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今年ももちろんやります! 夏だ浮島だ水鉄砲バトルⅣ!

#ブルーアルカディア #お祭り2022 #夏休み #水鉄砲バトル #ルールを守って楽しく水鉄砲バトル! #弾けてオッケー #ガチ→サバゲー感覚 #エンジョイ→キャッキャウフフ #締切日に合わせて一度リプレイ提出しました。残りお待ちください #ちょっと揃え切れませんでした。ごめんなさい。 #芋煮艇の皆様へ。中編アップしました(8/21の22:02)

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#ちょっと揃え切れませんでした。ごめんなさい。
#芋煮艇の皆様へ。中編アップしました(8/21の22:02)


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●今年もやってまいりましたこの季節が
「えっと。今年も水鉄砲バトルを行います」

 猟兵たちの前に用意されたスピーチ台の上からぺこりと一礼した涼月・カティア(仮初のハーフムーン・f05628)の開会宣言である。なお、当のカティアさんはギンガムチェックのワンピースを風になびかせながら日焼け対策に日傘完備で、見た目は完全にお嬢様である。見た目は。

 さて……説明しよう! え、いらない? そんなこと言わないで聞いてくださいよ。

 水鉄砲バトルとは! 主催が変わりつつも今年で4回目。毎年水着コンテストの時期に行われる、水着を着た猟兵たちのバトルなのだ!
 なお、激しさはピンキリであり、水鉄砲での戦いを楽しむ人もいれば、ガチで兵器クラスを持ち込んで敵を滅する水鉄砲バトラーもいる。
 一応、グランドルールがあるので聞いてほしい。毎回変わるけども。
「えーと、今年のルールはですね……」
 カティアが手元に用意したメモに視線を落としつつ、今年のルールを説明する。

●ルール説明
 まず最初に。
「参加のドレスコードは水着になります」
 なのでこの水鉄砲バトルに参加する人は必ず水着を着用してほしい。

 次にバトルフィールド。
 これは今いる浮島全体が該当する。ちなみに島の大まかな構造としては丸い島を3等分してもらって、左から砂浜、森、山岳地帯。本来、海であろう部分は雲海なので落ちるし入れません。
 なので基本的には砂浜および森の中がバトルの舞台となるだろう。
「全域にしちゃうと広すぎて索敵とかが困っちゃうので、ある程度場所を決めた方が良いかもしれませんね」
 例えば砂浜だけとか。砂浜と森の境目から半径500m以内(砂浜・森ともほぼ範囲内に収まる)とか。ガチでない限り、広すぎるエリアは長期戦化するだけなので注意が必要だ。
 砂浜にはところどころに大きな岩があったり、ヤシの木があったりする。身を隠すのに使えるだろう。後は砂の中に穴を掘るとか。
 森の中については森林浴できそうな感じと思ってほしい。木の高さは太陽の光を遮るに十分で人が登ることもできる。そして木々の間も十分に空いているので走り抜けることは可能。ただ木々は好き勝手生えているので直線で射線を取ることは難しい。

「そして、水鉄砲バトルの『グランドルール』はこちらです」
 そう言って、ててんぽんと手元のタブレットを操作するとカティアの後ろに大きなホログラムディスプレイが表示される。
 ここに書いてあることがグランドルール――この水鉄砲バトルにおいて必ず守れなければならない事項なのである。
「今年とあまり変わりませんけど、ちょっと簡略化してます」
 そんなグランドルールはこちらである。

 ①水鉄砲を装備すること。銃の種類やサイズは問わない。水鉄砲の代わりに水風船爆弾でも可。なお、中身は水(真水か海水)でなければならない。
 ②バトルの参加者はバトルフィールドから外に出てはいけない。
 ③バトルの参加者(本人・本体のみ)は紙風船を装着すること。
 ④バトルの相手には敬意を払うこと。

「④の補足をしますね」
 水鉄砲バトルは戦いである以上、勝つ為に様々な手段を用いることは仕方ない。しかし勝つ為に相手を貶したり、傷つけるような行為はやめてほしい。勝てばいいという考え方も悪いわけでは無いが、バトルなので相手と向き合ってほしい。

「それから紙風船ですね。こちらはバトルへの【参加証】であると同時に【生きている】証になります」
 つまり割れたら死亡。バトルからの脱落が余儀なくされる。ゾンビアタックは無効です。割れるまでなら本体がどんなダメージを受けていても参戦し続けることができる。
「特別仕様なので一定量の真水か海水が触れないと割れません」
 なので基本的に水鉄砲での射撃か水風船爆弾でしか割れない。魔法による水弾もオッケー。なお氷は水じゃないのですぐには割れない。

 この紙風船は『必ず』バトルの相手からの見える&攻撃が届く位置に装着する。なのでラッシュガードの下(見えない)とかオーラ防御で守る(攻撃が届かない)とかはNG。背中に付けて前から見えない(回り込めば問題ない)とか常に脇に抱えて相手の視界から遮る(隠そうとしているだけ)とかは作戦としてオッケー。
「紙風船をどこに配置するかも大切かもしれませんね」
 そんな感じで相手の紙風船をいかに割るかという水鉄砲バトル。
「それ以外のルールはローカルで決めてください」
 例えば遠距離攻撃禁止とか。他にはユーベルコードやアイテムの使用制限なしといったことも考えられる。その辺は参加するグループ内で決めて欲しい。
 あと出来れば水鉄砲バトルをして欲しい。つまり、水で戦ってほしい。なお、水大砲とか水波動砲とかヘブンリィ水鉄砲ストームとか水で出来た巨人とかは水鉄砲バトルに含まれる。

●あと少し聞いてください
「説明が長くなってきましたね……これで終わりなのでもう少し待ってください」
 あせあせしながらカティアが話を続ける。
「参加の際は『スタンス』を表明しておいてください」
 何かというと水鉄砲バトルに対する熱意みたいなものである。
 いつの世も、バトルを全力で楽しみたい【ガチ】派と、皆でとわいわい楽しみたい【エンジョイ】派がいるのは当然のこと。そしてガチとエンジョイが混ざると大変な化学反応が起こるので混ぜるな危険なのも。
「なので、グループ内でのスタンス統一はしっかりお願いします」
 ガチとエンジョイのバトルフィールドは重ならないので、混ざることはない。スタンス表明だけよろしく。
「これでルールの説明は終わりです。後は……バトルのお相手は各自で調整お願いします」
 基本的には参加したグループ内でのバトルロイヤルが想定されているが、チーム対チームというvsチームバトルもある。なお、チーム参加、かつ、vsチームバトルで相手が決まってない場合は浮島の住民がお相手してくれる。結構強い。
 なお、バトルの相手にカティアをご所望の場合は指名していただければ。見た目通りそんなに強くないのであっさり沈むかもしれないけど。

 そんなわけでルール説明オール終了。
「それでは水鉄砲バトルの開始です。皆さん楽しんできてくださいね」
 そういってカティアはスピーチ台の上から楽しそうに微笑むのであった。


るちる
 まいどお世話になってます、るちるです。
 夏休みシナリオのリリース期間が短い! なんてこったい。
 それでも今年も水鉄砲バトルだ! 水着JCがある人もない人も遠慮なくおいでください!

●全体
 どなたかと一緒に参加される方は、お相手やグループが分かるようにしておいてください。

 次に水着の指定をお願いします(実はプレイングボーナスです)。イラストがある人はイラスト指定でOK。無い方はプレ内で指定ください。

 『スタンス』の表明を忘れずに。【G】(ガチ)【E】(エンジョイ)の表記お願いします。同行グループ内ならお一人表明あればOK。

 ローカルルールは自由に決めてください。フィールドの指定、UCや技能の使用可否、特別勝利条件といった勝敗を分ける基準など。

 公序良俗を守りつつ、他の人に迷惑をかけず、楽しく遊びましょう。何事も相手(もしくは団体内)で合意や了承があればどんな内容(例外:R18展開)でも通ります。

●砂浜と森
 OP内で記載がないけれども『ありそうだな』ってものは、プレ内に記載があれば存在するものとします。

●アイテム・装備・技能
 よく似た形と性能の『相手を傷つけない』『水弾や水風船を発射する』仕様になります。使い勝手は変わらないと思います。ちなみにキャバリアのミサイルポッドから水のミサイルが出ます。

●紙風船
 必ず付けて参加してください。位置は自由。大きさは拳大。割れたら戦線離脱で。
 物理およびユーベルコードなどで『何をどうやっても攻撃や水が届かない』状態にする・なるのはNGです。遠距離や一方向の盾ガードなどはOK(近づいたりかいくぐれば届くので)
 一定量以上の水を浴びるか水鉄砲のゼロ距離射撃で割れます。逆に言うとそれ以外では絶対に割れません。十分な量の水をいかに用意するかがポイントです。

●カティア
 対戦相手不足、もしくはお声がけがあれば参戦します。
 ピストルタイプの水鉄砲を装備。ガードに日傘を使います。


 相談期間と執筆期間の確保のため、プレ受付開始を7月26日(火)8:31~とさせてください。タグでもプレ受付状況を報告します。
 出来ればオーバーロードをご活用ください。執筆時間を確保できるため、しっかり書ける可能性が高くなります。
 なお、多数のご参加がありました場合は、1回だけですが再送をお願いする可能性がありますことをご了承いただけると助かります。

 よろしくお願いします!
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第1章 日常 『アルカディアビーチ』

POW   :    日差しに負けず楽しむ

SPD   :    小型飛空艇で雲海飛行

WIZ   :    水平線ならぬ雲平線の風景を楽しむ

イラスト:すずや

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルエリラ・ルエラ
【芋煮艇】【G】ルールは武器だけ禁止の頭上紙風船割団内サバイバル
私の水着は今年の物

やれやれ、前回優勝した私が今年も優勝しちゃおうかなー(慢心)
あ、カディアもよかったら参加してね。みんなで遊ぶ方が楽しいし、私のえs…ゲフンゲフン

さて、今年は戦法を変えようかな
<メカ・シャーク号(ビーストタイプ)>に乗って砂浜から森の中と縦横無尽に駆け巡るよ
遮蔽物多いとこでは<インチキメガネ>を使いつつ、<狼耳デバイス>で常に周辺の音を『聞き耳』・『情報収集』しながら敵を見つけて、『スナイパー』として走りながらの遠距離狙撃で一撃離脱!
チャンスだったりピンチになったら【リミッター解除】して逃げるか戦うか臨機応変に対応するよ。サメパワーばんざーい!
<芋煮ハンドグレネード>(水風船仕様)も用意しておいて、接近されたらばら撒いたりしたり<狼尻尾デバイス>で飛んでくる水を尻尾でガード!とかできるよう頑張ってみよう
今年の私は動けるスナイパームーヴ!こんな完璧な私が怖い。思わずドヤ顔だよー
あ、お腹減ったら芋煮休憩しよう


ヴォルフスブルク・ヴェストファーレン
【芋煮艇】
2022水着参照

こ…今年こそはちょっとは頑張りたいですっ
生まれ故郷ですので…地の利があっ…たらいいなぁ…

持ち物は水風船手榴弾と水鉄砲ですね!基本は森の中で森の木々を伝って機動戦ですっ!不安定な足場で近接戦は翔剣士ですからお手の物ですっ
紙風船はとりあえず髪の中間ぐらいにつけておきましょう、揺れるので狙いにくいかもしれません

それから…召喚した物を墜落したふうに見せかけて森と砂浜の中間に置いておきましょうっ
できれば一人ずつ相手にしたいですね…誰か見つけたら…逃げましょう!隠したたものの所までう゛に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛!
引き付けたら今ですっ!森に隠しておいた【飛空艇】から奇襲|砲撃《放水》!私と同型艦です、速射水砲と水機銃で弾幕を張りますよ!

後は飛空艇を足場にしたり空から水爆雷と砲撃で支援攻撃させて地上の私と連携し追い詰めていきますっ
もし飛行艇に乗り込まれた場合は飛空艇を海に向かって突撃させましょう!落下する前に私は脱出ですっ!
いっけぇ!ウ゛ェ゛ア゛ア゛ァ゛ア゛!!


