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ALOノーツ:ドールズ・ウォー

#クロムキャバリア #追放エースパイロット #ALO #アンサーヒューマン解放機構

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#アンサーヒューマン解放機構


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 クロムキャバリアのとある地方には、内海を挟んだ二つの小国家が存在していた。
 衛星通信を封じられたクロムキャバリアの国同士のつながりは、技術に対して低い水準にならざるを得ず、なまじ高い文明を持つからこそ、長い戦争時代を続けていた。
 それに比べれば、この二つの国、|黎国《れいこく》と|愁国《しゅうこく》は、大きな潰し合いに発展する事も無く、お互いの牽制と地方の小競り合いを除けば、極小規模ながら貿易を行うほどの付き合いすらあった。
 北の黎国は、岩肌の剥き出しになった荒れた大地と厳しい冷え込みが特色だが、南の愁国は国土の多くが肥沃な湿地であり、お互いに無い物を持っていた。
 領土紛争は100年の間に幾度も起こったが、ここ数十年は大きな戦いには至っていなかった。
 それは、お互いの領土に軍事行動による不可侵の条約を結ぶ代わりに、その領土や交易の権利などを巡って、代理戦争を行うことにしたためである。
 それぞれの代表者が協議のもとで戦力や条件を設けて、了承のもとで集められた戦力同士をぶつける。
 国土や人員を必要以上に消耗しないために考案された政策であったが、その矢面に立たされるのはアンサーヒューマンと呼ばれる、キャバリアを操縦するために作り出された命であった。
 『ドールズ・ウォー』……そう呼ばれるようになった国家代理戦争は、次第に熱を上げていき、血みどろの戦いはいつしかドローン撮影を介したショーと化し、あまつさえ最前線に送られるアンサーヒューマンすらも、戦いの景品と化した。
 人並外れた操縦技術を持った見目麗しい少年少女たちは、命じられるままに戦い、奪い奪われを繰り返し、時には同じ槽で生まれ交流のあった相手とも殺し合う羽目になる。
 その悲喜劇は国民たちを大いに熱狂させ、人気のあるパイロットが戦死した際には、所有国で一大イベントとして葬儀が行われるほどであった。
 愁国内陸部、首都アムリタより20キロの都市では、先日のドールズ・ウォーで戦死した人気パイロット、フローレンス20620507の葬儀が行われようとしていた。
 広場に建造された巨大な墓標に似せたモニュメントには、大型モニターに美少女の映像が表示され、その上空を旋回する飛行船の側部にも同様にモニターによって彼女の遺影が映し出されていた。
 街の中は、英雄の死を悼む声と、彼女の戦いぶりをハイライトされた映像を前に惜しむ声と様々であったが、どこかこのイベントを共有して楽しむ雰囲気の方が強いようだった。
 そしてさめざめとした雰囲気は、唐突に喧騒に変わる。
 少女の遺影を表示していたモニターが、ノイズと共に別の映像に切り替わったのだ。
 白い背景に、ただ無機質に描かれた『ALO』の文字。そして、
『悪趣味な葬儀の最中に失礼。我々は『|アンサーヒューマン解放機構《Awnser's Liberation Organization》』……ドールズ・ウォーに携わるアンサーヒューマンの開放を目的とした組織である』
 静かに、力強く宣言する女性の声に、喧騒は高まる一方だが、ゲリラ的に放送をジャックされた事実はすぐに本部に知れる事となり、周囲にけたたましい警報が鳴る。
『君たちがご覧になっている戦争ショーは、培養され、棘付きの首輪で飼い慣らされた犬たちを戦わせている低俗で醜いものだ。我々は犬ではない。我々の戦いは、美化されていいものではないのだ!』
 訴えかけるその言葉を、一体誰が耳を傾けているだろうか。
 警報と、緊急発進される軍用キャバリアの登場に、逃げ惑う人々の悲鳴に、彼女の訴えは掻き消されていくのだった。

「いやぁー、久々にきな臭い予知を見ましたねー。皆さんはどう思われます?」
 グリモアベースはその一角、給仕姿の疋田菊月は、自らの見た予知の内容を説明しつつ、関連の資料を配りがてら紅茶を供していく。
 100年以上も戦争の絶えないクロムキャバリアを舞台としているにしては、二つの国の間で大規模な争いが少ないという今回の舞台は、いずれも自然豊かで嘗てあったであろう戦乱跡も癒え始めているという話だが、その平和の中で確実に割を食っているものが今回の騒動に発展したようだ。
「ドールズ・ウォーにALO……うーん、難しい話はひとまず置いておいてですねー、我々猟兵のお仕事の話をしましょう。
 クロムキャバリアにおける猟兵のお仕事は、オブリビオンマシンの排除に他なりません。
 今回の予知の中では、ほとんど出てきておりませんが……そうなんです。平和な葬儀の中に争いを持ち込んだように見受けられるゲリラ組織が、今回の相手ではないんです」
 一見すれば、ALOの電波ジャックに反応して愁国の軍用キャバリアが出撃したように感じられたが、それはいささか不自然である。
 衛星通信が使えない以上、ALOが都市のモニターをジャックするには、現場の付近に潜む必要があるとはいえ、その所在も明らかにならない内から軍用機が出撃し騒動に至っている。
「ただの葬儀の式典にしては、軍用機の配備が多すぎますし投入も迅速過ぎます。まるで最初からALOの人たちを誘い込んで、罠にはめようとしているようにも見えますよね」
 言うなれば、国の施策に反旗を翻した組織を一網打尽にすべく配備されたキャバリア部隊は、既にすべてがオブリビオンマシンと化しているのだという。
「どうやら、ALOの方たちを逃がさないよう、キャバリアを運搬可能な大型機を配備したところ、その機体を中心にオブリビオンマシンになってしまったようですねー。
 いやしかし、このまま戦闘に突入するのは、多数の民間人を巻き込む形となってしまいますよ。お仕事としてはオブリビオンマシンの排除ではあるのですが、事前に現地に乗り込んで、民間の方々をそれとなく現場のモニュメントが建設されている公園から逃がしてもらう……そうですね、策なり、ガイドラインなりを用意しておくとスムーズに戦闘できるかもしれません」
 ただし、葬儀イベントに集まるのは、ドールズ・ウォーの熱狂的なファンである。なかなか説得には骨が折れそうだが。
「あー、あとですね。戦闘に突入した際は、演説されていたALOの代表の方も、キャバリアで戦闘しつつ逃げることになると思います。明確に猟兵の敵ではないので、この人は放っておいてもいいと思います。
 今回は、状況的に助けることになりますが、彼等にとって我々は敵でも味方でもありません。今回のお仕事に活かすかどうかは、皆さま次第ですよ。えへへ」
 尤も、愁国に対して大胆な電波ジャックを仕掛ける程度には精通している人物が、今回の葬儀が罠である事を知らないとは考えにくい。
 運よく、事が起こる前に彼女に接触する事ができれば、情報を交換してより戦局をうまく運ぶことも不可能ではないかもしれない。
 そうして、一通りの説明を終えると、菊月は猟兵たちを送り出す準備へと取り掛かるのだった。


みろりじ
 どうもこんばんは。流浪の文書書き、みろりじと申します。
 今までのレイヤードミッションとは舞台を変えた、また別の趣味に近いお話となっております。
 アンサーヒューマンのブラック環境、許すまじ。という風に立ち上がった組織を作って、できることなら他のMS様にも好き勝手使ってもらいたく、こんなお話を考えてみました。
 本筋とは別の方向で、事件を起こすきっかけとなったり、事件の発覚のきっかけとなったり、国を跨いで、気づいたらどこの国より地理に詳しくなってそうな組織になればと思っております。
 普段やっているクロムキャバリアの舞台が管理された地下世界なので、こういった組織が出しづらく、ちょっと前に夏休みネタで出した舞台を引っ張り出してきたのには、こんな事情がありました。というお話です。
 というわけで、今回のシナリオフレームは、日常→集団戦→ボス戦という構成となっております。
 日常パートでは、アンサーヒューマンによる国家間代理戦争ドールズ・ウォーによって死亡したと思われる人気パイロットの葬儀の真っ最中で、司会の方が生前の彼女の戦績や活躍シーンを映像と共に振り返る、見ようによっては結構悪趣味な場面です。
 このパートが終わる頃にALOの電波ジャックが始まり騒動と共にオブリビオンマシンと化した軍用キャバリアが押し寄せてくるので、民間人を逃がす手立てを考えたり、先んじて乗り込んでいるであろうALOの代表者に接触するなどすることが可能となる筈です。
 集団戦。状況によっては、民間人が紛れ込んだままの広い公園施設でやり合ったり、また、ALOの代表者と協力する事になれば共闘する事も可能です。彼女なら、相手の能力や配備状況をある程度は把握している筈なので、戦いを有利に運ぶことも不可能ではないでしょう。
 ボス戦。騒動を引き起こすきっかけとなった大型機です。この機体を排除しない事には、騒動は収まらないようですね。
 いつものように、プレイングの募集期間は設けず常に受け付けてはおりますが、リプレイの段階で勝利数に達している場合は、その章での受付はできなくなってしまいます。
 章の合間には、いわゆる断章を投稿する予定ですが、お好きなタイミングでプレイングをお送りくださって大丈夫です。
 それでは、皆さんと共に楽しいリプレイを作ってまいりましょう。
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第1章 日常 『哀悼の意』

POW   :    ●『会場などで護衛や仲裁を担う』

SPD   :    ●『受け入れられるよう、噂や工作を施す』

WIZ   :    ●『反対する者達を説得する』

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ──0535時。洋上。潜水母艦シーバット。

「罠だね。調べるまでも無かったけど、調べてみりゃあ出るわ出るわ、ジャンジャンバリバリって感じよ」
 ALOが誇る移動拠点の艦橋は、時として会議室にもなる。
 それだけ統制に甘い新興の組織であるとも言えるが、行動指針を決める人員が現在において3人しか居ない少数精鋭であるためか、その会議の様相は実に閑散としている。
 その閑散たる会議を一人で盛り上げているのは、情報収集担当のリーンベル。
 折り畳み机に広げた端末には、件のドールズウォーにおける使者を弔う葬式イベントが、大々的に執り行われるという告知で溢れていた。
 衛星通信を含む長距離通信手段が封殺されている現代において、広く周波を広げて発信されている情報を拾うだけであっても、この情報量である。
「狙い撃ちしようっていうなら、それを逆手に取るだけだよ。それに、知り合いの葬儀だもの。出席しない訳にもいかない」
 会議の中心となっているALOの現代表リベレーターを名乗る少女は、呆れたように肩を竦めるリーンベルに静かな笑みを向ける。
 そしてもう一人の仲間にも目を向けると、それを合図と受け取ったその少女は無表情の中に理知の瞳を光らせる。
「……作戦ポイントには、現地で雇いこんだ仲間に逃走手段を運び込ませている。ここから現地まではホバーボート及び徒歩の予定だ。質問は?」
「そうだね。ここからキャバリアで乗り付けたら、流石にバレちゃうからね」
「その現地民、信用できるんだろうねぇ? 逃げる段になって、あたしらのVn-15が組み上がってなかったなんてのは、御免だよ?」
「心配なら、敵機でもなんでも鹵獲すればいい。水上装備のない機体で、この艦まで戻れればいいがな」
 人を食ったよう笑みのままやたらと喧嘩腰のリーンベルに、諜報担当の少女キーノは毅然と迎え撃つ。
 培養槽の頃から腐れ縁だというこの二人は、いずれも輝かしい戦績を残してきたドールズウォー参戦者だった。
 現在は登録を抹消され、|最後の一人《・・・・・》となってそれぞれの意志でリベレーターと共にALOに参加している優秀なアンサーヒューマン、キャバリア乗りである。
「あのフローレンス。何人目だったかな」
「記録の上では5人目だ。随分やられているように見えるが、精度が上がったためだろう。良くも悪くも、質が均一化された影響だろうな」
 ドールズウォー登録者は、簡単には死ねない。戦死したとしても、複製体に記憶を転写されて、速ければ数日中に復元される。
 さもなければパイロットそのものを景品にはできまいが、それも回数を重ね過ぎると異常をきたす事もあり、また損傷が激し過ぎるとデータ回収できずに廃棄となったり再教育が施されたりと多岐にわたる。
 当人たちからすればたまったものではないが、その死の希薄さもあってか、尚更今度の葬式というイベントの空々しさが際立つ。
 どうせ、次のフローレンスが来ることを知っているだろうに、|再構成《イニシャライズ》されることは前提としつつも、英雄の死というエンタメを共有するために、あの国の者達はバカ騒ぎをする。
 そしてきっと、再臨する戦士を、華々しく迎え入れるのだろう。
「……次のフローレンスは、私の事を覚えているかな」
 リベレーターが自嘲する様に遠くを見つめる。
 その瞳の奥には、幾度となく無為な戦いの中に、お互いの技量をぶつけ合う以上に感情が渦巻いていたように思う。
 そこにあったのは、共感か、それとも──、

 ※このエピソードは、見なくても問題ないものです。
フレスベルク・メリアグレース
闘争を見せものにし、見世物の闘争の為に生命をその為だけに生み出し使い潰す、ですか
この世界は相も変わらず残酷ですね

人々の瞳からエンディングを読み取り、そのままALOの代表者が潜んでいる場所に二国に気取られない様に潜入

失礼
完全人造ではないですが、遺伝子改造という意味で言えばわたくしも同族であったので
わたくしの顔を知っている方もいるようですね
ALO…その心構えを見せて下さい
そう言って秘密裏に会談を行う

ある程度心情を知ったら切り込む
二国は貴方達を罠にかけようとしています
しかし軍用キャバリアの暴走…ああ、予測データがあるとだけ
兎も角暴走キャバリアはわたくしに任せ、貴方達は逃走に専念して下さい



 国土の約半分が湿地であるという愁国の中でも、首都を除けばその都市は最大規模を誇る場所であった。
 湿地の多くは肥沃な土壌と植生で、ここ数年の厭戦ムードからドールズウォーに依る局地的代理戦争の恩恵とも言うべき自然環境の盛り返しは目覚ましいらしかった。
 世界の多くが大規模なキャバリア戦争に陥っている中での、自然との共存を果たしているこの国の在り方は、傍からどう見られるにしても美しいと言えるものであった。
 その都市の多くは、開発が進み湿地の多くを埋め立てて均した上で成り立っている背景はあれども、その景観は随分と整っており、戦乱の気配すらも感じさせぬほどである。
 とりわけ、湾岸部へと続く広く浅い湿原を一望できる自然公園は、この国で知らぬ者も居ないというほど有名な観光スポットにもなっている。
 だからこそ、墓標のように建造された一人のアンサーヒューマンの慰霊碑と、それに備え付けられたモニターに映し出される故人の笑顔には、薄ら寒いものがあった。
 フレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)は、この国のそういった文化に、そう明るくはないためか見上げる瞳には欺瞞が浮かんでいた。
 メリアグレース聖教皇国における教皇をつとめる彼女は、常に柔らかな微笑みを湛えるよう心掛けてはいるものの、今のこの国における明るい葬儀の雰囲気には馴染めないものがあった。
「闘争を見せものにし、見世物の闘争の為に生命をその為だけに生み出し使い潰す、ですか。
 この世界は相も変わらず残酷ですね」
 挙句に、利権の奪い合いに使われる者達のその生き様、死でさえも、この国の者達を喜ばせるためのアイテムでしかない。
 太古の昔から、人は人の闘争を鑑賞して楽しむ文化があった。
 コロセウムにおける闘技者、パンクラティオン、闘犬、闘鶏……数えれば数限りないが、何かを競わせてその雌雄を決する場を共有し、その熱を感じてはその生死を娯楽としてきたのだ。
 大規模な戦闘行為が起こらない代わりに、この異様な平穏が形作られているのだとしたら、それもまた平和の一つの形なのかもしれないが、アンサーヒューマンたちの血みどろの戦いの上に築かれているというこの甘ったるいような空気感とでもいうのだろうか。
 偽りを思わずにはいられないのだ。
 いやしかし、それはそれ。他国は他国。今は一人の猟兵として依頼という形で参戦しているのだ。
 メリアグレースの名を出して、下手に外交問題になろうものなら、面倒なことが押し寄せてくるのだ。
 観光中のいいとこのお嬢様を装いつつ、フレスベルクは道行く人々の瞳をつぶさに観察していく。
 彼女はエンドブレイカーではないが、猟兵として持ち得る基本的な能力としてユーベルコードが存在する。
 【蒼穹の果てに遍く終焉を破壊せよ帰天の翼】は、その効能の一端としてエンドブレイカーのように、人々からエンディングを予見する。
 【現在いる世界の法則を変換したソーン】から、対象の【この物語の結末は自分と人々の願いが決める】という願いを叶える【誰かの瞳に映る悲劇の終焉を破壊する帰天】を創造する。というユーベルコードの効果からは、現時点で解読不能な単語が二つほど存在するが、とにかくまぁそういうことなのだろう。
 つまりは、これから起きるであろう悲劇に見舞われる者を洗い出し、その事のあらましから情報を引き出すのである。
 確定的ではない未来の片鱗。人々の集まる中で暴走するキャバリア達。
 その中で、軍用キャバリアを相手取り、逃走を図る者達。その起点はどこか……。
 フレスベルクはひとまず休憩をはさみつつ、情報を整理する事によりALOが潜んでいるポイントを探り当てることに成功する。
「お邪魔します」
「ああ、お邪魔だよ。人払いしてたんじゃなかったわけ?」
 何の気なしに、電波ジャックのために密かに占拠していた建物に入り込んだところで、フレスベルクはALOの構成員の一人に銃を向けられる。
 ここで彼女たちを制圧するのは猟兵ならば造作もないが、彼女たちを倒す事が目的ではないため、抵抗の意思が無い事を示すためにゆるく微笑みながら両手を上げる。
「ALOの皆さんで間違いありませんね?」
「……なんだ、客ってこと? リーダー、お客さんみたーい」
「ちょっと原稿の最終チェックを……あれ、どこかで見た顔だね」
「わたくしの顔を知っている方もいるようですね」
 ちょっとバタついているALOの潜伏先で現れたリベレーターを名乗る代表者は、どうやらメリアグレースとしての顔を知っているらしかった。
「それで、遠くのお国のお姫様が、テロ屋に御用があって、わざわざ危ない橋を渡りに来たのかな?」
「失礼。完全人造ではないですが、遺伝子改造という意味で言えばわたくしも同族であったので」
「ほうほう」
「ALO……その心構えを見せてください」
「大きな意味はないよ。私達が望むのは、その名前以上のものはない」
「アンサーヒューマンの解放。そのためだけに、命を張るんですね」
「そうとも。それ以外は、割とどうでもいいんだよ」
 さして対等とも言えぬ状況での会談は、軽妙な調子で進むが、それだけにリベレーターの軽薄さの裏に、まだ何かが隠れているようにも思えた。
 だが、そろそろ時間切れだろう。
「この国は、あなた方を罠にかけようとしています」
「それは知っている」
「しかし、軍用キャバリアの暴走…ああ、予測データがあるとだけ。
 兎も角暴走キャバリアはわたくしに任せ、貴方達は逃走に専念して下さい」
 軍用のキャバリアが街の人々に危害を加える可能性を伝えつつ、フレスベルクはALOに速やかな撤退を促す。
「ほう、この国の人間がどれほど死のうが知った事じゃないけど、私達のせいにされちゃうのはちょっとした風評被害になるかもね。まあ、証人がいるなら、問題ない。
 言われた通り、私達は逃げるのを優先させてもらうよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴上・冬季
「悪趣味な娯楽ほど、人を熱狂させるのでしたか。どの陣営だろうと、オブリビオンマシンであれば壊滅させるのが私達の仕事ですが。今回は心の痛みようがなくて、実に素晴らしい依頼です」
嗤う

