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禁軍猟書家戦〜天衣無縫の武者を討て

#封神武侠界 #戦後 #ハビタント・フォーミュラ #エクスマトリックス・オーバーロード #禁軍猟書家

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「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「第二次聖杯戦争から逃げた猟書家『ハビタント・フォーミュラ』が使用した異次元の門、|全能計算域限界突破《エクスマトリックス・オーバーロード》の入り口が発見されました」
 終戦後の金沢市・卯辰山公園を調査していた猟兵達は、自転車のような痕跡を辿った先に直径5m程の「超空間の渦」を見つけた。これは精神を強く集中した時だけしか見えないが、どうやら素早く戦場の制圧が完了したため、敵は逃走経路を消せず、隠す事しかできなかったようだ。

「すぐにでも乗り込むべきですが、リムが予知したところによると、この門の先には秘匿されていた猟書家の精鋭達が罠を張り、猟兵を待ち受けているようです」
 これはグリモアが猟兵に与えた警鐘だ。予知によると敵は書架の王「ブックドミネーター」を守護するために編成された「禁軍猟書家」。書架の王亡き後もいざという時のために温存されていた精鋭の近衛兵である。それが出てきたということは、猟書家も本気で猟兵を迎え撃つつもりのようだ。
「ハビタント・フォーミュラはこちらの追跡さえも見越して二重に対策を施していたのかもしれません。ですが、逆に考えればこれはチャンスかもしれません」
 今まで猟書家勢力はその全容が掴めず、なかなか決着をつけることができなかった。だが、ここで精鋭と思しき禁軍猟書家を駆逐できれば、猟書家壊滅の可能性が現れるかもしれない。長き猟書家との戦いにピリオドを打つ――この戦いは、その嚆矢となるやもしれないのだ。

「皆様が超空間の渦に飛び込むと、その先は封神武侠界に似た『偽物の世界』が広がっています。現地では既に、オブリビオンの集団による幾重もの包囲網が敷かれているようです」
 敵軍を構成するのは優れた女性拳法家が悪しき者の手で僵屍に変えられた『隻眼女僵屍』だ。オブリビオン化しても生前に鍛えた功夫は健在であり、様々な伝説上の生物を手本とした拳法で戦う。超空間の渦に突入した猟兵達は、この僵屍の包囲網のど真ん中に投げ出されてしまうのだ。
「なんとか一点突破で脱出したいところですが、僵屍軍と戦っている間は、包囲の外から何者かが矢の雨を降らせてきます。まるで、こちらを一定地点に追い込むように」
 これは射手の姿が見えないほどの超遠方からの超精密射撃であり、この「偽物の世界」を支配する禁軍猟書家によるものだ。この矢の雨に常に晒されながら隻眼女僵屍軍とも戦わなければならないとなれば、激戦は必至だ。
 射撃を掻い潜りながらあえて相手が誘導する通りの場所に追い込まれるか、あるいは射撃を防御しつつ別方向へ逃げるかしなければ、包囲網を突破することはできないだろう。

「包囲を突破した先で待ち構えている者の名は『天衣無縫』太史慈。呉主孫策と互角に戦える武を持ち、呉に降った後も功を重ねた三国時代の名将です」
 報恩のために孔融を助けて黄巾と戦ったなど義理堅さを伝える逸話も多く、天下にその名を轟かせた英雄の一人だが、禁軍猟書家である彼女は一切容赦なく猟兵の生命を狙ってくる。包囲戦でも見せた通りの弓の名手に加えて戟の扱いにも長けており、なおかつ策士という知勇兼備の将であり、研ぎ澄まされた戦術で猟兵を追い込まんとしてくるだろう。
「合理的で洗練された戦法を取る強敵ですが、それ故に相手が『予想不能な戦い方』をすると、ペースを乱されてしまうようです」
 太史慈の意表を突くような奇想天外な戦法で、戦いの主導権を奪い取ることができれば、勝利はぐっと近付くだろう。様々な世界の武器や技術や魔法を身に付けている猟兵なら、きっとそのような戦いにも長けているはずだ。

「敵の罠を食い破り、猟書家に決定的な打撃を与えるために、どうか皆様の力をお貸しください」
 説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、卯辰山公園の「超空間の渦」まで道を開く。
 この次元の門の向こうで待ち構えているのは、三国時代の名将にして禁軍猟書家。かの侵略者の中でも最精鋭とされる強敵との戦いが幕を開ける。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはハビタント・フォーミュラを追った先で罠を張っていた強敵、禁軍猟書家の『太史慈』との戦いです。

 1章は太史慈配下の『隻眼女僵屍』軍団との集団戦です。
 封神武侠界に似た「偽物の世界」で何重にも包囲網を敷いており、転送された猟兵はその真ん中に投げ出されることになります。
 さらに戦闘中は太史慈による超遠距離精密射撃が放たれ、降り注ぐ矢の雨に晒されながら敵集団と戦わなければなりません。
 太史慈は猟兵を一定地点に追い込むように矢を射てくるので、これを掻い潜りながらあえてその場所に追い込まれるか、あるいは防御しつつ別方向へ逃げるかして、敵の包囲を突破することになります。

 2章は今回のボスとなる禁軍猟書家、『天衣無縫』太史慈との決戦です。
 優れた武芸者かつ策士であり、普通に戦えば隙のない強敵ですが、相手が予想不能な戦い方をするとペースを大きく乱してしまいます。作戦次第で戦闘の主導権を握り、有利を取れるでしょう。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『隻眼女僵屍』

POW   :    幻獣拳術『檮杌爪』
【拳や爪】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    幻獣拳術『鳳凰翔』
レベル×5km/hで飛翔しながら、【両足】で「🔵取得数+2回」攻撃する。
WIZ   :    幻獣拳術『禍躯鱗』
自身の【衣類】を捨て【麒麟憑依状態】に変身する。防御力10倍と欠損部位再生力を得るが、太陽光でダメージを受ける。

イラスト:すねいる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

月夜・玲
禁軍猟書家を探せとは言われたけど、まさか此処まで早くお目に掛かれるとは思わなかったね
まあ、話が早くて助かりはするんだけどね…
目当ての物もあるし、先ずは目の前の敵をぶっ飛ばそうか

《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
飛んでくる矢を『斬撃波』で迎撃して『吹き飛ばし』
飛ばしきれない分は『オーラ防御』でシールドを展開、弾いて当たらないように
誘導してくるのなら、その誘い乗ってやろうじゃん
矢を凌ぎながらその方向に向かおう
【剣技・嵐狼剣】起動
白狼に乗り、戦場を駆ける
僵屍の軍勢は白狼の爪で『なぎ払い』、私も斬撃波も飛ばしてどんどん蹴散らしていこう
さあさあ、どいたどいた!

アドリブ連携等歓迎



「禁軍猟書家を探せとは言われたけど、まさか此処まで早くお目に掛かれるとは思わなかったね」
 卯辰山公園で発見された「超空間の渦」を見つめ、ぽつりと呟くのは月夜・玲(頂の探究者・f01605)。その口ぶりはまるで以前から禁軍猟書家の存在を予期していたかのようだ。いずれ何らかの形で戦う時が来ると、心構えはできていた様子。
「まあ、話が早くて助かりはするんだけどね……目当ての物もあるし、先ずは目の前の敵をぶっ飛ばそうか」
 渦の中に入れば、その先は敵の包囲網のど真ん中。臨戦態勢の「隻眼女僵屍」達が、挨拶もなしに襲い掛かってくる。予知がなければ不意をつかれる所だっただろう――周到な罠に飛び込んだ彼女は、口元に笑みを浮かべながら抜刀した。

「来たぞ、猟兵だ」「その生命、貰い受ける」
 幻獣を模した独特の構えを取り、飛ぶような速さで近付いてくる僵屍達。さらに遠方からは矢の雨が飛んできてこちらの移動を制限する。射手の姿は見えないほどの距離があるのに、針に糸を通すような精密射撃。これが禁軍猟書家『太史慈』の実力か。
「誘導してくるのなら、その誘い乗ってやろうじゃん」
 玲は手にした二本の模造神器「《RE》Incarnation」と「Blue Bird」から斬撃波を放って矢を吹き飛ばす。
 飛ばしきれなかった分はオーラシールドを展開して弾き、凌ぎながら敵が誘い込む方向に向かう。当然そこには敵兵も待ち構えているわけだが、ここに来た時点で罠は全て食い破ると決めている。

「白狼召喚、さあ共に行こう!」
 呼びかけに応えて現れるのは蒼き風を纏う白狼。その背に飛び乗った玲は疾風の如く戦場を駆け、僵屍の軍勢に斬り掛かる。その手に携えしはUDCの力の再現を目的に開発された人造の神器、たかだか死体の群れを斬り伏せられない事などあるものか。
「喰らえ、我が幻獣拳術『鳳凰翔』……なッ?!」
 僵屍が放つ蹴りよりも、白狼が振るう爪は鋭く。なぎ払われた敵陣の隙間を玲の斬撃波がさらにこじ開ける。
 この間にも上から降ってくる矢の警戒も怠らず、一瞬たりとて足を止めない。人騎一体の【剣技・嵐狼剣】を披露する彼女の戦闘力は大幅に強化され、意識と感覚は研ぎ澄まされていた。

「さあさあ、どいたどいた!」
 無人の野を征くが如き勢いで、敵の包囲網を駆け抜ける玲。倒すべき敵がこの先にいるのだ、こんな所で時間をかけている暇はない。模造神器が振るわれるたび、蒼い稲妻や炎に似た斬撃の波動が僵屍を蹴散らしていく。
「ば、馬鹿な……!」
 完璧な包囲を敷いていたにも関わらず、相手を抑えられない事実に僵屍達は驚愕。狼の爪と刃に引き裂かれ、バラバラの骸となった彼女らは、矢の飛んでくる方向に駆けていく玲達を見送ることしかできなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

劉・涼鈴
どんな罠だって踏み砕いてやるぞ!!

幻獣拳? 面白い! 私は劉家拳の劉・涼鈴! 勝負だ!!

飛んで来る矢を【野生の勘】と【軽業】で躱す!
拳や鉤爪状に曲げた指先を方天戟で【受け流し】ながら、その術理を読み解く!(功夫・見切り)
檮杌爪……むぅーん、この動き、鷹爪翻子拳の流れを汲んでいる……の、かも!

そっちが四凶の技なら、こっちは兵主神だ!
方天戟で足払いして【体勢を崩させて】、【劉家奥義・蚩尤激甚脚】!!
どっせぇーい!!

やっつけた敵を【怪力】で持ち上げて盾代わりにして太史慈の矢を防ぐよ!



「どんな罠だって踏み砕いてやるぞ!!」
 この先で敵が待ち構えていると聞いた上で、迷いなく|全能計算域限界突破《エクスマトリックス・オーバーロード》の入り口に飛び込んだのは劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)。いかな強敵が現れようと、卑劣な策を用いられようと、鍛えた肉体と武術で堂々正面から突破するのが彼女の流儀である。
「来たな、猟兵よ」「我らが幻獣拳の贄となるがいい」
 転移したのは封神武侠界に似た偽物の世界。そこで待ち構えていた「隻眼女僵屍」の軍勢は、彼女を見るなり虎の如く身構えた。それは伝説上の生物を手本とした形意拳の一種【幻獣拳術『檮杌爪』】の構え。この者達はその流派を修めた凄腕の拳法家集団である。

「幻獣拳? 面白い! 私は劉家拳の劉・涼鈴! 勝負だ!!」
 相手が拳士ならこちらも応じないわけにはいかないと、巨大な「覇王方天戟」を片手に名乗りを上げる涼鈴。
 僵屍達はその意気やよしと一斉に襲いかかり、拳や爪でその身を引き裂かんとする。鉤爪状に曲げられた彼女らの指先は、本物の幻獣の爪と同じかそれ以上の鋭さだろう。
「破ァッ!」
「なんの!」
 涼鈴は方天戟の柄を滑らせるように攻撃を受け流しながら、技の術理を読み解こうとする。若干16歳という若さで劉家に伝わる奥義を全て会得し、伝承者の資格を得た彼女の功夫に関するセンスはずば抜けている。初見の技とて何度か受ければ、見切るのは不可能ではない。

「檮杌爪……むぅーん、この動き、鷹爪翻子拳の流れを汲んでいる……の、かも!」
「なッ?!」
 自分達の拳法の術理をこの短時間で理解され、僵屍達に動揺が走る。多くの拳法家にとって自分の技はおいそれと他人に教えるものではなく、苦心して身に付けた技の要諦を敵に見抜かれるのは屈辱とさえ言える。もしそれを勝手に広められるような事になれば、流派全体の恥ともなろう。
「貴様にはここで死んで貰うしかないようだ!」
 僵屍達の攻撃はより苛烈さを増し、さらに遠方からは矢の雨が降り注ぐ。禁軍猟書家『太史慈』の援護射撃はこの距離からでも届くようだ。しかし涼鈴は飛んでくる矢を野生の勘と軽業めいた身のこなしで躱しつつ、目前の敵の攻撃もいなし続けていた。

「そっちが四凶の技なら、こっちは兵主神だ!」
 相手が技を繰り出した後の隙を見抜いた涼鈴は、さっと方天戟で足払いを仕掛ける。「なっ?!」と僵屍達が体勢を崩した直後、放たれるのは【劉家奥義・蚩尤激甚脚】。伝説の神の名を冠するにふさわしい、天変地異が如き破壊力を秘めた蹴撃があらゆる護りを打ち砕く。
「どっせぇーい!!」
「「ぐわああああーーーッ!!?!」」
 劉家に伝わる絶技を食らった僵屍達はなぎ倒され、顔に貼り付けられていた札が破れる。それきりピクリとも動かなくなった敵の骸を、彼女はむんずと掴み上げた。骸の海に還ってしまう前に、もう一働きしてもらおう。

「いっくぞー!」
 左右の手に1体ずつ持った僵屍の骸を盾代わりにして、涼鈴は太史慈の矢を防ぎながら走りだす。その発想も大胆だが、実現できる怪力と運動能力も驚くべきものだ。ぶすぶすと矢衾になる敵を掲げたまま、彼女は一目散に包囲網を抜け、矢の飛んでくる方に向かう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクレツィア・アストリュード
此処が偽物の世界。確かに封神武侠界っぽい。
…まず、この敵をやっつけないと、か。

でも、矢が飛んでくるとなると、普通に戦うのはちょっと厳しい、かな。
なら、敢えて追い込まれてみる。
【瞬間思考力】で矢の軌道と僵屍の動きを把握、攻撃を回避しながら叶う限りの反撃を行う。

追い込まれたら…多分、周囲を完全に僵屍達に包囲されてる状態になってるかな。
なら、そこで反撃といこう。
払暁巨刃を発動、迫る矢も僵屍達も纏めて薙ぎ払う。
周りに仲間がいないなら、三連続で繰り出して殲滅する。

後は、残った敵の少ない方向から包囲を抜け出しに行こう。



「此処が偽物の世界。確かに封神武侠界っぽい」
 異次元に繋がる渦を抜けて、敵地に飛び込んだルクレツィア・アストリュード(終極フラガラッハ・f30398)は、辺りの風景を物珍しそうに見渡す。世界そのものの偽物を用意するとは、猟書家も驚くべき力を持っていたものだ。知っていなければ本物の封神武侠界と区別が付かなかったかもしれない。
「物見遊山をしている暇はないぞ」「貴様達にはここで死んで貰う」
 そんな彼女を取り囲むのは「隻眼女僵屍」の大軍。優れた女拳法家の遺体を利用したオブリビオンの集団が、十重二十重に包囲網を敷いている。ハビタント・フォーミュラを追って猟兵がここに来る事を予測して、ずっと待ち構えていたようだ。

「……まず、この敵をやっつけないと、か。でも、矢が飛んでくるとなると、普通に戦うのはちょっと厳しい、かな」
 背中に担いだ巨大刀「The Answerer」を抜いて、静かに身構えるルクレツィア。そこに降りかかるのは矢の雨だ。恐るべき精度の超長距離射撃が標的を誘い込み、僵屍の軍勢が襲い掛かる。禁軍猟書家「太史慈」の策は合理的にして用意周到だった。
(なら、敢えて追い込まれてみる)
 ルクレツィアは瞬間思考力を加速させて矢の軌道と僵屍の動きを把握し、攻撃を回避しながら叶う限りの反撃を行う。身の丈ほどもある大剣を自在に振り回して、矢を切り払い敵をなぎ倒す様は圧巻のもの。だが多勢に無勢との言葉通り、単なる武勇だけでは包囲を突破するのは難しかった。

「受けよ、我らが幻獣拳に伝わりし奥義!」
 【幻獣拳術『鳳凰翔』】の構えを取った僵屍達は、鳳凰の翼の如く両腕を広げて空を舞い、両足で連続蹴りを繰り出してくる。太史慈の矢も含めて生物的死角である上空からの攻撃は、ルクレツィアでも僅かながら対応が遅れ、徐々に追い込まれていく。
「ふふふ、追い詰めたぞ」「とどめだ!」
 やがて標的の周囲を完全に包囲した僵屍達は、これで終わりとばかりに一斉攻撃を仕掛ける。四方を見渡しても逃げ場は何処にもなく、まさに絶体絶命の大ピンチ――しかしルクレツィアの目はまだ死んではいない。この状態になったのは、彼女の作戦の内でもあるのだから。

「なら、ここで反撃といこう」
 敵軍が仕掛けるタイミングに合わせて、ルクレツィアは【払暁巨刃】を発動。全身の筋力を使って大きく刀を振り抜くと、生じた剣閃が巨大化する。周りに敵しかいない四面楚歌の状況は、言い換えれば味方を巻き込む心配もいらないということ。
「この刃は、闇を払う」
「「なっ……ぎゃああああっ!!」」
 飛んで火に入る羽虫の如く、斬撃の間合いに飛び込んだ僵屍は纏めて薙ぎ払われる。獲物を区別しない高速の三連撃は、迫る矢もろとも周囲の敵を殲滅するには十分な威力だった。密集した包囲陣にぽっかりと穴が開く。

「今のうち、かな」
 後は残った敵の少ない方向から包囲を抜け出すだけ。背後から追ってくる敵や降り続ける矢を後目に、ルクレツィアは颯爽と戦場を駆けていく。ほどなくして敵陣を突破した彼女は、そのまま敵将・太史慈の元へと向かうのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
猟書家についてはわからない事だらけだったし
何か情報が得られると良いね

とはいえ、まずはこの包囲を突破するのが先決かな

太史慈の情報を聞いた感じ
相手の思惑通り動くのはまずそうだね
力技で押し通らせて貰うよ

静謐誓願を使用し戦場を神気で覆って
矢と僵屍に彫像化の攻撃を行い
包囲を崩していこう

精密射撃であるからこそ
石になった矢は狙いを外れて
こちらには飛んでこないからね
狙いを修正するにしても
こんな経験は珍しいだろうし
石になるタイミングでもずれるから
手間取るんじゃないかな