※重要
(胸は暖簾です)


ロニ・グィー
【芋煮艇】
水着:男の子はパンツスタイルが多いので選んだ今年の水着!
アドリブ・連携・絡み歓迎!

●確認
フムフム…つまり今日はいつも鉄や謎物質で出来てる[球体]くんたちが[|水球《みずたま》]になっちゃうんだね!
あ、閃いたっ!

●開戦
ひゃっほおーー!ゲーム開始だーーっ!
ボクは【第六感】に任せてターゲット捜索!
フフン、死角から?不意を?それでをやれると思ってもらっちゃ困るね!
と【第六感】を当てに[水球]防御ないし回避!
そして…それでボクの目と勘を誤魔化せると思ってもらっちゃ困るね!
【第六感】に任せて当てずっぽうで[水球]くんをシューッ!
いっけー!ロニスペシャル|1080《テンエイティ》!
説明しよう!ロニryとは投げてから当たるまで合計1080度まで軌道を何度でも変更できる魔(水)球だよ!
※なおこれ気分で言ってるだけ実際はいくらでも自由自在に軌道変更する

●閃きの結果
やー楽しかったねー!
―――あ、忘れてた
そう『これボクもやられるじゃん!』となって上空に浮かべたままの超ドカデカ[水球]くん!
あ落ちてきた


レン・ランフォード
【芋煮艇】今年の水着を参照
人格はいつものれんだよ…うん、れんは勝つよ?

今年の方針は…|空《うえ》を制したものが勝つ
事前に伊達眼鏡を外しておいてUC発動
戦衣は精神力でできてるから形に自由利くんだ…
パーカーに変形させたものを羽織っていざ出陣…

強風と会場500m範囲…そして奇襲を「第六感」合わせて警戒しつつ上昇
来た攻撃は「見切」って回避か
UC発動と同時に出現していた刃をビットのように操作し「武器受け」…
整列すれば雨や日差しも防げる優れものだよ…
水鉄砲は射程と連射性が高いものを選択
水がきれた時はUC水刃手裏剣で召喚して補充するよ…

1回目でもいったけど…「空中戦」でもれんが勝つよ

上から見えない時のため…偵察兵として数珠丸太郎が地上を走っているよ
特に隠れてる狙撃手をメインに臭いを「追跡」中
発見したら周囲の皆にもわかるように吠える手筈だよ…
攻撃はしないから紙風船はなしでね


甘甘・ききん
【芋煮艇】水着は今年の!

ほら殺人鬼どもご飯の時間だよー。整列!番号!よしよく言えた。いい子だー。甘いの三つあげちゃう。事前に喚び出した殺人鬼の皆様(狐狸変化)は芋煮艇メンバーのみ襲うよう角砂糖で躾けました。紙風船が【生きている】証と聞いて興奮を抑えきれないご様子のホラー映画(装備品)で見る顔ぶれ。チェンソーやら斧やら気合が入っているな?でも水。水を絡めて殺ってほしい。ここはわたしの顔を立ててほしい

この能力、球状範囲の中心に術者がいると思われがちですが、特定対策で中心をわたしからずらした球で空間構築しています。中心のダミーのロッジ群では殺人鬼の群れがお出迎え。一方わたしはホラー頻出の秘密の地下道(排水完備)をのほほん歩いて獲物に向かい、能力の範囲に取り込んでいくわけよー

迷い込んだ犠牲者には、その場その場で都合よく殺人鬼をお届け。だって殺人鬼ってそういうものだから。空気を読める人たちだから

時間だ殺人鬼!芋煮メンバーの紙風船を抹殺せよ!どうした?行け!……そっかー、わたしも対象にしちゃう系かー


試作機・庚
【芋煮艇】基本的な水着は今年の水着参照デス

ってことでデスマッチ初参加ってことでルール確認はしたんデスけど…なんでもありって言われると意外と難しいデスね…
💡(ピコーン)\パリイ/
なんでもありって言うならアレでも使うデスかね!ここの人なら気にしなくていいと思うデスし!(即落ち2コマの気配)

ってことで|水(風船)爆(弾)ミサイル《バルムンク》を用意するデスよ!

これを自律行動させたキャバリアの【支援兵装:辛】に装備させて辺り一帯を爆撃させれば…!

私はルール上紙風船晒さないといけないデスからもう一台のキャバリアの【C101-R】にのって上空で待機
パラソルを持って上からの攻撃を防ぎつつUC【箱の中の猫は「生きている」】でヒットしそうな攻撃を可能な限り無効化するデスよ

時折【SexyDynamite】を地上に投げ込んで水爆によって濡れたところを粘着ゾーンに変えて動きを鈍らせる予定デス

ここまでやって負ける負けるわけないデスよね!(フラグ)

水着とかはあくまでスキンのためなんか気分で去年の物にしてたりする


ヴィヴ・クロックロック
【芋煮艇】水着は今年の物をお願いします。
私は普通の水鉄砲に頭につけた紙風船で戦う…!
だが私は基本的に身を潜めてアンブッシュ狙いの姑息なスタイルで行こうか。久しぶりだしな。
一方で水鉄砲を装備させたUC召喚したゾンビの群れを放つ!民衆はいないがゾンビはいくらでも出せるからな、大本営たる私さえ無傷ならなんとでもなるのだ。
ふふふ、左も右もゾンビの群れ…逃げ惑うがいい…限界突破してリミッターを解除して封印を解いて野生の感を使って情報収集をして適切な所に適切なゾンビを最高の形で無限湧きさせるのだこれが私の集団戦術!一人だがな!フハハハハ!!!!

(アドリブ歓迎です!)


ハロ・シエラ
【芋煮艇】
水着は今年の物で行きます。
もうこの戦いも何回目でしょうか。
今回は頭の紙風船を守る事を考えておきましょう。
水鉄砲なら紙風船以外に当たっても実害はありません。
速度も低いですし【見切り】ながら回避したり水鉄砲の銃身で【武器受け】したりも出来るでしょう。
多少ならばこの髪の毛で受ける事だって出来るはずです。
戦法としてはあえて身を晒し、防御しながら【ダッシュ】で接近して至近距離で水風船を破裂させて相手の紙風船を割ると言う感じでしょうか。
なるべく1対1になる様に場所を選ぶ必要はありますが、格闘戦に近い状況になればある程度有利を取れるはず。
上手く【おびき寄せ】られるといいですね。



●今年もやってきたよ芋煮艇
 青い空、白い雲。そして空飛ぶ島。惜しむらくは島を包み込むのが海ではなく、雲海であることだろうか。レジャーに特化したこの浮島は今、水鉄砲のバトルフィールドとして指定されてしまった。いや、元々そういう遊び場なんだけれども。
 空からゆっくり降りてくる飛空艇は【芋煮艇】がチャーターした専用機である。何故専用にしたかって? カッコいいじゃない!

 そんなわけで今年も! 【芋煮艇】のメンバーが! 水鉄砲バトルのフィールドに降り立つ!!

「やれやれ、前回優勝した私が今年も優勝しちゃおうかなー」
 ルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)が軽快に飛空艇のタラップを降りてくる。
 その身に纏うのは慢心……じゃなかった、淡い空の色のような水着。モデルとしては水兵さんだろうか。露わになっているおへそと腰のベルトがとってもキュート&セクシー。狼耳と狼尻尾、そして自前の青い髪とこれでもかっていうくらい様々なアオを纏ったルエリラが砂浜に着地すると、ふわりとリボンと髪が揺れる。

 ルエリラの後に続いたのはレン・ランフォード(|近接忍術師《ニンジャフォーサー》・f00762)である。今年の水着はとってもニンジャ。ライトグリーンの涼やかなくノ一スタイルな水着は露出が無くて真正面から見たらとっても健全可愛いのですが! 肩から背中にかけてのオープンさと裾丈の短さを見逃すわけにはいきませんね! 巻物タイプの浮き輪は抱き心地よさそうです。
「……うん、れんは勝つよ?」
 今年の担当人格は……『れん』さんですね。

「こ……今年こそはちょっとは頑張りたいですっ」
 意気込み表明しつつ、飛空艇から降りてきたのはヴォルフスブルク・ヴェストファーレン(鉄の狼・f34026)。今年の水着は……攻めてきましたね? 去年と同じ、黒のホルターネックのビキニと見せかけて……布面積が減っております!!! 黒の生地が色白の肌と相まってとってもセクシー そしてビキニのフリルがたゆんたゆんな果実を隠して……おやメモが? えーとなになに?
 『※重要※
  胸は暖簾です』
 ははーん? これはバトル中に期待してってことですかね?!
 そんなヴォルフスブルクさんはおめめがぐるぐるしております。

「大丈夫ですか? ヴォルフスブルクさん?」
 後ろから心配そうに声をかけるのはハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)。今年の水着は……水着??
 いや、ちゃんと水着である。だって水中で行動できるもん! ただ、まだバトル前なのに戦った跡がみえるのと、年々水着が戦闘に適していくのは見過ごしていいのかどうかは悩ましいところである。
 でも水も滴るイイ女ってこういう時に使う言葉ですよね。とってもフェミニン。

 そして試作機・庚(過去を裏切った者・f30104)が続く。
 ビーチパラソルで日光を遮りつつ、その場に居る者には惜しみなく水着を披露していくスタイル。パッと見は大人しめな黒のオフショルフリルワンピなのだが、よく見ると前は透けてるし、脇はレースアップだし、タイツは網だしとなかなかの属性過多である。ひと言添えるとするなら、パラソル持ってるけどビーチでのんびりするためじゃないよねって感じでしょうか。

「……ふむ」
 ひと息つきながら甲板からフィールドを見渡すのはヴィヴ・クロックロック(世界を救う音(自称)・f04080)、今回最年長にして正統派眼鏡っこである。れんちゃん? れんちゃんは人格によって外しちゃうから。
 さておき。ヴィヴの水着はモスグリーンのビスチェ&ローライズなショートパンツ。隠すよりは魅せるタイプの水着と見受けるが隠すところは隠しているので逆にセクシー。特に鼠径部とか! モスグリーンの水着と流れるような長い緑の髪の間にあるのがピンクのラッシュガード。日焼け対策とともにヴィヴの魅力を惹き立てる。あと眼鏡が相まっていて最高です。

 そして最後はロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)。もちろん水着姿である。曰く。
「男の子はパンツスタイルが多いのでコレ選んだ!」
 とのローライズなメンズビキニパンツである。もはや隠しているのは最小限。だが男なので大丈夫……大丈夫かこれ? 水に濡れていると本気でヤバイ方向にいきそうな雰囲気がある。ロニの将来はどっちの方向(?)へ向かおうとしているのかが若干不安になるビキニパンツ&ラッシュガードの見せ方デスネ?