「自分が死なないと思っているからこそ死を楽しめるのです。ならば同じ立場になっても楽しめるのか、じっくり味わっていただきましょう」
嗤う

自分がアンサーヒューマンになって戦闘に参加し手足を吹き飛ばされて死ぬ夢を延々見させる
痛みは致死レベルよりは押さえるが、それなり
起きた者も又眠らせパニック阻止
そしてその辺のトラック等に寝た人を積み込み黄巾力士に広場外へ運ばせる

風火輪で広場俯瞰しつつ
「他の方はどう排除するのか楽しみです」
嗤う



 都市部の近代的な街並みと、自然公園のやや湿気と植物の青臭さを思わせる風を感じる、自然と文明がない交ぜになったような街並みは、この都市の豊かさを物語っているかのようだった。
 公園に建てられた慰霊碑と併設されたモニターが遺影である事を除けば、この場所に行き交う人々の熱狂も或は心地よく受け止められたかもしれない。
 偶像を敬愛するかのようなそれは、アイドルのような扱いにも似ていたろうか。
 フローレンスというキャバリアパイロット、アンサーヒューマンの葬儀を大々的に行うこのイベントに向かう人々の顔つきは、暗いものではなくどこか懐かしむような、惜しむ様なそれであった。
 仮にこの場所に観光客でも居れば、これは誰かの誕生日なのかと勘違いしてしまうかもしれない。
 それほどの異質な空気は、それこそ空々しく、美しい環境も、穏やかな空気も、何もかもが欺瞞の薄い膜を覆いかぶせているかのような違和感のあるものであった。
 そんな、華々しい空気の中で、影を落とすような異国の軍装にて街々を練り歩く人影一つ。
 鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)は、広大な埋め立て地に広がる公園に人が入り乱れるのをつらつらと視線を泳がせて見やり、口の端を吊り上げて皮肉気に笑う。
 よもや、妖狐の自分が、狐に化かされたような気分になろうとは。これだから、人の世は複雑怪奇。
「悪趣味な娯楽ほど、人を熱狂させるのでしたか。どの陣営だろうと、オブリビオンマシンであれば壊滅させるのが私達の仕事ですが。今回は心の痛みようがなくて、実に素晴らしい依頼です」
 話によれば、自らの施策によってあぶれ出た不穏分子。ALOという、平和の代償が生んだ国の闇を払うため、この悪趣味な催しは用意されたという。
 彼等を排除するために、既にここいら一帯にはいつでも軍用機が押し入ってくる用意ができているというが……その軍用キャバリアがオブリビオンマシンと化しているというのだから、始末が悪い。
 冬季にとっては、この国の人間とは縁もゆかりもない相手であり、避難に間に合わず死人が出てしまってもそれほど気にすることは無いのだが、猟兵は一応、世界の崩壊につながるオブリビオンを排除するのが主目的である以上、人類滅亡の一助を見逃すのも面白くはない。
 しかしながら、愚かで可愛らしい人々を、ただほいよっと広場からどけるというのも、なんというか、こう、芸が無い。
「ふむ……あれは」
 どうしたものかな。と思案する冬季の視界に入ったのは、お祭り状態の公園にはそぐわない大型トラックだった。
 後ろに積んでいるのは、どうやら大量の花。自然を活かした演出の一つとして、葬列を飾るため、街道に花を撒く用途らしい。
 人々の運搬は、これを使えば効率的か。
 花びらが積んであるなら、多少ぞんざいに扱っても問題ない。と考えた冬季の口元には意地の悪い笑みが浮かんでいた。
「自分が死なないと思っているからこそ死を楽しめるのです。ならば同じ立場になっても楽しめるのか、じっくり味わっていただきましょう……堕ちよ、夢幻界」
 ぱちん、と指を打ち鳴らしたその音が、喧騒の中にひと際響く。
 【仙術・邯鄲之夢】は、一種の強烈な暗示にも似た術であった。
 それは本来、強制的に眠りを誘い、傷を癒す術であるのだが、そこに見る夢は幸福なものとは限らない。
 夢幻、化かし合いは狐の専売特許。
 人々が熱狂し、体験しないまま共感していたアンサーヒューマンの戦いぶり。それを極めて肉感的に体験するような夢を見せる程度の事は容易い。
 ドラマチックに編纂され、演出された何もかもを廃した、鉄と鉄、死と死とがぶつかり合い、冷たい殺意が肌を刺す重たい空気をも感じる悪夢。
 鋼の装甲を撃ち抜き、時には装甲を直接貫く衝撃、反動、榴弾にさらされて手足をもがれ、抵抗も出来ずコクピットを撃ち抜かれる恐怖、はじけ飛んだ部品に、貫く高周波の刃に突き刺され、焼き付き、或は銃弾に生身の手足を吹き飛ばされる、熱さ、痛み、感覚の消失する瞬間。
 濃厚な血と汚物の混じり合う中で、どうしようもなく命が流れ出て意識が奪われていく無力感。
 それらは、あまりにも肉感的だが、どこか感覚が遠く、それが夢である事をぎりぎり最後に自覚できる程度のものだったが、あまりにも生々しく、恐怖を煽るのには十分すぎた。
 青い顔のまま眠りに落ちる人々を、冬季は連れている歩行戦車型の宝貝『黄巾力士』達に命じ、次々とトラックへ放り込んでいく。
「さて、これらは広場の外へ……む、運転席は入れそうもないですね」
 トラックに積むまでは良かったのだが、と考え込む黄巾力士と冬季は一計を案じ、正面に回ってウインチで繋ぎ、そのまま黄巾力士にけん引させることにした。
 さて、一仕事済んだ。とばかりに、冬季は運び出しを任せると、風火輪を足裏に一人上空へと移動する。
 あまり高高度へ行ってスピードを出し過ぎると撃墜されかねないが、俯瞰で広場を見下ろすくらいは問題なかろう。
「他の方はどう排除するのか楽しみです」

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
『眼倍』起動。
人が死ねばオブリビオンマシンの思う壺。
なんとかしなくては

【視力】広域情報収集。範囲内の民間人、オブリビオンマシン、
そしてALO代表が乗り込むであろうキャバリア、それぞれ位置情報を収集。
人命救助などに必要であるならばお味方にも情報を共有いたします。

……状況は違えども、犬である事を|自分達《兄弟姉妹》は誇りとした。
国が亡んだ今も、それは変わらない。

人気のない所にドロモス・コロスを配置する、
映像音声に魔音を混ぜ、電波ジャックと同時に、
デモニック・ララバイを召喚【操縦】できるように待機。
魔音催眠術で民間人を統率、避難を速やかに行わせます。
ついでにALO代表の主張も記憶に刻んではおきます。



 水の音と風の音。
 それは、やや草木の青臭さを含んだものであり、戦乱続きのクロムキャバリアの世界に於いてそれはなかなかに珍しい空気であった。
 無論、長距離通信が殲禍炎剣によって実質封じられている現在、小国家の乱立による騒動が届かないような辺境も存在しているかもしれないので、自然の残る場所はひょっとしたら想像しているよりも多い可能性だってある。
 しかし、人ごみの喧騒のなかで、これほどの自然と融和した空気を感じるというのも不思議な感覚であった。
 荒廃した砂の味のする風を思い浮かべるのが、この世界の常と思っていたが、こうまで穏やかな空気を感じるのは、どことなく嘘くさくも感じてしまう。
 朱鷺透・小枝子(|亡国の戦塵《ジカクナキアクリョウ》・f29924)は、深く考え込むのが得意ではない。
 キャバリアを操縦する為に量産されたアンサーヒューマンの尖兵の一人である彼女は、効率的に敵を倒す以外のことを考える習慣を持たなかった。
 もとより早死にする宿命を、何の幸運か手違いか、猟兵として覚醒してしまったために不思議と戦い続けて今日まで在る事ができる。
 未知のオブリビオンに対抗するために、日夜新たな力を身に着けていく小枝子は、もはや一介のキャバリア乗りとは異なるものになっているのだろう。
 或は、自分と同じように戦争の道具として戦い続けているアンサーヒューマン、或は、そこに反旗を翻して戦い続けるALOなる者たちもまた、生き続ければ変質していくのだろうか。
 余計な事か。
 小難しい事を考えるのは苦手だ。
 自分には使命がある。使命があった。国は滅びても、大切なそれを抱き続けているのが彼女のアイデンティティとも言えるし、それは形を変えても本質的に大きくは変わらない筈だ。
 猟兵である以上、オブリビオンを倒さなくてはならない。
「人が死ねばオブリビオンマシンの思う壺。
 なんとかしなくては」
 オブリビオンマシンが何処から来て、何を望むのかは小枝子には計り知れない。知ったところで、きっとすぐに忘れる。
 わかっているのは、それを放置すればこの世界は遠からず滅びてしまうということ。
 小枝子には使命がある。使命があった。
 敵を倒せ。
 シンプルな思考が、肉体が滅んでもなお、それに気付かぬまま魂を突き動かす。
 前髪に隠れがちな人工魔眼を起動、その能力の一端をアクティブに、超能力を発現させる。
 【眼倍】と名付けたその力は、主に情報収集の為に組成されたものであった。
 観光に来たお上りさんよろしく周囲を見回す小枝子は、広大な湿原に面した自然公園を中心に情報を集めていくことにした。
 この公園には湿地の一部を埋め立てた広場があり、その一角に慰霊碑と共にモニターが設えられて、故人であるフローレンスというアンサーヒューマンの絵姿が遺影の如く映し出されている。
 確か、この辺りは予知の内容にも合致するため、騒動の中心と見ていい筈だ。
 人工魔眼を行使する事により、埋め込まれた眼孔がちりちりと熱を帯び始めるが、それは必要情報が集まり始めたことも示していた。
 民間人の規模、その流れ、おおよその地図化。そして、オブリビオンマシンと化した軍用キャバリアの待機するポイントなど。
 5メートル規格のロボットを複数体隠しておける場所など知れているし、街中にキャバリアを積んでくるようなキャリアーなどがいればすぐにわかる。
 そんなものは無かったが、代わりに不自然な動力反応を複数検知する。
 陸ではない。空だ。
「車輛じゃなく、飛行船……。大型のキャバリアが運んでいるって話だったな。大型機は空を飛んでここに来る気だ」
 大型で空中を航行するキャバリアなど、撃ってくれと言っているような馬鹿げた構想だが、戦力をまとめて現地に投下できるというのは、それはそれで脅威だ。
 この情報は、味方の猟兵とも共有しておくべきだろう。
 後気がかりなのは、公園近くのショッピングモールに備え付けられた大型駐車場に複数の大型車輛。そこにもキャバリアらしきものを透視した。
 猟兵だからわかる事だが、これらはオブリビオンマシンではない。
 民間機とも言い難い武装の内容も鑑みるに、これらはALOが用意した逃走用のキャバリアなのだろう。
 その近くに、きっと彼等ないし彼女等は潜伏し、電波ジャックを行うつもりなのだろう。
 情報収集を一通り終えると、小枝子は急ぎめに次の行動に出る。
 ALOも、それを罠にはめようとしているオブリビオンマシンも、止まりはすまい。
 ならば、可能な限り人死にが出ないよう、民間人は避難させておくべきだろう。
 比較的建造物の少ない自然公園が主戦場となるなら、ここから人を逃がすのがいい筈。
 そう考えた小枝子は、公園内を散策するように見せかけ、木々の植えられたわき道にそれて人目を避けつつ小人型の遠隔機動兵器『ドロモス・コロス』を配置していく。
 小枝子が所有する数あるキャバリアの内の一機、デモニック・ララバイの言うなれば楽団である楽器持つ小人たちを園内に広く配置する事で、催眠音波による避難誘導を試みようというのだ。
 仕上げに、公園の奥まったひと気のないところに待機すると、小枝子は時を待つ。
 程なくして、周囲の探査にリソースを割いていた魔眼にノイズが奔る。
 ALOによる電波ジャック放送がはじまったのだ。
 それと同時に、小枝子はデモニック・ララバイを呼び寄せると、それに乗り込んでドロモス・コロスによる演奏を開始する。
『──悪趣味な葬儀の最中に失礼。我々は『|アンサーヒューマン解放機構《Awnser's Liberation Organization》』……ドールズ・ウォーに携わるアンサーヒューマンの開放を目的とした組織である』
 僅かなノイズと共に流れてくる映像と音声。ALOの演説に合わせて奏でられる魔音催眠音波は、民間人のパニックを瞬く間に統率せしめ、音波の届く範囲に居る者たちを速やかに退散させていく。
 ALOの演説を利用する形になったのはちょっとだけ申し訳ないが、せめて彼等の言い分を胸に刻んでおこうと、小枝子はコクピット越しにリベレーターを名乗るALO代表の演説に耳を傾ける。
『君たちがご覧になっている戦争ショーは、培養され、棘付きの首輪で飼い慣らされた犬たちを戦わせている低俗で醜いものだ。我々は犬ではない。我々の戦いは、美化されていいものではないのだ!』
「……状況は違えども、犬である事を|自分達《兄弟姉妹》は誇りとした。
 国が亡んだ今も、それは変わらない」
 彼女たちと、小枝子は、ちょっとだけ境遇が似ている。
 良くも悪くも、盲信が自分たちを支えていた。存在理由であったと言ってもいい。
 でも、この国に生まれていたなら、今の自分はあったろうか。
 そして、自分の存在理由を一度捨て去ってまで、新たな誇りをもって立ち上がらんとするALOの存在を、小枝子は忘れまいと思うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
人の生命がかかったゲームを、安全なところから楽しんで批評する。
この愁国の市民だけがそうではありませんから、深入りは避けます。

「範囲攻撃」で竪琴を「演奏」し、主に向かいて新しき歌をうたえを「歌唱」して、会場の注目を引きつけます。
続けて「ブームの仕掛け人」。事前に彼女の実際の情報を調べた上で、でっち上げるお店にも話を通しておきます。

皆さん、フローレンス様が生前によく通っていたお店の情報が見つかりました。エースの日常を知る聖地巡礼と行きませんか!?
私の歌声についてきてくださいね。さあ、出発しますよ。

