ワイクラーは未来指し示すか
●嘗て楓の六
戦いとは始めるよりも終わらせる方が難しい。
互いを滅ぼして終わるのならばまだいい。だが、現実にはそうはならない。勝者がいるのならば、必ず敗者がいるのだ。
傷ついた者。傷つけられた者。
対極に位置していながら、無くなることはない。
だから、終わらせることが難しい。
「『フィアレーゲン』も『八咫神国』も亡んだ。『サスナー第一帝国』がそうであったように、『バンブーク第二帝国』が再び滅びたように。ならば、次は我等の番だとでも言うのか?」
『フォン・リィゥ共和国』の厳守は思わずうめいていた。
クロムキャバリアは戦乱の絶えぬ世界である。
争いは常に起こり、平穏という言葉の意味も、平和という価値も喪われて久しい。
だが、彼らの小国家の周辺において、それらを勝ち得ようとしている国がある。
『グリプ5』と『フルーⅦ』である。
かの小国家は同盟を結び、より強固な関係を紡ぎ始めている。未だ小国家と小国家は距離という隔絶によって交流を限定的なものに留めてはいるが、このまま続けば近隣において締め出されるのは『フォン・リィゥ共和国』だった。
新興小国家である『シーヴァスリー』すら今は沈黙を守っている。
「だから言ったのだ! あのような輩たちを頼りにするのは! 我が国はあれらのせいで窮地に陥っているのだぞ!『憂国学徒兵』の、『ハイランダー・ナイン』の伝説をまだ信じているのか!」
「しかも連中は失敗したのだぞ。『フュンフ・エイル』のクローンも、それを含む『6番』、『7番』、『8番』も! あまつさえは、存在しないはずの『10番』も! 何一つ得られなかった! 我等は孤立を得ただけだ!」
『フォン・リィゥ共和国』はたしかに共和制の小国家である。
君主を保たず、主権を人民にゆだねてはいるが、それらをまとめる者たちが存在する。人民の言葉を議会に届ける議員がそれだ。
だが、彼らは履き違えた。
己が選ばれた者であるがゆえに。特権を得たがために。また特権を得るがために、己たちの主張を取り違えたのだ。
「だが……我等は一つだけ手に入れることができた。無論、孤立ではない。そう、『エイル因子』は! かのキャバリアを操縦することに適した因子。あの悪魔の如き存在の力の一端を!」
彼らは道を誤った。
廃棄された鉱山を背に、嘗ての生産工場群という天然の防壁を得ているがための慢心。これまで戦乱にさらされることなく、ただ娯楽のためだけに『闘技場』を営み、享楽のままに年月を重ねた。
そんな彼らが激動たる時代の流れに飲み込まれるのは当然であった。
だからこそ、彼らは力を欲したのだ。
己たちが意のままに操り、他者を意のままにできるだけの力を――。
●神機の申し子達
『フォン・リィゥ共和国』は生み出した。生み出してしまった。
嘗て『憂国学徒兵』と呼ばれた集団。その最初の9人をして人々は100年前『ハイランダー・ナイン』と呼んだのだ。
圧倒的な力。
戦略を凌駕する戦術。
彼ら単騎だけでも部隊を相手取ることができ、さらに言えば『フュンフ・エイル』は単騎で軍団一つ退けたことがあるとさえ言われている。
それは100年という時を経て伝説となり、同時に信憑性を喪わせた。
「だが、『エイル因子』があれば別だ! 素晴らしい。何故100年前にはこれらの因子が定着しなかったのか! ふはは、わかるぞ! そうだ! そうだよな! これが人の進化の形だ!」
『フォン・リィゥ共和国』の研究所で一人の研究者が笑う。
彼の前にあったのは溶液が満たされた多くの巨大な試験管であった。その中に人型の影が見える。
そう、彼らは人。されど『アンサーヒューマン』と呼ばれたキャバリアを駆るためだけに生まれた存在。
かつて齎された神機、輝光神機『ロクシアス』を駆るためだけに調整された『アンサーヒューマン』たち。
彼らが目覚める。
「君たちは進化したんだ。人の形をしながら、新たなる次元に到達するために! ああ、なんて美しいんだ! これが人の進化!」
研究者の男は笑った。
楽しくて仕方がなかった。自分の生み出したものが世界を席巻する。世界を変えうる。その可能性に喜びが溢れて止まらなかったのだ。
「好きに生きていいんだ、君たちは! そのために生まれてきたのだから!」
「……――本当に?」
その言葉に男は応えることはなかった。いや、応えることができなかった――。
●脅威
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。クロムキャバリアにおいて最新鋭のキャバリアに合わせて調整された『アンサーヒューマン部隊』がオブリビオンマシンによって歪められ、暴走してしまうことが予知されました」
ナイアルテの言葉に猟兵たちは事態が深刻な状況であることを悟るだろう。
場所は小国家『フォン・リィゥ共和国』。
かつてキャバリア同士を戦わせる『闘技場』が存在していた小国家である。
生産工場群跡地を本拠にし、廃棄された鉱山を背に追うが故に天然の要塞となり、他国の侵略とは無縁であった。
しかし、周辺章国家の激変によって、自らが孤立していることを理解した彼らは『アンサーヒューマン部隊』を生み出すことになる。
以前、『憂国学徒兵』を名乗る者達が『グリプ5』から要人……幼子たちを誘拐して連れ去ろうとした先が、この『フォン・リィゥ共和国』であることがわかっている。
「オブリビオンマシンによって歪められた『アンサーヒューマン部隊』が人々を手にかける前に止めねばなりません。ですが……」
ナイアルテは難しい表情をしている。
どうやら、すでに『フォン・リィゥ共和国』が天然の城壁としていた生産工場群は、すでに警戒線が敷かれ、対空砲火は無論のこと、レーダー施設や偵察型キャバリア、さらには地雷原さえ敷設されているというのだ。
これを抜けるのには骨が折れるだろう。
さらに悪いことに『アンサーヒューマン部隊』は、キャバリアに乗り込み戦うためだけに生み出された存在である。
こと、クロムキャバリアの戦いにおいては『猟兵以上の強さを持つ』可能性があるのだ。
「……輝光神機『ロクシアス』……。『アンサーヒューマン部隊』の皆さんは、全てがこれに乗り込んでいます。一人ひとりが皆さんと同等かそれ以上の技量を持つと考えてください」
油断はならない。
いや、一対一で戦っても危ういかもしれない。それが多数いるとなれば……危険は跳ね上がる。
「ですが、勝利していただかなければなりません。彼らは確かに戦うためだけに生み出された存在。けれど、戦いの後にも彼らの人生は続くのです」
どうか、彼らを救って欲しい。
そう願いながらナイアルテは頭を下げ、猟兵達を戦場たるクロムキャバリアへと送り出すのであった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はクロムキャバリア、かつて『闘技場』を運営していた小国家『フォン・リィゥ共和国』において『アンサーヒューマン部隊』がオブリビオンマシンによって暴走し、小国家事態を滅ぼしかねない事件を引き起こそうとしています。
彼らを止め、未然に防ぐシナリオとなっております。
キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
ただし、暴走衛星『殲禍炎剣』が存在しているため、空は自由に行き来できません。
●第一章
冒険です。
『アンサーヒューマン部隊』の暴走現場を目指しますが、既に警戒線が敷かれ、対空砲火やレーダー、無人機の偵察キャバリアや、地雷原の敷設などが行われています。
さらには嘗て生産工場群であった入り組んだ地形が天然の防壁となって皆さんの進撃を阻むでしょう。
これを乗り越えて、現場まで急行しなければなりません。
●第二章
ボス戦です。
『アンサーヒューマン部隊』の彼らは『国内最新鋭のキャバリア』である神機、輝光神機『ロクシアス』にそれぞれ搭乗しています。
集団戦のように多数存在しており、彼ら一人ひとりが猟兵と同等かそれ以上の『キャバリア乗りとしての戦闘力』を持っています。
同時に複数人を相手取るのは猟兵であっても厳しいです。
●第三章
ボス戦です。
『アンサーヒューマン部隊』のオブリビオンマシン全てを破壊すると、不気味なオブリビオンマシンが一騎現れます。
恐らく、このオブリビオンマシンが『アンサーヒューマン部隊』のキャバリアをオブリビオンマシンに変化させた元凶なのかもしれません。
『アンサーヒューマン部隊』のアンサーヒューマンたちの安全を確保し、彼らを撤退させながら、この一騎の強力なオブリビオンマシンを打倒しなければなりません。
それでは外典は連なり、新たなる火種を消すことができるのか。その選択を戦い抜く皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『敵警戒線を突破せよ』
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POW : 対空砲火は覚悟の上、空中機動力と推進力を生かして強引に上空から突破する。
SPD : 敵のレーダー施設や偵察型キャバリアを攻撃し、敵を混乱させてから突破する。
WIZ : 隠密行動により、地雷原を巧妙に迂回して敵警戒線内へ浸透する。
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『フォン・リィゥ共和国』が国内でキャバリアによる『闘技場』という名の娯楽を執り行い、享楽のままに月日を重ねることができたのは簡単なことだった。
まずは立地。
かつては生産工場群であったが、すでに役割を終えて使い物にならぬ入り組んだ地形。
それが天然の如き城壁となって侵攻を阻んでいた。
さらに背には取り尽くされた資源の鉱山。
中心区画を天然城壁に囲われた小国家は、安寧を得た。だが、それは緩やかな滅びでしかなかった。
誰にも与することがないということは、誰からも相手にされないということである。彼らは近隣小国家が激動する中、時代に取り残されようとしていたのだ。
「だから、僕らのようなものを生み出そうとする。徒に戦いを齎すためだけの存在を。だから、正さねばならない」
神機、輝光神機『ロクシアス』。
それは嘗て『闘技場』にて無敗を誇っていたパイロットが使用していた機体である。
発掘されたか、何処からか流れきたか。
わからないことばかりであったが、その機体性能は通常のキャバリアとは一線を画するものであった。
だから『フォン・リィゥ共和国』はこれを解析し、レプリカを生み出した。
そして、それを操り戦うことのできる『アンサーヒューマン』を、『アンサーヒューマン部隊』を作り出したのだ。
それを可能にしたのが『エイル因子』である。
『憂国学徒兵』を名乗る『グリプ5』で起こった誘拐劇を繰り広げた組織が持ち出した『キャバリアを己の五体のように操ることのできる因子』を持って、『アンサーヒューマン部隊』は実現にこぎつけたのだ。
「僕らは戦うための存在。なら、戦い続けるだけだ。常に。休むことなく。僕らがやすらぎを得られるのは死す時だけだ」
彼らが暴走する中央区画は背に鉱山、前に生産工場群を従え、さらにはレーダーや無人機の偵察キャバリアや対空砲火。さらには地雷原さえ敷設している。
これらを乗り越えるのは容易ではないだろ。
だが、これらを乗り越えなければならない。
戦いの果てにあるのは確かに破滅なのかもしれない。
けれど、人の手がつかみとることができるものは、それ以外にもあるのだと『戦いの申し子』たちに猟兵は示さねばならないのだ――。
メサイア・エルネイジェ
あの時の人攫いの黒幕にカチコミですわね!
目には目を理論でわたくしの出番ですわ
こちとらエルネイジェ産のアンサーヒューマンでしてよ〜!
ヴリちゃん!クロムジェノサイダーで参りますわよ!
罠だらけなのでここは慎重に木の棒で地面をつんつんしながら…開始3秒でイライラが有頂天に達しましたわ!
むきー!ヴリちゃん!ジェノサイドバスターでブレイクブラストですわ!
どんな罠もぶっ壊してしまえば鉄屑でしてよ〜!おほほ!
ダイナミック入場ですわ!ごめんなすって〜!
お出迎えの偵察キャバリアにはアンカークローで握手ですわ
ラージシールドでぶん殴ってお黙りになられて頂きますわ
対空砲は盾で防いでジェノサイドバスターをお返し致しますわ
『憂国学徒兵』と名乗る組織が小国家『グリプ5』から幼子たちを誘拐しようとした事件のことをメサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は覚えていた。
猟兵たちの活躍によって未遂には終わったものの、『フォン・リィゥ共和国』に落ち延びていた『憂国学徒兵』を名乗る組織は『エイル因子』と呼ばれるものをもたらしていた。
『アンサーヒューマン部隊』――それが今回の事件の発端である。
キャバリアを駆って戦うためだけに生み出された存在。
それが彼らである。
キャバリアを駆る以外に求められることはなく。
また同時にそれ以外のことを考える必要もない。ただ、それだけのために己の生を意識しなければならない存在。
「こちとらエルネイジュ産のアンサーヒューマンでしてよ~! ヴリちゃん、クロムジェノサイダーで参りますわよ!」
格闘特化仕様に換装したメサイアの駆る暴竜型キャバリアが大地を疾駆する。
目の前に見えるのは生産工場群の跡地。
多くのパイプや建造物が立ち並び、まるで迷路のように成っている。
いや、それだけではない。暴走が起こっている中央区画に至るための道中には、多くの地雷原が敷設されているのだ。
「罠らだけなのですわね! ここは慎重に……慎重に……」
メサイアはわかっていた。
地雷原があるということは、空を飛ぶことができないクロムキャバリアにおいて対キャバリア戦術の最たる障害であった。
だからこそ、つんつんと木の棒で、つんつん、つんつん……とやっていたのだが、開始三秒でイライラが頂点に到達する。有頂天とはまた別のあれである。
しかしながら、メサイアは地雷原があるからといって諦めてはいなかった。
ついに幼子たちを誘拐しようとした『憂国学徒兵』のバックに付いていたであろう小国家にカチコミ……ならぬ突撃を仕掛けることができるのだ。
目には目をの理論である。
メサイア姫は理論武装もできる完璧お姫様なのである。
「むきー!」
だが、そんな完璧お姫様にも弱点くらいある。こういうちまちましたやつである。マッピングするのが多分、一番苦手なのかもしれない。
頂点に達したイライラを発露させるようにメサイアの瞳がユーベルコードに輝く。
「ぶっ壊してさしあげますわ!」
『ヴリトラ』の口腔より現れるのはジェノサイドバスター。
放たれるブレイクブラストの一撃は、目の前に敷設された地雷原を尽くぶっ飛ばし、破壊して制圧する。
あまりの力技にこの光景を見ていた者たちは開いた口が塞がらなかっただろう。
「どんな罠もぶっ壊してしまえば鉄くずでしてよ~! おほほ!」
ダイナミック入場である。
いくらなんでもごめんなすって、で済まされる問題ではない。しかしながら、今は緊急事態である。
アンサーヒューマンの暴走を止めることができるのはアンサーヒューマンにおいて他ならないだろう。
故にメサイアはジェノサイドバスターによって中央区画まで貫かれた一本の道を『ヴリトラ』と共にひた走る。
だが、敵もそれを黙って見ているわけがない。
無人機の偵察キャバリアはアンカークローで捉え、ひきつけラージシールドのシールドバッシュで打ち砕くのだ。
「おほほ! アンカークローで握手してから、ぶん殴ってしまえば、大抵のキャバリアはこれでイチコロでしてよ~!」
おほほのほ、というやつである。
沈黙した無人機偵察キャバリアを放り投げ、メサイアは次なる獲物を見つける。
そう、対空砲である。
放たれる弾丸をラージシールドで受け止め、煌めく『ヴリトラ』の口腔。
「もう言わずともおわかりですわね~! これが滅びの一撃! ジェノサイドバスターでしてよ~! ほらほら、お退きになって? これ以上ぶっ壊されたくなれば、わたくしに触れないことでしてよ~! 触れてこなくても、ぶっ壊しますけれども!」
メサイアと『ヴリトラ』は圧倒的な破壊の力でもって、力技のゴリ押しで中央区画へとひた走る。
その先に猟兵に匹敵する者たちがいるのだとしても、破壊齎す暴竜は決して立ち止まらないのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
ガイ・レックウ
【SPD】で判定
『さて、誘拐事件のバックにいたやつらと作られた存在…か…やるせねぇな』
コスモスターインパルスと接続した機動戦艦『天龍』から砲撃とミサイルによる【制圧射撃】で偵察機やレーダー施設を破壊しながら進むぜ!!
ユーべルコード【特式脳波コントロールシステム】で回避運動と迎撃をしながら進撃するぜ
戦いに終わりは来ない。
加害者と被害者が生まれた時点で終わらぬ輪廻の如き環が紡がれるのならば、延々と続く地獄であったことだろう。
だからこそ、人は憎しみを捨てなければならない。
あるいは断ち切らねばならない。
しかし、人は過ちを犯すものである。犯して叱るべきであるというのならば、クロムキャバリアの戦乱が終わらぬのは人の業があるからだろうか。
しかし、純然たる火種は人の中にあるのだとしても、その火種を育てるのはオブリビオンマシンであったのかもしれない。
「あるいは逆か」
小国家『フォン・リィゥ共和国』は周辺国家からの孤立を恐れた。
己たちの安寧のためにこれまでざして動くこと無く、置かれた環境にたゆたうだけで行動しなかった末路であったというのならば、そのとおりであろう。
行動しないものを人は信用しない。
信用できないのでれば、信頼を得ることもできない。得ることは一つを失うことである。
「さて、誘拐事件のバックにいたやつらと造られた存在……か……やるせねぇな」
ガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)は『アンサーヒューマン部隊』が暴走する中央区画に迫るためにレーダーと無人機偵察キャバリアが闊歩する生産工場群をキャバリア『コスモスターインパルス』と共に駆け抜けようとした。
それは無謀であったことだろう。
レーダーは地上を往くキャバリアを逃さない。
そして偵察キャバリアは無人機と言えど、集まってくるのならば時間のロスになってしまう。そうなってしまえば、暴走する『アンサーヒューマン部隊』を止めることは難しくなってしまう。
「システム起動! 遠隔操作……開始!!」
特式脳波コントロールシステム(トクシキノウハコントロールシステム)によってキャバリアを介して脳波コントロールする支援用戦艦『天龍』からミサイルと砲撃が飛ぶ。
彼が選んだのは、敷設されたレーダーと無人機キャバリアの制圧。
放たれたミサイルはレーダーに即座に捉えられて撃ち落とされる。爆風が荒び、無人機キャバリアが煽られながらも体勢を整えた。
そこに飛び込むのがガイのたぐる『コスモスターインパルス』であった。
振るう一撃が無人機を沈黙させ、さらに続く砲撃が入り組んだ生産工場群を吹き飛ばしていく。
レーダーが存在している以上、こちらの動きは気取られていることだろう。
「なら、其れよりも早く飛び込むまでよ!」
ガイは『コスモスターインパルス』を駆り、次々と障害となる生産工場群の痕を乗り越えていく。
敵である『アンサーヒューマン部隊』のアンサーヒューマンたちはたった一騎であっても、『キャバリア戦闘においては猟兵を上回る戦闘力』を発揮する。
それが無数にいるとなれば、ガイは腹をくくるしかないだろう。
絶望w乗り越えた先に必ず希望があるのならば、ガイは目の前の絶望的な戦場にこそ飛び込まねばならない。
己の胸の中にある意思が、言葉が、それを推し進めるからこそ、前に進むことができる。
それを知る者と知らぬ者。
分かたれるのは如何なるものであっただろうか。
戦いはいつだって多くを失う。
けれど、多くを得る事もできるだろう。
『コスモスターインパルス』のアイセンサーが煌めき、爆風荒ぶ戦場をガイはキャバリアと共に中央区画を目指すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
「ヤレヤレな話だ。本当に嫌になるなこの世界は…」
まずは潜入からだな。
本当に…ヤレヤレだ…。
【行動】
判定:SPD
レスヴァントで出撃だ。
まずはアマテラスを射出し、レーダや無人機、地雷の位置を『索敵』する。
地形も『情報収集』し『瞬間思考力』で一気に脳内で情報を纏めるよ
うん。この位置なら!!
まずは、邪魔なあのレーダーを『ジャミング』し一時的に無力化し気づかれる前にレーダーの探査範囲から抜けるよ。
次はあの無人機を『ハッキング』し『プログラミング』で一機爆走させ、囮にするよ。
うん。今のうち。
オーバーブーストを点火。高く飛ばないよう注意しつつ、地雷の上を一気に飛びぬける!!
人はどうあっても争いの環から逃れることはできないのか。
何処を見ても、何処に足を向けても、争いは尽きない。片時も平穏という名の時間を与えられない。
それがクロムキャバリアという世界であるというのならば、ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は息を吐き出すしかなかった。
「ヤレヤレな話だ。本当に嫌になるなこの世界は……」
彼女が生まれ育った世界。
猟兵となって他世界を知ってからこそ、より強くそう思うのかも知れない。
小国家は互いに行き違う。
オブリビオンマシンが争いの火種を齎すからとは言え、相互理解には程遠く。
誰もが平穏を求めながら、他者を傷つけずにはいられないのだ。
その不毛なる戦いをユーリーは『フォン・リィゥ共和国』に見る。近隣小国家から孤立しているのならば、何故先に手を伸ばさないのか。
何故言葉を紡ごうとしないのか。
他者を信じることを始めないのか。奪うことばかりを考えるからこそ、こんな凶事を引き込むのだと理解しないのか。
「本当に……ヤレヤレだ……」
白いキャバリア『レスヴァント』と共にユーリーは戦場を飛ぶ。
アマテラス――レーダーユニットである情報収集ドローンが先行している。
先に見えるのは生産工場群。
すでに機能を停止しているが多くのパイプや建物が天然の要塞のように彼女の道行きを阻んでいる。
それにレーダーでこちらの位置はすでにわれているだろう。
さらには敷設された地雷原。
これをキャバリアは無視はできない。なぜなら、この世界における戦術兵器は空を封じられている。
だからこそ、地雷原は尤も有効な遅滞戦術であった。
「でも見える……!」
ドローンから送られてくる情報を一瞬でユーリーは精査する。
瞬間思考。
一瞬でレーダーの隙間をつく。
「どうしたって網目に引っかかるってんならさ!」
ジャミング装置によってレーダーを沈黙させる。
だが、それも一瞬のことだ。すぐに復旧する。けれど、ユーリーにはそれで充分であった。
その一瞬で彼女は戦場を駆け抜ける。
そこに迫るのは無人機偵察キャバリア。それに肉薄する。
「無人機……遠隔操作。それなら」
ハッキングし、無人機を一騎乗っ取ったユーリーは、その機体を暴走させる。囮にしたのだ。
無人機が撃破されるまでの時間はユーリーにとっては、十分すぎる時間だ。
「今のうち! 飛べ……『レスヴァント』――!」
オーバーブースト・ラストスパート。
『レスヴァント』の瞳がユーベルコードに輝く。
一瞬一瞬の出来事であった。
ユーリーは僅かな時間を縫うようにして戦場を飛ぶ。大げさではない。彼女は刹那に全ての力を注ぎ込む。
己の持てるリソースの全てを注ぎ込み、一瞬を稼ぐ。
それを連続に紡ぐからこそ、彼女は迫る障害の全てを躱していくのだ。
「地雷原の位置はわかってる! 飛び抜ける!」
その機体から放出されるのは白い特殊粒子。
『殲禍炎剣』に感知されなくなる刹那の時間。『レスヴァント』は空に蓋をされた戦場から解き放たれ、地雷原を飛び越えていく。
それは願いにも似たユーベルコードであったことだろう。
蓋された空を取り戻すための戦いがいずれ訪れる。
その時迄ユーリーは空を白き機体と共に駆け抜けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
黒影・兵庫
(「うちらの島も一歩間違えればこの国と同じ道を辿ってたかと思うとあのクソババアには感謝しないとねぇ」と頭の中の教導虫が呟く)
むっ!?今、蜂皇族の女王様の悪口を言いましたね!?せんせー!
