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グランシスコ復興支援作戦

#クロムキャバリア #ノベル #カメリア大陸 #ワイルド・ウォードッグ

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数宮・多喜
【渡り禽】

……あんにゃろうども。
何を使ったのか、その意味を分かってやってるんだろうな?
もし解った上での行動なら、つくづく救えねぇな。
まあいいさ、まずはこの環境を少しでもマシにしねぇと!

放射線からの防護のために宇宙服を着込み、Overedに搭乗する。
小烏さんから札を借りて、特にヤバそうなブツがあったらすぐ回収、隔離に努めるよ。
まぁ目視でしか判断できないから、詳しい汚染度数の多寡は後からリリーセンセや中小路さんといった専門家に診てもらうとするさ。
そもそもが陸戦機のOveredだ、道路を拓かないと動けないからね。
まずは周囲を【超感覚探知】のテレパスで走査し、生存者がいないか確認するよ。
見つけたなら即座に味方へ連絡、救助を要請して、と。
さて、それじゃ早速土木工事開始と行きますかね!

【道拓く爪】で交通路を塞ぐ散乱した瓦礫を跳ね除けて、ともかく陸路の開通を目指すよ。
何せ港湾地域……海の玄関をやられたんだ、陸の孤島にする訳にゃいかないからね。
射線がクリアな状態なら少し荒っぽいけど、【多層重砲展開】も併せてぶっ放して通行路を確保する。
朱鷺透さんの人海戦術とも連携して、汚染が少ない地区になるべく早く移動させられるようにしないとね!


朱鷺透・小枝子
【渡り禽】

潰し合い、奪い合いが常の世界とはいえ、
占領を考えない破壊工作。これは、いけない。

まずは、この状況を壊さなければ。

ユーベルコード『灯火の戦塊』にて、建築用の自律キャバリア百四十機を稼働。
アイテム|機械絆《メカニカルボンド》で自律キャバリアの管理統率、
お味方との通信連絡も常に行います。

数万人規模となると、相当な坪数が必要となります故、
現地の部隊やヴィリー殿に判断を仰ぎ、
管理統率している自律キャバリア達へ指示を送ります。

自律キャバリアの半数を資源の回収と搬送に。
リリー先生殿や中小路殿が除染・変換してくださった資源、
小烏殿の貼ってくださった札を通してスクラップヤードから、
有り難く資源を回収させて頂きます!

そしてもう半数で建設可能な土地に避難民の仮設住宅を建設してゆきます。
【継戦能力】|脳器官《バトルブレイン》によって集中力維持。
夜通し作業であります。

更に、サイキックキャバリア:デモニック・ララバイと、
広範囲に配置したBS-Fドロモス・コロス達で【楽器演奏】
自分や小烏殿、数宮殿の工事の騒音を打ち消し、
また精神を落ち着かせるBGM【催眠術】を流します。
避難民も兵士達にも、心の整理や明日も戦う為にも、まず休息は必要。
楽しい夢とは行きませんが、悪夢や不安を一時的に取り除き睡眠の質を向上させます。

自分は元兵士、必要ならば何時間でも何日でも戦えるであります。
おまかせください!


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【渡り禽】
※愛称:リリー先生

やれやれ、CBRNE事案ならアタシの出番だね
ま、八面六臂で疲労困憊の覚悟はしとくか

非合法機動医療艇【ファルマコン】で現地入り
コレは9両編成の超巨大ホバートレーラー
元は実家製軍用車だから耐久性抜群
破壊された街路や海上も平気さ

アタシ自身は【ジオ・アライアンス】で遠隔《操縦》しつつ医療担当
各部署の人手は女子型ドローン隊【マーチング・ワスプ】充当
【コード・テスタロッサ】の生体電脳と《瞬間思考力》で
UC【ノーブル・オブリゲーション】の広域除染も並行

即応防衛部隊の核シェルター救援も想定するけど
ホバーの強風でもナノマシンや粒子の散布が
十分行き届かない所は楓椛さんお願いっ
よし、コレなら…多喜さん、ソコ進路開拓イケるよ

