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ゴーストタウン浄化作戦:福島県猪苗代町ペンション跡地

#シルバーレイン #【Q】 #ゴーストタウン #廃墟巡り

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#ゴーストタウン
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●呪われた森の洋館
 福島県猪苗代町。
 かつて、この地にて計画されていた、大型宿泊施設による観光開発。だが、整地が終わったところで計画が頓挫してしまったのか、蓋を開けてみれば小さなペンションが一軒立てられたただけだった。
 そのペンションも計画の中止と共に遺棄されて、今は森の中の廃墟である。そこは誰も訪れることのない遺棄された土地。そのまま年月の経過と共に、やがて建物も朽ち果て自然に還る……そう、思われていたのだが。
「おい……なんか、やけに草が茂ってないか? この前、下見に来たときは、こんなんじゃなかっただろ?」
「そんなの俺が知るかよ。それより、さっさと先を急ごうぜ。地元の心霊スポット突撃ライブなんて、バレたら二度と企画できないかもしれないからな!」
 スマホを片手に、ペンション跡地へと向かう若者が二人。どうやら、流行りの動画実況者のようで、自分達の動画閲覧数を増やすために、肝試しめいた廃墟探索を企んでいるようだ。
「おっ! どうやら、森を抜けたみたいだな」
「それにしても……廃墟って聞いてたのに、随分としっかりと残ってるじゃんか」
 夜の森の中に佇むペンションを見て、スマホを構えながら呟く二人。彼らは何ら恐れることなく、ペンションのドアを蹴破って中に入って行くが……それきり、彼らの行方は分からなくなり、動画も公開されることはなかったという。

●狂える館の謎
「福島県猪苗代町で、新しくゴーストタウンの発生が確認されたよ。場所は、廃墟になっているペンション跡地だね。そこに現れたオブリビオンゴーストが、ペンションを根城にしているみたいなんだ」
 大至急現場に向かい、オブリビオンゴーストを討伐して欲しいと穂村・耶子(甘党残念剣士・f35497)は猟兵達に告げた。既に、命知らずな動画実況者がペンションに突撃し、そのまま帰らぬ人となっている。いや、正確には二人の内の一人は帰って来たのだが、精神を酷くやられてしまい、もはや檻付きの病院で一生を過ごすしかないのだとか。
「このペンション跡地には、以前から変な噂があったんだ。オーナーが地下室にあるワインセラーで自殺して、それを発見した奥さんが発狂した挙句、息子の命を奪って自分も死んじゃったっていうね……」
 もっとも、これは都市伝説の類を出ない話なので、今回の事件には直接関係はないだろう。だが、この都市伝説にある『発狂』という言葉は、事件の鍵になるかもしれないと耶子は続けた。
「このペンション跡地には、人の心に強く作用する幻覚を見せるゴーストが集まっているみたいなんだ。動画実況者の人も、それにやられちゃったんだろうね。運よく逃げ出せても、心を壊されちゃったら、それは殺されちゃったのと同じことだよ……」
 これ以上、新たな犠牲者を出さないためにも、この地の浄化は不可欠だ。しかし、ペンションの周囲には侵入者を拒むが如く草木が生い茂り、崩壊寸前のペンションもまた、建設された当時の外観を取り戻しているらしい。
「もう、気付いている人もいると思うけど……この再生したペンションは、オブリビオンゴーストが作り出したゴーストタウンだよ。その影響で、周りの植物も異常な成長をしているみたい。これを乗り越えていかないと、ペンションには辿り着けないから注意してね」
 異常成長を続ける植物は、ちょっと切断した程度では、瞬く間に再生して行く手を阻む。あまり時間をかけていると、自分の方が緑の檻に飲み込まれてしまうかもしれないので、たかが植物と侮るのは禁物だ。
「ペンションに到着したら、後は中に入ればゴーストが襲ってくるはずだよ。敵は、僕達のコンプレックスを刺激したり、親しい人に裏切られる幻覚を見せたりして攻撃してくるから……心を強く持たないと、動画実況者さん達みたいな目に遭うから注意してね」
 どうやら、今回の戦いは腕っぷしの強さや技のキレではなく、精神力の強さが物をいうことになりそうだ。最後に、それだけ言って、耶子は猟兵達をシルバーレイン世界の福島県にある森の中へと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 福島県猪苗代町で、ゴーストタウンの発生が確認されました。
 迷い込んだ人間の心を破壊して魂を奪う、危険なゴーストの巣窟です。
 今回の事件は、精神力の強さが攻略の鍵になりそうです。

●第一章(冒険)
 異常成長を続ける植物を掻き分け、ゴースト達の巣窟を目指します。
 どのような方法で進んでも構いませんが、植物は再生力も強いため、先に進んだ人の作った道を後から利用することはできません。

●第二章(集団戦)
 『トロンプ・ルイユ』との戦いになります。
 欠損部位やコンプレックスを刺激し、耐えられなくなった者の魂を奪います。
 襲い来る欠落感に抗いながら対処しましょう。

●第三章(ボス戦)
 この廃墟をゴーストタウンに変えた存在との決戦になります。
 現時点で正体は判明していませんが、親しい者の幻影を見せて攻撃して来ることだけは判っています。
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第1章 冒険 『植物の砦』

POW   :    植物を力ずくで刈り取る

SPD   :    少しでも歩きやすい迂回路を探す

WIZ   :    生い茂る植物に火を放つ

イラスト:シロタマゴ

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鈴乃宮・影華
「生きている」とはどういう状態の事か、回答者によって判断の分かれる所ではありますが……
確かに「自分」を失くしてしまったら、それは人間というよりただのヒトです
――私も、蟲の塒と成り果てない様気を付けて行きましょう

しかし廃墟=草ボーボーは図式としてはわかりますけど、この草達ちょっと逞しすぎじゃないです?
これをいちいち掻き分けるとか面倒では……?
よし、指定UC起動
「E.N.M.A、オーダーは一つよ――突撃」
E.N.M.Aの操る『エクウス・ベルクス』に乗り直進します
件のペンションにぶつかるくらいの勢いで突き進めば道に迷う事は無いでしょう
……あ、でも、本当にぶつかる前に上手く停車してねE.N.M.Aさん