その隙に石化で機動力の落ちた僵屍達の包囲を突破しようか
飛び掛かってきた僵屍の攻撃は神気で防御し
そのまま間近で神気を浴びせて
石像に変えて走り抜けるよ



「猟書家についてはわからない事だらけだったし、何か情報が得られると良いね」
 これまで長く戦いを続けてきたものの、猟兵が猟書家について掴んでいる情報は驚くほど少ない。オウガ・オリジンから奪った力を利用して、新たなフォーミュラにならんとする謎のオブリビオン集団。その秘蔵の戦力が出てきたなら、情勢も動くだろうかと佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)は期待する。
「とはいえ、まずはこの包囲を突破するのが先決かな」
 超空間の渦に飛び込んだ先で待ち構えていたのは、何千体もの「隻眼女僵屍」による包囲網。敵将である禁軍猟書家「太史慈」は、この向こうに控えているらしい。足止めを食らっている暇はないとはいえ、簡単には突破できなさそうだ。

「ここが貴様達の墓場だ!」「死ね!」
 伝説の聖獣を模した【幻獣拳術『鳳凰翔』】の構えを取り、包囲攻撃を仕掛ける僵屍軍団。同時に遠方からは矢が放たれ、寸分狂わぬ精度で晶を一定地点に追い込まんとする。優れた武者にして策謀も長けるという太史慈らしい、隙のない堅実な軍略だ。
「太史慈の情報を聞いた感じ、相手の思惑通り動くのはまずそうだね。力技で押し通らせて貰うよ」
 猟兵の追跡を予測して罠を張っていたとはいえ、個々人の使用するユーベルコードまではあちらも知り得ないだろう。それが敵の意表を突く鍵だと考えた晶は【静謐誓願】を発動。自身と融合した封印されし邪神、停滞と静謐を司る女神の神気を解き放つ。

「すべて世は事も無し、それが一番ってね」
 またたく間に戦場全体を覆った邪神の神気は、敵に彫像化の呪いをもたらす。一番最初にそれを浴びる羽目になったのは晶に飛びかかった僵屍達だ。両腕を広げた鳳凰のポーズのまま、彼女らの身体は石となり落下する。
「な……わ、私の身体が……!」
 まずは四肢、それから胴体、最後には口まで固まって、僵屍は驚愕の表情のまま物言わぬ彫像と化す。さらに遠方から飛んでくる矢も途中で神気を浴びせられ、自重の変化により軌道が下がり標的に当たる前に墜落した。

「精密射撃であるからこそ、こちらには飛んでこないからね」
 寸分違わぬ精度で命中するということは、予想外の要因で軌道がズレれば絶対に当たらなくなるということ。
 ここからでは射手の顔は見えないが、太史慈も驚いているだろうか。弓の名手である彼女が狙いを外すことはそうそう無かったはずだ。
(狙いを修正するにしてもこんな経験は珍しいだろうし、石になるタイミングでもずれるから手間取るんじゃないかな)
 矢はその後も降り続けているが、晶に当たったものはまだ1本もない。この隙に彼女は石化で機動力の落ちた僵屍達の包囲を突破しにかかる。まだ【静謐誓願】は継続中、神気の発生源である彼女を止めようと近付けば、余計に石化を進行させることになる。

「通してもらうよ」
「お、おのれ―――ッ!!」
 勇敢な僵屍はそれでも飛び掛かってくるが、決死の覚悟で放たれた蹴撃は時さえ停める神気によって防がれ、そのまま間近で神気を浴びせられて動かなくなる。様々な幻獣の構えを取った拳法家の石像が立ち並ぶ戦場を、晶はひとり走り抜けていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紅・麗鳳
ほーん、太史慈。
わたくし、一応は呉の生まれですが女性とは初耳でしたわ。
ですがいくら武勇智謀に秀でようと美貌ではわたくしが上ですわよ。

確かめに行くから首を洗って待ってろ、ですわ~~~!

って、やべッ。

高笑いしつつ、攻撃が迫れば慌てて応戦。
方天画戟を旋回させて矢を弾きつつ、僵屍を薙ぎ払って距離を取らせますわ。

うーん、どちらか片方だけならまだしもこれは中々。
なので増援を呼びますわーーー。(角笛吹いて【蹇々匪躬】)

こうして姿見せた野郎たちをヒョイっと掴んで矢の盾に。
僵屍たちに向けても蹴飛ばして、攻撃を集中させた隙に戟で【なぎ払い】、射撃の反対方向に突破口を開いていきますわ~!

これぞ連携の妙技ですわね!



「ほーん、太史慈。わたくし、一応は呉の生まれですが女性とは初耳でしたわ」
 三国時代の歴史に名を残した武将の意外な真実に、紅・麗鳳(国色無双・f32730)は少しばかり興味を持った様子だった。時代は違えども同郷の女性で、なおかつ同じ武闘派としてシンパシーがあったのかもしれない。
「ですがいくら武勇智謀に秀でようと美貌ではわたくしが上ですわよ」
 類稀な妍麗さをもって生まれ、蝶よ花よと育てられた彼女である。生家が落ちぶれてもプライドは天を衝かんばかりに高い。どんな英傑が相手だろうと美においては自分が1番だと自負しているし、何なら腕っ節でも負ける気はさらさら無い。

「確かめに行くから首を洗って待ってろ、ですわ~~~! って、やべッ」
「隙だらけだぞ猟兵!」「太史慈様の前に、まずは我らの相手をして貰おう!」
 高笑いしつつ偽物の世界を駆けていく麗鳳であったが、攻撃が迫ると慌てて応戦する。周りは多数の「隻眼女僵屍」に取り囲まれており、遠方からは太史慈の矢が飛んでくる。余裕そうにしていたが、これはなかなかヤバい状況だ。
「喰らえ幻獣拳術『檮杌爪』!」
「ちょっ、危ないですわね!」
 猛虎に似た幻獣の構えから拳や爪を繰り出してくる僵屍を、麗鳳は方天画戟「桃宴」を振り回して遠ざける。
 だが敵兵に距離を取らせても、次は矢の雨が降ってくる。今度は頭の上で戟を旋回させて弾くが、そうするとまた僵屍達が迫り――これではキリがない。

「うーん、どちらか片方だけならまだしもこれは中々。なので増援を呼びますわーーー」
 防戦一方の状況に追い込まれた麗鳳は、おもむろに角笛を吹いて【蹇々匪躬】を発動。「麗鳳ちゃんファンクラブ」会員、という名の下僕どもを召喚する。元は盗賊だったところを何やかんやあって彼女に従うことになった、不憫な連中である。
「おい、姐御からの合図だ。急げ」
「姐御じゃなくて麗鳳ちゃんだろ……またぶん殴られるぞ」
「はぁ――今回は何やらされるんだろ」
 ぶつくさ文句を言いつつ姿を見せた野郎達に、麗鳳は「よく来ましたわね」と蕩けるような微笑みを見せ――それからヒョイッと掴み上げる。彼女がこいつらを呼び寄せたのは、単に矢を防ぐ盾が欲しかったからである。

「ちょっ、姐御……じゃなくて麗鳳ちゃん?! せめて戦えとかそういうんじゃないんですかい!」
「はなっから貴方達の戦闘力なんかに期待していませんことよ」
 武力は一般人並みながら妙なしぶとさのある下僕共は、弾除けには最適なのである。麗鳳はさらに適当な野郎を僵屍達に向けてゲシッと蹴飛ばして囮にする。敵としては当然ながら猟兵の仲間に情けをかける理由はない。
「ぎゃー?!」「いでででで!!」
 ブスブスと矢が刺さったり、囲んでボコボコにされたり、散々な目にあっても下僕共は悲鳴を上げるばかりでなかなか死なない。「こいつら妙にしぶといぞ?」と疑問に思った僵屍達はさらに攻撃を集中させるが、それが麗鳳に隙を見せることになった。

「好機到来ですわ~!」
「なっ……ぐわぁッ!!!」
 汗血馬「まーちゃん」に乗って戟をぶおんぶおんと振り回し、一気に敵を薙ぎ払う麗鳳。その戦いぶりは寵姫と言うよりどこぞの馬賊の頭目、いや寧ろそのものであり、身を挺したファンの涙など気にもかけていない。
「これぞ連携の妙技ですわね!」
 片側への負担だけがやたら大きいような気もするが、それはさておき。射撃の反対方向に突破口を開いた彼女はそのまま全速力で戦場を駆け抜け、僵屍軍の包囲を破る。それから進路を変更すると、敵将・太史慈のツラを拝みに向かうのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴上・冬季
「封神武侠のあれこれを見逃すと、後で師匠にどんな無理難題を吹っ掛けられるか分かりませんからね」
嗤う

「出でよ、黄巾力士火行軍」
黄巾力士33体4隊計132体召喚
・砲頭から制圧射撃して敵の行動阻害1隊
・砲頭から火行の砲弾放ち鎧無視・無差別攻撃で敵を蹂躙する1隊
・上記2隊と自分をオーラ防御で庇わせる2隊
自分は竜脈使い全黄巾力士の能力底上げし継戦能力高める
普段から連れ歩く黄巾力士には自分をオーラ防御で庇わせながら合間に攻撃命じる

「他の方も向かわれたようですし、追い込み先はあちらのようですから、逆側に抜けましょう。この大所帯で同道もないでしょう」
眼前の敵を蹴散らしたまに雷公鞭振るいながら包囲網を抜け嗤う



「封神武侠のあれこれを見逃すと、後で師匠にどんな無理難題を吹っ掛けられるか分かりませんからね」
 師の顔を思い浮かべ、そう言って嗤うのは鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)。この先にあるのは一応「偽物の世界」だと言うが、本物の封神武侠界とどんな関連があるかも分からない。そして待ち構える禁軍猟書家は、明らかにかの世界と繋がりのある武将だ。
「来たな……」「一斉に行くぞ!」
 かくして超空間の渦から飛び出してきた彼を見れば、敵軍の「隻眼女僵屍」達は即座に襲い掛かってきた。
 幾重にも張られた逃げ場のない包囲網。しかし罠だと知って踏み込んだからには、彼も備えはできている。

「出でよ、黄巾力士火行軍」
 冬季が号令を発すると、自作宝貝の【黄巾力士・五行軍】が現れる。本来は金行に属する戦闘用人型自律思考戦車だが、予備の素材を組み込むことで全ての五行に対応する軍団を作ってある。今回召喚したのはその中の火行に属する黄巾力士33体4隊、計132体の大部隊だ。
「なにっ?!」
 突如として現れた機械仕掛けの兵団に、僵屍達は思わず足を止める。すると黄巾力士の1隊が搭載された砲塔をそちらに向け、砲弾の雨を浴びせだした。西洋で言う所のゴーレムに近い、与えられた命令に従って行動するシンプルな宝貝だが、その火力は侮れないものがある。

「くっ、これしき!」「舐めるな!」
 敵も禁軍猟書家に仕える精鋭だけあって、そう安々と倒されはしない。【幻獣拳術『檮杌爪』】の構えから繰り出す拳や爪をもって、砲弾を打ち払い、叩き落とす。だが、冬季にとってこの1隊の役目は制圧射撃による敵の行動阻害であり、多少なりと動きを止められればそれで良い。
「なかなかやりますね。ではこれはどうですか?」
 残る3隊のうち2隊が砲塔を並べ、燃え盛る火行の砲弾を放つ。本命となるこちらは見た目通り火力を重視した無差別攻撃だ。付近には敵しかいない以上、味方を巻き込む心配もなし。火の弾は圧倒的な質量と熱量を以て僵屍達を撃ち抜いていく。

「なっ、ぐわああああッ!?!」
 黄巾力士の一斉砲撃によって、僵屍軍の包囲網に穴が開く。だが、そこを通らせはすまいと遠方から矢の雨が降ってくる。禁軍猟書家『太史慈』による妨害だ――冬季は最後に待機させていた1隊に指示を出し、攻撃役の2隊と自分を火と金のオーラで庇わせる。
「無論、備えはありますとも」
 彼自身は龍脈使いの業を活かしてこの地の霊気を自らの宝貝に送り、全ての黄巾力士の戦闘力の底上げと継戦能力の強化を行う。彼の傍には普段から連れ歩いている1体の黄巾力士が、護衛のように常に付き従っていた。

「他の方も向かわれたようですし、追い込み先はあちらのようですから、逆側に抜けましょう。この大所帯で同道もないでしょう」
 局地的な兵力の優位にものを言わせて、冬季と黄巾力士軍は眼前の敵を蹴散らしながら進撃する。彼自身もたまに雷公鞭を振るい、邪魔をする僵屍を打倒しながら、降りしきる矢の雨の中を護衛に守られ悠々と先に進む。
「お、おのれ……ぐわぁッ!!」
 火行の砲弾に撃たれるか、直に踏み潰されるか、あるいは電撃に討たれるか。その何れかの末路を辿った僵屍の悲鳴が戦場に響き渡り。それを聞いた妖仙は静かに嗤いながら黄巾力士と共に包囲を抜けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

剣未・エト
これは何ともすさまじい猛攻だね
矢の雨を走って躱し、否、当たらない所に誘導されながら進んでいく
それが相手の狙いだとは重々承知の上
敵の狙い通りの所に追い込まれ、四方八方からの敵と頭上の矢の雨、もはや回避不可能なそのタイミングでUCを発動、集団敵と共に異空間の迷宮へと潜り、誰もいない大地に矢が突き刺さる
狭い水路迷宮では彼女達の機動力は上手く行かせないだろう。

目的はあくまで禁軍猟書家だからね……確かめなければいけないこともあるし余力はできるだけ残したい
包囲を突破するだけでいいなら迷宮に迷い込ませながら突破口を開いて進む
倒す必要があるなら動きづらい迷宮内で一網打尽にさせていただこう



「これは何ともすさまじい猛攻だね」
 超空間の渦を抜けて「偽物の世界」にやって来るなり、降りかかる敵の攻撃から剣未・エト(黄金に至らんと輝く星・f37134)は逃げていた。超遠方より恐るべき精度で飛んでくるのは無数の矢。それを走って躱し、否、当たらないように誘導されながら荒涼たる平原を進んでいく。それが相手の狙いだとは重々承知の上で。
「また猟兵が罠に掛かったようだな」「貴様には我らの手柄になってもらうぞ!」
 狙い通りの所に追い込まれれば、包囲網を敷く「隻眼女僵屍」達が一斉に襲い掛かってくる。四方八方からの敵と頭上の矢の雨、もはやどう足掻いても回避は不可能。禁軍猟書家『太史慈』が仕掛けた罠と軍略は、この地に来た猟兵を堅実かつ確実に仕留めようとしていた。

「煌びやかなる歌劇場の下に広がる闇の迷宮へ怪人は誘う」
 だが、そのタイミングでエトは【怪人迷宮】を発動し、自身を囲んでいる敵集団と共に異空間の迷宮に潜る。
 地縛霊を父に持つ新世代ゴーストの彼女には、特殊空間と呼ばれる己のテリトリーを作り出すユーベルコードが備わっている。現実空間から忽然と敵味方が姿を消した後、誰もいない大地に矢が突き刺さった。
「なにっ?!」「ここは何処だ……?」
 屋外の戦場から急に違う場所に連れて来られた僵屍達は、困惑しながら辺りを見回す。そこは広大で複雑な地下水路で出来た迷路になっており、仄暗い闇と異臭が漂っている。特殊空間の仕組みをよく知らぬ彼女らにとっては、突然地の底に引きずり込まれた感覚であろうか。

「今度は僕が招待させて貰ったよ」
 敵の罠に掛かったように見せかけて、敵を自分の世界に誘い込む。意趣返しの如き策を成したエトはにこりと微笑み、剣を抜く。してやられた僵屍達は「おのれ!」と叫びながら【幻獣拳術『禍躯鱗』】の構えで襲い掛かってくるが――。
「くっ、狭い……ぐあッ?!」
「隙ありだ」
 広い戦場でこそ優位を発揮できた数の多さと機動力は、狭い水路迷宮では上手く活かせない。味方同士が攻撃の邪魔になり、押し合いになったところにエトの斬撃が舞う。牙なき者の剣たらんとの想いから生まれし刃が、悪しき猟書家の手先を一撃のもとに斬り伏せた。

(目的はあくまで禁軍猟書家だからね……確かめなければいけないこともあるし余力はできるだけ残したい)
 必要があるならこの迷宮内で一網打尽にもできただろうが、そこまでするよりも包囲の突破を優先したほうが良い。そう判断したエトは必要最低限の敵だけを斬り倒し、突破口を開いて先に進む。自分が作った特殊空間である以上、迷路の構造は彼女が誰よりも把握している。
「ま、待てッ!」
 僵屍達は慌てて追いかけるが、土地勘のない場所で闇雲に動いても余計に迷うだけだ。奥に行けば行くほど地下水路の構造は複雑になっており、脱出のための出口は1つしかない。岩石をも砕く功夫と拳法も、この状況で役に立つとは思えなかった。

「くそっ、どこに行った……!」「一体どこなんだ、ここは!」
 完全に迷ってしまった僵屍達は、そこで朽ち果てるかユーベルコードが解除されるまで、延々と下水道の中を彷徨うことになる。その頃にはエトはとっくに迷宮の出口に辿り着き、特殊空間から元の空間に帰還していた。
「上手くいったね。今のうちだ」
 まだ残っている敵軍に包囲されてしまう前に、彼女は先程矢が飛んできた方角――敵将・太史慈のいる場所に当たりをつけて走りだす。次は、自分達をこの世界に招待した禁軍猟書家ご本人に目に物見せることにしよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリン・エーテリオン
虹炎組

そこを…どけ!