あのお方は島を数世紀も平和に統治し導いてくださっている素晴らしいお方なんですよ!
(「虫を使った監視と洗脳教育によるガチガチの管理社会を作っただけじゃない…それはともかく現場までどうやって進む?」)
{要塞蠍}に搭乗して進もうと思います!
途中のレーダーや対空網はUC【F.E.C】でバグらせて
地雷原は『衝撃波』を使った『地形破壊』で誘爆させます!
蠍のような形をした多脚のキャバリアが戦場を征く。
火器は存在していない。
あるのはまさに蠍と同様。
尾と鋏。
ただそれだけであった。特筆すべき点を上げるとするのならば、その重装甲。その一点において、そのキャバリアは『要塞蠍』と呼ばれていた。
『うちらの島も一歩間違えれば、この国と同じ道をたどっていたかと思うと、あのクソババアには感謝しないとねぇ』
多脚重戦車の如きキャバリアの内部で黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)の頭の中に響く声があった。
それは彼が『せんせー』と呼ぶ教導虫の言葉であった。
小国家『フォン・リィゥ共和国』。
周囲の小国家群からすれば、立地に恵まれているといえるだろう。天然の要塞のごとき地形。そして他国からすれば攻めあぐねる上に旨味のない小国家。
捨て置かれていた、と言われても仕方のない国であった。
けれど、キャバリア『闘技場』を運営しているがゆえに物資や人の流れは絶えず。そして、『闘技場』となれば当然動くのは物資だけではない。
金銭も動くだろう。
外貨は獲得できる。物資も得られる。プラントも備え、あらゆる物資を生み出すことができる。
「むっ!? 今、蜂皇族の女王様の悪口をいいましたね!?『せんせー』!」
兵庫の言葉にそうでしょ、と呟く。
だが、兵庫の印象は違ったようである。
「あの御方は島を数世紀も平和に統治し導いてくださっている素晴らしい御方なんですよ!」
彼の言葉には少しの疑念もないようであった。
教導虫にとって、それは監視と洗脳教育による管理社会を体現しただけにすぎない。
『フォン・リィゥ共和国』は『キャバリアで戦うためだけの生命』、アンサーヒューマンを作り出した。
今まで他者の窮地には手を差し伸べず、己達だけが安寧を得ていたのにも関わらず、己たちの立ち位置が危ういと見れば他国を力で押しのけようとする。アンサーヒューマンたちに選択肢など最初からないのだ。
けれど、今はそれを正す時間はない。
今は暴走する『アンサーヒューマン部隊』の存在する中央区画に急がねばならない。
急がねばならない、のだが。
目の前には地雷原。対空砲火や無人機偵察キャバリアや、レーダーが道行く『要塞蠍』と兵庫たちを阻んでいるのだ。
『どうするの?』
「この『要塞蠍』の重装甲なら多少の攻撃なんてへっちゃらなんですよ! それに電子兵さん!」
兵庫の言葉に『要塞蠍』から次々にムカデが走り出す。
それはプログラムコードによって生み出されたムカデたちであった。
ユーベルコード、F.E.C(フェイタル・エラー・センチピード)によって生み出されたムカでたちは、周囲のレーダーを無効化する。
いや、バグらせた、と言ったほうがいいだろう。
「こうしてレーダーの目をかいくぐります!」
『でも、地雷原は? わかるの?』
「地雷原はたしかに『要塞蠍』のみならず、他のキャバリアにも脅威です。だから!」
鋏が打ち鳴らされ、放たれるは衝撃波。
地雷は重さと衝撃で作動する。
ならば、放つ衝撃波は地面を透過して地雷原の地雷を揺らすだろう。
盛大に前方で立ち上る爆発。
鋏を打ち付けることによって生み出された衝撃波が、地雷原を尽く破壊するのだ。
「今のうちです! さあ、行きましょう、『せんせー』! 女王様のと、この国とが違うと俺の目で見ますよ――!」
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
あー、あの闘技場のあったところか。
そしてやることは『グリプ5』の二番煎じ。他の方法を思いつかなかったのかしらね。
黒鴉の式を広く飛ばして、状況を伺いつつ。
アヤメ、先行をお願い。黒鴉の得た情報は共有出来るようにしておくわね。
ルートはキャバリアも機甲車両も入れない森の中。獣道を踏みしだいて、目標の『フォン・リィウ共和国』まで進んでいく。
相手が余程の間抜けでもなければ、こういうところには対人用のブービートラップがあるはずだけど、それはアヤメの十八番。解除、よろしくね。
まずは現着したわ。目標の部隊も黒鴉が捉えてる。
アヤメ、お疲れ様。ここからは役者交代よ。即席のエース部隊、あたしの術式で殲滅する。
村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は思い出す。
『フォン・リィゥ共和国』。
その名をゆかりは一度しか聞いたことがない。
猟兵としてクロムキャバリアの事件に介入するに当たって、事態の中心にあった小国家は『グリプ5』であった。
『フォン・リィゥ共和国』は、その立地ゆえに他国との争いが極端に少ない小国家であったのだ。
けれど、ともすればそれは侵略する旨味のない場所、というだけだったのだ。攻めようと思えば、攻めあぐねる天然の立地。
そして……。
「あー、あの闘技場があったところか」
黒鴉の式神を飛ばし、ゆかりは『フォン・リィゥ共和国』の状況を伺う。
「ええ、キャバリアでの戦闘を見世物にしていた場所ですね。一度しか行ったことないので覚えて無くても仕方ないのかもしれませんね」
式神のアヤメがそう言う。
彼らが今何故孤立しているのかは言うまでもない。
周辺小国家が戦乱に巻き込まれていても、我関せずであったからだ。闘技場を運営しておけば、他国から傭兵やキャバリアは流れ込んでくる。
物資も流入すれば、外貨もまた獲得できる。
有するプラントがあれば、食糧事情は解決できる。そうなれば、無理に争う理由などない。何より、背に鉱山を背負い、さらには生産工場群が眼前に広がっているのならば、なおさらだ。
「それでいてやることは『グリプ5』の二番煎じ。他の方法を思いつかなかったのかしらね。むしろ、それ以上に『ハイランダー・ナイン』の存在が魅力的に映ったのかしら」
ゆかりは先行したアヤメから送られてくる情報を得て、ジャングルのように張り巡らされた生産工場群のパイプの中に踏み込んでいく。
目的である『アンサーヒューマン部隊』の暴走が起こるのは中央区画だ。
どうあっても、この生産工場群を抜けていかねばならない。
「対人のトラップはないですね。キャバリアが戦術兵器の花形なのならでは、と言えます」
アヤメの言葉になるほどと思う。
このクロムキャバリアにおいて戦術兵器はキャバリアだ。
対キャバリア用の人が携行する武器もあるだろうが、それも稀であろう。
ならばこそ、アヤメの言葉は信憑性が出てくる。
「レーダーもキャバリアを想定しているってわけね。アヤメ、お疲れ様。ここからは役者交代よ」
先行していたアヤメと合流してゆかりは中央区画を見やる。
これから暴走が起こる場所だ。
『アンサーヒューマン部隊』は量産された神機に搭乗しているのだという。
単騎であっても『キャバリア戦闘を行う』のならば猟兵と互角かそれ以上の戦闘力を持っているのだという。
「でも足跡のエース部隊ってことでしょう。あたしの術式で殲滅する」
ゆかりは中央区画を見やる。
黒鴉の式神たちから伝わる情報を彼女は注視する。
彼らが動き出した時が勝負だ。
どれだけ小国家にダメージを与えずに彼らを制圧することができるか。それが今後のクロムキャバリアにおける大いなる危機に影響を及ぼすだろう。
より善きを求めるのならば、立ち止まってはいられない。
「『エース』そのものなのか。それとも『エースモドキ』なのか。凶と出るか吉と出るか……さあ、来なさい」
いつか訪れるはずだった危機を未然に防ぐ。
その輝きをゆかりは潰えぬさせぬために、その時を待つのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルカ・スィエラ
停止した工業地帯、枯渇した鉱山、産業はキャバリアの闘技場ぐらいって、
むしろなんで今まで何の手も打ってこなかったのよ……
……でも言いたい事は後ね
アルカ・スィエラ、プロトミレス:『コルヴィルクス』装備……出る!
早速だけどお願いするわ、ドラグレクス
UCを使用、機械類を機能不全に追い込み、強行突破する!
優先すべきはこちらの動向を捉えるレーダー施設、自由に動かせる戦力の無人機、機能不全を起こしているうちにこの二つをできる限り破壊するわ
地雷原はスラスターによる低空滑空でやり過ごすか、対空兵装諸共に『TGランチャー』と『Lグラディウス』で薙ぎ払って破壊し対処
ぼやぼやしてる暇はない、先に進ませてもらうわ
停止した工業地帯。
口渇した鉱山。
あるのはキャバリアによる『闘技場』の運営のみ。
あとはプラントの生産に任せるだけ。
それが小国家『フォン・リィゥ共和国』の実情であった。此処まで彼らが周辺から孤立したのは、単純な理由だった。
争いに介入せず、中立を気取り、ただ徒に時を弄しただけだったからだ。
彼らは今の平穏だけを求める。
立地は確かに素晴らしいものであったことだろう。枯渇したとは言え、鉱山は背を守る。眼前に広がる生産工場群は、天然の森のように迫る者から身を守る盾となる。
プラントを守るのが小国家間における騒乱の常であるというのならば、此処まで守りに長けた立地もないだろう。
だが、だからこそだ。
誰にも手を差し伸べなかったものが、誰かに手を差し伸べられることながいように。この孤立は当然に帰結であった。
「むしろ、なんで今まで何の手も打ってこなかったのよ……」
アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)はキャバリア『プロトミレス』を駆り、『フォン・リィゥ共和国』に迫っていた。
敷設された地雷原、レーダー、対空砲火、無人機キャバリア。
確かに障害物としては立地と相まって難攻不落であったことだろう。
けれど、アルカの瞳はユーベルコードに輝く。
「……いいたことは山程あるけど、言いたいことは後ね。『ドラグレクス』、お願いするわ!」
その言葉と共に転移し出現する機竜。
『ドラグレクス』が咆哮する。
XXX-07D ドラゴニックロアー(ドラゴニックロアー)。
それは衝撃波を伴うだけに及ばず、周囲の機械の機能を狂わせる咆哮であった。無人機偵察キャバリアは、その動作を狂わされかく座するしかなかった。
さらにレーダーは狂い、対空砲火の機銃もいびつに軋み止まる。
「『プロトミレス』、『コルヴィルクス』で一気に駆け抜ける。強行突破する!」
彼女の言葉に応えるように『プロトミレス』の背面に装備された大出力メガスラスターが火を噴き出すように大推力でもって突き進む。
「優先すべきは……!」
アルカは判断する。
こちらの動向を察知しているレーダー。あれを潰す。
放つランチャーの一撃がレーダーを破壊し、かく座している無人機キャバリアを蹴り倒し、さらに飛ぶように『プロトミレス』が走り抜ける。
「地雷原……! ぼやぼやしている暇はないの。先に……!」
『プロトミレス』が跳ねるようにして、また大出力のスラスターの推力に任せるように機体を低空滑空させて地雷原を飛び越えていく。
機竜の咆哮から立ち直った対空砲火の機銃が滑空する『プロトミレス』に向けられる。
「進ませてもらうわ」
ランチャーの一撃が機銃を破壊し、さらに刀身が展開した実体剣の一撃で沈黙させる。
『プロトミレス』のアイセンサーが向かうは、中央区画。
『アンサーヒューマン部隊』が暴走するという場所。
すでに起こってしまっては、おそらく大いなる危機に影響を与えるだろう。そうはさせない。
キャバリア戦闘においては、そのために生み出されたアンサーヒューマンたちの力は猟兵を上回るだろう。
だが、アルカには立ち止まる理由がない。
「そう、私達の邪魔を、させない……ッ!!!!」
再び機竜が咆哮する。
それはこれより対峙する『アンサーヒューマン部隊』に対する宣戦布告であったかもしれない。
轟く咆哮は、激しい戦いを予感させる。
アルカはコクピットの中で伏せた瞳を見開く。
例え、どんな者が相手であろうとも。
オブリビオンマシン。悲劇をもたらした存在を鋼竜の戦姫は決して許しはしないのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステラさんと】
うわぁ。
『エイル因子』とか、暴走のトリガー引き放題じゃないですか。
と思っていたら、さすがはステラさん。
やべーすぎる発言に、思わず顔を真っ赤にして、あわあわしてしまいます。
「ス、ステラさん、そこまで! お子様も見てるかもしれないですから!?」
え……。
いつのまにこんな子手懐けてたんです?
エイルさんへの愛って、万能なんですか?
って、ちょ、ちょっとまってください!
乗りますから、蹴り込まないでくださいー!?
あ、でも、わたしの席もあるんですね。
これなら|援護《演奏》できますね!
いや、とまらないのはステラさんで、わたしは……。
と、そんな場合ではなさそうです【クラリネット狂詩曲】いきますよー!
ステラ・タタリクス
【ルクス様と】
|エイル様《主人様》の!香りがします!!
というか、何ですかエイル因子って!
なんてこと……
|エイル様との子供作り放題じゃないですか!!《こんな非道なこと許されるわけがありません!!》
いえ、すみません取り乱しました
フォル、いらっしゃい(鳥型キャバリアを呼んでナデナデ)
あなたの出番です
ふっ、愛に生きる|メイド《犬》に不可能はありません
さてルクス様
実はこの子、複座式なので
ほら乗って乗って
支援お願いしますね
対空砲火に偵察キャバリア
この程度で私たちを止められるとでも?
両翼につけたパルス・フェザーマシンガンで攻撃しつつ
【テンペスタース・クリス】
フォル!この空を貫くように|飛翔《と》びなさい!
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがします!!」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はいつもどおりであった。
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、うわぁ、と思っていた。
どう考えても碌なことにならない導入である。
「というか、なんですか『エイル因子』って!」
彼女はワナワナと震えていた。
もう単語だけでいろんな想像が膨らんでいるのかもしれない。
なんてこと……と彼女は震えに震えていた。
もしも『エイル因子』が彼女の考える通りのものであったのならば。
「|『エイル』様との子供作り放題じゃないですか!!《こんな非道なこと許されるわけがありません!!》」
逆。
逆だから。
ステラの様子にルクスは暴走のトリガー引き放題だなぁって思った。いつも通りと言えばそのとおりであるが、それにしたって飛躍しすぎである。
いつもの後方メイド面はどこに行ったのだと思わざるを得ない。
「いえ、すみません取り乱しました」
「取り乱したって感じじゃないっていうか、いつもの感じっていうか」
「(禁則事項)」
「ス、ステラさん、そこまで! お子様も見ているかもしれないですから!?」
二人の様子はいつもどおりである。
別段取り立てて言うことでもない。けれど、二人は目的を忘れていたわけではない。彼女たちが今迫らんとしているのは小国家『フォン・リィゥ共和国』である。
この小国家の中央区画で『アンサーヒューマン部隊』の暴走が起ころうとしているのだ。それを止めるためにやってきていた。
だが、彼女たちは生身単身。
「フォル、いらっしゃい」
ステラの言葉と共に現れるのはオブリビオンマシン。鳥型をしたキャバリアであった。
「あなたの出番です」
「え……いつのまにこんな子手なづけてたんです?」
「ふっ、愛に生きる|メイド《犬》に不可能はありません」
「雑ぅ!」
説明がとても雑である。ルクスはメイドって言えば大体のことが解決できる魔法の言葉かなにかとステラが誤解しているのではないかと思わざるを得なかった。
いくらなんでも万能すぎる。
「さてルクス様。この子、複座式なので、ほら乗って乗って」
ステラは雑に『フォルティス・フォルトゥーナ』にルクスを蹴り込んで乗り込む。雑ぅ。
「乗りますから、蹴り込まないでくださいー!?」
ルクスはキャバリアのコクピットの中というのは初めてであった。
けれど、これならば援護が出来る。援護と書いて演奏と読むあれであるが大丈夫だろうか。無論、ステラの鼓膜的な意味で。
「さあ、蓋をされても尚、空を求めるのなら! 征きなさい、フォル!」
羽撃く。
それは低空を滑空するような飛行であったことだろう。
空には『殲禍炎剣』。
地には対空砲火。
だからこそ、低空滑空するしかない。それは飛ぶと呼ぶにはあまりにも不格好であったし、そう呼べぬものであった。
けれど、それでも。
「この程度で私達を止められるとでも?」
ユーベルコードに輝く『フォルティス・フォルトゥーナ』のアイセンサー。
風の盾を纏う機体が対空砲火を防ぐ。
両翼に備えられたフェザーマシンガンが対空機銃を撃ち抜いていく。
「いや、止まらないのはステラさんで、わたしは……」
いや、本当である。
こういう場合に暴走してしまうのはいつだってステラである。ルクスではない。
しかし、ルクスは言わなかった。
クラリネット狂詩曲(クラリネットキョウシキョク)は、ステラの思いを乗せるように。そして空を望む『フォルティス・フォルトゥーナ』のためにこそ奏でられる。
色とりどりの演奏によって生み出された音符が風に舞うようにして吹きすさぶ。
まるで低空爆撃機。
「フォル! この空を貫くように|飛翔《と》びなさい!」
未だならざる願望。
されど、いつの日にかと思いたい。
願うことが明日に繋がるのならば、蓋をされた空であっても、空と呼べぬ地とすれすれの滑空であっても。
それに応えるよにユーベルコードの輝き満ちる『フォルティス・フォルトゥーナ』のアイセンサーがいっそう強く煌めくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
此処か!また此処か!!
チャンピオンの次はアンサーヒューマンか!!
オブリビオンマシン!!!
【推力移動】メガスラスターで飛び、
プラズマシューズで建築物を足場に跳び、地雷原を飛び越え進む!
【動体視力】そして【瞬間思考力】で偵察キャバリアや対空砲火を認識、から【念動力】で身を捩り【空中機動】砲火を回避しながら『断裂破』
らぁあああああああ!!!!
斬撃波を飛ばし、無人機や対空砲をなぎ払い、つき進む!
其処にオブリビオンが居るのなら!
何だろうと自分は壊す!壊して進むのみ!!
首を洗って待っていろ!!!オブリビオン共!!!!
怒りか。それは憎悪か。
判別のつかぬ感情が迸るのを朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は感じていたことだろう。
「此処か! また此処か!!」
小国家『フォン・リィゥ共和国』。
キャバリア闘技場を中心とした産業によって栄えた小国家であり、戦乱絶えぬクロムキャバリアにおいて立地共に恵まれた場所であった。
周辺にあってなお手出しされることのない安寧。
故に娯楽としてキャバリア闘技場が栄えたのだ。闘技場であればこそ、外貨は集まり、物資も流れ込んでくる。
何をしなくてもいい。
それは彼らにとって幸いであったことだろう。
けれど、永遠に続くものなど何一つ存在しないのである。
「チャンピオンの次は、アンサーヒューマンか!! オブリビオンマシン!!」
小枝子は生身単身で飛ぶ。
地雷原はキャバリアに対抗するための戦術だ。この空に蓋をされた世界であればこそ、地雷は戦術兵器の花形であるキャバリアを潰すために有効な手段であったからだ。
だからこそ、小枝子は生身でメガスラスターの推力を得て生産工場群の残された建造物を蹴って、さらに飛ぶ。
プラズマシューズによってさらに跳躍を得て、地雷原を飛び越えていく。
だが、それだけで終わらないことはわかっている。
この生産工場群は多くの対空機銃が用意されている。地雷原を跳躍で躱そうとするのもまた読まれているのだ。
けれど、それが人等身大であるというのならば、話は別だ。あまりにも過剰な火力。
「だが!」
放たれるキャバリア用の機銃の弾丸。
打ち込まれたのならば、生身の人間など消し飛ぶだろう。
小枝子の魔眼が煌めくように燃え盛る。見ている。見えている。動体視力は強化され、その瞬間思考によって弾丸の軌道すら見抜く。
「らぁあああああああ!!!!」
裂帛の気合と共に振るう騎兵刀。
その斬撃は波となって放たれ、対空機銃を叩き伏せる。
断裂破(ダンレツハ)の一撃は彼女の道を切り拓くものであった。
「其処にオブリビオンが居るのなら!」
小枝子は前を向く。
中央区画に『アンサーヒューマン部隊』の暴走が起こるという予知があるのならば、それを未然に防ぐ。
戦うためだけに生み出された存在。
キャバリアに乗ることを強いられた存在。それ以外の意義など、意味など見出す事の出来ない存在が居る。
「なんだろうと自分は壊す! 壊して進むのみ!!」
アンサーヒューマンたちに罪はないのだろう。
作り出されたこと、生み出されたこと。
それ自体が罪であるというのならば、人は生まれながらに罪を背負うものである。だが、それは平等に手渡されたものである。
オブリビオンマシンはそれを歪める。
火種にするのだ。
「だからっ!首を洗って待っていろ!!! オブリビオン共!!!!」
小枝子は飛ぶように中央区画を目指す。
作り出されたことと生まれることが同義であるのならば、小枝子は彼らを救わねばならない。壊して救う。
ただそれだけが自分にできることだと、咆哮し騎兵刀を振るい、破壊をもたらし続け、進むのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
単独参加希望
機神搭乗
…ロクシアス量産とか正気じゃねーなおい
「わーい☆ロクシー君が一杯だー☆」
いやそんな事可能なのかよ!?
「…んー…もしかすると武具の生産を司ってたあの|人《神機》」が関わってるかもね☆」
…取り合えずやってみねーとわからねーか…!
【情報収集・視力・戦闘知識】
周辺の戦場の状況分析
防衛網の状況や布陣を冷徹に分析する
本来なら光学迷彩で突破が吉なんだが
「今回は示さないといけないらしいよね☆」
仕方ねぇ…正面突破で行くぞ
「ラジャったよ☆」
【属性攻撃・弾幕・念動力・空中戦】
高速で飛び回りながらUC発動
ハルペー・タラリア・カドゥケゥス
そしてメルクリウス巨大化
念動光弾と雷撃で無力化を図る!!