 まぁともあれ。参加者必須条件である水着は全員クリアである。
「あれ? そういえばききんは?」
 飛空艇から降りてきた仲間たちを見てルエリラが首を傾げる。そう、甘甘・ききん(可哀想な 人の振りをする狐・f17353)の姿が見えない。乗り込む時というか、ここに着くまでは一緒にいたのに。
「あれ? すれ違いませんでしたか? 先に行くって言ってましたけど?」
 ルエリラの言葉に答えたのは水無月・カティア。一応、船内確認をしていた主催者&第三者判定人である。それもバトル始まるまでだけど。

「あ、カディアもよかったら参加してね。みんなで遊ぶ方が楽しいし、私のえs……ゲフンゲフン」
「???」(首傾げ)

 とまぁこんな感じでルエリラからお誘いを受けていたのでカティアも参戦する予定です。
 周囲を見渡してもやはりききんの姿は見えず。
「ルールは先ほど共有しましたし。大丈夫だと思いますが」
 しかしハロがそう告げれば、確かにそれもそうかと周りが頷く。

 ちなみに今年も芋煮艇の水鉄砲バトルはガチスタイル。
 ローカルルールは『武器だけ禁止&頭上紙風船割&団内サバイバル』である。
 あとはグランドルールの再説明。
「フムフム……つまり今日はいつも鉄や謎物質で出来てる[球体]くんたちが[|水球《みずたま》]になっちゃうんだね!」
「そうなりますね」
 ロニの言葉にカティアがこくりと頷きながら答える。そう、このバトルではなんか不思議な力が働いている。武器やユーベルコードの殺傷力が無くなるのだ。具体的には水になる。何故そうなるかは聞いてはいけない。夏の魔力だと思ってほしい。
「あ、閃いたっ!」
「?」
 ロニの叫びにまたもやカティアが首を傾げる。まぁ悪いことを考えている顔じゃないので大丈夫でしょう。
「ルール確認はしたんデスけど……なんでもありって言われると意外と難しいデスね……」
 今回がデスマッチ初参加な庚がふむふむと思案中。その時、頭の上で閃いた。『💡(ピコーン)』って感じである。
「なんでもありって言うならアレでも使うデスかね! ここの人なら気にしなくていいと思うデスし!」
 大きな独り言というか、即落ち2コマの気配というか。そんなものを漂わせながら庚さんも気分は戦闘態勢である。
 そんなやる気満々の初参加者を見つつ、ヴォルフスブルクはちょっと遠い目をする。視界に入ってくるのは見慣れた、広くて青い空だ。
「生まれ故郷ですので……地の利があっ……たらいいなぁ……」
 なんでそんなに弱気なの。揺れるのはそこ(=気持ち)じゃないでしょ。
 そしてヴィヴはマイペースに水鉄砲をチェックしている。
「久しぶりだしな」
 昨年は参加してなかったので本当にお久しぶりです、嬉しいです。
 そんなこんなで十人十色な開戦前。

「それでは。バトル開始の号砲まで自由な準備時間&配置時間です。よろしくお願いします!」
 カティアがそう告げれば、メンバー各々が最終バトルスタンバイへ駆け出していく。

 そんなわけで今年も水鉄砲バトル、はっじまるよー!!

●その頃ききんは
 開会式(?)とか準備のためにメンバーが散開している頃。

 ききんはひとり、薄暗い空間で佇んでいた。っていうかここどこよ?
「ふっふっふ」
 ふっさふさの狐耳と狐耳を機嫌よく揺らしながら、歩み出るききんはもちろん水着姿である。今年は随分と大人びた雰囲気。トップはホルターネックビキニにチューブブラを重ね合わせるスタイル。ボトムは本当に大事な箇所しか隠してないな? しかしクロスした紐がとてもセクシーである。その上にゆるふわなシースルーカーディガン。結んだお腹の辺りに視線がいって、やっぱりセクシーですね。
 街中を歩いていたら美少女なのだが、今ききんがいるのはどうも地下らしい。そして。
「ほら殺人鬼どもご飯の時間だよー」
 不穏な言葉が聞こえてきた。
「整列! 番号! よしよく言えた。いい子だー。甘いの三つあげちゃう」
 ききんの言葉に反応する何か――いや、これはききんが呼び出した殺人鬼の皆様(狐狸変化らしい)である。
 なお、現地に来る前っていうかこんなこともあろうかと、芋煮艇メンバーのみ襲うよう角砂糖で躾けました。
「紙風船が『生きている』証と聞いて興奮を抑えきれない様子だなぁ」
 満足そうに見渡すききんの視界内にはホラー映画(ルエリラからもらった)で見る顔ぶれがずらり。チェンソーやら斧やらで気合が入っている模様だ。
「でも水。水を絡めて殺ってほしい。ここはわたしの顔を立ててほしい」
 そして……刻限だ。
「くっくっく」
 ききんが【湖畔のこやんの小判鮫】を発動する。89m半径内を無敵の殺人鬼たちが潜む脱出不可のキャンプ地とする強力な効果だ。なお、中心地点に術者がいるとなんていうか索敵されそうなので、特定対策で中心をききんからずらした球で空間構築している。なんだその謎技術。
 今頃、地上では殺人鬼の群れが芋煮艇のメンバーをお出迎えしているだろう。
「一方、わたしはホラー頻出の秘密の地下道(排水完備)をのほほん歩いて獲物に向かい、能力の範囲に取り込んでいくわけよー」
 ユーベルコードの基点(中心点じゃないよ)はどうしてもききんのいる位置になるので、彼女が移動すれば取り込める範囲も広くなるって寸法さ。
 もし仮にこの地下道に誰か来たらその場その場で都合よく殺人鬼をお届けすればいい。
「だって殺人鬼ってそういうものだから。空気を読める人たちだから」
 そんなわけで意気揚々とききんが叫ぶ。
「時間だ殺人鬼! 芋煮メンバーの紙風船を抹殺せよ! どうした? 行け!」
 こう、壇上から腕を振って指示する感じで殺人鬼たちに命令を下すききん。だが、殺人鬼たちの動きが変だ。これは……!?
「……そっかー、わたしも対象にしちゃう系かー」
 芋煮艇のメンバーだからなー。
 そんなわけで開始とともに殺人鬼たちと鬼ごっこを始めるききんであった。

●号砲、そして早速
 地下で繰り広げられる攻防はさておき。

 開始の合図と言わんばかりに空へ響き渡った号砲と同時に、ハロが砂浜を蹴って駆け出した。
 とても戦いの場とは思えない、美しい砂浜を駆けながら、しかしハロは鋭く|『敵』《メンバー》を索敵する。
(もうこの戦いも何回目でしょうか)
 こう見えて最初期から参加し続けてきたハロだ。しかも戦闘のスタイルはほぼ変わっていない。水鉄砲(ハンドガンタイプ)を手に接近戦。奥の手や接近した後の動きは多少違ってもずっとそのスタイルを貫き通してきたハロは今年も『あえて身を晒し、防御しながらダッシュで接近』&『至近距離で水風船を破裂させて相手の紙風船を割る』というスタイル。だが。
(今回は頭の紙風船を守る事を考えておきましょう)
 接近戦を仕掛ける前にやられては元も子もない。しかし水鉄砲なら紙風船以外に当たっても実害はないし、どこまでいっても射速は弾丸にはかなわない。
(水鉄砲ならば見切って回避したり水鉄砲の銃身で武器受けしたりも出来るでしょう)
 そしてもし直撃コースだったとしても、だ。
「多少ならばこの髪の毛で受ける事だって出来るはずです」
 疾走とともに風になびく黒髪は長さも質量も十分。
 ならば恐れることはない、と突き進むハロ……であったが。
「……!」
 そんなハロを突如として襲う感覚。ユーベルコードの効果であることは肌身で感じたが……直接的な攻撃ではない。
(これは……?)
 思わず足を止めるも視界には何も……いや、いつの間にかいるこの場に似つかわしくない……。
「殺人鬼……!」
 見たことも無いソレが『殺人鬼』であると直感的に理解していることがハロが既にユーベルコードに囚われていることを示している。もちろん、ききんの【湖畔のこやんの小判鮫】の効果だ。
 その効果は絶大。
「くっ……」
 強制的に殺人鬼への恐怖と無力感が強烈に増幅され、ハロの動きが止まる。そんなハロを取り囲む殺人鬼たち。空気を読むヤツらだ。このまま行くと、読者サービスな展開もありえ……あ、無いですか。
 そうだ、これは紙風船を|殺《や》りあう戦いだ。水の滴る斧を振りかぶる殺人鬼。
「……っ!」
 ユーベルコードのせいで身動きすらできず身を縮こませるハロ。殺人鬼の一撃がハロ(の紙風船)に直撃する!!

 ぺしん。ぽよん。

「……?」

 ぺしん。ぽよん。

「……はい?」
 ぺたりと座り込んだ頭の上でフルスイングしまくっている殺人鬼たちの得物(斧とかチェンソーとかだよ!!)だが、何度紙風船に直撃しても、柔らかい音を立てて揺れるだけであった。

 説明しよう。
 紙風船の仕様は『一定量以上の水を浴びる』と割れて、『それ以外では絶対に割れない』である。ここでポイントなのは『浴びる』とはどの程度なのかということだ。『十分な量の水を用意』とある以上、水量が必要なのはもちろんなのだが……水鉄砲ですら確実に割れるのは『ゼロ距離射撃』だけなのだ。つまり、武器が濡れている程度では全然割れない。いや、あと100回くらい直撃すれば蓄積で行けるかもだが、良い天気だから水分も乾いていくしねー。
 まぁぶっちゃけこういう事態に備えて用意したルールです。

 というわけで一気に無力化する殺人鬼たち。なお、物理障害としては最高に邪魔してくる。PvPで『ウザイ』って言われるのは誉め言葉だよ!
 ……なのだが、ここでカウンタールール『物理およびユーベルコードなどで「何をどうやっても攻撃や水が届かない」状態にする・なるのはNG』発動です。これ、まわりくどい言い方をしましたが、簡単に言うと『反撃不能禁止』です。ただし、方向や場所が判明しているなど『何らかの手段で不能を解除できる』なら問題なし。
 つまり今、ハロがききんを反撃できるかって話である。

 ききん、アウトー。せめて中心ずらしてなければなー。

 運営(MS)が用意した罠に華麗に落ちてしまい、早くも脱落者を出した芋煮艇。

「えーと……いきましょうか」
 気を取り直してハロは砂浜を駆けるのでした。


 そんなわけで前編終了! 続く!
(前中後編的なくくり。残りもきちんとお届けします。今年も本当にすみません)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロエ・アスティン
【G】
今年はアリス様(f24161)とガチバトルであります!

水着はアリス様の選んでくれたフレアビキニ。
(褒められて)あ、あの、ありがとうございます。(てれてれ)
アリス様の水着は……うぅぅ、えっちな水着しか着れない邪神の呪いとかあんまりであります。

紙風船はフレアビキニに括りつけて、普段の戦乙女の大盾で前面からの攻撃をシャットアウトであります。
って、そ、その数は反則であります!!!

そ、それならこちらもと【戦女神の戦士】を召喚。
羽ビキニ姿のスタイル抜群な英霊様達が召喚され、なぜか自分自身も羽ビキニ姿にされて胸の差で自爆してます。
け、けど、これで数は互角、戦いはここからであります!

※アドリブ大歓迎


アリス・クイン
クロエ(f19295)と【G】水鉄砲バトル!
今年は敵同士、たまには全力で勝負しましょ!

分かってるわ……例の邪神の呪いで、水着かどうかも微妙なアタシ(要所に御札貼ってるだけ)が、気兼ねなくバトルできる相手はクロエだけってね!(ヤケ)

でも、くっそ恥ずかしいから全力で乗っかるわよ!
あとクロエそのアタシが選んだ水着、スーパーかわいいわ畜生!

クロエのその、アタシの水着が残念なことになってかわいそう的な感情
それが憎いわは妬ましいわ!
リアライズバロック!ぬいぐるみ部隊を召喚!
特別性の浮き輪仕様、もちろんその手には水鉄砲装備!
銃は一人一つまでとは決まってないわよね?

アタシの水鉄砲包囲網、クロエに破れるかしら?