情報収集と視力と戦闘知識で状況把握し索敵で周りの敵の位置を把握する

敵の攻撃は逆行属性のオーラ防御で攻撃を防ぎ、敵に怪力で殴ってカウンターする

『調べたが…この地点の可能性があるね』
エキドゥーマが場所を調べてくれた
『ミーガソノチテンニタイキシマスネ!』
ブラッドムーンがその地点に行き待機している

敵の精密射撃は念動力を纏ったオーラ防御で防ぎながらわざとその地点に行くぜ

その地点に行ったら隻眼女達が大量にいたので
行くぞ!鳴り響け魂の音!トゥントゥン
『フールハユーダ!』『行くよ!』
ブラッドムーンは斬撃波をエキドゥーマはマヒ攻撃の矢弾の雨で周りに攻撃する

私は敵に天候操作で雷を起こし攻撃した


リュカシオン・カーネーション
虹炎組

禁軍猟書家…倒すか!
《はい!》
アロナちゃんと共に戦う

常に私とアロナちゃんはオーラ防御を使用する
エリンと同じく情報収集と視力と戦闘知識で状況把握をする

敵の攻撃はオーラ防御に斬撃波を纏い攻撃してきた相手にカウンターを喰らわせる

エリンが敵の誘導しようと場所を教えてくれたのでその提案に乗ることにした
《私はブラッドムーンさんと一緒に待ち伏せを倒せるようにしておきますね》
迷彩で姿を消したアロナちゃんは魔力で作った大量の爆弾をその地点に配置にし行った

《発動…!》
その地点に行くと敵がアロナちゃんが仕掛けた魔力の爆弾で爆破と焼却の嵐が起こり敵を吹き飛ばした

喰らえ!反魂輪廻の槍!
敵に衝撃波を纏った槍を放った



「禁軍猟書家……倒すか!」
《はい!》
 それが罠だと知った上で、リュカシオン・カーネーション(転生したハジケる妖狐と精霊王とカオスな仲間たち・f38237)は相棒の精霊王アロナフィナと共に|全能計算域限界突破《エクスマトリックス・オーバーロード》の入り口に突入した。秘匿されていた猟書家の一大戦力を倒すまたとない機会、逃す理由はないだろう。
「太史慈様の元には行かせない」「貴様らはここで死ぬのだ」
 飛び込んだ先は敵軍の包囲網のど真ん中。待ち構えていた「隻眼女僵屍」達は、既に臨戦態勢を取っている。
 ハビタント・フォーミュラから事情は聞いているのだろう。猟兵による追跡をここで断たねば深刻な事態になりかねないと、猟書家側も認識しているようだ。

「そこを……どけ!」
 僵屍軍の包囲網に対して気炎を吐くのはエリン・エーテリオン(邪神龍と虹炎の神と共に世界を駆ける元ヤンの新米猟兵・f38063)鋭い眼差しでぐるりと辺りを見渡し、状況と敵の位置を把握する。誘いに乗った時点で覚悟はしていたが、蟻一匹漏らさない完璧な布陣だ。これを統率する指揮官の能力の高さがうかがえる。
「どくものか!」「喰らえ、幻獣拳術『檮杌爪』!」
 伝説上の生物を模した独特の構えから、拳や爪を繰り出す僵屍達。生前は優れた拳法家であった彼女らの功夫は今だ衰えず、鋼鉄をも引き裂く威力を誇る。その標的となった猟兵達は各々がオーラを纏って防御体勢を取った。

「そんなの効くか!」
「邪魔するな!」
 エリンとリュカシオンの「虹神炎覇気」は強固な鎧となって敵の攻撃を防ぎ、同時にカウンターの打撃力を強化する。怪力にものを言わせたパンチを食らった僵屍は「ぐわっ?!」と悲鳴を上げてふっ飛ばされるが、新しい敵は次から次にやって来る。
《矢が来ます!》
 さらに遠方からは太史慈による矢も飛んできて、一同は防御に徹することを余儀なくされる。怖いほどに正確な長距離精密射撃は、一定地点に猟兵を追い込もうとしているように感じる。策に嵌まるのは危険だが、抗えばより苛烈な攻撃を受けることになるだろう。

『調べたが……この地点の可能性があるね』
 皆が状況打開の手立てを考える中、エリンの連れてきた『邪神スマホ龍エキドゥーマ』が、矢の軌道から太史慈の誘導しようとしている場所を調べあげた。敵の狙いを先読みできるなら、その策を逆手に取れるかもしれない。
「シオンさん、どうですか?」
「よし、それでいこう!」
 エリンが提案したその作戦に、リュカシオンも乗ることにした。僵屍と矢の攻撃をオーラで受け止めつつ、怪しまれないようにわざと誘導地点に向かう。その一方で二人に同行していた仲間達は乱戦に紛れて姿を消した。

『ミーガソノチテンニタイキシマスネ!』
《私もブラッドムーンさんと一緒に待ち伏せを倒せるようにしておきますね》
 迷彩を張ったアロナフィナと邪神龍「ブラッドムーン」が、誘導地点に先回りして罠を張り、敵を待ち伏せる。
 エリンとリュカシオンが遅れてその場所にやって来ると、そこには大量の女僵屍達が待ち構えており、拳と爪を研ぎ澄ませていた。
「待っていたぞ猟兵ども」「太史慈様の作戦通り。これで終わりだ!」
 勝利を確信した敵は一斉に襲い掛かるが――その瞬間、足元で大きな爆発が起こり、虹色の炎の嵐が荒れ狂う。
 タッチの差で一足先にここで待機していたアロナフィナが、魔力で作成し配置した爆弾が一斉に起動したのだ。

《発動……!》
「なにッ……ぐわああッ!!」
 突然の大爆発に巻き込まれた僵屍達は驚愕しながら焼き焦がされ、吹き飛ばされ、万全だった包囲網が揺らぐ。
 このチャンスを逃すまいとエリンとリュカシオンはユーベルコードを同時発動し、一転攻勢に打って出た。
「行くぞ! 鳴り響け魂の音!」
「シエル! 虹炎解放だ!」
 【虹炎の神・estrella・arcoiris】を発動したエリン、【虹炎の神・レーヴ・アルカンシエル"反魂輪廻の槍"】を発動したリュカシオンの髪はどちらも虹色に染まり、めらめらと燃え盛る虹色の炎が覇気と共に身体を包む。その気迫と存在感はこれまでの比ではなかった。

『フールハユーダ!』『行くよ!』
 すかさず待機していたブラッドムーンが斬撃波を、エキドゥーマが麻痺効果を付与した矢弾の雨を放つ。二人から溢れるパワーの余波を受けたことで彼らの力も高まっているようだ。虹色の炎を帯びた攻撃が僵屍の軍勢を切り裂き、撃ち抜く。
「ぐあああッ?!」「や、やってくれる……!」
 どうにか体勢を立て直そうとする僵屍達の目に入ったのは、エリンの上空に浮かぶ雷雲と、リュカシオンの手元に出現した炎の槍だった。究極の自由を司る虹炎の力は、時に天候さえも操り、時に魂すらも燃やし尽くす。凡百のオブリビオンでは束になっても敵わない、まさしく神の権能だ。

「これで終わりだ!」
「喰らえ! 反魂輪廻の槍!」
「ひ………ッ!!!!」
 二人の放った落雷と炎の槍は、凄まじい衝撃波で大地を抉りながら僵屍軍団を蹂躙した。断末魔を上げることもできずに僵屍は一瞬で蒸発し、包囲の一角に穴が開く。エリンとリュカシオンと仲間達は、そこを駆け抜けて敵将・太史慈の元に向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

苔縄・知朱
どういうつもりの誘導か知んないけど……乗るか否か、プロレスラーとしては答えは決まってるようなもんね。
乗った上で正面からブッ潰してやるわよ!

バトルロイヤルならまだしも、完全に一対多だとゆっくり相手してらんないわね。
身軽さとジャンプ力を活かして移動しながら攻撃を躱し、【サウザンドアーツ】の打撃技で反撃して近くの敵から倒していくよ。
近接戦闘なら慣れてるから、僵屍の方は目で追わなくても、ある程度の動きは気配でわかるわ。
逆に矢の方は、流れに逆らうよりは避けやすいだろうけど、それでも気は抜けないかな。
万が一逃げ場がないときは、チェーンをブン回して盾にして防ぐ。
多少攻撃を食らっても、気合で耐えるわ!



「どういうつもりの誘導か知んないけど……乗るか否か、プロレスラーとしては答えは決まってるようなもんね」
 強敵からの挑戦を逃げることは、レスラーにとって一生の恥。苔縄・知朱(ウィドウスパイダー・f39494)は己のプライドに賭けて、禁軍猟書家の罠に敢えて乗ってやると決めた。何故ならばそれがプロレスの美学だから。
「乗った上で正面からブッ潰してやるわよ!」
 超空間の渦に飛び込めば、その先はもう戦場というリングの上。臨戦態勢の「隻眼女僵屍」の集団が臨戦態勢でお待ちかねだ。故郷アスリートアースとは異なる本物の殺し合い――だが、それでも彼女の行動に変わりはない。

「バトルロイヤルならまだしも、完全に一対多だとゆっくり相手してらんないわね」
「なあに気にするな」「すぐに終わらせてやる!」
 ヒール系レスラーのリングコスチュームを身に纏い、包囲の中心に現れた知朱こと「ウィドウスパイダー・チカ」に、僵屍達は一斉に攻撃を仕掛けてくる。【幻獣拳術『檮杌爪』】の構えから繰り出される拳や爪は、当たり所次第で一発KOも狙える威力だ。
「フッ、甘いわ!」
「なにっ、ぐわぁ!!」
 だが知朱は鳥のような身軽さとジャンプ力で檮杌爪を躱し、高笑いしながら敵の背後に着地するなり【サウザンドアーツ】で反撃を仕掛ける。正拳、直蹴り、回し蹴りによる打撃技のコンビネーションを食らった僵屍は、悲鳴を上げて吹き飛ばされた。

「ちっ、なかなかやるな」「だが我らの拳法の敵ではない!」
 プロレスなど所詮はままごとだと、悪しき拳法家達は攻撃を続行する。さらに遠方からは矢の雨も飛んできて、息をつく暇など一瞬たりとて無い。なかなかの逆境だが、それでも知朱は悪役らしく余裕の笑みを崩さなかった。
(近接戦闘なら慣れてるから、僵屍の方は目で追わなくても、ある程度の動きは気配でわかるわ)
 リングの上で培った経験を活かして、囲まれようが背後を取られようが、気配を察知してカウンターを入れる。
 近くの敵を片っ端からブッ倒して、包囲を力尽くでこじ開けていくスタイルは、実力を見せつけるようでもあった。

(逆に矢の方は、流れに逆らうよりは避けやすいだろうけど、それでも気は抜けないかな)
 射手の姿が見えないほど遠くから射られているのに、飛んでくる矢は恐ろしい位の精度でこちらを何処かに誘い込もうとしている。知朱はその誘導にあえて乗る形で身を躱すが、そうすると徐々に僵屍達の包囲が狭まってきて逃げ場を失う。
「追い詰めたぞ……!」
 ここぞとばかりに幻獣の爪を振るう女僵屍軍団。上空からは矢の雨が降り注ぎ、万に一つも回避は許さぬ構え。
 万事休すかに思われたが、知朱はそこで「スパイダーチェーン」を取り出し、鞭のように勢いよくブン回した。

「甘いわよ!」
 回転する凶器の鎖が矢の雨を弾き飛ばし、僵屍達をなぎ払う。ヒール系レスラーがいつまでもお行儀よく徒手空拳だけで戦うと思ったら大間違いだ。不意を突かれた敵の多くはそれで吹っ飛ぶが、流石に全てをなぎ倒すことは出来なかった。
「貰った! ……なにッ?!」
 僵屍の爪拳がついに彼女を捉えるが、勝利を確信した笑みはすぐに驚愕に青ざめる。鍛え上げられたレスラーの「フレキシブルボディ」、逆境を気合いで乗り越える「ファイティングスピリット」は、これしきの攻撃ではビクともしなかった。

「もらったわッ!!」
「「ぐ、ぐわぁーーーッ!!?」」
 すかさず知朱は敵を鎖で締め上げ、蹴倒し、踏みつけ、ヒールらしいダーティな技の数々でノックアウトする。
 一対多の前哨戦にまずは勝利を収めた「ウィドウスパイダー・チカ」は、そのまま包囲を抜けて本番となる対戦相手、禁軍猟書家『太史慈』の元に向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フラーウム・ティラメイト
…行きましょうかオベイ、ラストさん
『私戦闘用じゃないんですけど…何かディストーション・オベイが復活してない?!』
ラストさんは少し不安そう
だからキャバリアに乗って貰っている『ラスト頑張るんだねぇ』『ゴー!ゴー!』
レヴィとアビィもラストを応援している
『ケー!』
オベイも返事をしてくれた
UC発動

敵のUCは結界術を貼っておき敵の動きを見てマヒ攻撃の矢弾の雨を放つ(クイックドロウ)

遠距離攻撃に対しては常に念動力を纏った結界術で誘導されない様にします
ラストさんも同様です

同時発動UCは色欲の兎因果獣・ラスト

ラストさんの力で食欲などを暴走させました

私と分身達は敵に生命力吸収と魔力吸収の斬撃波を放ち包囲を突破した



「……行きましょうかオベイ、ラストさん」
 敵地に繋がる|全能計算域限界突破《エクスマトリックス・オーバーロード》の入り口の前で、フラーウム・ティラメイト(因果獣と因果を喰らう者『オベイ』を宿す探究者・f38982)は仲間達に声をかける。呼びかけられた【色欲の兎因果獣・ラスト】は、少し不安そうな顔をしていた。
『私戦闘用じゃないんですけど……何かディストーション・オベイが復活してない?!』
 過去の戦いで消えたはずの仲間がしれっと戻ってきているのも気になるし、この先には大量の敵が待ち構えていると分かっていて飛び込むのも乗り気はしない。だが、今更ここでゴネても状況が良くならないのも事実だった。

「だからキャバリアに乗って貰っています」
『ラスト頑張るんだねぇ』『ゴー!ゴー!』
 戦闘力の低さを補うために、フラーウムが用意したのは白銀の人型兵器。その機体に宿る因果獣「レヴィアタンとアビィロード」の意志が応援の言葉をかけてくる。こうなるとラストも嫌とは言えず「もう、わかったわよ!」と腹をくくった。
『ケー!』
 最後に鳥形の封印石に宿った「ディストーション・オベイ」の魂が返事をして、一同は超空間の渦に飛び込む。
 飛ばされる先は敵の包囲網のど真ん中。禁軍猟書家に仕える「隻眼女僵屍」の軍勢が、名乗る間もなく襲い掛かってきた。

「来たな猟兵ども!」「我らが幻獣拳の前に散るがいい!」
 伝説の生物を模した【幻獣拳術『鳳凰翔』】の構えを取り、華麗なる空中蹴りを浴びせかける僵屍軍団。同時に遠方からは『太史慈』の放った矢が雨のように降り注ぎ、避けきれないほどの飽和攻撃を敷き詰める。猟兵の来襲に備えて入念に迎撃準備を整えていたようだ。
「やりますよ、オベイ」
 対するフラーウムは【因果獣神皇・チェイス・オベイ・ディストーション】を発動。封印石からオベイの力を借りて、渦目に死霊のマフラーにチェーンソーの翼、腕から4本の剣を生やした異形に変身を遂げる。その身体から溢れ出す念動力は結界となり、四方八方から迫る敵の攻撃を防ぎ止めた。

「なにっ……ぐわぁッ!」
 念動力の壁に蹴りを阻まれて動揺した僵屍達に、お返しとばかりに矢弾の雨が浴びせられる。因果の力を込めたフラーウムの魔弾は、命中した相手をマヒさせて一時的に動きを封じる。倒せずとも包囲を突破するのが目的ならこれが最適解だ。
「ラストさんも気をつけて」
『分かってる!』
 太史慈の遠距離射撃に対しても結界は十分な防御力を発揮し、本人に加えてラストを乗せたキャバリアまで守る余裕がある。フラーウムはこの防御態勢を維持したまま、敵の誘導に逆らって矢の飛んでくる方角を目指す。罠とわかりきっている所に、あえて誘い込まれるつもりは無いようだ。

「い、行かせるものか……!」
 反撃で被害を受けたものの敵はまだ多勢であり、主君への道を阻むように身体を張って立ちはだかる。すでに完成された包囲網を武力だけで突破するのは、今のフラーウムでも簡単ではない――そこで、戦闘用ではないというラストを連れてきた理由が明らかとなる。
『はぁ~い、色欲のラストで~す』
「な、なんだ貴様は……うっ?!」
 彼女のユーベルコード【色欲の根源】は、色欲に限らず相手の欲を暴走させる。キャバリアのコックピットから姿を晒して能力を発動すれば、敵はたちまち強烈な飢餓感に襲われ、我を忘れた。理性の失われた瞳は獣の眼光に変わり、隣にいた味方がただの獲物に見える。

「がうっ!」「うがぁ!」
 食欲を暴走させられた僵屍達は、本能のままに同士討ちを始めた。この機を逃さずフラーウムは両腕に生やした剣とチェーンソーの翼を振り上げ、渾身の斬撃波を放つ。生命力と魔力を奪い取る必中の剣が、敵陣を横一線になぎ払った。
「どいてください」
「「ぎゃぁぁぁッ!!?」」
 断末魔の悲鳴が響いた後に残るのは、干からびた遺体とバラバラになった肉片のみ。こうして戦線をこじ開けたフラーウムと仲間達は、まだ生きている連中が我に返る前に包囲を突破し、敵将・太史慈の元に向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソラウ・エクステリア
…危なっ!
同時発動UCは天命時空龍顕現

常に情報収集と視力で周りの状況を把握する索敵で敵の位置を把握する

常に結界術も使用する

『ソラウ…乗れ!』
僕は弓矢を回避してライズサンに搭乗した後に迷彩に匂いと音消滅属性(属性攻撃)を使用して姿を消す

敵には電撃の弾幕を使って敵の攻撃を相殺する

『ソラウ…突破口を開くわ』(小声)
エミリアーノも迷彩で姿を消しているが結界術で防御しながら斬撃波を周りに放つ(範囲攻撃)包囲を突破しようと試みる

行くよ…来い破滅の騎士!
迷彩を与えた破滅の騎士達を召喚した

姿が見えない騎士達に困惑する敵にエミリアーノの空間を操り敵の攻撃を別の敵に当てる様に返す

終わりだ!
僕は混沌破皇を敵に放った



「……危なっ!」
 超空間の渦に飛び込んだソラウ・エクステリア(歌姫の時空騎士と時空龍の協奏曲・f38698)を出迎えたのは、紫のチャイナ服を纏った「隻眼女僵屍」の攻撃だった。ワイヤーアクションのように空を駆けながら繰り出されるキックを、彼女はギリギリで防御する。事前に結界術を使っていなければ蹴り飛ばされていただろう。
『ソラウ……乗れ!』
「うん!」
 追撃とばかりに飛んでくる矢を避けながら、彼女は一緒に転移してきた「時空神機ライズサン」のコックピットに乗り込む。ハッチを閉じるとすぐにステルスモードを起動し、光学迷彩に加えて匂いと音を消す機能を使用して敵軍の前から姿を消した。