色々ヤるけどトラウマ等を抱えた人も多い筈
手が空いたらUC【ナイスジョーク・ホワイトアイ】で
負傷有無問わずカウンセリング実施かね

●1~3号車
多層階構造の大型病院船、標榜科多数♪
放射線障害も自慢の《医術》と器材で対処可
野戦病院や避難所を回り医療支援に当たろうか
(猟兵故トリアージ救命基準は広く使用技術も多岐)

●4~9号車
キャバリア対応陸上空母、ドック付き♪
天面飛行甲板も使って広域救援&物資輸送
(必要なら前3両から解結、別行動も可)
小枝子さんの手駒も数十機単位で一度に運べるよ
安芸さんのお札、コッチ側にも数枚配置しとくね
ヴィリーさん出撃?人数多いし通信&管制は任せてっ


ヴィリー・フランツ
【渡り禽】6人
リーゼロッテ・ローデンヴァルト(f30386)
中小路・楓椛(f29038)
朱鷺透・小枝子 (f29924)
数宮・多喜(f03004)
小烏・安芸(f03050)

目的:カメリア合衆国グランシスコ市内でのCBRNE災害対応

なんてこった、グリモア猟兵の予知を掻い潜るとはな。
俺達は後手に回ってるが、今はその対応に回るしかない、幸いにも同僚の協力も得れたから…やれる事をやるしかない。

やる事:防人少佐の仲介の下、現地の救援部隊と会談(軍服+勲章を着用)、こちらの支援内容と現状の必要事項のすり合わせを行う、俺が実働部隊の指揮官みたいなもんだからな。
【宇宙海兵強襲部隊】の派兵認可が降り次第部隊を編成、第一中隊と第二中隊は駐屯部隊と共に散発的に妨害を仕掛けてる狙撃手の排除、場合によっては俺も同行して指揮を取る、相手は少数、400人のローラー作戦でシラミ潰しにしてやる。
第三中隊は爆心地から八キロ圏内を捜索、生存者の探索と確保を現地の軍や消防と協力して行う。
リリー先生のファルマコンの収容力と即応力を大いに活用しよう、使える手は全て打ってくれ。

数宮に小烏はインフラ復旧、中小路はリリー先生と共同で除染に当たってくれ、それと資材の生産もだ。

朱鷺透は被災者への仮設住宅の建設を頼む、ぼちぼち雨季になる、何時までもテント暮らしじゃ伝染病や精神的にも参ってしまう、戸数からも大変だろうが、よろしく頼む。


中小路・楓椛
カメリア合衆国グランシスコ市内でのCBRNE災害対応の執筆を依頼します。

【渡り禽】

基本対応は除染浄化の為の極大範囲内における原子分解並びに原子核や電子に別宇宙からのエネルギー導入による原子崩壊の抑制そして放射能喪失化、そして浄化完了後の原子群再構成による各種土木建築用一次素材及び大量の飲料水の再構成。

装備【ばーざい】全技能行使、【神罰・呪詛・封印を解く・限界突破】併用にてUC【といりあにめいたー】起動、トケイノヒトガタ10機1単位で13種のフォースフィールドを発生、隔離作業領域を展開。13工程による分解選別純化放射能喪失再構成を極超高速流れ作業で実現。

周辺の大気を含む物質、旅団メンバーから提供された廃棄資源を有効活用。スクラップヤードから搬送された廃棄物も順次再生。
先生のナノマシンの届かない処も除染します。資源再生/確保の次は重度汚染区域付近を浄化して廻ります。
海水やヘドロも半径数キロ単位で回収浄化して飲料水も確保、来た時よりも美しく。
──あ、私はニンゲンとは存在のありようが少しばかり異なるので被爆に関しては心配無用ですヨ?

(恣意的に目立つ話術言動の裏で隠れた残り1機のヒトガタには放射性廃棄物から核変換にて銃弾サイズのカリホルニウム252ぺレットを多数合成させ呪術核として此処に没した全ての人々の怒り憎悪怨念を憑依させる)

因業清算に世界摂理の天秤も多少は目溢しがあると信じますよ?