界導神機『メルクリウス』を駆り、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は戦場を俯瞰する。
背には枯れた鉱山。
前には停止した生産工場群の痕。
中央区画にプラントがあるのならば、守りやすい立地であるといえるだろう。そして、侵略する側にとっては旨味のない場所でもあった。
そんな場所で『フォン・リィゥ共和国』が成り立っているのは、中央区画に存在するキャバリア闘技場があるからだ。
キャバリアの戦闘を見世物にする。
娯楽として消費する。そうすることによって物資と人は流れ込んでくる。栄誉も、金も、何もかも。欲望の全てが強者に、勝者に与えられるからだ。
その欲望を娯楽としてみたいという好事家は多くいるだろう。
外貨もまた流れてくるのだ。他者に迫る必要もなく。また他者を助ける必要もなく。
「だから、滅びるんだよなぁ。とは言え、『ロクシアス』量産とか正気じゃねーなおい」
『わーい☆ロクシー君がいっぱいだー☆」
そもそもそんな事が可能なのかとカシムは訝しむ。
『……んー……もしかすると?』
『メルクリウス』の言葉は曖昧であった。
確実なことなど何一つない。けれど、このままざしている理由もない。
「とりあえず、やってみねーとわからねーか……!」
カシムは正面切って生産工場群の跡地へと飛び込んでいく。
高速で飛び回るかのようにパイプや建造物という障害物を乗り越えていく。放たれる機銃の弾丸を躱す。
神速を誇る神機は伊達ではない。
「本来なら光学迷彩で突破が吉なんだが」
『今回は示さないといけないらしいよね☆』
仕方のないことだとカシムは息を吐き出す。
目立つことなど最初から支度はないのだ。けれど、戦わなければならない。神機がもたらす災厄は、此処だけにとどまらないだろう。
オブリビオンマシンがもたらすのは火種。
人はその火種によって争う。それがこのクロムキャバリアにおける戦乱の大元だ。だからこそ、カシムの瞳がユーベルコードに輝く。
「ソウルピース「プレジデント」…その恐ろしさ…見せて貰います」
神・魔軍転生『プレジデント・ザ・ショウダウン』(コウテツノコブシヲモツエラバレシオウ)。
そのユーベルコードは『メルクリウス』の武装に竜巻を引き起こさせる。
さらに機体が膨れ上がっていく。
『メルクリウス』の巨体は、それにあわせるように武装もまた巨大化している。
巨人と呼ぶにふさわしい機体。
振るう鎌剣の一撃が建造物を切り裂き、薙ぎ払う。
瓦礫が舞い飛び、機銃を沈黙させ、さらには念動光弾と雷撃が迸る。
その光景は、悪夢の如き光景であったことだろう。誰もが恐れを成したかもしれない。けれど、中央区画にある『アンサーヒューマン部隊』は、恐れない。
彼らにそんな感情は必要ない。
そのように調整されたからかもしれない。
「どうあれ突破しなけりゃならねーんだ。行くぞ」
『ラジャったよ☆』
二人は進む。
その先に神機の申し子たちがいるのならば。
例え己よりも優れたる者たちであったとしても、オブリビオンマシンを放置しておくことなど許されないのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
サブリナ・カッツェン
●SPD
アンサーヒューマンの反乱か
ま、気持ちは分からなくはねぇがな
あたしのご先祖様もアンサーヒューマン実用化の初期に人間と動物の遺伝子を弄られて生み出されたとか聞いちゃいるが、あっちが主流となったお陰で自由にしていられるのは皮肉なもんだ
『それなら、あちらに着くのか?』
冗談言うな、|MK《ミーケー》
それはそれ、これはこれだ
同族だからこそ、ゲンコツを食らわせてやりてぇところだよ
んじゃま、アイリーゼでいっちょカチコミかけるぜ!
MKは【索敵】に【情報収集】でサポート、アタシは【操縦】に専念だ
低空飛行をかましてレーダーを掻い潜りながら強襲かまして『マニューバ・ツィルクス』で偵察機を一網打尽していくぜ
『アンサーヒューマン部隊の暴走』――それは小国家『フォン・リィゥ共和国』にとって不測の事態であったことだろう。
彼らは調整されていたはずなのだ。
自分たちに従うように。
けれど、実際に彼らは暴走を引き起こそうとしている。
キャバリア戦闘において類を見ない力を発露する。それが彼らの役割であるのならば、この世界にあって彼らを止めうる者は存在しなかったのかもしれない。
「アンサーヒューマンの反乱か。ま、気持ちはわからなくはねぇがな」
サブリナ・カッツェン(ドラ猫トランスポーター・f30248)はね子の因子を持つ旧型アンサーヒューマンである。
その末裔であるとされている。
他者の都合によって生み出された生命であるのならば、アンサーヒューマンたちに対して同情は禁じ得ないのだろう。
彼女の先祖もそうであったのだ。
人間と動物の遺伝子をいじられて生み出された。
『フォン・リィゥ共和国』のアンサーヒューマンは因子を組み込まれて生まれた存在だ。
生きるために戦うのではない。
戦うために生きている。
そうであれと造られた生命であるからこそ、サブリナは皮肉であると思ったことだろう。
「あっちが主流となったお陰で自由にしていられるのは皮肉なもんだ」
何かボタンの掛け違いが起きていれば、己たちがああなっていかもしれないとサブリナは理解する。
『それなら、あちらに着くのか?』
己のキャバリア『アイリーゼ』の中でタマロイド『MK』が呟く。
外部端末であるモジュールをコクピットに備え、サブリナは頭を振る。アンサーヒューマンたちの境遇に同情もするし、共感もする。
だが。
「冗談言うな|『MK』《ミーケー》」
サブリナはコクピットの中で前を見据える。あるのは障害。生産工場群のパイプと建造物、さらには対空機銃や地雷原。
無人機キャバリアの偵察もある。
だからなんだというのだ。
「それはそれ、これはこれだ。同族だからこそ、ゲンコツ食らわせてやりてぇところだよ」
オブリビオンマシンによって歪められているのだとしても。
それは彼らの中にあったものだ。
歪んだとしても、その根っこがあるのならばオブリビオンマシンの有無に限らず、彼らは同じように事をなすだろう。
だからこそ、サブリナは彼らを止める。
「んじゃま、『アイリーゼ』、いくぜ。いっちょサーカスでもお披露目してやんよ!」
飛ぶように『アイリーゼ』の機体が走る。
まるで人のように。人型であることの強みを見せるように、有機的なしなやかささえ感じさせる機体の挙動でもってサブリナはパイプ張り巡らされた地形を乗り越えていく。
機銃など彼女を捉えられるものではなかった。
「偵察キャバリアだって無人機だってんなら!」
マニューバ・ツィルクス。
彼女のキャバリアは高速機動をしながら、残光を描く複雑に絡み合った光の弾を打ち出す。
レーダをかいくぐる動きに加えて、放たれる魔導光弾は一撃で偵察キャバリアを撃ち抜く。
爆発が起こり爆風に煽られながら『アイリーゼ』が走る。
目指す先にあるのは中央区画。
暴走が起こるというのならば、生命の先輩としてやらなければならないことがある。
「あいにくとあたしは商人なんでね。届けるためだけに来たんだよ」
『何を』
「そりゃあ、決まってんだろ。ゲンコツだよ――!」
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
穴掘ってゴーゴー!
穴掘り映画を見たばかりのボクはこの作戦において無敵!
地下から要塞まるごと爆破しちゃえばいーんだよ!
え、爆発せちゃダメ?そっかー
●ボコリと顔を出し
ありゃ?ちょっとうずれたかー
的な演出も挟みつつ
UC『神知』によって強化された【トンネル掘り】職人の勘でゴリゴリと
[ドリルボール]くん【第六感】任せで掘り進んでいこう!
本業の為に【リミッター解除】した[ドリルボール]くんの掘削速度ときたらそれはもう…なんか早い!(具体的数値は不明)
でも映画だと敵のトンネルと鉢合わせしたりするんだよねー
[ドリルボール]くん何かいた?
『ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ』
そっかー
穴掘り映画を見たばかりのロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)にとって、それはイージーな作戦であった。
穴掘り映画とは一体どんなものであったのかはわからない。
世の中には様々な映画が溢れている。ジャンル分け不能な映画があってもいいのかもしれない。きっと穴掘り映画はそういうものであったのだろう。
「穴掘ってゴーゴー!」
ロニは球体と共に鉱山側から『フォン・リィゥ共和国』の中央区画を目指す。
彼らにとって、鉱山とは背にあるだけで壁となってくれる城壁そのものであった。
突き崩すことは難しく、また廃山となっているために得る利点も薄い。
生産工場群であった名残もそうだ。入り組んだパイプや建物は障害物として進撃を阻むだろう。
故に彼らは安寧を得たのだ。
孤立と彼らは言ったが、彼らが望んだことだったのだ。『闘技場』によって人と物資、そして外貨の流れは滞ることを知らず。
他者に手を差し伸べることをしなかったからこそ、他者から手を差し伸べられることがない。
「ま、どっちにしたっておんなじことだよねー」
それに、とロニは地中から顔をポコリと出す。
「ありゃ? ちょっとずれたかー」
こっちじゃないね、とロニは地面を掘り進める球体に軽く触れて、あっち、と指示する。
神知(ゴッドノウズ)たるユーベルコードによって強化されたトンネル堀職人としての勘は冴え渡り過ぎている。
どんどん無作為に掘り進めているようで、その実、敷設されていた地雷原を尽く躱しているのだ。
まるでマインスイーパー。
一つのミスもなく掘り進める球体の掘削速度は、あまりにも早い。
「具体的な数値はないけど! もうなんか早い!」
ロニはこういう時、と首を傾げる。そう、昨日見た穴掘り映画では、こういう時敵とトンネルで鉢合わせするものである。
それに要塞を地下からまるごと爆破させてしまうものであったから、物語として盛り上がりを作らねばならぬこともわかる。
けれどロニは、これが現実だってわかっている。
物語のストーリーラインに乗らない不測の事態だってあるだろう。
「ドリルボールくん、何かいた?」
その言葉に球体は特に応えない。
掘削の音ばっかりがロニの耳を打つだろう。
「そっかー」
まあ、仮に敵がいたとしても掘削球体が全部ガリゴリやってくれるか意味のないことか、とロニはトンネルを掘り進め続ける。
中央区画まで後もう少しだ。
それまでロニはさっさとこの掘削を終えてしまおうと思っていた。
戦わなければならないのは作り出された『アンサーヒューマン部隊』。
キャバリア戦闘において猟兵と互角以上と言われる彼らを倒さななければならない。人の世に火種は尽きることはない。
生み出されもするし、蒔かれることもある。
オブリビオンマシンがそれをいびつにするのならば、それは摂理に反することであろう。
「そういうときこそボクらの出番なんだよねー」
ポコン、と再びロニは地中から頭を出す。
そこに見たのは中央区画。
キャバリア闘技場であった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
凄い良い立地
ストラテジー系のゲームなら初心者向けにオススメされるタイプのやつ
まあその立地を活かせずに、駄目になって今があるんだけど…
うーん勿体ない、トップがまともだったら天下取れてたよ天下
というかこの国に来たなら、私もまたキャバリアの封印を解こう
EX:I.S.T[BK0001]に機乗
そして段ボールにきゃばりあ…とマジックで書いて着込む
これがワイのキャバリアや!!
…観客居ないから寂しいだけだな
地雷原はバイクで突っ走る!
体とバイクを『オーラ防御』でしっかり保護して突撃
起爆しても爆風を後方に流すようにして逆に勢い付くようにしてやる!!
ダイナミックえんとりー!
無人機も速度を上げて突っ切ろう
もしも、と月夜・玲(頂の探究者・f01605)は思うのだ。
「ストラテジー系のゲームなら初心者向けにオススメされるタイプのやつ」
彼女の頭は今ゲーム脳であった。
ストラテジー系ゲーム。
戦略が鍵を握るシュミレーション。そういう意味であったのならば小国家『フォン・リィゥ共和国』の立地は素晴らしいものであったのかもしれない。
背には天然の城壁たる鉱山。
前には生産工場群の跡地とは言え、複雑に入り組んだ地形。
敵は攻め難く、こちらは守りやすい。少ない戦力であっても、地形を利用すれば自分たちよりも勝る数を相手にすることも可能であったし、勝利することもできただろう。
中央区画にプラントを配せば、物資はいくらでも生み出せる。
「まあその立地を活かせずに、駄目になって今があるんだけど……うーん勿体ない、トップがまともだったら天下取れてたよ天下」
玲はほとほともったいない、と呟く。
闘技場によって外貨と人の流入を得ていたのは、よかったのかもしれない。
枯れた鉱山や機能を失った生産工場群も、攻め入る側にとっては旨味のないものであったから、侵略されることもない。
もっと娯楽国家として大々的に他国と積極的につながりを持とうとしていたのならば、今という結果には成っていなかったのかも知れない。
だが、そうはならなかったのだ。
「というかこの国に来たなら、私もまたキャバリアの封印を解こう」
玲さんの無茶が始まるタイムである。
かぽっと彼女はダンボールを手にする。
わあ、玲さん今日は何を作るのかな?
マジックで『きゃばりあ』と掛けばおしまい。
「これがワイのキャバリアや!!」
特殊バイクにまたがった玲は『きゃばりあ』と描かれたダンボールを頭からすっぽり被る。
正直に行って、かなり、その、あの……と言葉に困る光景であった。
だが、誰もツッコまない。
なぜなら、今回は闘技場と違って観客がいないのである。いるのは無人機の偵察キャバリアだけだ。
「……寂しいだけだな」
ブーイングも喝采もないのならば、今の玲は誰にも注目されることのないコスプレイヤーであった。いいのだ。着ている人自身が楽しければそれで。それでいいはずなのだ!
ダンボール『きゃばりあ』となった玲は特殊バイクのエンジン音を唸らせながら、地雷原に突っ込んでいく。
それは自殺行為であったことだろう。
だが、特殊バイクとダンボール装甲をオーラで守った玲は爆発荒ぶ地雷原を一直線に進む。
爆風が膨れ上がり、玲はさらに加速する。
地雷の爆発を前から受け止めるのではなく、後方に受け流すようにしながら膨張した空気を己の背に受けてさらにスピードを上げるのだ。
「ひゃっほー! ダイナミックえんとりー!」
無人機偵察キャバリアも振り切って一気に玲は中央区画へと飛び込む。
敵は『アンサーヒューマン部隊』である。
彼らはキャバリア戦闘においては猟兵と互角以上の力を持っている。そんな彼らが暴走を引き起こすという中央区画は、この『フォン・リィゥ共和国』においては、興行とも言うべき施設。
そう、闘技場である。
キャバリア同士を戦わせ、勝敗を争わせる。
人の欲望が渦巻くこの場所に玲は再び足を踏み入れる。
「またブブゼラ吹こうかな」
あの日から訪れることのなかった闘技場。
されど、玲はあの日と違うことを理解するだろう。闘技場に現れる機体。
かつてこの闘技場において無敗を誇ったチャンピオンが駆ったオブリビオンマシン神器、輝光神機『ロクシアス』がアイセンサーを煌めかせ、彼女を睥睨していた――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『輝光神機『ロクシアス』』
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POW : BSプラズマライフル『黄金の矢』
【プラズマライフルのレーザーサイト 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【プラズマ化した超高熱熱線】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 高速戦闘演算機構『予言の神』
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【BSプラズマライフル 】から【相手の回避行動を読み切った超連続射撃攻撃】を放つ。
WIZ : 対人虐殺機構『疫病の矢』
自身の【機体全身 】から【疫病ウィルス型ナノマシン】を放出し、戦場内全ての【キャバリアに乗らない生身での戦闘行動】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「テラ・ウィンディア」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちが障害を乗り越え飛び込んだのは『フォン・リィゥ共和国』の中央区画――そう、『闘技場』である。
ここは連日行われるキャバリア同士の戦いを行う闘技場だ。
幾度の戦いが行われたかも、もはや数えることも億劫であろう。血が、オイルが、部品が、多くが散った闘技場の中に彼らはいた。
『アンサーヒューマン部隊』。
戦うために生み出され、戦うためだけに調整された者たち。
彼らは『エイル因子』と呼ばれる『キャバリア操縦に特化した因子』を埋め込まれ生み出されたアンサーヒューマンたちである。
瞬時にあらゆる事象を思考する力、『瞬間思考』を極限まで拡大された、次世代の人類。けれど、彼らは利用されるばかりであった。
戦うために最適化した体は、戦うことだけを共用される。
人らしい生き方など不要であると、『フォン・リィゥ共和国』は彼らを生み出した。
『エイル因子』を定着させるために、多くの生命が喪われたことだろう。
誰でも彼でも定着するものではなかったからだ。
「生まれたこと。その喜び……わからない。僕らにはわからない。けれど、言われたんだ。『好きに生きていい』んだと」
だから、と言うように彼らは輝光神機『ロクシアス』のコクピットの中で顔を上げる。
闘技場の中にいた『アンサーヒューマン部隊』の機体は、たった四機。
だが、猟兵たちは知るだろう。
彼らが確実にキャバリア戦闘においては己たちよりも遥かに強大な力を持つ者であると。
「『エルフ』……指示を」
「うん。『好きにしていい』……僕らはそう言われたんだ。だから、『ツヴェルフ』、「ドライツェーン』、『フィーアツェン』……征こう」
神機の申し子たちが見据える。
オブリビオンマシン、輝光神機『ロクシアス』はそれに応える。
ジェネレーターが唸りを上げ、己を駆るに相応しき力を持つ者たちに応えるように、その命のきらめきを示すように猟兵たちに四機の神機が迫る――。
村崎・ゆかり
やれやれ、名前のナンバリングまで続きをしてるの? 誰の仕事か知らないけど、所詮は紛い物ね。
立てこもるのが闘技場で、まだよかったわ。一般人の死人は出ないはず。
それじゃあ相対を始めましょう。『GPD-331迦利』顕現。
同時に、「全力魔法」で「結界術」「範囲攻撃」酸の「属性攻撃」「呪詛」「仙術」「道術」で紅水陣を展開。
疫病ナノマシンだって、その赤い靄に溶けて消える。念のため、封魔装甲『アルマドゥラ』も起動させておくわ。あたしと『迦利』は「環境耐性」で紅水陣の影響を受けない。
『迦利』、攻撃開始。「レーザー射撃」の「弾幕」で足を止めさせて。
この場に釘付けに出来れば、神機だろうとボロボロに溶けていくわ。
『エルフ』と呼ばれたアンサーヒューマンは思った。
闘技場の中に飛び込んできた者たち。猟兵達。彼らの姿を認める。湧き上がる感情はなかった。
けれど、衝動だけがあった。
己たちが偶像の残影であるというのならば、求められるのは一体なんであったのか。
「『ツヴェルフ』、『ドライツェーン』、『フィーアツェン』、征くよ」
その言葉と共にあふれるのは疫病ウィルス。
疫病ウィルスは、機体全身から溢れていく。キャバリアに乗らねば耐えられない猛毒。それはあらゆる防護を貫いていく。
生身である時点で彼らには叶わない。
輝光神機『ロクシアス』のアイセンサーが煌めく。
「生命の埒外。あれは生命じゃあない」
「やれやれ、名前のナンバリングまで続きをしているの? 誰の仕事かしらないけど、所詮は紛いものね」
村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)の言葉にアンサーヒューマンたちは反応する。
謗られた、と思っていない。
ただ疑問であっただけだ。
「紛いもの……僕らの感情は誰かのものであったということ? このあふれる感情は、これも、何もかも誰かのものであったということ? いつかの誰かのものであったと?」
「ええ」
ゆかりは短く呟く。
彼らが立てこもったのが闘技場でよかった、と思った。
一般人の死人がまだ出ていないことは幸いだった。もしも、彼らの行いによって死人が出たのならば、それは猟兵の敗北の一つである。
だからこそ、ゆかりの瞳はユーベルコードに輝く。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。魂魄までも溶かし尽くす赤き世界よ、我が呼びかけに応え、世界を真紅に塗り替えよ。疾っ!」
展開するのは、紅水陣(コウスイジン)。
真っ赤な血のような、全てを蝕む強酸性の雨があらゆるものを腐食させる赤い靄の中に包まれていく。
「ナノマシンが朽ちていく……」
「疫病ナノマシンだって例外ではないわ」
封魔装甲『アルマドゥラ』に囲われたゆかりは、自身の背後から飛ぶ無人機キャバリアを見やる。
『GPD-331迦利』の逆三角形のシルエットをみやり、『ロクシアス』たちは動く。
放たれるレーザー射撃の弾幕。
それは躱しがたきものであったはずだ。けれど、『ロクシアス』は全てを躱す。圧倒的な機動力ではなく、卓越した操縦技術によって弾幕を躱し続ける。
「釘付けにしようとしている。この靄……全てを腐食させるのなら」
プラズマライフルが闘技場の天井に向けられ、放たれた弾丸が穴を穿つ。それだけではなかった。
『ロクシアス』たちはすぐさま機体のジェネレーターの出力を上げる。
ゆかりの生み出した赤い靄を焼き尽くすのではない。
機体の温度を上げることによって、闘技場内部の温度を上げて上昇気流を生み出す。すなわち、赤い靄を残らず天井にうがった穴から排出しようとしているのだ。
「判断が早い……機体の装甲はいらないっていうの」
「当たらなければいいのに」
全てを排出しきれない赤い靄。けれど『ロクシアス』たちの装甲は一部が腐食して落ちるだけだった。
神機であったとしても絶陣の影響は免れなかった。
けれど、同時に理解もする。
ただのキャバリア、オブリビオンマシンであったのならば、あれで致命傷のはずだ。彼らは本物だ。
まがい物の如き力を持っていたとしても、その技量は神器の申し子と呼ぶにふさわしい。
対処される。
「なら、足止めし続ける!」
『迦利』が闘技場の中を飛び、レーザー射撃の乱舞でもって『ロクシアス』たちを留め続ける。彼らを外に出してはならない。
闘技場という囲いの中で留めなければ、彼らの挙動を自由にした瞬間に猟兵達全てが食い殺されると直感的に理解したからだ――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
『進め』『進め!ディスポーザブル!!』
メガスラスター推力飛翔、最高速で敵機へ突撃!
から、レーザーライトを【空中機動】で強引に回避し、
疫病の矢より先に、ディスポーザブル01虚空発生、
取り込まれるように搭乗。
『突き進めぇぇええええええッ!!!』
【継戦能力】攻性障壁でブラズマ熱線を弾き、
闘争心を表すように勢いそのままロクシアスへパワークローを叩きつける!
【怪力】クローで掴み、離さない!!逃がさない!!!
超至近距離でパルスアトラクター発振!!吹き飛ばし範囲攻撃!!!