近くの設定したお店に誘導し、店主さんには迷惑料を渡します。
その混雑を密かに脱出し、元の公園へ戻ります。



 生温かいような、涼しいような。わずかに植物の青臭さの感じる風の吹く、それは爽やかな空気だった。
 国土の約半分を湿地に覆われる愁国の、沿岸部にも近いこの都市には、広大な湿原の一部を埋め立てた自然公園がある。
 美しい自然の残る湿原を大きく景観やその生態系を崩すことない様、なおかつ歩きやすい足場を固めた、周囲の環境と融和するかのような、それは居心地の良さを感じる程でもあったが、今はやや異様な雰囲気を纏っていた。
 公園の広場に建つ慰霊碑と、すぐ傍に設えられたモニターに映し出される美しい少女の絵姿は多くの者が連想するであろう遺影であり、多くの人で溢れるその用向きは弔辞である筈なのだが、その空気は異質に思えるほど軽く、例えるならばアイドルのイベントであった。
 これが葬儀であると、誰が言えるだろう。
 空想上のキャラクターであれ、その人気故に葬儀を開かれるとしても、こうも明るくはなるまい。
 少なくとも、ドールズウォーという国の利権を賭けて代理戦争に駆り立てられたアンサーヒューマンの一人である少女を悼むにしては、この空気はあまりにも、そうカジュアルだった。
 二つの隣り合う国同士が、合意の上で始めた極小規模の戦争の見返りにより、国土は大きく荒れることなく自然環境を取り戻し始め、多くの国民が戦禍に見舞われることなく、100年続く戦争の最中であるにも拘らず、都市には平和な空気すらあった。
 だが、ドールズウォーの存在は、着実に国の中に根付きつつも、その国民の在り様を歪ませていた。
「人の生命がかかったゲームを、安全なところから楽しんで批評する……」
 儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)は、広場に設置された噴水の縁に腰かけつつ、慰霊碑に群がって携帯端末を向ける市民の姿を眺める目を静かに細める。
 穏やかな空気の中、穏やかな表情で、しかしその目の奥には剣呑なものを覗かせる。
 この異様な雰囲気と、奇妙な文化は、どうやら彼女には馴染めそうなものではないようだった。
 欺瞞。この嘘くさい、作られた哀しみを共有する為だけに用意されたようなイベントの雰囲気は、芽亜には信用ならぬものがあったし、戦争行為そのものをショーのように見世物と化した独特の文化が根付きつつある、この国の在り様は、実に歪んでいるように思うが、この馴染めなさが逆にそうはなるまいという気分にもさせてくれる。
 こういうのもプロパガンダというのだろうか。
 元々は銀の雨の降る世界で、一線級の能力者として戦いを駆け抜けた経歴のある芽亜は、こういった依頼の為に、それなりの下調べと現地調査を行う。
 そうして調べたこの国の背景や、件の偶像化されたアンサーヒューマン、フローレンスという少女について……それらを調査する程、胡散臭さは輪を駆けたものとなった。
 なぜこのような葬儀に於いて、空気が軽いのか。
 それは、フローレンスという少女の死が、初めてではないからだ。
 ドールズウォーに参戦するアンサーヒューマンは、当然、キャバリアに乗って激しい戦闘に投入される以上、下手を打てば死ぬ。強固なコクピットブロックとて生還を果たせないことは珍しくはないのだ。
 ただ、人工的に作られ、キャバリアに乗る為に都合よく培養された命は、生体データ化されて何度でも複製可能であり、運よく脳細胞が無事であれば記憶を転写することもできる。
 そのため、パイロットの生体データは、それそのものが代理戦争の景品と化し、ドールズウォーをより加熱させる要因ともなっているという。
 そしてたとえ生還できなくとも、その生体データをもとに再構築された肉体スペックは生前同様であり、戦死した分のデータ更新は叶わぬまでも、新たに生まれる事ができるのであった。
 要するに、彼等の死は、このゲームに於いて極めて軽く、消費的であるわけだ。
 あまつさえ、その死すらもこうしてイベントとして消化するのだから、この場所、この空気に薄ら寒さを覚えるのも必然だろう。
 国民の平和のため? そのために、彼等ないし彼女等の命が弄ばれてもいいのだろうか。
 何か、とても嫌なものが、二つの国を股にかけて蠢いているように思えてならない。
 とそこまで考えたところで、現実に戻ってきた芽亜は、いやいやとゆるくかぶりを振る。
 目的はあくまでも暴走した軍用キャバリアの排除である。オブリビオンマシンの破壊。それこそが猟兵の仕事だ。
 深入りはすまい。
 そうして一つ、大きく息をつくと、芽亜はおもむろに竪琴を奏で始める。
 脇に抱え込めるほどの、旅する吟遊詩人が持ち歩くような竪琴は、そのサイズにしてはその爪弾く音色を周囲によく響かせた。
 耳慣れない竪琴の音色に、広場に詰めかけた市民たちは思わず耳を傾ける。
 それを見計らって、歌い上げるはユーベルコード【主に向かいて新しき歌をうたえ】。
 伸びやかなソプラノボイスで紡ぎ出される聖歌は、人々を無意識のうちに引き込んで興味を引く。
 歌声と演奏でそれができれば、もはや芽亜の狙いは半分以上達したも同じ。
 焦ることなく、一曲を歌い上げる頃には、幾つもの視線が興味をもって注がれるのを肌に感じる程であった。
 心の内はひとまず隅っこに。芽亜は柔らかく微笑み、静聴に謝辞を述べつつ提案する。
「皆さん、フローレンス様が生前によく通っていたお店の情報が見つかりました。エースの日常を知る聖地巡礼と行きませんか!?
 私の歌声についてきてくださいね。さあ、出発しますよ」
 すくっと立ち上がって、ぽろぽろと竪琴を奏でながら歩き始める芽亜の行動は、奇妙である筈だったが、それ以上に市民たちにとっては興味の方が勝った。
「へぇ、そんなお店が……ファンだけど知らなかったなぁ」
「前のフローレンスかもよ。ほら、なんだっけ……」
「いや、前の前のフローレンスだったんじゃないか?」
 それが正確な情報かどうかはさておいて、わざわざイベントに出向く人間は、お祭りごとが本質的に好きなタイプと見た芽亜の目論見は通り、予め話を通していたお店に市民を誘導する事に成功する。
 実際問題、調べた内容からは大きく外れてはいない。
 3人目のフローレンスは、戦いに赴く際にデニッシュを食べれば勝てるというジンクスを信じていたという情報があった。
 実際はそうでもしないと、戦いに赴く勇気が出なかったとも言われているが、4人目になってからは弱気な兆候は見せなくなったという。
 何かされたのだろう。
 深入りはすまい。
 誘導された市民によって混雑し始めた、話題のパン屋さん……としてでっち上げたお店に迷惑料をこっそり支払い、芽亜は密かに脱出し、公園へと戻るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クゥ・クラウ
アンサーヒューマンが兵器という扱いなら、ヒトが自分たちの代わりに彼らを戦わせるのは、理解できる。
だけど、これは……
『ずいぶんと豪勢なショーだ』
AIのジョン・ドゥが端末から話し掛けてくる。
『| 戦争 《 ゲーム 》の駒や賞品であると同時に、アイドルか何かでもあるようだね』

UC【名無し男は手を伸ばす】
AIの力を借りて、会場の警備システムに侵入。軍のキャバリアの配置を調べて、避難経路を割り出す。
警報を鳴らしたり会場内のモニターに避難ルートを映して観客を誘導できるよう準備する。
(ハッキング、情報収集、索敵、道案内)

……思考にノイズが混じったようになかなか集中できない
この国は好きになれない、気がする



 人々の賑わい。
 自然と融和した美しい街並み。
 何よりも、戦争続きのクロムキャバリアの世界に於いて、その臭いをほとんど感じさせない空気である。
 間違いなく、この都市は人にとって住みよいのだろう。
 ただ、どうしようもなく嘘くさいものを感じずにはいられない。致命的な居心地の悪さが、猟兵の一人、クゥ・クラウ(レプリカントのクロムキャバリア・f36345)の気分を優れなくさせていた。
 明るい街並みに、湿原の広がる自然公園のやや湿っぽく青臭い空気も爽やかで、ここで一日のんびりするのも気分がいいかもしれないと思わせてくれるのに。
 公園の広場に設えられた慰霊碑並びに、美少女の映し出されたモニターに群がる人々の顔は、一応に弔辞のそれとは思えぬほどであり、それは熱狂的とすら見える程だった。
 遠い存在の生きていた軌跡に触れ、その生を感じ取るような、その浅ましくすらある光景は、どこか覚えがある。
「アンサーヒューマンが兵器という扱いなら、ヒトが自分たちの代わりに彼らを戦わせるのは、理解できる。
 だけど、これは……」
 レプリカントとして生産されたクゥは、その見た目こそ16歳の少女だし、人格設定も基本的には見た目に準拠したものであるが、実働期間……即ち、彼女がロールアウトからは2年ほどしか経過していない。
 クゥの情緒は二歳ということになるのだが、与えられた知識とそれを扱うための知性は、この都市の雰囲気に戸惑うものであった。
『随分と豪華なショーだ』
 クゥの耳元で囁くのはAIのジョン・ドゥ。耳飾り型の端末を介して言葉を発する支援AIは、まるで血の通った熟達の紳士を思わせるウィットを持ち合わせているものの、その発言は皮肉に似合うドライなものであった。
 生存競争の最たるものとして戦争というものがあるとして、それに用いられる文明兵器はただではない。
 人々の営みの中で進化した戦う力は、いつしか商品と化した。相手を打倒する性能を持つと共に、生産者の利益を伴うものでなくてはならない。
 こん棒であれ、銃器であれ、戦車であれ、そこにはいつしか手にして戦う者以上に、生産者の思惑の色の方が強くなることすらある。
 兵器を売りにする者にとって、武器とは、商品とは、広告そのものだ。
 それが服を着て、人と同様に喋り、一喜一憂し、そして死ぬ。
 この国にとっては、ドールズウォーを嗜む者にとっては、それが普通なのだ。
『 |戦争《ゲーム》 の駒や賞品であると同時に、アイドルか何かでもあるようだね』
 耳朶を打つジョン・ドゥの声が、いつにもまして無機的に聞こえる。
 この国は間違いなく戦争中なのだが、それを感じさせない穏やかさが、都市には渦巻いている。
 |偶像《アイドル》が遠く手の届かぬものであるのと同じように、この国にとっての戦争行為というものは、今や遠いどこかで行われるゲームに過ぎないのだ。
 かつては忌避し、血の匂いも硝煙の香りも、心に傷をつけると共に刻み込まれる痛みすら忘れて、画面越しに繰り広げられるその命のやり取りを、愛しさを覚える程美化して、あまつさえ作られた姿に近づこうと、その空気を感じようとすらしているのは、この街に感じる美しさとはかけ離れた姿であるように思えてならない。
『考え事かい?』
「……いや、仕事に入ろう」
 ぼう、と佇むクゥの表情は薄い。感情表現の希薄さから勘違いされることも多いが、彼女は決して感情が無いわけではない。
 国の戦争を肩代わりする少女たちの姿に、思うところが無いではないが、仕事はあくまでもオブリビオンマシンの排除である。
 切り替えるようにして一度瞑目すると、自然公園の管理所を目指す。
 沿岸部まで続くという湿原の一部を埋め立てた自然公園は、その植生も実に豊富だが、文明の手が入っている以上、警備システムは当然入れてある。
 園内各所に監視カメラや外灯をはじめとした、人々が安全に過ごすための人工物がさり気なく配置されている。
 それらを管理する設備にこっそりとアクセスを試みるのは、高性能支援AIを連れているクゥならではであろう。
 警備システムにハッキングを仕掛け、公園の見取り図とその周囲に配された警備のデータを参照する。
「近くに居ない……軍用キャバリアが、配備されているっていう話じゃなかった?」
『近くじゃなくていい。大型機に搭載してここに投下するなら、わざわざ姿を見せて睨みを利かせる必要もない訳さ』
 ジョン・ドゥの素早い処理の速度をやや緩めて、公園周辺に広がる湿原の一部を注釈する。
 浄水施設とも繋がる大型の排水路は、船舶の搬入路も兼ねているらしいが、そこに複数の動力反応がある。キャバリアが潜伏しているのはどうやらそこらしい。
 それがわかれば、市民を避難させる経路は、反対側を目指せばいい。
 問題は、どうやって誘導するかという話になるが、
「……警報と案内板は、使える?」
『もちろん、お安い御用だよ』
 クゥの意図することを汲み取り、その意志に従って【名無し男は手を伸ばす】。
 警報も案内も、それほど派手にする必要はない。いつもと変わらぬように、ちょっとした警告を与えることで、安全を装って案内できれば何よりだ。
 公園各所に備え付けられた案内板の表示が、事務的な警告音と共に市民を誘導する。
 湿原の水位に変化が生じたため、公園のコンディションが悪化。安全のため、退去を促す。
 とまぁ、内容としては穏便極まるものである。
 まさか、ここがすぐさま戦場になるなどとは言えまい。
『まあ、効果の程は緩やかと言わざるを得ないが、しつこく表示しておけば彼等も従わざるを得ないだろう。ふむ、やはり調子が悪いように見えるな』
「……思考にノイズが混じったようになかなか集中できない。
 この国は好きになれない、気がする」
 AIにしては情緒豊かなジョン・ドゥに、クゥの気持ちはわかるだろうか。
 それは定かではなかったが、思う様の胸がむかむかする感情を、どう処理したものかわからず、クゥは動き始めた市民の集まりを見やりつつ、言葉を濁すのであった。
 そろそろ、例のALOという連中の演説も始まる頃か。
 彼女たちも、同じような気分を味わったのだろうか?

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ガザニア』

POW   :    ビームライフル
【ロックオンすること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【ビームライフル】で攻撃する。
SPD   :    ビームソード
【シールドバッシュ】が命中した対象に対し、高威力高命中の【ビームソードでの斬撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    小隊連携
【小隊での一斉攻撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:Matsuhisa

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『──我々は犬ではない。我々の戦いは、美化されていいものではないのだ!』
 にわかに人の空き始めた自然公園のモニターを、電波ジャックされた映像と共に、年若い女性の凛とした声が響く。
 猟兵たちの手によって、葬儀イベント会場になっている公園広場に足を運んでいた市民は皆無であり、その上空を飛ぶ飛行船に表示されているALOの文字とその演説に動揺する市民が街中に居るだけであった。
 だが、それらは予め用意されていたALOを呼び寄せるための罠に過ぎず、まんまと誘き出された彼女たちを、今度は逃がすまいとキャバリア兵器が投入される。
「時間いっぱいだ。ロゴは残したまんま、そろそろ撤退しないと、敵さんが出てきちゃうよ」
 公園前のとある建物の中で、街の監視カメラ映像を盗み見ていたALOの工作員の一人が、代表であるリベレーターに告げる。
「どうする? なんか、どこの誰かの差し金か知らないけど、会場から人が消えてる。逃げるんなら、今のタイミングが最適じゃないかなー?」
「……軍の動きも、想定より早いな。この迅速な避難誘導。彼等も仕込みと見るべきか?」
 先んじて駐車場に隠しておいたトレーラーに急ぎ移動し、中に積んであるキャバリアに乗り込みながら、ALOのメンバー二人はそれぞれに思惑を述べながらリーダーの意見を求める。
「どうやら、私達の活動とは別に、軍の動きを察知している人たちがいるようだね。敵か味方か……随分、先を見据えた動きをしているけど、まあいずれにせよ、多少の交戦は免れないだろうね。謀らずも、この国に戦争を思い出させることになるかな?」
 手慣れた様子でキャバリアを起動し、ひと気のない公園へと出撃するALOの一団。
 交わす言葉は軽妙だが、彼女たちも元はドールズウォーに参戦していたアンサーヒューマンだったらしく、戦いに臨む覚悟も度胸も据わった者である。
 彼女たちの機体は、元から用意されていただけあって、湿原から沿岸部に抜けるための水上装備を備えたVn-15メード。
 湿地の多い愁国で開発された、脚部にホバー機能を備えたタイプの機体である。
 オーバーフレームを可変させて高速巡航形態にも変形できる機動力を誇り、その出力はバリエーション豊かな武装も可能だが、今回は交戦しつつ離脱ということで、武装は控えめである。
 なにより、彼女たちは知らない事だが、今回の待ち伏せている軍用キャバリアは既にオブリビオンマシンとなって暴走している。
 本来は市民の避難を優先させる手はずだったが、それすら行わず敵襲のアラートをけたたましく鳴り響かせながら、公園を突っ切ろうという未登録のALOキャバリアを逃すまいと、その姿を現した。
「ッ! やっぱり水の中に隠してたわけだ」
 公園に隣接する浄水施設の排水路、および船舶などの搬入路から、それは現れた。
 巨大な船を思わせるそれは、大型の龍の姿をしたキャバリアであった。
 気嚢の様な装甲で覆われた浮遊機関を背負い、複数の軍用キャバリアを積載した巨大な姿は、浮上するだけでALOの一団を牽制するに足りるものだった。
「まずいな。本格的に展開される前に、退路は確保しなくては」
「わかってる。キーノ、リーンベル。かく乱をお願い。敵機を誘導できれば、穴は空く筈だ」
 式場を旋回する飛行船とほぼ同じ高度まで浮き上がった巨大キャバリアが次々と量産型キャバリア『ガザニア』を投下する中で、リベレーターは迅速に指示を飛ばしてその突破を試みる。
『──……』
「え?」
 戦火を交えようとするその最中に、リベレーターは何者かの声を聞いた気がした。
 猟兵のものであろうか。
 いや、わずかに聞き覚えのあるようなそれは、龍型の巨大キャバリアからの通信だろうか。
 嫌な予感がするが、今はそれに構っている余裕はない。
 大型を撃破するより、まずは大量に投入されたガザニアを排除しなくては、同時に相手取るのは難しいだろう。
フレスベルク・メリアグレース
連係して攻撃してくる、というならばこのUCですね

ノインツェーンには乗らず陰に潜みながら領域を展開し、その範囲内にいるガザニアの四肢を爆破
そこから混乱が広がった所で連鎖する様に他の機体も四肢が爆発していく
これで連携を組むのは難しくなったでしょう

さて、撤退戦で何が出てくるか……
帰天の円環で感応能力を発現させ、電子機器にアクセス
通信網に何かが引っかからないかチェックし、ガザニアに対処しながら情報を拾っていく

