書を狩る兵達・終局ー幽弾のヤマラージャ・幽世編
「皆様、遂にカクリヨファンタズムのオウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』の居場所を突き止められました。ですが、その状況は十分危険です」
そう言って深刻な表情で琥珀の長髪を揺らしてフレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)はグリモアベースに集った猟兵達にオウガ・フォーミュラ討伐作戦の概要を語っていく。
「彼女達の正体は悪魔によって『世界を壊す爆弾』に改造された……「自身の体内に『偽物の世界』が発生する」という奇病に冒されている者です。ですがその病は……彼女達の体内に生まれた「偽物の世界」が膨れ上がると、二人の肉体を破壊してカクリヨに生まれ出る……そうなると、勿論カクリヨは『偽物の世界』に押しつぶされて崩壊、消滅します」
つまり、あの二人の正体は時限爆弾人間……それも世界を滅ぼす規模の非人道兵器と言う訳だ。
おまけにオブリビオン化している事で彼女達は無限に爆死と蘇生を繰り返す無間地獄を味わっているわけだ。
「その地獄から解放される為に彼女達は『|生と死を繋ぐもの《ヤマラージャ・アイビー》』……かつての戦いで『大祓骸魂』が所持していた『世界を殺す懐刀』を求めていた、という事が真相です」
だが、世界諸共爆死して再び蘇生する結末も彼女達が侵略を完遂させた果てに病理を断ち切る未来も……今を生きる妖怪と人々の為には、実現させてはならない。
「故に『偽物の世界』を破壊した後はオウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』を討伐する作戦となります」
彼女達が味わっていた無間地獄に思う所はあるだろう。
オウガ・フォーミュラの放置はオブリビオン・フォーミュラの戴冠を意味する。
それは看破できない。
しかし……彼女達を骸の海に帰す形で『無間地獄から解放する』という行為を試みる事は許されるだろう。
「今回の戦いの舞台はカクリヨファンタズム。|滅詩《ほろびうた》のユリの内側に育ちつつある「偽物の小さなカクリヨファンタズム」が、今にもユリの肉体を破って弾け出ようとしている所を皆様はその『偽物の世界』に突入してもらいます」
その「偽物のカクリヨ」の最奥に、1体の強大な骸魂が「柱」として鎮座している。
この骸魂を倒せば柱を失った偽物の世界はひとまず崩壊するが、敵は「偽物の世界の骸魂」……即ち「誰にも知られていないが故に、姿が見えない存在」との事だ。
「姿も攻撃も視認不可能な存在……いわば『大祓骸魂』と同じ状態……とは流石に行きませんが、強敵です」
幸いにも不可能なのは『認識・認知・知覚』等ではなく『視認』だ。
視力等に頼らない感知術を持っているならば、攻防に渡ってアドバンテージを詰める事が出来るだろう。
「そしてその後はオウガ・フォーミュラとの決戦です」
二人組のオウガ・フォーミュラである為、シンプルに「戦力が二倍」の強敵となる彼女達。
戦術は「妹のユリが『触れた者を消滅させる魔法弾幕』で敵を追い込み、姉シズクが『幽銃による膨大な魔力を込めた射撃』で撃ち抜く」という連携を必殺の戦法としている。
「ですが、先程も無間地獄を繰り返されている『偽物の世界』が起爆しかけました。この事実により二人は無意識にトラウマに苛まれています」
彼女達を縛る『無間地獄』……それに漬け込むか、或いは解放させるか……
いずれにせよ、その『無間地獄』をアプローチ手段とすれば上手く戦えるだろう。
「それでは……オウガ・フォーミュラとの決戦です。皆様、どうかご検討を」
二つの世界……カクリヨファンタズムとUDCアースの命運をかけた戦いを前に、フレスベルクは微笑みを浮かべて猟兵達を決戦の舞台に送り込むのであった。
黒代朝希
思ったより数百倍可哀そうな目にあっていた二人でしたね。
ですが大変な事になるのでここは撃破しましょう。
第一章
偽物のカクリヨファンタズムに飛び込みます。
戦闘にはならないので迅速な対応が求められる事でしょう。
第二章。
『偽物の世界』の核となる強大な骸魂との決戦です。
OPで示されている通りかの骸魂は『視認』が不可能です。
逆に言えば『視認が不可能な相手をどう対処するか』の対策を考えていれば十分に勝ち目はあるでしょう。
プレイングボーナス……「見えない強敵」に対応して戦う。
第三章
オウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』との決戦です。
二人組のオウガ・フォーミュラという特性を活かしてシンプルに「戦力が二倍」となる彼女達は抜群の連携を誇って猟兵を追い詰めていきます。
しかし先程『偽物の世界』が起爆しそうになった事で二人は無意識に『無間地獄』のトラウマを刺激されています。
この特性を活かして『無間地獄』を更に突く、或いは真逆に『無間地獄』から解放させる形で骸の海に帰す事で優位に戦局を進める事が出来るでしょう。
それでは、皆さまの素晴らしいプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『逢魔ヶ時の迷宮』
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POW : 夕日へ続く道を動き回って見つけ出す。
SPD : 影の位置を確認しながら突き進む。
WIZ : 迷宮をマッピング、簡易な地図を作って突破する。
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アリス・セカンドカラー
お任せプレ汝が為したいように為すがよい。
|病巣《偽世界》を取り除きユリちゃんとシズクちゃんを救う。
ええ、ええ、オブリビオンは骸の海に返さなければならない、そんなことは百も承知よ。でもね、だったらオブリビオンで無くしてしまえばいい。
そんなことは無理?いいえいいえ、私達の知覚を離れた客観的真理などなく故にあらゆることは真実であり可能であるのよ。そして、そのための|力《ユーベルコード》はここにある。
無理も道理もねじ伏せて私は為したいこと為し遂げるわ。
失敗を|エンドブレイク《無かったことに》すれば、残るのは成功したという結果だけ、そうでしょ?