横やりもさせない。ブラストナックル側の手で頭部を掴んで、マヒ攻撃。
殴る殴る殴って機体を壊す。
好きに生きたいなら!まずその機体から下りろ!!
選んだのだ。
何を、と問われたのならば生きる意味を選んだのだ。アンサーヒューマンであるからとか、そうではないからとか、そんなことは些細な問題であったのかもしれない。
少なくとも『エルフ』と呼ばれたアンサーヒューマンは、そう思っていた。
腐食した装甲を捨ててさらに機体は軽くなった。
確かに一撃を受ければ装甲を失った機体は損壊するだろう。けれど、素早く動けないことに意味を見出すことはできなかった。
「進め」
だが、そんな彼らを前にして疫病ウィルスが撒き散らされた闘技場の中であっても飛び込んでくる影があった。
それは其の言葉だけを紡ぐ。
メガスラスターの推力で飛翔し、向けられたレーザーサイトにも臆することがなかった。
「進め!」
『エルフ』は訝しんだ。刹那に、であったけれど。確かに人影であった。人の形をしている。けれど、彼は知るだろう。
レーザーサイトを強引な空中機動で躱し、虚空より溢れ出る怨恨が人影を――朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)を包み込んだ。
取り込まれたように見えただろう。
「『ディスポーザブル』!!」
咆哮と共に彼女は『ディスポーザブル01』のコクピットに収まり、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
超能力による攻性障壁。
それを全面に押し出し、魔眼が煌めく。燃えるように輝く。
「突き進めぇぇええええええええッ!!!」
叫びと共に『ディスポーザブル01』が咆哮する様にジェネレーターの出力を上げていく。
闘争心に後押しされるように、その負荷は小枝子の体を内側から崩すようであった。
「動きが単調」
「問題ない」
『ドライツェーン』と『フィーアツェン』の『ロクシアス』の手にしたプラズマライフルが一斉に『ディスポーザブル01』に向けられる。
灼熱熱線の一撃が機体を捉える。
其の一撃を障壁が弾く。いや、弾ききれない。熱線が『ディスポーザブル』を貫く。だが、関係などなかった。
今の小枝子には痛みも苦しみも、何も関係がなかった。
魔眼に炎が宿る。
「止まらない……どうして、止まらないの?」
「あああああああッ――!!!」
小枝子の咆哮がそれに応える。
パワークローの一撃が『ロクシアス』に放たれる。だが、その一撃は躱され、闘技場の地面をえぐる。
吹き飛ぶ地面、その瓦礫が『ロクシアス』の腐食した装甲を弾き飛ばす。
迫る『ロクシアス』。
だが、それが過ちであることを『フィーアツェン』は理解した。
瞬間思考が極限まで拡大されているからこそ、理解してしまった。今の一撃は、『逃さない』という意志の発露であることを。
「パルスアトラクター、発振!!」
胸部装甲が弾け飛び、キューブ型音響兵器が唸りを上げる。
その音響の波が『フィーアツェン』の『ロクシアス』に叩き込まれる。カバーに入ろうとする他の機体を寄せ付けぬようにパワークローが『ロクシアス』の頭部を掴んで離さない。
「好きに生きたいなら!!」
小枝子は咆哮し『フィーアツェン』の『ロクシアス』を頭部ごと地面に叩きつけ、殴りつける。
それは叫びであった。
生み出されたもの。作り出されたもの。
戦うことしか望まれたかったものに対して、小枝子は叫ぶ。思いではなかったのかもしれない。己を重ねたのかもしれないし、そうでなかったのかもしれない。
けれど、思うのだ。
『好きに生きていい』という言葉は、願われたことではない。
自分で選び取るために投げかけられるべき言葉であったはずなのだ。誰かに言われたからではない。自分の心より発せられたものであったのならば、こうはならなかったはずなのだから。
「だって、わからないもの。好きに生きるってどういうこと?」
「まずその機体から降りろ!!」
放つブラストナックルの一撃が『フィーアツェン』の『ロクシアス』の頭部を砕いた――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
闘技場か…どうせここで戦うなら競技で終わらせていろ!!
引き続きレスヴァントで戦うよ。
悪いけど…『瞬間思考力』の判断力も『操縦』テクニックも…簡単に負けてあげないから!!
こちらの行動を先読みか…
読まれてるなら…回避は不要ね!!
『瞬間思考力』で互いの手を読み合いつつ、さらに敵機の動きからの『読心術』で相手の心情を読みこみ、理解した。
このまま回避を最小に特攻する!!
『限界突破』一瞬の隙をついて、ワルツ・オブ・キャバリア発動を発動し、損傷した外部装甲を強制除去!!
さらに加速し、敵の攻撃に合わせて『カウンター』にイニティウムの『切断』攻撃を叩きつけるよ。
一騎の『ロクシアス』の頭部がひしゃげる。
赤い靄によって装甲が腐食しているとはいえ、アンサーヒューマンの瞬間思考を凌駕する構成に彼らは戸惑う――ことはなかった。
彼我の戦力差を理解する。
敵は殺す程度では止まらないことを彼らは漸く理解したのだ。
「殺す程度では止まらない。機体を破壊する程度では止まってくれにというのなら! ならば、全力を持って完膚無きまでも叩き潰すのみ!」
アンサーヒューマン『ドライツェーン』が『ロクシアス』と共に闘技場の中を飛ぶ。
それに倣うように四機の『ロクシアス』が白いキャバリア『レスヴァント』に迫る。
「悪いけど……『瞬間思考』の判断も、『操縦』テクニックも……簡単に負けてあげないから!!」
ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は、『レスヴァント』と共に闘技場の中へと飛び込む。
アンサーヒューマンたちのオブリビオンマシンは機動性に優れている。
自らを闘技場の中に置いたのは彼らの失策であったかもしれない。けれど、ユーリーは理解していたのだ。
彼らは此処で戦うことを期待されていたのではない。彼らは彼らを生み出した者たちが、戦場を『闘技場の中』しか知らなかったがゆえに、この場所にいたのだ。
「どうせ此処で戦うなら競技で終わらせろ!! ううん、ボクが終わらせて見せる!!」
『レスヴァント』のアイセンサーが煌めく。
アサルトライフルの銃口が揺らめく。
その瞬間に『ロクシアス』の挙動が変わる。瞬時にこちらの動きを見て判断している。些細な挙動であっても、こちらの行動を予測しているのだ。
「こちらの行動を先読みか……」
「然り。俺達の思考速度は言うまでもないであろうよ!」
『ドライツェーン』の『ロクシアス』が迫る。だが、ユーリーは見た。四機の連携は確かに見事なものだった。
自分を包囲するように僅かな時間でも迫ってくる。
だが、先程猟兵に穿たれ頭部を失った『ロクシアス』の動きが僅かに鈍っている。
「読まれてるなら……回避は不要ね!!」
回避は最小限に。
そして、こちらを殺しに来るのならば確実に仕留めようとする。それが彼らアンサーヒューマンの出した答えであった。
それをユーリーは読み切る。
瞬間思考ができるからではない。
これまで幾度となく戦場を渡り歩き、窮地を乗り越えてきたからこそ培われた経験が彼女の背中を推している。
アンサーヒューマンと彼女。
違いがあるのだとすれば、其処しかなかった。
経験という得難きもの。
勝利も、敗北も。
何もかもが彼女の糧になっているというのならば、ユーリーは負けない。
「遅いッ!」
放たれるプラズマライフル。
その一撃が『レスヴァント』の装甲を焼き切る。だが、ユーリーは止まらない。爆発が起こり、装甲が砕けていく。
「ジャケットアーマーパージ。高速機動モードへ移行」
煌めくアイセンサー。
外部装甲が弾け飛び、それらが迫る『ロクシアス』たちへと飛ぶ。
それらは致命打にならない。だからこそ、『ドライツェーン』の『ロクシアス』が廃された外部装甲を弾き飛ばしながら『レスヴァント』に迫る。
振るわれる一撃。
それは不可避であったし、『ドライツェーン』たちも当たると、直撃だと確信した。ただ一人、この戦場にあって、その確信を覆す者がいる。
それがユーリーだ。
「ぶっとべー!! ボクの『レスヴァント』!!」
ワルツ・オブ・キャバリア。
それは外部装甲を排除することによって変形する高機動モード。捨てた装甲の分だけ踏み込みが早い。
その一歩が勝敗を分かつ。
迫る『ロクシアス』に振るわれるはキャバリアソードの一閃。
それが『ドライツェーン』の『ロクシアス』の腕部を切り裂き、闘技場の地面に落ちる。
「これでまずは一本――!」
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
プレッシャーをギュンギュン感じますわ!
これはお強いですわ!
面妖なナノマシンはヴリちゃんに乗っていれば平気ですわ~!
けれど4機も相手にするのはお辛いですわね
ここは守りを固めて耐えるのですわ
お調子ぶっこき始めて攻撃している所を…エルネイジェの光!
5000兆ルーメンの光で目潰しですわ
ついでにヴリちゃんは回復とパワーアップ致しますわ
怯んだ隙にアンカークロー発射!
引き寄せてシールドパンチでがっしゃんこですわ!
当然お邪魔が入りますわよね
なので一方のシールドで攻撃を防ぎつつ更に追撃ですわ~!
あなたが!降参なさるまで!殴るのを!止めませんわ~!
あまり意地を張られるならギロチンシザーでちょん切りますわよ~!
輝光神機『ロクシアス』は四機。
そのどれもがアンサーヒューマンを乗せている。彼らは『ロクシアス』を駆るために調整された存在である。
「これが僕たちの敵。僕たちが倒さなければならい敵……形が違うようだけれど」
『エルフ』と呼ばれたアンサーヒューマンの一人は訝しむ。
だが、敵だと理解している。
倒さなければならい。戦うことが存在意義であるというのならば、これらを倒さなければならいのだと、闘技場の中で彼は暴竜の如きキャバリアと対峙する。
互いの力量など対峙した時に理解できた。
瞬時に理解できたのだ。それは重圧と成って両者の肩に重くのしかかることだろう。
「……これはお強いですわ!」
メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は『ヴリトラ』の中で呟く。
周囲に撒き散らされた疫病ウィルスはキャバリアに乗っていれば問題はない。
けれど、損傷の見えるキャバリア、オブリビオンマシン四機を同時に相手にしなければならないというのは、荷が重いと感じる。
自分たちと互角か、それ以上。
そう実感させるだけの重圧が体に警告を発している。まともに激突すれば、敗北するのは自分だと。
「どのみちやらなければならないのなら、早く終わらせよう。それが僕の……役目だ」
『ロクシアス』が迫る。
一騎は頭部を損壊し、一騎は片腕を失っている。残るニ機も装甲を腐食されている。放たれるプラズマライフルの熱線が『ヴリトラ』に迫る。
まともに躱すこともできない。
下手に回避行動を取れば、隙をつかれるとメサイアは直感していた。
「ここは守りを固めて耐えるのですわ」
ラージシールドで機体へのダメージを軽減する。少しでも耐える。取り囲むように包囲してくる『ロクシアス』。
だが、守りを固めていれば、じれてくるはずだ。
「きぃ~! 黙って亀さんになっていれば、お調子に乗られて!」
我慢の限界であった。
だが、それは同時にアンサーヒューマンである彼らに選択を強いる。何かをしようとしている。しかし、敵が何をしようとしているのか彼らは理解できなかった。
「わたくしの光は万物を照らすのですわ!」
エルネイジェの光(セイントシャイニング)が放たれる。それは光。ユーベルコードが生み出した光であった。
その光は『ロクシアス』を駆る彼らの目を潰す。
いや、潰せていない。彼らは閃光が走ると同時に遮光フィルターをモニターにかけていた。一瞬の判断。
瞬間思考が極限まで拡大されているからこそ、彼らは判断できたのだ。
「その一瞬が命取りですわ~!」
『ヴリトラ』から放たれるアンカークローが『エルフ』の駆る『ロクシアス』を掴む。引き寄せる。どれだけ神機のパワーがあるのだとしても、暴竜たる『ヴリトラ』が負ける言われはない。
引き寄せる機体。
だが、あちらも瞬時に判断している。
「シールドパンチでがっしゃんこですわ!」
放つラージシールドのシールドバッシュの一撃。
だが、そこに放たれるプラズマライフルの一撃がシールドを弾き飛ばす。
「当然お邪魔が入りますわよね!」
「そうだね。そうなると思う。けど……」
「ええ! このためにアンカークローを一つ残しておりましたの!」
飛ぶアンカークローが弾き飛ばされたシールドを掴む。放たれるプラズマライフルの一撃をもう片方のラージシールドで防ぎながら、アンカークローが掴んだシールドが『ロクシアス』へと叩きつけられる。
「ぐっ……!」
「あなたが! 降参なさるまで!」
ラージシールドごと体当たりする『ヴリトラ』。弾き飛ばされる『ロクシアス』に更に密着するように迫る。
他の『ロクシアス』がプラズマライフルで此方を攻撃できないように密着しているのだ。
「殴るのを! 止めませんわ~!」
響く打撃音。ひしゃげる機体の装甲を引き剥がしながら、ギロチンシザーがプラズマライフルを断ち切る。
「あまり意地ををはられるのはオススメいたしませんわ~!」
機体を蹴り飛ばし、メサイアは高らかに言うのだ。
戦うためだけの存在など、存在しないのだと。戦いを始めたのならば、止めることもできるのまた人間であると――。
大成功
🔵🔵🔵
黒影・兵庫
(「黒影、分かっているとは思うけど彼らは黒影より遥かに強いわよ」と頭の中の教導虫が話しかける)
はい!せんせー!キャバリアの操縦技術は天地ほど差があると自覚しています!
(「なら籠りなさい。今あなたが操縦している要塞蠍は未熟な貴方を守る殻よ」)
はい!では{要塞蠍}を防御モードに変更!
(鋏と尻尾でコクピットを守る様に{要塞蠍}が丸くなると{蜂蜜色の靄}が要塞蠍を覆い『オーラ防御』のためのバリアが展開される)
しかし反撃しないとジリ損です!せんせー!
(「忘れたの?こういう時のために教えた技があったでしょ?」)
そうでした!UC【蜂皇清掃術】発動!
きれいさっぱり消してやるぜ!
敵であるアンサーヒューマンたちの技量は凄まじいものであった。
猟兵たちと戦って尚、彼らの機体の損傷具合は致命的ではなかった。ほとんどの攻撃が致命打になるものばかりであったはずだというのに、彼らは致命傷を避けている。
「強い……!」
「ああ、そうだね。彼らは強い。僕らの敵であると認識できる」
「僥倖というやつだな! 我等の力を証明できるまたとない機会! 有用であると示せなければ生きていけないのだから!」
『ツヴェルフ』、『エルフ』、『ドライツェーン』は猟兵たちの攻勢を前に何処か高揚しているようであった。
敵。
おそらくアンサーヒューマンである彼らにとって敵とは得難きものであったのかもしれない。
力があったとしても、振るう機会がないのならば持っていないのと同じであったからだ。
『黒影、わかっているとは思うけど彼らは黒影より遥かに強いわよ』
黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)の頭の中で『教導虫』がささやく。それは事実であったし、兵庫もまたうなずくところであった。
彼らは強い。
キャバリアを用いた戦闘においては、猟兵と互角かそれ以上。
「はい! せんせー! キャバリアの操作技術は天地ほど差があると自覚しています!」
兵庫は闘技場の中に未だ『ロクシアス』たちがとどまっているのが気になっていた。
彼らがその気ならば、闘技場の外に出れたはずだ。
「……そうか」
そうなのかと、兵庫は理解しただろう。
彼らは此処しか知らないのだ。戦う場所を。戦うために生み出されたからこそ、戦うためにだけに作り出されたモノであるからこそ。
此処しか戦いの場を知らない。
『なら籠もりなさい。今あなたが操縦している要塞蠍は未熟な貴方を守る殻よ』
『教導虫』の言葉は事実であった。
未だ熟せず。されど、大器というのは晩成であるものである。大きな器であればあるほどに、完結を見るのは遥か遠き未来となるだろう。
だからこそ、守るものが必要なのだ。
「敵は……守りを固める? この期に及んで?」
頭部を失った『ロクシアス』の『フィーアツェン』は訝しむ。
兵庫の駆る『要塞蠍』が何故、防御モードのごとく武装である鋏と尾を使って丸まったのかを理解出来なかったようである。
さらに蜂蜜色のオーラが機体を包み込めば、さらに強固なものと成る。
「動かない……なら、撃ち抜くしかない」
『フィーアツェン』を含む四機の『ロクシアス』がプラズマライフルを打ち込む。だが、『要塞蠍』は、その強固な装甲故に一撃を弾き続ける。
周囲を高速で飛ぶように疾駆する機体。
「『要塞蠍』の守りは堅牢です! でも反撃しないとジリ損です! せんせー!」
『忘れたの? こういう時のために教えた技があったでしょ?』
「そうでした!」
掃除をするにはこれが一番だと教わったユーベルコードがある。
兵庫の瞳がユーベルコードに輝く。
それは『要塞蠍』より放たれるオーラの矢。
「これは……さっきの敵と同じ……!」
一度見た戦術。アンサーヒューマンである彼らは瞬時に思考する。兵庫の前に放たれた似たようなユーベルコードがあったのだ。
けれど、それは目潰しであった。
だから彼らは再び防御の体勢を取る。けれど、それは閃光防御、という意味だった。目潰しを恐れるあまりに彼らは見誤ったのだ。
「何を勘違いしているんだかわからないけど! これは!」
全方位に放たれたのはオーラの矢。
それは『ロクシアス』たちの装甲に突き立てられると弾けるようにして爆発する。
「きれいさっぱり消してやるぜ!」
無差別攻撃。
それは『要塞蠍』には通用しない。そう、防御を重ねているが故に。そして、アンサーヒューマンたちは、一度見たからこそ警戒したのだ。
その警戒は経験の差によって誤認を引き起こした。
目潰しだと。他の猟兵たちの攻勢と兵庫のユーベルコードが上手く噛み合った結果、『ロクシアス』たちは四機ともさらなる損傷を受けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ガイ・レックウ
【SPD】で判定
『瞬間思考で俺の回避運動を読むのなら……それすら計算に入れるまで!!』
【戦闘知識】で相手の特性を見極めて【オーラ防御】を纏い、【残像】を織り交ぜ、回避運動を読ませたうえでそれに【フェイント】でわずかなブレを組み込んで被弾を抑えるぜ。
『平穏を勝ち取るために流れた血があるのなら俺はその血すら背負っていくまで!!』
ブレードでの【鎧砕き】や電磁機関砲の【制圧射撃】にもフェイントを組み込み、戦士としての経験で対処する。そして、ユーベルコード【突撃機甲戦術『天嵐・改』】を発動、リミッターを解除した攻撃を叩き込んでやるぜ!
「敵の攻勢はユニークだね。僕らが知らない攻撃ばかりだ。工夫してきていると言ってもいい」
アンサーヒューマン『エルフ』はコクピットの中で静かに言葉を紡ぐ。
確かに彼らは強大な力を持っている。
瞬間思考によって先読みする力も持っている。そして、駆る神機たる『ロクシアス』の性能も相当なものである。
だが、彼らは未だ経験が浅い。
戦うという点においてのみ、その経験のおいてのみ猟兵たちが凌駕している。
「瞬間思考か……こちらの動きを読む……なら!」
それすら計算に入れるまでだとガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)は戦場を『コスモスターインパルス』と共に駆け抜ける。
戦いの経験が物を言うのならば、それを凌駕するのがアンサーヒューマンたちである。
経験だけでは戦いに勝利できない。
技量だけでも同様だ。
かと言って、機体性能だけで勝つことができるほど、生き残ることができるほど戦場は甘いものではない。
全てが揃っていなければならない。
だからこそ、ガイは走る。
オーラの防御はおそらく意味をなさない。放たれるプラズマライフルは先読みの力を加味しても、こちらの予想を上回ってくる。
残像を織り交ぜても。
「フェイントだとわかっている。残像を生み出すのは、癖のようなものですね」
『ツヴェルフ』が冷静にガイの動きを読み切っている。
だが、ただフェイントを機動に組み込んでいるのではない。そう、回避運動を読ませた上で、フェイントを囮に挙動のブレを生み出しているのだ。
「……段々と当たらなくなってきてる」
『フィーアツェン』が呻く。頭部を失っているからではない。こちらの狙いを躱されていると理解する。
「平穏を勝ち取るために流れた血があるのなら、俺はその血すら背負っていくまで!!」
『コスモスターインパルス』に備えられた電磁機関砲の弾丸がばら撒かれる。
それすらもフェイント。
幾重にも積み重ねていく。
アンサーヒューマンたちの技量が己よりも上であることはわかっている。ならば、洗浄における生死を分かつのはどれだけのものを積み重ねることができたかだ。
それは経験であったり、それ以外のものであったりもするだろう。
「流されるのが血なら、その血に意味はあるのかな。自分の血だよ。流れるのは。そして、自分のためではない血が流れるのを厭うのなら」
『ロクシアス』が迫る。
凄まじい速度で踏み込んでくる。
プラズマライフルの銃口が己に向けられている。
直撃すると理解できてしまう。
それが経験だった。そして、その経験を持つからこそ、乗り越える事ができる。
「システム・ヴァジュラ…起動!!全力全開!とっておきの戦術パターンだ。くらっていきな!!」
突撃機甲戦術『天嵐・改』(トツゲキキコウセンジュツ・テンランアラタメ)。
リミッター解除された機体の性能が跳ね上がる。
放たれたプラズマライフルの弾丸を躱しながら、交錯するように『コスモスターインパルス』が飛ぶ。
闘技場の天井を蹴るようにして、反転し『ロクシアス』に迫る。
リミッター解除されているからこその挙動。
それはコクピットの中にいるガイの肉体に相当な負荷を掛けることだろう。胃より逆流するものがある。
だが、それを呑みこんでガイは『コスモスタインパルス』と共に『ロクシアス』の背後を取る。
援護するように放たれる『ロクシアス』の一撃を身を捩るようにして躱しながら、ガイは咆哮する。
「今更止められると思うな!」
キャバリアソードの一撃が『ロクシアス』背面を切り裂く。
浅い、と理解する。だが、それでも背面のユニットを切り裂いた。一騎の速度を奪った『コスモスターインパルス』はリミッター解除の反動で動きが鈍る。
だが、己の意地をガイは示したのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
アルカ・スィエラ
突入後、そのままアルカレクス・ドラグソリスへと融合合身するわ
|アルカレクス《今の私》なら|スケイル《偏向装甲》やバリアもある。けど恐らくそれにも対応される…だったら!
回避は捨て、最小限の防性フィールドで致命打だけは防いで出力全開での【Gプレッシャー】を!