●緑の枷の先に
 鬱蒼と生い茂る緑の檻。その先に立つであろうペンションを目指しながら、鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)は少しばかり考えた。
「『生きている』とはどういう状態の事か、回答者によって判断の分かれる所ではありますが……」
 少なくとも、自分を定義づける何かを失ってしまったら、それは死んだも同じこと。姿形こそ人間であれど、人間の姿をした器、あるいは単なる肉の塊でしかない。
 この先に巣食うゴーストは、人の心を食らうと聞いた。だからこそ、気を付けて進まねばならない。黒鱗蟲を操る自分が自我を失えば、残された肉体は蟲の餌食にされるだけなのだから。
「私も、蟲の塒と成り果てないよう、気を付けて行きましょう」
 そう言って足を踏み入れようとするものの、しかし草の伸びが思った以上に激しい。試しに先を少しだけ断ち切ってみたが、瞬く間に再生してしまい、ペンションに続く細道は大量の草や蔦で覆われたままだ。
 廃墟というのは、名も知れぬ雑草が生えているもの。それは分かるのだが、この草達は少しばかり逞し過ぎる。いちいち、掻き分けて進むの面倒だが、かといって迂闊に焼き払うわけにもいかない。
 ここはやはり、強行突破以外に考えられない。とはいえ、草を掻き分けて進むのは面倒なので、影華は『薙ぎ倒して』進むことにした。
「E.N.M.A、オーダーは一つよ……突撃」
 皇族送迎車両『エクウス・ベルクス』に乗って、影華は草の檻に突撃して行く。操縦は全てAIに任せているので、自分は不測の事態への対処に集中できるのはありがたい。
 案の定、草を車で薙ぎ倒して進めば、更なる草が行く手を阻んだ。このままでは、車体の下から草に絡みつかれ、完全に動きが取れなくなってしまいそうだが。
「彼の力を以て世界を翔ける――枷よ外れよ、私よ飛べェッ!」
 赤黒い魔力の風を纏い、影華はエウクス・ベルクスを更に加速させる。質量を全て破壊の力に変えられる姿になり、おまけに空まで飛べるようになったことで、地を這うだけだった車は文字通り弾丸の如く緑の檻をブチ破って突進し。
「……っ! E.N.M.A、ストップ!!」
 突然、目の前が開けたことで、影華は慌ててAIに命令した。同時にユーベルコードを解除すれば、宙に浮いていた車体が静かに着地する。
 車から降りて辺りを見回すと、そこは雑木林の中に立つペンションの庭だった。目の前に聳え立つのは、まるで昨日完成したばかりとしか思えない新築の建物。だが、そのペンションの中から発せられる異様な空気は、ここが恐るべきゴーストタウンなのだと、否が応でも影華に意識させるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キノ・コバルトリュフ(サポート)
キノキノ、キノが来たから
もう、大丈夫だよ。
キノノ?キノだけじゃ心配だって?
マツタケ!キノには星霊の仲間がいるから大丈夫!!
トリュフ!!キノ達の活躍を見せてあげるよ。
シメジ?キノが苦戦はありえないけど、その時は一発逆転を狙っていくよ。
キノキノ、みんなよろしくね。


ティエン・ファン(サポート)
シルバーレイン出身の除霊建築士です。
明るく善良な性格で、できることがあるならば、できる限りを全うしようとします。
除霊建築士というジョブに拘りがあるため、その知識や技術が活かせそうな場面では、積極的にそれらを使って問題解決に取り組みます。
戦闘時は主武器のT定規と副武器の浄銭貫を用いて、近距離戦も遠距離戦も行います。
キャバリアが有効な場面では、『蚩尤』を使用します。
『蚩尤』は普段イグニッションカードに収納しています。
ユーベルコードは『蚩尤』搭乗時は”蚩尤”とついたものを、そうでないときはその他のものを状況に応じて使用します。

以上を基本として、シナリオに合わせて思うままに動かして頂ければと思います。



●燃やせば良かろう!?
 ゴーストタウンに続く道を解放するため、生い茂った草をなんとかして欲しい。
 グリモア猟兵からの依頼を受け、現地に送り込まれたのは二人ほど。この草や蔦を払わない限り、容易に目的の場所へ近づけないため、地味な仕事ではあるがやるしかない。
「草刈り鎌で、少しずつ狩るってわけにも行かないよね。さあ、どうするかな……」
 再生する草を前に、しばし考えるティエン・ファン(除霊建築学フィールドワーカー・f36098)。彼女の本業は除霊建築。しかし、この近くに建物がない以上、建築術をそのまま生かして何かをすることは難しい。
 そうなると、頼りになるのは除霊建築学の基盤ともいえる風水術の類しかなかった。こうなれば、気の流れを察知して草の少ない場所を探して回る他にないかと思われたが……そんな時、思わぬ助っ人が彼女の前に現れた。
「キノキノ、キノが来たから、もう、大丈夫だよ」
 頭に巨大なキノコの傘を乗せた少女が一人。明らかに普通の人間ではないどころか、この世界で知られている存在でもないようだ。
「ファンガス共生者……ってわけじゃ、なさそうだね。まあ、猟兵には色々いるから、深く考えるだけ無駄かな?」
 恐らく、他の世界にて猟兵に覚醒した種族なのだろうと、ティエンはあまり細かくは考えないことにした。そんな彼女を他所に、キノコの傘を被った少女、キノ・コバルトリュフ(キノコつむり🍄🍄🍄🍄🍄の星霊術士・f39074)は、どんどん茂みの中へと足を踏み入れて行く。
「え? ちょ、ちょっと! 迂闊に入ったら危ないって!!」
 慌てて止めようとするティエンだったが、当のキノは全く気にしていない様子だった。それどころか、ともすれば笑顔で草むらに突撃し、早くも草に巻かれているではないか!
「キノノ? キノだけじゃ心配だって? マツタケ! キノには星霊の仲間がいるから大丈夫!!」
 口ではそんなことを言っているが、果たして本当に大丈夫なのか。というか、何故にマツタケ!? もう、色々と会話が斜め上過ぎて、こちらの頭にまでキノコが生えて来そうな予感。
「トリュフ!! キノ達の活躍を見せてあげるよ」
 そんなティエンを他所に、キノは拘束で旋回したながら、創世記の炎の渦を召喚した。これには、ティエンもびっくりである。植物に近い種族だから、なにか植物とか菌に関係する力を行使すると思っていたのに、そんなことは全然なかった!
 キノの世界に存在する、とある都市国家の偉い人であれば、こう言っただろう。「燃やせば良かろう、解決ですな!」と。確かに、相手が植物なら炎には弱い。それは真理……真理なのだが。
「おぉ、草が燃えて行く……って、ちょっと炎の勢い強過ぎない、これ!?」
 思いの外に炎の勢いが強く、ティエンは思わず目元を片手で覆った。再生を続ける草を焼き払おうとすれば、当然のことながら焼却と再生のせめぎ合いになる。その結果、炎は加速度的に勢いを増して燃え上がり、植物だけでなくキノまでも焼き尽くしてしまう程の勢いに!
「さすがに、これは放っておけないね……。陽光よ、降りてこの地を祓い清めよ!」
 このまま放置していては大変なことになると、ティエンは地相を変換することで、この地に蔓延する邪気を祓うことにした。確かに、邪気を祓うだけでは草まで消滅させることはできず、彼女の力だけでは緑の檻を突破はできなかったかもしれないが。
「……キノノ? 草が生えて来なくなったよ。それじゃ、遠慮なく燃やしちゃおう♪」
 草の勢いが弱まったことを知って、キノが焔を纏めて周囲に放つ。ティエンにより邪気を祓われてしまえば、この地にあるのは単なる草。ゴーストタウンの余波にて与えられていた再生能力も喪失し、もはや再生することは不可能だ。
「やれやれ、なんとかなったみたいだね」
「キノキノ、綺麗サッパリ! お疲れ様~♪」
 全ての草を焼き払い、ティエンは軽く溜息一つ。キノは最後までマイペースだったが、それはそれ。
 かくして、ゴーストタウンへの道を覆う草は取り除かれ、誰でもペンションへ突入することが可能となった。だが、本当の戦いは、これからだ。オブリビオンゴーストによって魔窟と化したペンションの中には、人の心を狂わせ食らう、恐るべきゴースト達が跋扈しているのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『トロンプ・ルイユ』