「|病巣《偽世界》を取り除きユリちゃんとシズクちゃんを救う……どちらもやらなきゃならないのが猟兵の辛い所ね」
そう言って体中の関節を出来る限り曲げた上でポーズとしての美機能を保った体勢でアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔王少女・f05202)は『覚悟』を決めた顔でユリの『偽物のカクリヨファンタズム』へと飛び込んでいく。
「ええ、ええ、オブリビオンは骸の海に返さなければならない、そんなことは百も承知よ――でもね、だったらオブリビオンで無くしてしまえばいい」
これは不可能な所業ではない。
実際に、複数人の猟兵が有力敵……ジェネラル級オブリビオン等のオブリビオンを自身のユーベルコードの一環として|救済《サルベージ》している前例が存在する。
「私達の知覚を離れた客観的真理などなく故にあらゆることは真実であり可能であるのよ。そして、そのための『力』……ユーベルコードはここにある」
不敵に笑い――少女と世界を殺す『偽物の世界』に挑むアリスは、地上に迫り来る月を見上げながら迎え撃つ様な笑みを浮かべる。
そんな悲劇的な結末――エンディング等、壊してしまえばいい。
それを可能とする力を持つ|終焉を終焉させる者《エンドブレイカー》の力は、既に猟兵の力に――特に、グリモア猟兵でもあるアリスにはグリモアの予知として追体験をしている。
「その|終焉《エンド》を許す訳にはいかない。『夜』の|権能《神罰》で、超能力で、私の全てをもってその終焉を略奪させていただくわ」
想像から創造される無敵たる『|理不尽な終焉を覆す力《エンドブレイク》』をアリスは『|夜《デモン》』として……ソーンイーターの力も活用しながら紡いでいく。
瞬間、少女と世界を爆殺する『偽物の世界』という『|悲劇の終焉《エンディング》』が壊れ始めていく――
大成功
🔵🔵🔵
七那原・望
ここが偽物のカクリヨファンタズムですか。
まずはこの世界の核になっている骸魂を探し出すのですよね。
第六感と気配感知と心眼で骸魂の位置を探りましょうか。
核になっている骸魂を中心に展開されている偽物の世界であるなら、例えば魔力みたいに中心部に近づくにつれ濃くなっていくものがあるはず。
そういうのを判断材料にしながら迅速に敵のもとへ向かいましょう。
あ、そうです。今のうちにちょっと出来ることやっておきましょうか。
アマービレでねこさんをたくさん呼び出したらみんなで多重詠唱の強化属性魔法を掛け合ってそれぞれの能力を限界突破させましょう。
さらに治療用自律稼働浮遊ポッドも使ってみんなを強化しましょう。
「ここが偽物のカクリヨファンタズムですか……まずはこの世界の核になっている骸魂を探し出すのですよね」
そう言いながらユリの身体を蝕む『偽物のカクリヨファンタズム』を散策するのは七那原・望(封印されし果実・f04836)。
彼女は第六感と心眼を駆使し、常に骸魂の気配を探りながら『偽物の世界』の核となるオブリビオンの居場所を特定しようとしている。
「核になっている骸魂を中心に展開されている偽物の世界であるなら、例えば魔力みたいに中心部に近づくにつれ濃くなっていくものがあるはず……」
己の考えた仮説を編み出しながら、目隠しをした幼きオラトリオは迅速に骸魂の元へと赴こうとする。
「あ、そうです。今のうちにちょっと出来ることやっておきましょうか……ねこさん、一緒に来てください」
その際に望は振れば沢山の魔法猫が現れる鈴の付いた白いタクト『共達・アマービレ』を振るう。
にゃーにゃーと可愛らしい鳴き声を上げながら沢山の魔法猫は全員が全員、なんと多重詠唱の強化属性魔法を掛け合っていく。
しかもその|付与魔法《エンチャント》によってそれぞれの能力を限界突破しているではないか。
やはり見た目は愛らしくとも、本質は『生命体の埒外』の一員たる望の眷属という事か。
「後は『|治療用自律稼働浮遊ポッド《コール・メディック》』も使ってみんなを強化しましょう」
『マスター望のオーダーを確認。対象をスキャン…治療に必要な薬剤を精製…ドーピングはサービスです』
更に望は駄目押しにユーベルコードを発動。
