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壊されるべき歌の名は

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●火花散るは生命
 |須弥山型都市《シャングリラ・シュミセン》に生きるサイバー武侠たちは憤る。
 オブリビオンに対して。
 何故斯様にも己たちに対して、超大国である『人民租界』は戦いを仕掛けるのか。理解できない。
 だが、一つ理解していることがある。
 虎の獣人たちは己の体を戦闘義体に置き換えている。これも全て多くの戦いがあったからだ。ただ平穏に暮らしていたいという願いすら『コンキスタドール』は踏みにじる。
 それがどうにも許せない。
 恐れは怒りに変わる。
 怒る、ということはすなわち、悪しき者を憎むということである。
 だからこそ、彼等は声を荒げる。
「わかっているだろう! 連中は俺達の平穏を奪おうとしている。打って出るべきなんだ。奪われないために! これ以上傷つかないためには、敵を滅ぼさなくちゃあならない!」
 彼等の言葉はこれ以上なく正しいものであるように、戦禍階梯たる大鴉の獣人『熾天大聖』は思えた。
 けれど、と彼は虎の獣人達……須弥山型都市において互助組織|『幇』《バン》の一団を前にして、その行く手を阻んでいる。

「わかるよ。その理屈は。わかる。それが正しいことのように思えるっていうことも」
「ならば、何故止める! 俺達は正しいことをしようとしているだけだ。奪われないために!」
「自分たちが正しいと思う時は、危険な時なんだ。正義を振りかざしている時、それはもう正気であるとは言えないと思うんだ。自分が正しい、と誰が肯定してくれると言うんだ。誰も、誰も、否定はできないかもしれない。けれど、肯定もしてはくれないんだ」
 その言葉に虎の獣人たちは苛立つように咆哮する。
 大鴉の獣人『熾天大聖』の言葉は彼等にとっては臆病風に吹かれたように見えただろう。
 この期に及んで敵拠点を前にして臆しているのだと。
 だが、彼は何か違うものを感じ取っているようだった。嫌な予感、といえばいいのだろうか。説明のつかぬ怖気。

 自分が知っているものがある。
 虎の獣人たちが見つけた『人民租界』の拠点。そこを潰せば、確かに自分たちの須弥山型都市に迫るコンキスタドールたちの攻勢は一気に潰すことができるかもしれない。
 けれど、果たしてそれを自分たちが為せるものでるかという証明はない。
 虎の獣人たちは、己たちが手に入れた仙術とサイバネティック技術の融合した力に酔っている。
 戦いを楽しんでいる。
 当然だ。奪われないために。正しいことをしているという確信を得ているからこそ、その心地よさに酔っているのだ。
 それでは、足元がおぼつかない。
「どけ! お前がやらぬというのならば、それもいいだろう。ならば、俺達だけでやるだけだ! あの拠点は俺達が、俺達を守るために潰すのだ――!」

●善
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。獣人戦線において須弥山型都市のサイバー武侠マフィアである虎の獣人たちが互助組織として起ち上げた『幇』とオブリビオンの軍団が激突することが予知されました」
 ナイアルテの言葉に猟兵達は思い出す。
 あの須弥山型都市に居る者たちは、確か仙術と戦闘義体を融合させた獣人たちであり、強力な力を持っている。
 そんな彼等もまたオブリビオンの侵攻に抗う、というのならば、遅れを取ることはないのではないかと。

 だが、ナイアルテは頭を振る。
「オウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』……」
 その言葉に猟兵達は目を見開く。何故ならば、そのオブリビオンはすでに猟兵たちが滅びしたはずだ。
 なのに、何故その名前が彼女から語られるのか。
「彼が滅びる前に、この獣人戦線に輸出したと思わしき『宝貝を組み込み強化したオブリビオンマシン』がオブリビオンの拠点に存在しているのです。彼等は質と量でもって『幇』を蹴散らし、須弥山型都市を一気に掌握しようとしているのです」
 そうなってしまえば、中国戦線の趨勢は一気にオブリビオンへと傾くことになるだろう。
 だが、幸いに予知できたことである。
 猟兵たちがこの戦いに加入すれば、事態は好転するかもしれないのだ。

「この『宝貝を組み込んだ今日あオブリビオンマシン』は大量に存在しています。これを可能な限り破壊するのが今回の予知、事件における最大の焦点となるでしょう」
 だが、問題が二つある。
 一つはすでに『幇』の虎獣人たちがオブリビオンの拠点へと攻勢を仕掛けようとしている。それを察知したオブリビオン軍団との戦いが勃発しているのだ。
 まずは、彼等の信を得るために、この大乱戦に介入し、目覚ましい戦果を示さなければならない。幸いにして虎の獣人たちは、義によって助太刀する猟兵たちを受入れてくれるだろう。
 そうなれば、一つの問題はクリアできる。
 つまり、彼等との共闘。共同戦線に加入する、という問題である。

「皆さんは拠点への道を共に戦いながら切り抜けなければなりません。そして、もう一つの問題……それはご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、人民租界軍の拠点には『宝貝で強化されたオブリビオンマシン』が存在していますが、これを指揮しているのが『ノイン』と呼ばれるオブリビオン指揮官なのです」
 彼女の指揮能力は卓越したものがある。
 宝貝強化オブリビオンマシンを多く破壊することも重要であるが、無策で飛び込めば、彼女の指揮によって統率されたオブリビオンマシンに逆に封殺されてしまうだろう。
 これらに対して何らかの対策を打ち出さねば、突出した猟兵達は勝機を失い、『幇』共々戦線を瓦解させられてしまうだろう。

「そうなっては、この戦いの意味がありません。多くの宝貝強化オブリビオンマシンを撃破することが今作戦の目的でもあります。どうにかして、方策を考えねばなりません」
 それともう一つ、と彼女は付け加える。
「この戦いには、嘗て須弥山型都市にて共に戦ってくれた戦禍階梯の大鴉の獣人『熾天大聖』も加わっていることがわかっています。彼とも協力することで、宝貝強化オブリビオンマシンの弱点を見つけることができるかもしれません」
 猟兵たちは頷き、新たなる戦場に赴く。
 歌が今も世界に響いている。
 名もなき歌。
 小さく口ずさむように響く歌声は、緩やかに戦場へと川の流れのように抗い難く溶けゆく――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 『獣人戦線』において『超大国』の一つ『人民租界』の戦域に存在するオブリビオン軍団の拠点へと須弥山型都市の互助組織『幇』が攻め込もうとしています。
 ですが、その拠点にはオウガ・フォーミュラ『鉤爪の男』が滅びる直前に送り込んだ『宝貝を組み込むことで強化されたオブリビオンマシン』が無数に存在しています。

 このままでは『幇』はオブリビオンマシンの質と量に蹴散らされ、須弥山型都市は『人民租界』の手に落ちてしまうでしょう。
 それを阻止するシナリオになります。

●第一章
 集団戦です。
 既に現地である人民租界の拠点の間近ではオブリビオン軍団と虎獣人の組織『幇』との大乱戦が巻き起こっています。
 これに介入し、目覚ましい戦果を示すことで獣人たちの信を得ましょう。

●第二章
 冒険です。
 第一章の戦果で皆さんは『幇』の信頼を得たでしょう。
 そうしたのならば、彼等から拠点へと攻め込む襲撃作戦への共闘を持ちかけられます。
 ですが、敵の軍団を駆け抜けるのは容易ではありません。
 血路を開くために、多くの虎獣人や戦禍階梯の大鴉獣人『熾天大聖』と共に連携しなければなりません。

●第三章
 集団戦です。
 血路を征くことで開かれた人民租界軍の拠点には予知された通り大量の『宝貝オブリビオンマシン』が存在しています。
 そして、これを指揮しているのは、『ノイン』と呼ばれる指揮能力に長けたオブリビオンです。
 彼女の指揮によって『宝貝オブリビオンマシン』は数と質、さらには連携でもってみなさんと『幇』を囲い込むでしょう。
 これに対策をもたず突出すれば、袋叩きになってしまうことは必至でしょう。
 今回の戦いでの目的は可能な限りの多数の機体を破壊し、撤退することです。全滅させることはできないでしょうし、また現実的ではありません。
 ですが『幇』との共同作戦でもあります。戦禍階梯の大鴉獣人『熾天大聖』もいます。

 彼等と共に対抗策を編み出し、実行し、この作戦を成功させましょう。

 それでは、『獣人戦線』において『超大国』の侵略に抗う獣人たちと共に戦い抜く、皆さんの活躍を彩る物語の一片なれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『火炎放射兵』

POW   :    ステーキになりやがれ〜!
【火炎放射器】から【燃え盛る炎】を放ち、敵及び周辺地形を爆発炎上させる。寿命を削ると、威力と範囲を増加可能。
SPD   :    10秒後が楽しみだぜ〜!
敵を狙う時間に比例して、攻撃力・命中率・必殺率が上昇する【火炎】を武器に充填し続ける。攻擊すると解除。
WIZ   :    吠え面かかせてやるぜ〜!
【火炎放射器】を使って「どのように攻撃するか」を予想できなかった対象1体に、【火炎放射】の一撃が必ず命中する。

イラスト:うぶき

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 戦場は乱戦そのものであった。
 多くの獣人たちが入り乱れ、その技を振るう。
 誰もが己の正義を信じていた。それはサイバー武侠である虎獣人たちだけではなく、オブリビオン軍団である『火炎放射兵』たちもまたそうであった。
「炎こそ絶対正義! 俺等の炎はあらゆる物を燃やす。絶対ってことは正義ってことだぜ!」
「馬鹿なことを! 貴様らは破壊ばかりを!」
「知るかよ! 燃えるもんだけが正しい! 燃えないものは正しくない! それだけのこったろうが!」
 虎獣人たちとオブリビオン『火炎放射兵』たちは激突する。
 炎が吹き荒れ、虎獣人たちが扱う戦闘義体の刃と弾丸、そして仙術が戦場にひしめく。
 その光景を大鴉の戦禍階梯『熾天大聖』は翼を羽撃かせ、俯瞰する。
 彼の瞳に映るのは大乱戦であった。

 確かに人民租界の拠点を潰すことができたのならば、須弥山型都市はまた一歩平穏へと近づくだろう。
 けれど、と彼はどうにも嫌な予感を拭えなかった。
「……知っているような、気がする。この気配……この力の流れ……これは」
 彼は言葉にできぬ感触に薄気味悪い感情を覚えていた。
 なんとも云えない。
 戦いの炎が膨れ上がるような、悪意が満ちるような。そんな気配を、『幇』の獣人たちが目指すオブリビオンの拠点から感じるのだ。それは正しい直感だった。
 けれど、その正しさを肯定することのできる者がいない。
 このままでは確実に『幇』は壊滅する。それだけは予感としてあるのに、『熾天大聖』はそれを証明する術を持っていなかった。
「歯がゆいな……! どうして僕は……!」
 一心不乱に。
『幇』の虎獣人たちのように己の正しさを肯定できないのかと思う。
 けれど、彼の予感が正しいことを証明できる唯一が世界の外から現れる。
 そう、猟兵たちである――。
風吹・香織
アドリブ連携歓迎

 『P-38 ライトニング』に搭乗

 いつ見ても|須弥山型都市《シャングリラ・シュミセン》は綺麗だねぇ、眼下から見下ろす光景は何者にも代え難いよ。
 ……でも、あのぶつかり合いは頂けないね。

 UCを発動し、随伴機を呼び出すよう。
「|全兵装自由《オールウェポンフリー》。各機、散開し個別に友軍に|近接航空支援《CAS》を展開せよ」
 と指示を出して散開、味方を巻き込まないように細心の注意を払いつつ、地上の敵を爆撃していくよ。

 ただ、味方を巻き込まないような精密爆撃をするには水平爆撃ではなく急降下爆撃が求められる。
 最悪火炎放射器で炙られるな。
 それは嫌だ。私は上空からの指示に徹しよう。



 眼下に見ゆる須弥山型都市。
 シャングリラ・シュミセンと呼ばれる中国戦線の都市の明かりは、何処かこの世界の明かりではないように風吹・香織(怠惰な「双胴の悪魔」乗り・f39889)には思えた。
 今まさに彼女が見ている須弥山型都市は近代的な明かりが集合して見せる星空のようであった。まるで大地という鏡に空が映し出されているよう。
 そんな風に彼女は思ったことだろう。
「いつ見ても綺麗だねぇ」
 彼女が駆るは双発機『P-38ライトニング』。
 それはともすれば奇異なる鋼鉄の翼に思えたことだろう。

 彼女は雀の獣人である。第五階梯であるから、彼女自身飛ぶことは可能であっただろう。けれど、今の彼女は『双胴の悪魔』の異名を持つ戦闘機が奏でるエンジン音と共に須弥山型都市の上空を横切り、オブリビオン軍団と激突し、乱戦を繰り広げる戦場を見下ろしていた。
「……でも、あのぶつかりあいは頂けないね」
 香織の見下ろす先にあるのは炎と仙術、そして戦闘義体が放つユーベルコードの輝きだった。
 虎の獣人たちは『幇』と呼ばれる互助組織。
 彼等は須弥山型都市を守るためにオブリビオンの拠点を壊滅させようと飛び出しているのだ。だが、それは予知を知る猟兵にとっては無謀なる突撃でしかない。
 戦闘義体と仙術の融合。
 それは確かに彼等に力を与えたことだろう。
 けれど、敵もまたそうであると理解していない。彼等がこの戦場を制したとしても、その後にある拠点には彼等と同じく宝貝とオブリビオンマシンを組み合わせた大量の機体が存在しているのだ。

『幇』の虎獣人たちが質と量を兼ね備えるのだとしても、連戦によって消耗した戦力で宝貝オブリビオンマシンを相手にするのは難しい。
「だから、いくよ、僚機たち!」
 香織の瞳がユーベルコードに輝き、双胴のエンジンが唸りを上げる。凄まじい推力を持って、一気に加速した香織の周囲には彼女の駆る愛機と同じ『P-38ライトニング』の姿がった。
 百を超える機体。
 それらが一斉に急降下し、オブリビオン軍団と『幇』の間を横切る。
「なんだァ!? 折角炎が溜まってきたって所なのよぉ!」
 オブリビオン軍団『火炎放射兵』たちは憤るようにして急降下してきた香織の僚機へと炎を噴出させる。
 だが、それ以上の爆撃の一撃が彼等へと放たれ、その身を焼く。
「っ、おお!? 味方か? 援軍が来てくれたっていうのか!」
「……あれは……!」
 虎獣人達の驚きに大鴉の獣人『熾天大聖』は目を見開く。
 双胴の戦闘機。
 その操縦席に見えるユーベルコードの輝き。香織の姿を彼は捉えたのだ。

 羽撃く大鴉の翼でもって香織の駆る戦闘機へと『熾天大聖』は飛ぶ。
「貴方は」
「私は猟兵。あなた、あのぶつかり合いのこと詳しく知っている感じね?」
「それは、そうですが」
「なら伝えておいてちょうだい。こっちが爆撃支援するから、下手に動き回るなって。敵の炎よりこっちの爆撃のほうが強いって」
「だから、退けってことですか。ああ、消耗するな、と」
「そういうこと。こっちは任せて。援護するよ!」
  香織は『熾天大聖』にハンドサインを送る。それを見た彼は少し目を丸くしたが、同じ様にハンドサインを送って香織の戦闘機から離れていく。

 地上に戻った彼が虎獣人達に爆撃援護のことを伝えたのだろう、彼等はすぐさま後退していく。
「はっはぁ! 逃げるかよ! だったらぁ!」
 そこへオブリビオン軍団の『火炎放射兵』たちが炎を撒き散らさんとするが、その上空から香織は己の僚機達に急降下爆撃を敢行させる。
「私の機体が炎にあぶられるのは嫌だ。だから、あなたたちは此処で爆撃の餌になってもらうわ」
 香織の支持と共に僚機たちが次々と爆撃を加え、そのすさまじいP-38爆撃部隊(ライトニングバクゲキブタイ)の戦果を虎獣人たちに示すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリスフィーナ・シェフィールド
ふむ、もう始まってるようですし考えてる暇はありませんわね。
上空から合体して突入味方側に気をつけて相手の上に着地、あらペッチャンコですわ。
そのままブレイズ・スラッシャーで叩き潰したり貫いたり。
薙ぎ払うと味方を巻き込みそうなので地道にプチプチと。
燃えるものが正しく燃えないものが正しくないということは
わたくしを燃やせないあなた達は間違ってるということですわ、残念でしたわね。
さぁ容赦なく行きますわよっ。

とあるオブリビオンに負けてお前にゃやる気も殺意も感じられないと言われたのです。
確かに何でも卒なく熟してきましたし情熱を持ったことありません。
なので激しくしてみたのですけどこれで良いのでしょうか……。



 須弥山型都市の互助組織『幇』。
 そこに在籍する虎獣人たちは言うまでもなくサイバー武侠である。仙術と戦闘義体を融合させた彼等の力は確かにオブリビオン軍団を退ける程の力を有していたことだろう。
 けれど、それは万能でもなければ、強大でもなかった。
 人の出来ることには限りがある。
 だから、彼等は助け合うための互助組織を生み出したのだろう。
 だが、その意義は今、正義という大義のまえに霞み、盲目めいた攻勢に打って出ていた。
「ふむ、もう始まってるようですし、考えてる暇はありませんわね」
 すでに乱戦となっている戦場を前にイリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)は『幇』が無謀なる突撃をオブリビオン拠点に仕掛けることはもう止めようがないと判断していた。

 転移したより見下ろす戦場。
 炎が吹き荒れ、地上の地形を変える程の爆発をオブリビオン軍団『火炎放射兵』たちは放つ。
 その猛烈なる炎を虎獣人たちは仙術たるユーベルコードを使って防いでいる。
 一進一退とでも言うべきか。
 イリスフィーナは、しかし迷うことなく空にて己のユーベルコードを叫ぶ。
「融合合体(ファイナル・メガ・フュージョン)ですわっ!!」
 瞬間、空に走るは彼女の専用マシン。
 そのマシンが彼女と合体することによって、己の身の丈を超える巨大なロボへと変身するのだ。
「……な、あれは……!」
 そのユーベルコードの輝きを見やり大鴉の獣人『熾天大聖』は目を見開く。

「混戦乱戦の中に飛び込むって……!」
「ええ、お退きになっていただくとありがたいですわね!」
 巨大なロボが戦場に降り立つ。
 爆発が巻き起こる最中にあってもイリスフィーナは構うことはなかった。
「なんだ、あれはよ! 生意気にも鉄の塊を! 燃えちまえよ!」
 放たれる火炎放射。
 その一撃を受けながらイリスフィーナは、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
 そう、今の彼女は専用マシンと合体することによって難攻不落たる巨大ロボへと姿を変えている。どんな炎であっても、彼女の体を今燃やすことなどできようはずもないのだ。

「燃えるものが正しく、燃えないものが正しくないということは!」
 振るう拳が『火炎放射兵』たちを叩き潰す。
 それは地道な一撃であったかもしれない。けれど、乱戦となっている状況においては仕方のないことだった。
 下手に薙ぎ払えば虎獣人たちを巻き込む可能性があった。
「わたくしを燃やせないあなた達は間違っているということですわ、残念でしたわね!」
「てめぇ!!」
 だが、その言葉はイリスフィーナの巨大な鉄の拳によって押しつぶされる。

 イリスフィーナの変身した巨大ロボが咆哮する。
 それはイリスフィーナの心の熱の発露であったことだろう。
 嘗て敗北したオブリビオンに言われたのだ。
 己にはやる気と殺意がないのだと。
 敵の言葉ながらにイリスフィーナは雷撃に打たれたように思ったのだ。これまで己は卒なく、という言葉がしっくりくるほどにしか心が燃え上がることはなかった。 
 強靭な意志と情熱とは相関しない。
 故に彼女の情熱というのは、彼女自身も理解できぬものであった。
「だから、というわけじゃあこざいませんけど、これって……」
 あってます? とイリスフィーナは問いかける。
 けれど、その答えを誰も訂正することもできなければ、正解だと言うこともできなかったことだろう。

 振るう鉄拳は迫るオブリビオン『火炎放射兵』たちを打ち据え、戦場にさらなる混乱と敵に与え、味方である虎獣人たちには熱狂的な声援を送られるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

厳・範
半人半獣形態での参戦。

さて、この世界は久方ぶりとなるが…やることは同じよな。
背には『花雪』が乗っておるが…。

花「どうしましょう、お爺様」

あれはあれで厄介な武器であるが。
炎であれば、やることは一つよ。
【使令法:金魚】。狙うはあの『火炎放射兵』たちよ。

花「私は…援護のために、雷公鞭にて雷撃を放ちます」

わしは攻撃を回避し、時計針で刺したりしていこう。
…この世界は、馴染みある世界に最も近い場所であるからな。全力にもなろうよ。



 オブリビオン軍団『火炎放射兵』は背負ったボンベの如き機器に炎を充填していく。
 彼等の炎はあらゆるものを燃やす。
 直撃しなくとも、その炎は熱波となってサイバー武侠である『幇』の虎獣人達の戦闘義体へとダメージを蓄積させていくだろう。
「苛烈なる炎……なんと厄介なことか!」
「ハッ! 今更わかったところで遅ぇ! てめえら全員焼き殺してやるよ! 食いでのねぇ虎風情が!」
『火炎放射兵』たちの放つ炎が完全に充填されたのを告げる音が響く。
「おらよ! 喰らいやがれ!」
 放たれる炎。
「いけない! 仙術を!」
 大鴉の獣人『熾天大聖』の声が響く。だが、時既に遅し。
 その炎は一瞬で虎獣人達へと殺到する。