POW   :    耐性反芻
噛み付きが命中した部位を捕食し、【その対象が放つ攻撃への耐性】を得る。
SPD   :    プシシェの触覚
攻撃が命中した対象に【生贄の模様】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【極彩色の闇から伸びる角のようなもの】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ   :    霊魂放浪
レベルm半径内に【流星のように翔ける霊魂の群れ】を放ち、命中した敵から【生命力】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。

イラスト:猫の目からビーム

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●欠けたる者と、喰らう者
 ペンションの扉を開けて中に入ると、黴臭い空気が鼻を突いた。
 外観は新築のようだったのに、中はまるで何十年も放棄されたままのようだ。さすがはゴーストタウン。この世の常識が通用しない空間であり、どこから襲われても不思議ではない。
 玄関から中へ進んで行くと、まず目に入ったのは豪華な暖炉。暖炉の脇は階段になっており、そのまま上の階に進めるようになっており、二階まで続いているようだ。
 また、それとは別に奥へと続く廊下があり、こちらは恐らく離れへと繋がっているようだった。外から見たところ、離れまでの距離はそうでもなさそうだったのに、この廊下は随分と長い。やはりこれも、空間の歪んだゴーストタウンだからこその現象。ペンションの中は想像していた以上に広く、ちょっとした洋館と呼べるほどにまで異質な空間が広がっている。
 そんなペンションの奥の方から、音もなく現れたのは異形なる影。インクをブチ撒けたような奇怪な塊は、人とも動物ともつかぬ姿を取ると、猟兵達を獲物と認識して襲い掛かって来た。
 トロンプ・ルイユ。人の欠落部位を強く意識させる攻撃を放ち、その攻撃に負けた者の魂を食らうという怪異。
 欠落した部位というのは、人によっては肉体であったり、心であったり、記憶であったりと様々だが……共通して言えることは、ただひとつ。その部位への執着心に負けてしまえば、どのような存在であれ、この異形なる者の餌食になってしまうということ。
 人は不完全な生き物故に、欠落のない人間など存在しないのかもしれない。ならば、これは人が人であり続けながら、己の内に秘めたるコンプレックスに打ち勝つための戦いだ。
 己の欠落と向き合い、そして受け入れ、あるいは受け流すことができるか否か。トロンプ・ルイユを前にした猟兵達に、その覚悟が試される!
天日・叶恵(サポート)
私なりの、お狐さまの矜持としてささやかなお願いがあればついでで積極的に叶えたいです
例えば、探しものを見つけたり、忘れ物をこっそり届けたり、道をこっそり綺麗にしたり、といったものです
それ以外では、オブリビオン退治に必要であればできるだけ違法ではない範囲でお手伝いしたいと思いまーす

戦闘については、昔は銀誓館学園で能力者として戦っていたので心得はありますー
補助や妨害といった動きが得意ですねぇ
あとは、白燐蟲へ力を与えて体当たりしてもらったり…術扇で妖力を込めたマヒ効果の衝撃波を出したり、でしょうか?

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行為はしません。


ウルスラ・ロザーノ(サポート)
いつもテンション高いとは言われるなー、確かに誰に対してもフレンドリーな対応しようと心掛けとる
といっても銀誓館の学生時代から能力者をしてきたんでな
救えるもんはできるだけ救う、でも倒すべき敵は必ず討伐すべしっちゅー方針や

戦法はヒット&アウェイ型、戦場全体を広く利用して戦うで
基本は中距離
レーザービット射撃やナイフの蹴り込みで牽制しつつ、
エアシューズで、地上は高速で駆け回り、空中も地形とか足掛かりに利用して軽業のように跳ね回るよ
敵からの攻撃は、すべて見切って受け流したりの回避で凌ぐよ

攻め込む機会を見つけたら奇襲を仕掛けるで
一気に接近して、蹴撃やその斬撃波を叩き込む!
サッカーボールのシュートは必殺技や!



●OBの意地
 ペンションの中に足を踏み入れるなり、闇から溢れるようにして現れた極彩色の怪物達。彼らは欠損部位を強く意識させることで、対象の魂を食らうという性質を持つ。心を強く持たなければ、いかに猟兵とて無事では済まないはずなのだが。
「現れよったな、有象無象が! 悪いけど、こちとらゴースト退治は昔から十八番やで!」
 蠢くトロンプ・ルイユの群れに臆することもなく、ウルスラ・ロザーノ(鈴振り燕・f35438)は真正面から斬り込んで行く。相手は新種のゴーストかもしれないが、倒してしまえば同じことと言わんばかりに。
「まあ……確かに、私達は昔からゴーストと戦ってはきましたけど……」
 その一方で、天日・叶恵(小さな神社のお狐様・f35376)は慎重に敵の出方を窺っていた。同じ元銀誓館学園の能力者とはいえど、その性格は正反対のようである。
「さあ、行くで! この弾幕……避けられるもんなら、避けてみいや!」
 ビットと共に中距離からの射撃で牽制しつつ、ウルスラはトロンプ・ルイユ達を追い込んで行く。ペンションの中は決して広いとはいえないため、彼女の得意とする高機動戦闘は仕掛けられない。ならば、その分は様々な方向から手数重視の攻撃を仕掛けることで補い、敵の退路を奪った方が賢明だ。
「なるほど……。勢いだけに思えましたが、どうやら心配は要らないみたいですね」
 殆ど独りで敵を片付けて行くウルスラの様子に、叶恵もどこか安心したようだった。だが、それでも油断は禁物。多勢に無勢なのは変わりなく、敵の放った極彩色の身体の一部が、ウルスラの腕を軽く掠めた。
「……っ! まだまだ、この程度やったら余裕……!?」
 次の瞬間、ウルスラの身体に謎の紋様が浮かび上がり、彼女は自分の中に足りないものを意識せざるを得なくなってしまった。強迫観念の如く襲い掛かる欠損部位への意識。ウルスラにとって足りないもの、彼女自身が欲しいと思っているものとは……他でもない、彼女自身の身長だ。
「うぐぐ……人が気にしとることを、よくも……」
 歯噛みするウルスラだったが、未だに未成年と間違えられることもある現実が、彼女の脳内で何度もフラッシュバックされて行く。その隙に、トロンプ・ルイユ達は身体から謎の突起物を伸ばし、一斉にウルスラを貫こうと襲い掛かって来た。
「そうはさせません! さあみなさん、いきますよー!」
 しかし、その攻撃がウルスラの全身を貫くよりも早く、次に動いたのは叶恵だった。
 白燐蟲使いの彼女は、本来であれば攻撃を得意とはしない能力者。それでも、戦うための術を持っていないわけではない。小妖怪を操る妖狐の力。それをユーベルコードに発展させたものを繰り出せば、攻撃も補助も自由自在だ。
 その辺に転がっていた瓦礫や、あるいは暖炉の中に残っていた石炭のカスなどが、全てモーラットのようなモフモフの小妖怪に変化した。それらは一斉にトロンプ・ルイユ達へと纏わりついて動きを封じると共に、ウルスラの身体もまた包み込み、その身に刻まれた紋様を消して行く。
「ふぅ……助かったで。サンキューな!」
 小妖怪達が離れて行くと同時に、ウルスラは改めて敵を見据えた。見れば、モフモフの壁に阻まれて動けないトロンプ・ルイユ達は、形勢不利と判断し逃げ出そうとしているようだが。
「ここまで来て、逃がすわけないやろ! 近寄るんでなく、引き寄せるって方法での接近もあるんやで?」
 虚空を蹴れば、そこから発せられた衝撃波が、トロンプ・ルイユ達を吹き飛ばす。だが、吹き飛ばされたにも関わらず、トロンプ・ルイユ達は気が付けば、ウルスラとの距離を縮められていた。
 いったい、これはどういうことだ。さすがのトロンプ・ルイユ達も、状況を飲み込めず混乱するばかり。ウルスラの放った衝撃波は、相手との相対距離を奪うもの。故に、命中すると絶対に彼女の近くまで引き寄せられてしまうのだが、当然のことながら、トロンプ・ルイユ達はそれを知らない。
「特別に零距離でぶちこんだるわ! いっけぇぇぇぇっ!」
 殆ど手を伸ばせば届く距離から、ウルスラはサッカーボールをトロンプ・ルイユの身体へと叩き込む。再び吹き飛ばされる極彩色の身体。今度は距離を奪われない代わりに、純粋に致命的なダメージを食らう。そして、辛うじて立ち上がったところに殺到するのは、叶恵の操る小妖怪の群れ。
「オォ……ォォォォ……」
「アァァァ……ァ……ァ……」
 最後は小妖怪の幻影に飲み込まれ、トロンプ・ルイユ達は欠片も残さず消えてしまった。討ち漏らした敵がいないことに安堵しつつ、叶恵はそっと額の汗を拭い取り。
「ふぅ……。どうやら、片付いたようですね」
 その隣ではウルスラが、両手に腰を当ててドヤ顔を決めていた。
「どや! これが元銀誓館学園出身の能力者の力や!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