どの勢力も何かを抱えていそうですからね
一足早く全容を明らかにしたいものです



 亡きパイロットを弔う祭典の行われていた自然公園は、騒然としていた。
 参列者は既に避難させていたため、それは人の騒音ではなく、極めて人に似た機械の兵士によるものであった。
 このクロムキャバリアの主戦力は人型ないしそれに準ずる機動兵器、即ちキャバリアである。
 軍用に使用されるガザニアは、量産の利く部品を効率よく組み込んだ大変コストパフォーマンスに優れた機体である。それであるがゆえに、シンプルな機体構成と良好な操作感が、突出したパイロット技能を必要としない。
 制圧前進できる装甲と火力を擁していればなんでもいい。単純にして効率的な戦術を可能とするのは、生産性に飽かした量産型の特権である。
 オブリビオンマシンと化したガザニアは、パイロットの思想を塗り替え、それは破壊衝動で以て発現する。
 しかしながら、その戦術はその機体に乗り込む軍人が連綿と受け継いだ伝統的なものと寸分たがわない。
 それこそが持ち味と言わんばかりのそれは、同一規格だからこそ可能な、小隊による連携攻撃。
『熱量検知、排除対象は人間サイズのようです』
『油断するな。式典に入り込んだ敵は、爆発物を所有しているかもしれん。陣形を崩さず、中距離から一斉射撃を行う』
 命令に忠実な軍人たちは、3機構成の小隊を組んだまま、撃破対象である自然公園の敵機を狙う。
 第一目標はALOの3機であるが、オブリビオンマシンには既に公園内の味方機以外すべてが攻撃対象である。
 それが人であるかどうかなど問題ではない。
 ビームライフルがその光線を伸ばした先には、手ごろな植え込みが規則正しく並び、命中と共に土がめくれ上がり、膨大な熱量が爆ぜてはじける。
「……っ、なるほど。こうも間断なく撃たれては、迂闊に出られませんね。ドールズウォーなんて代理戦争を行っている割には、練度の高い軍人を抱えているというのも引っかかりますが、ひとまずはこの場を切り抜ける事を考えましょう」
 遮蔽を取って身を隠していたフレスベルク・メリアグレースだったが、どうやらすっかり攻撃対象として捕捉されてしまっているようだ。
 その身に刻まれた聖痕『帰天の円環』を介して、ガザニアの通信内容を傍受する。
 彼女自身にハッキングの技能は無く、また帰天というのはどうやら彼女の乗機であるノインツェーンに宿る異能であるようだが、フレスベルクはいわゆるイニシエーションの儀式でサイキックキャバリアと通じるに至り、聖痕を通じて繋がっているノインツェーンの能力を引き出す事が可能であるようだ。
 よって、通信の傍受というより、一種の精神感応による会話の傍受を可能としていたようだ。
「こちらを標的とされている以上、逃げ回るのには限界がありますね。5メートルの巨人相手にかけっこなんてごめんですからね。とはいえ、動きがわかれば、こちらの領域に誘い込むまで」
 そうして、フレスベルクは複数小隊による攻撃に追い詰められるように見せかけ、自身の領域を展開する。
 別に結界術とかそういうものがあるわけではないが、ユーベルコードともなれば、話は変わってくる。
 【聖女の深域・奈落へは燃え上がり灰塵となる様に】は、早い話が指定した領域内にあるものを爆弾化させるものである。
 そう、彼女の支配する領域に一歩でも踏み込めば、それはもう爆弾と化したも同然なのだ。
 どう、と不意にガザニアの四肢が爆ぜて吹き飛ぶ。
『どうした!?』
『ダメージコントロール! 被弾、ありません! 機体を破棄します!』
『どういうことだ! うおっ!?』
 フレスベルクの退路を封じにかかろうとするほど、ガザニアは彼女の領域に足を踏み入れてしまう。
 そうなれば思うつぼ。コクピットブロックを残してフレームを破壊されれば、キャバリアはもはや行動不能である。
 連鎖的に広がる爆発が次々とガザニアを擱座させていく中で、フレスベルクは尚も集中を解かない。
 この戦場は何かが引っかかる。
「どの勢力も何かを抱えていそうですからね。
 一足早く全容を明らかにしたいものです」
 時折飛んでくるビーム兵器が当たらないよう身を隠しつつ、その目は、上空に佇む大型キャバリアを見ていた。
『くぅ、我々では対処できないのか!? 奴を呼び起こせ! 聞いているのか、フロ──』
「……やはり、そうなのですか」
 ノイズ交じりに途切れた誰かの名前が、最近聞き及んだアンサーヒューマンの名前と酷似している事に、薄ら寒さと静かな怒り覚えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
私、鉄の塊を相手するのは苦手なんですよね。人の心をどうこうする法が性に合ってますので。
ですが仕方ありません。キャバリア相手に動くとしますか。
ナイトメアを「召喚」。「騎乗」して攻撃をかわすにはいい地形ですね、この公園。

驟雨の弓に光の矢を番えて、直上へ向けて発射。「全力魔法」光の「属性攻撃」「範囲攻撃」「破魔」で光輝の雨を「矢弾の雨」です。
降りしきる光の矢で倒れてください、オブリビオンマシン。
それで駄目なら、第二射、第三射と。

暴走している今、まともな「集団戦術」を適用して動きを読めるかどうか。
そう簡単にロックオンされるつもりはありませんよ。「軽業」じみた動きで、ビーム攻撃をかわします。



 自然と融和したかのような、それはもう見事な出来の自然公園敷地内を、鉄騎が踏み荒らす。
 重厚なキャバリアの足跡は、微細な地響きとなって否応も無く周囲を威圧するものがあるものの、幸いにして猟兵たちの働きにより一般人が入り込むことはないだろう。
 ここに居るのは、やたらと現場主義なALOのメンバーと、猟兵たちだけである。
 オレンジカーキの軍用キャバリア、ガザニアがそれぞれに3機編成で小隊を組んで公演を蹂躙する。
「暴走していると聞いていましたが、見る限り……統率は取れているようですね」
 オブリビオンマシンに思想を塗り替えられたパイロットは、破滅的な思想に陥ったり破壊衝動に見舞われたりと、それは様々あるようだが、軍属の彼等は少なくとも作戦行動に忠実な動きのように見える。
 彼等は本当に暴走しているのか。
 疑問が浮かびかける儀水芽亜だったが、猟兵にとって不倶戴天の敵であるオブリビオンの存在は一目瞭然である。
 彼女の心の内の何かが、あれは倒すべき敵である事を確信させる。
 とはいえ、5メートル規格の鉄の巨人を相手に、生身で真正面から激突するのは少しばかり勇気が要る。
 それを可能とする猟兵も居るが、超人じみた無茶をする気は起きない。
「私、鉄の塊を相手するのは苦手なんですよね。人の心をどうこうする法が性に合ってますので」
 素早く展開するきびきびとしたガザニアの小隊に包囲されるよりも前に、植え込みを遮蔽に身を翻しつつ、ナイトメアを召喚する。
 自らの夢の中に来訪した悪夢を従えるという、ナイトメア適合者でもある芽亜は、白馬のナイトメアを呼び出し、それに騎乗する事で自然公園内を疾走することで機動性を確保する。
 ナイトメアと言えば騎兵を指す言葉でもあるが、まさか本当に悪夢に騎乗するとは。
「さて、馬の差は無くなりましたね。いえ、この地形ならこちらの方が有利かもしれません」
 よく舗装された公園の順路を警戒に蹄を打ち鳴らして駆けるのは爽快だった。これが休日での出来事ならよかったのだが、追う者はちょっとばかり剣呑な機動兵器である。
 背筋に走る悪寒を頼りに跳ね馬の如く、飛来するビームライフルの光弾を回避しつつ、激しくも軽快な騎乗で芽亜は、驟雨の弓を取り出す。
 揺れる下半身を柔らかく、上体を逸らすようにして引く弓に番える矢は無い。
 いや、引き絞るその手元から伸びる光が矢となってその存在を主張する。
「天上より光の雨降り注ぎ、地を這う不浄の一切を討ち滅ぼさん──。降りしきる光の矢で倒れてください、オブリビオンマシン」
 放たれた一条の光が尾を引いて木々の隙間を割いて空へ上ると、それは無数に分裂し【光輝の雨】となって降り注いだ。
 馬上から放たれた光の矢は、一小隊規模のオブリビオンをカバーするには十分だった。
 一射入魂とばかりの魔力を込められた矢は、その原始的な機構からは考えられない威力をもっており、その一矢とて彼等の使用するビームライフル一発一発にも匹敵するようだった。
 そんなものを雨あられと受けて無事でいられるはずもない。
『ひ、被弾! 装甲がもちません!』
『シールド! 迫撃の様なビームに警戒! う、うおおっ!?』
 人ほどの大きさの相手を取らきれぬまま、ガザニア小隊は光の弾雨に装甲を焼き溶かされ、行動不能に陥るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クゥ・クラウ
アインベルに搭乗。

犠牲と引き換えの平和。
ヒトの命の重さは量れないという。それならば、救われた命の数で判断するなら、この国の行いは正しいのかもしれない。
だけど……

『反応が鈍っているね。考え事は今の状況を切り抜けてからにした方がいい』
AIのジョン・ドゥが言う。
迷いのせいで、助けられるはずのヒトを助けられなくて後悔するのは、いやだ。
UC【オーバーブーストマキシマイザー】。囲まれないよう低空を高速移動してサブマシンガンとレーザーで攻撃。コックピットに当てないように無力化させる。

『数十年もドールズ・ウォーに頼っていながら、これだけ軍備を整えているあたり、案外この国の上層部もしたたかなのかもしれないね』



 力強い足音が、自然公園の緑を蹂躙する。
 オレンジカーキの軍用キャバリア、ガザニアは、その武厚い装甲に見合った重量を感じさせる足取りで、しかし機動力はじつにきびきびと動作している。
 鈍重に見える機体であっても、良好な操作性とシンプルな設計思想、そしてそれを洗練された兵が乗りこなせば、機体のポテンシャルは十二分に発揮され、鈍重ながら軽妙にすら映るのである。
「動きがいい……アインベルの起動急いで」
 クゥ・クラウもまた、他の猟兵と同じように戦うための準備に余念がない。
 彼女の場合は乗機である魔導型クロムキャバリア『アインベル』に搭乗し、ガザニアの小隊を迎え撃つ形である。
 超古代文明時代の遺物からリバースエンジニアリング、もしくはそのまま流用したものもあるとかで、何かと謎の多い部分もあるが、頼れる存在であるアインベルがあれば百人力。
 しかしながら、表情の薄いクゥの面持ちは相変わらず冴えない。
『いつでも行動可能だ。しかし、奇妙じゃないか。数十年もドールズ・ウォーに頼っていながら、これだけ軍備を整えているあたり、案外この国の上層部もしたたかなのかもしれないね』
「……」
 防風林のような自然公園の自然の中に身を起こす白い装甲。その装甲の継ぎ目を縫うかのように碧い魔力光が迸る。
 少々目立つ井出達だが、周囲の街にまで被害が及ばないのであれば、これも使いようだ。
 ところで、彼女の支援AIであるジョン・ドゥの零した言葉には、クゥも思うところがあった。
 言われてみれば確かに、大規模な戦争行為自体が、ドールズウォーという代理戦争によって鳴りを潜めているはずなのに、軍用キャバリアに乗りつけた恐らく軍人の練度は高いようだ。
 何故だろう。戦争を駒遊びにしているにしては、常に戦いに備えているかのような装いだ。
 欺瞞。それがずっと、先ほどから拭えないまま、澱のようにクゥの腹の底に溜まり続け、妙に身を重くしている。
『接近警戒』
「ッ、ううっ!」
 真っ先に攻撃対象を発見したガザニアが、その身を肉弾として盾を構えたまま突撃してきた。
 思わず身を引いて盾を構えた体当たりをやり過ごすが、さらに踏み込んでのビームソードの抜き打ちを回避するため、飛び退いた拍子に思わずうめき声が出る。
 いつもならここまで大袈裟に回避する事はないはずだが、どうにもクゥは集中力を欠いているようだった。
『反応が鈍っているね。考え事は今の状況を切り抜けてからにした方がいい』
 ジョン・ドゥが尤もらしい事をちくちくと言ってくる。
 主を思ってというより、これはきっと単なる叱咤である。
 そこまで今の自分は錆びついているだろうか。
 確かに、嫌な気分には陥っていたかもしれない。
 犠牲と引き換えの平和。
 ヒトの命の重さは量れないという。それならば、救われた命の数で判断するなら、この国の行いは正しいのかもしれない。
 だけど……
「迷いのせいで、助けられるはずのヒトを助けられなくて後悔するのは、いやだ」
 小隊の間合いに入られた。3機に囲まれる形となり、一気に注意事項が増えたが、迷いをひとまず心の隅に置いたクゥは即断する。
 サイキックウイング『天翼』の光の粒子を展開、一気に推力を上げる【オーバーブースト・マキシマイザー】を発動し、急激にスピードアップしたアインベルは、格闘戦に出ようとしたガザニアの真正面から盾を持つ弓手側に低空飛行で回り込みつつすれ違う。
 真正面から体当たりを仕掛けると見せかけ、大盾の死角を突いて回り込む機転は、地面のすれすれを飛翔する精妙なコントロールが無くては成し得ない。
 まして、それを想定していなければ、目の前で相手が消えたように錯覚するのである。
 量産機の宿命として、その装甲は前面に集中し、背後はほぼ無防備である。
 回り込んだアインベルのサブマシンガン『アンタレス』は近距離でも取り回しがいい。
 オーバーフレームの頭部、アンダーフレーム駆動系の腰部や脚部を的確に撃ち抜き──そして、急激に速度を上げたアインベルに狼狽する他の機体を肩部装着のホーミングレーザーで撃ち抜く。
「撃ち洩らしは?」
『各機沈黙。パイロットも無事。上出来じゃないか』
「これから取り戻すわ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
……オブリビオンマシン、敵だ!
上がれ、ドロモス!!

引き続きデモニック・ララバイ操縦
【破壊工作】公園内に配置していたドロモス・コロス達を操り、
その身でガザニアが放つビーム兵器を反射【レーザー射撃】
ガザニアへ撃ち返し、ALOの撤退補助、市街への流れ弾を防ぐ。
【楽器演奏】更にドロモスのスピーカーから【衝撃波】を放ちシールドバッシュを行おうとするガザニアを押し止める!

壊せ、ララバイ!オブリビオンマシン共を掻き鳴らせ!!

躯体から殺戮音叉を生やし、スラスター【推力移動】
ドロモスの反射と音響弾で押し留めているガザニアへ『斬奏抜剣』
ガザニアの傍を通過しながら、殺戮音叉から無数の【斬撃波】を放ち斬り裂いて征く!



 人の住むために都合のいいよう、埋め立てられ、踏み鳴らされた自然公園の園内を、地響きと共に鉄騎が駆ける。
 飛行船と同高度に浮かぶ大型キャバリアから次々と降下してくる軍用キャバリア『ガザニア』の動作は極めて機敏という訳ではないものの、その動作には淀みが無く、よく訓練された兵士の動きであった。
 幾度となく反復練習を積み、同型機の特性を熟知し、一朝一夕には成し得ぬ小隊行動は実に統率の取れたものである。
 が、この国は外交的軋轢の多くを代理戦争、ドールズウォーに頼ってきたはずだが、この軍の練度はなんだろう。
 ALOから出張ってきた代表者を含む一団を追い詰めるべく公園に展開する部隊の淀みの無さは、オブリビオンマシンと化したことで、より躊躇が無いように見えるが、それ以上の疑問が立ちはだかろうとする。
 朱鷺透小枝子もまた、園内に配置していた自身のキャバリアの子機とも言うべき人形型クリスタルビット『ドロモス・コロス』を通じてガザニア部隊の展開の速さに違和感があったものの、彼女の性質は、戦闘に差し掛かるにあたり不要な情報をあっさりと切り捨てる。
 オブリビオンマシンあるところに、猟兵在り。そうあれかしと、静かであった小枝子の面持ちが戦闘の狂気に染まる。
「……オブリビオンマシン! 敵だ! 上がれ、ドロモス」
 園内の自然に抱かれるかのように身を隠していた小枝子の乗機の一つ、デモニック・ララバイは、彼女の意気とともに即座に戦闘モードへ突入。兵装であるドロモス・コロス達も指揮者の号令のもと、楽器の様な光学兵器を携えてガザニア部隊と相対する形であった。
『機械の楽団!? 軍用機じゃないな』
『リフレクターだ。盾になろうとしているようだが……例の謎の傭兵か?』
『便乗しろってことでしょ!』
 矢面に立つクリスタルビットの楽団がガザニアのビームライフルを率先して受けに回ると、ALOの3機はそれに乗じて退避を急ぐ。
 湿原でも機動性を損なわないホバー特有の機動音が園内を駆け抜けていくのを確認すると、それぞれが前に出て積極的にガザニアの射撃を受けに行く。
 小人型の子機は使い捨て。そのように見せかけ、その実は光学兵器を反射する特殊兵装でもある。
 量産型とは言え数が揃えばそれなりの火力になるガザニアのビームライフルだったが、積極的に当たりに来るドロモスの反射装甲により、その弾道は逸らされ別の小隊へとその光弾を打ち返していく。
『光学兵器ではダメだ。接近戦を仕掛けるか、本体を探せ!』
『相手は小型だ。質量差でこちらに分がある。シールドを使え! うおっ!?』
 ビームコーティングを看破したガザニア部隊の一部がドロモスに対して接近戦を仕掛けるべくシールドを構えて突撃するが、突如として鳴り響く怪音波による衝撃が、ガザニアの機体を押し返してきた。
 ドロモス・コロスは楽団。指揮者であり奏者でもある小枝子の乗る本体デモニック・ララバイの奏でる魔音をより広範囲に、効率的にばら撒くスピーカーが本来の役割である。
『な、なんだ……音響兵器!? 近づけない!』
 光学兵器の反射と音響兵器により、ほぼ身動きの取れなくなったガザニアの小隊を前に、ついにデモニック・ララバイ本体が飛び出してくる。
「壊せ、ララバイ! オブリビオンマシン共を掻き鳴らせ!!」
 吟遊詩人を思わせる羽根つき帽子をかぶったようなシルエットの機体からは無数の棘の様なパーツが生え、ララバイは滑るように低空を飛翔する。
 無数の棘『殺戮音叉』は奏でる魔音の衝撃波を細く鋭く研ぎ澄まし音の刃と化してその機体に帯びる。
 【斬奏抜剣】。鋭い音の斬撃が、踊るような滑るようなデモニック・ララバイの疾駆と共に、すれ違うガザニアを次々と切り裂き、装甲を、手足を削いで引き千切っていく。
 それはまさに殺戮のパレード。
 しかしながら、凄惨な衝撃波をまき散らしながら駆け抜けるその道にキャバリアの残骸はあれど、自然公園の被害はほとんどなかったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴上・冬季
「次の貴女はそこに居た、ということですか。…なるほど」
遠くの龍騎眺め嗤う