「させぬよ」
 その短くも良く通る声が響いた瞬間、戦場に炸裂する水。
 膨大な水が膜となって虎獣人たちを炎から守るのと同時に、炸裂した水は『火炎放射兵』たちの炎を消し、彼等を吹き飛ばす。
「んだよ、これっ! どこから水が……って、ぐぎゃっ!?」
『火炎放射兵』たちを襲ったのは雷撃。
 それもまた『幇』の虎獣人たちは見知った力であった。
「今の雷撃は……宝貝!」
「さよう。『花雪』。絶えず雷撃を」
「はい、お爺様」
『熾天大聖』の言葉に応えるは、半人半獣たる厳・範(老當益壮・f32809)であった。彼は背に宝貝人形『花雪』を載せ、雷撃放つ雷公鞭を握らせていた。

 人馬一体とでも言えば良いのだろうか。
 彼の操る宝貝は水球型爆破宝貝。
 使令法:金魚(ジンユー)によって招来された桃源郷に存在する空を泳ぐ金魚から次々と水球型宝貝を生成し、炎を手繰る『火炎放射兵』たちにぶつけて、その炎事態を消していくのだ。
 そこに『花雪』の雷撃がほとばしれば、伝播するように力が駆け抜け、彼等を討滅していくのだ。
「大事無いな、『幇』の御歴々」
「ああ、いや。そんな。手前共のことを、そう呼ばれるのは些か」
 拱手でもって礼儀を示す行いは世界が変わろうとも共通するものであろう。
「しかして、何故此度は助太刀を」
「……この世界の、それも馴染み有る世界に近しい場所であるからな。全力にもなろうよ」
 その言葉に虎獣人たちは礼を告げる。
 戦いは未だ乱戦を示す。

「お爺様、敵がまだ参ります」
「よかろう。では、このまま乱戦の最中を駆け抜ける。『花雪』よ、よいな」
「はい!」
 その言葉と共に範は乱戦たる戦場を駆け抜ける。
 ユーベルコードの輝きが瞳に満ちて、共するように空を泳ぐ金魚たちが水球を炸裂させ、雷撃が迸る。
 その様はまるで疾風迅雷と呼ぶにふさわしいものであり、また同時に戦場に百花繚乱たる宝貝の凄まじき力を知らしめるには十分なものであった。

 虎獣人たちが、その様に見惚れるのも無理なからぬことであると大鴉の獣人『熾天大聖』は息を呑む。
 心強い味方。
 猟兵達の到来によって、乱戦たる戦場は徐々に趨勢をオブリビオン軍団から『幇』たる獣人たちへと傾けさせようとしていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
鉤爪の男の遺産か。つくづくいらないものを持ち込んでくれる。
この地のヒトたちを守るため、手を貸すわ。

『熾天大聖』と言ったかしら。『戦いに際しては心に平和を』だっけ。
すぐに戦場を平和にしてくるわ。
お話はその後にしましょ。

さて、いいかもね、こいつら。
「範囲攻撃」で火伏せの法。お札を飛ばして、当たったかどうかは関係なく、この戦場全域で「火炎を禁ずる」。

『幇』の皆、今が攻め時よ。炎を封じられたあいつらは、ただの獲物。思う存分ぶちのめしてらっしゃいな。

炎が使えないと分かって浮き足立つ奴らの中に、あたしも薙刀を振るって切り込む。
皆、調子に乗って力を使い果たさないようにね。次は敵の拠点を攻めるんだから。



 戦火は常に人の何かを奪う。
「次々と鬱陶しいぜ、猟兵! てめえらの介入なんざなぁ!」
 オブリビオン軍団『火炎放射兵』たちは己達の火炎放射器を手にタンクに溜め込まれた可燃性燃料をぶちまける。
 そのぶちまけられた燃料は即座に気化して大気中に広がっていく。
 混戦状態にあって、そんなことをするのは正気の沙汰ではなかっただろう。
「貴様ら、正気か!? この乱戦の最中に……!」
『幇』の虎獣人たちは目をむく。
 その行いは敵味方を区別するものではなかった。
 予想しない行いに虎獣人たちはたじろぐ。その一瞬が決定的な隙だった。

「知るかよ。俺等はなぁ! 燃やせればそれでいいんだよ!」
 カチン、と音がなる。
 それは火炎放射器が火花を散らす音だった。瞬間的に膨れ上がる炎。だが、それはこの乱戦満ちる扇状に広がっていくことはなかった。
 炎は確かに膨れ上がった。
 だが、それは次の瞬間には何事もなかったかのように立ち消えていたのだ。
 そもそも火炎放射器から放たれた火花などなかったかのように。
「どうなっていやがる!?」
「ふぅ……間に合ったわね」
 大鴉の翼が羽撃く。
 見上げる上空にあったのは大鴉の獣人『熾天大聖』によって抱えられ、そしてそこから飛び降りる村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)であった。

 その瞳にはユーベルコードが輝いている。
「『熾天大聖』と言ったかしら。手伝ってくれてありがとうね。『戦いに際しては心に平和を』、だっけ」
「ええ、この場は」
「任されたわ。すぐに平和にしてくるわ」
 話は後で、とゆかりは降り立ち、オブリビオン『火炎放射兵』たちの前にて、その瞳に輝くユーベルコードの輝きを持って、手にした符を広げる。
「なんだ、てめえは! 何をしやがった! 俺達の炎を!」
「ふるべ ゆらゆらとふるべ ひふみよいむなやこともちろらね しきる ゆゐつわぬ そをたはくめか うおゑにさりへて のます」
 火伏せの法(ヒフセノホウ)。
 それはゆかりのユーベルコード。
 彼女の放った火産霊命の火伏の符が次々と『火炎放射兵』たちへと張り付き、その体を滅ぼさんと痛みを解き放つ。

 それは火傷を起こしたかのような痛みであり、また同時に符が地面へと当たると、瞬間的に戦場にあった炎が立ち消えていくのだ。
「この領域の火気は一切存在不可能。『幇』のみんな、今が攻め時よ。炎を封じた。なら、あいつらは」
「ただの獲物というわけか!」
「ええ、思う存分ぶちのめしてらっしゃいな」
 ゆかりの言葉にサイバー武侠である虎獣人たちが駆け出す。
 オブリビオン『火炎放射兵』たちは確かに強敵だった。けれど、それは炎ありきであったのだ。 
 ならば、彼等の強みはゆかりのユーベルコードひとつで封じられたのdあ。

 ゆかりは手にした薙刀を奮って飛び込む。
「みんな、調子に乗って力を使い果たさないようにね。次があるんだから!」 
 その言葉に虎獣人たちが応える。
 戦いはまだ続く。
 この先の拠点へと切り抜けることもひつようであるし、また拠点にはあの『鉤爪の男』の遺産がある。
「つくづくいらないものを持ち込んでくれる」
 ゆかりは薙刀を振るいながら『火炎放射兵』たちを切り捨て、滅びてなお、世界に仇為した存在に歯噛みするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

笹竹・暁子
※アドリブ連携歓迎
空の同胞さん、ちゃんと食べてるかしら?
知らせを聞いて、戦況の確認に飛んできたのだけれど…
ううん、また荒れているわね
積もる話もあるのだけれど、復興作業に火事は大敵
まずは追い払いましょうか!

方針:火炎放射器の破壊を優先的に、各種支援を行う

【指定UC】でスズメエージェントを呼び出し、【偵察・索敵・情報収集・情報伝達】で戦況把握
避難中の住民がいるなら【道案内・護衛】で安全圏まで誘導を
後は【地形の利用・迷彩】で身を隠し、隙を見て〔赤熱シャベル・霊力武器〕で【不意打ち・集団戦術・部位破壊・鎧砕き・逃げ足】と一撃離脱!
自棄になる前に、手を打ってしまいましょう

…勢いがあるのはいいけれど、さて



 戦場の空を戦禍階梯の大鴉の獣人『熾天大聖』が飛ぶ。
 自らの予感を肯定するように猟兵たちが転移してきているのだ。だが、未だオブリビオン軍団『火炎放射兵』たちの猛攻は続いている。
 どれだけ炎を沈静化したとしても、その領域を踏み越えてくる者たちが居る。
 彼等は津波のように全てを押し流そうとしている。
 ユーベルコードのきらめきは長くは続かない。
 故に『熾天大聖』は焦る。
「このままでは……」
『幇』のサイバー武侠である虎獣人たちは強い。けれど、それは勢いに乗っているからだ。疲弊し、勢いが削がれれば、すぐさまにオブリビオン軍団に呑み込まれてしまうだろう。
 それは戦いが長引けば長く引くほどに如実に現れてくるのだ。

「ご無沙汰ね、空の同胞さん。ちゃんと食べてるかしら?」
 その言葉に『熾天大聖』は目を見開く。
 そこにあったのは、笹竹・暁子(暁を臨む一夜の為に ~雀のお宿の外仲居~・f39919)の姿であった。
「知らせを聞いて、戦況の確認に飛んできたのだけれど……」
「ご無沙汰しております。はい、よくはありません。みなさんが来てくださいましたが……」
 拱手でもって暁子に一礼する『熾天大聖』の言葉に彼女は頷く。
 そう、彼の言葉通りだった。
 猟兵達の介入によって局所的にはオブリビオン軍団を押し返している。だが、それは一時的なものだ。

「ううん、また荒れているわね。積もる話もあるのだけれど、復興作業に火事は大敵。まずは追い払いましょうか!」
「ええ、頼みます!」
「防衛戦なら私達に!」
「偵察はボクたちにおまかせ!」
「よろしくね! 出撃!「雀のお宿」の仲間たち(アビリティ・オブ・ナンバーズ)!」
 暁子の瞳がユーベルコードに輝く。
 第一階梯の忍者雀エージェントたちが一斉に戦場へと飛び出す。

 散らばった彼等から暁子は情報を得ていく。
「確かに猟兵のみんなの助けが間に合うところは押し返してるわね。でも、そうじゃないところ……ううん、戦場はデコボコってところね。なら!」
「負傷兵は、後退させるチュン!」
 治癒能力を持つ第ニ階梯の雀獣人が怪我をした虎獣人たちを引き連れ、後退していく。それを追う『火炎放射兵』たちを暁子たちは捉えた。
「追撃する敵がいるわ! けど!」
 暁子は己の手に赤熱シャベルを手にして、空より一閃を『火炎放射兵』へと叩き込む。

 吹き荒れる炎を切り裂くようにして『火炎放射兵』の体を薙ぎ払う。
「てめぇ! よくも!」
「怪我人に追い打ちなんて、酷いわ。だから!」
 振るう赤熱シャベルと火炎放射器が打ち合って火花を散らす。
「俺達は大丈夫だ。このまま玉砕覚悟で!」
 虎獣人たちが飛び出そうとするのを戦闘猟兵の雀たちが抑える。彼等はやけになっいる。いや、違う。生命をなげうつことに酔いしれている。
 正しいことをしているのだという自覚がある。
 だから、それを理由に生命を蔑ろにしている。その自覚ないままに生命を使おうとしている。
 それを暁子は捨て置けなかった。

「自棄になるのはまだ早いわ。勢いがあるのはいいけれど」
 暁子はシャベルを奮って『火炎放射兵』を打ち払って向き合う。
「生きるっていうことは大変なことだわ。けれど、生命を投げ出すこととは違うことだと思うの。だから、美味しい食事が必要なのよ」
「美味しい食事はアタシらに!」
 その言葉と共に第二階梯の雀たちが食糧を虎獣人たちに配り歩く。
「ここはわたしに任せて食べておいて。その美味しさが、生きるっていうことがどういうことなのか思い出させてくれるわ。どれだけ正しさに頭が茹だっているのだってね――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
燃え尽きてからじゃ遅い!

『黒焔双舞』火尖鎗・乾坤圏・風火輪型抗体兵器を召喚装着。
【念動力操縦】乾坤圏高速回転、回転刃の風圧で燃え盛る炎を【なぎ払い】
火炎放射兵を狙って【切断】

一度広がった戦火は簡単には消えない!

風火輪【推力移動】己に風火を纏い焔に適応。
爆発炎上する地、炎の中を駆け抜け、火尖鎗を敵兵へ突き刺し
【呪詛焔】でボンベに引火させ爆破!

灰になってからでは全てが遅い!!!

爆破で燃え広がる抗体兵器の呪詛焔を【闘争心】で制御下に、
念動力で操り虎獣人を避け炎上地を、燃え盛る炎も、敵兵も、全部、
呪詛焔で【捕食】し焔の勢いを増幅しながら破壊を続行する!!

だから、燃えろ!!!!

全てが炎にのまれるまえに。



『幇』の虎獣人たちは己たちの胸に宿る正しさに酔いしれていた。
 己の身を犠牲にすることを普段ならば厭うだろう。
 けれど、今彼等は正しさの中にある。オブリビオンの侵略に抗う。護りたいもののために戦う。力を振るう。
 その正しさにこそ、己の生命を燃やす。
 それは劇薬そのものだった。
「燃え尽きてからじゃ遅い!」
 戦場にありて、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は叫ぶ。
 両手に二振りの火尖槍型抗体兵器を握りしめ、さらに浮遊する乾坤圏型抗体兵器を打ち出し、両足に炎を噴出させながら飛翔する風火輪型抗体兵器と共に彼女は戦場を切り裂く炎となって一直線に飛び出す。
「速い……! こいつ!」
 オブリビオン軍団『火炎放射兵』たちは、その小枝子の凄まじい戦闘機動に翻弄される。

 脚部に備わった抗体兵器が炎でもって戦場をなめ尽くすようにして、『火炎放射兵』たちの炎を吹き飛ばしていく。
 加速する体。
 戦場を小枝子の魔眼が捉える。
 虎獣人達の表情は満ち足りているように思えた。己の正しさを、己で肯定している。戦うことに恐れを抱いていない。
 揺らぐことのない信念は確かに鋭く、あらゆるものを貫くだろう。
 けれど。
「一度広がった戦火は簡単に消えない!」
 火尖槍の一撃が『火炎放射兵』の手にした火炎放射器を切り裂く。さらに躯体を切り裂き、薙ぎ払う。

「灰になってからでは全てが遅い!!!」
「な、なにを……」
「わからないか!」
 小枝子の言葉に虎獣人たちはたじろぐ。動揺した、と言えるだろう。
 だが、まだ動揺できるのならばよいと小枝子は思っただろう。
 戦いは、争いは、喜びの中で行うものではない。それが如何に心を荒ませるものであるのかを知るべきだ。
 戦いには恐れが必要だ。
 それは命を奪う行いであると知るべきだ。
 例え、敵が過去の化身オブリビオンであったとしても、その戦火は振り払うのではなく。
「この戦いは確かに火の粉を振り払うものであろう。けれど、貴殿らのやり方は!」

 炎に風を送るだけだ。
 生命をなげうつという行為に酔いしれているのならば、それは滅びるのと変わらない。
「生きたいと願うこと。生きるということをやめようと貴方達がしているから、彼女は」
 怒っているのだと大鴉の戦禍階梯『熾天大聖』が降り立ち、虎獣人たちを諭す。
 己ではできなかったことだ。
 それを小枝子は示してみせた。
 吹き荒れる呪詛の炎。戦いの光とは常に恐れをはらむものだ。けれど、それは足を止めるためのものではない。
 その恐れを他の誰に押し付けにためにこそ得るものである。
「だから、燃えろ!!!」

 小枝子は踏み込む。
 黒焔双舞(デスパレトグレイブ)は、戦場に炎の華を咲き誇らせる。
 それは美しくも残酷であり、同時に恐怖をもたらすものであったことだろう。『戦いに際しては心に平和』という言葉の意味が小枝子には理解できただろう。
 生命をなげうつときに、その心に平和がなければ、ただの破壊をもたらすものである。
「そんなものは、自分だけでいい!」
 全てが炎に飲まれる前に。
 その全てを小枝子は己が飲み込むのだというように戦場を駆け抜け、その炎を噴出させ、オブリビオン軍団を退けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イーブン・ノルスピッシュ
互いの|言い分《正義》をぶつけ合うのが戦争だ
『自分が正しいと思うのだから正しい』と突き抜けるくらいで良い
お前ならその行動の|結果《責任》に潰される事も無いだろう
お前の|正しさ《直感》に力添えしよう、熾天大聖

転移先は戦場上空
遊ぶように炎を撒き散らす敵兵
後付けの力を過信する|大虎《酔っ払い》
苛立ちを通り越して怒りすら覚える
こちらも炎を纏って急降下、最前線に割って入る
|外套《ポンチョ》の火炎耐性と炎のオーラ防御に任せて吶喊
敵兵が背負った燃料タンクを狙って、炎を纏わせた徹甲弾を叩き込む
ステーキになったのは貴様の方だったな

力の使い方を誤る者には相応の報いが下るものだ
火遊びは大概にしておけ、素人ども



「互いの|言い分《正義》をぶつけ合うのが戦争だ。『自分が正しいと思うのだから正しい』と突きつけるくらいで良い」
 イーブン・ノルスピッシュ(戦闘猟兵・f40080)は炎吹き荒れる戦場に在りて羽撃く大鴉の翼を見る。
 戦禍階梯の獣人『熾天大聖』。
 彼の迷いは当然であったことだろう。
 戦意満ちる『幇』の虎獣人たちを止めることのできない歯がゆさ。そして、己の直感を肯定できぬ無力さ。
 その全てが事態を悪転させていく光景に心が苛まれるだろう。
 誰もが正しさを持っている。
 けれど、それが真に正しく。全ての人々に受け入れられる正しさであるとは誰も云えない。神であるものでさえ、それを肯定できないだろう。

 だからこそ、とイーブンは手を掲げる。
「お前なら、その行動の|結果《責任》に潰されることもないだろう」
「ですが、僕は」
 イーブンの元に『熾天大聖』は降り立つ。 
 その瞳にイーブンは迷いを見ただろう。わかることだ。理解できることだ。誰だってそうだとイーブンは掲げた手を拳に握り変える。
 迷いながらも進むことでしか生きていけないというのならば。
 拳を彼の胸に添える。
「お前の|正しさ《直感》に力添えしよう、『熾天大聖』」
 イーブンは見やる。
 戦うのだろう、と。迷いながらも、決断し、懊悩しながらも戦うのだろうと。その言葉に『熾天大聖』は頷き、イーブンを大空へと運ぶ。

「わかるか、『熾天大聖」。あれらを」
「はい……でも、どちらも正しい、と思います。得た力に翻弄される者も」
 オブリビオン軍団『火炎放射兵』たち。
 得た力によって遊びのように炎を撒き散らす敵。
 そして、サイバー武侠である虎獣人たち。
 彼等は力に酔っている。己の得た力と、己の正義が正しいことだと理解するからこそ、その力を振るうこと、生命をなげうつ行為に酔いしれている。
「あれは酔っ払いだ。苛立ちを通り越して怒りすら覚える」
 だから、とイーブンは『熾天大聖』が運んだ空より急降下する。炎をまとい、怒りによって噴出するユーベルコードの輝きと共に砲弾のように戦場に降り立つのだ。

「――……なんだ!?」
「あぁん? てめぇ……!」
 戦場の反応は互いに同様だった。虎獣人たちも『火炎放射兵』たちも、突如として飛来したイーブンに動揺する。
 激情にイーブンの肩が震える。
 憤りである。
 怒りである。
 それしか今のイーブンにはない。オレステスの業怒(オレステス・アヴェンジ)は激情の滾りと共に戦場に吹き荒れる炎でもって『火炎放射兵』たちを飲み込み、虎獣人たちをも吹き飛ばしていく。
「力の使い方を誤る者には相応の報いが下るものだ」
 イーブンの声は努めて冷静であったように思える。だが、声色の端々から伝わる怒気に虎獣人たちはおののくことしかできなかった。

 何故、と問う声すらなかった。それすら許さぬ怒りが、そこにはあった。
「その熱に茹だった頭でものが考えられぬいのならば」
 イーブンは噴出する炎と共に徹甲弾を『火炎放射兵』に叩き込んでいく。爆散し、凄まじい炎を戦場に撒き散らす敵兵を背にイーブンは虎獣人たちを見やる。
「火遊びは大概にしておけ、素人ども」
 その威容は一切の否定を許さぬ迫力でもって虎獣人たちの茹だった頭に冷水を浴びせるようであった。
 これが戦いの恐ろしさと愚かさだというようにイーブンは、業怒の炎でもって示すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

ステラさん、どうどーう。
久しぶりすぎて慣れてない方ばかりなのか、みなさま引いてますから。
あ、ほら『熾天大聖』さんも、ヤバさに見なかったことにしてるじゃないですか。

萌えるものだけが正しい。萌えないものは正しくない。
物騒なお犬さまですけど、一理ありますね。
でもその理論ですと火炎放射犬はぎるてぃですね。可愛くないですもん。

ですので!
容赦なくしっかりやらせてもらっちゃいますよ!