グリゼルダ・クラウディウス
雷紋寺音弥マスターにおまかせします。かっこいいグリゼルダ・クラウディウスをお願いします!

余は氷銀竜。永久凍土の覇王である。

余は強者との闘いを求めて、数多の世界を流離う者だ。
ゆえに、そこにオブリビオンが存在するというだけで、余が事件に介入する理由になる。

余が得意とするものは、強靭なる竜の肉体を活かした格闘戦だ。
余の闘法は、無双の剛力をもって、あらゆるものを打ち砕き、その身に纏う冷気は、たちまちのうちに万物を凍結させる。

それがたとえ、どのような戦場、どのような強敵であろうとも、堂々と正面から打ち砕く。
それこそが余の王道である。

他の猟兵との連携などに関しては自由にしても構わぬぞ。



●降臨、凍れる覇竜
 ペンションの暗闇の中に潜み、獲物を待ち構えては襲い掛かるトロンプ・ルイユ。人間の精神に作用する攻撃を仕掛けて来る危険な相手だが、そんな厄介なオブリビオンゴーストに、真っ向から挑む者がいた。
「余は氷銀竜。永久凍土の覇王である! 余は強者との闘いを求めて、数多の世界を流離う者だ!」
 グリゼルダ・クラウディウス(氷銀竜・f39138)。悠久の時の流れの中で忘れ去られた王国を統治していたともされる竜の神。だが、邪神との戦いで多くの竜神が力を失った今、そんな彼女のことを覚えている者は誰もいない。
 もっとも、それでも構わないとグリゼルダは思っていた。
 彼女の矜持は天衣無縫。そして、彼女の目的はあらゆるオブリビオンの討伐だ。故に、どのような世界であろうとも、そこにオブリビオンがいる限り、彼女は戦い続けるだけである。
「さあ、来るがよい。余に触れたる者、絶対零度の凍気を以て、その身を凍結させられると知れ!」
 全身から凍気を放出し、グリゼルダは周囲の地形諸共に、トロンプ・ルイユ達を凍らせて行く。自ら触れる必要などない。彼女の周囲を漂っている冷気は、近づくだけで万物を凍結させ、場合によっては時間さえも停止させてしまうのだから。
「ア……ァァ……」
「ォォ……ォ……」
 極彩色の不定形な肉体が瞬く間に凍り付き、トロンプ・ルイユ達は氷像と化した。それでも、中には強引にグリゼルダへと噛みついてくるものもいたが、それでもグリゼルダは気にしなかった。
「ほぅ……余の肉体を食らい、凍気への耐性を得るつもりか? だが……それで勝ったと思うのは、聊か油断が過ぎるというものだ」
 凍気を無効化されたところで関係ないと、不敵な笑みを浮かべるグリゼルダ。次の瞬間、大きく振り被られた彼女の脚が、トロンプ・ルイユの身体を激しく打ち据え吹き飛ばす。
「余の蹴りをくれてやろう。貴様のような下郎には、勿体ない技だがな」
 グリゼルダの真の武器は、竜人の持つ強靭な肉体。溢れ出る凍気による攻撃はあくまで補助に過ぎず、人知を超えた肉体から繰り出される格闘術こそ、彼女の見せる真骨頂。
 吹き飛ばされたトロンプ・ルイユの身体が、既に凍結した他のトロンプ・ルイユ達にブチ当たり、木っ端微塵に粉砕して行く。元より、グリゼルダは余計な小細工など好まない。どのような相手であれ、堂々と正面から打ち砕き、そして蹴り抜く。それこそが、彼女の信じる王道であり、己が突き進むべき覇道であると信じていたから。
「さあ、次はどいつだ? 余の拳と脚の前に、打ち砕かれたい者から掛かってくるがいい!」
 影の奥から新たに現れたトロンプ・ルイユ達へ、グリゼルダは高らかに告げる。この様子であれば当分は、退屈しないで済みそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シン・クレスケンス(サポート)
◆人物像
落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。窮地でも動じず冷静な状況判断で切り抜ける

◆スタンス
エージェントとして、猟兵として、人々の平穏を護る為戦うのが使命
悪しき相手→容赦無し
善良だが、戦いが避けられない相手→心を痛めるが、非情に徹する
回避可能→回避に注力