診察スキャンされた魔法猫達がスティムガンによる薬剤投与によって戦闘能力が向上されていく。
これでバッチリと魔法猫たちの様子を確認し、望は『偽物のカクリヨファンタズム』を駆けていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フォーサイス
偽物のカクリヨファンタズムか。不謹慎だけど、楽しみかも。どんなお話が待っているんだろう。
柱を見つけるために情報収集しながら進まないとね。これはけっしてつまみ食いじゃないからね。
どんな世界かと思ったけど、なるほどそういうことか。だったらこっちに美味しいお話が、もとい、柱の情報があるかもね。
「偽物のカクリヨファンタズムか。不謹慎だけど、楽しみかも」
どんなお話が待っているんだろう、と好奇心と食欲を抑えずにアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)は『偽物のカクリヨファンタズム』へと突入していく。
彼女は様々な世界で物語のクライマックスに立ち会い、それを食べている情報妖精の猟兵。
その途中で見たユーベルコードを情報操作によって実現し、様々な物語をより多く……より美味しく食べる為に活用するのが彼女の『生命体の埒外』である。
「柱を見つけるために情報収集しながら進まないとね……これはけっしてつまみ食いじゃないからね」
モグモグと『偽物のカクリヨファンタズム』を構成する『情報』……即ち『物語』を食べながら『偽物の世界』の中を進んでいくアリス。
情報を食料とする彼女にとって、食事とは即ち情報の解析でもある。
「どんな世界かと思ったけど、そういうことか……だったらこっちに美味しいお話が、じゃなくて柱の情報があるかもね!」
より上質で重要な情報ほど美味……そういう事なのか、より美味しい情報がある場所へと向かっていくアリス。
偶然か計算か、その方向は『偽物のカクリヨファンタズム』を構成する柱がある座標が存在していたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
真宮・響
カクリヨファンタズムは関わりが深い。UDCアースは行きつけのカフェがある。爆発を許す訳には行かない。ただ、息子と娘を持つ身としては姉妹2人で頑張って生きてきたのに、世界を巻き込んで爆発はいたたまれないね。2人に会う為にはここをなんとかしなければ。
迷宮か。【気配感知】を利用しながら炎の戦乙女を呼び出して地道に夕日へ続く道を歩き回って進む道を見つけるか。頭を使うのは向いてないが、根性と忍耐力は自信ある。この先に泣いている子達がいるとならば、苦にならない。
さあ、先へいこうか。苦しんでいるお嬢さん達を救う為に。
「カクリヨファンタズムは関わりが深い。UDCアースは行きつけのカフェがある……だったら、それだけで爆発を許す訳には行かないだろう?」
そう言いながら『偽物のカクリヨファンタズム』の中を進んでいくのは真宮・響(赫灼の炎・f00434)。
護れる範囲のものは護ってみせる、と言ってのける彼女の手は、猟兵である以上はどこまでも伸ばす事が出来る。
「ただ、それ以上に……息子と娘を持つ身としては姉妹2人で頑張って生きてきたのに、世界を巻き込んで爆発、なんていう結末はいたたまれないね」
腹を痛めて子を産む、という生命の根源たる事象をその身で二度も行っている以上……子供が苦しむ場面を放ってはおけない。
そう背中で語りながら響は『炎の戦乙女』を召喚していく。
「さて……地道に夕日へ続く道を歩き回って進む道を見つけるか。頭を使うのは向いてないが、根性と忍耐力は自信ある」
なぜなら、この先に泣いている子達がいるとならば、苦にならないからだ。
子を思う母親として、響はどこまで奇跡を……人として当たり前の行動を取っていく。
「さあ、先へいこうか……苦しんでいるお嬢さん達を救う為に」
やがて響は『偽物のカクリヨファンタズム』を構成する強大な骸魂が座する場所を特定し、突入していく。
これより、オウガ・フォーミュラの少女達を蝕み苦しめている『偽物のカクリヨファンタズム』が起爆する前に……
視認が不可能な骸魂と猟兵による決戦が繰り広げられる――!!