【ベーゼンドルファー】を背中から降ろして設置したら、
渾身の【ボレロ】で三半規管を破壊しちゃいましょう。

え、えっと、ステラさん……。
酔っ払いさんが扱う火炎放射器って危ないですね。
(無差別的な周囲の被害から目を逸らし)


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の! 香りがしまぁっす!!
ここには生エイル様…じゃなかった
熾天大聖様がいらっしゃるので当然ですね(hshs
誰がやべーメイドですか
久しぶりにルクス様にツッコんだ気がします

勇者の暴論は世の中の正論
これが理不尽か…
熾天大聖様、ノイン様への道は私たちが切り開きましょう
大丈夫
道中、虎獣人たちもお助けしますので

今日に限ってピアノ持ってきましたこの勇者?
熾天大聖様伏せて!!死のメロディがきますよ!!
ルクス様視線逸らしてもダメ
さぁお前の為した地獄を見ろ!!
まぁ追撃するには楽ですね
それではメイド、参ります!!
酔っぱらいを
【スクロペトゥム・フォルマ】で確実に仕留めていきましょう!



「ステラさん、どうどーう」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は自分がなんだか獣使いになったような気持ちになっていたのかも知れない。
 いや、わかっているのだ。
 これはきっと獣という名のメイドなのだと。だから、自分がこの場をなんとかしなければならないという使命感に駆り立てられているのだと。
 けれど、如何にルクスが宥めようとしても、メイドは止まらない。止められない。止まったらそれはもうメイドではないのだ。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁっす!!」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はそんなルクスの心配をよそに当たり前のように叫んでいた。
 戦場でめちゃくちゃに叫んでいた。
 その叫びは空を切り裂き、天にまで届きそうであった。誇張が過ぎると思われるかも知れないが、事実、それくらいの大声量であった。
 これでユーベルコードではないのである。ウソみたいな事実である。

「な、なんだ……?」
『幇』の虎獣人たちはもとより、オブリビオン軍団『火炎放射兵』たちもまた一瞬動きが止まっていた。
「ほらー久しぶりすぎて慣れてない方ばかりなのか、みなさま引いてますから」
「いえ! そんなことはありません! ここには生『エイル』様……じゃなかった。『熾天大聖』様もいらっしゃるのですから当然です! あー、はすはす! 生『エイル』様の香りぃ!」
「うわ」
 今、うわ、って聞こえた。
 ルクスは上空に羽撃く大鴉の羽根の音を聞いた。
「ほらー、『熾天大聖』さんもヤバさに見なかったことにしてるじゃないですか」
 ルクスが、ほら、って示す先には、やっべ! という感じで顔を引きつらせた『熾天大聖』が曖昧な雰囲気を醸し出している。
「誰がヤベーメイドですか」
「いえ、ステラさんですけど」
「なんだかこのやり取りも久しぶりな気がしますね。ツッコミ、やはり私に合っているようですね」
 その言葉に、戦場に居た者全てが思った。

「ボケでなく?」

 だが、誰もそれを言葉にできなかった。
 言葉にしようもんなら、何をされるかわからなかったからである。
「しゃらくせえぜ、猟兵! 燃えるものだけが正しい! 燃えないものは正しくない。それだけだろうが! なにがボケとツッコミだ! 燃えちまえば一緒だろうが!」
 果敢にも『火炎放射兵』たちは炎を噴出させながらステラたちに迫る。
 その様子を見やり、ルクスは頷く。
「萌えるものだけが正しい。萌えないものは正しくない。物騒なお犬さまですけど、一理あります」
「今ぜってー、違う文字当てはめてるだろ!」
「でも、その理論ですと火炎放射犬はぎるてぃですね。可愛くないですもん」
「聞いてんのか、てめぇ!?」
 聞いてない。
「ですので! 容赦なくしっかりやらせてもらっちゃいますよ!」
「なんという暴論。理不尽そのものですね。『熾天大聖』様、私達が切り開きます。大丈夫、道中、虎獣人の方々もお助けいたしますので」
 にこ、と笑むステラ。
 バチバチに視線が『熾天大聖』に刺さっているような気がする。

 その視線に『熾天大聖』は、やっぱり曖昧な顔をするしかなかった。
「というわけで、はい!」
 ごすん、とルクスの背から戦場の地面に下ろされるはグランドピアノ。え、それ背負ってるの? と誰もが思った。
 けれど、事態はそんな悠長なことではない。
 気がついていたのはステラだけだった。

「ちょ、この勇者!? 今日に限ってピアノを持ってきました!?『熾天大聖』様、伏せて!」
「え、何が」
「死のメロディがきますよ!」
「えーそんなことないですよー渾身のボレロ、行きますよ! 魂の演奏をきっけー!」
 煌めくはユーベルコード。
 演奏でユーベルコードに昇華する者は少なくない。どれがも流麗であり、華美であり、同時に心洗うような戦慄を奏でるものである。
 しかし、ルクスのそれは違う。

 響き渡るは破壊音波。
 なんていうか、ピアノの音でこんなガラスを爪でひっかくような、神経を逆なでするような、気持ちの悪い音を出せるとは思えなかった。
 だが、現実に出しとるじゃろがい! と言わんばかりの音色に『火炎放射兵』たちは悶絶するようにのたうち回る。
 酷い光景であった。
 阿鼻叫喚地獄であった。
 間に合わなかった虎獣人たちものたうち回っていた。
「だからあれほど!」
 その光景にルクスはたじろぐ。

 魂の演奏だったのだから、きっとみんな酔いしれて戦いをやめてくれると思ったのだ。だが、そうはならなかった。ならんかったのである。
「え、えっと、ステラさん……」
 周囲には炎とルクスの演奏で酷いことになっている光景が広がっている。
「酔っぱらいさんが扱う火炎放射器って危ないですね」
 目をそらした。
「ルクス様、視線逸してもだめ! さぁ、お前の為した地獄を見ろ! ですよ!」
「でも追撃するには楽ですね。頭くらくらしますけど」
『熾天大聖』の曖昧な笑みにステラはユーベルコードに瞳を輝かせながら、良い笑顔で返事をする。
「そうですね!」
 では、とスエラは優雅に一礼して見せる。

「では、メイド、ステラ……参ります!」
 そこから先はメイドの蹂躙劇。
 戦いとは斯くも残酷なのかと示すようにステラは次々と三半規管をやられた『火炎放射兵』たちを双銃でもって容易く撃滅していくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
いやー、よう燃えとる!
炎上案件!
マッチ一本火事の元!
冗談はさておき
けどそんなに燃やすのが好きなら、他人を燃やさずに自分でも燃やしてな!
燃えるものが正しいんでしょ?

《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
『斬撃波』を放ち、その衝撃で炎を『吹き飛ばし』火炎放射器の攻撃を打ち消していこう
【偽書・焔神】起動
更に飛ばす斬撃波に蒼炎を乗せて、敵の炎を呑み込んで威力を上げて火炎放射兵にぶつけていく
そんなに炎が好きならどっちの炎が強いか、勝負といこうじゃない
最も、そんな遊び半分な炎に負けるつもりは無いけどね
ステーキになるのは君達の方だ
…まあ、そんなステーキ御免こうむるんだけど



 戦場は炎が吹き荒れていた。
 サイバー武侠である虎獣人たち『幇』とオブリビオン軍団『火炎放射兵』たちの苛烈なる争いは、戦場の炎をさらに煌々と立ち上らせる。
「いやー、よう燃えとる! 炎上案件! マッチ一本火事の元!」
 なんかの慣用句みたいに月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、その光景を見やる。
 抜刀された二刀の模造神器の刀身が炎の揺らめきを受けて煌めく。
 敵の数は未だ多い。
 そして『幇』はこの勢いのままに敵の拠点になだれ込もうとしている。

 勢いとは確かに戦いにおいて無視できぬ要因であったことだろう。
 けれど、それは無策無謀というものだった。
 対する敵は『宝貝オブリビオンマシン』を有している。このまま突撃を敢行させてしまえば、どうなるかなど、今戦場を席巻している炎を見るよりも明らかであったことだろう。
 故に玲は、目の前の光景を先のように例えたのだ。
「ま、冗談はさておき」
「冗談じゃあねえよ! お前も燃えろ、猟兵!」
 オブリビオン『火炎放射兵』たちが炎を撒き散らしながら、玲へと迫る。

 それを一瞥して彼女の手にした模造神器が振るわれると、衝撃波が放たれ荒れ狂う炎を吹き飛ばす。
「ん、なっ!? 俺達の炎がかき消された!?」
「何をそんなに驚いてんの?」
「てめえ! 今度こそ! ステーキになりやがれ!」
『火炎放射兵』たちの炎がさらに吹き荒れる。
 ユーベルコードの輝きを放つ炎は、今度こそ容易には達ゲルことはないだろう。けれど、玲の瞳もまたユーベルコードに輝いていた。
「そんなに燃やすのが好きなら、他人を燃やさずに自分でも燃やしてな!」
 振るう斬撃波。

 それは先程の衝撃波と変わらぬものであったように『火炎放射兵』たちには思えただろう。
「二度と同じ手が通用するものかよ! 火力を上げりゃあな!」
 さらに吹き荒れる炎。
「システム切替、偽書・焔神(ギショ・ホムラカミ)起動」
 その言葉と共に放射されるは浄化の蒼き炎。
『火炎放射兵』たちが放った炎と混ざるようにして炎が一体化していく。いや、違う。それは一体化しているのではなく。
「猛り、狂い、燃やし尽くせ」
 蒼き炎は赤き炎を飲み込んでいく。
 浄化の炎は、あらゆる炎を飲み込んでいく。敵の火力は玲の火力を底上げするものでしかない。

 炎と炎と火力比べをする、という『火炎放射兵』たちの目論見は、己達の炎に自身を持っている、という時点で瓦解しているのだ。
「そんなに炎が好きなら、わかるでしょ。どっちの炎が強いかなんて」
「馬鹿な、俺等の炎が負ける……!? 数でも、火力でもこっちが上のはずなんだぞ!?」
「いやぁ、そんな遊び半分な炎に負けるつもりなんて毛頭もないんだよね。さ、なら、この後のこともわかるだろう?」
 玲は蒼炎をたぐり、斬撃にまとわせる。
 振り抜かれた一撃が巨大な蒼炎の塊となって『火炎放射兵』たちを飲み込んでいく。
「ステーキになるのは君たちの方だ」

 蒼炎が立ち上る。
 それは『火炎放射兵』たちの末路を示すものであり、また同時に圧倒的な力を示すものであったことだろう。
 焼き滅ぶ『火炎放射兵』たちの残骸を見やり、玲は呟く。
「燃えるものが正しいんでしょ? よかったね、君たちは正しかった。でもまあ……」
 焼き滅びた敵を見下ろし玲は息を吐き出す。
 そんなステーキは御免被るのだけど、と――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

公明正大なる戦争なんて往々にしてありはしないのさ
さりとて何かを良しとする思いこそが世界をくるくる回してくれるんだ
善かれ悪しかれだねー
あるいは程度の問題?
つまるところ…汝の為したいよう…やりたいようにやるがよい!と神さまボクは言っている!

●見えない壁
[白昼の霊球]くんたちの透過設定を弄って炎と熱を遮断するバリア代わりになってもらおう
そうやって軍勢を押し進めるように近づいていってUC『神撃』でドーーーンッ!!

燃えるものだけが正しいだって?
そのシンプルさ嫌いじゃないよ!ボクは燃えないけど!
さーてそれじゃあ鉤爪マンの隠し玉をみんなで見に行こうよ!
きっとおもしろいもの見れるよ!



 争いに正しさなんて無い。
 それが戦争というのならば、殊更であったことだろう。
「公明正大な戦争なんて往々にしてはありはしないのさ」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は炎に包まれる戦場を見下ろす。
 己の操る球体より俯瞰した戦場は炎の熱と争いの叫びに満ちている。どんなに取り繕うのだとしても、どんなに正しいと己を肯定するのだとしても。
 結局のところ、争いがもたらすのは破壊だけだ。
 悲惨たる状況をなんとかしたい、と思うは当然だろう。
 誰もが悲劇を防ぎたいと思うだろう。
 けれど、それは全て上手くいくとは限らない。悲惨たる状況は、惨憺たる結果を生み出すし、覆らな行ことのほうが多いのだ。

「まーそうだよね。さりとて何かを良しとする思いこそが世界をくるくる回してくれるんだ。善かれ悪しかれだねー」
 とは言え、それは程度の問題でもあるよね、とロニは笑う。
 球体と共に戦場に降り立つ。
 炎は吹き荒れてはいるけれど、球体によってバリアを張っているから平気というようにロニは笑ってオブリビオン『火炎放射兵』たちを見下ろす。
「軍勢できたって怖いものじゃあないよね」
「なんだこれっ、燃やせねぇ! どうなってやがる!」
 球体の透過によって、炎はすり抜けていく。燃やすことなどできようはずもない。その光景を見やりながら、ロニはやはり笑っていた。

「君らは燃えるものだけが正しいって言っていたね。そのシンプルさ、嫌いじゃないよ! まあ、ボクは燃えないけど! ボクの正しさはボクが肯定する! だからボクが正しい!」
「何をごちゃごちゃと!」
「つまりね!」
 ロニの体が空中に飛び上がる。
 彼の握りしめた拳がユーベルコードに輝いている。その輝きを『火炎放射兵』たちは見上げることしかできなかっただろう。
 そして、炎しか信じぬ彼等にさえ、そこに神という存在を見出させる程の強烈な輝きを解き放つ。

「汝の為したいよう……やりたいようにやるがよい! と神様! つまりボクは言っている! だからさ!」
 ロニは空中から拳を叩きつける。
 単純で重たい一撃。
 その一撃は神々しさすら放つものであったことだろう。
 神撃(ゴッドブロー)。
 世の理を歪めるかのような一撃。戦場たる大地を砕き、吹き荒れる炎すら吹き飛ばして見せる拳。
 その天地がひっくり返るような凄まじい衝撃の最中、えぐられた大地にロニは立ち、屈託なく笑う。

「さーて、それじゃあ、早いところオブリビオン軍団くんたちを片付けて、鉤爪マンの隠し玉をみんなで見に行こうよ! きっと面白いものがみれるよ!」
 ロニは笑う。
 あくまで笑う。
 愉快なことが多ければ良い。悲惨ことは少ない方がいい。喜劇の前にある悲劇であるのならば、それもいいだろう。
 ときに悲劇とは俯瞰してみれば喜劇そのものである。 
 しかし、それは神たるロニの身があればこそだろう。
「まーいいじゃない。細かいことはさ!」
 そう言って、ロニは、戦場に突如として現れ、神の如き暴威を振るう彼を見上げる虎獣人たちに手を差し伸べるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

川崎・五十鈴
異世界初実戦。異世界に決戦配備はない。まあ、でも、やれるか。

敵の装備は火炎放射器。なるほど、絶対殺す。
ユーベルコードで魔法の木の葉を発生させて、周囲の『幇』の虎獣人たちを回復させて再行動も可能にさせる。一応説明として『応援に来た。今のは支援。』とでも言っておく。

私自身は魔法の木の葉を全身に纏ってステルス状態に。そのまま目立たないように敵を銃撃で暗殺していく。火炎放射器の燃料タンクを集中的に狙う。それで爆発が起きればその混乱に乗じることで暗殺がもっとやりやすくなるはず。

分別もせず何もかも燃やして有毒ガスを発生させるあなたたちは死ぬべき極悪。
この世に唯一つ正義があるとするなら、それはEV。



 他世界に|『決戦配備』《ポジション》はない。
 それを川崎・五十鈴(エコテロリストエルフ・f41042)は改めて知る。『決戦配備』とはデウスエクスと戦うために人類が総力を結集した集大成である。
 その力を得て、五十鈴立ちケルベロスはデウスエクスと戦ってきたのだ。
 けれど、他世界へと渡ることができるようになった今、その他世界の戦場に立つ彼女に『決戦配備』の恩恵はない。
「まあ、でもやれるか」
 やるしかないのだと、五十鈴は、その瞳を炎吹き荒れる戦場へと向ける。

 炎が立ち上っている。
 あらゆるものを燃やしている。
 燃える、ということは酸素を得て燃焼すること。そして二酸化炭素が生まれていく。あらゆるものを燃やす、ということはそういうことだ。
 オブリビオン軍団『火炎放射兵』たちが放つ炎は、恐らく可燃性燃料を惜しげもなく使っているのだろう。
 それ故に火力は凄まじいものであった。
「燃えろ燃えろ! 全て燃えちまえ! この世の全てを燃やし尽くすまで止まるものかよ!!」
 彼等の炎を見やり、五十鈴はその瞳を剣呑たる輝きで満たす。
「なるほど、絶対殺す」
 殺意が燃えていた。同時に彼女の力は一時的に先祖へと立ち返る。

 ユーベルコードの輝きを宿しながら、魔法の力へと目覚めるのだ。
 周囲にみちるは魔法の木の葉。
 それが一瞬で周囲にあった『幇』の虎獣人たちを覆い隠していく。
「な、なんだ……木の葉……? 仙術の類だっていうのか?」
 彼等の困惑も尤もであろう。
 その言葉に五十鈴は頭を振る。
「いいえ、魔法よ。そして、私は応援に来た者。今のは支援」
 安心して、とでも言うように五十鈴は、魔法の木の葉を纏って姿を消す。一瞬にして姿を消した彼女に虎獣人たちは困惑するだろう。
 確かに、傷が癒えている。
 五十鈴の言葉は少ないものであったが、虎獣人たちにとっては、それが十分であるように思えただろう。
 傷ついた体を癒やす力。
 そして、同時に五十鈴の体を隠す魔法。

 その実力は否が応でも虎獣人たちとの差を見せつけるものであったからだ。
 ステルスリーフを纏った五十鈴は、そんな彼等の思いとは裏腹に『火炎放射兵』たちを次々と銃撃でもって打倒していく。
「どこからだ、どこから撃って……がっ!?」
「死ね」
 五十鈴にとって、可燃性燃料を使い潰すかのような火炎放射器は忌むべきものだった。
 何故、そこまで殺意が高いのか。
 言うまでもない。
 彼女がケルベロスであるからだ。いや、それ以上に。
「分別もせずなにかも燃やして有毒ガスを発生させるあなたたちは死ぬべき極悪」
 彼女は幼い頃に排気ガスによる事件で死にかけたのだ。

 解っている。
 確かに技術というのは尊ばれるべきものである。発展するためにはいくつかの犠牲というのはつきものである。
 悲惨たる結果から人は学んで克服していくものである。
 解っている。
 けれど、と五十鈴は、それとコレとは別問題であると、行き過ぎた戦うための技術を発展させる要因となったデウスエクスを、ひいてはオブリビオンを嫌悪している。
 さっさと戦いは終わらせなければならない。
 そうでなければ、この戦場のように多くのものが燃え、有毒なガスが環境を破壊していく。
「あなたたちは言った。燃えるものこそが正義だと。けれど、それは過ち。この世に唯一、正義があるとするなら、それは」
「それは……!?」
 虎獣人たちもオブリビオン軍団『火炎放射兵』たちも息を呑むほどの殺気だった。

 五十鈴は、しっかりと言い放つ。
 銃撃と共に。
 その轟音と共に『火炎放射兵』を打ち抜き、告げるのだ。唯一の正義を。
「それは、EV……エレクトリック・ビーグル。環境に優しいものだけが、正義。そして、あなたたちは不正義」
 その確固たる信念の元に放たれた一撃によってオブリビオン『火炎放射兵』たちは滅び、『幇』は勝利を収めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『血路を開け』

POW   :    渾身の力を振り絞って突破する

SPD   :    巧みに撹乱して包囲を乱す

WIZ   :    奇想天外な策で切り抜ける

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『幇』の虎獣人たちは戦いを終え、猟兵達に口々に感謝を告げるだろう。
「助かった……援軍感謝する」
 拱手でもって礼を為し、彼等は猟兵達の力を確信する。
「その力、素晴らしきものである。どうか我らに力を貸してはくれまいか。この先の拠点へと至る道は、すでに我らが発見している。とは言え、未だ敵の抵抗は激しいもの。どうにか、血路を開かねばならない」
 その言葉は確かに真であっただろう。
 けれど、それは徒に彼等の戦力を削るものでしか無い。
 そして、仮に険しき敵の抵抗を切り抜けたとしても、その拠点には膨大な数の『宝貝オブリビオンマシン』が待ち構えている。彼等だけで行かせてしまえば、全滅することは避けられないだろう。
 それこそが、大鴉の戦禍階梯『熾天大聖』の感じていた嫌な予感だったのだ。

「だが、皆様方がいるのならば」
「ああ、敵の拠点を叩くことができる。そうなれば、我らが須弥山型都市も守られる。どうか」
 その言葉に猟兵たちは応えるしかないだろう。
 元々、『鉤爪の男』が齎した『宝貝オブリビオンマシン』を多く撃滅するために転移してきたのだ。彼等がこのまま進むというのならば、己達との目的にも合致している。
「僕からもお願いします。この先に良くない……そういうものがある、というのはわかっています。けれど」
 彼の言葉も尤もだ。
 もし、ここで猟兵たちが協力を拒否したとしても『幇』の虎獣人たちは先に進んでしまう。
 それがわかっているからこそ、『熾天大聖』は願い出ているのだろう。

 猟兵たちは目指す拠点、その道中を切り抜けるため次々と遅いくるオブリビオン軍団を躱し、『幇』と共に血路を開くしかないのだ――。
川崎・五十鈴
オブリビオンマシンか。
もし燃料にガソリンを使ってたら全部壊してやる。

斥候として敵拠点までの道を先行する。
私は永遠不滅の戦いの中で諜報と暗殺を司ってきた種族の末裔。道中の影から影へと目立たないように進軍しながら有象無象を間引いていくぐらいは簡単。敵が自分はいつ死んだのかも分からないような静かな暗殺ができればベスト。