◆戦闘
詠唱銃での銃撃(【破魔】の魔力を込めた銀の銃弾)や魔術による攻撃を得意としている

◆UDC『ツキ』
シンに取り憑いているUDC。闇色の狼の姿をしている
追跡が得意(魔力を嗅ぎ分けている)で、戦闘は鋭い牙や爪を用いて行う

◆口調
・シン→使役の名は呼び捨て。丁寧で穏やかな話し方
・ツキ
俺/お前、呼び捨て。
~だぜ、~だろ、~じゃないか?等男性的な話し方



●食うか、食われるか
 廃ペンションの中に群がる異形の影。不定形に姿を変える極彩色の物体を前に、しかしシン・クレスケンス
(真理を探求する眼・f09866)は随分と落ち着き払っていた。
「なるほど……人間の欠点や欠損部位を意識させ、魂を食らう敵ですか」
 人は神ではないが故に不完全な存在。だが、その不完全さを突いて命を啜るとなれば、これほど面倒な敵はいない。さて、どう攻めようかと考えているシンだったが、反対に彼の連れているUDCは、実に興奮した様子で敵の姿を見据えていた。
「なんだぁ、こいつらは? 入れ食いってやつじゃねぇか」
 UDCのツキにとっては、ゴーストであろうとなんであろうと、オブリビオンは餌でしかないのだろう。もっとも、ペンキか絵の具をブチ撒けたとしか思えない色合いに、シンは苦笑するしかなかったが。
「ほどほどにしてくださいね。後でお腹を壊しても知りませんよ」
 それだけ言うと、シンは銃を片手に敵の集団へと突っ込んで行く。時に邪神の眷属とも戦うことのあるシンにとっては、トロンプ・ルイユ達の異様な姿もさして恐ろしいとは思えない。
「これも貴重な研究材料だったのですが⋯…仕方ありませんか」
 乱戦の中、シンは特殊な薬剤を取り出すと、それらを素早く調合し、魔法の薬を生成した。自分や味方に使えば体力を回復させるが、オブリビオン相手には猛毒して作用する特殊な薬。銃撃に紛れて散布すれば、それだけでトロンプ・ルイユ達は、まるで落書きが消えるかの如く消滅して行く。
「オォォ……ォォ……」
「ウゥ……ゥゥゥ……」
 それでも、中には果敢にシンへと挑み、彼を攻撃することで毒薬への耐性を得ようとするものもあったが、薬が効かなくなったところで、やはりシンを動揺させるには至らなかった。
「僕を食べることで、薬剤耐性を得るつもりですか? ですが……生憎、あなた方の相手は僕だけではないのですよ」
 ユーベルコードが通用しなくなったにも関わらず、シンはその場を動くことなくトロンプ・ルイユ達へと告げる。次の瞬間、いつの間にか敵の背後に回り込んでいたツキが、鋭い牙を突き立てて、トロンプ・ルイユ達を貪り食い始めた。
「人間の魂を喰らう亡霊だぁ? 残念だったなぁ! 喰われるのは、テメェらの方なんだよ!」
 極彩色の身体が弾け跳び、成す術もなく食われて行くトロンプ・ルイユ達。弱肉強食の理は、世界の垣根を越えた形で、異形と異形の間にも存在していたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴乃宮・影華
※E.N.M.Aは車から『サルウェ』に乗り換えました

さて事故らずペンションに入れた訳ですが
今回のボスと会うには何処で何をすればいいやら……言ってるそばから何か来ましたね
これは離れで何かしらのフラグを立てると二階のギミックが作動するパターンでしょうか


穂村さんから「心を強く持て」とアドバイスされましたので
指定UC起動
「にゃはは、シルフィードに精神攻撃とかムダムダというものだにゃー♪」
奪われた生命力も風が癒してくれるから問題無しにゃ!

――風の様に自由なあの人は|遠い所《「次の宇宙」》に行ってしまったけれど
こうして|心《ここ》から力を貸してくれる――だから、私は大丈夫



●心で繋がるもの
 オーナーが自殺し、それを発見した妻が発狂したという噂を持つ曰くつきのペンション。どことなく、推理小説の一節を思い浮かべながら、鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)はしばし思考を巡らせた。
「さて、事故らずペンションに入れたわけですが、今回のボスと会うには何処で何をすればいいやら……」
 ゴーストタウンのお約束として、最深部へと突入すれば、そこにボスが潜んでいるのというのがある。噂を信じるのであれば地下室へ行くのが妥当なのだが、しかし二階や離れも気になるため、どこから手を付けて良いのか分からない。
 もっとも、そんな影華の考えなどお構いなしに、トロンプ・ルイユ達は彼女の魂を喰らわんと襲い掛かって来た。まったくもって、無粋な連中だ。少しくらい、こちらに思考する時間をくれても良いだろうと、影華は軽く溜息を吐き。
「言ってるそばから何か来ましたね。これは離れで何かしらのフラグを立てると、二階のギミックが作動するパターンでしょうか?」
 トロンプ・ルイユ達が現れたのが離れに続く廊下だったこともあり、影華はその先に何かあると確信したようだった。とはいえ、まずはこの状況を打破しなければ始まらない。こんなところで食われてしまっては、探索もなにもあったものではないからだ。
「彼の力を以て世界を騙す――記憶より現れよ、我が親愛なる家族」
 心を強く持てというグリモア猟兵からのアドバイス。それを思い出し、影華は自ら姉を演じることで、周囲に暴風を発生させた。それだけでなく、彼女の口調や戦い方もまた変わる。今の彼女はいつもの影華ではなく、完全に彼女の姉そのものなのだ。
「にゃはは、シルフィードに精神攻撃とかムダムダというものだにゃー♪」
 暗闇から現れた有象無象の霊魂達を、影華は次々に吹き飛ばしていった。多少、攻撃を食らうこともあるが、そんなものは問題にならない。いかに地の利が敵側にあり、攻撃力が増幅されていようとも、受けた傷は瞬く間に風が癒してくれるのだから問題はない。
(「風の様に自由なあの人は遠い所……『次の宇宙』に行ってしまったけれど……」)
 ふと、姉を演じながらも、影華は心の中で姉のことを思い出した。全ての生命の源たるディアボロスランサー。彼の者が目指した次の宇宙がどこなのかは、その旅に同行した者しか分からない。猟兵として数多の世界を渡り歩けるようになった今も、ディアボロスランサーの目指した宇宙には到達できてはいないが、それでも影華には確かに分かっていることが一つだけあった。
(「こうして心……ここから力を貸してくれる……。だから、私は大丈夫」)
 もう、同じ時、同じ世界を生きることはできなくとも、姉は自分と心の中で繋がっている。だから、自分が負けることは決してない。なぜなら、影華にとっての欠損部位である彼女の姉は、彼女自身の心に中に存在しているのだから。
「にゃははは! さあ、さっさと道を開けるにゃ! このまま、離れへ突撃にゃー!」
 今の影華には、トロンプ・ルイユに意識させられる欠損部位などないに等しかった。そのまま勢いに任せて廊下へ飛び込むと、影華はトロンプ・ルイユ達を吹き飛ばしながら、離れへと続く廊下を駆け抜けて行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『地獄地蔵』

POW   :    地蔵地獄変
全長=年齢mの【巨大な地蔵像】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【親しい人物に襲われる「実体を持つ幻覚」】による攻撃を可能にする。
SPD   :    友愛破壊液
【親しい人に裏切られる幻覚を見せる粘液】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    焦熱地獄
レベル×1個の【地獄】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。