小烏・安芸
【渡り禽】

キャバリア絡みは裏方仕事専門なんやけど、なるほどこれはウチの出番やな。やることは多いしこういう時こそ役割分担、除染と医療支援はお味方に任せてこっちは工兵担当や。

まずは『グレイヴヤードへの招待状』のお札配って皆がガレージ兼スクラップヤードと行き来できるようにしておくで。安全な作業スペースとかリリー先生が受け持つ避難民の一時退避場所としても使えるし、小枝子ちゃんとこで建築用のリソースが必要そうなら積んであるスクラップを楓椛ちゃんに変換して貰えば役に立つやろ。急場しのぎにしかならんかもやけど水と簡易食をコンテナに詰めて置いとくから配っといてー
ああ、遠慮とかいらんいらん。備蓄いうのは使うためにため込むもんや。

で、ガレージから引っ張り出してくるんはウチ用の量産型キャバリア『第駆』や。多脚型のヴィーグルアンダーやから凸凹道でも瓦礫の山でも動けて、作業用の重機として使う分にはええ仕事してくれるで。
とはいえ車両とか普通のキャバリアはそうはいかん。救助や避難するにも生活立て直すにも身動きとれんとどうにもならんし、目下のお仕事は主要そうな道路の復旧やな。
路を平らにするんは多喜ちゃんに任せて、こっちは邪魔になりそうな瓦礫やら残骸やらをどかしていくか。纏まった塊はスクラップヤードに持ち帰ってリソースに変換してもらお。
あとこの子、対キャバリア戦はさっぱりやから敵性勢力の排除はヴィリーくんに頼むわ。



 ワイルド・ウォードッグによって引き起こされたカメリア合衆国での同時多発テロという悲劇的な事件から数日後。核兵器による攻撃を受けたグランシスコでは今でも核の爪痕が大きく残されており、復興に大きな障害が生じていた。そんな中、グランシスコの南方面軍司令部にてとある一団が防人・拓也(独立遊撃特殊部隊ファントム指揮官・f23769)の案内によって、訪れていた。
「バスク司令官。こちらは今回の復興支援に協力してくれる猟兵の皆さんです。ヴィリーさん、こちらが南方面軍司令官のバスク・オズワルド大将です」
拓也がそう言って、今回の猟兵達の代表であるヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)に現地の司令官であるバスク・オズワルド大将を紹介する。
「私がバスク・オズワルド大将だ。まさかこんな危険な復興支援に手を貸してくれるとは…君達はそこの少佐に負けないくらい大分お人好しのようだな。来てくれて感謝する」
バスクは微笑みながらそう言い、手を差し出す。
「いえ、礼は無事に作業を終えた後で構いません。自分達は貴国が核攻撃を受けた事に心を痛め、自主的に復興支援に集ったのであります。自分達にどうぞお任せ下さい」
軍服に勲章を身に着けた正装でヴィリーがそう返し、バスクが差し出した手を握り締め、握手を交わす。
「支援の内容は少佐から粗方聞いている。必要ならこちらも出来る限り支援する。だが、危険だと思ったらすぐに退避してくれ。君達の力を必要としている人々がここ以外にもいるだろうからな」
「ははっ、自分達はそう簡単にやられないのでご安心を。早速、作業に取り掛かります」
「うむ、頼んだぞ」
ヴィリーは挨拶を終えた後、今回の復興支援に集ったメンバーである中小路・楓椛(contradictio in adjecto・f29038)、リーゼロッテ・ローデンヴァルト(KKSなリリー先生・f30386)、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)、小烏・安芸(迷子の迷子のくろいとり・f03050)達の前に立つ。
「さぁ、始めよう。今回は数日掛かる長丁場になる。俺は宇宙海兵強襲部隊を指揮して、現地の部隊と共に狙撃手の排除及び生存者の捜索を行う。数宮に小烏はインフラ復旧を頼む」
「あいよ、任せな!」
「了解や」
多喜と安芸は頷き、ヴィリーはリーゼロッテと楓椛、小枝子の方へ向く。
「中小路はリリー先生と共同で除染に当たってくれ。それと資材の生産もだ。朱鷺透は被災者への仮設住宅の建設を頼む。ぼちぼち雨季になる。何時までもテント暮らしじゃ伝染病や精神的にも参ってしまう。戸数からも大変だろうが、よろしく頼む」
「分かったわ。ま、八面六臂で疲労困憊の覚悟はしとくか…」
「了解です」
「分かりました。頑張ります」
3人も頷き、彼らは早速行動に移るのであった…。