「なにっ、消えただと……?」「まだ近くにいるはずだ、包囲を緩めるな!」
 視覚・聴覚・嗅覚の3つから知覚されなくなったソラウとライズサンだが、敵軍の動揺はそれほど大きくはなかった。何重にも張った包囲網の真ん中から、誰とも接触せずに逃れるのは極めて困難だ。蟻一匹逃さぬつもりで見張っていれば、絶対に網に掛かるだろう。
「そこか!」
「うわっ、見つかった!」
 ほどなくして敵の攻撃が再開されると、ソラウは電撃の弾幕を張ってそれを相殺する。隠密中も機体のセンサーや自分の目で周りの状況把握に努めていたが、僵屍軍の布陣は盤石で付け入る隙が少ない。これを指揮する太史慈の武将としての能力はよほど優れているようだ。

『ソラウ……突破口を開くわ』
「エミリアーノ?」
 攻略手段を探すソラウに小声で話しかけたのは、同じく迷彩で姿を消していた「時空龍エミリアーノ」だった。
 【天命時空龍顕現】により真の力を発現した彼女は、結界術で身を守りながら斬撃波を周りに放ち、包囲を突破しようと試みる。ソラウとは異なりノーマークだったその攻撃は、敵軍に少なからぬ損害と動揺を与えた。
「もう1匹潜んでいたのか……!」
 僵屍達は未知の新手に【幻獣拳術『鳳凰翔』】の構えで猛攻を仕掛けるが、そちらを警戒すれば当然他に対する注意は緩くなる。危険を承知で仲間が作ってくれたチャンスを無駄にはすまいと、ソラウは即座に【ソラウの歌"破滅の騎士"】を発動した。

「行くよ……来い破滅の騎士!」
 破滅の歌姫に変身したソラウの呼びかけにより召喚されるのは、迷彩を付与された百体の破天騎士。彼らは一糸乱れぬ動きで主に仇なす者に襲いかかり、全てを貫く次元の力をもって戦線を押し上げる。想定外に次ぐ想定外に、敵軍の動揺は一層大きくなった。
「まだ居るのか……ぐわっ!」「た、太史慈様の矢まで?!」
『こっちも忘れてもらっては困るわ!』
 姿の見えない破天騎士に僵屍が困惑している間に、エミリアーノは【支配者】のユーベルコードで空間を操り、遠方から飛んできている矢を僵屍に当てるように返す。捻じ曲がった空間により軌道を変えられた太史慈の矢は、自らの配下を傷つける羽目になった。

「終わりだ!」
「「ば、馬鹿なぁああああああっ!!!」」
 仲間達の連携により大混乱に陥った敵陣に、ソラウが混沌破皇を放つ。自分達の敗北を信じられぬまま、僵屍達は骸の海に還っていき――混沌が消えたあとの空白地帯を、歌姫と因果獣達は急いで駆け抜ける。これ以上こんな所で力を使ってはいられない、自分達が倒すべき将はこの先に控えているのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
【旅神】
大昔の名将が相手か。聞くだにおっかない話だなあ。
配下の僵屍も十分怖いけど、しゃあねえ。
やれるだけのことはやってやるか。

ひとまずは前に出る詩乃の援護を。
タイミングを合わせて〈援護射撃〉したり、相手の攻撃を〈目潰し〉や〈マヒ攻撃〉で妨害していく。

頃合いを見て、《幻想虚構・星霊顕現》を起動。
陽光を発生させるだけのごくシンプルな効果だけど、これで僵屍どもにはダメージを与え続けられるはずだ。
あんま光が強すぎると戦いにならねえから、そこは上手く制御する。

遠くからの矢の攻撃は、詩乃から援護をもらいつつ〈第六感〉と〈逃げ足〉を活かして躱しきる。
僵屍をいなしながら、詩乃と一緒に進んでいくぞ。


大町・詩乃
【旅神】

罪無き方々を僵屍に変えて使役するとは卑劣ですね!
太史慈とやらは名将だそうですが許せません。

《神威発出》発動
チャイナドレス姿で太極拳の構えを取ります。

嵐さんのUCや援護の下、僵屍さん達の攻撃は第六感・心眼で捉えて、見切り・受け流しによる化勁でいなします。
そのままカウンターで発勁(功夫・雷の属性攻撃・貫通攻撃)か旋風脚(功夫・衝撃波・鎧無視攻撃・なぎ払い)で倒します!

太史慈の矢は天候操作で戦場一帯に強風を起こして軌道をズラします。
更に天耀鏡を大型化させて、一つは詩乃、もう一つは嵐さんをかばう様に盾受け。

嵐さんと一緒に矢の飛んでくる方向(太史慈の居場所)に向かって進撃して、包囲突破しますよ!



「大昔の名将が相手か。聞くだにおっかない話だなあ」
 超空間の渦の向こうで待ち構えている敵の名を聞いて、鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は肩をすくめる。三国時代に名を馳せた名将がまさかの猟書家になっており、猟兵を討ち取るために罠を張り巡らせているとは予想だにしなかったろう。
「配下の僵屍も十分怖いけど、しゃあねえ。やれるだけのことはやってやるか」
 それでもここで臆病風に吹かれては、折角ハビタント・フォーミュラを追い詰めたのが無意味になってしまう。
 覚悟を決めて心を奮い立たせ、仲間と共に|全能計算域限界突破《エクスマトリックス・オーバーロード》の入り口に飛び込む。その先では大勢の「隻眼女僵屍」達が包囲網を敷いていた。

「罪無き方々を僵屍に変えて使役するとは卑劣ですね!」
 自分達を取り囲む女僵屍達を見て、大町・詩乃(|阿斯訶備媛《アシカビヒメ》・f17458)が怒りに眉を釣り上げた。これだけの規模の軍勢を作り上げるためには、一体どれだけの前途ある拳法家が犠牲になったのか。自然と生命を守る女神として、見過ごせぬ蛮行であった。
「太史慈とやらは名将だそうですが許せません」
 義憤のままに【神威発出】を発動した彼女は、チャイナドレス姿で太極拳の構えを取る。素人の手習いのレベルではない、堂に入った姿勢だ。それを見た僵屍達がピクリと反応する――オブリビオンに成り果てたとて、拳士の誇りはまだ残っているらしい。

「ほう……拳法で我らと勝負する気か」「面白い、ならば全力で行くぞ!」
 【幻獣拳術『禍躯鱗』】の構えを取り、麒麟憑依状態となる女僵屍達。それは様々な伝説上の生物を手本とし、幻獣の力を我が物にする流派の秘奥とも言えるユーベルコードであろう。文字通りに人を超えた拳法家達が、拳を固めて一斉に襲い掛かってくる。
「嵐さん、援護をお願いします」
「ああ、任せろ」
 迎え撃たんと詩乃が前に出て、嵐が後方でお手製スリングショットを構える。二体多の不利な状況ではあるが、何度もこの連携で戦ってきた二人に動揺はなかった。戦いへの恐れや敵への怒りはあっても、一緒なら負ける気は欠片もない。

「喰らえ、我が奥義!」
 麒麟の力を宿した拳が詩乃に叩きつけられる。だが彼女は倒れるどころか一歩もその場を下がらない。相手の攻撃の威力を吸収もしくは別の方向にいなす「化勁」と呼ばれる太極拳の技法だ。高度な鍛錬と優れた第六感・心眼が合わさって初めて実現できる技である。
「神の威を此処に知らしめましょう」
「ぎゃぁッ?!」
 そのまま詩乃は自分の拳を相手に当てて、カウンターの発勁を食らわせる。鍛え上げられた功夫と稲妻と化した気を直接体内に叩き込んでやれば、敵は悲鳴と共にばたりと倒れ伏した。神性なき者が今の彼女に敵対するのは、即ち天に唾する行為に等しい。

「なかなかやる。ならば次は私が……うっ?!」
「おれのことも忘れるなよ」
 派手な立ち回りをする詩乃とは対照的に、嵐はスリングショットで敵の目を狙う。弾丸が隻眼を掠めれば僵屍達も思わず足が止まるだろう。大したことのないように見えても、攻撃や防御の瞬間にタイミングを合わせて的確に妨害を挟めば、それは致命的な隙を生み出す。
「旋風脚!」
「「ぐわあああッ?!!」」
 間髪入れずに詩乃の放ったひと蹴りが、衝撃波を巻き起こして辺りの敵を吹き飛ばしていく。禍躯鱗で防御力を高めていても、神威発出により強化されたダメージはそれ以上だ。完璧のはずだった包囲網に綻びが生まれ、動揺が軍勢に広がっていく。今なら突破できるか――と思ったその時、彼方から矢の雨が二人に降り注いだ。

「そう簡単にはいかないか」
「そのようですね」
 自軍の揺らぎを察した禁軍猟書家『太史慈』の援護射撃。驚異的な技量による超長距離精密射撃が二人の猟兵を襲う。詩乃はすぐさま神の権能で天候を操り、強風を起こして矢の軌道をズラす。それでも反らしきれないものは神器「天耀鏡」でガードだ。
「今のうちに!」
 大型化した一対の神鏡が、詩乃と嵐の頭上にそれぞれ一枚ずつ浮かんで矢の雨を弾く傘となる。彼女の呼びかけに嵐はこくりと頷くと、意識を集中してユーベルコードの詠唱を始めた。脳裏にイメージするのは太陽の光、今ではない時、此処ではない場所を照らす夜明けの日差しだ。

「Linking to the Material, generate archetype code:X...!」
 遥かな異界の冒険譚を源とし、超常の自然現象を発動する【幻想虚構・星霊顕現】。この術理をもって嵐が発生させたのは、ごくシンプルな陽光だった。肌を焼くほどの暑さや、目を眩ませるほどの輝きがあるわけでもない。だが、それを浴びた僵屍達は突然身悶えし始めた。
「ぐ、ぎゃああああっ!」「熱い、熱い、熱いいいッ!」
 幻獣拳術『禍躯鱗』を発動した彼女らは、不屈の肉体と引き換えに太陽への耐性を失う。さながらフィクションに出てくる吸血鬼やアンデッドのように、日の光を浴びただけでダメージを受ける体質になってしまうのだ。嵐はその弱点を突き、敵だけにダメージを与えられる手段としてこのユーベルコードを選んだのである。

「あんま光が強すぎると戦いにならねえから、そこは上手く制御しないとな」
「お見事です、嵐さん♪」
 迂闊に使用すれば暴走の危険もある星霊顕現だが、効果を単純に絞ったのにはコントロールのし易さという副次的な恩恵もあった。おおむね真夏の日差しくらいの光量で戦場を照らし続けながら、嵐は詩乃と一緒に走りだす。
「ま、待て……ぐがああッ!!」
 僵屍達は必至に妨害しようとするが、陽光に焼かれた身体では思うように動けない。二人はそんな彼女らの抵抗をいなし、脇をすり抜けて進撃を続ける。ひとたび生じた綻びは繕われるどころか余計に広がる一方であった。

「このまま抜けるぞ」
「はい、突破しますよ!」
 なおも降り続ける矢の雨を神鏡で受け、第六感と健脚を活かして躱しながら、嵐と詩乃は矢の飛んでくる方角に向かって走り続ける。特殊なユーベルコードでも無い限り、敵将・太史慈はこの矢の道を辿った先にいるはずだ。
 包囲を突破すれば強敵の気配をひしひしと感じる。この地を統べる猟書家との対峙は、もう間近に迫っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『天衣無縫『太史慈』』

POW   :    強弓精兵
自身の【装備する戟を変形させた弓 】から極大威力の【光の矢】を放つ。使用後は【エネルギー欠乏】状態となり、一定時間行動できない。
SPD   :    雷轟電撃
【雷光の如き超速度】で敵の間合いに踏み込み、【敵の動きを阻害する無数の稲妻の糸】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ   :    心堅石穿
【凝縮され、研ぎ澄まされた闘気 】を込めた武器で対象を貫く。対象が何らかの強化を得ていた場合、追加で【ユーベルコード封印】の状態異常を与える。

イラスト:かなめ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠大宝寺・朱毘です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「まさか、あの包囲を突破してここまで辿り着くとは……猟兵の力を侮っていたようです」

 隻眼女僵屍軍の包囲網を攻略した猟兵達は、ついに敵軍を率いる大将――禁軍猟書家『太史慈』と対峙する。
 かつては「天衣無縫」と謳われた三国時代の名将にして、書架の王を護衛するために編成された猟書家の1人。
 物々しい肩書に反して、その容姿は清楚な銀髪の美女であった。だが多少なりと修羅場をくぐった者であれば、彼女の秘めた並々ならぬ闘気を感じられるだろう。

「猟兵が持つ予知能力は聞き及んでいましたが、こちらが仕掛けた罠をこうも完璧に対応されるとは。ですがまだ問題はありません、ここには私が居るのですから」

 そう言って太史慈は手に持っていた弓を、身の丈ほどもある巨大な戟に変形させる。
 すでに披露された弓の技に限らず、乱世に名を馳せた彼女の武勇は紛れもなく超一流。さらには知謀にも長けており、これまでの戦いを元に確実に猟兵を仕留められる戦法を練ってくるだろう。

 だが知勇兼備の優れた将である彼女にもたった一つだけ、予測不能な出来事に弱いという弱点がある。
 彼女の想定を超える奇想天外な戦い方でペースを乱し、主導権をこちら側に奪い取る。それが勝利の鍵だ。
 これまで秘匿されてきた禁軍猟書家を撃破する絶好のチャンスを、逃すわけにはいかない。

「『天衣無縫』太史慈。今一度、私の武名を知らしめましょう」

 封神武侠界を模した偽物の世界を舞台に、決戦の火蓋が切って落とされる。
 天衣無縫の名将相手に、果たして猟兵達はどのような戦法をもって挑むのか――。
月夜・玲
天衣無縫ね
相手にとって不足は無い
それに発想力のトレーニングだと思えば、一石二鳥ってやつ
存分にやらせて貰うよ

左手に《RE》Incarnation
そして…m'aider
来たれ、禁軍の秘匿せし武器
はじまりの…1番目の猟兵の武器よ!

飛来した武器を右手に持ち戦おう

『斬撃波』で牽制をかけながら相手の接近を待つ
『カウンター』の態勢を取り敵の稲妻の糸はわざと受け攻撃が当たる寸前に【Ex.Code:A.P.D】起動
瞬時に雷龍と融合、通電物質内移動の能力で稲妻の糸を伝って移動
太史慈の後ろを取り雷鳴電撃で強化した武器で『なぎ払い』
ついでに物理攻撃無効で戟を躱し髪の毛に雷鳴電撃!
静電気でスパークした髪型になるといい!



「天衣無縫ね。相手にとって不足は無い」
 いよいよ相対した敵将『太史慈』を前に、玲は静かな笑みを見せる。武勇と知謀共に優れた将が相手となれば、こちらも総合的な力が試される戦いになろう。メカニックでもある彼女にとっては技術の披露しどころでもある。
「それに発想力のトレーニングだと思えば、一石二鳥ってやつ。存分にやらせて貰うよ」
「どうぞ。私も全力を以て挑ませていただきます」
 太史慈は戟を構えたままこちらとの間合いを測っている。彼女は弓の名手でもあるが、今度は近接戦を仕掛けてくるつもりのようだ。迎え撃つために玲は左手に模造神器「《RE》Incarnation」を――そして右手は天に掲げ、高らかに叫ぶ。

「……m'aider 来たれ、禁軍の秘匿せし武器。はじまりの……1番目の猟兵の武器よ!」
 その言葉に呼応して、一振りの剣が虚空を切り裂いて玲の手元に飛来する。外見こそ古びてはいるものの刀身はまだ研ぎ澄まされており、不可思議な魔力が宿っているのを感じる。彼女はまるで、それが「呼べば来る」ことを最初から知っていたかのようだった。
「それは……!」
 その武器を見た瞬間、太史慈の顔に微かな動揺が走る。予想外の事態に弱い彼女はこれ以上"見"に回る危険性を感じたか、先手を打って攻撃を仕掛けてきた。その踏み込みは鋭く、雷光の如き超速度を以て刹那の内に間合いを詰めていく。

「参ります!」
「来なよ」
 玲は両手に持った模造神器と謎の剣を振るい、斬撃波で牽制をかけながら敵の接近を待つ。この程度で禁軍猟書家を止められるとは思っていないからだ。少しでも足並みを見出せれば良しと考えて、カウンターの態勢を取る。
「【雷轟電撃】!」
 高速移動と同時に太史慈が放つ無数の稲妻の糸は、標的に絡みついて動きを阻害する。玲はその脅威を理解した上で、わざと避けようとはしなかった。抵抗は禁ずるとばかりに四肢を封じられた猟兵に、必殺の4連続攻撃が襲い掛かる――。

「雷龍解放、転身……プラズマ・ドラグーン」
 その寸前で玲は【Ex.Code:A.P.D】を発動し、雷龍と自らの肉体を瞬時に融合させた。この姿の彼女は雷鳴電撃を自在に操り、また通電物質内を移動する能力を得る。その身を束縛する稲妻の糸は、この瞬間から移動のための経路に変わった。
「……なっ?!」
 稲妻に溶け込むように自分の前から姿を消した標的に、太史慈は驚きを隠せない。こちらが放った技をこのように利用して攻撃を回避するのは予測不能だっただろう。この隙に玲は糸を伝って彼女の後ろを取り、実体化と同時に反撃を仕掛けた。

「折角だ、この武器の性能も試させてもらおう」
 電撃を纏い強化された模造神器と『m'aider』の剣で、敵を背後からなぎ払う。【雷轟電撃】の意趣返しかのような一撃を受けて、太史慈の背からぱっと鮮血が散った。いくら禁軍猟書家と言えども、斬られれば血を流す身体には違いないらしい。
「ッ!! やりますね……!」
 太史慈も負けじと振り返りざま戟を繰り出すが、雷龍融合中の玲に通常の物理攻撃は通用しない。稲妻化によって刺突を躱しつつ、さらに電撃を頭部目掛けて放つ。激しい雷鳴が戦場に轟き、稲妻が矢となって敵を射抜いた。

「静電気でスパークした髪型になるといい!」
「きゃぁっ!?」
 強烈の電撃を浴びた太史慈の身体は痺れ、毛髪の一部が焦げてチリチリになる。それをからかうように笑う玲に対して、何かを言い返す余裕は太史慈には無かった。稲妻と一つになった奇想天外な戦いぶりに、彼女はすっかり主導権を奪われていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

成田・且胤
連携あどりぶ歓迎
「太史慈と言えば呉の武将。荊州に万夫不当と言われた邢道栄をりすぺくとする俺からすれば、相手にとって不足なし」
「強敵と言えど先制攻撃をしてくるわけでもないのでござるよね?」
「俺に秘策あり」
UCで先制攻撃
「さ、任せたでござるよティーダ=サン、サラ=サン。と、こうして乗騎に丸投げしてしまえば、俺すらどんな攻撃になるのかわからぬ」
これは勝ったでござるなと勝利を確信(UCの仕様上そこを掴まれて武器にされます)
敵の攻撃はオーラ防御及び残像で対処
「忘れるところでござった……というか記憶が飛びかけたの俺の扱われ方にありそうでござるが」
禁軍猟書家相手ということで「m'aider」と叫んでおきます



