパイとなると、冷たい飲み物も欲しくなるな」)
暁彪がそんなことを考えていると、アルジェンが一口サイズに切ったパイをフォークで刺して暁彪に差し出した。
「あーんなるものも履修してきました」
「……何を」
予想外過ぎるワードに、暁彪が聞き返そうとする。が、差し出されたパイをそのままぱくりと一口頬張れば、その味に疑問も吹き飛んでしまう。
「……どうですか?」
「美味い」
暁彪が素直に感想を述べる。そして半ば無意識に暁彪もパイをアルジェンに差し出した。
「アジュンも食うか」
そんな言葉に、アルジェンは嬉しそうにパイを頬張った。
「ふふ、とても美味しいですね」
にこりと笑い返すアルジェン。そんな風に楽しむ二人に、ふら、ふらとモーラット達が集まってきた。
「もきゅー」
そのうち一匹が、檸檬パイに興味を示したのか、鼻を近付けてひくひくさせている。
「共に食べましょうね」
アルジェンがパイを一切れ差し出すと、モーラットはもきゅっと一鳴きしてそれを食べ始めた。
「もきゅっ」
「もきゅー♪」
美味しそうに跳ね回るモーラットの様子は周りのモーラットにも伝わって、次々とパイを欲しがり出す。
「はいはい、まだありますからね」
アルジェンは小さく切り分けたパイを、それぞれに渡し始め、暁彪は食べ終わった一匹を抱き寄せる。
「もふもふだな……」
ふわふわで長い毛は肌触りが良く、柔らかくて暖かい。パイを貰って満足気なモーラットは嫌な顔をせずに、遠慮なくもふらせてくれている。
一匹、また一匹と近付いてくるモーラット達を捕まえてもふりつつ、楽しい一時を過ごす二人。
こうして、海岸にひしめいていたモーラット達は猟兵達集められ、メガリス『ケセランパサラン』は無事発見されたのであった。
「ところで……一匹持ち帰っても良いでしょうか……」
アルジェンがモーラットを抱きかかえながら言った。
「……まあ、許可されれば持ち帰りを検討してもいいのかもしれんが……」
暁彪も悩みながら言葉を返す。モーラットとの触れ合いがこれだけで終わるというのは、ちょっと惜しいのだ。
なお、ここに集まったモーラット達はみんな野良なので、多分連れて帰っても大丈夫なはず。たぶん。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 日常
『水着で遊ぼう!』
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POW : めいっぱい遊ぶ!
SPD : 全力でバトル!
WIZ : 非公式水着コン開催!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
モーラットは集められ、メガリス『ケセランパサラン』も発見できた。
あとは回収すれば任務は終わり。
だけど、青い海、白い砂浜を前にしてそれはちょっと惜しい。
もう少しこの海で遊んだって、バチは当たらない筈だ。
集まった野良モーラット達とも、もう少し遊んだって構わない。
夏休みの楽しい一時は、まだまだ終わらない!
儀水・芽亜
一章ラストでの水着で。
ふむ、まだまだいけそうですね、私。
出来れば夫と来たかったところですが、仕方ありません。
プライベートビーチになっているというなら、一般人がいなくなって海の家も営業していないということでしょうか。
……泳いで楽しむしかなさそうですね。
平泳ぎしたり素潜りでタコでも見つけたり。時間はどんどん過ぎていきます。
砂浜に上がれば、ビールでも欲しいところですね。海の家で、料金を置いてから一本いただきましょう。ワインもいいですが、灼けるような日差しの下なら、やっぱりビールです。
どなたか乾杯してくれるお相手がいてくれれば、嬉しいのですけど。
時間ですね。野良モーラット達をプールへ放しに帰りますか。
波打ち際で、芽亜が迫る波を足でちゃぷちゃぷと蹴っている。
メガリスの力でプライベートビーチと化した砂浜で、一般人はいない。
海の家の営業なども停止しているようで、芽亜は泳いで楽しむしかないか、と考えた。
一歩一歩、海へと歩いて、膝あたりまで水に浸かる。
パシャリと水しぶきが上がり、キラキラと輝く様子は、とても絵になった。
「ふむ……」
ひらり、ひらり。
更衣室の鏡の前で見た自分の姿を思い返す。
「まだまだいけそうですね、私」
当時のゴスロリは卒業したけれど、まだまだ可愛いと自信が持てる。
そうなれば、一番に見て欲しいかったのは夫なのだけれど……。
「仕方ありません」
少し残念に思いながらも、今日は一日、楽しむことにしたのであった。
ざぶ、ざぶと揺れる波に逆らって、芽亜が平泳ぎで進んでゆく。
海の水は冷たく心地が良い。照り付ける太陽も、水の中に入ってしまえばむしろ暖かく感じるものだ。
芽亜が水に顔を沈めると、海底に何か気配を感じ取る。
一度顔を上げて、芽亜は大きく息を吸う。
「……すぅっ」
そして、勢いをつけて一気に海底へと潜る。
足で水を蹴って、底へ、底へ。砂と岩の間に同化して、息をひそめる存在がいた。