ある程度間引いたら遅れてついてきてるはずの『幇』の人たちのところに戻って道中の注意すべき場所や敵の配置について共有。敵の死体から地図だとか拠点情報だとかが見つかってればそれも渡す。情報共有が終わったらまた先行して間引き。それを繰り返す。

そう言えば、デウスエクスじゃないから死ぬんだね。



 今回の事件に対する猟兵達の目的は他世界より送られた『宝貝オブリビオンマシン』である。
 本来、オブリビオンマシンはキャバリアと呼ばれる戦術兵器にすり替わるオブリビオンである。その動力源の多くはエネルギーインゴットと呼ばれるものである。
 それに封神武侠界の宝貝と呼ばれる不思議な道具を組み込むことによってオブリビオンマシンはさらなる強化を得ているのだ。
 多数運び込まれたであろう、これらを多く破壊することが今回の目的でもある。
「オブリビオンマシンか。もし燃料にガソリンを使ってたら全部壊してやる」
 そう意気込むのは、川崎・五十鈴(エコテロリストエルフ・f41042)だった。
 彼女にとってガソリンは不倶戴天の敵である。
 排気ガスは健康被害をもたらすだけでなく、環境そのものを破壊する。そんなものを彼女は許してはおけなかっただ。

 とは言え、今回の戦いにおいて重要なのはやはり、敵の拠点までの道中である。
 未だ敵の戦力は多く残っている。
 それだけ敵拠点の重要性が知れるだろう。
「でも、良いのですか。お一人で」
『幇』の虎獣人が五十鈴に尋ねる。
 彼女が一人でこの先の拠点に通じる道中の斥候を為す、というのだ。
 信頼していないわけではない。
 先程までの戦いぶりを見ていれば、それが余計な心配であることは言うまでもない。けれど、やはり、と思ってしまうのもまた人情であったのかもしれない。

「大丈夫」
 五十鈴はただそれだけ告げてすぐさま駆け出す。
 彼女は永遠不滅の戦い……すなわち、侵略者であるデウスエクスとの長きにわたる戦いにの中で諜報を暗殺を磨き抜いてきた種族、シャドウエルフである。
 道中の影から影を進むことは十分可能であったことだろう。
 自分の後を遅れて着いてくる『幇』の軍勢によって敵が此方に注意を向けていない今こそ五十鈴の出番なのだ。
「敵の斥候もいないとは限らない」
 なるべく接触は避けたいところだ。

 諜報と暗殺を司る妖精(シャドウエルフ)は、その術においてオブリビオンの軍団を凌駕している。
 静かに。
 そして、鮮やかに。
 五十鈴の暗殺と情報収集の技能は、群を抜いていた。
 鮮やかな手並みで敵の斥候を始末した五十鈴は、その事実の欠片すら己の体に残すことなく後続の『幇』の虎獣人たちと合流を果たす。
「この先にいた斥候は始末済み。残すところは敵の拠点までの道中にある残存戦力」
「では、まだ此方の進撃には気が付かれていない、と?」
「それは無い。無理。敵も此方の接近に気がついていたからこそ、斥候を放っていた」
 だから、と五十鈴は敵の斥候だけを暗殺してきたのだ。

 これですぐさまに敵へと此方の進撃速度が割れることはない。
 けれど、斥候の帰還がないことを知ったのならば、必ず敵は動く。
「だから、その前になるべく早く此方も動くべき」
 五十鈴はそう告げて、また先行していく。
 多くの情報が必要だった。敵オブリビオンを暗殺した際に、彼等はろくに情報を持っていなかった。
 ということは、此方に気が付かれることも留意していると考えるのが良いだろう。
「敵指揮官は優秀。此方の動きを既に察知している可能性」
「では」
「このまま進軍すれば必ず敵軍とぶつかる。何も備えが無い、と云うよりはマシ、という状況」
 五十鈴はそう告げ、また斥候に飛び出す。
 とは言え、彼女は少し新鮮な気持ちだった。

 何故なら、彼女がこれまで暗殺してきたデウスエクスは消滅すれど死ぬことはなかった。特別な因縁でもない限りは滅ぼすことのできないのがデウスエクスである。
 だから、と五十鈴は少し気が楽だったのかもしれない。
 少なくともオブリビオンは。
「死ぬ」
 ならば、己の仕事は最もやりやすいものとなるだろうと理解し、五十鈴はさらに敵軍の情報を得るために拠点までの道中の影から影に飛ぶのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
斥候なら忍びの役目。アヤメ、任せたわよ。無理はしないようにね。
彼女に「オーラ防御」をかけて、黒鴉を一羽付けて送り出す。

『熾天大聖』、詳しい話聞かせてくれる? 行く先にどんな予感を感じたのか。それから、最近のこの辺りの情勢とか。何がヒントになるか分からないし。

それにしても、“黒鴉遣い”に大鴉の獣人ね。組み合わせがぴったりとしか言えないわ。

アヤメからの報告は黒鴉の式を通して届くから、道行きは『熾天大聖』とともに。彼がどんな力を持っているかも知りたいしね。
アヤメ一人で対処出来ない仕掛けや伏兵があったら、無理せず引き返してもらって、こちらの全力で潰しましょう。

さて、そろそろ敵の拠点かしら?



「斥候なら忍びの役目。数は多いほうがいいでしょう」
 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は愛奴召喚(アイドショウカン)によって呼び出したエルフのクノイチの式神へと告げる。
「はい。まずは敵軍の所在、ですね」
「ええ、そうね。得られる情報は多く、多角的なほうがいいでしょう。なにせ、敵の指揮官は『ノイン』と呼ばれるオブリビオン。こちらの意図を既に嗅ぎつけているかもしれないから」
 だから、とゆかりは『アヤメ』に黒鴉の一羽を共としてつけて送り出す。
 敵軍の情報は多い方がいい。
 敵の拠点を目指すのならば、必ず抵抗される。
 その時に、先に情報を得ていたほうが有利に事を運ぶことができる。

 特にこの獣人戦線においては殊更である。
「で、『熾天大聖』。話を聞かせてくれる?」
 その言葉に大鴉の戦禍階梯『熾天大聖』は頷く。
「なにか良くないものが有る、と僕は感じたんです。知っているようなものが、悪意が混ざっている、ような……」
 ゆかりの言葉に彼は困惑している様子だった。
 自分の感じる嫌な予感。
 それが馴染みがあるようでいて、何か知らないもののように思えているのだろう。
 だから、それを言葉にすることが難しく、できていない。そして、それを詳細に示すことができないからこそ、『幇』の虎獣人たちが拠点に攻め込むのを制止することができなかったのだ。

「それはあなたがそう感じているだけ、ということは?」
「そう思ったから……止められなかったんです。僕にとって馴染みのあるものと言えば」
 彼が示すのは脚部の戦闘義体に備えられた宝貝『風火輪』。
 それは言わずと知れた封神武侠の技術である。それに戦闘義体はサイバーザナドゥの技術だ。
 それらを融合したサイバー武侠が彼である、と言えるのだが、ゆかりは首を傾げる。
 なら、その腰に下げた二刀はなんなのだと。
「これは……僕にもわかりません。サイバネティックスでもなく、宝貝でもない。パンツァーキャバリアに似た素材が使われているということは解っているのですが」
 ゆかりと『熾天大聖』は拠点への道を共に往く。
 その後方に『幇』の虎獣人の軍勢が追随してきている。敵の抵抗は予想されているが、先立って進んだ猟兵の斥候と、アヤメの情報によって接触は最小限になされている。

 これならば、戦力が徒に削られることはないだろう。
 とは言え、拠点までの道中を切り抜けるために戦わなければならない事は確かだ。
「それにしても、黒鴉遣いに大鴉の獣人ね。組み合わせぴったりじゃない?」
「そういうもの、でしょうか。でも、悪い気はしません」
 その言葉を切るようにゆかりの式へと『アヤメ』の報告が入る。
「恐らくこの先に伏兵が存在しています。多く点在しているのが確認できましたが……どうなさいますか」
「わかった。いいわ。『アヤメ』は敵に動きがないか、その場で待機。動いたのならすぐに教えてちょうだい」
「わかりました」
 その言葉にゆかりはやっぱり一筋縄ではいかないと肩をすくめる。

「敵は『ノイン』と呼ばれる指揮官、と言っていたわね。手強い?」
「はい。戦術を操る、という点においては。最も恐ろしいのは彼女の戦略でしょう。これまで須弥山型都市へと迫った侵攻は、今にして思えば……」
「貴方達を引きずり出すための戦略であった、と?」
「事実、そうでしょう。だって……」
『幇』の軍勢を見やる。
 確かに、とゆかりは思う。彼等の進撃は確かに須弥山型都市を守るためである。けれど、彼等が飛び出した結果、『宝貝オブリビオンマシン』に滅ぼされるという予知があった時点で、敵拠点の指揮官の戦略は正しかったと言える。

「でも、安心なさい。あたしたちがいる」
 そう、そのために自分たちがやってきたのだ。
 如何に正しい戦略があるのだとしても、それを打ち破る力があるのならば。
 そのためにこそゆかりは力を振るうのだと、敵拠点を共に目指すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

厳・範
まだ半人半獣形態で

協力するのは当然であろう。拒否すれば半端に関わったまま、となるでな。
この先であるか…なれば花雪。

花「大丈夫です、お爺様!」

UCを使用。そのまま駆ける。
邪魔をするのならば、雷に撃たれるでな…障害もほぼないようなものだ。

花「それでも来るなら、雷公鞭でのおかわり雷撃です!」(ふんす!)

やる気があるのは良いことだが、無理して落ちぬようにな。
まったく。『鉤爪の男』も厄介な物を残していったものよ。
…だからこそ、全力で叩きにいこう。



 戦場において共に戦う者がいる、ということは頼もしいに違いないであろう。
 人は社会性を持つ獣である。
 獣人たちであってもそうだろう。獣の相を持ちながら、彼等は人間と変わらぬ社会性を持つ。故に争いが起こる。
 ただ獣であったのならば、この世界はオブリビオンにまたたく間に滅ぼされていたことだろう。けれど、そうはならなかったのだ。
「そして、此度も当然であろう」
『幇』の虎獣人たちに請われるまでもなく、厳・範(老當益壮・f32809)は頷く。
 協力を拒むつもりはないと。
 このまま半端に関わったままに終わることはない。

「では……!」
「うむ。わしらがこの先へと向かおう。斥候はすでに先行した者たちが請け負ってくれている。ならば、この先の道を開くことに専念しよう」
 範は半人半獣たる姿を保ったまま、己の背に乗る宝貝人形『花雪』に告げる。
「情報通りであれば、この先に伏兵が待ち受けておろう。なれば、『花雪』」
「はい、お爺様。いけます!」
 その言葉と共に範の体が、彼自身の本性、黒麒麟へと変貌を遂げる。
 雷雲が何処からともなく現れ、空を覆う。
 暗転するかのような世界。
 雷鳴が轟き、稲光が満ちる。

 その稲妻落ちる瞬間に黒麒麟たる範は駆け出す。
 まるで雷光そのものであった。そして、轟雷鳴り響くは、まさに道を開けよと命令するようであった。
「邪魔をするのならば、裁きの雷が落ちる。道を開けるのならば討たれまいが……しかし」
 オブリビオンである以上、それはないだろう。
 いや、だが、範は気がつく。
 敵の動きが良い。
 ただ徒に此方に向かってくる者だけではないように思える。的確に指示を出している者がいる、と知れる動きであった。
「ふむ……この動き、どう見る」
「あっ、はい……ええと……」
 範の言葉に『花雪』は考える。けれど、彼女は上手く言葉にできないようだった。

「……よい。焦って答えを出さずともな。それにいずれ知ることができよう」
 範は理解する。
 この動き。
 明らかに群ではなく軍を指揮することに慣れた存在がオブリビオンの背後にいる。つまり、この戦いは、いや、この状況に『幇』の虎獣人たちが運んだのではない。彼等は誘い込まれたのだと理解することができる。
「このような動きを示すことのできる者がいるとはな……」
「でも、どんな敵が来ても雷公鞭でおかわり雷撃です!」
『花雪』の言葉に範は苦笑いを浮かべる。
 やる気のあることは良いことである。だが、無理をして背より落ちることがあってはならない。

 範は危ういと考えるだろう。
 この状況を。
 猟兵達は事件を予知して、この戦場に現れた。
 それさえも計算の内に入れられているのならば、それは。
「なんとも厄介なことよ。それに加え、『鉤爪の男』もな……だからこそ、全力で叩きにいこう」
 どちらにせよ、オブリビオンを打倒することに変わりはない。
 それを成すために雷雲が導く道筋、敵の拠点へと範は轟音と共に走るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

風吹・香織
アドリブ連携歓迎

 キャバリアか。前にキャバリアに撃ち落とされたからちょっといい思い出ないな。(別シナリオでの出来事。気にしなくてもいいです)
 それに、味方も支援しなきゃいけないし、近接航空支援より、地上戦に移行した方がよさそうね。

 UC発動。装甲を5倍、移動力を半分にするわ。
 味方の前に出て塹壕戦における戦車やパンツァーキャバリアがそうするように、味方兵士に対する壁になるとしましょう。

 そうすれば目前にいるのは敵だけよね。ならやることは一つ。相棒に取り付けられた機関銃、ロケットランチャー、機関砲(徹甲弾を装填)を水平射撃して目前の敵を薙ぎ払う。

 ふわぁ(欠伸)。空を飛ばないのって、退屈ね。
 



「敵はオブリビオンマシン……キャバリアタイプだっていうの?」
 風吹・香織(怠惰な「双胴の悪魔」乗り・f39889)は、斥候に出た猟兵からの情報と戦禍階梯の大鴉獣人『熾天大聖』の言葉に首を傾げる。
 彼女はあまりキャバリアに対して良いイメージを持っていないし、良い思い出もない。
 以前の戦いにおいて彼女はキャバリアに撃ち落とされている。
 人型の戦術兵器。
 あのキャバリアの恐ろしいところは、人間と同じ形をしたモノでありながら、人よりも巨大であり、また並々ならぬ火力を戦術でもって運用できるところである。
 それまでどれだけ威力の高い砲台であっても、移動や設置には時間がかかった。
 多くの労力が必要でもあった。

 けれど、キャバリアはこれらの問題を一気に解決し、さらに人型である汎用性を持って戦場を席巻したのだ。
 それは他の世界、クロムキャバリアにおいてもそうだろう。
「うーん、それに……」
 彼女は『幇』の虎獣人たちを見やる。
 彼等の士気は高い。けれど、消耗しているのもまた事実。オブリビオンの拠点へはたどり着く事ができるだろう。
 けれど、その後が恐らく続かない。
 しかも敵は『宝貝オブリビオンマシン』である。強化されたオブリビオンマシンが迫るというのならば、彼等の全滅が予知されたこともうなずけるところだった。

「自由に空を飛んでるだけでよかったんだけれど……となると」
 自分の役割を香織は自覚する。
 斥候はすでに出ている。ならば、航空支援よりも虎獣人たちを消耗なくオブリビオンマシンひしめく敵拠点へと送り出すことが重要であると考えたのだ。
「いよっし、なら、行くよ相棒」
 香織の瞳がユーベルコードに輝くと、双胴の戦闘機がパンツァーキャバリアへと変形する。
 装甲を強化した機体は、脚こそ遅いが城壁めいた頑強さを誇るだろう。
「これなら敵に奇襲にも十分に耐えっれるでしょ!」

 彼女の役割は塹壕戦における戦車やパンツァーキャバリアのように虎獣人たちの壁になることだ。
「ありがたい。これならば、こちらの消耗を抑えられます。ですが」
「大丈夫だって。相棒は頑丈なんだから。それに敵の情報は斥候が持ってきてくれる」
 さらに、とパンツァーキャバリア形態へと変貌した香織の『P-38ライトニング』は機関銃やロケットンチャー、徹甲弾を装填され砲も備わっている。
 分厚いの装甲だけではなく、火器の装備もまた十分なのだ。
「これから目前の敵を薙ぎ払う。あなたたちは後ろから着いてくるだけでいいから」
 そういって香織は己の機体に備わった火器を水平に打ち放つ。
 最も警戒しなければならないのは、敵の火力ではない。
 
 こちらが塹壕戦のように自分の機体を変形させて守るように、敵だって塹壕をほっている可能性がある。
 その見落としがあった場合の対処をしなければならない。
 けれど、香織は問題ないと思う。
 すでに先行した猟兵から情報は共有されている。塹壕の敵を排除されているということもあるが……。
「ふわぁ。空を飛ばないのって、退屈ね」
 香織は有り余る火力のままに『幇』の虎獣人たちを従え、オブリビオンマシンの存在する拠点へと爆炎巻き上げなら進むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリスフィーナ・シェフィールド
ふぅ、自分らしくもなく熱くなってますわね、落ち着きましょう。
それにしてもノイン生きていたのでしょうか。
オブリビオンですから再度出てきた別個体でしょうか。
……まぁ何方にせよ送り返すだけですわね。
鉤爪の男も余計な物を残してくれたものです、もっと殴っておくのでしたわ。

さて敵本拠地までまだ敵もいますでしょうし先を見にいきますか。
隠密行動は得意ではないですがカバーするコードは持っておりますので。
獣人なら匂いには敏感で視力も優れてるでしょうがこのコードはそれを防ぎますの。
うっかり枝でも踏まない限り大丈夫でしょう。
見つけた敵が単独ならそのまま撃破、集団ならわたくしが奇襲した所を皆さんに攻撃してもらいます。



 合体用マシンとの合体を解除したイリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)は息を吐き出す。
「ふぅ……」
 彼女は熱っぽい頬を手で仰ぐ。
 柄にもないことをした、という自覚があった。
 敵の、オブリビオンの言葉を思い出したせいかもしれない。己の中にある熱。それを発露するように戦ったこと。
 それをイリスフィーナは自分らしくないと思った。
 息を吸って、吐き出す。
 吐いて、吐いて、己の中にある熱を全て吐き出すようにして彼女は息を吐き出し切って、息を吸う。

 これまで得てきた戦いの経験をもって彼女は心を落ち着かせる。
「熱くなるのは悪いことではないように思えます。心が熱せられるということは、それだけ体に血が巡る、ということでしょうから」
 大鴉の戦禍階梯『熾天大聖』の言葉にイリスフィーナは頷く。
「それにしても『ノイン』、生きていたのでしょうか」
「嘗ての戦いにも現れた名ですね。ですが……」
「ええ、私達が滅ぼしました。いえ、オブリビオンですから再度、過去から滲み出てきた、ということでしょうか。別個体、と考えるのが打倒でありましょう」
 イリスフィーナは考える。
 嘗て対峙したオブリビオン。
 その『ノイン』と名乗る存在は、幾度か現れている。その度に姿が違っていた。まるで中身だけが同じでガワが違うとでもいうかのように。

 けれど、イリスフィーナは頭を振る。
「いえ、何方にせよ、送り返すだけですわね。それに、『鉤爪の男』も厄介なものを遺してくれたものです」
『宝貝オブリビオンマシン』。
 クロムキャバリア世界の戦術兵器と封神武侠界の宝貝。
 これを組み合わせ、強化された兵器。
「それが僕の嫌な予感の正体、ということですか」
「恐らくそうでしょうね。斥候に出られた猟兵の方もいらっしゃいますが、わたくしも暫し、先に出てまいりましょう。見落としはないとは思いますが……」
 イリスフィーナはそう言って己もまたユーベルコードで持って、己の体を氷で覆っていく。
 光を反射させずに透過させる氷。
 それによって彼女の存在は視聴嗅覚での感知を不可能にする。

 仮に発見されたとて、己の氷に触れれば熱を奪うことができる。
「ああ、それと」
 イリスフィーナは姿を消したまま声を発する。
「敵が単独ならば、そのままわたくしが撃破いたしますが、集団であったのならば……」
「我々が急行いたしましょう」
 虎獣人たちが頷く。
 彼等の消耗は防ぎたい。けれど、猟兵という戦力もまた消耗させてはならない。
 此れより先に待ち受ける『宝貝オブリビオンマシン』の数は膨大なのだ。そして、それを指揮するのは『ノイン』である。

 あの指揮能力に優れたオブリビオンがいるのならば、その力は数以上の意味を持つだろう。警戒しておくに越したことはないと、イリスフィーナは『幇』たちより先行して拠点へと至る道を往くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イーブン・ノルスピッシュ
頭は冷えたようでなによりだ(拱手を返す)

俺が先陣を切ろう
サイドカーを外した軍用バイクに乗って吶喊
片腕と肩紐で改造銃を保持、連射しながら敵陣へ突っ込んで撹乱する
待ち伏せなどは無意味だ
バイクの騒音が聞こえれば、音のする方向を見るだろう
俺の姿を視界の端にでも捉えたなら、持ち場を投げ出してでも俺に攻撃したくなるだろう
上手く術中に嵌らせれば、本陣に侵入者を報せるという事さえ疎かになる
幾らかの時間稼ぎになるだろう
居所の知れた伏兵など恐れるに足らん
後から付いてくる『幇』の面々と挟撃しながら確実に手勢を削っていくとしよう