「太史慈と言えば呉の武将。荊州に万夫不当と言われた邢道栄をりすぺくとする俺からすれば、相手にとって不足なし」
 そう言って決戦の舞台に名乗りを上げたのは成田・且胤(今邢道栄・f36853)。己が感銘を受けた人物と同じ時代を生きた将と戦える機会など、オブリビオン相手でもそうはない。単純な力量においては格上の敵でも彼が怯むことは無い。大きな壁こそ乗り越え甲斐があるというものだ。
「強敵と言えど先制攻撃をしてくるわけでもないのでござるよね? 俺に秘策あり」
 背中に大鉞を担いだまま不敵な表情で、彼は先手を取ってユーベルコードを発動。自身の乗騎であるペガサスの「ティーダ」と、ワイバーンの「サラ」を召喚する。騎馬を持たぬ相手に騎乗戦闘で優位を取るつもりか――と普通なら考える所だが、彼は呼び出したどちらにも騎乗しようとはしなかった。

「さ、任せたでござるよティーダ=サン、サラ=サン」
「……なにを?」
 訝しむ太史慈の眼の前で、且胤の乗騎達が姿を変えていく。天翔けるペガサスは妖艶なサキュバスに、紅い鱗のワイバーンは可愛らしいメイドの少女に。単独でも戦闘能力を持つ彼女達は無言のまま主人にかわって身構える。
「と、こうして乗騎に丸投げしてしまえば、俺すらどんな攻撃になるのかわからぬ」
「…………」
 一言で言ってしまえば他力本願。これは勝ったでござるなと勝利を確信している且胤に、太史慈も返す言葉がない。確かに予想外の戦法ではあるが、それだけで脅威になるかと言えば――と思ったが、その直後に乗騎達が取った行動は、さらに予想の斜め上を行くものだった。

「うん? 何でござるか? ちょっ、俺は武器じゃないでござ、待、アバーッ!」
 メイドに変身中のサラが隣に立っていた且胤の身体をひょいと持ち上げる。仮にも主人をまるでモノのように。
 そのまま両足を掴んでぶんぶんと振り回しながら、彼女は太史慈に殴りかかった。これぞ乗騎達にのみ許されたユーベルコード【且胤スイング】である。
「主人を武器に……?!」
 流石に太史慈もこれにはマジで驚いたようで、反応するのが一瞬遅れる。戟を弓に変形させて迎え撃とうとするものの間に合わず、豪快な横薙ぎを食らってすっ飛ばされた。もちろん、殴打のダメージは武器にされている且胤にも入る。

「アババーッ! ひ、酷いでござる……」
 主人の悲鳴に返事すらなく(そもそも喋れないのだが)サラは敵に追撃を仕掛ける。見た目は可愛くなっても正体はワイバーン、人間離れした怪力で人ひとり分と武器を含めた重量を振り回せばあなどれない威力になる。対する太史慈もやられてばかりではいられないと反撃の構えを取るのだが。
「将を射んと欲すれば先ず馬を……と言いますが、この場合はどちらから射れば……?」
 動揺と困惑は【強弓精兵】の射に乱れを生み、放たれた光の矢はオーラの残像を帯びた且胤(武器)により軌道を逸らされた。痛恨のミスによりエネルギー欠乏状態に陥った太史慈は一時的に動きが止まり、乗騎達にさらなる好機が訪れる。

「m'aider!」
 この機を逃さず且胤が天に向かって叫ぶと、虚空から武器が出現してティーダの手元に収まる。古びてはいるが業物だと一目で分かる、且胤の背負っている鉞に匹敵するサイズの大斧だ。こんな物があると知っていたのなら、もっと早く呼べば良かった気もするが。
「忘れるところでござった……というか記憶が飛びかけたの俺の扱われ方にありそうでござるが」
 ともあれ武器を手に入れたティーダも、これで本格的に戦闘に参加できる。且胤(武器)を持ったサラと一緒に乗騎同士息の合った連携で敵に打ち掛かる。見た目は半分ギャグじみているが、その威力は既に証明された通り。

「そんな……ぐぅッ?!」
 エネルギーを回復しきらない内に追撃を受けた太史慈は、且胤(武器)と謎の武器を叩きつけられて吹き飛ぶ。
 こんな戦い方は誰であれ予想しろと言われるほうが無理だろう。自分のペースを取り戻せないまま、彼女の動きは明らかに精彩を欠いていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七星・彩華(サポート)
 呪詛すらも従える羅刹の妖剣士。
『呪詛で溢れた戦場は私の舞台さ!』
 口調は我が道を行く姐さん、仲間にはフレンドリー。

支配する呪詛も武器として扱う戦闘狂だが、かなりの頭脳派。
武器は魔剣・妖刀とは似ても似つかぬ呪詛刀
戦闘狂だが考えた戦術や戦闘の流れが上手くハマる方が感情が溢れ出る。
闘う事を至高と考える一方で守る者や仲間との共闘も戦闘の重要な要因と考えている。
行動は天上天下唯我独尊を貫く。
猟兵の夫と二人の娘がいる家族4人共が猟兵。


 ユーベルコードは指定した物を怪我は厭わず行動します。
迷惑をかける行為はしません。
依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
 あとはお任せ。よろしくお願いします!



「勝負だ。お前の腕前見せてもらおうか!」
 好戦的な笑みを口元に浮かべ、敵将『太史慈』に斬り掛かったのは七星・彩華(狂い咲く紅の華・f32940)。
 魔剣・妖刀とは似ても似つかぬ呪詛刀「常闇」を手に、気炎を吐きつつ強者に挑む様はまさに戦闘狂だが、ただ力任せに戦う狂戦士ではない。優れた剣士であることを理解して、太史慈も油断なく構えを取った。
「見たくばどうぞ存分に。冥府の土産となさいませ」
 愛用の戟を振りかざし、呪詛刀の振り下ろしを受け止める。ぶつかり合った刃が火花と呪詛を散らし、それらは地面に落ちると不格好な人型を取る。己の身にかけられた呪詛を逆に支配して操る、それが彩華の戦い方なのだ。

「集まり従え呪詛共!!」
 【呪詛展開・闘魔降臨】により戦う為の形を与えられた呪詛達は、彩華と共に太史慈を攻撃する。純粋な武勇で言えば何体集まろうが歴戦の武将に敵うはずもないが、彼らは触れたものを汚染して熱を消失させる呪毒の影だ。特攻覚悟でまとわり付くだけでも脅威にはなる。
「妙なものを撒き散らして……!」
「呪詛で溢れた戦場は私の舞台さ!」
 生者でも死者でもない呪詛の兵に、太史慈は若干戸惑っている様子。高笑いする彩華の攻撃を受け止めつつ戟を振るって影を退けるが、今一つ精彩を欠く動きだ。それ故に生き延びた一体の影が、彼女の肌にぴたりと触れる。

「しまっ……きゃあ!」
「脇が甘いねえ!」
 熱を奪われた太史慈の身体の動きが鈍る。すかさず放たれた呪詛刀の斬撃が、浅からぬ傷を獲物に刻みつけた。
 考えた戦術と戦闘の流れが上手くハマりだしたのが爽快なのか、彩華はますます感情を露わにするようになる。それと同時に撒き散らされた呪詛が、また新たな影法師を生み出して戦場を呪いに染め上げていく。
「このままでは……っ」
 起死回生を狙って太史慈は【強弓精兵】の構えを取るが、この状況で相手の前で武器を切り替えるのは明らかな悪手だった。普段の彼女なら絶対にしないであろうミス――猟兵達に戦いの主導権を握られ、ペースを乱された影響がここで響いてきた。

「咲かせて魅せよう呪詛の華!」
 敵が戟を弓に変形させる一瞬の隙を突いて、彩華が渾身の斬撃を繰り出す。常闇の呪詛を帯びた刃が黒い軌跡を描いて、太史慈の胴体を深々と斬り裂く。噴き出した鮮血が辺りに飛び散って、大地を呪詛と赤の斑に濡らした。
「かはっ!!?」
 痛烈なダメージにたまらず膝を付く太史慈。戦いの流れは今だ猟兵に傾いたまま、尚も加速を続けていた――。

成功 🔵​🔵​🔴​

エリン・エーテリオン
虹炎組

さあ…やろうか!
私はヴァルカライナーの爆撃を敵に放った(クイックドロウ)
回避されても剣に戻ったブラッドムーンから迷彩を追加した追尾属性光線を放って敵に当てる

敵のUCは反射属性(属性攻撃)のオーラ防御で相手の攻撃を反射する

エネルギー欠乏状態になった敵が動けないうちにUC発動
鳴り響け!魂の音!トゥントゥン
虹炎の神エストレジャ・アルコイリス…降臨!

虹炎の雷槍嵐!
自由の力で天候操作の力で嵐と雷の槍を敵にぶつける

何とか相手が攻撃から逃れた時に嵐と雷の槍を掴んで投げた後
喰らえ!轟雷神虹炎銃!
敵を怪力で殴る

『それ〜止めだよ!』
迷彩で隠れて待機していたエキドゥーマがマヒ攻撃の斬撃波を敵に放って攻撃した


リュカシオン・カーネーション
虹炎組
情報収集と視力と戦闘知識で周りの状況把握しながら相手の動きを観察する

よ〜し倒すか!
ウチは追尾属性の斬撃波を敵に放ち更に矢弾の雨を放ち、ある場所に誘導する

《今です!》
迷彩で隠れながら魔力溜めをしていたアロナちゃんが炎と風と水の魔法を敵に放った

敵のUCの攻撃はアロナちゃんが攻撃した直後に反射属性のオーラ防御で体勢を崩した後呪殺弾の衝撃波を敵に放つ

稲妻の糸はアズリエルの斬撃波を素早く放つ(クイックドロウ)

反撃開始…だぜ!
UC発動
敵に虹炎の矢を放ち
同時発動UCは虹炎入魂球射

もういっちょ!
追撃する虹炎の球を放つ相手が回避しても追撃して当てる
『ガブッ!』
迷彩で隠れていたカオスシャークが敵に噛みついた



「さあ……やろうか!」
「よ~し倒すか!」
 並み居る僵屍の包囲網を突破して、敵将『太史慈』と対峙するエリンとリュカシオン。名高い三国時代の名将が相手でも、この二人の自信は揺るがない。ここまで来たなら後は勝つだけだと気合いが全身から滲み出している。
「この太史慈を、そう簡単に討てるとは思わぬことです」
 対する太史慈にも禁軍猟書家としてのプライドがある。このまま猟兵達にしてやられたまま敗北するのは断じて許せなかった。隙のない構えで突きつけられた戟の矛先から、バチバチと音を立てて紫電が散る――その輝きには並々ならぬ闘志が宿っていた。

「行くぞ!」
 先手を打ったのはエリン。生きたロケットランチャー「邪神砲龍ヴァルカライナー」から爆撃が敵に放たれる。
 太史慈は雷光の如き超速度でその砲弾を回避すると、爆煙を吹き飛ばしながら一気に間合いを詰めてくる。
「我が戟に討てぬ者なし――」
「おっと、させないよ」
 それを妨害するようにリュカシオンが「天災邪神鎌龍アズリエル」を振るい、斬撃波と矢弾の雨で牽制を行う。
 たとえ回避されても、この攻撃は目標を自動追尾する仕掛けだ。太史慈はこれも高速移動で躱すが、その先には迷彩を纏ったアロナフィナが待ち伏せしていた。

《今です!》
 身を隠しながら魔力を溜めていたアロナフィナは、誘導されてきた敵に炎と風と水の魔法を放つ。隻眼女僵屍の軍団を倒した時と同じ戦術である。しかし有象無象の兵士には有効だった策が、将に対しても有効とは限らない。
「甘い!」
 知謀により待ち伏せを看破した太史慈は、魔法を躱して反撃の【雷轟電撃】を放つ。稲妻を伴った超高速の連続攻撃が精霊王を討ち取らんと襲い掛かり――あわやと思われた刹那、覇気を纏ったリュカシオンが割って入った。

「おっと待った!」
「アロナさんから離れろ!」
 反射効果を付与した虹炎のオーラが戟を受け止め、アズリエルの斬撃波が稲妻の糸を切り払う。同時にエリンも剣の姿に戻った「崩壊邪神王龍ブラッドムーン」を振るい、迷彩を付加した追尾式のレーザーを太史慈に放った。
「仕損じましたか……」
「簡単にはやらせないっての」
 流石の太史慈もこれには体勢を崩され、生じた隙を突いてリュカシオンが呪殺弾の衝撃波を放つ。至近距離にてそれを喰らった相手は大きく吹き飛ばされるが、逆に距離を離すことでダメージを軽減したようだ。空中に浮いた彼女の手の中では、戟が大弓に変形を遂げていた。

「ならば、これで――」
「させるか!」
 空から放たれる【強弓精兵】の一撃を、今度はエリンが迎え撃つ。膨大なエネルギーを込めた極大威力の光の矢はマトモに受ければ即戦闘不能だが、彼女はオーラの壁で矢の軌道を別方向に反射することで、なんとか味方への被害を防いでみせた。
「これでも倒せないとは」
 必勝を期した攻撃を二度も凌がれた事実は、太史慈を少なからず動揺させた。さらに光の矢を撃つのに消費したエネルギーを充填するために彼女は一時的な行動不能状態に陥る。時間にすればそう長いものでもないが、猟兵と猟書家の攻守が逆転するには十分な猶予だった。

「反撃開始……だぜ!」
 この機を逃さずリュカシオンは【虹炎覇王・虹炎双対矢】を発動。あふれ出すオーラから虹神炎の矢を生成し、太史慈めがけて発射する。この矢には当たった相手の行動を封じ込め、さらに復活を無効にする効果があった。
「ぐっ……!」
 胸に矢を受けた太史慈の表情が歪み、地面に膝を付く。行動不能中にさらに行動封印を重ねがけされては満足に立ち上がることもできないだろう。だが、これはまだ次の攻撃のための布石。ここから猟兵達による怒涛の猛反撃が始まる。

「鳴り響け! 魂の音! 虹炎の神エストレジャ・アルコイリス……降臨!」
 トゥントゥンと胸の奥で高鳴る鼓動に合わせて、エリンは【虹炎神・エストレジャ・アルコイリス・轟雷神虹炎銃】を発動。解き放たれた究極の自由の力を雷神ゼウスの稲妻として具現化し、一本の槍の形にして握りしめる。
「虹炎の雷槍嵐!」
「がはッ?!」
 そのまま勢いよく投げつけられた槍は、戦場に嵐を巻き起こしながら太史慈に突き刺さる。だがエリンはそこで攻撃の手を緩めない。稲妻にも匹敵する速さで間合いを詰めすると、槍の柄を掴んで力任せに敵を投げ上げた。

「もういっちょ!」
「きゃぁっ!!」
 嵐に巻き上げられて宙に浮かんだ太史慈に、リュカシオンが【虹炎入魂球射】を発動。虹色の炎を集めて作ったボールを野球のピッチャーさながらのフォームで投げつける。たとえ相手が回避できる状態だったとしても、高い追尾性能を持つこの投擲から逃れる術はない。
「喰らえ! 轟雷神虹炎銃!」
「ぐぅッ!?」
 必中の火球を喰らって墜落した太史慈を、今度はエリンが怪力任せにぶん殴る。虹炎と雷神の力を纏った拳骨の威力は並の銃撃以上であり、受け身も取れなかった敵は悲鳴を上げてまた吹き飛ばされ――そこには待機していたもう1人と1匹の伏兵がいる。

『それ~止めだよ!』『ガブッ!』
「が、はぁッ!!?」
 迷彩で隠れていたエキドゥーマと「カオスシャーク」が、情け容赦のない斬撃波と噛みつき攻撃を仕掛ける。
 手を変え品を変え繰り出される多彩な攻撃に、太史慈は主導権を取り戻すこともできず、手痛いダメージを負う羽目になったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ソラウ・エクステリア
♪と🦃

…フラーウムさん何かいい作戦あるかな?

フラーウムさんは何か策があるらしいので僕は敵を撹乱させる事にした

ライズサンに搭乗する

敵のUC対策は視力で敵の動きを見る
UCを使おうとするタイミングで横に推力移動しながらライズサンの剣から光線を素早く放ち(クイックドロウ)爆撃の弾幕で稲妻の糸を破壊する

…迷彩を使用しよう
迷彩に匂いと熱消滅属性を付与したが…敵に攻撃されて阻止された

くっ…
『この戦法はさっき使ったからな…』

ならばUC発動
同時発動UCは時空龍鎧兵召喚

時空龍兵達が攻撃する隙を狙って呪殺弾を放つ(クイックドロウ)
敵に攻撃は掠った

敵がフラーウムによって隙が出来たのでエスパスさんとの連撃をくらわせた


フラーウム・ティラメイト
♪と🦃

私に策があります
生命力吸収と魔力吸収のブレス攻撃をする蟲達を召喚

ソラウさんが戦っています…行きましょうオベ…イ?