「民間人も一応排除済みです。ならば後は貴女に至る道を邪魔する木偶を排除するまで。…出でよ、黄巾力士火行軍」
砲頭から制圧射撃し敵の行動を阻害する15体
砲頭から火行の徹甲炸裂焼夷弾射撃し鎧無視・無差別攻撃で敵を蹂躙する15体
上記2班をオーラ防御で守る守る16体
計46体を1隊として3隊138体の黄巾力士召喚
2隊で広場から半円で敵に侵攻
損耗したら予備の1隊と入替えつつ再編
敵か黄巾力士全滅まで戦闘継続

自分は風火輪
普段連れ歩く黄巾力士は飛来椅で飛行し戦場俯瞰
竜脈使い全黄巾力士の能力強化し継戦能力底上げ
合間に雷公鞭振るい敵に電撃落とす



 都市の中にあって、この国の土地柄でもある湿原と隣接する形で埋め立て作り出された自然公園。
 平和を祈るモニュメントが建てられるに相応しいほどの美しさは、故人の性根を現したかのようであった、とも聞くが、所詮は戦うために作られた者。その本性は定かでない。
 或は、彼女がその偶像とさほど変わらぬ人物像であったとて、それはもはや過ぎ去った過去のお話。
 そして、この公園が美しい姿をしていたのも今や過去のものになろうとしている。
 飛行船のように浮き上がる巨大なキャバリアから次々と投下されてきた軍用キャバリアの『ガザニア』の登場、そして迅速な展開によって、自然と融和する公園の地は敵機の重々しい足取りに踏み荒らされ、平和を願うために建てられた慰霊碑もいまや障害物の一つとして打倒されてしまっている。
 何とも無残な姿であり、あちこちで猟兵たちともぶつかりあうガザニアの蹂躙っぷりはこの国の、いやこの世界の戦争の在り様をよく体現しているかのように見える。
 そんなありふれた光景よりも、鳴上冬季は、それまでと変わらずに風火輪を履いて空を遊覧するかの如く戦場を俯瞰していたかと思えば、不意に見上げる大型の龍騎を見やる。
 ガザニアの舞台を運搬するにしては武装が剣呑に見えるそれは、当初の役割以上に戦場へと加担する気配を見せぬものの、やはりその存在はこの場に於いて目立つものである。
 その異質な気配は、紛れもなくオブリビオンマシンには違いないし、猟兵である冬季には当然それがわかるのだが、それ以上に……。
「次の貴女はそこに居た、ということですか。……なるほど」
 眠っているかのように不気味なほど静かに佇むその姿に、おぞましい想像を膨らませる冬季は、その予想が恐らくは外れていない事に確信めいたものをもっていた。
 思い至る程に、その在り様の業の深さに対し、口の端を吊り上げずにはいられない。
 人が命を弄ぶに至れば、そこには浅ましさしか残らぬとでも言うかのように。
 だが「それ」はひとまず後回し。
 猟兵であるからには、手始めに暴れまわるガザニアを片付けねばなるまい。
「民間人も一応排除済みです。ならば後は貴女に至る道を邪魔する木偶を排除するまで。……出でよ、【黄巾力士・火行軍】」
 何に対しても皮肉気に、まるで蔑む様に笑う冬季は、しかしそれでも人々の営みが好きだ。
 何をしでかしてくれるか、それは彼の知的好奇心を定期的に擽ってくれるからだ。
 だから人命救助は惜しまぬし、その業の行く末を見守る事だって吝かではない。
 滅びをもたらすオブリビオンという存在を排除したがるのも、だいたいはそのような理由である。
 悪い人間たちだ。だからこそ、どうなるのか見てみたい。
 そのために、人を助けるために用いた歩行戦車型の宝貝『黄巾力士』達を、今度は戦うために呼び寄せる。
 その総数、140機弱。さすがに、キャバリアとは規格が違うため、そのサイズでこそガザニアよりも小ぶりだが、戦列を組めばその戦力は量産型など目ではない。
『なんだ、戦車だと!? こんな戦力を隠していたとは……!』
『正体を崩すな! 各自斉射の後、距離を詰めて確実に仕留めに──』
 黄巾力士の頭から伸びる砲塔が一斉に火を噴く。
 耳をつんざく破裂音が重なり、轟音と爆炎とが列を成す。
 最前の15機が目も眩む様な一斉者を敢行した後、続く15機が火行の属性を与えられ、徹甲炸裂焼夷弾を放ち、ガザニアの装甲に対抗する。
 それらが交互に砲撃するのを守るべく16機が防御膜を展開する。
 その戦車隊が三つ。それぞれにガザニア部隊が湿原側に及ばぬよう戦陣を組んで進行する。
 ALOの退路は確実に確保しているはずだが、前に出続ければいずれ戦列の薄まる部分も出てこよう。
 戦場を空から俯瞰する冬季は、普段から連れ歩く黄巾力士一機と共に、こちらは飛来椅装着で飛行している機体と共に戦場に目を光らせ、ガザニアと交戦して戦車に欠員が出れば即座に予備を投入するなどの対応に当たる。
 思った以上にオブリビオンマシンの、正確には操られている軍属の練度が高いようだが、それで戦列が停滞するようなら、と、冬季は自ら雷公鞭を振るい、遠隔から援護に入る。
 幸いにして、この国は肥沃な湿原に恵まれている。
 大地が潤うということは、強い竜脈の流れがある場合が多い。
 機械的なメカニズムを組み込まれているとはいえ、黄巾力士は仙術における秘宝、宝貝として作り出された兵器である。
 竜脈を介し、五行の力で能力を底上げされているそれらは、この地が豊かである程にいつまでも戦い続けることができるのである。
 ひとまずは、問題なく戦えている。
 だがしかし、不気味なほど静観を決め込んでいる大型キャバリアは、いつ動くつもりなのか。
 このままでは好き勝手に蹂躙できてしまうが……?

大成功 🔵​🔵​🔵​

チェスカー・アーマライト
交渉だのなんだのまだるっこしい事は苦手でね
出遅れた分、仕事はキッチリさしてもらうぜ

装甲の厚さとビームコートで、ある程度は攻撃を耐えられると判断
スタンディングモードで脚部アンカーを起動、姿勢固定するぜ
少々のチャージの後UC発動(見た目変わらず)
周辺の建物なんかへの被害は度外視
お嬢さん方の退路とは違う方へブッ放すぜ
一見すりゃ、敵機の一掃された方角が退路のように思えるかもな
そこを塞ぐのに人手を割かせれば、自ずと反対方向は手薄になるだろうって算段さ

今まで散々人任せで戦争してたんだろ?
まともに対応できるかも怪しいモンだ
余裕がありそうなら2発目を準備
しっかり対抗してくるようなら距離を保った撃ち合いに移行するぜ

戦争を美化するモンじゃねーってのはすこぶる同意だ
知り合いの|老兵《ベテラン》の言い方を借りるなら
戦争なんてものは屁のこき合い
世間の皆様お騒がせして申し訳ありません、つって赤面しながらやるモンだってな
忘れちまったってんなら、思い出してもらおうじゃねーか
|テメーらのクソッタレな臭い《戦争の現実》をよ



 広い埋め立て地に作り上げられた湿原に向き合う形の公園を、軍用キャバリアの小隊がいくつも群れてやってくる。
 オブリビオンマシンとして暴走しているそれらは、パイロットの軍人の得た知識と技能を最大限に活用しつつ、且つ、その感覚は人命を尊重するものからは外れていた。
 タガの外れた軍属。これほど恐ろしいものがあるだろうか。
 世界の破滅に向かうオブリビオンという概念は、このクロムキャバリアでは暴走したキャバリアという形で出現し、それはしばしば搭乗するパイロットを侵食するのだという。
 それが何処から来て、何を目的とするのか。詳しい事はわかっていないが。
 そんなことは、ひとまずどうだっていい。
 チェスカー・アーマライト(〝錆鴉〟あるいは〝ブッ放し屋〟・f32456)は、ドンパチ騒がしい戦場が好きだ。それに伴う報酬も大好きだ。
「交渉だのなんだのまだるっこしい事は苦手でね。
 出遅れた分、仕事はキッチリさしてもらうぜ」
 起伏のある公園。その階段を無理矢理に駆け上がるのは一台の戦車。
 重厚な装甲と長大な砲を担いだ誰がどう見ても戦車であるビッグタイガーは、チェスカーの所有する愛機である。
 戦車は地上戦に於いて最強。身も蓋も無い装甲と、身も蓋も無い大砲で、敵をぶっ潰す。
 人の遊歩道として踏み固められた大地を、鋼鉄の履帯が踏みつけて食いついて、乗り越えた階段もずたずたにしてしまうが、まあちょっとばかし重量があるので勘弁してほしい。
「おいおいおい、お人形遊びに夢中で軍備はどうなのよって思ったら、いっぱい出てくるじゃねぇの?」
 敵機の反応は中々に多いようだが、包囲されたりだとか孤立無援だとかいう、そういうどうしようもない戦場は割と珍しくない。
 3機小隊に張り付かれ、敢えて姿を晒すようにド派手に履帯跡を残して公園中を駆け回るチェスカー。それは敵を引き付けつつ、ALOの連中の撤退を手助けするというのもあったが、その狙いはもう少し打算的。
 飛び込んで暴れるのは簡単だが、兵力差を覆すのに重要なのは細かな実戦データだ。
 敵のキャバリア『ガザニア』の主武装であるビームライフルの威力と射程。そして、それを扱う軍人の距離の取り方などを、まずは慣らし運転とばかりに掴み取っていく。
「ふんふん、なァるほどな。だいたいわかった」
 副砲などを用いて牽制しながら出方を伺っていたチェスカーは、やがて彼等のビームライフルが、ビッグタイガーの装甲と対光学兵器コーティングで受けられると判断した。
 大型タンクが横滑りしながら反転し、その履帯を覆う装甲がぐぐいと踏ん張る様に伸びる。
 いや、戦車にあるまじき伸び方をするそれは、本当に足のように機体を立ち上がらせ、過剰なほど積み込んだ副砲のガトリング砲をマウントした部位は腕としてその関節を覗かせる。
 ビッグタイガーはただの戦車ではない。|キャバリア形態《スタンディングモード》へ移行したビッグタイガーは、まるで一個の要塞であるかのように砲塔を構え、脚部側面に備えられた工業用アンカーを地に穿ち機体を固定。
 公園に人影はいない。が、固定砲台状態で使用するビッグタイガー最大の武装【オーヴァードスパークキャノン】を最大出力で使用すれば、都市への被害も出てしまう事だろう。
 あと動力源直結の影響で電装系が落ちる。
 まだ一番の敵が残っている状況で虎の子を残らず使うつもりはないので、照射はあくまでも一瞬。
「今まで散々人任せで戦争してたんだろ?
 まともに対応できるかも怪しいモンだ」
 どう、と周囲が一瞬暗く見える程の光量が、戦場を横切る。
 少々のチャージを要するが、一気に全部撃ち切らない極大ビームの一閃は、しかしほんの一瞬でも文字通りに戦場に穴をあけた。
 数による包囲網に空いた穴。それはいかにも、逃げ道になりうるものだ。
『包囲に穴が!』
『付け狙われるぞ。すぐに埋めろ。そこから逃げられるかもしれん!』
『それより奴を! 今は固定状態だ。接近すればやれる!』
 ビームによって崩壊した包囲網をフォローしようと行動するガザニアとは別に、チェスカーを撃破しようと向かってくる部隊。
「おおっと、意外と対抗してくるじゃねぇの。ちゃんと戦争してるねぇ」
 咄嗟に固定を解除し、向かってくる相手に対し、第二射を放ちつつ履帯をバックに入れる。
 照射による反動を利用して後退するための判断だが、砲の出力調整や角度、駆動の調整などのバランスを間違えれば転倒して吹き飛びかねない離れ業であった。
「さァて、こうなりゃ撃ち合いだなー。まったく戦場は地獄だぜ」
 実のところ、キャノンをぶっ放した方向は、ALOの3機が退路としている方向とは全く別方向であり、敢えてそちらに注意を向けさせて反対側を手薄にする算段であった。
 つまりまぁ、寄ってくる敵を通すわけにはいかないという事でもある。
「戦争を美化するモンじゃねーってのはすこぶる同意だ。
 知り合いの|老兵《ベテラン》の言い方を借りるなら、
 戦争なんてものは屁のこき合い。
 世間の皆様お騒がせして申し訳ありません、つって赤面しながらやるモンだってな」
 操縦かんを握る手に連動するかのように、ビッグタイガーのマニピュレータが、重々しいガトリングを持ち上げる。
「忘れちまったってんなら、思い出してもらおうじゃねーか。
 |テメーらのクソッタレな臭い《戦争の現実》をよ」
 既に、ここ数十年、戦火にさらされる事の無かったこの地は、キャバリア同士のくんずほぐれつのお陰で滅茶苦茶だ。
 皆の代理で戦い、英雄かアイドルの如く奉られた美少女の慰霊碑は無残にも崩れ、自然と融和する願いを込められた自然公園は、すっかり戦禍の様相を呈している。
 これがこの世界の日常だ。この国を一歩でも出れば、その辺に転がっている世界なのだ。
 その証拠に、彼等はまだまだ戦える力を隠し持っていたではないか。
 誰が、何のために、このようなまやかしじみた世界を彩っていたのか。そんなことは知らない。
 チェスカーにとっては、鉄錆と硝煙の混じる戦場の風こそが住処であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『機動殲龍『空虚』』

POW   :    黒洞防御機構『黒天』
全身を【覆う装甲を接近物を吸うブラックホール装甲】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    敵性圧縮機構『払暁』
【体を覆う砲】から【敵を圧縮消滅させる超重力弾】を放ち、【外れても超重力】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    操天災禍機構『空虚』
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。

イラスト:エンドウフジブチ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『戦力低下! 戦線維持できません。増援を!』
 悲鳴のような通信がいくつも届き、それらもやがて途絶える頃、暗いコクピットの中を電子機器の明滅する光だけが照らしていた。
 多数のガザニアを積んで運ぶほどの大型キャバリアの内部は静かであり、それを一人動かしているはずのパイロットも、今はまだ静かであった。
 機動滅龍『空虚』は実のところ、強大な兵器を積んではいるものの、現状では眠ったパイロットを抱えているだけの自動操縦だった。
 最低限の防御機構だけを設定された状態で、ただ多くの軍用キャバリアを運搬できるために、搭乗員が未完成であるにも拘らず登用されたに過ぎない。
 そして、その静寂は、事態の悪化に伴い終わりを告げる。
『作戦目標変更……マテリアルの再教育課程を中断、覚醒へ──』
 機械的なシークエンスと共に、シートに固定されたまま眠るパイロットへ、繋がれた管から賦活剤を投与されると、少女は電気を流されたかのように手足を痙攣させて無理矢理に意識を覚醒する。
『戦闘モード起動。作戦目標を提示。速やかに排除されたし』
「う……私は……?」
 虚ろな瞳に映る行動指令。起き抜けのパイロットに流れ込むそれだけが命題であると言わんばかりに滝の如く流れる作戦ログが、無垢なる少女を兵器へと駆り立てていく。