イラスト:純志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●館の奥に潜む者
 トロンプ・ルイユの群れを蹴散らし、離れへと続く廊下を抜けると、その先にあったのは浴室だった。
 湿気が部屋全体に籠らないようにするための措置だろうか。浴室には他に換気のための穴もあり、風呂場に水は溜まっていない。
 ふと、浴槽の中へ目をやると、そこには鈍く輝く何かが落ちていた。何気なく拾い上げて見ると、それは古びた鍵だった。
 もしかすると、地下室へ続く鍵かもしれない。誰ともなしにそんなことを口にして、猟兵達は地下室へ急ぐ。このペンションの地下はワインセラーになっており、決して広くはない場所のはずなのだが……いざ、扉を開けてみると、そこに広がっていたのは実に奇妙な光景だった。
 古びた棚に、ズラリと並べられたワインの数々。だが、問題なのは、その数と部屋の広さだ。なにしろ、どこにこんなスペースがあったのかと思えるくらい、ワインセラーの中はどこまでも続いていたのだから。
 無限廊下ならぬ、無限ワインセラーといったところか。恐らくは、これも空間の歪んだゴーストタウンならではの現象なのだろうが、そうなると棚の中に陳列されている瓶の中身が、果たして本物のワインなのかも疑問が残る。
 そして、そんな奇怪な部屋の奥底から、ついに主が姿を現した。地蔵の如き仮面を身に着け、長く伸びる二本の触腕と、不気味な粘液を携えた巨大な芋虫。
 地獄地蔵。かつて銀誓館学園に所属していた者であれば、その名を聞いたことが……あるいは、実際に対峙したことがある者もいるかもしれない。幻覚効果のある粘液を武器とし、人々の精神を破壊するゴースト。こんなものが巣食っていたことを考えると、オーナーの変死と妻の発狂という都市伝説も、全てが嘘とは思えなくなってくる。
「……モ……」
 なにやら鈍い呻き声のようなものを発しながら、地獄地蔵が近づいて来た。どうやら、猟兵達を完全に次なる獲物と認識しているようだ。この土地をオブリビオンゴーストの手から解放するためにも、戦いは避けて通ることはできないだろう。
ティエル・ティエリエル(サポート)
◆キャラ特徴
ボクっ娘で天真爛漫、お転婆なフェアリーのお姫様です。
王家に伝わる細身のレイピアを使った空中からのヒット&アウェイで戦うのが得意な女の子です。
・冒険大好きお姫様
・珍しいものにも興味津々
・ノブレス・オブリージュの精神で弱者を放っておけないよ
・ドヤ顔がよく似合う
・困ったら動物さんに協力を!

◆戦闘方法
・背中の翅で羽ばたいて「空中戦」や「空中浮遊」で空から攻撃するよ
・レイピアに風を纏わせて「属性攻撃」でチクチクするよ
・対空攻撃が激しそうなら【ライオンライド】
・レイピアでの攻撃が効かない敵には【お姫様ビーム】でどかーんと攻撃


マリエ・ヘメトス(サポート)
一人称:わたし
二人称:あなた
他人へは下の名前にさん付け
基本口調は「~だわ、~よね」宗教的な物言いになると敬語
信心深く奉仕の精神があり善行には積極的。迷惑行為や不道徳な行いはしない
最優先するのは使役している死人(死んだ彼氏)のこと。呼び方は「だんなさま」or「■■■■(聞き取れない発音、彼氏の本名)」
「だんなさま」が嫉妬すると思っているので老若男女問わず深い関係を結ばないが、人類的な愛をもって概ねの相手には優しく接する
喜びや憐れみは強く表すが、怒りは「だんなさま」を侮辱や攻撃された時以外は示さない
精神攻撃には狂気耐性使用
誘導弾やカウンターで攻撃を防ぐ
UCは活性化したものをなんでも使用可
他はお任せ


アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。



●裏切りの幻影
 どこまでも無限に続く広大なワインセラーの中、迫り来るは不気味な地蔵。否、それは地蔵とは名ばかりの、人々の絶望を糧とする妖蟲だ。
 見れば、ワインセラーの天井は果てしなく遠い場所にあり、ワインの納められた棚もまた、高層ビルの如き高さを誇っていた。これだけ広ければ戦う分には問題ないが、それは敵も同じこと。時にワイン棚の影に隠れて死角から攻撃してくるとも限らないため、一時の油断もできない状況。
「モ……モ……」
 不気味な粘液を滴らせながら、地獄地蔵がゆっくりと動き始めた。動作こそ散漫だが、なかなかどうして力のありそうな相手。ならば、ここはスピードで撹乱してやろうと、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)が最初に飛び出した。
「ふふ~ん、そんなスピードで、ボクを捕まえられるかな?」
 地獄地蔵の伸ばす触腕をヒラヒラと避けながら、ティエルは巧みに翻弄する。問題なのは、ティエルの攻撃は一撃が軽すぎて、一撃離脱を繰り返しても、なかなかダメージを蓄積させられないことだが。
「……モッ!?」
 突然、飛来した光線が地獄地蔵の身体を貫き、その身体を盛大に吹き飛ばした。何事かと思い光線の放たれた先へ目をやれば、そこにいたのは銃を構えるアス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)だった。
「大丈夫か? 手が足りないなら、力を貸すぞ……」
「うん、平気だよ。でも……」
 まだ、敵は完全に倒れたわけではない。そう言ってティエルが指差せば、起き上がろうとした地獄地蔵の頭に、鈍器の如く固い杖の一撃が炸裂し。
「神様や仏様の名を騙り、人々の心を惑わす……どうやら、遠慮なく倒して良さそうな相手のようね」
 地獄地蔵に冷徹な微笑みを向けて告げるのは、マリエ・ヘメトス(祈り・f39275)。信心深い彼女のことだ。世界も宗教も違うとはいえ、それでも信仰の対象たる者の姿形や名前を騙り、それを以て人々を狂わせるような存在を、放ってはおけなかったのだろう。
「よ~し! こうなったら、一気にやっちゃうぞ~!」
 援軍を得たことで俄然強気になったティエルが、再びレイピアを構えて地獄地蔵へ突撃して行く。狙うは敵の急所と思しき箇所。不気味な笑みを浮かべる地蔵の仮面目掛け、ティエルはレイピアを問答無用で突き立てた……のだが。
「……モ……」
 突然、地獄地蔵が全身から謎の粘液を周囲にブチ撒いて来たのだから堪らない。それは津波の如き勢いで猟兵達へ襲い掛かり、ワインセラーさえも飲み込んで行く。咄嗟に避けようとするものの、前後左右、あらゆる場所に粘液を散布して来るため、逃げようにも逃げ場など存在しない。
「うわっ! な、なにこれ! 気持ち悪いよぉ!!」
「くっ……! 毒液の類か? だが……」
 慌てて粘液を振り払おうとするティエルの横で、アスもまた口元を腕で押さえながら、敵の攻撃に耐えていた。どうやら、溶解液や毒液の類ではなく、肉体的なダメージはないようだが……それでも、だんだんと目の前が歪み、そこにいるはずのない者達が姿を現した。
「えぇっ! もしかして、パパとママ!? な、なんで、こんなところにいるの!?」
 ティエルの前に現れたのは、彼女の両親でもある妖精国の国王と王妃。しかし、故郷を懐かしむ暇さえ与えずに、二人はティエルのことを叱責し、ともすれば突き放そうと冷たい言葉を浴びせて来た。
「そ、そんなぁ……。勝手にお城を抜け出したから勘当だなんて……酷いよぉ……」
 お前はもう、我々の子どもではない。そんな些細な一言が、何故かティエルの心の奥を深々と抉る。自分の両親はこんなことを言わないと頭では分かっているのに、激しく罵倒される度に、心が泣き叫び悲鳴を上げる。
「これは……もしや、幻覚の類か? だが、それにしては……」
 同じくアスも、生き別れたはずの自分の姉と妹を前に、やはり攻撃を躊躇っていた。
 彼女達は口々に叫ぶ。何故、自分達を置いて逃げたのかと。何故、助けに戻ってくれなかったのかと。その声は、どこか機械的でよそよそしく、とても人間の口から告げられているものとは思えない。なぜなら……アスの目の前に現れた姉と妹は、既に人間の姿をしていなかったのだから。
『アナタの、セイで、ワタシタチは……』
『コンナ、スガタに、サレて、シマッタの……』
 そう言ってアスに迫る二人の姿は、培養液が満たされたカプセルに浮かぶ脳髄だった。もはや、人としての姿も尊厳も奪われて、二度と元には戻れない。それらは全てアスのせいなのだと、二人は口々に叫ぶのだ。
 これが本物であるはずはない。そう思いたいが、もし二人が無事でなかったらと考えると、あるいは非情な現実として告げられる未来の姿なのかもしれない。そんな疑念と、そして些細な罪悪感が際限なく肥大化して行き、アスの心を締め付ける。
 恐るべきは、地獄地蔵の幻覚攻撃。先の粘液は浴びた者に幻覚を見せることで、肉体よりも先に心を殺してしまう。
 このままでは、全員纏めて敵の餌食になる他にない。残る希望は、マリエのみ。そんな彼女もまた、己の慕う者の幻影……かつての恋人の似姿をした者に攻撃を加えられていたが。
「……『だんなさま』を騙り、わたしの前で貶め晒す……。そのような愚行に手を染めた以上、覚悟はできているわよね?」
 慈愛の微笑みを崩すことのなかったマリエの顔から、一瞬にして笑顔が去った。代わりに宿るのは、氷の如き冷たさを誇る憤怒の形相。マリエにとって最も大切なもの。それを貶められたことにより、彼女が抱くのは痛みでも悲しみでもなく怒りだった。
「さあ、お話しください。いつわりを為さば神の御国は遠のきます」
 幻影の恋人による攻撃を軽くあしらい、マリエは胸のペンダントから蒼ざめた天使を召喚した。その問い掛けに、地獄地蔵が答えることはないが……その代償を言わんばかりに、天使は無数の茨を繰り出し、それらを使って地獄地蔵を締め上げた。
「モ……モ……!!」
 もがき苦しむ地獄地蔵。粘液を飛ばそうにも、こうも身体を締め上げられては、少しでも気を抜いたが最後、全身をバラバラにされてしまう。おまけに、攻撃を食らったことで幻影を維持することができなくなり、ティエルやアスを苦しめる虚像もまた、彼らの前から消えてしまった。
「あれ……? パパとママが消えちゃった?」
「どうやら、敵の繰り出す幻視も解除されたようだな」
 目の前から幻が消え去れば、もはや躊躇する必要もない。今までの御礼参りとばかりに、アスは銃を構えて特大の熱線を発射する。
「リミッター解除……目覚めよ、蒼き咆哮!!」
 動けない地獄地蔵の身体を、幾本もの光線が次々と貫いた。幻覚とはいえ、姉と妹が人ならざる者に変えられるという、忌まわしき未来を見せられたのだ。敵の作り出した偽りの未来だったとしても、それはアスの琴線に触れ、冷静沈着な彼にでさえ怒りの感情を爆発させるのに十分なものであり。
「よくも、パパとママの姿に攻撃させたな! もう許さないぞ!!」
 最後はティエルの繰り出した渾身の突きが、地獄地蔵の身体を真正面から刺し貫く。さすがに、この猛攻は堪らなかったのか、地獄地蔵は悲鳴を上げて身体を縮めると、這う這うの体で逃げ出した。
「あ! 逃げちゃう!!」
「心配しなくても大丈夫よ。あの傷だったら、そう遠くへは行けないわ」
 慌てて追いかけようとするティエルを、マリエが静かに諭した。既に結果は分かっている。だから、下手に深追いする必要はないと。
「俺達を甘く見たツケだ。親しき者に裏切られる幻影……それが全ての者にとって、絶望だけを与えるものではないと知るがいい」
 逃げ出した地獄地蔵へ、最後にアスが淡々と告げる。彼の言う通り、地獄地蔵の敗因は、彼らの親しき者の姿に攻撃をさせたこと。幻覚だと分かっていれば、その存在は絶望よりも、怒りの力を奮起させるものでしかなかったのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

バジル・サラザール(サポート)
『毒を盛って毒で制す、なんてね』
『大丈夫!?』
『あまり無理はしないでね』

年齢 32歳 女 7月25日生まれ
外見 167.6cm 青い瞳 緑髪 普通の肌
特徴 手足が長い 長髪 面倒見がいい 爬虫類が好き 胸が小さい
口調 女性的 私、相手の名前+ちゃん、ね、よ、なの、かしら?

下半身が蛇とのキマイラな闇医者×UDCエージェント
いわゆるラミア
バジリスク型UDCを宿しているらしい
表の顔は薬剤師、本人曰く薬剤師が本業
その割には大抵変な薬を作っている
毒の扱いに長け、毒を扱う戦闘を得意とする
医術の心得で簡単な治療も可能
マッドサイエンティストだが、怪我した人をほおっておけない一面も