『ケー』
オベイが返事をする

オベイが…お城(738メートル)になってしまいました…

『意味分かんない!ディストーション・オベイは不可思議の塊じゃない!』
キャバリアに乗っているラストさんも憤慨していた

『取りあえずソラウちゃんに加勢するね!』
ラストさんは行ってしまった

敵のUCは鉄壁属性(属性攻撃)の結界術で受けて推力移動で回避

『そらぁ!』
ラストさんはキャバリアから呪殺弾を放つが躱される

オベイお城になったけど…力を貸してください
城になったオベイに触れて融合

『さあ行こうか』

次元能力により敵の背後から現れるオベイ
『君の武術は素晴らしい…だが』
攻撃を仕掛けようとした敵が何故か攻撃出来なかった
『次元能力で君が攻撃する「時間質量」を消し去った』

敵は動揺していた
『ソラウ、君は前に時間質量について知りたがっていたからね…この世界は時間という質量を消費して初めて「行動」する事が出来るという訳さ』



「……フラーウムさん何かいい作戦あるかな?」
「はい。私に策があります」
 敵将を目前にしてソラウが尋ねてみると、フラーウムがこくりと頷く。普段からあまり表情の変化に乏しい彼女だが、今日の顔はなんとなく自信があるように見える。知謀と武勇に優れた『天衣無縫』太史慈を倒すための作戦を、既に考えついているようだ。
「よし、なら僕が敵を撹乱するよ」
 策を成功させるためには揺動役も必要だろうと、ソラウは率先して敵に戦いを挑む。搭乗中の「ライズサン」も大したダメージは受けておらず、まだまだ戦える状態だ。三国時代の英傑が相手でも遅れを取るつもりはない。

「次の相手は鋼の巨人ですか。不足はありません」
 今更相手がキャバリアに乗って来た程度では驚くには値しないのか、太史慈は落ち着いた様子で【雷轟電撃】を発動。雷光の如き超速度で間合いに踏み込むと、無数の稲妻の糸を放ちながら連撃を仕掛けてきた。稲妻で行動を阻害してから戟で斬り伏せる、決まれば必殺の奥義だ。
「回避!」『応!』
 ソラウは敵がユーベルコードを使うタイミングでライズサンのスラスターを全開にし、真横に推力移動しながら剣を振るう。その刀身から放たれた光は無数の弾幕となって稲妻の糸を迎え撃ち、断続的な爆発を引き起こした。

「……迷彩を使用しよう」
 この隙にソラウは視覚、嗅覚、熱源反応による探知を阻害する迷彩をライズサンに施すが――太史慈はまるで見えているかのような動きで彼女に肉薄し、追撃を仕掛けてきた。稲妻を纏った戟がキャバリアの装甲を切り裂き、ステルスが解除される。
「甘いです」
「くっ……」
『この戦法はさっき使ったからな……』
 僵屍軍との戦闘中も太史慈はこちらの戦いを見ていたのだろう。一度使った戦法が通じるほど甘い敵ではない。
 この程度では撹乱にはならない。さらなる追撃から身を躱しつつも、ソラウとライズサンは新たなカードを切る必要に迫られていた。

「行こう皆! エスパスさん!」
 ならばとソラウはコックピットから「クロノスロッド」を掲げ、【時空剣士・ウール・エスパスとの超連撃】と【時空龍鎧兵召喚】を同時発動する。彼女の呼びかけに応えて時空の果てより現れるのは、数十体の時空龍鎧兵と時空剣士エスパス。時間と空間の秩序を守るために悪と戦う勇士達だ。
『参ります』
「お次は異世界の騎士ですか。お相手仕りましょう」
 時空龍鎧兵は一糸乱れぬ統率で槍を構え、密集陣形で突き掛かる。大した練度ではあるが、それだけでは無双の武勇を誇る太史慈は倒せない。新手の登場にもそろそろ慣れてきたか、彼女は冷静に相手の攻撃を捌いてみせた。

「……これは?」
 しかし戦っている内に太史慈は異変に気付く。倒しても倒しても相手の数が減らないのだ。時空龍鎧兵には自分自身を増殖させるユーベルコードがあり、時間経過と共に兵力は無限に増え続けていく。いかに豪傑と言えども際限なく現れる敵の攻撃をいつまでも完封することはできまい。
「そこだっ」
「くっ!」
 じりじりと後ずさり始めた太史慈の頬を、ソラウの放った呪殺弾が掠める。致命傷には遠いが、こちらの攻撃が通じだした証拠だ。このまま敵に主導権を奪い返されないよう、時空の守護者達は休むことなく攻勢を継続する。

「ソラウさんが戦っています……行きましょうオベ……イ?」
『ケー』
 この間に作戦の準備を整えたフラーウムは、封印石から「ディストーション・オベイ」の力を借りようとするが――返事はいつもより高い所から聞こえてきた。見上げればそこにそびえ立っているのは。全長700メートルを超える巨大な城塞。
「オベイが……お城になってしまいました……」
『意味分かんない! ディストーション・オベイは不可思議の塊じゃない!』
 これにはラストも憤慨しているようで、キャバリアのコックピットから喚き声が聞こえる。実際どうしてこうなったのか分からないし突拍子がなさ過ぎる。幸いなのはこれでもフラーウムの作戦に影響は(たぶん)無いということか。

『取りあえずソラウちゃんに加勢するね!』
 オベイの巨大化の件については置いておくことにして、ラストは今自分にできることを行う。因果獣キャバリアのスラスターを吹かし、高速移動しながらライフルを連射。味方に当てないよう気をつけて呪殺弾を撃ち放った。
『そらぁ!』
「この程度!」
 太史慈は雷光のスピードでそれを躱すと、時空龍鎧兵の包囲をすり抜けて戟に闘気を込め、渾身の【心堅石穿】を放つ。凝縮され研ぎ澄まされた闘気の一撃を、ラストは『危なっ!?』と辛くも推力移動で回避した。戟の矛先がほんの少し掠めただけで、防御結界ごと機体装甲にヒビが入る。

「オベイお城になったけど……力を貸してください」
 仲間達が激戦を繰り広げている最中、フラーウムは城になったオベイに触れてユーベルコードを発動。彼と融合した【因果獣神皇・ディストーション・フラーウム・オベイ】に変身する。見た目は僵屍の軍団と戦っていた時に近いが頭部は鳥類のそれとなり、翼は10枚、腕は4本に増えるなど、より怪物的な異形と化している。
『さあ行こうか』
 文字通りフラーウムと一心同体になった状態で、オベイが穏やかな口調で喋る。その直後、彼女達は一瞬にして敵の背後に移動していた。これは因果獣神皇の持つ能力の一端――次元を操ることで自分の座標を変更したのだ。

「なっ!?」
 不意に背後を取られた太史慈は動揺しながらも攻撃を仕掛けようとするが、その行為はなぜか不発に終わる。
 避けられたのでも防がれたのでもない、攻撃そのものを否定されたような奇妙な感覚。これまで多くの武将と矛を交えてきたが、こんな体験をするのは始めてだ。
『君の武術は素晴らしい……だが、次元能力で君が攻撃する「時間質量」を消し去った』
「そんな事が……!?」
 時の法則を知る者でなければ、説明されても理解するのは困難だろう。まさに人智を超えた手段で攻撃を無効化された太史慈の動揺はますます大きくなる。予想外の出来事に直面するとペースを乱すという彼女の弱点が、ここで大きな隙を生むことになった。

『ソラウ、君は前に時間質量について知りたがっていたからね……この世界は時間という質量を消費して初めて「行動」する事が出来るという訳さ』
「そうなんだ。ありがとうオベイさん、フラーウムさん」
 興味深い講釈ではあるが、今はこのチャンスを逃すわけにはいかない。ソラウはライズサンのコックピットから飛び出し、時空騎士銃槍を構えて走りだす。その隣を並走するのはかつての力を失った神、時空剣士エスパスだ。
「行くよ! エスパスさん!」
『分かったわ! ソラウ!』
 時空魔法と次元能力を駆使した【時空剣士・ウール・エスパスとの超連撃】を、隙だらけの太史慈に叩き込む。
 時空騎士と因果獣と猟兵達による連携と尽力の末に繋がれた渾身のユーベルコードは、過つことなく標的を捉え――深手を負った敵は「ぐ、あああっ!?!」と絶叫を上げて、大地を鮮血に塗らすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紅・麗鳳
ようやく辿り着きましたわよ太史慈。

ここまでにどれだけの部下が犠牲になったか――!
あ、もうお役御免ですわよ。(盾にしてた部下を放り捨て)

さて、決着はどう付けるか、貴女ならお分かりですね?
そう……アイドルバトルです!

そのまま反応待たずに【満華全席】発動!
戦場をまるっと作り変えて、どっちが観客の心を掴むか勝負ですわ!

かの諸葛孔明も得手としたという闘争作法、辞退は許しませんわよ!

そのまま歌い、踊りながらの【空中機動】で攻撃を掻い潜り、優美に蹴り!
マイクに見立てた方天戟が偶然当たった振りして打撃!
観客に見えぬ角度で腹パン!

最後は舞台演出に見立てた火竜砲の【砲撃】で吹き飛ばして終いですわ~~~!!



「ようやく辿り着きましたわよ太史慈」
 大事な(?)ファンを盾にして、僵屍の軍勢を突破してきた麗鳳。敵将『太史慈』と相見えれば、彼女はキリッとした表情で睨み付ける。ここだけ切り取ると「激戦の果て、多くの血を流しながらも決戦の地に至った女武将」のようにも見えるだろう。
「ここまでにどれだけの部下が犠牲になったか――! あ、もうお役御免ですわよ」
「……犠牲にしたのは貴女の選択のように見えますが」
 盾にしていた部下をぽいと放り捨てる彼女に、太史慈が入れたツッコミは華麗にスルーされた。一番哀れなのは矢衾になるまで攻撃に耐え続けた部下である(なぜか生きてはいる)。まだ戦いは始まっていないが、既に麗鳳の発想は敵の想像を超えつつあった。

「さて、決着はどう付けるか、貴女ならお分かりですね?」
「……!」
 お互いにもうここには部下はいない。一対一の状況で麗鳳が呼びかけると、太史慈も表情を引き締めて戟を構え直した。ここで言う「決着の付け方」など、戦乱の時代を駆け抜けた武将である彼女には1つしか思いつかない。
「無論。互いの武勇の全てを賭けて雌雄を決し……」
「そう……アイドルバトルです!」
 だが相手の解答は彼女の常識を簡単に超えてきた。思わず「は?」と声が漏れ、思考と理解が停止する太史慈。
 そのまま麗鳳は敵の反応を待たずに【満華全席】を発動。音響装置や照明、観客を出現させ、紙吹雪を降らせ、戦場をライブ会場にまるっと作り変えてしまった。

「どっちが観客の心を掴むか勝負ですわ!」
「は、はい?! なんですかそれは!」
 困惑する太史慈をよそに何処からともなく音楽が流れ、それに合わせて麗鳳は踊りだす。観客からわっと歓声が上がり「うぉぉー、麗鳳ちゃーん!」と声援が飛ぶ。さっきまでの殺伐とした戦場の空気感はどこかに吹っ飛んでしまっていた。
「かの諸葛孔明も得手としたという闘争作法、辞退は許しませんわよ!」
「初耳でございますが!?」
 こんな勝負などしたことがない太史慈は、あくまで普通に戦いを挑もうとするのだが。麗鳳は歌い、踊りながらステージ上を飛び回り、華麗な空中機動で攻撃を掻い潜る。ここはライブに適した行動を取ることで成功率が高まる、そういうルールが敷かれた空間なのだ。

「玉顔光潤、気は幽蘭、華容は婀娜なり! さあ、人生最高の瞬間をお届けしますわ!」
「「わあああああーーーっ!!!」」「痛っ!?」
 観客の声を一身に浴びながら、踊りの振り付けに合わせて優美に蹴りを放つ麗鳳。あくまでライブの体裁さえ保っていれば対戦相手への攻撃も可能になる。自分から仕掛けた勝負であるからには、ここでの戦い方も彼女はよく熟知していた。
「あら、ごめんあそばせ」
「うぐぅっ!」
 マイクに見立てた方天戟が偶然当たった振りをして打ったり、観客に見えぬ角度で腹パンを叩き込んだり。華やかな歌と踊りに隠された陰湿な攻撃の連続に、太史慈は翻弄されっぱなしだった。やはりアイドルバトルの経験がない彼女にぶっつけ本番のステージは厳しかろう。困惑しペースが乱れるのもむべなるかな。

「最後はこれで終いですわ~~~!!」
「待っ、それは……ぐはぁッ!!?!」
 完全に戦いの主導権を握った麗鳳は、ステージの締めとして舞台演出に見立てた火竜砲「祝融吻」をぶっ放す。
 真っピンクに痛々しく塗装された砲が火を吹き、防御する間もなく太史慈を吹き飛ばす――観客からの割れんばかりの拍手は、もちろん最後までステージに立っていた者のみに送られるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐伯・晶
UDCアースでも歴史に名を残している武将か
油断できる相手では無さそうだね

接近戦はきつい相手かな
距離をとってガトリングガンで攻撃しよう
範囲攻撃で面で攻撃して削っていこう

弓で攻撃してきたら回避しつつ
避けれないものは神気で防御するよ

ワイヤーガンや空中浮遊を利用して接近させず
遠距離攻撃は防ぐ事で相手のUCを誘おう

相手がUCを使用したらこちらもUCで防御
こちらも動けなくなるけれど
さっきまでばら撒いておいた神気を操作して
動けない太史慈を包み
体を蝋人形の様に硬化させよう

石像になったこちらの動きを予測しようとしたら
不可視の神気から逃げる時間は無いよ

完全に自由を奪えなくても
十全に動けなくすれば
後続が楽になるかな



「UDCアースでも歴史に名を残している武将か。油断できる相手では無さそうだね」
 世界史の授業や三国時代を題材にした創作物の中で、その名を耳にした覚えはある。音に聞こえた呉の名将『太史慈』と対峙した晶は、気を引き締めつつ携行型ガトリングガンを構えた。あちらも身の丈程もある戟を構えて、一時は乱れた体勢をもう整えている。
「相手に取って不足なし。参ります」
 いかにも武人らしい物言いと共に、疾風の如き足運びで距離を詰めてくる。猟兵が僵屍軍と戦っている間は遠距離射撃に徹していたが、実際の身のこなしを見ても弓しか使えないという事はあるまい。並大抵の相手なら間合いに入った瞬間に一刀両断だ。

「接近戦はきつい相手かな」
 そう判断した晶は空中浮遊して距離を取りつつガトリングガンのトリガーを引く。大量の弾丸による"面"の攻撃で敵を近付けさせない戦法だ。彼女の武器は邪神の物質創造力を利用しており、幾ら撃っても弾切れは起きない。
「ふむ。刃を交える気はありませんか」
 宙に浮かぶ標的、降り注ぐ高密度の弾幕。これを突破して間合いを詰め切るのは流石の太史慈でも難しかった。
 戟を回転させて弾丸を弾きながら、彼女は自分からも後退して距離を取る。その表情にまだ動揺はない――接近を封じられても彼女にはまだ弓があるのだから。

「射撃の腕比べも望む所です」
「こちらも対策は考えてきたけどね」
 戟を弓に変形させて矢を放つ太史慈。僵屍との戦いで見せた超精密射撃に対し、晶はワイヤーガンを発射する。
 狙いは敵ではなく近くに生えていた木の枝。引っ掛けたフックを基点にしてワイヤーを巻き取り、素早い方向転換を行って攻撃を回避する。
(一度見たのが効いてるかな)
 避けきれない場合は神気を纏い、矢の運動そのものを停滞させることで防ぐ。弓の名手でも通常の矢であれば、まだ回避・防御は不可能でない威力の範疇だ。一方で晶のガトリングガンも敵に大した痛手は与えられておらず、戦いは膠着状態となる。

「埒が明きませんね。ならば」
 戦局を変えるために先に動いたのは太史慈だった。【強弓精兵】の構えを取った彼女の矢に光が集まっていく。
 膨大なエネルギーを費やして放つその威力は、これまでの射撃とは比べものにならない。ここがカードの切り時だと、晶も即座にユーベルコードを発動する。
「なら、僕も全力で防がせてもらうよ」
「上等。受けよ我が渾身の一矢――!」
 光の矢が放たれた瞬間、【封印の縛め】を発動した晶の全身は身に付けた物も含めて鉱物に変わる。邪神を封印する力を防御に転用した一種の裏技だ。禁軍猟書家による全力の一撃も、物理的にはほぼ無敵となった彼女の身体を射抜くには至らなかった。

「防がれた……?!」
 こればかりは予想外だったか、驚きの表情を見せる太史慈。光の矢を放つためにエネルギーを消費した彼女は、一時的な欠乏状態に陥り行動不能となる。反撃に転じるなら絶好のチャンスだが――一方の晶も防御のために石像化した後は動けなくなるデメリットを抱えていた。
(けど、何もできないわけじゃないよ)
 防御のためにさっきまでばら撒いていた神気を操り、動けない敵を包み込む。停滞を司る邪神の力は既に何度も披露した通りだ。エネルギー欠乏状態から回復しない内に、太史慈の体は末端から蝋人形のように硬化していく。

「石像になったこちらの動きを予測しようとしたら、不可視の神気から逃げる時間は無いよ」
「しまった……!!」
 邪神という未知存在の異能と予想外の出来事にペースを乱された、ワンテンポの思考の遅れが戦闘では致命的。
 幸いにもエネルギーの回復が間に合い、活動再開と同時に神気から逃れることができたが、その頃には太史慈の片足はほとんど動かなくなっていた。
(完全に自由を奪えなくても、十全に動けなくすれば後続が楽になるかな)
 決着を焦らず、後々有利な状況を作れさえすれば良しとする晶。この余裕の差はそのまま戦況の差でもあった。
 奇想天外な猟兵の能力の数々に終始ペースを乱されっぱなしの太史慈は、次第に劣勢へ追い込まれていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

劉・涼鈴
太史慈! ゆーめーな武将だ!

まずは覇王方天戟で打ち合う!
【覇気】を纏って【功夫】の体捌き!
さっきの戦いで動きを見られてるし、正道も正道、真っ当な戦い方だからきっと対応されるハズ!
予想通り戟で突きにきたら――横から究極甲虫インペリアル・ドレッドノートが突撃!(動物使い) どーん!
インフィニティ・ブレイカー! 体当たりで足を掬って【体勢を崩させる】
アサルトケルベロスをシュート! ブチ当てて【吹っ飛ばす】!

私自身も【大人化】変身! 身長がぐいっと伸びてリーチが変わる!
そんでもって……m'aider! ふしぎな呪文!
飛んできた中華風の剣を【ジャンプ】して空中キャッチ!
そのまま叩っ斬る! でぇえーい!!