先程の素人呼ばわりは失礼だった、謝罪する
共に往こう、守るべきものの為に



 拱手。
 それは封神武侠界における礼儀作法の一つである。
 拳を掌で包み一礼する。
 その行為は相対する者同士に互いに最低限の素養があることを示すものであった。礼節が足りてこそ、初めて人は相対した、と言えるのだ。
 そういう意味では、『幇』の虎獣人たちはこれまで拱手の一つ取る余裕すらなかったのだろう。己達の正義に酔いしれていた熱に茹だった面影はそこになかった。
 故に、イーブン・ノルスピッシュ(戦闘猟兵・f40080)もまた拱手でもって『幇』の虎獣人たちに相対する。
「非礼をお詫びします。異郷の同胞よ」
「いや、頭は冷えたようで何よりだ」
 イーブンの言葉はそっけないものであった。

 けれど、今は虎獣人にとって十分だったというよりありがたいことだった。
 自分たちの醜態じみた行いをイーブンは咎めた。そして、咎めた本人に向かって己達の見せた姿は信用に値するものであったかと問われたのならば、恥じ入るばかりであったからだ。
「俺が先陣を切ろう」
「それは……先の戦いでの消耗は大丈夫ですか」
「問題ない」
 イーブンはサイドカーを外した軍用バイクのエンジンを始動させる。すでに先行した猟兵達からは多くの情報を受け取っている。
 それに遭遇戦になった敵戦力との戦いも勃発している。
 ならば、と動ける自分が働くのが筋であるとイーブンは思ったのだろう。

「それに、俺にとっては待ち伏せなど無意味だ」
 イーブンは軍用バイクと共に己の瞳をユーベルコードに輝かせる。
 カインの羨望(カイン・ヴァニティー)は唸りをあげるようにして迸る。エンジン音がけたたましく敵拠点に至る道程に響き渡る。
 その音を聞けば、否が応でも己の存在を注視する。
 そうなった時、彼のユーベルコードは己に対して復讐心や征服欲を掻き立てられるだろう。そうなれば、敵は待ち伏せなどできようはずもなく躍り出る。

「俺はそれを討ち滅ぼせば良い」
 そして、とイーブンは改造銃の引き金を引く。
 轟音が響き、さらに敵の視線を引き付け、次々と彼等を己へと走らせるのだ。その都度引き金を引き、轟音が響く。
 その度に敵兵が滅ぼされていく。
「なるほど……これであれば、敵に此方の進撃の情報が往くことはない、と」
『熾天大聖』が翼を羽撃かせ、己に追いついてくるだろう。
 だが、イーブンは頭を振る。

「いいや、これは時間稼ぎでしかない。敵のことだ、定時連絡がない、という事実からすぐさま此方の動きを知るだろう。敵の伏兵はすでに先行したものから情報を得ている。伏せている場所がわかるのならば、伏兵はただの兵だ。恐れるに足りない」
 それに、とイーブンは後方より追いついてくる『幇』の面々を見やる。
「彼等の助けもある」
「いえ、とんでもない。助力頂いている身。我らができることはせねば」
 その言葉にイーブンは頷く。
 そして、告げるのだ。
「先程の素人呼ばわりは失礼だった、謝罪する」
「そんな、頭をお上げください。我々も、視野が狭く、見苦しい姿を晒しました」
「ならば、共に往こう。守るべきものの為に」
 イーブンは軍用バイクのエンジンを唸らせる。
 そう、ゆかねばならない。この先に彼等の日常を脅かす敵意があるのならば、それを蹴散らすのが己の指名であると知るのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

笹竹・暁子
※アドリブ・連携歓迎
一通り給仕に回り会話して、改めて『幇』の人達と交流
近々の別件で関わった幇の人達もイケイケだったけど、少し考えてしまうわ
あの時より敵方の動きがいい気がするのよね
油断はできないし、このまま血気にはやるのも心配
そこで適度に発散するのはどうかしら

方針:【指定UC】の突貫工事に協力してもらい、連携と信頼を築く

先の戦闘で【情報収集】した内、奇襲地点と空き地を把握
リーダーと熾天大聖に許可を得られたら、大小様々な〔赤熱シャベル〕をドサリ

今から…穴を掘ります!

轟炎で【トンネル掘り】して、皆の近くに転移し実演
理解してもらったら、存分に体を動かしてもらいましょう!

…これで退路も一つ確保、ね



 獣人戦線は戦いに満ちた世界である。
 言うまでもないことだが、オブリビオンの『超大国』に常に侵攻を受けている。戦わずには生きられない。けれど、と笹竹・暁子(暁を臨む一夜の為に ~雀のお宿の外仲居~・f39919)は思うのだ。
 戦わなければ生きられない。
 けれど、食べなければ生きることもできないのだ。
「はいはーい、こっちはもう十分? 糧食じゃない美味しい料理を食べて頂戴ね」
 彼女と『雀のお宿』の面々は忙しく『幇』の虎獣人たちに補給を行っていた。
 戦う前に腹ごしらえは当然である。
 同じ互助組織であったとしても、こうも方向性が違うのかと虎獣人たちは忙しなく働く雀のお宿の面々を見て、驚く。

「補給、ありがたい。いえ、料理、と言ったほうがよろしいか」
「そんなこと気にしないで。美味しく食べてもらえたのならよかったわ」
 そう言って暁子は笑む。
『幇』の面々は彼女からすれば逆にイケイケすぎる、と思った。
 熱に茹だった、と言えばそれまでだが血気盛んが過ぎる。彼等を徒に敵拠点に突っ込まれば、それだけ戦果を得ることができるだろう。
 けれど、それ以上に損耗も多い。
 それに、と彼女は思う。敵の動きが良いような気がする。いや、敵指揮官の戦略が秀でている、と言えばいいのだろうか。

「何か出来ることはございませんか。このままご助力頂くだけでは、到底我らの気が収まりませぬ」
「血気盛んなことは悪くはないけれど、油断できないし……逸る気持ちがあるのもわかるわ」
 困った、と暁子は思わないでもなかった。
「ああ、そうだわ。あれがあったわ!」
 その言葉に虎獣人たちは首を傾げる。
 暁子は、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
 彼女の第一階梯の姿でもって赤熱シャベルを手に、虎獣人たちを集める。

「……これは?」
「シャベルよ! 今から……穴を掘ります!」
「つまり、塹壕を、ということでしょうか? ですが、我らは敵拠点に攻め込む立場。塹壕は……」
「いいえ、掘るのは塹壕ではなく、こういうことよ!」
 暁子は、シャベルで穴を掘る。
 瞬間的に現れるのは、洞穴であった。その先へと暁子は虎獣人たちを促す。

 するとどうだろう。
 彼等がみたのは、先行していた猟兵達の元へと通じた光景。
「これは……!」
「わかって頂けたかしら。そう、掘るのは穴! それも道よ!」
 そう、竣工!伸びるは秘密の「笹竹洞」(スパローズ・ループホール)。彼女のユーベルコードは協力者がいれば、更に長い洞穴を掘り、終点を同じ世界の任意の場所へと繋がるワープゲートへと変えるのだ。
「なんと……では、これはすなわち撤退戦用の、退路」
「そういうことよ。敵の数は多いと聞くわ。恐らく多くの敵を撃破できれば、そのまま撤退に移行するでしょう」
 となれば、敵は追撃してくる。
 せっかく戦果を得ても、追撃によって生命を落としてしまったのでは、意味がない。
 だからこそ、撤退戦用の退路を用意しておく必要があるのだ。

 万全を期す。
 それが暁子の選択だった。そして、そのトンネル堀というのは、血気盛んな虎獣人たちの熱を発散させるには十分。
 退路と熱の発散。
 一挙両得たる結果を得て、暁子は万が一における一つの方策をえるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

ステラさん、なんかでてますよ!?
それ、絶対ご主人さまに見せちゃダメだと思うのですが!

だいたい『熾天大聖』さんのは『お願い』ですから!
『命令』じゃないですから!

って、ぜんぜん聞いてないですね!?
強盗団に乗っ取られてブレーキの壊れた暴走機関車ですか!?

え? 全米がやべーと叫んだメイド、ってことですか?

でも大丈夫ですよステラさん。存分に突撃してください!
そんな仲間をサポートするのも勇者の器量というものです!

ということで、新曲いっちゃいますよー!
【ルジェッリ】を構えて、【ツィゴイネルワイゼン】を奏でます!

わたしの想いがステラさんを護ります!

……あ、あの、天の声さん、仲間的な意味ですからね?


ステラ・タタリクス
【ステルク】
ごふっ……(ICの表情で吐血して崩れ落ちる)
ちょっと最近間近でエイル様成分過多で体の負荷が
|エイル様《主人様》のご命令ならば|メイド《犬》は尻尾を振って喜ぶしかありません!
あれ、何で引いてますか熾天大聖様?

そしてブレーキの壊れた暴走機関車ですか
せめてやべーメイドというべきでしょうに
いえ、超絶有能美人クールメイドですが
さらに言うと普通こういう時、勇者が前じゃないです??
演奏はやめろと何度言えば
熾天大聖様伏せ……あれ?音色が……綺麗?
そんなバカな!ルクス様の演奏がこんなに澄んでいるなんて嘘!(精神的ダメージ)
くっ何故でしょう負けた気がしますが
しかし私も負けるわけには!
ステラ、参ります!



 ごぷ、と喉からせり上がるものがあった。
 吐き出したそれは鮮血。
 地面を濡らす赤を前にして大鴉の戦禍階梯『熾天大聖』は動揺して駆け寄る。
「だ、大丈夫ですか!? 先程の戦いで負傷を……!?」
 溢れる血潮。
 ぼた、ぼた、と音が響く。

「ごふっ……!」
 また溢れる。
 抑えた口元からは抑えきれぬ血が溢れて止まらない。
「無理はいけません。どうかお体を……!」
「……ちょっと最近間近で『エイル』様成分過多で体の負荷が……」
 なんて?
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の言葉に『熾天大聖』は、首を傾げる。
「いえっ! 問題はございません!」
 ステラの表情はちょっとコミカルだった。吐血すらコミカルな雰囲気だった。真剣の心配したのに、なんだそれはと思わないでもなかった。
 けれど、『熾天大聖』はおろおろするばかりだった。

「|『エイル』様《主人様》のご命令ならば|メイド《犬》は尻尾を振って喜ぶしかありません!」
 ステラの様子に『熾天大聖』は、あっ、と察する。
「あっ、はい」
「あれ、なんで引いてますか『熾天大聖』様?」
「むしろ、それでなんで引かないって思うんですか、ステラさんは!? なんか出てます!血だけじゃない何かが出てるような気がします! というか、大体『熾天大聖』さんたちのは『お願い』ですからね!『命令』じゃないですから!」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は慌ててステラを止める。
 このままで『熾天大聖』及びに『幇』の中でのステラ株が大暴落を起こしてメイド大恐慌を起こしてしまう。
 メイド、冬の時代の到来になってしまう。
「ふ、うふふ、吐血したときに心配してくれて駆け寄ってくれる主人様うふふ」
 うわ、と虎獣人たちはドン引きしていた。
 吐血しながら笑ってる……。

「って、全然聞いてないですね!? 強盗団に乗っ取られてブレーキ壊れた暴走機関車ですか!?」
「誰がブレーキの壊れた暴走機関車ですか。せめてヤベーメイドというべきでしょうに」
 いや、それでいいのかなと思った。
 けれど、まあ本人が納得しているのならばいいかな、とルクスは頷く。
「全米がやべーと叫んだメイドってことですか?」
「いえ、超絶有能美人クールメイドですが?」
 吐血していてニヨニヨしていたメイドが言うセリフではないが、まあ、そういうことにしておこう。
「今更取り繕ったって遅くないです? というか、ここから挽回するのは難しいのでは……?」
「いい具合に今、敵拠点に迫っています。敵拠点の近くということは?」
「敵がたくさんってことですね」
「ならば、ここで蹴散らせば私の評価はうなぎのぼりです」
 ステラはくねくねしている。なんでくねくねしているのかっていえば、自分の評価が上がれば、自ずと主人の評価上がるってもんである。
 メイドの評価は主人の評価。
 そんでもってご褒美もらえたら嬉しいな、なんて! なんちゃって! みたいな感じなのである。

「いっそ、そこまで言えると清々しいですね。でもまあ、わかりました。そういうことなら存分に突撃しちゃってください! そんな仲間をサポートするのも勇者の器量というものです!」
「逆にそこは勇者の出番では?」
「いいですから! さあ、ということで新曲いっちゃいますよー!」
 ルクスがヴァイオリンを構える。
 それを見たステラは目を丸くする。
 いやだから演奏は! とステラが駆け出すより早くルクスがヴァイオリンを奏でるのが速かった。

 流れるは、ツィゴイネルワイゼン。ジプシーの旋律。
 戦慄でなく? と誰もが思った。先程の戦いでルクスが見せた壊滅的な演奏。その演奏を知っていたのならば、誰もがそう思った。
 けれど、それに反するように光の勇者の魔力が共に戦う虎獣人やステラの体を守るようにして膜を張る。
「こ、これは……!?」
「力が湧いてくる……!」
「なっ……音色が……綺麗? そんなバカな! ルクス様の演奏がこんなに澄んでいるなんて嘘!」
 ステラの言葉はなんていうか、ひどかった。
 とても酷かった。
 ルクスがステラを想って演奏し、その力でもって護ろうっていうのに、それはいくらなんでも酷い評価だった。『熾天大聖』もそう言ってる。たぶん。

「くっ何故でしょう負けた気がします。しかしっ!」
「いえ、無理しないほうが……!」
「私も負けるわけには! ステラ、参ります! 押しかけメイドの本気(マワリトノニンシキノチガイ)を見せて差し上げます!」
「あっ、そこは押しかけている、という自覚はあるんですね」
 ステラはそんな『熾天大聖』のツッコミも聞かずにルクスの演奏によって守られるのをいいことに敵拠点へと至る道を阻む敵兵を雑にぶっ飛ばしながら、献身的なメイドとしての想い(狂気)を放ちながら進撃するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
じゃあ後は現地集合という事で…
来れたら来てねって事でよろしく!
作戦?
私が突っ込む
敵が混乱する
後はなんやかんやで付いてくる
完璧じゃん?
稀代の名作戦!
じゃ、そういう事でよろしく!

EX:I.S.T[BK0001]に騎乗
おうおうカチコミじゃい!
待ってたぜぇ!この|瞬間《とき》をよォ!!ってね

陽動も兼ねて単独で突っ込もう
【Link=Ex:I.S.T】起動
速度を更に上げて、後続を振り切る!
振り切って良いのか…?
いや、大丈夫だろ
フルスロットルで加速しつつ、前面に『オーラ防御』でシールド展開
多少の障害物はそれで弾きつつ『悪路走破』してガンガン進もう
強行突破上等!
邪魔するなら轢く!
邪魔しなくても轢く!!



「じゃあ後は現地集合という事で……」
「えっ、待ってください。現地集合って、敵の拠点ですよ!? 道中だって敵戦力が……!」
 大鴉の戦禍階梯『熾天大聖』と『幇』の虎獣人たちが特殊バイクにまたがった月夜・玲(頂の探究者・f01605)を止めようと駆け寄る。
 敵拠点はもうすぐだ。
 けれど、未だ敵の戦力は此方を削るように配置されている。
 斥候や先行した猟兵達のおかげで伏兵や敵の所在は多く知れている。効果的に敵を撃破して進めているのだ。
 別に急ぐ必要ない。
 けれど、玲は頭を振った。
「来れたら来てねってことでよろしく!」
「ま、待ってください! な、何か作戦があるんですよね!?」
「……作戦?」
 あ、これ特にないやつだ、と『熾天大聖』は気がついた。

 この人まさかと思うけれど。
「私が突っ込む」
 こう、と玲は手をバイクに見立ててもう片方の掌へと向ける。ぶつかる。ばーんって口でいった。
「するとどうなるんです?」
「知らんの? 敵が混乱する」
「敵が混乱すると……」
「バッタバタ私がぶった斬る。そしたら、後はなんやかんや君たちが着いてくる。完璧じゃん?」
 嘘でしょ、と『熾天大聖』は青ざめる。
 それはただの無謀なる特攻と同じではないかと思ったのだ。けれど、玲の目を見ればわかる。本気のやつだ。マジのやつだ。
「稀代の名作戦! じゃ、そういうことでよろしく!」
「そんな、なる早で、みたいな!」
 止めるまもなく玲は特殊バイクと共に蒼い残光を遺して『幇』は愚か『熾天大聖』をも置き去りにして敵拠点を守る敵戦力の一団へと|特攻《ぶっこ》むのだ。

「ん……なんだ? あれは……蒼い光……いや、あれは!?」
 敵戦力の一団へと玲は突っ込む。
 それはもう盛大にだ。バリケードをぶっ飛ばし、塹壕があるのならば、塹壕に飛び込む。飛び交う砲火なんて玲の特殊バイクの速度を前にしては無意味。
「おうおうカチコミじゃい! 待ってたぜぇ! この|瞬間《とき》をよォ!! ってね!」

 ――『!?』

「すでに後続は振り切った! バイクで来た! 私が来た!」
 振り切ってよかったのか? え、単身で突っ込んできたってこと? と敵兵たちは困惑していた。
 なんか模造神器の刀身で地面をぎゃりぎゃりしている。
 どう見ても堅気の感じじゃない猟兵が来てる。
 え、これどうするの? どうするのが正解なの? と敵兵たちはおろおろしていた。
「振り切って……ええと、一人で?」
「そうだけど? 何か問題ある?」

 ――『!?』

「そういうわけだから強行突破させてもらうよ! 塹壕の中でも関係ない! BK0001、戦闘支援モードに移行。リンク開始。Link=Ex:I.S.T(リンク・エクスアイエスティー)!」
 変形する特殊バイク。
 明らかにエキゾーストパイプが追加され、凄まじい推力を溜め込むように排気される熱。塹壕は宛らミニ四駆コース。
 ローラーがない? ベアリングローラーもびっくりなオーラ防御のシールドがあるでしょ! これを!
「邪魔するな轢く!」

 ――『!?』

「邪魔しなくても轢く!!」

 ――『!?』

 玲はそこからもうやりたい放題だった。敵兵を弾いて吹き飛ばして引いて踏んで轢いての大乱闘。
 其の様子を『熾天大聖』は上空から見やり、本当にあの人が敵でなくてよかった思うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
亡国の主に搭乗、操縦。

熾天大聖!前に出ます!
自分の背後に回るよう、皆に伝えて頂けますか!?

感謝いたします!!

メガスラスター【推力移動】
【継戦能力】攻撃を竜骨装甲で受けながら、強引に前へ、前へと押し進む!

……主よ!燃えッ滓の王よ!壊せ!!ォォォォオオオオオオオオ!!!

【怪力】でRX騎兵刀を振るい落し【重量攻撃】
【早業】主の膂力で刃を切り返し、敵を、障害を【なぎ払い】
先陣へと突き進む!

敵を壊し!灰の玉座で!!

『瞋憎喰』今この戦い、先の|戦いの戦死者《オブリビオン》共の怨念、執着、その戦塵を霊物質へと変換し、亡国の主【エネルギー充填】

破壊を吠えたてろ!!!!

【呪詛ブレス攻撃】敵拠点への道を叫び開く!



 巨大な躯体に内包された霊物質が口腔から溢れる。
 それは『亡国の主』と呼ばれるジャイアントキャバリア。
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の駆る『亡国の主』は不気味な物質を溢れさせながら、一歩を前に踏み出す。
 すでに敵拠点は近い。
 敵の抵抗は激しいものとなるだろう。
 だからこそ、『幇』の虎獣人たちの消耗は避けたいと思うのは当然だった。
「『熾天大聖』! 前に出ます! 自分の背後に回るよう、皆に伝えて頂けますか!?」
「わかりました。こちらの消耗を気遣って頂き、感謝します」
 其の言葉に小枝子は頭を振る。
「こちらこそ感謝いたします! 征きます!!」
 メガスラスターが膨大な推力を生み出す。
 生み出された推力が周囲に突風となって吹き荒れる。『亡国の主』が小枝子と共に一歩を踏み出した瞬間、其の巨体が飛ぶ。

「あの機体に続いてください! 血路は彼女が拓いてくれます!」
『熾天大聖』の言葉に『幇』の虎獣人たちが咆哮によって応える。
 敵拠点までは温存しなければならない。
 なにせ、予知では敵拠点に存在している『宝貝オブリビオンマシン』の数は膨大そのものだったからだ。
 虎獣人である彼等を徒に死なせるわけにはいかない。
 だからこそ、小枝子は道中を己たちに任せてもらいたかったのだ。少しでも生きて帰れるように。彼等が、戦いに対して正しく恐れることを覚えたのならば、むやみに生命を投げ出すことはないだろう。
 それをきっと他の誰かに伝播してくれると信じるからこそ、小枝子は己が盾となって前に進むと示す。

 小枝子は迫る砲火を見やる。
 激しい衝撃を纏いながら『亡国の主』は、己へと放たれる敵拠点からの砲撃を装甲で弾き飛ばす。
 強引そのものな突撃だった。
「止まれ! 止まれ! とま……なんで、止められないんだ、あれは!」
 敵兵たちは驚愕しただろう。
 こちらの砲撃はパンツァーキャバリアすら打ち倒すには十分な火力を持っているのだ。それなのに、『亡国の主』は止まらない。
 あの装甲を抜けない。
 何故だ、と思うのも当然であった。
「……主よ! 燃えッ滓の王よ! 壊せ!! ォォォォオオオオオオオオ!!!!」
 小枝子の方向と『亡国の主』の咆哮が交錯する。
 口腔より溢れる霊物質が周囲に撒き散らされ、握りしめた騎兵刀の斬撃がバリケードを吹き飛ばす。
 障害という障害は『亡国の主』を前にしては無意味そのものだった。

「敵を壊し! 灰の玉座で!!」
 小枝子のユーベルコードが輝く。同時に『亡国の主』のアイセンサーが煌めく。
 瞋憎喰(シンゾウクライ)。
 それはこの戦場に在りし、全ての死者の怨念と執着を霊物質に変換する。同時に、それらを食らうは『亡国の主』。
 死せる者の王。
 薄暗い感情は、怨念は、執着は、全て己が食らうと言わんばかりに『亡国の主』は咆哮する。
 どれだけ火砲が『亡国の主』の装甲を砕くのだとしても無意味だった。

「破壊を吠え立てろ!!!!」
 取り込んだ霊物質は、その躯体を修復していく。
 だから、止まらないのだ。
 それを見た敵兵たちはオブリビオンでありながら慄いただろう。あれはオブリビオンである己たちよりも遥かに。
「バケモノ……!」
 その言葉は『亡国の主』の放つ呪詛塗れるブレスの一撃によって吹き飛ぶ。
 爆炎上げ、敵兵を一層し小枝子は振り返る。
 目指す拠点は、目の前だと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

●そんなことあった?
フ…ここは地雷原でドリブルをしても地雷を爆発させないとまで評されたボクの出番のようだね!