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『墨火遣い『九重・澄華』』
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POW : 爆怨符
【呪符の投射 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【濃縮した呪怨の爆発】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 転依・黒狐『墨火』
対象の攻撃を軽減する【墨火憑依状態 】に変身しつつ、【追尾する墨色の炎弾】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 『墨火』召喚
自身の【持つ呪符の一枚 】を【召喚獣『墨火』】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
イラスト:つかさ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠九重・白亜」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
七那原・望
そろそろですかね?せっかくですし不意打ちさせてもらうのです。
視認出来なくても元から見えないわたしには関係ない。
第六感と気配感知と心眼で敵の位置や行動を見切った上で、敵がわたしの接近に気付く前に先手を打ちましょう。
ユニゾンを闇属性の結界で覆い、光が漏れないようにしてから魔力を溜めましょう。
限界を超えて魔力が溜まったら結界を解除し、すかさず攻撃力特化のLux desireを放ち、そのまま浄化しましょう。
更に結界解除と同時にアマービレでねこさんをたくさん呼び、こちらの攻撃に合わせて全力魔法の乱れ撃ちで畳み掛けてもらいます。
万が一反撃が飛んできた場合は浄化と炎属性の魔法で呪符を焼いて対処します。
「そろそろですかね?――せっかくですし不意打ちさせてもらうのです」
そう言って七那原・望(封印されし果実・f04836)……『目隠しをした』幼きオラトリオは第六感と気配感知と心眼で敵の位置や行動を見切り、視認不可能の状態となっている骸魂『墨火遣い『九重・澄華』』へと奇襲を仕掛けていく。
振るうは『真核・ユニゾン』――願望に応じて数多の奇跡を引き起こす勝利の果実が闇属性の結界でその実を覆われ、光が漏れないようにしてから魔力を溜め込んでいく。
「最初に言っておきますが……視認出来なくても、元から見えないわたしには関係ない」
限界を超えて魔力が溜まった時と同時、闇属性の結界を望は解除し――真核・ユニゾンから放たれる膨大な光の奔流が、骸魂を飲み込んでいく。
その正体はユーベルコード『|Lux《ルクス》 |desire《デザイア》』。
望は『視認できないが故に攻防において相手の行動や位置を把握するのに苦労する』という命題に対して『戦場全域へ膨大な出力とエネルギーを解き放つ』という形で解決して見せたのだ。
「まぁ……元より視覚に頼らないで相手を認知し、攻撃を仕掛けるというのはわたしにとっては当たり前なのです」
更に結界解除と同時に望は『共達・アマービレ』を振るう事でねこさん――魔法猫をたくさん召喚していく。
呼び寄せられた|魔法猫《ねこさん》達は望をフォローする様に攻撃を合わせ、全力魔法の乱れ撃ちで骸魂を畳み掛けていく。
「ねこさんはわたしが攻撃すれば、その位置に骸魂がいるって分かりますからね」
濃縮した呪怨の爆発を放つ骸魂のユーベルコードに対して爆発の起点となる呪符を膨大な光の奔流に飲み込ませて封殺し、そのまま骸魂本体を|魔法猫《ねこさん》達による魔法の乱れ撃ちの誘導によって打ちのめしていく――
大成功
🔵🔵🔵
真宮・響
このお嬢さんも何か訳ありげだが、考えるのは後だ。先へ進む為に、倒させてもらうよ。
怨みってのは溜まると物凄い威力となって襲い掛かる。流石にマトモに受けたくないので、【迷彩】【忍び足】【目立たない】で背後に回る。呪符を【残像】【見切り】で回避し、【ダッシュ】。視認される前に【気合い】【怪力】を込めた炎の拳で腹に拳を入れ、頭突き→足払いで完全に体勢を崩すよ。
私も炎を使うんだが、アンタの炎は危ないね。禍を起こす前に鎮めさせてもらうよ。この子もだが、妖怪って悲しい謂れを持つのも多いんだよね。胸が痛むよ。全く。
「このお嬢さんも何か訳ありげだが、考えるのは後だ――先へ進む為に、倒させてもらうよ」
ユーベルコード『炎の拳』の発動により気力を込めた赤熱する拳を骸魂に叩き込む真宮・響(赫灼の炎・f00434)は、視認が不可能な敵に対して着実に……確実に攻撃を当てている。
そのカラクリの正体は、熱……炎を操るユーベルコードを所持する響は心眼によって『熱』を感知。
それによって骸魂が発する『熱』を認識し、攻撃を与える事が出来たのだ。
「怨みってのは溜まると物凄い威力となって襲い掛かる……流石に、マトモに受けたくないな」
呪符……『炎の拳』による赤熱化した気力で遠くに吹き飛ばしたが、焼き消すには至らず起爆した濃縮した呪怨の爆発を見据え、苦々しい表情で骸魂へと思いを馳せる響。
第二撃を放たれる前に腹へと拳を入れ、頭突きを噛ました上で足払いによって完全に『墨火遣い『九重・澄華』』の体勢を崩したの確認した彼女は、骸魂へと語り掛ける。
「私も炎を使うんだが、アンタの炎は危ないね……禍を起こす前に鎮めさせてもらうよ」
荒神しかし怨霊然り……行き過ぎて禍となった想念は、生者に害を成してしまう前に祓うのが情。
「この子もだが、妖怪って悲しい謂れを持つのも多いんだよね……胸が痛むよ。全く」
妖怪とは彼等は人間に向けられた感情……恐れや喜びなどを食糧とするが、文明の発達と共に人間は段々と妖怪の姿が見えなくなる。
それがカクリヨファンタズムに移り済んだ『妖怪』という種族であり、骸魂となる存在については逸話や経歴に悲劇的なものを抱えている者も少なくない。
母親として、若い少年少女の姿をしているとなれば……その胸の痛みは、猶更重く圧し掛かる事であろう――
大成功
🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