「太史慈! ゆーめーな武将だ!」
 三国時代に武功を轟かせた『太史慈』の名は、涼鈴にも聞き覚えがあった。知謀の将にして武芸百般の強者となれば相手にとって不足はなし。こちらも全力で挑む気構えを示し、愛用の「覇王方天戟」をぶんぶんと振り回す。
「まずはこれで勝負!」
「良いでしょう」
 この挑戦に太史慈も応え、戟を構えて斬り掛かる。同種の武器での打ち合いに応じたのは自らの武勇に自信がある証拠だろう。それが過信でないことはすぐに分かる。万全な状態ではないにも関わらず、彼女の戟捌きから鋭さは微塵も失われていなかった。

「破ッ!」
「やぁっ!」
 互いに闘気と覇気を纏い、激しく打ち合う二人の女武芸者。覇気を纏って功夫の体捌きを見せる涼鈴に対して、太史慈は戦場で磨いた無駄のない戦技で攻める。その武才は甲乙つけがたいものだが、戟同士の戦いでは太史慈が優勢か。
(さっきの戦いで動きを見られてるし、正道も正道、真っ当な戦い方だからきっと対応されるハズ!)
 僵屍と戦っている間に戦法はあらかた読まれている。どんな攻撃を仕掛けても柳のように受け流されてしまう。
 正攻法において無類の強さを誇るこの武将を倒すには、まだ見せていない意表を突ける戦法が必要だ。そのために涼鈴はギリギリまで一対一の白兵戦に拘り、苦戦を演じ続ける。

「その若さで大した腕前。ですが、ここまでです」
 太史慈はすくい上げるような一撃で涼鈴の方天戟をかち上げ、がら空きになった胴体に【心堅石穿】を放つ。
 凝縮され、研ぎ澄まされた闘気を込めた戟による渾身の刺突。堅固な覇気の護りも貫くであろう一撃。だがそれは涼鈴も予想していた動きであった。
「どーん!」
「な……ッ?!」
 矛先がキマイラの少女を穿つ寸前、真横からの衝撃が太史慈の身体を突き飛ばす。それは戦場に身を潜めていた魔界の戦闘昆虫「究極甲虫インペリアル・ドレッドノート」の突撃だった。人間ですらないモノの突然の乱入が、敵の予想を混乱させる。

「インフィニティ・ブレイカー!」
「きゃっ?!」
 さらに涼鈴は紅い四輪駆動車のオモチャを走らせて、太史慈の足元をすくわせる。玩具とはいえ妙に高度な技術で最高速度特化のカスタマイズを施され、さらにAI搭載型の逸品だ。その体当たりには不意打ちした相手の体勢を崩させるくらいの威力はあった。
「シュート!」
「はうっ!!」
 涼鈴の反撃はまだ終わらない。今度は三つ首の巨犬が描かれた黒い改造ベーゴマ「アサルトケルベロス」をブチ当てて、敵を後ろに吹っ飛ばす。まるで武器らしからぬものを巧みに操る戦法は、太史慈にとってはまるで予測がつかないものであり、それが一方的にやられる原因となっていた。

「大人モードに変身だ!」
 戦いの主導権を握ったところで、涼鈴は【大人化】して成人の姿に変身する。身長は170cmくらいまでぐいっと伸び、手足もすらっと長くなり攻撃のリーチも変わる。これでもう太史慈が今まで見た動きは参考にならない。
「そんでもって……m'aider!」
 ここで叫べばいいと聞いたふしぎな呪文を唱えれば、虚空を裂いて一振りの中華風の剣が飛んでくる。古びてはいるが妙な霊力を感じるそれを、彼女はジャンプして空中でキャッチすると、そのまま大上段に振りかぶって敵に斬り掛かる――。

「でぇえーい!!」
 奇想天外な攻撃による動揺と変化した武器のリーチ。重なる諸要素は太史慈の防御を誤らせるのに十分だった。
 大人モードの涼鈴が振り下ろした斬撃は真っ向から敵を叩き斬り、真っ赤な血飛沫が噴水のように飛び散った。
「がはっ……まさか、このような……」
 戦法を切り替えられてからは終始ペースを乱されっぱなしだった太史慈は、驚きと感嘆のこもった声で呟く。
 一度は読み切ったと思っていた猟兵の力は一端でしかない。それを誇るように涼鈴は得意げな笑みを浮かべた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクレツィア・アストリュード
成程、只々シンプルに強い敵。
正攻法で決するのは困難、か。

それでも、正面から相対し、打ち合っていこう。
相手のユーベルコードを警戒し、踏み込む隙を作らないよう、慎重に。
でも、そのような戦い方では、確実に押される。
無理に凌ごうとして、武器を弾かれ、必殺の間合いへ踏み込まれると思う。

…そこが、ボクにとっての好機。
『m'aider』を叫ぶと共に、反撃に出よう。

【念動力】で弾かれた剣を引き寄せ、そのまま太史慈へと斬りつけさせる。
傷つけられればそれで良し、心蝕血壊を発動。
血を抜かねばという衝動での自傷か、其に抗うことでの集中力の低下を狙う。
どちらにせよ、隙は生ずる筈。
取り戻した剣で、斬りつけにいく。



「成程、只々シンプルに強い敵。正攻法で決するのは困難、か」
 武勇に優れ、知謀にも長ける歴戦の武将。奇をてらわない堅実な強さを持つ『太史慈』の実力は、ルクレツィアも認めるものだった。本来ならここは事前に言われていた通り、奇策で相手のペースを乱すのが良いのだろうが。
「それでも、正面から」
「……ほう」
 彼女が真っ向から打ち合いをを望めば、太史慈も受けて立つとばかりに身構える。これも作戦の内ではあるが、ここで刃を交えずして『全て』を斬ることはできぬだろう。己に課された命題を証明するためにも、彼女は敢然と伝説の名将に勝負を挑む。

「……行くよ」
「来なさい」
 ルクレツィアが「The Answerer」で斬り掛かると、太史慈は戟の矛先と柄で斬撃をいなす。対キャバリア用の巨大剣の一撃は凡将に防げるものではないが、彼女はそれを受け流してもなお余裕があるように見えた。間髪入れずに繰り出された反撃の突きを、今度はルクレツィアが剣で受ける。
(やっぱり、強い)
 相手の【雷轟電撃】を警戒し、踏み込む隙を作らないよう慎重に立ち回る。彼女の剣技は豪快なように見えて、鍛錬と研究により生まれた合理性の結晶であった。アンサーヒューマンの瞬間思考力も活かして、次の一手を常に予測しながら戦う姿は洗練されて美しい。

(でも、そのような戦い方では、確実に押される)
 合理的であるが故に予想外の要素のない剣技では、太史慈を切り崩せないだろうとルクレツィアは考えていた。
 事実、ユーベルコードを警戒するために攻めが甘くなるところを見透かされ、敵の攻勢は徐々に激しさを増してくる。あちらも身の丈ほどもある長物を扱っているのに、斬撃や刺突の手数では完全にこちらを上回っていた。
「見事な剣技です。ですがまだ甘い」
 無理に凌ごうとしたところを狙われ、武器を弾かれる。剣が宙を舞い、丸腰となったルクレツィアの懐に踏み込んでくる太史慈。そこは彼女の必殺の間合い、放たれる4連撃を受ければ猟兵と言えども生命はない――しかし。

「……そこが、ボクにとっての好機」
 口元で『m'aider』を叫ぶと共に、ルクレツィアは反撃に出た。一振りの古びた刀を虚空から手元に呼び寄せ、同時に弾かれた剣を念動力で操る。空中で軌道を変えた「The Answerer」は、そのまま引き寄せられるように太史慈を斬りつけた。
「なっ……!」
 正攻法の戦いを目に焼き付けさせられていた太史慈は、この攻撃を咄嗟に対応することができずに手傷を負う。
 深手とは言えないが傷つけられればそれで良し。【心蝕血壊】を発動したルクレツィアの斬撃は「己の身から不浄な血を全て抜かねばならぬ」という衝動を敵に植え付けるのだ。

「ぐ、うっ……これは、なに……?!」
 血を抜かねばという衝動に流されての自傷か、其れに抗うことでの集中力の低下か。どちらにせよ隙は生じる。
 この間にルクレツィアは愛剣を取り戻し、『m'aider』の剣と共に太史慈を斬りつける。その一太刀こそがこの一連の攻防の集大成。
「これが、ボクの『答え』」
 シンプルな実力者をどう打倒するのかという問いに、ルクレツィアが導いた解答は過たずに敵を斬り裂いた。
 ぱっと花が咲くように真っ赤な血飛沫が舞い、大地を濡らす。刃から伝わってきた手応えは、致命傷に達しうる深手であった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴上・冬季
「度肝を抜く奇策、でしたか。…ふむ」
「ならば。…蹂躙せよ、真・黄巾力士」
黄巾力士を最大の634mまで巨大化させ空中から砲頭や金磚で太史慈とその軍に射撃
空中から鎧無視・無差別攻撃で太史慈軍を蹂躙する
自分は離れた空中を風火輪で飛行しながら太史慈の様子観察
太史慈にこのままでは軍が瓦解すると思わせUCで黄巾力士を攻撃させ爆散させるのが狙い
太史慈が黄巾力士を倒したと思った瞬間狙い仙術+功夫の縮地(短距離転移)で一気に近付き雷公鞭振るって雷撃で攻撃
クリーンヒットさせる
敵の攻撃は縮地で回避

「勝ったと思った瞬間が1番気が緩むものです。黄巾力士を全損させるのですから、相応に骨を断たせていただかないと」
嗤う



「度肝を抜く奇策、でしたか。……ふむ」
 それが敵将『太史慈』打倒に必要だと聞いていた冬季は、どのような策が良いかと首を捻る。相手も数々の戦いを経験してきた武将なら、多少の事態で驚きはしないだろう。文字通り相手の度肝を抜くつもりでやらなければ。
「ならば。……蹂躙せよ、真・黄巾力士」
 先程は数で攻めたが、今度は大きさで圧倒する。ユーベルコードにより彼の宝貝「黄巾力士」は人間サイズから一気に最大の634mまで巨大化し、太史慈のみならず偽りの世界にいる全ての者の目にその威容を見せつけた。

「なっ、これは……?!」
 瞠目する太史慈の眼の前で、巨大化した【真・黄巾力士】は全砲門を開く。この宝貝専用に造られた銃器型宝貝「金磚」と、全身に搭載された多数の砲塔が一斉に火を噴き、太史慈とその軍に対する無差別攻撃が始まった。
「「う、うわああぁぁぁぁっ?!?!」」
 空中から降り注ぐ無数の砲弾は、太史慈の軍団に大きな損害を与える。一度命じられれば真・黄巾力士は主君の敵を完膚なきまでに滅し尽くすまで攻撃の手を緩めない。圧倒的スケールによる蹂躙劇を、命じた当の冬季自身は「宝貝・風火輪」に乗って空から眺めていた。

「くっ、まずはあの宝貝を止めるのが先ですか……」
 このままでは軍が瓦解すると判断した太史慈は、真・黄巾力士に狙いを定めて【雷轟電撃】を発動。雷光の如き超速度で砲火を掻い潜りながら、必殺の間合いに踏み込んで戟を振るう。稲妻を帯びたこの連撃は、全てヒットすればどんな相手でも討ち倒す奥義だ。
「破ぁッ!!」
 武神の領域に達した猛攻が巨人を切り刻むと、バランスを崩した真・黄巾力士はゆっくりと倒れ――爆散する。
 もうもうと上がる煙と爆風に包まれながらも、太史慈は手応えを感じていた。いくら規格外のスケールを誇る宝貝と言えども、今のは確実に仕留めたはず。

「そう、それを狙っていました」
 その瞬間、冬季は仙術と功夫を組み合わせた独自の縮地法により、一気に太史慈との距離を詰める。爆煙に紛れた接近に敵は気付くことができず反応が遅れる。それは時間にすればほんの寸刻の、されど致命的な油断だった。
「勝ったと思った瞬間が1番気が緩むものです」
「っ、しまっ……!!」
 焦った敵の戟を縮地で躱し「雷公鞭」を振るう。雷撃を帯びた鋼鉄の鞭が叩きつけられ、轟音が辺りに響いた。
 冬季はさらに二度三度と息吐く間もなくクリーンヒットを重ねる。一度きりしかないこのチャンス、無駄にする訳にはいかない。

「黄巾力士を全損させるのですから、相応に骨を断たせていただかないと」
「ぐ、あっ、くうっ!!?」
 嗤いながら容赦なく雷公鞭を振るう冬季に、甲高い悲鳴を上げる太史慈。丹精込めて作った宝貝を破壊されたのは痛手だし修復も一苦労だが、敵が受けるダメージはそれ以上だろう。稲妻の音が轟くたびに、敵将の命脈が削られていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
【旅神】
御大将のご登場、ってワケか。
くそ、さっきより震えが酷くなってきた……当たり前の話だけど、やっぱ怖ぇよなあ。
(ぎりっと歯を食いしばって、震えと怯懦を抑えつける)

まずは《二十五番目の錫の兵隊》……に似た姿の霊を〈降霊〉で召喚。UC使わないでいたら「何か策がある」って疑われるかもしれねえから、その為の布石だ。
喚んだ霊を適当に戦闘に参加させつつ、おれも詩乃を援護。〈援護射撃〉撃ったり、〈武器落とし〉狙ったり。

ある程度やれば詩乃がアタッカー、おれがサポーターって認識するはず。
機を見て、〈ダッシュ〉で一気に間合いを詰める。

コイツが本命の一撃だ……!(針を突き出しながら)
仕上げは頼んだ、詩乃!


大町・詩乃
【旅神】

太史慈が武将であるなら、彼女が想定する戦い方はこの世界での戦場に
近い筈で、そうでない戦い方なら意表を突ける筈。

前に出て太極拳の構えを取りつつ、《花嵐》を発動します。
相手の《心堅石穿》や光の矢等の攻撃は第六感・心眼で予測し、功夫・見切りによる足運びにて回避。
回避が厳しい場合はオーラ防御を纏った天耀鏡による盾受け・受け流しで対応。

《花嵐》の小さな花びらによる全方向からの包囲攻撃を行い、
更に念動力による捕縛で動きを封じます。

嵐さんがダッシュする際は花びらで姿が隠れるよう操作。
自分も戟を化勁で受け流して懐に入り込み、
発勁(功夫・神罰・雷の属性攻撃・衝撃波・貫通攻撃・鎧無視攻撃)を
撃ち込みます!



「御大将のご登場、ってワケか」
 敵軍の包囲網を突破した先で待ち構えていたのは『天衣無縫』太史慈。ただ向かい合っているだけでも、先程の僵屍達とは比べものにならない闘気を感じる。少しでも気を抜いたら、勝手に足が後ろに下がってしまいそうだ。
「くそ、さっきより震えが酷くなってきた……当たり前の話だけど、やっぱ怖ぇよなあ」
「大丈夫です。私達ならきっと勝てます」
 嵐の恐怖が少しでも和らぐように、詩乃が落ち着いた声で励ます。二人で戦えば勝算は十分にあるし、猟書家と決着をつける為にも奴は倒さなければならない――青年はぎりっと歯を食いしばって、震えと怯懦を抑えつけた。

(太史慈が武将であるなら、彼女が想定する戦い方はこの世界での戦場に近い筈で、そうでない戦い方なら意表を突ける筈)
 そう考えた詩乃は前に出て太極拳の構えを取りつつ、おもむろに【花嵐】を発動する。所持していた武器が一斉に桜の花びらに変わり、周りをひらひらと舞い踊る。植物と活力を司る女神である彼女らしいユーベルコードだ。
「胸に燃ゆるは熱き想い、腕に宿るは猛き力。その想いを盾に、その力を刃に。……頼んだ!」
 そして嵐も呪文を唱え、片脚が義足になった兵士の霊を召喚する。【二十五番目の錫の兵隊】と呼ばれるユーベルコードに似ているが、これは通常の降霊術によるもので本命ではない。術技を温存しすぎて「何か策がある」と敵に疑われないための布石だ。

「二体一……いえ、三対一ですか。私は構いませんよ」
 臨戦態勢の猟兵二人を前にしても太史慈は怯まず、自ら間合いを詰めてくる。まず最初に標的に選ぶのは前衛の詩乃。凝縮され、研ぎ澄まされた闘気を込めた戟による【心堅石穿】が、心の臓を抉り取るように突き放たれる。
「散りなさい!」
「いいえ!」
 詩乃は第六感と心眼で相手の動きを予測し、功夫の足運びにて突きを躱す。そしてお返しとばかりに【花嵐】の花びらを操作して、全方向からの包囲攻撃を仕掛けた。一見すると無害で美しいそれには、悪しきものを消し去る浄化の力が宿っている。

「今より此処を桜花舞う佳景といたしましょう」
「これは……仙術? いえ、何かが違う……」
 経験したことのない類の攻撃に戸惑いながらも、太史慈は戟を振るって花びらを払う。しかし彼女の敵は詩乃だけではない。花嵐に合わせて嵐もスリングショットで武器落としを狙い、兵隊の霊もバンバンと銃を撃ちまくる。
「おれも援護するぞ!」
「ありがとうございます!」
 援護射撃そのものに敵を倒すほどの威力はないが、注意を散らされるだけでも相手には鬱陶しいだろう。桜吹雪と銃撃による華麗な連携が太史慈に襲い掛かる。四方八方どこを見渡しても逃げ場はなく、まるで先程の包囲網の意趣返しのようだ。

「……なかなかやりますね」
 太史慈は巧みな戟捌きと歩法で猟兵達の攻撃を凌いでいたが、額からは一筋の汗がつたう。その焦りを見逃さなかった詩乃は、念動力による捕縛を試みた。花嵐に紛れて見えざる力の手が伸びていき、がしりと敵の足を掴む。
「捕まえました」
「ッ、なんの!」
 足を取られた太史慈は【強弓精兵】の構えを取り、相手を攻撃や拘束ごと吹き飛ばす戦法に切り替える。膨大なエネルギーを費やして放つ光の矢は、彼女のユーベルコードの中でも最大の威力を誇る。射線上に猟兵達を揃えた上で撃ち抜けば、ここからでも戦況を逆転しうるだろう。

「この一矢で終わらせます……っ、1人足りない?」
 前後衛をまとめて射抜かんと狙い定める太史慈だが、そこでいつの間にか標的の人数が減っているのに気付く。
 舞い散る桜の花びらは攻撃だけでなく目くらましの用途も果たす。戟を弓に変形させる僅かな隙を突いて、嵐は走り出していたのだ。
(この機を逃したら次はねえ)
 一連の戦闘により詩乃がアタッカー、嵐がサポーターという認識を敵に与えるようにしたのも、全てはこのための布石である。ダッシュで一気に間合いを詰めた彼は、スリングショットを捨てて一本の針を取り出す。元はただの縫い針だが、長年使い込まれるうちに持ち主の思いと霊力が宿った特別な品だ。

「コイツが本命の一撃だ……!」
 これまで召喚霊と共に援護射撃に徹してきた男が、よもや縫い針一本を武器に接近戦を仕掛けてくるなど予想もしなかっただろう。射撃姿勢のまま固まった太史慈の脇腹を針が刺し――言葉を失うほどの激痛が彼女を襲った。
「ひぃっ―――!!?」
 【針の一刺、鬼をも泣かす】。肉体や精神のあらゆる異常を癒やす霊針は、"異常"そのものであるオブリビオンに刺せば耐えがたい苦痛をもたらす。其はまさに魔を退ける霊刀の如し。歴戦の武将として痛みには慣れているはずの太史慈でさえも、思わず戦闘行動が覚束なくなるほどであった。

「仕上げは頼んだ、詩乃!」
「お任せ下さい!」
 嵐が作った決定的好機を無駄にはしないと、詩乃が足を踏み込む。練り上げた功夫と神気は拳の中で雷となり、バチバチと紫電を迸らせる。不味い、と危機を察した太史慈は痛みをこらえながら強引に弓の照準を合わせるが。
「こ、この……ッ!」
 無理な体勢から放たれた光の矢は、オーラを帯びた「天耀鏡」と詩乃自身の化勁により受け流された。閃光の下を滑るように懐に入り込んだ彼女は、すっと呼吸を止めて意識を研ぎ澄ませ、全身全霊を込めた一撃を撃ち込む。

「これで終わりです!」
「ぐ、がはぁッ!!!?!」
 神罰の雷を纏った発勁が太史慈の胸に撃ち込まれ、浸透する衝撃と稲妻が体内を突き抜ける。それは対象を外側からではなく内側から破壊する、内家拳の秘奥にも迫る威力があった。斯様な技を無防備な状態で効かされては、どんな達人でも無事では済まない。
「見事……です……」
 がくりと膝を付いた太史慈の息は荒く、弓を支えにしてなんとか立っている状態だった。それでもまだ、瞳から闘志が消えていないのは武人としての維持か。しかしながら決着の時は迫りつつあると猟兵達は感じ取っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

苔縄・知朱
プロレスは千変万化にして闊達自在!
アンタらの武術に比べたら歴史は短いんだろうけど、密度じゃ劣らないってトコを見せてやるわ!