敵機体の体勢を崩し、同時にエナジーフィールドによる拘束力場を展開、僅かでも動きを妨害しそのまま追撃のGプレッシャー2,3撃目を叩き込んで……まだよ!動かせるドラグカプトを全展開!
近くの機体に噛みつきを、それ以外にエネルギーブレスを浴びせる!
今のあなた達にとってはその機体と戦いだけが己の知る全てなのかもしれない
それでも私は、その機体を破壊するわ
キャバリア『プロトミレス』が闘技場に突入すると同時に背後に転移してきた機竜と融合する。
その姿は巨大なスーパーロボットそのもの。
コアとして『プロトミレス』が合体することによって得られる力は多重に張り巡らされた鱗――|スケイル《偏向装甲》、そしてバリア。
頑強そのものたる『アルカレクス・ドラグソリス』。
「今の私なら……!」
アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は猟兵たちの攻勢を受けて尚、未だ一騎も欠けることのない『ロクシアス』を見やる。
四機の『ロクシアス』。
一人ひとりが猟兵と同等かそれ以上の技量を持っている。こと『キャバリア戦闘』においては、アルカたちを凌駕している。それが四機。
一対一に持ち込んでも、勝てるかどうか危うい。
「強い……。強いね。わかるよ。その力」
背面ユニットを破壊された『ロクシアス』、その中で『エルフ』と呼ばれたアンサーヒューマンがうなずく。
「存在していることに喜んでいる。どうして喜んでいるの……?」
『フィーアツェン』の機体も頭部は喪われている。
五体満足な機体は『ツヴェルフ』と呼ばれたアンサーヒューマンの機体だけだった。破損した機体をかばうように『ツヴェルフ』の機体が走る。
放つプラズマライフルの弾丸が『アルカレクス・ドラグソリス』の装甲に捻じ曲げられる。
「偏向装甲。なら」
闘技場の中を凄まじい速度で駆け抜ける『ロクシアス』。
機体性能だけではない。『ツヴェルフ』の技量がアルカを凌駕している。至近距離で打ち込むプラズマライフルの一撃ならば偏向装甲もバリアも貫かれる。
「もう対応してきた……だったら!」
アルカは回避を捨てる。
飛び込んでくる『ロクシアス』を捉えようと腕を伸ばす。
だが、それを躱される。相手はアンサーヒューマンだ。瞬間的な思考で勝てるわけがない。
だが、それは目に見えているモノがあればこそだ。
反応速度が人間離れしていたとしても、それは目に見えるものだけに反応が出来る。ならば、見えぬものをもって捉えればいい。
「エナジーフィールド!」
「……! これは……みえない力場!」
「そう。拘束力場展開ッ! 対象設定、フィールド構築、重力制御開始……!押しつぶしなさい」
『アルカレクス・ドラグソリス』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。
エナジーフィールドによる拘束。
さらにユーベルコード、 Gプレッシャー(グラビティプレッシャー)。だが、それだけでは『ロクシアス』は止まらない。
「一撃で止まらないなら、二撃、三撃!!」
重力の力場が『ロクシアス』の機体を軋ませる。内部フレームが歪んでいく。背面ユニットがひしゃげていく。
「それでまだ動く!」
「まだよ! ドラグカプト!!」
四つ首の竜の如き装甲が走り、『ロクシアス』の機体へと掴みかかる。それを『ロクシアス』は切り払う。
跳ね上がる首。
「今のあなた達にとってはその機体と戦いが己の知る全てなのかもしれない」
「そのとおりです。私達は戦うために存在している。そうあるべきと言われたし、そうであるべきだと私達も思っています。だから」
戦うのだ。
理由など無くとも。目の前に敵がいるのならば闘うのだと『ツヴェルフ』が言う。
「それでも私は、その機体を破壊するわ」
切り払われたドラグカプトの顎が開く。
そこにあったのはエネルギーブレスの一撃。
幾重にも積み重ねた攻防。その最期の一撃が『ツヴェルフ』の『ロクシアス』を咆哮の元に沈ませる――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステラさんと】
なんだかゴーレムっぽいのでてきましたけど、
ステラさん、あれもセラフィムっていうのの仲間ですか?
匂いが違う? そうなんですね。
そしてさすがステラさん、子供もやべーんですねって、
産むのはメイドのお仕事なのでしょうか?
っと、
おっきい相手は足が弱点っていうのがセオリーですし、
【ベーゼンドルファー】でつま先狙って行きます!
これぞ対大型作戦『ピアノにゴン!』です!
つま先の痛みに動きが止まったところを、
ステラさんの子に攻撃してもらいましょう。
無茶も過ぎる?
たぶんだいじょぶですよ。『勇者ルクスちゃん』がいけるって言ってましたから!
それでダメなら【Canon】を……翔べなくなるからダメですか?
ステラ・タタリクス
【ルクス様と】
あの機体からは|エイル様《主人様》の匂いがしませんねぇ
セラフィムとは関係ないのでは?
でもあの子たちは私の子供になっていたかもしれない者たち……
誰がやべーメイドですか
ちゃんと自分で生みますからご安心を!
それはともかく
あの機体たちを止めます!
エイル様の因子がこんな悲しいことに使われてたまるもんですか!
ルクス様を下ろして私はフォル(鳥型キャバリア)と空へ
低空飛行で問題ありません
ルクス様の作る隙を狙って
フォル!
【アン・ナンジュ・パス】で押し通りますよ!
好きに生きる……それを決めるには貴方たちは生きた時間が短すぎる
エイル様の因子を持つからこそ
キャバリアに頼らない生き方を知ってください
ついに『アンサーヒューマン部隊』の一角が崩れた。
四機の『ロクシアス』の内、一騎は重力に押しつぶされるようにして機体を瓦解させる。『ツヴェルフ』と呼ばれたアンサーヒューマンの機体。
味方がやられた。
その事実は『アンサーヒューマン部隊』を同様させ……はしなかった。
彼らは冷静であった。
「『ツヴェルフ』がやられた。でも、まだ敵は残ってる」
「うん、倒さないと。敵を倒さないと」
「来るぞ、一騎……!」
『エルフ』、『ドライツェーン』、『フィーアツェン』の駆る三機が戦場を駆け抜ける。
闘技場という囲われた戦場。
本来であれば彼らの能力を十全に活かすには囲われていない場所のほうが好ましい。この『フォン・リィゥ共和国』にあってはいくらでもあったことだろう。
だが、彼らは闘技場を選んだ。
それは彼らがここしかしらないからだ。闘う場所。戦場を、ここしかしらないがゆえに敵をう迎え撃つ以上、此処でなければならなかったのだ。
「なんかゴーレムっぽいのでてきましたけど、ステラさん、あれも『セラフィム』っていうのの仲間ですか?」
「あの機体からは|『エイル』様《主人様》の匂いがしませんねぇ」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の言葉に、あ、やっぱりい匂いで判別してるんだぁ、と今更ながらに思った。
「関係ないのでは?」
「匂いが違う? そうなんですね」
ふーん、とルクスはよくわからないものを見るように闘技場を走る三機の『ロクシアス』を見やる。
機体の状況はどれもよくはない。五体満足な機体がいないのは猟兵たちの攻勢を受けているからだろう。
だが、猟兵たちの攻撃を幾度も受けて尚、あの程度の損傷で済んでいる事自体が以上事態なのである。
「でもあの子たちは私の子供になっていたかもしれない者たち……」
ステラは『フォルティス・フォルトゥーナ』の複座コクピットの中でうなずく。したり顔というか、後方妻面というか。
初見では一体全体どういうことなのと思わざるを得ないことを彼女は口走っていた。
「流石ステラさん、子供やべーんですねって、産むのはメイドのお仕事なのでしょうか?」
それって奥さんのしごとじゃないんです?
「誰がやべーメイドですか。ちゃんと自分で産みますからご安心を!」
「っと、おっきい相手は足が弱点っていうのがセオリーですし、対大型作戦『ピアノにゴン!』です!」
微妙に噛み合ってない会話。
副座式の機体に乗り込んでいるからコンビネーションはバッチリかと思えば、そうでもないのである。
「その作戦はともかく、あの機体たちを止めます!『エイル』様の因子がこんな悲しいことに使われてたまるもんですか!」
じゃあ、はい降りて、とルクスを下ろす。
ルクスは巨大なグランドピアノを抱えて、ばっちりおまかせ! とばかりに闘技場の中を走り抜けていく。
「……? 機体から降りた……どういうこと?」
「関係ないよ。敵は倒す。それだけだ」
『ロクシアス』のプラズマライフルの銃口が鳥型キャバリアである『フォルティス・フォルトゥーナ』へと向けられる。
だが、低空飛行で空を飛ぶ機体は、プラズマライフルの一撃を躱す。
「ルクス様の作る隙を狙って……」
「っていうか、これ怖いですね!? おっきい! おっきい敵ですよ!?」
無茶がすぎる。
だが、大丈夫である。
勇者の特権(ユウシャノトッケン)。それはルクスに許されたもの。
非常識なことをささやく『勇者ルクスちゃん』がいけるっていったから行けるのである。行けるかな? 行けないかな? どっちなんだい! とルクスはまさに破れかぶれのように『ロクシアス』の一騎へと走る。
「勇者って、何をしてもだいたい許されますし、成功しますよね」
大体そんなものなのである。
世界の理が彼女に味方するかのようにユーベルコードの輝きを放ち、『ドライツェーン』の機体の脚部のつま先をグランドピアノの一撃が叩く。
それは地面をえぐるほどの衝撃であり、同時に『ロクシアス』の機体を傾がせるには十分であった。
「フォル!」
ステラの言葉と共に空中で急旋回した『フォルティス・フォルトゥーナ』が翼を広げ、そのアイセンサーをユーベルコードに輝かせる。
「好きに生きる……それを決めるには貴方たちは生きた時間が短すぎる。『エイル』様の因子を持つからこそ」
「それしかないって教わったんだ。僕らは。それなのに、それが間違っているというのかい」
「いいえ。間違ってはないのです」
「それ以外の道もあるってこと! わかってほしいんですよ!」
ステラとルクスの言葉が響く。
『エルフ』と呼ばれたアンサーヒューマンの『ロクシアス』は背面ユニットを失っている。
機動力は脚部のローラーのみ。
ならばこそ、ここで止める。『フォルティス・フォルトゥーナ』の急加速突撃の一撃が、羽撃くように響き渡る。
一瞬にあってそれは、たった一撃のように聞こえる連続攻撃。
『エルフ』の『ロクシアス』は、その刹那に四肢を砕かれ闘技場の地面に倒れ伏す。
「キャバリアに頼らない生き方を知ってください。好きに生きるのは、それからでも遅くはないのですよ――」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カシム・ディーン
やれやれ…ロクシアス量産とか正気か?
「人格まではコピーできてないみたいだけどねー☆」
つかふざけた奴らだな…?
戦うだけとか馬鹿じゃねーの?
【情報収集・視力・戦闘知識】
ロクシアスの性能と動きと乗りての能力の把握
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠しつつ水の障壁で熱源や音も隠蔽
UC発動
おめーの予知と
「メルシーの神速機動の権能の勝負だぞ☆」
いやんなもん向こうが上だろ?「えー!?」
まぁ…だからこそのこれだがな?
未来が見えても相手が見えなければどうにもならねーだろうが?
【弾幕・二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み・空中戦・念動力】
念動光弾乱射して蹂躙し飛び回り鎌剣で切り刻み武装強奪!!
四機の『ロクシアス』の内、二機がついにかく座する。
『エルフ』、『ツヴェルフ』。二人のアンサーヒューマンは猟兵の攻勢によって脱落する。だが、それは彼らが脆弱であったという証明にはならない。
彼らは度重なる猟兵たちの攻勢をこれまで躱し続けていたのだから。
「やれやれ……『ロクシアス』量産とか正気か?」
『人格まではコピーできてないみたいだけどねー☆』
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)と『メルクリウス』は闘技場での戦いを見下ろす。
二機に数を減らしたとて、相手は神機の申し子。
その機体性能は言うまでもない。さらにそこにアンサーヒューマンとしての力が加わるのならば、本来手のつけようのない相手である。
「つかふざけた奴らだな……? 戦うだけとか馬鹿じゃねーの?」
カシムにはどうしても理解できなかった。
生きることが出来るのならば、戦いから遠ざかることができたはずだ。それもこんな闘技場という囲いの中で戦うこともないはずだ。
もしも、彼らが闘技場の中ではなく外で戦うことを選んでいたのならば、このような状況にはならなかっただろう。
自由自在に戦場を駆け抜ける機体。
それを御するアンサーヒューマン。自由になった彼らを止める手立てはない。だというのに、彼らは闘技場の中を選んだ。
『其処しか知らないからだろうね☆』
「だからって自分たちで道を狭めていたら意味ねーだろうが」
カシムは機体を隠蔽する。隠す。
まともに戦ってやる気などない。
『メルシーの神機機動と権能の勝負だぞ☆』
「いやんなもんうこうが上だろ?」
『えー!?」
「まあ……だからこそのこれだがな?」
姿を隠した『メルクリウス』を捉えられる者などいない。カシムは機体の熱も、光も全て遮断する。
音も隠蔽されている。
故に忍びよるは鎌剣。
「……来るぞ」
『ドライツェーン』が瞬時に反応する。乱舞する念動光弾。その攻撃は姿みえぬ者から放たれる。
しかし、放つ者がいるのならば、その起点が理解できる。
彼らはアンサーヒューマンだ。一瞬の情報から全てを理解する。刹那の時間さえあれば、彼らはそれに対する対抗策をひねり出してくる。
「『フィーアツェン』!」
「うん……!」
『ロクシアス』が迫る。光弾の乱舞は、たしかに彼らを取り囲んでいる。だが、攻撃の起動がわかるのならば、それに迫ることだって出来るはずなのだ。
「だが、あめーんだよ。加速装置起動…メルクリウス…お前の力を見せてみろ…!」
みえぬ機体。
だが、それ以上に『メルクリウス』にあるのは、神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)。更に三倍にまで速度を上げた超高速起動攻撃。
その斬撃は迫る『フィーアツェン』の機体を切り刻む。
腐食した装甲も、熱線放つプラズマライフルの砲身も全て切り刻んでいく。
「なんもかんもみえてるわけじゃねーんだろ。だから、こんな小手先に騙される」
カシムは『メルクリウス』のコクピットの中で呟く。
放たれる斬撃が『フィーアツェン』の『ロクシアス』を大地に叩きつけた。
土埃が立ち上る。
彼らの機体は限界を超えているだろう。むしろ、ここまでよくも、と思う。
彼らは戦うことしか出来なかった者たちだ。
それしか許されてこなかった。
けれど、生きるということは常に何かを選択すること。彼らが選んだのは戦うこと。けれど、選び直したって構わないのだ。
それが人の生きる道というものなのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
サブリナ・カッツェン
●SPD
|闘技場《コロシアム》に籠城、な
戦うためだけに生み出され、戦うためしか知らねぇ奴らならでは、ってところかい
は、つくづく同情させる話じゃねぇか
『だが、それはそれ。これはこれ…だろ?』
当然だ、|相棒《MK》
オブリビオンマシンで狂っちまってるが、心の底ではどこかそう願ってるに違いねぇ
もしそうなら機体から引き摺り下ろしてやって、遺伝子に束縛されて腐った根性を叩き直してやるぜ!
『だが、流石に最新型なだけはある。機体の反応速度はサブを凌駕しているぞ』
んなもん、知ったこっちゃねぇ
気合と経験でなんとかするんだよ!
『Hühnerspiel』で相手の予測の裏をかいて、至近距離から光弾をぶちかますぞ、MK!
闘技場の地面に叩きつけられる『フィーアツェン』の『ロクシアス』。機体フレームが歪みながら、それでもなお立ち上がってくる。
執念ではない。
それは執念でもなければ、執着ですらなかった。
ただそうであれと言われたから従っているだけに過ぎない。
「戦う……それだけ」
そのつぶやきをサブリナ・カッツェン(ドラ猫トランスポーター・f30248)は聞いただろうか。
いや、聞こえなかったかもしれない。
戦いの音は未だ|闘技場《コロシアム》に響いている。
彼らの戦いは不条理であったのかもしれない。
此処でなくてもよかったはずなのだ。戦うのならば、闘技場という周囲を囲われた場所でなくてもよかったはずなのだ。
いや、彼らの力と機体の性能を活かすのならば、閉塞空間ではなく何処までも広がる外で戦うべきだったのだ。
「だが、そうしなかったのは戦うためだけに生み出され、戦うためしか知らねぇ奴らならではってところかい」
サブリナは『アイリーゼ』と共に闘技場の中に飛び込む。
すでに『アンサーヒューマン部隊』の『ロクシアス』は二機にまで減っている。だが、それでも一騎であっても彼らの戦闘能力は猟兵を凌駕する。
機体状況が芳しくなくとも、変わらぬことであった。
「は、つくづく同情させる話じゃねぇか」
『だが、それはそれ。これはこれ……だろ?」
「当然だ、|相棒《MK》」
サブリナは小型球体のアドバイザーロボットの言葉に応える。
同情はする。共感はする。
けれど、一線は譲れない。戦いとは常にそういうものだ。その戦いの中だけで生きようとするのならば、決着は勝敗だけにすぎない。
だからこそ、サブリナは飛び込む。
オブリビオンマシンによって心を歪められたのだとしても、心の底では何処か願うものがあるはずなのだ。
戦う以外の道を。
戦う以外の選択肢を取りたいと願う心が。
だが、それをさせぬのがオブリビオンマシンであるというのならば。
「縛られているのが遺伝子故にっていうのならさ! 腐った根性を叩き直してやるぜ! そのために運んできたんだからな」
『だが、流石に最新型なだけはある。機体の反応速度はサブを凌駕しているぞ』
それは事実だった。
けれど、構わなかった。
理屈なんか必要ない。本能が告げるのだ。獣の因子故か。それともサブリナという猟兵であるが故か、彼女のサイキックキャバリアは走る。
走り抜ける。
一直線に走り続ける。加速する。
「戦うだけ……だって、私達は、そういう存在だって、言われたんだもの」
『フィーアツェン』の『ロクシアス』のプラズマライフルから放たれる弾丸が己に一直線に迫る『アイリーゼ』を捉える。
だが、加速し続ける機体は、弾丸すら超える。
すれ違いざまに放たれたプラズマライフルの弾丸が装甲を融解させていく。だが、構わない。
『機体装甲の剥離を確認。これ以上は』
「んなもん、知ったこっちゃねぇ! 気合と経験でなんとかするんだよ!」
輝く瞳はユーベルコード。
それはチキンレースそのものであった。激突するほどの速度で迫る『アイリーゼ』に『フィーアツェン』は理解できなかった。
自滅覚悟のような特攻。
そのように彼女は理解しただろう。けれど、サブリナの機体は激突直前に直角に、それこそかかる肉体への負荷を無視するように直上に飛ぶ。
「へっ、最後の最後にビビったもんが負けるって話だろうがよ! かませよ、『MK』!」
放つ光弾の一撃が『ロクシアス』の肩部を貫き、アンダーフレームまでを吹き飛ばした――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
フッフッフッ!
[ドリルボール]くんの真の姿を見せるときが来たようだね
天を衝くなんとかかんとかでドリル変型の!!
『――――――――』
え、そういう機能は無い?そっかー
●ぶおんぶおん
UC『暴風の化身』を使用!
コロシアムステージを覆う嵐となって装甲をガリガリ削っていこう!
これなら心を読んでも関係無いね!ってやつだね
砂塵をさらにまきあげて視界も塞ぎ
そしてそのなかを[ドリルボール]くんたちに無軌道に跳ねまわってもらおう!
ピンボールってゲームは知ってる?
そんな感じだよ!さあ楽しんで!
思考を制限するために情報を制限し、さらにランダム性によって攻める!
これぞ名付けて…雑攻め戦法だよ!!
「フッフッフッ!」
その声は闘技場の地下から響いてきていた。
何を、と『アンサーヒューマン部隊』の『ドライツェーン』と『フィーアツェン』は思った。
機体の状況は良くない。
四機いた『ロクシアス』はすでに二機は猟兵によって倒された。
けれど、彼らはまだ戦うことをやめない。
「『ドリルボール』くんの真の姿を見せる時がきたようだね。天を衝くなんとかなんとかでドリル変形の!!」
そんな機能はない。
そういう様に、ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)を乗せた球体がの掘削機構が歯ぎしりするように答えた。
「ビューっと吹いてバーッと過ぎ去るものってなーんだ?」
ロニは笑いながら問いかける。
彼の瞳はユーベルコードに輝いていた。
「……どういう?」
「わからないが。だが、我等の敵であることは間違いない」
『フィーアツェン』と『ドライツェーン』は冷静だった。
まだ戦うことをやめようとしない。大勢は決したと言ってもいい。けれど、彼らは戦うことをやめない。
戦うために生み出されたからだ。
そのために存在していると言っていいからだ。
「正解は、暴風の化身(ゴッドウィンド)でしたー!」
肉体を変貌させる。
肉を殺ぎ骨を削り有形無形を粉砕する神砂嵐へと変じたロニは、戦場たる闘技場を席巻する。
アンサーヒューマンがこちらの思考を読み解き、攻撃を躱して来るというのならば、人ならざるものになればいい。
心を読まれても意味のない存在に成ればいい。
すなわち、暴風。
「……風……こんなに強く此処で風が吹いている……」
「来るぞ……!」
さらに暴風の中に飛ぶのは球体達。
表面に掘削機構を備えた球体たちがまるでピンボールのように跳ね回るのだ。
「ピンボールってゲームは知ってる? 知らない? そっかーでもそんな感じだよ! さあ、楽しんで!」
ロニの言葉を彼らは理解しなかっただろう。
彼らが理解できたのは、この暴風の中で跳ね回る球体を躱しながら、砂嵐の暴威を切り裂くことだけであった。
プラズマライフルの弾丸が風を切り裂く。
「ダメダメ。風に打ち込んだって手応えなんてないでしょ!」
ロニは笑う。
風を切り裂いた所で、風が死ぬことはない。
故に、ロニは笑うのだ。それは詮無きことなのだと。
だからこそ、ロニは名付けた戦法を高らかに言うのだ。
「これぞ雑攻め戦法だよ!!」
闘技場はピンボールの盤面。『ロクシアス』は謂わば、打ち付けられた釘。
本来のピンボールと違うのは、釘たる『ロクシアス』すら削り取る球体が跳ね回るということ。
そして、立体的に迫っているということ。
闘技場しか戦場を知らぬ彼らにとって、此処だけだったのだ。此処しか知らなかったのだ。
「世界を見てみなよ。空はもっと高いし、もっと広いんだよ――」
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
ふうん、そーゆー生き方選ぶんだ?
折角好きに生きていいって言われたのに??
つまんない考えしてるんじゃないよ
好きに生きるってのはさあ、出鱈目に無茶苦茶に思うままに生きるって事を教えて上げよう!