 どこまでも青い空。彩りのように漂う白い雲。そして眼下にも雲海。ちなみに沈むとオブリビオン化する。
「危ないっての!!」
 アリス・クイン(ビビり屋毒吐き姫・f24161)は島の端っこから、本来海であろう部分を覗き込んで叫んだ。
「あわわわ……アリス様、そこは危ないのであります!」
「クロエ! 揺らさないで! かえって危ないから!!」
 手を取って引き返そうとするクロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)によってアリスが揺れる図。底が見えない雲の海なのだから、クロエの心配もごもっとも。
 なので二人はバトルフィールドへと戻っていく。そう、砂浜だ。

 昨年に引き続き、今年もまた二人は水鉄砲を構えている。昨年と違うことといえば……お互いに銃を向け合っていることだろうか(なお、水鉄砲である)

「今年は敵同士、たまには全力で勝負しましょ!」
 アリスがそう言えば。
「はい! 今年はアリス様とガチバトルであります!」
 気合十分、クロエも受けて立つと気合を返す。

 ……までは仲のいい親友のやり取りなんだけどなー。

「「……」」

 戦闘開始前に訪れる不思議な沈黙。クロエの視線がアリスの水着(?)に注がれている。
「分かってるわ……例の邪神の呪いで、水着かどうかも微妙なアタシだ、ってね」
「……うぅぅ、えっちな水着しか着れない邪神の呪いとかあんまりであります」
 アリスの水着に涙するクロエ。
 そう、アリスの今の姿を見て涙しない者はいないだろう。ぶっちゃけ、それは水着なのか? って感じである。
 ご覧いただこう、アリスの水着を。御札である。センシティブにひっかかりそうな要所に御札貼ってるだけである。え? なんでそうなったの? ひと際エロスを振りまいているスク水の形の日焼けも邪神のせいですか??
 さすがに筆者も家族の前ではリプレイ執筆をためらう勢いである(なお、遅くなったこととは関係ありません)
 そしてすまない。本当にすまない。昨年も言ってたこの呪い。クロエを貶めるための方便だと思ってました。まことに申し訳ない。本気で厄介なヤツだった。
 だからこそ、アリスが叫ぶ。
「こんなアタシが、気兼ねなくバトルできる相手はクロエだけってね!」
 若干ヤケになってるアリスさん。でも……そう、クロエなら。普段(たぶん戦闘時だけ)から露出の激しい(そして声には出さないが胸の高低差でも仲間っぽい)クロエなら気兼ねなく同じフィールドに立てるはずだ。
 どういうことだよ(混乱)
 だがそんなアリスの前にいるのは今年の水着姿のクロエである。
 アリスが選んでくれたフレアビキニは、クロエのカラーの青をベースに花で彩られた鮮やかさ。そして胸元をホルターネックのフレアが飾っていることで胸元をアピールしつつ、高低差は目立たなくなり、かえって腰回りがとても美しく見える。
 正直言って可愛い。
 そして露出の差はどうなったのだ? と思わなくはない。だがアリスは負けない。
(でも、くっそ恥ずかしいから全力で乗っかるわよ!)
 と全力でクロエと向かい合う。
「クロエそのアタシが選んだ水着、スーパーかわいいわ畜生!」
 漏れてる漏れてる。褒めとは何か違うものまで漏れてる。
「あ、あの、ありがとうございます」
 だがそこの部分はするっと聞き逃されて、目の前にいたのはてれてれなクロエさんであった。照れ照れだよてれてれ、これはレアだよ!

 そんなわけで今年もバトルスタートです。


 決定的な一撃が届くにはまだ距離がある。そんな状態でにらみ合うアリスとクロエ。
「クロエのその、アタシの水着が残念なことになってかわいそう的な感情……それが憎いわ妬ましいわ!」
「心の声がだだ洩れであります!?」
 今日のアリスさんは容赦ないな?
 アリスの怨嗟(?)の声に反応して【リアライズ・バロック】発動! アリスによって召喚されたぬいぐるみ(バロックレギオンだよ)部隊が一斉にクロエの方を向く。
 なお、特別製なので、浮き輪仕様&もちろんその手には水鉄砲装備!
「って、そ、その数は反則であります!!!」
「銃は一人一つまでとは決まってないわよね?」
 動揺するクロエに対して、アリスはにっこり笑う。そう、紙風船は水でしか割れないが、水鉄砲はひとつしかダメとかそんな決まりはないのである。
「ひぃぃっ!?」
 慌てて普段から愛用の戦乙女の大盾を構えるクロエ。ちなみに紙風船はフレアビキニに括りつけてある。大盾を構える関係上、前面からの攻撃であれば完全にシャットアウトできる態勢だ。
 だが、四方八方から水鉄砲が飛んでくるのなら、横からとか隙間撃ちされてしまうと、これはヤバい。
「アタシの水鉄砲包囲網、クロエに破れるかしら?」
「そ、それならこちらも!」
 そうだ、クロエだって数で対抗する手段はある!
「戦女神様に仕えし英霊達よ! 女神に仇名す者を断つ剣となれ!――エインフェリア!」
 クロエが即座に【戦女神の戦士】たちを召喚。天使の羽根を生やした英霊たちがクロエの周りを舞う。
「「…………」」
 そして崩れ落ちるクロエとアリス。何故かといえば羽ビキニ姿でスタイル抜群な英霊様たちが空を舞っているからさ! 揺れてる揺れてる。その揺れにダメージを喰らうクロエとアリス。あ、クロエさんもなぜか羽ビキニ姿にされてますね?? 隠していた部分がクロスマッチ。
 図らずも絶壁に名探偵を呼ぶような行為であるが、クロエの目的はそこではない。
「け、けど、これで数は互角、戦いはここからであります!」
 なんとか復活したクロエが水鉄砲を構える。そう、彼女は戦うためにユーベルコードったのだ!
「望むところよ!!」
 そこはかとなくアリスの怨嗟の念が強くなっていて、ぬいぐるみが強化されているがまぁそれはさておき。
 ようやく水鉄砲バトルに辿り着いたよ!!


 ばしゅばしゅばしゅばしゅーーー!!

 アリスのぬいぐるみ部隊から一斉に水鉄砲が発射される。目標はもちろんクロエだ。だってクロエがアリスの黒い感情(水着限定)の発生源だもの。
 だがその弾幕を空からクロエの英霊たちがこれまた水鉄砲(たぶんいつもの武器が空気を読んで変化した)で撃ち落としていく! 正確に言えば真正面から水の壁を作るかのごとく、水鉄砲を連射連射! 水弾同士がぶつかりあって派手なしぶきをまき散らす。
「ちっ……!」
 アリス、本気の舌打ち。
「頭数はこちらの方が上であります!」
 攻撃をしのぎ切ったクロエがアリス目掛けて水鉄砲シュート!
「当たるわけないでしょ!」
 しかし、クロエに似て真っ直ぐに飛ぶ水弾の弾道を、アリスは軽やかに砂浜を転がって回避。砂まみれになるもむしろ肌面積が減って健全になる展開は誰が予想するだろう。ただちょっとえっちかも。
 こほん。
 クロエが叫んだように頭数(というかレベル)はクロエの方が上だ。勝負は頭数が決めることは多々あるわけだが、しかしそれだけで決まらないのが勝負ってもんである。
 具体的には……精神的ダメージとか。
「憎いわ! その揺れる胸が妬ましいわ! もいでいいかしら!!」
「!?」
 突如叫んだアリスに驚愕するクロエ。主な原因は空でふわふわ飛びながらたゆんたゆんしている英霊様です。それによって【リアライズ・バロック】なぬいぐるみ部隊追加である。
「いえ! ならば自分も再度召喚すればまた……!」
 すっごくビビったけどもクロエとて。もう一度英霊様たちを呼べば頭数的には問題ないわけで。
 しかし。
「おらぁぁぁーーー!!」
 アリスさーん!? キャラ崩れてますよー!?
 裂帛(?)の気合と共にぬいぐるみ部隊×2が一斉射撃。狙いは……英霊様!?
「英霊様、回避をーー! って英霊様が直撃を受けたところで何の問題も無いのでは?」
 紙風船を付けているわけでも無し。
 そんなわけで一回叫んだクロエですが、英霊様にとっては水浴びと変わらないなって思って静観……したのが失敗でした。

 ばしゃっ。たゆん。ばしゅっ。たゆゆん。

「「!?!??!」」

 何の問題も無いので単なる水浴びかなって英霊様も身体の前面を無防備に晒したものだから、水撃が豊満な胸に直撃したわけですよ。その勢いで揺れるわけですよ胸が。
「そんな……水鉄砲の直撃で揺れる……のでありますか……?」
「そんな……っ」
 ええ、たゆゆんたわわんですよ英霊様。あまりにもひどい貧富の差に呆然とするクロエとアリス。だがそこにできたのは明確な隙だ。
「……はっ!? 隙ありーーー!!」
「あーーーっ?!」
 そんな一瞬の隙を狙ってアリスの一撃(水鉄砲だよ)がクロエの胸元にクリーンヒット。そして『ぱぁっんっ』と軽快な音を立てて割れる紙風船。
「ふ……色んな意味で揺れてしまった(胸以外)あなたの負けよ……」
「自分は……! 自分は……!」
 涙しながら跪くクロエを悲しい目で見下ろすアリス。
 そんなわけで勝負は決した。

 勝者:アリス。
 クロエの敗因は英霊様の胸が揺れたことでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ファルルカ・ウェレマイン
メイファン(f33513)さんと

こういうゲームもあるのですね…ええと、射撃…こ、これは当たる気がしないですけれど…うん。でもそういうのも含めてたのしく、ですよね
【エンジョイ】勢、というのでしょうか…ええ。でもメイファンさんと一緒なので精一杯っ
紙風船を胸の前に抱えながら、片手の小さな水鉄砲で都度、射撃
勿論あたりませんけれど…仙術の応用で。途中で膜状に弾けてメイファンさんを狙う射撃を逸したり

そしてメイファンさんが投擲した爆弾もその延長で
弾けた水の、こちらに飛んでくる分をまとめてベクトル反転
洪水の濁流みたいに、ざざざーっと…っ
あるいは、巻き込まれちゃうかもですけど…っ


楊・美帆
ファルルカ君(f32779)

銃撃戦は得意じゃないから【エンジョイ】勢カナ。パイロットスーツ風の水着で参戦だヨー!紙風船はお尻につけてみよう。こうすればパンダっぽくないかい?

水風船爆弾を長袖一杯に詰めて、ファルルカ君の術を頼りにしつつ突っ込むヨー!僵尸の膂力で大ジャンプしたら爆弾投下!

ファルルカ君の起こした洪水にうっかり巻き込まれたり。ワーーッ!お尻が水に濡れないように泳いで逃げる。わはは!コレも楽しいネェ!

ファルルカ君が大技を繰り出すなら周囲を警戒して身を挺して守るからネ!炎の手で飛んできた水を蒸発させちゃう。手が巨大化したりするケド、いいよネ?ボクの手だからネ。




 夏の海辺というものはとても爽やかである。撫でるように穏やかな風、空を流れる白い雲。そして空と……海が無いな、雲海だ。ともあれ、青と白のコンストラクトがとても美しい。
 そんな青と白の間にある今回の舞台の浮島に、楊・美帆(デッドハンド・f33513)とファルルカ・ウェレマイン(月のフラジャイル・f32779)が降り立つ。
「ファルルカ君、いくヨー!」
「あ、まってください、メイファンさーん」
 連絡船(飛空艇だよ)から元気よくてってってっと降りていく美帆を追いかけるようにファルルカもタラップを駆けていく。
 そんな二人はもちろん水着である。そしてまさかのコンセプト交換である。(フレンド欄の感情を見て)ヨシ!! ごめん、感情がだだ洩れた。

 砂浜の感触を確かめるように駆ける美帆の水着はパイロットスーツ風。色はモノトーンと思いきや、陰陽太極図がモチーフらしい。萌え袖がとても可愛いのと、胸元や腰をしっかり(?)魅せている点がとってもキュートですね! そしてお札が意外と可愛いポイントだと思います。
 そしてファルルカはチャイナ風。薄い碧のチャイナ服は美しいと思うほどのカットアウト。肩、へそ、太ももヨシ! 中性的な顔もあいまってとても愛らしい。シースルーの上着で天女感を纏って神々しさすらあると思います。

 砂浜を駆ける二人はきゃっきゃうふふな展開に……いや、水鉄砲バトルだったわ。
 ガチではないのできゃっきゃうふふ感もありつつ、水鉄砲の調子を確かめるファルルカと美帆。
「こういうゲームもあるのですね……ええと、射撃……」
 両手で構えたアサルトライフルタイプの水鉄砲を試射するファルルカ。トリガーに合わせて水弾が出るわけだが、おそるおそるだったので勢いがあんまりない。ぷしゅーって感じで出た。
「こ、これは当たる気がしないですけれど……うん」
 と呟きながらも目の前を見ると、とっても楽しそうな美帆がいる。
「紙風船はお尻につけてみよう。こうすればパンダっぽくないかい?」
 ふりふり。白黒の水着に合わせてお尻に付けた紙風船(白)がとても可愛らしく揺れている。なお、ファルルカ君が直視できていないのはこの場合スルーするとします。
「で、でもそういうのも含めてたのしく、ですよね」
 視線を逸らしつつ、こほんと咳払いもしつつ。気を取り直すファルルカ。
「ヨシ! ファルルカ君っ」
「ええ。精一杯っ」
 美帆の声に応えるファルルカ。『メイファンさんと一緒なので』と告げると、美帆がちょっと赤面したという。


 そんなわけでバトル開始だよー!