●走れ~走れ~
さあ走って!撃って!駆け抜けよう!
そうどんな防衛線も一度裏まで抜けられてしまっちゃ意味が無い
何枚あってもそれは同じこと!
つまり……最短ルート!最少の戦闘!で目的地まで駆け抜ける!
そんな簡単じゃないって?
だいじょーぶだいじょーぶ!ボクの勘【第六感】を信じて!(信じられなそう!)
と[球体]くんたちやUCでその必要最小限の敵をぶちっとしながらみんなで最短ルートをダッシュしよう!
そうこれはいわゆるRTA!アハハハ!楽しくなってきたね~!
さあお宝拝見だよ~!



 大量の『宝貝オブリビオンマシン』の集まる敵拠点までの道程は後わずかとなっていた。
 此処まで『幇』の虎獣人たちの消耗が抑えられているのは、猟兵達の活躍があればこそであろう。
 予知においては、彼等はこの拠点に攻め込むことができても、消耗しているがゆえに大量の『宝貝オブリビオンマシン』によって全滅を喫することになっていた。
 だが、それは今覆されようとしている。
「フ……ここは地雷原でドリブルをしても地雷を爆発させなかったとまで評されたボクの出番のようだね!」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は良い笑顔のままサムズアップしていた。
 それを見た虎獣人たちは。

「い、いやいやいやいや! おやめください! 流石にそれは……!」
「大丈夫大丈夫! こういうのはフィーリングとセンス! それさえあれば、あとはラックでどうにか出来るって相場が決まってるのさ! さあ走って! 撃って! 駆け抜けよう!」
 なんだか野球みたいなことを言ってるが、サッカーは関係ないのであろうか。
 そんなロニの振る舞いに虎獣人たちは後に続くしかなかった。
 なにせ、此処は敵の拠点に至るための道程。
 ここで立ち止まっていては、これまで積み上げてきたことの全てが無意味になってしまう。
 オブリビオンの超大国の侵攻は止まらない。
 どうあっても彼等は己達の領域、須弥山型都市へと侵攻をするだろう。そのときに自分たちの身を守ることができるのは自分たちしかいないのだ。
 だからこそ、此処まで来たのだ。

「さあ、おいでよ! どんな防衛線も一度裏まで抜けられてしまっちゃ意味がない! 何枚あってもそれは同じことだよ! だから!」
 ロ二は示す。
 不安なのならば、己の背中を終えば良いのだと。
 未知なるものを恐れるのは生命として当然のことだろう。だからこそ、ためらう。ためらうから遅れる。遅れれば焦りが生まれ、焦りは必ず失敗を呼び込む。
「そ、それは、っ、そうですが……!」
「此処から先は最短ルートでいくよ! 最小の戦闘! 最速!」
「そんな簡単に……!」
「大丈夫だいじょーぶ! ボクの勘を信じて!」
 いや、どう考えて無理だと虎獣人たちは思った。だが、ロニは構わず敵拠点目前まで駆け抜けていく。

 迫る敵兵を球体や、神撃(ゴッドブロー)でもって吹き飛ばしていく。
 銃撃、砲撃、多くの妨害がロニに迫るだろう。
 けれど、それを全て無いものであるかのようにロニは戦場を駆け抜けていく。結局のところ、ロニが言っていたように、こういうものはフィーリングとセンス、ラックであるのだ。
 その点においてロニは規格外であったことだろう。
「此れはいわゆるRTA! リアルタイムアタックってやつだよ! アハハハ! 楽しくなってきたね~!」
「ぜ、全然楽しくはないのですが……!」
「え~? そうかな? でもさ、ご覧よ!」
 ロニはそう言って虎獣人たちに示す。
 そこにあったのは敵拠点である。すでに此方の接近に気がついたのだろう、多くの『宝貝オブリビオンマシン』が飛び出してきている。

「キミたちは無事! そして、敵は今君たちの迅速果断なる速攻でもって慌てている! となれば~?」
 ロニは虎獣人たちに笑む。
「そう! 敵は崩しやすい! さ、こっからはRTAのあと! どれだけボーナスを稼げる勝ってことだよ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『イカルガ』

POW   :    クイックスラッシュ
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【ビームソード 】から【連続斬撃】を放つ。
SPD   :    クイックショット
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【アサルトライフル 】から【連続射撃】を放つ。
WIZ   :    マイクロミサイル
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【超高機動小型誘導弾 】で包囲攻撃する。

イラスト:タタラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちが血路を拓いたことにより、『幇』の虎獣人たちの消耗は最低限に抑えられた。
 人的な被害も、物資的な被害もほぼない。
 そして、此れよりが本当の意味での正念場である。敵拠点たる要塞めいた施設から次々と飛び出すのは『宝貝オブリビオン』、『イカルガ』。その機体は量産機でありながら高性能。
 とある科学者が生み出したとされる傑作機。
 そして……。
「予想よりも遅かったね、猟兵。これからはこの色を僕私の色だと思うがいい。この白銀こそが、私が『居る』という意味だ!!」
 一騎の『イカルガ』……白銀のカラーリングを持つ機体から声が響く。
 乗り込んでいるオブリビオンの名は『ノイン』。
 この拠点を指揮するオブリビオンであり、度々その名を猟兵に示す存在であった。

「ああ、そうか。お荷物がいた、というわけか。君たちも大変だね。けれど……ああ、そこにいるか……」
 彼女の声は上ずっていた。
 高揚を抑えられない、というように『ノイン』は『イカルガ』のコクピットの中で己の肩を抱く。
「この『イカルガ』がただの高性能量産機だと思わない方がいい。量産型宝貝『風火輪』を組み込み、飛翔能力を得ている。すでに彼等には空に蓋をされた二次元的な戦闘など必要ない。さあ、存分に空を飛ぶがいい! 諸君らは自由だ! 存分に敵を蹂躙しろ!」
 その言葉と共に無数の『宝貝オブリビオンマシン』、『イカルガ』が戦場へと飛び出す。
 膨大な数だった。
 これを滅ぼし切ることはできないだろう。

 だからこそ、『熾天大聖』は告げる。
「あくまで敵戦力を削ること……すでに猟兵の皆さんによって、退路は確保されています。生命をなげうつことなく、帰りましょう。多くの戦果を求めるのならば、生命を持ち帰ることもまた戦果!」
 その言葉に虎獣人たちは咆哮するだろう。
 轟くは意志。

 迫る『イカルガ』たちは本来の戦場において空に蓋をされており、二次元的な戦い方しかできなかった。
 けれど、今は違う。
 宝貝『風火輪』を組み込んだ機体は、自在に空を飛び、猟兵達に、『幇』の獣人たちへと迫る。
 すべてを滅ぼすことはできないだろう。
 けれど。
「出来得る限りを。『戦いに際しては心に平和を』……!」
「その言葉の影に隠れるようじゃあね!『フュンフ・エイル』!!」
『熾天大聖』の言葉に『ノイン』は叫び、膨大な数の『イカルガ』と虎獣人たちが戦場にて激突する――。
川崎・五十鈴
…エネルギーはクリーンっぽい?
いや、ちゃんと壊す。うん。

でも、あー…空飛ばれるのはキツい。できる限りのことはするけど。

三ノ段と合わせるUCは『諜報と暗殺を司る妖精』。
隠密能力を最大限まで高めて黒影弾の雨を敵に向かって射撃場所を転々としながら放っていく。
殺界形成で敵の位置は把握できてるし、二ノ段で知覚と思考が加速してるから敵の速度に紛らわされることもない。三ノ段の跳弾は、敵の機体を利用すればいい。跳弾を重ねれば遠くの敵まで狙えなくはないし。弾が当たっても跳弾するだけの機体と当たった瞬間に影縛りされて撃墜される機体が混ざれば敵を多少は混乱させられるはず。

ある程度間引けたら位置がバレる前に撤退。



 キャバリアの動力源は多種多様であるが、一般的なのがエネルギーインゴットである。
 クロムキャバリア世界における小国家の国力に直結するプラント。
 そこから生み出されるエネルギーインゴットで動くオブリビオンマシンは、川崎・五十鈴(エコテロリストエルフ・f41042)の持つ基準からすれば、環境に配慮したものであったであろうか。
「……エネルギーはクリーンっぽい?」
 彼女は戦場を飛び交う『宝貝オブリビオンマシン』、『イカルガ』を見上げる。
 体高5m級の戦術兵器が、脚部に備えられた宝貝『風火輪』によって炎を噴出しながら飛翔し、アサルトライフルから弾丸をばらまく。

 圧倒的な物量。
 圧倒的な熱量。
 それを見た時、五十鈴は確信した。
「いや、壊す。ちゃんと壊す。あれは、ダメ」
 アサルトライフルの薬莢が大地に落ちるのも、弾丸が残存することも、飛翔の度に炎でもって空気を燃焼させるのも。
 結局環境破壊に繋がる。
 ならば、その存在自体が五十鈴にとっては罪そのもの。
 故に、容赦はしない。

「死ね」
 短く告げる。
 彼女の身を覆うは漆黒の殺気。
 いや、その身より放たれる黒いオーラは、五十鈴の視界に『イカルガ』の所在を知らしめる。その最中に一際大きく輝くオーラがあった。
 白銀の『イカルガ』。
 それこそがこの『宝貝オブリビオンマシン』を指揮し、この敵拠点を指揮する存在であると彼女は理解しただろう。
 あれを倒す、と意識を集中させる。
 知覚と思考。
 加速していくのは時間ではなく、己の思考である。位置を把握し、その敵機へと至る道筋を手繰り寄せる。

『イカルガ』は五十鈴にとって巨人そのもの。
 されど、殺せぬ、という道理はない。
 構えた自動式二丁拳銃寄り放たれる弾丸は、『イカルガ』の機体に跳弾し、一点に集約される。
 跳弾すればするほどに彼女の弾丸は致死率を上げていく。
 それがシャドウエルフの連綿と紡がれてきた暗殺の業である。跳ねる弾丸は白銀の『イカルガ』へと迫る。
 その道程で無数の『イカルガ』が失墜していくだろう。
「ほう、面白い業を使う者がいるね」
 目と目が合う、と五十鈴は知覚しただろう。

 敵が己を見ている。
 アサルトライフルの弾丸が五十鈴へと迫っている。
 自分が狙ったように敵もまた己を見ていたのだと理解した瞬間、跳弾した弾丸がアサルトライフルより放たれた弾丸と激突し、弾き飛ばされていく。
「こちらの位置を割られた」
 五十鈴は瞬間的に理解する。
 敵指揮官。
 あの一際大きなオーラを持つ白銀の『イカルガ』を駆るオブリビオンは確実にこちらを捉えていた。
 殺界を受けてなお、怯まず。
 そして、此方のユーベルコードを受けてなお、こちらに攻撃を叩き込んでくるカウンター性能。

 それを瞬時に理解し、五十鈴は即座に撤退する。
「引き際は間違えない」
 あの指揮官機を撃ち落とせなかったのは惜しい。けれど、多数の『イカルガ』を堕とすことには成功したのだ。
 ならば、目的は達せられたと、他の猟兵によって確保された退路たる洞穴を五十鈴は走るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

厳・範
瑞獣形態である黒麒麟のまま

数が多い…が、やるべきことも明確であるか。
わしはこの姿ゆえ、回避すると速いが…花雪、落ちぬようにな。

花雪「はい!」

【黒曜】にて召喚せしこの宝貝を、攻撃へ向かわせる。
素早く射撃をしてくる数多い相手には…まあ砕かれるだろう。が、砕いたとて安心はするな。
砕かれた瞬間、仕込んだ仙術による雷撃を。

花雪「お婆様渾身の作に、お爺様の仙術ですからね!」

自己再生したそれは、また相手別と向かっていくのだ。…これをくりかえす。

花雪「おかわり雷撃も、雷公鞭でやっちゃいますよ!」



『宝貝オブリビオンマシン』、『イカルガ』は歓喜に震えるようにして戦場の空を飛ぶ。
 脚部に埋め込まれた宝貝『風火輪』によって炎が噴出し、アサルトライフルの弾丸が戦場に打ち込まれる。
 虎獣人たちは縦横無尽に戦場を駆け抜けているが、質と数が違いすぎる。
 このままでは恐らくすり潰されてしまうだろう。
「故に、やるべきことは明確であるな」
 厳・範(老當益壮・f32809)は半人半獣の姿で宝貝人形『花雪』を背に載せ、戦場を疾駆する。
 打ち込まれる弾丸。
 吹き荒れる炎。
 そのいずれもが脅威そのものであったが、黒麒麟たる本性を顕にした範にとって、それは躱すに容易いものであったことだろう。

 唯一の懸念と言えば。
「『花雪』、振り落とされぬようにな」
「はい!」
 そう、背に追った宝貝人形『花雪』だけだった。
 それだけが範にとっての懸念。
「他者を気遣う余裕があるとは、さすが猟兵であるとでも言おうか。だが、その余力を、この質と数を前にして保てるかな?」
 白銀の『イカルガ』を駆る『ノイン』から声が響く。
 敵の指揮能力は恐らく卓越したものだ。戦略と戦術をワケて考える事のできる存在であることは間違いない。

 個体としての戦術の水準を、戦略で持って引き上げる。
 それによって『イカルガ』はさらなる性能の向上を見せ、その動きが格段に連携の取れたものへと代わっていく。
「どれだけ君らが優秀なのだとしても、囲えば一緒ということさ!」
 放たれる無数の『イカルガ』のアサルトライフルの弾丸。
 四方から放たれる弾丸を前に範の瞳がユーベルコードに輝く。
「それができるか、やってみるか、オブリビオン」
 それは無数に宙に浮かぶ、黒曜石製方尖塔型宝貝であった。
 黒曜(コクヨウ)と呼ばれた黒曜石の尖塔が迫るアサルトライフルの弾丸と激突し砕けていく。相殺しているのだ。
 回避しえぬ弾丸だけであったのならば、それで十分だと言わんばかりであった。

「よく防ぐ! だが、それは消耗する。なら、数で圧すれば!」
「故に、と言おうか」
「ええ、お婆様渾身の作に、お祖父様の仙術ですからね!」
 瞬間的に再生した黒曜石。
 破片として散らばったものが再び集まり、尖塔の形を為していく。迫りくるアサルトライフルの弾丸と撃ち合えば、どちらが先に弾を切らすかなど言うまでもない。
「これを繰り返すだけでよい。わしらにかまけているうちに……」
「はい! 雷公鞭の雷撃はおかわりですよ!」
 背に追った『花雪』が振るう宝貝から雷撃が迸る。如何に敵が多く、数で圧するのだとしても、戦術が戦略を上回るのならば。

「斯様な数で圧する戦略など、食い破れて当然であろう?」
 その言葉と共に戦場を飛ぶ黒曜石の尖塔型宝貝の群れ。
 撃ち合うだけであるのならば、此方に歩があると示すように範は『花雪』と共に百花繚乱たる火花散る戦場を舞うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
――フュンフ・エイル? それに『9番目』。いや、今は詮索する時じゃない。『宝貝オブリビオンマシン』を削らないと。
『幇』の皆は下がってて。

「全力魔法」衝撃の「属性攻撃」「範囲攻撃」「破魔」「浄化」「侵入阻止」「仙術」で風吼陣。
威力を五倍、移動力を半分に。

もう一度、あなたたちから空を奪ってあげる。暴風の「衝撃波」で近寄ることを許さない。
そして風に乗って吹き荒れる剣刃が、装甲は無理でも関節、カメラ、推進機関など弱い箇所から崩していく。
『ノイン』機はそれでも切り抜けてきそうだから、『鎧装豪腕』に「オーラ防御」をかけて「盾受け」「受け流し」させるわ。

さあ、刃と暴風の宴はこれからよ! 楽しんで行きなさい!



 其の名に聞き覚えがある。
『フュンフ・エイル』と『ノイン』は言った。
「――『フュンフ・エイル』? それに『9番目』……」
「詮索する暇はあるかね、猟兵!」
 白銀の『イカルガ』が村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)へと迫る。『イカルガ』に装備されたビームソードの一閃がゆかりへと振り下ろされる瞬間、ゆかりは鎧装剛腕でもって受け止める。
 火花が散り、ビームの本流が周囲に吹き荒れる。
「みんなは離れて!」
 ゆかりの言葉に虎獣人たちが散開する。
 あの白銀の『イカルガ』は己達の手に終えないと即座に判断したのだろう。ゆかりは、彼等の判断が間違っていないことを理解する。
 そして、同時に振るわれるビームソードの連続攻撃で、鎧装剛腕に張り巡らせたオーラ防御が受け流せぬほどに砕けることも知る。

「くっ……!」
「いや、良く此処まで来たものだよ。私の予想とは少し違ったがね」
「どういうこと」
「私の予想では、そうだな……君らと『熾天大聖』……残るは少数の精鋭だけが迅速にこの拠点にくるものだとばかり思っていたのさ」
 振るわれるビームソードの一撃を鎧装剛腕が装甲を焼き切られながら受け流す。
 大地に打ち込まれたビームの熱量が所縁を吹き飛ばす。
「迅速果断たる対応が猟兵の強みだと私は思っていたからね。けれど、蓋を開けてみれば、足手まといも一緒にやってきているじゃあないか」
『ノイン』の白銀の『イカルガ』が脚部に備えられた『風火輪』によって炎を撒き散らしながら空へと飛翔する。

 その炎に煽られながら、ゆかりは見上げる。
「それで、そういう物言いってわけ?」
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
 敵の攻勢は凌げた。ならば、後は、と彼女がユーベルコードを発現しようとして、それが叶わぬことを知る。
 白銀の『イカルガ』が上空へと飛んだ瞬間、それを埋めるようにして無数の『イカルガ』がゆかりへと迫ってきていたのだ。
「波状攻撃……!」
 敵の数は膨大。
 何故、『ノイン』の『イカルガ』が単騎で己に迫っていたのかを知る。
 そう、彼女はゆかりのユーベルコードを警戒していたのだ。
 周囲を巻き込むほどの範囲を持つユーベルコード。それをさせぬために彼女は敢えて単騎で踏み込み、ゆかりを釘付けにしたのだ。

 倒しきれないところまで彼女には織り込み済みだった。
 そして、消耗したゆかりならば。
「その『イカルガ』たちでも十分に圧殺できる」
 その言葉と共にゆかりを襲うビームソード。けれど、その一撃はゆかりに叩き込まれることはなかった。
 虎獣人たちの戦闘義体の武装と仙術がゆかりを守ったのだ。
「ここは我らが! 手がおありなのでしょう。おはやく!」
「あなたたち……! ええ、やるわ! もう一度、『イカルガ』、あなたたちから空を奪ってあげる!」
 煌めくは、風吼陣(フウコウジン)。
 古の絶陣の一。
『ノイン』が警戒したユーベルコード。

 それが猛威を振るう。
 荒ぶ突風は暴風へとかわり、その風を纏うの無数の刀剣。
 そして、何よりも宝貝におって飛翔する『イカルガ』にとって、空中での姿勢制御の困難さを強いる彼女のユーベルコードは数多の『イカルガ』を飲み込んで互いに激突させ、刀剣で刻まれ、その機体を爆散させていくのだ。。
「さあ、刃と暴風の宴はこれからよ!」
「まったくゾッとしない宴でありますな」
 虎獣人たちの言葉にゆかりは笑む。
「楽しんでいくのは『イカルガ』だけよ。あたしたちの楽しみは、戦果を持ち帰った後、でしょ」
 そう言って、ゆかりは笑み、暴風たるユーベルコードをたぐり、『イカルガ』を巻き込み、撃墜していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリスフィーナ・シェフィールド
速く空を飛べるのが随分とご自慢なようですが
別に専売特許じゃございませんのよ。
それに飛べるということは落ちるという可能性もありますのよ。

ゴルディオン・オーラで強化と飛行可能した上で
限界突破のリミッター解除で更に底上げ。
空中浮遊と機動の補助を受けて空中戦へ。
もっと輝けとばかりに普段より輝きながら限界速度で接近。
速度を足した一撃で損傷させて地面に叩き落とし狙い。
それと目立つ事で熾天大聖様が動きやすいよう目を引き付けます。
落とした機体は地上の皆様に任せて次の敵へ。
戦果が出て撤退する時の殿、又はノインが出たならお相手を。
……帰ったら筋肉痛で済むと良いのですけど