お任せプレ汝が為したいように為すがよい。
ほうほう、ソーンイーターの創世神術は天地開闢に連なる力なのか。今、|古事記《ジョブ説明》をみたらそう書いてあったわ。
というわけで覚えて来ました創世神術♪天地開闢に比べれば転生術なんて余裕で創造出来るわよね❤
では、デモンストレーション。澄華ちゃんをさくっと転生させましょ♪見えない?|聞き耳《反響定位》でも第六感でも多重詠唱結界術での|情報収集《空間把握》でも余裕で捕捉できてるわよ。
爆殺符もまぁエナジーを糧にするサイキックヴァンパイアたる私には|大食い、魔力吸収《おやつ》でしかないし。
大丈夫大丈夫、きちんと幸せにしてあげるから|召喚術《再孵化》されなさいな❤
「ほうほう、ソーンイーターの創世神術は天地開闢に連なる力なのね……先程、エンドブレイカーの神話を見たらそう書いてあったわ」
そう言いながらアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔王少女・f05202)は己が獲得した|異能《ジョブ》の本質を理解する。
「というわけで覚えて来ました創世神術♪……天地開闢に比べれば転生術なんて余裕で創造出来るわよね」
ふざけた物言いに聞こえるだろうが、アリス・セカンドカラーは猟兵の中でも屈指の実力と経歴を持つ存在。
そこにソーンイーターの本質を理解したとなれば……
「では、デモンストレーションーー澄華ちゃんをさくっと転生させましょ♪」
視認する事が不可能なら|反響定位《エコーロケーション》で相手の位置と存在を把握する――等と言う生易しい事象だけではない。
アリスは屈指の結界術の使い手。
そんな彼女が結界術を使って空間内の存在を精密に把握する事、朝飯前だ。
「爆殺符もまぁエナジーを糧にするサイキックヴァンパイアたる私にはおやつでしかないし――という事で」
――人が想像しうることは必ず人の手で実現可能である。
ならば成し遂げよう、|望む未来を紡ぐ《ハッピーエンド》を齎す力の創造を……
「『|創世神術《ワールドクリエイション》・|混沌《ケイオス》』」
想像から創造する力に所持技能の技能レベルを1330にする力……そして『|望まぬ未来を覆す力《エンドブレイク》』。
それらの御業を組み合わせ、アリスは骸魂に関連する『|悲劇の終焉《エンディング》』を覆し破壊していく――
「大丈夫大丈夫、きちんと幸せにしてあげるから『再孵化』されなさいな♪」
……何気なく組織力最強と名高いA&Wのオブリビオン・フォーミュラが所持している権能を、サラッと使える様な言葉を残しながら。
大成功
🔵🔵🔵
四王天・焔(サポート)
『こんにちは、焔だよー。』
妖狐の人形遣い×ガジェッティアの女の子です。
普段の口調は「無邪気(自分の名前、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」、家族には「甘えん坊(自分の名前、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
無邪気で感情の起伏が激しい性格の少女、
武器はからくり人形とドラゴンランスを主に使います。
植物、特に花が好きです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「後は焔に任せてなの!」
そう叫んで四王天・焔(妖の薔薇・f04438)は10秒の集中と、全妖力で生成した焔の弓矢により超広域狙撃を可能とするユーベルコード『フォックスファイア・|弐ノ型《ツヴァイ》』を発動。
聖なる灼熱の一矢を放つ焔は『墨火憑依状態』へと変身した骸魂『墨火遣い『九重・澄華』』の『追尾する墨色の炎弾』による攻撃を撃墜。
そのまま反撃として灼熱の一矢を遠距離から狙撃していく。
「御狐・焔の狐火をもって破魔の一矢と成せ……絶対外さない――いっくよー!」
凛とした表情で焔の弓矢の弦を引き絞り、聖なる灼熱の一矢を次々と放っていく焔。
フォックスファイアの様な炎に長けた|異能体系《ジョブ》ではなく、人形遣いとガジェッティアの組み合わせをジョブを持つ焔にとっては『炎の弓矢』というアイテムを用いて戦闘を繰り広げるのが彼女の基本戦術だ。
「さぁ、これで終わりなの!」
最後に、全妖力を込めた灼熱の一矢が骸魂を貫く。
胸に突き刺さった炎の矢を前に、骸魂はやれやれとどこか付き物が落ちたかのような表情で消え去っていく――
「う……」
「ユリ! 大丈夫か!?」
そうして『偽物のカクリヨファンタズム』の起爆は阻止された。
「まだ終わっていない! 猟兵達がオレ達を始末しようとしているぞ!」
「……ッ! わかりましたわ、シズクお姉様」
――次は、オウガ・フォーミュラとの決戦だ。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『滅詩のユリと幽銃のシズク』
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POW : 滅びの詩
【周囲を消滅させる効果を持つ、魔法の弾幕】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 幽銃(ユウガン)
レベル分の1秒で【指先から膨大な魔力で「幽銃(ユウガン)」】を発射できる。
WIZ : 記憶の詩
【あなたの過去を写し出す「トラウマ」、】【あなたの記憶を回想させる「歌」、】【膨大な魔力で「過去と同じ背景」】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
イラスト:あさぎあきら
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ノラ・ヘルブラウ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アリス・フォーサイス
確かに倒して、骸の海に送れば無間地獄からは解放されるだろうけど、ぼくはもっと美味しいお話が食べたいな。
ユリちゃんとシズクちゃんをあえて、二人がトラウマをかかえる世界で覆うよ。
諦めるのはまだ早いんじゃないかな。偽物の世界を殺せばその病を断ち切れることがわかっているなら、いろんな手を使うべきじゃない?