「いきますよー!」
 対戦相手不足で急遽呼ばれたカティアが遠くで水鉄砲を構えている。お互い、長距離を捉える武器は無い。ということは……接近戦。
「ファルルカ君、任せたヨー!」
「はいっ」
 水風船爆弾を長袖一杯に詰めて突っ込む美帆。防御はファルルカの術を頼りに、と突っ込む美帆の勢いに躊躇いは無い! 僵尸の膂力で大ジャンプして……爆弾投下!
「きゃー?!」
 こちらはこちらでじりじりと距離を詰めていたカティアだが、空からの線状降水帯かっていうくらいの水風船爆弾に傘を両手で持って防御を固める。どうにか頭の上の紙風船は守れたようだ。
「うむむ……」
 カティアの前に着地した美帆は仕留めきれなかったことに対して不満そう。そこへカティアの反撃である。まだ距離があるし、美帆の場合お尻なので紙風船に当たりそうでもないが、しかし美帆には直撃するコース。
「させませんっ」
 仙術【乾坤混天綾】。カティアの放った水弾が美帆に届く前に、膜状に弾けて逸れていく。
「ナイス、ファルルカ君っ」
 その隙に後退しつつ、美帆は攻撃ポジションをファルルカとチェンジ。紙風船を胸の前に抱えつつ、前に出たファルルカが片手の小さな水鉄砲でカティアを狙う。これもまた仙術にて、ぱんと弾けたりしてカティアを多角的に狙う。
「あのっ、それかわし辛いのですがっ」
 日傘が無ければ全然対応できないレベル。この距離では追い込まれると思ったカティアは一目散に撤退。距離を取る。
「逃がさないヨー!」
 下がって追撃準備をしていた美帆が追いかけながら、水風船爆弾を投擲、投擲、投擲!
 それもファルルカの仙術で弾けるものだから、ものすごい広範囲に雨が降る。
「あ、コッチまで水飛沫が」
「お任せください」
 美帆の着地地点も雨の範囲だったわけだが、そこはファルルカの細やかなフォローでぱしんと弾かれたように水がどこかへ逸れていく。
 だが一方向からの攻撃ではあの日傘ガードを突き破れそうにない。ファルルカの仙術にしても念動力のような精密さはなく、日傘ガードをかいくぐれないからだ。
「メイファンさん、同時攻撃でっ」
「オッケー!」
 ファルルカの提案に快諾を返す美帆。
「いっくヨー!」
 僵尸大ジャンプからの水風船爆弾投下を繰り出す美帆。
「むぅぅぅ……!」
 再び硬直状態で、しかし頭の紙風船は確実にガードするカティア……を狙って、ファルルカの戦術が放たれる!
「えいっ!」
 生み出した洪水の濁流がざざざーっと砂浜を飲み込んでいく!

「「あっ」」

 同時に声を出したのはファルルカ君と美帆さんです。何故かって言うと、美帆の着地のタイミングがずれたのだね。
「ワーーッ!」
「メイファンさーん!?」
 うっかり巻き込まれた美帆に対して悲鳴をあげるファルルカ。だが、どうにか着地態勢をこう捻ったので、お尻の紙風船は無事だ!
「わはは! コレも楽しいネェ!」
「……ほっ」
 楽しそうな美帆を見て、胸をなでおろすファルルカ。どうにか無事だったようで。
「きゅ~……」
 なお、洪水に巻き込まれたカティアは一撃ノックアウトでした。

「コレの出番無かったネェ……」
 ファルルカが危ない時は身を挺して守るつもりだった美帆だが、終始ファルルカ&美帆の優勢だったので。【猛火拳】の出番が無かったよ。なお、全然ルール内なのでオッケー範囲でした。
「メイファンさんが無事でよかったです」
 ちょっと残念そうな美帆に微苦笑しながら話しかけるファルルカ。
 勝利の決めはハイタッチで。
 ファルルカのジャンプに合わせるように美帆が手のひらをかざせば、ぱん、と爽やかな音が響き渡るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


●芋煮水鉄砲バトル・中編、はじまります!!
 そんなわけで甘甘・ききん(可哀想な 人の振りをする狐・f17353)の策略をどうにかハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)が乗り切った頃。

 島の各地で遭遇戦が勃発していたことは言うまでもない。

「う゛に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛!」
 今年も絶好調(?)な叫び声が森の中、木々の上を跳びはねていく。声の発生源はヴォルフスブルク・ヴェストファーレン(鉄の狼・f34026)さんである。手には水風船手榴弾と水鉄砲。そんな状態では機動に問題が出るのでは? と思うなかれ。翔剣士なヴォルフスブルクは不安定な足場で近接戦はお手の物なのだ! 紙風船はとりあえず頭というか髪の中間ぐらい。
(揺れるので狙いにくいかもしれません)
 との作戦です。ゆらゆら。
 ちなみに今、暖簾がヤバいです。何がどうって具体的に描写すると文字数が天元突破するんですが、そんな勢いでヤバイ。縦横無尽ってこういうことを言うんですかね!!
 そんなヴォルフスブルクが絶叫をあげながら逃げている。
「う゛あ゛あ゛あ゛ーーーっ!」
 だから女の子がそんな声をあげてはいけませんと何度言ったら……可愛いので許します。
「ひゃっほおーー!」
 そんなヴォルフスブルクに負けないくらい元気な声をあげて。嬉々としながらヴォルフスブルクを追い回すのはロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)である。その手のひらの上で踊るようにクルクル回っているのは|水球《みずたま》。そう、水鉄砲バトルの謎仕様によって変化したロニ愛用の球体たちである。その球体たちが今、すっごい勢いで凶器(水鉄砲バトル的に)と化していた。
「に゛ゃ゛っ?!」
 悲鳴だけでなく動きもネコっぽく、背後からっていうか四方八方から迫るロニの水球を回避するヴォルフスブルク。木々を使って射線を遮ろうとも、ロニの水球は的確に隙間を縫うようにカーブを描いて狙ってくる。
「くっ……ええいっ!」
 このままではやられる、とヴォルフスブルクが枝をバネにして空へと跳びあがる。そして空中で反転&旋回しつつ、水風船手榴弾をロニ目掛けて投擲!!
「甘いって!」
 だがロニの周辺に浮いている水球がくるんとロニの周辺で弧を描いて自動防御ガード。
「うそぉ! えーんっ!!」
 涙目で枝に着地したヴォルフスブルクが再び木の上を跳ねていく。圧倒的不利、というやつである。

(このまま……!)
 追い込んでいけば砂浜に出る。そうすればヴォルフスブルクの機動力が無くなるはず……。ロニがそう思ったところで森の切れ目が見えてきた。
 最後と言わんばかりに追い込むロニ……だが。
(……あれ?)
 ロニの視界に何かが入る。それは墜落したかのような飛空艇。この世界であればあっても特に不思議ではないもの……であるが。
(あんなのあったっけ……?)
 とロニが思うと同時に背筋を走る悪寒。ロニの第六感が『危機』を告げる。
「今ですっ!」
 ロニが足を止めるよりも早く、ヴォルフスブルクが叫ぶ。その声に応じるように【Wolfpack】……『墜落していた』飛空艇が起動する!
「いっけーっ!」
 射線から退避しながらヴォルフスブルクの合図。同時に飛空艇から奇襲|砲撃《放水》が放たれる!
「私と同型艦です! スペックは折紙付き!」
 良く知っている、といわんばかりに速射水砲と水機銃で弾幕を張るヴォルフスブルク。戦艦からの一斉砲撃並みの水の弾幕から逃れられる者など……。
「あっぶな……!」
「うそーーーっ!?」
 いや、いた。そこには水球の壁でガードしきったロニ。水球の壁といってもただ並びたてたものではない。ヴォルフスブルクの弾幕を叩き切るように、水球を回転させながら一面の壁としたのだ。回転の力に不可能は無い……と言いたいところだが、いかんせん質量の差はいかんともしがたい。どうにかギリギリしのぎ切ったというところか。お互いの手の内を見せた状態でもう一度やり合えば……。
「もう一度……!」
「の前に撤退っ」
「あ゛ーーーーっ!?」
 ヴォルフスブルクが水(と水弾)を再装填する前にさくっとその場を去るロニ。決して負けそうという話ではないのだが、作戦も無しに突っ込んでは消耗も大きそうだ。
 そのための戦略的撤退。
 この場はひとまず引き分け、というところか。

●どうして?
 どうしてこうなったんだろうか。
 水鉄砲バトルを見に来た観客がいればそう思ったかもしれない。
 何故かといえば、目の前で繰り広げられている水鉄砲バトルは空と砂浜の間で応酬されていたからだ。

「くっ、早い!」
「ふふ……れんが勝つよ?」
 砂浜を疾走するバイクは『メカ・シャーク号(ビーストタイプ)』。乗っているのは言わずと知れたルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)さんである。サメだしね!
 今年の作戦はヒット&アウェイなスナイパー。やはり水鉄砲バトルでは機動力がものを言う。|スナイパー《狙い撃つ》という毎年のスタンスを崩さずに戦うには|これ《サメ》しかあるまい。サメは全てを解決する。
 そんなわけで砂浜と森を走破するルエリア&メカ・シャーク号なのだが、会敵したのはレン・ランフォード(|近接忍術師《ニンジャフォーサー》・f00762)であった。人格はいつものれんさんである。
 今年の方針は『|空《うえ》を制したものが勝つ』――すなわち空中にいる。
 結果として、地対空vs空対地の水鉄砲バトルが勃発したのである。

 どっちかが先手を取った、という会敵ではない。
 ルエリラは遮蔽物を無視する『インチキメガネ』と周囲の異変を音として拾い上げる『狼耳デバイス』で万全の索敵態勢だし、そもそも距離を取って戦うタイプだ。相手が空にいようとも臆することはない。
 対してれんも第六感をアンテナのようにフル活用。肌に感じる風の変化にも気を付けながら会場500m範囲に注意をばらまいている。そして空という『上のポジション』を取っている有利は大きい。
 そして二人とも第4回に至るまで全部に参加している猛者だ。ゆえにお互いがお互いを認識したとて、『退く』という選択肢は取らなかったのだ。

「そこだーっ!」
 ルエリラのスナイパー射撃がれんの今の位置から予想行動範囲に至るまで位置を速射で撃ち抜く。
「甘い……よ」
 しかしれんの第六感がその全てを捉える。そしてユーベルコード【風纏・天羽々斬】によって得た空中機動力でもって、純白の戦衣を翻しながら回避していくれん。そして回避行動をしながられんは空から水鉄砲を連射。今年の水鉄砲は射程と連射性が高いものを選択している。ルエリラの上に降る雨の如き水弾。
「とうっ!」
 それは読んでいたとルエリラが『芋煮ハンドグレネード』(水風船仕様)を連続投擲して迎撃! 具体的には空中で炸裂させて水弾を相殺。まぁそのままだと水の塊が降ってくるわけだが。
「サメパワーばんざーい!」
 抜かりはない。メカ・シャーク号の【リミッター解除】によってスピードとサメ度を増強アップ。ドリフトしながらスライディングする態勢でメカ・シャーク号ごと水の塊をくぐり抜るルエリラ。それでも回避しきれなかった水塊は『狼尻尾デバイス』でぺしんと弾いて防ぐ。
 砂の上であっても軽やかにターンを決めて静止したルエリラ&メカ・シャーク号を空から見つめてれんが呟く。
「やる……ね」
「今年も勝つからね!」
 砂浜の上と空でにらみ合いながら、ルエリラとれんは再び得物を構える。