「追ってくるぞ、あのデカブツ。やっぱり単なるキャリアーじゃない」
 電波ジャックからの逃亡を果たしたALOの3機は、既に公園を抜けて湿原へと出ていた。
 急いで逃げるまでもなく、彼女たちを追ってきた軍用量産機はすべて排除されたようだが、ある程度距離を取っても、空中に佇んでいた大型キャバリアが動き出せば、その動きはすぐさま知れる事となった。
 空中を浮遊して移動するその性質上、高速で水上を駆けるVn-15に追いつくことは難しいかもしれないが、視認できる距離で捕捉され続けているのがまずい。
「あれはあれで、巨大なキャバリアだ。積んでる兵器がどれほどのものか……それに、このままでは|移動拠点《シーバット》の位置がバレる可能性がある」
「一端、バラバラになって後で合流するしかないか……と、撃ってきた!」
 気嚢の様な装甲に覆われた浮遊機関。それに釣り下げられた本体には無数の砲台が備え付けられており、そこから放たれる重力砲弾は長大な射程を持っている。
 いくらか至近弾をもらい、周囲の湿原に濁った水柱が上がる中で、彼女たちのリーダーであるリベレーターは、不可思議な違和感を覚える。
「この追い詰め方、覚えがあるな……そうか、やっぱり……」
「リーダー!? どうした足を止めるな」
 身体が覚えているかのように、『空虚』の砲弾を回避して見せたリベレーターは、しかし、その場で反転して足を止め、敵を見上げる。
 味方の制止も聞かず、
「先に行って。あの子は、私に用があるみたいだ」
「バカ言え! リーダーこそ逃げなきゃダメでしょ!」
「頼むよ」
「リーンベル、我々は、リーダーの指示に従おう」
「……必ず、帰ってきてよね」
 リベレーターの護衛として付いてきたはずの彼女たちを先に行かせ、あろうことかリベレーターは一人、あらぬ方向へ湿原を疾走する。
 その間にも攻撃は逐一、リベレーターの機体を狙うも、それはまるでパターンを知っているかの如く紙一重で躱される。
 ただし激しい攻撃は、彼女の機体を遅延させるには十分であり、器用に回避し続けていたもののいつの間にか『空虚』とリベレーターの距離は縮まっていた。
「……変わらないな。確実に動力部を狙えるよう、追い詰めてから当てに来る。その慎重さ、相手を慮る優しさが、キミを5回も死に追いやった。──フローレンス20620507」
『やっぱり、私の攻撃パターンを知っているのね……貴女は誰?』
「……」
 彼女の、フローレンスの虚ろな問いに、リベレーターは答えない。
『貴方が誰かなんて、もうどうでもいい。ねえ、貴女、私を知っているんでしょう?』
 透明だった少女の声は、いつしか焦りと狂気が入り混じり始める。
 それは、リベレーターも予測していた事であり、彼女もまたよく知る症状であった。
『私は何なの? どんなだったの? 思い出せない。記憶が、割れて落ちたみたいに、ところどころ無いの。フローレンスは、前の私はどうだった? 笑ってた? 怒ってたの? ねえ、私を知っていたなら、教えて! 貴女の知っている私を!』
 ヒステリックに叫びながら攻撃を加えてくる『空虚』。そこにパターンなどというものは無く、錯乱している様子が伺える。
 それをなんとか後退しながら凌ぎつつ、リベレーターはやはり、と口の中で毒づく。
 死亡が報じられたフローレンスの身体は、おそらく回収できなかったのだろう。
 複製体のデータには記憶も含まれているとはいえ、それがリアルタイムで更新されるわけでもなく、またその優先度も高くはない。
 死亡したフローレンスの肉体、脳組織が完全な形で回収できていれば、最新のデータ移植が可能だっただろうし、こうまで早く|再構成《イニシャライズ》をした6人目のフローレンスが、アンサーヒューマンとして使い物になるまでのアセットが十分とは考えにくい。
 恐らくは、最初の段階でガザニアと連携を組んで動いてこなかったどころか今のように話すらしてこなかったのも、直前まで教育途中だったからだろう。
 どこまで、彼女を辱めれば気が済むのだろう。
「……私は|解放者《リベレーター》。できればキミを救いたい……!」
『ああああ!! わたしは、わたしは、いったい誰!? 誰か、だれか、教えてよ……!!』
儀水・芽亜
引き続きナイトメアに「騎乗」し、引き返してきた機体に併走。

なぜ戻ってきたのです!? ここはもうキルゾーンですよ!
あれを動かしているのが第六の……? 分かりました、出来る限り支援致しましょう。私に出来ることはたかがしれていますが。
あなたのことは“|解放者《リベレーター》”さんと呼べばばいいのですね。

「全力魔法」眠りの「属性攻撃」「催眠術」「歌唱」で|反戦の歌《アンチウォーヴォイス》を敵性キャバリアに送ります。
六番目のフローレンスさんはこれで無力化出来るでしょう。オブリビオンマシンも攻撃が鈍るはず。

本当に、私は鉄の塊を相手にするのは苦手なのです。
解放者さん、今のうちにあの機体の砲塔を潰せませんか?



 戦乱から長らく遠ざかって、愁国の国土の多くを占めるという湿原は美しい自然に還りつつあったが、それも先ほどまでの話。
 オブリビオンマシンの出現、そして暴走により、軍用キャバリアに踏み荒らされた自然公園と、その周囲に広がる湿原も、今はあちこち荒れ始めている。
 それほどまでに、大型キャバリア『空虚』の攻撃力は凄まじい。
 二つの機能の様な装甲に吊るされた竜を模したような本体には無数の砲門があり、そこから放たれる圧縮消滅超重力弾は、着弾と同時に周囲の空間を収縮させ圧壊させるエネルギーを持っている。
 あらゆる物質、あらゆる質量あるものがその爆縮に巻き込まれては、エネルギーの消滅と共に圧縮された空間の反作用で炸裂する事で、湿原に幾つもの水柱を上げる。
 いかに堅固な装甲を誇っても、超重力弾の直撃は避けるべきだろう。
「大きいのが動き始めた……でも、どこを狙って……」
 軍用の量産型ガザニアを粗方片付けたところで、周囲の爆音に気づいたらしい儀水芽亜は、上空の『空虚』が何者かに狙いをつけている事に見当をつけていた。
 やはり上方を取られているのは分が悪い。牽制をしたところで、上を通りすがられては、図体の問題もあって止めるのも難しい。
 乗り付けた白馬のナイトメア。その馬上からその攻撃方向を見やる芽亜は、一瞬だけわが目を疑う。
「なんで、戻ってきてるんですかね」
 記憶が確かならば、湿原の中を疾走しているのは、ALOの機体だった。
 一機だけなぜか『空虚』のほうへと方向転換して、苛烈な攻撃の中を器用にやり過ごしているようだった。
 無謀過ぎる。
 通常のキャバリアを何機も搭載できるほどの大型の空中要塞のような相手に、最低限の武器しか装備していないキャバリア一機で、どう戦うつもりなのだろうか。
 一撃でも当たれば、機体はお釈迦だ。
「ああもう、なにやってるんですか……!」
 鐙でナイトメアの横腹を打てば、白馬は嘶きを上げて、湿原へと駆けだす。
 人の身では湖のようで、キャバリアでは泥濘の様な湿原。ましてや馬で駆けだせるような地形だろうか。
 いや、夢の生物であるナイトメアは、それこそ文字通り馬力が違う。
 水面を滑るように疾走するナイトメアは、水柱の上がる嵐のような湿原を駆け抜け、全速力で戦闘機動を行うALOのキャバリアに並走するまで漕ぎつけた。
「なぜ戻ってきたのです!? ここはもうキルゾーンですよ!」
『馬!? いや、そうか、キミ達が我々を手引きしてくれたんだな。すまない。厚意を無碍にするようだけど……しかし、私はリベレーターとして、あの機体に乗っているフローレンスを救わねばならない』
「無茶です! 相手の選びなさいな! ……フローレンス!?」
『彼女はもう5回も、馬鹿げた代理戦争で死んでいる。もうたくさんだろう』
「するとあれを動かしているのが第六の……? 分かりました、出来る限り支援致しましょう。私に出来ることはたかがしれていますが。
 あなたのことは“|解放者《リベレーター》”さんと呼べばばいいのですね」
 轟音の中で喚き声めいた会話を交わしつつ、そこに相対する敵が、あの居心地の悪い葬儀の主役としてモニュメントに飾られていた少女と同じ人物である事を知らされ、芽亜は胸のむかつきを覚えると共に、いよいよと覚悟を決めることにする。
 その瞬間、二人の間を切り裂くかのように重力弾が着水、破裂する。
 飛び退いたとはいえ、泥水を撒き上げる水柱に煽られる形で、芽亜は頭から水を被る羽目になった。
「ああもう……本当に、私は鉄の塊を相手にするのは苦手なのです」
 自然豊かな青臭いかほり。それをうんざりしながら胸いっぱいに吸い込むと、魔力を込めた音階を口ずさむ。
 ただの歌唱が、この戦争の只中のような喧騒に響くとは思えないが、魔力を込められた歌唱は、たとえ激しく水辺が爆ぜてはじける音の中でも、意味と力ある言葉を周囲に鳴り響かせる。
 謀らずともそれは、これまで見聞きしてきたどこか胡散臭いあの都市の中で誰もが甘受していた平和への祈り。【|反戦の歌《アンチウォーボイス》】。
 それは、幾重にも複合された装甲の向こう側に押し込められたオブリビオンマシンのパイロット、フローレンスにも聞こえるものだった。
『歌が……聞こえる……!? 私には、戦う事しか、教えられていない……! それ以外、わからない……! なぜ、やめろというの。私を否定するの……!?』
 痛みと喪失。注いだ傍から零れ落ちる様な、どうしようもない空虚が、芽亜の歌声に思わず動きを止めていた。
「覚えているからといって、嫌なことを続けることはないのです。もう戦わなくたっていいのですよ」
『嫌な事……これは、嫌な事だったの……? じゃあ、私は何のために、戦って……』
 あまりにも不安定なフローレンスは、攻撃の手を止めずにはいられない。
 思考に詰まって動きを止めたところへ、リベレーターへ声を飛ばす。
「解放者さん、今のうちにあの機体の砲塔を潰せませんか?」
『果てしないが、やってみよう』
 激しい攻撃が止んだその隙を突いて、リベレーターのキャバリアが、無数にある砲門へ向けて反撃へと転ずる。
 超重力弾などという危険物を積んだ砲塔をそのまま野放しにするわけにはいかない。
 キャバリアからすれば携行火器。しかし、人間サイズとは比べ物にならない口径の大きなマシンガンの連弾は、そのほとんどを『空虚』の高度と防備に阻まれてしまうが、しつこく狙うその銃弾がようやく、巨大な砲口に吸い込まれていく。
 リベレーターが狙ったのは、上空の、それも砲塔の内部に装填されているはずの砲弾そのもの。
 一度それが誤爆してしまえば、着弾と同時にそうなるように、周囲の空間を圧壊させる。
 炸裂する装甲。大きく傾く鋼の龍。
 強大な武器は、同時に諸刃の剣でもあったのだ。
 ただし、それを狙うのは至難を極めるのだが……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クゥ・クラウ
アインベルに搭乗

『品の無いことだ。形だけの葬儀とはいえ、本人をこの場に連れていたのか』
AIのジョン・ドゥが言う

この場を生き残っても、狂乱した彼女はドールズ・ウォーの「アイドル」にはなれないだろう。そうなれば……
兵器であっても、ヒトであっても、こんな、何の意義もなく使い潰すやり方なんて、キライ。

天翼から光の粒子を振りまいて飛行して、相手に向かう
宙に残した粒子で、幻惑するように軌跡を描いて目を眩ませる
(残像3、ジャミング3)

超重力に囚われそうになっても、
UC【茨棘の返礼】。跳ね返して光の茨で相手を縛る
すれ違いざまに巨体を切り裂くように、武装を斉射。コックピットは外す
(一斉発射3、なぎ払い2)



『ああああっ!!』
 戦場となった自然公園。そこから徐々に湿原へと移動して、ALOのVn-15を追いかけていく形となった最後のオブリビオンマシン『空虚』。
 しかしながら、その巨体からまき散らされる少女の絶叫を、果たして誰が聞いているだろう。
 そして、それがフローレンスと同一人物であると、彼女を知る都市の人間が仮に聞いていたとしてどれだけ気付くであろうか。
 モニュメントに飾られていた在りし日の彼女の姿ですらも、その顔には笑みを湛えていた。
 だが、多大な喪失の只中にあるフローレンスの絶叫を、誰が知り、理解できるであろう。
 死したる者を無理に起こせば、こうなるのか。
 命を弄んだ代償がこれなのか。
 いずれにせよ、そこに彼女の意思はあるとは思えない。
『品の無いことだ。形だけの葬儀とはいえ、本人をこの場に連れていたのか』
 クゥ・クラウの登場するアインベルもまた、全通信を介してまき散らされる少女の絶叫を聞く。
 クゥの支援AIであるジョン・ドゥは、常ならば本気か冗談かも知れないウィットに富んだ言葉を選ぶのだが、いっそのこと本来の役割のように無機的にすら聞こえるほどその口振りは冷え込んでいた。
 機械生命とも言うべきレプリカントであるクゥには、その表現こそおぼつかないところがあるものの、人に近しい情緒を育む仕組みがある。
 そこに酸素が必要なくとも、30℃強の平均的な温度が必要なくとも、その胸の奥に育まれたデリケートなシステムは、極めて人と近しい計測不能の温度を得ている。
「兵器であっても、ヒトであっても、こんな、何の意義もなく使い潰すやり方なんて、キライ」
 たとえ初歩的な作業機械であっても、メンテナンスを怠れば壊れる。
 機械は不完全なものが殆どで、人の様なセルフチェック機能はないのだから。
 まして人を、不完全な状態で使い続ければ、それはやはり壊れてしまうのだろう。
 操縦かんを握る手に力がこもるのを感じる。反応の鈍い表情筋の、下唇や眉間に力がこもるのを感じる。
「行こう。あの機体を、破壊する」
『いいとも。諸々のアラート及び姿勢制御の細かな調整は任せたまえ。しかし、いいのかな?』
「この場を生き残っても、狂乱した彼女はドールズ・ウォーの「アイドル」にはなれないだろう。そうなれば……」
 優雅に巨体を泳がせる『空虚』を見やり、戦う決意を固めたクゥの意志に従うかのように、アインベルの白い装甲の溝という溝にサイキックエナジーの碧い光が迸り、それらが一定の流れをもって背部のサイキックウイング『天翼』へと出力されていく。
 地を蹴り、湿原の空へと飛翔するアインベルが、光の粒子を撒きながら『空虚』との距離を詰めていく。
『限界高度、限界速度を仮設定。これを超えれば、殲禍炎剣に目を付けられかねん。気を付けたまえよ』
「了解。緊急回避は?」
『短距離なら可能だ。なに、クルージングミサイルのような真似をしない限りは大目に見てくれるさ』
 クロムキャバリアの空を飛ぶことは、他の世界よりもリスクが大きい。
 しかし、その条件の中で許される限りの戦闘機動をとるため、ジョン・ドゥは演算と機体の姿勢制御に注力する。
 クゥの操縦センスをあらかじめ仮定した条件下でも十二分に発揮するための作戦であった。
『敵、敵……! 敵は、倒す。それが、私に教えられた価値……!』
 『空虚』の機体表面に無数の砲門が現れる。
 攻撃が来る。恐らくは、Vn-15に撃ち込んでいたような重力弾を射出するものだろう。
「くぅっ……!」
 歯を食いしばり、アインベルの天翼が出力を絞って推力に緩急をつける。
 光の粒子と速度差を利用した飛行法は、翼をもつ生物としても飛行機械としても異質であった。
 幻惑するような、距離感を錯覚させるそれは、鳥というよりトンボの様な空中で跳ねるように移動し、重力弾の弾雨から身を逸らすものであった。
『数が多い。何度も同じ手は使えないようだぞ』
「反応術式、起動──!」
 緩慢な相手に近づくのが、あまりにも遠い。
 それほどに濃密な弾幕へと向かっていくのは、進むほどに難度が増す。
 小手先では避け切れない。そう判断した瞬間、クゥは予め用意していた術式を展開、ユーベルコードを起動。
 至近距離で炸裂する超重力弾の影響をアインベルが受けたかと思った瞬間、【茨棘の返礼】はその種から芽吹く。
 発動した重力エネルギーを栄養とするかのように、光の茨が咲き、その尖った枝葉を『空虚』にまで伸ばしていく。
 その勢いはすさまじく、龍の胴体に鱗の如く出現した砲台を覆うように繁茂していく。
 その状態ならば、重力弾の弾幕にも穴ができる。
 すかさずその隙に潜り込んだアインベルは速度を上げ、すれ違いざまに両肩のレーザー砲を照射。
 その巨大な龍の胴を両断するかのように装甲を焼き切らんとする。
 錯乱した彼女の失ったものは、もうきっと戻らない。アイドルとして祀り上げられることも、彼女自身もパイロットになれるかどうか。
 ならばいっそのこと……。
「……!」
 それでも、一斉射のそのいずれもが、パイロットブロックに狙いをつける事は無かった。
「……浅いな。迷っちゃった」
『君ならそうするだろうと予想していた。姿勢を崩しても、失速していないだろう?』
 自嘲するようなクゥにとって、自慢げでやや皮肉っぽいジョン・ドゥの言い回しが、なんだか救われるような気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

チェスカー・アーマライト
タンクモードで追走して主砲をブッ放すが、流石にブラックホールは貫通できねー
だが動きは止まったみてーだな!
副砲のガトリングで牽制しつつスタンディングモードへ変型
浮遊機関と本体の連結部へ投げ縄みてーにワイヤーを飛ばす
Hi-yo、カウボーイのお出ましだぜ!
脚部アンカーと残り三本のワイヤーで機体をガッチリ固定
フルパワーでブン回して勢い任せに叩きつける
ご自慢の装甲で遠心力の衝撃が相殺できるか、賭けてみな

そこまでサッパリ抜け落ちてんなら、無理にフローレンスに成る必要も無ぇと思うんだがね
ま、|何者《どう生きる》かなんざ、決める権利も義務もアンタ自身のモンだ
言ってみな、その|空虚《カラッポ》の中に何が欲しい?