ぼくが協力するよ。このワンダーランドで。
「確かに倒して、骸の海に送れば無間地獄からは解放されるだろうけど……ぼくはもっと美味しいお話が食べたいな」
そう決断を下すのはアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)。
あくまでユリとシズクの事を『倒すべき|敵《オブリビオン》』として、美味な|物語《食料》を生みだす源として……
振るうユーベルコードの名は『|妄想世界《ワンダーランド》』。
妄想思念を降らせる事で、戦場全体が『妄想したお話』へと変容していく世界侵食系統ユーベルコードだ。
「と、こんなお話かな……」
「な……うわぁぁぁぁぁぁぁ! お前ッ……」
「く、あぁぁぁ……」
アリスが展開したのは、暗い手術室……というには、些か魔術的な意匠が過剰な『実験施設』。
恐らくはユリとシズクを爆弾人間に変えた『悪魔』とやらの施設なのだろう。
「……成程――『ゴエティア』関連、つまりソロモン関連の魔術施設かな?」
「やめろ……こんな事をして……楽に終われると思うなよ……」
「猟兵には……こんな存在も……」
興味深そうに施設を見渡すアリス……ユリとシズクは協力してユーベルコード『記憶の詩』を放ち、アリスを追い詰めようとする。
「諦めるのはまだ早いんじゃないかな……偽物の世界を殺せばその病を断ち切れることがわかっているなら、いろんな手を使うべきじゃない?」
「……何?」
シズクが訝し気にアリスを見据える……質問の内容の意味は分かる。
彼女にとっては『提案の意図』が分からなかったのだろう。
「ぼくが協力するよ。このワンダーランドで」
「……なら、オレ達に力を示してみろ……」
周囲を消滅させる効果を持つ魔法の弾幕を放ち。アリスに牽制を仕掛けながらシズクは睨みつける。
「うん、良いよ……最初からすんなり交渉が成功するとは思っていないからさ」
情報妖精はそう言って、侵食した世界を使って魔法の弾幕を回避。
そのまま笑みを浮かべて次の猟兵に託すのであった。
大成功
🔵🔵🔵
真宮・響
アタシには2人を倒して無間地獄から解放してあげる方法しか思いつかないねえ。こういう方法しか取れなくて申し訳ないが、せめて2人纏めて焼き払うよ。2人で仲良く眠りに付きな。・・・来世も2人一緒になれるように祈らせてくれ。
敵の攻撃は【迷彩】【残像】【気配感知】【心眼】で凌ぎ、爆焔の竜をユリとシズクの足元から呼び出す。それぞれ3匹に分けて前、後ろ、右、左から襲い掛からせる。ああ、跡形もなく燃やし尽くしてやるよ。アンタ達を蝕む無間地獄ごと!!
辛かっただろう。苦しかっただろう。もう休んでいいんだ。安らかに。
「アタシには2人を倒して無間地獄から解放してあげる方法しか思いつかないねえ……こういう方法しか取れなくて申し訳ないが、せめて2人纏めて焼き払うよ」
「やれるもんなら……!」
「やってみなさいな」
開戦の号砲……シズクの『|幽銃《ユウガン》』が真宮・響(赫灼の炎・f00434)へと……
指先から射出される膨大な魔力で構築された『|幽銃《ユウガン》』の弾幕が迫る。
「2人で仲良く眠りに付きな……来世も2人一緒になれるように祈らせてくれ」
「そこが傲慢なんだよ……『六番目の猟兵』!」
「世界の守護者を気取るオブリビオンに対する殺戮者……それがあなた方の限界です」
ユリのサポートも受けて唸る『|幽銃《ユウガン》』であるが、響は残像を残す程の高速移動によって回避する。
いや、それだけではない。自身に限りなく迫った『|幽銃《ユウガン》』を弾き落としてまでいるではないか。
「確か『|幽銃《ユウガン》』自体に、特殊な効果は無いんだったね!」
「チッ……確かに、オレの『|幽銃《ユウガン》』はユリの『滅びの詩』と違ってシンプルなものだ……」
「ですが、シズクお姉様の『|幽銃《ユウガン》』はその圧倒的な魔力による単純かつ強力な威力が真骨頂……言い換えれば『特殊能力の代わりに素のスペックで圧倒する』というユーベルコードです」
故に下手な特殊能力では圧倒的なスペックの前に蹴散らされる。
だからこそ、シズクは響の体術によって自尊心を傷つけられた。
美麗な表情を屈辱に歪めるも、すぐさま妹に視線で合図を出して駆け出す。