●どうして
 どうしてこうなったんだろうかパート2。観客がいれば以下略。
 何故かといえば、目の前で繰り広げられている水鉄砲バトルが特撮映画のようになっていたからである。

「フハハハハ!!」
 ヴィヴ・クロックロック(世界を救う音(自称)・f04080)の高笑いが響き渡る。ちょっと美魔女っぽくて最高だぞ。
 そんな彼女の周辺にはゾンビの群れ。【キャプテンプロパガンダ・ゾンビアタック】で呼び出したゾンビたちである。
「あ、無害なゾンビ達です。よろしくお願いします」
 水鉄砲装備で承認、無事下りてまーす!
 そんなわけでゾンビたちが群れる中、ヴィヴもまた戦闘態勢を整える。
「私は普通の水鉄砲に頭につけた紙風船で戦う……!」
 とは言っているものの、作戦としては真正面から行くタイプではない。
「だが私は基本的に身を潜めてアンブッシュ狙いの姑息なスタイルで行こうか。久しぶりだしな」
 2年ぶりですしね。慎重に行きましょう。

 そんなわけで水鉄砲バトル開始の号砲が響き渡ったわけだが。

「あーーーーーっ?!」

 ヴィヴの悲鳴が響き渡る。何故かというと自軍が全滅したからである。
「なんでもありって言うからデス!」
 そうのたまうのは試作機・庚(過去を裏切った者・f30104)の声は空から降ってくる。どこにいるかって空の上にいる。ルール上、紙風船を見せないといけないので、キャバリア『C101-R:Residual』の上に乗ってパラソルを持って上空にいる。
 なお、ルールを決めたのは皆であり、決してヴィヴが庚に対して1対1で言ったわけではないからね。でもルール違反でもないからね。

 そんなわけで、庚の『支援兵装:辛』から滅びの炎のごとく放たれた|水(風船)爆(弾)ミサイル《バルムンク》がヴィヴのゾンビ軍団を殲滅したっていうのが今の状況。
 普通、ゾンビの大群とか相対したら絶望しかないわけだが、相手も相手で自律行動するキャバリアから水爆(?)ミサイルを放ってくるような猛者であった。もはや水鉄砲バトルとはという疑問が頭をよぎるが、お互い身を晒しながら『水』で戦っているので広義での水鉄砲バトルに含まれる。
 だがこれで終わりではない。
 「フッ、フハハハハハ!」
 再び笑い出すヴィヴ。それに応じるように周辺にゾンビ軍団が姿を現わす!
「民衆はいないがゾンビはいくらでも出せるからな、大本営たる私さえ無傷ならなんとでもなるのだ」
 ぐももも、って感じで再びヴィヴの周りに現れる水鉄砲装備のゾンビ軍団。空にいる庚に決定打を入れることは難しいかもしれないが、庚もまたゾンビの群れっていうか盾っていうかを突破せねばならない。|水(風船)爆(弾)ミサイル《バルムンク》とて届かなければ紙風船を割ることは出来ないのだ。
 そんなわけでヴィヴのゾンビ軍団が再び進軍を開始する。
「これが私の集団戦術! 一人だがな!」
 哄笑と共に距離を取って作戦を練り直すヴィヴ。ゾンビの物量が武器なのではない。絶え間ないゾンビをいかに配置して攻め立てるか、ヴィヴの頭脳こそが武器なのだ。
「そーい!」
「ぎゃー!?」
 そんな頭脳も勢いには負ける時があるって言うか。
 上空から(庚によって)投げ込まれた『Sexy Dynamite』が桃色のガスをまき散らしながらゾンビを飲み込んでいく。発煙手榴弾なんだけど噴出したガスは水分で粘着質のピンクジェルになるんですって。
 ってことで。
 粘着質のピンクジェルがゾンビたちを覆う。なんだこの視覚拷問は。相手が相手なら『えっち!』な感じになるのに、ゾンビであるがゆえにこの世の地獄かという光景になっている。
「「……」」
 庚とヴィヴの間に流れる気まずい雰囲気。
「一度、仕切り直さんか?」
「そう、デスね」
 どうにか視覚の暴力を排除したいヴィヴと、なんかやっちまった感が拭えない庚の利害が一致した瞬間であった。

 そんなわけで各所で水鉄砲バトルが激化していく!

「え、えーと……」
 そんな中でおろおろするグリモア猟兵のカティアさん。
 説明しよう! こんなガチバトルに誘われると思っていなかったのでアイテムもユーベルコードも全然整えていませんでした!(MSの本音)
 ってことで使える手段がほぼ無いっすHAHAHAHA。
「そこだーーっ!」
「きゃーーー!」
 べしべし狙われるのを日傘で必死にガードしながら逃げ回るカティアです。

 そんなわけで後編に続く!
(後編もきちんとお届けします。もう少しお時間ください。すみません)
●芋煮水鉄砲バトル・後編、はじまります!!
「ききんさん。ラムネフロートでいいですか?」
「うむ。いや、自分で作るほうがいいか」
「こだわりますね?」
 カティアと甘甘・ききん(可哀想な 人の振りをする狐・f17353)の会話である。
 どこでしてるかっていうと、山岳地帯の中腹に作られた休憩用の茶屋である。望遠鏡が備えてあって戦況を見ることができるようになっている。
 そんな場所でティータイム。簡単に言うとバトルに巻き込まれないように設置された場所なのだね。

「それにしても見事すぎる脱落っぷり」
「電光石火とはまさにこのことでした」

 二人が何を言ってるかってーとカティアの脱落シーンである。

 さっきまで『きゃーーーっ!』とか言ってたじゃろ?
 あの後、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)にロックオンされたんです。そしてカティアは全力必死逃げ! しかし機動力でハロにかなうはずもなく、距離を詰められ、その上で急速接近されたハロに日傘ガードの中まで踏み込まれて一瞬でゼロ距離射撃。あえなく脱落したのでありました。

「だが……ここからが芋煮艇が激しくなるターン」
「楽しみですね」

 そんなわけでティータイムを楽しんでいる二人なのでした。

 後編始まるよ!

●空が揺れる
 図らずも拮抗した戦いが|水鉄砲バトラー《水着で戦う女神》たちを散開させる。それは態勢を立て直すという意味であり、戦いを放棄したわけではない。
 いわゆる戦略的撤退、一時的な後退。
 何故逃げないか? ……獲物が|視界《そこ》にいるからさ!

「いっけぇ! ウ゛ェ゛ア゛ア゛ァ゛ア゛!!」
 ヴォルフスブルク・ヴェストファーレン(鉄の狼・f34026)が飛空艇の甲板、その舳先に波乗り態勢で戦場にダイブしてくる。先ほどヴォルフスブルクがロニに打った作戦は一発逆転の妙手。ネタが割れた以上、二度目は使えず、なら後は豪快に行くしかないじゃない!
「もらったぁぁぁぁぁ!!」
 空を駆ける飛空艇から超高密度の水爆雷を地上向けて投下していく。そして前方に対して速射水砲を連射。その様相は完全に艦隊戦。
 だがその前方にいるのもまた対艦戦闘ができるキャバリアなのである。
「……くぅっ!!」
 速射水砲の弾幕に飲み込まれたのは1体のオブリビオンマシン。試作機・庚(過去を裏切った者・f30104)が頭の上に乗っている(水鉄砲バトルのルール上、その身を晒さないといけないので)『C101-R:Residual』だ。上空で待機していたがゆえに、ヴォルフスブルクの視界に入ったっぽい。しかしそんなに簡単に落ちないのが芋煮艇のメンバーの怖いところ。
 庚は手にしたパラソルで自身の身を隠しつつ、【箱の中の猫は「生きている」】発動!
「それでは『捉えられない』デスけどね!」
 逃げ場どころか身動きすら出来ないほどの大量の水に飲み込まれて。『移動が出来ない』庚は、水撃がヒットした瞬間に事象改変、『水に飲み込まれた』という事実を無かったことにする。そのため激しい水射撃が通り過ぎてもその場には濡れたキャバリアが残っているだけだ。
「反撃デスよ!」
 声と同時に下から放たれる地対空ミサイル……という名のなんか激しい|水(風船)爆(弾)ミサイル《バルムンク》。まだ残ってたんかい。
「にゅあっ?!」
 もはや猫(?)と化しているヴォルフスブルクさん。直撃はしないものの、強烈な射撃は飛空艇の船体を激しく揺らす。ぐらっぐら揺らされた結果。
「えっ、あっ、に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛!!!?」
 空からぽーんと放り出されるヴォルフスブルク。

「ここまでやって負ける負けるわけないデスよね!」
 振り落とされたヴォルフスブルクを見下ろしつつ、そんなことをのたまう庚。いつの間にかスキン変更(?)なのか、あるいは気分なのか。水着がビーチのポリス風に変化していたりするがそれはさておき。
 フラグはぴこーんと立っていたようだ。

 それはマジで頭上……空の上から一点の影を庚に落とす。
「直上っ!?」
 庚が見上げると同時に空から舞い降りてくるのは、手裏剣の形をした水の塊。ユーベルコード【水刃手裏剣無影術】によって放たれた水刃手裏剣が庚に襲い掛かる。
「……っ!」
 咄嗟にC101-R:Residualをバックブーストして回避する庚。改めて空を見上げればそこにいたのは言わずと知れたれんことレン・ランフォード(|近接忍術師《ニンジャフォーサー》・f00762)――【風纏・天羽々斬】の姿である。なおユーベルコード発動前に伊達眼鏡を外してある(ここ重要)。れんさんには必要無いですからね。
 純白の戦衣はれんの精神力でできてるため、形に自由が利く。そんなわけで空に佇む今のれんは戦衣をパーカーに変形させて羽織っている。
「いざ出陣……」
「むぅっ……!」
 さらっと告げられた宣戦布告と同時に庚目掛けて降る水刃手裏剣の雨。
「1回目でもいったけど……空中戦でもれんが勝つよ」
 攻撃を受けないように位置を細かく移動しながら、れんは水刃手裏剣を放っていく。どんな形をしていようと、水の塊であるならば手裏剣の形をしていても何の問題ない。
「ちょっと危険がヤバいデスね?!」
 純粋に手裏剣の数がヤバい。パラソルでのガードと【箱の中の猫は「生きている」】でどうにか回避しようとする庚だが。
「あれーーーーっ!?」
 水刃手裏剣での攻撃って単なる打撃っていうか射撃なので状態異常とか行動制限じゃないよね。さっきは水流が移動を制限していたけど。そんなわけで頼れるのはパラソルの盾のみ! しかし手裏剣は尖っている。程なくして水刃手裏剣がパラソルを破って、そこからは速攻でした。