合体しないのは集団戦で速度と小回り優先のため



 キャバリアとは体高5m級の戦術兵器である。
 その多くが上半身たるオーバーフレームと下半身たるアンダーフレームでもってコクピットブロックを挟み込むことによって成り立つ。
 その特性からかクロムキャバリアにおいては兵器の花形として知られている。
 だが、その戦術を手繰る兵器でありながら、キャバリアには空戦を行う、という戦場は存在していない。
 何故ならば、空に蓋をされているからだ。
 暴走衛生によって高速飛翔体の尽くが撃ち落とされる。
 故に空は戦場ではなく。故にキャバリアは空を飛ばない。オブリビオンマシンであっても例外ではないのだ。
「だからこそ、此処で力を示すが良い。『イカルガ』! その高性能たる所以を、十全に!」
 白銀の『イカルガ』を駆る『ノイン』の言葉に応えるように無数の『宝貝オブリビオンマシン』、『イカルガ』が戦場の空を駆け抜ける。
 脚部に宝貝『風火輪』を備え、炎を噴出しながら自在に空を舞う。

「速く空を飛べるのが随分とご自慢なようで……」
 イリスフィーナ・シェフィールド(相互扶助のスーパーヒロイン・f39772)は戦場を席巻するかのように炎、そしてビームソードの斬撃を繰り出してくる『イカルガ』と激突する。
 きしむ骨身。
 されど、身にまとう黄金のオーラは、彼女の意志によって膨れ上がっていく。
 黄金のオーラ纏う拳の一撃が『イカルガ』を吹き飛ばす。
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 溢れる勇気。
 その意志によって彼女は増強された身体能力を駆使し、大地を蹴って空へと舞い上がる。
「別に専売特許じゃございませんのよ!」
「だろうね。だからこそ、君は違えた!」
『ノイン』の言葉に空中、その四方八方から『イカルガ』が迫る。

 確かにイリスフィーナは強い。
 猟兵として見ても、絶大な戦闘力を誇るだろう。
 ゴルディオン・オーラ纏う姿は、『イカルガ』単体であれば生身単身であっても引けを取らぬ戦闘力を有している。
 けれど、それは一対一であればの話だ。
 ここに在るのは無数の『宝貝オブリビオンマシン』たる『イカルガ』。
 そして、空を飛ぶ、ということは横軸だけ警戒していればよかった戦場をさらに上下の視界をももたねばならない。
「つまり、死角が増えただけということさ!」
『ノイン』の言葉と共にイリスフィーナのオーラに激突するビームソード。
 オーラと激突して火花散る視界にありながら、イリスフィーナは叫ぶ。

「ならば、もっと輝くまで! 限界を超えるのがわたくしの力! 限界とはすなわち、己自身が決めるもの! ならば!」
 その限界を今すぐに超えると言わんばかりに黄金のオーラが迸り、『イカルガ』たちを弾き飛ばす。
「空を飛ぶ、ということは落下する、ということでもありますのよ。そして、落ちた先に待ち受けているのは……」
『幇』の虎獣人たちであった。
 彼等がイリスフィーナの弾き飛ばした『イカルガ』たちへと仙術や戦闘義体による武装の一撃を叩き込み、破壊していく。
『ノイン』の目論見は達成されることはない。

 イリスフィーナの黄金の輝きは、敵の注意を引き付け、なおかつ彼女自身が敵を弾き飛ばすことで瓦解した。
「戦果、と呼ぶにはまだ足りず。けれど、『ノイン」、あなたは!」
 高速で飛翔するイリスフィーナが白銀の『イカルガ』へと飛び込み、その拳とビームソードを激突させる。
「限界を超えているとは言え、無理をしてはいないかい猟兵。その辺にしておかないと筋肉痛では済まないよ」
「だったらどうだというのです。今、戦わぬ理由にはなりえぬでしょう!」
 その言葉と共にいイリスフィーナの拳は『ノイン』の『イカルガ』を吹き飛ばし、さらに敵を惹きつけながら戦場をかき乱していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

風吹・香織
 なんか、敵が色々言ってるようだけど、私には関係ない。
 大事なのは……。
「敵が空を飛んでる! 空中戦じゃん! ドッグファイトじゃん!」

 私は以前に飛行機型のパンツァーキャバリアに速度で負けている。
 けど、あの頃のままの私だと思わないでよね。
 UC発動。速度を飛躍的に高め、さらに電撃を放って雑魚を散らす。
 連射? それがどうした、双発で速度に優れるこの「双胴の悪魔」にはついてこられまい!
 ……まぁ、この速度はUCで加速してるからだけど

 さて、雑魚は電撃で良いとして、あの白銀の機体はそれだけじゃ足りないみたいね。
 バレルロールで射撃を避けつつ、背後を取って確実に機関銃と機関砲で攻撃するよ。



 関係ない。
 そう、何一つ関係ない。
 オブリビオンとの戦いにおいて、必要であったことは多くはない。今自分が何処に居るのかということが大切なのだ。
 空を舞う高揚。
 心が踊るようであり、また同時に体に感じる加速の重圧が心地よいとさえ風吹・香織(怠惰な「双胴の悪魔」乗り・f39889)は感じただろう。
 敵拠点に至るまでは我慢の子だった。
 何処まで行っても地平が続いているように思えたし、また事実敵からの攻撃に耐えるように壁として変形させていた戦闘機の操縦席の中で彼女は――。

「もう飽き飽きしていたんだよね! 空戦! 敵が空を飛んでる! 空中戦じゃん! ドッグファイトじゃん!」
 やったぁ! と香織は喜びいさむようにして大地を蹴って己の機体を変形させ、助走の勢いのままに空へと飛び立つ。
 迫る空の戦場には無数の『宝貝オブリビオンマシン』、『イカルガ』が舞う。
 脚部に宝貝『風火輪』を組み込み、噴出する炎でもって推力を得ているのだろう。そもそも『イカルガ』とはクロムキャバリアにおいて高性能量産機として知られていたキャバリアである。
 その機体性能のポテンシャルの高さは言うまでもない。
 凄まじい速度と急旋回性能、空中で自在に姿勢を変えることのできる宝貝の力によって、何倍にも性能を底上げされているようにさえ思えた。

 けれど、香織は違う。
「速い!」
 喜ぶようにして笑っていた。
 敵は手強い。けれど、それは彼女の腕の見せ所でもあるし、空戦、ドッグファイトにおいては如何にして敵に勝つか、その背後を取れるかにかかっている。
 ならばこそ、彼女は思い返す過去の自分を蹴り飛ばして飛ぶ。
 過去の敗北も。
 過去の失敗も。
 過去の辛酸も。
 今という未来のために必要なものであったのならば、香織はそれを何一つ捨てずに飛翔する。
『双胴の悪魔』と呼ばれた閃光の名を持つ戦闘機。
 それを駆って、彼女は正しくライトニングボルト――稲妻のように空を駆け抜ける。

「あの頃のままの私だと思わないでよね!」
 ユーベルコードに輝く瞳。
 己の機体に冠された名。
 そして、彼女の操縦技術に名付けられるべき名を示して見せる。『イカルガ』が如何に空戦性能を優れたものにするのだとしても、香織の駆る『P-38ライトニング』は圧倒的な加速で持って『イカルガ』を突き放し、急旋回して背後を取る。
「なんていう速さ……! あれで機体に乗っている猟兵は体が持つのか……!?」
「はっ、こんな時に敵の心配なんて余裕だね!」
『ノイン』と呼ばれるオブリビオンが白銀の『イカルガ』より叫ぶのを香織は聞き、笑う。
 凄まじい速度で持って香織は戦場を駆け抜け、次々と雷撃を解き放っては『イカルガ』たちを撃ち落としていく。

「スコアマーク、また更新しそうだよね! とは言え、雑魚専なんて言われるのも真っ平ゴメンだね! だから!」
「私を狙おうっていうのか、面白い!」
 白銀の『イカルガ』が舞うようにして空を飛ぶ。香織の『ライニング』に追いついてくるのは機体性能だけではない。
 放たれるアサルトライフルの弾丸を横に回転するようにして香織は躱し、機体を急旋回させ、背後を取る。
「この私の背後を取った……!?」
「人型の戦術兵器でばっかり戦ってたんでしょう。確かにあなたの動きは『エース』って感じね。けど!」
 そう、敵は『エース』そのもの。
 されど、香織は知る。敵は、『ノイン』は自分のような戦闘機との戦いに慣れていない。
 だから、背後を取られる。

「空戦では私と相棒のほうが上だよ!」
 機関銃のと機関砲が雷撃纏って白銀の『イカルガ』の背面ユニットを撃ち抜く――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

笹竹・暁子
※アドリブ・連携歓迎
…名前にこの話し方。アレに乗ってるのはあの時と同一人物、なのかしら
熾天大聖の反応とか、思う所はいくつもあるけれど、空の舞台で有利なのは貴方たちだけじゃないのよ!
いきましょう同胞!

方針:メイガスで撹乱、翻弄し体勢を崩させる

〔霊刃操翼〕を羽ばたかせ射線に割り込む
羽先を刃に展開して【受け流し】てみせ、気を逸らすよう【陽動】!
【空中機動・推力移動・見切り】をしつつ、逃げ惑うように【演技・羽を飛ばす】

空を飛ぶという事は、一歩間違えれば確実に落ちるという事
特に――些細な見落としをした時は!

タイミングを見て、撒き散らした〔霊刃羽〕を起動し【対空戦闘・弾幕・不意打ち】!
更に追いすがったり味方を狙い始めたら【指定UC】展開開始!

ところで、ボーラを知っているかしら
本来、網を形成するなら3基以上がいるけれど…引っかけたり纏わりつかせる縄を作るだけだけなら、2基でもいけるのよね!
霊力の網と併用して【早業・結界術・カウンター・捕縛】!

ええ、鳥だもの
空でされたら嫌なことは、一番知っているわ!



 空を飛ぶ者にとって最も致命的なことは何か。
 羽根をもがれることか。
 風に乗れぬことか。
 いいや、違う。
「空を飛ぶということは、一歩間違えれば、確実に落ちる、ということ!」
 笹竹・暁子(暁を臨む一夜の為に ~雀のお宿の外仲居~・f39919)は『宝貝オブリビオンマシン』、『イカルガ』が乱舞する戦場の空をメイガス……搭乗型飛行甲冑『サウス』にい騎乗し、迫る『イカルガ』を迎え撃つ。
 ビームソードの雷光が迸り、彼女の『サウス』へと振り下ろされる。
 その一撃を飛び出した霊刃羽が受け止め、火花を散らす。

「だったら、なんだというのだ。君は落ちないとでも? 君もまた空を飛ぶものだろう! 猟兵!」
 背面ユニットを破壊されながらも脚部に組み込まれた宝貝『風火輪』によって炎を噴出させながら白銀のオブリビオンマシン『イカルガ』を駆る『ノイン』が叫ぶ。
 彼女は笑むようだった。
 高揚しているようだった。
 それを暁子は聞く。
 この言葉、話し方。あの白銀の『イカルガ』は彼女が幾度か相対してきたオブリビオンなのだろうか。
 だが、滅ぼしたはずだ。
 その都度、彼女はガワを取り替えるようにして己達の前に姿を表していた。どのような理屈かはわからない。

 けれど、確かなことが一つだけある。
「また過去から滲み出てくるというのならば、その都度お繰り返してあげるだけだわ!」
「やってみるがいいさ! できるかな、それが!」
「やるやらないじゃあないの。猟兵の仕事は、そうすることなの。だから!」
 空を舞う魔導甲冑。
『サウス』の放つ霊刃羽が乱舞するようにして『イカルガ』を切り裂く。
 あの白銀の『イカルガ』以外であれば、これで十分に戦える。けれど、それだけではたりない。
『ノイン』と名乗ったオブリビオン。
 彼女の言葉には『熾天大聖』のことを『フュンフ・エイル』と読んでいた。それが何を意味するのかを彼女はわからなかった。
 思うところはいくつかあったが。

「撹乱してばかりで戦いに勝てるとでも」
「だから、こうするのよ。ともに戦う者たちがいるから、『手』を貸せるのよ!」
 暁子の瞳がユーベルコードに輝く。
『イカルガ』の残骸舞う宙を蹴るようにして飛び、不可視の霊力を網状に展開した巨大な掌が形成されていく。
 それは霊刃羽であり、同時に白銀の『イカルガ』へと迫る。
「……みえない、網!?」
「天網恢恢疎にして漏らさずというでしょ! これは、霊網羽掌【メイガス】(ハンド・オブ・アルゴス)!『ノイン』、貴方を捉えてはなさないもの! そして、あなたは知るでしょう! 些細なことで鳥は空から失墜するっていうことを!」
「それが私にも適用されると? 網目ならば、隙間があるっていうことだろう。私が」
 かわせぬとでも思ったか、と『ノイン』は尋常ならざる操縦技術でもって暁子の操る網目のように展開された巨大な掌へと形を変えた霊刃羽をかいくぐる。

 凄まじい技量であると言える。
 みえぬとは言え、その網目は空気の抵抗、振動、そうしたものを伝えるだろう。『ノイン』はそれを感じ取って網目の隙間を縫うようにして『イカルガ』を動かしているのだ。
 けれど、暁子の瞳に輝くは、超克の輝き。
「甘かったな、猟兵! 君がしたことは、私には造作もなくクリアーできること……」
「――ところで」
 暁子は静かに告げる。

 その言葉を聞き『ノイン』はぎくりと肩を震わせたかも知れない。
「ボーラ、というものを知っている頭。本来、網を形成するなら三基以上の重石が必要になるけれど……」
 霊刃羽が二基繋がり、その糸と共に宙を飛ぶ。
 それは、投擲武器。
 人類が得た、狩猟のための道具。回転するようにして霊刃羽が『イカルガ』へと迫る。
「引っ掛けたりするだけなら、二基で十分よね!」
 回転する糸の霊刃羽が、その機体の腕部、脚部に絡みつく。
 組み込まれた宝貝『風火輪』の出力を減ずるようにして糸が連なり、暁子は『サウス』の膂力、その出力を持って空より『イカルガ』を引きずり降ろし、叩きつける。

「網目は、このためのブラフ……!」
「ええ、そうよ。わたしは、空を飛ぶもの。ええ、だって空でされたら嫌なことは、一番知っているのよ」
 空より引きずり降ろされた白銀の『イカルガ』のコクピットで『ノイン』は暁子の一手に歯噛みするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

むー。
むむー。
むむむー。

やっぱりチューニングおかしかったですね。
前回、いつもと音が違うと思いました。

しかたありません。
今回はしっかりチューニングしてある……てれれてってれー! クラリネットー♪

空飛ぶのでCanon、と思いましたけど、【魔弾の射手】にしておきましょう。
やっぱり整っていないと聴いていただくみなさまに申し訳ないですもんね。

ということで!

ステラさん、難しいお話終わりました?
一応確認なのですけど、戦わなくていいとかいうことはー……。

ないですね!
なんか扱い雑ですけど、そこはよかったです!
これでみなさまに、わたしの真の演奏を聴いていただけます!

あ、ちなみにステラさんのやべー度はアウトですからね?

自由に飛べる、みたいなこと言っていましたけど、
わたしの演奏と浮遊音部で動きを制限させていただきますよ!

動きを制限すれば、戦いやすいですし、もちろん逃げやすくもなりますからね!
って……なんでみなさん、頭抱えているんですか?

あ、ステラさん、当たらないでくださいね。凄い音でちゃいますから!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
熾天大聖様とノイン様の関係が謎(背後の音はスルーしている

いえ、フュンフ・エイル様を知っている以上
『かつて』クロムキャバリアに在ったのでしょう
そして熾天大聖様がフュンフ・エイル様の生まれ変わり
というか、一番濃い『エイル様』なのもわかります
ノイン様のキマフューでの怪人態…おそらく元は『機体』?
…ハッ!?この突っかかり方!
まさかフュンフ・エイル様の元カノだったりします?
女のヒステリーはみっともないですよ
私のはヒステリーではなく、やべーだけなのでセーフ

さて
何か後ろから不穏な音が聞こえましたが
戦いですよ?演奏会じゃないですよ?

空に蓋なく自由である…ことは否定しませんが
空を飛ぶキャバリアがイカルガだけだとでも?
フォル!いらっしゃい!(鳥型キャバリアを呼び寄せる
空を駆けることで私たちが負けようはずもありません
【アン・ナンジュ・パス】で仕掛けます!
ルクス様は…演奏許可します
ええい、私の命がけ度があがりました!
ですがイカルガは引き受けましょう!
熾天大聖様はノイン様を!やっちゃってくださいませ!



 空を飛ぶオブリビオンマシン、白銀の『イカルガ』は猟兵のユーベルコード、そしてその策によって背面ユニットを失う。
 また脚部に組み込まれた宝貝『風火輪』の出力が減ぜられることによって機動性能を著しく低下させられていた。
「やってくれるじゃあないか。私を、追い込む!」
 白銀の『イカルガ』を駆る『ノイン』は窮地に在りながら笑っていた。
 それは、己がオブリビオンという身であるからだろうか。
 それとも強大な敵を前にして高揚しているからか。
 どちらにせよ、彼女の目論見、その戦い方は破滅的であるように思えたことだろう。
「『フュンフ・エイル』様を知っている……ということは!」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は戦場の空を埋め尽くす『宝貝オブリビオンマシン』、『イカルガ』が群れるようにして己たちに殺到するのを見る。

 アサルトライフルの弾丸。
 マイクロミサイルの乱舞。
 そのいずれもが戦場に爆発を巻き起こし、苛烈なる状況を知らせるだろう。
「あなたは『かつて』クロムキャバリアに在った、ということでしょう。そして『熾天大聖』様が『フュンフ・エイル』様の生まれ変わり……」
「いいや、君は何か勘違いしているようだな。『あれ』が『熾天大聖』とい名のあれが、大元だ。彼は願っただろう。あの『赤き宝石』に。『平和』を。だが、知らなかったんだろう。『平和』とは争い在りきだと!」
 白銀の『イカルガ』を守るように無数の『イカルガ』が飛ぶ。
 まるで飛蝗のようにステラと『ノイン』の間に横たわる大河のように。

「……その言いよう、まるで全て知っているかのような……いえ、その突っかかり方! まさか元カノ!?」
「邪推だな、猟兵。みっともないな」
「いえ、あなたのヒステリー具合もそうとうなものでは? それに、私はヤベーだけです」
「言っていて、悲しくはならないかね」
 そんなやり取りの後ろでルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は唸っていた。
 空気が、とかそんなレベルじゃない。
 彼女はどうにもおかしいと思っていたのだ。
 何を、と問われたのならば、自分のヴァイオリンである。先程の演奏はとても見事だった。素晴らしいものだった。誰もがそう思った演奏だった。

 けれど、ルクスは首を傾げていた。
 なんだかいつもの感じと違っていたのだ。
「むー。むむー。むむむー」
 そうやって唸るものだから、ステラは何事かと思ったが今はスルーしていた。というか、なんか嫌な予感もするし、不穏な音さえ聞こえてきている。
「あっ! やっぱり! チューニングがおかしかったんですね。ほら、ステラさん、先程の演奏は失礼しました! いつもと違う音がしてたんですよ! 調律は帰ってからするとして、今回はしっかりチューニングしてある……」
 ステラは背後でそれを聞きながらシリアスとほんわかした空気の板挟みになっていた。
 それどころじゃないんだけど、その話今しないとだめですかね、とか思っていた。

「てれれてってれー! クラリネットー♪」
 どこかの青いたぬきみたいなロボットのお腹のポッケから、ぽいんと取り出されそうな音と共にルクスはクラリネットを構える。
「あの、戦いですよ?」
「もう、わかってますよ! 空を飛ぶ敵なんです。何でもかんでも弾けば良いものじゃないことくらいわたしだってわかってますもん! なので!」
 にっこーと光の勇者スマイルが迸る。
 同時にそれはユーベルコードの輝き。
 何を、と思う暇もなかった。というか、完全にルクスは戦いを演奏会かなにかかと思っていやしないだろうか。
 直近の戦いにおいて使用するユーベルコードは大抵もう勇者という名にはあまりにも似つかわしい……演奏家というのがしっくり来るほどのものばかりであった。

「『魔弾の射手』序曲(マダンノシャシュ・ジョキョク)、いきますよー! あっ、でもステラさん。一応確認しておきますけど、難しいお話は終わってますよね? 戦わなくて良いってことがないっていうのは」
「ないです。どう考えても敵はオブリビオン。オブリビオンは滅ぼすしかないでしょう。っていうか、演奏はダメですよ……ってもう演目まで決めてるじゃあないですかやだー!!」
「えーだって、さっきのはチューニングされていないみっともない音でしたから! だから、今回はしっかりと決めた演奏をしたいんです!」
 ふんす。
 クラリネットを構えるルクスの瞳は当たり前のようにユーベルコードにきらめき、その音と共に宙を舞うのは音符型の爆弾。

「それに自由に空を飛べるとか言ってましたけど、わたしの演奏と浮遊音部で動きを制限しちゃいますから!」
 彼女の言葉通り、『イカルガ』はルクスの音部型爆弾で動きを鈍らせていた。
 放たれたアサルトライフルとマイクロミサイルと激突して爆発を引き起こす。その爆発に煽られて、体勢をくずしているのだ。
 いや、本当にそうか?
 どう考えても演奏部分でやられていやしないかとステラは思わないでもなかった。

 だが、今はそれは考えてはならない。
「空を飛ぶキャバリアが『イカルガ』だとでも思っているのなら、それは否定いたしましょう!『フォルティス・フォルトゥーナ』! 空を駆けることで私達が負けようはずもありません!」
 これは命がけである。
 ルクスの演奏中に空を飛ぶ。
 別段『イカルガ』の攻勢の激しさで命を落とす可能性がある、とかそういうのではない。単純に耳がやばい。
「アン・ナンジュ・パス! 天使が通りますよ!」
 その言葉と共にステラは鳥型キャバリア『フォルティス・フォルトゥーナ』と共にルクスのユーベルコードによって体勢を崩した『イカルガ』を撃墜しながら『ノイン』駆る白銀の『イカルガ』へと続く道を切り開く。

「『熾天大聖』様、『ノイン』様を! やっちゃってくださいませ!」
 その言葉に大鴉の翼が羽撃く。
 手にするのは二刀。
 蒼炎と雷やどすニ刀の斬撃は、武の天才とでも言うかのような凄まじい連撃で持って白銀の『イカルガ』の装甲を切り裂く。
「どうだい、『フュンフ・エイル』。君の願った『平和』だ。その結果だ。わかるだろう、これが!」
「例え、『平和』が争いの後先にあるのだとしても」
「『熾天大聖』、君が願った。叶えたのが誰かなど問題ではないさ!」
 そのやりとりを聞きながステラは頭を抱える。
 頭痛がすんごいのである。

 なんか今重要なことを言われてるような気がする。
 けれど。
「あれ? なんでみなさん頭を抱えてるんでしょう?」
 ルクスがクラリネットを持ちながら首を傾げる。
 戦場に居た者たちはみんなおもった。ステラも思った。
 |それ《演奏》のせいだと――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
熾天大聖。彼等に託しても大丈夫でしょうか?
……はい、きっと、のまれない。

亡国の主が溜め込んでる|霊物質《エクトプラズム》で、
破壊の【呪詛】を秘めた|『霊物質製如意棒』《マジックアイテム》を複数創造、虎獣人たちに譲渡し戦力強化。
指定技能:心眼(回避及び命中率強化)

その心で正しくお使いください。
……さぁ、主よ!戦おう!壊そう!!