ユリも『触れた者を消滅させる魔法弾幕』で姉と共に響を追い込み、十字砲火を仕掛けようとする。
「――ああ、跡形もなく燃やし尽くしてやるよ。アンタ達を蝕む無間地獄ごと!」
「な、うわぁぁぁぁぁ!」
「シズクお姉様……ッ! 熱い……!」
姉妹の足元から焔の竜が飛び出し、火炎のブレスで攻撃が仕掛けられる。
突然ユリとシズクの身に降りかかった災禍の正体は、龍脈から召喚された響のユーベルコード。
それぞれ3匹に分けて前、後ろ、右、左から襲い掛からせ、ゴスロリ服を着た少女達を炙っていく――
大成功
🔵🔵🔵
七那原・望
彼女達自身はソロモンの悪魔の被害者なのですよね。それでも。
事前に多重詠唱全力魔法結界術を展開。
接敵と同時に果実変性・ウィッシーズミラーを発動し、そのまま記憶の詩を。
どうせやり直すならもっと昔、悪魔に改造される前、まだ二人で幸せだったあの頃から。ほら、悪魔の毒牙はまだ届いてない。
記憶の詩の本質は過去の想起による足止めではなく過去に戻ったと錯覚させる力。
そしてこの過去は彼女達が切望したもの。容易には振り払えないはず。
もう大丈夫。全ては悪い夢だったのです。
彼女達が過去に囚われている間にオラトリオで背後から心臓を貫き、苦しませず終わらせましょう。
どうかあちらでは誰にも邪魔されずに二人でいられますよう。
「彼女達自身はソロモンの悪魔の被害者なのですよね……それでも」
と、七那原・望(封印されし果実・f04836)は目隠しに覆われたその瞳を姉妹から逸らさない。
事前に多重詠唱全力魔法結界術を展開していた彼女は、オウガ・フォーミュラのユーベルコード『記憶の詩』が発動する前に姉妹へと接敵。
そのままユーベルコード『|果実変性《リフレクト》・ウィッシーズミラー』を発動する事で、対象と全く同じ姿……即ち、ユリとシズクの姿へと変貌していく。
「こりゃ……変身系ユーベルコード、其れも|模倣《コピー》か!」
「ッ……お姉様! そうなると模倣されるユーベルコードは――ッ!」
「どうせやり直すならもっと昔、悪魔に改造される前、まだ二人で幸せだったあの頃から」
ユリとシズク……オウガ・フォーミュラの姉妹の姿で。囁くように望は言葉を紡いでいく。
その真意は……
「ほら、悪魔の毒牙はまだ届いてない」
「あ……」
「これ、は……」
――『記憶の詩』の本質は過去の想起による足止めではなく過去に戻ったと錯覚させる力……望はそう把握している。
そして彼女が姉妹に映し出すのは――彼女達が切望した過去。
「もう大丈夫。全ては悪い夢だったのです」
容易には振り払えない|過去《理想》を夢見る姉妹……その背後へと立ち、ユリとシズクの心臓を同時に貫く望。
「は、ぐぁぁ……」
「お、姉様……」
倒れこむ姉妹は未だにオウガ・フォーミュラとしての生命力で生きている。
シズクが鮮血を口と胸の傷口から撒き散らしながらも、ユリを連れて望の元から退避していく。
「逃がしましたか……けれど、あれでは逃げる事は出来ない」
だからこそ、オラトリオの少女は他の猟兵へと後を……彼女達を託す。
「どうかあちらでは、誰にも邪魔されずに二人でいられますよう……」
そんな風に、静謐な祈りを捧げながら――
大成功
🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
お任せプレ汝が為したいように為すがよい。
|魂八保《ごにゃーぽ》|月猫野《むにゃーの》ごきげんよう、私はアリス。よろしくねユリにシズク。あなた達のループのエンディングをブレイクしに来たわ。
ああ、私のことは親しみを込めてアリス院さん呼ぶように。
おっと、いきなり消滅させるとか酷いじゃない。残機が一個減ってしまったわ。まぁ、私の残機は不可説不可説転(無量大数の5400講乗)あるから削り切るには数十年は必要ね。で、そろそろ気は済んだかしら?疲れて動けないだけもしれないけど、まぁ、いいわ。
今からあなた達を『強くてニューゲーム』するわよ。あら、いいお顔。さっき言ったじゃない、あなた達のループのエンディングをブレイクしにきたって。
|召喚術《再孵化》することで『今のユリとシズクを保ったまま、奇病を植え付けられオブリビオンとなる前の存在』に産み直すわよ。そうすればもはやオブリビオンではなくなり奇病に苦しむこともなくなるでしょ?