 庚、脱落である。

「おのれーデス!! デスが、タダでは死なないデスよ!!」
 そう、簡単に死ぬ庚ではないのだ。死に間際に|コマンド《最後のあがき》……何かって言うと残っている水爆弾兵装全弾発射である。
「なんと……」
 地上から一斉に放たれる水爆弾的なミサイル群。これを回避すべく、れんが【風纏・天羽々斬】で呼び出している十六枚の刃を自身の前に整列させる。曰く『整列すれば雨や日差しも防げる優れものだよ……』である防御。範囲的に全身は無理でも紙風船の部分だけなら守れるはずだ。
 厚さを重視する。八枚をひとつの盾として構成。それを2枚重ね、隙間は被らないように縦横に交差させて展開すれば、狙い通り紙風船を守ることに成功……したのだが。
「え……?」
 それは唐突に訪れた。何故気付けたかといえば、地上で『たろー』こと数珠丸太郎が吠えたからである。空からでは死角になる部分もある。そのフォローのために地上で索敵していたたろー(攻撃はしないから紙風船はなし)が激しく吠えた理由は……『無人の飛空艇』が突っ込んできていたからだ。
 否、無人というよりはさっきまでヴォルフスブルクが乗っていた飛空艇だ。どうやら落下しながらも戦況を見ていたヴォルフスブルクが突撃させたらしい。そういやまだ紙風船割れてないなヴォルフスブルク。
「む……」
 咄嗟に上昇して回避するれん。しかし急激に移動したために、刃の盾の動きとズレてしまう。
「しまっ……」
 迂闊に行動すると水の攻撃の範囲に出てしまう。そのために動きが鈍ったれんに飛空艇が突っ込んでくる。
「あう……」
 船のマストにれんをひっかけたまま、加速する飛空艇。あっという間に島の外まで運ばれてしまう。そのまま海……っていうか雲海に突っ込もうとする飛空艇。
「それは……さすがに」
 べしべしべこん! マストを叩き折って退避するれん。だがバトルフィールドから外へには押し出されてしまった。
「不覚……」
 グランドルールにより、れんもここで脱落となったのである。
「わぅーん……」
「ごめんね、たろー……。いっぱい走ってくれたのに……」
 島まで戻ったれんは駆け寄ってきたたろーを抱きしめてもふもふっと慰労したのであった。

●空に集まる注目
 空の激闘を森から見守っていた……というか、出る機会を逸していたロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)がひょっこり森から顔を出す。
「うーん、出番はなかったかー」
 一回はヴォルフスブルクの射程内から引いたロニであるが、単に逃げたわけではない。時間をかけてめっちゃ溜めてた。何かって飛空艇から爆撃されても問題ないレベルの水の防御膜っていうか、水球を集めに集めて作った巨大な水球である。それを頭上に作り出していたので、ロニはヴォルフスブルクからの水爆弾投下を防ぎ切っていたのだ。
 しかし攻撃に転じる前に空の激闘が片付いてしまったというわけ……あ、ヴォルフスブルク落ちてきた。
「あ、みっけ」
 さくっと目ざとく見つけるロニ。神様の第六感は伊達じゃないぜ!
 そんなわけで巨大な水球から無数の小さな水球が分裂して、その場で高速回転する。そして弾丸のように放たれる、その技の名は!
「いっけー! ロニスペシャル|1080《テンエイティ》!」
 説明しよう!
 『ロニ(ry』とは投げてから当たるまで合計1080度まで軌道を何度でも変更できる魔(水)球のことだよ! なお、カンペによるとこれは気分で言ってるだけらしいので、実際はいくらでも自由自在に軌道変更できるらしい。
 つまり絶望的ってことさ。
 そんなわけで、ミサイルのなんとかサーカスっていうくらい複雑で派手な軌道を描いて水魔球がヴォルフスブルクに迫る。
「そうはいかない……っ!」
 空中で狙われて絶体絶命……と見せかけて、ヴォルフスブルクは翔剣士。空であってもなんとか態勢を整えるくらいの余力はあるし、何より……閃いた!
「|はっ《きゅぴーん》! 水球を足場にしていけば回避しつつ、飛んでいけるのでは!?」
 乾坤一擲の妙手を思いついた顔のヴォルフスブルク。早速足元に迫ってきた水球を踏み込み。

 すかっ。

「えっ」
 空を切る足。そして崩れる態勢。さらには超絶技巧のカーブを描いて殺到する水球。具体的に説明すれば足場にしようとしていた水球がコカカカッと意味わからんくらい軌道を変更してヴォルフスブルクの足元から消えていったので足場が無くなったのだね。
「いや言ったし。合計1080度まで軌道を何度でも変更できるだって」
「う゛に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
 弾ける水球(すっごくいっぱい)、そしていつもの聞き慣れた悲鳴をあげるヴォルフスブルク。
「綺麗に散ったなー」
 空を見上げてロニが呟く。誤解の無いように言っておくが、決してヴォルフスブルクの体が四散したとかではないからね? やられたって意味だからね?
 そんなわけでこうしてまた一人、脱落したのである。

 ということでこの時点で残っている参加者は4人。そしてロニの行動はあまりにも目立ちすぎた。
 どういうことかっていうと、空に注目していたロニの周りを残りの3人――ハロ、ルエリラ、ヴィヴが素早く取り囲んだのである。……いやなんか表現に語弊がある。

 もっと正確に言えば。
「『あ゛ーーー……』」
「いーやっほーっ!!」
 ヴィヴ・クロックロック(世界を救う音(自称)・f04080)の召喚したゾンビの群れを引き連れた、『|メカ・シャーク号《サメ》』乗りルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)がロニ目掛けて疾走。そしてその反対側からルエリラと挟み撃ちする感じでハロが迫っている。
 もちろん第六感でロニもその存在は感知している。

 そんな感じで芋煮艇の最後のバトルが始まろうとしていた!

●ラストバトル大乱闘
「ふふふ、ははは! 左も右もゾンビの群れ……逃げ惑うがいい……!」
 遠い位置から失礼します。最高峰に配置しながらも限界突破リミットブレイク。封印解除も重ね合わせたマックス召喚でヴィヴの周りはゾンビ(なお、水鉄砲で攻撃するマナーの守れる人畜無害)だらけだ! どうやっても字面で損している気がするが見た目はゾンビだぞ!
「適切な所に適切なゾンビを最高の形で無限湧きだ。逃げられると思うなよ! しかも野生の勘を使って視界からも情報収集しつつだ!」
 ヴィヴさん、わかりやすい説明をありがとう!
 そんなわけでヴィヴを中心にして単に無限湧きしているわけではないゾンビが、ツーマンセルとか鶴翼の陣とか使いながらマジで戦術クラスで周囲へ散開していく。
「何度でも言おう! これが私の集団戦術! 一人だがな! フハハハハ!!!!」
 これを真正面から止められる作戦はそうそうあるまい。核爆弾とかそういう広範囲攻撃なら目もあるが、ヴィヴが健在な限り、供給が絶えない。マジで隙が無い。
 だが。
「速度は|バイク《サメ》のほうが上だね!」
 悲しいかな足の速度だけはかなわない。ルエリラが逃げながら時折後ろを振り返って先頭のゾンビを狙撃してく。サメって万能なんだな。
 だが数はスナイパーなルエリラにとっては不利になる。押し寄せる物量を屠る手段がルエリラには無い。
 ならどうするかというと、だ。対抗できる手段を持つ者に『ぶつける』……!
「ってことで巻き込まれろー!」
 サメが周囲を巻き込むのは通常運転ですね。

「ええーいっ!」
 ちょっと視覚的に楽しくないゾンビの群れである。人畜無害であってもだ。差別ではない、人種(?)的な差異の問題である。
 それを振り払うようにロニが頭上の巨大な水球から雹のごとく水球をルエリラとゾンビの群れに向けて放つ。ついでにロニSP1080。
 あり得ないというか人の思考では無理と言わんばかりの複雑な軌道でもってゾンビを屠っていくロニ。
 そんなタイミングでハロが参戦。
 カティアを追いかけていた分、参戦が遅れたが、それが功を奏したようだ。1対1とまではいかないが、乱戦を避けた……すなわち自分の力量が活かせる状況を作り出せている。
 だがロニは広範囲攻撃手段を持っている。
(ならば、ここは……)
 共闘がベストだろう。早めにアレ(上に浮かぶ巨大な水たまり)を何とかしないと一気に持っていかれる。
 幸いにしてロニに向けてハロを含めた3人が向かっている……加速度をあげて一気に迫るハロ。
「おっと!」
 しかしロニはハロの接近に気付いて水球を投げかける。空から縦の弧を描いてハロに降り注ぐ水球。
「くっ……!」
 その水球を水鉄砲のグリップで|叩き落し《カウンター》、ついで体を回転させつつ、長い黒髪で軌道を逸らして回避するハロ。しかし回避行動を取った分、ロニには近づけない。次々と投入される水球群。
「攻めきれませんか……!」
 無理に攻め込んで紙風船を割れられても意味が無い。足を止め、防戦一方になりつつも隙を伺い続けるハロ。
「足止めちゃったー? なら……」
 ロニが一気に決めようと注意をハロに向けた……その瞬間。
 ゾクっ、とした感覚にロニが身を捩る。さっきまで体があった場所を突き抜ける水の一条。
 それは|バイク《サメ》を駆りながらスピードを緩めず突っ込んでくるルエリラの狙撃だ。
「今年の私は動けるスナイパームーヴ! こんな完璧な私が怖い。思わずドヤ顔だよー」
 『ドヤ顔だよー』まで言っちゃうのがルエリラクオリティ。かわいい。
 しかし、そんな緩さとは打って変わって狙撃は激しくロニを攻め立てる。さらにはルエリラの背後から迫るゾンビの大群。
「そんな簡単にやられるかーーっ」
 ロニが水球を並べてガード。しかしルエリラ側を防御するとわずかにハロ側への意識が手薄になる。そしてハロに注意を遣ろうとすれば、ルエリラが狙撃してくるのは目に見えている。
 膠着……するよりも早く。
 ヴィヴのゾンビ軍団の|参戦《エントリー》だ!!
「うそーーーっ!?」
 まぁ、射線上にいるルエリラが巻き込まれるのは仕方ないとして(【ルエリラの勘】と『|芋煮ハンドグレネード《水風船》』でかわしているよ)
 超濃厚な水鉄砲の弾幕がロニに迫る。
「ちょっとー!?」
 参加者的には1対3でロニに不利ってわけではないのだが、実際の頭数は1対多数だ。ゾンビの数は観測不能です。っていうか相手にサメとゾンビがいるってなんてこったい。
 ちなみにロニを挟んで反対側のハロさんは、ロニをうまく盾にしてガードしています。

 結果。

 ずどどどって感じで放たれる幾条もの水鉄砲がロニだけに襲い掛かる。【神知】使ってたとしても回避しきれない弾幕。そこにルエリラの狙撃とロニだけを狙ってのハロからの水風船爆弾である。
「きゃーーーー?!」
 ついに水の奔流に飲み込まれるロニ。そして割れる紙風船。
「ふぅ……手強い相手だった」
 そう言ってルエリラがサメに乗ったまま颯爽とロニの真横を通り過ぎようとする。
「やー楽しかったねー! ――あ」
「え?」
 楽しそうに&笑顔で砂浜に倒れ込むロニから出た不穏な言葉に思わず振り返るルエリラ。そしてその言葉の真意を聞く前に。
「忘れてた。っていうか落ちてきた!」
「うそーーーー?!」
 空から土砂降りを越えた勢いって言うか超大質量で落ちてくる超ドカデカ[水球]くん! ロニが上に浮かべていたアレである。
「いやー間に合わなかったね!」
「ちょっとーー!!」
 想定外のリタイアである。ちょっとサメの速度が間に合わなかったっていうか、そろそろ水が恋しかったらしい?
 めっちゃイイ笑顔で言うロニに頬を膨らませるルエリラさん。仲良くずぶ濡れになって戦線離脱する二人でした。

●神様の閃きは惨劇を引き起こす
「もう何が何だか……」
「私もです……」
 目の前の惨劇に呆然とするヴィヴとハロ。
 ロニが撃たれたと思ったら空から水の塊が降ってきた。距離を取っていたっていうか追い込まれて防御態勢を取っていたハロは引いていた分即離脱できたし、距離が離れていたヴィヴは巻き込まれずに済んだ。なお、ゾンビは全滅した。