 ここ数十年は戦禍に塗れる事も無かったという都市部と湿原に隣接する形で作られた公園は、今やキャバリア達のくんずほぐれつの結果、ひどい有様であった。
 風光明媚な湿原の自然を歩いて堪能できるよう埋め立て地に敷設された遊歩道は踏み荒らされて、湿った風を都市部まで届かせない防風林もあちこちが倒壊するか兵器の影響を受けて蹴散らされたような有様だった。
 だが、最も破壊を進めているのは、戦闘開始からずっと上空を占拠する様に佇んでいた巨大飛空キャバリア『空虚』の胴体部に無数に出現する砲門から放たれる超重力弾であろう。
 湿原をひっくり返すかのような重力弾の影響は大きく、湿原の水面に着弾するや周囲の空間を収縮させてその収縮エネルギーが臨界に達したところで圧壊を引き起こして爆縮現象のように破裂する。
 それによって激しい水飛沫が上がって、湿原の中身をひっくり返さん勢いで泥をまき散らす。
「おお、おっかねぇ。空中要塞みてーなデカブツを戦車で対抗なんざ、さすがにやったことないねぇ。ま、取り敢えずあのデカさなら外さねーだろ」
 公園の敷地ギリギリを突っ走るのはチェスカー・アーマライトの駆る変形する戦車であり量産型キャバリア『ビッグタイガー』。
 『空虚』の機動性はその図体も手伝ってお世辞にも高くはないが、空中を制するその威容は、存在だけで驚異的だ。
 だからといって慎重になる余裕はない。湿原の先まで出られてしまっては、戦車の不利だ。
 ビッグタイガーは器用な機体ではない。地上滑走し戦車砲をぶっ放す。それ以上の事をやろうとすると、操縦者に多大な負担を課す。
 世のだいたいの戦車は、航空戦力が天敵である。重武装の戦闘ヘリを相手に、主力戦車は成す術無く潰されるのが落ちだ。
 それほどまでに、地上戦力が航空戦力に対抗するのには大きな壁がある。
 まあそれは戦車乗りとしては痛いほどわかっているので、だからどうしたという他にない。
 鉄の棺桶に喜んで乗り込む馬鹿野郎に、そんな当たり前の道理を説いたとて、でもやるしか無かったらそれで何とかするっきゃないのである。
「おら、こっち向けやデカブツ!」
 ずむん、と長大な砲身が咆哮を上げる。戦車砲の一撃は走行しながらとはいえ、相手は外しようがないほどの巨体で、吸い込まれるように撃ち込まれた一撃は、しかしその装甲を破る事は無く、被膜のように張った重力波に阻まれてしまう。
「あぁん、なんだありゃ。ブラックホールだぁ? 流石にそりゃ、通らねー」
 狭苦しいーコクピットの中でチェスカーは目元を覆う。が、主砲があっさり弾かれてしまったにも拘らず、その口元は勝ち気につり上がったままだ。
「だが、動きは止まったみてーだな! 動きを止められりゃあ上出来だ。バカスカ撃って通じませんでしたー! でケツ捲るほど、こちとら青かねぇのさ!」
 たかだか主砲がほぼ効かない程度の相手だ。どうするかな。
 思考するのはほんの一瞬。
 戦車に乗り続け、戦場に身を置き続けた猟兵は、少なくともチェスカーは、理知的なデータ戦略よりも、経験則と直感を信じる。
 ガザニア部隊を蹴散らすのに使った主砲はもうあまり無茶ができない。メイン動力直結の切り札を使い過ぎると、この戦車ちゃんは結構あっさりバッテリー切れを訴えてくるのだ。
 切れたらさっさと入れ替えろ間抜けぇ、などとは言えぬ差し迫った状況、とりわけ戦車の足回りに悪影響な湿原エリアに深入りされてしまうと本当にやる事が無くなってしまう。
「こっちだこっち、こっちの土俵際に付き合ってくれよ、デカブツちゃん」
 タンクモードから人型スタンディングモードに移行し、射角の取れる両腕のガトリング砲で牽制を仕掛けると、相変わらずそれらの攻撃は『空虚』の防御フィールドに阻まれてしまうが、反面、防御に徹している間は身動きが取れないらしい。
 あれほどの巨体を覆うバリアを張っているのだ。機体の負担は大きいのかもしれない。
 ガトリングの高速で回転する銃身が見る間に赤熱していく。
 たったの一機で空中要塞の様な巨体を引き留めているのは凄まじい絵面だが、それも銃弾をばら撒いていられる内だけだ。
 こんなものが長持ちするわけはない。はなから装甲をどうこうする手立てなど、主砲が弾かれた時点でほとんど無いのだ。
 文字通りの牽制の最中に、ビッグタイガーはワイヤーを射出する。
 本来はビッグタイガーの機体を固定したり、崖をよじ登ったりするときに用いるウィンチ付きのワイヤーだが、それが狙うのは『空虚』本体ではなく浮遊機関とを繋ぐ部位。
 本体は強固なフィールドで護られているが、緩く弧を描く投げ縄のように放たれたワイヤーは連結部を絡め取ることに成功した。
 が、そのワイヤーが張ると、途端に『空虚』の大質量がビッグタイガーにも影響する。
「うおっ、アンカー! 残りのワイヤーも展開だ!」
 機体固定用の脚部パイルによるアンカーを突き立て、ワイヤーを張るビッグタイガーだが、ぴんと張ったワイヤー、そして負荷のかかる機体にみしみしと嫌な音が聞こえてくる。
 少し重いか。いや、ビッグタイガーは男の子。
 機械の手で手繰るワイヤーを握りしめるビッグタイガーは、ユーベルコードの影響もあって、その重量差をものともしない。
「Hi-yo、カウボーイのお出ましだぜ! ご自慢の装甲で遠心力の衝撃が相殺できるか、賭けてみなっ!」
 【グランドスラム・ナンバーナイン】。機体を固定したチェスカーの戦車は、まさに土俵際の綱に足を引っかけるかのように踏ん張ったままワイヤーを手繰り寄せ、あろうことか数倍の大きさを誇る『空虚』をワイヤーを通じて振り回した。
『うう、嘘……こんな、戦い方、データに無い……!? これも忘れているというの……!? 対ショック──!?』
 猛然と大地に叩きつけられた『空虚』の巨体は、その衝撃だけで周囲の建物を倒壊させんばかりの衝突音と振動を作り出した。
 さしもの強固なワイヤーも、叩きつけた衝撃でぱつんぱつんとほつれて千切れてしまった。
 ダメージは甚大であろう。墜落の対策こそされていようが、叩きつけられる対策などしてはいまい。
 少なくとも、パイロットが死に至るようなことはないだろう。
 相手が容易に片付くようなものではないと勘が告げる中で、チェスカーは千切れたワイヤーの先に立ちこめる土煙へと語り掛ける。
「そこまでサッパリ抜け落ちてんなら、無理にフローレンスに成る必要も無ぇと思うんだがね。
 ま、何者どう生きるかなんざ、決める権利も義務もアンタ自身のモンだ。
 言ってみな、その空虚カラッポの中に何が欲しい?」
『私は……私は……私でいたい……!』
 もうもうと立ちこめる視界の悪い土煙の中で、鉄の龍の双眸がギラリと光った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレスベルク・メリアグレース
……楽にしてあげましょう

瞬間、時を加速させて超重力弾……幾ら時空を歪める超重力を持とうとも、同じく重力操作――『重力を支配し、時を加速させる程の信仰心』によって『これから辿るが、意志の力で変えられる未来』を発見してわたくしが撃破される未来とこの戦場における『不幸な未来』を見据えて回避していきます

|解放者《リベレーター》……成程、敵は誰で味方は誰かは、はっきりとしたようですね

周囲の人間が知覚できない速度で『エンジェリックSSA・ガイオウガ』による水爆の数千倍以上の熱量を叩き込み、葬送してあげます



 叩きつけられた鉄騎の龍は、凄まじい震動と衝撃とともに、埋め立て地である自然公園の遊歩道のあちこちにひび割れを走らせ、大質量の衝突はこの仮初の大地を緩やかに溶かし始めていた。
 そう、ここは埋め立て地。
 発展した技術があろうとも、長い年月とともに培われた大地とは本来切り離された場所に、地盤などは無いのだ。
 湿原を埋め立てた自然公園の地表は激しい震動により急激に液状化が進み始めていた。
 いずれここも形状を保てず崩れて沈んでしまうかもしれない。
『私は、誰……私は、私でいたい……失ったものは、取り戻さなくては……』
 墜落した『空虚』の浮遊機関が唸りを上げて出力を上昇させる。
 激しい衝撃を受けたとはいえ、『空虚』の機体制動は健在であり、その機能停止にはまだ遠いらしい。
 貪欲な迄の生への渇望。オブリビオンマシンにより侵食されたフローレンスの、自身の欠損した何もかもをも埋めようとする戦闘衝動は、はたして生来のものなのだろうか。
 それとも、彼女がただ戦うためだけに調整され、緊急的に植え付けられた思考アセットの一環なのか。
 錯乱しながらも、その闘争心は機体越しにも周囲を威圧するほどの気迫であった。
 それは果たして、人と呼べるものなのか。
 人の革新、或は、キャバリアを操縦するために最適な人種としてデザインされたアンサーヒューマンとして、それは正しい姿なのだろうか。
 崩壊していく自然公園。急速な液状化現象に伴って倒壊して崩れるモニュメントを傍目に、宗教国家の国家元首であり、かつアンサーヒューマンとして調整を受けてもいるフレスベルク・メリアグレースは眉を顰める。
 宗教を担う国家のその元首として、彼女は不勉強であってはならない。
 その出自が庶子であろうとも、国宝であるサイキックキャバリアと感応する事が出来た以上は、国家の重要人物に祀り上げられてしまう。
 宗教的な象徴。そして、たとえお飾りであろうとも国家元首の座に就くことになり、国の顔にならねばならなかった。
 生憎とフレスベルクはただのお飾りではなく、国政を担うに十分な教育を叩き込まれ、それだけでなく少なくとも国教の教義を諳んじるだけの思想を教え込まれ、ただの見目麗しい少女だけに留まらず国家元首、教皇、キャバリアパイロットとして過分なくこなす事が出来た。
 メリアグレース聖教皇国の最重要人物として、公私も無い日々が幸福かどうかはさておいて、それが自分なのだと自信をもって歩めることは、恐らくは充実してはいるだろう。
「私でいたい……。楽にしてあげましょう」
 思うところが無いではない。
 ただ、オブリビオンマシンを破壊する事は猟兵の役割である。
 必ずしも、パイロットを救う必要はないし、それが難しければやむなくマシンごと破壊することも視野に入れなくてはならない。
 救済とは何だろう。
 メリアグレース聖教の教義を学ぶ上で、偏見を持たぬよう、様々な他宗教の教義を知識として学んだこともあったが、生死の解釈は様々である。
 時には疫病や服毒による死であろうとも、それは神によって許されたという解釈もある。
 それに、銃を手にして人を撃つのは、多くの国では一般人の方が多く、時には宗教の名を借りて引き金に手をかける。
 教義を語り神の名を叫んで死ねば、その魂は救済されるのだという。
 魂の在り処は、クローン人間の場合はどこになるのだろうか。
 記憶を担う要素が引き継ぎ可能であり、遺伝子的にも脳細胞に至るまでその記憶まで再現可能であるならば、その魂は同一であろうか。同じものが物理的な肉体共々複製できるのか。
 ドールズウォーに於ける生命の倫理観は、宗教の教義に当て嵌めると、かなりアウト寄りである。
 尤も、メリアグレースとて、神の乗機に見合うものを見出すために、人の構造の解明にまったく無頓着と言い難いのは、フレスベルクというアンサーヒューマンの存在そのものが示している通りである。
『もうよせ! その機体から降りるんだ。フローレンス!』
『私の、在り方を否定するなぁぁ!!』
 ALOのキャバリアが、ふたたび浮上を始める『空虚』に突撃していくのが見えた。
 機体に張り付ける機会は、その体格差を考えれば貴重であろう。
 単なるテロ屋ではなく、ALOの代表は、案外その“教義”通りの人物なのだろうか。
 国家を担う者として、ただの一度だけ面通ししただけの相手の発言をそうそう簡単に信じるわけではないが、こんな馬鹿げた戦いに身を切りに来る馬鹿さ加減は、うっかり信じてしまいそうになる。
「|解放者《リベレーター》……成程、敵は誰で味方は誰かは、はっきりとしたようですね」
 救済とは何か。
 教義の外側にある存在を、わざわざ自らの教えに当て嵌める必要などない。
 つまるところ、ただの個人として、哀れを感じずにはいられなかった。
 【澄み渡り世界の果てまで見渡せそうな空は蒼く】。
 希うクロムキャバリアの戦乱の灰色に染まった空とはまるで異なる青い空。それは、彼女の信じる教義そのもの。神通力とも言うべき未来視と、存在や時間の概念をも知覚し創造する力であった。
 森羅万象。或は、体内時間、体感時間の加速。瞬間思考力の応用とも言えるが、加速した思考は膨大な演算のもと歩むべき未来を夢想する。
 重力とは即ち、存在の質量。その推移を演算して、未来を視る。
 ALOの機体と、それを迎え撃つ『空虚』の攻防の中で、超重力弾を発射する無数の砲台の射線上に居るフレスベルクは、高い確率で被弾する事だろう。
 ああ、一度、二度、生身でそれを喰らえば、空間の歪に巻き込まれ圧壊して破裂する空間と共に脳漿をぶちまけることになる。
 そんな未来を何度夢に見て、それでも踏破可能な未来を模索しただろう。
 このユーベルコードは、そんな茨の道を幾重にも提案する、悪夢のような航路だ。
 そう、それを超えた先に──。
 蒼穹を見出したフレスベルクの手には『エンジェリックSSA・ガイオウガ』天使核リボルバーが握られ、人の身には到底生き残れない弾幕を奇跡的に乗り越えて、その引き金に指をかける。
 シングルアクションの撃鉄が打ち付けるのは、水爆の数千倍という熱量を持つという怪物の弾丸。
 パイロットブロックに直撃すれば、数百倍の体格差とて問題はあるまい。
 閃光が、『空虚』の装甲を撃ち貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
ALOのキャバリア!何故撤退していない!?

デモニック・ララバイ操縦。
ドロモス・BXサイキックシールド展開【オーラ防御】
自分とALOキャバリアをシールドで覆い言葉を投げ掛ける。

そうか!自分はオブリビオンマシンを破壊する!アレを壊す!!
死なせたくないなら!自分に協力しろ!!
走狗でも、戦奴でもないというのなら、言葉を投げ掛けろ!!

【衝撃波音響弾】上空の自然現象を吹き飛ばし『零距離回点』魔眼発現。
【天候操作】天災を退行、人工魔眼の【超視力】で空虚を捉え、飛行能力を退化、墜落させる。
ドロモス楽団の衝撃波で落下速度を減衰。が、暴れるだろう。だから──

声はララバイに届けさせる!説得してみせろ!!
暴力ではなく言葉で以て人であると|宣《うた》ってみせろ!
アンサーヒューマン!!

リベレーターの声を魔音で増幅【大声貫通攻撃】
空虚パイロットの耳に、脳髄に言葉を流し込み【催眠術】沈静化させる。
その隙にドロモスを空虚内部へ送り込み、パイロットの回収が成功したら、
殺戮音叉で空虚を【串刺し】衝撃波を流し込んで粉砕する!!