では、|灼滅者《あなた達》|の世界に繋がる日《と再会出来る時》までごきげんよう。
「お姉様……わたくし、死にたくない……」
「オレもだ……でも、オレ達は生きていてもまた……爆死しちまう……」
だからこそ、二人は『|生と死を繋ぐもの《ヤマラージャ・アイビー》』を求めた。
偽物の世界を殺し、爆死と蘇生を繰り返す、この病を断ち切る為に……
「だからこそ……ここは第四の|灼滅者《スレイヤー》ではなく、第三の|終焉破壊者《エンドブレイカー》が必要なのよね」
ふと気が付くと、ユリとシズクの傍らには後姿でサムズアップをしている人影が見えるではないか。
ゆっくりと振り向き、カーテシーを披露するのは……アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)。
「ごきげんよう、私はアリス。よろしくねユリにシズク。あなた達のループのエンディングをブレイクしに来たわ」
「……エンディンクをブレイク」
「そうでしたね……エンドブレイカーも猟兵に合流したのでした」
虚ろな瞳にしかし、二人の闘志は消えていない……まだ死んでいない。
良い目をするとアリスは舌なめずりを行い……ユーベルコードを起動させていく。
「ああ、私のことは親しみを込めてアリス院さん呼ぶように……おっと、いきなり消滅させるとか酷いじゃない」
ユリが放った『周囲を消滅させる効果を持つ、魔法の弾幕』をまともに食らったアリスだが、すぐさま別のアリスが現出していく。
「残機が一個減ってしまったわ。まぁ、私の残機は不可説不可説転……無量大数の5400講乗の数分あるから削り切るには数十年は必要ね」
「それはまたなんとも……」
「ああ、羨ましいなぁ……本当の不死じゃないか……」
羨望を眼差しでアリスを見つめる姉妹。
呪われた輪廻に囚われた、欠陥製品の不死とでも言うべき呪縛を持つ姉妹にとってアリスの『生命体の埒外』は、限りなく羨ましいものであったのだろう。
「そろそろ気は済んだかしら?疲れて動けないだけもしれないけど、まぁ、いいわ」
「「……」」
二人とも、無言で弾幕を張っていく。
しかしアリスは避けようともしない。
ただ、リスポーンしてくるだけだ。
「それじゃあ――今からあなた達を『強くてニューゲーム』するわよ」
「……何?」
「……え?」
「あら、いいお顔。さっき言ったじゃない、あなた達のループのエンディングをブレイクしにきたって」
笑顔で告げた後、ユリとシズクに術式を施していくアリス。
それはA&Wのオブリビオン・フォーミュラ『帝竜『ヴァルギリオス』』の権能『再孵化』に似たようなもので――
「こりゃ……!」
「あのヴァルギリオスの……!」
「召喚術による賜物♪……再孵化する事で『今のユリとシズクを保ったまま、奇病を植え付けられオブリビオンとなる前の存在』に産み直すわよ」
そうする事で――もはやオブリビオンではなくなり奇病に苦しむこともなくなる。
それがアリスの考えであった。
「……ああ、参った。この殺戮の限りをするお人よしどもめ」
「そして心の底から感謝を……これで、わたくし達は爆死と蘇生の輪廻から抜け出せる」
|誰かオレを、わたくしを助けて《SAVE ME TAKE LOOP》……その果て無き願いは今、叶ったのだ。
満足した表情でユリとシズクは寄り添い、最期にして涅槃の時を迎える。
「あ、そうそう……伝言頼めるかしら?」
「なんだ? 言っておくが出来ない事は引き受けないからな」
「ですが、出来る事なら出来る限りを尽くしましょう」
そう言ってオウガ・フォーミュラ『滅詩のユリと幽銃のシズク』はアリスの願いを聞いていく――
「こう伝えてほしいの……『では、|灼滅者《あなた達》|の《と》|世界に繋がる日《再会出来る時》までごきげんよう』、ってねね」
「ああ……まぁ、一年はかかるだろうな」
「それまで滅ぼされないようにして下さいね」
そんな苦笑を浮かべ……ユリとシズクは涅槃静寂に入るのであった――
大成功
🔵🔵🔵
――お姉様。
――なんだ、ユリ?
――こんな結末ですが、後悔はありません。
――オレもだ、ユリ。
――お姉様は、生まれ変わったら何がしたいですか?
――そりゃ好きなマンガ読んで、エアガンとか買って……後は体術を極めたりとかもしたいな。
――そうですか、わたくしはぐーたらしながら漫画を読んで、STGを極めて美少女を侍らせるのですわ。
――相変わらずだな、お前は。
――ああ、それと――
――一つ聞きたいのですが――
――生まれ変わっても、ユリはオレの妹でいてくれるか?
――生まれ変わっても、お姉様はわたくしのお姉様になってくれますか?
……
……
――お姉、様、泣いて、いますよ……
――馬鹿、言うな……お前からっ、そんな言葉を貰った、ら……
――わたくし、も……です……
――ああ、オレ達、は……
――ずっと一緒、だ……
――ずっと一緒、です……
涙が、二人の眦からあふれ出る。
ただ一つの結末を目指し、果て無き地獄を彷徨った二人の姉妹の旅路は……
果てしなく、報われるのであった。