 現地の司令官に挨拶を済ませ、現在の状況を教えてもらった猟兵達の最初の仕事は該当地域へ向かう為の道と避難所周囲の安全確保であった。話によれば敵狙撃手がいるとの事で、ヴィリーが指揮する宇宙海兵強襲部隊の第1中隊と第2中隊が、カメリア合衆国の特殊部隊であるチャーリーオルカのチーム1とグランシスコ即応防衛隊の第5小隊と共に警戒に当たっていた。
「こちらタイフーン。アルファ1、現在の状況は? オーバー」
「こちらアルファ1。即応防衛隊と共に進んでいるが、状況はクリアだ。ブラボー1、そっちは? オーバー」
「こちらブラボー1。こっちもチャーリーオルカと進んでいるが、静かだ。本当に狙撃手なんて潜んでいるのか? オーバー」
「ブラボー1、油断するなよ。市街地に潜んだ狙撃手は厄介だ。常に周囲を警戒しておけ。狙撃は突然やってくるぞ」
「了解、タイフーン」
なお、彼らの後方にはリーゼロッテが持ち込んだ非合法機動医療艇『ファルマコン』という超巨大ホバートレーラーが6両が追随しており、それらには他の猟兵達が搭乗していた。
「ま、こんな大軍勢だ。奴らもビビッて、手出しはしな…」
即応防衛隊の第5小隊の誰かがそう呟いた時であった。突然銃声が鳴り響き、呟いた隊員の頭が撃ち抜かれる。
「敵襲! エコー1-4が撃たれた!」
「スモーク展開!」
第1中隊と即応防衛隊の隊員達は素早く動き、スモークグレネードを投げて煙幕を展開し、物陰に隠れる。
「こちらタイフーン。エコー1-4の容態は?」
「ダメだ、タイフーン。完全にぶち抜かれてる。この傷からして…奴め、対物ライフルを使ってやがる!」
ヴィリーの通信に第1中隊のリーダーであるアルファ1がそう答える。エコー1-4は既に事切れており、頭の一部分が吹き飛んでいた。
「ちょっと大丈夫? アタシのファルマコンが前に出て盾代わりになろうか?」
司令部にて『ICS/CX:DrLiLY-14019u ジオ・アライアンス [XA]』でファルマコンの遠隔操作をしているリーゼロッテがそう提案する。
「ネガティブだ、リリー先生。ファルマコンが前に出たら奴は撃ってこない」
その提案をヴィリーが即座に却下する。
「…こちらエコー1-1。俺が前に出て囮になる。その間に狙撃手を見つけて、仕留めてくれ」
すると、第5小隊の小隊長であるエコー1-1が声を上げる。
「待て、エコー1-1。それは危険過ぎる」
ヴィリーは即座に反対するが、エコー1-1は首を横に振る。
「あんた達が命を張っているっていうのに、俺達が命を張らない訳にはいかない。後は頼むぜ、海兵の皆さんよ!」
そう言って彼は物陰から素早く飛び出し、駆け出す。それを待っていたのか、銃声が鳴り響き、エコー1-1の近くに弾が着弾する。
「発見! 1時方向の10階建てのビルの7階だ! アルファ3、狙い撃て!」
アルファ1は僅かなスコープの反射光を見つけ、そう叫ぶ。
「了解!」
指示を受けたアルファ3は、エコー1-1が敵の気を引いている間に狙撃出来る物陰へと移動していく。その間にもエコー1-1は次々と狙撃を受けるが、何とか紙一重で走りながら避けていく。
「アルファ1、もうそろそろ限界だ!」
疲れが見え始めていたエコー1-1がそう叫ぶ。
「アルファ3、急げ! エコー1-1がやられるぞ!」
「後少し…捉えた! くらえ!」
アルファ3は構えた『ブルパップ式狙撃銃』のスコープで敵を捉えて、引き金を引く。放たれた銃弾は敵へと空気を切って突き進み、敵の頭部を貫通する。
「スナイパー、ダウン!」
「エコー1-1、無事か!?」
敵の排除を確認したアルファ1は今まで走っていたエコー1-1の様子を確かめる。
「ぜぇ…ぜぇ…何とか無事だ…」
エコー1-1は地面に大の字になって仰向けに倒れながら、大きく肩を動かして息をしながらそう答える。
「大した度胸だぜ、あんた。けど、あんまり無茶をすると長生き出来ないぜ?」
アルファ1はそう言いながら倒れているエコー1-1に手を差し伸べる。
「へっ、こんなの無茶の内に入らねぇさ…」
エコー1-1はそう返し、差し伸べられた手を握り、立ち上がる。
「そうかい。じゃあ、仕事の続きに戻ろうか」
「ああ、まだ奴らが潜んでいるかもしれんからな」
そう話した彼らは再び警戒へと戻る。こうした彼らの活躍により、敵狙撃手達は排除されていき、該当地域へ向かう為の道や避難所周囲の安全確保が進んでいくのであった…。