(「やっぱり……」)
芽亜が見つけたのはタコだ。タコは芽亜の接近に気が付くと、墨を吐いて勢いよく逃げてゆく。
それを見送って、芽亜が水面へ戻ってゆく。
「ぷはっ……」
濡れた髪をかきあげて、芽亜は空を見た。
結構時間が経っただろうか。再び水をかいて、砂浜へと戻っていった。
「ふぅ……休憩です」
身体をタオルで拭きながら、砂浜を歩いてゆく芽亜。
少し喉の渇きを感じた芽亜は、無人となった海の家へと入ってゆく。
「こういうところなら、ビールが欲しいところですね」
冷蔵庫を調べてみると、冷えた缶ビールが並んでいた。それを一本手に取ると、きんと手の平を刺すような感覚が走る。
それが火照った身体にはかえって気持ちが良いものだ。芽亜はビールを取り出すと、カウンターにお金を置く。
「ワインもいいですが、灼けるような日差しの下なら、やっぱりビールです」
かしゅ、とプルタブを引いて、芽亜が軽くビールを掲げる。
「どなたか乾杯してくれるお相手がいてくれれば、嬉しいのですけど」
そう言いつつ、ぐびっと缶を傾ける。
口の中に広がるしゅわしゅわとした炭酸に、すっきりした苦味が喉を過ぎてゆく爽快感。
「はぁ……っ!」
幸福感に包まれて、芽亜は大きく息を吐いた。
それからもしばらく、猟兵達は海を楽しんだ。日もそろそろ暮れようかという頃。
「時間ですね」
芽亜が集めたモーラット達を連れて砂浜を後にする。
「野良モーラット達をプールへ放しに帰りますか」
これが昔ながらの銀誓館スタイル。こうして、メガリス回収計画はつつがなく終了したのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フォーサイス
遊んでいっていいの?それじゃあ、もっともふもふするぞー。
せっかく海に来たんだし、もふもふたちとビーチバレーをしようかな。
もふもふレシーブしている姿、癒されるな。たっぷり堪能しよう。
ボールがこぼれそうになったら、終わらせないように、全力でひろうよ。
モーラット達も捕まえて、ケセランパサランの回収もできた。
というわけで、あとは自由時間!
「遊んでいっていいの? それじゃあ、もっともふもふするぞー」
アリスは手を突き上げて、えいえいおーとポーズをとった。
早速アリスは水着に着替えて、ビーチへと躍り出る。
「せっかく海に来たんだし……」
アリスはそう言うと、集まったモーラット達に目を向けた。
「ねえ、ビーチバレーしようよ」
そう言ってアリスは膨らませたボールをモーラット達に見せる。モーラット達はその誘いに『もきゅ!』と嬉しそうに鳴いて、ふわんふわんとアリスの元へと飛んでいった。
「いくよー」
ぼむん、とアリスがボールを打つ。高く上がったボールは青空に浮き上がり、ゆっくりと砂浜へと落下してゆく。
「もきゅっ!」
それをモーラットがレシーブで返して、続くモーラット達ももきゅもきゅとトスで繋いでゆく。
「もふもふがレシーブしてる姿、癒されるな」
アリスが目を細めて、モーラット達の動きを眺めている。
モーラット達はとても楽しそうで、見ているだけで心が和らいでゆく。
「たっぷり堪能しよう」
と、その時。
「もきゅっ!?」
モーラットが驚いたような声を上げた。レシーブに失敗して、ボールが明後日の方向へ行ってしまったのだ。
「おっと。まかせて」
それまでうっとりとしていたアリスだったが、ボールがこぼれたことに気付いた瞬間、砂浜を駆けはじめた。
「終わらせないよ」
走りにくい砂浜の上もなんのその。だが、ふわんと浮かんだボールは風に煽られて、着地地点が掴みづらい。
それでもアリスはめげずに、全力で走る。
「えいっ!」
アリスが前方に飛び込んだ。腕がボールの下へと滑り込んで、ボールを再び打ち上げる。
「もきゅー!」
「もきゅー!」
アリスの雄姿に、モーラット達が大喜びでひょこひょこ動き回る。頭上にボールが戻ってきたのにも気付いておらず、アリスは立ち上がってモーラット達を促した。
「ほら、ボールとってとって」
「もきゅっ」
うっかりしていたという様子で、モーラットがボールを受ける。
「ふふふ、もふもふかわいいね」
そんな様子にご満悦のアリス。
もふもふのビーチバレーは、まだまだ続きそうであった。
大成功
🔵🔵🔵
深山・樹
妹の光華(f37163)と
モーラットさんたちもみつかもこのまま遊びたいって
キラキラの海とおひさまと、みつかの笑顔見てたら
思いついた事があって
「みつか、モラさんたちとそのまま遊んでおいで」
見つけたケサランパサランも、連れて帰りたいモーラットも
むぎゅーしてる
僕は手が空いてるからちょうどいい
みつかが水にいきなり駆け込んだりしないように見張りながら
水際で水と砂をすくって
どんどん高くして
うまく窓とかトンネルも掘って
どんどんどんどん高く大きくうんとうんと…
気が付いたら夢中になってて
いつの間にかみつかがモラたちと近くに来てジーって見てるの
ぜんぜん気づいてなかった!