アドリブ、連携歓迎



●毒を以て焔を制す
 幻を見せて魂を喰らうどころか、反対に猟兵達の怒りを買って、ズタボロにされてしまった地獄地蔵。辛うじてワインセラーの棚に隠れて逃げ出したものの、そのダメージは深刻だった。
「モ……モ……」
 身体に空いた穴から粘液を滴らせながら、地獄地蔵は再起の時を窺った。とにかく、今は体力を回復せねばと、棚と棚の間に身を潜めるが……当然のことながら、ここで逃がすほど猟兵達は甘くはない。
「あら? なんだか面白い生き物がいるわね」
 突然、どこからか声がした。地獄地蔵がゆっくりと棚の隙間から這い出すと、そこに待っていたのは薬瓶を携えたバジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)だった。
「モ……モモ……」
 己の傷を癒さんと、地獄地蔵はバジルへ触腕を伸ばす。彼女を食らうことで、受けた傷を回復しようというのだろう。もっとも、猟兵である彼女を食らうのには、それなりにリスクが伴うのだが。
「私を食べるつもりかしら? 確かに、その怪我は可哀想だけれど……オブリビオンは、患者さんとして扱えないわ」
 そんな地獄地蔵の触腕を、バジルは紙一重で避けて行く。これが人であれば彼女も治療を施したであろうが、相手がオブリビオンなら容赦はなしだ。
 地獄地蔵を挑発するように、攻撃を次々に避け続けるバジル。さすがに、これには焦れたのか、地獄地蔵はついに地獄の炎を繰り出すと、周囲の地形諸共に焼き尽くさんとしてきたが。
「薬も過ぎれば毒となる。元々毒だけど、たっぷりと味わいなさい」
 待っていたかの如く、バジルもまたユーベルコードを発動させる。空中で激突する炎と魔法の槍。火力の面では地獄地蔵が圧倒的にい上回っているが、しかし手数の面ではどうだろうか。
「……モッ!!」
 気が付いた時には既に遅く、爆炎の中から現れた数本の槍が、地獄地蔵の身体を貫いていた。己の力量に匹敵する焔を放てる地獄地蔵だが、バジルは己の力量の、実に5倍の数の槍を繰り出せる。いくら彼女より地獄地蔵の地力が優れていたとしても、さすがにこの数的な差は、引っ繰り返すことができなかった。
「……モ……モ……!!」
 槍から流し込まれる毒によって、地獄地蔵は更に悶絶しながら、再びワインセラーの奥へと逃げて行った。
 だが、いつまでも逃げられるものではない。猟兵達に見つかった以上、オブリビオンに与えられる宿命は、等しく決まっているのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴乃宮・影華
うーん、あんまり良くない状況ですね……
この無限ワインセラー、あのゴーストを倒さない限り撤退もままならないヤツですよね多分
「――まぁ、いつもの事ですけど」
ボス部屋に行く為の謎解きとかしなくて済んだので良しとしますか

的が大きいので
『轟蘭華』に搭載した『R.I.P』等で攻撃してみましたが
飛翔速度が桁違いで上手く捕捉できませんね……
よし、指定UC起動
今も銀誓館にいる友人から貰った耳飾りをモチーフにした飛空艇に変身、これで速さは同等くらいでしょう
『ケルベロスⅣ』をキャバリアで使う時のサイズに戻し射撃
後は精神攻撃の無効化も兼ね【黒燐想鋼・報復写呪】で「実体を持つ幻覚」を黒燐蟲に変換、反撃です

ところでこの幻覚、件の友人なのですが
力を失った私に剣を教えてくれた、大切な友人なのですが
あの優しい『彼女』が、私を襲って来るだと?
「……よりにもよって、あのさぁ――そんなに死にたいの?」

その芋虫の原形、残ると思うなよ?




……そういえば、もうすぐ正月でしたね
久々に、友人に異世界の土産話をしに行きましょうか



●怒れる赤眼
 どこまでも無限に続くワインセラー。出口のない棚の迷宮に迷い込み、鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)は独り首を傾げていた。
「うーん、あんまり良くない状況ですね……」
 この無限ワインセラーがオブリビオンゴーストの作り出した特殊空間である以上、空間の主である地獄地蔵を倒さない限り、脱出することは不可能だ。問題なのは、あまりにワインセラーが広すぎて、標的の地獄地蔵がそう簡単には見つからないことだが。
「……まぁ、いつもの事ですけど」
 それでも影華は、他に面倒な謎解きがなかったことで、どこか安堵した様子で歩き始めた。どれだけ広い空間でも、敵がこちらを獲物と認識している以上、歩き回っていれば向こうから仕掛けて来るだろうと。
 果たして、そんな彼女の予測は正しく、棚の隙間を縫うようにして巨大な芋虫が現れた。もっとも、その姿は既に満身創痍であり、とても影華を襲って食べる程の力が残されているようには見えなかったが。
「モ……モ……」
 突然、地獄地蔵の身体が膨れ上がったかと思うと、それは瞬く間に巨大な地蔵の姿となり、ワインセラーの棚を押し倒して飛翔し始めた。状況的に、最後の悪足掻きかと思い地上から狙い撃つ影華だったが、いかんせん相手のスピードが思った以上に速く、なかなか狙いを定められない。
「これは参りましたね。ですが……同じような手段は、私にもあります」
 そう言うが早いか、影華は自らの肉体を飛空艇へと変身させると、飛翔する地獄地蔵を追い始めた。その姿は、今も銀誓館にいる友人から貰った耳飾りにも似ている。赤眼の銀蝶を思わせる飛空艇と化した影華は、キャバリア用の兵装を転用しつつ、地獄地蔵をブチ抜いて行く。
「モ……モ……!」
 数発も着弾させれば、それだけで地獄地蔵の勢いは衰えていった。やはり、先の戦いで大きなダメージを受けたのが原因だろう。それでも地獄地蔵は未だ諦めていないのか、ついには体当たりで飛空艇と化した影華を撃墜戦と迫り来る。
「こちらを落とすつもりですか。ですが……そう、簡単にはやられませんよ」
 奇しくも、同質のユーベルコードによるぶつかり合いとなった戦い。だが、影華の本領は、なにも飛空艇になることではない。この姿になった影華は、任意のユーベルコードを一つだけ、砲弾のように発射する能力を持っているのだから。
「モ……モモ……」
 そんなことは露知らず、地獄地蔵は影華にとって最も大切な人間の似姿を作り出し、それを影華に差し向けて来た。本来であれば、そんなものを見た人間は、間違いなく攻撃を躊躇うはず。しかし、影華はそれを見ても怯むどころか、ますます攻撃の手を強めて行く。
「……よりにもよって、あのさぁ……そんなに死にたいの?」
 飛空艇と化した姿のまま、影華は地獄地蔵に問いかけた。地獄地蔵が作り出した幻影。それは他でもない、影華の友人。力を失った影華に、剣での戦い方を教えてくれた大切な友達。
 そんな優しい彼女が、自分を襲ってくるはずがない。彼女を信じているからこそ、影華は最後まで冷静でいられた。それでいて、その心の中を支配するのは怒りの炎。先の猟兵達と同じように、親しい者の幻影は、影華の怒りを増幅させただけである。
「その芋虫の原形、残ると思うなよ? この身に集いし皆に願う……新たな仲間に、出会いと別れの挨拶を!」
 襲い来る友人の幻影を全て黒燐蟲に変換し、影華はそれを地獄地蔵へと打ち出して行く。あらゆる存在を食らい尽くす黒燐蟲。その勢いは衰えることなく、地獄地蔵の身体を食い破り。
「モ……ォォ……ォ……」
 既に満身創痍であった地獄地蔵に、この攻撃に耐えられる力は残されていなかった。墜落して棚の激突し、それでも剥がれない黒鱗蟲。それは、まるで獲物の肉を全て食らう軍隊蟻の行進の如く。
「ォォ……ァァ……ァ……」
 やがて、全てを食らい尽くされた後に残っていたのは、不気味な仮面だけだった。その仮面さえもズブズブと床に沈みこむ形で崩れて行くと、気が付けば猟兵達は、狭いワインセラーの中に戻っていた。
「……そういえば、もうすぐ正月でしたね。久々に、友人に異世界の土産話をしに行きましょうか」
 周囲を見回し、踵を返して去って行く影華。オーナー自殺の真相は結局のところ不明のままだったが、それでも彼女は晴れやかな気持ちだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年01月11日


挿絵イラスト