●
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
バイクは破棄、【剣技・嵐狼剣】起動
白狼に騎乗して攻撃を仕掛けよう
敵のプラズマライフルは『オーラ防御』で作った盾で減衰させ、後は『武器受け』して耐える
『斬撃波』を飛ばしながら牽制し、相手が近付いて来たタイミングで白狼に飛びかからせる!
闘技場内なら、そこまで高く飛べないっしょ!
高度が足りなかったら白狼を足場に更に跳躍
両剣で『串刺し』にしてダメージを与えよ
砂嵐の中に『ロクシアス』の機体が消えていく。
『ドライツェーン』の『ロクシアス』はオーバーフレームこそ残っていたが、アンダーフレームを失っていた。
もはやどうにもならぬと彼は思っただろうし、アンサーヒューマンであるがゆえの瞬間思考で答を示す。
そう、キャバリアという兵器は、上半身たるオーバーフレームと下半身たるアンダーフレームによってコクピットブロックを挟み込む。
すなわち、アンダーフレームを失い、機動性を失った自身の機体を犠牲にするようにオーバーフレームを射出しながら、砂嵐の中に消えていく。
「……戦い続けるしかないのなら!」
「……わかってる。わかっているよ。その言葉。その意味。私は、私達は、この生き方を選んだんだ」
『フィーアツェン』の機体はオーバーフレームを失っていた。だが、『ドライツェーン』から放たれたオーバーフレームを受け取り、完全なる一騎の『ロクシアス』へと変貌を遂げる。
すでに三機の『ロクシアス』は沈黙した。
残るは『フィーアツェン』の機体だけだ。だが、その一騎だけでも猟兵と互角以上の力を有する。
「ナンバリングに意味があるとしたら、私は、一番最後……なら、最も性能が高いもの。だから、戦う……!」
「ふうん、そーゆー生き方選んぶんだ?」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は高速で迫る『ロクシアス』から放たれるプラズマライフルの一撃を受けながしながら、特殊バイクを蹴って飛び立つ。
抜き払うのは二振りの模造神器。
蒼き刀身が煌めきながら、プラズマライフルの一撃を切り裂く。
「折角好きに生きていいって言われたのに?」
「これしか私達にはないから。戦うために。戦うだけが私達にできることだから」
「つまんない考えしてるんじゃないよ」
プラズマの弾丸と蒼き刀身がエネルギーの奔流を迸らせる。敵は生身だ。だが、玲の瞳はユーベルコードに輝く。
雷鳴のように轟く。
いや、それは咆哮。轟くのは遠吠え。
ユーベルコードの輝きから飛び出すのは、蒼き風を纏う白狼。玲は白狼の背に乗り戦場を疾駆する。
「好きに生きるってのはさあ――」
打ち込まれるプラズマライフルの弾丸。
敵は万全。キャバリアの戦術兵器としての有用性を嫌というほど見せつけられながらも、玲は迫るプラズマライフルの弾丸をオーラで受け止め、さらに模造神器で切り払う。
斬撃波は牽制にもなりはしない。
凄まじい速度で戦場を駆け抜ける『ロクシアス』。
圧倒的な性能は言うまでもない。
闘技場の地面を斬りつけるようにしながら『ロクシアス』が迫る。速い。あれがアンサーヒューマンの、『エイル因子』を持つ者の技量。
たとえ、相手が生身単身であったとしても、超常たる存在に対して如何に戦うかの答をすでに『フィーアツェン』は理解している。
「牽制なんて……無駄」
プラズマライフルの弾丸は、玲のすぐ傍に打ち込まれる。
彼女を狙ったのではない。弾丸が巻き起こす地面の破片。それによって玲と白狼を吹き飛ばす。
切り払われるのならば、全方位に放たれる衝撃波で玲を封殺しようとしていた。
白狼の速度が落ちた瞬間、『ロクシアス』が突っ込んでくる。
スピードが小回りの速度を上回った瞬間を逃さず、的確に攻め込んでくる。
「……さっきの話の続きなんだけど! 好きに生きていいって言われたんでしょ! なら、出鱈目に無茶苦茶に思うままに生きるってこと!」
『ロクシアス』が急制動を掛ける。
読まれた、と玲は理解する。敵はこちらの予測を超えてくる。そして、こちらの行動を先読みして、急制動を掛けて、誘発した突進を回避したのだ。
「なら……!」
この闘技場という囲われた戦場にあっては『ロクシアス』の機動性は十全に発揮できない。
天はさらに低く覆われているのだ。ならばこそ、急制動の後の行動は理解できる。後退には肉体的な負荷が大きく。
そして、前身は敵の誘いに乗るということ。
ならば、後に残るのは上だ。跳躍。『ロクシアス』の跳躍に合わせて玲は白狼と共に飛ぶ。
「だって、戦う以外教えてもらってない」
プラズマライフルの銃口が玲を捉える。
足りない。跳躍が足りない。
白狼が咆哮する。瞬間、玲は白狼すら足場にして飛ぶ。
「まずは自分で知るってところから覚えてもらおうかな! 見せてあげるよ再誕と還り着く力!」
振るう模造神器の刀身が励起する。
輝き放つ刀身は、彼女の力の一端。振るわれる一撃がプラズマライフルの銃身を切り裂きながら、その両刀でもって『ロクシアス』のオーバーフレームを切り裂き、さらに嵐のような斬撃で持ってアンダーフレームの脚部を切り裂く。
その斬撃は闘技場の天井を崩落させる
「空はこんなにも高く広いんだよ」
自由とはすなわち囲われた中のことである。
だが、世界は自由という言葉すら狭いものにする。どこまでも続くかのような空。
アンサーヒューマンたちは見ただろう。
崩落した天井の先に広がる蒼空を――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『創鋼神機『ゴヴァノン』』
|
POW : 量産型神機『タロース』
自身の【溜め込んだ金属 】を代償に、1〜12体の【無人キャバリアの量産型神機『タロース』】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
SPD : 対神機撃滅機構『炎の神』
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【レベル×10万℃の高熱を纏った拳 】から【超連続拳撃】を放つ。
WIZ : BSフレイムランチャー『神炎』
【万物を焼き尽くす神炎 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【己以外を燃やし溶かす灼熱の地に変えて】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「テラ・ウィンディア」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
崩落した闘技場の天井。
そこに広がるのは蒼空。どこまでも続いているかのような光景にアンサーヒューマンたちは身震いするようだった。
知らないものばかりだった。
未知が彼らの前に横たわっていた。
好きに生きていい。
そう言われても、彼らには理解できなかったのだ。戦うためだけに作られた生命。だからこそ、戦うだけでよかったのだ。
けれど、前には広がっているのだ。
どう生きるかも記されていない白紙の切符が手元にある。それは恐れと高揚をもたらす。どんな道を歩んでもいい。どんな歩幅でもいい。どんな足跡を刻んでもいい。
いつだって轍は、自分たちの前にはない。
だが、それを否定するように飛び込んでくる機体があった。
創鋼神機『ゴヴァノン』。
その機体は、炎を纏いながら咆哮する。
「――」
アンサーヒューマンたちは、それを見て理解した。
あの中にあるのは己達とは全く違うモノであると。『エイル因子』が理解する。自分たちと同じですらない。
あそこにあるのは、あの神機の中にあるのは。
「知らない……何、あれ」
「人が、乗っていない。僕らではない。誰だ、あれは」
吐き気すら催す、恐怖がアンサーヒューマンたちを闘技場に立ち竦ませる。
恐ろしいと初めて彼らは感情を理解した。あれは――。
「悪魔だ」
神機は咆哮する。アンサーヒューマンたちを睥睨し、侮蔑するように見下す。
かの神機の中、コクピットブロックにあるのは蠢くような脳をかたどったかのような機械だけが存在していた。
それは『フュンフ・エイル』の戦闘データ、そのコピー。
どこから流れてきたのかはわからない。
過去の化身たるオブリビオンマシンに搭載されている以上、それは過去。
かつて『救世主』とも『悪魔』とも呼ばれた『ハイランダー・ナイン』随一。その戦略を凌駕する戦術の塊が猟兵たちを睨む。
「――」
みなぎる力。
しかし、猟兵達は理解するだろう。
チグハグだと。
あれは確かに圧倒的な性能を持っているオブリビオンマシンだ。だが、神機そのものに意志が宿り、コクピットブロックに『フュンフ・エイル』のデータが埋め込まれているというのならば、データに神機の反応が追いついていない。
だから、僅かに挙動に硬直が見える。
それでも脅威であることに変わりはない。
終わらぬ伝説はない。
過去に戻ることはできはしない。
だからこそ、人は囚われてはならない。『フュンフ・エイル』のデータと言えど過去。戦って打倒できぬのならば、今此処で世界が終わるだけだ――。
村崎・ゆかり
アンサーヒューマン達を歪ませた親玉の登場ってわけね。
これを沈めれば、この国もひとまず落ち着く。きっちり片づけるわ。
彼らの分も憤懣も叩き付けてあげる。だからあなたたちは下がってなさい。
『迦利』を「式神使い」で精密操作。「レーザー射撃」の「弾幕」「制圧射撃」で量産機を足止めして。エッジラムで特攻撃破も狙って。
火炎攻撃は耐性ありそうね。それなら、雷撃で仕留めましょう。
あたしは「オーラ防御」を張りつつ、「全力魔法」で雷の「属性攻撃」「仙術」「道術」で九天応元雷声普化天尊玉秘宝経で落雷を叩き付ける。
一度で効かないなら、何度でも!
念のため、「火炎耐性」と「地形耐性」の符も用意しておきましょう。
創鋼神機『ゴヴァノン』はゆっくりと踏み出す。
闘技場の天蓋は吹き飛んでいる。青空の元に立ち上るのは炎。かの神機がもたらす力は創世の炎。
溜め込まれた金属によって生み出されたのは無人神機『タロース』。
かつて、『グリプ5』の前身である『憂国学徒兵』の『フュンフ・エイル』が駆ったキャバリア『熾盛』は6つの変遷を遂げている。
AからFに繋がる型。
『ゴヴァノン』が示す特製は、そのうちの三つ。すなわちB(ブラスター)型、C(クリッパー)型、D(ディレクション)型。
一騎で多数の機体を制御するD型の力を発露する『ゴヴァノン』。
無数の無人機たちが一斉に戦場にあふれる。
「アンサーヒューマンたちを歪ませた親玉の登場ってわけね」
村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は同じく無人機であるキャバリア『迦利』を手繰り、闘技場の空に走らせる。
「これを沈めれば、この国もひとまず落ち着く。きっちり片付けるわ」
だから、とゆかりはアンサーヒューマンたちに告げる。
彼らの立ちすくむ姿を見れば解る。
すでにオブリビオンマシンから解き放たれた彼らは自由だ。だからこそ、それを守らなければならない。
迫る『ターロス』たちを前にゆかりは、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
オーラの力を放ちながらゆかりは、操作する『迦利』と共に戦場に飛び出す。
「――」
『ゴヴァノン』は語らない。
かの神機の意志とコクピットブロックに埋め込まれた戦闘データが相反する。『フュンフ・エイル』の戦闘データは猟兵を正しく認識している。
どう戦わねければならないのかを判断している。
すなわち、単騎で迫る者を制圧することである。だが、神機は異なる。数で圧殺しようとしている。
生み出された無人機『ターロス』がそれを示している。
神機『ゴヴァノン』は猟兵に近づこうとしない。なぜなら、猟兵という存在を知っているからだ。
滅ぼされるか滅ぼすしかない間柄。
だからこそ、確実な手を取る。
己の身を守りながら、圧殺するには『ターロス』によって押しつぶすのが最も効率が良いと判断したのだ。
「動きが、判断が遅い!」
空を舞う『迦利』がレーザー射撃によって『ターロス』を撃ち抜いていく。
弾幕の射撃をもって足止めされる『ターロス』。狙うのは『ゴヴァノン』本体。エッジラムが『ゴヴァノン』の頭上に降り落ちる。
雷鳴のように落ちるエッジラムの一撃を『ゴヴァノン』は躱す。
巻き起こる土埃。
躱される。やはりあの『ゴヴァノン』の中にある戦闘データは本物だ。レーザー射撃にによる弾幕で目潰ししても、直上という死角を突いても一撃を躱す。
「『ハイランダー・ナイン』の一人……最も恐れられた『悪魔』、『救世主』、『エース』……!」
けれど、ゆかりは恐れない。
どれだけ百年前の戦争の折に恐れを振りまいた存在の映し身だとしても、彼女が恐れる理由はない。
煌めくユーベルコードの輝き。
放つ雷撃の一撃。
エッジラムの一撃は布石。放つは周囲の視界を阻害するほどの強烈な落雷。
打ち込まれた雷撃は『ゴヴァノン』を打つだろう。
光の速さで落ちる雷撃を躱す術などない。
「――」
「……これでもまだ……! 一度で効かないなら、何度でも!」
放つ雷撃。
落ち続ける。轟音が満ちていく。止まらない。止められない。闘技場を破壊し尽くす一撃。周辺の地形さえ変えていきながら、ゆかりの雷撃は『ゴヴァノン』を捉え続ける。
迸る力は、神機たる『ゴヴァノン』を押し留め続ける――。
大成功
🔵🔵🔵
ガイ・レックウ
【POW】で判定
『てめぇを倒して…超えていく…それが未来へつながるのなら!!』
【オーラ防御】を多層にまとい、【フェイント】と【残像】を織り交ぜて突撃。
電磁機関砲での【制圧射撃】とブレードでの【鎧砕き】で攻撃しつつ、距離を詰めるぜ!!
相手の攻撃に対処しつつ、ユーベルコード【獄・紅蓮開放『ヴリトラ・ファンタズム』】を発動、すべてを焼き尽くすぜ!!
雷の轟音が半壊した闘技場に響き渡る。
無人機『ターロス』を生み出し、雷撃を防いでいた創鋼神機『ゴヴァノン』は理解する。
己のコクピットブロックに備えられた戦闘データの集約。
『フュンフ・エイル』の戦闘データは、己とすこぶる相性が悪い存在であると。確かに『フュンフ・エイル』の技量は凄まじい。
ディレクション型と呼ばれる嘗てのキャバリア『熾盛』の装備と類似するものがあれど、決定的であったのは、神機の意志と『フュンフ・エイル』のデータの猟兵に対するスタンスの違い。
「――」
数で圧殺する。
それは安全策だ。猟兵に近づけば、どのように戦況をひっくり返されるかわからない。
だからこそ、『ゴヴァノン』は壁たる『ターロス』を生み出し、さらに数という利でもって猟兵を圧殺しようとしているのだ。
「齟齬がでているようだな……まったく考えることが雑だぜ、オブリビオンマシン!」
それは最強と最強をかけ合わせれば不敗たる存在が生まれると考える程に愚かしきものであった。
世界の理は、全てが影響しあっている。
生み出されるものを知らず、さりとて知ろうともしない。
オブリビオンマシンの敗北があるのだとすれば、それは知ろうとしなかったことになる。
「てめぇを倒して……」
ガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)は『コスモスターインパルス』と共に戦場を駆け抜ける。
迫る無人機『ターロス』を電磁機関砲の制圧射撃で押し留めながら、キャバリアブレードの斬撃で切り捨てていく。
『ゴヴァノン』に溜め込まれた金属によって無人機が生み出されているのならば、それも有限である。
敵を倒せば倒すほどに『ゴヴァノン』は消耗していく。
たとえ、神機の中に嘗ての『ハイランダー・ナイン』、『フュンフ・エイル』の戦闘データがあるのだとしても関係ない。
「超えていく……それが未来へ繋がるのなら!!」
恐れることはないのだという。
過去は過去。
永遠の如き停滞を手に入れる代償に成長を失う。
どれだけ化け物じみた技量を持つものがいたのだとしても、それを凌駕する才能が次々と生まれていくのが世界というものだ。
ユーベルコードに輝く瞳が見据える。
迫る『ターロス』を切り捨て、また組み付かれながらも吹き飛ばす。
手にしたブレードより噴出するのは炎竜の魂たる獄炎。
「我が刀に封じられし、獄炎竜の魂よ!!荒ぶる紅蓮の炎となりて、すべてを灰燼と化せ!!」
獄・紅蓮開放『ヴリトラ・ファンタズム』(ゴク・グレンカイホウ・ヴリトラ・ファンタズム)は全てを焼き尽くす。
裂帛の気合と共に放たれた斬撃は9つの首を持つ竜を模した獄炎。
放つ一撃が『ターロス』を飲み込みながら『ゴヴァノン』に迫る。躱されるだろう。わかっている。
だが、ただ一撃で終わるわけがない。
振るった斬撃のまま、切り払うように斬撃が横に振るわれる。薙ぎ払う。全てを。ただその一念を籠めたガイの一撃が『ゴヴァノン』を捉える。
獄炎は消えない。
装甲を焼きながら、それでもなお燃えることをやめない。炎に包まれる神機。
「――」
「お前たちがもたらす未来が破滅しかないのだとすれば、人はそんな炎の破滅すら恐れずに進むだろう」
恐れを克服すること。
それが人と他を分かつものである。
本能ではなく、理性でもって。
理性を以って、恐怖を飲み込むように。
人は破滅に向かうのだとしても、それでもなお、その一歩を踏み出さずにはいられない存在であると示すように、ガイは踏み込み、獄炎の斬撃を叩き込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
神、悪魔、救世主、なんだろうがどうだっていい!
敵だ!ならば壊せ!!
ディスポーザブル01操縦、レーザー射撃!
【継戦能力】01で炎を受け止める。
避ければアンサーヒューマンに累が及ぶ。故に、正面から!壊す!!
……!!!
『晦冥亡主』発動。
溶解する01ごとユミルの子化。巨大翼で神炎を受け止め、
【呪詛】一切を崩壊させる霊物質の放出で万物を焼き尽くす神炎を相殺!
メガスラスター【推力移動】炎を押し進み、
|【怪力早業併用】で殴り、《取り込んだブラストナックルで》マヒ攻撃。
生きる事の…!邪魔を!!するな!!
【瞬間思考力】硬直の瞬間に、拳を叩きつけ、
【吹き飛ばし解体】電磁パルスと崩壊霊物質の同時放出!!壊れろ!!!
不出世の『エース』。
それが『フュンフ・エイル』という存在である。時に『悪魔』として。時に『救世主』として。その名を呼ばれた存在。
創鋼神機『ゴヴァノン』は、その神機たる力を示す性能を持つ。
背部の光輪ユニットが展開し、エネルギーが集まっていく。
それは万物を焼き尽くす神炎。
解き放たれる熱量は、無人機『タロース』の残骸を巻き込んで、半壊した闘技場をも吹き飛ばす勢いで吹き荒れる。
その神炎を前にして朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は真っ向から立ち向かう。
「あの機体……僕らを守るつもりか!」
「駄目だよ! そんなことをしたら!」
『アンサーヒューマン部隊』の彼らが言う。
わかっているあらゆるものを燃やし尽くす神炎。それを受けて機体が無事で済むわけがない。
だが、『ディスポーザブル01』の装甲が溶け落ちながらも小枝子は咆哮する。
「神、悪魔、救世主、なんだろうがどうだっていい! 敵だ! 敵だ! ならば、壊せ!!」
レーザーが神炎とぶつかりエネルギーの奔流が吹き荒れる。
受け止める。炎を受け止め、背後にかばうアンサーヒューマンたちに塁が及ばぬように踏み込む。
だから、正面から受け止めなければならない。
「いかん! それでは! 反らせ!」
「……!!!」
だが、小枝子は止まらない。
咆哮が轟く。瞳に輝くのはユーベルコード。
融解していく装甲から飛び出すのは巨人。否、巨大な漆黒の翼であった。吹き荒れる神炎を真っ向から受けて尚、羽撃くように漆黒の翼が蒼空に立ち上がる。
「オブリビオンマシン……! 敵!!」
晦冥亡主(ソラナキ)は、此処に立つ。
それはユミルの子。脳無きジャイアントキャバリア。
漆黒の体、白き髪を揺らし、翼でもって炎を受け止める。満ちるのは呪詛。
一切を崩壊させる霊物質を放出しながら、相殺していく。瓦解していく『ディスポーザブル01』の腕部を漆黒の巨人ごとき姿となった小枝子はもぎ取る。
「――」
目の前にあるのは『フュンフ・エイル』の戦闘データを乗せた神機。
だが、小枝子にとって、それは重要な情報ではなかった。彼女にとって重要あのは目の間の存在が敵であるということだけ。
滅ぼさなければならない敵が眼前に未だ在るという事実が彼女を突き動かす。
羽撃くように漆黒の翼からメガスラスターが噴射する。
「神だろうが、悪魔だろうが!!!」
叫ぶ。
小枝子に出来ることは叫ぶことだけか。
いいや、見るがいい。
其処に在るのは、破壊の申し子。
あらゆるものを破壊する。破壊して絆ぐ者。途切れることのない存在証明が、小枝子のユーベルコードに輝きを発露させていく。
「生きる事の……! 邪魔を!!」
目の前にあるのは悪霊たる己の敵。
引きちぎったブラストナックルを取り込んでいく。ジャイアントキャバリアとしての姿が走る。
大地を踏み割りながら、一気に駆け抜ける。
『ゴヴァノン』は一瞬硬直する。
後退しようとする『ゴヴァノン』と前進しようとする戦闘データが噛み合わず、硬直するのだ。
それを見逃さない。
見がせるほど甘くはない。
「――邪魔をするな!!!」
硬直の時間。
如何に優れたるものを持っていようとも、意志と体が噛み合わぬのならば、小枝子に倒せぬ道理はない。
羽撃く漆黒の翼が前に、前に進ませる。
そう『エース』とは常に前に進むもの。誰よりも先駆ける者であるがゆえに、小枝子は叩きつける拳の一撃を『ゴヴァノン』の頭部に打ち込む。
電磁パルスと崩壊霊物質が迸る。
「壊れろ!!!」
打ち込まれた一撃は、『ゴヴァノン』を吹き飛ばし神炎揺らめく大気の向こうに小枝子という黒き巨人を示すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
メサイア・エルネイジェ
また強そうなのが出て参りましたわね
片方のサブアームが天に召されたのでやりにくいったらありゃしませんわ
アンサーおヒューマンの方々!
あなた達のせいでしてよ〜!
おこーーー!!!
増えたり飛んだり燃やしたり忙しいですわね
こういう時は…暴力ですわ〜!
盾で防御しながら突撃!どすこーい!
量産機でも本体でも構いませんのでアンカークローでキャッチ!
ラースオブザパワー!
神機ハンマー発動承認ですわ〜!
後はアンカークローを伸ばして寄せ付けないようぶんぶん振り回すだけ!簡単でしょう?