 道の安全確保が済んだ後、次に行われるのはインフラ復旧と除染作業だ。ヴィリーが指揮する第3中隊や現地の消防団、即応防衛隊のサポートのもと、インフラ復旧を行うのが多喜と安芸、除染を行うのがリーゼロッテと楓椛だ。
「先ずはアタシと楓椛が除染するわね」
放射能汚染が中程度に危険な8kmに入った一同。最初にリーゼロッテが『Op.XLV:NOBLE OBLIGATION』を発動し、指向性制御ナノマシンと除染用特殊粒子を爆心地を含めた危険地域に降り注がせ、除染していく。
「次はわたしの番だね」
続いて楓椛が『焜鉾「ばーざい」』を手にして『物質分解再構築術式:といりあにめいたー』を発動し、トケイノヒトガタを100機以上召喚して10機1隊とし、13種のフォースフィールドを発生させて、隔離作業領域を展開。13工程による分解選別純化放射能喪失再構成を極超高速流れ作業を行っていく。
「…うん。汚染濃度が安全値まで下がったね。多喜さんと安芸さん、出番だよ!」
「うし、任せな!」
「ほい、任された!」
リーゼロッテの言葉を待ってましたと言わんばかりに、ファルマコンから多喜が操縦する『Overed』と安芸が『グレイヴヤードへの招待状』によって作られたガレージ兼スクラップヤードから持ち込んだ『第駆』達が次々と降りていく。
「先ずは生存者の確認だね!」
そう言った多喜が『超感覚探知』を発動し、生存者の有無を確認する。周囲にテレパスを送るも、全く感じられない。
「…残念だけど、生存者はいないみたいだね。くそっ…あんにゃろうども。何を使ったのか、その意味を分かってやってるんだろうな?」
怒りの表情を露わにしながら、多喜はそう言う。
「多喜ちゃん。気持ちは分かるけど、今はウチらで出来る事をやっていこうや」
「…そうだね。まずはこの環境を少しでもマシにしねぇと!」
安芸の言葉を聞いて、両頬を両手でパチンと叩いて気合を入れ直した多喜。彼女達は道を塞ぐ瓦礫などの撤去作業を始めていく。安芸の『第駆』達が邪魔な瓦礫などを撤去していき、その後に多喜が『道拓く爪』を発動して、細かい瓦礫などを吹っ飛ばし、凸凹の道を平坦な路面に整地していく。
「楓椛ちゃん、このスクラップを建築用のリソースに変換頼むわ」
「分かりました」
ある程度瓦礫などのスクラップがスクラップヤードへ溜まったところで安芸が楓椛を呼び、楓椛が溜まったスクラップを建築用リソースへと変換する。
「小枝子さん、変換終わりましたよ。持っていって下さい」
「ありがとうございます、楓椛さん。使わせて頂きます」
そこへ小枝子が『灯火の戦塊』で召喚し、待機させていた建築用の自律キャバリアの70機がやって来て建築用リソースを回収し、仮設住宅建築予定地へと運搬していく。除染、生存者確認、瓦礫撤去及び整地、建築用リソースへの変換…このような流れ作業が幾度も続いていき、遂に危険な5km圏内へと入っていく。
「情報によると3km圏内の所に即応防衛隊の基地があるんだって。そこに地下核シェルターがあるって聞いたから、ヴィリーさん、第3中隊の一部を除染後、向かわせてくれるかしら?」
放射能汚染を除染しながら、リーゼロッテがヴィリーに無線でそう言う。
「了解。1小隊を送って生存者の確認させる。即応防衛隊の第6小隊も同行するそうだ」
ヴィリーはリーゼロッテの要請を承認する。
「ありがとね。…あれ? 楓椛さんは何処にいったの?」
リーゼロッテがヴィリーと通信している間、楓椛が姿を消していた。
「ああ、楓椛なら先に海岸部へ行くって言ってたぜ。『あ、私はニンゲンとは存在のありようが少しばかり異なるので被爆に関しては心配無用ですヨ?』と言い残してな」
楓椛から伝言を預かっていた多喜がそう言う。
「そうなの。ま、楓椛さんなら大丈夫でしょ」
多喜の言葉にリーゼロッテは納得し、放射能汚染の除染を継続していくのだった。