亡国の主操縦メガスラスター【空中機動】
自身の【瞬間思考力と動体視力】でイカルガ共の機動を【見切り】
BX双剣変形フォースサーベルで【武器受けカウンター】
連続攻撃の間隙にサーベルを突き立て破壊、ブレス攻撃や、
BS-B戦塵縛鎖を無数に生やしコックピット狙いの【貫通攻撃】でも破壊。
【第六感】でノイン機の攻撃を凌ぎ
【早業】熾天大聖と連携、機動先を潰すように攻め立て

如何に空を自由に飛ぼうと!!
|我ら《・・》の闘争心から逃れられると思うな!!!

虎獣人たちによる【不意打ち】高速伸縮で如意棒刺突【部位破壊】
ノイン機を破砕させ、そこへ【追撃】フォースサーベルで【切断攻撃】
深追いはしない。



「僕が願ったのは『平和』だ!」
 蒼炎と雷纏うニ刀の斬撃が『熾天大聖』から放たれ、白銀の『イカルガ』の装甲を切り裂く。
 コクピットハッチが切り裂かれる。
 けれど、浅い、と言わざるを得なかった。『ノイン』は除くハッチの傷跡から笑う。
「だから、この争いは君の願いのせいではないと言いたいのだろう。『フュンフ・エイル』、『熾天大聖』! 君の存在そのものが、争いを呼び込む。『平和』の後先と君は言ったな。『平和』があるから争いがあると知るが良い!」
 地上で激突する一騎と一人。

 その空を無数の『イカルガ』が宝貝『風火輪』の炎を噴出させながら飛翔する。
「『熾天大聖』。このままでは……」
「ええ、わかっています。質はあちらが上、数も上。であれば」
「すり潰される。ならば……いえ、ですが」
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)はジャイアントキャバリア『亡国の主』を借り、『ノイン』の駆る『イカルガ』より吹き飛ばされた『熾天大聖』を見やる。
『これ』が最善であるとは思えなかった。
 けれど、この一手を打たねば、『幇』の虎獣人たちは生き残れないだろうこともまた事実だった。
 質と数。
 それによって戦いの趨勢は未だ拮抗している。破壊しても破壊しても『イカルガ』は次々と敵拠点から飛び出してくる。

 せめて、白銀の『イカルガ』駆る『ノイン』だけでも打倒できていたのならば、戦況も違うものであったはずだ。
 けれど、それはないものねだりと一緒だった。
「彼等にたくしても大丈夫でしょうか?」
「信じるしかないでしょう。誰もが多くことを間違える。重要なのは」
「はい。如何にして間違いから立ち上がるか。あの方々はそれをもう知っている。きっと……ええ、きっと、飲まれない」
 ならば、と小枝子は己の瞳をユーベルコードに煌めかせる。

「『亡国の主』よ! その溜め込んだ呪詛を! 執着を! 霊物質を吐き出せ! 創造しろ、己が中にあるものが別の形を成すことを!」
 その言葉に『亡国の主』のアイセンサーが煌めく。
 口腔より吹き出す霊物質。
 それが扇状に広がり、形をなしていく。
 ユーベルコード、ミミックトレジャー。
 霊物質によって生み出されたマジックアイテム。それは次々と『幇』の虎獣人たちの手に新たな武器をもたらすだろう。
 彼等の技能。
 戦いにおける技能を急激に上昇させる。
 そして、彼等は知るだろう。

 己達の視界が生き残るためにどうしなければならないのかを。
「これは……!」
「その心で正しくお使いください」
 それが小枝子の願いだった。
 武器は人の心を荒ませる。確かに生き残る力を与えるかもしれないけれど。だが、それは表裏一体だ。生き残るために誰かを害しなければならない。
 故に、転ずる。
 善意が悪意に変わるように。
 だが、今ならばと小枝子は思うのだ。生き残ることもまた戦果だと知るのならば、彼等は生命をなげうつことはしないだろう。
「……さぁ、主よ! 戦おう! 壊そう!!」
 小枝子の言葉と共に『亡国の主』が咆哮する。

 メガスラスターの推力と共に一気に戦場を駆け抜ける。
 迫る『イカルガ』の放つビームソードの一撃を受け止め、サーベルで切り払い、霊物質のブレスを浴びせる。
「余計なことをしくれたものだ」
「『ノイン』!」
 小枝子は『イカルガ』の影より迫る白銀を見た。
『ノイン』の駆る『イカルガ』の損傷は激しいものであったが、しかし宝貝『風火輪』から得る炎噴出する攻防一体の機動は、『亡国の主』を苦しめる。
「彼等は此処で滅びるべき運命だったのだよ。徒に闘争心を囃し立てられ、『平和』の礎になるべきだった。だというのに!」
「貴様の言う事は尤もなのだろう。だが、貴様は見くびりすぎだ。人を!」
 その言葉と共に虎獣人たちが手にした如意棒の一撃が『ノイン』の駆る『イカルガ』の機体の体勢を崩す。

 ぐらりと揺れる機体。
「ッ……! 三下風情が、私を!」
「その見下す思考が、そうやって誰かを貶めずにはいられなくする! それを、その思考を!」
 小枝子は『亡国の主』の握りしめたフォースサーベルの一閃を叩き込む。
「自分は、破壊する――!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
ううむ…びゅんびゅん飛ばれると面倒な…
デカいハエ叩きが欲しくなるよね
けれどもどれだけ早く飛ぼうとも、飛ぶだけじゃあ意味がない
スピード出し過ぎ事故の元…ってね

《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
【Code:T.S】起動
雷刃形成、最大延長!
形成した雷刃で空のイカルガに対して『なぎ払い』
狙いを付けつつ、二刀をブンブン振り回して雑に機体にダメージを与えていこう
更に『斬撃波』も発生させて飛行軌道を阻害しつつ、墜落させたり雷刃で斬り裂いてしまおう
回避の為に速度を落とした奴は狙って攻撃して落としていこう
さあさあ、曲芸飛行は得意かな?
腕が悪い人はご愁傷様
事故保険はちゃんと入ってるかな!



 空は『宝貝オブリビオンマシン』、『イカルガ』に埋め尽くされていた。
 敵拠点から無尽蔵のごとく湧き上がる機体。
 脚部に宝貝『風火輪』を組み込まれた機体は、噴出する炎によって機動と攻撃を同時に可能としていた。
 そして、何より体高5m級の戦術兵器が自在に空を駆け抜けるという異常事態。
 クロムキャバリアの空であったのならば、暴走衛生からの砲撃の可能性があるゆえに、飛翔できたとしても速度か高度を制限される。
「そこまで脅威じゃなかったんだけど……さすがに高性能量産機っていうのは、ううむ……びゅんびゅん飛ばれると面倒な……」
 しかも、敵のオブリビオンの指揮官『ノイン』の指揮能力によって編隊じみた行動を取っている。正直に言えば厄介そのものだった。
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は唸る。

「デカいハエ叩きが欲しくなるよね」
 そう言って、玲の瞳がユーベルコードに煌めく。
 抜き払った模造神器の刀身が雷を迸らせながら、その刃を形成していく。
 Code:T.S(コード・サンダーソード)。
 玲の持つ模造神器の出力を引き上げる。その様は正しく彼女が言ったように……。
「雷の、ハエ叩き……?」
『幇』の虎獣人たちは戦場に掲げられる玲の模造神器の刀身を見上げるしかできなかっただろう。
 長大な刀身。
 それは正しく天を穿つかのような威容でありながら、同時に玲の言葉を聞いていたせいで、『そう』としか思えなく鳴っていた。
「雷刃形成、最大延長! どれだけ速く飛ぶのだとしても、飛ぶだけじゃあ意味がない」
「……! 全機、回避行動を取れ!」
『ノイン』の声が聞こえる。

「もう遅い! スピード出しすぎ事故の元……ってね!」
 おらぁ! と玲の裂帛の気合いと共に最大まで延長された雷の刃が戦場を横薙ぎに振るわれる。さらに、それは一刀ではない。ニ刀である。一刀の一撃で薙ぎ払えなかった機体をもう一刀の一撃が襲う。
 二段構えの連撃。
 爆散して戦場の空に残骸を撒き散らす『イカルガ』の機体。 
「くっ……残存している機体は、編隊を組み直せ……!」
「事故っちまったやつは|不運《ハードラック》と|踊《ダンス》っちまったんだ……っていうアレ! そういうやつ! だからさぁ」
 雷刃の一撃はただ薙ぎ払うだけではない。
 振るったことにより、高出力の雷そのもの刀身は空気の層をぶち抜く。すなわち、音速を超える。音速を超えた瞬間に起こるのは何か。

 そう、|衝撃波《ソニックブーム》である。
 彼女の振るったニ刀の斬撃は、振るうだけで音速を超えて衝撃波を撒き散らす。その衝撃に次々と『イカルガ』は飛行を阻まれ墜落していく。
 そこに『幇』の虎獣人たちが殺到すれば、これを討ち取っていくのだ。
「どうやら曲芸飛行は不得意のようだね。その脚部の『風火輪』……推力を得ることばっかり考えているからそうなる。ご愁傷さま! 事故保険はちゃんと入っているかな!」
「……! こちらの編隊を崩すことばかりを……!」
 その言葉に応えるように玲は雷刃のニ刀を振るい、戦場に嵐のように立ち回るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

わぉ!本当にお腹いっぱいになりそうな数がいるじゃないか!
じゃあ全部は無理でもおやつ代わりに頂いちゃおうか!

●ぱくぱくもぐもぐ
素早くとも狙いは読めるんだからそこは[球体]くんたちで獣人くんたちを銃撃から守っていこう!
そうなれば指図しているボクを狙うのが常道かな?でもボクはもちろん【第六感】で回避していく!
そしてそう、そうやって攻撃を敢えて受けて引きつけることこそが……狙いさ!
とUC『神罰』で巨大化・強化された[餓鬼球]くんで空間制圧攻撃……つまりまるごっとぱっくんしてもらおう!

じゃあね~!
今日はもうお腹いっぱいだから…また遊ぼうね!約束~!



「わぉ! 本当にお腹いっぱいになりそうな数がいるじゃないか!」
 目の前に溢れるは『宝貝オブリビオンマシン』、『イカルガ』。敵拠点から溢れるようにして飛び出す敵機の数は膨大であった。
 これら全てを滅ぼすことは恐らく不可能であろう。
 何より共に戦う『幇』の虎獣人たちの消耗を考えなければならない。彼等を無事に還すためには猟兵達の働きが鍵となっている。
「じゃあ、全部は無理でもおやつ代わりに頂いちゃおうかな!」
 とは言え、とロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は首を傾げる。

 見上げる先にあるのは空を埋め尽くす飛蝗の如きオブリビオンマシン。
 いずれもが脚部に宝貝『風火輪』を組み込み、機動と攻撃を兼ね備えた炎を噴出させている。
 その凄まじさは質と数を兼ね備えた凄まじき敵であったこだろう。
 加えて、この敵の群れを指揮する指揮官もまた優秀であった。どれだけ猟兵に数を減らされようとも、それを補うようにして編隊を組み直す指示を出しては、拠点を守る防衛の力を落とさないのだ。
「ま、どれだけ速く動くのだとしてもさ、狙いは読めるんだから!」
 アサルトライフルの弾丸が『イカルガ』から放たれる。『幇』の虎獣人たちは、その弾丸を躱すことで精一杯だった。
「ダメダメ。躱すことなんて考えていちゃあね! だから、ここはボクにまかせておきなよ!」
 その言葉と共にロニは球体を掲げる。
 巨大化する球体。
 複製されて行く球体が戦場に存在する『イカルガ』の攻撃を受け止め、『幇』の虎獣人たちを守るのだ。

「球体……主は、あれか!」
『ノイン』は白銀の『イカルガ』を駆り、突如として戦場を埋め尽くして獣人たちを守る球体の正体を知る。
「攻め込みながら専守とは、ちぐはぐだぞ、猟兵!」
 その言葉と共に『イカルガ』がロニへと殺到する。
「うーん、思い切りのよい指示! ボクがこの球体を操っていると看破した瞬間に差し向けるなんて。でも、遊びが少ないなぁ。それじゃあさ!」
 煌めく瞳。
 ユーベルコードの輝きと共にロニは掲げた球体をさらに巨大化させる。

 掘削球体。
 その回転する表面はあらゆるものを削り取るだろう。そして、顎をもたげるようにして迫る『イカルガ』を噛み砕いていく。
 凄まじいまでの力。
 空間制圧、とでも言えば良いのか。
「隠し玉っていうのは持っておくべきだよね! さあ、球体くん、まるごとぱっくんってしてみよっか!」
 戦場を席巻する球体。
 その巨大さ、その強靭さを前に如何に『宝貝オブリビオンマシン』として強化されていようとも装甲が持つわけがない。
 蹂躙撃のように凄まじい勢いで『イカルガ』が砕かれていく様をロニは見やりながら手をふる。

「今日はお腹いっぱいだから……うん、これくらいにしておこっか。また遊ぼうね! 約束~!」
 ロニはそう告げ笑いながら巨大化した球体の上で午睡するように蹂躙した戦場を後にするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イーブン・ノルスピッシュ
彼らが……俺達が蜂起せざるを得ない状況に追い込んでいるのは、他ならぬ|貴様ら《オブリビオン》だろう!
彼の正義をくさす暇すら与えん
貴様の因果に然るべき応報を!

拡がる炎の向こう側から現れる、俺と同じ銃で武装した陽炎達
真っ直ぐノインを狙いに行くが、どうせキャバリアに阻まれるのだろう
その分、幇達の方へ向かう機体が減るなら丁度良い
〝俺達〟にとっては、制限の無い空を飛び回るキャバリアとの戦闘など慣れたものだ
互いを足場にしながら空中を跳び機動する
一機に対して複数人で追跡
武装と推進装置を優先的に破壊
ミサイルに狙われたら他の敵機に取り付いて巻き添えを狙おう

追い詰められた獣人の底力を舐めるなよ、オブリビオン!



「こちらの損耗率は三割を切ったか……拠点は守られるだろうが、戦い、というのならば私の敗けだな、これは」
 白銀の『イカルガ』を駆るオブリビオン『ノイン』は切り裂かれて露出したコクピットの中で息を吐き出す。
 猟兵のことを侮っていたわけではない。
 過大評価していた、と彼女は思うようだった。これまでの猟兵の動きを鑑みるに、この拠点の重要性は言うまでもない。滅ぼさなければ、超大国『人民租界』から補充の兵器が運び込まれるだろう。
 けれど、猟兵たちがしたことは。
「『幇』の獣人たちの生還を目的としている……結局、君らは彼等を徒に煽っただけではないかな?」

 その言葉に號、と大気を震わせる炎が立ち上がる。
「彼等が……俺達が蜂起せざるを得ない状況に追い込んでいるのは、他ならぬ|貴様ら《オブリビオン》だろう!」 
 オブリビオンマシンの残骸と炎が埋め尽くす戦場、その炎の書き割りからイーブン・ノルスピッシュ(戦闘猟兵・f40080)は、その巨体を揺らめかせながら一歩を踏み出す。
「そうかな? 人っていうのは争うのが好きな生命だ。争いにさえ意味を見出そうとする。生きるために、己が他者の命を奪うことを肯定することに躍起になる。それをさ――」
「黙れ」
 怒りに滲む声が響く。
 立ち上る炎の勢いは凄まじいものだった。イーブンの瞳はユーベルコードに煌々と輝いていた。
「彼等の正義をくさす暇すら与えん。彼等が戦うのが己のためだと言うか。戦わずにいられる生命が何処に有る。お前の言葉は、どれもが他者を貶める言葉でしかない」
 イーブンは息を吸い込む。
 吐き出した吐息は炎を含むように大気を揺らめかせた。

「貴様の因果に然るべき応報を!」
 瞬間、彼のユーベルコードが戦場に広がっていく。
 胸を満たすは衝動的な敵対心。これは己が猟兵であるからとか、敵がオブリビオンであるからなどという些細なことではない。
 気に食わない。
 ただ只管にそれだけであった。
 目の前の存在が、他者をあおり、貶め、苦しめる言葉しか吐き出さぬ存在を許してはおけぬという心だけがイーブンの胸のうちを満たし、炎を纏う様々な獣人らしき黒い陽炎を生み出していく。

 きっとそれは、悪霊たるイーブンの元型衝動【憎悪】(アーキタイプド・ダウンフォール)である。
 それがあるからこそ、彼は其処に存在している。
 飛び出す陽炎。
 衝動的なまでに飛び出す彼等は、イーブンの意志の介在を許さない。
 ただ只管に、敵を滅ぼすことしか考えていない。
『ノイン』を睨めつけるイーブンの視線を遮るように『イカルガ』がマイクロミサイルを解き放ち、空を駆け抜けて炎を撒き散らす。
「ちょうどいい」
「なにがだい?」
「彼等に砲火が向かない。ああ、そうだ。砲火を向けるのは“俺達”だけでいい!」 
 咆哮と共にイーブンも駆け出す。

 巨大な改造銃をまるで重さがないかのように振るい、イーブンと黒い陽炎の獣人たちは引き金を引く。
 弾丸が放たれ『イカルガ』の胴を撃ち抜く。
 だが、迫る『イカルガ』は宝貝を組み込むことによって、飛翔を可能としている。そして、体高5m級の戦術兵器が空を舞うということは、すなわち、その戦場を三次元のものとし、戦術の幅を広げるという意味を持つ。

 だが、イーブンは構わなかった。
「“俺達”に『それ』は慣れたものだ。制限がないからどうした。それは、こちらも同じだぞ、オブリビオン!!」
 黒い陽炎の獣人達の背を蹴ってイーブンは飛ぶ。さらに彼の体を足場にして、さらに黒い陽炎の獣人たちが飛ぶ。
 兎の獣人。 
 それが彼等だ。
 彼等の脚力は言うまでもなく強靭。本来の生物としての特性を考えるのならば、それは肉食動物から逃れるために発達した後ろ足であろう。

 けれど、獣人となり、衝動たる憎悪を持つ彼等にとっては対極の意味を持つ。
 すなわち。
「敵めがけて飛ぶようにして迫る、だ!」
 それはまさに網目。
 敵の悪意を漏らさず捉える天網恢恢疎。イーブンたちが飛び、ミサイルを撃ち落とし、爆炎の最中をイーブンは走り抜ける。
「追い詰められた獣人の底力を舐めるなよ、オブリビオン!」
 改造ライフルの銃口が白銀のオブリビオンマシンを狙う。引き金を引くのにためらいはいらなかった。

 放たれた弾丸は壁となる『イカルガ』を打ち抜き、貫通し、『ノイン』の『イカルガ』へと迫る。
 だが、空中でアンダーフレームを放出し、身代わりとすることで彼女は難を逃れる。
「ふっ……いいだろう。今回は私の敗けだ。だが」
「聞かぬ。オブリビオン。お前の言葉は。俺達は猟兵だ」
 過去の化身は滅ぼす。
 その憎悪の炎と共にイーブンは戦場をかき乱し、『幇』の虎獣人たちと共に撤退用の洞穴へと駆けていく。
 迅速果断な撤退。
 それは猟兵達の力と『幇』の獣人たちが生きて還るという石を見せたからこそ示された未来。
 全滅の予知を覆し、戦果を持って帰還を果たした瞬間だった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年07月16日


挿絵イラスト