「だがまだ終わりじゃないんだよ!!」

 そう、ヴィヴのゾンビはいくらでも復活する。【キャプテンプロパガンダ・ゾンビアタック】によって再びヴィヴの周辺にゾンビたちが現れる。最後の舞台とあってゾンビたちも大はしゃぎである。
「……」
 対してハロは冷静に銃を構えて突撃体制。そう、ハロはどうやっても接近するしかない。覚悟はとっくに決まっている。

 じりじり、とハロが距離を詰めていく。そしてゾンビは空気を読まずに一気に走り出す。手にはもちろん水鉄砲だ!
「……っ!」
「なっ!?」
 ヴィヴが驚愕の声をあげる。何故かといえばハロが見事な跳躍をしたからだ。突っ込んできたゾンビの群れ、その先頭を飛び越えようとする華麗なジャンプ。
 だがゾンビたちもそんなに簡単にハロを見逃したりしない。空を見上げる形で水鉄砲を一斉射撃。
「甘い」
 それに対してハロは腰にぶら下げていた水風船を叩きつけるように投擲。さらには自身の水鉄砲で狙撃する。下と上からの水圧で水風船が割れて水のヴェールが空に広がり、その膜がゾンビたちの攻撃を防ぐ。
 そのまま1体のゾンビの頭の上に着地したハロは、そこを足場にさらなる跳躍、数度繰り返せばゾンビの群れも飛び越える。
「ちぃっ……!」
 一気に距離を詰められた。新たな護衛ゾンビを呼び出している暇は無い。ヴィヴが水鉄砲を構えてピンポイントショット! しかし狙った射撃であるがゆえにその軌道は見切られる。そしていかに高性能といえど水の弾。その弾速は銃弾より遅く、ハロが対処するには十分な時間だ。ハロの黒髪が流れて水弾を弾く。
「チェックメイトです」
 至近距離からの【ジョウブレイカー】――ハロの水鉄砲による一撃がヴィヴの紙風船を叩き割る。
「ぐはっ……」
 膝から崩れ落ちるヴィヴ。いや、体にダメージは無いけれども、演出的なアレである。

 こうして第4回芋煮艇水鉄砲バトルは終了し、砂浜に最後まで経っていたのはハロ。
 今年の優勝は――ハロ・シエラである!

●終わったらのんびり
 こうして今年も芋煮艇による水鉄砲バトルが終了した。っていうか今年も大混戦でしたね。キャバリアに飛空艇まで引っ張り出してくるとは……。

 さて。
 終わればこれまた恒例のお疲れ様会である。
「芋煮回だね」
 誤字じゃないよ。芋煮の回だよ。
 さも当然といわんばかりに芋煮を並べるルエリラさん。ルエリラ特製の芋煮がすっごく自然に並べられていく。っていうかひとり一皿配給されていく。
 当然だよね。

 どこにかっていうと、カティアとききんが先に退避(?)していた休憩用の茶屋である。
「飲み物から軽食まで準備できてますよ」
 カティアがエプロン姿で給仕スタイル。バトルが終わりかけた頃からばっちり仕込んでいたので、ポテトとか唐揚げとかサンドイッチとかプリンとかいっぱい用意してある。
「たろー……おいで……」
 座り込んで、愛犬のたろーをわしゃわしゃしつつ、れんがたろーの足元にミルクをおいてあげる。お疲れさまと頭を撫でると美味しそうに舐め始めるたろー。
「……♪」
 そんな様子を楽しそうに見ながられんもまた焼きトウモロコシをはぐっと横からはむはむしていく。
「今年も、ダメでしたぁぁっ」
 ジョッキ(中はジンジャーエール)をだぁんっと叩き付けながらテーブルに突っ伏して、しくしくと涙を流すヴォルフスブルクさん。のっかってるのっかってる。
「まさかあれでも無理とはねー」
「まさかデスねー」
「いや、ちょっとは加減しろよ……」
 終わり楽しければすべて良し? なロニと庚が目の前の冷たいアイスなスイーツをすっごい勢いで食べながら談笑しているが、ヴィヴさんが聞き逃すわけもなく、さくっとツッコんでいる。なおヴィヴの手にもサンドイッチがあってこの場を楽しんでいる。

 そんな中、『今年の優勝者』っていうタスキをかけたハロが両手でコップを持って、ぐいーっと一気飲み。
「……っはー……」
 勝利の美酒(ジュースだよ)は美味しい。

「あれ? ききんは?」
 辺りをきょろきょろ見渡すルエリラ。
「あー……上、ですかね?」
 ルエリラの言葉に文字通り上を指すカティア。皆が釣られるように見上げると茶屋の天井っていうか屋根の上でチェアーを置いて避暑地ムーブをしているききんがいる。
「仕込む時間はたくさんありましたから」
 カティアといっぱい色んな仕込みをしたんだそうな。

 そんなこんなで今年の水鉄砲バトルもなんとか無事に終わりましたとさ。
菫宮・奏莉
【E】
水鉄砲勝負……。
勝った方が負けた方のいうことをなんでも聞くという、夏の伝統であり伝説の勝負ですね!
カティアお姉ちゃんも参戦できるということですし、これはいかないわけにはいかないのです!

と、いうことで! カティアお姉ちゃん、勝負なのです。
勝利して、カティアお姉ちゃんとのデートを勝ち取るのですよ!

お姉ちゃんは防御の日傘以外は標準装備な感じですね。

それならば……。
理緒お姉ちゃん特製の注射器型水鉄砲と、
水の成分を感知して自動で避けてくれる移動式紙風船防御装置で勝利は私のものなのです(ぐっ

うふふふふふー、さぁいきますよー♪
これでカティアお姉ちゃんはわたしのものなのです!

と、やる気と勝つ気満々の開幕ダッシュをかけましたら……。
砂浜で思い切り足をぐねって、カティアお姉ちゃんに向けてダイブを敢行し、
直前で落っこちて、その勢いで風船が割れてしまいますですね。

砂浜にうつ伏せのまま、あたまをぺたぺたして風船が割れているのを確認したら、
涙目でゆっくり起き上がって、カティアお姉ちゃんに両手を差し出すのです。




 様々な水鉄砲バトルを繰り広げたブルーアルカディアの浮島。その爪跡は賑やかな証拠として浮島のいたるところに残っている。

 よく沈まなかったなこの島??

 そんな感想を抱く者がいたかもしれないが、さておき。

「水鉄砲勝負……勝った方が負けた方のいうことをなんでも聞くという、夏の伝統であり伝説の勝負ですね!」

 誰ですか、菫宮・奏莉(血まみれもふりすと ときどき勇者・f32133)ちゃんにこんなこと教えたの。出てきなさい、カティアさんが無言で張り倒しますよ??
「カティアお姉ちゃんも参戦できるということですし、これはいかないわけにはいかないのです!」
 誰ですか奏莉ちゃんにこんなこと教えたの。グッジョブです、カティアさんがにこにこ笑顔で感謝しています。

 というわけで奏莉が飛空艇から浮島へと降り立つ。
 その姿、水着……の指定がないんだけどぉぉぉぉぉ!?
「あの、奏莉さん? 水着着てないと参加できません……」
「はうっ?!」
 大好きなカティアお姉ちゃんにタックルの勢いで抱き着いて来た奏莉だが、頭をぽむぽむしながら悲し気な表情でそう告げるカティアに、ショックを受けたようだ。
「えと、ええと……」
 うろうろおろおろする奏莉。
「あ、大丈夫ですよ。こんなこともあろうかと種類は無いですが、予備を揃えてあります」
「……!!」
 救いを得た信者のごとく、奏莉がカティアを見上げ、またダッシュハグ。
 ちなみに女の子はワンピ一択でした。


「と、いうことで! カティアお姉ちゃん、勝負なのです」
 風に飛んでいきそうな麦わら帽子を片手で押さえて、シンプルながらとっても可愛いふわふわな真っ白ワンピで砂浜を駆けていた奏莉がくるりと振り向けば。裾がふわりと風になびく。
「ん゛っ……」
 可愛い。かわいすぎる。その姿を見てカティアは口元を押さえて崩れ落ちた。カティアの負けだ。いや、違う。まだ水鉄砲バトル始まってない。
「お姉ちゃん、負けませんよー!」
 なんとか耐えたカティアが水鉄砲を構えつつ告げる。日傘ガードも完璧だ。
 エンジョイ派な二人は、楽しそうに水鉄砲を構えるわけだが。
「勝利して、カティアお姉ちゃんとのデートを勝ち取るのですよ!」
「……うん??」
 楽しそうな奏莉の声に思わず首を傾げるカティア。
 それ、勝ち取る必要あります?? 常時発券されてないですか?? むしろ増産体制に入りますけども???
 そんなカティアの困惑をよそに、奏莉は目をきらーんと輝かせてカティアの装備を確認する。
(ふむふむ、お姉ちゃんは防御の日傘以外は標準装備な感じですね)
 右手に日傘、左手にシンプルなピストルタイプの水鉄砲。戦いを挑んでくるとしたら、日傘でガードしながら距離を詰めてからの水鉄砲だろうか。
(それならば……)
 じゃじゃーん、って感じで奏莉がバックパックから取り出したのは。
 姉である理緒の特製装備。注射器型水鉄砲と水の成分を感知して自動で避けてくれる移動式紙風船防御装置である。スイッチを入れるとさっそく起動してふよふよと奏莉の周りをカード型の防御機構が浮かび上がる。それに囲まれながら、がしゃこんって音を立てて注射器型水鉄砲を構える奏莉。
「理緒お姉ちゃん特製装備で勝利は私のものなのですっ!」
 ぐっ、と拳を握る奏莉。その様子にカティアも慌てて戦闘態勢に。
「うふふふふふー、さぁいきますよー♪ これでカティアお姉ちゃんはわたしのものなのです!」
「……うん???」
 楽しそうな奏莉の声にやっぱり首を傾げるカティア。
 カティアお姉ちゃんは既に奏莉ちゃんのものではないのですか? え、もしかしてこの勝負が終わったら結婚ですか?? ブルーアルカディアで雲海結婚式あげちゃいます???
 無邪気すぎる奏莉の言葉に、困惑で身動きが取れないカティアなのでした。


 棒立ちしているカティア目掛けて、奏莉はやる気と勝つ気満々の開幕ダッシュで距離を詰める!
「お姉ちゃん覚悟なの……あーーーーっ!!」
 そしてコケる。
 説明しよう! 奏莉ちゃんは得意のダッシュをすると高確率でコケるのだ! なんで走ったし。
 砂浜で思い切り足をぐねって砂浜にキス……と見せかけて今日の奏莉ちゃんは一味違った。なんと! カティアお姉ちゃんに向けてダイブを敢行したのだ!
「あわわわわ……!!」
 困惑&棒立ちしていたカティアは初動が遅れた。水鉄砲も日傘も放り投げて奏莉をキャッチ態勢に入ったのだが、一歩遅い!

 すべしゃぁぁぁっ!!! ぱぁぁぁんっ!!

「「…………」」
 両手を伸ばしたカティアの、寸前で砂浜に落っこちる奏莉。そして割れる紙風船。訪れる沈黙……。
「……うう」
 砂浜にうつ伏せのまま、頭の上をぺたぺた確認した奏莉が泣き出す。そこにあるはずの紙風船が無かったからだ。
「……あうーーー」
「よしよし」
 涙目でゆっくり起き上がった奏莉がごくごく自然に両手をカティアの方へ差し出す。いわゆる『抱っこして』のポーズ。溺愛している奏莉がそんなポーズをしたらはぐぎゅーするに決まっているカティアお姉ちゃんである。
 ぎゅーって抱きしめながら頭をなでなでよしよしするカティア。
「勝負は無効ですね。また今度、しましょうか」
「うぐっ、ぐすっ、はい、なのです」
 カティアの胸に顔を埋めながらこくこく頷く奏莉。ぽんぽんなでなで。泣き止むまでカティアは腕の中で奏莉を優しく包み込む。

 そんなわけで奏莉vsカティアの勝負はノーゲーム。
 勝負という名のデートはまた今度という約束で次に繋げられたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年09月08日


挿絵イラスト