何作ってるの?って聞かれたから
「みつかがお姫様になれるお城だよ」
って答えたら
みつかの笑顔がぱって弾けて
本当にこれだけで僕は来てよかったって
みつかもみつかも!って張り切って手伝ってくれるのも
モラたちももきゅーって応援してくれて
思い出せない不幸より今この子が笑ってくれてるのが
うれしくて
カメラはないけど僕の中に全部刻んで
帰るまでうんと楽しく過ごすよ
天風・光華
いつき兄様(f37164)と参加なの!
モーラットさんつれてかえれるの嬉しいの
でもみつか、知ってるの
だれか一人はさみしいの…
だからつれてかないの!
かわりにいっしょに遊ぶのー!
「モーラットさんたち、おいでなのー!」
モーラットさんたちとおいかけっこするの!
きっと兄様は連れて帰りなって言ってくれるの
でもモーラットさんはみんなと一緒がいちばんなの!
それにモーラットさん達と思い出つくるから大丈夫なの!
でもいっぱいはしってたら兄様いないの
「モーラットさん、兄様どこなのー?」
きっとすぐ教えてくれるの!
兄様とっても真剣な顔でつくってるの…
とっても大きな砂のお山がどんどんかたちをつくっていって
モーラットさんたちとじーってみちゃうの…
「兄様兄様、何つくってるの?」
そしたら兄様、お姫様のお城って教えてくれたの!
みつか、お姫様になれるの!
お城作れる兄様もとっても凄いのー!
とっても嬉しいからみつかも一緒に作るの!
きをつけてきをつけてゆっくり、もーらっとさんたちとも作って
ほんとにほんとにたのしくって、みつか幸せなの!
ケセランパサランの回収が終わっても、光華はモーラットを抱きかかえ、ニコニコしていた。
その子は光華にとって中でも一番のお気に入り。しかも野良のモーラットは連れ帰ることも出来ると聞いて、それがとても嬉しいのだ。
その子を抱きかかえたまま、光華は砂浜を走り出す。
「モーラットさん、おいでなのー!」
光華の元気な声に、モーラット達がもきゅっと顔を向けた。
「おいかけっこするの!」
砂浜を楽しそうに走る光華と、彼女を追いかけるモーラット達の背中を微笑まし気に見守りながら、樹は砂と水をすくっていた。
さんさんと降り注ぐ太陽の光にキラキラと輝く海。そんな輝きに負けないくらいの光華の笑顔を見ていて、樹はふと思いついたことがあったのだ。
「みつか、モラさんたちとそのまま遊んでおいで」
そう言いつつも、光華がいきなり水に飛び込んだりしないかを見張りながら、砂を盛り上げてゆく。
遠くなってゆく光華の笑い声とモーラットのもきゅっといった声を感じながら、せっせと盛った砂を海水で固めてゆく。
そうして出来た砂の山を、少し削ってまた盛って。
「うまく窓とかトンネルも掘って……」
山に穴を開けて、また水で固めて。砂の山は少しずつ複雑な形に変ってゆく。
(「どんどんどんどん高く、大きく、うんとうんと……」)
夢想するのは空まで届くような、そんな――。
「……?」
ふと、空が暗くなった。お天気はずっと晴れのはずなのに……と顔を向けると、その眼前に光華の顔がどどんと現れた。
「わっ」
突然の出来事に、樹は思わず驚いて尻もちをついてしまった。
「みつか、見てたんだ! 全然気付いてなかった!」
よく見れば光華と一緒に遊んでいたモーラット達も、一緒に樹のことをジーっと見つめていることに気付く。
光華はきょとんとした顔で首をかしげ、樹に尋ねた。
「兄様兄様、何作ってるの?」
その問いに、樹が頬をかく。光華はちょっときまりの悪そうな兄に、言葉を続けた。
「いっぱいはしったら兄様がいなかったの。けど、モーラットさんがすぐ教えてくれたの!」
光華は、モーラットとのかけっこが一段落した頃、樹が近くにいないことに気が付いて、引き返していたのだ。そうして樹の元に戻ってみれば、樹は砂の山と格闘していた。
「兄様、とっても真剣な顔で作ってたの」
もきゅー、とモーラット達も同意する。樹はそんな光華たちの興味津々な視線に観念して、砂の山を見返して言う。
「これはね、みつかがお姫様になれるお城だよ」