スクラップになったら新しいハンマーの材料をキャッチして繰り返しですわ
あ、アンサーおヒューマンの方〜
避けてくださいましね〜
炎が吹き荒れる。
創鋼神機『ゴヴァノン』が解き放った神炎は、半壊した闘技場をさらに焼く。
だが、『アンサーヒューマン部隊』の彼らは守られた。
猟兵にかばわれながら、瓦礫の中から立ち上がる。彼らは見ただろう。自由に生きるということ。好きに生きるということ。
その意味を。
本当の自由とはなんであるかを。
「まーた強そうなのが出て参りましたわね」
メサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)の駆る黒き暴竜たるキャバリアが『アンサーヒューマン部隊』を背にかばうようにして踏み出す。
だが、その動きは精彩を欠く。
彼女のキャバリア『ヴリトラ』は『アンサーヒューマン部隊』との戦いによってラージシールドを振るっていた片方のサブアームが使い物にならなくなっていた。
機体のバランスが崩れている。
「アンサーおヒューマンの方々! あなた達のせいでしてよ~! おこ――!!!」
その言葉に『アンサーヒューマン部隊』の彼らは目を丸くしていた。
「怒られちゃった」
「……補填はどうすればいいのでしょうか」
彼女たちが顔を向かい合わせている。どうしたらいいのかと慌てている様子であった。
オブリビオンマシンから降りればそうなるのかとメサイアは思ったかも知れない。
けれど、メサイアは『ヴリトラ』から警告を聞くと猟兵の一人に吹き飛ばされた『ゴヴァノン』が体勢を整え、蓄えられた金属から無数の無人機『ターロス』を生み出すのを見た。
数。
おそらく『ゴヴァノン』自体の戦術と戦闘データが噛み合っていないのだろう。
それもそうだろう。
戦闘データは軍すら単騎で退けたことがあると言われる『フュンフ・エイル』のものであったからだ。
だが、『ゴヴァノン』は違う。
数と炎によって圧する機体だ。おのオブリビオンマシンとしての本能と戦闘データが噛み合わずに硬直する瞬間が在る。
「増えたり飛んだり燃やしたり忙しいですわね。こういうときは……」
「どうするんだい?」
アンサーヒューマンが思わず尋ねていた。
「暴力ですわ~!」
考えるのをやめたとも言い換える事ができるかもしれない。
メサイアは『ヴリトラ』と共にラージシールドを構え、『ターロス』たちの群れに飛び込んでいく。
「どすこーい! ですわ~! 全部、全部、ぜーんぶ、何事も暴力で解決するのですわ~! おほほほのほ! やっぱり小賢しいことを考えるよりも手が出た方が速いですわ~!!」
『ヴリトラ』は暴竜である。
其の名に恥じぬかのような暴風の如き戦い方。
セオリーも何もあったものではない。此処にあるのは、憤怒の剛力(ラースオブザパワー)。
アンカークローで、サブアームで掴んだ『ターロス』を持ち上げ、振り回し、叩きつける。
「これぞ即席武装! 神機ハンマー発動承認ですわ~!」
「好きに生きていいって、ああいうことじゃないよね? たぶん」
「いいのですわ、あ、アンサーおヒューマンの方~」
「え、何……?」
メサイアが言葉を紡いだ瞬間、アンサーヒューマンたちの前に落ちてくる『ターロス』の残骸。
それは音を立てて、彼らの前髪を跳ね上げた。
硬直する。
掴んだ『ターロス』ハンマーが迫る無人機と激突して破壊されたのだ。それが空中を舞い、彼らの前に落ちた。
「避けてくださいましね~」
言うの遅くない!? とアンサーヒューマンたちの声を受けて、メサイアは素知らぬフリのままに飛び込んでいく。
数など彼女の暴力の前には無意味。
『ターロス』は迫るが、それは同時にどれだけ使っても尽きぬ即席武器を『ヴリトラ』にもたらすだけだった。
「全力全開ですわ! 神機であろうとぶっ叩けばぶっ壊れるのが道理ってもんですわ~! スラップ・アンド・クラッシュですわ~!!」
メサイアの暴君の如き戦いぶりは『ゴヴァノン』を守る壁のごとき『ターロス』たちを一層し、後に続く猟兵達の道を切り開く――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーリー・ザルティア
ヤレヤレ。『フュンフ・エイル』の戦闘データが宿ったオブビリオンマシン…か。
全くもってなんでこうなるのかしら…。
みんな少し…安易に利用しすぎよ。
悪魔なのはあのオブビリオンマシンなのか…生み出すきっかけとなった人間か…まったくヤレヤレね。
ボク達猟兵の戦闘データが流出しないように注意も必要なのかしら?
さて、レスヴァント…ダメージが大きいけど、もう少し頑張って…。
高速飛行の機体か!!
ダークマンティスの『レーザー射撃』で『対空戦闘』を行い『威嚇射撃』。
敵の機動を『瞬間思考力』で『見切り』
『エネルギー充填』が完了したウルティメイトキャノンを叩きつける。
より善きを求める。
それが人の、生命の原理であったのならば、どうしてクロムキャバリアには、世界には争いが耐えぬのだろうか。
どうしたって、争いは起きる。
他者が存在する限り、他者との差異に生命はさらされ続ける。
「全くもってなんでこうなるのかしら……」
白いキャバリア『レスヴァント』のコクピットの中でユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は思わず呟く。
より良い明日を求めていたはずだ。
だが、平和は訪れない。戦乱だけが渦巻く世界が続いている。
喪われていく生命ばかりだ。
無為に、平和のためでもなく、明日のためでもなく、徒に生命は消費されていく。
「みんな少し……安易に利用しすぎよ」
それは誰に向けた言葉であっただろうか。
『フュンフ・エイル』――不出世の『エース』。その力は鮮烈であったことだろう。誰もが願ったのだろう。
あのようになりたいと。他者を圧倒する力に焦がれる。だから、『エイル因子』などというものが人の手に渡った時、それに手を伸ばすのだ。
「――」
迫るはオブリビオンマシン、創鋼神機『ゴヴァノン』。
炎を纏いながら高速で踏み込んでくる。猟兵に無人機『ターロス』を無力化されたことを理解し、排除しようとしているのだ。
もとより、『フュンフ・エイル』の戦闘データが最も得意とするのは、近接での戦闘だ。
『レスヴァント』の長大な砲身からレーザー射撃で威嚇射撃を行う。
打ち込まれるレーザーの一撃を『ゴヴァノン』は前に進み続ける。自殺行為であった。通常は後退するか、機体を横に傾ける。
そうやって被弾する確率を下げるのだ。
だが、『フュンフ・エイル』の戦闘データは違う。前に進む。レーザーの間隙を縫うようにしてジグザクに前進する。
レーザーをかすめながら、それでも迫る『ゴヴァノン』。
「速い……!」
たしかに『悪魔』と呼ばれるだけの存在である。
百年前であればなおのことだろう。弾丸の雨も物ともせず進むのではなく、傷一つ追うこと無く己たちに迫ってくる青いキャバリア。それは百年前の人々に恐怖を、そして味方には救世主たる絶対的な力を見せつけた。
だが、今は違う。
データとは言え、過去は過去。
今を生きるユーリーに取っては、それだけで十分だった。
「悪魔なのはあのオブリビオンマシンなのか……生み出すきっかけとなった人間か……まったくヤレヤレね」
データがあるからなんだというのだ。
今は百年前ではない。
戦乱に飲み込まれるばかりの小国家であっても、ユーリーは見てきたのだ。傷つきながら前に進む人々を。
何度心を折られようとも立ち上がった者の姿を。
だからこそ、彼女の瞳はユーベルコードに輝く。
「――」
「戦闘データの足を引っ張る機体に、ボクらが負けるわけないでしょ!」
長大な荷電粒子砲が『ゴヴァノン』に向けられる。あの機動性、データの力があれば、躱されてしまうだろう。
だが、ユーリーは理解している。
戦闘データと『ゴヴァノン』の戦闘砲身が食い違っている。
『ゴヴァノン』は安全策を。戦闘データは積極策を取る。こちらが攻撃しようとすれば、致命的な一撃になると見れば『ゴヴァノン』は大げさでも塁が及ばぬ様に躱す。
だが。
「『フュンフ・エイル』は違う。前に進む――ならッ!! ウルティメイトキャノン!!」
その充填されたエネルギーたたえる砲身に『ゴヴァノン』が反応する。
躱そうとする。そこに硬直が生まれる。
困難に立ち向かうのか、それとも避けるのか。
いつだって正しいのは困難な道だ。だからこそ、『ゴヴァノン』は己の機体が相反する操作に硬直するのを感じただろう。
「『レスヴァント』……頑張って!」
機体が軋む。
物質化するほどの膨大な質量の稲妻のごとき一撃が『ゴヴァノン』へと迫り、その機体を巻き込んでいく。
僅かな硬直。
けれど、それを見逃さぬのがユーリーという猟兵、『エース』なのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステラさんと】
ステラさん、あれどうしま……アッ、ハイ。コワシマス。
い、いぇすまむ!
十全に!疾く!全力をもって!
駆け足でフォルさんに乗り込みます。
こっわ。ステラさんこっわ。
あれはいつもとちがう意味でやべーですね。
でもあの因子はいろんな意味で|クロム《この世界》にあってはいけないみたいです。
フォルさんから飛び降りつつ、
【リミッター解除】した【光の音叉】の【世界調律】で、
骸の海に還してしまいましょう。
……えっと。ステラさん、だいじょぶですよね?
調律されちゃったりしてないですよね?
思いっきり放ったあとに、ちょっと心配してみたりしますが……。
清純……性純?
産むとかいってましたし、こっちですよね。
ステラ・タタリクス
【ルクス様と】
エイル様の……戦闘データ?
ええ、確かに|エイル様《主人様》の匂いがします
……しますが!!
何混ぜてくれてんですか!!このドアホ!!!
せっかくのエイル様の香りがーー!!
高級な香水を数種類混ぜたらもっと良い香水が出来るだろうって
ただのアホを通り越して世界の害悪でしかありませんから!!
ちょっと勇者
アレ潰しますよ
完膚なきまでに壊して潰して骸の海に還します
オーケー?
フォル!いらっしゃい!
ルクス様乗って、巻き込まれますよ
【ファム・ファタール】
フォル、神機目掛けて飛翔です!
ソニックブームを叩きつけた後はルクス様にバトンタッチ
真空の鎌を足場にしてください
誰がやべーメイドですが
常に清純なメイドです!
物質化するほどの雷が創鋼神機『ゴヴァノン』を飲み込む。
凄まじい一撃であった。
けれど、其の一撃を『ゴヴァノン』は炎と片腕を犠牲にして防ぐ。本来であればかわせた一撃である。
戦闘データと『ゴヴァノン』自身の意志が噛み合わぬからこそ、生まれた硬直を猟兵は逃さなかった。逃すほど甘くはない。
「――」
『ゴヴァノン』のアイセンサーが輝く。
生み出されるのは無人機『ターロス』。
無数に金属から生み出された無人機は、壁のように片腕を失った『ゴヴァノン』をかばう。
「ステラさん、あれどうしま……」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は思わずうめきそうに成っていた。
そこにあったのは修羅であった。
そのような形相をしている(ように見える)ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)であった。般若の面すらもうちょっと優しい顔をしているとルクスは思ったかもしれない。
「何混ぜてくれてんですか!! このどアホ!!!」
ブチ切れ金剛であった。
怖い。正直に行って怖い。まじで怖い。表情筋どうなってんの、となるほどの形相であった。
『ゴヴァノン』には『フュンフ・エイル』の戦闘データが入っている。
だからか、たしかにステラは|『エイル』《主人様》の匂いがすると思っていたのだ。する。たしかにするのだ。強めの幻覚でなく?
「せっかくの『エイル』様の香りが――!! あーもー! 高級な香水を数種類混ぜたらもっと良い香りが出来るだろうってただのアホ通り越して世界の害悪でしかありませんから!!」
気炎を上げるかのようにステラは『フォルティス・フォルトゥーナ』の中で叫んでいた。
コクピット越しでも消えてくる。
「ちょっと勇者。アレ潰しますよ」
「アッ、ハイ。コワシマス」
片言に成っている。あんまりにも怖いものだからルクスはそう云うのが精一杯であった。だが、ステラは不満であった。
「完膚なきまでに壊して潰して骸の海に還します。オーケー?」
「い、いぇすまむ! 十全に! 疾く! 全力を持って!」
駆け足でルクスが慌てて、『フォルティス・フォルトゥーナ』に駆け寄る。ダーッシュ!! と叫ぶ声が聞こえた気がした。
「こっわ。ステラさんこっわ。こわわわわ」
あんまりにも怖くてルクスは歯の根が合いそうになかった。いつもとは別の意味で怖い。でもわかる。アレはこの世界にあってはならないものだ。
だからこそ、ルクスは前を見据える。
『ゴヴァノン』から放たれる『ターロス』。
あれらをどうにかしなければ、本丸に近づくことすら許されないだろう。
「フォル! あなたの速度で全て蹴散らしなさい!」
ステラの般若の面のごとき激情に応えるように『フォルティス・フォルトゥーナ』のアイセンサーが応える。
ファム・ファタール。
飛翔に寄るソニックブームが地表に蠢く『ターロス』を吹き飛ばす。
そのソニックブームは三日月型の鎌の如き斬撃の痕が残る。『ゴヴァノン』は放たれたソニックブームの余波で動きを止めている。
「『エイル』様なら、その程度で足を止めることなどありえない! ルクス様!」
「ひぃ……! わかってますってば!」
ルクスは『フォルティス・フォルトゥーナ』より飛び降り、三日月型の足場を蹴って『ゴヴァノン』に迫る。
硬直している。
あれ、もしかしてステラさんの希薄に恐れをなしているのでは? と思わないでもなかった。事実ではないが、『ゴヴァノン』の足は止まった。
ならば、勇者が何をするべきかはわかっている。
「世界を在るべき姿に!」
世界調律(セカイチョウリツ)。
振るう音叉剣より放たれる光が、『ターロス』たちを骸の海に還し、『ゴヴァノン』に光の一撃が叩き込まれる。
斬撃は胴体を袈裟懸けに切り裂く。
ルクスのユーベルコードは世界を在るべき姿に戻す調律の一撃。
「……えっと。ステラさん、大丈夫ですよね?」
ちらっとルクスは背後にあるであろうステラを見やる。
調律されちゃったりしていないよね? と不安になったのだ。それほどまでに先ほどまでのステラはちょっとアレであった。
思いっきり、ぶっぱしたはいいが、ちょっと心配なのである。
これで般若の面から綺麗なステラがいたら、多分吹く。いや、違う。これはそういうあれじゃないですと。心配そうな顔でルクスはステラを見た。
「……如何しました?」
やったー綺麗なメイドだー! ではない。特に問題はないようである。嗚呼、良かった、とルクスは胸をなでおろす。
「今、誰かやべーメイドっていいませんでした? 誰がやべーメイドですか。常に清純なメイドです!」
くわっ、とステラの瞳が見開かれている。
ルクスはちょっと硬直した。言うべき言葉と、思考が相反する。
「清純……」
にこり、とルクスは微笑む。
それはとてもよい笑顔であった。
「性純? そうですよね」
恐怖と安堵でルクスはバグの言語機能、情緒はバグっていた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
サブリナ・カッツェン
●POW
へっ、ついに元凶のお出ましってか
『観測データ…ロクシアスほどの機動性は観測されていないが、力と硬さはあちらの方が上だ』
了解、いくら頑丈だろうが神機だろうが、ぶっ壊せねぇものなんてこの世に存在しねぇ
あの存在でアイツらを縛ってるなら、解放するまでだ!
『弱点を分かってるのか、数で攻めてきたぞ』
機動戦が得意のアイリーゼでは力で押し切られるな
MK、外部装甲を展開してモード・ビースト発動だ
ついでに武器蔵からクローを転送
地上戦で纏めて斬り裂いてやるぜ!
『普段とは特性が間逆なので要注意だ、サブ』
わぁってる
『ヴィーダーシュペンスティゲ・ズィーモン』で軽く慣らしながら戦って、慣れたら本丸へ殴り込もうぜ
無尽蔵のごとき物量で創鋼神機『ゴヴァノン』は無人機『ターロス』を生み出す。
それは壁にするためであった。
己の身を守るために数を用意する。それは戦闘データである『フュンフ・エイル』の戦いとは真逆であった。
百年前の戦争で彼は常に先陣を切っていた。
常に前に。
それが彼の戦い方であった。『ターロス』を無人機と言えど、全面に押し出すような戦い方をしていなかった。
だからこそ、硬直が生まれる。
機動性とパワーに優れた機体。それが『ゴヴァノン』。もしも、神機が前に進む戦いをするのであったのならば、猟兵たちはさらなる劣勢を強いられただろう。
だが、そうはならなかった。
「へっ、ついに元凶のおでましってか」
『観測データ……『ロクシアス』ほどの機動性は観測されていないが、力と硬さはあちらのほうが上だ』
『MK』の言葉にサブリナ・カッツェン(ドラ猫トランスポーター・f30248)は鼻を鳴らす。不敵に笑うのだ。
「了解、いくら頑丈だろうが神機だろうが、ぶっ壊せねぇものなんてこの世に存在しねぇ」
サブリナは『アイリーゼ』を駆り、無人機の群れ……盾とする『ゴヴァノン』に迫る。
『数で攻めてきたか。あちらは自分の機体状況をよく理解しているようだ。数で攻めてきたぞ』
無人機とは言えど、神機の端くれ。それが『ターロス」である。
数で圧するのならば、たしかに有効な手段であっただろう。
機動戦が得意あ『アイリーゼ』であれば、いずれ掴まってしまう物量であったことだろう。
けれど、サブリナはしゃらくさいと笑うのだ。
「『MK』、外部装甲を展開」
『やるのか、サブ』
「ああ、出し惜しみしてる場合じゃあねぇ……それにな。あの存在が『アイツ』らを縛ってるなら――解放するまでだ!」
ゲンコツはもう届けたしな、とサブリナは笑う。同時に『アイリーゼ』の機体の外部装甲が展開する。
内部が露出し、力の奔流が迸る。
それはユーベルコード。
「ヴィーダーシュペンスティゲ・ズィーモン。モード・ビースト、発動だ!」
脚部は獣足の如き様相に。
腕部は獣の爪かたどるかのように。
そして、その爛々と輝くアイセンサーが見つめるのは、『ゴヴァノン』のただ一騎。
「――」
「今更遅ぇ!」
『普段とは特製が真逆なので要注意だ、サブ』
わぁってるよ、とサブリナは『ターロス』の群れに飛び込む。
機体の構造そのものが変わってしまったかのような感覚。
迫る『ターロス』の動きが速い。けれど、武装すら変わった『アイリーゼ』は、爪の一線で『ターロス』を串刺しにする。
慣れない。
グリップが重い。
だが、わかる。機体の状況をサブリナは一瞬で把握する。瞬間思考でもって理解する。このモードは、こう使うのが正解なのだと。
機動性を重視したのが本来の『アイリーゼ』であるというのならば、今の『アイリーゼ』は真逆。
攻撃性能に特化した嵐のごとき存在。
「こいつはこう……そんで、こいつは……」
串刺しにした『ターロス』ごと別の『ターロス』に叩きつける。機体を蹴って宙を舞う『アイリーゼ』。
その機体が見据えるのは、爆発起こす『ターロス』たち。
着地と同時に踏み込む。
暴風のように振るう爪の斬撃が迫る『ターロス』たちを次々と切り裂き、破壊していく。
『アイリーゼ』が悠然と進む後に残るのは、残骸ばかりであった。
「うっし、クセは掴めたぜ」
後はお前だというようにサブリナは『ゴヴァノン』に迫る。
殴り込むように飛び見込み『ゴヴァノン』と打ち合う。隻腕と成った『ゴヴァノン』は防戦一方であろう。
だからこそ、攻め込む。
打ち込む。
「元凶、其の程度かよ!」
叩き込む一撃が『ゴヴァノン』を捉え、胴部に刻まれた斬撃の後をさらに押し広げるように爪の一撃が容赦なく叩き込まれる――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
コピーなんてさー、負けフラグやん?
ここにきてただのデータに負けたらさー…カッコ悪いじゃん
ラスボスやるにはちょっと力不足だよ
迫力が足りない、迫力が!
ボスをやるなら、気迫や感情がたっぷり乗ってないとさあ…盛り上がんないじゃん!
さあさあ、とっとと退場願おうか!
●
超克、オーバーロード
外装展開、模造神器全抜刀
そっちが神機を名乗るなら、こっちは神器使いじゃい!
召喚勝負といこうじゃないか
【Load[Summon Data]】起動
雷龍、不死鳥、機神召喚!
攻撃力全振り!ガンガン攻める!
12体の雷龍と不死鳥達で無人キャバリアに対応
『ブレス攻撃』で足止めしつつ、不死鳥で突撃して各個撃破
召喚した右腕を『念動力』で操作
右腕、私を振りかぶって…投げたー!
投げた勢いを乗せた4剣からの『串刺し』
あ、ちょっと反動がキツい!
突き刺さったらそのまま『なぎ払い』装甲を斬り裂こう
その間に右腕を近くに寄せて…殴らせる!