戦場に「爆裂電流リング」を召喚、|決闘《デスマッチ》よ!
敵の攻撃は太刀筋に応じて、薙ぎはジャンプで回避、振り下ろしや突きはチェーンを巻いた拳で弾いて受け流し、反撃しつつ機を窺う。
拳のチェーンを伸ばして戟に巻きつけ、武器を封じる……と見せかけて、こちらのチェーンの端をロープに投げ掛け電流の餌食に。
更に「レッドバック・スティンガー」の毒霧による目潰しから、体勢を崩したところに追撃のスピアータックル!
自爆ダメージ覚悟で相手をロープに押し付けるわ。
最後はファルコンアローでトドメよ!



「プロレスは千変万化にして闊達自在!」
 僵屍軍団との壮絶なバトルの末に敵将『太史慈』の元までたどり着いた知朱は、堂々とプロレスの魅力を語る。
 真剣勝負の戦国乱世が続いてきた封神武侠界の住人からすれば、その技術は異質なものだろう。敵の意表を突くという意味ではある種最適とも言える。
「アンタらの武術に比べたら歴史は短いんだろうけど、密度じゃ劣らないってトコを見せてやるわ!」
「何を……?」
 怪訝な顔をする太史慈の足元から白いマットが現れ、四角いロープが周りを取り囲む。よく見ればそのロープには電流が流れており、触れたらただでは済まないだろう――改造を施されたリング上で闘う「特殊リング型デスマッチ」は、ウィドウスパイダー・チカが最も得意とするルールだ。

「|決闘《デスマッチ》よ!」
 自らが召喚した「爆裂電流リング」の上で、知朱は【超電圧ワイヤーエクスプロージョンデスマッチ】の開幕を宣言した。特殊リングの基本にして頂点とも言われるルールだが、彼女が持ち込んだソレは他所よりちょっと過激である。
「な、なんですかこれは……いえ、要はあの縄に触れずに戦えという事でしょう」
 未知の戦場とルールに困惑しながらも、太史慈は動揺を振り払うように攻撃を仕掛けてきた。凝縮され研ぎ澄まされた闘気を込めた戟による【心堅石穿】。完璧に凶器攻撃だが、その程度(?)はプロレスでは日常茶飯事だ。

「温いわ!」
 知朱は「スパイダーチェーン」を巻いた拳で戟を弾いて受け流し、反撃のパンチを食らわせる。顔面を殴られた太史慈は「うっ」と表情をしかめるものの、その程度では怯まずに刺突を薙ぎに変化させてきた。プロレスとやらはよく分からないが、武術の技において遅れを取るつもりはない。
「温いのはどちらですか!」
「フッ、そう来なくちゃ!」
 闘志の籠もった横薙ぎの一閃を、今度はジャンプで回避する知朱。鳥のようにリング上を舞いながら、チェーンをさっと放って戟に巻きつける。狙いは相手の武器を封じることだろうか。だがこの程度では太史慈の武勇を押さえ込むことはできまい。

「こんなもの……!」
「おっと危ない!」
 太史慈は逆に戟を引いて相手をチェーンごと引き寄せようとするが、知朱はその前にこちら側のチェーンの端を拳からほどいてリングロープに巻き付けた。先述の通りこのロープには爆裂電流が流れており――派手なスパークと共に流れ出した電気と火花は、チェーンを通じて太史慈の体に伝わる。
「なっ、きゃああぁぁぁぁッ!?!!」
 プロレスラーと三国時代の武将との決定的な差は、ルールに対する理解度だ。特殊リング上での戦いに習熟した知朱の戦法は太史慈には予想できない。興行用としてはちょっと強すぎるレベルの電流を流し込まれた敵は、悲鳴を上げて戟を取り落とした。

「こ、こんな戦い方があるなんて……きゃぁ!?」
「まだまだ、ここからが本番よ!」
 電流の餌食になった太史慈に、知朱はさらに特製カプサイシンソース「レッドバック・スティンガー」の毒霧による目潰し攻撃を仕掛ける。強烈な刺激臭のする液体を顔に吹き付けられた敵は思わず後ずさり、体勢を崩したところに追撃のスピアータックルが叩き込まれる。
「もっと体験してみなさい!」
「なっ、そんな真似をしたら……ああああッ!!?」
 自爆ダメージ覚悟の体当たりで相手をロープに押し付ければ、さっきよりも強烈な電流が直に二人に流れ込む。
 まだ電流慣れしている知朱よりも、電流ロープ初体験の太史慈のほうがダメージは大きいだろう。爆発炎上するレベルの激しい火花が散り、敵の悲鳴がリングに木霊する。

「トドメよ!」
 最後に知朱が放つのはファルコン・アロー。ブレーンバスターのように相手を天地逆に抱え上げてから、真っ逆さまに叩き落とす技だ。受け身も取れずに脳天からリングに落とされれば、オブリビオンでもタダでは済まない。
「がは……!!」
 ベキリと骨が砕ける嫌な音と手応え。完璧な形でプロレス技を食らわされた太史慈は大の字になって倒れ伏す。
 興行としてのプロレスならレフェリーのカウントが始まるところだろう。だがこの戦いは言葉通りのデスマッチ――どちらかの死をもって決する勝負に、終わりが近付きつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

戒道・蔵乃祐
さて。今回は此方が『持ち帰る』|番《ターン》でしょうか
秘されし武器を此処に『|m'aider《応えて来たれ》』!
ソードブレイカーを呼び出して構えます

◆神速瞬身昇り竜
全能計算域限界突破
それはハビタントにとっての侵略手段であり、敗着を察しての逃走経路でもありました
しかしグリモアの予知精度を正確に把握する猟書家勢力が
精鋭にして精強たる禁軍を敢えて分散させる理由

現在の首魁が書架の王の後塵を拝す臣民にして後継者ならば
尚更拠点で万全の防備を整えて籠城、誘いに乗った猟兵を挟撃して包囲殲滅するべき
三国の英傑である貴女もそれは理解できる筈だ

秘匿されし、一番目の猟兵が遺した武器。知られざる歴史の手掛かり
各地に遍在する禁軍は、触れてはならないはじまりの知識への最終防衛線
それが僕の見立てです

問うて詮無きことも、分かってはいるんですけどね

見切り+心眼とジャストガード+乱れ撃ちで迎え撃ち早業+武器受けで打ち合う
方天画戟をなまくらにする
怪力+投擲で太史慈を投げ飛ばしジャンプ+切り込みで追撃
重量攻撃+グラップル、一閃!



「さて。今回は此方が『持ち帰る』|番《ターン》でしょうか」
 禁軍猟書家『太史慈』を前にして、そう呟いたのは戒道・蔵乃祐(荒法師・f09466)。これまではオブリビオンの陰謀に受け身で対応するパターンが多かった猟兵だが、今回は逃亡したハビタント・フォーミュラを追跡する「攻め」の依頼。そしてこの状況下で使える逆転の言葉を、彼は知っていた。
「秘されし武器を此処に『|m'aider《応えて来たれ》』!」
 その言葉に応じて現れるのは一振りのソードブレイカー。名も知らぬ武器を手に構え、相手との間合いを測る。
 太史慈もまた、その武器を見た瞬間かすかに眉を動かして反応を示した。一部の猟兵達が知っていた謎の言葉、それに呼応して出現する武器――どうやら普通の代物では無いようだ。

「全能計算域限界突破。それはハビタントにとっての侵略手段であり、敗着を察しての逃走経路でもありました。しかしグリモアの予知精度を正確に把握する猟書家勢力が、精鋭にして精強たる禁軍を敢えて分散させる理由」
 これまでの敵の動向から感じた疑問について、蔵乃祐は自分の考察を披露する。書架の王やハビタント・フォーミュラなど、猟書家の中でも高位にあると思われる人物が、猟兵の予知能力――正確にはグリモア猟兵の予知ではなく"予兆"を察知している言動を見せてきたのは事実である。
「現在の首魁が書架の王の後塵を拝す臣民にして後継者ならば、尚更拠点で万全の防備を整えて籠城、誘いに乗った猟兵を挟撃して包囲殲滅するべき。三国の英傑である貴女もそれは理解できる筈だ」
「さて、それはどうでしょうか。神出鬼没の猟兵相手に拠点の所在を知られるのはリスクが高いと、ハビタント・フォーミュラはお考えになったのかもしれませんよ」
 予知と転移の能力を持つ猟兵に対して戦力の一極集中は、逆に一網打尽にされる危険性もはらんだ博打である。
 少なくとも敵勢力に壊滅的打撃を与えられる見込みがなければ、自分なら実行しないだろうと太史慈は語った。
 彼女の言葉を猟兵の立場に置き換えて咀嚼するなら、敵を倒すためにグリモアベースの所在をバラせるかという話になるか。それでも最精鋭であるはずの彼女達が各世界に散っている理由付けとしては弱い。

「秘匿されし、一番目の猟兵が遺した武器。知られざる歴史の手掛かり」
 自分がたった今手にしたこの武器こそが、禁軍猟書家がここにいる真の理由ではないかと蔵乃祐は考えていた。
 かつて書架の王は現代の猟兵を『六番目』と呼んだ。その言葉が意味するところを自分達はまだ知らない。だが向こうにとっては知られて欲しくない情報であろうことは予想がつく。
「各地に遍在する禁軍は、触れてはならないはじまりの知識への最終防衛線。それが僕の見立てです」
「…………」
 これ以上語るのは危険だと判断されたのか、太史慈からの返答はない。しかし、その反応からしても猟兵が敵の触れられたくない秘密に迫りつつあるのは間違いなさそうだ。一番目の猟兵が遺したというこの武器に、一体どんな真実が隠されているというのか。

「問うて詮無きことも、分かってはいるんですけどね」
「……いささか喋り過ぎたようですね。お互いに」
 これ以上の問答は無用だと、雷光の如き超速度で間合いに踏み込む太史慈。稲妻の糸と共に繰り出される必殺の4連撃が秘匿を暴かんとする者に襲い掛かる。対する蔵乃祐は心眼をもって敵の斬撃を見極め、一番目の猟兵より受け継いだソードブレイカーで迎え撃つ。
「秘密を握る鍵ですが、武器としての性能はいかに……!」
 見た目は古ぼけていてもただの骨董品ではないようで、古のソードブレイカーは禁軍の戟と互角に打ち合う。
 いや、そればかりか「受け」に特化したかの刃は一合交えるごとに相手の武器を刃こぼれさせ、なまくらに変えつつあった。

「くっ……!」
「隙あり!」
 刃の欠けた自分の戟を見て、太史慈が顔をしかめる。いかに無双の武人とて武器が技に付いてこれなければ実力は発揮できない。この機を逃さず蔵乃祐は相手の懐に入り込むと、腕を掴んで力任せに上空へと投げ飛ばし――。
「疾 風 迅 雷 !」
 竜の如き跳躍から繰り出される渾身の対空技、【神速瞬身昇り竜】が炸裂する。避けようのない空でそれを喰らった太史慈は「がはッ!!」と血反吐を吐いて吹き飛ばされ、鮮血の放物線を描きながら墜落していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

剣未・エト
生半可な武功では彼女には届かないだろう、けれど彼女は異世界の、『|僕達《能力者でありゴースト》』の戦い方を知らない、そこがチャンスだ
詠唱兵器を手に正面から切りかかる、のは簡単に避けられるだろうが、背中に隠れていたくーちゃんが飛び出して体当たり。能力者は、一人では戦わない、仲間と共に戦うのさ!
稲妻の糸が放たれたら自在に動く地縛霊の鎖で体を引っ張る&脚力で一気に距離を離す。名乗るのが遅れたね、僕は剣未エト、地縛霊たるゴーストさ!
その際に詠唱兵器を投げて『潰す』…能力者は任意に詠唱兵器を潰して詠唱銀に戻せるのさ、目減りするけどね!
驚かせた一瞬の隙に、確かめたいこと、セイクリッドダークネスから聞いたあの言葉を放とう
「m'aider!」
現れるのは手入れもされずボロボロの剣。されど込められた魔力はまだそれが『生きて』いる事を伝えてくる
「君が、はじまりの、一番目の猟兵の武器!」
強く握りしめ、ジョブの力で砕けた詠唱銀を引き戻して刀身の周りに漂わせて|一番目《かれ》と|六番目《ぼく》の力で敵を断つ!



(生半可な武功では彼女には届かないだろう、けれど彼女は異世界の、『|僕達《能力者でありゴースト》』の戦い方を知らない、そこがチャンスだ)
 シルバーレインの新世代を象徴する存在の1人であるエトは、己の出自にこそ勝機があると踏んで、禁軍猟書家『太史慈』との決戦に臨む。乱世の三国時代でも経験できなかったであろう未知の戦法を、ここで彼女に示してみせよう。
「行くよ!」
「……来ませい」
 自らの名を冠した細剣型詠唱兵器を手に、正面から斬り掛かるエト。太史慈もまた正々堂々とそれを迎え撃つ。
 演劇の一幕が如き剣術は流麗だが、純粋な技として見ればまだ拙さはある。呉の勇将は戟で切っ先を軽くいなすだけで、簡単にそれを避けてみせるが――。

「くーちゃん!」
「なにっ……うっ!」
 その直後、エトの背中に隠れていたミニ視肉の「くーちゃん」が、ぴょんと飛び出して体当たりを仕掛ける。
 思わぬ不意打ちを喰らった太史慈はのけぞって後ずさり、あわや尻餅をつきかける。エトはすかさず細剣をもう一振りして、バランスを崩した敵に追撃を加えた。
「能力者は、一人では戦わない、仲間と共に戦うのさ!」
 物心ついた頃から姉妹として一緒にいただけあって、二人の意思疎通と連携は完璧だった。言葉を交わさずともお互いの意図を汲み取ってフォローしながら戦う、それは単純な二対一以上の戦力を発揮する。かつて銀誓館学園が強敵に何度も勝利を収めてきた理由のひとつだ。

「やりますね。ですが、私も敗れる訳にはいきません……!」
 追い詰められた太史慈は全身全霊をもって【雷轟電撃】を発動し、無数の稲妻の糸を戟から放つ。この糸で敵の動きを阻害した後、必殺の4連撃で仕留めるのが彼女の必勝戦法だ。並の能力者の身体能力では、これを躱すことは不可能だが――。
「僕にはまだコレがある!」
「なっ……あなたは、一体?!」
 エトは地縛霊の鎖で自分の体を引っ張りならが地面を蹴り、ワイヤーアクションめいた機敏な緊急回避を行う。
 標的を絡め取るはずだった稲妻の糸は届かぬまま宙に霧散し、その奇妙な避け方に太史慈も驚きの声を上げた。

「名乗るのが遅れたね、僕は剣未エト、地縛霊たるゴーストさ!」
 一気に敵との距離を離したエトは、高らかに名乗りを上げながら剣を投げつける。不意を突けるタイミングとはいえ主武装を手放すなど本来はリスクが高すぎるだろう。太史慈も動揺したとはいえ即座に迎撃の体勢を取る――しかし標的に命中するより早く、それは銀色の靄となって霧散した。
「きゃっ?! こ、今度は一体……!?」
「能力者は任意に詠唱兵器を潰して詠唱銀に戻せるのさ、目減りするけどね!」
 瞬間的に詠唱兵器を『潰す』ことで得られた詠唱銀を目くらましにする。こんな使い道を思いつくのも新世代ならではの発想だろう。敵を驚かせた一瞬の隙に、彼女は確かめたいこと――第二次聖杯戦争で『セイクリッド・ダークネス』から聞いたあの言葉を放つ。

「m'aider!」

 偽りの世界に響いた声に応えてか、一振りの武器が少女の手元に現れる。それは手入れもされずボロボロの剣、されど込められた魔力はまだそれが『生きて』いる事を伝えてくる。まるで再び戦うべき時が訪れる事を、ずっと待っていたかのようだ。
「君が、はじまりの、一番目の猟兵の武器!」
 エトはその剣を強く握りしめ、ストームブリンガーの力で砕けた詠唱銀を引き戻す。初めて手にする武器による【アドリブ戦法】だが、不安はまったく感じなかった。刀身の周りに銀色の雨を漂わせれば、刃がかつての輝きを取り戻す。

「|一番目《かれ》と|六番目《ぼく》の力で敵を断つ!」
 持てる全ての力を剣に乗せて、渾身の一撃を放つエト。解き放たれし魔力は閃光となって戦場を白銀に照らす。
 この驚嘆すべき光景が太史慈の反応を僅かに遅らせた、その刹那――剣は彼女の心臓を深々と斬り裂いていた。
「……見事、です。六番目の、猟兵達よ……」
 己の敗北を悟った太史慈は、ただ一言猟兵達の健闘を称え、戟を手放した。戦場に崩れ落ちたその躰は、静かに骸の海へと還っていく。書架の王の守護を任じられた猟書家の最精鋭部隊、禁軍の一角はここに倒れたのだった。



 ――戦いが終わった直後、周囲の空間が歪み、猟兵達はまた別の場所に転移させられる。
 気がつくと、彼らは封神武侠界にいた。景色は先程までいた場所にそっくりだが「偽りの世界」ではない。
 太史慈の亡骸を始め、あの戦場にいた敵もすっかり消えている。だが「m'aider」という呼びかけにより現れた武器達は、今も猟兵の手に残ったままだった。

 ひとまず猟兵達は勝利の報告も兼ねて、この謎の武器をグリモアベースに持ち帰ることにした。
 禁軍が秘匿せし一番目の猟兵の武器だというそれに、果たしてどんな秘密が隠されているのだろうか――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年02月20日


挿絵イラスト