そう、作っていたのは砂の城。それもとびっきり大きくて、とびっきり可愛い、光華のためのお城だったのだ。
樹の言葉に、光華の表情がぱぁっ明るくなった。
「みつか、お姫様になれるの!」
「そうだよ」
樹が頷いてみせると、光華はさらに喜んで、樹に笑顔を向ける。
「お城作れる兄様もとっても凄いのー!」
そう言われれば樹の鼻も高くなる。けれどこれはすべて光華の為。その光華がこんなに喜んでくれただけで、今日はここに来て良かったと心から思えた。
「みつかもみつかも!」
光華が楽しそうにしゃがみこんで、お城に砂を盛り始めた。
「ありがとう、みつか」
張り切ってお手伝いをしてくれる光華の姿も、樹には励みになった。
「もきゅー!」
「もきゅきゅー!」
モーラット達もみんなで応援してくれて、みんなで光華の為のお城を作ってゆく。
「ゆっくり、ゆっくり」
一生懸命、慎重に砂を盛る光華の横顔を見て、樹は心が暖かくなるのを感じていた。
記憶喪失の二人。その過去を思出せない不幸なんかよりも、今の幸せは何倍も嬉しいと思えた。それはきっと光華も一緒なのだろう。
(「カメラはないけど、僕の中に全部刻んで」)
帰る時間になるまで、うんと、楽しく過ごそう。何も言わなくても心を通わせて、二人とモーラット達は、砂の城を作り上げていった。
「かんせーい!」
出来上がった砂の城に、光華がばんざいした。
「これでみつかはお姫様だよ」
「えへへ、嬉しいの!」
お気に入りのモーラットをぎゅっと抱えて、お城の前でぴょんぴょん跳ねる光華。それからいくつかポーズをとってみれば、立派なみつか姫が誕生した。
そんな風に顔を綻ばせる光華の抱えるモーラットを見て、樹はふと思いつく。
「そうだ、その子」
樹の声に、モーラットが「もきゅ?」と顔を傾げた。
「その子が一緒に連れて帰る子?」
樹の問いに、光華は笑って首を振った。その仕草に樹は意外そうな顔をして、きょろきょろと周りを見渡す。
「あれ? じゃあどの子を……」
「ううん」
光華が笑ったまま、樹に告げた。
「モーラットさんつれてかえれるの、嬉しいの」
抱きかかえたモーラットの顔を見て、光華が言葉を続ける。
「でもみつか、知ってるの」
ほんの少し瞼を伏せて、モーラットをひと撫でする。
「だれか一人はさみしいの……」
「みつか……」
小さく呟く樹の前で、光華が再びぱっと顔を明るくさせた。
「だから、つれてかないの! かわりに、いっしょにたくさん、たくさん遊んだの!」
「もきゅっ!」
モーラットも嬉しそうに鳴き声で返す。
「モーラットさん達と、うんと思い出つくれたから、大丈夫なの!」
笑顔で、元気に、光華は答えた。
「モーラットさんはみんなと一緒がいちばんなの!」
陽もそろそろ傾いて、そろそろ帰る時間にさしかかる。
ふわりとモーラットが光華の腕から離れて、ふわりと光華の周囲を舞った。
「もきゅ」
それから、すりすりと光華に頬ずりをして、仲間のモーラット達の元へと帰ってゆく。
メガリス『ケセランパサラン』がなくなれば、この砂浜にはもうモーラットは集まらないだろう。
「じゃあそろそろ、お別れだね」
樹の言葉に、光華はこくりと頷いた。
揺れる夕日を背景に、ほわんほわんとした幾つもの毛玉が黒いシルエットとなって夕焼け空を舞う。
「モーラットさん達、ばいばいなの!」
光華が大きく手を振って、モーラット達を見送った。
「モラさんたち、ばいばい」
樹もモーラット達に手を振る。徐々に小さくなってゆく影。その方向から大きな鳴き声が砂浜に響いた。
「もきゅーっ!!」
こうして、メガリスを巡る騒動は幕を閉じた。
これから再び、この砂浜には何も知らない人々で賑わうはずだ。
小さな事件だったけれど、モーラット達と触れ合った夏休みは、猟兵達にとって、とても良い思い出になっただろう。
この夏が終わっても、いつかまた思い出すはずだ。
青い空、青い海にふわりと揺れる、白い毛玉たちの姿を。
大成功
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