右腕が殴っている間に私は離脱、再度突撃するタイミングを計ろう
連携してチマチマと殴る斬るの連続で攻めていくよ
創鋼神機『ゴヴァノン』はたしかに強大なオブリビオンマシンである。
さらに言えば、そのコクピットブロックに搭載された脳を模したかの如き機械は、嘗て不出世の『エース』と呼ばれた『フュンフ・エイル』の戦闘データを蓄積したものである。
最強の機体に、最強のパイロット。
その相乗効果は凄まじいものであったはずだ。
猟兵など一蹴のもとに下すことができたはずだったのだ。だが、そうはならなかった。今や『ゴヴァノン』は片腕を失い、その胴部分には裂傷が走っている。
「――」
『ゴヴァノン』の困惑が伝わってくるようであった。
何故勝てないのか。
何故蹂躙できないのか。
何故硬直するのか。それが『ゴヴァノン』には理解できぬようであった。自身の窮地を脱するために『ゴヴァノン』は無人機『ターロス』を生み出し、壁と変える。
「コピーなんてさー、負けフラグやん?」
『ゴヴァノン』の疑問に月夜・玲(頂の探究者・f01605)は簡単なことだと言う。
「ここにきてただのデータに負けたらさー……カッコ悪いじゃん。ラスボスやるにはちょっと力不足だよ」
要は、と玲は模造神器の二振りを闘技場の地面に突き立てる。
蒼い刀身が、天に開かれた蒼空と同じ色に輝く。
「そう、君には足りないものが多すぎる。一番大切な迫力が足りない、迫力が!」
オーバーロード。
超克の力は、玲の背後から巨大な外装を呼び込む。突き立てられた模造神器を引き抜く外装の副腕。
さらに玲は二振りの模造神器を抜刀する。
四つの蒼き煌めきが迸る中、『ゴヴァノン』は見ただろう。あれなるは超常の存在。
「そっちが神機を名乗るなら、こっちは神器使いじゃい!」
やるんならこれくらいの気迫と感情が乗っていないと盛り上がらないのだと玲は力を迸らせながら、迫る『ターロス』に切り込んでいく。
いや、ただ切り込むだけではない。
彼女のユーベルコードは、12の雷の龍を呼び込み、さらには蒼炎の不死鳥が闘技場を埋め尽くす。
「攻撃力ガン振り!」
放たれる雷と蒼炎が『ターロス』を打ち据え、焼き尽くしていく。加減など知らない。超常なる存在は、この世界の理すら超越していく。
やりすぎとは思わない。
放たれるブレスが『ターロス』の進撃を足止めする。此処までして拮抗に持ち込むしかないのが『ゴヴァノン』の性能故であろう。
だが、もしも『ゴヴァノン』に猟兵に勝てる見込みがあったのならば、ここしかなかった。数の利。それを防御ではなく、攻勢に転じていたのならば猟兵たちは危うかっただろう。
けれど、『ゴヴァノン』はそうしなかった。
自らの身を守るばかりで踏み込むことをしなかった。それが機体の硬直を生み出す。『フュンフ・エイル』の戦闘データは数の利を持っていながらも、前に、前に進もうとしている。
自らを死地に追いやることによって後に続く者達の生存確率を上げようとしていたのだ。だが、『ターロス』は無人機。それ故に守る必要がないどころか、自らを守らせるよに使う『ゴヴァノン』とは相性が最悪だったとさえいえる。
「そういうみみっちい使い方も、腰の引けた態度もさぁ! ラスボスやるにはあんまりにも小物って感じなんだよね!」
巨大な機械腕が玲を掴む。
何を、と『ゴヴァノン』は理解できなかっただろう。玲自身を掴む機械腕が振りかぶる。理解はできる。何をしようとしているのか。腕が振りかぶったのは何かを遠くに投げるためだ。
だが、本体である玲を掴むのは一体何故なのか。何故自ら危険に飛び込もうとするのか。それが『ゴヴァノン』には理解できなかった。
「――」
「|右腕《ピッチャー》、私を振りかぶって……投げたー!」
放たれる玲の体。
それは砲弾のように『ターロス』の壁を一瞬で飛び越える。
あ、ちょっと反動がキツい。思った以上にきっつ。
そんな心中が思わず顔に出てしまっていた。けれど、交錯させた四振りの模造神器が『ゴヴァノン』に叩きつけられる。
隻腕となって尚、四振りの模造神器を受け止める力は、たしかに高性能であるといえるだろう。
防ぐこと。
躱すこと。
身を守ること。そのどれもがたしかに『ゴヴァノン』の性能を示していた。だが、人の戦いとは喪うことを恐れるがゆえである。同時にその恐れを踏み越えるのが理性であったというのならば、『フュンフ・エイル』の戦闘データが指し示すことをこそ『ゴヴァノン』は理解すべきだったのだ。
「逃げよう躱そう防御しよう。そればっかりだから!」
四振りの模造神器が『ゴヴァノン』の防御した腕部の装甲を二連十字に切り裂く。
己を投げは成った機械腕が空より飛来する。
頭上より迫る機械腕の一撃が『ゴヴァノン』の頭部に叩き込まれ、アイセンサーに亀裂が走る。
その凄まじき衝撃を受けながら玲は副腕の模造神器を『ゴヴァノン』に叩き込み、さらに重力に従うよに己の手にした模造神器を振り抜く。
「さあさあ、とっとと退場願おうか!」
振り抜いた斬撃は『ゴヴァノン』の装甲を、そのフレームにまで到達する深い傷跡として刻む。
「お祭りなんだからね! さあ、もういっちょ!」
機械腕が振り抜かれる。
それはコクピットブロックを打ち据え、『ゴヴァノン』を闘技場の端まで盛大に吹き飛ばすボディーブローとなるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
出てきたね!ステージボスが!
もりあがってこー!
●UC『神罰』使用
多重に重ねて防御効果を倍増させた結界代わりの[白昼の霊球]くんで“熱”を遮断しつつ【第六感】で彼の軌道を読んで…
というか読む必要も無いかなーってくらい上からスーパー【白昼の霊球】くん(敵と熱にだけ干渉設定)を降り注がせて飛び回らせてガッツンガッツンぶつけていこー!
別にさー
戦うことしか知らないならそれでもいいと思うよー
でも迷いがあるなら…たくさん迷うといいよ!
迷って、迷って…もしかしたらどこにも辿りつけなくても…
それでもこの空の下を好きな場所に好きなように行ってみるといいよ!
きっと楽しい、絶対楽しい!
叩き伏せられる創鋼神機『ゴヴァノン』の頭部がひしゃげる。
アイセンサーは明滅すれど、亀裂が走っている。片腕を失いながらも、その機体より噴出する炎の勢いは凄まじいものであった。
「――」
咆哮のようにジェネレーターがうなりを上げる。
強烈なる力の発露。
かつて『悪魔』とも『救世主』とも呼ばれた不出世の『エース』、『フュンフ・エイル』のデータが組み込まれたコクピットブロックは斬撃の痕が刻まれている。
装甲のあちこちに刻まれた傷跡。
だが、それでも倒れないのは神機足りうる所以か。
「出てきたね、ステージボスが! もりあがってこー!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)の瞳がユーベルコードに輝く。
己が操る球体の最大径をさらに百万倍にまで膨れ上がらせた空を覆うかのような物体がロニの手のひらの上で広がっていく。
放たれた神炎を遮断する結界代わりの球体。
けれど、ロニは今更『ゴヴァノン』の機動を読む必要などないと思っていた。
「別にさー」
だから、ロニはなんてことないというように『アンサーヒューマン部隊』の彼らに言う。
独り言のような言葉であったかも知れない。
彼らは戦うためだけに作り出された。戦う以外の存在意義を持たされていなかったともいえるだろう。
だから、彼らはオブリビオンマシンに乗って戦うしかなかったのだ。
暴走したのも、闘技場の中だけ。
闘技場の中しか知らなかったのだから、此処が世界のすべてであったとさえ思ったのかも知れない。
「戦うことしか知らないならそれでもいいと思うよー」
ロニはそれでいいと思った。
無理に変わる必要はないのだと。
「でも、好きに生きるってどういうことなのかわからないから」
「それを人は迷いって言うんでしょ」
「うん、でも迷いがあるなら……たくさん迷うといいよ! 迷って、迷って……もしかしたら何処にもたどりつけなくても……」
ロニは振り下ろす。
神罰(ゴッドパニッシュメント)たる一撃。
最大径まで膨れ上がった球体を、躱す術すらない『ゴヴァノン』に叩きつけるのだ。
機体をひしゃげさせる衝撃。
砕ける装甲の破片。
それらをロニはぼんやり見ながら言うのだ。
「それでもこの空のしたを好きな場所に好きなように行ってみるといいよ!」
「それって……」
「きっと楽しい、絶対楽しい!」
アンサーヒューマンたちにろには笑いかける。
彼らの道行きはこれからだ。はじまったばかりだ。それを誰にも止める権利はない。咎めることもできない。
なぜなら、彼らは今自らの足で立っているのだ。
何処にでも行ける足があるということは幸いである。
「『好きに生きていい』っていうのはそういうことさ」
迷い、答が出ずとも。
人の歩みというのは、そこで途切れてしまうのかもしれなくても。
それでも前を向いているということは、進んでいるということ。停滞のように見える時間であっても、得られるものがあるはずだとロニはカラカラと笑いながら、球体の一撃を『ゴヴァノン』に叩きつけるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
黒影・兵庫
(神機に標準を合わせたままアンサーヒューマンたちを守る様に{要塞蠍}を動かす)
(「殺されそうになったのに優しいのねぇ黒影」と頭の中の教導虫が呆れる)
あの子たちは悪意があったわけじゃないですし!せっかく自由になれたのにお終いなんてさせませんよ!
(「貴方も自由になれたらいいのにね」)
何のことです?せんせー
(「なんでもないわ。さ、どう戦う?」)
敵は一体!ならUC【一寸鋒矢】で『オーラ防御』しながら突撃です!
(「さっきの技は使うと周りに被害が出るし…攻防一体のそれが最適かもね。じゃあアタシは『念動力』で敵の行動を邪魔してみるわ」)
ありがとうございます!さぁ敵ごとあの蒼空に向かって…つっこめー!
黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は守る。
誰かに何かを言われたからではない。自らの意志で守ろうと思ったのだ。
先程まで敵であった『アンサーヒューマン部隊』の彼らを『要塞蠍』の防壁でもって、戦いの余波から守る。
創鋼神機『ゴヴァノン』が溜め込んだ金属から無人機『ターロス』を生み出し、こちらを圧殺しようとしていたとしても、兵庫は退くことをしなかった。
照準は常に『ゴヴァノン』に合わせている。
どれだけ数で此方を圧しようとも、守ると決めたのだから守るのだ。
『殺されそうになったのに優しいのねぇ黒影』
頭の中の『教導虫』の言葉が響く。
呆れたような声色であった。けれど、不思議と嫌な気持ちになったわけではない。
兵庫は頭を振る。
たしかに敵であった。殺し合った。
けれど、兵庫にそのつもりはなかったのだ。彼らはオブリビオンマシンに歪められていただけ。
あの暴走も、戦いも、オブリビオンマシンがいなければ起こり得なかったことなのだ。
ならばこそ、力強く言葉を紡ぐ。
『ターロス』の猛攻は凄まじい。あの数を捌きながら『アンサーヒューマン部隊』の彼らを守ることは難しいだろう。
「あの子達は悪意があったわけじゃないですし!」
それに、と兵庫は前を向く。
「せっかく自由になれたのにおしまいなんてさせませんよ!」
『要塞蠍』の防御を解く。
鋏を打ち鳴らし、尾を翻し、『ターロス』の群れへと突っ込んでいく。
それは謂わば、一寸鋒矢(イッスンホウシ)。
今の兵庫の駆る『要塞蠍』は数多の虫たちの思いが推し進めるオーラによって守られている。
『貴方も自由になれたらいいのにね』
その兵庫の言葉に『教導虫』は思わずつぶやいていた。
言わずにはいられなかったのかもしれない。言わなくても良い言葉であったのかもしれない。
けれど、それでも。
「なんのことです? せんせー」
『なんでもないわ。さ、征きましょう』
兵庫が戦うと決めたのだ。
ならばこそ、この攻防一体のユーベルコードは、兵庫の思いを守ってくれることだろう。同時に貫き通す力にも変わる。
兵庫は最適な戦術を選ぶことができるようになっている。
未だ迷い、戸惑いの中にあることもあるだろう。
けれど、それは成長しているという証でもあった。それが頼もしくもある。だからこそ、『教導虫』はもう何も言わない。
『ターロス』の群れを貫きながら、突き進む。止まらない。『ゴヴァノン』は見ただろう。
己に迫る矢の如きキャバリアを。
「――」
硬直。何故硬直するのか。それを兵庫は理解していた。
「逃げようとするからだ。防御しようとするからだ。こうやって誰かを矢面に立たせるだけで、自分の身を守ろうとばかりするやつ。なのに中身は戦おうとしている。前に進もうとしている。だから!」
相反する動きに機体が硬直するのだ。
それを見逃さず、兵庫は突き進む。
ユーベルコードの輝きを撒き散らしながら、一直線に前に突き進む。
「さぁ、あの蒼空に向かって……つっこめー!」
『要塞蠍』の尾が全面に向けられ、鏃のようになって『ゴヴァノン』の胴部を貫く。
右半分をごっそり貫くような一撃に『ゴヴァノン』は膝を衝くしかなかった。
半壊した闘技場の天は高い。
そこには蒼空が広がっている。何処にでも行ける。どう歩んでもいい。
それを自由と呼ぶのならば、きっとアンサーヒューマンたちもまた理解するだろう。兵庫が、彼らを自由だと言ったように。
彼らを縛るものを兵庫は破壊するのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
「ご主人サマ!ゴヴァノンさんだよ!」
此奴かよ!!ウルカヌスっぽい奴!!
フュンフの戦闘データか
だがよぉ…彼奴は多分…もっとスマートな奴じゃねーと力が発揮できねーんじゃねぇか?
あのセラフィムとかじゃねーとな
「そういう意味では残念だね…ゴヴァノンさんそのものだったらもう少し大変だったよ☆」
まぁいい
過去の英雄にこの最強無敵の天才魔術盗賊のカシムさんが負けてたまるかよ
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵機の動きと攻撃の癖を分析
何よりフュンフのデータの能力を正確に把握
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源や音を隠蔽
【空中戦・念動力・弾幕・武器受け】
UC発動
超高速で飛び回りながら念動光弾を乱射
特に拳撃は全力迎撃
流石にあれはやべーなおい
「ゴヴァノンさんは炎の神だからねー☆」
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣で連続斬撃により切り刻み
武装強奪!
戦闘後
何するか分からねー?
まぁそりゃそうか
なら…飯にするか
世界状況とか知らなきゃいけねー事も色々あるだろ
知ってる事ぐらいは教えてやる
頭部はひしゃげた。
亀裂走るアイセンサーは明滅し、半身を穿たれた機体のバランスを取るために、隻腕と成った腕はだらりと落ちる。
装甲に刻まれた傷跡は、これまで猟兵に叩き込まれた攻勢の激しさを物語るようであった。
『ご主人サマ!『ゴヴァノン』さんだよ!』
「此処かよ!! ウルカヌスっぽい奴!!」
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は『メルクリウス』と共に戦場を疾駆する。迷彩機能によって己の姿は完全に消されている。
だというのに明滅するアイセンサー、創鋼神機『ゴヴァノン』はこちらを捉えているようでもあった。
それが神機ゆえのものであったのかはわからない。
けれど、確実にこちらの迷彩を見破っているようでもあった。
音も、熱も、全て遮断しているのだ。だというのに気配だけで『ゴヴァノン』の中にある『フュンフ・エイル』の戦闘データは理解していたのだ。
「『フュンフ・エイル』の戦闘データか。流石とはいえる」
カシムは、己の機体の迷彩機能が役に立たないことを素直に認めるしかなかった。
猟兵の攻勢で十全ではないにせよ、機体から噴出する炎は苛烈そのものであった。
『ゴヴァノンさんは炎の神だからねー☆』
『メルシー』の脳天気な言葉が今は頼もしいと感じる。どれだけ強大な敵であったとしても、相対するのならば倒さなければならない。
逃げることなどもってのほかなのである。
「ああ、だがよぉ……彼奴は多分……もっとスマートな奴じゃねーと力が発揮できねーんじゃねぇか? あの『セラフィム』とかじゃねーとな」
『そういう意味では残念だね……『ゴヴァノン』さんそのものだったら少し大変だったよ☆』
『フュンフ・エイル』の戦闘データと『ゴヴァノン』の相性が悪い。
そのたえに起こる硬直を猟兵たちは見逃さず、攻撃を叩き込んできた。
それが今の現状だ。
だからこそ、カシムは惜しむ。
「まぁいい。過去の英雄にこの最強無敵の天才魔術盗賊のカシムさんが負けてたまるかよ」
超高速で迫る『ゴヴァノン』と速度に勝る神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)を展開した『メルクリウス』が闘技場を疾風で満たす。
隻腕となった『ゴヴァノン』の拳が振るわれ、念動光弾を撃ち落とす。
「片腕でよく凌ぐ!」
「――」
咆哮のように『ゴヴァノン』のジェネレーターが唸りを上げる。漸く理解したのだろう。『ゴヴァノン』自身の意志では、己の体を操る『フュンフ・エイル』の戦闘データを生かしきれないと。
だからこそ、委ねたのだ。
「……――流石にあれはやべーなおい」
『『ゴヴァノン』さんは炎の神だからねー☆』
力の出力だけに『ゴヴァノン』は注力する。機体は十全ではない。だが、完全に操作系統を明け渡した『ゴヴァノン』の明滅するアイセンサーは、これまで以上に輝きを放っていた。
『フュンフ・エイル』の操作技術が『ゴヴァノン』に反映されていく。
踏み込み、打ち込み。
そのどれもが念動光弾よりも早い。振るう鎌剣の一撃すらかすめるようにして躱し、それが攻撃の予備動作につながっていく。
まるで永劫の如き連鎖に繋がれたかのような戦い方。
あらゆる動作が計算されている。瞬間思考を超えるかのような演算に速度で勝る『メルクリウス』が圧倒されていく。
だが、機体が十全ではない。
もしも、この状態が早く訪れていたのならば。
「圧倒されていたってわけかよ。だがな! もう遅い!」
神速を誇る『メルクリウス』が走る。
さらなる速度を。神速を超える速度による鎌剣の斬撃を隻腕となった『ゴヴァノン』が防げる道理などない。
背面の光輪ユニットが展開した瞬間、鎌剣がそれらを切り裂く。
砲撃はさせない。打ち出す余裕すら与えない。
「はっ……! お前の力を見せてみろ……『メルクリウス』!!」
咆哮と共に放たれる斬撃が光輪ユニットを『ゴヴァノン』から奪うように切り裂き、蹴り飛ばす。
その神速たる斬撃を見上げるアンサーヒューマンたちがいた。
彼らはこれからどうするのか。
何もわからないだろう。
戦いの後に訪れるものを教えてもらっていないのだから。ならば、カシムは笑っていうのだ。
「次は飯だな」
話はそれからでもいい。
踏み出すのならば、其の前に立ち止まることだって必要なのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
アルカ・スィエラ
同類の気配に惹かれたか、それとも「仕掛け人」が確認に来たか……
どちらだろうと結局は同じ、ここで終わらせるだけよ!
こっちの損傷も大きいし長期戦は不利、一気に片を付ける…!
ドラグキャリバーを抜き、推力全開、防御フィールド任せに突っ込むわ
邪魔する量産機は推力を乗せたキャリバーでの薙ぎ払いで吹き飛ばし、追い縋るならドラグカプトに噛み付かせそこから「ドラクティス」による機械侵食で食い破り、同時に活性化したドラクティスで機体を修復し、どれだけ|壁《量産機》を嗾けようと無理やりにでも距離を詰める
接近したならキャリバーでの攻撃を囮に、もう片腕からのフィールドで拘束し、そのまま至近距離からUCを叩き込む……!!
噴出する炎。
それは遅きに失するものであったかもしれない。
此処まで猟兵たちの攻勢を受けた創鋼神機『ゴヴァノン』は理解できていなかった。己の機体が何故硬直するのかを。
それはコクピットブロックに備えられた脳の如き機械、『フュンフ・エイル』の戦闘データと己の戦術が相反するものであったからだ。
それを漸くに理解したが、機体の状態がもはや十全からは程遠い。
隻腕となり、頭部はひしゃげ、機体の装甲はボロボロである。さらに光輪ユニットは破壊され、砲撃を行うことすらできない。
あるのは無人機『ターロス』を生み出すことだけ。
だが、これまでであれば己の身を守るために『ターロス』を全面に押し出していた。
「――」
今は違う。
無人機『ターロス』を率いるように先陣を切って猟兵へと迫っているのだ。
「同類の気配に惹かれたか、それとも『仕掛け人』が確認に着たか……どちらだろうと結局は同じ、ここで終わらせるだけよ!」
アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)の瞳が戦意に輝く。
『アルカレクス・ドラグソリス』の機体状況も芳しくはない。
長期戦は不利だ。わかっている。
だが、迫る『ターロス』たちを目にすれば、短期決戦が難しいとも理解できるだろう。
だが、引かない。
嘗ての『エース』が軍を前にしても引かなかったように。
単騎であれどアルカは退くつもりなどなかった。ドラグキャリバーを引き抜き、防御フィールドを展開し、力任せともいえる突撃を敢行する。
「――」
「愚かだとでも! 愚直であるとでも! そういいたいの!」
振るうドラグキャリバーの一撃と『ゴヴァノン』の振るった炎纏う拳が激突する。
放った一撃は衝撃波を伴ない、周囲に追従してきた『ターロス』たちを吹き飛ばす。だが、それでも『アルカレクス・ドラグソリス』に組付感と迫る『ターロス』たちを隻腕の『ゴヴァノン』と鍔迫り合いをしながら、アルカは放つ機竜の顎でもって食い破る。
「機械侵食……! どれだけ無人機をけしかけようとも……!」
ドラグキャリバーの一閃が『ゴヴァノン』を吹き飛ばす。
そこに割り込む『ターロス』たちを押しのけるようにしながらアルカは踏み込む。無理矢理にでも押し通る。
その意志を受けて『アルカレクス・ドラグソリス』のアイセンサーが煌めく。
満ちるユーベルコードの輝きが『ターロス』たちを吹き飛ばす。
ドラグキャリバーに掴みかかり、『ゴヴァノン』のひしゃげた頭部が『アルカレクス・ドラグソリス』の頭部と激突する。
「――ッ!」
アルカの脳が揺れる。
意識を手放しそうになる。痛みではない。脳が揺れることによってこちらの操縦を不能させようとしているのだ。
だが、今のアルカは機体と一心同体。融合合身によるが故に、脳が揺れたのだとすれば。
戦う意志は、『アルカレクス・ドラグソリス』の一部。そして、そのものである。
ドラグキャリバーを手放す。
それは戦いを放棄したわけでもなければ、アルカの意識が刈り取られたことでもない。
片腕に組み付いた『ターロス』たちを吹き飛ばすフィールド。
それが『ゴヴァノン』に向けられる。
隻腕であったことが幸いした。
これまでの猟兵たちの戦いがなければ、対応されて終いであった。
けれど、そうはならなかったのだ。
「この右手に狂える過去を破壊する力を」
満ちる輝きは異なるものであった。
右手は破壊の力。
「この左手に歪みし現在を再生する力を」
左手は再生の力。
ユーベルコードの輝きが噴出し、機体より発せられる。相反する力を持つ『アルカレクス・ドラグソリス』の腕部が合わさる。
火花散る力の奔流。本来合わさることのない力が融合し、アルカの瞳がユーベルコードと一体になる。
「……これで終わらせる!! ゲネシス・デストラクティオー!!」
放つ光波は『ゴヴァノン』を飲み込み、半壊した闘技場を完全に吹き飛ばす。
光波はオブリビオンマシンのみを素粒子にまで分解する。
如何に神機と言えど、その一撃を前に崩れ行くしかない。
機体との融合合身が解除される。意識薄れゆく中、アルカは見ただろう。崩れ行く中、コクピットブロックに収められた脳をかたどったかのような機械が崩れて消えていくのを。
そして、彼女の背後には守ったものがあることを示す。
戦うためだけに生み出された者たちに、白紙の切符を。
蒼空の向こう側に何が待つのか。
それさえもわからぬ高揚をアルカは胸に秘めて、その意識を手放し、再生と破壊の渦中に立つのであった――。
大成功
🔵🔵🔵