鳴上・冬季
「命の軛から外れて不死を夢見るのは、命の定めなのかもしれません。それで仙に到達できるものは本当に極々僅かですが」
龍騎眺め

「貴女は人が夢見た不完全な不死の形の一つ。魂が毀れた鬼(幽霊)のようなもの。貴女の望みを1つ叶えましょう。生きたいか、死にたいか」

「龍騎は倒さねばならないが、それに貴女自身は含まれません。次の貴女は今の貴女よりは真っ当な情報を刷り込まれた個体になるでしょうが、今の貴女とは生体情報が同一なだけの別人です。貴女が生きたいなら道を示しましょう。絶望して死にたいなら龍騎と共に殺しましょう。毀れた記憶と魂は戻りませんが。…生きたいか、死にたいか」

黄巾力士を最大の634m迄巨大化し溶けるように融合
仙術+功夫で縮地(短距離転移)し接敵
敵の攻撃はオーラ防御で防ぐ
金磚でゼロ距離射撃して敵機の駆動部分をどんどん吹き飛ばし毟りとりパイロットの居る操縦席(もしくは艦橋)を探す

死を選択
金磚の徹甲弾で操縦席ごと吹き飛ばす
生を選択
操縦席ごと毟りとり解放

「生き延びたいなら、ALOで術を学びなさい」



 一度は撃墜した、というより引きずり下ろされた『空虚』であったが、その戦力はまだ健在。
 確実に大きなダメージがあったのは間違いないが、それでも戦える余力を残している。
 雄大に空を駆ける龍を、鎖にかけて引きずりおろして地に打ち付ける様。そしてそれを振り払うように再び空を飛ぼうとする様は、どこか神話のような光景であったが、当事者とも言うべきこの場を目の当たりにした者たちにとってはたまったものではないだろう。
 自然公園は、その埋め立てる前の湿原の姿へと戻ろうとしている。
 ガザニアの部隊を運搬可能なほどの巨大キャバリアの質量を思い切り叩き落したのだから、その衝撃は大地を揺るがし、埋め立て地である公園は自身に見舞われたかのように大地を液状化させていき、固められた足場は罅割れて揺すられるほどに浸水を許してしまう。
 此処に人が残っていなくて本当によかった。
 などと心配する者は、もはやこの場には残っていない。
 事前策を取っていたというのもあるが、この場に於いて戦うこと以外に余力を残している者はほとんどいないというのが正解かもしれない。
「命の軛から外れて不死を夢見るのは、命の定めなのかもしれません。それで仙に到達できるものは本当に極々僅かですが」
 砕けゆく、土煙とどこかの水道管の破損したらしい水の上がる泥の様な霧の中でなお、その果てしない生命力を誇示するかの如く、古に居たかもしれない龍の雄々しきを見るかの如く、鋼の龍が飛空機関をフル稼働させて上昇していく。
 これまでの猟兵たちとの戦いの中で、その巨体は既に多くの不具合を見せているにも拘らず、命を火を燃やし続けるかのように轟音を上げて浮かび上がる様は、キャバリアとはいえ生命の様な雄大さを感じるのだ。
 ただ、そこに生きているパイロットがオブリビオンマシンによる精神汚染で突き動かされているアンサーヒューマンであること。
 フローレンスという少女が、これまでに幾度となくドールズウォーという代理戦争の為に複製された存在であるということを知っても、鳴上冬季には浅ましくも眩しく見えたのだ。
 完璧な複製人間が作成できるならば、それは永遠に生きることも不可能ではないかもしれない。
 首無し人間。クローン技術が完璧であるなら、身体の欠損をも厭う事が無くなるのだから。現に、彼女は幾度となく命の終わりを見て、その度に新生している。
 そうでなくとも、死に至るような傷を負って帰還しようとも、その肉体を補えるスペアがあるということになるのだ。
 黒い考えを持つなという方が無理だろう。
 こんなものを実用可能にした人物は、きっと人の倫理観を持ち合わせてはいない。例えるならそう、鬼のような存在だ。
「貴女は人が夢見た不完全な不死の形の一つ。魂が毀れた鬼(幽霊)のようなもの。貴女の望みを1つ叶えましょう。生きたいか、死にたいか」
 複製があるから、楽観的に戦争ができる。自分でないから。死んでも損のない命だから。
 緩やかに、しかし確実に、ドールズウォーという文化を通して、この国の死生観は壊されてきたのだろう。
 おそらくは、この技術を齎した何者かの手引きによって。
 文化の飽食の果てに、この国は何を見るのだろうか。
 冬季は風火輪を履いたまま浮き上がる龍騎を見やり、果てしない体格差の上でも不遜に、涼しげに笑うのだった。
 どう転ぶにせよ、行く末を見てみたいという知的好奇心にとって、オブリビオンマシンという存在だけが邪魔であった。
 あとは、これを破壊するだけだが、ふと何かの接近を察して、冬季は好機を見送る。
『フローレンス! これ以上、その機体に乗り続けてはダメだ!』
 それは、ALOの代表が搭乗しているキャバリアだった。
 水上戦闘用のホバーを装着し、滑るように移動する機動力は、この国の環境に良くマッチしているが、流石にそれだけでは『空虚』の相手は務まるまい。
 健気に単機でフローレンスを説得しようとしているようだが、まさか本気でオブリビオンマシンを止められると思っているわけではあるまい。
 それをするには、あまりにも無謀。
 と、考えていたのは、冬季だけではなかった。
「ふむ、また別の鬼が来ましたか」
 追い縋るALOの機体を迎え撃つように、残る武装を展開する『空虚』。
 その火力差は歴然としており、機動力で躱し続けてはいるものの、周囲を破壊し続ける規模の攻撃をいつまでの逃げ続けられるわけではない。
 しかし、それを守るように、小型の人型無人機──ドロモス・コロスがどこからともなく出現し、サイキックシールドを展開してALOの機体を守りに入る。
 そしてその親機でもあるサイキックキャバリア『デモニック・ララバイ』を駆る朱鷺透小枝子もまた、追走する様に|解放者《リベレーター》に接近するのだった。
「ALOのキャバリア! 何故撤退していない!?」
『このリフレクターはキミか。……すまない! 私の出る幕ではないのかもしれないが、しかし解放者を名乗るからには、彼女を放ってはおけないんだ』
 リベレーターの機体、装備では『空虚』を止める事は不可能であろう。それは本人がよくわかっている筈だった。
 彼女はただ、ここで開催される葬儀という茶番を皮肉りに来ただけであり、逃走用のキャバリアに対艦用の装備すらない。
 いわば、政治活動のために来ただけの者に、この場に残る道理は一つも無い筈なのだ。
 それでもなお、代表者がわざわざ命を賭してこの場に留まるのは、在り得ないほど馬鹿らしくもあり、その本気を窺わせるのには十分であった。
 デモニック・ララバイに搭乗し、既に戦うためのクレバーな兵士そのものとなっている小枝子にとって、わがままな|護衛対象《プリンシパル》ほど厄介な事案はないものだが。
 ただ目標を排除するしか能のない兵士とて、思わぬ事が皆無という訳ではない。
 本人は肉体が滅んでいる悪霊である事に気づいていないとはいえ、小枝子は自分の身体に肉が付いており、無感情な少女でないことに自覚がある。
 対象を撃滅する際に凍り付くような心の機微が、実は人並みに温もりを持っている事を知っている。
 戦う時には心の隅に追いやっているものが、不意に兵士の心を揺さぶるのだ。
 だめだ。問答無用で下がらせて、不要なリスクを背負うべきではない。それはわかっているのに、
「そうか! 自分はオブリビオンマシンを破壊する! アレを壊す!!
 死なせたくないなら! 自分に協力しろ!!
 走狗でも、戦奴でもないというのなら、言葉を投げ掛けろ!!」
 口から出たのは、理想的な戦術とはかけ離れたものであった。
 それはきっと正しくない。しかしながら、迷いなく口から出た言葉であるなら、それを実行すべきではないのか。
 兵士に迷うことは許されない。その一瞬で、死ぬからだ。だから、死んでもいい信念を持っていなければならない。
 命を投げ捨てるような無謀な兵士として大量に複製されたうちの一人、小枝子は、迷わずに作戦を変更する。
『わかった。礼を言う。が、どうするつもり? こちらの武装では、あれに有効打は与えられない』
「なら、届く場所まで、墜とす!」
 その時、『空虚』の武装が、その毛色を変えるのを感じた。
 どうやら地面に一度叩きつけられた影響で重力弾を発射する砲門が幾つか使用不能になっているのか、それとも弾薬が尽きたのか。とにかく、新たに展開するアンテナの様な兵器は、周囲の天候を急速に悪化させ、雷雨や暴風を呼び込み始めた。
『天候兵器……! こんなものまで積んでいるのか!?』
「好都合……! 見ろ、敵を、そして止まれ!」
 風雪、暴風など、ちぐはぐな酷環境を生み始める災害兵器の展開を、小枝子は見据える。
 悪霊と化した自覚こそないものの、その身体はサイキックキャバリアを操る超能力を扱うのにより効率的でもあり、ユーベルコードによってその在り様を変質させてしまう。
 片目に埋め込んだ人工魔眼の使用も、長く続けばそれが当たり前になり、もう片目もまた魔眼としての特性を得ていく。いや、もしかしたら本人が覚えていないだけで、それも最初から人工魔眼だったのかもしれない。
 【零距離回点】は、本来、片目の退化退行の魔眼を用いた回避のためのものだが、両目共々併用する事により、その超能力は拡張し、天候を操作する機構を看破し、超能力で対抗するまでに至る。
 あらゆるものの、その在り様を見止め、その力を退化させ衰弱させる魔眼の輝きが、その範囲を広げる程に小枝子の負担は激増し、焼け爛れる肉が液状となって零れ落ちるが、それでも見据える。
『飛空機関、出力低下……!? おのれ、その機体か! 私の、邪魔者……!!』
 半狂乱になるフローレンスの言葉が流れ込んでくる。
 乱気流、磁気嵐のような乱れた天気の中でも通信が繋がる程の距離感にまで、『空虚』は降りてきている。
 このままでは墜落。
 邪魔をするデモニック・ララバイへ向けて、『空虚』はその砲門を向けるが、
「優しい幽鬼も居たものですね。しかし、そろそろこちらも手を出さねば」
 滑稽なほど少女らしい、自ら死にに行くような無茶をする小枝子の大立ち回りを静観していた冬季だが、この時に至りついに動き出す。
 キャバリアを何機も輸送可能な空中要塞じみた巨大キャバリア相手ともなれば、さしもの黄巾力士が列を成しても、その強固な装甲を破るのは手間であろう。
 彼が開発した仙人の超技術の賜物、宝貝の黄巾力士は、本来は人とそう変わらない体格なのである。
 だが、ただそれだけの歩行戦車として黄巾力士を作り上げた訳ではない。
 【合一・黄巾力士】により、溶け込むようにして黄巾力士と融合する冬季は、より完全にその力を発揮する事ができる。
 真鍮の如く黒く輝く歩行戦車がぐんぐんと巨大化すると、それはもはや『空虚』の全長をも超える巨大な姿となって、墜落する『空虚』を受け止めた。
「気嚢を破壊しなさい。これはまだ、生きています」
「! わかった!」
 機体を受け止める黄巾力士の周囲には、『空虚』の重力波フィールドが干渉し、その装甲を完全に貫くことができないようだが、そこに注力している今ならと、小枝子に指示を出すと、弾かれたように回り込んだデモニック・ララバイの手にした長大な楽器めいた武器に生えた殺戮音叉で浮遊機関である気嚢を貫いた。
 それにより劇的に重量は増したが、巨大化した黄巾力士は『空虚』を抱え上げたまま内蔵火器『金磚』による攻撃でついに龍騎の装甲を突き破った。
「声はララバイに届けさせる! 説得してみせろ!!
 暴力ではなく言葉で以て、人であると|宣《うた》ってみせろ!
 アンサーヒューマン!!」
 装甲を剝がされ、武器を引き千切られながらも、抵抗を見せる『空虚』。そこへ、リベレーターに向かって小枝子が叫ぶ。
『聞こえているか、フローレンス! もう戦わなくたっていい! これはもう、ドールズウォーなんかじゃないんだ! キャバリアに乗らなくたっていいんだ』
『私は戦う事しか知らない! 教えられていない。それ以外、何も思い出せないの! どんなに、戦いをやめようと思っても、私達に与えられるのは……そう……戦うための兵器だけ。だから、ああ……そう、貴女……ルクレッツィア、だったのね』
『フローレンス! 覚えていたか! もうやめよう。もうキミを殺したくはない』
『そう、貴女こそ、優しい人だった。戦わせたくないから、いつも止めを刺していた……誰にも理解されない、私達の優しい|解放者《しにがみ》』
『誰にも、もうキミの命を弄ばせたりしない……お願いだ。その機体から降りるんだ』
『駄目よ……コントロールが、もう利かないの……このまま破壊した方がいいわ』
 会話を続ける最中も、その言葉とは裏腹に『空虚』は激しく抵抗し続けている。
 理性的なフローレンスとは対照的に、それはもはや獣のようだった。
 そこから察するに、もはやフローレンスの意志とは離れたところでオブリビオンマシンは暴走しているのではないだろうか。
 フローレンスは、自身の命運を察したかのようにリベレーターを遠ざけようとしている。
 が、そこへ水を差すように冬季が割って入る。
「龍騎は倒さねばならないが、それに貴女自身は含まれません。次の貴女は今の貴女よりは真っ当な情報を刷り込まれた個体になるでしょうが、今の貴女とは生体情報が同一なだけの別人です。貴女が生きたいなら道を示しましょう。絶望して死にたいなら龍騎と共に殺しましょう。毀れた記憶と魂は戻りませんが。……生きたいか、死にたいか」
 諦念と安堵すら見えるフローレンスの理性は、多くの記憶の欠損を抱きながらも死の間際にふと湧いた一瞬の灯火かもしれないが、それは何も心配いらなくなった自暴自棄にも似た感慨なのではないかと推察する。
 それはそれで美しい輝きなのかもしれないが、それを見送る立場にあるリベレーターはどうだろうか。
 それに、冬季としては、殺す相手が出るにしろ、それが複製品に満たないような未完成のものであっても、そこに生きる者に無意味などはないと考える。
 同じ遺伝子、同じ記憶を持つ複製体であろうとも、そこに在る命は別個であらねばなるまい。
 今の彼女の意思は、今の彼女のものであって、記憶の中の彼女のものではないのだ。
『……私は、いつだって私でいたい。死にたくないから、戦ってきたんだもの。ホントは、ずっとずっと生きたかった!』
「その言葉が聞きたかった」
 めきりめきりと、複合金属の装甲をかき分ける黄巾力士の腕が、ついにパイロットブロックを引きずり出し、無数のコネクタを引き千切った。
 それを機に、暴れ続けていた『空虚』はついに動きを止め、その厳つい龍の形相からは輝きが失われた。
 パイロットが引き剥がされたことで、ようやくオブリビオンマシンとしての機能を失ったのだろう。
「生き延びたいなら、ALOで術を学びなさい」
『案外、お人好しなのね』
「果たしてそうでしょうか。貴女はこれから、ご自分のそっくりさんを何人も殺す羽目になるかもしれませんよ」
 コクピットから解放されたふらつく少女が、ALOの機体に回収されるのを見送る頃には、自然公園はすっかり湿原に呑まれる形となり、騒動の激しさの形跡を残しつつも、当初の葬儀のイベントがあった事など忘れてしまったかのようだった。
 ただ、これほどの争いがあったところで、この国の在り方はそうそう変わるものではないかもしれない。
「日が暮れる……ここに公園があったことを、葬儀があったことを、いつかは忘れるように……。彼女の生きた証も、死んだ証も、忘れ去られてしまうのでしょうか」
 湿原の水平線のむこうに沈んでいく夕陽に消えていくキャバリアの姿を見送りながら、小枝子は、そこに生きた者たちの足跡を忘れまいと思うのだった。

 ・ ・ ・

 ──0005時。黎国領海内。潜水母艦シーバット。

『定時連絡ご苦労。大変だったようだね|解放者《ルクレッツィア》。報告はこっちにも上がっているよ』
「キミにそう呼ばれるのはこそばゆいな|執行者《ルクレッツィア》。自分の顔と声に名前を呼ばれるのは、いい気分じゃないだろう」
 深夜の洋上に静かに浮かぶ潜水母艦。その艦橋は静かなものだったが、傍から聞けば、それはALOの代表者が自分の声と会話をしているような、奇妙な光景だったろう。
『定期的に呼ばないと、忘れてしまうからね。私達のやる事は、キミ達のようなテロ屋より多いんだよ。まあ、今回はキミ達にも同情するがね。軍部に暴走者が出てドールズまで持ち出してくるのは、流石に台本に無かったからねえ。愁国の|祈禱者《ルクレッツィア》も、対外戦力の摩耗には嘆いていたよ。あの猟兵とかいう傭兵たちには感謝しなくちゃね。大事にならなくて何よりさ』
 同じ名前だが、ニュアンスの異なる単語が飛び交う交信は、つい数時間前の葬儀襲撃テロ事件の内容にも触れる。
 結局、あの事件は、ALOのテロリズムと、それを治めようとした軍部の行き過ぎた戦力投与という形でニュースを飾ったらしい。
 そこにフローレンスが軍部所属のキャバリアに搭乗していたこと、軍戦力が充実していたことなどには、メディアは一切触れていない。
『とはいえ、目立ちすぎは否めないな。軍拡派を抑え込む材料にはなったけど、キミ達ALOの立場は、より悪くなっちゃったね。しばらくは内海を離れた方がいいかもしれないな』
「その口振りからすると、黎国にも波及しているみたいだな。もうとっくに丸め込んでいるものと思っていたんだがね、大統領補佐官殿」
『気軽に言ってくれるなあ。この地位まで上り詰めて、各地でキミや愁国と連絡をとるための電波塔を敷設したり、何よりキミ達に移動拠点にもなる潜水母艦を提供したのは、どこの誰だと思ってるんだ?』
「キミには感謝しているよ。期待には答えてやる。せいぜい、お人形遊びに衆目を集めるための道化を演じてやるさ」
『うんうん、そうこなくっちゃあねえ。我々が、ゆくゆくは殲禍炎剣に手を伸ばすためには、安全な国とプラントが必要だ。二国だけでは、ちょっと足りないからね。これを機会に、呼び込みを頼むよ。もっとみんなで──ドールズウォーを楽しもうじゃないか』
 ねばつくような微笑みと共に通信を終えると、リベレーターは机についた肘を支えにふう、と息をつく。
 張り付いた様な笑みは、恐らく画面向こうの彼女と全く同じものだったはずだが、その仮面を剥ぐとその目じりには疲労の色が伺えた。
「しかしまあ、同じ顔してるのに、全然感じが違うから、毎回気味が悪いよね」
「言ってやるなよ。それは本人が一番感じているはずだ」
「それで、リーダー。次の行き先は決まったわけ?」
 それまで声を潜めていたALOのメンバーたちが、彼女の孤独を覆うように声をかけてくる。
 同じ顔をしたアンサーヒューマンの複製体。それぞれが抱く野望とは違う、彼女たちの望む本当の意味での解放を目指す仲間たちが、危ういところでリベレーターを支えていた。
「そうだな。しばらく内海を離れるとなると、次の目的地は──」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年06月17日


挿絵イラスト