 一方その頃、楓椛はトケイノヒトガタ達を連れて海岸部へと到達し、海水やヘドロの除染を行っていた。だが、そんな中、1機のトケイノヒトガタが他の機体達とは別の行動をしていた。
「(放射性廃棄物から核変換にて銃弾サイズのカリホルニウム252ぺレットを多数合成させ、呪術核として此処に没した全ての人々の怒り憎悪怨念を憑依させる。これでいつかあの狂犬共にキャンと言わせて見せましょう。因業清算に世界摂理の天秤も、多少は目溢しがあると信じていますから…)」
そう内心に静かな怒りを燃やしながら、彼女は作業を黙々と続けるのであった。

 リーゼロッテ達の除染が進行し、3km圏内も安全になった頃、ヴィリーが指揮する第3中隊の一部と即応防衛隊の第6小隊が基地へと到着し、地下核シェルターを調査する。だが、中には誰もいなかった。
「…こちらチャーリー1。タイフーン、シェルターに生存者はいない。恐らく基地の連中は避難も出来ずに焼け死んだかと」
第3中隊長がヴィリーに無線でそう報告する。
「…そうか。ご苦労。リリー先生達と合流してくれ。タイフーン、アウト」
落胆の声音を交えながら、ヴィリーはそう指示して無線を切る。
「…行こう。俺達はまだやらなければならない事がある」
第3中隊長の言葉にこの場にいた者達は全員頷き、シェルターを後にする。そして基地を後にする前、彼らはここで殉職した兵士達へ哀悼の意を表する為、1分間の黙祷を捧げたのだった。

「さて、除染の方は落ち着いてきたけど、こっちはこっちで修羅場ね…」
 場所は移って司令部。ここではリーゼロッテが医療業務に、小枝子が仮設住宅の建設に勤しんでいた。リーゼロッテは女子型ドローン隊『EP-145MT-LEX マーチング・ワスプ』を3両のファルマコンに各々配置させて大量の患者の治療に当たらせていた。これらの事をやりながら除染もやれるのは、彼女の『HCID-RW451282 コード・テスタロッサ』のおかげだ。
「小枝子さん、仮設住宅の方はどうかしら?」
リーゼロッテは無線で小枝子にそう聞く。
「ええ、こちらは順調です。バスク司令官が広地を用意してくれたので助かりました」
小枝子はリーゼロッテにそう答える。彼女は仮設住宅建築予定地にて残りの自律キャバリアを『人工魔眼&機械絆』で管理統率し、スクラップヤードから運搬した建築用リソースを使って住宅を建築しているのだ。
「後、デモニック・ララバイとBS-Fドロモス・コロス達に楽器演奏をさせて、精神を落ち着かせるBGMを流しています」
「あら、心地よい音が聞こえてくるなと思ったら、小枝子さんだったのね。これなら少しでも避難民や兵士達の睡眠の質が良くなるわね。人間、休息は必要だもの」
「ええ、そうです。心の整理や明日も戦う為にも、休息は大事ですから…」
「小枝子さんも休むべき時は休むのよ?」
「いえ、自分は元兵士。必要ならば何時間でも何日でも戦えるであります。お任せ下さい!」
小枝子の言葉にリーゼロッテは思わず苦笑いする。
「小枝子さん。張り切るのはいいけど、休むべき時はちゃんと休む事。いいわね?」
「はい、了解です!」
「(…本当に分かってくれたのかしら?)」
リーゼロッテは一応釘を刺してみたものの、恐らく小枝子は休む事無く働き続けるだろう。医者として適度なところで作業を止めさせて休息させようと、彼女は内心決めたのであった。
 こうしてヴィリー達の復興支援の1日はあっという間に過ぎていくのであった…。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年06月04日


挿絵イラスト